(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】矯正可能な押圧ポンプ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20240514BHJP
F04B 9/14 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B65D47/34 BRH
F04B9/14 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565417
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 CN2022077049
(87)【国際公開番号】W WO2022233173
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】202110494340.4
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513110481
【氏名又は名称】ディン, ヤオ ウー
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディン, ヤオ ウー
【テーマコード(参考)】
3E084
3H075
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AB01
3E084AB06
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC03
3E084DB12
3E084DC03
3E084GA01
3E084GB01
3E084KB01
3E084LD22
3H075AA01
3H075BB03
3H075CC18
3H075CC25
3H075DB13
3H075DB14
(57)【要約】
押圧ポンプは、押圧ヘッド(110)と、ねじ込式キャップ(120)と、シリンダ(130)とを備え、ねじ込式キャップは、シリンダと接続され、押圧ヘッドの下方には、ピストンロッド(140)が接続され、ピストンロッドには、ピストン(141)が取り付けられ、ピストンを含むピストンロッドの部分は、シリンダの内部に入り込む。押圧ヘッドの側周壁は、ねじ込式キャップの側周壁と協働して復帰機構収容室(160)を形成し、復帰機構収容室には、弾性復帰機構(150)が収容され、弾性復帰機構は、押圧ヘッドとねじ込式キャップの間に支持されてピストンロッドの周りに設けられている。弾性復帰機構は、少なくとも2つの弾性ストリップ(151)を備え、各弾性ストリップは、ピストンロッドに突き当て、弾性復帰機構が圧力を受けて変形すると、弾性復帰機構にねじれや偏向が発生しない場合、各弾性ストリップは、対応する変形平面において弾性変形し、かつ、押圧ヘッドがストローク下死点の位置に押圧されるまでは、弾性ストリップは、常に復帰機構収容室の内壁と接触しない。この構造の押圧ポンプは、弾性復帰機構を自動的に矯正し、反発力変換効率を高め、その使用寿命を延ばすことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧ヘッドと、ねじ込式キャップと、シリンダとを備え、前記ねじ込式キャップは、前記シリンダと接続され、前記押圧ヘッドの下方には、ピストンロッドが接続され、前記ピストンロッドには、ピストンが取り付けられ、前記ピストンを含む前記ピストンロッドの部分は、前記シリンダの内部に入り込み、
前記押圧ヘッドの側周壁は、前記ねじ込式キャップの側周壁と協働して復帰機構収容室を形成し、前記復帰機構収容室には、弾性復帰機構が収容され、前記弾性復帰機構は、前記押圧ヘッドと前記ねじ込式キャップの間に支持されて前記ピストンロッドの周りに設けられる押圧ポンプであって、
前記弾性復帰機構は、少なくとも2つの弾性ストリップを備え、前記弾性ストリップは、各前記弾性ストリップが前記ピストンロッドに突き当てるように配置され、前記弾性復帰機構が圧力を受けて変形すると、前記弾性復帰機構にねじれや偏向が発生しない場合、各前記弾性ストリップは、対応する変形平面において弾性変形し、また、前記弾性復帰機構にねじれや偏向が発生しない場合、少なくとも前記押圧ヘッドがストローク下死点の位置に押圧されるまでは、前記弾性ストリップは、常に前記復帰機構収容室の内壁と接触しないことを特徴とする押圧ポンプ。
【請求項2】
前記弾性復帰機構にねじれや偏向が発生する場合、前記弾性ストリップは、押圧ヘッドが前記ストローク下死点の位置に到達する前に前記内壁と接触することができることを特徴とする請求項1に記載の押圧ポンプ。
【請求項3】
前記弾性復帰機構は、上支持リングおよび/または下支持リングをさらに備え、
前記弾性ストリップの上端は、前記上支持リングに接続され、前記上支持リングは、前記押圧ヘッドに支持または接続され、
前記弾性ストリップの下端は、前記下支持リングに接続され、前記下支持リングは、前記ねじ込式キャップに支持または接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の押圧ポンプ。
【請求項4】
2つの前記弾性ストリップを備え、2つの前記弾性ストリップの、前記上支持リングにおける支点同士を結ぶ線は、前記上支持リングの中心を通過し、および/または、
2つの前記弾性ストリップの、前記下支持リングにおける支点同士を結ぶ線は、前記下支持リングの中心を通過することを特徴とする請求項3に記載の押圧ポンプ。
【請求項5】
前記上支持リングは、前記押圧ヘッドに対して回動可能であり、および/または、
前記下支持リングは、前記ねじ込式キャップに対して回動可能であることを特徴とする請求項3に記載の押圧ポンプ。
【請求項6】
前記上支持リングおよび/または前記下支持リングには、第1協働部が形成され、前記ピストンロッドには、第2協働部が形成され、前記弾性復帰機構が前記押圧ヘッドおよび前記ピストンロッドと組み付けたときに、前記第1協働部が前記第2協働部と協働して同期機構を構成することを特徴とする請求項3に記載の押圧ポンプ。
【請求項7】
前記第1協働部と前記第2協働部の一方は、溝であり、前記第1協働部と前記第2協働部の他方は、前記ピストンロッドの軸方向に沿って延びるリブであることを特徴とする請求項6に記載の押圧ポンプ。
【請求項8】
前記第1協働部は、内歯車孔であり、前記第2協働部は、外歯車軸であることを特徴とする請求項6に記載の押圧ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、製品をポンプ輸送するための押圧ポンプに関し、より具体的には、この押圧ポンプにおける弾性復帰機構の構造設計に関わるものである。
【背景技術】
【0002】
押圧ポンプは、日用品(例えば、入浴剤、ハンドソープ、シャンプーなど)といった分野で広く応用されており、収容する容器から製品をポンプ輸送して使用するために使われている。押圧ポンプの主要部は、プラスチック製であり、押圧ポンプを復帰するための弾性復帰機構が設けられている。従来の一般的な押圧ポンプにおいて、弾性復帰機構は、通常、金属スプリングである。金属スプリングは、押圧ポンプのリサイクルに悪影響を与える。具体的には、押圧ポンプは、金属部品とプラスチック部品の組立品を含むので、回収時に分解作業を行う必要があり、これにより、押圧ポンプの回収が難しくなる。
【0003】
押圧ポンプのリサイクル効率を高めるために、金属スプリングの代わりに、プラスチック製の弾性復帰機構が提案されている。プラスチックスプリングを備える押圧ポンプは、すべてプラスチックで構成されていてもよいので、押圧ポンプの回収再利用に寄与する。
【0004】
プラスチック製の弾性復帰機構付き押圧ポンプの使用過程において、プラスチック製の弾性復帰機構は、押圧される過程でねじれや偏向などの問題が発生することが分かった。ねじれおよび/または偏向が発生すると、弾性復帰機構の反発力が損失し、押圧ポンプの復帰能力が低下し、さらに深刻な場合に、そのようなねじれおよび/または偏向は、弾性復帰機構の永久的な損傷を招き、ひいては押圧ポンプの復帰機能の喪失を招く。
【0005】
そのため、押圧ポンプの分野において、従来技術に存在する上記技術課題を克服するために、押圧ポンプの構造をさらに改良する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上記従来技術に存在する問題を解決するためになされたものである。本発明は、弾性復帰機構のねじれおよび/または偏向を矯正する能力を有し、それによって弾性復帰機構の反発力変換効率を向上させ、しかも押圧ポンプの使用寿命を延長することができる、構造を改良した押圧ポンプを提供することを目的とする。
【0007】
本発明の押圧ポンプは、押圧ヘッドと、ねじ込式キャップと、シリンダとを備え、ねじ込式キャップは、シリンダと接続され、押圧ヘッドの下方には、ピストンロッドが接続され、ピストンロッドには、ピストンが取り付けられ、ピストンを含むピストンロッドの部分は、シリンダの内部に入り込む。ここで、押圧ヘッドの側周壁は、ねじ込式キャップの側周壁と協働して復帰機構収容室を形成し、復帰機構収容室には、弾性復帰機構が収容され、弾性復帰機構は、押圧ヘッドとねじ込式キャップの間に支持されてピストンロッドの周りに設けられている。弾性復帰機構は、少なくとも2つの弾性ストリップを備え、弾性ストリップは、各弾性ストリップがピストンロッドに突き当てるように設置され、弾性復帰機構が圧力を受けて変形すると、弾性復帰機構にねじれや偏向が発生しない場合、各弾性ストリップは、対応する変形平面において弾性変形し、また、弾性復帰機構にねじれや偏向が発生しない場合、少なくとも押圧ヘッドがストローク下死点の位置に押圧されるまでは、弾性ストリップは、常に復帰機構収容室の内壁と接触しない。
【0008】
上記構成による押圧ポンプは、具体的には、弾性復帰機構の構造および寸法を設定することにより、押圧中の反発力の変換効率を向上させ、また、このような構造により、弾性復帰機構が押圧される過程において構造、付勢力等の不均一により生じるねじれまたは偏向を自動的に矯正することができる。具体的には、ねじれや偏向が発生しなければ、弾性ストリップは、同一の変形平面内の変形が維持され、下死点の位置までの押圧ストローク全体において復帰機構収容室の内壁と接触しないか、または、下死点の位置にちょうど到達したときにのみこの内壁と接触する。このようにすれば、押下の過程において、弾性ストリップがねじれや偏向を生じると、復帰機構収容室に弾性ストリップの矯正復帰のための空間が残されるので、弾性ストリップを矯正することができる。これにより、ねじれや偏向による反発力の損失を低減または回避することができる。
【0009】
さらに、上記押圧ポンプにおける弾性ストリップは、ねじれや偏向を生じる場合に、押下の過程において、下死点の位置に到達する前に内壁と接触することができ、内壁との接触は、弾性ストリップに対して復帰させる推力を加え、自動矯正を実現するように設置されている。
【0010】
1つの具体的な構造では、弾性復帰機構は、上支持リングをさらに備え、弾性ストリップの上端は、上支持リングに接続され、上支持リングは、押圧ヘッドに支持または接続されている。また、付加的または代替的な場合として、弾性復帰機構は、下支持リングをさらに備え、弾性ストリップの下端は、下支持リングに接続され、下支持リングは、ねじ込式キャップに支持または接続されている。
【0011】
好ましくは、2つの弾性ストリップを備えてもよい。そのうち、2つの弾性ストリップの、上支持リングにおける支点同士を結ぶ線は、上支持リングの中心を通過する。同様に、2つの弾性ストリップの、下支持リングにおける支点同士を結ぶ線も、下支持リングの中心を通過してもよい。
【0012】
1つの場合には、上支持リングは、押圧ヘッドに対して回動可能であり、下支持リングは、ねじ込式キャップに対して回動可能である。このとき、押圧ヘッドを押圧して弾性復帰機構を変形させると、弾性復帰機構がねじれを生じる可能性がある。
【0013】
別の場合には、上支持リングおよび/または下支持リングには、第1協働部が形成され、ピストンロッドには、第2協働部が形成され、弾性復帰機構が押圧ヘッドおよびピストンロッドと組み付けたときに、第1協働部が第2協働部と協働して同期機構を構成する。このとき、上支持リングおよび下支持リングは、押圧ヘッドおよびピストンロッドとともに同期して回動することができ、ほとんどねじれを生じないが、偏向を生じる可能性がある。
【0014】
1つの具体的な構成では、第1協働部と第2協働部の一方は、溝であり、第1協働部と第2協働部の他方は、ピストンロッドの軸方向に沿って延びるリブである。
別の具体的な構成では、第1協働部は、内歯車孔であり、第2協働部は、外歯車軸である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の具体的な実施例は、添付の図面に示された構造からより明確に理解することができ、ここで、添付の図面において、
【
図1】
図1aは、本発明の第1実施例に係る押圧ポンプの断面図であり、図示の押圧ポンプは、そのストローク上死点の位置にある。
図1bは、
図1aに示す押圧ポンプの別の断面図であり、図示の押圧ポンプは、押圧される過程にある。
図1cは、
図1aに示す押圧ポンプのさらに別の断面図であり、図示の押圧ポンプは、そのストローク下死点の位置にある。
【
図2】
図2aは、
図1aの線A-Aに沿って得られた断面図である。
図2bは、
図1bの線B-Bに沿って得られた断面図である。
図2cは、
図1cの線C-Cに沿って得られた断面図である。
【
図3】
図3は、
図1a~1cに示す押圧ポンプの押圧ヘッドおよび押圧ヘッドに接続されたピストンロッドの断面図を示す。
【
図4】
図4は、
図1a~1cに示す押圧ポンプのねじ込式キャップの断面図を示す。
【
図5】
図5aは、
図1a~
図1cに示す押圧ポンプの弾性復帰機構の正面図を示す。
図5bは、
図5aに示す弾性復帰機構の側面図を示す。
図5cは、
図5aに示す弾性復帰機構の斜視図を示す。
【
図6】
図6aは、
図5aに示す弾性復帰機構の別の斜視図を示し、各弾性ストリップの変形平面とその支点を結ぶ線を模式的に示す。
図6bは、弾性復帰機構の平面図を示し、各弾性ストリップの変形平面とその支点を結ぶ線を模式的に示す。
【
図7】
図7は、弾性復帰機構が押圧ヘッドおよびピストンロッドと組み付けた概略斜視図を示す。
【
図8】
図8は、弾性復帰機構がねじ込式キャップと組み付けた概略斜視図を示す。
【
図9】
図9は、本発明の第2実施例に係る押圧ポンプの弾性復帰機構の斜視図を示す。
【
図10】
図10は、本発明の第2実施例に係る押圧ポンプの押圧ヘッドおよびピストンロッドの正面図を示す。
【
図11】
図11は、
図9に示す弾性復帰機構が
図10に示す押圧ヘッドおよびピストンロッドと組み付けたときの斜視図を示す。
【
図12】
図12は、本発明の第3実施例に係る押圧ポンプの弾性復帰機構の斜視図を示す。
【
図13】
図13は、本発明の第3実施例に係る押圧ポンプのヘッドおよびピストンロッドの正面図を示す。
【
図14】
図14は、
図12に示す弾性復帰機構が
図13に示す押圧ヘッドおよびピストンロッドと組み付けたときの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を容易に理解するために、以下、図面を用いて本発明の押圧ポンプの具体的な実施例について詳細に説明する。図面に示すものは、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明の範囲を規制するものではないと理解される。当業者は、図面に示す実施例を基にして本発明に対して各種の自明な修正、変更、同等の置き換えを行うことができ、矛盾がない限り、以下に説明された実施例における特徴を自由に組み合わせることができ、これらの組み合わせはいずれも本発明の保護範囲内に入る。
【0017】
以下の本発明の具体的な説明に使用する「上」、「下」などの方向および方位を示す用語は、いずれも図面に示す押圧ポンプの使用状態での通常の向きに基づくものであり、輸送、貯蔵などの場合には押圧ポンプの向きが変化する可能性があることが分かる。
【0018】
<第1実施例>
図1~
図8は、本発明の第1実施例に係る押圧ポンプ100を示す。ここで、
図1a~1cは、異なる状態での押圧ポンプ100の断面図を示し、
図1cにおける押圧ポンプ100がそのストローク上死点の位置にあり、
図1bにおける押圧ポンプ100が下方に押圧されるストロークにあり、
図1cにおける押圧ポンプ100がそのストローク下死点の位置にある。
【0019】
図1a~
図1cに示すように、押圧ポンプ100は、押圧ヘッド110と、ねじ込式キャップ120と、シリンダ130とを備える。ねじ込式キャップ120は、シリンダ130と接続されている。押圧ヘッド110の下方には、ピストンロッド140が設けられており、このピストンロッド140は、図に示すように押圧ヘッド110の下方に一体的に形成されてもよいし、押圧ヘッド110の下方に連結された個別の部材であってもよい。ピストンロッド140には、例えばピストンロッド140にピストン141が取り付けられ、例えば、ピストン141がピストンロッド140の下端または下端付近に取り付けられてもよい。ピストンロッド140においてピストン141を含む部分(例えば、図示の下端)は、シリンダ130の内部空間に入り込む。
【0020】
図1a~
図1cに示すように、押圧ヘッド110の側周壁とねじ込式キャップ120の側周壁とは互いに協働して復帰機構収容室160を形成し、押圧ポンプ100の弾性復帰機構150が該復帰機構収容室160に収容されている。具体的には、弾性復帰機構150は、押圧ヘッド110とねじ込式キャップ120との間に支持され、ピストンロッド140の周囲に位置している。
【0021】
図3に示すように、押圧ヘッド110は、トップ部内面111を備え、弾性復帰機構150の上端は、該トップ部内面111と当接または接続することができる。
図4に示すように、ねじ込式キャップ120の内部には、段差部121が設けられており、弾性復帰機構150の下端は、該段差部121と当接または接続することができる。
【0022】
図5a~5cは、弾性復帰機構150の正面図、側面図および斜視図をそれぞれ示している。弾性復帰機構150は、複数の弾性ストリップ151を備える。図示の好ましい構成では、弾性復帰機構150は、2つの弾性ストリップ151を備える。この2つの弾性ストリップ151が位置する平面は、好ましくは、
図5bに示すように互いに平行である。2つの弾性ストリップ151の場合が好ましいが、弾性復帰機構150は、例えば、3つ、4つなど、2つより多い他の数の弾性ストリップ151を備えてもよく、これらも、本発明の範囲内であることが理解される。
【0023】
各弾性ストリップ151の上端は、上支持リング152に接続されてもよく、上支持リング152は、押圧ヘッド110に支持されている。弾性ストリップ151の下端は、下支持リング153に接続され、該下支持リング153は、弾性復帰機構150に支持されている。
【0024】
他の代替構成では、弾性ストリップ151の上端が押圧ヘッド110と直接接触または接続されるように、上支持リング152を省略してもよい。または、弾性ストリップ151の下端がねじ込式キャップ120と直接接触または接続されるように、下支持リング153を省略してもよい。
【0025】
本願では、弾性復帰機構150の寸法および構造を改良した。具体的には、
図6aに示すように、弾性ストリップ151は、同一の変形平面Pに位置している。そして、弾性復帰機構150が圧力を受けて変形したときに、弾性復帰機構150がねじれや偏向を生じない場合には、弾性ストリップ151は、常にこの変形平面Pにおいて弾性変形する。例えば、弾性ストリップ151を弾性復帰機構150の軸線に関して互いに対称に配置することにより、弾性ストリップ151の同一平面内の変形を実現することができる。
【0026】
好ましくは、
図6bからより明確に見えるように、2つの弾性ストリップ151が設けられている場合には、2つの弾性ストリップ151の、上支持リング152における支点同士を結ぶ線は、上支持リング152の中心を通過する。同様に、弾性ストリップ151の、下支持リング153における支点同士を結ぶ線も、下支持リング153の中心を通過してもよい。
【0027】
図7および
図8は、弾性復帰機構150が押圧ヘッド110およびねじ込式キャップ120と組み付けた概略斜視図をそれぞれ示す。ここで、弾性復帰機構150の上支持リング152は、押圧ヘッド110のトップ部内面111に支持または接続され、弾性復帰機構150の下支持リング153は、ねじ込式キャップ120の段差部121に支持または接続されている。
【0028】
さらに、
図2aに示すように、弾性ストリップ151は、ピストンロッド140に突き当てて設けられている。そして、弾性ストリップ151の寸法は、弾性ストリップ151が押下されて変形したときに、弾性復帰機構150がねじれや偏向を生じない場合に、少なくとも押圧ヘッド110が
図1cに示すストローク下死点の位置に押下されるまで、弾性ストリップ151が常に復帰機構収容室160の内壁161と接触しないように設定されている。言い換えれば、弾性ストリップ151は、ストローク下死点の位置を含む押圧ストロークの全体にわたって内壁161と接触しなくてもよく、または、押圧ヘッド110がちょうどストローク下死点に到達したときにのみ、弾性ストリップ151は、内壁161と接触するが、それ以前には、弾性ストリップ151は、内壁161と接触しない。ここで、この内壁161は、押圧ヘッド110の側周壁の内壁面と、ねじ込式キャップ120の側周壁の内壁面との少なくとも一方から構成されている。さらに、押圧過程で弾性ストリップ151がねじれを生じると、ストローク下死点に達する前に、弾性ストリップ151が内壁161と接触することができる。このとき、内壁161と弾性ストリップ151とのこのような接触は、弾性ストリップ151に推力を加え、弾性ストリップ151をピストンロッド140に密着する位置に向けて押圧して自動矯正の役割を果たす。
【0029】
上述した弾性復帰機構150の具体的な設置により、弾性復帰機構150が押圧される過程で発生するねじれの自動矯正を実現することができ、ひいては弾性復帰機構150の弾性復帰力の変換効率を高めることができる。次に、本願の押圧ポンプ100の弾性復帰機構150による自動矯正の原理を具体的に説明する。
【0030】
図1aは、そのストローク上死点の位置にある押圧ポンプ100を示し、
図2aは、
図1aの線A-Aに沿って切断された断面図である。ここで、弾性復帰機構150は、リラックス状態にあり、その弾性ストリップ151は、ピストンロッド140に突き当てる。
【0031】
容器(図示せず)内の製品をポンプ輸送する必要がある場合、
図1bに示すように、ユーザは、ポンプ100の押圧ヘッド110を押して押圧ヘッド110を下方に動かす。押圧ヘッド110が下方に移動する過程において、弾性復帰機構150は、圧縮される。弾性復帰機構150が圧縮される過程において、力の不均一により、弾性復帰機構150の上支持リング152と下支持リング153とは相対的に回動し、弾性復帰機構150がねじれてしまう。ここで、力の不均一は、例えば、ユーザの押圧方向が押圧ポンプ100の軸線と完全に一致することは不可能であり、微小な角度になるのが一般的であり、また、例えば、各弾性ストリップ151の質量、屈曲度、密度などにもわずかな差があり、同じ圧力を受けた場合にも、その変形量と弾性力に差が生じるなど、多くの原因によるものである可能性がある。
【0032】
弾性復帰機構150のねじれにより、
図2bに示すように、少なくとも1つの弾性ストリップ151は、ピストンロッド140との接触から離脱して復帰機構収容室160の内壁161に向かって偏移する。ここで、
図2bは、
図1bの線B-Bに沿って切断された断面図を示す。このように、弾性ストリップ151は、弾性復帰機構150のねじれにより内壁161と接触する。
【0033】
図1cに示す押圧ポンプ100のストローク下死点の位置に達するまで、押圧ヘッド110を押圧し続ける。この過程において、弾性ストリップ151は、ピストンロッド140から離れて復帰機構収容室160の内壁161に向かって偏移し、押圧ヘッド110が押下され続けるにつれて、弾性ストリップ151の変形量と偏移量が増加して内壁161と接触する。このとき、弾性ストリップ151の寸法は、ねじれや偏向が生じることなく、弾性ストリップ151がピストンロッド140に密着した場合に、弾性ストリップ151が常に内壁161と接触しないように設定されているので、弾性ストリップ151が弾性復帰機構150のねじれや偏向によって内壁161と接触すると、
図2cに示すように、内壁161は、弾性ストリップ151をピストンロッド140の方向に戻すように、弾性ストリップ151にピストンロッド140に向かう矯正力(または推力)F1を加える。
【0034】
これにより、本願の上記の弾性復帰機構150の構成および寸法の設定により、弾性復帰機構150のねじれを自動的に矯正する役割を果たすことができる。
以上に開示された構成および動作原理によれば、本願では、弾性ストリップ151を、押圧される過程でそのストローク下死点まで復帰機構収容室160の内壁161と常に接触しないように設置することにより、弾性復帰機構150の弾性ストリップ151を同一平面内で変形しピストンロッド140に突き当てる状態に矯正することができ、これにより、弾性復帰機構150に良好な反発力変換効率を持たせ、その復帰能力を高める。また、弾性復帰機構150のねじれの矯正により、弾性復帰機構150の使用寿命を延ばすことができる。
【0035】
<第2実施例>
図9~
図11は、本発明の第2実施例を示し、ここでは、この第2実施例の押圧ポンプの押圧ヘッド210、弾性復帰機構250およびこれらが組付けた斜視図を示している。以下の第2実施例に対する説明において、第2実施例と第1実施例との異なる技術特徴について主に説明するが、以下の内容に逆の説明がある場合や他の技術特徴と衝突する場合を除いて、第1実施例で説明された特徴は、第2実施例にも適用されるので、ここでは詳細に説明しない。
【0036】
図9に示すように、第2実施例の押圧ポンプの弾性復帰機構250は、複数(図示の実施例では2つ)の弾性ストリップ251を備え、弾性ストリップ251の上端と下端は、それぞれ上支持リング252と下支持リング253に連結されている。上支持リング252および下支持リング253の少なくとも一方には、溝254の形態をなす第1協働部が設けられている。
【0037】
図10は、第2実施例の押圧ポンプの押圧ヘッド210を示す。押圧ヘッド210の下方には、ピストンロッド240が接続され、ピストンロッド240の外面には、ピストンロッド240の軸方向に延びる第2協働部が形成され、この第2協働部は、例えば図示のリブ241である。
【0038】
弾性復帰機構250と押圧ヘッド210とが組付けると、
図11に示すように、弾性復帰機構250がピストンロッド240に外挿され、溝254とリブ241とが互いに協働して同期機構を形成し、該同期機構は、弾性復帰機構250がねじれないように、弾性復帰機構250の上支持リング252と下支持リング253とを同期的に回動させることができる。
【0039】
しかし、このような同期機構を有する構成では、弾性復帰機構250の各弾性ストリップ251に作用する押圧力が不均一であったり、製造公差による各弾性ストリップ251間の形状、密度等のわずかな差により弾性復帰機構250全体が僅かに偏向したりするこれにより、弾性ストリップ251は、第1実施例の
図2a~2cの弾性ストリップ151と同様にピストンロッド240から離れて復帰機構収容室の内壁に向かって偏向する。また、同様に、弾性ストリップ251の寸法および形状の設定も、第1実施例の弾性ストリップ151と同様であるため、第2実施例では、弾性復帰機構250の偏向も、同様に自動的に矯正される。
【0040】
<第3実施例>
図12~
図14は、本発明の第3実施例を示し、ここでは、この第3実施例の押圧ポンプの押圧ヘッド310、弾性復帰機構350およびそれらが組付けた斜視図を示している。以下の第3実施例に対する説明において、第3実施例と第1および第2実施例との異なる技術特徴について主に説明するが、以下の内容に逆の説明がある場合や他の技術特徴と衝突する場合を除いて、第1および第2実施例で説明された特徴は、第3実施例にも適用されるので、ここでは詳細に説明しない。
【0041】
第3実施例の押圧ポンプも、第2実施例の押圧ポンプと同様に、同期機構を備える。
図12に示すように、弾性復帰機構350は、上端が上支持リング352に連結され、下端が下支持リング353に連結された複数の弾性ストリップ351を備え、ここで、上支持リング352と下支持リング353の少なくとも一方には、第1協働部として、内歯車孔354が形成されている。これに対応して、
図13に示すように、押圧ヘッド310に接続されたピストンロッド340は、外歯車軸の形状に形成されている。弾性復帰機構250と押圧ヘッド310およびピストンロッド340とが組付けると、外歯車軸形式のピストンロッド340と弾性復帰機構350の上支持リング352および下支持リング353の内歯車孔354とが協働して同期機構を形成し、該同期機構は、弾性復帰機構350がねじれないように、押圧ヘッド310およびピストンロッド340と同期的に回動させることができる。
【0042】
ただし、第2実施例と同様に、弾性復帰機構350は、押圧力を受けると偏向するが、第3実施例の押圧ポンプの構成は、同様に、第2実施例について説明したように、この偏向を矯正する能力を有する。
【国際調査報告】