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特表2024-519721マルチパスチャネルベースの無線周波数ベースのセンシング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】マルチパスチャネルベースの無線周波数ベースのセンシング
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/12 20060101AFI20240514BHJP
   G01S 13/04 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G01V3/12 A
G01S13/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568065
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2022060802
(87)【国際公開番号】W WO2022233614
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/183,186
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21174027.9
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ダイクスラー ペーター
(72)【発明者】
【氏名】クラインツ ヒューゴ ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル メルヴェ ヤコ
【テーマコード(参考)】
2G105
5J070
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB14
2G105CC01
2G105DD04
2G105EE02
2G105GG01
2G105HH01
2G105KK06
5J070AB01
5J070AB19
5J070AB24
5J070AE09
5J070AF01
5J070AH33
5J070AH50
5J070AK22
5J070AL01
(57)【要約】
本発明は、第1のノード(10)及びRF信号ディフューザ(40)を含むRFシステム(100)に関する。第1のノード(10)は、RF信号(30)を送信するように構成される。RF信号ディフューザ(40)は、RF信号(30)に基づいてマルチパスチャネルのための追加のパス(38)を生成するために複数の方向にRF信号(30)を反射するように構成される。RF信号ディフューザ(40)及び第1のノード(10)は、互いに距離(50)をおいて配置され、マルチパスチャネルの追加のパス(38)のうちの少なくとも1つの追加のパスが、センシングエリア(60)においてRFベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように構成される。RFシステム(100)は、追加のパス(38)のうちの少なくとも前記1つの追加のパスを含むマルチパスチャネルの少なくとも2つのパス(36、38)に基づいてRFベースのセンシングを行うように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センシングエリアにおいて無線周波数ベースのセンシングを行うように構成される無線周波数システムであって、当該無線周波数システムは、
無線周波数信号を送信するように構成される第1のノードと、
前記無線周波数信号に基づいてマルチパスチャネルのための追加のパスを生成するために複数の方向に前記無線周波数信号を反射するように構成される無線周波数信号ディフューザと、
を含み、
前記無線周波数信号ディフューザ及び前記第1のノードは、当該無線周波数システムにおいて互いに距離をおいて配置され、前記マルチパスチャネルの前記追加のパスのうちの少なくとも1つの追加のパスが、前記センシングエリアにおいて無線周波数ベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように構成され、
当該無線周波数システムは、前記追加のパスのうちの少なくとも前記1つの追加のパスを含む前記マルチパスチャネルの少なくとも2つのパスに基づいて無線周波数ベースのセンシングを行うように構成され、
当該無線周波数システムは、無線周波数ベースのセンシングを行うように構成される第2のノードを含み、前記第2のノードは、前記無線周波数信号ディフューザを含み、前記ノードの各々は、前記無線周波数信号に基づいて前記マルチパスチャネルのためのさらなる追加のパスを生成するために複数の方向に前記無線周波数信号を反射するように構成される無線周波数信号ディフューザを含む、無線周波数システム。
【請求項2】
前記第1のノードは、前記マルチパスチャネルの前記追加のパスのうちの前記少なくとも1つの追加のパスが、無線周波数ベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように、前記無線周波数信号ディフューザと前記第1のノードとの間の前記距離に基づいて選択される送信パワーで前記無線周波数信号を送信するように構成される、請求項1に記載の無線周波数システム。
【請求項3】
前記第1のノードは、前記無線周波数信号ディフューザの方向に前記無線周波数信号を指向性送信するように構成される、請求項1又は2に記載の無線周波数システム。
【請求項4】
前記無線周波数信号ディフューザは、前記センシングエリアの三次元モデルに基づいて前記センシングエリアにおける前記追加のパスの分布を最適化するように適合されるカスタマイズされた形状を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無線周波数システム。
【請求項5】
前記無線周波数信号ディフューザは、前記無線周波数信号を反射するように構成される複数の反射要素を含み、前記反射要素の各々は、無線周波数ベースのセンシングを行うために使用される前記無線周波数信号の波長に適合されるサイズを有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の無線周波数システム。
【請求項6】
前記反射要素の数、前記反射要素のサイズ、前記反射要素の材料、前記反射要素の空間的向き、又はこれらの任意の組み合わせは、前記距離、前記無線周波数信号ディフューザと前記第1のノードとの間の送信角度、又は前記距離及び前記送信角度に依存する、請求項5に記載の無線周波数システム。
【請求項7】
当該無線周波数システムは、予め定義されたチャープを含む前記無線周波数信号に基づいて無線周波数ベースのセンシングを行うように構成される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の無線周波数システム。
【請求項8】
前記無線周波数信号ディフューザは、第1の波長の無線周波数信号を反射する及び第2の波長の無線周波数信号を吸収するように構成される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の無線周波数システム。
【請求項9】
当該無線周波数システムの前記ノードは、それぞれの最近傍ノードに対して所定の距離を有する規則的なグリッドに配置される、請求項1に記載の無線周波数システム。
【請求項10】
センシングエリアにおいて無線周波数ベースのセンシングを行うための無線周波数システムを動作させる方法であって、当該方法は、
無線周波数信号を送信するように構成される第1のノードを配置するステップと、
前記第1のノードに対して距離をおいて、前記無線周波数信号に基づいてマルチパスチャネルのための追加のパスを生成するために複数の方向に前記無線周波数信号を反射するように構成される無線周波数信号ディフューザを配置する、及び、前記マルチパスチャネルの前記追加のパスのうちの少なくとも1つの追加のパスが、前記センシングエリアにおいて無線周波数ベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように、前記無線周波数信号ディフューザ及び前記第1のノードを構成するステップと、
前記追加のパスのうちの少なくとも前記1つの追加のパスを含む前記マルチパスチャネルの少なくとも2つのパスに基づいて前記無線周波数システムによって無線周波数ベースのセンシングを行うステップと、
を含み、
前記無線周波数システムは、無線周波数ベースのセンシングを行うように構成される第2のノードを含み、前記第2のノードは、前記無線周波数信号ディフューザを含み、前記ノードの各々は、前記無線周波数信号に基づいて前記マルチパスチャネルのためのさらなる追加のパスを生成するために複数の方向に前記無線周波数信号を反射するように構成される無線周波数信号ディフューザを含む、方法。
【請求項11】
当該方法は、
前記マルチパスチャネルの前記追加のパスのうちの前記少なくとも1つの追加のパスが、無線周波数ベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように、前記無線周波数信号ディフューザと前記第1のノードとの間の前記距離に基づいて前記無線周波数信号の送信パワーを選択するステップ、
前記マルチパスチャネルの前記追加のパスのうちの前記少なくとも1つの追加のパスが、無線周波数ベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように、前記無線周波数信号ディフューザと前記第1のノードとの間の前記距離に基づいて選択される送信パワーで前記無線周波数信号を送信するステップ、
前記無線周波数信号ディフューザの方向に前記第1のノードによって前記無線周波数信号を指向性送信するステップ、
前記センシングエリアの三次元モデルに基づいて前記センシングエリアにおける前記追加のパスの分布を最適化するように適合されるカスタマイズされた形状を前記無線周波数信号ディフューザが備えるステップ、
前記無線周波数信号を反射するように構成される複数の反射要素を前記無線周波数信号ディフューザが備えるステップ、
前記反射要素の各々が、無線周波数ベースのセンシングを行うために使用される前記無線周波数信号の波長に適合されるサイズを有するステップ、
前記距離、前記無線周波数信号ディフューザと前記第1のノードとの間の送信角度、又は前記距離及び前記送信角度に基づく前記反射要素の数、前記反射要素のサイズ、前記反射要素の材料、前記反射要素の空間的向き、又はこれらの任意の組み合わせを前記無線周波数信号ディフューザが備えるステップ、
チャープを含む予め定義された無線周波数信号に基づいて無線周波数ベースのセンシングを行うステップ、
第1の波長の無線周波数信号を反射する及び第2の波長の無線周波数信号を吸収するように前記無線周波数信号ディフューザを構成するステップ、
無線周波数ベースのセンシングを行うように構成される第2のノードが前記無線周波数信号ディフューザを備えるステップ、
それぞれの最近傍ノードに対して所定の距離を有する規則的なグリッドに前記無線周波数システムの前記ノードを配置するステップ、及び
前記無線周波数信号に基づいて前記マルチパスチャネルのためのさらなる追加のパスを生成するために複数の方向に前記無線周波数信号を反射するように構成される無線周波数信号ディフューザを前記ノードの各々が備えるステップ、
のうちの1つ以上を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
センシングエリアにおいて無線周波数ベースのセンシングを行うためのコンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムは、当該コンピュータプログラムがプロセッサで実行された場合、前記プロセッサに請求項10又は11に記載の方法を実行させるためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFベースのセンシングを行うための無線周波数(RF:radio frequency)システム、対応する方法、及び対応するコンピュータプログラムプロダクトに関する。とりわけ、本発明は、マルチパスチャネルに基づいてRFベースのセンシングを行うことに関する。
【背景技術】
【0002】
US 2019/0178980 A1は、リアルタイムでバイタルサインを検出及び監視するための方法、装置及びシステムを示している。一例において、現場における繰返し運動を監視するためのシステムが開示されている。システムは、トランスミッタ、レシーバ、及び繰返し運動モニタを含む。トランスミッタは、現場における第1の位置に位置し、現場における物体の繰返し運動によって影響を受けるワイヤレスマルチパスチャネルを介してワイヤレス信号を送信するように構成される。トランスミッタは、各々が異なる方向を指す複数のビームを形成することができるマルチアンテナアレイを介してワイヤレス信号を送信することができる。レシーバは、現場における第2の位置に位置し、現場における物体の繰返し運動によって影響を受けるワイヤレスマルチパスチャネルを介してワイヤレス信号を受信し、ワイヤレス信号に基づいてワイヤレスマルチパスチャネルのチャネル情報(CI:channel information)の時系列を得るように構成される。
【0003】
Hu Jingzhiらは、人間の姿勢認識のための無線周波数(RF)センシング技術を開示している。従来のRFセンシング技術は、人間の姿勢に関する多次元情報を伝えるための送信チャネルの数を制限する、それらの無線環境の制約を受ける。受動的に環境に適応するのではなく、Hu Jingzhiらにおいては、再構成可能なインテリジェントサーフェス(RIS:reconfigurable intelligent surface)に基づく姿勢認識のためのRFセンシングシステムが設計されている。提案システムは、望ましい伝搬特性及びそれぞれ異なる送信チャネルを提供するために能動的に環境をカスタマイズすることができる。しかしながら、高い認識精度を達成するには、RIS構成の最適化を必要とし、これは困難な問題である。この課題に取り組むために、最適化問題が定式化され、これを2つの部分問題に分解し、これらを解くアルゴリズムを提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、マルチパスチャネルに基づくRFベースのセンシングの向上を可能にするRFシステム、方法、コンピュータプログラムプロダクト、及びコンピュータ可読媒体を提供することであるといえる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様において、センシングエリアにおいてRFベースのセンシングを行うためのRFシステムが提供される。RFシステムは、第1のノード及びRF信号ディフューザ(RF signal diffuser)を含む。第1のノードは、RF信号を送信するように構成される。RF信号ディフューザは、RF信号に基づいてマルチパスチャネルのための追加のパスを生成するために複数の方向にRF信号を反射するように構成される。RF信号ディフューザ及び第1のノードは、RFシステムにおいて互いに距離をおいて配置され、マルチパスチャネルの追加のパスのうちの少なくとも1つの追加のパスが、センシングエリアにおいてRFベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように構成される。RFシステムは、追加のパスのうちの少なくとも前記1つの追加のパスを含むマルチパスチャネルの少なくとも2つのパスに基づいてRFベースのセンシングを行うように構成される。
【0006】
RF信号ディフューザは複数の方向にRF信号を反射するので、パスの数が、追加のパスを生成することによって増加される。ワイヤレスエネルギは、追加のパス間で本質的に均一に分散されてもよい。言い換えれば、RFシステムは、向上したRFベースのセンシングのために均等にバランスのとれたワイヤレスマルチパスチャネルを提供してもよい。これは、センシングエリア全体にわたるパス又は入射波の3次元的に分布するセットが確保され得るので、センシングエリア全体にわたる均一な性能を可能にする。とりわけ、これは、センシングエリアにおける死角の数を減らすことによってRFベースのセンシングカバレッジを向上させることを可能にし、センシングエリアの異なるサブエリアにわたる占有検出の一貫性を向上させる。パスの数が増加されるので、各個々のパスの寄与は減らされてもよく、これにより、例えば、RFベースのセンシング占有検出アルゴリズム等、RFベースのセンシングアルゴリズムによって実行される、RFベースのセンシングをゆがめる(skew)又は過度に偏らせる(overly bias)パスが少なくなる又はなくなる。
【0007】
さらに、バイタルサイン検出、例えば、呼吸数検出又は心拍数検出等の価値の高い機能が可能にされてもよく又は向上されてもよい。RF信号ディフューザを使用することにより、空間的な豊かさ(spatial richness)が、センシングエリアのレベルにおいて強化及び/又は微調整されてもよい。
【0008】
RF信号ディフューザは、マルチパスチャネルのための追加のパスを生成するために複数の方向にRF信号を反射するので、第1のノードは、マルチパスチャネルに基づくRFベースのセンシングを行うことができる一方、それぞれ無指向性又は等方的に送信する代わりに、RF信号ディフューザに方向付けられる単一のビームを送信することができる。言い換えれば、第1のノードは、マルチパスチャネルのパスを生成するためにマルチアンテナアレイによってRF信号を送信する必要がない。マルチアンテナアレイによってRF信号を送信することと比較して、より単純な又は少なくとも代替的な構造が、マルチパスチャネルのためのパスを生成するために設けられてもよい。
【0009】
RF信号ディフューザは、RF信号に基づいてマルチパスチャネルのための追加のパスを生成するためにセンシングエリア内の複数の所定の方向にRF信号を反射するように構成されてもよい。これは、RF信号がRF信号ディフューザによって反射されるセンシングエリアの所定のサブエリアにおける検出性能を向上させることを可能にし得る。
【0010】
RF信号ディフューザは、RF信号を送信するように構成される第1のノードのファーフィールド(far-field)に配置されてもよい。例えば、RF信号ディフューザと第1のノードとの間の距離は、RF信号ディフューザが第1のノードのファーフィールドに配置されるように選択されてもよい。距離は、例えば、第1のノードのアンテナからRF信号ディフューザの表面までの距離を称してもよい。代替的に、距離は、例えば、これらが規則的なグリッドに配置される場合、第1のノードの中心とRF信号ディフューザの中心との間の距離を称してもよい。
【0011】
RFシステムは、RFベースのセンシングを行うために、複数のノード、例えば、RF信号を送信するための第1のノード及びRF信号を受信するための受信ノードを含んでもよい。
【0012】
RFベースのセンシングは、センシングエリア、すなわち、建物内の部屋、建物、又は任意の他の空間等、特定の空間又は特定のボリューム(volume)で起こる様々なセンシングイベントの検出を可能にする。センシングアルゴリズム又はセンシング分析アルゴリズムは、センシングエリア内の、物体又はユーザ等、有体物がRF信号にどのように影響を与えるかを検出及び分析してもよい。RF信号は、RFベースのセンシングを行うために特別に適合されるRFセンシングメッセージ、すなわち、ノード間のデータ交換又は通信のための情報を含まず、RFベースのセンシングを行うためだけのRFメッセージ等、RFメッセージを送信するために使用される。RFベースのセンシングは、家庭、オフィス等におけるユーザアクティビティ等、センシングイベントを検出及び分類するための手段として使用されてもよい。例えば、スマートライトの形態のノードによって送信及び受信される、WiFi(登録商標)RFベースのセンシングメッセージ等、RFベースのセンシングメッセージに基づいて、RFベースのセンシングは、室内のモーション(motion)を判断し、ライトを自動的にオン又はオフにしてもよく、WiFi(登録商標)ルータの形態のノードは、人の呼吸数等を推定してもよい。
【0013】
RFベースのセンシングの基本原理は、空間におけるRF信号の歪みが、RF信号の周波数だけでなく、当該空間における有体物、例えば、移動物体の関数でもあるということである。RF信号又は無線波はそれぞれ電磁放射によって伝播され、反射、屈折、回折、吸収、偏波、及び散乱によって環境と相互作用する(interact)。ワイヤレス減衰は、RFベースのセンシングアプリケーションで使用される典型的な周波数範囲内で異なる材料によって異なる。それゆえ、センシングエリアの特性、例えば、部屋の構造形式(construction form)、空間的配置(spatial arrangement)、センシングエリアに存在する各材料タイプの積分表面積(integral-surface-area)は、センシングエリアのRFマルチパス信号特性に影響を与える可能性がある。とりわけ、RF信号ディフューザがRFシステムに配置されるので、追加のパスが、マルチパスチャネルのために生成される。
【0014】
RFベースのセンシングを行うために、あるノード、すなわち、第1のノードは、受信ノードとして機能する別のノードにRF信号を送信する送信ノードとして機能する。受信されたRF信号は分析されてもよい。RF信号が、ノード間のそれらのパス又は送信パス上でそれぞれ1つ以上の有体物、例えば、物体又は人と相互作用する場合、RF信号は、散乱、吸収、反射、又はこれらの任意の組み合わせ等、外乱を受ける。RF信号のこれらの外乱(disturbance)は分析され、RFベースのセンシングを行うために使用されることができる。外乱を受けた及び/又は反射されたRF信号は、誘電率(electrical permittivity)及び磁化率(magnetic susceptibility)の実部及び虚部等、信号パラメータに基づくRFベースのセンシングフィンガープリント(RF-based sensing fingerprint)を含むことができる。
【0015】
RF信号は第1のノードから有体物へ進み、外乱を受け、受信ノードへ反射されてもよい。これらのパスは、以下ではオリジナルの(original)パスと称される。さらに、RF信号は、有体物と相互作用する、すなわち、有体物によって外乱を受け、受信ノードへ反射される前にRF信号ディフューザで反射されてもよい。これらのパスは、RF信号ディフューザによって生成される追加の(additional)パスである。追加のパスを加えることは、RF信号を介して第1のノードによって送信される情報が、RF信号を受信する受信ノードによって正しく受信される確率、すなわち、情報送信の確率を高めることを可能にする。例えば、追加のパスが使用される場合、ブロッケージ(blockage)のリスクが低減される。
【0016】
送信パワーは、第1のノードによってRF信号を送信するために使用されるパワー量(amount of power)に相当する。より高い送信パワーは、情報送信の確率を高めることを可能にする。例えば、受信ノードによって受信されるRF信号が、受信ノードが受けるセンシングエリア内のノイズレベル以下であるような送信パワーでRF信号が送信される場合、情報は、ノイズに起因して失われる可能性がある。第1のノードによるRF信号の送信パワーを増加させることは、ノイジーな環境(noisy environment)でも情報を受信することを可能にし得る。
【0017】
第1のノードは、少なくとも1つのオリジナルのパス、すなわち、RF信号ディフューザによって生成されない少なくとも1つのパス、及び、RF信号ディフューザによって生成されるマルチパスチャネルの1つの追加のパスが、RFベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するような送信パワーでRF信号を送信するように構成されてもよい。
【0018】
第1のノードは、マルチパスチャネルの追加のパスのうちの少なくとも1つの追加のパスが、RFベースのセンシングを行うために、例えば、目標とするセンシング機能(targeted sensing function)及び/又は目標とする信頼レベル(targeted confidence level)のために十分な送信パワーを有するように、RF信号ディフューザと第1のノードとの間の距離に基づいて選択される送信パワーでRF信号を送信するように構成されてもよい。これは、RF信号がRFベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有する最大パス長(maximum path length)を増加させることを可能にし得、最大パス長は、RF信号を送信するノードとRFベースのセンシングを行うためにRF信号を受信するノードとの間に延びる。
【0019】
例えば、ノードは、送信パワーを増加させ得るZigBee(登録商標)又はWiFi(登録商標)ラジオ(radio)を含んでもよい。また、送信パワーは、RFベースのセンシングを行うために使用される通信技術、例えば、波長に基づいて増加されてもよい。例えば、60GHz WiFi(登録商標)の場合、送信ノードと受信ノードとの間の情報伝送を確保するために60GHz WiFi(登録商標)ではより高い送信パワーが必要とされるように、空気中の60GHz WiFi(登録商標)信号の吸収が2.4GHz WiFi(登録商標)信号よりも強いので、2.4GHz WiFi(登録商標)よりも高い送信パワーが適用されてもよい。
【0020】
第1のノードは、RF信号を指向性(directionally)又は無指向性(omnidirectionally)送信するように構成されてもよい。第1のノードによってRF信号をそれぞれ無指向性、又は等方的に(isotropically)送信することは、RF信号がRF信号ディフューザで反射される前に異なるパス間で送信パワーを分割することに起因して各パスの送信パワーを減らす。これは、様々なパスが、例えば、RF信号がパスを介して正しく受信されることができないように、送信パワーがノイズレベルを下回るので、RFベースのセンシングを行うために不十分な送信パワーを有することになる可能性がある。
【0021】
第1のノードは、RF信号ディフューザの方向にRF信号を指向性送信するように構成されてもよい。これは、センシングエリアにおけるパスの数を制限することを可能にし、それぞれ異なるRFチャネル又はワイヤレスチャネル間の干渉を低減することを可能にし得る。さらに、情報伝送の確率を高めることを可能にする。第1のノードは、RF信号ディフューザの方向にRF信号を指向性送信するためにRF信号をビームフォーミングするように構成されてもよい。第1のノードは、例えば、RF信号ディフューザの方向にRF信号を指向性送信するために、RF信号ディフューザに方向付けられる単一のビームでRF信号を発するように、又は、RF信号ディフューザと同一の平面内にRF信号を発するように構成されてもよい。RF信号が平面内に発せられる場合、2つ以上のビームが平面内に発せられてもよい。例えば、第1のノード及びRF信号ディフューザは、部屋の天井に配置されてもよい。この場合、平面は、例えば、天井面であってもよい。
【0022】
第1のノードは、RFセンシングメッセージを含むRF信号を送信するように構成されてもよい。
【0023】
RF信号ディフューザは、所定のサイズ、所定の形状、又は所定の材料組成を有してもよい。所定のサイズ、所定の形状、及び所定の材料組成は、例えば、RFシステムによってRFベースのセンシングが行われるべきであるセンシングエリアに適合される、所定の方向にRF信号を反射するために最適化されてもよい。これは、追加のパスを生成するためのRF信号ディフューザのシンプルな構造を提供することを可能にし得る。
【0024】
RF信号ディフューザは、例えば、RFシステムのノードのうちの1つのノードのハウジングの一部を形成してもよい。RF信号ディフューザは、例えば、ノードのハウジングの外面の一部として形成されてもよい。
【0025】
RF信号ディフューザは、RF信号を反射するための反射材料、例えば、金属を自身の表面に含んでもよい。反射材料は、例えば、アルミニウム(Al)等、電磁材料であってもよい。RF信号ディフューザは、例えば、反射材料、例えば、金属でコーティングされてもよい。これは、ほぼ完全なRF信号反射を可能にし得る。
【0026】
RF信号ディフューザは、センシングエリアの三次元(3D)モデルに基づいてセンシングエリアにおける追加のパスの分布を最適化するように適合されるカスタマイズされた形状を有してもよい。これは、センシングエリアにおけるRFベースのセンシング性能、例えば、検出性能を向上させることを可能にし得る。例えば、RF信号ディフューザのカスタマイズされた形状は、センシングエリアにおける追加のパスの分布がRFベースのセンシング性能、例えば、センシング分解能及び/又はセンシング感度を最適化するように適合されてもよい。死角の数が低減されてもよく、例えば、RFベースのセンシング性能はセンシングエリア全体にわたって均等に分散されてもよく、又は特定の関心エリアのRFベースのセンシングカバレッジが改善されてもよい。例えば、センシングエリアが部屋である場合、必要とされるRFベースのセンシングカバレッジは、部屋の隅よりも、人が作業する部屋のテーブルにおいて高くてもよい。部屋のテーブルは、追加のRFベースのセンシングカバレッジを必要とする関心エリアであってもよい。RF信号ディフューザのカスタマイズされた形状は、追加のパスが関心エリアをカバーするように適合されてもよい。言い換えれば、追加のパスの分布は、より多くの追加のパスが関心エリアに方向付けられるようにRF信号ディフューザのカスタマイズされた形状を適合させることによって最適化されてもよい。さらなる関心エリアとしては、例えば、呼吸数認識及び/又は睡眠モニタリング等のために、人が眠るベッドが挙げられ得る。
【0027】
カスタマイズされた形状は、RF信号ディフューザの表面を3Dプリントすることに基づいて提供されてもよい。RFシステムは、例えば、RFシステムが配置される、部屋等、センシングエリアのビルディングインフォメーションモデル(BIM)に基づいて、センシングエリアにおける追加のパスの分布を最適化してもよい。これは、RFベースのセンシング性能をさらに向上させることを可能にし得る。
【0028】
RFシステムは、センシングエリアの3Dマップが提供されてもよい。センシングエリアの3Dマップは、例えば、ユーザのモバイルフォンで実行されるライダーセンシング(Lidar-sensing)を使用して生成されてもよい。RF信号ディフューザのカスタマイズされた形状は、センシングエリアの3Dマップに基づいて決定及び生成されてもよい。さらに、RF信号ディフューザの材料組成、位置、及び/又はサイズは、センシングエリアの3Dマップに基づいて選択されてもよい。これは、とりわけ関心エリアにおける、RFベースのセンシング性能を向上させることを可能にし得る。とりわけ、追加のパスは、特定の関心エリアに対して選択的に追加されてもよい。言い換えれば、第1のノード及びRF信号ディフューザは、センシング分解能及び/又はセンシング感度等、最適化されたRFベースのセンシング性能がRFベースのセンシングを行うために最も関心が高いセンシングエリアのサブエリアにおいて達成されるように、追加のパスが生成されるように配置及び構成されてもよい。
【0029】
RF信号ディフューザは、時変の(time-variant)追加のパスを提供するように構成されてもよい。例えば、RF信号ディフューザの形状が時変であってもよく、例えば、経時的に伸び縮みするものであってもよく、例えば、定期的に伸び縮みするものであってもよい。RF信号ディフューザは、例えば、定期的に膨らむ及び縮むバルーンであってもよく、又は斯かるバルーンを含んでもよい。追加的に、又は代替的に、RF信号ディフューザは、時変の追加のパスを生成するために軸に沿って回転されてもよい。これは、RF信号が経時的に異なる方向に反射されるので、センシングエリアのカバレッジを向上させることを可能にし得る。RF信号ディフューザが、例えば、1分間に1回全回転するように回転する場合、RF信号は、センシングエリアにわたり動的に反射される。RF信号ディフューザが第1の静止位置にある場合、センシングエリアの第1のサブエリアは、限定されたカバレッジを有する可能性があり、すなわち、第1のサブエリアは、死角になる可能性がある。ひとたびRF信号ディフューザが回転を開始し、RF信号ディフューザの表面の角度が、例えば、連続的に、到来RF信号に対して変更されると、反射RF信号に基づいて生成される追加のパスは、相応にセンシングエリア上を旋回する(swivel)ことになる。これは、例えば、1秒のタイムフレーム内で少なくとも10msの間、以前の死角がRFベースのセンシングによってカバーされるようにすることを可能にし得る。RF信号ディフューザを回転させることは、経時的にセンシングエリアにおいて複数の部分的にオーバーラップする測定を行うことに相当する。RF信号ディフューザの形状及び到来RF信号に対する経時的な形状の適応は、センシングエリアにおけるセンシングカバレッジを最適化するために最適化されてもよい。例えば、伸縮速度又は回転速度等、到来RF信号に対して経時的に形状を適応させるパラメータが相応に適応されてもよい。
【0030】
RF信号ディフューザは、RF信号を反射するように構成される複数の反射要素を含んでもよい。反射要素の各々は、RFベースのセンシングを行うために使用されるRF信号の波長に適合されるサイズを有してもよい。これは、ワイヤレスエネルギが、マルチパスチャネルのパス間でより均一に分散されることを可能にする。反射要素のサイズは、例えば、RFベースのセンシングを行うために使用されるRF信号の波長の0.05倍と0.2倍の間、例えば、0.1倍と0.2倍の間であってもよい。これは、(複数の)RF信号のパスの位相歪みを回避することを可能にする。反射要素が入射RF信号の波長に匹敵する又はそれよりも大きい場合、波の変化が生じる可能性がある。反射要素のサイズは、例えば、12cmの波長を有する、2.4GHzのWiFi(登録商標)の形式のRF信号の場合、1cm~2cmであってもよい。
【0031】
反射要素の1つ以上は、時変の追加のパスを提供するように構成されてもよい。例えば、反射要素の1つ以上は、RF信号ディフューザ、例えば、RF信号ディフューザの表面上の形状又は向きを経時的に適応させてもよい。例えば、反射要素の1つ以上の形状は、例えば、圧電効果に基づいて、凸状と凹状の間で適合されてもよい。反射要素のうちの1つ以上の反射要素の向きは、例えば、RF信号ディフューザの表面上で反射要素の1つ以上を回転させることによって適合されてもよい。例えば、反射要素の1つ以上は、垂直に向くのと水平に向くのとで向きを変えてもよい。反射要素のうちの1つ以上の反射要素の形状又は向きは、例えば、所定のルールに従って、例えば、定期的に適合されてもよい。反射要素は、それらの形状又は向きを互いに独立して、又は協調して適合させてもよく、例えば、すべての反射要素又は反射要素のグループがそれらの形状又は向きを経時的に適合させてもよい。
【0032】
RF信号ディフューザは、例えば、20面体形状、例えば、20面体の表面に64個の反射要素が配置される正20面体形状を有してもよい。これは、15~100個のパスが、RFベースのセンシングを行うために受信ノードによって受信されることを可能にする。言い換えれば、この場合、15~100個のパスがRFベースのセンシングに寄与してもよい。
【0033】
また、RF信号ディフューザは、例えば、ヒートシンク、反射要素を備えるダウンライトのトリムリング、又は埋め込み型ダウンライトの特別なバネ構造の形態を有してもよい。ヒートシンクは、例えば、ディフューザ構造として機能し得る、頑丈な3D金属表面を含む、例えば、特別に設計されたサーマルLEDヒートシンクであってもよい。RFシステムが建物の部屋の形態のセンシングエリアに配置され、ヒートシンクの形態のRF信号ディフューザが受信ノードの周りに配置される場合、ヒートシンクは、例えば、天井ではなく床に向かって露出されるように設計されてもよい。これは、第1のノードによって送信されるRF信号がマルチパスチャネルのための追加のパスを生成するためにRF信号ディフューザによって反射される際に室内の物体によって反射されるRF信号を受信することができるように、RF信号を受信するために使用される受信ノードのアンテナを床へと露出させることを可能にする。
【0034】
代替的に、例えば、RF信号ディフューザの反射要素がダウンライトのトリムリングに配置される場合のように、受信ノードのアンテナ及びRF信号ディフューザは、わずかに異なる位置に配置されてもよい。RF信号ディフューザは、例えば、アンテナから数cm離れて、配置されてもよい。これは、マルチパスチャネルのための追加のパスが生成されることができる一方、RF信号がアンテナによって受信され得るようにすることを可能にする。
【0035】
さらに代替的に、RF信号ディフューザは、第1のノードの位置と受信ノードの位置との間に配置されてもよい。例えば、RF信号ディフューザは、ディスコボール状の形状、すなわち、反射要素が例えば均等に分布している球状の表面を有してもよい。ディスコボール状の形状を有するRF信号ディフューザは、時変の追加のパスを生成するために、軸、例えば、軸方向の軸に沿って回転するように構成されてもよい。これは、RFベースのセンシングをさらに向上させることを可能にし得る。とりわけ、センシングエリアのカバレッジが改善されてもよい。
【0036】
また、ディスコボール状の形状を有するRF信号ディフューザは、受信ノードに含まれてもよく、例えば、受信ノードの周りに若しくは受信ノードの一部として配置されてもよい。この場合、球状の表面は、RF信号を反射するための反射要素を有するエリアと、RF信号がRF信号ディフューザの内側に配置される受信ノードのアンテナに到達することを可能にするための反射要素を有さないエリアとを含んでもよい。代替的に、受信ノードのアンテナは、ディスコボール状のRF信号ディフューザの外側に配置されてもよい。
【0037】
さらに、他の実施形態において、RF信号ディフューザは、別の形状、例えば、RF信号が第1の方向でRF信号ディフューザに入り、1つ以上の他の方向でRF信号ディフューザを出る、放物面鏡状の形状を有してもよい。これは、RFベースのセンシングカバレッジが死角又は関心エリアに対して改善されるように、とりわけRF信号ディフューザの形状をセンシングエリアに適合させることによって、追加のパスの生成を向上させることを可能にし得る。
【0038】
RF信号ディフューザの形状は、RF信号ディフューザと第1のノードとの間の距離に依存してもよい。代替的に、又は追加的に、RF信号ディフューザの形状は、RFシステムのノードの空間的配置に依存してもよい。代替的に、又は追加的に、RF信号ディフューザの形状は、第1のノードによって送信されるRF信号の指向性に依存してもよい。また、RF信号ディフューザの形状は、RF信号を受信する受信ノードの指向性に依存してもよい。受信ノードの指向性は、RF信号を受信する受信アンテナの指向性に関連してもよい。
【0039】
RF信号ディフューザは、例えば、部屋の天井に配置されてもよい。第1のノードは、例えば、ファーフィールドに、RF信号ディフューザの下方に垂直方向に距離をおいて天井に配置される、吊り下げ照明器具の形態で提供されてもよい。RF信号は、第1のノードによって垂直方向にRF信号ディフューザに送信されてもよい。
【0040】
RF信号ディフューザは、第1のノードまでの特定の距離に対して最適化されてもよく、相応に第1のノードから特定の距離に配置されてもよい。RF信号ディフューザは、最適化された反射エリアを有してもよく、及び/又は、受信ノードは、最適化されたアンテナ有効エリアを有してもよい。例えば、RF信号ディフューザは、RFシステムにおけるノード及びRF信号ディフューザの空間的配置に応じて最適化されてもよい。これは、いくつかの明確に定義されたノード間の標準間隔しか使用しない、すなわち、ノード間の所定の距離を有する、オフィス及び駐車場等のプロフェッショナル環境においてとりわけ有益であり得る。ノード間の所定の距離は、例えば、送信ノードの送信アンテナと受信ノードの受信アンテナとの間の距離に対応してもよい。これは、RFシステムにおけるノード及びRF信号ディフューザの空間的配置に応じて最適化される異なるRF信号ディフューザの数を制限することを可能にし得る。RF信号ディフューザは、センシングエリアのBIMモデルに基づいて構成されてもよい。例えば、RF信号ディフューザの形状、並びに、RF信号ディフューザ及び/又はRFシステムのノードの配置は、部屋等、センシングエリアのBIMモデルに基づいて最適化されてもよい。
【0041】
反射要素の数、反射要素のサイズ、反射要素の材料、反射要素の空間的向き、又はこれらの任意の組み合わせは、RF信号ディフューザと第1のノードとの間の距離、送信角度、又は距離及び送信角度に依存してもよい。
【0042】
送信角度は、RF信号ディフューザの向きに対するRF信号ディフューザに到着するRF信号の空間的向き(spatial orientation)に関連する。言い換えれば、送信角度は、RF信号ディフューザに対する第1のノードによって送信されるRF信号の指向性に相当する。例えば、RF信号ディフューザは、RF信号がRF信号ディフューザの表面に対してグレージング角(grazing angle)を介して到達するように配向されてもよい。反射要素の空間的向きは、例えば、所定の方向への追加のパスの生成を改善するために相応に適合されてもよい。
【0043】
反射要素の数、反射要素のサイズ、反射要素の材料、反射要素の空間的向き、又はこれらの任意の組み合わせは、代替的に、又は追加的に、RFシステムのノードの空間的配置に依存してもよい。反射要素の数、反射要素のサイズ、反射要素の材料、反射要素の空間的向き、又はこれらの任意の組み合わせは、代替的に、又は追加的に、RF信号を受信する受信ノードの指向性に依存してもよい。
【0044】
RFシステムは、予め定義されたチャープ(chirp)を含むRF信号に基づいてRFベースのセンシングを行うように構成されてもよい。これは、RFベースのセンシングが、より低い信号レベルから、及び、ノイズが多い場合に、モーション情報を抽出することを可能にし得る感度の向上を可能にする。予め定義されたチャープを含むRF信号に基づいてRFベースのセンシングを行うことは、RF信号ディフューザによってより広く拡散されることに起因してRFセンシング信号レベルが低下するRF信号、例えば、空気中の酸素によって強く吸収される60GHz WiFi(登録商標)に対してとりわけ有益であり得る。
【0045】
RFシステムは、RFセンシングメッセージ等のデータを周波数変動するチャープとしてエンコードするためのチャープスペクトラム拡散(CSS:Chirp Spread Spectrum)変調技術に基づいてRF信号を変調するように構成されてもよい。RFシステムは、受信ノードの2つの異なるアンテナによって同時に受信されるRF信号の2つのパスの比を利用することによってRFベースのセンシングを行うように構成されてもよい。アンテナは同じクロックを共有してもよく、斯くして、同一のキャリア周波数オフセット(CFO:carrier frequency offset)及び同一のサンプリング周波数オフセット(SFO:sampling frequency offset)を有してもよい。斯くして、受信ノードの2つの異なるアンテナによって同時に受信されるRF信号の2つのパスの比を利用することは、第1のノード及び受信ノードが時間同期されないことに起因して発生し得る、変動するランダムな周波数オフセットを除去することを可能にする。さらに、RF信号を反射する、人等、遠くの移動物体の場合、反射RF信号は弱くなり、ノイズに埋もれやすくなる。2つのパスの比は、ノイズを打ち消す、及び、遠くの物体の動きに対応する改善された変動パターンを示す比を得ることを可能にする。これは、RFベースのセンシング範囲を増加させることを可能にし得る。2つのパスの比を利用することは、移動物体の距離及び方向を正確に追跡することを可能にし得る。
【0046】
RFシステムは、RFベースのセンシングを行うためにチャープを含むRF信号内の直交性を利用するように構成されるRFセンシングアルゴリズムを含んでもよい。例えば、RFシステムは、呼吸数認識のためにRFベースのセンシングを行うように構成されてもよい。RFセンシングアルゴリズムは、相関を探すためにチャープを含むRF信号内の直交性を利用し、これにより、そうでなければノイズによって抑制される呼吸運動によって引き起こされるRF信号のパスを取得する(retrieve)ように構成されてもよい。これは、より長い距離にわたってRFベースのセンシングを行うことを可能にし得、壁を通してさえRFベースのセンシングを行うことを可能にし得る。さらに、より低い送信パワーのRF信号が、RFベースのセンシングを行うために使用されてもよい。
【0047】
RFシステムは、チャープを含むRF信号内の直交性を利用するように構成されるRFセンシングアルゴリズムを使用してRFベースのセンシングを行うように構成されてもよい。これは、提案されるRF信号ディフューザが受信ノードに到着するRFセンシング信号の送信パワーを実質的に低下させる特定の場合にとりわけ有益であり得る。これは、受信ノードの感度を向上させることを可能にし、例えば、より低い送信パワーのRF信号からモーション情報を抽出するためのRFベースのセンシングを可能にし得る。
【0048】
RFシステムは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、F. ZhangらによってProc. ACM Interact. Mob. Wearable Ubiquitous Technol.、Vol.4、No.2、Article 68に発表された「Exploring LoRa for Long-range Through-wall Sensing」のセクション2に開示される、チャープベースのLoRa信号に基づいてRFベースのセンシングを行う方法に基づいてRFベースのセンシングを行うように構成されてもよい。
【0049】
RF信号ディフューザは、第1の波長のRF信号を反射する及び第2の波長のRF信号を吸収するように構成されてもよい。これは、RF信号ディフューザが、RF信号の特定の波長、斯くして、特定の通信技術、例えば、2.4GHz WiFi(登録商標)又は60GHz WiFi(retrieve)に対して選択的であることを可能にする。これは、RF信号ディフューザが選択的でない通信技術のRF信号によって提供されるノイズを抑制する一方、RF信号ディフューザが選択的である通信技術のRF信号を向上させることを可能にし得る。第1の波長は、例えば、第1の周波数、例えば、2.4GHzに対応してもよく、第2の波長は、例えば、第2の周波数、例えば、60GHz WiFi(登録商標)に対応してもよい。RF信号ディフューザは、例えば、第1の波長を反射する及び第2の波長を吸収するように構成される材料を含んでもよい。材料は、RF信号ディフューザの表面の少なくとも一部にコーティングを形成してもよい。
【0050】
RFシステムは、チャネル状態情報(CSI:channel state information)に基づいてRFベースのセンシング、すなわち、CSIベースのセンシングを行うように構成されてもよい。代替的に、RFシステムは、受信信号強度インジケーション(RSSI:received signal strength indication)に基づいてRFベースのセンシング、すなわち、RSSIベースのセンシングを行うように構成されてもよい。
【0051】
RSSI及びCSIはどちらも、RFチャネルで送信されるRFメッセージから抽出されるメトリクスであり、それゆえ、RFメッセージの関数である。RSSIは、2つのノード間のワイヤレス通信リンクの全体的な減衰の測定である。言い換えれば、RSSIは、RFメッセージの受信を開始する場合にノードが推定するパワー量の粗い測定であり、すなわち、RSSIは、RFメッセージの平均パワー量に相当する。CSI、例えば、WiFi(登録商標) CSIは、RF信号が、送信ノードと受信ノードとの間のRFチャネルにおいて、複数の空間パスに沿ってあるキャリア周波数でどのように伝播するかを表し、異なる周波数に沿って有体物が有する影響を表す。言い換えれば、CSIは、RFメッセージ、例えば、WiFi(登録商標) RFメッセージを変調及び復調するために使用されるサブキャリアから抽出されるメトリックである。これらのサブキャリアは、RFチャネル自体のスペクトルの異なる部分を表し、その結果、RSSIよりもRFメッセージあたりのデータポイントが多くなる。CSIの振幅及び位相は、RF信号の振幅減衰及び位相シフトを含むマルチパス効果によって影響を受けるため、CSIは、近隣環境のRF特性を捉える。
【0052】
複数のCSI測定の時系列は、RF信号が時間、周波数、及び空間領域において、物理的物体及び人間等、周囲の有体物をどのように通り抜けるかを捉える。マルチパスチャネルを介してRF信号を送信すること、及び、複数のCSI測定の時系列を分析するために、人工知能分析アルゴリズム等、分析アルゴリズムを使用することは、さまざまな異なるワイヤレスセンシングアプリケーションを可能にし得る。例えば、時間領域におけるCSI振幅変動は、異なる人間、アクティビティ、ジェスチャ等に対して異なるパターンを有し得、人間存在検出、モーション検出、アクティビティ認識、ジェスチャ認識、及び人間識別等に用いられてもよい。
【0053】
空間領域及び周波数領域、すなわち、送信/受信アンテナ及びキャリア周波数で観察されるCSI位相シフトは、信号伝送遅延及び到着方向に関連し、RFベースのセンシングを活用するために使用されてもよく、占有及びアクティビティ検出に加えて、センシングエリア、例えば、建物空間を横切る人間の位置特定及び追跡にも使用されてもよい。
【0054】
時間領域におけるCSI位相シフトは、例えば、CSIベースのセンシングを行う際に呼吸数を推定するために使用され得る、異なる支配的な周波数成分を有する可能性がある。
【0055】
CSIベースのセンシング及びRSSIベースのセンシングの両方は同じ物理的ラジオ(physical radio)に依存し得る(例えば、両方がWiFi(登録商標)等の同じプロトコルから抽出される場合)ため、及び、センシングエリアをプローブする(probe)ために両方について同じRFメッセージが分析され得るため、2つのRFベースのセンシング方法の信号伝播の物理学は同一であり得、すなわち、センシングエリア内のマルチパスチャネルは、CSIデータ又はRSSIデータのいずれがラジオから抽出されるという理由だけでは変わらない。
【0056】
さらに、RSSIベースのセンシング及びCSIベースのセンシングの両方が、2つのノード間のRFチャネルの時系列を分析する。RSSIベースのセンシングアルゴリズムと比較して、CSIベースのセンシングアルゴリズムは、RFシステムに配置されるRF信号ディフューザ又は物理的な建物空間等のセンシングエリアのマルチパス特性に関連し得る異なるWiFi(登録商標)サブキャリアの各々からのメトリクスを抽出することができる。
【0057】
CSI振幅及び位相は、単一のRFパスではなく、センシングエリア内の複数のパスからのRF信号によって影響を受ける。例えば、RSSIは、「ハウスキーピング(house-keeping)」目的でRFラジオによってネイティブに(natively)行われる単純な測定である。対照的に、WiFi(登録商標)を使用するCSIベースのセンシングを行うためには、マルチパス情報が、WiFi(登録商標)マイクロコントローラによって提供される測定された生のCSIデータから先ず導出される必要がある。例えば、20MHz WiFi(登録商標)チャネルは、64個のCSIサブキャリア周波数を有し得る。これらのサブ周波数の各々は、素材物体、例えば、部屋のレンガ壁又はソファの布地等、有体物と異なって相互作用するため、64個のサブコンポーネントが統合的に(integrally)どのように挙動するかの分析、例えば、それらの相対的差異は、センシングエリアのマルチパス挙動を示し得る。
【0058】
RFシステムは、RFベースのセンシングを行うように構成される第2のノードを含んでもよい。第2のノードは、RF信号ディフューザを含んでもよい。これは、RFベースのセンシングを行うための向上したRFシステムを提供することを可能にする。第2のノードは、RFベースのセンシングを行うためのマルチパスチャネルの少なくとも2つのパスを受けるように構成されてもよい。この場合、第2のノードは、受信ノードとして機能してもよい。
【0059】
RFシステムは、RFベースのセンシングを行うためのマルチパスチャネルの少なくとも2つのパスを受けるように構成される第3のノードを含んでもよい。この場合、第3のノードは、受信ノードとして機能してもよい。代替的に、又は追加的に、第2のノード及び/又は第1のノードが、受信ノードとして機能してもよい。第1のノード、第2のノード、及び第3のノードは、異なる位置に配置されてもよい。
【0060】
RFシステムのノードは、それぞれの最近傍ノードに対して所定の距離を有する規則的なグリッドに配置されてもよい。これは、RFベースのセンシングのためのリッチなマルチパス環境(rich multipath environment)を作り出す散乱RFビームのグリッド(grid of scattered RF beams)を提供することを可能にし得る。それぞれのノードのそれぞれの最近傍ノードまでの所定の距離は、ノードのそれぞれのアンテナアレイ間の距離に対応してもよい。規則的なグリッドのノードは、所定の数の最近傍ノードを有してもよい。規則的なグリッドのエッジ又はコーナにおけるノードは、規則的なグリッドの中央におけるノードよりも少ない数の最近傍ノードを有してもよい。規則的なグリッドは、例えば、正方形グリッドであってもよい。この場合、規則的なグリッドの中央におけるノードは4つの最近傍ノードを有し、エッジにおけるノードは3つの最近傍ノードを有し、コーナにおけるノードは2つの最近傍ノードを有する。代替的に、規則的なグリッドは、例えば、三角形グリッドであってもよく、又は任意の他の規則的なグリッドジオメトリを有してもよい。規則的なグリッドは、2次元(2D)又は3Dグリッドであってもよい。
【0061】
RFシステムのノードの各々は、RF信号に基づいてマルチパスチャネルのためのさらなる追加のパスを生成するために複数の方向にRF信号を反射するように構成されるRF信号ディフューザを含んでもよい。これは、マルチパスチャネルのためのパスの数をさらに増やすことを可能にし、RFベースのセンシング性能をさらに向上させることができる。
【0062】
ノードは、センシングエリア、例えば、部屋の天井に配置、例えば、取り付けられてもよい。また、ノードは、任意の他の高さに配置されてもよく、例えば、壁等に取り付けられてもよい。
【0063】
RFシステムは、例えば、2.4GHz WiFi(登録商標)、又は5.925GHz~7.125GHz WiFi(登録商標)、すなわち、WiFi6Eに基づいてRFベースのセンシングを行うように構成されてもよい。第1のノードは、RF信号を指向性送信する、例えば、RF信号ディフューザ上にワイヤレスビームの形態でRF信号を集束させるように構成されてもよい。RF信号ディフューザは、不規則な形状を有する金属から作られてもよく、金属サブサーフェス(metallic sub-surface)の形態の反射要素が、センシングエリア内の異なる方向にRF信号を反射するように構成、例えば、配向されてもよい。より高い周波数でRFベースのセンシングを行うことは、より小さな反射要素を使用することを可能にする、及び、第1のノード及びRF信号ディフューザを互いのファーフィールドに保つ一方、これらの間の距離を縮めることを可能にする。
【0064】
本発明のさらなる態様において、センシングエリアにおいてRFベースのセンシングを行うためのRFシステムを動作させる方法が提供される。方法は、
RF信号を送信するように構成される第1のノードを配置するステップと、
第1のノードに対して距離をおいて、RF信号に基づいてマルチパスチャネルのための追加のパスを生成するために複数の方向にRF信号を反射するように構成されるRF信号ディフューザを配置する、及び、マルチパスチャネルの追加のパスのうちの少なくとも1つの追加のパスが、センシングエリアにおいてRFベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように、RF信号ディフューザ及び第1のノードを構成するステップと、
追加のパスのうちの少なくとも前記1つの追加のパスを含むマルチパスチャネルの少なくとも2つのパスに基づいてRFシステムによってRFベースのセンシングを行うステップと、
を含む。
【0065】
方法は、
マルチパスチャネルの追加のパスのうちの少なくとも1つの追加のパスが、RFベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように、RF信号ディフューザと第1のノードとの間の距離に基づいてRF信号の送信パワーを選択するステップ、
マルチパスチャネルの追加のパスのうちの少なくとも1つの追加のパスが、RFベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように、RF信号ディフューザと第1のノードとの間の距離に基づいて選択される送信パワーでRF信号を送信するステップ、
RF信号ディフューザの方向に第1のノードによってRF信号を指向性送信するステップ、
センシングエリアの三次元モデルに基づいてセンシングエリアにおける追加のパスの分布を最適化するように適合されるカスタマイズされた形状をRF信号ディフューザが備えるステップ、
RF信号を反射するように構成される複数の反射要素をRF信号ディフューザが備えるステップ、
反射要素の各々が、RFベースのセンシングを行うために使用されるRF信号の波長に適合されるサイズを有するステップ、
RF信号ディフューザと第1のノードとの間の距離、送信角度、又は距離及び送信角度に基づく反射要素の数、反射要素のサイズ、反射要素の材料、反射要素の空間的向き、又はこれらの任意の組み合わせをRF信号ディフューザが備えるステップ、
チャープを含む予め定義されたRF信号に基づいてRFベースのセンシングを行うステップ、
第1の波長のRF信号を反射する及び第2の波長のRF信号を吸収するようにRF信号ディフューザを構成するステップ、
RFベースのセンシングを行うように構成される第2のノードがRF信号ディフューザを備えるステップ、
それぞれの最近傍ノードに対して所定の距離を有する規則的なグリッドにRFシステムのノードを配置するステップ、及び
RF信号に基づいてマルチパスチャネルのためのさらなる追加のパスを生成するために複数の方向にRF信号を反射するように構成されるRF信号ディフューザをノードの各々が備えるステップ、
のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0066】
発明のさらなる態様において、センシングエリアにおいてRFベースのセンシングを行うためのコンピュータプログラムプロダクトが提供される。コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムがプロセッサで実行された場合、プロセッサに、請求項12若しくは請求項13に記載の方法、又は方法の任意の実施形態を実行させるためのプログラムコード手段を含む。
【0067】
さらなる態様では、請求項14に記載のコンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読媒体が提供される。代替的に、又は追加的に、コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラムの任意の実施形態によるコンピュータプログラムを記憶していることができる。
【0068】
請求項1に記載のRFシステム、請求項12に記載の方法、請求項14に記載のコンピュータプログラム、及び請求項15に記載のコンピュータ可読媒体は、同様及び/又は同一の好適な実施形態、とりわけ、従属請求項に記載されるような実施形態を有することを理解されたい。
【0069】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項又は上記の実施形態とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせであり得ることも理解されたい。
【0070】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に述べられる実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】RFシステムの第1の実施形態を概略的且つ例示的に示す。
図2】RFシステムの第2の実施形態を概略的且つ例示的に示す。
図3】RFシステムの第3の実施形態を概略的且つ例示的に示す。
図4】RFベースのセンシングを行うためのRFシステムを動作させる方法の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図1は、コネクテッドライティング(CL:connected lighting)システム100の形態のRFシステムの第1の実施形態を概略的且つ例示的に示している。
【0073】
CLシステム100は、第1の照明器具10の形態の第1のノードと、第2の照明器具10aの形態の第2のノードと、RF信号ディフューザ40とを含む。この実施形態において、第2の照明器具10aは、RF信号ディフューザ40を含む。他の実施形態では、RF信号ディフューザは、第2の照明器具とは別個に配置されてもよい。
【0074】
CLシステム100は、センシングエリア60に配置される。CLシステム100の照明器具10及び10aは、センシングエリア60に照明を提供してもよい。さらに、CLシステム100は、ユーザ70の形態の有体物に関連するセンシングイベントを検出するためにセンシングエリア60においてRFベースのセンシングを行うために使用されてもよい。センシングイベントは、動き検出、呼吸検出、占有検出、又は任意の他のセンシングイベントを含んでもよい。
【0075】
RFベースのセンシング、例えば、WiFi(登録商標) CSIベースのセンシングでは、RFベースのセンシングペアとして機能する2つのノード間にできるだけ多くの空間的に異なるパスを作り出すことが望ましい。CLシステム100は、RF信号ディフューザ40が入射RF信号を反射することによって追加のパスを生成し得るため、マルチパスチャネルのパスの数を増やすために使用されてもよい。
【0076】
さらに、良好なセンシングカバレッジを達成するために、すなわち、死角を除去することにより、また、センシングエリアの異なるサブエリアにわたって、占有検出等、一貫したセンシングイベント検出を達成するために、RF信号の送信パワーが様々なパス間で均一に分散されることが望ましい。例えば、2つの入口を有する部屋の形態のセンシングエリアにおいて、マルチパスチャネルの異なるパスにわたって不均一に分散される送信パワーにより、RFベースのセンシングは、第2の入口よりも第1の入口から入るユーザからのモーションに対してよりセンシティブになる可能性がある。これは、入口間の一貫しない検出レイテンシ(inconsistent detection latency)をもたらす可能性がある。マルチパスチャネルのパスにわたって不均一に分散される送信パワーは、例えば、心拍検出又は呼吸検出に関連する、より高度なRFベースのセンシングフィーチャに対するカバレッジの問題を引き起こす可能性もある。
【0077】
CLシステム100は、センシングエリア60のレベル、例えば、部屋レベルで、追加のパスを生成するためにRF信号ディフューザ40を使用する。追加のパスは、それらの各々がRFベースのセンシングを行うのに十分な送信パワーを有するように生成されてもよい。これは、死角を低減又は除去することを可能にする。
【0078】
以下では、CLシステム100、とりわけ、その機能性がさらに詳細に述べられる。
【0079】
第1の照明器具10は、送信ノードとして機能し、第2の照明器具10aは、CLシステム100の受信ノードとして機能する。第1の照明器具10は、RF信号30を送信し、RF信号30は、異なるパス36及び38を介して第2の照明器具10aに進む。他の実施形態では、RFシステムは、さらなるノード、例えば、第3のノードを含んでもよく、第3のノードは、受信ノードとして機能してもよい。
【0080】
RF信号ディフューザ40は、この実施形態では、第2の照明器具10aの外面を形成する。複数の反射要素42が外面に配置され、各反射要素42は、RF信号30に基づいてマルチパスチャネルのための追加のパス38等の追加のパスを生成するためにRF信号30を反射する。他の実施形態では、反射要素の各々は、RFベースのセンシングを行うために使用されるRF信号の波長に適合されるサイズを有してもよい。サイズは、例えば、RFベースのセンシングを行うために使用されるRF信号の波長の0.1~0.2倍であってもよい。反射要素の数、反射要素のサイズ、反射要素の材料、反射要素の空間的向き、又はこれらの任意の組み合わせは、RF信号ディフューザと第1のノードとの間の距離、送信角度、又は距離及び送信角度に依存してもよい。RF信号ディフューザ、とりわけ、反射要素は、第1の波長又は第1の波長範囲のRF信号を反射する及び第2の波長又は第2の波長範囲のRF信号を吸収するように構成されてもよい。
【0081】
さらに、RF信号ディフューザ40は、穴44を含む。他の実施形態では、2つ以上の穴が、RF信号ディフューザの表面に含まれてもよい。
【0082】
RF信号ディフューザ40は、第1の照明器具10から距離50で配置されている。この実施形態において、距離50は、第1の照明器具10のアンテナアレイ20の端部とRF信号ディフューザ40の外面との間の距離に対応する。他の距離、例えば、送信アンテナと受信アンテナとの間の距離が考慮されてもよい(図示せず)。距離50は、RF信号ディフューザ40が第1の照明器具10のファーフィールドに配置されるように選択される。さらに、RF信号ディフューザ40と第1の照明器具10との間の距離50が選択され、RF信号ディフューザ40及び第1の照明器具10は、マルチパスチャネルの少なくとも1つの追加のパスがRFベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように構成される。言い換えれば、距離、並びに、第1の照明器具10及びRF信号ディフューザ40のさらなる構成パラメータの両方が、マルチパスチャネルの少なくとも1つの追加のパス、例えば、追加のパス38がRFベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように適合される。例えば、第1の照明器具10は、追加のパス38がRFベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように、RF信号ディフューザ40と第1の照明器具10との間の距離50に基づいて選択される送信パワーでRF信号30を送信してもよい。
【0083】
第1の照明器具10は、制御ユニット12と、通信インターフェース14とを含む。第2の照明器具10aも制御ユニットと通信インターフェースとを含む(図示せず)。さらに、両照明器具10、10aは、照明を提供するための照明要素を有する照明ユニットを含む(図示せず)。第2の照明器具10aの照明要素は、穴44を通して光を提供するように配置される(図示せず)。
【0084】
制御ユニット12は、プロセッサ16と、メモリ18の形態のコンピュータ可読媒体とを含む。
【0085】
制御ユニット12のメモリ18は、CLシステム100を動作させるためのコンピュータプログラムプロダクトを記憶する。コンピュータプログラムプロダクトは、コンピュータプログラムプロダクトがプロセッサ16で実行された場合、RFベースのセンシングを行うための方法、例えば、図4で提示されるRFベースのセンシングを行うための方法の実施形態をプロセッサ16に実行させるためのプログラムコード手段を含む。メモリ18はさらに、第1の照明器具10、及び第2の照明器具10a、並びに任意選択的にCLシステム100全体をそれぞれ動作させるためのコンピュータプログラムプロダクト、例えば、RFベースのセンシングを行うためだけでなく、照明を提供する等、RFベースのセンシングによって検出されるイベントに反応してアクションを行うために、CLシステム100の照明器具の機能を制御するためのコンピュータプログラムプロダクトを含む。
【0086】
通信インターフェース14は、アンテナアレイ20と、WiFi(登録商標)トランシーバ22の形態のトランシーバとを含む。アンテナアレイの代わりに、単一のアンテナ、2つのアンテナ、又は任意の他の数のアンテナが、通信インターフェースに含まれてもよい。
【0087】
WiFi(登録商標)トランシーバ22は、WiFi(登録商標)に基づくRFメッセージ、すなわち、WiFi(登録商標) RFメッセージを含むRF信号を送信及び受信するために使用される。他の実施形態では、通信インターフェースは、Thread、Zigbee(登録商標)、セルラー無線、Bluetooth(登録商標)、BLE、又は任意の他の通信プロトコル等、1つ以上の他の通信プロトコルに基づいてデータを交換してもよい。通信インターフェースは、異なる通信プロトコルに基づいてデータを交換するように構成される2つ以上のトランシーバを含んでもよい。
【0088】
通信インターフェース14は、ノード間でワイヤレスにRFメッセージを含むデータを交換する及びRFベースのセンシングを行うために、CLシステム100のノードにRF信号を送信する及びノードからRF信号を受信するためのアンテナアレイ20を使用する。送信されるRF信号は、チャープされた(chirped)RF信号であってもよく、すなわち、予め定義されたチャープを含んでもよい。
【0089】
図1に示される状況において、第1の照明器具10は、様々なパスを介して第2の照明器具10aにRF信号30を送信する。オリジナルのパス36及びRF信号ディフューザ40によって生成される追加のパス38が図1に示されている。オリジナルのパス36は、サブパス32及び34を含む。オリジナルのパスは、RF信号ディフューザ40によって反射されるサブパスを含まないRF信号30のパスに対応する。追加のパス38は、サブパス31、33、及び34を含む。
【0090】
以下では、CLシステム100においてRFベースのセンシングを行うために、どのようにして第1の照明器具10がRF信号30を第2の照明器具10aに送信するかについて述べられる。
【0091】
第1の照明器具10は、この実施形態では、複数の方向にRF信号30を送信する。他の実施形態では、第1のノードは、例えば、ビームフォーミングに基づいて、RF信号ディフューザの方向にRF信号を指向性送信するように構成されてもよい。複数の方向から、サブパス31及び32が示されている。サブパス31において、第1の照明器具10は、RF信号ディフューザ40の方向にRF信号30を送信する。RF信号ディフューザ40は、RF信号30に基づいて追加のパス38を生成するために複数の方向にRF信号30を反射する。RF信号ディフューザ40からユーザ70に反射されるサブパス33が示されている。サブパス32において、第1のノード10は、ユーザ70にRF信号30を送信する。
【0092】
ユーザ70は、サブパス32及び33を介して受けるRF信号30を乱し、サブパス34に沿って散乱させる。サブパス34は、ユーザ70から第2の照明器具10aにおける穴44まで延びている。穴44において、RF信号30は、第2の照明器具10aの受信アンテナアレイによって受信され、RFベースのセンシングを行うためにその制御ユニットによって分析される。
【0093】
この実施形態において、第2の照明器具10aの制御ユニットは、オリジナルのパス36及び追加のパス38に基づいてRFベースのセンシングを行う。RF信号ディフューザによって生成される追加のパス、例えば、追加のパス38のうちの少なくとも1つの追加のパスに基づいてRFベースのセンシングを行うことは、RFベースのセンシング性能、例えば、RFベースのセンシング感度を向上させることを可能にする。他の実施形態では、RFシステムは、さらなるパスに基づいて、とりわけ、追加のパスのうちの少なくとも前記1つの追加のパスを含むマルチパスチャネルの少なくとも2つのパスに基づいてRFベースのセンシングを行ってもよい。
【0094】
他の実施形態では、RF信号ディフューザは、カスタマイズされた形状を有してもよい。カスタマイズされた形状は、センシングエリアの3Dモデル、例えば、BIMモデルに基づいてセンシングエリアにおける追加のパスの分布を最適化するように適合されてもよい。
【0095】
また、RF信号ディフューザは、時変の追加のパスを提供するように構成されてもよい。例えば、RF信号ディフューザの形状は、経時的に変化してもよく、例えば、バルーンの場合等、定期的に伸び縮みしてもよい。追加的に、又は代替的に、RF信号ディフューザは、時変の追加のパスを提供するために軸に沿って回転してもよい。
【0096】
図2は、部屋62内のセンシングエリア60においてRFベースのセンシングを行うための及び部屋62に照明を提供するためのCLシステム200の形態のRFシステムの第2の実施形態を示している。この実施形態において、CLシステム200は、照明器具10の形態の第1のノードと、照明器具10aの形態の第2のノードと、照明器具10bの形態の第3のノードとを含む。ノード10、10a、及び10bは、それぞれの最も近いネイバーに対して2mの所定の距離50aを有する規則的なグリッドに配置されている。所定の距離50aは、ノードのそれぞれのアンテナアレイ間の距離に対応する。他の実施形態では、ノードは、他の所定の距離に配置されてもよい。
【0097】
この実施形態において、第2の照明器具10aは、第1の照明器具10によって送信されるRF信号を反射するためのRF信号ディフューザ40aを含む。図2に示される状況において、第1の照明器具10は送信ノードとして機能し、第2の照明器具10aは受信ノードとして機能する。
【0098】
CLシステム100について述べられるように、第1の照明器具10は、オリジナルのパス36及び追加のパス38を含む、複数のパスに沿ってRF信号を送信する。オリジナルのパスはサブパス32及び34を含み、追加のパス38はサブパス31、33及び34を含む。図2に示される状況において、ユーザ70と照明器具10aとの間の距離52は1.5mである。
【0099】
以下では、RF信号ディフューザ40aがRFベースのセンシングに寄与するために必要とされる条件を評価する。言い換えれば、第2の照明器具10aでRFベースのセンシングを行うことを可能にするために必要とされる第1の照明器具10によって送信されるRF信号の送信パワーを決定する。それゆえ、以下では、第1の照明器具10によって送信され、RF信号ディフューザ40aによって散乱され、その後、ユーザ70によって外乱を受けるRF信号が、最終的に、RFベースのセンシングを行うことを可能にするのに十分な残余(remaining)送信パワーで第2の照明器具10aのロケーションにおいて受信され得ることが数学的に示される。
【0100】
計算のために、照明器具10、10a、及び10bは天井取り付け照明器具(ceiling mounted luminaire)であり、隣接する照明器具間に2mの所定の距離50aを有するという仮定がなされる。斯くして、RF信号ディフューザ40は、RF信号を送信する第1の照明器具10又は第1の照明器具10の送信アンテナのファーフィールドに配置される。さらに、第1の照明器具10は、20dBmの送信パワーでRF信号を送信すると仮定される。
【0101】
2.4GHz及び5GHzという2つの異なるWiFi(登録商標)通信技術について、第1の照明器具の送信パラメータが以下で列挙される:
【0102】
他の通信技術、例えば、Zigbee(登録商標)等についても同様の計算が行われることができる。
【0103】
RF信号は第2の照明器具におけるRF信号ディフューザによって反射されるため、RF信号ディフューザは、RF信号を反射する反射要素のサイズ及び到来RF信号がRF信号ディフューザに到達する送信角度によって送信パワー量が決定される新しいタイプのトランスミッタとして理解されることができる:
【0104】
反射要素のサイズは、RFベースのセンシングを行うために使用されるRF信号の波長の0.2倍に相当する。これは、位相歪みを回避することを可能にする。最悪のシナリオの送信角度が仮定される。2mの距離におけるRF信号ディフューザでのパワー密度(Rx)、すなわち、レシーバとしてのパワー密度は、アンテナ理論計算に基づいて決定される。2mの距離におけるRF信号ディフューザからのパワー密度(Tx)、すなわち、トランスミッタとしてのパワー密度は、モノスタティックレーダ方程式(monostatic radar equation)に基づいて決定される。
【0105】
RF信号は、RF信号ディフューザによって反射され、第2の照明器具から1.5mの距離にいるユーザによって外乱を受ける。RF信号は、ユーザによって反射され、RFベースのセンシングを行うためにRF信号を処理するための第2の照明器具に戻る。すなわち、前と同じアプローチに従って、RF信号は以下のようにユーザから離れる:
【0106】
1.5mの距離におけるユーザでのパワー密度(Rx)、すなわち、レシーバとしてのパワー密度は、アンテナ理論計算に基づいて決定される。1.5mの距離におけるユーザからのパワー密度(Tx)、すなわち、トランスミッタとしてのパワー密度は、モノスタティックレーダ方程式によって決定される。
【0107】
ユーザによって反射されたRF信号は、最終的に、以下のように第2の照明器具によって受信される:
【0108】
受信アンテナ有効面積は、無指向性アンテナとして仮定される。1.5mの距離における第2の照明器具でのパワー密度(Rx)、すなわち、レシーバとしてのパワー密度は、アンテナ理論計算に基づいて決定される。
【0109】
以下では、受ける送信パワーと、例示的な集積回路(IC)に対して想定されるレシーバ感度とが比較される:
【0110】
この計算から、第2の照明器具が受けるRF信号の送信パワーはレシーバの感度よりも高いため、RFメッセージは第2の照明器具によって適切にデコードされることができると結論づけられる。言い換えれば、この評価は、RF信号ディフューザが、マルチパスチャネルのための追加のパスを提供することによってRFベースのセンシングに寄与することを証明している。
【0111】
上記の計算は、第1の照明器具とRF信号ディフューザとの間の距離に基づいてRFベースのセンシングを行うのに十分な第1の照明器具の送信パワーを決定するために、ノード間の及びユーザとの他の所定の距離、異なる送信角度、並びに異なる到達条件で繰り返されてもよい。代替的に、第3の照明器具10bも受信ノードとして使用されてもよい。
【0112】
受信ノードの制御ユニットは、複数のパスを介して受けるRF信号に基づいてRFベースのセンシングを行ってもよい。例えば、制御ユニットは、RF信号の信号品質パラメータ、とりわけ、RFメッセージの信号品質パラメータを決定してもよい。これは、エンリッチされたマルチパス情報(enriched multipath information)に基づいてRFベースのセンシングを行うことを可能にする。
【0113】
さらなる実施形態において、RFシステムは、例えば、RF信号ディフューザの方向にRF信号を指向性送信することに基づいて60GHz WiFi(登録商標)に基づいて、RFベースのセンシングを行うように構成されてもよい。これは、センシングエリアにおけるパスの数を制限することを可能にし得、異なるワイヤレスチャネル間の干渉を低減することを可能にし得る。
【0114】
例えば、60GHz WiFi(登録商標)は、センシングエリアにおけるパスの数を制限するために送信ノード及び/又は受信ノードのビームフォーミングを利用してもよい。60GHzにおいて、送信ノードの送信アンテナによって発せられるパターンは本質的にかなり指向性になる。さらに、60GHzでは、空気中の酸素による高い信号吸収に起因して、2.4GHzに比べて長距離の信号伝播が困難になる。
【0115】
より高い信号吸収を考慮するために、例えば、60GHz WiFi(登録商標)に基づいてRFベースのセンシングを行うために、通信の役割を果たさない特定のRFセンシングメッセージが、信号対ノイズ比(SNR:signal-to-noise ratio)を改善するために使用されてもよい。特定のRFセンシングメッセージを使用することは、通信メッセージの送信パワー制限なしに送信パワーを適合させることを可能にし得る。送信パワーの増加は、RF信号ディフューザが60GHz RF信号を多くの異なる空間方向に分散させることを補償することができ、これにより、ポイントツーポイント通信での送信ノードから受信ノードまでの許容可能な最大パス長を増加させることができる。反射要素のサイズは2.4GHz WiFi(登録商標)よりも60GHzについて小さくなり得るため、RF信号ディフューザはよりコンパクトになり得、ノード、とりわけ、照明器具への反射要素の控えめな統合(unobtrusive integration)を容易にする。
【0116】
図3は、部屋62内のセンシングエリア60においてRFベースのセンシングを行うための及び部屋62に照明を提供するためのCLシステム300の形態のRFシステムの第3の実施形態を示している。
【0117】
CLシステム300は、第1の照明器具10、第2の照明器具10a、及び第3の照明器具10bの形態の3つのノードを含む。照明器具10、10a、及び10bの各々は、RF信号に基づいてマルチパスチャネルのためのさらなる追加のパスを生成するために複数の方向にRF信号を反射するためのRF信号ディフューザ40bを含む。照明器具10、10a、及び10bは、それぞれのネイバーノードに対して所定の距離50aを有する規則的なグリッドに配置されている。この実施形態において、所定の距離50aは、ノード10、10a、10bのアンテナアレイ(図示せず)間の距離に対応し、所定の距離50aは2mである。他の実施形態では、ノードは、それぞれのネイバーノードに対して別の所定の距離を有して配置されてもよい。規則的なグリッドは、RFベースのセンシングのためのリッチなマルチパス環境を作り出す散乱RFビームのグリッドを提供することができる。
【0118】
この実施形態において、RF信号ディフューザ40bは、RF信号ディフューザ40bの放物面上に反射要素42が配置された放物形状を有する。RF信号ディフューザ40bは、より多くの方向からのRF信号がRF信号ディフューザ40に入ることを可能にするために反射要素42間に穴44を有する格子構造を有する。
【0119】
他の実施形態では、他のRF信号ディフューザデザインが、追加のパスを生成するために使用されてもよい。RF信号ディフューザの形状及びサイズは、センシングエリアにおいてマルチパスチャネルのための多数の異なるパスを提供するためにできるだけ多くの異なる信号反射及び信号散乱を生成するように最適化されてもよい。例えば、ディスコボール状の構造が適用されてもよい。セグメント化照明器具一体RF信号ディフューザ(segmented luminaire-integrated RF signal diffuser)は、例えば、到来RF信号を反射及び/又は散乱させるディスコボール状のRF信号ディフューザを形成してもよい。他の実施形態では、RFセンシングディフューザは、例えば、インテリジェントに設計された照明器具ハウジング(intelligently designed luminaire housing)、反射要素を有するダウンライトのトリムリング(trim ring)、埋め込み型ダウンライト(recessed-mounted downlight)の特別なバネ構造、又は特別に設計された照明器具ヒートシンクとして実装されてもよい。
【0120】
図4は、センシングエリアにおいてRFベースのセンシングを行うためのRFシステム、例えば、図1図2、又は図3に示されるCLシステム100、200、又は300のうちの1つをを動作させる方法400の一実施形態を示している。
【0121】
ステップ402において、照明器具の形態の第1のノードが配置される。第1のノードは、RF信号を送信するように構成される。
【0122】
ステップ404において、照明器具の形態の第2のノードが配置される。第2のノードは、RF信号を受信するように構成される。
【0123】
ステップ406において、RF信号に基づいてマルチパスチャネルのための追加のパスを生成するために複数の方向にRF信号を反射するように構成されるRF信号ディフューザが、第1のノードに対して距離をおいて配置される。さらに、この実施形態において、RF信号ディフューザは、第2のノードに対して同じ距離をおいて配置される。他の実施形態では、RF信号ディフューザは、第2のノードに含まれてもよい。
【0124】
この実施形態において、距離は、ノードのアンテナアレイとRF信号ディフューザの反射面との間の距離に対応する。さらに、距離が選択され、RF信号ディフューザ並びに第1のノード及び第2のノードは、マルチパスチャネルの追加のパスのうちの少なくとも1つが、センシングエリアにおいてRFベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように構成される。
【0125】
任意選択的に、RF信号ディフューザは、第1の波長のRF信号を反射する及び第2の波長のRF信号を吸収するように設けられてもよい。このようにRF信号ディフューザを設けるために、例えば、RF信号ディフューザの表面の材料が相応に選択されてもよい。
【0126】
任意選択的に、RF信号ディフューザの形状、例えば、カスタマイズされた形状は、センシングエリアにおける追加のパスの分布を最適化するように適合されてもよい。分布は、例えば、センシングエリアのBIMモデル又は任意の他の3Dモデルに基づいてもよい。3Dモデルは、例えば、形状、サイズ、材料、及びセンシングエリア内の固定物に関する情報を含んでもよい。
【0127】
RF信号ディフューザは、複数の方向にRF信号を反射するためにRF信号を反射する及び追加のパスを生成するように構成される複数の反射要素を備えてもよい。反射要素の各々は、RFベースのセンシングを行うために使用されるRF信号の波長に適合されるサイズ、例えば、RFベースのセンシングを行うために使用されるRF信号の波長の0.1~0.2倍のサイズを備えてもよい。代替的に、又は追加的に、反射要素の向きが、例えば、RF信号ディフューザによって生成される追加のパスの分布を適合させるために適合されてもよい。
【0128】
反射要素の数、反射要素のサイズ、反射要素の材料、反射要素の空間的向き、又はこれらの任意の組み合わせは、RF信号ディフューザと第1のノードとの間の距離、送信角度、又は距離及び送信角度に基づいて設けられてもよい。
【0129】
この実施形態では、まず、RF信号ディフューザが第1のノードのファーフィールドに配置される。その後、マルチパスチャネルの追加のパスのうちの少なくとも1つがRFベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有することを保証するために必要とされるRF信号の送信パワーが、第1のノードとRF信号ディフューザとの間の距離に基づいて選択される。
【0130】
ステップ408において、第1のノードは、選択された送信パワーでRF信号を送信する。任意選択的に、第1のノードは、例えば、RF信号ディフューザの方向にRF信号を指向性送信するために、ビームフォーミングを行ってもよい。
【0131】
RF信号は第2のノードに送信され、第2のノードは、オリジナルのパス、及び、RF信号がRF信号ディフューザと相互作用することに基づいて生成される追加のパスを介してRF信号を受信する。
【0132】
ステップ410において、RFベースのセンシングが、追加のパスのうちの少なくとも前記1つの追加のパスを含むマルチパスチャネルの少なくとも2つのパスに基づいてRFシステムによって行われる。この実施形態において、第2のノードは、複数のオリジナルのパス及び追加のパスを介して受けるRF信号を分析することによりRFベースのセンシングを行う。
【0133】
他の実施形態では、RFベースのセンシングは、チャープを含む予め定義されたRF信号に基づいて行われてもよい。それゆえ、第1のノードは、チャープされたRF信号として、例えば、チャープを含むRF信号としてRFベースのセンシングを送信してもよい。
【0134】
追加的に、又は代替的に、RFシステムは、複数のノードを含んでもよい。RFシステムのノードは、それぞれの最近傍ノードに対して所定の距離を有する規則的なグリッドに設けられてもよい。ノードの各々は、RF信号に基づいてマルチパスチャネルのためのさらなる追加のパスを生成するために複数の方向にRF信号を反射するように構成されるRF信号ディフューザを備えてもよい。
【0135】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に例示及び説明されてきたが、そのような例示及び説明は、図的又は例示的であって、限定的なものではないと見なされるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。例えば、RF信号ディフューザがビル管理システム(BMS:building management system)、暖房換気空調(HVAC:heating ventilation air conditioning)システム、又は任意の他のRFシステムにおいて利用される実施形態において本発明を動作させることが可能である。
【0136】
図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する他の変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。
【0137】
請求項では、単語「含む」は、他の構成要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。
【0138】
単一のユニット、プロセッサ、又はデバイスが、請求項において列挙されるいくつかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0139】
1つ又は複数のユニット又はデバイスによって実行される、RF信号を送信するように構成される第1のノードを配置する、第1のノードに対して距離をおいて、RF信号に基づいてマルチパスチャネルのための追加のパスを生成するために複数の方向にRF信号を反射するように構成されるRF信号ディフューザを配置する、及び、マルチパスチャネルの追加のパスのうちの少なくとも1つの追加のパスが、センシングエリアにおいてRFベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように、RF信号ディフューザ及び第1のノードを構成する、追加のパスのうちの少なくとも前記1つの追加のパスを含むマルチパスチャネルの少なくとも2つのパスに基づいてRFシステムによってRFベースのセンシングを行う等のオペレーションは、任意の他の数のユニット又はデバイスによって実行されることができる。これらのオペレーション及び/又は方法は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として及び/又は専用ハードウェアとして実装されることができる。
【0140】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又は他のハードウェアの一部として供給される、光学記憶媒体又は固体媒体等の、好適な媒体において記憶/頒布されてもよいが、インターネット、Ethernet(登録商標)、又は他の有線若しくは無線の電気通信システム等を介して、他の形態で頒布されてもよい。
【0141】
請求項中のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0142】
本発明は、第1のノード及びRF信号ディフューザを含むRFシステムに関する。第1のノードは、RF信号を送信するように構成される。RF信号ディフューザは、RF信号に基づいてマルチパスチャネルのための追加のパスを生成するために複数の方向にRF信号を反射するように構成される。RF信号ディフューザ及び第1のノードは、互いに距離をおいて配置され、マルチパスチャネルの追加のパスのうちの少なくとも1つの追加のパスが、センシングエリアにおいてRFベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように構成される。RFシステムは、追加のパスのうちの少なくとも前記1つの追加のパスを含むマルチパスチャネルの少なくとも2つのパスに基づいてRFベースのセンシングを行うように構成される。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センシングエリアにおいて無線周波数ベースのセンシングを行うように構成される無線周波数システムであって、当該無線周波数システムは、
無線周波数信号を送信するように構成される第1のノードと、
前記無線周波数信号に基づいてマルチパスチャネルのための追加のパスを生成するために複数の方向に前記無線周波数信号を反射するように構成される無線周波数信号ディフューザと、
を含み、
前記無線周波数信号ディフューザ及び前記第1のノードは、当該無線周波数システムにおいて互いに距離をおいて配置され、前記マルチパスチャネルの前記追加のパスのうちの少なくとも1つの追加のパスが、前記センシングエリアにおいて無線周波数ベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように構成され、
当該無線周波数システムは、前記追加のパスのうちの少なくとも前記1つの追加のパスを含む前記マルチパスチャネルの少なくとも2つのパスに基づいて無線周波数ベースのセンシングを行うように構成され、
当該無線周波数システムは、無線周波数ベースのセンシングを行うように構成される第2のノードを含み、前記第2のノードは、前記無線周波数信号ディフューザを含み、前記ノードの各々は、前記無線周波数信号に基づいて前記マルチパスチャネルのためのさらなる追加のパスを生成するために複数の方向に前記無線周波数信号を反射するように構成される無線周波数信号ディフューザを含む、無線周波数システム。
【請求項2】
前記第1のノードは、前記マルチパスチャネルの前記追加のパスのうちの前記少なくとも1つの追加のパスが、無線周波数ベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように、前記無線周波数信号ディフューザと前記第1のノードとの間の前記距離に基づいて選択される送信パワーで前記無線周波数信号を送信するように構成される、請求項1に記載の無線周波数システム。
【請求項3】
前記第1のノードは、前記無線周波数信号ディフューザの方向に前記無線周波数信号を指向性送信するように構成される、請求項に記載の無線周波数システム。
【請求項4】
前記無線周波数信号ディフューザは、前記センシングエリアの三次元モデルに基づいて前記センシングエリアにおける前記追加のパスの分布を最適化するように適合されるカスタマイズされた形状を有する、請求項に記載の無線周波数システム。
【請求項5】
前記無線周波数信号ディフューザは、前記無線周波数信号を反射するように構成される複数の反射要素を含み、前記反射要素の各々は、無線周波数ベースのセンシングを行うために使用される前記無線周波数信号の波長に適合されるサイズを有する、請求項に記載の無線周波数システム。
【請求項6】
前記反射要素の数、前記反射要素のサイズ、前記反射要素の材料、前記反射要素の空間的向き、又はこれらの任意の組み合わせは、前記距離、前記無線周波数信号ディフューザと前記第1のノードとの間の送信角度、又は前記距離及び前記送信角度に依存する、請求項5に記載の無線周波数システム。
【請求項7】
当該無線周波数システムは、予め定義されたチャープを含む前記無線周波数信号に基づいて無線周波数ベースのセンシングを行うように構成される、請求項に記載の無線周波数システム。
【請求項8】
前記無線周波数信号ディフューザは、第1の波長の無線周波数信号を反射する及び第2の波長の無線周波数信号を吸収するように構成される、請求項に記載の無線周波数システム。
【請求項9】
当該無線周波数システムの前記ノードは、それぞれの最近傍ノードに対して所定の距離を有する規則的なグリッドに配置される、請求項1に記載の無線周波数システム。
【請求項10】
センシングエリアにおいて無線周波数ベースのセンシングを行うための無線周波数システムを動作させる方法であって、当該方法は、
無線周波数信号を送信するように構成される第1のノードを配置するステップと、
前記第1のノードに対して距離をおいて、前記無線周波数信号に基づいてマルチパスチャネルのための追加のパスを生成するために複数の方向に前記無線周波数信号を反射するように構成される無線周波数信号ディフューザを配置する、及び、前記マルチパスチャネルの前記追加のパスのうちの少なくとも1つの追加のパスが、前記センシングエリアにおいて無線周波数ベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように、前記無線周波数信号ディフューザ及び前記第1のノードを構成するステップと、
前記追加のパスのうちの少なくとも前記1つの追加のパスを含む前記マルチパスチャネルの少なくとも2つのパスに基づいて前記無線周波数システムによって無線周波数ベースのセンシングを行うステップと、
を含み、
前記無線周波数システムは、無線周波数ベースのセンシングを行うように構成される第2のノードを含み、前記第2のノードは、前記無線周波数信号ディフューザを含み、前記ノードの各々は、前記無線周波数信号に基づいて前記マルチパスチャネルのためのさらなる追加のパスを生成するために複数の方向に前記無線周波数信号を反射するように構成される無線周波数信号ディフューザを含む、方法。
【請求項11】
当該方法は、
前記マルチパスチャネルの前記追加のパスのうちの前記少なくとも1つの追加のパスが、無線周波数ベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように、前記無線周波数信号ディフューザと前記第1のノードとの間の前記距離に基づいて前記無線周波数信号の送信パワーを選択するステップ、
前記マルチパスチャネルの前記追加のパスのうちの前記少なくとも1つの追加のパスが、無線周波数ベースのセンシングを行うために十分な送信パワーを有するように、前記無線周波数信号ディフューザと前記第1のノードとの間の前記距離に基づいて選択される送信パワーで前記無線周波数信号を送信するステップ、
前記無線周波数信号ディフューザの方向に前記第1のノードによって前記無線周波数信号を指向性送信するステップ、
前記センシングエリアの三次元モデルに基づいて前記センシングエリアにおける前記追加のパスの分布を最適化するように適合されるカスタマイズされた形状を前記無線周波数信号ディフューザが備えるステップ、
前記無線周波数信号を反射するように構成される複数の反射要素を前記無線周波数信号ディフューザが備えるステップ、
前記反射要素の各々が、無線周波数ベースのセンシングを行うために使用される前記無線周波数信号の波長に適合されるサイズを有するステップ、
前記距離、前記無線周波数信号ディフューザと前記第1のノードとの間の送信角度、又は前記距離及び前記送信角度に基づく前記反射要素の数、前記反射要素のサイズ、前記反射要素の材料、前記反射要素の空間的向き、又はこれらの任意の組み合わせを前記無線周波数信号ディフューザが備えるステップ、
チャープを含む予め定義された無線周波数信号に基づいて無線周波数ベースのセンシングを行うステップ、
第1の波長の無線周波数信号を反射する及び第2の波長の無線周波数信号を吸収するように前記無線周波数信号ディフューザを構成するステップ、
無線周波数ベースのセンシングを行うように構成される第2のノードが前記無線周波数信号ディフューザを備えるステップ、
それぞれの最近傍ノードに対して所定の距離を有する規則的なグリッドに前記無線周波数システムの前記ノードを配置するステップ、及び
前記無線周波数信号に基づいて前記マルチパスチャネルのためのさらなる追加のパスを生成するために複数の方向に前記無線周波数信号を反射するように構成される無線周波数信号ディフューザを前記ノードの各々が備えるステップ、
のうちの1つ以上を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
センシングエリアにおいて無線周波数ベースのセンシングを行うためのコンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムは、当該コンピュータプログラムがプロセッサで実行された場合、前記プロセッサに請求項10に記載の方法を実行させるためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】