(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】可逆的に保護された着色剤及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C09B 67/08 20060101AFI20240514BHJP
B01J 13/22 20060101ALI20240514BHJP
C09B 11/08 20060101ALI20240514BHJP
C09B 11/20 20060101ALI20240514BHJP
A61L 2/28 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C09B67/08 A
B01J13/22
C09B11/08
C09B11/20
A61L2/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565620
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 US2022026302
(87)【国際公開番号】W WO2022232113
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523402903
【氏名又は名称】キノス インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ン、カラ
(72)【発明者】
【氏名】ジュロウ、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】オリバー、パウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、ドロシー
【テーマコード(参考)】
4C058
4G005
【Fターム(参考)】
4C058AA01
4C058BB07
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4G005AA01
4G005DB06Z
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4G005EA06
4G005EA08
(57)【要約】
本発明は、消毒剤溶液と混合されたときに消毒剤溶液に色を付与して消毒剤の一時的な可視化を可能にする可逆的に保護された着色剤又はその組成物、並びに表面、物体の消毒、除染、及び/又は洗浄に使用するための方法を提供する。可逆的に保護された着色剤又はその組成物は、消毒剤溶液又は消毒剤物品(例えば、消毒剤ワイプ、マイクロファイバー、ラグ、タオル、布、スパン織ワイプ、不織ワイプなど)に添加され、可逆的に保護された着色剤又はその組成物は、そのような保護が除去され、それによって着色剤を放出し、着色剤を永続的にその色を失わせる薬剤及び/又は酸化条件に着色剤を曝露するまで消毒剤溶液に色を付与し、着色された消毒剤溶液をもたらす。本発明はまた、表面消毒を視覚的に示すために着色された消毒剤溶液を使用する方法及び表面消毒を視覚的に示す方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒剤溶液と混合されると、消毒剤の一時的な可視化を可能にする色を前記消毒剤溶液に付与する可逆的に保護された着色剤であって、前記着色剤が、アントシアニン染料、アントラキノン染料、アゾ染料、アズレン染料、シアニン染料、ジオキサジン染料、キサンテン染料、インドール染料、インドフェノール染料、インジゴイド染料、ナフトール染料、ナフトキサジン染料、オキソインドリン染料、フェノキサジン染料、フタレイン染料、フタロシアニン染料、ニトロスルホナート染料、ピレン染料、チアジン染料、チオフェン染料、トリアリールメタン染料、キノリン染料及びそれらの誘導体、レーキ又はそれらの混合物から選択される、可逆的に保護された着色剤。
【請求項2】
前記着色剤が、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている、請求項1に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項3】
前記着色剤が、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている、請求項2に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項4】
前記着色剤がハロゲン化されている、請求項2に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項5】
前記着色剤が、完全に若しくは部分的に封入され、完全に若しくは部分的に被覆され、完全に若しくは部分的に遮蔽され、又は構造的に修飾されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項6】
前記着色剤が、完全に又は部分的に封入されている、請求項5に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項7】
前記着色剤が、1つ又は複数のポリマー、高分子電解質、樹脂、動物性タンパク質、植物性タンパク質、無機シェル、又はそれらの任意の組み合わせに封入されている、請求項6に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項8】
前記1つ又は複数のポリマーが、ポリ(ビニルアルコール)又は架橋ポリマーから選択される、請求項7に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項9】
前記1つ又は複数の高分子電解質が、ポリ(アクリル酸)又はポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)から選択される、請求項7に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項10】
前記1つ又は複数の樹脂が、メラミン、尿素ホルムアルデヒド、又はポリウレタンから選択される、請求項7に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項11】
前記1つ又は複数の動物性タンパク質が、ホエイ、ゼラチン、アルブミン、又はシルクフィブロインから選択される、請求項7に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項12】
前記1つ又は複数の植物性タンパク質が、キトサン、アルギナート、アラビアガム、ペクチン、カラギーナン、セルロース、寒天、ワックス、又はシランカップリング剤から選択される、請求項7に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項13】
前記1つ又は複数の無機シェルが、雲母、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカートから選択される、請求項7に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項14】
前記着色剤が、完全に被覆されているか、又は部分的に被覆されている、請求項5に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項15】
前記被覆が、ワックス、糖、ポリマー、脂質、並びに金属、半金属、非金属、及び金属酸化物などの無機シェルから選択される、請求項14に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項16】
前記着色剤が、構造的に修飾されている、請求項5に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項17】
前記構造的修飾が、固有の若しくは外因性スペーサ又は立体保護から選択される、請求項16に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項18】
前記着色剤が、完全に又は部分的に遮蔽されている、請求項5に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項19】
遮蔽が、離散ミセル、又は凝集若しくは集合を誘導するための溶媒/溶媒和の改変から選択される、請求項18に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項20】
前記可逆的に保護された着色剤が、いかなる界面活性剤、ハイドロトロープ、増粘剤又はアルカリ性ビルダーも含まない、請求項1から19のいずれか一項に記載の可逆的に保護された着色剤。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載の可逆的に保護された着色剤を含む、組成物。
【請求項22】
前記組成物が、固体又は液体組成物である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
可逆的に保護された着色剤及び消毒剤溶液を含む着色された消毒剤組成物であって、前記可逆的に保護された着色剤が、前記組成物を着色するのに十分であり、消毒剤の一時的な可視化を可能にする、着色された消毒剤組成物。
【請求項24】
退色剤を更に含む、請求項23に記載の着色された消毒剤組成物。
【請求項25】
前記退色剤が、可逆的に保護された退色剤である、請求項24に記載の着色された消毒剤組成物。
【請求項26】
可逆的に保護された退色剤、着色剤及び消毒剤溶液を含む着色された消毒剤組成物であって、前記着色剤が、前記組成物を着色するのに十分であり、消毒剤の一時的な可視化を可能にする、着色された消毒剤組成物。
【請求項27】
前記可逆的に保護する着色剤が、請求項1から20のいずれか一項に記載の可逆的に保護する着色剤又はその組成物である、請求項23から26のいずれか一項に記載の着色された消毒剤組成物。
【請求項28】
前記着色された消毒剤組成物が消毒剤溶液である、請求項23から27のいずれか一項に記載の着色された消毒剤組成物。
【請求項29】
前記着色された消毒剤組成物が消毒剤物品である、請求項23又は27のいずれか一項に記載の着色された消毒剤組成物。
【請求項30】
着色された消毒剤溶液用キットであって、
(i)可逆的に保護された着色剤を含む1つ又は複数の容器と、
(ii)場合により、退色剤を含む1つ又は複数の容器と、
(iii)前記可逆的に保護された着色剤を消毒剤溶液と、単独で、又は前記退色剤と組み合わせて組み合わせるための説明書と、を含み、前記可逆的に保護された着色剤は、組み合わされると、前記消毒剤溶液を着色するのに十分である、前記のキット。
【請求項31】
前記退色が、可逆的に保護された退色剤である、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
構成要素が、使用直前に組み合わされるように適合されている、請求項30又は31に記載のキット。
【請求項33】
前記可逆的に保護された着色剤が、消毒剤溶液の製造時点で前記消毒剤溶液と組み合わされ、統合された包装内に保存されるように適合されている、請求項30又は31に記載のキット。
【請求項34】
前記可逆的に保護する着色剤が、請求項1から20のいずれか一項に記載の可逆的に保護する着色剤又はその組成物である、請求項30から33のいずれか一項に記載のキット。
【請求項35】
表面又は物体を消毒するための方法であって、
a)消毒剤溶液と、
b)(i)可逆的に保護された着色剤、(ii)着色剤及び可逆的に保護された退色剤、又は(iii)可逆的に保護された着色剤及び可逆的に保護された退色剤を含む組成物と、
を用意することと、
c)ある量のb)(i)、b)(ii)、又はb)(iii)と前記消毒剤溶液とを組み合わせることであって、前記組成物が前記消毒剤溶液を着色するのに十分である、組み合わせることと、
d)前記着色された消毒剤溶液を前記表面又は物体に適用することとを含み、
適用時に、前記消毒剤溶液の色は、前記着色された消毒剤溶液が前記表面又は物体に適用された場所又は適用されなかった場所を明確に示し、着色された消毒剤溶液は、保護された種を前記保護から解放する化学的及び/又は機械的作用を受け、前記消毒剤溶液の前記色が一定期間内に退色して透明になる、前記の方法。
【請求項36】
構成要素が使用直前に組み合わされる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
構成要素が、消毒される表面又は物体に適用されると組み合わされる、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
表面又は物体を消毒するための方法であって、消毒剤及び可逆的に保護された着色剤を含む消毒剤溶液を前記表面又は物体に適用することを含み、前記可逆的に保護された着色剤は、前記消毒剤溶液を着色するのに十分であり、適用時に、前記消毒剤溶液の色は、スプレー又はフィルムが前記表面又は物体に適用された場所又は適用されなかった場所を明確に示し、消毒剤溶液は、前記着色剤を前記保護から解放する化学的及び/又は機械的作用を受け、前記消毒剤溶液の前記色が一定期間内に退色して透明になる、前記の方法。
【請求項39】
前記可逆的に保護する着色剤が、請求項1から20のいずれか一項に記載の可逆的に保護する着色剤又はその組成物である、請求項35から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
表面又は物体を消毒するための方法であって、消毒剤、着色剤及び可逆的に保護された退色剤を含む消毒剤溶液を前記表面又は物体に適用することを含み、前記着色剤は、前記消毒剤溶液を着色するのに十分であり、適用時に、前記消毒剤溶液の色は、スプレー又はフィルムが前記表面又は物体に適用された場所又は適用されなかった場所を明確に示し、消毒剤溶液は、前記退色剤を前記保護から解放する化学的及び/又は機械的作用を受け、前記消毒剤溶液の前記色が一定期間内に退色して透明になる、前記の方法。
【請求項41】
前記着色された消毒剤溶液が、スプレー又はフィルムとして前記表面に適用される、請求項35から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記着色された消毒剤溶液が、消毒剤物品に適用されるか、又はその形態であり、前記表面又は物体が前記消毒剤物品で拭き取られる、請求項35から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記着色された消毒剤中の前記着色剤の濃度が、0.03mMol~150mMolである、請求項35から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記着色された消毒剤中の前記着色剤の濃度が、0.3mMol~15mMolである、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年4月27日に出願された米国仮特許出願第63/180,262号の利益を主張する。上記出願の全教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
表面消毒は、感染症の予防に不可欠である。表面消毒は、感染の伝播を効果的に排除するための適切な技術及び完全な適用に依存する。
【0003】
表面消毒のための現在の方法は、ヒューマンエラーを起こしやすい。消毒剤及び石鹸の大部分は透明であるか、又はわずかにしか色が付いておらず、ユーザが完全な消毒を確実にするために達成範囲を可視化することを困難にする。更に、現在の消毒剤及び除菌剤では、適用のための適切な時間を確保するためのリアルタイムフィードバックシステムが提供されていないため、多くの場合、最大10分に及ぶ表面消毒剤の接触時間要件の遵守が不十分であり、手指洗浄時間も不十分である(cdc.gov/mmwr/PDF/rr/rr5116.pdf)。
【0004】
その結果、病院表面の適切な清掃率は50%未満であり(doi:10.1086/524329)、病院職員の手指洗浄順守率は平均40%未満である(cdc.gov/mmwr/PDF/rr/rr5116.pdf)。不十分な洗浄及び手指洗浄技術は、深刻な結果をもたらしており、米国だけでも、31人に1人の患者が医療関連感染症(HAI)に罹患し、毎年99,000人を超える患者が死亡し、医療制度への直接費用が450億ドルになっている。したがって、適切な使用を確実にし、感染を低減するために、表面消毒剤及びハンドソープ及び殺菌剤に関する改善された方法及び組成物が必要とされている。
【0005】
市販の製品は、洗浄及び手指洗浄の遵守を改善しようとするが、ヒューマンエラーという中心的な問題に完全には対処していない。例えば、Glo Germ(商標)及び3M Clean Trace(商標)を使用して、洗浄後の見逃したスポット又は残存するバイオバーデンをチェックすることができるが、遡及的介入であり、リアルタイムのフィードバックは得られない。Biovigil又はHygreenからの監視システムは、医療従事者に病室に出入りする際に手を洗浄するように思い出させる物理的装置であるが、実装するのが面倒であり、手指洗浄技術が不十分であるという問題に対処しない可能性がある。
【0006】
添加される溶液に色を付与する染料の添加は、消毒剤の視認性を改善するための潜在的な方法である。例えば、Kitkoによる米国特許第4,308,625号及びKostiによる米国特許第4,229,410号は両方とも、洗浄のたびに便器の水を一時的に着色する目的で、殺菌剤と組み合わせて染料を使用することを教示している。Caseyによる米国特許第5,110,492号及び米国特許出願公開第2014/0057987号は両方とも、気密容器から供給されることに反応して色が変化するpH染料と洗浄液との組み合わせを開示している。Kangによる米国特許第10,052,398号は、消毒剤を着色し、酸化剤(例えば、次亜塩素酸ナトリウム)との反応において経時的に退色して透明になる酸化可能な染料の添加を教示している。
【0007】
変色性ハンドソープ及び殺菌剤の組成のための方法は、以前に開示されている。化学反応によって色が変化又は退色する着色剤を含むクレンジング組成物がよく記載されている。MacDonaldによる米国特許第7,858,568号は、単相で安定であり、手指の洗浄の完全性を示すために観察可能な色変化を生じる色変化組成物を記載している。この特許は、還元剤と反応するか、又は触媒によって生じるpH変化から反応する酸化還元染料又はpH感受性染料を組み込んだ液体洗浄製剤を開示している。Sabnisによる米国特許出願公開第2006/0257439号、Radfordによる米国特許出願公開第2008/0223413号、及びBoykeによる米国特許第8,236,744号は全て、手指洗浄時に色変化を生じるpH感受性指示薬染料を含む石鹸及びクレンジング組成物を記載している。pH感受性指示薬で観察される色の変化は可逆的であり、これらの解決策は記載された問題には不十分である。
【0008】
着色剤を封入する方法も開示されており、一般に、表面に永久に色をもたらすことを意図している。Bretonによる米国特許第5,484,475号は、エトキシル化アルコールを含むミセルを用いてインク組成物を調製する方法を教示している。Vincentによる米国特許第6,841,591号は、透明ポリマーマトリックスで染料を安定化して、封入された粒子を形成し、親水性ビヒクル中で疎水性着色剤の使用を可能にする方法を記載している。Songによる米国特許第9,555,147号は、水に不溶性であるが有機溶媒に可溶性である封入マトリックスを介して無色から着色に変化し得るインクを記載している。Odomによる米国特許第8,846,404号及びBodayによる米国特許第9,245,202号は両方とも、カプセルの破裂が色の変化を誘発する反応を可能にする機械的損傷の視覚的指標を教示している。マイクロカプセル内に含まれる着色剤の他の例は、Zhuによる米国特許第9,675,533号及びKvitnitskyによる欧州特許第2293761号により教示されている。
【0009】
機械的な力又は温度変化によって色が変化又は退色する着色剤を含む組成物も開示されている。Wenzelによる米国特許第8,067,350号及びMcDonaldによる米国特許出願公開第2006/60287215号は両方とも、手指洗浄中の摩擦又は温水からの温度変化に応答して色が変化する単一又は複数の熱変色性染料を用いて調製された洗浄組成物を記載している。Newkirkによる米国特許出願公開第2006/0040835号は、剪断力に応答して色を変化させる界面活性剤溶液に懸濁された着色剤粒子を組み込むクレンジング組成物を開示している。Lachmannによる米国特許第8,680,032号は、マイクロカプセル化着色剤顆粒を記載しており、この顆粒では、手で擦る間に、シェルカプセル化が着色剤を分解及び放出して、泡の色変化を誘発する。これらの技術では、残留着色剤はその色を失わないが、残留染料の局所環境から、一般に流水によって物理的に除去されなければならない。
【発明の概要】
【0010】
したがって、表面消毒を改善するための組成物及び方法が必要とされている。更に、適切な摩擦及び十分な経過時間のリアルタイム指標が依然として必要とされている。従来の変色技術は、手指洗浄プロセス中に石鹸の泡に色を付与するように設計されているが、この目に見える色は水ですすぎ落とされなければならず、すすぎ不要の除菌剤又はローションには使用できない。現在、使用中に目に見える色を提供するが、水によるすすぎを必要とせずに効果的かつ永続的に色あせてしまう、クレンジング又は表面消毒に使用することができる着色剤が必要とされている。
【0011】
特許又は出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴うこの特許又は特許出願公開の写しは、請求及び必要な料金の支払いに応じて特許庁によって提供される。
【0012】
本発明の前述及び他の目的、特徴及び利点は、添付の図面に示されているように、本発明の好ましい実施形態の以下のより詳細な説明から明らかになり、添付の図面では、異なる図を通して、同様の参照符号は同じ部分を指す。図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、着色剤を充填したゼラチン-キトサンマイクロカプセルを示す図である。具体的には、ゼラチンB(3.09g)及びキトサン(0.02g)を1重量%酢酸に溶解した。チモールフタレイン(0.2gm)をTween80(5gm)に分散した後、50℃で30分間撹拌しながらキトサン(20mL)に混合した。その後、ゼラチン溶液(20mL)をシリンジを用いて1mL/分で染料キトサン混合物に添加し、30分間撹拌した。得られたコロイドのpHを、1M NaOHをゆっくり滴下することによって5.50に調整し、4時間撹拌してコアセルベーションを誘導した。液体コアセルベートを徐々に室温に冷却し、次いで、氷浴中で一定に撹拌しながら1時間インキュベートした。ホルムアルデヒド(2.5容積%)を混合物に滴下し、30分間撹拌して架橋を誘導した。粗コアセルベート混合物を洗浄し、エタノールで3回及び冷水で1回遠心分離(1000rpm、5分、10 10℃)した。洗浄したマイクロカプセルを一晩凍結乾燥した。
【
図2】
図2は、KOHの添加前後の水中での封入された着色剤のサンプル及びその天然状態の同じ着色剤のサンプルを示す図である。具体的には、500μLの40mM KOH(最終pH=11.2)を添加する前(左)及び1時間後(右)の5mL脱イオン水中の封入されていない及び封入されたチモールフタレイン(25mg)。
【
図3】
図3は、合成及び精製後の着色剤のマイクロカプセルを示す図である。具体的には、脱イオン水(100mL)に、機械的撹拌下、85℃で3時間、ポリビニルアルコール(PVA、30~70KMW)を滴下し、5%PVA溶液を調製した。モノマー溶液は、過酸化ベンゾイル(0.5重量%、0.141g)を30mLのメタクリル酸メチルに溶解することによって調製し、染料-モノマー溶液は、機械的撹拌下で3mLのローダミンBストック(エタノール中50mM)を添加することによって調製した。室温に冷却した後、PVA溶液を700RPMで撹拌し、染料-モノマー混合物をPVAに10分かけて滴下し、混合物を機械的撹拌下で70℃に3時間加熱した。その後、混合物を室温に冷却した。粗混合物を洗浄し、冷蒸留水で遠心分離(1000rpm、3分)した。洗浄したマイクロカプセルを冷蔵した。マイクロカプセルのサイズ範囲は、0.2~1.0μmである。
【
図4A】
図4Aは、封入された着色剤、例えば、メタクリル酸メチルで封入されたローダミンBの光吸収の減少、並びに機械的ストレス及びその後の退色剤への曝露に対するその応答を示す。表面に堆積及び乾燥させたローダミンのマイクロカプセルを示す図である。
【
図4B】
図4Bは、封入された着色剤、例えば、メタクリル酸メチルで封入されたローダミンBの光吸収の減少、並びに機械的ストレス及びその後の退色剤への曝露に対するその応答を示す。マイクロカプセルを表面上に堆積し、擦った後のマイクロカプセルを示す図である。
【
図4C】
図4Cは、封入された着色剤、例えば、メタクリル酸メチルで封入されたローダミンBの光吸収の減少、並びに機械的ストレス及びその後の退色剤への曝露に対するその応答を示す。ローダミンのマイクロカプセルを表面上に堆積し、退色剤の存在下で擦った後のローダミンのマイクロカプセルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、可逆的に保護された種を提供する。可逆的に保護された種は、本明細書に記載の可逆的に保護された着色剤及び/又は可逆的に保護された退色剤である。本発明はまた、組成物を提供する。組成物は、可逆的に保護された着色剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、可逆的に保護された着色剤は、界面活性剤、ハイドロトロープ、増粘剤又はアルカリ性ビルダーを含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、可逆的に保護された着色剤からなる。
【0015】
いくつかの実施形態では、本発明は、可逆的に保護された退色剤を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、可逆的に保護された退色剤は、界面活性剤、ハイドロトロープ、増粘剤及び/又はアルカリ性ビルダーを含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、可逆的に保護された退色剤からなる。
【0016】
本発明は、可逆的に保護された着色剤及びその組成物、並びに表面、物体の消毒、除染、及び/又は洗浄に使用するための方法を提供する。可逆的に保護された着色剤又はその組成物は、消毒剤溶液又は消毒剤物品(例えば、消毒剤ワイプ、マイクロファイバー、ラグ、タオル、布、スパン織ワイプ、不織ワイプなど)に添加され、可逆的に保護された着色剤又はその組成物は、そのような保護が除去され、それによって着色剤を放出し、着色剤を永続的にその色を失わせる薬剤又は酸化条件に着色剤を曝露するまで消毒剤溶液に色を付与し、着色された消毒剤溶液をもたらす。本発明はまた、表面消毒を視覚的に示すために着色された消毒剤溶液を使用する方法及び表面消毒を視覚的に示す方法を提供する。
【0017】
本発明の可逆的に保護された着色剤又はその組成物は、固体形態であってもよい。特定の実施形態では、本発明の組成物は、制御された(例えば、より遅い)速度での溶解を容易にし、輸送、貯蔵、及び/又は実施をより容易にするか、又は特定の用途に適したものにするために、丸薬又は錠剤に圧縮されてもよい。
【0018】
本発明の可逆的に保護された着色剤又はその組成物は、消毒剤に添加することができる水性組成物であってもよい。
【0019】
可逆的に保護された着色剤又はその組成物は、完全かつ正確な適用を確実にすることによって、漂白剤、塩素及び塩素化合物、第四級アンモニウム化合物、アルコール、過酸化水素、加速化過酸化水素、酸、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ヨードフォア、オルトフタルアルデヒド、過酢酸、フェノール類、又は消毒剤の組み合わせを含むがこれらに限定されない従来の消毒剤の適用性を高めるために使用される。可逆的に保護された着色剤又はその組成物は、現場で容易に利用可能であり、医療、歯科、運送、輸送、食品サービス、工業、実験室、商業、消費者、ホスピタリティ、エンターテインメント、不動産などを含むがこれらに限定されない様々な使用事例及び産業のために、使用時点又は製造時点で消毒剤に添加することができる。
【0020】
本発明は、主に表面消毒における使用を意図する。いくつかの実施形態では、着色された消毒剤溶液は、本明細書で定義される可逆的に保護された着色剤及び消毒剤溶液を含む。他の実施形態では、着色された消毒剤溶液は、本明細書で定義される退色剤を更に含む。いくつかの実施形態では、退色剤は、可逆的に保護された退色剤である。
【0021】
可逆的に保護された着色剤は、消毒剤溶液又は消毒剤物品と組み合わせて使用前に保存することができる。いくつかの実施形態では、可逆的に保護された着色剤は、固体組成物であり、水溶液、例えば水で希釈することができる。いくつかの実施形態では、水溶液は消毒剤溶液である。いくつかの実施形態では、可逆的に保護された着色剤及び消毒剤の両方が固体組成物であり、溶媒、多くの場合水で希釈し、一緒に混合することができる。いくつかの実施形態では、着色剤は、固体又は液体組成物であり、水、アルコール及び他の溶液を含むがこれらに限定されない溶媒で希釈することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、可逆的に保護された着色剤は、使用直前に消毒剤溶液と混合することができる。本明細書で使用される場合、「使用直前」は、消毒される表面又は物体への適用の1秒~数時間前の期間を指す。いくつかの実施形態では、可逆的に保護された着色剤は、使用時に、例えば、消毒される表面又は物体に適用されると、消毒剤と組み合わされる。
【0023】
いくつかの実施形態では、消毒剤は消毒剤物品であり、可逆的に保護された着色剤は、ワイプを使用して表面又は物体を洗浄する前にワイプに適用される。消毒剤物品は、ワイプ、マイクロファイバー、ラグ、タオル、布、スパン織ワイプ、不織ワイプを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、退色剤も消毒剤物品に適用される。いくつかの実施形態では、退色剤は、可逆的に保護された退色剤である。
【0024】
いくつかの実施形態では、消毒剤及び可逆的に保護された着色剤は、ワイプを使用して表面又は物体を洗浄する前にワイプに適用される。
【0025】
本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、着色された消毒剤溶液は、スプレー又はフィルムとして消毒される表面又は物体に適用することができる。
【0026】
一実施形態では、可逆的に保護された着色剤は、消毒剤を含む溶液中で安定であり、消毒剤溶液を着色するのに十分である。消毒される表面又は物体に適用されると、消毒剤溶液の色は、消毒剤溶液が適用された場所又は適用されなかった場所を明確に示す。可逆的に保護された着色剤は、着色された消毒剤溶液に対する化学的又は機械的作用への曝露後に着色剤をその保護から解放するように構成される。例えば、機械的作用(例えば、着色された消毒剤溶液で表面又は物体を拭き取るか、又は擦ること)を適用すると、着色剤の曝露を可能にする付与された保護が減少し、一定時間後に表面又は物体から色が除去される。
【0027】
いくつかの実施形態では、擦ることなどの機械的作用は、着色された消毒剤溶液を拡散し、表面又は物体上での溶液の機械的撹拌から生じる剪断力として着色剤の保護からの解放を促進し、保護を除去するか、又は着色剤を保護から解放することができ、あるいは着色剤粒子の十分な摩耗を引き起こし、その結果、着色剤を露出させ、消毒剤溶液の色を一定時間にわたって退色させて透明にすることができる。保護が除去され着色剤が放出されると、着色剤は消毒剤溶液に曝露され、それ自体が着色剤をその色を失わせる可能性があり、又は着色剤は空気、光、溶媒、酸化剤、触媒又はpH条件に曝露するなど、外的要因に曝露される。いくつかの実施形態では、保護が除去され着色剤が放出されると、色が消毒剤溶液に曝露され、それ自体が着色剤の色を失わせる可能性がある。消毒剤溶液によるこの色の消失は、ユーザに観察可能である。いくつかの実施形態では、色は、永久に退色して透明になる前に、異なる色又は一連の色に変化してもよい。
【0028】
一実施形態では、可逆的に保護された着色剤及び退色剤が、消毒剤を含む溶液に添加され、この溶液中で安定であり、可逆的に保護された着色剤は消毒剤溶液を着色するのに十分である。可逆的に保護された着色剤は、消毒溶液に対する化学的又は機械的作用への曝露後に着色剤をその保護から解放するように構成される。例えば、機械的作用の適用により、着色剤の放出に付与された保護が減少し、着色剤が退色剤に曝露され、退色剤が着色剤を分解し、消毒剤溶液の色を一定時間後に退色させる。
【0029】
別の実施形態では、可逆的に保護された着色剤及び可逆的に保護された退色剤が消毒剤を含む溶液に添加され、この溶液中で安定であり、可逆的に保護された着色剤は消毒剤溶液を着色するのに十分である。可逆的に保護された着色剤及び可逆的に保護された退色剤は、着色された消毒溶液に対する化学的又は機械的作用への曝露後に着色剤及び退色剤をその保護から解放するように構成される。例えば、機械的作用の適用により、着色剤及び退色剤の両方の放出に付与された保護が減少し、着色剤が退色剤に曝露され、退色剤が着色剤を分解し、消毒剤溶液の色を一定時間後に退色させる。
【0030】
別の実施形態では、可逆的に保護された退色剤及び着色剤は消毒剤を含む溶液に添加され、この溶液中で安定であり、着色剤は消毒剤溶液に色を付与する。可逆的に保護された退色剤は、着色された消毒溶液に対する化学的又は機械的作用への曝露後に退色剤をその保護から解放するように構成される。例えば、機械的作用の適用により、退色剤に付与された保護が減少し、退色剤が溶液中に放出される。消毒剤溶液は一定時間着色されたままであり、退色剤が着色剤を分解して消毒剤溶液の色を退色させる前に、ユーザが表面被覆を可視化することを可能にする。
【0031】
一実施形態では、可逆的に保護された着色剤が、消毒剤を含む溶液に添加され、その溶液中で安定であり、消毒剤溶液は着色されないままである。可逆的に保護された着色剤は、消毒溶液に対する化学的又は機械的作用への曝露後に着色剤をその保護から解放するように構成される。例えば、機械的作用の適用により、着色剤の放出に付与された保護が減少し、着色剤が放出され、消毒剤溶液に色を付与し、消毒剤溶液の色は一定期間後に消える。
【0032】
一実施形態では、可逆的に保護された着色剤及び退色剤が、消毒剤を含む溶液に添加され、その溶液中で安定であり、消毒剤溶液は着色されないままである。可逆的に保護された着色剤は、消毒溶液に対する化学的又は機械的作用への曝露後に着色剤をその保護から解放するように構成される。例えば、機械的作用の適用により、着色剤の放出に付与された保護が減少し、着色剤が放出され、消毒剤溶液に色を付与し、着色剤が退色剤に曝露され、退色剤が着色剤を分解し、消毒剤溶液の色を一定時間後に退色させる。
【0033】
別の実施形態では、可逆的に保護された着色剤及び可逆的に保護された退色剤が、消毒剤を含む溶液に添加され、その溶液中で安定であり、消毒剤溶液は着色されないままである。可逆的に保護された着色剤及び可逆的に保護された退色剤は、着色された消毒溶液に対する化学的又は機械的作用への曝露後に着色剤及び退色剤をその保護から解放するように構成される。例えば、機械的作用の適用により、着色剤及び退色剤の両方の放出に付与された保護が減少し、消毒剤溶液に色を付与し、着色剤が退色剤に曝露され、退色剤が着色剤を分解し、消毒剤溶液の色を一定時間後に退色させる。
【0034】
本明細書で使用される場合、保護を除去するための「機械的作用」という用語は、拭き取り、擦り、研削、又は振盪など、保護材料又は構造的修飾によって付与された保護を除去するための力を加える任意の方法を指し、保護から解放するために保護された種から保護を除去する。例えば、着色剤の保護からの解放は、退色剤及び/又は着色剤が一定時間にわたってその色を永久的に失う状態に着色剤が曝露される。
【0035】
本明細書で使用される場合、保護を除去するための「化学的作用」は、保護を分解又は破壊し、それによって可逆的に保護された着色剤又は可逆的に保護された退色剤(存在する場合)、又はその両方を消毒剤溶液に放出するための反応剤の使用を指す。反応剤は、溶媒和、酵素切断、空気への曝露、放射線(光又は熱を含む)への曝露、磁場との相互作用、電場との相互作用、消毒剤溶液自体との相互作用、又は溶液のpH若しくは温度の変化、及びそれらの任意の組み合わせによって活性化され、数秒から数時間の期間にわたって保護を分解又は破壊することができる。いくつかの実施形態では、反応剤は消毒剤溶液中で安定であり、保護剤を分解又は破裂して、活性化時に、以前に可逆的に保護された種を露出させる。
【0036】
他の実施形態では、反応剤は、コアシェル粒子などの送達及び放出系として安定化される。例えば、コアは、相変化材料を使用して保護シェルから分離された反応剤を含むことができ、相変化材料は、特定の化学的条件に達すると変化して反応剤をコアから放出し、保護の内外分解を促進する。いくつかの実施形態では、可逆的に保護された着色剤が反応剤と共にコアに含まれる。
【0037】
いくつかの実施形態では、着色剤を消毒剤溶液に曝露すると、色が失われる。いくつかの実施形態では、着色剤の保護からの解放は、着色剤を空気、光、又はpHの変化などの外部条件に曝露し、着色剤の色を失わせる。いくつかの実施形態では、着色剤を退色剤に曝露すると、色が失われる。いくつかの実施形態では、着色剤は、酸化により色を失う。
【0038】
本発明の目的のために、その光学特性(すなわち、色)を除去するための着色剤の酸化は不可逆的である。言い換えれば、着色された消毒剤溶液が表面又は物体に適用され、着色された消毒剤溶液が一定時間にわたってその色を失った後、表面又は物体上/周囲の条件を変更することによって着色剤の色を再構成することはできない。色を永久に除去することで、表面又は物体の汚染が防止される。
【0039】
更に、着色された消毒剤溶液からの色の除去は、例えば手指洗浄又は衣類を洗うための洗濯洗剤の使用中に起こるような、大量の水で消毒剤溶液を洗い流すことによるものではない。
【0040】
本明細書に記載の可逆的に保護された着色剤及びその組成物は、水性消毒剤溶液と混合されると、消毒剤溶液を着色して着色された消毒剤溶液をもたらすのに十分である。可逆的に保護された着色剤及びその組成物は、着色された消毒剤溶液に一定時間にわたって色の持続時間を与えて、主要な退色を達成するように適合される。本明細書で使用される場合、「一定期間」は、着色剤溶液を表面又は物体に適用し、保護剤を除去した後、約30秒~約30分の範囲の任意の適切な期間であってもよい。いくつかの実施形態では、期間は、30秒~30分、好ましくは約30秒~3分、30秒~5分、5分~10分、又は10分~15分から選択される。いくつかの実施形態では、期間は、60秒~30分、好ましくは約60秒~3分、又は60秒~5分から選択される。いくつかの実施形態では、期間は、約30秒、又は約1、2、3、5、8、10、12、15、若しくは30分である。いくつかの実施形態では、期間は、表面を完全に覆い、表面を消毒するのに必要な時間である。色の持続時間の実際の時間は、染料安定剤又は不安定剤を組成物に添加することによって調整することができる。
【0041】
このようにして、本発明は、消毒剤が適用された表面又は物体を永久的に汚染又は着色することなく、消毒剤が適用された場所をユーザが明確に見ることを可能にする。
【0042】
本明細書で使用される場合、「消毒剤」は、一般に、消毒剤が石鹸、例えばハンド若しくはボディソープ、又は洗濯洗剤でない限り、病原体を破壊するか、不活性化するか、又は病原体の濃度を有意に減少させる任意の固体又は液体薬剤を指す。そのような病原体としては、細菌、真菌、又はウイルスが挙げられる。
【0043】
いくつかの実施形態では、消毒剤としては、塩素及び塩素系化合物、アルコール、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、過酸化化合物、ヨードフォア、過酢酸、フェノール、アンモニア化合物、第四級アンモニウム化合物、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、消毒剤は、硬質表面を消毒するために使用される液体(例えば、水溶液)、例えば塩素及び塩素系化合物、アルコール、過酸化化合物、過酢酸、第四級アンモニウム化合物、及びそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、消毒剤は、第四級アンモニウム塩、漂白剤、アルコール、過酸化物、酸化剤、天然剤、石鹸及び界面活性剤から選択される。いくつかの実施形態では、消毒としては、次亜塩素酸塩ベースの消毒剤、次亜塩素酸ベースの消毒剤、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムなどのジクロロイソシアヌル酸塩ベースの消毒剤、第四級アンモニウムベースの消毒剤、第四級アンモニウム/アルコールベースの消毒剤、アルコールベースの消毒剤、酸/アルカリベースの消毒剤、重金属ベースの消毒剤、アルデヒドベースの消毒剤、過酸化物ベースの消毒剤、例えば過酸化水素ベースの消毒剤、又は過酢酸ベースの消毒剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
いくつかの実施態様では、消毒剤組成物は、次亜塩素酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム、次亜塩素酸、過酸化水素、エチルアルコール、第四級アンモニウム化合物、第四級アンモニウム化合物の混合物、第四級アンモニウム化合物とアルコールとの混合物、アルコール、過酢酸、加速化過酸化水素、二酸化塩素、次亜塩素酸カルシウム、グルコン酸クロルヘキシジン、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、フェノール、クエン酸などの酸、並びに植物油及び/又は精油、例えばチモールから選択されるがこれらに限定されない消毒剤を含む水溶液である。いくつかの実施態様では、消毒剤組成物は、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド及びオルトフタルアルデヒド)、過酸化水素-過酢酸の組み合わせ、ヨードフォア、及びフェノール又はフェノール類を含み得る。
【0045】
いくつかの実施態様では、消毒剤組成物は、次亜塩素酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム、次亜塩素酸、過酸化水素、エチルアルコール、第四級アンモニウム化合物、第四級アンモニウム化合物の混合物、第四級アンモニウム化合物とアルコールとの混合物、アルコール、過酢酸、加速化過酸化水素、二酸化塩素、次亜塩素酸カルシウム、グルコン酸クロルヘキシジン、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド及びフェノールから選択される消毒剤を含む水溶液である。いくつかの実施態様では、消毒剤組成物は、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド及びオルトフタルアルデヒド)、過酸化水素-過酢酸の組み合わせ、ヨードフォア、及びフェノール又はフェノール類を含み得る。本明細書に記載の組成物に適合する典型的な消毒剤溶液としては、一般的な消毒剤の水溶液、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、過酸化水素、二酸化塩素、過酢酸、第四級塩化アンモニウム、及びアルコールが挙げられる。
【0046】
本明細書で定義される「退色剤」は、着色剤と組み合わされると、着色剤を着色から無色に永久的に変化させる任意の化学剤又は状態を指す。退色剤としては、pH調整剤(例えば、酸又は塩基)、酸化剤、熱ラジカル開始剤、UVラジカル指示薬、光、漂白剤、過酸化物、溶媒、超分子会合又は凝集を促進又は分解する化合物、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
いくつかの実施形態では、退色剤は、水溶性酸化剤である。いくつかの実施形態では、水溶性酸化剤としては、酸、有機過酸化物、無機過酸化物、過硫酸塩化合物、次亜塩素酸塩化合物、亜塩素酸塩化合物、塩素酸塩化合物、過塩素酸塩化合物、ヨウ素酸塩化合物、二クロム酸塩化合物、二酸化鉛及び過マンガン酸塩化合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、酸としては、硝酸、硫酸、ペルオキソ二硫酸、ペルオキシ一硫酸及びリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、酸化剤は、ペルオキシ、クロロペルオキシ、ヒドロキシ、過塩素酸塩、塩素酸塩又は過硫酸塩ラジカルに分解する化合物である。そのような酸化剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、過酸化ナトリウム、ペルオキシ一硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム及びそれらの類似体又は誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本発明は、機械的又は化学的作用の適用が着色剤をその保護から解放するまで、着色剤の光学特性を維持するために保護される着色剤を提供する。本明細書で定義される「着色剤」という用語は、可視スペクトル(300~700nm)の光吸収を添加された溶液に伝達する任意の染料、発色団、又は顔料を含む。着色剤は、水溶液に可視色を付与する有機化合物であってもよい。着色剤としては、任意の酸性染料、反応性染料、塩基性染料、FD&C染料、溶媒染料、顔料、発色団又は発光発色団を挙げることができる。着色剤としてはまた、例えば、pH、温度、溶媒系、ガスへの曝露、光への曝露に感受性で、いくつかの媒体では300nm~700nmの光吸収を与えるが、他の媒体ではそうではない指示薬を含む有機又は有機金属分子又は化合物を挙げることができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、着色剤は、酸化可能な着色剤である。本明細書で使用される場合、酸化可能な着色剤は、酸化されると色を失う着色剤である。いくつかの実施形態では、酸化による色の損失は永続的である。
【0050】
一実施形態では、着色剤は有機着色剤である。いくつかの実施形態では、有機着色剤としては、天然源又は合成分子に由来する染料が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、天然染料としては、アントシアニン染料、アントラキノン染料、アゾ染料、アズレン染料、シアニン染料、ジオキサジン染料、キサンテン染料、インドール染料、インドフェノール染料、インジゴイド染料、ナフトール染料、ナフトキサジン染料、オキソインドリン染料、フェノキサジン染料、フタレイン染料、フタロシアニン染料、ニトロスルホナート染料、ピレン染料、チアジン染料、チオフェン染料、トリアリールメタン染料、キノリン染料及びそれらの誘導体、レーキ又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
いくつかの実施形態では、着色剤は、アントシアニン染料である。いくつかの実施形態では、アントシアニン染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、アントシアニン染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、アントシアニン染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、アントシアニン染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、アントシアニン染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化アントシアニン染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0052】
いくつかの実施形態では、着色剤は、アントラキノン染料である。いくつかの実施形態では、アントラキノン染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、アントラキノン染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、アントラキノン染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、アントラキノン染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、アントラキノン染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化アントラキノン染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0053】
いくつかの実施形態では、着色剤は、アゾ染料である。いくつかの実施形態では、アゾ染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、アゾ染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、アゾ染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、アゾ染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、アゾ染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化アゾ染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0054】
いくつかの実施形態では、着色剤は、アズレン染料である。いくつかの実施形態では、アズレン染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、アズレン染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、アズレン染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、アズレン染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、アズレン染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化アズレン染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0055】
いくつかの実施形態では、着色剤は、シアニン染料である。いくつかの実施形態では、シアニン染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、シアニン染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、シアニン染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、シアニン染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、シアニン染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化シアニン染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0056】
いくつかの実施形態では、着色剤は、ジオキサジン染料である。いくつかの実施形態では、ジオキサジン染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、ジオキサジン染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、ジオキサジン染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、ジオキサジン染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、ジオキサジン染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化ジオキサジン染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0057】
いくつかの実施形態では、着色剤は、キサンテン染料である。いくつかの実施形態では、キサンテン染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、キサンテン染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、キサンテン染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、キサンテン染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、キサンテン染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化キサンテン染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0058】
いくつかの実施形態では、着色剤は、インドール染料である。いくつかの実施形態では、インドール染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、インドール染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、インドール染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、インドール染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、インドール染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化インドール染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0059】
いくつかの実施形態では、着色剤は、インドフェノール染料である。いくつかの実施形態では、インドフェノール染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、インドフェノール染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、インドフェノール染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、インドフェノール染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、インドフェノール染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化インドフェノール染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0060】
いくつかの実施形態では、着色剤は、インジゴイド染料である。いくつかの実施形態では、インジゴイド染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、インジゴイド染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、インジゴイド染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、インジゴイド染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、インジゴイド染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化インジゴイド染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0061】
いくつかの実施形態では、着色剤は、ナフトール染料である。いくつかの実施形態では、ナフトール染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、ナフトール染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、ナフトール染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、ナフトール染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、ナフトール染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化ナフトール染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0062】
いくつかの実施形態では、着色剤は、ナフトキサジン染料である。いくつかの実施形態では、ナフトキサジン染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、ナフトキサジン染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、ナフトキサジン染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、ナフトキサジン染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、ナフトキサジン染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化ナフトキサジン染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0063】
いくつかの実施形態では、着色剤は、オキソインドリン染料である。いくつかの実施形態では、オキソインドリン染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、オキソインドリン染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、オキソインドリン染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、オキソインドリン染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、オキソインドリン染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化オキソインドリン染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0064】
いくつかの実施形態では、着色剤は、フェノキサジン染料である。いくつかの実施形態では、フェノキサジン染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、フェノキサジン染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、フェノキサジン染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、フェノキサジン染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、フェノキサジン染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化フェノキサジン染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0065】
いくつかの実施形態では、着色剤は、フタレイン染料である。いくつかの実施形態では、フタレイン染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、フタレイン染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、フタレイン染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、フタレイン染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、フタレイン染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化フタレイン染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0066】
いくつかの実施形態では、着色剤は、フタロシアニン染料である。いくつかの実施形態では、フタロシアニン染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、フタロシアニン染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、フタロシアニン染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、フタロシアニン染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、フタロシアニン染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化フタロシアニン染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0067】
いくつかの実施形態では、着色剤は、ニトロスルホナート染料である。いくつかの実施形態では、ニトロスルホナート染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、ニトロスルホナート染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、ニトロスルホナート染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、ニトロスルホナート染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、ニトロスルホナート染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化ニトロスルホナート染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0068】
いくつかの実施形態では、着色剤は、ピレン染料である。いくつかの実施形態では、ピレン染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、ピレン染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、ピレン染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、ピレン染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、ピレン染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化ピレン染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0069】
いくつかの実施形態では、着色剤は、チアジン染料である。いくつかの実施形態では、チアジン染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、チアジン染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、チアジン染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、チアジン染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、チアジン染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化チアジン染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0070】
いくつかの実施形態では、着色剤は、チオフェン染料である。いくつかの実施形態では、チオフェン染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、チオフェン染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、チオフェン染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、チオフェン染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、チオフェン染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化チオフェン染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0071】
いくつかの実施形態では、着色剤は、キノリン染料である。いくつかの実施形態では、キノリン染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、キノリン染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、キノリン染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、キノリン染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、キノリン染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化キノリン染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0072】
いくつかの実施形態では、着色剤は、トリアリールメタン染料である。いくつかの実施形態では、トリアリールメタン染料としては、溶媒染料、反応性染料、塩基性染料、直接染料、媒染性染料、及び酸性染料が挙げられ、これらはカチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性、又は両親媒性、これらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、キノリン染料は、1つ又は複数のハロゲン、スルホナート、スルファート、アミン、アルキル鎖、アルコール、アルコキシラート、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート、又はそれらの組み合わせで官能化されている。いくつかの実施形態では、キノリン染料は、1つ又は複数のハロゲン又はスルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、キノリン染料は、スルホナートで官能化されている。いくつかの実施形態では、トリアリールメタン染料はハロゲン化されている。いくつかの実施形態では、着色剤は、ハロゲン化トリアリールメタン染料であり、この染料は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アスタチン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのハロゲンで官能化されている。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
【0073】
いくつかの実施形態では、着色剤は、モーダントブルー1、ベーシックブルー1、アシッドグリーン9、CIピグメントブルー9、アルカリファストグリーン10GA、エタンアミニウムN-[4-[(2-クロロフェニル)[4-[(2-シアノエチル)エチルアミノ]フェニル]メチレン]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン]-2-シアノ-N-エチル-,クロリド(1:1)、水素[4-[2-クロロフェニル)[4-[エチル(スルホナトベンジル)アミノ]フェニル]メチレン]シクロヘキサ-2,5-ジエン-1-イリデン](エチル)(スルホナトベンジル)アンモニウム、並びにそれらのアルコキシル化、置換、スルホン化及びポリマー誘導体から選択される。
【0074】
「FD&C」及び「D&C」染料という用語は、当技術分野で認識されている。米国では、食品、薬品及び化粧品用の着色剤は「着色添加物」と見なされている。1938年の連邦食品医薬品化粧品(FD&C)法により、食品着色添加物の認証が義務づけられた。それ以来、食品医薬品局(FDA)は、食品、薬品及び化粧品に使用される全ての着色添加物の規制を担当してきた。米国で販売される各バッチは、FDAによって認証されなければならない。食品に使用される着色添加物を他の用途のために製造される着色添加物と混同しないようにするために、認証可能な着色添加物の3つのカテゴリー、1)食品、薬品及び化粧品に適用されるFD&C(食品、薬品及び化粧品)着色添加物、2)薬品及び化粧品に適用されるD&C(薬品&化粧品)着色添加剤、3)外用薬品及び外用化粧品に適用される外部D&C(外部薬品&化粧品)着色添加剤が設けられた。米国での使用が認可された全ての食用着色剤の使用は、21CFR(連邦規則集)、着色添加剤を扱うパート70~82に列挙されている。
【0075】
本組成物において有用な塩基性染料の代表的な例としては、ベーシックブラック2、ベーシックブルー1、ベーシックブルー3、ベーシックブルー6、ベーシックブルー7、ベーシックブルー9、ベーシックブルー11、ベーシックブルー12、ベーシックブルー16、ベーシックブルー17、ベーシックブルー24、ベーシックブルー26、ベーシックブルー41、ベーシックブルー66、ベーシックブルー140、ベーシックブラウン1、ベーシックブラウン4、ベーシックフクシン、ベーシックグリーン1、ベーシックグリーン4、ベーシックグリーン5、ベーシックオレンジ2、ベーシックオレンジ14、ベーシックオレンジ21、ベーシックレッド1、ベーシックレッド2、ベーシックレッド5、ベーシックレッド9、ベーシックレッド29、ベーシックバイオレット1、ベーシックバイオレット2、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット10、ベーシックイエロー1、ベーシックイエロー2、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
本発明の組成物に有用なFD&C染料の代表的な例としては、FD&Cブルー1、FD&Cブルー2、FD&Cグリーン3、FD&Cレッド3、FD&Cレッド40、FD&Cイエロー5、FD&Cイエロー6、ファストエメラルドグリーン、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
本明細書で使用される場合、「可逆的に保護された」という用語は、修飾され、被覆され、封入され、及び/又は他の化合物と組み合わせられて、保護を劣化させる化学的又は機械的作用を適用するまで、着色剤の光学特性を維持するか又は退色剤の活性を制限する複合分子又は材料を作成する任意の着色剤及び/又は退色剤を指す。保護は、着色剤と退色剤との相互作用を媒介して、機械的作用が保護を変更又は除去するまで着色剤の光学特性を維持する。解放されると、着色剤は、消毒剤溶液及び/又は存在する場合は退色剤、及び/又は条件***に曝露され、着色剤から目に見える色が永久に失われる。
【0078】
いくつかの実施形態では、可逆的に保護された種は、完全に若しくは部分的に封入され、完全に若しくは部分的に被覆され、完全に若しくは部分的に遮蔽され、又は構造的に修飾された着色剤又は退色剤である。いくつかの実施形態では、可逆的に保護された着色剤は、完全に若しくは部分的に封入され、完全に若しくは部分的に被覆され、完全に若しくは部分的に遮蔽され、又は構造的に修飾された着色剤である。いくつかの実施形態では、可逆的に保護された退色剤は、完全に若しくは部分的に封入され、完全に若しくは部分的に被覆され、完全に若しくは部分的に遮蔽され、又は構造的に修飾された退色剤である。
【0079】
いくつかの実施形態では、本発明の可逆的に保護された着色剤は、封入された着色剤又はコアシェル構造内の着色剤である。封入された着色剤又はコアシェル構造は、機械的作用が着色剤を露出させるまで、例えば、着色剤を封入又はコアシェル構造から放出することによって、着色剤の光学特性を保護する。
【0080】
保護が封入又は被覆によって付与されるいくつかの実施形態では、これは、ワックス、糖、ポリマー、脂質、並びに金属、半金属、非金属、及び金属酸化物などの無機シェルを含むがこれらに限定されない別個の材料で、着色剤又は退色剤を部分的又は完全に封入又は被覆することによって達成することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、可逆的に保護された着色剤は、封入された着色剤である。いくつかの実施形態では、着色剤は部分的に封入されている。いくつかの実施形態では、着色剤は完全に封入されている。いくつかの実施形態では、可逆的に保護された着色剤は、1つ又は複数のポリマー、高分子電解質、樹脂、動物性タンパク質、植物性タンパク質、無機シェル、又はそれらの任意の組み合わせに封入された着色剤である。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)又は架橋ポリマーから選択される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のポリマーとしては、メタクリラートポリマー、アミンメタクリラートポリマー、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸のコポリマー、ポリメタクリル酸のコポリマー、スチレン(メタ)アクリラート、マレイン酸、ポリビニルアセタート、ビニルアクリルコポリマー、ビニルメタクリルコポリマー、シリコーンポリマー、ポリウレタンポリマー、メラミンホルムアルデヒド系、高分子電解質のコアセルベート、又はそれらの組み合わせから選択されるポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の高分子電解質は、ポリ(アクリル酸)又はポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)から選択される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の樹脂は、メラミン、尿素ホルムアルデヒド、又はポリウレタンから選択される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の動物性タンパク質は、ホエイ、ゼラチン、アルブミン、又はシルクフィブロインから選択される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の植物性タンパク質は、キトサン、アルギナート、アラビアガム、ペクチン、カラギーナン、セルロース、寒天、ワックス、又はシランカップリング剤から選択される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の無機シェルは、雲母、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカートから選択される。
【0082】
いくつかの実施形態では、可逆的に保護された着色剤は、完全に被覆された、又は部分的に被覆された着色剤である。いくつかの実施形態では、被覆は、ワックス、糖、ポリマー、脂質、並びに金属、半金属、非金属、及び金属酸化物などの無機シェルから選択される。
【0083】
いくつかの実施形態では、可逆的に保護された退色剤は、封入された退色剤である。いくつかの実施形態では、退色剤は部分的に封入されている。いくつかの実施形態では、退色剤は完全に封入されている。いくつかの実施形態では、可逆的に保護された退色剤は、1つ又は複数のポリマー、高分子電解質、樹脂、動物性タンパク質、植物性タンパク質、無機シェル、又はそれらの任意の組み合わせに封入された退色剤である。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)又は架橋ポリマーから選択される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のポリマーとしては、メタクリラートポリマー、アミンメタクリラートポリマー、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸のコポリマー、ポリメタクリル酸のコポリマー、スチレン(メタ)アクリラート、マレイン酸、ポリビニルアセタート、ビニルアクリルコポリマー、ビニルメタクリルコポリマー、シリコーンポリマー、ポリウレタンポリマー、メラミンホルムアルデヒド系、高分子電解質のコアセルベート、又はそれらの組み合わせから選択されるポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の高分子電解質は、ポリ(アクリル酸)又はポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)から選択される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の樹脂は、メラミン、尿素ホルムアルデヒド、又はポリウレタンから選択される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の動物性タンパク質は、ホエイ、ゼラチン、アルブミン、又はシルクフィブロインから選択される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の植物性タンパク質は、キトサン、アルギナート、アラビアガム、ペクチン、カラギーナン、セルロース、寒天、ワックス、又はシランカップリング剤から選択される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の無機シェルは、雲母、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカートから選択される。
【0084】
いくつかの実施形態では、可逆的に保護された退色剤は、完全に被覆された、又は部分的に被覆された退色剤である。いくつかの実施形態では、被覆は、ワックス、糖、ポリマー、脂質、並びに金属、半金属、非金属、及び金属酸化物などの無機シェルから選択される。
【0085】
いくつかの実施形態では、着色剤又は退色剤は、構造的に修飾されている。構造的修飾としては、固有の若しくは外因性スペーサ又は立体保護が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
光吸収又は退色活性が由来する電子システムを遮蔽するなどの他の保護モードも適用することができる。いくつかの実施形態では、可逆的に保護された着色剤は、完全に遮蔽された、又は部分的に遮蔽された着色剤である。いくつかの実施形態では、可逆的に保護された着色剤は、完全に遮蔽された着色剤である。いくつかの実施形態では、可逆的に保護された着色剤は、部分的に遮蔽された着色剤である。いくつかの実施形態では、可逆的に保護された退色剤は、完全に又は部分的に遮蔽された退色剤である。いくつかの実施形態では、可逆的に保護された退色剤は、完全に遮蔽された退色剤である。いくつかの実施形態では、可逆的に保護された退色剤は、部分的に遮蔽された退色剤である。そのような遮蔽としては、離散ミセルの形成、又は凝集若しくは集合を誘導するための溶媒/溶媒和の改変が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
複合材料は、当技術分野で公知の任意の方法によって製造される。そのような方法としては、コアセルベーション、インサイツ重合、界面重合、マトリックス重合、架橋、噴霧乾燥、溶媒蒸発、SAS法(超臨界貧溶媒技術(supercritical anti-solvent techniques))、エマルジョン、及び押出技術が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
別の態様では、本発明は、一般に、本明細書に開示される可逆的に保護された種又はその組成物を含む容器に関する。いくつかの実施形態では、容器は、可逆的に保護された着色剤又はその組成物を含む。いくつかの実施形態では、容器は、可逆的に保護された退色剤又はその組成物を含む。容器は、材料が保持又は搬送される、パケット、バイアル、カートン、缶、又はジャーなどの任意の適切な容器であってもよい。いくつかの実施形態では、容器はパケットである。
【0089】
更に別の態様では、本発明は、一般に、1つ又は複数の容器を含む消毒剤溶液を着色するためのキットに関する。いくつかの実施形態では、本発明は、消毒剤溶液を着色するためのキットであって、可逆的に保護された着色剤を含む1つ又は複数の容器と、場合により、退色剤を含む1つ又は複数の容器と、可逆的に保護された着色剤を消毒剤溶液と、単独で、又は退色剤と組み合わせて組み合わせるための説明書とを含み、可逆的に保護された着色剤は、組み合わされると、消毒剤溶液を着色するのに十分である、キットを提供する。いくつかの実施形態では、退色剤は、可逆的に保護された退色剤である。いくつかの実施形態では、キットの構成要素は、使用直前に組み合わせるように適合される。いくつかの実施形態では、可逆的に保護された着色剤は、消毒剤溶液の製造時点で消毒剤溶液と組み合わされ、統合された包装内に保存されるように適合される。
【0090】
いくつかの実施形態では、本発明は、表面又は物体を消毒するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、消毒剤溶液と、(i)可逆的に保護された着色剤、(ii)着色剤及び可逆的に保護された退色剤、又は(iii)可逆的に保護された着色剤及び可逆的に保護された退色剤を含む組成物と、を用意することと、ある量の組成物(i)、(ii)、又は(iii)と消毒剤溶液とを使用時点又は使用時点より前に組み合わせることであって、組成物が消毒剤溶液を着色するのに十分である、組み合わせることと、着色された消毒剤溶液を表面又は物体に適用することとを含み、適用時に、消毒剤溶液の色は、スプレー又はフィルムが表面又は物体に適用された場所又は適用されなかった場所を明確に示し、着色された消毒剤溶液は、保護された種(すなわち、可逆的に保護された着色剤、可逆的に保護された退色剤、又はその両方)を保護から解放する化学的及び/又は機械的作用を受け、消毒剤溶液の色が一定期間内に退色して透明になる。
【0091】
いくつかの実施形態では、消毒剤溶液及び組成物は、使用直前に組み合わせられる。いくつかの実施形態では、消毒剤溶液及び組成物は、消毒される表面又は物体に適用されると組み合わされる。
【0092】
いくつかの実施形態では、本発明は、表面又は物体を消毒するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、消毒剤及び可逆的に保護された着色剤を含む着色された消毒剤溶液を表面又は物体に適用することを含み、可逆的に保護された着色剤は、消毒剤溶液を着色するのに十分であり、適用時に、消毒剤溶液の色は、スプレー又はフィルムが表面又は物体に適用された場所又は適用されなかった場所を明確に示し、消毒剤溶液は、着色剤を保護から解放する化学的及び/又は機械的作用を受け、消毒剤溶液の色が一定期間内に退色して透明になる。いくつかの実施形態では、着色された消毒剤は、退色剤を更に含む。いくつかの実施形態では、退色剤は、可逆的に保護された退色剤である。
【0093】
いくつかの実施形態では、本発明は、表面又は物体を消毒するための方法を提供し、本方法は、消毒剤、着色剤及び可逆的に保護された退色剤を含む着色された消毒剤溶液を前記表面又は物体に適用することを含み、着色剤は、消毒剤溶液を着色するのに十分であり、適用時に、消毒剤溶液の色は、スプレー又はフィルムが表面又は物体に適用された場所又は適用されなかった場所を明確に示し、消毒剤溶液は、退色剤を保護から解放する化学的及び/又は機械的作用を受け、消毒剤溶液の色が一定期間内に退色して透明になる。
【0094】
本明細書に開示される方法のいずれにおいても、表面又は物体は、手、腕又は皮膚などの身体部分ではない。
【0095】
本明細書に開示される方法のいずれにおいても、消毒剤溶液は、本明細書に開示される任意の消毒剤溶液である。
【0096】
本明細書に開示される方法のいずれにおいても、着色された消毒剤溶液は、スプレー又はフィルムとして表面に適用される。
【0097】
本明細書に開示される方法のいずれにおいても、消毒剤溶液はワイプ内に保持され、可逆的に保護された着色剤又はその組成物はワイプに適用される。いくつかの実施形態では、着色された消毒剤溶液は、ワイプに適用されるか、又はワイプの形態で適用され、表面又は物体はワイプで拭き取られる。
【0098】
本明細書に開示される方法のいずれにおいても、着色された消毒剤溶液中の保護剤を除く着色剤の濃度は0.03mMol~150mMolである。本明細書に開示される方法のいずれにおいても、着色された消毒剤中の着色剤の濃度は0.3mMol~15mMolである。本明細書で使用される場合、着色された消毒剤溶液中の着色剤の濃度は、消毒剤溶液と混合された後の着色剤の濃度を指す。
【0099】
例
方法及びデータ
チモールフタレインの複雑なコアセルベーションマイクロカプセル化。
いくつかの実施形態では、構成要素は、上に列挙した技術によって封入される。そのような一実施形態は、複雑なコアセルベーションマイクロカプセル化のプロセスを含む。複雑なコアセルベーションマイクロカプセル化は、2つの非混和性液相の相分離を伴い、希薄(平衡)相及び比較的高濃度の高分子を特徴とする高密度(コアセルベート)相をもたらす。コアセルベート高分子は、一般にコアシェル粒子の形態をとり、コア材料の周りのシェル形成又は堆積は、主に2つの反対に帯電したポリマー(例えば、タンパク質又は多糖)間の静電相互作用によって駆動される。
【0100】
一実施形態では、コア懸濁液は、最初に水溶性着色剤(チモールフタレイン、0.107g)をポリソルバート型非イオン性界面活性剤(Tween80、5g)中に分散し、次いで、完全に均質化されるまで50℃で機械的撹拌下でキトサン溶液(1重量%酢酸)中に分散することによって調製される。ゼラチン溶液(1重量%酢酸)を、染料/キトサン混合物に1mL/分の速度で、50℃で更に30分間又は完全に均質化されるまで機械的撹拌下で添加する。反応混合物のpHを調整することによって、コアセルベーションを誘導することができる。1M水酸化ナトリウム溶液を滴下することによってpHを5.5に調整し、50℃で4時間撹拌して均一にし、次いで、一定の撹拌下で室温に徐々に戻す。最後に、液体コアセルベート溶液を氷下で1時間撹拌した後、単離し、乾燥させることができた。チモールフタレイン担持マイクロカプセルは、遠心分離し、冷エタノール及び脱イオン水で洗浄し、次いで真空中で凍結乾燥するによって単離することができる。チモールフタレインを担持したゼラチン-キトサンマイクロカプセルを
図1に示す。
【0101】
いくつかの実施形態では、マイクロカプセルは、カプセル化材料の大きな中心コアが存在する複雑な構造をもたらすコアセルベーションプロセスを使用して調製することができる。
【0102】
複雑なマイクロカプセルは、以下の一般的なプロセスに従って調製することができる。主な反応容器として機能するビーカーで、ゼラチンを脱イオン水に溶解する。アラビアガムを脱イオン水に溶解する。従来の着色剤組成物を実験用ミキサーで乳化して、微細なエマルジョンを形成する。次いで、同じ着色剤を、より低い回転数で先に形成された微細エマルジョンに乳化させ、約10分後に、平均サイズ約100ミクロンの乳化された「粒子」の新たな第2のサイズ分布(粗エマルジョン)が生成される。微細エマルジョンは依然として存在する。pHは、コアセルベートが形成を開始するpHを観察することによって選択される。溶液/エマルジョンを室温に冷却し、約30分間静置する。次いで、コアセルベートをグルタルアルデヒドの25%溶液で架橋する。
【0103】
キトサンマイクロカプセルは、油中水型エマルジョン:キトサン(85%超の脱アセチル化、Aldrich417963)、MilliO水、氷酢酸、FD&Cブルー#1食品着色染料、塩化セチルピリジニウム(CPC)、鉱油(白色、重油)、及びソルビタンモノオレアート(Span-80)界面活性剤から調製することができる。キトサン溶液は、キトサンを水/1%(体積)酢酸溶液と混合することによって調製する。混合物を撹拌し、約1日間約60℃に加熱することによって、キトサンを600mLの水/1%(体積)酢酸溶液に溶解する。次いで、着色剤(予備溶解)を含有する3.3mLの水溶液を200mLのキトサン溶液に添加する。次いで、乳化剤(IKA RE162/P)を800mLの鉱油及び8mLのSpan-80と共に添加することによって混合物を調製し、100rpmで5分間撹拌して混合する。混合物を20分間静置して、気泡を上昇及び破裂させる。次いで、キトサン溶液を、16ゲージ針を備えた2つの60mLシリンジを介して約20分間かけて混合物に添加する。次いで、得られたエマルジョンを、10の最後のキトサン溶液を添加した後、更に30分間撹拌する。次いで、エマルジョンを磁気撹拌プレート上の2L Pyrexビーカーに移す。エマルジョンを撹拌しながら約70℃に加熱し、一晩(約14~16時間)静置して酢酸及び15の大部分の水を蒸発させる。次いで、エマルジョンを翌日(約24時間)まで撹拌を続けながら約95℃~100℃に加熱する。次いで、エマルジョンを50mL遠心管に収集し、それぞれ3,500rpmで10分間回転させる。粒子の大部分は遠心分離後に沈降するが、最小の粒子(数ミクロン以下のサイズを有する)の大部分は懸濁したままであり得る。溶液を廃棄物にデカントする。遠心管の半分において、ガラスピペットを使用して粒子を残りの鉱油に再懸濁させる。残りの粒子-油スラリーの全てをこれらの管からガラスバイアル(総容量約15mL)に移し、3,500rpmで1時間再び遠心分離する。溶液を再び廃棄物にデカントし、残留油をピペットで可能な限り除去する。管の残りの半分では、ボルテックスによって各管中のヘキサン約10mLに粒子を再懸濁する。液体を全ての管から2つの管に収集し、次いで、3,500rpmで10分間遠心分離する。溶液を廃棄物にデカントし、粒子を各管中のヘキサン約10mLに再懸濁する。最後に、溶液を重力濾過によって定性的濾紙を通して濾過し、換気フード内で乾燥させる。
【0104】
いくつかの実施形態では、尿素ホルムアルデヒドポリマーの不透過性シェルによって封入された有機液体充填物を含むマイクロカプセルを調製することができる。これらのマイクロカプセルは、水性の水溶性尿素ホルムアルデヒド縮合前駆体溶液中に充填材料を細かく分割された粒子として分散及び維持することによって製造される。
【0105】
プレポリマー溶液は、488.5グラム(6.0モル)の37%ホルムアルデヒド水溶液と、pH8.0に調整した240グラム(4.0モル)の尿素との混合物をトリエタノールアミンと共に70℃で1時間加熱することによって形成される。このプレポリマーを1,000グラムの水で希釈し、マイクロカプセルを形成するための比較的安定した溶液を得る。染料溶液を含有するマイクロカプセルは、最初に、撹拌しながら上記プレポリマー溶液の1/10体積のpHを10%クエン酸水溶液で調整し、室温で着色剤を添加し、更に10%クエン酸でpHを調整し、相を分散させるのに十分な撹拌を維持することによって調製される。撹拌した混合物を加熱し、40~45℃に維持する。約30分後、シェル形成が顕微鏡的に明らかになる。混合物はこの高温で40分かけて増粘するので、50mLの温水を添加する。3時間の反応時間後、冷水を添加して総体積を600mLにし、得られたスラリーの半分を重力によって濾過し、風乾後にマイクロカプセルを得る。残りの懸濁液を17時間静置した後に重力濾過し、風乾して追加のマイクロカプセルを得る。マイクロカプセルは自由流動性である。
【0106】
いくつかの実施形態では、本発明は、1つ又は複数の薬剤(例えば、着色剤)を封入する実質的に非溶出性のゾルゲルマイクロ及びナノ粒子を提供する。これらの粒子は、その中からの薬剤の浸出又は移動に対する安定性を特徴とする。
【0107】
水溶性染料、例えば、FD&CブルーNo.1(0.002~0.2グラム)及びポリソルバート80(0.01~1グラム)を、30~70%酢酸水溶液(10~40グラム)に溶解する。次いで、10~40グラムのオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を添加し、得られた溶液を室温で撹拌する。溶液を、5~15グラムのソルビタンオレアート及び100~300グラムのヒマシ油を含有する撹拌した冷却油相中で乳化させる。得られたエマルジョンを100~800グラムのデカノールに注ぎ、得られた混合物をメカニカルスターラを用いて撹拌する。このようにして微粒子粉末が得られ、遠心分離機における沈降によって回収する。沈殿物をヘキサン、エタノール及びヘキサンで連続的に洗浄し、オーブンで乾燥させる。次いで、1~10グラムの得られた乾燥粉末を40グラムのTEOSに懸濁し、混合物を室温で撹拌する。次いで、0.01~5N HCl(50~500μl)を撹拌分散液に添加する。得られた粉末を分離し、沈殿物をヘキサン、エタノール、NaOH含有エタノール、ラウリル硫酸ナトリウム溶液(SLS)、水及びエタノールで連続的に洗浄する。次いで、得られた粒子をオーブンで乾燥させる。
【0108】
可逆的に保護された種は、油中水型及び水中油型マイクロカプセルを含む組成物として更に示される。マイクロカプセルは、水中油型(O/W)又は油中水型(W/O)乳化のいずれかによって得られる。一実施形態では、マイクロカプセルは、油溶性アミン変性多官能性ポリビニルモノマー(又はオリゴマー)及び油溶性二官能性又は多官能性ビニルモノマー又はオリゴマーを、フリーラジカル開始剤、例えばアゾ又はペルオキシ開始剤及び有機酸と共に、水相の非溶媒である内相油中に分散させる工程によって得られる。過剰の相は、O/W乳化を伴う水である。W/O乳化では、過剰の相及び連続相は油である。内相油という用語は、便宜上及び簡略化のために使用され、油相を指し、従来のマイクロカプセル化においてマイクロカプセルの内相又は内容物として従来使用されている種類の油を指す。しかしながら、W/O乳化では、油は最終的に連続相になる。水相はカプセル内部の内容物を形成する。
【0109】
「油相」という用語は、油相油を指すことを意図している。油相分散液は、アミン変性多官能性ポリビニルモノマー又はオリゴマー及び油溶性二官能性又は多官能性ビニルモノマー又はオリゴマーをオリゴマー化するのに十分な時間及び温度で加熱され、プレポリマーを形成する。次いで、乳化剤の水分散液と、アゾ又はペルオキシ開始剤などの同一であっても異なっていてもよい任意の第2の開始剤とを含む水相を油相に添加する。この水相を油相(W/O)に乳化し、続いて、油相及び/又は水相のいずれか又は両方に配置することができるフリーラジカル開始剤の少なくとも1つを分解するのに十分な時間及び温度で加熱し、それによって、水相と油相との界面にマイクロカプセル壁材料を形成する。第3の加熱工程を使用して、形成された壁材料を重合し、プロセスにおいて、好ましくは任意の残存する開始剤を分解する。結果を
図3並びに
図4A及び
図4Bに示す。
【0110】
本発明を、その好ましい実施形態を参照して具体的に示し、説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に様々な変更を加えることができることが当業者によって理解される。
【国際調査報告】