(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】テイラーコーンエミッターデバイス保管装置、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置システム、および試料の集合体を分析するための方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/62 20210101AFI20240514BHJP
H01J 49/10 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G01N27/62 F
H01J49/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568230
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 US2022027385
(87)【国際公開番号】W WO2022235612
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501351357
【氏名又は名称】レステック・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンス,シェーン・シー
(72)【発明者】
【氏名】ミキリッシュ,ライアン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス-リオス,ジャーマン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ピータース,トレイシー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ケーン,トーマス・イー
【テーマコード(参考)】
2G041
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041EA04
2G041HA01
(57)【要約】
テイラーコーンエミッターデバイス保管装置が開示され、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置は、保管装置プレートと、保管装置プレートから延在する保管装置壁と、オリフィスのアレイと、保管装置プレート内に配置された時計構造部インターフェースのアレイとを含む。オリフィスのアレイは、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイを受け取り保持する。時計構造部インターフェースのアレイは、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイの時計構造部を所定のラジアル配向に誘導する。保管装置壁は、それぞれがマイクロタイターアレイトレイの別個のウェル内に配置されたアレイの固相微量抽出デバイスを有するマイクロタイターアレイトレイを受け取るように構成される基体チャンバの周辺を囲む。テイラーコーンエミッターデバイス保管装置システムが開示され、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置システムは、マイクロタイターアレイトレイと、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイと、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置システムとを含む。テイラーコーンエミッターデバイス保管装置システムを用いて試料の集合体を分析するための方法が開示される。
【選択図】
図5(a)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テイラーコーンエミッターデバイス保管装置であって、
保管装置プレートと、
前記保管装置プレートから延在し、基体チャンバの周囲を囲む保管装置壁と、
前記保管装置プレートの内部に配置されたオリフィスのアレイであって、前記オリフィスのそれぞれは、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイの1つのテイラーコーンエミッターデバイスの基体および受け用マウントを受け取り保持するように構成される、オリフィスのアレイと、
前記保管装置プレートの内部に配置された時計構造部インターフェースのアレイであって、前記時計構造部インターフェースのアレイは、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれのテイラーコーンエミッターデバイスの時計構造部を所定のラジアル配向に誘導し、それにより、前記時計構造部インターフェースのアレイが、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれを前記所定のラジアル配向で固定するように構成される、時計構造部インターフェースのアレイとを備え、
前記基体チャンバは、マイクロタイターアレイトレイを少なくとも部分的に受け取り、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれのテイラーコーンエミッターデバイスの前記基体を受け入れるように構成され、前記基体および前記基体から延在するテーパ状先端部は、前記保管装置壁またはテイラーコーンエミッターデバイス保管装置の内部に配置された前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイの任意の隣接するテイラーコーンエミッターデバイスとの接触から遠隔にあり、
前記保管装置プレートの内部に配置された前記オリフィスのアレイは、前記マイクロタイターアレイトレイと位置合わせされた状態で分配され、それにより、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれは、前記マイクロタイターアレイトレイが前記基体チャンバによって少なくとも部分的に受け取られるとき、前記マイクロタイターアレイトレイの別個のウェルの内部に配置される、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置。
【請求項2】
前記オリフィスのアレイは、6×8マトリックスの内部に48のオリフィスを含む、請求項1に記載のテイラーコーンエミッターデバイス保管装置。
【請求項3】
前記オリフィスのアレイは、8×12マトリックスの内部に96のオリフィスを含む、請求項1に記載のテイラーコーンエミッターデバイス保管装置。
【請求項4】
前記保管装置壁は、前記マイクロタイターアレイトレイの周辺表面と周辺接触状態で前記マイクロタイターアレイトレイにわたって適合するように構成される、請求項1に記載のテイラーコーンエミッターデバイス保管装置。
【請求項5】
前記マイクロタイターアレイトレイを受け取るように構成されるキャビティを有する保管装置基部をさらに含み、前記保管装置壁は、前記保管装置基部に係合し、前記保管装置プレートと併せて前記基体チャンバを画定するように構成され、前記マイクロタイターアレイトレイは、前記基体チャンバの内部に完全に配置される、請求項1に記載のテイラーコーンエミッターデバイス保管装置。
【請求項6】
保管装置カバーをさらに含み、前記保管装置カバーは、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイを前記オリフィスのアレイの内部に固定するために、前記保管装置プレートを覆って設置されるように構成される、請求項1に記載のテイラーコーンエミッターデバイス保管装置。
【請求項7】
前記テイラーコーンエミッターデバイスは被覆ブレードスプレーデバイスである、請求項1に記載のテイラーコーンエミッターデバイス保管装置。
【請求項8】
前記受け用マウントはピペット先端部受け用マウントである、請求項1に記載のテイラーコーンエミッターデバイス保管装置。
【請求項9】
テイラーコーンエミッターデバイス保管装置システムであって、
ウェルのアレイを有するマイクロタイターアレイトレイと、
テイラーコーンエミッターデバイスのアレイであって、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれは、
少なくとも1つの平坦な表面を有する基体、
前記少なくとも1つの平坦な表面の少なくとも一部分に配置された吸着剤層、
前記基体から延在するテーパ状先端部、
受け取りデバイスの据え付け部分に対する取り外し可能な取り付けのために構成される受け用マウント、および、
前記受け取りデバイスに対する前記平坦な表面のラジアル配向を固定するために構成される時計構造部を含む、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイと、
テイラーコーンエミッターデバイス保管装置であって、
保管装置プレート、
前記保管装置プレートから延在し、基体チャンバの周囲を囲む保管装置壁、
前記保管装置プレートの内部に配置されたオリフィスのアレイであって、前記オリフィスのそれぞれは、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイの1つのテイラーコーンエミッターデバイスの前記基体および前記受け用マウントを受け取り保持するように構成される、オリフィスのアレイ、および、
前記保管装置プレートの内部に配置された時計構造部インターフェースのアレイであって、前記時計構造部インターフェースのアレイは、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれのテイラーコーンエミッターデバイスの時計構造部を所定のラジアル配向に誘導し、それにより、前記時計構造部インターフェースのアレイが、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれを前記所定のラジアル配向で固定するように構成される、時計構造部インターフェースのアレイとを含む、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置とを備え、
前記基体チャンバは、前記マイクロタイターアレイトレイを少なくとも部分的に受け取り、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれのテイラーコーンエミッターデバイスの前記基体を受け入れるように構成され、前記基体およびテーパ状先端部は、前記保管装置壁または前記テイラーコーンエミッターデバイス保管装置の内部に配置された前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイの任意の隣接するテイラーコーンエミッターデバイスとの接触から遠隔にあり、
前記保管装置プレートの内部に配置された前記オリフィスのアレイは、前記マイクロタイターアレイトレイと位置合わせされた状態で分配され、それにより、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれは、前記マイクロタイターアレイトレイが前記基体チャンバによって少なくとも部分的に受け取られるとき、前記ウェルのアレイの別個のウェルの内部に配置される、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置システム。
【請求項10】
前記マイクロタイターアレイトレイおよび前記テイラーコーンエミッターデバイス保管装置は、組み立てられると、前記マイクロタイターアレイトレイ単独の設置面積に等しい結合設置面積を有する、請求項9に記載のテイラーコーンエミッターデバイス保管装置システム。
【請求項11】
試料の集合体を分析するための方法であって、
複数の試料露出式テイラーコーンエミッターデバイスを、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイとしてテイラーコーンエミッターデバイス保管装置の内部に配置することであって、
前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれは、
少なくとも1つの平坦な表面を有する基体、
前記少なくとも1つの平坦な表面の少なくとも一部分に配置された吸着剤層、
前記基体から延在するテーパ状先端部、
受け取りデバイスの据え付け部分に対する取り外し可能な取り付けのために構成される受け用マウント、および、
前記受け取りデバイスに対する前記平坦な表面のラジアル配向を固定するために構成される時計構造部を含み、
前記テイラーコーンエミッターデバイス保管装置は、
保管装置プレート、
前記保管装置プレートから延在し、基体チャンバの周囲を囲む保管装置壁、
前記保管装置プレートの内部に配置されたオリフィスのアレイであって、前記オリフィスのそれぞれは、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイの1つのテイラーコーンエミッターデバイスの基体および受け用マウントを受け取り保持するように構成される、オリフィスのアレイ、および、
前記保管装置プレートの内部に配置された時計構造部インターフェースのアレイであって、前記時計構造部インターフェースのアレイは、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれのテイラーコーンエミッターデバイスの時計構造部を所定のラジアル配向に誘導し、それにより、前記時計構造部インターフェースのアレイが、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれを前記所定のラジアル配向で固定するように構成される、時計構造部インターフェースのアレイとを含み、
前記基体チャンバは、マイクロタイターアレイトレイを少なくとも部分的に受け取り、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれのテイラーコーンエミッターデバイスの前記基体を受け入れるように構成され、前記基体および前記基体から延在するテーパ状先端部は、前記保管装置壁または前記テイラーコーンエミッターデバイス保管装置の内部に配置された前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイの任意の隣接するテイラーコーンエミッターデバイスとの接触から遠隔にあり、
前記保管装置プレートの内部に配置された前記オリフィスのアレイは、前記マイクロタイターアレイトレイと位置合わせされた状態で分配され、それにより、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれは、前記マイクロタイターアレイトレイが前記基体チャンバによって少なくとも部分的に受け取られるとき、前記マイクロタイターアレイトレイのウェルのアレイの別個のウェルの内部に配置される、
複数の試料露出式テイラーコーンエミッターデバイスを配置することと、
第1のマイクロタイターアレイトレイを前記基体チャンバの内部に少なくとも部分的に配置することと、
前記テイラーコーンエミッターデバイス保管装置の内部での分析のために前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイを調製することと、
所定の試料特性についてスクリーニングするために、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれを前記テイラーコーンエミッターデバイス保管装置から引き出し、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれを第1の分析法によって分析することと、
前記所定の試料特性に基づいて、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイをソートし、圧密化されたテイラーコーンエミッターデバイスのアレイを形成することと、
前記圧密化されたテイラーコーンエミッターデバイスのアレイに対して第2の分析法を実施することと
を含む、方法。
【請求項12】
前記テイラーコーンエミッターデバイス保管装置は、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイを前記オリフィスのアレイの内部に固定するために、前記保管装置プレートを覆って設置されるように構成される保管装置カバーをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の分析法は、直接インターフェースを介する質量分析法である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の分析法は、液体クロマトグラフィ、ハイブリッドクロマトグラフィ質量分析法、キャピラリー電気泳動、質量分析法ベースイムノアッセイ、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
分析のために前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイを調製することは、第1のリンス溶液を前記第1のマイクロタイターアレイトレイの前記ウェルのアレイの内部に配置すること、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイを前記第1のリンス溶液に部分的に浸漬させること、および、前記第1のマイクロタイターアレイトレイを取り外すことを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記テイラーコーンエミッターデバイス保管装置は、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイが前記第1のリンス溶液に部分的に浸漬される間、撹拌される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のマイクロタイターアレイトレイを取り外した後、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイは乾燥される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のマイクロタイターアレイトレイを取り外した後、前記第1のマイクロタイターアレイトレイは、前記テイラーコーンエミッターデバイス保管装置の内部で第2のマイクロタイターアレイトレイと置換される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のマイクロタイターアレイトレイを取り外した後で、かつ、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれを分析する前に、前記第1のマイクロタイターアレイトレイは、前記テイラーコーンエミッターデバイス保管装置の内部で、前記ウェルのアレイの内部に抽出溶液を有する第2のマイクロタイターアレイトレイと置換され、前記テイラーコーンエミッターデバイス保管装置は撹拌される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の分析法を用いて前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれを分析した後、前記第2のマイクロタイターアレイトレイは、前記ウェルのアレイの内部に第2のリンス溶液を有する第3のマイクロタイターアレイトレイと置換され、前記テイラーコーンエミッターデバイスのアレイは、前記第2のリンス溶液に部分的に浸漬される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、「A Container-Multiwell Plate Assembly for Housing Solid Phase Microextraction Devices」という名称の2021年5月3日に出願された米国仮特許出願第63/183,240号および「Apparatus and Method for Analyzing a Sample」という名称の2021年5月3日に出願された米国仮特許出願第63/183,281号に対する利益および優先権を主張し、これらの出願が、参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
[0002]本出願は、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置システム、およびテイラーコーンエミッターデバイス保管装置システムを用いて試料の集合体を分析するための方法を対象とする。特に、本出願は、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置システム、およびテイラーコーンエミッターデバイス保管装置システムを用いて試料の集合体を分析するための方法を対象とし、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置は、マイクロタイターアレイトレイとインターフェースするために分配されたテイラーコーンエミッターデバイスのアレイを受け取る。
【背景技術】
【0003】
[0003]テイラーコーンエミッターデバイス
【0004】
[0004]テイラーコーンエミッターデバイスは、液体の存在下でかつ電界の影響下でテイラーコーンを形成することが可能なデバイスである。テイラーコーンは、対象の化学被分析物質種を含有することができる。テイラーコーンエミッターデバイスは、とりわけ、エレクトロスプレーニードル、被覆ブレードスプレーデバイス(以下で説明する)、ペーパースプレーデバイス、吸着剤被覆電極、SPME先端部、および多孔質成形プローブを含む。
【0005】
[0005]「表面電荷(electrical surface charge)」は、電圧がエミッターまたは導体に印可されるときに表面上に生成される電荷である。表面電荷は、最も高い曲率を有する領域に集中する。したがって、鋭利な縁部または尖った先端部は、局所電荷密度を上げるために使用され得る。金属表面上の電界は、表面電荷から生じかつ表面に垂直であり、その強度は、表面電荷密度に比例する。電界勾配は、電界が降下するレートであり、電界勾配は、そのような縁部およびラインおよびポイントで最も強い。高電界勾配の領域は、適用される溶媒からテイラーコーンを生成する可能性が最も高い。
【0006】
[0006]好ましくは、テイラーコーンは、エミッターの特定の領域、特に、エミッターから解放されるコーンが、質量分析計または他のイオン化粒子分析器内へのコーンから生成されるイオン化粒子の収集を容易にするために配置される場所に局在化される。
【0007】
[0007]テイラーコーンエミッターは、テイラーコーンを形成するために高電界勾配の領域を生成することが可能な形状を備える。
【0008】
[0008]テイラーコーンを局在化させるために、エミッターデバイス形状は、鋭利なポイントまたは縁部等の小さい曲率半径を有する領域を含んでもよいが、必ずしもそれを有しない。局在化電界は、ロッドまたはコーンの場合と同様に、薄い断面、小さい直径、または高アスペクト比を有する凸部によっても達成される。
【0009】
[0009]テイラーコーンエミッターは、層または被覆物の形態で単一材料(基体)または2つ以上の材料から生産されてもよく、最も上の表面の少なくとも一部分は、被分析物質化合物を収集し解放するのに役立つ。
【0010】
[0010]適切な被分析物質収集材料は、大型試料から化学被分析物質を収集してもよい。収集機構は、吸着、分解、吸収、または特定の結合(例えば、抗原抗体結合、金属有機構造体等の孔形状およびサイズ選択)であってもよい。
【0011】
[0011]エミッターの固有の最も上の表面は、被分析物質収集材料として役立つことができる、または、被分析物質収集材料は、最も上の表面に適用され得る。知られている適用される材料は、粒子および不規則なまたはコンフォーマルな連続被覆物によって形成された吸着床を含む。被分析物質収集材料は、多孔質または非多孔質であってもよい。収集材料は、浸透性または非浸透性であってもよい。通常、収集材料は、テイラーコーンを生産するために採用される試料および溶媒に化学的に適合する。
【0012】
[0012]被覆ブレードデバイス
【0013】
[0013]被覆ブレードスプレー(「CBS:Coated Blade Spray」)は、試料からの対象の被分析物質の収集、および、基体スプレー事象(すなわち、エレクトロスプレーイオン化)を介しての質量分析システムへのその後の直接的なインターフェースを促進する、文献(Pawliszyn等、米国特許第9,733,234号)で過去に記載された固相微量抽出(「SPME:solid phase microextraction」)ベース分析技術である。固相微量抽出デバイスは、試料を保持するのに適する基体を有することを、通常、特徴とするテイラーコーンエミッターデバイスの形態である。CBSデバイスは、通常、鋭利なポイントまたは縁部等の小さい曲率半径を有する領域を有する。
【0014】
[0014]「被覆ブレードスプレー(Coated blade spray)」、「CBSブレード(CBS blade)」、および「ブレードデバイス(blade device)」は、本明細書において、同意語として使用される。
【0015】
[0015]CBSベース化学分析には2つの基本的なステージ:(1)被分析物質の収集、および、その後の、(2)機器分析、が存在する。被分析物質の収集は、ブレードデバイスの吸着剤被覆端部を試料に直接に浸漬することによって実施される。液体試料の場合、抽出ステップは、一般に、バイアルまたはウェルプレートに収容される試料を用いて実施される。
【0016】
[0016]被分析物質の収集後、ブレードデバイスは、試料から取り出され、一連の洗浄ステップ後、ブレードデバイスは、分析のための質量分析計(「MS(:mass spectrometer)」)の入口に提示される。この方式では、ブレードデバイスは数回の移送ステップを受ける。したがって、手動のおよびロボットによる自動の両方の取り扱い環境のために、これらのステップの各ステップについてのブレードデバイスの信頼性のある配置が重要である。
【0017】
[0017]ダイレクト・ツー・MS(direct to MS)化学分析デバイスとして、ブレードデバイスは、収集した被分析物質を解放し、エレクトロスプレーイオン化プロセス(テイラーコーンの形成)を促進するために、抽出物質の事前湿潤化を必要とする。その後、基体の非被覆エリアとMSシステムの入口との間に電位差が適用され、CBSデバイスの先端部において電子スプレーを発生させる。信頼性のあるラン・ツー・ラン(run-to-run)精度を保証するためにブレードとMSシステムとの間の電界が再現可能に形成されなければならない。したがって、ブレードデバイスのラジアル(または、回転)配向を含む、MSスキマーコーン開口部に対するブレードデバイスの適切な配置が非常に重要である。
【発明の概要】
【0018】
[0018]一般に、ブレードデバイスのブレード部分は、2つの側部(side)、上側側部および下側側部を有する。幾つかの場合、異なる吸着剤被覆物は、ブレードの平坦な側部の各平坦な側部に存在してもよく、したがって、2回の試料分析は順番に:最初に、上側側部の分析、それに続いて、下側側部の第2の分析、が実施され得る。他の例では、同じ吸着剤被覆物がブレードの平坦な側部の各平坦な側部に存在してもよく、したがって、2回の試料分析は、順番にしかし異なる機器内で:最初に、機器Aにおいて上側側部の分析、それに続いて、機器Bにおいて下側側部の第2の分析、が実施され得る。いずれの場合も、ブレードのラジアル配向がやはり重要である。
【0019】
[0019]上記開示は、質量分析計への入口部分に対して個別のブレードデバイスを適切に配置するために個別のブレードデバイスを手動で取り扱うことを説明する。他の例は、大型ホルダでのブレードデバイスの1次元アレイおよび2次元アレイを説明する。これらの実施形態は、2つ以上のブレードデバイスを収容することが可能な剛体支持体を含む。この配置構成の例は米国特許第7,259,019号を含む。これらの例は、一般に、標準的な実験室試料採取プラスチック製品、最も一般的に、8×12のウェルの配置構成を有するマイクロタイターアレイトレイに位置合わせされ、ウェルは約9mmの中心部分を有する。標準的な試料トレイの設置面積を維持するために、互いにより近くに配置された小型の試料ウェルを有する高密度トレイも市販されている。
【0020】
[0020]MSデバイスへの入口が単一であるため、試料分析ステージは、これらのアレイベースデザインを使用するとき、依然として逐次処理プロセスである。大型のアレイ内の選択したブレードデバイスは、エレクトロスプレーイオン化のために配置される。このデザインは、ブレードデバイスのアレイ全体をMSにほぼ近接して配置することにもなるという欠点を有し、それは、エレクトロスプレーイオン化プロセス中に隣接するブレードデバイス間の電気的および/または化学的クロストークのかなりのリスクを生じる。これは、次に、生体液の臨床的および法医学的スクリーニング等の管理の連鎖(chain-of-custody)試料分析アプリケーションを特に害する。
【0021】
[0021]参照により本明細書に組み込まれ、米国内で国内段階に入り、米国特許出願第2021/0055192号として公開されたPCT出願PCT/US2020/047201は、CBSデバイスを開示することによって現状技術を進歩させ、そのPCT出願において、密接配置アレイ配置構成が標準的なマイクロタイターアレイトレイを使用して試料抽出プロセス中に維持され、個別のブレードデバイスは、試料採取・ツー・分析プロセス全体の間にブレードのラジアル配置を維持しながら、質量分析計のイオン化領域に導入される。
【0022】
[0022]マイクロピペッターデバイスの説明
【0023】
[0023]正確な体積の液体を輸送するための実験室での一般的なツールはマイクロピペッターである。この配置構成の例は、米国特許第4,284,604号、米国特許第5,650,124号、および米国特許第7,421,913号を含む。マイクロピペッターは、所定の液体体積をデバイスに引き入れ、その後、液体を計量分配するために、種々の機構を採用する。標準的なピペッターについての精密体積容量は0.1μL~10mLに及ぶ。試料汚染のリスクを低減するために、使い捨てピペット先端部が採用される。マイクロピペット先端部は、ピペッターを先端部に押し込むことによってピペッターに設置され、摩擦は、先端部を所定の場所に維持する。液体が計量分配された後、先端部は、ピペッターの端部から取り出され、プロセス全体が繰り返される。
【0024】
[0024]多くの液体移送ステップが高並列プロセスのために実施される場合、2つ以上の液体計量分配チャンネルを採用するマイクロピペッターデバイスが利用可能である。この配置構成の例は、米国特許第5,021,217号を含む。これらのデバイスは、使い捨て先端部の摩擦嵌合取り付け機構を依然として採用する。
【0025】
[0025]明確にするために、用語「ピペット(pipette)」、「ピペッター(pipettor)」、「マイクロピペッター(micropipettor)」、および「マルチチャンネルピペッター(multichannel pipettor)」は、本明細書では同意語として使用される。用語「ピペット先端部(pipette tip)」および「マイクロピペット先端部(micropipette tip)」も同意語として使用される。
【0026】
[0026]同等の液体体積が、各先端部について引き出され、送出される。ピペッターアレイ内の先端部位置は、インストレーションを容易にするために、保管ラック内の先端部位置に位置合わせされる。
【0027】
[0027]マルチチャンネルピペットデバイスは、1次元アレイおよび2次元アレイの保管ラック内でピペット先端部と共に使用されるため、一列の使い捨て先端部はマイクロピペッターに並列に設置され得る。
【0028】
[0028]マイクロピペッター技術はロボットシステムにも適合されており、そのシステムでは、液体移送シーケンス全体は、手動ユニットのために採用されるものと同じであるが、自動化されている。
【0029】
[0029]実験室におけるマイクロピペッターの存在がユビキタスであるため、手動使用およびロボットオートメーションセットアップへの統合の両方の場合、マイクロピペッター技術の物理的寸法に対してのCBSデバイスの適合性を維持することが有利である。
【0030】
[0030]マイクロピペット先端部
【0031】
[0031]マイクロピペッターを採用する多くのアプリケーションが化学汚染に敏感であるため、使い捨ての1回使用ピペット先端部が利用可能である。標準的なマイクロピペット先端部は、ドッキングした先端部にわたってデバイスを芯出し、デバイスを先端部の開口部に優しく打ち込むことによって、ピペッターデバイスに装填される。先端部は、摩擦によって設置され、使用の準備が整う。使用後、汚れたマイクロタイター先端部は、先端部取り外し装置、通常、デバイスのシャフトの周りの摺動可能シースであって、使い捨て先端部の上側リップに係合し、摩擦接続に打ち勝つために押す、摺動可能シースによって、デバイスから取り外される。試料抽出のために修正されたピペット先端部の例は米国特許第7,595,026号を含む。
【0032】
[0032]一般的なマイクロピペット先端部は円錐形であり、通常の操作のためにラジアル配向要件を持たない。
【0033】
[0033]導電性先端部は、自動化ピペット操作ロボットにおけるキャリーオーバーを防止するために使用される。導電性先端部の例は、原材料ポリプロピレンに対する黒鉛の添加であり、それは、ピペット先端部を電気伝導性にし、先端部に不透明黒色の外観を与える。ピペット先端部の一部分が導電性である代替の実施形態は、米国特許第9,346,045号に記載される。ロボットワークステーション内の先端部の相対位置は、電気容量を測定することにより識別される。先端部内の液体の充填レベルは、電流を測定することによって試料および試薬容器内で決定され得るため、先端部の浸漬深さは充填レベルに合うように調整され得る。
【0034】
[0034]標準的な試料採取取り扱いの実践において先端部交換が頻繁であるため、複数の先端部が、先端部が環境汚染から保護されるラックに保管される。上記で説明したアレイ位置標準に対応するために、使い捨て先端部の大量保管は、標準的な先端部中心・ツー・中心位置を有する(tip center-to-center position)、8×12、96個の先端部アレイ、または、96の倍数個の先端部を一般に採用する。これは、マルチチャンネルピペットデバイスへの直接の装填を可能にし、実験室内でのおよびオートメーションワークステーションプラットフォーム上での標準的なラック設置面積を維持する。
【0035】
[0035]マイクロピペット先端部を収容するためのラック容器は、標準的なピペット先端部のラジアル配向を維持する要素を含まない。
【0036】
[0036]マイクロタイターアレイトレイ
【0037】
[0037]業界標準マイクロタイターアレイトレイ(「マイクロタイタープレート(microtiter plate)」、「マイクロプレート(microplate)」、「マイクロウェルプレート(microwell plate)」、「マルチウェル(multiwell)」とも呼ばれる)は、ANSI SLAS 1-2004(R2012)、「Microplate Footprint Dimensions」、ANSI SLAS 2-2004(R2012)、「Microplate Height Dimensions」、ANSI SLAS 3-2004(R2012)、「Microplate Bottom Outside Flange Dimensions」、ANSI SLAS 4-2004(R2012)、「Microplate Well Positions」、およびANSI SLAS 6-2012、「Microplate Well Bottom Elevation」に従って形成される。マイクロタイターアレイトレイは、ウェルがオートメーションによってアクセスされる実験室機器にしばしばドッキングされるかまたはその他の方法で係合される。マイクロタイターウェルにアクセスする一般的なオートメーションプロセスは、液体計量分配を含む。多くのオートメーションシステムにおいて、複数のマイクロタイターアレイトレイがドッキングされ、互いに対するならびに近傍のマイクロタイターアレイトレイに対するウェル位置の正確な知識を必要とする。マイクロタイターアレイトレイは、トレイ長およびトレイ幅について標準化された値を有する。マイクロタイターアレイトレイは、任意選択で、トレイスカートから窪んだトレイ壁を有することができる。業界標準寸法は、127.71mm長×85.43mm幅×14.10mm高さである。マイクロタイターアレイトレイは、一般に、いろいろな体積の6(2×3)、12(3×4、24(4×6)、48(6×8)、96(8×12)、または384(16×24)のウェルならびに規格において説明される他のアレイを備える。体積は、ウェルの数、サイズ、および深さによって決定される。これらのマイクロタイタートレイのトレイ設置面積は、関連するANSI規格において指定される。
【課題を解決するための手段】
【0038】
[0038]1つの例示的な実施形態において、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置は、保管装置プレートと、保管装置プレートから延在する保管装置壁と、保管装置プレート内に配置されたオリフィスのアレイと、保管装置プレート内に配置された時計構造部インターフェースのアレイとを含む。保管装置壁は、保管装置プレートから延在し、基体チャンバの周囲を囲む。オリフィスのアレイ(array)のそれぞれは、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイ(array)の1つのテイラーコーンエミッターデバイスの基体および受け用マウントを受け取り保持するように構成される。時計構造部インターフェースのアレイは、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれのテイラーコーンエミッターデバイスの時計構造部を所定のラジアル配向に誘導し、それにより、時計構造部インターフェースのアレイが、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれを所定のラジアル配向で固定するように構成される。基体チャンバは、マイクロタイターアレイトレイを少なくとも部分的に受け取り、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれのテイラーコーンエミッターデバイスの基体を受け入れるように構成され、基体および基体から延在するテーパ状先端部は、保管装置壁またはテイラーコーンエミッターデバイス保管装置内に配置されたテイラーコーンエミッターデバイスのアレイの任意の隣接するテイラーコーンエミッターデバイスとの接触から遠隔にある。保管装置プレート内に配置されたオリフィスのアレイは、マイクロタイターアレイトレイと位置合わせされた状態で分配され、それにより、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれは、マイクロタイターアレイトレイが基体チャンバによって少なくとも部分的に受け取られるとき、マイクロタイターアレイトレイの別個のウェル内に配置される。
【0039】
[0039]別の例示的な実施形態において、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置システムは、ウェルのアレイを有するマイクロタイターアレイトレイと、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイと、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置とを含む。テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれは、少なくとも1つの平坦な表面を有する基体と、少なくとも1つの平坦な表面の少なくとも一部分に配置された吸着剤層と、基体から延在するテーパ状先端部と、受け取りデバイスの据え付け部分に対する取り外し可能な取り付けのために構成される受け用マウントと、受け取りデバイスに対する平坦な表面のラジアル配向を固定するために構成される時計構造部とを含む。テイラーコーンエミッターデバイス保管装置は、保管装置プレートと、保管装置プレートから延在する保管装置壁と、保管装置プレート内に配置されたオリフィスのアレイと、保管装置プレート内に配置された時計構造部インターフェースのアレイとを含む。保管装置壁は基体チャンバの周囲を囲む。オリフィスのアレイのそれぞれは、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイの1つのテイラーコーンエミッターデバイスの基体および受け用マウントを受け取り保持するように構成される。時計構造部インターフェースのアレイは、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれのテイラーコーンエミッターデバイスの時計構造部を所定のラジアル配向に誘導し、それにより、時計構造部インターフェースのアレイが、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれを所定のラジアル配向で固定するように構成される。基体チャンバは、マイクロタイターアレイトレイを少なくとも部分的に受け取り、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれのテイラーコーンエミッターデバイスの基体を受け入れるように構成され、基体およびテーパ状先端部は、保管装置壁またはテイラーコーンエミッターデバイス保管装置内に配置されたテイラーコーンエミッターデバイスのアレイの任意の隣接するテイラーコーンエミッターデバイスとの接触から遠隔にある。保管装置プレート内に配置されたオリフィスのアレイは、マイクロタイターアレイトレイと位置合わせされた状態で分配され、それにより、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれは、マイクロタイターアレイトレイが基体チャンバによって少なくとも部分的に受け取られるとき、ウェルのアレイの別個のウェル内に配置される。
【0040】
[0040]別の例示的な実施形態において、試料の集合体を分析するための方法は、複数の試料露出式テイラーコーンエミッターデバイスを、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイとしてテイラーコーンエミッターデバイス保管装置内に配置することを含む。テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれは、少なくとも1つの平坦な表面を有する基体と、少なくとも1つの平坦な表面の少なくとも一部分に配置された吸着剤層と、基体から延在するテーパ状先端部と、受け取りデバイスの据え付け部分に対する取り外し可能な取り付けのために構成される受け用マウントと、受け取りデバイスに対する平坦な表面のラジアル配向を固定するために構成される時計構造部とを含む。テイラーコーンエミッターデバイス保管装置は、保管装置プレートと、保管装置プレートから延在する保管装置壁と、保管装置プレート内に配置されたオリフィスのアレイと、保管装置プレート内に配置された時計構造部インターフェースのアレイとを含む。保管装置壁は基体チャンバの周囲を囲む。オリフィスのアレイのそれぞれは、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイの1つのテイラーコーンエミッターデバイスの基体および受け用マウントを受け取り保持するように構成される。時計構造部インターフェースのアレイは、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれのテイラーコーンエミッターデバイスの時計構造部を所定のラジアル配向に誘導し、それにより、時計構造部インターフェースのアレイが、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれを所定のラジアル配向で固定するように構成される。基体チャンバは、マイクロタイターアレイトレイを少なくとも部分的に受け取り、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれのテイラーコーンエミッターデバイスの基体を受け入れるように構成され、基体および基体から延在するテーパ状先端部は、保管装置壁またはテイラーコーンエミッターデバイス保管装置内に配置されたテイラーコーンエミッターデバイスのアレイの任意の隣接するテイラーコーンエミッターデバイスとの接触から遠隔にある。保管装置プレート内に配置されたオリフィスのアレイは、マイクロタイターアレイトレイと位置合わせされた状態で分配され、それにより、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれは、マイクロタイターアレイトレイが基体チャンバによって少なくとも部分的に受け取られるとき、マイクロタイターアレイトレイのウェルのアレイの別個のウェル内に配置される。方法は、第1のマイクロタイターアレイトレイを基体チャンバ内に少なくとも部分的に配置すること、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置内での分析のためにテイラーコーンエミッターデバイスのアレイを調製すること、所定の試料特性についてスクリーニングするために、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれをテイラーコーンエミッターデバイス保管装置から引き出し、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイのそれぞれを第1の分析法によって分析すること、所定の試料特性に基づいて、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイをソートし、圧密化されたテイラーコーンエミッターデバイスのアレイを形成すること、および、圧密化されたテイラーコーンエミッターデバイスのアレイに対して第2の分析法を実施することをさらに含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】米国特許第9,733,234号明細書
【特許文献2】米国特許第7,259,019号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2021/0055192号明細書
【特許文献4】米国特許第4,284,604号明細書
【特許文献5】米国特許第5,650,124号明細書
【特許文献6】米国特許第7,421,913号明細書
【特許文献7】米国特許第5,021,217号明細書
【特許文献8】米国特許第7,595,026号明細書
【特許文献9】米国特許第9,346,045号明細書
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】[0041]業界標準マイクロタイターアレイトレイを示す図である。
【
図2(a)】[0042]
図2(a)は、本開示の実施形態による、保管容器に収容された状態の、ラジアル配向の制御のためのフィン要素を有するテイラーコーンエミッターデバイスの側面図である。
【
図2(b)】
図2(b)は、本開示の実施形態による、保管容器に収容された状態の、ラジアル配向の制御のためのフィン要素を有するテイラーコーンエミッターデバイスの正面図である。
【
図2(c)】
図2(c)は、本開示の実施形態による、保管容器に収容された状態の、ラジアル配向の制御のためのフィン要素を有するテイラーコーンエミッターデバイスの斜視図である。
【
図3(a)】[0043]
図3(a)は、フィン要素を有するテイラーコーンエミッターデバイスのラジアル配向の制御を促進するための機械的要素の3つの実施例を有するテイラーコーンエミッターデバイス保管装置の上面図である。
【
図3(b)】
図3(b)は、フィン要素を有するテイラーコーンエミッターデバイスのラジアル配向の制御を促進するための機械的要素の3つの実施例を備えるテイラーコーンエミッターデバイス保管装置の側面図である。
【
図4】[0044]フィン要素を有する3つの例示的な適切にドッキングされたテイラーコーンエミッターデバイスを有するテイラーコーンエミッターデバイス保管装置の実施例を示す図である。
【
図5(a)】[0045]
図5(a)は、本開示の実施形態による第1の例示的なテイラーコーンエミッターデバイス保管装置の分解図である。
【
図5(b)】
図5(b)は、本開示の実施形態による第1の例示的なテイラーコーンエミッターデバイス保管装置の組み立て図である。
【
図6(a)】[0046]
図6(a)は、本開示の実施形態による第2の例示的なテイラーコーンエミッターデバイス保管装置の分解図である。
【
図6(b)】
図6(b)は、本開示の実施形態による第2の例示的なテイラーコーンエミッターデバイス保管装置の組み立て図である。
【
図7】[0047]本開示の実施形態による試料の集合体を分析するための方法を示す図である。
【
図8】[0048]本開示の実施形態による、試料の集合体を分析する間、圧密化されたテイラーコーンエミッターデバイスのアレイを形成する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
[0049]可能な限り、同じ参照符号は図面全体を通して同じ部分を表すために使用される。
【0044】
[0050]本明細書で説明する構造部の少なくとも1つを欠く保管装置、システム、および方法と比較すると、本実施形態の保管装置、システム、および方法は、試料処理および分析時間を減少させ、試験スループットを増加させ、複数の試料の同時処理を促進し、スクリーニング効率を増加させ、スクリーニングされた試料の圧密化を増加させ、空間効率を増加させ、またはその組み合わせを行う。
【0045】
[0051]本明細書で使用されるように、「約(about)」は、別段に逆に指示されない限り、「約」によって修飾される値の±15%の分散を示す。
【0046】
[0052]本明細書で使用されるように、「テイラーコーンエミッター(Taylor cone emitter)」は、限定はしないが、固相微量抽出デバイスまたはCBSデバイスを含む、テイラーコーンを形成することが可能な物品を含むが、それに限定されない。テイラーコーンエミッターデバイスは、鋭利な縁部または尖った先端部を有することができるが、それを有する必要はない。固相微量抽出デバイスは、テイラーコーンエミッターデバイスの形態であるが、全てのテイラーコーンエミッターデバイスが固相微量抽出デバイスであるわけではない。
【0047】
[0053]本明細書で使用されるように、「固相微量抽出(solid phase microextraction)」は、高分子吸着剤被覆物で被覆された固体基体を含むが、それに限定されず、被覆物は、基体に物理的にまたは化学的に取り付けられる、金属粒子、シリカベース粒子、金属-高分子粒子、高分子粒子、またはその組み合わせを含むことができる。幾つかの非限定的な例では、固体基体は、基体の表面内に配置された少なくとも1つの凹部またはその上に配置された凸部を有し、上記基体は、少なくとも1つの凹部または凸部の内にまたはその上に配置された少なくとも1つの高分子吸着剤被覆物を含む。用語「固相微量抽出」は、固体基体上で磁性粒子または磁性分子を収集するための少なくとも1つの磁気構成要素を収容する少なくとも1つの凹部または凸部を有する固体基体をさらに含む。
【0048】
[0054]
図1は、96のウェル130を有する業界標準で市販のマイクロタイターアレイトレイ100を示す。マイクロタイターアレイトレイ100は、トレイ長110およびトレイ幅120について標準化された値を有し、トレイスカート141のトレイ設置面積を確立する。マイクロタイターアレイトレイ100は、任意選択で、トレイスカート141から窪んだトレイ壁142を有することができる。ウェル130の位置は、ウェル中心132および2つの隣接するウェル131の中心・ツー・中心位置によって示される。
【0049】
[0055]テイラーコーンエミッターデバイス200が固相微量抽出バイスである
図2(a)~(c)を参照すると、テイラーコーンエミッターデバイス200の基本要素は、少なくとも1つの平坦な表面235を有する基体230と、少なくとも1つの平坦な表面235の少なくとも一部分に配置される吸着剤層240と、基体230からデバイス200の分析端部の方に延在するテーパ状先端部245と、受け取りデバイスの据え付け部分に対する取り外し可能な取り付けのために構成される受け用マウント210とを含む。基体230は、限定しないが、約4mm幅×約40mm長さ×約0.5mm厚さを含む任意の適切な寸法を有することができる。基体230は、限定しないが、ステンレス鋼等の導電性材料を含むが、それに限定しない任意の適切な材料から作られ得る。吸着剤層240は、限定しないが、高分子粒子(例えば、C
18基を用いて修正されたシリカ)および結合剤(例えば、ポリアクリロニトリル)を含む抽出相吸着剤を含むことができる。
【0050】
[0056]一実施形態において、テイラーコーンエミッターデバイス200は、標準的なピペット先端部寸法に適合されたCBSデバイス300である。ブレード部分220は、ピペッター端部109上の据え付け部分104に取り付けられるように構成される受け用マウント210としてのカップを装備する。受け用マウント210は、基体230に固定され、吸着剤層240およびテーパ状先端部245からの対向端部に配置される。受け用マウント210の内側表面は、標準的な市販のピペット先端部カップと整合性がある、摩擦嵌合機構を採用するように成形される。摩擦嵌合機構の代替としてまたはそれに加えて、限定はしないが、磁気コネクタ、拡張可能な圧縮式oリング、またはその組み合わせを含む、据え付け部分104に受け用マウント210を設置するための任意の適切な機構が採用され得る。受け用マウント210は、限定しないが、ポリプロピレン等の、標準的なピペット先端部と整合性がある電気絶縁高分子、または、限定しないが、炭素含浸ポリプロピレン等の、電気伝導性高分子から作られ得る。
【0051】
[0057]一実施形態において、テイラーコーンエミッターデバイス200は、受け取りデバイス100に対する平坦な表面235のラジアル配向を固定するように構成される時計構造部305を含む。「時計(clocking)」は、平坦な表面235のラジアル配向を示すためのパラダイムとしてアナログの時計文字盤の周りでの針の通過を暗示することを意図される。一実施形態において、時計構造部305は、受け取りデバイスの相補的な凸部または相補的な凹部の少なくとも一方に対応する凹部または凸部のうちの少なくとも一方を含み、それにより、テイラーコーンエミッターデバイス200が受け取りデバイスに設置されるときに、時計構造部305は、受け取りデバイスに対するテイラーコーンエミッターデバイス200のラジアル配向を所定の数のラジアル位置までに制限する。所定の数のラジアル位置は、単一ラジアル位置、2つのラジアル位置からなってもよい、または、任意の適切な大きい数のラジアル位置を含んでもよい。テイラーコーンエミッターデバイス200は、受け用マウント210上での少なくとも1つの平坦な表面235のラジアル配向の視覚的目印を含むことができる。このような視覚的目印は、平坦な表面235自体が見ることができないときに少なくとも1つの平坦な表面235のラジアル配向を示すのに役立つことができる。
【0052】
[0058]一実施形態において、テイラーコーンエミッターデバイス200はピペッター適合CBSデバイス300であり、受け用マウント210はピペット先端部受け用マウント210であり、据え付け部分104はピペット先端部受け用マウント210に取り外し可能に係合するように構成されるピペッター先端部据え付け部分104である。本明細書で使用されるように、「取り外し可能な(removable)」は、損傷なしの取り外しのための構成を示す。受け取りデバイスは、ピペッターまたはテイラーコーンエミッターデバイス操作装置を含むが、それに限定されない任意の適切なデバイスであってもよい。
【0053】
[0059]一実施形態において、受け用マウント210は、時計構造部305として機能する、受け用マウント210から等距離に延在する2つのフィン凸部310を有する。この構成における2つのフィン凸部310の存在は、ブレードのラジアル位置状態320を2つの離れた等価な位置(すなわち、0°および180°)に帰着させる。ここで示される2つのフィンのデザインは、例証のためのものである;より多くのまたはより少ないフィンを採用する他の構成が採用され得る、または、据え付け部分に係合されるときにテイラーコーンエミッターデバイス200のラジアル回転が制限される受け用マウント210上の他の構造部が考えられ得る。フィン凸部310がラジアル位置を制御するために、フィン凸部310は、鍵と鍵穴の配置構成(lock-and-key arrangement)で受け取りデバイスに係合する。
【0054】
[0060]
図3(a)、3(b)、および
図4は、ドッキングされている間にテイラーコーンエミッターデバイス200を配向させる従来のテイラーコーンエミッターデバイス保管装置400を示す。テイラーコーンエミッターデバイス保管装置400は、チャンバ401を囲み画定する保管装置壁405と、保管装置壁405に配置された複数のオリフィス420であって、複数のオリフィス420のそれぞれがテイラーコーンエミッターデバイス200の基体230および受け用マウント210を受け取り保持するように構成される、複数のオリフィス420と、保管装置壁405に配置された複数の時計構造部インターフェース406であって、複数の時計構造部インターフェース406のそれぞれがテイラーコーンエミッターデバイス200の時計構造部305を所定のラジアル配向に誘導し、テイラーコーンエミッターデバイス200を所定のラジアル配向で固定するように構成される、複数の時計構造部インターフェース406とを含む。チャンバ401は、テイラーコーンエミッターデバイス200の基体230を受け入れるように構成され、その際、基体230および基体230から延在するテーパ状先端部245は、保管装置壁405またはテイラーコーンエミッターデバイス保管装置400に配置される任意の隣接するテイラーコーンエミッターデバイス200との接触状態から遠隔にある。
【0055】
[0061]示すように、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置400は、ラジアル方向に配置され、CBSデバイス300の時計構造部305と整合性がある、時計構造部インターフェース406としての2つのスリット410を含む。示すように、ブレードフィン310のテーパ部分は、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置400のテーパ状先端部245およびオリフィス420の軸中心に対してわずかにオフセットしたCBSデバイス300の成功裏のドッキングを支援するさらなる機構を提供する。示すように、時計構造部インターフェース406は、CBS300がテイラーコーンエミッターデバイス保管装置400にドッキングされるときにCBS300の適切な位置合わせを促進するために、オリフィス420を囲む誘導凸部430を含む。CBSデバイス300が、時計構造部インターフェース406に対しての時計構造部305の配向に対してラジアル方向にオフアクシスである場合、誘導凸部430は、ポイント432に向かってテーパが付き、オリフィス420の基部において谷形状435を形成するように接合される。誘導凸部430のテーパ部分は、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置400にドッキングされている間CBSデバイス300が適切に配置されるようにオフアクシスCBSデバイス300を誘導し再位置合わせする機構を提供する。
【0056】
[0062]
図5(a)、5(b)、6(a)、および6(b)を参照すると、一実施形態において、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置システム500は、ウェル130のアレイを有するマイクロタイターアレイトレイ100と、テイラーコーンエミッターデバイス200のアレイと、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置400とを含む。テイラーコーンエミッターデバイス保管装置400は、保管装置プレート510と、保管装置プレート510から延在し、基体チャンバ401の周囲を囲む保管装置壁405と、保管装置プレート510内に配置されたオリフィス420のアレイと、保管装置プレート510内に配置された時計構造部インターフェース406のアレイとを含む。オリフィス420のアレイのそれぞれは、テイラーコーンエミッターデバイス200のアレイの1つのテイラーコーンエミッターデバイス200の基体230および受け用マウント210を受け取り保持するように構成される。時計構造部インターフェース406のアレイは、テイラーコーンエミッターデバイス200のアレイのそれぞれのテイラーコーンエミッターデバイス200の時計構造部305を所定のラジアル配向に誘導し、それにより、時計構造部インターフェース406のアレイが、テイラーコーンエミッターデバイス200のアレイのそれぞれを所定のラジアル配向で固定するように構成される。基体チャンバ401は、マイクロタイターアレイトレイ100を少なくとも部分的に受け取り、テイラーコーンエミッターデバイス200のアレイのそれぞれのテイラーコーンエミッターデバイス200の基体230を受け入れるように構成され、基体230およびテーパ状先端部245は、保管装置壁405またはテイラーコーンエミッターデバイス保管装置400内に配置されたテイラーコーンエミッターデバイス200のアレイの任意の隣接するテイラーコーンエミッターデバイス200との接触から遠隔にある。保管装置プレート510内に配置されたオリフィス420のアレイは、マイクロタイターアレイトレイ100と位置合わせされた状態で分配され、それにより、テイラーコーンエミッターデバイス200のアレイのそれぞれは、マイクロタイターアレイトレイ100が基体チャンバ401によって少なくとも部分的に受け取られるとき、ウェル130のアレイの別個のウェル130内に配置される。テイラーコーンエミッターデバイス200はCBSデバイス300であってもよい。受け用マウント210はピペット先端部受け用マウント210であってもよい。
【0057】
[0063]一実施形態において、マイクロタイターアレイトレイ100およびテイラーコーンエミッターデバイス保管装置400は、組み立てられると、マイクロタイターアレイトレイ100単独の設置面積に等しい結合設置面積を有する。
【0058】
[0064]一実施形態において、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置システム500は、テイラーコーンエミッターデバイス200のアレイをオリフィス420のアレイ内に固定するために、保管装置プレート510を覆って設置されるように構成される保管装置カバー520を含む。
【0059】
[0065]
図5(a)および5(b)を参照すると、一実施形態において、保管装置壁405は、マイクロタイターアレイトレイの周辺表面142と、保管装置壁405の内部表面530を介した周辺接触状態でマイクロタイターアレイトレイ100にわたって適合するように構成される
【0060】
[0066]
図6(a)および6(b)を参照すると、別の実施形態において、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置400は、マイクロタイターアレイトレイ100を受け取るように構成されるキャビティ610を有する保管装置基部600をさらに含み、保管装置壁405は、保管装置基部600に係合し、保管装置プレート510と併せて基体チャンバ401を画定するように構成され、マイクロタイターアレイトレイ100は、基体チャンバ401内に完全に配置される。さらなる実施形態において、保管装置基部600は、保管装置壁405がその上に着座する保管装置棚620ならびに保管装置基部フーチング630であって、保管装置基部600の下方に延在し、マイクロタイターアレイトレイ100と同じ設置面積を有する、保管装置基部フーチング630を含む。
【0061】
[0067]
図7を参照すると、一実施形態において、試料の集合体を分析するための方法は、複数の試料露出式テイラーコーンエミッターデバイス200を、テイラーコーンエミッターデバイスのアレイ200としてテイラーコーンエミッターデバイス保管装置400内に配置すること、第1のマイクロタイターアレイトレイ100を基体チャンバ401内に少なくとも部分的に配置すること、および、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置400内での分析のためにテイラーコーンエミッターデバイス200のアレイを調製することを含む。テイラーコーンエミッターデバイス200のアレイのそれぞれは、所定の試料特性についてスクリーニングするために、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置400から引き出され、第1の分析法によって分析される。その後、テイラーコーンエミッターデバイス200のアレイは、所定の試料特性に基づいてソートされ、テイラーコーンエミッターデバイス200のアレイは、圧密化アレイになるまで圧密化され、所定の試料特性を欠くテイラーコーンエミッターデバイス200を排除する。第2の分析法は、圧密化されたテイラーコーンエミッターデバイス200のアレイに対して実施される。
【0062】
[0068]第1の分析法は、直接インターフェースを介する質量分析法を含むが、それに限定されない任意の適切な方法であってもよい。第2の分析法は、液体クロマトグラフィ、ハイブリッドクロマトグラフィ・質量分析法、キャピラリー電気泳動、質量分析法ベースイムノアッセイ、またはその組み合わせを含むが、それに限定されない任意の適切な方法であってもよい。
【0063】
[0069]分析のためにテイラーコーンエミッターデバイス200のアレイを調製することは、第1のリンス溶液を第1のマイクロタイターアレイトレイ100のウェル130のアレイ内に配置すること、テイラーコーンエミッターデバイス200のアレイを第1のリンス溶液に部分的に浸漬させること、および、第1のマイクロタイターアレイトレイ100を取り外すことを含むことができる。第1のリンス溶液は、試料における浸漬に先立って、テイラーコーンエミッターを清掃するのに適する水性または非水性溶液を含むが、それに限定されない任意の適切な溶液であってもよい。テイラーコーンエミッターデバイス保管装置400は、テイラーコーンエミッターデバイス200のアレイが第1のリンス溶液に部分的に浸漬される間、撹拌され得る。テイラーコーンエミッターデバイス保管装置400から第1のマイクロタイターアレイトレイ100を取り外した後、テイラーコーンエミッターデバイス200のアレイは乾燥され得る。第1のマイクロタイターアレイトレイ100を取り外した後、第1のマイクロタイターアレイトレイ100は、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置400内で第2のマイクロタイターアレイトレイ100と置換され得る。第1のマイクロタイターアレイトレイ100を取り外した後で、かつ、テイラーコーンエミッターデバイス200のアレイのそれぞれを分析する前に、第1のマイクロタイターアレイトレイ100は、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置400内で、ウェル130のアレイ内に抽出溶液を有する第2のマイクロタイターアレイトレイ100と置換され得、テイラーコーンエミッターデバイス保管装置400は撹拌され得る。第1の分析法を用いてテイラーコーンエミッターデバイス200のアレイのそれぞれを分析した後、第2のマイクロタイターアレイトレイ100は、ウェルのアレイの内部に第2のリンス溶液を有する第3のマイクロタイターアレイトレイ100と置換され得、テイラーコーンエミッターデバイス200のアレイは、第2のリンス溶液に部分的に浸漬され、任意選択で撹拌され得る。第2のリンス溶液は、試料における浸漬後に、テイラーコーンエミッターを清掃するのに適する水性または非水性溶液を含むが、それに限定されない任意の適切な溶液であってもよい。
【0064】
[0070]
図8を参照すると、
図7に示す方法によって、複数のマイクロタイターアレイトレイ100は、未検査試料800から陽性試料810および陰性試料820を区別するためにスクリーニングされ得、その後、陽性試料810は、マイクロタイターアレイトレイ100に圧密化され得、任意の残りのウェル130は、空のままにされ得る830。
【0065】
[0071]上記仕様は例示的な実施形態を示して説明するが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われ得、等価物がその要素と置換され得ることが、当業者によって理解されるであろう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、多くの修正が、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために行われ得る。したがって、本発明が、本発明を実施するために企図される最良モードとして開示される特定の実施形態に限定されないこと、しかし、本発明が、添付特許請求項の範囲に入る全ての実施形態を含むことになることが意図される。
【国際調査報告】