(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】エッチングチャンバを出るガス汚染物質流から希ガスを前処理して回収する新規な方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565426
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 US2022016745
(87)【国際公開番号】W WO2022240462
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】392032409
【氏名又は名称】プラクスエア・テクノロジー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルナ、ジェニファー、ブガヨン
(72)【発明者】
【氏名】アサリエ、アトゥル、エム.
(72)【発明者】
【氏名】メー、ス
(72)【発明者】
【氏名】シンハ、アシュウィニ、ケイ.
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004BC02
5F004BC04
5F004DA00
5F004DA23
5F004DA25
5F004DB03
(57)【要約】
エッチングチャンバを出る希ガス含有流を前処理し、続いて前処理された希ガス含有流から希ガスを回収する新規な方法が開示される。より詳細には、本発明は、半導体製造プロセスの一部として実行されるエッチングプロセス中に発生する特定のガス状不純物を含む窒素系排気流からのキセノン又はクリプトンなどの希ガスの前処理及び回収に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
希ガス含有窒素系排気流から前記希ガスを回収する前に、エッチングチャンバを出る前記希ガス含有窒素系排気流を前処理するための方法であって、前記方法は、
前記希ガス含有窒素系排気流を前記エッチングチャンバから受け取るステップであって、前記希ガス含有窒素系排気流は、(a)前記希ガス、(b)ガス状不純物、及び(c)窒素(N2)を含むガス種の組成を有し、前記希ガスは、0モル%より大きく約0.5モル%までの量であり、前記ガス状不純物は、(i)一般式CxHyFz(式中、x、y及びzのそれぞれは、1~5の範囲の整数であり、ただし、x=1の場合、y+z=4であり、x=2~5の場合、y+z-2x=-2、0又は2である)によって表されるハイドロフルオロ炭素と、(ii)一般式CxFy(式中、xは2~5の任意の整数値を有することができ、y-2x=-2、0、又は2である)によって表されるパーフルオロ炭素と、(iii)一酸化炭素(CO)と、(iv)フッ化水素(HF)と、(v)フッ化ケイ素(SiF4)と、(vi)四フッ化炭素(CF4)(前記CxHyFz、CxFy、CO、SiF4及びCF4の前記ガス状不純物のそれぞれは、0モル%より大きく約1モル%までの量であり、HFは、0モル%より大きく約2モル%までの量である)を含む、ステップと、
前記希ガス含有窒素系排気流を前処理システムに導入することによって前記希ガス含有窒素系排気流を前処理するステップであって、前記前処理システムは、バーナ、スクラバ及び吸着器を備え、(x)前記CO、CxHyFz及び前記CxFyの実質的な部分を、二酸化炭素(CO2)及び水蒸気(H2O)を含む燃焼生成物に燃焼させて、希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成し、(y)前記スクラバ内の前記HF及び前記SiF4の実質的に全てを除去し、(z)前記CO2及び前記H2Oの実質的に全てを吸着剤上に吸着させて、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成する、ステップと、
前記前処理システムの前記吸着器の出口から前記前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を取り出すステップであって、前記前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流は、前記希ガス、前記ガス状不純物及び前記N2を含む組成を有し、前記希ガスは、0モル%より大きく約0.05モル%未満の量であり、前記前処理するステップ後に残留する前記ガス状不純物は、0.01モル%より大きく約2モル%までの量の酸素(O2)、0モル%より大きく約0.01モル%までの量のCF4、0.00001モル%~約0.0005モル%までの範囲の量のCO2を含む、ステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記前処理が、プラズマ分解ステップ、触媒分解ステップ及び触媒プラズマ分解ステップの不存在によって特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前処理ステップが、前記希ガス含有窒素系排気流を前記バーナの入口に導入し、続いて前記スクラバの入口に導入し、その後前記吸着器の入口に導入するプロセスシーケンスを含み、前記スクラバが湿式スクラバとして特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記希ガス含有窒素系排気ガス流を前記エッチングチャンバから受け取る前記ステップが、
それぞれが希ガスを含まない1つ以上のガス流を対応するエッチングチャンバから収集することを除外しながら、前記希ガス含有窒素系排気ガス流のうちの1つ以上を対応する希ガス含有エッチングチャンバから収集することと、
前記希ガス含有窒素系排気ガス流のうちの前記1つ以上を前記前処理システムの前記バーナの前記入口内に方向付けることと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記燃焼させるステップが、前記前処理システムに入る前記希ガスの量の約2~3倍だけ前記前処理システムを出る前記希ガスを希釈するのに有効な量の酸素富化空気又は過剰酸素を前記バーナに導入することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記スクラバを出た後の前記希釈された希ガス含有窒素系排気流を、前記吸着器に供給するのに適した圧力に加圧することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記エッチングチャンバから受け取られる前記希ガス含有窒素系排気流中の前記CxHyFz、CxFy、CO、HF、SiF4及びCF4のそれぞれの量が、少なくとも0.0001モル%である下限を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流が、約200K~約300Kの範囲の第1の非低温で希ガス回収ユニットに入り、更に前記希ガスがキセノンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ガス状不純物のそれぞれが、約99%より大きい除去効率(RE)で除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を希ガス回収ユニットに送ることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
エッチングチャンバを出る窒素系排気流からキセノンを前処理して回収する方法であって、
エッチングチャンバからキセノン含有窒素系排気流を受け取るステップであって、前記キセノン含有窒素系排気流は、前記キセノン、ガス状不純物、及び窒素を含むガス種の組成を有し、前記キセノンは、0モル%より大きく約0.5モル%までの量であり、前記ガス状不純物は、ハイドロフルオロ炭素、パーフルオロ炭素、一酸化炭素(CO)、フッ化水素、フッ化ケイ素、及び四フッ化炭素を含み、前記ハイドロフルオロ炭素、パーフルオロ炭素、一酸化炭素、フッ化ケイ素及び四フッ化炭素の前記ガス状不純物のそれぞれが、0モル%より大きく約1モル%までの量であり、更に、前記フッ化水素が、0モル%より大きく約2モル%までの量である、ステップと、
前記キセノン含有窒素系排気流を前処理システムに導入することによって前記キセノン含有窒素系排気流を前処理するステップであって、前記前処理システムは、バーナ、スクラバ及び吸着器を備え、(x)ハイドロフルオロ炭素、及びパーフルオロ炭素、及び一酸化炭素の実質的な部分を燃焼させて、二酸化炭素と水蒸気とを含む燃焼生成物にし、希釈されたキセノン含有窒素系排気流を生成し、(y)前記スクラバにおいてフッ化水素及びフッ化ケイ素の実質的に全てを除去し、(z)前記二酸化炭素及び前記水蒸気の実質的に全てを前記吸着器の吸着剤上に吸着させて、前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流を生成する、ステップと、
前記前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流を前記吸着器の出口から取り出すステップであって、前記前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流は、前記キセノン、前記ガス状不純物及び前記窒素を含む組成を有し、前記キセノンは、0モル%より大きく約0.05モル%未満の量であり、前記前処理後に残る前記ガス状不純物は、0.01モル%より大きく約2モル%までの量の酸素、0モル%より大きく約0.01モル%までの量の四フッ化炭素、0.00001モル%~約0.0005モル%までの範囲の量の二酸化炭素を含む、ステップと、
前記前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流を第1の非低温に冷却するステップと、続いて
前記前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流を、AgX吸着剤を含む吸着剤床をその中に含む温度スイング吸着器(TSA)に導入するステップと、
前記前処理ステップの後に残っている前記前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流中の前記ガス状不純物よりも優先的に前記キセノンを前記AgX吸着剤上に吸着させるステップと、を含む、方法。
【請求項12】
前記前処理ステップを行う前に、前記前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流をガード床に導いて不純物を除去することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(i)前記前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流を、AgX吸着剤をその中に含有するTSAに導入するステップを所定の時間維持することと、
(ii)任意のパージガスを用いてAgX吸着剤の温度を、前記吸着床内の前記AgX吸着剤から前記キセノンを脱着して生成物流を生成するのに有効な温度まで上昇させることと、
(iii)前記AgX吸着剤上に吸着され得るキセノン及び他の不純物を実質的に含まないパージ流体を用いて前記吸着床を冷却することと、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記生成物流の組成が、約10モル%より大きい量のキセノン、0.5モル%までの量の二酸化炭素、約2モル%未満の量の酸素、及び約1モル%未満の量の四フッ化炭素を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記AgX吸着剤から脱着された前記キセノンを収集することと、
前記キセノンを加圧してシリンダに充填することと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップ(i)、(ii)及び(iii)を周期的に繰り返すことを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ガス状不純物のそれぞれが、99%超の除去効率(RE)で前記前処理システムにおいて除去される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
エッチングチャンバを出る窒素系排気流から希ガスを前処理して回収し、前記エッチングチャンバを出る前記窒素系排気流から前記希ガスを回収する方法であって、
希ガス含有窒素系排気流をエッチングチャンバから受け取るステップであって、前記希ガス含有窒素系排気流は、前記希ガス、ガス状不純物、及び窒素を含むガス種の組成を有し、前記希ガスは、0モル%より大きく約0.5モル%までの量であり、前記ガス状不純物は、(i)一般式CxHyFzによって表されるハイドロフルオロ炭素(式中、x、y及びzのそれぞれは、1~5の範囲の任意の整数値を有することができ、ただし、x=1の場合、y+z=4であり、x=2~5の場合、y+z-2x=-2、0又は2である)、(ii)一般式CxFyによって表されるパーフルオロ炭素(式中、xは、2~5の任意の整数値を有することができ、y-2x=-2、0又は2である)、(iii)一酸化炭素(CO)、(iv)フッ化水素(HF)、(v)フッ化ケイ素(SiF4)、及び(vi)四フッ化炭素(CF4)(前記CxHyFz、CxFy、CO、SiF4、及びCF4の前記ガス状不純物のそれぞれは、0モル%より大きく約1モル%までの量であり、HFは、0モル%より大きく約2モル%までの量である)を含む、ステップと、
前記希ガス含有窒素系排気流を前処理システムに導入することによって前記希ガス含有窒素系排気流を前処理するステップであって、前記前処理システムは、バーナ、スクラバ及び吸着器を備え、(x)前記CxHyFz及び前記CxFyの実質的な部分を、二酸化炭素(CO2)及び水蒸気(H2O)を含む燃焼生成物に燃焼させて、希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成し、(y)前記スクラバ内の前記HF及び前記SiF4の実質的に全てを除去し、(z)前記CO2及び前記H2Oの実質的に全てを吸着器の吸着剤上に吸着させて、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成する、ステップと、
前記前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を前記吸着器の出口から取り出すステップであって、前記前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流は、前記希ガス、前記ガス状不純物及び前記窒素を含む組成を有し、前記希ガスは、0モル%より大きく約0.05モル%未満のキセノンの量であり、前記前処理後に残る前記ガス状不純物は、0.01モル%より大きく約2モル%までの量の酸素(O2)、0モル%より大きく約0.01モル%までの量のCF4及び0.00001モル%~約0.0005モル%までの範囲の量のCO2を含む、ステップと、
前記前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を第1の非低温に冷却するステップと、続いて
前記前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を希ガス回収ユニットに導入するステップと、
前記希釈された希ガス含有窒素系排気流から前記希ガスを回収するステップと、を更に含む、方法。
【請求項19】
(i)前記希ガスがキセノンを含む場合、前記回収ガスユニットが温度スイング吸着器(TSA)であり、(ii)前記希ガスがクリプトンを含む場合、前記回収ガスユニットが低温蒸留塔である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記希ガスがキセノンであり、前記前処理ステップの後に残っている前記前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流中の前記ガス状不純物よりも優先的に前記キセノンを前記AgX吸着剤上に吸着させることを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
希ガス含有窒素系排気流から前記希ガスを回収する前に、エッチングチャンバを出る前記希ガス含有窒素系排気流を前処理するための前処理システムであって、前記前処理システムは、
上流エッチングチャンバに操作可能に接続された入口と、前処理システムに操作可能に接続された出口とを有する収集マニホールドであって、前記収集マニホールドは、前記上流エッチングチャンバのそれぞれから信号を受信するように構成され、前記信号は、前記対応する上流エッチングチャンバのうちの1つから生成された排気流中の前記希ガスの有無を示し、前記収集マニホールドは、前記信号に応答して、前記希ガス含有窒素系排気流を受け取るように構成され、前記収集マニホールドは、前記希ガスを含まない非希ガス窒素系排気流を受け取ることを除外するように構成される、収集マニホールドと、を含み、
前記前処理システムは、バーナ、スクラバ、及び吸着器を備え、前記前処理システムは、(i)一酸化炭素、ハイドロフルオロ炭素及びパーフルオロ炭素不純物の実質的な部分を燃焼させて二酸化炭素及び水蒸気にし、(ii)前記スクラバ内のフッ化水素及び四フッ化ケイ素不純物の実質的な部分を除去し、(iii)前記二酸化炭素及び前記水蒸気の実質的に全てを前記吸着器の吸着剤上に吸着させて、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成するように構成されている、前処理システム。
【請求項22】
前記前処理システムは、プラズマ分解ユニット、触媒分解ユニット、及び触媒プラズマ分解ユニットがないことを特徴とする、請求項21に記載の前処理システム。
【請求項23】
前記前処理システムが、前記スクラバの上流の前記バーナと、前記吸着器の上流に位置する前記スクラバとを備え、更に、前記スクラバが湿式スクラバとして特徴付けられる、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
エッチングチャンバを出るキセノン含有窒素系排気流からキセノンを前処理して回収するためのシステムであって、
上流側エッチングチャンバに操作可能に接続された入口と、前処理システムに操作可能に接続された出口とを有する収集マニホールドであって、前記収集マニホールドは、前記上流側エッチングチャンバのそれぞれから信号を受信するように構成され、前記信号は、前記対応する上流側エッチングチャンバのうちの1つから生成された排気流中のキセノンの有無を示し、前記収集マニホールドは、前記信号に応答して、キセノン含有窒素系排気流を受け取るように構成され、前記収集マニホールドは、前記信号に応答して、キセノンを含まない非キセノン含有窒素系排気流を受け取ることを迂回及び除外するように構成され、
前記前処理システムは、バーナ、スクラバ及び吸着器を含み、前記前処理システムは、(i)一酸化炭素、ハイドロフルオロ炭素及びパーフルオロ炭素を含む第1の不純物の実質的な部分を燃焼させて二酸化炭素及び水蒸気にし、(ii)前記スクラバ内のフッ化水素及び四フッ化ケイ素を含む第2の不純物の実質的な部分を除去し、(iii)前記二酸化炭素及び前記水蒸気を含む第3の不純物の実質的な部分を前記吸着器の吸着剤上に吸着させて、前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流を生成するように構成された、収集マニホールドと、
AgX吸着剤を含む吸着床をその中に含む温度スイング吸着器(TSA)であって、前記TSAは前記吸着器の出口に操作可能に接続された入口を有し、前記TSAは、前記キセノン含有窒素系排気流中の実質的に全てのキセノンを前記第1、第2及び第3不純物よりも優先的に回収するために、前記吸着器の前記出口から前記前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流を受け取るように構成されている、温度スイング吸着器(TSA)と、を含む、システム。
【請求項25】
前記TSAが、圧縮及びシリンダ充填システムに操作可能に接続された出口を有する、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記エッチングチャンバを出る前記キセノン含有窒素系排気流よりも少なくとも20倍大きい濃度を有する前記キセノンの生成物流を回収するように構成されている、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記吸着器と前記TSAとの間に位置するガード床を更に含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
前記吸着器と前記TSAとの間に位置する圧縮機を更に含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項29】
エッチングチャンバを出る希ガス含有窒素系排気流から希ガスを前処理して回収するためのシステムであって、
上流エッチングチャンバに操作可能に接続された入口と前処理システムに操作可能に接続された出口とを有する収集マニホールドであって、前記収集マニホールドは、前記上流エッチングチャンバのそれぞれから信号を受信するように構成され、前記信号は、前記対応する上流エッチングチャンバのうちの1つから生成された排気流中の前記希ガスの有無を示し、前記収集マニホールドは、前記信号に応答して、希ガス含有窒素系排気流を受け取るように構成され、前記収集マニホールドは、前記信号に応答して、非希ガス含有窒素系排気流の受け取りを除外するように構成され、
前処理システムは、バーナ、スクラバ及び吸着器を含み、前処理システムは、(i)一酸化炭素、ハイドロフルオロ炭素及びパーフルオロ炭素不純物を含む第1の不純物の実質的な部分を燃焼させて二酸化炭素及び水蒸気にし、(ii)前記スクラバ内のフッ化水素及び四フッ化ケイ素を含む第2の不純物の実質的な部分を除去し、(iii)前記二酸化炭素及び前記水蒸気の第3の不純物の実質的な部分を前記吸着器の吸着剤上に吸着させて、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成するように構成された、収集マニホールドと、
前記希ガス含有窒素系排気流から前記希ガスの実質的に全てを前記第1、前記第2及び前記第3の不純物よりも優先的に回収するために、前記吸着器の前記出口から前記前処理され希釈された希ガス窒素系排気流を受け取るように構成された希ガス回収ユニットと、を含む、システム。
【請求項30】
(i)前記希ガスがゼノンを含む場合、前記希ガス回収ユニットは温度スイング吸着装置(TSA)であり、前記TSAはその中に吸着剤床を含み、前記吸着剤床はAgX吸着剤を含み、(ii)前記希ガスがクリプトンを含む場合、前記希ガス回収ユニットは低温蒸留塔である、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記収集マニホールドが、前記非希ガス含有窒素系排気流を、それを捕捉するための除害システム又は他のシステムに向け直すように構成される、請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
希ガス含有窒素系排気流から前記希ガスを回収する前に、エッチングチャンバを出る前記希ガス含有窒素系排気流を前処理するための方法であって、前記方法は、
前記希ガス含有窒素系排気流を前記エッチングチャンバから受け取るステップであって、前記希ガス含有窒素系排気流は、(a)前記希ガスと、(b)ガス状不純物と、(c)窒素(N2)とを含むガス種の組成を有し、前記希ガスは、0モル%を超え約0.5モル%までの量であり、前記ガス状不純物は、(i)ハイドロフルオロ炭素、(ii)パーフルオロ炭素、(iii)一酸化炭素(CO)、(iv)フッ化水素(HF)、(v)フッ化ケイ素(SiF4)、及び(vi)四フッ化炭素(CF4)を含み、前記ハイドロフルオロ炭素、パーフルオロ炭素、CO、SiF4及びCF4の前記ガス状不純物のそれぞれが、0モル%より大きく約1モル%までの量であり、更にHFが、0モル%より大きく約2モル%までの量である、ステップと、
前記希ガス含有窒素系排気流を前処理システムに導入することによって前記希ガス含有窒素系排気流を前処理するステップであって、前記前処理システムがバーナ、スクラバ及び吸着器を含み、前記前処理するステップが、(x)前記CO、前記ハイドロフルオロ炭素、前記パーフルオロ炭素の実質的な部分を、二酸化炭素(CO2)及び水蒸気(H2O)を含む燃焼生成物に燃焼させて、希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成することと、(y)前記スクラバ内の前記HF及び前記SiF4の実質的に全てを除去することと、(z)前記CO2及び前記H2Oの実質的に全てを吸着剤上に吸着させて、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成することと、を含む、ステップと、
前記前処理システムの前記吸着器の出口から前記前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を取り出すステップであって、前記前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流は、前記希ガス、前記ガス状不純物及び前記N2を含む組成を有し、前記希ガスは、0モル%より大きく約0.05モル%未満の量であり、前処理する前記ステップの後に残る前記ガス状不純物は、0.01モル%より大きく約2モル%までの量の酸素(O2)、0モル%より大きく約0.01モル%までの量のCF4、0.00001モル%~約0.0005モル%までの範囲の量のCO2を含む、ステップと、を含む、方法。
【請求項33】
エッチングチャンバからの希ガス含有窒素系排気流を前処理する方法であって、
希ガス含有窒素系排気流を前記エッチングチャンバから前処理システムに導入することと、
(x)可燃性ガス状不純物の実質的な部分を燃焼させて、二酸化炭素(CO2)及び水蒸気(H2O)を含む燃焼生成物にして、希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成し、(y)腐食性フッ化物の実質的な部分を除去し、(z)前記CO2及び前記H2Oの実質的に全てを吸着剤に吸着させて、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成することによって、前記希ガス含有窒素系排気流を前処理することと、を含む、方法。
【請求項34】
前記前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を希ガス回収ユニットに導くことと、
前記希ガス回収ユニットにおいて、前記前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流から前記希ガスを生成物流として分離することと、を更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
複数の希ガス含有窒素系排気流を収集マニホールドに収集する一方で、1つ以上の非希ガス含有窒素系排気流が前記収集マニホールドに入ることを排除することを更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記生成物流の組成が、約10モル%より大きい量の希ガス、0.5モル%までの量の二酸化炭素、約2モル%未満の量の酸素、約1モル%未満の量の四フッ化炭素、及び窒素を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
(i)前記希ガスがキセノンを含む場合、前記希ガス回収ユニットが温度スイング吸着器(TSA)であり、(ii)前記希ガスがクリプトンを含む場合、前記希ガス回収ユニットが低温蒸留塔である、請求項34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチングチャンバを出る希ガス含有流を前処理し、続いて前処理された希ガス含有流から希ガスを回収する新規な方法に関する。より詳細には、本発明は、半導体製造プロセスの一部として実行されるエッチングプロセス中に発生する特定のガス状不純物を含む窒素系排気流からのキセノン又はクリプトンなどの希ガスの前処理及び回収に関する。
【背景技術】
【0002】
キセノンは、その閉殻電子構造のために安定な貴ガス元素である。キセノンの好ましい物理的特性には、そのイオン化ポテンシャル、原子質量、及び電子構造が含まれ、これらはキセノンをますます多くの用途に適したものにする。キセノンの需要は、コア用途及び新たな用途において増大している。特に重要なのは、半導体エッチャントプロセスにおけるキセノンの使用である。特に、3D NAND、DRAM及び論理チップなどのメモリチップ用の半導体装置を製造するためのドライエッチングプロセスにおいて、キセノンがますます使用されている。半導体製造中に酸化シリコンをエッチングするために使用されるフルオロ炭素(例えば、C4F6)プラズマにキセノンを添加すると、エッチングプロファイルの異方性が改善される。また、キセノンはエッチング選択性を改善し、酸化シリコンのエッチング速度が酸化シリコン膜をパターニングするために使用されるフォトレジストよりもはるかに高くなるようにする。
【0003】
キセノンは比較的高コストの材料である。キセノンは大気の微量成分(87ppb)であるため、空気分離により1Lのキセノンを得るためには1100万Lの空気が必要である。更に、キセノンの価格は、その供給が空気分離ユニット(ASU)によって制御されるので、非常に変動しやすい。
【0004】
コストが高く、供給が不足していることを考慮すると、エッチャントプロセスはキセノンを再利用しようとする。しかしながら、そのようなエッチャントプロセスのためのキセノンの再利用は望ましいものとして認識されているが、既存のプロセスは、様々な理由でキセノンの回収及び再利用を効果的に達成することができない。例えば、キセノン含有排気流は、多くの取り扱いが困難な汚染物質を含有する複雑な排気流出物混合物である。更に、キセノン含有排気中のキセノンの濃度は典型的には比較的低く、0.5容積%未満のオーダーであり、それによってその回収を技術的に困難にし、潜在的に資本集約的にする。これらの設計上の課題の結果、多くのファブユーザは、それぞれのエッチングプロセスを通して1回だけ使用した後にキセノンを放出する以外の選択肢を残さなかった。
【0005】
高価値製品として、そして予想されるキセノン不足と共に、半導体プロセスにおけるエッチャントの一部として再使用するために汚染物質含有ガス流からキセノンを回収するという満たされていない増大する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様では、希ガス含有窒素系排気流から希ガスを回収する前に、エッチングチャンバを出る希ガス含有窒素系排気流を前処理する方法であって、方法は、エッチングチャンバから希ガス含有窒素系排気流を受け取るステップであって、希ガス含有窒素系排気流は、(a)希ガス、(b)ガス状不純物、及び(c)窒素(N2)を含むガス種の組成を有し、希ガスは、0モル%より大きく約0.5モル%までの量であり、ガス状不純物は、(i)一般式CxHyFzによって表されるハイドロフルオロ炭素(式中、x、y及びzのそれぞれは1~5の範囲の整数であり、ただし、x=1の場合、y+z=4であり、x=2~5の場合、y+z-2x=-2、0又は2である)、(ii)一般式CxFy(式中、xは2~5の任意の整数値を有することができ、y-2x=-2、0、又は2である)によって表されるパーフルオロ炭素、(iii)一酸化炭素(CO)、(iv)フッ化水素(HF)、(v)フッ化ケイ素(SiF4)、(vi)四フッ化炭素(CF4)を含み、ここで、CxHyFz、CxFy、CO、SiF4及びCF4のガス状不純物のそれぞれは、0モル%より大きく約1モル%までの量であり、HFは、0モル%より大きく約2モル%までの量である、ステップと、希ガス含有窒素系排気流を前処理システムに導入することによって、希ガス含有窒素系排気流を前処理するステップであって、前処理システムは、バーナ、スクラバ及び吸着器を備え、(x)CO、CxHyFz及びCxFyの実質的な部分を、二酸化炭素(CO2)及び水蒸気(H2O)を含む燃焼生成物に燃焼させて、希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成し、(y)スクラバ内のHF及びSiF4の実質的に全てを除去し、(z)実質的に全てのCO2及びH2Oを吸着剤上に吸着して、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成する、ステップと、前処理システムの吸着器の出口から前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を取り出すステップであって、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流は、希ガス、ガス状不純物及びN2を含む組成を有し、希ガスは、0モル%より大きく約0.05モル%未満の量であり、前処理ステップ後に残留するガス状不純物は、0.01モル%より大きく約2モル%までの量の酸素(O2)と、0モル%より大きく約0.01モル%までの量のCF4と、0.00001モル%~約0.0005モル%までの範囲の量のCO2とを含む、ステップと、を含む、方法。
【0007】
本発明の第2の態様ではエッチングチャンバから出る窒素系排気流からキセノンを前処理して回収する方法は、エッチングチャンバからキセノン含有窒素系排気流を受け取るステップであって、キセノン含有窒素系排気流は、キセノン、ガス状不純物及び窒素を含むガス種の組成を有し、キセノンは、0モル%より大きく約0.5モル%までの量であり、ガス状不純物は、ハイドロフルオロ炭素、パーフルオロ炭素、一酸化炭素(CO)、フッ化水素、フッ化ケイ素及び四フッ化炭素を含み、ハイドロフルオロ炭素、パーフルオロ炭素、一酸化炭素、フッ化ケイ素及び四フッ化炭素のガス状不純物のそれぞれが、0モル%より大きく約1モル%までの量であり、更に、フッ化水素が、0モル%より大きく約2モル%までの量である、ステップと、キセノン含有窒素系排気流を前処理システムに導入することによってキセノン含有窒素系排気流を前処理するステップであって、前処理システムはバーナ、スクラバ及び吸着装置を備え、(x)ハイドロフルオロ炭素、及びパーフルオロ炭素、及び一酸化炭素の実質的な部分を燃焼させて、二酸化炭素と水蒸気とを含む燃焼生成物にし、希釈されたキセノン含有窒素系排気流を生成し、(y)スクラバにおいてフッ化水素及びフッ化ケイ素の実質的に全てを除去し、(z)二酸化炭素及び水蒸気の実質的に全てを吸着器の吸着剤上に吸着させて、前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流を生成する、ステップと、前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流を吸着器の出口から取り出すステップであって、前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流は、キセノン、ガス状不純物及び窒素を含む組成を有し、キセノンは、0モル%より大きく、約0.05モル%未満の量であり、前処理後に残るガス状不純物は、0.01モル%より大きく、約2モル%までの量の酸素、0モル%より大きく、約0.01モル%までの量の四フッ化炭素、0.00001モル%~約0.0005モル%までの範囲の量の二酸化炭素を含む、ステップと、前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流を第1の非低温に冷却するステップと、続いて、前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流を、内部に吸着剤床を含む温度スイング吸着装置(TSA)に導入するステップであって、吸着床はAgX吸着剤を含む、ことと、前処理ステップ後に残る前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流中のガス状不純物よりも優先的にキセノンをAgX吸着剤上に吸着することのステップとを含む。
【0008】
第3の態様では、エッチングチャンバを出る窒素系排気流から希ガスを前処理して回収し、エッチングチャンバを出る窒素系排気流から希ガスを回収する方法であって、エッチングチャンバから希ガス含有窒素系排気流を受け取るステップであって、希ガス含有窒素系排気流は、希ガス、ガス状不純物及び窒素を含むガス種の組成を有し、希ガスは、0モル%より大きく約0.5モル%までの量であり、ガス状不純物は、(i)一般式CxHyFzによって表されるハイドロフルオロ炭素(式中、x、y及びzのそれぞれは1~5の範囲の任意の整数を有することができ、ただし、x=1の場合、y+z=4であり、x=2~5の場合、y+z-2x=-2、0又は2である)、(ii)一般式CxFyによって表されるパーフルオロ炭素(xが、2~5の任意の整数値を有することができ、y-2x=-2、0又は2である)、(iii)一酸化炭素(CO)、(iv)フッ化水素(HF)、(v)フッ化ケイ素(SiF4)及び(vi)四フッ化炭素(CF4)(ここで、CxHyFz、CxFy、CO、SiF4及びCF4のガス状不純物のそれぞれは、0モル%より大きく約1モル%までの量であり、HFは0モル%より大きく約2モル%までの量である)を含む、ステップと、希ガス含有窒素系排気流を前処理システムに導入することによって、希ガス含有窒素系排気流を前処理するステップであって、前処理システムは、バーナ、スクラバ及び吸着器を備え、(x)CxHyFz及びCxFyの実質的な部分を二酸化炭素(CO2)及び水蒸気(H2O)を含む燃焼生成物に燃焼させて、希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成し、(y)スクラバ内のHF及びSiF4の実質的に全てを除去し、(z)CO2及びH2Oの実質的に全てを吸着器の吸着剤上に吸着させて、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成する、ステップと、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を吸着器の出口から取り出すステップであって、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流は、希ガス、ガス状不純物及び窒素を含む組成を有し、希ガスは、0モル%より大きく約0.05モル%未満のキセノンの量であり、前処理後に残るガス状不純物は、0.01モル%より大きく約2モル%までの量の酸素(O2)、0モル%より大きく約0.01モル%までの量のCF4及び0.00001モル%~約0.0005モル%までの範囲の量のCO2である、ステップと、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を第1の非低温に冷却するステップと、続いて、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を希ガス回収ユニットに導入するステップと、希釈された希ガス含有窒素系排気流から希ガスを回収するステップとを含む、方法。
【0009】
第4の態様では、希ガス含有窒素系排気流から希ガスを回収する前に、エッチングチャンバを出る希ガス含有窒素系排気流を前処理するための前処理システムであって、上流エッチングチャンバに操作可能に接続された入口と前処理システムに操作可能に接続された出口とを有する収集マニホールドであって、収集マニホールドは、上流エッチングチャンバのそれぞれから、対応する上流エッチングチャンバの1つから生成された排気流中の希ガスの有無を示す信号を受信するように構成され、信号に応答して、希ガス含有窒素系排気流を受け取るように構成され、信号に応答して、希ガスを含まない非希ガス窒素系排気流を受け取ることを排除するように構成された収集マニホールドと、前処理システムは、バーナ、スクラバ、及び吸着器を備え、前処理システムは、(i)一酸化炭素、ハイドロフルオロ炭素及びパーフルオロ炭素不純物の実質的な部分を燃焼させて二酸化炭素及び水蒸気にし、(ii)スクラバ内のフッ化水素及び四フッ化ケイ素不純物の実質的な部分を除去し、(iii)二酸化炭素及び水蒸気の実質的に全てを吸着器の吸着剤上に吸着させて、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成するように構成された、前処理システム。
【0010】
第5の態様では、エッチングチャンバを出るキセノン含有窒素系排気流を前処理してキセノンを回収するためのシステムであって、上流側エッチングチャンバに操作可能に接続された入口と前処理システムに操作可能に接続された出口とを有する収集マニホールドであって、収集マニホールドは、上流側エッチングチャンバのそれぞれから信号を受信するように構成され、信号は、対応する上流側エッチングチャンバのうちの1つから生成された排気流中のキセノンの有無を示し、信号に応答して、キセノン含有窒素系排気流を受け取るように構成され、信号に応答して、非キセノン含有窒素系排気流の受け取りを除外するように構成され、前処理システムは、バーナ、スクラバ及び吸着器を備え、(i)一酸化炭素、ハイドロフルオロ炭素及びパーフルオロ炭素を含む第1の不純物の実質的な部分を燃焼させて二酸化炭素及び水蒸気にし、(ii)スクラバ内のフッ化水素及び四フッ化ケイ素を含む第2の不純物の実質的な部分を除去し、(iii)二酸化炭素及び水蒸気を含む第3の不純物の実質的な部分を吸着器の吸着剤上に吸着させて、前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流を生成するように構成された、収集マニホールドと、AgX吸着剤を含む吸着床をその中に含む温度スイング吸着器(TSA)であって、TSAは、吸着器の出口に操作可能に接続された入口を有し、TSAは、キセノン含有窒素系排気流中のキセノンの実質的に全てを第1、第2及び第3の不純物よりも優先的に回収するために、吸着器の出口から前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流を受け取るように構成されている、温度スイング吸着器(TSA)と、を含む。
【0011】
第6の態様では、エッチングチャンバを出る希ガス含有窒素系排気流から希ガスを前処理し回収するためのシステムであって、上流側エッチングチャンバに操作可能に接続された入口と前処理システムに操作可能に接続された出口とを有する収集マニホールドであって、収集マニホールドは、上流側エッチングチャンバのそれぞれから信号を受信するように構成され、信号は、対応する上流側エッチングチャンバのうちの1つから生成された排気流中の希ガスの有無を示し、収集マニホールドは、信号に応答して希ガス含有窒素系排気流を受け取るように構成され、収集マニホールドは、信号に応答して非希ガス含有窒素系排気流の受け取りを排除するように構成される、収集マニホールドと、前処理システムは、バーナ、スクラバ及び吸着器を含み、(i)一酸化炭素、ハイドロフルオロ炭素及びパーフルオロ炭素不純物を含む第1の不純物の実質的な部分を燃焼させて二酸化炭素及び水蒸気にし、(ii)スクラバ内のフッ化水素及び四フッ化ケイ素を含む第2の不純物の実質的な部分を除去し、(iii)二酸化炭素及び水蒸気の第3の不純物の実質的な部分を吸着器の吸着剤上に吸着させて、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成するように構成され、前処理され希釈された希ガス窒素系排気流を吸着器の出口から受け取り、希ガス含有窒素系排気流から第1、第2及び第3の不純物よりも優先的に希ガスの実質的に全てを回収するように構成されている希ガス回収ユニット、を含む、システム。
【0012】
第7の態様では、希ガス含有窒素系排気流から希ガスを回収する前に、エッチングチャンバを出る希ガス含有窒素系排気流を前処理する方法であって、方法は、希ガス含有窒素系排気流が、(a)希ガス、(b)ガス状不純物、及び(c)窒素(N2)を含むガス種の組成を有し、希ガスが、0モル%より大きく約0.5モル%までの量であり、ガス状不純物が、(i)ハイドロフルオロ炭素、(ii)パーフルオロ炭素、(iii)一酸化炭素(CO)、(iv)フッ化水素(HF)、(v)フッ化ケイ素(SiF4)、及び(vi)四フッ化炭素(CF4)を含む、希ガス含有窒素系排気流をエッチングチャンバから受け取るステップであって、ハイドロフルオロ炭素、パーフルオロ炭素、CO、SiF4及びCF4のガス状不純物のそれぞれが、0モル%より大きく約1モル%以下の量であり、更にHFが、0モル%より大きく約2モル%以下の量である、ステップと、希ガス含有窒素系排気流を前処理システムに導入することによって希ガス含有窒素系排気流を前処理するステップであって、前処理システムがバーナ、スクラバ及び吸着器を含み、前処理するステップが、(x)CO、ハイドロフルオロ炭素、パーフルオロ炭素の実質的な部分を、二酸化炭素(CO2)及び水蒸気(H2O)を含む燃焼生成物に燃焼させて、希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成する、ステップと、(y)スクラバ内のHF及びSiF4の実質的に全てを除去することと、(z)実質的に全てのCO2とH2Oを吸着剤に吸着させて、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成することと、を含む、ステップと、前処理システムの吸着器の出口から前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を取り出すことであって、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流は、希ガス、ガス状不純物及びN2を含む組成を有し、前ガスは0モル%より大きく約0.05モル%未満の量であり、前処理ステップ後に残留するガス状不純物は、0.01mol%より大きく約2mol%までの量の酸素(O2)、0mol%より大きく約0.01mol%までの量のCF4、0.00001mol%~約0.0005mol%までの範囲の量のCO2である、ステップと、を含む、方法。
【0013】
第8の態様では、エッチングチャンバからの希ガス含有窒素系排気流を前処理する方法であって、希ガス含有窒素系排気流を前処理システムに導入することと、(x)可燃性ガス状不純物の実質的な部分を燃焼させて二酸化炭素(CO2)及び水蒸気(H2O)を含む燃焼生成物にして、希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成し、(y)腐食性フッ化物の実質的な部分を除去し、(z)CO2及びH2Oの実質的に全てを吸着剤に吸着させて、前処理され希釈された希ガス含有窒素系排気流を生成することにより、希ガス含有窒素系排気流を前処理することと、を含む、方法。
【0014】
本発明は、本明細書に開示される様々な組合せ及び実施形態における態様のいずれかを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の目的及び利点は、全体を通して同じ番号が同じ特徴を示す添付図面と関連して、その好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより良く理解される。
【
図1】本発明の原理によるキセノン前処理及び回収プロセスの実施形態のプロセス概略図を示す。
【
図2】本発明の原理によるキセノン前処理及び回収プロセスの実施形態のブロックフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の利点は、関連するその実施形態の以下の詳細な説明からより良く理解されるであろう。本開示は、様々な実施形態において、かつ本発明の様々な態様及び特徴を参照して、本明細書に記載される。特定の希ガス前処理及び回収方法及びシステムは、例示として示されており、本発明を限定するものではないことが理解されるであろう。本発明の原理及び特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な置換及び組合せで、様々な多数の実施形態で使用することができる。本開示は、これらの特定の特徴、態様、及び実施形態のそのような組合せ及び置換のうちのいずれか、又はそれらのうちの選択された1つ以上を備えるように、それらからなるように、又はそれらから本質的になるように更に指定され得る。
【0017】
全ての百分率は、特に明記しない限り、本明細書においてモル百分率として表される。
【0018】
本明細書及び明細書全体で使用される「除去効率」又は「RE」は、以下のように表される。
(標的種の流入フラックス-標的種の流出フラックス)/(標的種の流入フラックス)、式中、フラックス=濃度*総流量。REは、本発明の原理に従って除去される希ガス含有窒素系排気流中の様々な不純物の除去効率を定量化する。
【0019】
値の範囲がパラメータを表す場合、その範囲内又は範囲を画定する全てのサブ範囲、点値、及びエンドポイントは、別途明示的に開示されない限り、そこに明示的に開示される。それらの特性、寸法、及び比率の範囲エンドポイント間の全ての物理的特性、寸法、並びに比率範囲及びサブ範囲(エンドポイントを含む)は、別途明示的に開示されない限り、本明細書に明示的に開示されていると考えられる。
【0020】
本明細書及び全体を通して使用される「導管」は、例として、管、パイプ、チャネル、ダクト、又はトラフを含む、任意の形状の任意のタイプの管状様構造を指す。
【0021】
本明細書で使用される「接続された」又は「操作可能に接続された」は、限定するものではないが、弁及び導管、を含む、従来型の配管及び組み立てとして2つ以上の構成部品の間の直接又は間接接続を意味し、別様に特定されなければ、2つ以上の構成部品の間の流体、機械、化学及び/又は電気的通信を可能にする。
【0022】
本明細書及び全体を通して使用される「窒素系排気流」は、窒素が排気流中の主要含有種であるため、窒素が排気流の総モル数に基づいて50モル%以上を占める排気流を指す。
【0023】
本明細書及び全体を通して使用される「エッチングチャンバからの希ガス含有窒素系排気流」は、希ガス、ガス状不純物、及び窒素を含むガス種の組成を指し、希ガスは、0モル%を超え約0.5モル%までの量であり、ガス状不純物は、(i)一般式CxHyFzによって表されるハイドロフルオロ炭素(式中、x、y、及びzのそれぞれは、1~5の範囲の任意の整数値を有することができ、ただし、x=1の場合、y+z=4であり、x=2~5の場合、y+z-2x=-2、0、又は2である)、(ii)一般式CxFyによって表されるパーフルオロ炭素(式中、xは、2~5の任意の整数値を有することができ、y-2x=-2、0、又は2である)、(iii)一酸化炭素(CO)、(iv)フッ化水素(HF)、(v)フッ化ケイ素(SiF4)、及び(vi)四フッ化炭素(CF4)(CxHyFz、CxFy、CO、SiF4、及びCF4のガス状不純物のそれぞれは、0モル%より大きく約1モル%までの量であり、更にHFは、0モル%より大きく約2モル%までの量である)を含む。あるいは、本明細書全体を通して使用される「エッチングチャンバからの希ガス含有窒素系排気流」は、(a)希ガス、(b)ガス状不純物、及び(c)窒素(N2)を含むガス種の組成を有するものとして特徴付けることができ、希ガスは、0モル%を超え約0.5モル%までの量であり、ガス状不純物は、(i)ハイドロフルオロ炭素、(ii)パーフルオロ炭素、(iii)一酸化炭素(CO)、(iv)フッ化水素(HF)、(v)フッ化ケイ素(SiF4)、(vi)四フッ化炭素(CF4)を含み、ハイドロフルオロ炭素、パーフルオロ炭素、CO、SiF4及びCF4のガス状不純物のそれぞれが、0モル%より大きく約1モル%までの量であり、更にHFが、0モル%より大きく約2モル%までの量である。
【0024】
本明細書及び全体を通して使用される「信号」は、プログラム可能論理制御装置との間で伝送することができる無線信号又は有線信号などの任意の適切な制御信号を意味する。
【0025】
本発明者らは、エッチングチャンバからのキセノン含有窒素系排気流は、腐食性が高く、反応性があり、有害であり、それによってキセノンの回収を潜在的に危険かつ困難にするが、バーナ、スクラバ、及び吸着システムを利用する注意深い前処理システム及びプロセスが、前処理システムの下流に位置するキセノンガス回収ユニットにおける回収に適した排気流の組成を作り出すことができることを認識した。本発明は、ファブ操作に関連して1つ以上のエッチングチャンバを出るキセノン含有窒素系排気流からキセノンを前処理し回収する能力を有する。
【0026】
本発明の一態様によれば、下流のキセノン回収ユニットにおけるキセノンの効果的な回収を確実にするための前処理プロセスが提供される。
図1は、キセノン前処理及び回収システム90のプロセス概略図を示す。システム90は、半導体製造工場10(以下、「ファブ」と呼ぶ)において現場で組み立てることができるモジュール構造を有するように設計されている。更に、前処理及び回収システム90は、移動可能であり、ファブ10の構内で必要に応じて操作されるように構築することができる。前処理及び回収システム90は、前処理システム100及び回収システム107を含む。前処理システム100は、排気収集マニホールド101と、バーナ104と、スクラバ105と、圧力スイング吸着器106とを含む。前処理システム100は、以下に説明するように、エッチングプロセス中にその一部又は全てが生成されたある種のガス状不純物を除去して、汚染物質を含んだ窒素系排気流からのキセノンの下流回収を可能にする。
【0027】
回収システム107は、キセノン回収ユニット107である。キセノン回収ユニット107は、以下により詳細に説明されるように、窒素及び他の不純物よりも優先的にキセノンを選択的に吸着することができるAgX吸着剤を含む温度スイング吸着ユニットである。
【0028】
前処理及び回収システム90は、
図2に示すように、エッチングツール15に接続されている。
図2は、例として、システム90に接続されたエッチングツール15の一例を示しているが、これに限定されるものではない。エッチングツール15は、複数のエッチングシステム120から構成される。合計22個のエッチングシステム120が示されている(すなわち、1~22個のエッチングシステム120として指定されている)。エッチングシステム120は、キセノン前処理及び回収システム90に接続されている。各エッチングシステム120は、互いに平行な関係で構成された6つのエッチングチャンバ103を含む。エッチングシステム120の各々は、任意の数のエッチングチャンバ103を有することができる。本明細書の実施形態が説明される
図2の例では、各エッチングシステム120は6つのエッチングチャンバ103(すなわち、1~6個のエッチングチャンバ103として示される)を有するため、合計132個のエッチングチャンバ103(すなわち、1~132個のエッチングチャンバ103として示される)がエッチングツール15内に設けられ、各1~132個のエッチングチャンバ103は、特定のエッチングシステム120内に配置されたエッチングチャンバ103を収集マニホールド101の入口に接続する専用導管140を有する。合計132本のエッチング導管140が
図2に示されている(すなわち、1~132本の導管140として指定されている)。
図2は、エッチングツール15の1つの可能な構成を表しており、本明細書の実施形態は、これを用いて説明されることを理解されたい。他のフローネットワークも考えられる。任意の数のエッチングシステム120を利用することができ、エッチングシステム120内の任意の数のエッチングチャンバ103を利用することができる。エッチングシステム120内のエッチングチャンバ103の数は、各1~22エッチングシステム120について同じであってよい。あるいは、エッチングチャンバ103の数は、エッチングシステム120ごとに異なってもよい。
【0029】
エッチングチャンバ103の各々は、ターボ分子ポンプ及び粗引きポンプを含み、これらの組合せにより、エッチングプロセスを実行するためにエッチングチャンバ103内に必要な真空を引き込むことができる。特定の1-22エッチングシステム120内の1-132エッチングチャンバ103の一部又は1-132エッチングチャンバ103の全ては、操作的にアクティブであり得る。操作的にアクティブな1-132エッチングチャンバ103の正確な数は、ファブ10の製造要件に少なくとも部分的に依存する。
【0030】
更に
図2を参照すると、キセノン含有窒素系ガス流を利用して、1~132個のエッチングチャンバ103のうちの1つ以上の中でエッチャント操作を実行する。エッチング操作の結果として、エッチャントプロセスに特有のある種のガス状不純物が生成される。大量の窒素がエッチングシステム120に導入され、エッチング排気ガス流22中のガス状不純物、より具体的には腐食剤の濃度を希釈するために利用される。その結果、キセノン含有エッチング排気流22は窒素系である。エッチングガス流22は、エッチングシステム120内の対応するエッチングチャンバ103を出る。例として、45slpmの流量を有するキセノン含有窒素系エッチング流22が、エッチングシステム120のエッチングチャンバ103から出現する。別のキセノン含有窒素系エッチング流22が、エッチングシステム120の別のエッチングチャンバ103から出現する。このようにして、エッチングチャンバ103がエッチングシステム120内でどのように操作的にアクティブであるかに応じて、複数のエッチング流22が特定のエッチングシステム120から出ることができる。
図2は、各キセノン含有窒素系排気流がエッチングチャンバ103に対応することを示している。
【0031】
エッチング流22の各々について任意の流量が考えられる。一例では、6つのエッチング流22があり、それぞれが約45slpmの流量でエッチングシステム120の専用1-6エッチングチャンバ103を出る。その結果、最大約270slpmが単一のエッチングシステム120から出現することができる。
図2のファブ10は、最大5940slpmが前処理システム100に入ることができるように、合計22個のエッチングシステム120を含む。前処理及び回収システム90は、エッチングツール15内の各エッチングシステム120から出る任意の容積のキセノン含有窒素系排気ガス流22を処理するような大きさにすることができることを理解されたい。
【0032】
1~22個のエッチングシステム120のいくつかは、部分的にアイドル状態であってもよく、エッチングシステム120内のエッチング1~6個のチャンバ103の一部は操作的にアクティブではない。エッチングシステム120内の1~6個のチャンバ103の全てがアイドル状態である完全アイドル状態。すなわち、エッチングシステム120内の1~6個のエッチングチャンバ103の全てが操作可能である。特定の条件に基づいて、特定のエッチングシステム120から流出するキセノン含有ガスの量は、0(6つのエッチングチャンバ103の全てがアイドルである)から270slpm(6つのエッチングチャンバ103の全てが操作的にアクティブであり、それによって各エッチング流22が1~6つのエッチングチャンバ103のそれぞれから出る45slpmの流量を有すると仮定する)まで変化し得る。あるいは、1~6個のエッチングチャンバ103のうちのいくつかがアイドルモードにある結果として、特定のエッチングシステム120から流出する0~270slpmの間の中間流量のキセノン含有ガスが発生し得る。本出願人らは、以下で説明するように、キセノン含有窒素系排気流22のみを収集マニホールド101に流入させ、非キセノン含有流を収集マニホールド101に流入させないようにする収集マニホールド101を設計することによって、前処理及び回収システム90の負荷を最小限に抑え、それによってキセノンの回収を改善するような、複数の1~22エッチングシステム120の広範囲の操作条件を考慮した。
【0033】
排気収集マニホールド101が、前処理システム100の収集マニホールド101へのキセノン含有窒素系排気流22の流入のみを可能にすることを確実にするために、多数の手段が企図される。一例では、特定の1-132エッチングチャンバ103の上流に配置されたキセノン質量流量制御装置が、収集マニホールド101上に配置された専用の三方制御弁にソース信号を送信する。キセノン質量流量制御装置がそれを通るキセノンの流れを検出すると、ソース信号がキセノン質量流量制御装置から専用三方制御弁に送信され、それによって三方制御弁が収集マニホールド101に対して閉位置から開位置に移動し、それによって、特定の1-132エッチングチャンバ103を出るキセノン含有窒素系排気流22が収集マニホールド101に流入し、その後前処理システム100に進むことが可能になる。三方制御弁は、除害システムに対して閉位置にあり、それによって、下流の除害システムへのキセノン含有窒素系排気流22の流れを遮断する。
【0034】
逆に、キセノン質量流量制御装置が0設定点を有し、それを通って流れる窒素系排気ガス流を検出しない場合、ソース信号を質量流量制御装置から三方制御弁に送信することができ、三方制御弁は、収集マニホールド101に対して閉位置に留まり、除害システムに対して開位置に留まり、それによって、非キセノン含有窒素系排気ガス流を除害システムに向ける。
【0035】
あるいは、キセノン質量流量制御装置が、それを通る排気ガス流を検出しないとき、ソース信号は、キセノン質量流量制御装置から三方制御弁に送信されなくてもよく、それによって、三方制御弁は、収集マニホールド101に対して閉位置に留まる。したがって、三方制御弁のデフォルト構成は、信号が三方制御弁に中継されないとき、収集マニホールド101に対して閉鎖位置に留まることである。このシナリオでは、対応する1-132エッチングチャンバ103からの排気ガス流がないことは、特定の1-132エッチングチャンバ103がアイドル状態であることを示すことができ、その結果、三方制御弁に信号が送られない。
【0036】
別の実施形態では、感知装置が、キセノン質量流量制御装置の代わりに利用されてもよい。感知装置は、特定のエッチングチャンバ103と収集マニホールド101との間に延びる導管140内に配置される。第1のシナリオでは、感知装置が導管140を通って流れるキセノンの存在を検出すると、感知装置は、収集マニホールド101上に配置された三方制御弁に信号を送信することができ、制御弁を開いて、対応するエッチングチャンバ103に存在するキセノン含有窒素系排気流22の収集マニホールド101への通過を可能にする一方で、除害システムへの流れを遮断することができる。第2のシナリオでは、感知装置がそれを通って流れるキセノンを検出しないとき、信号は三方制御弁に送信されなくてもよく、それによって、三方制御弁を収集マニホールド101に対して閉位置に維持し、非キセノン窒素系排気流を除害システムに迂回させる。第3のシナリオでは、感知装置が、対応するエッチングチャンバ103からの排気ガス流を検出しないとき、システムは、特定のエッチングチャンバ103がアイドル状態であり得ることを認識し、その結果、信号が三方制御弁に送信されず、それによって、三方制御弁を収集マニホールド101に対して閉位置に維持する。
【0037】
当技術分野で知られているように、他の測定、分析、及び検出システムを利用して、排気流中のキセノンの存在を決定し、エッチングチャンバ103からのキセノン含有窒素系排気流22のみが収集マニホールド101に入ることを確実にすることができることを理解されたい。
【0038】
上述の実施形態は、収集マニホールド101及び前処理システム100への非キセノン含有窒素系排気流の導入を低減、軽減又は排除する、いわゆる「スマートスイッチング」技術を表す。このようにして、非キセノン含有窒素系排気流を除害システムに選択的に排除及び/又は迂回することによって、前処理及び回収システム90は、不必要に大量の排気ガスで過負荷にならない。更に、キセノン含有窒素系排気流22からのキセノンの回収は、非キセノン含有窒素系排気流が前処理システム100に入ることによって起こり得る希釈の悪影響に遭遇することなく行うことができる。更に、様々なエッチングシステム120からのキセノン含有窒素系排気流22のみを収集する排気収集マニホールド101を利用することによって、エッチングチャンバ120から受け取ったキセノン含有窒素系排気流22中のキセノン濃度の変動を最小限に抑えることができる。全ての場合における正味の効果は、前処理及び回収システム90に過負荷をかけることなく、キセノンガス回収ユニット107からのキセノンの回収が改善されることである。
【0039】
このようにして、収集マニホールド101は、前述の「スマートスイッチング」特徴によって、ファブ10内のエッチングツール15の対応するエッチングシステム120のエッチングチャンバ103から出る排気流22から、キセノン含有窒素系排気流22のみを選択的に受け取るように構成される。加えて、収集マニホールド101は、対応するエッチングチャンバ103への背圧を低減、緩和、又は排除することができる十分な容積によって特徴付けられる。その結果、エッチングシステム120のいずれにも中断がもたらされない。収集マニホールド101は、複数の入口を有してもよく、その各々は、専用導管140によって特定の上流エッチングチャンバ103に操作可能に接続される。換言すれば、各1-132エッチングチャンバ103は、収集/回収マニホールド101の専用入口に接続する専用1-132導管140を有することができる。
【0040】
収集マニホールド101の特定の入口に入ることができるキセノン含有窒素系排気流22の各々は、任意の流量でその中に入ることができる。一例では、選択されたエッチング流22の各々は、0~100slpmの流入流量を有することができ、全ての選択されたエッチング流22の総流量は0~13,200slpmである。別の例では、選択されたエッチング流22の各々は、10~80slpmの流入流量を有し、全ての選択されたエッチング流の総流量は1320~10,560slpmであってもよい。更に別の例では、選択されたエッチング流22のそれぞれは、30~60slpmの流入流量を有し、全ての選択されたエッチング流の総流量は3960~7920slpmであってもよい。
【0041】
図2は、収集マニホールド101が、キセノン含有窒素系排気流22を加圧するために利用することができるブースターポンプに接続されていることを示す。ブースターポンプの出口は、下流のバーナ104及びスクラバ105ユニットに操作可能に接続されている。
図2はバーナ104及びスクラバ105を単一のユニットとして示しているが、バーナ104及びスクラバ105がそれぞれ特定の不純物を燃焼及び除去する方法をより明確に説明するために、それぞれの操作を別々に説明することを理解すべきである。キセノン含有窒素系排気流22は、流れ95として収集マニホールド101を出ることができ、次いでブースターポンプに入り、そこで下流バーナ104に入るのに適した圧力に加圧される。加圧された流れ(
図2)は、流れ91としてブースターポンプから出る。一例では、流れ91は約10psigに加圧される。流れ91は、(i)一般式CxHyFz(式中、x、y及びzの各々は0より大きい任意の値を有することができる)を有するハイドロフルオロ炭素、(ii)一般式CxFy(式中、xは1より大きい任意の値を有することができ、yは0より大きい任意の値を有することができる)によって表されるパーフルオロ炭素、(iii)一酸化炭素(CO)、(iv)フッ化水素(HF)、(v)一般式SixFy(式中、xとyのそれぞれには、0及び四フッ化炭素(CF4)より大きい任意の値を指定できる)によって表されるフッ化ケイ素、によって特徴付けられる代表的組成を有することができる。このようなガス状不純物CxHyFz、CxFy、CO、SixFy及びCF4の各々は、0モル%より大きく約1モル%まで、あるいは0.0001モル%より大きく約1モル%まで、更にあるいは0.0001モル%より大きく約0.3モル%までの量である。HFは、0モル%より大きく約2モル%まで、あるいは0.0001モル%より大きく約2モル%まで、更にあるいは0.0001モル%より大きく約0.5モル%までの量であってよい。
【0042】
上述の組成を有する流れ91は、バーナ104、スクラバ105及び圧力スイング吸着器106を含む前処理システム100に向けられる。
図2に示すように、非限定的な例によって、流れ91は、約600ppmのキセノンを含むことができる。キセノン含有窒素系排気流91はバーナ104に入る。過剰な酸素又は酸素富化空気は、1つ以上の炭化水素及び1つ以上のハイドロフルオロ炭素の実質的な部分が燃焼して二酸化炭素及び水蒸気になり、希釈されたキセノン含有窒素系排気流を生成することを確実にする量でバーナ104に供給することができる。一例では、過剰酸素又は酸素富化空気は、流れ91中に含まれるキセノンを流れ91中のキセノンの量の約2~3倍の係数以下だけ希釈するのに有効な量でバーナ101に導入される。バーナ104は、好ましくは1120℃より高い温度で操作される。バーナ104は、(i)可燃性汚染物質のほぼ100%又は完全な燃焼を可能にし、(ii)流れ91中のキセノンの量の約2~3倍を超える係数で流れ91中に含まれるキセノンの希釈を引き起こすような過剰酸素又は過剰酸素富化空気を不必要に導入することはない。言い換えれば、キセノンの希釈は、バーナ104に入る流れ91に含まれるキセノンの初期量の2~3倍を超えてキセノンが希釈されないようにすることによって、キセノンの回収を可能にするように制御される。バーナ104のこれらの競合する設計考慮事項のバランスをとることは、本発明によって可能である。従来のキセノンガス回収ユニットは、燃焼がキセノンの過剰な希釈を引き起こす傾向があり、バーナを出るキセノンの希薄化レベルを一貫して制御することができず、それによって希釈されたキセノンの回収を不可能にするために、本発明によって利用される方法でバーナシステムを実装していない。
【0043】
本発明に関して、流れ91に含まれるキセノンの量の約2~3倍以下であると予想されるキセノンの希釈にもかかわらず、本出願人らは、可燃性不純物がCO2及びH2Oなどの取り扱いがより容易な成分に変換され、後続の精製操作においてより容易に除去することができるので、バーナ104が前処理設定に対して堅牢であることを発見した。バーナ104は、エッチング流22に含まれるガス状不純物の組成構成の変化に対処することができる。バーナ104で生じるキセノンの希釈にもかかわらず、バーナ104がキセノンに対して高度に選択的な吸着剤を使用する吸着プロセスと組み合わされる場合、本発明における統合されたアプローチは、流れ91が500~600ppm以下のキセノン濃度を有する場合であっても、経済的に実行可能であり、キセノン回収に有効である。
【0044】
希釈されたキセノン含有窒素系排気流は、HF、SixFy及びCF4と共に、バーナ104からのCO2及びH2Oの燃焼生成物を含むバーナ104を出る組成を有する。希釈されたキセノン含有窒素系排気流は、バーナ104を出て、湿式スクラバ105の入口に流れ込み、そこでフッ化水素及び四フッ化ケイ素(集合的に「フッ化物」と呼ばれる)から本質的になる実質的に全ての腐食剤を除去することができる。
【0045】
希釈されたキセノン含有N系排気流は、水酸化カリウム(KOH)、硝酸アルミニウム九水和物(ANN)、一塩基性硝酸アルミニウム(monoban)又は苛性アルカリ(NaOH)などの適切な水性媒体と接触させることができる。水性媒体は、希釈されたキセノン含有窒素系排気流から実質的に全ての洗浄可能なフッ化物を除去する。流入する希釈されたキセノン含有窒素系排気流の十分な流量が提供される。一例では、スクラバ105は、単一の垂直充填塔を含むことができ、充填塔の頂部に液体注入マニホールドがあり、その上にデミスタパッド又は他のデミスト手段がある。スクラバ105には、バーナ104からの希釈されたキセノン含有窒素系排気流に関連して冷却され得るか又は適切な温度であり得る任意の適切な水性洗浄媒体を供給することができ、任意選択でスクラバ105の上流で急冷又は予備冷却を受けることができる。水性洗浄媒体と希釈されたキセノン含有窒素系排気流との十分な接触が生じて、洗浄可能なフッ化物の少なくとも実質的な部分が水性洗浄媒体中に吸収されることが可能になる。
【0046】
更に、スクラバは、スクラバ塔に隣接して配置され、洗浄水又は他の水性洗浄媒体を予冷することができる冷却器を組み込むことができる。残留ミスト(小さなサイズの水滴)を最小化又は除去するためのデミスタパッド又は同様の機械的手段の使用の代わりに、本発明の実施におけるスクラバユニットは、ガス流をより大きな液滴の水「ノックダウン」スプレーと接触させてガス流からミスト成分を除去することによって、このようなミスト成分を流体力学的に最小化又は実質的に除去するように構築され得る。
【0047】
洗浄における冷水の使用は、流出ガス流を周囲温度未満に冷却し、それによって、例えば、流出ガス流が半導体製造ツールから得られる場合、半導体製造作業の環境において、優勢な周囲相対湿度条件未満に水蒸気の量を減少させるために望ましい。冷水の使用はまた、熱泳動効果を導入して、充填塔における酸性ガス吸収及び微粒子吸収を増強するために望ましい。
【0048】
図2の例について説明したように、スクラバ105に存在する流れ92の代表的な組成は、約0.05%未満の量のキセノン、約5~10%の量のCO2、約0.1~5%の量のO2、0%より大きく4%までの量のH2O、及び0%より大きく約01%までの量のCF4を含むことができる。
図2は、バーナ104及びスクラバ105から部分的又は完全に除去される汚染物質のタイプ、すなわち、CO、CF4、CxHyFz、CxFy、HF、SixFyを一般的に示す。
【0049】
腐食剤、炭化水素及びハイドロフルオロ炭素が低減された、希釈されたキセノン含有窒素系排気流92は、スクラバ105の出口から出て、圧力スイング吸着器(PSA)106に送られる。流れ92は、好ましくは、PSA 106におけるH2O及びCO2の効果的な吸着を可能にするために、少なくとも約50psiであるが約250psi以下まで圧力が高められる。PSA 106の吸着床は、少なくとも90%のキセノン回収率で、水分及びCO2の99.99%の除去を達成することができる。圧力スイング吸着プロセスは、1つ以上の吸着剤床を使用して操作することができる。吸着床には、CO2及びH2Oなどであるがこれらに限定されない除去すべき不純物に対して選択的であるが、アルミナ、シリカゲル及び/又はゼオライトなどのキセノンの吸着に対して最小限の選択性を有するように意図的に設計された吸着剤の1つ以上の層を充填することができる。PSA 106における圧力の低下は、CO2及びH2O不純物の脱着を可能にし、それによって、その後の使用のための床の再生を可能にする。実質的に全てのCO2及びH2Oは、PSA 106内の吸着剤上に吸着され、それによって中間流93を生成する。
【0050】
前処理システム100によって後に除去される流れ91に含まれるガス状不純物の各々の除去効率(RE)は、99%より大きい。前処理システム100によるガス状不純物の除去は、部分的に精製された中間流93を生成する。
【0051】
PSA 106に存在する中間流93は、キセノン、ガス状不純物及び残部N2を含む組成を有する前処理され希釈されたキセノン含有窒素系排気流として特徴付けることができ、ここで、キセノンは希釈されており、0モル%より大きく約0.05モル%未満の量であり、バーナ104及びスクラバ105における前処理ステップ後に残るガス状不純物は、0.01モル%より大きく約2モル%までの量の酸素(O2)、0モル%より大きく約0.01モル%までの量のCF4、0.00001モル%~約0.0005モル%までの範囲の量のCO2を含む。中間流93は、PSA 106からの部分精製を受け、続いて300K未満、好ましくは約250K未満、より好ましくは約200K未満の非低温に冷却されたガス状中間生成物として特徴付けることができる。非低温への冷却は、中間流93を液化させないように行われるが、中間流93中の窒素又は他のガス状不純物とは対照的に、TSA 107中の吸着剤へのキセノンの吸着に有利な十分に冷たい温度を作り出す。TSA 107床は、空気で高温から周囲温度に間接的に冷却される。周囲温度から300K未満の所望の非低温への冷却は、実質的に汚染物質を含まないN2による直接冷却によって行われる。TSA107の上流に位置する
図3に示すような任意のガード床を使用して、温度スイング吸着ユニット(TSA)107内でキセノンを選択的に吸着するTSA107の能力に悪影響を与える可能性がある他の不純物を除去することもできる。
【0052】
PSA 106に入る中間流93の圧力は、PSA 106の出口とTSA 107の入口との間に延びるフローネットワークに沿った圧力降下損失を最小化する結果として、PSA 106から出た流れ93の圧力と実質的に同様である。
【0053】
中間流93は、TSA 107の入口に入り、吸着剤と接触する。中間流93中のキセノンは、中間流93中の窒素及び他のガス状不純物よりもキセノンを選択的に吸着するように設計された吸着剤に優先的かつ選択的に吸着される。吸着床には、所望の希ガスキセノンに対して選択的な吸着剤、例えばX型の銀イオン交換ゼオライト、X型ゼオライトの低シリカ変種を充填することができ、ここでイオン交換レベルは当量基準で少なくとも80%Agである。好ましい実施形態では、TSA 107の吸着剤はAgXである。AgX及びキセノン用の他の好適な吸着剤の更なる詳細は、米国特許第10,295,255号に記載されており、これは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
中間流93がTSA 107に入る前に、流れ93及びAgX吸着器は、中間流93中のN2及び他のガス状不純物に対するXeの最適な選択性を確実にするために、上述した同じ非低温に冷却される。1つの好ましい操作方法では、AgXの温度は、約200Kまで下げられる。キセノンに対するAgX吸着剤の選択性の結果として、窒素及びガス状不純物はAgX上に吸着されず、代わりにTSA 107の出口を通って自由に流れるが、中間流93中に含まれる実質的に全てのキセノンはAgX上に優先的に吸着される。一実施形態では、キセノンが吸着するためのAgX吸着剤上の利用可能な活性部位の全てが利用されることを確実にするために、TSAへの中間流93の供給は、出口生成物流96中のキセノン濃度が中間流93中に含まれるキセノン供給濃度の5%以上になるまで維持することができる。しかしながら、吸着の持続時間は、5%キセノン漏出に達するのに必要な時間より長く又は短く継続することができることを理解すべきである。米国特許第10,295,255号とは対照的に、本発明によって利用されるような吸着床は、再生前に中間流93に含まれる他のガス状不純物の深い排除を可能にするために、キセノンを用いてほぼ完全な漏出まで操作される必要はない。本発明は、米国特許第10,295,255号に記載されている方法よりも柔軟な方法で操作することができ、それによって、キセノン吸着は、中間流93中の他の不純物(例えば、CF4)及び窒素についてAgX上にいくらかの吸着容量又は活性部位が残る可能性があるが、本発明は、そうでなければ中間流93中の他のガス状不純物及び窒素に対するキセノンのAgX選択性についての問題を引き起こすであろう問題のある汚染物質(例えば、炭化水素、パーフルオロ炭素、HF、SixFy及び低減されたレベルのCF4)の多くを除去するために、堅牢なバーナ及びスクラバプロセスを組み込む。本明細書に記載されるような問題のある汚染物質の前処理によって、本発明は、TSA 107の出口でのキセノンのあるレベルの漏出まで操作する必要なく、適時に効果的なキセノン回収を利用することができる。AgXからの汚染物質の深い排除に関する懸念が排除されるので、過剰量のキセノンは漏出せず、それによってAgXによって回収されるキセノンの量が改善される。したがって、本発明は、TSA 107の吸着剤床を通るキセノンの損失を低減するように操作し、これにより、排気流22に含まれるキセノンのより多くの部分を許容可能な生成物純度レベルで回収することが可能になる。
【0055】
TSA 107を操作する際の吸着温度の選択は、150K~300Kの範囲であり、優先的には250K未満、例えば約200Kである。中間流93は気相である。
【0056】
精製されたキセノン生成物の回収は、AgX吸着剤床の再生によって行われ、キセノンの生成物流96を生成する。再生には、AgX吸着剤床の温度を少なくとも350K、約550Kまで上昇させるステップが必要である。床の加熱は、間接加熱法などの様々な方法で達成することができる。あるいは、又はそれに加えて、十分に上昇した温度を有するパージガスを利用して、生成物流96として脱着されるキセノンの量を改善することができる。パージガスは、窒素及び/又はアルゴン又はそれらの混合物を含むことができる。しかしながら、生成物流96中のキセノンの達成可能な最高濃度を得るために、N2及び/又はAr又はそれらの混合物のような温パージガスの過剰量は、パージガスがキセノンの脱着を助けるために使用される場合、好ましくは回避される。
【0057】
床の加熱は、キセノンをAgXからキセノン含有生成物流96として脱着させる。生成物流96は、約10モル%より大きい量のキセノン、0.5モル%までの量の二酸化炭素、約2モル%未満の量の酸素、約1モル%未満の量の四フッ化炭素を含む組成を有する。キセノン生成物流96は、収集マニホールド101に入る排気流22に含まれるキセノン濃度の少なくとも20倍であることが好ましい。
【0058】
キセノン生成物流96は、
図2のシリンダに圧縮することができ、次いで、問題のある汚染物質を除去するために更なる精製(例えば、精製所)に送ることができ、その後、キセノン生成物は、エッチングツール15におけるエッチングガスとしての再利用に適した電子グレード純度を有することになる。純度が許容可能(例えば、電子機器純度グレード)であると決定された場合、生成物流96は、更なる処理及び精製を必要とせずに、エッチングツール15のためのエッチングガスとして現場で再使用することができる。TSA 107から出るキセノン生成物流96でシリンダを充填する前、充填中、又は充填後のいずれかに、シリンダ内のキセノンの純度レベルを決定するために、当技術分野で公知の測定機器を使用することができる。
【0059】
キセノンが生成物流96中に回収された後、AgX床は低温流体で好ましくは250K未満に冷却される。この流体は、希ガス及び他の吸着性成分を実質的に含まない。冷却流体は、窒素ガス及び/又は液体を含む。
【0060】
供給ステップ、吸着ステップ及び脱着ステップは周期的に行われる。TSA 107は、
図2に示される任意のガード床などの、キセノン回収吸着剤材料のキセノン吸着能力に影響を与え得る有害な不純物を供給流から除去するのに役立ち得る他の吸着剤及び/又はプロセスと併せて使用することができる。加えて、TSA 107は、1つ以上の吸着剤床を使用して操作され得ることが理解されるべきである。本発明が2つ以上の吸着床を用いて実施される場合、床の操作の位相合わせは、第2の床がオフラインになったときに第1の床のオンライン期間が開始して出力の変動を最小限に抑えるように変更することができる。あるいは、サイクルは、第1の吸着床のオンライン期間と第2の吸着床のオンライン期間との間に重複が存在するように調整されてもよい。
【0061】
本発明の前処理ステップは、触媒分解又は触媒プラズマ分解がないことを特徴とすることに留意されたい。触媒系分解方法は、より少ないエネルギー消費及びガス状不純物の十分なREで分解温度を低下させることができるが、そのようなプロセスは、排気組成の変化に敏感であり、汚損又は被毒を受ける。ファウリング又は被毒による触媒交換は費用がかかり、ファブシステムのかなりの下流も必要とする。
【0062】
更に、本発明の前処理ステップは、非平衡プラズマ又は熱プラズマを使用しない。非平衡プラズマでは、エッチングプロセス中に生成されるガス状不純物のより低いREが生成される。熱プラズマは、プラズマを生成するために2500℃を超える高温を必要とする。結果として、ハードウェアは熱損傷及び劣化を受けやすく、追加の冷却ガスが利用される場合であっても、プラズマ操作寿命を短くする可能性がある。一般に、プラズマシステムは、小容量の使用場所に限定される。プラズマトーチの寿命及び容量は、ファブ全体の前処理及び回収作業において問題となり得る。結果として、これらの理由のために、本発明の発明者らは、プラズマプロセスが、排気流が腐食性種及び反応性種を含有するエッチング流である大型前処理システムで使用するのに十分に堅牢ではないことを認識した。
【0063】
代替実施形態が、本発明によって想到される。具体的には、本発明をキセノン含有窒素系排気流に関して説明してきたが、本発明の前処理システムは他の希ガスと共に利用することができる。一例として、希ガスはクリプトンを含み、クリプトンのための回収ガスユニットは、TSAの代わりに低温蒸留塔である。希ガスがクリプトン又はキセノン又は別の希ガスである希ガス含有窒素系排気流の組成は、一般に、(a)希ガス、(b)ガス状不純物、及び(c)窒素(N2)を含むガス種の組成として表すことができ、希ガスは、0モル%より大きく約0.5モル%までの量であり、ガス状不純物は、(i)一般式CxHyFz(式中、x、y及びzのそれぞれは、1~5の範囲の整数であり、ただし、x=1の場合、y+z=4であり、x=2~5の場合、y+z-2x=-2、0又は2である)によって表されるハイドロフルオロ炭素、(ii)一般式CxFy(式中、xは2~5の任意の整数値を有することができ、y-2x=-2、0、又は2である)によって表されるパーフルオロ炭素、(iii)一酸化炭素(CO)、(iv)フッ化水素(HF)、(v)フッ化ケイ素(SiF4)、(vi)四フッ化炭素(CF4)を含み、更に、CxHyFz、CxFy、CO、SiF4、及びCF4のガス状不純物のそれぞれが、0モル%を超え約1モル%以下の量であり、HFが、0モル%を超え約2モル%以下の量である、組成。
【0064】
流れ22中の前述のガス状不純物のそれぞれについてのより低いレベルは、0.0001モル%以下、又は0.0001モル%以上であってよい。
【0065】
上記の説明は、バーナ104及びスクラバ105の1つの可能な配置を表すにすぎない。前処理システム100の一部として多種多様な他のバーナ及びスクラバを利用することができ、バーナ104及びスクラバ105の構造、配置、及び操作は、上流ファブ10のツール及び製造操作から排出されたガスの処理を行うために広く変更することができることが理解されよう。スクラバの他の設計を使用することができる。
【0066】
別のスクラバユニットは、吸収塔のシェル側に供給される冷水を有する流下液膜式酸吸収塔を含む。このようなスクラバユニットを用いて、前処理ユニット、クエンチャー、及びスクラバユニットからの液体は、スクラバ塔の底部上の共通のリザーバに排出するように導かれ得る。このようにして、流出ガス処理システムからの使用された液体流は統合され、このようなリザーバは、その重力供給操作のために配置されてもよい。
【0067】
あるいは、流出ガス処理システムの構成プロセスユニットからの洗浄液及び他の液体流は、遠心ポンプ、蠕動ポンプ、空気駆動ポンプ、水供給エダクター、又は他の適切な液体駆動ドライバ手段などの適切なポンプ手段によって、加圧されるか、又はシステムから排出されてもよい。
【0068】
前処理システムの一部としてのPSAは、当該技術分野で知られているようなTSAで置き換えることができ、それによって、TSAは、CO2及びH2O並びに下流の希ガス回収を妨害する可能性がある微量汚染物質を除去する目的で、アルミナ、モレキュラーシーブ、炭素又はそれらの組合せの吸着剤層を有することを理解されたい。他の適切な吸着システムも考えられる。
【0069】
更に、本発明を窒素系排気流に関して説明してきたが、窒素以外の他の不活性系排気流も考えられる。例えば、アルゴン系排気流を利用することができる。
【0070】
本発明の特定の実施形態と見なされるものを示し、説明してきたが、当然ながら、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態又は詳細の様々な修正及び変更を容易に行うことができることが理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書において示され、説明される正確な形態及び詳細に限定されず、本明細書において開示され、以下に特許請求される本発明の全範囲に満たないいかなるものにも限定されないことを意図する。
【国際調査報告】