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特表2024-519634無限軌道用トラックのリンクシール及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】無限軌道用トラックのリンクシール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/21 20060101AFI20240514BHJP
   F16J 3/04 20060101ALI20240514BHJP
   F16J 15/52 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B62D55/21 A
F16J3/04 D
F16J15/52 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538658
(86)(22)【出願日】2023-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 KR2023002311
(87)【国際公開番号】W WO2023204415
(87)【国際公開日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】10-2022-0049250
(32)【優先日】2022-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518405957
【氏名又は名称】リー、キクァン
【氏名又は名称原語表記】LEE Ki Kwang
【住所又は居所原語表記】1102-1101 81,Janghyeonsunhwan-ro Siheung-si Gyeongi-do 14996 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】リー、キクァン
【テーマコード(参考)】
3J043
3J045
【Fターム(参考)】
3J043AA03
3J043CB13
3J043DA11
3J043FA20
3J043HA10
3J045CB30
3J045DA01
3J045DA10
3J045EA10
(57)【要約】
本発明は、無限軌道用トラックのリンクシール及びその製造方法に関するものであり、リンクシールを製造するとき、リンクシール胴体に部分的にまたは全体的に復元力を倍加させるための形状復元部を一体に形成することにより、別途にリング状の形状復元部材をさらに嵌め込まなくても済むので、リンクシールそれ自体の組み立て作業が不要であり、構造も簡単である他、リング状の形状復元部材の弛みもないので、リンクシールの復元力を長時間にわたって保持することができ、リンクシールの製造コストも大幅に削減することのできる無限軌道用トラックのリンクシール及びその製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーナツ状を呈するが、内側の中央には嵌入孔(111)が穿設され、外側には中央に支持部(112)が突出し、前記支持部(112)の両側には所定の空間を有する密着空間部(113)を有するように第1及び第2の弾性部(114)(115)が離隔するように突出するリンクシール胴体(110)と、
前記リンクシール胴体(110)に一体に成形されて、リンクシール胴体(110)の復元力を倍加させる形状復元部(120)と、
を備え、
前記リンクシール胴体(110)の密着空間部(120)の内側端には、前記形状復元部(120)の離脱が防がれるように入口の狭い支持爪(116a)を有する成形溝(116)が形成され、
前記形状復元部(120)は、前記リンクシール胴体(110)の成形溝(116)にエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)により二重射出されて一体に結合されることを特徴とする、無限軌道用トラックのリンクシール。
【請求項2】
無限軌道用トラックのリンクシールの製造方法において、
第1の合成樹脂材を用いて、ドーナツ状を呈し、内側の中央には嵌入孔(111)が穿設され、外側には中央に支持部(112)が突出し、前記支持部(112)の両側には所定の空間を有する密着空間部(113)を有するように第1及び第2の弾性部(114)(115)が離隔するように突出するリンクシール胴体(110)を成形する第1のステップと、
前記リンクシール胴体(110)の一部または全部に第2の合成樹脂材であるエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)により二重射出して形状復元部(120)を成形する第2のステップと、
を含み、
前記第1のステップにおいて、前記リンクシール胴体(110)は、密着空間部(120)の内側端に、形状復元部(120)の離脱が防がれるように入口の狭い支持爪(116a)を有する成形溝(116)が形成されたことを特徴とする、無限軌道用トラックのリンクシールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無限軌道用トラックのリンクシール及びその製造方法に関し、より詳細には、タンク、装甲車、ブルドーザー、掘削機などに装着される無限軌道状のトラックのトラック軸の上に装着されるリンクシールの構造を改善してブッシュの軸方向に伝えられる圧縮及び膨張に伴うリンクシールの復元力を長時間にわたって保持しながらも、製造コストを削減することができ、組み立てを行い易い構造を有する無限軌道用トラックのリンクシール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、無限軌道車両は、車体の両側に1つずつ取り付けられている2つの無限軌道(キャタピラー)の上を走る車両であって、タンク、装甲車、ブルドーザー、掘削機などが挙げられ、無限軌道は、車輪の周りに鋼板製のベルトをかけ渡した装置であり、地面との接触面が大きいため、険しい道、坂道なども走行できるようにしている。
【0003】
従来、このような無限軌道には、内側及び外側のリンクが結合される結合部の内部摩擦部に注入された油などが漏出しないようにするリンクシールが取設されるが、これは、内側リンクと外側リンクは固定ピンにより結合されており、前記固定ピンの外側にはブッシュが結合されており、前記外側リンクとブッシュの先端との間にはリンクシールが嵌設されるが、このリンクシールは互いに異なる方向に一対が嵌設された無限軌道のリンク結合部密封装置が日本国公開実用新案昭54-17541号公報(参考文献1)により提案されている。
【0004】
しかしながら、前記参考文献1に提案された技術は、外側リンクとブッシュの両先端との間に嵌入されたリンクシールは、無限軌道の移送に伴う衝撃力が伝えられるときに圧縮と膨張をする緩衝機能はある程度行うものの、ブッシュの軸方向に激しい衝撃力が働くと、その衝撃力によりリンクシールが適正に対応することができず、その結果、部品が損傷されたり摩擦に伴う摩耗により内部に注入された潤滑油を漏出させずに保持する機能が低下したりして、随時潤滑油を補うことを余儀なくされ、外部から異物が流入すると、寿命が短縮されるなどの問題を抱えていた。
【0005】
いうまでもなく、かような参考文献1の問題を解決するために、大韓民国登録特許第10-2322467号公報(参考文献2)が提案されている。参考文献2は、リンクシールの内側面及び外側面に復元リングを配設してブッシュの軸方向に伝えられる荷重と衝撃によるリンクシールの圧縮状態で復元力を倍加させることのできる無限軌道用リンクシールに関するものである。
【0006】
ところが、参考文献2は、リンクシールと復元リングをそれぞれ別々に作製し、リンクシールの内側面及び外側面に復元リングを嵌設することにより、作業が煩雑であるのみならず、組み立て時間が長引き、製造コストもまた高くつくという欠点がある。
【0007】
併せて、このように復元リングが配設された状態のリンクシールを内外側のリンクに配設される固定ピンに嵌め込んだ状態で、ブッシュの軸方向に衝撃力による前記リンクシールの圧縮及び膨張が行われる場合、リンクシールに支持される復元リングの弛みによりリンクシールの復元力が弱くなるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、このような従来の技術の問題を解決するために、本発明は、タンク、装甲車、ブルドーザー、掘削機などに装着される無限軌道状トラックのトラック軸の上に装着されるリンクシールの構造を改善してブッシュの軸方向に伝えられる圧縮及び膨張に伴うリンクシールの復元力を長時間にわたって保持しながらも、製造コストを削減することのできる無限軌道用トラックのリンクシール及びその製造方法を提供するところにその目的がある。
【0009】
特に、本発明は、復元リングを別途に作製せずにリンクシールに一体に形成して、リンクシールを内外側のリンクに配設される固定ピンに嵌め込んだ状態で、ブッシュの軸方向に衝撃力による前記リンクシールの圧縮及び膨張が繰り返し行われるとしても、リンクシールの復元力の弱化を長時間にわたって防ぐことのできる無限軌道用トラックのリンクシール及びその製造方法を提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような技術的課題を解決するために、本発明は、ドーナツ状を呈するが、内側の中央には嵌入孔が穿設され、外側には中央に支持部が突出し、前記支持部の両側には所定の空間を有する密着空間部を有するように第1及び第2の弾性部が離隔するように突出するリンクシール胴体と、前記リンクシール胴体に一体に成形されて、リンクシール胴体の復元力を倍加させる形状復元部と、を備え、前記リンクシール胴体の密着空間部の内側端には、前記形状復元部の離脱が防がれるように入口の狭い支持爪を有する成形溝が形成され、前記形状復元部は、前記リンクシール胴体の成形溝にエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)により二重射出されて一体に結合されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の無限軌道用トラックのリンクシールの製造方法は、無限軌道用トラックのリンクシールの製造方法において、第1の合成樹脂材を用いて、ドーナツ状を呈し、内側の中央には嵌入孔が穿設され、外側には中央に支持部が突出し、前記支持部の両側には所定の空間を有する密着空間部を有するように第1及び第2の弾性部が離隔するように突出するリンクシール胴体を成形する第1のステップと、前記リンクシール胴体の一部または全部に第2の合成樹脂材であるエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)により二重射出して形状復元部を成形する第2のステップと、を含み、前記第1のステップにおいて、前記リンクシール胴体は、密着空間部の内側端に、形状復元部の離脱が防がれるように入口の狭い支持爪を有する成形溝が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、リンクシールを製造するとき、リンクシール胴体に部分的にまたは全体的に復元力を倍加させるための形状復元部を一体に形成することにより、別途にリング状の形状復元部材をさらに嵌め込まなくても済むので、リンクシールそれ自体の組み立て作業が不要であり、構造も簡単である他、リング状の形状復元部材の弛みもないので、リンクシールの復元力を長時間にわたって保持することができる。
【0013】
また、本発明によれば、別途にリング状の形状復元部材をさらに作製しなくても済み、二重射出を通じて様々な形状にリンクシール胴体に復元力を倍加させるための形状復元部を形成することが可能でありながらも、別途にリング状の形状復元部材をさらに作製して嵌め込まなくても済むので、リンクシールの製造コストも大幅に削減することができるという長所もある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る無限軌道用トラックのリンクシールを示す斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る無限軌道用トラックのリンクシールを成形するために1次成形したリンクシール胴体を示す断面図である。
図3図2に示されたリンクシール胴体に2次的に形状復元部を成形した状態を示す断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る無限軌道用トラックのリンクシールの取付例を示す断面図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る無限軌道用トラックのリンクシールを示す断面図である。
図6】本発明の第3の実施形態に係る無限軌道用トラックのリンクシールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る無限軌道用トラックのリンクシール及びその製造方法を添付図面に基づいて詳しく述べる実施形態によりその特徴が理解できる筈である。
【0016】
図1から図4は、本発明の第1の実施形態に係る無限軌道用トラックのリンクシールを説明するために示す図である。
【0017】
同図を参照すると、本発明に係る無限軌道用トラックのリンクシール100は、無限軌道車両の一対の内側及び外側リンク1、2に貫設される固定ピン3に嵌め込まれて外側リンク2とブッシュ4の先端との間に取設されて緩衝を行うとともに、油が漏出しないようにする。
【0018】
このような本発明のリンクシール100は、ドーナツ状を呈するが、内側中央には無限軌道の固定ピン3が貫通される嵌入孔111が穿設され、外側には中央に支持部112が突出し、前記支持部112の両側には所定の空間を有する密着空間部113を有するように第1及び第2の弾性部114、115が離隔するように突出するリンクシール胴体110と、前記リンクシール胴体110の一部または全部に一体に成形されてリンクシール胴体110の復元力を倍加させる形状復元部120と、を備える。
【0019】
この場合、前記リンクシール100は、第1の合成樹脂材を用いて1次的にリンクシール胴体110を成形した後、前記リンクシール胴体110に第2の合成樹脂材を用いて2次的に形状復元部120を二重射出して製造する。
【0020】
以下、本発明を詳述する。
【0021】
まず、前記リンクシール胴体110は、ドーナツ状を呈し、内側中央には無限軌道の固定ピン30が貫通される嵌入孔111が形成され、外側には中央に支持部112が突出し、前記支持部112の両側には第1及び第2の弾性部114、115が連なり、前記支持部112と第1及び第2の弾性部114、115との間には所定の空間を有する密着空間部113が連設される。前記嵌入孔111の内側面にも密着空間部をさらに連設してもよいということはいうまでもない。
【0022】
このとき、前記支持部112は、上端部から両方向に向かって傾設されてもよいし、様々な形状に設けられてもよい。
【0023】
そして、前記第1及び第2の弾性部114、115は、所定の厚さを有し、前記支持部112の両端部から延び、所定の角度をもって傾くように形成されてもよいし、垂直に形成されてもよく、前記第1及び第2の弾性部114、115はこれに何ら限定されるものではなく、様々な形状を呈し得るということはいうまでもない。
【0024】
また、前記支持部112と第1及び第2の弾性部114、115との間に形成される密着空間部113は、支持部112と第1及び第2の弾性部114、115に応じて様々な形状を呈し得るということはいうまでもない。
【0025】
このようなリンクシール胴体110は、第1の合成樹脂材から射出成形することが好ましく、前記第1の合成樹脂材としては、弾性を有する高強度樹脂材、例えば、ポリカーボネート(PC)が使用可能であるが、樹脂材はこれに何ら限定されるものではなく、弾性を有する素材であれば、公知の種々の素材が採用可能である。
【0026】
一方、前記形状復元部120は、前記リンクシール胴体110の密着空間部113の一部または全部に一体に形成されて前記リンクシール胴体110の復元力を倍加させるものであって、前記形状復元部120は、第2の合成樹脂材からリンクシール胴体110に二重射出して形成することが好ましく、前記第2の合成樹脂材としては、合成ゴム、例えば、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM:Ethylene-Propylene Diene Monomer)が使用可能である。
【0027】
前記エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)は、耐久性に優れた素材であって、ゴム素材が高温に強いという点で類似点があるが、低温互換性にも優れているという長所がある。前記第2の合成樹脂材としては、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)の他にも、ゴムまたはシリコン材質を含み、物性が略同じである様々な素材が均等に採用可能であるということはいうまでもない。
【0028】
このような形状復元部120は、前記リンクシール胴体110の密着空間部113の内側に、かつ、前記支持部112と第1及び第2の弾性部114、115との境界部位に一体に形成される。前記嵌入孔111の内側にも密着空間部をさらに連設するとき、形状復元部をさらに形成してもよいということはいうまでもない。
【0029】
より詳しく説明すると、前記リンクシール胴体110と形状復元部120をなす第1及び第2の合成樹脂材の間の異質性により、使用の最中にリンクシール胴体110から形状復元部120が取り外されてしまうことを防ぐために、前記リンクシール胴体110を1次射出成形するとき、密着空間部120の内側端に入口の狭い支持爪116aを有する成形溝116を形成する。次いで、2次的に二重射出を通じて前記リンクシール胴体110の成形溝116に溶融された2次合成樹脂を注入しかつ硬化させて形状復元部11を形成する。
【0030】
この場合、前記成形溝116は、断面が、開口部が形成される円形構造からなるものであり、このため、前記形状復元部120は、全体的に断面が円形であるリング状を有するように形成することが好ましい。成形溝116及び形状復元部120の断面はこれに何ら限定されるものではなく、半円形、三角形、菱形、台形など様々な断面形状を有するように成形してもよいうということはいうまでもなく、このような程度の設計変更も本発明の権利範囲に属する。
【0031】
このような形状復元部120は、リンクシール胴体110の成形溝116に一体に形成する場合、支持爪116aにより離脱が防がれるように支持されることにより、リンクシール100の圧縮及び膨張の際にリンクシール胴体110から形状復元部120が取り外されてしまうことも防ぐことができる。
【0032】
以上述べたように、形状復元部120をリンクシール胴体110の成形溝116に二重射出を通じて形成すれば、別途にリング状の形状復元部材をさらに嵌め込まなくても済むので、リンクシール100それ自体の組み立て作業が不要であり、構造も簡単である他、リング状の形状復元部材の弛みがないので、リンクシール100の復元力を長時間にわたって保持することができ、リンクシール100の製造コストも大幅に削減することができる。
【0033】
一方、図5は、本発明の第2の実施形態に係る無限軌道用トラックのリンクシールを説明するために示す図である。
【0034】
これによれば、形状復元部120をリンクシール胴体110の成形溝116に二重射出を通じて形成するとき、支持爪116aの外側に突出する係止突部121をさらに延設してリンクシール胴体110の成形溝116と形状復元部120との結合をより一層強固にすることにより、形状復元部120がリンクシール胴体110の成形溝116から取り外されて(離脱して)しまうことを防ぐことができる。
【0035】
前記形状復元部120の係止突部121は、端部が一字状であるものしか示されていないが、これに何ら限定されるものではなく、係止突部121の端部は、中央が突出するドーム状構造など様々な断面形状を有するように設計変更して形成してもよいということはいうまでもない。
【0036】
そして、図6は、本発明の第3の実施形態に係る無限軌道用トラックのリンクシールを説明するために示す図である。
【0037】
これによれば、形状復元部120は、リンクシール胴体110の外部面に沿って全体にわたって設定厚さ(例えば、0.5~1.0mm)に一定に形成してもよい。一例として、前記形状復元部120は、前記密着空間部113をなす支持部112と第1及び第2の弾性部114、115に第2の合成樹脂材であるエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)を二重射出することにより、均一な厚さに形成することができる。
【0038】
このように、リンクシール胴体110に形状復元部120を形成する場合、第1及び第2の弾性部114、115の復元力を向上させることはもとより、第1及び第2の弾性部114、115と支持部112の摩耗も防ぐことができて、リンクシール100の寿命を延ばすことができる。
【0039】
以上の図1から図7による本発明の無限軌道用リンクシールの作用について説明する。
【0040】
まず、ブッシュ4の軸方向に衝撃力が加えられると、リンクシール100の圧縮及び膨張が行われるが、ブッシュ4に軸方向に衝撃力が伝えられると、リンクシール100が一緒に圧縮されると、形状復元部120それ自体の反発力によりリンクシール胴体110の密着空間部113側を元の位置に戻す膨張力が生じる。次いで、前記ブッシュ4が後進すると、前記形状復元部120の膨張力が前記リンクシール胴体110に伝えられて、前記リンクシール100が元の位置に戻す復元力を極大化させることができる。
【0041】
このような動作を繰り返し行っても、前記形状復元部120により前記リンクシール100の復元力が低下することを極力抑えることができるという効果がある。このように、前記リンクシール100の偏摩耗などの摩耗を低減することができ、潤滑油の漏油を防ぎ、外部からの異物の流入を遮断して寿命をさらに延ばすことができる。
【0042】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないものであって、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲内において様々な修正及び変形を加えることが可能である筈である。よって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるあらゆる技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0043】
100 リンクシール
110 リンクシール胴体
111 嵌入孔
112 支持部
113 密着空間部
114 第1弾性部
115 第2の弾性部
116 成形溝
120 形状復元部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】