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特表2024-519611最小侵襲手術システムの向上した視認性を提供するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-20
(54)【発明の名称】最小侵襲手術システムの向上した視認性を提供するシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568231
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 US2022027582
(87)【国際公開番号】W WO2022235732
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】17/314,990
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514290052
【氏名又は名称】アースレックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ARTHREX, INC.
【住所又は居所原語表記】1370 Creekside Blvd, Naples, FL 34108, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドレイフュス,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ケンプ,ザッカリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】アダムソン,ティム イー.
(72)【発明者】
【氏名】ガリツィー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン,ウエイド ケー.
(72)【発明者】
【氏名】カーンズ,ジー.ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ノーブル,シェーン ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF45
(57)【要約】
規定の空間14内に収容された流体内で外科医が医療処置を行うことができるように構成されるモジュール式アクセス医療システム10が開示される。したがって、本システム10は、手術部位18において医療器具16を使用する間に形成される煙及び他の蒸気を排除することにより、手術を行う外科医にとって視認性を増大させる。モジュール式アクセス医療システム10は、流体がカニューレ22内に投与されるとともにそこに保持され得、カニューレ22内に収容された流体を通って延びる1つ以上の器具16を介して外科処置を容易に行えるように、組織と接触して配置されるように構成された、カニューレ22の遠位端部38から形成することができる。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式アクセス医療システム(10)であって、
近位開口(30)及び遠位開口(32)を有する作業チャネル(28)を有するハウジング(26)と、
前記ハウジング(26)から遠位に延在するとともに、少なくとも1つの器具(16)が貫通して受容されるチャネル(34)を形成するカニューレ(22)であって、前記カニューレ(22)における前記チャネル(34)は、前記ハウジング(26)の前記作業チャネル(28)と位置合わせされる、カニューレ(22)と、
を備え、
前記カニューレ(22)は、少なくとも1つの着脱可能なセグメント(36)から形成され、
少なくとも1つの前記着脱可能なセグメント(36)の遠位端部(38)は、流体が前記カニューレ(22)内に投与されるとともにそこに保持され得、前記カニューレ(22)内に収容された流体を通って延びる少なくとも1つの前記器具(16)を介して外科処置を容易に行えるように、組織と接触して配置されるように構成されることを特徴とする、モジュール式アクセス医療システム。
【請求項2】
請求項1に記載のモジュール式アクセス医療システム(10)であって、前記カニューレ(22)を形成する少なくとも1つの前記着脱可能なセグメント(36)は、連結されて前記ハウジング(26)から遠位に延在する、複数の着脱可能なセグメント(36)を含み、複数の前記着脱可能なセグメント(36)のうちの少なくとも1つは、他の着脱可能なセグメント(36)とは異なる長さを有することを特徴とする、モジュール式アクセス医療システム。
【請求項3】
請求項1に記載のモジュール式アクセス医療システム(10)であって、前記ハウジング(26)に結合される吸引ポート(40)を備え、
吸引チャネル(42)が、前記吸引ポート(40)における近位開口(30)から前記ハウジング(26)を貫通し、前記ハウジング(26)の前記作業チャネル(28)において終端し、それにより、前記モジュール式アクセス医療システム(10)が、少なくとも1つの前記着脱可能なセグメント(36)によって形成される前記カニューレ(22)を使用中に流体で満ちた状態に維持することを可能にすることをさらに特徴とする、モジュール式アクセス医療システム。
【請求項4】
請求項1に記載のモジュール式アクセス医療システム(10)であって、流体交換強化セクション(47)を備える流入ポート(46)を備え、前記流体交換強化セクション(47)は、流体交換強化セクション(47)の出口(53)が、前記流体交換強化セクション(47)の入口(55)よりも、少なくとも1つの前記着脱可能なセグメント(36)の前記遠位端部(38)の近くにあるように、遠位に向けられたベクトルを含むことをさらに特徴とする、モジュール式アクセス医療システム。
【請求項5】
請求項1に記載のモジュール式アクセス医療システム(10)であって、前記ハウジング(26)の前記作業チャネル(28)内に流体を保持し、流体が前記着脱可能なセグメント(36)における前記チャネル(34)を通過して前記ハウジング(26)の前記作業チャネル(28)の前記近位開口(30)から出ることを防止するように、前記ハウジング(26)の前記作業チャネル(28)をシールする、前記ハウジング(26)内に位置決めされた少なくとも1つのダム(50)を備えることをさらに特徴とする、モジュール式アクセス医療システム。
【請求項6】
請求項6に記載のモジュール式アクセス医療システム(10)であって、前記ダム(50)を前記ハウジング(26)に取外し可能に取り付けるように構成される少なくとも1つのダム保持システム(90)を備えることをさらに特徴とする、モジュール式アクセス医療システム。
【請求項7】
請求項6に記載のモジュール式アクセス医療システム(10)であって、少なくとも1つの前記ダム保持システム(90)は、少なくとも1つの前記ダム(50)から径方向外方に延在する少なくとも1つのアーム(92)と、少なくとも1つの前記アーム(92)を解放可能に受けるように構成される少なくとも1つのスロット(94)とを備えることを特徴とする、モジュール式アクセス医療システム。
【請求項8】
請求項6に記載のモジュール式アクセス医療システム(10)であって、前記ハウジング(26)の前記作業チャネル(28)内に流体を保持するように前記ハウジング(26)内に位置決めされる少なくとも1つの前記ダム(50)は、少なくとも1つの器具受けスリット(52)を備え、少なくとも1つの前記器具受けスリット(52)は、器具(16)がそこを貫通して受容されるように構成される一方で、少なくとも1つの前記器具受けスリット(52)が閉鎖したままの静止位置に付勢されるように構成されることを特徴とする、モジュール式アクセス医療システム。
【請求項9】
請求項1に記載のモジュール式アクセス医療システム(10)であって、少なくとも1つの前記着脱可能なセグメント(36)内の所望の深さにカメラを調整可能に位置決めし、別の位置への移動が望まれるまで前記カメラを適所に保持するように構成されるカメラ位置決めシステム(120)を備えることをさらに特徴とする、モジュール式アクセス医療システム。
【請求項10】
請求項1に記載のモジュール式アクセス医療システム(10)であって、器具(16)を少なくとも1つの前記着脱可能なセグメント(36)における前記チャネル(34)内の適所に保持するように、前記ハウジング(26)に隣接して位置決めされる器具固定システム(54)を備えることをさらに特徴とする、モジュール式アクセス医療システム。
【請求項11】
請求項10に記載のモジュール式アクセス医療システム(10)であって、前記器具固定システム(54)は、前記ハウジング(26)の外面(60)に位置決めされる少なくとも1つの受け部(59)を備えることを特徴とする、モジュール式アクセス医療システム。
【請求項12】
請求項1に記載のモジュール式アクセス医療システム(10)であって、撮像システムによって見ることができるインジケーター(112)を使用することで、少なくとも1つの前記着脱可能なセグメント(36)の前記遠位端部(38)を患者内に位置決めするのを補助するように構成される位置決めシステム(110)を備えることをさらに特徴とする、モジュール式アクセス医療システム。
【請求項13】
モジュール式アクセス医療システム(10)を介した患者内における器具(16)の使用方法であって、
患者内の目標手術部位へのアクセスを得ることと、
前記モジュール式アクセス医療システム(10)の少なくとも一部を患者内に位置決めすることと、ここで、前記モジュール式アクセス医療システム(10)は、
近位開口(30)及び遠位開口(32)を有する作業チャネル(28)を有するハウジング(26)と、
前記ハウジング(26)から遠位に延在するとともに、前記器具(16)が貫通して受容されるチャネル(34)を形成するカニューレ(22)であって、前記カニューレ(22)における前記チャネル(34)は、前記ハウジング(26)の前記作業チャネル(28)と位置合わせされる、カニューレ(22)と、
を備え、
前記カニューレ(22)の遠位端部(38)は、流体が前記カニューレ(22)内に投与されるとともにそこに保持され得、前記カニューレ(22)内に収容された流体を通って延びる前記器具(16)を介して外科処置を容易に行えるように、組織と接触して配置されるように構成され、
前記カニューレ(22)の前記遠位端部(38)を患者の組織と接触させて配置し、前記遠位端部(38)をシールすることと、
前記カニューレ(22)に流体を充填することと、
前記器具(16)を流体内に挿入することと、
前記カニューレ(22)内に収容された流体内で、患者に対して前記器具(16)を使用することと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項14】
前記ハウジング(26)から遠位に延在する前記カニューレ(22)は、少なくとも1つの着脱可能なセグメント(36)から形成されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの前記着脱可能なセグメント(36)は、連結される複数の着脱可能なセグメント(36)から形成され、複数の前記着脱可能なセグメント(36)は、異なる長さであることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記カニューレ(22)に流体を充填することは、流体の上面が前記ハウジング(26)における吸引ポート(40)の下縁部と位置合わせされるように、前記カニューレ(22)に流体を充填することを含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記器具(16)を流体内に挿入することは、前記器具(16)の少なくとも一部を、前記ハウジング(26)の前記作業チャネル(28)内に流体を保持するように前記ハウジング(26)内に位置決めされた少なくとも1つのダム(50)を通して挿入することを含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記器具(16)を流体内に挿入することは、少なくとも1つの前記着脱可能なセグメント(36)における位置決めシステム(110)を使用して、少なくとも1つの前記着脱可能なセグメント(36)の前記遠位端部(38)を患者に対して位置決めすることを補助することを含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記カニューレ(22)に流体を充填することは、流入ポート(46)の流体交換強化セクション(47)を介して前記カニューレ(22)に流体を充填することを含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記器具(16)を流体内に挿入することは、器具固定システム(54)を介して前記器具(16)を適所に保持することを含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記器具(16)を流体内に挿入することは、カメラ位置決めシステム(120)を介してカメラを適所に保持することを含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
モジュール式アクセス医療システム(10)を介した患者内における器具(16)の使用方法であって、
患者内の目標手術部位へのアクセスを得ることと、
前記モジュール式アクセス医療システム(10)の少なくとも一部を患者内に位置決めすることと、ここで、前記モジュール式アクセス医療システム(10)は、
近位開口(30)及び遠位開口(32)を有する作業チャネル(28)を有するハウジング(26)と、
前記ハウジング(26)から遠位に延在するとともに、前記器具(16)が貫通して受容されるチャネル(34)を形成するカニューレ(22)であって、前記カニューレ(22)における前記チャネル(34)は、前記ハウジング(26)の前記作業チャネル(28)と位置合わせされる、カニューレ(22)と、
を備え、
前記カニューレ(22)の遠位端部(38)は、流体が前記カニューレ(22)内に投与されるとともにそこに保持され得、前記カニューレ(22)内に収容された流体を通って延びる前記器具(16)を介して外科処置を容易に行えるように、組織と接触して配置されるように構成され、
前記カニューレ(22)の前記遠位端部(38)を患者の組織と接触させて配置し、前記遠位端部(38)をシールすることと、
流体の上面が吸引ポート(40)の下縁部と同じ高さになるように、前記カニューレ(22)に流体を充填することと、
前記器具(16)を流体内に挿入することと、
前記カニューレ(22)内に収容された流体内で、患者に対して前記器具(16)を使用することと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項23】
流体の上面が吸引ポート(40)の下縁部(64)と同じ高さになるように、前記カニューレ(22)に流体を充填することにおいて、前記吸引ポート(40)は、前記ハウジング(26)に配置されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ハウジング(26)から遠位に延在する前記カニューレ(22)は、連結される複数の着脱可能なセグメント(36)から形成され、複数の前記着脱可能なセグメント(36)は、異なる長さであることを特徴とする、請求項22に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的には、最小侵襲手術システムに関する。より詳細には、本開示は、脊椎処置用の手持ち式最小侵襲手術システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト患者内の手術部位に外科医が妨げなくアクセスするために、多くの異なる外科処置においてアクセスポートが有効に使用されている。ポートは、外科処置に応じて異なるサイズ及び構成で設けられている。アクセスポートは、限定はしないが、例えば患者の脊椎等の手術部位に、外科医によるアクセスをもたらす最小侵襲手術システム(MIS)において使用されている。シェーバー又はバー(burrs)、焼灼システム等を備える手持ち式回転医療装置を用いる外科処置は、手術部位に煙をもたらし、これは、視認性を大きく妨げ、外科医にとって問題となる。この煙は、外科処置の時間の長さを増大させ、それにより、効率を低減させ、コストを増大させる。
【発明の概要】
【0003】
規定の空間内に収容された流体内で外科医が医療処置を行うことができるように構成されるモジュール式アクセス医療システムが開示される。したがって、本システムは、手術部位において医療器具を使用する間に形成される煙及び他の蒸気を排除することにより、手術を行う外科医にとって視認性を増大させる。モジュール式アクセス医療システムは、流体がカニューレ内に投与されるとともにそこに保持され得、カニューレ内に収容された流体を通って延びる1つ以上の器具を介して外科処置を容易に行えるように、組織と接触して配置されるように構成される、カニューレの遠位端部から形成することができる。
【0004】
少なくとも1つの実施形態において、モジュール式アクセス医療システムは、近位開口及び遠位開口を有する作業チャネルを有するハウジングから形成することができる。本システムは、ハウジングから遠位に延在するとともに、少なくとも1つの器具が貫通して受容されるチャネルを形成するカニューレを備えることができ、カニューレにおけるチャネルは、ハウジングの作業チャネルと位置合わせされる。カニューレは、少なくとも1つの着脱可能なセグメントから形成することができる。着脱可能なセグメントの遠位端部は、流体がカニューレ内に投与されるとともにそこに保持され得、カニューレ内に収容された流体を通って延びる器具を介して外科処置を容易に行えるように、組織と接触して配置されるように構成することができる。カニューレを形成する少なくとも1つの着脱可能なセグメントは、連結されてハウジングから遠位に延在する、複数の着脱可能なセグメントとすることができる。着脱可能なセグメントのうちの1つ以上は、他の着脱可能なセグメントとは異なる長さを有することができる。少なくとも1つの実施形態において、複数の着脱可能なセグメントのそれぞれは、他の着脱可能なセグメントのそれぞれとは異なる長さを有する。
【0005】
モジュール式アクセス医療システムは、ハウジングに結合される吸引ポートを備えることもできる。吸引チャネルが、吸引ポートにおける近位開口からハウジングを貫通し、ハウジングの作業チャネルにおいて終端することができ、それにより、モジュール式アクセス医療システムが、着脱可能なセグメントによって形成されるカニューレを使用中に流体で満ちた状態に維持することを可能にする。
【0006】
モジュール式アクセス医療システムは、流体をハウジングの作業チャネル内に保持するための、ハウジング内に位置決めされた1つ以上のダムを備えることもできる。ダムは、流体が着脱可能なセグメントにおけるチャネルを通過してハウジングの作業チャネルの近位開口から出ることを防止するように、ハウジングの作業チャネルをシールすることができる。ダムは、器具がそこを貫通して受容されるように構成される一方で、スリットが閉鎖したままの静止位置に付勢されるように構成される、1つ以上の器具受けスリットを備えることができる。モジュール式アクセス医療システムは、限定はしないが、重ね合わせることができる複数のダムを備えることもできる。
【0007】
モジュール式アクセス医療システムは、器具をハウジングにおける作業チャネル及び着脱可能なセグメントにおけるチャネル内の適所に保持するように、ハウジングに隣接して位置決めされる器具固定システムを備えることもできる。器具固定システムは、複数の器具受け部を備えることができる。モジュール式アクセス医療システムは、ハウジングの外面から概ね径方向外方に延在するハウジング位置決めアームを備えることもできる。
【0008】
モジュール式アクセス医療システムを介した患者に対する外科処置を行う方法も開示される。本方法は、患者内の目標手術部位に対するアクセスを得ることと、モジュール式アクセス医療システムの少なくとも一部を患者内に位置決めすることとを含むことができる。モジュール式アクセス医療システムは、本明細書に開示される構成要素のうちの1つ以上、及び本明細書に開示されていない又はまだ発明されていない他の構成要素を含むことができる。本方法は、カニューレの遠位端部を患者の組織と接触して配置し、遠位端部をシールすることと、カニューレに流体を充填することと、器具を流体内に挿入することと、流体内で1つ以上の器具を用いて患者に対する1つ以上の外科処置を行うこととを含むこともできる。本方法は、流体がハウジングにおける近位開口から流出しないように、流体を吸引して過剰な流体を除去することを含むこともできる。流体を吸引するステップは、所望の流体レベルを維持するように連続的とすることができる。カニューレは、着脱可能なセグメントによって形成されるカニューレの遠位端部から漏れる流体を考慮して、手順の全体を通して流体で満たすこともできる。
【0009】
モジュール式アクセス医療システムの利点は、本システムにより、外科医が、流体内で患者の目標部位、例えば、限定はしないが、ヒトの脊椎の一部に対する医療処置を行うことが可能になり、それにより、医療器具が骨、軟骨等の組織に対して作業することによって発生する煙を排除することにより、視認性が大幅に向上することである。
【0010】
モジュール式アクセス医療システムの別の利点は、本システムにより、カニューレの長さを特定の処置及び患者に適合するように調整することが可能になることである。
【0011】
モジュール式アクセス医療システムのさらに別の利点は、吸引ポートがシステムの近位端部(上端部)に配置されることにより、吸引システムが、カニューレへの流体の流入量に過度に影響されることなく、流体を所望のレベルに維持することができることである。
【0012】
モジュール式アクセス医療システムの別の利点は、1つ以上の医療器具をカニューレ内の適所に保持することができるとともに、医療器具がダムを貫通することができ、それにより、カニューレ内に収容された流体が意図せず零れることが防止されることである。
【0013】
これらの実施形態及びその他の実施形態を、以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、モジュール式アクセス医療システムの一部の斜視図である。
図2図2は、モジュール式アクセス医療システムの側面図である。
図3図3は、モジュール式アクセス医療システムの部分分解図である。
図4図4は、モジュール式アクセス医療システムの分解図である。
図5図5は、モジュール式アクセス医療システムの斜視図である。
図6図6は、モジュール式アクセス医療システムの分解図である。
図7図7は、モジュール式アクセス医療システムの側面図である。
図8図8は、吸引ポートと、概ね径方向外方に延在するハウジング位置決めアームとを示すモジュール式アクセス医療システムの代替的な側面図である。
図9図9は、複数のダムを伴うモジュール式アクセス医療システムのハウジングの分解斜視図である。
図10図10は、モジュール式アクセス医療システムのハウジングの平面図である。
図11図11は、器具固定システムを伴う、ハウジング及び着脱可能なセグメントの部分斜視図である。
図12図12は、図11に示されている位置から90度回転した位置における器具固定システムを伴う、ハウジング及び着脱可能なセグメントの別の部分斜視図である。
図13図13は、モジュール式アクセス医療システムを使用して医療処置を行う方法のフロー図である。
図14図14は、ダム保持システムを備えるダムの斜視図であり、ここでは、ダムは、ハウジング内に位置決めされている。
図15図15は、図14の15-15切断線におけるハウジング及びダムの断面斜視図である。
図16図16は、器具固定システムを備えるハウジングの斜視図であり、複数の解除可能なコネクタが、器具をハウジングに確実に取り付けるように、ハウジングの外面の受け部に固定されている。
図17図17は、カメラ位置決めシステムを伴う、器具固定システム及びダムの態様を備えるハウジングの平面図である。
図18図18は、器具固定システムを介してハウジングに取り付けられるスコープホルダーである器具と、ハウジング及び着脱可能なセグメント内の器具固定システムによって支持されるスコープとの斜視図である。
図19図19は、位置決めシステムが取り付けられた着脱可能なセグメントの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図19に示されているように、規定の空間14内に収容された流体12内で外科医が医療処置を行うことができるように構成されるモジュール式アクセス医療システム10が開示される。したがって、システム10は、手術部位18において医療器具16を使用する間に形成される煙及び他の蒸気を排除することによって、手術を行う外科医にとって視認性を増大させる。モジュール式アクセス医療システム10は、流体12がカニューレ22内に投与されるとともにそこに保持され得、カニューレ22内に収容された流体12を通って延びる1つ以上の器具16を介して外科処置を容易に行えるように、組織24と接触して配置されるように構成された、カニューレ22の遠位端部38から形成され得る。使用中、カニューレ22の遠位端部38は、手術部位を取り巻く患者の組織と接触するように押され、カニューレ22内に収容された流体が漏れ出ることを防止する密接なフィットを形成する。
【0016】
少なくとも1つの実施形態において、図1図8に示されているように、モジュール式アクセス医療システム10は、近位開口30及び遠位開口32を有する作業チャネル28を有するハウジング26から形成することができる。ハウジング26は、円筒形とするか、又は別の適切な形態を有してもよい。ハウジング26は、作業チャネル28の近位開口30から作業チャネル28の遠位開口32への方向において、着脱可能なセグメント36を支持するのに十分な直径及び深さを有することができる。ハウジング26は、適切な材料、例えば、限定はしないが、金属、例えば、限定はしないが、アルミニウム、真鍮、及び鋼、並びに、プラスチック、例えば、限定はしないが、熱可塑性ポリマーであるアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、無色の有機熱可塑性ポリマーであるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)及びポリカーボネートから形成することができる。
【0017】
モジュール式アクセス医療システム10はまた、ハウジング26から遠位に延在するとともに1つ以上の器具16を貫通して受容するチャネル34を形成するカニューレ22を、備えることができる。カニューレ22におけるチャネル34は、ハウジング26の作業チャネル28と位置合わせすることができる。カニューレ34は、1つ以上の着脱可能なセグメント36から形成することができる。着脱可能なセグメント36の遠位端部38は、組織、例えば、限定はしないが、ヒトの組織と接触するように構成することができ、流体がカニューレ22内に投与されるとともにそこに保持され得、カニューレ22内に収容された流体を通って延びる器具16を介して外科処置を容易に行えるようになっている。
【0018】
少なくとも1つの実施形態において、モジュール式アクセス医療システム10は、ともに結合されてハウジング26から遠位に延在する、複数の着脱可能なセグメント36を有することができる。着脱可能なセグメント36のうちの1つ以上は、他の着脱可能なセグメント36とは異なる長さを有することができる。少なくとも1つの実施形態において、複数の着脱可能なセグメント36は、他の着脱可能なセグメント36のそれぞれとは異なる長さを有する。着脱可能なセグメント36は、例えば、限定はしないが、10ミリメートル、20ミリメートル、及び40ミリメートルの長さで利用可能であり得る。着脱可能なセグメント36のうちの1つ以上は、円筒形とするか、又は別の適切な形態を有してもよい。着脱可能なセグメント36は、適切な材料、例えば、限定はしないが、金属、例えば、限定はしないが、アルミニウム、真鍮、及び鋼、並びに、プラスチック、例えば、限定はしないが、熱可塑性ポリマーであるアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、無色の有機熱可塑性ポリマーであるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)及びポリカーボネートから形成することができる。着脱可能なセグメント36は、解除可能な接続を介してハウジング26に及び互いに結合することができる。解除可能な接続は、限定はしないが、ねじ、スナップ、締まり嵌め、及び他の様々な方法とすることができる。
【0019】
モジュール式アクセス医療システム10は、図5に示されているように、ハウジング26に結合される吸引ポート40を備えることができる。吸引ポート40は、吸引チャネル42を備えることができ、吸引チャネル42は、吸引ポート40における近位開口44からハウジング26を貫通して延在し、ハウジング26の作業チャネル28において終端し、それにより、モジュール式アクセス医療システム10が、着脱可能なセグメント36によって形成されるカニューレ22が使用中に流体で満ちた状態を維持することを可能にする。吸引ラインは、既に存在する又はこれから想定される適切な接続を介して、吸引ポート40に解除可能に結合することができる。吸引ポート40がハウジング26に配置されると(通常、吸引ポート40は、着脱可能なセグメント36の遠位端部38の上方に配向される)、吸引システム48は、自己調整される。したがって、吸引ポート40は、流体が吸引ポート40のレベルに達したときのみ流体を除去するように機能するため、使用者は、着脱可能なセグメント36においてカニューレ22から流体を吸引しすぎることがない。吸引ポート40におけるそのような流体レベルは、着脱可能なセグメント36全体が充填されたときのみ生じる。対照的に、吸引ポート40が着脱可能なセグメント36の遠位端部38に配置される(吸引ポート40もカニューレ22の下部にある)場合、カニューレ22への流体の流入及びカニューレ22からの流体の流出は、流体がカニューレ22及びハウジング26の作業チャネル28から溢れないように、又はカニューレ22及び作業チャネル28から流体を吸引しすぎることがないように調和させる必要がある。
【0020】
モジュール式アクセス医療システム10は、図14図15、及び図18に示されているように、ハウジング26に結合される流入ポート46を備えることができる。流入ポート46は、流体を受け取り、これらの流体を作業チャネル28、そして1つ以上の着脱可能なセグメント36によって画定されるチャネル34内に通過させるように構成することができる。流入ポート46は、流体交換強化セクション47を備えることができ、流体交換強化セクション47は、流体交換強化セクション47の長手方向軸49が、ハウジング26の長手方向軸51に対して非平行及び非直交であり得るように、遠位に向けられたベクトルを含む。流体交換強化セクション47の出口53は、流体交換強化セクション47の入口55よりも、着脱可能なセグメント36の遠位端部38の近くにあることができる。流入ポート46は、任意の適切な断面形状、長さ、及び形態を有することができる。流入ポート46の近位端部57は、解除可能なコネクタ、例えば、限定はしないが、ルアーロック等のスリップチップを受けるように構成することができる。
【0021】
モジュール式アクセス医療システム10は、図5及び図9に示されているように、ハウジング26内に位置決めされ、ハウジング26の作業チャネル28内に流体を保持する1つ以上のダム50を備えることができる。ダム50は、ハウジング26の作業チャネル28をシールして、流体が、チャネル28を通過して、ハウジング26の作業チャネル28の近位開口30の外へ流出して着脱可能なセグメント36に入ることを防止することができる。ダム50は、1つ以上の器具受けスリット52を備えることができ、器具受けスリット52は、器具16がそこを貫通して受容するように構成される一方で、器具受けスリット52が閉鎖したままの静止位置に付勢されるように構成される。少なくとも1つの実施形態において、モジュール式アクセス医療システム10は、複数のダム50を備えることができる。少なくとも1つの実施形態において、ダム50は、ハウジング26の作業チャネル28内に位置決めすることができる。ダム50は、ハウジング26の作業チャネル28内で重ね合わせることができる。ダム50は、互いに接触して位置決めしてもよく、互いに分離していてもよい。少なくとも1つの実施形態において、モジュール式アクセス医療システム10は、重ね合わされた3つのダム50から形成することができる。ダム50は、カニューレ34が厳密に鉛直に配向されるのではなく、別の角度で位置決めされた場合でも、カニューレ34から流体が零れるのを防止するように、より良好な流体保持をもたらす。
【0022】
モジュール式アクセス医療システム10は、図14図15、及び図18に示されているように、1つ以上のダム50をハウジング26に取外し可能に取り付けるように構成される1つ以上のダム保持システム90を備えることができる。少なくとも1つの実施形態において、ダム保持システム90は、ダム50から径方向外方に延在する少なくとも1つのアーム92と、アーム92を解放可能に受けるように構成される1つ以上のスロット94とを備えることができる。スロット94は、必ずしもそうである必要はないが、ダム50から径方向に延在するアーム92を保持するように、受け部セクション96と、受け部セクション96から周方向に延在する保持セクション98とから形成されるJ字形スロットとしての形状を有することができる。ダム50及びダム50から延在する対応するアーム92は、ダム50をハウジング26の作業チャネル28内に存するように位置決めし、アーム92をスロット94内に受けるように位置決めすることによって、取り付けることができる。ダム50及びアーム92は、アーム92が受け部セクション96内に移動するように、ハウジング26の長手方向軸51と位置合わせされた状態で遠位方向に押すことができる。ダム50及びアーム92は、アーム92を保持セクション98内に移動させ、アーム92及びダム50を保持するように回転させることができる。少なくとも1つの実施形態において、ダム保持システム90は、1つ以上のダム50から径方向外方に延在する複数のアーム92を備えることができる。少なくとも1つの実施形態において、ダム保持システム90は、限定はしないが、ダム50から径方向外方に延在する4つのアーム92を有することができる。
【0023】
モジュール式アクセス医療システム10は、図11及び図12に示されているように、器具16を、ハウジング26における作業チャネル28及び着脱可能なセグメント36におけるチャネル34内の適所に保持するために、ハウジング26に隣接して位置決めされる器具固定システム54を備えることができる。器具固定システム54は、1つ以上の器具受け部56を備えることができる。少なくとも1つの実施形態において、器具固定システム54は、複数の器具受け部56を備えることができる。器具受け部56は、所望の器具16を保持するようなサイズとすることができる。器具固定システム54は、概ね三角形状とするか、又は別の外部形状を有してもよい。
【0024】
少なくとも1つの実施形態において、図14、及び図16図18に示されているように、器具固定システム54は、ハウジング26の外面60に位置決めされる1つ以上の受け部59を含むことができる。受け部59は、ハウジング26の外面60において互いに周方向にオフセットされる複数の受け部102から形成することができる。オフセットされた受け部59の構成は、外科医の選好、患者位置、及び他の要因に基づいて、器具16を複数の異なる周方向の向きにおいてハウジング26に固定することを可能にする。器具16は、限定はしないが、スコープホルダーとすることができる。少なくとも1つの実施形態において、受け部59は、ハウジング26の外面60における切欠き部、例えば、限定はしないが、正方形の切欠き部とすることができる。器具固定システム54は、器具16、例えば、限定はしないが、スコープホルダーから延在する複数の解除可能なコネクタ102、例えば、限定はしないが、止めねじを含むことができ、複数の受け部59のうちの1つ以上の中に受けることができる。少なくとも1つの実施形態において、2つの解除可能なコネクタ26は、異なる受け部59内にそれぞれ受けることができ、それにより、器具固定システム54がハウジング26に対して回転することが防止される。
【0025】
モジュール式アクセス医療システム10は、図5に示されているように、ハウジング26の外面60から概ね径方向外方に延在するハウジング位置決めアーム58を備えることができる。ハウジング位置決めアーム58は、モジュール式アクセス医療システム10が外部支持システム(図示せず)を介して所望の位置に固定されることを可能にし、外部支持システムは、患者に対するモジュール式アクセス医療システム10の移動を制限することが可能な任意の適切な支持システムとすることができる。
【0026】
モジュール式アクセス医療システム10は、図19に示されているように、少なくとも1つの着脱可能なセグメント36の遠位端部38を患者19内に位置決めするのを補助するように構成される、位置決めシステム110を備えることができる。位置決めシステム110は、限定はしないが、撮像システム、例えば、限定はしないが蛍光透視法によって、視認可能であるように構成される1つ以上のインジケーター112とすることができる。少なくとも1つの実施形態において、位置決めシステム110は、限定はしないが、1つ以上の金属インジケーター112とすることができ、金属インジケーター112は、外科医が撮像システムを使用して、金属インジケーター112の場所、したがって、患者19内の着脱可能なセグメント36の遠位端部38の位置を識別することを可能にするように構成される。少なくとも1つの実施形態において、金属インジケーター112は、着脱可能なセグメント36内に位置決めすることができる。金属インジケーター112は、必ずしもそうである必要はないが、着脱可能なセグメント36の遠位端部38において又はその付近に位置決めすることができる。位置決めシステム110は、限定はしないが、着脱可能なセグメント36の遠位端部38に位置決めされる1つ以上のピン114とすることができる。ピン114は、限定はしないが、金属ダウエルピンとすることができ、金属ダウエルピンは、患者の解剖学的部位に対する金属ダウエルピン114の場所を確定するために、撮像システム、例えば、限定はしないが蛍光透視法を介して、見られるように構成される。位置決めシステム110は、限定はしないが、着脱可能なセグメント36の遠位端部38において又はその付近に位置決めすることができる1つ以上のリング116とすることができる。位置決めシステム110は、限定はしないが、撮像システムによって見ることができるとともに焼灼処置によって生じる高温に耐える金属から形成される、遠位の着脱可能なセグメント36とすることができる。
【0027】
モジュール式アクセス医療システム10は、図18に示されているように、1つ以上の着脱可能なセグメント36内の所望の深さにカメラ122を調整可能に位置決めするとともに、別の位置への移動が望まれるまでカメラ122を適所に保持するように構成される、カメラ位置決めシステム120を備えることができる。少なくとも1つの実施形態において、カメラ位置決めシステム120は、1つ以上の器具受けスリット52から形成することができ、器具受けスリット52は、器具16がそこを貫通して受容されるように構成される一方で、スリット52が閉鎖したままの静止位置に付勢されるように構成される。カメラ位置決めシステム120は、スリットにおいてカメラシャフト124とダム50との間の締まり嵌めをもたらすことができる。他の実施形態において、カメラ位置決めシステム120は、カメラ122を支持するシャフト124、したがってカメラ122を所望の位置に保持する、止めねじ、ボールデテント、トラックシステム等を含むことができる。
【0028】
少なくとも1つの実施形態において、モジュール式アクセス医療システム10は、図13に示されているように、流体12内で器具16を用いて手術を行うことにより、患者19に対して器具16を使用することによってしばしば生じる、視界を遮る煙、蒸気等を排除することによって外科医にとって視認性を増大させるように患者に対する外科処置を行う方法70において使用することができる。方法70は、ステップ72において、患者19内の目標手術部位18へのアクセスを得ることを含むことができる。外科医又は他の有資格者は、目標部位18を周囲環境に露出又は開口させる任意の適切な方法を介して目標手術部位18へのアクセスを得ることができる。
【0029】
方法70は、ステップ74において、モジュール式アクセス医療システム10の少なくとも一部を患者19内に位置決めすることを含むこともできる。ステップ74における位置決めは、上述したモジュール式アクセス医療システム10の実施形態のうちの1つ以上を位置決めすることを含むことができる。特に、ステップ74における位置決めは、近位開口30及び遠位開口32を有する作業チャネル28を有するハウジング26と、ハウジング26から遠位に延在するとともに、1つ以上の器具16が貫通して受容されるチャネル34を形成するカニューレ22とから形成されるモジュール式アクセス医療システム10を位置決めすることを含むことができ、カニューレ22におけるチャネル34は、ハウジング26の作業チャネル28と位置合わせされ、カニューレ22の遠位端部38は、流体がカニューレ22内に投与されるとともにそこに保持され得、カニューレ22内に収容された流体を通って延びる器具16を介して外科処置を容易に行えるように、組織と接触して配置されるように構成される。ステップ74は、カニューレ22内の流体を保持するダム50を備えるモジュール式アクセス医療システム10の1つ以上の実施形態を位置決めすることを含むことができる。ダム50は、ダム保持システム90を介して、ハウジング26内の適所に取外し可能に保持することができる。
【0030】
方法70は、ステップ76において、カニューレ22の遠位端部38を患者19の組織と接触させて配置し、遠位端部38をシールすることを含むことができる。ステップ76において、カニューレ22の遠位端部38を患者19の組織と接触させることは、少なくとも1つの着脱可能なセグメント36の遠位端部38を患者19内に位置決めすることを補助するために、位置決めシステム110を使用することを含むことができる。特に、撮像システムを使用して、外科医がカニューレ22の遠位端部38を患者19内の所望の位置に移動させるのを補助するために、カニューレ22の遠位端部38の場所を確定することができる。
【0031】
方法70は、ステップ78において、カニューレ22に流体12を充填することを含むことができる。着脱可能なセグメント36を充填するのに使用される流体は、限定はしないが、生理食塩水及び他の適切な流体とすることができる。流体は、流入ポート46を介してカニューレ22内に充填することができる。流入ポート46は、流体交換強化セクション47を介して遠位に配向することができ、それにより、流体は、カニューレ22を充填することができるだけでなく、外科処置の時間中、良好な視認性を維持するように、外科処置中にカニューレ22内の流体を連続的又は間欠的に交換することができる。方法70は、ステップ78において、流体12の上面62がハウジング26における吸引ポート40の下縁部64と位置合わせされるように、カニューレ22に流体12を充填することを含むことができる。
【0032】
方法70は、ステップ79において、流体を吸引して、流体がハウジング26における近位開口30から流れ出ないように、過剰な流体を除去することを含むこともできる。ステップ79において流体を吸引することは、所望の流体レベルを維持するように連続的とすることができる。カニューレ22はまた、着脱可能なセグメント36によって形成されるカニューレ22の遠位端部38から漏れる流体を考慮して、手順の全体を通して流体によって満たされてもよい。
【0033】
方法70は、ステップ80において、器具を流体12内に挿入することを含むことができる。方法70は、ステップ82において、流体12内で器具16を用いて患者19に対する1つ以上の外科処置を行うことを含むことができる。方法70は、ハウジング26から遠位に延在するカニューレ22であって、1つ以上の着脱可能なセグメント36から形成されるカニューレ22を使用することを含むことができる。方法70は、ともに結合される複数の着脱可能なセグメント36から形成される1つ以上の着脱可能なセグメント36を使用することを含むことができ、複数の着脱可能なセグメント36は、異なる長さである。
【0034】
器具16を流体12内に挿入するステップ80は、流体12をハウジング26の作業チャネル28内に保持するように、器具16の少なくとも一部を、ハウジング26内に位置決めされたダム50を通して挿入することを含むことができる。器具16を流体12内に挿入するステップ80は、上述したように、器具固定システム54を介して器具を適所に保持することを含むことができる。器具16を流体12内に挿入するステップ80は、カメラ位置決めシステム120を介してカメラ又は他の器具16を適所に保持することを含むことができる。
【0035】
上述の記載は、本発明の実施形態を例示、説明、及び記載する目的で提供される。これらの実施形態に対する変形形態及び適用形態は、当業者には明らかとなり、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく実行することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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【国際調査報告】