(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】製品搬送システム及び製品支持システム
(51)【国際特許分類】
B65G 13/00 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
B65G13/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570140
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2022065244
(87)【国際公開番号】W WO2022254031
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522120118
【氏名又は名称】パワー ストウ インターナショナル アンパルトセルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴェステルガールド、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ボンデ、イェンス
【テーマコード(参考)】
3F033
【Fターム(参考)】
3F033BA04
3F033BB13
(57)【要約】
本発明は、手荷物又は包装物などの物体18を搬送するための製品搬送システム及び製品支持システムに関し、搬送方向を定める続いて配置されたいくつかの搬送要素12を備える。本システムは、物体18を支持するための少なくとも1つのブラシ要素20を備え、ベース要素24と、ベース要素24に接続され、前記搬送方向に対して傾斜した角度で搬送要素12に接続されたいくつかの細長いデフレクタ要素26とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向を定める続いて配置されたいくつかの搬送要素(12)を備える、手荷物又は包装物などの物体(18)を搬送するための製品搬送システム(10)であって、前記物体(18)を支持するための少なくとも1つのブラシ要素(20)を有する製品支持システムをさらに備える製品搬送(10)システムであり、前記搬送要素(12)が、前記物体と接触するための可動搬送面を有し、前記少なくとも1つのブラシ要素(20)が、前記続いて配置された搬送要素(12)の2つの間に配置され、ベース要素(24)及びいくつかの細長いデフレクタ要素(26)を備え、前記デフレクタ要素(26)が前記搬送方向に対して傾斜した角度を形成するように、前記搬送要素(12)に接続されている、製品搬送システム(10)。
【請求項2】
前記続いて配置された搬送要素(12)が、少なくとも、続いて配置された少2つの搬送ローラ(14)又は続いて配置された2つの搬送ベルトを備える、請求項1に記載の製品搬送システム(10)。
【請求項3】
前記ブラシ要素(20)が細長く、前記ブラシ要素(20)の長手方向が、水平面内にある前記搬送方向に対して実質的に垂直であるように配置されている、請求項1又は2に記載の製品搬送システム(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのブラシ要素(20)の前記ベース要素(24)が、続いて配置された2つの搬送要素(12)間の中心線に対してずらされて配置されている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の製品搬送システム(10)。
【請求項5】
前記搬送要素(12)が、続いて配置された少なくとも2つのローラ(14)と、前記ローラ(14)間の接続部として配置されたリンク要素(32)とを備える、請求項1から4までのいずれか一項に記載の製品搬送システム(10)。
【請求項6】
続いて配置された2つの搬送要素(12)が、前記リンクを介して、鉛直軸の周りに互いに対して枢動可能に配置されている、請求項5に記載の製品搬送システム(10)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのブラシ要素(20)の前記ベース要素(24)が、前記少なくとも1つのローラ(14)の下に少なくとも部分的に配置されている、請求項5又は6に記載の製品搬送システム(10)。
【請求項8】
前記製品支持システムが、前記物体(18)を支持し、ベース要素(24’)と、前記ベース要素(24’)に接続されたいくつかの細長いデフレクタ要素(26’)とを有する第2のブラシ要素(22)をさらに備え、前記第2のブラシ要素(22)が、続いて配置された搬送要素(12)間の前記リンク要素(32)の上方で接続されている、請求項5から7までのいずれか一項に記載の製品搬送システム(10)。
【請求項9】
前記デフレクタ要素(26、26’)が、前記搬送方向に垂直な方向に対して異なる角度で配置され、それにより、前記角度の広がり(28)を画定する、請求項1から8までのいずれか一項に記載の製品搬送システム(10)。
【請求項10】
前記第1のブラシ要素(20)の前記広がり(28)が、前記第1のブラシ要素(20)の一方の端部から反対側の端部に向かって増大する、請求項9に記載の製品搬送システム(10)。
【請求項11】
前記第1のブラシ要素(20)が、前記広がり(28)の増大に影響を与えるように、前記搬送要素(12)の1つと接触している、請求項9又は10に記載の製品搬送システム(10)。
【請求項12】
前記角度が約10~50度、好ましくは約20~40度、最も好ましくは約25~35度の広がり(28)を画定する、請求項9から11までのいずれか一項に記載の製品搬送システム。
【請求項13】
前記デフレクタ要素(26、26’)が、ブラシ繊維のいくつかの束を備える、請求項1から12までのいずれか一項に記載の製品搬送システム。
【請求項14】
前記束の少なくとも1つが、前記搬送方向に対して異なる角度で配置されたいくつかのブラシ繊維を備える、請求項13に記載の製品搬送システム。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか一項に記載の製品搬送システム(10)に使用するのに適した製品支持システムであって、
前記物体(18)を支持し、ベース要素(24)と、前記ベース要素(24)の上面に接続され、前記搬送方向に対して傾斜した角度で前記搬送要素(12)に接続されるのに適したいくつかの細長いデフレクタ要素(26)とを有する少なくとも第1のブラシ要素(20)を備え、前記デフレクタ要素が異なる角度で配置され、前記デフレクタ要素(26)の上端が、前記ベースの前記上面と比較してより大きな表面積をカバーする領域を有するデフレクタ表面を画定する、製品支持システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品搬送システム及び製品支持システムに関する。
【0002】
本製品搬送システム及び製品支持システムは、車両、航空機から、又は倉庫での積み込み及び/又は積み下ろしされる包装物又は手荷物などの物体の積み込み及び/又は積み下ろしと組み合わせて使用するのに特に適している。
【背景技術】
【0003】
航空機などの輸送手段から、包装物及び手荷物などの貨物を積み込み及び/又は積み下ろしする技術分野では、貨物の取り扱いは、その作業に使用される個人と機器の両方にとって厳しい作業である。特に、スペースが極めて限られている航空機の胴体内などの貨物格納スペースへの貨物の積み込み及びそこからの貨物の積み下ろしにおいて、格納スペースからの貨物を移送するための機器は、操作が簡単で、スペース内での移動に柔軟性がなければならず、貨物の必要な支持及び案内を提供しなければならない。
【0004】
このような移送機器の1つの実例は、欧州特許第1713704(A1)号に開示されており、ここでは、貨物の積み込み及び積み下ろしを扱うための搬送装置が記載されている。
【0005】
知られている移送機器の他の実例としては、間隔を空けたいくつかのローラ又はベルトを備える、一般に知られているローラコンベヤ又はベルトコンベヤがある。
【0006】
間に隙間があるように間隔を空けたいくつかのローラ又はコンベヤベルトを有する搬送装置などの移送機器によって貨物を移送することに関連する主要な問題は、より小さいサイズの貨物が搬送装置に完全には支持されないことであり、小さな包装物などのより小さい貨物は、ローラ又はベルトなどの2つの搬送要素の間にはまり込む危険性が増大する。
【0007】
スーツケース又は大きな箱などのより大きな物体は、これらの隙間にわたり、はまり込むことはないが、移送される貨物のサイズや形態は常に多種多様であるため、小さな包装物及び不均一なサイズの物体は、隣り合う2つの搬送要素の間にはまり込み、搬送装置全体を塞ぐ場合がある。
【0008】
知られているリニアコンベヤシステムでは、貨物は、実質的に直線状の輸送経路に沿って輸送され、ローラ又はベルト間の距離は最小になるように調節することができ、それによって、小さな物体がはまり込むことはない。
【0009】
しかしながら、欧州特許第1713704(A1)号に開示された搬送装置に関しては、ローラとして説明されている搬送要素は、その回転軸の方向を平行から非平行に調節することができるように構成されている。したがって、搬送装置は、ローラの回転軸が実質的に平行に配置される直線的な搬送経路と、ローラの回転軸が非平行に配置される非直線的な搬送経路とに配置される場合がある。
【0010】
少なくとも2つのローラなどのローラが非平行の構成で配置されているとき、隙間とも呼ばれる間隔は、ローラの反対側の端部と比較して、ローラの一方の端部に向かって小さくなる。この場合、ローラは非平行でなければならないので、より狭い隙間を配置することは可能ではない。したがって、2つのローラ間の全間隔に沿って、隙間は、一方の端部での比較的短い距離の隙間から、反対側の端部での比較的長い距離の隙間へと増大する。このような状況では、より小さい及び/又は不均一なサイズの貨物は、ローラ間にはまり込み、搬送装置全体を塞ぐ危険性が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、上記の問題を解消した製品搬送システム及び製品支持システムを提供することである。
【0013】
本発明の目的は、塞ぐ危険性が除去された製品搬送システムを提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、上記の知られているシステムのいずれにも取り付けることができる製品支持システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様によれば、上記の目的及び利点は、本発明の以下の説明から明らかになる多くの他の目的及び利点とともに、下記の、手荷物又は包装物などの物体を搬送するための製品搬送システムによって得られる。本製品搬送システムは、搬送方向を定める続いて配置されたいくつかの搬送要素を備え、物体を支持するための少なくとも1つのブラシ要素を有する製品支持システムをさらに備え、搬送要素が、物体と接触するための可動搬送面を有し、少なくとも1つのブラシ要素が、続いて配置された搬送要素の2つの間に配置され、ベース要素と、いくつかの細長いデフレクタ要素とを備え、デフレクタ要素が搬送方向に対して傾斜した角度を形成するように、搬送要素に接続されている。
【0016】
本発明は、物体が個々の搬送要素間にはまり込み、その結果、コンベヤを塞ぐ危険性なしに、異なるサイズや形状の手荷物又は包装物などの様々な異なる製品を搬送することが可能な、規定されるような製品搬送システムを包含する。本製品搬送システムは、物体を両方向に搬送するために両方向に動作させることができることが理解されよう。
【0017】
搬送要素は、作動化又は動力化されたローラ又はコンベアベルトなどの能動的な搬送要素であることが好ましいが、自由に回転可能なローラ、又は「無限搬送面」を提供するコンベアバンドなどの受動的な搬送要素であってもよい。
【0018】
ブラシ要素は、それ自体、作動化された又は受動的な搬送要素に比べて、搬送には何ら寄与するものではないが、単に、続いて配置された2つの搬送要素の間に物体がはまり込むのを防ぐだけである。
【0019】
ブラシ要素は、2つのローラ又は続いて配置された2つのコンベアベルトなどの、続いて配置された2つの搬送要素間に配置され、柔軟な支持体を構成し、したがって、2つの搬送要素間に物体がはまり込むのを防ぐ。
【0020】
ベース要素は、デフレクタ要素のベースを形成するのに適した任意の材料から製造することができ、したがって、プラスチック、木材、金属などの様々な材料から作ることができる。
【0021】
デフレクタ要素は硬くてもよいが、傾斜したデフレクタ要素の方向に対して物体を搬送するとき、デフレクタ要素が曲がって反対方向にも物体を支持することができるように、ベース要素に対して曲がることができる可撓性要素として構成されることが好ましい。
【0022】
ブラシ要素は、搬送システムに接続されたときに搬送方向に対して傾斜した角度を有するいくつかのデフレクタ要素を有する。デフレクタ要素が搬送方向に対して傾斜した角度を形成するようにブラシ要素を配置すると、デフレクタ要素が搬送方向に対して実質的に垂直に配置される構成体に比べて、必要なデフレクタ要素の数を減らすことができる。
【0023】
さらに、傾斜したデフレクタ要素は、垂直に配置されたデフレクタ要素と比較して、続いて配置された2つの搬送要素間の広い幅に及ぶ。これにより、デフレクタを支持するベース要素は、デフレクタ要素の上面に比べて、よりほっそりとした又は狭い要素として構成することができる。したがって、ベース要素は、搬送要素間で最小限のスペースを占め、それにより、取付けが容易であり、ベース要素と搬送要素との間の干渉を最小にし、あまり複雑でない搬送システムを提供する。
【0024】
さらに、デフレクタ要素の傾斜した角度によって、欧州特許第1713704(A1)号に開示されているような搬送方向が変化する搬送システムとしてコンベヤシステムを構成することができる。上記で説明したように、このようなコンベヤシステムの軌道が変化し、続いて配置されたローラ間の隙間が、一方の端部における比較的短い距離の隙間から、反対側の端部における比較的長い距離の隙間へ増大するとき、より小さい及び/又は不均一なサイズの貨物は、ローラ間にはまり込み、搬送装置全体を塞ぐ危険性が増大するが、傾斜して配置されたデフレクタ要素の配置によりこれが回避される。
【0025】
本発明の第1の態様のさらなる実施例によれば、続いて配置された搬送要素は、少なくとも、続いて配置された2つの搬送ローラ又は続いて配置された2つの搬送ベルトを備える。
【0026】
搬送システムは、少なくとも、続いて配置された2つの搬送ローラ又は続いて配置された2つの搬送ベルトを備える。システムがローラを備え、システムが、好ましくは、続いて配置された少なくとも2つのローラ間に配置されたブラシ要素を有する複数のローラを備えるとき、より長い搬送システムを構成し、搬送システムに沿って1つ又は複数のブラシ要素を組み込むことが可能であり、これにより、より柔軟な搬送システムが提供される。
【0027】
本発明の第1の態様のさらなる実施例によれば、ブラシ要素は細長く、ブラシ要素の長手方向が、水平面内にある搬送方向に対して実質的に垂直であるように配置されている。搬送システムは典型的には、続いて配置された2つの搬送要素間の隙間に比べて大きい幅を有する搬送要素を有して構成される。したがって、細長いブラシ要素は、既存の搬送システムに組み込むことができるという利点を有し、それによって、取付けには最小限の改造で済む、又は改造さえ不要である。
【0028】
本発明の第1の態様のさらなる実施例によれば、少なくとも1つのブラシ要素のベース要素は、続いて配置された2つの搬送要素間の中心線に対してずらされて配置されている。
【0029】
ブラシ要素が搬送システムに接続されるとき、例えば、2つの隣接するローラ又は2つの隣接するコンベヤベルト若しくはボールコンベヤである2つの搬送要素間などに、デフレクタ要素が搬送方向に対して傾斜した角度を形成するようにブラシ要素を配置することにより、デフレクタ要素を搬送要素の一方に向けて配置することができ、それにより、2つのコンベヤ要素間の平行な中心線に対してずれた位置に配置することができる。
【0030】
これは、支持システムが搬送要素の動きを何ら妨げることなく、搬送要素を互いに対して変位及び/又は枢動することができるように、支持システムを搬送要素の一方に接続することができる、又はそれと接続状態にすることができるという技術的利点を有する。
【0031】
ブラシ要素のベース要素は、これにより、続いて配置された2つの搬送要素間の中心線に対してずらされて配置され、これにより、搬送要素の一方により近い位置に配置される。
【0032】
本発明の第1の態様のさらなる実施例によれば、搬送要素は、続いて配置された少なくとも2つのローラと、ローラ間の接続部として配置されたリンク要素とを備える。
【0033】
本発明の基本的な実施例では、欧州特許第1713704(A1)号に開示されているようなシステムと組み合わせて使用されるとき、支持システムは、いくつかの第1のブラシ要素、1つが最少であるが、2つが好ましい第1のブラシ要素を備える。
【0034】
本搬送システムは、それぞれが少なくとも1つのローラを有し、搬送要素が互いに対して関節運動できるようにリンク要素を介して相互接続されたいくつかの搬送要素を備え、極めて柔軟な搬送システムを生成する。これにより、このシステムを貨物倉に配置することができ、積み込み又は積み下ろしを行う作業員がコンベヤを押したり引っ張ったりして、積み上げる又は移動させる必要のある貨物に対して適切な位置に配置することができる。コンベヤ要素の柔軟性と関節接続により、搬送要素は互いに対して比較的自由に動く必要がある。
【0035】
したがって、搬送システムの軌道は、非線形的に配置することができ、これにより、搬送システムは、続いて配置されたローラ間の間隙が、一方の端部における比較的短い距離の間隙から、反対側の端部における比較的長い距離の間隙へ増大する柔軟な搬送システムとして構成することができ、また、より小さい及び/又は不均一なサイズの貨物は、ローラ間にはまり込み、搬送装置全体を塞ぐ危険性が増大するが、傾斜して配置されたデフレクタ要素の構成体によりこれを回避することができる。
【0036】
本発明の第1の態様のさらなる実施例によれば、少なくとも1つのブラシ要素のベース要素は、少なくとも1つのローラの下に少なくとも部分的に配置されている。
【0037】
ベース要素を、搬送方向及び/又は鉛直方向に対して少なくとも1つのローラの下に少なくとも部分的に配置することにより、ベース要素は搬送要素の動きを何ら妨げることはない。
【0038】
本発明の第1の態様のさらなる実施例によれば、製品支持システムは、物体を支持し、ベース要素と、ベース要素に接続されたいくつかの細長いデフレクタ要素とを有する第2のブラシ要素をさらに備え、第2のブラシ要素は、続いて配置された搬送要素間のリンク要素の上方で接続されている。
【0039】
搬送システムは、このようなシステムに使用される、又は同様に使用されるとき、搬送要素と接続しており、2つの第1のブラシ要素の中間の搬送要素に近接して配置され、これにより、第1のブラシ要素と2つの隣接する搬送要素との間の隙間に延在している第2のブラシ要素を備える。
【0040】
第2のブラシ要素は、第2のブラシ要素が少なくとも部分的にリンク要素の上方の領域をわたるように搬送要素と接続されることが好ましい。第1及び第2のブラシ要素は、別個のブラシ要素として構成されてもよいが、少なくとも1つのローラに沿ってリンク要素の上に延在する1つの連続したブラシ要素として構成されてもよく、又は、相互接続された個別のブラシ要素として構成されてもよい。
【0041】
第2のブラシ要素が第1のブラシ要素の支持面と実質的に同じ平面を有する支持面を有するためには、第2のブラシの細長いデフレクタ要素の長さは、第1のブラシ要素の細長いデフレクタ要素の長さに比べて短いことが好ましい。
【0042】
本発明の第1の態様のさらなる実施例によれば、デフレクタ要素は、搬送方向に垂直な方向に対して異なる角度で配置され、それにより、角度の広がりを画定する。
【0043】
本発明の基本的な実施例では、第1のブラシ要素のデフレクタ要素はすべて実質的に平行に配置され、また搬送方向に対して傾斜した角度で配置されている。しかしながら、好ましい実施例では、デフレクタ要素は、搬送方向に対して異なる角度で配置され、これにより角度の広がりを形成する。角度の広がりをもったデフレクタ要素を配置すると、デフレクタ要素の必要な数がさらに減少し、2つの搬送要素間の間隔がさらに広い支持システムを構成する。
【0044】
角度の広がりをもったデフレクタ要素を配置することのさらなる利点は、支持システムが搬送要素と接続されて配置されるとき、搬送要素に最も近いデフレクタ要素は、付随する搬送要素から最も離れて隣接する搬送要素に向かうように配置されたデフレクタ要素(これらのデフレクタ要素は、より傾斜した角度を有することになる)と比較して、搬送方向に対して垂直に近い角度を有することである。
【0045】
本発明の第1の態様のさらなる実施例によれば、第1のブラシ要素の広がりは、第1のブラシ要素の一方の端部から反対側の端部に向かって増大する。
【0046】
ローラは、外向きにテーパが付けられた円錐形ローラが好ましく、それにより、続いて配置された2つのローラ間の隙間は、搬送システムの中央からシステムの側方に向かって増大する。したがって、第1のブラシ要素は、コンベヤシステムの外側に面するブラシ要素の端部から、コンベヤ要素の中央に面する反対側の端部に向かって増大する広がりを有して構成されることが好ましい。
【0047】
しかしながら、ローラはまた、直線的/非円錐状であってもよく、これにより、第1のブラシ要素は両端間で同じ広がりを有してもよい。
【0048】
これに代えて,ローラは円錐状に構成され,第1のブラシ要素は,ブラシ要素がローラの円錐面と実質的に平行になるように,ローラに対して配置され、それによって、第1のブラシ要素は両端間で実質的に同じ広がりを有してもよい。
【0049】
本発明の第1の態様のさらなる実施例によれば、第1のブラシ要素は、広がりの増大に影響を与えるように、搬送要素の1つと接触している。
【0050】
デフレクタ要素は柔軟に構成されることが好ましく、広がりの増大は、デフレクタ要素と搬送要素との間の接触によって影響されてもよい。デフレクタ要素は撓みやすく構成され、搬送要素と接触しているので、ブラシ要素は標準で配置されて、さまざまなサイズの搬送要素に対応することができる。
【0051】
本発明の第1の態様のさらなる実施例によれば、角度は約10~50度、好ましくは約20~40度、最も好ましくは約25~35度の広がりを画定する。
【0052】
本出願人による実験では、最適な角度の広がりは10~50度であり、約20~40度が好ましく、約25~35度、例えば30度が最も好ましく、これにより、物体の支持と、隣接する搬送要素間の隙間のカバーとの間での最適な関係が達成されることが示された。
【0053】
本発明の第1の態様のさらなる実施例によれば、デフレクタ要素は、ブラシ繊維のいくつかの束を備える。
【0054】
上記のように、デフレクタ要素は、搬送方向に対して異なる角度で配置されることが好ましく、それによって角度の広がりを与える。
【0055】
デフレクタ要素は、天然繊維又はPCVなどのプラスチック繊維などの適切な材料から作られ、厚さが1~2mmが好ましいブラシ繊維の束として構成されることが好ましい。これらの繊維は、コンベヤシステムの使用目的に応じて、より薄くても、より厚くてもよい。代替の実施例では、デフレクタ要素は、例えばゴムの「指状片(finger)」など、ブラシ繊維に比べて厚い要素として構成されてもよい。デフレクタ要素を繊維の束として構成すると、ブラシと物体との間の接触が増大し、より均一な支持が得られる。
【0056】
本発明の第1の態様のさらなる実施例によれば、繊維の束の少なくとも1つは、搬送方向に対して異なる角度で配置されたいくつかのブラシ繊維を備える。
【0057】
デフレクタ要素は、好ましい実施例では、ブラシ繊維の束として構成され、単一の束は、搬送方向に対して異なる角度で配置されたいくつかの繊維を備える。これにより、2つ以上の個別の束からの繊維は互いに交差し、支持力が強い繊維の織物構造が形成される。
【0058】
本発明の第2の態様によれば、上記の目的及び利点は、本発明の第1の態様による製品搬送システムに使用するのに適した製品支持システムによって得られ、本製品支持システムは、物体を支持し、ベース要素と、ベース要素の上面に接続され、搬送方向に対して傾斜した角度で搬送要素に接続されるのに適したいくつかの細長いデフレクタ要素とを有する少なくとも第1のブラシ要素を備え、デフレクタ要素は異なる角度で配置され、デフレクタ要素の上端は、ベースの上面と比較してより大きな表面積をカバーする領域を有するデフレクタ表面を画定する。
【0059】
上記で規定された支持システムによって、物体が個々の搬送要素間にはまり込み、その結果、コンベヤを塞ぐ危険性なしに、異なるサイズ及び形状の手荷物又は包装物などの様々な製品を搬送するための製品搬送システムを構成することができる。
【0060】
デフレクタ要素の上端は、ベースの上面に比べて大きな表面積をカバーする領域を有するデフレクタ面を画定する。したがって、ベース要素の表面積はデフレクタ表面積よりも小さく、その結果、ブラシ要素を既存の搬送システムに組み込むことが容易になる。
【0061】
ブラシ要素は、さらなる実施例において、ベース要素の反対側にデフレクタ要素によって画定された上端を有する高さを有することができ、第1のブラシ要素の高さは、ブラシ要素の一方の側から第1のブラシ要素の反対側に向かって減少する。
【0062】
ブラシ要素は、デフレクタ要素の上端によって画定された上面を有し、搬送システムに接続されたときに、この上面は、搬送要素の表面とともに搬送面を画定する。デフレクタ要素が搬送方向に対して傾斜した角度を形成するように、2つの隣接する搬送要素のうちの一方の近傍に第1のブラシ要素を配置するとき、ブラシ要素の上面は、搬送方向に対して実質的に平行な平面を有することが好ましく、これにより、搬送される物体に対して最適な支持が得られる。したがって、付随する搬送要素に面する側のブラシ要素の高さは、隣接する搬送要素に面するブラシ要素の側と比較して低いことが好ましく、これにより、デフレクタ要素が搬送方向に対して傾斜した角度で配置されたときに、ブラシ要素の上面は、搬送方向と実質的に平行な面を形成し、これにより最適な支持が得られる。
【0063】
さらなる実施例では、デフレクタ要素は同じ長さを有してもよいが、ベース要素の高さは変化し、付随する搬送要素に面する側のベース要素の高さは、隣接する搬送要素に面するベース要素の側と比較して低くして、それにより、ブラシ要素の全体的な高さは、隣接する搬送要素に面する側と比較して、付随する搬送要素に向かって低くなる。
【0064】
しかしながら、ブラシ要素の高さが変化するのは、付随する搬送要素の方のデフレクタ要素が、隣接する搬送要素に面するベース要素の側に比べて短くなるように、デフレクタ要素の長さが変化することによって生じる。これにより、デフレクタ要素が搬送方向に対して傾斜した角度で配置されたとき、ブラシ要素の支持面は搬送方向と実質的に平行になる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1A】知られている搬送システムの側面図である。
【
図3A】製品支持システムを有する搬送要素の側面図である。
【
図3B】製品支持システムを有する搬送要素の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、本発明の例示的な実施例が示されている添付図面を参照して本発明をより完全に説明する。しかしながら、本発明は、異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施例に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、本開示が徹底的で完全なものとなって、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供される。類似の参照符号は、全体を通して類似の要素を指す。
【0067】
図1Aは、知られている搬送システム10’の側面図である。搬送システム10’は、例えば欧州特許第1713704(A1)号に開示された知られているシステムに対応する。システム10’は、コンベヤを形成するために互いに連結されたいくつかの搬送要素12(3つの要素として示されている)を備える。本システムは、続いて配置された搬送要素12の間にリンク装置を備え、その結果、リンク装置の周りの個々の搬送要素12は、互いに対して異なる角度で配置することができる。これにより、搬送システム10’は、直線的な搬送経路と非直線的な搬送経路の両方を有するように配置することができ、これは、航空機の胴体内の貨物スペースなどの限られた格納スペースに物体を積み込む及び/又はそこから積み下ろすときに必要である。
【0068】
搬送要素12はそれぞれ、少なくとも1つのローラを備えることが好ましく、その結果、矢印の方向に示すように、物体18、例えば包装物や手荷物などを、搬送システム10’で1つの搬送要素12から次の搬送要素12へと搬送することができる。ローラは両方向に回転することができ、その結果、物体18を両方向に搬送することができる。
【0069】
各搬送要素12は、同軸の回転軸を有する2つの別個のローラ14を備えてもよく、又は、好ましくは、各端部において反対方向にテーパ状になった2つのテーパ形状の被覆要素を(14において)有する単一の長手方向ローラを有することができることが好ましい。理解しやすいように、各搬送要素のテーパ状の端部をローラ14と呼ぶことにする。
【0070】
搬送要素が枢動することが必要であることにより、2つの隣接する搬送要素間には比較的大きな隙間がある。搬送要素が非直線的な搬送経路を構成するように枢動すると、2つの隣接するローラの一端は互いに接近し、他端はより大きな隙間によって隔てられる(
図2B参照)。この結果、搬送要素間に大きな隙間が生じ、そこに物体が部分的に(図示のように)又は全体的に落下することになる。
【0071】
図1Aに示すように、搬送システム10が直線的な搬送経路を有するときでも、隙間に比べて比較的小さなサイズの包装物などの物体18は、部分的に又は全体的に隙間に落下する傾向があり、これによって搬送経路が塞がれることになる。
【0072】
【0073】
図1Bの製品搬送システム10に示された搬送要素12は、
図1Aに示された搬送要素に対応する。製品搬送システム10は、第1のブラシ要素20及び第2のブラシ要素22を有する製品支持システムをさらに備える。
図1Bのシステム10は、システム10’に対応しており、したがって、各搬送要素12は2つのローラ14を備える(各搬送要素12に対して1つのローラ14だけが示されている)。各搬送要素12は、2つの第1のブラシ要素20を備え、各第1のブラシ要素20は、ローラ14に隣接する搬送要素に付随している。
【0074】
各搬送要素12のローラ14間にはローラ・シャフト34が配置されており、ローラ14は互いに間隔をあけてこのローラ・シャフト34に取り付けられている。各搬送要素は、ローラ・シャフト34に隣接する搬送要素に付随する第2のブラシ要素22をさらに備え、各第2のブラシ要素22は2つの第1のブラシ要素20の間に配置される。
【0075】
図1Bで分かるように、第1のブラシ要素20及び第2のブラシ要素は、可撓性ブラシ繊維として構成されたいくつかのデフレクタ要素(26、26’)(
図4A~
図4Cに詳細に示す)を備える。デフレクタ要素(26、26’)はベース要素(24、24’)(
図4A~
図4Cに示す)に接続され、これらのベース要素(24、24’)は搬送要素12に接続されている。
【0076】
図1Bは、デフレクタ要素(26、26’)の少なくともいくつかが、搬送方向に対して傾斜した角度で配置されていることを明瞭に示している。これにより、第1のブラシ要素20、詳細には、第1のブラシ要素20のベース要素24を、隣接する搬送要素に比べて、付随する搬送要素により近く配置することができる。この結果、第1のブラシ要素20のベース要素24が隣接する搬送要素12と衝突することなく、
図2Bに示すように、個々の搬送要素を枢動することができる有利な実施例となっている。したがって、続いて配置された搬送要素12は、第1ブラシ要素20又は第2のブラシ要素22にかかわらず、枢動して機能することができる。
【0077】
ベース要素24、24’は付随する搬送要素の近くに配置され、デフレクタ要素26、26’は搬送方向に対して傾斜した角度で配置されているので、2つの隣接する搬送要素間の搬送面の隙間の大部分はデフレクタ要素26、26’で埋められ、それにより、搬送される物体18は部分的又は全体的に隙間に落下することなく支持システムによって支持される。これにより、製品搬送システムのいかなる閉塞も回避される。
【0078】
【0079】
搬送システム10は直線的な搬送路で配置され、3つの搬送要素12を有して示されている。搬送システム10は、必要な搬送経路の長さに応じて、より多くの又はより少ない搬送要素で構成することができることは明らかである。
【0080】
システム10の各搬送要素12は、2つの第1のブラシ要素20及び1つの第2のブラシ要素22を付随しており、ブラシ要素20、22は、搬送要素のフレームに接続されている。ブラシ要素20、22は、ブラシ繊維として構成されたデフレクタ要素26、26’を備え、ブラシ繊維が2つの隣接する搬送要素12間の隙間全体に実質的に及ぶように配置されている。
【0081】
図2Bは、
図2Aに示したのと同じシステム10を示すが、ここでは、システム10は非直線的な搬送経路を有している。搬送要素を枢動させることにより、2つの隣接する要素間の隙間は、ローラの一方の端部では、ローラの反対側の端部に比べて狭いことが明瞭に示されている。隙間が最も狭い端部では、第1のブラシ要素20は、対向するローラによって両側から部分的に圧縮され、ベース要素は、付随するローラの好ましくは鉛直境界内に、又は部分的に鉛直境界内に、付随する搬送要素の方に配置されるので、隣接する搬送要素は、ベース要素24と衝突しない。
【0082】
図3Aは、製品支持部を有する搬送要素の側面図である。搬送要素12は、第1のブラシ要素20及び第2のブラシ要素22を有して構成され、各要素は、広がりをもって配置されたいくつかのブラシ繊維26を有している。ブラシ要素20、22は、ブラケットを介して搬送要素12に接続され、個々のブラシ要素を取り外す又は交換することができるように、取り外し可能に接続されることが好ましい。
図3Aは、第2のブラシ要素22がリンク要素32の上方に配置され、したがって第1のブラシ要素よりも高い位置にあるので、第1のブラシ要素20が、第2のブラシ要素22よりも長いブラシ繊維26を有していることを明瞭に示している。
【0083】
図3Bは、製品支持システムを有する搬送要素12の上面図である。搬送要素12は、2つの第1のブラシ要素20と、第1のブラシ要素20間のリンク要素の上方に1つの第2のブラシ要素22とを有して構成されている。
【0084】
第1のブラシ要素20は、搬送方向に対して、ベース要素24が少なくとも1つのローラ(14)の下に部分的に配置されるように、ローラ14に対して配置される。特に、第1のブラシ要素20の外側端部は、搬送要素12が、別の搬送要素12に接続されたとき、第1のブラシ要素20が動きを制限することなく、リンク要素32を介して回転することができるようにローラの水平方向周囲内に配置されている。
【0085】
図4Aは製品支持システムの側面図である。この図は、デフレクタ要素26が広がり28をもって構成され、デフレクタ要素の高さが一方の側から他方へ低くなっていることを明瞭に示しており、その結果、デフレクタ要素26の上端は、ブラシ要素20が搬送要素12に接続されたときに搬送方向と実質的に平行になる傾斜した支持面を形成する。
【0086】
ベース要素24は、搬送要素に取り付けられた、対応するブラケット又はレールに取り外し可能に接続できるように、ダブテール形状として示された形状で構成されている。
【0087】
図4B~
図4Cは、第1のブラシ要素20及び第2のブラシ要素22の斜視図である。第2のブラシ要素22のベース要素24’は、リンク要素と接続するための2つの傾斜した接続フランジを有して示されているが、ベース要素24’は、同じ機能を果たすための任意の他の適切な形状を有していてもよい。ベース要素24’の一部は、デフレクタ要素26’のない凹部を備えることが示されている。
図3Bから分かるように、この凹部は、2つの続く搬送要素12の2つの相互接続されたリンク要素の接続ボルトを収容し、その結果、本製品支持システムを既存の搬送システムに容易に後付けすることができる。
【符号の説明】
【0088】
10 製品搬送システム
10’ 知られている製品搬送システム
12 搬送要素
14 ローラ
16 車輪
18 物体
20 第1のブラシ要素
22 第2のブラシ要素
24、24’ ベース要素
26、26’ デフレクタ要素
28 広がり
30、30’ 束
32 リンク要素
34 ローラ・シャフト
36 傾き
【国際調査報告】