(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】レーザ焼結用レーザ作業機械
(51)【国際特許分類】
B29C 64/371 20170101AFI20240514BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240514BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240514BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20240514BHJP
B33Y 40/00 20200101ALI20240514BHJP
B29C 64/268 20170101ALI20240514BHJP
B29C 64/214 20170101ALI20240514BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20240514BHJP
B22F 10/32 20210101ALI20240514BHJP
B22F 12/46 20210101ALI20240514BHJP
B22F 12/67 20210101ALI20240514BHJP
B22F 12/70 20210101ALI20240514BHJP
B22F 12/90 20210101ALI20240514BHJP
【FI】
B29C64/371
B33Y30/00
B33Y10/00
B29C64/153
B33Y40/00
B29C64/268
B29C64/214
B22F10/28
B22F10/32
B22F12/46
B22F12/67
B22F12/70
B22F12/90
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570097
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 IT2022050085
(87)【国際公開番号】W WO2022239039
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】102021000012392
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523427124
【氏名又は名称】モルフィカ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カレファティ、サンテ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレンティ、ニコライ
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AM26
4F213AM30
4F213AP02
4F213AP05
4F213AP13
4F213AQ01
4F213AR02
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL13
4F213WL76
4F213WL85
4K018DA33
(57)【要約】
レーザ光源と光学系、作業面上に粉末床を堆積させるための機械的手段、および選択的粉末溶解プロセスから生じるヒュームおよび/または汚染物質を、作業チャンバ内部に拡散する前に1つまたは複数の溶融層にできるだけ近いところで除去し、選択的溶融プロセスを受ける1つまたは複数の層の近くに、局所的な方法で粉末床溶融の処理に必要なプロセスガスを同じチャンバ内に導入するための機械システムを使用して、層を焼結することによって、デジタル3Dモデルから開始して三次元物体を作製するためのレーザ焼結用のレーザ操作機械(100)が説明されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系(101)、作業面(130)、ガス容器ユニット(230)、並びにヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)を備えたレーザ焼結用レーザ作業機械(100)であって、
前記光学系(101)は、レーザ光源(102)によって放射された電磁放射線(120)のビームを作業面(130)の所定の領域に伝達し、集光させるように設計され、前記光学系(101)は、前記レーザ作業機械(100)の上面に接続されており、
前記作業面(130)は、金属粉末および/または樹脂および/またはポリマー材料(131)の床を収容するように設計され、ピストン(170)に動作可能に接続されており、
前記ガス容器ユニット(230)は、プロセスガスシリンダーを収容するように設計され、耐火性があり、前記レーザ作業機械(100)に動作可能に接続されており、
前記ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、前記作業面(130)からプロセスヒュームを局所的に除去し、前記金属粉末および/または樹脂および/またはポリマー材料(131)の床にプロセス補助ガスを導入するように設計され、前記光学系(101)に動作可能に接続されており、
前記ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、前記作業面(130)内の前記金属粉末および/または樹脂および/またはポリマー材料(131)の床におけるプロセスに必要なガスを局所的に導入し、工作機械(100)の前記作業面(130)内の前記金属粉末および/または樹脂材料および/またはポリマー(131)の床からプロセスヒュームを局所的に吸引するように設計されており、前記ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、少なくとも2つのチャネル(203および204)によってプロセスヒュームの吸引を伝達し、前記少なくとも2つのチャネル(203および204)は、同心であり、ノズル(200)に接続されており、前記ノズル(200)は、作業領域(130)における金属粉末の加熱操作および/または樹脂および/またはポリマー材料の光重合操作に必要な一組の固定されたおよび/または取り外し可能なエネルギー源(503)が内部に位置する内側リング(508)を有するリングナット(500)に接続されており、前記ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、少なくとも1つのダクト(145)および1つのダクト(146)によって吸引ユニット(140)に接続されることを特徴とする、レーザ焼結用レーザ作業機械(100)。
【請求項2】
前記光学系(101)は、前記レーザ作業機械(100)内での積層造形用途のために、前記作業面(130)の周囲内でX軸、Y軸、およびZ軸に沿って移動するように設計されており、前記光学系(101)は、前記レーザ光源(102)によって放射される前記電磁放射線のビーム(120)のスポットの直径および前記Z軸に沿った位置を変更し、作業面(130)の所定の領域において、リングナット(500)に接続された円筒形および/または円錐形のノズル(200)の中央領域(202)から出る前記レーザ光源(102)によって放射される前記電磁放射線のビーム(120)を集光させて、積層造形プロセスを実行するのに必要な、固定および/または可動の1つまたは複数の反射型および/または透過型光学素子(160)で構成されることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ焼結用レーザ作業機械(100)。
【請求項3】
前記光学系(101)には、一体型または非一体型であり、前記光学系(101)に接続される少なくとも1つのレーザ光源(102)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ焼結用レーザ作業機械(100)。
【請求項4】
ドクターブレードまたはリコータ(103)が、前記金属粉末および/または樹脂および/またはポリマー材料(131)の床を積層造形用途のための前記作業面(130)に広げるように設計されており、前記ドクターブレードまたはリコータ(103)は、前記工作機械(100)の前記作業面(130)に動作可能に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ焼結用レーザ作業機械(100)。
【請求項5】
前記ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、平面作業システム(130)のX方向、Y方向、およびZ方向に並進するように設計されており、前記ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、前記光学系(101)に動作可能に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ焼結用レーザ作業機械(100)。
【請求項6】
前記ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、前記ノズル(200)の終端部で円形形状のリングナット(500)に接続され、前記リングナット(500)は、前記作業領域(130)からプロセスヒュームを吸引するのに適した一組の出口(501)を備えた外側リング(506)によって構成されることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ焼結用レーザ作業機械(100)。
【請求項7】
前記ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、前記作業面(130)で前記プロセスから生じる前記ヒュームを局所的に吸引するために必要なポンプ(141)が設けられており、前記ポンプ(141)は、前記ダクト(145)および(146)によって前記吸引ユニット(140)に、および濾過ユニット(220)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ焼結用レーザ作業機械(100)。
【請求項8】
前記ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、少なくとも2つの流路(205)と(206)を介してガスの導入を伝達し、前記少なくとも2つの流路(205)と(206)は、前記ノズル(200)に接続され、前記リングナット(500)内の前記ノズル(200)と同心であり、少なくとも1つのダクト(155)と1つのダクト(156)によって供給ユニット(150)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ焼結用レーザ作業機械(100)。
【請求項9】
前記ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、前記ノズル(200)の終端部で、指示的に円形形状のリングナット(500)に接続され、前記リングナット(500)は、前記作業領域(130)にプロセスガスを導入するのに適した一組の出口(502)を備えた中間リング(507)によって構成されることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ焼結用レーザ作業機械(100)。
【請求項10】
前記ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、前記作業面(130)にプロセスサポートガスを局所的に供給するために必要なソレノイドバルブ(151)を備え、前記ソレノイドバルブ(151)は、前記ダクト(155)および(156)によって供給ユニット(150)に、およびガス容器ユニット(230)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ焼結用レーザ作業機械(100)。
【請求項11】
前記ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、積層造形プロセスから生じるヒュームの浄化および濾過、ならびに空気の再循環のために必要な空気処理ユニット(221)を備え、前記空気処理ユニット(221)は、前記濾過ユニット(220)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ焼結用レーザ作業機械(100)。
【請求項12】
前記ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、吸引された粒子の流れの内容を測定することが可能なセンサ(109)と、供給された粒子の流れの内容を測定することが可能なセンサ(110)とを備え、前記センサ(109)および(110)は、ポンプ(141)、ソレノイドバルブ(151)、および前記工作機械(100)内の制御ユニット(108)に動作可能に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ焼結用レーザ作業機械(100)。
【請求項13】
ガス容器ユニット(230)は、プロセスガスの容器(231)の接続および除去を可能にするように設計されており、前記容器(231)は、クイックカップリングバルブ(232)に接続されており、前記ガス容器ユニット(230)は、耐火性であることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ焼結用レーザ作業機械(100)。
【請求項14】
前記容器ガスユニット(230)は、プロセスガスの容器(231)の挿入および除去の操作に必要な、ガスプロセスの容器(231)の圧力を制御するためのセンサ(111)が設けられており、前記センサ(111)は、バルブ(232)および制御ユニット(108)に動作可能に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ焼結用レーザ作業機械(100)。
【請求項15】
前記作業容積(104)の内部に、前記容積(104)内の熱の程度を制御するために必要な温度センサ(105)と、前記金属粉末および/または樹脂および/またはポリマー材料(131)の床の正確な広がりをチェックするために必要な少なくとも1つの光学式センサ(107)とが設けられており、前記温度センサ(105)および前記光学式センサ(107)は、前記工作機械(100)の壁部および制御ユニット(108)に動作可能に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ焼結用レーザ作業機械(100)。
【請求項16】
前記作業容積(104)内には、前記作業容積(104)の圧力を制御するために必要なセンサ(112)があり、前記センサ(104)は、前記工作機械(100)の壁部および制御ユニット(108)に動作可能に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ焼結用レーザ作業機械(100)。
【請求項17】
積層造形プロセスによるレーザ焼結方法であって、前記レーザ焼結方法は、
ドクターブレードまたはリコータ(103)によって、金属粉末および/または樹脂および/またはポリマー材料(131)の床を作業面(130)上に広げる、粉末拡散ステップと、
リングナット(500)の内側リング(508)に位置する固定式および/または取り外し可能な一組のエネルギー源(503)によって、作業領域(130)内の金属粉末を加熱する、および/または樹脂材料および/またはポリマー材料の光重合を行うステップと、
一組の光学素子(160)を使用して、レーザ光源(102)により、作業面(130)内の前記金属粉末および/または樹脂および/またはポリマー材料(131)の床に電磁放射線(120)のビームを放射する、レーザ焼結ステップと、
光学系(101)と一体となった、ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)により、前記作業面(130)の前記金属粉末および/または樹脂および/またはポリマー材料(131)の床からレーザ焼結プロセスにより生じるヒュームを吸引し、前記レーザ焼結プロセスに必要なガスを作業面(130)の前記金属粉末および/または樹脂および/またはポリマー材料(131)の床に導入する、吸引およびガス注入ステップと
を含む、レーザ焼結方法。
【請求項18】
前記光学系(101)は、積層造形用途のために作業平面(130)の周囲内でX軸、Y軸、およびZ軸に沿って移動することができ、特に前記光学系(101)は、
前記Z軸に沿った機械的または光学的移動によって、機械的サポート用途のための光学素子(160)の焦点の上方の位置、
前記Z軸に沿った機械的または光学的移動によって、作製される1つまたは複数の層の輪郭に沿って処理するための光学素子(160)の焦点内の位置、および、
前記Z軸に沿った機械的または光学的移動によって、作製される1つまたは複数の層内で処理するための光学素子(160)の焦点の下の位置
で加工を実行することができる、請求項17に記載のレーザ焼結方法。
【請求項19】
前記粉末拡散ステップ、前記レーザ焼結ステップ、および前記吸引およびガス注入ステップは、不活性または真空雰囲気の作業容積(104)内で実行される、請求項17または18に記載のレーザ焼結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載されたレーザ焼結用レーザ作業機械に関するものである。特に、粉末床溶融技術、または金属粉末および/または樹脂および/またはポリマー材料の床を用いた積層造形のための革新的な焼結システムについて説明する。
【背景技術】
【0002】
積層造形(AM)とは、特定の物体のコンピュータ化された3Dモデルから開始して、削りくずは機械的に除去される材料ブロックから開始する、例えばチップ除去、切削、穴あけによる機械加工などの従来の除去技術とは対照的に、デジタルモデルから開始して物体を製造する一連の付加製造粉体プロセスであり、機械の制御システムに統合されたソフトウェア、またはオンラインサービスを利用して、金属、プラスチック、樹脂、ポリマー、複合成分などの様々な種類の材料の焼結、または蒸着プロセスのための工作機械によって処理される結果の層のスキームを得るために、複数の層への細分化を実行することが可能である。
【0003】
この技術の主な特徴は、プロジェクト図面の要求に応じて、最終部品の形状に非常に近い形状の部品を作製できる生産プロセスであることである。AMファミリーの中には、レーザビームを使用した、金属、プラスチック、樹脂、ポリマー、および複合成分などの材料の粉末床の選択的溶融/焼結(選択的レーザビーム溶融-SLBM、または選択的レーザビーム焼結-SLBS)(または、金属、プラスチック樹脂、ポリマー、複合成分などの材料からの粉末が構造支持体上に堆積された後にエネルギー源との相互作用が行われる、粉末床溶融またはPBF、バインダージェットキャスティング、溶融フィラメント製造、光造形(SLA)としても知られる)、1つまたは複数のノズルを利用して粉末を支持体上に噴霧し、同時にエネルギービームが照射される、レーザビームによる金属の堆積(レーザビーム金属堆積-LBMD)、および選択的電子ビーム溶解(SEB M)など、異なる特徴を持ついくつかの技術を確認できる。
【0004】
金属、プラスチック、樹脂、ポリマー、複合成分などの材料の粉末床技術またはPBFでは、レンズ系とスキャナを使用したレーザビームが、金属、プラスチック、樹脂、ポリマー、複合成分などの材料の粉末を、三次元部品の造形のためにぎっしり詰まった材料を取得する必要がある特定の所定の領域でのみ溶融させるのに必要な高出力密度の熱源として使用される。特に、特別なホッパーに含まれる粉末は、供給システムを使用して造形面上に送られ、ドクターブレードを介して一般的に20~60μmの層に広げられ、その後、所望の形状に従ってレーザビームが選択的に照射される。レーザビームの使用に関連する利点は、通常は直径30μm~180μmの範囲の小さな寸法に焦点を合わせることができるため、粉末の急速な溶解につながる高い出力密度が、製造される部品の表面仕上げに関して良好な精度レベルに保証されることである。レーザビームが当たらない粉末床を備えた基板は、造形中の部品に機械的サポートを提供し、実際、最初の層が完成した後、プラットフォームが下降し、新しい粉末が広げられ、すでに堆積されている層は、動かしてはいけない。造形プレートには、プロセス中に生成された熱を放散するという重要な役割もあり、場合によっては、高電圧、残留物、およびその結果として生じる部品の変形の形成につながる可能性のある造形中の部品との温度勾配を下げるために加熱することもできる。作業領域を最大限に活用するために、同じ粉末床内に複数の部品を造形することも可能である。通常、粉末床プロセスは、材料の酸化を防ぐために不活性ガスを吹き込んだチャンバ内で実行される。これらの特徴により、航空宇宙から医療、自動車から宝飾品に至るまで、様々な分野の部品の製造のための粉末床技術の粉体市場へのアクセスが可能になった。特に、従来の製造技術と比較して、粉末床技術の柔軟性が高いため、非常に高いレベルの部品のカスタマイズを達成することが可能である。
【0005】
粉末床またはPBFプロセスは、密度、微細構造、および機械的特性に関して、製造される部品の最終特性を決定する様々な要因によって特徴付けられ、特に、それは、放射線と物質の相互作用、電磁放射線のエネルギーの材料の吸収特性、および粉末床の温度に依存する。材料の吸収特性には、密度、熱伝導率、比熱、放射率などのパラメータが含まれ、材料自体の温度によって変化し、粉末床または粉末床溶融における積層造形技術において、材料の加工プロセスを決定する。
【0006】
レーザ出力、粉末床上のレーザ走査速度、レーザビームの形状、使用する材料などのプロセスパラメーターの選択は、製造される部品の構造および表面の品質、およびシステムの生産性に影響を与え、これは、高い空間分解能、キャピラリープロセス制御、パウダーベッドの前処理と新たに溶融した材料の後処理を実行する能力などの利点もあるため、粉体分野で、特に今日、鋳造および/またはホットモールドおよび/またはダイカストによってカバーされている分野で、この種の機械の使用にとって決定的なものとなる。
【0007】
レーザ光源による溶融プロセスは、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴンなど)の雰囲気下の作業チャンバ内部で行われ、その内部には、粉末の付加を制御できるいくつかのハンドリング装置が存在し、したがって、部品の実現、選択的溶解プロセスから生じるヒュームの吸引、および生産プロセスへのサポートガスの導入が保証される。
【0008】
積層造形技術を用いて金属粉末を焼結するための多くのシステムが当該技術分野で知られており、例えば、各々がエネルギービームを生成して粉末床溶融槽を形成するレーザマトリックスを備えた積層造形システムに関する特許文献1、または粉末床および一連のレーザエミッタを有する装置を備え、粉末床に対して移動する際に粉末床の少なくとも一部を溶融するように構成され、ヒュームを吸引するように構成されたマニホールドを含む積層造形システムについて記載している特許文献2、また、作業領域および接合領域の上方を少なくとも部分的に通過するガスの流れを作り出すように配置された流入ノズルと排出ノズルを備えた、作業領域からのガスの導入および吸引システムに関する特許文献3が挙げられる。
【0009】
従来技術の主な欠点は、電磁放射線の輸送に必要な光学系が作業面の上方に複数固定されており、粉末床に沿って移動できない焼結システム、ならびにプロセスヒュームの抽出、およびサポートガスの入力が局所的ではなく、作業チャンバの境界壁に限定されており、使用されるレーザによって粉末の1つまたは複数の層で実行されるプロセスの近くにも局所的ではなく、作業面上の光学部品上の複雑な位置合わせプロセスを導入する制限が生じ、ならびに溶融材料内に欠陥および/または介在物が形成され、したがって、最終部品の中に寸法が小さいおよび/または大きい欠陥および/または介在物が形成されることに関するものである。さらに、これらは、積層造形技術を使用した焼結プロセスに必要なガスを封じ込める耐火システムを備えていない装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2018/151911号
【特許文献2】国際公開第2018/156254号
【特許文献3】欧州特許第3050648号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、複雑な位置合わせ手順を必要とせず、作業面の所定の領域でレーザによって放射される電磁放射線のビームを伝達し集光させるように設計された単純な光学系を備えた機械的および技術的解決策を通じて、レーザ焼結用レーザ作業機械(100)を用いて、前述の従来技術の問題を解決することであり、もう1つの目的は、光学系と一体化したシステムを利用して、ワークトップからプロセスヒュームを局所的に除去し、粉末床にプロセス補助ガスを導入できる機械的解決策を提供することである。もう1つの目的は、積層造形技術を使用した焼結プロセスに必要なガスを封じ込める耐火システムの使用である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記および他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるように、請求項1に記載されているようなレーザ焼結用レーザ作業機械によって達成される。本発明の好ましい実施形態および自明ではない変形例が、従属請求項の主題を形成する。
【0013】
添付の特許請求の範囲はすべて、本説明の不可欠な部分を形成することが理解される。
【0014】
添付の特許請求の範囲から明らかなように、本発明の範囲から逸脱することなく、記載された内容に対して(例えば、形状、寸法、配置、および均等な機能性を有する部品に関する)無数の変更および修正を行うことができることは直ちに明らかであろう。
【0015】
本発明は、添付の図面を参照して、非限定的な例として提供されるいくつかの好ましい実施形態によってさらに詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る、レーザ焼結用レーザ作業機械(100)を示す。
【
図2】本発明に係る、光学系(101)およびガス吸引・導入システム(106)を示す。
【
図3】本発明に係る、光学系(101)およびガス吸引・導入システム(106)の終端部を示す。
【
図4】本発明に係る、電磁放射線ビーム(120)のモードを示す。
【
図5】本発明に係る、光学系(101)およびガス吸引・導入システム(106)のリングナット(500)の正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
積層造形用のレーザ焼結用のレーザ機械(100)は、
図1から分かるように、プロセス制御に必要な複数のセンサと、作業チャンバ内部で分散する前に、1つまたは複数の溶融層にできるだけ近くで、粉末の選択的溶融プロセスから生じるヒュームおよび/または汚染物質を除去し、粉末床溶融または粉末床の処理に必要なプロセスガスを同じチャンバ内で選択的融合プロセスに供せられる1つまたは複数の層の近くで局所的に導入する機械システムを利用して、レーザ光源および光学系と、金属、プラスチック、樹脂、ポリマー、複合成分などの材料の粉末床を作業面上に堆積するのに適した機械的手段とを使用して層を焼結することによって、デジタル3Dモデルから開始して三次元物体を作製するように設計されており、それは、レーザ(102)によって放射される電磁放射線(120)のビームを作業面(130)の所定の領域に伝達し集光させるように設計された光学系(101)から構成され、光学系は、レーザ作業機械(100)の上面部分に接続されており、作業面(130)は、金属、プラスチック、樹脂、ポリマー、および複合成分(131)などの材料の粉末床を収容するように設計され、ピストン(170)に動作可能に接続されており、ヒュームの抽出およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、作業面(130)からプロセスヒュームを局所的に除去するように、およびプロセス補助ガスを金属、プラスチック樹脂、ポリマーおよび複合成分(131)などの材料の粉末床に導入するように設計され、システム(106)は、光学系(101)と、耐火性であり、レーザ作業機械(100)に動作可能に接続されたプロセスガスシリンダーを収容するように設計されたガス容器ユニット(230)とに動作可能に接続される。
【0018】
レーザ焼結用レーザ作業機械(100)には、機械式および/または磁気駆動装置(113)によって作業面(130)の周囲内でX、Y、Z軸に沿って移動できる光学系(101)が装備されており、光学系(101)は、複雑な位置合わせ手順を必要とせず、1つまたは複数の実施形態において、光学系(101)は、電磁放射線のビーム(120)の反射および/または屈折によって、および電磁放射線のビーム(120)を作業面(130)に集光させることができる少なくとも1つの光学部品であって、発生した熱を放散するために必要なプレートが鋳造プロセス中に収容され、プレートは、高い残留応力の形成およびその結果としての部品の変形につながる可能性のある、造形中の部品の熱勾配を下げるために加熱されることができ、光学部品は、積層造形プロセスおよび積層造形用途用に反射型および/または透過型とすることもできる少なくとも1つの光学部品によって、電磁放射線のビームをコリメートすることができる少なくとも1つの光学部品から構成することができる。
【0019】
有利には、
図1から分かるように、光学系(101)は、レーザビームの直径および形状(トップハット(402)、ドーナツ(403)、またはベッセル(404))、および積層造形プロセスを実行するために、作業面(130)の所定の領域において、リングナット(500)に接続された円筒形および/または円錐形のノズル(200)の中央領域(202)からの出力において、180nm~11000nmの範囲の波長を有するレーザ(102)によって放射され、電磁放射線ビームを集光させるための電磁放射線ビーム(120)のスポットのZ軸に沿った位置を変更するために必要な、1つまたは複数の反射型および/または透過型の固定および/または可動光学素子(160)から構成される。レーザビームの集光スポットとは、平行化されたレーザ光源から放射される光線の伝搬をモデル化した曲線の集合を表すコースティックの空間において、反射型および/または透過型光学部品によって集光されたときの集光面上の最小直径を意味し、この直径またはスポットは、レーザ光源のパワーの大部分が集中するレーザビームの伝搬軸線周辺の領域である。レーザビームは、
図4a、
図4b、
図4c、および
図4dから分かるように、伝搬方向に垂直な平面上の強度プロファイルがガウス分布に従い、エネルギー分布が中央部に集中し、テール方向に減少するガウシアンタイプ(401)、強度プロファイルがほぼ平坦で、エネルギー分布が中央部により集中し、エッジに沿ってゼロになる傾向があるトップタイプハット(402)、エネルギー分布がその形状を取り囲むリングにより集中し、中央部分に最小点を有し、テール方向に減少する傾向があるドーナツ(403)またはその特徴的な形状によるドーナツ型、および振幅が第1のタイプのベッセル関数で記述され、伝播する間、回折も拡散もしないベッセル(404)とすることができる。
【0020】
レーザ焼結用レーザ作業機械(100)は、
図1に示されるように、光学系(101)の上部に一体的に接続されたレーザ光源(102)を備えることができるか、または、レーザ光源(102)は、必ずしも光学系(101)の上方に配置されなくてもよく、さらに、レーザ焼結用レーザ作業機械(100)には、例えばアクチュエータおよび/またはスライディングトラックなどの移動手段によって作業面(130)に動作可能に接続されたドクターブレードまたはリコータ(103)が設けられており、ドクターブレードまたはリコータ(103)は、積層造形用途のために作業面(130)に金属粉末および/または樹脂および/またはポリマー材料(131)の床を広げるように設計されている。
【0021】
有利には、ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、
図1および
図2から分かるように、光学系(101)に動作可能に接続され、作業面(130)のX、Y、およびZ方向に並進するように設計されており、ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、プロセスに必要なガスを作業面(130)の金属粉末および/または樹脂および/またはポリマー材料(131)の床に局所的に導入し、工作機械(100)の作業面(130)の金属粉末および/または樹脂および/またはポリマー材料(131)の床からプロセスヒュームを局所的に吸引することができる。
【0022】
ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、
図2および
図3から分かるように、ノズル(200)に接続された少なくとも2つのチャネル(203)および(204)を通してプロセスヒュームの吸引を伝達するように設計されており、好ましくは、リングナット(500)内のノズル(200)と、少なくとも1つのダクト(145)およびダクト(146)による吸引ユニット(140)と同心であり、ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)には、作業面(130)内でプロセスから生じるヒュームを局所的に吸引するために必要なポンプ(141)が設けられており、ポンプ(141)は、ダクト(145)および(146)によって吸引ユニット(140)に、および濾過ユニット(220)に接続されている。また、ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためにシステム(106)のノズル(200)の終端部に接続された、円形、または例えば四角形および/または円錐形のリングナット(500)は、作業領域(130)からプロセスヒュームを吸引するのに適した、円形および/または正方形および/または長方形の形状の1組の出口(501)を備えた外部リング(506)によって構成される。
【0023】
さらに、ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)は、ノズル(200)に接続された少なくとも2つのチャネル(205)および(206)を通してガスの導入を伝達するように設計され、好ましくは、少なくとも2つのチャネル(205)および(206)は、リングナット(500)内のノズル(200)と同心であり、少なくとも1つのダクト(155)およびダクト(156)によって供給ユニット(150)と同心であり、ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)には、サポートガスを作業面(130)のプロセスに局所的に供給するために必要なソレノイドバルブ(151)が設けられており、ソレノイドバルブ(151)は、ダクト(155)および(156)と容器ガスユニット(230)によって供給ユニット(150)に接続されている。また、ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)のノズル(200)の終端部に接続された略円形のリングナット(500)は、作業領域(130)からプロセスヒュームを抽出するのに適した、一組の円形および/または正方形および/または長方形のノズル(502)を備えた中間リング(507)によって構成される。
【0024】
ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)には、空気処理ユニット(221)、すなわち、積層造形プロセスから生じるヒュームの浄化と濾過および空気再循環に必要な閉鎖環境における空気の処理のための装置が装備されており、空気処理ユニット(221)は、濾過ユニット(220)に接続され、さらに、ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)には、吸引された粒子の流れを制御するためのセンサ(109)および分配された粒子の流れを制御するためのセンサ(110)が設けられており、センサ(109)および(110)は、ポンプ(141)、ソレノイドバルブ(151)、および工作機械(100)内の制御ユニット(108)に動作可能に接続されている。
【0025】
有利には、ノズル(200)の終端部に接続されたリングナット(500)は、
図5に示されるように、作業領域(130)における金属粉末の溶融プロセスの開始前および/または溶融プロセス後の加熱動作に必要な一組の固定および/または取り外し可能なエネルギー源(503)が配置され、ポリマー、プラスチック、および/または樹脂ベースの材料の場合は、作業領域(130)における樹脂材料および/またはポリマー材料の光重合操作に必要な一組の固定および/または取り外し可能なエネルギー源(504)も配置される内側リング(508)を備えて設計される。
【0026】
レーザ焼結用レーザ作業機械(100)は、プロセスガスの容器(231)を接続および除去可能に設計されたガス容器ユニット(230)を備え、容器(231)は、手動固定またはクイックカップリングによってバルブ(232)に接続されており、ガス容器ユニット(230)は、耐火性、すなわち不燃性であり、さらに、ガス容器ユニット(230)には、プロセスガスの容器(231)の挿入および除去の作業に必要な、プロセスガスの容器(231)の圧力を制御するためのセンサ(111)が設けられており、センサ(111)は、バルブ(232)および制御ユニット(108)に動作可能に接続されている。
【0027】
有利には、レーザ焼結用レーザ作業機械(100)には、作業容積(104)の内部に作業容積(104)内の熱の程度を制御するために必要な温度センサ(105)と、金属粉末および/または樹脂および/またはポリマー材料(131)の床の正確な広がりをチェックするために必要な少なくとも1つの光学式センサ(107)とが設けられており、温度センサ(105)および光学式センサ(107)は、工作機械(100)の壁部および制御ユニット(108)に動作可能に接続され、さらに、作業容積(104)の内部には、作業容積(104)の圧力を制御するために必要なセンサ(112)も存在し、センサ(104)は、工作機械(100)の壁部および制御ユニット(108)に動作可能に接続されている。
【0028】
レーザ焼結用レーザ作業機械(100)は、粉末床溶融または粉末床溶融技術を使用して三次元物体を作製するように設計されており、以下のステップ:
ドクターブレードまたはリコータ(103)が金属粉末および/または樹脂および/またはポリマー材料(131)の床を作業面(130)上に広げる、粉末拡散ステップと、
レーザ(102)が、一組の光学素子(160)を使用して、作業面(130)内の金属粉末および/または樹脂および/またはポリマー材料(131)の床に電磁放射線(120)のビームを放射する、レーザ焼結ステップと、
ヒュームの吸引およびサポートガスの導入のためのシステム(106)が、光学系(101)と一体となって、作業面(130)の金属粉末および/または樹脂および/またはポリマー材料(131)の床からレーザ焼結プロセスから生じるヒュームを吸引し、レーザ焼結プロセスに必要なガスを作業面(130)の粉末床(131)に導入する、吸引およびガス注入ステップと、
を含む。
【0029】
さらに、光学系(101)は、積層造形用途のために作業平面(130)の周囲内でX、Y、Z軸に沿って移動することができ、特に光学系(101)は、
Z軸に沿った機械的または光学的移動によって、機械的サポート用途のための光学素子(160)の焦点の上方の位置、
Z軸に沿った機械的または光学的移動によって、作製される1つまたは複数の層の輪郭に沿って処理するための光学素子(160)の焦点内の位置、および、
Z軸に沿った機械的または光学的移動によって、作製される1つまたは複数の層内で処理するための光学素子(160)の焦点の下の位置、
で加工を実行することができる。
【0030】
また、粉末の拡散ステップ、レーザ焼結ステップ、およびガス吸引・注入ステップは、不活性または真空雰囲気の作業容積(104)内で実行される。
【国際調査報告】