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特表2024-519743プリント回路基板及び他の基板内の貫通孔を充填する単一工程電解方法
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  • 特表-プリント回路基板及び他の基板内の貫通孔を充填する単一工程電解方法 図1
  • 特表-プリント回路基板及び他の基板内の貫通孔を充填する単一工程電解方法 図2
  • 特表-プリント回路基板及び他の基板内の貫通孔を充填する単一工程電解方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】プリント回路基板及び他の基板内の貫通孔を充填する単一工程電解方法
(51)【国際特許分類】
   C25D 5/18 20060101AFI20240514BHJP
   C25D 5/16 20060101ALI20240514BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20240514BHJP
   H05K 1/11 20060101ALI20240514BHJP
   H05K 3/40 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C25D5/18
C25D5/16
H05K3/18 N
H05K3/18 G
H05K1/11 N
H05K3/40 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568671
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 US2022028462
(87)【国際公開番号】W WO2022245576
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/189,640
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501407311
【氏名又は名称】マクダーミッド エンソン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】デサルヴォ、ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】ブレイク、ロン
(72)【発明者】
【氏名】グリオッティ、カーマイケル
(72)【発明者】
【氏名】ディセザーレ、ウィリアム、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ベルマーレ、リチャード、エイ.
【テーマコード(参考)】
4K024
5E317
5E343
【Fターム(参考)】
4K024AA09
4K024AB01
4K024AB02
4K024AB09
4K024BA09
4K024BB11
4K024CA06
4K024CA08
4K024CB05
5E317AA24
5E317BB12
5E317CC25
5E317CC32
5E317CC33
5E317CC35
5E317CC38
5E317CC42
5E317CD32
5E317GG05
5E343AA02
5E343AA07
5E343BB24
5E343BB48
5E343DD33
5E343DD43
5E343DD46
5E343DD47
5E343DD48
5E343FF16
5E343GG06
5E343GG20
(57)【要約】
プリント回路基板の製造における銅電気めっきの方法。本方法は、貫通孔及びマイクロビアを銅で充填するために使用される。本方法は、(1)上に銅電気めっきを受容するように電子基板を作製する工程と、(2)電子基板内に1つ以上の貫通孔及び/又は1つ以上のマイクロビアのうちの少なくとも1つを形成する工程と、(3)電子基板を酸銅電解質と接触させることによって、少なくとも1つ以上の貫通孔及び/又は1つ以上のブラインドマイクロビア内に銅を電気めっきする工程とを含む。酸銅電解質は、1つ以上の貫通孔及び/又は1つ以上のブラインドマイクロビアをめっきするために使用される。第1のパルス逆めっき波形シーケンスを使用して、貫通孔の中心に銅ブリッジを作り出し、続いて、金属化が完了するまで直接めっきする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子基板上に金属をめっきする方法であって、前記電子基板が、1つ以上の特徴部を備え、前記1つ以上の特徴部が、前記電子基板内の1つ以上の貫通孔及び/又は1つ以上のマイクロビアのうちの一方を含み、前記方法が、
a)上に金属めっきを受容するように前記電子基板を作製する工程と、
b)前記電子基板及び少なくとも1つの対電極を、めっきされる銅イオンの供給源を含む銅電気めっき浴と接触させる工程と、
c)金属めっきを開始するために、前記電子基板の第1及び第2の側面を電気的に分極する工程と、を含み、前記銅電気めっき浴は、金属化が完了するまで、めっきサイクルを使用して、前記1つ以上の貫通孔及び/又は前記1つ以上のマイクロビアをめっきし、
前記めっきサイクルが、順番に、
1)銅を優先的に前記1つ以上の貫通孔の中心にめっきさせるために、前記電子基板の第1の側面及び第2の側面上に、第1の期間にわたってパルスめっきする工程であって、前記銅が前記孔の前記中心で一緒に融合して、2つの対向するブラインドビアを形成する、パルスめっきする工程と、
2)パルスめっきによって形成された前記2つの対向するブラインドビアを充填するように、第2の期間にわたって直接めっきする工程と、を含み、
前記パルスめっきする工程が、前記銅電気めっき浴から前記電子基板の前記第1の側面及び第2の側面に金属を電着させるように電流を適用することを含み、前記電流は、繰り返し可能なシーケンスを含むパルスめっきサイクルとして適用され、前記繰り返し可能なシーケンスは、パルスめっき期間のセットを含み、各パルスめっき期間のセットは、任意の順序で、
(i)少なくとも第1の順方向パルス期間と、
(ii)少なくとも第1の逆方向パルス期間と、
(iii)少なくとも第2の順方向パルス期間と、
(iv)少なくとも休止期間と、を含む、方法。
【請求項2】
上に電気めっきを受け入れるようにプリント回路基板を作製する工程が、前記1つ以上の貫通孔及び/又は1つ以上のマイクロビアを金属化するより前に、前記プリント回路基板を洗浄する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
洗浄された前記プリント回路基板をマイクロエッチングする工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
1つ以上の金属化された前記貫通孔及び/又は1つ以上のマイクロビアが、いかなる欠陥も呈さない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
金属化された電気めっきされた銅堆積物が、前記1つ以上の貫通孔及び/又は1つ以上のブラインドマイクロビアを完全に充填し、前記電子基板上にコンフォーマル銅堆積物を堆積させる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
酸銅電気めっき浴が、約10~約50℃の温度で維持される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程1)より前に、ある期間にわたって順方向電流を使用して直流めっきする工程を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の期間の直流めっきが、1つ若しくは前記貫通孔及び/又は1つ以上のブラインドマイクロビアの表面上にフラッシュ銅層を堆積させる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
噴霧、拭い、液浸、及び浸漬からなる群から選択される方法によって、前記電子基板を酸銅電気めっき溶液と接触させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記電子基板を酸銅電解質中に浸漬することによって、前記電子基板を前記酸銅電気めっき浴と接触させる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電子基板の前記第1の側面に適用される前記繰り返し可能なシーケンスを含む前記パルスめっきサイクルが、前記電子基板の前記第2の側面に適用される前記繰り返し可能なシーケンスを含む前記パルスめっきサイクルと同じである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記電子基板の前記第1の側面に適用される前記繰り返し可能なシーケンスを含む前記パルスめっきサイクルが、前記電子基板の前記第2の側面に適用される前記繰り返し可能なシーケンスを含む前記パルスめっきサイクルとは異なる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記パルスめっき期間のセットが8工程を含み、前記8工程が、任意の順序で、
a)第1の順方向持続時間及び第1の順方向強度の第1のパルス、
b)第2の順方向持続時間及び第2の順方向強度の第2のパルス、
c)前記第1の順方向持続時間及び第1の順方向強度の第3のパルス、
d)逆方向持続時間及び逆方向強度の第4のパルス、
e)前記第1の順方向持続時間及び第1の順方向強度の第5のパルス、
f)第3の順方向持続時間及び第3の順方向強度の第6のパルス、
g)前記第1の順方向持続時間及び第1の順方向強度の第7のパルス、並びに
h)休止期間からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
各パルスめっき期間のセットが、約0.5~約5秒の持続時間を有する、請求項1~3又は11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
各パルスめっき期間のセットが、1秒の持続時間を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記シーケンスが、一連の繰り返しで配置された2つ以上の複数の繰り返し可能なシーケンスを含む、請求項1~3又は11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記パルスめっきサイクルが非同期めっきサイクルであり、前記基板の前記第1の側面に適用される前記繰り返し可能なシーケンスが、逆の順序であることを除いて、前記基板の前記第2の側面に適用される前記繰り返し可能なシーケンスと同じである、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記非同期めっきサイクルが、ある期間にわたって実行された後、前記基板の前記第1の側面及び前記第2の側面上に、同期波形を有する第2のパルスめっきサイクルが適用される。
前記非同期めっきサイクルは優先的に、前記銅が全体の中心で一緒に融合して、2つの対向するブラインドビアを形成するように、前記1つ以上の貫通孔の前記中心に前記銅をめっきし、前記第2のパルスめっきサイクルは、このようにして形成された前記2つの対向するブラインドビアを成形する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のパルスめっきサイクルが、約1:1~1:4の順方向/逆方向電流比を使用し、順方向パルスの持続時間が約10~200msの範囲であり、逆方向パルスの持続時間が約0.5~10msの範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
各第1の順方向パルス期間及び第2の順方向パルス期間の持続時間が独立して約80~250msの範囲であり、各逆方向パルス期間の持続時間が約50~約150msの範囲であり、各休止期間の持続時間が約50~約150msの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の順方向持続時間及び前記第1の順方向強度の前記パルス、又は前記第2の順方向持続時間及び前記第2の順方向強度の前記パルスのうちの少なくとも1つは、前記第1の順方向持続時間又は前記第2の順方向持続時間内のより短い持続時間のより高い強度パルスを含み、前記より高い強度パルスは、前記第1の順方向強度又は前記第2の順方向強度の約100%~約500%の強度である強度を有する、請求項11~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
電子基板上に金属を電気めっきするための装置であって、前記電子基板が、1つ以上の特徴部を備え、前記1つ以上の特徴部が、前記電子基板内の1つ以上の貫通孔及び/又は1つ以上のブラインドマイクロビアを含み、前記装置が、
(a)前記電子基板を固定するための手段と、
(b)少なくとも1つの対電極と、
(c)銅電気めっき浴を保持するためのめっき槽と、
(d)前記めっき槽内に配置された前記電子基板の第1の側面及び第2の側面に同時に衝突するように配置されたノズルのアレイと、
(e)金属めっきを開始するために、前記電子基板の第1及び第2の側面を電気的に分極するための手段と、を備え、
前記電子基板の前記第1及び第2の側面を電気的に分極するための前記手段は、1つ以上の整流器を含み、前記1つ以上の整流器は各々、直接めっき及びパルス逆めっきが可能であり、前記1つ以上の整流器は各々、パルスめっきサイクルと第2の直流サイクルとを含むめっきサイクルでプログラムすることが可能なマイクロコントローラに接続されており、
前記めっきサイクルが、順番に、
1)銅を優先的に前記1つ以上の貫通孔の中心にめっきさせるために、前記電子基板の第1の側面及び第2の側面上に第1の期間にわたってパルスめっきする工程であって、前記銅が前記孔の前記中心で一緒に融合して、2つの対向するブラインドビアを形成する、パルスめっきする工程と、
2)パルスめっきによって形成された前記2つの対向するブラインドビアを充填するように、第2の期間にわたって直接めっきする工程と、を含み、
前記1つ以上の整流器は、第1の繰り返し可能なシーケンスであって、パルスめっき期間のセットを含み、各パルスめっき期間のセットは、任意の順序で、(i)少なくとも第1の順方向パルス期間、(ii)少なくとも第1の逆方向パルス期間、(iii)少なくとも第2の順方向パルス期間、及び(iv)前記電子基板の前記第1の側面に適用される少なくとも休止期間から構成されている、第1の繰り返し可能なシーケンスと、第2の繰り返し可能シーケンスであって、前記繰り返し可能シーケンスは、パルスめっき期間のセットを含み、各パルスめっき期間のセットは、任意の順序で、(i)少なくとも第1の順方向パルス期間、(ii)少なくとも第1の逆方向パルス期間、(iii)少なくとも第2の順方向パルス期間、及び(iv)前記電子基板の前記第2の側面に適用される少なくとも休止期間から構成されている、第2の繰り返し可能シーケンスとでプログラムされており、
前記パルスめっきが完了すると、前記1つ以上の整流器は、直流に遷移するようにプログラムされている、装置。
【請求項23】
前記1つ以上の整流器が、前記貫通孔の前記中心に形成された前記2つの対向するブラインドビアを成形するように、ある期間にわたって、工程1)と工程2)との間で、順方向めっきパルスと逆方向めっきパルスとを含む規則的なパルスめっきサイクルに遷移するようにプログラムされている、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
請求項1のプロセスによって金属化された1つ以上の特徴部を備える電子基板。
【請求項25】
請求項18のプロセスによって金属化された1つ以上の特徴部を備える電子基板。
【請求項26】
1つ以上の高アスペクト比貫通孔を備える電子基板を金属化する方法であって、前記方法は、
a)上に金属めっきを受容するように前記電子基板を作製する工程と、
b)前記電子基板及び少なくとも1つの対電極を、めっきされる銅イオンの供給源を含む酸銅電気めっき浴と接触させる工程と、
c)金属めっきを開始するために、前記電子基板の第1及び第2の側面を電気的に分極する工程と、を含み、前記酸銅電気めっき浴は、金属化が完了するまで、めっきサイクルを使用して前記1つ以上の貫通孔をめっきし、
前記めっきサイクルが、順番に、
1)銅を優先的に前記1つ以上の貫通孔の中心にめっきさせるために、前記電子基板の第1の側面及び第2の側面上に第1の期間にわたって非同期パルスめっきする工程であって、前記銅が前記孔の前記中心で一緒に融合して、2つの対向するブラインドビアを形成する、非同期パルスめっきする工程と、
2)前記貫通孔の前記中心に形成された前記2つの対向するブラインドビアを成形するように、同期パルスめっきする工程と、
3)パルスめっきによって形成された前記2つの対向するブラインドビアを充填するように、第2の期間にわたって直接めっきする工程と、を含み、
前記非同期パルスめっきする工程が、前記酸銅電気めっき浴から前記電子基板の前記第1の側面及び第2の側面に金属を電着させるように電流を適用することを含み、前記電流は、繰り返し可能なシーケンスを含むパルスめっきサイクルとして適用され、
前記繰り返し可能なシーケンスは、パルスめっき期間のセットを含み、各パルスめっき期間のセットは、任意の順序で、
(i)少なくとも第1の順方向パルス期間と、
(ii)少なくとも第1の逆方向パルス期間と、
(iii)少なくとも第2の順方向パルス期間と、
(iv)少なくとも休止期間と、を含む、方法。
【請求項27】
プリント回路基板であって、前記プリント回路基板は、中に1つ以上の貫通孔が形成されている金属化されたパネルを備え、
前記プリント回路基板は、銅の電気めっきを開始するために、前記プリント回路基板上に導電性シード層を備え、
前記貫通孔は、
a)前記1つ以上の貫通孔の前記中心における第1の銅めっき層であって、前記銅が前記貫通孔の前記中心で一緒に融合して、2つの対向するブラインドビアを形成する、第1の銅めっき層と、
b)任意選択的に、前記第1の銅めっき層の上に堆積された第2の銅めっき層であって、任意選択の前記第2の銅めっき槽は、前記第1の銅めっき層によって形成された前記ブラインドビアを成形する、第2の銅めっき層と、
c)銅充填層であって、前記1つ以上の貫通孔を充填するように、前記第1の銅めっき層及び前記任意選択の第2の銅めっき層の上に堆積される、銅充填層と、を備え、
前記1つ以上の貫通孔は、いかなる空隙、ディンプル又は他の欠陥もなしに、銅で完全に充填される、プリント回路基板。
【請求項28】
層a)~c)の全てが存在する、請求項27に記載のプリント回路基板。
【請求項29】
前記第1の銅層、任意選択の第2の銅層、及び銅充填層が、同じ酸銅めっき電解質を使用して適用される、請求項27又は28に記載のプリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電子基板を金属化するための電解析出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電解金属めっき溶液は、防食コーティング及び装飾コーティングを含む多くの産業用途において、並びに1つ以上のビア、貫通孔、及びトレンチを含む基板を含む電子デバイスにおいて使用される基板を金属化するための電子産業において使用される。例えば、プリント回路基板、プリント配線板及び他の同様の基板を電解銅で金属化することができる。銅は、多くの他の金属よりも優れた導電率を有し、比較的小さな特徴部の用途を可能にする。硫酸及びメタンスルホン酸をベースとする浴を含む水性銅浴は、プリント回路基板(printed circuit board、PCB)及び半導体の製造に使用される。
【0003】
相互接続特徴部は、誘電体基板に形成されるブラインドマイクロビア(blind micro-via、BMV)、トレンチ、及び貫通孔などの特徴である。これらの特徴部は、相互接続部を導電性にするために、好ましくは銅で金属化される。回路製造中、銅は、プリント回路基板の表面の選択部分にわたって、ブラインドビア及びトレンチ内、及び回路基板ベース材料の表面間を貫通する貫通孔の壁上に電気めっきされる。貫通孔の壁は、プリント回路基板の回路層間に導電性を提供するように金属化される。
【0004】
電子デバイスは収縮し、回路基板上でともに密着して圧縮されるため、電子機器の熱管理が問題になる。電子デバイスは熱に敏感であり、熱により効率が低下して、寿命が短くなる可能性がある。したがって、熱放散を管理し、発熱構成要素から熱を引き出し、その熱を放散させるためにパネルの他の領域又は他の基板に方向付ける方法を提供することが必要である。
【0005】
回路基板モジュール及び電子デバイスにおいて、回路基板に実装される電子構成要素は、表面実装型電子構成要素及び挿入実装型電子構成要素を含む。表面装着型電子構成要素は、典型的には、端子を回路基板の前面に設けられた銅箔にはんだ付けすることによって、基板に実装される。挿入実装型電子構成要素は、典型的には、リード端子を回路基板に設けられた貫通孔に挿入し、リード端子をはんだ付けすることによって、基板に実装される。
【0006】
回路基板に実装された電子構成要素は、電流がそれらを通って流れるときに熱を発する。加えて、大量の熱が、大きな電流が流れる電子構成要素において生成され得る。電子構成要素の熱によって電子構成要素又は回路基板の温度が上昇すると、電子構成要素又は回路基板上に形成された電気回路が機能不全になるおそれがある。
【0007】
例えば、導電性金属充填エポキシプラグ材料による貫通孔の充填、デバイスの下への銅コインの挿入、回路基板への熱ポンプの挿入、導電性接着剤の使用、発熱デバイスへのヒートシンクの取り付け、及び銅の電気めっきなど、電子デバイスの放熱を管理するための様々な方法が開発されてきた。
【0008】
貫通孔の樹脂又はペーストによる施栓は、長年にわたって、高密度相互接続構造及びIC基板におけるビルドアップ技術の一部であった。しかしながら、より高い電力デバイスと結合された回路密度及びスタックビア構造の増加は、熱管理の余分な次元を追加してきた。貫通孔の固体銅充填は、以下を含む、樹脂又はペーストの施栓よりも多くの利点を提供することが分かっている。例えば、CTE不整合を低減し、マイクロビアを積層するための安定したプラットフォームを提供し、高電力デバイスのための熱管理特性を提供する。
【0009】
しかしながら、電子デバイスの小型化は、より薄いコア材料、低減された線幅、及びより小さい直径の貫通孔の組み合わせを伴う。貫通孔を銅めっきによって充填することは、アスペクト比が高くなるにつれてますます困難になってきており、多くの場合、より大きな空隙及びより深いディンプルをもたらす。貫通孔充填に関する別の問題は、充填の方法である。一端が閉鎖され、底部から頂部まで充填されるビアとは異なり、貫通孔は基板を貫通し、2つの端部が開放されている。貫通孔が銅で充填されるとき、めっきパラメータ及び浴添加剤は、銅が貫通孔の中心で壁に堆積し始め、そこで銅が中心で架橋して図1に示されるような2つのブラインドビアを形成するように選択される。
【0010】
めっき浴添加剤は、正しいタイプの充填を可能にする。添加剤の正しい組み合わせが選択されない場合、銅めっきは、貫通孔を充填するのではなく、貫通孔の側面上に望ましくないコンフォーマル銅堆積をもたらす可能性がある。
【0011】
貫通孔めっきに関する1つの問題は、銅が貫通孔を完全に充填することができず、両端が充填されないまま残ることである。孔の中央が完全に閉じない不完全な貫通孔充填は、「ドッグボーン(dog-boning)」と呼ばれるものから優先的に厚くなる堆積物に起因して孔の頂部及び底部が閉じるので、孔の中心に大きな空洞をもたらす可能性がある。その結果、頂部及び底部がピンチオフされ、中心に空洞が生じる。別の問題は、孔の中心を横切ってブリッジが形成された後の孔の不完全な充填であり、孔の頂部及び底部に深い窪み又は開放空間が残る。孔の頂部及び底部の開放空間は「ディンプル」と呼ばれる。したがって、この貫通孔充填プロセスは、孔を完全に充填し、ディンプルの存在を排除するように最適化されることが望ましい。理想的なプロセスは、貫通孔を高度の平坦性で完全に充填し、すなわち、空隙なしに一貫性を構築して、最適な信頼性及び電気特性を提供し、電気デバイスにおける最適な線幅及びインピーダンス制御のために可能な限り薄い表面厚さを提供する。
【0012】
これらの問題に対処するために、2つの異なる銅電解質を使用することが一般的である。第1の銅浴は、ブリッジが形成されるまで貫通孔を充填するために使用され、2つのブラインドビアを生成し、次いで、特にブラインドビアを充填することを対象とする実質的に異なる配合を有する第2の浴が、充填プロセスを完了するために第1の浴と置換されるが、これは時間がかかり、非効率的である。貫通孔充填プロセスは、ブリッジが形成される第1の浴がビアの最終的な充填のためにビア充填浴と置換されなければならない時間を測定するために厳密に監視されなければならず、正しい時間に浴を交換することができないと、ディンプル及び空隙の形成がもたらされ得る。更に、単一プロセスのために2つの別個のめっき浴を使用することは、製造者及び顧客の両方にとってコストを増加させる。
【0013】
Desalvoらの米国特許出願公開第2021/0130970号(その主題は参照により本明細書に組み込まれる)には、プリント回路基板、プリント配線板、及び他の電子基板の製造において貫通孔及びビアを銅で充填する方法が記載されている。
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、空隙又は欠陥を含まずに、高アスペクト比を有する貫通孔を金属化する信頼性の高い方法を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、垂直構成に配置されためっきプロセスにおいて貫通孔及びビアを金属化する信頼性の高い方法を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、水平構成に配置されためっきプロセスにおいて貫通孔及びビアを金属化する信頼性の高い方法を提供することである。
【0017】
本発明の更に別の目的は、貫通孔を銅で金属化することによって回路基板内の熱を放散させる改善された方法を提供することであり、その方法では、結果として得られる固体銅構造が、発熱デバイスの下に位置するとき、熱若しくは熱エネルギーをこれらのデバイスから回路基板、パネル、又は他の電子基板の領域に輸送する有効な手段を提供することができ、そこで無害に放散させることができる。
【0018】
本発明の更に別の目的は、銅電解質中の銅貫通孔を充填するための1段階プロセスを提供することであり、これは、ライン中のタンクの数を短縮し、設備コストを削減し、分析及び保守するタンクの数を削減し、めっきに必要な整流器の数を削減する。
【0019】
本発明の更に別の目的は、他のプロセスによって実現されるビア充填めっきとブリッジめっきとの間の潜在的な分離の問題を排除することである。
【0020】
本発明は、単一工程単一溶液めっきプロセスにおいて、プリント回路基板又はプリント配線板などの電子基板の貫通孔を銅で電解充填する方法を提供する。本明細書に記載の方法は、より高いパワーの発熱デバイスのより高度な梱包が必要とされる電子システムの熱管理の方法を、回路設計者に提供することである。結果として生じる固体銅構造は、熱発生デバイスの下に配置されると、これらのデバイスからの熱エネルギーをパネルの他の領域に輸送して、無害に放散させることができる効果的な手段を提供する。その結果、より効率的に動作し、より長い寿命を有するデバイスが得られる。
【0021】
一実施形態では、本発明は、電子基板上に金属をめっきする方法であって、電子基板が、1つ以上の特徴部を備え、1つ以上の特徴部が、電子基板内の1つ以上の貫通孔及び/又は1つ以上のマイクロビアのうちの一方を含み、方法が、
a)上に金属めっきを受容するように電子基板を作製する工程と、
b)電子基板及び少なくとも1つの対電極を、めっきされる銅イオンの供給源を含む酸銅電気めっき浴と接触させる工程と、
c)金属めっきを開始するために、電子基板の第1及び第2の側面を電気的に分極する工程であって、酸銅電気めっき浴が、金属化が完了するまで、めっきサイクルを用いて1つ以上の貫通孔及び/又は1つ以上のマイクロビアをめっきし、
めっきサイクルが、順番に、
1)銅を優先的に1つ以上の貫通孔の中心にめっきさせるために、電子基板の第1の側面及び第2の側面上に第1の期間にわたってパルスめっきする工程であって、銅が孔の中心で融合して2つの対向するブラインドビアを形成する、パルスめっきする工程と、
2)パルスめっきによって形成された2つの対向するブラインドビアを充填するために、第2の期間にわたって直接めっきする工程とを含み、
パルスめっきする工程が、酸銅電気めっき浴から電子基板の第1の側面及び第2の側面に金属を電着するために電流を適用することを含み、電流は、繰り返し可能なシーケンスを含むパルスめっきサイクルとして適用され、繰り返し可能なシーケンスは、パルスめっき期間のセットを含み、パルスめっき期間の各セットは、任意の順序で、
(i)少なくとも第1の順方向パルス期間と、
(ii)少なくとも第1の逆方向パルス期間と、
(iii)少なくとも第2の順方向パルス期間と、
(iv)少なくとも休止期間と、を含む、開始する工程と、を含む、方法を含む。
【0022】
パルスめっきする工程は、孔の中心を横切る適切なブリッジを形成する。添加剤は、結果として生じるブラインドマイクロビアの良好なボトムアップビア充填を与えるように選択される。適切な添加剤なしでは、ブラインドマイクロビアは、充填されず、大きなディンプルを残すか、又はドッグボーン(dog boning)に起因して頂部でピンチオフし、許容できないディンプルとともにブラインドマイクロビア内に空洞を残す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】銅の単一化学的貫通孔めっきの工程を示す。
図2】任意選択の成形工程が含まれる本発明の一態様による銅の貫通孔めっきの工程を示す。
図3】本発明の一実施形態における装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書で使用する場合、「a」、「an」、及び「the」は、文脈により別途明確に指示されない限り、単数及び複数の両方を指す。
【0025】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、パラメータ、量、持続時間などの測定可能な値を意味し、具体的に列挙された値の、及びその値からの、+/-15%以下の変動、好ましくは+/-10%以下の変動、より好ましくは+/-5%以下の変動、更により好ましくは+/-1%以下の変動、なおもより好ましくは+/-0.1%以下の変動を、このような変動が本明細書で実施するために適切である限り、含むことを意味する。更に、修飾語「約」が意味する値は、それ自体が本明細書に具体的に開示されていることも理解されたい。
【0026】
本明細書で使用する場合、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、図で示されるように、別の要素又は特徴に対する1つの要素又は特徴の関係を記載するための記載を容易にするために使用される。「前部(front)」及び「後部(back)」という用語は、限定することを意図するものではなく、適切な場合に交換可能であることが意図されていることが更に理解される。
【0027】
本明細書で使用する場合、「含む(comprises)」及び/又は「含むこと(comprising)」という用語は、記載の特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成成分の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成成分、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しない。
【0028】
本明細書で使用する場合、特定の要素又は化合物に関する「実質的に含まない」又は「本質的に含まない」という用語は、本明細書において別途定義されない場合、所与の要素又は化合物が、浴分析について金属めっきの当業者に周知である通常の分析手段によって検出可能ではないことを意味する。このような方法としては、典型的には、原子吸光分光法、滴定法、UV-Vis分析法、二次イオン質量分析法、及び他の一般的に利用可能な分析方法が挙げられる。
【0029】
「プリント回路基板」及び「プリント配線板」という用語は、本明細書を通して交換可能に使用される。
【0030】
「めっき」及び「電気めっき」という用語は、本明細書全体を通じて交換可能に使用される。
【0031】
本明細書で使用される場合、「直ちに」という用語は、介在する工程がないことを意味する。
【0032】
本明細書で使用するとき、「ディンプル」という用語は、充填された貫通孔及び/又はブラインドマイクロビア上のブリッジ又はコンフォーマル銅めっき層の窪みを指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「非同期波」という用語は、めっき中に、周期的なパルス逆整流が基板の第1の側面及び第2の側面に別々に供給されるとき、各側に供給される波形が位相シフトされるか、又は互いに完全に異なる波形を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「同期波」という用語は、めっき中に、周期的パルス逆整流が基板の第1の側面及び第2の側面に別々に供給されるとき、各側に供給される波形が同一であり、位相が同じであり、同期している波形を指す。
【0035】
本発明の利点のうちの1つは、めっき、特に銅めっきが既にPCB製造プロセスの一部であるため、銅めっきを使用して貫通孔を充填することができ、プラグ研磨、銅コイニングなどの他のプロセスの必要性が排除される。
【0036】
更に、純粋な銅の使用は、導電性プラグ及び接着剤よりもはるかに高い熱伝導率を提供する。したがって、必要とされる場合、熱伝導性の追加の利点がある。
【0037】
最後に、一実施形態では、プロセスは、単一の銅電解質における単一工程で貫通孔の完全な充填を可能にする。単一の電解質を使用する利点は、ライン内のタンクの数、したがって設備コストを短縮すること、並びに維持するタンクの数、及びめっきに必要な整流器の数を低減することを含む。加えて、ビア充填めっきとブリッジめっきとの間の潜在的な分離の問題も低減又は排除される。
【0038】
熱放散が改善されたプリント回路基板を製造するためのプロセスの一般的な工程は、以下を含む。
【0039】
最初の工程は、様々な穿孔された貫通孔アレイを有するPCBを提供することである。よって、プリント回路基板は、穿孔された貫通孔のアレイ又は配置を有する金属化パネルを備える。貫通孔、ブラインドマイクロビアなどは、例えば、機械的穿孔、レーザ穿孔、プラズマエッチング、シングル又はダブルショットなどの様々な方法によって形成することができる。
【0040】
次に、貫通孔は、当技術分野で一般に知られているように、金属化技術を使用して導電性となる。例えば、スパッタコーティング、無電解銅、炭素ベースの直接金属化、グラファイトベースの直接金属化、導電性ポリマー、パラジウムベースの直接金属化を含む様々な金属化技術が使用され得る。他の金属化技術は、当業者に知られており、本明細書に記載のプロセスにおいて使用可能であろう。一次金属化層は、無電解銅、電解銅フラッシング、又は炭素、グラファイト、又は導電性ポリマーベースの直接金属化によって形成された直接金属化層であり得る。
【0041】
一実施形態では、導電性シード層が非導電性表面上に形成され、銅の電気めっきを開始する。シード層は導電性であり、接着性を提供し、その上面の露出部を電気めっきすることを可能にする。導電性シード層の例としては、無電解堆積によって形成され得る銅又はパラジウムなどの金属層、グラファイト、炭素、及び導電性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
めっきされるパネルは、好ましくは銅又は銅被覆基板である。
【0043】
次に、金属化されたパネルは、酸又はアルカリ洗浄、及び酸浸漬又は工程間ですすぎを伴うマイクロエッチングなどの従来の前処理技術を使用して洗浄及び活性化される。
【0044】
その後、パネルを、銅イオン、硫酸、ハロゲン化物イオン、並びに抑制剤、促進剤、及び二次抑制剤を含む特殊な有機添加剤の供給を含む酸銅電解質と接触させる。酸銅電解質は、本明細書に記載されるような特殊な精留手順と組み合わせて、非常に効果的なプロセスでパネルの貫通孔を充填することができる。水性酸銅電解質は、従来の垂直又は水平めっき装置で使用することができる。対照的に、上述したように、貫通孔をめっきするための先行技術の銅電気めっきプロセスは、孔を閉鎖するための第1の銅めっき溶液及びめっき条件と、このように形成された2つのブラインドビアを充填するための第2の銅めっき溶液及びめっき条件と、を含む2段階プロセスを必要とする可能性がある。
【0045】
一実施形態ではめっきサイクルは、(a)第1の期間のパルスめっきであって、電子基板の両側に多段階パルス波形を有するパルス逆めっきを使用するパルスめっきと、次いで、(b)第2の期間の順方向電流を使用する直流めっきとを含む。
【0046】
酸銅電解質中の銅イオンの供給源は、好ましくは硫酸銅であり得る。濃度が高まると、銅めっき溶液の抵抗率が大きくなる。硫酸濃度が高まると、硫酸銅の溶解度が低下する。酸銅電解質中の硫酸銅の濃度は、典型的には約100~約300g/L、より好ましくは約180~約280g/L、最も好ましくは約200~約250g/Lの範囲内に維持される。
【0047】
硫酸の主な機能は、最大溶液導電率を提供することである。溶液の高導電率のため、アノード及びカソードの分極は、銅を堆積させるのに必要な電圧と同様に小さい。更に、非常に高いカソード電流密度が使用される場合、推奨限界内で、より高い濃度の硫酸銅が必要である。硫酸濃度の変化は、硫酸銅濃度の変化よりも、アノード及びカソードの分極並びに溶液導電率に対して大きな影響を及ぼす。酸銅電解質中の硫酸の濃度は、典型的には、約10~約150g/L、より好ましくは約60~約100g/Lの範囲内に維持される。
【0048】
酸銅電解質はまた、ハロゲン化物イオン、最も好ましくは塩化物イオンを含有する。塩化物イオンは、湿潤剤の吸着及び阻害を増強する。加えて、少量の塩化物イオンは、ポリグリコールの電極表面に対する結合部位として作用する。塩化物は、塩化ナトリウムの形態で、又は希釈された塩酸として添加され得る。酸銅電解質中の塩化物イオンは、高い電流密度領域における筋状の堆積物を排除するように作用する。塩化物イオンはまた、堆積物の表面外観、構造、微小硬度、結晶配向、及び内部応力に影響を及ぼす。塩化物イオンは、電解中の電気化学的/化学的変化、堆積物への部分的な包含、すくい出し損失、浴希釈、及びアノード維持によって消費される。酸銅電解質中の塩化物イオンの濃度は、典型的には、約20~約200ppm、より好ましくは約60~約150ppm、最も好ましくは約70~約100ppmの範囲内に維持される。
【0049】
銅堆積物の特性は、硫酸銅、遊離酸、添加剤、温度、カソード電流密度、及び撹拌の性質及び程度の濃度を含む様々な要因によって影響される。
【0050】
一実施形態において、酸銅電解質は、第二鉄イオン及び第一鉄イオンを含む任意の鉄イオンの非存在下で良好に機能する。したがって、酸銅電解質は、好ましくは、第二鉄イオン及び第一鉄イオンの両方を少なくとも本質的に含まず、より好ましくは、第二鉄イオン及び第一鉄イオンの両方を含まない。
【0051】
貫通孔内の充填挙動は、貫通孔内並びに水平部及び縁部上の堆積速度を制御することによって少なくとも部分的に影響を受ける。これは、特定の有機添加剤を酸銅電解質に導入して、それぞれの場所に堆積する銅イオンの速度に影響を与えることによって達成され得る。上述したように、有機添加剤は、1つ以上の促進剤、1つ以上の抑制剤、及び/又は1つ以上の二次抑制剤の組み合わせを含む。
【0052】
好適な促進剤は、硫黄及び他の官能基を含有する有機化合物を組み込み、小粒子微細堆積物の形成に関与する。促進剤は、レベリング剤としても作用する。促進剤は、カソードでの電解堆積物への組み込み、又は特に不溶性アノードが使用される場合、アノードの表面上の酸化によって消費される。促進剤はまた、金属銅の存在下でのデカップリング、副生成物の生成、又は空気酸化、アノード維持、又はすくい出し損失/浴希釈によって消費され得る。
【0053】
好適な促進剤の例としては、3-(ベンゾチアゾリル-2-チオ)-プロピルスルホン酸、ナトリウム塩と、3-メルカプトプロパン-1-スルホン酸、ナトリウム塩と、エチレンジチオジプロピルスルホン酸、ナトリウム塩と、ビス-(p-スルホフェニル)-ニ硫化物、二ナトリウム塩と、ビス-(ω-スルホブチル)-ニ硫化物、二ナトリウム塩と、ビス-(ω-スルホヒドロキシプロピル)-ニ硫化物、二ナトリウム塩と、ビス-(ω-スルホプロピル)-ニ硫化物、二ナトリウム塩と、ビス-(ω-スルホプロピル)-硫化物、二ナトリウム塩と、メチル-(ω-スルホプロピル)-ニ硫化物、二ナトリウム塩と、メチル-(ω-スルホプロピル)-三硫化物、二ナトリウム塩と、O-エチルジチオ-炭酸-S-(ω-スルホプロピル)-エステル、カリウム塩と、チオグリコール酸と、チオリン酸-O-エチル-ビス-(ω-スルホプロピル)-エステル、二ナトリウム塩;及びチオリン酸-(ω-スルホプロピル)-エステル、三ナトリウム塩と、のうちの1つ以上を含む。他の好適な硫黄含有化合物及びその塩もまた、当業者に既知であり、本明細書に記載の酸銅電解質において使用可能であろう。好ましい実施形態では、促進剤は、ビス-(ω-スルホプロピル)-硫化物又は3-メルカプトプロパン-1-スルホン酸又はその塩を含む。
【0054】
酸銅電解質中の1つ以上の促進剤の濃度は、典型的には、約0.1~約30ppm、より好ましくは約0.5~約20ppm、最も好ましくは約4~10ppmの範囲内の範囲に維持される。
【0055】
抑制剤は、溶液中の低溶解度及び低拡散係数を有するポリグリコールなどの高分子量有機化合物を含む。抑制剤は、カソード表面上に吸着され、促進剤及び二次抑制剤の移動を制限する拡散層を均一に形成する。塩化物イオンの存在下では、吸着の程度及び阻害が更に増強される。一実施形態では、抑制剤の分子量は、少なくとも約300である。より好ましくは、抑制剤の分子量は、約500~約5,000である。
【0056】
抑制剤は、分子量の低減が生じる電解中に消費され得るか、又は堆積物内への部分的な包含によって消費され得る。促進剤と同様に、抑制剤は、アノード維持又はすくい出し損失/浴希釈によって消費され得る。
【0057】
好適な抑制剤の例としては、カルボキシメチルセルロース、ノニルフェノールポリグリコールエーテル、オクタノール-ビス-(ポリアルキレングリコールエーテル)、オクタノールポリアルキレングリコールエーテル、オレイン酸ポリグリコールエステル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、P-ナフチルポリグリコールエーテル、ステアリン酸ポリグリコールエステル、ステアリン酸アルコールポリグリコールエーテル、及びプロピレングリコールとエチレングリコールのコポリマーのうちの1つ以上が挙げられる。他の好適なポリグリコール及び類似の化合物も当業者に既知であり、酸銅電解質において抑制剤として使用可能であろう。好ましい一実施形態では、湿潤剤は、プロピレングリコールとエチレングリコールとのコポリマーを含む。
【0058】
酸銅電解質中の抑制剤の濃度は、典型的には、約0.1~約50g/L、より好ましくは約1~約10g/Lの範囲に維持される。
【0059】
二次抑制剤は、典型的には、主要な官能基を含有する中分子量有機化合物である。一実施形態では、二次抑制剤は、約300~約10,000、より好ましくは約500~約5,000の分子量を有する。二次抑制剤は、溶液中での低溶解度及び低拡散係数を有し、容易にアクセス可能な表面(すなわち、平坦面及び突出する高位箇所)上の選択的吸着を通じて作用する。二次抑制剤は、電解中の電気化学的/化学的変化、堆積物への部分的な包含、アノード維持、すくい出し損失/浴希釈によって消費される。
【0060】
好適な二次抑制剤の例としては、ポリアミン、エトキシル化ポリアミン、ポリピリジン、ポリイミダゾール、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、エトキシル化ポリビニルピリジン、及びエトキシル化ポリビニルイミダゾールが挙げられる。好ましい一実施形態では、二次抑制剤は、エトキシル化ポリアミン及び/又はポリビニルピリジンを含む。
【0061】
酸銅電解質中の二次抑制剤の濃度は、典型的には、約0.001~約200ppm、より好ましくは約0.001~約100ppm、最も好ましくは約0.001~約50ppmの範囲内に維持される。
【0062】
表1は、本明細書中に記載されるプロセスにおいて使用するための典型的な銅電解質の成分を要約する。
【0063】
【表1】
【0064】
例えば、浴への基板の浸漬、噴霧、又は他のめっき装置の使用を含む、当技術分野において既知な様々な手段によって、基板を水性酸銅電解質と接触させ得る。特殊なパルス整流を使用することにより、パルス波形が最初に使用されて、銅めっきされる表面の量を最小限に抑えながら、貫通孔の中央の充填を加速させて、「ブリッジ」を形成し、これは、水平システム及び垂直システムの両方で達成され得る。本明細書に記載される最適化されたサイクルは、ブリッジの形成が迅速かつ効率的に起こることを確実にする。ブリッジを形成する時間を最小限に抑えることによって、めっきされる表面銅の量も最小限に抑えることができる。これは、回路を画定するために堆積され、最終的にエッチングされる銅が少ないほど、より良好な線解像度能力をもたらすので、IC基板産業において重要である。傾向は常に回路をより微細にすることであるので、トレース分解能を最大化する能力は、本明細書で説明されるプロセスの利点である。これは、最後に最終的にエッチングされる必要がある銅の量に直接関係する。言い換えれば、より良好な解像度は、より微細な線及びより狭い間隔のための能力を意味する。
【0065】
貫通孔の中心が閉鎖すると、波形は同じ酸銅電解質中で直線的なDC電流に移行する。その結果、完全に充填されるまで貫通孔が連続めっきされる。
【0066】
本明細書で説明されるような多段階波形の使用は、従来技術の波形と比較して良好な結果をもたらすことができる。ある持続時間及び強度の逆方向(アノード)パルスが散在するある持続時間及び強度の順方向(カソード)パルスを利用する種々の波形が開発されているが、本明細書に説明される波形は、一実施形態では、順方向パルスのパルス持続時間の間により高い強度のパルスを含む、多段階波形である。
【0067】
一実施形態では、この波形は繰り返し可能なシーケンスを含み、繰り返し可能なシーケンスはパルスめっき期間のセットを含み、パルスめっき期間のセットは、任意の順序で
(i)第1の順方向パルス期間
(ii)第1の逆方向パルス期間
(iii)第2の順方向パルス期間及び
(iv)休止期間を含む。
【0068】
一実施形態では、順方向パルス及び逆方向パルスのセットは、約1秒の持続時間を有し、より好ましくは、順方向パルス及び逆方向パルスのセットが、正確に1秒の持続時間を有する。別の実施形態では、順方向パルス及び逆方向パルスのセットは、パルスの持続時間の割合が実質的に同じままである限り、約0.5秒~約5秒の間の持続時間を有し得る。順方向パルス及び逆方向パルスのセットの持続時間は、当業者に知られているように、更に定義及び計算することができる。
【0069】
一実施形態では、第1の順方向パルス期間の持続時間は、第2の順方向パルス期間の持続時間と実質的に同じである。より好ましくは、第1の順方向パルス期間の持続時間は、第2の順方向パルス期間の持続時間と同じである。更に、以下で更に説明するように、第1の順方向パルス期間及び第2の順方向パルス期間の少なくとも1つ、好ましくは各々内の高強度パルスの期間を除いて、順方向パルス期間のパルスの強度は、第2の順方向パルス期間のパルスの強度と少なくとも実質的に同じであることが好ましい。
【0070】
加えて、第1の順方向パルス期間及び第2の順方向パルス期間のうちの少なくとも1つ(より好ましくは、第1の順方向パルス期間及び第2の順方向パルス期間の各々)は、第1の順方向パルス期間及び/又は第2の順方向パルス期間内のより短い持続時間のより高い強度のパルスを含む。第1の順方向パルス及び第2の順方向パルスの各々が、より短い持続時間の高強度パルスを含む場合、シーケンスの第1の順方向パルス期間及び第2の順方向パルス期間の各々内のより短い持続時間のより高い強度パルスは、同じ強度を有してもよく、又は各々が異なる強度を有してもよい。第1の順方向パルス期間内の高強度パルス(第1の高強度パルスとしても知られている)の強度及び第2の順方向パルス期間内の高強度パルス(第2の高強度パルスとしても知られている)の強度も各々が、第1の順方向パルス期間及び第2の順方向パルス期間の強度よりも高い強度を有する。例えば、第1の高強度パルス及び第2の高強度パルスの強度は、第1の順方向パルス又は第2の順方向パルスの強度の100%~500%の範囲内であってもよい。一実施形態では、第1の高強度パルスは、第1の順方向パルスの強度よりも100~300%高い強度を有し、第2の高強度パルスは、第2の順方向パルスの強度よりも100%~300%高い強度を有する。別の好ましい実施形態では、第2の高強度パルスの強度は、第1の高強度パルスの強度よりも高い。
【0071】
より短い持続時間のより高い強度のパルスは、第1の順方向パルス及び/又は第2の順方向パルスの開始時、中間、又は終了時に生じ得ることが更に企図される。より高い強度のパルスが第1の順方向パルス及び/又は第2の順方向パルスの開始時に発生する場合、その効果は、パルスがより高い強度のパルスから「ステップダウン」することである。一方、より高い強度のパルスが第1の順方向パルス及び/又は第2の順方向パルスの終了時に発生する場合、効果は、パルスがより高い強度のパルスに「ステップアップ」することである。
【0072】
より高い強度のパルスは、第1の順方向パルス及び第2の順方向パルスの持続時間よりも短い持続時間を有する。一実施形態では、第1の高強度パルス及び第2の高強度パルスの持続時間は各々が、第1の順方向パルス又は第2の順方向パルスの持続時間の約30~40%である。例えば、第1の順方向パルス期間及び第2の順方向パルス期間の各々は、約50~約300ms、より好ましくは約100~約200ms、最も好ましくは約100~約170msの持続時間を有してもよい。例えば、第1の順方向パルス及び/又は第2の順方向パルス内で、より高い強度のパルスは、約20ms~約200msの持続時間を有してもよい。より具体的には、約100~約170msの持続時間を有する順方向パルスに対して、より高い強度のパルスは、特定の用途に応じて、約30~約60msの持続時間を有してもよい。
【0073】
加えて、逆方向パルス期間の持続時間は、好ましくは約50~約150msの範囲内、より好ましくは約90~約140ms、より好ましくは約100~約130ms、最も好ましくは約110~約120msの範囲内である。
【0074】
休止期間の持続時間は、好ましくは約50~約150msの範囲内、より好ましくは約80~約130ms、最も好ましくは約110~約120msの範囲内である。
【0075】
図1は、本発明による銅の貫通孔めっきの工程を示す。
【0076】
図1に記載されるように、貫通孔は、回路基板内に穿孔されるか、又は他の方法で形成される。無電解銅又は直接金属化などの一次金属化工程は、貫通孔及び/又はブラインドマイクロビア内のラミネート表面を導電性にするために穿孔後に実施される。任意選択的に、一次金属化層は、導電率を上昇させ、堅牢性を高めるために、銅の薄層でフラッシュめっきされ得る。次に、表面銅めっきの量を最小限に抑えながら、貫通孔の中央の充填を加速するため、パルスめっきが開始される。次に、パルスめっきが完了すると、貫通孔の中心が閉じ、その後、同じ酸銅めっき溶液中で波形をDC電流に遷移させて、貫通孔が完全に金属化されるまで貫通孔をめっきする。
【0077】
本明細書に記載のプロセスは、0.005~約3mm、より好ましくは約0.01~約1.0mm、最も好ましくは約0.05~約0.5mmの厚さを有する基板を金属化するために使用され得る。貫通孔径は、一般に、約0.005~約1mm、好ましくは約0.01~約0.8mm、最も好ましくは約0.075~約0.25mmの範囲である。したがって、本明細書に記載のプロセスは、約0.5:1~約6:1、より好ましくは約0.5:1~約4:1、最も好ましくは約0.5:1~約3:1のアスペクト比を有する貫通孔を金属化するのに好適である。
【0078】
本明細書に記載の貫通孔の電解めっきは、パルスめっきと直流めっきを所定の方法で組み合わせて、単一工程単一浴めっきプロセスにおける貫通孔の完全な充填を達成する。
【0079】
表2は、直流及びパルスめっき電流についてのプロセスパラメータの例を示す。
【0080】
【表2】
【0081】
表3は、良好な結果を生成するために決定された電流密度及びサイクル時間を含む、プロセスにおける工程の例を記載している。工程1は、プロセスにおける任意選択の工程であり、本プロセスは、工程2及び3のみを用いて実施することができることに留意されたい。別の実施形態では、工程2Aは、以下で更に説明するように、工程2と工程3との間で実行される任意選択の工程として含まれる。
【0082】
【表3】
【0083】
本明細書に記載されるように、本プロセスは、パルス逆電流による特別なタイプの金属化を使用する。一実施形態では、基板の第1の側面に適用されるパルスめっき期間のセットを含む繰り返し可能なシーケンスは、基板の第2の側面に適用される繰り返し可能なシーケンスと同じである。別の実施形態では、基板の第1の側面に適用される繰り返し可能なシーケンスは、逆の順序であることを除いて、基板の第2の側面に適用される繰り返し可能なシーケンスと同じである。別の実施形態では、基板の第2の側面に適用される繰り返し可能なシーケンスは、基板の第1の側面に適用される繰り返し可能なシーケンスとは異なる。したがって、基板の第2の側面に対するパルスめっき期間のセットは、例えば、基板の第1の側面に対する第1の高強度パルスが基板の第2の側に対する休止期間と一致するように整列されてもよいが、基板の第2の側面に対する第1の高強度パルス及び第2の高強度パルスは、パルス自体が実質的に同じ又は正確に同じ持続時間であっても、基板の第1の側面に対する第1の高強度パルス及び第2の高強度パルスの強度とは異なる強度であってもよい。
【0084】
2つの整流器によって、プリント回路基板の2つの側面が個別に金属化され得る。更に、整流器の各々は、基板の第1の側面及び第2の側面に対する繰り返し可能なシーケンスを入力するために、1つ以上のマイクロコントローラによって別々にプログラムすることができる。
【0085】
更に別の実施形態では、繰り返し可能なシーケンスは、繰り返し列に配置された2つ以上又は更に3つ以上の複数の繰り返し可能なシーケンスを含むことができる。重要なことは、各繰り返し可能なシーケンスが、約0.5~5秒の範囲内、より好ましくは約1秒、最も好ましくは正確に1秒であり得る同じ周波数期間を有する一方で、第1の順方向パルス、第2の順方向パルス、逆方向パルス、及びシーケンスを含むパルスめっき期間のセット内の休止期間の持続時間が変更され得ることである。
【0086】
別の実施形態では、第1の順方向パルス期間、逆方向パルス期間、第2の順方向パルス期間、及び休止期間の持続時間は、めっきサイクルが進むにつれて変化する。更に、第1の高強度パルス及び第2の高強度パルスとともに、第1の順方向パルス期間、逆方向パルス期間、第2の順方向パルス期間及び休止期間の振幅及び/又はピーク電流密度は、めっきサイクルが進行するにつれて変化させることができる。
【0087】
パルスめっき期間のセットにおけるこれらの変更は、基板の第1及び第2の側面で独立して行われ得ることが更に企図される。すなわち、望ましくないめっき特性が観察される(すなわち、ブリッジングが貫通孔の中心にない、空隙が観察されるなど)場合、パルスめっき期間のセットを修正して欠陥を修正することができ、この修正は基板の第1の側面及び/又は基板の第2の側面で行うことができ、この修正は結果を達成するために基板の反対側で同じであっても異なっていてもよい。
【0088】
すなわち、基板の厚さ及び/又は貫通孔の直径に応じて、より高い電流密度でめっきサイクルを開始し、めっきサイクルが進行するにつれて、電流密度を順次減少又は増加させて、より効率的な貫通孔めっきを達成することが望ましい場合がある。
【0089】
更に別の実施形態では、第1のパルスめっきサイクルが上記で概説したように実行され、このパルスめっきサイクルは、基板の第1の側面に対する繰り返し可能なシーケンスが、逆の順序であることを除いて、基板の第2の側面に対する繰り返し可能なシーケンスと同じである非同期めっきサイクルであってもよい。その後、第2のパルスめっきサイクルを実行して、図2に示すように、第1のめっきサイクルで形成された銅ブリッジを成形することができる。この第2のパルスめっきサイクルは、基板の第1及び第2の側面に同期波形を有する規則的なパルスめっきサイクルであってもよい。
【0090】
この第2のパルスめっきサイクルが使用される場合、規則的なパルスめっきサイクルは、1:1~1:4、より好ましくは約1:2の順方向/逆方向電流比を使用する。順方向めっきパルスは10~200msの範囲であり、逆方向めっきパルスは約0.5~約10msの範囲である。めっきは、銅ブリッジを成形するために、約20分~約3時間、より好ましくは約30分~約90分間、より好ましくは約30分~45分間行われる。このパルスめっきサイクルは、例えば、V字型ブラインドビアを形成する傾向がある小径(例えば、0.2mm以下であり得る)を有する貫通孔をめっきするときに使用することができる。この場合、ブリッジングは、非常に深いV字形状を形成し、これは、図2に示されるようなディンプル又は空隙なしで直接めっきを使用してめっきすることが困難である。
【0091】
したがって、第2のパルスめっきサイクルは、ブリッジを深いV字形からU字形に成形するために使用される。非同期波形を利用する第1のパルスめっきサイクルから同期波形を利用する第2のめっきサイクルへの移行は、銅ブリッジを成形するのに役立ち、ディンプル又は空隙なしで貫通孔のより均一なめっきを可能にする。監視は、初期設計/セットアップ段階中にサイクルを観察及び調整することによって実行され得る。一実施形態では、第2のめっきサイクルは、時間の要素として、かつめっきされる貫通孔の直径に応じて、サイクルに組み込まれる。
【0092】
一実施形態では、プロセスは、貫通孔充填の特定のパラメータを監視する工程と、不適切な貫通孔めっきが観察された場合、及び/又は特定のパラメータが許容値外である場合、めっきシーケンス内の工程のうちの1つ以上の時間を修正するか、又は振幅/ピーク電流密度を修正する工程とを含む。
【0093】
ワークピースにおける少なくとも1つの順方向電流パルスのピーク電流密度は、好ましくは、15A/dm以下に調整される。ワークピースにおける少なくとも1つの順方向電流パルスのピーク電流密度は、特に好ましくは、約5A/dmである。
【0094】
ワークピースにおける少なくとも1つの逆電流パルスのピーク電流密度は、好ましくは、60A/dm以下の値に調整される。ワークピースにおける少なくとも1つの逆電流パルスのピーク電流密度は、特に好ましくは、約20A/dmである。
【0095】
金属化プロセスの更なる進歩において、パルス逆電流の少なくとも1つのパラメータは変更することができ、このパラメータは、順方向電流パルスの持続時間と逆電流パルスの持続時間との比、及び順方向電流パルスのピーク電流密度と逆電流パルスのピーク電流密度との比を含む群から選択される。上記で更に説明されたように、ワークピースを金属化する際に、順方向電流パルスのピーク電流密度と逆電流パルスのピーク電流密度との比を増加させる、及び/又は順方向電流パルスの持続時間と逆電流パルスの持続時間との比を減少させることが特に有利であることが証明されている。
【0096】
本明細書で説明されるように、水性酸銅電解質は、従来の垂直又は水平めっき装置で使用することができる。めっきシステムは、不活性又は可溶性アノードを有する垂直ホイスト、VCP、又は水平システムとして設計することができる。好ましい実施形態において、システムは、不活性アノードを有する垂直システムである。
【0097】
好適なアノード材料の例としては、チタンメッシュ又は混合金属酸化物でコーティングされたアノード上の酸化イリジウムコーティングが挙げられる。他の好適なアノード材料も、当業者に既知である。アノードはまた、任意選択的に、好ましくは、マクロ分布を最適化するために遮蔽されている。
【0098】
一実施形態では、アノード材料は、酸化イリジウム/酸化タンタルでコーティングされたチタンである。好適なアノードの1つは、De Nora DTの商品名でDe Nora S.p.Aから入手可能である。他の好適なアノード材料は、当業者に既知であり、更に使用可能である。
【0099】
基板又はその表面の少なくとも一部は、噴霧、拭い、液浸、浸漬、又は他の好適な手段を含む様々な方法によって水性酸銅めっき溶液と接触させ得る。
【0100】
本明細書に記載のプロセスはまた、好ましくは、当技術分野で一般に知られているような洗浄、エッチング、還元、すすぎ、及び/又は乾燥工程を含む。
【0101】
本明細書に記載の酸銅電解質は、パネルに対する溶液の直接衝突を提供するためのノズルアレイを備える溶液マニホールドシステムを備える。
【0102】
パネルの両側のノズルは、互いに、及びポンプと直接位置合わせされ、0~5.0L/分/ノズルの溶液流が可能である。
【0103】
めっきは、当業者に一般に知られているように、パネル、パターン、又はボタンめっきモードで行うことができる。
【0104】
めっき後、パネルをそのまま使用することができる、又はパネルに平坦化又は銅還元などの典型的なプロセスを課すことができる、又は追加のブラインドマイクロビアが銅充填貫通孔上に積み重ねられ得る追加の層を構築することができる。
【0105】
一実施形態では、図3に示されるように、装置は
A)酸銅電解質が維持されるめっき槽5と、
B)デュアルボックスマニホールド又は垂直パイプマニホールドを含む溶液送達システム(図示せず)と、
C)めっき槽5に浸漬された回路基板の両側に同時に衝突するように配置されたエダクタノズル2又はコーンノズルのアレイと、
D)PCBを固定するめっきラック4と、
E)電気めっき電源整流器3又は複数の整流器であって、各々が、1つ以上のマイクロコントローラを含み得る好適な制御手段に接続された直流及びパルス逆めっきが可能である整流器3と、を含む。
【0106】
一実施形態では、装置は、標準的な垂直ホイスト又は自動めっき装置を含み得る。別の実施形態では、装置は、水平めっき装置を備え得る。しかしながら、垂直めっき装置が好ましい。
【0107】
めっき槽は、好ましくは、加熱及び冷却を調節するための温度制御装置を備え、この制御装置は、酸銅電解質を所望の浴温度±-1.5℃に維持することができる加熱及び冷却システムに接続される。好ましい実施形態では、電解質は、約10~約50℃、より好ましくは約15~約45℃、より好ましくは約20~約30℃の温度で、最も好ましくは約22~約25℃の温度で維持される。
【0108】
酸銅電解質は、任意選択的に、好ましくは撹拌される。一実施形態では、清浄空気撹拌散布デュアルパイプがカソードの下に整列され得る。撹拌はまた、電解質溶液の振とう、撹拌、若しくは連続的なポンピングなどの浴の機械的運動、又は超音波処理、高温、又は空気若しくは不活性ガス(すなわち、アルゴン又は窒素)でのパージなどのガス供給によって達成され得る。他の撹拌手段も、当業者に既知である。
【0109】
アノード対カソード比は、好ましくは、1:0.75を上回る比を標的とし、1:2まで、好ましくは約1:1でもよい。重要なことは、PCB全体にわたる電流分布でさえも十分な表面積を有することである。
【0110】
めっき槽はまた、硫酸銅の濃度を所望のレベル内に維持するための自動酸化銅補充システムを備えることが好ましい。加えて、装置はまた、好ましくは、酸化銅混合槽と、酸化銅を補充システムに導入するための酸化銅供給装置と、を含む。めっき槽はまた、酸銅電解質の他の成分を補充し、成分の濃度を監視するための手段も含む。
【0111】
電気めっきラックは、コーティングされたステンレス鋼であってもよく、又は部分的にコーティングされた又はコーティングされていないめっきラックであってもよい。任意選択的に、電気めっきラックは、コーティングされた銅コアを含み得る。
【0112】
銅電気めっき槽はまた、好ましくは、約1マイクロメートル以上の粒子を濾過することができ、1時間当たり少なくとも3回の溶液入替、好ましくは1時間当たり少なくとも4回の溶液入替、より好ましくは1時間当たり少なくとも5回の溶液入替を取り扱うように設計された連続溶液濾過システムを備える。
【0113】
装置はまた、好ましくは加熱、冷却、及び、めっき槽での化学剤追加を管理することができるコントローラを含む。
【0114】
最後に、当業者には一般に既知であるように、銅電気めっき装置に換気システムを装備することも非常に望ましい。
【0115】
電気めっき電源整流器3は、直流電流及びパルス逆電流の両方を扱うように構成されている。整流器は水冷式であってもよく、又は空冷式であってもよい。整流器は、単一の整流器を備えてもよく、又は基板の第1の側面のための第1の整流器と、基板の第2の側面のための第2の整流器とを備えてもよく、それらの各々は、多段階能力を用いてプログラム可能である。
【0116】
一実施形態では、整流器は、少なくとも4工程又は少なくとも6工程、又は12工程までを含む複数の工程でプログラム可能である。1つの好ましい実施形態では整流器は、本明細書で更に説明されるように、パルスめっき期間の単一のセットを定義する8工程でプログラム可能であり、この8工程は、例えば、
1)第1の順方向持続時間及び第1の順方向強度の第1のパルスと、
2)第2の順方向持続時間及び第2の順方向強度の第2のパルスと、
3)第1の順方向持続時間及び第1の順方向強度の第3のパルスと、
4)逆方向持続時間及び逆方向強度の第4のパルスと、
5)第1の順方向持続時間及び第1の順方向強度の第5のパルスと、
6)第3の順方向持続時間及び第3の順方向強度の第6のパルスと、
7)第1の順方向持続時間及び第1の順方向強度の第7のパルスと、
8)休止期間とを含み得る。
【0117】
表4は、本発明による、8工程を有するパルスめっきサイクルの例を示す。
【0118】
【表4】
%は、ベース電流密度のパーセントとしての値を表す。
【0119】
上述したように、貫通孔の中心がブリッジング又は閉鎖すると、波形は同じ酸銅電解質中で直線的なDC電流に移行する。 その結果、完全に充填されるまで貫通孔が連続めっきされる。したがって、整流器は、ブリッジングに使用されるパルス逆波形を直流に遷移させ、貫通孔が完全に充填されるまでめっきを継続するようにプログラムされる。
【0120】
ボックスマニホールド/垂直パイプは、エダクタノズル又はコーンノズルのアレイを含むように設計されている。対向ノズルは、前側から裏側まで設計されている。ノズルは、好ましくは、互い違いのパターンで配置され、水平方向及び垂直方向の両方で、約2~約8cm離れて、より好ましくは約3~約6cm離れて、最も好ましくは約4~約5cm離れて配置され得る。
【0121】
本プロセスを以下の実施例によって更に説明する。
【0122】
実施例1:
酸銅電解質を以下のパラメータに従って構成した。
【0123】
【表5】
【0124】
硫酸銅の濃度は、動作のアンペア時及び/又は化学滴定分析に基づいて、手動又は自動のいずれかで酸化銅を添加して維持した。
【0125】
硫酸及び塩化物イオンの濃度は、化学滴定分析に基づいて補充した。
【0126】
促進剤、抑制剤、及び二次抑制剤の補充は、動作のアンペア時及び/又はサイクリックボルタンメトリーストリッピング(cyclic voltametric stripping、CVS)分析に基づき、自動投与システムで達成した。
【0127】
フラッシュめっき層が、2ASDの電流密度で10分間のDCめっきによって堆積された。その後、2.4ASDの電流密度で60分間パルス逆めっきして貫通孔内に銅ブリッジを形成し、続いて2.5ASDの電流密度で60分間DCめっきし、貫通孔が垂直めっきプロセスで充填されるまで行った。
【0128】
基板の第1の側面及び第2の側面のパルスめっき波形は、以下のシーケンスに従った。
【0129】
【表6】
【0130】
めっきされた回路基板の断面を観察したところ、ディンプルのない良好なめっきであった。
【0131】
実施例2:
実施例1と同様にして酸銅電解質を構成した。
【0132】
フラッシュめっき層が、2ASDの電流密度で10分間のDCめっきによって堆積された。その後、3.0ASDの電流密度で45分間パルス逆めっきして貫通孔内に銅ブリッジを形成し、続いて2.0ASDの電流密度で90分間DCめっきし、貫通孔が垂直めっきプロセスで充填されるまで行った。
【0133】
基板の第1の側面及び第2の側面のパルスめっき波形は、以下のシーケンスに従った。
【0134】
【表7】
【0135】
めっきされた回路基板の断面を観察したところ、ディンプルのない良好なめっきであった。
【0136】
実施例3:
酸銅電解質を以下のパラメータに従って構成した。
【0137】
【表8】
【0138】
フラッシュめっき層が、2ASDの電流密度で10分間のDCめっきによって堆積された。その後、2.4ASDの電流密度で40分間パルス逆めっきし、貫通孔内に銅ブリッジを形成した。その後、2.7ASDの電流密度で40分間同期パルスめっきしてブリッジを成形し、続いて2.5ASDの電流密度で60分間DCめっきし、貫通孔が垂直めっきプロセスで充填されるまで行った。
【0139】
ブリッジング工程における基板の第1の側面及び第2の側面のパルスめっき波形は、以下のシーケンスに従った。
【0140】
【表9】
【0141】
成形工程における同期パルスめっきは以下のパラメータを有していた。
【0142】
【表10】
【0143】
めっきされた回路基板の断面を観察したところ、高アスペクト比の貫通孔をめっきする際に、ディンプルのない良好なめっきであった。
【0144】
実施例4:
実施例3と同様にして酸銅電解質を構成した。
【0145】
フラッシュめっき層が、2ASDの電流密度で10分間のDCめっきによって堆積された。その後、2.4ASDの電流密度で40分間パルス逆めっきし、貫通孔内に銅ブリッジを形成した。その後、2.7ASDの電流密度で40分間同期パルスめっきしてブリッジを成形し、続いて2.5ASDの電流密度で60分間DCめっきし、貫通孔が垂直めっきプロセスで充填されるまで行った。
【0146】
基板の第1の側面及び第2の側面のパルスめっき波形は、以下のシーケンスに従った。
【0147】
【表11】
【0148】
成形工程における同期パルスめっきは以下のパラメータを有していた。
【0149】
【表12】
【0150】
めっきされた回路基板の断面を観察したところ、高アスペクト比の貫通孔をめっきする際に、ディンプルのない良好なめっきであった。
【0151】
したがって、本明細書で説明されたプロセスは、許容できない空隙、空洞、又は過剰なディンプルなどのいかなる欠陥も呈さない貫通孔及び/又はブラインドマイクロビアの金属化を可能にする。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子基板上に金属をめっきする方法であって、前記電子基板が、1つ以上の特徴部を備え、前記1つ以上の特徴部が、前記電子基板内の1つ以上の貫通孔及び/又は1つ以上のマイクロビアのうちの一方を含み、前記方法が、
a)上に金属めっきを受容するように前記電子基板を作製する工程と、
b)前記電子基板及び少なくとも1つの対電極を、めっきされる銅イオンの供給源を含む銅電気めっき浴と接触させる工程と、
c)金属めっきを開始するために、前記電子基板の第1及び第2の側面を電気的に分極する工程と、を含み、前記銅電気めっき浴は、金属化が完了するまで、めっきサイクルを使用して、前記1つ以上の貫通孔及び/又は前記1つ以上のマイクロビアをめっきし、
前記めっきサイクルが、順番に、
1)銅を優先的に前記1つ以上の貫通孔の中心にめっきさせるために、前記電子基板の第1の側面及び第2の側面上に、第1の期間にわたってパルスめっきする工程であって、前記銅が前記1つ以上の貫通孔の前記中心で一緒に融合して、2つの対向するブラインドビアを形成する、パルスめっきする工程と、
2)パルスめっきによって形成された前記2つの対向するブラインドビアを充填するように、第2の期間にわたって直接めっきする工程と、を含み、
前記パルスめっきする工程が、前記銅電気めっき浴から前記電子基板の前記第1の側面及び第2の側面に金属を電着させるように電流を適用することを含み、前記電流は、繰り返し可能なシーケンスを含むパルスめっきサイクルとして適用され、前記繰り返し可能なシーケンスは、パルスめっき期間のセットを含み、各パルスめっき期間のセットは、任意の順序で、
(i)少なくとも第1の順方向パルス期間と、
(ii)少なくとも第1の逆方向パルス期間と、
(iii)少なくとも第2の順方向パルス期間と、
(iv)少なくとも休止期間と、を含む、方法。
【請求項2】
上に電気めっきを受け入れるように前記電子基板を作製する工程が、前記1つ以上の貫通孔及び/又は1つ以上のマイクロビアを金属化するより前に、前記電子基板を洗浄する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
洗浄された前記電子基板をマイクロエッチングする工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
金属化された電気めっきされた銅堆積物が、前記1つ以上の貫通孔及び/又は1つ以上のブラインドマイクロビアを完全に充填し、前記電子基板上にコンフォーマル銅堆積物を堆積させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記銅電気めっき浴が、約10~約50℃の温度で維持される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程1)より前に、ある期間にわたって順方向電流を使用して直流めっきする工程を更に含み、
フラッシュ銅層は、前記1つ以上の貫通孔及び/又は1つ以上のブラインドマイクロビアの表面上に堆積される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記電子基板を前記銅電気めっき浴中に浸漬することによって、前記電子基板を前記銅電気めっき浴と接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記電子基板の前記第1の側面に適用される前記繰り返し可能なシーケンスを含む前記パルスめっきサイクルが、前記電子基板の前記第2の側面に適用される前記繰り返し可能なシーケンスを含む前記パルスめっきサイクルと同じである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記電子基板の前記第1の側面に適用される前記繰り返し可能なシーケンスを含む前記パルスめっきサイクルが、前記電子基板の前記第2の側面に適用される前記繰り返し可能なシーケンスを含む前記パルスめっきサイクルとは異なる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記パルスめっき期間のセットが工程のセットを含み、前記工程のセットが、任意の順序で、
a)第1の順方向持続時間及び第1の順方向強度の第1のパルス、
b)第2の順方向持続時間及び第2の順方向強度の第2のパルス、
c)前記第1の順方向持続時間及び第1の順方向強度の第3のパルス、
d)逆方向持続時間及び逆方向強度の第4のパルス、
e)前記第1の順方向持続時間及び第1の順方向強度の第5のパルス、
f)第3の順方向持続時間及び第3の順方向強度の第6のパルス、
g)前記第1の順方向持続時間及び第1の順方向強度の第7のパルス、並びに
h)休止期間からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
各パルスめっき期間のセットが、好ましくは、約0.5~約5秒の持続時間を有し、
各パルスめっき期間のセットが、1秒の持続時間を有する、請求項1~3又は8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記シーケンスが、一連の繰り返しで配置された2つ以上の複数の繰り返し可能なシーケンスを含む、請求項1~3又は8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記パルスめっきサイクルが非同期めっきサイクルであり、前記電子基板の前記第1の側面に適用される前記繰り返し可能なシーケンスが、逆の順序であることを除いて、前記電子基板の前記第2の側面に適用される前記繰り返し可能なシーケンスと同じである、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項14】
前記非同期めっきサイクルが、ある期間にわたって実行された後、前記電子基板の前記第1の側面及び前記第2の側面上に、同期波形を有する第2のパルスめっきサイクルが適用され、
前記非同期めっきサイクルは優先的に、前記銅が前記1つ以上の貫通孔の前記中心で一緒に融合して、2つの対向するブラインドビアを形成するように、前記1つ以上の貫通孔の前記中心に前記銅をめっきし、前記第2のパルスめっきサイクルは、このようにして形成された前記2つの対向するブラインドビアを成形する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のパルスめっきサイクルが、約1:1~1:4の順方向/逆方向電流比を使用し、順方向パルスの持続時間が約10~200msの範囲であり、逆方向パルスの持続時間が約0.5~10msの範囲である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
各第1の順方向パルス期間及び第2の順方向パルス期間の持続時間が独立して約80~250msの範囲であり、各逆方向パルス期間の持続時間が約50~約150msの範囲であり、各休止期間の持続時間が約50~約150msの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の順方向持続時間及び前記第1の順方向強度の前記パルス、又は前記第2の順方向持続時間及び前記第2の順方向強度の前記パルスのうちの少なくとも1つは、前記第1の順方向持続時間又は前記第2の順方向持続時間内のより短い持続時間のより高い強度パルスを含み、前記より高い強度パルスは、前記第1の順方向強度又は前記第2の順方向強度の約100%~約500%の強度である強度を有する、請求項10~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
電子基板上に金属を電気めっきするための装置であって、前記電子基板が、1つ以上の特徴部を備え、前記1つ以上の特徴部が、前記電子基板内の1つ以上の貫通孔及び/又は1つ以上のブラインドマイクロビアを含み、前記装置が、
(a)前記電子基板を固定するための手段と、
(b)少なくとも1つの対電極と、
(c)銅電気めっき浴を保持するためのめっき槽と、
(d)前記めっき槽内に配置された前記電子基板の第1の側面及び第2の側面に同時に衝突するように配置されたノズルのアレイと、
(e)金属めっきを開始するために、前記電子基板の第1及び第2の側面を電気的に分極するための手段と、を備え、
前記電子基板の前記第1及び第2の側面を電気的に分極するための前記手段は、1つ以上の整流器を含み、前記1つ以上の整流器は各々、直接めっき及びパルス逆めっきが可能であり、前記1つ以上の整流器は各々、パルスめっきサイクルと第2の直流サイクルとを含むめっきサイクルでプログラムすることが可能なマイクロコントローラに接続されており、
前記めっきサイクルが、順番に、
1)銅を優先的に前記1つ以上の貫通孔の中心にめっきさせるために、前記電子基板の第1の側面及び第2の側面上に第1の期間にわたってパルスめっきする工程であって、前記銅が前記1つ以上の貫通孔の前記中心で一緒に融合して、2つの対向するブラインドビアを形成する、パルスめっきする工程と、
2)パルスめっきによって形成された前記2つの対向するブラインドビアを充填するように、第2の期間にわたって直接めっきする工程と、を含み、
前記第1の期間にわたって、前記1つ以上の整流器は、第1の繰り返し可能なシーケンスであって、パルスめっき期間のセットを含み、各パルスめっき期間のセットは、任意の順序で、(i)少なくとも第1の順方向パルス期間、(ii)少なくとも第1の逆方向パルス期間、(iii)少なくとも第2の順方向パルス期間、及び(iv)前記電子基板の前記第1の側面に適用される少なくとも休止期間から構成されている、第1の繰り返し可能なシーケンスと、第2の繰り返し可能シーケンスであって、前記繰り返し可能シーケンスは、パルスめっき期間のセットを含み、各パルスめっき期間のセットは、任意の順序で、(i)少なくとも第1の順方向パルス期間、(ii)少なくとも第1の逆方向パルス期間、(iii)少なくとも第2の順方向パルス期間、及び(iv)前記電子基板の前記第2の側面に適用される少なくとも休止期間から構成されている、第2の繰り返し可能シーケンスとでプログラムされており、
前記パルスめっきが完了すると、前記1つ以上の整流器は、直流に遷移するようにプログラムされている、装置。
【請求項19】
前記1つ以上の整流器が、前記1つ以上の貫通孔の前記中心に形成された前記2つの対向するブラインドビアを成形するように、ある期間にわたって、工程1)と工程2)との間で、順方向めっきパルスと逆方向めっきパルスとを含む規則的なパルスめっきサイクルに遷移するようにプログラムされている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
請求項1又は10に記載のプロセスによって金属化された1つ以上の特徴部を備える電子基板。
【請求項21】
1つ以上の高アスペクト比貫通孔を備える電子基板を金属化する方法であって、前記方法は、
a)上に金属めっきを受容するように前記電子基板を作製する工程と、
b)前記電子基板及び少なくとも1つの対電極を、めっきされる銅イオンの供給源を含む酸銅電気めっき浴と接触させる工程と、
c)金属めっきを開始するために、前記電子基板の第1及び第2の側面を電気的に分極する工程と、を含み、前記酸銅電気めっき浴は、金属化が完了するまで、めっきサイクルを使用して1つ以上の高アスペクト比貫通孔をめっきし、
前記めっきサイクルが、順番に、
1)銅を優先的に前記1つ以上の高アスペクト比貫通孔の中心にめっきさせるために、前記電子基板の第1の側面及び第2の側面上に第1の期間にわたって非同期パルスめっきする工程であって、前記銅が前記1つ以上の高アスペクト比貫通孔の前記中心で一緒に融合して、2つの対向するブラインドビアを形成する、非同期パルスめっきする工程と、
2)前記1つ以上の高アスペクト比貫通孔の前記中心に形成された前記2つの対向するブラインドビアを成形するように、同期パルスめっきする工程と、
3)パルスめっきによって形成された前記2つの対向するブラインドビアを充填するように、第2の期間にわたって直接めっきする工程と、を含み、
前記非同期パルスめっきする工程が、前記酸銅電気めっき浴から前記電子基板の前記第1の側面及び第2の側面に金属を電着させるように電流を適用することを含み、前記電流は、繰り返し可能なシーケンスを含むパルスめっきサイクルとして適用され、前記繰り返し可能なシーケンスは、パルスめっき期間のセットを含み、各パルスめっき期間のセットは、任意の順序で、
(i)少なくとも第1の順方向パルス期間と、
(ii)少なくとも第1の逆方向パルス期間と、
(iii)少なくとも第2の順方向パルス期間と、
(iv)少なくとも休止期間と、を含む、方法。
【請求項22】
プリント回路基板であって、前記プリント回路基板は、
中に1つ以上の貫通孔が形成されている金属化されたパネルを備え、
前記プリント回路基板は、銅の電気めっきを開始するために、前記プリント回路基板上に導電性シード層を備え、
前記1つ以上の貫通孔は、
a)前記1つ以上の貫通孔の中心における第1の銅めっき層であって、前記銅が前記1つ以上の貫通孔の前記中心で一緒に融合して、2つの対向するブラインドビアを形成する、第1の銅めっき層と、
b)任意選択的に、前記第1の銅めっき層の上に堆積された第2の銅めっき層であって、任意選択の前記第2の銅めっき槽は、前記第1の銅めっき層によって形成された前記ブラインドビアを成形する、第2の銅めっき層と、
c)銅充填層であって、前記1つ以上の貫通孔を充填するように、前記第1の銅めっき層及び前記任意選択の第2の銅めっき層の上に堆積される、銅充填層と、を備え、
前記1つ以上の貫通孔は、いかなる空隙、ディンプル又は他の欠陥もなしに、銅で完全に充填される、プリント回路基板。
【請求項23】
層a)~c)の全てが存在する、請求項22に記載のプリント回路基板。
【請求項24】
前記第1の銅めっき層、任意選択の第2の銅めっき層、及び銅充填層が、同じ酸銅めっき電解質を使用して適用される、請求項22又は23に記載のプリント回路基板。
【国際調査報告】