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特表2024-519623光学系、及び光学系を備えた撮像装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】光学系、及び光学系を備えた撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20240514BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20240514BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534448
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2022-08-19
(86)【国際出願番号】 CN2022091050
(87)【国際公開番号】W WO2023212878
(87)【国際公開日】2023-11-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516180667
【氏名又は名称】北京小米移動軟件有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Xiaomi Mobile Software Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.018, Floor 8, Building 6, Yard 33, Middle Xierqi Road, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】帯金 靖彦
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA01
2H087MA07
2H087PA07
2H087PA08
2H087PA17
2H087PB07
2H087PB08
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA14
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA41
2H087RA43
2H087RA44
(57)【要約】
物体側から順に並ぶ、正の屈折力を有する第一レンズ群と、負の屈折力を有する第二レンズ群と、負の屈折力を有する第三レンズ群と、を備え、フォーカシング時に、第二レンズ群は、光軸に沿って移動し、第一レンズ群及び第三レンズ群は、結像面に対して固定され、第二レンズ群の最物体側面から最像側面までの距離をOAL2とし、光学系全体の最物体側面から像面までの距離をOALとしたときに、 0.06≦OAL2/OAL を満たす。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に並ぶ、正の屈折力を有する第一レンズ群と、負の屈折力を有する第二レンズ群と、負の屈折力を有する第三レンズ群と、を備え、
フォーカシング時に、
前記第二レンズ群は、光軸に沿って移動し、
前記第一レンズ群及び前記第三レンズ群は、結像面に対する光軸方向の位置を固定され、
前記第二レンズ群の最物体側面から最像側面までの距離をOAL2とし、光学系全体の最物体側面から結像面までの距離をOALとしたときに、
0.06 ≦ OAL2/OAL
を満たす、光学系。
【請求項2】
前記第二レンズ群は、
少なくとも一枚の正の屈折力を有するレンズと、
少なくとも一枚の負の屈折力を有するレンズと、を有し、
前記第二レンズ群中において、正の屈折力の最も強いレンズは、負の屈折力の最も強いレンズより像側に位置する、請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
光学系全体の無限遠合焦時の焦点距離をfとしたときに、
OAL/f ≦ 2.00
を満たす、請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項4】
光学系全体の最大横倍率をBとしたときに、
0.50 ≦ |B|
を満たす、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項5】
前記第二レンズ群の無限遠合焦時の横倍率をb2とし、前記第三レンズ群の無限遠合焦時の横倍率をb3としたときに、
-10.00 ≦ (1-b22)×b32 ≦ -2.00
を満たす、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項6】
光学系全体の無限遠合焦時の焦点距離をfとし、前記第二レンズ群の焦点距離をf2としたときに、
-0.70 ≦ f2/f ≦ -0.10
を満たす、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の光学系と、
前記光学系の像面側に配置され、該光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮影素子と、を備える、撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレンズ群を備える光学系、及びこの光学系を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、物体側から像側へ順に並ぶ、正の屈折力を有する第一レンズ群と、負の屈折力を有する第二レンズ群と、第三レンズ群と、を備え、フォーカシング時に第二レンズ群のみが光軸に沿って移動する光学系として、特許文献1(日本国特許5749629号公報)及び特許文献2(日本国特開2021-173847号公報)に記載の光学系が知られている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の光学系では近距離撮像が不十分であり、特許文献2に記載の光学系では、焦点距離に対する光学系の全長の比が大きく、小型化が不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特許5749629号公報
【特許文献2】日本国特開2021-173847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、小型かつ近距離撮像可能な光学系、及び前記光学系を備えた撮像装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光学系は、
物体側から像側へ順に並ぶ、正の屈折力を有する第一レンズ群と、負の屈折力を有する第二レンズ群と、負の屈折力を有する第三レンズ群と、を備え、
フォーカシング時に、
前記第二レンズ群は、光軸に沿って移動し、
前記第一レンズ群及び前記第三レンズ群は、結像面に対する光軸方向の位置を固定され、
前記第二レンズ群の最物体側面から最像側面までの距離をOAL2とし、光学系全体の最物体側面から結像面までの距離をOALとしたときに、
0.06 ≦ OAL2/OAL
を満たす。
【0007】
前記光学系において、
前記第二レンズ群は、
少なくとも一枚の正の屈折力を有するレンズと、
少なくとも一枚の負の屈折力を有するレンズと、を有し、
前記第二レンズ群中において、正の屈折力の最も強いレンズは、負の屈折力の最も強いレンズより像側に位置してもよい。
【0008】
また、前記光学系において、
光学系全体の無限遠合焦時の焦点距離をfとしたときに、
OAL/f ≦ 2.00
を満たしてもよい。
【0009】
また、前記光学系において、
光学系全体の最大横倍率をBとしたときに、
0.50 ≦ |B|
を満たしてもよい。
【0010】
また、前記光学系において、
前記第二レンズ群の無限遠合焦時の横倍率をb2とし、前記第三レンズ群の無限遠合焦時の横倍率をb3としたときに、
-10.00 ≦ (1-b22)×b32 ≦ -2.00
を満たしてもよい。
【0011】
また、前記光学系において、
光学系全体の無限遠合焦時の焦点距離をfとし、前記第二レンズ群の焦点距離をf2としたときに、
-0.70 ≦f2/f ≦ -0.10
を満たしてもよい。
【0012】
また、本発明に係る撮像装置は、
上記いずれかの光学系と、
前記光学系の像面側に配置され、該光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮影素子と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係る撮像装置の構成を示す模式図である。
図2図2は、実施例1の光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図3図3は、実施例1の光学系の最至近合焦状態におけるレンズ構成図である。
図4図4は、実施例1の光学系の無限遠合焦状態における縦収差図である。
図5図5は、実施例1の光学系の像倍率「-0.5倍」における縦収差図である。
図6図6は、実施例1の光学系の像倍率「-1.0倍」における縦収差図である。
図7図7は、実施例2の光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図8図8は、実施例2の光学系の最至近合焦状態におけるレンズ構成図である。
図9図9は、実施例2の光学系の無限遠合焦状態における縦収差図である。
図10図10は、実施例2の光学系の像倍率「-0.5倍」における縦収差図である。
図11図11は、実施例2の光学系の像倍率「-1.0倍」における縦収差図である。
図12図12は、実施例3の光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図13図13は、実施例3の光学系の最至近合焦状態におけるレンズ構成図である。
図14図14は、実施例3の光学系の無限遠合焦状態における縦収差図である。
図15図15は、実施例3の光学系の像倍率「-0.5倍」における縦収差図である。
図16図16は、実施例3の光学系の像倍率「-1.0倍」における縦収差図である。
図17図17は、実施例4の光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図18図18は、実施例4の光学系の最至近合焦状態におけるレンズ構成図である。
図19図19は、実施例4の光学系の無限遠合焦状態における縦収差図である。
図20図20は、実施例4の光学系の像倍率「-0.5倍」における縦収差図である。
図21図21は、実施例4の光学系の像倍率「-1.0倍」における縦収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0015】
本実施形態に係る撮像装置1は、図1に示すように、光学系2と、光学系2の結像面位置に配置される撮像素子3と、撮像素子3から送られた撮像(画像)データを表示する液晶画面4と、を備える。また、撮像装置1は、光学系2を駆動する駆動部(図示省略)を備える。この駆動部は、VCM(ボイスコイルモーター)等のアクチュエーターであり、光学系2に含まれる所定のレンズ又はレンズ群等を撮像素子3の受光面に対して略垂直な方向(光軸方向)に駆動する。また、撮像素子3は、光学系2によって形成された光学像を電気的信号(撮像データ)に変換する素子であり、本実施形態の撮像素子3は、CMOSイメージセンサーである。
【0016】
光学系2は、いわゆるインナーフォーカス光学系であり、本実施形態の光学系2は、プリズムや反射鏡等の反射光学素子によって光軸(光路)Cを屈曲させる、いわゆるペリスコープ型の望遠レンズである。具体的に、光学系2は、光軸Cに沿って物体側から像側へ順に、光軸Cを屈曲させるプリズム20と、光軸C上に並ぶ複数のレンズ群Gと、を備える。また、光学系2は、開口絞り24と、複数のレンズ群Gと撮像素子3との間に配置される光学フィルター25と、複数のレンズ群Gを保持する鏡筒26と、を備える。
【0017】
複数のレンズ群Gは、光軸Cに沿って物体側から像側へ順に、少なくとも、第一レンズ群21と、第二レンズ群22と、第三レンズ群23と、を含む。これら各レンズ群21、22、23のそれぞれは、少なくとも一つのレンズ(光学素子)を含む。
【0018】
尚、本実施形態の光学系2において、レンズ群21~23は、便宜上の名称であり、一つの光学素子(レンズ等)のみによって構成されるものも含む。即ち、第一~第三レンズ群21、22、23のそれぞれは、少なくとも一つのレンズ等の光学素子を有する。また、光学系2において、フォーカシング時に光軸C上の位置が固定されている光学素子(レンズ等)と、移動する光学素子との間でそれぞれ区分けし、区分けされた領域内の前記固定されている少なくとも一つの光学素子を一つのレンズ群とし、区分けされた領域内の前記移動する少なくとも一つの光学素子を別のレンズ群とする。
【0019】
この光学系2では、フォーカシング時に、第二レンズ群22は、光軸Cに沿って移動し、第一レンズ群21及び第三レンズ群23は、撮像素子3(光学系2の結像面)に対する光軸C方向の位置を固定されている。即ち、本実施形態の光学系2において、各レンズ群21、22、23のうち、第二レンズ群22がフォーカスレンズ群Fを構成する。
【0020】
以下では、光学系2における各レンズ群21~23の詳細について説明する。
【0021】
第一レンズ群21は、複数(本実施形態の例では、四つ)のレンズを含み、正の屈折力を有する。また、第二レンズ群22は、複数(本実施形態の例では、二つ)のレンズを含み、負の屈曲率を有する。また、第三レンズ群23は、複数(本実施形態の例では、二つ)のレンズを含み、負の屈折力を有する。
【0022】
ここで、第二レンズ群22の最物体側面から最像側面までの距離をOAL2とし、光学系2全体の最物体側面から結像面までの距離をOALとしたときに、光学系2は、下記の式(1)を満たす。
0.06 ≦ OAL2/OAL ・・・(1)
【0023】
この光学系2では、光軸Cに沿って配置される複数のレンズ群Gにおいて、正の屈折力を有する第一レンズ群21が最も物体側に配置され、負の屈折力を有する第二レンズ群22が第一レンズ群21の像側に配置され、負の屈折力を有する第三レンズ群23が最も像側に配置されている。これにより、光学系2においてテレフォトのパワー配置を取ることが容易となるため、第一レンズ群21の焦点距離を短くすることができ、その結果、光学系2の小型化(詳しくは、光軸C方向の小型化)を実現することができる。
【0024】
しかも、フォーカシング時には第二レンズ群を可動とし、前後のレンズ群21、23との収差変動バランスを調整する事で、全体繰り出し方式と比較して近接撮像時の像面湾曲変動を抑える事ができるため、近接撮像距離をより短くすることが可能となる。
【0025】
更に、第一レンズ群21と第三レンズ群23とを結像面に対して固定し、可動とするレンズ群を第二レンズ群22のみとする事で、メカやアクチュエーターに対する負荷を軽減することができ、これにより、光学系2を含む撮像装置1全体の小型化の実現が可能となる。
【0026】
また、上記の式(1)は、光学系2全体の最物体側面から結像面までの距離に対する第二レンズ群22の最物体側面から最像側面までの距離の比率(OAL2/OAL)を規定しており、この比率(OAL2/OAL)が下限値(0.06)を下回ると、全フォーカス領域の中での収差補正が不十分となり結像性能が不十分となる。そこで、本実施形態の光学系2では、光学系2全体の最物体側面から結像面までの距離に対する第二レンズ群22の最物体側面から最像側面までの距離の比率(OAL2/OAL)を式(1)の範囲とすることで、全フォーカス領域の中で十分な収差補正を行えるようにし、これにより、十分な結像性能を確保した。
【0027】
尚、本実施形態の光学系2において、前記比率(OAL2/OAL)は、
0.11 ≦ OAL2/OAL ≦ 0.30
を満たすことが好ましく、
0.15 ≦ OAL2/OAL ≦ 0.22
を満たすことが、より好ましい。
【0028】
また、光学系2において、第二レンズ群22が、少なくとも一枚の正の屈折力を有するレンズと、少なくとも一枚の負の屈折力を有するレンズと、を有し、第二レンズ群22中において正の屈折力の最も強いレンズ221が負の屈折力の最も強いレンズ222より像側に位置してもよい。
【0029】
この構成によれば、第二レンズ群22の移動のみで無限遠から近接撮影までの全フォーカス領域での収差補正を実現することができる。詳しくは、以下の通りである。
【0030】
第二レンズ群22の移動のみで無限遠から近接撮影までの全フォーカス領域での収差補正を実現するためには、第二レンズ群22の物体側では第一レンズ群21で強く収束した軸上光束を適度に収束した光束とし、周辺光束は跳ね上げて第二レンズ群22の像側に導くために負のパワーが必要となる。また、第二レンズ群22の像側では、所望のFナンバーとなるように収束させる正のパワーが必要となる。
【0031】
そこで、本実施形態の光学系2では、上記構成のように、第二レンズ群22が正の屈折力を有する少なくとも一つのレンズと負の屈折力を有する少なくとも一つのレンズとを具備し、第二レンズ群22中で正の屈折力の最も強いレンズ221が負の屈折力の最も強いレンズ222よりも像側に位置する構成を採用することによって、第二レンズ群22の移動のみで無限遠から近接撮影までの全フォーカス領域での好適な収差補正を可能とした。
【0032】
また、光学系2において、光学系全体の無限遠合焦時の焦点距離をfとしたときに、該光学系2は、下記の式(2)を満たしてもよい。
OAL/f ≦ 2.00 ・・・(2)
【0033】
上記の式(2)は、焦点距離に対する光学系全体の最物体側面から像面までの距離の比率(OAL/f)を規定しており、この比率(OAL/f)が上限値(2.00)を上回ると、光学全長を十分に短くできているとは言えず、光学系2のみならず該光学系2を備える撮像装置1全体の小型化も実現できない。そこで、本実施形態の光学系2では、焦点距離に対する光学系全体の最物体側面から像面までの距離の比率(OAL/f)を式(2)の範囲とすることで、光学全長を十分に短くし、これにより、光学系2のみならず該光学系2を備える撮像装置1全体の小型化も図っている。
【0034】
尚、本実施形態の光学系2において、前記比率(OAL/f)は、
0.80 ≦ OAL/f ≦ 1.50
を満たすことが好ましく、
0.90 ≦ OAL/f ≦ 1.00
を満たすことが、より好ましい。
【0035】
また、光学系2において光学系全体の最大横倍率をBとしたときに、該光学系2は、下記の式(3)を満たしてもよい。
0.50 ≦ |B| ・・・(3)
【0036】
上記の式(3)は、光学系全体の最大横倍率を規定しており、この数値が下限値(0.50)を下回ると、十分に近距離撮像ができているとはいえず、撮像可能な物体距離を短くすることができない。そこで、本実施形態の光学系2では、光学系全体の最大横倍率を式(3)の範囲とすることで、撮像可能な物体距離を短くし、これにより、小型かつ近距離撮像可能な光学系2、及び該光学系2および撮像装置1を実現可能とした。
【0037】
ここで、最大横倍率は、近距離撮像の程度を表す数値であり、被写体の物体の高さに対する撮像面の像の高さの比率である。例えば、近距離撮像時で|B|が1.00のときに被写体と撮像面の大きさが等しくなる。また、遠距離撮像時には|B|は0.00に近づくことになる。
【0038】
尚、本実施形態の光学系2において、光学系全体の最大横倍率は、
0.75 ≦ |B|
を満たすことが好ましく、
1.00 ≦ |B|
を満たすことが、より好ましい。
【0039】
また、光学系2において、第二レンズ群の無限遠合焦時の横倍率をb2とし、第三レンズ群の無限遠合焦時の横倍率をb3としたときに、該光学系2は、下記の式(4)を満たしてもよい。
-10.00 ≦ (1-b22)×b32 ≦ -2.00 ・・・(4)
【0040】
上記の式(4)は、第二レンズ群22の光軸C方向の移動量に対する結像面の移動量の比率((1-b22)×b32)を規定しており、全体繰り出しの光学系ではこの数式に該当する数値は1であるが、本実施形態の光学系2のようなインナーフォーカス光学系では、その比率を負の値で大きくとることで、少ない移動量で近距離撮像可能にし、光学系2全体の小型化を実現している。この比率((1-b22)×b32)が下限値(-10.00)を下回ると、第二レンズ群22の光軸C方向の移動量に対する結像面の移動量が大きくなりすぎ、アクチュエーター等の駆動装置で第二レンズ群22の停止位置精度を上げることが困難となる。一方、この比率((1-b22)×b32)が上限値(-2.00)を上回ると、近距離撮像のための第二レンズ群22の移動量が大きくなるため、光学系2全体の小型化が困難となる。そこで、本実施形態の光学系2では、第二レンズ群22の光軸C方向の移動量に対する結像面の移動量の比率((1-b22)×b32)を上記の式(4)の範囲とすることで、フォーカシング時のアクチュエーター等による第二レンズ群22の停止位置精度の向上と、光学系2全体の小型化と、のバランスを図っている。
【0041】
尚、本実施形態の光学系2において、前記比率((1-b22)×b32)は、
-9.00 ≦ (1-b22)×b32 ≦ -2.50
を満たすことが好ましく、
-8.00 ≦ (1-b22)×b32 ≦ -5.00
を満たすことが、より好ましい。
【0042】
また、光学系2において、光学系全体の無限遠合焦時の焦点距離をfとし、前記第二レンズ群の焦点距離をf2としたときに、該光学系2は、下記の式(5)を満たしてもよい。
-0.70 ≦ f2/f ≦ -0.10 ・・・(5)
【0043】
上記の式(5)は、光学系2全体の無限遠合焦時の焦点距離に対する第二レンズ群22の焦点距離の比率(f2/f)を規定しており、この比率(f2/f)が下限値(-0.70)を下回ると、第二レンズ群22のパワーが弱くなり、近距離撮像のための第二レンズ群22の移動量が大きくなるため、光学系2全体の小型化が困難となる。一方、この比率(f2/f)が上限値(-0・10)を上回ると、第二レンズ群22の光軸C方向の移動量に対する結像面の移動量が大きくなりすぎ、アクチュエーター等の駆動装置での第二レンズ群22の停止位置精度を上げることが困難となる。そこで、本実施形態の光学系2では、光学系2全体の無限遠合焦時の焦点距離に対する第二レンズ群22の焦点距離の比率(f2/f)を上記の式(5)の範囲とすることで、光学系2全体の小型化と、フォーカシング時のアクチュエーター等による第二レンズ群22の停止位置精度の向上と、のバランスを図っている。
【0044】
尚、本実施形態の光学系2において、前記比率(f2/f)は、
-0.65 ≦ f2/f ≦ -0.15
を満たすことが好ましく、
-0.60 ≦ f2/f ≦ -0.20
を満たすことが、より好ましい。
【0045】
以上のように構成される光学系2、及び光学系2を備える撮像装置1によれば、小型かつ近距離撮像可能となる。即ち、第一レンズ群21が正の屈折力を有し、第二レンズ群22が負の屈折力を有し、第三レンズ群23が負の屈折力を有し、無限遠から近距離へのフォーカシングの際に第二レンズ群22を可動させる本実施形態の光学系2では、各レンズ群21~23の構成や倍率、レンズ材料の選定等を適切にすることで、全体として小型で、近距離撮像時の性能や色収差の補正が十分になされている光学系の実現を可能にしている。
【0046】
また、本実施形態の光学系2、及び光学系2を備える撮像装置1では、いわゆるインナーフォーカス光学系とすることでも、光学系2、及び光学系2を備える撮像装置1の小型化等を図っている。詳しくは、以下の通りである。
【0047】
従来からレンズのフォーカシング方法として、全体繰り出し光学系が知られている。この全体繰り出し光学系は、無限遠から近距離へのフォーカシングの際に光学系全体を物体側に繰り出す方式であり、光学系全体を部分群に分けずに一つに固定していることから、設計時に光学性能を上げる事が比較的容易である。しかしながら、レンズ全体をフォーカシングした際に、周辺像高光束のレンズ系の通る位置が無限遠と近距離で異なるので、像面湾曲の変動が大きくなり、その収差補正が困難であった。また、レンズ全体をフォーカシング時に移動させる距離は、焦点距離の二乗に比例して長くなる。このため、特に焦点距離の長い望遠レンズでは近距離撮影を実現させるためにフォーカシングの移動量が長くなり、その結果、光学系及び撮像装置の小型化が困難であった。
【0048】
一方、インナーフォーカス光学系は、無限遠から近距離へのフォーカシングの際に光学系内の部分レンズ群を物体側、もしくは像側に可動させる方式であり、各物体距離に応じた収差補正を各群に振り分ける事から、フォーカス範囲内の収差補正が比較的容易である。また、フォーカス群をフォーカシング時に移動させる距離は、その感度を上げることが可能であり、移動量を短くすることが容易である。
【0049】
そこで、本実施形態の撮像装置1では、光学系2としてインナーフォーカス光学系を採用することによっても、全体として小型で、近距離撮像時の性能や色収差の補正が十分になされている光学系の実現を可能にしている。
【0050】
次に、本発明の光学系の実施例1~4について説明する。以下の各実施例において、上記実施形態の光学系2の各構成と対応する構成については、同じ符号を用いる。また、以下の各実施例における表において、rは曲率半径であり、dはレンズ厚又はレンズ間隔であり、ndはd線の屈折率であり、vdはd線基準のアッベ数を示す。また、非球面は、次式で定義されるものとする。
z=ch2/[1+{1-(1+k)c2h2}1/2]+A4h4+A6h6+A8h8+A10h10・・・
(但し、cは曲率(1/r)、hは光軸からの高さ、kは円錐係数、A4、A6、A8、A10・・・は各次数の非球面係数)
【0051】
また、各縦収差図は、左側から順に、球面収差(SA(mm))、非点収差(AST(mm))、歪曲収差(DIS(%))を示す。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、FNOで示す)を表し、実線はd線(d-line)の特性であり、短破線はF線(F-line)の特性であり、長破線はC線(C-line)の特性である。非点収差図において、縦軸は、最大像高(図中、Yで示す)を表し、実線は、サジタル平面(図中、Sで示す)の特性であり、破線は、メリディオナル平面(図中、Mで示す)の特性である。歪曲収差図において、縦軸は、最大像高(図中、Yで示す)を表す。
【0052】
[実施例1]
図2及び図3は、本実施例1の光学系のレンズ構成図であり、図2は、無限遠合焦状態を示し、図3は、最至近合焦状態を示す。また、光学系の各構成を示す符号は、上記実施形態の光学系2の対応する構成の符号と同じである。また、この光学系では、フォーカシングの際に、第一レンズ群21及び第三レンズ群23の撮像素子(像面)3に対する光軸C上の位置が固定されている。
【0053】
図4は、無限遠合焦状態における縦収差図であり、図5は、像倍率「-0.5倍」における縦収差図であり、図6は、像倍率「-1.0倍」における縦収差図である。また、下記の表1は、各レンズの面データを示し、表2は、非球面データを示し、表3は、各種データを示し、表4は、レンズ群データを示し、表5は、単レンズデータを示す。
【0054】
【表1】
【表2】
【表3】
焦点距離は21.999であり、最大像高は4.000である。

【表4】
【表5】
【0055】
[実施例2]
図7及び図8は、本実施例2の光学系のレンズ構成図であり、図7は、無限遠合焦状態を示し、図8は、最至近合焦状態を示す。また、光学系の各構成を示す符号は、上記実施形態の光学系2の対応する構成の符号と同じである。また、この光学系においても、フォーカシングの際に、第一レンズ群21及び第三レンズ群23の撮像素子(像面)3に対する光軸C上の位置が固定されている。
【0056】
図9は、無限遠合焦状態における縦収差図であり、図10は、像倍率「-0.5倍」における縦収差図であり、図11は、像倍率「-1.0倍」における縦収差図である。また、下記の表6は、各レンズの面データを示し、表7は、非球面データを示し、表8は、各種データを示し、表9は、レンズ群データを示し、表10は、単レンズデータを示す。
【0057】
【表6】
【表7】
【表8】
焦点距離は11.600であり、最大像高は2.060である。

【表9】
【表10】
【0058】
[実施例3]
図12及び図13は、本実施例3の光学系のレンズ構成図であり、図12は、無限遠合焦状態を示し、図13は、最至近合焦状態を示す。また、光学系の各構成を示す符号は、上記実施形態の光学系2の対応する構成の符号と同じである。また、この光学系においても、フォーカシングの際に、第一レンズ群21及び第三レンズ群23の撮像素子(像面)3に対する光軸C上の位置が固定されている。
【0059】
図14は、無限遠合焦状態における縦収差図であり、図15は、像倍率「-0.5倍」における縦収差図であり、図16は、像倍率「-1.0倍」における縦収差図である。また、下記の表11は、各レンズの面データを示し、表12は、非球面データを示し、表13は、各種データを示し、表14は、レンズ群データを示し、表15は、単レンズデータを示す。
【0060】
【表11】
【表12】
【表13】
焦点距離は11.598であり、最大像高は2.060である。

【表14】
【表15】
【0061】
[実施例4]
図17及び図18は、本実施例4の光学系のレンズ構成図であり、図17は、無限遠合焦状態を示し、図18は、最至近合焦状態を示す。また、光学系の各構成を示す符号は、上記実施形態の光学系2の対応する構成の符号と同じである。また、この光学系においても、フォーカシングの際に、第一レンズ群21及び第三レンズ群23の撮像素子(像面)3に対する光軸C上の位置が固定されている。
【0062】
図19は、無限遠合焦状態における縦収差図であり、図20は、像倍率「-0.5倍」における縦収差図であり、図21は、像倍率「-1.0倍」における縦収差図である。また、下記の表16は、各レンズの面データを示し、表17は、非球面データを示し、表18は、各種データを示し、表19は、レンズ群データを示し、表20は、単レンズデータを示す。
【0063】
【表16】
【表17】
【表18】

焦点距離は21.999であり、最大像高は4.000である。

【表19】
【表20】
【0064】
以上の実施例1~4において、上記実施形態の各条件に対応する値を下記の表21に示す。尚、表21において、条件式(1)は、 OAL2/OAL であり、条件式(2)は、 OAL/f であり、条件式(3)は、 |B| であり、条件式(4)は、 (1-b22)×b32 であり、条件式(5)は、 f2/f である。
【表21】
【0065】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更及び/又は改良することは容易に成し得ることであると認識すべきである。従って、当業者が実施する変更形態又は改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態又は当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0066】
1…撮像装置、2…光学系、20…プリズム(反射光学素子)、21…第一レンズ群、22…第二レンズ群、221…第二レンズ群22中において正の屈折力の最も強いレンズ、222…第二レンズ群22中において負の屈折力の最も強いレンズ、23…第三レンズ群、25…光学フィルター、26…鏡筒、3…撮像素子、4…液晶画面、C…光軸、F…フォーカスレンズ群、G…レンズ群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2022-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に並ぶ、正の屈折力を有する第一レンズ群と、負の屈折力を有する第二レンズ群と、負の屈折力を有する第三レンズ群と、を備え、
フォーカシング時に、
前記第二レンズ群は、光軸に沿って移動し、
前記第一レンズ群及び前記第三レンズ群は、結像面に対する光軸方向の位置を固定され、
前記第二レンズ群の最物体側面から最像側面までの距離をOAL2とし、光学系全体の最物体側面から結像面までの距離をOALとしたときに、
0.06 ≦ OAL2/OAL
を満たす、光学系。
【請求項2】
前記第二レンズ群は、
少なくとも一枚の正の屈折力を有するレンズと、
少なくとも一枚の負の屈折力を有するレンズと、を有し、
前記第二レンズ群中において、正の屈折力の最も強いレンズは、負の屈折力の最も強いレンズより像側に位置する、請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
光学系全体の無限遠合焦時の焦点距離をfとしたときに、
OAL/f ≦ 2.00
を満たす、請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項4】
光学系全体の最大横倍率をBとしたときに、
0.50 ≦ |B|
を満たす、請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項5】
前記第二レンズ群の無限遠合焦時の横倍率をb2とし、前記第三レンズ群の無限遠合焦時の横倍率をb3としたときに、
-10.00 ≦ (1-b )×b ≦ -2.00
を満たす、請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項6】
光学系全体の無限遠合焦時の焦点距離をfとし、前記第二レンズ群の焦点距離をf2としたときに、
-0.70 ≦ f2/f ≦ -0.10
を満たす、請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の光学系と、
前記光学系の像面側に配置され、該光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮影素子と、を備える、撮影装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレンズ群を備える光学系、及びこの光学系を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、物体側から像側へ順に並ぶ、正の屈折力を有する第一レンズ群と、負の屈折力を有する第二レンズ群と、第三レンズ群と、を備え、フォーカシング時に第二レンズ群のみが光軸に沿って移動する光学系として、特許文献1(日本国特許5749629号公報)及び特許文献2(日本国特開2021-173847号公報)に記載の光学系が知られている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の光学系では近距離撮像が不十分であり、特許文献2に記載の光学系では、焦点距離に対する光学系の全長の比が大きく、小型化が不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特許5749629号公報
【特許文献2】日本国特開2021-173847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、小型かつ近距離撮像可能な光学系、及び前記光学系を備えた撮像装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光学系は、
物体側から像側へ順に並ぶ、正の屈折力を有する第一レンズ群と、負の屈折力を有する第二レンズ群と、負の屈折力を有する第三レンズ群と、を備え、
フォーカシング時に、
前記第二レンズ群は、光軸に沿って移動し、
前記第一レンズ群及び前記第三レンズ群は、結像面に対する光軸方向の位置を固定され、
前記第二レンズ群の最物体側面から最像側面までの距離をOAL2とし、光学系全体の最物体側面から結像面までの距離をOALとしたときに、
0.06 ≦ OAL2/OAL
を満たす。
【0007】
前記光学系において、
前記第二レンズ群は、
少なくとも一枚の正の屈折力を有するレンズと、
少なくとも一枚の負の屈折力を有するレンズと、を有し、
前記第二レンズ群中において、正の屈折力の最も強いレンズは、負の屈折力の最も強いレンズより像側に位置してもよい。
【0008】
また、前記光学系において、
光学系全体の無限遠合焦時の焦点距離をfとしたときに、
OAL/f ≦ 2.00
を満たしてもよい。
【0009】
また、前記光学系において、
光学系全体の最大横倍率をBとしたときに、
0.50 ≦ |B|
を満たしてもよい。
【0010】
また、前記光学系において、
前記第二レンズ群の無限遠合焦時の横倍率をb2とし、前記第三レンズ群の無限遠合焦時の横倍率をb3としたときに、
-10.00 ≦ (1-b )×b ≦ -2.00
を満たしてもよい。
【0011】
また、前記光学系において、
光学系全体の無限遠合焦時の焦点距離をfとし、前記第二レンズ群の焦点距離をf2としたときに、
-0.70 ≦f2/f ≦ -0.10
を満たしてもよい。
【0012】
また、本発明に係る撮像装置は、
上記いずれかの光学系と、
前記光学系の像面側に配置され、該光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮影素子と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係る撮像装置の構成を示す模式図である。
図2図2は、実施例1の光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図3図3は、実施例1の光学系の最至近合焦状態におけるレンズ構成図である。
図4図4は、実施例1の光学系の無限遠合焦状態における縦収差図である。
図5図5は、実施例1の光学系の像倍率「-0.5倍」における縦収差図である。
図6図6は、実施例1の光学系の像倍率「-1.0倍」における縦収差図である。
図7図7は、実施例2の光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図8図8は、実施例2の光学系の最至近合焦状態におけるレンズ構成図である。
図9図9は、実施例2の光学系の無限遠合焦状態における縦収差図である。
図10図10は、実施例2の光学系の像倍率「-0.5倍」における縦収差図である。
図11図11は、実施例2の光学系の像倍率「-1.0倍」における縦収差図である。
図12図12は、実施例3の光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図13図13は、実施例3の光学系の最至近合焦状態におけるレンズ構成図である。
図14図14は、実施例3の光学系の無限遠合焦状態における縦収差図である。
図15図15は、実施例3の光学系の像倍率「-0.5倍」における縦収差図である。
図16図16は、実施例3の光学系の像倍率「-1.0倍」における縦収差図である。
図17図17は、実施例4の光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。
図18図18は、実施例4の光学系の最至近合焦状態におけるレンズ構成図である。
図19図19は、実施例4の光学系の無限遠合焦状態における縦収差図である。
図20図20は、実施例4の光学系の像倍率「-0.5倍」における縦収差図である。
図21図21は、実施例4の光学系の像倍率「-1.0倍」における縦収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0015】
本実施形態に係る撮像装置1は、図1に示すように、光学系2と、光学系2の結像面位置に配置される撮像素子3と、撮像素子3から送られた撮像(画像)データを表示する液晶画面4と、を備える。また、撮像装置1は、光学系2を駆動する駆動部(図示省略)を備える。この駆動部は、VCM(ボイスコイルモーター)等のアクチュエーターであり、光学系2に含まれる所定のレンズ又はレンズ群等を撮像素子3の受光面に対して略垂直な方向(光軸方向)に駆動する。また、撮像素子3は、光学系2によって形成された光学像を電気的信号(撮像データ)に変換する素子であり、本実施形態の撮像素子3は、CMOSイメージセンサーである。
【0016】
光学系2は、いわゆるインナーフォーカス光学系であり、本実施形態の光学系2は、プリズムや反射鏡等の反射光学素子によって光軸(光路)Cを屈曲させる、いわゆるペリスコープ型の望遠レンズである。具体的に、光学系2は、光軸Cに沿って物体側から像側へ順に、光軸Cを屈曲させるプリズム20と、光軸C上に並ぶ複数のレンズ群Gと、を備える。また、光学系2は、開口絞り24と、複数のレンズ群Gと撮像素子3との間に配置される光学フィルター25と、複数のレンズ群Gを保持する鏡筒26と、を備える。
【0017】
複数のレンズ群Gは、光軸Cに沿って物体側から像側へ順に、少なくとも、第一レンズ群21と、第二レンズ群22と、第三レンズ群23と、を含む。これら各レンズ群21、22、23のそれぞれは、少なくとも一つのレンズ(光学素子)を含む。
【0018】
尚、本実施形態の光学系2において、レンズ群21~23は、便宜上の名称であり、一つの光学素子(レンズ等)のみによって構成されるものも含む。即ち、第一~第三レンズ群21、22、23のそれぞれは、少なくとも一つのレンズ等の光学素子を有する。また、光学系2において、フォーカシング時に光軸C上の位置が固定されている光学素子(レンズ等)と、移動する光学素子との間でそれぞれ区分けし、区分けされた領域内の前記固定されている少なくとも一つの光学素子を一つのレンズ群とし、区分けされた領域内の前記移動する少なくとも一つの光学素子を別のレンズ群とする。
【0019】
この光学系2では、フォーカシング時に、第二レンズ群22は、光軸Cに沿って移動し、第一レンズ群21及び第三レンズ群23は、撮像素子3(光学系2の結像面)に対する光軸C方向の位置を固定されている。即ち、本実施形態の光学系2において、各レンズ群21、22、23のうち、第二レンズ群22がフォーカスレンズ群Fを構成する。
【0020】
以下では、光学系2における各レンズ群21~23の詳細について説明する。
【0021】
第一レンズ群21は、複数(本実施形態の例では、四つ)のレンズを含み、正の屈折力を有する。また、第二レンズ群22は、複数(本実施形態の例では、二つ)のレンズを含み、負の屈曲率を有する。また、第三レンズ群23は、複数(本実施形態の例では、二つ)のレンズを含み、負の屈折力を有する。
【0022】
ここで、第二レンズ群22の最物体側面から最像側面までの距離をOAL2とし、光学系2全体の最物体側面から結像面までの距離をOALとしたときに、光学系2は、下記の式(1)を満たす。
0.06 ≦ OAL2/OAL ・・・(1)
【0023】
この光学系2では、光軸Cに沿って配置される複数のレンズ群Gにおいて、正の屈折力を有する第一レンズ群21が最も物体側に配置され、負の屈折力を有する第二レンズ群22が第一レンズ群21の像側に配置され、負の屈折力を有する第三レンズ群23が最も像側に配置されている。これにより、光学系2においてテレフォトのパワー配置を取ることが容易となるため、第一レンズ群21の焦点距離を短くすることができ、その結果、光学系2の小型化(詳しくは、光軸C方向の小型化)を実現することができる。
【0024】
しかも、フォーカシング時には第二レンズ群を可動とし、前後のレンズ群21、23との収差変動バランスを調整する事で、全体繰り出し方式と比較して近接撮像時の像面湾曲変動を抑える事ができるため、近接撮像距離をより短くすることが可能となる。
【0025】
更に、第一レンズ群21と第三レンズ群23とを結像面に対して固定し、可動とするレンズ群を第二レンズ群22のみとする事で、メカやアクチュエーターに対する負荷を軽減することができ、これにより、光学系2を含む撮像装置1全体の小型化の実現が可能となる。
【0026】
また、上記の式(1)は、光学系2全体の最物体側面から結像面までの距離に対する第二レンズ群22の最物体側面から最像側面までの距離の比率(OAL2/OAL)を規定しており、この比率(OAL2/OAL)が下限値(0.06)を下回ると、全フォーカス領域の中での収差補正が不十分となり結像性能が不十分となる。そこで、本実施形態の光学系2では、光学系2全体の最物体側面から結像面までの距離に対する第二レンズ群22の最物体側面から最像側面までの距離の比率(OAL2/OAL)を式(1)の範囲とすることで、全フォーカス領域の中で十分な収差補正を行えるようにし、これにより、十分な結像性能を確保した。
【0027】
尚、本実施形態の光学系2において、前記比率(OAL2/OAL)は、
0.11 ≦ OAL2/OAL ≦ 0.30
を満たすことが好ましく、
0.15 ≦ OAL2/OAL ≦ 0.22
を満たすことが、より好ましい。
【0028】
また、光学系2において、第二レンズ群22が、少なくとも一枚の正の屈折力を有するレンズと、少なくとも一枚の負の屈折力を有するレンズと、を有し、第二レンズ群22中において正の屈折力の最も強いレンズ221が負の屈折力の最も強いレンズ222より像側に位置してもよい。
【0029】
この構成によれば、第二レンズ群22の移動のみで無限遠から近接撮影までの全フォーカス領域での収差補正を実現することができる。詳しくは、以下の通りである。
【0030】
第二レンズ群22の移動のみで無限遠から近接撮影までの全フォーカス領域での収差補正を実現するためには、第二レンズ群22の物体側では第一レンズ群21で強く収束した軸上光束を適度に収束した光束とし、周辺光束は跳ね上げて第二レンズ群22の像側に導くために負のパワーが必要となる。また、第二レンズ群22の像側では、所望のFナンバーとなるように収束させる正のパワーが必要となる。
【0031】
そこで、本実施形態の光学系2では、上記構成のように、第二レンズ群22が正の屈折力を有する少なくとも一つのレンズと負の屈折力を有する少なくとも一つのレンズとを具備し、第二レンズ群22中で正の屈折力の最も強いレンズ221が負の屈折力の最も強いレンズ222よりも像側に位置する構成を採用することによって、第二レンズ群22の移動のみで無限遠から近接撮影までの全フォーカス領域での好適な収差補正を可能とした。
【0032】
また、光学系2において、光学系全体の無限遠合焦時の焦点距離をfとしたときに、該光学系2は、下記の式(2)を満たしてもよい。
OAL/f ≦ 2.00 ・・・(2)
【0033】
上記の式(2)は、焦点距離に対する光学系全体の最物体側面から像面までの距離の比率(OAL/f)を規定しており、この比率(OAL/f)が上限値(2.00)を上回ると、光学全長を十分に短くできているとは言えず、光学系2のみならず該光学系2を備える撮像装置1全体の小型化も実現できない。そこで、本実施形態の光学系2では、焦点距離に対する光学系全体の最物体側面から像面までの距離の比率(OAL/f)を式(2)の範囲とすることで、光学全長を十分に短くし、これにより、光学系2のみならず該光学系2を備える撮像装置1全体の小型化も図っている。
【0034】
尚、本実施形態の光学系2において、前記比率(OAL/f)は、
0.80 ≦ OAL/f ≦ 1.50
を満たすことが好ましく、
0.90 ≦ OAL/f ≦ 1.00
を満たすことが、より好ましい。
【0035】
また、光学系2において光学系全体の最大横倍率をBとしたときに、該光学系2は、下記の式(3)を満たしてもよい。
0.50 ≦ |B| ・・・(3)
【0036】
上記の式(3)は、光学系全体の最大横倍率を規定しており、この数値が下限値(0.50)を下回ると、十分に近距離撮像ができているとはいえず、撮像可能な物体距離を短くすることができない。そこで、本実施形態の光学系2では、光学系全体の最大横倍率を式(3)の範囲とすることで、撮像可能な物体距離を短くし、これにより、小型かつ近距離撮像可能な光学系2、及び該光学系2および撮像装置1を実現可能とした。
【0037】
ここで、最大横倍率は、近距離撮像の程度を表す数値であり、被写体の物体の高さに対する撮像面の像の高さの比率である。例えば、近距離撮像時で|B|が1.00のときに被写体と撮像面の大きさが等しくなる。また、遠距離撮像時には|B|は0.00に近づくことになる。
【0038】
尚、本実施形態の光学系2において、光学系全体の最大横倍率は、
0.75 ≦ |B|
を満たすことが好ましく、
1.00 ≦ |B|
を満たすことが、より好ましい。
【0039】
また、光学系2において、第二レンズ群の無限遠合焦時の横倍率をb2とし、第三レンズ群の無限遠合焦時の横倍率をb3としたときに、該光学系2は、下記の式(4)を満たしてもよい。
-10.00 ≦ (1-b )×b ≦ -2.00 ・・・(4)
【0040】
上記の式(4)は、第二レンズ群22の光軸C方向の移動量に対する結像面の移動量の比率((1-b )×b )を規定しており、全体繰り出しの光学系ではこの数式に該当する数値は1であるが、本実施形態の光学系2のようなインナーフォーカス光学系では、その比率を負の値で大きくとることで、少ない移動量で近距離撮像可能にし、光学系2全体の小型化を実現している。この比率((1-b )×b )が下限値(-10.00)を下回ると、第二レンズ群22の光軸C方向の移動量に対する結像面の移動量が大きくなりすぎ、アクチュエーター等の駆動装置で第二レンズ群22の停止位置精度を上げることが困難となる。一方、この比率((1-b )×b )が上限値(-2.00)を上回ると、近距離撮像のための第二レンズ群22の移動量が大きくなるため、光学系2全体の小型化が困難となる。そこで、本実施形態の光学系2では、第二レンズ群22の光軸C方向の移動量に対する結像面の移動量の比率((1-b )×b )を上記の式(4)の範囲とすることで、フォーカシング時のアクチュエーター等による第二レンズ群22の停止位置精度の向上と、光学系2全体の小型化と、のバランスを図っている。
【0041】
尚、本実施形態の光学系2において、前記比率((1-b )×b )は、
-9.00 ≦ (1-b )×b ≦ -2.50
を満たすことが好ましく、
-8.00 ≦ (1-b )×b ≦ -5.00
を満たすことが、より好ましい。
【0042】
また、光学系2において、光学系全体の無限遠合焦時の焦点距離をfとし、前記第二レンズ群の焦点距離をf2としたときに、該光学系2は、下記の式(5)を満たしてもよい。
-0.70 ≦ f2/f ≦ -0.10 ・・・(5)
【0043】
上記の式(5)は、光学系2全体の無限遠合焦時の焦点距離に対する第二レンズ群22の焦点距離の比率(f2/f)を規定しており、この比率(f2/f)が下限値(-0.70)を下回ると、第二レンズ群22のパワーが弱くなり、近距離撮像のための第二レンズ群22の移動量が大きくなるため、光学系2全体の小型化が困難となる。一方、この比率(f2/f)が上限値(-0・10)を上回ると、第二レンズ群22の光軸C方向の移動量に対する結像面の移動量が大きくなりすぎ、アクチュエーター等の駆動装置での第二レンズ群22の停止位置精度を上げることが困難となる。そこで、本実施形態の光学系2では、光学系2全体の無限遠合焦時の焦点距離に対する第二レンズ群22の焦点距離の比率(f2/f)を上記の式(5)の範囲とすることで、光学系2全体の小型化と、フォーカシング時のアクチュエーター等による第二レンズ群22の停止位置精度の向上と、のバランスを図っている。
【0044】
尚、本実施形態の光学系2において、前記比率(f2/f)は、
-0.65 ≦ f2/f ≦ -0.15
を満たすことが好ましく、
-0.60 ≦ f2/f ≦ -0.20
を満たすことが、より好ましい。
【0045】
以上のように構成される光学系2、及び光学系2を備える撮像装置1によれば、小型かつ近距離撮像可能となる。即ち、第一レンズ群21が正の屈折力を有し、第二レンズ群22が負の屈折力を有し、第三レンズ群23が負の屈折力を有し、無限遠から近距離へのフォーカシングの際に第二レンズ群22を可動させる本実施形態の光学系2では、各レンズ群21~23の構成や倍率、レンズ材料の選定等を適切にすることで、全体として小型で、近距離撮像時の性能や色収差の補正が十分になされている光学系の実現を可能にしている。
【0046】
また、本実施形態の光学系2、及び光学系2を備える撮像装置1では、いわゆるインナーフォーカス光学系とすることでも、光学系2、及び光学系2を備える撮像装置1の小型化等を図っている。詳しくは、以下の通りである。
【0047】
従来からレンズのフォーカシング方法として、全体繰り出し光学系が知られている。この全体繰り出し光学系は、無限遠から近距離へのフォーカシングの際に光学系全体を物体側に繰り出す方式であり、光学系全体を部分群に分けずに一つに固定していることから、設計時に光学性能を上げる事が比較的容易である。しかしながら、レンズ全体をフォーカシングした際に、周辺像高光束のレンズ系の通る位置が無限遠と近距離で異なるので、像面湾曲の変動が大きくなり、その収差補正が困難であった。また、レンズ全体をフォーカシング時に移動させる距離は、焦点距離の二乗に比例して長くなる。このため、特に焦点距離の長い望遠レンズでは近距離撮影を実現させるためにフォーカシングの移動量が長くなり、その結果、光学系及び撮像装置の小型化が困難であった。
【0048】
一方、インナーフォーカス光学系は、無限遠から近距離へのフォーカシングの際に光学系内の部分レンズ群を物体側、もしくは像側に可動させる方式であり、各物体距離に応じた収差補正を各群に振り分ける事から、フォーカス範囲内の収差補正が比較的容易である。また、フォーカス群をフォーカシング時に移動させる距離は、その感度を上げることが可能であり、移動量を短くすることが容易である。
【0049】
そこで、本実施形態の撮像装置1では、光学系2としてインナーフォーカス光学系を採用することによっても、全体として小型で、近距離撮像時の性能や色収差の補正が十分になされている光学系の実現を可能にしている。
【0050】
次に、本発明の光学系の実施例1~4について説明する。以下の各実施例において、上記実施形態の光学系2の各構成と対応する構成については、同じ符号を用いる。また、以下の各実施例における表において、rは曲率半径であり、dはレンズ厚又はレンズ間隔であり、ndはd線の屈折率であり、vdはd線基準のアッベ数を示す。また、非球面は、次式で定義されるものとする。
z=c /[1+{1-(1+k) 1/2 ]+A4 +A6 +A8 +A10 10 ・・・
(但し、cは曲率(1/r)、hは光軸からの高さ、kは円錐係数、A4、A6、A8、A10・・・は各次数の非球面係数)
【0051】
また、各縦収差図は、左側から順に、球面収差(SA(mm))、非点収差(AST(mm))、歪曲収差(DIS(%))を示す。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、FNOで示す)を表し、実線はd線(d-line)の特性であり、短破線はF線(F-line)の特性であり、長破線はC線(C-line)の特性である。非点収差図において、縦軸は、最大像高(図中、Yで示す)を表し、実線は、サジタル平面(図中、Sで示す)の特性であり、破線は、メリディオナル平面(図中、Mで示す)の特性である。歪曲収差図において、縦軸は、最大像高(図中、Yで示す)を表す。
【0052】
[実施例1]
図2及び図3は、本実施例1の光学系のレンズ構成図であり、図2は、無限遠合焦状態を示し、図3は、最至近合焦状態を示す。また、光学系の各構成を示す符号は、上記実施形態の光学系2の対応する構成の符号と同じである。また、この光学系では、フォーカシングの際に、第一レンズ群21及び第三レンズ群23の撮像素子(像面)3に対する光軸C上の位置が固定されている。
【0053】
図4は、無限遠合焦状態における縦収差図であり、図5は、像倍率「-0.5倍」における縦収差図であり、図6は、像倍率「-1.0倍」における縦収差図である。また、下記の表1は、各レンズの面データを示し、表2は、非球面データを示し、表3は、各種データを示し、表4は、レンズ群データを示し、表5は、単レンズデータを示す。
【0054】
【表1】
【表2】
【表3】
焦点距離は21.999であり、最大像高は4.000である。

【表4】
【表5】
【0055】
[実施例2]
図7及び図8は、本実施例2の光学系のレンズ構成図であり、図7は、無限遠合焦状態を示し、図8は、最至近合焦状態を示す。また、光学系の各構成を示す符号は、上記実施形態の光学系2の対応する構成の符号と同じである。また、この光学系においても、フォーカシングの際に、第一レンズ群21及び第三レンズ群23の撮像素子(像面)3に対する光軸C上の位置が固定されている。
【0056】
図9は、無限遠合焦状態における縦収差図であり、図10は、像倍率「-0.5倍」における縦収差図であり、図11は、像倍率「-1.0倍」における縦収差図である。また、下記の表6は、各レンズの面データを示し、表7は、非球面データを示し、表8は、各種データを示し、表9は、レンズ群データを示し、表10は、単レンズデータを示す。
【0057】
【表6】
【表7】
【表8】

焦点距離は11.600であり、最大像高は2.060である。

【表9】
【表10】
【0058】
[実施例3]
図12及び図13は、本実施例3の光学系のレンズ構成図であり、図12は、無限遠合焦状態を示し、図13は、最至近合焦状態を示す。また、光学系の各構成を示す符号は、上記実施形態の光学系2の対応する構成の符号と同じである。また、この光学系においても、フォーカシングの際に、第一レンズ群21及び第三レンズ群23の撮像素子(像面)3に対する光軸C上の位置が固定されている。
【0059】
図14は、無限遠合焦状態における縦収差図であり、図15は、像倍率「-0.5倍」における縦収差図であり、図16は、像倍率「-1.0倍」における縦収差図である。また、下記の表11は、各レンズの面データを示し、表12は、非球面データを示し、表13は、各種データを示し、表14は、レンズ群データを示し、表15は、単レンズデータを示す。
【0060】
【表11】
【表12】
【表13】

焦点距離は11.598であり、最大像高は2.060である。

【表14】
【表15】
【0061】
[実施例4]
図17及び図18は、本実施例4の光学系のレンズ構成図であり、図17は、無限遠合焦状態を示し、図18は、最至近合焦状態を示す。また、光学系の各構成を示す符号は、上記実施形態の光学系2の対応する構成の符号と同じである。また、この光学系においても、フォーカシングの際に、第一レンズ群21及び第三レンズ群23の撮像素子(像面)3に対する光軸C上の位置が固定されている。
【0062】
図19は、無限遠合焦状態における縦収差図であり、図20は、像倍率「-0.5倍」における縦収差図であり、図21は、像倍率「-1.0倍」における縦収差図である。また、下記の表16は、各レンズの面データを示し、表17は、非球面データを示し、表18は、各種データを示し、表19は、レンズ群データを示し、表20は、単レンズデータを示す。
【0063】
【表16】
【表17】
【表18】
焦点距離は21.999であり、最大像高は4.000である。

【表19】
【表20】
【0064】
以上の実施例1~4において、上記実施形態の各条件に対応する値を下記の表21に示す。尚、表21において、条件式(1)は、 OAL2/OAL であり、条件式(2)は、 OAL/f であり、条件式(3)は、 |B| であり、条件式(4)は、 (1-b )×b であり、条件式(5)は、 f2/f である。
【表21】
【0065】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更及び/又は改良することは容易に成し得ることであると認識すべきである。従って、当業者が実施する変更形態又は改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態又は当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0066】
1…撮像装置、2…光学系、20…プリズム(反射光学素子)、21…第一レンズ群、22…第二レンズ群、221…第二レンズ群22中において正の屈折力の最も強いレンズ、222…第二レンズ群22中において負の屈折力の最も強いレンズ、23…第三レンズ群、25…光学フィルター、26…鏡筒、3…撮像素子、4…液晶画面、C…光軸、F…フォーカスレンズ群、G…レンズ群
【国際調査報告】