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特表2024-519762リング歯車のないセルフロック機能を有する減速装置及びその減速装置のセルフロック方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】リング歯車のないセルフロック機能を有する減速装置及びその減速装置のセルフロック方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/28 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
F16H1/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569798
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 KR2022007159
(87)【国際公開番号】W WO2022245143
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0064515
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523423595
【氏名又は名称】クォン,オ ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】クォン,オ ワン
【テーマコード(参考)】
3J027
【Fターム(参考)】
3J027FA17
3J027FA36
3J027GC15
3J027GC23
3J027GE01
3J027GE17
3J027GE21
3J027GE29
(57)【要約】
本発明は、リング歯車のないセルフロック機能を有する減速装置及びその減速装置のセルフロック方法に関し、特に、入力側であるキャリアの一側に第1、第2、第3遊星歯車が互いに異なる位置に支持されて自転及び公転可能に構成されてnセット配置され、前記第1太陽歯車又は第2太陽歯車のうちのいずれか一方を固定させ、もう一方の太陽歯車を入力側に変えて回転させると、セルフロック(Self-Locking)機能により増速されず、増速比が0(Zero)(入力側として使用される太陽歯車自体が回転できない停止状態)になって作動が不可能になるセルフロックが実現されるようにすることにその特徴がある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
減速装置のセルフロック方法であって、
入力側として回転するキャリア、前記キャリアと同心に設けられた第1太陽歯車、前記第1太陽歯車と噛み合った第1遊星歯車、前記第1遊星歯車と噛み合った第2遊星歯車、前記第2遊星歯車と噛み合った第3遊星歯車、及び前記キャリアと同心であり、前記第1太陽歯車に並列に設けられ、前記第3遊星歯車と噛み合った第2太陽歯車を含み、
前記第1太陽歯車の歯数と前記第2太陽歯車の歯数との差は少なくとも一つであり、前記キャリアの一側に前記第1、第2、第3遊星歯車が互いに異なる位置に支持されて自転及び公転可能に構成されてnセット配置され、
前記キャリアは入力側、前記第1太陽歯車は固定側、前記第2太陽歯車は出力側にしてZ1を前記第1太陽歯車の歯数と定義し、Z2を前記第2太陽歯車の歯数と定義し、
Z1<Z2であり、(Z2-Z1)<Z1であれば、前記第2太陽歯車の出力は同方向の減速となり、
Z1>Z2であり、(Z1-Z2)<Z2であれば、前記第2太陽歯車の出力は逆方向の減速となり、
前記減速が実行される条件のうちの一つのみを満足しながら第2太陽歯車を入力側に変えて回転させれば、セルフロック(Self-Locking)機能により増速されず、増速比が0(Zero)(入力側として使用される太陽歯車自体が回転できない停止状態)となることを特徴とする、リング歯車のない減速装置のセルフロック方法。
【請求項2】
減速装置のセルフロック方法であって、
入力側として回転するキャリア、前記キャリアと同心に設けられた第1太陽歯車、前記第1太陽歯車と噛み合った第1遊星歯車、前記第1遊星歯車と噛み合った第2遊星歯車、前記第2遊星歯車と噛み合った第3遊星歯車、及び前記キャリアと同心であり、前記第1太陽歯車に並列に設けられ、前記第3遊星歯車と噛み合った第2太陽歯車を含み、
前記第1太陽歯車の歯数と前記第2太陽歯車の歯数との差は少なくとも一つであり、前記キャリアの一側に前記第1、第2、第3遊星歯車が互いに異なる位置に支持されて自転及び公転可能に構成されてnセット配置され、前記キャリアは入力側、前記第2太陽歯車は固定側、前記第1太陽歯車は出力側にしてZ1を前記第1太陽歯車の歯数と定義し、Z2を前記第2太陽歯車の歯数と定義し、
Z1>Z2であり、(Z1-Z2)<Z2であれば、前記第1太陽歯車の出力は同方向の減速となり、
Z1<Z2であり、(Z2-Z1)<Z1であれば、前記第1太陽歯車の出力は逆方向の減速となり、
前記減速が実行される条件のうちの一つのみを満足しながら第1太陽歯車を入力側に変えて回転させれば、セルフロック機能により増速されず、増速比が0(Zero)(入力側として使用される太陽歯車自体が回転できない停止状態)になることを特徴とする、リング歯車のない減速装置のセルフロック方法。
【請求項3】
減速装置であって、
入力側として回転するキャリア、前記キャリアと同心に設けられた第1太陽歯車、前記第1太陽歯車と噛み合った第1遊星歯車、前記第1遊星歯車と噛み合った第2遊星歯車、前記第2遊星歯車と噛み合った第3遊星歯車、及び前記キャリアと同心であり、前記第1太陽歯車に並列に設けられ、前記第3遊星歯車と噛み合った第2太陽歯車を含み、
前記第1太陽歯車の歯数と前記第2太陽歯車の歯数との差は少なくとも一つであり、前記キャリアの一側に前記第1、第2、第3遊星歯車が互いに異なる位置に支持されて自転及び公転可能に構成されてnセット配置され、
前記キャリアは入力側、前記第1太陽歯車は固定側、前記第2太陽歯車は出力側にしてZ1を前記第1太陽歯車の歯数と定義し、Z2を前記第2太陽歯車の歯数と定義し、
Z1<Z2であり、(Z2<Z1)<Z1であれば、前記第2太陽歯車の出力は同方向の減速となり、
Z1>Z2であり、(Z1-Z2)<Z2であれば、前記第2太陽歯車の出力は逆方向の減速となり、
前記減速が実行される条件のうちの一つのみを満足しながら第2太陽歯車を入力側に変えて回転させれば、セルフロック(Self-Locking)機能により増速されず、増速比が0(Zero)(入力側として使用される太陽歯車自体が回転できない停止状態)となることを特徴とする、リング歯車のないセルフロック機能を有する減速装置。
【請求項4】
減速装置であって、
入力側として回転するキャリア、前記キャリアと同心に設けられた第1太陽歯車、前記第1太陽歯車と噛み合った第1遊星歯車、前記第1遊星歯車と噛み合った第2遊星歯車、前記第2遊星歯車と噛み合った第3遊星歯車、及び前記キャリアと同心であり、前記第1太陽歯車に並列に設けられ、前記第3遊星歯車と噛み合った第2太陽歯車を含み、
前記第1太陽歯車の歯数と前記第2太陽歯車の歯数との差は少なくとも一つであり、前記キャリアの一側に前記第1、第2、第3遊星歯車が互いに異なる位置に支持されて自転及び公転可能に構成されてnセット配置され、
前記キャリアは入力側、前記第2太陽歯車は固定側、前記第1太陽歯車は出力側にしてZ1を前記第1太陽歯車の歯数と定義し、Z2を前記第2太陽歯車の歯数と定義し、
Z1>Z2であり、(Z1-Z2)<Z2であれば、前記第1太陽歯車の出力は同方向の減速となり、
Z1<Z2であり、(Z2-Z1)<Z1であれば、前記第1太陽歯車の出力は逆方向の減速となり、
前記減速が実行される条件のうちの一つのみを満足しながら第1太陽歯車を入力側に変えて回転させれば、セルフロック(Self-Locking)機能により増速されず、増速比が0(Zero)(入力側として使用される太陽歯車自体が回転できない停止状態)になることを特徴とする、リング歯車のないセルフロック機能を有する減速装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リング歯車のないセルフロック機能を有する減速装置及びその減速装置のセルフロック方法に関し、特に、入力側であるキャリアの一側に第1、第2、第3遊星歯車が互いに異なる位置に支持されて自転及び公転可能に構成されてnセット配置され、前記第1太陽歯車又は第2太陽歯車のうちのいずれか一方を固定させ、もう一方の太陽歯車を入力側に変えて回転させると、セルフロック(Self-Locking)機能により増速されず、増速比が0(Zero)(入力側として使用される太陽歯車自体が回転できない停止状態)になって作動が不可能になる、リング歯車のないセルフロック機能を有する減速装置及びその減速装置のセルフロック方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、駆動源であるエンジンやモータなどは、その効率上、高速で回転するので、装置によっては一定の比率で回転数を減速させることにより、適正RPMで動力の供給を受けて使用するが、このとき、使用される減速機は、一般的に多数の歯車を組み合わせて齒数の差による減速を図っている。このような減速機として遊星歯車装置が適用される。遊星歯車減速装置は、中心軸に太陽歯車が設置され、この太陽歯車と噛み合ってその周囲を公転と自転する複数個の遊星歯車が配置され、前記遊星歯車をキャリアで支持して回転をする構造であって、前記遊星歯車の外側に噛み合うリング歯車で構成される。
【0003】
また、減速機の構造では、大きな減速を図るために歯車間の連結が3段以上で行われなければならないので、大小直径の多くの歯車と多数の軸により体積と重さが大きくなり、直径差が大きいほど低段で大きい減速を実現することができるため、歯車間の直径差を大きくすることが好ましい。
【0004】
しかし、通常の遊星歯車減速装置にはリング歯車が設けられるので、製作に困難があるだけでなく、製作コストが増加するという問題があった。また、高比率の減速や低比率の減速或いは増速が必要な場合、多段で構成しなければならないため、製作コストと体積が増加するという問題がある。
【0005】
また、セルフロック(Self-Locking)機能がないため、逆転防止が必要であるか或いは重い物を引き上げて停止しなければならない状況で、別のブレーキ装置を用いて制御するので、使用状態が不便であり、制御の容易性が劣るという問題もあった。
【0006】
一方、遊星歯車を太陽歯車の周りに配置する際に、歯数に関連する制約条件として遊星歯車の個数を減らして製造コストを減らしたり遊星歯車の個数を増やしたりして強度を増加させるのに困難もある。
【0007】
このような技術の一例が下記特許文献1乃至3などに開示されている。
【0008】
例えば、下記特許文献1には、内接歯車が形成されてその軸心方向に順次遊星歯車と太陽歯車とが噛み合うハウジングと、前記ハウジングに貫入されて太陽歯車に結合される駆動軸と、前記内接歯車と並列に配置され、遊星歯車に一緒に噛み合う内接歯車よりも歯数の異なる駆動歯車に連結される出力軸と、を含んでなり、駆動軸に負荷がかかっても、遊星歯車の歯に内接歯車と駆動歯車の歯溝が一緒に噛み合っており、ハウジングに固定された内接歯車により駆動歯車がセルフロックされる減速装置について開示されている。
【0009】
また、下記特許文献2には、モータの回転軸に設置される太陽歯車と、前記太陽歯車に噛み合うように太陽歯車の周囲に配置された複数の遊星歯車と、前記遊星歯車の軸に連結されて回転するキャリアと、前記遊星歯車の外側に一定間隔離隔して固定された固定型内歯歯車、及び前記遊星歯車及びキャリアの外側に噛み合って回転する回転型内歯歯車を備える内接歯車ユニットと、前記固定型内接歯車に設けられて電源の供給及び遮断に応じて前記回転型内接歯車を回転軸の長手方向に進退させる移動手段と、を備えた減速機について開示されている。
【0010】
一方、下記特許文献3には、2個のピニオン歯車が組み合わされたキャリアを含むダブルピニオン遊星歯車にシングルピニオン遊星歯車が一体に構成されたラビニヨ型(Ravigneaux)歯車列や2つ以上のクラッチなどを用いて、エンジン出力を走行ホイールに分配することができる2種類以上のエンジン固定歯車段を実現して燃費の向上を図ることができるようにしたハイブリッド車両用動力伝達装置について開示されている。
【0011】
上述したような特許文献1に開示された技術では、高比率の減速や低比率の減速或いは増速が必要な場合、多段で構成しなければならず、歯車の歯数に制約が伴うという問題があった。
【0012】
また、前記特許文献2に開示された技術では、モータの回転力を増幅して伝達することにより、制動時の応答性を向上させることができるが、特許文献1のように歯車の歯数に制約が伴うという問題があった。
【0013】
一方、前記特許文献3に開示された技術では、シングルピニオン遊星歯車とダブルピニオン遊星歯車とを一体化させたラビニヨ型歯車列及び2つ以上のクラッチを用いるが、高比率の減速を実行することができないという問題があった。
【0014】
すなわち、上述したような従来の技術で使用された単純遊星歯車、ダブル遊星歯車、ラビニヨ遊星歯車方式は、高比率の減速が実現されず、1重で得られる減速比が最大1/11程度であり、高比率の減速が必要な場合、2重以上の結合方式にしなければならないという問題があった。また、リング歯車と遊星歯車の歯数を遊星歯車のセット数の倍数に指定して配置しなければならない製作上の制約があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述した本発明は、高比率の減速から低比率の減速まで多様な歯車速比を実現することができる減速装置において、リング歯車の要素がなくなり、外接歯車のみからなっており、製作の困難がなくなり、空間を減らして製作コストダウン効果をもたらす一方、加工の容易性により量産に適するという効果が得られる。また、セルフロック(Self-Locking)機能により逆転防止ができるため、制御が容易であって多様に活用することができるリング歯車のないセルフロック機能を有する減速装置及びその減速装置のセルフロック方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様による減速装置は、
入力側として回転するキャリア、前記キャリアと同心に設けられた第1太陽歯車、前記第1太陽歯車と噛み合った第1遊星歯車、前記第1遊星歯車と噛み合った第2遊星歯車、前記第2遊星歯車と噛み合った第3遊星歯車、及び前記キャリアと同心であり、前記第1太陽歯車に並列に設けられ、前記第3遊星歯車と噛み合った第2太陽歯車を含み、
前記第1太陽歯車の歯数と前記第2太陽歯車の歯数との差は少なくとも一つであり、前記キャリアの一側に前記第1、第2、第3遊星歯車が互いに異なる位置に支持されて自転及び公転可能に構成されてnセット配置され、
前記キャリアは入力側、前記第1太陽歯車は固定側、前記第2太陽歯車は出力側にしてZ1を前記第1太陽歯車の歯数と定義し、Z2を前記第2太陽歯車の歯数と定義し、
Z1<Z2であり、(Z2-Z1)<Z1であれば、前記第2太陽歯車の出力は同方向の減速となり、
Z1>Z2であり、(Z1-Z2)<Z2であれば、前記第2太陽歯車の出力は逆方向の減速となり、
前記減速が実行される条件のうちの一つのみを満足しながら第2太陽歯車を入力側に変えて回転させれば、セルフロック(Self-Locking)機能により増速されず、増速比が0(Zero)(入力側として使用される太陽歯車自体が回転できない停止状態)となることを特徴とする。
【0017】
本発明の他の態様による減速装置は、入力側として回転するキャリア、前記キャリアと同心に設けられた第1太陽歯車、前記第1太陽歯車と噛み合った第1遊星歯車、前記第1遊星歯車と噛み合った第2遊星歯車、前記第2遊星歯車と噛み合った第3遊星歯車、及び前記キャリアと同心であり、前記第1太陽歯車に並列に設けられ、前記第3遊星歯車と噛み合った第2太陽歯車を含み、前記第1太陽歯車の歯数と前記第2太陽歯車の歯数との差は少なくとも一つであり、前記キャリアの一側に前記第1、第2、第3遊星歯車が互いに異なる位置に支持されて自転及び公転可能に構成されてnセット配置され、前記キャリアは入力側、前記第2太陽歯車は固定側、前記第1太陽歯車は出力側にしてZ1を前記第1太陽歯車の歯数と定義し、Z2を前記第2太陽歯車の歯数と定義し、
Z1>Z2であり、(Z1-Z2)<Z2であれば、前記第1太陽歯車の出力は同方向の減速となり、Z1<Z2であり、(Z2-Z1)<Z1であれば、前記第1太陽歯車の出力は逆方向の減速となり、
前記減速が実行される条件のうちの一つのみを満足しながら第1太陽歯車を入力側に変えて回転させれば、セルフロック機能により増速されず、増速比が0(Zero)(入力側として使用される太陽歯車自体が回転できない停止状態)になることを特徴とする。
【0018】
上述した本発明による減速装置のセルフロック方法において、前記減速装置は、入力側として回転するキャリア、前記キャリアと同心に設けられた第1太陽歯車、前記第1太陽歯車と噛み合った第1遊星歯車、前記第1遊星歯車と噛み合った第2遊星歯車、前記第2遊星歯車と噛み合った第3遊星歯車、及び前記キャリアと同心であり、前記第1太陽歯車に並列に設けられ、前記第3遊星歯車と噛み合った第2太陽歯車を含み、前記第1太陽歯車の歯数と前記第2太陽歯車の歯数との差は少なくとも一つであり、前記キャリアの一側に前記第1、第2、第3遊星歯車が互いに異なる位置に支持されて自転及び公転可能に構成されてnセット配置され、前記キャリアは入力側、前記第1太陽歯車は固定側、前記第2太陽歯車は出力側にしてZ1を前記第1太陽歯車の歯数と定義し、Z2を前記第2太陽歯車の歯数と定義し、
Z1<Z2であり、(Z2<Z1)<Z1であれば、前記第2太陽歯車の出力は同方向の減速となり、
Z1>Z2であり、(Z1-Z2)<Z2であれば、前記第2太陽歯車の出力は逆方向の減速となり、
前記減速が実行される条件のうちの一つのみを満足しながら第2太陽歯車を入力側に変えて回転させれば、セルフロック(Self-Locking)機能により増速されず、増速比が0(Zero)(入力側として使用される太陽歯車自体が回転できない停止状態)となることを特徴とする。
【0019】
一方、本発明の別の態様による減速装置のセルフロック方法において、前記減速装置は、入力側として回転するキャリア、前記キャリアと同心に設けられた第1太陽歯車、前記第1太陽歯車と噛み合った第1遊星歯車、前記第1遊星歯車と噛み合った第2遊星歯車、前記第2遊星歯車と噛み合った第3遊星歯車、及び前記キャリアと同心であり、前記第1太陽歯車に並列に設けられ、前記第3遊星歯車と噛み合った第2太陽歯車を含み、前記第1太陽歯車の歯数と前記第2太陽歯車の歯数との差は少なくとも一つであり、前記キャリアの一側に前記第1、第2、第3遊星歯車が互いに異なる位置に支持されて自転及び公転可能に構成されてnセット配置され、前記キャリアは入力側、前記第2太陽歯車は固定側、前記第1太陽歯車は出力側にしてZ1を前記第1太陽歯車の歯数と定義し、Z2を前記第2太陽歯車の歯数と定義し、
Z1>Z2であり、(Z1-Z2)<Z2であれば、前記第1太陽歯車の出力は同方向の減速となり、
Z1<Z2であり、(Z2-Z1)<Z1であれば、前記第1太陽歯車の出力は逆方向の減速となり、
前記減速が実行される条件のうちの一つのみを満足しながら第1太陽歯車を入力側に変えて回転させれば、セルフロック(Self-Locking)機能により増速されず、増速比が0(Zero)(入力側として使用される太陽歯車自体が回転できない停止状態)になることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
上述したように、本発明は、高比率の減速から低比率の減速まで多様な歯車速比を実現することができる減速装置において、リング歯車の要素がなくなり、外接歯車のみからなっており、製作の困難がなくなり、空間を減らして製作コストダウン効果をもたらす一方、加工の容易性により量産に適するという効果があり、かつ、セルフロック機能により逆転防止ができるため、制御が容易であって多様に活用することができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明によるリング歯車のないセルフロック機能を有する減速装置の斜視図である。
図2】本発明の実施形態による直線形歯部を備え、nセットの遊星歯車の構成を示す斜視図である。
図3a】本発明の実施形態による第1形式歯車速比とセルフロック機能を示す断面図である。
図3b図3aによるV-V線に沿って切断して示す断面図である。
図4a】本発明の実施形態による第2形式歯車速比とセルフロック機能を示す断面図である。
図4b図4aによるI-I線に沿って切断して示す断面図である。
図5】本発明において自転及び公転回転解釈を示す例示図である
図6】本発明の技術的要旨であるセルフロック方法の原理を解釈するための例示図である。
図7】本発明の実施形態による等間隔に配置されたnセットの遊星歯車の配置を示す正面図である。
図8a】本発明の実施形態による夾角変更後のnセットの遊星歯車の配置を示す正面図である。
図8b】本発明の実施形態による夾角変更前の歯車歯の噛み合い不可能を示す正面図である。
図8c図8aによる側面を示す側面図である。
図8d図8cによるP-P線に沿って切断して示す断面図である。
図8e図8cによるW-W線に沿って切断して示す断面図である。
図8f】本発明の実施形態による夾角の位置を示す正面図である。
図9a】一般的なテコの原理を説明するための例示図である。
図9b】一般的な遊星歯車セットとリング歯車の作動を示す例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の上記及びその他の目的と新しい特徴は、本明細書の記述及び添付図面によってさらに明確になるであろう。
【0023】
以下、本発明による実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本発明にリング歯車のないセルフロック機能を有する減速装置の斜視図、図2は、本発明の実施形態による直線形歯部を備え、nセットの遊星歯車の構成を示す斜視図である。
【0025】
本発明による減速装置は、リング歯車なしに高比率から低比率まで実現される減速装置であって、図1及び図2に示すように、入力側として回転するキャリア200と、キャリア200と同心に設けられた第1太陽歯車300と、前記第1太陽歯車300と噛み合った第1遊星歯車500と、前記第1遊星歯車500と噛み合った第2遊星歯車600と、前記第2遊星歯車600と噛み合った第3遊星歯車700と、前記キャリア200と同心であり、前記第1太陽歯車300に並列に設けられ、前記第3遊星歯車700と噛み合った第2太陽歯車400と、を含む。
【0026】
前記第1太陽歯車300の歯数と第2太陽歯車400の歯数との差は少なくとも一つであり、前記キャリア200の一側に前記第1、第2、第3遊星歯車500、600、700が互いに異なる位置に支持されて自転及び公転可能に構成されてnセット配置され、前記第2遊星歯車600の歯先円は、前記第1太陽歯車300と前記第2太陽歯車400の歯先円と分離されて設けられる。一方、図2では、第1、第2、第3遊星歯車500、600、700が3セット設けられた構成を示したが、これに限定されるものではなく、2セット又は4セット以上設けられてもよい。
【0027】
本発明による減速装置では、第1形式として、前記キャリア200が入力側として機能し、前記第1太陽歯車300が固定され、前記第2太陽歯車400が出力側として機能するように設けられてもよい。また、本発明による遊星歯車装置では、第2形式として、前記キャリア200が入力側、前記第2太陽歯車400が固定され、前記第1太陽歯車300が出力側として機能するように設けられてもよい。
【0028】
また、本発明による減速装置では、前記第1、第2太陽歯車300、400と前記第1、第2、第3遊星歯車500、600、700は同一モジュールで設けてもよい。
【0029】
一方、本発明による減速装置では、前記第1、第2太陽歯車300、400と前記第1、第2、第3遊星歯車500、600、700は、インボリュート歯形(involute tooth)、サイクロイド歯形(cycloidal tooth)、直線形歯部、螺旋形歯部のうちのいずれか一つの形態で設けられることもできる。
【0030】
次に、本発明による減速装置において、歯車速比とセルフロック機能について図3及び図4を参照して説明する。
【0031】
図3aは、本発明の実施形態による第1形式歯車速比とセルフロック機能を示す断面図であり、図3bは、図3aに示されたV-V線に沿って切断して示す断面図であり、図4aは、本発明の実施形態による第2形式歯車速比とセルフロック機能を示す断面図であり、図4bは、図4aに示されたI-I線に沿って切断して示す断面図である。
【0032】
図3a、図3b及び図4a、図4bに示すように、本発明による減速装置は、キャリア200、第1太陽歯車300、第2太陽歯車400、第1遊星歯車500、第2遊星歯車600及び第3遊星歯車700を含み、前記キャリア200、前記第1太陽歯車300、前記第2太陽歯車400の入力、出力、固定の位置によって、図3に示された第1形式800と図4に示された第2形式900の歯車速比に分けられ、前記第1太陽歯車300の歯数と前記第2太陽歯車400の歯数によって方向と速度の異なる出力が出る。
【0033】
前記第1形式800の歯車速比では、図3a及び図3bに示すように、入力歯車190に連結されたキャリア200が回転すると、前記キャリア200に支持されている前記第1遊星歯車500が、固定されたハウジング101にボルト950で締結された前記第1太陽歯車300の周りに自転と公転をしながら、噛み合っている前記第2遊星歯車600を回転させ、前記第2遊星歯車600は、噛み合っている前記第3遊星歯車700を回転させ、前記第3遊星歯車700は、噛み合っている前記第2太陽歯車400を回転させることにより、前記第2太陽歯車400と共に軸103が出力回転する。一方、図3において、符号201はキャリア回転支持台である。
【0034】
このとき、前記第3遊星歯車700は、第1遊星歯車500と同じ歯数の分だけ回転するため、キャリア200が1回転するとき、第2太陽歯車400の回転数は、固定された第1太陽歯車300に対して歯数の差だけの偏差相対回転運動を行い、前記第1太陽歯車300と第2太陽歯車400との歯数の差が入力側と出力側との回転数の差になる。これが第1形式800の歯車速比である。
【0035】
図3に示された第1形式800の歯車速比を式で表すと、下記式(1-1)の通りである。
【0036】
【数1】
【0037】
(式中、R1:第1形式の歯車速比、Z1:第1太陽歯車の歯数、Z2:第2太陽歯車の歯数)
【0038】
前記第1形式800の歯車速比において、前記第2太陽歯車400の歯数が前記第1太陽歯車300の歯数よりも多く、前記第2太陽歯車の歯数400から前記第1太陽歯車300の歯数を差し引いた値が前記第1太陽歯車300の歯数よりも少ない場合、出力の方向と速度は同方向の減速となり、前記第2太陽歯車400の歯数が前記第1太陽歯車300の歯数よりも多く、前記第1太陽歯車300の歯数から前記第2太陽歯車400の歯数を差し引いた値が前記第2太陽歯車400の歯数よりも少ない場合、方向と出力の速度は逆方向の減速になる。
【0039】
上記の内容をまとめると、
Z1<Z2であり、(Z2-Z1)<Z1である場合、出力は同方向の減速
Z1>Z2であり、(Z1-Z2)<Z2である場合、出力は逆方向の減速
(ここで、Z1:第1太陽歯車の歯数、Z2:第2太陽歯車の歯数)
下記表1に示すように、例1において、前記第1太陽歯車300の歯数が49個であり、前記第2太陽歯車400の歯数が50個であるとき、歯車速比は50/(50-49)=50/1であり、前記入力キャリア200が50回転するとき、前記第2太陽歯車400の出力は1回転であって、高比率の減速比が得られ、方向と速度は同方向の減速となる。
【0040】
また、例2において、前記第1太陽歯車300の歯数が50個であり、前記第2太陽歯車400の歯数が26個であるとき、歯車速比は26/(26-50)=(-1.08333)であり、前記入力キャリア200が(-1.08333)回転するとき、前記第2太陽歯車400の出力は1回転であって、低比率の減速比が得られ、(-)は逆方向を意味するものであり、方向と速度は逆方向の減速となる。
【0041】
これを比較してみると、表1の通りである。表1は、本発明の実施形態による第1形式の高比率及び低比率を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
前記表1において、「-」符号は、入力される回転方向に対する出力が逆回転であることを意味する。前記表1から、歯車の歯数を少しだけ異ならせても、高比率の減速、低比率の減速の多様な歯車比率になることが容易に分かる。ここで、前記第2太陽歯車400を入力側に変えて回転させると、前記第2太陽歯車400と噛み合った前記第3遊星歯車700が自転し、前記第3遊星歯車700は、噛み合っている前記第2遊星歯車600を自転させ、前記第2遊星歯車600は、噛み合っている前記第1遊星歯車500を自転させ、前記第1遊星歯車500は、噛み合っている前記第1太陽歯車300を回転させる。
【0044】
この時、前記第1太陽歯車300は、固定されていて回転させることができないため、前記第1遊星歯車500は、前記第1太陽歯車300との噛み合いから脱しようとし、前記キャリア200が支持している支持点から離脱させようとする現象が発生する。
【0045】
しかし、このような現象は、前記第1遊星歯車500が前記キャリア200の支持点から離脱することができず、前記第1太陽歯車300との噛み合いから脱することができないので、固定された前記第1太陽歯車300で回転が停止し、前記第2太陽歯車400の入力側に変えて回転させることは実現できず、停止した回転0(zero)の増速不可能状態で増速比が0(zero)である逆転防止のセルフロック機能となる。
【0046】
より具体的に説明すると、前記第1又は第2太陽歯車のうちのいずれか一つを入力側に変えたとき、太陽歯車に回転入力が入っても回転できない停止状態になるのである。
【0047】
ここで、第1遊星歯車500が回転せず、前記第2太陽歯車400の入力に動力が伝達されない具体的理由を説明すると、次の通りである。
【0048】
一般遊星歯車セットの自転及び公転回転のテコの原理は、図9aの通りである。
【0049】
図9aにおいて、Fは力、Wは作用点、Aは支点、r1及びr2は距離をそれぞれ示す。3つのテコの原理の関係式は、W×r1=F×r2である。
【0050】
ここで、一般遊星歯車セットのキャリア回転は、図9bの通りである。
【0051】
図9bの一般遊星歯車セットにおいて、リング歯車を固定させ、太陽歯車を時計回りに回転させると、図9bのF点は右へ移動し、F点の移動は遊星歯車を自転(反時計回り)させるとともに、リング歯車の周りと同心に時計回りに公転しながら減速される。
【0052】
前記遊星歯車の公転は、図9bのように、遊星歯車に支持されているキャリアが回転し、前記遊星歯車の公転回転は、第2種テコの原理から探すことができ、図9bにおける遊星歯車の瞬間回転中心はA点であり、これは、第2種テコでの支点aと同じであり、図9bにおける遊星歯車のF点は第2種テコでの力点Fと同じであり、図9bにおける遊星歯車のW点は第2種テコでの作用点Wと同じである。
【0053】
力点Fが動くにつれて作用点Wが動き、作用点の連続的な動きがキャリアの回転となる。このとき、力Fを求めると、第2種テコの原理の関係式によって作用点Wが遊星歯車の中心であるため、力Fの2倍となり、少ない力Fでキャリアの公転を円滑に回転させることができるのである。
【0054】
一方、キャリアを入力側に変えて増速する場合、第3種テコの原理が適用されることで、キャリアの中心は力Fとなり、A点は支点となり、遊星歯車と太陽歯車の噛み合い部分は作用点Wとなり、作用点Wを動かす力Fは2倍となることが分かる。減速と増速の場合を比較すると、減速する場合よりも増速する場合の回転力Fが一層大きく、作用点Wが小さいことが分かる。
【0055】
一般的な減速装置における自転と公転回転の解釈を本発明に適用してみると、図5に示すように、本発明の第1太陽歯車300を固定側、第2太陽歯車400を入力側に変えて自転回転(時計回り方向)する場合、図5に示すように、第3遊星歯車700と第1遊星歯車500は反時計回りに自転回転し、第1遊星歯車500の反時計回りの自転回転は第1太陽歯車300の周りを公転回転することで、支持されたキャリア200も反時計回りに回転する。
【0056】
しかしながら、本発明の第1形式800の歯車速比の内容において、前記キャリア200は入力側、前記第1太陽歯車300は固定側、前記第2太陽歯車400は出力側にしてZ1を前記第1太陽歯車300の歯数と定義し、Z2を前記第2太陽歯車400の歯数と定義し、Z1<Z2であり、(Z2-Z1)<Z1であれば、前記第2太陽歯車の出力は同方向の減速となっているので、キャリア200の時計回りの回転は、第2太陽歯車400の時計回りの回転となる。
【0057】
本発明のセルフロックの原理解釈は、添付図面の図6に示すように、前記第2太陽歯車400が固定されている場合、第1太陽歯車300が回転するにつれて第1遊星歯車500の回転が行われようとする。第2太陽歯車400が固定されているので、第1遊星歯車500と第2太陽歯車400の噛み合い部分が瞬間回転中心Aとなり、第1遊星歯車500の接線力の方向は、瞬間回転中心Aを基準に回転する分離接線力F1、及び第2遊星歯車600と噛み合った回転接線力F2がある。
【0058】
例えば、各遊星歯車の回転数を求めると、
前記Z1を第1太陽歯車300の歯数、
前記Z2を第2太陽歯車400の歯数、
前記Z5を第1遊星歯車500の歯数、
前記Z6を第2遊星歯車600の歯数、
前記Z7を第3遊星歯車700の歯数とし、
前記キャリア200が入力側として1回転し、Z1=50個、Z2=45個、Z5=15、Z6=15、Z7=15とするとき、
前記第1遊星歯車500の回転数は1+(Z2/Z5)であって4回転、
前記第2遊星歯車600の回転数は1-(Z2/Z6)であって2回転、
前記第3遊星歯車700の回転数は1+(Z2/Z7)であって4回転、
前記第1太陽歯車300の回転数は1-(Z2/Z1)であって1/10回転である。
【0059】
ここで、前記第1太陽歯車300を反対に回転させると、
前記第1遊星歯車500の回転は40回転であって増速、
前記第2遊星歯車600の回転は(-)20回転であって増速、
前記第3遊星歯車700の回転は40回転であって増速されようとする。
【0060】
しかし、前記図6において、瞬間回転中心Aを基準に第1遊星歯車500がキャリアの支持台から離脱しようとする力F1は大きいのに対し、F2の接線力は増速により非常に小さい回転力となる。
【0061】
したがって、第1遊星歯車500は、回転できず停止し、前記キャリア200も支持点が中心から離れる離脱現象があるので、回転できず停止状態に留まるようになってセルフロック機能が行われるのである。
【0062】
前記第2形式の歯車速比は、図4a及び図4bに示すように、入力側として前記キャリア200が回転すると、前記キャリア200に支持されている前記第3遊星歯車700が固定されたハウジングカバー102にボルト950で締結された前記第2太陽歯車400の周りに自転と公転をしながら、噛み合っている前記第2遊星歯車600を回転させ、前記第2遊星歯車600は噛み合っている前記第1遊星歯車500を回転させ、前記第1遊星歯車500は噛み合っている前記第1太陽歯車300を回転させることにより、前記第1太陽歯車300と共に軸103が出力回転する。
【0063】
この時、前記第1遊星歯車500は、第3遊星歯車700と同じ歯数の分だけ回転するため、前記キャリア200が1回転するとき、前記第1太陽歯車300の回転数は、固定された前記第2太陽歯車400に対して歯数の差だけの偏差相対回転運動をするようになり、前記第1太陽歯車300と前記第2太陽歯車400の歯数の差が入力と出力の回転数の差となる。これが第2形式900の歯車速比である。
【0064】
前記第2形式900の歯車速比を式で表すと、下記式(1-2)の通りである。
【0065】
【数2】
【0066】
(ここで、R2:第2形式の歯車速比、Z1:第1太陽歯車の歯数、Z2:第2太陽歯車の歯数)
【0067】
前記第2形式900の歯車速比において、前記第1太陽歯車300の歯数が前記第2太陽歯車400の歯数よりも多く、前記第1太陽歯車の歯数300から前記第2太陽歯車400の歯数を差し引いた値が前記第2太陽歯車400の歯数よりも少ない場合、出力の方向と速度は同方向の減速となり、前記第2太陽歯車400の歯数が前記第1太陽歯車300の歯数よりも多く、前記第2太陽歯車400の歯数から前記第1太陽歯車300の歯数を差し引いた値が前記第1太陽歯車300の歯数よりも少ない場合、出力の方向と速度は逆方向の減速された前記内容をまとめると、
Z1>Z2であり、(Z1-Z2)<Z2である場合、出力は同方向の減速
Z1<Z2であり、(Z2-Z1)<Z1である場合、出力は逆方向の減速
(ここで、Z1:第1太陽歯車の歯数、Z2:第2太陽歯車の歯数)
例えば、下記表2のとおりに、例5において、前記第1太陽歯車300の歯数が100個であり、前記第2太陽歯車400の歯数が99個であるとき、歯車速比は100/(100-99)=100/1であり、入力キャリア200が100回転するとき、前記第1太陽歯車300の出力は1回転する高比率の減速比が得られ、方向と速度は同方向の減速となる。
【0068】
また、例6において前記第1太陽歯車300の歯数が51個であり、前記第2太陽歯車400の歯数が100個であるとき、歯車速比は51/(51-100)=(-1.0408)であり、入力の前記キャリア200が(-1.0408)回転するとき、前記第1太陽歯車300の出力は1回転する低比率の減速比が得られ、(-)は逆方向を意味するものであり、方向と速度は逆方向の減速となる。
【0069】
これを比較してみると、表2の通りである。表2は、本発明の実施形態による第2形式の高比率及び低比率の例示を示す
【0070】
【表2】
【0071】
前記表2において、「-」符号は、入力される回転方向に対する出力が逆回転であることを意味する。
【0072】
前記表2から、歯車の歯数を少しだけ異ならせても、高比率の減速、低比率の減速になることが容易に分かる。
【0073】
ここで、前記第1太陽歯車300を入力側に変えて回転させると、前記第1太陽歯車300と噛み合った前記第1遊星歯車500が自転するようになり、前記第1遊星歯車500は、噛み合っている前記第2遊星歯車600を自転させ、前記第2遊星歯車600は、噛み合っている前記第3遊星歯車700を自転させ、前記第3遊星歯車700は、噛み合っている前記第2太陽歯車400を回転させる。
【0074】
このとき、前記第2太陽歯車400は、固定されていて回転させることができないので、前記第3遊星歯車700は、前記第2太陽歯車400との噛み合いから脱しようとし、前記キャリア200が支持している支持点から離脱させようとする現象が発生する。
【0075】
しかし、このような現象は、前記第3遊星歯車700が前記キャリア200の支持点から離脱することができず、前記第2太陽歯車400との噛み合いから脱することができないので、固定された前記第2太陽歯車400で回転が停止し、前記第1太陽歯車300を入力側に変えて回転させることは実現できず、停止した回転0の増速不可能状態で増速比が0(zero)(入力側として使用される太陽歯車自体が回転できない停止状態)である逆転防止のセルフロック機能となる。
【0076】
より具体的に説明すれば、前記第1又は第2太陽歯車のうちのいずれか一つを入力側に変えたとき、太陽歯車に回転入力が入っても回転できない停止状態になるのである。
【0077】
ここで、前記第3遊星歯車700が回転せず、前記第1太陽歯車300の入力に動力伝達されない逆転防止のセルフロック(Self-Locking)機能は、図6に示した内容にあるので、具体的に言及せずに省略する。
【0078】
本発明による遊星歯車装置において、上述した歯車300、400、500、600、700は、中心距離を調整することができて標準歯車や転位歯車のいずれも如何なる制約条件なしに製作することができ、外接歯車のみからなっているため、通常の技術者であれば誰でも容易に製作することができることを示す。すなわち、歯車を製作するために歯車それぞれの歯数を選定し、前記第1、第2、第3遊星歯車500、600、700が幾つのセット数で等間隔に配置されるかを選定することができる。本発明による減速装置において、前記第1太陽歯車300の歯数と前記第2太陽歯車400の歯数に応じて歯車速比が決められるだけでなく、遊星歯車のセット数の等間隔配置にも相関関係があるため、第1太陽歯車300の歯数から前記第2太陽歯車400の歯数を差し引いた値を遊星歯車のセット数nの倍数に指定すると、前記第1太陽歯車300の歯数と前記第2太陽歯車400の歯数は、下記式(1-3)のように決定できる。
【0079】
【数3】
【0080】
(ここで、Z1:第1太陽歯車の歯数、Z2:第2太陽歯車の歯数、n:遊星歯車のセット数)
【0081】
一般的に、前記遊星歯車をn(1、2、3、4、5)セット数で等間隔に配置するためには、前記第1太陽歯車300の歯数Z1を任意の値に定め、遊星歯車のセット数がnの倍数となるようにし、目標歯車比の近似値を探索して選定すれば、式(1-3)によって前記第2太陽歯車400の歯数Z2が決定され、前記第1、第2、第3遊星歯車500、600、700の歯数は、セット同士が重なり合わないように同一の歯数に自由選定すればよい。
【0082】
例えば、図7に示した実施形態のように、遊星歯車のセット数をn=3とし、前記第1太陽歯車300の歯数を50個に任意に定めて前記第2太陽歯車400の歯数を選定すると、前記式(1-3)により、nは正の倍数として3、6、9、12があり、負の倍数としては-3、-6、-9、-12などがある。図7は、本発明の実施形態による等間隔に配置されたnセットの遊星歯車の配置を示す正面図である。
【0083】
したがって、前記第2太陽歯車400の歯数を正の倍数を基準に選定すれば、53、56、59、62などがあり、負の倍数を基準に選定すれば、47、44、41、38などがある。この中から、目標歯車比の近似値に合う歯数を選定すればよい。
【0084】
図7に示したような実施形態では、第2太陽歯車400の歯数を41個に選定し、第1セットの第1、第2、第3遊星歯車500、600、700の歯数をそれぞれ15、15、21個に任意選定し、第2セットの第1、第2、第3遊星歯車500、600、700の歯数も前記第1セットの遊星歯車500、600、700の歯数と同じでなければならないので、それぞれ15、15、21個に選定し、第3セットの第1、第2、第3遊星歯車500、600、700の歯数もそれぞれ15、15、21個にすればよい。ここで、遊星歯車の歯数は12、13、14、15、・・・、20、21、・・・、32、33などのように任意の歯数を自由に選定すれば良いが、歯車歯の重畳や実施形態で示していない部分での他部品との噛み合い問題なく製作しなければならないのは、同分野における通常の技術者であれば誰でも容易に分かる内容であるため、具体的に言及せずに省略する。
【0085】
さらに、例えば、前記第1、第2、第3遊星歯車500、600、700のセット数をn=5とし、前記第2太陽歯車400の歯数は51個と任意に定め、前記第1太陽歯車300の歯数を選定すれば、前記式(1-3)によってセット数5の正の倍数は5、10、15などであり、負の倍数は-5、-10、-15などであるので、正の倍数を適用して前記第1太陽歯車300の歯数を選定すれば、56、61、66、・・・などとなり、負の倍数を適用して前記第1太陽歯車300の歯数を選定すれば、46、41、36、・・・などになって、この中から目標歯車比の近似値に合う歯数を選定すれば良い。ここでも、遊星歯車の歯数は、上述した内容のように自由に選定すればよい。
【0086】
次に、遊星歯車のセット数による歯車歯の噛み合いについて図8を参照して説明する。
【0087】
図8aは、本発明の実施形態による夾角変更後のnセットの遊星歯車の配置を示す正面図であり、図8bは、本発明の実施形態による夾角変更前の歯車歯の噛み合い不可能を示す正面図であり、図8cは、図8aによる側面を示す側面図であり、図8dは、図8cによるW-W線に沿って切断して示す断面図であり、図8fは、本発明の実施形態による夾角の位置を示す正面図である。また、図8において、Aは歯車歯の噛み合い正常位置を示し、Bは歯車歯の噛み合い不可能位置を示し、Cは歯車歯の噛み合い不可能位置を示す。
【0088】
図8aに示されている実施形態では、前記第1太陽歯車300の歯数50個、前記第2太陽歯車400の歯数49個、遊星歯車のセット数n=3であることを示しており、歯車同士の間に正確な歯車歯の噛み合いを示している。
【0089】
前記第1太陽歯車300と前記第2太陽歯車400との歯数の差が1つであるので、前記式(1-3)によって1セットの遊星歯車が配置されなければならないが、図8b乃至図8fに示すように、3セットを等間隔で配置すると、図8bに示すように、第1セットのA位置のみ歯車歯の噛み合いに問題がなく、第2セットのB位置と第3セットのC位置は歯車歯の噛み合いが不可能であって組み立てることができないという問題が発生する。
【0090】
また、上述のように太陽歯車の歯数の差が1つである場合、歯車速比が最大になるにも拘らず、1セットのみの遊星歯車を配置した場合、低速をすれば問題ないが、高速回転をすれば、過度な振動が発生しかつ耐久性が低下して問題が発生するしかない。
【0091】
したがって、かかる問題を解決するために、図8fに示した実施形態のように、前記キャリア200において歯車の中心と中心とを連結した直線の「夾角変更」を用いて、前記式(1-3)の条件と関係ない遊星歯車のセット数をn個に決定することを含んで説明する
【0092】
まず、「夾角変更」は、図8fに示すように、前記キャリア200において第1セット位置又は第2セット位置又は第3セット位置で歯車の中心と中心とを連結した直線同士の間に挟まっている角度を変更することであり、前記第1セット位置の第2遊星歯車600を基準として例を挙げると、第1遊星歯車500の中心から第2遊星歯車の中心まで連結した直線と、前記第3遊星歯車の中心から前記第2遊星歯車の中心まで連結した直線との間に挟まれている角度A03を変更することである。
【0093】
図8fに示すように、「夾角」は、前記第1セット位置でA01、A02、A03、A04の4箇所があり、前記第2セット位置でもB01、B02、B03、B04の4箇所があり、前記第3セット位置でもC01、C02、C03の4箇所がある。図8fにおいて、A01は、第1セット位置の第3遊星歯車の中心からキャリアの中心まで連結した直線と、第1遊星歯車の中心からキャリアの中心まで連結した直線との夾角を示し、A02は、第1セット位置のキャリアの中心から第1遊星歯車の中心まで連結した直線と、第1遊星歯車の中心からキャリアの中心まで連結した直線との夾角を示し、A03は、第1セット位置の第1遊星歯車の中心から第2遊星歯車の中心まで連結した直線と、第3遊星歯車の中心から第2遊星歯車の中心まで連結した直線との夾角を示し、A4は、第1セット位置のキャリアの中心から第3遊星歯車の中心まで連結した直線と、第2遊星歯車の中心から第3遊星歯車の中心まで連結した直線との夾角を示す。
【0094】
また、B01は、第2セット位置の第3遊星歯車の中心からキャリアの中心まで連結した直線と、第1遊星歯車の中心からキャリアの中心まで連結した直線との夾角を示し、B02は、第2セット位置のキャリアの中心から第1遊星歯車の中心まで連結した直線と、第1遊星歯車の中心からキャリアの中心まで連結した直線との夾角を示し、B03は、第2セット位置の第1遊星歯車の中心から第2遊星歯車の中心まで連結した直線と、第3遊星歯車の中心から第2遊星歯車の中心まで連結した直線との夾角を示し、B04は、第2セット位置のキャリアの中心から第3遊星歯車の中心まで連結した直線と、第2遊星歯車の中心から第3遊星歯車の中心まで連結した直線との夾角を示す。
【0095】
また、C01は、第3セット位置の第3遊星歯車の中心からキャリアの中心まで連結した直線と、第1遊星歯車の中心からキャリアの中心まで連結した直線との夾角を示し、C02は、第3セット位置のキャリアの中心から第1遊星歯車中心まで連結した直線と、第1遊星歯車の中心からキャリアの中心まで連結した直線との夾角を示し、C03は、第3セット位置の第1遊星歯車の中心から第2遊星歯車の中心まで連結した直線と、第3遊星歯車の中心から第2遊星歯車の中心まで連結した直線との夾角を示し、C04は、第3セット位置のキャリアの中心から第3遊星歯車の中心まで連結した直線と、第2遊星歯車の中心から第3遊星歯車の中心まで連結した直線との夾角を示す。
【0096】
これらのセット位置のうち、歯車歯の噛み合いが不可能なセットでは、4箇所の夾角のうちの1箇所を変更すれば、歯車歯の噛み合い不可能の問題を解決することができる。また、前記式(1-3)の前記第1太陽歯車300と前記第2太陽歯車400の歯数を問わず、遊星歯車のセット数を増加又は減少させることもできる。
【0097】
例えば、図8bで示した実施形態のように歯車歯の噛み合い不可能部分は、第2セット位置のB部分と第3セット位置のC部分であるので、前記第2セット位置のB部分は、図8fにおける第2セット位置のB01又はB02又はB03又はB04の夾角のうちの1箇所を変更すればよく、図8bにおける第3セット位置のC部分は、図8fにおける第3セット位置のC01又はC02又はC03又はC04の夾角のうちの1箇所を変更すればよい。
【0098】
前記第3セット位置のC部分としてより具体的に例を挙げると、前記キャリア200が支持している第3セット位置にある前記第2遊星歯車600の中心を前記キャリア200の中心の反対方向に移動すると、前記第1遊星歯車500の中心から前記第2遊星歯車600の中心まで連結した直線と、前記第3遊星歯車700の中心から前記第2遊星歯車600の中心まで連結した直線との間に挟まれた夾角(C03)が変更されながら、前記第2遊星歯車600が前記第1遊星歯車500の周りを回転し、噛み合っている第3遊星歯車700も回転させて、歯車歯の噛み合いが不可能であった歯厚(thickness of tooth)部分だけ回転、移動することにより、相手歯車の歯溝(tooth space)に合うように噛み合うのである。
【0099】
前記「夾角変更」において遊星歯車のセット数がn個であれば、噛み合いが正確に行われている1個を除いた残りのセット個数において歯車歯の干渉発生部分のみ変更し、前記「夾角変更」が必要な部分は、最大n-1個になる。ここで、前記第1、第2、第3セット位置で夾角はそれぞれ4箇所ずつ形成されており、各前記セットごとに4箇所の夾角のうち1箇所のみ変更すればよいと上記の説明で言及したことがある。
【0100】
これは、「三角関数」と「第二余弦定理」によって1箇所の夾角が決まったり変更されたりすると、残りの夾角は自動的に決まったり変更されたりするためである。
【0101】
図8b及び図8eに示されている実施形態では、B部分とC部分における歯車歯の噛み合い不可能部分は、図8fにおいてB02とC02との夾角を変更して歯車歯の噛み合いの干渉問題を解決し、前記B02の夾角は、変更前97度から変更後95.4度に、前記C02の夾角は、変更前97度から変更後98.6度に変更して「夾角変更」によって歯車歯の噛み合い不可能の問題を解決し、遊星歯車のセット数を増加又は減少させることができることを確認することができる。
【0102】
前記実施形態として、前記B02と前記C02との夾角変更だけでなく、前記夾角変更前の97度、夾角変更後の98.6度と95.4度は実施形態の値に限定された値ではなく、太陽歯車の歯数と遊星歯車のセット数の増減、遊星歯車の位置変更に応じて変わる値であるため、実施形態に限定されない。
【0103】
本発明の技術を要約すれば、リング歯車なしに高比率から低比率まで実現されるセルフロック(Self-Locking)機能の減速装置であって、入力側として回転するキャリア、前記キャリアと同心に設けられた第1太陽歯車、前記第1太陽歯車と噛み合った第1遊星歯車、前記第1遊星歯車と噛み合った第2遊星歯車、前記第2遊星歯車と噛み合った第3遊星歯車、及び前記キャリアと同心であり、前記第1太陽歯車に並列に設けられ、前記第3遊星歯車と噛み合った第2太陽歯車を含み、前記第1太陽歯車の歯数と前記第2太陽歯車の歯数との差は少なくとも一つであり、前記キャリアの一側に前記第1、第2、第3遊星歯車が互いに異なる位置に支持されて自転及び公転可能に構成されてnセット配置され、前記第1太陽歯車又は第2太陽歯車のうちのいずれか一つを固定させ、残りの一つの太陽歯車を入力側に変えると、セルフロック(Self-Locking)機能により増速されず、増速比が0(Zero)になる。
【0104】
前記セルフロック機能の実現は、前記キャリアは入力側、前記第1太陽歯車は固定側、前記第2太陽歯車は出力側にしてZ1を前記第1太陽歯車の歯数と定義し、Z2を前記第2太陽歯車の歯数と定義し、
Z1<Z2であり、(Z2-Z1)<Z1であれば、前記第2太陽歯車の出力は同方向の減速であり、
Z1>Z2であり、(Z1-Z2)<Z2であれば、前記第2太陽歯車の出力は逆方向の減速であり、
前記減速が実行される条件のうちの一つのみを満足しながら、第2太陽歯車を入力側に変えて回転すると、セルフロック(Self-Locking)機能により増速されず、増速比が0(Zero)になる。
【0105】
また、前記キャリアは入力側、前記第2太陽歯車は固定側、前記第1太陽歯車は出力側にしてZ1を前記第1太陽歯車の歯数と定義し、Z2を前記第2太陽歯車の歯数と定義し、
Z1>Z2であり、(Z1-Z2)<Z2であれば、前記第1太陽歯車の出力は同方向の減速であり、
Z1<Z2であり、(Z2-Z1)<Z1であれば、前記第1太陽歯車の出力は逆方向の減速であり、
前記減速が実行される条件のうちの一つのみを満足しながら、第1太陽歯車を入力側に変えて回転すれば、セルフロック(Self-Locking)機能により増速されず、増速比が0(Zero)になる。
【0106】
したがって、本発明の減速が行われる構造の減速機において出力側を入力側に変更して使用すれば、セルフロック機能により増速されず、増速比が0(Zero)になる、すなわち作動不可能な装置となる。
【0107】
上述したように、本発明は、高比率の減速から低比率の減速まで様々な歯車速比を実現することができる減速装置において、リング歯車の要素が無くなり、外接歯車のみからなっており、製作の困難さがなくなり、空間を減らして製作コストダウン効果をもたらす一方、加工の容易性により量産に適するという効果が得られる。また、セルフロック機能により逆転防止ができるため、制御が容易であって多様に活用することができるという利点が得られる。
【0108】
以上のように、本発明は、リング歯車なしに高比率から低比率まで実現されるセルフロック機能の減速装置を提供することを基本的な技術的思想としていることが分かり、このような本発明の基本的な思想の範疇内で当業分野における通常の知識を有する者であれば他の多くの変形が可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0109】
101 固定ハウジング
102 固定ハウジングカバー
150 軸受
200 キャリア
201 キャリア回転支持台
300 第1太陽歯車
400 第2太陽歯車
500 第1遊星歯車
600 第2遊星歯車
700 第3遊星歯車
800 第1形式歯車速比
900 第2形式歯車速比
950 ボルト
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図8f
図9a
図9b
【国際調査報告】