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▶ ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】電子構成群
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/72 20110101AFI20240514BHJP
   H01R 13/6587 20110101ALI20240514BHJP
【FI】
H01R12/72
H01R13/6587
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570064
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2022061534
(87)【国際公開番号】W WO2022238151
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】102021204799.8
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アブデサマド エル ウアルディ
(72)【発明者】
【氏名】マークス モーア
(72)【発明者】
【氏名】リヒャート ギュッケル
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル セギエト
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA14
5E021FB02
5E021FC21
5E021LA10
5E223AA11
5E223AA30
5E223AB01
5E223AB03
5E223AB67
5E223AC21
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB01
5E223CB03
5E223CB22
5E223CD01
5E223CD15
5E223DB08
5E223EB15
5E223EB22
(57)【要約】
プラグハウジングと、プラグハウジング内に配置された、Gビット/s範囲のデータ伝送用の少なくとも1つのデータ線路とを含む、シールドされた電気プラグを起点とする。電気プラグは、当該電気プラグと相補的な対応コネクタとを電気的に接触接続するデータ線路の少なくとも1つの差込み側と、回路支持体と電気的に接触接続するデータ線路の接続側とを有している。少なくとも1つのデータ線路は、少なくとも差込み側と接続側との間で、金属のシールドハウジングにより包囲されている。さらに、プラグハウジングは、圧入結合により当該電気プラグと回路支持体とを機械的に接触接続する少なくとも1つの圧入ピンを備えた少なくとも1つの接続部材を含む。さらに、接続部材は、少なくとも1つのばねコンタクト部材を有しており、ばねコンタクト部材は、当該電気プラグの圧入状態において回路支持体にばね弾性的に当接して接触接続するように形成されている。少なくとも1つの圧入ピンは、電気プラグの第1のアース端子として形成されており、少なくとも1つのばねコンタクト部材は、電気プラグの少なくとも1つの第2のアース端子として形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグハウジング(90)と、前記プラグハウジング(90)内に配置された、Gビット/s範囲でのデータ伝送用の少なくとも1つのデータ線路(20)とを含む、シールドされた電気プラグ(100)であって、相補的な対応コネクタに当該電気プラグ(100)を電気的に接触接続する前記データ線路(20)の差込み側(S)と、回路支持体(50)に電気的に接触接続する前記データ線路(20)の接続側(A)とを備えており、前記少なくとも1つのデータ線路(20)は、少なくとも前記差込み側(S)と前記接続側(A)との間で金属のシールドハウジング(30)により包囲されており、前記プラグハウジング(90)は、当該電気プラグ(100)を前記回路支持体(50)に圧入結合により機械的に接触接続する少なくとも1つの圧入ピン(41)を備えた少なくとも1つの接続部材(40)を含む、シールドされた電気プラグ(100)において、
前記接続部材(40)は、当該電気プラグ(100)の圧入状態において前記回路支持体(50)にばね弾性的に当接して接触接続するように形成された少なくとも1つのばねコンタクト部材(45)を有しており、前記少なくとも1つの圧入ピン(41)は、当該電気プラグ(100)の第1のアース端子として形成されており、前記少なくとも1つのばねコンタクト部材(45)は、当該電気プラグ(100)の少なくとも1つの第2のアース端子として形成されていることを特徴とする、シールドされた電気プラグ(100)。
【請求項2】
前記接続部材(40)は、成形薄板部品から特に金属薄板曲げ加工部品として形成されており、前記少なくとも1つの圧入ピン(41)と、前記少なくとも1つのばねコンタクト部材(45)とは一体に形成されている、請求項1に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項3】
前記接続部材(40)は、前記プラグハウジング(90)の、前記差込み側(S)の方を向いた端部領域として形成されており、前記接続部材(40)から、前記少なくとも1つの圧入ピン(41)及び/又は前記少なくとも1つのばねコンタクト部材(45)が圧入方向に突出している、請求項1に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項4】
前記接続部材(40)又は前記シールドハウジング(30)の壁部分に当接して接触している前記接続部材(40)は、前記少なくとも1つのデータ線路(20)を、前記プラグハウジング(90)の端部領域において前記データ線路(20)の長手方向延在部を覆って包囲しており、前記少なくとも1つのデータ線路(20)とは反対の側には、少なくとも1つの圧入ピン(41)及び/又は少なくとも1つのばねコンタクト部材(45)がそれぞれ配置されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項5】
前記接続部材(40)は、前記プラグハウジング(90)の外面を形成しており、前記ばねコンタクト部材(45)は、当該電気プラグ(100)が圧入された状態では、最大で前記外面にまで達する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項6】
前記ばねコンタクト部材(45)は、曲げ支持体として、特に片側又は両側を緊締された梁部材として形成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項7】
前記梁部材は、前記接続部材(40)に一体成形されていて、当該電気プラグ(100)の圧入時に所定の当接接点(46)を実現する円弧形状を有している、請求項6に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項8】
少なくとも2つの梁部材が、互いに隣接して配置されており、特に一直線上に並んで配置されており、片側を緊締された梁部材の場合、各自由端部は、相対して又は互いに反対の方向に向けられている、請求項6又は7に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項9】
前記接続部材(40)は、前記シールドハウジング(30)と一体に形成されている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項10】
前記接続部材(40)は、前記シールドハウジング(30)と電気的に接触接続されている又は結合されている、特に、係止結合部(60)を介して、圧入結合部を介して、緊締結合部を介して、圧接結合部を介して、及び/又は、材料結合式の結合部を介して結合されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのデータ線路(20)は、絶縁体(10)内に収容されており、前記絶縁体(10)は、収容開口(35)を通じて前記シールドハウジング(30)の内部に配置されており、前記絶縁体(10)用の前記収容開口(35)は、前記少なくとも1つの接続部材(40)により遮蔽されており、これにより、前記シールドハウジング(30)のシールド作用を保持する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項12】
前記シールドハウジング(30)は、少なくとも前記プラグハウジング(90)の端部領域において、少なくとも部分的に前記接続部材(40)と、最大で前記少なくとも1つのばねコンタクト部材(45)までオーバラップしており、前記接続部材(40)における切欠きが、前記シールドハウジング(30)により遮蔽されており、これにより、特に前記少なくとも1つの圧入ピン(41)の領域におけるシールド作用が保証される、請求項1乃至9のいずれか一項又は請求項11に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の少なくとも1つのシールドされた電気プラグ(100)と、回路支持体(50)とを含むコンタクトユニット(200)であって、前記回路支持体(50)は、少なくとも1つ又は複数の圧入開口(51)を有しており、前記圧入開口(51)内には、前記電気プラグ(100)が前記少なくとも1つの圧入ピン(41)又は前記複数の圧入ピン(41)によって、金属化された内壁に対してそれぞれ圧入されており、前記少なくとも1つのばねコンタクト部材(45)又は前記複数のばねコンタクト部材(45)は、前記回路支持体(50)の金属化領域にそれぞればね弾性的に当接して接触接続しており、前記回路支持体(50)の各前記金属化された内壁及び各前記金属化領域(53)は、前記回路支持体(50)の電気回路(55)のアース電位を有している、コンタクトユニット。
【請求項14】
当該コンタクトユニット(200)は、多極型のハイブリッドプラグを収容する少なくとも1つのプラグカラー(301)を備えた多極型の雄型コネクタ(300)を含み、前記プラグカラー(301)の内側には、それぞれその差込み側(S)を備えた少なくとも1つ又は複数のシールドされた電気プラグ(100)と、前記ハイブリッドプラグ用の、前記電気プラグ(100)とは異なる複数の別のコンタクト接続部材(320)とが配置されており、前記コンタクト接続部材(320)及び前記少なくとも1つ又は複数の電気プラグ(100)の前記少なくとも1つ又は複数のデータ線路(20)も、前記回路支持体(50)に対する前記接続側(A)に圧入ピン(21,321)を有しており、前記圧入ピン(21,321)は、アース電位に接触接続された前記少なくとも1つ又は複数の電気プラグ(100)の前記圧入ピン(41)と共に直線配置で、それぞれ前記回路支持体(50)の前記圧入開口(51)内に、直線配置内の同一のグリッド間隔(R)を保持した状態で圧入されている、請求項13に記載のコンタクトユニット。
【請求項15】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のシールドされた電気プラグ(100)と、回路支持体(50)とを含み、前記回路支持体(50)は、前記シールドされた電気プラグ(100)を機械的かつ電気的に接続するために金属化された内壁を備えた少なくとも1つ又は複数の圧入開口(51)と、回路支持体側の少なくとも1つの金属化領域(53)とを有しており、金属化された前記圧入開口(51)及び前記少なくとも1つの金属化領域(53)は、それぞれ前記回路支持体(50)の回路(55)のアース電位を有している、特に請求項13又は14に記載のコンタクトユニット(200)を形成する方法において、以下の方法ステップ、すなわち、
a)前記電気プラグ(100)の前記接続部材(40)の前記少なくとも1つ又は複数の圧入ピン(41)を、前記回路支持体(50)の1つ又は複数の前記圧入開口(51)内に、少なくとも1つの第1のアース端子を形成しつつ圧入するステップと、
b)前記電気プラグ(100)の最終取付け位置到達時に圧入過程を終了し、遅くとも前記最終取付け位置への到達と共に、前記回路支持体(50)の前記金属化領域(53)に、前記電気プラグ(100)の前記接続部材(40)の前記少なくとも1つ又は複数のばねコンタクト部材(45)を、弾性的に支持するように、少なくとも1つの第2のアース端子を形成しつつ接触接続させるステップと、
を含む方法。
【請求項16】
多極型のハイブリッドプラグを収容する少なくとも1つのプラグカラー(301)を備えた雄型コネクタ(300)であって、前記プラグカラー(301)の内側には、それぞれその差込み側(S)を備えた、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の少なくとも1つ又は複数のシールドされた電気プラグ(100)と、前記ハイブリッドプラグ用の、前記電気プラグ(100)とは異なる複数の別のコンタクト接続部材(320)とが配置されており、前記コンタクト接続部材(320)及び前記少なくとも1つ又は複数の電気プラグ(100)の前記少なくとも1つ又は複数のデータ線路(20)も、前記回路支持体(50)に対する前記接続側(A)に圧入ピン(21,321)を有している、雄型コネクタ(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の上位概念に記載の、シールドされた電気プラグ、シールドされた電気プラグを含むコンタクトユニット、及び、コンタクトユニットを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
運転支援システム及び自動運転の分野においては、現在、例えば、マルチギガ範囲(数Gビット/s)の高い伝送速度が通信データ用に必要である。この場合、通信データの受信、処理及び転送は、例えば、いわゆるVCU(Vehicle Computer Units)、制御装置ECU(Electronic Control Units)、バスシステム、又は、高速用途用の他の電子装置により行われる。このためには、線路及び差込みシステムが、これらの通信データを可能な限り支障無く所要の伝送速度で伝送することができるようにすることが必要とされている。既に、高速用途用の様々なプラグシステムが存在している。これらのプラグシステムの達成可能な伝送速度を大幅に制限する要因が、含まれているデータ線路の一貫した隙間のないシールドである。この場合、必要とされるシールドは、対応コネクタに接触接続する差込み側から、回路支持体に接触接続する接続側まで達していなければならない。さらに、プラグシステムの小型化に対する市場側の要求が、実現可能なシールド構想にさらに圧力をかけている。多くのシールド構想は、極度にコストがかかり、又は、小さい構成空間要件ゆえに、要求されるシールドに十分に結び付かない。
【0003】
独国特許第69901084号明細書(DE69901084T2)から、高周波信号用の多芯同軸差込みコネクタが公知である。この場合、複数の高周波線路が、金属のシールドブロックを貫通して案内されている。金属のエンドプレートと金属の分離プレートとが、金属のシールドブロックに結合されている。これらは、内部領域を複数の部分通路に分割し、これらの部分通路により、データ線路が個別にシールドされている。この場合、シールドを保持した状態での小型化には、構想上、限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第69901084号明細書(DE69901084T2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の開示
利点
本発明の根底を成す課題は、特に、Gビット/s範囲内の高いデータ伝送速度を有する小型化されたプラグシステムを、高い遮蔽性で廉価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、各独立請求項に記載の、シールドされた電気プラグ、シールドされた電気プラグを含むコンタクトユニット、及び、コンタクトユニットを形成する方法により解決される。
【0007】
プラグハウジングと、プラグハウジング内に配置された、例えば1Gビット/sを上回る、特に10Gビット/sを上回るGビット/s範囲のデータ伝送用の少なくとも1つのデータ線路とを含む、シールドされた電気プラグを起点とする。この場合、電気プラグは、プラグと相補的な対応コネクタとを電気的に接触接続するデータ線路の少なくとも1つの差込み側と、回路支持体と電気的に接触接続するデータ線路の接続側とを有している。少なくとも1つのデータ線路は、少なくとも差込み側と接続側との間で、金属のシールドハウジングにより包囲されている。さらに、プラグハウジングは、圧入結合によりプラグと回路支持体とを機械的に接触接続する少なくとも1つの圧入ピンを備えた少なくとも1つの接続部材を含む。さらに、接続部材は、少なくとも1つのばねコンタクト部材を有しており、ばねコンタクト部材は、電気プラグの圧入状態において回路支持体にばね弾性的に当接して接触接続するように形成されている。この場合、少なくとも1つの圧入ピンは、電気プラグの第1のアース端子として形成されており、少なくとも1つのばねコンタクト部材は、電気プラグの少なくとも1つの第2のアース端子として形成されている。アース電位は、圧入ピンに対しては、例えば回路支持体に設けられた圧入開口の金属の内壁を介して提供され、ばねコンタクト部材に対しては、回路支持体側の金属領域を介して提供される。有利には、少なくとも1つ又は複数のばねコンタクト部材を用いて簡単に、回路支持体のアース電位を有する追加的な電気的な接点を形成することができる。このようにして、電気プラグの高い電磁適合性が達成され得る。この場合、このことは、別の追加コンポーネント無しで、及び/又は、別のプロセスステップ無しで行われる。それというのも、全てのアース接続が、電気プラグの圧入により行われるからである。ばねコンタクト部材の数も、圧入ピンの数も、電気プラグの電気的な要件及び構成空間要件に対応してフレキシブルに変更することができる。圧入ピンによる1つのアース端子のみを備えたプラグ構成と比較して、特に同数又はより多くの追加的なアース端子の場合には、所要構成空間がより小さいプラグを実現することができる。構成空間の節約は、回路支持体と、そこでの、横方向に所要最小面積及び相互最小安全間隔を必要とする圧入ゾーンの省略とを介して初めて間接的に生じる。これに対して、ばねコンタクト部材の当接接点は、大幅に小さい面積範囲に配置され得、この場合、安全間隔はそれほど重要ではない。同様に、圧入ピンとばねコンタクト部材とを的確に配置した場合には、圧入ゾーンも最小間隔又は禁止ゾーンを有する回路支持体縁部の方向において、構成空間の利点が生じる。全体として、電気プラグのより小さい構成は、有利には、電気プラグの接続側に配置されたコンタクト接続部材の、より小さいピッチ間隔をも可能にする。このようにして、プラグのシールドに必要とされる全ての部材を、回路支持体のアース電位に、特に密なメッシュ状にかつ環状に接続することが可能になる。電気プラグはもちろん、プラグの圧入時に少なくとも1つ又は複数のばねコンタクト部材から作用する接触力が少なくとも1つ又は複数の圧入ピンにより保持され得るように設計されている。この場合、圧入ピンの保持力は、ばねコンタクト部材の接触力の複数倍に規定されている。さらに、少なくとも1つ又は複数の包囲されたデータ線路が、それぞれ接続側でやはり圧入ピンを介して回路支持体に機械的かつ電気的に接続されている場合には、少なくとも1つ又は複数の包囲されたデータ線路により、追加的な保持力が生ぜしめられる。選択的に、データ線路は、ろう接により接続されている。
【0008】
有利には、シールドされた電気プラグは、例えば、同軸プラグ(例えば、アンテナ)、ツイストペアプラグ(例えば、自動車イーサネット)等のHF用途や、他の用途(USB、イーサネット、HDMI等)のためのプラグとして適している。
【0009】
従属請求項に記載の手段によって、本発明に係る方法の有利な改良及び改善が可能である。
【0010】
電気プラグの1つの有利な実施形態においては、接続部材は、成形金属薄板部品から形成されている。この場合、接続部材の成形は、変形加工技術を用いて行うことができ、これにより、接続部材はこの場合、例えば、エンボス加工金属薄板部品として、深絞り金属薄板部品として、流動プレス部品として、及び/又は、プレス部品として製造される。好適には、接続部材は、打ち抜かれた又はレーザ加工された金属薄板曲げ加工部品として形成されている。少なくとも1つの圧入ピンと、少なくとも1つのばねコンタクト部材とは、さらに好適には一体に形成されている。圧入ピンは、エンボス加工工具のエンボス押型を有するものとしてよく、これにより、特に圧入ピンの圧入ゾーンが規定されている。この場合、例えばCuSn6又はCuNiSiから成る金属薄板材料が使用される。他の可能な金属薄板材料も同様に考えられる。これにより有利には、接続部材を極めて低コストでかつ有利であることが判明している製造方法により極めて正確に製造して提供することができる。
【0011】
電気プラグの1つの好適な実施形態においては、接続部材は、プラグハウジングの、差込み側の方を向いた端部領域として形成されており、この端部領域からは、少なくとも1つの圧入ピン又は複数の圧入ピン及び/又は少なくとも1つのばねコンタクト部材又は複数のばねコンタクト部材が、圧入方向に突出している。特に、接続部材は、回路支持体の方を向いた終端縁部を有しており、終端縁部には、理想的には少なくとも1つ又は複数の圧入ピン及び/又は少なくとも1つ又は複数のばねコンタクト部材が一体に、例えば成形金属薄板部品の内部に成形されている。その他の点においては、圧入ピン又はばねコンタクト部材を形成しかつ接続部材に接続された別個の部材が使用されるものとしてもよい。全体としてこの実施形態は、接続部材を、回路支持体への接続部まで実質的に閉じて形成することができる、という利点をもたらす。これにより、電気プラグの一貫して高い電磁適合性が保証される。この場合、基本的に有利なのは、接続部材又はシールドハウジングの壁部分に当接して接触している接続部材が、少なくとも1つのデータ線路を、プラグハウジングの端部領域においてデータ線路の長手方向延在部を覆って包囲している場合であり、この場合、少なくとも1つ又は複数のデータ線路とは反対の側には、少なくとも1つの圧入ピン及び/又は少なくとも1つのばねコンタクト部材がそれぞれ配置されている。これにより、圧入過程を、その際の対称的な力導入に基づき確実なプロセスで実施することができる、ということも達成される。追加的に、これにより、対応コネクタの接続時の機械的に特に高い差込み力を吸収することができる。さらに、互いに向かい合う圧入ピンの間の最も狭い構成空間に、別のばねコンタクト部材により、さらなる当接接点を形成することができる。好適には、接続部材又はシールドハウジングに当接して接触している接続部材は、プラグハウジングの端部領域においてフレーム状に実質的に閉じられて形成されている。この場合、互いに反対の側に位置する2つの側に、各1つ又は複数の圧入ピンが配置されている。これに対して、互いに反対の側に位置する他の2つの側には、各1つ又は複数のばねコンタクト部材が配置されている。有利には、後に述べた側を備えた電気プラグは、回路支持体縁部の極めて近くに接続され得る。
【0012】
シールドされた電気プラグの1つの有利な実施形態においては、接続部材は、プラグハウジングの外面を形成しており、この場合、ばねコンタクト部材は、プラグが圧入されると、最大で外面にまで達する。このようにして、電気プラグを極めてコンパクトに形成することができる。ばねコンタクト部材により形成可能な当接接点は、用途特有に、外面と少なくとも1つのデータ線路との間に、安全間隔を考慮してフレキシブルに配置することができる。これにより、フリースペースを適切に利用することが可能になる。複数の電気プラグが-他のプラグタイプとの組合せにおいても-例えば高速データ線路、信号線路及び供給線路を含む雄型コネクタとして1つのプラグ端子にまとめられる場合には、特に回路支持体への接続側において、極めて小さい同一のグリッド寸法が実現され得る。
【0013】
コンパクトな構成に関する大きい利点は、シールドされた電気プラグの1つの実施形態において、少なくとも1つ又は複数のばねコンタクト部材が、それぞれ曲げ支持体として、特に片側又は両側が緊締された梁部材として形成されていることにより、生じる。曲げ支持体理論は、機械工学において良好にモデル化されているため、ばねコンタクト部材の耐荷重、ばね力、可撓性及び他の関連するパラメータに関する必要に応じた設計が保証されている。まさに、長さが横断面寸法よりも実質的に大きい曲げ梁の形態のばねコンタクト部材の場合には、小さい寸法においてもなお大きい弾性変形を達成することができる。この場合、金属薄板部品としての接続部材において、このようなばねコンタクト部材は、打抜き又はレーザ加工により簡単に製造され得る。追加的に、このような場合には、ばねコンタクト部材を金属薄板平面内に形成することもできるため、全体として小さい構成空間しか必要とされない。この場合、追加的に、梁部材は、接続部材に一体成形されていて、電気プラグの圧入時に所定の当接接点を実現する円弧形状を有している、ということが考えられる。この場合、製造誤差に起因して生じる異なる圧入深さにもかかわらず、常に所定の当接接点が、湾曲した金属薄板縁部に形成され得る。特に複数の当接接点は、少なくとも2つの梁部材が互いに隣接して配置されていることにより、形成され得る。この場合、好適には、梁部材は、一直線上に並んで配置されており、片側を緊締された梁部材の場合、各自由端部は、相対して又は互いに反対の方向に向けられている。
【0014】
シールドされた電気プラグの1つの特別な実施形態においては、接続部材は、シールドハウジングと一体に形成されている。この構成は特に、差込み側と接続側とが180°送出式に配置されていて、真っ直ぐなプラグを形成している場合に考えられる。シールドハウジング又は接続部材は、少なくとも1つ又は複数のデータ線路を完全に包囲している。シールドハウジングを、金属薄板成形部品として形成することが考えられる。
【0015】
折り曲げられたプラグ、すなわち、差込み側と接続側とが互いに所定の角度で、例えば直角の角度で配置されたプラグの場合、接続部材がシールドハウジングと電気的に接触接続されている又は結合されている、特に、係止結合部を介して、圧入結合部を介して、緊締結合部を介して、圧接結合部を介して、及び/又は、材料結合式の結合部を介して結合されている、シールドされたプラグの実施形態において、複数の利点が示される。これらの構成のうちのいくつかは、例えば出願番号102019219411.7及び102020202729.3の未公開の独国出願に十分に開示されている。これにより、アース端子を簡単かつ確実にシールドハウジングに渡すことができる。シールドハウジングは、例えば、特に亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム又はアルミニウム合金から成るダイカスト部品として形成されている。選択的に、シールドハウジングは、金属薄板材料から成ることが想定されるものとしてもよい。
【0016】
シールドされた電気プラグの1つの改良された実施形態においては、少なくとも1つ又は複数のデータ線路が絶縁体内に収容されており、この絶縁体は、収容開口を通じてシールドハウジングの内部に配置されており、この場合、絶縁体用の収容開口は、少なくとも1つの接続部材により遮蔽されており、これにより、シールドハウジングのシールド作用を保持する。
【0017】
シールドされたプラグの1つの他の最適化された実施形態においては、シールドハウジングは、少なくともプラグハウジングの端部領域において、少なくとも部分的に接続部材と、最大で少なくとも1つのばねコンタクト部材までオーバラップしており、この場合、接続部材における切欠きが、シールドハウジングにより遮蔽されており、これにより、特に少なくとも1つの圧入ピンの領域におけるシールド作用が保証されることになる。まさに、金属薄板部品を用いた構成の場合に製造に起因して生じる切欠きを、このようにして高いシールド作用を保持しつつ、確実に閉鎖することができる。
【0018】
本発明は、上述した実施形態のうちの少なくとも1つによる、少なくとも1つのシールドされた電気プラグと、回路支持体とを含むコンタクトユニットをももたらす。この場合、回路支持体は、少なくとも1つ又は複数の圧入開口を有しており、これらの圧入開口内に、電気プラグが少なくとも1つ又は複数の圧入ピンによって、それぞれ金属化された内壁に対して圧入されている。さらに、回路支持体の金属化された領域には、少なくとも1つ又は複数のばねコンタクト部材がそれぞればね弾性的に当接して接触接続している。回路支持体の、それぞれ金属化された内壁及びそれぞれ金属化された領域は、回路支持体の電気回路のアース電位を有している。このようなコンタクトユニットは、特に制御装置又は車両コンピュータの内部に形成されている。
【0019】
コンタクトユニットの1つの好適な実施形態は、多極型のハイブリッドプラグを収容する少なくとも1つのプラグカラーを備えた多極型の雄型コネクタを含む。この場合、このようなハイブリッドプラグは、少なくとも2つの異なるプラグタイプの接続部材を有している。この場合、プラグカラーの内側には、上述した実施形態のうちの少なくとも1つの、少なくとも1つ又は複数のシールドされた電気プラグが、それぞれその差込み側を備えて配置されている。さらに、シールドされた電気プラグとは異なるさらに別の差込みコンタクト部材が、プラグカラーの内側に配置されている。この場合、差込みコンタクト部材と、少なくとも1つ又は複数のシールドされた電気プラグの少なくとも1つ又は複数のデータ線路も同様に、回路支持体に対するそれぞれの接続側に圧入ピンを有している。この場合、これらの圧入ピンは、好適には、アース電位に接触接続された、少なくとも1つ又は複数の電気プラグの圧入ピンと共に直線配置されている。上述の全ての圧入ピンはさらに、好適には直線配置内で同一のグリッド間隔を保った状態で、回路支持体の圧入開口内にそれぞれ圧入されている。この場合、2mm以下、例えば1.8mm以下、特に1.6mm以下のグリッド間隔を達成することができる。同様に、シールドされた電気プラグと、別のプラグタイプの別の差込みコンタクト部材とは、プラグカラーの内側に複数列で配置されるものとしてもよい。この場合、個々の列は、同一のプラグタイプの差込みコンタクト部材のみを有するものとしてもよい。同様に、異なるプラグタイプの差込みコンタクト部材は、雄型コネクタの局所的なプラグ領域において複数の列にわたり隣り合ってまとめられるものとしてもよく、この場合、1つ、複数又は全ての列に、追加的に他のプラグタイプの差込みコンタクト部材が配置されている。
【0020】
本発明は、特に上述した実施形態のうちの少なくとも1つのコンタクトユニットを形成する方法をももたらす。この場合、コンタクトユニットは、上述した実施形態のうちの少なくとも1つのシールドされた電気プラグと、回路支持体とを含む。回路支持体は、金属化された内壁を備えた少なくとも1つ又は複数の圧入開口と、シールドされた電気プラグを機械的かつ電気的に接続する、回路支持体側の少なくとも1つの金属化領域とを有している。金属化された圧入開口と、少なくとも1つの金属化領域とは、それぞれ回路支持体の回路のアース電位を有している。この場合、以下の方法ステップ、すなわち、
a)電気プラグの接続部材の少なくとも1つ又は複数の圧入ピンを、回路支持体の1つ又は複数の金属化された圧入開口内に、少なくとも1つの第1のアース端子を形成しつつ圧入するステップと、
b)電気プラグの最終取付け位置到達時に圧入過程を終了し、遅くとも最終取付け位置への到達と共に、回路支持体の金属化領域に、電気プラグの接続部材の少なくとも1つ又は複数のばねコンタクト部材を、弾性的に支持するように、少なくとも1つの第2のアース端子を形成しつつ接触接続させるステップと、
が実施される。
【0021】
コンタクトユニット及びコンタクトユニットを形成する方法には、シールドされた電気プラグのところで既に説明したものと同様の利点が生じる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明のその他の利点、特徴及び細部は、好適な実施例の以下の説明から図面に基づき明らかになる。
図1a】折り曲げられてシールドされた電気プラグの第1の構成を示す斜視図である。
図1b図1aに示した、折り曲げられてシールドされた電気プラグを示す分解図である。
図1c】真っ直ぐなプラグ構成として、シールドされた電気プラグの第2の構成を示す斜視図である。
図2a】シールドされた電気プラグの接続部材の他の構成を示す斜視図である。
図2b】シールドされた電気プラグの接続部材の他の構成を示す斜視図である。
図2c】折り曲げられてシールドされた電気プラグの他の構成を示す斜視図である。
図3a】回路支持体と、この回路支持体にアース接続された、シールドされた電気プラグとを含むコンタクトユニットを示す簡略的な斜視図である。
図3b】複数のシールドされた電気プラグが収容された雄型コネクタを含む、図3aに示したコンタクトユニットを、雄型コネクタの差込み側から見た斜視図である。
図3c図3bに示した雄型コネクタを、雄型コネクタの接続側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の実施形態
図面において、機能的に同等の構成部材には、それぞれ同一の参照符号が付されている。
【0024】
図1には、曲げられてシールドされた電気プラグ100の第1の例示的な構成が斜視図で示されている。電気プラグ100は、高速用途に適している。この場合、電気プラグ100により、1Gビット/s、特に10Gビット/sを上回るデータ伝送速度が達成され得る。この場合、電気プラグ100は、プラグハウジング90により包囲された少なくとも1つ又は複数のデータ線路20を有している。プラグハウジング90は、この折り曲げられた構成においては、データ線路20の延在部に沿って、例えば90°だけ折り曲げられて構成されている。したがって、電気プラグハウジング90又はデータ線路20の差込み側Sと接続側Aとが所定の角度で相対して配置されている。基本的に、この角度は、90°より大きいものとしても又は小さいものとしてもよい。差込み側Sを介して、例えば高速通信データHSを受信し及び/又は送信するために、相補的な対応コネクタ(図示せず)が電気プラグ100に接続可能である。接続側Aを介して、電気的なプラグ100は回路支持体50に電気的に接続可能である。回路支持体50には、例えば電気回路55が形成されており、電気回路55も、高速通信データHSを受信、処理、送信するために形成されている。本実施例においては、例えば2つのデータ線路20が平行に案内されており、この場合、データ線路20は用途特有に、1つだけ又は3つ以上設けられるものとしてもよい。差込み側Sにおいて、データ線路20は、例えばプラグピン21として形成されている。他の構成も考えられる。接続側Aにおいてデータ線路20は、端部側にそれぞれ、回路支持体50と電気的に接触接続する圧入ピン22を有している。選択的に、データ線路20は端部側において、ろう接接続部として形成されるものとしてもよい。プラグハウジング90は、差込み側Sから電気プラグ100の屈曲部にまで達するシールドハウジング30を有している。これに対して、屈曲部から接続側Aまでは、接続部材40が配置されており、接続部材40は、本実施例においては、プラグハウジング90の外面を形成している。シールドハウジング30と接続部材40とは、壁部分を介して互いに当接して接触しておりかつ互いに結合されている。結合は、例えば電気プラグ100の屈曲領域に形成された少なくとも1つの係止結合部60を介して行われる。図1には純粋に例示的にのみ、シールドハウジング30が、接続部材の係止受容部に係止するように背面係合する係止突起を有していることが示されている。選択的に、結合は、類似の形式で、圧入結合、緊締結合、圧接結合、及び/又は、材料結合式の結合により行われるものとしてもよい。シールドハウジング30は、例えば、特に亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム又はアルミニウム合金から成るダイカスト部品として形成されている。選択的に、シールドハウジング30は金属薄板材料から成ることが想定されるものとしてもよい。接続部材40は、好適には成形金属薄板部品として、特に金属薄板曲げ加工部品として形成されている。データ線路20は、差込み側Sと接続側Aとの間で、シールドハウジング30によっても、接続部材40によっても包囲されている。シールドハウジング30と接続部材40とが互いに接触接続する領域においては、包囲壁が部分的に、シールドハウジング30と接続部材40とにより形成されるものとしてよい。接続部材40は、プラグハウジング90の、接続側Aに向いた端部領域に、少なくとも1つ又は複数の圧入ピン41を有しており、圧入ピン41は、接続金属薄板40の終端縁部42から圧入方向に突出している。少なくとも1つ又は複数の圧入ピン41は、電気プラグ100と回路支持体50との機械的な接触接続を可能にする。さらに、少なくとも1つ又は複数の圧入ピン41は、電気プラグ100の第1のアース端子として形成されている。さらに、接続部材40は追加的に、少なくとも1つ又は複数のばねコンタクト部材45を有しており、ばねコンタクト部材45も好適には同様に、上述の端部領域において特に終端縁部42から圧入方向に突出している。少なくとも1つ又は複数のばねコンタクト部材45は、電気プラグ100の圧入状態において、回路支持体50にばね弾性的に当接して接触接続するように形成されている。さらに、少なくとも1つ又は複数のばねコンタクト部材45は、電気プラグ100の第2のアース端子として形成されている。接続部材40が金属薄板曲げ加工部品の形態で設けられている場合には、全ての圧入ピン41と全てのばねコンタクト部材45とが、残余の金属薄板壁と一体に形成されるものとしてよい。好適には、接続部材40は、開かれた端面を備えたフレーム成形部を有している。この場合、接続部材40の、互いに反対の側に位置する2つの外面には、1つ又は2つ以上の圧入ピンが終端縁部42から突出するように配置されている。さらにこの場合、互いに反対の側に位置する他の2つの外面には、1つ又は2つ以上のばねコンタクト部材45がやはり終端縁部42から突出するように配置されている。この場合、ばねコンタクト部材45は、例えばそれぞれ端部側で終端縁部42に開口する円弧として形成されている。この場合、機械的に見て、これは両側を緊締された梁部材であり、この梁部材は、中心において切抜き部に向かって弾性変形することができる。本実施例において示す4つの圧入ピンの他に、図示のばねコンタクト部材45に基づき、電気プラグ100のアース端子用の他の4つの当接接点46を使用することができる。好適には、ばねコンタクト部材45は、プラグ100が圧入された状態では、最大でプラグハウジング90又は接続部材40の外面にまで達する。例えばばねコンタクト部材は、接続部材40の金属薄板面に形成されている。選択的に、ばねコンタクト部材は、外面に対して相対的に延在するものとしてよく、これにより、当接接点46をデータ線路20の方向に形成することができる。
【0025】
図1bには、図1aに示した、曲げられてシールドされた電気プラグが分解図で示されている。この場合、絶縁体10も見えており、絶縁体10内には、データ線路20が収容されるように挿入される。次いで絶縁体10は、収容開口35を通ってシールドハウジング30の内部に配置される。次いでこの収容開口35は、接続部材40との結合後に再び、接続部材40により覆われ、これにより、シールドハウジング30のシールド作用を保持する。
【0026】
図1cには、シールドされた電気プラグの第2の例示的な構成が真っ直ぐなプラグ構成として斜視図で示されている。この場合、接続部材40は、シールドハウジング30と一体に、特に成形金属薄板部品として形成されている。図1に対して生じ得る差異は、ばねコンタクト部材45の構成にも示されている。ばねコンタクト部材45は、円弧形状で形成されており、円弧形状は、一方の円弧端部のみによって終端縁部42に合流しているのに対し、他方の端部は、終端縁部42に対して間隔をあけて解放されて張り出している。この場合、機械的に見て、これは、片側において緊締された梁部材である。ただし、基本的に、真っ直ぐなプラグ100は、折り曲げられたプラグ100と同様に、すなわち、例えばダイカスト部品としての金属のシールドハウジングと、このシールドハウジングに結合された、例えば金属薄板曲げ加工部品としての接続部材40とを含むように形成され得る。
【0027】
図2a及び図2bには、シールドされた電気プラグ100の接続部材40の他の例示的な構成が斜視図で示されている。この場合、図1a又は図1bに示した構成と比較可能に、互いに反対に位置する側には各2つのばねコンタクト部材45が配置されている。ただし、ばねコンタクト部材45の成形は、図1cに示した構成における成形に相当しており、各自由端部は、図2aにおいては、相対して向けられており、図2bにおいては、互いに反対の方向に向けられている。特にこれらのばねコンタクト部材45は、一直線上に並んで、さらに好適には、金属薄板平面内に配置されている。
【0028】
図2cには、図2aに示したような、接続部材を備えた、シールドされた電気プラグ100が再度、斜視図で示されている。特に接続部材40の、突出した圧入ピン41を備えた側が看取され得る。この側からそれぞれ続く、接続部材40の、突出したばねコンタクト部材45を備えた側への移行領域には、例えば製造に起因して、切欠き43が接続部材40に形成されている。シールドハウジング30は、側方のウェブ31を有しており、これらのウェブ31は、接続部材40の内側で、それぞれ圧入ピン41が突出している側と少なくとも部分的にオーバラップしている。この場合、ウェブ31は圧入ピン41用の終端縁部42を越えて、最大でばねコンタクト部材45の終端縁部42にまで達している。このようにして、切欠き43がウェブ31により遮蔽されるため、データ線路20の最適なシールドが保持される。
【0029】
図3aには、回路支持体50と、この回路支持体50にアース接続された、シールドされた電気プラグ100とを含むコンタクトユニット200が簡略的な斜視図で示されている。簡略化のために、電気プラグ100については接続部材40のみが示されている。この接続部材40は、例えば図2aに示した構成に相当するが、ただし、互いに反対に位置する側には各1つの圧入ピン41のみが形成されている。さらに、端部領域とは反対の側に、例えば一種の突出した舌片44が形成されている。この舌片44は、先に示した係止結合部に対する1つの可能な代替手段として、圧入結合による永続的な結合のために、シールドハウジング30に設けられた相補的な切欠き内に圧入されて収容され得る。電気プラグ100は、圧入された状態で、例えば最終取付け位置で図示されている。この場合、回路支持体50は、内側が金属化された圧入開口51を有している。接続部材40の圧入ピン41は、対応する2つの圧入開口51に当て付けられ、金属化された内壁に対して好適には圧入工具により力を導入されて圧入される。圧入過程の開始のために挿通を簡単にするために、圧入ピン41は、データ線路の圧入ピン21よりもやや長く、例えば0.5乃至1.5mm長く形成されている。回路支持体50の、ばねコンタクト部材45に面した表面領域も同様に、金属化部52を有している。圧入過程に伴い、ばねコンタクト部材45の各自由端部は、当接接点46を形成した状態で、金属化された表面領域52にばね弾性的に当接して接触する。最終取付け位置に達するまで、ばねコンタクト部材45は、終端縁部42の方向に弾性変形させられる。すなわち、形成された当接接点46に力が加えられている。圧入開口51の金属化された内壁も、回路支持体50の金属化された表面領域も、電気回路55(図示せず)のアース電位を有している。
【0030】
図3bには、雄型コネクタ300が示されている。この場合、この斜視図は、雄型コネクタ300の差込み側Sを見たところを示している。この場合、プラグカラー301の内側には、1つ、2つ又は3つ以上の電気プラグ100も収容されている。専ら電気プラグ100のみの収容が考えられる他に、本実施例においては、別のコンタクト接続部材320が直線配置されて収容されている。この場合、コンタクト接続部材320は、電気プラグ100とは異なる少なくとも1つの別のプラグタイプの部品である。例えばコンタクト接続部材320は、信号ピン又は供給ピンである。
【0031】
図3cには、図3bに示した雄型コネクタ300の接続側Aを見たところが示されている。個々の部材は、明確性のために省略されているだけに過ぎない。この場合、コンタクト接続部材320は、その接続側にも圧入ピン321を有している。このような雄型コネクタ300は、回路支持体50と共に、-図3aに示したものと比較可能に-コンタクトユニット200を形成することができる。この場合、1回の圧入過程によって全ての圧入ピン21,41,321が、回路支持体50の対応する圧入開口51内に圧入される。第1の列Iにおいて、コンタクト接続部材320は、接続部材40の、アース電位に接触接続された圧入ピン41と共に直線配置で配置されている。この場合、電気プラグ100を含む列Iにおいても、電気プラグ100を含まない列II,IIIにおいても、列I,II,IIIに形成される直線配置において同一のグリッド間隔Rが保持されている。
【0032】
基本的に、接続部材40の図示のそれぞれ異なる構成の構成部材は、互いに組み合わせることができ、又は、相応に適合若しくは変更することができる。この点において、シールドされた電気プラグ100は、様々な使用要件に対して極めて広範に実現され得るものである。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
【手続補正書】
【提出日】2023-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグハウジング(90)と、前記プラグハウジング(90)内に配置された、Gビット/s範囲でのデータ伝送用の少なくとも1つのデータ線路(20)とを含む、シールドされた電気プラグ(100)であって、相補的な対応コネクタに当該電気プラグ(100)を電気的に接触接続する前記データ線路(20)の差込み側(S)と、回路支持体(50)に電気的に接触接続する前記データ線路(20)の接続側(A)とを備えており、前記少なくとも1つのデータ線路(20)は、少なくとも前記差込み側(S)と前記接続側(A)との間で金属のシールドハウジング(30)により包囲されており、前記プラグハウジング(90)は、当該電気プラグ(100)を前記回路支持体(50)に圧入結合により機械的に接触接続する少なくとも1つの圧入ピン(41)を備えた少なくとも1つの接続部材(40)を含む、シールドされた電気プラグ(100)において、
前記接続部材(40)は、当該電気プラグ(100)の圧入状態において前記回路支持体(50)にばね弾性的に当接して接触接続するように形成された少なくとも1つのばねコンタクト部材(45)を有しており、前記少なくとも1つの圧入ピン(41)は、当該電気プラグ(100)の第1のアース端子として形成されており、前記少なくとも1つのばねコンタクト部材(45)は、当該電気プラグ(100)の少なくとも1つの第2のアース端子として形成されていることを特徴とする、シールドされた電気プラグ(100)。
【請求項2】
前記接続部材(40)は、成形薄板部品から特に金属薄板曲げ加工部品として形成されており、前記少なくとも1つの圧入ピン(41)と、前記少なくとも1つのばねコンタクト部材(45)とは一体に形成されている、請求項1に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項3】
前記接続部材(40)は、前記プラグハウジング(90)の、前記差込み側(S)の方を向いた端部領域として形成されており、前記接続部材(40)から、前記少なくとも1つの圧入ピン(41)及び/又は前記少なくとも1つのばねコンタクト部材(45)が圧入方向に突出している、請求項1に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項4】
前記接続部材(40)又は前記シールドハウジング(30)の壁部分に当接して接触している前記接続部材(40)は、前記少なくとも1つのデータ線路(20)を、前記プラグハウジング(90)の端部領域において前記データ線路(20)の長手方向延在部を覆って包囲しており、前記少なくとも1つのデータ線路(20)とは反対の側には、少なくとも1つの圧入ピン(41)及び/又は少なくとも1つのばねコンタクト部材(45)がそれぞれ配置されている、請求項に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項5】
前記接続部材(40)は、前記プラグハウジング(90)の外面を形成しており、前記ばねコンタクト部材(45)は、当該電気プラグ(100)が圧入された状態では、最大で前記外面にまで達する、請求項に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項6】
前記ばねコンタクト部材(45)は、曲げ支持体として、特に片側又は両側を緊締された梁部材として形成されている、請求項に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項7】
前記梁部材は、前記接続部材(40)に一体成形されていて、当該電気プラグ(100)の圧入時に所定の当接接点(46)を実現する円弧形状を有している、請求項6に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項8】
少なくとも2つの梁部材が、互いに隣接して配置されており、特に一直線上に並んで配置されており、片側を緊締された梁部材の場合、各自由端部は、相対して又は互いに反対の方向に向けられている、請求項6又は7に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項9】
前記接続部材(40)は、前記シールドハウジング(30)と一体に形成されている、請求項に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項10】
前記接続部材(40)は、前記シールドハウジング(30)と電気的に接触接続されている又は結合されている、特に、係止結合部(60)を介して、圧入結合部を介して、緊締結合部を介して、圧接結合部を介して、及び/又は、材料結合式の結合部を介して結合されている、請求項に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのデータ線路(20)は、絶縁体(10)内に収容されており、前記絶縁体(10)は、収容開口(35)を通じて前記シールドハウジング(30)の内部に配置されており、前記絶縁体(10)用の前記収容開口(35)は、前記少なくとも1つの接続部材(40)により遮蔽されており、これにより、前記シールドハウジング(30)のシールド作用を保持する、請求項に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項12】
前記シールドハウジング(30)は、少なくとも前記プラグハウジング(90)の端部領域において、少なくとも部分的に前記接続部材(40)と、最大で前記少なくとも1つのばねコンタクト部材(45)までオーバラップしており、前記接続部材(40)における切欠きが、前記シールドハウジング(30)により遮蔽されており、これにより、特に前記少なくとも1つの圧入ピン(41)の領域におけるシールド作用が保証される、請求項に記載のシールドされた電気プラグ(100)。
【請求項13】
請求項に記載の少なくとも1つのシールドされた電気プラグ(100)と、回路支持体(50)とを含むコンタクトユニット(200)であって、前記回路支持体(50)は、少なくとも1つ又は複数の圧入開口(51)を有しており、前記圧入開口(51)内には、前記電気プラグ(100)が前記少なくとも1つの圧入ピン(41)又は前記複数の圧入ピン(41)によって、金属化された内壁に対してそれぞれ圧入されており、前記少なくとも1つのばねコンタクト部材(45)又は前記複数のばねコンタクト部材(45)は、前記回路支持体(50)の金属化領域にそれぞればね弾性的に当接して接触接続しており、前記回路支持体(50)の各前記金属化された内壁及び各前記金属化領域(53)は、前記回路支持体(50)の電気回路(55)のアース電位を有している、コンタクトユニット。
【請求項14】
当該コンタクトユニット(200)は、多極型のハイブリッドプラグを収容する少なくとも1つのプラグカラー(301)を備えた多極型の雄型コネクタ(300)を含み、前記プラグカラー(301)の内側には、それぞれその差込み側(S)を備えた少なくとも1つ又は複数のシールドされた電気プラグ(100)と、前記ハイブリッドプラグ用の、前記電気プラグ(100)とは異なる複数の別のコンタクト接続部材(320)とが配置されており、前記コンタクト接続部材(320)及び前記少なくとも1つ又は複数の電気プラグ(100)の前記少なくとも1つ又は複数のデータ線路(20)も、前記回路支持体(50)に対する前記接続側(A)に圧入ピン(21,321)を有しており、前記圧入ピン(21,321)は、アース電位に接触接続された前記少なくとも1つ又は複数の電気プラグ(100)の前記圧入ピン(41)と共に直線配置で、それぞれ前記回路支持体(50)の前記圧入開口(51)内に、直線配置内の同一のグリッド間隔(R)を保持した状態で圧入されている、請求項13に記載のコンタクトユニット。
【請求項15】
請求項に記載のシールドされた電気プラグ(100)と、回路支持体(50)とを含み、前記回路支持体(50)は、前記シールドされた電気プラグ(100)を機械的かつ電気的に接続するために金属化された内壁を備えた少なくとも1つ又は複数の圧入開口(51)と、回路支持体側の少なくとも1つの金属化領域(53)とを有しており、金属化された前記圧入開口(51)及び前記少なくとも1つの金属化領域(53)は、それぞれ前記回路支持体(50)の回路(55)のアース電位を有しているコンタクトユニット(200)を形成する方法において、以下の方法ステップ、すなわち、
a)前記電気プラグ(100)の前記接続部材(40)の前記少なくとも1つ又は複数の圧入ピン(41)を、前記回路支持体(50)の1つ又は複数の前記圧入開口(51)内に、少なくとも1つの第1のアース端子を形成しつつ圧入するステップと、
b)前記電気プラグ(100)の最終取付け位置到達時に圧入過程を終了し、遅くとも前記最終取付け位置への到達と共に、前記回路支持体(50)の前記金属化領域(53)に、前記電気プラグ(100)の前記接続部材(40)の前記少なくとも1つ又は複数のばねコンタクト部材(45)を、弾性的に支持するように、少なくとも1つの第2のアース端子を形成しつつ接触接続させるステップと、
を含む方法。
【請求項16】
多極型のハイブリッドプラグを収容する少なくとも1つのプラグカラー(301)を備えた雄型コネクタ(300)であって、前記プラグカラー(301)の内側には、それぞれその差込み側(S)を備えた、請求項に記載の少なくとも1つ又は複数のシールドされた電気プラグ(100)と、前記ハイブリッドプラグ用の、前記電気プラグ(100)とは異なる複数の別のコンタクト接続部材(320)とが配置されており、前記コンタクト接続部材(320)及び前記少なくとも1つ又は複数の電気プラグ(100)の前記少なくとも1つ又は複数のデータ線路(20)も、前記回路支持体(50)に対する前記接続側(A)に圧入ピン(21,321)を有している、雄型コネクタ(300)。
【国際調査報告】