(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】水分散性コア構築物を含む水分散性物品
(51)【国際特許分類】
C11D 17/04 20060101AFI20240514BHJP
D04H 1/4309 20120101ALI20240514BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20240514BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240514BHJP
C11D 10/02 20060101ALI20240514BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C11D17/04
D04H1/4309
C11D17/06
C11D3/37
C11D10/02
C08J5/18 CEP
C08J5/18 CEX
C08J5/18 CFD
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565249
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 US2022028212
(87)【国際公開番号】W WO2022236150
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2022-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508122415
【氏名又は名称】モノソル リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ナイト, ジョナサン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ブライドウェル, ヴィクトリア
(72)【発明者】
【氏名】ラマスワミ, ラムヤ
(72)【発明者】
【氏名】スロペク, ライアン
【テーマコード(参考)】
4F071
4H003
4L047
【Fターム(参考)】
4F071AA09
4F071AA29
4F071AA43
4F071AC12
4F071AC13
4F071AE22
4F071AF05
4F071AF15
4F071AH19
4F071BA09
4F071BB04
4F071BC01
4H003BA18
4H003BA22
4H003DA01
4H003DA02
4H003DA05
4H003DA17
4H003EB33
4H003EE04
4H003EE05
4L047AA16
4L047AA29
4L047AB02
4L047CB10
4L047CC16
(57)【要約】
物体を清浄化または手洗いするための物品は、樹脂を含む複数の繊維を含むコア基材を含む。コア基材は、1つまたは複数の研磨性表面を有し、活性洗浄配合物を含有する。樹脂およびコア基材は、40℃またはそれ未満などの低温の水との接触で水分散性になり、より高温の水と接触すると、水溶性になる。本開示は、容易に製造可能で、調理器具および食卓用器具、例えば、ポット、平鍋、皿、料理道具、食事道具、グラスおよび/またはカップからの残骸を乾いたままで清浄化するのに適切な研磨性表面を提供する構築物を有する、単一単位用量物品または多重単位用量物品などの単位用量物品を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を手洗いするための物品であって、
研磨性表面を有し活性洗浄配合物を含有する、樹脂を含む複数の繊維を含むコア基材
を含み、
前記コア基材は、試験方法MSTM-205により40℃またはそれよりも低い温度を有する水と接触すると、水分散性になって前記コア基材から前記活性洗浄配合物を放出する物品。
【請求項2】
前記コア基材が、300秒またはそれよりも短い分散時間を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記コア基材が、試験方法MSTM-205により40℃より高い温度を有する水と接触すると、水溶性になる、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記コア基材が10重量%未満の含水量を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記研磨性表面が、8uin(0.2μm)から60uin(1.5μm)のRa値を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記活性洗浄配合物が、固体、液体、ゲルまたはスラリー形態の少なくとも1つの形態である、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記活性洗浄配合物が、消毒剤または衛生化剤、洗剤、界面活性剤、乳化剤、キレート試薬、汚れ懸濁剤、しみリフターまたは剥離薬、酵素、pH調整剤、ビルダー、汚れ剥離剤、構造剤、遊離のフレグランス、カプセル化フレグランス、防腐剤、溶媒、鉱物、フォームビルダー、HLB調整剤、または脱脂剤、またはそれらの組合せの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記活性洗浄配合物が前記コア基材の表面に配置されているか、または前記コア基材のマトリックスに埋め込まれているかの少なくとも一方である、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記コア基材が、前記活性洗浄配合物で飽和され、前記活性洗浄配合物を用いてコーティングされ、または、前記活性洗浄配合物に含浸される少なくとも1つである、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記活性洗浄配合物が前記コア基材中に存在する、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記活性洗浄配合物が担体溶媒を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記複数の繊維の各繊維が10mmから100mmの長さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
前記複数の繊維の各繊維が0.5から25の直径に対する長さの比(L/D)を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項14】
前記コア基材が、不織シート、結合して不織ブロック基材を形成する複数の不織シートまたは連結して球体または回転楕円体を形成する複数の不織シートの形の不織基材を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項15】
前記活性洗浄配合物が、以下の衛生化剤:第四級アンモニウム化合物(QAC)、ハロゲン化酸化剤、次亜塩素酸を発生する化合物、ハイポクロライトを発生する化合物、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、ジクロロイソシアヌル酸、アルコール、酸素ラジカル発生剤、過酸化水素(H
2O
2)、スルフェートを発生する化合物、メチルイソチアゾリノン(MIT)、ベンズイソチアゾリノン(BIT)またはメタ重亜硫酸ナトリウムの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項16】
前記コア基材が、前記樹脂で作製された複数の繊維を含む少なくとも1つの不織シートを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項17】
前記複数の繊維が前記活性洗浄配合物で飽和される、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
前記活性洗浄配合物が前記複数の繊維の表面に配置されているか、または前記複数の繊維に埋め込まれているかのうちの1つである、請求項16に記載の物品。
【請求項19】
前記コア基材が、複数の不織層を含み、前記活性洗浄配合物が前記複数の層の隣接層間に配置される、請求項16に記載の物品。
【請求項20】
前記樹脂がビニルアルコール部分を含むポリマーである、請求項16に記載の物品。
【請求項21】
ビニルアルコール部分を含む前記ポリマーが、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、またはそれらの組合せを含む、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
前記ポリビニルアルコールコポリマーが、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーまたは陰イオン修飾コポリマーである、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
前記陰イオン修飾コポリマーがカルボキシレート、スルホナート、またはそれらの組合せを含む、請求項22に記載の物品。
【請求項24】
前記複数の繊維が、約95%から約98%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーを含む、請求項16に記載の物品。
【請求項25】
前記複数の繊維が、約75%から約89.9%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーを含む第1のタイプの繊維、および約90%から約99.99%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーを含む第2のタイプの繊維を含む、請求項16に記載の物品。
【請求項26】
前記第2のタイプの繊維に対する前記第1のタイプの繊維の比が、重量で約5:95から約25:75の範囲である、請求項25に記載の物品。
【請求項27】
前記第1のタイプの繊維が、約80%から約89%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーを含み、前記第2のタイプの繊維は、約95%から約98%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーを含む、請求項25に記載の物品。
【請求項28】
前記コア基材が、前記第1のタイプの繊維および前記第2のタイプの繊維の混合物を含む少なくとも1つの不織シートを含む、請求項25に記載の物品。
【請求項29】
前記コア基材が、ビニルアルコール部分を含むポリマーでないポリマーで作製された繊維をさらに含む、請求項20に記載の物品。
【請求項30】
前記コア基材が、不織シート、フォーム層、フィルム、または任意のそれらの組合せから選択される複数の層を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項31】
前記複数の層が、重ねた構築物の別個のシート、または蛇行状の構築物に折り畳まれた連続的なシートを含む、請求項30に記載の物品。
【請求項32】
前記研磨性表面が、前記コア基材上に結合された前記活性洗浄配合物を含む複数の粒子を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項33】
前記樹脂が生分解性である、請求項1に記載の物品。
【請求項34】
物体の手洗い用の物品を作製する方法であって、
活性洗浄配合物を含有する、樹脂を含む複数の繊維を含む不織基材を形成すること;および
前記不織基材の研磨性表面を形成すること
を含む方法。
【請求項35】
前記活性洗浄配合物を含有する、樹脂を含む複数の繊維を含む不織基材の形成が、前記活性洗浄配合物で前記不織基材を飽和させること、水溶性不織基材の表面に前記活性洗浄配合物を配置すること、前記活性洗浄配合物を用いて前記基材の表面をコーティングすること、前記不織基材に前記活性洗浄配合物を埋め込むこと、または前記不織基材に前記活性洗浄配合物を含浸させることの少なくとも1つを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記活性洗浄配合物が担体溶媒を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記不織基材が、試験方法MSTM-205により40℃またはそれよりも低い温度を有する水と接触すると、水分散性になり、40℃より高い温度を有する水と接触すると、水溶性になる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記不織基材の研磨性表面の形成が、前記不織基材の第1の表面に研磨性材料を形成すること、研磨性材料を配置すること、研磨性材料を埋め込むこと、研磨性材料をコーティングすること、または研磨性材料を接着することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記不織基材の研磨性表面の形成が、前記不織基材の第1の表面に研磨性材料を接着結合することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記研磨性材料が、前記活性洗浄配合物で作製された複数の粒子を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記不織基材の研磨性表面の形成が、前記基材の第1の表面を加熱して前記第1の表面に研磨性材料を接着することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記不織基材の研磨性表面の形成が、前記不織基材のマトリックス中に研磨性材料を配置することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記不織基材の研磨性表面の形成が、前記不織基材の第1の表面を少なくとも部分的に溶解すること、および前記第1の表面に研磨性材料を塗布することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
前記不織基材の実質上平滑な表面を形成することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項45】
水を用いて前記不織基材の第2の表面をコーティングすること、または前記第2の表面を加熱して連続的で平滑な第2の表面を創出することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記不織基材の研磨性表面の形成が、前記不織基材の厚さを通して研磨勾配を形成することを含む、請求項34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年5月7日に出願された米国仮出願第63/185,632号に基づく利益を主張し、その出願の全体を参照により本明細書に明白に組み込む。
【0002】
分野
本開示は、一般に水分散性および/または水溶性コア構築物を含む水分散性および/または水溶性単位用量物品に関する。より詳細には、本開示は、例えば物体手洗い用の洗浄配合物を含有するように構成された、不織基材などの水分散性基材を含む水分散性物品に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
水溶性フィルム包装材料などの水溶性包装材料は、送達される材料の分散、注入、溶解および投与を単純化するのに、一般に使用される。従来の水溶性フィルムから作製されたパウチは、洗濯洗剤、食器洗剤、またはパーソナルケア配合物などの配合物を包装するのに一般に使用される。消費者は、食器洗い機洗浄サイクルを始動させる前に食器洗剤配合物を含有する水溶性フィルムパウチを自動食器洗い機へ直接添加することができる。消費者が配合物を測定する必要性をなくしながら、正確な投与を提供することが有利である。しかしながら、自動食器洗い機の使用ではなく手を用いて食器を洗うことを選択する消費者の食器洗いプロセスを容易にするこの単一単位用量の概念は、手洗いには広がっていない。その代わりに、手を用いる洗いを選ぶ消費者は、多数のブランド、製品および形態、例えば、バルク食器洗剤または粉末、および、頻繁に交換されなければ衛生上の懸念を呈するスクラビング作用を提供するスポンジ、ブラシ、布またはタオルにわたってそれらの食器を清浄化する化学的および機械的手段に頼らざるをえない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、当技術分野では、容易に製造可能で、調理器具および食卓用器具、例えば、ポット、平鍋、皿、料理道具、食事道具、グラスおよび/またはカップからの残骸を乾いたままで清浄化するのに適切な研磨性表面を提供する構築物を有する、単一単位用量物品または多重単位用量物品などの単位用量物品の必要性が存在し、一方ではまた、例えば、調理器具および食卓用器具が漬かることができる適切な衛生化および/または洗浄配合物を送達するためのある量の水を含む流しへ導入される、洗浄配合物を送達するのに適切な温度で水と接触したとき溶解可能または可溶性になる。衛生化および/または洗浄配合物を含有する水に漬かった後、調理器具および食卓用器具は、容易に清浄化することができ、必要であれば、すすぎおよび乾燥することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1~4は、例示実施形態による、活性洗浄配合物および必要に応じて担体溶媒を含有する例示物品の模式的断面図である。
【
図2】
図1~4は、例示実施形態による、活性洗浄配合物および必要に応じて担体溶媒を含有する例示物品の模式的断面図である。
【
図3】
図1~4は、例示実施形態による、活性洗浄配合物および必要に応じて担体溶媒を含有する例示物品の模式的断面図である。
【
図4】
図1~4は、例示実施形態による、活性洗浄配合物および必要に応じて担体溶媒を含有する例示物品の模式的断面図である。
【0006】
【
図5】
図5は、例示実施形態による、物品を作製する例示方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
本明細書に記述される例示実施形態では、物体を清浄化または手洗いするための物品が提供される。単位用量物品、例えば、単一単位用量(SUD)物品または多重単位用量(MUD)物品などの例示物品は、以下に限定されないが、ポット、平鍋、皿、プレート、料理道具、食事道具、フォーク、スプーン、ナイフ、グラスおよび/またはカップを含む汚れた調理器具および食卓用器具を清浄化するための1種または複数の活性洗浄配合物、例えば、1種または複数の清浄剤を含む担体溶媒を送達する精密投与を有する、1種または複数の水分散性および/または水溶性コア基材、例えば、1種または複数の水分散性および/または水溶性不織、フォームまたはフィルム基材を含む。コア基材は、例えば、約10℃から約40℃の温度で水分散性であってもよく、そのような温度またはより高い温度での多重使用の後に水溶性になり得る。例示実施形態では、物品は、水分散性樹脂を含む水分散性コア基材を含む。コア基材は、比較的繊維質の外観および/またはプロファイルを有する1つまたは複数の研磨性表面、および比較的平滑な外観および/またはプロファイルを有する1つまたは複数の平滑表面を有する。コア基材は、活性洗浄配合物、例えば、衛生化および/または洗浄配合物を含有するように構成される。担体溶媒は必要に応じて含まれる。
【0008】
例えば、汚れたまたは汚い平鍋の乾いたまたは濡れた表面への物品の研磨性表面と接触すると、消費者は、汚れたまたは汚い平鍋の表面に対して単純に圧力を加えて、研磨性表面が平鍋表面の焼付いたまたは乾いた汚れを除去する。汚れが平鍋表面から除去されれば、物品は、例えば、適温で水と接触して化学的および/または機械的洗浄作用のために活性洗浄配合物を放出することができる。あるいは、消費者は、コア基材が分散性または結果的に可溶性になるにつれて、活性洗浄配合物が放出されるように、適切な量の水を含有する流しまたは容器に物品を入れてもよい。放出されたら、活性洗浄配合物は、望ましくない残留物を残すことなく手洗い清浄化プロセス中に分散、溶解および/または生分解する。
【0009】
例示実施形態では、コア基材が40℃より高い温度を有する、または80℃より高い温度を有する水と接触したとき、水溶性コア基材は可溶性になって活性洗浄配合物を放出する。例示実施形態では、コア基材は、例えば、ポリビニルアルコール(PVOH)ポリマー、デンプン誘導体などの水分散性または水溶性のポリマー、またはそうでなければ、高度の生物分解活性を有するか、または堆肥にし得るかリサイクルすることができる水分散性ポリマーとのそれらのブレンドを含む。
【0010】
物品、およびより詳細には、例示実施形態では、コア基材は、衛生化配合物および/または清浄化洗剤配合物などの1種または複数の活性洗浄配合物を含有するように構成される。例示として、活性洗浄配合物は、以下に限定されないが、消毒剤および/または食器洗剤、石鹸またはクリーナーを含んでもよい。他の例示は、洗剤、石鹸またはクリーナー、柔軟仕上げ剤、漂白剤、洗濯用増強剤、しみ除去剤、蛍光増白剤、硬水軟化剤、シャンプー、コンディショナー、ボディウォッシュ、フェイスウォッシュ、スキンローション、スキントリートメント、ボディオイル、フレグランス、ヘアトリートメント、バスソルト、エッセンシャルオイル、バスボムもしくは酵素、または任意のそれらの適切な組合せを含む。例示実施形態では、適切な担体溶媒は、以下に限定されないが、水、グリセリン、DPG(ジプロピレングリコール)などのポリオール、および他の極性の担体溶媒またはそれらの任意の組合せを含む、水溶性コア基材のポリマーマトリックス中への活性洗浄配合物の組み入れを容易にするのに望ましい極性およびコーティング重量を有する溶媒を含む。例示実施形態では、活性洗浄配合物を含む担体溶媒は、コア基材の1つまたは複数の表面に配置されるか、もしくはそれにコーティングし、または、水溶性コア基材に埋め込まれ、および/もしくは接着される。コア基材は、単層、例えば、単層の不織コア基材を含んでいてもよく、または複数の層、例えば、蛇行状の配列に折り畳まれ、もしくは、例えば、切断し重ねて、水溶性不織コア基材の隣接層間に配置された活性洗浄配合物を含む担体溶媒を含む層を形成する不織コア基材のシートを含んでいてもよい。
【0011】
本明細書で使用される場合および他に指示しない限り、用語「水分散性」は指定温度で水に浸漬すると不織基材、フォーム基材、フィルム、または積層体が、より小さな構成小片へ物理的に解離する任意の不織基材(または不織ウェブ)、フォーム基材、フィルム、または積層体を指す。より小さな小片は肉眼で見えても見えなくてもよく、水中に懸濁し続けても懸濁し続けなくてもよく、究極的に溶解しても溶解しなくてもよい。分散温度が指定されない例示実施形態では、不織基材、フォーム基材、フィルムまたは積層体は、MSTM-205により約100℃またはそれよりも低い温度で300秒またはそれよりも短い時間で崩壊する。例えば、崩壊時間は、MSTM-205により、必要に応じて約80℃、約70℃、約60℃、約50℃、約40℃、約20℃、または約10℃の温度で、200秒もしくはそれよりも短い、100秒もしくはそれよりも短い、60秒もしくはそれよりも短いまたは30秒もしくはそれよりも短い時間であってもよい。例えば、そのような分散パラメーターは、6ミル(約152μm)の厚さを有する不織基材、フォーム基材、フィルムまたは積層体構造の特徴となり得る。例示実施形態では、水分散性コア基材は、300秒またはそれよりも短い分散時間を有する。
【0012】
本明細書で使用される場合および他に指示しない限り、「水溶性」という用語は、本明細書に記載されているMSTM-205により決定されるように指定温度で300秒またはそれよりも短い溶解時間を有する任意の不織基材(または不織ウェブ)、フォーム基材、フィルムまたは積層体を指す。例えば、不織基材、フォーム基材、フィルムまたは積層体の溶解時間は、MSTM-205により必要に応じて約80℃、約70℃、約60℃、約50℃、約40℃、約20℃または約10℃の温度で200秒もしくはそれよりも短い、100秒もしくはそれよりも短い、60秒もしくはそれよりも短いまたは30秒もしくはそれよりも短い時間であってもよい。溶解温度が指定されていない例示実施形態では、水溶性不織基材、フォーム基材、フィルムまたは積層体は、約80℃以下の温度で300秒またはそれよりも短い溶解時間を有する。例示実施形態では、「水溶性不織基材」または「水溶性不織ウェブ」は、1.5ミル(約38μm)の厚さで、MSTM-205により不織基材が80℃以下の温度で300秒またはそれよりも短い時間で溶解することを意味する。例えば、1.5ミル(約38μm)の厚さの水溶性不織基材は、MSTM-205により、約70℃、約60℃、約50℃、約40℃、約30℃、約20℃または約10℃の温度で300秒もしくはそれよりも短い、200秒もしくはそれよりも短い、100秒もしくはそれよりも短い、60秒もしくはそれよりも短い、または30秒もしくはそれよりも短い溶解時間を有することができる。例示実施形態では、水溶性コア基材は300秒またはそれよりも短い溶解時間を有する。
【0013】
本明細書で使用される場合および他に指示しない限り、「温水可溶性」という用語は、MSTM-205により決定されるように少なくとも40℃、例えば約40℃から約100℃の範囲の温度で300秒またはそれよりも短い溶解時間を有する任意の水溶性不織基材、フォーム基材、フィルムまたは積層体を指す。例えば、温水可溶性の不織基材、フォーム基材、フィルムまたは積層体の溶解時間は必要に応じて、MSTM-205により約40℃より高い、例えば約41℃から約80℃、約40℃から約100℃、約40℃から約60℃、約50℃から約60℃で、約60℃から約80℃、または約60℃から約90℃の範囲の温度で200秒もしくはそれよりも短い、100秒もしくはそれよりも短い、60秒もしくはそれよりも短い時間または30秒であってもよい。例示実施形態では、「温水可溶性不織基材」または「温水可溶性不織ウェブ」は、1.5ミル(約38μm)の厚さで、不織基材がMSTM-205により約21℃以上の温度で300秒またはそれよりも短い時間で溶解することを意味する。例えば、1.5ミル(約38μm)の厚さの水溶性不織基材は、MSTM-205により、約80℃、70℃、約60℃、約50℃または約40℃の温度で300秒もしくはそれよりも短い、200秒もしくはそれよりも短い、100秒もしくはそれよりも短い、60秒もしくはそれよりも短い、または30秒もしくはそれよりも短い溶解時間を有することができる。例示実施形態では、「温水可溶性不織基材」または「温水可溶性不織ウェブ」などの温水可溶性基材は、その温水可溶性温度より低い温度を有する水と接触したとき、安定なままであり、例えば溶解しないが、しかし、例えば、少なくとも300秒から300秒と600秒の間の適切な溶解時間その温水可溶性温度と等しい温度を有する水と接触したとき、可溶性になり、例えば溶解する。例えば、例示実施形態では、40℃の温度を有する水と少なくとも300秒間、例えば300秒から600秒間接触した温水可溶性不織基材は、MSTM-205により可溶性になるが、しかし、温水可溶性不織基材は、40℃未満の温度を有する水と接触したとき、または40℃の温度を有する水と300秒間未満接触したときは、安定である。
【0014】
本明細書で使用される場合、他に指示しない限り、「不織ウェブ」という用語は、配置構成された(例えば、カーディングプロセス)および互いに結合された繊維を含む、これらの繊維からなる、またはこれらの繊維から本質的になるウェブまたはシートを指す。したがって、用語「不織ウェブ」は不織繊維に基づくウェブの略記と考えることができる。さらに、本明細書において使用される「不織ウェブ」は、例えばそれらの表面に積層されたフィルムを有する不織ウェブまたはシートを含む、不織ウェブまたはシートを含む任意の構造を含む。繊維から不織ウェブを調製する方法は、例えばその全体が参照により本明細書に組み込まれるNonwoven Fabrics Handbook, prepared by Ian Butler, edited by Subhash Batra et al., Printing by Design, 1999に記載されるように、当技術分野で周知である。本明細書で使用される場合、および他に指示されない限り、「フィルム」という用語は、例えば流延または押出しプロセスにより調製された連続フィルムまたはシートを指す。
【0015】
本明細書で使用される「複数の繊維」は、単繊維タイプを含むことができ、または2つもしくはそれよりも多くの種々の繊維タイプを含むことができる。複数の繊維が、2つまたはそれよりも多くの種々の繊維タイプを含む例示実施形態では、各繊維タイプが、一般に任意の量で、例えば複数の繊維の全重量の約0.5重量%から約99.5重量%の量で含めることができる。複数の繊維が単独の繊維タイプからなる例示実施形態では、複数の繊維は第2のまたはそれよりも多くの繊維タイプを実質的に含まない。複数の繊維は、複数の繊維が第2のまたはそれよりも多くの繊維タイプを約0.5重量%未満含む場合、第2のまたはそれよりも多くの繊維タイプを実質的に含まない。一般に、繊維タイプ同士の相違は、繊維長の直径に対する比(L/D)、靭性、形状、剛性、弾性、溶解度、融点、ガラス転移温度(Tg)、化学組成、色、またはこれらの組合せの差とすることができる。
【0016】
本明細書で使用される場合、「樹脂(複数可)」および「ポリマー(複数可)」という用語は、同義と見なされるべきである。ある特定の実施形態では、樹脂(複数可)およびポリマー(複数可)という用語はそれぞれ、1種または複数の追加のポリマーと必要に応じて組み合わされたポリマーを指すのに、および単一タイプのポリマーを指すのに使用され、例えば樹脂は、1種より多くのポリマーを含むことができる。
【0017】
本明細書で使用される場合、および他に指示されない限り、「重量%(wt.%)」および「重量%(wt%)」という用語は、文脈に応じて、例えば水溶性フィルム中の残留水分を含む水溶性フィルム全体の、「乾燥」(無水)重量部で特定された要素の組成、または組成物全体の重量部で特定された要素の組成を指すものとする。
【0018】
本明細書で使用される場合および他に指示しない限り、「PHR」(「phr」)という用語は、水溶性不織基材、フォーム基材もしくはフィルム中の、または水溶性不織基材、フォーム基材もしくはフィルムを作製するのに使用される溶液中の水溶性ポリマー樹脂(複数可)100部当たりの特定された要素の組成を指すものとする(他に指定されない限り、PVOHであってもその他のポリマー樹脂であっても)。
【0019】
本明細書で使用される場合および他に指示しない限り、「含んでいる(comprising)」という用語は、様々な構成要素、成分、またはステップが本開示の実施の際に一緒に用いることができることを意味する。したがって、「含んでいる(comprising)」という用語は、より制限的な用語である「~から本質的になる」および「~からなる」という用語を包含する。本発明の組成物は、本明細書に開示される、必要とされるおよび必要に応じた要素のいずれかを、含むことができ、そのようなものから本質的になることができ、またはそのようなものからなることができる。適切に本明細書に例示的に開示される本開示は、本明細書に特に開示されないいかなる要素またはステップも存在しない状態で実施されてもよい。
【0020】
値が先行の「約」の使用によって近似として表現される場合、特定の値が別の実施形態を形成することは理解されよう。本明細書で使用される場合、「約X」(ここで、Xは数値である)は例示実施形態では、包括的な記載値の±10%(例えば、±5%)を指す。
【0021】
物品、水分散性および/または水溶性の不織材料、水分散性および/または水溶性フォーム材料、および水分散性および/または水溶性のフィルム材料、および物品、水分散性および/または水溶性の不織材料、水分散性および/または水溶性フォーム材料、および水分散性および/または水溶性のフィルム材料を作製および使用する関連方法は、他に言及しない限り、以下にさらに記述される追加の必要に応じた要素、特徴およびステップの1つまたは複数の任意の組合せを含む実施形態を含むように企図される。
【0022】
例示実施形態では、物品は、水分散性および/または水溶性の樹脂を含む水分散性および/または水溶性コア基材を含む。例示実施形態では、コア基材および樹脂は、例えば約10℃から約40℃の温度で水分散性であってもよく、そのような温度または40℃もしくはそれよりも高い温度などのより高温での多重使用の後に水溶性になってもよい。家庭内使用として安全な温水の最高温度は約48℃である。例示実施形態では、コア基材は、より水分散性の不織コア基材の1つを含む。コア基材が、20℃より高い温度を有する水、または40℃より高い温度を有する水、または80℃より高い温度を有する水と接触したとき、コア基材は、分散性または可溶性になって活性洗浄配合物を放出する活性洗浄配合物を含有する。例示実施形態では、活性洗浄配合物は、固体、例えば、粉末、または複数の顆粒もしくは粒子、ゲル、液体、またはスラリー形態の少なくとも1つの形、または任意のそれらの適切な組合せである。ある特定の実施形態では、コア基材は、活性洗浄配合物を含む担体溶媒で飽和される。他の実施形態では、活性洗浄配合物を含む担体溶媒は、水溶性コア基材に埋め込まれ、配置され、塗布され、コーティングおよび/または接着され、例えば、活性洗浄配合物を含む担体溶媒は水溶性コア基材の表面に配置される。例示実施形態では、水溶性コア基材は活性洗浄配合物を含む担体溶媒を用いてコーティングされるか、または活性洗浄配合物を含む担体溶媒に含浸されるかの少なくとも1つである。例示実施形態では、活性洗浄配合物を含む担体溶媒は、コア基材中に存在し、例えば繊維形成組成物、フォーム形成組成物またはフィルム形成組成物中に存在する。担体溶媒は必要に応じたものである。
【0023】
図、最初に
図1~4を参照すると、単一単位用量物品20などの物品は、水分散性および/または水溶性の樹脂を含む複数の繊維を含む水分散性および/または水溶性不織基材22を含む。例示実施形態では、不織基材22は、以下に限定されないが、本明細書に記述されるPVOH繊維、または最大90重量%のセルロース型繊維とブレンドされたPVOH繊維、または他のポリマーで作製された繊維とブレンドされたPVOH繊維を含む任意の適切な繊維化学を含む。一部の実施形態では、不織基材は水分散性繊維で作製される。
【0024】
例示実施形態では、不織基材22は、15gsmから150gsm(1平方メートル当たりグラム)の坪量;10.0mmから150mmの繊維長;および5ミクロンから100ミクロンの適切な繊維直径を有する。他の例示実施形態では、水溶性不織基材22は任意の適切な坪量、繊維長および/または繊維直径を有する。例えば、例示実施形態では、繊維直径は5ミクロンより小さく、または100ミクロンより大きい。不織基材22の繊維は、以下に限定されないが、カーディングされたプロセスまたは任意の水溶性不織繊維を作製する適切なプロセスを含む任意の適切な方法を使用して形成されてもよい。さらに、不織基材22の繊維は、一緒に、以下に限定されないが、熱、熱による、化学的、水および/または溶液結合法を含む任意の適切な結合プロセスまたは方法、または不織繊維結合について当技術分野で公知の任意の適切な結合方法を使用して結合される。以下に記述され、
図1~4に示されたように、不織基材22は、任意の適切な数の層もしくはプライ、例えば、1層もしくは1プライから50層または50プライ、またはある実施形態ではそれよりも多くを含んでもよい。不織基材22は多孔質であっても非多孔質であってもよく、また、冷水可溶性であっても、暖水可溶性であっても温水可溶性であってもよい。代替例示実施形態では、不織基材は、冷水分散性であっても、暖水分散性であっても、温水分散性であってもよい。水溶性不織基材22は、以下に限定されないが、カーディングされたプロセスを含む不織布製造技術分野で公知の任意の適切な製造プロセスを使用して形成されてもよい。水溶性不織基材22の構築物は、例えば、折り畳まれた層もしくはプライ、積層された層もしくはプライ、および/またはロール層もしくはプライを含んでもよい。
【0025】
例示実施形態では、不織基材22は、活性洗浄配合物26、および必要に応じて担体溶媒25を含有する。例示実施形態では、不織基材22は、活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25と接触する前に15重量%未満、より詳細には、10重量%未満、さらにより詳細には、2重量%から10重量%の間の含水量を有する。本明細書に記述される例示実施形態では、複数の繊維の少なくとも1つの繊維との担体溶媒25の接触で、少なくとも1つの繊維は、0.5%から65%の収縮率を示す。例示実施形態では、活性洗浄配合物26は液体配合物である。
【0026】
例示実施形態では、不織基材22が10℃から40℃の範囲の温度を有する水と接触したとき、不織基材22は分散性となって活性洗浄配合物26を放出する。不織基材22が40℃より高い温度または80℃より高い温度を有する水と接触したとき、水溶性不織基材22は可溶性になり、即ち溶解する。さらに、例示実施形態では、不織基材22が、20℃より高い温度、または40℃より高い温度を有する水と300秒間以下接触したとき、活性洗浄配合物26は、水溶性不織基材22から実質上放出される。例示実施形態では、不織基材22は、MSTM-205により、例えば60℃~100℃などの40℃を超える温度で少なくとも300秒の溶解時間を有する。例示実施形態では、コア基材は、適用例では完全に溶解し、300秒未満のMSTM 205試験で完全に溶解することが可能であることによって評価することができる。例示適用試験では、定義されていない揺動を用いて、水溶性コア基材が40℃から100℃、600秒未満で溶解されたときに残存する残留物はない。
【0027】
適切な担体溶媒25は、以下に限定されないが、水、ポリオール、例えば、グリセリン、DPGなど、および水溶性不織基材22のポリマーマトリックスへの活性洗浄配合物26の組み入れを容易にするための所望の極性およびコーティング重量を有する他の極性溶媒を含む。活性洗浄配合物26は、固体、例えば、粉末または複数の顆粒もしくは粒子、ゲル、液体、またはスラリー配合物の形、または例えば、固体、ゲル、液体もしくはスラリー配合物の任意の適切な組合せであってもよい。例示実施形態では、活性洗浄配合物26は、例えば、固相、液相、スラリー相(固体および多重相を含有する液体)、または相の任意の適切な組合せを含む任意の適切な相中にある。例えば、活性洗浄配合物26は、細かい粉末粒子または顆粒、ゲル、1種または複数の液体、またはスラリー、または多重相を含んでもよい。活性洗浄配合物26は、以下に限定されないが、以下の1つまたは複数を含んでもよい:消毒剤、衛生化剤、洗剤、界面活性剤、乳化剤、キレート試薬、汚れ懸濁剤、しみ剥離薬、酵素、pH調整剤、ビルダー、汚れ放出ポリマー、構造剤、遊離のフレグランス、カプセル化フレグランス、防腐剤、溶媒、鉱物、酸化剤、フォームビルダー、HLB調整剤、または脱脂剤、および/または、消毒剤および/または食器洗剤中に含むのに適切な任意の原料(またはパーソナルケア、洗濯用洗剤、および/または家庭用表面クリーナーまたはクレンザー)。例示実施形態では、活性洗浄配合物26は消毒剤または衛生化剤を含んでもよく、または、水溶性不織基材22は補助剤として消毒剤または衛生化剤を含んでもよい。例示実施形態では、物品20は、0.5グラム(g)から250グラムの質量、および1.0ミリリットル(ml)から250mlの量を有する活性洗浄配合物26を含む。活性洗浄配合物26が固相である例示実施形態では、粒子または顆粒は、例えば1ミクロンから100ミクロンのサイズを有していてもよく、または錠剤の形であってもよい。
【0028】
例示実施形態では、活性洗浄配合物26は、例えば、活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25で不織基材22を飽和させることによって、1つまたは複数の表面、例えば、
図1および3に示すように、不織基材22の第1の表面28および/または第2の表面30に活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25を配置、例えば塗布またはコーティングすることによって、不織基材22のマトリックス32中に、例えば
図2および4に示すように不織基材22の1つまたは複数の層中に活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25を埋め込むことによって、および/または、異なる層、例えば不織基材22の隣接層間に活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25を配置、例えば塗布もしくはコーティングすることによって、例えば1つまたは複数の層の1つまたは複数の表面を、例えば、活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25を用いてコーティングすることによって、不織基材22中にまたはそれによって含まれる。活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25は、例えば不織基材22の表面に吸着および/または接着または結合されてもよい。例示実施形態では、1種または複数の活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25は、水溶性のポリマー系または樹脂、例えば、本明細書に記述されるPVOH樹脂中で懸濁され、または水溶性不織基材22の1つまたは複数の表面に配置され、例えばコーティングされる。本明細書に記述される様々なモルフォロジーは、活性洗浄配合物26の放出および/または送達ならびに物品20の溶解度に対する制御を可能にする。例示実施形態では、活性洗浄配合物26は、熱力学および毛細血管圧によって決定される特定のまたは決定された水温でおよび/または特定のまたは決定された時間量にわたって放出される。担体溶媒25は必要に応じたものである。一部の実施形態では、物品20は担体溶媒25を含まない。
【0029】
例示実施形態では、1つまたは複数の第1の表面28は、水溶性不織基材22の粗い区域または領域、例えば、繊維質の外観および/またはプロファイルを有する研磨性の部分または領域を形成する研磨性材料34を含む。例示実施形態では、研磨性材料34は、以下に限定されないが、以下の少なくとも1つを含む:調理器具または食卓用器具の表面仕上げを破損せずに乾いたまたは濡れた汚れた調理器具および食卓用器具のスクラビングまたはこすり取りに適切な所望の摩耗性を第1の表面28に与えるための、本明細書に記述される複数の繊維、本明細書に記述される固体形態の活性洗浄配合物、二酸化ケイ素またはシリカ(SiO2)、珪藻土、1種または複数の粘土、鉱物、ジュート、または複数の天然不溶性繊維、またはそれらの組合せ。例示実施形態では、不織基材22中の複数の繊維、および研磨性材料34としての固体形態中の活性洗浄配合物26は、所望の研磨性を有する第1の表面28を提供する。他の適切な研磨性材料34はまた、所望の摩耗性を有する第1の表面28を与えるために単独でまたは組み合わせて使用されてもよい。一般に、例示実施形態では、摩耗は、X方向および回転方向で定義されるパラメーターを用いて、金属面が清浄化される前後の、Ra(光沢)値の変化によって定義される。例示実施形態では、1種または複数の研磨性材料34は、水溶性不織基材22内に含まれる。例えば、研磨性材料34は、第1の表面28に埋め込まれ、配置され、塗布され、コーティングおよび/または接着され、および/または不織基材22に埋め込まれ、例えば、研磨性材料34は不織基材22のマトリックス32中に配置される。例示実施形態では、研磨性材料は、約8uin(0.2μm)から約16uin(0.4μm)(XY自動);11uin(0.275μm)から約22uin(0.55μm)(オフハンドショート);および約13uin(0.325μm)から約21uin(0.525μm)(オフハンドロング)の炭素鋼基材用の表面仕上げRa値を有する。例示実施形態では、研磨性材料は、約29uin(0.725μm)から約57uin(1.425μm)(XY自動)および約33uin(0.825μm)から約60uin(1.5μm)(オフハンドショート)のアルミニウム基材用の表面仕上げRa値を有する。
【0030】
例示実施形態では、不織基材22は、1つまたは複数の比較的平滑な第2の表面30を含む。即ち、第1の表面28の比較的繊維質の外観および/またはプロファイルと比較して、各第2の表面30は、比較的平滑な外観および/またはプロファイルを有する。例えば、第2の表面30は、水を用いてコーティングされおよび/または加熱されて連続的な平滑表面を創出してもよい。
【0031】
研磨性材料34は、例えば、接着剤または熱付与例を含む当業者に公知の任意の適切な付与方法を使用して、第1の表面28に塗布されてもよい。例示実施形態では、適切な接着剤は第1の表面28に塗布されて第1の表面28に研磨性材料34を接着し、または、第1の表面28が加熱され、研磨性材料34は、適切な噴霧塗布を使用してまたは例えば床または容器内に含有される適切な研磨性材料34に第1の表面28を置くことで第1の表面28に付与される。他の例示実施形態では、不織基材22は研磨性材料34に含浸される。例示実施形態では、研磨性材料34は、不織基材22中に存在し、例えば繊維形成組成物中に存在する。
【0032】
他の例示実施形態では、1種または複数の研磨性材料34は、第2の表面30に埋め込まれ、配置され、塗布され、コーティングおよび/または接着され、および/または、水溶性不織基材22中に埋め込まれて水溶性不織基材22の粗い区域または領域、例えば、繊維質の外観および/またはプロファイルを有する第2の表面30の研磨性の部分または領域を形成する。例示実施形態では、研磨性材料34は、水溶性不織基材22の厚さの全体にわたって研磨勾配が形成されるように配置されてもよく、第1の表面28は第1の研磨性度を有し、反対の第2の表面30は、第1の研磨性度より小さいまたは大きい第2の研磨性度を有する。例示実施形態では、第2の表面30の外観および/またはプロファイルと比較した場合、第1の表面28は、比較的粗い外観および/または粗いプロファイルを有する。反対に、第1の表面28の外観および/またはプロファイルと比較した場合、第2の表面30は、比較的平滑な外観および/または平滑なプロファイルを有する。
【0033】
図1に示されるような例示実施形態では、物品20は、不織シート36を形成する不織基材22の1つまたは複数の層、および不織基材22の第1の表面28および/または反対の第2の表面30に配置された固相中に活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25を含む。
図2に示されるような例示実施形態では、物品20は、不織基材22のマトリックス32内に埋め込まれた固相中に活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25を含有する不織シート36を形成する不織基材22の1つまたは複数の層を含む。
図3に示されるような例示実施形態では、物品20は、一緒に連結された不織基材22の複数のシート36(例えば、
図3および4に示すように、36
n、36
n+1、36
n+2、36
n+3、36
n+4、36
n+5、…、)を含んで、1つまたは複数のシート36の1つまたは複数の表面、例えばシート36の第1の表面28および/または反対の第2の表面30に配置された固相中に球体または回転楕円体、および活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25を形成する。複数のシート36は、各シート36のセンターライン38に沿って一緒に連結されてもよく、
図3および4に示すように、総体として物品20の中心点40を規定し球体形物品20または回転楕円体形物品20を形成する。他の例示実施形態では、1つまたは複数のシート36は、例えば各シート36の縁に沿って連結されてもよく、総体として物品20の中心点40を規定し、球体形物品20または回転楕円体形物品20を形成する。例示実施形態では、
図3に示されるように、不織基材22の1つまたは複数のシート36は、シート36の第1の表面28および/または反対の第2の表面30に配置された固相中に活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25を含有する。例示実施形態では、
図4に示されるように、物品20は、不織基材22のマトリックス32内に埋め込まれた固相中に活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25を含有する不織基材22の1つまたは複数のシート36を含む。
【0034】
さらに
図1~4を参照すると、例示実施形態では、不織基材22は、本明細書に記述される複数の繊維を含むが、
図1~4に明示的には示されていない。例示実施形態では、複数の繊維の1つまたは複数の繊維は、活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25で飽和され、またはそれに含浸される。活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25は、複数の繊維の1つもしくは複数の繊維に、または複数の繊維の1つもしくは複数の隣接繊維間に埋め込まれてもよく、または、活性洗浄配合物を含む担体溶媒25は、複数の繊維の1つもしくは複数の繊維の表面に配置され、例えば、塗布され、またはコーティングされてもよい。
【0035】
例示実施形態では、消費者が汚れたまたは汚い調理器具および食器類を最初にスクラビングまたはこすり取ることを可能にする例示の水分散性および/または水溶性物品20、例えば水分散性および/または水溶性の不織タオル、シート、ワイプ、ヘチマ、パッド、ストリップまたはスポンジが提供される。物品20は、例示実施形態では、調理器具および食器類の表面から濡れたまたは乾燥した残骸および食材の清浄化を容易にし、例えば手洗いされる調理器具および食器類の1回分の清浄化のための適切な量の活性洗浄配合物26を送達するために1つまたは複数の研磨性表面を与えるように構成される。食器が乾いているとき、消費者は食器をスクラビングしてもよい。物品20を使用して、残骸および食材の所望量が除去されれば、物品20は、さらに、食器から残骸および食材を除去し食器を衛生化するために、衛生化および/または洗浄配合物を送達する流し(または浸潤桶の中に)中で溶解することができる。別の例示として、消費者が食器をスクラビングし、物品20が使用中に次第にまたはゆっくり溶解するときに、消費者は冷水(例えば、20℃以下の温度を有する水)を食器に加えてもよい。食器が清浄化すれば、水は、再使用されてもよい物品20から搾り出すことができる。単一または多重使用の後、消費者は、物品20に温水(例えば、少なくとも40℃、好ましくは60℃~70℃、またはそれを超える温度を有する水)を加えて、実質上または完全に物品20を溶解し、流しに含有される温水に衛生化剤を放出することができる。水温が40℃に近いと、物品20は溶解し始め、60℃~70℃またはそれよりも高い温度でははるかに速く溶解する。別の例示として、食器が温水(例えば少なくとも40℃の温度を有する水)を用いて洗われるとき、物品20は溶解しない。洗いプロセスの間、活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25は、実質上物品20から連続的に放出される。手を用いる食器洗いプロセスが完了したら、物品20は自動食器洗浄機へ導入することができる。物品20は洗浄サイクル中に溶解して食器洗いを補助する。あるいは、物品20が適切な生物分解プロファイルを示すので、物品20はごみの中に処分されるか、または紙リサイクルビンに入れられてもよい。
【0036】
ここで
図5を参照すると、例示実施形態では、活性洗浄配合物および必要に応じて担体溶媒を含有する単一単位用量物品などの物品20を作製する方法100は、ステップ102またはステップ102および104を含む。ステップ102で、水分散性および/または水溶性の樹脂を含む複数の繊維を含むコア基材が形成される。例示実施形態では、活性洗浄配合物を含む担体溶媒を含有するコア基材または基材の1つまたは複数の層が形成される。例示実施形態では、コア基材、例えば、不織基材22は、本明細書に記述されるような1種または複数の活性洗浄配合物を含む担体溶媒を含有するように構成される。例示実施形態では、例えば活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25で不織基材22を飽和させることによって、活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25を1つまたは複数の表面、例えば、
図1および3に示すように、不織基材22の第1の表面28および/または第2の表面30に配置すること、例えば、加えることまたはコーティングすることによって、不織基材22のマトリックス32中に、
図2および4に示すように、例えば不織基材22の1つまたは複数の層に活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25を埋め込むことによって、および/または異なる層間、例えば不織基材22の隣接層間に活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25を配置すること、例えば1つまたは複数の層の1つまたは複数の表面を、例えば活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25を用いてコーティングすることによって、活性洗浄配合物26を含む担体溶媒25は、不織基材22中に、またはそれによって含有される。活性洗浄配合物26は、例えば、不織基材22の表面に吸着および/または接着され、または結合されてもよい。不織基材22を形成する複数の繊維の少なくとも1つの繊維が、適切な量の担体溶媒25と接触したとき、少なくとも1つの繊維は、0.5%から65%の収縮率を示す。例示実施形態では、方法100は、不織基材22との担体溶媒の接触を含み、担体溶媒と接触すると、少なくとも1つの繊維は、0.5%から65%の収縮率を示す。例示実施形態では、不織基材22が、20℃より高い温度を有する水、または40℃より高い温度を有する水、または80℃より高い温度を有する水と接触したとき、不織基材22は分散性または可溶性になって活性洗浄配合物を放出する。担体溶媒25は必要に応じて物品20中にある。担体溶媒25が使用される場合、それは物品20中で乾燥されてもよい。
【0037】
例示実施形態では、方法100はステップ104を含む。ステップ104で、研磨性表面は水溶性不織基材22に形成される。例えば、粗いまたは研磨性の区域または領域を有する不織基材22の1つまたは複数の表面が形成される。例示実施形態では、1種または複数の研磨性材料34は、不織基材22の1つまたは複数の第1の表面28に形成、配置または接着され、不織基材22の粗い区域または領域を、例えば、繊維質の外観および/またはプロファイルを有する、例えば研磨性の区域または領域を形成する。本明細書に記述される適切な研磨性材料34は、単独でまたは組み合わせて使用されて、所望の研磨性を有する第1の表面28を与えることができる。例示実施形態では、1種または複数の研磨性材料34は不織基材22内に含有される。例えば、研磨性材料34は、第1の表面28に埋め込まれ、配置され、塗布され、コーティングおよび/または接着され、および/または不織基材22に埋め込まれ、例えば、研磨性材料34は不織基材22のマトリックス32中に配置される。
【0038】
例示実施形態では、方法100は、例えば、接着剤または熱付与例を含む、当業者に公知の任意の適切な塗布方法を使用して1種または複数の研磨性材料34を第1の表面28に形成すること、または第1の表面28に1種または複数の研磨性材料34を塗布することを含む。例示実施形態では、適切な接着剤が第1の表面28に塗布されて、第1の表面28に研磨性材料34を接着し、または、第1の表面28が加熱され、研磨性材料34は、適切な噴霧塗布を使用してまたは例えば床または容器内に含有される適切な研磨性材料34に第1の表面28を置くことで第1の表面28に付与される。他の例示実施形態では、第1の表面28は少なくとも部分的に溶解され、研磨性材料34は少なくとも部分的に溶解した第1の表面28に付与され、または、不織基材22は研磨性材料34に含浸される。例示実施形態では、研磨性材料34は、不織基材22に存在し、例えば繊維形成組成物または樹脂中に存在する。
【0039】
例示実施形態では、方法100は、平滑な外観および/またはプロファイルを有する比較的平滑な区域または領域を有する、水溶性不織基材22の1つまたは複数の表面を形成することを含む。例えば、水溶性不織基材22は1つまたは複数の比較的平滑な第2の表面30を含んでもよい。即ち、第1の表面28の比較的繊維質の外観および/またはプロファイルと比較して、各第2の表面30は、比較的平滑な外観および/またはプロファイルを有する。例示実施形態では、水を用いてコーティングされておよび/または加熱されて第2の表面30は連続的な平滑表面を創出することができる。他の例示実施形態では、方法100は、第2の表面30に1つまたは複数の研磨性の区域または領域を形成することを含む。例えば、1種または複数の研磨性材料34は、第2の表面30に埋め込まれ、配置され、塗布され、コーティングおよび/または接着され、および/または、不織基材22に埋め込まれて不織基材22の粗い区域または領域、例えば、繊維質の外観および/またはプロファイルを有する第2の表面30に研磨性の区域または領域を形成する。
【0040】
他の例示実施形態では、方法100は不織基材22の厚さの全体にわたって研磨勾配を形成することを含む。例えば、研磨性材料34は、不織基材22の厚さの全体にわたって研磨勾配が形成されるように配置されてもよく、第1の表面28は第1の研磨性度を有し、反対の第2の表面30は、第1の研磨性度より小さいまたは大きい第2の研磨性度を有する。例示実施形態では、第1の表面28は、第2の表面30の外観および/またはプロファイルと比較した場合、比較的粗い外観および/または粗いプロファイルを有する。反対に、第2の表面30は、第1の表面28の外観および/またはプロファイルと比較した場合、比較的平滑な外観および/または平滑なプロファイルを有する。
水溶性フィルムおよび繊維形成材料
【0041】
水溶性繊維、水溶性不織基材、水溶性フォーム基材、および水溶性フィルム中で使用される水溶性ポリマーには、限定するものではないが、ポリビニルアルコール(PVOH)ポリマー、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、水溶性天然ポリマーであって限定するものではないがグアールガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラゲナン、およびデンプンを含むもの、水溶性ポリマー誘導体であって限定するものではないが加工デンプン、エトキシル化デンプン、およびヒドロキシプロピル化デンプンを含むもの、前述のコポリマー、および前述のいずれかの組合せが含まれる。他の水溶性ポリマーは、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸およびその塩、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸およびその塩、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびその塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、および前述のいずれかの組合せを含むことができる。そのような水溶性ポリマーは、PVOHであってもその他のであっても、様々な供給元から市販されている。
【0042】
一般に、本明細書に記述される繊維、フォームおよびフィルムはポリビニルアルコールを含む。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルのアルコール分解によって、通常は「加水分解」または「鹸化」と呼ばれるものによって一般に調製される合成ポリマーである。事実上全てのアセテート基がアルコール基に変換されている、完全に加水分解したPVOHは、温水、例えば、約140°F(約60℃)よりも高い温度を有する水のみに溶解する強力に水素結合した高度結晶質ポリマーである。十分な数のアセテート基が、ポリ酢酸ビニルの加水分解後に残される場合、即ちPVOHポリマーが部分的に加水分解する場合、ポリマーは、より弱く水素結合した低度結晶質であり、一般に冷水、例えば約50°F(約10℃)未満の温度を有する水に可溶である。したがって部分加水分解ポリマーは、PVOHコポリマーであるビニルアルコール-酢酸ビニルコポリマーであるが、一般にPVOHと呼ばれる。
【0043】
一部の実施形態では、そのようなポリマーの適切な例は、以下に限定されないが、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、修飾ポリビニルアルコールコポリマー、およびそれらの組合せを含む。例えば、ポリビニルアルコールコポリマーは、一部の実施形態では、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーである。例えば、一部の実施形態では、修飾ポリビニルアルコールコポリマーは、陰イオン修飾コポリマーを含み、それは、カルボキシレート、スルホネートまたはそれらの組合せなどの追加の基をさらに含む、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーであってもよい。したがって、部分的に加水分解されたポリマーは、PVOHコポリマーであるビニルアルコール-酢酸ビニルコポリマーであるが、しかし、「ポリビニルアルコール(PVOH)」または「PVOHポリマー」と一般にPVOHと呼ばれる。簡単には、本明細書で使用される用語「PVOHポリマー」は、ビニルアルコール部分、例えば、50%またはそれよりも大きいビニルアルコール部分を含むホモポリマー、コポリマーおよび修飾コポリマーを包含すると理解される。本明細書で使用される用語「PVOH繊維」は、PVOHポリマーを含む繊維を指す。
【0044】
本明細書に記述される繊維、フォームおよび/またはフィルムは、1種または複数のポリビニルアルコール(PVOH)ホモポリマー、1種または複数のポリビニルアルコールコポリマー、1種または複数の修飾ポリビニルアルコールコポリマー、またはそれらの組合せを含むことができる。本明細書で使用される場合、「ホモポリマー」という用語は一般に、単一タイプのモノマー反復単位を有するポリマー(例えば、単一モノマー反復単位からなるまたはそのような単位から本質的になるポリマー鎖)を含む。PVOHの特定の場合では、「「PVOHポリマー」という用語はさらに、加水分解度に応じてビニルアルコールモノマー単位および酢酸ビニルモノマー単位の分布からなるコポリマーを含む(例えば、ポリマー鎖はビニルアルコールおよび酢酸ビニルモノマー単位からなるまたはそのような単位から本質的になる)。100%加水分解の限定的な場合では、PVOHホモポリマーは、ビニルアルコール単位のみ有する真のホモポリマーを含むことができる。一部の実施形態では、本開示の繊維、フォームおよび/またはフィルムはポリビニルアルコールコポリマーを含む。一部の実施形態では、本開示の繊維、フォームおよび/またはフィルムは、冷水可溶性または温水可溶性ポリビニルアルコールコポリマーを含む。
【0045】
明白に他の方法で示されない限り、「加水分解度」という用語は、ポリマーが初期に有する全ての加水分解可能な部分の間の加水分解された部分のパーセンテージ(例えばモル百分率)として理解される。例えば、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーに関して、酢酸ビニル部分中のエステル基のヒドロキシル基との部分的な置き換えが、加水分解の間に生じ、酢酸ビニル部分はビニルアルコール部分になる。ポリ酢酸ビニルホモポリマーの加水分解度は0と考えられ、一方、ポリビニルアルコールホモポリマーの加水分解度は100%と考えられる。酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーの加水分解度は、酢酸ビニルおよびビニルアルコール部分の合計の間のビニルアルコール部分のパーセンテージと等しく、0から100%の間にある。
【0046】
一部の実施形態では、ポリビニルアルコールポリマーは、修飾ポリビニルアルコール、例えば、コポリマーを含む。修飾ポリビニルアルコールは、コポリマーまたは高級ポリマー(例えば、ターポリマー)であって、1つまたは複数のモノマーを、酢酸ビニル/ビニルアルコール基に加えて含むものを、含むことができる。必要に応じて、修飾は中性であり、例えばエチレン、プロピレン、N-ビニルピロリドン、またはその他の非荷電モノマー種により提供される。必要に応じて、修飾は陽イオン修飾であり、例えば正に帯電したモノマー種によって提供される。必要に応じて、修飾は陰イオン修飾である。したがって一部の実施形態では、ポリビニルアルコールは、陰イオン修飾ポリビニルアルコールを含む。
【0047】
陰イオン修飾ポリビニルアルコールは、陰イオンモノマー単位、ビニルアルコールモノマー単位、および必要に応じて酢酸ビニルモノマー単位を含む(即ち、完全には加水分解されないとき)、部分的にまたは完全に加水分解したPVOHコポリマーを含むことができる。一部の実施形態では、修飾PVOHコポリマーは、2つまたはそれよりも多くのタイプの陰イオンモノマー単位を含むことができる。PVOHコポリマーに使用することができる陰イオンモノマー単位の一般的クラスは、スルホン酸ビニルモノマーおよびそのエステル、モノカルボン酸ビニルモノマー、そのエステルおよび無水物、重合性二重結合を有するジカルボン酸モノマー、そのエステルおよび無水物、ならびに前述のいずれかのアルカリ金属塩に対応するビニル重合単位を含む。適切な陰イオンモノマー単位の例には、ビニル酢酸、マレイン酸、モノアルキルマレエート、ジアルキルマレエート、マレイン酸無水物、フマル酸、モノアルキルフマレート、ジアルキルフマレート、イタコン酸、モノアルキルイタコネート、ジアルキルイタコネート、シトラコン酸、モノアルキルシトラコネート、ジアルキルシトラコネート、シトラコン酸無水物、メサコン酸、モノアルキルメサコネート、ジアルキルメサコネート、グルタコン酸、モノアルキルグルタコネート、ジアルキルグルタコネート、アルキルアクリレート、アルキルアルカクリレート、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリル酸2-スルホエチル、前述のアルカリ金属塩(例えば、ナトリム、カリウム、またはその他のアルカリ金属塩)、前述のエステル(例えば、メチル、エチル、またはその他のC1~C4またはC6アルキルエステル)、および前述の組合せ(例えば、多重タイプの陰イオンモノマーまたは同じ陰イオンモノマーの等価形態)を含む、ビニル陰イオンモノマーに相当するビニル重合単位が含まれる。一部の実施形態では、PVOHコポリマーは、中性、陰イオン性、および陽イオン性モノマー単位から選択される2つまたはそれよりも多くのタイプのモノマー単位を含むことができる。
【0048】
PVOHコポリマー中の1つまたは複数の陰イオンモノマー単位の組込みレベルは、特に限定されない。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の陰イオンモノマー単位が、約1mol%または2mol%から約6mol%または10mol%の範囲の量で、PVOHコポリマー中に存在する(例えば、様々な実施形態において少なくとも1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、または4.0mol%、および/または最大約3.0、4.0、4.5、5.0、6.0、8.0、または10mol%)。
【0049】
ポリビニルアルコールは、溶解度特性の変化に影響を受ける可能性がある。co-ポリ(酢酸ビニル ビニルアルコール)ポリマー(PVOHコポリマー)のアセテート基は、酸またはアルカリ加水分解のいずれかによって加水分解可能であることが当業者に公知である。加水分解度が上昇するにつれ、PVOHコポリマーから作製されたポリマー組成物は高い機械的強度を有することになるが、低温では溶解度が低減する(例えば、完全溶解のためには温水温度を必要とする)。したがって、アルカリ環境(例えば、洗濯用漂白添加剤から得られる)へのPVOHホモポリマーの曝露は、ポリマーを、所与の水性環境(例えば、冷水媒体)に素早く完全に溶解するものから、水性環境にゆっくりかつ/または不完全に溶解するものに変換し、おそらくは溶解しないポリマー残留物をもたらすことができる。
【0050】
本開示の水溶性繊維、フォームおよびフィルムに含まれるPVOHホモポリマーおよびPVOHコポリマー(修飾PVOHコポリマーを含む)の加水分解度(DH)は、約75%から約99.9%の範囲(例えば、約79%から約92%、約75%から約89%、約80%から約90%、約88%から92%、約86.5%から約89%、または約88%、90%、または92%、冷水可溶組成物に関して;約90%から約99.9%、約90%から約99%、約92%から約99%、約95%から約99%、約98%から約99%、約98%から約99.9%、約96%、約98%、約99%、または99%よりも多い)にすることができる。加水分解度が低減するにつれ、ポリマーから作製された繊維、フォーム、またはフィルムは、低減した機械的強度を有するようになるが、約20℃よりも下の温度でより速い溶解度を有するようになる。加水分解度が増大するにつれ、ポリマーから作製される繊維、フォーム、またはフィルムは、機械的により強くなる傾向になり、熱形成性は低下する傾向になる。PVOHの加水分解度は、ポリマーの水溶性が温度依存的であるように選択することができ、したがってポリマーおよび追加の成分から作製されるフィルム、フォーム、または繊維の溶解度も影響を受ける。ある特定の実施形態では、フィルム、フォームおよび/または繊維は冷水可溶性である。他のいかなるモノマーも含まないco-ポリ(酢酸ビニル ビニルアルコール)ポリマー(例えば、陰イオンモノマーと共重合しないホモポリマー)では、10℃未満の温度の水に可溶な冷水可溶繊維、フォーム、またはフィルムは、約75%から約90%、約75%から約89%の範囲の、または約80%から約90%の範囲の、または約85%から約90%の範囲の加水分解度のPVOHを含むことができる。別の実施形態では、繊維、フォーム、またはフィルムは、温水可溶性である。他のいかなるモノマーも含まないco-ポリ(酢酸ビニル ビニルアルコール)ポリマー(例えば、陰イオンモノマーと共重合しないコポリマー)では、少なくとも約60℃の温度の水に可溶な温水可溶繊維、フォーム、またはフィルムは、少なくとも約98%の加水分解度を持つPVOHを含むことができる。例示実施形態では、複数の繊維の1つまたは複数は、約75%から約99.9%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールポリマーを含む。例示実施形態では、複数の繊維の1つまたは複数は、約75%から約98%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールポリマーを含む。例示実施形態では、複数の繊維の1つまたは複数は、約75%から約89%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールポリマーを含む。例示実施形態では、複数の繊維の1つまたは複数は、約90%から約99.9%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールポリマーを含む。例示実施形態では、水溶性フィルムは、約75%から約99.9%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールホモポリマーまたはPVOHコポリマーを含む。例示実施形態では、水溶性フィルムは、約75%から約98%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーまたは修飾ポリビニルアルコールコポリマーを含む。
【0051】
ポリマーブレンドの加水分解度は、算術加重平均加水分解度(
【数1】
)により特徴付けることもできる。例えば、2種またはそれよりも多くのPVOHポリマーを含むPVOHポリマーに関する
【数2】
は、式
【数3】
により計算され、式中、W
iは、それぞれのPVOHポリマーのモル百分率であり、H
iは、それぞれの加水分解度である。ポリマーが特定の加水分解度を有する(または持たない)と称されるとき、ポリマーは、指定された位加水分解度を有する単一ポリビニルアルコールポリマー、または指定された平均加水分解度を有するポリビニルアルコールポリマーのブレンドとすることができる。
【0052】
PVOHポリマー(μ)の粘度は、英国規格EN ISO 15023-2:2006 Annex E Brookfield試験法に記載されるように、ULアダプターを持つBrookfield LV型粘度計を使用して、新たに作製された溶液を測定することによって決定される。20℃での4%水性ポリビニルアルコール溶液の粘度について言及することが、国際的慣例である。センチポアズ(cP)を単位として本明細書で指定される全ての粘度は、他に指定されない限り、20℃での4%水性ポリビニルアルコール溶液の粘度を指すと理解されるべきである。同様にポリマーが、他に指定されない限り特定の粘度を有する(または持たない)と記述されるとき、指定された粘度はポリマーの平均粘度であり、対応する分子量分布を固有に有する、即ち重み付き自然対数平均粘度であるものとする。PVOHポリマーの粘度は、PVOHポリマーの重量平均分子量(
【数4】
)に相関し、しばしば粘度が
【数5】
の代用として使用されることが、当技術分野では周知である。
【0053】
例示実施形態では、PVOH樹脂は、約1.0から約50.0cP、約1.0から約40.0cP、または約1.0から約30.0cP、例えば約4cP、8cP、15cP、18cP、23cP、または26cPの粘度を有していてもよい。例示実施形態では、PVOHホモポリマーおよび/またはコポリマーは、約1.0から約40.0cP、または約5cPから約23cP、例えば約1cP、1.5cP、2cP、2.5cP、3cP、3.5cP、4cP、4.5cP、5cP、5.5cP、6cP、6.5cP、7cP、7.5cP、8cP、8.5cP、9cP、9.5cP、10cP、11cP、12cP、13cP、14cP、15cP、17.5cP、18cP、19cP、20cP、21cP、22cP、23cP、24cP、25cP、26cP、27cP、28cP、29cP、30cP、31cP、32cP、33cP、34cP、35cP、または40cPの粘度を有していてもよい。例示実施形態では、PVOHホモポリマーおよび/またはコポリマーは、約21cPから26cPの粘度を有していてもよい。例示実施形態では、PVOHホモポリマーおよび/またはコポリマーは、約5cPから約14cPの粘度を有することができる。例示実施形態では、PVOHホモポリマーおよび/またはコポリマーは、約5cPから約23cPの粘度を有することができる。
水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールポリマーであってもそうでなくても、ブレンドすることができる。ポリマーブレンドがポリビニルアルコールポリマーのブレンドを含むとき、PVOHポリマーブレンドは、PVOHコポリマーまたは1つもしくは複数のタイプの陰イオン性モノマー単位を含む修飾PVOHコポリマー(例えば、PVOHター(または高級コ)ポリマー)を含むことができる第1のPVOHポリマー(「第1のPVOHポリマー」)と、PVOHコポリマーまたは1つもしくは複数のタイプの陰イオン性モノマー単位を含む修飾PVOHコポリマー(例えば、PVOHター(または高級コ)ポリマー)を含むことができる第2のPVOHポリマー(「第2のPVOHポリマー」)とを含むことができる。一部の実施形態では、PVOHポリマーブレンドは、第1のPVOHポリマーおよび第2のPVOHポリマー(例えば、2種のポリマーの二元ブレンド)のみを含む。あるいは、またはさらに、PVOHポリマーブレンドまたはそれから作製された繊維、フォーム、もしくはフィルムは、その他のポリマー(例えば、一般にその他の水溶性ポリマー、特にその他のPVOH系ポリマー、またはその両方)を含まないまたは実質的に含まないと特徴付けることができる。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」は、第1のPVOHポリマーおよび第2のPVOHポリマーが、水溶性繊維、フォームまたはフィルム中の水溶性ポリマーの総量の少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも99重量%を構成することを意味する。他の実施形態では、水溶性繊維、フォーム、またはフィルムは、1種または複数の追加の水溶性ポリマーを含むことができる。例えば、PVOHポリマーブレンドは、第3のPVOHポリマー、第4のPVOHポリマー、第5のPVOHポリマーなど(例えば、陰イオン性モノマー単位を持つまたは持たない1種または複数の追加のPVOHコポリマーまたは修飾PVOHコポリマー)を含むことができる。例えば水溶性繊維またはフィルムは、PVOHポリマー以外(例えば、陰イオン性モノマー単位を持つまたは持たない、PVOHコポリマーまたは修飾PVOHコポリマー以外)の、少なくとも第3(または第4、第5など)の水溶性ポリマーを含むことができる。PVOHホモポリマーはまた各ブレンド中に含まれてもよい。
生分解性
【0054】
ポリビニルアルコールポリマーは、好気性、嫌気性、土壌、および堆肥条件下、水および酵素の存在下で分解するので、一般に生分解性である。一般に、ポリビニルアルコールポリマーの加水分解度が約80%まで増大するにつれ、ポリビニルアルコールポリマーの生分解活性は増大する。理論に拘泥するものではないが、80%を超える加水分解度の上昇は、明らかに生分解性に影響を及ぼすものではないと考えられる。さらに、ポリビニルアルコールポリマーのヒドロキシル基の立体規則性は、生分解性活性レベルに大きな影響を及ぼし、ポリマー配列のヒドロキシル基がよりアイソタクチックであるほど、分解活性はより高くなる。理論に拘泥するものではないが、土壌および/または堆肥の生分解では、フィルムに対して不織基材または不織ウェブにより提供されたポリマー表面積の増大に起因して、ポリビニルアルコール繊維から調製された不織基材または不織ウェブが、類似のポリビニルアルコールポリマーから調製された水溶性フィルムに対して、より高い生分解活性レベルを有することになると考えられる。さらに、理論に拘泥するものではないが、ポリビニルアルコールポリマーの重合度は、ポリマーで調製されたフィルム、フォームまたは不織基材もしくは不織ウェブの生分解性にほとんどまたはまったく影響を及ぼさないが、重合温度がポリマーの結晶化度および凝集状態に影響を及ぼす可能性があるので、重合温度はフィルム、フォーム基材または不織基材の生分解性に影響を及ぼし得ると考えられる。結晶化度が低下するにつれ、ポリマー鎖ヒドロキシル基はポリマー構造内でそれほど並ばないようになり、ポリマー鎖は、より不規則になって非晶質凝集体として鎖を蓄積させ、それによって、規則正しいポリマー構造の利用可能性が低下して、生分解活性は、ポリマーが溶解しない土壌および/または堆肥の生分解メカニズムを低下させると予測されるようになる。理論に拘泥するものではないが、ポリビニルアルコールポリマーのヒドロキシル基の立体規則性は生分解性活性レベルに大きな影響を及ぼすので、ヒドロキシル基以外の官能基(例えば、陰イオン性AMPS官能基、カルボキシレート基、またはラクトン基)の置換は、官能基自体も生分解しない限り、同じ加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーに対して生分解性活性レベルを低下させることが予測され、その場合、ポリマーの生分解性は置換により増大する可能性があると考えられる。さらに、置換ポリビニルアルコールの生分解性活性レベルは、対応するホモポリマーまたはコポリマーの場合よりも低くすることができるが、置換ポリビニルアルコールは依然として生分解性を示すことになると考えられる。
【0055】
生分解活性を決定する方法は、例えば参照によりその全体が本明細書に組み込まれるChiellini et al., Progress in Polymer Science, Volume 28, Issue 6, 2003, pp. 963-1014に記載されるように、当技術分野で公知である。他の方法および規格は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるECHA’s Annex XV Restriction Report - Microplastics, Version number 1, January 11, 2019に見い出すことができる。適切な規格には、OECD 301B(易生分解)、OECD 301B(強化された生分解)、OECD 302B(固有の生分解)、OECD 311(嫌気性)、およびASTM D5988(土壌)が含まれる。
【0056】
例示実施形態では、本明細書に記述される繊維は、標準的な易生分解または強化された分解のものとすることができる。本明細書で使用される場合、「易生分解」という用語は、ECHA’s Annex XVに記載されるようにOECD 301B試験に従って試験の開始から28日以内に材料(例えば、繊維)が60%の生分解(鉱化)に達した場合に、適合する規格を指す。本明細書で使用される場合、「強化された生分解」という用語は、ECHA’s Annex XVに記載されるようにOECD 301B試験に従って試験の開始から60日以内に材料(例えば、繊維)が60%の生分解に達した場合に、適合する規格を指す。例示実施形態では、繊維は、易生分解の規格を満たす。
担体溶媒
【0057】
例示実施形態では、担体溶媒は極性溶媒を含む。例示実施形態では、溶媒は、オクタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、ペンタノール、ブタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、エタノール、N-メチルピロリドン、メタノール、アセトニトリル、エチレングリコール、N,N-ジメチルホルムアミド、グリセリン、ジメチルスルホキシド、ギ酸、水、またはそれらの組合せを含む。例示実施形態では、担体溶媒は、n-オクタノール、n-ヘプタノール、n-ヘキサノール、n-ペンタノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、アセトン、エタノール、N-メチルピロリドン、メタノール、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ギ酸、水、またはそれらの組合せを含む。例示実施形態では、担体溶媒は、n-プロパノール、アセトン、エタノール、N-メチルピロリドン、メタノール、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ギ酸、水、またはそれらの組合せを含む。例示実施形態では、担体溶媒は、混合条件下で液体であるアルコールを含む。例示実施形態では、担体溶媒はメタノールを含む。例示実施形態では、担体溶媒はメタノールおよび少なくとも1種の追加の溶媒を含む。実施形態では、担体溶媒はメタノールおよび水を含む。例示実施形態では、担体溶媒は、水と組み合わせて、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、およびオクタノールの少なくとも1種を含む。例示実施形態では、担体溶媒はDMSOおよび水を含む。例示実施形態では、担体溶媒はDMSOおよび水を含み、DMSOおよび水は、約40/60から80/20の重量比で提供される。理論に拘泥するものではないが、水の量が60%を超えて増加し、またはDMSOの量が約80%を超えて増加するにつれて、ポリビニルアルコールとのそれぞれの溶媒の相互作用は増加し、結果として、ポリマーの膨潤およびゲル化が増加すると考えられる。
【0058】
例示実施形態では、担体溶媒は無極性溶媒を含む。例示実施形態では、担体溶媒は、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルペンタン、ペンタン、シクロプロパン、ジオキサン、ベンゼン、ピリジン、キシレン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、またはそれらの組合せを含む。
【0059】
例示実施形態では、担体溶媒は、第1の担体溶媒および第2の担体溶媒の混合物を含む。例示実施形態では、第1の担体溶媒は極性溶媒を含み、第2の担体溶媒は無極性溶媒を含む。例示実施形態では、第1の担体溶媒は第1の誘電率を有し、第2の担体溶媒は第2の誘電率を有し、第1の担体溶媒の誘電率は、第2の担体溶媒の誘電率とは異なり、例えば、より高い。例示実施形態では、第1の誘電率は、5もしくはそれよりも低く、4もしくはそれよりも低く、3もしくはそれよりも低く、または2もしくはそれよりも低い。例示実施形態では、第2の誘電率は、5を超え、7.5を超え、10を超え、15を超え、18を超え、20を超え、25を超えまたは30を超える。例示実施形態では、第1の誘電率と第2の誘電率の間の差は、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも8、または少なくとも10である。例示実施形態では、担体溶媒が第1の担体溶媒および第2の担体溶媒の混合物を含む場合、第1の担体溶媒および第2の担体溶媒は、もし繊維がトリートメント前、トリートメント中およびトリートメント後に混合物中で可溶性でなければ、任意の比で提供することができる。例示実施形態では、第1の担体溶媒および第2の担体溶媒は、約99/1から約1/99、約95/5から約5/95、約90/10から10/90、約85/15から約15/85、約80/20から約20/80、約75/25から約25/75、約70/30から約30/70、約65/35から約35/65、約60/40から約40/60、約55/45から約45/55、または約50/50の重量比で提供することができる。
活性洗浄配合物
【0060】
例示実施形態では、物品、とりわけ、水分散性および/または水溶性コア基材は、食器洗い洗剤配合物などの1種または複数の活性洗浄配合物を含む担体溶媒を含有するように構成される。例示実施形態では、活性洗浄配合物を含む担体溶媒は、コア基材の1つまたは複数の表面に配置、例えば塗布もしくはコーティングされ、または、コア基材に埋め込まれおよび/または接着される。コア基材は、単層、例えば、単層の不織コア基材を含んでいてもよく、または複数の層、例えば、蛇行状の配列に折り畳まれて、もしくは、例えば、重ねて不織コア基材の隣接層間に配置された活性洗浄配合物を含む担体溶媒を含む層を形成する不織コア基材のシートを含んでいてもよい。例示として、活性洗浄配合物は、以下に限定されないが、活性物質、衛生化剤、および/または、食器洗剤、石鹸またはクリーナーを含んでいてもよい。他の例示は、洗濯用洗剤、石鹸、柔軟仕上げ剤、漂白剤、洗濯用増強剤、しみ除去剤、蛍光増白剤、または硬水軟化剤、シャンプー、コンディショナー、ボディウォッシュ、フェイスウォッシュ、スキンローション、スキントリートメント、ボディオイル、フレグランス、ヘアトリートメント、バスソルト、エッセンシャルオイル、バスボム、または酵素を含む。
補助剤
【0061】
一般に、フィルム形成、フォーム形成および/または繊維形成材料と共に、本開示の繊維、不織基材またはウェブ、フォーム基材および/または水溶性フィルムは、消毒剤または衛生化剤、可塑剤、可塑剤相溶化剤、界面活性化剤、潤滑剤、剥離剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、抗酸化剤、粘着防止剤、消泡剤、ナノ粒子、例えば層状化シリケート型ナノクレー(例えば、ナトリウムモンモリロナイト)、漂白剤(例えば、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、または同様のもの)、嫌悪剤、例えば苦味剤(例えば、デナトニウム塩、例えば安息香酸デナトニウム、デナトニウムサッカライド、および塩化デナトニウム;スクロースオクタアセテート;キニン;フラボノイド、例えばケルセチンおよびナリンゲン;およびカシノイド、例えばカシンおよびブルシン)、および辛味剤(例えば、カプサイシン、ピペリン、アリルイソチオシアネート、およびレシンフェラトキシン)、およびその他の機能性成分などであるがこれらに限定されない補助剤を、それらの意図される目的に適した量で含むことができる。適切な衛生化剤は、以下に限定されないが、以下の衛生化剤の1つまたは複数を含む:第四級アンモニウム化合物(QAC)、ハロゲン化酸化剤、次亜塩素酸を発生する化合物、ハイポクロライトを発生する化合物、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、ジクロロイソシアヌル酸、以下に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールおよび/または他のより長鎖アルコールを含むアルコール、酸素ラジカル発生剤、過酸化水素(H2O2)、スルフェートを発生する化合物、メチルイソチアゾリノン(MIT)、ベンズイソチアゾリノン(BIT)、またはメタ重亜硫酸ナトリウム。本明細書で使用される場合、および他に指定されない限り、「補助剤」は、二次添加剤、加工剤、および活性剤を含む。そのような特定の補助剤は、水溶性繊維、非水溶性繊維、不織ウェブ、フォーム、または水溶性フィルムでの使用に適したものでの使用に適したものから選択することができる。
【0062】
例示実施形態では、繊維、フォーム、および/またはフィルムは、補助剤を含まなくてもよい。本明細書で使用される場合、および他に指定されない限り、繊維に関して「補助剤を含まない」は、繊維が、繊維の全重量に対して補助剤を約0.01重量%未満、約0.005重量%未満、または約0.001重量%未満含むことを意味する。本明細書で使用される場合、および他に指定されない限り、不織基材またはウェブに関して「補助剤を含まない」は、不織基材またはウェブが、不織基材またはウェブの全重量に対して補助剤を約0.01重量%未満、約0.005重量%未満、または約0.001重量%未満含むことを意味する。例示実施形態では、水溶性繊維は可塑剤を含む。例示実施形態では、水溶性繊維は界面活性剤を含む。例示実施形態では、非水溶性繊維は可塑剤を含む。例示実施形態では、非水溶性繊維は界面活性剤を含む。例示実施形態では、不織基材またはウェブは可塑剤を含む。例示実施形態では、不織基材またはウェブは界面活性剤を含む。
【0063】
可塑剤は、その材料をより柔軟にし、よりフレキシブルにし(ポリマーのガラス転移温度を低下させることによって)、または加工するのをより容易にする、材料(通常は、樹脂またはエラストマー)に添加される液体、固体、または半固体である。ポリマーは、代替として、ポリマーまたはモノマーを化学的に修飾することによって内部を可塑化することができる。さらに、または代替として、ポリマーは、適切な可塑剤の添加によって外部を可塑化することができる。水は、PVOHポリマーおよびその他のポリマーであって水溶性ポリマーを含むがこれに限定されないものにとって、非常に効率的な可塑剤であると認識され、しかしながら水の揮発性は、ポリマーフィルムが、低いおよび高い相対湿度を含む様々な周囲条件に対して少なくともいくらかの耐性(堅牢性)を有する必要があるので、その有用性に限りがある。
【0064】
可塑剤には、以下に限定されないが、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、1000MWまでのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、ソルビトール、2-メチル-1,3-プロパンジオール(MPDiol(登録商標))、エタノールアミン、およびこれらの混合物を含めることができる。
【0065】
フィルムに使用される界面活性剤は、当技術分野で周知であり、本開示の繊維、フォーム、フィルム、および/または組成物に適切に使用することができる。必要に応じて界面活性剤が、カーディング中に繊維の分散を助けるために含まれる。必要に応じて界面活性剤は、清浄剤として含まれる。適切な界面活性剤は、非イオン性、陽イオン性、陰イオン性、および両性イオン性のクラスを含むことができる。適切な界面活性剤には、限定するものではないがプロピレングリコール、ジエチレングリコール、モノエタノールアミン、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三級アセチレングリコール、およびアルカノールアミド(非イオン性)、ポリオキシエチレン化アミン、第四級アンモニウム塩、および第四級化ポリオキシエチレン化アミン(陽イオン性)、約8から24個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルキルスルフェート、アルキルポリエトキシレートスルフェート、およびアルキルベンゼンスルホネート(陰イオン性)、およびアミンオキシド、N-アルキルベタイン、およびスルホベタイン(両性イオン性)が含まれる。その他の適切な界面活性剤には、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート、グリセリンおよびプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のラクチル酸エステル、ナトリウムアルキルスルフェート、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、レシチン、グリセリンおよびプロピレングリコールのアセチル化脂肪酸エステル、およびラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸のアセチル化エステル、ミリスチルジメチルアミンオキシド、トリメチルタローアルキルアンモニウムクロリド、第四級アンモニウム化合物、約8から24個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルキルスルフェート、アルキルポリエトキシレートスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、モノエタノールアミン、ラウリルアルコールエトキシレート、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ナトリウムココイルイセチオネート、ラウリル硫酸ナトリウム、グルコタイン、フェナミド、コーラ脂質、コカミド、例えばコカミドエタノールアミン、エチレンオキシド系界面活性剤、アボカドおよびパームの鹸化油、これらの塩、および前述のいずれかの組合せが含まれる。例示実施形態では、界面活性剤はコカミドを含む。理論に拘泥するものではないが、コカミドは、フォーム形成を助け、パーソナルケア組成物を含む物品の起泡経験を強化することができると考えられる。様々な実施形態では、繊維中の界面活性剤の量は、約0.01重量%から約10重量%、約0.1重量%から約5重量%、約1.0重量%から約2.5重量%、約0.01重量%から約1.5重量%、約0.1重量%から約1重量%、約0.01重量%から0.25重量%、または約0.10重量%から0.20重量%の範囲にある。
【0066】
例示実施形態では、本開示の不織基材またはウェブ、フォームおよび/またはフィルムは、さらに:角質除去剤(化学的角質除去剤および機械的角質除去剤)、フレグランスおよび/または香料のマイクロカプセル、嫌悪剤、界面活性剤、着色剤、酵素、スキンコンディショナー、脱油剤、および化粧剤の群の1種または複数の補助剤などの、補助剤を含むことができる。
【0067】
例示実施形態では、補助剤は、不織ウェブ、フォーム、複数の繊維、および水溶性フィルムの1つまたは複数の中または上に提供される。例示実施形態では、活性洗浄配合物は、不織ウェブ、複数の繊維、および水溶性フィルムの群の1つまたは複数の上または中に提供される。例示実施形態では、1種または複数の補助剤は、不織ウェブの表面に提供することができる。例示実施形態では、1種または複数の補助剤は、不織ウェブの繊維内に分散させることができる。例示実施形態では、1種または複数の補助剤は、不織ウェブの面に分散させることができる。例示実施形態では、1種または複数の補助剤は、繊維中に分散させることができる。例示実施形態では、1種または複数の補助剤は、繊維上に分散させることができる。例示実施形態では、1種または複数の補助剤は、水溶性フィルムの面に提供することができる。
【0068】
化学的角質除去剤、機械的角質除去剤、フレグランス、および/または香料ノマイクロカプセル、嫌悪剤、界面活性剤、着色剤、タンパク質、ペプチド、酵素、スキンコンディショナー、脱油剤、化粧剤、またはこれらの組合せは、存在する場合、ポリマー混合物(例えば、繊維形成材料またはフィルム形成材料)の重量に対して少なくとも約1重量%、または約1重量%から約99重量%の範囲の量で提供することができる。例示実施形態では、化学的角質除去剤、機械的角質除去剤、フレグランス、および/または香料のマイクロカプセル、嫌悪剤、界面活性剤、着色剤、酵素、スキンコンディショナー、脱油剤、および/または化粧剤は、ヒトの皮膚角質除去などの追加の機能性を、繊維および/またはフィルムに提供するのに十分な量で提供することができる。化学的角質除去剤、機械的角質除去剤、フレグランス、および/または香料のマイクロカプセル、嫌悪剤、界面活性剤、着色剤、酵素、スキンコンディショナー、脱油剤、化粧剤、またはこれらの組合せは、固体(例えば、粉末、顆粒、結晶、薄片、またはリボン)、液体、展膏剤、ペースト、気体などを含む任意の所望の形をとることができ、必要に応じてマイクロカプセルなど、カプセル化することができる。
【0069】
ある特定の実施形態では、不織基材またはウェブ、フォームおよび/またはフィルムは酵素を含むことができる。適切な酵素には、6つの従来の酵素委員会(EC)カテゴリー、即ちEC1のオキシドレダクターゼ(酸化/還元反応を触媒する)、EC2のトランスフェラーゼ(官能基、例えばメチルまたはホスフェート基を移送する)、EC3のヒドロラーゼ(様々な結合の加水分解を触媒する)、EC4のリアーゼ(加水分解および酸化以外を用いることによって様々な結合を切断する)、EC5のイソメラーゼ(分子内の異性化の変化を触媒する)、およびEC6のリガーゼ(共有結合で2個の分子を接合する)のいずれか1つに分類された酵素が含まれる。そのような酵素の例には、EC1のデヒドロゲナーゼおよびオキシダーゼ、EC2のトランサミナーゼおよびキナーゼ、EC3のリパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、マンナナーゼ、およびペプチダーゼ(別名、プロテアーゼまたはタンパク質分解酵素)、EC4のデカルボキシラーゼ、EC5のイソメラーゼオおよびムターゼ、およびEC6のシンテターゼおよびシンターゼが含まれる。各カテゴリーからの適切な酵素は、例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,394,092号に記載されている。ある特定の実施形態では、酵素は、ブロメリン(パイナップル抽出物)、パパイン(パパイヤ)、フィシン(イチジク)、アクチニジン(キウイ)、ヒアルロニダーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、チロシナーゼ、アルカリホスファターゼ、またはこれらの組合せを含むことができる。例示実施形態では、酵素は、例えばナノエマルジョン、ナノカプセル、顆粒、またはこれらの組合せの形でカプセル化することができる。
【0070】
洗濯および食器洗いの適用例で使用される酵素には、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、デヒドロゲナーゼ、トランサミナーゼ、キナーゼ、セルラーゼ、マンナーゼ、ペプチダーゼ、デカルボキシラーゼ、イソメラーゼ、ムターゼ、シンテターゼ、シンターゼ、およびオキシド-レダクターゼ酵素であって、漂白剤の形成を触媒するオキシド-レダクターゼ酵素を含むものの、1種または複数を含むことができる。
【0071】
本明細書で使用される酵素は、任意の適切な供給源または供給源の組合せ、例えば細菌、真菌、植物、または動物源から得られることが企図される。一実施形態では、2種またはそれよりも多くの酵素の混合物は、少なくとも2種の異なるタイプの供給源から来ることになる。例えば、プロテアーゼおよびリパーゼの混合物は、細菌(プロテアーゼ)および真菌(リパーゼ)源から得ることができる。
【0072】
必要に応じて、本明細書に記述される任意の酵素の種類またはメンバーを含むがこれらに限定されない本明細書で使用される酵素は、アルカリpH条件下、例えば約8から約11の範囲のpHで働くものである。必要に応じて、本明細書に記述される任意の酵素の種類またはメンバーを含むがこれらに限定されない本明細書で使用される酵素は、約5℃から約45℃の範囲の温度で働くものである。
【0073】
例示実施形態では、不織基材またはウェブ、フォーム、および/またはフィルムは、タンパク質および/またはペプチドを含むことができる。適切なタンパク質および/またはペプチドは、限定するものではないがコラーゲンおよび/またはコラーゲンペプチド、またはアミノ酸、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、ヒスチジン、グリシン、トレオニン、アルギニン、アラニン、チロシン、システイン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、ヒドロキシプロリン、またはプロリンを含むことができる。
【0074】
例示実施形態では、不織基材またはウェブ、フォームおよび/またはフィルムは、着色剤を含むことができる。適切な着色剤には、指示染料、例えばpH指示薬(例えば、チモールブルー、ブロモチモール、チモールフタレイン、およびチモールフタレイン)、湿分/水指示薬(例えば、ハイドロクロミックインクまたはロイコ染料)、またはサーモクロミックインクを含めることができ、このインクは、温度が上昇および/または下降するときに変色する。適切な着色剤には、限定するものではないがトリフェニルメタン染料、アゾ染料、アントラキノン染料、ペリレン染料、インジゴイド染料、食品・医薬品・化粧品(FD&C)着色剤、有機顔料、無機顔料、またはこれらの組合せが含まれる。着色剤の例には、限定するものではないがFD&C Red #40;Red #3;FD&C Black #3;Black #2;マイカベースの真珠光沢顔料;FD&C Yellow #6;Green #3;Blue #1;Blue #2;二酸化チタン(食品グレード);ブリリアントブラック;およびこれらの組合せが含まれる。適切な着色剤のその他の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,002,789号に見い出すことができる。
【0075】
他の実施形態は、本開示の不織基材またはウェブ、フォーム、および/またはフィルム中に1種または複数のフレグランスを含むことができる。本明細書で使用される場合、「フレグランス」という用語は、香りを生成するのに十分な揮発性のある、任意の付与可能な材料を指す。フレグランスを含む実施形態は、ヒトに心地良い香りであるフレグランス、あるいは代替としてヒト、動物、および/または昆虫に不快な香りであるフレグランスを含むことができる。適切なフレグランスには、限定するものではないが、レモン、リンゴ、サクランボ、ブドウ、西洋ナシ、パイナップル、オレンジ、イチゴ、ラズベリー、ムスクを含むがこれらに限定するものではない果物、および限定するものではないがラベンダー様、バラ様、アイリス様、およびカーネーション様を含む花の香りを含む。必要に応じて、フレグランスは、着香料でもないものである。他のフレグランスには、ローズマリー、タイム、およびセージを含むがこれらに限定されないハーブの香り;ならびにマツ、トウヒ、およびその他の森林の匂いに由来する森林の香りが含まれる。フレグランスは、エッセンシャルオイルを含むがこれらに限定されない様々な油、またはペパーミント、スペアミントおよび同様のものまたは任意のそれらの組合せを含むがこれらに限定されない植物材料に由来してもよい。適切な香りの良い油は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,458,754号に見い出すことができる。適切な香りの良い油には、限定するものではないが4-(2,2,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エニル)-2-エン-4-オン、アセトアルデヒドフェニルエチルプロピルアセタール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデカナール、ヘキサン酸2-プロペニルエステル、1-オクテン-3-オール、trans-アネトール、イソブチル(z)-2-メチル-2-ブテノエート、アニスアルデヒドジエチルアセタール、3-メチル-5-プロピル-シクロヘゼン-1-オン、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、trans-4-デセナール、デカナール、2-ペンチルシクロペンタノン、エチルアントラニレート、オイゲノール、3-(3-イソプロピルフェニル)ブタナール、メチル2-オクチノエート、イソオイゲノール、cis-3-ヘキセニルメチルカーボネート、リナロール、メチル-2-ノニノネート、安息香酸2-ヒドロキシメチルエステル、ノナール、オクタナール、2-ノネンニトリル、4-ノナノリド、9-デセン-1-オール、および10-ウンデセン-1-アールが含まれる。付与可能なフレグランスは、参照によりそれら全ての全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,534,981号、第5,112,688号、第5,145,842号、第6,844,302号、およびPerfumes Cosmetics and Soaps, Second Edition, edited by W. A. Poucher, 1959にも見い出すことができる。これらのフレグランスには、アカシア、キンゴウカン、シプレー、シクラメン、シダ、ガーデニア、サンザシ、ヘリオトロープ、スイカズラ、ヒヤシンス、ジャスミン、ライラック、ユリ、マグノリア、ミモザ、スイセン、切立ての干し草、オレンジの花、ラン、モクセイソウ、スイートピー、トレフル、チューベローズ、バニラ、スミレ、ウォールフラワー、および同様のものまたは任意のそれらの組合せが含まれる。
【0076】
フレグランスは、香料を含むことができる。香料は、ニート香料、カプセル化香料、またはこれらの混合物を含んでいてもよい。例示実施形態では、香料は、純粋な香料を含む。香料の一部分が、コア-シェルカプセル化にカプセル化されてもよい。別の実施形態では、香料は、コア/シェルカプセル化にカプセル化されなくなる。
【0077】
本明細書で使用される「香料」という用語は、香料原料(PRM)および香料アコードを包含する。本明細書で使用される「香料原料」という用語は、少なくとも約100g/molの分子量を有し、臭い、フレグランス、エッセンス、または匂いを与えるのに有用な化合物を、単独でまたはその他の香料原料と共に指す。本明細書で使用される場合、「香料成分」および「香料原料」という用語は同義である。本明細書で使用される「アコード」という用語は、2種またはそれよりも多くのPRMの混合物を指す。例示実施形態では、香料アコード、香料原料、またはフレグランスのいずれかは、マイクロカプセルにカプセル化することができ、本明細書で使用されるように「香料マイクロカプセル」と呼ぶ。
【0078】
典型的なPRMは、とりわけアルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、亜硝酸塩、およびアルケン、例えばテルペンを含む。一般的なPRMのリストは、様々な参考文献、例えば“Perfume and Flavor Chemicals”, Vols. I and II; Steffen Arctander Allured Pub. Co. (1994)、および“Perfumes: Art, Science and Technology”, Miller, P. M. and Lamparsky, D., Blackie Academic and Professional (1994)に見い出すことができる。PRMは、常圧(760mmHg)で測定されるそれらの沸点(B.P.)と、それらのオクタノール/水分配係数(P)によって特徴付けられる。これらの特徴に基づいて、PRMSは、第I象限、第II象限、第III象限、または第IV象限の香料に分類されてもよい。
【0079】
例示実施形態では、不織ウェブ、フォーム、および/またはフィルムは、角質除去剤を含むことができる。例示実施形態では、角質除去剤は、化学的角質除去剤または機械的角質除去剤を含むことができる。本明細書で使用される適切な機械的角質除去剤には、限定するものではないがアプリコットシェル、砂糖、オートミール、塩、シリカ、珪藻土、クレー、水酸化アルミニウム、PVOHマイクロビーズ、軽石、またはこれらの組合せを含めることができる。本明細書に使用される適切な化学的角質除去剤には、限定するものではないがアルファヒドロキシル酸、ベータヒドロキシル酸、酵素、サリチル酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、またはこれらの組合せを含めることができる。
【0080】
ある特定の実施形態では、嫌悪剤、界面活性剤、着色剤、酵素、スキンコンディショナー、脱油剤、化粧剤、またはこれらの組合せをカプセル化し、制御放出を可能にする。適切なマイクロカプセルは、メラミンホルムアルデヒド、ポリウレタン、尿素ホルムアルデヒド、キトサン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリテトラヒドロフラン、ゼラチン、アラビアガム、デンプン、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アラビノガラクタン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、エチルセルロース、ポリエチレン、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリ(酢酸エチレンビニル)、硝酸セルロース、シリコーン、ポリ(ラクチデコ-グリコリド)、パラフィン、カルナウバ、鯨蝋、蜜蝋、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸グリセリル、シェラック、セルロースアセテートフタレート、ゼイン、およびこれらの組合せの1種または複数を含むまたはこれらから作製することができる。実施形態の1つのタイプでは、マイクロカプセルは、少なくとも約0.1ミクロン、または例えば約0.1ミクロンから約200ミクロンの範囲の平均粒度(例えば、Dv50)によって特徴付けられる。代替の実施形態では、マイクロカプセルは、個々の粒子の凝集体を形成することができ、例えば個々の粒子は、少なくとも約0.1ミクロンの、または約0.1ミクロンから約200ミクロンの範囲の平均粒度を有する。
水分散性および/または水溶性の繊維
【0081】
記述されるように、コア基材の作製に使用される繊維は水分散性および/または水溶性である。繊維は水中でより低い温度(例えば、10℃~40℃)で分散性であってもよく、より高い温度(例えば40℃より高い)で可溶性であってもよい。そのような繊維は、記述を簡明にするために水溶性繊維と呼ばれる。水溶性繊維は、フィルムまたはフォーム中唯一の樹脂として、または不織、フィルム、フォームまたは不織中に唯一の繊維形成材料として提供された場合、MSTM-205により決定されるように80℃またはそれよりも低い温度で300秒またはそれよりも短い時間で溶解する任意の材料で作製される繊維および/または繊維形成材料を含む。水溶性繊維は、単一の水溶性ポリマーまたは水溶性ポリマーのブレンドを含むことができる。適切な水溶性ポリマーには、限定するものではないが、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、修飾ポリビニルアルコールコポリマー、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、水溶性天然ポリマーであって限定するものではないがグアールガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラゲナン、およびデンプンを含むもの、水溶性ポリマー誘導体であって限定するものではないが加工デンプン、エトキシル化デンプン、およびヒドロキシプロピル化デンプンを含むもの、前述のコポリマー、および前述のいずれかの組合せが含まれる。さらに他の水溶性繊維は、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸およびその塩、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸およびその塩、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびその塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、および前述のいずれかの組合せを含むことができる。例示実施形態では、水溶性繊維は、PVOHコポリマー繊維形成材料、修飾PVOHコポリマー繊維形成材料、またはこれらの組合せを含むことができる。例示実施形態では、水溶性繊維は、単独のPVOHホモポリマー繊維形成材料またはPVOHコポリマー繊維形成材料のブレンドを含むことができる。例示実施形態では、水溶性繊維は、温水可溶PVOHホモポリマー繊維形成材料を含むことができる。さらなる実施形態では、水溶性繊維は、粘度が5cPから23cPの範囲にあり、加水分解度が86%から92%の範囲にあるPVOHコポリマー繊維形成材料を含むことができる。
【0082】
例示実施形態では、水溶性繊維は、上述の補助剤を含むことができる。例示実施形態では、水溶性繊維は、上述の補助剤を実質的に含まない場合がある。例示実施形態では、水溶性繊維は、上述の可塑剤を含むことができる。水溶性繊維中に提供される非水可塑剤の総量は、全繊維重量に対して約1重量%から約45重量%、または約5重量%から約45重量%、または約10重量%から約40重量%、または約20重量%から約30重量%、約1重量%から約4重量%、または約1.5重量%から約3.5重量%、または約2.0重量%から約3.0重量%の範囲、例えば約1重量%、約2.5重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、または約40重量%の範囲とすることができる。例示実施形態では、水溶性繊維は、グリセリン、ソルビトール、またはこれらの組合せを含む。例示実施形態では、水溶性繊維がグリセリンを含む。例示実施形態では、水溶性繊維がソルビトールを含む。ある特定の実施形態では、水溶性繊維は、グリセリンを例えば全繊維重量に対して約10重量%で、およびソルビトールを例えば全繊維重量に対して約5重量%で含むことができる。
【0083】
例示実施形態では、水溶性繊維は、上述の界面活性剤を含むことができる。様々な実施形態では、水溶性繊維中の界面活性剤の量は、約0.01重量%から約2.5重量%、約0.1重量%から約2.5重量%、約1.0重量%から約2.0重量%、約0.01重量%から0.25重量%、または約0.10重量%から0.20重量%の範囲にある。
【0084】
例示実施形態では、本明細書に開示される補助剤のいずれかは、本開示の繊維に添加することができる。前述の実施形態の改良例では、補助剤が繊維中に分散するように、補助剤を繊維の形成の前に繊維形成材料に添加することができる。加えておよび/または代替例として、繊維形成後に補助剤を繊維の表面に添加することができる(例えば、繊維上に分散させる)。
【0085】
水溶性繊維中に含まれる場合、着色剤は、ポリマー混合物の0.01%から25重量%の量で、例えばポリマー混合物の0.02%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、および24重量%の量で提供することができる。
非水溶性繊維
【0086】
非水溶性繊維は一般に、単独のフィルム形成材料としてフィルム中に提供されたときまたは単独の繊維形成材料として不織ウェブまたはフォーム中に提供されたとき、MSTM-205により決定されるようにフィルム、不織ウェブ、またはフォームが80℃またはそれよりも低い温度で300秒またはそれよりも短い時間で溶解しない、任意の材料で作製された繊維および/または繊維形成材料を含む。非水溶性繊維は、単独の非水溶性ポリマー繊維形成材料または非水溶性ポリマー繊維形成材料のブレンドを含むことができる。適切な非水溶性繊維および/または非水溶性繊維形成材料には、限定するものではないが綿、ポリエステル、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、木質パルプ、フラッフパルプ、アバカ、ビスコース、ポリ乳酸、ポリエステル、ナイロン6、不溶性セルロース、不溶性デンプン、麻、ジュート、亜麻、ラミー、サイザル、バガス、バナナ繊維、レースバーク、絹、腱、カットグット、羊毛、シーシルク、モヘア、アンゴラ、カシミア、コラーゲン、アクチン、ナイロン、ダクロン、レーヨン、竹繊維、モダール、ジアセテート繊維、トリアセテート繊維、およびこれらの組合せが含まれる。例示実施形態では、非水溶性繊維形成材料および/または非水溶性繊維は:綿、麻、ジュート、亜麻、ラミー、サイザル、バガス、バナナ、レースバーク、絹、腱、カットグット、羊毛、シーシルク、モヘア、アンゴラ、カシミア、コラーゲン、アクチン、ナイロン、ダクロン、レーヨン、竹、モダール、ジアセテート繊維、トリアセテート繊維、またはこれらの組合せの群の1種または複数を含む。
【0087】
例示実施形態では、非水溶性繊維は、上述の補助剤を含むことができる。例示実施形態では、非水溶性繊維は、上述の補助剤を実質的に含まなくてもよい。例示実施形態では、非水溶性繊維は、上述の可塑剤を含むことができる。非水溶性繊維中に提供される非水可塑剤の総量は、全繊維重量に対して約1重量%から約45重量%、または約5重量%から約45重量%、または約10重量%から約40重量%、または約20重量%から約30重量%、約1重量%から約4重量%、または約1.5重量%から約3.5重量%、または約2.0重量%から約3.0重量%の範囲、例えば約1重量%、約2.5重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、または約40重量%とすることができる。例示実施形態では、非水溶性繊維は、グリセリン、ソルビトール、またはこれらの組合せを含む。例示実施形態では、非水溶性繊維はグリセリンを含む。例示実施形態では、非水溶性繊維はソルビトールを含む。ある特定の実施形態では、非水溶性繊維は、グリセリンなどの可塑剤を例えば全繊維重量に対して約10重量%、およびソルビトールを例えば全繊維重量に対して約5重量%含むことができる。
【0088】
例示実施形態では、非水溶性繊維は、上述の界面活性剤を含むことができる。様々な実施形態では、水溶性繊維中の界面活性剤の量は、約0.01重量%から約2.5重量%、約0.1重量%から約2.5重量%、約1.0重量%から約2.0重量%、約0.01重量%から0.25重量%、または約0.10重量%から0.20重量%の範囲にある。
【0089】
例示実施形態では、本明細書に開示される補助剤のいずれかは、本開示の繊維に添加することができる。前述の実施形態の改良例では、繊維形成後に補助剤を繊維の表面に添加することができるように、繊維の形成前に繊維形成材料に添加することができる。前述の実施形態の改良例では、補助剤は、繊維形成後に繊維の表面に添加することができる。
【0090】
非水溶性繊維中に含まれる場合、着色剤は、ポリマー混合物の0.01%から25重量%の量で提供することができ、例えばポリマー混合物の0.02%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、および24重量%で提供することができる。
不織ウェブまたは不織基材
【0091】
本開示の不織ウェブまたは不織基材は、水溶性(または水分散性)、非水溶性、または少なくとも部分的に非水溶性であってもよい。本開示の物品は不織ウェブを含むことができ、この不織ウェブの少なくとも一部分は、MSTM-205によれば約0℃から約20℃の範囲の温度で水に可溶であり、または不織ウェブの少なくとも一部分は、MSTM-205によれば20℃またはそれよりも低い温度で水に可溶ではなく、または不織ウェブは、MSTM-205によれば20℃またはそれよりも低い温度で水に可溶ではなく、または不織ウェブは、MSTM-205によれば約0℃から約20℃の範囲の温度で水に可溶である。不織ウェブの「少なくとも一部分」は、不織ウェブが複数の繊維を含み、その繊維タイプが単独繊維タイプとして不織中に提供される場合、所与の温度で繊維タイプが可溶であり(または可溶ではない)、その繊維タイプからなる不織ウェブは、MSTM-205によれば所与の温度で可溶である(または可溶ではない)ことが理解されよう。
【0092】
本開示の不織ウェブは複数の繊維を含む。不織ウェブは互いに結合された繊維の配置構成を指し、繊維は織られても編まれてもいない。複数の繊維は任意の向きに配置構成することができる。例示実施形態では、複数の繊維はランダムに配置構成される(即ち、配向を持たない)。例示実施形態では、複数の繊維は一方向の向きに配置構成される。例示実施形態では、複数の繊維が二方向の向きに配置構成される。一部の実施形態では、複数の繊維が多方向性であり、不織ウェブの種々の領域で種々の配置構成を有する。
【0093】
任意の所与の不織ウェブ中の複数の繊維は、本明細書に開示される任意の繊維形成材料を含むことができる。不織ウェブは、(1)単繊維形成材料を含む単繊維タイプ、(2)繊維形成材料のブレンドを含む単繊維タイプ、(3)各繊維タイプが単繊維形成材料を含んでいる、繊維タイプのブレンド、(4)各繊維タイプが繊維形成材料のブレンドを含んでいる、繊維タイプのブレンド、または(5)各繊維タイプが単繊維形成材料または繊維形成材料のブレンドを含んでいる、繊維タイプのブレンドを含むことができる。繊維タイプのブレンドを含む例示実施形態では、種々の繊維タイプが、長さの直径に対する比(L/D)、靭性、形状、剛性、弾性、溶解度、融点、ガラス転移温度(Tg)、繊維形成材料の化学的性質、および色の群の1つまたは複数に差を有することができる。ある特定の実施形態では、複数の繊維は、2つまたはそれよりも多くのタイプの水溶性繊維を含むことができる。例示実施形態では、複数の繊維は、水溶性繊維形成材料の少なくとも1つのタイプを含む少なくとも1つの繊維タイプ、および1種の非水溶性繊維の少なくともタイプを含む少なくとも1つの繊維タイプを含むことができる。例示実施形態では、複数の繊維は、非水溶性繊維形成材料の少なくとも1つのタイプを含む、2つまたはそれよりも多くのタイプを含むことができる。
【0094】
例示実施形態では、不織ウェブは、繊維および/またはフィルムに関して本明細書で開示されるように任意の適切な活性洗浄配合物および/または任意の補助剤を含む任意の担体溶媒をさらに含むことができる。例示実施形態では、担体溶媒、活性洗浄配合物および/または補助剤は、繊維自体に、不織ウェブのカーディング中に不織ウェブに、結合前の不織ウェブに(例えばカーディング後)、結合後の不織ウェブに、またはそれらを組み合わせて添加することができる。カーディング中に繊維に添加される担体溶媒、活性洗浄配合物および/または補助剤は、不織ウェブの全体にわたって分布することができる。カーディング後であるが結合前に不織ウェブに添加される担体溶媒、活性洗浄配合物、および/または、補助剤は、不織ウェブの片面または両面に選択的に添加することができる。
【0095】
担体溶媒、活性洗浄配合物および/または補助剤は、不織ウェブの1つまたは複数の面に、またはそれらを含有する物品、例えば、パケットに、適切な手段によって付与することができる。例示実施形態では、担体溶媒、活性洗浄配合物および/または補助剤は粉末の形態である。前述の実施形態の改良例では、1つまたは複数の固定型粉末スプレーガンを使用して、粉末流をウェブまたはパケットに向かって1つまたは1つより多くの方向から方向付け、一方、ウェブまたはパケットは、ベルトコンベヤを用いてコーティングゾーンを経て輸送される。例示実施形態では、ウェブまたはパケットは、空気中の粉末の懸濁体を通して搬送される。例示実施形態では、ウェブまたはパケットは、トラフ様装置内で粉末とタンブル混合される。任意のその他の実施形態と組み合わせることができる例示実施形態では、粉末とパケットまたはウェブとの間の引き付けを高めるのに静電力が用いられる。このタイプのプロセスは、粉末粒子を負に帯電させ、これらの帯電粒子を、接地したパケットまたはウェブに向けることに基づいてもよい。他の代替の実施形態では、粉末は、粉末に接触している回転ブラシを含むがこれに限定されない二次移送ツールによって、または粉末を容器からウェブまたはパケットに移すことができるパウダー付きグローブによって、ウェブまたはパケットに付与される。さらに別の実施形態では、粉末は、非水性溶媒または担体に粉末を溶解または懸濁し、次いでこれを霧状にしウェブまたはパケットに噴霧することによって、付着される。一実施形態では、溶媒または担体は引き続き蒸発し、活性剤粉末を後に残す。ある特定の実施形態では、粉末は、正確な用量でウェブまたはパケットに付着される。これらの実施形態は、閉鎖システム乾燥潤滑剤施用機械、例えばPekuTECHの粉末アプリケーターPM 700 Dを利用する。このプロセスでは、粉末は、必要に応じてバッチ式にまたは連続的に、施用機械のフィードトラフに供給される。ウェブまたはパケットを、標準回転ドラムパウチ機の出力ベルトから、粉末施用機のコンベヤベルト上に移送し、制御された投薬量の粉末をウェブまたはパケットに付着させる。その後、ウェブまたはパケットは、適切な二次包装プロセスに搬送することができる。
【0096】
担体溶媒、活性洗浄配合物および/または補助剤が液体の形態または溶液中にある例示実施形態では、前述のものを繊維内に分散させ、不織ウェブの面上に分散させ、またはその組合せを、例えば回転流延、エアロゾル化溶液などの溶液の噴霧、ロールコーティング、フローコーティング、カーテンコーティング、押出し、ナイフコーティング、およびこれらの組合せによって行うことができる。
【0097】
補助剤、例えば化学的角質除去剤、機械的角質除去剤、フレグランス、および/または香料のマイクロカプセル、嫌悪剤、界面活性剤、着色剤、酵素、スキンコンディショナー、脱油剤、化粧剤、またはこれらの組合せは、不織ウェブ中に存在する場合、少なくとも約1重量%の量、または約1重量%から約99重量%の範囲にあり、追加の機能性を不織ウェブに提供する。化学的角質除去剤、機械的角質除去剤、フレグランス、および/または香料のマイクロカプセル、嫌悪剤、界面活性剤、着色剤、酵素、スキンコンディショナー、脱油剤、化粧剤、またはこれらの組合せは、固体(例えば、粉末、顆粒、結晶、薄片、またはリボン)、液体、展膏薬、ペースト、気体などを含む任意の所望の形をとることができ、必要に応じてカプセル化することができる。
【0098】
例示実施形態では、不織ウェブは、水溶性フィルムに比べて改善された審美的効果が提供されるように、着色され、顔料が付けられ、および/または染色することができる。不織ウェブで使用される適切な着色剤は、指示染料、例えばpH指示薬(例えば、チモールブルー、ブロモチモール、チモールフタレイン、およびチモールフタレイン)、湿分/水指示薬(例えば、ハイドロクロミックインクまたはロイコ染料)、またはサーモクロミックインクを含むことができ、このインクは、温度が上昇しおよび/または下降したときに変色する。適切な着色剤には、限定するものではないがトリフェニルメタン染料、アゾ染料、アントラキノン染料、ペリレン染料、インジゴ染料、食品・医薬品・化粧品(FD&C)着色剤、有機顔料、無機顔料、またはこれらの組合せが含まれる。着色剤の例には、限定するものではないがFD&C Red #40;Red #3;FD&C Black #3;Black #2;マイカベースの真珠光沢顔料;FD&C Yellow #6;Green #3;Blue #1;Blue #2;二酸化チタン(食品グレード);ブリリアントブラック;およびこれらの組合せが含まれる。
【0099】
例示実施形態では、不織ウェブは、本明細書に開示される界面活性剤のいずれかを含むことができる。例示実施形態では、不織ウェブは:ココイルイセチオン酸ナトリウム、グルコテイン、フェナミド、コーラ脂質、コカミド、例えばコカミドエタノールアミン、エチレンオキシド系界面活性剤、ならびにアボカドおよびパームの鹸化油の群の1つまたは複数を含むことができる。
【0100】
本開示の不織ウェブは、一般に任意の厚さを有することができる。適切な厚さには、限定するものではないが約5ミクロン(μm)から約10,000μm(1cm)、約5μmから約5,000μm、約5μmから約1,000μm、約5μmから約500μm、約200μmから約500μm、約5μmから約200μm、約20μmから約100μm、または約40μmから約90μm、または約50μmから80μm、または約60μmから65μm、例えば50μm、65μm、76μm、または88μmを含めることができる。本開示の不織ウェブは、高ロフトまたは低ロフトとして特徴付けることができる。一般にロフトは、単位面積当たりの質量に対する厚さの比を指す(即ち、坪量)。高ロフト不織ウェブは、単位面積当たりの質量に対する厚さの高い比によって特徴付けることができる。本明細書で使用される「高ロフト」は、本明細書で定義される坪量と、200μmを超える厚さとを有する本開示の不織ウェブを指す。不織ウェブの厚さは、ASTM D5729-97、ASTM D5736、および/またはISO 9073-2:1995に従い決定することができ、例えば不織ウェブを2Nの負荷に供し、厚さを測定することを含むことができる。高ロフト材料は、当技術分野での公知の方法、例えば、非結合ウェブをそれ自体に折り畳んでロフトおよび坪量を構築するためのクロスラッパーを使用する、クロスラッッピングに従い使用することができる。理論に拘泥するものではないが、フィルムの溶解度がフィルムの厚さに依存する可能性のある水溶性フィルムとは対照的に;不織ウェブの溶解度は、ウェブの厚さに依存するとは考えられない。これに関し、個々の繊維は水溶性フィルムよりも高い表面積を提供するので、不織ウェブの厚さとは無関係に、繊維への水のアプローチ、およびそれによる繊維の溶解を制限するパラメーターは、坪量であると考えられる(即ち、不織中の繊維密度)。
【0101】
一般に、本開示の不織ウェブに関する動的摩擦係数と、静的摩擦係数の動的摩擦係数に対する比は、水溶性フィルムに対する不織ウェブの表面粗さの増大に起因して、水溶性フィルムに関する動的摩擦係数と、静的摩擦係数の動的摩擦係数に対する比とよりも低くなり、不織ウェブに対する表面接触の減少をもたらす。有利には、この表面粗さは、改善された消費者の感触(即ち、ゴム状の手触りの代わりにクロス様の手触り)、改善された審美性(即ち、水溶性フィルムよりも光沢が少ない)、および/または熱形成されたおよび/または垂直形成され、充填され、および封止され、および/またはマルチチャンバーパケットであって加工設備/金型の表面に沿ってウェブを引き出す必要があるものの加工性の容易さを、提供することができる。したがって水溶性繊維および/または非水溶性繊維は、引き摺りをもたらすほど粗くなることなく、得られた不織ウェブに表面粗さが提供されるよう十分に粗くすべきである。
【0102】
本開示の不織ウェブの水への溶解度は、一般に、ウェブの調製に使用される繊維(複数可)のタイプの関数ならびにウェブの坪量の関数である。理論に拘泥するものではないが、不織ウェブの溶解度プロファイルは、不織ウェブを調製するのに使用される繊維(複数可)の同じ溶解度プロファイルに従い、繊維の溶解度プロファイルは、一般に、そこから繊維が調製されるポリマー(複数可)の同じ溶解度プロファイルに従うと考えられる。例えば、PVOH繊維を含む不織ウェブでは、PVOHポリマーの加水分解度を、不織ウェブの水への溶解度も影響を受けるように選択することができる。一般に、所与の温度で、PVOHポリマーの加水分解度が部分加水分解(88%DH)から完全加水分解(≧98%DH)に増大するにつれ、ポリマーの水溶解度は一般に減少する。したがって例示実施形態では、不織ウェブは冷水可溶性とすることができる。他のいかなるモノマーも含まないco-ポリ(酢酸ビニル ビニルアルコール)ポリマーでは(例えば、陰イオン性モノマーと共重合しない)、10℃未満の温度で水に可溶な冷水可溶ウェブは、加水分解度が約75%から約90%の範囲、または約75%から約89%の範囲、または約80%から約90%の範囲、または約85%から約90%の範囲、または約90%から約99.5%の範囲にあるPVOHの繊維を含むことができる。他の例示実施形態では、不織ウェブが温水可溶性とすることができる。例えば、他のいかなるモノマーも含まないco-ポリ(酢酸ビニル ビニルアルコール)ポリマー(例えば、陰イオン性モノマーと共重合しない)では、加水分解度が少なくとも約98%であるPVOHの繊維を含むことにより、温水可溶性ウェブは、少なくとも約60℃の温度の水に可溶であるとすることができる。
【0103】
PVOHの修飾は、一般に、PVOHポリマーの溶解度を増大させる。したがって所与の温度で、PVOHコポリマーから調製された不織ウェブまたはフィルムの溶解度は、PVOHコポリマーと同じ加水分解度を有するPVOHホモポリマーから調製された不織ウェブまたはフィルムの場合よりも高くなると予測される。これらの傾向に従い、特定の溶解度特性を有する不織ウェブは、ポリマーを繊維内にブレンドすることによっておよび/または不織ウェブ内に繊維をブレンドすることによって設計することができる。さらに、本明細書に記述されるように、不織ウェブは複数の繊維を含み、場合によっては溶解度の異なる2種またはそれよりも多くの繊維タイプを含む場合がある。
【0104】
非水溶性繊維および/または非水溶性繊維形成材料を、不織ウェブの複数の繊維に含めることは、特定の溶解度および/または長期放出特性を有する不織ウェブを設計するのに使用することもできる。理論に拘泥するものではないが、不織ウェブに含まれる非水溶性繊維の重量パーセントが増大するにつれ(不織ウェブの全重量に対して)、不織ウェブの溶解度は一般に低下し、不織ウェブを含むパウチの長期放出特性は一般に増大すると考えられる。水溶性繊維の溶解度温度でまたはそれよりも高い温度で水と接触すると、水溶性繊維および非水溶性繊維を含む不織ウェブは、水溶性繊維が溶解するにつれて分散し始めることになり、それによってウェブ構造が破壊されおよび/または不織ウェブの細孔の孔径が増大する。一般に、ウェブ構造の破壊が大きくなるにつれまたは孔径が大きくなるにつれ、水はより速くパウチの内容物に触れることができるようになり、パウチの内容物はより速く放出されるようになる。同様に、本開示の不織ウェブを含むパウチの内容物の長期放出は、種々の溶解度特性および/または種々の溶解度温度を有する水溶性繊維のブレンドを使用することによって実現することができる。より速く溶解する繊維が溶解すると、それによってウェブは破壊され、少ない可溶性繊維が、より広い露出した表面積を有するようになり、少ない可溶性繊維の溶解およびパウチの内容物の放出が容易になる。不織ウェブが水溶性繊維および非水溶性繊維を含む例示実施形態では、可溶性繊維の非水溶性繊維に対する比は、特に限定されない。水溶性繊維は、複数の繊維の全重量の約1%から約99%、約20%から約80%、約40%から約90%、約50%から約90%、または約60%から約90重量%を構成することができ、非水溶性繊維は、繊維の全重量の約1%から約99%、約20%から約80%、約10%から約60%、約10%から約50%、または約10%から約40重量%を構成することができる。例示実施形態では、複数の繊維は、繊維の全重量に対して約10%から約80%の水溶性繊維を含み、残りは非水溶性繊維である。
【0105】
例示実施形態では、本明細書に開示される不織ウェブ、複数の繊維、フォーム、水溶性フィルム、またはこれらの組合せは、生分解性ポリマーを含むことができる。ある特定の実施形態では、複数の繊維は、生分解性である材料を形成する非水溶性繊維を含むことができる。例示実施形態では、複数の繊維は、非水溶性の生分解性繊維である第1の繊維と、MSTM-205に従い約10℃から約20℃の温度の水に可溶であるまたはMSTM-205に従い約30℃またはそれよりも低い温度の水に可溶ではない第2の繊維とを含むことができる。例示実施形態では、不織ウェブは、非水溶性および生分解性である。
【0106】
例示実施形態では、不織ウェブが生分解性である。本明細書で使用される場合、不織ウェブが生分解性であるといわれるときには、不織ウェブの少なくとも50%が生分解性であり、例えば不織ウェブの少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%が生分解性である。
【0107】
本明細書に開示される不織ウェブは、第1の繊維タイプおよび第2の繊維タイプを含む複数の繊維を含むことができ、第1および第2の繊維タイプは、直径、長さ、靭性、形状、剛性、弾性、溶解度、融点、ガラス転移温度(Tg)、化学組成、色、またはこれらの組合せに差がある。例示実施形態では、第1の繊維タイプは、PVOHホモポリマー繊維形成材料、PVOHコポリマー繊維形成材料、またはこれらの組合せを含むことができる。例示実施形態では、第1の繊維タイプは、2種またはそれよりも多くのPVOHホモポリマー繊維形成材料、2種またはそれよりも多くのPVOHコポリマー繊維形成材料、またはこれらの組合せを含むことができる。例示実施形態では、第2の繊維タイプは、PVOHホモポリマー繊維形成材料、PVOHコポリマー繊維形成材料、またはこれらの組合せを含むことができる。例示実施形態では、第2の繊維タイプは、2種またはそれよりも多くのPVOHホモポリマー繊維形成材料、2種またはそれよりも多くのPVOHコポリマー繊維形成材料、またはこれらの組合せを含むことができる。例示実施形態では、第1の繊維タイプおよび/または第2の繊維タイプは、非水溶性繊維形成材料である。例示実施形態では、第1の繊維タイプは、非水溶性ポリマー繊維形成材料を含むことができ、第2の繊維タイプは、不織ウェブの単独の繊維形成材料としてまたはフィルムとして提供されたときに、得られたウェブまたはフィルムがMSTM-205により約0℃から約20℃の範囲の温度の水に可溶であるポリビニルアルコール繊維形成材料を含むことができる。例示実施形態では、第1の繊維タイプは非水溶性ポリマー繊維形成材料を含むことができ、第2の繊維タイプは、不織ウェブの単独の繊維形成材料としてまたはフィルムとして提供されたときに、得られたウェブまたはフィルムがMSTM-205により20℃またはそれよりも低い温度の水に可溶ではないPVOHホモポリマーまたはコポリマー繊維形成材料を含むことができる。例示実施形態では、第1の繊維タイプは、2種またはそれよりも多くのポリビニルアルコールホモポリマー繊維形成材料、2種またはそれよりも多くのポリビニルアルコールコポリマー繊維形成材料、またはポリビニルアルコールホモポリマー繊維形成材料とポリビニルアルコールコポリマー繊維形成材料との組合せを含む。例示実施形態では、第2の繊維タイプは、2種またはそれよりも多くのポリビニルアルコールホモポリマー繊維形成材料、2種またはそれよりも多くのポリビニルアルコールコポリマー繊維形成材料、またはポリビニルアルコールホモポリマー繊維形成材料とポリビニルアルコールコポリマー繊維形成材料との組合せを含む。
【0108】
本開示の不織ウェブに含まれる複数の繊維は、一般に任意の靭性を有することができる。繊維の靭性は、繊維の粗さに相関する。繊維の靭性が低下するにつれ、繊維の粗さは増大する。本開示の不織ウェブを調製するのに使用される繊維は、約1から約100cN/dtex、または約1から約75cN/dtex、または約1から約50cN/dtex、または約1から約45cN/dtex、または約1から約40cN/dtex、または約1から約35cN/dtex、または約1から約30cN/dtex、または約1から約25cN/dtex、または約1から約20cN/dtex、または約1から約15cN/dtex、または約1から約10cN/dtex、または約3から約8cN/dtex、または約4から約8cN/dtex、または約6から約8cN/dtex、または約4から約7cN/dtex、または約10から約20、または約10から約18、または約10から約16の範囲、または約1cN/dtex、約2cN/dtex、約3cN/dtex、約4cN/dtex、約5cN/dtex、約6cN/dtex、約7cN/dtex、約8cN/dtex、約9cN/dtex、約10cN/dtex、約11cN/dtex、約12cN/dtex、約13cN/dtex、約14cN/dtex、または約15cN/dtexの靭性を有することができる。例示実施形態では、複数の繊維は、約3cN/dtexから約15cN/dtex、または約5cN/dtexから約12cN/dtex、または約5cN/dtexから約10cN/dtexの範囲の靭性を有することができる。
【0109】
不織ウェブの靭性は、ウェブの調製に使用される複数の繊維の靭性と同じにすることができまたは異ならせることができる。理論に拘泥するものではないが、不織ウェブの靭性は不織ウェブの強度に関係し、より高い靭性はより高い強度を不織ウェブに提供すると考えられる。一般に、不織ウェブの靭性は、異なる靭性を有する繊維を使用することによって修正することができる。不織ウェブの靭性は、加工により影響を受ける可能性もある。一般に、本開示の不織ウェブは、比較的高い靭性を有し、即ち不織ウェブは、物品および/またはパウチを調製するための単独の材料として使用することができる自立型ウェブである。対照的に、メルトブロー、エレクトロスピニング、および/または回転スピニングプロセスにより調製された不織ウェブは、低い靭性を有し、自立型でもなくまたは物品もしくはパウチを形成するための単独のウェブとして使用することもできないことがある。
【0110】
本開示の不織ウェブを調製するのに使用される繊維は、一般に、任意の微細さを有することができる。繊維の微細さは、どのくらい多くの繊維が所与の太さの糸の断面に存在するかに相関する。繊維の微細さは、線形質量密度、単位長さ当たりの繊維質量の比の測定によって測定することができる。線形質量密度の主な物理単位は1texであり、これは1gの重さの繊維の1000mに等しい。単位dtexが使用され、1g/10,000mの繊維を表す。線形質量密度は、不織ウェブの適切な硬さ/手触り、ねじり剛性、光の反射および相互作用、色素および/またはその他の活性剤/添加剤の吸収、製造プロセスでの繊維紡糸の容易さ、および完成物品の均一性を有する不織ウェブを提供するように選択することができる。一般に、繊維の線形質量密度が増大するにつれ、そこから得られた不織は、より高い均一性、改善された引張り強さ、伸展性、および光沢を実証する。さらに、理論に拘泥するものではないが、より微細な繊維は、密度に対してより大きい繊維と比較して、より遅い溶解時間をもたらすことになると考えられる。さらに、理論に拘泥するものではないが、繊維タイプのブレンドが使用されるとき、平均線形質量密度は、個々の繊維タイプの加重平均を使用して決定することができる。繊維は、非常に微細(dtex≦1.22)、微細(1.22≦dtex≦1.54)、中程度(1.54≦dtex≦1.93)、僅かに粗い(1.93≦dtex≦2.32)、および粗い(dtex≧2.32)と特徴付けることができる。本開示の不織ウェブは、非常に微細、微細、中程度、僅かに粗い、またはこれらの組合せである繊維を含むことができる。例示実施形態では、不織ウェブは、約1dtexから約5dtex、または約1dtexから約3dtex、または約1.5dtexから約2.5dtexの範囲の平均線形質量密度を有する。例示実施形態では、不織ウェブは繊維のブレンドを含み、第1繊維が1.7dtexの平均線形質量密度を含み、第2の繊維が2.2texの平均線形質量密度を含む。
【0111】
本開示の不織ウェブを調製するのに使用される複数の繊維は、約10ミクロンから300ミクロンの範囲、例えば少なくとも10ミクロン、少なくとも25ミクロン、少なくとも50ミクロン、少なくとも100ミクロン、または少なくとも125ミクロン、および約300ミクロンまで、約275ミクロンまで、約250ミクロンまで、約225ミクロンまで、または約200ミクロンまでの直径を有する。例示実施形態では、本開示の不織ウェブを調製するのに使用される複数の繊維は、100ミクロン超から約300ミクロンの直径を有することができる。例示実施形態では、本開示の不織ウェブを調製するのに使用される複数の繊維の直径は、実質的に均一な直径を有する。例示実施形態では、1つまたは複数の繊維タイプは、約10ミクロンから約300ミクロン、または約50ミクロンから200ミクロン、または約50ミクロンから約100ミクロンの範囲の平均直径を有することができる。
【0112】
本開示の不織ウェブを調製するのに使用される複数の繊維は、一般に任意の長さのものとすることができる。例示実施形態では、複数の繊維の長さは、約10ミリメートル(mm)から約100mm、約10mmから約60mm、または約30mmから約60mmの範囲、例えば少なくとも約30mm、少なくとも約35mm、少なくとも約40mm、少なくとも約45mm、または少なくとも約50mm、および約100mmまで、約95mmまで、約90mmまで、約80mmまで、約70mmまで、または約60mmまでとすることができる。例示実施形態では、複数の繊維の長さは、約30mm未満、または約0.25mmから約30mm未満の範囲、例えば少なくとも約0.25mm、少なくとも約0.5mm、少なくとも約0.75mm、少なくとも約1mm、少なくとも約2.5mm、少なくとも約5mm、少なくとも約7.5mm、または少なくとも約10mm、および約29mmまで、約28mmまで、約27mmまで、約26mmまで、約25mmまで、約20mmまで、または約15mmまでとすることができる。例示実施形態では、繊維は、約30mmから約100mm、または約30mmから約60mmの平均長さを有する。例示実施形態では、不織ウェブは、第1の繊維タイプが約38mmの長さを含み、第2の繊維タイプが約54mmの長さを含む、繊維タイプのブレンドを含む。
【0113】
本開示の不織ウェブを調製するのに使用される複数の繊維は、一般に、任意の長さの直径(L/D)に対する比を有することができる。有利には、本開示の不織ウェブの靭性は、繊維のL/D比と、不織組成物中の様々なL/D比を有する繊維のそれぞれの量を使用して、制御することができる。一般に、繊維のL/Dが減少するにつれ、剛性および曲げに対する耐性は増大し、より粗い手触りを提供する。本開示の繊維は一般に、繊維が約0.5から約15、または約0.5から約25、または約1から約5の範囲の低いL/Dを有するとき、それを含む不織ウェブに粗い手触りを与える。そのような低L/D繊維は、不織ウェブ中の繊維の全重量に対して約0から約50重量%の範囲の量で、例えば約0.5重量%から約25重量%、または約1重量%から約15重量%の範囲の量で、不織ウェブ中に提供することができる。不織ウェブ中の低L/D繊維の量が未知である場合、その量は、不織ウェブの顕微鏡写真の目視検査により推定することができる。第1の繊維が、第1のポリビニルアルコール繊維形成材料を含む繊維形成材料のブレンドを含む例示実施形態では、第1の繊維の少なくとも一部分が、約0.5から約25、または約0.5から約15、または約1から約5のL/D比を有することができる。
【0114】
孔径は、Brunauer-Emmett-Teller理論(BET)、小角X線散乱(SAXS)、および分子吸着を含むがこれらに限定されない高倍率および高次表面分析技法を使用して決定することができる。
【0115】
不織ウェブは、坪量によって特徴付けることができる。不織ウェブの坪量は、不織ウェブの単位面積当たりの質量である。坪量は、当技術分野で公知のように、製造条件を様々にすることによって修正することができる。不織ウェブは、結合の前および後に同じ坪量を有することができる。あるいは、結合方法は、不織ウェブの坪量を変えることができる。例えば、結合が熱および圧力の印加を通して生じる場合、不織の厚さ(したがって、不織の領域)を減少させることができ、それによって坪量が増大する。したがって、本明細書で使用される場合および他に指定しない限り、不織の坪量は、結合の後の不織の坪量を指す。
【0116】
本開示の不織ウェブは、一般に、約0.1g/m2から約700g/m2、約0.5g/m2から約600g/m2、約1g/m2から約500g/m2、約1g/m2から約400g/m2、約1g/m2から約300g/m2、約1g/m2から約200g/m2、約1g/m2から約100g/m2、約30g/m2から約100g/m2、約20g/m2から約100g/m2、約20g/m2から約80g/m2、または約25g/m2から約70g/m2の範囲にある任意の坪量を有することができる。
【0117】
さらに、繊維組成およびウェブ厚さが一定のままであることを前提として、ウェブの坪量が増大するにつれウェブの溶解速度は低下するが、それはより多くの材料が溶解することになるからである。例えば、所与の温度で、PVOHポリマー(複数可)を含み、例えば40g/m2の坪量を有する繊維から調製された水溶性ウェブは、例えば30g/m2の坪量を有し、その他の点では同一の水溶性ウェブよりも、遅く溶解すると予測される。したがって坪量は、不織ウェブの溶解度特性を修正するのに使用することもできる。不織ウェブは一般に、約1g/m2から約700g/m2、約1g/m2から約600g/m2、約1g/m2から約500g/m2、約1g/m2から約400g/m2、約1g/m2から約300g/m2、約1g/m2から約200g/m2、約10g/m2から約100g/m2、約30g/m2から約100g/m2、約20g/m2から約100g/m2、約20g/m2から約80g/m2、約25g/m2から約70g/m2、または約40g/m2から約60g/m2の範囲の任意の坪量を有することができる。
【0118】
本開示の不織ウェブは、単層として使用することができ、その他の不織ウェブと層状化することができ、または水溶性フィルムとの積層体の形をとることができる。一部の実施形態では、不織ウェブは、不織ウェブの単層を含む。一部の実施形態では、不織ウェブは、不織ウェブの2層またはそれよりも多くの層を含む多層不織ウェブである。2層またはそれよりも多くの層は、互いに積層することができる。前述の実施形態の改良例では、2層またはそれよりも多くの層を同じにすることができる(例えば、同じ繊維および坪量から調製することができる)。前述の実施形態の改良例では、2層またはそれよりも多くの層は、異ならせることができる(例えば、異なるタイプの繊維、繊維の化学的性質から調製することができ、および/または異なる坪量を有する)。
【0119】
一般に、多層不織ウェブは、個々の層の坪量の合計である坪量を有することができる。したがって多層不織ウェブは、単層として提供される個々の層のいずれかよりも、溶解するのに長時間を要することになる。
水溶性フォーム
【0120】
例示実施形態では、適切な水溶性フォームは、任意の適切な樹脂化学、例えば、ホモポリマー、MA修飾PVOH、MMM修飾PVOH、AMPS修飾PVOH、セルロースおよびセルロース誘導体、PVP、タンパク質、カゼイン、大豆、または任意の水分散性または水溶性の樹脂を含む。ある特定の実施形態では、水溶性フォーム基材は3ミクロンから3000ミクロンの厚さを有し、以下に限定されないが、流延、押出し、溶融加工、塗工、化学ブロー、機械式空気抱き込み、空気注入、乱流押出プロセスを含むフォーム製造技術分野で公知の任意の適切な製造プロセスを使用して形成することができる。水溶性フォーム基材は多孔質であっても非多孔質であってもよく、冷水可溶性であっても温水可溶性であってもよい。水溶性フォーム基材の構築物は、例えば、折り畳まれた層もしくはプライ、積層された層もしくはプライ、またはロール層もしくはプライを含んでもよい。
【0121】
例示実施形態では、水溶性フォーム基材は、本明細書で開示されるように不織ウェブ、繊維および/またはフィルムとして任意の補助剤をさらに含むことができる。補助剤は、水溶性フォーム基材の1つまたは複数の面に、またはそれらを含有する物品、例えば、パケットに、適切な手段によって付与することができる。例示実施形態では、補助剤は粉末の形態である。前述の実施形態の改良例では、1つまたは複数の固定型粉末スプレーガンを使用して、粉末流を水溶性フォーム基材またはパケットに向かって1つまたは1つより多くの方向から方向付け、一方、水溶性フォーム基材またはパケットは、ベルトコンベヤを用いてコーティングゾーンを経て輸送される。例示実施形態では、水溶性フォーム基材またはパケットは、空気中の粉末の懸濁体を通して搬送される。例示実施形態では、水溶性フォーム基材またはパケットは、トラフ様装置内で粉末とタンブル混合される。任意のその他の実施形態と組み合わせることができる例示実施形態では、粉末とパケットまたは水溶性フォーム基材との間の引き付けを高めるのに静電力が用いられる。このタイプのプロセスは、粉末粒子を負に帯電させ、これらの帯電粒子を、接地したパケットまたは水溶性フォーム基材に向けることに基づくことができる。他の代替実施形態では、粉末は、粉末に接触している回転ブラシを含むがこれに限定されない二次移送ツールによって、または粉末を容器から水溶性フォーム基材またはパケットに移すことができるパウダー付きグローブによって、水溶性フォーム基材またはパケットに付与される。さらに別の実施形態では、粉末は、非水性溶媒または担体に粉末を溶解または懸濁し、次いでこれを霧状にし、水溶性フォーム基材またはパケットに噴霧することによって、付着される。一実施形態では、溶媒または担体は引き続き蒸発し、活性剤粉末を後に残す。ある特定の実施形態では、粉末は、正確な用量で水溶性フォーム基材またはパケットに付着される。これらの実施形態は、閉鎖システム乾燥潤滑剤施用機械、例えばPekuTECHの粉末アプリケーターPM 700 Dを利用する。このプロセスでは、粉末は、必要に応じてバッチ式にまたは連続的に、施用機械のフィードトラフに供給される。水溶性フォーム基材またはパケットを、標準回転ドラムパウチ機の出力ベルトから、粉末施用機のコンベヤベルト上に移送し、制御された投薬量の粉末を水溶性フォーム基材またはパケットに付着させる。その後、水溶性フォーム基材またはパケットは、適切な二次包装プロセスに搬送することができる。
【0122】
補助剤が液体形態または溶液中にある例示実施形態では、前述のものを水溶性フォーム基材中に分散させ、水溶性フォーム基材の面上に分散させ、またはその組合せを、例えば回転流延、エアロゾル化溶液などの溶液の噴霧、ロールコーティング、フローコーティング、カーテンコーティング、押出し、ナイフコーティング、およびこれらの組合せによって行うことができる。
【0123】
補助剤、例えば化学的角質除去剤、機械的角質除去剤、フレグランス、および/または香料のマイクロカプセル、嫌悪剤、界面活性剤、着色剤、酵素、スキンコンディショナー、脱油剤、化粧剤、またはこれらの組合せは、水溶性フォーム基材中に存在する場合、少なくとも約1重量%の量、または約1重量%から約99重量%の範囲にあり、追加の機能性を水溶性フォーム基材に提供する。化学的角質除去剤、機械的角質除去剤、フレグランス、および/または香料のマイクロカプセル、嫌悪剤、界面活性剤、着色剤、酵素、スキンコンディショナー、脱油剤、化粧剤、またはこれらの組合せは、固体(例えば、粉末、顆粒、結晶、薄片、またはリボン)、液体、展膏薬、ペースト、気体などを含む任意の所望の形をとることができ、必要に応じてカプセル化することができる。
【0124】
例示実施形態では、水溶性フォーム基材は、水溶性フィルムに比べて改善された審美的効果が提供されるように、着色され、顔料が付けられ、および/または染色することができる。水溶性フォーム基材で使用される適切な着色剤は、指示染料、例えばpH指示薬(例えば、チモールブルー、ブロモチモール、チモールフタレイン、およびチモールフタレイン)、湿分/水指示薬(例えば、ハイドロクロミックインクまたはロイコ染料)、またはサーモクロミックインクを含むことができ、このインクは、温度が上昇しおよび/または下降したときに変色する。適切な着色剤には、限定するものではないがトリフェニルメタン染料、アゾ染料、アントラキノン染料、ペリレン染料、インジゴ染料、食品・医薬品・化粧品(FD&C)着色剤、有機顔料、無機顔料、またはこれらの組合せが含まれる。着色剤の例には、限定するものではないがFD&C Red #40;Red #3;FD&C Black #3;Black #2;マイカベースの真珠光沢顔料;FD&C Yellow #6;Green #3;Blue #1;Blue #2;二酸化チタン(食品グレード);ブリリアントブラック;およびこれらの組合せが含まれる。
【0125】
例示実施形態では、水溶性フォーム基材は、本明細書に開示される界面活性剤のいずれかを含むことができる。例示実施形態では、水溶性フォーム基材は:ココイルイセチオン酸ナトリウム、グルコテイン、フェナミド、コーラ脂質、コカミド、例えばコカミドエタノールアミン、エチレンオキシド系界面活性剤、ならびにアボカドおよびパームの鹸化油の群の1つまたは複数を含むことができる。
【0126】
本開示の水溶性フォーム基材は、任意の厚さを有することができる。適切な厚さには、限定するものではないが約5ミクロン(μm)から約10,000μm(1cm)、約3μmから約5,000μm、約5μmから約1,000μm、約5μmから約500μm、約200μmから約500μm、約5μmから約200μm、約20μmから約100μm、または約40μmから約90μm、または約50μmから80μm、または、約60μmから65μm、例えば50μm、65μm、76μmまたは88μmを含めることができる。本開示の水溶性フォーム基材は、高ロフトまたは低ロフトとして特徴付けることができる。ロフトは、単位面積当たりの質量に対する厚さの比を指す(即ち、坪量)。高ロフト水溶性フォーム基材は、単位面積当たりの質量に対する厚さの高い比によって特徴付けることができる。本明細書で使用される「高ロフト」は、本明細書で定義される坪量と、200μmを超える厚さとを有する本開示の水溶性フォーム基材を指す。水溶性フォーム基材の厚さは、ASTM D5729-97、ASTM D5736、および/またはISO 9073-2:1995に従い決定することができ、例えば水溶性フォーム基材を2Nの負荷に供し、厚さを測定することを含むことができる。高ロフト材料は、当技術分野での公知の方法、例えば、非結合ウェブをそれ自体に折り畳んでロフトおよび坪量を構築するためのクロスラッパーを使用する、クロスラッピングに従い使用することができる。
【0127】
一般に、本開示の水溶性フォーム基材に関する動的摩擦係数と、静的摩擦係数の動的摩擦係数に対する比は、水溶性フィルムに対する水溶性フォーム基材の表面粗さの増大に起因して、水溶性フィルムに関する動的摩擦係数と、静的摩擦係数の動的摩擦係数に対する比とよりも低くなり、水溶性フォーム基材に対する表面接触の減少をもたらす。有利には、この表面粗さは、改善された消費者の感触(即ち、ゴム状の手触りの代わりにクロス様の手触り)、改善された審美性(即ち、水溶性フィルムよりも光沢が少ない)、および/または熱形成されたおよび/または垂直形成され、充填され、および封止され、および/またはマルチチャンバーパケットであって加工設備/金型の表面に沿って水溶性フォーム基材を引き出す必要があるものの加工性の容易さを、提供することができる。したがって水溶性繊維および/または非水溶性繊維は、引き摺りをもたらすほど粗くなることなく、得られた水溶性フォーム基材に表面粗さが提供されるよう十分に粗くすべきである。
【0128】
本開示の可溶性フォーム基材の水への溶解度は、一般に、水溶性フォーム基材の調製に使用される繊維(複数可)のタイプの関数ならびに水溶性フォーム基材の坪量の関数である。理論に拘泥するものではないが、水溶性フォーム基材の溶解度プロファイルは、水溶性フォーム基材を調製するのに使用される繊維(複数可)の同じ溶解度プロファイルに従い、繊維の溶解度プロファイルは、一般に、そこから繊維が調製されるポリマー(複数可)の同じ溶解度プロファイルに従うと考えられる。例えば、PVOH繊維を含む水溶性フォーム基材では、PVOHポリマーの加水分解度を、水溶性フォーム基材の水への溶解度も影響を受けるように選択することができる。所与の温度で、PVOHポリマーの加水分解度が部分加水分解(88%DH)から完全加水分解(≧98%DH)に増大するにつれ、ポリマーの水溶解度は一般に減少する。したがって、例示実施形態では、水溶性フォーム基材は冷水可溶性とすることができる。他のいかなるモノマーも含まないco-ポリ(酢酸ビニル ビニルアルコール)ポリマーでは(例えば、陰イオン性モノマーと共重合しない)、10℃未満の温度で水に可溶な冷水可溶ウェブは、加水分解度が約75%から約90%の範囲、または約75%から約89%の範囲、または約80%から約90%の範囲、または約85%から約90%の範囲、または約90%から約99.5%の範囲にあるPVOHの繊維を含むことができる。他の例示実施形態では、水溶性フォーム基材を温水可溶性とすることができる。例えば、他のいかなるモノマーも含まないco-ポリ(酢酸ビニル ビニルアルコール)ポリマー(例えば、陰イオン性モノマーと共重合しない)では、加水分解度が少なくとも約98%であるPVOHの繊維を含むことにより、温水可溶性フォーム基材は、少なくとも約60℃の温度の水に可溶であるとすることができる。
【0129】
PVOHポリマーの修飾はPVOHポリマーの溶解度を増大させる。したがって所与の温度で、修飾PVOHコポリマーから調製された水溶性フォーム基材の溶解度は、修飾PVOHコポリマーと同じ加水分解度を有するPVOHコポリマーから調製された水溶性フォーム基材の場合よりも高くなると予測される。これらの傾向に従い、特定の溶解度特性を有する水溶性フォーム基材は、ポリマーを繊維内にブレンドすることによっておよび/または水溶性フォーム基材内に繊維をブレンドすることによって設計することができる。さらに、本明細書に記述されるように、水溶性フォーム基材は複数の繊維を含み、場合によっては溶解度の異なる2種またはそれよりも多くの繊維タイプを含む場合がある。
【0130】
非水溶性繊維および/または非水溶性繊維形成材料を、水溶性フォーム基材の複数の繊維に含めることは、特定の溶解度および/または長期放出特性を有する水溶性フォーム基材を設計するのに使用することもできる。理論に拘泥するものではないが、水溶性フォーム基材に含まれる非水溶性繊維の重量パーセントが増大するにつれ(水溶性フォーム基材の全重量に対して)、水溶性フォーム基材の溶解度は一般に低下し、水溶性フォーム基材を含むパウチの長期放出特性は一般に増大すると考えられる。水溶性繊維の溶解度温度でまたはそれよりも高い温度で水と接触すると、水溶性繊維および非水溶性繊維を含む水溶性フォーム基材は、水溶性繊維が溶解するにつれて分散し始めることになり、それによってフォーム構造が破壊されおよび/または水溶性フォーム基材の細孔の孔径が増大する。フォーム構造の破壊が大きくなるにつれまたは孔径が大きくなるにつれ、水はより速くパウチの内容物に触れることができるようになり、パウチの内容物はより速く放出されるようになる。同様に、本開示の水溶性フォーム基材を含むパウチの内容物の長期放出は、種々の溶解度特性および/または種々の溶解度温度を有する水溶性繊維のブレンドを使用することによって実現することができる。より速く溶解する繊維が溶解すると、それによってフォームは破壊され、より少ない可溶性繊維が、より広い露出した表面積を有するようになり、より少ない可溶性繊維の溶解およびパウチの内容物の放出が容易になる。フォーム基材が水溶性繊維および非水溶性繊維を含む例示実施形態では、可溶性繊維の非水溶性繊維に対する比は、特に限定されない。水溶性繊維は、複数の繊維の全重量の重量に基づき、約1%から約99%、約20%から約80%、約40%から約90%、約50%から約90%、または約60%から約90%を構成することができ、非水溶性繊維は、繊維の全重量の重量に基づき、約1%から約99%、約20%から約80%、約10%から約60%、約10%から約50%、または約10%から約40%を構成することができる。例示実施形態では、複数の繊維は、繊維の全重量に対して約10%から約80%の水溶性繊維を含み、残りは非水溶性繊維である。
【0131】
例示実施形態では、本明細書に開示される不織ウェブ、複数の繊維、フォーム、水溶性フィルム、またはこれらの組合せは、生分解性ポリマーを含むことができる。ある特定の実施形態では、複数の繊維は、生分解性である材料を形成する非水溶性繊維を含むことができる。例示実施形態では、複数の繊維は、非水溶性生分解性繊維である第1の繊維と、MSTM-205に従い約10℃から約20℃の温度の水に可溶であるまたはMSTM-205に従い約30℃またはそれよりも低い温度の水に可溶ではない第2の繊維とを含むことができる。例示実施形態では、不織ウェブは、非水溶性および生分解性である。
【0132】
例示実施形態では、フォーム基材が生分解性である。本明細書で使用される場合、フォーム基材が生分解性であるといわれるときには、フォーム基材の少なくとも50%が生分解性であり、例えばフォーム基材の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%が生分解性である。
【0133】
本明細書に開示されるフォーム基材は、第1の繊維タイプおよび第2の繊維タイプを含む複数の繊維を含むことができ、第1および第2の繊維タイプは、直径、長さ、靭性、形状、剛性、弾性、溶解度、融点、ガラス転移温度(Tg)、化学組成、色、またはこれらの組合せに差がある。例示実施形態では、第1の繊維タイプは、PVOHホモポリマー繊維形成材料、修飾PVOHコポリマー繊維形成材料、PVOHコポリマー繊維形成材料、またはこれらの組合せを含むことができる。例示実施形態では、第1の繊維タイプは、2種またはそれよりも多くのPVOHホモポリマー繊維形成材料、2種またはそれよりも多くのPVOHコポリマー繊維形成材料、2種またはそれよりも多くの修飾PVOHコポリマー繊維形成材料、またはこれらの組合せを含むことができる。例示実施形態では、第2の繊維タイプは、PVOHホモポリマー繊維形成材料、PVOHコポリマー繊維形成材料、より修飾されたPVOHコポリマー繊維形成材料、またはこれらの組合せを含むことができる。例示実施形態では、第2の繊維タイプは、2種またはそれよりも多くのPVOHホモポリマー繊維形成材料、2種またはそれよりも多くのPVOHコポリマー繊維形成材料、2種またはそれよりも多くの修飾PVOHコポリマー繊維形成材料、またはこれらの組合せを含むことができる。例示実施形態では、第1の繊維タイプおよび/または第2の繊維タイプは、非水溶性繊維形成材料である。例示実施形態では、第1の繊維タイプは、非水溶性ポリマー繊維形成材料を含むことができ、第2の繊維タイプは、不織ウェブの単独の繊維形成材料としてまたはフィルムとして提供されたときに、得られたウェブまたはフィルムがMSTM-205により約0℃から約20℃の範囲の温度の水に可溶であるポリビニルアルコール繊維形成材料を含むことができる。例示実施形態では、第1の繊維タイプは非水溶性ポリマー繊維形成材料を含むことができ、第2の繊維タイプは、水溶性フォーム基材の単独の繊維形成材料として提供されたときに、得られた水溶性フォーム基材がMSTM-205により20℃またはそれよりも低い温度の水に可溶ではないPVOHホモポリマーまたはコポリマー繊維形成材料を含むことができる。例示実施形態では、第1の繊維タイプは、2種またはそれよりも多くのPVOHコポリマー繊維形成材料、2種またはそれよりも多くの修飾PVOHコポリマー繊維形成材料、またはPVOHコポリマー繊維形成材料と修飾PVOHコポリマー繊維形成材料との組合せを含む。例示実施形態では、第2の繊維タイプは、2種またはそれよりも多くのPVOHコポリマー繊維形成材料、2種またはそれよりも多くの修飾PVOHコポリマー繊維形成材料、またはPVOHコポリマー繊維形成材料と修飾PVOHコポリマー繊維形成材料との組合せを含む。
【0134】
本開示の水溶性フォーム基材に含まれる複数の繊維は、任意の靭性を有することができる。繊維の靭性は、繊維の粗さに相関する。繊維の靭性が低下するにつれ、繊維の粗さは増大する。本開示の不織ウェブを調製するのに使用される繊維は、約1から約100cN/dtex、または約1から約75cN/dtex、または約1から約50cN/dtex、または約1から約45cN/dtex、または約1から約40cN/dtex、または約1から約35cN/dtex、または約1から約30cN/dtex、または約1から約25cN/dtex、または約1から約20cN/dtex、または約1から約15cN/dtex、または約1から約10cN/dtex、または約3から約8cN/dtex、または約4から約8cN/dtex、または約6から約8cN/dtex、または約4から約7cN/dtex、または約10から約20、または約10から約18、または約10から約16の範囲、または約1cN/dtex、約2cN/dtex、約3cN/dtex、約4cN/dtex、約5cN/dtex、約6cN/dtex、約7cN/dtex、約8cN/dtex、約9cN/dtex、約10cN/dtex、約11cN/dtex、約12cN/dtex、約13cN/dtex、約14cN/dtex、または約15cN/dtexの靭性を有することができる。例示実施形態では、複数の繊維は、約3cN/dtexから約15cN/dtex、または約5cN/dtexから約12cN/dtex、または約5cN/dtexから約10cN/dtexの範囲の靭性を有することができる。
【0135】
水溶性フォーム基材の靭性は、ウェブの調製に使用される複数の繊維の靭性と同じにすることができまたは異ならせることができる。理論に拘泥するものではないが、水溶性フォーム基材の靭性は不織ウェブの強度に関係し、より高い靭性はより高い強度を不織ウェブに提供すると考えられる。水溶性フォーム基材の靭性は、異なる靭性を有する繊維を使用することによって修正することができる。水溶性フォーム基材の靭性は、加工により影響を受ける可能性もある。本開示の水溶性フォーム基材は、比較的高い靭性を有し、即ち水溶性フォーム基材は、物品および/またはパウチを調製するための単独の材料として使用することができる自立型基材である。対照的に、メルトブロー、エレクトロスピニング、および/または回転スピニングプロセスにより調製された水溶性フォーム基材は、低い靭性を有し、自立型でもなくまたは物品もしくはパウチを形成するための単独の基材として使用することもできないことがある。
【0136】
水溶性フォーム基材は、坪量によって特徴付けることができる。水溶性フォーム基材の坪量は、水溶性フォーム基材の単位面積当たりの質量である。坪量は、当技術分野で公知のように、製造条件を様々にすることによって修正することができる。水溶性フォーム基材は、結合の前および後に同じ坪量を有することができる。あるいは、結合方法は、水溶性フォーム基材の坪量を変えることができる。例えば、結合が熱および圧力の印加を通して生じる場合、水溶性フォーム基材の厚さ(したがって、水溶性フォーム基材の領域)を減少させることができ、それによって坪量が増大する。したがって、本明細書で使用される場合および他に指定しない限り、水溶性フォーム基材の坪量は、結合の後の水溶性フォーム基材の坪量を指す。
【0137】
本開示の水溶性フォーム基材は、約0.1g/m2から約700g/m2、約0.5g/m2から約600g/m2、約1g/m2から約500g/m2、約1g/m2から約400g/m2、約1g/m2から約300g/m2、約1g/m2から約200g/m2、約1g/m2から約100g/m2、約30g/m2から約100g/m2、約20g/m2から約100g/m2、約20g/m2から約80g/m2、または約25g/m2から約70g/m2の範囲の任意の坪量を有することができる。
【0138】
さらに、繊維組成およびウェブ厚さが一定のままであることを前提として、水溶性フォーム基材の坪量が増大するにつれ水溶性フォーム基材の溶解速度は低下するが、それはより多くの材料が溶解することになるからである。例えば、所与の温度で、PVOHポリマー(複数可)を含み、例えば40g/m2の坪量を有する繊維から調製された水溶性フォーム基材は、例えば30g/m2の坪量を有し、その他の点では同一の水溶性ウェブよりも、遅く溶解すると予測される。したがって坪量は、水溶性フォーム基材の溶解度特性を修正するのに使用することもできる。水溶性フォーム基材は一般に、約1g/m2から約700g/m2、約1g/m2から約600g/m2、約1g/m2から約500g/m2、約1g/m2から約400g/m2、約1g/m2から約300g/m2、約1g/m2から約200g/m2、約10g/m2から約100g/m2、約30g/m2から約100g/m2、約20g/m2から約100g/m2、約20g/m2から約80g/m2、約25g/m2から約70g/m2、または約40g/m2から約60g/m2の範囲の任意の坪量を有することができる。
【0139】
本開示の水分散性または水溶性フォーム基材は、単層として使用することができ、またはその他の水溶性フォーム基材と層状化することができ、または水溶性フィルムとの積層体の形をとることができる。一部の実施形態では、フォーム基材は単層を含む。一部の実施形態では、フォーム基材は、2層またはそれよりも多くの層を含む多層フォーム基材である。2層またはそれよりも多くの層は、互いに積層することができる。前述の実施形態の改良例では、2層またはそれよりも多くの層を同じにすることができる(例えば、同じ繊維および坪量から調製することができる)。前述の実施形態の改良例では、2層またはそれよりも多くの層は、異ならせることができる(例えば、異なるタイプの繊維、繊維の化学的性質から調製することができ、および/または異なる坪量を有する)。
【0140】
多層フォーム基材は、個々の層の坪量の合計である坪量を有することができる。したがって多層水溶性フォーム基材は、単層として提供される個々の層のいずれかよりも、溶解するのに長時間を要することになる。
水溶性フィルム
【0141】
本明細書に記述される水分散性および/または水溶性フィルムは一般に、本明細書に開示される水分散性および/または水溶性ポリマーのいずれかを含む。例示実施形態では、本開示のフィルムは、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂、修飾ポリビニルアルコール樹脂、またはこれらの組合せを含む。例示実施形態では、水溶性フィルムは、PVOHホモポリマー、PVOHコポリマー、陰イオン性修飾を有するPVOHコポリマー、および前述の組合せからなる群から選択されるPVOH樹脂を含む。例示実施形態では、フィルムは、単一のPVOHポリマーまたはPVOHポリマーのブレンドを含むことができる。例示実施形態では、フィルムはPVOHコポリマーを含む。例示実施形態では、フィルムは温水可溶性PVOHコポリマーを含む。不織ウェブが界面活性剤および/または角質除去剤を含む例示実施形態では、フィルムは、陰イオン性修飾を有する修飾PVOHコポリマーを含むことができる。例示実施形態では、フィルムは、単独のフィルム形成材料としてフィルム中に提供されるとき、フィルムがMSTM-205により約0℃から約20℃の範囲の温度で水に可溶である、水溶性ポリビニルアルコールコポリマーまたは修飾コポリマーを含むことができる。例示実施形態では、フィルムは、単独のフィルム形成材料としてフィルム中に提供されたとき、フィルムがMSTM-205により20℃またはそれよりも低い水の温度で水溶性ではない、水溶性ポリビニルアルコールコポリマーまたは修飾コポリマーを含むことができる。
【0142】
水溶性フィルムは、ポリビニルアルコール、水溶性アクリレートコポリマー、ポリエチレンイミン、プルラン、水溶性天然ポリマーであって限定するものではないがグアールガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラギナン、およびデンプンを含むもの、水溶性ポリマー加工デンプン、前述のコポリマー、または前述のいずれかの組合せを含むがこれらに限定されないその他のフィルム形成ポリマーを含むことができる。他の水溶性ポリマーは、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸およびその塩、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびその塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、または前述のいずれかの組合せを含むことができる。そのような水溶性ポリマーは、様々な供給元から市販されている。例示実施形態では、水溶性フィルムは、PVOHホモポリマー、PVOHコポリマー、修飾PVOHコポリマー、またはそれらの組合せを含むことができる。例示実施形態では、水溶性フィルムは、単一のPVOHコポリマーまたはPVOHコポリマーのブレンドを含む。さらなる実施形態では、水溶性フィルムは、粘度が5cPから23cPの範囲にあり、加水分解度が86%から92%の範囲にあるPVOHコポリマーを含む。
【0143】
フィルムは、任意の適切な厚さを有することができ、約76ミクロン(μm)のフィルム厚さが典型的であり特に企図される。企図されるその他の値および範囲は、約5μmから約200μmの範囲、または約20μmから約100μmの範囲、または約40μmから約90μmの範囲、または約50μmから80μmの範囲、または約60μmから65μm、例えば65μm、76μm、または88μmの値を含む。
【0144】
例示実施形態では、水分散性および/または水溶性フィルムは上述の補助剤を含むことができる。例示実施形態では、フィルムは上述の補助剤を実質上含まなくてもよい。例示実施形態では、水溶性フィルムは上述の可塑剤を含むことができる。水溶性フィルムに提供される非水可塑剤の総量は、全フィルム重量に対して約1重量%から約45重量%、または約5重量%から約45重量%、または約10重量%から約40重量%、または約20重量%から約30重量%、約1重量%から約4重量%、または約1.5重量%から約3.5重量%、または約2.0重量%から約3.0重量%の範囲、例えば約1重量%、約2.5重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、または約40重量%とすることができる。例示実施形態では、フィルムは、プロピレングリコール、グリセロール、ジグリセロール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、トリメチロールプロパン(TMP)およびポリエチレングリコール(100~1000分子量)の1種または複数を含む。
【0145】
例示実施形態では、フィルムは上述の界面活性剤を含むことができる。様々な実施形態では、フィルム中の界面活性剤の量は、約0.01重量%から約2.5重量%、約0.1重量%から約2.5重量%、約1.0重量%から約2.0重量%、約0.01重量%から0.25重量%、または約0.10重量%から0.20重量%の範囲にある。例示実施形態では、フィルムは、ポリソルベート80、様々な植物源からのレシチン、およびラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、および同様のものの1種または複数を含む。
【0146】
例示実施形態では、フィルムの補助剤は、充填剤/増量剤/ブロッキング防止剤/粘着防止剤を含むことができる。適切な充填剤/増量剤/ブロッキング防止剤/粘着防止剤には、限定するものではないが架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶質セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ステアリン酸およびその金属塩、例えばステアリン酸マグネシウムが含まれる。必要に応じて、追加の非加工デンプンまたは加工デンプンは、上述の特定のデンプン成分の1種に加えて水溶性に含めることができ、例えば、約5phrから約30phrの範囲の量で存在するヒドロキシプロピル化デンプン、または約2%よりも高い修飾度を有し、約2.5phrから約30phrの範囲の量で存在する加工デンプン、または約20%から約80%の範囲のアミロース含量を有する非加工デンプン、または約23%から約95%の範囲のアミロース含量を有するヒドロキシプロピル加工デンプンであり、これらはポリビニルアルコールが非加工ポリビニルアルコールまたは陰イオン性加工ポリビニルアルコールコポリマーを含む場合であり、陰イオン性修飾剤がアクリレートではないことを前提とするものである。好ましい材料は、デンプン、加工デンプン、およびシリカである。一実施形態では、水溶性フィルム中の充填剤/増量剤/ブロッキング防止剤/粘着防止剤の量は、例えば約1重量%から約6重量%、または約1重量%から約4重量%、または約2重量%から約4重量%、または約1phrから約6phr、または約1phrから約4phr、または約2phrから約4phrの範囲にすることができる。例示実施形態では、上述の特定のデンプン成分の1種に加えてデンプンまたは加工デンプンが水溶性フィルム中に含まれるとき、追加のデンプン成分は、フィルム中に含まれる全てのデンプンの全重量に対して約50重量%未満の量で提供されることになる。理論に拘泥するものではないが、上述のデンプン成分を含むことから本開示のフィルムに提供される任意の利益は、水溶性フィルムに少ない利益をもたらすまたは水溶性フィルムに利益をもたらさない追加のデンプン成分を含むことによる影響を受けないと考えられる。
【0147】
フィルムはさらに、Karl Fischer滴定により測定したときに少なくとも4重量%、例えば約4重量%から約10重量%の範囲の残留含水量を有することができる。
繊維を調製する方法
【0148】
湿式冷却ゲル紡糸
【0149】
例示実施形態では、複数の水溶性繊維は、湿式冷却ゲル紡糸プロセスに従い調製された水溶性繊維を含むことができ、この湿式冷却ゲル紡糸プロセスは:
(a)水溶性ポリマー(または複数のポリマー)を溶液に溶解して、必要に応じて補助剤を含むポリマー混合物を形成するステップ;
(b)ポリマー混合物をスピナレットノズルに通して凝固浴に押し出して、押出しポリマー混合物を形成するステップ;
(c)押出しポリマー混合物を溶媒交換浴に通すステップ;
(d)必要に応じて、押出しポリマー混合物を湿式伸線するステップ;および
(e)押出しポリマー混合物を仕上げて、水溶性繊維を提供するステップ
を含む。
【0150】
水溶性ポリマーが溶解する溶媒は、適切には、水溶性ポリマーが可溶である任意の溶媒とすることができる。例示実施形態では、水溶性ポリマーが溶解する溶媒は、極性非プロトン性溶媒を含む。例示実施形態では、水溶性ポリマーが溶解する溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。
【0151】
凝固浴は、押し出されたポリマー混合物をゲル化するための冷却溶媒を含む。凝固浴は一般に、押し出されたポリマー混合物の凝固を容易にする任意の温度にすることができる。凝固浴は、ポリマーが可溶である溶媒とポリマーが可溶ではない溶媒とを含む混合物とすることができる。ポリマーが可溶ではない溶媒は、一般に一次溶媒であり、ポリマーが可溶ではない溶媒は、混合物の50体積%よりも多くを構成する。
【0152】
凝固浴を通過した後、押し出されたポリマー混合物ゲルは、1つまたは複数の溶媒交換浴を通過することができる。溶媒交換浴は、水溶性ポリマーが可溶である溶媒を、水溶性ポリマーが可溶ではない溶媒で置き換えて、押出しポリマー混合物をさらに凝固し、さらに水溶性ポリマーが可溶である溶媒を、さらに容易に蒸発することになる溶媒で置き換え、それによって乾燥時間を短縮するために、設けられる。溶媒交換浴は、水溶性ポリマーが可溶である溶媒ならびに水溶性ポリマーが可溶ではない溶媒の勾配を有する一連の溶媒交換浴、水溶性ポリマーが可溶ではない溶媒のみ有する一連の溶媒交換浴、または水溶性ポリマーが可溶ではない溶媒のみ有する単一の溶媒交換浴を含むことができる。例示実施形態では、少なくとも1つの溶媒交換浴は、水溶性ポリマーが可溶ではない溶媒から本質的になることができる。
【0153】
完成した繊維を、ステープル繊維、ショートカット繊維、またはパルプと呼ぶこともある。例示実施形態では、仕上げは、押出しポリマー混合物を乾燥することを含む。例示実施形態では、仕上げは、押出しポリマー混合物を切断しまたは捲縮して、個々の繊維を形成することを含む。押出しポリマー混合物の湿式延伸は、実質的に均一な直径を押出しポリマー混合物に提供することができ、したがって繊維はそこから切断される。延伸は、当技術分野で周知のように押出しとは全く異なる。特に「押出し」は、樹脂混合物をスピナレットヘッドに強制的に通して繊維を作製する動作を指し、それに対して延伸は、機械の流れ方向に繊維を機械的に引っ張って、ポリマー鎖の配向および結晶化度を促進させることにより繊維強度および靭性を増大させることを指す。
【0154】
水溶性繊維が湿式冷却ゲル紡糸プロセスから調製される例示実施形態では、水溶性ポリマーは一般に、本明細書に概略的に記述されるように、任意の水溶性ポリマーまたはそのブレンド、例えば2種またはそれよりも多くの種々のポリマーとすることができる。前述の実施形態の改良例では、ポリマー(複数可)は、任意の重合度(DP)、例えば10から10,000,000の範囲、例えば少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも750、または少なくとも1000、および最大10,000,000、最大5,000,000、最大2,500,00、最大1,000,000、最大900,000、最大750,000、最大500,000、最大250,000、最大100,000、最大90,000、最大75,000、最大50,000、最大25,000、最大12,000、最大10,000、最大5,000、または最大2,500、例えば1000から約50,000、1000から約25,000、1000から約12,000、1000から約5,000、1000から約2,500、約50から約12,000、約50から約10,000、約50から約5,000、約50から約2,500、約50から約1000、約50から約900、約100から約800、約150から約700、約200から約600、または約250から約500の範囲を有することができる。例示実施形態では、DPは、少なくとも1,000である。上述の補助剤は、繊維自体にまたは不織ウェブに、カーディングおよび/または結合プロセス中に添加することができる。
【0155】
熱可塑性繊維紡糸
【0156】
熱可塑性繊維紡糸は、当技術分野で周知である。簡単に言うと、熱可塑性繊維紡糸は:
(a)補助剤を必要に応じて含む繊維形成ポリマーを含むポリマー混合物を調製するステップ;
(b)ポリマー混合物を、スピナレットノズルに通して押し出して、押出しポリマー混合物を形成するステップ;
(c)押出しポリマー混合物を必要に応じて延伸するステップ;および
(d)押出しポリマー混合物を仕上げて、繊維を得るステップ
を含む。
【0157】
熱可塑性繊維紡糸プロセスの完全ステープル繊維は、個々の繊維が形成されるように、乾燥、切断、および/または捲縮によって仕上げることができる。押出しポリマー混合物の延伸は、繊維を機械の流れ方向に機械的に引っ張り、ポリマー鎖の配向および結晶化度を促進させて、繊維強度および靭性を増大させる。熱可塑性繊維紡糸用のポリマー混合物の調製は、(a)繊維形成材料と容易に揮発する溶媒との溶液を調製し、溶液をスピナレットに通して押し出した後、溶液が温風流に接触したときに溶媒を容易に蒸発させて固体繊維が残されるようにすること、または(b)ポリマーを溶融して、高温ポリマーをスピナレットに通して押し出した後に冷風でクエンチ処理することによってポリマーが凝固するようにすることを含むことができる。熱可塑性繊維紡糸法は、少なくとも、(a)熱可塑性繊維紡糸法では、押し出された繊維は、凝固浴の使用ではなく溶媒の蒸発によってまたは冷風での高温固体繊維のクエンチ処理によって凝固し;および(b)湿式冷却ゲル紡糸法では、必要に応じた延伸は、繊維が固体状態ではなくゲル状態にある間に行われる点で、湿式冷却ゲル紡糸法とは明らかに異なる。
【0158】
熱可塑性繊維紡糸プロセスから繊維を調製するための繊維形成材料は、任意の繊維形成ポリマーまたはそのブレンド、例えば2種またはそれよりも多くの種々のポリマーとすることができ、但しポリマーまたはそのブレンドは、容易に揮発する溶媒中の適切な溶解度を有すること、および/またはその分解温度よりも低く、明らかに異なる融点を有することを前提とする。さらに、繊維形成ポリマーのブレンドが繊維の作製に使用されるとき、繊維形成材料は、容易に揮発する溶媒中で類似の溶解度を持たなければならず、および/または2種もしくはそれよりも多くの繊維形成材料が類似の温度で溶融するように類似の熱プロファイルを持たなければならない。対照的に、湿式冷却ゲル紡糸プロセスから繊維を調製するための繊維形成材料は限定されておらず、繊維は、同じ溶媒系に可溶ないずれか2種のまたはそれよりも多くのポリマーのブレンドから調製することができ、溶媒系は、単一の溶媒またはさらに揮発性の溶媒である必要はない。
【0159】
熱可塑性繊維紡糸繊維を調製するための繊維形成ポリマー(複数可)は、例えば10から10,000の範囲、例えば少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも750、または少なくとも1000、および最大10,000、最大5,000、最大2,500、最大1,000、最大900、最大750、最大500、または最大250の重合度(DP)を有することができる。例示実施形態では、DPが1,000未満である。
【0160】
溶融紡糸
【0161】
溶融紡糸は当技術分野で周知であり、スパンボンドプロセスおよびメルトブロープロセスの両方を指すと理解される。溶融紡糸は、繊維形成に従い不織ウェブを直接調製する連続プロセスである。したがって、溶融紡糸形成繊維は完成されず、任意の一貫した長さに切断される(例えば、ステープル繊維はこれらのプロセスによって調製されない)。さらに、溶融紡糸は延伸ステップを含まず、したがって、得られる溶融紡糸繊維の直径の唯一の制御は、繊維形成材料が押し出される穴のサイズであり、ポリマー鎖はいかなる特定の方向にも配向しない。
【0162】
ある特定の実施形態では、溶融紡糸は:
(a)補助剤を必要に応じて含む繊維形成ポリマーを含むポリマー混合物を調製するステップ;
(b)ポリマー混合物をダイアセンブリ内に押し出して、押出しポリマー混合物を形成するステップ;
(c)押出しポリマー混合物をクエンチ処理するステップ;
(d)クエンチ処理した押出しポリマー混合物をベルト上に堆積して、不織ウェブを形成するステップ;および
(e)不織ウェブを結合するステップ
を含む。
【0163】
スパンボンドプロセスでは、押し出されたポリマー混合物は、溶融ポリマーとしてダイアセンブリ内にポンプ送出され、ダイアセンブリを通過したときに冷風でクエンチ処理される。メルトブロープロセスでは、押出しポリマー混合物は、内部に温風が吹き付けられたダイアセンブリ内にポンプ送出され、ダイアセンブリを出るときにクエンチ処理され、周囲温度の空気に接触するようになる。両方のプロセスでは、繊維がベルトまたはドラム上に連続的に降下するが、これは通常はベルトまたはドラムの下に真空を引き込むことにより容易になったものである。
【0164】
溶融紡糸繊維の直径は、約0.1から約50ミクロンの範囲、例えば少なくとも約0.1ミクロン、少なくとも約1ミクロン、少なくとも約2ミクロン、少なくとも約5ミクロン、少なくとも約10ミクロン、少なくとも約15ミクロン、または少なくとも約20ミクロン、および最大約50ミクロン、最大約40ミクロン、最大約30ミクロン、最大約25ミクロン、最大約20ミクロン、最大約15ミクロン、最大約10ミクロン、約0.1ミクロンから約50ミクロン、約0.1ミクロンから約40ミクロン、約0.1ミクロンから約30ミクロン、約0.1ミクロンから約25ミクロン、約0.1ミクロンから約20ミクロン、約0.1ミクロンから約15ミクロン、約0.1ミクロンから約10ミクロン、約0.1ミクロンから約9ミクロン、約0.1ミクロンから約8ミクロン、約0.1ミクロンから約7ミクロン、約0.1ミクロンから約6ミクロン、約0.1ミクロンから約6ミクロン、約5ミクロンから約35ミクロン、約5ミクロンから約30ミクロン、約7.5ミクロンから約25ミクロン、約10ミクロンから約25ミクロン、または約15ミクロンから約25ミクロンの範囲にある。メルトブロープロセスは、約1~10ミクロンの範囲の平均直径を有するマイクロファイン繊維を提供できるが、メルトブロープロセスは、繊維間直径に非常に大きいばらつきを有すること、例えば100~300%のばらつきを有することが当技術分野では周知である。さらに、スパンボンド繊維は、より大きい平均繊維直径、例えば、約15から約25ミクロンを有することができるが、繊維間で改善された均一性、例えば約10%のばらつきを有することが当技術分野では周知である。
【0165】
熱押出しプロセス(例えば、溶融紡糸、熱可塑性繊維紡糸)用の繊維形成材料は、湿式冷却ゲル紡糸プロセスの場合よりもさらに制限される。例えば、熱押出しプロセス用の重合度は、約200から約500の範囲に限定される。重合度が200よりも低く減少するにつれ、繊維形成材料の粘度も低過ぎるようになり、ダイアセンブリを通して材料をポンプ送出することにより調製された個々の繊維は、ダイアセンブリから出た後に適切な分離を維持しない。同様に、重合度が500よりも高く増大するにつれ、粘度は、高速でプロセスを実行するためダイアセンブリの十分小さい穴を通して材料を効率的にポンプ送出するには高過ぎるようになり、したがってプロセスの効率ならびに繊維および/または不織の均一性が失われる。さらに、繊維形成材料の加熱を必要とするプロセスは、ホモポリマーが一般に必要な熱安定性を持たないので、ポリビニルアルコールホモポリマーに不適切である。
【0166】
湿式冷却ゲル紡糸プロセスは、有利には、水溶性ポリマーのブレンドを含む繊維を提供し、繊維の直径の制御を行い、比較的大きい直径の繊維を提供し、繊維の長さの制御を行い、繊維の靭性の制御を行い、高い靭性の繊維を提供し、大きい重合度を有するポリマーから繊維を提供し、および/または自立型不織ウェブを提供するのに使用することができる繊維を提供するなど、1つまたは複数の利益を提供する。スパンボンド、メルトブロー、エレクトロスピニング、および回転紡糸などの連続プロセスは一般に、水溶性ポリマーのブレンド(例えば、様々なポリマーのメルトインデックスに一致する難しさに起因して)、大きい直径(例えば、50ミクロンよりも大きい)の繊維の形成、繊維の長さの制御、高靭性の繊維の提供、および高い重合度を有するポリマーの使用を可能にしない。さらに、湿式冷却ゲル紡糸プロセスは、有利には、溶融加工可能であるだけのポリマーに限定されず、したがって非常に高い分子量、高い融点、低いメルトフローインデックス、またはこれらの組合せを有する繊維形成材料から作製された繊維を利用可能であり、熱押出しプロセスにより調製された繊維と比較して、より強力な物理的性質および種々の化学的機能性を有する繊維が提供される。さらになお、有利には、湿式冷却ゲル紡糸プロセスは、ポリマーの粘度によって限定されない。対照的に、繊維形成材料の溶融を必要とするプロセスは、粘度が5cPまたはそれよりも小さい繊維形成材料に限定されることが、当技術分野では公知である。このように、粘度が5cPよりも大きいポリビニルアルコールホモポリマーおよびコポリマーを含むポリマーを含む繊維は、湿式冷却ゲル紡糸によってのみ利用可能である。
不織ウェブを調製する方法
【0167】
本開示の不織ウェブは、2つの外面を有するシート様構造であり、この不織ウェブは複数の繊維を含んでいる。本開示の不織ウェブは、当技術分野で任意の公知の方法を使用して、繊維から調製することができる。当技術分野で公知のように、繊維がスパンボンドまたはメルトブローされると、繊維は連続的に横に置かれて不織ウェブを形成し、その後、繊維は結合される。
【0168】
ステープル繊維は、カーディングされまたはエアレイドされおよび結合されて、不織ウェブを提供する。カーディングおよびエアレイドする方法は、当技術分野で周知である。
【0169】
不織ウェブを結合する方法は、当技術分野で周知である。例えば結合は、熱、機械、および/または化学結合を含むことができる。熱結合は、限定するものではないがカレンダー掛け、エンボス加工、エアスルー、および超音波を含むことができる。機械結合は、限定するものではないが水流交絡(スパンレース)、針穿孔、およびステッチ結合を含むことができる。化学結合は、限定するものではないが溶媒結合および樹脂結合を含むことができる。
【0170】
熱結合は、熱および圧力を加えることによって実現され、カーディングプロセスにより生成された孔径、形状、およびアライメントを維持する。熱結合の条件は、当業者により容易に決定することができる。加えられる熱および/または圧力が低過ぎる場合、繊維は独立型ウェブを形成するよう十分結合しなくなり、熱および/または圧力が高過ぎる場合、繊維は一緒に混ざり始めるようになる。繊維の化学的性質は、熱結合用の熱および/または圧力の上限および下限を決定する。理論に拘泥するものではないが、235℃よりも高い温度で、ポリビニルアルコール系繊維は分解すると考えられる。繊維の熱結合のためのエンボス加工方法が公知である。エンボス加工は、片面エンボス加工または両面エンボス加工とすることができる。水溶性繊維のエンボス加工は、秩序円形配列からなる単一エンボス加工ロールおよび平面を持つスチールロールを使用する片面エンボス加工を含む。エンボス加工が増大するにつれ(例えば、表面フィーチャがウェブに与えられるにつれ)、ウェブの表面積が増大する。理論に拘泥するものではないが、ウェブの表面積が増大するにつれ、ウェブの溶解度が増大する。したがって不織ウェブの溶解度特性は、有利には、エンボス加工を通して表面積を変化させることにより、調整することができる。
【0171】
エアスルー結合は、不織ウェブ中の高い熱可塑性含量と、2種の異なる融点の材料とを必要とする。エアスルー結合では、非結合不織ウェブはドラムの周りを循環し、一方、温風はドラムの外側からドラムの中心に向かって流れる。エアスルー結合は、低密度およびより高い坪量(例えば、20から約2000g/m2よりも大きい)を有する不織を提供することができる。エアボンドにより結合された不織は、非常に軟らかい。
【0172】
化学結合は、溶媒結合および樹脂結合を含む。特に、化学結合は、溶媒および樹脂(例えば、ラテックス、または繊維の調製から残された廃棄ポリマー)の結合剤溶液を使用してもよい。不織ウェブは、結合剤溶液でコーティングすることができ、熱および圧力を加えて結合剤を硬化し、不織を結合することができる。結合剤溶液は、結合剤溶液の浴に不織を浸漬し、結合剤溶液を不織上に噴霧し、結合剤溶液をウェブ上に押し出し(フォーム結合)、および/または結合剤溶液をプリントまたはグラビアとして付着させることによって、付着させることができる。
【0173】
化学結合は、カーディングされ/溶融紡糸された細孔に対して、より小さい、それほど秩序立っていない細孔をもたらすことができる。理論に拘泥するものではないが、化学結合に使用される樹脂溶液が十分に濃縮されおよび/または十分な圧力が加えられる場合、非多孔質不織ウェブを形成することができると考えられる。化学結合に使用される溶媒は、ウェブ中の既存の繊維の部分可溶化を誘発させて、繊維を一緒に溶着および結合する。したがって、化学結合用の溶媒は、不織の繊維の1種または複数の繊維形成材料を少なくとも部分的に可溶化することができる任意の溶媒とすることができる。例示実施形態では、溶媒は、水、エタノール、メタノール、DMSO、グリセリン、およびこれらの組合せからなる群から選択される。例示実施形態では、溶媒は、水、グリセリン、およびこれらの組合せからなる群から選択される。例示実施形態では、結合剤溶液は、水、エタノール、メタノール、DMSO、グリセリン、およびこれらの組合せからなる群から選択される溶媒を含み、ポリビニルアルコール、ラテックス、およびポリビニルピロリドンからなる群から選択される樹脂をさらに含む。溶液中に提供された結合剤は、溶着プロセスを支援して、より機械的に堅牢なウェブを提供する。ポリマー溶液の温度は特に限定されず、室温(約23℃)で提供することができる。
【0174】
一部の実施形態では、繊維の第2の層を使用して、不織ウェブを結合することができる。例示実施形態では、不織ウェブ層は、単独で、または不織ウェブ/繊維の追加の層を使用した結合に加え、熱、機械、または化学結合を使用して結合することができる。
フィルムを不織ウェブまたはフォーム基材に積層する方法
【0175】
積層体(例えば、水溶性フィルムおよび不織)を調製する方法は、限定するものではないがカレンダー積層(熱および圧力)または溶融接着を含むことができる。
【0176】
カレンダー積層は、熱および圧力を加えることによって実現される。カレンダー積層の条件は、当業者によって容易に決定することができる。加えられる熱および/または圧力が低過ぎる場合、繊維は、積層体を形成する水溶性フィルムに十分に結合しなくなり、熱および/または圧力が高過ぎる場合、繊維は、互いにおよびフィルムと溶融し始める。繊維化学およびフィルム化学は、カレンダー積層の熱および/圧力の上限および下限を決定する。理論に拘泥するものではないが、235℃よりも高い温度で、ポリビニルアルコール系繊維は分解すると考えられる。例示実施形態では、オーバーレイ不織および水溶性フィルムに加えられる熱は、約50℃から約200℃、例えば約100℃から約200℃、約110℃から約190℃、約120℃から約180℃、または約130℃から約160℃である。例示実施形態では、オーバーレイ不織および水溶性フィルムに加えられる圧力は、約5psiから約50psi、例えば約10psiから約40psi、約15psiから約30psi、または約20psiから約30psiである。例示実施形態では、オーバーレイ不織および水溶性フィルムに加えられた熱は約150℃であり、加えられた圧力は約25psiである。例示実施形態では、熱および圧力は、約2~4秒間加えられる。繊維および/またはフィルムのカレンダー積層のためのエンボス加工の方法が、企図される。エンボス加工は、片面エンボス加工または両面エンボス加工とすることができる。水溶性繊維および/または水溶性フィルムのエンボス加工は、秩序円形配列からなる単一のエンボス加工ロールおよび平面を持つスチールロールを使用した片面エンボス加工を含む。エンボス加工が増大するにつれ(例えば、増大した量の表面フィーチャが、ウェブおよび/またはフィルムに与えられる)、積層体の表面積は増大する。理論に拘泥するものではないが、物品の表面積が減少するにつれ、ウェブおよび/またはフィルムの溶解度は現象すると考えられる。したがって不織ウェブおよび/または水溶性フィルムの溶解度特性は、エンボス加工を通して表面積を変化させることにより、有利に調整することができる。理論に拘泥するものではないが、単位用量物品の積層度が増大するにつれ、積層体の表面積は減少し、水溶性フィルムと不織との間の結合は増大し、その結果、溶解度が減少し液体放出時間が増大すると考えられる。
【0177】
溶融接着積層は、接着剤を水溶性フィルムに直接付着させることによって実現され、次いで不織ウェブを、付着された接着剤で水溶性フィルムの最上部に置き、不織ウェブおよび水溶性フィルムの接着のために低温積層に供する。本明細書で使用される場合、「低温積層」という用語は、圧力を必要とするが追加の熱は必要としない積層プロセスを指す。接着剤は、当業者に任意の適切な接着とすることができる。例示実施形態では、接着剤は、Henkel National接着剤である。水溶性フィルムへの直接的な接着剤の付着は、ホットメルト噴霧プロセスなどの当業者に対して任意の適切な方法により付着させることができる。例示実施形態では、溶融接着積層プロセスは、160℃でのホットメルト噴霧プロセス、その後の94N/mm2の圧力での低温積層を含むことができる。
【0178】
本開示の積層体は、水溶性フィルムおよび不織ウェブを含んでもよい。例示実施形態では、積層体は、約1%から約100%の積層度を有することができ、積層度は、約1%から約90%、または約25%から約75%、または約1%から約50%、または約5%から約25%、または約25%から約100%、または約50%から約100%の範囲とすることができる。本明細書で使用される場合、「積層度」は、不織ウェブに結合された水溶性フィルムの全面積の量を指す。例えば、約25%またはそれよりも低い積層度を有する積層体は、約25%またはそれよりも少ない水溶性フィルムの面積が不織ウェブに結合され、例えば、封止材のみで積層されることを意味する。例えば、約100%の積層度を有する積層体は、水溶性フィルムの面積の約100%が不織ウェブに結合されることを意味する。積層度が約25%またはそれよりも低い例示実施形態では、積層体は、積層が単位用量物品の各封止材で生ずるヒートシールプロセス中に実現することができる。積層体が約25%またはそれよりも低い積層度を有する例示実施形態では、この低い積層度は、内部空隙がありそこでは水溶性フィルムおよび不織ウェブが積層されずに非適合性の化学的性質を有する区画の物理的分離をもたらすと共に単位用量物品の組成の二段階送達システムの機会を提供するので、有利とすることができる。例示実施形態では、積層度が約5%から約25%の範囲にある。例示実施形態では、積層度が約50%から約100%の範囲にある。
溶解および崩壊試験(修正MSTM-205)
【0179】
不織ウェブ、水溶性フィルム、または積層体構造は、当技術分野で公知の方法であるMonoSol試験法205(MSTM 205)に従い、溶解時間および崩壊時間によって特徴付けることができまたはそれらに関して試験することができる。例えば、米国特許第7,022,656号を参照されたい。以下に提示される記述は不織ウェブを指すが、水溶性フィルムまたは積層体構造に等しく適用可能である。
【0180】
装置および方法:
600mLビーカー
磁気撹拌子(LablineモデルNo.1250または均等物)
磁気撹拌棒(5cm)
温度計(0から100℃±1℃)
テンプレート、ステンレス鋼(3.8cm×3.2cm)
タイマー(0~300秒、秒単位で正確)
Polaroid 35mmスライドマウント(または均等物)
MonoSol 35mmスライドマウントホルダー(または均等物)
蒸留水
【0181】
試験がなされる各不織ウェブごとに、3.8cm×3.2cmの試験片である3つの試験片を不織ウェブ試料から切断する。試験片は、ウェブの横方向に沿って均等に間隔を空けて配置されたウェブの領域から切断されるべきである。次いで各試験片を、以下の手順を使用して分析する。
各試験片を、個別の35mmスライドマウントに固定する。
ビーカーに500mLの蒸留水を満たす。温度計で水温を測定し、必要に応じて水を加熱しまたは冷やして、溶解が決定される温度、例えば20℃(約68°F)の温度を維持する。
水柱の高さをマークする。磁気撹拌子をホルダーの基部に置く。ビーカーを磁気撹拌子上に置き、磁気撹拌棒をビーカーに加え、撹拌子を回し、水柱の高さの約5分の1で渦流が生じるまで、撹拌速度を調節する。渦流の深さをマークする。
35mmのスライドマウントを、35mmのスライドマウントホルダーのアリゲータークランプに固定し、スライドマウントの長辺が水面と平行になるようにする。ホルダーの深さ調節機は、降下したときにクランプの端部が水の表面から0.6cm下になるように設定すべきである。スライドマウントの短片の1つは、ビーカーの側面に隣接すべきであり、他方は撹拌棒の中心の直上に直接位置決めされて、不織ウェブの表面が水の流れに直交するようになされる。
1回の動作で、固定されたスライドおよびクランプを水中に落とし、タイマーを始動させる。試料がスライド内で破損したとき、例えば穴ができたとき、破裂が生じる。不織ウェブが裂かれると崩壊が生じ、試料材料がスライド中に残らない。目に見える全ての不織ウェブがスライドマウントから放出されると、スライドは水の中から上昇し、その間、溶解していない不織ウェブの断片に関して溶液をモニターし続ける。溶解は、全ての不織ウェブ断片がもはや見えなくなり、溶液が透明になるときに生じる。低い加水分解度(例えば、約65~88%)を有するポリビニルアルコールポリマーから、繊維が調製された不織試料では、破裂および溶解が同時に起こることがある。破裂と溶解の間の差が5秒またはそれよりも長い場合、溶解時間は、破裂時間と独立して記録される。
【0182】
減粘時間もまた、MSTM-205を使用して決定することができる。他の繊維がそのままの状態であるのに、不織ウェブを構成する繊維の一部が溶解するとき、不織ウェブの減粘が生じる。ウェブの減粘はウェブの崩壊の前に生じる。減粘は、不織ウェブの不透明性の低下、または透過率の増加によって特徴付けられる。不透明から透明へ徐々に変化し、視覚的に観察することができる。MSTM-205の間に、固定されたスライドおよびクランプが水中に降下した後、不織ウェブの不透明性/透過率をモニターする。不透明性/透過率の変化が観察されない時点で(即ち、ウェブがより不透明にもより透明にもならない)、その時間が減粘時間として記録される。
【0183】
結果は、下記を含むべきである:完全な試料の同定;個々のおよび平均の崩壊および溶解時間;ならびに試料が試験される水温。
I補正=I測定x(基準厚さ/測定厚さ)1.93 [1]
S補正=S測定x(基準厚さ/測定厚さ)1.83 [2]
単繊維溶解度を決定するための方法
【0184】
単繊維の溶解度は、水切れ温度により特徴付けられる。繊維破壊温度は下記のように決定することができる。2mg/dtexの負荷を、固定長100mmの繊維にかける。水温は1.5℃で開始し、次いで1.5℃ずつ、2分ごとに、繊維が破壊されるまで上昇させる。繊維が破壊される温度を、水切れ温度と呼ぶ。
【0185】
単繊維の溶解度は、完全溶解の温度によっても特徴付けることができる。完全溶解の温度は下記の通り決定することができる。固定長が2mmの繊維0.2gを、水100mLに添加する。水温は1.5℃で開始し、次いで1.5℃ずつ、繊維が完全に溶解するまで2分ごとに上昇させる。試料を各温度で撹拌する。繊維が30秒未満で完全に溶解する温度は、完全溶解温度と示される。
直径試験法
【0186】
個別の繊維または不織ウェブ内の繊維の直径は、走査型電子顕微鏡(SEM)または光学顕微鏡および画像解析ソフトウェアを使用することにより決定される。測定のため繊維が適切に拡大されるように、200から10,000倍の倍率が選択される。SEMを使用するとき、試料に金またはパラジウム化合物をスパッタリングして、電子ビームにおける繊維の帯電および振動を回避する。繊維直径を決定するための手動手順は、SEMまたは光学顕微鏡で撮影された画像(モニタースクリーン上)から使用される。マウスおよびカーソルツールを使用して、ランダムに選択された繊維の縁部を探索し、次いで繊維の他方の縁部に対してその幅の両端(即ち、その点での繊維方向に直交する)を測定する。スケーリングおよび較正画像解析ツールは、ミクロン単位での実際の読取りを得るためのスケーリングを提供する。不織ウェブ内の繊維では、SEMまたは光学顕微鏡を使用して、不織ウェブの試料全体にわたりいくつかの繊維がランダムに選択される。不織ウェブの少なくとも2つの部分で、材料が切断され、この手法で試験される。完全に、少なくとも100回のそのような測定がなされ、次いで全てのデータを統計分析用に記録する。記録されたデータを使用して、繊維の平均(average)(平均(mean))、繊維の標準偏差、およびメジアン繊維直径を計算する。
引張り強さ、モジュラス、および伸長試験
引張り強さ(TS)試験による引張り強さ、モジュラス(MOD)試験によるモジュラス(または引張り応力)、および伸長試験による伸びによって特徴付けられるまたはこれらに関して試験される、不織ウェブ、水溶性フィルム、または積層体構造は、以下の通り分析される。以下に提供される記述は不織ウェブを指すが、水溶性フィルムまたは積層体構造に等しく適用可能である。手順は、ASTM D 882(「薄いプラスチックシート形成の引張り特性に関する標準試験法」)または均等物による10%の伸び率での、引張り強さの決定とモジュラスの決定とを含む。INSTRON引張り試験装置(モデル5544引張り試験機または均等物)を使用して、不織ウェブデータを収集する。寸法安定性および再現性を確実にするためにそれぞれ信頼性ある切断ツールで切断された最小限で3つの試験片を、各測定ごとに機械の流れ方向(MD)(付与可能な場合)で試験した。試験を、23±2.0℃および35±5%の相対湿度の標準的な実験室雰囲気で実行した。引張り強さまたはモジュラスの決定では、不織ウェブの1”幅(2.54cm)の試料が調製される。次いで試料を、INSTRON引張り試験機に移送して、35%の相対湿度環境への曝露を最小限に抑えながら試験を進める。引張り試験機は、500Nの負荷セルを備えたものを製造業者取扱説明書に従い準備し、較正した。正しいグリップおよび面が適合される(モデル番号2702-032の面を有するINSTRONグリップであり、ゴムでコーティングされ、25mm幅であり、またはその均等物である)。試料を引張り試験機内に載置し、分析して、100%モジュラス(即ち、100%のフィルムの伸び率を実現するのに必要な応力)、引張り強さ(即ち、フィルムを破壊するのに必要とされる応力)、および伸び率%(初期試料の長さに対する破断点での試料の長さ)を決定する。一般に、試料の伸び率%が高くなるにつれ、不織ウェブの加工性の特性はより良好になる(例えば、パケットまたはパウチへの形成性が増大する)。
摩耗試験
【0187】
オフハンドテスト:
【0188】
Roloc(商標)結合部で直径3”のディスクを取り付ける。炭素鋼試験パネルとアルミニウム試験パネルを、ハックスタンド上の任意の実施例に対応するコーティング研磨ベルトで研削して、試験片に線状の砥粒を付ける。平均Raは炭素鋼で75ピン、アルミニウムの試験パネルで150ピンである。次いで、試験前にパネルおよびディスクを秤量する。
【0189】
オフハンドショートテスト:
【0190】
1分間、それぞれのパネルの砥粒の方向に作業し、実施例全てによる不織ディスクを含むパネルの半分からスクラッチを除去した。次の1分間、砥粒の方向に作業して、パネルの第2の半分からスクラッチを除去する。次いで、ディスクおよびワークピースを清浄化し秤量する。5つの別々の区域でパネルのRaを測定し記録した。
【0191】
オフハンドロングテスト:
【0192】
1分間、それぞれのパネルの砥粒の方向に作業し、実施例全てによる不織ディスクを含むパネルの半分からスクラッチを除去する。次の1分間、砥粒の方向に作業して、パネルの第2の半分からスクラッチを除去する。
【0193】
パネルの質量損失を決定するために2分間の前後にパネルを秤量する。
【0194】
上記に用いる方法論を用いて新しいパネルをさらに2分間使用する。
【0195】
4つのパネル-各ディスクについて合計8分のオフハンド摩砕時間、このプロセスを継続する。第1のパネルおよび第4のパネルで、1枚のパネル当たり5つの別々の区域の表面仕上げを測定する。最高および最低の表面仕上げの数字は捨て、中央の3つのRa数を平均する。パネル1およびパネル4からの平均表面仕上げを平均して最終の表面仕上げの数字が得られる。
【0196】
XY自動試験:
【0197】
Roloc(商標)結合部で直径3”のディスクを取り付ける。XYは、ディスクを8サイクル試験する。ディスクが平らな試験パネルを研削した各サイクルは1分の長さである。試験中、ロボットアームはXおよびY方向に動き、パネルの表面を研削する。第1のサイクルおよびサイクル#8の後にディスクが後に残すRaを5つの別々の区域で点検する。サイクル1の前とサイクル8の後に、パネルおよびディスクを秤量して、基材およびディスクの質量損失を決定する。
【0198】
炭素鋼を研削する場合に使用する力およびRPMは、5ポンド(lbs.)および9000RPM、または10lbs.および11,000RPMのどちらかである。アルミニウムを研削する場合に使用する力は、5lbs.および9,000RPM、または5lbs.および11,0000RPMのどちらかである。
繊維収縮パーセント試験(MSTM)
【0199】
適切な量の担体溶媒と接触したときの繊維の収縮パーセントは、MonoSol標準操作手順の下の繊維収縮パーセント試験に従って決定することができる。
【0200】
装置および材料:
1.繊維試料(およそ3グラム)
2.500mLビーカー
3.冷やした脱イオン水(冷蔵庫に配置)
4.脱イオン水
5.ペーパークリップ
6.ワニクランプ(溶解度スタンド)
7.撹拌プレート
8.タイマー
【0201】
以下のように試料を調製する:
1.絡み合っていない繊維の小さな束を得る。ペーパークリップおよびワニクランプで確実に保持すること。繊維束のおよその重量は0.013グラム(g)から0.015gである。
2.ペーパークリップをとり、ペーパークリップの断面によって繊維の端を引っ張ること。
3.試験される各独自の繊維に各試験温度、23℃および10℃についてN=3の繰り返しを行うこと。
【0202】
装置の設定:
1.それぞれの温度の水400mlを500mlのビーカーに充填すること。試験前および試験中に、温度プローブを用いて水温の点検を確実にすること。
2.定規がクランプと平行にぶら下がるようにワニクランプの最上部に定規をテープで留めること。
3.ビーカーを撹拌プレートに置き、溶解度スタンドを撹拌プレートの隣りに置き、定規をビーカーに浸漬して、次に長さを読むことができるようにする。
【0203】
試験手順:
1.ワニクランプ中紙でクリップした繊維の自由端部を付けること。
2.試験試料が定規の隣りに並べるように、ビーカーの中に試験試料を沈めること。
3.タイマーを始動させて、繊維の初期の長さを記録すること。試験試料繊維長は、ワニ口クリップの末端からペーパークリップの上部までである。
4.2分の後、繊維の最終長さを記録すること。
5.クランプを水から引き上げ、クランプから試料を取り外す。必ずクランプの外側、および各試験間のクランプの内側から徹底的に乾燥すること。
【0204】
収縮パーセントの計算:
収縮した長さ=最初の長さ-最終の長さ [3]
繊維収縮(%)=(収縮した長さ/最初の長さ)×100% [4]
物品の使用
【0205】
本開示の物品は、様々な商業的な適用例に適している。本開示の単一単位用量物品などの物品に適切な商業的適用例には、以下に限定されないが、洗濯用洗剤、石鹸、柔軟仕上げ剤、漂白剤、洗濯用増強剤、しみ除去剤、蛍光増白剤、または硬水軟化剤を含む活性洗浄配合物を送達することを含む。例示実施形態では、活性洗浄配合物は、以下に限定されないが、活性物質、洗剤、界面活性剤、乳化剤、キレート試薬、汚れ懸濁剤、しみ剥離薬、酵素、pH調整剤、ビルダー、汚れ剥離ポリマー、構造剤、遊離のフレグランス、カプセル化フレグランス、防腐剤、溶媒、鉱物、および/またはパーソナルケア、洗濯用洗剤、食器洗剤、および/または家庭用表面クリーナーまたはクレンザーに適切な任意の原料を含んでいてもよい。他の例示は、食器洗剤、石鹸またはクリーナー、シャンプー、コンディショナー、ボディウォッシュ、フェイスウォッシュ、スキンローション、スキントリートメント、ボディオイル、フレグランス、ヘアトリートメント、バスソルト、エッセンシャルオイル、バスボムまたは酵素を含む。活性洗浄配合物は、固体、例えば、粉末または複数の顆粒もしくは粒子、ゲル、液体、またはスラリー配合物の形、または例えば粉末、固体、ゲル、液体、またはスラリー配合物の任意の適切な組合せであってもよい。
【0206】
本開示の単位用量物品としての追加の適用例は、角質除去材料、シャンプー、コンディショナー、ボディウォッシュ、フェイスウォッシュ、スキンローション、スキントリートメント、ヘアトリートメント、バスソルト、エッセンシャルオイル、またはこれらの組合せなどのパーソナルケア製品を送達することを含めることができる。追加の企図された適用例には、一定の水の流れを含むことができるもの、例えば自動車洗浄適用例および/または食器洗浄適用例を含む。有利には、そのような適用例において、組成物の少なくとも一部分が物品から放出される前および/または放出されると、不織ウェブを使用して起泡および/またはハードなスクラビングを容易にして、洗浄される表面、例えば車の塗料または焦げ付き防止の調理表面を損傷させることなく汚れを除去することができる。
【実施例】
【0207】
本明細書に記述されるように、単位用量物品は、以下の構築物のうちの1つを含んでもよく、不織基材の第1の表面または第1の側面は外観が繊維質であり、および、不織基材の第2の表面または第2の側面は、一般に平滑であるか、または水を用いてコーティングされて、熱および/または水の付与を使用して、連続層を創出する。
(a)湿分がないかまたは低湿分の食器洗い洗剤、および乾いた食器を清浄化するための不織タオルの1つまたは複数の表面に研磨性材料を有する、タオルまたはパッドなどの使い捨ての冷水分散性不織洗浄物品;冷水と接触したとき水溶性の不織タオルは溶解し、清浄化する食器を浸けるため消毒剤を送達し、食器を清浄化したら、食器をすすぎ、例えばラックで乾燥することができる;または
(b)食器を清浄化するための食器洗い洗剤および研磨性材料を有する、タオルまたはパッドなどの温水可溶性(>40℃)不織洗浄物品、温水と接触したとき水溶性の不織タオルは溶解し、清浄化する食器を浸けるため消毒剤を送達し、食器が清浄化したら、食器をすすぎ、例えばラックで乾燥することができる。洗浄物品は使い捨てまたは多重使用のためであってもよい。洗浄物品は、単層または多層の不織シートを含んでもよい。
【0208】
タオルまたはパッドなどの不織布の物品は、40℃より低い、例えば約10℃から約40℃の範囲の温度で水分散性、ならびに40℃およびそれよりも高い、例えば約50℃から約100℃、または約60℃から約70℃の範囲の温度で水溶性であってもよい。ある特定の実施形態では、活性洗浄配合物の複数の粒子は、不織基材などのコア基材に結合して本明細書に記述される研磨性表面を形成することができる。消費者は、食器をスクラビングする使い捨ての不織タオルを使用する。タオルは、手洗いされる食器の適切な荷重に必要な清浄化を、ならびに、調理器具、例えば、ポット、平鍋、プレート、食器類および/または食卓用金物からの物理的な食材をクレンジングする研磨剤を送達する。例示実施形態では、調理器具が乾いている場合、調理器具はスクラビングされる。タオルを使用して適切な量の食品材料が除去されたら、流し、例えば、または浸潤桶の中にタオルを溶解して残骸のさらなる除去および調理器具の衛生化のための消毒剤または食器洗浄石鹸を送達することができる。他の例示実施形態では、調理器具がスクラビングされるにつれて、調理器具に冷水が加えられ、タオルは、使用中に次第にまたはゆっくり溶解する。調理器具を洗ったら、温水を加え、タオルは完全にまたは実質上完全に溶解して衛生化剤を送達する。他の例示実施形態では、使用中にタオルは溶解せず、調理器具は温水を用いて洗浄される。活性洗浄配合物は連続的に放出され、タオルは使用中に溶解しない。ある特定の実施形態では、洗浄物品は、数回使用することができる。タオルまたはパッドなどの洗浄物品は、コア基材が完全にまたは実質上溶解し、食器洗浄を助ける場合、食器洗い機中で処分することができ、または、使い捨てタオルが改善された生物分解プロファイルを有する場合、ごみにタオルを入れるか、またはタオルがリサイクルされる。
【0209】
実施例では、活性洗浄配合物を含む不織基材が、例証目的のためにコア基材の1つの実施例として記述される。コア基材および活性洗浄配合物は、本明細書に記述される任意の組成物および/または形態を有することができる。例えば、コア基材は、水分散性および/または水溶性の不織、フォーム、フィルム、または任意のそれらの組合せであってもよい。そのようなコア基材は、ビニルアルコール-酢酸ビニルコポリマーなどの1種または複数のPVOHポリマーを含んでもよい。例えば、ある特定の実施形態では、コア基材は、複数の繊維を含む少なくとも1種の不織ウェブまたはシートを含む。複数の繊維は、約75%から約89.9%(例えば、80%~89.9%)の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーを含む第1のタイプの繊維、および約90%から約99.9%(例えば、95%~98%)の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーを含む第2のタイプの繊維を含む。第2のタイプの繊維に対する第1のタイプの繊維の適切な比は、例えば重量で約5:95から約25:75の範囲である。ある特定の実施形態では、第1のタイプの繊維および第2のタイプの繊維は、少なくとも1種の不織ウェブまたはシートに一緒に混合される。ある特定の実施形態では、少なくとも1種の不織ウェブまたはシートは、第1のタイプの繊維で作製された第1のタイプの不織布、および第2のタイプの繊維で作製された第2のタイプの不織布を含む。2つのタイプの繊維は異なる不織ウェブまたはシート中にあってもよい。ある特定の例示実施形態では、洗浄物品は、ポリエステル、ポリ乳酸および/またはセルロース系繊維などの非PVOHポリマー繊維とブレンドされたPVOHポリマー系繊維を含んでもよい。
使用する繊維
【0210】
表1に示すように、それぞれ88%、96%、98%および99.99%の加水分解度を有する酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーを含む幾つかのタイプの繊維、即ち、繊維1(「F1」)、繊維2(「F2」)、繊維3(「F3」)および繊維4(「F4」)を、出発物質として使用した。これらの繊維は均一組成を有し、表1に示す追加の特性を有する。本明細書に記述される実施例では、繊維F1およびF2はそれぞれ、2.2dpfの微細さ-51mmの長さを有していた。繊維F3は2つのタイプの繊維を含む:1.7dtexの微細さ-38mmの長さを有する第1の繊維タイプおよび2.2dtexの微細さ-51mmの長さを有する第2の繊維タイプ。繊維F4は、1.7dtexの微細さ-38mmの長さを有していた。微細さdtexおよびdpfの単位は互いに類似していて、係数(dtex=dpf/0.9)を使用して変換することができる。例示では、ビニルアルコール部分を含むポリマーは、「ポリビニルアルコールポリマー」と呼ばれ、そのようなポリマーを含む繊維は、「ポリビニルアルコール繊維」と呼ばれる。
【0211】
【0212】
表2に示すように、異なる結合条件下で、不織コア基材を作製するために4つのタイプの繊維を使用した。ある特定の例示では、2つのタイプの繊維もまた、1つのタイプの不織コア基材を作製するために混合した(「ブレンド不織」と呼ばれる)。
【0213】
【0214】
表3および4に実施例1~17の特性を示す。これらの特性は、溶解度データ、例えば、破裂時間および崩壊時間、引張り強さ、軟らかさのランクおよび表面粗さを含む。アクリルポリマー上にアルミニウムで作製された試験基材にこれらの不織(NW)試料を付与した。付与前後の試験基材の光沢を記録した。250μinの測定限界を有するSPI Roughness Tester IIを使用してRa値を測定した。光沢測定は、BYK micro-TRI-glossを使用して遂行した。光沢測定を全て20°で記録した。
【0215】
【0216】
【0217】
表2~4に示される組成および性質データに基づいて、例示実施形態では、少なくとも1種の不織布(コア基材としての)は、90~99.99%の範囲、より詳細には90%から98%の範囲の加水分解度を有するPVOHコポリマーで作製された複数の繊維を含む。例えば、1種または2種の繊維で作製された不織基材、例えば、繊維F3(98%のD.H.)または繊維F3および繊維F2の組合せ(96%のD.H.)、例えば、実施例1、5、および16の試料は、温水(例えば80℃の)中短い崩壊時間および良好な軟らかさを提供する。繊維F1(D.H.88%)はまた繊維F3またはF2と組み合わせることができるが、しかし、例示実施形態の繊維F1の含有率は、繊維の総重量の50%未満または25%に等しいもしくはそれ未満である。F1の導入(例えば、実施例11、13および15の試料)は、不織試料の軟らかさを低下させ崩壊時間を増加させる傾向がある。180℃でほとんどの試料をカレンダーにかけた。繊維F1は、より硬い不織試料をもたらす繊維F2および繊維F3と比較した場合、より感熱性で熱劣化を受けやすい。繊維F4の量が増えるにつれて、温水中で得られる不織試料の崩壊時間は、増加する傾向がある。表4に示すように、より硬い繊維はより高いRa値を有するが、しかし、実験試料1~17の研磨性を評価または区別する光沢測定で観察可能な差はなかった。
【0218】
表5に示すように、TREVIRA(商標)ポリエステル繊維、ポリ乳酸(PLA)繊維、ビスコースレーヨン(セルロース)繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、VESTERA(商標)セルロース繊維、およびLENZING LYOCELL(商標)セルロース繊維を含む様々であるデニールの他の繊維化学的性質を有する実験試料18~23を繊維F2のブレンドから作製した。表6にこれらの試料の性質データを示す。より高いデニールの繊維との不織のブレンドは、より低いデニールブレンドと比較して軟らかくないと予想される。
【0219】
【0220】
【0221】
表7および8に示すように、実験試料24~25は、異なる結合様式を用いて100%の繊維F3で作製された不織試料(70gsm)であった。これらの不織試料は温水中で水分散性であり、最終的に水溶性になる。表面に接着された研磨剤粉末を含むおよび含まない食器洗い機洗剤の両方を用いて、これらの試料を評価した。研磨剤粉末はCascade Completeであり、Elmer’s Multi-Purpose Spray Adhesiveを使用して、WSNWの表面に洗剤粉末を接着した。実験試料24~25の各々は2つの試料:洗剤粉末なしの第1の試料および洗剤粉末を含む第2の試料である。洗剤粉末は、活性洗浄配合物および研磨剤粉末の両方として二元機能を有する。点結合様式と比較して、ヒナギク結合様式はより高い結合密度を有する。ヒナギク結合した水溶性不織布は、点結合材料より高いRa値を示した。Raのこの増加は、不織布のより粗い主観的な感触に対応した。研磨剤粉末を含まない両方の不織は、アルミニウム表面およびアクリル表面上でラビングし、それらの表面の光沢に変化をもたらさなかった。研磨剤粉末を含む不織試料は、しかしながら、ラビングでアクリル表面およびアルミニウム表面の両方にスクラッチをつけ、光沢の著しい低下をもたらした。
【0222】
【0223】
【0224】
開示の例示実施形態は以下の番号付きパラグラフに記述される。これらの例示実施形態は、本質的に例証となるように意図され、限定するようには意図されない。
【0225】
以下のパラグラフは、開示の態様をさらに記述する:
1. 物体を手洗いするための物品であって、
研磨性表面を有し活性洗浄配合物を含有する、樹脂を含む複数の繊維を含むコア基材
を含み、
コア基材は、試験方法MSTM-205により40℃またはそれよりも低い温度を有する水と接触すると、水分散性になってコア基材から活性洗浄配合物を放出する物品。
2. コア基材が、300秒またはそれよりも短い分散時間を有する、条項1に記載の物品。
3. コア基材が、試験方法MSTM-205により40℃より高い温度を有する水と接触すると、水溶性になる、条項1または2に記載の物品。
4. コア基材が10重量%未満の含水量を有する、条項1~3のいずれかに記載の物品。
5. 研磨性表面が、8uin(0.2μm)から60uin(1.5μm)のRa値を有する、条項1~4のいずれかに記載の物品。
6. 活性洗浄配合物が、固体、液体、ゲルまたはスラリー形態の少なくとも1つの形態である、条項1~5のいずれかに記載の物品。
7. 活性洗浄配合物が、消毒剤または衛生化剤、洗剤、界面活性剤、乳化剤、キレート試薬、汚れ懸濁剤、しみリフターまたは剥離薬、酵素、pH調整剤、ビルダー、汚れ剥離剤、構造剤、遊離のフレグランス、カプセル化フレグランス、防腐剤、溶媒、鉱物、フォームビルダー、HLB調整剤、または脱脂剤、またはそれらの組合せの1つまたは複数を含む、条項1~6のいずれかに記載の物品。
8. 活性洗浄配合物がコア基材の表面に配置されているか、またはコア基材のマトリックスに埋め込まれているかの少なくとも一方である、条項1~7のいずれかに記載の物品。
9. コア基材が、活性洗浄配合物で飽和され、活性洗浄配合物を用いてコーティングされ、または、活性洗浄配合物に含浸される少なくとも1つである、条項1~8のいずれかに記載の物品。
10. 活性洗浄配合物がコア基材中に存在する、条項1~9のいずれかに記載の物品。
11. 活性洗浄配合物が担体溶媒を含む、条項1~10のいずれかに記載の物品。
12. 複数の繊維の各繊維が10mmから100mmの長さを有する、条項1~11のいずれかに記載の物品。
13. 複数の繊維の各繊維が0.5から25の直径に対する長さの比(L/D)を有する、条項1~12のいずれかに記載の物品。
14. コア基材が、不織シート、結合して不織ブロック基材を形成する複数の不織シートまたは連結して球体または回転楕円体を形成する複数の不織シートの形の不織基材を含む、条項1~13のいずれかに記載の物品。
15. 活性洗浄配合物が、以下の衛生化剤:第四級アンモニウム化合物(QAC)、ハロゲン化酸化剤、次亜塩素酸を発生する化合物、ハイポクロライトを発生する化合物、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、ジクロロイソシアヌル酸、アルコール、酸素ラジカル発生剤、過酸化水素(H2O2)、スルフェートを発生する化合物、メチルイソチアゾリノン(MIT)、ベンズイソチアゾリノン(BIT)またはメタ重亜硫酸ナトリウムの1つまたは複数を含む、条項1~14のいずれかに記載の物品。
16. コア基材が、樹脂で作製された複数の繊維を含む少なくとも1つの不織シートを含む、条項1~15のいずれかに記載の物品。
17. 複数の繊維が活性洗浄配合物で飽和される、条項16に記載の物品。
18. 活性洗浄配合物が複数の繊維の表面に配置されているか、または複数の繊維に埋め込まれているかのうちの1つである、条項16または17に記載の物品。
19. コア基材が、複数の不織層を含み、活性洗浄配合物が複数の層の隣接層間に配置される、条項16~18のいずれかに記載の物品。
20. 樹脂がビニルアルコール部分を含むポリマーである、条項16~19のいずれかに記載の物品。
21. ビニルアルコール部分を含むポリマーが、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、またはそれらの組合せを含む、条項20に記載の物品。
22. ポリビニルアルコールコポリマーが、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーまたは陰イオン修飾コポリマーである、条項21に記載の物品。
23. 陰イオン修飾コポリマーがカルボキシレート、スルホナート、またはそれらの組合せを含む、条項22に記載の物品。
24. 複数の繊維が、約95%から約98%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーを含む、条項16~23のいずれかに記載の物品。
25. 複数の繊維が、約75%から約89.9%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーを含む第1のタイプの繊維、および約90%から約99.99%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーを含む第2のタイプの繊維を含む、条項16~23のいずれかに記載の物品。
26. 第2のタイプの繊維に対する第1のタイプの繊維の比が、重量で約5:95から約25:75の範囲である、条項25に記載の物品。
27. 第1のタイプの繊維が、約80%から約89%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーを含み、第2のタイプの繊維は、約95%から約98%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーを含む、条項25または26に記載の物品。
28. コア基材が、第1のタイプの繊維および第2のタイプの繊維の混合物を含む少なくとも1つの不織シートを含む、条項25~27のいずれかに記載の物品。
29. コア基材が、ビニルアルコール部分を含むポリマーでないポリマーで作製された繊維を含む、条項20~28のいずれかに記載の物品。
30. コア基材が、不織シート、フォーム層、フィルム、または任意のそれらの組合せから選択される複数の層を含む、条項1~29のいずれかに記載の物品。
31. 複数の層が、重ねた構築物の別個のシート、または蛇行状の構築物に折り畳まれた連続的なシートを含む、条項30に記載の物品。
32. 研磨性表面が、コア基材上に結合された活性洗浄配合物を含む複数の粒子を含む、条項1~31のいずれかに記載の物品。
33. 樹脂が生分解性である、条項1~31のいずれかに記載の物品。
34. 物体の手洗い用の物品を作製する方法であって、
活性洗浄配合物を含有する、樹脂を含む複数の繊維を含む不織基材を形成すること;および
不織基材の研磨性表面を形成すること
を含む方法。
35. 活性洗浄配合物を含有する、樹脂を含む複数の繊維を含む不織基材の形成が、活性洗浄配合物で不織基材を飽和させること、水溶性不織基材の表面に活性洗浄配合物を配置すること、活性洗浄配合物を用いて基材の表面をコーティングすること、不織基材に活性洗浄配合物を埋め込むこと、または不織基材に活性洗浄配合物を含浸させることの少なくとも1つを含む、条項34に記載の方法。
36. 活性洗浄配合物が担体溶媒を含む、条項35または36に記載の方法。
37. 不織基材が、試験方法MSTM-205により、40℃またはそれよりも低い温度を有する水と接触すると、水分散性になり、40℃より高い温度を有する水と接触すると、水溶性になる、条項36に記載の方法。
38. 不織基材の研磨性表面の形成が、不織基材の第1の表面に研磨性材料を形成すること、研磨性材料を配置すること、研磨性材料を埋め込むこと、研磨性材料をコーティングすること、または研磨性材料を接着することを含む。条項34~37のいずれかに記載の方法。
39. 不織基材の研磨性表面の形成が、不織基材の第1の表面に研磨性材料を接着結合することを含む、条項34~38のいずれかに記載の方法。
40. 研磨性材料が、活性洗浄配合物で作製された複数の粒子を含む、条項39に記載の方法。
41. 不織基材の研磨性表面の形成が、基材の第1の表面を加熱して第1の表面に研磨性材料を接着することを含む、条項34~40のいずれかに記載の方法。
42. 不織基材の研磨性表面の形成が、不織基材のマトリックス中に研磨性材料を配置することを含む、条項34~41のいずれかに記載の方法。
43. 不織基材の研磨性表面の形成が、不織基材の第1の表面を少なくとも部分的に溶解すること、および第1の表面に研磨性材料を塗布することを含む、条項34~42のいずれかに記載の方法。
44. 不織基材の実質上平滑な表面を形成することをさらに含む、条項34~43のいずれかに記載の方法。
45. 水を用いて不織基材の第2の表面をコーティングすること、または、第2の表面を加熱して連続的で平滑な第2の表面を創出することを含む、条項44に記載の方法。
46. 不織基材の研磨性表面の形成が、不織基材の厚さを通して研磨勾配を形成することを含む、条項34~45のいずれかに記載の方法。
【0226】
本明細書で言及される全てのパーセンテージ、部および比は、繊維組成物、フィルム組成物の全乾燥重量、または場合によっては本開示の包装材料組成物の全重量に対し、他に指示しない限り、行われる全ての測定は約25℃でのものである。液体配合物に関して本明細書で言及される全てのパーセンテージ、部および比は、液体配合物の全重量に対する。列挙される成分に関するそのような全ての重量は、活性レベルに対するものであり、したがって他に指定しない限り、市販の材料に含まれ得る担体または副生成物を含まない。
【0227】
本明細書で述べる全ての範囲は、範囲の全ての可能性ある部分集合と、そのような部分集合の範囲の任意の組合せを含む。既定では、範囲は、他に言及しない限り、記述される端点を含む。ある範囲の値が提供された場合、その範囲の上限と下限との間に介在する各値、ならびにその他の任意の言及されるまたはその言及される範囲内に介在する値は、本開示に包含させることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は独立して、より小さい範囲に含まれてもよく、言及される範囲で任意の特に除外される限度に従い、やはり本開示に包含される。言及される範囲がこれら限界の1つまたは両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外した範囲も、本開示の部分であることが企図される。
【0228】
例えば記述される対象のパラメーターとしてまたは記述される対象に関連した範囲の部分として、本明細書に記述される任意の数値に関し、本記述の部分を形成する代替例は、特定の数値を取り囲む機能的に均等な範囲であることが明らかに企図される(例えば、「40ミリメートル(mm)」と開示された寸法では、企図される代替の実施形態は「約40mm」である)。
【0229】
この明細書の全体にわたる「例示実施形態」または「実施形態」への言及は、特定の実施形態に関連して記述される特定の構造、構造または特徴が、特許請求される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれてもよいことを意味し得る。したがって、本明細書の全体にわたる様々な場所での、語句「例示実施形態」または「例示実施形態」の出現は、必ずしも記述される同じ実施形態または任意の特定の1つの実施形態を指すものではない。さらに、記述される特定の構造、構造または特性が1つまたは複数の実施形態では様々な方法で組み合わせられてもよいことは、理解されるはずである。一般には、当然、これらおよび他の問題は使用の特定の文脈と共に様々であってもよい。したがって、記述の特定の文脈またはこれらの用語の使用は、その文脈として引用される推論に関する有用な手引きを提供し得る。
【0230】
主題は構造の特徴および/または方法論的行為に特定の言語で記述されるが、添付された特許請求の範囲中に定義された主題が、記述される特定の特徴または行為に必ずしも限定されないことは理解されるはずである。むしろ、特定の特徴および行為は、特許請求の範囲を実施する例証となる形態として開示される。
【0231】
当業者は、上記の記述に対して、事実上無制限の数の変形が可能であり、例および随伴する図が実施例の1つまたは複数の例を例証するためのみであることを了解する。
【0232】
特許請求される主題から外れることなく、様々な他の修飾がなされてもよく、同等物が置き換えられてもよいことは、当業者に理解されよう。さらに、本明細書に記述される中心的なコンセプトから外れることなく、多くの修飾が、特許請求される主題の教示に特定の状況を適応させるために行われてもよい。したがって、特許請求される主題は開示される特定の実施形態に限定されず、そのような特許請求される主題がまた、添付された特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内に該当する全ての実施形態を含み得ることが意図される。
【0233】
上記の詳細な記述では、多数の特定の詳細が、特許請求される主題についての完全な理解を提供するために述べられている。しかしながら、当業者には特許請求される主題がこれらの特定の詳細を含まずに実施されてもよいことは理解されよう。他の事例では、当業者に公知である方法、装置またはシステムは、特許請求される主題を不明瞭にしないために詳述されていない。
【国際調査報告】