(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】喉の刺激を減少させるための口腔用組成物及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
A24B 13/00 20060101AFI20240514BHJP
A24B 15/16 20200101ALI20240514BHJP
A24B 15/38 20060101ALI20240514BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20240514BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20240514BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240514BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240514BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240514BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240514BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240514BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240514BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A24B13/00
A24B15/16
A24B15/38
A61K9/00
A61K9/16
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/20
A61K47/22
A61K47/38
A61K45/00
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567979
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 IB2022054181
(87)【国際公開番号】W WO2022234522
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セイン,マシュー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】カンポス,アレクサンドル・メンデス
(72)【発明者】
【氏名】プール,トーマス・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ルーヒネジャド,シャヒン
【テーマコード(参考)】
4B043
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4B043BB22
4B043BC02
4B043BC03
4B043BC04
4B043BC10
4B043BC11
4B043BC14
4B043BC18
4B043BC20
4B043BC22
4C076AA31
4C076AA99
4C076BB22
4C076CC50
4C076DD38E
4C076DD41
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4C076DD60
4C076EE31A
4C076EE32A
4C076FF36
4C076FF67
4C084AA17
4C084MA57
4C084NA06
4C084ZC75
(57)【要約】
本開示は、口腔用使用に対して構築された組成物であって、少なくとも1つのフィラー、水、塩基性アミン及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含み、有機酸が約1.4~約8.0のlogP値を有する組成物を提供する。塩基性アミンの少なくとも一部分は有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合している。結合は塩基性アミン-有機酸の塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対又は両方の組合せの形態である。口腔用使用に対して構築された組成物の予測される口腔内頬側吸収を増強するため、塩基性アミンを含む組成物の使用に伴う潜在的な喉の刺激を減少させるための、口腔用使用に対して構築された組成物を安定化させるための方法がさらに提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内での配置に対して構築された組成物の使用中に喉の刺激を減少させる方法であって、組成物を口腔内に導入するステップを含み、口腔用組成物が塩基性アミン及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含み、有機酸が約1.4~約8.0のlogP値を有し、塩基性アミンの少なくとも一部分が有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、結合が塩基性アミン-有機酸の塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対又は両方の形態である、方法。
【請求項2】
口腔内に導入された組成物が、有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せの非存在下で同じ量の塩基性アミンを含む組成物よりも喉の刺激を引き起こさない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組成物が少なくとも1種のフィラー及び水をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
有機酸が約1.4~約4.5のlogP値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
有機酸が約2.5~約3.5のlogP値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
有機酸が約4.5~約8.0のlogP値を有し、組成物が溶解増強剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
溶解増強剤がグリセロール又はプロピレングリコールである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
アミン遊離塩基として計算される塩基性アミンに対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2又は約5から、約10、約15又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
遊離塩基ニコチンとして計算される塩基性アミンに対して、約2~約10モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
有機酸がアルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸又はこれらのいずれかの組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
有機酸がオクタン酸、デカン酸、安息香酸、ヘプタンスルホン酸又はこれらの組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
有機酸がオクタン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
アルカリ金属がナトリウム又はカリウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
有機酸及び有機酸のナトリウム塩を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
有機酸の有機酸のナトリウム塩に対する比が約0.1~約10である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
安息香酸及び安息香酸ナトリウム、オクタン酸及びオクタン酸ナトリウム、デカン酸及びデカン酸ナトリウム又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
組成物のpHが約4.0~約9.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
組成物のpHが約4.5~約7である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
組成物のpHが約5.5~約7である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
組成物のpHが約4.0~約5.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
組成物のpHが約7.0~約9.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
塩基性アミンがニコチンである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
ニコチンが、遊離塩基として計算され、組成物の総重量に対して、組成物の約0.001~約10重量%の量で存在する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1種のフィラーがセルロース材料を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項25】
セルロース材料が微結晶性セルロースを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つのフィラーが、組成物の総重量に対して、約2重量%~約5重量%の量のセルロース誘導体をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項27】
セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
水が、組成物の総重量に対して、約5~約50重量%の量で存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つのフィラーが、組成物の総重量に対して約60~約85重量%の量で存在し、
水が、組成物の総重量に対して約15~約20重量%の量で存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項30】
組成物が、1種以上の活性成分、1種以上の香味剤、1種以上の塩、1種以上の甘味剤、1種以上の結合剤、1種以上の保湿剤、1種以上のガム、タバコ材料又はこれらの組合せをさらに含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
組成物が、栄養補給食品、ボタニカル、刺激剤、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物及びテルペンからなる群から選択される1種以上の活性成分をさらに含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
組成物が、存在する任意のニコチン成分を除いて、組成物の総重量に対して、約10重量%以下のタバコ材料を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
組成物がタバコ材料を実質的に含まない、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
組成物をパウチに封入して、パウチ製品を形成するステップであって、組成物が任意選択的に顆粒状の形態であるステップをさらに含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はヒトによる使用を目的とする組成物に関する。組成物は口腔用使用に適応し、使用中に、香味などの物質、活性成分又は両方を送達する。このような組成物は、タバコ又はタバコ由来の製品を含んでもよいし、又はタバコを含まない代替形態であってもよい。このような組成物はニコチンを活性成分として含むことができる。
【背景技術】
【0002】
タバコは、いわゆる「無煙」の形態で楽しむことができる。特に人気のある無煙タバコ製品は、いくつかの形態の加工タバコ又はタバコ含有配合物を使用者の口に挿入することにより利用される。このような無煙タバコ製品に対する従来のフォーマットとして、湿潤型嗅ぎタバコ、スヌース及び噛みタバコが挙げられ、これらは通常、ほとんど完全な粒状のタバコ、顆粒状のタバコ、又は刻みタバコで形成され、使用者により分割される、又は個々の部分、例えば、使い捨てパウチ若しくはサッシェに入れて使用者に提示される。無煙製品の他の従来の形態として、圧縮形態又は凝集形態、例えば、プラグ、錠剤、又はペレットが挙げられる。代替の製品フォーマット、例えば、タバコ含有ガム及びタバコと他の植物材料との混合物などもまた公知である。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Schwartzの米国特許第1,376,586号;Pittmanらの米国特許第4,513,756号;Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,528,993号;Storyらの米国特許第4,624,269号;Tibbettsの米国特許第4,991,599号;Townsendの米国特許第4,987,907号;Sprinkle、IIIらの米国特許第5,092,352号;Whiteらの米国特許第5,387,416号;Williamsの米国特許第6,668,839号;Williamsの米国特許第6,834,654号;Atchleyらの米国特許第6,953,040号;Atchleyらの米国特許第7,032,601号;及びAtchleyらの米国特許第7,694,686号;Williamsの米国特許公開第2004/0020503号;Quinterらの米国特許公開第2005/0115580号;Stricklandらの米国特許公開第2006/0191548号;Holton,Jr.らの米国特許公開第2007/0062549号;Holton,Jr.らの米国特許公開第2007/0186941号;Stricklandらの米国特許公開第2007/0186942号;Dubeらの米国特許公開第2008/0029110号;Robinsonらの米国特許公開第2008/0029116号;Robinsonらの米国特許公開第2008/0173317号;Neilsenらの米国特許公開第2008/0209586号;Essenらの米国特許公開第2009/0065013号;及びAtchleyの米国特許公開第2010/0282267号、並びにArnarpらのWO2004/095959に記載の無煙タバコ配合物、成分及び加工方法の種類を参照されたい。
【0003】
タバコ材料を様々な結合剤及びフィラーと組み合わせる無煙タバコ製品の構成が最近になって提案されており、例示的製品フォーマットにはロゼンジ剤、パステル剤、ゲル剤、押出し形態などが含まれる。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Engstromらの米国特許出願公開第2008/0196730号;Crawfordらの米国特許出願公開第2008/0305216号;Kumarらの米国特許出願公開第2009/0293889号;Gaoらの米国特許出願公開第2010/0291245号;Muaらの米国特許出願公開第2011/0139164号;Cantrellらの米国特許出願公開第2012/0037175号;Huntらの米国特許出願公開第2012/0055494号;Cantrellらの米国特許出願公開第2012/0138073号;Cantrellらの米国特許出願公開第2012/0138074号;Holton,Jr.の米国特許出願公開第2013/0074855号;Holton,Jr.の米国特許出願公開第2013/0074856号;Muaらの米国特許出願公開第2013/0152953号;Jacksonらの米国特許出願公開第2013/0274296号;Moldoveanuらの米国特許出願公開第2015/0068545号;Marshallらの米国特許出願公開第2015/0101627号;及びLampeらの米国特許出願公開第2015/0230515号に記載されている製品の種類を参照されたい。類似のフォーマットであり、タバコを含まない口腔用製品もまた提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第1376586号明細書
【特許文献2】米国特許第4513756号明細書
【特許文献3】米国特許第4528993号明細書
【特許文献4】米国特許第4624269号明細書
【特許文献5】米国特許第4991599号明細書
【特許文献6】米国特許第4987907号明細書
【特許文献7】米国特許第5092352号明細書
【特許文献8】米国特許第5387416号明細書
【特許文献9】米国特許第6668839号明細書
【特許文献10】米国特許第6834654号明細書
【特許文献11】米国特許第6953040号明細書
【特許文献12】米国特許第7032601号明細書
【特許文献13】米国特許第7694686号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2004/0020503号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2005/0115580号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2006/0191548号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2007/0062549号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2007/0186941号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2007/0186942号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2008/0029110号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2008/0029116号明細書
【特許文献22】米国特許出願公開第2008/0173317号明細書
【特許文献23】米国特許出願公開第2008/0209586号明細書
【特許文献24】米国特許出願公開第2009/0065013号明細書
【特許文献25】米国特許出願公開第2010/0282267号明細書
【特許文献26】国際公開第2004/095959号
【特許文献27】米国特許出願公開第2008/0196730号明細書
【特許文献28】米国特許出願公開第2008/0305216号明細書
【特許文献29】米国特許出願公開第2009/0293889号明細書
【特許文献30】米国特許出願公開第2010/0291245号明細書
【特許文献31】米国特許出願公開第2011/0139164号明細書
【特許文献32】米国特許出願公開第2012/0037175号明細書
【特許文献33】米国特許出願公開第2012/0055494号明細書
【特許文献34】米国特許出願公開第2012/0138073号明細書
【特許文献35】米国特許出願公開第2012/0138074号明細書
【特許文献36】米国特許出願公開第2013/0074855号明細書
【特許文献37】米国特許出願公開第2013/0074856号明細書
【特許文献38】米国特許出願公開第2013/0152953号明細書
【特許文献39】米国特許出願公開第2013/0274296号明細書
【特許文献40】米国特許出願公開第2015/0068545号明細書
【特許文献41】米国特許出願公開第2015/0101627号明細書
【特許文献42】米国特許出願公開第2015/0230515号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
消費者に活性成分を楽しめる形態で送達することができる、口腔用使用に対して構築された製品を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(簡単な要旨)
本開示は全般的に、口腔用使用に対して構築された組成物を提供する。組成物は1種以上のフィラー、水、有機酸又はその塩及び塩基性アミンを含む。有機酸は約0~約8のlogP値を有し、塩基性アミン及び有機酸又はその塩の少なくとも一部分は塩の形態で存在する。本開示は、口腔用使用に対して構築された組成物の使用において喉の刺激を減少させる方法であって、本明細書で開示されている組成物を提供することを含む方法をさらに提供する。
【0007】
口腔用ニコチン製品は、頬部と歯茎との間にニコチン含有マトリックスを配置することにより使用される。次いで、ニコチンは製品から放出され、口腔粘膜を介して吸収され、これにより血流に入り、そこで全身に循環される。香味安定性及び肯定的な官能属性は消費者に許容される口腔用ニコチン製品に重要な要素である。香味の感覚刺激的効果は特に製品pHに敏感であることが示されている。製品pHがおよそ7.0を超えると、一部の香味の視覚的、芳香及び味覚への効果は時間の経過と共に劣化し、ニコチンは製品から蒸発し得る。この不安定さは、ある特定の香味、例えば、エチルバニリン、ライム及びシナモンに対して特に顕著であり、また白色の製品では時間の経過と共に黒ずみを引き起こす。しかし、pHの低下はプロトン化形態に存在するニコチンの範囲を増加させる。二塩基性アルカロイドとして、ニコチンは2つのプロトン(ピリジン環窒素:logKa1=3.41;及びピロリジン環窒素:logKa2=8.02)を受け入れることが可能であり、極性を有意に変化させる。ニコチンの全体的な極性は、log(P)=1.09(非プロトン化ニコチン)から-2.07(ピロリジン環窒素でプロトン化したニコチン)に増加する。膜(例えば、粘膜)を貫通するニコチンなどの物質の受動拡散は、分子極性及び膜特性、並びに分子サイズ及びイオン化の関数である(Kokateら、PharmSciTech、2008年、9巻、501~504頁)。
【0008】
理論により限定されることを意図することなく、プロトン付加状態の結果として生じるlogPにおける下向きのシフトは、pHの低下によるニコチン吸収の減少の背後にある主要な推進力であると考えられている(Nairら、Journal of Pharmaceutical Sciences 1997、86、257~262頁;Chenら、International Journal of Pharmaceutics 1999、184、63~72頁;Adrianら、International Journal of Pharmaceutics 2006、311、196~202頁)。特に、Adrianらにおいて報告されたように、pH=6でのニコチン溶液に対して、潅流細胞においてヒト口腔内頬側組織を貫通していくらかの拡散が依然として存在する間(ニコチンの大部分がモノプロトン化している場合)、pH8.1でのニコチン溶液に比較して、速度は大きく減少した(係数約7により)。
【0009】
驚くことに、ある特定の非極性又は親油性の有機酸若しくはその塩の存在は、極性の有機酸を含んだ口腔用使用に対して構築された組成物と比較して、口腔用使用に対して構築された組成物において、組成物安定性を増強し、経口吸収に関してニコチンの利用の可能性を増強したことが本開示に従い判明した。
【0010】
一部の実施形態では、ある特定の非極性又は親油性有機酸若しくはその塩に結合する塩基性アミンを含む本明細書で開示されている組成物はまた、塩基性アミン、例えば、ニコチンを含む口腔用製品に伴うことがある喉の刺激を減少させるのにも有益となり得る。例えば、ある特定のニコチン含有口腔用製品は、存在するニコチンの一部分が嚥下された場合、製品の口腔での消費中に喉の刺激を引き起こし得る。理論により限定されることを意図することなく、塩基性アミン、例えば、ニコチンのより効率的な経口吸収は、喉に到達する塩基性アミン(例えば、ニコチン)の量を減少させることができると考えられている。ある特定の塩基性アミン、例えば、ニコチンの場合、喉に到達する塩基性アミン(例えば、ニコチン)の量を減少させることは、組成物の使用中の喉の刺激の減少をもたらし得る。喉の刺激の減少は、例えば、このような製品を、従来の製品(すなわち、塩基性アミンを含有するが、有機酸を含まない)と比較して感覚性評価を行うことを介して決定することができる。一部の実施形態では、本明細書で開示されている組成物は、感覚性評価パネル実験において消費者による好みにより決定された通り、従来の製品よりも低い喉の刺激を示す。
【0011】
したがって、一態様では、本開示は、口腔内での配置に対して構築された組成物の使用中に喉の刺激を減少させる方法であって、組成物を口腔内に導入するステップを含み、口腔用組成物が塩基性アミン及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含み、有機酸が約1.4~約8.0のlogP値を有し、塩基性アミンの少なくとも一部分が有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、結合が塩基性アミン-有機酸の塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対又は両方の形態である、方法を提供する。
【0012】
一部の実施形態では、口腔に導入された組成物は、有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せの非存在下で同じ量の塩基性アミンを含む組成物よりも喉の刺激を引き起こさない。
【0013】
一部の実施形態では、組成物は少なくとも1種のフィラー及び水をさらに含む。
【0014】
一部の実施形態では、有機酸は約1.4~約4.5のlogP値を有する。一部の実施形態では、有機酸は約2.5~約3.5のlogP値を有する。一部の実施形態では、有機酸は約4.5~約8.0のlogP値を有し、組成物は溶解増強剤をさらに含む。一部の実施形態では、溶解増強剤はグリセロール又はプロピレングリコールである。
【0015】
一部の実施形態では、組成物は、アミン遊離塩基として計算される塩基性アミンに対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2又は約5から、約10、約15又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む。
【0016】
一部の実施形態では、組成物は、遊離塩基ニコチンとして計算される塩基性アミンに対して、約2~約10モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む。
【0017】
一部の実施形態では、有機酸はアルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸又はこれらのいずれかの組合せである。
【0018】
一部の実施形態では、有機酸は、オクタン酸、デカン酸、安息香酸、ヘプタンスルホン酸又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、有機酸はオクタン酸である。
【0019】
一部の実施形態では、アルカリ金属はナトリウム又はカリウムである。
【0020】
一部の実施形態では、組成物は有機酸及び有機酸のナトリウム塩を含む。
【0021】
一部の実施形態では、有機酸の有機酸のナトリウム塩に対する比は約0.1~約10である。
【0022】
一部の実施形態では、組成物は、安息香酸及び安息香酸ナトリウム、オクタン酸及びオクタン酸ナトリウム、デカン酸及びデカン酸ナトリウム又はこれらの組合せを含む。
【0023】
一部の実施形態では、組成物のpHは約4.0~約9.5である。一部の実施形態では、組成物のpHは約4.5~約7である。一部の実施形態では、組成物のpHは約5.5~約7である。一部の実施形態では、組成物のpHは約4.0~約5.5である。一部の実施形態では、組成物のpHは約7.0~約9.5である。
【0024】
一部の実施形態では、塩基性アミンはニコチンである。一部の実施形態では、ニコチンは、遊離塩基として計算され、組成物の総重量に対して、組成物の約0.001~約10重量%の量で存在する。
【0025】
一部の実施形態では、少なくとも1種のフィラーはセルロース材料を含む。一部の実施形態では、セルロース材料は微結晶性セルロースを含む。
【0026】
一部の実施形態では、少なくとも1種のフィラーは、組成物の総重量に対して、約2重量%~約5重量%の量のセルロース誘導体をさらに含む。一部の実施形態では、セルロース誘導体はヒドロキシプロピルセルロースである。
【0027】
一部の実施形態では、水は、組成物の総重量に対して、約5~約50重量%の量で存在する。
【0028】
一部の実施形態では、少なくとも1種のフィラーは、組成物の総重量に対して約60~約85重量%の量で存在し、水は、組成物の総重量に対して約15~約20重量%の量で存在する。
【0029】
一部の実施形態では、組成物は、1種以上の活性成分、1種以上の香味剤、1種以上の塩、1種以上の甘味剤、1種以上の結合剤、1種以上の保湿剤、1種以上のガム、タバコ材料又はこれらの組合せをさらに含む。
【0030】
一部の実施形態では、組成物は、栄養補給食品、ボタニカル、刺激剤、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物及びテルペンからなる群から選択される1種以上の活性成分をさらに含む。
【0031】
一部の実施形態では、組成物は、存在する任意のニコチン成分を除いて、組成物の総重量に対して、約10重量%以下のタバコ材料を含む。一部の実施形態では、組成物はタバコ材料を実質的に含まない。
【0032】
一部の実施形態では、本方法は、組成物をパウチに封入して、パウチ製品を形成するステップであって、組成物が任意選択的に顆粒状の形態であるステップをさらに含む。
【0033】
別の態様では、塩基性アミンを含有する組成物に伴う喉の刺激を減少させるための、有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せの使用であって、組成物が口腔内への配置に対して構築される使用が提供される。
【0034】
本開示は制限なしで、以下の実施形態を含む。
【0035】
実施形態1:口腔内での配置に対して構築された組成物の使用中に喉の刺激を減少させる方法であって、組成物を口腔内に導入するステップを含み、口腔用組成物が塩基性アミン及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含み、有機酸が約1.4~約8.0のlogP値を有し、塩基性アミンの少なくとも一部分が有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、結合が塩基性アミン-有機酸の塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対又は両方の形態である、方法。
【0036】
実施形態2:口腔内に導入された組成物が、有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せの非存在下で同じ量の塩基性アミンを含む組成物よりも喉の刺激を引き起こさない、実施形態1に記載の方法。
【0037】
実施形態3:組成物が少なくとも1種のフィラー及び水をさらに含む、実施形態1又は2に記載の方法。
【0038】
実施形態4:有機酸が約1.4~約4.5のlogP値を有する、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0039】
実施形態5:有機酸が約2.5~約3.5のlogP値を有する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0040】
実施形態6:有機酸が約4.5~約8.0のlogP値を有し、組成物が溶解増強剤をさらに含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0041】
実施形態7:溶解増強剤がグリセロール又はプロピレングリコールである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0042】
実施形態8:アミン遊離塩基として計算される塩基性アミンに対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2又は約5から、約10、約15又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0043】
実施形態9:遊離塩基ニコチンとして計算される塩基性アミンに対して、約2~約10モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0044】
実施形態10:有機酸がアルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸又はこれらのいずれかの組合せである、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0045】
実施形態11:有機酸がオクタン酸、デカン酸、安息香酸、ヘプタンスルホン酸又はこれらの組合せである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0046】
実施形態12:有機酸がオクタン酸である、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0047】
実施形態13:アルカリ金属がナトリウム又はカリウムである、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0048】
実施形態14:有機酸及び有機酸のナトリウム塩を含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0049】
実施形態15:有機酸の有機酸のナトリウム塩に対する比が約0.1~約10である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0050】
実施形態16:安息香酸及び安息香酸ナトリウム、オクタン酸及びオクタン酸ナトリウム、デカン酸及びデカン酸ナトリウム又はこれらの組合せを含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0051】
実施形態17:組成物のpHが約4.0~約9.0である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
実施形態18:組成物のpHが約4.5~約7である、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
実施形態19:組成物のpHが約5.5~約7である、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
実施形態20:組成物のpHが約4.0~約5.5である、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
実施形態21:組成物のpHが、約7.0~約9.0である、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
実施形態22:塩基性アミンがニコチンである、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0057】
実施形態23:ニコチンが、遊離塩基として計算され、組成物の総重量に対して、組成物の約0.001~約10重量%の量で存在する、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
実施形態24:少なくとも1種のフィラーがセルロース材料を含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
実施形態25:セルロース材料が微結晶性セルロースを含む、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
実施形態26:少なくとも1種のフィラーが、組成物の総重量に対して、約2重量%~約5重量%の量のセルロース誘導体をさらに含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
実施形態27:セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースである、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
実施形態28:少なくとも1種のフィラーが、組成物の総重量に対して約60~約85重量%の量で存在し、水が、組成物の総重量に対して約15~約20重量%の量で存在する、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
実施形態29:組成物が、1種以上の活性成分、1種以上の香味剤、1種以上の塩、1種以上の甘味剤、1種以上の結合剤、1種以上の保湿剤、1種以上のガム、タバコ材料又はこれらの組合せをさらに含む、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
実施形態30:組成物が、栄養補給食品、ボタニカル、刺激剤、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物及びテルペンからなる群から選択される1種以上の活性成分をさらに含む、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
実施形態31:組成物が、存在する任意のニコチン成分を除いて、組成物の総重量に対して、約10重量%以下のタバコ材料を含む、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
実施形態32:組成物がタバコ材料を実質的に含まない、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
実施形態33:組成物をパウチに封入して、パウチ製品を形成するステップであって、組成物が任意選択的に顆粒状の形態であるステップをさらに含む、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
実施形態34:塩基性アミンを含有する組成物に伴う喉の刺激を減少させるための、有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せの使用であって、組成物が口腔内への配置に対して構築される、使用。
【0069】
実施形態35:口腔内への配置に対して構築され、塩基性アミン含有活性成分を含む組成物に伴う喉の刺激の減少におけるイオン対形成の使用であって、前記イオン対の形成が、有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せと、活性成分を含有する前記塩基性アミンとの間で生じる、使用。
【0070】
実施形態36:口腔内への配置に対して構築され、塩基性アミン含有活性成分を含み、イオン対形成が生じることを許容しない組成物と比較して、喉の刺激が減少する、実施形態35に記載の使用。
【0071】
本開示のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、添付の図と一緒に以下の詳細な説明を読むことで明らかとなり、図は以下に簡単に説明されている。本発明には、上述の実施形態のうちの2つ、3つ、4つ、又はこれよりも多くのいずれかの組合せ、並びに本開示に記載の任意の2つ、3つ、4つ、又はこれよりも多くの特徴又は要素の組合せが、このような特徴又は要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わせられているかどうかに関わらず、含まれている。本開示は、全体的に読み取るように意図されているので、特に文脈が明確に他を指示しない限り、開示された発明の任意の分離可能な特徴又は要素は、その様々な態様及び実施形態のいずれかにおいて結合可能なことが意図されていると見なされるべきである。
【0072】
前述の一般的な用語で本開示の態様をこのように記載してきたが、ここで添付の図について言及する。これらの図は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。図は単なる例であり、本開示を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1】口腔用使用に対して構築された組成物を少なくとも部分的に充填したパウチ又はフリースを含む、本開示の例示的実施形態によるパウチ製品の実施形態の透視図である;
【
図2】本開示のある実施形態に対する、ニコチンのオクタノール-水の分割を示す棒グラフである;
【
図3】本開示のある実施形態に対する、ニコチンのオクタノール-水の分割を示す棒グラフである;
【
図4】本開示のある実施形態に対するニコチンのオクタノール-水の分割を示す棒グラフである;
【
図5】対照及び参照組成物に対する、ニコチンのオクタノール-水の分割を示す棒グラフである;
【
図6】異なる有機酸塩及び濃度での本開示のある実施形態に対する、ニコチンのオクタノール-水の分割を示す棒グラフである;
【
図7】本開示のある実施形態に対するニコチンの全膜透過%の棒グラフである;
【
図8】本開示のある実施形態に対するニコチンの膜透過の棒グラフである;及び
【
図9】本開示のある実施形態に対するニコチンの回収率(パーセント)を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本開示はこれより以下、その例示的実施形態を参照してより完全に記載される。これらの例示的実施形態は、本開示が十分で、完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように記載されている。実際に、本開示は多くの異なる形態で実施形態化されてもよく、本明細書で記載されている実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な合法的必要条件を満たすように提供されている。本明細書及び特許請求の範囲に使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に他を指示していない限り、複数の指示対象を含む。「乾燥重量パーセント」又は「乾燥重量ベース」についての言及は、乾燥成分(すなわち、水を除くすべての成分)に基づく重量を指す。「湿重量」についての言及は、水を含む混合物の重量を指す。他に指摘されていない限り、混合物の「重量パーセント」についての言及は、混合物の総湿重量(すなわち、水を含む)を反映する。
【0075】
顧客満足度を上げるため、貯蔵中、最初の塩基性アミン含有量を保持し、組成物中に最初に存在する塩基性アミンの実質的に全部の量を送達する、口腔用使用に対して構築された、塩基性アミンを含有する組成物を提供することが望ましい。本開示は、貯蔵中、最初の塩基性アミン含有量のより優れた保持を示す酸性マトリックス内で塩基性アミン及び非極性又は親油性有機酸又はその塩を組み合わせる組成物を提供し、組成物の使用の際に、酸性マトリックス内に極性有機酸塩を含有する組成物(例えば、クエン酸又はクエン酸ナトリウム)と比較して、より多くの塩基性アミンをユーザーに送達することが予測される。一部の実施形態では、組成物は、非極性又は親油性有機酸を含まない従来の塩基性アミン含有組成物と比較して、より少ない喉の刺激を示す。
【0076】
一部の実施形態では、塩基性アミンはニコチンである。驚くことに、本開示によると、ある特定の実施形態では、非極性又は親油性有機酸の存在は、酸性pHにおいて、口腔吸収のモデル系において、極性有機酸塩を含んだ、口腔用使用に対して構築された組成物と比較して、組成物の安定性を増強させ、ニコチンの膜透過性を増強させたことが判明した。増強したニコチン透過性は、酸性条件下でのニコチンのプロトン付加に伴い予測される透過性の低減を考慮すると特に驚くべきことである。
【0077】
喉の刺激を減少させる方法
一態様では、口腔内での配置に対して構築された組成物の使用中に喉の刺激を減少させる方法であって、組成物を口腔内に導入するステップを含み、口腔用組成物が塩基性アミン及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含み、有機酸が約1.4~約8.0のlogP値を有し、塩基性アミンの少なくとも一部分が有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、結合が塩基性アミン-有機酸の塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対又は両方の形態である、方法が提供される。一部の実施形態では、口腔内に導入された組成物は、有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せの非存在下で、同じ量の塩基性アミンを含む組成物よりも喉の刺激が低い。
【0078】
一部の実施形態では、喉の刺激の程度を判定するための方法は感覚性評価により、この評価では、対象は塩基性アミン及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む口腔用組成物の使用中に生じる感覚を記録し、有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せの非存在下で同じ塩基性アミンを含む口腔用組成物の使用中に生じる感覚を記録する。次いで、対象は、感覚、特に各製品に伴う喉の刺激の程度を比較して、喉の刺激の減少を判定する。例えば、一実施形態では、感覚性評価は、例21に提供されている消費者試験に記載されている通り実施することができる。
【0079】
別の態様では、喉の刺激の減少における本明細書に記載されているイオン対形成の使用が提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている組成物の使用中に経験する喉の刺激は、イオン対形成の発生を許容しない口腔用製品の使用中に経験する喉の刺激と比較して減少する。
【0080】
組成物
組成物及び組成物の個々の例示的構成成分が本明細書で以下にさらに記載されている。本明細書で開示されている組成物は塩基性アミン及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含み、有機酸は約1.4~約8.0のlogP値を有する。塩基性アミンの少なくとも一部分は有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合している。結合は塩基性アミン-有機酸の塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対又は両方の形態である。一部の実施形態では、組成物は少なくとも1種のフィラー及び水をさらに含む。組成物内の様々な構成成分の相対量は変動してもよく、通常組成物に対して所望の感覚性及び性能特徴をもたらすように選択される。
【0081】
イオン対の形成
本明細書で開示されている通り、塩基性アミンの少なくとも一部分は有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合している。複数の変数(有機酸の濃度、pH、性質など)に応じて、組成物中に存在する塩基性アミンは、対を形成したイオン、溶液で(すなわち、完全に溶媒和して)、遊離塩基として、カチオンとして、塩として、又は任意のこれらの組合せを含めた複数の形態で存在することができる。一部の実施形態では、塩基性アミンと、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分との間の結合は、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態である。
【0082】
イオン対形成とは、イオン対と呼ばれるはっきりと異なる化学種を形成するための比較的濃縮された溶液中の反対に荷電したイオンの部分的な結合について記載している。結合の強度(すなわち、イオン対形成)は、正イオンと負イオンとの間(すなわち、プロトン化された塩基性アミンと、有機酸の共役塩基)の引力の静電力に依存する。「共役塩基」とは、対応する酸の脱プロトン化から生成される塩基を意味する(例えば、安息香酸イオンは安息香酸の共役塩基)。平均して、これらイオン対のある特定の集団は、いかなる時点にも存在するが、イオン対の形成及び解離は連続的である。本明細書で開示されている組成物において、及び/又は前記組成物の口腔での使用の際に(例えば、唾液との接触の際に)、塩基性アミン及び有機酸の共役塩基は、イオン対の形態で少なくとも部分的に存在する。理論に制約されることを望むことなく、このようなイオン対形成は、塩基性アミンの化学分解を最小化する、及び/又は塩基性アミンの口腔での利用の可能性を増強することができると考えられている。アルカリ性のpH値では(例えば、例えば、約7.5~約9)、ある特定の塩基性アミン、例えばニコチンは、遊離塩基形態で主として存在し、この形態は水溶性が比較的低く、蒸発及び酸化的分解に関して安定性が低いが、粘膜での利用の可能性は高い。逆に、酸性のpH値では(例えば、約6.5~約4)、ある特定の塩基性アミン、例えばニコチンはプロトン化された形態で主として存在し、この形態は水溶性が比較的に高く、蒸発及び酸化的な分解に関して安定性がより高いが、粘膜での利用の可能性は低い。驚くことに、本開示によると、口腔用使用に対して構築された組成物中でのニコチン安定性、溶解度、及び利用の可能性の特性は、ニコチンの、適当な有機酸及び/又はこれらの共役塩基とのイオン対形成又は塩形成を介して相互に増強され得ることが判明した。具体的には、中程度の親油性のニコチン-有機酸イオン対は好ましい安定性及び吸収特性をもたらす。親油性は、logP、親油性相と水相、普通それぞれオクタノールと水との間の分子の分配係数の点から好都合に測定される。塩基性アミン-有機酸イオン対のオクタノールへの分布を好むオクタノール-水の分配は、組成物中に存在する塩基性アミンの口腔粘膜を介した良好な吸収を予測する。
【0083】
上述のように、アルカリ性のpH値において(例えば、例えば、約7.5~約9)、ニコチンは主として遊離塩基形態で存在し(したがって、オクタノールへの高い分配)、その一方で酸性のpH値において(例えば、約6.5~約4)、ニコチンはプロトン化された形態で主として存在する(したがって、オクタノールへの低い分配)。驚くことに、本開示に従い、ある特定の有機酸の間のイオン対、例えば、約1.4~約8.0、例えば、約1.4~約4.5のlogP値を有するイオン対は、ニコチンがオクタノールへと分配するのを可能にすることが判明し、これは、pH8.4において、ニコチンがオクタノールへと分配すると予測されたものと一致する。
【0084】
消費者による使用前と使用中との両方で、開示された組成物のイオン対形成の範囲は、例えば、pH、有機酸の性質、ニコチンの濃度、組成物中に存在する有機酸又は有機酸の共役塩基の濃度、組成物の含水量、組成物のイオン強度などに基づき異なり得ることを当業者は認識している。当業者はまた、イオン対形成が前述の変数により影響される平衡過程であることを認識する。したがって、イオン対形成の範囲の定量化は困難であるか、又は計算又は直接的観察では不可能である。しかし、本明細書で開示されているように、イオン対形成の存在は、代用の測定、例えば、オクタノールと水との間での分配又はニコチンプラス有機酸及び/若しくはこれらの共役塩基の水溶液の膜透過を介して実証することができる。
【0085】
有機酸
本明細書で使用される場合、「有機酸」という用語は、酸の特性により特徴付けられる有機(すなわち、炭素ベースの)化合物を指す。通常、有機酸は比較的弱酸(すなわち、これらは水の存在下で完全に分離しない)、例えば、カルボン酸(-CO2H)又はスルホン酸(-SO2OH)である。本明細書で使用される場合、有機酸についての言及は、意図的に添加された有機酸を意味する。これに関連して、有機酸は、別の組成物の成分の構成成分として単に本来存在する有機酸(例えば、組成物成分、例えば、タバコ材料中に本来存在し得る少量の有機酸)とは対照的に、特定の組成物成分として意図的に添加することができる。
【0086】
適切な有機酸は通常ある範囲の親油性を有する(すなわち、水と有機の溶解度との適当な平衡を付与する両極性を有する)。通常、logPで示される適切な有機酸の親油性は、約1.4~約4.5(水中よりもオクタノール中でより溶解性がある。)の間で変動する。一部の実施形態では、有機酸は、約1.5~約4.0、例えば、約1.5、約2.0、約2.5、又は約3.0から、約3.5、約4.0、約4.5、又は約5.0までのlogP値を有する。特に適切な有機酸は、約1.7~約4、例えば、約2.0、約2.5、又は約3.0から、約3.5、又は約4.0までのlogP値を有する。特定の実施形態では、有機酸は約2.5~約3.5のlogP値を有する。一部の実施形態では、本明細書で以下にさらに記載されているように、この範囲の外側の有機酸もまた、様々な目的に対して及び様々な量で利用することができる。例えば、一部の実施形態では、有機酸は、約4.5より大きい、例えば、約4.5~約8.0のlogP値を有することができる。特に、ある特定の溶媒又は可溶化剤の存在(例えば、組成物中のグリセリン又はプロピレングリコールの包含)は親油性の範囲(すなわち、4.5より高いlogPの値、例えば、約4.5~約8.0)を延ばすことができる。
【0087】
理論に制約されることを望むことなく、適度に親油性の有機酸(例えば、約1.4~約4.5のlogP)は、両極性であるニコチンとイオン対を生成し、イオン対の良好なオクタノール-水の分配をもたらし、したがってニコチンを、オクタノール対水に分配すると考えられている。上記で検討された通り、このようなオクタノールへの分配は、好ましい口腔での利用の可能性を予測する。一部の実施形態では、有機酸は、約1.4~約4.5、例えば、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4又は約4.5のlogP値を有する。一部の実施形態では、有機酸は約2.5~約3.5のlogP値を有する。
【0088】
一部の実施形態では、有機酸はカルボン酸又はスルホン酸である。カルボン酸又はスルホン酸官能基は、例えば、1~20個の炭素原子(C1~C20)を有する任意のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基に結合していてもよい。一部の実施形態では、有機酸はアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールカルボキシル又はスルホン酸である。
【0089】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、任意の直鎖又は分枝鎖炭化水素を指す。アルキル基は飽和していてもよく(すなわち、すべてのsp3炭素原子を有する)、又は不飽和であってもよい(すなわち、少なくとも1つの不飽和部位を有する)。本明細書で使用される場合、「不飽和の」という用語は、アルキル基内の1つ以上の位置における炭素-炭素、sp2二重結合の存在を指す。不飽和のアルキル基は、単価不飽和又は多価不飽和であってもよい。代表的な直鎖アルキル基として、これらに限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、及びn-ヘキシルが挙げられる。分枝鎖アルキル基として、これらに限定されないが、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、及び2-メチルブチルが挙げられる。代表的な不飽和アルキル基として、これらに限定されないが、エチレン又はビニル、アリル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニルなどが挙げられる。アルキル基は非置換であっても、又は置換されていてもよい。
【0090】
「シクロアルキル」は本明細書で使用される場合、炭素環式基を指し、この炭素環式基は単環式であっても、又は二環式であってよい。シクロアルキル基として、単環式として3~7個の炭素原子を有する環又は二環式として7~12個の炭素原子を有する環が挙げられる。単環式シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル基は非置換であっても、又は置換されていてもよく、1つ以上の不飽和部位を含むことができる(例えば、シクロペンテニル又はシクロヘキセニル)。
【0091】
「アリール」という用語は、本明細書で使用される場合、炭素環式芳香族基を指す。アリール基の例として、これらに限定されないが、フェニル及びナフチルが挙げられる。アリール基は非置換であっても、又は置換されていてもよい。
【0092】
「ヘテロアリール」及び「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書で使用される場合、芳香族又は非芳香族環系をそれぞれ指し、この中で1個以上の環原子はヘテロ原子、例えば窒素、酸素、及び硫黄である。ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル基は、20個までの炭素原子並びにN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む。ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルは、3~7環員を有する単環式(例えば、2~6個の炭素原子及びN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子)又は7~10環員を有する二環式(例えば、4~9個の炭素原子及びN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子)、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、又は[6,6]系であってもよい。ヘテロアリール基の例は、例として、ただしこれらに限定されないが、ピリジル、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、1H-インダゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH-カルバゾリル、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、及びイサチノイルが挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例は、例として、ただしこれらに限定されないが、ジヒドロピリジル(dihydroypyridyl)、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、2-ピロリドニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス-テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、ピペラジニル、キヌクリジニル、及びモルホリニルが挙げられる。ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキル基は非置換であっても、又は置換されていてもよい。
【0093】
「置換されている」は、本明細書で使用される場合及び上記アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルのいずれかに適用される場合、1個以上の水素原子がそれぞれ独立して置換基で置き換えられていることを意味する。典型的置換基として、これらに限定されないが、-Cl、Br、F、アルキル、-OH、-OCH3、NH2、-NHCH3、-N(CH3)2、-CN、-NC(=O)CH3、-C(=O)-、-C(=O)NH2、及び-C(=O)N(CH3)2が挙げられる。基が「任意選択的に置換されている」と記載されている場合は常に、その基は、それぞれの場合に対して独立して選択される上記置換基のうちの1個以上で置換されていることができる。一部の実施形態では、置換基は1個以上のメチル基又は1個以上のヒドロキシル基であってもよい。
【0094】
一部の実施形態では、有機酸はアルキルカルボン酸である。アルキルカルボン酸の非限定的例として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリアン酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。
【0095】
一部の実施形態では、有機酸はアルキルスルホン酸である。アルキルスルホン酸の非限定的例として、プロパンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、及びオクタンスルホン酸が挙げられる。
【0096】
一部の実施形態では、アルキルカルボキシル又はスルホン酸は1つ以上のヒドロキシル基で置換されている。非限定的例として、グリコール酸、4-ヒドロキシ酪酸、及び乳酸が挙げられる。
【0097】
一部の実施形態では、有機酸として、1つより多くのカルボン酸基又は1つより多くのスルホン酸基(例えば、2、3以上のカルボン酸基)を含むことができる。非限定的例として、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、及びグルタル酸が挙げられる。複数のカルボン酸を含有する(例えば、2~4つのカルボン酸基)有機酸において、カルボン酸基の1つ以上がエステル化していてもよい。非限定的例として、コハク酸モノエチルエステル、フマル酸モノメチル、クエン酸モノメチル又はクエン酸ジメチルシトレートなどが挙げられる。
【0098】
一部の実施形態では、有機酸は1つより多くのカルボン酸基及び1つ以上のヒドロキシル基を含むことができる。このような酸の非限定的例として、酒石酸、クエン酸などが挙げられる。
【0099】
一部の実施形態では、有機酸はアリールカルボン酸又はアリールスルホン酸である。アリールカルボン酸及びスルホン酸の非限定的例として、安息香酸、トルイル酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸が挙げられる。
【0100】
ある特定の実施形態で有用となり得る有機酸のさらなる非限定的例として、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、アジピン酸、アスコルビン酸(L)、アスパラギン酸(L)、アルファ-メチル酪酸、樟脳酸(+)、カンファー-10-スルホン酸(+)、ケイヒ酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-二スルホン酸、エタンスルホン酸、フロ酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、レブリン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-二スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パモ酸、フェニル酢酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、セバシン酸酸性、ステアリン酸及びウンデシレン酸が挙げられる。
【0101】
適切な酸の例として、これらに限定されないが、表1の有機酸のリストが挙げられる。
【0102】
【0103】
一部の実施形態では、有機酸は二酸又はポリ酸のモノエステル、例えば、コハク酸モノオクチル、フマル酸モノオクチルなどである。例えば、有機酸はジカルボン酸又はポリカルボン酸のモノエステルである。一部の実施形態では、ジカルボン酸はマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、ジカルボン酸はコハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、ジカルボン酸はコハク酸、グルタル酸、又はこれらの組合せである。
【0104】
一部の実施形態では、ジカルボン酸のアルコール形成モノエステルは親油性アルコールである。適切な親油性アルコールの例として、これらに限定されないが、オクタノール、メントール、及びトコフェロールが挙げられる。一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸のオクチルモノエステル、例えば、コハク酸モノオクチル、フマル酸モノオクチルなどである。一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸のモノメンチルエステルである。ある特定のメンチルエステルは、組成物を含む製品の使用時にこれらが冷却感覚をもたらすことができるため、本明細書に記載されている口腔用組成物中あるのが望ましいこともある。一部の実施形態では、有機酸はコハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸のモノトコフェリルエステルである。ある特定のトコフェリルエステルは、これらが抗酸化剤作用をもたらすことができるため、本明細書に記載されている口腔用組成物中にあるのが望ましいこともある。一部の実施形態では、有機酸はコハク酸トコフェリル、フマル酸トコフェリル、グルタル酸トコフェリル、又はこれらの組合せである。
【0105】
一部の実施形態では、有機酸は1つ以上のカルボン酸を有するカロチノイド誘導体である。カロチノイドはテトラテルペンであり、これらは8個のイソプレン分子から生成され、40個の炭素原子を含有することを意味する。したがって、これらは普通長い不飽和の脂肪族鎖の存在により親油性であり、色は一般的に黄色、オレンジ色、又は赤色である。ある特定のカロチノイド誘導体は、イオン対形成と、組成物中の着色剤としての役目の両方をもたらすことにより、口腔用組成物において有利となり得る。一部の実施形態では、有機酸は、2E,4E,6E,8E,10E,12E,14E,16Z,18E)-20-メトキシ-4,8,13,17-テトラメチル-20-オキソイコサ-2,4,6,8,10,12,14,16,18-ノナエン酸(ビキシン)又はその異性体である。ビキシンは、アチョーテ木(ビクサ・オレラナ(Bixa orellana))からのアナトーシードに見出されるアポカロテノイドであり、赤みを帯びたオレンジ色をアナトーに提供する天然由来の顔料である。ビキシンは脂肪及びアルコールに溶解性があるが、水には不溶性であり、単離した場合、化学的に不安定であり、異性化を介して二重結合異性体、trans-ビキシン(β-ビキシン)へと変換され、以下の構造を有する:
【0106】
【0107】
一部の実施形態では、有機酸は、(2E,4E,6E,8E,10E,12E,14E,16E,18E)-4,8,13,17-テトラメチルイコサ-2,4,6,8,10,12,14,16,18-ノナエン二酸(ノルビキシン)であり、ビキシンの水溶性加水分解生成物であり、以下の構造を有する:
【0108】
【0109】
有機酸の選択は、logP値に対する考慮に加えて又はこれを考慮せずに、追加の特性にさらに依存し得る。例えば、有機酸は、ヒトによる消費に対して安全と認識され、許容される香味、臭気、揮発性、安定性などを有する有機酸であるべきである。適当な有機酸の判定は当業者の認識範囲内である。
【0110】
一部の実施形態では、有機酸は安息香酸、トルイル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸、又はオクタン酸である。一部の実施形態では、有機酸は安息香酸、オクタン酸、又はデカン酸である。一部の実施形態では、有機酸はオクタン酸である。一部の実施形態では、有機酸は安息香酸である。
【0111】
一部の実施形態では、1種より多くの有機酸が存在してもよい。例えば、組成物は、2種、又は3種、又は4種以上の有機酸を含むことができる。したがって、本明細書での「有機酸」という言及は、2種以上の有機酸の混合物を想定している。複数の有機酸の相対量は変動し得る。例えば、組成物は、等量の2種、又は3種以上の有機酸を含むことができ、又は異なる相対量を含むこともできる。このように、他の有機酸と組み合わせた場合、組合せに対して所望の平均logP範囲をもたらすように、所望の範囲の外側のlogP値を有するある特定の有機酸(例えば、クエン酸又はミリスチン酸)を含めることも可能である。一部の実施形態では、目的に対して所望の範囲の外側のlogP値を有する組成物中に、例えば、これらに限定されないが、望ましい官能特性、安定性を香味成分として提供する有機酸を含むことが望ましいこともある。さらに、ある特定の親油性有機酸は、唯一の有機酸(例えば、ニコチンと比べて等モル又はより大きな量の)としてのこれらの存在を妨げる有害な香味及び又は芳香特徴を有する。理論に制約されることを望むことなく、異なる有機酸の組合せは、組成物中の任意の単一有機酸の濃度を、感覚性の観点から好ましくないと判明した閾値よりも低いまま保ちながら、所望のイオン対形成を提供することができると考えられる。
【0112】
例えば、一部の実施形態では、有機酸は、例えば、約0.2モル当量のオクタン酸又はその塩、及び0.2モル当量のデカン酸又はその塩と組み合わせて、ニコチンに対して、約1~約5以上のモル当量の安息香酸を含むことができる。
【0113】
一部の実施形態では、有機酸は、安息香酸、トルイル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸、及びオクタン酸からなる群から選択されるいずれか2種の有機酸の組合せである。一部の実施形態では、有機酸は安息香酸、オクタン酸、及びデカン酸、又は安息香酸及びオクタン酸の組合せである。一部の実施形態では、組成物は、安息香酸、トルイル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸、及びオクタン酸のうちの1種以上に加えてクエン酸を含む。
【0114】
一部の実施形態では、組成物は有機酸のアルカリ金属塩を含む。例えば、有機酸の少なくとも一部分はアルカリ金属塩の形態で組成物中に存在し得る。適切なアルカリ金属塩として、リチウム、ナトリウム、及びカリウムが挙げられる。一部の実施形態では、アルカリ金属はナトリウム又はカリウムである。一部の実施形態では、アルカリ金属はナトリウムである。一部の実施形態では、組成物は有機酸及び有機酸のナトリウム塩を含む。
【0115】
一部の実施形態では、組成物は、安息香酸及び安息香酸ナトリウム、オクタン酸及びオクタン酸ナトリウム、デカン酸及びデカン酸ナトリウム、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、組成物は安息香酸及び安息香酸ナトリウムを含む。
【0116】
一部の実施形態では、有機酸の有機酸のナトリウム塩に対する比は、約0.1~約10、例えば、約0.1、約0.25、約0.3、約0.5、約0.75又は約1から、約2、約5又は約10までである。例えば、一部の実施形態では、有機酸とそのナトリウム塩の両方が組成物の他の構成成分に添加され、有機酸は、ナトリウム塩を超える量で、ナトリウム塩と等モルの量で、又はナトリウム塩の一部分として添加される。当業者は、相対量は、組成物の所望のpH、並びに所望のイオン強度により決定されることを認識している。例えば、有機酸は組成物の所望のpHレベルをもたらす量で添加されてもよく、その一方でアルカリ金属(例えば、ナトリウム)塩は所望の範囲のイオン対形成をもたらす量で添加される。組成物中に存在するアルカリ金属塩又は共役塩基形態に対する、組成物中に存在する有機酸(すなわち、プロトン化形態)の量は、組成物のpH及び有機酸のpKaにより、並びに組成物に最初に添加された実際の相対的な量により変動することを当業者は理解している。
【0117】
組成物中に存在する有機酸又はそのアルカリ金属塩の量は、塩基性アミンに対して(例えば、ニコチン)変動し得る。一般的に、有機酸(又はその共役塩基)の濃度が増加するにつれて、有機酸とイオン対を形成するニコチンのパーセントは増加する。これは通常、logP(分配係数のlog10)で測定した場合、イオン対の形態の、オクタノール対水のニコチンの分配を増加させる。一部の実施形態では、組成物は、遊離塩基ニコチンとして計算されるニコチン成分に対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2、又は約5から、約10、約15、又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む。
【0118】
一部の実施形態では、組成物は、遊離塩基ニコチンベースで、ニコチンに対して、約2~約10、又は約2~約5モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せは、約2、約3、約4、又は約5から、約6、約7、約8、約9、又は約10までのニコチンとのモル比で存在する。1種より多くの有機酸、そのアルカリ金属塩、又は両方が存在する実施形態では、このようなモル比は、存在する有機酸の全体を反映すると理解される。
【0119】
ある特定の実施形態では有機酸の包含は、組成物に約4.0~約9.5、例えば、約4.0~約9.0又は約4.0~約8.5又は約4.0~約8.0又は約4.5~約7.5又は約4.5~約7.0又は約5.5~約7.0又は約4.0~約5.5又は約7.0~約9.5のpHをもたらすのに十分である。一部の実施形態では、有機酸の包含は、組成物に約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5又は約9.0のpHをもたらすのに十分である。一部の実施形態では、有機酸の包含は、約4.5~約6.5、例えば、約4.5、約5.0、又は約5.5から、約6.0、又は約6.5までの組成物pHをもたらすのに十分である。一部の実施形態では、有機酸は、約5.5~約6.5、例えば,約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、又は約6.0から、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、又は約6.5までの組成物のpHをもたらすのに十分な量で提供される。他の実施形態では、鉱酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、など)を添加して、組成物のpHを所望の値に調節する。
【0120】
一部の実施形態では、有機酸は、遊離酸として、純粋な形態(すなわち、天然の固体又は液体形態)又は溶液、例えば、水中溶液として、他の組成物構成成分に添加される。一部の実施形態では、有機酸のアルカリ金属塩は、純粋な形態又は溶液、例えば、水中溶液として、他の組成物構成成分に添加される。一部の実施形態では、有機酸及びニコチンを合わせて塩を形成するが、塩は組成物への添加前に形成されるか、又は塩がその中に形成されて、そのまま組成物中に存在するかのいずれかである。他の実施形態では、有機酸及びニコチンは組成物中に個々の構成成分として存在し、水分(例えば、消費者の口内唾液)との接触によりイオン対を形成する。
【0121】
一部の実施形態では、組成物は、ニコチン安息香酸塩及び安息香酸ナトリウム(又は他のアルカリ金属安息香酸塩)を含む。他の実施形態では、組成物はニコチン及び有機酸を含み、有機酸はジカルボン酸のモノエステルであるか、又は1種以上のカルボン酸を有するカロチノイド誘導体である。
【0122】
一部の実施形態では、組成物は、有機酸又はその塩のうちの1種以上の溶解度を増加させる溶解増強剤をさらに含む。適切な溶解増強剤として、これらに限定されないが、本明細書に記載されている保湿剤、例えば、グリセロール又はプロピレングリコールが挙げられる。
【0123】
塩基性アミン
本明細書で開示されている組成物は塩基性アミンを含む。「塩基性アミン」とは、少なくとも1種の塩基性アミン官能基を含む分子を意味する。塩基性アミンの例として、これらに限定されないが、アルカロイドが挙げられる。「塩基性アミン官能基」とは、電子の孤立した対を有する窒素原子を含有する基を意味する。塩基性アミン官能基は、前記窒素原子への1つ以上の共有結合を介して分子に結合している又は分子内に組み込まれている。塩基性アミンは、第1級、第2級又は第3級アミンであってよく、これは、窒素が炭素原子への1つ、2つ又は3つの共有結合を保持することを意味する。窒素原子上の電子の孤立した対によって、このようなアミンは「塩基性」と呼ばれ、孤立した電子対が水素結合に対して利用可能であることを意味する。塩基性アミンの塩基性(すなわち、窒素原子上の電子密度であり、結果的には窒素原子への水素結合の利用可能度及び強度)は、隣接する原子の性質、分子の立体的かさ高さなどにより影響され得る。
【0124】
一般的に、塩基性アミンは組成物から放出され、口腔粘膜を介して吸収され、これにより血流に入り、そこで全身に循環される。一般的に、塩基性アミンは、本明細書の以下に記載されているように、組成物中に存在するか、又は組成物中の活性成分として存在する。一部の実施形態では、塩基性アミンはカフェインである。一部の実施形態では、塩基性アミンはニコチン又はニコチン成分である。「ニコチン成分」とは、存在するニコチンの少なくとも一部分の経口吸収をもたらすのに適した任意の形態のニコチン(例えば、遊離塩基、塩又はイオン対)を意味する。ニコチンは組成物から放出され、口腔粘膜を介して吸収され、これにより血流に入り、そこで全身に循環される。
【0125】
通常、ニコチン成分は、ニコチン遊離塩基、イオン対としてのニコチン及びニコチン塩からなる群から選択される。一部の実施形態では、ニコチンの少なくとも一部分はその遊離塩基形態である。一部の実施形態では、本明細書の上記に開示されているように、ニコチンの少なくとも一部分はニコチン塩として存在し、又はニコチンの少なくとも一部分は有機酸若しくはその共役塩基の少なくとも一部分とのイオン対として存在する。
【0126】
通常、ニコチン成分(遊離塩基として計算される)は組成物の少なくとも約0.001重量%、例えば、約0.001%~約10%の範囲の濃度で存在する。一部の実施形態では、ニコチン成分は、遊離塩基として計算され、組成物の総重量に対して、約0.1%w/w~約10重量%、例えば、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w、約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w又は約0.9%w/wから、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、又は約10重量%までの濃度で存在する。一部の実施形態では、ニコチン成分は、遊離塩基として計算され、組成物の総重量に対して、約0.1%w/w~約3重量%、例えば、約0.1%w/w~約2.5重量%、約0.1%w/w~約2.0重量%、約0.1%w/w~約1.5重量%又は約0.1%w/w~約1重量%の濃度で存在する。
【0127】
フィラー
一部の実施形態では、本明細書に記載されている組成物は少なくとも1種のフィラーを含む。フィラーは、複数の機能、例えば、ある特定の官能特性、例えば、テキスチャー及び口当たりを増強すること、製品の粘着性又は圧縮性を増強することなどを満たすことができる。
【0128】
一般的に、フィラーは、多孔質の粒状材料であり、セルロースベースである。例えば、適切なフィラーは、任意の非タバコ植物材料又はその誘導体であり、このような供給源由来のセルロース材料を含む。セルロース系非タバコ植物材料の例として、穀物(例えば、トウモロコシ、カラスムギ、オオムギ、ライムギ、ソバなど)、テンサイ(例えば、International Fiber Corporationから入手可能なFIBREX(登録商標)ブランドフィラー)、ふすま繊維及びこれらの混合物が挙げられる。非タバコ植物材料の誘導体の非限定的例として、デンプン(例えば、ジャガイモ、小麦、米、トウモロコシ由来のもの)、天然セルロース及び修飾セルロース系材料が挙げられる。
【0129】
「デンプン」とは、本明細書で使用される場合、任意の供給源からの純粋なデンプン、加工デンプン又はデンプン誘導体を指すことができる。デンプンは通常、ほとんどすべての緑色植物において、並びに様々な種類の植物組織及び器官(例えば、種子、葉、根茎、根、塊茎、新芽、果実、穀粒及び茎)において顆粒状の形態で存在する。デンプンは組成並びに顆粒状の形状及びサイズが異なってもよい。多くの場合、異なる供給源由来のデンプンは異なる化学的及び物理的特徴を有する。特定のデンプンは、特定の官能特性を組成物に付与するデンプン材料の能力に基づき、組成物内への包含に対して選択することができる。様々な供給源由来のデンプンを使用することができる。例えば、デンプンの主要な供給源として、穀物(例えば、米、小麦及びトウモロコシ)及び根菜類(例えば、ジャガイモ及びキャッサバ)が挙げられる。デンプンの供給源の他の例として、ドングリ、アロールート、アラカチャ、バナナ、オオムギ、マメ(例えば、ソラマメ、レンズマメ、ヤエナリ、エンドウマメ、ひよこマメ)、パンノキ、ソバ、カンナ、クリ、コロカシア、カタクリ、クズ、マランガ、雑穀、カラスムギ、オカ、ポリネシアンアロールート、サゴ、ソルガム、サツマイモ、キノア、ライムギ、タピオカ、タロイモ、タバコ、シログワイ及びヤムが挙げられる。ある特定のデンプンは加工デンプンである。加工デンプンは、1種以上の構造的変化が施され、多くの場合その高い熱特性を変化させるように設計されている。一部のデンプンは遺伝子組換えにより開発され、「遺伝子組換え」デンプンと見なされている。他のデンプンは入手されてから、続いて化学的、酵素的又は物理的手段により修飾される。例えば、加工デンプンは、化学反応、例えば、エステル化、エーテル化、酸化、酸触媒作用若しくは塩基の存在下での酸化による脱重合(低粘調化)、漂白、グリコシル基転移及び脱重合(例えば、触媒の存在下でのデキストリン化)、架橋、アセチル化、ヒドロキシプロピル化並びに/又は部分加水分解に供したデンプンであってよい。酵素的処理には、天然澱粉を酵素分離物又は濃縮物、微生物酵素及び/又は植物材料由来の酵素にさらすこと、例えば、トウモロコシデンプンを修飾するために、トウモロコシ種実に存在するアミラーゼにさらすことが含まれる。他のデンプンは、加熱処理、例えば、アルファ化、デキストリン化及び/又は冷水膨潤プロセスにより修飾される。ある特定の加工デンプンとして、リン酸化デンプン、グリセロール架橋デンプン、トリメタリン酸ナトリウムでエステル化したリン酸架橋デンプン、リン酸化リン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、無水酢酸でエステル化した酢酸デンプン、酢酸ビニルでエステル化した酢酸デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化グリセロール架橋デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、ヒドロキシプロピル化グリセロール架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムが挙げられる。
【0130】
潜在的なフィラーの追加の例として、マルトデキストリン、ブドウ糖、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ラクトース及び糖アルコールが挙げられる。フィラーの組合せもまた使用することができる。一部の実施形態では、フィラーはグルコース及びデンプンから誘導された多糖を含む又はこれらの混合物である。グルコース及びデンプン由来の多糖の1つのこのような適切な混合物はEMDEX(登録商標)であり、JRS PHARMA LP、USA、2981 Route 22、Patterson、NY 12563-2359から入手可能である。
【0131】
一部の実施形態では、フィラーは1種以上の糖アルコールを含む。糖アルコールは部分的に又は完全に水素化された形態を有する、単糖又は二糖由来のポリオールである。糖アルコールは、例えば、約4~約20個の炭素原子を有し、エリスリトール、アラビトール、リビトール、イソマルト、マルチトール、ズルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、ソルビトール及びこれらの組合せ(例えば、水素化デンプン加水分解物)が挙げられる。イソマルトは以下の通り2種の糖でそれぞれ構成される2つの二糖の等モル混合物である:グルコース及びマンニトール(α-D-グルコピラノシド-1,6-マンニトール);並びにグルコース及びソルビトール(α-D-グルコピラノシド-1,6-ソルビトール)。
【0132】
一部の実施形態では、粒状フィラーはセルロース材料又はセルロース誘導体である。本明細書に記載されている組成物における使用に対して1種の特に適切な粒状フィラーは微結晶性セルロース(「mcc」)である。mccは合成であっても、半合成であってもよく、又は全面的に天然セルロースから得ることもできる。mccは、AVICEL(登録商標)グレードPH-100、PH-102、PH-103、PH-105、PH-112、PH-113、PH-200、PH-300、PH-302、VIVACEL(登録商標)グレード101、102、12、20及びEMOCEL(登録商標)グレード50M及び90Mなど、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。一実施形態では、組成物はmccを粒状フィラーとして含む。存在するmccの量は所望の特性により異なり得る。
【0133】
フィラーの量は異なってもよいが、組成物の総重量に対して、通常組成物の約85重量パーセントまでである。組成物内のフィラー(例えば、mcc)の典型的な範囲は、組成物の総重量の約40~約85パーセント、例えば、約40、約45、約50、約55、約60、約65又は約70から、約75、約80又は約85重量パーセントまでであることができる。ある特定の実施形態では、フィラーの量は、組成物の総重量に対して、少なくとも約60重量パーセント、例えば、少なくとも約70重量パーセント又は少なくとも約75重量パーセント又は少なくとも約80重量パーセントである。
【0134】
一実施形態では、フィラーはセルロース誘導体又はこのような誘導体の組合せをさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して、約1~約10重量%のセルロース誘導体を含み、ある特定の実施形態は約2~約5重量%のセルロース誘導体を含む。ある特定の実施形態では、セルロース誘導体はセルロースエーテル(カルボキシアルキルエーテルを含む)であり、これはセルロース構造中の1つ以上のヒドロキシル基の水素がアルキル、ヒドロキシアルキル又はアリール基で置き換えられたセルロースポリマーを意味する。このようなセルロース誘導体の非限定的例として、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(「HPC」)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)、ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース(「CMC」)が挙げられる。一実施形態では、セルロース誘導体はメチルセルロース、HPC、HPMC、ヒドロキシエチルセルロース及びCMCのうちの1種以上である。一実施形態では、セルロース誘導体はHPCである。一部の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して、約2~約5重量%のHPCを含む。
【0135】
水
組成物の消費者による使用前の組成物の含水量は、所望の特性によって異なってもよい。通常、組成物は約50重量パーセント未満の水、一般的に約1~約50重量%の水である。一部の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対し、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45又は約50重量%の水である。一部の実施形態では、組成物は約1~約25重量%の水であり、例えば、約5~約25、約10~約20又は約15~約20重量パーセントの水である。特定の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して、約15~約20重量%の水を含む。
【0136】
活性成分
ある特定の実施形態では、本明細書で開示されている組成物は活性成分を含む。本明細書で使用される場合、「活性成分」とは、以下のカテゴリーのいずれかに属する1種以上の物質を指す:API(活性医薬物質)、食品添加物、天然薬剤及びヒトに対して作用を有し得る天然由来物質。例示的活性成分として、1種以上の体内の生物学的機能に影響を及ぼすことが公知の任意の成分、例えば、疾患の診断、治癒、軽減、治療、若しくは予防において、薬理学的活性又は他の直接的作用をもたらす、又はヒトの身体の構造又は任意の機能に影響を与える成分(例えば、中枢神経系に刺激作用をもたらす、活発化作用、解熱作用若しくは鎮痛作用、又は身体に有用な他の作用を有する)が挙げられる。一部の実施形態では、活性成分は、一般的に栄養補助食品、栄養補給食品、「植物化学作用物質」又は「機能性食品」と呼ばれる種類であってもよい。これらの種類の添加剤は、1種以上の有利な生物学的作用(例えば、健康促進、疾患予防、又は他の薬理作用)を提供するが、薬物として分類されても、規制されてもいない天然由来の供給源(例えば、ボタニカル材料)から通常入手可能な物質を包含するように当技術分野で定義される場合もある。
【0137】
活性成分の非限定的例として、ボタニカル成分、刺激剤、アミノ酸、ニコチン成分並びに/又は医薬品、栄養補給食品及び薬用成分(例えば、ビタミン、例えば、B6、B12、及びC、並びに/又はカンナビノイド、例えば、テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD))のカテゴリーに入るものが挙げられる。これらのカテゴリーのそれぞれがさらに以下の本明細書に記載されている。活性成分の特定の選択は、特定製品の所望の香味料、テキスチャー及び所望の特徴に応じて異なる。
【0138】
存在する活性成分の特定のパーセンテージは、特定の製品の所望の特徴に応じて異なる。通常、活性成分又はこれらの組合せは、組成物の少なくとも約0.001重量%、例えば、約0.001重量%~約20重量%の範囲の総濃度で存在する。一部の実施形態では、活性成分又は活性成分の組合せは、組成物の総重量に対して、約0.1w/w%~約10%w/w%、例えば、約0.5w/w%~約10w/w%、約1w/w%~約10w/w%、約1w/w%~約5w/w%の濃度で存在する。一部の実施形態では、活性成分又は活性成分の組合せは、組成物の総重量に対して、約0.001重量%、約0.01重量%、約0.1重量%、又は約1重量%から、約20重量%まで、例えば、約0.001重量%、約0.002重量%、約0.003重量%、約0.004重量%、約0.005重量%、約0.006重量%、約0.007重量%、約0.008重量%、約0.009重量%、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、又は約0.9重量%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、又は約20重量%までの濃度で存在する。特定の活性成分に対するさらに適切な範囲が本明細書において以下に提供されている。
【0139】
ボタニカル
一部の実施形態では、活性成分はボタニカル成分を含む。本明細書で使用される場合、「ボタニカル成分」又は「ボタニカル」という用語は、任意の植物材料又は菌類由来の材料(その天然形態での植物材料を含む)及び天然植物材料由来の植物材料、例えば、植物材料又は処理した植物材料からの抽出物又は分離物(例えば、材料の物理的及び/又は化学的性質を改変することが可能な加熱処理、発酵、漂白、又は他の処理プロセスに供された植物材料)を指す。本開示の目的のため、「ボタニカル」には、これらに限定されないが、「薬草材料」が含まれ、この薬草材料とは、持続性の木質組織を生み出さず、多くの場合、これらの薬用特性又は感覚特性(例えば、茶又はハーブ茶)に対して評価されている種子生成植物を指す。「非タバコ」としてのボタニカル材料についての言及は、タバコ材料を除外することを意図する(すなわち、いかなるニコチアナ属種も含まない)。一部の実施形態では、本明細書で開示されている組成物は、いかなるタバコ材料も含まないことを特徴とすることができる(例えば、本明細書で開示されている任意の実施形態はいかなるタバコ材料も完全に又は実質的に含まなくてもよい)。「実質的に含まない」とは、いかなるタバコ材料も意図的に添加されていないことを意味する。例えば、ある特定の実施形態は、0.001重量%未満のタバコ、又は0.0001%未満、又はさらに0重量%のタバコを有することを特徴とすることができる。
【0140】
存在する場合、ボタニカルは通常、発泡性組成物の総重量に対して、約0.01%w/w~約10重量%、例えば、約0.01%w/w、約0.05%、約0.1%又は約0.5%から、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%又は約10%、約11%、約12%、約13%、約14%又は約15重量%までの濃度である。
【0141】
本開示に有用なボタニカル材料として、制限なしで、これらの混合物を含めた、本明細書に記載の化合物及び供給源のいずれかを挙げることができる。この種類のある特定のボタニカル材料は、時には栄養補助食品、栄養補給食品、「植物化学作用物質」又は「機能性食品」と呼ばれる。ある特定のボタニカルは、ボタニカル材料又はボタニカル抽出物として、従来の薬草薬における使用が見出され、本明細書でさらに記載されている。植物又は植物由来の材料の非限定的例として、アシュワガンダ、バコパ・モニエラ(Bacopa monniera)、バオバブ、バジル、センテラ・アジアチカ(Centella asiatica)、チャイフー、カモミール、サクラの花、クロロフィル、シナモン、カンキツ、クローブ、ココア、ノムシタケ属(cordyceps)、クルクミン、ダミアナ、ドルステニア・アリフォリア(Dorstenia arifolia)、ドルステニア・オドラータ(Dorstenia odorata)、エッセンシャルオイル、ユーカリ、フェンネル、ガルフィミア・グラウカ(Galphimia glauca)、ショウガ、ギンコ・ビロバ(Ginkgo biloba)、ニンジン(例えば、パナックス・ジンセン(Panax ginseng))、緑茶、グリフォニア・シンプリシフォリア(Griffonia simplicifolia)、ガラナ、アサ、大麻、ホップ、ジャスミン、カエンフェリア・パルビフローラ(Kaempferia parviflora)(ウコン)、カバ、ラベンダー、レモンバーム、レモングラス、甘草、ルテイン、マカ、マッチャ、ナルドスタキス・チネンシス(Nardostachys chinensis)、ビオラ・オドラータ(Viola odorata)の油ベースの抽出物、ペパーミント、ケルセチン、リスベラトロール、リゾマ・ガストロジアエ(Rhizoma gastrodiae)、ロディオラ(Rhodiola)、ルイボス(rooibos)、ローズエッセンシャルオイル、ローズマリー、スケレチウム・トルトゥオスム(Sceletium tortuosum)、チョウセンゴミシ、スカルキャップ、スペアミント抽出物、スパイクナード、テルペン、ハーブ茶、ターメリック、トゥルネラ・アフロディシアカ(Turnera aphrodisiaca)、バレリアン、クワ及びイェルバマテが挙げられる。
【0142】
刺激剤
一部の実施形態では、活性成分は1種以上の刺激剤を含む。本明細書で使用される場合、「刺激剤」という用語は、中枢神経系及び/又は身体の活性を増加させる、例えば、集中、認知、活力、気分、警戒などを増強する材料を指す。刺激剤の非限定的例として、カフェイン、テアクリン、テオブロミン及びテオフィリンが挙げられる。テアクリン(1,3,7,9-テトラメチル尿酸)はカフェインと構造的に関係しているプリンアルカロイドであり、刺激作用、鎮痛作用及び抗炎症作用を有する。存在する刺激剤は天然のものでも、自然に由来するものでも、又は完全に合成のものであってもよい。例えば、ある特定のボタニカル材料(ガラナ、茶、コーヒー、ココアなど)は、例えば、カフェイン又は関連アルカロイドの存在により刺激作用を有することができ、したがって「天然の」刺激剤である。「自然に由来する」とは、刺激剤(例えば、カフェイン、テアクリン)は、その天然(例えば、ボタニカル)マトリックスの外側が精製された形態であることを意味する。例えば、カフェインは、ボタニカル供給源(例えば、茶)からの抽出及び精製により得ることができる。「完全に合成による」とは、刺激剤が化学合成により得られることを意味する。一部の実施形態では、活性成分はカフェインを含む。一部の実施形態では、活性成分はカフェインである。一部の実施形態では、カフェインは封入された形態で存在する。封入されたカフェインの1つの例は、Balchem Corp.、52 Sunrise Park Road、New Hampton、NY、10958から入手可能なVitashure(登録商標)である。
【0143】
存在する場合、刺激剤又は刺激剤の組合せ(例えば、カフェイン、テアクリン、及びこれらの組合せ)は通常、発泡性組成物の総重量に対して、約0.1%w/w~約15重量%、例えば、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w、又は約0.9%w/wから、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、又は約15重量%までの濃度である。
【0144】
アミノ酸
一部の実施形態では、活性成分はアミノ酸を含む。本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、アミン(-NH2)及びカルボキシル(-COOH)又はスルホン酸(SO3H)官能基を、各アミノ酸に特異的である側鎖(R基)と共に含有する有機化合物を指す。アミノ酸はタンパク質原性であっても、非タンパク質原性であってもよい。「タンパク質原性」とは、アミノ酸がタンパク質中に見出される20種の天然由来アミノ酸のうちの1種であることを意味する。タンパク質原性アミノ酸として、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンが挙げられる。「非タンパク質原性」とは、そのアミノ酸がタンパク質中に自然に見出されない、又は細胞機構により直接生成されない(例えば、翻訳後修飾の生成物である)のいずれかであることを意味する。非タンパク質原性アミノ酸の非限定的例として、γ-アミノ酪酸(GABA)、タウリン(2-アミノエタンスルホン酸)、テアニン(L-γ-グルタミルエチルアミド)、ヒドロキシプロリン及びβ-アラニンが挙げられる。
【0145】
存在する場合、アミノ酸又はアミノ酸の組合せ(例えば、タウリン、テアニン、及びこれらの組合せ)は通常、発泡性組成物の総重量に対して、約0.1%w/w~約15重量%、例えば、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w、又は約0.9%w/wから、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、又は約15重量%までの濃度である。
【0146】
ビタミン
一部の実施形態では、活性成分はビタミン又はビタミンの組合せを含む。本明細書で使用される場合、「ビタミン」という用語は、哺乳動物における代謝の適正な機能に必要とされる主要な微量栄養素である有機分子(又は関連する分子のセット)を指す。ヒトの代謝には13種のビタミンが必要とされ、これらは以下の通りである:ビタミンA(all-trans-レチノール、all-trans-レチニル-エステル、並びにall-trans-β-カロテン及び他のプロビタミンAカロチノイド)、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸又はフォレート)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(カルシフェロール)、ビタミンE(トコフェロール及びトコトリエノール)及びビタミンK(キノン)。
【0147】
存在する場合、ビタミン又はビタミンの組合せ(例えば、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンC、又はこれらの組合せ)は通常、発泡性組成物の総重量に対して、約0.01%w/w~約1重量%、例えば、約0.01%w/w、約0.02%w/w、約0.03%w/w、約0.04%w/w、約0.05%w/w、約0.06%w/w、約0.07%w/w、約0.08%w/w、約0.09%w/w、又は約0.1%w/ww/wから、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、又は約1重量%までの濃度である。
【0148】
カンナビノイド
一部の実施形態では、活性成分は1種以上のカンナビノイドを含む。本明細書で使用される場合、「カンナビノイド」という用語は、カンナビノイド受容体に作用するクラスの多様な化学化合物を指し、脳内の神経伝達物質放出を変化させる、細胞内の内在性カンナビノイド系としてもまた公知である。これらの受容体タンパク質に対するリガンドとして、動物により体内で自然に生成される内在性カンナビノイド;アサに見出される植物性カンナビノイド;及び人為的に製造される合成カンナビノイドが挙げられる。アサに見出されるカンナビノイドとして、制限なしで以下が挙げられる:カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、トラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変化形(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)及びテトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)。ある特定の実施形態では、カンナビノイドは、アサにおける主要な精神活性化合物であるテトラヒドロカンナビノール(THC)及びこの植物の別の主要成分であるカンナビジオール(CBD)から選択されるが、これらは精神作用を含まない。上記化合物のすべては、植物材料からの分離物又は合成的に誘導された形態で使用することができる。
【0149】
代わりに、活性成分は、大麻類似物であることができ、これは、カンナビノイドに類似した、内在性カンナビノイド系に対した生物学的作用を有する、アサ以外の植物由来のクラスの化合物である。例として、ヤンゴニン、アルファ-アミリン又はベータ-アミリン(またテルペンとも分類される)、シアニジン、クルクミン(ターメリック)、カテキン、ケルセチン、サルビノリンA、N-アシルエタノールアミン及びN-アルキルアミド脂質が挙げられる。
【0150】
存在する場合、カンナビノイド(例えば、CBD)又は大麻類似物は通常、組成物の総重量に対して、組成物の少なくとも約0.1重量%の濃度、例えば、約0.1重量%~約30重量%の範囲、例えば、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%又は約0.9重量%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%又は約30重量%までの濃度である。
【0151】
テルペン
本開示における使用に適した活性成分はまたテルペンとして分類することができ、このうちの多くは生物学的作用、例えば、沈静作用を伴う。テルペンは、一般式(C5H8)nを有すると考えられ、モノテルペン、セスキテルペン及びジテルペンを含む。テルペンは非環式、単環式又は二環式の構造であることができる。一部のテルペンは、カンナビノイド又は大麻類似物と組み合わせて使用された場合、アントラージュ効果を提供する。例として、ベータ-カリオフィレン、リナロール、リモネン、ベータ-シトロネロール、酢酸リナリル、ピネン(アルファ又はベータ)、ゲラニオール、カルボン、ユーカリプトール、メントン、イソ-メントン、ピペリトン、ミルセン、ベータ-ブルボネン及びゲルマクレンが挙げられ、これらは個々に又は組み合わせて使用することができる。
【0152】
抗酸化剤
一部の実施形態では、活性成分は1種以上の抗酸化剤を含む。本明細書で使用される場合、「抗酸化剤」という用語は、フリーラジカル反応を終結させることによって、酸化を防止又は抑制する物質を指し、一部の種類の細胞損傷を遅延又は防止することができる。抗酸化剤は天然由来でも、合成でもよい。天然由来の抗酸化剤として、食物及びボタニカル材料に見出されるものが挙げられる。抗酸化剤の非限定的例として、ある特定のボタニカル材料、ビタミン、ポリフェノール及びフェノール誘導体が挙げられる。
【0153】
抗酸化性特徴を伴うボタニカル材料の例として、制限なしで、アサイーベリー、アルファルファ、オールスパイス、アナトーシード、アンズ油、バジル、ビーバーム、野生型ベルガモット、黒コショウ、ブルーベリー、ルリジサ種子油、キランソウ、カカオ、カラマスルート、イヌハッカ、カツアバ、カイエンペッパー、チャガマッシュルーム、チャービル、シナモン、ダークチョコレート、ジャガイモの皮、ブドウ種、ニンジン、イチョウ、セイヨウオトギリ、ノコギリヤシ、緑茶、紅茶、ブラックコホシュ、カイエン、カモミール、クローブ、ココア粉末、クランベリー、タンポポ、グレープフルーツ、ハニーブッシュ、エキナセア、ニンニク、イブニングプリムローズ、ナツシロギク、ショウガ、ゴールデンシール、サンザシ、ハイビスカスの花、アマチャヅル、カバ、ラベンダー、甘草、ハナハッカ、オオアザミ、ミント(マント)、ウーロン茶、ビート根、オレンジ、オレガノ、パパイヤ、ペニーロイヤル、ペパーミント、赤色クローバ、ルイボス(レッド又はグリーン)、ローズヒップ、ローズマリー、セージ、クラリーセージ、セイボリー、スペアミント、スピルリナ、スリッペリーエルムバーク、ソルガムふすま高タンニン、ソルガム種子高タンニン、スマックふすま、ヒレハリソウの葉及び根、ゴジベリー、ゴツコーラ、タイム、ターメリック、ウバウルシ、バレリアン、野生型ヤムの根、ウィンターグリーン、ヤーコンの根、イエロードック、イェルバマテ、イェルバサンタ、バコパ・モニエラ、アシュワガンダ、ヤマブシタケ及びシリバム・マリアナム(silybum marianum)が挙げられる。このようなボタニカル材料は新鮮なまま又は乾燥させた形態、エッセンシャルオイルで提供されてもよいし、又は抽出物の形態であってもよい。ボタニカル材料(並びにこれらの抽出物)は、多くの場合、抗酸化作用をもたらすことが公知の様々なクラスの化合物、例えば、ミネラル、ビタミン、イソフラボン、フィトステロール(phytoesterols)、硫化アリル、ジチオールチオン、イソチオシアネート、インドール、リグナン、フラボノイド、ポリフェノール及びカロチノイドを含む。ボタニカル抽出物又は油に見出される化合物の例として、アスコルビン酸、ピーナッツ内果皮、リスベラトロール、スルフォラファン、β-カロテン、リコピン、ルテイン、コエンザイムQ、カルニチン、ケルセチン、ケンフェロールなどが挙げられる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Santhoshら、Phytomedicine、12巻(2005年)216~220頁を参照されたい。
【0154】
他の適切な抗酸化剤の非限定的例として、クエン酸、ビタミンE又はその誘導体、トコフェロール、エピカテコール、エピガロカテコール、没食子酸エピガロカテコール、エリソルビン酸、エリトルビン酸ナトリウム、4-ヘキシルレソルシノール、テアフラビン、テアフラビンモノガレートA又はB、テアフラビンジガレート、フェノール酸、グリコシド、クエルシトリン、イソクエルシトリン、ヒペロシド、ポリフェノール、カテコール、リスベラトロール、オレウロペイン、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、第三級ブチルヒドロキノン(TBHQ)及びこれらの組合せが挙げられる。
【0155】
存在する場合、抗酸化剤は通常、組成物の総重量に対して、約0.001%w/w~約10重量%、例えば、約0.001%w/w、約0.005%w/w、約0.01%w/ww/w、約0.05%w/w、約0.1%w/w、又は約0.5%w/wから、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、又は約10重量%までの濃度である。
【0156】
医薬品成分
一部の実施形態では、活性成分は活性医薬成分(API)を含む。APIは、治療用、予防用、又は診断用の使用に適応した任意の公知の薬剤であることができる。これらは、例えば、合成有機化合物、タンパク質及びペプチド、多糖及び他の糖、脂質、リン脂質、無機化合物(例えば、マグネシウム、セレン、亜鉛、硝酸塩)、神経伝達物質又はその前駆体(例えば、セロトニン、5-ヒドロキシトリプトファン、オキシトリプタン、アセチルコリン、ドーパミン、メラトニン)及び核酸配列を含むことができ、これらは治療的、予防的、又は診断用活性を有する。APIの非限定的例として、鎮痛剤及び解熱剤(例えば、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、3-(4-イソブチルフェニル)プロパン酸)、ホスファチジルセリン、ミオイノシトール、ドコサヘキサエン酸(DHA、オメガ-3)、アラキドン酸(AA、オメガ-6)、S-アデノシルメチオニン(SAM)、ベータ-ヒドロキシ-ベータ-メチルブチレート(HMB)、シチコリン(シチジン-5’-ジホスフェート-コリン)及びコチニンが挙げられる。一部の実施形態では、活性成分はシチコリンを含む。一部の実施形態では、活性成分はシチコリン、カフェイン、テアニン及びニンジンの組合せである。一部の実施形態では、活性成分はヒマワリレシチンを含む。一部の実施形態では、活性成分はヒマワリレシチン、カフェイン、テアニン及びニンジンの組合せである。
【0157】
APIの量は異なってもよい。例えば、存在する場合、APIは通常、組成物の総重量に対して、約0.001%w/w~約10w/w%、例えば、約0.01w/w%、約0.02w/w%、約0.03w/w%、約0.04w/w%、約0.05w/w%、約0.06w/w%、約0.07w/w%、約0.08w/w%、約0.09w/w%、約0.1%w/w、約0.2w/w%、約0.3w/w%、約0.4w/w%、約0.5w/w%約0.6w/w%、約0.7w/w%、約0.8w/w%、約0.9w/w%、又は約1w/w%から、約2w/w%、約3w/w%、約4w/w%、約5w/w%、約6w/w%、約7w/w%、約8w/w%、約9w/w%、又は約10重量%までの濃度である。
【0158】
香味剤
一部の実施形態では、本明細書に記載されている発泡性組成物は香味剤を含む。本明細書で使用される場合、「香味剤」又は「着香剤」は、口腔用製品に伴う感覚特性を改変することが可能な任意の風味豊かな又は香りの良い物質である。香味剤で修正することができる感覚特性の例として、味覚、口当たり、湿り気、冷却/加熱及び/又は香料/芳香が挙げられる。香味剤は天然又は合成であってよく、これによりもたらされる香味料の性質は、制限なしで、フレッシュ、スイート、ハーバル、菓子類、フローラル、フルーティー又はスパイシーと記載することができる。特定の種類の香味として、これらに限定されないが、バニラ、コーヒー、チョコレート/ココア、クリーム、ミント、スペアミント、メントール、ペパーミント、ウィンターグリーン、ユーカリ、ラベンダー、カルダモン、ナツメグ、シナモン、クローブ、カスカリラ、ビャクダン、蜂蜜、ジャスミン、ショウガ、アニス、セージ、甘草、レモン、オレンジ、リンゴ、桃、ライム、サクランボ、イチゴ、パイナップル及びこれらのいずれかの組合せが挙げられる。参照により本明細書に組み込む、Leffingwellら、Tobacco Flavoring for Smoking Products、R.J.Reynolds Tobacco Company(1972年)もまた参照されたい。香味剤としてまた、湿潤剤、冷却剤又は平滑化剤であると考えられる構成成分、例えば、ユーカリを挙げることができる。これらの香味料は純粋(すなわち、単独で)又は複合体で提供されてもよいし、濃縮物又は香味料パッケージ(例えば、スペアミント及びメントール、オレンジ及びシナモン;ライム、パイナップル、など)として利用されてもよい。構成成分の代表的な種類はまた、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Whiteらの米国特許第5,387,416号;Stricklandらの米国特許出願公開第2005/0244521号;及びQuinterらPCT出願WO05/041699号に記載されている。ある場合には、香味剤はスプレー乾燥形態又は液体形態で提供されてもよい。
【0159】
香味剤は少なくとも1種の揮発性香味成分を一般的に含む。本明細書で使用される場合、「揮発性」とは、周辺温度で容易に蒸気を形成する化学物質を指す(すなわち、不揮発性物質と比べて所与の温度で高い蒸気圧を有する化学物質)。通常、揮発性香味成分は、約400Da未満の分子量を有し、多くの場合、少なくとも1種の炭素-炭素二重結合、炭素-酸素二重結合、又は両方を含む。一実施形態では、少なくとも1種の揮発性香味成分は1種以上のアルコール、アルデヒド、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、テルペン、テルペノイド、又はこれらの組合せを含む。アルデヒドの非限定的例として、バニリン、エチルバニリン、p-アニスアルデヒド、ヘキサナール、フルフラール、イソバレルアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンズアルデヒド及びシトロネラールが挙げられる。ケトンの非限定的例として、1-ヒドロキシ-2-プロパノン及び2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテノン-1-オンが挙げられる。エステルの非限定的例として、ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸エチル、ヘキサン酸エチル、酢酸イソアミル及び3-メチルブチルアセテートが挙げられる。テルペンの非限定的例として、サビネン、リモネン、γ-テルピネン、β-ファルネセン、ネロリドール、ツジョン、ミルセン、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、リナロール及びユーカリプトールが挙げられる。一実施形態では、少なくとも1種の揮発性香味成分は、エチルバニリン、ケイ皮アルデヒド、サビネン、リモネン、γ-テルピネン、β-ファルネセン、又はシトラルのうちの1種以上を含む。
【0160】
組成物において利用される香味剤の量は異なってもよいが、通常約10重量パーセントまでであり、ある特定の実施形態は、組成物の総重量に対して、少なくとも約0.1重量パーセント、例えば、約0.5~約10重量パーセント、約1~約6重量パーセント又は約2~約5重量パーセントの香味剤含有量であることを特徴とする。組成物内に存在する香味剤の量は一定時間にわたり異なってもよい(例えば、組成物の調製後の貯蔵期間の間)。例えば、組成物中に存在するある特定の揮発性成分は蒸発又は化学転換を受けることもあり、これは1種以上の揮発性香味成分の濃度の減少をもたらす。
【0161】
味覚改質剤
本明細書で開示されている組成物の官能特性を改善するため、組成物は、例えば、本明細書に記載されている組成物の香味を遮蔽する、改変する、遮断する、又は改善する役目を果たすことができる1種以上の味覚の改質剤(「味覚改質剤」)を含むことができる。このような味覚改質剤の非限定的例として、認知された冷却(例えば、メントール、ユーカリ、ミント)、加温(例えば、シナモン)又は有痛性(例えば、カプサイシン)感覚を生成する鎮痛性又は麻酔性の薬草、香辛料及び香味が挙げられる。ある特定の味覚改質剤は1つより多くの重複するカテゴリーに分類される。
【0162】
一部の実施形態では、味覚改質剤は、1種以上の苦い、甘い、塩からい、又は酸っぱい味覚を改質する。一部の実施形態では、味覚改質剤は痛覚受容体を標的とする。一部の実施形態では、組成物は、苦い味覚を有する活性成分及び苦い味覚の認知を遮蔽又は遮断する味覚改質剤を含む。一部の実施形態では、味覚改質剤は、例えば、別の構成成分(例えば、活性成分)の苦い味覚を遮蔽するために、ユーザーの口内の痛覚受容体(例えば、バニロイド受容体)を標的とする物質である。適切な味覚改質剤として、これらに限定されないが、カプサイシン、γ-アミノ酪酸(GABA)、アデニル酸(AMP)、ラクチソール又はこれらの組合せが挙げられる。
【0163】
存在する場合、味覚改質剤の代表的な量は、約0.01重量%以上、約0.1重量%以上又は約1.0重量%以上であるが、通常組成物の総重量の約10重量%未満(例えば、組成物の総重量の約0.01%、約0.05%、約0.1%又は約0.5%から、約1%、約5%又は約10重量%まで)を構成する。
【0164】
塩
一部の実施形態では、組成物は、通常所望の官能属性を組成物に提供するのに十分な量で利用される塩(例えば、アルカリ金属塩)をさらに含むことができる。適切な塩の非限定的例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、粉末塩などが挙げられる。
【0165】
存在する場合、塩の代表的な量は約0.5重量パーセント以上、約1.0重量パーセント以上又は約1.5重量パーセント以上であるが、通常組成物の総重量の約10重量パーセント以下又は約7.5重量パーセント以下又は約5重量パーセント以下(例えば、約0.5~約5重量パーセント)を構成する。
【0166】
甘味剤
本開示による組成物の感覚特性を改善するために、1種以上の甘味剤を添加することができる。甘味剤は天然若しくは人工の形態、又は天然甘味剤と人工甘味剤の組合せとして、任意の甘味剤若しくは甘味剤の組合せであることができる。天然甘味剤の例として、フルクトース、スクロース、グルコース、マルトース、マンノース、ガラクトース、ラクトース、ステビア、蜂蜜などが挙げられる。人工甘味剤の例として、スクラロース、イソマルツロース、マルトデキストリン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、ネオテームなどが挙げられる。一部の実施形態では、甘味剤は1種以上の糖アルコールを含む。糖アルコールは部分的又は完全に水素化された形態を有する、単糖又は二糖由来のポリオールである。糖アルコールは、例えば、約4~約20個の炭素原子を有し、エリスリトール、アラビトール、リビトール、イソマルト、マルチトール、ズルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、ソルビトール及びこれらの組合せ(例えば、水素化デンプン加水分解物)が挙げられる。一部の実施形態では、甘味剤はスクラロース、アセスルファムK又はこれらの組合せである。
【0167】
存在する場合、甘味剤又は甘味剤の組合せは、組成物の総重量に対して、組成物の約0.01~約20重量%以上、例えば、約0.01~約0.1、約0.1~約1%、約1~約5%、約5~約10%又は約10~約20重量%を構成してもよい。一部の実施形態では、甘味剤の組合せは、組成物の約0.01重量%~約0.1重量%の濃度、例えば、組成物の約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09又は約0.1重量%の濃度で存在する。一部の実施形態では、甘味剤の組合せは、組成物の約0.1重量%~約0.5重量%の濃度、例えば、組成物の約0.1、約0.2、約0.3、約0.4又は約0.5重量%の濃度で存在する。一部の実施形態では、甘味剤の組合せは、組成物の約1%~約3重量%の濃度で存在する。
【0168】
結合剤
結合剤(又は結合剤の組合せ)は、ある特定の実施形態において利用されてもよい。典型的な結合剤は有機でも無機でも、又はこれらの組合せであってもよい。代表的な結合剤として、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプンベースの結合剤、ペクチン、カラギーナン、プルラン、ゼインなど、及びこれらの組合せが挙げられる。結合剤は、組成物に所望の物理的特質及び物理的完全性をもたらすのに十分な量で利用することができる。組成物において利用される結合剤の量は異なってもよいが、通常約30重量パーセントまでであり、ある特定の実施形態は、組成物の総重量に対して、少なくとも約0.1重量%の結合剤含有量、例えば、約1~約30重量%、又は約5~約10重量%の結合剤含有量を特徴とする。
【0169】
他の適切な結合剤はガム、例えば、天然ガムを含む。本明細書で使用される場合、天然ガムは、結合特性を有し、増粘剤又はゲル化剤としても有用な、天然由来の多糖材料を指す。植物由来の代表的な天然ガムは、通常ある程度水溶性であり、これらの天然ガムとして、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、ガティガム、トラガカントガム、インドゴム、ローカストビーンガム、ジェランガム及びこれらの組合せが挙げられる。存在する場合、天然ガム結合剤材料は通常、組成物の総重量に対して、約5重量%までの量、例えば、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9又は約1重量%から、約2、約3、約4又は約5重量%までの量で存在する。
【0170】
保湿剤
ある特定の実施形態では、1種以上の保湿剤を組成物において利用することができる。保湿剤の例として、これらに限定されないが、グリセリン、プロピレングリコールなどが挙げられる。含まれる場合、保湿剤は通常、組成物に所望の水分特質をもたらすのに十分な量で提供される。さらに、ある場合には、保湿剤は、型内への堆積のために、組成物に望ましい流れ特性を付与することができる。
【0171】
存在する場合、保湿剤は通常、組成物の重量の約5重量%以下(例えば、約0.5~約5重量%)を構成する。存在する場合、保湿剤の代表的な量は組成物の総重量に対して、約0.1重量%~約1重量%、又は約1重量%~約5重量%である。
【0172】
緩衝剤
ある特定の実施形態では、本開示の組成物はpH調整剤又は緩衝剤を含むことができる。使用することができるpH調整剤及び緩衝剤の例として、これらに限定されないが、金属水酸化物(例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム)及び他のアルカリ金属緩衝液、例えば、金属炭酸塩(例えば、炭酸カリウム又は炭酸ナトリウム)又は金属炭酸水素塩、例えば、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。適切な緩衝液の非限定的例として、アルカリ金属酢酸塩、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、ホウ酸塩又はこれらの混合物が挙げられる。
【0173】
存在する場合、緩衝剤は通常、組成物の重量に対して、約5パーセント未満、例えば、組成物の総重量に対して、約0.5重量%~約5重量%、例えば、約0.75重量%~約4重量%、約0.75重量%~約3重量%又は約1重量%~約2重量%の量で存在する。
【0174】
着色剤
着色剤は、組成物に所望の物理的特質をもたらすのに十分な量で利用することができる。着色剤の例として、様々な染料及び顔料、例えば、カラメル着色剤及び二酸化チタンが挙げられる。天然着色剤、例えば、クルクミン、ビートジュース抽出物、スピルリナ、また様々な合成顔料もまた使用することができる。組成物に利用される着色剤の量は変動し得るが、存在する場合、通常、組成物の総重量に対して、約3重量%まで、例えば、約0.1重量%、約0.5重量%又は約1重量%から、約3重量%までである。
【0175】
タバコ材料
一部の実施形態では、組成物はタバコ材料を含むことができる。タバコ材料は種、種類及び形態が異なってもよい。一般的に、タバコ材料はニコチアナ種の収穫された植物から得られる。例示的ニコチアナ属種として、N.タバカム(N.tabacum)、N.ルスチカ(N.rustica)、N.アラタ(N.alata)、N.アレントシ(N.arentsii)、N.エクセルシオール(N.excelsior)、N.フォルゲティアナ(N.forgetiana)、N.グラウカ(N.glauca)、N.グルチノーザ(N.glutinosa)、N.ゴッセイ(N.gossei)、N.カワカミ(N.kawakamii)、N.ナイチアナ(N.knightiana)、N.ラングスドルフィ(N.langsdorffi)、N.オトホラ(N.otophora)、N.セトケリ(N.setchelli)、N.シルベストリス(N.sylvestris)、N.トメントサ(N.tomentosa)、N.トメントシホルミス(N.tomentosiformis)、N.アンドゥラタ(N.undulata)、N.xサンデラエ(N.x sanderae)、N.アフリカーナ(N.africana)、N.アムプレキシカウリス(N.amplexicaulis)、N.ベナビデシ(N.benavidesii)、N.ボナリエンシス(N.bonariensis)、N.デブネイ(N.debneyi)、N.ロンギフロラ(N.longiflora)、N.マリチナ(N.maritina)、N.メガロシホン(N.megalosiphon)、N.オシデンタリス(N.occidentalis)、N.パニクラタ(N.paniculata)、N.プルムバギニフォリア(N.plumbaginifolia)、N.ライモンジ(N.raimondii)、N.ロスラタ(N.rosulata)、N.シムランス(N.simulans)、N.ストクトニ(N.stocktonii)、N.スアベオレンス(N.suaveolens)、N.アンブラチカ(N.umbratica)、N.ベルチナ(N.velutina)、N.ウィガンジオイデス(N.wigandioides)、N.アカウリス(N.acaulis)、N.アクミナタ(N.acuminata)、N.アテヌアタ(N.attenuata)、N.ベンサミアナ(N.benthamiana)、N.カビコラ(N.cavicola)、N.クレベランジ(N.clevelandii)、N.コルジフォリア(N.cordifolia)、N.コリンボサ(N.corymbosa)、N.フラグランス(N.fragrans)、N.グッドスピーディ(N.goodspeedii)、N.リネアリス(N.linearis)、N.ミエルシ(N.miersii)、N.ヌジカウリス(N.nudicaulis)、N.オブツシフォリア(N.obtusifolia)、N.オシデンタリス亜種ヘスペリス(N.occidentalis subsp.Hersperis)、N.パウシフロラ(N.pauciflora)、N.ペツニオイデス(N.petunioides)、N.クアドリバルビス(N.quadrivalvis)、N.レパンダ(N.repanda)、N.ロツンジフォリア(N.rotundifolia)、N.ソラニフォリア(N.solanifolia)及びN.スペガジニ(N.spegazzinii)が挙げられる。ニコチアナ属種の様々な代表的な他の種類の植物が、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Goodspeed、The Genus Nicotiana、(Chonica Botanica)(1954年);Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,660,577号;Whiteらの米国特許第5,387,416号、Lawsonらの米国特許第7,025,066号;Lawrence,Jr.の米国特許第7,798,153号及びMarshallらの米国特許第8,186,360号に記載されている。様々な種類のタバコ、栽培の実施及び収穫の実施の説明が、参照により本明細書に組み込まれる、Tobacco Production、Chemistry and Technology、Davisら(編)(1999年)に記載されている。
【0176】
適切なタバコ材料を得ることができるニコチアナ属種は、遺伝的改変又は交配育種技術を使用して誘導することができる(例えば、タバコ植物は、遺伝子操作又は異種交配して、構成成分、特徴又は特質の生成を増加又は低減することができる)。例えば、Fitzmauriceらの米国特許第5,539,093号;Wahabらの米国特許第5,668,295号;Fitzmauriceらの米国特許第5,705,624号;Weiglの米国特許第5,844,119号;Dominguezらの米国特許第6,730,832号;Liuらの米国特許第7,173,170号;Colliverらの米国特許第7,208,659号及びBenningらの米国特許第7,230,160号;Conklingらの米国特許出願公開第2006/0236434号;並びにNielsenらのPCT WO2008/103935に記載の植物の遺伝子改変の種類を参照されたい。また、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,660,577号;Whiteらの米国特許第5,387,416号;及びDominguezらの米国特許第6,730,832号に記載の種類のタバコも参照されたい。
【0177】
一部の実施形態では、ニコチアナ属種は、その中に存在する様々な化合物の含有量に対して選択することができる。例えば、植物は、単離を希望する1種以上の化合物を比較的多量に生成するような植物であることに基づき選択することができる。ある特定の実施形態では、ニコチアナ属種の植物(例えば、ガルパオコムンタバコ)は、これらの葉面化合物が豊富なことから特別に栽培されている。タバコ植物は、温室、生育チャンバー、又は屋外のフィールドで栽培することができ、又は水耕栽培することができる。
【0178】
ニコチアナ(Nicotiana)種の植物の様々な部位又は部分を本明細書で開示されている組成物に含めることができる。例えば、実質的には植物のすべて(例えば、植物全体)を収穫し、そのまま利用することができる。代わりに、植物の様々な部分又は小片は、収穫する、又は収穫後のさらなる使用のために分離することもできる。例えば、花、葉、茎、幹、根、種子及び様々なこれらの組合せは、さらなる使用又は処理のために単離することができる。一部の実施形態では、タバコ材料はタバコ葉(葉身)を含む。本明細書で開示されている組成物は、加工したタバコ部分若しくは小片、本質的に天然葉身及び/又は茎の形態で乾燥加工し、熟成させたタバコ、タバコ抽出物、抽出タバコパルプ(例えば、水を溶媒として使用)、又は前述の混合物(例えば、抽出タバコパルプを顆粒化し、乾燥加工して、熟成させた天然のタバコ葉身と合わせた混合物)を挙げることができる。
【0179】
ある特定の実施形態では、タバコ材料は、葉身及び茎からなる群から選択される固形タバコ材料を含む。混合物に使用されるタバコは、最も好ましくは、タバコ葉身、又はタバコ葉身と茎の混合物(このうち少なくとも一部分は煤煙処理している)が挙げられる。混合物内のタバコの一部分は加工した形態、例えば、加工タバコ茎(例えば、切断圧延茎、切断圧延拡張茎又は切断パフ茎)、又は体積膨張タバコ(例えば、パフタバコ、例えば、ドライアイス膨張タバコ(DIET))を有してもよい。例えば、すべてが参照により組み込まれているde la Burdeらの米国特許第4,340,073号;Guyらの米国特許第5,259,403号;並びにPoindexterらの米国特許第5,908,032号;及びPoindexterらの米国特許第7,556,047号に記載のタバコ膨張加工を参照されたい。加えて、混合物は任意選択的に発酵性であるタバコを組み込んでもよい。参照により本明細書に組み込まれる、AtchleyらのPCT WO2005/063060に記載のタバコ加工技術の種類を参照されたい。
【0180】
タバコ材料は通常、粒状と記載することができる形態(すなわち、細断、製粉、顆粒化、又は粉末形態)で使用されている。タバコ材料が微細に分割された又は粉末形態のタイプで提供される方式は異なり得る。好ましくは、植物部分又は小片は、製粉、ミリングなどに対する装置及び技術を使用して、粉末化、製粉、又は微粉化されて粒状形態となる。最も好ましくは、植物材料は、ハンマーミル、カッターヘッド、空気制御ミルなどの装置を使用して製粉又はミリングしている間、比較的乾燥した形態である。例えば、タバコ部分又は小片は、その含水量が約15重量パーセント未満又は約5重量パーセント未満である場合、製粉又はミリングすることができる。最も好ましくは、タバコ材料は、1.4ミリメートル~250ミクロンの間の平均粒径を有する部分又は小片の形態で利用される。ある場合には、タバコ粒子は、必要とされる粒径範囲を得るため、スクリーンメッシュの通過サイズにすることができる。所望する場合、空気分級装置を使用して、所望のサイズ、又はサイズ範囲の、小さなサイズのタバコ粒子を確実に収集することができる。所望する場合、顆粒化タバコの異なるサイズの小片を一緒に混合することができる。
【0181】
タバコが微細に分割された又は粉末タイプの形態で提供される方式は異なってもよい。好ましくは、タバコ部分又は小片は、製粉、ミリングなどのための装置及び技術を使用して、粉末化、製粉、又は微粉化され、粉末タイプの形態にする。最も好ましくは、タバコは、ハンマーミル、カッターヘッド、空気制御ミルなどの装置を使用して製粉又はミリングしている間、比較的乾燥した形態である。例えば、タバコ部分又は小片は、その含水量が約15重量パーセント未満~約5重量パーセント未満である場合、製粉又はミリングすることができる。例えば、タバコ植物又はその一部分は、個々の部分又は小片へと分離することができる(例えば、葉は茎から除去することができ、並びに/又は茎及び葉は幹から除去することができる)。収穫された植物又は個々の部分又は小片は、部分又は小片へとさらに細分することができる(例えば、葉は、細断、切断、粉末化、微粉化、ミリング、又は製粉して、小片又は部分にすることができ、これら小片又は部分はフィラータイプ小片、顆粒、粒状又は微細な粉末であることを特徴とし得る)。植物、又はその部分は、外部の力又は圧力に供することができる(例えば、圧縮又はロール処理により)。このような加工条件を実行する場合、植物若しくはその一部分はその天然含水量に近似する含水量(例えば、収穫直後のその含水量)、水分を植物若しくはその一部分に添加することにより達成される含水量、又は植物若しくはその一部分の乾燥から得られる含水量を有することができる。例えば、粉末化、微粉化、製粉又はミリングした植物の小片又はその一部分は、約25重量パーセント未満、多くの場合約20重量パーセント未満、及び頻繁には約15重量パーセント未満の含水量を有することができる。
【0182】
口腔用組成物の調製のため、ニコチアナ属種の収穫された植物を乾燥加工化プロセスに供することが通常である。本明細書で開示されている組成物内に組み込まれるタバコ材料は、適切に乾燥加工した、及び/又は熟成したものである。様々な種類のタバコに対する様々な種類の乾燥加工プロセスの説明が、Tobacco Production、Chemistry and Technology、Davisら(編)(1999年)に記載されている。熱風乾燥したタバコを乾燥加工するための技術及び条件の例が、参照により本明細書に組み込まれる、Nestorら、Beitrage Tabakforsch.Int.、20巻、467~475頁(2003年)及びPeeleの米国特許第6,895,974号に記載されている。タバコを空気乾燥加工するための代表的な技術及び条件が、参照により本明細書に組み込まれる、Grovesらの米国特許第7,650,892号;Rotonら、Beitrage Tabakforsch.Int.、21巻、305~320頁(2005年)及びStaafら、Beitrage Tabakforsch.Int.、21巻、321~330頁(2005年)に記載されている。ある特定の種類のタバコは、代替の種類の乾燥加工プロセス、例えば、直火煙乾燥又は日光乾燥に供することもできる。
【0183】
ある特定の実施形態では、利用することができるタバコ材料として、熱風乾燥した又はバージニア(例えば、K326)、バーレー種、日光乾燥したもの(例えば、インディアンクルヌール及びオリエンタルタバコ、これにはカテリニ、プレリップ、コモティニ、クサンティ及びヤンボルタバコが含まれる)、メリーランド、ダーク、ダークファイアード、ダーク空気乾燥(例えば、マドール、パサンダ、クバーノ、ジャティン及びベズキタバコ)、ライト空気乾燥(例えば、ノースウィスコンシン及びガルパオタバコ)、インディアン空気乾燥、レッドロシアン及びルスチカタバコ、並びに様々な他の稀な又は専門タバコ及び前述のタバコのいずれかの様々なブレンドが挙げられる。
【0184】
タバコ材料はまた、いわゆる「ブレンド」形態を有することができる。例えば、タバコ材料は、熱風乾燥、バーレー種(例えば、マラウイバーレー種タバコ)及びオリエンタルタバコの部分又は小片の混合物を含むことができる(例えば、タバコ葉身、又はタバコ葉身とタバコ茎の混合物で構成される、又はこれら由来のタバコ)。例えば、代表的なブレンドは、乾燥重量ベースで、約30~約70部のバーレー種タバコ(例えば、葉身、又は葉身及び茎)、及び約30~約70部の熱風乾燥タバコ(例えば、茎、葉身、又は葉身及び茎)を組み込むことができる。他の例示的タバコブレンドは、乾燥重量ベースで、約75部の熱風乾燥タバコ、約15部のバーレー種タバコ、及び約10部のオリエンタルタバコ;又は約65部の熱風乾燥タバコ、約25部のバーレー種タバコ、及び約10部のオリエンタルタバコ;又は約65部の熱風乾燥タバコ、約10部のバーレー種タバコ、及び約25部のオリエンタルタバコを組み込んでいる。他の例示的タバコブレンドは、乾燥重量ベースで、約20~約30部のオリエンタルタバコ及び約70~約80部の熱風乾燥タバコを組み込んでいる。
【0185】
本開示において使用されているタバコ材料は、例えば、発酵、漂白などに供することができる。所望する場合、タバコ材料は、例えば、照射、低温殺菌、又はさもなければ制御された加熱処理に供することもできる。このような処理プロセスは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Muaらの米国特許第8,061,362号に詳述されている。ある特定の実施形態では、タバコ材料は、水で、及びタバコ材料の加熱時にアクリルアミドを形成するアスパラギンの反応を阻害することが可能な添加剤(例えば、リシン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、メチオニン、システイン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、フェニルアラニン、バリン、アルギニン、二価及び三価のカチオンを組み込んでいる組成物、アスパラギナーゼ、ある特定の非還元性糖類、ある特定の還元剤、フェノール系化合物、少なくとも1つの遊離チオール基又は官能基を有するある特定の化合物、酸化剤、酸化触媒、天然の植物抽出物(例えば、ローズマリー抽出物)、並びにこれらの組合せからなる群から選択される添加剤)で処理することができる。例えば、すべて参照により本明細書に組み込まれる、Chenらの米国特許公開第8,434,496号、米国特許公開第8,944,072号及び米国特許公開第8,991,403号に記載されているタイプの処理プロセスを参照されたい。ある特定の実施形態では、このタイプの処理は、以前に記述されたプロセスにおいて元のタバコ材料を加熱に供する場合有用である。
【0186】
一部の実施形態では、タバコ材料の種類は、最初に目視により他のタバコ材料よりも色がある程度薄いものが選択される(例えば、白色化又は漂白されている)。ある特定の実施形態では、タバコパルプは、当技術分野で公知の任意の手段により白色化することができる。例えば、様々な漂白剤又は酸化剤及び酸化触媒を使用して様々な白色化方法により生成された漂白タバコ材料を使用することができる。例示的酸化剤として、過酸化物(例えば、過酸化水素)、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、オゾン、アンモニア、過マンガン酸カリウム及びこれらの組合せが挙げられる。例示的酸化触媒は二酸化チタン、二酸化マンガン及びこれらの組合せである。漂白剤を用いてタバコを処理するためのプロセスは、例えば、すべてを本明細書に参照により組み込む、Daniels,Jr.の米国特許第787,611号;Oelenheinzの米国特許第1,086,306号;Dellingの米国特許第1,437,095号;Rosenhochの米国特許第1,757,477号;Hawkinsonの米国特許第2,122,421号;Baierの米国特許第2,148,147号;Baierの米国特許第2,170,107号;Baierの米国特許第2,274,649号;Pratsらの米国特許第2,770,239号;Rosenの米国特許第3,612,065号;Rosenの米国特許第3,851,653号;Rosenの米国特許第3,889,689号;Minamiの米国特許第3,943,940号;Rosenの米国特許第3,943,945号;Rainerの米国特許第4,143,666号;Campbellの米国特許第4,194,514号;Rainerらの米国特許第4,366,823号、米国特許第4,366,824号及び米国特許第4,388,933号;Schmekelらの米国特許第4,641,667号;Bergerの米国特許第5,713,376号;Byrd Jr.らの米国特許第9,339,058号;Beesonらの米国特許第9,420,825号;並びにByrd Jr.らの米国特許第9,950,858号;並びにBjorkholmらの米国特許出願公開第2012/0067361号;Crooksの米国特許出願公開第2016/0073686号;Bjorkholmの米国特許出願公開第2017/0020183号;及びBjorkholmの米国特許出願公開第2017/0112183号、並びにGiolvasのPCT公開出願第WO1996/031255号及びBjorkholmのPCT公開出願第WO2018/083114号において論じられている。
【0187】
一部の実施形態では、白色化タバコ材料は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%又は少なくとも約80%のISO白色度を有することができる。一部の実施形態では、白色化タバコ材料は、約50%~約90%、約55%~約75%又は約60%~約70%の範囲のISO白色度を有することができる。ISO白色度は、ISO3688:1999又はISO2470-1:2016に従い測定することができる。
【0188】
一部の実施形態では、白色化タバコ材料は、未処理のタバコ材料と比較して、明色化した色を特徴とすることができる(例えば、「白色化」)。白色の色は、多くの場合、国際照明委員会(International Commission on Illumination(CIE))の色度図を参照して定義される。ある特定の実施形態では、白色化タバコ材料は、色度図上で未処理のタバコ材料よりも純粋な白色により近いことを特徴とすることができる。
【0189】
様々な実施形態では、タバコ材料は、処理して、タバコ材料の溶解性構成成分をそれから抽出することができる。「タバコ抽出物」は本明細書で使用される場合、抽出プロセスでタバコ材料と接触させる溶媒により、固形のタバコパルプから抽出されるタバコ材料の単離した構成成分を指す。タバコ材料の様々な抽出技術を使用して、タバコ抽出物及びタバコ固形材料を得ることができる。例えば、参照により本明細書に組み込む、Beesonらの米国特許出願公開第2011/0247640号に記載されている抽出プロセスを参照されたい。タバコの構成成分を抽出するための他の例示的技術は、すべてを本明細書に参照により組み込む、Fioreの米国特許第4,144,895号;Osborne、Jr.らの米国特許第4,150,677号;Reidの米国特許第4,267,847号;Wildmanらの米国特許第4,289,147号;Brummerらの米国特許第4,351,346号;Brummerらの米国特許第4,359,059号;Mullerの米国特許第4,506,682号;Keritsisの米国特許第4,589,428号;Sogaらの米国特許第4,605,016号;Pouloseらの米国特許第4,716,911号;Niven、Jr.らの米国特許第4,727,889号;Bernasekらの米国特許第4,887,618号;Clappらの米国特許第4,941,484号;Faggらの米国特許第4,967,771号;Robertsらの米国特許第4,986,286号;Faggらの米国特許第5,005,593号;Grubbsらの米国特許第5,018,540号;Whiteらの米国特許第5,060,669号;Faggの米国特許第5,065,775号;Whiteらの米国特許第5,074,319号;Whiteらの米国特許第5,099,862号;Whiteらの米国特許第5,121,757号;Faggの米国特許第5,131,414号;Munozらの米国特許第5,131,415号;Faggの米国特許第5,148,819号;Kramerの米国特許第5,197,494号;Smithらの米国特許第5,230,354号;Faggの米国特許第5,234,008号;Smithの米国特許第5,243,999号;Raymondらの米国特許第5,301,694号;Gonzalez-Parraらの米国特許第5,318,050号;Teagueの米国特許第5,343,879号;Newtonの米国特許第5,360,022号;Clappらの米国特許第5,435,325号;Brinkleyらの米国特許第5,445,169号;Lauterbachの米国特許第6,131,584号;Kierulffらの米国特許第6,298,859号;Muaらの米国特許第6,772,767号;及びThompsonの米国特許第7,337,782号に記載されている。
【0190】
タバコ材料に対する典型的な包含範囲は、タバコ材料の性質及び種類、並びに最終の混合物に対して意図する作用に応じて異なってもよく、例示的範囲は、組成物の総重量に対して、約30重量%まで(又は約20重量%まで、又は約10重量%まで、又は約5重量%まで)(例えば、約0.1~約15重量%)である。一部の実施形態では、本開示の組成物は、タバコ材料を完全に含まない又はタバコ材料を実質的に含まない(活性成分としての精製ニコチン以外)ことを特徴とすることができる。例えば、ある特定の実施形態は、1重量%未満、又は0.5重量%未満、又は0.1重量%未満のタバコ材料、又は0.01重量%未満のタバコ材料、又は0重量%のタバコ材料を有することを特徴とすることができる。
【0191】
オーラルケア添加剤
一部の実施形態では、組成物はオーラルケア成分(又はこのような成分の混合物)を含む。オーラルケア成分は、虫歯又は歯の損失を阻害する、歯茎の疾患を阻害する、口痛を和らげる、歯を白色化する、又は歯の着色を阻害する、唾液の刺激を誘発する、口臭を阻害する、息を爽やかにするなどの能力を提供する。例えば、タイム油、ユーカリ油及び亜鉛などの成分(例えば、Discus DentalからZYTEX(登録商標)として市販されている製剤の成分など)の有効量を組成物に組み込むことができる。本発明の組成物内に所望の有効量で組み込むことができる成分の他の例として、Takahashiら、Oral Microbiology and Immunology、19巻(1号)、61~64頁(2004年);Thistleの米国特許第6,083,527号;並びにJakubowskiの米国特許出願公開第2006/0210488号及びCumminsらの米国特許出願公開第2006/02228308号に記載されている種類のオーラルケア組成物内に組み込まれているものなどを挙げることができる。タバコ含有配合物の他の例示的な成分として、RoquetteによりMALTISORB(登録商標)として、及びNatraRxによりDENTIZYME(登録商標)として市販されている配合物に含有されているものなどが挙げられる。存在する場合、オーラルケア添加剤の代表的な量は発泡性組成物の総乾燥重量の少なくとも約1%、多くの場合少なくとも約3%及び頻繁に少なくとも約5%である。発泡性組成物内のオーラルケア添加剤の量は通常、発泡性組成物の総乾燥重量の約30%を超えず、多くの場合約25%を超えず、頻繁に約20%を超えない。
【0192】
加工助剤
組成物の下流での加工、例えば、顆粒化、混合又は成型に対して必要であれば、流動促進剤を組成物に添加して、組成物の流動性を増強させることもできる。一部の実施形態では、組成物(例えば、溶融剤及び咀嚼剤の形態)は、固着防止剤、例えば、油、シリコーンなどで表面処理してもよい。例示的な流動促進剤として、微結晶性セルロース、シリカ、ポリエチレングリコール、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、カルナウバワックス及びこれらの組合せが挙げられる。一部の実施形態では、流動促進剤はステアリルフマル酸ナトリウムである。
【0193】
存在する場合、流動促進剤の代表的な量は、組成物の全乾燥重量の少なくとも約0.5パーセント又は少なくとも約1パーセントを構成することができる。好ましくは、組成物内の流動促進剤の量は、組成物の全乾燥重量の約5パーセントを超えず、頻繁に約3パーセントを超えない。
【0194】
他の添加剤
他の添加剤を開示される組成物に含めることもできる。例えば、組成物は、他の材料又は成分と共に、加工する、ブレンドする、製剤化する、組み合わせる及び/又は混合することができる。添加剤は人工のものであることもできるし、又はハーバル若しくは生物源から取得した又はこれら由来のものであることもできる。さらなる種類の添加剤の例として、増粘剤又はゲル化剤(例えば、魚ゼラチン)、乳化剤、保存剤(例えば、ソルビン酸カリウムなど)、崩壊助剤又はこれらの組合せが挙げられる。例えば、それぞれを参照により本明細書に組み込む、Muaらの米国特許第9,237,769号、Holton、Jr.らの米国特許第7,861,728号、Gaoらの米国特許公開第2010/0291245号及びHolton、Jr.らの米国特許公開第2007/0062549号に記載されている代表的な構成成分、構成成分の組合せ、これら構成成分の相対量並びにこれらの構成成分を利用するための方式及び方法などを参照されたい。
【0195】
このような追加の添加剤に対する典型的な包含範囲は、添加剤の性質及び機能及び最終組成物に対して意図した作用に応じて変動してもよく、例示的範囲は組成物の総重量に対して約10重量%までである(例えば、約0.1~約5重量%)。
【0196】
上述の添加剤は、一緒に(例えば、添加剤配合物として)又は別々に利用することができる(例えば、個々の添加剤構成成分は最終の混合物の調製に関与している異なる段階において添加することができる)。さらに、上述の種類の添加剤は、最終生成物又は組成物において提供される通り、封入されていてもよい。例示的な封入添加剤は、例えば、参照により本明細書に以前に組み込んだ、AtchleyのWO2010/132444に記載されている。
【0197】
微粒子
一部の実施形態では、フィラー、タバコ材料、他の組成物構成成分及び本明細書に記載されている全部の組成物のうちのいずれか1種以上は、微粒子材料又は粒状形態と記載することができる。本明細書で使用される場合、「粒状」という用語は複数の個々の粒子の形態の材料を指し、これらの一部は、複数の粒子の凝集の形態であることができ、粒子は長さ対幅の平均比、2:1未満、例えば、1.5:1未満、例えば、約1:1を有する。様々な実施形態では、微粒子材料の粒子は実質的に球状又は顆粒状と記載することができる。
【0198】
微粒子材料の粒径は、ふるい分折で測定することができる。当業者であれば容易に認識するように、ふるい分折(又はグラデーション試験としても公知)は、微粒子材料の粒径分布を測定するために使用されている方法である。通常、ふるい分折は、好ましくはワイヤメッシュの布の形態のスクリーンを含むネスト化されたふるいのカラムを含む。予め秤量した試料はカラムの最上部又は上端のふるいに導入することができ、そこは最も大きなスクリーン開口又はメッシュサイズ(すなわち、ふるいの最も大きな細孔径)を有する。カラムの下側の各ふるいは、ふるいの上側よりも次第に小さくなるスクリーン開口又はメッシュサイズを有する。通常、ふるいのカラムの底には、カラムの底部又は最下段のふるいのスクリーン開口サイズ又はメッシュサイズ(最も小さなスクリーン開口又はメッシュサイズを有する)よりも小さな粒径を有するあらゆる粒子を収集するレシーバー部分がある。
【0199】
一部の実施形態では、ふるいのカラムは、機械的撹拌機の上又は中に配置することもできる。撹拌機はカラム内のふるいのそれぞれの振動を引き起こす。機械的撹拌機は、予め決定されている期間の間作動させて、すべての粒子が正しいふるい内に確実に収集するようにすることができる。一部の実施形態では、ふるいのカラムは、0.5分間~10分間の期間、例えば、1分間~10分間、例えば、1分間~5分間、例えば、およそ3分間撹拌する。カラム内のふるいの撹拌が完了したら、各ふるいに収集された材料を秤量する。次いで、各ふるい上の各試料の重量を総重量で割ることによって、各ふるい上に保持された質量のパーセンテージを得ることができる。当業者であれば容易に認識しているように、ふるい分折に使用されるカラム内の各ふるいに対するスクリーン開口サイズ又はメッシュサイズは、分析する試料の粒度又は公知の最大/最小粒径に基づき選択することができる。一部の実施形態では、ふるいのカラムをふるい分折に使用することができ、この場合カラムは2~20のふるい、例えば、5~15のふるいを含む。一部の実施形態では、ふるいのカラムをふるい分折に使用することができ、カラムは10のふるいを含む。一部の実施形態では、ふるい分折に使用されるふるいの最も大きなスクリーン開口又はメッシュサイズは1000μm、例えば、500μm、例えば、400μm、例えば、300μmであってよい。
【0200】
一部の実施形態では、本明細書で参照されたあらゆる微粒子材料(例えば、フィラー、タバコ材料及び全部の組成物)は、ふるい分折で測定した場合、約1000μm以下、例えば、約500μm以下、例えば、約400μm以下、例えば、約350μm以下、例えば、約300μm以下の粒径を有する、少なくとも50重量%の粒子を有することを特徴とすることができる。一部の実施形態では、本明細書で参照されたあらゆる微粒子材料の粒子の少なくとも60重量%は、ふるい分折で測定した場合、約1000μm以下、例えば、約500μm以下、例えば、約400μm以下、例えば、約350μm以下、例えば、約300μm以下の粒径を有する。一部の実施形態では、本明細書で参照されたあらゆる微粒子材料の粒子の少なくとも70重量%は、ふるい分折で測定した場合、約1000μm以下、例えば、約500μm以下、例えば、約400μm以下、例えば、約350μm以下、例えば、約300μm以下の粒径を有する。一部の実施形態では、本明細書で参照されたあらゆる微粒子材料の粒子の少なくとも80重量%は、ふるい分折で測定した場合、約1000μm以下、例えば、約500μm以下、例えば、約400μm以下、例えば、約350μm以下、例えば、約300μm以下の粒径を有する。一部の実施形態では、本明細書で参照されたあらゆる微粒子材料の粒子の少なくとも90重量%は、ふるい分折で測定した場合、約1000μm以下、例えば、約500μm以下、例えば、約400μm以下、例えば、約350μm以下、例えば、約300μm以下の粒径を有する。一部の実施形態では、本明細書で参照されたあらゆる微粒子材料の粒子の少なくとも95重量%は、ふるい分折で測定した場合、約1000μm以下、例えば、約500μm以下、例えば、約400μm以下、例えば、約350μm以下、例えば、約300μm以下の粒径を有する。一部の実施形態では、本明細書で参照されたあらゆる微粒子材料の粒子の少なくとも99重量%は、ふるい分折で測定した場合、約1000μm以下、例えば、約500μm以下、例えば、約400μm以下、例えば、約350μm以下、例えば、約300μm以下の粒径を有する。一部の実施形態では、本明細書で参照されたあらゆる微粒子材料の粒子のおよそ100重量%は、ふるい分折で測定した場合、約1000μm以下、例えば、約500μm以下、例えば、約400μm以下、例えば、約350μm以下、例えば、約300μm以下の粒径を有する。
【0201】
一部の実施形態では、本明細書で参照されたあらゆる微粒子材料の粒子の少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、少なくとも99重量%は、ふるい分折で測定した場合、約0.01μm~約1000μm、例えば、約0.05μm~約750μm、例えば、約0.1μm~約500μm、例えば、約0.25μm~約500μmの粒径を有する。一部の実施形態では、本明細書で参照されたあらゆる微粒子材料の粒子の少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、少なくとも99重量%は、ふるい分折で測定した場合、約10μm~約400μm、例えば、約50μm~約350μm、例えば、約100μm~約350μm、例えば、約200μm~約300μmの粒径を有する。
【0202】
口腔用使用に対する構築
口腔用使用に対して構築された組成物が本明細書に提供される。「口腔用使用に対して構築された」という用語は、本明細書で使用される場合、使用中に、ユーザーの口内の唾液が、組成物の構成成分(例えば、塩基性アミン、香味剤及び/又は活性成分)のうちの1種以上をユーザーの口に運ぶような形態で組成物が提供されることを意味する。ある特定の実施形態では、組成物は、ユーザーの口、ユーザーの消化系又は両方の粘膜を介してユーザーへ構成成分を送達するように適合されており、ある場合には、前記構成成分は、製品が使用される際、口内の粘膜を介して吸収され得る又は消化管を介して吸収され得るニコチン成分又は活性成分である(これらに限定されないが、例えば、ニコチン、刺激剤、ビタミン、アミノ酸、ボタニカル又はこれらの組合せを含む)。
【0203】
本明細書に記載されているように、口腔用使用に対して構築された組成物は、ゲル剤、パステル剤、ガム、咀嚼剤、溶融剤、錠剤、ロゼンジ剤、粉末及びパウチを含む様々な形態を取ることができる。ゲル剤は、軟質又は硬質であることができる。口腔用使用に対して構築されるある特定の組成物はパステル剤の形態である。本明細書で使用される場合、「パステル剤」という用語は、最終組成物がいくらか硬化した固形のゲルとなるように、液体又はゲル組成物を凝固することにより作製した、溶解可能な口腔用組成物を指す。ゲルの剛性は極めて変動可能である。本開示のある特定の組成物は固形の形態である。ある特定の組成物は、例えば、以下の特徴のうちの1種以上を示すことができる:クリスピー、ザラザラした、噛みごたえがある、シロップ状、ペースト状、フワフワした、平滑な、及び/又はクリーム状。ある特定の実施形態では、所望のテキスチャー特性は、接着性、粘着性、密度、乾燥、脆性、粒状性、ゴム状化、硬度、重感、水分吸収性、水分放出性、マウスコーティング、粗さ、滑り、滑らかさ、粘度、湿り度及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0204】
本明細書で開示されている組成物は、様々な形状へと形成することができ、これらは丸剤、錠剤、球、ストリップ、フィルム、シート、コイン、立方体、ビーズ、卵形、横長形、シリンダー、マメ形状、スティック又は棒を含む。組成物の断面形状は異なってもよく、例示的断面形状として、丸、正方形、楕円形、長方形などが挙げられる。このような形状は、移動ベルト、ニップ、押出し機、顆粒化デバイス、圧縮デバイスなどの装置を使用して、様々な方式で形成することができる。
【0205】
本開示の組成物は溶解可能であってよい。本明細書で使用される場合、「溶解する(dissolve)」、「溶解すること(dissolving)」及び「溶解可能な(dissolvable)」という用語は、口腔内で水分と相互作用し、溶液中に入り、これによって組成物のゆっくりとした消費を引き起こす水溶性の成分を有する組成物を指す。1つの態様に従い、溶解可能な組成物は、それが完全に溶解するまで、ユーザーの口の中で所与の期間の間存続することが可能である。溶解速度は、約1分間以下から約60分間まで幅広い範囲にわたり変動し得る。例えば、速い放出の組成物は通常、所望の構成成分(複数可)(例えば、活性成分、香味など)を約2分間以下、多くの場合、約1分間以下(例えば、約50秒以下、約40秒以下、約30秒以下又は約20秒以下)で溶解する及び/又は放出する。溶解は、任意の手段、例えば、溶融、機械的破壊(例えば、咀嚼)、酵素的若しくは他の化学分解又は組成物の構成成分の間の相互作用の破壊により生じ得る。他の実施形態では、製品は製品がユーザーの口内に滞留する間溶解しない。
【0206】
一部の実施形態では、組成物はチュアブルであることができ、これは、組成物が、咀嚼の際に軽度の弾性又は「はね返り」を有し、望ましい程度の展性を保有することを意味する。チュアブル形態の組成物は、完全に溶解してもよいし又は溶解しないガムの形態であってもよく、ある特定の構成成分のみ(例えば、活性成分、香味、甘味剤)が溶解して、非溶解マトリックスが後に残ってもよい。チュアブルの実施形態は一般的に結合剤、例えば、天然ガム又はペクチンを含む。一部の実施形態では、チュアブル形態の組成物は、1種以上の糖アルコールと共に、組成物の総重量に対して、少なくとも50重量%の量のペクチン及び有機酸を含む。一般的に、ペクチンは組成物の総重量に対して、約1~約3重量%の量で存在する。
【0207】
一部の実施形態では、例えば、その全体を参照により本明細書に組み込む、Cantrellらの米国特許出願公開第2012/0037175号に論じられているように、組成物は溶融可能であることができる。本明細書で使用される場合、「溶融する(melt)」、「溶融(melting)」及び「溶融可能な(meltable)」とは、組成物が固体から液体状態に変化する能力を指す。すなわち、溶融は、普通熱を加えることによって、物質(例えば、本明細書で開示されている組成物)が固体から液体に変化する場合に生じる。本明細書で開示されている組成物に関して熱を加えることは、ユーザーの口の内部温度により提供される。よって、「溶融可能な」という用語は組成物が固体から液体へと相を変えると、ユーザーの口内で液化が可能な組成物を指し、組成物の水溶性成分が水分と相互作用するにつれて、口腔内で単に溶解する組成物内の粘着性の損失を介して、口腔内で単に分解する組成物と区別することを意図する。一般的に、溶融可能な組成物は本明細書で上に記載されているような脂質を含む。一部の実施形態では、溶融可能な形態の組成物は、組成物の総重量に対して約35~約50重量%の量の脂質及び組成物の総重量に対して約35~約55重量%の量の糖アルコールを含む。一部の実施形態では、糖アルコールはイソマルト、エリスリトール、ソルビトール、アラビトール、リビトール、マルチトール、ズルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、糖アルコールはイソマルトである。
【0208】
ある特定の実施形態では、組成物は圧縮又は成型されたペレットの形態である。例示的ペレットの重量は、約250mg~約1500mg、例えば、約250mg~約700mg又は約700mg~約1500mgの範囲である。ペレットは、従来の丸剤又は錠剤の形状を含む様々な形状のうちのいずれかを有することができる。一般的に、錠剤形態の組成物はグルコース-多糖ブレンド及び糖アルコールを含む。一部の実施形態では、グルコース-多糖ブレンドは組成物の総重量に対して約35~約50重量%の量で存在し、糖アルコールは組成物の総重量に対して約30~約45重量%の量で存在する。一部の実施形態では、糖アルコールはイソマルト、エリスリトール、ソルビトール、アラビトール、リビトール、マルチトール、ズルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、糖アルコールはイソマルトである。
【0209】
一部の実施形態では、組成物は、溶解可能で、軽くチュアブルな、口腔用使用のためのパステル剤製品の形態であってよい。本明細書で使用される場合、「パステル剤」という用語は、液体又はゲルの組成物を凝固することにより作製した溶解可能な口腔用製品、例えば、最終生成物が硬化した固体ゲルとなるようにゲル化剤又は結合剤を含む組成物を指す。パステル剤製品は代わりに軟質ロゼンジ剤を指すこともできる。ある特定の実施形態では、本開示のパステル剤製品は、急速に崩壊することなく、口腔内での軽い咀嚼行為に耐える位十分な粘着性を特徴とする。本開示のパステル剤製品は通常、従来のチューインガムに見出されるような極めて変形しやすい咀嚼性の品質を示さない。例えば、無煙タバコパステル剤、パステル剤の製剤化、パステル剤の構成、パステル剤の特徴及び記載されているパステル剤を製剤化又は製造するための技術については、参照により本明細書に組み込まれる、Cantrellらによる米国特許第9,204,667号;Cantrellらの米国特許第9,775,376号;Marshallらの米国特許第10,357,054号を参照されたい。ガム(又は2種以上のガムの組合せ)は、パステル剤製品に所望の物理的特質及び物理的完全性をもたらすのに十分な量で利用することができる。本開示のパステル剤製品はフィラー成分の形態で少なくとも1種の糖アルコールを含むことができる。糖アルコールは本開示のパステル剤においてフィラー成分として特に有利である。これは、このような材料がいくらかの甘みに寄与し、最終生成物の所望のチュアブル特徴を破壊しないからである。一部の実施形態では、イソマルトが唯一のフィラー成分として組み込まれてもよい。一部の実施形態では、フィラーは、糖代替物、例えば、アルロース、溶解性タピオカ繊維及びイヌリンのうちの1種以上を含む。このような糖代替物は糖アルコールに対する代替であってもよいし、又は1種以上の糖アルコールと組み合わせて使用してもよい。
【0210】
一部の実施形態では、組成物は口腔用使用に対して構築された溶解可能なロゼンジ剤製品の形態であってよい。本発明の例示的ロゼンジ剤タイプの製品はロゼンジ剤、錠剤、ミクロタブ又は他の錠剤タイプの製品の形態を有する。例えば、参照により本明細書に組み込む、Shawの米国特許第4,967,773号;Acharyaの米国特許第5,110,605号;Damの米国特許第5,733,574号;Santusの米国特許第6,280,761号;Anderssonらの米国特許第6,676,959号;Wilhelmsenの米国特許第6,248,760号;及び米国特許第7,374,779号;Wilhelmsenの米国特許出願公開第2001/0016593号;Liuらの米国特許出願公開第2004/0101543号;Mcneightの米国特許出願公開第2006/0120974号;Chauらの米国特許出願公開第2008/0020050号;Ginらの米国特許出願公開第2009/0081291号;及びAxelssonらの米国特許出願公開第2010/0004294号に記載されている、ニコチン含有ロゼンジ剤のタイプ、ロゼンジ剤の配合、ロゼンジ剤のフォーマット及び構成、ロゼンジ剤の特徴並びにロゼンジ剤を製剤化する又は製造するための技術を参照されたい。
【0211】
ロゼンジ剤製品は「硬質」であると一般的に説明されており、軟質ロゼンジ剤(すなわち、パステル剤)からこのような方式で区別される。硬質ロゼンジ剤は非晶質の状態での糖及び/又は炭水化物の混合物である。ロゼンジ剤製品は水性シロップから作製されるが、最初に存在する水は、加工中にシロップ剤が煮沸するにつれて蒸発し、これによって最終製品中の水分は非常に低い、例えば、0.5%~1.5重量%である。硬質であり粘着性ではないロゼンジ剤を得るために、溶融物の温度は一般的にハードクラック段階に到達しなければならず、例示的温度範囲は149℃~154℃である。
【0212】
一部の実施形態では、ロゼンジ剤タイプの製品は半透明又は透明性を示し得る。製品の所望の透明性又は透光性は任意の公知の方法で定量化することができる。例えば、光学的方法、例えば、比濁法(又はネフェロメトリー)及び比色を使用して、製品の濁り(光散乱)及び色(光吸収)をそれぞれ定量化することができる。透光性はまた、製品を光源に対して単に掲げて、光が材料又は製品を介して拡散した方式で進むかどうかを判定することにより、目視検査で確認することができる。
【0213】
本開示のロゼンジ剤タイプの製品は少なくとも1種の活性成分に加えて様々な異なる添加剤を組み込むことができ、ロゼンジ剤タイプの製品を調製するための、一般的に当技術分野で公知の様々な異なる方法に従い調製することができる。一部の実施形態では、ロゼンジ剤製品は糖代替物を含む。ある特定の実施形態では、糖代替物はガラス質マトリックスを形成することが可能である。ガラス質マトリックスの形成は一般的に半透明/透明な外観を特徴とする。通常、糖代替物は実質的に非吸湿性である。非吸湿性材料は通常、空気から有意な量の水分を吸収、吸着及び/又は保持しない。糖代替物は、任意のシュガーレス材料(すなわち、スクロースを含まない材料)であることができ、天然又は合成的に生成されたものであることができる。本明細書に記載されている製品に使用される糖代替物は栄養のあるもの又は栄養のないものであることができる。例えば、糖代替物は一般的に糖アルコールである。本発明に従い有用となり得る糖アルコールとして、これらに限定されないが、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール(ribotol)、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、イジトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、ポリグリシトール及びこれらの混合物が挙げられる。消費者による製品の使用前の、本明細書に記載されているロゼンジ剤の含水量は,製品の最終形態を決定づけることに加えて、所望の特性及び特徴に従いこのような範囲内で変動し得る。例えば、ロゼンジ剤タイプの製品は通常、組成物の総重量に対して約0.1~約5重量パーセントの範囲内で含水量を保有する。
【0214】
一部の実施形態では、本開示の組成物は水分透過性容器(例えば、水透過性パウチ)内に配置される。水透過性パウチフォーマットのこのような組成物は通常、ヒト対象/ユーザーの口内に、混合物を含有する1つのパウチを配置することにより使用される。一般的に、パウチは、湿潤型嗅ぎタバコ製品が一般的に使用されるのと同様に、ユーザーの口腔内のどこか、例えば、唇の下に配置される。パウチは好ましくは咀嚼も、嚥下もされない。よって唾液への曝露は、その中の組成物の構成成分の一部(例えば、香味剤及び/又はニコチン)が、例えば、水透過性パウチへを通過することを引き起こし、ユーザーに香味及び満足度を提供し、ユーザーは混合物のいずれかの部分を吐き出す必要はない。約10分間~約60分間、通常約15分間~約45分間使用し/楽しんだ後、相当量の混合物はヒト対象により取り込まれ、パウチは廃棄処分のためにヒト対象の口から除去することができる。
【0215】
したがって、ある特定の実施形態では、本明細書で開示されている組成物及び上記に述べられた任意の他の構成成分は、口腔用使用に対して構築されたパウチ製品を提供するために、組成物の使用のための容器として作用する水分透過性パケット又はパウチ内で組み合わせる。本開示のある特定の実施形態は、添付の図の
図1を参照して記載され、これらの記載された実施形態は、外側パウチを有し、本明細書に記載されている混合物を含有するスヌースタイプの製品に関する。以下により詳細に説明されているように、このような実施形態は単に例示により提供されているものであり、本開示のパウチ製品は他の形態で組成物に含むこともできる。このようなパケット又はパウチの混合物/構築、例えば、
図1に例示されている実施形態の容器パウチ102などは異なってもよい。
図1を参照すると、パウチ製品100の第1の実施形態が示されている。パウチ製品100はパウチ102の形態の水分透過性容器を含み、これは本明細書に記載されている組成物を含む材料104を含有する。
【0216】
無煙タバコ製品の製造に使用されているタイプの適切なパケット、パウチ又は容器は、商標名CatchDry、Ettan、General、Granit、Goteborgs Rape、Grovsnus White、Metropol Kaktus、Mocca Anis、Mocca Mint、Mocca Wintergreen、Kicks、Probe、Prince、Skruf及びTreAnkrareの下で入手可能である。混合物は、従来のスヌースタイプの製品の製造に対して使用されている方式で、及び使用されているタイプの構成成分を使用してパウチに含有され、包装され得る。パウチは、ティーバッグの構築に使用されているメッシュ様タイプの材料に性質が類似すると見なすことができるタイプの液体透過性容器を提供する。構成混合物の成分はパウチを介して、ユーザーの口の中へと容易に拡散する。
【0217】
適切なタイプのパウチの非限定的例は、例えば、それぞれを参照により本明細書に組み込む、Kjerstadの米国特許第5,167,244号及びSebastianらの米国特許第8,931,493号;並びにSebastianらの米国特許出願公開第2016/0000140号;Sebastianらの米国特許出願公開第2016/0073689号;Chapmanらの米国特許出願公開第2016/0157515号;及びSebastianらの米国特許出願公開第2016/0192703号に記載されている。パウチは個々のパウチとして提供することもできるし、又は複数のパウチ(例えば、2、4、5、10、12、15、20、25又は30個のパウチ)を一緒に結合若しくは連結することもでき(例えば、端と端を合わせる方式で)、これによって単一のパウチ又は個々の部分が、使用のために、パウチの一体形ストランド又はマトリックスから容易に除去することができるようになっている。
【0218】
例示的パウチは、材料から、ユーザーによる使用中、パウチに制御された分散又は溶解が生じるような方式で製造することができる。このようなパウチ材料は、メッシュ、スクリーン、ミシン目付ペーパー、透過性織物などの形態を有することができる。例えば、メッシュ様形態のライスペーパー又はミシン目付ライスペーパーから製造されたパウチ材料は、ユーザーの口内で溶解し得る。その結果、パウチ及び混合物はそれぞれ正常な使用条件の間、ユーザーの口の中で完全な分散が生じ、したがってパウチも混合物も両方ともユーザーにより取り込まれ得る。パウチ材料の他の例は、水分散性フィルム形成材料(例えば、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、プルランなどの結合剤)、並びに粉砕したセルロース系(例えば、微粒子サイズ木材パルプ)などの材料と組み合わせた材料を使用して製造することができる。好ましいパウチ材料は、水分散性又は溶解可能ではあるが、正常な使用の条件下で、混合物含有量の有意な量が、パウチその物理的完全性の損失を受ける時間になる前に、パウチ材料を介して透過するように設計及び製造することができる。所望する場合、香味成分、崩壊助剤及び他の所望の構成成分を、パウチ材料内に組み込む、又は塗布することができる。一部の実施形態では、水は本明細書に記載されている組成物を含むパウチ材料に塗布される。一部の実施形態では、パウチ形態の口腔用製品は、パウチされた口腔用製品の総重量に対して、約15~約50重量%の量の水、例えば、パウチされた口腔用製品の総重量に対して、約15、約20、約25又は約30から、約35、約40、約45又は約50重量%までの水を含む。
【0219】
各製品単位、例えば、パウチの中に含有される材料の量は変動し得る。一部の実施形態では、各パウチ内の混合物の重量は少なくとも約50mg、例えば、約50mg~約1グラム、約100~約800mg又は約200~約700mgである。一部のより小さな実施形態では、各パウチ内の混合物の重量は約100~約300mgであってもよい。より大きな実施形態に対して、各パウチ内の材料の重量は約300mg~約700mgであってもよい。所望する場合、他の構成成分を各パウチ内に含有することができる。例えば、香味づけた水分散性又は水溶性材料(例えば、息爽快化食用フィルムタイプの材料)の少なくとも1枚の香味づけたストリップ、小片又はシートを、少なくとも1種のカプセル剤と共に又はカプセル剤なしで各パウチ内に配置することもできる。このようなストリップ又はシートは、折り畳む又はクランプルすることによって、パウチ内に容易に組み込むこともできる。例えば、参照により本明細書に組み込む、Scottらの米国特許第6,887,307号及びLeungらの米国特許第6,923,981号、並びに「The EFSA Journal」(2004年)85巻、1~32頁に記載されている種類の材料及び技術を参照されたい。
【0220】
本明細書に記載されているパウチ製品は、任意の適切な内側の包装材料及び/又は外側の容器内に包装することができる。また、例えば、参照により本明細書に組み込む、Hensonらの米国特許第7,014,039号;Kutschらの米国特許第7,537,110号;Kutschらの米国特許第7,584,843号;Gelardiらの米国特許第8,397,945号、Thiellierの米国特許第D592,956号;Patelらの米国特許第D594,154号;及びBaileyらの米国特許第D625,178号;Robinsonらの米国特許出願公開第2008/0173317号;Clarkらの米国特許出願公開第2009/0014343号;Bjorkholmの米国特許出願公開第2009/0014450号;Bellamahらの米国特許出願公開第2009/0250360号;Gelardiらの米国特許出願公開第2009/0266837号;Gelardiの米国特許出願公開第2009/0223989号;Thiellierの米国特許出願公開第2009/0230003号;Gelardiの米国特許出願公開第2010/0084424号;及びBaileyらの米国特許出願公開第2010/0133140号;Baileyらの米国特許出願公開第2010/0264157号;及びBaileyらの米国特許出願公開第2011/0168712号に記載されている無煙タイプの製品のための様々な種類の容器を参照されたい。
【0221】
貯蔵及び貯蔵期間
口腔用使用に対して構築された本開示の組成物(例えば、パウチされた形態)は、従来のタイプの無煙タバコ製品がパッケージされ、貯蔵されるのとほぼ同じ方式で任意の適切な包装内にパッケージされ、貯蔵され得る。例えば、複数のパケット又はパウチは円柱状の容器に含有されてもよい。調製後の製品の貯蔵期間は異なってもよい。本明細書で使用される場合、「貯蔵期間」とは、開示された製品の調製後の期間を指す。一部の実施形態では、本明細書で開示されている製品の1つ以上の特徴(例えば、変色の欠如、揮発性香味成分の保持、ニコチンの保持)は、貯蔵期間の一部又はすべてにわたり示される。一部の実施形態では、貯蔵期間(すなわち、調製後の期間)は少なくとも1日である。一部の実施形態では、貯蔵期間は、約1日、約2日、若しくは約3日から、約1週まで、又は約1週~約2週、約2週~約1カ月、又は約1カ月から約2カ月、約3カ月、約4カ月、約5カ月、又は約6カ月までである。一部の実施形態では、貯蔵期間は約1~約180日の間のいずれかの日数である。ある特定の実施形態では、貯蔵期間は6カ月、例えば、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、約11カ月、約12カ月、約18カ月又は約24カ月より長くてもよい。
【0222】
一部の実施形態では、安定性を増強することは、約8より高いpHを有する、口腔用使用に対して構築された組成物と比較して、貯蔵期間にわたり、組成物からの塩基性アミン(例えば、ニコチン)の蒸発による損失を減少させることを含む。
【0223】
一部の実施形態では、貯蔵期間は、調製後から、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月又は6カ月のうちの1つ以上である。一部の実施形態では、塩基性アミン(例えば、ニコチン)の損失は6カ月の貯蔵期間後、約5%未満である。一部の実施形態では、貯蔵期間は6カ月より長い、12カ月より長い、18カ月より長い又は24カ月よりさらに長い。
【0224】
組成物の調製
混合物の様々な構成成分が組み合わせられる方式は異なってもよい。よって、様々な構成成分と、例えば、粉末化された混合物構成成分との全体的な混合物は、比較的に均一な性質であることができる。上述の構成成分は、液体又は乾燥固体形態であってもよく、混合物の任意の残留構成成分との混合前の前処理ステップにおいて混和することもできるし、又はすべての他の液体若しくは乾燥成分と一緒に単に混合することもできる。混合物の様々な構成成分は、当技術分野で公知の任意の混合技術又は装置を使用して、一緒に接触させる、組み合わせる、又は混合することができる。混合物成分を密接に接触させる任意の混合方法、例えば、インペラ又は他の撹拌可能な構造を特徴とする混合装置を使用することができる。混合装置の例として、ケーシングドラム、コンディショニングシリンダー又はドラム、液体スプレー装置、コニカル型ブレンダー、リボンブレンダー、Littleford Day、Inc.から入手可能なミキサー、例えば、FKM130、FKM600、FKM1200、FKM2000及びFKM3000、Plough Share型ミキサーシリンダー、Hobartミキサーなどが挙げられる。例えば、それぞれを参照により本明細書に組み込む、Solomonらの米国特許第4,148,325号;Korteらの米国特許第6,510,855号;及びWilliamsの米国特許第6,834,654号に記載されている種類の方法も参照されたい。一部の実施形態では、混合物を形成する構成成分は、その混合物が混合物を形成するためのデンプン成型プロセスにおいて使用され得るように調製される。混合物を製剤化するための方式及び方法は当業者には明らかである。例えば、それぞれを参照により本明細書に組み込む、Solomonらの米国特許第4,148,325号;Korteらの米国特許第6,510,855号;及びWilliamsの米国特許第6,834,654号、Ridgwayらの米国特許第4,725,440号及びBolderらの米国特許第6,077,524号記載されている種類の方法を参照されたい。
【0225】
錠剤製品を調製する方法
一部の実施形態では、組成物は圧縮されたペレット又は錠剤の形態である。一実施形態では、ペレット又は錠剤を作製するためのプロセスは、塊状フィラー(例えば、EMDEX(登録商標))及び活性成分の第1の混合を含む。残留する組成物成分(例えば、糖アルコール及び任意の他の所望の構成成分、例えば、結合剤、着色剤、甘味剤、香味剤など)を次いで添加する。任意選択的に、着色剤は組成物の残留する構成成分と混合する前の別個のステップにおいて、組成物構成成分のうちの1つに添加することができる。組成物の混合は任意の混合装置を使用して達成することができる。次いで、従来の錠剤化技術を使用して、最終組成物をペレット又は錠剤形態に圧縮し、任意選択的にコーティングする。圧縮された組成物ペレットは、任意の関連する製剤の構成成分を含む組成物を圧縮することにより、ペレットの形態に生成することができ、任意選択的に各ペレットをオーバーコート材料でコーティングする。例示的圧縮デバイス、例えば、圧縮プレスはColton 2216及びColton2247としてVector Corporationから、並びに1200i、2200i、3200、2090、3090及び4090としてFette Compactingから入手可能である。外側コーティング層を、圧縮、ペレット化した組成物に提供するためのデバイスはCompuLab 24、CompuLab 36、Accela-Cota 48及びAccela-Cota 60としてThomas Engineeringから入手可能である。存在する場合、コーティングは通常、膜形成ポリマー、例えば、セルロース系ポリマー、任意選択の可塑剤及び任意選択の着香剤、着色剤、塩、甘味剤又は本明細書に記載されている種類の他の添加剤を含む。コーティング組成物は普通水性の性質であり、当技術分野で公知の任意のペレット又は錠剤コーティング技術、例えば、パンコーティングを使用して適用することができる。例示的膜形成ポリマーとして、セルロース系ポリマー、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。例示的可塑剤として、モノステアリン酸グリセリル及びクエン酸トリエチルの水溶液又は乳濁液が挙げられる。追加の潜在的なコーティングとして、食品用銘柄セラック、ワックス、例えば、カルナウバ(carnuaba)ワックス及びこれらの組合せが挙げられる。
【0226】
パステル剤製品を調製する方法
一部の実施形態では、組成物はパステル剤の形態である。本明細書の上記に記載されているパステル剤製品を製剤化及び製造するために使用される方式及び方法は変動し得る。例えば、パステル剤製品を形成する組成物は、その混合物を、パステル剤製品を形成するためのデンプン成型プロセスに使用することができるように調製される。例示的パステル剤生産プロセスは、参照により本明細書に組み込まれる、Ridgwayらの米国特許第4,725,440号及びBolderらの米国特許第6,077,524号に記載されている。一部の実施形態では、パステル剤製品を形成するための組成物は、その混合物をデンプン含有量の低い成型プロセス(例えば、成型プロセスにデンプンベースの構成成分を含まない)に使用して、パステル剤製品を形成することができるように、調製されてもよい。
【0227】
一実施形態では、本方法は、ガムを加熱し、任意選択的にガム構成成分を水で水和させ、次いで少なくとも1種の活性成分を撹拌して、加熱したガム構成成分を得るステップを含む。一般的に、ガムは、約60℃~約80℃の範囲の温度に、数秒間~数分間の期間にわたり加熱することができる。一部の実施形態では、ガムは、少なくとも1種の活性成分の中で撹拌する前に、温度約71℃に加熱して、少なくとも活性成分をその中に溶解させてもよい。ある場合には、水性混合物は、1種以上の添加剤(例えば、塩、甘味剤、保湿剤、乳化剤、香味剤及びその他)を水と混合して、水性混合物を形成することによって、別個の容器内で形成される。次いで、水性混合物は、加熱したガムと混和して(その中に添加された少なくとも1種の活性成分を含む)、スラリーの形態の混合物を形成することができる。
【0228】
一部の実施形態では、少なくとも1種の糖アルコール構成成分は、この混合物に別々に添加してもよいし、又は他の実施形態では、少なくとも1種の糖アルコールは、混合物への添加前にガム及び活性成分と組み合わせてもよい。ある場合には、少なくとも1種の糖アルコールはまたもう一つの別個の容器内で加熱し、混合物に別々に添加してもよい。例えば、一部の実施形態では、少なくとも1種の糖アルコール(任意選択的にイソマルト/マルチトール/エリスリトールを含んでもよい)は、混合物への添加前に、約160℃~約190℃の範囲の温度に加熱してもよい。一部の実施形態では、少なくとも1種の糖アルコールは、少なくとも約160℃、少なくとも約170℃、少なくとも約180℃又は少なくとも約190℃の温度に加熱してもよい。ある場合には、加熱した糖アルコールは、混合物への添加以前に、約120℃~約160℃の範囲の温度まで冷却してもよい。一部の実施形態では、例えば、加熱した糖アルコールは、混合物への添加以前に、約160℃以下、約150℃以下、約140℃以下又は約130℃以下の温度まで冷却してもよい。
【0229】
ある場合には、加熱した(及び任意選択的に冷却した)糖アルコールは、混合物(例えば、加熱したガム、少なくとも1種の活性成分及び水性混合物を含む)と合わせ、ホイップピングアタッチメントを有する高い剪断ミキサー又はHobartミキシングボウルを使用して撹拌することによって、パステル剤組成物を得ることができ、このパステル剤組成物はまたスラリーの形態であってもよい。次いで、パステル剤組成物を高温へと、ある期間の間加熱し、例えば、約40℃~約80℃の間加熱し、通常約71℃に約1~約3分間の期間加熱して、例えば、パステル剤組成物内のあらゆる乾燥成分を溶解することができる。加熱ステップは、少なくとも約50℃、少なくとも約60℃又は少なくとも約70℃の温度での加熱を特徴とすることができる。パステル剤組成物は、組成物の総重量に対して、少なくとも約40重量パーセントの水という水分を通常有する。
【0230】
一部の態様に従い、パステル剤組成物は、スラリーの形態で、型に入れる前又は他の加工ステップに供する前に、任意選択的に脱気ステップ又はプロセスを通過させることにより、スラリー混合物中に存在する気泡を減少させる又は排除することができる。スラリー内に封じ込められた気泡はパステル剤製品の最終重量に影響を与えることもあり、最終生成物の単位間での重量均一性の欠如をもたらす可能性がある。よって、このような気泡をスラリー材料から除去するためのいかなる脱気方法及びシステムも利用することができる。例えば、スラリーを減圧下に配置して(すなわち、大気圧未満)、スラリー混合物から気泡を引き抜くことができる。ある場合には、真空脱気プロセスが利用されてもよく、この場合スラリー混合物は、圧力の低下を使用して、スラリー混合物を脱気するために真空脱気装置内に配置される。ある場合には、スラリー混合物は約1~約10分間、通常約3~約5分間真空下に置かれてもよい。脱気ステップは、スラリー混合物から気体構成成分を制御可能なように除去するために、適宜観察し、調整することができる。
【0231】
加熱及び脱気したスラリー混合物の粘度は、例えば、Brookfield粘度計HAシリーズ、SC4ウォータージャケット、27/13R試料チャンバー及びNo.27スピンドルを使用して測定することができる。パステル剤組成物は、温度約38℃に加熱した場合、約5.7Pascal秒(Pa・s)~約6.2Pa・sの粘度、温度約43℃に加熱した場合、約4.9Pa・s~約5.4Pa・sの粘度及び温度約50℃に加熱した場合約4.2Pa・s~約4.7Pa・sの粘度を有し得る。ある場合には、余分な水をパステル剤組成物に添加して、その所望の粘度を得ることもできる。
【0232】
所望の粘度を達成したら、次いで加熱したパステル剤組成物を型、例えば、デンプン型に堆積させることができる。さらに本明細書に記載されているプロセスは、デンプン型を使用してパステル剤製品を形成することを対象とするが、本プロセスで他の種類の型、例えば、デンプン含有量の低い型、ペクチン型、プラスチックトレイ型、シリコーントレイ型、金属トレイ型、ネオプレントレイ型などを使用することができることに注目されたい。
【0233】
デンプン型の使用を含む事例において、デンプン型は、予め乾燥させて、デンプン型それ自体から水分を除去することができる。すなわち、スラリー又は粘性のパステル剤組成物を入れる前に、デンプン型は、高温に供することによって、デンプン型内の水分を排除することができる。例えば、ある場合には、デンプン型は最初に約10~15重量パーセントの水分を有し得る。このような水分レベルは、生成した製品の均一性に対して影響を潜在的に有する可能性がある。この関連で、デンプン型内のある特定の水分レベルは、製品に対してしわを作る作用又は刈り込み作用を潜在的に有することで、最終生成物が縮んだ、又はさもなければしわがよった外観を有してしまう。よって、デンプン型は高温で乾燥させて、デンプン型の総重量に対して、デンプン型の水分を、約4~約10重量パーセントの間、好ましくは、約6~約8重量パーセントの間に減少させることができる。このようなステップを踏むことにより、製品は、ある場合には、見かけをより均一に一致させることができる。さらに、デンプン型は、パステル剤組成物を入れる前に高温に加熱することで、パステル剤組成物を入れる時点でデンプン型それ自体が高温となるようにすることができる。
【0234】
パステル剤組成物は、高温で例えば、約40℃~約80℃の間(例えば、少なくとも約40℃又は少なくとも約50℃)及び通常約60℃でデンプン型内に留まる。パステル剤組成物は、既定の期間の間、例えば、約12~48時間の間、通常約24時間の間、高温で保持することによって、パステル剤組成物の水分を所望の最終水分レベルまで追い出しながら、パステル剤組成物を硬化させ、パステル剤形態へと凝固させることができる。上述のように、一部の実施形態では、パステル剤製品の所望の最終水分レベルは、製品単位の総重量に対して約5~約25重量パーセント又は約8~約20重量パーセント又は約10~約15重量パーセントの範囲内であってよい。この関連で、硬化とは、一般的に、水分損失が生じ、組成物の粘度が上昇し、化学的及び物理的変化(例えば、結晶化、架橋、ゲル化、フィルム形成など)が生じ始める固化プロセスを指す。パステル剤組成物は冷却させ、その後デンプン型から取り出す。ある場合には、パステル剤組成物は冷蔵温度又は周辺温度未満で冷却させてもよい。デンプン型から取り出した後、空気送風器/振盪機デバイスを使用して、デンプン残留物をパステル剤組成物から除去することができる。
【0235】
次いで、パステル剤組成物は、組成物の所望の水分、形状及び形態へと平衡化させるのに適切な時間及び温度で後硬化を行う。時間及び温度は、本発明から逸脱することなく変動し、製品の所望の最終的特徴に部分的に依存し得る。一実施形態では、型から取り出した後、後硬化を周辺温度で少なくとも約20時間行う。生成したパステル剤製品は、個々の重さが約0.5グラム~約5グラムの間のパステル剤製品で提供され得るが、ただし本開示の態様はこのような重量に限定されない。
【0236】
パステル剤組成物の硬化時間及び温度は、所望する場合、変動させることができる。この関連で、このような変数は、パステル剤製品の最終の視覚的外観に影響を与え得る。例えば、より長い硬化時間及び/又は低い硬化温度は、パステル剤製品の最終の外側の構成又は輪郭に影響を与え得る。すなわち、製品の乾燥及び/又は硬化の速度は、製品の最終特性に影響を与える可能性がある。ある場合には、例えば、硬化温度の低下及び硬化時間の延長はパステル剤製品の外面を比較的平滑にすることができる。対照的に、より高い温度で、より短い期間の硬化は、製品に、粗面化した又はしわのある外観をもたらす可能性がある。
【0237】
本開示の他の態様によると、パステル剤製品を調製するために型を使用するよりもむしろ押出しプロセスを利用してもよく、このプロセスでは最終パステル剤製品は押し出される。ある場合には、スラリー形態のパステル剤組成物はシート型に形成され、例えば、水分が約15重量パーセント~約25重量パーセントの水となるまで乾燥させて、粘着性の又はさもなければペースト状の材料を形成し、この材料は物理的取扱いが可能な形態である。次いで、材料は切り刻み、又はさもなければ、例えば、ミキサーを使用してより小さな小片へと切断してもよい。次いで、切り刻んだ材料は、押出しデバイスを介して、型で達成するには困難又は不可能であり得る形状を含めた、任意の所望の形状/サイズへと押し出すことができる。ある場合には、押し出された製品は次に乾燥させて、所望の水分を達成することもできる。類似の種類のプロセスが、例えば、その全体を参照により本明細書に組み込む、Smylieらの米国特許第3,806,617号に記載されている。さらに、パステル剤組成物は別の組成物と共に共押出しプロセスに供することもできる。
【0238】
例えば、棒及び立方体などの形状は、所望の断面(例えば、円形又は正方形)を有するダイを介して材料を最初に押出し加工し、次いで任意選択的に押し出された材料を所望の長さに切断することにより形成することができる。タバコ材料を押出し加工するための技術及び装置は、それぞれを参照により本明細書に組み込む、Wursburgの米国特許第3,098,492号;Tamolらの米国特許第4,874,000号;Gravesらの米国特許第4,880,018号;Keritsisらの米国特許第4,989,620号;Lukeらの米国特許第5,072,744号;Whiteらの米国特許第5,829,453号;及びWhiteらの米国特許第6,182,670号に記載されている。使用するのに適した例示的押出し装置として、食品又はガム押出し機又は工業用パスタ押出し機、例えば、Emiliomiti、LLC of Italyから入手可能なModel TP200/300が挙げられる。ある場合には、単一の機器が本明細書に記載されているプロセスの複数のステップを達成することが可能なこともあり、これは、例えば、Buss AGから入手可能なニーダー装置である。
【0239】
パステル剤製品は、任意の適切な既定の形状又は形態で提供することができ、最も好ましくは、丸剤、ペレット、錠剤、コイン、ビーズ、卵形、横長形、立方体などの一般的な形状を有する形態で提供される。パステル剤製品の口当たりは、好ましくは、わずかにチュアブルで、溶解可能な品質を有し、咀嚼すると軽度の弾性又は「はね返り」があり、使用中はより大きな展性を徐々にもたらす。一態様によると、パステル剤製品は、好ましくは、それが完全に溶解するまで、ユーザーの口内に約10~15分間存続することが可能である。好ましくは、製品は、任意の実質的な程度まで、そのユーザーの口内にいかなる残留物も残さず、ユーザーの口に、ツルツルとして、ろう状の又はネバネバした感覚を付与しない。
【0240】
一部の実施形態によると、パステル剤組成物は、デンプン型から取り出した後及び乾燥させる前に、コーティング物質でコーティングすることができる。例えば、艶出し又は抗付着コーティング物質、例えば、例えば、CAPOL 410(Centerchem、Inc.から入手可能)をパステル剤組成物に塗布して、自由流動性の特性を得ることができる。外側コーティングはまた、本開示のパステル剤製品の貯蔵安定性を改善すること、並びに脆砕性及びダスティングを減少させることにより包装プロセスを改善することを助けることができる。外側コーティング層を本開示の製品に提供するためのデバイスとして、パンコーター及びスプレーコーターが挙げられ、特にThomas EngineeringからCompuLab24、CompuLab36、Accela-Cota 48及びAccela-Cota 60として入手可能なコーティングデバイスが挙げられる。
【0241】
例示的外側コーティングは、膜形成ポリマー、例えば、セルロース系ポリマー、任意選択の可塑剤及び任意選択の着香剤、着色剤、塩、甘味剤又は本明細書に記載されている種類の他の添加剤を含む。コーティング組成物は普通水性の性質であり、当技術分野で公知の任意のペレット又は錠剤コーティング技術、例えば、パンコーティングを使用して塗布することができる。例示的膜形成ポリマーとして、セルロース系ポリマー、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。例示的可塑剤として、モノステアリン酸グリセリル及びクエン酸トリエチルの水溶液又は乳濁液が挙げられる。
【0242】
一実施形態では、コーティング組成物は、約75重量パーセントまでの膜形成ポリマー溶液(例えば、コーティング配合物の総重量に対して、約40~約70重量パーセント)、約5重量パーセントまでの可塑剤(例えば、約0.5~約2重量パーセント)、約5重量パーセントまでの甘味剤(例えば、約0.5~約2重量パーセント)、約10重量パーセントまでの1種以上の着色剤(例えば、約1~約5重量パーセント)、約5重量パーセントまでの1種以上の着香剤(例えば、約0.5~約3重量パーセント)、約2重量パーセントまでの塩、例えば、NaCl(例えば、約0.1~約1重量パーセント)及びバランスウォーターを含む。塗布の例示的コーティング組成物及び方法は、2010年9月7日出願の、参照により本明細書に組み込む、Huntらの米国出願第12/876,785号に記載されている。
【0243】
前述の説明は、各製品単位全体にわたり均一な組成物に集中しているが、製品は、同じ製品単位に異なる特性を有する複数の異なる配合物で形成することもできる。例えば、2種の異なる組成物を単一型に堆積させて、層状にした製品を生成することもできる。またさらに、2種の異なる組成物を共押し出して、その断面にわたり異なる特徴を有する製品を形成することもできる。このようなプロセスを使用して、製品の第1の部分が第1の速度で溶解し(例えば、より速い速度で)及び第2の部分が第2の遅い速度で溶解するように、異なる溶解速度を特徴とする2種の異なる組成物を有する製品を提供することができる。
【0244】
ロゼンジ剤製品を調製する方法
一部の実施形態では、組成物はロゼンジ剤の形態である。本明細書で上記に記載されているロゼンジ剤製品を製剤化及び製造するために使用される方式及び方法は異なってもよい。例えば、組成物は固ゆでの菓子類の調製に一般的に使用される任意の方法を介して調製することができる。硬い菓子類の調製のための例示的方法は、例えば、参照により本明細書に組み込む、「LFRA Ingredients Handbook、Sweeteners」、Janet M.Dalzell編、Leatherhead Food RA(1996年12月)、21~44頁に見出すことができる。
【0245】
通常、成分の第1の混合物を調製する。成分の第1の混合物の組成は異なってもよい。しかし、それは通常糖代替物を含み、様々な追加の物質(例えば、糖アルコールシロップ剤、NaCl、保存剤、さらなる甘味剤、水及び/又は香味剤)を含有し得る。ある特定の実施形態では、それは糖代替物、塩及びバニリンを含む。他の実施形態では、第1の混合物は糖代替物及び糖アルコールシロップ剤を含む。通常、成分の第1の混合物は活性成分を含有しない。ただし、一部の実施形態では、活性成分が成分の第1の混合物に組み込まれてもよい。
【0246】
成分の第1の混合物はそれが溶融するまで加熱する。続いて、混合物をハードクラック段階まで、又はそれを通り越して加熱する。菓子類作りでは、ハードクラック段階とは、加熱した混合物のスレッド(冷却したシロップの試料を親指と人差し指の間で挟んで引き抜くことで得られる)が壊れやすくなる温度、又はシロップ剤を型に入れるよう試みるとクラッキングが生じる温度と定義される。本発明の方法に従い、ハードクラック段階が達成される温度は、生成混合物の特定の組成に応じて変動し得るが、一般的には約145℃~約170℃の間である。通常、混合物は約171℃より上に加熱されず、この約171℃はカラメル化が生じ始める温度である。本開示のプロセスにおいて、混合物は通常ハードクラック段階温度又はその上まで加熱し、次いで冷却させる。加熱は大気圧又は真空下で行うことができる。通常、本発明の方法は大気圧で行われる。
【0247】
1つの例示的実施形態では、成分の第1の混合物は高いパーセンテージのイソマルトを含み、混合物は約143℃に加熱する。一度すべての構成成分が溶解したら、温度はハードクラック段階を通り越して(例えば、約166℃に)上昇させる。混合物をこの温度まで加熱し、次いで加熱を止め、混合物を冷却させる。
【0248】
ある特定の実施形態では、活性成分、及び任意選択的に、上に記載されている追加の構成成分(例えば、追加の甘味剤、フィラー、着香剤及び水)は第2の混合物中で別々に組み合わせる。第2の混合物は、通常成分の第1の混合物の加熱を止めた後で、成分の第1の混合物に添加する。一部の実施形態では、第2の混合物の添加は、加熱した成分の第1の混合物を既定の温度に(例えば、ある特定の実施形態では、約132℃に)冷却して初めて行うことができる。ある特定の実施形態では、第1の、加熱した成分の混合物に混合物を添加する直前に、1種以上の着香剤を第2の混合物に添加する。ある特定の着香剤は揮発性であり、よって好ましくは添加後混合物をいくらか冷却する。
【0249】
次いで、合わせた混合物を所望の形状へと形成する。ある特定の実施形態では、混合物を型に直接注入し、所望の形状へと形成し(例えば、ロール又はプレス加工する)、又は押出しを行う。所望する場合、混合物は押出し成形又は射出成形することができる。ある特定の実施形態では、封入された装置内で混合物を所望の形状の型に入れて、成形する又は押し出すが、これはより低い温度を必要とすることもあり、ある特定の混合物構成成分の蒸発を制限し得る。例えば、このような装置はこれらに限定されないが、着香剤を含む揮発性成分の蒸発を制限し得る。ロゼンジ剤を生成する他の方法もまた本明細書に包含することを意図する。
【0250】
食品等級のロゼンジ剤製品、例えば、本明細書に記載されている製品の製造に伴う典型的な条件として、熱及び温度の制御(すなわち、様々な成分が製造中に曝露される熱の温度及び製造環境の温度)、水分(例えば、個々の成分内及び最終組成物内に存在する水分の程度)、製造環境内の湿気、大気の制御(例えば、窒素大気)、製造プロセス中に様々な成分が受ける気流及び他の類似の種類の要素が挙げられる。さらに、製品製造に関与している様々なプロセスステップは、ある特定の溶媒及び加工助剤の選択、熱及び放射線の使用、冷蔵及び極低温の条件、成分の混合速度などが関与し得る。製造条件はまた、様々な成分の形態の選択(例えば、固体、液体又は気体)、固体形態の成分の粒径又は結晶性性質、液体形態の成分の濃度などにより制御することができる。成分は、例えば、押出し、圧縮、スプレーなどの技術により所望の組成物へと処理することができる。
【0251】
ある特定の実施形態では、ロゼンジ剤製品は、透明又は透光性であってもよい。本明細書で使用される場合、「透光性の」又は「透光性」とは、それを介していくらかのレベルの光が拡散して進むことを可能にする材料を指す。ある特定の実施形態では、本開示のロゼンジ剤製品はこのような高度の透明度を有することができるので、材料は「透明である」又は「透明性」を示すと分類することができ、これは、有意な拡散なしに、その材料を介して光が自由に通過することを可能にする材料と定義される。ロゼンジ剤製品の透明度は、不透明(これは光を通さない材料を指す)とは対照的にいくらかのレベルの透光性が存在する程度である。透明性/透光性は、当技術分野で一般的に使用されている任意の手段で決定することができる。しかし、透明性/透光性は一般的に波長範囲(例えば、約400~700nm)にわたる分光測光の光透過率により測定される。代わりに、光学的方法、例えば、比濁法(又はネフェロメトリー)及び比色を使用して、本明細書に提供されているロゼンジ剤製品の濁り(光散乱)及び色(光吸収)をそれぞれ定量化することもできる。透光性はまた、材料(例えば、抽出物)又は製品を光源に対して単に掲げて、光が製品を介して拡散した方式で進むかどうかを判定することにより、目視検査で確認することができる。
【0252】
咀嚼剤製品を調製する方法
一部の実施形態では、組成物はチュアブル形態である。チュアブル形態の組成物の調製のため、一般的に、結合剤(例えばペクチン、寒天、カラギーナム、デンプン又はこれらの組合せ)を糖アルコール、甘味剤又はこれらの組合せのすべて又は一部分と予めブレンドする。水を添加し、撹拌しながら混合物を沸騰するまで加熱する。任意の残りの糖アルコール又は甘味剤を沸騰混合物に活性成分と共に添加し、これに続いて緩衝液を添加する。混合物をブリックス度約50~約80に加熱調理する。加熱を止め、着香剤を、着色剤及び酸又は架橋剤と共に添加し、混合物を十分に合わせる。組成物を周辺温度で貯蔵するために型内に堆積させる。
【0253】
一部の実施形態では、組成物をデンプン型内に堆積させる。成型した形状のデンプントレイを準備し、60℃で少なくとも1~2時間予熱する。デンプンは、本明細書で上記に開示されているあらゆるデンプンであることができる。一部の実施形態では、デンプンはトウモロコシデンプンである。
【0254】
一部のデンプン成型の実施形態では、ペクチン結合剤を一部分のイソマルトと予めブレンドする。水を添加し、混合物を撹拌しながら沸騰するまで加熱する。マルチトールシロップ及び任意の残りのイソマルトを沸騰混合物に活性成分と共に添加し、これに続いてクエン酸三ナトリウムを添加する。混合物を78ブリックスまで加熱調理する。加熱を止め、甘味剤(例えば、スクラロース及びアセスルファムK)及び着香剤を着色剤及びクエン酸溶液(又はリン酸二カルシウム)と共に添加し、混合物を十分に合わせる。高温の混合物を周辺温度で貯蔵するために、デンプン型内に堆積させる。生成した咀嚼剤をデンプン型から取り出し、あらゆる過剰デンプンを除去する。
【0255】
他のデンプン成型した実施形態では、ガム粉末(例えばペクチン、寒天、カラギーナム、デンプン又はこれらの組合せ)を、塊がなくなるまで水と混合する。イソマルト、マルチトールシロップ及びスクラロースを一緒に混合し、混合物を82~104℃に加熱する。ガム粉末溶液をイソマルト/マルチトール溶液に添加し、十分に混合する。活性成分(複数可)、色及び香味を上記溶液に添加し、十分に混合する。ブリックス度50~80を達成するまで、混合物を93~104℃で加熱調理する。クエン酸及びクエン酸三ナトリウム二水和物の水中溶液を調製し、高温の混合物に添加する。次いで、必要であれば、任意のゲル化剤(例えばリン酸二カルシウム溶液)を混合物に添加する。高温の混合物を調製したデンプン型内に堆積させ、終夜、又は適正な設定を達成するまでオーブンを60℃で保持する。生成した咀嚼剤をデンプン型から除去し、任意の過剰のデンプンを除去する。一部の実施形態では、咀嚼剤をCAPOLでコーティングする。
【0256】
他の実施形態では、組成物をデンプン含有量の低い型内に堆積させる。このような実施形態では、塊がなくなるまで、ガム粉末(例えばペクチン、寒天、カラギーナム、デンプン又はこれらの組合せ)を水と混合する。マルチトールシロップ、スクラロース及び任意選択的にイソマルトを一緒に混合し、混合物を82~104℃に加熱する。ガム粉末溶液をマルチトール溶液に添加し、十分に混合する。活性成分(複数可)、色及び香味を添加し、混合物を十分に混合する。ブリックス度50~80を達成するまで、混合物を93~104℃で加熱調理する。クエン酸及びクエン酸三ナトリウム二水和物の水中溶液を調製し、高温の混合物に添加して、2.5~4の間のpHを達成する。次いで、必要であれば、任意のゲル化剤(例えば、リン酸二カルシウム溶液)を混合物に添加する。高温の混合物をデンプン含有量の低い型内に堆積させ、適正な設定を達成するまで室温で放置する。
【0257】
咀嚼剤組成物は、既定の期間の間、例えば、約10分間~約24時間又はさらには48時間の間、型(デンプン型又はデンプン含有量の低い型)内に保持して、咀嚼剤組成物を硬化及び凝固させることができる。
【0258】
本開示の他の態様によると、咀嚼剤製品を調製するのに型を使用するよりもむしろ、押出しプロセスを利用することもでき、この場合、最終咀嚼剤製品は、パステル剤の押出し方法に関して本明細書で上記に記載されている通り押出しを行う。
溶融剤製品を調製する方法
一部の実施形態では、組成物は溶融可能な形態である。溶融可能な組成物の調製に対して、脂質は、脂質が液化されるように、通常溶融温度よりもわずか上に加熱する。任意選択的に、活性成分、香味剤、及び/又はレシチンをこの段階で液化脂質に添加することができる。その後、液化脂質のすべて又は一部分を、乾式混合を用いてブレンドすることができ、組成物が所望のレベルの均一性に到達するまで、又は所望のテキスチャー特性が達成されるまで混合する。粒径が約20ミクロン未満になるまで、混合物をミリングする(例えば、乾燥ロールミル内で)。ミリングしたイソマルト-パーム油を任意の残りの脂質と合わせ、乾燥成分及び香味を混合しながら入れる。全般的に底を温めて、流体一貫性を保つ。
【0259】
一部の実施形態では、糖アルコール(例えば、イソマルト)をミキサーボウルに添加し、全脂質の一部分(例えば、溶融されたパーム油)を塩及び乳化剤と共に添加する。接着性の凝集塊が形成するまで追加の脂質を混合しながら添加する。凝集した混合物を3つのロールミルに少しずつ移し、50ミクロン未満又は約20ミクロンの粒径になるまでプロセシングする。精製した混合物をミキサーボウルに移し、残りの脂質を混合しながら添加する。混合物を必要に応じて温めて、流体一貫性を維持する。甘味剤、香味及び活性成分(複数可)を混合しながら添加する。均質の組成物を得るまで混合を継続する。混合物はある期間、例えば、約10~15分間静置させる。組成物は、例えば、組成物をシート状の構造に注入し、冷却し、次いで構造を個々の部分へと切断することにより、又は組成物を型内に堆積させ、これを冷却させることにより、別個の部分に分割することができる。型はデンプン型であっても、又はデンプン含有量の低い型であってもよい。特定の実施形態では、型はデンプン含有量が低い。
【0260】
溶融剤組成物は、既定の期間の間、例えば、約1~約15分間の間、型(デンプン又はデンプン含有量の低い)内に保持して、溶融剤組成物を冷却及び凝固させることができる。任意選択的に、溶融剤組成物を含有する型を冷蔵により冷却して、固化を促進させることもできる。
【0261】
本開示の他の態様に従い、溶融剤製品を調製するための型を使用するよりもむしろ、押出しプロセスを利用することができ、パステル剤の押出し方法に関して本明細書で上記に記載されているように最終の溶融剤製品には押出しが行われる。
【0262】
予測される口腔吸収を増強する方法
さらなる態様では、本明細書で開示されている口腔用使用に対して構築された組成物からの塩基性アミン(例えば、ニコチン)の予測される口腔(例えば、口腔内頬側)吸収を増強する方法が提供される。実際の吸収データを得ることは侵襲性実験を必要とするが、予測的データは、インビトロでの口腔内頬側の膜透過性の使用を介して容易に得ることができる。例えば、このような膜を介したニコチン透過パーセント、又は透過対時間が、ニコチン含有口腔用組成物の様々な実施形態に対して、評価され、比較されてもよい。例えば、本開示による口腔用組成物は、対照組成物と比較して(例えば、有機酸の非存在下でのニコチン、1.4未満のlogPを有する有機酸の存在下でのニコチンなど)、実際の口腔内頬側吸収を予測する代用のデータを提供することができる。
【0263】
一部の実施形態では、予測される口腔吸収を増強する方法は、少なくとも1つのフィラーを水、塩基性アミン及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せと混合して、組成物を形成することを含み、塩基性アミンの少なくとも一部分は有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、結合は塩基性アミン-有機酸の塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対又は両方の形態である。
【0264】
一部の実施形態では、方法は溶解増強剤を組成物に添加するステップをさらに含む。
【0265】
一部の実施形態では、本方法は、組成物のpHを約4.0~約7.0のpHに調整することをさらに含む。一部の実施形態では、pHを調整することは、有機酸を組成物に添加して、約4.0~約7.0のpHを得ることを含む。一部の実施形態では、pHを調整することは、鉱酸を組成物に添加して、約4.0~約7.0のpHを得ることを含む。一部の実施形態では、pHを調整することは、有機酸と鉱酸の両方を組成物に添加して、約4.0~約7.0のpHを得ることを含む。
【0266】
一部の実施形態では、予測される口腔吸収を増強することは、有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む組成物であって、有機酸が約1.4未満のlogP値を有する組成物と比較して、透過した全塩基性アミン(%)を増加させることを含む。
【0267】
一部の実施形態では、塩基性アミンはニコチンである。一部の実施形態では、予測される口腔吸収を増強することは、有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む組成物であって、有機酸が約1.4未満のlogP値を有する組成物と比較して、透過した全ニコチン(%)を増加させることを含む。
【0268】
前述の説明に提示された教示の利益を有する、本発明が付随する本発明の多くの変化形及び他の実施形態が、当業者により考案されるであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるわけではなく、変化形及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることを意図することを理解されたい。特定の用語が本明細書で利用されているが、これらは一般的及び説明的な観点のみで使用され、制限目的のためではない。
【実施例】
【0269】
本発明の態様は以下の実施例によってさらに完全に例示されるが、これら実施例は、本発明のある特定の態様を例示するために記載されているものであり、これを限定すると解釈されるべきではない。
【0270】
例1.pHの関数としての遊離ニコチンの計算
ヘンダーソンハッセルバルヒの式(pH=pKa+log10(A-/HA))を使用して、異なるpH値において溶液中に存在する遊離ニコチンのパーセンテージを計算した。表2に提供されたデータは、ニコチンのpKaの周辺でpHが変化するにつれて、遊離ニコチンの割合が大きく変化することを実証している。
【0271】
【0272】
例2.pH8.4におけるニコチンの分割の計算
Molinspiration software(https://www.molinspiration.com/services/logp.html)から得た分割係数に基づき、pH8.4のニコチン溶液の理論的オクタノール-水分割を計算した。利用した値は、遊離ニコチンに対してlogP=1.09であり、プロトン化ニコチンに対してlogP=-2.07であった。ヘンダーソンハッセルバルヒの式(表3)で計算したパーセントプロトン付加。計算はpH8.4において、利用可能な全ニコチンのおよそ65%がオクタノール層に存在することが予想されることを示している。
【0273】
【0274】
例3.100ppm及びpH5におけるニコチンオクタノール-水の分割
遊離塩基ニコチン(0.2グラム)をメスフラスコ(200mL)に添加し、逆浸透(RO)精製水を容量まで充填することにより、ニコチン溶液(1000ppm;6.17mM)を調製した。クエン酸三ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ヘプタンスルホン酸ナトリウム、酒石酸一ナトリウム及びレブリン酸ナトリウムの個々の6.17mM溶液を調製した。ニコチン溶液(10mL)、逆浸透(RO)水(60mL)及びそれぞれのクエン酸塩、安息香酸塩、ヘプタンスルホン酸塩、酒石酸塩及びレブリン酸塩溶液(10mL)のアリコートを、いかなる対イオンも含有しない対照と共に、秤量したエルレンマイヤーフラスコ(125mL)に添加した。pHプローブを生成した液体に浸し、HCl(0.05M)を撹拌下で添加して、溶液をpH5にした。次いで、フラスコの重量が100グラムに達するまでRO水を加えた。生成した溶液は、1000ppmニコチンを、1モル当量のそれぞれのナトリウム塩と共に、5pHで含有した。各溶液のアリコート(10mL)を取り出し、別個の20mlシンチレーションバイアルに配置することにより分割を実施した。オクタノール(10ml)を各バイアルに添加した。次いでバイアルをwrist action振盪機上に20分間配置した。撹拌後、バイアルを30分間分離させ、各オクタノール層のアリコート(100μl)を取り出し、2mLのGC/MSバイアル内で900μlのオクタノールで希釈した。各試料のニコチン濃度をGC/MSを介して分析した。ニコチンのレベルは
図2に提供されており、
図2は、オクタノール-水の分割の増加は、対照及び極性クエン酸(logP=-1.7)、酒石酸(logP=-1.9)及びレブリン酸(logP=-0.49)から、より親油性の酸、例えば、ヘプタンスルホン酸(logP=0.88)及び安息香酸(logP=1.9)へと移動することを実証した。理論により限定されることを意図することなく、この分割はイオン対形成の結果であると考えられ、イオン対は、安息香酸及びヘプタンスルホン酸の試料に対して、オクタノールへの効果的な分割に十分な親油性を示した。とりわけ、この酸性pH及び低濃度のニコチン及び対イオンにおいて、すべての試料に対する全体的な分割は非常に低かった(すなわち、1.2~8.5%)。この場合も同様に理論により限定されることを意図することなく、このpH値及びこの低いニコチン/対イオン濃度でのイオン対形成の範囲は、平衡を遊離イオンに向けてシフトすることによって、潜在的なイオン対形成の範囲を減少させたと考えられている。
【0275】
例4.1000ppm及びpH6.5におけるニコチンオクタノール-水の分割
遊離塩基ニコチン(2グラム)をメスフラスコ(200mL)に添加し、逆浸透(RO)精製水を容量まで充填することにより、ニコチン溶液(10,000ppm;61.7mM)を調製した。クエン酸三ナトリウム、安息香酸ナトリウム及びオクタン酸ナトリウムの個々の123.2mM溶液を調製した。ニコチン溶液(10mL)、RO水(60mL)並びにそれぞれのクエン酸ナトリウム、安息香酸塩又はオクタン酸塩溶液(10mL)のアリコートを、秤量したエルレンマイヤーフラスコに添加した(125mL)。pHプローブを生成した液体に浸し、HCl(0.05M)を撹拌下で添加して、溶液pH6.5にした。次いで、フラスコの重量が100グラムに達するまでRO水を加えた。生成した溶液は、1,000ppmのニコチンを、2モル当量のそれぞれのナトリウム塩と共に、pH6.5で含有した。各溶液のアリコート(10mL)を取り出し、別個の20mlシンチレーションバイアルに配置することにより分割を実施した。オクタノール(10ml)を各バイアルに添加した。次いで、バイアルをwrist action振盪機上に20分間配置した。撹拌後、バイアルを30分間分離させ、各オクタノール層のアリコート(100μl)を取り出し、2mLのGC/MSバイアル内で900μlのオクタノールで希釈した。各試料のニコチン濃度を、GC/MSを介して分析した。ニコチンレベルは
図3に提供されており、
図3は、pH6.5でのオクタノール-水の分割の増加は、極性クエン酸(logP=-1.7)から、より親油性の酸、例えば安息香酸(logP=1.9)及びオクタン酸(logP=3.0)へと移動することを実証した。特に、2当量のオクタン酸が存在する場合、ニコチンの大きな部分(約67%)がオクタノールへと分割した。理論により限定されることを意図することなく、この分割は、イオン対形成の結果であると考えられ、イオン対は、オクタノールへの効果的な分割に十分な親油性を示した。
【0276】
例5.非緩衝水中でのニコチン及び安息香酸オクタノール-水の分割
1モル当量の安息香酸ナトリウムを含有する非緩衝水中の1000ppmニコチン溶液を調製した。このニコチン濃度は6mLの唾液に溶解した6mgのニコチンを含有するパウチした組成物と同等となるように選択された。試料をオクタノール-水の分割に供し、例2の方法を使用してニコチンについて分析した。試料はまたオクタノール中安息香酸濃度(900μlのオクタノールで希釈した100μlアリコート)についても分析した。文献(Phenomenex、Application I.D.14720)から採用したHPLC-UV手順を使用して、安息香酸濃度を測定した。Luna 5m C18カラム(150×3mm;Phenomenex;Torrance、CA、USA)で、以下の組成を有する移動相を使用して分離を実施した:H2O75%、0.2mM KH2PO4を含有するCH3CN25%。移動相をH3PO4でpH2.5にした。移動相の流速は1mL/分であり、注入量は10μLであった。溶出液を254nmでモニターした。試料の定量化のため、H2O中260ppm安息香酸を含有するストック溶液を最初に作製した。この溶液を希釈して、標準液を260、130、65、32.5及び16.25μg/mLでそれぞれ生成した。これらの試料から取得したピーク領域対濃度から、以下の較正線を得た:y=0.2573x+0.0372、R2=0.9999。
【0277】
オクタノール中濃度は、ニコチンに対して28.3ppmであり、安息香酸に対して19.2ppmであることが判明した。ニコチン質量による安息香酸のモル濃度の計算は25.5ppmのニコチンであった。したがって、ニコチンの90%(25.5/28.3)が安息香酸によりオクタノール中で分割され、全ニコチンの2.8%(28.3~25.5)が、オクタノールへと分割される遊離ニコチンの傾向によりオクタノールへと分割された(
図4)。理論的には、イオン対としてオクタノールへと分割されるニコチン及び安息香酸は、1:1のモル比でオクタノール中のニコチン及び安息香酸の存在をもたらし、これはイオン対の提案された化学量論を反映している。しかし、この実験において、オクタノール中のニコチンの濃度は、安息香酸と比較して理論よりわずかに高い、28.3対25.5ppmであったことが判明した。理論により限定されることを意図することなく、オクタノール中のニコチンのより高い濃度は、pH6.5における、ニコチンのオクタノールへの自然の分割によるものである(すなわち、pH6.5において、一部のニコチンは遊離塩基として利用可能であり、イオン対形成に依存することなく分割する)と考えられている。このデータは、オクタノール-水の分割の変化はイオン対の存在によるものであり、単に系の特性の変化によるものではない(例えば、修飾された溶液極性又はミセルの形成)という理論をさらに支持している。
【0278】
例6.参照(対照)組成物
6mgのニコチン、微結晶性セルロース(mcc)、水及び本明細書で開示されている追加の構成成分(塩、結合剤、甘味剤、保湿剤、着香剤)を含む組成物の参照試料を、有機酸を用いずに調製した(pHおよそ9)。
【0279】
例7.参照組成物(クエン酸)
6mgのニコチン、微結晶性セルロース(mcc)、水及び本明細書で開示されている追加の構成成分(塩、結合剤、甘味剤、保湿剤、着香剤)を含む組成物の参照試料を、0.34%クエン酸を含有して(pHおよそ6.5)調製した。クエン酸の存在を除き、構成成分及び各構成成分の相対量は本質的に同じ、例えば6であった。
【0280】
例8.例6及び7のオクタノール-水の分割
例6及び7のパウチフィラーのそれぞれの試料(697.6mg総量、10mgニコチン)を別個の20mLシンチレーションバイアルに正確に秤量した。試料に水(10mL;逆浸透により精製)を添加し、これに続いてオクタノール(10mL)を添加することにより分割を実施した。次いでバイアルをwrist action振盪機に2時間配置した。撹拌後、バイアルを30分間分離させ、各オクタノール層のアリコート(100μl)を取り出し、2mL GC/MSバイアル内で、オクタノール(900μl)で希釈した。各GC/MSバイアルに、50μLのキノリン標準物質(MeOH中1000ppm)を添加した。試料を、ニコチン標準物質と共に3反復試験で試験した。ニコチン標準物質をオクタノール中、100、50、25、12.5、6.25及び3.125ppmで調製した。標準的方法により、GC-MS分析を実施した。結果は
図5に提供されており、これは、およそ80%のニコチンがオクタノールへと分割された一方、クエン酸を含有する例に対して、約10%のニコチンのみがオクタノールへと分割されたことを実証した。
【0281】
例9.様々なイオン対形成剤及び量を用いたニコチンの分割の比較-安息香酸塩、オクタン酸塩及びデカン酸塩
遊離塩基ニコチン(2グラム)をメスフラスコ(200mL)に添加し、逆浸透(RO)精製水を容量まで充填することにより、ニコチン溶液(10,000ppm;61.7mM)を調製した。安息香酸ナトリウム、オクタン酸ナトリウム及びデカン酸ナトリウムの個々の溶液を調製した(0.62、1.23、3.08、6.16及び12.33mmol)。ニコチン溶液(10mL)、RO水(60mL)及びそれぞれの安息香酸塩、オクタン酸塩又はデカン酸塩溶液(10mL)のアリコートを、秤量したエルレンマイヤーフラスコ(125mL)に添加した。pHプローブを生成した液体に浸し、HCl(0.05M)を撹拌しながら添加して、溶液をpH6.5にした。次いでフラスコの重量が100グラムになるまでRO水を加えた。生成した溶液は1,000ppmのニコチン(6mLの唾液に溶解した6mgのニコチンを含有するパウチした組成物と同等)を、1、2、5、10又は20モル当量のそれぞれのナトリウム塩と共にpH6.5で含有した。各溶液のアリコート(10mL)を取り出し、別個の20mlシンチレーションバイアルに配置することにより分割を実施した。オクタノール(10ml)を各バイアルに添加した。次いで、バイアルをwrist action振盪機上に20分間配置した。撹拌後、バイアルを30分間分離させ、各オクタノール層のアリコート(100μl)を取り出し、2mLのGC/MSバイアル内で、900μlオクタノールで希釈した。各試料のニコチン濃度をGC/MSを介して分析した。ニコチンレベルは
図6に提供され、
図6は、使用された酸の種類がそれぞれのイオン対のオクタノール-水の分割に有意に影響を与えることを実証した。特に、各濃度に対して、より親油性のオクタン酸は、より極性の安息香酸と比較して、ニコチンのオクタノールへのより大きな分割をもたらした。デカン酸を含有する試料は、分割実験を実施するのに必要な激しい混合の間、石鹸のようになる傾向がある。これは恐らくミセル形成によるものであり、得た分割データは信頼性の低いものであった。さらに、水溶液の石鹸のような性質は正確なpH調節を妨げ、したがって、2、10及び20当量におけるデータ点は
図6から除外した。
【0282】
図6のデータは、イオン対形成の範囲、よってオクタノール-水の分割が濃度に依存することをさらに実証した。安息香酸及びオクタン酸のそれぞれに対して、分割は酸濃度と共に増加し、安息香酸に対しておよそ20当量で明らかな高原状態に到達し(イオン対形成の最大の度合が達成されたことを示唆する)、これは理論と一致する。理論によると、酸の当量数が増加すると、イオン対を形成したニコチンの、イオン対を形成していないニコチンプラス有機酸に対する平衡は、主にイオン対を形成した方にシフトする。水性の系において有用な酸に対して、親油性に対する上限が存在し得ることをデータはさらに実証した。例えば、デカン酸(logP=4.09)は、理論により予想された範囲未満の範囲でオクタノールへと分割することが示されている。これは、水中でのデカン酸の限定溶解度、又はミセルの形成によるものであり、デカン酸を含有する溶液の「石鹸のような」性質と一致し得る。
【0283】
驚くことに、同じpHにおいて、安息香酸及びオクタン酸組成物のそれぞれは異なる分割挙動を示した。オクタノール分割におけるニコチンの%は非極性の酸に対して最も高かった(オクタン酸;logP約3、10当量のオクタン酸で、オクタノール中約75%のニコチン)。安息香酸の例(安息香酸logP約1.85)の同じ濃度での分割はいくらか低かった(オクタノール中約52%のニコチン)。pH6.5における例のそれぞれは、ニコチンのオクタノールへの分割が例6(79%;pH約9)の分割より低かったが、例7よりずっと高かった(10%;極性クエン酸;logP=-1.7;pH6.5)。しかし、オクタン酸の例の2当量でのニコチン分割はpH8.4においてニコチンに対して予測されるものとおよそ同じであった(65%;ヘンダーソンハッセルバルヒ方程式及びlogPからの理論的計算)。この結果は、驚くことに、オクタン酸を有する組成物は、pH8.4におけるニコチン単独での分割と同等のニコチン分割をpH6.5において達成することができたことを示している。理論により限定されることを意図することなく、ニコチンと比較的非極性のオクタン酸との間のイオン対形成は分割挙動を促進すると考えられている。これは、したがってニコチン蒸発及び分解に関して安定化された酸性組成物であって、より高いpHにおけるニコチンの分割に匹敵するオクタノール-水の分割も有する組成物を取得することが可能なことを実証している。このようなデータは、比較的非極性の有機酸を含む実施形態に対してニコチンの好ましい口腔吸収を予測している。
【0284】
例10.参照パウチ製品(対照)
10mgのニコチン、微結晶性セルロース(mcc)、水及び本明細書で開示されている追加の構成成分(塩、炭酸水素ナトリウム、結合剤、甘味剤、保湿剤、着香剤)を含む参照(対照)組成物を、有機酸なしで調製し(pHおよそ8.4)、パウチ内に配置した。パウチ製品を、サイドシール付きの標準的なflex-lidキャニスター内にパッケージし、室温(20~25℃)で貯蔵した。
【0285】
例11.パウチ製品(参照)
10mgのニコチン、微結晶性セルロース(mcc)、水及び本明細書で開示されている追加の構成成分(塩、結合剤、甘味剤、保湿剤、着香剤)を含む参照組成物をクエン酸(およそ0.6重量%;pHおよそ6.7)と共に調製し、パウチ内に配置した。パウチ製品をサイドシール付きの標準的なflex-lidキャニスター内にパッケージし、室温(20~25℃)で貯蔵した。
【0286】
例12.パウチ製品(本発明)
2.4重量%安息香酸、0.11重量%オクタン酸及び0.13重量%デカン酸の組合せを、約2.4%安息香酸ナトリウム(pHおよそ6.4)と共に使用して、10mgのニコチン、微結晶性セルロース(mcc)、水及び本明細書で開示されている追加の構成成分(塩、結合剤、甘味剤、保湿剤、着香剤)を含む本発明の組成物を調製し、パウチ内に配置した。パウチ製品をサイドシール付きの標準的なflex-lidキャニスター内にパッケージし、室温(20~25℃)で貯蔵した。酸成分の存在以外、構成成分及び各構成成分の相対量は例10及び11に対するものと本質的に同じであった。
【0287】
例13.ニコチン安定性及び揮散実験
例10、11及び12の生成物を、調製の直後、調製から3カ月及び6カ月の時点(それぞれT0、T3カ月及びT6)でニコチン、水分及びpHについて分析した。これらの試料のpHの関数として揮発性を評価するため、水分揮散を求めるためにニコチンデータを乾燥重量ベースで計算し、元のニコチン濃度と比較した。表4に提供された結果は、対照(例10)に対して13%までのニコチンが貯蔵で失われた一方、酸性組成物では(例12及び参考例11)両方とも元のレベルのニコチンが実質的に保持されたことを実証した。
【0288】
【0289】
例14.口腔内頬側の透過
ヒト対象において、口腔内頬側吸収に対するイオン対形成の真の影響を評価するため、いくつかのパウチされた実施形態を調製し、組織ベースの透過アッセイ(EpiOral(商標);MatTek Labs)を使用して、口腔内頬側吸収モデルにおいて評価した。
【0290】
6mgのニコチン水及び本明細書で開示されている追加の構成成分(塩、結合剤、甘味剤、保湿剤、着香剤)を含有する微細セルロース(MCC)ベースのパウチフィラー組成物を調製した。
【0291】
炭酸水素ナトリウムを組成物に添加して、開始pH約9.25を得ることにより、対照組成物(例14A)を調製した。パウチに組成物を充填し、重量700mgの標準的パウチにオーバースプレーした。
【0292】
0.34%クエン酸を組成物に添加して、開始pH約6.5を得ることにより、参照組成物(例14B)を調製した。パウチに組成物を充填し、重量700mgの標準的パウチにオーバースプレーした。
【0293】
0.63%安息香酸及び1.08%安息香酸ナトリウム(2.26当量の全安息香酸塩、0.925当量の全安息香酸)を組成物に添加して、開始pH約6.5を得ることにより、本発明の組成物(例14C)を調製した。パウチに組成物を充填し、重量700mg標準的パウチにオーバースプレーした。
【0294】
それぞれのパウチを、300mg/mLの濃度で完全な人工唾液(CAS)で個々に抽出した。次いで、EpiOral(商標)(口腔内頬側)透過アッセイを使用して、CAS抽出物を吸収に対して評価した。分析は陰性対照(EpiOral(商標)に曝露されていない)、ビヒクル対照(CAS)及び陽性対照(カフェイン、Triton X100)からなった。組織(0.6cm2)の頂端をドナー溶液に曝露し、カルシウム、マグネシウム及びグルコースを含有するPBS溶液からなるレシーバー溶液を各試料に対して4つの時間点(15、30、45及び60分間)で収集した。すべての分析は6反復(試験品)又は3反復(対照)で実施した。経上皮の電気抵抗を測定して、0分間及び最終時間点において組織完全性を検証した。レシーバー及びドナー溶液を分析物(ニコチン及び対照)について分析し、生成したデータを処理して、累積的な透過、見掛けの透過速度(Papp)及び回収率(パーセント)を得た。累積的透過パーセントは、透過し、組織領域により分割された全質量を定量化することにより決定した。方程式2を使用して、見掛けの透過速度(Papp)を決定した。
Papp=(dQ/dt)*(1/AC0)(方程式2)
(式中、(dQ/dt)は定常状態流動であり、Aは細胞の領域(0.6cm2)であり、C0は組織の頂端側に適用された初濃度である)。最終ドナー溶液濃度、レシーバー溶液濃度及びすすぎ溶液濃度(レシーバー溶液の除去後、組織をCASですすいだ)を最初のドナー溶液濃度で割ることにより、回収率パーセントを決定した。
【0295】
アッセイに対する結果が
図7~9に提供されている。
図7は、例14A、14B及び14Cに対する、透過した全ニコチンの%を提供している。例14A(対照)は25%において最も高いニコチン透過性を実証した一方で、参照例14Bは約5%のみの透過性を示した。本発明の例14Cは参照例と対照例との間の透過性を示し、オクタノール-水分割実験と相関した。透過パーセントと一致して、Pappに対するデータは同じ傾向をたどった(
図8)。これらのデータが一緒になって、ニコチンを含有する組成物のpHを調整するために使用される酸の極性が、口腔内頬側組織を介した速度及び全移動に有意に影響を与えたことを実証した。
図9のデータは、存在するニコチンのすべてが実験で回収されたことを確認した。
【0296】
例15.2mgのニコチン及び安息香酸/安息香酸ナトリウムを有するパウチ製品(本発明)
以下の表5に従い安息香酸及び安息香酸ナトリウムを使用して、ニコチン、微結晶性セルロース(mcc)、水及び本明細書で開示されている追加の構成成分(塩、結合剤、甘味剤、保湿剤、着香剤)を含む本発明の組成物を調製する。組成物をパウチ内に配置し(パウチ総重量600mg)、水を添加して、全含水率を32%にする。パウチ製品をサイドシール付きの標準的なflex-lidキャニスターにパッケージされ、室温(20~25℃)で貯蔵する。
【0297】
【0298】
例16.4mgのニコチン及び安息香酸/安息香酸ナトリウムを有するパウチ製品(本発明)
以下の表6に従い、安息香酸及び安息香酸ナトリウムを使用して、ニコチン、微結晶性セルロース(mcc)、水及び本明細書で開示されている追加の構成成分(塩、結合剤、甘味剤、保湿剤、着香剤)を含む本発明の組成物を調製する。組成物をパウチ内に配置し(パウチ総重量600mg)、水を添加して、全含水率を32%にする。パウチ製品をサイドシール付きの標準的なflex-lidキャニスターにパッケージし、室温(20~25℃)で貯蔵する。
【0299】
【0300】
例17.6mgのニコチン及び安息香酸/安息香酸ナトリウムを有するパウチ製品(本発明)
以下の表7に従い、安息香酸及び安息香酸ナトリウムを使用して、ニコチン、微結晶性セルロース(mcc)、水及び本明細書で開示されている追加の構成成分(塩、結合剤、甘味剤、保湿剤、着香剤)を含む本発明の組成物を調製する。組成物をパウチ内に配置し(パウチ総重量600mg)、水を添加して、全含水率を32%にする。パウチ製品をサイドシール付きの標準的なflex-lidキャニスターにパッケージし、室温(20~25℃)で貯蔵する。
【0301】
【0302】
例18.8mgのニコチン及び安息香酸/安息香酸ナトリウムを有するパウチ製品(本発明)
以下の表8に従い、安息香酸及び安息香酸ナトリウムを使用して、ニコチン、微結晶性セルロース(mcc)、水及び本明細書で開示されている追加の構成成分(塩、結合剤、甘味剤、保湿剤、着香剤)を含む本発明の組成物を調製する。組成物をパウチ内に配置し(パウチ総重量600mg)、水を添加して、全含水率を32%にする。パウチ製品をサイドシール付きの標準的なflex-lidキャニスターにパッケージし、室温(20~25℃)で貯蔵する。
【0303】
【0304】
例19.10mgのニコチン及び安息香酸/安息香酸ナトリウムを有するパウチ製品(本発明)
以下の表9に従い、安息香酸及び安息香酸ナトリウムを使用して、ニコチン、微結晶性セルロース(mcc)、水及び本明細書で開示されている追加の構成成分(塩、結合剤、甘味剤、保湿剤、着香剤)を含む本発明の組成物を調製する。組成物をパウチ内に配置し(600mgパウチ総重量)、水を添加して、全含水率を32%にする。パウチ製品をサイドシール付きの標準的なflex-lidキャニスターにパッケージし、室温(20~25℃)で貯蔵する。
【0305】
【0306】
例20.12mgのニコチン及び安息香酸/安息香酸ナトリウムを有するパウチ製品(本発明)
以下の表10に従い、安息香酸及び安息香酸ナトリウムを使用して、ニコチン、微結晶性セルロース(mcc)、水及び本明細書で開示されている追加の構成成分(塩、結合剤、甘味剤、保湿剤、着香剤)を含む本発明の組成物を調製する。組成物をパウチ内に配置し(パウチ総重量600mg)、水を添加して、全含水率を32%にする。パウチ製品をサイドシール付きの標準的なflex-lidキャニスター内にパッケージし、室温(20~25℃)で貯蔵する。
【0307】
【0308】
例21.消費者試験
実験の概要
消費者試験を実施して、4mgのニコチン及びイオン対形成薬剤を有するプロトタイプ生成物が、4mgのニコチンを含有するが、イオン対形成薬剤(対照)を有さない比較用の従来の生成物よりも低い喉の刺激をもたらすかどうか決定する。対象は対照及びイオン対を形成するプロトタイプに曝露される。各製品の2種の香味が提供される。参加者は2つの等しいグループに分割され、各グループには1種の香味の生成物が与えられる。
【0309】
実験設計
試料のサイズ:60人の参加者(各香味に対して30人の参加者)
パネル設計:不完全ブロックデザイン(Incomplete Block Design(IBD))であり、1つのブロック当たり2種の生成物を使用
参加者基準:すべての参加者は年齢21.5才以上である。
実験の長さ:実験は2週間の期間にわたり行い、2つの試験製品配置に分け(各製品に対して最低7日)、その後、実験後のインタビュー期間が続く(各製品に対して15分間のLOI)ことが予測される。
【0310】
実験プロトコル
採用後、自宅で連続的な順序で試験を行うために、2種の試験生成物が参加者に提供される。製品配置に対して、各試験製品1缶(パウチ20個)が参加者に提供される。各製品を上側の唇に配置する。一度配置したら、それは口の内壁を介して血流に成分を送達する。パウチは30分間まで使用され、次いで廃棄されることが意図されている。参加者は、1日少なくとも2~3回試験製品を試すことが要求されている。しかし、参加者は、配置期間の間のいかなる時点においても試験生成物を使用することを止めることができる。消費された製品の量は記録される。試験後のインタビュー期間の間、参加者は、試験製品の正確な消費を提供することが求められ、感覚評価及び製品に対する参加者らの全体的満足度を提供することが求められる。インタビューは、喉火傷又は刺激に関した問題を含むことで、このような性質における製品間の差異を実験が評価するようになっている。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内での配置に対して構築された組成物の使用中に喉の刺激を減少させる方法であって、組成物を口腔内に導入するステップを含み
、組成物が塩基性アミン及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含み、有機酸が約1.4~約8.0のlogP値を有し、塩基性アミンの少なくとも一部分が有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、結合が塩基性アミン-有機酸の塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対又は両方の形態である、方法。
【請求項2】
口腔内に導入された組成物が、
同じ量の塩基性アミンを含むが、有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せの非存在
下の組成物よりも喉の刺激を引き起こさない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組成物が少なくとも1種のフィラー及び水をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
有機酸が約1.4~約4.5のlogP値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
有機酸が約2.5~約3.5のlogP値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
有機酸が約4.5~約8.0のlogP値を有し、組成物が溶解増強剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
溶解増強剤がグリセロール又はプロピレングリコールである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
組成物が、アミン遊離塩基として計算される塩基性アミンに対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2又は約5から、約10、約15又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
組成物が、遊離塩基ニコチンとして計算される塩基性アミンに対して、約2~約10モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
有機酸がアルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸又はこれらのいずれかの組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
有機酸がオクタン酸、デカン酸、安息香酸、ヘプタンスルホン酸又はこれらの組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
有機酸がオクタン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
アルカリ金属がナトリウム又はカリウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
組成物が、有機酸及び有機酸のナトリウム塩を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
有機酸の有機酸のナトリウム塩に対する比が約0.1~約10である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
組成物が、安息香酸及び安息香酸ナトリウム、オクタン酸及びオクタン酸ナトリウム、デカン酸及びデカン酸ナトリウム又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
組成物のpHが約4.0~約9.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
組成物のpHが約4.5~約7である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
組成物のpHが約5.5~約7である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
組成物のpHが約4.0~約5.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
組成物のpHが約7.0~約9.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
塩基性アミンがニコチンである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
ニコチンが、遊離塩基として計算され、組成物の総重量に対して、組成物の約0.001~約10重量%の量で存在する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1種のフィラーがセルロース材料を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項25】
セルロース材料が微結晶性セルロースを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つのフィラーが、組成物の総重量に対して、約2重量%~約5重量%の量のセルロース誘導体をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項27】
セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
水が、組成物の総重量に対して、約5~約50重量%の量で存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つのフィラーが、組成物の総重量に対して約60~約85重量%の量で存在し、
水が、組成物の総重量に対して約15~約20重量%の量で存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項30】
組成物が、1種以上の活性成分、1種以上の香味剤、1種以上の塩、1種以上の甘味剤、1種以上の結合剤、1種以上の保湿剤、1種以上のガム、タバコ材料又はこれらの組合せをさらに含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
組成物が、栄養補給食品、ボタニカル、刺激剤、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物及びテルペンからなる群から選択される1種以上の活性成分をさらに含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
組成物が、存在する任意のニコチン成分を除いて、組成物の総重量に対して、約10重量%以下のタバコ材料を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
組成物がタバコ材料を実質的に含まない、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
組成物をパウチに封入して、パウチ製品を形成するステップであって、組成物が任意選択的に顆粒状の形態であるステップをさらに含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
喉の刺激を減少させる組成物の使用であって、組成物が口腔内での配置に対して構築され、
組成物が、塩基性アミン及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せ、
任意選択的に少なくとも1種のフィラー及び水、並びに
任意選択的に1種以上の活性成分、1種以上の香味剤、1種以上の塩、1種以上の甘味剤、1種以上の結合剤、1種以上の保湿剤、1種以上のガム、タバコ材料又はこれらの組合せ、を含み、
有機酸が約1.4~約8.0のlogP値を有し、塩基性アミンの少なくとも一部分が有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、結合が塩基性アミン-有機酸の塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対又は両方の形態である、使用。
【国際調査報告】