(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】選択的二層成形方法および装置
(51)【国際特許分類】
D21J 7/00 20060101AFI20240514BHJP
D21J 5/00 20060101ALI20240514BHJP
D21J 3/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
D21J7/00
D21J5/00
D21J3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517961
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 EP2022064364
(87)【国際公開番号】W WO2022248643
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523096676
【氏名又は名称】エッフェティティ ソシエタ レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピッコロ、ディエゴ
(72)【発明者】
【氏名】マランゴーニ、アレックス
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AF09
4L055AJ01
4L055BF06
4L055CJ06
4L055EA08
4L055EA13
4L055EA15
4L055EA20
4L055EA23
4L055FA11
4L055FA13
4L055FA30
4L055GA05
(57)【要約】
本発明は、成形方法に関するものである。特に、本発明は、重要であると検出された点にのみ、その機械的および美的特徴を増大させる目的で、追加のセルロース層を選択的かつ局所的に堆積させることを可能にする改良された二層成形方法に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース繊維で作られた製品の選択的二重層成形方法であって、
前記製品のプリフォームを実現するために、第1の成形対向型(1)を介して、第1のセルロース層(6)を形成するステップと、
前記製品の補強領域に対応する、所定の位置に局所化された1つまたは複数の領域によって実現される第2のセルロース湿潤層(15)を、第2の成形対向型(10)を介して形成するステップと、
前記第1の層(6)と前記第2の層(15)とを重ね合わせるステップと、
前記製品を得るために、画定型(16)および熱成形型(7)を介して、前記第1の層(6)および前記第2の層(15)を接合するステップと、
前記製品を乾燥させるステップと
を含み、
前記画定型(16)は、全体として一定密度かつ可変厚さを有する製品が得られるように、前記熱成形型(7)までの最小接近距離で前記2つの型の間のギャップが可変となるように、または全体として可変密度かつ一定厚さを有する製品が得られるように前記ギャップが一定となるように成形された機能面(17)を有する、方法。
【請求項2】
前記第1の湿潤層(6)は、20%~30%に含まれる乾燥レベルで形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の湿潤層(15)は、20%~30%に含まれる乾燥レベルで形成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記接合するステップは、前記画定型(16)および/または前記熱成形型(7)に20~100N/cm
2に含まれる圧力を印加することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記接合するステップは、前記画定型(16)および/または前記熱成形型(7)に150~220℃に含まれる温度で加熱することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ギャップが可変である場合、前記製品の前記厚さが前記補強領域で増加するように前記ギャップを変化させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
セルロース製品の選択的二層成形用の装置であって、
セルロースパルプ(4、4’)を収容するのに適した少なくとも1つのタンク(3、3’)と、
前記製品の外形に従って成形された網状面(9)を備えた熱成形型(7)と、
前記製品の外形に従って成形された網状の機能面(2)を備えた少なくとも1つの第1の成形対向型(1)と、
前記製品の外形に従って成形され、多孔性領域(12)と非多孔性領域(13)とを有する機能面を備える、少なくとも1つの第2の成形対向型(10)であって、前記多孔性領域(12)は、前記製品の補強領域に対応する、前記少なくとも1つの第2の成形対向型(10)と、
実現される前記製品の前記外形に適合するように成形され、貫通孔(18)を備えた機能面(17)を備える、少なくとも1つの画定型(16)と
を備え、
前記機能面(17)は、全体として一定密度かつ可変厚さを有する製品が得られるように、前記熱成形型(7)までの最小接近距離で、前記2つの型の間のギャップが可変となるように、または全体として可変密度かつ一定厚さを有する製品が得られるように前記ギャップが一定となるように成形される、装置。
【請求項8】
型および対向型を動かすための作動手段を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
型および対向型を加熱するのに適した加熱手段を備える、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
型および対向型に機械的圧力を印加するための手段を備える、請求項7~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記貫通孔(18)は、前記機能面(17)の伸長部全体に配置される、請求項7~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
型および対向型に真空および/または圧縮空気を印加するための手段を備える、請求項7~11のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形方法に関するものである。特に、本発明は、改良された二層成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在まで、二層熱成形は、原材料および化学製品の含有量を最小限に抑え、食品と接触する層にのみそれらを集中させることを目的として、一般的に食品分野で二層製品の製造に使用されており、したがって、堆肥化可能性認証の公表のために国際機関によって提供され、明らかに食事の前提条件を遵守することによって提供される制限内にある。
【0003】
そこから派生する製品は、表面全体に伸長するため、異なる材料で作られた2つの完全な層によって形成される。
【0004】
特許文献1は、自動制御湿式繊維紙成形の技術分野に関するものであり、より詳細には、自動制御湿紙成形機およびそれを実行する方法に関するものである。
【0005】
特許文献2は、パルプ成形装置に関するものであり、より具体的には、一体化されたパルプ成形装置および方法に関するものである。
【0006】
しかしながら、これには、例えば、製品自体の伸長部全体に対して二重層を提供する必要がない場合、資源および材料の浪費に関連している、一連の問題が残されている。
【0007】
さらに、明らかに、現在使用されている製品は、構造的および美的の両方の観点から、製品の適用および個人化の高度な柔軟性を可能にしない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第20190284764号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第108517724号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、既知の技術によって依然として未解決のままである問題を解決することであり、これは、請求項1に規定されている成形方法によって得られる。
【0010】
本発明はさらに、請求項7に規定されている、成形のための装置に関するものである。
【0011】
本発明の装置の追加の構成は、対応する従属請求項に記載されている。
【0012】
本発明は、既知の技術の問題を克服することにより、いくつかの明らかな利点を含む。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第一に、本発明に係る独特の製造技術は、例えばセルロースで作られた、2つの独立した異なる層からなる製品であって、生産サイクルを通じて画定可能であり、各々の層に対して特定の特徴を有する、1回の成形プロセスで共に接合された、製品を実現することができる。
【0014】
製造プロセスは、機械的または美的特徴の改善の目的に適していると考えられる場合にのみ補強層の適用を推進可能にし、したがって原材料およびエネルギーの無駄を最小限に抑えることができる。
【0015】
目的は、技術的な設計要求に対応するのに役立つ機能的な結合を生み出すように、製品の種類ごとに固有の成形およびプレスユニットを備えた型を考案することによって達成される。
【0016】
これにより、他の製造方法で作られたプラスチック材料で作られた製品に近い性能を保証することにより、高度な技術内容を備えた製品を実現することができる。
【0017】
さらに、本発明に係る技術は、厳密に食品包装専用ではない用途に対してでも、実現された製品を市場で独自のものにすることによって、機械抵抗、表面粗さおよび着色のレベルなどの独立した構造的および美的特性をそれらに与えることによって、2つの層の技術的差別化を可能にする。
【0018】
これらおよび他の利点は、添付の図面の図を参照することにより、限定的な目的ではなく例として示される、本発明の構成および使用モードと共に、その好ましい実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る装置のいくつかの構成要素を示し、プリフォームを調製するための、本発明に係る方法のいくつかの段階を示す。
【
図2】本発明に係る装置のいくつかの構成要素を示し、プリフォームを調製するための、本発明に係る方法のいくつかの段階を示す。
【
図3】本発明に係る装置のいくつかの構成要素を示し、プリフォームを調製するための、本発明に係る方法のいくつかの段階を示す。
【
図4】本発明に係る装置のいくつかの構成要素を示し、補強層を調製するための、本発明に係る方法のいくつかの段階を示す。
【
図5】本発明に係る装置のいくつかの構成要素を示し、補強層を調製するための、本発明に係る方法のいくつかの段階を示す。
【
図6】本発明に係る装置のいくつかの構成要素を示し、補強層を調製するための、本発明に係る方法のいくつかの段階を示す。
【
図7】本発明に係る装置のいくつかの構成要素を示し、プリフォームと補強層を接合するための、本発明に係る方法のいくつかの段階を示す。
【
図8A】一定の密度および可変の厚さを有する材料の分布を提供する変形例に係る本発明に従って得られた製品を示す。
【
図8B】一定密度および可変の厚さを有する材料の分布を提供する変形例に係る本発明に従って得られた製品を示す。
【
図9A】可変密度および一定厚さを有する材料の分布を提供する変形例に係る本発明に従って得られた製品を示す。
【
図9B】可変密度および一定厚さを有する材料の分布を提供する変形例に係る本発明に従って得られた製品を示す。
【
図10】可変密度および一定厚さを有する材料の分布を提供する変形例に係る本発明に従って得られた製品の一例を示す。
【
図11】一定密度および可変厚さを有する材料の分布を提供する変形例に係る本発明に従って得られる製品の例を示す。
【
図12】一定密度および可変厚さを有する材料の分布を提供する変形例に係る本発明に従って得られる製品の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、上述の図を参照して本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明によれば、概して、選択的かつ局所的な方法で、特定の製品にとって重要であると検出された点にのみ追加のセルロース層を堆積するために、改善された二重層成形技術の使用が提供される。2つの層の結合は、製品の技術的要求に基づいて、構造抵抗の相対的な増加に伴う特定の密度の増加と厚さの増加など、様々な機械的特徴を生み出すことができる。
【0022】
この概念から出発して、単一の成形プロセスによって実現中に製品の決定された点にのみセルロース層(補強層)のターゲットを絞った堆積を使用することが考えられた。
【0023】
2つの層の製造に使用される原材料は、製紙技術において一般的に知られているプロセスによって抽出された植物起源のセルロース繊維の混合物、次いで機械的または化学的または半化学的ペーストが好ましいが、これらに限定されない。
【0024】
この目的のために、選択的二重層成形装置も考案された。
【0025】
最初に
図1を参照すると、これは、本発明に係る装置で実行される、本発明に係る方法の第1の段階を示す。
【0026】
特に、セルロースパルプ4を収容するのに適したタンク3が提供される。好ましくは、セルロースパルプは、適切な希釈制御によって検証された0.3%~0.8%の稠度を有する。稠度とは、浴槽内部の固形分(繊維)の割合である。タンク投入前にマイクロ波発信機を介して混合濃度の確認および念のため調整を実施できる。
【0027】
外部成形品1の第1の対向型は、実現される製品の外形を有する多孔性の機能面2(例えば、網状面)を有する。次に、第1の成形対向型1をタンク3に浸漬し、網状面2をセルロースパルプ4に浸漬する。
【0028】
本発明に係る装置は、型および対向型を動かすための作動手段を備えることを意味する。
【0029】
第1の成形対向型1は、中空形状を有し、外部環境と接続するスリーブ5を備える。
【0030】
本発明によれば、スリーブ5を通して吸引力が印加される(
図1の矢印F1)。例えば、液体リングを備えたポンプを介して、最大約33mbarの真空が生成される。
【0031】
このようにして、スリーブ5および網状面2を通してセルロースパルプ4が吸引され、その繊維は、湿潤層6を形成することにより網2上に堆積する。
【0032】
第1の成形対向型1は、所定の吸引時間T1の間、真空が適用された状態でタンク3に浸されたままにされる。吸引時間は、最終製品の希望重量を考慮して設定されるが、通常は100~800g/m2である。時間T1は、使用する繊維の種類および浴の稠度に基づいても変化し得る。好ましくは、指定された重量に対して、T1は、0.1~10秒に含まれる。
【0033】
有利には、希釈水は、真空流で吸引され、分離されて、その後の製造サイクルで使用される。
【0034】
吸引時間T1が経過すると、第1の成形対向型1が槽から取り出される。好ましくは、スリーブ5を介した吸引は、この段階の間アクティブのままであり、第1の成形対向型1は、タンク3の外側にあるときでさえ、セルロースパルプにもはや浸漬されない。このようにして、最初のプリフォームの脱水が実施される。この脱水段階は、最終的に固形分が20重量%~30重量%に含まれる乾燥レベルが得られるように設定された所定の脱水時間T2の間続く。時間T2は、サイクル時間によっても変化し得る。好ましくは、3秒の最小脱水時間および20秒の最大脱水時間が考慮される。
【0035】
次の
図2は、本発明に係る方法の次の段階に関するものである。
【0036】
次に、第1の成形対向型1を熱成形型7に近づける。熱成形型7は、好ましくは中空であり、外部環境と接続するスリーブ8を備えている。
【0037】
さらに、好ましくは、熱成形型7は、プリフォーム6を受け入れることができるように、凹状に成形された網状面9を有する。
【0038】
次に、第1の成形対向型1と熱成形型7は、物体の幾何学形状および(例えば、0~2mmに含まれる)湿潤層の厚さに応じて決定される距離D1で軸上に配置される。しかしながら、距離D1は、パルプ堆積がプリフォーム6の伸長部全体に対して正確かつ均一な方法で起こるように、かつ湿ったパルプが型自体の接近方向に対して正確に直交していないと見込まれる型の壁(または壁の部分)の間で滑り効果により引き込まれないように設定される。
【0039】
この時点で、第1の成形対向型1のスリーブ5を通して吸引が中断され、依然としてスリーブ5を介して圧縮空気が導入される(
図2の矢印F2)。
【0040】
同時に、吸引流(
図2の矢印F3)を生成することにより、熱成形型7のスリーブ8に真空を適用することができる。
【0041】
圧縮空気流F2および/または吸引流F3の作用により、湿ったプリフォーム6が第1の成形対向型1から分離され、
図3に示されるように、熱成形型7の網状面9上に配置される。
【0042】
ここで
図4を参照すると、これは補強層15を実現するための、方法の次の段階を示している。
【0043】
本発明によれば、成形装置は、第2の成形対向型10を備える。
【0044】
第2の成形対向型10は、好ましくは中空であり、外部環境と接続するためのスリーブ11を備える。
【0045】
第2の成形対向型10は、実現される製品に従って成形された機能面を有する。そのような面には、多孔性領域13ではなく、例えば網のように実現された、多孔性領域12が存在する。
【0046】
多孔性領域12の配置、数および伸長、および分布は、実現したい製品の種類によって決定され、最終製品の強化領域に対応する。
【0047】
第2の成形対向型10は、0.3%~0.8%で変化し得る濃度を有するセルロースパルプ4’の浴に機能面が浸漬された状態で第2のタンク3’内に配置される。
【0048】
2つの層に異なる特性を与える目的で、セルロースパルプ4’は、プリフォーム6を実現するために使用されるパルプ4とは異なる特徴を有することが念のため可能であり、時には好ましい。支持層と補強層の2つの混合物を区別することで、化学添加剤、着色剤、および無機物を一方の層または他方の層に選択的に添加することがさらに可能になる。
【0049】
例として、強化層の実装をそれに対して提供することができ、原材料の選択は、(支持層6に使用されるものに対して)より長い繊維と、通常はより精製された混合物に該当する。実際、これにより、原材料(短繊維の低コストを考慮)および処理(少し精製するという事実は、より少ない量のエネルギー消費を伴う)の観点から支持層を節約することができるが、同時に補強層の機能のおかげで最適な機械的性能を保証することができる。
【0050】
タンク3’は、実用的な理由から、好ましくは、タンク3に対して異なる追加のタンクである。しかしながら、代替的に、内容物を交換した後に、同じタンクを使用できることを意味する。
【0051】
本発明によれば、スリーブ11を通して吸引力が印加される(
図4の矢印F4)。例えば、液封式ポンプを介して、最大約33mbarの真空が生成される。
【0052】
このようにして、スリーブ11および第2の対向型10の機能面の多孔性領域12を通して、セルロースパルプ4’は吸引され、その繊維は、湿潤層15を形成することによって多孔性領域12の網上に堆積する。
【0053】
第2の成形対向型10は、所定の吸引時間T3の間、真空を適用した状態でタンク3’内に浸漬されたままにされる。吸引時間は、最終製品の所望の重量(通常は、100~800g/m2)に応じて設定される。時間T3は、使用する繊維の種類および浴の稠度に基づいても変化し得る。好ましくは、指定された重みに対して、T3は、0.1秒~10秒に含まれる。
【0054】
有利には、希釈水は、真空流によって吸引され、分離されて、後続の製造サイクルで使用される。
【0055】
この段階の結果は、型10の多孔性領域12で選択的に形成された湿潤セルロース繊維の層15(必ずしも一体で連続的である必要はない)である。
【0056】
吸引時間T3が経過すると、第2の成形対向型10が槽から取り出される。好ましくは、スリーブ11を介した吸引は、この段階の間アクティブのままであり、第2の成形対向型10は、タンク3’の外側にあるときでさえ、セルロースパルプにもはや浸漬されない。このようにして、プリフォームの最初の脱水が実施される。この脱水段階は、最終的に20%~30%に含まれる乾燥レベルが得られるように設定された所定の脱水時間T4の間続く。時間T4は、サイクル時間によっても変化し得る。好ましくは、3秒の最小脱水時間および20秒の最大脱水時間が考慮される。
【0057】
次に、第2の成形対向型10を熱成形型7に近づけ、この熱成形型7には、前の段階からのプリフォーム6がすでに配置されている。
【0058】
次に、第2の成形対向型10と熱成形型7は、物体の幾何学形状および(例えば、1~3mmに含まれる)湿潤層の厚さに応じて決定される距離D2で軸上に配置される。しかしながら、距離D2は、パルプ堆積がプリフォーム6の伸長部全体に対して正確かつ均一な方法で起こるように、かつ湿ったパルプが型自体の接近方向に対して正確に直交していないと見込まれる型の壁(または壁の部分)の間で滑り効果により引き込まれないように設定される。さらに、距離D2は、例えば過度の圧縮によって、プリフォーム6を損傷しないようにする必要がある。
【0059】
この時点で、第2の成形対向型10のスリーブ11を介した吸引が中断され、依然としてスリーブ11を通して、圧縮空気が導入される(
図5の矢印F5)。
【0060】
同時に、吸引流(
図5の矢印F3)を生成することによって、熱成形型7のスリーブ8に真空を適用することができる。
【0061】
圧縮空気の流れF5および/または吸引流F3の作用により、湿潤層15が第2の成形対向型10から分離され、熱成形型7上に既に配置されているプリフォーム6上に配置される。
【0062】
熱成形型7には、
図6に示されるように、2つの湿潤層6と15が重なっている。
【0063】
【0064】
本発明に係る装置は、実現される製品の外形に適合するように成形され、貫通孔18を備えた機能面17を含む画定型16をさらに備える。穴18は、好ましくは、機能面17の伸長部全体に配置される。
【0065】
画定型16は、熱成形型7と軸を合わせて配置され、熱成形型7に近づき、こうして2つの重ねられた層6および15の組を圧縮する。画定型16および熱成形型7には、20~100N/cm2に含まれる機械的圧力が印加される。
【0066】
さらに、画定型16および/または成形型7を加熱することさえできる。この目的のために、本発明に係る装置は、型および対向型を加熱するのに適した加熱手段(例えば、電気加熱手段)を含むことができる。
【0067】
例えば、型は、150~220℃に含まれる温度に温度調節することができる。
【0068】
好ましくは、熱成形型7に引き続き真空を適用して(
図7の矢印F3)、これらのプロセス段階中に生成される水および蒸気を除去する。
【0069】
有利には、プリフォームの乾燥を容易にするために、スリーブ19を通して空気流F6を画定型16に印加できる。
【0070】
この乾燥段階は、最終的に所望の乾燥レベルが得られるように設定された(好ましくは、8~25秒に含まれる)所定の乾燥時間T5の間、延長される。プリフォームを第2の熱成形ステーションでさらに処理する必要がある場合は、50~75%に含まれる乾燥レベルでプリフォームを抽出することが好ましい。逆に、最終製品を直接製造したい場合は、94~96%に含まれる最終乾燥レベルまでプリフォームを放置して乾燥させることができる。
【0071】
プロセスパラメータ(圧力および温度)および画定型16の形状に基づいて、または念のため異なる特定の画定型を有する後続の熱成形ステーションでの処理を通して、厚さと密度の観点から所望の仕様を満たす最終製品を得ることが可能である。
【0072】
特に、
図8Aおよび
図8Bに例として示されるように、一定密度かつ可変厚さを有する製品を実現することができる。図で指定されたサイズとパラメータは、実装形態と見なされるべきであり、例を限定するものではない。
【0073】
画定型16(または念のためその後に使用される特定の画定型)は、熱成形型7までの最小接近距離で、2つの型の間のギャップが可変となる(例えば、0.3~1.5mmに含まれる)ように、したがって、他の製品領域よりも大きな材料厚さを得ることが望まれる補強領域を区別することによって、形状が工夫されている。印加される機械的圧力は、好ましくは20~100N/cm2に含まれる、より好ましくは40~60N/cm2に含まれる。
【0074】
最終的な結果は、層6と補強層15が一定の密度を保つことである。もちろん、層15の補強領域での厚さは、他の点での製品の厚さよりも増加する。
【0075】
この技術を使用すると、例えば、製造後の処理を必要とせずに2色の製品を取得することにより、タンクでの成形中に2つの層に異なる色を割り当てることができる。
【0076】
あるいはまた、例えば
図9Aおよび
図9Bに示すように、可変密度かつ一定厚さを有する製品を実現することができる。図に示されるサイズおよびパラメータは、実施形態の例を限定するものではないと考えられるべきである。
【0077】
この場合、画定型16(または念のためその後に使用される特定の画定型)は、成形型7までの最小接近距離で、2つの型の間のギャップが一定となる(例えば、0.3~1mmに含まれる)ように形状が工夫されており、厚さは、最終製品の伸長部(extension)全体で均一になる必要がある。印加される機械的圧力は、好ましくは20~100N/cm2に含まれる、より好ましくは40~60N/cm2に含まれる。
【0078】
ベース層6および強化層15は、厚さを一定に保つためにプレスされ、その後、強化領域15では、残りの外形よりも高い密度が存在する。
【0079】
材料の密度を変えることにより、局所的な機械的剛性が得られ、明らかな外観の兆候がなく、製品の表面の均一性が良好である。
【0080】
次の
図10は、可変密度および一定厚さを有する材料の分布を提供する変形例において、本発明の方法に従って得られた製品を例として示す。
【0081】
図11および
図12は、代替的に、一定密度および可変厚さを有する材料の分布を提供する変形例において、本発明の方法に従って得られた製品の例である。
【0082】
本発明は、ここまでその好ましい実施形態を参照して説明されてきた。例として本明細書に記載されている好ましい実施形態で実施される技術的解決策の各々は、有利には、記載されているものとは異なるように、他のものと組み合わせて、同じ発明の中心に属するが、すべてが以下に報告する特許請求の範囲の保護範囲内にある追加の実施形態を作り出すことができることを意味する。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース繊維で作られた製品の選択的二重層成形方法であって、
前記製品のプリフォームを実現するために、第1の成形対向型(1)を介して、第1のセルロース層(6)を形成するステップと、
前記製品の補強領域に対応する、所定の位置に局所化された1つまたは複数の領域によって実現される第2のセルロース湿潤層(15)を、第2の成形対向型(10)を介して形成するステップと、
前記第1の層(6)と前記第2の層(15)とを重ね合わせるステップと、
前記製品を得るために、画定型(16)および熱成形型(7)を介して、前記第1の層(6)および前記第2の層(15)を接合するステップと、
前記製品を乾燥させるステップと
を含み、
前記画定型(16)は、全体として一定密度かつ可変厚さを有する製品が得られるように、前記熱成形型(7)までの最小接近距離で前記2つの型の間のギャップが可変となるように、または全体として可変密度かつ一定厚さを有する製品が得られるように前記ギャップが一定となるように成形された機能面(17)を有する、方法。
【請求項2】
前記第1の湿潤層(6)は、20%~30%に含まれる乾燥レベルで形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の湿潤層(15)は、20%~30%に含まれる乾燥レベルで形成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記接合するステップは、前記画定型(16)および/または前記熱成形型(7)に20~100N/cm
2に含まれる圧力を印加することを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記接合するステップは、前記画定型(16)および/または前記熱成形型(7)に150~220℃に含まれる温度で加熱することを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記ギャップが可変である場合、前記製品の前記厚さが前記補強領域で増加するように前記ギャップを変化させる、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
セルロース製品の選択的二層成形用の装置であって、
セルロースパルプ(4、4’)を収容するのに適した少なくとも1つのタンク(3、3’)と、
前記製品の外形に従って成形された網状面(9)を備えた熱成形型(7)と、
前記製品の外形に従って成形された網状の機能面(2)を備えた少なくとも1つの第1の成形対向型(1)と、
前記製品の外形に従って成形され、多孔性領域(12)と非多孔性領域(13)とを有する機能面を備える、少なくとも1つの第2の成形対向型(10)であって、前記多孔性領域(12)は、前記製品の補強領域に対応する、前記少なくとも1つの第2の成形対向型(10)と、
実現される前記製品の前記外形に適合するように成形され、貫通孔(18)を備えた機能面(17)を備える、少なくとも1つの画定型(16)と
を備え、
前記機能面(17)は、全体として一定密度かつ可変厚さを有する製品が得られるように、前記熱成形型(7)までの最小接近距離で、前記2つの型の間のギャップが可変となるように、または全体として可変密度かつ一定厚さを有する製品が得られるように前記ギャップが一定となるように成形される、装置。
【請求項8】
型および対向型を動かすための作動手段を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
型および対向型を加熱するのに適した加熱手段を備える、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
型および対向型に機械的圧力を印加するための手段を備える、請求項
7に記載の装置。
【請求項11】
前記貫通孔(18)は、前記機能面(17)の伸長部全体に配置される、請求項
7に記載の装置。
【請求項12】
型および対向型に真空および/または圧縮空気を印加するための手段を備える、請求項
7に記載の装置。
【国際調査報告】