(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置及びニッケルコバルトマンガン硫酸溶液中の鉄イオンの低温連続除去方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/64 20230101AFI20240514BHJP
B01F 23/43 20220101ALI20240514BHJP
B01F 23/53 20220101ALI20240514BHJP
B01F 27/112 20220101ALI20240514BHJP
B01F 27/191 20220101ALI20240514BHJP
B01F 27/90 20220101ALI20240514BHJP
B01F 23/21 20220101ALI20240514BHJP
B01F 23/45 20220101ALI20240514BHJP
B01F 25/10 20220101ALI20240514BHJP
C22B 3/44 20060101ALI20240514BHJP
C22B 3/22 20060101ALI20240514BHJP
C22B 47/00 20060101ALI20240514BHJP
C22B 23/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C02F1/64 Z
B01F23/43
B01F23/53
B01F27/112
B01F27/191
B01F27/90
B01F23/21
B01F23/45
B01F25/10
C22B3/44 101Z
C22B3/22
C22B47/00
C22B23/00 102
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563971
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 CN2022088140
(87)【国際公開番号】W WO2022228264
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】202110446037.7
(32)【優先日】2021-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518458056
【氏名又は名称】湖南金源新材料股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】劉訓兵
(72)【発明者】
【氏名】彭燦
(72)【発明者】
【氏名】劉振
(72)【発明者】
【氏名】周群成
(72)【発明者】
【氏名】王子
(72)【発明者】
【氏名】董雄武
(72)【発明者】
【氏名】呉山木
(72)【発明者】
【氏名】欧陽剣君
【テーマコード(参考)】
4D038
4G035
4G078
4K001
【Fターム(参考)】
4D038AA10
4D038AB66
4D038AB79
4D038BB13
4D038BB14
4D038BB16
4D038BB17
4G035AB04
4G035AB36
4G035AB38
4G035AB46
4G078AA02
4G078AB01
4G078AB11
4G078BA05
4G078CA02
4G078DA01
4K001AA07
4K001AA16
4K001AA19
4K001BA19
4K001DB16
4K001DB22
4K001JA01
(57)【要約】
ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置及びニッケルコバルトマンガン硫酸溶液
中の鉄イオンの低温連続除去方法を提供する。ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除
鉄装置において、除鉄反応器(2)及び熟成反応器(9)が設けられ、除鉄反応器(2)
内に撹拌機(3)が設けられ、熟成反応器(9)内に熟成反応器撹拌機(7)が設けられ
、除鉄反応器(2)内に除鉄反応器内筒(5)が設けられ、除鉄反応器(2)と除鉄反応
器内筒(5)の介在層との間に混合供給管(12)及び炭酸塩溶液供給管(4)が設けら
れ、混合供給管(12)のトップに予熱装置のミキサー(1)が設けられ、ミキサー(1
)に圧縮空気入口(11)及び除鉄対象液供給口(10)が設けられ、熟成反応器(9)
に石粉自動供給装置(8)が設けられる。除鉄方法も提供される。設備への要件が低く、
省エネ化が図られ、連続的生産が可能で、生産能力・効率が大幅に向上し、酸化剤を添加
せずに2価鉄イオンを3価に酸化することが可能で、除鉄率が99.5%以上であるなど
の利点がある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除鉄反応器及び熟成反応器が設けられ、除鉄反応器内に第1撹拌機が設けられ、熟成反応
器内に第2撹拌機が設けられ、除鉄反応器及び熟成反応器がオーバーフローポート接続管
を介して接続されているニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置であって、
除鉄反応器内に除鉄反応器内筒が設けられ、除鉄反応器と除鉄反応器内筒の介在層との間
に混合供給管及び炭酸塩溶液供給管が設けられ、混合供給管のトップにミキサーが設けら
れ、ミキサーに圧縮空気入口及び除鉄対象液供給口が設けられ、熟成反応器に石粉自動供
給装置が設けられる、ことを特徴とするニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置
。
【請求項2】
前記ミキサーには、上部が大きく下部が小さいはし状構造の混合タンクが設けられ、混合
タンクの下表面に電気加熱部が設けられ、圧縮空気入口は混合タンクのトップに設けられ
、除鉄対象液供給口は、除鉄対象液が側面から圧縮空気と正接するように、混合タンクの
側面に設けられ、混合タンクの底部の出口の直径が混合タンクの底部の直径の1/2であ
り、混合タンクの底部の出口が混合供給管に接続され、混合供給管は電気加熱部を貫通し
ている、ことを特徴とする請求項1に記載のニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄
装置。
【請求項3】
前記混合供給管の底端が除鉄反応器の底面から30~40cm離れており、混合供給管の
出口の方向が撹拌機の撹拌方向と接し、前記炭酸塩溶液供給管が、除鉄反応器の底面から
30~40cm離れており、炭酸塩溶液供給管の出口の方向が撹拌機の撹拌方向と接する
、ことを特徴とする請求項1に記載のニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置。
【請求項4】
前記ミキサーの供給管及び炭酸塩溶液供給管は対称的に設けられている、ことを特徴とす
る請求項1に記載のニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置。
【請求項5】
前記除鉄反応器2のアスペクト比が、1.0~2.5:1である、ことを特徴とする請求
項1に記載のニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置。
【請求項6】
前記撹拌機は、モータと撹拌パドルの2つの部分からなり、撹拌パドルは、十字形二層撹
拌羽根を用い、撹拌羽根の直径が除鉄反応器の直径の1/3であり、最下層の撹拌パドル
の羽根が反応器の底部から50~80cm離れており、上下にある2つの撹拌羽根の間隔
が50~115cmであり、
前記熟成反応器撹拌機は、モータと撹拌パドルの2つの部分からなり、撹拌パドルは、十
字形二層撹拌羽根を用い、撹拌羽根の直径が、熟成反応器の直径の1/3であり、最下層
の撹拌パドルの羽根が、反応器の底部から50~80cm離れており、上下にある2つの
撹拌羽根の間隔が50~115cmである、ことを特徴とする請求項1に記載のニッケル
コバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置。
【請求項7】
前記除鉄反応器内筒は、上部と下部が開放した円筒状に構成され、接続板により除鉄反応
器の内壁に固定され、その内筒の直径が、除鉄反応器の直径の70~80%である、こと
を特徴とする請求項1に記載のニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置。
【請求項8】
ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置を用いたニッケルコバルトマンガン硫酸
溶液中の鉄イオンの低温連続除去方法であって、
炭酸塩を調製し、すなわち、まず、炭酸塩濃度が120~240g/Lであり、温度が4
0~45℃に制御される炭酸塩溶液又はスラリーを調製するステップaと、
除鉄対象溶液を注入し、すなわち、除鉄対象ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液及び圧縮
空気を予熱装置付きミキサーにより除鉄反応器内に入れるステップbと、
炭酸塩溶液を注入し、すなわち、除鉄対象ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液を注入する
とともに、調製した炭酸塩溶液又はスラリーを除鉄反応器内に加え、反応中のPH値を2
.5~3.5の間に制御するステップcと、
撹拌して反応し、すなわち、除鉄対象溶液及び炭酸塩溶液を注入する際に、注入しながら
撹拌し、その間温度を40~45℃に制御し、反応器が満たされると、反応スラリーを熟
成反応器に流入させるステップdと、
石粉を加え、すなわち、反応スラリーを熟成反応器に入れた後、撹拌を行い、その後、自
動供給装置により石粉を加えるステップeと、
溶液を濾過し、すなわち、熟成反応器が満たされると、溶液を濾過し、濾過スラグとして
鉄スラグ、濾液として除鉄後のニッケルコバルトマンガン硫酸溶液を得るステップfと、
を含む、ことを特徴とする低温連続除去方法。
【請求項9】
前記除鉄対象溶液を注入するステップにおいて、溶液の流量は、反応器の体積に基づいて
、式:流速=反応器の体積V(立方メートルメートル/(2~5.5時間))により計算
され、圧縮空気の流量は、除鉄対象溶液の流速の2~8倍である、ことを特徴とする請求
項8に記載のニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置を用いたニッケルコバルト
マンガン硫酸溶液中の鉄イオンの低温連続除去方法。
【請求項10】
前記石粉の添加量が、0.05~0.5kg/立方メートル溶液である、ことを特徴とす
る請求項8に記載のニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置を用いたニッケルコ
バルトマンガン硫酸溶液中の鉄イオンの低温連続除去方法。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか1項に記載のニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置
を用いたニッケルコバルトマンガン硫酸溶液中の鉄イオンの低温連続除去方法によって製
造されるニッケルコバルトマンガン硫酸溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非鉄金属湿式冶金の技術分野に属し、特にニッケルコバルトマンガン硫酸溶液
の除鉄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業生産において、溶液中の鉄を除去する一般的な方法は針鉄鉱法と鉄ミョウバン石ナト
リウム法である。この2つの方法は、85℃以上の高温条件下で行う必要があり、プロセ
ス中に酸化剤を添加して溶液の鉄イオン価数を制御する必要がある。また、溶液中にある
濃度のナトリウム、アンモニウムなどの他のイオンが存在することも必要とされる。以上
の2種類の除鉄方法は、操作中に各種試薬を段階的に添加し、反応時間を一定に制御する
必要があり、一般的には、単槽作業しかできない。特許公開番号がCN11118792
2A、公開日が20200522である特許には、常圧下で高ニッケル銅スルホニウムか
らニッケルを選択的に浸出する方法が開示されており、浸出液の除鉄技術が開示されてお
り、すなわち、ステップ(1)で得られた浸出液を戻して、浸出液中の鉄イオン濃度が3
0~36g/Lになるまで浸出を持続した後、浸出液に過酸化水素と硫酸カリウムを添加
し、ろ過して、除鉄後液と除鉄スラグを得る。前記除鉄後液は硫酸ニッケル溶液であり、
除鉄スラグは水洗ろ過後に鉄ミョウバンスラグとなる。過酸化水素の使用量は、鉄との反
応に必要な理論量の2倍、硫酸カリウムの使用量は、鉄との反応に必要な理論量の1.2
倍であり、除鉄温度は90~95℃であり、除鉄時間は2~4時間である。除鉄温度が高
くエネルギーが多く消費されるだけでなく、反応時間が長く、生産効率が悪い。また、過
酸化水素と硫酸カリウムが大量消費されるので、生産コストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上記の背景技術に記載の欠点及び欠陥を解決するために、除鉄温度が低
く、エネルギー消費量が少なく、生産効率が高く、過酸化水素や硫酸カリウムなどの副材
料の使用が不要で、生産コストが低い、ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置
及びニッケルコバルトマンガン硫酸溶液中の鉄イオンの低温連続除去方法を開示すること
である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の技術的解決手段の1つとして、除鉄反応器及び熟成反応器が設けられ、除鉄反応
器内に第1撹拌機が設けられ、熟成反応器内に第2撹拌機が設けられ、除鉄反応器及び熟
成反応器がオーバーフローポート接続管を介して接続されているニッケルコバルトマンガ
ン硫酸溶液用の除鉄装置であって、
除鉄反応器内に除鉄反応器内筒が設けられ、除鉄反応器と除鉄反応器内筒の介在層との間
に混合供給管及び炭酸塩溶液供給管が設けられ、混合供給管のトップにミキサーが設けら
れ、ミキサーに圧縮空気入口及び除鉄対象液供給口が設けられ、熟成反応器に石粉自動供
給装置が設けられる。
【0005】
さらに、前記ミキサーには、上部が大きく下部が小さいはし状構造の混合タンクが設けら
れ、混合タンクの下表面に電気加熱部が設けられ、圧縮空気入口は混合タンクのトップに
設けられ、除鉄対象液供給口は、除鉄対象液が側面から圧縮空気と正接するように、混合
タンクの側面に設けられ、混合タンクの底部の出口の直径が混合タンクの底部の直径の1
/2であり、混合タンクの底部の出口が混合供給管に接続され、混合供給管は電気加熱部
を貫通している。
【0006】
さらに、混合タンクの高さが、ミキサー全体の高さの25~35%、好ましくは30%を
占める。作用:混合後の材料のミキサーにおける加熱保温時間を確保し、この高さにより
加温時間が増加したり減少したりすると、加温効果が影響を受ける。
【0007】
さらに、前記混合供給管の底端が除鉄反応器の底面から30~40cm、好ましくは35
cm離れており、混合供給管の出口の方向が撹拌機の撹拌方向と接する。作用:混合材料
の入口を撹拌パドルよりも低くし、撹拌パドルによる吸引力で混合を強化する一方、混合
材料の入口が撹拌方向と正接することにより、供給される材料が反応器内の材料と迅速に
混合し、反応速度を速めるのに有利である。
【0008】
さらに、前記ミキサーの供給管及び炭酸塩溶液供給管は対称的に設けられている。それに
より、混合液と炭酸塩溶液が対称的に分布することによって、撹拌状態では、一定の反応
時間が与えられ、PH値の安定性が向上し、両方が近すぎると、反応器内にPH値が高す
ぎる領域が生じてしまい、主元素が損失される。
【0009】
さらに、前記除鉄反応器のアスペクト比が、1.0~2.5:1、好ましくは1.5~2
.0:1である。作用:アスペクト比は、主に、混合液と炭酸塩が反応器の底部で反応を
起こした後、撹拌力の作用により反応器内で所定反応時間だけ保持されるしか、オーバー
フローポートに至って熟成反応器に流れることができないことを考慮したものである。
【0010】
さらに、前記第1撹拌機は、モータと撹拌パドルの2つの部分からなり、撹拌パドルは、
十字形二層撹拌羽根を用い、撹拌羽根の最大直径が除鉄反応器の直径の1/3であり、最
下層の撹拌パドルの羽根が、反応器の底部から50~80cm、好ましくは60~70c
m離れており、上下にある2つの撹拌羽根の間隔が、50~115cm、好ましくは60
~100cm、70~90cm、80cmである。作用:底部からの羽根の距離は、混合
液、炭酸塩溶液の入口よりも上に羽根が維持されるためであり、羽根の長さは、主に撹拌
強度を確保するものであり、羽根の長さが大きすぎると、モータの負荷を増大する一方、
過度の撹拌強度により反応器の流体が乱れて混合効果が悪影響を受ける。2層の撹拌パド
ルの羽根の距離は、所定の撹拌強度を確保するためであり、この距離が小さすぎると、反
応器の上部での混合強度が不十分になり、距離が大きすぎると、上下に2つの層流が生じ
て、反応が不均一になり、除鉄反応に不利である。
【0011】
さらに、前記炭酸塩溶液供給管は、除鉄反応器の底面から30~40cm、好ましくは3
5cm離れており、炭酸塩溶液供給管の出口の方向が、第1撹拌機の撹拌方向と接する。
作用:炭酸塩溶液の入口が撹拌パドルよりも低く、撹拌パドルの吸引力により混合が強化
される一方、炭酸塩溶液の入口が撹拌方向と正接することにより、供給される材料快速が
反応器内の材料と迅速に混合され、反応速度を速めるのに有利である。
【0012】
さらに、前記除鉄反応器内筒は、上部と下部が開放した円筒状に構成され、接続板により
除鉄反応器の内壁に固定され、その内筒の直径が、除鉄反応器の直径の70~80%であ
る。作用:反応器内筒は、上下を循環させるような状態に反応器内の流体を制御する役割
を果たし、混合液及び炭酸塩溶液は撹拌による吸引力の作用により底部から上へ混合しな
がら上昇し、筒体の上端から筒体外と反応器の壁部との間隙に流れ、反応槽全体における
流体に駆動されて、下へ移動し、再び筒体の底部から撹拌機に入り、このように、流体の
循環運動状態が得られる。
【0013】
さらに、前記第2撹拌機は、モータと撹拌パドルの2つの部分からなり、撹拌パドルは、
十字形二層撹拌羽根を用い、撹拌羽根の直径が、熟成反応器の直径の1/3であり、最下
層の撹拌パドルの羽根が、反応器の底部から50~80cm、好ましくは60~70cm
離れており、上下にある2つの撹拌羽根の間隔が50~115cm、好ましくは60~1
00cm、70~90cm、80cmである。作用:この反応器は、熟成反応器であって
、除鉄反応器と同じ参数を有するが、熟成反応器の撹拌回転数が、鉄反応器の撹拌回転数
よりもはるかに小さい。底部からの羽根の距離は、熟成中に固体粒子が反応槽の底部に沈
降しないようにし、底部から遠すぎると、沈降が発生し、底部から近すぎると、モータの
負荷が増大する。羽根の直径は、底部からの距離と同様な作用を果たし、この直径が小さ
すぎると、固体粒子が沈降しやすく、この直径が大きすぎると、モータの負荷が増大する
。2つの羽根の間の距離は主に撹拌の強度を確保するためであり、距離が短すぎると、上
部の撹拌強度が低すぎ、距離が長すぎると、上下にある2つの撹拌層流が生じてしまい、
熟成反応に不利となる。
【0014】
さらに、前記石粉自動供給装置は、電磁弁により自動的に制御され、入力を通じて供給速
度や供給量を制御して材料供給を自動的に行う。
【0015】
本発明では、ミキサー1には、上部が大きく下部が小さいはし状構造の混合タンクが設け
られるので、圧縮空気がトップから直接噴射され、除鉄対象液が側面から圧縮空気と正接
し、混合タンクの圧力が急に増大し、混合強度が大幅に高まり、混合タンクの底部の出口
がさらに混合タンクの底部の直径の1/2と小さくなり、それに加えて、混合タンクの下
表面に電気加熱部が設けられることにより、圧縮空気と除鉄対象液が微泡状の流れになり
、加熱されてから、反応器内に入り、このように、2価鉄の酸化が促進される。
【0016】
本発明の別の技術的解決手段として、ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置を
用いたニッケルコバルトマンガン硫酸溶液中の鉄イオンの低温連続除去方法であって、
炭酸塩を調製し、すなわち、まず、炭酸塩濃度が120~240g/Lであり、温度が4
0~45℃に制御される炭酸塩溶液又はスラリーを調製するステップaと、
【0017】
除鉄対象溶液を注入し、すなわち、除鉄対象ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液及び圧縮
空気を予熱装置付きミキサーにより除鉄反応器内に入れるステップbと、
【0018】
炭酸塩溶液を注入し、すなわち、除鉄対象ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液を注入する
とともに、調製した炭酸塩溶液又はスラリーを除鉄反応器内に加え、反応中のPH値を2
.5~3.5の間に制御するステップcと、
【0019】
撹拌して反応し、すなわち、除鉄対象溶液及び炭酸塩溶液を注入する際に、注入しながら
撹拌し、その間温度を40~45℃に制御し、反応器が満たされると、反応スラリーを熟
成反応器に流入させるステップdと、
【0020】
石粉を加え、すなわち、反応スラリーを熟成反応器に入れた後、撹拌を行い、その後、自
動供給装置により石粉(炭酸カルシウムを主成分とする)を加えるステップeと。
【0021】
溶液を濾過し、すなわち、熟成反応器が満たされると、溶液を濾過し、濾過スラグとして
鉄スラグ、濾液として除鉄後のニッケルコバルトマンガン硫酸溶液を得るステップfと、
を含むことを特徴とする。
【0022】
さらに、前記炭酸塩は、炭酸コバルト、炭酸ニッケル、炭酸マンガン、炭酸ナトリウムの
うちの1種又は複数種である。
【0023】
さらに、前記炭酸塩の濃度は、130~220g/Lに調製され、好ましくは、140~
200g/L、150~180g/L、160~170g/L、又は120~130g/
L、130~140g/L、140~150g/L、150~160g/L、160~1
70g/L、170~180g/L、180~190g/L、190~200g/L、2
00~210g/L、210~220g/L、220~230g/Lであってもよい。
【0024】
さらに、前記炭酸塩を調製する温度は、40~45℃に制御され、41~42℃、43~
44℃であってもよい。
【0025】
さらに、前記除鉄対象溶液を注入するステップにおいて、溶液の流量は、反応器の体積に
基づいて、式:流速=反応器の体積V(立方メートルメートル/(2~5.5時間))よ
り計算され、圧縮空気の流量は、除鉄対象溶液の流速の2~8倍、好ましくは、3~7倍
、4~6倍、5倍である。
【0026】
このステップの流速は、除鉄反応器内での停留時間、すなわち反応時間を制御し、反応を
十分に行って水酸化鉄を生成し、鉄を溶液から除去するためであり、圧縮空気の流速は、
酸化反応の度合を決定する。実験データを表1及び表2に示す。
【0027】
表1 5倍の圧縮空気での24.72立方メートル反応器の流速による溶液の鉄除去の対
照表
【0028】
【0029】
表2 流速8m3/h、24.72立方メートルの反応器の圧縮空気流量による溶液鉄除
去の対照表
【0030】
【0031】
さらに、前記除鉄対象溶液を注入するステップにおいて、予熱装置の温度が、40~45
℃に制御され、41~42℃、43~44℃であってもよい。
【0032】
さらに、前記石粉の添加量が、溶液加1立方メートルあたり、0.05~0.5kg/立
方メートル、好ましくは、0.10~0.45kg/立方メートル、0.15~0.40
kg/立方メートル、0.20~0.35kg/立方メートル、0.25~0.30kg
/立方メートルである。
【0033】
このステップは、熟成中に生じた水酸化鉄沈殿から石灰石の作用により濾過性に優れた混
合スラグを生成するためであり、実験データは表3に示される。
【0034】
表3 様々なカルシウム添加量における濾過時間の対照表
【0035】
【0036】
本発明において、40~45℃の低温で、除鉄対象液(ニッケルコバルトマンガン硫酸溶
液)及び炭酸塩的溶液又はスラリーを合流して除鉄反応器に連続して加え、圧縮空気と除
鉄対象液から所定の割合や圧力の条件で多くのマイクロバブルを発生させ、溶液中の2価
鉄イオンを3価に酸化し、炭酸塩の作用によりPH値を大きくして、Fe(OH)3の沈
殿を生じさせる。除鉄反応器内でスラリーが満たされると、熟成反応器内に連続して流れ
、熟成にカルシウムを加える技術によって、生成された水酸化鉄コロイドを熟成中におい
て増大し、その表面を修飾し、添加されたカルシウムから濾過性に優れた混合スラグを形
成し、これによって、鉄を除去する。
【発明の効果】
【0037】
本発明は、以上の技術案を採用するため、以下の利点がある。(1)40~45℃の低温
で除鉄を行うため、設備への要件が低く、省エネ化が図られる。
【0038】
(2)合流添加方式により、連続化生産が実現され、生産能力・効率が大幅に向上する。
【0039】
(3)圧縮空気と除鉄対象液を加圧して強く混合し、このような過程において多くのマイ
クロバブルを発生させ、酸化剤を添加せずに2価鉄イオンを3価に酸化する。
【0040】
(4)熟成にカルシウムを加える技術によって、生成された水酸化鉄コロイドを熟成中に
おいて増大し、その表面を修飾し、添加されたカルシウムから濾過性に優れた混合スラグ
を形成する。
【0041】
(5)除鉄率は99.5%以上である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の除鉄装置の構造の概略的な正面断面図である。
【0043】
【0044】
【
図3】本発明のミキサーの構造の拡大概略図である。[符号の説明]
【0045】
1 ミキサー
2 除鉄反応器
3 第1撹拌機
4 炭酸塩溶液供給管
5 除鉄反応器内筒
5 オーバーフローポート接続管
7 第2撹拌機
8 石粉自動供給装置
9 熟成反応器
10 除鉄対象液供給口
11 圧縮空気入口
12 混合供給管
13 混合供給管出口
14 炭酸塩溶液供給管出口
15 混合タンク
16 加熱部
17 接続板
18 ブラケット
【発明を実施するための形態】
【0046】
ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置を用いたニッケルコバルトマンガン硫酸
溶液中の鉄イオンの低温連続除去方法は、以下のステップを含む。
a.炭酸塩の調製:まず、炭酸塩濃度が220g/Lであり、温度が45℃に制御される
炭酸塩溶液又はスラリーを調製する。
【0047】
b.除鉄対象溶液の注入:除鉄対象ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液及び圧縮空気を予
熱装置付きミキサーにより除鉄反応器内に入れる。
【0048】
c.炭酸塩溶液の注入:除鉄対象ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液を注入するとともに
、調製した炭酸塩溶液又はスラリーを除鉄反応器内に加え、反応中のPH値を3.0に制
御する。
【0049】
d.撹拌反応:除鉄対象溶液及び炭酸塩溶液を注入する際に、注入しながら撹拌し、その
間温度を45℃に制御し、反応器が満たされると、反応スラリーが熟成反応器に入る。
【0050】
e.石粉の添加:反応スラリーを熟成反応器に入れた後、撹拌を行い、その後、自動供給
装置により石粉(炭酸カルシウムを主成分とする)を加える。
【0051】
f.溶液濾過:熟成反応器が満たされると、溶液を濾過し、濾過スラグとして鉄スラグ、
濾液として除鉄後のニッケルコバルトマンガン硫酸溶液を得る。
【0052】
ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置において、除鉄反応器及び熟成反応器が
設けられ、除鉄反応器内に第1撹拌機が設けられ、熟成反応器内に第2撹拌機が設けられ
、除鉄反応器及び熟成反応器がオーバーフローポート接続管を介して接続され、除鉄反応
器内に除鉄反応器内筒が設けられ、除鉄反応器と除鉄反応器内筒の介在層との間に混合供
給管及び炭酸塩溶液供給管が設けられ、混合供給管のトップにミキサーが設けられ、ミキ
サーに圧縮空気入口及び除鉄対象液供給口が設けられ、熟成反応器に石粉自動供給装置が
設けられる。前記ミキサーには、上部が大きく下部が小さいはし状構造の混合タンクが設
けられ、混合タンクの下表面に電気加熱部が設けられ、圧縮空気入口は混合タンクのトッ
プに設けられ、除鉄対象液供給口は、除鉄対象液が側面から圧縮空気と正接するように、
混合タンクの側面に設けられ、混合タンクの底部の出口の直径が、混合タンクの底部の直
径の1/2であり、混合タンクの底部の出口が、混合供給管に接続され、混合供給管は電
気加熱部を貫通している。混合タンクの高さが、ミキサー全体の高さの30%である。前
記混合供給管の底端が、除鉄反応器の底面から35cm離れており、混合供給管の出口の
方向が第1撹拌機の撹拌方向と接する。前記ミキサーの供給管及び炭酸塩溶液供給管は対
称に設けられる。前記除鉄反応器のアスペクト比が、1.5~2.0:1である。前記第
1撹拌機は、モータと撹拌パドルの2つの部分からなり、撹拌パドルは、十字形二層撹拌
羽根を用い、撹拌羽根の最大直径が除鉄反応器の直径の1/3であり、最下層の撹拌パド
ルの羽根が、反応器の底部から60~70cm離れており、上下にある2つの撹拌羽根の
間隔が80~100cmである。前記炭酸塩溶液供給管は、除鉄反応器の底面から35c
m離れており、炭酸塩溶液供給管の出口の方向が、第1撹拌機の撹拌方向と接する。前記
除鉄反応器内筒は、上部と下部が開放した円筒状に構成され、接続板により除鉄反応器の
内壁に固定され、その内筒の直径が、除鉄反応器の直径の70~80%である。前記第2
撹拌機は、モータと撹拌パドルの2つの部分からなり、撹拌パドルは十字形二層撹拌羽根
を用い、撹拌羽根の直径が、熟成反応器の直径の1/3であり、最下層の撹拌パドルの羽
根が、反応器の底部から60~70cm鼻有れており、上下にある2つの撹拌羽根の間隔
が80~100cmである。
本発明の実施形態
【0053】
本発明をより明確に理解するために、以下、
図1~3を参照して、実施例をもって本発明
についてさらに説明する。
【0054】
実施例1
ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置において、除鉄反応器2及び熟成反応器
9が設けられ、除鉄反応器2内に第1撹拌機3が設けられ、熟成反応器9内に第2撹拌機
7が設けられ、除鉄反応器2及び熟成反応器9がオーバーフローポート接続管5を介して
接続され、除鉄反応器2内に除鉄反応器内筒5が設けられ、除鉄反応器2と除鉄反応器内
筒5の介在層との間に混合供給管12及び炭酸塩溶液供給管4が設けられ、混合供給管1
2のトップに予熱装置のミキサー1が設けられ、ミキサー1に圧縮空気入口11及び除鉄
対象液供給口10が設けられ、熟成反応器9に石粉自動供給装置8が設けられる。前記ミ
キサー1には、上から下に向かって狭くなるはし状構造の混合タンク15が設けられ、前
記圧縮空気入口11は混合タンク15のトップに設けられるので、圧縮空気がトップから
直接噴射され、除鉄対象液供給口10が、除鉄対象液が側面から圧縮空気と正接するよう
に、混合タンク15の側面に設けられ、混合タンク15の底部の出口の直径が、混合タン
クの底部の直径の1/2であり、それにより、圧縮空気と除鉄対象液が微泡状の急流とし
て除鉄反応器2内に入る。混合タンク15の下表面に、電気加熱部16がもうけられ、混
合タンク15の底部の出口が混合供給管12に接続され、混合供給管12は電気加熱部1
6を貫通している。混合タンク15はミキサー1全体の長さの25~35%を占める。
【0055】
本実施例1では、設備の構造が簡単で、製造コストが低く、連続法による生産が可能であ
るので、その途中の停止時間が省略され、生産効率が大幅に向上し、生産能力もその分向
上する。
【0056】
実施例2
ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置において、除鉄反応器2及び熟成反応器
9が設けられ、前記除鉄反応器2のアスペクト比が、1:1である。除鉄反応器2内に第
1撹拌機3が設けられ、前記第1撹拌機3は、モータと撹拌パドルの2つの部分からなり
、撹拌パドルは、十字形二層撹拌羽根を用い、撹拌羽根の直径が、除鉄反応器2の直径の
1/3であり、最下層の撹拌パドルの羽根が、反応器の底部から50cm離れており、上
下にある2つの撹拌羽根の間隔が50cmである。熟成反応器9内に第2撹拌機7が設け
られる。第2撹拌機7は、モータと撹拌パドルの2つの部分からなり、モータはブラケッ
ト18に固定され、撹拌パドルは十字形二層撹拌羽根を用い、撹拌羽根の直径が、熟成反
応器9の直径の1/3であり、最下層にある撹拌パドルの羽根が、反応器の底部から50
cm離れており、上下にある2つの撹拌羽根の間隔が50cmである。除鉄反応器2と熟
成反応器9はオーバーフローポート接続管5を介して接続され、除鉄反応器2内に除鉄反
応器内筒5が設けられ、前記除鉄反応器内筒5は、上部と下部が開放した円筒状に構成さ
れ、接続板17により除鉄反応器2の内壁に固定され、その内筒の直径が、除鉄反応器2
の直径の70%である。除鉄反応器2と除鉄反応器内筒5の介在層との間に混合供給管1
2及び炭酸塩溶液供給管4が設けられ、ミキサー供給管12及び炭酸塩溶液供給管4は対
称的に設けられている。混合供給管12の底端が除鉄反応器2の底面から30cmから離
れており、混合供給管12の出口の方向が第1撹拌機3の撹拌方向と接する。前記炭酸塩
溶液供給管4が除鉄反応器2の底面から30cm離れており、炭酸塩溶液供給管4の出口
の方向が第1撹拌機3の撹拌方向と接する。混合供給管12のトップに予熱装置のミキサ
ー1が設けられ、ミキサー1に圧縮空気入口11及び除鉄対象液供給口10が設けられ、
熟成反応器9に石粉自動供給装置8が設けられる。石粉自動供給装置8は、電磁弁により
自動的に制御され、入力を通じて供給速度や供給量を制御して供給を自動的に行う。石粉
自動供給装置8では、上海北四特自動化科技有限公司製の空気圧ナイフゲートバルブによ
り供給が制御され、ゲートバルブのモデルはQZ41-50CPV24-DXZ43であ
る。
【0057】
本実施例2では、除鉄反応器と熟成反応器を協連して操作することにより、除鉄の連続化
が実現され、設備の構造が簡単で、製造コストが低く、連続法による生産が可能であるの
で、その途中の停止時間が省略され、生産効率が大幅に向上し、生産能力もその分向上す
る。
【0058】
実施例3
ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置において、除鉄反応器2及び熟成反応器
9が設けられ、前記除鉄反応器2のアスペクト比が2.5:1である。除鉄反応器2内に
第1撹拌機3が設けられ、前記第1撹拌機3はモータと撹拌パドルの2つの部分からなり
、撹拌パドルは十字形二層撹拌羽根を用い、撹拌羽根の直径が、除鉄反応器2の直径の1
/3であり、最下層の撹拌パドルの羽根が反応器の底部から80cm離れており、上下に
ある2つの撹拌羽根の間隔が115cmである。熟成反応器9内に第2撹拌機7が設けら
れる。第2撹拌機7はモータと撹拌パドルの2つの部分からなり、モータはブラケット1
8に固定され、撹拌パドルは十字形二層撹拌羽根を用い、撹拌羽根の直径が熟成反応器9
の直径の1/3であり、最下層にある撹拌パドルの羽根が反応器の底部から80cm離れ
ており、上下にある2つの撹拌羽根の間隔が115cmである。除鉄反応器2と熟成反応
器9はオーバーフローポート接続管5を介して接続され、除鉄反応器2内に除鉄反応器内
筒5が設けられ、前記除鉄反応器内筒5は、上部と下部が開放した円筒状に構成され、接
続板17により除鉄反応器2の内壁に固定され、その内筒の直径が、除鉄反応器2の直径
の80%である。除鉄反応器2と除鉄反応器内筒5の介在層との間に混合供給管12及び
炭酸塩溶液供給管4が設けられ、ミキサー供給管12及び炭酸塩溶液供給管4は対称的に
設けられている。混合供給管12の底端が除鉄反応器2の底面から40cmから離れてお
り、混合供給管12の出口の方向が、第1撹拌機3の撹拌方向と接する。前記炭酸塩溶液
供給管4が除鉄反応器2の底面から40cmは流れており、炭酸塩溶液供給管4の出口の
方向が、第1撹拌機3の撹拌方向と接する。混合供給管12のトップに予熱装置のミキサ
ー1が設けられ、ミキサー1に圧縮空気入口11及び除鉄対象液供給口10が設けられ、
熟成反応器9に石粉自動供給装置8が設けられる。石粉自動供給装置8は、電磁弁により
自動的に制御され、入力を通じて供給速度や供給量を制御して供給を自動的に行う。石粉
自動供給装置8では、上海北四特自動化科技有限公司製の空気圧ナイフゲートバルブによ
り供給が制御され、ゲートバルブのモデルはQZ41-50CPV24-DXZ43であ
る。
【0059】
本実施例3では、除鉄反応器と熟成反応器を協連して操作することにより、除鉄の連続化
が実現され、設備の構造が簡単で、製造コストが低く、連続法による生産が可能であるの
で、その途中の停止時間が省略され、生産効率が大幅に向上し、生産能力もその分向上す
る。
【0060】
実施例4
ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置を用いたニッケルコバルトマンガン硫酸
溶液中の鉄イオンの低温連続除去方法は、以下のステップを含む。a.除鉄対象ニッケル
コバルトマンガン硫酸溶液の成分は、Fe:1.15g/L、Co:26.03g/L、
Mn:5.41g/L、Ni:7.35g/Lである。b.124g/L炭酸マンガンス
ラリーを調製して、45℃で保温した。c.除鉄反応器2及び熟成反応器9は、いずれも
、直径3m、高さ4m、有効体積24.72立方メートルである。d.ミキサー1を起動
させながら、除鉄対象溶液、圧縮空気や炭酸マンガンのスラリーを注入した。除鉄対象液
の流量は10.5m3/h、圧縮空気は21m3/hである。e.ミキサーの温度は45
℃、反応器の内温は45℃、反応のPH値は3.05に制御される。f.除鉄反応器2が
満たされ、内部のものが熟成反応器9に流れると、石粉自動供給装置8を起動させ、1時
間あたりの石粉添加量を5kgにした。g.熟成反応器9が満たされると、濾過装置を起
動させて、濾過を行い、このときに、除鉄装置がバランスを取り、連続的な材料排出が可
能になり、連続化生産が実現された。h.除鉄後の溶液について成分を分析して検出した
結果、Fe:0.0055g/L、Co:25.99g/L、Mn:11.13g/L、
Ni:7.05g/Lであった。
【0061】
本実施例4では、従来の溶液除鉄技術によれば、除鉄に対応するために85℃以上の高温
条件が必要される課題を解決し、45℃の低温で溶液を除鉄することができ、溶液につい
て除鉄が行われた結果、鉄除去率は99.52%に達する。
【0062】
実施例5
ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置を用いたニッケルコバルトマンガン硫酸
溶液中の鉄イオンの低温連続除去方法は、以下のステップを含む。a.除鉄対象液(ニッ
ケルコバルトマンガン硫酸溶液)の成分は、Fe:5.22g/L、Co:16.03g
/L、Mn:3.47g/L、Ni:3.35g/Lである。b.127g/L炭酸ニッ
ケルスラリーを調製して、45℃で保温した。c.除鉄反応器2及び熟成反応器9は、い
ずれも、直径3m、高さ4m、有効体積24.72立方メートルである。d.ミキサーを
起動させながら、除鉄対象溶液、圧縮空気や炭酸マンガンのスラリーを注入した。除鉄対
象液の流量は9.9m3/h、圧縮空気は31m3/hである。e.ミキサーの温度は4
5℃、反応器の内温は45℃、反応のPH値は3.11に制御される。f.除鉄反応器2
が満たされ、内部のものが熟成反応器9に流れると、石粉自動供給装置8を起動させ、1
時間あたりの石粉添加量を4.6kgにした。g.熟成反応器9が満たされると、濾過装
置を起動させて、濾過を行った。このときに、除鉄装置がバランスを取り、連続的な材料
排出が可能になり、連続化生産が実現された。h.除鉄後の溶液について成分を分析して
検出した結果、Fe:0.0025g/L、Co:15.98g/L、Mn:3.13g
/L、Ni:9.05g/Lであった。
【0063】
本実施例5
従来の溶液除鉄技術によれば、除鉄に対応するために85℃以上の高温条件が必要される
課題を解決し、45℃の低温で溶液を除鉄することができる。鉄含有量が5.22g/L
と高い溶液について除鉄した結果、鉄除去率は99.95%に達する。この方法では、鉄
含有量が高い場合にも、追加の酸化剤を添加せずに鉄イオンを十分に除去することができ
、生産コストを下げる。
【0064】
実施例6
ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置を用いたニッケルコバルトマンガン硫酸
溶液中の鉄イオンの低温連続除去方法は、以下のステップを含む。a.除鉄対象液(ニッ
ケルコバルトマンガン硫酸溶液)の成分は、Fe:0.77g/L、Co:22.03g
/L、Mn:1.47g/L、Ni:4.31g/Lである。b.121g/L炭酸コバ
ルトスラリーを調製して、45℃で保温した。c.除鉄反応器2及び熟成反応9は、いず
れも、直径3m、高4m、有効体積24.72立方メートルである。d.ミキサー1を起
動させながら、除鉄対象溶液、圧縮空気や炭酸マンガンのスラリーを注入した。除鉄対象
液の流量は12.7m3/h、圧縮空気は30m3/hである。e.ミキサーの温度は4
5℃、反応器の内温は45℃、反応のPH値は3.13に制御される。f.除鉄反応器2
が満たされ、熟成反応器9に流れると、石粉自動供給装置8を起動させ、1時間あたりの
石粉添加量を5.2kgにした。g.熟成反応器9が満たされると、濾過装置を起動させ
て、濾過を行った。このときに、除鉄装置がバランスを取り、連続的な材料排出が可能に
なり、連続化生産が実現された。h.除鉄後の溶液について成分を分析して検出した結果
、Fe:0.0023g/L、Co:25.98g/L、Mn:1.19g/L、Ni:
4.05g/Lであった。
【0065】
本実施例6では、従来の溶液除鉄技術によれば、除鉄に対応するために85℃以上の高温
条件が必要される課題を解決し、45℃の低温で溶液を除鉄することができる。溶液の鉄
含有量が0.77g/Lと高い溶液について除鉄した結果、鉄除去率は99.70%に達
する。この方法では、鉄含有量が高くない場合にも適用することができ、プロセスの連続
性が影響を受けない。
【0066】
実施例7
ニッケルコバルトマンガン硫酸溶液用の除鉄装置を用いたニッケルコバルトマンガン硫酸
溶液中の鉄イオンの低温連続除去方法は、以下のステップを含む。a.除鉄対象液(ニッ
ケルコバルトマンガン硫酸溶液)の成分は、Fe:3.04g/L、Co:35.03g
/L、Mn:1.47g/L、Ni:14.31g/Lである。b.146g/L炭酸ナ
トリウムスラリーを調製して、45℃で保温した。c.除鉄反応器2及び熟成反応器9は
、いずれも、直径3m、高さ4m、有効体積24.72立方メートルである。d.ミキサ
ーを起動させながら、除鉄対象溶液、圧縮空気や炭酸マンガンのスラリーを注入した。除
鉄対象液の流量は11.3m3/h、圧縮空気は30m3/hである。e.ミキサーの温
度は45℃、反応器の内温は45℃、反応のPH値は3.15に制御される。f.除鉄反
応器2が満たされ、内部のものが熟成反応器9に流れると、石粉自動供給装置8を起動さ
せ、1時間あたりの石粉添加量を4.7kgにした。g.熟成反応器9が満たされると、
濾過装置を起動させて、濾過を行った。除鉄装置がバランスを取り、連続的な材料排出が
可能になり、連続化生産が実現された。h.除鉄後の溶液について成分を分析して検出し
た結果、Fe:0.0043g/L、Co:34.88g/L、Mn:1.13g/L、
Ni:14.05g/Lであった。
【0067】
本実施例7では、従来の溶液除鉄技術によれば、除鉄に対応するために85℃以上の高温
条件が必要される課題を解決し、45℃の低温で溶液を除鉄することができ、溶液につい
て除鉄が行われた結果、鉄除去率は99.86%に達する。このプロセスにカルシウムに
よる熟成技術が使用されることにより、スラグの濾過性に優れ、溶液中に鉄イオンが残留
されておらず、溶液中の鉄イオンの濃度へ影響を与えることはない。
【0068】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、当業者であれ
ば、本発明について各種の変更や変化を行うことができる。本発明の趣旨及び原則を逸脱
することなく行われる全ての修正、同等置換や改良などは、本発明の特許範囲に含まれる
ものとする。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、工業化生産に適用されており、40~45℃の低温でのニッケルコバルトマン
ガン硫酸溶液の除鉄が可能で、除鉄率が99.5%以上である。
【国際調査報告】