(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】腋の下スプレー放出デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 35/00 20060101AFI20240514BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20240514BHJP
B05B 17/00 20060101ALI20240514BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/46 20060101ALI20240514BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20240514BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/216 20060101ALI20240514BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240514BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A61M35/00 Z
B65D83/00 K
B05B17/00
A61P17/00
A61K31/46
A61P25/02
A61P25/00
A61K31/40
A61K31/216
A61K9/08
A61K47/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563309
(86)(22)【出願日】2022-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2022060164
(87)【国際公開番号】W WO2022219177
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523389590
【氏名又は名称】ゼロ・ファーマシューティカルズ・イーペー・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マライン・ヤコブ・レネマン
(72)【発明者】
【氏名】アールト・ヴィレム・フェネマ
(72)【発明者】
【氏名】ベレンド・ホマン
【テーマコード(参考)】
3E014
4C076
4C086
4C206
4C267
4D074
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PC03
3E014PC06
3E014PC12
3E014PD11
3E014PE14
3E014PE16
3E014PE18
4C076AA12
4C076AA24
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4C206MA33
4C206MA37
4C206MA83
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4C206ZA02
4C206ZA20
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4C206ZA89
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4C267BB32
4D074AA10
4D074FF01
4D074FF08
4D074FF09
(57)【要約】
手持ち式腋の下スプレー放出デバイスは、医療用有効成分を収容するための容器と、容器に接続され、スプレー軸を有するスプレー吐出オリフィスを含む作動可能なポンプであって、作動時にスプレー軸に沿って前記オリフィスを通して医療用有効成分を含むスプレーを放射するように適応された、ポンプと、第1の部分、第2の部分、ならびに第1の部分および第2の部分に取り付けられた柔軟な覆いを含む筐体とを含み、ポンプが筐体内に配置され、第1の部分および/または第2の部分には、吐出オリフィスを通って放射されたスプレーが通過するのを可能にするためのスプレー吐出オリフィスと整列された開口が設けられ、第2の部分が、スプレーが筐体の外に出ることができる開位置とスプレーが筐体の外に出るのを妨げられる閉位置との間で第1の部分に対して回転軸回りに回転可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用有効成分を収容するための容器(10)と、
前記容器に接続され、スプレー軸(S)を有するスプレー吐出オリフィス(21)を含む作動可能なポンプ(20)であって、作動時に前記スプレー軸に沿って前記オリフィスを通して前記医療用有効成分を含むスプレーを放射するように適応される、ポンプ(20)と、
第1の部分(110)、第2の部分(120)、ならびに前記第1の部分および前記第2の部分に取り付けられた柔軟な覆い(130)を含む筐体(100)とを含み、前記ポンプ(20)は前記筐体(100)内に配置され、前記第1の部分および/または前記第2の部分には、前記吐出オリフィスを通して放射されるスプレーが通過することを可能にするために前記スプレー吐出オリフィスと整列された開口(O)が設けられ、
前記第2の部分(120)が、スプレーが前記筐体の外に出ることができる開位置とスプレーが前記筐体の外に出ることを妨げられる閉位置との間で前記第1の部分(110)に対して回転軸(R)回りに回転可能である、手持ち式腋の下スプレー放出デバイス(1)。
【請求項2】
前記筐体の前記第1の部分(110)および/または第2の部分(120)には、前記第1および第2の部分を前記閉位置にロックするように適応された1つまたは複数のロック機構(141、142)が設けられ、前記1つまたは複数のロック機構が、前記筐体が前記閉位置にあるときに前記筐体の外側からユーザによって作動されるように配置される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第2の部分を前記開位置の方に付勢するための付勢要素(45)をさらに含む、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の部分(110)が内面(111)を有し、前記第2の部分(120)が内面(121)を有し、吸液材料の層(115、116)が、医療用有効成分を含有する液体が前記第1および/または第2の部分の前記内面に沿って前記デバイスの外に出るのを防止するために、前記第1および/または第2の部分の前記内面(111、121)に設けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ポンプ(20)が、前記容器(10)を前記第1および第2の筐体部に対して前記スプレー吐出オリフィス(21)の方に押圧することによって、好ましくは、前記容器を前記回転軸に沿って前記オリフィスの方に押圧することによって作動するように適応される、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記容器(10)が、前記筐体内に配置された外周部(11)と、前記吐出オリフィスから遠位に離隔され、前記ポンプを作動させるためにユーザによって前記スプレー吐出オリフィスの方に押圧されるように配置された終端面(12)とを含み、好ましくは、前記終端面が前記筐体の外側に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記容器の前記外周部(11)が透明材料を含み、前記筐体の前記第1および/または第2の部分が、透視部(119)および前記透明材料を通して、前記筐体(100)が前記閉位置にあるときに、前記容器(10)内の液体のレベルの目視点検を可能にするために前記透視部を含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記柔軟な覆い(131)が、前記第2の部分が前記開位置にあるときに、前記縁部全体に沿って腋窩に置かれるように形成されて適応された外周遠位縁部(133)を含み、好ましくは、前記遠位縁部が、前記筐体(100)の内部空間を封止するために、前記第2の部分が前記閉位置にあるときに、それ自体の上に折り畳まれるように適応される、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記スプレー軸(S)に垂直で前記回転軸(R)に平行な平面上への投影において見られるとき、および前記第2の部分(120)が前記開位置にあるとき、前記外周遠位縁部(133)の各部が、前記スプレー軸(S)から少なくとも3cmだけ離隔される、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第2の部分(120)が前記閉位置にあるときに、前記ポンプ(20)の作動を妨げるように適応された阻止機構(17、47)をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記ポンプ(20)ならびに/または前記ポンプおよびそれに接続された容器(10)が交換されることを可能にするために、前記ポンプ(20)が、前記筐体(100)内に取り外し可能に配置される、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ポンプ(20)が前記筐体の外に移動するのをラッチ(118)が阻止する第1の位置と前記ポンプが前記回転軸に平行な方向に前記筐体から除去され得る第2の位置との間で移動可能である動作可能なラッチを含み、前記ラッチ(118)が、前記筐体が前記閉位置にあるときのみ前記第1の位置から前記第2の位置に移動可能であるように適応される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記容器(10)が、臭化チオトロピウム、イプラトロピウム、グリコピロニウム、および/またはオキシブチニンなどの抗コリン剤を、前記有効成分として含む水性製剤を収容する、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記回転軸(R)が、前記容器の縦軸に実質的に平行であり、好ましくは、前記容器の前記回転軸および前記縦軸が、実質的に同一である、請求項1から13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1の筐体部(110)および第2の筐体部(120)がそれぞれ遠位縁部(113,123)を含み、前記第2の部分が前記閉位置にあるとき、前記第1および第2の部分の前記遠位縁部は第1の距離だけ離隔され、前記第2の部分が前記開位置にあるとき、前記第1および第2の部分の前記遠位縁部は前記第1の距離より大きい第2の距離だけ離隔され、好ましくは、前記回転軸に垂直の平面上への投影において見られるとき、前記容器は前記第1の距離より大きく前記第2の距離より小さい外径を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療スプレーを人の腋窩に局所的に放出するための手持ち式腋の下スプレー放出デバイスに関し、放出デバイスは、スプレーが人の腋窩以外の領域に到達するのを防止するための覆いを含む。一般的に、たとえば多汗症の局所治療のための緩衝化臭化チオトロピウムまたはイプラトロピウムを含む水性製剤を含む場合がある医療スプレーは、人の腋窩にのみ適用されるべきであり、スプレーが人の他の部位に、たとえば彼または彼女の指に接触すること、および/またはスプレーを吸入することは回避されなければならない。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2004/050964(A)号から、医療スプレーなどの薬物をホストの皮膚に吐出および適用するための手持ち式吐出デバイスが知られている。知られているデバイスは、中空本体と、薬物を収容するために中空本体内に搭載されたカプセルと、中空本体内に搭載されてカプセル内の薬物と連通するノズルと、計量された量の薬物をカプセルからノズルを通して吐出させるアクチュエータと、ノズルから現れる薬物を受けるための出口空間を画定する覆いと、ノズルを選択的に開閉するために覆いに取り外し可能に搭載され、それによりカプセルからの薬物の漏れを制御するキャップとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/050964(A)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、知られているデバイスは、使用するためおよび持ち歩くためにはいくぶん取り扱いにくい。本発明の目的は、この欠点を少なくとも部分的に克服する腋の下スプレー放出デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的に従って、本発明は、医療用有効成分を収容するための容器と、容器に接続され、スプレー軸を有するスプレー吐出オリフィスを含む作動可能ポンプであって、作動時にスプレー軸に沿って前記オリフィスを通して医療用有効成分を含むスプレーを放射するように適応された、ポンプと、第1の部分、第2の部分、ならびに第1の部分および第2の部分に取り付けられた柔軟な覆いを含む筐体とを含む手持ち式腋の下スプレー放出デバイスを提供し、ポンプが筐体内に配置され、第1の部分および/または第2の部分には、吐出オリフィスを通って放射されたスプレーが通過するのを可能にするためのスプレー吐出オリフィスと整列された開口が設けられ、第2の部分が、スプレーが筐体の外に出ることができる開位置とスプレーが筐体の外に出るのを妨げられる閉位置との間で第1の部分に対して回転軸回りに回転可能である。第2の部分が閉位置にあるとき、デバイスは比較的小さい空間を占め、このようにしてハンドバッグまたはポケットの中で容易に持ち運ぶことができるデバイスを提供する。
【0006】
一般的に、第1および第2の筐体部は、実質的に硬いこと、たとえばポリプロピレン、ポリエチレン、アセタール共重合体などの硬質プラスチック材料から作製されるか、またはそれを含むことが好ましく、覆いは、一般的に弾性であり、たとえばシリコーンまたはゴムなどの弾性材料から作製されるか、またはそれを含む。実質的に硬い第1および第2の部分は、変形および損傷に対して、ポンプ、および容器の一部または全部に対する保護用の外殻を提供する。第2の部分が開位置にあるとき、柔軟な覆いの内側ならびに第1および第2の部分の内側はともに、覆いの縁部を超える場合以外は、覆いの前記内部から外部へのスプレーの通路を実質的に妨げる。第2の部分が閉位置にあるとき、スプレーと接触し得るデバイスの内面は完全にカバーされ、デバイスは、スプレーと接触するリスクなしに取り上げて持つことができる。
【0007】
一実施形態では、筐体は、第2の部分が閉位置にあるとき、柔軟な覆いで区切られ、第1および第2の筐体部の内面に面する内部体積を実質的に液密に封止する。したがって、医療用有効成分を含む液体は、デバイスが閉じられたとき、内部体積から出ることを妨げられる。
【0008】
一実施形態では、筐体の第1および/または第2の部分には、閉位置にある第1および第2の部分をロックするように適応された1つまたは複数のロック機構が設けられる。したがって、ユーザは、デバイスがスプレーを吐出する用意ができる前に、デバイスを能動的に開かなければならない。加えて、覆い、または覆いの少なくとも外周遠位縁部が弾性材料を含むとき、ロック機構は、覆いが液密シールを形成することができるように、第1の部分と第2の部分とをともに押圧することを助ける。ばね仕掛けのロック機構であってもよい1つまたは複数のロック機構は、筐体が閉位置にあるとき、筐体の外側からユーザによって開かれるように配置されることが好ましい。
【0009】
一実施形態では、デバイスは、第2の部分を開位置の方に付勢するための付勢要素をさらに含む。このようにして、デバイスを開くために、ユーザは、彼または彼女の指で覆いの遠位縁部に触れる必要はない。これはさらに、ユーザが、ユーザの指と覆いの遠位縁部に沿って存在し得る任意のスプレーとの接触を回避することを助ける。デバイスに1つまたは複数のロック機構が設けられる場合、ロック機構を解除することにより、一般的に、第2の部分が開位置に移動する。
【0010】
一実施形態では、ポンプは、ポンプ作動時にポンプを通るスプレーに対して金属接触のない流体経路を設けるように適応される。適切なポンプは、Aptar Pharmaによって「Advanced Preservative Free plus」という名称で提供される。
【0011】
一実施形態では、第1の部分および第2の部分はそれぞれ内面を有し、吸液材料の層が、医療用有効成分を含有する液体が第1および/または第2の部分の内面に沿ってデバイスの外に出るのを防止するために、第1および/または第2の部分の内面上に設けられる。吸収材料の一例は、ティッシュペーパー(tissue)である。したがって、スプレーの一部が、その意図するターゲットに届かずに吸収材料に向かうとき、医療用有効成分がデバイスの外に漏れ出ることが、実質的に防止され得る。
【0012】
一実施形態では、ポンプは、容器を第1および第2の筐体部に対してスプレー吐出オリフィスの方に押圧することによって、好ましくは、容器を回転軸に沿って前記オリフィスの方に押圧することによって作動されるように適応される。したがって、ポンプが作動されるとき、筐体の第1および第2の部分に対してオリフィスの位置は同じままである。
【0013】
一実施形態では、容器は、筐体内に配置された外周部と、吐出オリフィスから遠位に離隔され、ポンプを作動させるためにユーザによってスプレー吐出オリフィスの方に押圧されるように配置された終端面とを含む。このようにして、ポンプは、容器の終端面をオリフィスの方に押圧することによって作動され得る。好ましくは、容器の終端面は、少なくともポンプが作動されないとき、および好ましくはポンプが作動されるときにも、第1および第2の筐体部の外に配置される。このようにして、容器の終端面は、ポンプを作動させるためのボタン、またはそのようなボタンの一部として機能し得る。
【0014】
一実施形態では、容器の外周部は透明材料を含み、筐体の第1および/または第2の部分は、透視部および透明材料を通して、筐体の第2の部分が閉位置にあるときに容器内の液体のレベルの目視点検を可能にするための透視部を含む。透視部は、単に、筐体の第1または第2の部分の中の開口として形成されてもよいが、透視部がプラスチック材料の透明部品を含むことが好ましい。
【0015】
一実施形態では、柔軟な覆いは、第2の部分が開位置にあるときに前記全縁部に沿って腋窩に置かれるように形成されて適応された外周遠位縁部を含む。縁部はユーザの腋窩に置かれるように適応されるので、ユーザの皮膚と覆いとの間のすき間を通して液体が漏れ出すことは、実質的に回避され得る。遠位縁部は、筐体によって画定される内部空間を封止するために、筐体の第2の部分が閉位置にあるときに、それ自体の上に折り畳まれるように適応されることが好ましい。これは、たとえば、柔軟な覆いの遠位縁部が、第2の部分が閉位置にあるときに、筐体の第1の部分と第2の部分との間で圧縮されるように適応された弾性材料を含むときに達成され得る。
【0016】
一実施形態では、スプレー軸に垂直で回転軸に平行な平面上への投影において見られるとき、および第2の部分が開位置にあるとき、外周遠位縁部の各部は、スプレー軸から少なくとも3cmだけ離隔される。このようにして、第1または第2の筐体部に実質的に接触しないスプレーコーンが可能になる。
【0017】
一実施形態では、デバイスは、第2の部分が閉位置にあるときに、ポンプの作動を妨げるように適応された阻止機構をさらに含む。このようにして、医療用有効成分の偶発的な噴射が実質的に回避され、デバイスをユーザのハンドバッグまたはポケットの中で安全に持ち運ぶことが可能になる。阻止機構は、ユーザが機構を偶発的にアンロックすることを防止するために、第1および/または第2の部分の中に配置されることが好ましい。
【0018】
一実施形態では、ポンプならびに/またはポンプおよびそれに接続された容器が交換されることを可能にするために、ポンプは筐体内に取り外し可能に配置される。この実施形態では、デバイスには、筐体の外にポンプが移動するのをラッチが阻止する第1の位置と、ポンプが回転軸に平行な方向に筐体から除去され得る第2の位置との間で移動可能であるラッチが設けられ、ラッチは、筐体の第2の部分が閉位置にあるときのみ第1の位置から第2の位置に移動可能であるように適応される。ラッチは、筐体の外側からユーザによって作動されるように配置されることが好ましい。
【0019】
一実施形態では、回転軸は、容器の縦軸に実質的に平行であり、好ましくは、回転軸および容器の縦軸は、実質的に同一である。
【0020】
一実施形態では、スプレー軸は、容器の縦軸に実質的に直角である。
【0021】
一実施形態では、筐体の第2の部分が閉位置にあるとき、デバイスは、たとえば、閉じたザルガイの形状と同様の、実質的にクサビ状の形状を有し、特にコンパクトなデバイスを提供する。
【0022】
一実施形態では、第1および第2の筐体部はそれぞれ遠位縁部を含み、第2の部分が閉位置にあるときに、第1および第2の部分の遠位縁部は第1の距離だけ離隔され、第2の部分が開位置にあるときに、第1および第2の部分の遠位縁部は第1の距離より大きい第2の距離だけ離隔される。第1の距離は、第2の部分が閉位置にあるとき、覆いの外周縁部の厚さの2倍に実質的に対応し得、その場合、第2の距離は、第1の距離より少なくとも3倍大きい。
【0023】
好ましくは、回転軸に垂直の平面上への投影において見られるとき、容器は、第1の距離より大きく第2の距離より小さい外径を有する。
【0024】
一実施形態では、第2の部分は、回転軸回りの65度と80度との間の角度にわたって、第1の部分に対して、および好ましくは同じくスプレー軸に対して、閉位置と開位置との間で回転するように適応される。
【0025】
一実施形態では、第2の部分が閉位置にあるとき、デバイス全体が、12cm×12cm×3.3cmの寸法の長方形の箱の中に嵌合する。
【0026】
一実施形態では、容器は、液密接続、たとえば液密ねじ接続によってポンプに取り外し可能に取り付けられる。空の容器を医療用有効成分を収容する容器と交換することによって、デバイスは、何度も再使用され得る。
【0027】
一実施形態では、容器は、臭化チオトロピウム、イプラトロピウム、グリコピロニウム、および/またはオキシブチニンなどの抗コリン剤を、有効成分として含む水性製剤を収容する。汗腺に影響を及ぼすことに加えて、いくつかの抗コリン剤は、消化管、尿路、肺、または体の他の部位に影響を及ぼす能力を有する。本発明による吐出デバイスは、抗コリン剤がユーザの腋窩以外のユーザの体の部位に接触することを防止すること、特にスプレーが摂取または吸入されることを防止することを助ける。
【0028】
製剤は、水相と、21℃において3.0~6.0の範囲内のpHを有する製剤を提供するための皮膚科学的に許容されるpH調整剤とをさらに含み得る。これらの化合物は、多汗症の局所治療に非常に適している。本発明による水性製剤のpHは、当業者に知られている従来の技法を使用して21℃において測定される。
【0029】
本明細書で使用される「皮膚科学的に許容されるpH調整剤」という用語は、緩衝剤を指す。製剤のpHは、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、塩酸、乳酸、酒石酸、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、アミノメチルアミンなどの緩衝系または弱有機酸もしくは無機酸の塩から選択された皮膚科学的に許容されるpH調整剤を追加することによって適切に調整される。好ましくは、緩衝剤はクエン酸緩衝剤である。典型的なクエン酸緩衝剤は、クエン酸クエン酸およびクエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウム、またはクエン酸およびNa2HPO4から構成される。
【0030】
水性製剤は、皮膚科学的に許容される添加剤を含み得る。一般的に、添加剤は、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、保水剤、金属イオン封鎖剤、保湿剤、皮膚軟化剤、界面活性剤、乾燥剤、香料などから選択される。
【0031】
一実施形態では、水性製剤は、全製剤の70~99.9重量%の水相、好ましくは全製剤の重量で、80~99.7重量%、よりいっそう好ましくは85~99.5重量%、最も好ましくは90~99.25重量%の水相を含む。好ましい実施形態によれば、水相は、水相の重量に基づいて、少なくとも50重量%の水、好ましくは少なくとも60重量%の水、より好ましくは少なくとも75重量%の水、よりいっそう好ましくは少なくとも80重量%の水、最も好ましくは少なくとも90重量%の水を含む。本明細書で使用される「水相」という用語は、水、またはエタノール、プロピレングリコール、グリセロール、および従来の水溶性成分などの薬学的に許容される水溶性成分を含む水相を指す。「水相」は、液体状態にあるか、または20℃において半固体状態にあり、好ましくは、液体状態にある。本明細書で称されるすべての「重量%」は、特段に示されない限り、全水性製剤の重量に基づく。
【0032】
一実施形態では、抗コリン剤は「オキシブチニン」である。本明細書で使用される「オキシブチニン等価物」は、オキシブチニン塩酸塩(C22H31NO3.HCl;4-ジエチルアミノブト-2-イニルα-シクロヘキシルマンデル酸塩酸塩)など、オキシブチニン遊離塩基もしくはオキシブチニの皮膚科学的に許容される塩、またはそれらの混合物を指す。本明細書で使用されるオキシブチニンは、オキシブチニンの(R)および(S)立体異性体、ならびに立体異性体の混合物を指す。好ましくは、オキシブチニン等価物は、水性製剤の全重量に基づいて、1.0~8重量%、好ましくは1.5~6.0重量%、より好ましくは2.0~5.0重量%、よりいっそう好ましくは2.5~4.5重量%のオキシブチニン等価物の量で、水性製剤の中に存在する。適切なオキシブチニン塩は、限定はしないが、酢酸塩、酸性酒石酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、硝酸メチル、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タルメート、酒石酸塩、キシナホ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、共鳴塩、ラウリン酸塩、他から成る群から選択される。オキシブチニンに密接に関係するオキシブチニンの医薬品誘導体も、本発明の範囲に入ることが理解される。好ましくは、オキシブチニンは、オキシブチニン塩酸塩であるか、またはその当量で使用される。
【0033】
一実施形態では、抗コリン剤は「グリコピロニウム」である。本明細書で使用される「グリコピロニウム等価物」は、グリコピロニウム臭化物(C19H28BrNO3; [(3S)-1,1-ジメチルピロリジン-1-イウム-3-イル](2R)-2-シクロペンチル-2-ヒドロキシ-2-フェニルアセテート;臭化物)などのグリコピロニウム遊離塩基もしくはグリコピロニウムの皮膚科学的に許容される塩、またはそれらの混合物を指す。好ましくは、グリコピロニウム等価物は、水性製剤の全重量に基づいて、0.25~6重量%、より好ましくは0.25~3.0重量%、よりいっそう好ましくは0.5~3.0重量%、さらにより好ましくは1.0~2.0重量%のグリコピロニウム等価物の量で、水性製剤の中に存在する。適切なグリコピロニウム塩は、限定はしないが、ヨウ化物、酢酸塩、硫酸塩、塩化物、フッ化物、ヨウ化物、硝酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、グリコール酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、4-メチルベンゼンスルホネート(トシル基)、サリチル酸塩、他などから成る群から選択される。グリコピロニウムに密接に関係するグリコピロニウムの医薬品誘導体も、本発明の範囲に入ることが理解される。好ましくは、グリコピロニウムは、グリコピロニウム臭化物であるか、またはその当量で使用される。
【0034】
好ましい実施形態では、水性製剤は、全製剤の重量で、1.0~2.0重量%のグリコピロニウム等価物、70~98重量%の水相、21℃において3.0~6.0の範囲内のpHを有する製剤を提供するための皮膚科学的に許容されるpH調整剤を含む。
【0035】
一実施形態では、容器は、皮膚病の治療に使用するための水性製剤を含み、前記治療は、全製剤の重量で、1.0~2.0重量%のグリコピロニウム等価物、70~98重量%の水相、クエン酸塩を含む皮膚科学的に許容されるpH調整剤を含む水性製剤をヒト患者に局所的に投与することを含み、製剤は、21℃において3.0~6.0、好ましくは3.0~4.0の範囲内のpHを有する。皮膚病は、たとえば、原発性または続発性多汗症であり得る。
【0036】
一実施形態では、抗コリン剤は「イプラトロピウム」である。本明細書で使用される「イプラトロピウム等価物」は、薬物(8-メチル-8-プロパン-2-イル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)3-ヒドロキシ-2-フェニルプロパン酸塩を指す。一般的に、イプラトロピウムは、薬学的に許容される塩の形態で水性製剤の中に存在する。薬学的に許容される塩は、臭化イプラトロピウム無水物もしくは一水和物、または塩化イプラトロピウムから適切に選択される。好ましくは、イプラトロピウムは、臭化イプラトロピウム、より好ましくは臭化イプラトロピウム一水和物である。好ましくは、本明細書で使用されるイプラトロピウムは、無水物または一水和物の臭化イプラトロピウムを指す。一般的に、一水和物の臭化イプラトロピウムは、20℃において水(10mg/mL)に溶けやすい。好ましくは、イプラトロピウム等価物は、0.01~2重量%、より好ましくは0.3~1.5重量%、よりいっそう好ましくは0.5~1.0重量%の量で、水性製剤の中に存在する。
【0037】
好ましい実施形態では、水性製剤は、全製剤の重量で、0.01~2重量%のイプラトロピウム等価物、70~98重量%の水相、21℃において3.0~6.0の範囲内のpHを有する製剤を提供するための皮膚科学的に許容されるpH調整剤を含む。皮膚病は、たとえば、原発性または続発性多汗症であり得る。
【0038】
一実施形態では、抗コリン剤は「チオトロピウム」である。本明細書で使用される「チオトロピウム等価物」は、薬物(1α, 2β, 4β, 5α, 7β)-7 -[(ヒドロキシジ-2-チエニルアセチル)オキシ]-9,9-ジメチル-3-オキサ-9-アゾニアトリシクロ[3.3.1.02,4]ノナン、およびそれらの塩を指す。適切な塩は、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、C1~C4アルキル硫酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、および安息香酸塩である。好ましくは、本明細書で使用されるチオトロピウムは、無水物または一水和物の臭化チオトロピウムを指す。チオトロピウム等価物、好ましくは臭化チオトロピウムは、0.0001~1.5重量%、好ましくは0.001~1.0重量%、より好ましくは0.01~1.0重量%、よりいっそう好ましくは0.025~1.0重量%、さらにより好ましくは0.05~0.5重量%の量で、水性製剤の中に存在する。好ましくは、水性製剤は、0.001~1.0重量%のチオトロピウム等価物、より好ましくは0.01~1.0重量%、よりいっそう好ましくは0.025~0.05重量%のチオトロピウム等価物、好ましくは臭化チオトロピウムを含む。一般的に、チオトロピウム等価物は、薬学的に許容される塩の形態で水性製剤の中に存在する。薬学的に許容される塩は、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、C1~C4アルキル硫酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、および安息香酸塩から成る群から選択される。チオトロピウム等価物は、無水または一水和物であり得る。好ましくは、チオトロピウム等価物は、一水和物である。より好ましくは、チオトロピウム等価物は、臭化チオトロピウム一水和物、または塩化チオトロピウム一水和物、最も好ましくは臭化チオトロピウム一水和物である。
【0039】
好ましい実施形態では、容器は、皮膚病の治療に使用するための水性製剤を含有し、前記治療は、全製剤の重量で、0.0001~1.5重量%のチオトロピウム等価物、70~99.9重量%の水相、クエン酸塩を含む皮膚科学的に許容されるpH調整剤を含む水性製剤をヒト患者に局所的に投与することを含み、製剤は、21℃において3.0~6.0、好ましくは3.0~5.5の範囲内のpHを有する。皮膚病は、たとえば、原発性または続発性多汗症であり得る。
【0040】
本発明は、添付の図面を参照しながら以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1A】開位置における本発明による腋の下スプレー放出デバイスの等角図である。
【
図1B】閉位置における
図1Aの腋の下スプレー放出デバイスの背面等角図である。
【
図1D】第2の筐体部が閉位置にあるときにポンプの作動を妨げるための阻止機構を示す図である。
【
図1E】第2の筐体部が閉位置にあるときにポンプの作動を妨げるための阻止機構を示す図である。
【
図1F】第2の筐体部が開位置にあるときにポンプが筐体の外に移動するのを防止するためのラッチの詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1Aおよび
図1Bはそれぞれ、開位置および閉位置にある本発明による腋の下スプレー放出デバイス1の等角正面図および等角背面図を示す。
図1Cは、開位置にある同じデバイスの分解組立図を示す。腋の下スプレー放出デバイス1は、医療用有効成分を収容する容器10(
図1Cに示される)と流体接続しているポンプ20(同じく
図1Cに示される)を包含する筐体100を含む。医療用有効成分は、多汗症を治療するためのものであり得、一般的に、人の腋の下または腋窩にのみ、ポンプ20のスプレー吐出オリフィス21を介してそのスプレー軸Sに沿って噴射されるように意図される。人の体の他の部位への接触、および特に医療用有効成分の吸入は、全体的に回避されるべきである。筐体100は、第1の部分110、および第1の部分110にヒンジで接続された第2の部分120、ならびに第1の部分110と第2の部分の両方に取り付けられ、外周遠位縁部133を有する柔軟な覆い130を含む。第2の部分120は、
図1Aに示される開位置と
図1Bに示される閉位置との間で第1の部分110に対して回転軸R回りにヒンジで接続される。開位置にあるとき、人は、その外周遠位縁部133を有する覆い130を、スプレーで治療されるべき皮膚の対象領域の上の彼または彼女の腋窩に対して設置することができる。このようにして、皮膚の領域、覆い、ならびに第1および第2の部分によって画定される体積は、スプレーの漏れに対して実質的に封止され、それにより、不用意なスプレーの吸入および皮膚の対象領域以外の皮膚とのスプレーの接触は、実質的に回避され得る。第1および第2の部分の内面111、121は、対応する吸液材料の層115、116で部分的にカバーされる。
【0043】
第1の筐体部110および第2の筐体部120はそれぞれ、覆い130の外周遠位縁部と接触している遠位縁部113、123を含む。
【0044】
デバイス1は、人が筐体の外面のみに触れることによって、第2の部分120が、閉位置から開位置にまたはその逆に回転軸R回りに第1の部分110に対して回転するように折り畳まれ得る。通常使用の間、人の指は、第1および第2の部分ならびに覆いの内面111、121および131と接触する必要はなく、それらの内面は、スプレーが付着し得るデバイスの面、すなわちデバイスの「湿潤面」に面する。
【0045】
図1Cは、容器10およびポンプ20がより明確に見える、
図1Aおよび
図1Bのデバイス1の分解組立図を示す。容器は、スプレーオリフィス21に近接する外周部11と、容器の反対側の遠位端における終端面12とを有する。
図1Aおよび
図1Bに示される組み立てられた状態にあるとき、本体40は、容器10から離れて面するポンプの面上でポンプ20の少なくとも一部を取り囲む。本体40には、スプレーオリフィス21がその中に配置されるノズル22の外面と部分的に当接して外面をその中に収容するための陥凹縁部42が設けられ、それにより、組み立てられた状態において、ポンプ20は本体40に対して回転可能に固定され、本体の終端面44は第2の部分の終端面124に当接する。このようにして、本体40の終端面44ならびにそれと接触しているポンプの終端面24は、終端面124の面においてデバイスから滑り出るのを妨げられ、ポンプ20のスプレーオリフィス21が第1の筐体部110の開口Oと整列されたままであることが確保される。
【0046】
組み立てられると、容器10は、回転軸Rに沿って第1および第2の筐体部110、120に対して並進可能であり、それにより、容器の終端面12をポンプ20の方に押圧することでポンプが作動し、それにより有効成分が吐出オリフィス21の外に噴射される。
【0047】
デバイスが閉じられているときに不用意に開くことを防止するために、第1および第2の筐体部110および120には、ロック機構141、142が設けられる。デバイスが
図1Bに示される閉位置にあるとき、
図1Bに示されるロック位置の方に付勢されるスライドボタン141が、回転軸Rに垂直である方向Uに沿って移動されなければならず、それにより、ボタン141の一部が第1の筐体部の中の対応するノッチ142の外に移動し、このようにして、第2の筐体部が
図1Aに示される開位置まで回転することを可能にする。
【0048】
図1Bに示すように、第1の筐体部110には、透視部の窓119が設けられ、それは容器10の透明な外周面11を見ることを可能にし、それにより、ユーザは、容器10が医療用有効成分を含有する水溶液で満たされている程度を容易に見ることができる。
【0049】
図1Dおよび
図1Eは同じデバイスの詳細を示し、デバイスには、第2の部分120が閉位置にあるときに、ポンプの作動を妨げるための阻止機構47、17が設けられていることを示すために、第1の筐体部は省略されている。阻止機構は、容器10の外面内で回転軸Rに平行に延びる溝17を含む。阻止機構は、本体40の一部であって溝17に嵌合するように適応された突出部47をさらに含む。
図1Dでは、第2の部分120が、覆い130の遠位縁部133がそれ自体の上に折り畳まれる閉位置において示される。この位置では、突出部47は、溝17に対して整列されておらず、突出部47の遠位端は、容器の縁部18に接触して、容器10の表面12がスプレーオリフィスの方に移動するのを阻止する。デバイスが閉位置にあるときにポンプが不用意に作動することが、このようにして防止される。
図1Eは、突出部47が溝17と整列されて溝17に部分的に挿入され、ポンプ20を作動させるために表面12をスプレー開口の方に押圧することを可能にする、開位置にあるデバイスを示す。
【0050】
図1Dおよび
図1Eは、第1の筐体部110(図示せず)と第2の筐体部の両方に接続され、第2の筐体部を開位置の方に付勢するばね45をさらに示す。したがって、スライドボタン141がノッチ142(
図1Aおよび
図1Cに示される)の外に移動されるとき、デバイスは、ユーザが覆い130の縁部133に触れる必要なしに開く。
【0051】
ポンプおよび容器は、筐体内に取り外し可能に配置され、たとえば容器を再充填するためまたは空の容器を医療用有効成分で満たされた別の容器と交換するために、これらを交換することを可能にする。一般的使用の間、容器は筐体内で滑動することができるが、容器とポンプの両方は、筐体から完全に滑り出ることを妨げられる。
図1Fは、これが、第2の筐体部が開位置にあるときに、第2の筐体部の内向き縁部127を捕捉するラッチ118によってどのように達成され得るかを示す。ラッチ118は、ラッチ118がポンプ20に対して並進可能に固定されるように、直接ポンプ20に、または本体40を介して特に本体の突出部47を介してポンプ20に取り付けられる。第2の筐体部120が図示の開位置にあるとき、ラッチ118は、ポンプ20が筐体から滑り出るのを防止するように、第2の筐体部の内向き縁部127を捕捉する。第2の筐体部120が閉位置に移動されると、ラッチ118は、ラッチがもはや縁部127を捕捉しなくなるように、第1の筐体部内の陥凹部128と整列し、ポンプが筐体から除去され得ることを、たとえば、容器を引き出すことによって、および/またはラッチを半径方向内向きに徐々に押して、ラッチを第2の筐体部120の開端125の方に滑らせることによって可能にし、その開端125は、容器12およびポンプがそこを通過することを可能にする寸法である。筐体が閉じられているときだけ、ポンプおよび/または容器が交換および/または除去され得ることを確実にすることによって、ユーザが不用意に医療用有効成分と接触するリスクがさらに低減される。
【0052】
図2Aおよび
図2Bは、回転軸Rに垂直の平面を通り、かつ開位置および閉位置それぞれにおけるスプレー吐出オリフィス21を通る、
図1Aの腋の下スプレー放出デバイスの断面図を示す。
図2Aに示される開位置にあるとき、外周縁部133の湾曲部は、前記縁部が人の腋窩に対するように、実質的に縁部の全長に沿って縁部が人の皮膚と接触するようにデバイスを設置することを可能にする。開位置では、スプレー軸Sは、第1および第2の筐体部110、120の遠位縁部113および123から実質的に等距離にある。
図2Bに示される閉位置では、スプレー軸Sは、第2の筐体部120と交差し、第1の筐体部の遠位縁部よりも、第2の筐体部の遠位縁部123の近くに位置する。
図2Aおよび
図2Bは、デバイスを開閉するとき、第2の筐体部はスプレー軸Sに対して移動するが、第1の筐体部はスプレー軸Sに対して不動のままであることを示す。
【0053】
図2Cは、開位置における本発明のデバイスの正面図を示し、3.5cmの半径Xを有する仮想円Cが概略的に描かれている。見て分かるように、ここでは視線方向に垂直に示されるスプレー軸Sは、覆い130の外周縁部133から少なくとも半径Xだけ離隔される。
【0054】
本発明は、図面に示されるいくつかの例示的な実施形態を参照しながら上記で説明された。いくつかの部品または要素の修正形態および代替実装形態が可能であり、添付の特許請求の範囲の中で定義される保護の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1 腋の下スプレー放出デバイス
10 容器
11 外周部
12 終端面
17 溝、阻止機構
18 縁部
20 ポンプ
21 スプレーオリフィス、吐出オリフィス
22 ノズルの外面
24 終端面
40 本体
42 陥凹縁部
44 終端面
45 ばね
47 突出部、阻止機構
100 筐体
110 第1の筐体部、第1の部分
111 内面
113 遠位縁部
115 層
116 層
118 ラッチ
119 透視部、透視部の窓
120 第2の筐体部、第2の部分
121 内面
123 遠位縁部
124 終端面
125 開端
127 内向き縁部
128 陥凹部
130 覆い
131 覆い
133 外周遠位縁部
141 ロック機構、スライドボタン
142 ロック機構、ノッチ
【国際調査報告】