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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】自律車両を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/10 20060101AFI20240514BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20240514BHJP
   B60W 30/08 20120101ALI20240514BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B60W30/10
B60W40/02
B60W30/08
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566541
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2022061576
(87)【国際公開番号】W WO2022233739
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】2104645
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】モリーナ ラモス, ニエフサベル
(72)【発明者】
【氏名】ミラネス, ビセンテ
(72)【発明者】
【氏名】ゴンサレス バウティスタ, ダビド
(72)【発明者】
【氏名】コルテス ラフエンテ, イレーネ
(72)【発明者】
【氏名】アストゥディロ オララ, アルマンド
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA11
3D241BA31
3D241BB17
3D241BB31
3D241BB37
3D241BB39
3D241BB46
3D241CC02
3D241CC08
3D241CC17
3D241CD03
3D241CD10
3D241CD11
3D241CD20
3D241CE01
3D241CE02
3D241CE03
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB02
3D241DB05
3D241DB06
3D241DC01
3D241DC31
3D241DC41
3D241DC57
3D241DC59
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF27
5H181LL09
5H181LL15
(57)【要約】
少なくとも1つの知覚の手段(21)と、自律車両(100)の環境の実際のインフラストラクチャを表す記憶されたデジタルデータを含む第1のマップ(M1)とを備える自律車両(100)を制御するための方法であって、方法は、自律車両(100)の第1の軌道(T1)と第1の関連するキネマティックプロファイル(P1)とを定義するステップ(E1)と、少なくとも1つの知覚の手段(21)によって送信されたデータから、第1の軌道(T1)の所与のセグメント(S)上で最適化されるべき状況を検出するステップ(E2)であって、所与のセグメント(S)が、自律車両(100)の前に少なくとも1つの知覚の手段(21)からの検出の最大距離(DLIM)よりも小さい距離にわたって位置する、ステップ(E2)と、第1のマップ(M1)と第1のキネマティックプロファイル(P1)とから少なくとも1つの要素を最適化するステップ(E3)であって、第1のマップの最適化が、所与のセグメント(S)上のローカルマップ(M2)の決定を含む、および/または第1のキネマティックプロファイル(P1)の最適化が、所与のセグメント(S)に関連する第2のキネマティックプロファイル(P2)の決定を含み、第2のキネマティックプロファイル(P2)の少なくとも1つのパラメータが、第1のキネマティックプロファイル(P1)のパラメータとは異なる、ステップ(E3)と、ローカルマップ(M2)および/または第2のキネマティックプロファイル(P2)を考慮に入れて、所与のセグメント(S)にわたる自律車両(100)の変位を制御するステップ(E4)とを含むことを特徴とする、方法。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの知覚手段(21)と、自律車両(100)の環境の実際のインフラストラクチャを表す記憶されたデジタルデータを含む第1のマップ(M1)とを備える前記自律車両(100)を制御するための方法であって、前記方法は、
- 前記自律車両(100)の第1の軌道(T1)と、関連する第1のキネマティックプロファイル(P1)とを定義するステップ(E1)と、
- 前記少なくとも1つの知覚手段(21)によって送信されたデータから、前記第1の軌道(T1)の所与のセグメント(S)上で最適化されるべき状況を検出するステップ(E2)であって、前記所与のセグメント(S)が、前記自律車両(100)の前に前記少なくとも1つの知覚手段(21)の最大検出距離(DLIM)よりも小さい距離にわたって位置する、ステップ(E2)と、
- 前記第1のマップ(M1)と前記第1のキネマティックプロファイル(P1)との中から少なくとも1つの要素を最適化するステップ(E3)であって、
前記第1のマップを最適化することが、前記所与のセグメント(S)上のローカルマップ(M2)を決定することを含む、および/または
前記第1のキネマティックプロファイル(P1)を最適化することが、前記所与のセグメント(S)に関連する第2のキネマティックプロファイル(P2)を決定することを含み、前記第2のキネマティックプロファイル(P2)の少なくとも1つのパラメータは前記第1のキネマティックプロファイル(P1)のパラメータとは異なる、
ステップ(E3)と、
- 前記ローカルマップ(M2)および/または前記第2のキネマティックプロファイル(P2)を考慮に入れて、前記所与のセグメント(S)上の前記自律車両(100)の移動を制御するステップ(E4)と
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
ローカルマップ(M2)を決定することは、特にベジエ曲線によって、前記所与のセグメント(S)の新しい曲線が、前記所与のセグメント(S)の入口点(A)と出口点(B)との間で決定されることを可能にすることと、前記新しい曲線が、前記入口点(A)および前記出口点(B)において、前記第1の軌道(T1)との連続性G2を有することとを特徴とする、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記所与のセグメント(S)に関連する第2のキネマティックプロファイル(P2)を決定することが、前記少なくとも1つの知覚手段(21)から生じるデータから最大無衝突速度しきい値(VCOL)を算出することを含むことと、前記第2のキネマティックプロファイル(P2)が、前記最大無衝突速度しきい値(VCOL)を下回る最大速度を備えることとを特徴とする、請求項1または2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記最大無衝突速度しきい値(VCOL)に達するために必要とされる制動値と前記少なくとも1つの知覚手段(21)の前記最大検出距離(DLIM)の2倍との積の平方根に前記最大無衝突速度しきい値(VCOL)が等しくなる式を解くことによって、前記最大無衝突速度しきい値(VCOL)が算出されることを特徴とする、請求項3に記載の制御方法。
【請求項5】
最適化されるべき状況を検出する前記ステップ(E2)が、前記自律車両(100)が最適化されるべき状況にとどまっている保留時間を測定することと、前記保留時間を前記状況に関連するトリガリングしきい値と比較することとを含むことと、前記最適化するステップ(E3)が、前記保留時間が前記トリガリングしきい値よりも大きいとき実行されることとを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項6】
事前定義された状況のセットが電子メモリ(6)に記憶されることと、最適化されるべき状況を検出する前記ステップ(E2)が、前記少なくとも1つの知覚手段(21)から生じる知覚を事前定義された状況の前記セットと比較することを含むこととを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項7】
事前定義された状況の前記セットが、2つの空の車線をもつラウンドアバウトをネゴシエートすること、および/または密な交通条件においてラウンドアバウトに入ること、および/または2つの交通車線が、単一の車線にマージすること、および/または渋滞のジャンクションを横断すること、および/または各方向に単一の車線を備える二方向道路上で極めて遅い車両を追い越すこと、を含むことを特徴とする、請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記第2のキネマティックプロファイル(P2)が、前記第1のキネマティックプロファイル(P1)よりも、少なくとも20%高い最大速度、および/または少なくとも200%高い最大加速度、および/または少なくとも1,000%高いジャークを備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項9】
自律車両(100)を制御するためのデバイス(10)であって、前記自律車両が、モーションアクチュエータ(4)を装備しており、前記デバイスが、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法を実装するハードウェアおよび/またはソフトウェア要素(1、2、3、5、6、7、11、12、13、14、21、22)、特に請求項1から8のいずれか一項に記載の方法を実装するように設計されたハードウェアおよび/またはソフトウェア要素(1、2、3、5、6、7、21、22)を備え、ならびに/あるいは前記デバイスが、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法を実装するための手段を備える、デバイス(10)。
【請求項10】
請求項9に記載の制御デバイス(10)を備えることを特徴とする、自律車両(100)。
【請求項11】
コンピュータ可読媒体に記憶されたプログラムコード命令を備えるコンピュータプログラム製品であって、前記プログラムコード命令は、前記プログラムが、コンピュータ、または、通信ネットワークからダウンロード可能なおよび/もしくはコンピュータ可読データ媒体に記憶されたおよび/もしくはコンピュータによって実行され得る、コンピュータプログラム製品上で実行されるときに、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法のステップを実装するためのものであり、前記コンピュータプログラム製品は、前記プログラムが前記コンピュータによって実行されたとき、前記コンピュータに請求項1から8のいずれか一項に記載の方法を実装させる命令を備えることを特徴とする、コンピュータプログラム製品。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法を実装するための、または請求項11に記載の、プログラムコード命令を備えるコンピュータプログラムを記憶する、コンピュータ可読データ記憶媒体、または、命令を備えるコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令がコンピュータによって実行されたとき、前記コンピュータに請求項1から8のいずれか一項に記載の方法を実装させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、自律車両を制御するための方法に関する。本発明は、さらに、自律車両を制御するためのデバイスに関する。本発明は、上述の方法を実装するコンピュータプログラムにも関する。最後に、本発明は、そのようなプログラムが記憶される、記憶媒体に関する。
【0002】
自律車両技術は、基本的に、所与の交通ゾーンにおける異なる自律運転シナリオに対応する軌道を事前定義するために、自律車両の横方向および縦方向制約パラメータを満たす速度プロファイルに関連する高精細度マップを使用する。
【0003】
たとえば、自律車両がX字交差点に接近するとき、交差点に接近するための潜在的軌道(右に曲がる、左に曲がる、直進する)は、関連する速度プロファイルがそうであるように、すでに事前マッピングされている。
【0004】
しかしながら、これらの技術は、マップから事前定義される交通シナリオに本質的に限定されるという欠点を有する。
【0005】
文献米国特許第9511767(B1)は、周囲の車両の挙動に応じて自律車両の軌道を適応させるために、知覚システムから生じるデータを使用して自律車両を制御するための方法を開示する。しかしながら、このソリューションは欠点を有する。
【0006】
本発明の目的は、上述の欠点を克服し、従来技術から知られている自律車両を制御するためのデバイスおよび方法を改善する、自律車両を制御するためのデバイスおよび方法を提供することである。特に、本発明の目的は、単純で信頼でき、自律運転を改善する、デバイスおよび方法を提供することである。
【0007】
この目的で、本発明は、少なくとも1つの知覚手段と、自律車両の環境の実際のインフラストラクチャを表す記憶されたデジタルデータを含む第1のマップとを備える自律車両を制御するための方法に関する。制御方法は、
- 自律車両の第1の軌道と第1の関連するキネマティックプロファイルとを定義するステップと、
- 少なくとも1つの知覚手段によって送信されたデータから、第1の軌道の所与のセグメント上で最適化されるべき状況を検出するステップであって、所与のセグメントが、自律車両の前に少なくとも1つの知覚手段の最大検出距離よりも小さい距離にわたって位置する、最適化されるべき状況を検出するステップと、
- 第1のマップと第1のキネマティックプロファイルとの中から少なくとも1つの要素を最適化するステップであって、
第1のマップを最適化することが、所与のセグメント上のローカルマップを決定することを含む、および/または
第1のキネマティックプロファイルを最適化することが、所与のセグメントに関連する第2のキネマティックプロファイルを決定することを含み、第2のキネマティックプロファイルの少なくとも1つのパラメータが、第1のキネマティックプロファイルのパラメータとは異なる、
少なくとも1つの要素を最適化するステップと、
- ローカルマップおよび/または第2のキネマティックプロファイルを考慮に入れて、所与のセグメント上の自律車両の移動を制御するステップと
を含む。
【0008】
ローカルマップを決定することは、特にベジエ曲線によって、所与のセグメントの新しい曲線が、所与のセグメントの入口点と出口点との間で決定されることを可能にすることができ、新しい曲線は、入口点および出口点において、第1の軌道との連続性G2を有することができる。
【0009】
所与のセグメントに関連する第2のキネマティックプロファイルを決定することは、少なくとも1つの知覚手段から生じるデータから最大無衝突速度しきい値(maximum collision-free speed threshold)を算出することを含むことができ、第2のキネマティックプロファイルは、最大無衝突速度しきい値を下回る最大速度を備えることができる。
【0010】
最大無衝突速度しきい値に達するために必要とされる制動値と少なくとも1つの知覚手段の最大検出距離の2倍との積の平方根に最大無衝突速度しきい値が等しくなる式を解くことによって、最大無衝突速度しきい値が算出され得る。
【0011】
最適化されるべき状況を検出するステップは、自律車両が、最適化されるべき状況にとどまっている保留時間を測定することと、保留時間を前記状況に関連するトリガリングしきい値と比較することとを含み、最適化ステップは、保留時間がトリガリングしきい値よりも大きいとき、実行され得る。
【0012】
事前定義された状況のセットが電子メモリに記憶され得、最適化されるべき状況を検出するステップは、少なくとも1つの知覚手段から生じる知覚を事前定義された状況のセットと比較することを含むことができる。
【0013】
事前定義された状況のセットは、2つの空の車線をもつラウンドアバウトをネゴシエートすること、および/または密な交通条件においてラウンドアバウトに入ること、および/または2つの交通車線が、単一の車線にマージすること、および/または渋滞のジャンクションを横断すること、および/または各方向に単一の車線を備える二方向道路上で極めて遅い車両を追い越すことを含むことができる。
【0014】
第2のキネマティックプロファイルは、第1のキネマティックプロファイルよりも、少なくとも20%高い最大速度、および/または少なくとも200%高い最大加速度、および/または少なくとも1,000%高いジャークを備えることができる。
【0015】
本発明は、自律車両を制御するためのデバイスにも関し、自律車両は、モーションアクチュエータを装備する。本デバイスは、上記で定義された方法を実装するハードウェアおよび/またはソフトウェア要素、特に本発明による方法を実装するように設計されたハードウェアおよび/またはソフトウェア要素を備え、ならびに/あるいは本デバイスは、上記で定義された方法を実装するための手段を備える。
【0016】
本発明は、さらに、先行する請求項に記載の制御デバイスを備える自律車両に関する。
【0017】
本発明は、前記プログラムがコンピュータ上で動作するとき、上記で定義された方法のステップを実装するための、コンピュータ可読媒体に記憶されたプログラムコード命令を備えるコンピュータプログラム製品にも関する。本発明は、通信ネットワークからダウンロード可能な、および/またはコンピュータ可読データ媒体に記憶された、および/またはコンピュータによって実行され得る、コンピュータプログラム製品にも関し、コンピュータプログラム製品は、プログラムがコンピュータによって実行されたとき、コンピュータに上記で定義された方法を実装させる命令を備える。
【0018】
本発明は、上記で定義された方法を実装するためのプログラムコード命令を備えるコンピュータプログラムを記憶する、コンピュータ可読データ記憶媒体にも関する。本発明は、命令を備えるコンピュータ可読記憶媒体であって、命令がコンピュータによって実行されたとき、コンピュータに上記で定義された方法を実装させる、コンピュータ可読記憶媒体にも関する。
【0019】
本発明は、さらに、上記で定義されたコンピュータプログラム製品を伝達する、データ媒体の信号に関する。
【0020】
添付の図面は、一例として、本発明による制御デバイスの一実施形態と、本発明による制御方法を実行するための形態とを示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】制御デバイスを装備した自律車両の一実施形態を示す図である。
図2】本発明の実施形態による、自律車両のキネマティックプロファイルを決定するための形態を示す図である。
図3】本発明の一実施形態による、制御方法を実行するための形態のフローチャートである。
図4】本発明の実施形態による、制御方法を実装するための第1の例を示す図である。
図5】本発明の実施形態による、制御方法を実装するための第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態による自律車両100は、任意のタイプの自律車両、特に、乗用車、多用途車、トラック、さらには、バスまたはシャトルなどの公共輸送車両であり得る。
【0023】
自律車両100は、制御システム10とモーションアクチュエータ4とを備える。
【0024】
モーションアクチュエータ4は、自律車両100のシャーシの一部を形成する。モーションアクチュエータ4は、特に、エンジントルクアクチュエータと、ブレーキアクチュエータと、ステアリングホイールのための回転アクチュエータとを備える。モーションアクチュエータ4は、制御システム10によって決定された軌道に沿った自律車両の移動を実装するために、制御システム10からコマンドを受信する。
【0025】
制御システム10は、主に、以下の要素を備える。
- 知覚手段21と、エレクトロニックホライズン(electronic horizon)を処理するためのモジュール22とを備える知覚システム2、
- 電子メモリ3、ならびに
- マイクロプロセッサ1と、ローカル電子メモリ6と、マイクロプロセッサ1が知覚システム2およびモーションアクチュエータ4と通信することを可能にする通信インターフェース7とを備えるコンピューティングユニット5。
【0026】
知覚手段21は、以下の機器、すなわちカメラおよび/またはライダーおよび/またはレーダーのセットの、全部または一部を備えることができる。代替的にまたは追加として、知覚手段21は、車両間通信システム(V2Vシステム)、または、車両が互いと、インフラストラクチャと、および歩行者と情報を交換することを可能にする車両対あらゆるモノ通信システム(V2Xシステム)を備えることができる。
【0027】
有利には、知覚手段21は、自律車両100の周り360°に位置する環境が知覚されることを可能にする。
【0028】
好ましい実施形態では、知覚手段21は、5つのカメラと1つのライダーとを備える。カメラからの画像は、周期的におよび同期的にキャプチャされ、ライダーの1つの回転から生じるデータとアグリゲートされる。
【0029】
知覚手段21から生じるデータに基づいて、エレクトロニックホライズンを処理するためのモジュール22は、運転シーンの構造化された知覚を構築する。
【0030】
周期的に、特にデータが受信されるたびに、モジュール22は、知覚システム2の最大容量、すなわち、知覚手段21の最大検出距離DLIMを決定し、これは、運転シナリオに従って変動する。たとえば、自律車両100がハイウェイ上で進行するとき、距離DLIMは、通常「ラウンドアバウト」と呼ばれる交通円形交差点上で進行するときよりも大きい。
【0031】
距離DLIMはまた、気象条件、輝度、道路インフラストラクチャ要素(たとえば、トンネル)の存在、または周囲の交通(たとえば、トラック)など、他のパラメータに依存する。
【0032】
本明細書の残り全体にわたって、「ラウンドアバウト」という用語は、それにより、交差点上で進行する車両が、交差点に入ってくる車両よりも優先される、交通円形交差点を示す。さらに、知覚手段の最大検出距離は、「知覚限界距離(perception limit distance)DLIM」と呼ばれる。
【0033】
知覚限界距離DLIMは、各知覚手段の知覚限界から決定され得る。一実施形態では、知覚限界距離DLIMは、カメラから生じる画像に関する知覚限界とライダーから生じるデータの知覚限界との間の最小値である。
【0034】
カメラから生じる画像の知覚限界は、任意の関心オブジェクト(車両、歩行者)の高さが、最小しきい値、たとえば、25ピクセルよりも大きい、最大距離として定義され得る。この第1の限界の大きさは、数十メートルであり、たとえば、特に気象に関して、通常の可視性条件下で、40メートルである。
【0035】
ライダーから生じるデータの知覚限界は、関心オブジェクト(車両、歩行者)に達するレーザーポイントの数が最小しきい値よりも大きい、最大距離として定義され得る。
【0036】
自律車両を中心とする円によって、および知覚限界距離DLIMに等しい半径を用いて定義される、知覚ゾーンでは、エレクトロニックホライズンを処理するためのモジュール22は、運転シーンの占有グリッドを構築する。ライダーから生じるポイントクラウドは、ある程度までセルに離散化される。グリッドの各セルは、空いているか、占有されていると決定されるか、または決定されない。この決定は、特に、セルにおけるポイントの最小および最大高さしきい値の適用など、セルのポイントの高さの処理に基づく。
【0037】
占有グリッドは、自律車両100の位置の周りの衝突リスクのないゾーン、ならびに知覚ゾーンに位置する障害物の3次元表現を定義する。
【0038】
エレクトロニックホライズンを処理するためのモジュール22から生じるデータは、関心対象(車両、歩行者)の交通密度および位置に関して、知覚ゾーン上の運転シナリオの構造化された知覚、特に自律車両100の周囲の交通の知覚を提供する。
【0039】
制御システム10は、自律車両100の環境の実際のインフラストラクチャを表すデジタルデータのセットが記憶される、電子メモリ3をさらに備える。このデジタルデータは、一般に、自律車両100を運転することに関する選択を推論することが可能なすべての要素に関する。それらの要素は、特に、ナビゲート可能な車道の部分のレイアウトおよび限界、車道の部分の車線の数、車道の部分に適用可能な速度限界、地上マーキングのタイプおよびそれらのロケーション、交通標識、交通信号およびラウンドアバウトの存在および位置に関する。
【0040】
このデジタルデータは、以下で単に「マップM1」と呼ばれる。
【0041】
本発明の実施形態では、コンピュータ1は、以下のモジュールを備えるソフトウェアが実行されることを可能にする。
- 知覚システム2およびマップ3と共同する、軌道を決定するためのモジュール11、
- 知覚システム2と共同する、最適化されるべき状況を検出するためのモジュール12、
- 知覚システム2と共同する、最適化モジュール13、
- モーションアクチュエータ4と協働する、自律車両の移動を制御するためのモジュール14。
【0042】
自律車両を制御するための方法を実行するための形態が、図3を参照しながら以下で説明される。本方法は、ステップE1~E4を含む。
【0043】
第1のステップE1において、計画された軌道T1が、自律車両100の出発点と到着点との間で決定される。この目的で、電子メモリ3に記憶されたマップM1と知覚システム2から生じるデータとが、特に使用される。
【0044】
本明細書の残り全体にわたって、「軌道」という用語は、自律車両100の移動の特徴を定義する状態ベクトルの時間的変化を指定するために使用される。好ましい実施形態では、状態ベクトルは、位置、特に座標x、y、縦方向および横方向速度ならびに/または縦方向および横方向加速度ならびに/またはヨーレートならびに/またはジャークを備える。本明細書の残り全体にわたって、「位置」という用語は、状態ベクトルのx、y座標、または全体として状態ベクトルのいずれかを指定するために使用される。
【0045】
計画された軌道T1は、好ましくは軌道セグメントに分割され、本明細書の残り全体にわたって「セグメント」とも呼ばれる。
【0046】
有利には、セグメントは、自律車両100がセグメントに入るとき、自律車両100の知覚ゾーンに完全に位置することが可能であるように各々定義される。特に、セグメントの長さは、知覚限界距離DLIMよりも小さい。
【0047】
「キネマティックプロファイル」という用語は、本明細書の残り全体にわたって、車両によって実装される一般的な速度、加速度およびジャークプロファイルを指定するために使用される。キネマティックプロファイルは、ある程度まで、軌道算出において実装される速度、加速度およびジャークを算出するためのテンプレートとして働く。キネマティックプロファイルによって定義されるテンプレートは、速度、加速度およびジャークに関する限界を設定する。
【0048】
キネマティックプロファイルは、道路インフラストラクチャ、すなわち、道路のレイアウト、車線の数、各車線の幅、交差点および/または交通信号の存在、速度限界などによって課される制約を考慮に入れる。キネマティックプロファイルはまた、自律車両の技術的特徴に応じて決定される。キネマティックプロファイルは、さらに、特に最大速度および/または横方向加速度および/またはジャークしきい値に関係する、運転快適さ基準に基づいて定義される。
【0049】
一実施形態では、キネマティックプロファイルは、図2に示されているジャーク(ジャークは加速度の導関数である)を限定するための方法に従って定義され得る。
【0050】
図2は、それぞれ、自律車両100の、ジャーク、加速度および速度の時間的変化を表す、3つの曲線、J(t)、a(t)およびv(t)を備えるグラフである。
【0051】
曲線J(t)は、階段状曲線であり、時間は、固定持続時間間隔に分割され、ジャークの値は、各間隔にわたって一定である。間隔の持続時間は、車両の加速度限界と、加速または制動するために利用可能な距離とに依存する。
【0052】
図示の例では、ジャークは、3つの離散値、すなわち、0値、最大値Jmax、および最小値-Jmaxを仮定することができる。
【0053】
Jmaxの値は、自律車両100のユーザの快適さを促進するように小さい。一実施形態では、Jmaxの値は、1m/s-3に設定される。
【0054】
曲線J(t)は、したがって、加速度a(t)の時間的変化を決定する。
- 曲線a(t)は、その傾斜が、Jmaxの値と時間間隔の持続時間とによって決定される、線形セグメントからなる、
- 曲線a(t)は、加速度値Amaxと加速度値-Amaxとの間で変化する。
【0055】
曲線a(t)は、0速度と最大速度Vmaxとの間の速度v(t)の時間的変化を決定し、Vmaxは、軌道セグメントに対する速度限界によって決定され得る。
【0056】
この方法は、交通を減速することなしにできるだけ快適である、道路インフラストラクチャに従う軌道T1を定義するために、各軌道セグメント上で繰り返される。したがって、各軌道セグメントについて、適用された速度、加速度およびジャークは、キネマティックプロファイルおよびマップM1に応じて決定される。
【0057】
本明細書の残り全体にわたって、軌道T1は、N個のセグメントS、...、Sに分割されると見なされ、第1のキネマティックプロファイルP1が各セグメントSに関連し、第1のキネマティックプロファイルP1の各々が、第1のマップM1に応じて定義され、セグメントSの各々が、第1のマップM1と第1のマップM1に関連する第1のプロファイルP1とに応じて定義される。
【0058】
したがって、「軌道セグメント」という用語は、軌道の曲線と、また、セグメントの曲線に従って車両を移動するために適用される、速度、加速度およびジャーク値とを同様に指定する。
【0059】
したがって、2つの別個の点Cと点Dとを仮定すれば、点Cを点Dに接続する2つのセグメントは、それらのそれぞれの曲線が異なる場合、または、セグメントのいずれか一方の曲線上で車両を移動するためにそれぞれ適用される、速度または加速度またはジャーク値が異なる場合、異なると見なされる。したがって、軌道セグメントに分割される軌道T1は、コンピューティングユニット5のローカルメモリ6に記憶される。
【0060】
次いで、ステップE2が続く。ステップE2において、その意図は、自律車両100の前に位置する軌道T1のセグメントS上で最適化されるべき状況を検出することであり、セグメントSは、知覚手段21の知覚限界DLIM内に完全に位置する。
【0061】
言い換えれば、ステップE2は、最適化されるべき状況が位置する、軌道T1のセグメントSを決定する。セグメントSは車両の前に位置し、これは、セグメントSが、自律車両がまだ通っていない軌道T1の一部を形成することを意味する。
【0062】
説明される実施形態では、最適化されるべき状況が、分離されたセグメントに限定されると仮定される。代替実施形態では、最適化されるべき状況が、いくつかの連続する軌道セグメントにわたって延びることができることが考慮され得る。しかしながら、すべてのセグメントは、知覚限界DLIM内でなければならない。
【0063】
最適化されるべき状況は、自律車両の移動が、第1の軌道T1によって、特に軌道T1、V1maxおよび/またはA1maxおよび/またはJ1maxに関連する第1のキネマティックプロファイルP1の限界によって、妨害される交通シナリオである。たとえば、密な交通状況では、自律車両100は、その軌道に関連するキネマティックプロファイルが、自律車両100が交通に入るために十分に加速することを可能にしない場合、極めて長い時間の間ラウンドアバウトの入口において立ち往生したままになることがある。
【0064】
言い換えれば、軌道T1によって実装されるキネマティックプロファイルP1は、自律車両の応答性を限定する運転快適さ基準に従って、定義された。プロファイルP1は、自律車両が、最適な安全性および快適さ条件下で、大部分の状況を管理することを可能にする。しかしながら、プロファイルP1は、いくつかの状況に不適当であると判明することがある。したがって、この不適当性は、たとえば、車両が、その車両の前方のトラックを追い越すことができないか、さらには、長時間車両を静止しているように保つとき、たとえば、車両が交通の密度によりラウンドアバウトに入ることができないとき、車両を著しく減速することがある。
【0065】
最適化されるべき他の状況は、第1のキネマティックプロファイルP1にではなく、自律車両100の交通環境の実際のインフラストラクチャを表す第1のマップM1に関し得る。いくつかの場合には、第1のマップM1は、人間の運転者の通常の挙動に対応せず、運転を最適化しない、車両の特定の軌道を誘起する。これは、たとえば、他の車両が進行していない二車線ラウンドアバウトを横断する軌道セグメント上で、起こる。第1の軌道T1は、ラウンドアバウトの外側車線上の移動を決定し、これは、自律車両がラウンドアバウトに入る前に、自律車両の速度のかなりの低減を必要とする。したがって、軌道T1は、2つの車線を備えるラウンドアバウトを表すマップM1に関して定義された。しかしながら、人間の運転者が、他の車両が進行していない多車線ラウンドアバウトに接近するとき、人間の運転者は、自身の車両の軌道をこの状況に適応させる、すなわち、人間の運転者は、2つの車線を使用することによって自身の軌道の曲率を減少させることを予期し、したがって、人間の運転者は、人間の運転者がラウンドアバウトの外側車線上のみを進行した場合に人間の運転者が使用することになる速度よりもかなり大きい速度でラウンドアバウトに接近する。人間の運転者によって実装される適応は、特にラウンドアバウトが1つの車線のみを備えると考えることによって、ほぼ、道路インフラストラクチャを修正することに相当する。
【0066】
本方法を実行するための形態では、知覚システム2から受信されたデータ、特にエレクトロニックホライズンを処理するためのモジュール22から生じるデータは、ローカル電子メモリ6に記憶された、事前定義された状況のセットと比較される。
【0067】
本明細書の残り全体にわたって、
- エレクトロニックホライズンを処理するためのモジュール22から生じるデータは、「知覚データ」と呼ばれる、
- ローカル電子メモリ6に記憶された、事前定義された状況のセットは、「状況テーブル」と呼ばれる、
- 状況テーブル中に含まれており、事前定義された状況に関係するデータは、「状況パラメータ」と呼ばれる。
【0068】
事前定義された状況は、最適化されるべき状況に対応する。これは、以下を含むことができる。
- 本明細書の残り全体にわたって、「空のラウンドアバウト状況」と呼ばれる、2つの空の車線をもつラウンドアバウトの入口、および/または
- 本明細書の残り全体にわたって、「過密なラウンドアバウト状況」と呼ばれる、密な交通条件においてラウンドアバウトに入るときの長い停止、および/または
- 渋滞の交通条件における2つの交通車線の、単一の車線へのマージ、および/または
- 過密の交差点における長い停止、および/または
- 各方向に単一の車線を備える二方向道路上で、長い時間の間、極めて遅い車両の後ろのままであること。
【0069】
事前定義された状況の各々が、道路インフラストラクチャ要素および/または交通密度および/またはトリガリングしきい値を含む、1つまたは複数の状況パラメータに関連し得る。
【0070】
したがって、知覚データをすべての事前定義された状況と比較することは、軌道T1によってとられる道路インフラストラクチャ要素を、事前定義された状況の各々に関連する道路インフラストラクチャ要素と比較することを含むことができる。道路インフラストラクチャ要素は、たとえば、多車線ラウンドアバウト、あるいはX字交差点または2つの車線間のジャンクション、あるいは各方向に1つの車線をもつ二方向道路を含むことができる。
【0071】
さらに、知覚データと事前定義された状況との間で比較することは、知覚データから生じる交通密度を、事前定義された状況の各々に関連する密度しきい値と比較することをも含むことができる。事前定義された状況に関連する密度しきい値は、たとえば、過密なラウンドアバウト状況のための、最小密度しきい値であり得る。密度しきい値はまた、たとえば、空のラウンドアバウト状況のための、最大しきい値であり得る。
【0072】
さらに、状況パラメータは、前記状況にとどまるための最小時間に対応する「トリガリング」しきい値を含むことができる。状況にとどまるための最小時間は、事前定義された状況に従って変動する。状況にとどまるための最小時間は、たとえば、空のラウンドアバウト状況の場合、0であり得る。状況にとどまるための最小時間は、過密なラウンドアバウト状況の場合、1分またはそれ以上のオーダーであり得る。
【0073】
本明細書で説明されない他の状況パラメータが企図され得る。
【0074】
この状況に関連するすべての状況パラメータが検査されるとき、特に知覚データと比較されるとき、最適化されるべき状況が検出される。
【0075】
最適化されるべき状況が検出されない場合、ステップE4が続き、このステップは、自律車両100の移動を制御することを伴う。
【0076】
最適化されるべき状況が検出されたとき、ステップE3が続き、このステップは軌道を最適化することを伴う。
【0077】
軌道は、第1のマップM1および/または第1のキネマティックプロファイルP1、特に、最適化されるべき状況が位置するセグメントSに関連するキネマティックプロファイルP1を修正することによって、最適化される。
【0078】
有利には、状況テーブルは、少なくとも1つの事前定義された最適化方法を各事前定義された状況に関連付ける。
【0079】
事前定義された最適化方法は、
- マップ修正、または
- キネマティックプロファイル修正、または
- マップおよびキネマティックプロファイル修正
であり得る。
【0080】
空のラウンドアバウト状況に関して、状況テーブルは、空のラウンドアバウト状況を、二車線ラウンドアバウトを一車線ラウンドアバウトに変換するローカルマップM2を作成することを伴うマップ修正に関連付けることができる。随意に、状況テーブルは、いくつかの交通条件下で、マップおよびキネマティックプロファイル修正をこの状況に関連付けることができる。
【0081】
過密なラウンドアバウト状況の場合、状況テーブルは、過密なラウンドアバウト状況を、キネマティックプロファイル修正および新しい軌道セグメントS’の算出に関連付けることができ、その曲線は、セグメントSの曲線上に重ね合わせられ、キネマティックプロファイルP1のものよりも大きい最大速度および/または加速度および/またはジャークしきい値を備えるキネマティックプロファイルP2を実装する。
【0082】
好ましい実施形態では、第2のキネマティックプロファイルP2を決定することは、知覚手段2から生じるデータに基づいて最大無衝突速度しきい値VCOLを算出することを含み、第2のキネマティックプロファイルP2は、最大無衝突速度しきい値VCOLを下回る速度を含むように定義される。
【0083】
しきい値VCOLは、自律車両が、知覚システム2によって検出された障害物と衝突しないように停止する可能性を有しながら移動することができる、最大速度である。
【0084】
しきい値VCOLは、エレクトロニックホライズンを処理するためのモジュール21によって定義される運転シーンの占有グリッドから算出される。運転シーンは、どの障害物、特に、他の車両または歩行者など、関心対象が、自律車両100に最も近いかを決定するために使用される。
【0085】
簡略化された実施形態では、しきい値VCOLは、以下の式Math1を解くことによって算出され得る。
[Math1]
ここで、
- Aは、加速度であり、特に、速度VCOLに達するために必要とされる制動値である、
- DLIMは、知覚限界距離である。
【0086】
第2のキネマティックプロファイルP2を決定するために、ジャークを限定するための前に説明された方法が使用され得る。この場合、自律車両100の応答性の増加は、第2のプロファイルP2の最大速度しきい値を、第1のプロファイルP1の最大速度しきい値Vmax1よりも大きく、かつ、最大無衝突速度VCOLよりも小さい、値Vmax2に設定することによって、得られることになる。有利には、第2のプロファイルの最大加速度および/またはジャークしきい値Amax2およびJmax2は、それぞれ第1のプロファイルP1のAmax1およびJmax1しきい値よりも大きい。
【0087】
ローカルマップM2および/または第2のキネマティックプロファイルP2を決定した後に、本方法は、第2の軌道セグメントS’、または最適化されたセグメントS’を算出するために軌道を決定するステップE1に戻り、第1の軌道セグメントSを置き換える。
【0088】
最適化されたセグメントS’は、ローカルマップM2および/または第2のキネマティックプロファイルP2に適合するように決定される。
【0089】
最適化されたセグメントS’は、特にマップM1が修正されなかったとき、第1のセグメントSと同じ曲線を有し得る。しかしながら、それらのセグメントは、それらが実装する速度および/または加速度および/またはジャークに関して異なる。
【0090】
最適化されたセグメントS’は、所与のセグメントSの入口点と出口点とを接続する。最適化されたセグメントS’は、有利には、連続性G2、すなわち、最適化されたセグメントS’を形成する様々な弧間の曲率の連続性であって、点Aにおける、最適化されたセグメントS’に先行する軌道セグメントとの曲率の連続性、および点Bにおける、最適化されたセグメントS’に続く軌道セグメントとの曲率の連続性でもある、連続性を有するように決定される。
【0091】
一実施形態では、最適化されたセグメントS’は、5次多項式によって、特にベジエ曲線を使用して、定義され得る。
【0092】
次いで、ステップE4が続く。第4のステップE4において、自律車両の移動は、先行するステップにおいて決定された軌道に従って制御され、この軌道は、場合によっては、最適化されたセグメントS’を備える。
【0093】
軌道は、自律車両100のモーションアクチュエータ4に送信されたコマンドオーダーに変換されるために、自律車両100の制御法則(control law)に送信される。
【0094】
制御方法を実装するための2つの例が、図4および図5において説明される。これらの図における自律車両100の位置は、最適化された軌道に沿って車両を移動するステップE4を表すことに留意されたい。
【0095】
図4は、本方法を実装するための第1の例を示す。瞬間Tにおいて、自律車両100は、軌道T1のセグメントSi-1上を進行し、軌道T1は、マップM1およびキネマティックプロファイルP1に応じて算出される。続くセグメントSは、瞬間Tにおいて算出される知覚限界距離DLIMによって定義される知覚ゾーン中に完全に位置する。続くセグメントSは、ラウンドアバウトの外側車線上の移動を実装する。ラウンドアバウト上の交通がないと、ステップE2において、空のラウンドアバウト状況が検出される。ステップE3において、マップM1は、二車線ラウンドアバウトを一車線ラウンドアバウトと置き換えるために、ローカルマップM2によって局所的に修正される。次いで、新しい軌道S’が、ステップE1において、ローカルマップM2を使用して算出され、新しい軌道S’は、セグメントSの入口点AをセグメントSの出口点Bに接続する。ステップE4において、自律車両100は、点Aと点Bとの間のセグメントS’上を移動するために制御される。
【0096】
図5は、本方法を実装するための第2の例を示す。この第2の例では、続くセグメントSは、ラウンドアバウトの外側車線上の移動を決定する。ラウンドアバウト上の交通は密であり、自律車両100は、ラウンドアバウトの入口において停止しなければならない。自律車両がラウンドアバウトの入口において静止している所与の持続時間が終了すると、ステップE2において、過密なラウンドアバウト状況が検出される。ステップE3において、新しいキネマティックプロファイルP2が、車両がラウンドアバウトに入ることを容易にするように定義される。次いで、キネマティックプロファイルP2は、ステップE1において、点Aと点Bを接続する新しいセグメントS’を決定するために使用される。セグメントSおよびS’は、同じ曲線をたどるが、同じ速度および/または加速度および/またはジャークを実装しない。ステップE4において、自律車両100は、点Aと点Bとの間のセグメントS’上を移動するために制御される。
【0097】
最後に、本発明による制御方法は、交通シナリオのセットを検出し、識別された交通シナリオに従って自律車両の軌道を最適化するために、知覚手段を使用する。
【0098】
本発明による軌道最適化は、互いとは無関係にまたは同時に使用され得る、2つの最適化レバー(lever)を実装する。第1の最適化レバーは、識別された交通シナリオのインフラストラクチャを表すマップを局所的に修正することを伴う。第2の最適化レバーは、自律車両の軌道において適用される最大速度および/または加速度および/またはジャークしきい値を増加させることによって、自律車両の応答性を一時的に増加させることを伴う。
【0099】
それらの最適化レバーは、いかなる衝突をも回避するために、周囲の交通に応じて決定される。マップ修正は、好ましくは、周囲の交通の不在下で行われる。車両の応答性の増加は、密な交通条件下で行われ、エレクトロニックホライズンのデータから算出される最大無衝突速度を考慮に入れる。したがって、軌道の最適化は、安全な条件において行われる。
【0100】
道路安全性に関する信頼性に加えて、本発明は、いくつかの利点を有する。第1に、本発明は、自律車両が高い交通密度により混雑した状況にあることのリスクを低減する。自律車両の応答性を周期的に増加させることによって、これは、自律車両が密な交通により容易に入るとともに、入る操作が完了すると、最適な運転快適さレベルに戻ることを可能にする。したがって、本発明は、自律車両の運転スタイルを周囲の交通に適応させることによって、交通の流動性と運転快適さとを促進する。より一般的には、所与の状況のセットにおいて、本発明は、自律車両が、これらの状況に直面させられた人間の運転者の最適化選択を再現することを可能にする。
【0101】
したがって、本発明は、自律車両が、運転シーンの静的データ(インフラストラクチャ)および動的データ(特に交通)に関係する知覚データに応じて、自律車両の運転の応答性を適応させることを可能にする。自律車両の運転流動性は、このようにして、運転安全性を尊重しながら、改善され、特に混雑した状況が回避される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】