(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-17
(54)【発明の名称】1-(5-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-((3-フルオロフェニル)スルホニル)-4-メトキシ-1H-ピロール-3-イル)-N-メチルメタンアミンの液状薬学的組成物を含む医薬品容器
(51)【国際特許分類】
A61K 9/08 20060101AFI20240510BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240510BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240510BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240510BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240510BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20240510BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20240510BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240510BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
A61K9/08
A61P1/04
A61P29/00
A61P31/04
A61P17/02
A61K31/40
A61K47/40
A61K47/26
A61J1/05 311
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571145
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 KR2022007489
(87)【国際公開番号】W WO2022250472
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0067635
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0064452
(32)【優先日】2022-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508131716
【氏名又は名称】デウン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DAEWOONG PHARMACEUTICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】35-14,Jeyakgongdan 4-gil,Hyangnam-eup,Hwaseong-si,Gyeonggi-do Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ヨンジン
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ウンジ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ギョンウォン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ハナ
(72)【発明者】
【氏名】キム,グァンヨン
【テーマコード(参考)】
4C047
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C047BB01
4C047BB11
4C047BB28
4C047CC04
4C076AA11
4C076CC04
4C076CC16
4C076CC19
4C076CC32
4C076DD67D
4C076EE39
4C076FF14
4C076FF36
4C076FF61
4C076FF63
4C076GG43
4C076GG45
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086ZA68
4C086ZB11
4C086ZB35
(57)【要約】
本発明は、1-(5-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-((3-フルオロフェニル)スルホニル)-4-メトキシ-1H-ピロール-3-イル)-N-メチルメタンアミン、またはその薬学的に許容可能な塩の液状薬学的組成物を含む医薬品容器に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む液状薬学的組成物を含み、
プラスチック容器;内部がシリコーンオイル、SiO
2、またはSiOCHでコーティングされたガラス容器;または脱アルカリ処理されたガラス容器である、
医薬品容器。
【化1】
【請求項2】
前記液状薬学的組成物は、シクロデキストリンおよび等張化剤を追加的に含む、
請求項1に記載の医薬品容器。
【請求項3】
前記シクロデキストリンは、(2-ヒドロキシプロピル)-ベータ-シクロデキストリンであり、
前記等張化剤は、D-マンニトールである、
請求項2に記載の医薬品容器。
【請求項4】
前記液状薬学的組成物のpHは、4.0~6.0である、
請求項1に記載の医薬品容器。
【請求項5】
前記医薬品容器を60℃、80%RHの苛酷条件で4週間保管した後に測定した前記液状薬学的組成物の類縁物質の量は、0.5%以下である、
請求項1に記載の医薬品容器。
【請求項6】
前記医薬品容器を60℃、80%RHの苛酷条件で4週間保管した後に測定した前記液状薬学的組成物の類縁物質の量と苛酷条件処理前の類縁物質の量との差は、0.45%以下である、
請求項1に記載の医薬品容器。
【請求項7】
前記医薬品容器を100℃~150℃で3分~30分間加熱滅菌処理し、60℃、80%RHの苛酷条件で4週間保管した後に測定した前記液状薬学的組成物の類縁物質の量は、0.5%以下である、
請求項1に記載の医薬品容器。
【請求項8】
前記医薬品容器を100℃~150℃で3分~30分間加熱滅菌処理し、60℃、80%RHの苛酷条件で4週間保管した後に測定した前記液状薬学的組成物の類縁物質の量と苛酷条件処理前の類縁物質の量との差は、0.45%以下である、
請求項1に記載の医薬品容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月26日付の韓国特許出願第10-2021-0067635号および2022年5月26日付の韓国特許出願第10-2022-0064452号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、1-(5-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-((3-フルオロフェニル)スルホニル)-4-メトキシ-1H-ピロール-3-イル)-N-メチルメタンアミンの液状薬学的組成物を含む医薬品容器に関する。
【背景技術】
【0003】
1-(5-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-((3-フルオロフェニル)スルホニル)-4-メトキシ-1H-ピロール-3-イル)-N-メチルメタンアミンは、韓国特許登録番号第10-1613245号に記載された物質であって、優れた抗-潰瘍活性(つまり、プロトンポンプ抑制活性など)およびヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)除菌活性およびGPCR抑制作用を有することによって、胃腸管潰瘍、胃炎、逆流性食道炎、またはヘリコバクター・ピロリによる胃腸管損傷の予防および治療に有用な物質である。
【0004】
ただし、本発明者らは、前記組成物が液剤として長期保管時に安定性が低下することを確認し、このような長期安定性問題の発生原因について鋭意研究をした結果、前記物質が酸または塩基と反応して分解生成物が増加することを確認し、特に、液状剤形に対する製造過程で一般に要求される高温滅菌過程である湿熱滅菌、乾式滅菌などの段階で酸/塩基反応が加速化して、後述する化1を含む安定した液状剤形を開発するのに困難があった。
【0005】
そこで、本発明の発明者らは、1-(5-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-((3-フルオロフェニル)スルホニル)-4-メトキシ-1H-ピロール-3-イル)-N-メチルメタンアミン、またはその薬学的に許容可能な塩の液状薬学的組成物を標準ガラスバイアル内に液状製剤として長期間保存する時、バイアルの内部表面に由来するアルカリ性物質と溶液とが反応する可能性があって安定性を確保しにくく、これは製品化への大きな困難につながりかねないことを把握し、長期間安定的に保存するための医薬品容器を提供するために努めた結果、特定の材質の容器を用いる場合、前記薬学的組成物と容器との間の反応が最小化されて保存が容易であり、直ちに使用可能な注入用液剤形態である製薬製品の提供が可能であり、高温滅菌過程を経ても安定性を有することを確認して、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、1-(5-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-((3-フルオロフェニル)スルホニル)-4-メトキシ-1H-ピロール-3-イル)-N-メチルメタンアミン、またはその薬学的に許容可能な塩の液状薬学的組成物を含む医薬品容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、下記の化1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩;を含む液状薬学的組成物を含み、プラスチック容器;内部がシリコーンオイル、SiO
2、またはSiOCHでコーティングされたガラス容器;または脱アルカリ処理されたガラス容器である、医薬品容器を提供する。
【化1】
【0008】
前記化1で表される化合物の化学名は、1-(5-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-((3-フルオロフェニル)スルホニル)-4-メトキシ-1H-ピロール-3-イル)-N-メチルメタンアミンであって、韓国特許登録番号第10-1613245号に記載された物質である。
【0009】
前記化1で表される化合物は、本発明の液状薬学的組成物の薬理効果を示す活性成分であって、優れた抗-潰瘍活性(つまり、プロトンポンプ抑制活性など)およびヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)除菌活性およびGPCR抑制作用を有することによって、胃腸管潰瘍、胃炎、逆流性食道炎、またはヘリコバクター・ピロリによる胃腸管損傷の予防および治療に有用な物質である。
【0010】
また、本発明の液状薬学的組成物の薬理効果を示す活性成分として、前記化1で表される化合物以外にも、その薬学的に許容可能な塩を使用することができる。塩としては、薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)によって形成された酸付加塩のように、当業界で通常使用される塩を制限なく使用可能である。本発明の用語「薬学的に許容可能な塩」とは、患者に比較的非毒性の、無害な有効作用を有する濃度として、この塩に起因した副作用が化1で表される化合物の有利な効能を低下させない前記化合物の任意のすべての有機または無機付加塩を意味する。
【0011】
無機酸または有機酸を用いて通常の方法で薬学的に許容可能な塩を得ることができる。例えば、前記化1で表される化合物を水混和性有機溶媒、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルに溶解させ、有機酸または無機酸を加えて沈殿した結晶をろ過して製造、乾燥させて薬学的に許容可能な塩を得ることができる。あるいは、酸の付加された反応混合物で溶媒や過剰の酸を減圧して、残渣を乾燥させて製造したり、または他の有機溶媒を加えて析出した塩をろ過して製造することができる。この時、好ましい塩として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはトルエンスルホン酸などから誘導された塩が挙げられる。
【0012】
一方、前記化1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、酸または塩基と反応して分解生成物が増加しうるので、その液状薬学的組成物を標準容器内に長期間保存時に容器の内部表面に由来するアルカリ性物質と溶液とが反応する可能性がある。特に、一般的な標準ガラス容器を用いる時、前記反応がより活発に反応する問題がある。そこで、前記液状製剤をより容易に長期間保管するために、前記液状薬学的組成物を含む医薬品容器は、ガラスではないプラスチック容器であるか、特定の物質で機能性コーティングされたガラス容器、または脱アルカリ処理された容器を用いる。プラスチック容器を用いる場合、前記プラスチック容器は特別な制限がないが、好ましくは、サイクリックオレフィンポリマー(Cyclic Olefin Polymer;COP)またはサイクリックオレフィンコポリマー(Cyclic Olefin Copolymer;COC)であってもよい。より好ましくは、サイクリックオレフィンポリマーであってもよい。また、ガラス容器の内部コーティング物質として、前記液状製剤と反応性の低いシリコーンオイル、SiO2、またはSiOCHが使用可能であり、一般のガラス容器の内部に酸処理をして容器内部の表面からアルカリ性物質を除去した脱アルカリ処理されたガラス容器を用いることができる。このように特定の材質でコーティングまたは処理されたり、特定の材質の容器を用いることによって、前記液状薬学的組成物の安定性が増加して製品化が可能であり、直ちに使用可能な注入用液剤としても有用に使用することができる。
【0013】
また、液状剤形に対して一般に要求される高温滅菌過程である湿熱滅菌、乾式滅菌などの段階で酸/塩基反応が加速化しうるが、特定の容器を用いる場合、このような段階でも化合物の安定性を維持することができる。
【0014】
一方、前記液状薬学的組成物は、好ましくは、シクロデキストリンおよび等張化剤を追加に含むことができる。
【0015】
前記化1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、水溶解度が低くて、液状薬学的組成物、例えば、注射用薬学的組成物に製造するためには、過剰の可溶化剤および有機溶剤を必要とする。しかし、過剰の可溶化剤などは、患者への投与時に過敏症を誘発する恐れがある。そこで、本発明では、一般に液状薬学的組成物に使用される可溶化剤を使用しない代わりに、上述した成分を使用することによって、前記化1で表される化合物の優れた溶解度と安定性を同時に有する液状薬学的組成物が可能である。
【0016】
前記シクロデキストリンは、6~12個のブドウ糖分子がアルファ-1,4-グリコシド結合をした環状のオリゴ糖であって、本発明において安定化剤として使用される。好ましくは、前記シクロデキストリンは、ベータ-シクロデキストリン、またはガンマ-シクロデキストリンであり、より好ましくは、ベータ-シクロデキストリンである。より好ましくは、前記ベータ-シクロデキストリンは、(2-ヒドロキシプロピル)-ベータ-シクロデキストリンまたはスルホブチルエーテル-ベータ-シクロデキストリンであり、英略字としてはそれぞれ「HP-β-CD」および「SBE-β-CD」である。最も好ましくは、前記ベータ-シクロデキストリンは、(2-ヒドロキシプロピル)-ベータ-シクロデキストリン(HP-β-CD)である。
【0017】
一般に、液状薬学的組成物に使用される安定化剤の中で、前記シクロデキストリンが前記化1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩の安定化のために適する。
【0018】
好ましくは、前記シクロデキストリンは、前記化1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩1重量部対比3.0~25.0重量部使用する。前記含有量が3.0重量部未満の場合には、前記化1で表される化合物の安定化に十分でなくて、液状薬学的組成物の再水和が難しかったり、長期保管時に総類縁物質が増加する問題がある。また、前記含有量が25.0重量部超過の場合には、安定化剤の使用量が過度に多くて、液状薬学的組成物の粘度が高くなったり、または患者への投与時に過敏症を誘発する恐れがある。
【0019】
より好ましくは、前記シクロデキストリンは、前記化1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩1重量部対比3.5重量部以上、4.0重量部以上、または4.5重量部以上であり;20.0重量部以下、19.0重量部以下、18.0重量部以下、17.0重量部以下、16.0重量部以下、15.0重量部以下、14.0重量部以下、13.0重量部以下、12.0重量部以下、11.0重量部以下、または10.0重量部以下である。
【0020】
一方、前記「等張化剤」は、前記容器に含まれている液状薬学的組成物の浸透圧を体内の浸透圧と類似にするために入れる添加剤である。液状薬学的組成物は、別途の希釈過程なしに体内に直接投与されるので、体内投与時の副作用を低減するためには、体内と同一の浸透圧で製造しなければならない。好ましくは、前記等張化剤は、塩化ナトリウム(NaCl)、D-マンニトール、デキストロース、グリセリン、またはKCl(塩化カリウム)であってもよく、より好ましくは、塩化ナトリウム(NaCl)、デキストロース、グリセリン、またはKCl(塩化カリウム)であってもよく、最も好ましくは、塩化ナトリウム(NaCl)、デキストロース、またはKCl(塩化カリウム)であってもよい。
【0021】
前記等張化剤は、電解質または非電解質であるか否かにより、目的とする液状薬学的組成物のオスモル濃度(osmolarity)に到達するために必要な含有量が異なる。したがって、前記等張化剤は、具体的な物質の種類によって本発明による液状薬学的組成物のオスモル濃度が100~700mOsmol/Lとなるように含まれることが好ましい。より好ましくは、前記注射用製剤のオスモル濃度が150~650mOsmol/L、150~450mOsmol/L、250~450mOsmol/L、または270~420mOsmol/Lであってもよい。
【0022】
好ましくは、前記液状薬学的組成物は、凍結乾燥補助剤を追加的に含むことができる。一般に、液状薬学的組成物は、大量生産した後、これを凍結し、減圧下で保管および流通するが、これは活性成分の安定性増進および長期保管安定性を改善させることができる。したがって、凍結乾燥過程で活性物質の安定性が維持されなければならず、そこで、本発明では、凍結乾燥補助剤を追加的に含むことができる。好ましくは、前記凍結乾燥補助剤は、D-マンニトール、スクロース、ソルビトール、またはトレハロースであってもよく、より好ましくは、前記凍結乾燥補助剤は、D-マンニトールであってもよい。
【0023】
好ましくは、前記凍結乾燥補助剤は、前記化1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩1重量部対比3.0~25.0重量部使用する。前記含有量が3.0重量部未満の場合には、前記化1で表される化合物の安定化に十分でなくて、液状薬学的組成物の再水和が難しかったり、長期保管時に類縁物質が増加する問題がある。また、前記含有量が25.0重量部超過の場合には、凍結乾燥補助剤の使用量が過度に多くて、液状薬学的組成物の粘度が高くなったり、または患者への投与時に過敏症を誘発する恐れがある。
【0024】
より好ましくは、前記凍結乾燥補助剤は、前記化1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩1重量部対比3.5重量部以上、4.0重量部以上、または4.5重量部以上であり;20.0重量部以下、15.0重量部以下、13.0重量部以下、10.0重量部以下、9.0重量部以下、8.0重量部以下、7.0重量部以下、または6.0重量部以下である。
【0025】
好ましくは、前記凍結乾燥補助剤は、前記シクロデキストリン1重量部対比0.5~5.0重量部使用する。より好ましくは、前記凍結乾燥補助剤は、前記シクロデキストリン1重量部対比0.6重量部以上、0.7重量部以上、または0.8以上であり;4.5重量部以下、4.0重量部以下、3.5重量部以下、3.0重量部以下、2.5重量部以下、2.3重量部以下、2.0重量部以下、1.9重量部以下、1.8重量部以下、1.7重量部以下、1.6重量部以下、1.5重量部以下、1.4重量部以下、1.3重量部以下、または1.2重量部以下である。
【0026】
好ましくは、前記液状形態の薬学的組成物を製造するために、本発明の属する技術分野における通常の溶媒を使用することができる。一例として、前記液状薬学的組成物の溶媒は、蒸留水、注射用水、アセテートバッファー(Acetate buffer)、または生理食塩水である。
【0027】
好ましくは、本発明による液状薬学的組成物のpHは、4.0~6.0であり、より好ましくは、5.0~6.0である。本発明の液状薬学的組成物の化学的特性によって前記pHの調整に追加的なpH調整剤が使用されなくてもよい。ここで、pH調整剤はこれを添加することによって、溶液のpHを調整して水難溶性または不溶性化合物の溶解性を向上させる物質であって、製薬学的に許容可能な酸剤またはアルカリ剤が使用される。その例としては、塩酸、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよびトリエタノールアミンのいずれか1つ以上を使用することができる。
【0028】
好ましくは、前記化1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、前記液状薬学的組成物中に1~8mg/mL含む。つまり、前記化1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩の含有量は、前記化1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩の含有量(mg)を前記液状薬学的組成物の総体積(mL)で割った値で定義できる。
【0029】
より好ましくは、前記化1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、前記液状薬学的組成物中に2mg/mL以上、3mg/mL以上、または4mg/mL以上、または5mg/mL以上であり;7mg/mL以下、6mg/mL以下、または5.5mg/mL以下で含む。
【0030】
一方、後述する「類縁物質の量」は、ICH Guideline Q2 Analytical Validationに基づいて設定された類縁物質試験法で分析し、純度を知っている標準品の濃度およびHPLCで測定されたピーク面積と検液の濃度およびHPLCで測定された類縁物質のピーク面積との比例式により総類縁物質の量を計算する。具体的には、「類縁物質の量(%)」は、「(標準液の濃度(mg/mL)/検液の濃度(mg/mL))*(検液中の類縁物質のピーク面積/標準液のピーク面積)*100」で計算される。
【0031】
前記医薬品容器を60℃、80%RHの苛酷条件で4週間保管する場合、前記液状薬学的組成物に発生する類縁物質の量が0.5%以下であってもよい。好ましくは、前記苛酷条件で4週間保管した前記医薬品容器内の前記液状薬学的組成物の類縁物質の量は、0.48%以下、0.47%以下、0.46%以下、または0.45%以下であってもよい。
【0032】
また、前記医薬品容器を60℃、80%RHの苛酷条件で4週間保管した後に測定した前記液状薬学的組成物の類縁物質の量と苛酷条件処理前の類縁物質の量との差は、0.45%以下であってもよい。好ましくは、前記4週間保管された後に測定した前記液状薬学的組成物の類縁物質の量と苛酷条件処理前の類縁物質の量との差は、0.43%以下、0.4%以下、0.38%以下、0.36%以下、または0.35%以下であってもよい。
【0033】
好ましくは、前記医薬品容器を100℃~150℃で3分~30分間加熱滅菌処理し、60℃、80%RHの苛酷条件で4週間保管した後に測定した前記液状薬学的組成物の類縁物質の量は、0.5%以下であってもよい。好ましくは、前記加熱滅菌処理後、苛酷条件で4週間保管した前記医薬品容器内の前記液状薬学的組成物の類縁物質の量は、0.48%以下、0.47%以下、0.46%以下、または0.45%以下であってもよい。より好ましくは、前記加熱滅菌処理条件は、121℃で15分、126℃で10分、または134℃で3分であってもよい。
【0034】
好ましくは、前記医薬品容器を100℃~150℃で3分~30分間加熱滅菌処理し、60℃、80%RHの苛酷条件で4週間保管した後に測定した前記液状薬学的組成物の類縁物質の量と苛酷条件処理前の類縁物質の量との差は、0.45%以下であってもよい。好ましくは、前記加熱滅菌処理後、前記4週間保管された後に測定した前記液状薬学的組成物の類縁物質の量と苛酷条件処理前の類縁物質の量との差は、0.43%以下、0.4%以下、0.38%以下、0.36%以下、または0.35%以下であってもよい。より好ましくは、前記加熱滅菌処理条件は、121℃で15分、126℃で10分、または134℃で3分であってもよい。
【0035】
必要に応じて、本発明による液状薬学的組成物は、保存剤、抗酸化剤などを追加的に含むことができ、前記保存剤および抗酸化剤としては、本発明の属する技術分野で一般に使用されるものであれば特に制限されない。
【0036】
また、本発明による液状薬学的組成物は、溶媒を除いた上述した成分を溶媒に混合して製造することができ、この過程で必要に応じて各成分の溶媒への添加順序を調節することができ、またはすべての成分を溶媒に添加する前に混合して溶媒に添加することができる。
【発明の効果】
【0037】
上述のように、本発明の医薬品容器は、1-(5-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-((3-フルオロフェニル)スルホニル)-4-メトキシ-1H-ピロール-3-イル)-N-メチルメタンアミン、またはその薬学的に許容可能な塩を含む液状薬学的組成物を安定的に保管可能で、前記液状薬学的組成物を含む医薬品容器を直ちに使用可能な注入用液剤として有用に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるのではない。
【実施例1】
【0039】
下記表1のように、上述した化1で表される化合物の塩酸塩(以下、「API」という)を含む液状薬学的組成物を調製した。
【0040】
【0041】
各調製液を下記表2のようにそれぞれ異なる材質のバイアルに充填して液状形態で苛酷条件(60℃、80%RH)のチャンバで4週間保管後に安定性を評価して、表3に示した。安定性は、液状溶液の類縁物質の量をHPLCで分析して、検出された総類縁物質の量を測定した。
【0042】
具体的には、類縁物質の量は、ICH Guideline Q2 Analytical Validationに基づいて設定された類縁物質試験法で分析し、純度を知っている標準品の濃度およびHPLCで測定されたピーク面積と検液の濃度およびHPLCで測定された類縁物質のピーク面積との比例式により総類縁物質の量を計算した。
【0043】
下記表2の#2-9および#2-10に使用されたプラスチックバイアルは、Daikyo Crystal Zenith vialである。
【0044】
【0045】
【0046】
前記表3に示されているように、各容器別に液状溶液状態で苛酷条件で4週間保管した時、性状には変化がなかったが、本発明の一実施例の機能性容器で一般のガラスバイアルを用いた比較例である#2-1および#2-2より、総類縁物質の生成程度が相対的に低いことを確認することができた。つまり、本発明の一実施例の医薬品容器に液状溶液を保管する時に安定性を有することを確認した。
【実施例2】
【0047】
液状剤形製造工程中に必要であるが、酸/塩基との反応性を加速化させうる湿熱滅菌(121℃で15分間滅菌する)を適用した組成物に対しても同一の長期安定性改善効果があるかを確認しようとした。
【0048】
前記実施例1と同様の方法で液状組成物を製造し、実施例1と同様の方法で安定性を評価した。
【0049】
酸処理ガラスバイアルは、一般のガラスバイアルの内部表面に酸処理をしてアルカリ性物質を除去した脱アルカリ処理されたバイアルである。
【0050】
【0051】
【0052】
前記表5に示されているように、湿熱滅菌を適用しなかった場合、各容器別に液状溶液状態で苛酷条件で4週間保管した時、性状には変化がなかったが、本発明の一実施例の機能性容器(#3-2および#2-4)で一般のガラスバイアルを用いた比較例である#2-1より総類縁物質の生成程度が相対的に低いことを確認することができ、特に脱アルカリ処理された容器でより安定性を有することを確認した。
【0053】
液状剤形に対して一般に要求される湿熱滅菌段階の適用時、湿熱滅菌の未適用時より苛酷条件処理前の類縁物質がより多いことを確認することができ、これによって湿熱滅菌過程で酸/塩基の反応性が高まったことを類推することができる。また、湿熱滅菌を適用した場合、未適用時より各バイアルの4週間後の類縁物質の増加量が高いことを確認することができるが、これは湿熱滅菌時に高温によってバイアル内部表面のアルカリ活性化が増加したと推定される。それにもかかわらず、酸処理バイアルおよび内部コーティングバイアルではこのような加熱滅菌段階の影響を最小化して一般のバイアルに比べて優れた安定性維持効果を示すことによって、化1を含む液状剤形の製品化の可能性を提示した。
【0054】
上記の実施例から、本発明の一実施例の医薬品容器に液状溶液を保管する時に安定性を有することを確認した。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
前記等張化剤は、電解質または非電解質であるか否かにより、目的とする液状薬学的組成物のオスモル濃度(osmolarity)に到達するために必要な含有量が異なる。したがって、前記等張化剤は、具体的な物質の種類によって本発明による液状薬学的組成物のオスモル濃度が100~700mOsmol/Lとなるように含まれることが好ましい。より好ましくは、前記液状薬学的組成物のオスモル濃度が150~650mOsmol/L、150~450mOsmol/L、250~450mOsmol/L、または270~420mOsmol/Lであってもよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
好ましくは、前記凍結乾燥補助剤は、前記シクロデキストリン1重量部対比0.5~5.0重量部使用する。より好ましくは、前記凍結乾燥補助剤は、前記シクロデキストリン1重量部対比0.6重量部以上、0.7重量部以上、または0.8重量部以上であり;4.5重量部以下、4.0重量部以下、3.5重量部以下、3.0重量部以下、2.5重量部以下、2.3重量部以下、2.0重量部以下、1.9重量部以下、1.8重量部以下、1.7重量部以下、1.6重量部以下、1.5重量部以下、1.4重量部以下、1.3重量部以下、または1.2重量部以下である。
【国際調査報告】