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特表2024-519676棚レール装置の位置を特定するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】棚レール装置の位置を特定するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20240514BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564488
(86)(22)【出願日】2021-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 EP2021061909
(87)【国際公開番号】W WO2022233410
(87)【国際公開日】2022-11-10
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
2.QRコード
3.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】516239921
【氏名又は名称】エスエーエス-イマーゴタグ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】レースル・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヤウック・フィリップ
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA08
5J062AA09
5J062CC12
(57)【要約】
1つの棚レールに設置されている位置が未知の1つの棚レール装置の位置を特定するための方法であって、前記方法は、以下の方法ステップ、すなわち:前記棚レール装置と位置が既知の複数の無線装置との間の無線通信によって、1つの面内の前記棚レール装置の位置を自動的に特定するステップと、空間内の前記棚レール装置の位置を特定するため、追加データを使用することによって、前記面内の前記位置を第3座標だけ自動的に追加するステップとを有し、前記追加データは、前記第3座標を示し、前記棚レール装置に関連する当該方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚レール(3)に設置されている位置が未知の棚レール装置(RC1-RC30)の位置を特定するための方法であって、
前記方法は、以下の方法ステップ、すなわち:
-前記棚レール装置(RC1-RC30)と位置が既知の複数の無線装置(4;6)との間の無線通信によって、1つの面内の前記棚レール装置(RC1-RC30)の位置を自動的に特定するステップと、
-空間内の前記棚レール装置(RC1-RC30)の位置を特定するために、追加データを使用することによって、前記面内の前記位置に第3座標を自動的に追加するステップであって、前記追加データは、前記第3座標を示し、前記棚レール装置(RC1-RC30)に関連する、ステップと、を有する方法。
【請求項2】
前記面内の前記位置を自動的に特定するために、超広帯域無線通信が、位置が既知の複数の超広帯域無線装置(6)、すなわち、特に前記超広帯域無線装置(6)が装備されている複数のアクセスポイントであって、位置が既知の種々異なる場所に前記棚レール装置(RC1-RC30)に対して離間して設置されている複数のアクセスポイントと、前記棚レール装置(RC1-RC30)との間で使用される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記追加データは、電子データバンクに記憶されているデータ構造体から引き出され、前記データ構造体は、1つの棚(R1-R3)のどの棚レール(E1-E5)に、該当する棚レール装置(RC1-RC30)が、前記第3座標として設置されているかを示す請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記データ構造体は、前記棚レール装置(RC1-RC30)の識別データを取得し、前記識別データを、前記棚レール装置(RC1-RC30)が存在する棚面(E1-E5)に割り当てることによって構成される請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記識別データを該当する棚面(E1-E5)に割り当てるために、前記識別データが、携帯可能な情報管理機器(7)によって前記棚レール装置(RC1-RC30)から自動的に読み取られ、前記棚面(E1-E5)を特定するための入力を受信することによって棚面データが前記情報管理機器(7)で生成され、前記識別データが、好ましくは無線通信によって前記棚面データと一緒に前記電子データバンクに伝送され、当該電子データバンクに記憶される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記識別データを該当する棚面(E1-E5)に割り当てるために、前記棚レール装置(RC1-RC30)は、光学的に感知可能な又は機械的に処理可能な第1信号を出力し、該当する棚レール装置(RC1-RC30)が存在する棚(R1-R3)のデジタル画像が、カメラ(9)によって作成され、当該光学信号を認識することによって前記デジタル画像において、当該光学信号を送信する棚レール装置(RC1-RC30)が存在する棚面(E1-E5)が識別されるようにコンピュータ処理され、生成された棚面データが、好ましくは無線通信によって前記電子データバンクに伝送され、当該電子データバンクに記憶される請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記棚レール装置(RC1-RC30)は、光学的に感知可能な又は機械的に処理可能な第1信号によって自身の識別データを出力し、前記デジタル画像から前記識別データが抽出されるようにコンピュータ処理され、前記棚面データと一緒に伝送される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記カメラ(9)は、第1棚(R1-R3)の棚レール(3)に設置されており、前記カメラ(9)は、光学的に感知可能な又は機械的に処理可能な信号を出力する前記棚レール装置(RC1-RC30)が設置されている第2棚(R1-R3)を棚通路にわたって撮影する請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記棚レール装置(RC1-RC30)は、自身の棚レール(3)に設置された少なくとも1つの棚レールクライアントに電力を、好ましくは通信技術的にも、供給する棚レールコントローラであり、前記棚レールコントローラの位置特定が、当該棚レールクライアントの位置を前記棚レール(3)の既知の範囲に限定するために使用される請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記該当する棚レール(3)のデジタル画像が、カメラ(9)によって作成され、前記該当する棚レール(3)に沿った前記棚レールクライアント(RC1-RC30)の位置が、コンピュータ処理された画像評価によって特定される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記棚レールクライアントは、当該棚レールクライアントから出力される光学的に感知可能な又は機械的に処理可能な第2信号によって自身の識別データを出力し、前記コンピュータ処理された画像評価時に、前記識別データが抽出され、前記棚レール(3)に沿った前記該当する棚レールクライアントの位置が特定される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
特に棚レールコントローラとしても構成された前記棚レール装置は、ビーコンを送信するように構成されている請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚レール装置の位置を特定するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグの位置を特定するための方法が、国際公開第2014059824号明細書から公知である。この場合、特に複数の電子価格表示装置として構成された一群の無線タグにおいて、位置信号が、a)位置が既知の1つ以上の無線タグによって送信され、位置が未知の1つの無線信タグによって受信されることによって、又はb)位置が未知の1つの無線タグによって送信され、位置が既知の1つ以上の無線タグによって受信されることによって、双方の場合a)、b)において、その無線タグが、当該位置信号を受信すると、当該位置信号に関する受信特性が、当該位置が未知の無線タグの位置を特定するための基準として決定され提供される。
【0003】
実際に、この方法は、見失った個々の無線タグを再び見つけ出すのに非常に有益であることが実証されている。この場合、正確な位置を空間内で特定するほどではない。むしろ、限定領域内で手作業により探し、位置が未知の無線タグを特定するためには、位置が未知の無線タグの位置が、少なくとも限定され得るだけで十分である。しかしながら、全ての無線タグの位置を計画的に特定しようとして、この方法を使用する場合、確保できない程の電力が、個々の無線タグで消費され、比較的長い処理時間後に初めて、結果が得られる。その結果、特にバッテリで稼働される無線タグの場合、バッテリの寿命が非常に短くなる。これから発生する維持費は、当該使用にとって相応しくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014059824号明細書
【特許文献2】国際公開第2014053376号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故に、本発明の課題は、改良された方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載の位置が未知の棚レール装置の位置を特定するための方法によって解決される。それ故に、本発明の対象は、棚レールに設置されている位置が未知の棚レール装置の位置を特定するための方法である。この場合、当該方法は、以下の方法ステップ、すなわち:棚レール装置と位置が既知の複数の無線装置との間の無線通信によって、1つの面内の当該棚レール装置の位置を自動的に特定するステップと、空間内の当該棚レール装置の位置を特定するために、追加データを使用することによって、当該面内の当該位置を第3座標だけ自動的に追加するステップであって、当該追加データは、当該第3座標を示し、当該棚レール装置に関連する、ステップとを有する。
【0007】
本発明の措置には、棚レールに設置された(特に電子式の)棚レール装置の位置特定が、遥かにより正確に、著しくより速く、且つ非常により少ない全体の電力消費で実行されるという利点がある。当該利点は、空間の座標特定を2つの部分工程に分割することによって達成される。
【0008】
第1部分工程として、確実で且つ多くの状況で使用される無線式の位置特定が使用される。当該位置特定によれば、確実な位置特定が、1つの平面内で、好ましくは水平面内で実行される。特に、当該位置特定は、屋内の位置特定で非常に有益であることが実証されていて、特に小売店又はスーパーマーケットの売り場内で非常に有益であることが実証されている。何故なら、このような空間は、多くの場合に大きい面積規模の広さを有し、これに比べて比較的低い天井高を有するからである。当該空間内では、棚レール装置を無線式に位置特定するための複数の無線装置が、主に例えば天井に、無線技術的に最適な間隔又は位置で互いに離間して設置され得る。これに応じて、(例えば、複数の無線装置が設置されている天井の面上又は当該天井に対して平行に投影された)1つの面内で棚レール装置を位置特定する当該工程は、結果を高い精度で提供する。
【0009】
しかしながら、1つの面内の位置特定を示す他の2つの座標(x座標及びy座標)に加えて、該当する棚レール装置が存在する空間点を特定するために必要である第3座標(z座標)を用いる場合は、状況が違ってくる。経験によれば、無線式の方法は、z方向では必要な精度を提供しない。これは、売り場の床面積と天井高との間の好ましくない比率と、売り場内の最適な無線伝播を妨害する様々な状況(シャドーイング、反射、別の無線システムの妨害信号)とに起因し得る。また、隣接した棚レール装置間の第3座標方向における(水平方向の)間隔が、比較的小さい。その結果、第3座標を無線式に特定する際に、不正確さの問題が大きくなる。
【0010】
当該無線式の方法のこの問題を解消するために、本発明によれば、ここでは、第2部分工程、すなわち面の座標の無線式の特定が、追加データの自動的な組み込みによって追加で実行される。すなわち、無線式の位置特定が、完全に省略されるのではなくて、むしろ、無線式の技術が所定の範囲条件又は使用条件の下で結果を許容できる精度で提供する、(当該面内での位置特定である)自動的な位置特定の範囲に対して、この無線式の技術が使用される。
【0011】
したがって、棚レール装置の全自動的な無線式の位置特定の弱点(第3座標(z座標)における位置分解能)が、第3座標方向における棚レール装置の位置特定のために追加データを自動的に組み込むことによって解消される。すなわち、無線式に得られた面の2つの座標に、別のやり方で得られた第3座標が追加される。
【0012】
この点に関しては、棚レール装置に関連する追加データは、この追加データによって特定の第3座標が特定の棚レール装置に対して提供されることを意味する。この関連性は、該当する棚レール装置の一義的な識別子によって得ることができ、この識別子には第3座標も「結合」されている。
【0013】
しかしながら、これらの追加すべき第3座標が、一群の全ての棚レール装置に対して有効である場合、すなわちこの一群の棚レール装置が、この一群の棚レール装置の空間的な位置特定においてこれらの棚レール装置を特定する全ての第3座標を有する場合、これらの追加すべき第3座標は、この一群の棚レール装置に割り当てられてもよい。
【0014】
面内で位置特定するための2つの第1座標が、無線通信によって発見されることに依存しないで、第3座標の特定は、上記の無線通信とは違う方法に基づき、特に無線通信に基づかない。すなわち、当該第3座標は、別の2つの座標を特定するための方法とは違う方法によって特定され、この場合は、無線通信によって割り出された面の座標対を、3つの座標の三次元位置記述に自動的に利用されるようにする。
【0015】
つまり、この場合、位置を完全に特定するために、電力を大幅に節約する複数の工程が組み合わされる。これらの部分工程のそれぞれは、問題なく且つ迅速に実行すべきであり、それぞれの部分工程自体が、確実に且つ問題なく再現可能なやり方で、完全な位置特定のための最終結果に自動的に合体される部分結果を提供する。
【0016】
冒頭で述べた一群の無線タグに基づいて位置を特定する方法とは違って、それぞれの棚レール装置は、本発明の方法にしたがって自身の固有の位置を特定するために無線通信するだけで済む。さらに、割り出すのが比較的困難である第3座標を可能な限り正確に特定するための、高コストで且つ複雑で、場合によっては長時間継続する無線通信が、当該第3座標を割り出すための無線通信を代替することによって回避される。
【0017】
本発明の別の好適な構成及びさらなる構成は、従属請求項及び以下の説明に記載されている。
【0018】
一般に、棚レールは、棚の棚板の前端部を意味する。複数の棚板の配置及び数と同様に、複数の棚レールも、重なり合って配置されている。すなわち空間のz座標に沿って配置されている。一般に、棚レールは、z座標に対して直角に配向されている面内に延在し、当該棚レールに沿った位置が、この面内でデカルト座標系のx座標及びy座標によって一義的に特定可能である。この座標系の原点の選択は、任意であり、それ故に取り決め事項である。
【0019】
位置特定のため、例えば円柱座標系等のような別の座標系も使用され得ることが自明である。
【0020】
最も簡単な場合では、棚レール装置は、該当する棚レールに設置されている棚レール無線装置(例えば、無線トランシーバ)でもよく、又は一体的で、場合によってはモジュール式に取り外し可能な棚レールの構成要素でもよい。
【0021】
棚ラベルのアクセスポイントと通信するために、例えば棚ラベルのディスプレイ上に表示するためのデータを受信するために、又は例えば棚ラベルのバッテリ状態若しくは棚ラベルの表示更新状態を棚ラベルのアクセスポイントを介して送信するために、当該棚レール装置は、対応する無線モジュールを有する電子棚ラベルによって構成されてもよい。しかしながら、当該無線モジュールは、位置を特定するための無線通信用に利用されてもよい。
【0022】
棚レール装置としては、上記の電子棚ラベルの他に、別の電子機能が使用されてもよい。これらの様々な機器は、全てを列挙するまでもなく基本機能又は基本構成を含み得る:例えば温度センサ又は近接センサ等のようなセンサ;静止画像取得又はビデオ録画又は赤外線画像用のカメラ;例えばキーボード又はキーフィールド又は回転ノブ若しくは回転つまみ又はタッチスクリーンのような入力装置;例えば1つ以上の発光ダイオード(LED)、ビデオスクリーン、又は例えば電子インク若しくは電子ペーパーのような省エネタイプの相安定型ディスプレイ技術又は例えば液晶ディスプレイ(LCD)若しくは有機発光ダイオード(OLED)等のようなアクティブディスプレイ技術による電子棚ディスプレイのような表示装置。したがって、上記の装置は、主に1つの基本機能を有する。しかしながら、このような装置は、組み合わせられた複数の基本機能を有してもよく、又は別の支援機能を追加された1つの主基本機能を有してもよい。したがって、これらの電子装置は、装置を稼働させるために、又は装置からデータを伝送し、且つ装置にデータを伝送するために、又は(数ミリメートル~数センチメートルの)すぐ近くから装置の機能を制御するために、又は製品と当該電子装置との間を紐付けするために、例えばNFCインターフェースのような追加された別の通信機能も提供でき、又はさらに離れた互換性のある無線装置と無線通信するために、例えばブルートゥース低電力無線モジュールのような追加された別の通信機能も提供できる。
【0023】
面内での位置特定を目的とした無線通信の場合、例えば複数のWLANアクセスポイントから構成されたインフラストラクチャが、複数の棚ラベルアクセスポイントとして使用され得る。これらのWLANアクセスポイントを使用することで、例えば三角法によって座標対を、面内で装置を特定するために割り出すことができる。
【0024】
しかしながら、好ましくは、面内の位置を自動的に特定するため、超広帯域無線通信が、位置が既知の複数の超広帯域無線装置と棚レール装置との間で使用され、特に複数の超広帯域無線装置が装備されており、位置が既知の種々異なる位置ごとに棚レール装置に対して離間して設置されている複数のアクセスポイントと、当該棚レール装置との間で使用される。したがって、超広帯域無線通信(略してUWB無線装置)の利点が、面内の装置の正確な屋内位置を特定するために完璧に活用され得る。
【0025】
この場合、例えば、「双方向測距(Two-way Ranging)」(略してTWR)、「到達時間差(Time-difference-of-Arrival)」(略してTDoA)又は「到達位相差(Phase-Difference-of-Arrival)」(略してPDoA)のような従来から公知の手段が使用され得る。
【0026】
UWB無線装置は、個別に構成することができ、UWB無線通信のための位置が既知の固定装置として店内に分散して設置することができ、例えば店内の天井に設置することができる。また、WLANアクセスポイントとUWB無線装置とから構成されたコンビネーション無線装置が設けられてもよい。その結果、UWB無線装置に対して追加の設置経費が発生しない。何故なら、一般に、WLANのインフラストラクチャが、常に望ましく且つ必要であるからである。この場合、面内でUWB無線式に又は通信式に位置を特定するため、それぞれの組み合わせられた無線装置が、位置が既知の固定装置を構成する。
【0027】
また、例えば棚レール装置を制御する目的のため、制御のために固有に設けられている棚レール装置ネットワークが、棚レール装置アクセスポイントによって稼働されることが、店内で行われてもよい。これに並行して、位置が既知のUWB無線装置が稼働又は設置されてもよい。この場合でも、棚レール装置アクセスポイントとUWB無線装置とから構成されたコンビネーション無線装置が、必要に応じてWLANアクセスポイントとさらに組み合わせて実現されてもよい。この場合でも、面内でUWB無線式に又は通信式に位置を特定するために、それぞれのコンビネーション無線装置が、位置が既知の固定装置を形成する。
【0028】
上記のように、第3座標を自動的に追加することは、無線式の位置特定方法には基づかない。むしろ、追加データは、電子データバンク内に記憶されているデータ構造体から引き出され得る。この場合、第3座標は、古典的な意味のz座標を、例えばメートル又はミリメートル等の単位表記で示し得る。好ましくは、データ構造体は、該当する棚レール装置が棚のどの棚面に設置されているかを第3座標として示す。すなわち、第3座標は、古典的なz座標を必ずしも示すのではなくて、棚又は棚の個別の構造自体によって規定された単位、例えば1番目の棚面、2番目の棚面、3番目の棚面等、又は例えば一番下の棚面、中央の棚面、一番上の棚面等、を意味する。物理的な第3(z)座標をメートル等の単位で表すために、当然に、一般的な長さの単位が、複数の棚面の番号を適切に示すために記憶されてもよい。
【0029】
データ構造体は、棚レール装置の識別データを取得し、当該棚レール装置が存在する棚面に当該識別データを割り当てることによって構成される。この場合、論理リンクが、当該識別データによって一義的に識別された棚ラベル装置とこの棚ラベル装置が設置されている棚面との間でデジタル式に確立され記憶される。
【0030】
当該データ構造体の構成は、面の2つの座標を無線式に特定する前に行ってもよい。すなわち、当該データ構造体の構成は、例えば棚の設置又は棚への棚レール装置の設置時に既に行ってもよい。その結果、面の座標対が、所定の棚レール装置に対して無線式に特定された直後に(この場合、それぞれの棚レール装置の識別データも取得されている)、当該識別データの知識によって、所属の第3座標を組み込むことができ、空間、特に棚割り計画における位置が、該当する棚レール装置に直接に割り振られ得るか又は割り当てられ得るという利点が奏される。
【0031】
データ構造体の構成が、面の2つの座標を無線式に特定した後に行われる場合、2つの座標に所属する第3座標が取得可能であり、且つ当該面の2つの座標に追加するために使用され得るようになるまで、当該面の2つの座標を最初に一次記憶しなければならない。
【0032】
この場合、識別データを該当する棚面に割り当てるために、識別データが、携帯可能な情報管理機器によって棚レール装置から自動的に読み取られ、当該棚面を特定するための入力を受信することによって棚面データが情報管理機器で生成され、当該識別データが、当該棚面データと一緒に電子データバンクに、好ましくは無線通信によって伝送され、この電子データバンクに記憶される。
【0033】
したがってこの場合、該当する棚レール装置の識別子が最初に確認される。この確認は、当該棚レール装置に取り付けられている、小売業者の従業員によって使用される携帯可能な情報管理機器によって読み取られる例えばバーコード又はQRコードによって行うことができる。しかしながら、この識別は、識別データがコード化されおり、当該棚レール装置から放射される点滅光信号を取得することによって実行されてもよい。また、この識別は、該当する棚レール装置と携帯可能な情報管理機器との間のRFID(無線周波数識別)又はNFC(近距離無線通信)によって実行されてもよい。
【0034】
該当する棚レール装置が設置されている棚面は、従業員が携帯可能な情報管理機器上で入力することによって、例えばタッチスクリーン若しくは所定のキーを操作することによって、又は音声制御によって割り出され、これにより当該情報管理機器が、何処から棚面データを生成したかが特定される。
【0035】
こうして得られた識別データ及び棚面データは、情報管理機器からデータバンクに伝送され、このデータバンクで互いに関連付けされて、結合されたデータ対として記憶される。
【0036】
上記のように、識別は、光信号を取得することによって実行することができるが、そのためには、携帯可能な情報管理機器を、従業員によって該当する棚レール装置の方角に大まかに向け、必要に応じて当該棚レール装置の近くで保持しなければならない。
【0037】
しかしながら、棚面への割り当ては、完全に自動化して行うこともできる。この場合、当該識別データを該当する棚面に割り当てるため、当該棚レール装置が、光学的に感知可能な又は機械的に処理可能な第1信号を出力し、該当する棚レール装置が存在する棚のデジタル画像が、カメラによって作成され、デジタル画像内で光学信号を認識することによって、光学信号を送信する棚レール装置が存在する棚面が識別されるようにコンピュータ処理され、この棚面から生成された棚面データが、好ましくは無線通信によって電子データバンクに伝送され、この電子データバンクに記憶される。
【0038】
特に好ましくは、識別も自動化され得る。この場合、棚レール装置は、光学的に感知可能な又は機械的に処理可能な第1信号によって自身の識別データを出力し、デジタル画像からコンピュータ処理することにより当該識別データが抽出出され、棚面データと一緒に伝送される。
【0039】
画像内容又は情報内容を識別する目的で、静止画像又はビデオシーケンスとしてカメラによって取得された場面の画像のコンピュータ処理は、コンピュータによって行われる。この目的のためにプログラミングされたソフトウェアが、当該コンピュータ上で実行される。対応するプログラミングは、コンピュータ支援画像処理の分野に関わる当業者にとっては通常のことである。
【0040】
画像を取得するため、対応する撮影領域を担う複数のカメラが、例えば売り場の天井に設置され得るか又は売り場内の他の物体にも設置され得る。これらのカメラは、例えばパワーオーバーイーサネットによって有線式に上記のコンピュータに接続することができ、又は無線によって、例えばWLANによって上記のコンピュータに接続することができ、取得された画像が、当該コンピュータにデジタルで提供され、そこで画像処理される。
【0041】
しかしながら、可能な限り問題のない画像取得を保証するためには、位置を特定するために棚自体が利用されることが有益であることが実証された。すなわち、例えば棚の支持部材又は補強部材のような、棚自体の機械構造体が、カメラを支持するために利用され得る。これに関連して、カメラが第1棚の棚レールに設置されていて、このカメラが、光学的に感知可能な又は機械的に処理可能な信号を出力する棚レール装置が設置されている第2棚を棚通路にわたって撮影する場合に、特に有益であることが実証された。この配置によれば、この配置によらない従来の付加的な設置問題又は配向問題を全く考慮する必要がなく、又はカメラを固定するための追加の機械構造体が完全に省略される。特に、棚レール自体が、カメラを直接に固定するために利用される。
【0042】
一般に、複数の棚が、複数の棚通路に沿って互いに平行に配向されて配置されており、必須ではないものの多くの場合に同じ長さである。したがって、これらの棚に沿って異なる位置に取り付けられた複数のカメラを、それぞれの棚に棚通路の両側で容易に設置することができ、対向する棚を問題なく撮影することができる。複数の棚通路が、例えば互いに角度を成して延在するか、又は(片側だけでも)湾曲して若しくは波形に若しくは円形に延在する場合でも、対向する棚の良好な撮影が損なわれない。
【0043】
これらのカメラは、(オート)フォーカス及びズーム機能を有してもよく、制御式に(モータによって)調整可能な対物レンズを有してもよい。その結果、撮影領域が、自動的に、特にコンピュータ制御されて適合可能である。
【0044】
上記のように、棚レール装置は、様々な方式で構成することができ、それ故に複数のこのような棚レール装置が、同じ棚レールに設置されてもよい。しかしながら、棚レール装置が、棚レールコントローラであり、これが電力を、自分の棚レールに設置された少なくとも1つの棚レールクライアントに、好ましくは通信技術式に供給し、棚レールコントローラの位置特定が、当該棚レールクライアントの位置を棚レールの既知の範囲に限定するために使用される場合に特に有益であることが実証された。
【0045】
この場合、棚レールは(及び当然に棚レールクライアント及び棚レールコントローラも)、棚レールクライアントを非接触式に又は接触式に給電するように構成することができる。
【0046】
棚レールでの非接触式の給電は、例えばNFC通信モジュールを棚レールクライアントに組み込み、導体ループ構造体を当該棚レールに組み込むことによって実現され得る。この場合、電力供給及び通信技術的な給電を提供するために、棚レールコントローラは、NFCリーダとして構成されている。
【0047】
棚レールでの接触式の給電のために、棚レールの長手延在部分に沿って延在し、当該長手延在部分で接触可能である複数の電線を、棚レールに組み込むことができる。これらの電線に接触するために、棚レールコントローラ及び棚レールクライアントは、接触子を有する。コントローラ及びクライアントにあるそれぞれ1つの電子通信モジュールが、データ交換及びこれらの電線を介した電力供給を可能にする。
【0048】
双方の場合、すなわち棚レールでの非接触式の給電の場合でも、接触式の給電の場合でも、棚レールコントローラを、例えばLANのように有線式に又は無線式に小売業者の通信ネットワークに接続することができ、したがってそれぞれの装置を管理するためにセンターサーバ若しくはローカルサーバ又はクラウド式の管理ソフトウェアに接続できる。
【0049】
無線式の接続の場合、主に、例えばWLAN、ZigBee(ジグビー)、ブルートゥース等のような標準化された通信方法又は通信プロトコルが使用され得る。無線式の接続のためには、当然に、例えば国際公開第2014053376号明細書から公知である権利化された通信方法又は通信プロトコルが使用されてもよい。この場合、ここで説明されているタイムスロット通信方法に関する開示内容は引用されている。しかしながら、ここでは、この国際公開第2014053376号明細書に開示されたシステムとは違って、このタイムスロット通信方法は、棚レールコントローラアクセスポイントとこの棚レールコントローラアクセスポイントに割り当てられた一群の棚レールコントローラとの間で通信するために使用される。例えばいわゆる電子棚札のような棚レールクライアント又は蒸気の別の電子装置が、棚レールで全く異なる通信プロトコル又は通信方法を棚レールコントローラとの通信のために使用されてもよい。
【0050】
当該システムでは、どの棚レールコントローラが、自身の棚レールにあるどの棚レールクライアントに給電するかが既知であるので、それぞれの棚レールコントローラに対してだけ位置特定を実行すれば実際上十分であり、該当する棚レールの幾何形状又は寸法に応じて、それぞれの棚レールに限定して、位置特定された棚レールコントローラに所属する棚レールクライアントが、何処に存在するかを同時に知ることができる。
【0051】
一方では棚レールコントローラの位置と、他方ではこの棚レールコントローラの棚レールクライアントの位置とをグループごとに特定することによって、電力収支が著しく改善される。何故なら、棚レールごとにただ1つの装置によって、すなわちこの棚レールコントローラだけによって、前述の位置特定を実行できるからであり、その結果、この棚レールコントローラにおいてだけ、これらの位置特定の作業のための電力が必要になる。
【0052】
他の棚レールクライアントの位置を、棚レールの既知の範囲に限定して、コンピュータ処理によって自動的に導出することは、これらの棚レールクライアントに対して電力を必要とすることなし行われる。したがって、全体的な、すなわちシステム全体で見た、必要な全電力が低減される。さらに、これには利点がある。何故なら、棚レールクライアントに必要な個々の電力が、例えばバッテリまたは再充電可能バッテリのような独立した1つの電力貯蔵部からか又は棚レールコントローラの電力貯蔵部から供給されるだけで済むからである。したがって、電力貯蔵部の稼働期間が長くなり、又は換言すると交換又は新たな充電を目的とした電力貯蔵部の保守の頻度が低下する。また、棚レールコントローラがケーブル式に電力供給する場合でも、説明したように、電力収支が改善される。何故なら、ここでも、システムの構成要素を位置特定するための通信作業自体がより少なくて済むからである。
【0053】
棚レールにある個々の棚レールクライアントに対してより正確な位置特定を達成するため、カメラ又はすでに説明したカメラ(単数または複数)によって、該当する棚レールのデジタル画像が作成され、該当する棚レールに沿った棚レールクライアントの位置が、コンピュータ処理された画像評価によって特定されることが提唱され得る。この場合、個々の棚レールクライアントの出現画像に基づいてコンピュータ処理して、当該棚レールクライアントの識別子を推測することができる。この場合、当該棚レールクライアントを識別するために、例えば、当該棚レールクライアントのディスプレイの画像内容を評価することができる。何故なら、このディスプレイの内容は、システムを制御するコンピュータに基本的に既知だからである。ディスプレイが存在しない場合、それぞれの棚レールクライアントを少なくとも1つの装置クラスに割り当てるために、それぞれの棚レールクライアントの外観の別の固有の特徴を利用することができる。
【0054】
該当する棚レールクライアントが、ディスプレイを有するか否かに関係なく、当該棚レールクライアントが、これから放射される光学的に感知可能な又は機械的に処理可能な第2信号によって自身の識別データを出力し、コンピュータ処理された画像評価時に、識別データが抽出され、棚レールに沿った該当する棚レールクライアントの位置が特定されることが特に有益であることが実証された。したがって、該当する棚レールにある棚レールクライアントを識別し、必要に応じて同時に位置特定するために利用される光信号、好ましくは変調された光信号(パルスコード変調された光信号、輝度若しくは光度変調された、又は混成変調された、又は色彩変調された光信号)を、例えば棚レールクライアントの前面で放射する、例えば小型の発光ダイオードを設けるだけで十分である。
【0055】
第3座標を特定するために、冒頭で既に述べたように、無線通信を使用してもよい。しかしながらこの場合、当該第3座標を割り出すために使用される方法は、面内の2つの座標を特定するために使用される方法とは異なる。すなわち、例えば、複数の棚面間の距離が、TOF方式センサによる伝搬時間測定によって算出され得て、及び/又は棚の分類、すなわち該当する棚面への割り当てが、例えば第3座標に沿った無線信号の信号強度を測定することによって実行され得る。
【0056】
以上により、上記の手段を使用することで、棚に陳列されている物品をデジタルで視覚的に表示する高精度の棚割り計画が作成されることを保証することができる。いずれにしても、棚割り計画を生成し保守するためには、第3座標が、該当する棚面を直接的に表記又は表示することが極めて有益であることが実証されている。この棚割り計画では、全ての棚レール装置及び棚レール自体並びに当該棚レールに設置されている別の物体が、三次元的に正確に位置特定されて表示される。
【0057】
別の観点によれば、上記のようにそれぞれの位置に特定された又は別の方法で特定された、棚レールに設置された又は棚レールに位置決めされた複数の棚レールコントローラが、ビーコンを送信するように構成されている。一般に、ビーコンは、固定の位置、具体的には送信する棚レールコントローラのそれぞれの位置をマーキングする無線信号を意味し、当該無線信号は、例えば送信するそれぞれの棚レールコントローラに対する方向及び/又は距離のような、相対位置を特定することを、別の(特に携帯可能な又はほぼ自由に可動の)無線装置(例えば、無線位置探知システム(この場合、この無線測位システムの無線信号受信器が、例えば顧客の移動電話によって構成されているか、又は顧客のショッピングカートに固定され得るか、又は当該ショッピングカートに組み込まれ得る))に対して可能にする。
【0058】
この無線信号は、一義的に認識される識別子又はそれぞれの棚レールコントローラの識別子を伝送できる。この場合、当該識別子を使用することで、複数の棚レールコントローラのうちのどの棚レールコントローラであるかが、無線装置又はその下流で特定可能であり、したがってその棚レールコントローラの位置が取得可能である。しかしながら、この無線信号は、それぞれの棚レールコントローラ自体の位置も伝送できる。その結果、この位置は、無線装置で直接に使用できる。当該無線装置は、受信されたビーコンに基づいて複数の測位結果を提供する。
【0059】
比較的近くに並んで設置された棚レールコントローラが複数あることに起因して、比較的多数のビーコンが、無線装置のそれぞれの位置で使用される。これらのビーコンから得られた測位結果が、センターサーバに転送され、例えば、顧客の流れ又は棚の前方での滞在時間(時間成分及び/又は位置成分)を特定するため、このセンターサーバで様々に処理又は評価され得る。
【0060】
無線装置のそれぞれの位置にあるビーコンの局所的密度が比較的高いことに起因して、位置が既知の棚レールコントローラに対する無線装置の位置が、最大で約20cmの誤差で特定され得る。このことは、従来のシステムの場合のように棚の周囲での存在の認識を可能にするだけではなくて、この棚に沿った比較的正確な位置の特定も可能にし、場合によってはこの棚の高さに沿って無線装置が相応に移動する際に、この座標に沿った位置特定も可能にする。無線装置が、携帯者又は装着者の手の動きに追従する、例えばスマートウォッチ(例えば、アップルウォッチ(登録商標)又は同様な装置)又は手に装着されている携帯情報端末のような装置内に組み込まれている場合には、さらに、手が棚の何処で移動されるか、すなわち手が何段目に入るか、場合によっては製品がそれぞれの段の何処で触れられるか、又は製品がそれぞれの段の何処から取り出されるかを自動的に把握することができる。
【0061】
したがって、ビーコンを送信する複数の棚レールコントローラが、比較的密度の高い、位置が既知の複数の無線ビーコンから成るネットワーク、すなわち無線測位システム用の基盤を構成する。さらに、このシステムを使用することで、棚の段に入るまでの携帯無線装置の位置特定が可能である。さらに、棚レールコントローラの密度が高いことは、ビーコンを送信するための送信電力を比較的低く抑えることを可能にし、それにもかかわらず無線装置のために複数の棚の間のそれぞれ任意の位置で十分な数のビーコンを測位の目的で確保でき、最終的に当該無線装置の位置特定を実行することを可能にする。
【0062】
本発明のこれらの観点及び別の観点が、以下で説明されている図によって示されている。
【0063】
以下に、本発明が限定されていない実施の形態に基づく添付図を参照して本発明を再度詳しく説明する。この場合、異なる図ごとに、同じ構成要素は、同じ符号によって付記されている。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】店内の天井からフロアを見たときの異なる長さの複数の棚による店内での棚配置を示す。
図2】これらの棚の長手延在部分の沿った、側面から見たときの棚配置を示す。
図3】第2の実施の形態を説明するための、2つの棚によって画定された通路を示す。
図4】第3の実施の形態を説明するための通路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1には、3つの棚R1,R2,R3が配置された店1のレイアウトが示されている。棚R1,R2,R3のそれぞれが、固有の長さを有する。全ての棚R1-R3は、等しい高さ及び幅を有する。これらの棚の側面が、図2から見て取れる。
【0066】
それぞれの棚R1-R3は、上下に配置された5つの(棚ボード又は)棚面E1-E5を有する。この場合、選択図(図1)では、一番上の5番目の棚面E5を見ることができる。この実施例の場合、全ての棚R1-R3は、平面ごとにそれぞれ同じ高さにある棚面E1-E5を有する。当然に、当該棚は、様々に構成されてもよい。
【0067】
棚面E1-E5はそれぞれ、左側と右側とに1つの棚ボード2を有する。その結果、全体として、30個の棚ボード2が設けられている。それぞれの棚ボード2の外側が、棚レール装置として棚レールコントローラRC1-RC30を支持する棚レール3によって終端されている。これらの棚レールコントローラは、それぞれの棚レール3に設置又は取り付けられた(図示されていない)棚レールクライアントを管理するように構成されていて且つ設けられている。選択図では、30個の棚レールコントローラRC1-RC30のうち、5番目の棚面E5の符号RC9,RC10,RC19,RC20,RC29及びRC30を有する棚レールコントローラだけを見ることができる。
【0068】
さらに、2つの棚レール装置アクセスポイント4(アクセスポイント4と略記される)が、店1の天井に設置されている。これらのアクセスポイント4は、公知の刊行物に記載されている本出願人のタイムスロット通信方法を使用して、棚レールコントローラRC1-RC30を無線技術的に管理するために構成されていて且つ設けられている。これらのアクセスポイント4は、LAN配線によって店1のサーバ5に有線接続されている。サーバ5では、管理ソフトウェアが、棚レール装置の管理と物流管理とのために実行される。より簡潔に図示するため、スイッチ等のような一般的に使用される他のネットワーク構成要素の図示は省略してある。サーバ5を使用することで、棚レールコントローラRC1-RC30の群がそれぞれ割り当てられているアクセスポイント4と、棚レールコントローラRC1-RC30とを介して、それぞれの棚レール3に設置された棚レールクライアントにデータが供給され得るか又は当該棚レールクライアントから引き出され得る。棚レールクライアントが電子棚札の場合、個々のディスプレイの画像内容が決定され得て、状態情報が、棚札から引き出され得る。
【0069】
さらに、6つのUWB無線装置6が、店1の天井に設置されている。これらのUWB無線装置6の場所は、サーバ5に既知である。この場合、これらのUWB無線装置6も、LAN配線によって店のサーバ5に接続されている。しかしながら、これらのUWB無線装置6は、このサーバ5に無線式に接続されてもよい。
【0070】
棚レールコントローラRC1-RC30はそれぞれ、(詳しく図示されていない)2つの無線モジュールを有する。この場合、第1無線モジュールは、アクセスポイント4と無線通信するために構成されていて且つ設けられており、第2無線モジュールは、UWB無線装置6と無線通信するために構成されていて且つ設けられている。
【0071】
UWB無線装置6と棚レールコントローラRC1-RC30との間のUWB無線を使用することで、店1内の棚レールコントローラRC1-RC30の位置が特定されるが、平面の2つの座標だけが評価される、すなわち図1に示されたデカルト座標系のx座標及びy座標が評価されるという制約を伴う。この工程は、サーバ5の制御下で全自動式に実行される。サーバ5は、棚レールコントローラRC1-RC30及びUWB無線装置6が、公知の方法で位置を特定するために必要なUWB無線通信を実行し、このときに得られたデータを、X-Y平面内の棚レールコントローラRC1-RC30のさらなる処理及び位置特定のためにサーバ5に提供するように、棚レールコントローラRC1-RC30及びUWB無線装置6を制御する。
【0072】
図1及び2を統合すると、表記(Xi,Yi)でのそれぞれX座標及びY座標を有する座標対KPが、コントローラRC1-RC30ごとに得られる:
-RC1, RC3,RC5,RC7,RC9はそれぞれ、座標対(X1,Y1)であり、
-RC2,RC4,RC6,RC8,RC10はそれぞれ、座標対(X2, Y1)であり、
-RC11,RC13,RC15,RC17,RC19はそれぞれ、座標対(X3,Y2)であり、
-RC12,RC14,RC16,RC18,RC20はそれぞれ、座標対(X4,Y2)であり、
-RC21,RC23,RC25,RC27,RC29はそれぞれ、座標対(X5,Y3)であり、
-RC22,RC24,RC26,RC28,RC30はそれぞれ、座標対(X6,Y3)である。
【0073】
当然に、本来は同じX座標又はY座標のこうして特定された数値は、僅かな変動又は偏差を有し得るが、当該変動又は偏差は、平面内でのコントローラRC1-RC30の位置特定のために必要な、UWB無線通信によって得られる数値の十分な精度及び予測力に何ら影響しない。
【0074】
サーバ5は、平面のこうして特定された座標対(Xi,Yi)をそれぞれのコントローラRC1-RC30ごとに、当該それぞれのコントローラRC1-RC30のそれぞれの識別データID4と一緒に記憶する。別のステップでは、座標対(Xi,Yi)が、三次元の位置特定のために必要である第3座標だけ拡張又は追加される。
【0075】
このことは、サーバ5にあるデータ構造体内に記憶されている事前に入力された追加データを自動的に取り込むことによってサーバ5で実行される。
【0076】
第1の実施の形態によれば、データ構造体は、携帯可能な情報管理機器7によって構成される。この場合、情報管理機器7は、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)でもよい。このPDA7は、店1の従業員によって操作され、特に(図示されていない)製品を、当該製品が存在する棚レール3に固定される電子棚札に論理的に紐付けするために使用される。
【0077】
しかしながら、これに関連して、PDA7は、それぞれの棚レールコントローラRC1-RC30ごとに棚面E1,E2,E3,E4又はE5を特定するために使用される。この場合、近距離無線通信可能であるPDA7は、同様に近距離無線通信可能であるそれぞれの棚レールコントローラRC1-RC30の近くに維持され、それぞれの識別データIDが、この棚レールコントローラから引き出される。次いで、該当する棚レールコントローラRC1-RC30が設置されている棚面が、PDA7のタッチスクリーンで選択される。この入力は、PDA7によって受信され、特定されたそれぞれの棚面E1-E5を示す棚面データREDにコンパイル又は変換され、問い合わせられたコントローラRC1-RC30のそれぞれの識別データIDと一緒にサーバ5に伝送される。
【0078】
この工程は、図1及び2ではPDA7を20番目の棚レールコントローラRC20の近くに位置付けることによって図示されており、全ての棚レールコントローラRC1-RC30に対して繰り返すことができる。
【0079】
サーバ5では、それぞれの棚レールコントローラRC1-RC30ごとに、当該それぞれの棚レールコントローラRC1-RC30に対する関係を規定する一義的な識別データIDを使用することで、事前に特定された座標対KPに、当該それぞれの棚レールコントローラRC1-RC30ごとに把握された棚面E1,E2,E3,E4又はE5が追加され、したがって三次元の位置特定が完了される。
【0080】
したがって、抜粋すると、以下のように、三次元位置座標が、棚レールコントローラRC1-RC30ごとに得られる:
- RC1 (X1,Y1,E1)として、
- RC2 (X2,Y1,E1)として、
- …
- RC15 (X3,Y2,E3)として、
- …
- RC30 (X6,Y3,E5)として。
【0081】
図3では、データ構造体の構成に関する第2の実施の形態を説明するため、2つの棚R2とR3との間の通路が遠近法で示されている。この場合、棚R2及びR3は、棚レール3に簡略化して表記してある。
【0082】
この第2の実施の形態によれば、データ構造体は自動的に構成されている。このために、それぞれの棚レールコントローラRC1-RC30は、LED8(LEDは、発光ダイオードを示す)を備え、それぞれの棚レールコントローラRC1-RC30が、サーバ5の制御命令にしたがって、点滅信号として光学的にコード化された自身の識別データIDをLED8によって出力するように構成されている。該当する棚R2,R3の斜め上から該当する棚R2,R3を撮影するカメラ9が、LED8の点滅シーケンスを棚面E1-E5に配置されている棚レール3と一緒に取得する。2つのカメラ9の撮影領域が、破線10によって示されている。これらのデジタル画像が、無線式に例えばWLANネットワークを介して又は有線式にLANネットワークを介してサーバ5に伝送され、このサーバ5でソフトウェアに基づいて全自動式に評価される。結果として、データ構造体が得られ、第3座標を追加するための追加データが、当該データ構造体から自動的に取り出されるか又は引き出される。もちろん、画像をこのように全自動的に評価する場合、静的なデータ構造体を構成して、当該データ構造体の作成後に初めてデータ構造体から追加データを引き出せるようにする必要はない。むしろ、追加データのそれぞれのデータセットが作成された直後に、当該それぞれのデータセットを、いわゆる「オンザフライ」で第3座標を追加するために使用することができる。
【0083】
図3と同様に、図4では、データ構造体の構成に関する第3の実施の形態を説明するため、2つの棚R2とR3との間の通路が遠近法で示されている。この場合も、棚R2及びR3は、棚レール3に簡略化して表記してある。
【0084】
この第3の実施の形態でも、データ構造体は自動的に構成されている。この場合、棚レールコントローラがそれぞれ、LED8に加えてカメラ9も有するが、節電型に且つ小型化されている。対向する通路側に設置された複数のカメラ9が、複数の棚レール3も含めて対向する棚前面を取得又は撮影する。当該複数の棚レール3には、サーバ5による制御にしたがって自身の識別データIDを点滅信号によって出力する複数の棚レールコントローラが設置されている。こうして得られたデジタル画像が、追加データを生成し、これにより第3座標を特定するために、上記のようにサーバ5に伝送され、このサーバ5で評価される。
【0085】
こうして高精度に位置特定された棚レールコントローラRC1-RC30は、他のシステム機能のための基盤を構成する。
【0086】
当該基盤には、それぞれの棚レールコントローラRC1-RC30の棚レールに設置されている別の棚レール物体を棚割り計画に関与させるために、当該別の棚レール物体を位置特定に関連付けることが含まれる。これらの棚レール物体には、電子装置を必要としない簡単な紙ラベル又は合成樹脂ラベルも含まれ得る。紙ラベル又は合成樹脂ラベルは、当該紙ラベル又は合成樹脂ラベルの表面に含まれているそれぞれの製品情報を介して複数の棚レールコントローラのうちの1つに論理割り当てすることができる。しかしながら、これらの棚レール物体には、電子機器、すなわち自身の電子機能をそれぞれの棚レールコントローラRC1-RC30を介してシステム又はサーバ5にアクセスさせる棚レールクライアントも含まれる。これらを正確に位置特定するためは、複数の棚レールコントローラRC1-RC30のうちの1つに割り当てられている電子機器ないし棚レールクライアントが、複数の棚レール3のうちのどの棚レール3に設置されているのかという知識を利用することができる。この場合、当然に、それぞれの棚レールクライアントも、それぞれただ1つの棚レールコントローラRC1-RC30に論理割り当てされている。当該論理割り当ては、専門用語では「紐付け」と呼ばれる。当該紐付けは、上記のように、棚レールクライアントの特徴的な外観又は画像内容を画像検出し評価することによって実行することができる。したがって、それぞれの棚レールに沿った棚レールクライアントの位置を、正確に認識し特定することができる。棚レールクライアントも、点滅信号を出力するために固有のLEDを備えている場合、該当する棚レールクライアントの三次元位置を特定するためには、点滅しているそれぞれの棚レールクライアントだけを、カメラの取得された画像又は動画中で探せばよく、該当する棚レール3に割り当てればよい。棚レールクライアントが、固有の識別データを点滅信号で送信するようにも構成されている場合、その位置特定と同時に、その識別も、カメラを用いて取得された画像又は動画の画像評価によって実行することができる。
【0087】
しかも、棚レールコントローラRC1-RC30が高精度に位置特定されると、物体の高精度の位置の特定又は追跡が可能になる。この場合、店1の天井に幾つかの少数のUWB無線装置が配置された場合とは違って、棚レールコントローラRC1-RC30が設置されたこれらの棚R1-R3自体が、物体の位置を特定するためのアンカーポイントであり、又は機動的な意味では物体を追跡するためのアンカーポイントである。アンカーポイントは、その位置が特定されているので、UWB無線装置が装備されており、棚通路の「側壁」を形成する棚R1-R3において当該通路に沿って移動される物体を、直接的に高精度に位置特定することを可能にする。また、これに応じて、UWB無線通信用の送信電力を低減することができる。何故なら、可動のUWB無線装置が、「側壁」に固定され且つ位置が既知の、棚レールコントローラRC1-RC30のUWB無線モジュールのすぐ近くに常に存在するからである。これは、この技術のエネルギー効率の良い利用に寄与する。さらに、可動のUWB無線装置の位置を特定するためには、物体に直接に隣接した一群の所定数の(例えば、物体のすぐ近くにある1~10個だけの)棚レールコントローラRC1-RC30だけを使用すればよい。可動のUWB無線装置を位置特定し追跡するために稼働するこの一群の棚レールコントローラRC1-RC30は、可動のUWB無線装置のその都度の位置特定又は可動のUWB無線装置の位置の変更に動的に適合され得る。したがって、当該物体を位置特定するために使用される一群の棚レールコントローラRC1-RC30のうちの起動された一部の棚レールコントローラが、当該物体の移動に継続して適合されるように変更され、このときに店内にわたって当該物体に「追従」されるか又は当該物体に「同伴」される。追跡すべき物体からさらに離れて設置された棚レールコントローラRC1-RC30、すなわち当該物体を位置特定するために必要でない棚レールコントローラRC1-RC30は停止され得る。当該停止は、システムのエネルギー需要をさらに減少させ、特に当該移動する物体の位置を特定するための絶対必要量をさらに減少させる。UWB無線装置を有する当該移動する物体は、例えば店1の従業者若しくは顧客のPDAでもよく、又は顧客の携帯電話に組み込まれてもよい。また、このようなUWB無線装置は、(スマート)ショッピングカートの電子装置に組み込まれてもよい。これらの手段は、店内の高精度の屋内ナビゲーションのために使用され得る。
【0088】
一般に、全てのこれらの手段は、例えばサーバ5又はクラウドベースの管理ソフトウェアのような上位の管理機構の制御管理下で使用される。これは、その都度の管理機構が上記の位置特定手段をそれぞれのシステム構成要素のコンピュータベースの制御によって起動するか、又は当該位置特定手段の実行を制御することを意味する。
【0089】
さらに、上記の棚レールコントローラ及び棚レールクライアント又は一般に電子装置は、様々な機能が電子回路によって、必要に応じてソフトウェアを実行することによって実現される当該電子回路を有する点に留意すべきである。当該電子回路は、ディスクリート式に、又は集積電子回路によって、若しくはこれらの組み合わせによって構成され得る。また、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、特定用途向けIC(ASIC)が、必要に応じてアナログ式又はデジタル式の電子周辺機器と組み合わせて使用されてもよい。
【0090】
さらに、図1~4に示された棚の配置は、当然に説明を目的としたものにすぎず、容易に理解できるように簡単に構成されてある点に留意すべきである。上記の手段は、複数の棚及び複数の棚レールの遥かにより複雑な配置にも容易に適用され得て、特に複数の棚及び複数の棚レールが数珠つなぎになっている構造にも適用され得る。
【0091】
最後に、上記の詳しく説明した図は、本発明の範囲から外れることなしに当業者によって様々に変更され得る実施の形態にすぎない点を再度指摘する。完全を期すため、不定冠詞「1つ」の使用は、該当する特徴が複数存在し得ることを排除しない点も指摘する。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】