(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】電気モータ用のねじれたコイル構造ならびにそのシステム、構成要素、アセンブリ、および方法
(51)【国際特許分類】
H02K 3/18 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
H02K3/18 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568725
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 US2022027780
(87)【国際公開番号】W WO2022245548
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アドラ、ロドワン ティ.
(72)【発明者】
【氏名】ジェーンズ、ブライアン アール.
(72)【発明者】
【氏名】フリーボーレ、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ、エドウィン ビー.
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603AA07
5H603BB01
5H603BB07
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB02
5H603CC11
5H603CE04
(57)【要約】
電気モータ(25)用のコイル巻線(45)、ならびにそのシステム、構成要素、組立品、および方法は、時計回り方向に一緒にねじれる、コイル巻線(45)の第一の側面(48)上の所定の数の導電性ワイヤ(46)の巻回と、反時計回り方向に一緒にねじれる、第一の側面(48)の反対側のコイル巻線(45)の第二の側面(48)上の所定の数の導電性ワイヤ(46)の巻回とを備えることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のステータ極(28)及び複数のステータスロット(35)を含むステータ(26)であって、各前記ステータスロット(35)が、一対の前記複数のステータ極(28)の間に位置付けられている、ステータ(26)と、
前記ステータ(26)内に位置付けられたロータ(27)と、
複数のコイル(45)であって、各前記コイル(45)が、前記ステータ極(28)の対応する一つの周りに位置付けられている、複数のコイル(45)と、を備え、
各前記コイル(45)が複数の導電性ワイヤ(46)から成り、一対の対向する長い側面(48)および前記長い側面(48)を接続する対向する短い側面(49)を有する細長いリングを形成し、
各前記コイル(45)について、前記導電性ワイヤ(46)が複数の群(60、61、62、63)に配置され、
前記群(60、61、62、63)のそれぞれについて、前記一対の対向する長い側面(48)の第一の長い側面(48)上の前記導電性ワイヤ(46)が、前記短い側面(49)のうちの一つから見ると、前記第一の長い側面(48)の全長に沿って連続的に時計回りのねじれ方向に一緒にねじれ、
前記群(60、61、62、63)の各々について、前記一対の対向する長い側面(48)の第二の長い側面(48)上の前記導電性ワイヤ(46)が、前記短い側面(49)のうちの前記一つから見ると、前記第二の長い側面(48)の全長に沿って連続的に反時計回りのねじれ方向に一緒にねじれている、スイッチドリラクタンスモータ(25)。
【請求項2】
前記第一の長い側面(48)および前記第二の長い側面(48)の各々について、導電性ワイヤ(46)の前記群(60、61、62、63)の各々が、各導電性ワイヤ(46)が、前記コイル(45)の中央空隙(47)に最も近い複数の部分および前記中央空隙(47)から最も遠い複数の部分を有するようにねじれている、請求項1に記載のスイッチドリラクタンスモータ。
【請求項3】
各前記コイル(45)について、導電性ワイヤ(46)の各前記群(60、61、62、63)について、前記短い側面(49)上の前記導電性ワイヤ(46)がねじれていない、請求項1に記載のスイッチドリラクタンスモータ。
【請求項4】
前記コイル(45)の各々が、接合樹脂で設定される、請求項1に記載のスイッチドリラクタンスモータ。
【請求項5】
群(60、61、62、63)の各々に対する前記導電性ワイヤ(46)の数が、2と30を含む2~30の範囲の同じ数であり、および/または
前記コイル(45)の各々に対する巻回の総数が、10と100を含む10~100巻回の範囲である、請求項1に記載のスイッチドリラクタンスモータ。
【請求項6】
前記導電性ワイヤ(46)の前記群(60、61、62、63)が、前記コイル(45)の巻回数が増加するにつれて、より大きい数のねじれに従ってねじれる、請求項1に記載のスイッチドリラクタンスモータ。
【請求項7】
ステータ(26)と、
前記ステータ(26)に対して位置付けられたロータ(27)と、
前記ステータ(26)のステータ極(28)の周りにそれぞれ配置される複数のコイル(45)であって、
各前記コイル(45)が、所定の幾何学的形状を形成するため連続的に巻かれた複数の導電性ワイヤ(46)から成り、
前記コイル(45)のうちの少なくとも一つについて、
前記所定の幾何学的形状の第一の側面(48)上の前記導電性ワイヤ(46)の巻回が、第一の方向に一緒にねじられ、
前記第一の側面(48)の反対側の前記所定の幾何学的形状の第二の側面(48)上の前記導電性ワイヤ(46)の巻回が、前記第一の方向とは反対の第二の方向に一緒にねじれている、複数のコイル(45)と、を備える、電気モータ(25)。
【請求項8】
前記導電性ワイヤ(46)の前記巻回が、前記ねじれが前記第一の側面(48)および前記第二の側面(48)の全長に沿って少なくとも360度であるように、前記第一の側面(48)および前記第二の側面(48)の前記全長に沿って連続的にねじれる、請求項7に記載の電気モータ。
【請求項9】
前記少なくとも一つのコイル(45)のための導電性ワイヤ(46)の前記巻回が、各導電性ワイヤ(46)が、前記コイル(45)の中央空隙(47)に最も近い少なくとも一つの部分および前記中央空隙(47)から最も遠い少なくとも一つの部分を有するようにねじれる、請求項7に記載の電気モータ。
【請求項10】
前記第一の側面(48)および前記第二の側面(48)の周りの巻回当たりの前記導電性ワイヤ(46)の数が、2と30を含む2~30の範囲の同じ数であり、
前記コイル(45)の各々に対する前記巻回の総数が、10と100を含む10~100巻回の範囲である、請求項10に記載の電気モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気モータに関し、より詳細には、電気モータ用のねじれたコイル構造、ならびにそのシステム、構成要素、アセンブリ、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械は、電気推進システムによって電力供給がなされることがある。電気推進システムは、作業機械の牽引装置に駆動力を供給する電気駆動牽引システムを含むこともある。一部の電気駆動分画システムでは、スイッチドリラクタンスモータを使用して、駆動力を供給することができる。
【0003】
スイッチドリラクタンスモータは、様々なモータトポロジー(例えば、ステータ極の数、コイルの数、およびロータ極の数)を有し得る。さらに、スイッチドリラクタンスモータは、複数の位相(例えば、2つの位相、3つの位相、4つの位相、またはそれ以上)で構成されてもよい。スイッチドリラクタンスモータは、複数のステータ極を有してもよく、各々が、導電性ワイヤの巻線を有するかまたはその周りに位置付けられたコイルを有する。ワイヤの数およびコイルの構成は、スイッチドリラクタンスモータの動作効率に影響を与え得る一つの要因である。
【0004】
多くのスイッチドリラクタンスモータは、特定の動作条件下で動作を最適化するように設計されている。しかしながら、特定の作業機械に電力を供給して、高電流で低速および低電流で高速の両方で効率的に動作するために使用されるスイッチドリラクタンスモータが望ましい場合がある。一部のモータのコイルは電気的に良好に機能するが、過度のコイル加熱なしにかなりの量の電流を運ぶ能力を欠く場合がある。他のコイルは、増加した電流搬送能力を有し得るが、動作周波数が上昇するにつれて効率的が落ちる場合もあり、これはまた、作業機械に電力供給する能力を制限する。
【0005】
米国特許第10,128,706号(「706号特許」)は、開放スロット構成を有するステータと、各ステータ極の周りに位置付けられたコイルを有する複数のステータ極とを含む回転電気機械を記載する。‘706号特許はまた、各コイルがワイヤの群を画定する複数の導電性ワイヤを有し、ワイヤの群がステータの周りを全体的に周回させられて、複数の巻回を画定することを記載する。‘706号特許によれば、ワイヤの群の少なくとも一部分はねじれ、ワイヤの群の一部分は、巻回当たり約1~5つのねじれを有する。
【発明の概要】
【0006】
一態様によれば、電気モータ用のコイル巻線が開示または提供される。コイル巻線は、コイル巻線の第一の側面上の所定の数の導電性ワイヤを時計回り方向に一緒にねじれた巻回と、第一の側面の反対側のコイル巻線の第二の側面上の所定の数の導電性ワイヤを反時計回り方向に一緒にねじれた巻回とを含むことができる。
【0007】
別の態様では、電気モータが開示または提供される。電気モータは、ステータと、ステータに対して位置付けられたロータと、ステータのステータ極の周りにそれぞれ配設された複数のコイルと、を備え得る。各前記コイルは、所定の幾何学的形状を形成するために連続的に巻かれた複数の導電性ワイヤから成ってもよく、およびコイルのうちの少なくとも一つについて、所定の幾何学的形状の第一の側面上の導電性ワイヤの巻回が、第一の方向に一緒にねじれ、第一の側面の反対側の所定の幾何学的形状の第二の側面上の導電性ワイヤの巻回は、第一の方向とは反対の第二の方向に一緒にねじれる。
【0008】
別の態様では、スイッチドリラクタンスモータが開示または提供される。スイッチドリラクタンスモータは、複数のステータ極および複数のステータスロットであって、それぞれが、一対の複数のステータ極の間に位置付けられている、複数のステータスロットを含むステータと、ステータ内に位置付けられたロータと、複数のコイルであって、それぞれが、対応するステータ極の一つの周りに位置付けられている、複数のコイルと、を備えることができる。前記コイルそれぞれは、複数の導電性ワイヤから成ってもよく、一対の対向する長い側面および長い側面を接続する対向する短い側面を有する細長いリングを形成し、各前記コイルに対して、導電性ワイヤが、複数の群に配設され得、第一の長い側面の全長に沿って連続的に、短い側面の一つから見ると群のそれぞれに対して、一対の対向する長い側面の第一の長い側面上の導電性ワイヤが、時計回りのねじれ方向に一緒にねじれてもよく、第二の長い側面の全長に沿って連続的に、短い側面の前記一つから見ると、群のそれぞれに対して、一対の対向する長い側面の第二の長い側面上の導電性ワイヤが、反時計回りのねじれ方向に一緒にねじれてもよい。
【0009】
本開示のその他の特徴および態様は、以下の説明および添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本明細書に本開示の特定の態様を組み込んだ作業機械の概略図である。
【
図2】
図2は、本明細書に本開示の特定の態様を本明細書に組み込んだスイッチドリラクタンスモータの一部分の概略上面図である。
【
図3】
図3は、
図2のスイッチドリラクタンスモータのコイルを含む電気回路の一部分の簡略化された概略図である。
【
図4】
図4は、本開示の一つ以上の実施形態による、明確にするために特定の構成要素が取り除かれた、ステータ内のロータの視点から取られたステータアセンブリの一部分の端面図である。
【
図5】
図5は、
図4のコイルの一つの円形状部分5-5の拡大図である。
【
図7】
図7は、
図6のコイルの一部分の円形状部分7-7の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、電気モータ用のねじれたコイル構造、ならびにそのシステム、構成要素、アセンブリ、および方法に関する。
【0012】
図1を参照すると、前方軸13および後方軸14を有するシャーシ12を含む機械10が概略的に図示されている。牽引装置15(例えば、ホイール、軌道など)は、各軸の各端部上に取り付けられてもよく、一例として、スイッチドリラクタンス牽引システム16によって駆動されてもよい。電源17は、スイッチドリラクタンス牽引システム16に電力を供給することができる。電源17は、発電機(図示せず)と連結された内燃エンジンなどの原動機(図示せず)を使用して、スイッチドリラクタンス分画システム16に電力を供給してもよい。別の実施形態では、電源17は、スイッチドリラクタンス牽引システム16に直接電力を供給するように構成された燃料電池発生器(図示せず)であってもよい。なおさらに、電源17は、エネルギー供給を電気エネルギーに変換するか、または電気エネルギーを直接供給するための二つ以上の異なるタイプの装置を含むハイブリッドシステムを含んでもよい。
【0013】
コントローラ21は、スイッチドリラクタンス牽引システム16ならびに電源17ならびに機械10の他の構成要素およびシステムの動作を制御するために使用され得る。コントローラ21は、機械10との関連を示すために、
図1の20に概して示される制御システムの構成要素であってもよい。制御システム20は、機械10の様々な動作パラメータを表すデータおよびその他の入力信号を提供するための一つ以上のセンサを含み得る。
【0014】
コントローラ21は、演算を実施し、制御アルゴリズムを実行し、データおよびその他の所望の演算を格納および取得するために、論理的な様式で動作する電子コントローラであってもよい。コントローラ21は、メモリ、二次記憶装置、プロセッサ、およびアプリケーションを実行するための他の任意の構成要素を含み得るか、またはそれらにアクセスし得る。メモリおよび二次記憶装置は、コントローラによってアクセス可能な、読み出し専用メモリ(ROM)またはランダムアクセスメモリ(RAM)または集積回路の形態とし得る。電源回路、信号調整回路、ドライバ回路、および他のタイプの回路など様々な他の回路が、コントローラと関連付けられてもよい。
【0015】
コントローラ21は、機械10の様々な機能および/または特性を制御するように配置された、単一のコントローラであってもよく、または二つ以上のコントローラを含んでもよい。「コントローラ」という用語は、機械10に関連付けられてもよく、機械の様々な機能および動作を制御するために連動し得る、一つ以上のコントローラおよび/またはマイクロプロセッサを含むように、その最も広い意味で使用されることが意図される。コントローラ21の機能は、機能に関係なく、ハードウェアおよび/またはソフトウェアに実装されてもよい。コントローラ21は、スイッチドリラクタンス牽引システム16および機械10の他の機能を制御してもよい。スイッチドリラクタンス牽引システムが記載されているが、開示された主題の実施形態は、そのように限定されず、他のタイプの電気モータベースの牽引システムを含み得る。
【0016】
図2は、開示された主題の一つ以上の実施形態による回転電気機械25の概略図を示す。回転電気機械25は、各スイッチドリラクタンス牽引システム16と関連付けられ得るスイッチドリラクタンスモータであってもよいが、開示された主題の実施形態は、スイッチドリラクタンスモータに限定されず、コイル巻線を有する他のタイプの電気モータ(例えば、誘導モータなど)を含んでもよい。
図2に示すように、回転電気機械は、ステータ26と、ステータに対して回転可能なロータ27とを含み得る、8/4の2相スイッチドリラクタンスモータ(すなわち、八つのステータ極28、四つのロータ極29、及び2相導通)の形態であってもよい。位相の数ならびにステータ極28およびロータ極29の数は、例示に過ぎず、限定することを意図するものではない。言い換えれば、スイッチドリラクタンスモータの形態の回転電気機械25は、第一の複数のステータ極28および第二の複数のロータ極29を有してもよい。
【0017】
図示されるように、ステータ26は、八つの半径方向内向きに突出するステータ極28を含み得、ロータ27は、四つの半径方向外向きに突出するロータ極29を含み得る。各ステータ極28は、半径方向内向きに突出することができ、内向き端面31および一対の対向する側面32を有することができる。対向する側面32(すなわち、ステータ極28の第一の側面および第二の側面)間の33で示される距離は、各極がステータ26の周りの円周方向に概して一定の幅を有するように、概して一定であり得る。
【0018】
ステータ26は、各ステータスロットが一対のステータ極28の間に角度的に位置付けられた複数のステータスロット35をさらに含み得、したがって、各ステータ極28は、一対の隣接するステータスロット35の間に角度的に位置付けられ得る。したがって、ステータスロット35の数は、ステータ極28の数と数において等しくてもよい。各ステータスロット35は、ロータ27に向かって開口し得、縁部又は外面36、隣接するステータ極28の対向側面32によって画定される対向する側縁部37、及びステータスロット35の開口部39に沿って又はそれを横切って概して延在する内側境界38を有し得る。以下に記載されるように、保持構造55は、開口部39を横切って対向する側縁部37に及んで、ステータスロット35内の各ステータ極28上に位置付けられたコイル45を保持し得る。したがって、各ステータスロット35の内側境界38は、
図6に最もよく見られるように、各ステータ極28の内向き端面31から間隔を置いてもよい。
【0019】
ステータ26の円形断面および弓状または円周方向の各ステータ極28の略一定の幅に起因して、各ステータスロット35は、外面36から開口部39に向かって略均一または直線的に先細りまたは狭くなる幅を有し得る。こうした構造では、ステータ26は、開口スロット構成を有すると称され得る。各ステータスロット35の中心線40は、ステータスロット35の対向する側縁部37の間の中点に沿って概して延在するように、隣接する対のステータ極の間に延在し得る。
【0020】
ステータ極28は、スイッチドリラクタンスモータの形態の回転電気機械25の位相の数(例えば、2)に対応する二つ以上のステータ極28のセットにグループ化され得る。図示の例では、八つのステータ極28は、一方の位相セットにグループ化された四つのステータ極28(A+およびA-として示される)と、他方の位相セットにグループ化された四つのステータ極28(B+およびB-として示される)とを有する、二つの位相セットにグループ化される。ロータ極29は、直径方向に整列した対にグループ化されてもよい。
【0021】
各ステータ極28は、その周りに周回させられた導電性巻線またはコイル45を有し得る。コイル45は、位相セット(A+、A-およびB+、B-)の各群のステータ極28の周りに位置付けられ、電気的に接続されてもよく、並列または直列のいずれかで電気回路の一部として構成されてもよい。
図3は、並列に接続された位相Aのコイル45を図示する。位相Bのコイル45は、
図3のコイル45と類似した様式で配置され得る。
【0022】
スイッチドリラクタンスモータ25は、巻線または磁石を有しないロータ27を有し得る。ロータ27は、例えば、垂直に積層された鉄のスタック、一体型の連続環状部材で形成されてもよい。しかしながら、他の構造および構成を有するロータが企図される。さらに、
図2の回転電気機械25、すなわち、電気モータは、スイッチドリラクタンスモータとして図示されているが、本明細書に開示される概念は、スイッチドリラクタンス発生器または別のタイプの電気モータもしくは発生器などの他の回転電気機械に適用可能であり得る。概念は、例えば、ロータ27が永久磁石又は何らかの他の構造若しくは構成を有する他の回転電気機械にさらに適用される。
【0023】
動作の際には、スイッチドリラクタンスモータの形態での回転電気機械25のロータ27の回転は、ステータ極28のコイル45にDC電流を供給することによって、隣接するステータ極28のセットの逐次的な励起または通電によって達成され得る。ステータ極28の通電は、それに向かってロータ極29が引き寄せられる磁束を生成し得、ロータ極29を通電されたステータ極28と整列させる傾向がある。ロータ極29が通電されたステータ極28と整列すると、通電された極へのDC電流は終了され、その後、次の連続したステータ極28に供給され得る。次いで、ロータ極29は、ロータ27の継続的な回転を引き起こし得る、逐次的な極の次のセットに引き付けられ得る。このプロセスは、スイッチドリラクタンスモータの形態で回転電気機械25の動作中に継続することができる。トルクは、ロータ極29が通電されたステータ極28と整列する傾向によって生成され得る。連続トルクは、連続ステータ極28の励起をロータ極29の瞬間位置と同期させることによって生成され得る。
【0024】
図4を参照すると、ステータ26の一部分は、隣接するステータ極28の周りに位置付けられた二つのコイル45とともに示されている。各コイル45は、例えば、リング形状(例えば、細長いリング、楕円形、長方形の楕円形、正方形など)などの所定の幾何学的形状を形成するために、中央開口部47の周りに連続的に所定の回数または巻回だけ巻き付けられるワイヤの群を画定する複数の導電性ワイヤ46で形成されてもよい。一つ以上の実施形態によると、各コイル45は、概して同一であってもよく、開示された主題の実施形態に従って構成されてもよい。別の方法として、コイル45の少なくともまたは一つ以上は、開示された主題の実施形態に従って構成され得る。
【0025】
中央空隙または開口容積を画定することができる中央開口部47は、概して、少なくともステータ極28の断面にサイズで対応することができ、その結果、コイル45は、スイッチドリラクタンスモータ25の形態での回転電気機械25の製造中にステータ極28上に摺動され得る。一つ以上の実施形態によると、各コイル45は、一対の長い側面48または主側面48と、一対の長い側面48と相互接続する一対の短い側面49または副側面49とを有し得る。一対の長い側面48は、本明細書では、それぞれ第一および第二の長い側面48と呼んでもよい。したがって、各コイル45は、第一のステータスロット35を貫通する第一の部分51および第二のステータスロット35を貫通する第二の部分52を有し得る。第二のステータスロット35は、第一および第二のステータスロット35がステータ極28によって分離された状態で第一のステータスロット35に隣接し得る。さらに、一つのコイル45の第一の部分51および別の隣接するコイル45の第二の部分52は、
図4に示すように、隣接するステータ極28の間の同じステータスロット35内に設けられ得る。
【0026】
コイル45は、上述のように、複数の導電性ワイヤ46で形成されてもよく、各々が、例えば、略円形断面を有する。別の方法として、導電性ワイヤ46は、一部の構成では、楕円形、正方形、または長方形などの非円形断面を有してもよい。導電性ワイヤ46は、銅などの高導電性の可撓性材料で形成されてもよく、その上に絶縁層を有してもよい。一実施形態では、エナメル絶縁の層を有するマグネットワイヤが使用されてもよい。一例として、各導電性ワイヤ46は、およそ0.05インチの直径を有してもよい。しかしながら、導電性ワイヤ46はまた、他の直径を有してもよい。別の実施形態では、導電性ワイヤ46は、およそ15~18ゲージのワイヤであってもよい。
【0027】
導電性ワイヤ46は、グループ化され、次いで巻かれてコイル45を形成してもよい。開示された主題の実施形態による導電性ワイヤ46の群は、例えば、導電性ワイヤ46の二本~三十本(二本と三十本を含む)のストランドの範囲内であり得る。さらに、導電性ワイヤ46は、コイル45を形成するために、所定の回転数、すなわち、中央開口部47の周りを所定の巻回数周回させられてもよい。開示された主題の実施形態によれば、巻回数は、10~100巻回(10と100を含む)の範囲であり得る。導電性ワイヤ46の群が中央開口部47の周りを周回させられる巻回数または回数は、スイッチドリラクタンスモータの形態での回転電気機械25の所望の電気性能に基づいて決定または設定され得る。したがって、中央開口部47の周りの巻回数は、所望に応じて調整されてもよい。一つ以上の実施形態によると、各コイル45は、接合樹脂またはこれに類するもの(例えば、硬化エポキシ樹脂)を使用して、その巻回形状に設定または固定されてもよい。
【0028】
中心コア47の周りを周回させられた導電性ワイヤ46の群はまた、一緒にねじれてもよい。導電性ワイヤ46のねじれは、様々な様式で達成され得る。一例では、導電性ワイヤ46は、それらが供給され、回転治具(例えば、ボビン)の周りを周回させられてコイル45を形成する際にねじれてもよい。一つ以上の実施形態によると、一群の導電性ワイヤ46のねじり合わせは、編組とはみなされず、または特徴付けられなくてもよい。
【0029】
導電性ワイヤ46の群のねじれは、所定のパターンに従ってもよい。特に、開示された主題の実施形態によれば、ねじれは反対方向に行われてもよい。特に、開示された主題の実施形態によると、グループ化された導電性ワイヤ46は、コイル45の周りの巻回(この文脈では、単一回転)の一つ以上の部分またはセグメントに対して第一の方向に、およびコイル45の周りの巻回の一つ以上の部分またはセグメントに対して第一の方向とは反対の第二の方向にねじれてもよい。こうした第一および第二の方向は、それぞれ時計回りおよび反時計回り、またはその逆と本明細書で言及され得る。
【0030】
一部の実施形態では、グループ化された導電性ワイヤ46は、コイル45の周りの巻回の一つ以上の部分またはセグメントに対してねじれなくてもよく(これは、中立またはねじれていない位置決めと呼んでもよい)、またはコイル45の周りのいわゆるねじれた部分またはセグメントの第一の方向および第二の方向に対するねじれの量よりも少ない量だけねじれてもよい(すなわち、その間)。例えば、時計回りおよび反時計回りのねじれは、中立位置またはゼロ位置から+/-360度以上(例えば、+/-720度または+/-900度)のねじれ、すなわち、一回のねじれ回転、二回のねじれ回転、または2.5回のねじれ回転として特徴付けられ得る。したがって、ねじれていない状態は、一群の導電性ワイヤ46に対して中立またはゼロ度の位置、またはさらには、正の五度などの正の360度~負の360度で特徴付けられ得る。一群の導電性ワイヤ46が、少なくとも一回の完全なねじれ回転、すなわち、360度以上(例えば、360度~900度)で一緒にねじれ得るという点で、各導電性ワイヤ46は、一群の他の導電性ワイヤ46の対応する部分またはセグメントよりも中央開口部47(および中央空隙)に近い巻回に沿った少なくとも一つの部分またはセグメント、およびねじれた一群の他の導電性ワイヤ46の対応する部分またはセグメントよりも中央開口部47(および中央空隙)から遠くにある巻回に沿った少なくとも一つの部分またはセグメントを有し得る。
【0031】
上述の通り、ねじれは、巻回の一つ以上の部分またはセグメントに対するものであってもよい。例えば、一つ以上の実施形態によると、コイル45の第一の部分51に関連付けられた、長い側面48のうちの一つにおける導電性ワイヤ46のセグメントは、例えば、時計回りのねじれ方向に一緒にねじれる一群の導電性ワイヤ46を有することができ、例えば、コイル45の第二の部分52に関連付けられた、他方の長い側面48における導電性ワイヤ46のセグメントは、反時計回り方向に一緒にねじれる一群の導電性ワイヤ46を有し得る。短い側面49におけるセグメントは、直前の長い側面48と同じねじれ方向に、ねじれていないか、または一緒にねじれてもよい。この例では、長い側面48に対して一緒にねじることは、長い側面48の全長または全体に沿って連続的であり得る。したがって、長い側面48の各々に沿って一群の導電性ワイヤ46を一緒にねじることは、長い側面48全体に沿ってねじれていない部分(複数可)を全く伴わずに、一緒に連続的にねじれていると見なすか、または特徴付けることができる。長い側面48のねじれの数は、開示された主題の実施形態に従って同一であり得る。任意選択で、短い側面49における導電性ワイヤ46のねじれは、長い側面48に対する導電性ワイヤ46のねじれよりも小さくてもよい。すなわち、短い側面49における導電性ワイヤ46のねじれは、長い側面48に対する導電性ワイヤ46のねじれよりも小さくてもよい。
【0032】
一つ以上の実施形態によれば、一部分またはセグメント当たりの導電性ワイヤ46のねじり合わせは、厚さ方向に同一または実質的に同一(例えば、同じ量のねじれ)であってもよく、または、概して同じレベルの導電性ワイヤ46の群の異なる巻回に対して同じレベルのコイル45であってもよい(すなわち、
図4ではページの方向であり、
図7では水平方向で、導電性ワイヤ46の群の第一の巻回63および第二の巻回62は、コイル45の同じレベルの蓄積であるとみなされ得る)。しかしながら、導電性ワイヤ46の群のねじり合わせ(または非ねじり合わせ)は、コイル45の高さ方向に変化してもよい(すなわち、
図4では水平方向であり、
図7では垂直方向で、第三の巻回60は、コイル45の蓄積における導電性ワイヤ46の群の第二の巻回62より上の高さまたはレベルであるとみなされてもよい)。例えば、導電性ワイヤ46のねじり合わせ量は、巻回が増加し、コイル45の蓄積が成長するにつれて増加し得る。すなわち、より高い高さまたはレベルでは、導電性ワイヤ46は、中央開口部47により近い導電性ワイヤ46の巻回よりも多く一緒にねじれてもよい。任意選択で、中央開口部47との境界での巻回に対するねじれは生じない場合がある。コイル45の高さ方向またはレベルは、本明細書では、中央開口部(および中央空隙)から離れる方向と呼んでもよい。
【0033】
導電性ワイヤ46をねじる方法にかかわらず、各ねじれは、導電性ワイヤ46の比較的緩いねじれを形成することができる。導電性ワイヤ46のこうしたねじれは、コイル45がステータ極28上に取り付けられる際に、個々の導電性ワイヤ46が群の他のワイヤに対して横方向に移動することを可能にし得る。上述の例では、導電性ワイヤ46の群は、中央開口部47の周りを移動するとおよそ二回ねじれてもよい。導電性ワイヤ46がねじれると、導電性ワイヤ46の群は、いくぶん円形断面を取り得る。しかしながら、導電性ワイヤ46の比較的緩いねじれは、導電性ワイヤ46の群内の他のワイヤに対する各導電性ワイヤ46のいくらかの横方向の移動を可能にし得る。コイル45がステータ極28上に取り付けられると、導電性ワイヤ46は、十分に横方向に移動した可能性があり、それにより、導電性ワイヤ46の群の各巻回または周回が導電性ワイヤ46の他の巻回または周回から容易に識別できない場合があり、個々の導電性ワイヤ46が各ステータスロット35内に比較的ランダムに位置付けられるか、または不均一なアレイ内に位置付けられているように見え得る。図示した実施形態のワイヤの群は、中央開口部47の周りの各周回に対して二回ねじれ得るが、他の実施形態では、導電性ワイヤ46は、中央開口部47の周りを周回させられると、一巻回当たりおよそ一~五回、または側面当たり0.5~2.5回ねじれてもよい(この場合も、周回の一部またはすべての部分または部分に対して)が、開示された主題の実施形態は、そのように限定されない。
【0034】
図6は、ステータスロット35のうちの一つ、およびその周りに位置付けられたコイル45を有する一対の隣接するステータ極28を通る断面を示す。一つのコイル45の第一の部分51および第二の隣接するコイル45の第二の部分52はそれぞれ、ステータスロット35内に位置付けられ得る。非導電性スペーサ56は、概して各ステータスロット35の中心線40に沿って位置付けられて、一つのコイル45の第一の部分51を第二の隣接するコイル45の第二の部分52から分離してもよい。導電性ワイヤ46は、導電性ワイヤ46の群を形成する時に比較的緩くねじれ得るため、それらは、コイル45の少なくとも長い側面48に沿って、一巻回以内に導電性ワイヤ46の他方に対して横方向に移動可能であり得る。したがって、コイル45がステータ極28上に摺動すると、個々の導電性ワイヤ46は、ステータスロット35内で比較的きつく充填するように移動し得る。この移動は、導電性ワイヤ46の横方向の移動に起因して、ワイヤの群の隣接する巻回の間のいくつかの開口部またはギャップが充填されることをもたらし得る。
【0035】
上述のように、導電性ワイヤ46の比較的緩いねじれのために、導電性ワイヤ46は、各コイル45がそのステータ極28上に取り付けられる際に(および/または取り付け前にさえも)、横方向に移動し得る。コイル45の長い側面48に沿った導電性ワイヤ46は、ステータスロット35内で横方向に移動して、以前の一つ以上の巻回から以前に巻かれた一つ以上の群の導電性ワイヤ46の間の開口部の数およびサイズを減少させ得る。一部の例では、各コイル45の短い側面49に沿った導電性ワイヤ46の一部分は、短い側面49に沿った導電性ワイヤ46のねじれを相対的に減少または除去するように移動してもよい。このように、上述のように、一つ以上の実施形態によると、導電性ワイヤ46の群の各巻回は依然としてねじれていてもよいが、ねじれた部分はコイル45の長い側面48に沿って巻回の一部分に集中する傾向があり得る。したがって、一つ以上の実施形態によると、導電性ワイヤ46は、コイル45が形成される際に、少なくともねじれの量に関して比較的一貫してねじれ得るが、ねじれは、各巻回の長さに沿って、すなわち、コイル45の一巻回回転に沿って一貫していない場合がある。したがって、各ねじれおよびその後の反ねじれは、両方の長い側面が同じ方向にねじれている状況(例えば、側面当たり両方とも五つのねじれ)と比較して、側面当たり比較的少ない数のねじれ(例えば、側面または半巻回当たり2.5個のねじれ)を提供し得る。
【0036】
図6に見られるように、ステータスロット35を通る断面に沿ったワイヤの群の隣接する巻回の間の隙間または均一な空隙は、低減され得るか、または概して除去され得る。言い換えれば、一群の個々の導電性ワイヤ46の比較的緩いねじれのために、導電性ワイヤ46は横方向に移動することができ、それにより個々の導電性ワイヤ46が全体的にランダムに配置されるように見え、導電性ワイヤ46の群の各巻回または周回の輪郭または境界が実質的に除去され得る。例えば、
図7では、導電性ワイヤ46の群の第三の巻回60が、わずかに円形の断面または境界で示されている。導電性ワイヤ46の群の第四の巻回61は、幾分長方形の断面で示されている。導電性ワイヤ46の群の第二の巻回62および導電性ワイヤ46の群の第一の巻回63はそれぞれ、
図7に示すように、全体的に異なる断面を有し得る。このように、導電性ワイヤ46の群は、当初はねじれに伴い概して円形断面を有していた可能性があるが、ステータスロット35内にコイル45を位置付けると、導電性ワイヤ46の群の巻回の多くまたはすべての中の導電性ワイヤ46がシフトされて、非円形断面を有し得る。この例では、コイル45のこのセクションに対する各個別の巻回の導電性ワイヤ46(第一から第三第四の巻回60~63を含む)は、上述のように時計回りのねじれ方向または反時計回りのねじれ方向のいずれかに従って一緒にねじれてもよく、これは同じコイル45の反対側の第二の部分52の反対のねじれ方向であり得る。
【0037】
再び
図6を参照すると、略非導電性の板状部材などの保持構造55は、開口部39に概して隣接し、それを横切って、ステータスロット35の対向する側縁部37に及んで、各ステータ極28上に位置付けられたコイル45をステータスロット35内に保持し得る。(明確にするために、保持構造55は
図4には示されていないが、
図6に示すように、ステータ極28の間に、および各ステータスロット35にわたって延在し得ることに留意されたい)。
【0038】
開示された構造では、比較的高密度のコイル構成(すなわち、空気の量が低減された)が生成され得る。各コイル45の第一の部分51は、ステータスロット35の外面36からステータスロットの内側境界38へ概して第一の経路に沿って、一つのステータ極28の側面32とステータスロット35の中心線40との間の一つのステータスロット35をほぼ充填し得る。同様に、同じコイル45の第二の部分52は、ステータスロット35の外面36から内側境界38に向かって概して第二の経路に沿って、ステータ極28の反対側とステータスロット35の中心線40との間のステータ極28の反対側のステータスロット35をほぼ充填し得る。各コイル45をステータ極28の対応する一つの周りに位置付けると、各ステータスロット35は、上述のように、その中に位置付けられた一つのコイル45の第一の部分51および隣接するコイル45の第二の部分52を有することができる。非導電性スペーサ56は、一つのコイル45の第一の部分51と第二の隣接するコイルの第二の部分52との間に位置付けられてもよい。さらに、第一の部分51および第二の部分52は、保持構造55によってステータスロット35内に保持され得る。
【産業上の利用可能性】
【0039】
上述のように、本開示は、電気モータに関し、より詳細には、電気モータ用のねじれたコイル構造、ならびにそのシステム、構成要素、アセンブリ、および方法に関する。
【0040】
本明細書に記載の回転電気機械の産業上の利用可能性は、前述の考察から容易に理解されるであろう。前述の考察は、ある動作条件の範囲にわたって回転電気機械25の電気効率および性能を増加させることが望ましい場合がある、スイッチドリラクタンスモータなどの回転電気機械25に適用可能である。
【0041】
開示された回転電気機械の構成およびステータアセンブリを作製する方法を通して、改善された電気性能、効率、および/または銅損失の低減が達成され得る。例えば、本明細書で描写したコイル45を使用するスイッチドリラクタンスモータの形態の回転電気機械25は、モータ内の銅損失を低減し得る。例えば、導体の表皮効果による損失は、スイッチドリラクタンスモータの形態の回転電気機械25の動作周波数と比較して、導電性ワイヤ46の比較的小さい直径に起因して低減され得る。さらに、導電性ワイヤ46の比較的小さい直径はまた、導体内の渦電流を低減することができる。なおさらに、ステータスロット35内の銅のより高い密度(例えば、
図6に示すように)はまた、導電性ワイヤ46の群の個々の導電性ワイヤ46間の空隙を低減することによって、熱伝導率を改善し得る。
【0042】
近位効果はまた、ねじれた導電性ワイヤ46の群内の個々の導電性ワイヤ46の比較的ランダムな位置付けによって、開示された構造を通して低減され得る。これは、導電性ワイヤ46がステータスロット35内に位置付けられる際に、導電性ワイヤ46の比較的緩いねじれおよび導電性ワイヤ46の横方向の移動に部分的に起因し得る。ストランド間循環電流は、ステータスロット35内のねじれた導電性ワイヤ46の群の個々の導電性ワイヤ46の比較的ランダムな位置付けに起因して、開示された構造によって低減され得る。例えば、ロータ極29により近いコイル45の導電性ワイヤ46は、ロータ極29からより遠い導電性ワイヤ46と比較して、誘導電圧の差を経験し得る。中央開口部47の周りに巻かれる際に個々の導電性ワイヤ46をねじることによって、導体は、導電性ワイヤ46の群の各巻回内の位置を変更することができ、結果として、ロータ極29からの巻かれた群の個々の導電性ワイヤ46の距離を全体的に平均化し得る。結果として、ロータ極29を通して導電性ワイヤ46の各々に誘導される電圧を全体として平均化することができ、これは、個々の導電性ワイヤ46の異なる誘導電圧への曝露によって引き起こされるストランド間循環を低減することができる。
【0043】
ワイヤの群内の導電性ワイヤ46の比較的緩いねじれは、
図6に示すように、ステータスロット35内の効率的な容積利用または導電性ワイヤ46の充填をもたらし得る。群の個々の導電性ワイヤ46がきつくねじれている場合、きつくねじれたワイヤは、比較的大きく、やや剛直な概して円形構造を形成し得る。この構成では、コイル45がそのステータ極28上に摺動するとき、比較的大きな空隙が導電性ワイヤ46の群の隣接する巻回の間に存在し得る。一方、導電性ワイヤ46を比較的緩くねじることによって、コイル45がそのそれぞれのステータ極28上に摺動するときに、個々のワイヤは互いに対して横方向に移動することができ、したがって、個々の導電性ワイヤ46は、ステータスロット35をより効率的に充填し得る。こうした構造を通して、より大きな容積の導体(例えば、銅線)がステータスロット35内に位置付けられてもよい。導体のこのより高い密度は、コイル45を通るより低い抵抗、および所与の電圧に対して、より高い電流搬送能力をもたらし、それ故にスイッチドリラクタンスモータ(および開示された主題の実施形態による他の回転機械)の形態での回転電気機械25のより効率的な動作をもたらし得る。
【0044】
上述のように、導電性ワイヤ46のねじれは、所定のパターンに従ってもよい。導電性ワイヤ46の個々のストランドのねじれは、導電性ワイヤ46を緩く形成されたロープ構造に形成することであり得る。こうしたねじれは、単位長さ当たりの正味のねじれを達成することであり得る。この関係は、コイルレベルで一巻回当たりの正味ねじれを達成するように制御され得る。より短い長さのコイルは、より長いコイルよりも、単位長さ当たりのより高いねじれを必要とする場合がある。
【0045】
特に、開示された主題の実施形態によれば、ねじれは、反対方向に(同じ基準点または基準フレームから)行われてもよい。特に、開示された主題の実施形態によると、グループ化された導電性ワイヤ46は、コイル45の周りの巻回(この文脈では、単一の回転)の一つ以上の部分またはセグメントに対して第一の方向に、およびコイル45の周りの同じ巻回の一つ以上の部分またはセグメントに対して第一の方向に反対の第二の方向にねじれてもよい。こうした第一および第二の方向は、それぞれ時計回りおよび反時計回り、またはその逆と本明細書で言及され得る。
【0046】
一部の実施形態では、グループ化された導電性ワイヤ46は、コイル45の周りの巻回の一つ以上の部分またはセグメントに対してねじれなくてもよく(これは、中立またはねじれていない位置決めと呼んでもよい)、またはコイル45の周りのいわゆるねじれた部分またはセグメントの第一の方向および第二の方向に対するねじれの量よりも少ない量だけねじれてもよい(すなわち、その間)。例えば、時計回りおよび反時計回りのねじれは、中立位置またはゼロ位置から+/-360度以上(例えば、+/-720度または+/-900度)のねじれ、すなわち、一回のねじれ回転、二回のねじれ回転、または2.5回のねじれ回転として特徴付けられ得る。したがって、ねじれていない状態は、一群の導電性ワイヤ46に対して中立またはゼロ度の位置、またはさらには、正の五度などの正の360度~負の360度で特徴付けられ得る。一群の導電性ワイヤ46が、少なくとも一回の完全なねじれ回転、すなわち、360度以上(例えば、360度~900度)で一緒にねじれ得るという点で、各導電性ワイヤ46は、一群の他の導電性ワイヤ46の対応する部分またはセグメントよりも中央開口部47(および中央空隙)に近い巻回に沿った少なくとも一つの部分またはセグメント、およびねじれた一群の他の導電性ワイヤ46の対応する部分またはセグメントよりも中央開口部47(および中央空隙)から遠くにある巻回に沿った少なくとも一つの部分またはセグメントを有し得る。
【0047】
上述の通り、ねじれは、巻回の一つ以上の部分またはセグメントに対するものであってもよい。例えば、一つ以上の実施形態によると、コイル45の第一の部分51に関連付けられた、長い側面48のうちの一つにおける導電性ワイヤ46のセグメントは、例えば、時計回りのねじれ方向に一緒にねじれる一群の導電性ワイヤ46を有することができ、例えば、コイル45の第二の部分52に関連付けられた、他方の長い側面48における導電性ワイヤ46のセグメントは、反時計回り方向に一緒にねじれる一群の導電性ワイヤ46を有し得る。短い側面49におけるセグメントは、直前の長い側面48と同じねじれ方向に、ねじれていないか、または一緒にねじれてもよい。この例では、長い側面48に対して一緒にねじることは、長い側面48の全長または全体に沿って連続的であり得る。したがって、長い側面48の各々に沿って一群の導電性ワイヤ46を一緒にねじることは、長い側面48全体に沿ってねじれていない部分(複数可)を全く伴わずに、一緒に連続的にねじれていると見なすか、または特徴付けることができる。長い側面48のねじれの数は、開示された主題の実施形態に従って同一であり得る。任意選択で、短い側面49における導電性ワイヤ46のねじれは、長い側面48に対する導電性ワイヤ46のねじれよりも小さくてもよい。すなわち、短い側面49における導電性ワイヤ46のねじれは、長い側面48に対する導電性ワイヤ46のねじれよりも小さくてもよい。
【0048】
一つ以上の実施形態によれば、一部分またはセグメント当たりの導電性ワイヤ46のねじり合わせは、厚さ方向に同一または実質的に同一(例えば、同じ量のねじれ)であってもよく、または、概して同じレベルの導電性ワイヤ46の群の異なる巻回に対して同じレベルのコイル45であってもよい(すなわち、
図4ではページの方向であり、
図7では水平方向で、導電性ワイヤ46の群の第一の巻回63および第二の巻回62は、コイル45の同じレベルの蓄積であるとみなされ得る)。しかしながら、導電性ワイヤ46の群のねじり合わせ(または非ねじり合わせ)は、コイル45の高さ方向に変化してもよい(すなわち、
図4では水平方向であり、
図7では垂直方向で、第三の巻回60は、コイル45の蓄積における導電性ワイヤ46の群の第二の巻回62より上の高さまたはレベルであるとみなされてもよい)。例えば、導電性ワイヤ46のねじり合わせ量は、巻回が増加し、コイル45の蓄積が増加するにつれて増加し得る。すなわち、より高い高さまたはレベルでは、導電性ワイヤ46は、中央開口部47により近い導電性ワイヤ46の巻回よりも多く一緒にねじれてもよい。任意選択で、中央開口部47との境界での巻回に対するねじれは生じない場合がある。コイル45の高さ方向またはレベルは、本明細書では、中央開口部(および中央空隙)から離れる方向と呼んでもよい。
【0049】
導電性ワイヤ46は、巻回の一部、すなわち、回転機構70の単一の回転に対して第一の方向に一緒にねじれてもよく、同じ巻回の一部に対して第二の方向に一緒にねじれてもよい。例えば、導電性ワイヤ46は、コイル45の少なくとも一つの長い側面48に対して反時計回りのねじれ方向に一緒にねじれ、コイル45の別の長い側面48に対して時計回りのねじれ方向に一緒にねじれてもよい。
【0050】
導電性ワイヤ46が所望の回数、治具の周りに巻かれるかまたは周回させられると、コイル45の導電性ワイヤ46は、テープ57および治具から取り除かれるコイル45などによって、一緒に固定され得る。このタイプのコイル45は、巻線が同じ磁軸を有する複数巻回コイルを形成し、単一のステータ極28の周りに固定されるので、集中巻コイルと呼ばれることがある。
【0051】
ステータ26は、複数の一体型の連続的な環状鉄部材(図示せず)を一緒に積み重ねることによって形成されてもよい。絶縁材料の層(図示せず)は、各鉄部材の間に設けられてもよい。コイル45は、ステータ26に対してコイルを移動させて、各コイル45の中央開口部47を通してステータ極28を摺動させることによって、ステータ上に取り付けられてもよい。コイル45を各ステータ極28上に摺動させる間、各巻回の導電性ワイヤ46の少なくとも一部の少なくとも一部分は、同じ巻回の他の導電性ワイヤ46に対して横方向に移動し得る。一実施形態では、横方向に移動される導電性ワイヤ46の部分は、コイル45の主側面48に沿って位置付けられる。この構成は、一般的に、各ステータスロット35にわたる各コイル45の断面に沿ったワイヤの群の隣接する巻回の間の隙間または均一な空隙を最小化または排除することができる。コイル45は、概して対称な断面で最初に形成されてもよく、コイル45をステータ極28上に取り付ける間に、各巻回の導電性ワイヤ46の少なくとも一部の横方向移動は、コイルの形状を修正して、その一部分にわたって概して非対称な断面を形成し得ることに留意されたい。非対称断面は、ステータ極28によって分離される一対の隣接するステータスロット35の一部分にわたって延在し得る。
【0052】
コイル45は、開口部39に概して隣接し、それを横切ってステータスロットの対向する側縁部37に及び得る保持構造55を挿入することなどによって、ステータスロット35内に固定され得る。対向するステータ極28上に取り付けられたコイル45は、対向するコイル対を形成するために電気的に接続されてもよい。こうした対向するコイル対の巻線は、所望に応じて電気回路の一部として並列または直列に電気的に接続されてもよい。
【0053】
本開示の態様は、上記の実施形態を参照して特に示され、かつ記述されてきたが、開示された内容の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な追加の実施形態が、開示された機械、アセンブリ、システムおよび方法の修正によって企図され得ることが当業者には理解されるであろう。こうした実施形態は、特許請求の範囲およびその任意の均等物に基づき決定される本開示の範囲内に収まることが理解されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のステータ極(28)及び複数のステータスロット(35)を含むステータ(26)であって、各前記ステータスロット(35)が、一対の前記複数のステータ極(28)の間に位置付けられている、ステータ(26)と、
前記ステータ(26)内に位置付けられたロータ(27)と、
複数のコイル(45)であって、各前記コイル(45)が、前記ステータ極(28)の対応する一つの周りに位置付けられている、複数のコイル(45)と、を備え、
各前記コイル(45)が複数の導電性ワイヤ(46)から成り、一対の対向する長い側面(48)および前記長い側面(48)を接続する対向する短い側面(49)を有する細長いリングを形成し、
各前記コイル(45)について、前記導電性ワイヤ(46)が複数の群(60、61、62、63)に配置され、
前記群(60、61、62、63)のそれぞれについて、前記一対の対向する長い側面(48)の第一の長い側面(48)上の前記導電性ワイヤ(46)が、前記短い側面(49)のうちの一つから見ると、前記第一の長い側面(48)の全長に沿って連続的に時計回りのねじれ方向に一緒にねじれ、
前記群(60、61、62、63)の各々について、前記一対の対向する長い側面(48)の第二の長い側面(48)上の前記導電性ワイヤ(46)が、前記短い側面(49)のうちの前記一つから見ると、前記第二の長い側面(48)の全長に沿って連続的に反時計回りのねじれ方向に一緒にねじれている、スイッチドリラクタンスモータ(25)。
【請求項2】
前記第一の長い側面(48)および前記第二の長い側面(48)の各々について、導電性ワイヤ(46)の前記群(60、61、62、63)の各々が、各導電性ワイヤ(46)が、前記コイル(45)の中央空隙(47)に最も近い複数の部分および前記中央空隙(47)から最も遠い複数の部分を有するようにねじれている、請求項1に記載のスイッチドリラクタンスモータ。
【請求項3】
各前記コイル(45)について、導電性ワイヤ(46)の各前記群(60、61、62、63)について、前記短い側面(49)上の前記導電性ワイヤ(46)がねじれていない、請求項1に記載のスイッチドリラクタンスモータ。
【請求項4】
前記コイル(45)の各々が、接合樹脂で設定される、請求項1に記載のスイッチドリラクタンスモータ。
【請求項5】
群(60、61、62、63)の各々に対する前記導電性ワイヤ(46)の数が、2と30を含む2~30の範囲の同じ数であり、および/または
前記コイル(45)の各々に対する巻回の総数が、10と100を含む10~100巻回の範囲である、請求項1に記載のスイッチドリラクタンスモータ。
【請求項6】
前記導電性ワイヤ(46)の前記群(60、61、62、63)が、前記コイル(45)の巻回数が増加するにつれて、より大きい数のねじれに従ってねじれる、請求項1に記載のスイッチドリラクタンスモータ。
【請求項7】
ステータ(26)と、
前記ステータ(26)に対して位置付けられたロータ(27)と、
前記ステータ(26)のステータ極(28)の周りにそれぞれ配置される複数のコイル(45)であって、
各前記コイル(45)が、所定の幾何学的形状を形成するため連続的に巻かれた複数の導電性ワイヤ(46)から成り、
前記コイル(45)のうちの少なくとも一つについて、
前記所定の幾何学的形状の第一の側面(48)上の前記導電性ワイヤ(46)の巻回が、第一の方向に一緒にねじられ、
前記第一の側面(48)の反対側の前記所定の幾何学的形状の第二の側面(48)上の前記導電性ワイヤ(46)の巻回が、前記第一の方向とは反対の第二の方向に一緒にねじれている、複数のコイル(45)と、を備える、電気モータ(25)。
【請求項8】
前記導電性ワイヤ(46)の前記巻回が、前記ねじれが前記第一の側面(48)および前記第二の側面(48)の全長に沿って少なくとも360度であるように、前記第一の側面(48)および前記第二の側面(48)の前記全長に沿って連続的にねじれる、請求項7に記載の電気モータ。
【請求項9】
前記少なくとも一つのコイル(45)のための導電性ワイヤ(46)の前記巻回が、各導電性ワイヤ(46)が、前記コイル(45)の中央空隙(47)に最も近い少なくとも一つの部分および前記中央空隙(47)から最も遠い少なくとも一つの部分を有するようにねじれる、請求項7に記載の電気モータ。
【請求項10】
前記第一の側面(48)および前記第二の側面(48)の周りの巻回当たりの前記導電性ワイヤ(46)の数が、2と30を含む2~30の範囲の同じ数であり、
前記コイル(45)の各々に対する前記巻回の総数が、10と100を含む10~100巻回の範囲である、請求項7に記載の電気モータ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】