(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】オン-ライン分析器を用いてリアルタイムでエチレン重合体の密度を予測および調節するエチレン重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 210/02 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
C08F210/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557771
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 IB2022054990
(87)【国際公開番号】W WO2022254294
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0070568
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520060977
【氏名又は名称】サビック エスケー ネクスレン カンパニー ピーティーイー. エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】SABIC SK NEXLENE COMPANY PTE. LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】シン テ ホ
(72)【発明者】
【氏名】シム チュン シク
(72)【発明者】
【氏名】クァク ドン フン
(72)【発明者】
【氏名】パク ドン ギュ
【テーマコード(参考)】
4J100
【Fターム(参考)】
4J100AA00P
4J100AA01Q
4J100AA04Q
4J100AA07Q
4J100AA15Q
4J100AA16Q
4J100AA19Q
4J100AA21Q
4J100CA04
4J100DA12
4J100DA42
4J100FA01
4J100FA08
4J100FA19
4J100FA34
4J100FA37
4J100FA41
4J100FA47
4J100GB12
4J100GB18
(57)【要約】
本発明は、分光分析器を用いてリアルタイムでエチレン重合体の密度を予測および調節するエチレン重合体の製造方法に関する。具体的には、重合反応器システムでオン-ラインでリアルタイム重合体の密度、未反応物質の含量などの特性を測定し、これにより、重合反応に投入される原料物質の含量を調節することで、目的とする特性の重合体を製造する方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン重合体の製造方法であって、
第1反応原料としてエチレンおよびC
4~C
10のα-オレフィンを第1反応器に投入して重合するステップと、
前記第1反応器で重合された重合溶液と、第2反応原料としてエチレンおよびC
4~C
10のα-オレフィンを第2反応器に投入して重合するステップと、
前記第2反応器で重合された重合溶液を分離領域(separation area)に移送してエチレン重合体と未反応物を分離するステップと、
前記未反応物を回収領域(recycle area)に移送して未反応のα-オレフィンおよび未反応のエチレンを回収するステップと、
前記回収された未反応のα-オレフィンおよび未反応のエチレンからなる回収ストリームを前記第1反応器および第2反応器に再投入するステップと
を含み、
前記第1反応器の前段に第1ラマン分光器が位置し、前記第2反応器の前段に第2ラマン分光器が位置し、前記第1反応器の後段に第3ラマン分光器が位置し、前記第2反応器の後段に第4ラマン分光器が位置し、
前記第1ラマン分光器および第2ラマン分光器を用いて、回収ストリーム内の未反応のα-オレフィンの含量をリアルタイムで定量分析し、前記第3ラマン分光器および第4ラマン分光器を用いて、重合溶液内の未反応のα-オレフィンおよび未反応のエチレンの含量をリアルタイムで定量分析し、前記第1反応器および第2反応器に反応原料として投入されるα-オレフィンの投入量をリアルタイムで調節して、前記エチレン重合体の密度を予測および調節することを特徴とする、エチレン重合体の製造方法。
【請求項2】
第1エチレン重合体を製造するための第1反応器と第2エチレン重合体を製造するための第2反応器とが直列または並列に連結されている、請求項1に記載のエチレン重合体の製造方法。
【請求項3】
前記第1~第4ラマン分光器を用いてリアルタイムで定量分析する時に、ラマンプローブが反応系内(in situ)に挿入されている、請求項1に記載のエチレン重合体の製造方法。
【請求項4】
前記第1~第4ラマン分光器を用いてリアルタイムで定量分析する時に、
重合体の密度を決定するための回帰モデルを取得するステップと、
前記第1~第4ラマン分光器からラマン分光を取得するステップと、
前記ラマン分光から主要成分の点数を算出するステップと、
前記主要成分の点数を回帰モデルに適用して重合体の密度を算出するステップと
を含む、請求項1に記載のエチレン重合体の製造方法。
【請求項5】
前記回帰モデルを取得するステップが、
前記第1~第4ラマン分光器が位置した地点でそれぞれの試料を採取してガスクロマトグラフィ(GC)またはNMR分析によりα-オレフィンの含量を取得し、同じ地点でラマン分光器を用いて複数のスペクトルを取得し、前記α-オレフィンの含量による複数のスペクトルを取得するステップと、
前記取得されたスペクトルからα-オレフィンの含量によるエチレン重合体の密度変化回帰モデルを取得するステップと
を含む、請求項4に記載のエチレン重合体の製造方法。
【請求項6】
前記アルファ-オレフィンが、1-オクテンである、請求項1に記載のエチレン重合体の製造方法。
【請求項7】
前記第1および第2ラマン分光器で測定した試料のデータから、3030~2826cm
-1および1665~1624cm
-1のピーク領域で1-オクテンの含量を分析し、
前記第3および第4ラマン分光器で測定した試料のデータから、3030~2826cm
-1および1665~1624cm
-1のピーク領域で1-オクテンの含量を分析し、1630~1610cm
-1および1335~1325cm
-1のピーク領域でエチレンの含量を分析する、請求項6に記載のエチレン重合体の製造方法。
【請求項8】
前記反応原料が、溶媒および触媒をさらに含む、請求項1に記載のエチレン重合体の製造方法。
【請求項9】
前記エチレン重合体が、ASTM D 1238に準じて、190℃、2.16kgで測定されたMIが0.1~50g/10minである、請求項1に記載のエチレン重合体の製造方法。
【請求項10】
前記エチレン重合体の密度が、0.85~0.95g/ccである、請求項9に記載のエチレン重合体の製造方法。
【請求項11】
前記第3ラマン分光器および第4ラマン分光器の位置に粘度計をさらに追加してメルトインデックス(MI)値を予測および調節することを特徴とする、請求項1に記載のエチレン重合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オン-ライン分析器を用いてリアルタイムでエチレン重合体の密度を予測および調節するエチレン重合体の製造方法に関する。具体的には、重合反応器システムでオン-ラインでリアルタイム重合体の密度、未反応物質の含量などの特性を測定し、これにより重合反応に投入される原料物質の含量を調節することで、目的とする特性の重合体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン重合体は、エチレンおよびα-オレフィン共単量体を溶液重合して製造され、α-オレフィン共単量体の含量を調節して最終取得される重合体の密度を調節する。生産性をより向上させるために、反応器から流出される反応物に含まれた重合体と未反応物質を分離し、前記未反応物質、すなわち、未反応のα-オレフィン共単量体をまた原料として投入して再使用している。
【0003】
このようなエチレン重合体の製造工程において最終製造された製品の密度を正確に測定するためには、原料の投入および重合工程がいずれも一定に固定された状態で合成された後、最終製造されたペレット状の製品をASTM D792に準じて測定している。
【0004】
しかし、このような方法で最終製品の密度を測定する場合、最終製品が製造されるまで4~5時間、反応、分離およびペレット化工程を行わなければならず、また、製造されたペレットの分析を行って、製品が所望の密度の製品として製造されなかった場合、この結果に基づいてまた原料物質の流量を調節して重合を行う必要があるため、目的とする密度の製品を生産するのに不都合があった。
【0005】
また、ガスクロマトグラフィーは、沸点が高すぎる物質およびポリマーは分析を行うことができないため、ポリマーが含まれた反応器の後段の分析が不可能であり、ガスクロマトグラフィーを用いて、リアルタイムで原料物質の流量を調節して、最終製品の密度を調節するのに不都合があった。
【0006】
このような問題を改善するために、反応器の前段でガスクロマトグラフィーを用いて回収される物質の含量を分析することで原料として投入される物質の含量を調節しようとした。しかし、異性体などが含まれている回収されるストリーム(recycle stream)をガスクロマトグラフィーで分析する場合、反応原料として使用される未反応のα-オレフィン共単量体と類似する沸点を有する物質と、未反応のα-オレフィン共単量体とのピーク重なり(peak overlap)が発生するため、未反応のα-オレフィン共単量体だけの正確な定量が不可能であり、そのため、未反応物質から反応器に流入される正確な未反応のα-オレフィン共単量体の含量を制御することが困難であり、最終製品の密度を調節するのに不都合があった。
【0007】
また、ガスクロマトグラフィにより異性体のピーク分離のためには、3時間程度の時間がかかり、精密に分析をするためには、多くの時間が必要となり、そのため、リアルタイム重合反応をコントロールすることができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一課題は、エチレン重合体の重合工程で、分光分析器を用いて、未反応のα-オレフィン共単量体の含量を定量分析することで、リアルタイムで投入原料の含量などをコントロールしてエチレン共重合体の密度を調節するか、反応器の後段で製品の密度をリアルタイム計算して、一定な品質のエチレン共重合体を製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
すなわち、本発明の一課題は、重合反応システムで、重合体の特性をリアルタイムで制御することができる方法を提供することを目的とする。
【0010】
このために、重合体の特性を決定するための予測モデル(測定しようとする対象物質の成分ローディングおよび成分含量を含む)を取得し、これを重合工程でラマン分光器で測定されるラマンスペクトルから成分および含量を計算し、予測モデルにラマンスペクトルから計算された値を適用することで、最終生産される製品の密度を計算した後、計算された重合体の特性に基づいて、重合パラメータを調節するエチレン重合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、エチレン重合体の製造方法であって、
第1反応原料としてエチレンおよびC4~C10のα-オレフィンを第1反応器に投入して重合するステップと、
前記第1反応器で重合された重合溶液と、第2反応原料としてエチレンおよびC4~C10のα-オレフィンを第2反応器に投入して重合するステップと、
前記第2反応器で重合された重合溶液を分離領域(separation area)に移送してエチレン重合体と未反応物を分離するステップと、
前記未反応物を回収領域(recycle area)に移送して未反応のα-オレフィンおよび未反応のエチレンを回収するステップと、
前記回収された未反応のα-オレフィンおよび未反応のエチレンからなる回収ストリームを前記第1反応器および第2反応器に再投入するステップと
を含み、
前記第1反応器の前段に第1ラマン分光器が位置し、前記第2反応器の前段に第2ラマン分光器が位置し、前記第1反応器の後段に第3ラマン分光器が位置し、前記第2反応器の後段に第4ラマン分光器が位置し、
前記第1ラマン分光器および第2ラマン分光器を用いて、回収ストリーム内の未反応のα-オレフィンの含量をリアルタイムで定量分析し、前記第3ラマン分光器および第4ラマン分光器を用いて、重合溶液内の未反応のα-オレフィンおよび未反応のエチレンの含量をリアルタイムで定量分析し、前記第1反応器および第2反応器に反応原料として投入されるα-オレフィンの投入量をリアルタイムで調節して、エチレン重合体の密度を予測および調節することを特徴とするエチレン重合体の製造方法を提供する。
【0012】
前記前段に位置することは、第1反応器および第2反応器に投入されるそれぞれの回収ストリームにラマン分光器が位置することを意味する。
【0013】
このように回収ストリームのα-オレフィン含量と、重合された反応物内のα-オレフィン含量から重合された程度を把握することができ、密度の予測が可能である。
【0014】
すなわち、ラマン分析によりα-オレフィンの含量が分かり、α-オレフィンの含量およびメルトインデックス(MI)値を変数として回帰(regression)して密度を予測する回帰モデルを作成する。この際、MI値は反応器出口の粘度計を用いて重合体の濃度、温度、アルファ-オレフィン含量と、MI値との回帰を通じてMI値を予測する回帰モデルを作成して予測する。
【0015】
また、本発明のように特定の4個の地点でラマン分光器を用いてそれぞれの位置でのα-オレフィン含量を測定することで、反応器の前段および後段でのα-オレフィンの濃度を確認し、その差値を用いてフィード原料の含量をリアルタイムで調節することで密度をリアルタイムで予測することができる。
【0016】
すなわち、反応器自体内部の分析ではなく、第1ラマン分光器および第2ラマン分光器の位置のように回収ストリームのα-オレフィン含量を直接的に測定することから、フィード原料の流量調節を同時に実施することができ、リアルタイムで密度調節が可能なエチレン重合体の重合方法を提供することができる。
【0017】
また、本発明の一態様は、前記第3ラマン分光器および第4ラマン分光器位置に粘度計をさらに追加し、前記粘度計から測定される粘度データとラマン分光器で測定されるα-オレフィンの含量および反応量からポリマーの濃度を把握し、反応器の温度を補正してエチレン重合体のメルトインデックス(MI)値をリアルタイムで予測および調節することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるエチレン重合体の製造方法は、リアルタイムで最終重合体の密度およびメルトインデックスを予測および調節可能であることから、生産性がより向上することができる。
【0019】
具体的には、従来、反応器から生成された反応生成物の密度などを分析し、反応を調節するためには、分析に長い時間がかかり、目的とする物性を有する重合体を製造するためには、再生産を数回繰り返す必要があるなどの生産性低下の問題があるが、本発明では、ラマン分光器を用いて、各反応生成物の物性から最終生成される重合体の物性を予測することができ、投入される原料の含量の調節が可能であることから、反応を中断する必要なしに分析と重合および投入量の調節を連続して行うことができ、生産性がより向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一態様によるエチレン重合体の溶液重合工程の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を含む具体例または実施例により本発明をより詳細に説明する。ただし、下記の具体例または実施例は、本発明を詳細に説明するための一つの参照であって、本発明はこれに限定されるのではなく、様々な形態に具現されることができる。
【0022】
また、他に定義されない限り、すべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者の一人によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本発明において説明に使用される用語は、単に特定の具体例を効果的に記述するためのものであって、本発明を制限することを意図しない。
【0023】
また、明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形態は、文脈で特別な指示がない限り、複数形態も含むことを意図することができる。
【0024】
また、ある部分がある構成要素を「含む」とした時に、これは、特別に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0025】
本発明において、用語「重合体」は、単量体を重合することで製造された重合性化合物を意味する。具体的には、単独重合体、共重合体、三元共重合体および交互重合体(interpolymer)などを含む。前記「交互重合体」は、二つ以上の相違する単量体を重合させることで製造された重合体を意味する。したがって、交互重合体という総称は、共重合体だけでなく、三元共重合体を含む。前記共重合体は、二つの相違する単量体から製造された重合体を意味し、三元共重合体は、三つの相違する単量体から製造された重合体を意味する。
【0026】
本発明は、エチレン重合体の特性をオン-ラインでリアルタイム分析し、予測することで原料の投入量を決定し、求められる物性に適するようにリアルタイムで調節可能なエチレン重合体の製造方法として提供する。すなわち、別の試料の準備および分析が必要ではなく、反応器システム内でリアルタイムで調節が可能な製造方法を提供する。
【0027】
具体的には、エチレン重合体の特性を決定するための回帰モデルを取得するステップと、エチレン重合体の重合と同時にラマン分光器を用いて、主要成分の点数を算出するステップと、前記点数を回帰モデルに適用して重合体の特性を算出するステップと、反応器に投入される原料の含量を調節して重合体の物性を調節するステップとを含む。
【0028】
さらに具体的には、本発明の一態様は、エチレン重合体の製造方法であって、
第1反応原料としてエチレンおよびC4~C10のα-オレフィンを第1反応器に投入して重合するステップと、
前記第1反応器で重合された重合溶液と、第2反応原料としてエチレンおよびC4~C10のα-オレフィンを第2反応器に投入して重合するステップと、
前記第2反応器で重合された重合溶液を分離領域(separation area)に移送してエチレン重合体と未反応物を分離するステップと、
前記未反応物を回収領域(recycle area)に移送して未反応のα-オレフィンおよび未反応のエチレンを回収するステップと、
前記回収された未反応のα-オレフィンおよび未反応のエチレンからなる回収ストリームを前記第1反応器および第2反応器に再投入するステップと
を含み、
前記第1反応器の前段の回収ストリームに第1ラマン分光器が位置し、前記第2反応器の前段の回収ストリームに第2ラマン分光器が位置し、前記第1反応器の後段に第3ラマン分光器が位置し、前記第2反応器の後段に第4ラマン分光器が位置し、
前記第1ラマン分光器および第2ラマン分光器を用いて、回収ストリーム内の未反応のα-オレフィンの含量をリアルタイムで定量分析し、前記第3ラマン分光器および第4ラマン分光器を用いて、重合溶液内の未反応のα-オレフィンおよび未反応のエチレンの含量をリアルタイムで定量分析し、前記第1反応器および第2反応器に反応原料として投入されるα-オレフィンの投入量をリアルタイムで調節して、エチレン重合体の密度を予測および調節することを特徴とするエチレン重合体の製造方法を提供する。
【0029】
一態様として、第1エチレン重合体を製造するための第1反応器と第2エチレン重合体を製造するための第2反応器が直列または並列に連結されることができる。
【0030】
一態様として、前記第1~第4ラマン分光器を用いて、リアルタイムで定量分析を行う時に、ラマンプローブを反応系内(in situ)に挿入することができる。
【0031】
一態様として、前記第1~第4ラマン分光器を用いて、リアルタイムで定量分析を行う時に、
重合体の密度を決定するための回帰モデルを取得するステップと、
前記第1~第4ラマン分光器からラマン分光を取得するステップと、
前記ラマン分光から主要成分の点数を算出するステップと、
前記主要成分の点数を回帰モデルに適用して、重合体の密度を算出するステップと、
を含むことができる。
【0032】
一態様として、前記回帰モデルを取得するステップは、
前記第1~第4ラマン分光器が位置した地点でそれぞれのサンプルを採取して、ガスクロマトグラフィ(GC)またはNMR分析によりα-オレフィンの含量を取得し、同じ地点で、ラマン分光器を用いて、複数のスペクトルを取得し、前記α-オレフィンの含量による複数のスペクトルを取得するステップと、
前記取得したスペクトルからα-オレフィンの含量によるエチレン重合体の密度変化回帰モデルを取得するステップと
を含むことができる。
【0033】
このように、重合体の密度変化回帰モデルを取得した後、本発明の一態様による重合方法において、前記第1~第4ラマン分光器からリアルタイムで回収ストリームおよび反応器の後段でのエチレンおよびα-オレフィンの含量を取得し、これを前記密度変化回帰モデルに適用して、反応器の前段に供給された全体のエチレン/α-オレフィン量から反応器の後段での未反応のエチレン/α-オレフィンの量を除いて生産された重合体の量を計算する。
【0034】
また、本発明の一態様において、前記第3ラマン分光器および第4ラマン分光器の位置に粘度計をさらに追加して、メルトインデックス(MI)値を予測および調節することができ、前記計算された重合体の量からα-オレフィンが反応された含量を計算した後、これを重合体の濃度で補正し、また、反応器の後段の粘度データを反応器温度で補正して、メルトインデックス(MI)値を算出する。以降、オレフィンの含量とMI値を用いて、密度変化回帰モデルを取得する。
【0035】
一態様として、前記α-オレフィンは、1-オクテンであることができる。
【0036】
一態様として、前記第1および第2ラマン分光器で測定した試料のデータから、Partial Least Square(PLS)の方法により取得した回帰モデルを用いて、3030~2826cm-1および1665~1624cm-1のピーク領域で、α-オレフィン、より具体的には、1-オクテンの含量をリアルタイムで分析し、
前記第3および第4ラマン分光器で測定した試料のデータから、Partial Least Square(PLS)の方法により取得した回帰モデルを用いて、3030~2826cm-1および1665~1624cm-1のピークを用いて、1-オクテンの含量を分析し、1630~1610cm-1および1335~1325cm-1のピーク領域でエチレンの含量を分析することができる。
【0037】
一態様として、前記反応原料は、溶媒および触媒をさらに含むことができる。
【0038】
一態様として、前記エチレン重合体のMIは、0.1~50g/10minであることができる。
【0039】
一態様として、前記エチレン重合体の密度は、0.85~0.95g/ccであることができる。
【0040】
一態様として、前記第3ラマン分光器および第4ラマン分光器の位置に粘度計をさらに追加して、メルトインデックス(MI)値を予測および調節することができる。
【0041】
以下、本発明の構成について、図面を参照してより具体的に説明する。
【0042】
本発明の一態様において、前記エチレン重合体は、エチレンとC4-C10のα-オレフィン共単量体が重合されたエチレン共重合体であることができる。
【0043】
より具体的には、前記α-オレフィン共単量体は、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンからなる群から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物から選択されることができる。さらに具体的には、前記α-オレフィン共単量体は、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ヘプテンおよび1-オクテンから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物であることができる。さらに好ましくは、前記アルファ-オレフィンは、1-オクテンであることができる。
【0044】
前記α-オレフィン共単量体の含量は、求められる重合体の物性によって調節して使用されることができる。
【0045】
本発明の一態様において、前記エチレン重合体のMIは、0.1~50g/10minであることができ、密度は、0.85~0.95g/ccであることができる。
【0046】
本発明の一態様において、前記エチレン重合体は、メタロセン触媒の存在下で重合されたものであることができる。また、必要に応じて、メタロセン触媒の他にも、助触媒および溶媒などをさらに使用することができる。
【0047】
前記助触媒は、通常使用されるものであれば制限されないが、具体的には、例えば、ホウ素化合物およびアルミニウム化合物から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物であることができる。
【0048】
前記溶媒は、C3-C20の炭化水素であることができ、具体的には、例えば、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物が挙げられる。
【0049】
本発明のエチレン重合体は、溶液重合により形成されることができ、第1エチレン重合体を製造するための第1反応器と第2エチレン重合体を製造するための第2反応器が別個で存在することができる。
【0050】
具体的には、
図1に図示されているように、第1反応器100および第2反応器200を備え、直列に連結されて、第1反応器100に第1反応原料としてエチレン10およびC
4~C
10のα-オレフィン20を投入して、第1エチレン重合体を製造した後、製造された第1エチレン重合体および未反応物質が第2反応器200に連続して移送され、第2反応器200に、さらに、エチレン30、α-オレフィン共単量体40、溶媒、触媒および助触媒などを投入して、第2エチレン重合体を重合し、且つ第1エチレン重合体と混合するようにすることができる。
【0051】
さらに具体的には、本発明のエチレン重合体混合物の製造方法の一態様は、第1反応器でエチレンとC4~C10のα-オレフィン共単量体を第1メタロセン触媒の存在下で重合して、第1エチレン重合体を製造し、第2反応器でエチレンとC4~C10のα-オレフィン共単量体を第2メタロセン触媒の存在下で重合して、第2エチレン重合体を製造する重合ステップを含むことができる。
【0052】
本発明の一態様において、前記第1メタロセン触媒および第2メタロセン触媒は、上述のものと同様であり、それ以外にも、助触媒および溶媒などをさらに含むことができる。
【0053】
本発明の一態様において、前記第1反応器および第2反応器の運転条件は、80~250℃、さらに具体的には120~220℃であることができ、圧力は、20~500気圧、さらに具体的には30~200気圧であることができる。
【0054】
また、前記重合ステップで投入される原料は、投入される前に、熱交換工程を経て冷却または加熱され、これにより、反応器内の温度を制御することができる。
【0055】
図1に図示されているように、本発明の製造方法は、第1反応原料としてエチレン10およびC
4~C
10のα-オレフィン20を第1反応器100に投入して重合するステップと、
前記第1反応器100で重合された重合溶液と、第2反応原料としてエチレン30およびC
4~C
10のα-オレフィン40を第2反応器200に投入して重合するステップと、
前記第2反応器200で重合された重合溶液を分離領域300に移送して、エチレン重合体400と未反応物を分離するステップと、
前記未反応物を回収領域500に移送して、未反応のα-オレフィンおよび未反応のエチレンを回収するステップと、
前記回収された未反応のα-オレフィンおよび未反応のエチレンからなる回収ストリーム510、520を第1反応器および第2反応器に再投入するステップと、
を含み、
前記第1反応器100の前段に第1ラマン分光器1が位置し、前記第2反応器200の前段に第2ラマン分光器2が位置し、前記第1反応器100の後段に第3ラマン分光器3が位置し、前記第2反応器200の後段に第4ラマン分光器4が位置し、
前記第1ラマン分光器1および第2ラマン分光器2を用いて、回収ストリーム510、520内の未反応のアルファ-オレフィンの含量をリアルタイムで定量分析し、前記第3ラマン分光器3および第4ラマン分光器4を用いて、重合溶液内の未反応のアルファ-オレフィンおよび未反応のエチレンの含量をリアルタイムで定量分析して、前記第1反応器100および第2反応器200に反応原料として投入されるα-オレフィン20、40の投入量をリアルタイムで調節して、エチレン重合体400の密度を予測および調節することを特徴とする。
【0056】
一態様として、前記のように、第1反応器および第2反応器を別に備え、第1反応器の反応物と新たな原料を第2反応器に投入して反応を行うことで、最終生成物の密度および分子量をより精密に調節することができる。
【0057】
一態様として、前記回収ストリーム510、520を第1反応器および第2反応器に再投入する時に、精製機600、700を通じて精製を行って、原料として使用可能なほどに、不純物、すなわち、潜在的に触媒の毒になり得る水分、酸素、一酸化炭素およびその他の金属不純物を除去することが好ましい。
【0058】
また、一態様として、コントローラ800、900を用いて、前記第1~第4ラマン分光器から取得されたデータをリアルタイムで定量分析して、前記第1反応器100および第2反応器200に反応原料として投入されるα-オレフィン20、40の投入量だけでなく、エチレン10、30および回収ストリーム510、520の未反応物の含量の分析が可能であり、原料として投入されなければならないアルファ-オレフィンの量を調節することができる。
【0059】
前記第1~第4ラマン分光器を用いて、リアルタイムで定量分析する時に、ラマンプローブを反応系内(in situ)に挿入することが好ましく、これに制限されるものではない。
【0060】
一態様として、前記第1~第4ラマン分光器を用いて、リアルタイムで定量分析するために、重合体の密度を決定するための回帰モデルを取得するステップと、
前記第1~第4ラマン分光器からラマン分光を取得するステップと、
前記ラマン分光から主要成分の点数を算出するステップと、
前記主要成分の点数を回帰モデルに適用して、重合体の密度を算出するステップとを含むことができる。
【0061】
前記重合体の密度を決定するための回帰モデルを取得するステップは、通常の方法で可能であるため、制限されるものではないが、本発明の一態様として、予め定められた量の原料を投入して反応を行い、この際、反応ごとに原料の投入量を異ならせて反応を行い、前記第1~第4ラマン分光器が位置した地点でそれぞれのサンプルを採取し、ガスクロマトグラフィ(GC)およびNMR分析によりα-オレフィンの含量を取得し、各原料の投入量によるスペクトルを多数取得するステップと、同じ地点でラマン分光器を用いて、スペクトルを多数取得し、前記α-オレフィンの含量によるスペクトルを多数取得するステップと、前記取得されたスペクトルからα-オレフィンの含量によるエチレン重合体の密度変化回帰モデルを取得するステップとを含むことができる。
【0062】
さらに具体的には、第1および第2ラマン分光器が設置された位置のサンプルを採取し、GCを通じてα-オレフィンの濃度を算出する。算出されたα-オレフィンの濃度データとラマンスペクトルデータを用いて、α-オレフィン濃度モデルを取得する。濃度回帰モデルプログラムは、Thermo Fisher Scientific社製のGRAMS IQを用いることができる。また、前記GRAMS IQプログラム内のPartial Least Square(PLS)方法を用いて、回帰モデルを取得することができる。
【0063】
前記濃度回帰モデルプログラムを用いて、回収ストリームと反応器の後段でのラマンスペクトルデータをリアルタイム濃度として算出し、モニタリングすることができる。
【0064】
ラマン分光器を用いた反応器の前/後段の濃度および原料として投入されたエチレンおよびα-オレフィンの量を計算して、重合体でのアルファ-オレフィン含量を取得することができる。
【0065】
また、前記第3ラマン分光器および第4ラマン分光器の位置に粘度計をさらに追加して、反応器の後段のエチレン重合体の粘度を求め、前記粘度を反応器温度および反応器の後段のエチレン重合体の濃度データで補正して、メルトインデックス(MI)値を算出する。この際、前記エチレン重合体の濃度データは、反応器の前後段に位置したラマン分光器から取得されたα-オレフィンとエチレンの反応量を用いて計算されることができる。エチレン重合体のα-オレフィン含量およびMIデータを用いて、実際の密度値と比較して回帰モデルを取得する。
【0066】
さらに具体的には、前記第1および第2ラマン分光器で測定した試料のデータから、PLS方法を用いて、3030~2826cm-1および1665~1624cm-1のピーク領域で1-オクテンの含量取得モデルを作成し、リアルタイムでラマン分光器を通じて取得されるラマンスペクトルデータを用いて、α-オレフィン含量を分析し、前記第3および第4ラマン分光器で測定した試料のデータから、PLS方法を用いて取得された回帰モデルを用いて、3030~2826cm-1および1665~1624cm-1のピークを用いて1-オクテンの含量を分析し、1630~1610cm-1および1335~1325cm-1のピーク領域でエチレンの含量を分析することができる。
【0067】
次に、第1~第4ラマン分光器からラマン分光を取得するステップについてより具体的に説明すると、第1~第4ラマン分光器の測定ポイントには、ラマンプローブ(RAMAN probe)が設置されており、各プローブで785nm波長帯のレーザ光源(Laser source)を用いて、150~3425cm-1のスペクトルデータを取得し、先に言及した波長領域を選択/分析して、α-オレフィンの含量を分析することができる。
【0068】
次に、前記ラマン分光から主要成分の点数を算出するステップである。
【0069】
次に、前記主要成分の点数を回帰モデルに適用して、重合体の密度を算出する。この際、反応したα-オレフィンの割合は、回収ストリームのα-オレフィン量と原料として投入したアルファ-オレフィン量の和から反応器の後段での未反応のアルファ-オレフィンの量を減算して、重合体でアルファ-オレフィンの量を求めることができる。回帰モデルは、重合体のα-オレフィン成分の含量のおよびMI値を用いて、密度予測モデルを取得する。回帰モデルは、実際値と予測値との誤差を最小化することができるように、回帰モデルのパラメータを調整することができる。
【0070】
次に、前記算出された密度を用いて反応を制御することで、所望の密度およびMIを有するエチレン重合体が重合されるようにフィード原料の投入量を制御する。
【0071】
一例として、計算された重合体特性を標的重合体特性と比較し、計算された重合体特性と標的重合体特性との偏差に基づいて、一つ以上の反応器媒介変数を調整する。一つ以上の反応器媒介変数は、単量体、共単量体、触媒および助触媒の量と、反応器の作動温度、共単量体対単量体の比、水素対単量体または共単量体の比、および選択された重合体特性に影響を及ぼす他の媒介変数を含むことができる。例えば、選択された重合体特性が密度であり、ラマンスペクトルを通じて分析された反応器の前後段での濃度およびα-オレフィンの投入量を用いて、反応器の前/後段でα-オレフィン変化量を計算することで、重合体でα-オレフィンの含量を知ることができる。重合体のα-オレフィン含量およびMIを用いて、密度を予測する。予測された密度値が標的値に逹するまで、α-オレフィンの投入量を調節する。予測値が標的値より小さい場合、α-オレフィンの投入量を減少させ、重合体にα-オレフィン含量を下げて密度を増加させ、逆に、α-オレフィンの投入量を増加させてα-オレフィン含量を増加させ、密度を減少させる。
【0072】
例えば、オレフィンの流動床重合の場合、水素は、連鎖移動剤としての役割が可能である。このような方式で、重合体生成物の分子量を調節することができる。また、オレフィン重合反応器中の水素の濃度を変化させることで、溶融指数(MI)といった重合体溶融流速も変化させることができる。本発明は、選択されたMI範囲を有する重合体を生成させるように反応器を制御することができる。これは、水素濃度と特定の反応器によって生成される重合体のMIとの間の関係が分かり、標的MIまたはMI範囲を反応器制御システムプロセッサ内にプログラミングさせることで達成される。反応器の後段で粘度を測定し、粘度値は、温度およびラマン分析器を用いた溶液で重合体の濃度値で補正され、MI値として算出されてモニタリングし、このデータを標的MI範囲と比較することで、重合体生成物のMI範囲が標的MI範囲内に維持されるように、反応器容器内への水素の流動を調整することができる。
【0073】
本発明の一態様において、前記第1~第4ラマン分光器から測定されるエチレン(C2)およびα-オレフィン、例えば、C8の濃度から下記のような数式を用いて、エチレン重合体のα-オレフィン含量および生産量を予測することができる。下記の式で溶液は、溶媒、原料(raw material)および重合体の全体の溶液を意味する。
【0074】
[式1]第1反応器で反応したC2=第1反応器のC2流量-第1反応器の後段での未反応C2濃度(3分光器で測定される)×第1反応器の溶液流量
[式2]第1反応器で反応したC8=第1反応器のC8流量+第1反応器回収ストリームでのC8濃度(1分光器で測定される)×第1反応器回収ストリーム流量-第1反応器の後段での未反応C2濃度(3分光器で測定される)×第1反応器の溶液流量
[式3]第1反応器のポリマー生産量=第1反応器で反応したC2+第1反応器で反応したC8
[式4]第1反応器の後段のポリマーでのC8含量=第1反応器で反応したC8/第1反応器のポリマー生産量
[式5]第1反応器の後段溶液でのポリマー含量=第1反応器のポリマー生産量/第1反応器の溶液流量
[式6]第1反応器および第2反応器で反応したC2=第1反応器C2流量+第2反応器C2流量-第2反応器の後段での未反応C2濃度(4分光器)×(第1反応器の溶液流量+第2反応器の溶液流量)
[式7]第1反応器および第2反応器で反応したC8=第1反応器C8流量+第1反応器回収ストリームでのC8濃度(1分光器で測定される)×第1反応器回収ストリーム流量+第2反応器C8流量+第2反応器回収ストリームでC8濃度(2分光器で測定される)×第2反応器回収ストリーム流量-第2反応器反応器の後段での未反応C8濃度(4分光器で測定される)×(第1反応器の溶液流量+第2反応器の溶液流量)
[式8]第1反応器および第2反応器のポリマー生産量=第1反応器および第2反応器で反応したC2+第1反応器および第2反応器で反応したC8
[式9]第2反応器の後段のポリマーでのC8含量=第1反応器および第2反応器で反応したC8/第1反応器および第2反応器のポリマー生産量
[式10]第2反応器の後段溶液でのポリマー含量=第1反応器および第2反応器のポリマー生産量/(第1反応器の溶液流量+第2反応器の溶液流量)
【0075】
当該分野における技術者は、他の反応器の構成要素の特性および他の反応器媒介変数を使用することができることを知ることができる。前記記載のものと類似する方式で、ラマン分析器によって生成されたデータに応答して、反応器媒介変数を調節された方式で計測することで、最終重合体の特性を取得することができる。
【0076】
以下、実施例および比較例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例および比較例は、本発明をより詳細に説明するための一つの例示であって、本発明は、下記の実施例および比較例によって制限されるものではない。
【0077】
以下、物性は、下記のように測定した。
【0078】
1)密度
ASTM D 792に準じて測定した。
【0079】
2)メルトインデックス(melt index)
ASTM D 1238に準じて、190℃、2.16kgで測定した。
【0080】
3)GC分析方法
第1および第2ラマン分光器が位置した地点でそれぞれのサンプルを採取して、ガスクロマトグラフィ(GC)分析によりスペクトルを取得した。
【0081】
測定条件は、下記のとおりである。
【0082】
Columnの種類:HP-5 30m×0.32mm×0.25μm
Column flow:1ml/min
Split ratio:100
Inlet Temp:250℃
Detector Temp:280℃
【0083】
[実施例]
図1のように、第1反応器と第2反応器が互いに直列に連結され、第1反応器で第1エチレン重合体を製造した後、製造された第1エチレン重合体および未反応物を第2反応器に移送させ、前記第2反応器に第2エチレン重合体の製造のための単量体、溶媒としてメチルシクロヘキサン、触媒として(t-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタン(IV)ジメチルおよび助触媒としてトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを追加投入して第2エチレン重合体を連続して重合するとともに、第1エチレン重合体と第2エチレン重合体が混合されたエチレン重合体混合物を製造した。
【0084】
重合条件およびエチレン重合体のオクテン含量を下記表1にまとめた。
【0085】
【0086】
ラマン分光器は、KAISER OPTICAL SYSTEM社製のモデル名Rxn3
tmを使用しており、
図1のように、第1反応器および第2反応器の前段の回収ストリームおよび後段にそれぞれ一つずつ配置し、総4個のラマン分光器を配置した。波長が785nmであり、スペクトルの測定範囲は、150~3425cm
-1であるレーザ光源を用いて測定した。
【0087】
予め第1および2ラマン分光器が設置された位置のサンプルを採取し、GCを通じてα-オレフィンの濃度を算出し、算出されたα-オレフィン濃度データとラマンスペクトルのデータを用いて、α-オレフィン濃度モデルを取得した回帰モデルプログラム(GRAMS IQ)を用いて前記ラマン分光器でリアルタイムで測定されるスペクトルデータを分析し、エチレンおよびオクテンの濃度をリアルタイムでモニタリングした。
【0088】
また、反応器の後段の粘度のデータをα-オレフィン含量、温度および重合体濃度値で補正してMIデータとして算出した。反応器のオクテン含量の割合とMI値を用いて、密度を予測した。
【0089】
本発明の一態様による製造方法は、リアルタイムでエチレン重合体の密度の分析が可能であり、所望の密度に調節をするために投入される原料の含量の調節をリアルタイムで行うことができ、生産性がより向上することを確認した。具体的には、分析のために4~5時間生産された製品のoff-spec判断可否を待つ必要なく連続して重合をしながら原料の投入量を調節して、所望の密度のエチレン重合体を取得することができることを確認した。
【0090】
さらに、本発明の一態様によって反応を実施しながら回帰モデルを通じて得られた密度とMI値の主要点数を下記表2に示した。下記表2に示されているように、測定値と予測値の差が小さいことが分かった。
【0091】
【0092】
以上のように、本発明では、特定の事項と限定された実施例および図面によって説明されているが、これは、本発明のより全般的な理解を容易にするために提供されたものであって、本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、このような記載から様々な修正および変形が可能である。
【0093】
したがって、本発明の思想は、上述の実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、本特許請求の範囲と均等か等価的変形があるすべてのものなどは本発明の思想の範疇に属するといえる。
【符号の説明】
【0094】
1 第1ラマン分光器
2 第2ラマン分光器
3 第3ラマン分光器
4 第4ラマン分光器
10、30 エチレン
20、40 α-オレフィン
100 第1反応器
200 第2反応器
300 分離領域
400 エチレン重合体
500 回収領域
510、520 回収ストリーム
600、700 精製機
800、900 コントローラ
【国際調査報告】