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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ガスクロマトグラフィーシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/46 20060101AFI20240514BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20240514BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20240514BHJP
   G01N 30/64 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G01N30/46 A
G01N30/26 M
G01N30/26 A
G01N30/88 G
G01N30/64 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569972
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 US2022023704
(87)【国際公開番号】W WO2022245440
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/189,525
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399117121
【氏名又は名称】アジレント・テクノロジーズ・インク
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】フー,ミンハオ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ワン
(72)【発明者】
【氏名】シュイー,リー
(72)【発明者】
【氏名】プー,ティンティン
(72)【発明者】
【氏名】タオ,チエン
(57)【要約】
本発明は、マトリックスから分析物を分離するためのガスクロマトグラフィー(GC)システムであって、GCシステム入口と、第1の弁を通じてGCシステム入口に流体的に接続された第1のカラムと、第2の弁を通じて第1のカラムに流体的に接続された第2のカラムと、第2の弁を通じて第1のカラムに流体的に接続された第3のカラムと、第3の弁を通じて第3のカラムに流体的に接続された第4のカラムと、第4の弁を通じて第4のカラムおよび第2のカラムの両方に流体的に接続されたGCシステム出口とを備えるGCシステムを開示する。さらに本発明は、GCシステムを使用することによりガスマトリックスからおよびCOから、Ar、O、N、CHおよびCOのうちの1種または複数種を含む分析物部分を含む様々な分析物を分離する方法も開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックスから分析物を分離するためのガスクロマトグラフィー(GC)システムであって、
GCシステム入口と、
第1の弁を通じて前記GCシステム入口に流体的に接続された第1のカラムであり、ガスマトリックスからおよびCOから、Ar、O、N、CHおよびCOのうちの1種または複数種を分離することができる第1のカラムと、
第2の弁を通じて前記第1のカラムに流体的に接続された第2のカラムであり、前記ガスマトリックスからCOを分離することができる第2のカラムと、
前記第2の弁を通じて前記第1のカラムに流体的に接続された第3のカラムであり、前記ガスマトリックスからおよび1種または複数種の前記分析物の別の分析物から、Ar、O、N、CHおよびCOからなる群から選択される1種または複数種の分析物を分離することができる第3のカラムと、
第3の弁を通じて前記第3のカラムに流体的に接続された第4のカラムであり、前記ガスマトリックスから、Ar、O、N、CHおよびCOのうちの1種または複数種をさらに分離することができる第4のカラムと、
第4の弁を通じて前記第4のカラムおよび前記第2のカラムの両方に流体的に接続されたGCシステム出口と
を備え、前記第1の弁が、10個以上のポートを備え、かつ2つ以上のポジションを有し、1つのポジションにおいて、前記第1の弁が、サンプルインレットとサンプルループの間の流路を形成し、別のポジションにおいて、前記第1の弁が、前記サンプルループと前記第1のカラムの間の流路を形成し、
前記第2の弁が、2つ以上のポジションを有するマルチポート弁であり、1つのポジションにおいて、前記第2の弁が、前記第1のカラムと前記第2のカラムの間の流体的接続を形成し、別のポジションにおいて、前記第2の弁が、前記第1のカラムと前記第3のカラムの間の流体的接続を形成し、
前記第3の弁が、2つ以上のポジションを有するマルチポート弁であり、1つのポジションにおいて、前記第3の弁が、前記第3のカラムと前記第4のカラムの間の流体的接続を形成し、別のポジションにおいて、前記第3の弁が、前記第3のカラムとベントの間の流体的接続を形成し、
前記第4の弁が、2つ以上のポジションを有するマルチポート弁であり、1つのポジションにおいて、前記第3の弁が、前記第2のカラムと前記GCシステム出口の間の流体的接続を形成し、別のポジションにおいて、それが、前記第4のカラムと前記GCシステム出口の間の流体接続を形成する、GCシステム。
【請求項2】
前記第2の弁、前記第3の弁および前記第4の弁のそれぞれが、6個以上のポートを備える、請求項1に記載のGCシステム。
【請求項3】
前記第1のカラムおよび前記第4のカラムのうちの一方または両方が、ポリスチレン-ジビニルベンゼン相を有する多孔質層開管(PLOT)カラムである、請求項1に記載のGCシステム。
【請求項4】
前記第2のカラムおよび前記第3のカラムのうちの一方または両方が分子ふるいカラムである、請求項1に記載のGCシステム。
【請求項5】
前記第1のカラムが、2つの端部を有し、
前記第1の弁ポートのうちの1つが、前記GCシステム入口に流体的に接続されており、
前記第1の弁ポートのうちの2つが、前記第1のカラムの端部に流体的に接続されており、
1つのポジションにおいて、前記第1の弁が、前記第1のカラムと前記第2の弁の間の流体的接続を形成し、別のポジションにおいて、前記第1の弁が、前記第1のカラムとベントの間の流体接続を形成する、請求項1に記載のGCシステム。
【請求項6】
前記第1の弁を前記第2の弁に直接接続する導管をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載のGCシステム。
【請求項7】
そのインレットおよびアウトレットが前記第2の弁の別々のポートに取り付けられている導管と、
そのインレットおよびアウトレットが前記第3の弁の別々のポートに取り付けられている導管と、
そのインレットおよびアウトレットが前記第4の弁の別々のポートに取り付けられている導管と
のうちの1つまたは複数をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載のGCシステム。
【請求項8】
前記第1の弁および/または前記第3の弁および/または前記第4の弁が、可変または固定リストリクタを備えるベントに接続されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のGCシステム。
【請求項9】
前記第1、第2、第3および第4の弁のそれぞれがダイヤフラム弁である、請求項1から5のいずれか1項に記載のGCシステム。
【請求項10】
前記第1のカラム、前記第2のカラム、前記第3のカラム、および前記第4のカラムが、オーブンに収納されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のGCシステム。
【請求項11】
前記弁が、パージ室に収納されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のGCシステム。
【請求項12】
前記第1の弁の2つ以上のポートに流体的に接続された1つまたは複数のキャリアガス源をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載のGCシステム。
【請求項13】
前記第2の弁に流体的に接続されたキャリアガス源と、前記第3の弁に流体的に接続されたキャリアガス源とをさらに備え、前記第1、第2および第3の弁について、前記キャリアガス源が同じかまたは異なる、請求項1から5のいずれか1項に記載のGCシステム。
【請求項14】
キャリアガスを精製するように、前記キャリアガス源と前記第1、第2または第3の弁の間に、1つまたは複数のゲッタをさらに備える、請求項13に記載のGCシステム。
【請求項15】
前記第1、第2、第3および第4の弁のそれぞれと信号通信しているコントローラをさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載のGCシステム。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載のガスクロマトグラフィーシステムと、
検出器入口を有する検出器と
を備え、前記GCシステム出口が、前記検出器入口に流体的に接続されている、ガス分析計システム。
【請求項17】
前記検出器がパルス放電ヘリウムイオン化検出器(PDHID)である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
請求項1から5のいずれか1項に記載のGCシステムを動作させる方法であって、
前記第1の弁が、前記第1の弁インレットをサンプルループに流体的に接続するポジションにある状態で、ガスサンプルを前記第1の弁の第1の弁インレットに流入させる工程と、
前記サンプルループおよび前記第1のカラムを流体的に接続するために前記第1の弁を切り替える工程と、
前記第1のカラム内で前記ガスサンプルをマトリックス部分、分析物部分およびCO部分へと分離する工程であり、前記分析物部分が、Ar、O、N、CHおよびCOのうちの1種または複数種を含む、工程と
を含む方法。
【請求項19】
前記第1のカラムと前記第3のカラムの間の流体的接続を形成するために前記第2の弁をポジショニングする工程と、前記分析物部分を前記第3のカラムに流す工程とをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第3のカラムと前記第4のカラムの間の流体的接続を形成するために前記第3の弁をポジショニングする工程と、前記分析物部分を前記第4のカラムに流す工程とをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第3のカラムとベントの間の流体的接続を形成するために前記第3の弁をポジショニングする工程と、前記第3のカラムから溶出するガスマトリックスを前記ベントから排出する工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記第4のカラムとベントの間の流体的接続を形成するために前記第4の弁をポジショニングする工程と、前記第4のカラムから溶出するガスマトリックスを前記ベントから排出する工程とをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記第4のカラムと前記GCシステム出口の間の流体的接続を形成するために前記第4の弁をポジショニングする工程と、前記分析物部分を前記GCシステム出口に流す工程とをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のカラムと前記第2のカラムの間の流体的接続を形成するために前記第2の弁を切り替える工程と、前記CO部分を前記第2のカラムに流す工程とをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記第2のカラムと前記GCシステム出口の間の流体的接続を形成するために前記第4の弁をポジショニングする工程と、前記CO部分を前記GCシステム出口に流す工程とをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
遮断弁を通過することなく、COを前記第2のカラムに、および前記GCシステム出口に移す工程を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
Ar、N、O、CHおよびCOのうちの1種または複数種が、前記第2のカラムをバイパスし、かつ前記第3のカラムおよび前記第4のカラムに移る、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
より重いアルカンが、前記第2のカラムに移ることなく前記第1のカラムからバックフラッシュされ排出されるような、前記第1のカラムとベントの間の流体的接続を形成するように、前記第1の弁が構成される、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
高純度水素ガスを汚染物質に関して分析する方法であって、
前記水素ガスのサンプルを請求項1から5のいずれか1項に記載のGCシステムの前記GCシステム入口へと流す工程と、
前記サンプルを検出器に移す前に、前記サンプルからの前記水素の少なくとも一部を排出する工程と
を含む方法。
【請求項30】
前記サンプルを前記第1のカラムに通過させ、前記サンプルの水素、汚染物質およびCO部分を溶出する工程であり、前記水素および汚染物質部分が、前記サンプルのCO部分の前に溶出する、工程と、
前記サンプルの前記汚染物質部分を前記第3のカラムに移す工程と
をさらに含む請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記CO部分が、遮断弁を通過することなく検出器に流れる、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記サンプルの前記CO部分が、前記サンプルの前記汚染物質部分の前に前記検出器により分析される、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年5月17日に出願された米国特許出願第63/189,525号に基づく優先権および利益を主張するものであり、その内容は、全体がここに引用することにより本明細書の記載の一部をなすものとする。
【0002】
本開示は概して、超高検出能力を有するガスクロマトグラフィーシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
ガスクロマトグラフ(GC)は、サンプル内の分析物を分離し、分析物の相対量および/または同一性を示す信号を生成することにより、サンプル(気相中に存在するサンプルまたは気化することができるサンプルを含む)を分析することができる。既知かつ/または再現可能な体積のサンプルが流路内に注入または挿入され、サンプルは、1本または複数本のGCカラムを通じて運ばれ、カラムは、典型的には加熱され、分析物を分離する固定相を含む。分離された分析物は、サンプル中の分析物の相対量および/または同一性を示す信号を生成する検出器に出る。キャリアガスは、GC流路を通じてサンプルを移動させる。ガスクロマトグラフィーにおいて使用される典型的なキャリアガスとしては、ヘリウム、水素、窒素、ならびにアルゴンおよびメタンの混合物が挙げられる。
【0004】
一部のガスサンプルは、分析に十分な分析物の分離を達成するために複数本のカラムによるクロマトグラフィー分離を必要とする。2本、3本またはそれ以上のクロマトグラフィー分離カラムを有する、多次元クロマトグラフィー分離スキームを使用するガスクロマトグラフィーシステムが利用可能である。多次元クロマトグラフィーカラム間のガス流路接続は、様々な切替弁および導管スキームにより導くことができる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様として、ガスクロマトグラフィーシステムが提供される。別の態様として、ガスマトリックスからおよびCOから、Ar、O、N、CHおよびCOのうちの1種または複数種を含む分析物部分を含む様々な分析物を分離する、新規な方法が提供される。
【0006】
本デバイスおよび方法のこれらおよび他の特徴ならびに利点は、添付の特許請求の範囲と併せて、以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】動作の様々な時間における本ガスクロマトグラフィーシステムの一実施形態を示す図である。
図1B】動作の様々な時間における本ガスクロマトグラフィーシステムの一実施形態を示す図である。
図1C】動作の様々な時間における本ガスクロマトグラフィーシステムの一実施形態を示す図である。
図1D】動作の様々な時間における本ガスクロマトグラフィーシステムの一実施形態を示す図である。
図1E】動作の様々な時間における本ガスクロマトグラフィーシステムの一実施形態を示す図である。
図1F】動作の様々な時間における本ガスクロマトグラフィーシステムの一実施形態を示す図である。
図1G】動作の様々な時間における本ガスクロマトグラフィーシステムの一実施形態を示す図である。
図1H】動作の様々な時間における本ガスクロマトグラフィーシステムの一実施形態を示す図である。
図1I】動作の様々な時間における本ガスクロマトグラフィーシステムの一実施形態を示す図である。
図1J】動作の様々な時間における本ガスクロマトグラフィーシステムの一実施形態を示す図である。
図2】本ガスクロマトグラフィーシステムの一実施形態の動作による結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付図面において、装置内の利用可能な様々な流路を示すために様々なパターンの点線および破線が一般的に使用されている。点線および破線は、実線と比較して異なる構造を必ずしも表さないことが認識されるべきである。
【0009】
図面中の機構は、必ずしも原寸に比例して描かれていない。本教示は、添付図面と併せて読むと、以下の詳細な説明から最も良く理解される。
【0010】
本開示は、10ppb(十億分率)未満の不純物の検出能力、高い制御精度およびシステム安定性を有する、高純度水素ガスなどの様々な高純度ガスを分析するためのGCシステムを提供する。本技術により解決または緩和される一部の問題には、遮断弁に起因する汚染およびピーク拡大のリスク;あるタイプのガスサンプルに限定された用途;手動調整によって引き起こされるシステム安定性および精度に対するリスク;GCカラムメンテナンスにおける不便;ある分析物が、それらの分離に寄与しないカラムを流通することを必要とすることによるピーク拡大;分析物のピークとの純粋なガスマトリックスの干渉が含まれる。本技術のいくつかの実施形態の利点として、汚染およびピーク拡大のリスクを低減するために遮断弁を有さない弁システム;様々なタイプのガスサンプルのための1つのGCシステムにおける多用途分析能力;GCシステム精度および安定性を確保するための高精度空気制御;メンテナンスに、およびメンテナンス後のパージングに必要なより少ない時間;分析物の分離に最も適切なカラム内にそれらを送るためのカラム切替(またはハートカッティング);分析物ピークとの干渉を低減するための純粋なガスマトリックスの排出が挙げられる。
【0011】
本開示に鑑みて、システムおよび方法は本教示にしたがって実施することができることに留意されたい。さらに、様々な構成要素、材料、構造体、ステップおよびパラメータは、単に説明および例として含まれ、いかなる限定的な意味でも含まれない。本開示に鑑みて、本教示は、他の用途において実施することができ、これらの用途を実施するための構成要素、構造体、ステップおよび設備は、添付の特許請求の範囲内に留まりながら決定することができる。
【0012】
図1A~1Jは、本ガスクロマトグラフィーシステム100の一実施形態を示す。以下でより詳しく説明するように、GCシステムは、GCシステム入口101と、第1の弁120を通じてGCシステム入口に流体的に接続された第1のカラム110と、第2の弁150を通じて第1のカラム110に流体的に接続された第2のカラム140と、第2の弁150を通じて第1のカラム110に流体的に接続された第3のカラム160と、第3の弁170を通じて第3のカラム160に流体的に接続された第4のカラム180と、第4の弁190を通じて第4のカラム180および第2のカラム140の両方に流体的に接続されたGCシステム出口198とを備える。第1のカラム110は、HなどのガスマトリックスからおよびCOから、Ar、O、N、CHおよびCOのうちの1種または複数種を分離することができる。分析物からのガスマトリックスのカラム分離は、分析物からガスマトリックスを部分的に分離することを含んでよいことに留意されたい。一部のガスマトリックスは依然として分析物と同時に溶出することがあるが、それは、カラムが分析物から部分ガスマトリックスを分離しなかった場合よりもはるかに少なくなる。第2のカラム140は、COからH(または他のガスマトリックス)を分離することができる。第3のカラム160は、ガスマトリックスからおよび前記1種または複数種の分析物の別の分析物から、Ar、O、N、CHおよびCOからなる群から選択される1種または複数種の分析物を分離することができる。いくつかの実施形態において、第3のカラムは、Ar、O、N、CHおよびCOから選択される前記1種または複数種の分析物のそれぞれを他の選択された分析物のそれぞれから分離することができる。第4のカラム180は、ガスマトリックスから、Ar、O、N、CHおよびCOのうちの1種または複数種をさらに分離することができる。いくつかの実施形態において、第4のカラム内で分離された1種または複数種の分析物(Ar、O、N、CHおよび/またはCOなど)にはガスマトリックスが実質的にない。この文脈において、マトリックスの量が分析物の検出または定量化を実質的に妨害しないとき、分析物にはガスマトリックスが実質的にない。前述のカラムは、他の分離が可能であってよく、言い換えれば、分離能力は、記載される成分に限定されない。例えば、第1のカラム110は、H、CHおよびCOのうちの1種または複数種からより重いアルカンを分離することができてもよい。
【0013】
第1の弁120、第2の弁150、第3の弁170および第4の弁190は、任意の適したタイプまたは設計であり得る。図1A~1Jに示されるように、第1の弁120は、ポート121、122、123、124、125、126、127、128、129、130を有する10ポート弁である。ポート121は、それがGCシステム入口101に流体的に接続されているので、第1の弁インレットとして構成される。ポート122は、サンプルアウトレット103に流体的に接続された弁アウトレットである。ポート123および130は、サンプルループ102のループ端部に接続されており、ポート124および127は、キャリアガス源134、133に接続されており、ポート125および129は、第1のカラム110のカラム端部に接続されており、ポート126は、第2の弁150への導管132に接続されており、ポート128は、ベント135に接続されている。第2の弁150は、ポート151、152、153、154、155、156を有する6ポート弁である。ポート151は、キャリアガス供給161に接続されており、ポート152および156は、導管162の端部に接続されており、ポート153は、第3のカラム160の入口に接続されており、ポート154は、第1の弁120からの導管132に接続されており、ポート155は、第2のカラム140の入口に接続されている。第3の弁170は、ポート171、172、173、174、175、176を有する6ポート弁である。ポート171は、導管183を介してキャリアガス源181に接続されており、ポート172および176は、導管182の端部に接続されており、ポート173は、第4のカラム180の入口に接続されており、ポート174は、第3のカラム160のアウトレットに接続されており、ポート175は、ベント184に接続されている。第4の弁190は、ポート191、192、193、194、195、196を有する6ポート弁である。いくつかの実施形態において、第4の弁は、時計回りに番号が付けられた部品1~6を有する6ポート弁であり(図1A~1Jの部品191~196により示される通り)、ポート191は、ベント188に接続されており、ポート192は、第2のカラム140のアウトレットに接続されており、ポート193は、GCシステム出口198に接続されており、それは、検出器199に通じており、ポート194および196は、導管189に接続されており、ポート195は、第4のカラム180のアウトレットに接続されている通り、ポートは、特定の要素に接続されている。
【0014】
以下に記載されるGCシステム100の例示的な動作において、サンプルは、空気および一酸化炭素(空気+CO)、より軽いアルカン(CH)、二酸化炭素(CO)、およびエタンまたはプロパンなどのより重いアルカン(C2+)などの汚染物質を含む高純度水素(H)サンプルである。GCシステムは、高純度水素ガスをそれらの汚染物質の一部またはすべてに関して分析するために使用され、それらは、検出器により分析物として同定される。したがって本GCシステムは、水素ガスまたは他の高純度ガスなどのガスマトリックス中の少量の汚染物質を検出することができる。もちろん、本GCシステムは、ヘリウム、アルゴン、酸素、窒素、メタン、二酸化炭素およびネオンガスなどの他のタイプのガスサンプルに使用することができることを理解される。異なるタイプの高純度ガス(例えば、高純度H、He、Ar、O、N、CH、COまたはNe)が、異なるタイプの汚染物質を有してよい。ガスマトリックスのタイプを変更するとき、本GCシステムのハードウェアの修正は必要ではなく、GC法の修正のみが必要になる。サンプル源は、圧縮ガスのタンクまたは他の容器(例えばガス流またはサンプルバイアル)から供給することができる。カラムを通じたガスの流れは、一定圧力または一定流量モードで制御されてよい。図1Aは、サンプルループをサンプルで充填する状態のシステムに対するステップ1における動作を示す。多くのガスクロマトグラフにおいて、サンプルループはガスサンプルで充填され、次いで、サンプルループからガスサンプルをGCカラム内に負荷するために流体的接続が切り替えられる。
【0015】
図1Aにおいて、弁120、150、170、190のすべてが、それらのOFFポジションにある。サンプルループ102の体積がサンプルで充填されるまで加圧ガスサンプルをサンプルループ102に流通させることにより、サンプルはサンプルループ102内に負荷される。第1の弁120は、複数の弁インレット(例えば、弁インレット121、124、127)および少なくとも1つの弁アウトレット126を備える。図1Aにおいて、サンプルは、GCサンプル入口101を通じて入り、ポート130を通じてサンプルループ102に移る。OFFポジションにおいて、第1の弁120は、サンプルアウトレット103への流路を形成する。サンプルループ102は、任意選択であり、かつGCシステム100の外にあってよく、いくつかの実施形態におけるように、サンプル入口がカラム110に直接接続される。図1A~1Jは、キャリアガス導管131、第1の弁出口導管132、およびキャリアガス源133も示す。
【0016】
図1Bは、サンプルを第1のカラム110に注入することを望むときのステップ2におけるガスクロマトグラフィーシステムの動作を示す。サンプルループが充填された後、GCカラム流路に沿ってサンプルループを配置するために、第1の弁120は、そのONポジションに切り替えられ、キャリアガス源134からのキャリアガスは、サンプルループに含まれるサンプルを分析のためのGCカラム110へと押す。サンプルの成分は、カラム110からH、空気+CO、CH、CO、およびC2+の順序で溶出する。Hがガスマトリックスであるため、その濃度が非常に高いので、それが比較的長時間尾を引くことになり、それは、ベースライン信号が増加する原因となることにより他の成分分析に影響することになる。本GCシステムは、他のステップおよび特徴の中でも、パージング、ヒートカッティング、カラム選択によりマトリックス効果を低減または排除する。
【0017】
図1Cは、H、N、Ar、COおよびCHを第3のカラム160に移すことを望むときのステップ3における動作を示す。第1および第2の弁120、150は、それらのONポジションにあり、第3および第4の弁170、190は、それらのOFFポジションに残る。分析物は、カラム110からH、空気+CO、CH、CO、C2+の順序で溶出し続ける。COが第1のカラム110から溶出する前に、H、空気+CO、およびCHを第3のカラム160内に送るために、第2の弁150は、そのONポジションに切り替えられる。
【0018】
図1Dは、COを第2のカラム140に移すことが望まれるときのステップ4における動作を示す。H、空気+CO、CHを第3のカラム160内に送った後、第1の弁120はONのままであるが、第2の弁150は、そのOFFポジションに切り替えられ、ここで第1のカラム110および第2のカラム140が流体的に接続される。第2のカラム140において、Hマトリックス効果を低減または排除するために、COが第4の弁190に移る前にサンプルのマトリックス残留物(H)からさらに分離される。第4の弁190から、COサンプル部分が検出のための検出器199に流されることになる。
【0019】
本明細書に記載されるGCシステムの利益は、Ar、N、O、COおよびCHのうちの1種または複数種を含む分析物部分を、それらの汚染物質を第2のカラムに流通させることなく第3のカラムに送るために第2の弁を使用すること、およびCO部分を、COを第3のカラムに流通させることなく第2のカラムに送るために第2の弁を使用することである。これは、それらの分析物の分離に実質的に寄与しないカラムを分析物が流通することを不要とすることによりピーク形状を改善する(バンドの広がりを縮小することによるなど)。加えて、第2の弁が分析物を適切な分離カラムに切り替えるようにすることにより、本GCシステムは、サンプルの部分を遮断弁内に蓄積するのではなく、システムを通じたサンプルの連続流を維持することができる。そのような遮断弁を排除することは、既知のGCシステムと比較して改善されたピーク形状にも寄与する。
【0020】
図1Eは、第1のカラム110からC2+などの重い汚染物質をバックフラッシュすることを望む場合のステップ5における動作を示す。これは、これらの分析物を定量化または同定することが望まれない場合にシステム汚染を低減すること、および分析時間を短縮することによりシステム性能を改善する。第1の弁120は、そのOFFポジションに切り替えられ、このポジションにあるけれども、流体が第1の弁120のあるポートを通じて流される。とりわけ、OFFポジションにおいて、サンプルがサンプルループ102から第1のカラム110に流れることも、第1の弁120から第2の弁150に流れることも許容されない。しかし、C2+などのより重い汚染物質を第1のカラム110から、そしてベント135の外へバックフラッシュするために、OFFポジションにおいて、第1の弁ポート124は、キャリアガス源134からのキャリアガスを受け入れる。キャリアガス源133からのキャリアガスは、弁ポート127に流入し、導管132を通じて第2の弁150の弁ポート154に流入して、カラム140を通じて分析物を移動させ続ける。第2の弁150は、そのOFFポジションに切り替えられ、このポジションにあるけれども、流体が第2の弁150のあるポートを通じて流される。とりわけ、OFFポジションにおいて、キャリアガスは、キャリアガス源161から第2の弁インレット151に流入し、第2の弁ポート156、152、153を通じてカラム160に流れる。成分は、第3のカラム160からH、Ar、O、N、CH、COの順序で溶出し(汚染物質の溶出時間超を含む比較的長時間、H2マトリックスが尾を引くが)、このカラム160も、ArおよびO2を分離する能力を有する。システム100において、第3のカラム160は、第3の弁170に流体的に接続されており、それは、第3の弁アウトレット175へ、そしてベント184へ外へのキャリアガスおよびマトリックス(この例ではH)の流れを許容するが、そのOFFポジションにある。このように、H2マトリックスは、第3のカラム160から、そしてベント184を介してシステム100からパージされる。
【0021】
図1Fは、Ar、O、N、CHおよびCOをカラム180に流すことが望まれる場合のステップ6における動作を示す。第1の弁120および第2の弁150は、それらのOFFポジションにある。大部分のH2マトリックスがベント184を介してパージされた後かつArがカラム160から溶出される前に、第3の弁170は、そのONポジションに切り替えられる。そのONポジションにおいて、第3の弁170は、サンプルがシステム内の次の分離カラムに流れるのを可能にし、それは第4のカラム180である。第3の弁170は、第3の弁インレット174から第3の弁アウトレット173への流路を形成し、それは、Ar、O、N、CH、COおよび可能性として他の分析物を含むサンプル部分がカラム180に流入するように、第4のカラム180に流体的に接続されている。
【0022】
図1Gは、ステップ7における動作を示す。システムの弁120、150、170、190のすべてが、それらのOFFポジションにある。ステップ7の間、H2マトリックス残留物がベント184を介してさらにパージされる間にArおよびOのみがカラム180内に送られる。このように、分析物N、CHおよびCOを失うことなく、カラム180に導入されるHマトリックスの量が低減される。システム100において、第4の弁190および様々な導管が、ポート195、194、196および191を通るベント188への流路を形成する。
【0023】
図1Hは、COが検出器199により検出され、かつ残っている分析物をカラム180から検出器199に移すことを望んだ後のステップ8における動作を示す。第1、第2および第3の弁120、150、170は、それらのOFFポジションにある。検出のために、減量したHマトリックスを分析物ArおよびOと共に送るためにカラム180が検出器199と流体的に接続されるように、第4の弁190は、COが検出器199(例えばPDHID)により検出された後にそのONポジションに切り替えられる。この状態において、キャリアガスは、カラム110からC2+をバックフラッシュし続け、キャリアガスは、Hマトリックスをカラム160から、そしてポート175およびベント184を介して外へパージし続ける。
【0024】
図1Iは、N、CHおよびCOなどの分析物がカラム160からカラム180に、そして検出器199に流れるときのステップ9における動作を示す。第1および第2の弁120、150は、それらのOFFポジションにある。第3および第4の弁170、190は、それらのONポジションにある。この状態において、N、CH、およびCOをカラム180に送るために、カラム160は、カラム180と流体的に接続されており、検出器199がAr、O、N、CHおよびCOを検出するように、カラム180は、それと流体的に接続されている。
【0025】
図1Jは、サンプル分析物が検出器に移された後のステップ10における動作を示す。サンプルの分析物の分析は完了しており、第1、第2、第3および第4の弁120、150、170、190は、それらのOFFポジションにある。
【0026】
いくつかの実施形態において、GCシステムは、本明細書に示される通りの特定の接続を含み得るが、前述の説明は、すべての実施形態における特定のポートへの様々な要素の接続を限定するものではない。いくつかの実施形態において、第1の弁は、時計回りに番号が付けられたポート1~10を有する10ポート弁であり(図1A~1Jのポート121~130により示される通り)、ポート1は、GCシステム入口に接続されており、ポート2は、サンプルアウトレットに接続されており、ポート3および10は、サンプルループのループ端部に接続されており、ポート4および7は、キャリアガス源に接続されており、ポート5および9は、第1のカラムのカラム端部に接続されており、ポート6は、第2の弁への導管に接続されており、ポート8は、ベントに接続されている通り、ポートは、特定の要素に接続されている。いくつかの実施形態において、第2の弁は、時計回りに番号が付けられたポート1~6を有する6ポート弁であり(図1A~1Jのポート151~156により示される通り)、ポート1は、キャリアガス供給に接続されており、ポート2および6は、導管の端部に接続されており、ポート3は、第3のカラムの入口に接続されており、ポート4は、第1の弁からの導管に接続されており、ポート5は、第2のカラムの入口に接続されている通り、ポートは、特定の要素に接続されている。いくつかの実施形態において、第3の弁は、時計回りに番号が付けられたポート1~6を有する6ポート弁であり(図1A~1Jのポート171~176により示される通り)、ポート1は、キャリアガス源に接続されており、ポート2および6は、導管の端部に接続されており、ポート3は、第4のカラムの入口に接続されており、ポート4は、第3のカラムのアウトレットに接続されており、ポート5は、ベントに接続されている通り、ポートは、特定の要素に接続されている。いくつかの実施形態において、第4の弁は、時計回りに番号が付けられたポート1~6を有する6ポート弁であり(図1A~1Jのポート191~196により示される通り)、ポート1は、ベントに接続されており、ポート2は、第2のカラムのアウトレットに接続されており、ポート3は、GCシステム出口に接続されており、それは、検出器に通じており、ポート4および6は、導管に接続されており、ポート5は、第4のカラムのアウトレットに接続されている通り、ポートは、特定の要素に接続されている。前述の接続は、ポートと他の要素の間の物理的な直接接続、および/または流体的接続でよく、ここで1つまたは複数の他の要素が流路内にあってよい。6ポート弁または10ポート弁としてこの段落に記載される弁に関して、それらは、そのような弁に対して最小数のポートであり、それらは、希望するならば、より多数のポートを備えてよいことが企図される。本GCシステムのいくつかの実施形態は、記載されたばかりの特定の要素への接続のすべてを有する第1、第2、第3および第4の弁を備える。市販の弁が、永久に標識されたそのポートを有しても、有さなくてもよく、上記の接続の順序にしたがう限り、そのような番号が弁において標識された番号付けと一致するかどうかに関わらず、本明細書に記載の通りポートに自由に番号を付けることができることが理解されるべきである。
【0027】
いくつかの実施形態において、本システムは、様々な点でそれらをさらに改善し得る他の特徴を含む。例えば、ベースラインが低く、かつ空気制御が正確であるように、キャリアガス流/および/または検出器放出流を電子空気力学制御/空気力学制御モジュール(EPC/PCM)により制御することができ、かつ小型ゲッタにより精製することができる。いくつかの実施形態において、キャリアガスはヘリウムでよい。ヘリウム、好ましくは99.999%よりも高い純度を有するヘリウムを使用してGCシステム流路をフラッシュすることができる。キャリアガスとして、または流路パージガスとして使用されるヘリウムガスを主ゲッタなどの精製器を介してEPCに、または検出器に分配することができ、各ガス導管は、EPCから出てくることができる。いくつかの実施形態において、ガスは、1つまたは複数のより小さいゲッタなどの別の精製器により精製される。
【0028】
いくつかの実施形態において、本システムの弁は、パージ室に収納されている。いくつかの実施形態において、カラムおよび/または流体的導管もパージ室に収納されてよい。パージ室は、不活性環境を弁に提供し、かつ弁への空気侵入を低減する働きをし得る。これは、分析を妨害し得る流路汚染を低減する。パージ室は、プレート上のガスケットにより密封されてよく、パージ室カバーは、プレート上に固定することができるが、パージ室を構築および/または密封する他の方法も企図される。ガスを供給することができるパージ室の気密シールを作るようにステンレス鋼管などの導管を溶接するか、またはさもなければ取り付けることができる。パージ室内へのパージガス流速を制御するために計量弁を設けることができる。いくつかの実施形態において、パージガスはヘリウムである。
【0029】
本GCシステムの弁は、少なくとも2つの弁ポジションを一般に有する。弁のすべてのポートがOFFポジションで必ずしも閉じておらず、すべてのポートがONポジションで必ずしも開いていないが、所与の弁の弁ポジションは、システムを通じた流体流全体に対するONおよびOFFと考えられたり、表されたりすることがある。例えば、第2の弁のポジションのうちの1つにおいて、第2の弁インレットおよび第2のカラムは流体的に接続されており、第2の弁のポジションのうちのもう1つにおいて、弁インレットは、第3のカラムに流体的に接続されている。いくつかの実施形態において、弁は、3ポート、4ポート、6ポートまたは10ポートダイヤフラム弁および/または回転弁でよく、かつ捕捉されるサンプルに最小限のデッドボリュームを与えるべきである。
【0030】
いくつかの実施形態において、第1、第2、第3および第4の弁の一部またはすべてがダイヤフラム弁でよい。ダイヤフラム弁の使用は、弁への空気侵入によるGC流路の汚染のリスクを低減するためにGCシステムを密封するパージ室へのGCシステムの収納を容易にする。パージ室に取り付けられた管を通じて高圧ガスにより弁を作動させ、それによって、弁を取り囲むパージ室内のモータまたはパージ室内に達するシャフトの必要を回避することができる。弁、導管、EPC/PCM、および検出器の間の接続は気密であるべきである。管とカラムの間の接続は、当技術分野において既知の最小限のデッドボリュームを有するフェルールまたは他の接続の方法を利用してよい。弁に直接カラムを取り付ける代わりに、GCオーブン内に達し、かつGCオーブン内に収容されたカラムに結合する弁に中間導管が取り付けられてよい。パージ室内ではなくGCオーブン内の1本または複数本のカラムへの接続を保つことにより、カラムメンテナンスを実施するためにパージ室が排気される必要がないため、カラムを交換またはトリミングするときのメンテナンス時間を短縮することができる。
【0031】
様々なGC分離カラムが本システムおよび方法における使用に適している。例えば、Agilent J&W HP-PLOT Qは、Porapak-QとPorapak-Nの間に極性を有する結合ポリスチレン-ジビニルベンゼン(DVB)カラムであり、それは、第1のカラムおよび/または第2のカラムとしての使用に特に適している。それは、標的とする非極性および極性化合物の分離によく適している。いくつかの実施形態において、カラムは、モノマー、プレポリマー、ポリマー、またはそれらの組合せを含む固定相材料を含む。例えば、固定相材料は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリ(トリフルオロプロピルジメチル)シロキサン、ポリシアノプロピル-フェニルシロキサン、ジエトキシジメチルシラン(DEDMS)、ポリエチレングリコール、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される1種または複数種のポリマーを含むことができる。例えば、第1および第2のカラムは、ポリスチレン-ジビニルベンゼン相を有する多孔質層開管(PLOT)カラムであり得、第3および第4のカラムは、分子ふるいカラムであり得る。さらなる例として、第1のカラムは、HP-PLOT-Q 30m、0.53mm、40u、および2 PTであり得、第2のカラムは、HP-PLOT-Q 15m、0.53mm、40u、および2 PTであり得、第3のカラムは、CP-Molsieve 5A 50m×0.53mm×50umおよび2 PTであり得、第4のカラムは、CP-Molsieve 5A 25m×0.53mm×50um 5インチであり得る。標的分析物に応じて、本GCシステム内の分子ふるいにおいて使用されてよいいくつかの他のカラムが存在する。例えば、第1および第2のカラムは、他の成分からCO2を分離することができる任意のカラムであり得る。第3および第4のカラムは、異なる長さおよび/または膜厚を有する他のタイプの分子ふるいであり得る。第3および第4のカラムはシンカーボン(sincarbon)カラムでもあり得る。いくつかの実施形態において、溶融シリカまたは金属管など、制限が第2のカラムに加えられる。
【0032】
GCシステムは、その内部にカラムのうちの1本または複数本が位置する1つまたは複数のオーブンをさらに備えることができる。いくつかの実施形態において、GCシステムは、異なる温度または異なる温度調節プログラムに設定することができる複数のオーブン区画を有する1つのオーブンを備える。オーブンは、所望の温度調節プログラムにしたがって加熱および/または冷却することができる。オーブンは、対流式オーブン、伝導加熱デバイス、または他のタイプのカラム加熱装置でよい。オーブンは、分析中、周囲温度から450℃までの範囲の温度を達成することができ、かつ等温のままでも、温度が勾配をなしてもよい。本GCシステムは、その内部に弁のうちの1つまたは複数が位置する弁箱を備えることもできる。弁箱は加熱されても、加熱されなくてもよく、またはヒータもしくは温度コントローラを含んでも、含まなくてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるGCシステムは、検出器も備えるガス分析計システムの一部でよい。検出器は、GCシステム出口に流体的に接続されている検出器入口を有することができる。ガス分析のためのガスクロマトグラフィーのために一緒に使用される検出器は、様々な技術において利用可能である。一般に使用される検出器には、炎イオン化検出器(FID)、熱伝導度検出器(TCD)、炎光光度検出器(FPD)、電子捕獲検出器(ECD)、窒素-リン検出器(NPD)、アルカリ炎検出器(AFD)、アルカリ炎イオン化検出器(AFID)、真空紫外(VUV)検出器が含まれる。質量分析計(MS)が検出器としてであるとき、ガス分析計システムは、典型的にはGC-MSシステムと呼ばれる。
【0034】
いくつかの実施形態において、本ガス分析計システムは、パルス放電ヘリウムイオン化検出器(PDHID)などのパルス放電イオン化検出器(PDID)を備える。PDIDは、プラズマ放電源、GCシステムからの分析物のための検出器入口、および電極のアレイを一般に含む。放電ゾーンからのヘリウムの流れとは反対に流れるGCカラムからの溶出剤は、ヘリウム放電による光子によりイオン化される。(1つまたは複数の)バイアス電極は、生じる電子をコレクター電極に向かって集中させ、そこで、それらは、検出器信号として定量化される定常電流(standing current)を変化させる。PDIDは、パルス放電ヘリウムイオン化検出器(PDHID)モード、パルス放電電子捕獲検出器(PDECD)モード、およびパルス放電発光検出器(PDED)モードなど、様々なモードで動作させることができる。PDHIDモードにおいて、PDIDは、ガス中でパルスDC放電を使用して、GCカラムから溶出する分析物を光イオン化し、この光イオン化プロセスにより放出された電子が電極アレイに導かれる。測定電流の変化が検出器信号を与える。
【0035】
いくつかの実施形態において、GCシステムから排出されるキャリアガス、マトリックスおよび/または汚染物質の流速を制御するために、ベント135、184、188、および/またはサンプルアウトレット103など、フローリストリクタを備えるベントが設けられる。このフローリストリクタは、ニードル弁、指定の内径および長さを有する1本の管、または流体の流速を低下させることができる他のデバイスであり得る。いくつかの実施形態において、第1の弁、第3の弁、および/または第4の弁は、可変リストリクタを備えるベントに接続されている。いくつかの実施形態において、ベントは、システムから排出される汚染物質を捕捉するためにフィルタを有してよい。
【0036】
本装置(本明細書に記載される実施形態により示される通り)は、GCシステムの一部として、またはそれと通信している外部デバイスとしてコントローラを備えることもできる。コントローラは典型的には、プロセッサおよびメモリを備える。コントローラは、第1、第2、第3および第4の弁、検出器、流れ制御モジュール、加熱装置、ならびにGCシステムを構成する他のデバイスと電気通信しており、それらからデータを受信し、かつ/またはそれらに命令を送信する(直接的または間接的に)。いくつかの実施形態において、コントローラは、第1、第2、第3および第4の弁を切り替える作動システムと電気通信しており、それからデータを受信し、かつ/またはそれに命令を送信する。
【0037】
GCシステムに注入される前に、サンプルは、加圧ガスボンベ、サンプルバイアル、または他の気密容器内に収容されてよい。サンプルは、ガス流の形態でもよい。サンプル容器がGCシステム入口に流体的に取り付けられてよく、または本GCシステムが、ガスサンプルをGCシステム入口に導入するように構成されたサンプルインジェクタを含むこともできる。いくつかの実施形態において、サンプルインジェクタは、高純度水素などの高純度ガスサンプルを導入するように構成される。サンプルインジェクタは、サンプル気化器を含んでも、含まなくてもよい。
【0038】
サンプルループは、それをサンプルで充填することができ、既知かつ再現可能な体積のサンプルが分析のためのGCシステムに注入されることを可能にし得るような既知の体積の導管(例えば、指定の長さおよび内径を有する管)でよい。あるいは、いくつかの実施形態において、トラップがサンプルループの代わりに使用され得る。
【0039】
本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明するものであり、限定するものではないことが理解されるべきである。定義される用語は、本教示の技術分野において一般に理解され、かつ受け入れられている定義される用語の技術的および科学的意味を補うものである。
【0040】
「弁」という用語は一般に、任意の構造体を包含し、該構造体は、その中への、それからの、および/またはそれを通る流路を変更するために調整することができる(切り替えたり、オンまたはオフにしたりすることによるなど)。一般に、弁は、流路からの流体の損失を防ぐように実質的に液密である。適した弁(例えば、第1、第2、第3または第4の弁)の一例は、ステータおよびロータを備える回転弁などの回転弁である。回転弁は、ステータおよびロータを備え、ここでステータおよびロータのうちの一方または両方が、異なる回転弁ポジションに回転可能(rotable)である。ステータおよびロータは、互いに隣接する表面を有し、一方または両方が、他方に対して回転するように構成される。この実施形態における弁インレットおよび(1つまたは複数の)アウトレットは、ステータ内の通路または貫通孔である。ロータは、切替可能な流体通路を備え、それは、ロータ表面の溝でよい。ステータおよび/またはロータを回転させることにより、流体通路は、異なる弁インレットを弁アウトレットと接続する。適した弁の他の例は、ダイヤフラム弁である。典型的な弁材料には、不活性でも、不活性でなくてもよい金属材料が含まれる。弁は望ましくは、短いフラッシュ時間を残し、かつサンプルを捕捉しないような小さいデッドボリュームを有する。
【0041】
「導管」という用語は一般に、導管が流体を中間点まで搬送することもできるが、流体がある点(例えば、導管のインレット)から別の点(例えば、導管のアウトレット)まで進む流路を画定するように構成された任意の構造体を包含する。導管は、可撓性であるか、剛性であるか、ある程度またはある部分において両方であり得る。導管は、それが、ある構成要素(ガス源など)から別の構成要素(ベントなど)までの流路を形成する限り、比較的長いことも、短いこともあり、かつ/または直線的もしくは非直線的である。例えば、導管は、長いチューブ、短いフィッティング、または複数の入口および/もしくは出口を有するマニホールドであり得る。導管は典型的には、1つの入口および1つの出口を有するが、いくつかの実施形態において、2つ以上の入口を有する導管が1つの出口に収束もしくは連結する場合、または1つの入口を有する導管が2つ以上の出口に分岐もしくは分割する場合など、導管は、複数の入口および/または出口を有することができる。導管は、導管の体積を計算するために使用することができるその長さおよび内径(i.d.)によりしばしば記載される。例えば、例示的な導管は、10cm~50cmの間の長さおよび0.02インチの内径を有し、そのような導管は、0.02~0.10mLの体積を有する。もちろん、他の長さ、内径および体積の導管も企図される。導管の幾何形状は、大きく変化してもよく、かつ円形、長方形、正方形、D字形、台形または他の多角形の断面を含む。導管は、様々な幾何形状(例えば、あるセクションにおいて長方形断面および別のセクションにおいて台形断面)を備えてよい。サンプル流路内の導管については、ステンレス鋼または他の金属管が、汚染を回避するためにしばしば好ましいが、プラスチック、溶融シリカ、および他の金属などの他の材料が使用されてよい。導管および弁は、任意選択で、不活性化コーティングなど、不活性を改善する材料でコートされてよい。
【0042】
「接続される」という用語は、2つの構成要素が流体的に接続されるか、物理的に接続されるか、またはその両方であることを意味する。「流体的に接続される」という用語は、2つの構成要素が流体連通していることを意味し、かつ2つの構成要素間の直接接続ならびに1つまたは複数の他の構成要素が2つの構成要素間の流路内にある間接接続を含む。例えば、第1の構成要素からのアウトレットが第2の構成要素のインレットに物理的に接続されている場合、または導管が第1および第2の構成要素を接続する場合、または流体が第1の構成要素から第2の構成要素まで、もしくはその逆に流れるとき、弁、ポンプ、もしくは他の構造体など、間にある1つもしくは複数の構成要素が2つの構成要素間にある場合、第1の構成要素および第2の構成要素は、流体的に接続されている。構成要素は、フェルール、ろう付け、および他のアプローチを使用することによるなど、任意の適した方法で物理的に接続することができる。一般に、液密であり、かつ/またはデッドボリュームを最小限にする物理的な接続が本装置に望ましい。
【0043】
本開示において、「実質的な」または「実質的に」という用語は、当業者にとって許容される範囲内または程度を意味する。「およそ」および「約」という用語は、当業者にとって許容される範囲内または量を意味する。「約」という用語は一般に、示された数値の±15%を指す。例えば、「約10」は、8.5~11.5の範囲を示し得る。例えば、「およそ同じ」は、比較されている項目が同じであると当業者が考えることを意味する。値の範囲が本開示に記載されるとき、厳密な値ならびにおよその値の両方が開示されていることが理解されるべきである。任意のより小さい値およびより大きい値を組み合わせて、範囲を形成することができることも理解されるべきである。
【0044】
特に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等の任意の方法および材料も本教示の実行または試験において使用することができるが、いくつかの例示的な方法および材料がここで説明される。本明細書において引用されるすべての特許および刊行物は、引用により本明細書の記載の一部をなすものとする。
【0045】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるとき、「a」、「an」、および「the」という用語は、文脈により特に明確に指示されない限り、単数および複数両方の指示対象を含む。したがって、例えば、「導管」は、1つの導管および複数の導管を含む。特に示されない限り、「第1」、「第2」、「第3」という用語、および他の序数は、本デバイスおよび方法の異なる要素を区別するために本明細書において使用され、数値限界を与えるものではない。第1および第2の弁ポジションへの言及は、デバイスが2つの弁ポジションのみを有することを意味すると解釈されるべきではない。第1および第2の要素を有する装置は、特に示されない限り、第3、第4、第5などを含むこともできる。
【0046】
[実施例1]
この実施例では、本GCシステムを使用して高純度H2ガスを汚染物質に関して分析した。H2マトリックス中に汚染物質を含むサンプルを図1A~1JのGCシステムに導入し、それらの図に関連して概ね上記したように動作させ、ここでステップ1~10を以下の時点で実施した。
【0047】
【表1】
【0048】
カラム110、140、160および180のそれぞれにおける初期流速は、10ml/分であるか、あるいは5~15ml/分の範囲内である。オーブン温度は、50℃であり、2分間保持し、110℃まで20℃/分であり、11分間保持する。検出器199、この場合パルス放電ヘリウムイオン化検出器(PDHID)については、ヘリウムガスを31ml/分、120℃で流す。例のオーブンプログラムは、オーブン初期温度が50℃であり、2分間保持し、次いで、温度を20℃/分の速度で110℃まで勾配させ、11分間保持し、合計で16分間である。
【0049】
図2は、高純度Hガスのサンプル中で検出された分析物(汚染物質)を示す。GCシステムは、他の分析物の前にCOを検出器に供給し、それが、著しい量のパージされなかったHから、CO、CH、N、ArおよびOのそれぞれを分離した。ArおよびOを分離し、パージされなかったH2マトリックスとは別に検出した。
【0050】
[例示的な実施形態]
本発明に開示される主題にしたがって提供される例示的な実施形態には以下が含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
実施形態1.マトリックスから分析物を分離するためのガスクロマトグラフィー(GC)システムであって、GCシステム入口と、第1の弁を通じてGCシステム入口に流体的に接続された第1のカラムであり、ガスマトリックスからおよびCOから、Ar、O、N、CHおよびCOのうちの1種または複数種を分離することができる第1のカラムと、第2の弁を通じて第1のカラムに流体的に接続された第2のカラムであり、ガスマトリックスからCO2を分離することができる第2のカラムと、第2の弁を通じて第1のカラムに流体的に接続された第3のカラムであり、ガスマトリックスからおよび1種または複数種の前記分析物の別の分析物から、Ar、O、N、CHおよびCOからなる群から選択される1種または複数種の分析物を分離することができる第3のカラムと、第3の弁を通じて第3のカラムに流体的に接続された第4のカラムであり、ガスマトリックスから、Ar、O、N、CHおよびCOのうちの1種または複数種をさらに分離することができる第4のカラムと、第4の弁を通じて第4のカラムおよび第2のカラムの両方に流体的に接続されたGCシステム出口とを備える、GCシステムである。第1の弁は、10個以上のポートを備え、かつ2つ以上のポジションを有し、1つのポジションにおいて、第1の弁は、サンプルインレットとサンプルループの間の流路を形成し、別のポジションにおいて、第1の弁は、サンプルループと第1のカラムの間の流路を形成する。第2の弁は、2つ以上のポジションを有するマルチポート弁であり、1つのポジションにおいて、第2の弁は、第1のカラムと第2のカラムの間の流体的接続を形成し、別のポジションにおいて、第2の弁は、第1のカラムと第3のカラムの間の流体的接続を形成する。第3の弁は、2つ以上のポジションを有するマルチポート弁であり、1つのポジションにおいて、第3の弁は、第3のカラムと第4のカラムの間の流体的接続を形成し、別のポジションにおいて、第3の弁は、第3のカラムとベントの間の流体的接続を形成する。第4の弁は、2つ以上のポジションを有するマルチポート弁であり、1つのポジションにおいて、第3の弁は、第2のカラムとGCシステム出口の間の流体的接続を形成し、別のポジションにおいて、それは、第4のカラムとGCシステム出口の間の流体接続を形成する。
【0052】
実施形態2.第2、第3および第4の弁のそれぞれが、6個以上のポートを備える、実施形態1に記載のGCシステム。
【0053】
実施形態3.第1のカラムおよび第4のカラムのうちの一方または両方が、ポリスチレン-ジビニルベンゼン相を有する多孔質層開管(PLOT)カラムである、実施形態1または2に記載のGCシステム。
【0054】
実施形態4.第2のカラムおよび第3のカラムのうちの一方または両方が分子ふるいカラムである、実施形態1から3のいずれか1つに記載のGCシステム。
【0055】
実施形態5.第1のカラムが、2つの端部を有し、前記第1の弁ポートのうちの1つが、GCシステム入口に流体的に接続されており、前記第1の弁ポートのうちの2つが、第1のカラムの端部に流体的に接続されており、1つのポジションにおいて、第1の弁が、第1のカラムと第2の弁の間の流体的接続を形成し、別のポジションにおいて、第1の弁が、第1のカラムとベントの間の流体接続を形成する、実施形態1に記載のGCシステム。
【0056】
実施形態6.第1の弁を第2の弁に直接接続する導管をさらに備える、実施形態1から5のいずれか1つに記載のGCシステム。
【0057】
実施形態7.そのインレットおよびアウトレットが第2の弁の別々のポートに取り付けられている導管と、そのインレットおよびアウトレットが第3の弁の別々のポートに取り付けられている導管と、そのインレットおよびアウトレットが第4の弁の別々のポートに取り付けられている導管とのうちの1つまたは複数をさらに備える、実施形態1から6のいずれか1つに記載のGCシステム。
【0058】
実施形態8.第1の弁および/または第3の弁および/または第4の弁が、可変または固定リストリクタを備えるベントに接続されている、実施形態1から7のいずれか1つに記載のGCシステム。
【0059】
実施形態9.第1、第2、第3および第4の弁のそれぞれがダイヤフラム弁である、実施形態1から8のいずれか1つに記載のGCシステム。
【0060】
実施形態10.第1のカラム、第2のカラム、第3のカラム、および第4のカラムが、オーブンに収納されている、実施形態1から9のいずれか1つに記載のGCシステム。
【0061】
実施形態11.弁が、パージ室に収納されている、実施形態1から10のいずれか1つに記載のGCシステム。
【0062】
実施形態12.第1の弁の2つ以上のポートに流体的に接続された1つまたは複数のキャリアガス源をさらに備える、実施形態1から11のいずれか1つに記載のGCシステム。
【0063】
実施形態13.第2の弁に流体的に接続されたキャリアガス源、および第3の弁に流体的に接続されたキャリアガス源をさらに備え、第1、第2および第3の弁について、キャリアガス源が同じかまたは異なる、実施形態1から12のいずれか1つに記載のGCシステム。
【0064】
実施形態14.キャリアガスを精製するように、キャリアガス源と第1、第2または第3の弁の間に、1つまたは複数のゲッタをさらに備える、実施形態13に記載のGCシステム。
【0065】
実施形態15.第1、第2、第3および第4の弁のそれぞれと信号通信しているコントローラをさらに備える、実施形態1から14のいずれか1つに記載のGCシステム。
【0066】
実施形態16.実施形態1から15のいずれか1つに記載のガスクロマトグラフィーシステムと、検出器入口を有する検出器とを備えるガス分析計システムであって、GCシステム出口が、検出器入口に流体的に接続されている、システム。
【0067】
実施形態17.検出器がパルス放電ヘリウムイオン化検出器(PDHID)である、実施形態16に記載のシステム。
【0068】
実施形態18.実施形態1から17のいずれか1つに記載のGCシステムを動作させる方法であって、第1の弁が、第1の弁インレットをサンプルループに流体的に接続するポジションにある状態で、ガスサンプルを第1の弁の第1の弁インレットに流入させる工程と、サンプルループおよび第1のカラムを流体的に接続するために第1の弁を切り替える工程と、第1のカラム内でガスサンプルをマトリックス部分、分析物部分、およびCO部分へと分離する工程であり、分析物部分が、Ar、O、N、CHおよびCOのうちの1種または複数種を含む工程とを含む、方法。
【0069】
実施形態19.第1のカラムと第3のカラムの間の流体的接続を形成するために第2の弁をポジショニングする工程と、分析物部分を第3のカラムに流す工程とをさらに含む、実施形態18に記載の方法。
【0070】
実施形態20.第3のカラムと第4のカラムの間の流体的接続を形成するために第3の弁をポジショニングする工程と、分析物部分を第4のカラムに流す工程とをさらに含む、実施形態18または19に記載の方法。
【0071】
実施形態21.第3のカラムとベントの間の流体的接続を形成するために第3の弁をポジショニングする工程と、第3のカラムから溶出するガスマトリックスをベントから排出する工程とをさらに含む、実施形態18から20のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
実施形態22.第4のカラムとベントの間の流体的接続を形成するために第4の弁をポジショニングする工程と、第4のカラムから溶出するガスマトリックスをベントから排出する工程とをさらに含む、実施形態18から21のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
実施形態23.第4のカラムとGCシステム出口の間の流体的接続を形成するために第4の弁をポジショニングする工程と、分析物部分をGCシステム出口に流す工程とをさらに含む、実施形態18から22のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
実施形態24.第1のカラムと第2のカラムの間の流体的接続を形成するために第2の弁を切り替える工程と、CO部分を第2のカラムに流す工程とをさらに含む、実施形態18から23のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
実施形態25.第2のカラムとGCシステム出口の間の流体的接続を形成するために第4の弁をポジショニングする工程と、CO部分をGCシステム出口に流す工程とをさらに含む、実施形態24に記載の方法。
【0076】
実施形態26.遮断弁を通過することなく、COを第2のカラムに、およびGCシステム出口に移す工程を含む、実施形態18から25のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
実施形態27.Ar、N、O、CHおよびCOのうちの1種または複数種が、第2のカラムをバイパスし、かつ第3のカラムおよび第4のカラムに移る、実施形態18から26のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
実施形態28.より重いアルカンが、第2のカラムに移ることなく第1のカラムからバックフラッシュされ排出されるような、第1のカラムとベントの間の流体的接続を形成するように、第1の弁が構成される、実施形態18から27のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
実施形態29.高純度水素ガスを汚染物質に関して分析する方法であって、水素ガスのサンプルを実施形態1から17のいずれか1つに記載のGCシステムのGCシステム入口へと流す工程と、サンプルを検出器に移す前に、サンプルからの水素の少なくとも一部を排出する工程とを含む、方法。
【0080】
実施形態30.サンプルを第1のカラムに通過させ、かつサンプルの水素、汚染物質、およびCO部分を溶出する工程であり、水素および汚染物質部分が、サンプルのCO部分の前に溶出する工程と、サンプルの汚染物質部分を第3のカラムに移す工程とをさらに含む、実施形態29に記載の方法。
【0081】
実施形態31.CO部分が、遮断弁を通過することなく検出器に流れる、実施形態29または実施形態30に記載の方法。
【0082】
実施形態32.サンプルのCO部分が、サンプルの汚染物質部分の前に検出器により分析される、実施形態29から31のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
例示的な実施形態または好ましい実施形態の前述の説明は、実施形態により定義されるように本発明を限定するものではなく、例示するものであると見なされるべきである。容易に理解されるように、実施形態に記載の本発明から逸脱することなく、上記の特徴の多数の変形および組合せを利用することができる。そのような変形は、本発明の範囲からの逸脱とは見なされず、すべてのそのような変形は、以下の実施形態の範囲内に含まれるものである。本明細書において引用したすべての参考文献は、その全体が引用することによって本明細書の記載の一部をなすものとする。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図2
【国際調査報告】