(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】フィルムトリミング装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B62D 65/00 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
B62D65/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568253
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 IB2022054119
(87)【国際公開番号】W WO2022234479
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ギルバートソン,マーク ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ル,ジェイソン ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】スティラー,エリック エル.
【テーマコード(参考)】
3D114
【Fターム(参考)】
3D114AA03
3D114BA05
3D114DA17
3D114EA15
3D114FA09
(57)【要約】
ビークルの第1のパネルにフィルム(120)を貼付する装置及び方法が提供され、第1のパネルは、第1のパネルに対して凹んでいる溝部分(52)を含む接合領域によって、ビークルの第2のパネルに接続されている。この方法は、溝部分(52)の長さに沿って連続的に延びるシムであって、第1のパネルの高さを超えて突出するシム(102)を備える細長いジグ(100)を、溝部分(52)内に配置するステップと、フィルムが細長いジグ(100)の上を延びるように、フィルム(120)を第1及び第2のパネルに貼付するステップと、次いで、ツール(122)を使用して、フィルムに対して、かつシム(102)の長さに沿ってシム(102)の切断縁部に向かって圧力を印加し、周縁部に沿ってフィルム(120)をトリミングするステップと、を含む。次に、細長いジグ(100)を溝部分(52)から除去し、フィルム(120)の周縁部を、溝部分(52)に接着することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークルの第1のパネルに対してフィルムを貼付する方法であり、前記第1のパネルが、前記第1のパネルに対して凹んでいる溝部分を含む接合領域によって、ビークルの第2のパネルに接続されている、方法であって、
前記溝部分の長さに沿って連続的に延びるシムであって、前記第1のパネルの高さを超えて突出するシムを備える細長いジグを、前記溝部分内に配置することと、
前記フィルムが前記細長いジグの上を延びるように、前記フィルムを前記第1及び第2のパネルに貼付することと、
ツールを使用して、前記フィルムに対して、かつ前記シムの前記長さに沿って前記シムの切断縁部に向かって圧力を印加し、周縁部に沿って前記フィルムをトリミングすることと、
前記細長いジグを前記溝部分から除去することと、
前記フィルムの前記周縁部を、前記溝部分に接着することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記切断縁部が、前記ビークルから離れる方向に向けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シムの前記切断縁部が、60度~120度の収束角を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記シムの前記切断縁部が、60度~90度の収束角を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記シムの前記切断縁部が、80度~90度の収束角を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記シムが、略矩形の断面を有し、前記断面が、前記シムの長手方向軸に垂直に画定される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記切断縁部が、10マイクロメートル~400マイクロメートルの半径を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記シムが金属である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記溝部分が、前記第2のパネルに対しても凹んでいる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記細長いジグが、前記シムに結合された複数の不連続セグメントを更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の不連続セグメントが、前記シムによってのみ互いに接合されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記不連続セグメントが、前記細長いジグの全長の最大50パーセントに相当する、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記細長いジグが、永久変形を伴わずに、10センチメートルまでの曲げ半径に沿って弾性的に偏向されることが可能である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記細長いジグが、前記溝部分の輪郭に相補的な底面輪郭を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ツールが、前記シムの前記切断縁部と相補的な形状を有する係合面を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ツールが、70Dより大きいショアD硬度を有する係合面を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
第1のパネルに対して凹んでいる溝部分を含む接合領域によってビークルの第2のパネルに接続されている、前記ビークルの前記第1のパネルに、フィルムを貼付するためのジグであって、
前記溝部分に相補的な凸状底面を有する細長い本体であって、複数の不連続セグメントを有する細長い本体と、
前記細長い本体の長さに沿って連続的に延びるシムであって、前記細長い本体から離れる方向を向きかつ60度~120度の収束角を有する切断縁部を有する、シムと、
を備える、ジグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フィルムを貼付するためのジグ及び関連する方法が提供される。フィルムは、例えば、自動車の外面に貼付される接着剤付きフィルムであり得る。
【背景技術】
【0002】
自動車製造業者は、大型車体用途のために機能フィルム及び装飾フィルムを使用する。対象適用エリアは、ルーフエリア全体、ルーフサイド、又はビークル全体を含み得る。特に有用なタイプのフィルムが塗料フィルム及びブラックアウトフィルムであり、これらは、多くの用途において液体塗料の塗布に取って代わる可能性を有する。これらのフィルムの使用により、揮発性有機化合物の放出を回避しながら塗料を複数回塗布することと比較した場合に、かなりの時間を節約することができる。他の有用なフィルムとしては、予め塗装された表面の上に貼付される塗装保護フィルムが挙げられる。これらの表面フィルムの全ては、機能的利点と装飾的利点の両方を提供することができる。
【発明の概要】
【0003】
フィルム貼付において一貫した、かつ高品質の結果を提供することは、ジグを用いて支援することができるが、従来のジグは、重大な技術的課題を提示し続けている。第1に、自動車の外面は複雑な輪郭を有し、この輪郭は、ビークルモデル間で著しく異なり、したがって、異なるモデルに対して異なるジグを必要とする。第2に、従来のジグを使用するフィルムの貼付は、非常に技術に影響されやすい傾向があり、フィルムの一貫性のないウェットアウトをもたらす。第3に、フィルムを切断するためのブレードの使用は、一般に、1)ユーザへの傷害のリスク、及び2)ビークルの表面を潜在的に損傷することを回避するために、切断をガイドするためのブレードに対向する追加の構造を必要とする。
【0004】
本明細書で提供されるのは、3次元表面上にテープ又はフィルムを貼付するためのトリミング及び貼付装置である。この貼付装置は、3D表面に合わせて輪郭を形成することができる、細長く、かつ可撓性の本体内に受け入れられる薄い金属シムを含むジグである。フィルムをトリミングするために、ツールがフィルムに対して押圧され、フィルムを金属シムの角部に押圧する。有利なことに、加えられた圧力により、鋭い切断ブレードを必要とせずにフィルムが切断される。フィルムがこのようにしてトリミングされると、トリミングされた縁部付近のウェットアウトは、装置の傾斜棚の助けを借りて進行することができる。傾斜棚により、連続的な幾何学的半径が適切な順序でウェットアウトされることを可能にすることによって、フィルム縁部上のテンティングを低減し、そのことでオペレータのばらつきを制限し、貼付中にフィルムの下に空気を捕捉する可能性を低減する。
【0005】
任意選択的に、カスタム切断プロファイルは、ポケット設計を有する既に設置されたルーフ溝クリップを収容することができる。装置は、その可撓性設計及び磁性面を用いて定位置に迅速にスナップ留めされるが、それに限定されない。このトリミング用途は、ルーフ溝に限定されず、露出した縁部を有さない他のトリム領域に使用することができる。提供されるジグ及び方法は、限られたオペレータ技能で容易な貼付を提供し、鋭利な物体がないため安全性の懸念を低減し、フィルム切断位置が固定されるため再現性を追加する。この解決策はまた、フィルムトリム及び最終ウェットアウト時間を低減する一方で、オペレータによって必要とされる技能レベルを低減する。
【0006】
第1の態様では、ビークルの第1のパネルに対してフィルムを貼付する方法が提供され、第1のパネルは、第1のパネルに対して凹んでいる溝部分を含む接合領域によって、ビークルの第2のパネルに接続されている。この方法は、溝部分の長さに沿って連続的に延びるシムであって、第1のパネルの高さを超えて突出するシムを備える細長いジグを、溝部分内に配置することと、フィルムが細長いジグの上を延びるように、フィルムを第1及び第2のパネルに貼付することと、ツールを使用して、フィルムに対して、かつシムの長さに沿ってシムの切断縁部に向かって圧力を印加し、周縁部に沿ってフィルムをトリミングすることと、細長いジグを溝部分から除去することと、フィルムの周縁部を、溝部分に接着することと、を含む。
【0007】
第2の態様では、第1のパネルに対して凹んでいる溝部分を含む接合領域によってビークルの第2のパネルに接続されている、ビークルの第1のパネルに、フィルムを貼付するためのジグが提供され、ジグは、溝部分に相補的な凸状底面を有する細長い本体であって、複数の不連続セグメントを有する細長い本体と、細長い本体の長さに沿って連続的に延びるシムであって、細長い本体から離れる方向を向きかつ60度~120度の収束角を有する切断縁部を有する、シムと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】例示的な一実施形態による、ビークルパネルにフィルムを貼付するためのジグの斜視図である。
【
図3A】任意選択的に
図1~
図2のジグとともに使用される、カスタマイズされた構成要素の対向する上面図及び底面図である。
【
図3B】任意選択的に
図1~
図2のジグとともに使用される、カスタマイズされた構成要素の対向する上面図及び底面図である。
【
図4】ビークルパネルに係合されて示された
図1~
図3のジグの長手方向図である。
【
図5】ジグとビークルパネルとの間の係合を示す、
図1~
図4のジグの端部セグメントの遠位図である。
【
図6】フィルムをトリミングするための、
図1~
図6のジグを用いたツールの使用を示す概略図である。
【
図7】ビークルパネルにフィルムを貼付するために使用されている
図1~
図5のジグの斜視図である。
【0009】
明細書及び図面中の参照文字が繰り返して使用されている場合、本開示の同じ又は類似の特徴又は要素を表すことを意図している。当業者は多くの他の修正形態及び実施形態を考案することができ、それらは本開示の原理の範囲及び趣旨に含まれることを理解されたい。図は、縮尺通りに描かれていないことがある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用する場合、「好ましい」及び「好ましくは」という用語は、一定の状況下で一定の利点をもたらすことができる、本明細書に記載の実施形態を指す。ただし、他の実施形態もまた、同じ又は他の状況下で好ましい場合がある。
【0011】
更にまた、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用でないことを示唆するものではなく、他の実施形態を本発明の範囲から除外することを意図するものでもない。
【0012】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する場合、文脈上別段の明記がない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の指示物を含むものとする。したがって、例えば、「a」又は「the」が付いた構成要素への言及には、構成要素及び当業者に公知のその均等物のうちの1つ以上を含んでもよい。更に、「及び/又は」という用語は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0013】
「含む」という用語及びその変化形は、これらの用語が添付の記載に現れた場合、限定的意味を有しないことに注意されたい。また更に、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、本明細書では互換的に使用される。本明細書において、左、右、前方、後方、上部、底部、側、上方、下方、水平、垂直などの相対語が使用される場合があり、その場合、特定の図面において見られる視点からのものである。しかしながら、これらの用語は、記載を簡単にするために使用されるに過ぎず、決して本発明の範囲を制限するものではない。
【0014】
本明細書全体において、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」又は「ある実施形態」に対する言及は、その実施形態に関して記載される特定の特徴、構造、材料又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所にある「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」又は「実施形態では」などの句の出現は、必ずしも本発明の同一の実施形態に言及しているわけではない。該当する場合、商品名は、全て大文字で記載する。
【0015】
例示的な一実施形態によるジグが
図1に示されており、以降では数字100として参照される。ジグ100は、細長い形状を有し、サイズ比較のために自動車ルーフパネル50の上に示されている。図示するように、ジグ100は、ジグ100の長さに沿って延びる連続シム102(又はワイヤ)と、シム102に結合され、かつその長さに沿って分散された複数の不連続セグメント104とを備える。好ましい実施形態では、セグメント104は、シム102によってのみ互いに接合されている。しかしながら、代替的に、セグメント104は、隣接するセグメント104が互いに結合することを可能にする機械的ヒンジを含むこともできる。概して、セグメント104は、異なるパネルサイズ及び形状に適応するように、本質的にモジュール式に作製することができる。
【0016】
提供された実施形態は、自動車のルーフパネルを対象とするが、これらは、他のパネルにも容易に適用することができる。提供されるジグ及び方法は、概して、ビークルのルーフ溝、フロントガラス、リアウィンドウ、及びムーンルーフ付近のフィルムのトリミングを容易にするために使用することができる。これらのジグ及び方法はまた、ビークル用途に限定される必要はなく、2つ以上の外向きパネルが位置合わせ表面を画定する継ぎ目に沿って一緒になる、他の大型アセンブリ上での使用に適合させることができる。
【0017】
セグメント104の不連続性により、セグメント104自体が比較的柔軟でない場合であっても、比較的薄いシム102がルーフパネル50の周囲を画定する凹溝部分52に沿って柔軟に追従することが可能になる。溝部分52は、より詳細は後述するが、フィルムが貼付される領域の境界を画定する。必ずしも全ての場合ではないが、場合によっては、溝部分52は、隣接するパネル間の境界を画定する。
【0018】
耐久性及び強度のために、シム102は、鋼、アルミニウム、ニチノール、銅、又はそれらの合金等の金属から作製することができる。好ましくは、この金属は高弾性であり、例えばパネルの角部分の周りで曲げられたときに、永久変形に抵抗する。しかしながら、シム102の材料は必ずしも金属に限定されず、可撓性ポリマー又はセラミック材料から作製することもできる。任意選択的に、セグメント104はまた、少なくともいくらか可撓性であり、ポリマーなどの柔軟な材料から作製され、セグメント104に沿った材料の可撓性及び潜在的な横方向の伸張又は収縮を可能にする。そのような特性はまた、セグメント104が溝部分52により良く適合するのを助け、潜在的に固定を助けることができる。
【0019】
シム102が柔軟である場合、シム102がその長手方向軸に沿って伸長して、ジグ100をルーフパネル50の境界に適合させることを更に支援することが可能であってもよい。いくつかの実施形態では、シム102は、ルーフパネル50の全周囲に沿って延びる連続ループに形成することができる。そのようなシムは、セグメントが互いに可逆的に取り付けられることを可能にする1つ以上の接合部を含むことができる。これらの実施形態では、シム自体は、ジグ100の長さのカスタマイズを可能にするように分割されていてもよい。
【0020】
ジグ100を手元の特定のパネルに適合させるのを助けるために、セグメント104をシム102に沿って摺動可能に移動可能にして、フィルムの角部の近くで遭遇する可能性があるより鋭い屈曲部に適応させることを可能にすることができる。シム102は、適切な程度の可撓性を提供するために、その横方向に沿って必要に応じて薄くすることができる。いくつかの実施形態では、ジグ100は、永久変形を伴わずに、30センチメートルまで、20センチメートルまで、又は10センチメートルまでの曲げ半径に沿って弾性的に偏向されることが可能である。
【0021】
セグメント104は、ジグ100の全長の1パーセント~90パーセント、5パーセント~80パーセント、10パーセント~70パーセントの、又はいくつかの実施形態では、ジグ100の全長の1パーセント、2、3、4、5、7、10、20、30、40、50、60、70、80、若しくは90パーセントより小さい、それに等しい、若しくはそれより大きいなどの、ジグ100の全長の任意の好適な部分を表すことができる。
【0022】
図2は、ジグ100の長手方向軸に沿ったそのプロファイルを示す、ジグ100の拡大図を示す。この実施例では、シム102は略矩形の断面形状を有し、この断面は、シム102の長手方向軸に垂直に画定される。
【0023】
シム102は、シム102の狭い面の1つが上方(すなわち、設置されたときにビークルパネルから離れる方向)を向き、ジグ100の全長に沿って完全に露出するように、各セグメント104に部分的に埋め込まれている。シム102は、セグメント104の上面を一定量だけ超えて突出していることが好ましい。一実施例として、シム102の少なくとも5パーセント、少なくとも10パーセント、又は少なくとも15パーセントが、セグメント104を超えて突出することができる。
【0024】
シム102の垂直寸法は、横寸法よりもはるかに大きく、したがって、横方向に沿った高度の可撓性を可能にする。シムの断面がセグメント104を超えて突出する少なくとも1つの上向き角部を有し、それによってフィルムのための連続的な切断縁部を提供する限り、非矩形形状も可能である。一実施例では、シム102の上向き部分は、概ね「D」字形の断面を有することができる。シム102の断面は、その長さに沿って均一であってもよく、又は均一でなくてもよい。場合によっては、シム102は、ルーフパネル50の平面に沿ったシムの曲げを容易にするために、その底部に面する表面に沿って1つ以上のノッチを含む。
【0025】
シム102の断面が矩形であるので、セグメント104を超えて突出する2つの切断縁部の各々は、定義により、90度の収束角を有し、収束角は、シムの隣接する面が一緒になる角度として定義される。代替実施形態では、1つ以上の切断縁部は、90度から逸脱する収束角を有することができる。例えば、所与の切断縁部は、60度~120度、60度~90度、80度~90度の、又はいくつかの実施形態では、60度、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、若しくは120度よりも小さい、それに等しい、若しくはそれよりも大きい収束角を有することができる。シム102の少なくとも1つの切断縁部は、好ましくは、最大400マイクロメートル、最大200マイクロメートル、最大100マイクロメートル、又は最大10マイクロメートルの角半径などの、フィルムを切断するのに適した角縁部を有する。
【0026】
制約されるものではないが、シム102の横厚さは、100マイクロメートル~400マイクロメートル、120マイクロメートル~350マイクロメートル、150マイクロメートル~300マイクロメートルであってもよく、又はいくつかの実施形態では、100マイクロメートル、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、160、170、180、190、200、220、240、250、260、280、300、320、340、350、360、380、若しくは400マイクロメートルより小さい、それに等しい、若しくはそれより大きくてもよい。更に、シム102の断面のアスペクト比(すなわち、高さ/幅)は、15~127、20~80、40~60であってもよく、又はいくつかの実施形態では、15、17、20、22、25、27、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、若しくは127より小さい、それに等しい、若しくはそれより大きくてもよい。
【0027】
図3A及び
図3Bは、任意選択的にシム102と組み合わせて使用することができる、カスタマイズされたセグメント106の対向する底面及び上面を示す。カスタマイズされたセグメント106は、
図3Aに示すルーフ溝クリップ54などのセグメントと通常干渉するであろう、溝部分52内の任意の障害物を収容する空間を提供する、ポケット108を含む。
図3Bは、カスタマイズされたセグメント106の上向きの主表面を示し、シム(
図3A及び
図3Bには図示せず)を着座させるための溝110を示している。カスタマイズされたセグメント106の使用はまた、ビークルパネルの角部分に沿ってなど、特に急な屈曲部に沿ってシム102をガイドする際に有利であり得る。ここでは図示されていないが、カスタマイズされたセグメント106が、ルーフパネル50に対してジグ100を位置決めするための基準点を提供するために、クリップ54に機械的に取り付けられる構成を有することが可能である。
【0028】
図4は、シム102及びセグメント104を含むジグ100と、ルーフパネル50の溝部分52との間の係合をより詳細に示す。明示的に図示されていないが、溝部分は、2つの隣接するビークルパネル間、例えばビークルのルーフパネルとサイドパネルとの間の境界に沿って延びることができる。これらの場合、溝部分は、好ましくは、両方のパネルに対して凹んでいる面を含む。溝部分52は、図示するように、二重半径によって表される凹面領域と凸面領域との両方を含む。これらの表面領域は、セグメント104の嵌合面に対して相補的であり得る。
【0029】
任意選択的に、
図5に更に示すように、嵌合面は、各セグメント104の少なくとも2つの隣接する面に沿って延びる。これらの隣接する面は、概して、セグメント104の底面及び側面である。セグメント104と溝部分52との間の嵌合係合により、ジグ100とルーフパネル50との間の位置合わせを著しく改善することができる。これにより、ひいては、従来の方法によって得られる切断線と比較して、ジグ100を使用して得られる切断線において高い精度を提供することができる。
【0030】
有利なことに、各セグメント104は、シム102とルーフパネル50との間に配置された傾斜棚51を含む。フィルムが切断された後、傾斜棚51により、連続的な幾何学的半径が適切な順序でウェットアウトされることを可能にすることによって、フィルムの縁部上のテンティングを低減するのを助けることができる。これにより、貼付中にフィルムの下に空気を捕捉する可能性を低減する。セグメント104からルーフパネル50への接着剤付きフィルムのより一貫した移送を提供することによって、傾斜棚51により、オペレータ技術の違いに起因するフィルム貼付の品質のばらつきを制限するのを助けることができる。
【0031】
図6は、ジグ100を使用して、ルーフパネル50上に配置されたフィルムを切断するプロセスを示す概略図を示す。このプロセスでは、上述したように、ルーフパネル50の溝部分52にジグ100が配置される。ジグ100が適切に着座すると、シム102の上向き表面は、ルーフパネル50の高さを超えて突出するはずである。いくつかの実施形態では、ジグ100は、溝部分52の長さの一部又は全部に沿って連続的に延びる。必要ではないが、テープ又は一時的接着剤を使用してジグ100を溝部分52に固定することが可能であり、テープ又は接着剤は後で除去される。
【0032】
次に、フィルム120がルーフパネル50とジグ100の両方の上に配置される。フィルム120が接着剤付きフィルムであることは一般的であり、その場合、フィルム120は、そのような配置の際にルーフパネル50に接着剤で結合することができる。任意選択的に、フィルム120は、ルーフパネル50の全体にわたって延びるが、これは、必須である必要はない。次に、ツール122をフィルム120に対して押圧し、シム102に沿って並進させ、圧力を印加してツール122とシム102との間でフィルム120を圧縮し、シム102の切断縁部に沿ってフィルムを切断することができる。ツール122は、典型的には、人間のオペレータによって手動でフィルム120に対して押圧されるが、この動作は、コンピュータによって制御されるロボットアームを使用するなどの、自動化された方法で実行することもできる。コンピュータが使用される場合、ジグ100は、その位置を特定することを支援するジグ100上の基準マーカを使用して検出することができる。この切断ステップは、溝部分52によって画定されるルーフパネル50の周囲に沿った連続ループに沿って行うことができる。溝部分52がルーフパネル50の周囲の一部分に沿ってのみ延びることも可能であり、その場合、ルーフパネル50上に配置されたフィルム120の部分を、ルーフパネル50を越えて延びるフィルム120の部分から分離するために、複数の切断ステップが必要とされる場合がある。
【0033】
任意選択的に、かつ図示のように、ツール122は、シム102の切断縁部の形状と相補的な形状を有する凹部124を有する。これにより、滑りを防止し、よりきれいな切断線を得るためにフィルムの適切な部分に圧力が向けられることを確実にするのを助けることができる。切断を容易にするために、ツール122は、概して、シム102の材料に対してわずかに柔軟な材料から作製されている。そのような材料は、Dupont de Nemours,Inc.(Wilmington,DE)によってDELRINの商品名で提供されるポリオキシメチレンなどのエンジニアリングポリマーであり得る。好ましい実施形態では、ツールは、最大70DのショアD硬度を有する係合面を有することができる。
【0034】
本技術の重要な技術的利点は、シム102の切断縁部が従来の意味で鋭いブレードのように動作しないことである。様々な実施形態では、それは、シザリング作用又は圧縮ベースの機構を使用してフィルム120を切断する90度の縁部を有し、人間のオペレータにとって動作をより安全にする。いくつかの実施形態では、トリミングされるフィルムの組成に応じて、フィルムの切断を容易にするために、シム102を予熱することができる。
【0035】
シム102に関して更なる改良も可能である。例えば、シム102は、ジグ100がルーフパネル50の溝部分52内に配置されるまで、キャリア(セグメント104など)内に留められてもよい。次いで、ジグ100が溝部分52内に完全に着座したとき、シム102は、キャリアから摺動可能に付勢することができる。この構成の利点は、ジグ100が適用されている間に、ルーフパネル50上の任意の塗装面を引っ掻くことを回避するのに役立つことができることである。
【0036】
上記のステップを用いてフィルム120を完全にトリミングした後、ジグをルーフパネル50の溝部分52から除去することができる。次に、ルーフパネル50上の新たにトリミングされたフィルム120の残りの縁部分を、必要に応じて、ジグ100が退去した溝部分52の部分に接着することができる。フィルム120の余分な部分は、「ウィード(weed)」部分と呼ばれることがあり、その後、廃棄又は再利用することができる。
【0037】
実施例
本開示の目的及び利点は、以下の非限定的な実施例によって更に例証されるが、この実施例に引用される具体的な材料及びその構成、並びに他の条件及び詳細は、本開示を過度に限定するものと解釈されるべきではない。
【0038】
図2及び
図4~
図7に示すジグを、トヨタカローラ車のルーフ溝に挿入した。3M Company(St.Paul,MN)から入手した3M Paint Protection Film PUL2008の十分な長さを有する一片を、ルーフ溝(ジグを含む)を覆うように配置し、ビークルルーフの第1のパネル及び第2のパネルに接着した。フィルムをパネルに貼付する前に、剥離ライナーをPUL2008フィルムから除去した。次に、凹部を有するポリオキシメチレンプラスチックブロック(DUPONT(Wilmington,DE)から商品名DELRINで入手)を使用して、フィルムを切断するジグのシムにフィルムを押圧した。凹部の高さは、ジグに埋め込まれた露出しているシムの高さに等しかった。凹部の幅は、シムの幅の5倍以下であるように設計した。
【0039】
特許状に関する上記特許出願において引用された全ての文献、特許文献又は特許出願は、一貫した形でそれらの全容が参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。前述の記載は、当業者が、特許請求の範囲に記載の開示を実践することを可能にするためのものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその全ての等価物によって定義される。
【国際調査報告】