(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】石灰またはドライムを製造するための方法および設備
(51)【国際特許分類】
C04B 2/10 20060101AFI20240514BHJP
C04B 2/12 20060101ALI20240514BHJP
C04B 2/02 20060101ALI20240514BHJP
C01F 11/18 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C04B2/10 ZAB
C04B2/12
C04B2/02
C01F11/18 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569617
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2022062544
(87)【国際公開番号】W WO2022238358
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518234243
【氏名又は名称】ロイスト ルシェルシュ エ デヴロップマン エス.ア.
【氏名又は名称原語表記】Lhoist Recherche et Developpement S.A.
【住所又は居所原語表記】Rue Charles Dubois 28,1342 Ottignies-Louvain-la-Neuve,Royaume de Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】ハビブ・ジアド
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・カンフォール・オリヴィエ
【テーマコード(参考)】
4G076
【Fターム(参考)】
4G076AA16
4G076AB02
4G076BA10
4G076BH01
4G076CA02
4G076DA29
(57)【要約】
酸化用気体による燃料の燃焼によって得られる第1の煙気と接触する、石灰質材料またはドロマイト質材料の焼成、焼成された石灰またはドライムの、その排出および回収による冷却ならびにCO
2を含有する気体状排出物の放出、を含む石灰またはドライムを製造するための方法および設備であって、前記方法は、前記気体状排出物の、CO
2を捕集しCaCO
3-CaOを主とする処理材料を生成するCaOを主とする収着剤材料中にそれを通すことによるCO
2減少と、CaCO
3-CaOを主とする処理材料と取り出されるCO
2減少気体状排出物との間の分離と、二酸素とCO
2とで構成される酸化用気体による不純物が少ない燃料の燃焼によって得られる第2の煙気と接触した、分離されたCaCO
3-CaOを主とする処理生成物の焼成および前記CaOを主とする収着剤材料の生成と、CaOを主とする収着剤材料と回収されたCO
2濃縮気体流との間の分離と、前記分離されたCaOを主とする収着剤材料のCO
2減少ステップへのリサイクルと、CaCO
3-CaOを主とする処理材料の価値付加可能な一部分の抜き出しおよび焼成ステップにおける新たなCaCO
3の補償導入と、をさらに含む方法および設備。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-酸化用気体の存在下で燃料の燃焼によって得られる第1の煙気と接触する、90重量%より高い炭酸塩含有量(CaCO
3+MgCO
3)を有する下方に移動する石灰質材料またはドロマイト質材料の焼成と、
-前記下方に移動する焼成された石灰質材料またはドロマイト質材料の冷却および石灰またはドライムの形の主価値生成物の底部からの回収と、
-CO
2を含有する気体状排出物の放出と、
を含む石灰またはドライムを製造するための方法であって、当該方法は、
-CO
2を含有する前記気体状排出物の、CO
2を捕集し炭酸化によってCaCO
3-CaOを主とする処理材料を生成するCaOを主とする収着剤材料中を前記気体状排出物が通るCO
2減少のステップへの移送と、
-前記CaCO
3-CaOを主とする処理材料と、取り出される、CO
2減少気体状排出物との間の分離と、
-酸化用気体として二酸素およびCO
2の存在下で気体燃料と10重量%より少ない灰分含有量および1.5重量%より少ない硫黄含有量を有する固体および液体燃料からなる群から選ばれた燃料の燃焼によって得られる第2の煙気と接触する、前記分離されたCaCO
3-CaOを主とする前記処理材料の焼成と、CaCO
3の脱炭酸による前記CaOを主とする前記収着剤材料の生成およびCO
2の放出と、のステップと、
-前記脱炭酸の結果生じるCaOを主とする前記収着剤材料と、第2の燃焼煙気およびCaCO
3の前記脱炭酸時に放出され回収されたCO
2で構成されるCO
2濃縮気体流との間の分離と、
-前記分離されたCaOを主とする前記収着剤材料の、前記気体状排出物の前記CO
2減少のステップへのリサイクルと、
-前記CaCO
3-CaOを主とする前記処理材料の焼成のステップの前の、副価値生成物としてのその一部分の連続抜き出し、および分離されたCaCO
3-CaOを主とする前記処理材料の焼成のステップへの少なくとも90重量%のCaCO
3含有量を有する新たな石灰石の補償導入と、
をさらに含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記方法は、CO
2原料のステップときに、移送された前記気体状排出物からの第1の熱回収によって、前記炭酸化を700℃より低い、好ましくは600~670℃、特に650℃の温度に維持することを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
除去された前記CO
2減少気体状排出物からの第2の熱回収を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、CaCO
3-CaOを主とする分離された前記処理材料の焼成の前記ステップを850~1200℃、特に880~1050℃、好ましくは900~1000℃の温度で実行することと、回収された前記CO
2濃縮気体流からの第3の熱回収と、を含むことを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の、第2のおよび/または第3の熱回収は、熱量の電力への変換からなることを特徴とする、請求項2~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記焼成のステップの燃料は、天然ガス、水素、バイオガス、コークス炉ガス、ガス化ガス、燃料油、オイル、液体バイオ燃料、石油コークス、バイオマス、亜炭および石炭からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記焼成のステップの前記燃焼の前記酸化用気体を生成するために、純二酸素を前記回収されたCO
2濃縮気体流の一部分と混合するステップを含む、請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記連続抜き出しのときに、CaCO
3-CaOを主とする前記処理材料の15重量%より少ない、好ましくは2~10重量%の一部分が抜き出されることを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記CaCO
3-CaOを主とする処理材料の抜き出された前記一部分は、少なくとも80重量%のCaCO
3+CaO含有量を有することを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのキルン(1)を含み、そのそれぞれは、
-石灰質材料またはドロマイト質材料のための頂部供給部(2)と、
-前記石灰質材料またはドロマイト質材料が下方に移動し、酸化用気体の存在下で燃料の燃焼によって得られる第1の煙気と接触し、焼成されて石灰またはドライムになる焼成ゾーンと、
-前記下方に移動する焼成された石灰またはドライムを冷却するための冷却ゾーンと、
-前記冷却された、焼成された石灰またはドライムを主価値生成物として回収するための底部排出口(5)と、
-CO
2を含有する放出される気体状排出物のための頂部出口(7)と、
を含む石灰またはドライムの製造のための設備であって、当該設備は、さらに、
-CaOを主とする収着剤材料を含有する炭酸化反応器(8)と、
-前記少なくとも1つのキルンの前記頂部出口(7)からCO
2を含有する前記気体状排出物(9)を、CO
2を捕集し、炭酸化によってCaCO
3-CaOを主とする処理材料とCO
2減少気体状排出物とを生成する前記収着剤材料中を前記気体状排出物が通る、前記炭酸化反応器(8)に移送するための手段と、
-前記炭酸化反応器(8)の頂部において、前記CO
2減少気体状排出物から前記CaCO
3-CaOを主とする処理材料を分離し、この気体状排出物を取り出す第1の分離装置(14)と、
-移送ダクト(18)を通して前記第1の分離装置(14)から来る前記CaCO
3-CaOを主とする処理材料を供給され、前記CaCO
3-CaOを主とする処理材料は、酸化用気体として、二酸素とCO
2との存在下で、気体燃料と7重量%より少ない灰分含有量および1.5重量%より少ない硫黄含有量を有する固体燃料および液体燃料とからなる群から選ばれる燃料の燃焼によって得られる第2の煙気と接触し、CaCO
3の脱炭酸による前記CaOを主とする収着剤材料の生成およびCO
2の放出を伴う焼成反応器(19)と、
-前記焼成反応器(19)の頂部において、前記脱炭酸の結果生じる前記CaOを主とする収着剤材料と第2の燃焼煙気およびCaCO
3の前記脱炭酸時に放出されるCO
2から生成するCO
2濃縮気体流とを分離し、このCO
2濃縮気体流を回収のために取り出す第2の分離装置(23)と、
-前記第2の分離装置(23)からの前記CaOを主とする収着剤材料が前記炭酸化反応器(8)に供給されるリサイクル用ダクト(10)と、
-前記移送ダクト(18)からの前記CaCO
3-CaOを主とする処理材料の一部分を副価値生成物として抜き出し、回収するように構成され、補償としての新たなCaCO
3(29)の供給源が焼成反応器(19)に供給するために提供される抜き出し用ダクト(28)と、
を含むことを特徴とする設備。
【請求項11】
炭酸化時に放出される熱量の外部流体による回収を可能にするために前記炭酸化反応器(8)内に配置される少なくとも1つの第1の熱交換器(11)をさらに含む、請求項10に記載の設備。
【請求項12】
前記第1の分離装置(14)から取り出された前記CO
2減少気体状排出物からの外部流体による熱回収を可能にするために配置される少なくとも1つの第2の熱交換器(15)をさらに含む、請求項10または11に記載の設備。
【請求項13】
前記第2の分離装置(23)から回収された前記CO
2濃縮気体流からの外部流体による熱回収を可能にするために配置される少なくとも1つの第3の熱交換器(24)をさらに含む、請求項10~12の何れか一項に記載の設備。
【請求項14】
前記外部流体は、前記第1の、第2のおよび/または第3の熱交換器において、蒸気状態に移行する水であることと、前記設備は、電気を発生させるためにこの蒸気が供給される少なくとも1つの蒸気タービン(12、17、25)をさらに含むことと、を特徴とする、請求項11~13の何れか一項に記載の設備。
【請求項15】
前記少なくとも1つのキルンの前記頂部出口(7)からCO
2を含有する前記気体状排出物(9)を移送するための前記手段は、精製システム(16)を含むことを特徴とする、請求項10~14の何れか一項に記載の設備。
【請求項16】
請求項1~9の何れか一項に記載の、前記CaCO
3-CaOを主とする処理材料のうち連続的に抜き出される前記一部分の土木工事、農業、製紙または廃水もしくは廃気処理のための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石灰またはドライムを製造するための方法ならびに石灰またはドライムを製造するための設備に関し、特にそのような製造方法を実行するための設備に関する。
【背景技術】
【0002】
石灰またはドライムを製造するための方法は、通常、酸化用気体の存在下で燃料の燃焼によって得られる第1の煙気と接触する、90重量%より高い炭酸塩含有量(CaCO3+MgCO3)を有する下方に移動する石灰質材料またはドロマイト質材料の焼成と、下方に移動する焼成された石灰質材料またはドロマイト質材料の冷却および石灰またはドライムの形の主価値生成物の底部からの回収と、CO2を含有する気体状排出物の放出と、を含む。
【0003】
前記下方への移動は、たとえばシャフトキルンにおけるように鉛直方向にすること、または、たとえばロータリーキルンにおけるように傾斜方向にすることにより実行されることがある。
【0004】
そのようにして得られる石灰またはドライムは、80重量%より高いCaO+MgO含有量を有する純酸化物生成物と、母材石灰石または苦灰石の純度およびキルン中で用いられる燃料の灰分含有量に依存する特定の含有量の不純物と、からなる。石灰またはドライムを製造するために、原料石灰質材料またはドロマイト質材料に添加剤が供給される必要が必ずしもない点に留意することが重要である。一般則として、市場性のある石灰またはドライムは、重量で98%と80%との間の範囲の高純度の酸化物含有量を有するべきである。多くの石灰またはドライム用途にとって「キラー」となり得る特定の不純物は、硫黄である。たとえば鋼、耐火物または石灰スラリー用途は、低ないし非常に低い硫黄含有量を要件とする。
【0005】
焼成時に原料の石灰質材料またはドロマイト質材料は、大きな体積のCO2を放出する。さらに、この焼成を実現するには高温に達すること、したがって燃料の燃焼を続ける必要があり、そのことが今度はCO2の顕著な放出の原因となる。総じて焼成プロセスは、温室効果の増大に積極的に関与するという弱点を有する。
【0006】
さらに、旧来の焼成プロセスは、燃料の燃焼に空気を提供し、焼成生成物を空気で冷却するという弱点を有する。そのことからの結果として、炉の頂部における高い含有量の二原子窒素と、窒素の高い存在量のために捕集する費用が高い比較的低い含有量(乾燥気体基準で20%~27%の体積濃度)のCO2とを有する気体状排出物の放出がある
【0007】
セメントクリンカーキルンに関連するCO2捕集方法が米国特許出願公開第2009/0255444号に開示されている。そのような方法は、クリンカーを製造するために石灰石、粘土および鉄鉱で構成される原料を熱処理することからなる。クリンカーキルンから生じる気体状排出物は、排出物中のCO2を濃縮するためにCaOルーピングシステムに導入される。クリンカー製造は、高灰分燃料およびたとえば75重量%の石灰石しか含有しない原料に適応する。この文献において出発原料は、石灰またはドライムの製造からは除外されるべき高い含有量の粘土および鉄鉱石と混合された石灰石を必須条件として含有する。さらに、CaO-ルーピングシステムから残留物が連続的にパージされ、前記残留物は、主セメントクリンカーキルンに直接リサイクルされる。したがって、この残留物中の不純物は、最終クリンカー生成物中に集積され、その処方において考慮されなければならない。
【0008】
いわゆる「炭酸塩ルーピング」によるCO2捕集方法も石炭を用いる発電業界において公知である(J.ヒルツ(Hilz)ら、「毎時1MWトンスケールにおける炭酸塩ルーピングの長期パイロット試験(Long-term pilot testing of the carbonate looping in 1MWth scale)、Fuel、210巻、892~899頁(2017年)参照)。炭酸塩ルーピングシステム中のCaO流動床が石炭燃焼装置の気体状排出物中に存在するCO2を捕集する。炭酸塩ルーピングシステムにおいては新たなCaCO3がメークアップとして連続的に導入されなければならず、残留物も連続的にパージされ、ループから取り出される。
【0009】
これらの先行文献から市場性のある石灰またはドライムの製造についての情報は取得され得ない。さらに、それらは、廃棄物の連続的なパージおよび取り出しを生む結果となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、石灰キルンまたはドライムキルン中で実行される焼成プロセス時に放出されるCO2の使用または分離を目的とする捕集を可能にする一方で、キルンおよびその中で実体化されるプロセスの変更なくかつ使用不可能な廃棄生成物の連続取り出しなく高品質の石灰またはドライムを製造することである。
【0011】
この課題を解決するために、上記に示された方法は、
-CO2を含有する前記気体状排出物の、CO2を捕集し炭酸化によってCaCO3-CaOを主とする処理材料を生成する、CaOを主とする収着剤材料中を前記気体状排出物が通るCO2減少のステップへの移送と、
-CaCO3-CaOを主とする処理材料と、取り出される、CO2減少気体状排出物との間の分離と、
-酸化用気体としての二酸素およびCO2の存在下で気体燃料と10重量%より少ない灰分含有量および1.5重量%より少ない硫黄含有量を有する固体燃料および液体燃料とからなる群から選ばれた燃料の燃焼によって得られる第2の煙気と接触する、分離されたCaCO3-CaOを主とする処理材料の焼成と、CaCO3の脱炭酸による前記CaOを主とする収着剤材料の生成およびCO2の放出と、のステップと、
-前記脱炭酸の結果生じるCaOを主とする収着剤材料と、第2の燃焼煙気およびCaCO3の前記脱炭酸時に放出され回収されたCO2で構成されるCO2濃縮気体流と、の間の分離と、
-前記分離されたCaOを主とする収着剤材料の、前記気体状排出物のCO2減少のステップへのリサイクルと、
-前記CaCO3-CaOを主とする処理材料の焼成のステップの前の、副価値生成物としてのその一部分の連続抜き出し、および分離されたCaCO3-CaOを主とする処理材料の焼成の前記ステップへの少なくとも90重量%のCaCO3含有量を有する新たな石灰石の補償導入と、
をさらに含む。
【0012】
本方法は、CO2捕集のための閉じたループの再生システムである。炭酸化時に、たとえば気体状排出物としての石灰キルンの煙道気体からのCO2がCaO収着剤によって捕集され、次の発熱反応CaO+CO2→CaCO3に付される。それによって気体状排出物のCO2含有量は、雰囲気中に放出されると急激に低下する。本発明によれば、CO2減少気体状排出物とは、キルンの気体状排出物の濃度より低い、有利には乾燥気体基準で10%より低い、好ましくは5%より低い体積濃度のCO2を有する気体を意味する。
【0013】
CO2減少のステップにおいて、CaO収着剤は、有利には、流動床または移動床中にある。
【0014】
得られる、循環するCaCO3-CaOを主とする処理材料は、CaCO3と、CO2を捕集しなかった残留CaOとを含む。この処理材料のCaCO3は、吸熱的な焼成の反応「CaCO3+熱からCaO+CO2」に付される。本発明によれば、この焼成のために必要な熱は、酸化用気体としての二酸素およびCO2の存在下で不純物の少ない燃料の燃焼の結果として生じる。この酸化用気体は、好ましくは二酸素とCO2との混合物のことがある。そのような条件において、燃焼は、気体流中で主にCO2と、任意選択として燃料中に痕跡でしか存在しない何種類かの不純物と、燃料の燃焼によって消費されなかった酸素とを生み出す効果を有する。これは、明らかに、ループから回収される気体流のCO2含有量の急激な増大を生む結果となる。CO2濃縮気体流によって、本発明によれば前記気体流は、乾燥気体基準で少なくとも90%、特に少なくとも95体積%のCO2含有量を有すると理解されるべきである。そして、CO2に富むこの気体流は、好ましい条件において使用可能または捕捉可能となり、そのことは、温室効果への石灰製造またはドライム製造の関与を急激に低下させることを可能にする。
【0015】
本発明によれば、使用される二酸素(以下、酸素とも呼ばれる)は、酸素含有量が体積で90%、好ましくは95%、有利には98%を超える気体である。純粋な二酸素の供給源は、たとえば空気を二酸素と窒素とに分離する空気分離装置、または設置された二酸素タンクであってよい。
【0016】
本発明によれば、分離されたCaCO3-CaOを主とする処理材料の焼成のステップの燃料は、好ましくは気体である。なぜならばそのような燃料は、灰分も硫黄も含有しないからである。そのような燃料は、たとえば天然ガス、水素、バイオガス、コークス炉ガスまたはガス化ガスのことがある。たとえば燃料油、オイル、液体バイオ燃料、石油コークス、バイオマス、亜炭、石炭などの液体または固体燃料も、その燃料の灰分含有量が重量で<10%、特に<7%、好ましくは<5%、もっとも好ましくは<1%であり、燃料硫黄含有量が重量で<1.5%、好ましくは<1%、もっとも好ましくは重量で0.1%である限りにおいて選ばれることがある。天然ガスは、特に好ましい。以下の文章において、不純物が少ない燃料という用語は、ときには、本発明による適切な燃料を要約するために用いられる。
【0017】
分離されたCaCO3-CaOを主とする処理材料の焼成のステップにおいて、この処理材料は、有利には、流動床または移動床中にあることがある。
【0018】
焼成のステップ時に製造されるCaOを主とする収着剤材料は、CO2減少のステップにリサイクルされる。
【0019】
本発明によれば、本方法は、前記CaCO3-CaOを主とする処理材料の、その焼成の前の、一部分の連続抜き出しと、少なくとも90重量%、好ましくは95重量%、有利には98重量%のCaCO3含有量を有する新たな石灰石の、分離されたCaCO3-CaOを主とする処理材料の前記焼成ステップへの補償導入と、を含む。
【0020】
収着剤再生システムの特殊性は、収着剤、本明細書においてはCaOが、ルーピングサイクルの数の増加とともに次第に活性が低くなることである。この現象は、不純物による収着剤の焼結および被毒の増加の結果生じる。有利には、石灰キルンまたはドライムキルンから生じる気体状排出物中で少なくとも90体積%のCO2捕集率を連続的に得るために、炭酸化のステップ時に30%のCaO収着剤捕集効率が維持されるべきである。この安定した性能を保つために、炭酸化から焼成へ循環するCaCO3-CaOを主とする処理材料のうち特定の量が抜き出される。この抜き出された循環処理材料は、抜き出し分(bleed)と呼ばれる。上記に示されたように、CaCO3-CaOを主とする処理材料の焼成の前または間に90重量%より高い純度のCaCO3の形の新たな材料が補償のために加えられる。この加えられる量は、メークアップと呼ばれる。本発明によれば、抜き出し分は、CaCO3-CaOを主とする処理材料の焼成の前に抜き出される。そのようにして、回収された生成物は、その製造のための焼成エネルギーコストを低減させる。
【0021】
本発明によれば、CO2減少のステップにおいて、石灰キルンまたはドライムキルンから排出される気体状排出物は、基準としての環境要件を満たすべきであり、したがって灰分および硫黄などの不純物が少なく、さらに、CaCO3-CaOを主とする処理材料の焼成のステップ時にそのような不純物が少ない燃料が使用される。さらに、上記で説明されたように、メークアップの石灰石も高純度である。そのことからの結果として、抜き出し分と呼ばれる抜き出された一部分は、有利には、少なくとも80重量%、好ましくは90重量%、特に95重量%のCaCO3+CaO含有量を有する。前記抜き出し分は、灰分をほとんどもしくはまったく、硫黄をほとんどもしくはまったく含有しないことがあり、良好な品質であり、したがって土木、農業、廃水処理、製紙、スラッジ処理...など、石灰市場の大部分において副価値生成物として利用され得るCaを主とする粉状材料である。そのため、抜き出し分は、廃棄物ではなく、工業的にまたは商業的に利用され得る。さらに、抜き出された抜き出し分の量は、有利には、得られる抜き出し分の純度含有量と炭酸化時の収着剤の活性を改善することを可能にする一方で、プロセスの主価値製品および副価値製品(石灰またはドライムおよび抜き出し分)の製造に不利になることなく顕著であってよい。好ましくは、前記連続抜き出し時に、前記CaCO3-CaOを主とする処理材料の15重量%より少ない、好ましくは2~10重量%の一部分が抜き出される。前記一部分の増加は、抜き出し分中の不純物の有意な減少を生む結果となることが実験からの結果である。
【0022】
したがって、本発明によれば、石灰またはドライムの製造と並行して、先行技術におけるようには取り出されない、市場性のあるCa生成物の追加の製造がある。
【0023】
有利には、前記下方に移動する石灰質材料またはドロマイト質材料の焼成は、最終製品の求められる特性に応じて750~1750℃、好ましくは800~1350℃の温度で実行される。
【0024】
本発明の実施形態によれば、本方法は、CO2減少ステップ時に、移送される気体状排出物からの第1の熱回収によって前記炭酸化を700℃より低い、好ましくは600~670℃、特に約650℃の温度に維持することを含む。700℃の温度においてCaCO3の焼成が始まることがある。したがって、炭酸化は、逆反応である焼成を避ける一方で速い炭酸化の反応速度を得るためにこの温度よりわずかに低い温度で操作される。したがって、炭酸化反応は発熱的なので、特に外部流体との熱交換によって反応から熱を抜き出すことが必要である。CO2減少除気体状排出物からの第2の熱回収も、この排出物の温度が高い、特に約650℃なので、炭酸化からのその取り出し後に可能である。
【0025】
本発明の特定の実施形態によれば、本方法は、分離されたCaCO3-CaOを主とする処理材料の焼成の前記ステップを850℃~1200℃、好ましくは約880~1050℃、より好ましくは900℃~1000℃、たとえば920℃または950℃の前後の温度において実行することと、回収されたCO2濃縮気体流からの第3の熱回収と、を含む。この焼成は、高いCO2分圧下で実行されるので、CO2を捕集するのに適切な高比表面積CaOを製造する一方で焼成を加速するためにそのような温度が維持される。
【0026】
前記第1、第2および/または第3の熱回収は、熱量の電力への変換または乾燥、地域暖房などのその他の熱回収利用からなることがある。
【0027】
本発明による方法は、有利には、焼成ステップの前記燃焼の前記酸化用気体を生成するために、純粋な二酸素を回収されたCO2濃縮気体流の一部分と混合するステップを含むことがある。純酸素による燃料の燃焼は、通常の装置にとっては非常に高い火炎温度を生じる。また、有利には、酸素を希釈するためにCO2を同時に導入することが計画される。有利には、CO2に富む回収された気体流の一部分が取られ、酸素と混合される。したがって、焼成ステップ時にCO2が次第に濃縮された気体流を生み出す一方で、普通の空気の酸化用混合物O2+N2の代わりに適切な火炎温度を有するO2+CO2混合物が得られる。
【0028】
本発明は、少なくとも1つのキルンを含み、そのそれぞれは、
-石灰質材料またはドロマイト質材料のための頂部供給部と、
-前記石灰質材料またはドロマイト質材料が下方に移動し、酸化用気体の存在下で燃料の燃焼によって得られる第1の煙気と接触し、焼成されて石灰またはドライムになる焼成ゾーンと、
-下方に移動する焼成された石灰またはドライムを冷却するための冷却ゾーンと、
-前記冷却された石灰またはドライムを主価値生成物として回収するための底部排出口と、
-CO2を含有し、放出される気体状排出物のための頂部出口と
を含む、石灰またはドライムの製造のための設備にも関する。
【0029】
本発明によれば、前記設備は、さらに、
-CaOを主とする収着剤材料を含有する炭酸化反応器と
-前記少なくとも1つのキルンの前記頂部出口からCO2を含有する前記気体状排出物を前記炭酸化反応器に移送するための手段であって、この気体状排出物は、CO2を捕集し、炭酸化によってCaCO3-CaOを主とする処理材料およびCO2減少気体状排出物を生成する前記収着剤材料中を通る手段と、
-炭酸化反応器の頂部において前記CaCO3-CaOを主とする処理材料をCO2減少気体状排出物から分離し、この気体状排出物を取り出す第1の分離装置と、
-第1の分離装置から生じる前記CaCO3-CaOを主とする処理材料を移送ダクトによって供給され、前記CaCO3-CaOを主とする処理材料は、酸化用気体としての二酸素およびCO2の存在下で気体燃料と10重量%より少ない灰分含有量および1.5重量%より少ない硫黄含有量を有する固体燃料および液体燃料とからなる群から選ばれた燃料の燃焼によって得られる第2の煙気と接触し、CaCO3の脱炭酸による前記CaOを主とする収着剤材料の生成およびCO2の放出を伴う、焼成反応器と、
-焼成反応器の頂部において前記脱炭酸から生じる前記CaOを主とする収着剤材料と前記第2の燃焼煙気およびCaCO3の前記脱炭酸時に放出されるCO2で形成されるCO2濃縮気体流とを分離し、このCO2濃縮気体流を回収のために取り出す第2の分離装置と、
-第2の分離装置からのCaOを主とする収着剤材料が炭酸化反応器に供給されるリサイクル用ダクトと、
-前記移送ダクトから前記CaCO3-CaOを主とする処理材料の一部分を副価値生成物として抜き出し、回収するように配置され、焼成反応器に供給するために補償としての新たなCaCO3の供給が提供される抜き出しダクトと、
を含む。
【0030】
本発明による設備において、CO2を含有する気体状排出物は、石灰またはドライムを製造することができる1つまたはいくつかのキルンによって発生されることがある。その中で、原料は、キルンの頂部において供給され、焼成された材料は、冷却された後に底部において排出される。そのようなキルンは、たとえば回転炉、シャフトキルン、たとえば垂直シャフトキルン、環状シャフトキルン、並流再生キルンなどであり、石灰質材料またはドロマイト質材料は、鉛直方向によりまたは傾斜した方向により下方に移動する。
【0031】
前記少なくとも1つのキルンの頂部出口において放出されるCO2を含有する気体状排出物の灰分含有量または硫黄含有量によっては、前記気体状排出物を移送するための前記手段は、前記頂部出口を炭酸化反応器に接続するダクトの中だけにあるかまたは適切な汚染防止装置をさらに含むことがある。
【0032】
本設備は、特定の固体材料を気体から分離することができる、たとえばサイクロンのような何れかの分離装置も含む。
【0033】
炭酸化反応器において、収着剤材料は、有利には、流動床または移動床の形のことがある。焼成反応器において、CaCO3-CaOを主とする処理材料も、有利には、流動床または移動床の形のことがある。
【0034】
好ましくは、本設備は、さらに、炭酸化時に放出される熱量の外部流体による回収を可能にするために炭酸化反応器内に配置される第1の熱交換器を含むことがある。炭酸化反応器内の温度は、そのため700℃より低い温度に維持されることがある。第1の分離装置から取り出されるCO2減少気体状排出物からの外部流体による熱回収を可能にするために、少なくとも1つの第2の熱交換器が配置されることがある。第2の分離装置から回収されるCO2濃縮気体流からの外部流体による熱回収を可能にするために少なくとも1つの第3の熱交換器が配置されることがある。前記外部流体は、詳しくは、前記第1、第2および/または第3の熱交換器において蒸気状態になり、電気を発生するために蒸気タービンに供給されることがある水である。
【0035】
本発明による方法および設備のその他の詳細および特徴が請求項から得られる結果となることがある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
次に、非限定的な実施形態の概略流れ図である
図1によって本発明による設備が開示される。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[実施例1]
例示する設備は、175tpd(1日あたりトン)の石灰が製造される従来の石灰キルン1を含む。96重量%のCaCO3含有量を有する12.5tph(時間あたりトン)の石灰石が頂部供給部2を通して導入され、キャリアガスとしての一次空気と4において供給される二次空気との存在下で3において供給される1.6tphのバイオマスの燃焼によって得られる煙気と接触して焼成され、石灰になる。6において導入される冷却用空気によって冷却され、93重量%のCaO含有量を有する7.3tphの石灰が底部排出口5を通って排出される。頂部出口7を通ってキルンから気体状排出物が放出され、接続ダクト9を用いて、集塵装置、乾燥装置および/または脱硫装置を含む精製システム16を通って炭酸化反応器8に移送される。
【0038】
【0039】
表1から得られるように、気体状排出物中のCO2体積濃度は、N2濃度(65%)に対して非常に低い。そのような条件において、両成分の分離は、容易に実行可能ではなく、処理されるべき大きな気体体積に起因してコストが高い。
【0040】
炭酸化反応器8は、リサイクル用ダクト10によって供給されるCaOを主とする収着剤材料の流動床を備える。そこで気体状排出物のCO2の90%がCaOによって捕集され、CaOは、発熱反応によって炭酸化され、CaCO3になる。炭酸化反応器8内において、気体状排出物の温度は、逆反応である焼成が開始される状況で熱を電力に変換するためにタービン12と連通する熱交換器11によって約650℃の値に維持されなければならない。そのようにして2.3MWeの電力が得られる。
【0041】
炭酸化反応器8から、CaCO3-CaOを主とする処理材料を搬送する気体状排出物は、移送ダクト13を通ってサイクロン14に供給され、その頂部からCO2減少気体状排出物が放出される。
【0042】
【0043】
ここで、サイクロン14の頂部から出る気体状排出物は、痕跡量のCO2しか含有せず、大気中で取り出されることがある。この取り出しの前に、この気体は、熱を電力に変換するためにタービン17と連通する熱交換器15中を通る。そのようにして1.5MWeの電力が得られる。
【0044】
分離されたCaCO3-CaOを主とする処理材料の固体粒子は、サイクロン14の底部から出、移送ダクト18を用いて焼成反応器19の底部に供給される。
【0045】
焼成反応器19は、不純物をほとんど含有しない燃料も供給される。例示される事例において、1857Nm3/hの天然ガス(すなわち灰分および硫黄を含有しない燃料)が入口20を通って焼成反応器19中に導入され、二酸素およびCO2を含有する23tphの酸化用気体が導入ダクト21を通って供給される。焼成反応器は、CaCO3-CaOを主とする処理材料の焼成時に焼成を加速し、高比表面積CaOを製造するために約900℃の温度で操作される。
【0046】
焼成反応器19から、活性CaOを搬送する気体状排出物は、頂部から移送ダクト22を通って、CO2濃縮気体流が回収されるサイクロン23に供給される。
【0047】
【0048】
サイクロン23から出る気体流中のCO2濃度は、極めて高い。そのような気体は、たとえば技法的なCO2製造または分離を目的として工業的に価値を付加されることがある。回収の前に、気体流は、熱を電力に変換するためにタービン25と連通する熱交換器24中を通る。そのようにして3.17MWeの電力が得られる。
【0049】
活性なCaOを主とする収着剤材料は、別途サイクロン23の底部から出、リサイクル用ダクト10を用いて炭酸化反応器8の底部にリサイクルされる。
【0050】
二酸素とCO2とを含有する酸化用気体の存在下での不純物の少ない燃料の前記燃焼の前に、二酸素は、回収されたCO2濃縮気体流と混合される。空気分離ユニット26によって90%の濃度で製造された5tphの酸素と再循環ダクト27を用いてリサイクルされた18tphのCO2濃縮気体とが混合され、導入ダクト21によって酸化用気体として焼成反応器19に導入される。明らかに、再循環されたCO2濃縮気体と純粋な二酸素とが別々に焼成反応器に供給され、そこでそれらの混合がインサイチュで行われることがある。
【0051】
炭酸化反応器8におけるCO2の捕集時に、上記で説明したようにCaCO3の生成があるが、流動床のCaOは、炭酸化には部分的にしか関与しない。したがって、炭酸化反応器8と焼成反応器19との間を循環するCaCO3-CaOを主とする処理材料は、CaCO3の粒子だけでなくCaOの粒子も含有する。
【0052】
【0053】
CaOは、サイクルの増加とともに次第に活性が低くなる。粒子の焼結の増加がある。そして、CaOを主とする収着剤の中の活性CaOの少なくとも30%のCO2捕集効力を保つために、0.8tphの抜き出し分流速のCaCO3-CaOを主とする処理材料(CaCO3-CaOを主とする処理材料の2重量%)が抜き出しダクト28を通って移送ダクト18から抜き出される。補償のために、96重量%のCaCO3含有量を有する1.06tphの新たな石灰石のメークアップが入口29を通って焼成反応器に導入される。焼成反応器19において用いられる燃料は、灰分または硫黄をまったく含有せず、メークアップの補償用石灰石は、高い純度を有するので、リサイクルされるCaOを主とする収着剤は非常に純粋であると同時に循環するCaCO3-CaOを主とする処理材料は、Caを主とする成分だけを含有する。したがって、抜き出し分は、廃棄物ではなく、いくつかの分野、たとえば気体または水の浄化、農業、製紙、土木工事等において用いられることがある。
【0054】
焼成反応器から回収された気体流中の捕集CO2は、表5に要約される。
【0055】
【0056】
同時に、焼成反応器から回収される気体流は、CO2が非常に濃縮され、利用可能または捕集可能であり、抜き出し分は、石灰またはドライムの製造と平行して製造される価値あるCa生成物であり、設備、特に空気分離ユニットの電気の必要は、タービンの出力によって満たされる。
【0057】
[実施例2]
次に、いくつかの炉を含み、2000tpdの石灰を製造し、燃料は亜炭である石灰プラントにおいて本発明による方法を開示する。すべての炉の気体状排出物は、一緒に回収され、
図1に例示されるように炭酸化装置-焼成システムの中に送られる。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
空気分離ユニット26によって90%の濃度で製造された66tphの酸素と再循環ダクト27によってリサイクルされた222tphのCO2濃縮気体とが酸化用気体として混合され、焼成反応器に導入される。23,014Nm3/hの天然ガス(すなわち灰分または硫黄のない燃料)も燃料としてこの反応器に供給される。
【0062】
【0063】
CaOを主とする収着剤材料の中の活性CaOの少なくとも30%のCO2捕集効力を保つために、10tphの抜き出し分流速のCaCO3-CaOを主とする処理材料(2重量%)が抜き出しダクト28を通って移送ダクト18から抜き出される。補償のために、98重量%のCaCO3含有量を有する13tphの新たな石灰石のメークアップが焼成反応器に導入される。
【0064】
蒸気タービンを用いて発生する電力は、タービン12では30MWe、タービン17では21MWeおよびタービン25では39MWeである。
【0065】
焼成反応器から回収された気体流中の捕集CO2は、表10に要約される
【0066】
【0067】
[実施例3]
次に、実施例2と同じ石灰プラントにおける本発明による方法を開示する。すべての炉の気体状排出物は、一緒に回収され、
図1に例示されるように炭酸化装置-焼成装置に送り込まれるが、焼成反応器中で用いた燃料は、3.8重量%の灰分含有量と0.4重量%の硫黄含有量とを有する亜炭である。
【0068】
明らかに、炭酸化反応器8に入って来る気体状排出物およびサイクロン14から出るCO2減少気体状排出物は、例2の表6および7と同じ特徴をそれぞれ示す。
【0069】
【0070】
空気分離ユニット26によって90%の濃度で製造された65tphの酸素と再循環ダクト27によってリサイクルされた220tphのCO2濃縮気体とが酸化用気体として混合され、焼成反応器に導入される。40tphの上述の亜炭も燃料としてこの反応器に供給される。
【0071】
【0072】
CaOを主とする収着剤材料の中の活性CaOの少なくとも30%のCO2捕集効力を保つために、16tphの抜き出し分流速のCaCO3-CaOを主とする処理材料(3重量%)が抜き出しダクト28を通って移送ダクト18から抜き出される。補償のために、98%のCaCO3含有量を有する20tphの新たな石灰石のメークアップが焼成反応器に導入される。抜き出し分は、16重量%の不純物を含有し、依然として価値ある生成物である。
【0073】
蒸気タービンを用いて発生した電力は、タービン12では31MWe、タービン17では21MWeおよびタービン25では39MWeである。
【0074】
焼成反応器から回収された気体流の中の捕集CO2は、表13に要約される。
【0075】
【0076】
[実施例4]
次に、実施例2と同じ石灰プラントにおける本発明による方法を開示する。すべての炉の気体状排出物は、一緒に回収され、
図1に例示されるように炭酸化装置-焼成装置に送り込まれるが、焼成反応器中で用いた燃料は、実施例3の亜炭である。
【0077】
明らかに、炭酸化反応器8に入って来る気体状排出物とサイクロン14から出るCO2減少気体状排出物とは、実施例2の表6および7と同じ特徴をそれぞれ示す。
【0078】
【0079】
空気分離ユニット26によって90%の濃度で製造された78tphの酸素と再循環ダクト27によってリサイクルされた265tphのCO2濃縮気体とが酸化用気体として混合され、焼成反応器に導入される。燃料として48tphの上記の亜炭もこの反応器に供給される。
【0080】
【0081】
CaOを主とする収着剤材料中の活性CaOの少なくとも30%のCO2捕集効力を保つために、抜き出し分流速50tphのCaCO3-CaOを主とする処理材料(10重量%)が抜き出しダクト28を通って移送ダクト18から抜き出される。補償のために98%のCaCO3含有量を有する66tphの新たな石灰石のメークアップが焼成反応器に導入される。抜き出し分は、8.25重量%の不純物を含有し、価値ある生成物である。
【0082】
蒸気タービンを用いて発生した電力は、タービン12では32MWe、タービン17では21MWeおよびタービン25では47MWeである。
【0083】
焼成反応器から回収された気体流の中に捕集されたCO2は、表13に要約される。
【0084】
【0085】
実施例3と実施例4との間の比較は、主成分がCaCO3-CaOの処理材料の抜き出し速度を3%から10%に増大すると、16.43%から8.25%への抜き出し分不純物(灰分+CaSO4+その他不純物)の顕著な減少が得られる結果となることを示す。
【0086】
本発明のその他の実施形態および変化形は、請求項の範囲内で解釈され得る。
【0087】
たとえば、熱回収は、あらゆるタイプのことがあり、電気的なものに限られない。
【0088】
要約すると、そのようなプラントは、温室効果への高い関与を回避し、物質の流れおよび発電は、好ましいレベルにあり、プラント採石場からのメークアップの供給を局所的に可能にし、抜き出し分を高度に価値あるものとし、発電を地域社会に利益をもたらすものにする。
【国際調査報告】