(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】可逆電磁弁及びそれを有する空調ユニット
(51)【国際特許分類】
F16K 31/42 20060101AFI20240514BHJP
F16K 31/122 20060101ALI20240514BHJP
F16K 3/02 20060101ALI20240514BHJP
F25B 41/34 20210101ALI20240514BHJP
【FI】
F16K31/42 A
F16K31/122
F16K3/02 D
F25B41/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564126
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 CN2022094038
(87)【国際公開番号】W WO2022242736
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】202121097730.X
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111489240.9
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】馮 忠波
(72)【発明者】
【氏名】熊 ▲ユィン▼均
【テーマコード(参考)】
3H053
3H056
【Fターム(参考)】
3H053AA25
3H053BA01
3H056AA05
3H056BB01
3H056BB32
3H056CA01
3H056CB02
3H056CC12
3H056CE03
3H056DD03
3H056DD06
3H056GG13
(57)【要約】
可逆電磁弁(100)及びそれを有する空調ユニット(200)。この可逆電磁弁(100)は、弁体(10)及び弁芯アセンブリ(20)を含み、弁体(10)の両側には第1連通口(11)及び第2連通口(12)がそれぞれ穿設され、弁体(10)は弁室(13)を有し、弁芯アセンブリ(20)は弁室(13)内で摺動することができ、弁芯アセンブリ(20)は、連結ロッド(22)と、連結ロッド(22)の両端にそれぞれ接続されるスライダユニット(23)及びピストンユニット(21)と、を含み、スライダユニット(23)は、対向して設けられる第1連通口(11)及び第2連通口(12)に近接しており、第1連通口(11)及び第2連通口(12)を同時に塞ぐことができ、ピストンユニット(21)を動かして弁室(13)内で摺動させるように、ピストンユニット(21)の両側に差圧を形成することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体及び弁芯アセンブリを含み、前記弁体の両側には第1連通口及び第2連通口がそれぞれ穿設され、前記弁体は弁室を有し、前記弁芯アセンブリは、前記弁室内に設けられ、前記第1連通口と前記第2連通口とが連通又は遮断されるように、前記弁室内で摺動することができ、
前記弁芯アセンブリは、ピストンユニット、連結ロッド及びスライダユニットを含み、前記スライダユニット及び前記ピストンユニットは、前記連結ロッドの両端にそれぞれ接続され、前記スライダユニットは、前記第1連通口及び前記第2連通口に近接して設けられ、前記第1連通口と前記第2連通口とは対向して設けられ、前記スライダユニットは、前記第1連通口及び前記第2連通口を同時に塞ぐことができ、前記ピストンユニットを動かして前記弁室内で摺動させるように、前記ピストンユニットの両側に差圧を形成することができる、可逆電磁弁。
【請求項2】
中間エンドカバー及び第2エンドカバーを含み、前記中間エンドカバーは前記弁室内に固定され、前記ピストンユニットは、前記中間エンドカバーの前記第1連通口及び前記第2連通口から離れた側に設けられ、前記中間エンドカバーは前記ピストンユニットと第1室を形成し、前記ピストンユニットは前記第2エンドカバーと第2室を形成する、請求項1に記載の可逆電磁弁。
【請求項3】
パイロット弁を更に含み、前記パイロット弁は前記弁体に設けられ、前記弁体には第1孔及び第2孔が穿設され、前記第1孔は前記第1室に連通され、前記第2孔は前記第2室に連通され、前記パイロット弁は、毛細管を介して前記第1孔及び前記第2孔の各々に連通され、前記パイロット弁によって前記第1室と前記第2室との差圧を制御する、請求項2に記載の可逆電磁弁。
【請求項4】
第1エンドカバーを更に含み、前記第1エンドカバーは、前記弁体の前記第2エンドカバーから離れた一端に設けられ、前記第1エンドカバーは前記中間エンドカバーと媒体室を形成し、前記スライダユニットは前記媒体室内に設けられる可逆電磁弁であって、前記可逆電磁弁が第1位置にある場合、前記第1連通口及び前記第2連通口は、前記媒体室にそれぞれ流通される、請求項2に記載の可逆電磁弁。
【請求項5】
前記ピストンユニットの前記中間エンドカバーに向いた側面には第1突起が設けられ、前記ピストンユニットが前記第1連通口及び前記第2連通口に接近する方向に向かって移動する場合、前記第1突起は前記中間エンドカバーに当接することができ、及び/又は、前記ピストンユニットの前記第2エンドカバーに向いた側面には第2突起が設けられ、前記ピストンユニットが前記第2エンドカバーに接近する方向に向かって移動する場合、前記第2突起は前記第2エンドカバーに当接することができる、請求項2に記載の可逆電磁弁。
【請求項6】
前記ピストンユニットの前記中間エンドカバーに向いた側面には第1突起が設けられ、前記第1突起は環状をなし、前記第1突起の側面には第1オリフィスが穿設され、媒体は、前記第1オリフィスを介して、前記第1突起によって形成された凹溝から流れ出ることができ、及び/又は、前記ピストンユニットの前記第2エンドカバーに向いた側面には第2突起が設けられ、前記第2突起は環状をなし、前記第2突起の側面には第2オリフィスが穿設され、媒体は、前記第2オリフィスを介して、前記第2突起によって形成された凹溝から流れ出ることができる、請求項2に記載の可逆電磁弁。
【請求項7】
前記ピストンユニットの前記中間エンドカバーに向いた側面には第1突起が設けられ、前記第1突起は環状をなし、前記第1突起の前記中間エンドカバーに向いた端面には第1絞り溝が穿設され、媒体は、前記第1絞り溝を介して、前記第1突起によって形成された凹溝から流れ出ることができ、及び/又は、前記ピストンユニットの前記第2エンドカバーに向いた側面には第2突起が設けられ、前記第2突起は環状をなし、前記第2突起の前記第2エンドカバーに向いた端面には第2絞り溝が穿設され、媒体は、前記第2絞り溝を介して、前記第2突起によって形成された凹溝から流れ出ることができる、請求項2に記載の可逆電磁弁。
【請求項8】
前記スライダユニットは、対向して設けられる第1部及び第2部を含み、前記第1部は前記第1連通口を塞ぐことができ、前記第2部は前記第2連通口を塞ぐことができ、前記第1部と前記第2部との間には収容室があり、前記収容室内には弾性部材が設けられ、前記弾性部材の両端は前記第1部及び前記第2部にそれぞれ当接する、請求項1に記載の可逆電磁弁。
【請求項9】
前記弁室は媒体室を含み、前記スライダユニットは前記媒体室内に設けられ、前記第1部及び/又は前記第2部には均衡化孔が穿設され、前記媒体室は、前記均衡化孔を介して前記収容室に連通される、請求項8に記載の可逆電磁弁。
【請求項10】
前記スライダユニットはガイドフレームを更に含み、前記ガイドフレームは、前記第1部及び前記第2部の外側に嵌合されて、前記連結ロッドに接続される、請求項8に記載の可逆電磁弁。
【請求項11】
前記中間エンドカバーは、第1封止座及び第2封止座を含み、前記第1封止座は、前記弁体内に設けられ、且つ第1取り付け溝を有し、前記取り付け溝の開口は前記スライダユニットの反対側を向いており、前記第2封止座は前記第1取り付け溝内に設けられる可逆電磁弁であって、
第1封止リング及び第2封止リングを更に含み、前記第1封止リングは前記第1封止座内に設けられ、前記第2封止リングは前記第2封止座内に設けられ、前記連結ロッドは、前記第1封止リング及び前記第2封止リングを貫通する、請求項2に記載の可逆電磁弁。
【請求項12】
前記第1封止座は、第1貫通孔及び第1封止溝を更に有し、前記第1貫通孔、前記第1封止溝及び前記第1取り付け溝は順に連通され、前記第1貫通孔、前記第1封止溝及び前記第1取り付け溝の直径は順に大きくなり、前記第1封止リングは前記第1封止溝内に設けられ、
前記第2封止座は第2貫通孔を有し、前記第2貫通孔の内壁には第2封止溝があり、前記第2貫通孔の直径は前記第1封止溝の直径よりも小さく、前記第2封止リングは前記第2封止溝内に設けられる、請求項11に記載の可逆電磁弁。
【請求項13】
前記第1封止溝の軸方向寸法は前記第1封止リングの軸方向寸法よりも大きく、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは直径が等しく、前記第1封止リングと前記第2封止リングとは寸法が同じである、請求項12に記載の可逆電磁弁。
【請求項14】
前記第1取り付け溝の内壁は前記第2封止座の外壁にねじ接続される、請求項11に記載の可逆電磁弁。
【請求項15】
前記第1取り付け溝の底壁には第3封止溝があり、前記第3封止溝は前記第1封止リングの周りに設けられる可逆電磁弁であって、第3封止リングを更に含み、前記第3封止リングは、前記第3封止溝内に設けられ、前記第2封止座の端面に当接する、請求項11に記載の可逆電磁弁。
【請求項16】
前記第1封止座の外壁には溶接溝がある、請求項11に記載の可逆電磁弁。
【請求項17】
弁体、弁座、スライダユニット及び連結ロッドと、第1封止座及び第2封止座と、第1封止リング及び第2封止リングと、を含み、
前記弁座は、前記弁体内に設けられ、且つ弁口を有し、前記スライダユニットは、前記弁口を開閉するように、前記弁座内に摺動可能に設けられ、前記連結ロッドは前記スライダユニットに駆動接続され、
前記第1封止座は前記弁体内に設けられ、且つ第1取り付け溝を有し、前記第1取り付け溝の開口は前記弁座の反対側を向いており、前記第2封止座は前記第1取り付け溝内に設けられ、
前記第1封止リングは前記第1封止座内に設けられ、前記第2封止リングは前記第2封止座内に設けられ、前記連結ロッドは、前記第1封止リング及び前記第2封止リングを貫通する、請求項2に記載の可逆電磁弁。
【請求項18】
前記第1封止座は、第1貫通孔及び第1封止溝を更に有し、前記第1貫通孔、前記第1封止溝及び前記第1取り付け溝は順に連通され、前記第1貫通孔、前記第1封止溝及び前記第1取り付け溝の直径は順に大きくなり、前記第1封止リングは前記第1封止溝内に設けられ、
前記第2封止座は第2貫通孔を有し、前記第2貫通孔の内壁には第2封止溝があり、前記第2貫通孔の直径は、前記第1封止溝の直径よりも小さく、前記第2封止リングは前記第2封止溝内に設けられる、請求項17に記載の可逆電磁弁。
【請求項19】
前記第1封止溝の軸方向寸法は前記第1封止リングの軸方向寸法よりも大きく、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは直径が等しく、前記第1封止リングと前記第2封止リングとは寸法が同じである、請求項18に記載の可逆電磁弁。
【請求項20】
前記第1取り付け溝の内壁は前記第2封止座の外壁にねじ接続される、請求項17に記載の可逆電磁弁。
【請求項21】
前記第1取り付け溝の底壁には第3封止溝があり、前記第2封止溝は前記第1封止リングの周りに設けられる可逆電磁弁であって、第3封止リングを更に含み、前記第3封止リングは、前記第3封止溝内に設けられ、前記第2封止座の端面に当接する、請求項17に記載の可逆電磁弁。
【請求項22】
前記第1封止座の外壁には溶接溝がある、請求項17に記載の可逆電磁弁。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか一項に記載の可逆電磁弁を含む、空調ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年5月20日に出願された、出願番号が202121097730.Xであり、発明の名称が「可逆電磁弁及びそれを有する空調ユニット」である中国特許出願、並びに、2021年12月7日に出願された、出願番号が202111489240.9であり、発明の名称が「可逆電磁弁」である中国特許出願の優先権を主張しており、その全ての内容は参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は冷却の技術分野に関し、特に、可逆電磁弁及びそれを有する空調ユニットに関する。
【背景技術】
【0003】
可逆電磁弁は、通常、空調ユニットに取り付けられ、媒体の二方向の流れを実現するために用いられる。
【0004】
関連する可逆電磁弁の弁芯アセンブリは、連結ロッド、スライダ及び2つのピストンユニットを含み、2つのピストンユニットは、連結ロッドの両端にそれぞれ接続され、媒体が弁芯アセンブリを動かして移動させる過程では、2つのピストンユニットを動かして摺動させる必要があるが、ピストンユニットは、弁室内では封止されて摺動するものであるため、摩擦力が大きく、媒体は、2つのピストンユニットを動かして摺動させる必要があるため、より大きい推力を必要とし、これにより、可逆電磁弁は大きい開弁差圧が必要になる。
【発明の概要】
【0005】
本出願の様々な実施例によれば、可逆電磁弁を提供する。
【0006】
可逆電磁弁は、弁体及び弁芯アセンブリを含み、弁体の両側には第1連通口及び第2連通口がそれぞれ穿設され、弁体は弁室を有し、弁芯アセンブリは、弁室内に設けられ、第1連通口と第2連通口とが連通又は遮断されるように、弁室内で摺動することができ、弁芯アセンブリは、ピストンユニット、連結ロッド及びスライダユニットを含み、スライダユニット及びピストンユニットは、連結ロッドの両端にそれぞれ接続され、スライダユニットは、第1連通口及び第2連通口に近接して設けられ、第1連通口と第2連通口とは対向して設けられ、スライダユニットは、第1連通口及び第2連通口を同時に塞ぐことができ、ピストンユニットを動かして弁室内で摺動させるように、ピストンユニットの両側に差圧を形成することができる。
【0007】
一実施形態では、可逆電磁弁は、中間エンドカバー及び第2エンドカバーを含み、中間エンドカバーは弁室内に固定され、ピストンユニットは、中間エンドカバーの第1連通口及び第2連通口から離れた側に設けられ、中間エンドカバーはピストンユニットと第1室を形成し、ピストンユニットは第2エンドカバーと第2室を形成する。
【0008】
一実施形態では、可逆電磁弁はパイロット弁を更に含み、パイロット弁は弁体に設けられ、弁体には第1孔及び第2孔が穿設され、第1孔は第1室に連通され、第2孔は第2室に連通され、パイロット弁は、毛細管を介して第1孔及び第2孔の各々に連通され、パイロット弁によって第1室と第2室との差圧を制御する。
【0009】
一実施形態では、可逆電磁弁は第1エンドカバーを更に含み、第1エンドカバーは、弁体の第2エンドカバーから離れた一端に設けられ、第1エンドカバーは中間エンドカバーと媒体室を形成し、スライダユニットは媒体室内に設けられ、可逆電磁弁が第1位置にある場合、第1連通口及び第2連通口は、媒体室にそれぞれ流通される。
【0010】
一実施形態では、ピストンユニットの中間エンドカバーに向いた側面には第1突起が設けられ、ピストンユニットが第1連通口及び第2連通口に接近する方向に向かって移動する場合、第1突起は中間エンドカバーに当接することができ、及び/又は、ピストンユニットの第2エンドカバーに向いた側面には第2突起が設けられ、ピストンユニットが第2エンドカバーに接近する方向に向かって移動する場合、第2突起は第2エンドカバーに当接することができる。
【0011】
一実施形態では、ピストンユニットの中間エンドカバーに向いた側面には第1突起が設けられ、第1突起は環状をなし、第1突起の側面には第1オリフィスが穿設され、媒体は、第1オリフィスを介して、第1突起によって形成された凹溝から流れ出ることができ、及び/又は、ピストンユニットの第2エンドカバーに向いた側面には第2突起が設けられ、第2突起は環状をなし、第2突起の側面には第2オリフィスが穿設され、媒体は、第2オリフィスを介して、第2突起によって形成された凹溝から流れ出ることができる。
【0012】
一実施形態では、ピストンユニットの中間エンドカバーに向いた側面には第1突起が設けられ、第1突起は環状をなし、第1突起の中間エンドカバーに向いた端面には第1絞り溝が穿設され、媒体は、第1絞り溝を介して、第1突起によって形成された凹溝から流れ出ることができ、及び/又は、ピストンユニットの第2エンドカバーに向いた側面には第2突起が設けられ、第2突起は環状をなし、第2突起の第2エンドカバーに向いた端面には第2絞り溝が穿設され、媒体は、第2絞り溝を介して、第2突起によって形成された凹溝から流れ出ることができる。
【0013】
一実施形態では、スライダユニットは、対向して設けられる第1部及び第2部を含み、第1部は第1連通口を塞ぐことができ、第2部は第2連通口を塞ぐことができ、第1部と第2部との間には収容室があり、収容室内には弾性部材が設けられ、弾性部材の両端は第1部及び第2部にそれぞれ当接する。
【0014】
一実施形態では、弁室は媒体室を含み、スライダユニットは媒体室内に設けられ、第1部及び/又は第2部には均衡化孔が穿設され、媒体室は、均衡化孔を介して収容室に連通される。
【0015】
一実施形態では、スライダユニットはガイドフレームを更に含み、ガイドフレームは、第1部及び第2部の外側に嵌合されて、連結ロッドに接続される。
【0016】
本出願は、上記の可逆電磁弁を含む空調ユニットを更に提供する。
【0017】
本出願の1つ又は複数の実施例の詳細を、以下の図面及び記述において提示する。本出願の他の特徴、目的及び利点は、明細書、図面及び特許請求の範囲により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
ここに開示されているこれらの出願の実施例及び/又は例示をよりよく記述及び説明するために、1つ以上の図面を参照することができる。図面を説明するために用いられる追加の詳細又は例示は、開示された出願、ここで説明する実施例及び/又は例示、並びにここで理解されるこれらの出願の最適な形態のうちのいずれかの範囲を制限するものとしてみなされるべきではない。
【0019】
【
図2】いくつかの実施例による可逆電磁弁の全体構成図である。
【
図3】いくつかの実施例による可逆電磁弁の断面模式図である。
【
図4】いくつかの実施例によるオリフィスの模式図である。
【
図5】いくつかの実施例による可逆電磁弁の断面模式図である。
【
図6】いくつかの実施例による絞り溝の模式図である。
【
図7】いくつかの実施例による可逆電磁弁の断面模式図である。
【
図8】いくつかの実施例による可逆電磁弁の断面模式図である。
【
図9】
図8における可逆電磁弁の部分拡大模式図である。
【
図10】いくつかの実施例による可逆電磁弁の第1封止座の断面模式図である。
【
図11】いくつかの実施例による可逆電磁弁の第2封止座の断面模式図である。
【
図12】いくつかの実施例による可逆電磁弁の中間エンドカバーの断面模式図である。
【
図13】いくつかの実施例による空調ユニットと可逆電磁弁との関係模式図である。
【0020】
図面において、各符号の意味は以下の通りである。
100 可逆電磁弁、110 パイロット弁、200 空調ユニット、10 弁体、11 第1連通口、111 第1接続管、12 第2連通口、121 第2接続管、13 弁室、131 第1室、132 第2室、133 媒体室、14 第1孔、141 第1毛細管、15 第2孔、151 第2毛細管、16 弁座、20 弁芯アセンブリ、21 ピストンユニット、211 第1突起、2111 第1オリフィス、2112 第1絞り溝、212 第2突起、2121 第2オリフィス、2122 第2絞り溝、213 第1ピストンカップ、214 第2ピストンカップ、215 中間バッフル、216 第1バッフル、217 第2バッフル、22 連結ロッド、23 スライダユニット、231 第1部、2311 均衡化孔、232 第2部、233 収容室、234 弾性部材、235 ガイドフレーム、30 中間エンドカバー、31 貫通孔、311 取り付け溝、312 封止リング、32 第1エンドカバー、33 第2エンドカバー、40 スリーブ、50 第1封止座、51 第1取り付け溝、511 環状フランジ、512 第3封止溝、52 第1貫通孔、53 第1封止溝、54 溶接溝、60 第2封止座、61 第2貫通孔、611 第2封止溝、70 第1封止リング、80 第2封止リング、90 第3封止リング、101 関連する可逆電磁弁、1011 関連する弁芯アセンブリ、1012 関連する連結ロッド、1013 関連するピストンユニット、1014 関連するスライダ、1015 関連する弁室。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本出願の実施例における図面を参照して本出願の実施例における技術態様について明確且つ完全に説明するが、説明される実施例は本出願の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではないことは明らかである。本出願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力なしに得られる全ての他の実施例は、いずれも本出願の保護の範囲に属する。
【0022】
説明すべきこととして、アセンブリが別のアセンブリに「装着される」とされる場合、別のアセンブリに直接装着されてもよく、又は、間に置かれるアセンブリが存在してもよい。1つのアセンブリが別のアセンブリに「設けられる」とみなされる場合、別のアセンブリに直接設けられてもよく、又は、間に置かれるアセンブリが同時に存在してもよい。1つのアセンブリが別のアセンブリに「固定される」とみなされる場合、別のアセンブリに直接固定されてもよく、又は、間に置かれるアセンブリが同時に存在してもよい。
【0023】
特に定義しない限り、本文で使用される全ての技術及び科学用語は、本出願の当業者によって一般に理解される意味と同じである。本文において、本出願の明細書に使用される用語は、具体的な実施例を説明することのみを目的としており、本出願を制限する意図のものではない。本文で使用される「又は/及び」という用語は、関連する項目の任意及び全ての組み合わせを1つ又は複数含む。
【0024】
図13を参照すると、本出願によって提供される可逆電磁弁100は、空調ユニット200内に取り付けられ、パイプラインの連通又は遮断を制御するために用いられ、これにより、媒体の二方向の流れを実現する。
【0025】
本出願の可逆電磁弁100は、二方向に作動する必要がある空調ユニット200に用いることができ、例えば、冷房モード及び暖房モードの2つの機能を同時に備える必要がある空調ユニット200に取り付けて、パイプラインを切り替える必要がなくとも、媒体の二方向の流れを実現することができる。説明すべきこととして、本出願における媒体は冷媒である。
【0026】
図1を参照すると、関連する可逆電磁弁101の関連する弁芯アセンブリ1011は、関連する連結ロッド1012、関連するスライダ1014及び2つの関連するピストンユニット1013を含み、2つの関連するピストンユニット1013は、関連する連結ロッド1012の両端にそれぞれ接続され、媒体が関連する弁芯アセンブリ1011を動かして移動させる過程では、2つの関連するピストンユニット1013を動かして摺動させる必要があるが、関連するピストンユニット1013は、関連する弁室1015内では封止されて摺動するものであるため、摩擦力が大きく、媒体は、2つの関連するピストンユニット1013を動かして摺動させる必要があるため、より大きい推力を必要とし、これにより、関連する可逆電磁弁101は大きい開弁差圧が必要になる。
【0027】
実施例1
図3を参照すると、本出願によって提供される可逆電磁弁100は、弁体10及び弁芯アセンブリ20を含み、弁体10の両側には第1連通口11及び第2連通口12がそれぞれ穿設され、弁体10は弁室13を有し、弁芯アセンブリ20は、弁室13内に設けられ、第1連通口11と第2連通口12とが連通又は遮断されるように、弁室13内で摺動することができる。
【0028】
更に、第1連通口11内には第1接続管111が設けられ、第2連通口12内には第2接続管121が設けられ、第1接続管111及び第2接続管121は、空調ユニットのパイプラインにそれぞれ接続される。
【0029】
可逆電磁弁100は弁座16を更に含み、弁座16は弁室13内に取り付けられ、第1連通口11及び第2連通口12は、弁体10及び弁座16を貫通し、弁芯アセンブリ20の一端は、第1連通口11と第2連通口12とが連通又は遮断されるように、弁座16内を移動することができる。
【0030】
引き続き
図3を参照すると、弁芯アセンブリ20は、ピストンユニット21、連結ロッド22及びスライダユニット23を含み、スライダユニット23及びピストンユニット21は、連結ロッド22の両端にそれぞれ接続され、スライダユニット23は、第1連通口11及び第2連通口12に近接して設けられ、ピストンユニット21を動かして弁室13内で摺動させるように、ピストンユニット21の両側に差圧を形成することができる。
【0031】
本出願は、単一のピストンユニット21を設けることによって、第1連通口11と第2連通口12とが連通又は遮断されるように、スライダユニット23を動かして弁室13内で移動させることで、ピストンユニット21を動かすのに必要な推力を減少させることができるため、可逆電磁弁100の開弁時に必要な開弁差圧を減少させ、可逆電磁弁100が低圧の場合に行なう開弁、閉弁の信頼性を向上させる。同時に、関連する可逆電磁弁101には2つのピストンユニット1013が設けられるのに対して、本出願では、単一のピストンユニット21を設けることによって、部材の数を減らしているため、可逆電磁弁100全体のボリュームを減少させて、可逆電磁弁100を小型化し、材料を節約し、加工コストを削減する。
【0032】
第1連通口11と第2連通口12とは対向して設けられ、スライダユニット23は第1連通口11及び第2連通口12を同時に塞ぐことができる。可逆電磁弁100が閉じた状態にある場合、第1連通口11が入口であると、第1連通口11はスライダユニット23によって塞がれて連通することができず、第2連通口12が入口であると、第2連通口12はスライダユニット23によって塞がれて連通することができないため、可逆電磁弁100は効果的に作動する。
【0033】
本出願では、可逆電磁弁100の第1連通口11が入口であり得て、空調ユニット200のモードが切り替えられた後は、第2連通口12が入口であり得る。可逆電磁弁100が閉じている場合、スライダユニット23は、第1連通口11及び第2連通口12を同時に塞いで、媒体がスライダユニット23をこじ開けて封止性に影響を与えることを防止することができる。
【0034】
更に、可逆電磁弁100は、中間エンドカバー30及び第2エンドカバー33を含み、中間エンドカバー30は弁室13内に固定され、ピストンユニット21は、中間エンドカバー30の第1連通口11及び第2連通口12から離れた側に設けられ、中間エンドカバー30はピストンユニット21と第1室131を形成し、ピストンユニット21は第2エンドカバー33と第2室132を形成し、第1室131及び第2室132は、ピストンユニット21の両側にそれぞれ位置し、第1室131及び第2室132に差圧が形成されている場合、スライダユニット23を動かして、第1連通口11と第2連通口12とを連通又は遮断するように、ピストンユニット21を動かして移動させることができる。
【0035】
更に、中間エンドカバー30には貫通孔31が穿設され、貫通孔31の内壁には、封止リング312を取り付けるための取り付け溝311が穿設され、連結ロッド22は、貫通孔31内に入り込んで、一部が第1連通口11及び第2連通口12に接近する方向に向かって延在し、他の部分が第2エンドカバー33に接近する方向に向かって延在する。連結ロッド22は貫通孔31内を移動することができ、連結ロッド22と中間エンドカバー30とは、封止リング312によって封止し合う。
【0036】
可逆電磁弁100は第1エンドカバー32を更に含み、第1エンドカバー32は、弁体10の第2エンドカバー33から離れた一端に設けられ、第1エンドカバー32は中間エンドカバー30と媒体室133を形成し、スライダユニット23は媒体室133内に設けられ、可逆電磁弁100が第1位置にある場合、第1連通口11及び第2連通口12は、媒体室133にそれぞれ流通される。説明すべきこととして、第1位置は、可逆電磁弁100が開いた状態で各部材が運転しているときの位置を指す。媒体室133は、媒体の流れを容易にし、弁芯アセンブリ20が第1連通口11及び第2連通口12から離れる方向に向かって摺動する場合、第1連通口11と第2連通口12とは媒体室133を介して連通することができ、媒体が二方向の流れを実現するようになる。
【0037】
図2、
図3を参照すると、具体的には、第1連通口11及び第2連通口12は媒体室133内にそれぞれ位置し、弁体10には第1孔14及び第2孔15が穿設され、第1孔14は第1室131に連通され、第2孔15は第2室132に連通され、第1孔14内には第1毛細管141が設けられ、第2孔15内には第2毛細管151が設けられ、第1毛細管141及び第2毛細管151は、第1室131と第2室132とに差圧を形成して、ピストンユニット21を動かして移動させるように、下記のパイロット弁110に接続される。
【0038】
可逆電磁弁100を閉じる必要がある場合、高圧冷媒は、第2毛細管151から第2室132内に入り、第1室131内の冷媒は、第1毛細管141から流れ出るため、ピストンユニット21を動かして、第1連通口11及び第2連通口12に接近する方向に向かって移動させ、可逆電磁弁100を開く必要がある場合、高圧冷媒は、第1毛細管141から第1室131内に入り、第2室132内の冷媒は、第2毛細管151から流れ出るため、ピストンユニット21を動かして、第1連通口11及び第2連通口12から離れる方向に向かって移動させる。
【0039】
引き続き
図3を参照すると、ピストンユニット21の中間エンドカバー30に向いた側面には第1突起211が設けられ、ピストンユニット21が第1連通口11及び第2連通口12に接近する方向に向かって移動する場合、第1突起211は中間エンドカバー30に当接することができるため、ピストンユニット21の中間エンドカバー30に対する衝撃力を減少させる。
図4を参照すると、更に、第1突起211は環状をなし、第1突起211の側面には第1オリフィス2111が穿設される。ピストンユニット21が動かされて、第1連通口11及び第2連通口12の方向に向かって移動する場合、一部の媒体は、第1オリフィス2111を介して、第1突起211によって形成された凹溝から徐々に流れ出て、抵抗を形成し、ピストンユニット21の中間エンドカバー30に対する衝撃力を緩和することができるため、中間エンドカバー30の取り付けの堅牢性を強化し、ノイズを減少させることができる。
【0040】
図5、
図6を参照すると、別の実施例では、第1突起211の中間エンドカバー30に向いた端面には第1絞り溝2112が穿設される。ピストンユニット21が動かされて、第1連通口11及び第2連通口12の方向に向かって移動する場合、一部の媒体は、第1絞り溝2112を介して、第1突起211によって形成された凹溝から徐々に流れ出て、抵抗を形成し、ピストンユニット21の中間エンドカバー30に対する衝撃力を緩和することができるため、中間エンドカバー30の取り付けの堅牢性を強化し、ノイズを減少させることができる。
【0041】
図3を参照すると、別の実施例では、ピストンユニット21の第2エンドカバー33に向いた側面には第2突起212が設けられ、ピストンユニット21が第2エンドカバー33に接近する方向に向かって移動する場合、第2突起212は第2エンドカバー33に当接することができるため、ピストンユニット21の第2エンドカバー33に対する衝撃力を減少させる。
【0042】
更に、第2突起212は環状をなし、第2突起212の側面には第2オリフィス2121が穿設される。ピストンユニット21が動かされて、第2エンドカバー33に接近する方向に向かって移動する場合、一部の媒体は、第2オリフィス2121を介して、第2突起212によって形成された凹溝から徐々に流れ出て、抵抗を形成し、ピストンユニット21の第2エンドカバー33に対する衝撃力を緩和することができ、ノイズを減少させることができる。
【0043】
図5を参照すると、別の実施例では、第2突起212の第2エンドカバー33に向いた端面には第2絞り溝2122が穿設される。ピストンユニット21が動かされて、第2エンドカバー33に接近する方向に向かって移動する場合、一部の媒体は、第2絞り溝2122を介して、第2突起212によって形成された凹溝から徐々に流れ出て、抵抗を形成し、ピストンユニット21の第2エンドカバー33に対する衝撃力を緩和することができ、ノイズを減少させることができる。
【0044】
具体的には、ピストンユニット21は、第1ピストンカップ213、第2ピストンカップ214、中間バッフル215、第1バッフル216及び第2バッフル217を含み、第1バッフル216、中間バッフル215及び第2バッフル217は互いに接続され、第1バッフル216及び第2バッフル217は中間バッフル215の両側に位置し、第1バッフル216は、中間エンドカバー30に近接して設けられ、第1ピストンカップ213は、第1バッフル216と中間バッフル215との間に位置し、第2ピストンカップ214は、中間バッフル215と第2バッフル217との間に位置し、第1突起211は第1バッフル216に設けられ、第2突起212は第2バッフル217に設けられる。
【0045】
引き続き
図3を参照すると、スライダユニット23は、媒体室133内に設けられ、且つ対向して設けられる第1部231及び第2部232を含み、第1部231は第1連通口11を塞ぐことができ、第2部232は第2連通口12を塞ぐことができ、第1部231と第2部232との間には収容室233があり、収容室233内には弾性部材234が設けられ、弾性部材234の両端は第1部231及び第2部232にそれぞれ当接し、弾性部材234と第1部231及び第2部232との間に発生する相互作用力により、第1部231と第2部232とを引き離すことができ、第1部231の第1連通口11に対する塞ぎ及び第2部232の第2連通口12に対する塞ぎが容易になり、塞ぐ際の封止性が向上する。
【0046】
更に、第1部231及び/又は第2部232には均衡化孔2311が穿設され、媒体室133は、均衡化孔2311を介して収容室233に連通され、均衡化孔2311は、媒体室133と収容室233との圧力を均衡化して、媒体がスライダユニット23を押し付けることを防止することができるため、スライダユニット23の安定性が保証される。
【0047】
引き続き
図3を参照すると、スライダユニット23はガイドフレーム235を更に含み、ガイドフレーム235は、第1部231及び第2部232の外側に嵌合されて、連結ロッド22に接続され、スライダユニット23に対して制限及びガイドの役割を果たし、スライダユニット23が媒体の作用により傾いて、第1連通口11及び第2連通口12との封止性が影響されることを防止する。同時に、第1部231及び第2部232はガイドフレーム235に取り付けられ、連結ロッド22は、ガイドフレーム235によって第1部231及び第2部232を動かして摺動させるため、メンテナンスコストを削減し、利用効率を向上させることができ、ガイドフレーム235が摩耗したり、連結ロッド22が破損したりした場合、損失した部品を交換するだけでよいため、交換メンテナンスが容易であり、コストを削減することができる。
【0048】
可逆電磁弁100のパイロット弁110は、弁体10に設けられ、第1毛細管141及び第2毛細管151の各々に接続され、パイロット弁110の方向転換によって、ピストンユニット21の両側の差圧を制御することができるため、ピストンユニット21を動かして移動させられる。
【0049】
本出願によって提供される可逆電磁弁100の具体的な作動原理は、以下の通りである。
可逆電磁弁100を開く必要がある場合、パイロット弁110の方向転換によって、高圧冷媒が第1毛細管141から第1室131内に取り入れられ、第2室132内の冷媒が第2毛細管151から流れ出るため、ピストンユニット21を動かして、第1連通口11及び第2連通口12から離れる方向に向かって移動させ、ピストンユニット21は、第1連通口11及び第2連通口12に対する塞ぎを解除するように、連結ロッド22及びガイドフレーム235によって、スライダユニット23を動かして移動させる。
【0050】
可逆電磁弁100を閉じる必要がある場合、パイロット弁110の方向転換によって、高圧冷媒が第2毛細管151から第2室132内に取り入れられ、第1室131内の冷媒が第1毛細管141から流れ出るため、ピストンユニット21を動かして、第1連通口11及び第2連通口12に接近する方向に向かって移動させ、ピストンユニット21は、第1連通口11及び第2連通口12を塞ぐように、連結ロッド22及びガイドフレーム235によって、スライダユニット23を動かして移動させる。
【0051】
本出願は、単一のピストンユニット21による駆動を用いると、最小動作差圧が関連する2つのピストンユニット1013を用いる場合のほぼ半分であることを実験によって検証しているため、本出願によって提供される可逆電磁弁100は、低圧下で動作する信頼性が大幅に向上する。本実験は、大気環境で試験を行なう。
【0052】
スライダユニット23と弁座16との摩擦力をF1とし、封止リング312と弁芯アセンブリ20との摩擦力をF2とし、ピストンユニット21と弁体10の内壁との摩擦力をF3とし、媒体室133内の媒体と弁芯アセンブリ20との作用力をF4とし、閉弁に必要な作用力をF5とし、開弁に必要な作用力をF6とする。
【0053】
弁座16に第1連通口11及び第2連通口12が穿設され、第1連通口11及び第2連通口12はいずれも空気と接触するため、F1及びF4は0に近い傾向にあり、閉弁に必要な作用力F5は、第2室132内の媒体の圧力と、第2室132内の媒体とピストンユニット21との接触面積の積であり、ここでのピストンユニット21と第2室132内の媒体との接触面積は、ピストンユニット21の第2室132に向いた側面の面積であり、開弁に必要な作用力F6は、第1室131内の媒体の圧力と、第1室131内の媒体とピストンユニット21とが接触する面積の積であり、説明すべきこととして、ここでのピストンユニット21と第1室131内の媒体との接触面積は、ピストンユニット21の第1室131に向いた側面の面積から連結ロッド22の軸線方向に垂直な断面積を差し引いたものである。
【0054】
具体的には、可逆電磁弁100が閉じている場合、F5>F1+F2+F3+F4であり、上記の説明によれば、この場合、F4は0であり、F1は0であり、F5>F2+F3である。
可逆電磁弁100が開いている場合、F4+F6>F1+F2+F3+F5であり、上記の説明によれば、この場合、F4は0であり、F1は0であり、F5は0であり、F6>F2+F3である。
【0055】
開弁差圧は、主に抵抗に起因するものであり、本出願によって提供される可逆電磁弁100の開弁過程における抵抗は、主にF2及びF3であり、F2<F3であり、実験を経て、関連する2つのピストンユニット1013を用いる場合の最小開弁差圧は0.11MPa程度であり、本出願によって提供される可逆電磁弁100に用いられる単一のピストンユニット21の最小開弁差圧は0.06MPa程度であり、最小開弁差圧が2つのピストンユニット1013を用いる場合の半分であるという結果が得られる。本出願によって提供される可逆電磁弁100に用いられる単一のピストンユニット21は、関連する2つのピストンユニット1013と比べて、抵抗が小さく、必要とする最小開弁差圧が小さく、弁芯アセンブリ20の軸方向長さが短く、ボリュームが小さいため、取り付ける際に必要とする占用空間のボリュームを減少させ、材料を節約し、コストを削減することができることが分かる。
【0056】
実施例2
図7を参照すると、実施例2の構造は、作動原理及び開弁差圧の検証原理が基本的に実施例1の構造と同じであり、共通点については説明を省略する。実施例2における弁体10は、設置方式が実施例1の構造と異なる。
【0057】
本実施例では、弁体10は別体に設けられる。
【0058】
本実施例における弁体10は、弁座16及びスリーブ40を含み、中間エンドカバー30は、弁座16とスリーブ40との間に設けられ、弁体10及びスリーブ40の各々に固定接続される。
【0059】
第1エンドカバー32は、弁座16のスリーブ40から離れた一端に設けられるか、或いは、別途設けることがなく、弁座16と一体に設けられる。連結ロッド22は中間エンドカバー30を貫通し、スライダユニット23は、弁座16内に位置し、弁座16内で摺動することができ、ピストンユニット21は、スリーブ40内に位置し、スリーブ40の内壁に当接し、その両側の差圧の作用により、スライダユニット23を動かして、第1連通口11と第2連通口12とを連通又は遮断することができる。
【0060】
実施例3
図8、
図9を参照すると、可逆電磁弁は、弁体10、弁座16、スライダユニット23及び連結ロッド22を含み、弁座16は、弁体10内に設けられ、且つ弁口を有し、スライダユニット23は、弁口を開閉するように、弁座16内に摺動可能に設けられ、連結ロッド22はスライダユニット23に駆動接続される。
【0061】
可逆電磁弁は、第1封止座50及び第2封止座60を含み、第1封止座50は、弁体10内に設けられ、且つ第1取り付け溝51を有し、第1取り付け溝51の開口は弁座16の反対側を向いており(スライダユニット23の反対側を向いていてもよい)、第2封止座60は第1取り付け溝51内に設けられる。
可逆電磁弁100は、第1封止リング70及び第2封止リング80を含み、第1封止リング70は第1封止座50内に設けられ、第2封止リング80は第2封止座60内に設けられ、連結ロッド22は、第1封止リング70及び第2封止リング80を貫通する。
【0062】
この態様を用いると、第1封止座50及び第2封止座60を設け、第2封止座60を第1取り付け溝51内に設けることによって、組み立てる際に、まず、第1封止リング70を第1封止座50内に入れてから、第2封止リング80を第2封止座60内に入れ、最後に、第2封止リング80を、それを有する第2封止座60と共に第1取り付け溝51内に入れる。上記の組み立て方式を用いると、第1封止リング70及び第2封止リング80を第1封止座50、第2封止座60内にそれぞれより簡単且つ迅速に組み込むことができ、封止リングを封止座に組み込みにくいという問題が効果的に解決される。
【0063】
実施例1における可逆電磁弁の中間エンドカバー30は、実施例3における第1封止座50及び第2封止座60を含んでもよく、下記の第1封止座50及び第2封止座60に関する説明はいずれも実施例1に適用することができる。
【0064】
第1封止座50は、第1貫通孔52及び第1封止溝53を更に有し、第1貫通孔52、第1封止溝53及び第1取り付け溝51は順に連通され、第1貫通孔52、第1封止溝53及び第1取り付け溝51の直径は順に大きくなり、第1封止リング70は第1封止溝53内に設けられ、第2封止座60は第2貫通孔61を有し、第2貫通孔61の内壁には第2封止溝611があり、第2貫通孔61の直径は第1封止溝53の直径よりも小さく、第2封止リング80は第2封止溝611内に設けられる。第1貫通孔52、第1封止溝53及び第1取り付け溝51は、連結ロッド22が容易に貫通するように、順に連通され、第1封止溝53が設けられることによって、第1封止リング70の配置が容易になり、第2貫通孔61が設けられ、第2貫通孔61の直径を第1封止溝53の直径よりも小さくすることによって、連結ロッド22がスムーズに貫通することを確保することができるだけでなく、第1封止リング70に対して制限の役割を果たして、第1封止リング70が第2貫通孔61に入り込むことを防止することができ、第2封止溝611が設けられて、第2封止リング80の配置に用いられる。
【0065】
更に、第1封止溝53の軸方向寸法は第1封止リング70の軸方向寸法よりも大きく、第1貫通孔52と第2貫通孔61とは直径が等しく、第1封止リング70と第2封止リング80とは寸法が同じである。第1封止溝53の軸方向寸法を第1封止リング70の軸方向寸法よりも大きく設けることによって、第1封止リング70が第1封止溝53内を移動することができ、第1封止座50の弁座16に向いた一端の圧力は他端の圧力よりも大きいため、弁座16の一端から離れる推力が発生し、これにより、第1封止リング70を動かして、第2封止座60に向かって移動させることができるため、封止性を確保するだけでなく、第2封止座60の推力を受ける作用面を小さくすることができ、第2封止座60が大きい推力を受けて第1封止座50から離脱することを防止し、更には、第2封止座60の作動時の安定性を向上させる。
【0066】
具体的には、
図10を参照すると、第1取り付け溝51の開口の周縁には環状フランジ511があり、第2封止座60は、第1取り付け溝51の開口から第1取り付け溝51に押し込まれ、環状フランジ511は第2封止座にかしめされる。第1取り付け溝51の開口の周縁に環状フランジ511を設けることによって、第2封止座60にかしめすることが容易になり、かしめの接続方式を用いると、接続がより安定し、確実になる。環状フランジ511は、第1封止座50の一部である。
【0067】
図10及び
図11を参照すると、環状フランジ511がかしめされる前の第1取り付け溝51の深さはL1であり、第2封止座60の外壁は円筒状であり、第2封止座60の軸方向長さはL2であり、L1及びL2は関係式:L1>L2を満たし、環状フランジ511は第2封止座60の端面にかしめされる。第1取り付け溝51の深さL1及び第2封止座60の軸方向長さL2の大きさを上記の範囲内に限定することによって、環状フランジ511が第2封止座60の端面にスムーズにかしめされることを確保することができる。
【0068】
第1取り付け溝51の内壁と第2封止座60の外壁とは、取り付け及び取り外しを容易にするために、ねじ接続を用いることができる。第1取り付け溝51の内壁と第2封止座60の外壁とはレーザ溶接を用いることもできる。レーザ溶接を用いることによって、第1取り付け溝51の内壁と第2封止座60の外壁との接続の安定性、信頼性が向上する。
【0069】
更に、
図12に示すように、第1取り付け溝51の底壁には第3封止溝512があり、第3封止溝512は第1封止リング70の周りに設けられ、可逆電磁弁100は第3封止リング90を更に含み、第3封止リング90は、第3封止溝512内に設けられ、第2封止座60の端面に当接する。第1取り付け溝51の底壁に第3封止溝512を設け、第3封止リング90が第2封止座60の端面に当接することによって、第1封止座50と第2封止座60との封止効果が向上し、高圧作用により第2封止座60が受ける推力を減少させることができるため、第2封止座60の作動時の安定性が向上すると同時に、第1封止リング70が故障して、第1封止座50と第2封止座60との封止効果に影響を与えることを防止する。
【0070】
更に、上記の実施例では、第1封止座50の外壁には溶接溝54があり、第1封止座50の外壁は弁体10の内壁に溶接される。第1封止座50の外壁に溶接溝54を設けることによって、弁体10の内壁に溶接することが容易になる。
【0071】
図13を参照すると、本出願は、上記の可逆電磁弁100を含む空調ユニット200を更に提供する。
【0072】
上述した実施例の各技術特徴は、任意の組み合わせが可能であり、説明を簡潔にするために、上記の実施例における各技術特徴の可能な組み合わせについては全て説明されていないが、これらの技術特徴の組み合わせに矛盾がない限り、いずれも本明細書に記載された範囲とみなされるべきである。
【0073】
上述した実施例は、本出願のいくつかの実施形態を示すものにすぎず、その説明が比較的に具体的且つ詳細ではあるが、それ故に出願の特許請求の範囲を制限するものとして理解されるべきではない。当業者にとって、本出願の趣旨を逸脱しないことを前提に、いくつかの変形及び改善を行なうこともできるが、いずれも本出願の保護範囲に含まれることを指摘しておかなければならない。従って、本出願の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に準ずるものとする。
【国際調査報告】