IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニーの特許一覧

<>
  • 特表-インビトロ溶出法 図1
  • 特表-インビトロ溶出法 図2
  • 特表-インビトロ溶出法 図3
  • 特表-インビトロ溶出法 図4
  • 特表-インビトロ溶出法 図5
  • 特表-インビトロ溶出法 図6
  • 特表-インビトロ溶出法 図7
  • 特表-インビトロ溶出法 図8
  • 特表-インビトロ溶出法 図9A
  • 特表-インビトロ溶出法 図9B
  • 特表-インビトロ溶出法 図9C
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】インビトロ溶出法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
G01N33/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567916
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 US2022027910
(87)【国際公開番号】W WO2022235963
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/184,629
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.PLURONIC
3.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】ルゥ,シュージン
(72)【発明者】
【氏名】ロ,リリ
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045DA36
(57)【要約】
本開示は、可動式パドルを使用して容器に入れられた溶液を撹拌することを含む、溶質のインビトロ溶出法であって、溶液は、溶質、媒質、および複数のビーズを含み、パドルは、溶液中に沈められる、溶解法を提供する。いくつかの態様では、複数のビーズは溶質と可動式パドルの間に配置される。いくつかの態様では、溶質は複数のビーズによって挟まれ、溶質は、複数のビーズの上と下の両方に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動式パドルを使用して容器に入れられた溶液を撹拌することを含むインビトロ溶出法であって、溶液が、溶質、媒質、および複数のビーズを含み、複数のビーズが、溶質と可動式パドルとの間に配置され、可動式パドルが、溶液中に沈められる、インビトロ溶出法。
【請求項2】
撹拌の前に、
(i)容器の底部に溶質を添加することと、
(ii)容器の底部に複数のビーズを添加することであって、複数のビーズが溶質の上に添加されることと、
(iii)容器に、ある容量の媒質を添加することであって、媒質が溶質および複数のビーズの上に添加されることと
によって溶液を容器に入れることを含む、請求項1に記載のインビトロ溶出法。
【請求項3】
溶質または複数のビーズを撹拌することなく媒質を添加する、請求項2に記載のインビトロ溶出法。
【請求項4】
可動式パドルが静止位置にある間、可動式パドルが複数のビーズまたは溶質と接触しない、請求項1~3のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項5】
溶質が持続性注射剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項6】
溶質が持続性注射用ミクロスフェアを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項7】
複数のビーズが、1つもしくは複数のガラスビーズ、1つもしくは複数のプラスチックビーズ、1つもしくは複数のケイ酸塩ビーズ、1つもしくは複数の金属ビーズ、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項8】
複数のビーズが、直径が少なくとも約0.01mm、少なくとも約0.05mm、少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.5mm、少なくとも約1.0mm、少なくとも約1.5mm、または少なくとも約2.0mmである1つまたは複数のビーズを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項9】
複数のビーズが、直径が約1.0mmである1つまたは複数のビーズを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項10】
容器内の溶液の容量が、可動式パドル、複数のビーズ、および溶質を沈めるのに十分である、請求項1~9のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項11】
容器内の溶液の容量が、少なくとも約50mL、少なくとも約60mL、少なくとも約70mL、少なくとも約75mL、少なくとも約80mL、少なくとも約90mL、または少なくとも約100mLである、請求項1~10のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項12】
複数のビーズが、約100mLの溶液あたり少なくとも約3gのビーズ、約100mLの溶液あたり少なくとも約4gのビーズ、約100mLの溶液あたり少なくとも約5gのビーズ、約100mLの溶液あたり少なくとも約6gのビーズ、または約100mLの溶液あたり少なくとも約7gのビーズを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項13】
複数のビーズが、100mLの溶液あたり約4gのビーズを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項14】
複数のビーズが、100mLの溶液あたり約6g未満のビーズを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項15】
溶質が、生物活性部分を担持した持続性注射用ミクロスフェアを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項16】
溶出中に容器にカバーをかけることをさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項17】
カバーが、溶出中の蒸発した溶液の損失を低減または排除する、請求項16に記載のインビトロ溶出法。
【請求項18】
溶液のpHを調整する、請求項1~17のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項19】
複数のビーズの追加容量が溶質の下に添加される、請求項1~18のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項20】
(i)持続性注射用ミクロスフェアを含む溶質を、容器の底部に添加することと、
(ii)1つまたは複数のガラスビーズを含む複数のビーズを、溶質の上に添加することと、
(iii)溶質および当該容量のビーズに媒質を添加することであって、媒質が、溶質または当該容量のビーズを撹拌することなく添加され、媒質が、可動式パドルを沈めるのに十分な容量で添加されることと、
(iv)可動式パドルを回転および/または振動させる力を加えて、溶液を撹拌することと
を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項21】
(i)1つまたは複数のガラスビーズを含む第1の複数のビーズを、容器の底部に添加することと、
(ii)持続性注射用ミクロスフェアを含む溶質を、複数のビーズの上に添加することと、
(iii)1つまたは複数のガラスビーズを含む第2の複数のビーズを、溶質の上に添加することと、
(iv)溶質および当該容量のビーズに媒質を添加することであって、媒質が、溶質または当該容量のビーズを撹拌することなく添加され、媒質が、可動式パドルを沈めるのに十分な容量で添加されることと、
(v)可動式パドルを回転および/または振動させる力を加えて、溶液を撹拌することと
を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項22】
溶質および/または複数のビーズに、ある容量の媒体溶液を添加することをさらに含み、当該容量の媒体溶液が、溶質および/または複数のビーズを湿らすには十分であるが、完全には沈めない、請求項1~21のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項23】
媒質中の溶出した溶質の存在を検出することをさらに含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項24】
検出が、溶液中にプローブを入れること、溶液のサンプルを得ること、またはそれらの組合せを含む、請求項23に記載のインビトロ溶出法。
【請求項25】
媒質中の溶出した溶質の存在が、可動式パドルの上方にある溶液をプローブで調べ、および/またはその一部からサンプルを得ることによって検出される、請求項23または24に記載のインビトロ溶出法。
【請求項26】
溶質が、生物活性部分を含む持続性注射剤を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項27】
生物活性部分が、低分子またはポリペプチドを含む、請求項26に記載のインビトロ溶出法。
【請求項28】
ポリペプチドの分子量が、約10kDa未満、約9kDa未満、約8kDa未満、約7kDa未満、約6kDa未満、約5kDa未満、または約4kDa未満である、請求項27に記載のインビトロ溶出法。
【請求項29】
ポリペプチドの分子量が約4kDaである、請求項27または28に記載のインビトロ溶出法。
【請求項30】
溶液が界面活性剤をさらに含む、請求項1~29のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項31】
界面活性剤が、ポリソルベート20、ポリソルベート80、TRITON X100、PLURONIC F-68、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項30に記載のインビトロ溶出法。
【請求項32】
溶液が抗菌薬をさらに含む、請求項1~29のいずれか一項に記載のインビトロ溶出法。
【請求項33】
(i)容器と、
(ii)複数のビーズと、
(iii)媒質と、
(iv)可動式パドルであって、容器内に配置することができる可動式パドルと、
(v)適宜のカバーと、
(vi)請求項1~32のいずれか一項に記載の方法に従って溶質を溶出するための指示書と
を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年5月5日に出願された米国仮出願第US63/184,629号の優先権および利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、溶質、例えば持続性注射剤のインビトロ(in vitro)溶出法を提供する。
【背景技術】
【0003】
持続性注射剤(LAIs)は、数日または数週間にわたる徐放性プロファイルを示す製剤である。LAIは、投与回数を減らし、患者のコンプライアンスを向上させるために、多くの開発候補品の治療価値を引き出すための重要かつしばしば現実的なアプローチを示している。LAI製剤の開発中に、また、医薬品(drug product)のバッチ間品質評価中に、インビトロ薬物放出試験および溶出試験は、規制当局および産業界の双方からの関心と期待が高まる中、重要な役割を担っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、LAIのインビトロ溶出に最も使用されている方法は、(1)サンプル分離法、(2)透析法、および(3)フロースルー法である。これらの方法は、低分子のLAIには一般的によく適用されているが、ペプチドなどの大きな分子に適用した場合、その成功は限定的であった。このように、当技術分野では、重要な品質属性に関して堅牢性および識別能力を示し、インビボ(in vivo)での性能を予測できる溶出法に対するニーズが残っている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のいくつかの態様は、可動式パドルを使用して容器に入れられた溶液を撹拌することを含むインビトロ溶出法に関し、溶液は、溶質、媒質、および複数のビーズを含み、複数のビーズは、溶質と可動式パドルとの間に配置され、可動式パドルは、溶液中に沈められる。
【0006】
いくつかの態様では、本方法は、撹拌の前に、(i)容器の底部に溶質を添加すること、(ii)容器の底部に複数のビーズを添加することであって、複数のビーズが溶質の上に添加されること、ならびに容器に、ある容量の媒質を添加することであって、媒質が溶質および複数のビーズの上に添加されることによって溶液を容器に入れることを含む。
【0007】
いくつかの態様では、媒質は、溶質または複数のビーズを撹拌することなく添加される。いくつかの態様では、可動式パドルが静止位置にある間、可動式パドルは複数のビーズまたは溶質と接触しない。
【0008】
いくつかの態様では、溶質は持続性注射剤を含む。いくつかの態様では、溶質は持続性注射用ミクロスフェアを含む。
【0009】
いくつかの態様では、複数のビーズは、1つもしくは複数のガラスビーズ、1つもしくは複数のプラスチックビーズ、1つもしくは複数のケイ酸塩ビーズ、1つもしくは複数の金属ビーズ、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、直径が少なくとも約0.01mm、少なくとも約0.05mm、少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.5mm、少なくとも約1.0mm、少なくとも約1.5mm、または少なくとも約2.0mmである1つまたは複数のビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、直径が約1.0mmである1つまたは複数のビーズを含む。
【0010】
いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は、可動式パドル、複数のビーズ、および溶質を沈めるのに十分である。いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は、少なくとも約50mL、少なくとも約60mL、少なくとも約70mL、少なくとも約75mL、少なくとも約80mL、少なくとも約90mL、または少なくとも約100mLである。
【0011】
いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり少なくとも約3gのビーズ、約100mLの溶液あたり少なくとも約4gのビーズ、約100mLの溶液あたり少なくとも約5gのビーズ、約100mLの溶液あたり少なくとも約6gのビーズ、または約100mLの溶液あたり少なくとも約7gのビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、100mLの溶液あたり約4gのビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、100mLの溶液あたり約6g未満のビーズを含む。
【0012】
いくつかの態様では、溶質は、生物活性部分を担持した持続性注射用ミクロスフェアを含む。
【0013】
いくつかの態様では、本方法は、溶解中に容器にカバーをかけることをさらに含む。いくつかの態様では、カバーは、溶解中の蒸発した溶液の損失を低減または排除する。
【0014】
いくつかの態様では、溶液のpHを調整する。
【0015】
いくつかの態様では、複数のビーズの追加容量が溶質の下に添加される。
【0016】
いくつかの態様では、本方法は、(i)容器の底部に溶質を添加することであって、溶質が持続性注射用ミクロスフェアを含むこと、(ii)溶質の上に複数のビーズを添加することであって、複数のビーズが1つまたは複数のガラスビーズを含むこと、(iii)溶質および当該容量のビーズに媒質を添加することであって、媒質が、溶質または当該容量のビーズを撹拌することなく添加され、媒質が、可動式パドルを沈めるのに十分な容量で添加されること、ならびに(iv)可動式パドルを回転および/または振動させる力を加え、溶液を撹拌することを含む。
【0017】
いくつかの態様では、本方法は、(i)容器の底部に第1の複数のビーズを添加することであって、複数のビーズが1つまたは複数のガラスビーズを含むこと、(ii)複数のビーズの上に溶質を添加することであって、溶質が持続性注射用ミクロスフェアを含むこと、(iii)溶質の上に第2の複数のビーズを添加することであって、複数のビーズが1つまたは複数のガラスビーズを含むこと、(iv)溶質および当該容量のビーズに媒質を添加することであって、媒質が、溶質または当該容量のビーズを撹拌することなく添加され、媒質が、可動式パドルを沈めるのに十分な容量で添加されること、ならびに(v)可動式パドルを回転および/または振動させる力を加え、溶液を撹拌することを含む。
【0018】
いくつかの態様では、本方法は、溶質および/または複数のビーズに、ある容量の媒体溶液を添加することをさらに含み、当該容量の媒体溶液は、溶質および/または複数のビーズを湿らすには十分であるが、完全には沈めない。
【0019】
いくつかの態様では、本方法は、媒質中の溶解した溶質の存在を検出することをさらに含む。いくつかの態様では、検出は、溶液中にプローブを入れること、溶液のサンプルを得ること、またはそれらの組合せを含む。いくつかの態様では、媒質中の溶解した溶質の存在は、可動式パドルの上方にある溶液をプローブで調べ、および/またはその一部からサンプルを得ることによって検出される。
【0020】
いくつかの態様では、溶質は、生物活性部分を含む持続性注射剤を含む。いくつかの態様では、生物活性部分は低分子またはポリペプチドを含む。いくつかの態様では、ポリペプチドの分子量は、約10kDa未満、約9kDa未満、約8kDa未満、約7kDa未満、約6kDa未満、約5kDa未満、または約4kDa未満である。いくつかの態様では、ポリペプチドの分子量は約4kDaである。
【0021】
いくつかの態様では、溶液は界面活性剤をさらに含む。いくつかの態様では、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート80、TRITON X100、PLURONIC F-68、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。いくつかの態様では、溶液は抗菌薬をさらに含む。
【0022】
本開示のいくつかの態様は、容器;複数のビーズ;媒質;可動式パドルであって、容器内に配置することができる可動式パドル;適宜のカバー;および本明細書に開示される任意の方法に従って溶質を溶出するための指示書を含むキットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1Aは、本明細書に開示されるインビトロ溶出法の概略図であり、LAIサンプルが容器の底部でガラスビーズに挟まれ、可動式パドルがガラスビーズ上方に配置されている。以前の方法は、図1B(「USP IV」)および図1C(「USP II」)に例示されている。
【0024】
図2図2は、時間(x軸)に対するLAIからの医薬品の溶出(y軸)のグラフ表示であり、LAIは、3g(正方形)、4g(三角形)、6g(×印)または9g(星印)のガラスビーズ(直径1mm)の下に配置される。
【0025】
図3図3は、時間(x軸)に対するLAIからの医薬品の溶出(y軸)のグラフ表示であり、LAIは、6つの容器で6回の実行について、4gのガラスビーズ(直径1mm)の下に配置される。
【0026】
図4図4は、時間(x軸)に対するLAIミクロスフェアからの医薬品エキセナチドの溶出(y軸)のグラフ表示であり、LAIは、37℃で4gのガラスビーズ(直径1mm)の下に配置され、pHは、pH7.8(菱形)、pH9.4(正方形)、pH11(三角形)、またはpH12(×印)に保持される。
【0027】
図5図5Aは、時間(x軸)に対するLAIミクロスフェアからの医薬品エキセナチドの溶出(y軸)のグラフ表示であり、LAIは、37℃で4gのガラスビーズ(直径1mm)の下に配置され、緩衝液は、33mMのPOおよび0.1%TWEEN20(菱形)または0.3%TWEEN20(正方形)を含む。図5Bは、時間(x軸)に対するLAIミクロスフェアからの医薬品エキセナチドの溶出(y軸)のグラフ表示であり、LAIは、37℃で4gのガラスビーズ(直径1mm)の下に配置され、緩衝液は、33mMのPOおよび0.1%TWEEN20(菱形)、0.1%TritanX100(正方形)、または0.1%Pluoronic F-68(三角形)を含む。
【0028】
図6図6は、時間(x軸)に対するLAIミクロスフェアからの医薬品エキセナチドの溶出(y軸)のグラフ表示であり、LAIは、37℃で4gのガラスビーズ(直径1mm)の下に配置され、緩衝液は、90mMのPOおよび0.2%TWEEN20(×印)、20mMのPO(正方形)、33mMのPO(星印)、40mMのPO(丸印)、50mMのPO(菱形)、60mMのPO(濃い正方形)、または70mMのPO(三角形)を含む。
【0029】
図7図7は、時間(x軸)に対するLAIミクロスフェアからの医薬品エキセナチドの溶出(y軸)のグラフ表示であり、LAIは、37℃で4gのガラスビーズ(直径1mm)の下に配置され、緩衝液は、0.2%のアジ化ナトリウムを含む(菱形)か、またはアジ化ナトリウムを含まない(正方形)。
【0030】
図8図8は、時間(x軸)に対するLAIミクロスフェアからの医薬品エキセナチドの溶出(y軸)のグラフ表示であり、LAIは、pH12で、4gのガラスビーズ(直径1mm)の下に、(i)33mMのPO緩衝液中37℃(菱形)、(ii)60mMのPO緩衝液中37℃(正方形)、(iii)33mMのPO緩衝液中45℃(三角形)、または(iv)60mMのPO緩衝液中45℃(×印)で配置される。
【0031】
図9A図9A~9Cは、20μm未満(図9Aおよび9C)、50μm未満(図9B~9C)、および100μm未満(図9Aおよび9C)の粒径(PS)における脂肪酸-リラキシン(FA-RLX)医薬品の溶出のグラフ表示であり、FA-RLXは、0.5mmガラスビーズの下に配置され、パドルを使用した35rpmでのかき混ぜ(stirring)に供される。図9Cは、図9Aおよび9Bに示されたデータのオーバーレイを示す。
図9B図9A~9Cは、20μm未満(図9Aおよび9C)、50μm未満(図9B~9C)、および100μm未満(図9Aおよび9C)の粒径(PS)における脂肪酸-リラキシン(FA-RLX)医薬品の溶出のグラフ表示であり、FA-RLXは、0.5mmガラスビーズの下に配置され、パドルを使用した35rpmでのかき混ぜ(stirring)に供される。図9Cは、図9Aおよび9Bに示されたデータのオーバーレイを示す。
図9C図9A~9Cは、20μm未満(図9Aおよび9C)、50μm未満(図9B~9C)、および100μm未満(図9Aおよび9C)の粒径(PS)における脂肪酸-リラキシン(FA-RLX)医薬品の溶出のグラフ表示であり、FA-RLXは、0.5mmガラスビーズの下に配置され、パドルを使用した35rpmでのかき混ぜ(stirring)に供される。図9Cは、図9Aおよび9Bに示されたデータのオーバーレイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示は、可動式パドルを使用して容器に入れられた溶液を撹拌することを含むインビトロ溶出法を提供し、溶液は、溶質、媒質、および複数のビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは溶質と可動式パドルの間に配置され、可動式パドルは溶液中に沈められる。いくつかの態様では、溶質は容器の底部に配置される。いくつかの態様では、複数のビーズの第1の部分は容器の底部に配置され、溶質は複数のビーズの第1の部分の上に配置され、複数のビーズの第2の部分は溶質の上に配置される。本明細書に開示される方法は、持続性注射剤(LAI)、例えば、医薬品を担持したLAIミクロスフェアを含むが、これらに限定されない、いかなる溶質の溶出にも使用することができる。
【0033】
I.用語
本開示をより容易に理解できるように、最初に特定の用語を定義する。本出願で使用される場合、本明細書に明示的に規定されている場合を除き、以下の各用語は、以下に定める意味を有するものとする。さらなる定義は、本出願を通して記載されている。
【0034】
「1つの(a)」または「1つの(an)」実体という用語は、その実体の1つまたは複数を指し、例えば、「1つのヌクレオチド配列(a nucleotide sequence)」は、1つまたは複数のヌクレオチド配列を表すと理解されることに留意されたい。そのため、本明細書では、「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つまたは複数の」、および「少なくとも1つの」という用語を互換的に使用することができる。
【0035】
さらに、本明細書において使用される「および/または」は、2つの指定された特徴または構成要素の各々について、他方の特徴または構成要素を有するかまたは有さない具体的な開示とみなされる。したがって、本明細書において「Aおよび/またはB」などの語句で使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことを意図している。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句で使用される「および/または」という用語は、以下の各態様であるA、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)を包含することを意図している。
【0036】
本明細書において「含む」という語で態様が記載されている場合にはいつでも、「からなる」および/または「から本質的になる」という用語で記載されている他の類似の態様も提供されることが理解される。
【0037】
特に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関連する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002, CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology, 3rd ed., 1999, Academic Press;およびOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology, Revised, 2000, Oxford University Pressは、本開示で使用される多くの用語の一般的な辞書を当業者に提供する。
【0038】
単位、接頭語、および記号は、国際単位系(SI)で認められている形式で表記する。数値範囲は、その範囲を定義する数値を含む。別段の指示がない限り、ヌクレオチド配列は5’から3’の方向で左から右に書かれている。アミノ酸配列はアミノからカルボキシの方向で左から右に書かれている。本明細書で提供される見出しは、本開示の様々な態様を限定するものではなく、明細書全体を参照することによって有することができる。したがって、以下で直ちに定義される用語は、明細書全体を参照することによって、より完全に定義される。
【0039】
本明細書で使用される場合、「溶質」という用語は、溶媒に溶解可能なあらゆる物質を指す。いくつかの態様では、溶質は、例えば、本明細書に開示される方法を使用する溶出の前またはその間には、固体状態にある。いくつかの態様では、溶質は、例えば、本明細書に開示される方法を使用する溶出後には、溶解した状態にある。特定の態様では、溶質は持続性注射剤(LAI)である。本明細書に開示される方法は、いずれのLAIを溶出するために用いられ得る。いくつかの態様では、LAIはミクロスフェアである。いくつかの態様では、溶質は、生物活性部分を担持したLAIミクロスフェアを含む。
【0040】
本明細書で使用される場合、「溶媒」という用語は、溶質を溶解することができる液体物質を指す。いくつかの態様では、溶媒は緩衝液を含む。いくつかの態様では、溶媒はカリウム緩衝液、例えばPBSを含む。
【0041】
本明細書で使用される場合、「持続性注射剤」または「LAI」という用語は、例えば、数日または数週間にわたって徐放性プロファイルを示す薬物製剤を指す。いくつかの態様では、LAIは、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、少なくとも約24時間、少なくとも約36時間、少なくとも約48時間、少なくとも約60時間、少なくとも約72時間、少なくとも約84時間、少なくとも約96時間、少なくとも約108時間、少なくとも約120時間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、少なくとも約14日間、少なくとも約15日間、少なくとも約16日間、少なくとも約17日間、少なくとも約18日間、少なくとも約19日間、少なくとも約20日間、または少なくとも約21日間、少なくとも約22日間の放出プロファイルを有する。いくつかの態様では、LAIは、少なくとも約1週間、少なくとも約1.5週間、少なくとも約2週間、少なくとも約2.5週間、少なくとも約3週間、少なくとも約3.5週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、または少なくとも約8の放出プロファイルを有する。いくつかの態様では、LAIは生物活性部分を含む。いくつかの態様では、LAIは生物活性部分および担体を含む。いくつかの態様では、担体は可溶性ミクロスフェアを含む。いくつかの態様では、ミクロスフェアはポリ-(D,L-ラクチド-Co-グリコリド)(「PLG」)ミクロスフェアである。PLGの式を式Iに示す。
【化1】


いくつかの態様では、LAIはヒドロゲルを含む。いくつかの態様では、LAIは液晶を含む。いくつかの態様では、LAIはミクロスフェア、ヒドロゲル、および液晶の1つまたは複数の組合せを含む。いくつかの態様では、生物活性部分はLAI内、例えばPLGミクロスフェア内にカプセル化される。
【0042】
本明細書で使用される場合、「生物活性部分」とは、生体に関する生物学的システム、経路、分子、または相互作用の任意の物理的特性または生化学的特性に影響を及ぼすことができる任意の物質を指す。特に、本明細書で使用される場合、生物活性分子としては、ヒトもしくは他の動物における疾患もしくは状態、例えば線維症に関連する疾患もしくは状態を診断、治癒、緩和、治療、もしくは予防することを意図した任意の物質、またはさもなければヒトもしくは動物の身体的もしくは精神的な健康を増強することを意図した任意の物質が挙げられるが、これらに限定されない。生物活性部分は、ポリペプチド(例えば、タンパク質(例えば、酵素、増殖因子、サイトカイン、ケモカイン、リガンド、受容体、ホルモン、抗体、抗原、それらのフラグメント、またはそれらの任意の組合せ)、ヌクレオチド(例えば、DNA(例えば、ssDNA、dsDNA、プラスミド、それらのフラグメント、またはそれらの任意の組合せ)、RNA(例えば、mRNA、miRNA、siRNA、dsRNA、それらのフラグメント、またはそれらの任意の組合せ)、アンチセンスオリゴマー、そのフラグメント、またはそれらの任意の組合せ)、Cas9ヌクレアーゼ、TALENヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、低分子、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。いくつかの態様では、生物活性部分は低分子を含む。いくつかの態様では、生物活性部分はポリペプチドを含む。いくつかの態様では、ポリペプチドの分子量の分子量は、約20kDa未満、約15kDa未満、約14kDa未満、約13kDa未満、約12kDa未満、約11kDa未満、約10kDa未満、約9kDa未満、約8kDa未満、約7kDa未満、約6kDa未満、約5kDa未満、約4kDa未満である。いくつかの態様では、ポリペプチドの分子量は、約4kDa、約5kDa、約6kDa、約7kDa、約8kDa、約9kDa、または約10kDaである。
【0043】
薬物または治療剤の「治療有効量」または「治療有効投与量」とは、単独で、または別の治療剤と組み合わせて使用された場合に、対象を疾患の発症から保護するか、あるいは疾患症状の重症度の減少、疾患症状のない期間の頻度および期間の増加、または疾患の苦痛による欠陥もしくは障害の予防によって証明される疾患の退行を促進する、薬物の任意の量である。疾患の退行を促進する治療剤の能力は、臨床試験中のヒト対象、ヒトにおける有効性を予測する動物モデル系などにおいて、またはインビトロアッセイにおける薬剤の活性測定により、熟練医師に公知の様々な方法を使用して評価することができる。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法は、治療有効量のLAI医薬品の溶解度をインビトロで測定するために使用される。
【0044】
「対象」としては、任意のヒトまたは非ヒト動物が挙げられる。「非ヒト動物」という用語には、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ならびにマウス、ラット、およびモルモットなどのげっ歯類などの脊椎動物が含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様では、対象はヒトである。本明細書では、「対象」と「患者」という用語は互換的に使用される。
【0045】
「約」または「から本質的になる」という用語は、当業者によって決定される特定の値または組成について許容可能な誤差範囲内にある値または組成を指し、これは、値または組成がどのように測定または決定されるか、すなわち測定システムの限界に部分的に依存する。例えば、「約」または「から本質的になる」は、当技術分野の慣行に従って、1標準偏差以内または1標準偏差を超えることを意味することができる。あるいは、「約」または「から本質的になる」は、10%までの範囲を意味することもある。さらに、特に生物学的システムまたはプロセスに関しては、この用語は値の最大1桁、または最大5倍を意味することがある。本出願および特許請求の範囲に特定の値または組成が記載されている場合、特に断りのない限り、「約」または「から本質的になる」の意味は、その特定の値または組成について許容可能な誤差範囲内であると仮定すべきである。
【0046】
本明細書に記載の通り、あらゆる濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲または整数範囲は、別段の指示がない限り、記載された範囲内の任意の整数、および適切な場合にはその端数(例えば、整数の10分の1および100分の1)の値を含むと理解される。
【0047】
本開示の様々な態様を、以下の小項目においてさらに詳細に説明する。
【0048】
II.本開示の方法
本開示の特定の態様は、可動式パドルを使用して容器に入れられた溶液を撹拌することを含むインビトロ溶出法に関し、溶液は、溶質、媒質、および複数のビーズを含み、パドルは、溶液中に沈められる。いくつかの態様では、複数のビーズは溶質と可動式パドルの間に配置される。
【0049】
本明細書に開示される方法は、既存の方法よりも改善された溶出および溶液品質を提供する。特にLAIのインビトロ溶出において最も一般的な方法は、(1)サンプル分離法、(2)透析法、および(3)フロースルー法である。例えば、Seidlitz et al., J. Pharm. Pharmacol. 64:969-85 (2012)を参照されたい。これらの方法は低分子のLAIにはうまく適用されているが、ペプチドなどの大きな分子を含む製剤の溶出にはあまり適しておらず、例えばペプチドの凝集または粒子の損失を引き起こしている。透析法は、透析膜の分子量カットオフ値の影響を受け、その値は、LAI製剤から放出された後のバルクへのペプチド拡散に影響を及ぼす可能性がある。フロースルー法は、公定のUSP apparatus 4(「USP IV」)を使用するが、ペプチドLAIに使用する場合、滅菌効果が弱いという欠点があり、溶出試験中にペプチドの分解を引き起こす。
【0050】
本明細書に開示される方法は、容器内の溶質を複数のビーズ、例えばガラスビーズの下に配置し、溶質およびビーズを媒質中に沈め、可動式パドルを媒質中に沈めてビーズの上方に配置し、可動式パドルが静止位置にあるとき、可動式パドルがビーズと接触しないようにすることによって、従来の方法の限界を克服する。これらの方法は、従来の方法よりも一貫性、堅牢性、溶解性を短期間で高める。
【0051】
いくつかの態様では、本方法は、撹拌の前に、(i)容器の底部に溶質を添加すること、(ii)容器の底部に複数のビーズを添加することであって、複数のビーズが溶質の上に添加されること、ならびに(iii)容器に、ある容量の媒質を添加することであって、媒質が溶質および複数のビーズの上に添加されることによって溶液を容器に入れることを含む。
【0052】
本明細書に開示される方法には、どのような容器も使用することができる。いくつかの態様では、容器は、少なくとも約100mLの溶液と可動式パドルを納めるのに十分な大きさのバイアル(vile)であり、可動式パドルは少なくとも約100mLの溶液中に沈められる。いくつかの態様では、容器は小容量容器である。いくつかの態様では、容器はHANSON小容量容器である。いくつかの態様では、容器は溶出の間、溶解槽中に配置される。本明細書に開示される方法には、どのような溶解槽も使用することができる。いくつかの態様では、溶解槽は、少なくとも約34℃、少なくとも約35℃、少なくとも約36℃、少なくとも約37℃、少なくとも約38℃、少なくとも約39℃、少なくとも約40℃、少なくとも約41℃、少なくとも約42℃、少なくとも約43℃、少なくとも約44℃、または少なくとも約45℃の温度を維持する。いくつかの態様では、溶解槽は約37℃の温度を維持する。いくつかの態様では、溶解槽は約38℃の温度を維持する。いくつかの態様では、溶解槽は約39℃の温度を維持する。いくつかの態様では、溶解槽は約40℃の温度を維持する。いくつかの態様では、溶解槽は約41℃の温度を維持する。いくつかの態様では、溶解槽は約42℃の温度を維持する。いくつかの態様では、溶解槽は約43℃の温度を維持する。いくつかの態様では、溶解槽は約44℃の温度を維持する。いくつかの態様では、溶解槽は約45℃の温度を維持する。
【0053】
いくつかの態様では、溶質は容器の底部に直接添加される。いくつかの態様では、第1の複数のビーズが容器の底部に添加され、次いで溶質が第1の複数のビーズの上に添加される。本明細書に開示される方法には、どのような容量の溶質も適用することができる。溶質の量を増やすことは、容器の大きさ、複数のビーズの量、および/または容器に添加する溶媒の容量を1倍以上増やすことで対応することができる。いくつかの態様では、溶質の量は、医薬品の単回単位用量、例えば治療有効用量に相当する。いくつかの態様では、溶質の量は医薬品の治療有効用量と一致するように意図されており、その結果、本方法を使用して医薬品のインビボ溶出を正確に予測することができる。
【0054】
いくつかの態様では、媒体溶液は溶質の上に添加され、例えば溶質を湿らせる。いくつかの態様では、媒体溶液は、溶質、例えば医薬品製剤の貯蔵に使用される溶液を含む。いくつかの態様では、媒体溶液の容量は、溶質および/または複数のビーズを湿らすには十分であるが、完全には沈めない。いくつかの態様では、約5mL未満、約4.5mL未満、約4mL未満、約3.5mL未満、約3mL未満、約2.5mL未満、約2mL未満、約1.5mL未満、約1mL未満、約0.5mL未満の媒体溶液を溶質の上に添加する。いくつかの態様では、約0.5mLの媒体溶液を治療有効量のLAIに添加する。
【0055】
いくつかの態様では、複数のビーズを容器内の溶質の上に添加する。本明細書に開示される方法には、どのようなビーズも使用することができる。いくつかの態様では、複数のビーズは、1つもしくは複数のガラスビーズ、1つもしくは複数のプラスチックビーズ、1つもしくは複数のケイ酸塩ビーズ、1つもしくは複数の金属ビーズ、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様では、複数のビーズはガラスビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズはプラスチックビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズはケイ酸塩ビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは金属ビーズを含む。
【0056】
本明細書に開示される方法には、任意の大きさのビーズを使用することができる。いくつかの態様では、複数のビーズは、直径が少なくとも約0.01mm、少なくとも約0.02mm、少なくとも約0.03mm、少なくとも約0.04mm、少なくとも約0.05mm、少なくとも約0.06mm、少なくとも約0.07mm、少なくとも約0.08mm、少なくとも約0.09mm、少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.2mm、少なくとも約0.3mm、少なくとも約0.4mm、少なくとも約0.5mm、少なくとも約0.6mm、少なくとも約0.7mm、少なくとも約0.8mm、少なくとも約0.9mm、少なくとも約1.0mm、少なくとも約1.1mm、少なくとも約1.2mm、少なくとも約1.3mm、少なくとも約1.4mm、少なくとも約1.5mm、少なくとも約1.6mm、少なくとも約1.7mm、少なくとも約1.8mm、少なくとも約1.9mm、または少なくとも約2.0mmである1つまたは複数のビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、直径が約0.5mmである1つまたは複数のビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、直径が約0.6mmである1つまたは複数のビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、直径が約0.7mmである1つまたは複数のビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、直径が約0.8mmである1つまたは複数のビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、直径が約0.9mmである1つまたは複数のビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、直径が約1.0mmである1つまたは複数のビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、直径が約1.1mmである1つまたは複数のビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、直径が約1.2mmである1つまたは複数のビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、直径が約1.3mmである1つまたは複数のビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、直径が約1.4mmである1つまたは複数のビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、直径が約1.5mmである1つまたは複数のビーズを含む。
【0057】
いくつかの態様では、複数のビーズは等しい大きさのビーズを含む。いくつかの態様では、複数のビーズは異なる大きさのビーズの混合物を含む。いくつかの態様では、ビーズの少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%がほぼ同じ大きさ(例えば、約0.8mm~約1.2mmの範囲内)である。いくつかの態様では、ビーズの少なくとも約50%がほぼ同じ大きさ(例えば、約0.8mm~約1.2mmの範囲内)である。いくつかの態様では、ビーズの少なくとも約60%がほぼ同じ大きさ(例えば、約0.8mm~約1.2mmの範囲内)である。いくつかの態様では、ビーズの少なくとも約70%がほぼ同じ大きさ(例えば、約0.8mm~約1.2mmの範囲内)である。いくつかの態様では、ビーズの少なくとも約75%がほぼ同じ大きさ(例えば、約0.8mm~約1.2mmの範囲内)である。いくつかの態様では、ビーズの少なくとも約80%がほぼ同じ大きさ(例えば、約0.8mm~約1.2mmの範囲内)である。いくつかの態様では、ビーズの少なくとも約85%がほぼ同じ大きさ(例えば、約0.8mm~約1.2mmの範囲内)である。いくつかの態様では、ビーズの少なくとも約90%がほぼ同じ大きさ(例えば、約0.8mm~約1.2mmの範囲内)である。いくつかの態様では、ビーズの少なくとも約95%がほぼ同じ大きさ(例えば、約0.8mm~約1.2mmの範囲内)である。いくつかの態様では、ビーズの少なくとも約96%がほぼ同じ大きさ(例えば、約0.8mm~約1.2mmの範囲内)である。いくつかの態様では、ビーズの少なくとも約97%がほぼ同じ大きさ(例えば、約0.8mm~約1.2mmの範囲内)である。いくつかの態様では、ビーズの少なくとも約98%がほぼ同じ大きさ(例えば、約0.8mm~約1.2mmの範囲内)である。いくつかの態様では、ビーズの少なくとも約99%がほぼ同じ大きさ(例えば、約0.8mm~約1.2mmの範囲内)である。
【0058】
溶質に添加される複数のビーズの量は、溶質の量、容器の容量、容器の形状、溶液の容量、またはそれらの組合せに基づいて調整することができる。いくつかの態様では、複数のビーズ中のビーズの量は、溶質をビーズで覆うのに必要な量に相当する。いくつかの態様では、溶質はビーズの下に配置される。いくつかの態様では、溶質はビーズによって挟まれ、例えば、溶質は、溶質の上と下の両方にビーズがあるように配置される。いくつかの態様では、複数のビーズは2gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。例えば、複数のビーズがプラスチックビーズを含む態様では、プラスチックビーズの容量は、ガラスビーズに相当する容量よりも重量が小さく、すなわち、3gのガラスビーズに相当するの容量が2gのプラスチックビーズになる可能性がある。逆に、金属ビーズは同じ大きさのガラスビーズよりも単位質量が大きい場合がある。このように、複数のビーズが金属ビーズを含む態様では、3gのガラスビーズに相当するの容量は4gの金属ビーズになる可能性がある。いくつかの態様では、複数のビーズは2.5gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは3gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは3.1gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは3.2gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは3.3gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは3.4gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは3.5gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは3.6gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは3.7gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは3.8gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは3.9gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは4.0gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは4.1gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは4.2gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは4.3gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは4.4gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは4.5gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは4.6gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは4.7gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは4.8gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは4.9gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは5.0gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは5.5gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは6.0gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは6.5gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは7.0gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは7.5gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。いくつかの態様では、複数のビーズは8.0gのガラスビーズに相当する容量を含み、ガラスビーズの平均直径は約1.0mmである。
【0059】
いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり少なくとも約2gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約2.5gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約3gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約3.1gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約3.2gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約3.3gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約3.4gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約3.5gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約3.6gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約3.7gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約3.8gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約3.9gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約4gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約4.1gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約4.2gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約4.3gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約4.4gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約4.5gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約4.6gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約4.7gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約4.8gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約4.9gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約5gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)、約100mLの溶液あたり少なくとも約6gのビーズ、または約100mLの溶液あたり少なくとも約7gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり約3.5gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり約3.6gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり約3.7gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり約3.8gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり約3.9gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり約4gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり約4.1gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり約4.2gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり約4.3gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり約4.4gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり約4.5gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり約5gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり約5.5gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり約6gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり約6.5gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり約7gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。いくつかの態様では、複数のビーズは、約100mLの溶液あたり約7.5gのビーズ(例えば、直径約1mmのガラスビーズ)を含む。
【0060】
いくつかの態様では、複数のビーズの添加後、容器は媒質、例えば溶媒および/または緩衝液で満たされる。本明細書に開示される方法には、どのような媒質も使用することができる。いくつかの態様では、媒質は溶質に合わせて調整される。いくつかの態様では、媒質はリン酸緩衝液を含む。いくつかの態様では、媒質はリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。いくつかの態様では、媒質は、少なくとも約20mMのPO、少なくとも約25mMのPO、少なくとも約30mMのPO、少なくとも約33mMのPO、少なくとも約35mMのPO、少なくとも約40mMのPO、少なくとも約45mMのPO、少なくとも約50mMのPO、少なくとも約55mMのPO、少なくとも約60mMのPO、少なくとも約65mMのPO、少なくとも約70mMのPO、少なくとも約75mMのPO、少なくとも約80mMのPO、少なくとも約90mMのPO、少なくとも約95mMのPO、または少なくとも約100mMのPOを含む。いくつかの態様では、媒質は少なくとも約33mMのPOを含む。いくつかの態様では、媒質は少なくとも約40mMのPOを含む。いくつかの態様では、媒質は少なくとも約50mMのPOを含む。いくつかの態様では、媒質は少なくとも約60mMのPOを含む。いくつかの態様では、媒質は少なくとも約70mMのPOを含む。いくつかの態様では、媒質は少なくとも約80mMのPOを含む。いくつかの態様では、媒質は少なくとも約90mMのPOを含む。いくつかの態様では、媒質は少なくとも約100mMのPOを含む。
【0061】
いくつかの態様では、媒質は界面活性剤をさらに含む。いくつかの態様では、界面活性剤は、ポリソルベート20(TWEEN20)、ポリソルベート80(TWEEN80)、TritonX100、pluoronic F-68、およびそれらの任意の組合せから選択される。いくつかの態様では、界面活性剤はポリソルベート20(TWEEN20)を含む。いくつかの態様では、界面活性剤はポリソルベート80(TWEEN80)を含む。いくつかの態様では、界面活性剤はTritonX100を含む。いくつかの態様では、界面活性剤はpluoronic F-68を含む。いくつかの態様では、媒質は、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.02%、少なくとも約0.03%、少なくとも約0.04%、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.06%、少なくとも約0.07%、少なくとも約0.08%、少なくとも約0.09%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1.0%の界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)を含む。いくつかの態様では、媒質は約0.1%の界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)を含む。いくつかの態様では、媒質は約0.2%の界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)を含む。いくつかの態様では、媒質は約0.3%の界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)を含む。いくつかの態様では、媒質は約0.4%の界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)を含む。いくつかの態様では、媒質は約0.5%の界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)を含む。
【0062】
いくつかの態様では、媒質は抗菌薬をさらに含む。本明細書に開示される方法には、どのような抗菌薬も使用することができる。いくつかの態様では、微生物薬剤はアジ化ナトリウムを含む。いくつかの態様では、媒質は、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.02%、少なくとも約0.03%、少なくとも約0.04%、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.06%、少なくとも約0.07%、少なくとも約0.08%、少なくとも約0.09%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1.0%の抗菌薬(例えば、アジ化ナトリウム)を含む。いくつかの態様では、媒質は約0.1%の抗菌薬(例えば、アジ化ナトリウム)を含む。いくつかの態様では、媒質は約0.2%の抗菌薬(例えば、アジ化ナトリウム)を含む。いくつかの態様では、媒質は約0.3%の抗菌薬(例えば、アジ化ナトリウム)を含む。いくつかの態様では、媒質は約0.4%の抗菌薬(例えば、アジ化ナトリウム)を含む。いくつかの態様では、媒質は約0.5%の抗菌薬(例えば、アジ化ナトリウム)を含む。
【0063】
いくつかの態様では、媒質は複数のビーズの上に添加され、複数のビーズは溶質の上に配置される。いくつかの態様では、媒質は、溶質および/または複数のビーズの撹拌を引き起こさない速度で添加される。いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は、少なくとも約50mL、少なくとも約60mL、少なくとも約70mL、少なくとも約75mL、少なくとも約80mL、少なくとも約90mL、または少なくとも約100mLである。いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は約90mLである。いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は約100mLである。いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は約110mLである。いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は約120mLである。いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は約130mLである。いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は約140mLである。いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は約150mLである。いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は約160mLである。いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は約170mLである。いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は約180mLである。いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は約190mLである。いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は約200mLである。いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は約300mLである。いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は約400mLである。いくつかの態様では、容器内の溶液の容量は約500mLである。媒質は、可動式パドルが静止位置にある間に添加される。溶液の総容量は、本明細書に開示される方法に供される溶質の総量に依存する。溶質の量が多ければ、溶液の総容量も多く必要となる。溶液の総容量は、溶質、複数のビーズ、および可動式パドルを沈めるのに十分でなければならない。
【0064】
本明細書に開示される方法には、どのような可動式パドルも使用することができる。いくつかの態様では、可動式パドルは容器に取り付けられ、可動式パドルが容器内で溶液表面の下方および複数のビーズの上方に配置されるようになっている。いくつかの態様では、可動式パドルは容器に直接取り付けられるのではなく、可動式パドルが容器内で溶液表面の下方および複数のビーズの上方に位置するように配置される。いくつかの態様では、パドルの大きさは、パドルが容器の壁に接触しないような大きさである。本開示の可動式パドルは、溶液を撹拌するように移動、例えば回転することができる。いくつかの態様では、溶質、複数のビーズ、および媒質が容器に添加された後、本方法は、可動式パドルに力を加えて可動式パドルを回転および/または振動させ、それによって溶液を撹拌することをさらに含む。いくつかの態様では、可動式パドルは、少なくとも約10rpm、少なくとも約15rpm、少なくとも約20rpm、少なくとも約25rpm、少なくとも約30rpm、少なくとも約35rpm、少なくとも約40rpm、少なくとも約45rpm、少なくとも約50rpm、少なくとも約55rpm、少なくとも約60rpm、少なくとも約65rpm、少なくとも約70rpm、少なくとも約75rpm、少なくとも約80rpm、少なくとも約85rpm、少なくとも約90rpm、少なくとも約95rpm、少なくとも約100rpm、少なくとも約105rpm、少なくとも約110rpm、少なくとも約115rpm、少なくとも約120rpm、少なくとも約125rpm、少なくとも約130rpm、少なくとも約135rpm、少なくとも約140rpm、少なくとも約145rpm、少なくとも約150rpm、少なくとも約160rpm、少なくとも約170rpm、少なくとも約180rpm、少なくとも約190rpm、または少なくとも約200rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約15rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約20rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約25rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約30rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約35rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約40rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約45rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約50rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約55rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約60rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約65rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約70rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約75rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約80rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約85rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約90rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約95rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約100rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約105rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約110rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約115rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約120rpmの速度で回転する。いくつかの態様では、可動式パドルは少なくとも約125rpmの速度で回転する。
【0065】
本明細書に開示される溶出法の持続時間は、溶質に依存し得る。いくつかの態様では、溶出法は、溶質の少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%が媒質中に溶解するのに十分な時間、溶質に適用される。いくつかの態様では、溶出法は、溶質に少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、少なくとも約24時間、少なくとも約30時間、少なくとも約36時間、少なくとも約42時間、少なくとも約48時間、少なくとも約60時間、少なくとも約72時間、少なくとも約84時間、または少なくとも約96時間適用される。
【0066】
溶質の溶出は、任意の方法を使用して測定することができる。いくつかの態様では、溶液のレベルより低い位置でプローブが容器に入れられる。いくつかの態様では、プローブは可動式パドルの上方に配置される。いくつかの態様では、プローブはその場測定のためのUV光ファイバーを含む。いくつかの態様では、溶出プロセス中に溶液からサンプルを取り出し、サンプル中の溶質の濃度を測定する。いくつかの態様では、サンプルは可動式パドルより上の位置で溶液から得られる。いくつかの態様では、サンプルが得られた後、溶液から取り出されたサンプルの容量に相当する容量の媒質を溶液に添加する。
【0067】
いくつかの態様では、容器は溶出プロセス中に覆われる。いくつかの態様では、容器は溶出プロセス中に覆われており、そのカバーはサンプル採取時のみ取り除かれる。
【0068】
いくつかの態様では、本方法は、(i)持続性注射用ミクロスフェアを含む溶質を容器の底部に添加すること、(ii)1つまたは複数のガラスビーズを含む複数のビーズを溶質の上に添加すること、(iii)溶質および当該容量のビーズに媒質を添加することであって、媒質を、溶質または当該容量のビーズを撹拌することなく添加し、媒質を、可動式パドルを沈めるのに十分な容量で添加すること、ならびに可動式パドルを回転および/または振動させる力を加えて、溶液を撹拌することを含む。いくつかの態様では、撹拌は、溶質の少なくとも約80%が溶液中に溶解するまで行われる。いくつかの態様では、撹拌は、溶質の約100%が溶液中に溶解するまで行われる。
【0069】
いくつかの態様では、本方法は、(i)1つまたは複数のガラスビーズを含む、第1の複数のビーズを容器の底部に添加すること、(ii)持続性注射用ミクロスフェアを含む溶質を複数のビーズの上に添加すること、(iii)1つまたは複数のガラスビーズを含む、第2の複数のビーズを溶質の上に添加すること、(iv)溶質および当該容量のビーズに媒質を添加することであって、媒質を、溶質または当該容量のビーズを撹拌することなく添加し、媒質を、可動式パドルを沈めるのに十分な容量で添加すること、ならびに(v)可動式パドルを回転および/または振動させる力を加えて、溶液を撹拌することを含む。いくつかの態様では、撹拌は、溶質の少なくとも約80%が溶液中に溶解するまで行われる。いくつかの態様では、撹拌は、溶質の約100%が溶液中に溶解するまで行われる。
【0070】
本開示の特定の態様は、(i)容器、(ii)複数のビーズ、(iii)媒質、(iv)可動式パドルであって、容器内に配置することができる可動式パドル、および(v)本明細書に開示される任意の方法に従って溶質を溶出するための指示書を含むキットに関する。本開示の特定の態様は、(i)容器、(ii)複数のビーズ、(iii)媒質、(iv)可動式パドルであって、容器内に配置することができる可動式パドル、(v)容器のカバー、および(vi)本明細書に開示される任意の方法に従って溶質を溶出するための指示書を含むキットに関する。
【0071】
上記で引用したすべての参考文献、および本明細書で引用したすべての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0072】
以下の例は例示であり、限定するものではない。
【実施例
【0073】
実施例1
LAIサンプルを容器の底部でガラスビーズを用いて挟み、ガラスビーズの上に撹拌のためにパドルを配置する、LAIの溶解のための新しいセッティングを開発した(図1)。本実施例では、ペプチド薬物を含むLAI(PLGAミクロスフェア製剤およびヒドロゲル製剤)への本方法の適用を示す。本実施例で使用したペプチドの分子量は約4kDaである。ミクロスフェアの薬物負荷量は、2mgAPI/用量に対して5重量%であり、週1回の注射用に設計されている。
【0074】
Distek2500溶解槽上の小容量容器(Hanson)を使用し、各容器に100mLの媒質を入れて37℃に保持した。ミニパドルを100rpmで使用した。ミクロスフェア製剤の単回投与相当量をまず容器に入れ、続いて0.5mLの媒体を添加してミクロスフェアを湿潤させた。ガラスビーズ(直径1mm)をサンプルの上に添加し、その後、ガラスビーズを乱さないように慎重に100mLの媒質を添加した。
【0075】
以下の方法パラメータ、(1)ガラスビーズの量(3g、4g、6g、および9g)、(2)リン酸緩衝液のpH(7.4、9.8、11、および12)、(3)緩衝液の濃度(20、33、40、50、60、70、および90mM)、(4)界面活性剤(TWEEN20、Triton X100、およびPluoronic F-68)、(5)界面活性剤の濃度(0.1%、0.2%、および0.3%)、(6)媒質の温度(37℃、および45℃)、(7)抗菌薬(あり、なし)、および(8)蒸発の制御(あり、なし)を評価した。
【0076】
薬物放出は、所定の時点(1、2、4、8、12、24、48時間など)で、バルクから1mLの一定分量を抜き取り、同量の新鮮な媒質を補充し、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を行って試験した。
【0077】
結果
【0078】
この溶出法は、ペプチドPLGAミクロスフェアLAI製剤の溶出試験において良好な許容性を示した。データによると、4gのガラスビーズが最も迅速に医薬品を溶出し(図2)、6回の別々の試行にわたって再現性のある結果が得られた(図3)。pH7.4のリン酸緩衝液は生体関連であったが、開発中に溶出試験の加速と所要時間の短縮が求められた場合には、pH12を使用した(図4)。しかしながら、pHは溶質に依存する可能性が高い。界面活性剤の特定の種類と量は溶出に大きな影響を与えず(図5A~5B)、緩衝液の濃度は溶出に大きな影響を与えず(図6)、媒質の温度は溶出速度に大きな影響を与えないようであった(図8)。0.02%のアジ化ナトリウムを媒質に添加した場合、放出されたペプチドの分解は観察されなかった(図7)。媒質の蒸発量は、約1mL/日/100mLと測定された(データは示していない)。これらの結果に基づき、0.2%TWEEN20を添加した33mMのリン酸緩衝液を選択した。
【0079】
実施例2
本明細書に開示される新規の方法を、従来のUSP2法およびUSP4法と比較した。LAIミクロスフェア製剤の溶出にUSP2法を使用した場合、サンプルの導入に湿潤剤を使用したにもかかわらず、ミクロスフェアが溶出媒質の表面に浮いているのが観察された。また、ミクロスフェアは凝集しやすく、シャフトの周囲に浮遊し、サンプリングおよび検出に影響を与えた。USP2法をヒドロゲル製剤および液晶製剤に適用した場合、サンプルは容器壁の底部に積み重なり、媒質への曝露が減少するために薬物放出が遅くなった。
【0080】
USP4を使用して同じ製剤を試験した場合、媒質にアジ化ナトリウムを添加したにもかかわらず、容器内で微生物が増殖した。この増殖を克服する適切な方法は見つかっていない。微生物の増殖により、溶出試験および薬物放出試験中にLAI製剤中のペプチドが切断され、クロマトグラムに非特異的なピークが生じた。
【0081】
ガラスビーズを用いてミクロスフェア、ヒドロゲル、または液晶のLAIサンプルを挟むことで、パドルを使用する比較的低いかき混ぜスピードで薬物放出試験を円滑に行うことができる。また、これにより、UV光ファイバーを使用して、サンプリングなしで溶出中のその場測定を行うことが可能になり、試験の簡便性と生産性が向上し、ばらつきが減少する。
【0082】
実施例3
本明細書に開示される溶出法は、脂肪酸-リラキシン(FA-RLX)持続性注射製剤の溶出に使用した。FA-RLXの懸濁液は持続性注射製剤として設計されている。FA-RLXの20μm未満、50μm未満、および100μm未満のFA-RLXの粒径(PS)を試験した。表示された粒径のFA-RLXを17.5mg/mLの濃度でMiglyol 812Nに懸濁した。次いで、0.5mLのそれぞれの懸濁液を、ダルベッコリン酸緩衝食塩水(PBS)中の4%ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン50mLで満たした200mL容器中の0.5mmガラスビーズの下に配置した。ガラスビーズの上方にパドルを置き、34℃、35rpmのかき混ぜ速度で溶出させた。溶出したFA-RLXの割合は、293~323nm(プローブ経路長2mm)での二階導関数により、24時間にわたって5分ごとに、合計288回測定した。
【0083】
パドル下のガラスビーズ法は、PS20μm未満およびPS100μm未満のFA-RLX製剤を用いた懸濁液で再現性を示した(図9A)。PS20μm未満の懸濁液の溶出プロファイルでは、より速い放出を観察することができる。PS20μm未満の懸濁液では、60分後に約90%の放出が観察された。PS100μm未満の溶出プロファイルでは、より遅い放出を観察することができる。PS100μm未満の溶出では、60分後に約55%の放出が観察された。PS20μm未満の懸濁液の溶出プロファイルと他の溶出プロファイルとの間に差を観察することができる。しかしながら、PS100μm未満の懸濁液の溶出プロファイルは、PS50μm未満の懸濁液の溶出プロファイルに大きなばらつきがあるため、PS50μm未満の懸濁液と区別できなかった(図9C)。
【0084】
本明細書に開示されたすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されている場合と同じ程度まで、参照により組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
【国際調査報告】