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▶ ペルフェッティ ヴァン メッレ ソシエタ ペル アチオニの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-20
(54)【発明の名称】菓子製品
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/36 20060101AFI20240513BHJP
   A23G 3/34 20060101ALI20240513BHJP
   A23L 3/3508 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
A23G3/36
A23G3/34
A23L3/3508
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568226
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 IB2022054094
(87)【国際公開番号】W WO2022234464
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】102021000011609
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502174704
【氏名又は名称】ペルフェッティ ヴァン メッレ ソシエタ ペル アチオニ
【氏名又は名称原語表記】PERFETTI VAN MELLE S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ホークセマ、 ルネ
(72)【発明者】
【氏名】リザノ イグレシアン、 ジョアクイン アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】マランゴズ、 グエヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ブラウンズ、 グラディス
【テーマコード(参考)】
4B014
4B021
【Fターム(参考)】
4B014GB08
4B014GK03
4B014GK05
4B014GL01
4B014GL03
4B014GL04
4B014GL10
4B014GQ09
4B021LA01
4B021LW10
4B021MC07
4B021MK17
4B021MK20
4B021MP01
(57)【要約】
望ましくない副作用として製品の褐変を引き起こしやすい1つ以上の有効成分と、前記褐変を防止できる量の乳酸とを含有する単層または多層錠剤からなる菓子製品が開示されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
菓子製品、特に錠剤であって、製品の褐変を引き起こしやすい少なくとも1種の有効成分であって、縮合型タンニン、プロアントシアニジン、プロシアニジン、カテキン、エピカテキン、クルクミノイド、及びフェノールアルデヒドのクラスに属するものを含み、乳酸が製品の総重量に対して0.1重量%~2重量%の範囲の割合で存在する、菓子製品。
【請求項2】
前記乳酸の割合が製品の総重量の0.2~0.3%の範囲である、請求項1に記載の菓子製品。
【請求項3】
前記有効成分が、エピガロカテキンガレート又はバニリンである、請求項1又は2に記載の菓子製品。
【請求項4】
前記有効成分が、エピガロカテキンガレートである、請求項1又は2に記載の菓子製品。
【請求項5】
前記バニリン又はエピガロカテキンガレートが、0.03~5%の範囲の割合で存在する、請求項3又は4に記載の菓子製品。
【請求項6】
縮合タンニン、プロアントシアニジン、プロシアニジン、カテキン、エピカテキン、クルクミノイド、及びフェノールアルデヒドを含む菓子製品の褐変を抑制するための乳酸の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明の目的は、副作用として製品の褐変を引き起こしやすい1種以上の有効成分と、前記褐変を防止できる量の乳酸とを含有する単層又は多層の錠剤からなる菓子製品である。
【背景技術】
【0002】
従来技術
食品及び栄養補助食品の分野で使用される多くの成分には、それらを含む配合物を茶色に変色させるという欠点がある。その結果、配合物が変色し、消費者が嫌がる色の外観が生じる。そのような成分のほとんどの例は、縮合型タンニン、プロアントシアニジン、プロシアニジン、カテキン、エピカテキン、クルクミノイド、及びフェノールアルデヒドのような酸化しやすいフェノール又はポリフェノール構造を有する物質である。前記成分は、着色料、香料、保存料、防腐剤、及び酸化防止剤として食品及び製菓業界で広く使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第106880048号明細書
【特許文献2】豪国特許出願公開第2002243023号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2162013号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よく知られている香料であるバニリンと、特に緑茶に大量に含まれるエピガロカテキンガレートは、食品産業で使用される最も一般的な成分の一つであり、これらを含む製品の色調を変化させる原因となっている。
【0005】
例えば、中国特許出願公開第106880048号明細書には、緑茶由来の成分を含む、キャンディー、チューインガム、又は錠剤形態で作られた菓子製品が記載されている。
【0006】
豪国特許出願公開第2002243023号明細書には、緑茶を含む植物抽出物と乳酸菌を組み合わせて含む、口腔疾患の治療のための口腔組成物を記載している。
【0007】
欧州特許出願公開第2162013号明細書には、カプセル化された有効成分を含む錠剤の形態のチューインガムが記載されており、その中には緑茶抽出物が挙げられている。この種の製剤に一般的に使用される成分である食品酸も存在する可能性がある。
【0008】
クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸等の酸は、風味増強剤、酸味料、pH調整剤として製菓業界でよく使用されている。しかし、バニリンのような成分の存在による組成物の色調変化を防ぐことができる薬剤として、前記酸がこれまで考慮されてきたという証拠はない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の説明
乳酸は、組成物の全重量に対して0.1~2重量%の量で、バニリン、緑茶ポリフェノール、特にエピガロカテキンガレート等の化合物、又は経時的に製品の色を変化させるという望ましくない効果を有する他の有効成分(例えば、香料、酸化防止剤、又は一般的に有益な効果のために使用される)の存在によって引き起こされる褐変及び経時的な色の変化を効果的に防止することが発見されている。
【0010】
従って、本発明の目的は、菓子製品、特に錠剤であって、製品の褐変という望ましくない効果を引き起こしやすい少なくとも1種の有効成分と、製品の全重量に対して0.1~2%の範囲であり、好ましくは製品の全重量に対して0.2~0.3%の範囲の割合の乳酸とを含む菓子製品である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る乳酸は、顆粒、液体、溶液、純粋又はその塩と担体との混合物、希釈剤、及び賦形剤の形態で使用することができる。
【0012】
褐変を引き起こしやすい有効成分としては、通常、縮合型タンニン、プロアントシアニジン、プロシアニジン、カテキン、エピカテキン、クルクミノイド、フェノールアルデヒドが含まれる。
【0013】
最も一般的に使用される有効成分は、エピガロカテキンガレートとバニリンである。バニリンは広く使用されている香料であり、緑茶ポリフェノール(その代表的なものがエピガロカテキンガレートである)は、その有益な特性、特に抗酸化作用と防腐作用により、健康や栄養補助食品の分野で使用されている。本発明に係る組成物中の前記成分の量は、前記成分を含む既知の製品で一般的に使用されているものであり、通常0.03%~5%、より好ましくは0.05%~1.5%の範囲である。
【0014】
例えば、口臭予防製品に有用なエピガロカテキンガレートは、0.05~5重量%の範囲で存在することができる。
【0015】
本発明に係る組成物は甘味料、香料、着色料、潤滑剤等の従来の賦形剤及び担体も含有する。
【0016】
以下の例で実証されるように、乳酸で発見された褐変防止効果は、食品業界で一般的に使用される他の酸には共通していない。
【実施例
【0017】
例1
表1に記載の基本的な混合物を調製し、これにクエン酸、リンゴ酸及び乳酸を加えた。様々な試験における酸の添加量は、生成物の総重量の0.2%、0.5%、1%、2%、3%、及び4%であった。酸を含まない参照サンプルも調製した。
【0018】
市販の打錠機であるモデルKorsch XP-1を使用して、全てのサンプルを試験した。このようにして製造した錠剤を缶に詰めて、気候室(相対湿度35℃、70%)に入れた。
【0019】
【表1】
【0020】
その結果、酸を含まない参照サンプルは17日目までに茶色に変色することが示された。
【0021】
製品の3重量%及び4重量%の酸の使用は、錠剤が褐色に変色するのを防ぐが、製品に有機的な変化、すなわち目的とする製品の品質目標と一致しない風味の劣化をもたらす。
【0022】
0.2%、0.5%、1%、2%の酸の使用は、乳酸を除き、製品の褐色化を完全に防ぐことができないか、又は、製品表面に汚れや穿孔を引き起こし、許容できないほど品質に影響を与える。
【0023】
後者の量の乳酸で作られた錠剤は、褐色に変色せず、許容できない汚れや穿孔を示さず、消費者が嫌がる有機的な変化を示さない。
【0024】
例2
EGCG、バニリン、又はその両方を含む製品を調製した。表2に、実施した実験テストを示す。
【0025】
【表2】
【0026】
表2に記載された製品について実施された貯蔵寿命試験では、EGCG及び/又はバニリンを含む錠剤の褐変を明らかに示している。EGCG又はバニリンを含まない錠剤は褐変を示さなかった。EGCGとバニリンの両方を含む錠剤の場合、0.2%粉末乳酸を含む錠剤と含まない錠剤の間に明確な違いが観察された。
【0027】
バニリンを含まないがEGCGと乳酸を含む製品と、EGCGを含まないがバニリンと乳酸を含む製品は、元の色を維持しており、参照サンプルと比較しても色の変化は観察されない。
【0028】
EGCG、バニリン又はそれらの組み合わせを含む錠剤に0.2%乳酸を添加すると、色の安定性が大幅に改善された。錠剤の色は実質的にベースに対応している。
【0029】
放置試験は40℃、50/80%RHで27日間行い、3日後、10日後、17日後、27日後に褐変の程度を確認した。
【0030】
製品に対する褐変防止効果の利益に加えて、本発明による乳酸の使用は、製品の風味にいかなる変化も引き起こさないことが観察された。
【0031】
乳酸を使用した製品サンプルの官能検査では、乳酸を使わずに作った製品と比較して、テイスターのパネルは風味の変化を知覚できないことが示された。
【0032】
また、乳酸を含有する組成物の風味に変化がないことは、フルーツ風味の製品等の酸性分を含む製品だけでなく、ミント風味の製品等の製品にも適用されることがわかった。
【0033】
この発見は、製造プロセスの最適化という点で重要な影響を及ぼし、使用するフレーバーの種類に関係なく、同じベースを使用することを可能にする。
【0034】
そのため、乳酸とミントのフレーバーで作られた製品サンプルについても官能検査が行われ、結果はフルーツフレーバーの製品で行われた試験と同じであった。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤の形態の菓子製品であって、製品の褐変を引き起こしやすい少なくとも1種の有効成分であって、縮合型タンニン、プロアントシアニジン、プロシアニジン、カテキン、エピカテキン、クルクミノイド、及びフェノールアルデヒドのクラスに属するものを含み、前記有効成分が0.03重量%~5重量%の範囲の量で存在し、乳酸が製品の総重量に対して0.重量%~0.3重量%の範囲の割合で存在する、菓子製品。
【請求項2】
前記有効成分が、エピガロカテキンガレート又はバニリンである、請求項1に記載の菓子製品。
【請求項3】
前記有効成分が、エピガロカテキンガレートである、請求項1又は2に記載の菓子製品。
【請求項4】
前記バニリン又はエピガロカテキンガレートが、0.03~5%の範囲の割合で存在する、請求項2に記載の菓子製品。
【請求項5】
縮合タンニン、プロアントシアニジン、プロシアニジン、カテキン、エピカテキン、クルクミノイド、及びフェノールアルデヒドを含む菓子製品の褐変を抑制するための乳酸の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
乳酸は、組成物の全重量に対して0.0.3重量%の量で、バニリン、緑茶ポリフェノール、特にエピガロカテキンガレート等の化合物、又は経時的に製品の色を変化させるという望ましくない効果を有する他の有効成分(例えば、香料、酸化防止剤、又は一般的に有益な効果のために使用される)の存在によって引き起こされる褐変及び経時的な色の変化を効果的に防止することが発見されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
従って、本発明の目的は、錠剤の形態の菓子製品であって、製品の褐変という望ましくない効果を引き起こしやすい少なくとも1種の有効成分と、製品の全重量に対して0.2~0.3%の範囲の割合の乳酸とを含む菓子製品である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
最も一般的に使用される有効成分は、エピガロカテキンガレートとバニリンである。バニリンは広く使用されている香料であり、緑茶ポリフェノール(その代表的なものがエピガロカテキンガレートである)は、その有益な特性、特に抗酸化作用と防腐作用により、健康や栄養補助食品の分野で使用されている。本発明に係る組成物中の前記成分の量は、前記成分を含む既知の製品で一般的に使用されているものであり、通常0.03重量%~5重量%、より好ましくは0.05重量%~1.5重量%の範囲である。
【国際調査報告】