(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】歯間クリーナ
(51)【国際特許分類】
A61C 15/02 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
A61C15/02 502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569832
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2022063704
(87)【国際公開番号】W WO2022243505
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】102021113332.7
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518375339
【氏名又は名称】サンスター スイス エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ブッツ,ユルゲン
(57)【要約】
第1のプラスチック製の棒状支持体を備えた歯間クリーナであって、その棒状支持体の後方端部領域には把持部があり、反対側の前方端部領域は軟質可撓性の第2のプラスチック製の被覆を支持している。被覆の外側には放射状に突き出た複数の指状突起部が配置されており、これら指状突起部の基部は被覆と一体的に結合されている。これらの指状突起部の少なくとも幾つか、好適にはほゞ全ての指状突起部の細長さSが3.0である。ここで、細長さSは、指状突起部の軸方向長さlと基部におけるその最大直径dの商(S=l/d)として与えられる。この場合、前方領域VBにおける少なくとも幾つかの指状突起部の細長さ(前方の細長さ)が被覆の後方領域HBにおける少なくとも幾つかの指状突起部の細長さ(後方の細長さ)よりも小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のプラスチック製の棒状支持体(11)を備えた歯間クリーナ(10)であって、後方端部領域に把持部(12)を有するとともに、反対側の前方端部領域に軟質可撓性の第2のプラスチック製の被覆(13)を有しており、
前記被覆(13)の外側には放射状に突き出た複数の指状突起部(14)が配置されており、前記指状突起部(14)の基部が前記被覆(13)と一体的に結合されており、
前記被覆(13)が、0.5mm~2.0mmの範囲、好ましくは1.0mm~1.5mmの範囲の長さの先端領域(SB)を前記把持部(12)とは反対側の前方端部に有し、さらに機能領域(FB)を有し、前記機能領域(FB)が前記先端領域(SB)の前記把持部(12)側に隣接し、前記把持部(14)に最も近い後方の指状突起部(14.1)まで延在しており、
前記機能領域(FB)が、前記先端領域(SB)に直接隣接し1.0mm~2.5mmの範囲、特に1.5mm~2.0mmの範囲の長さを有する前方領域(VB)と、前記後方の指状突起部(14.1)から前方に向かって延在し1.0mm~2.5mmの範囲、特に1.5mm~2.0mmの範囲の長さを有する後方領域(HB)と、前記前方領域(VB)と前記後方領域(HB)との間に配置された中間領域(MB)と、に分けられており、
前記前方領域(VB)において、前記指状突起部(14)の少なくとも1つ、又は、全ての指状突起部(14)の少なくとも50%、又は、全ての指状突起部(14)の少なくとも80%、又は、全ての指状突起部(14)が、前方細長さS
vが少なくとも3.0であるように構成されており、
前記後方領域(HB)において、指状突起部(14)の少なくとも1つ、又は、全ての指状突起部(14)の少なくとも50%、又は、全ての指状突起部(14)の少なくとも80%、又は、全ての指状突起部(14)が、後方細長さS
Hが少なくとも3.0であるように構成されており、
前記細長さS
iが、前記指状突起部(14)の前記軸方向長さlと前記基部における最大直径(d)の商(S
i=l/d)として定義されている、
歯間クリーナ(10)において、
前記被覆(13)の前記前方領域(VB)に配置された複数の指状突起部(14)のうちの少なくとも1つの前方細長さ(S
V)、又は、全ての指状突起部(14)の少なくとも50%の前方細長さ(S
V)、又は、全ての指状突起部(14)の少なくとも80%の前方細長さ(S
V)、又は、全ての指状突起部(14)の前方細長さ(S
V)が、前記被覆(13)の前記後方領域(HB)に配置された複数の指状突起部(14)のうちの少なくとも1つの後方細長さ(S
H)よりも、又は、全ての指状突起部(14)の少なくとも50%の後方細長さ(S
H)よりも、又は、全ての指状突起部(14)の少なくとも80%の後方細長さ(S
H)よりも、又は、全ての指状突起部(14)の後方細長さ(S
H)よりも小さい、
ことを特徴とする歯間クリーナ(10)。
【請求項2】
前記前方細長さ(S
V)が前記後方細長さ(S
H)よりも3%~15%小さいことを特徴とする請求項1に記載の歯間クリーナ。
【請求項3】
前記前方細長さ(S
V)が前記後方細長さ(S
H)よりも5%~10%小さいことを特徴とする請求項2に記載の歯間クリーナ。
【請求項4】
前記前方細長さ(S
V)が3.0~5.0の範囲にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の歯間クリーナ。
【請求項5】
前記前方細長さ(S
V)が3.5~4.7の範囲にあることを特徴とする請求項4に記載の歯間クリーナ。
【請求項6】
前記後方細長さ(S
H)が3.5~5.5の範囲にあることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の歯間クリーナ。
【請求項7】
前記後方細長さ(S
H)が3.9~5.1の範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の歯間クリーナ。
【請求項8】
前記被覆(13)の前記前方領域(VB)に配置された前記指状突起部(14)の前記基部における最大直径(d
V)が、前記被覆(13)の前記後方領域(HB)に配置された前記指状突起部(14)の前記基部における最大直径(d
H)よりも5%~15%小さいことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の歯間クリーナ。
【請求項9】
前記被覆(13)の前記前方領域(VB)に配置された前記指状突起部(14)の軸方向長さ(l
V)が、前記被覆(13)の前記後方領域(HB)に配置された前記指状突起部(14)の軸方向長さ(l
H)よりも5%~15%短いことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の歯間クリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のプラスチック製の棒状支持体を備えた歯間クリーナに関し、その棒状支持体は後方端部領域に把持部を有し、反対側の前方端部領域で軟質可撓性の第2のプラスチック製の被覆を支持しており、この被覆の外側には放射状に突き出た複数の指状突起部が配置されており、これら指状突起部の基部は被覆と一体的に結合されている。
【0002】
歯間をクリーニングするためにプラスチック製の歯間クリーナが使用され、これらの歯間クリーナは第1のプラスチック製の棒状支持体を有し、この棒状支持体はその後方端部に一般的にはプレート状の一体形成された把持部を有している。この支持体の前方端部には軟質可撓性の第2のプラスチック製の、例えば熱可塑性のエラストマーまたはシリコン製のスリーブ状の被覆がスプレーコーティングされている。クリーニング効果を向上させるために、この被覆の外側には放射状に突き出た、又は少なくとも放射状のコンポーネントを有する、複数の指状突起部が設けられており、これらの指状突起部は被覆と同じ材料からなり、この被覆と一体的に形成され、結合されている。これらの指状突起部は、一方では、歯間クリーナの使用時に切れたり折れたりしないように十分に安定でなければならない。他方、これらの指状突起部は非常に狭い間隙または歯間に押し入ることができ、それらを清浄にするために、容易に変形可能でなければならない。
【0003】
指状突起部ができるだけ細長いと、歯間クリーナのクリーニング効果が改善できることが分かっている。特許文献1は、比較的細長い指状突起部を有する上述のタイプの歯間クリーナを記載し、ここで、細長さSは、指状突起部の軸方向長さlと基部におけるその最大直径の商(S=l/d)で与えられる。しかし、歯間クリーナのクリーニング効果はクリーニングすべき歯間における幾何学的状態に拠るので、予め定められた細長さの指状突起部を有する歯間クリーナが全ての使用者にとって必ずしも良好なクリーニング結果に繋がるとは云えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102018008963A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、指状突起部のクリーニング効果が改善された上述のタイプの歯間クリーナを提供することにある。
【0006】
この課題は、本発明により請求項1に記載の特徴を有する歯間クリーナによって解決される。本発明の基本的な考え方は、歯間クリーニングの指状突起部の細長さが、定義された異なる領域において互いに異なることである。これについて、先ず、いくつかの定義について説明する:
【0007】
被覆は、把持部とは反対側の歯間クリーナの前方端部に、0.5mm~2.0mmの範囲、好ましくは1.0mm~1.5mmの範囲の長さの先端領域SBを有している。好適には、先端領域SBの長さは1.5mmである。多くの歯間クリーナでは先端領域SBに異なる幾何学的デザインの指状突起部、特に切り株形状の指状突起部が設けられているので、指状突起部のこのような細長さを考慮すると、この先端領域SBは無視することができる。
【0008】
この被覆はさらに機能領域FBを有し、この機能領域は先端領域SBの把持部側に隣接し、把持部に最も近い後方の指状突起部まで延在している。この機能領域FBは、先端領域SBに直接隣接し1.0mm~2.5mmの範囲、特に1.5mm~2.0mmの範囲の長さを有する前方領域VBと、後方の指状突起部から前方に向かって延在し1.0mm~2.5mmの範囲、特に1.5mm~2.0mmの範囲の長さを有する後方領域HBと、前方領域VBと後方領域HBとの間に配置された中間領域MBとに分けられている。これらの指状突起部の細長さを比較するためには、前方領域VBと後方領域HBを考察し互いに比較するのが有効である。好ましくは、前方領域VB及び/又は後方領域HBの長さは2.0mmである。
【0009】
指状突起部の柔軟性と安定性の両方が本質的にその細長さに依存することが分かっている。この被覆及びこれらの指状突起部は、1つの射出成形金型内で1つの共通の射出成形ステップで製造され、射出成形プロセスの後に指状突起部を容易に型から離すことができるようにするために、放射状に外側に向かって、すなわち指状突起部の先端に向かって、先細りの形状、特に円錐の形状、を有する。使用者の歯肉の損傷を避けるために、これら指状突起部の放射状の外側端部は一般に丸められている。
【0010】
通常、これら指状突起部の形状はそれぞれ円錐形であるが、他の断面形状を有する錐体、例えば楕円錐、長方錐または方錐(ピラミッド)、または、多角錐すなわちn角錐(n-Ecke-Kegel)も可能である。以下では、例として円錐を用いるが、本発明はそれに限定されない。
【0011】
細長さSは、指状突起部の軸方向長さlと基部におけるその最大直径dの商(S=l/d)として定義されている。最大直径dを決定するための基準となる指状突起部の横断面は、まだ完全に指状突起部の内部にある、すなわち被覆の中に入り込んでいない横断面である。指状突起部の長手方向中心軸線Lが被覆の表面に対して垂直な場合には、
図3に示すように、直径dを決定するための基準となる指状突起部の横断面は、指状突起部の被覆表面に面した横断面である。そして、指状突起部の軸方向長さlは、前記基準横断面から指状突起部の放射方向外側端部までの離間距離から得られる。
【0012】
指状突起部の長手方向中心軸線Lが被覆の表面に対して垂直ではない場合には、最大直径dの基準となる横断面は、完全に指状突起部の内部に存在する横断面である(
図4参照)。そして、指状突起部の軸方向長さlは、前記基準横断面から指状突起部の先端までの距離から得られる。
【0013】
指状突起部が丸みを帯びた部分を介して被覆に移行する場合には、最大直径dを決定するための基準横断面は、
図5に示すように、下部の、被覆に向かい合った指状突起部の純円錐形状の横断面であり、すなわち、丸みを帯びた移行部横断面は考慮されない。ここでも、指状突起部の軸方向長さlは、前記基準横断面から指状突起部の放射状の先端までの距離から得られる。
【0014】
指状突起部の形状が円錐形の場合には、指状突起部の基部における基準横断面も円形であり、直径dはこの円の任意の箇所の直径から得られる(
図6a参照)。
【0015】
指状突起部の形状が楕円錐の場合には、基準直径dは楕円の長軸上の直径である(
図6b参照)。
【0016】
指状突起部の横断面が正方形、長方形、または、好ましくは等多角形の場合には、基準直径dは2つの対向する頂点の最大距離から得られる(
図6c参照)。
【0017】
本発明の基本的な考えによれば、前方領域VBに1つ又は複数の指状突起部が設けられ、これらの指状突起部の細長さ(前方細長さ、vordere Schlankheit Sv)は、後方領域HBにおける1つ又は複数の指状突起部の細長さ(後方細長さ、hintere Schlankheit SH)よりも小さい。
【0018】
基本的に、前方領域VBにおいて、指状突起部の少なくとも1つ、又は、そこにある全ての指状突起部の少なくとも50%、又は、そこにある全ての指状突起部の少なくとも80%、又は、それどころかそこにある全ての指状突起部、の前方細長さSvが少なくとも3.0であるように構成されている。
【0019】
後方領域HBについても、後方領域HBにおいて、指状突起部の少なくとも1つ、又は、そこにある全ての指状突起部の少なくとも50%、又は、そこにある全ての指状突起部の少なくとも80%、又は、それどころかそこにある全ての指状突起部、の後方細長さSHが少なくとも3.0であるように構成されている。
【0020】
前方領域VBと後方領域HBとでの指状突起部の細長さの相違は、被覆の前方領域VBに配置された指状突起部のうちの少なくとも1つの前方細長さSV、又は、そこにある全ての指状突起部の少なくとも50%の前方細長さSV、又は、そこにある全ての指状突起部の少なくとも80%の前方細長さSV、又は、そこにある全ての指状突起部の前方細長さSVが、被覆の後方領域HBに配置された指状突起部のうちの少なくとも1つの後方細長さSHよりも、又は、そこにある全ての指状突起部の少なくとも50%の後方細長さSHよりも、又は、そこにある全ての指状突起部の少なくとも80%の後方細長さSHよりも、又は、そこにある全ての指状突起部の後方細長さSHよりも小さいことである。
【0021】
前方細長さSVが後方細長さSHよりも3%~15%、特に5%~10%小さいと好適である。
【0022】
本発明の好適な実施形態では、前方細長さSVが3.0~5.0の範囲にあり、特に3.5~4.7の範囲にあるように構成することができる。
【0023】
これに代えて、又は、これに加えて、後方細長さSHが3.5~5.5の範囲、特に3.9~5.1の範囲にあるように構成することができる。
【0024】
本発明の発展形態では、被覆の前方領域VBに配置された指状突起部の基部における最大直径が、被覆の後方領域HBに配置された指状突起部の基部における最大直径dHよりも5%~15%小さいように構成することができる。
【0025】
これに加えて、又は、これに代えて、被覆の前方領域VBに配置された指状突起部の軸方向長さlVが、被覆の後方領域HBに配置された指状突起部の軸方向長さlHよりも5%~15%短いように構成することができる。
【0026】
この歯間クリーナは、上述の細長さを備えた指状突起部に加えて、異なる形状及び/又は細長さを備えた指状突起部を有することも可能である。
【0027】
本発明のさらなる詳細および特徴は、実施例の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】被覆と複数の指状突起部とを備えた歯間クリーナの前方領域を通る縦方向断面の模式図
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に示す歯間クリーナ10は形状安定性の第1のプラスチック製の棒状支持体11を有し、この支持体の後部、
図1では右側端部、には一体に形成されたプレート状の把持部12があり、ここで使用者が歯間クリーナ10を把持することができる。
【0030】
その反対側の前方端部領域では、支持体11は軟質可撓性の第2のプラスチック材料、例えば、熱可塑性のエラストマーまたはシリコン、で作られたスリーブ状の被覆13を支持している。被覆13の外面には放射状に外側に突き出た複数の指状突起部14が一体に形成されており、これらの指状突起部は被覆13と同じ材料で作られ、この被覆とモノリシックに結合されている。指状突起部14の形状は錐体、好ましくは円錐であり、この錐体は放射状に外方に向かって先細りの横断面を有し、それらの放射状の外側端部は丸められている。
【0031】
図2は、支持体11の前方領域、被覆13、及び、指状突起部14を通る模式的な縦断面を示す。被覆13は、0.5mm~2.0mmの範囲、好ましくは1.0mm~1.5mmの範囲の長さを有する前方の先端領域SBと、先端領域SBの把持部12側に隣接し把持部14に最も近い後方の指状突起部14.1まで延在している機能領域FBとに分けられている。機能領域FBは、先端領域SBに直接隣接し1.0mm~2.5mmの範囲、特に1.5mm~2.0mmの範囲の長さを有する前方領域VBと、後方の指状突起部14.1から前方に向かって延在し1.0mm~2.5mmの範囲、特に1.5mm~2.0mmの範囲の長さを有する後方領域HBと、前方領域VBと後方領域HBとの間に配置された中間領域MBとに分けられている。
【0032】
指状突起部14の細長さSは、指状突起部14の軸方向長さlと基部におけるその最大直径dの商(S=l/d)として定義されている。最大直径dを決定するための基準となる指状突起部14の横断面は、まだ完全に指状突起部14の内部にある、すなわち被覆13内に入り込んでいない、横断面である。指状突起部14の長手方向中心軸線Lが被覆13の表面に対して垂直な場合には、
図3に示すように、直径dを決定するための基準となる指状突起部14の横断面は、指状突起部14の被覆13の表面に面した横断面である。そして、指状突起部14の軸方向長さlは、前記基準横断面から指状突起部14の放射方向外側端部までの離間距離から得られる。
【0033】
指状突起部14の長手方向中心軸線Lが被覆の表面に対して垂直ではない場合には、最大直径dの基準となる横断面は、完全に指状突起部14の内部に存在する横断面である(
図4参照)。そして、指状突起部14の軸方向長さlは、前記基準横断面から指状突起部14の先端までの距離から得られる。
【0034】
指状突起部14が丸みを帯びた部分14aを介して被覆13に移行する場合には、最大直径dを決定するための基準横断面は、
図5に示すように、下部の、被覆13に向かい合った指状突起部14の純円錐形状の横断面であり、すなわち、丸みを帯びた移行部横断面は考慮されない。ここでも、指状突起部14の軸方向長さlは、前記基準横断面から指状突起部14の放射状の先端までの距離から得られる。
【0035】
指状突起部14の形状が円錐形の場合には、指状突起部14の基部における基準横断面も円形であり、
図6aに示すように、直径dはこの円の任意の箇所の直径から得られる。
【0036】
指状突起部14の形状が楕円錐の場合には、
図6bに示すように、基準直径dは楕円の長軸上の直径である。
【0037】
指状突起部の横断面が正方形、長方形、または、好ましくは等多角形の場合には、基準直径dは、
図6cに示すように、2つの対向する頂点の最大距離から得られる。
【0038】
本発明の基本的な考えによれば、前方領域VBに1つ又は複数の指状突起部14が設けられ、これらの指状突起部の細長さ(前方細長さ、vordere Schlankheit Sv)は、後方領域HBにおける1つ又は複数の指状突起部の細長さ(後方細長さ、hintere Schlankheit SH)よりも小さい。
【0039】
基本的に、前方領域VBにおいて、複数の指状突起部14の少なくとも1つ、又は、そこにある全ての指状突起部14の少なくとも50%、又は、そこにある全ての指状突起部14の少なくとも80%、又は、それどころか全ての指状突起部14、の前方細長さSvが少なくとも3.0であるように構成されている。
【0040】
後方領域HBについても、後方領域HBにおいて、複数の指状突起部14の少なくとも1つ、又は、そこにある全ての指状突起部14の少なくとも50%、又は、そこにある全ての指状突起部14の少なくとも80%、又は、それどころかそこにある全ての指状突起部14、の後方細長さSHが少なくとも3.0であるように構成されている。
【0041】
前方領域VBと後方領域HBとでの指状突起部14の細長さの相違は、被覆13の前方領域VBに配置された複数の指状突起部14のうちの少なくとも1つの前方細長さSV、又は、そこにある全ての指状突起部14の少なくとも50%の前方細長さSV、又は、そこにある全ての指状突起部14の少なくとも80%の前方細長さSV、又は、そこにある全ての指状突起部14の前方細長さSVが、被覆13の後方領域HBに配置された複数の指状突起部14のうちの少なくとも1つの後方細長さSHよりも、又は、そこにある全ての指状突起部14の少なくとも50%の後方細長さSHよりも、又は、そこにある全ての指状突起部14の少なくとも80%の後方細長さSHよりも、又は、そこにある全ての指状突起部14の後方細長さSHよりも小さいことである。
【0042】
前方細長さSVが後方細長さSHよりも3%~15%、特に5%~10%小さいと好適である。
【0043】
本発明の好適な実施形態では、前方細長さSVが3.0~5.0の範囲にあり、特に3.5~4.7の範囲にあるように構成することができる。
【0044】
これに代えて、又は、これに加えて、後方細長さSHが3.5~5.5の範囲、特に3.9~5.1の範囲にあるように構成することができる。
【国際調査報告】