(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】自動車、特に商用車両
(51)【国際特許分類】
B60K 17/08 20060101AFI20240514BHJP
B60K 17/04 20060101ALI20240514BHJP
F16H 3/58 20060101ALI20240514BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240514BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240514BHJP
B60K 1/00 20060101ALI20240514BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240514BHJP
【FI】
B60K17/08 M
B60K17/04 P
F16H3/58
B60L50/60
B60L15/20 K
B60K1/00
B60K1/04
B60K17/04 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567245
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2022061688
(87)【国際公開番号】W WO2022233776
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】102021002327.7
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522204810
【氏名又は名称】ダイムラー トラック アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】DAIMLER TRUCK AG
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【氏名又は名称】井上 正則
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カイラン,グンター
【テーマコード(参考)】
3D039
3D235
3J528
5H125
【Fターム(参考)】
3D039AA03
3D039AB01
3D039AB26
3D039AC39
3D039AC74
3D235AA01
3D235BB17
3D235CC12
3D235CC15
3D235DD27
3D235DD35
3J528EA07
3J528EA25
3J528EA28
3J528EB33
3J528EB63
3J528EB66
3J528FC02
3J528FC24
3J528FC64
3J528GA03
3J528GA07
3J528JA02
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC12
5H125BA00
5H125BE05
(57)【要約】
【課題】特に有利な電気駆動部を備える自動車を造り出す。
【解決手段】本発明は、操舵可能な第1のアクスル(12)と、駆動可能な第2のアクスル(20)と、第2のアクスル(20)を駆動するための電気駆動部(26)と、トラクションバッテリ(28)とを備える自動車(10)に関し、トラクションバッテリ(28)を使用して、電気駆動部(26)は、トラクションバッテリ(28)に蓄積された電気エネルギーを供給可能であり、電気駆動部(26)は、ハウジング(28)と、電気モータ(30)であって、ステータ(32)と、ステータ(32)に対して、かつハウジング(28)に対してロータ軸線(38)を中心として回転可能なロータ(34)とを有する電気モータ(30)と、第1の要素、第2の要素、及び第3の要素を有し、ロータ軸線(38)に対して同軸に配置された第1の遊星ギヤセット(42)とを有した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵可能な第1のアクスル(12)と、駆動可能な第2のアクスル(20)と、前記第2のアクスル(20)を駆動するための電気駆動部(26)と、トラクションバッテリ(28)とを備え、
前記トラクションバッテリ(28)を使用して前記トラクションバッテリ(28)に蓄積された電気エネルギーを供給可能な前記電気駆動部(26)が、
ハウジング(28)と、
ステータ(32)と、前記ステータ(32)に対して、かつ前記ハウジング(28)に対してロータ軸線(38)を中心として回転可能なロータ(34)とを有する、電気モータ(30)と、
第1の要素、第2の要素、及び第3の要素を有し、前記ロータ軸線(38)に対して同軸に配置された第1の遊星ギヤセット(42)と、
第4の要素、第5の要素、及び第6の要素を有し、前記ロータ軸線(38)に対して同軸に配置された第2の遊星ギヤセット(52)と、
を有し、
前記電気モータ(30)、前記第1の遊星ギヤセット(42)、及び前記第2の遊星ギヤセット(52)が、前記ロータ(34)の軸線方向において互いに前後して前記電気モータ(30)-前記第1の遊星ギヤセット(42)-前記第2の遊星ギヤセット(52)の順序で配置されており、
前記ロータ軸線(38)が、車両長手方向(22)に対して直角に配置されている、自動車(10)であって、
ドライブシャフト(64)を更に備え、
前記第1のアクスル(12)、前記トラクションバッテリ(28)、前記第2のアクスル(20)、及び前記電気駆動部(26)は、車両長手方向(22)において互いに前後して前記第1のアクスル(12)-前記トラクションバッテリ(28)-前記第2のアクスル(20)-前記電気駆動部(26)の順序で配置されており、
前記ハウジング(28)は、前記自動車(10)のフレーム(18)に堅固に接続されており、
前記電気駆動部(26)は、アングル駆動部(62)を有し、
前記第2の遊星ギヤセット(52)の前記要素のうちの1つは、前記アングル駆動部(62)の入力歯車(66)と相対回転不能に連結されているか又は連結可能であり、
前記アングル駆動部(62)の出力歯車(68)は、前記ドライブシャフト(64)の入力側(E)と連結されているか又は連結可能であり、
前記ドライブシャフト(64)の出力側(A)は、前記第2のアクスル(20)のアクスルドライブ(70)と連結されているか又は連結可能である
ことを特徴とする自動車(10)。
【請求項2】
前記アングル駆動部(62)の前記出力歯車(68)は、平歯車段(72)の第1の歯車(74)と相対回転不能に連結されている
ことを特徴とする請求項1記載の自動車(10)。
【請求項3】
前記平歯車段(72)の第2の歯車(76)は、前記ドライブシャフト(64)の前記入力側(E)と相対回転不能に連結されている
請求項2記載の自動車(10)。
【請求項4】
前記電気駆動部(26)は、
前記第3の要素を前記ロータと相対回転不能に連結可能とする第1の切替要素(S1)と、
前記第3の要素を前記ハウジング(28)と相対回転不能に連結可能とする第2の切替要素(S2)と、
前記第1の要素を前記ロータ(34)と相対回転不能に連結可能とする第3の切替要素(S3)と、
前記第1の要素を前記ハウジング(28)と相対回転不能に連結可能とし、前記ロータ(34)の軸線方向において、前記第1の遊星ギヤセット(42)から離れる、前記電気モータ(30)の側(S3)に配置されている第4の切替要素(S4)と、
前記第2の要素を前記第4の要素と相対回転不能に連結可能とし、前記第5の要素を、前記アングル駆動部(62)の前記入力歯車(66)と相対回転不能に連結するか又は連結可能とする第5の切替要素(S5)と
を有することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項記載の自動車(10)。
【請求項5】
前記第5の切替要素(S5)は、前記第2の要素を前記第4の要素と相対回転不能に連結し、かつ前記第6の要素と相対回転不能に連結するように形成されている
ことを特徴とする請求項4記載の自動車(10)。
【請求項6】
前記第6の要素を前記ハウジング(28)と相対回転不能に連結可能とする第6の切替要素(S6)
により特徴付けられる請求項4又は請求項5記載の自動車(10)。
【請求項7】
前記第3の切替要素(S3)及び前記第4の切替要素(S4)は、軸線方向に隣り合って配置され、少なくとも2つの切換位置を有する連結切替要素(KS)へと組み合わされている
ことを特徴とする請求項4~請求項6のいずれか一項記載の自動車(10)。
【請求項8】
前記第4の要素を前記ハウジング(28)と相対回転不能に連結可能とする第7の切替要素(S7)
により特徴付けられる請求項4~請求項7のいずれか一項記載の自動車(10)。
【請求項9】
前記第4の切替要素(S4)、前記電気モータ(30)、前記第1の遊星ギヤセット(42)、前記第2の遊星ギヤセット(52)、前記入力歯車(66)、及び前記第7の切替要素(S7)は、前記駆動可能な第2のアクスル(20)の方向から見て、かつ/又は前記ロータ(34)の軸線方向から見て、互いに前後して前記第4の切替要素(S4)-前記電気モータ(30)-前記第1の遊星ギヤセット(42)-前記第2の遊星ギヤセット(52)-前記入力歯車(66)-前記第7の切替要素(S7)の順番で配置されている
ことを特徴とする請求項8に記載の自動車(10)。
【請求項10】
前記電気モータ(30)に対して同軸に配置され、第2のステータ(78)と、前記第2のステータ(78)に対して回転可能であり、前記第2の遊星ギヤセット(52)の前記要素のうちの1つと相対回転不能に連結されているか又は連結可能である第2のロータ(80)とを有する第2の電気モータ(77)
によって特徴付けられる請求項1~請求項9のいずれか一項記載の自動車(10)。
【請求項11】
前記第2のロータ(80)は、前記第4の要素と相対回転不能に連結されているか又は連結可能である
ことを特徴とする請求項10記載の自動車(10)。
【請求項12】
前記第1の電気モータ(30)、前記第1の遊星ギヤセット(42)、前記第2の遊星ギヤセット(52)、前記入力歯車(66)、及び前記第2の電気モータ(77)は、前記駆動可能な第2のアクスル(20)の方向から見て、かつ/又は前記第1の電気モータ(30)の軸線方向から見て、互いに前後して前記第1の電気モータ(30)-前記第1の遊星ギヤセット(42)-前記第2の遊星ギヤセット(52)-前記入力歯車(66)-前記第2の電気モータ(77)の順番で配置されている
ことを特徴とする請求項10又は請求項11記載の自動車(10)。
【請求項13】
更なるステータ(88)と、前記第1のロータ(34)及び前記遊星ギヤセット(42、52)に対して同軸に配置されている更なるロータ(90)とを有する更なる電気モータ(86)と、
それぞれ前記ロータ(34、90)、前記第1の遊星ギヤセット(42)、及び前記第2の遊星ギヤセット(52)に対して同軸に配置されている第7の要素、第8の要素、及び第9の要素を有する第3の遊星ギヤセット(96)と、
それぞれ前記ロータ(34、90)、前記第1の遊星ギヤセット(42)、前記第2の遊星ギヤセット(52)、及び前記第3の遊星ギヤセット(96)対して同軸に配置されている第10の要素、第11の要素、及び第12の要素を有する第4の遊星ギヤセット(98)と
によって特徴付けられ、
前記第2のロータ(90)は、前記第7の要素と相対回転不能に連結されているか又は連結可能であり、
前記第8の要素は、前記第10の要素と相対回転不能に連結されているか又は連結可能であり、
前記第11の要素は、前記アングル駆動部(62)の前記入力歯車(66)と相対回転不能に連結されているか又は連結可能である
ことを特徴とする請求項1~請求項9のいずれか一項記載の自動車(10)。
【請求項14】
前記第1の電気モータ(30)、前記第1の遊星ギヤセット(42)、前記第2の遊星ギヤセット(52)、前記アングル駆動部(62)の前記入力歯車(66)、前記第4の遊星ギヤセット(98)、前記第3の遊星ギヤセット(96)、及び前記更なる電気モータ(86)は、前記駆動可能な第2のアクスル(20)の方向から見て、かつ/又は前記第1のロータ(34)の軸線方向から見て、互いに前後して前記第1の電気モータ(30)-前記第1の遊星ギヤセット(42)-前記第2の遊星ギヤセット(52)-前記アングル駆動部(62)の前記入力歯車(66)-前記第4の遊星ギヤセット(98)-前記第3の遊星ギヤセット(96)-前記更なる電気モータ(86)の順番で配置されている
ことを特徴とする請求項13記載の自動車(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の前段に記載の自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1から、駆動部としての電気機械(電気エンジン)と、2つの切替要素及び後に接続された従動部としての減速変速機を有する遊星変速機としての2速変速機と、を備える、車両用の電気駆動部が公知であると理解することができる。更に、遊星変速機は、第1速が直接駆動として実施されているように駆動部及び従動部と連結されていることが企図されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2012 220 562 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、特に有利な電気駆動部を備える自動車を造り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本課題は、特許請求項1の特徴を有する自動車によって解決される。本発明の目的にかなう発展形態を有する有利な実施形態は、その他の請求項に記載されている。
【0006】
本発明は、好適には貨物車として形成されている自動車に関する。特に、自動車は、商用車両として、その場合、例えば、貨物自動車(トラック)として形成することができる。自動車は、操舵可能な第1のアクスルを有する。第1のアクスルが操舵可能であるという特徴とは、特に以下のように理解されたい。第1のアクスルは、例えば、少なくとも2つ又は正確に2つの車両横方向に互いに離間され、かつ車両横方向で対向する側面上に配置された、第1の車両車輪を有し、車両車輪は、少なくとも間接的に、例えば、フレームとして形成されたシャーシと回転可能に接続され、したがって、車輪回転軸線を中心としてシャーシに対して回転可能である。特に、例えば、運転者室がシャーシに、特にフレームに支持されているようなボディを考えることができる。単に第1の車輪とも称する第1の車両車輪は、例えば、少なくとも実質的に車両高さ方向に延びる操舵軸線を中心として、フレーム(シャーシ)に対して旋回又は偏向させることができ、それにより、車線変更及び方向変更が、自動車のカーブ走行をもたらすことができる。特に、第1の車両車輪は、自動車の内部空間に配置され、かつ、例えば、操舵輪として形成された操舵ハンドルと接続されており、操舵ハンドルを介して、運転者は、特に、操舵ハンドルを回すことによって第1の車両車輪を操舵することができる。その場合、特に、内部空間は、いわゆる運転者室によって区切られている。
【0007】
自動車はまた、車両アクスルとも称する駆動可能な第2のアクスルを有する。第2のアクスルは、単に第2の車輪とも称する、少なくとも2つ又は正確に2つの第2の車両車輪を有する。第2の車両車輪は、車両横方向に互いに離間されており、車両横方向で互いに対向する側面上に配置されている。第2の車両車輪は、駆動可能であり、それにより、自動車は、全体として駆動することができる。その場合、好適には、第2の車両車輪もまた、第2の車輪回転軸線を中心として回転可能に、少なくとも間接的にフレームと接続されている。その場合、好適には、車輪回転軸線が、特に自動車の直進走行時に互いに並行に、車両横方向に延びていることが企図されている。車両車輪は、自動車の路面接触要素であり、自動車は、車両高さ方向で下向きに路面接触要素を介して路面で支持可能であるか又は支持されている。自動車が車両高さ方向で下向きに路面接触要素を介して路面で支持されている間、第2の車両車輪、したがって自動車が駆動される場合には、自動車は、路面に沿って走行し、車両車輪は、路面で転動する。
【0008】
自動車は、第2のアクスルを駆動するために電気駆動部を有する。言い換えると、第2のアクスルは、電気駆動部を使用して、特に純粋に電気駆動することができる。これに加えて、特に、第2のアクスルの第2の車両車輪は、電気駆動部を使用して、特に純粋に電気的に駆動することができ、それにより、自動車は、特に純粋に電気駆動することができると理解されたい。したがって、自動車は、好適には、ハイブリッド車両として又はそうでなければ電気車両として形成されている。その場合、特に、第1のアクスル及び第2のアクスルに関して、第2のアクスルのみが電気駆動部を使用して駆動可能であることが考えられる。これは、特に、第1の車両車輪及び第2の車両車輪に関して、第2のアクスルの第2の車両車輪のみが電気駆動部を使用して駆動することができると理解されたい。
【0009】
自動車は、トラクションバッテリもまた有する。トラクションバッテリは、電気エネルギー貯蔵器であり、詳しく言えば、電気エネルギー貯蔵器を使用して電気エネルギーを貯蔵することができるか、又は電気エネルギーが貯蔵されている。トラクションバッテリを使用して、電気駆動部には、トラクションバッテリに貯蔵された電気エネルギーを供給可能であり、それにより、自動車は、特に純粋に電気駆動することができる。
【0010】
電気駆動部は、ハウジング及び電気モータを有し、電気モータは、ステータ及びロータを有する。電気モータは、第1の電気モータとも称するため、ステータは、第1のステータとも称し、ロータは、第1のロータとも称する。第1のロータは、第1のロータ軸線とも称するロータ軸線を中心として、ステータに対してかつハウジングに対して回転可能である。特に、ロータは、ステータを使用して駆動することができる。例えば、ステータ及びロータはそれぞれ、少なくとも部分的にハウジング内に配置されている。更に、電気モータが電気モータのロータトルクを、第2のアクスルの、ひいては自動車の特に純粋な電気駆動にもたらすことができることを、企図することができる。ロータを駆動するために、したがって、電気モータを使用して第2のアクスルを駆動するために、電気モータには、トラクションバッテリに貯蔵された電気エネルギーが供給される。
【0011】
電気駆動部は、更に、ロータ軸線に対して同軸に配置された第1の遊星ギヤセットを有し、第1の遊星ギヤセットは、第1の要素、第2の要素及び第3の要素を有する。第1の遊星ギヤセットの要素のうちの1つは、単に第1のサンとも称する第1のサンギヤ(太陽歯車)である。第1の遊星ギヤセットの要素のうちの1つは、単に第1のキャリアとも称する第1の遊星キャリアである。第1の遊星ギヤセットの要素のうちの1つは、第1の遊星ギヤセットの第1のリングギヤである。第1の遊星ギヤセットの要素のうちの少なくとも1つは、特に、第1の遊星ギヤセットの少なくとも1つの要素がハウジングと相対回転不能には接続されていない場合、第1のギヤセット回転軸線を中心として、ハウジングに対して回転可能であり、第1のギヤセット回転軸線は、主回転軸線とも称するか、主回転軸線として形成されているか、又は主回転軸線と一致する。本開示の範囲内で、互いに同軸に配置された回転可能な構成部品とは、特にハウジングに対して、例えば、第1のギヤセット回転軸線などのそれぞれの構成要素回転軸線を中心として回転可能であり、構成要素回転軸線が共に同軸に延びるか、又は一致するような構成部品又は構成要素と理解されたい。したがって、第1の遊星ギヤセットがロータ軸線に対して同軸に配置されているか、又は延びているという特徴とは、第1のギヤセット回転軸線、したがって主回転軸線がロータ軸線と一致することと理解されたい。ロータ軸線は、第1のロータ回転軸線とも称する。
【0012】
更に、好適には、第1の遊星ギヤセットがロータ軸線に対して同軸に配置されているという特徴とは、第1の遊星ギヤセットの共に同軸に配置された要素が、ロータに対して同軸に、したがって電気モータに対して同軸に配置されていることと理解されたい。
【0013】
電気駆動部は、更に、第2の遊星ギヤセットを有し、第2の遊星ギヤセットは、ロータ軸線に対して同軸に、したがって第1の遊星ギヤセットに対してもまた同軸に配置されている。第2の遊星ギヤセットは、第4の要素、第5の要素及び第6の要素を有する。第2の遊星ギヤセットの要素のうちの1つは、単に第2のサンとも称する第2のサンギヤである。第2の遊星ギヤセットの要素のうちの1つは、単に第2のキャリアとも称する第2の遊星キャリアである。第2の遊星ギヤセットの要素のうちの1つは、第2のリングギヤである。第2の遊星ギヤセットの要素のうちの少なくとも1つは、少なくとも、第2の遊星ギヤセットの少なくとも1つの要素がハウジングと相対回転不能には接続されていない場合、第2のギヤセット回転軸線を中心として、ハウジングに対して回転可能である。遊星ギヤセットが共に同軸に配置されているため、ギヤセット回転軸線は一致し、ギヤセット回転軸線が主回転軸線と一致するか、又は第2のギヤセット回転軸線が主回転軸線と一致し、第1のロータ軸線は、第2のギヤセット回転軸線と一致する。更に、第2のギヤセットの要素は、共に同軸に配置されている。
【0014】
電気モータは、第1の電気モータとも称する。以下で電気モータ、ステータ、ロータ及びロータ軸線を取り上げる場合、他に指定しない限り、第1の電気モータ、第1のステータ、第1のロータ、及び第1のロータ軸線であると理解されたい。
【0015】
自動車では、ロータの軸線方向で、すなわち、第1のロータ軸線に沿って観察するか又は見たとき、第1の電気モータ、第1の遊星ギヤセット、及び第2の遊星ギヤセットは、電気モータ-第1の遊星ギヤセット-第2の遊星ギヤセットの順序で互いに前後して順に連続して配置されている。言い換えると、ロータの軸線方向で、第1の遊星ギヤセットは、電気モータの次に配置され、第2の遊星ギヤセットは、第1の遊星ギヤセットの次に配置されている。更に言い換えて表現すると、ロータの軸線方向で、すなわち、第1のロータ軸線に沿って見たとき、第1の遊星ギヤセットは、ロータ上に、第2の遊星ギヤセットは、第1の遊星ギヤセット上に、それぞれ少なくとも部分的に、特に少なくとも主要部分として、したがって、少なくとも半分よりも多く、又はそうでなければ好適には完全に重なる。ロータ回転軸線が主回転軸線と一致しているため、ロータの、したがって電気モータの軸線方向は、それぞれの遊星ギヤセットの軸線方向と一致する。
【0016】
ここで電気駆動部の特に有利なかつ特にコンパクトな設置様式を実現し、電気駆動部の複雑さを有利に低く保つことができるようにするために、本発明によれば、車両長手方向で、すなわち自動車の長手方向から見て、第1のアクスル、トラクションバッテリ、第2のアクスル、及び電気駆動部は、第1のアクスル-トラクションバッテリ-第2のアクスル-電気駆動部の順序で互いに前後して又は順に連続して配置されている。その場合、自動車の車両長手方向は、自動車が真っ直ぐ走行する場合、したがって、カーブなしで走行する場合、自動車の前進方向と一致する。その場合、特に、車両長手方向は、前述の車両横方向に対して垂直に延びるため、特に自動車の直進走行時、それぞれのギヤ回転軸線が車両長手方向に対して垂直に延びることが企図されている。
【0017】
更に、本発明によれば、ハウジングが少なくとも実質的に堅固に自動車のフレームに接続されていることが企図されている。これについては、ハウジングが自動車の1つの又はすべての車両アクスルを回避してフレームに接続されている、すなわち、フレームに保持されている。更に言い換えて表現すると、ハウジングは、アクスル固定式などではない、すなわち、アクスルのうちの1つを介してフレームに保持されているのではなく、ハウジングは、フレーム固定式である。したがって、それぞれのアクスルのそれぞれの車両車輪は、フレームに対して、特に車両高さ方向に生じる圧縮運動及び反発運動をもたらし、この場合、ハウジングは、フレームに対して、それぞれのアクスル又はそれぞれの車両車輪と一緒に動くことはない。したがって、それぞれの車両車輪は、圧縮運動及び反発運動をハウジングに対してもまたもたらす。特に、ハウジングは、少なくとも実質的に直接フレームに接続されている。ハウジングが弾性、したがって振動減衰性である、すなわち、例えば、ゴム製の弾性変形可能な少なくとも1つの支承要素を介してフレームに保持されているが、ハウジングがアクスルを介さずにフレームに保持されているため、例えば、力がハウジングとフレームとの間で伝達可能な力経路は、ハウジングからフレームに、又はその逆に延び、その場合、自動車の車両アクスルを介さずに延びていることが考えられる。
【0018】
更に、本発明によれば、電気駆動部が、特にロータによって駆動可能なアングル駆動部を有するため、アングル駆動部を介して駆動可能な又は駆動される第2のアクスルの第2の車両車輪が、ロータによって、したがって、電気モータによって駆動可能であることが企図されている。アングル駆動部とは、特に、アングル駆動部を使用して、例えば、少なくとも70度、特に少なくとも80度及びまさに特に90度のトルク偏向をもたらすことができることと理解されたく、このことは特に、以下のように理解されたい。ロータを介して、電気モータは、第2の車両車輪を駆動するためにトルクを提供することができ、電気モータからロータを介して提供され、第2のアクスル又は第2の車両車輪を駆動するためにもたらされたそれぞれのトルクは、ドライブトルクまたは駆動トルクとも称する。それぞれの駆動トルクは、トルク伝達経路を介してロータから第2のアクスルへ、したがって、第2のアクスルの第2の車両車輪へ伝達可能であるか又は伝達される。その場合、アングル駆動部は、ロータから第2のアクスルに向かって又は第2のアクスル上へ延びるトルク伝達経路に配置されている。アングル駆動部を使用して、トルク伝達経路に沿って延びるそれぞれの駆動トルクは、偏向される、つまり前述のように、好適には、少なくとも70度、特に少なくとも80度及びまさに特に少なくとも90度又は正確に90度だけ偏向される。このことは、特に、トルク伝達経路の第1の部分領域及びトルク伝達経路の第2の部分領域が斜めに、特に垂直に、相対して延び、その場合、ある角度を囲んでおり、その角度は、好適には、少なくとも70度、特に少なくとも80度及びまさに好適には少なくとも90度又は正確に90度であり、特に、その角度は、部分領域によって囲まれた最小の角度である。その場合、部分領域は、アングル駆動部を介して、特に恒常的に、トルクを伝達するように互いに一緒に連結されているか又は連結可能であるため、例えば、アングル駆動部の入力部は、第1の部分領域に、アングル駆動部の出力部は、第2の部分領域に、特に、入力部及び出力部が、特に恒常的に、トルクを伝達するように互いに一緒に連結可能であるか又は連結されているように、配置されている。例えば、それぞれの駆動トルクは、アングル駆動部の入力部を介してアングル駆動部に導入することができ、それにより、アングル駆動部は、ロータによって駆動可能である。アングル駆動部の出力部を介して、アングル駆動部は、アングル駆動部に導入されたトルク又はアングル駆動部に導入されたトルクからもたらされる、更なるトルクを提供し、第2のアクスルに伝達することができる。アングル駆動部により、ロータの軸線方向における電気駆動部、延いては電気駆動部全体の長さを特に短くすることが可能になる。
【0019】
更に、本発明によれば、ドライブシャフトが設けられており、ドライブシャフトは、例えば、トルク伝達経路の第2の部分領域に配置されている。したがって、好適には、ドライブシャフトがアングル駆動部を介してロータによって、したがって電気モータによって駆動可能であるため、第2のアクスルは、ドライブシャフトを介してアングル駆動部を介して、特にアングル駆動部の出力部によって駆動可能であることが企図されている。第2の遊星ギヤセットの要素のうちの1つは、アングル駆動部の入力歯車と相対回転不能に連結されているか又は連結可能である。入力歯車は、入力ギヤとも称し、アングル駆動部の入力部に接して又は入力部内に配置されている。言い換えると、入力歯車は、アングル駆動部の入力部の構成部品であるため、例えば、それぞれの駆動トルクは、入力歯車を介してアングル駆動部に導入可能である。したがって、特に、入力歯車は、第1の部分領域に配置されている。アングル駆動部の出力歯車は、出力ギヤとも称され、ドライブシャフトの出力側と、特にトルクを伝達するように、連結されているか又は連結可能である。したがって、出力歯車は、アングル駆動部の出力部内に又は出力部に接して配置されている。言い換えると、アングル駆動部の出力歯車は、アングル駆動部の出力部の構成部品であるため、アングル駆動部は、出力歯車を介して、ドライブトルク又はドライブトルクからもたらされるそれぞれのトルクを提供することができ、入力歯車を介して、それぞれのドライブトルクをアングル駆動部に導入することができる。したがって、例えば、出力歯車は、第2の部分領域に配置されている。ドライブシャフトの入力側は、好適には、第2の部分領域に配置されているため、アングル駆動部よって提供されたドライブトルク又は更なるトルクは、ドライブシャフトの入力側を介してドライブシャフトに伝達することができる、すなわち、ドライブシャフトに導入することができる。例えば、出力歯車が入力歯車と、特に直接かみ合い連動することが企図されている。出力歯車は、入力歯車によって駆動可能であるため、ドライブシャフトは、ドライブシャフトの入力側を介して出力歯車によって駆動可能である。したがって、ドライブシャフトは、出力歯車を介して入力歯車によって駆動可能である。
【0020】
ドライブシャフトの出力側は、第2のアクスルのアクスルドライブと連結されているか又は連結可能である。ドライブシャフトの出力側は、好適には、トルク伝達経路の第2の部分領域に配置されており、出力側は、入力側によって駆動可能である。したがって、出力側は、入力側を介して出力歯車によって駆動可能であり、アクスルドライブは、出力側を介して出力側によって駆動可能であるため、アクスルドライブは、ドライブシャフトを介して出力歯車によって、すなわち、アングル駆動部によって駆動可能である。アクスルドライブは、好適には、単にディファレンシャルとも称するディファレンシャル変速機であり、アクスルドライブを介して、第2の車両車輪は、特にカーブ走行時でもまた、ドライブシャフトによって、特に出力側によって駆動可能である。一般的な先行技術から既に十分に公知であるように、アクスルドライブは、好適には、自動車のカーブ走行時に第2のアクスルの第2の車両車輪の様々な回転数を可能にするように、特に第2の車両車輪がアクスルドライブを介してトルクを伝達するようにドライブシャフトと連結されており、特にドライブシャフトによってアクスルドライブを介して駆動されることにより、自動車を駆動するように形成されている。
【0021】
本開示の範囲内で、2つの構成要素が互いに一緒に相対回転不能に接続されているという特徴とは、構成要素が相対して同軸に配置され、構成要素が同じ角速度で一緒に、特に構成要素に共通の構成部品軸線を中心として、特に上述のハウジングに対して回転するように、互いに一緒に接続されていることと理解されたい。2つの構成要素が恒常的に互いに一緒に相対回転不能に接続されているという特徴とは、構成要素を互いに一緒に回転不能に接続する連結状態と、特に構成部品回転軸線を中心として行われる回転のために構成要素を互いに対して解放する連結解除状態との間で切替可能である切替要素などが設けられておらず、その代わりに、構成要素は、定常的に又は恒常的に(常に)互いに一緒に相対回転不能に接続されていることと理解されたい。1つ又は2つの構成要素が互いに一緒に相対回転不能に接続可能であるという特徴とは、特に、構成要素に切替要素が割り当てられており、切替要素は、少なくとも1つの連結状態と少なくとも1つの連結解除状態との間で切替可能であることと理解されたい。連結状態では、構成要素は、切替要素を使用して互いに相対回転不能に接続されている。連結解除状態では、構成要素は、互いに連結解除されているため、互いに対して、特に構成部品回転軸線を中心として回転可能である。
【0022】
2つの構成要素がトルクを伝達するように互いに一緒に接続されているという特徴とは、トルクを構成要素間で伝達することができること、すなわち、トルクを一方の構成要素から他方の構成要素に伝達することができるため、例えば、一方の構成要素は、他方の構成要素を駆動することができることと理解されたい。1つ又は2つの構成要素がトルクを伝達するように互いに一緒に連結されている又は接続されている場合、構成要素は、必ずしも同軸に相対して配置されている必要はない。互いに一緒に相対回転不能に接続された構成要素はまた、トルクを伝達するように互いに一緒に連結されているが、その逆は必ずしも当てはまらない。2つの構成要素が恒常的にトルクを伝達するように互いに一緒に接続されているか又は連結されているという特徴とは、構成要素をトルクを伝達するように互いに一緒に接続するか又は連結する連結状態と、連結要素を介してトルクを構成要素間で伝達することができない連結解除状態との間で切替可能である切替要素などが設けられておらず、その代わりに、構成要素は、定常的に又は恒常的にトルクを伝達するように互いに一緒に接続されているか又は連結されていることと理解されたい。したがって、1つ又は2つの構成要素がトルクを伝達するように互いに一緒に接続可能であるか又は連結可能であるという特徴とは、特に、構成要素に切替要素が割り当てられており、切替要素は、少なくとも1つの連結状態と少なくとも1つの連結解除状態との間で切替可能であることと理解されたい。連結状態では、構成要素は、切替要素を使用してトルクを伝達するように互いに相対回転不能に接続されているため、構成要素間で切替要素を介してトルクを伝達することができる。したがって、構成要素のうちの一方は、切替要素を介して他方の構成要素を駆動することができる。連結解除状態では、構成要素は、互いに連結解除されているため、トルクを構成要素間で伝達することができない。
【0023】
したがって、これに基づいて、アングル駆動部に関して、例えば、出力歯車及び入力歯車が互いに一緒に相対回転不能に連結可能であることが企図されている。特に、入力歯車及び出力歯車が、特に恒常的に、トルクを伝達するように、特に、入力歯車が特に直接出力歯車とかみ合うように、互いに一緒に連結されていることが考えられる。ただし、アングル駆動部は、前述のトルク偏向をもたらすため、特に、例えば、入力歯車が第1の部分領域に配置され、出力歯車が第2の部分領域に配置されており、第2の部分領域では、第1の部分領域に対して斜めに又は垂直に延びるように、出力歯車及び入力歯車が、相対して同軸には配置されていない。例えば、入力歯車は、入力歯車回転軸線を中心としてハウジングに対して回転可能であり、出力歯車は、出力歯車回転軸線を中心としてハウジングに対して回転可能であり、出力歯車回転軸線は、出力歯車回転軸線に対して斜めに又は垂直に延び、特に入力歯車及び出力歯車が、特に恒常的に、トルクを伝達するように互いに一緒に連結されている間、特に直接互いに一緒にかみ合う。その場合、入力歯車回転軸線が第1の部分領域で延びている、又はトルク伝達経路の第1の部分領域と一致し、例えば、出力歯車回転軸線が第2の部分領域で延びているか、又は第2の部分領域と一致することが考えられる。アングル駆動部を使用して、電気駆動部を横向きに取り付けることができる、すなわち、横向きに設置することができるため、ロータの軸線方向、すなわち、第1のロータ軸線又は主回転軸線は、車両長手方向に対して斜めに又は好適には垂直に延びる。その場合、特に、第1の部分領域が主回転軸線と一致し、したがって、車両横方向に対して斜めに又は垂直に延びていることが考えられ、特に、第2の部分領域が車両長手方向に延びている、すなわち、車両長手方向と一致していることが考えられる。したがって、アングル駆動部及びドライブシャフトを介して、それぞれのドライブトルクは、特に有利に第2のアクスルに伝達することができ、電気駆動部は、特に車両長手方向において第2のアクスルの後方に、横向きに取り付けることができる。更に、ハウジング、したがって電気駆動部がアクスル固定式などではなく、その代わりにフレーム固定式であるため、ハウジング又は電気駆動部は、ばね下質量(非ばね負荷質量)ではなく、その代わりにばね上質量(ばね負荷質量)であり、その結果、過剰な摩耗を防止することができる。電気駆動部を車両長手方向において第2のアクスルの後方に配置することの更なる利点は、トラクションバッテリを車両長手方向において第1のアクスルと第2のアクスルとの間に配置することができることである。それにより、トラクションバッテリの有利なサイズ及び特に高い貯蔵容量を具現化することができる。
【0024】
例えば、アングル駆動部の入力歯車は、クラウンギヤ(ディスクギヤ)であり、アングル駆動部の出力歯車は、かさ歯車である。代替的に又は追加的に、ドライブシャフトと、特にドライブシャフトの出力側と、特に第2のかさ歯車は、トルクを伝達するように、特に相対回転不能に接続されているか又は接続可能である。更に、アクスルドライブが特に第2のクラウンギヤを有し、第2のクラウンギヤが第2のかさ歯車と、トルクを伝達するように、特に直接かみ合うように、接続されているか又は連結されていることが考えられる。これにより、特に有利なコンパクトかつ摩耗のないトルク伝達を具現化することができる。
【0025】
第2の遊星ギヤセットを切り替えることにより、ロータの、したがって電気駆動部の軸線方向において、電気駆動部の全体として延びる長さは、特に短く抑えることができるため、電気駆動部の特にコンパクトな設置様式が実現可能である。したがって、電気駆動部を特に有利に横向きに設置又は取り付けることができる。更に、これにより、電気駆動部を第2のアクスルの後方に配置することができ、これにより、車両長手方向においてアクスル間に電気駆動部を配置する場合と比較して、アクスル間にその他のコンポーネント用により多くの設置空間を生み出すことができる。更に、少なくとも以下の利点を実現することができる。
-電気駆動部のモジュール式設置様式。これにより、様々な車両タイプ、積量及び/又はアクスルを、特に自動車を純粋な電気自動車として又はそうでなければハイブリッド車両として形成することができるように、電力供給することができる。
-電気駆動部の横向き設置および後部機関(リアモータ)としての電気駆動部の利用による設置空間の節約。
-電気駆動部の複雑さを特に低く抑えることができ、開発、製造及びメンテナンス又は修理における低コストにより多様性がより大きくなる。
【0026】
本発明の有利な形態では、アングル駆動部の出力歯車は、特に恒常的に、平歯車段の第1の歯車と相対回転不能に連結されている、すなわち、接続されている。それにより、特に効率的な運転を実現することができ、電気駆動部の特にコンパクトな設置様式を具現化することができる。この実施形態の特に大きな利点は、電気駆動部の特に有利な全体の変速比を実現することができることである。更に、主駆動アクスルとも称する駆動可能な第2のアクスルは、特に主回転軸線に対して同軸に配置された又は配置することができるコンポーネントに対して、特に良好に位置決めすることができる。特に、自動車での設置状態において主回転軸線の有利な位置決め性を、特に、主回転軸線を車両高さ方向で可能な限り高く、かつ車両横方向で可能な限り車両横方向に互いに対向する側面の間の中央に配置することができるように、実現することができる。
【0027】
その場合、平歯車段の第2の歯車が特に恒常的に、継手源(Gelenkquelle)(ドライブシャフト)の入力側と相対回転不能に連結されている、すなわち接続されていることが特に有利であることが示された。その場合、特に、第1の歯車が、特に直接第2の歯車とかみ合うことが企図されている。これにより、特にコンパクトな設置様式及び特に効率的な運転を具現化することができる。
【0028】
更なる実施形態は、電気駆動部が第1の切替要素を有し、第1の切替要素を使用して、第3の要素がロータと相対回転不能に連結可能である、すなわち接続可能であることを特徴とする。したがって、第1の切替要素は、少なくとも1つの連結状態と少なくとも1つの連結解除状態との間で切り替えることができる。例えば、第1の切替要素は、特に並進してかつ/又はハウジングに対してかつ/又はロータの軸線方向で、すなわち、ロータ軸線に沿って又はロータ軸線に対して並行に延びる移動方向に沿って、少なくとも1つの第1の連結位置と少なくとも1つの第1の連結解除位置との間で移動することができる。その場合、第1の連結位置は、第1の連結状態に作用し、第1の連結解除位置は、第1の連結解除状態に作用する。第1の連結状態では、すなわち第1の連結位置では、第3の要素は、第1の切替要素を使用してロータと相対回転不能に連結されている、すなわち接続されている。しかし、第1の連結解除状態では、すなわち第1の連結解除位置では、第1の切替要素は、主回転軸線を中心としてロータに対して行われる回転のために第3の要素を解放する。
【0029】
更に、第2の切替要素が設けられており、第2の切替要素を使用して、第3の要素は、ハウジングと相対回転不能に連結可能である、すなわち接続可能である。したがって、第2の切替要素は、少なくとも1つの第2の連結状態と少なくとも1つの第2の連結解除状態との間で切替可能である。特に、例えば、第2の切替要素は、特に並進してかつ/又はハウジングに対してかつ/又はロータの軸線方向で、すなわち、ロータ軸線に沿って又は前述の移動方向に沿って、少なくとも1つの第2の連結位置と少なくとも1つの第2の連結解除位置との間で移動することができる。第2の連結位置は、第2の連結状態に作用し、第2の連結解除位置は、第2の連結解除状態に作用する。第2の連結状態では、第3の要素は、第2の切替要素を使用してハウジングと相対回転不能に連結されている、すなわち接続されている。しかし、第2の連結解除状態では、第2の切替要素は、主回転軸線を中心としてハウジングに対して行われる回転のために第3の要素を解放する。
【0030】
更に、好適には、第3の切替要素が設けられており、第3の切替要素を使用して、第1の要素は、ロータと相対回転不能に連結可能である、すなわち接続可能である。第3の切替要素は、例えば、少なくとも1つの第3の連結状態と少なくとも1つの第3の連結解除状態との間で切替可能である。特に、例えば、第3の切替要素は、特に並進してかつ/又はハウジングに対してかつ/又はロータの軸線方向で、すなわち、ロータ軸線に沿って、第3の連結状態に作用する、少なくとも1つの第3の連結位置と、第3の連結解除状態に作用する、少なくとも1つの第3の連結解除位置との間で移動することができる。第3の連結状態では、第3の切替要素を使用して、第1の要素は、ロータと相対回転不能に連結されている。しかし、第3の連結解除状態では、第3の切替要素は、主回転軸線を中心としてロータに対して行われる回転のために第1の要素を解放する。
【0031】
更に、好適には、第4の切替要素が設けられており、第4の切替要素を使用して、第1の要素は、ハウジングと相対回転不能に連結可能である。その場合、例えば、第4の切替要素は、第4の連結状態と第4の連結解除状態との間で切替可能である。特に、例えば、第4の切替要素は、特に並進してかつ/又はハウジングに対してかつ/又はロータの軸線方向で、第4の連結状態に作用する、少なくとも1つの第4の連結位置と、第4の連結解除状態に作用する、少なくとも1つの第4の連結解除位置との間で移動することができる。第4の連結状態では、第4の切替要素を使用して、第1の要素は、ハウジングと相対回転不能に連結されている。しかし、第4の連結解除状態では、第4の切替要素は、主回転軸線を中心としてハウジングに対して行われる回転のために第1の要素を解放する。その場合、第4の切替要素は、ロータの軸線方向で、第1の遊星ギヤセットから遠い電気モータの側に配置されている。
【0032】
更に、好適には、第5の切替要素が設けられており、第5の切替要素を使用して、第2の要素は、第4の要素と相対回転不能に連結可能である、すなわち接続可能である。その場合、例えば、第5の切替要素は、第5の連結状態と第5の連結解除状態との間で切替可能である。例えば、第5の切替要素は、特にハウジングに対してかつ/又は並進してかつ/又はロータの軸線方向で、第5の連結状態に作用する、少なくとも1つの第5の連結位置と、第5の連結解除状態に作用する、少なくとも1つの第5の連結解除位置との間で移動することができる。第5の連結状態では、第5の切替要素を使用して、第2の要素は、第4の要素と相対回転不能に連結されている、すなわち接続されている。しかし、第5の連結解除状態では、第5の切替要素は、特に主回転軸線を中心として第4の要素に対して行われる回転のために第2の要素を解放する。
【0033】
第5の要素は、アングル駆動部の入力歯車と相対回転不能に連結されているか又は連結可能である。切替要素を使用して、特に設置空間を節約する様式で、特に有利な走行性、ひいては特に効率的な運転を実現することができる。したがって、具体的には、特に設置空間を節約する様式で、電気駆動部の複数の、特に切替可能な段(ギヤ)を実現することができ、段は、例えば、その段のそれぞれの変速比で区別される。
【0034】
本発明の更なる特に有利な実施形態では、第5の切替要素は、第2の要素を第4の要素と相対回転不能に連結し、かつ第6の要素と相対回転不能に連結するように形成されている。例えば、第5の切換要素は、第6の連結状態において切替可能である。例えば、第5の切替要素はまた、特にハウジングに対してかつ/又は並進してかつ/又はロータの軸線方向で、第6の連結状態に作用する少なくとも1つの第6の連結位置へ移動することができる。第6の連結状態では、第5の切替要素を使用して、第2の要素は、第6の要素と相対回転不能に連結されている。その場合、第6の連結状態では、第5の切替要素が、特に主回転軸線を中心として第2の要素に対してかつ/又は第6の要素に対して行われる回転のために第4の要素を解放することが考えられる。更に、第5の連結状態では、第5の切替要素が、特に主回転軸線を中心として第2の要素に対してかつ第4の要素に対して行われる回転のために第6の要素を解放することが考えられる。更に、例えば、第5の連結解除状態では、第5の切替要素が、特に主回転軸線を中心として第4の要素に対してかつ第6の要素に対して行われる回転のために第2の要素を解放することが考えられる。更に、第5の連結解除状態が第6の連結状態に相当することが考えられる。更に、例えば、第5の切替要素は、第7の連結状態へ切り替えることができる。例えば、第5の切替要素は、特にハウジングに対してかつ/又は並進してかつ/又はロータの軸線方向で、第7の連結状態に作用する少なくとも1つの第7の連結位置へ移動することができる。第7の連結状態では、例えば、第5の切替要素を使用して、第4の要素だけではなく第6の要素もまた、同時に第2の要素と相対回転不能に連結されている。したがって、特に設置空間を節約する様式で、特に有利な走行性を実現することができる。
【0035】
あるいはこれに加えて、第1、第2、第3、第4及び第5の切替要素に追加して設けられた更なる切替要素の使用を考えることもできるであろう。この場合、第5の切替要素を使用して、第2の要素は、第4の要素と相対回転不能に連結可能であり、その更なる切替要素を使用して、第2の要素は、第6の要素と相対回転不能に連結可能であるか又は接続可能である。
【0036】
更なる実施形態は、第6の切替要素を特徴とし、第6の切替要素を使用して、第6の要素は、ハウジングと相対回転不能に連結可能である。したがって、例えば、第6の切替要素は、少なくとも1つの第8の連結状態と少なくとも1つの第7の連結解除状態との間で切替可能である。例えば、第6の切替要素は、特に並進してかつ/又はハウジングに対してかつ/又はロータの軸線方向で、第8の連結状態に作用する、少なくとも1つの第8の連結位置と、第7の連結解除状態に作用する、少なくとも1つの第7の連結解除位置との間で移動することができる。第8の連結状態では、第6の切替要素を使用して、第6の要素は、ハウジングと相対回転不能に連結されている、すなわち、ハウジングに接して相対回転不能に固定されている。しかし、第7の連結解除状態では、第6の切替要素は、特に主回転軸線を中心としてハウジングに対して行われる回転のために第6の要素を解放する。これにより、特に効率的な運転は、設置空間を節約する様式で具現化することができる。
【0037】
部品数、費用、重量及び設置空間必要性を特に低く抑えることができるようにするために、本発明の更なる形態では、第3の切替要素及び第4の切替要素が軸線に、すなわちロータの軸線方向に隣り合って配置され、少なくとも2つの切替位置を有する連結切替要素へと組み合わされていることが企図されている。特にこの場合、第3の切替要素及び第4の切替要素が一体的に互いに一緒に形成されていることが考えられる。したがって、第3の連結位置は、第4の連結解除位置に相当するか、又は第3の連結状態は、第4の連結解除状態に相当し、好適には、第4の連結解除位置は、第4の連結位置に相当するか、又は第3の連結解除状態は、第4の連結状態に相当する。したがって、例えば、切替位置のうちの第1番目は、第3の連結位置又は第4の連結解除位置であり、切替位置のうちの第2番目は、例えば、第4の切替位置又は第3の切替解除位置である。
【0038】
本発明の更なる特に有利な実施形態では、第7の切替要素を使用して、第4の要素は、ハウジングと相対回転不能に連結可能である。したがって、例えば、第7の切替要素は、第10の連結状態と第8の連結解除状態との間で切替可能である。例えば、第7の切替要素は、特に並進してかつ/又はハウジングに対してかつ/又はロータの軸線方向で、第10の連結状態に作用する、少なくとも1つの第10の連結位置と、第8の連結解除状態に作用する、少なくとも1つの第8の連結解除位置との間で移動することができる。第10の連結状態では、第7の切替要素を使用して、第4の要素は、ハウジングと相対回転不能に連結され、すなわちハウジングに接して相対回転不能に固定されている。しかし、第8の連結解除状態では、第7の切替要素は、特に主回転軸線を中心としてハウジングに対して行われる回転のために第4の要素を解放する。それにより、特に設置空間を節約する様式で、特に有利な走行性を実現することができる。
【0039】
本開示の範囲内で、本明細書で使用され、序数詞とも称する序数用語「第1の(erster、erste)」、「第2の(zweiter、zweite)」、「第3の(dritter、dritte)」、「第4の(vierter、vierte)」、「第5の(funfter、funfte)」、「第6の(sechster、sechste)」、「第7の(siebter、siebte)」といった要素は、別に指定しない限り、順番又は数量を指定する序数用語それ自体として理解すべきではなく、その代わりに、別に指定しない限り、むしろ形容詞として見なすべきであり、それぞれの序数用語に割り当てられた意味は、例えば、「切替要素」、「連結状態」、「連結解除状態」、「連結位置」、「連結解除位置」といった要素を区別できるようにする、すなわち、意味の上で区別することができるようにし、ひいては、序数用語に割り当てられたこの意味に関連付けることができるようにするためのものである。
【0040】
更なる実施形態は、第4の切替要素、電気モータ、第1の遊星ギヤセット、第2の遊星ギヤセット、入力歯車、第7の切替要素は、駆動可能な第2のアクスル(主駆動アクスル)の方向で、その場合特にロータの軸線方向に沿って見て、第4の切替要素-電気モータ-第1の遊星ギヤセット-第2の遊星ギヤセット-入力歯車-第7の切替要素の順番で互いに前後して又は順に連続して配置されていることを特徴とする。それにより、電気駆動部の特に設置空間を節約する設置様式を具現化することができる。
【0041】
本発明の更なる特に有利な実施形態では、自動車は、電気モータに対して同軸に配置されている第2の電気モータを有し、第2の電気モータは、第2のステータと、第2のステータに対して回転可能な第2のロータと、を有する。特に、第2のロータは、第2のロータ回転軸線とも称する第2のロータ軸線を中心として、ステータに対して回転可能である。電気モータが相対して同軸に配置されているため、ロータは、相対して同軸に配置されており、その結果、ロータ軸線が一致する。したがって、第2のロータ軸線は、主回転軸線と一致するため、第2の電気モータ又は第2のロータもまた、遊星ギヤセットに対して同軸に配置されている。その場合、第2のロータは、第2の遊星ギヤセットの要素のうちの1つと相対回転不能に連結されているか又は連結可能である。これにより、設置空間を節約する様式で、特に有利な駆動を具現化することができる。
【0042】
第2のロータが第4の要素と相対回転不能に連結されているか又は連結可能である場合は特に有利であり、それにより、特に有利な設置空間を節約する様式で特に良好な走行性を具現化することができる。
【0043】
本発明の更なる特に有利な形態では、第1の電気モータ、第1の遊星ギヤセット、第2の遊星ギヤセット、入力歯車及び第2の電気モータは、駆動可能な第2のアクスルの方向から見て、したがってロータの軸線方向から観察して、第1の電気モータ-第1の遊星ギヤセット-第2の遊星ギヤセット-入力歯車-第2の電気モータの順番で互いに前後して配置されている。それにより、特に設置空間を節約する設置様式を具現化することができる。
【0044】
本発明の更なる特に有利な実施形態では、自動車は、更なるステータ及び更なるロータを備える更なる電気モータを有し、更なるロータは、第1のロータ及び遊星ギヤセットに対して同軸に配置されている。したがって、更なる電気モータは、第1の電気モータに対して同軸に配置されている。例えば、更なるロータは、更なるロータ軸線を中心として、更なるステータに対して回転可能である。更なる電気モータが第1の電気モータに対して同軸に、かつ遊星ギヤセットに対して同軸に配置されているため、更なるロータ軸線は、第1のロータ軸線及び主回転軸線と一致する。その場合、第7の要素、第8の要素、及び第9の要素を有する第3の遊星ギヤセットが設けられている。第3の遊星ギヤセットの要素のうちの1つは、単に第3のサンとも称する第3のサンギヤである。第3の遊星ギヤセットの要素のうちの1つは、単に第3のキャリアとも称する第3の遊星キャリアである。第3の遊星ギヤセットの要素のうちの1つは、第3のリングギヤである。
【0045】
更に、この実施形態では、第10の要素、第11の要素、及び第12の要素を有する第4の遊星ギヤセットが設けられている。第4の遊星ギヤセットの要素のうちの1つは、単に第4のサンとも称する第4のサンギヤである。第4の遊星ギヤセットの要素のうちの1つは、単に第4のキャリアとも称する第4の遊星キャリアである。第4の遊星ギヤセットの要素のうちの1つは、第4のリングギヤである。例えば、それぞれの遊星ギヤセットは、1つ以上の遊星ギヤを有し、それぞれの遊星ギヤは、それぞれの遊星ギヤセットのそれぞれのキャリア(段)に回転可能に保持されている。その場合、特に、それぞれの遊星ギヤセットのそれぞれの遊星ギヤが、一方では、特に直接、それぞれの遊星ギヤセットのそれぞれのサンとかみ合い、他方では、特に直接、それぞれの遊星ギヤセットのそれぞれのリングギヤとかみ合うことが企図されている。
【0046】
好適には、第2のロータが、第7の要素と相対回転不能に連結されているか又は連結可能であり、第8の要素が、第10の要素と、特にトルクを伝達するように又は相対回転不能に連結されているか又は連結可能であり、第11の要素が、アングル駆動部の入力歯車と相対回転不能に連結されているか又は連結可能であることが企図されている。これにより、特に設置空間を節約する様式で、電気駆動部の特に高い出力性能を具現化することができるため、電気駆動部は、重量集中した自動車のために特に有利に使用することができ、そのような重量集中した自動車もまた、特に純粋に電気により効果的かつ効率的に駆動することができる。
【0047】
最後に、駆動可能な第2のアクスルの方向から見て、又は特にロータの軸線方向から観察して、第1の電気モータ、第1の遊星ギヤセット、第2の遊星ギヤセット、アングル駆動部の入力歯車、第4の遊星ギヤセット、第3の遊星ギヤセット、及び更なる電気モータは、互いに前後して、第1の電気モータ-第1の遊星ギヤセット-第2の遊星ギヤセット-アングル駆動部の入力歯車-第4の遊星ギヤセット-第3の遊星ギヤセット-更なる電気モータの順番で配置されている場合に、特に有利である。それにより、電気駆動部の特に設置空間を節約する様式を具現化することができる。
【0048】
本発明の更なる利点、特徴及び詳細は、好ましい実施形態の以下の説明から、また図面に基づいて明らかとなる。上述の説明において言及した特徴及び特徴の組み合わせ、並びに以下に図面の説明において言及するかつ/又は図面においてのみ示された特徴及び特徴の組み合わせは、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれの場合に提示される組み合わせだけでなく、他の組み合わせ又は単独で使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】電気駆動部を備える自動車の概略平面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る電気駆動部の概略図である。
【
図3】第2の実施形態に係る電気駆動部の概略図である。
【
図4】第3の実施形態に係る電気駆動部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図において、同じ要素又は機能が同じ要素には同じ参照符号が付与されている。
【0051】
図1は、好適には貨物車として形成されている自動車10の概略平面図を示す。好適には、自動車10は、商用車両として、特に貨物自動車(トラック)として形成されている。自動車10は、第1の車両アクスルとも称する第1のアクスル12を有する。第1のアクスル12は、操舵可能な車軸である。これは、第1のアクスル12が少なくとも2つ又は正確に2つの、第1の車輪とも称する車両車輪14を有することを意味する。
図1から、車両車輪14が車両横方向に互いに離間されており、車両横方向で互いに対向する、自動車10の側面SE1及びSE2上に配置されていることがわかる。車両横方向は、
図1では両矢印16によって具体的に示されている。車両車輪14は、特に一緒に、それぞれの継手軸線を中心として、自動車10のボディ(
図1に図示せず)に対して旋回されることによって操舵され、これにより、自動車10の車線変更、方向変更及びカーブ走行をもたらすことができる。
図1では、車両車輪14は、その直進位置にあり、直進位置を使用して、自動車10の直進走行をもたらすことができる。したがって、自動車10は、車両車輪14の直進位置では直線に沿って走行することができる。自動車10は、更に、シャーシとも称するフレーム18を含む。例えば、フレーム18は、リードフレームとして形成されている。前述のボディは、好適にはフレーム18とは別個に形成されており、フレーム18に保持されている。ボディは、例えば、自動車10の内部空間を区切る運転者室である。その場合、特に自動車10の走行中、自動車10の運転者は、内部空間に、したがって、ボディ内に留まることができる。
【0052】
自動車10は、更に、第2の車両アクスルとも称する、少なくとも1つ又は正確に1つの第2のアクスル20を含む。
図1から、アクスル12及び20が車両長手方向において互いに前後に又は互いに順に配置されていることがわかり、車両長手方向は、
図1では両矢印22によって具体的に示されており、車両横方向に対して垂直である。第2のアクスル20は、第2の車輪とも称する、少なくとも2つ又は正確に2つの第2の車両車輪24を有する。車両車輪24は、車両横方向に互いに離間されて配置されており、車両横方向で互いに対向するそれぞれの側面SE1及びSE2上に配置されている。
図1では矢印27によって自動車10の前進方向が示されており、自動車10は、自動車10の前進方向に沿って又は自動車10の前進方向で前方に走行する。車両長手方向に対して並行に延びるか又は車両長手方向と一致する前進方向に基づいて、側面SE1は自動車10の右側面であり、側面SE2は自動車10の左側面である。車両長手方向におけるアクスル20の前進方向にアクスル12が配置されている。アクスル20は、駆動されるアクスル、すなわち、駆動可能なアクスルである。これは、特に以下のように理解されたい。自動車10は、電気駆動部26を有し、電気駆動部26を使用して、アクスル20、すなわち車両車輪24を、特に純粋に電気駆動することができる。これにより、自動車は、全体として電気駆動部26を使用して、特に純粋に電気駆動することができ、自動車10は、例えば、純粋な電気車両又はそうでなければハイブリッド車両として形成することができる。
【0053】
自動車10は、トラクションバッテリ29を有し、トラクションバッテリ29は、例えば、車両長手方向においてアクスル12とアクスル20との間に配置されている。トラクションバッテリ29は、電気エネルギーを貯蔵することができるか、又は電気エネルギーが貯蔵されている電気エネルギー貯蔵器である。好適には、トラクションバッテリ29は、高電圧コンポーネントであり、高電圧コンポーネントの電圧、特に動作電圧又は公称電圧は、好適には50ボルト超、特に60ボルト超であり、まさに好適には100Vより大きい。以下で更に詳細に説明するように、電気駆動部26に、トラクションバッテリ29に貯蔵された電気エネルギーを供給することによって、例えば、車両車輪24を特に純粋に電気駆動することができる。特に、電気エネルギーは、トラクションバッテリ29に電気化学的に貯蔵することができるか、又は貯蔵されている。
【0054】
図1から、電気駆動部26が、車両長手方向において、特に前進方向に関して、アクスル12の後方に配置されたアクスル20の後方に配置されていることが特によくわかる。それにより、車両長手方向においてアクスル12とアクスル20との間に、トラクションバッテリ29及び/又は他の更なるコンポーネントを有利に配置することができる特に広い余地を生み出すことができる。
【0055】
図2は、電気駆動部26の第1の実施形態を示す。電気駆動部26は、
図2に特に概略的に図示したハウジング28と、第1の電気モータとも称する少なくとも1つ又は正確に1つの電気モータ30と、を有する。電気モータ30は、第1のステータとも称するステータ32を有する。更に、電気モータ30は、第1のロータとも称するロータ34を有する。ロータ34は、第1のロータシャフトとも称するロータシャフト36を含む。特に、ロータ34は、ステータ32を使用して駆動することができ、それにより、第1のロータ軸線38を中心として、ハウジング28に対してかつステータ32に対して回転することができる。単にロータ軸線とも称する第1のロータ軸線38は、以下で更に詳細に説明する主回転軸線40と一致する。特に、電気モータ30は、電気モータ30のロータ34を介して、その場合、特にロータシャフト36を介して、トルクを駆動トルクとして提供することができ、したがって電気モータ30を使用して、車両車輪24、ひいては自動車10は、特に純粋に電気駆動することができる。
【0056】
電気駆動部26は、第1の遊星ギヤセット42を有し、第1の遊星ギヤセット42は、第1のロータ軸線38に対して同軸に配置され、したがって、ロータ34及び電気モータ30に対して同軸に配置されている。第1の遊星ギヤセット42は、第1の要素、第2の要素、及び第3の要素を有する。
図2に示した第1の実施形態では、第1の要素は、第1のサンとも称する第1のサンギヤ44である。更に、第2の要素は、第1のキャリアとも称する第1の遊星キャリア46である。第3の要素は、第1のリングギヤ48である。更に、第1の遊星ギヤセット42は、第1の遊星ギヤ50を含み、第1の遊星ギヤ50は、遊星キャリア46に回転可能に支承されており、その場合、それぞれ、特に直接、一方ではリングギヤ48と、他方では特に直接、サンギヤ44とかみ合っているか又は係合している。遊星ギヤセット42の要素のうちの少なくとも1つ、本実施形態ではサンギヤ44及び遊星キャリア46は、遊星ギヤセット42の少なくとも1つの要素がハウジングと相対回転不能には接続されていない場合、第1のギヤセット回転軸線を中心として、ハウジング28に対して回転することができる。その場合、第1の遊星ギヤセット回転軸線は、主回転軸線40と一致するか又は主回転軸線40であるため、遊星ギヤセット42は、電気モータ30に対して同軸に配置されている。
【0057】
さらに電気駆動部26は、第2の遊星ギヤセット52を有し、第2の遊星ギヤセット52は、第1のロータ軸線38に対して同軸に配置され、したがって、ロータ34、電気モータ30、及び第1の遊星ギヤセット42に対して同軸に配置されている。第2の遊星ギヤセット52は、第4の要素、第5の要素、及び第6の要素を有する。
図2に示した第1の実施形態では、第4の要素は、第2のサンとも称する第2のサンギヤ54である。第5の要素は、第1の実施形態では、第2のキャリアとも称する第2のキャリア56である。更に、第6の要素は、第2のリングギヤ58である。更に、第2の遊星ギヤセット52は、少なくとも1つ又は複数の第2の遊星ギヤ60を有し、第2の遊星ギヤ60は、第2のキャリアに回転可能に支承されており、一方では、特に直接、第2のリングギヤ58と、他方では、特に直接、第2のサンギヤ54とかみ合っているか又は係合している。第2の遊星ギヤセット52の要素のうちの少なくとも1つ、本実施形態ではサンギヤ54及び遊星キャリア56は、第2の遊星ギヤセット52の少なくとも1つの要素がハウジング28と相対回転不能には接続されていない場合、第2の遊星ギヤセット回転軸線を中心として、ハウジング28に対して回転することができる。その場合、第2の遊星ギヤセット回転軸線は、第1の遊星ギヤセット回転軸線と一致し、したがって、第1のロータ軸線38及び主回転軸線40と一致するため、遊星ギヤセット52の要素は、相対して同軸に配置されており、遊星ギヤセット42の要素は、相対して同軸に配置されており、遊星ギヤセット52の要素は、遊星ギヤセット42の要素、ロータ34、したがって、ロータシャフト36、及び電気モータ30に対して同軸に配置されている、すなわち、第1のロータ軸線38に対して同軸に配置されている。更に言い換えて表現すると、遊星ギヤセット42及び52は、共に同軸に配置され、それぞれ電気モータ30に対して同軸に配置されている。ロータ34の軸線方向において、すなわち、ロータ軸線38に沿って、したがって、主回転軸線40に沿って見ると、電気モータ30、第1の遊星ギヤセット42、及び第2の遊星ギヤセット52は、互いに前後して電気モータ30-第1の遊星ギヤセット42-第2の遊星ギヤセット52の順序で配置されている。
【0058】
以下で主回転軸線40について取り上げる場合、主回転軸線40とは、別に指定しない限り、主回転軸線40が第1のロータ軸線及び遊星ギヤセット回転軸線と一致するため、第1のロータ軸線38及びそれぞれの遊星ギヤセット回転軸線であるとも理解されたい。
【0059】
図2から、ロータ軸線38が、
図2においてもまた両矢印22によって具体的に示された車両長手方向に対して垂直に、すなわち直角に延びているため、主回転軸線40又はロータ軸線38が、車両横方向(両矢印16)に対して少なくとも実質的に並行に延びていることが、特によくわかる。したがって、電気駆動部26の横方向設置が企図されている。言い換えると、電気駆動部26は、横向きに取り付けられているか又は設置されている。
【0060】
特にコンパクトな設置様式及び特に効率的な運転を実現することができるようにするために、車両長手方向において、第1のアクスル12、トラクションバッテリ29、第2のアクスル20、及び電気駆動部26は、互いに前後して第1のアクスル12-トラクションバッテリ29-第2のアクスル20-電気駆動部26の順序で配置されている。更に、ハウジング28は、すなわち、アクスル12及び20を回避してフレームに堅固に接続されている。言い換えると、電気駆動部26は、フレーム18にアクスル固定式などで接続されていない、すなわち、アクスル12及び20を介するなどではなく、したがって、アクスルサスペンションを介するのでもなく、その代わりに、ハウジング28又は電気駆動部26は、フレーム固定式である。もちろん、「堅固に接続」という用語は、例えば、場合によりあり得るゴム減衰要素を介したフレーム18での接続といった、軽度に減衰された接続もまた含む。「堅固に接続」という用語を用いて、ハウジング28とフレーム18との間で機能としてアクスルサスペンションが配置されていないことを強調するものとする。それにより(Daurch)、ハウジング28は、フレーム18と一緒に車両車輪14、24に対してばね振動している。それにより、例えば、それに沿って自動車10が走行する路面の凹凸の上を車両車輪14及び24が走行する場合、少なくとも実質的に車両高さ方向において生じる、フレーム18に対する車両車輪14、24の圧縮運動及び反発運動は、フレーム18に対するハウジング28の圧縮運動及び反発運動をもたらさない。したがって、ハウジング28は、例えば、車両車輪14及び24などのようなばね下質量ではなく、その代わりに、まさしくフレーム18のようなばね上質量であるため、過剰な摩耗を防止することができる。
【0061】
更に、電気駆動部26は、アングル駆動部62を有し、自動車10は、
図1及び
図2に特に概略的に図示したドライブシャフト64を有し、ドライブシャフト64は、例えば、アングル駆動部62から車両長手方向に、すなわち、車両長手方向に対して並行に、又はここでは車両長手方向に対して斜めに前方へと離れるように延在し、かつ駆動可能なアクスル20まで延在する。アングル駆動部62は、入力歯車66及び出力歯車68を有し、出力歯車68は、特に直接、入力歯車66とかみ合っているか又は係合している。
図2に示した第1の実施形態では、例えば、入力歯車66は、クラウンギヤであり、出力歯車68は、例えば、かさ歯車である。第2の遊星ギヤセット52の要素のうちの1つは、入力歯車66と相対回転不能に連結されているか又は連結可能である。第1の実施形態では、入力歯車66は、特に恒常的に遊星キャリア56と相対回転不能に連結されている、すなわち接続されている。したがって、入力歯車66は、遊星キャリア56によって駆動可能であり、出力歯車68は、入力歯車66を介して遊星キャリア56によって駆動可能である。
【0062】
出力歯車68は、少なくとも間接的にドライブシャフト64の入力側Eと特にトルクを伝達するように連結されているか連結可能であるため、ドライブシャフト64は、ドライブシャフト64の入力側Eを介して出力歯車68によって、したがって、アングル駆動部62によって駆動可能である。したがって、ドライブシャフト64は、出力歯車68を介して入力歯車66によって、かつ入力歯車66を介して遊星キャリア56によって駆動可能である。ドライブシャフト64はまた、入力側Eによって駆動可能な出力側Aを有し、出力側Aは、特に恒常的に、トルクを伝達するように、入力側Eと特に相対回転不能に連結可能であるか又は連結されている。特に、入力側Eが、特に恒常的に、トルクを伝達するように出力側Aと連結されており、ドライブシャフト64の出力側Aが、ディファレンシャル変速機とも称するか若しくはディファレンシャル変速機として形成された、駆動可能なアクスル20のアクスルドライブ70と連結されているか又は連結可能であることが企図されている。特に、出力側Aが、特に恒常的に、トルクを伝達するようにアクスルドライブ70と連結されているか又は連結可能であることが考えられる。したがって、アクスルドライブ70は、出力側Aによって、かつ出力側Aを介して入力側Eによって駆動することができる。車両車輪24が、アクスルドライブ70を介してドライブシャフト64によって、かつドライブシャフト64を介して電気駆動部26によって、特に純粋に電気駆動することができることがわかる。ドライブシャフト64が車両長手方向に対して平行又は斜めに延びているという特徴とは、特に、ドライブシャフト64の軸線方向が、車両長手方向に対して平行又は斜めに延びていることと理解されたい。電気駆動部26によってアングル駆動部62を介して提供される、車両車輪24を駆動するためのトルクは、ドライブシャフト64を介して車両長手方向で前方へ、その場合、アクスルドライブ70へもたらされ、アクスルドライブ70を介して車両車輪24に伝達することができ、それにより、車両車輪24は、駆動可能である。
【0063】
それぞれのリングギヤ48又は58もまた、第1の実施形態では、ハウジング28と相対回転不能には接続されていない場合には、主回転軸線40を中心として、ハウジング28に対して回転することができる。第1の実施形態では、ドライブシャフト64の入力側Eとアングル駆動部62との間に少なくとも1つ又は正確に1つの平歯車段72が配置されており、平歯車段72は、第1の歯車74及び第2の歯車76を有する。歯車74及び76は、好適には平歯車である。歯車74及び76は、直接互いに一緒にかみ合っている、すなわち直接互いに一緒に係合している。歯車74は、特に恒常的に出力歯車68と相対回転不能に連結されている、すなわち接続されている。第2の歯車76は、特に恒常的に入力側Eと相対回転不能に連結されている、すなわち接続されているため、入力側Eは、歯車76を介して歯車74によって駆動可能であり、歯車76は、歯車74を介して出力歯車68によって駆動可能である。
【0064】
第2の実施形態では、電気駆動部26は、第1の切替要素S1を有し、第1の切替要素S1を使用して、リングギヤ48は、ロータ34と、したがって、ロータシャフト36と相対回転不能に連結可能である、すなわち接続可能である。更に、電気駆動部26は、第2の切替要素S2を有し、第2の切替要素S2を使用して、リングギヤ48は、ハウジング28と相対回転不能に連結可能である、すなわち接続可能である。電気駆動部26はまた、第3の切替要素S3を有し、第3の切替要素S3を使用して、サンギヤ44は、ロータ34と相対回転不能に連結可能である。更に、電気駆動部26は、第4の切替要素S4を含み、第4の切替要素S4を使用して、サンギヤ44は、ハウジング28と相対回転不能に連結可能である。第4の切替要素S4及びここでは第3の切替要素S3もまた、ロータ34の軸線方向において、電気モータ30の、第1の遊星ギヤセット42から遠い側SE3に配置されている。更に、電気駆動部26は、第5の切替要素S5を含み、第5の切替要素S5を使用して、遊星キャリア46は、第2のサンギヤ54と相対回転不能に連結可能である。第2の実施形態では、第2の遊星キャリア56は、特に恒常的にアングル駆動部62の入力歯車66と相対回転不能に連結されているか又は連結可能である。
【0065】
第5の切替要素S5は、遊星キャリア46が、特に同時に、第2のサンギヤ54と相対回転不能に、かつ第2のリングギヤ58と相対回転不能に連結するように形成されている。特に第5の切替要素S5は、連結状態とも称してもよい3つの切替状態間で切り替えることができる。第1の切換状態では、特に、第5の切替要素S5が主回転軸線40を中心として第2の要素及び第4の要素に対して行われる回転のために第6の要素、すなわち第2のリングギヤ58を解放している間、第5の切替要素S5を使用して、第2の要素、すなわち第1の遊星キャリア46が、第4の要素、すなわち第2のサンギヤ54と相対回転不能に接続されている。第2の切換状態では、第5の切替要素S5が主回転軸線40を中心として第2の要素及び第6の要素に対して行われる回転のために第4の要素、すなわち第2のサンギヤ54を解放している間、第5の切替要素S5を使用して、第2の要素、すなわち遊星キャリア46が、第6の要素、すなわち第2のリングギヤ58と相対回転不能に連結されている、すなわち接続されている。第3の切換状態では、第5の切替要素S5を使用して、第2の要素、すなわち遊星キャリア46は、同時に、第4の要素、すなわち第2のサンギヤ54と相対回転不能に、かつ第6の要素、すなわち第2のリングギヤ58と相対回転不能に連結されているか又は接続されているため、第3の切換状態では、第5の切替要素S5を使用して、第2の要素、第4の要素、及び第6の要素が、互いに一緒に相対回転不能に接続されている。したがって、第1の切換状態及び第2の切換状態を連結解除状態とも見なすことができるのは、第1の切換状態では、第6の要素は、主回転軸線40を中心として、第2の要素に対して、第4の要素に対して、かつ第6の要素に対して回転することができ、第2の切換状態では、第4の要素は、主回転軸線40を中心として、第2の要素に対してかつ第6の要素に対して回転することができるからである。
【0066】
更に、電気駆動部26は、第6の切替要素S6を含み、第6の切替要素S6を使用して、第6の要素、すなわち第2のリングギヤ58が、ハウジング28と相対回転不能に連結可能である、すなわち接続可能である。
【0067】
第2の実施形態では、切替要素S3及びS4は、軸線方向に隣り合って配置されている。これは、切替要素S3及びS4が、ロータ34の軸線方向に隣り合って配置されており、連結切替要素KSへと組み合わされていることを意味する。例えば、切替要素S3及びS4は、互いに一体的に形成されている。例えば、切替要素S3は、連結切替要素KSの第1の部分又は第1の領域であり、切替要素S4は、連結切替要素KSの第2の部分又は第2の領域である。例えば、連結切替要素KSは、第4の切換状態と第5の切換状態との間で切替可能である。第4の切換状態では、例えば、第1の要素、すなわち第1のサンギヤ44は、連結切替要素KSを使用して、特に第4の切替要素S4を使用して、ハウジング28と相対回転不能に接続されており、好適には、連結切替要素KS、特に切替要素S3及びS4が、主回転軸線40を中心として第1の要素(44)に対して行われるロータ34の回転を可能にする。第5の切換状態では、例えば、連結切替要素KSを使用して、特に第3の切替要素S3を使用して、第1の要素、すなわち第1のサンギヤ44は、ロータ34と相対回転不能に連結されており、例えば、連結切替要素KS、特に切替要素S3及びS4が、主回転軸線40を中心としてハウジング28に対して行われるロータ34及びサンギヤ44の特に共通の回転を可能にする。連結切替要素KS又は切替要素S3及びS4が、ニュートラル状態とも称する第6の切換状態へ切替可能であることが考えられる。第6の切換状態では、例えば、連結切替要素KS、特に切替要素S3及びS4は、主回転軸線40を中心としてハウジング28に対してかつモータ34に対して行われる第1の要素(サンギヤ44)の回転を可能にするか、又はその逆を可能にする。
【0068】
更に、電気駆動部26は、第7の切替要素S7を有し、第7の切替要素S7を使用して、第4の要素、すなわち第2のサンギヤ54は、ハウジング28と相対回転不能に接続可能である。例えば、第4の切替要素S4、電気モータ30、第1の遊星ギヤセット42、第2の遊星ギヤセット52、入力歯車66、及び第7の切替要素S7は、主回転軸線40の方向から見て、かつ/又は電気モータ30の軸線方向で、したがって、主回転軸線40に沿って観察して、互いに前後して第4の切替要素S4-電気モータ30-第1の遊星ギヤセット42-第2の遊星ギヤセット52-入力歯車66-第7の切替要素S7の順番で配置されている。
【0069】
互いに一緒に切り替えられる遊星ギヤセット42及び52を使用して、かつ切替要素S1~S7を使用して、電気駆動部26の少なくとも6つ又は正確に6つの段(ギヤ)を実現することができる。段の第1番目を組み込むために、ロータ34は、連結切替要素KSを使用して、特に第3の切替要素S3を使用して、サンギヤ44と相対回転不能に接続され、ロータ34の遊星キャリア46との相対回転不能な接続は、行われないままである、すなわち、ロータ34は、切替要素S1を使用して、遊星キャリア46と相対回転不能には接続されず、切替要素S2を使用して、リングギヤ48は、ハウジング28と相対回転不能に接続され、切替要素S5を使用して、遊星キャリア46は、特に、切替要素S5が主回転軸線40を中心として遊星キャリア46及びサンギヤ54に対して行われる回転のためにリングギヤ58を解放するか又はその逆である間、サンギヤ54と相対回転不能に接続され、切替要素S6を使用して、遊星キャリア56は、ハウジング28と相対回転不能に接続され、切替要素S7を使用して、サンギヤ54のハウジング28との相対回転不能な接続は、行われないままとなる、すなわち、切替要素S7を使用して、サンギヤ54は、ハウジング28と相対回転不能には接続されない。例えば、それぞれの切替要素が一方の構成要素を、主回転軸線40を中心として他方の構成要素に対して行われる回転のために解放するという前述の説明が、当然ながらその逆と見なすことができる又はその逆に適用することができることが明らかであるため、その逆とは、それぞれの切替要素が他方の構成要素を、主回転軸線40を中心として一方の構成要素に対して行われる回転のために解放することと理解されたい。
【0070】
段の第2番目を組み込むために、連結切替要素KSを使用して、特に第4の切替要素S4を使用して、サンギヤ44は、特に、連結切替要素KSが主回転軸線40を中心としてサンギヤ44に対して行われるロータ34の回転を可能にしている間、ハウジング28と相対回転不能に接続され、切替要素S1を使用して、ロータ34は、リングギヤ48と相対回転不能に接続され、切替要素S2を使用して、リングギヤ48は、ハウジング28と相対回転不能には接続されず、切替要素S5を使用して、第1の段の組み込み時のように、切替要素S5が主回転軸線40を中心としてサンギヤ44に対してかつ遊星キャリア46に対して行われる回転のためにリングギヤ58を解放するか又はその逆である間、遊星キャリア46は、サンギヤ54と相対回転不能に接続され、切替要素S6を使用して、第1の段の組み込み時のように、リングギヤ58は、ハウジング28と相対回転不能に接続され、第1の段の組み込み時のように、第7の切替要素S7を使用して、サンギヤ54は、ハウジング28と相対回転不能には接続されないため、切替要素S7は、主回転軸線40を中心としてハウジング28に対して行われる回転のためにサンギヤ54を解放する。段の第3番目を組み込むために、第1の段の組み込み時のように、連結切替要素KSを使用して、特に第3の切替要素S3を使用して、ロータ34は、サンギヤ44と相対回転不能に接続され、切替要素S1を使用して、第2の段の組み込み時のように、ロータ34は、リングギヤ48と相対回転不能に接続され、第2の段の組み込み時のように、切替要素S2を使用して、リングギヤ48は、ハウジング28と相対回転不能には接続されないため、切替要素S2は、主回転軸線40を中心としてハウジング28に対して行われる回転のためにリングギヤ48を解放し、第1の段及び第2の段の組み込み時のように、切替要素S5を使用して、遊星キャリア46は、サンギヤ54と相対回転不能に接続されており、この場合、切替要素S5は、主回転軸線40を中心としてリングギヤ58に対して行われる回転のために遊星キャリア46及びサンギヤ54を解放するか又はその逆であり、第1の段及び第2の段の組み込み時のように、切替要素S6を使用して、リングギヤ58は、ハウジング28と相対回転不能に接続され、第1の段及び第2の段の組み込み時のように、切替要素S7を使用して、サンギヤ54は、ハウジング28と相対回転不能には接続されないため、切替要素S7は、主回転軸線40を中心としてハウジング28に対して行われる回転のためにサンギヤ54を解放する。段の第4番目を組み込むために、第2の段の組み込み時のように、連結切替要素KSを使用して、特に第4の切替要素S4を使用して、サンギヤ44は、ハウジング28と相対回転不能に接続され、第2の段及び第3の段の組み込み時のように、切替要素S1を使用して、ロータ34は、リングギヤ48と相対回転不能に接続され、第2の段及び第3の段の組み込み時のように、切替要素S2を使用して、リングギヤ48は、ハウジング28と相対回転不能には接続されないため、切替要素S2は、主回転軸線40を中心としてハウジング28に対して行われる回転のためにリングギヤ48を解放し、切替要素S5を使用して、切替要素S5が主回転軸線40を中心としてサンギヤ54に対して行われる回転のために遊星キャリア46及びリングギヤ58を解放するか又はその逆である間、遊星キャリア46は、リングギヤ58と相対回転不能に接続され、切替要素S6を使用して、リングギヤ58は、ハウジング28と相対回転不能には接続されないため、切替要素S6は、主回転軸線40を中心としてハウジング28に対して行われる回転のためにリングギヤ58を、ひいては遊星キャリア46を解放し、第7の切替要素S7を使用して、サンギヤ54は、ハウジング28と相対回転不能に接続される。段の第5番目を組み込むために、第1の段及び第3の段の組み込み時のように、連結切替要素KSを使用して、特に第3の切替要素S3を使用して、ロータ34は、サンギヤ44と相対回転不能に接続され、第2の段及び第3の段の組み込み時のように、切替要素S1を使用して、ロータ34は、リングギヤ48と相対回転不能に接続され、切替要素S2を使用して、リングギヤ48は、ハウジング28と相対回転不能には接続されないため、切替要素S2は、主回転軸線40を中心としてハウジング28に対して行われる回転のためにリングギヤ48を、ひいてはロータ34及びサンギヤ44を解放し、切替要素S5を使用して、第4の段の組み込み時のように、切替要素S5が主回転軸線40を中心としてサンギヤ44に対して行われる回転のためにリングギヤ58及び遊星キャリア46を解放するか又はその逆である間、遊星キャリア46は、リングギヤ58と相対回転不能に接続され、切替要素S6を使用して、第4の段の組み込み時のように、リングギヤ58は、ハウジング28と相対回転不能には接続されないため、切替要素S6は、主回転軸線40を中心としてハウジング28に対して行われる回転のためにリングギヤ48を、ひいては遊星キャリア46を解放し、第4の段の組み込み時のように、第7の切替要素S7を使用して、サンギヤ54は、ハウジング28と相対回転不能に接続される。段の第6番目を組み込むために、第1の段、第3の段及び第5の段の組み込み時のように、連結切替要素KSを使用して、特に第3の切替要素S3を使用して、ロータ34は、サンギヤ44と相対回転不能に接続され、第2の段、第3の段、第4の段及び第5の段の組み込み時のように、切替要素S1を使用して、ロータ34は、リングギヤ48と相対回転不能に接続され、切替要素S2を使用して、リングギヤ48は、ハウジング28と相対回転不能には接続されないため、切替要素S2は、主回転軸線40を中心としてハウジング28に対して行われる回転のためにリングギヤ48を、ひいてはロータ34及びサンギヤ44を解放し、切替要素S5を使用して、遊星キャリア46は、同時にサンギヤ54と相対回転不能に、かつリングギヤ58と相対回転不能に接続されるため、遊星キャリア46、サンギヤ54及びリングギヤ58は、第5の切替要素S5を使用して、同時に互いに一緒に相対回転不能に接続されており、切替要素S6を使用して、リングギヤ58は、ハウジング28と相対回転不能に接続されているか、又はそうでなければ切替要素S6を使用して、リングギヤ58は、ハウジング28と相対回転不能には接続されないため、例えば、切替要素S6は、主回転軸線40を中心としてハウジング28に対して行われる回転のためにリングギヤ58を、ひいてはサンギヤ54及び遊星キャリア46を解放し、第7の切替要素S7を使用して、サンギヤ54は、ハウジング28と相対回転不能には接続されないため、例えば、切替要素S7は、主回転軸線40を中心としてハウジング28に対して行われる回転のためにサンギヤ54を、ひいては好適には、遊星キャリア46及びリングギヤ58を解放する。
【0071】
電気駆動部26の第1の実施形態は、例えば、特に軽量の、すなわち中程度重量までの重量を減らした車両に適している。
【0072】
図3は、電気駆動部26の第2の実施形態を示す。第2の実施形態は、重量のある長距離車両に適して特に有利である。第2の実施形態では、電気駆動部26は、電気モータ30に対して同軸に配置されている第2の電気モータ77を含み、第2の電気モータ77は、第2のステータ78と、第2のステータ78に対して回転可能な第2のロータ80、特に第2のロータシャフト82と、を有する。特に、それぞれのステータ32又は78が、特に相対回転不能に、ハウジング28に固定されていることが考えられる。ロータ80は、第2のロータ軸線84を中心として、第2のステータ78に対して回転可能である。電気モータ30及び77が相対して同軸に配置されているため、第2のロータ軸線84は、第1のロータ軸線38と、したがって、主回転軸線40と一致し、その結果、電気モータ77又は電気モータ77のロータ80もまた、遊星ギヤセット42及び52に対して同軸に、したがって、それらの要素に対して同軸に配置されている。ロータ80を介して、第2の電気モータ77は、トルクを駆動トルクとして提供することができ、電気モータ77を使用して、車両車輪24は、特に純粋に電気駆動することができる。第2のロータ80は、第2の遊星ギヤセット52の要素のうちの1つと相対回転不能に連結されているか又は連結可能である。例えば、更なる切替要素が設けられてもよく、更なる切替要素を使用して、ロータ80は、遊星ギヤセット52の1つの要素と相対回転不能に連結可能である。
図3に示した第2の実施形態では、第2の切替要素は、切替要素S7によって形成されているか又は切替要素S7と一体に形成されている。言い換えると、
図3に示した第2の実施形態では、ロータ80を選択式に又は必要に応じて第2の遊星ギヤセット52のその1つの要素と相対回転不能に接続するために、切替要素S7が使用される。
図3に示した第2の実施形態では、第2の遊星ギヤセット52のその1つの要素は、第2のサンギヤ54であるため、ロータ80が、特に更なる切替要素を使用して又は第7の切替要素S7を使用してサンギヤ54と相対回転不能に接続可能であることが企図されている。例えば、切替要素S7は、3つの状態間で切り替えることができる。第1の状態では、切替要素S7は、主回転軸線40を中心としてハウジング28に対して、かつ相対して行われる回転のためにサンギヤ54だけではなくロータ80もまた解放するため、例えば、第1の状態では、ロータ80は、サンギヤ54ともハウジング28とも相対回転不能には接続されていない。第2の状態では、例えば、切替要素S7を使用して、サンギヤ54は、例えば、切替要素S7が主回転軸線40を中心としてハウジング28に対して行われる回転のためにロータ80及びサンギヤ54を解放している間、ハウジング28に相対回転不能に接続されている。第3の状態では、例えば、切替要素S7を使用して、ロータ80は、例えば、切替要素S7が主回転軸線40を中心としてハウジング28に対して行われる回転のためにロータ80及びサンギヤ54を解放している間、サンギヤ54に相対回転不能に接続されている。したがって、第2の実施形態では、ロータ80が、第4の要素と相対回転不能に連結されているか又は連結可能であることが企図されている。
【0073】
第2の実施形態では、第1の電気モータ30、第1の遊星ギヤセット42、第2の遊星ギヤセット52、入力歯車66、及び第2の電気モータ77は、駆動可能な第2のアクスル20(主駆動アクスル)の方向から見て、かつ/又はその軸線方向がロータ80の軸線方向と一致するロータ34の軸線方向から見て、互いに前後して第1の電気モータ30-第1の遊星ギヤセット42-第2の遊星ギヤセット52-入力歯車66-第2の電気モータ77の順番で配置されている。
【0074】
特に、第2の実施形態では、遊星ギヤセット42及び52が、それぞれの電気モータ30又は77の軸線方向において、電気モータ30と電気モータ77との間に配置されているため、電気モータ77が、それぞれの電気モータ30又は77の軸線方向において遊星、電気モータ30の反対側を向く遊星ギヤセット52の側に配置されている。
【0075】
電気駆動部26の図示していない更なる実施形態は、例えば、重量のある建設用車両に適している。図示していない更なる実施形態では、例えば、電気モータ30及び77は、それぞれの電気モータ30又は77の軸線方向において、遊星第2の遊星ギヤセット52の反対側かつ電気モータ30及び77に面する第1の遊星ギヤセット42の共用側(同じ側面)に配置されている。その場合、例えば、連結要素が考えられ、連結要素を使用して、ロータ34及び80は、互いに一緒に相対回転不能に接続可能である。その場合、例えば、ロータ80が切替要素S1を使用して、リングギヤ48と相対回転不能に接続可能であり、例えば、第2の電気モータ77が、それぞれの電気モータ30又は77の軸線方向において電気モータ30と第1の遊星ギヤセット42との間に配置されていることが考えられる。その場合、例えば、連結要素は、それぞれの電気モータ30又は77の軸線方向において電気モータ30と電気モータ77との間に配置されている。
【0076】
最後に、
図4は、電気駆動部26の第3の実施形態を示す。第3の実施形態では、更なるステータ88及び更なるロータ90を備える更なる電気モータ86が設けられており、更なるロータ90は、例えば、更なるロータシャフト92を有する。特に、更なるロータ90は、更なるロータ軸線94を中心として、更なるステータ88に対して回転可能である。電気モータ86及び30は、相対して同軸に配置されているため、ロータ軸線94が、主回転軸線40と一致する。したがって、ロータ34及び90は、相対して同軸に配置されており、電気モータ86又は電気モータ86のロータ90は、遊星ギヤセット42及び52に対して同軸に配置されている。
【0077】
第3の実施形態では、第7の要素、第8の要素、及び第9の要素を有する第3の遊星ギヤセット96が設けられ、第10の要素、第11の要素、及び第12の要素を有する第4の遊星ギヤセット98が設けられている。第3の実施形態では、第7の要素は、第3のサンギヤ100であり、第8の要素は、第3のキャリアとも称する第3の遊星キャリア102であり、第9の要素は、第3のリングギヤ104である。第3の遊星ギヤセット96は、少なくとも1つ又は複数の第3の遊星ギヤ106を有し、第3の遊星ギヤ106は、遊星キャリア102に回転可能に支承されており、一方では、特に直接、第3のリングギヤ104と、他方では、特に直接、第3のサンとも称するサンギヤ100とかみ合っている。したがって、第3の遊星キャリア102は、第3のキャリアとも称する。第10の要素は、第4のサンとも称する第4のサンギヤ108であり、第11の要素は、第4のキャリアとも称する第4の遊星キャリア110であり、第12の要素は、リングギヤ112である。第4の遊星ギヤセット98は、少なくとも1つ又は複数の第4の遊星ギヤ114を有し、第4の遊星ギヤ114は、第4のキャリアに回転可能に支承されており、一方では、特に直接、第4のリングギヤ112と、他方では、特に直接、第4のサンとかみ合っている又は係合している。遊星ギヤセット96及び98が相対して同軸に配置されており、遊星ギヤセット96及び遊星ギヤセット98もまた電気モータ30及び86と同軸に、又はロータ34及び90と同軸に配置されていることがわかる。第2のロータ90は、第7の要素と相対回転不能に連結されているか又は連結可能であり、第8の要素は、第10の要素と連結されているか又は連結可能であり、第11の要素は、アングル駆動部62の入力歯車66と相対回転不能に連結されているか又は連結可能である。基本的に、第3の実施形態は、第1の実施形態と重複する実施形態であるため、例えば、第1の実施形態又は
図2の図面に基づいて入力歯車66の左に配置された構成部品を鏡映面で反射(配置)させ、それにより、
図4の図面に基づいて入力歯車66の右隣りに配置された構成部品を造り出すことによって、第3の実施形態は、第1の実施形態から生成することができ、鏡映面は、主回転軸線40に対して垂直に延び、例えば、ベベルギヤとしても形成されたアングル駆動部62の、例えば、クラウンギヤとして形成された入力歯車66は、鏡映面に延びる。したがって、例えば、遊星ギヤセット42及び52並びに、例えば、電気モータ30を含む第1の変速機116が設けられており、遊星ギヤセット96及び98並びに、例えば、電気モータ86を含む第2の変速機118が設けられており、第2の変速機118は、鏡映面に基づいて、変速機116の鏡像であるか又は鏡像であり得る。その場合、左の変速機116の変速比が、右の変速機118の変速比とは異なることが考えられる。更に、電気モータ30及び86がそれらのサイズ及び/又は出力において互いに異なるため、例えば、電気モータ30が電気モータ86よりも大きいこと、又はその逆であることが考えられる。第4の実施形態は、特に以下の利点を有する。
-牽引力を中断しない切替、左右の変速機切替点は、変速比に基づいて異なる。
-異なる変速比に基づいて、異なる電気モータ30及び86もまた可能である。この場合、特に有利には一方の側に大型電気モータが設置され、大型電気モータは、大出力を有し、始動プロセスを完了して上り勾配を走行するために使用することができる。他方の側では、有利には、例えば、80~120キロワットの出力を有する小型電気モータが、長距離での効率的走行にために使用される。この場合、自動車10が高速道路に入るとすぐに、100キロワットの出力が必要になることが目標であり、自動車10は、小型電気モータによってこの出力を得る。有利には、第2の実施形態でもまた、ここで言及した特徴を有する2つの異なる電気モータが使用される。
【0078】
アングル駆動部62は、特にクラッチK1又はK2を介して連結解除することができる。遊星ギヤセット52の要素のうちの1つのクラッチK1を使用して、特に遊星キャリア46は、入力歯車66と相対回転不能に接続可能であり、クラッチK2を使用して、入力歯車66は、遊星ギヤセット96の要素のうちの1つ、特に遊星ギヤ102と相対回転不能に連結可能である。それぞれのクラッチK1又はクラッチK2は、形状接続式クラッチ、特にかみ合いクラッチであってもよい。必要な場合、上り傾斜、又は回生(ブレーキ)のときのみ、対応する他のトルク経路又は他の電気モータは、オンにされる。これにより、同じバッテリ容量の場合、特に長い走行距離を具現化することができる。
【0079】
特に第1の実施形態及び場合により第2の実施形態並びに図示していない更なる実施形態に関連して、他の遊星ギヤセット、アングル駆動部変速、及び平歯車変速によって、少なくともほぼすべての変速比変化が可能であることを確保できるであろう。このユニットは、高電圧出力ユニットを具現化し、従来の駆動部における出力パックよりも優れている。電気駆動部26は、変更することなく今日のアクスル構成及びフレーム構成を、ドライブシャフト64を用いてドライブシャフト64にフランジを介して接合して、例えば、内燃機関のみを備える従来の車両から、電気車両又はハイブリッド車両を具現化することができる。今日、様々な電気アクスルが軽量の商用車両及び重量のある商用車両又はバスにも必要である一方で、電気駆動部26を使用することにより、今日の車両固有のアクスルを残すことができ、同じ電気駆動部26を高電圧出力ユニットとして、特にかさ歯車変速/平歯車変速に適合させて取り付けることができる。電気駆動部26は、電気アクスルと比較して小型で、生産、保管及び流通の観点から取り扱いやすく、フレーム固定式である。これが電気コンポーネントに対して特に好都合であるのは、これらのコンポーネントの過剰な振動を防止することができるからである。電気駆動部26は、車両をP3又はP4ハイブリッドとして具現化する可能性ももたらす。費用の観点から、切替要素の数を特に少なく抑えることができるか、又は切替要素の数を図示よりも低減することができ、それにより、費用、重量を節約することができ、その場合、より少ない段数を具現化可能でもある。
【符号の説明】
【0080】
10 自動車
12 第1のアクスル
14 第1の車両車輪
16 両矢印
18 フレーム
20 第2のアクスル
22 両矢印
24 第2の車両車輪
26 電気駆動部
27 矢印
28 ハウジング
29 トラクションバッテリ
30 電気モータ
32 ステータ
34 ロータ
36 ロータシャフト
38 ロータ軸線
40 主回転軸線
42 第1の遊星ギヤセット
44 サンギヤ
46 遊星キャリア
48 リングギヤ
50 遊星ギヤ
52 第2の遊星ギヤセット
54 サンギヤ
56 遊星キャリア
58 リングギヤ
60 遊星ギヤ
62 アングル駆動部
64 ドライブシャフト
66 入力歯車
68 出力歯車
70 アクスルドライブ
72 平歯車段
74 第1の歯車
76 第2の歯車
77 第2の電気モータ
78 第2のステータ
80 第2のロータ
82 第2のロータシャフト
84 第2のロータ軸線
86 更なる電気モータ
88 更なるステータ
90 更なるロータ
92 更なるロータシャフト
94 更なるロータ軸線
96 第3の遊星ギヤセット
98 第4の遊星ギヤセット
100 サンギヤ
102 遊星キャリア
104 リングギヤ
106 遊星ギヤ
108 サンギヤ
110 遊星キャリア
112 リングギヤ
114 遊星ギヤ
116 第1の変速機
118 第2の変速機
A 出力側
E 入力側
K1、K2 クラッチ
KS 連結切替要素
S1~S7 切替要素
SE1~3 側面
【国際調査報告】