(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】表面微細構造を作製する方法
(51)【国際特許分類】
B29C 59/16 20060101AFI20240514BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20240514BHJP
G02F 1/1337 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B29C59/16
G02B5/02 A
G02F1/1337
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569871
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2022061472
(87)【国際公開番号】W WO2022238146
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518163910
【氏名又は名称】ロリク・テクノロジーズ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ROLIC TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ウルバンスキー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】プレヒテル,ハンス・レオンハルト
【テーマコード(参考)】
2H042
2H290
4F209
【Fターム(参考)】
2H042BA03
2H042BA13
2H042BA15
2H042BA16
2H290BE02
2H290BE03
2H290BE08
2H290BF18
2H290BF30
4F209AF01
4F209AG05
4F209AP12
4F209AQ01
4F209PA15
4F209PB01
4F209PC05
4F209PN20
(57)【要約】
本発明は、表面微細構造を設計し、作製する方法に関し、存在する表面微細構造を3Dスキャンし、スキャンされた微細構造の処理データを適切な書き込みツールの使用によって材料に転写することを含む。本発明の方法によって作製された表面微細構造は、光学セキュリティ素子におけるセキュリティ機能、液晶の配向層、反射防止面、AR/VRアプリケーション、光学フィルタ、光結合、マイクロオプティックスならびに多くの異なる技術分野における光管理のためなど、幅広い応用分野を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
―トポグラフィーを有する表面微細構造を有する材料を提供する、その表面微細構造がオリジナルの表面微細構造と見なされる、工程;
―3D表面プロフィロメータを提供する工程;
―3D表面プロフィロメータによってオリジナルの表面微細構造トポグラフィーのデジタルデータを取得する工程;
―書き込みツールを提供する工程;
―オリジナルの表面微細構造トポグラフィーのデジタルデータを処理して、書き込みツールによって書き込まれる構造記述データを取得する工程;
―所望の表面微細構造の構造記述データを書き込みツールに提供する工程;
―ターゲット材料を提供する工程;
―任意選択で、樹脂を提供する工程;
―構造記述データを使用して、ターゲット材料の中もしくは上又は樹脂の中に書き込みツールによって構造を書き込みことを含む、ターゲット材料の中又は上に所望の表面微細構造を作製する工程
を含む、所望の表面微細構造を作製する方法。
【請求項2】
オリジナルの表面微細構造が、表面微細構造が異方性である場合に異方性方向に対して垂直な方向に沿って測定される平均構造幅が10nm~1mmの範囲、より好ましくは50nm~100μmの範囲、最も好ましくは100nm~10μmの範囲である区域を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
オリジナルの表面微細構造が、表面微細構造が異方性である場合に異方性方向に対して垂直な方向に沿って測定される平均横方向構造距離が10nm~1mmの範囲、より好ましくは50nm~100μmの範囲、最も好ましくは100nm~10μmの範囲である区域を含む、請求項1~2のいずれか1項記載の方法。
【請求項4】
オリジナルの表面微細構造が、微細構造フィルファクタが0.050~0.95の範囲、より好ましくは0.2~0.8の範囲、最も好ましくは0.3~0.7の範囲である少なくとも一つの区域を有する、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
オリジナルの表面微細構造の構造深さが10nm~100μmの範囲、より好ましくは30nm~10μmの範囲、最も好ましくは50nm~2μmの範囲である、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
オリジナルの表面微細構造が、微細構造が異方性である少なくとも一つの区域を有する、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
オリジナルの表面微細構造が、微細構造が非周期的である少なくとも一つの区域を有する、請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
オリジナルの表面微細構造が、
―基材を提供する工程;
―架橋性物質及び非架橋性物質を含む材料組成物を提供する工程;
―基材上に材料組成物の層を形成する工程;
―UV光の照射によって架橋性物質の架橋を開始させる工程;
―非架橋物質を除去する工程
を含む方法によって作製されたものである、請求項1~7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
オリジナルの表面微細構造のデジタルデータを処理する工程が微細構造の平面内での微細構造の横方向スケーリングを含む、請求項1~8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
異なる横方向、好ましくは互いに対して垂直である二つの異なる方向に異なる倍率が適用される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
オリジナルの表面微細構造のデジタルデータを処理する工程がデジタルデータの二値化を含む、請求項1~10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
オリジナルの表面微細構造のデジタルデータを処理する工程が、微細構造の平均横方向構造距離が異なる、及び/又は微細構造の平均構造幅が異なる、及び/又は微細構造の微細構造フィルファクタが異なる、及び/又は微細構造の異方性方向が異なる、及び/又は異方性の程度が異なる、及び/又は一方の基本微細構造要素が周期的微細構造を含み、他方の基本微細構造要素が非周期的微細構造を含む、二つの基本微細構造要素を配設することによる、合成微細構造の作製を含む、請求項1~11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
所望の表面微細構造が、光学的に実効的である表面微細構造を有する領域と、液晶の配向に最適な表面微細構造を提供する領域とを含む、請求項1~12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
所望の表面微細構造の構造深さがオリジナルの表面微細構造の構造深さよりも大きい、請求項1~13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
所望の表面微細構造の表面微細構造アスペクト比(SMAR)が、好ましくは1.1よりも大きく、より好ましくは2よりも大きく、最も好ましくは5よりも大きい、請求項1~14のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用可能な表面微細構造の微細構造パラメータを多様な用途の要件に適合させることを含む、表面微細構造を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料の表面は、その材料が環境とどのように相互作用するかを決定する。たとえば、材料の表面は、他の材料、たとえば気体、液体及び固体との界面である。表面特性のいくつかを記述するパラメータは、たとえば、表面張力、摩擦力又は接着力である。用途に依存して、これらのパラメータそれぞれは、高と低との間のどこかであることが望まれ得る。また、材料の表面は、光との相互作用、たとえば反射及び散乱を決定する。
【0003】
材料の屈折率又は極性などの材料特性が上記のパラメータのいくつかに強く寄与するが、表面テクスチャもまた、これらのパラメータに大きな影響を及ぼす。たとえば、表面粗さは摩擦力及び光散乱特性に強い影響を及ぼす。固体材料の表面トポグラフィーを変化させることができる技術は、様々な産業分野における多くの用途にとって非常に重要になった。たとえば、等方性材料の表面に異方性表面微細構造を作製することができる技術であって、液晶のための配向能力を提供する技術がある。光を散乱させる異方性表面微細構造は、たとえば、光学セキュリティ素子のセキュリティ機能として使用される。
【0004】
表面微細構造の寸法は重要である。たとえば、微細構造要素のサイズ及び間隔が、その微細構造が曝露される光の波長と同じオーダであるならば、光の散乱が起こることがある。他方、構造寸法が光の波長よりも十分に小さいならば、散乱は起こらないが、表面の実効屈折率が、材料のバルク中の屈折率と比べて低下することがある。したがって、そのような微細構造を有する表面は、反射防止の目的に使用することができる。
【0005】
上述の技術のいくつかにおいては、コンピュータプログラムを援用して所望の構造を設計したのち、たとえばアブレーション又はリソグラフィー技術を使用してそれを材料の表面に転写する。このような決定的構造の寸法は自由に選択することができる。たとえば自己組織化機構に基づく他の技術は非決定的表面微細構造を提供する。自由にスケーリングすることができるコンピュータ設計の決定的構造とは対照的に、そのような非決定的構造の構造寸法は、材料特性だけでなくプロセス条件によっても決定される。プロセスパラメータ及び材料特性を変更することによって構造寸法を変えることはできるが、通常は限られた範囲内のみである。そのうえ、そのような表面微細構造を製造することができる区域は限定されることがある。
【0006】
したがって、現在利用可能な技術では到達することができない、より大きな区域で安価に製造することができる表面微細構造を作製することができる方法を利用可能にすることが望ましい。
【0007】
WO01/29148A1は、材料の相分離に基づく、表面微細構造を有するポリマーフィルム又はコーティングを製造する方法を開示している。モノマーコルゲーション(MC)技術として知られるこの方法においては、架橋性物質及び非架橋性物質を含む材料組成物を層として基材に塗布する。UV光を層に照射すると、架橋性物質が架橋し始め、架橋物質と非架橋物質との相分離が発生し始める。非架橋物質の除去により、表面微細構造を示すMC層が得られる。表面構造の寸法は、組成物中の物質のタイプ及び割合ならびにプロセスパラメータ、たとえば温度、UV線量及びプロセス持続時間によって制御することができる。表面微細構造は等方性であっても異方性であってもよい。異方性表面微細構造は、組成物中の架橋性材料が液晶物質である場合、達成することができる。異方性方向は、組成物から形成された層の下の配向層によって決定することができる。配向パターンを提供する配向層を使用することにより、異なる異方性方向を有するパターンをMC層中に生成することができる。MC層は、たとえば、液晶の配向層、光学遅延層、反射防止コーティング及び光学ディフューザとして適用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、現在利用可能な技術では到達することができない、より大きな区域で安価に製造することができる表面微細構造、特に非決定的表面微細構造を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
―トポグラフィーを有する表面微細構造を有する材料を提供する、その表面微細構造がオリジナルの表面微細構造と見なされる、工程;
―3D表面プロフィロメータを提供する工程;
―3D表面プロフィロメータによってオリジナルの表面微細構造トポグラフィーのデジタルデータを取得する工程;
―書き込みツールを提供する工程;
―オリジナルの表面微細構造トポグラフィーのデジタルデータを処理して、書き込みツールによって書き込まれる構造記述データを取得する工程;
―所望の表面微細構造の構造記述データを書き込みツールに提供する工程;
―ターゲット材料を提供する工程;
―任意選択で、樹脂を提供する工程;
―構造記述データを使用して、ターゲット材料の中もしくは上又は樹脂の中に書き込みツールによって構造を書き込むことを含む、ターゲット材料の中又は上に所望の表面微細構造を作製する工程
を含む、所望の表面微細構造を作製する方法を提供する。
【0010】
本出願に関連して、「表面微細構造」とは、材料表面の浮彫り微細構造であり、したがって、三次元トポグラフィーを有する。
【0011】
「オリジナルの表面微細構造」という用語は、3D表面プロフィロメータによってそのデジタルデータが取得される表面構造を指す。
【0012】
本出願に関連して、「3D表面プロフィロメータ」という用語は、表面微細構造トポグラフィーのデジタルデータを提供することができる任意のツールを含む。適当な3D表面プロフィロメータは、たとえば、原子間力顕微鏡法(AFM)、走査型トンネル顕微鏡法(STM)、走査型電子顕微鏡法(SEM)、白色光干渉法、光学顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、過焦点イメージング又はレーザスキャニングなどの技術を使用する。
【0013】
本出願に関連して、「書き込みツール」は、所望の表面微細構造を書き込むのに適切な解像度を有する限り、提供される別の材料の中に、又は提供される別の材料とで、微細構造を作製又は画定することができる任意のツールを含む。第一の適当なタイプの書き込みツールは、所望の表面微細構造の形状にある材料を、印刷、たとえばジェット印刷及び3D印刷、特に高解像度印刷によってターゲット材料の表面に付加する。もう一つの適当なタイプの書き込みツールは、ターゲット材料の表面から、たとえばレーザアブレーション、好ましくはパルスレーザアブレーション、電子ビーム又はイオンビーム書き込みによって材料を除去する。好ましいタイプの書き込みツールは、リソグラフィー法、たとえば、光又は電子ビームが選択的に樹脂を照らし、それが樹脂の照射区域の溶解性の変化を生じさせる光又は電子ビームリソグラフィーにおいて使用されるツールである。材料を付加又は除去することによって表面微細構造を直に作製する上記の書き込みツールとは対照的に、リソグラフィーで使用される書き込みツールは、所望の表面微細構造の空間的形状を有する潜在的な微細構造を作製するだけである。その後、適切な溶剤で現像することにより、樹脂中に表面微細構造を作製する。樹脂中に作製された表面微細構造はすでに所望の表面微細構造であることもできる。しかし、好ましくは、樹脂を層としてターゲット材料に塗布し、樹脂中に作製された微細構造をさらにドライ又はウェットエッチングによってターゲット材料に転写し、それによって所望の表面微細構造を形成する。あるいはまた、樹脂を層としてフォトマスク材料に塗布し、樹脂中に書き込まれた微細構造を有するフォトマスクを製造したのち、そのフォトマスクをさらなるフォトリソグラフィー工程で使用して、ターゲット材料中に所望の表面微細構造を作製する。リソグラフィーに適した書き込みツールは、電子ビームリソグラフィー(EBL)システム又はレーザスキャニングツールである。好ましくは、書き込みツールは、書き込まれる構造の横方向寸法をスケール変更するオプションを有する。書き込みツールが、書き込まれる構造の横方向寸法をスケール変更するために使用されるならば、デジタルデータの処理の少なくとも一部は書き込みツールによって実施される。
【0014】
原則として、ターゲット材料としては、ガラス、プラスチック、金属、セラミックス、シリコン、溶融シリカ又は樹脂などの任意の種類の材料を使用することができる。好ましくは、ターゲット材料は異方性エッチングに適している。好ましくは、ターゲット材料は、ガラス基板などの基材上のシリコンウェーハ又は金属層である。好ましい金属はアルミニウム、銀、クロム及び銅である。好ましくは、ターゲット材料は平坦な表面を有する。
【0015】
オリジナルの表面微細構造トポグラフィーのデジタルデータの処理は、デジタルデータを、書き込みツールによって読み取ることができるフォーマットに変換することを含むこともできる。
【0016】
3D表面プロフィロメータによって取得されたオリジナルの表面微細構造のデジタルデータはさらに、たとえば、微細構造の横方向寸法を変更するための横方向スケーリングによって処理することができる。これは、たとえば、光との望ましい相互作用のために微細構造の寸法を調整することを可能にする。たとえば、オリジナルの表面微細構造が可視光にとって最適な光散乱特性を提供するならば、オリジナルの表面微細構造のデジタルデータは、ターゲット材料中に作製される所望の表面微細構造がより短い波長の光、たとえば紫外線(UV)光又はより長い波長の光、たとえば赤外線(IR)光にとって最適な散乱を提供するようにスケーリングすることができる。異なる横方向、好ましくは互いに対して垂直である二つの異なる方向に異なる倍率を適用することにより、異方性スケーリングを適用することも可能である。異方性スケーリングは表面構造の異方性を変化させる。たとえば、等方性であるオリジナルの表面微細構造から異方性構造を生成することができる。他方、微細構造の異方性は、それに対して垂直な方向よりも異方性方向に沿ってより大きな倍率を適用することによって増強されて、たとえば、そのような表面微細構造によって配向される液晶の配向力増大を提供することができる。標準的なグラフィック画像処理コンピュータプログラムを処理に使用することができる。
【0017】
好ましくは、デジタルデータの処理はデータのベクトル化を含む。
【0018】
好ましくは、デジタルデータの処理は、深さの変動を除去する、表面微細構造トポグラフィーの二値化を含む。所望の表面微細構造の製造中にプロセスパラメータを制御することによって深さを調整することが望まれるならば、構造深さの値は関心対象にならないことさえある。したがって、二値化は、電子データを微細構造の二次元記述へと縮小する。二値化データは、たとえば、任意の横方向位置でデータが0又は1になるように正規化することができる。以下、二つのレベル0又は1をそれぞれ底部又は頂部とも呼ぶ。したがって、各横方向位置が1を割り当てられる横方向領域を頂部領域と呼び、各横方向位置が0を割り当てられる領域を底部領域と呼ぶ。オリジナルの表面微細構造及び適用された二値化アルゴリズムに依存して、たとえば、非常に小さな頂部又は底部領域として見えるアーチファクトが二値化データ中に発生することがある。このようなアーチファクトは、一部のグラフィック画像処理プログラムにおいても利用可能である、ノイズフィルタ、平滑化又は他のフィルタなどのフィルタを適用することによって除去することができる。処理はさらに、適当なコンピュータプログラムを使用する二値化微細構造のマニュアル操作を含んでもよい。
【0019】
二つの平坦部、すなわち頂部平坦部及び底部平坦部しか有しないオリジナルの表面微細構造がある。このような表面微細構造はすでに二値であり、取得されたデータの二値化は不要であり得る。上記定義にしたがって、頂部平坦部に属する領域を頂部領域と呼び、底部平坦部に属する領域を底部領域と呼ぶ。
【0020】
表面微細構造のトポグラフィーは、特に、それが、異なる高さの「丘」と「谷」を有し、連続的に高さが変化する風景のように見える場合、非常に複雑になることがある。現実の風景と同様に、大きめの丘と丘との間には、一部の小さめの丘の頂上よりも高い高さレベルにある谷が存在することもある。したがって、構造要素のあいまいな識別が常に可能であるとは限らない。表面微細構造トポグラフィーの横方向寸法を記述するために、より低い高さレベルよりも上の構造深さの50%の高さでの表面微細構造トポグラフィーの切断面を使用する。構造深さ及びより低い高さレベルは、表面微細構造の異なる領域で異なってもよい。したがって、表面微細構造を含むより広い区域の特定の領域のみを考慮するならば、考慮される領域の構造深さ及びより低い高さレベルが表面微細構造切断面の評価に適用される。次いで、以下さらに詳細に説明するデジタルデータの二値化と同様に、切断面によってカットされた微細構造の領域を表面微細構造の頂部領域として割り当て、他の領域を底部領域と呼ぶ。上述したように、切断面の結果としての表面微細構造への頂部及び底部領域の割り当ては、微細構造要素の明確な識別を提供するためにのみ実施される。しかし、必ずしも、表面微細構造のデジタルデータが二値化されたことを意味するわけではない。特に、二値化は、以下さらに説明する、頂部及び底部領域の異なる割り当てを導くことができる異なるアルゴリズムに従うこともある。連続的な高さ変化を伴う表面微細構造トポグラフィーと二値化微細構造データの両方のための頂部領域及び底部領域という用語の導入は、微細構造の特徴づけを簡単にし、さらなる用語の導入を回避させる。
【0021】
本出願に関連して、特定の区域における表面微細構造の「構造深さ」は、表面微細構造の高い方の高さレベルと低い方の高さレベルとの間の高さの差とする。「高い方の高さレベル」は、それぞれの区域の最も高い丘の平均高さとする。最も高い丘を特定するためには、それぞれの区域中のすべての丘の高さ極大値を取得し、それらの高さの順にランク付けする。最も高い丘は、丘のうち、最大の高さを有する10%とする。それぞれの区域にある丘が10未満であるならば、表面微細構造の高い方の高さレベルが最も高い丘の高さである。同様に、表面微細構造の「低い方の高さレベル」は、それぞれの区域の最も低い谷の平均高さとする。最も低い谷を特定するためには、それぞれの区域中のすべての谷の高さ極小値を取得し、それらの高さの順にランク付けする。最も低い谷は、丘のうち、最小の高さを有する10%とする。それぞれの区域にある谷が10未満であるならば、表面微細構造の低い方の高さレベルが最も低い丘の高さである。
【0022】
原則として、オリジナルの表面微細構造は任意の値の構造深さを有する。好ましくは、オリジナルの表面微細構造の構造深さは、10nm~100μmの範囲、より好ましくは30nm~10μmの範囲、最も好ましくは50nm~2μmの範囲である。
【0023】
本発明に関連して、「平均構造幅」という用語は、頂部領域の平均幅である。異方性表面微細構造の場合、平均構造幅は、異なる横方向に沿って異なることができる。
【0024】
好ましくは、オリジナルの表面微細構造は、表面微細構造が異方性である場合に異方性方向に対して垂直な方向に沿って測定される平均構造幅が10nm~1mmの範囲、より好ましくは50nm~100μmの範囲、最も好ましくは100nm~10μmの範囲である区域を含む。オリジナルの表面微細構造が異方性である場合、オリジナルの表面微細構造は、好ましくは、異方性方向に沿う平均構造幅が好ましくは50nm~5mmの範囲、より好ましくは200nm~200μmの範囲、最も好ましくは500nm~50μmの範囲である区域を含む。
【0025】
本発明に関連して、「平均横方向構造距離」という用語は、隣接する頂部領域間の平均距離である。異方性表面微細構造の場合、平均横方向構造距離は、異なる横方向に沿って異なることができる。
【0026】
好ましくは、オリジナルの表面微細構造は、表面微細構造が異方性である場合に異方性方向に対して垂直な方向に沿って測定される平均横方向構造距離が10nm~1mmの範囲、より好ましくは50nm~100μmの範囲、最も好ましくは100nm~10μmの範囲である区域を含む。オリジナルの表面微細構造が異方性である場合、オリジナルの表面微細構造は、好ましくは、異方性方向に沿う平均横方向構造距離が好ましくは50nm~5mmの範囲、より好ましくは200nm~200μmの範囲、最も好ましくは500nm~50μmの範囲である区域を含む。
【0027】
本発明に関連して、「微細構造フィルファクタ」という用語は、全頂部領域及び全底部領域の積算面積に対する頂部領域の合計面積の比と定義される。好ましくは、オリジナルの表面微細構造は、微細構造フィルファクタが0.050~0.95の範囲、より好ましくは0.2~0.8の範囲、最も好ましくは0.3~0.7の範囲である少なくとも一つの区域を有する。
【0028】
好ましくは、オリジナルの表面微細構造は光学的に実効的であり、これは入射光が、表面微細構造に依存する特徴的な方法で変調することを意味する。より好ましくは、光との相互作用は、光が回折、屈折又は散乱するような相互作用である。
【0029】
オリジナルの表面微細構造は等方性であっても異方性であってもよい。また、いくつかの領域においては微細構造が等方性であり、他の領域において微細構造が異方性であることも可能である。オリジナルの表面微細構造は周期的であっても非周期的であってもよい。また、いくつかの領域においては微細構造が周期的であり、他の領域においては微細構造が非周期的であることも可能である。
【0030】
本発明に関連して、異方性微細構造における「異方性方向」という用語は、微細構造の平面内の局所的な対称軸、たとえば表面微細構造の溝に沿う方向を意味するものとする。
【0031】
異方性の程度は、秩序パラメータによって記述することができる。
【0032】
上記にしたがって、本発明に関連して、微細構造を特徴づけることができるパラメータ(以下、微細構造パラメータと呼ぶ)としては、平均構造幅、平均横方向構造距離、微細構造フィルファクタ、異方性方向、異方性の程度及び構造深さがあるが、これらに限定されない。微細構造の種類に依存して、これらの微細構造パラメータのすべてがその特徴づけのために合理的に使用され得るわけではない。
【0033】
本発明の好ましい実施形態において、処理は、微細構造を異なる位置に複数回配設して、より大きな区域の微細構造を形成することを含む。多くのコンピュータプログラムにおいて、これは、たとえば上述のグラフィック画像処理コンピュータプログラムにおける「コピー」及び「ペースト」などの操作に相当する。その目的のために、微細構造の区域の全部又は一部を「基本微細構造要素」として選択することができる。基本微細構造要素内の微細構造が均一であるならば、基本微細構造要素を異なる位置に複数回配設することにより、均一な微細構造を有する大きな区域を生成することができる。他方、基本微細構造要素が、その微細構造パラメータの一つ以上が異なる領域を含むならば、多重に配設された複数の基本微細構造要素は、基本微細構造要素の異なる領域が繰り返す微細構造をより大きな区域で形成する。たとえば、基本微細構造要素が長方形を有し、いずれも異方性微細構造を有する二つの正方形区域で構成され、その二つの区域における異方性方向が互いに対して垂直であるならば、基本微細構造要素をx及びy方向に複数回正しく配設することにより、平行な異方性方向の微細構造を有する区域と垂直な異方性方向の微細構造を有する区域とがx及びy方向で交互にある、チェッカー盤模様の外観を有する微細構造を有する、より大きな区域を作製することができる。好ましくは、基本構造要素の形状は、大きな区域全体を基本構造要素で隙間なく埋めることができるような形状である。コンピュータプログラム言語と同様に、異なる位置に複数回配設された基本微細構造要素は、基本微細構造要素の「コピー」とも呼ばれる。
【0034】
本出願に関連して、基本微細構造要素を複数回配設する結果として得られる微細構造を「合成(composed)微細構造」と呼ぶ。
【0035】
好ましくは、基本微細構造要素の微細構造パラメータの一つ以上は、合成微細構造の一部として特定の位置に配設される前又はその後で、コンピュータソフトウェアによって変更される。基本微細構造要素の微細構造パラメータの変更ならびにその区域のサイズ及び形状は、追加の位置ごとに異なることができる。変更された基本微細構造要素もまた、基本微細構造要素と見なされる。
【0036】
異なる基本微細構造要素を使用して合成微細構造を設計したのち、それを構造記述データとして書き込みツールに転送することができる。好ましくは、合成微細構造の作製は、微細構造の平均横方向構造距離が異なる、及び/又は微細構造の平均構造幅が異なる、及び/又は微細構造の微細構造フィルファクタが異なる、及び/又は微細構造の異方性方向が異なる、及び/又は異方性の程度が異なる、及び/又は一方の基本微細構造要素が周期的微細構造を含み、他方の基本微細構造要素が非周期的微細構造を含む、及び/又は一方の基本微細構造要素が決定的微細構造を含み、他方の基本微細構造要素が非決定的微細構造を含む、二つの基本微細構造要素を配設することを含む。
【0037】
したがって、合成微細構造は、好ましくは、微細構造の平均横方向構造距離が異なる二つのゾーンを含む。好ましくは、合成微細構造は、微細構造の平均構造幅が異なる二つのゾーンを含む。好ましくは、合成微細構造は、微細構造の微細構造フィルファクタが異なる二つのゾーンを含む。好ましくは、合成微細構造は、周期的な微細構造を有するゾーンと、非周期的な微細構造を有するゾーンとを含む。好ましくは、合成微細構造は、微細構造の異方性方向が異なる、異方性微細構造を有する二つのゾーンを含む。好ましくは、合成微細構造は、異方性の程度が異なる、異方性微細構造を有する二つのゾーンを含む。さらに、合成微細構造の区域内に、微細構造を有しない領域が存在することが好ましい。当然、上記の好ましい実施形態の任意の組み合わせが可能である。
【0038】
好ましくは、構造記述データを使用してターゲット材料の中又は上に作製される所望の表面微細構造は、光学的に実効的である表面微細構造を有する領域と、液晶の配向に最適な表面微細構造を提供する領域とを含む。
【0039】
構造記述データを使用してターゲット材料の中又は上に作製される、所望の表面微細構造の構造深さは、オリジナルの表面微細構造の深さと同じであっても異なってもよい。好ましくは、所望の表面微細構造の構造深さはオリジナルの表面微細構造の構造深さよりも小さい。より好ましいことは、所望の表面微細構造の構造深さがオリジナルの表面微細構造の構造深さよりも大きいことである。好ましくは、所望の表面微細構造の構造深さは、10nm~100μmの範囲、より好ましくは30nm~10μmの範囲、最も好ましくは50nm~1μmの範囲である。
【0040】
好ましくは、所望の表面微細構造は、微細構造フィルファクタが0.050~0.95の範囲、より好ましくは0.2~0.8の範囲、最も好ましくは0.3~0.7の範囲である少なくとも一つの区域を有する。
【0041】
好ましくは、所望の表面微細構造は、表面微細構造が異方性である場合に異方性方向に対して垂直な方向に沿って測定される平均構造幅が10nm~1mmの範囲、より好ましくは50nm~100μmの範囲、最も好ましくは100nm~10μmの範囲である区域を含む。所望の表面微細構造が異方性である場合、所望の表面微細構造は、好ましくは、異方性方向に沿う平均構造幅が50nm~5mmの範囲、より好ましくは200nm~200μmの範囲、最も好ましくは500nm~50μmの範囲である区域を含む。
【0042】
好ましくは、所望の表面微細構造は、表面微細構造が異方性である場合に異方性方向に対して垂直な方向に沿って測定される平均横方向構造距離が10nm~1mmの範囲、より好ましくは50nm~100μmの範囲、最も好ましくは100nm~10μmの範囲である区域を含む。所望の表面微細構造が異方性である場合、所望の表面微細構造は、好ましくは、異方性方向に沿う平均横方向構造距離が50nm~5mmの範囲、より好ましくは200nm~200μmの範囲、最も好ましくは500nm~50μmの範囲である区域を含む。
【0043】
上記のデータ処理方法は、オリジナルの表面微細構造が均一であり、単一セットの微細構造パラメータによって記述することができる場合でも、非常に複雑なパターンの微細構造を設計することを可能にする。特に、同じオリジナルの表面微細構造を使用して、複数の合成微細構造を設計することができる。たとえば、微細構造そのものは非決定的であるとしても、高い複雑さを有する新たな微細構造でさえ、コンピュータ上で容易に設計することができる。したがって、たとえば、WO01/29148に記載されているような、異なる異方性方向のパターンを有する異方性表面微細構造を生成するための当技術分野において公知の方法を、本発明の方法によって置き換えることができる。上記のような合成微細構造は、たとえば、特定の領域において光学的に実効的である表面微細構造を設計し、作製するために使用することができ、たとえば、それらは光散乱特性を提供することができ、他の領域は、液晶の配向に最適な表面微細構造を提供する。
【0044】
本発明の方法によって作製された表面微細構造は幅広い応用分野を有する。たとえば、これらは、光学セキュリティ素子におけるセキュリティ機能、液晶の配向層、反射防止面、AR/VRアプリケーション、光学フィルタ、光結合、マイクロオプティックスならびに多くの異なる技術分野における光管理を提供するために使用することができる。
【0045】
本発明は、添付の図面によってさらに例示される。様々な特徴は必ずしも縮尺どおりに描かれていないことが強調される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】オリジナルの表面微細構造と見なされる異方性表面微細構造を有する材料のスケッチを示す。
【
図2】
図1のオリジナルの表面微細構造トポグラフィーのシミュレーションされて取得されたデジタルデータの3Dプロットを示す。
【
図3a】
図2と同じデータに基づくトポグラフィを示す。頂部が特定の高さレベルで切り取られており、したがって、上面はトポグラフィの切断面である。
【
図3b】
図3aに類似するが、高さレベルが異なるトポグラフィーの切断面を示す。
【
図4】
図3bの切断面に相当する、
図2のトポグラフィーの二値化微細構造を示す。
【
図5】
図4の二値化データを使用することによってターゲット材料中に作製された、二つの高さレベルを有する二値表面微細構造を示す。
【
図6a】
図4の微細構造をx及びy方向に同じ倍率でスケーリングすることによって得られた、拡大された微細構造を示す。
【
図6b】
図4の微細構造をx及びy方向に同じ倍率でスケールダウンすることによって得られた、縮小された微細構造を示す。
【
図7a】
図4の微細構造をy方向に1よりも大きい倍率でスケールアップすることによる異方性スケーリングの結果としての微細構造を示す。
【
図7b】
図4の微細構造をx方向に1よりも大きい倍率でスケールアップすることによる異方性スケーリングの結果としての微細構造を示す。
【
図8a】異なる再現スケールで描かれた
図4の微細構造10を示す。
【
図8b】
図8aの基本微細構造要素をx及びy方向に複数回配設した結果としての合成微細構造を示す。
【
図9】
図8aの基本微細構造要素に基づくが、
図8bとは異なる配設アルゴリズムが適用されている合成微細構造を示す。
【
図10】
図9の合成微細構造の一部が基本微細構造要素として画定され、x方向に2回、y方向に2回配設され、二つの位置で基本微細構造要素が90°回転している合成微細構造を示す。
【
図11】オリジナルの表面微細構造と見なされる等方性表面微細構造を有する材料のスケッチを示す。
【
図13】
図12の等方性微細構造を水平方向に1よりも大きい倍率でスケーリングした結果としての異方性微細構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
発明の詳細な説明
本発明の方法は、オリジナルの表面微細構造として
図1に示される人工表面微細構造1を使用することによってさらに説明される。
図1の表面微細構造は、例示のために、計算アルゴリズムを使用することなく、コンピュータモデルとして作製されたものである。したがって、説明のために、表面微細構造1は、非決定的と見なすことができる。さらに、表面微細構造1は明らかに異方性かつ非周期的であり、異なる高さの丘2と谷3とを含み、丘から谷へ及び谷から丘へ連続的に移行する。
【0048】
図2は、
図1の表面微細構造1から3D表面プロフィロメータによって取得されるであろうデジタルデータ4を示す。
【0049】
ひとたびオリジナルの表面微細構造のデジタルデータが利用可能になると、それを、標準的なグラフィック画像処理プログラムなどのコンピュータプログラムによって処理することができる。適切な書き込みツールを使用してターゲット材料中にアナログ表面微細構造を作製するための構造記述データを生成することが望ましい場合、オリジナルの表面微細構造のデジタルデータの操作は三次元であることができる。表面の平面内で横方向に微細構造をスケーリングすることに加えて、表面平面に対して垂直な方向である深さ方向にデータをスケーリングすることにより、表面微細構造の深さを増減することもできる。
【0050】
他方、書き込みツールが横方向の構造情報しか転写することができないならば、たとえば、バイナリリソグラフィープロセスが使用されるならば、表面微細構造のデータを二値化することが好ましい。したがって、構造記述データは二つの高さレベルのみを含む。これは、微細構造の境界が明確に画定され、ターゲット材料中に作製される表面微細構造の横方向寸法が、フォトリソグラフィーにおいて使用される、露光エネルギーなどのプロセス条件にほとんど依存しないという利点を有する。ターゲット材料中の所望の表面微細構造の深さは、プロセスパラメータを調整することによって選択することができる。また、たとえばそれぞれの区域で異なるプロセスパラメータを使用することにより、たとえば異なる区域の順次処理により、異なる区域で異なる深さを有する表面微細構造を作製することも可能である。
【0051】
二値化は、オリジナルの表面微細構造のデジタルデータに対して直に実施することもできるし、横方向のスケーリングなどの何らかのデータ処理の後で実施することもできる。深さ方向に沿って表面微細構造のデータを二値化するためには様々な方法がある。簡単な方法は、高さ値の範囲内で閾値高さを定めて、閾値高さを超えるすべての高さレベルが、二値化微細構造の頂部レベルに属するように割り当てられ、閾値高さを下回るすべての高さレベルが、二値化微細構造の底部レベルに属するように割り当てられるようにすることである。したがって、頂部領域及び底部領域がそれぞれ形成される。当然、逆転したトポグラフィーを有する表面微細構造の生成が望まれるならば、頂部レベル及び底部レベルとしての割り当てを逆にすることも可能である。
【0052】
上記のように閾値高さを定めることによる二値化は、特定の高さにおける微細構造の切断面に相当する。切断面が作製されるところの高さは通常、二値化微細構造の形状及び微細構造フィルファクタに強い影響を及ぼす。
図2の表面微細構造4の第一の高さレベルにおける第一の切断面5が
図3aに示されている。切断面の領域6は、対応する二値化データの頂部領域を画定する。より低い閾値高さにおける第二の切断面7が
図3bに示されている。対応する二値化データの頂部領域として割り当てられる第二の切断面の領域8の総面積は、第一の切断面の場合のそれよりも有意に大きい。一方で、個々の頂部領域の幅は広くなっている。他方、オリジナルの表面微細構造の小さめの丘に相当するさらなる別個の領域があり、これらの領域は、第一の切断面では底部領域として割り当てられているが、第二の切断面では頂部領域として割り当てられている。したがって、第二の切断面から得られた二値化データの微細構造フィルファクタは、第一の切断面から得られた二値化データの微細構造フィルファクタよりも有意に大きい。したがって、オリジナルの微細構造のデジタルデータの処理は、微細構造フィルファクタを変更することを可能にする。
【0053】
好ましくは、二値化データの微細構造フィルファクタが0.050~0.95の範囲、より好ましくは0.2~0.8の範囲、最も好ましくは0.3~0.7の範囲である少なくとも一つの区域が微細構造内にある。
【0054】
図4は、上記のように、
図3bの切断面にしたがう二値化の結果として得られる二値微細構造10を示す。微細構造は頂部領域11及び底部領域12を含む。明らかに、微細構造は異方性であり、矢印13によって示すように、異方性方向はほぼ垂直方向である。
【0055】
図5は、
図4の構造記述データを使用してターゲット材料の中もしくは上又は樹脂の中に書き込みツールによって構造を書き込むことを含む方法によって作製される所望の表面微細構造14のスケッチを示す。表面微細構造14は、頂部領域15及び底部領域16のみを有し、したがって、二値表面微細構造である。表面微細構造14の横方向寸法は、
図4の微細構造の横方向寸法と比べて変化していない。表面微細構造14の深さは、製造に使用されるプロセス条件によって調整することができる。
【0056】
表面微細構造のデジタルデータを横方向にスケールアップ又はスケールダウンして、表面構造の横方向寸法を変更することができる。異方性スケーリングを達成するために、異なる倍率を異なる横方向に使用することができる。
【0057】
図6aの微細構造20は、
図4の微細構造10をx及びy方向に1よりも大きい同じ倍率でスケール変更することによって得られたものである。微細構造20の頂部及び底部領域の面積は拡大しているが、微細構造フィルファクタは、
図4の微細構造10のフィルファクタと比べて変化していない。書き込みツール及び
図4の構造記述データを使用して作製された
図5の表面微細構造14が特定の波長範囲の光にとって最適な光散乱特性を提供すると仮定すると、
図6aの構造記述データを使用して同様に作製される表面微細構造は、上述の特定の波長範囲よりも長い波長を含む波長範囲の光にとって最適な光散乱特性を提供するであろう。オリジナルの表面微細構造の横方向寸法を拡大するための倍率は通常、1.1よりも大きい。好ましくは、オリジナルの表面微細構造の横方向寸法を拡大するための倍率は、1.5よりも大きく、より好ましくは2よりも大きく、最も好ましくは5よりも大きい。
【0058】
図6bの微細構造21は、
図4の微細構造10をx及びy方向に1よりも小さい同じ倍率でスケール変更することによって得られたものである。微細構造21の頂部及び底部領域の面積は減少しているが、微細構造フィルファクタは、
図4の微細構造10のフィルファクタと比べて変化していない。書き込みツール及び
図4の構造記述データを使用して作製された
図5の表面微細構造14が特定の波長範囲の光にとって最適な光散乱特性を提供すると仮定すると、
図6bの構造記述データを使用して同様に作製される表面微細構造は、上述の特定の波長範囲よりも短い波長を含む波長範囲の光にとって最適な光散乱特性を提供するであろう。オリジナルの表面微細構造の横方向寸法を縮小するための倍率は通常、0.95未満である。好ましくは、オリジナルの表面微細構造の横方向寸法を縮小するための倍率は、0.8未満、より好ましくは0.5未満、最も好ましくは0.2未満である。
【0059】
図7aの微細構造22は、
図4の微細構造10を異方性方向yに1.5の倍率で異方性スケーリングすることによって得られたものである。これは、微細構造を引き伸ばすことに相当し、微細構造の異方性が増大するという効果をもたらす。光散乱のために設計された表面微細構造においては、微細構造の異方性が増大するならば、散乱光の空間分布の異方性が増大する。さらに、液晶のための配向層として設計された表面微細構造においては、微細構造の異方性増大とともに配向力及び配向品質が増大する。また、微細構造22の例の代わりに、微細構造を、異方性軸に対して垂直な軸(x方向である)に1よりも小さい又は大きい倍率でスケーリングすることが好ましい。また、異方性スケーリングは等方性微細構造に適用することもできる。好ましくは、第一の方向の倍率は、第二の方向の倍率の1.1倍よりも大きく、より好ましくは1.5倍よりも大きく、最も好ましくは2倍よりも大きく、特定の方向にスケーリングがないということは、それぞれの方向の倍率が1であることを意味する。好ましくは、第二の方向は第一の方向に対して垂直である。好ましくは、第一の方向は異方性方向に対して平行である。
【0060】
図7bの微細構造23は、
図4の微細構造10を異方性方向に対して垂直な方向に1.5の倍率で異方性スケーリングすることによって得られたものである。これは、微細構造の異方性が減少するという効果をもたらす。光散乱のために設計された表面微細構造の場合、微細構造の異方性が減少するならば、散乱光の空間分布の異方性が減少する。したがって、微細構造の異方性スケーリングにより、光散乱の空間分布を調整することが可能である。好ましくは、異方性方向に対して垂直な方向の倍率は、異方性方向の倍率の1.1倍よりも大きく、より好ましくは1.5倍よりも大きく、最も好ましくは2倍よりも大きく、特定の方向にスケーリングがないということは、それぞれの方向の倍率が1であることを意味する。
【0061】
図8は、合成微細構造の例を示す。
図8aは、基本微細構造要素として選択された、異なる再現スケールで描写された
図4の微細構造10を示す。
図8bは、基本微細構造要素10を2行×4列の行列に8回配設する結果として得られた合成微細構造24を示す。したがって、微細構造24の面積は微細構造10の面積の8倍である。好ましくは、合成微細構造は、二つ以上の基本微細構造要素、より好ましくは五つ以上の基本微細構造要素、最も好ましくは10以上の基本微細構造要素を含む。
【0062】
基本微細構造要素は、その規則的な配設のおかげで、
図8bの合成微細構造24中で容易に識別することができる。規則的な配設は、基本微細構造要素の非決定的な微細構造と、基本微細構造要素の規則的な配設によって生成される周期的構造との重ね合わせを作製することができる。微細構造24のデータを使用して製造された所望の微細構造が光散乱用途に使用されるならば、そのような表面微細構造で散乱する光の空間分布は、相応に、非決定的微細構造部分における散乱によって生じる滑らかな角強度変化を有する光と、基本微細構造要素の規則的な配設における散乱によって生じる特徴的な角光強度極大値との重ね合わせである。この効果は、一部の用途には望ましい場合もあるが、望ましくない場合もある。
【0063】
より高度なアルゴリズムを使用して、基本微細構造要素を複数回配設することによって微細構造を構成することにより、規則的配設の影響を回避することができる。
図9は、同じく
図8aの基本微細構造要素で構成されている微細構造25を示す。しかし、基本微細構造要素のコピーはわずかに重なり合うように配設され、その結果、重なり合う微細構造要素のある種のモーフィングが生じている。加えて、基本微細構造要素のコピーは、第二列及び第四列中で垂直方向にシフトさせて配置されている。得られた
図9の微細構造25の画像は、
図9に示す形状を得るために底部及び頂部が切り落とされている。
図8bで認めることができる規則的なパターンは、
図9ではもはや認めることはできない。基本微細構造要素のコピーの位置をさらにランダム化することにより、基本微細構造要素の複数回の配設によって誘発され得る周期性を回避することができる。
【0064】
図10は、
図9の合成微細構造25の一部が基本微細構造要素として使用されている例を示す。基本微細構造要素をx方向に2回、y方向に2回配設することによって新たな合成微細構造26が作製され、二つの位置で基本微細構造要素は90°回転している。好ましくは、合成微細構造は、異なる異方性方向を有するゾーンを有し、好ましくは二つ、三つ、四つ、五つ又はより多くの異なる異方性方向を含む。
【0065】
図11は、デジタルイラストレーションコンピュータプログラムを用いて作製された等方性表面微細構造30の例を示す。表面微細構造30は、表面の底部レベル32にランダムに分布した同一高さの等方性ランド31を含む。表面微細構造は二つの高さレベルしか有しないため、ランド31を横切る切断面から得られる
図12の二値化微細構造35は、切断面が作られるところの高さから独立している。
【0066】
図13は、水平方向に1よりも大きい倍率を使用し、垂直方向にはスケーリング変更を実施しないことによる、等方性微細構造35の異方性スケーリングの結果としての異方性微細構造36を示す。
【0067】
オリジナルの表面微細構造として使用される好ましい表面微細構造は、国際特許出願WO01/29148A1(内容が参照によって本明細書に組み込まれる)に開示されているように、架橋性物質と非架橋性物質との混合物の相分離及び架橋を使用するモノマーコルゲーション(MC)技術として知られる方法によって生成される。この方法にしたがって、架橋性物質及び非架橋性物質を含む材料組成物を層として基材に塗布する。UV光を層に照射すると、架橋性物質が架橋し始め、架橋物質と非架橋物質の相分離が起こり始める。たとえば適切な溶媒中で洗浄することによって非架橋物質を除去することにより、表面微細構造を示すMC層が得られる。表面微細構造の寸法は、物質のタイプ及び組成物中のそれぞれの物質の割合ならびに温度、UV線量及びプロセス持続時間などのプロセスパラメータによって制御することができる。表面微細構造は等方性であっても異方性であってもよい。異方性表面微細構造は、組成物中の架橋性物質が液晶物質であるならば、達成することができる。異方性方向は、組成物から形成された層の下の配向層によって決定することができる。配向パターンを提供する配向層を使用することにより、異なる異方性方向を有するパターンをMC層中に生成することができる。MC層は、たとえば、液晶の配向層、光学遅延層、反射防止コーティング及び光学ディフューザとして適用することができる。
【0068】
オリジナルの表面微細構造として使用される二値化表面深さプロファイルを有する好ましい表面微細構造が、WO2010/094441A1(内容が参照によって本明細書に組み込まれる)に開示された方法によって生成される。この方法は、上述のMC技術に基づくが、さらなるエッチング工程によってWO01/29148A1の表面微細構造の深さプロファイルを変更して、二つの高さレベルのみを有する表面微細構造が得られるようにする。したがって、表面微細構造は、それぞれが特定の高さレベルにある頂部領域及び底部領域のみを有する。
【0069】
本発明の好ましい実施形態において、オリジナルの表面微細構造は、微細構造が非周期的である少なくとも一つの区域を含む。好ましくは、オリジナルの表面微細構造は、微細構造が非決定的である少なくとも一つの区域を含む。
【0070】
非周期的又は非決定的な表面微細構造プロファイルを特徴づけるのに有用なパラメータは、自己相関関数及び関連する自己相関長さである。表面微細構造プロファイルの一次元又は二次元自己相関関数は、平面中で距離xだけ空間的に離れた二つの点の場合の表面微細構造プロファイルの予測可能性の尺度として理解することができる。
【0071】
表面微細構造プロファイルなどの関数P(x)の自己相関関数AC(x)は以下のように定義される。
【0072】
【0073】
自己相関関数及び対応するプログラミング問題に関するさらなる詳細は、たとえば、「Numerical recipes in C: the art of scientific computing / William H. Press; Saul A. Teukolsky; William T. Vetterling; Brian P. Flannery. - Cambridge; New York: Cambridge University Press, 1992」に見ることができる。
【0074】
非周期的又は非決定的な表面微細構造プロファイルの場合、自己相関関数はxの増加とともに急速に減衰する。他方、たとえば格子に見られる決定的な表面微細構造プロファイルの場合、自己相関は減衰しない。しかし、格子の場合、自己相関関数は周期関数で変調される。
【0075】
以下、AC(x)は、平均化一次元自己相関関数を表すものとする。平均化一次元自己相関関数から、単一の固有値である自己相関長さLを決定することができる。このために、AC(x)の関連する極大値を直線と接続することによって平均化自己相関関数の包絡線を構築する。x>0の場合にAC(x)の関連する極大値が存在しないならば、包絡線は平均化自己相関関数と同一であるとする。さらに、AC(x)≦AC(0)/10の関連する極大値が存在しないならば、AC(x)≦AC(0)/10の包絡線の値はAC(x)に等しいものとする。自己相関長さLは、平均化自己相関関数の包絡線が最終的にAC(0)の10%未満に減衰する場合のxの値として決定される。
【0076】
関連する極大値という用語は、たとえばノイズによって生じる小さな極大値を考慮から除外するために使用される。極大値ACm(xm)が関連する極大値であるかどうかを決定するためには、AC(x)≧ACm(xm)の場合の最大値xm-1<xmを決定し、xm-1~xmの範囲でACm(xm)の値とAC(x)の最小値との差をACmdiff1として計算する。同様に、AC(x)≧ACm(xm)の場合の最小値xm+1<xmを決定し、xm~xm+1の範囲でACm(xm)の値とAC(x)の最小値との差をACmdiff2として計算する。そのとき、差ACmdiffは、ACmdiff1及びACmdiff2の小さい方に等しい。xm+1が存在しない場合、ACmdiffはACmdiff1に等しいものとする。ACmdiffがAC(0)の0.5%よりも大きいならば、極大値ACm(xm)を関連する極大値と見なすものとする。
【0077】
好ましくは、オリジナルの表面微細構造は、少なくとも一つの方向において平均横方向構造距離の3倍よりも小さい自己相関長さを有する平均化一次元自己相関関数AC(x)を有する、表面微細構造を有する少なくとも一つの領域を含む。異方性表面変調の場合、その一つの方向は異方性方向に対して垂直である。
【0078】
より好ましいものは、自己相関長さが平均横方向構造距離の2倍よりも小さい、オリジナルの表面微細構造である。さらに好ましいものは、自己相関長さが一つの平均横方向構造距離よりも小さい、オリジナルの表面微細構造である。
【0079】
もう一つの好ましい実施形態において、自己相関長さLは、平均横方向構造距離の100分の1よりも大きい。
【0080】
異方性表面微細構造を記述するために、表面微細構造アスペクト比(SMAR)という用語は、本発明に関連して、表面微細構造の頂部及び底部領域の平均長さ/幅の比と定義される。SMARは、表面微細構造で散乱する光の方位光学的外観を強く決定し、又は、表面微細構造が液晶の配向層として使用される場合、配向強度を強く決定する。少なくとも二つの横方向に平均で同じ広がりを示す表面微細構造に相当するSMAR=1の場合、入射光の散乱特性は光の方位入射角にほとんど依存せず、配向層として使用されるならば、液晶の配向に好ましい方向は定まらない。したがって、SMAR=1の表面微細構造から反射する光の強度は、表面微細構造を含む要素がその要素の表面に対して垂直な軸に沿って回転するときでも、ほとんど変化しない。
【0081】
光散乱面として使用される予定である所望の異方性表面微細構造の場合、散乱光の強度は光の方位入射角に依存する。この依存性を視覚的に認識することができるよう、所望の表面微細構造のSMARは、好ましくは1.1よりも大きく、より好ましくは2よりも大きく、最も好ましくは5よりも大きい。非常に大きいSMAR値の場合、有意量の光が散乱して入射する方位角の範囲はより小さくなり、それが、たとえば光学セキュリティデバイスに使用される場合、反射光を視覚的に観察することをより困難にする。したがって、好ましくは、所望の表面微細構造中に、SMARが50未満、より好ましくは20未満、最も好ましくは10未満である少なくとも一つの区域が存在する。好ましくは、SMARは1.1~50の範囲であり、より好ましくは、SMARは2~20の範囲である。
【0082】
本発明及び様々な実施形態は、以下の項目によって要約することができる。
【0083】
1.―トポグラフィーを有する表面微細構造を有する材料を提供する、その表面微細構造がオリジナルの表面微細構造と見なされる、工程;
―3D表面プロフィロメータを提供する工程;
―3D表面プロフィロメータによってオリジナルの表面微細構造トポグラフィーのデジタルデータを取得する工程;
―書き込みツールを提供する工程;
―オリジナルの表面微細構造トポグラフィーのデジタルデータを処理して、書き込みツールによって書き込まれる構造記述データを取得する工程;
―所望の表面微細構造の構造記述データを書き込みツールに提供する工程;
―ターゲット材料を提供する工程;
―任意選択で、樹脂を提供する工程;
―構造記述データを使用して、ターゲット材料の中もしくは上又は樹脂の中に書き込みツールによって構造を書き込みことを含む、ターゲット材料の中又は上に所望の表面微細構造を作製する工程
を含む、所望の表面微細構造を作製する方法。
【0084】
2.オリジナルの表面微細構造が、表面微細構造が異方性である場合に異方性方向に対して垂直な方向に沿って測定される平均構造幅が10nm~1mmの範囲、より好ましくは50nm~100μmの範囲、最も好ましくは100nm~10μmの範囲である区域を含む、項目1記載の方法。
【0085】
3.オリジナルの表面微細構造が、表面微細構造が異方性である場合に異方性方向に対して垂直な方向に沿って測定される平均横方向構造距離が10nm~1mmの範囲、より好ましくは50nm~100μmの範囲、最も好ましくは100nm~10μmの範囲である区域を含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
【0086】
4.オリジナルの表面微細構造が、微細構造フィルファクタが0.050~0.95の範囲、より好ましくは0.2~0.8の範囲、最も好ましくは0.3~0.7の範囲である少なくとも一つの区域を有する、前記項目のいずれかに記載の方法。
【0087】
5.オリジナルの表面微細構造の構造深さが10nm~100μmの範囲、より好ましくは30nm~10μmの範囲、最も好ましくは50nm~2μmの範囲である、前記項目のいずれかに記載の方法。
【0088】
6.オリジナルの表面微細構造が、微細構造が異方性である少なくとも一つの区域を有する、前記項目のいずれかに記載の方法。
【0089】
7.オリジナルの表面微細構造が、微細構造が非周期的である少なくとも一つの区域を有する、前記項目のいずれかに記載の方法。
【0090】
8.オリジナルの表面微細構造が、
―基材を提供する工程;
―架橋性物質及び非架橋性物質を含む材料組成物を提供する工程;
―基材上に材料組成物の層を形成する工程;
―UV光の照射によって架橋性物質の架橋を開始させる工程;
―非架橋物質を除去する工程
を含む方法によって作製されたものである、前記項目のいずれかに記載の方法。
【0091】
9.オリジナルの表面微細構造のデジタルデータを処理する工程が微細構造の平面内での微細構造の横方向スケーリングを含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
【0092】
10.異なる横方向、好ましくは互いに対して垂直である二つの異なる方向に異なる倍率が適用される、項目9記載の方法。
【0093】
11.オリジナルの表面微細構造のデジタルデータを処理する工程がデジタルデータの二値化を含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
【0094】
12.オリジナルの表面微細構造のデジタルデータを処理する工程が、微細構造の平均横方向構造距離が異なる、及び/又は微細構造の平均構造幅が異なる、及び/又は微細構造の微細構造フィルファクタが異なる、及び/又は微細構造の異方性方向が異なる、及び/又は異方性の程度が異なる、及び/又は一方の基本微細構造要素が周期的微細構造を含み、他方の基本微細構造要素が非周期的微細構造を含む、二つの基本微細構造要素を配設することによる、合成微細構造の作製を含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
【0095】
13.所望の表面微細構造が、光学的に実効的である表面微細構造を有する領域と、液晶の配向に最適な表面微細構造を提供する領域とを含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
【0096】
14.所望の表面微細構造の構造深さがオリジナルの表面微細構造の構造深さよりも大きい、前記項目のいずれかに記載の方法。
【0097】
15.所望の表面微細構造の表面微細構造アスペクト比(SMAR)が、好ましくは1.1よりも大きく、より好ましくは2よりも大きく、最も好ましくは5よりも大きい、前記項目のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】