(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】リニアアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
B66F 3/18 20060101AFI20240514BHJP
F16H 25/18 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B66F3/18
F16H25/18 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553122
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 CA2021050684
(87)【国際公開番号】W WO2022241535
(87)【国際公開日】2022-11-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506427532
【氏名又は名称】ゲスチョン・ラフォレスト・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GESTION LAFOREST INC.
【住所又は居所原語表記】3185,lere rue,St-Hubert,Quebec J3Y 8Y6 CANADA
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォルト、アラン
(72)【発明者】
【氏名】ラフォレスト、ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ゴベイユ、アラン
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AA27
3J062AB21
(57)【要約】
リニアアクチュエータは、中心軸に沿って互いに垂直方向に互いに対して移動可能な上部フレーム部分及び下部フレーム部分と、互いに結合して伸縮可能なカラムを形成する第1のバンド及び第2のバンドとを含む。第2のバンドは垂直なカラムの壁体を形成し、また、第1のバンドに対する機械的ストレスを軽減するために、下部フレーム部分によって回転可能に支持されるロータによって支持されるのは第2のバンドである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リニアアクチュエータであって、
中心軸に沿って垂直方向に互いに移動可能に構成された上部フレーム部分及び下部フレーム部分と、
前記中心軸の周りにらせん状に積層するように巻かれた細長い第1のバンドと、
互いに重なるように巻かれたターンを有し、前記ターンが前記中心軸に対して実質的に横方向に平行な軸周りに巻かれた細長い実質的に平坦な第2のバンドとを含み、
前記第1のバンドが、前記第2のバンドから離脱した収容状態部分及び前記第2のバンドに係合したカラム状態部分を含み、
前記第2のバンドは、各ターンが互いに入れ子状態をなし、前記ターンが前記中心軸から半径方向に等距離をおいて前記中心軸を中心とするらせんを形成する収容状態部分及び前記第1のバンドの前記カラム状態部分と係合することにより垂直カラムの壁体を形成するカラム状態部分を含み、
前記第1のバンド及び前記第2のバンドの各カラム状態部分は、前記上部フレーム部分及び前記下部フレーム部分の一方に取り付けられた端部を有し、
前記リニアアクチュエータが、さらに
前記第1のバンド及び前記第2のバンドの各カラム状態部分の前記端部が取り付けられる前記第1のフレーム部分及び前記第2のフレーム部分の、前記一方とは異なる他方によって支持され、かつ、前記収容状態部分及び前記カラム状態部分の間で前記第2のバンドの前記ターンを水平にガイドする水平ガイド部材と、
前記第1のフレーム部分及び前記第2のフレーム部分の一方によって支持され、かつ、前記カラムに加わる荷重物を垂直に変位させるために前記第2のバンドの前記カラム状態部分に垂直に係合する、第2のバンド荷重支持部材と、
前記上部フレーム部分及び前記下部フレーム部分の一方によって支持され、前記水平ガイド部材と、前記第1のバンド及び前記第2のバンドとの間の相対的な回転を引き起こすことにより、前記カラムを選択的に出没させる動力源とを備える、リニアアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載のリニアアクチュエータであって、
前記第1のバンド及び前記第2のバンドの前記カラム状態部分の前記端部は、前記上部フレーム部分に取り付けられ、前記第1のバンド及び前記第2のバンドは、前記上部フレーム部分及び前記下部フレーム部分に対して回転せず、前記水平ガイド部材は、前記下部フレーム部分によって回転可能に支持され、前記動力源は、前記水平ガイド部材を回転させるために、前記下部フレーム部分によって支持される、リニアアクチュエータ。
【請求項3】
請求項2に記載のリニアアクチュエータであって、
前記第2のバンド荷重支持部材は、前記下部フレーム部分に回転可能に支持され、前記カラムの前記荷重物は、前記第2のバンド荷重支持部材によって支持される、リニアアクチュエータ。
【請求項4】
請求項3に記載のリニアアクチュエータであって、
第2のバンドサポートに係合するのが、前記第2のバンドの前記カラム状態部分の下方のターンであるように構成される、リニアアクチュエータ。
【請求項5】
請求項4に記載のリニアアクチュエータであって、
前記水平ガイド部材は、前記カラムの引き出し時に前記第2のバンドを前記収容状態部分から前記カラム内に強制的に挿入するための挿入部材と、前記挿入部材の前記カラムに対する水平方向の押圧力に対抗するための反力部材とを備える、リニアアクチュエータ。
【請求項6】
請求項5に記載のリニアアクチュエータであって、
前記挿入部材、前記反力部材及び前記第2のバンドサポートは、前記下部フレーム部分によって回転可能に支持されるロータによって支持される、リニアアクチュエータ。
【請求項7】
請求項6に記載のリニアアクチュエータであって、
前記挿入部材は、前記ロータによって前記反力部材の外側に間隔を置いて支持される挿入パッドであり、前記第1のバンドは、前記挿入パッドによる前記第2のバンドに対する水平方向の力に対抗するために、前記反力部材に対して水平に当接する、リニアアクチュエータ。
【請求項8】
請求項6に記載のリニアアクチュエータであって、
前記第2のバンドサポートは、前記中心軸から半径方向に離れる方向に突出する前記ロータに設けられたフランジである、リニアアクチュエータ。
【請求項9】
請求項6に記載のリニアアクチュエータであって、
前記ロータは、前記第1のバンドが前記下部フレーム部分から離れるのを防止することにより前記カラムを安定させるために、前記第1のバンドに係合するらせん状の溝を備える、リニアアクチュエータ。
【請求項10】
請求項6に記載のリニアアクチュエータであって、
前記第1のバンドは、前記中心軸から半径方向に離れるように延びる多数の歯を備え、前記歯は、前記第1及び第2のバンドの前記カラム状態部分において、前記第2のバンドの重なり合う上部及び下部の縁部に設けられた開口部に係合し、前記第2のバンドのカラム状態部分の連続するターンの前記第1のバンドのカラム状態部分に着脱可能に連結する、リニアアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに結合した一対のバンドを用いて出没可能なカラムを形成するリニアアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
荷重物を変位させるために、互いに連結した一対のらせん状のバンドにより形成された出没可能な伸縮式カラムを有するリニアアクチュエータを用いることが知られている。この種の装置は、必ずではないが、主として荷重物の昇降に用いられており、そのような場合には、伸縮式カラムは垂直に形成される。
【0003】
そのような従来技術のリニアアクチュエータ20のある形態を、
図6~
図8に示す。リニアアクチュエータ20は、ボールベアリング45a、45bによってベース24上に回転可能に支持された中空の円筒形ロータ22を含む。ベース24は地面に固定される(例えば、ボルトで締結される)ように構成されている。ロータ22を選択的に回転させるために、モータ26の出力軸が、ロータ22にギアホイール28を介して駆動可能に結合されている。
【0004】
リニアアクチュエータ20は、ロータ22の下部の周囲に配置された第1のバンドマガジン32にらせん状かつ垂直に積層された収容状態部分30aを有する第1の水平バンド30と、ロータの周囲に同軸状に配置された第2のバンドマガジン36にらせん状かつ水平に積層された収容状態部分34aを有する第2の垂直バンド34とを含む。(図に示す通り、)ケーシングが、ギアホイール28、ロータ22、及び第2のバンドマガジン36の周囲に取り付けられ、ケーシングの上部には、垂直カラム38と、垂直カラム38を貫通して延在する孔が設けられている。垂直カラム38は、第1のバンド30のカラム状態部分30b及び第2のバンド34のカラム状態部分34bから形成される。各バンド30、34の下端は、常にそれぞれのマガジン32、36に配置され、各バンド30、34の上端は、垂直方向に変位する荷重物の下部に係合する荷重支持プラットフォーム40に固定するように取り付けられている。
【0005】
ロータ22をモータ26と共に第1の方向に回転させることにより、プラットフォーム40が持ち上がるように垂直カラム38を引き出すと、ロータ22によってカラム38の外側部分によって支持される挿入パッド42が、垂直バンド34のターンを、水平バンド30の垂直方向に連続する2つのターンの間に向かって、半径方向内側にらせん状に徐々に付勢する。それと同時に、垂直バンド34の内側に配置されたロータ22のらせん状の溝44は、水平バンド30のカラム状態部分30bが垂直バンド34のカラム状態部分34bの連続する2つのターンの重なり合うそれぞれの上縁及び下縁に半径方向に当接するように、水平バンド30のターンを徐々に持ち上げる。さらに、水平バンド30のカラム状態部分30bの外周に設けられた歯46は、垂直バンド34の重なり合う縁部または縁部の孔48と係合して、垂直バンド34のカラム状態部分34bの連続するターンの各組を着脱可能に結合する。その結果、水平バンド30及び垂直バンド34のターンが収容状態部分からカラム状態部分に移行するにつれて、伸縮式の垂直カラム38が徐々に引き出される。
【0006】
伸縮式のカラム38は、モータ26がロータ22を反対方向に回転させることにより収容され、その結果、プラットフォーム40が下降する。垂直バンド30及び水平のバンド34のターンは、その後徐々に互いに脱離され、それぞれのマガジン32、36に別々に誘導される。
【0007】
図8に示すように、カラム38を形成する水平バンド30の最下部の2つのターン30´´´及び30´´´´は、水平バンド30がその時点ではまだ溝44によって支持されていないように、垂直方向に広い溝44の最下部の2つのターン44´´及び44´´´と係合する。溝44の最下部のターン44´´及び44´´´の目的は、水平バンド30をその収容状態部分からそのカラム状態部分に向かって誘導すること、すなわち、水平及び垂直バンド30、34が、まだ荷重(物)を支持することなく、あるいは、ロータ22に係合する上部のターン30´´に比べて相対的に少ない荷重(物)を支持することによって、カラム38を形成するように整列させ、連結することである。バンド30、34のこの整列及び連結態様は、水平及び垂直バンド30、34が挿入パッド42及びロータ22の間に挟み込まれるように、垂直バンド34の最下部のターン34´´´´が挿入パッド42によって水平に誘導されることよってさらに達成される。より詳細には、挿入パッド42は、カラム38を形成する垂直バンド34の最下部のターン34´´´´に対して第1の水平力H1を加えるが、この水平力は、カラム38の一部である水平バンド30の2つの最下部のターン30´´´及び30´´´´に対して、溝44の内壁44cにおける2つの反する力H2及びH3によって対抗される((H2+H3)=H1)。これにより、バンド30、34が互いに係合するだけでなく、挿入パッド42自体の力に対してカラム38を水平方向に安定させることができ、また、カラム38の垂直軸に対して中心がずれている可能性のある荷重(物)を含む、カラム38に対して加わる可能性のある横方向または横断方向の荷重(物)に対しても安定させることができる。
【0008】
図8にさらに示すように、カラム38自体の荷重、そしてより重要なことに、カラム38によって支持され、かつ、垂直方向に配置される任意の物品または構造物を含む任意の物品(図示せず)の荷重は、バンド30、34のカラム状態部分30b、34bの連続する回転によって垂直方向に伝達される。より具体的には、ロータ22によって支持されていない水平バンド30の各ターンにおいて、力F1として示すように、カラム38の荷重は、垂直バンド34のあるターン34´を通じて水平バンド30のターン30´に伝達され、反力F2が伝達される垂直バンド34の垂直方向に隣接する下部のターン34´´による反力F2によって相殺される。
【0009】
ロータ22によって支持されていない水平バンド30の各ターン30´上の垂直バンド34の2つのターン34´、34´´は、水平バンド30にせん断力を加える。これは、第1のバンド30のカラム状態部分30aの各ターンにおいてほぼ均等に、水平な第1のバンド30内に横方向に誘発される第1の機械的応力である。
【0010】
カラム38の荷重は、ロータ22の溝44と係合する最上部のターン30´´からロータ22に伝達される。より具体的には、垂直カラム38によって支持される荷重は、力F3として示すように、水平バンド30の最上部のターン30´´に伝達される。水平バンド30のこのターン30´´が溝44内で片持ち梁になっているため、これにより、2つの主な合成反力R1及びR2が時間的に集中することになる。第1の合成力R1は、外縁近傍の溝44の下壁44aで生成され、第2の合成力R2は、端壁44cの近傍の上壁44bで生成される。これにより、水平バンド30のロータ支持ターン30´´にこのロータ支持ターン30´´で局所的にわずかに変形を伴うねじれの力が効果的に誘発されることになる。これは、第1のバンド30に誘発される第2の機械的応力であるが、カラム状態部分30bを形成する水平バンド30のターンは上下に移動し、この場合、ロータ22によって支持されるターンのみが影響を受けるため、水平の第1のバンド30に対するこのねじり応力は、第1のバンド30のカラム状態部分30bの全長に沿って同一ではなく、変化することになる。この変動するねじれは、水平バンド30に疲労を生じさせ、この疲労に対抗するために水平バンド30を機械的に過大に設計する(すなわち、機械的に耐性を高める)必要がある。
【0011】
カラム38の荷重は、他の2つのターン30´´´及び30´´´´を通じてロータ22に部分的に伝達されることもあるが、その程度は、ロータ22と係合する最上部のターン30´´を通じて伝達されるものよりも少ない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下を備えるリニアアクチュエータに関する。
中心軸に沿って互いに対して垂直方向に移動可能に構成されている上部及び下部フレーム部分と、
該中心軸の周りにらせん状に積層するように巻かれた細長い第1のバンドと、
互いに重なるようにロール状に巻かれたターンを有し、該ターンが該中心軸に対して実質的に横方向に平行な軸回りに巻かれた、タケノコバネ状の細長く実質的に平坦な第2のバンドと、を含み、
該第1のバンドが、該第2のバンドから離脱した収容状態部分及び該第2のバンドに係合したカラム状態部分を含み、
該第2のバンドは、該ターンが互いに入れ子状をなし、該第1のバンドから離脱している収容状態部分、及び、該ターンが該中心軸の周りにらせんを形成してそこから略等しく半径方向に等距離をおいて配置され、該第1のバンドの前記カラム状態部分と係合することにより垂直カラムの壁体を形成するカラム状態部分を含み、
該第1及び該第2のバンドの各カラム状態部分は、該上部及び該下部フレーム部分の一方に取り付けられた端部を有し、
該リニアアクチュエータは、さらに、
該第1及び該第2のバンドの各カラム状態部分の該端部が取り付けられる該第1及び該第2のフレーム部分の、該一方とは異なる他方によって支持され、かつ、該収容状態部分と該カラム状態部分との間で該第2のバンドの該ターンを水平にガイドする水平ガイド部材、
該下部フレーム部分によって支持され、該カラムの荷重(物)を支持するために該第2のバンドの該カラム状態部分を垂直に支持する第2のバンドサポート、及び、
該上部及び該下部フレーム部分の一方によって支持され、該水平ガイド部材と、該第1及び該第2のバンドとの間の回転を引き起こすことにより、該カラムを選択的に出没させる、動力源を含む。
【0013】
ある実施形態では、第1及び第2のバンドのカラム状態部分の端部は、上部フレーム部分に取り付けられ、第1及び第2のバンドは、上部及び下部フレーム部分に対して回転せず、水平ガイド部材は、下部フレーム部分によって回転可能に支持され、動力源は、下部フレーム部分によって支持されて水平ガイド部材を回転させる。
【0014】
ある実施形態では、第2のバンドサポートも下部フレーム部分によって回転可能に支持される。
【0015】
ある実施形態では、第2のバンドサポートと係合するのは、第2のバンドのカラム状態部分の下方のターンである。
【0016】
ある実施形態では、水平ガイド部材は、カラムが引き出されるときに第2のバンドを収容状態部分からカラム状態部分に変化させるための挿入部材と、カラムに対する挿入部材の水平方向の力に対抗するための反力部材とを備える。
【0017】
ある実施形態では、挿入部材、反力部材、及び第2のバンドサポートは、下部フレーム部分によって回転可能に支持されるロータによって支持される。
【0018】
ある実施形態では、挿入部材は、ロータによって反力部材の外側に間隔を置いて支持される挿入パッドであり、第1のバンドは、挿入パッドによる第2のバンドに対する水平方向の力に対抗するために、反力部材に対して水平に当接する。
【0019】
ある実施形態では、第2のバンドサポートは、中心軸から半径方向に突出するロータに設けられたフランジである。
【0020】
ある実施形態において、ロータは、第1のバンドが下部フレーム部分から離れるのを防止することによりカラムを安定させるために、第1のバンドに係合するらせん形の溝を備える。
【0021】
ある実施形態では、第1のバンドは中心軸から半径方向に離れるように延びる多数の歯を備え、これらの歯は、第1及び第2のバンドのカラム状態部分において、第2のバンドの重なり合う上部及び下部の縁部に設けられた開口部に係合し、第2のバンドのカラム状態部分の連続するターンの第1のバンドのカラム状態部分に着脱可能に噛み合わせる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明によるリニアアクチュエータの側面図であり、第1及び第2のバンドが部分的に引き出されて垂直カラムを形成している。
【
図2】
図1のリニアアクチュエータを示す部分破断透視図であるが、第1及び第2のバンドは、垂直カラム自体が下限位置に配置されるように、大部分が後退している。
【
図3】
図2に類似するが、第1及び第2のバンドが部分的に引き出されて垂直カラムを形成している。
【
図4】
図3の円IVで囲まれた領域の拡大図である。
【
図5】垂直カラムの底部及びロータの外周部の一部を示す拡大概略断面立面図であり、カラムからロータに伝達される力を示している。
【
図6】
図3に類似するが、従来技術のリニアアクチュエータを示す図である。
【
図7】
図4に類似するが、従来技術のリニアアクチュエータを示す図である。
【
図8】
図5に類似するが、従来技術のリニアアクチュエータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1~
図5は、垂直軸Aに沿って荷重物(図示せず)を変位させるために用いられる本発明によるリニアアクチュエータ110を示す。リニアアクチュエータ110は、地面に載置され、地面に固定されるように意図されたベース114の上方において回転可能に支持された中空のロータ112を備える。ベース114は、平坦なベースプレート116と、ベースプレート116から直立する中央ポスト118とを含む。高耐荷重ベアリング120、122により、ロータ112がポスト118によって回転可能に支持されることが可能となる。ほぼ管状のケーシング(リニアアクチュエータ110の内部部品を示すために図面には示されていない)がベース114に取り付けられ、一般にロータ112の外周の大部分を覆っている。
【0024】
ロータ112は、水平部分112cに取り付けられ、かつ、水平部分112cから下方に突出する、半径方向に間隔を置いて配置された内側及び外側の下側部分112a、112bを含む。ロータ112はまた、水平部分112cに取り付けられ、かつ、水平部分112cから上方に突出する、半径方向に離間した内側及び外側の上側部分112d、112eを含む。らせん状のフランジを形成するカラム支持部分112fは、内側の上側部分112dに取り付けられ、外側に向かって延びる。ロータ112のカラム支持部分112fに関して、以下でより詳細に説明する。
【0025】
適切な制御パネル126を備え、かつ、モータ124をなす動力源が、モータ124及びロータ112の外側の下側部分112bにそれぞれ取り付けられた一対の相互に連結されたギアホイール128、130を介して、ロータ112を選択的に回転させる。モータ124は、ベースプレート116に固定されたブラケット132によって支持される。
【0026】
リニアアクチュエータ110は、第2のバンド138の連続するターンを着脱可能に連結し、第2のバンド138のあるターンから次のターンへ荷重(物)を伝達するために用いられる第1のバンド134で形成された出没可能なカラム133を含み、第2のバンドはカラム133の壁体を形成する。
【0027】
第1のバンド134は、ロータ112内に形成された第1のバンドマガジン136にらせん状に積層されて収容される収容状態部分134aを有する。より具体的には、第1のバンドマガジン136は、ベースプレート116の上方、ロータ水平部分112cの下方、かつ、2つのロータ下側部分112a、112bの間に位置する空間である。
【0028】
第2のバンド138も同様に、ロータ112内に形成された第2のバンドマガジン140にらせん状に積層されて収容される収容状態部分138aを有する。より具体的には、第2のバンドマガジン140は、ロータ水平部分112cの上方かつロータ外側の上側部分112eの半径方向外方に配置される。第2バンドマガジン140は、上述したケーシング(図示せず)の内部にさらに設けられている。
【0029】
第1のバンドマガジン136及び第2のバンドマガジン140は両方ともリングの形状に形成され、第2のバンドマガジン140は第1のバンドマガジン136よりも径方向に幅広に形成されている。
【0030】
第1のバンド134及び第2のバンド138は、以下で詳しく説明するが、カラム133を形成するように配置されるそれぞれのカラム状態部分134b及び138bを有する。カラム133が徐々に引き出されるかまたは収容されると、各第1及び第2のバンドカラム状態部分134b、138bの長さは、それらの収容状態部分134a、138aの長さの変化に反比例して変化する。
【0031】
各バンド134、138の上端は、リニアアクチュエータ110によって昇降される荷重物(図示せず)に係合する荷重支持部材142に固定されるように取り付けられている。適切な取り付け部材(図示せず)は、荷重支持部材142を荷重物に取り付けることになる。
【0032】
ロータ112は、ロータ外側の上側部分112eによって半径方向内側に支持された第2のバンドの挿入パッド148の形態の第2のバンドガイド部材を含む。
【0033】
ロータ112が回転してカラム133を引き出すかまたは収容するとき、第2のバンド138の各ターンは、挿入パッド148によって第2のバンドマガジン140及びカラム133の間に誘導され、連続する各ターンの上側の縁部が上方の隣接するターンの下側の縁部に重なるようにらせん状に配置される。同時に、ロータ112が回転すると、第1のバンド134の各ターンは、第1のバンドマガジン136及びカラム133の間に誘導され、ここで、第1のバンド134の外周に配置された歯150は、第2のバンド138の重なり合う上縁及び下縁にそれぞれ配置された開口部152、154(
図5)に連結し、第2のバンド138のカラム状態部分138bの各々の連続する2つのターンを着脱可能に連動させる。その結果、カラム133の壁体は第2のバンド138のカラム状態部分138bによって形成され、一方、第1のバンド134の歯150は第2のバンド138の開口部152、154と協働して、第2のバンド138のカラム状態部分138bの連続したターンを連動させ、第2のバンド138の連続したターンのそれぞれの間の荷重(物)を伝達する。カラム133が引き出されると、第1のバンド134は、その歯150及び第2のバンド138の着脱可能な係合によってマガジン136からカラム133に誘導される。すなわち、第1のバンド134を引っ張るのは第2のバンド138である。
【0034】
リニアアクチュエータ110によって支持されて変位した荷重物は、垂直軸Aに平行な方向に、順に、荷重物係合部材142に伝達され、次に、第1及び第2のバンドカラム状態部分134b、138bの連続する第1及び第2のバンドの各ターンを経て、次いで、ロータ112に伝達される(詳細は後述する)。そして最後に、ベアリング120、122を介して、接地ベース114及び地面に伝達される。
【0035】
より詳細には、
図5から分かるように、本発明によれば、カラムの荷重(物)、そして重要なことに、カラム133によって支持されて垂直に変位する物品(図示せず)は、
図6~8に示すような従来技術の装置の場合のように、第1のバンドによってロータ112に伝達されるのとは対照的に、最終的には垂直バンド138によってロータ112に伝達される。実際に、カラムの荷重(物)を表す垂直力Fは、第1のバンド134´の対応するターンを介して、第2のバンド138´のあるターンから次の138´´へ伝達されるが、第2のバンドの最下部のターン138´´は、ロータ112の水平カラム支持部分112fに直接配置されており、ここで、カラム133及びそれに支持される物品の荷重がロータ112に伝達される。
【0036】
従来技術の装置のように、第2のバンド138のカラム状態部分138bのあるターンから次のターンへの垂直力Fの伝達により生じる、第1のバンド134のカラム状態部分134bのターンにおいて誘発されるせん断力が存在する。ただし、このせん断力は、水平バンド134のカラム状態部分134bのすべてのターンにおいてほぼ等しい。
【0037】
第1のバンド134も、ロータ本体112dの外面に対して半径方向の内側に当接する。実際に、挿入部材148はカラム133を引き出すときに、第2のバンド138をその収容状態部分138aからカラム133内に押し込むための水平ガイド部材として用いられ、ロータの上側垂直部分112dが、カラム133に対する挿入部材の水平圧力H1にH2で対抗する反力部材として用いられる。代わりに、反力部材が第2のバンド138に対して水平圧力を加えられることに留意されたい。
【0038】
ロータ112は、第1のバンドに係合するらせん溝160を含むように示されている。カラム133の荷重(物)の支持は、従来技術のようにロータ112に配置されている第1のバンド134を介しては達成されないため、このらせん溝は任意の構成である。らせん溝160を設けることにより、第1のバンドが誤ってベース114から離脱してしまうことを防止し、それによりカラム133を安定させることができる。実際に、カラム133によって支持されて垂直に変位している荷重(物)が誤って引っ張られる場合や、または荷重(物)が誤って横方向に傾いてカラム133を強制的に曲げられてしまうような場合に、第1のバンド134を溝160に係合しておくことは、そうでなければカラム133の分解や潰れの恐れなどの望ましくない状況を防ぐのに役立つであろう。
【0039】
本発明に特徴的な利点の一つは、結果的に、カラム133によって支持され、垂直方向に変位している荷重(物)を、垂直方向の第2のバンド138から直接ロータ112に移動させることにより、第1のバンド134のカラム状態部分134bの単一のロータ支持ターンに、(
図6~8等に示すような)従来技術の装置に設けられていた局所的な片持ち力が、本発明の実施形態では全く存在しないことである。これにより、第1のバンド134は、従来技術のようにカラム133が繰り返し出没するときに相応の疲労力(fatiguing force)を受けることがなく、カラム133を、構造上抵抗の小さい第1のバンド134を有する設計及び構築できるようになり、コストの削減につながる。これは、本発明のリニアアクチュエータ110のようなリニアアクチュエータによって支持され、垂直に変位する荷重(物)が数千kgの重量になる可能性があることを考慮すると、水平バンド134を含む多くの部品を厳しい機械的要件で構築する必要があり、重要である。本発明の改良で行ったように、これらの要件を大幅に緩和することは、大幅なコスト削減につながる。
【0040】
カラム133によって支持されて変位する荷重(物)を支持するために用いられる第2のバンド138には、従来技術の装置における水平の第1のバンドと同様の疲労は発生しない。実際に、荷重(物)は以下のように垂直バンド138を通じて伝達される。
a)ほぼ垂直方向、すなわち第2のバンドの断面にほぼ沿った方向である。この方向は、もちろん、従来技術の水平な第1のバンドの場合のように横方向に加えられる抵抗力に比べて、はるかに大きな抵抗力となる。
b)ロータ112に伝達される最下部のターンを含む第2のバンドのすべてのターンにほぼ均等にかかる。
【0041】
これは、荷重(物)が最終的に第1のバンドからロータに伝達され、荷重(物)が第1のバンドのターン(または少数のターン)からロータに(a)第1のバンドの断面に対して横方向に伝達され、(b)ロータ上に配置されるターン(または少数のターン)が、
図8を参照して説明したような片持ち力を受けるため、すべてのターンで不均等に伝達される従来技術とは異なる。
【0042】
図1~
図5に示す本発明による構成を有することのさらなる利点は、カラム133の荷重を第2のバンド138のカラム状態部分138bの最下部のターンのみに支持させることにより、従来技術の場合のように第1のバンドの3つのターンをロータに係合させる必要がないことである。第1のバンド134の2つのターンだけがロータと係合することができる。
図8及び
図5を参照されたい。このように、ロータ112及びベース114全体をよりコンパクトにすることができ、これは、垂直方向に変位する荷重物の下方にリニアアクチュエータ110を設置するために必要となるクリアランスが小さくなるため、大きな利点となる。
【0043】
本発明は、広くは、垂直中心軸Aに沿って互いに対して垂直に移動可能な上部及び下部フレーム部分を含むリニアアクチュエータに関する。図に示す実施形態では、下部フレーム部分はベース114を備え、上部フレーム部分は荷重支持部材142を備える。2つのフレーム部分の相対運動を可能にする任意の適切な作動機構が使用されてもよく、これには、図に示すようなモータが含まれる。
【0044】
一実施形態(図示せず)では、作動機構は、下部フレーム部分ではなく、上部フレーム部分に設けてもよい(例えば、本出願人に発行された米国特許7,213,796号の
図9及び
図9Aに示す実施形態を参照されたい)。
【0045】
第2のバンドガイド部材は、上部フレーム部分または下部フレーム部分のいずれか、すなわち、作動機構が配置されているフレーム部分とは反対側のフレーム部分に設けてもよい。
【0046】
一実施形態では、垂直バンドをその収容状態部分及びカラム状態部分の間で誘導する水平ガイド部材は固定され、代わりに第1及び第2のバンドが回転してカラムを選択的に引き出して収容する。すなわち、カラムの伸縮を可能にするのは、第1及び第2のバンドに対する水平ガイド部材の回転であるが、これらの要素のいずれか一方または両方がベースに対して回転してもよい。
【0047】
一実施形態(図示せず)では、歯は設けられておらず、第2のバンドは第1のバンドの中央に配置されている。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リニアアクチュエータであって、
中心軸に沿って垂直方向に互いに移動可能に構成された上部フレーム部分及び下部フレーム部分と、
前記中心軸の周りにらせん状に積層するように巻かれた細長い第1のバンドと、
互いに重なるように巻かれたターンを有し、前記ターンが前記中心軸に対して実質的に横方向に平行な軸周りに巻かれた細長い実質的に平坦な第2のバンドとを含み、
前記第1のバンドが、前記第2のバンドから離脱した収容状態部分及び前記第2のバンドに係合したカラム状態部分を含み、
前記第2のバンドは、各ターンが互いに入れ子状態をなし、前記ターンが前記中心軸から半径方向に等距離をおいて前記中心軸を中心とするらせんを形成する収容状態部分及び前記第1のバンドの前記カラム状態部分と係合することにより垂直カラムの壁体を形成するカラム状態部分を含み、
前記第1のバンド及び前記第2のバンドの各カラム状態部分は、前記上部フレーム部分及び前記下部フレーム部分の一方に取り付けられた端部を有し、
前記リニアアクチュエータが、さらに
前記第1のバンド及び前記第2のバンドの各カラム状態部分の前記端部が取り付けられる前記
上部フレーム部分及び前記
下部フレーム部分の、前記一方とは異なる他方によって支持され、かつ、前記収容状態部分及び前記カラム状態部分の間で前記第2のバンドの前記ターンを水平にガイドする水平ガイド部材と、
前記
上部フレーム部分及び前記
下部フレーム部分の一方によって支持され、かつ、前記カラムに加わる荷重物を垂直に変位させるために前記第2のバンドの前記カラム状態部分に垂直に係合する、第2のバンド荷重支持部材と、
前記上部フレーム部分及び前記下部フレーム部分の一方によって支持され、前記水平ガイド部材と、前記第1のバンド及び前記第2のバンドとの間の相対的な回転を引き起こすことにより、前記カラムを選択的に出没させる動力源とを備える、リニアアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載のリニアアクチュエータであって、
前記第1のバンド及び前記第2のバンドの前記カラム状態部分の前記端部は、前記上部フレーム部分に取り付けられ、前記第1のバンド及び前記第2のバンドは、前記上部フレーム部分及び前記下部フレーム部分に対して回転せず、前記水平ガイド部材は、前記下部フレーム部分によって回転可能に支持され、前記動力源は、前記水平ガイド部材を
前記中心軸に対して回転させるために、前記下部フレーム部分によって支持される、リニアアクチュエータ。
【請求項3】
請求項2に記載のリニアアクチュエータであって、
前記第2のバンド荷重支持部材は、前記下部フレーム部分に回転可能に支持される、リニアアクチュエータ。
【請求項4】
請求項3に記載のリニアアクチュエータであって、
第2のバンド
荷重支持部材に係合するのが、
前記下部フレーム部分に最も近い前記第2のバンドの前記カラム状態部分のターンであるように構成される、リニアアクチュエータ。
【請求項5】
請求項4に記載のリニアアクチュエータであって、
前記水平ガイド部材は、前記カラムの引き出し時に前記第2のバンドを前記収容状態部分から前記カラム内に強制的に挿入するための挿入部材と、前記挿入部材の前記カラムに対する水平方向の押圧力に対抗するための反力部材とを備える、リニアアクチュエータ。
【請求項6】
請求項5に記載のリニアアクチュエータであって、
前記挿入部材、前記反力部材及び前記第2のバンド
荷重支持部材は、前記下部フレーム部分によって回転可能に支持されるロータによって支持される、リニアアクチュエータ。
【請求項7】
請求項6に記載のリニアアクチュエータであって、
前記挿入部材は、前記ロータによって前記反力部材の外側に間隔を置いて支持される挿入パッドであり、前記第1のバンドは、前記挿入パッドによる前記第2のバンドに対する水平方向の力に対抗するために、前記反力部材に対して水平に当接する、リニアアクチュエータ。
【請求項8】
請求項6に記載のリニアアクチュエータであって、
前記第2のバンド
荷重支持部材は、前記中心軸から半径方向に離れる方向に突出する前記ロータに設けられたフランジである、リニアアクチュエータ。
【請求項9】
請求項6に記載のリニアアクチュエータであって、
前記ロータは、前記第1のバンドが前記下部フレーム部分から離れるのを防止することにより前記カラムを安定させるために、前記第1のバンドに係合するらせん状の溝を備える、リニアアクチュエータ。
【請求項10】
請求項6に記載のリニアアクチュエータであって、
前記第1のバンドは、前記中心軸から半径方向に離れるように延びる多数の歯を備え、前記歯は、前記第1及び第2のバンドの前記カラム状態部分において、前記第2のバンドの重なり合う上部及び下部の縁部に設けられた開口部に係合し、前記第2のバンドのカラム状態部分の連続するターンの前記第1のバンドのカラム状態部分に着脱可能に連結する、リニアアクチュエータ。
【国際調査報告】