(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】がん治療のためのCD274変異
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20240514BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20240514BHJP
C12Q 1/6827 20180101ALI20240514BHJP
C12Q 1/6858 20180101ALI20240514BHJP
C12Q 1/6841 20180101ALI20240514BHJP
C12Q 1/6872 20180101ALI20240514BHJP
C12Q 1/683 20180101ALI20240514BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240514BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240514BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240514BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240514BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240514BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240514BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240514BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20240514BHJP
C12Q 1/686 20180101ALN20240514BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20240514BHJP
C12Q 1/6886 20180101ALN20240514BHJP
【FI】
C12N15/12
C12Q1/6869 Z ZNA
C12Q1/6827 Z
C12Q1/6858 Z
C12Q1/6841 Z
C12Q1/6872 Z
C12Q1/683 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K16/28
G01N33/53 M
G01N33/53 D
G01N33/574 A
C12Q1/686 Z
C12N15/113 110Z
C12Q1/6886 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570144
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 US2022029313
(87)【国際公開番号】W WO2022241293
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517192663
【氏名又は名称】ファウンデーション・メディシン・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ファン, リチャード シェン ポー
(72)【発明者】
【氏名】デッカー, ブレナン
(72)【発明者】
【氏名】ロス, ジェフリー
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA17
4B063QA19
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4B065AA01X
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4H045AA11
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA50
4H045FA71
4H045GA26
(57)【要約】
CD274遺伝子変異を検出することに関連する方法、並びに治療、使用の方法、及びそれらに関連するキットが本明細書で提供される。CD274遺伝子変異の検出を使用して、抗がん療法から利益を受け得る個体又は利益を受け得ない個体を特定することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗がん療法を含む治療から利益を受け得るがんを有する個体を特定する方法であって、前記方法が、前記個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することを含み、前記試料における前記CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異の存在が、前記抗がん療法から利益を受け得る個体又は利益を受け得ない個体として前記固体を特定する、方法。
【請求項2】
個体におけるがんの存在又は非存在を検出する方法であって、前記方法が、
(a)前記個体からの試料における前記がんの存在又は非存在を検出することと、
(b)前記試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在又は非存在を検出することと、を含む、方法。
【請求項3】
がんを有する個体のための療法を選択する方法であって、前記方法が、前記個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することを含み、前記試料における前記CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異の存在が、抗がん療法を含む治療から利益を受け得る個体として前記個体を特定する、方法。
【請求項4】
前記試料における前記CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異の存在が、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんを有し得る個体として前記個体を特定する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
がんを有する個体のための1つ以上の治療選択肢を特定する方法であって、前記方法が、
(a)前記個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、
(b)前記試料における前記CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異の存在に少なくとも部分的に基づいて、前記個体について特定された1つ以上の治療選択肢を含むレポートを生成することであって、前記1つ以上の治療選択肢が抗がん療法を含む、レポートを生成することと、を含む、方法。
【請求項6】
がんを有する個体のための1つ以上の治療選択肢を特定する方法であって、前記方法が、
(a)前記個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することと、
(b)前記知識に少なくとも部分的に基づいて、前記個体について特定された1つ以上の治療選択肢を含むレポートを生成することであって、前記1つ以上の治療選択肢が抗がん療法を含む、レポートを生成することと、を含む、方法。
【請求項7】
前記レポートが、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんを有し得る個体として前記個体を特定する、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
がんを有する個体のための治療を選択するか、又は選択しない方法であって、がんを有する個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、前記知識の取得に応答して、(i)前記個体が、抗がん療法による治療を受ける候補として分類されるか、若しくは前記個体が、抗がん療法による治療を受ける候補として分類されない、かつ/又は(ii)前記個体が、抗がん療法を含む治療に応答する可能性が高いと特定されるか、若しくは前記個体が、抗がん療法を含む治療に応答する可能性が低いと特定される、方法。
【請求項9】
前記知識の取得に応答して、(i)前記個体が、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんを有すると分類され、かつ/又は(ii)前記個体が、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を含む治療に応答する可能性が低いと特定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
がんを有する個体の生存期間を予測する方法であって、前記個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、前記知識の取得に応答して、前記個体が、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤で治療される場合、がんがCD274遺伝子中の前記1つ以上の変異を含まない個体の生存期間と比較して、より短い生存期間を有すると予測される、方法。
【請求項11】
1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤で治療されたがんを有する個体の生存期間を予測する方法であって、前記方法が、前記個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、前記知識の取得に応答して、前記個体が、前記1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤による治療の後に、がんがCD274遺伝子中の1つ以上の変異を示さない個体と比較して、より短い生存期間を有すると予測される、方法。
【請求項12】
がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、
(a)個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することと、
(b)前記知識に応答して、有効量の抗がん療法を含む治療を前記個体に投与することと、を含む、方法。
【請求項13】
がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することに応答して、有効量の抗がん療法を含む治療を前記個体に投与することを含む、方法。
【請求項14】
がんを有する個体をモニタリングする方法であって、前記個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、前記知識の取得に応答して、前記個体が、がんがCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含まない個体と比較して、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に対するがん耐性のリスクが増加していると予測される、方法。
【請求項15】
がんを有する個体を評価する方法であって、前記個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、前記知識の取得に応答して、前記個体が、がんがCD274遺伝子中の前記1つ以上の変異を含まない個体と比較して、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんのリスクが増加していると予測される、方法。
【請求項16】
がんを有する個体をスクリーニングする方法であって、前記個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、前記知識の取得に応答して、前記個体が、がんがCD274遺伝子中の前記1つ以上の変異を含まない個体と比較して、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんのリスクが増加していると予測される、方法。
【請求項17】
がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、
(a)個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、
(b)有効量の抗がん療法を含む治療を前記個体に投与することと、を含む、方法。
【請求項18】
個体のがんにおけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を診断/評価する方法であって、前記方法が、
(a)前記個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、
(b)CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異の評価を提供することと、を含む、方法。
【請求項19】
個体における免疫チェックポイント阻害剤耐性がんを診断する方法であって、前記方法が、
(a)前記個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、
(b)前記個体における免疫チェックポイント阻害剤耐性がんの診断を提供することと、を含む、方法。
【請求項20】
CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出する方法であって、前記方法が、がんを有する個体からの試料におけるCD274遺伝子中の前記1つ以上の変異を検出することを含む、方法。
【請求項21】
CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出する方法であって、前記方法が、
(a)個体からの試料から得られた複数の核酸を提供することであって、前記複数の核酸が、CD274遺伝子をコードする核酸を含む、提供することと、
(b)任意選択的に、前記複数の核酸からの1つ以上の核酸に、1つ以上のアダプターをライゲーションすることと、
(c)任意選択的に、前記複数の核酸から核酸を増幅することと、
(d)任意選択的に、前記CD274遺伝子に対応する複数の核酸を捕捉することと、
(e)シーケンサーによって、前記複数の核酸を配列決定して、前記CD274遺伝子に対応する複数の配列リードを得ることと、
(f)前記複数の配列リードを分析することと、
(g)前記分析に基づいて、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、を含む、方法。
【請求項22】
前記CD274遺伝子に対応する前記複数の核酸が、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって、増幅された前記核酸から捕捉される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出する方法であって、前記方法が、
(a)がんを有する個体からの試料を提供することであって、前記試料が1つ以上の核酸を含む、提供することと、
(b)前記試料中の前記1つ以上の核酸から核酸配列決定ライブラリを調製することと、
(c)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、前記ライブラリを増幅することと、
(d)前記ライブラリにおけるCD274ヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸を選択的に濃縮して、濃縮された試料を生成することと、
(e)前記濃縮された試料を配列決定し、それによって、複数の配列決定リードを生成することと、
(f)CD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在について、前記複数の配列決定リードを分析することと、
(g)前記分析するステップに基づいて、前記個体からの前記試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、を含む、方法。
【請求項24】
がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、有効量の抗がん療法を、がんを有する個体に投与することを含み、前記がんが、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を含む、方法。
【請求項25】
前記抗がん療法が、小分子阻害剤、化学療法剤、がん免疫療法、抗体、細胞療法、核酸、手術、放射線療法、抗血管新生療法、抗DNA修復療法、抗炎症療法、抗新生物剤、成長阻害剤、細胞傷害性剤、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項1、3~9、12~13、17、及び24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記細胞療法が、養子療法、T細胞ベースの療法、ナチュラルキラー(NK)細胞ベースの療法、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法、組換えT細胞受容体(TCR)T細胞療法、又は樹状細胞(DC)ベースの療法である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記核酸が、二本鎖RNA(dsRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、又は小ヘアピンRNA(shRNA)を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、ミスセンス変異、トランケーション、ナンセンス変異、スプライス部位変異、挿入/欠失、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、2つ以上のミスセンス変異を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、1つ以上のミスセンス変異及びトランケーションを含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、CD274遺伝子欠失を更に含み、前記CD274遺伝子が、前記CD274遺伝子の一部分の欠失物である、請求項28~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、CD274ゲノム再配列又はCD274遺伝子融合を更に含む、請求項28~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、体細胞変異又は生殖細胞系列変異である、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、クローン変異である、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、サブクローン変異である、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、CD274遺伝子増幅を更に含む、請求項28~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、
(a)前記がんにおけるPD-L1タンパク質の低い発現、
(b)前記がんにおけるPD-L1タンパク質の発現が起こらない、又は
(c)前記がんにおけるPD-L1タンパク質の高い発現を生じさせる、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
PD-L1タンパク質発現が、前記個体から得られた試料における免疫組織化学アッセイを使用して評価される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
PD-L1タンパク質発現が、腫瘍細胞において評価される、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
前記がんにおけるPD-L1タンパク質の低い発現が、1%~49%の腫瘍割合スコア(TPS)に基づいて評価される、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項42】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、表2に列挙される1つ以上の変異を含む、請求項38~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記がんにおけるPD-L1タンパク質の発現が起こらないことが、1%未満のTPSに基づいて評価される、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項44】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、表3に列挙される1つ以上の変異を含む、請求項38~40及び43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記がんにおけるPD-L1タンパク質の高い発現が、50%以上のTPSに基づいて評価される、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項46】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、表4に列挙される1つ以上の変異を含む、請求項38~40及び45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、1つ以上のミスセンス変異を含み、任意選択的に、前記1つ以上の変異が、クローン変異又はサブクローン変異である、請求項38~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、トランケーション変異を含み、任意選択的に、前記トランケーション変異が、クローン変異又はサブクローン変異である、請求項38~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
(a)CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、前記CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチドとPD-1受容体との間の相互作用を低下させ、かつ/又は(b)CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、前記CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチドの活性を低下させる、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、免疫チェックポイント阻害剤耐性がんを引き起こす、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記抗がん療法が、免疫チェックポイント阻害剤以外の療法である、請求項1、3~9、12~13、17、及び24~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記抗がん療法が、小分子阻害剤、化学療法剤、がん免疫療法、抗体、細胞療法、核酸、手術、放射線療法、抗血管新生療法、抗DNA修復療法、抗炎症療法、抗新生物剤、成長阻害剤、細胞傷害性剤、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記細胞療法が、養子療法、T細胞ベースの療法、ナチュラルキラー(NK)細胞ベースの療法、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法、組換えT細胞受容体(TCR)T細胞療法、又は樹状細胞(DC)ベースの療法である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記核酸が、二本鎖RNA(dsRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、又は小ヘアピンRNA(shRNA)を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
CD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を前記取得することが、前記試料におけるCD274遺伝子中の前記1つ以上の変異を検出することを含む、請求項6~16及び25~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異を含むヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸を選択的に濃縮することを更に含み、前記選択的に濃縮することで、濃縮された試料を生成する、請求項1~5、7、17~23、及び25~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅ベースのアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、リアルタイムPCR、配列決定、次世代配列決定、スクリーニング分析、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、スペクトル核型分析、マルチカラーFISH(mFISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、配列特異的プライミング(SSP)PCR、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は質量分析ジェノタイピングのうちの1つ以上によって前記試料において検出される、請求項1~5、7、17~23、及び25~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、前記CD274によってコードされるPD-L1ポリペプチドにおいて検出される、請求項1~5、7、17~23、及び25~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、イムノブロッティング、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫組織化学、又は質量分析法のうちの1つ以上によって前記試料において検出される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記がんが、がん腫、肉腫、リンパ腫、白血病、骨髄腫、胚細胞がん、又は芽細胞腫である、請求項1~20及び23~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記がんが、固形腫瘍である、請求項1~20及び23~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記がんが、血液悪性腫瘍である、請求項1~20及び23~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記がんが、表5又は表6に列挙されるがんである、請求項1~20及び23~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記がんが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、皮膚扁平上皮がん、子宮内膜腺がん、原発巣不明の黒色腫、又は皮膚黒色腫である、請求項1~20及び23~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記がんが、皮膚がんである、請求項1~20及び23~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記がんが、10変異/メガベース(mut/Mb)以上の腫瘍変異負荷(TMB)を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記がんが、10mut/Mb未満のTMBを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
TMBが、配列決定されたDNAの約0.79メガベース(Mb)に基づいて評価される、請求項66又は67に記載の方法。
【請求項69】
TMBが、配列決定されたDNAの約0.80Mbに基づいて評価される、請求項66又は67に記載の方法。
【請求項70】
TMBが、配列決定されたDNAの約0.83Mb~約1.14Mbに基づいて評価される、請求項66又は67に記載の方法。
【請求項71】
TMBが、配列決定されたDNAの約1.1Mbに基づいて評価される、請求項66又は67に記載の方法。
【請求項72】
TMBが、配列決定されたDNAの最大約1.24Mbに基づいて評価される、請求項66又は67に記載の方法。
【請求項73】
TMBが、配列決定されたDNAの最大約1.1Mbに基づいて評価される、請求項66又は67に記載の方法。
【請求項74】
前記がんが、少なくとも約100mut/Mb、少なくとも約110mut/Mb、少なくとも約120mut/Mb、少なくとも約130mut/Mb、少なくとも約140mut/Mb、少なくとも約150mut/Mb、又はそれより大きいTMBを含む、請求項66及び68~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
TMBが、配列決定、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、遺伝子ターゲット配列決定、又は次世代配列決定によって評価される、請求項66~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記がんが、皮膚扁平上皮がん、皮膚黒色腫、又は原発巣不明の黒色腫である、請求項65~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記がんが、非漿液性子宮内膜腺がんである、請求項1~20及び23~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記がんが、高頻度マイクロサテライト不安定性状態(MSI)を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記MSIが、最大約114個の遺伝子座のDNA配列決定に基づいて評価される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記がんが、表6に列挙されるCD274変異を含むがんである、請求項1~20及び23~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記がんが、転移性である、請求項1~20及び23~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記試料が、前記がんから得られる、請求項1~20、23、及び25~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料である、請求項1~23及び25~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記試料が、流体、細胞、又は組織を含む、請求項1~23及び25~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記試料が、腫瘍生検又は循環腫瘍細胞を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記試料が、核酸試料である、請求項1~23及び25~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記核酸試料が、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記試料が、前記個体からのFFPE試料から得られた1つ以上の核酸を含む、請求項1~23及び25~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記1つ以上の核酸が、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
異なる時間点で前記個体から1つより多い試料を得ることを更に含む、請求項1~23及び25~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記選択的に濃縮することが、(a)ベイトと前記試料とを合わせ、それによって、前記試料において前記ベイトを前記1つ以上の核酸にハイブリダイズし、核酸ハイブリッドを生成することと、(b)前記核酸ハイブリッドを単離して、前記濃縮された試料を生成することと、を含む、請求項23又は56に記載の方法。
【請求項92】
前記ベイトが、前記1つ以上の核酸にハイブリダイズするように構成された捕捉核酸分子を含む、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記捕捉核酸分子が、約10~約30個のヌクレオチド、約50~約1000個のヌクレオチド、約100~約500個のヌクレオチド、約100~約300個のヌクレオチド、又は約100~200個のヌクレオチドを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記ベイトが、アフィニティー試薬又は検出試薬にコンジュゲートされる、請求項91~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記アフィニティー試薬が、抗体、抗体断片、若しくはビオチンであるか、又は前記検出試薬が、蛍光性マーカーである、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記捕捉核酸分子が、DNA、RNA、又は混合されたDNA/RNA分子を含む、請求項92~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記選択的に濃縮することが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、前記試料において前記1つ以上の核酸を増幅し、前記濃縮された試料を生成することを含む、請求項23又は56に記載の方法。
【請求項98】
前記濃縮された試料において前記1つ以上の核酸分子を配列決定することを更に含む、請求項91~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出するためのプローブ又はベイトを含み、任意選択的に、CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含む、キット。
【請求項100】
表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含むCD274遺伝子をコードする、核酸。
【請求項101】
請求項100に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項102】
請求項101に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項103】
表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含むCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチドに特異的に結合する、抗体又は抗体断片。
【請求項104】
請求項103に記載の抗体又は抗体断片を含む、キット。
【請求項105】
表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含むCD274遺伝子、又はその一部分を検出するための1つ以上のオリゴヌクレオチドのインビトロでの使用。
【請求項106】
表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含むCD274遺伝子、又はその一部分を検出するための1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む、キット。
【請求項107】
システムであって、
1つ以上のプログラム命令を格納するように構成されたメモリと、
前記1つ以上のプログラム命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサと、を備え、前記1つ以上のプログラム命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、
(a)1つ以上の核酸の複数の配列リードであって、前記1つ以上の核酸が、個体から得られた試料に由来する、複数の配列リードを得て、
(b)CD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在について、前記複数の配列リードを分析し、
(c)前記分析に基づいて、前記試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出するように構成された、システム。
【請求項108】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、ミスセンス変異、トランケーション、ナンセンス変異、スプライス部位変異、挿入/欠失、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項107に記載のシステム。
【請求項109】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、2つ以上のミスセンス変異を含む、請求項107又は108に記載のシステム。
【請求項110】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、1つ以上のミスセンス変異及びトランケーションを含む、請求項107~109のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項111】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含む、請求項107~110のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項112】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、CD274遺伝子増幅を更に含む、請求項108~111のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項113】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、CD274遺伝子欠失を更に含み、前記CD274遺伝子が、前記CD274遺伝子の一部分の欠失物である、請求項108~112のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項114】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、CD274ゲノム再配列又はCD274遺伝子融合を更に含む、請求項108~113のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項115】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、体細胞変異又は生殖細胞系列変異である、請求項107~114のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項116】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、クローン変異である、請求項107~115のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項117】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、サブクローン変異である、請求項107~116のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項118】
前記複数の配列リードが、配列決定、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、遺伝子ターゲット配列決定、又は次世代配列決定によって得られる、請求項107~117のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項119】
方法を実行するための1つ以上のコンピュータプロセッサによって実行可能な1つ以上のプログラムを含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記方法が、
(a)前記1つ以上のプロセッサを使用して、1つ以上の核酸の複数の配列リードを得ることであって、前記1つ以上の核酸が、個体から得られた試料に由来する、得ることと、
(b)前記1つ以上のプロセッサを使用して、CD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在について、前記複数の配列リードを分析することと、
(c)前記1つ以上のプロセッサを使用して、かつ前記分析することに基づいて、前記試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項120】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、ミスセンス変異、トランケーション、ナンセンス変異、スプライス部位変異、挿入/欠失、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項119に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項121】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、2つ以上のミスセンス変異を含む、請求項119又は120に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項122】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、1つ以上のミスセンス変異及びトランケーションを含む、請求項119~120のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項123】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含む、請求項119~122のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項124】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、CD274遺伝子増幅を更に含む、請求項120~123のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項125】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、CD274遺伝子欠失を更に含み、前記CD274遺伝子が、前記CD274遺伝子の一部分の欠失物である、請求項120~123のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項126】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、CD274ゲノム再配列又はCD274遺伝子融合を更に含む、請求項120~125のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項127】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、体細胞変異又は生殖細胞系列変異である、請求項119~126のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項128】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、クローン変異である、請求項119~127のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項129】
CD274遺伝子中の前記1つ以上の変異が、サブクローン変異である、請求項119~128のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項130】
前記複数の配列リードが、配列決定、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、遺伝子ターゲット配列決定、又は次世代配列決定によって得られる、請求項119~129のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項131】
がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法において使用するための抗がん療法であって、前記方法が、前記抗がん療法を個体に投与することを含み、CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、前記個体から得られた試料において検出される、抗がん療法。
【請求項132】
がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせるための医薬の製造において使用するための抗がん療法であって、前記医薬が個体に投与され、CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、前記個体から得られた試料において検出される、抗がん療法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月14日に出願された米国仮特許出願第63/188,719号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの以下の提出の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。配列表のコンピュータ可読形態(CRF)(ファイル名:197102006240SEQLIST.TXT、記録した日時:2022年5月12日、サイズ:7,188バイト)。
【0003】
分化クラスター274(CD274)遺伝子中の変異を検出することに関連する方法、並びに診断/治療、使用の方法、及びそれらに関連するキットが本明細書で提供される。
【背景技術】
【0004】
プログラム死リガンド1(PD-L1)タンパク質は、染色体9p24.1上に位置するおよそ17.6キロベースのCD274遺伝子によってコードされる(Fabrizio et al.,Ther Adv Med Oncol(2018)10:1758835918815598-)。U.S.National Center for Biotechnology Information(NCBI)及びEuropean Bioinformatics Institute(EMBL-EBI)からのCD274 Matched Annotation(NCBI及びEMBL-EBIからのMatched Annotation:MANE)転写産物(ENST00000381577.4)は、290アミノ酸長であり、免疫グロブリンのV様ドメイン及びC様ドメインを有する1型膜貫通タンパク質をコードする。
【0005】
PD-L1及びプログラム死リガンドタンパク質1(PD-L1/PD-1)軸を遮断する免疫チェックポイント阻害剤(ICPI)は、多種多様な固形腫瘍及び血液悪性腫瘍において、大きな臨床有用性を示している(Li et al.,Int J Mol Sci.(2016)17(7)、Schachter et al.,Lancet(2017)390(10105):1853-62、Pai-Scherf et al.,Oncologist(2017)22(11):1392-9、及びSchmid et al.,N Engl J Med(2018)379(22):2108-21)。
【0006】
ICPIの複数のコンパニオン診断が開発され、その後、アメリカ食品医薬品局(FDA)によって承認された(FDA:List of Cleared or Approved Companion Diagnostic Devices(In Vitro and Imaging Tools)、www.fda.gov/medical-devices/vitro-diagnostics/list-cleared-or-approved-companion-diagnostic-devices-vitro-and-imaging-tools;Gjoerup et al.,Aaps J(2020)22(6):132から入手可能)。複数の腫瘍タイプについて利用されるよく行われるICPIコンパニオン診断は、PD-L1免疫組織化学(IHC)であり、腫瘍細胞及び腫瘍浸潤免疫細胞に対するPD-L1タンパク質発現及び過剰発現を検出することができる。臨床治験は、特定の腫瘍タイプにおいて、PD-L1/PD-1阻害剤が有効である腫瘍微小環境で、特定のレベルのPD-L1タンパク質発現が必要であることを示している(Schmid et al.,N Engl J Med(2018)379(22):2108-21、Chung et al.,Journal of Clinical Oncology:Official Journal of the American Society of Clinical Oncology(2019)37(17):1470-8、及びHellmann et al.,N Engl J Med(2019)381(21):2020-31)。
【0007】
現在、Catalogue Of Somatic Mutations In Cancer(COSMIC)などの大規模公的ゲノムデータベースにおいて、わずか229個のCD274非増幅ショートバリアント(SV)変異試料が報告されている(Tate JG et al.,Nucleic Acids Res(2019)47(D1):D941-d7、COSMIC v92,released 27-AUG-20 cancer.sanger.ac.uk2020、cancer.sanger.ac.uk/cosmic)。研究は、様々な腫瘍タイプにおいてPD-L1タンパク質発現を試験した。しかしながら、CD274 SV変異又はその潜在的な効果に関する限定的なデータしか存在しない(Huang et al.,Mod Pathol(2020)34:252-263、O’Malley et al.,Mod Pathol(2019)32(7):929-42)。
【0008】
したがって、がんにおいてCD274変異のランドスケープを特性決定し、その効果を評価し、また、そのようなCD274変異を有するがんを有する患者を特定し、評価する方法を開発することが当該技術分野で必要とされている。そのようなCD274変異は、がんを評価し、治療するための組成物、方法及びアッセイを開発するための有効なアプローチとなり得る。
【0009】
特許出願及び刊行物を含む、本明細書に引用される全ての参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。
【発明の概要】
【0010】
一部の態様では、抗がん療法を含む治療から利益を受け得るがんを有する個体を特定する方法であって、本方法が、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することを含み、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在が、抗がん療法から利益を受け得る個体又は利益を受け得ない個体を特定する、方法が本明細書で提供される。
【0011】
一部の態様では、個体におけるがんの存在又は非存在を検出する方法であって、本方法が、(a)個体からの試料におけるがんの存在又は非存在を検出することと、(b)試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在又は非存在を検出することと、を含む、方法が本明細書で提供される。
【0012】
一部の態様では、がんを有する個体のための療法を選択する方法であって、本方法が、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することを含み、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在が、抗がん療法を含む治療から利益を受け得る個体として個体を特定する、方法が本明細書で提供される。
【0013】
本明細書で提供される態様のうちのいずれかの一部の実施形態では、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在は、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんを有し得る個体として個体を特定する。
【0014】
一部の態様では、がんを有する個体のための1つ以上の治療選択肢を特定する方法であって、本方法が、(a)個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、(b)試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在に少なくとも部分的に基づいて、個体について特定された1つ以上の治療選択肢を含むレポートを生成することであって、1つ以上の治療選択肢が抗がん療法を含む、レポートを生成することと、を含む、方法が本明細書で提供される。
【0015】
一部の態様では、がんを有する個体のための1つ以上の治療選択肢を特定する方法であって、本方法が、(a)個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することと、(b)上述の知識に少なくとも部分的に基づいて、個体について特定された1つ以上の治療選択肢を含むレポートを生成することであって、1つ以上の治療選択肢が抗がん療法を含む、レポートを生成することと、を含む、方法が本明細書で提供される。
【0016】
本明細書で提供される態様のうちのいずれかの一部の実施形態では、レポートは、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんを有し得る個体として個体を特定する。
【0017】
一部の態様では、がんを有する個体のための治療を選択するか、又は選択しない方法であって、がんを有する個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、(i)個体が、抗がん療法による治療を受ける候補として分類されるか、若しくは個体が、抗がん療法による治療を受ける候補として分類されない、かつ/又は(ii)個体が、抗がん療法を含む治療に応答する可能性が高いと特定されるか、若しくは個体が、抗がん療法を含む治療に応答する可能性が低いと特定される、方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、上述の知識の取得に応答して、(i)個体は、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんを有すると分類され、かつ/又は(ii)個体は、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を含む治療に応答する可能性が低いと特定される。
【0018】
一部の態様では、がんを有する個体の生存期間を予測する方法であって、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、個体が、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤で治療される場合、がんがCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含まない個体の生存期間と比較して、より短い生存期間を有すると予測される、方法が本明細書で提供される。
【0019】
一部の態様では、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤で治療されたがんを有する個体の生存期間を予測する方法であって、本方法が、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、個体が、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤による治療の後に、がんがCD274遺伝子中の1つ以上の変異を示さない個体と比較して、より短い生存期間を有すると予測される、方法が本明細書で提供される。
【0020】
一部の態様では、がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、(a)個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することと、(b)上述の知識に応答して、有効量の抗がん療法を含む治療を個体に投与することと、を含む、方法が本明細書で提供される。
【0021】
一部の態様では、がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することに応答して、有効量の抗がん療法を含む治療を個体に投与することと、を含む、方法が本明細書で提供される。
【0022】
一部の態様では、がんを有する個体をモニタリングする方法であって、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、個体が、がんがCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含まない個体と比較して、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に対するがん耐性のリスクが増加していると予測される、方法が本明細書で提供される。
【0023】
一部の態様では、がんを有する個体を評価する方法であって、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、個体が、がんがCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含まない個体と比較して、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんのリスクが増加していると予測される、方法が本明細書で提供される。
【0024】
一部の態様では、がんを有する個体をスクリーニングする方法であって、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、個体が、がんがCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含まない個体と比較して、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんのリスクが増加していると予測される、方法が本明細書で提供される。
【0025】
一部の態様では、がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、(a)個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、(b)有効量の抗がん療法を含む治療を個体に投与することと、を含む、方法が本明細書で提供される。
【0026】
一部の態様では、個体のがんにおけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を診断/評価する方法であって、本方法が、(a)個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、(b)CD274遺伝子中の1つ以上の変異の評価を提供することと、を含む、方法が本明細書で提供される。
【0027】
一部の態様では、個体における免疫チェックポイント阻害剤耐性がんを診断する方法であって、本方法が、(a)個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、(b)個体における免疫チェックポイント阻害剤耐性がんの診断を提供することと、を含む、方法が本明細書で提供される。
【0028】
一部の態様では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出する方法であって、本方法が、がんを有する個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することを含む、方法が本明細書で提供される。
【0029】
一部の態様では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出する方法であって、本方法が、(a)個体からの試料から得られた複数の核酸を提供することであって、複数の核酸が、CD274遺伝子をコードする核酸を含む、提供することと、(b)任意選択的に、複数の核酸からの1つ以上の核酸に、1つ以上のアダプターをライゲーションすることと、(c)任意選択的に、複数の核酸から核酸を増幅することと、(d)任意選択的に、CD274遺伝子に対応する複数の核酸を捕捉することと、(e)シーケンサーによって、複数の核酸を配列決定して、CD274遺伝子に対応する複数の配列リードを得ることと、(f)複数の配列リードを分析することと、(g)分析に基づいて、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、を含む、方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、CD274遺伝子に対応する複数の核酸は、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって、増幅された核酸から捕捉される。
【0030】
一部の態様では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出する方法であって、本方法が、(a)がんを有する個体からの試料を提供することであって、試料が1つ以上の核酸を含む、提供することと、(b)試料中の1つ以上の核酸から核酸配列決定ライブラリを調製することと、(c)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、上述のライブラリを増幅することと、(d)上述のライブラリにおけるCD274ヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸を選択的に濃縮して、濃縮された試料を生成することと、(e)濃縮された試料を配列決定し、それによって、複数の配列決定リードを生成することと、(f)CD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在について、複数の配列決定リードを分析することと、(g)分析するステップに基づいて、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、を含む、方法が本明細書で提供される。
【0031】
一部の態様では、がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、有効量の抗がん療法を、がんを有する個体に投与することを含み、がんが、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を含む、方法が本明細書で提供される。
【0032】
本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、抗がん療法は、小分子阻害剤、化学療法剤、がん免疫療法、抗体、細胞療法、核酸、手術、放射線療法、抗血管新生療法、抗DNA修復療法、抗炎症療法、抗新生物剤、成長阻害剤、細胞傷害性剤、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、細胞療法は、養子療法、T細胞ベースの療法、ナチュラルキラー(NK)細胞ベースの療法、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法、組換えT細胞受容体(TCR)T細胞療法、又は樹状細胞(DC)ベースの療法である。一部の実施形態では、核酸は、二本鎖RNA(dsRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、又は小ヘアピンRNA(shRNA)を含む。
【0033】
本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、ミスセンス変異、トランケーション、ナンセンス変異、スプライス部位変異、挿入/欠失、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、2つ以上のミスセンス変異を含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、1つ以上のミスセンス変異及びトランケーションを含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、CD274遺伝子欠失を更に含み、CD274遺伝子は、CD274遺伝子の一部分の欠失物である。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、CD274ゲノム再配列又はCD274遺伝子融合を更に含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、体細胞変異又は生殖細胞系列変異である。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、クローン変異である。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、サブクローン変異である。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、CD274遺伝子増幅を更に含む。
【0034】
本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、(a)がんにおけるPD-L1タンパク質の低い発現、(b)がんにおけるPD-L1タンパク質の発現が起こらない、又は(c)がんにおけるPD-L1タンパク質の高い発現を生じさせる。一部の実施形態では、PD-L1タンパク質発現は、個体から得られた試料における免疫組織化学アッセイを使用して評価される。一部の実施形態では、PD-L1タンパク質発現は、腫瘍細胞において評価される。一部の実施形態では、がんにおけるPD-L1タンパク質の低い発現は、1%~49%の腫瘍割合スコア(TPS)に基づいて評価される。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、表2に列挙される1つ以上の変異を含む。一部の実施形態では、がんにおけるPD-L1タンパク質の発現が起こらないことは、1%未満のTPSに基づいて評価される。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、表3に列挙される1つ以上の変異を含む。一部の実施形態では、がんにおけるPD-L1タンパク質の高い発現は、50%以上のTPSに基づいて評価される。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、表4に列挙される1つ以上の変異を含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、1つ以上のミスセンス変異を含み、任意選択的に、1つ以上の変異は、クローン変異又はサブクローン変異である。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、トランケーション変異を含み、任意選択的に、トランケーション変異は、クローン変異又はサブクローン変異である。
【0035】
本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチドとPD-1受容体との間の相互作用を低下させ、かつ/又はCD274遺伝子中の1つ以上の変異は、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチドの活性を低下させる。
【0036】
本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、免疫チェックポイント阻害剤耐性がんを引き起こす。本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、免疫チェックポイント阻害剤耐性がんと関連する。本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、免疫チェックポイント阻害剤耐性がんにおいて生じる。
【0037】
本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、抗がん療法は、免疫チェックポイント阻害剤以外の療法である。一部の実施形態では、抗がん療法は、小分子阻害剤、化学療法剤、がん免疫療法、抗体、細胞療法、核酸、手術、放射線療法、抗血管新生療法、抗DNA修復療法、抗炎症療法、抗新生物剤、成長阻害剤、細胞傷害性剤、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、細胞療法は、養子療法、T細胞ベースの療法、ナチュラルキラー(NK)細胞ベースの療法、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法、組換えT細胞受容体(TCR)T細胞療法、又は樹状細胞(DC)ベースの療法である。一部の実施形態では、核酸は、二本鎖RNA(dsRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、又は小ヘアピンRNA(shRNA)を含む。
【0038】
本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することは、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することを含む。本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、本方法は、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を含むヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸を選択的に濃縮することを更に含み、選択的に濃縮することで、濃縮された試料を生成する。本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅ベースのアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、リアルタイムPCR、配列決定、次世代配列決定、スクリーニング分析、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、スペクトル核型分析、マルチカラーFISH(mFISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、配列特異的プライミング(SSP)PCR、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は質量分析ジェノタイピングのうちの1つ以上によって試料において検出される。本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、CD274によってコードされるPD-L1ポリペプチドにおいて検出される。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、イムノブロッティング、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫組織化学、又は質量分析法のうちの1つ以上によって試料において検出される。
【0039】
本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、がんは、がん腫、肉腫、リンパ腫、白血病、骨髄腫、胚細胞がん、又は芽細胞腫である。本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、がんは、固形腫瘍である。本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、がんは、血液悪性腫瘍である。本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、がんは、表5又は表6に列挙されるがんである。本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、がんは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、皮膚扁平上皮がん、子宮内膜腺がん、原発巣不明の黒色腫、又は皮膚黒色腫である。
【0040】
本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、がんは、皮膚がんである。一部の実施形態では、がんは、10変異/メガベース(mut/Mb)以上の腫瘍変異負荷(TMB)を含む。一部の実施形態では、がんは、10mut/Mb未満のTMBを含む。一部の実施形態では、TMBは、配列決定されたDNAの約0.79メガベース(Mb)に基づいて評価される。一部の実施形態では、TMBは、配列決定されたDNAの約0.80Mbに基づいて評価される。一部の実施形態では、TMBは、配列決定されたDNAの約0.83Mb~約1.14Mbに基づいて評価される。一部の実施形態では、TMBは、配列決定されたDNAの約1.1Mbに基づいて評価される。一部の実施形態では、TMBは、配列決定されたDNAの約1.24Mbに基づいて評価される。一部の実施形態では、TMBは、配列決定されたDNAの最大約1.1Mbに基づいて評価される。一部の実施形態では、がんは、少なくとも約100mut/Mb、少なくとも約110mut/Mb、少なくとも約120mut/Mb、少なくとも約130mut/Mb、少なくとも約140mut/Mb、少なくとも約150mut/Mb、又はそれより大きいTMBを含む。一部の実施形態では、TMBは、配列決定、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、遺伝子ターゲット配列決定、又は次世代配列決定によって評価される。一部の実施形態では、がんは、皮膚扁平上皮がん、皮膚黒色腫、又は原発巣不明の黒色腫である。
【0041】
本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、がんは、非漿液性子宮内膜腺がんである。一部の実施形態では、がんは、高頻度マイクロサテライト不安定性状態(MSI)を含む。一部の実施形態では、MSIは、最大約114個の遺伝子座のDNA配列決定に基づいて評価される。
【0042】
本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、がんは、表6に列挙されるCD274変異を含むがんである。
【0043】
本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、がんは、転移性である。
【0044】
本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、試料は、がんから得られる。一部の実施形態では、試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料である。一部の実施形態では、試料は、流体、細胞、又は組織を含む。一部の実施形態では、試料は、腫瘍生検又は循環腫瘍細胞を含む。一部の実施形態では、試料は、核酸試料である。一部の実施形態では、核酸試料は、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む。一部の実施形態では、試料は、個体からのFFPE試料から得られた1つ以上の核酸を含む。一部の実施形態では、1つ以上の核酸は、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、異なる時間点で個体から1つより多い試料を得ることを更に含む。
【0045】
本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、選択的に濃縮することは、(a)ベイトと試料とを合わせ、それによって、試料においてベイトを1つ以上の核酸にハイブリダイズし、核酸ハイブリッドを生成することと、(b)核酸ハイブリッドを単離して、濃縮された試料を生成することと、を含む。一部の実施形態では、ベイトは、1つ以上の核酸にハイブリダイズするように構成された捕捉核酸分子を含む。一部の実施形態では、捕捉核酸分子は、約10~約30個のヌクレオチド、約50~約1000個のヌクレオチド、約100~約500個のヌクレオチド、約100~約300個のヌクレオチド、又は約100~200個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ベイトは、アフィニティー試薬又は検出試薬にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、アフィニティー試薬は、抗体、抗体断片、若しくはビオチンであるか、又は検出試薬は、蛍光性マーカーである。一部の実施形態では、捕捉核酸分子は、DNA、RNA、又は混合されたDNA/RNA分子を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、濃縮された試料において1つ以上の核酸分子を配列決定することを更に含む。
【0046】
本明細書で提供される態様又は実施形態のうちのいずれかの一部の実施形態では、選択的に濃縮することは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、試料において1つ以上の核酸を増幅し、濃縮された試料を生成することを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、濃縮された試料において1つ以上の核酸分子を配列決定することを更に含む。
【0047】
一部の態様では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出するためのプローブ又はベイトを含み、任意選択的に、CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含む、キットが本明細書で提供される。
【0048】
一部の態様では、表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含むCD274遺伝子をコードする、核酸が本明細書で提供される。
【0049】
一部の態様では、本明細書で提供される核酸を含むベクターが本明細書で提供される。
【0050】
一部の態様では、本明細書で提供されるベクターを含む宿主細胞が本明細書で提供される。
【0051】
一部の態様では、表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含むCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチドに特異的に結合する、抗体又は抗体断片が本明細書で提供される。
【0052】
一部の態様では、本明細書で提供される抗体又は抗体断片を含むキットが本明細書で提供される。
【0053】
一部の態様では、表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含むCD274遺伝子、又はその一部分を検出するための1つ以上のオリゴヌクレオチドのインビトロでの使用が本明細書で提供される。
【0054】
一部の態様では、表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含むCD274遺伝子、又はその一部分を検出するための1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む、キットが本明細書で提供される。
【0055】
一部の態様では、システムであって、1つ以上のプログラム命令を格納するように構成されたメモリと、1つ以上のプログラム命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサと、を備え、1つ以上のプログラム命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されると、(a)1つ以上の核酸の複数の配列リードであって、1つ以上の核酸が、個体から得られた試料に由来する、複数の配列リードを得て、(b)CD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在について、複数の配列リードを分析し、(c)分析に基づいて、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出するように構成された、システムが本明細書で提供される。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、ミスセンス変異、トランケーション、ナンセンス変異、スプライス部位変異、挿入/欠失、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、2つ以上のミスセンス変異を含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、1つ以上のミスセンス変異及びトランケーションを含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、CD274遺伝子増幅を更に含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、CD274遺伝子欠失を更に含み、CD274遺伝子は、CD274遺伝子の一部分の欠失物である。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、CD274ゲノム再配列又はCD274遺伝子融合を更に含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、体細胞変異又は生殖細胞系列変異である。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、クローン変異である。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、サブクローン変異である。一部の実施形態では、複数の配列リードは、配列決定、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、遺伝子ターゲット配列決定、又は次世代配列決定によって得られる。
【0056】
一部の態様では、方法を実行するための1つ以上のコンピュータプロセッサによって実行可能な1つ以上のプログラムを含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、本方法が、(a)1つ以上のプロセッサを使用して、1つ以上の核酸の複数の配列リードを得ることであって、1つ以上の核酸が、個体から得られた試料に由来する、得ることと、(b)1つ以上のプロセッサを使用して、CD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在について、複数の配列リードを分析することと、(c)1つ以上のプロセッサを使用して、かつ分析することに基づいて、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が本明細書で提供される。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、ミスセンス変異、トランケーション、ナンセンス変異、スプライス部位変異、挿入/欠失、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、2つ以上のミスセンス変異を含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、1つ以上のミスセンス変異及びトランケーションを含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、CD274遺伝子増幅を更に含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、CD274遺伝子欠失を更に含み、CD274遺伝子は、CD274遺伝子の一部分の欠失物である。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、CD274ゲノム再配列又はCD274遺伝子融合を更に含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、体細胞変異又は生殖細胞系列変異である。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、クローン変異である。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、サブクローン変異である。一部の実施形態では、複数の配列リードは、配列決定、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、遺伝子ターゲット配列決定、又は次世代配列決定によって得られる。
【0057】
一部の態様では、がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法において使用するための抗がん療法であって、本方法が、抗がん療法を個体に投与することを含み、CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、個体から得られた試料において検出される、抗がん療法が本明細書で提供される。
【0058】
一部の態様では、がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせるための医薬の製造において使用するための抗がん療法であって、医薬が個体に投与され、CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、個体から得られた試料において検出される、抗がん療法が本明細書で提供される。
【0059】
本明細書に記載の様々な実施形態の特性の1つ、いくつか、又は全てを組み合わせて、本発明の他の実施形態を形成することができることを理解されたい。本発明のこれら及び他の態様は、当業者に明らかになるであろう。本発明のこれら及び他の実施形態は、以下の詳細な説明によって更に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
特許又は出願ファイルは、カラーで実行された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴う本特許又は特許出願のコピーは、要求及び必要な費用の支払いに応じて、庁によって提供される。
【0061】
【
図1】実施例1に記載されるような、CD274変異のランドスケープをプロファイリングするために使用される包括的ゲノムプロファイリング(CGP)方法の概要を提供する。
【
図2】実施例1に記載されるCGP分析で特定された全てのミスセンス及びナンセンス変異のロリポッププロットである。最も一般的なCD274変異は、R260H(n=51)、R260C(n=18)、R125Q(n=12)、C272fs*13(n=11)、R86W(n=10)、及びR113H(n=10)であった。
【
図3】異なる腫瘍タイプにおけるCD274変異の発生率を示すロングテールプロットである。CD274変異の割合が最も高い腫瘍タイプ(少なくとも800個の合計試料)は、降順に、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、皮膚扁平上皮がん、子宮体内膜腺がん、原発巣不明の黒色腫、及び皮膚黒色腫であった。
【
図4A-4C】CD274非トランケーション変異と、PD-L1免疫組織化学(IHC)腫瘍細胞発現との相関関係を示す。
図4Aは、非トランケーションバリアントの中で、ミスセンス置換及び2つのフレーム内インデルを有する181個の試料が特定されたことを示す(下側パネル)。バリアントのサブセットは反復であり、12個の試料は、R260に置換を保有する。示される非トランケーションバリアントを有する各試料に対応するPD-L1 TPSスコアは、上側パネルに与えられている。サブクローンバリアントは、四角のマーカーで示されている。
図4Bは、IHCによるPD-L1発現について少なくとも2症例が分析された変異において、CD274ミスセンス変異とPD-L1タンパク質発現の相関関係を示す。
図4Cは、サブクローン(n=28)ミスセンス変異に対する、クローン(n=153)におけるPD-L1発現の比較を示す。サブクローンミスセンス変異と比較して、クローンミスセンス変異における有意に低いPD-L1 IHC発現が観察された(平均:TPS=それぞれ11対22、ANOVA、p=0.049)。サブクローンバリアントは、変異アレル頻度、並びに病的な腫瘍細胞の純度概算値及び/又は計算上の腫瘍細胞の純度概算値に基づいて、腫瘍細胞の50%未満がバリアントを有すると予測された試料として定義された。
【
図5A-5B】CD274トランケーション変異と、PD-L1免疫組織化学(IHC)腫瘍細胞発現との相関関係を示す。
図5Aは、12個のナンセンス変異、10個のフレームシフトインデル、及び7個のカノニカルスプライスバリアントを含む、39個の特定された推定トランケーションバリアントを示す(下側パネル)。示されるトランケーションバリアントを有する各試料に対応するPD-L1 TPSスコアは、上側パネルに与えられている。サブクローンバリアントは、四角のマーカーで示されている。
図5Bは、クローントランケーションバリアント(ナンセンス又はフレームシフトインデル)及びサブクローントランケーションバリアントを有する試料におけるPD-L1発現の核を示す。サブクローントランケーションバリアントを有する試料と比較して、クローントランケーションバリアント(ナンセンス又はフレームシフトインデル)を有する試料において、有意に低いレベルのPD-L1発現が観察された(平均:TPS=1対TPS=38、ANOVA、p<0.001)。サブクローンバリアントは、変異アレル頻度、並びに病的な腫瘍細胞の純度概算値及び/又は計算上の腫瘍細胞の純度概算値に基づいて、腫瘍細胞の50%未満がバリアントを有すると予測された試料として定義された。
【
図6】ミスセンスCD274変異の予測機能性(Meta SVM Rankscoreによってアクセスされる)とPD-L1 TPSスコアとの間の相関関係を示す。
【
図7】一部の実施形態による例示的なデバイス「デバイス1100」を示す。
【
図8】一部の実施形態による例示的なシステム「システム1200」を示す。
【
図9】一部の実施形態による、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出するための例示的なプロセスのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本開示は、一般に、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出すること、並びにそれらに関連する治療方法、使用、及びキットに関する。
【0063】
本開示は、314,631個の試料の大規模な汎がんコホートについて行われた包括的ゲノムプロファイリングを記載し、1,081症例がCD274変異を有することがわかった。特定された変異には、限定されないが、ミスセンス変異、ナンセンス変異及び挿入/欠失変更が含まれていた。理論によって束縛されることを望まないが、CD274変異が、例えば限定されないが、PD-1受容体に対するPD-L1リガンドの結合における立体的妨害又は親和性を変化させる妨害に起因して、免疫チェックポイント阻害剤(ICPI)に対する抵抗性を媒介し得ると考えられる。
【0064】
本開示は、CD274変異を有するがん症例のサブセット(N=213)におけるPD-L1タンパク質発現の分析を更に記載し、このことは、PD-L1の発現レベルが、様々な特定されたCD274変異を含む試料間で異なっていることを明らかにしている。特定のCD274変異は、PD-L1タンパク質の発現が起こらない、低いPD-L1タンパク質発現、又は高いPD-L1タンパク質発現と関連していた。理論によって束縛されることを望まないが、低いPD-L1発現又はPD-L1発現が起こらないことに関連するCD274変異が、例えば、限定されないが、腫瘍細胞上に存在するPD-L1タンパク質の欠如、及び/又はPD-L1タンパク質発現を検出するために使用されるPD-L1抗体の結合に対する親和性の欠如、したがって、抗PD-L1療法の結合に対する親和性の欠如に起因して、ICPIの耐性バイオマーカーとして作用し得ると考えられる。
【0065】
I.一般的な技術
本明細書に記載されるか、又は参照される技術及び手順は、一般に、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3d edition(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.編集(2003))に記載される広く利用される方法論、一連のMethods in Enzymology(Academic Press,Inc.):PCR 2:A Practical Approach(M.J.MacPherson,B.D.Hames and G.R.Taylor編集(1995))、Harlow and Lane編集(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,and Animal Cell Culture(R.I.Freshney編集(1987))、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編集,1984)、Methods in Molecular Biology,Humana Press、Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編集,1998)Academic Press、Animal Cell Culture(R.I.Freshney)編集,1987)、Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press、Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell編集,1993-8)J.Wiley and Sons、Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell編集)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos編集,1987)、PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.編集,1994)、Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.編集,1991)、Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999)、Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997)、Antibodies(P.Finch,1997)、Antibodies:A Practical Approach(D.Catty.編集,IRL Press,1988-1989)、Monoclonal Antibodies:A Practical Approach(P.Shepherd and C.Dean編集,Oxford University Press,2000)、Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999)、The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra編集,Harwood Academic Publishers,1995)、及びCancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVita et al.編集,J.B.Lippincott Company,1993)などの当業者による通常の方法論を使用して、十分に理解され、一般的に使用される。
【0066】
II.定義
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の言及を含む。したがって、例えば、「1つの分子(a molecule)」との言及は、任意選択的に、2つ以上のそのような分子の組み合わせなどを含む。
【0067】
本明細書に記載される「約」という用語は、当該技術分野で当業者にとって容易に知られるそれぞれの値についての通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」値又はパラメータとの言及は、その値又はパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(及び説明する)。
【0068】
本明細書に記載される本発明の態様及び実施形態は、態様及び実施形態「を含む」、「からなる」及び/又は「から本質的になる」を含むことが理解される。
【0069】
「がん」及び「がん性」という用語は、典型的には制御されない細胞成長を特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指すか、又はそれを記載する。この定義には、良性及び悪性のがんが含まれる。
【0070】
「腫瘍」という用語は、本明細書で使用される場合、悪性であるか、又は良性であるかにかかわらず、全ての新生物性の細胞成長及び増殖、並びに全ての前がん性及びがん性の細胞及び組織を指す。「がん」、「がん性」及び「腫瘍」という用語は、本明細書について言及される場合、相互に排他的なものではない。
【0071】
本明細書で使用される場合、「分化クラスター274」又は「CD274」という用語は、プログラム死リガンド1(PD-L1)mRNA又はPD-L1ポリペプチドをコードする遺伝子を指す。CD274は、染色体9p24.1上に位置する遺伝子である。CD274は、B7-H、B7-H1、B7H1、PD-L1、PDCD1LG1、PDL1としても知られている。一部の実施形態では、CD274遺伝子は、ヒトCD274遺伝子である。
【0072】
「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、本明細書で互換的に使用される場合、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド若しくは塩基、及び/又はそれらの類似体、あるいはDNA若しくはRNAポリメラーゼによって、又は合成反応によってポリマーに組み込まれ得る任意の基質であり得る。したがって、例えば、本明細書で定義されるポリヌクレオチドとしては、限定されないが、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖領域を含むDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、一本鎖及び二本鎖領域を含むRNA、一本鎖であってもよく、又は典型的には二本鎖であってもよいか、又は一本鎖及び二本鎖領域を含むDNA及びRNAを含むハイブリッド分子が挙げられる。加えて、本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」という用語は、RNA又はDNA、又はRNA及びDNAの両方を含む三本鎖領域を指す。そのような領域中の鎖は、同じ分子由来であってもよく、又は異なる分子由来であってもよい。領域は、分子のうちの1つ以上の全てを含んでもよいが、より典型的には、分子のいくつかの領域のみを伴ってもよい。三重らせん領域の分子の一方は、多くの場合、オリゴヌクレオチドである。「ポリヌクレオチド」という用語は、具体的には、cDNAを含む。
【0073】
ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えば、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体を含み得る。ヌクレオチド構造に対する修飾は、存在する場合、ポリマーの組み立て前又は組み立て後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断されていてもよい。ポリヌクレオチドは、合成後に、例えば、標識とのコンジュゲーションによって、更に修飾され得る。他のタイプの修飾としては、例えば、「キャップ」、類似体、ヌクレオチド間修飾による、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つ以上の置換、例えば、帯電していない結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)を有するもの、及び帯電した結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエーテオなど)を有するもの、ペンダント部分、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジンなど)を有するもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を有するもの、キレーター(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)を含有するもの、アルキレーターを含有するもの、修飾結合を有するもの(例えば、アルファアノマー性核酸)、並びにポリヌクレオチドの非修飾形態が挙げられる。更に、糖内に通常存在するヒドロキシル基のいずれかが、例えば、ホスホネート基、ホスフェート基によって置き換えられ、標準的な保護基によって保護され、又は追加のヌクレオチドに対する追加の結合を調製するために活性化されてもよく、又は固体若しくは半固体の支持体にコンジュゲートされてもよい。5’末端及び3’末端のOHは、リン酸化されてもよく、又は1~20個の炭素原子のアミン又は有機キャッピング基部分で置換されてもよい。他のヒドロキシルもまた、標準的な保護基へと誘導体化されてもよい。ポリヌクレオチドはまた、例えば、2’-0-メチル-、2’-0-アリル-、2’-フルオロ-、又は2’-アジド-リボース、炭素環糖類似体、a-アノマー性糖、エピマー性糖、例えば、アラビノース、キシロース又はリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環状類似体、及びメチルリボシドなどの脱塩基ヌクレオシド類似体を含む、当該技術分野で一般に既知のリボース又はデオキシリボース糖の類似形態を含有し得る。1つ以上のホスホジエステル結合は、代替的な結合基によって置き換えられてもよい。これらの代替的な結合基としては、限定されないが、ホスフェートが、P(0)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、「(0)NR2(「アミデート」)、P(0)R、P(0)OR’、CO又はCH2(「ホルムアセタール」)によって置き換えられており、各々のR又はR’が、独立して、H、又は任意選択的に、エーテル(-0-)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、又はアラルジル(araldyl)を含有する、置換若しくは非置換のアルキル(1~20C)である実施形態を含む。ポリヌクレオチド中の全ての結合が同一である必要はない。ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の1つ以上の異なるタイプの修飾及び/又は同じタイプの複数の修飾を含有し得る。前の記載は、RNA及びDNAを含む、本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドに適用される。
【0074】
「オリゴヌクレオチド」は、本明細書に使用される場合、一般に、必ずしも約250ヌクレオチド長未満ではない短い一本鎖ポリヌクレオチドを指す。オリゴヌクレオチドは、合成であってもよい。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、相互に排他的なものではない。ポリヌクレオチドについての上の記載は、オリゴヌクレオチドと等しく、かつ完全に適用可能である。
【0075】
本明細書の「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、限定されないが、所望な抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を含む様々な抗体構造を包含する。
【0076】
「単離された」抗体は、その天然の環境の成分から特定され、分離され、及び/又は回収されたものである。その天然環境の汚染成分は、抗体の研究、診断、及び/又は治療的使用を妨害し得る材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質を含み得る。一部の実施形態では、抗体は、(1)例えば、Lowry方法によって決定される場合、抗体の95重量%より多く、一部の実施形態では、99重量%より多くなるまで、(2)例えば、スピニングカップ配列決定装置の使用によって、N末端又は内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、あるいは(3)例えば、クマシーブルー又は銀染色を使用して、還元又は非還元条件下でSDS-PAGEによって均一性になるまで、精製される。単離された抗体は、抗体の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、組換え細胞内にインサイチュで抗体を含む。しかしながら、通常は、単離された抗体は、少なくとも1つの精製ステップによって調製される。
【0077】
「ネイティブ抗体」は、通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖から構成される約150,000ダルトンのヘテロテトラマー糖タンパク質である。各軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖に結合し、一方、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖によって変化する。各々の重鎖及び軽鎖はまた、規則的に離間された鎖内ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は、一方の末端に可変ドメイン(VH)を有し、その後に、いくつかの数の定常ドメインを有する。各軽鎖は、一方の末端に可変ドメイン(VL)と、その他方の末端に定常ドメインと、を有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと整列し、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列する。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインと間の界面を形成すると考えられる。
【0078】
任意の哺乳動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(「κ」)及びラムダ(「λ」)と呼ばれる2つの明確な異なるタイプのうちの1つに割り当てることができる。
【0079】
「定常ドメイン」という用語は、抗原結合部位を含有する、免疫グロブリンの他の部分(可変ドメイン)に対して、より保存されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分子の一部分を指す。定常ドメインは、重鎖のCH1、CH2、及びCH3ドメイン(まとめてCH)と、軽鎖のCHL(又はCL)ドメインと、を含有する。
【0080】
抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖の可変ドメインは、「VH」と称されてもよい。軽鎖の可変ドメインは、「VL」と称されてもよい。これらのドメインは、一般に、抗体の最も可変性の部分であり、抗原結合部位を含有する。
【0081】
「可変」という用語は、可変ドメインの特定の部分が、抗体間で配列が広範囲に異なっており、各々の特定の抗体のその特定の抗原に対する結合及び特異性に使用されるという事実を指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン全体に均一に分布しているわけではない。軽鎖及び重鎖の可変ドメインの両方において、超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中する。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。ネイティブ重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、各々、大部分がベータシートの構成を採用し、接続するループを形成する3つのHVRによって接続され、一部の場合では、ベータシート構造の一部を形成する、4つのFR領域を含む。各鎖内のHVRは、FR領域に近接して一緒に保持され、他の鎖からのHVRとともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,National Institute of Health,Bethesda,Md.(1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗原に対する抗体の結合に直接的には関与しないが、例えば、抗体依存性細胞傷害性への抗体の関与など、様々なエフェクター機能を示す。
【0082】
「超可変領域」、「HVR」、又は「HV」という用語は、本明細書に使用される場合、配列において超可変であり、かつ/又は構造的に画定されたループを形成する、抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体は、VH中に3個(H1、H2、H3)、及びVL中に3個(L1、L2、L3)の6個のHVRを含む。ネイティブ抗体では、H3及びL3は、6個のHVRのうちで最大の多様性を示し、特に、H3は、抗体に対する精密な特異性を与える際に固有の役割を果たすと考えられる。例えば、Xu et al.,Immunity 13:37-45(2000)、Johnson and Wu,in Methods in Molecular Biology 248:1-25(Lo,ed.,Human Press,Totowa,N.J.,2003)を参照されたい。実際に、重鎖のみからなる天然に存在するラクダ抗体は、機能的であり、軽鎖の非存在下で安定である。例えば、Hamers-Casterman et al.,Nature 363:446-448(1 993)、Sheriff et al.,Nature Struct.Biol.3:733-736(1996)を参照されたい。
【0083】
HVRの数の概要説明を使用し、これは本明細書に包含される。Kabat相補性決定領域(CDR)は、配列変動性に基づき、最も一般的に使用される(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1 991))。Chothiaは、それとは異なり、構造ループの場所を指す(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。AbM HVRは、Kabat HVRとChothia構造ループとの間を補完するものを表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用される。「コンタクト(contact)」HVRは、利用可能な複雑な結晶構造の分析に基づく。これらのHVRの各々からの残基を以下に示す。
【表1】
【0084】
HVRは、以下のように「伸長されたHVR」を含み得る。VL内に、24-36若しくは24-34(L1)、46-56若しくは50-56(L2)、及び89-97若しくは89-96(L3)、並びにVH内に、26-35(H1)、50-65若しくは49-65(H2)、及び93-102、94-102、若しくは95-102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの定義の各々について、Kabat et al.(前出)に従ってナンバリングされる。
【0085】
「フレームワーク」又は「FR」残基は、本明細書で定義されるHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
【0086】
「Kabatと同様の可変ドメイン残基ナンバリング」、又は「Kabatと同様のアミノ酸位置ナンバリング」及びそれらの変形語は、Kabat et al.(前出)において抗体の編集の重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに使用されるナンバリングシステムを指す。このナンバリングシステムを使用して、実際の線形アミノ酸配列は、可変ドメインの短縮、又は可変ドメインのFR若しくはHVRへの挿入に対応して、それより少ないアミノ酸又は追加のアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入物(Kabatによれば残基52a)と、重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatによれば残基82a、82b、及び82c)を含み得る。残基のKabatナンバリングは、抗体の配列の相同性の領域で、「標準的な」Kabatナンバリングされた配列とのアラインメントによって、所与の抗体について決定され得る。
【0087】
Kabatナンバリングシステムは、一般に、可変ドメイン中の残基を参照する際に使用される(およそ軽鎖の残基1~107、及び重鎖の残基1~1 13)(例えば、Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest.5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))。「EUナンバリングシステム」又は「EUインデックス」は、一般に、免疫グロブリン重鎖定常領域中の残基を参照する際に使用される(例えば、Kabat et al.(前出)に報告されるEUインデックス)。「Kabatと同様のEUインデックス」は、ヒトlgG1 EU抗体の残基ナンバリングを指す。
【0088】
「完全長抗体」、「インタクト抗体」及び「全抗体」という用語は、本明細書で互換的に使用され、以下に定義される抗体断片ではなく、実質的にインタクトな形態での抗体を指す。この用語は、特に、Fc領域を含有する重鎖を有する抗体を指す。
【0089】
「抗体断片」は、その抗原結合領域を含むインタクト抗体の一部分を含む。一実施形態では、本明細書に記載の抗体断片は、抗原結合断片である。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;線形抗体;一本鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0090】
本明細書に使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質な抗体の集合体から得られた抗体、例えば、少量存在し得る可能な変異(例えば、天然に存在する変異)を除いて同一である集合体を含む個々の抗体を指す。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、別個の抗体の混合物ではない抗体の特徴を示す。特定の実施形態では、そのようなモノクローナル抗体は、典型的には、標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、標的結合ポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列からの単一の標的結合ポリペプチド配列の選択を含むプロセスによって得られた。例えば、選択プロセスは、複数のクローン、例えば、ハイブリドーマクローン、ファージクローン、又は組換えDNAクローンのプールからの固有のクローンの選択であり得る。選択された標的結合配列は、更に変化し、例えば、標的に対する親和性を改善し、標的結合配列をヒト化し、細胞培養物におけるその産生を改善し、インビボでのその免疫原性を低下させ、多重特異性抗体を作成することなどができること、また、変化した標的結合配列を含む抗体も、本発明のモノクローナル抗体であることを理解すべきである。典型的には異なる決定因子(エピトープ)に対して指向する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定因子に対して指向する。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体調製物は、それらが典型的には他の免疫グロブリンによって汚染されていないという点で有利である。
【0091】
「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均質な抗体の集合体から得られたものとしての抗体の特徴を示し、任意の特定の方法によって抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ方法(例えば、Kohler and Milstein,Nature 256:495-97(1975)、Hongo et al.,Hybridoma 14(3):253-260(1995)、Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988)、Hammerling et al.,in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681(Elsevier,N.Y.,1981))、組換えDNA方法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clackson et al.,Nature,352:624-628(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992)、Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-31 0(2004)、Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004)、Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004)、及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1-2):1 1 9-132(2004))、並びにヒト免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子座又は遺伝子の一部分又は全てを有する動物において、ヒト又はヒト様抗体を産生するための技術(例えば、WO1998/24893、WO1996/34096、WO1996/33735、WO1991/10741、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993)、Jakobovits et al.,Nature 362:255-258(1993)、Bruggemann et al.,Year in Immunol.7:33(1 993)、米国特許第5,545,807号、第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、及び第5,661,016号、Marks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992)、Lonberg et al.,Nature 368:856-859(1994)、Morrison,Nature 368:812-813(1994)、Fishwild et al.,Nature Biotechnol.14:845-851(1996)、Neuberger,Nature Biotechnol.14:826(1996)、及びLonberg et al.,Intern.Rev.Immunol.13:65-93(1995)を参照されたい)を含む、様々な技術によって作製され得る。
【0092】
「ヒト抗体」は、ヒト若しくはヒト細胞によって産生される抗体、又はヒト抗体レパートリー若しくは他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を保有するものである。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特定的に排除する。
【0093】
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVRからのアミノ酸残基と、ヒトフレームワーク残基(FR)からのアミノ酸残基とを含む、キメラ抗体を指す。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、HVR(例えば、CDR)の全て又は実質的に全てが、非ヒト抗体のものに対応し、FRの全て又は実質的に全てが、ヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意選択的に、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含み得る。
【0094】
抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、ヒト化を受けた抗体を指す。
【0095】
「ブロッキング」抗体又は「アンタゴニスト」抗体は、結合する抗原の生物学的活性を阻害するか、又は低下させるものである。例えば、ブロッキング抗体又はアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を実質的又は完全に阻害する。
【0096】
本明細書に使用される場合、「結合する」、「~に特異的に結合する」、又はその「~に特異的」という用語は、生物学的分子を含む分子の異種集合体の存在下で標的の存在を決定付ける、標的と抗体との間の結合などの測定可能かつ再現性のある相互作用を指す。例えば、標的(エピトープであってもよい)に結合するか、又は特異的に結合する抗体は、より容易には、より大きな親和性、アビディティを有し、かつ/又は他の標的に結合するよりも大きな持続時間で、この標的に結合する抗体である。一実施形態では、無関係の標的に対する抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される場合、標的に対する抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、標的に特異的に結合する抗体は、1μM未満、100nM未満、10nM未満、1nM未満、又は0.1nM未満の解離定数(Kd)を有する。特定の実施形態では、抗体は、異なる種からのタンパク質間で保存されているタンパク質上のエピトープに特異的に結合する。別の実施形態では、特異的な結合は、排他的な結合を含み得るが、必須ではない。
【0097】
本明細書で特定されるポリペプチドに関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、候補配列及び比較されるポリペプチドの両配列をアラインメントし、所望な場合、ギャップを導入して、最大配列同一性パーセントを達成した後、配列同一性の一部として任意の保存的置換を考慮することなく、比較されるポリペプチド中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の割合として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当該技術の範囲内である様々な方法で達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大アラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含め、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書の目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.が製作会社であり、ソースコードは、U.S.Copyright Office(Washington D.C.,20559)にユーザ書類とともに提出されており、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.(South San Francisco,California)によって公的に入手可能である。ALIGN-2プログラムは、UNIXオペレーティングシステム、例えば、デジタルUNIX V4.0Dで使用するためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され、変化しない。
【0098】
ALIGN-2がアミノ酸配列比較のために使用される状況では、所与のアミノ酸配列Bに対して、それを用いて、又はそれに対する、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bに対して、それを用いて、又はそれに対する、特定のアミノ酸配列同一性%を有するか、又は含む所与のアミノ酸配列Aという表現であってもよい)は、以下のように計算される。
100×分数X/Y
ここで、Xは、配列アラインメントプログラムALIGN-2によって、A及びBのそのプログラムのアラインメントにおける同一マッチとしてスコアリングされたアミノ酸残基の数であり、Yは、Bにおけるアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さが、アミノ酸配列Bの長さに等しくない場合に、Bに対するAのアミノ酸配列同一性%は、Aに対するBのアミノ酸配列同一性%と等しくないことを理解されたい。明示的に別段の定めをした場合を除き、本明細書で使用される全てのアミノ酸配列同一性%値は、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して、すぐ前の段落に記載される通りに得られる。
【0099】
「検出」という用語は、直接的な検出及び間接的な検出を含む、任意の検出手段を含む。本明細書に使用される「バイオマーカー」という用語は、試料において検出することができる、インジケータ(例えば、予防的、診断的、及び/又は予後的)を指す。バイオマーカーは、特定の分子特徴、病的な特徴、組織学的特徴、及び/又は臨床特徴(チェックポイント阻害剤を含む療法に対する応答性)を特徴とする、疾患又は障害(例えば、がん)の特定のサブタイプのインジケータとして機能し得る。一実施形態では、バイオマーカーは、遺伝子の集合、又は遺伝子の集合における変異/変化(例えば、体細胞変異)の集合数である。バイオマーカーとしては、限定されないが、ポリヌクレオチド(例えば、DNA及び/又はRNA)、ポリヌクレオチド変化(例えば、ポリヌクレオチドコピー数変化、例えば、DNAコピー数変化)、ポリペプチド、ポリペプチド及びポリヌクレオチドの修飾(例えば、翻訳後修飾)、炭水化物、及び/又は糖脂質系の分子マーカーが挙げられる。
【0100】
個体に対して増加した臨床利益と関連する体細胞変異の「量」又は「数」は、生物学的試料において検出可能なレベルである。これらは、当業者に既知の方法によって測定することができ、これも本明細書に開示される。評価される体細胞変異の量を使用して、治療に対する応答を決定することができる。
【0101】
「増幅」は、本明細書に使用される場合、一般に、所望の配列の複数のコピーを生成するプロセスを指す。「複数のコピー」は、少なくとも2つのコピーを意味する。「コピー」は、テンプレート配列に対する完全な配列相補性又は同一性を必ずしも意味しない。例えば、コピーは、デオキシイノシンなどのヌクレオチド類似体、意図的な配列変化(例えば、テンプレートに対してハイブリダイズ可能であるが、テンプレートに対して相補的ではない配列を含むプライマーによって導入される配列変化)、及び/又は増幅中に生じる配列エラーを含み得る。
【0102】
本明細書で使用される「ポリメラーゼ連鎖反応」又は「PCR」の技術は、一般に、最小量の核酸、RNA、及び/又はDNAの特定の試験片が、例えば、米国特許第4,683,195号に記載されるように増幅される手順を指す。一般に、目的の領域の末端から、又はそれを超えた配列情報が入手可能である必要があり、その結果、オリゴヌクレオチドプライマーを設計することができ、これらのプライマーは、増幅されるテンプレートの反対側の鎖に対して配列が同一であるか、又は類似している。2つのプライマーの5’末端ヌクレオチドは、増幅された材料の末端と一致していてもよい。PCRを使用して、特定のRNA配列を、全ゲノムDNAから特定のDNA配列を、また、全細胞RNA、バクテリオファージ、又はプラスミド配列などから転写されたcDNAを増幅させることができる。一般に、Mullis et al.,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.51:263(1987)、及びErlich,ed.,PCR Technology(Stockton Press,NY,1989)を参照されたい。本明細書に使用される場合、PCRは、プライマーとしての既知の核酸(DNA又はRNA)の使用を含み、核酸ポリメラーゼを使用して特定の核酸片を増幅させるか、若しくは生成するか、又は特定の核酸に相補的である特定の核酸片を増幅させるか、若しくは生成する、核酸試験試料を増幅させるための核酸ポリメラーゼ反応方法の唯一の例ではないが、一例であると考えられる。
【0103】
「診断」という用語は、分子又は病的な状況、疾患、又は状態(例えば、がん)の特定又は分類を指すために本明細書で使用される。例えば、「診断」は、特定のタイプのがんの特定を指し得る。「診断」はまた、例えば、病理組織学的基準によって、又は分子特徴(例えば、バイオマーカーの1つ又は組み合わせ(例えば、特定の遺伝子、又は上述の遺伝子によってコードされるタンパク質)の発現を特徴とするサブタイプ)によって、がんの特定のサブタイプの分類を指し得る。
【0104】
「診断を補助する」という用語は、疾患又は障害(例えば、がん)の症状又は状態の特定のタイプの存在、又はその性質に関する臨床的決定を作製することを補助する方法を指すために本明細書に使用される。例えば、疾患又は状態(例えば、がん)の診断を補助する方法は、個体からの生物学的試料において特定の体細胞変異を測定することを含み得る。
【0105】
「試料」という用語は、本明細書に使用される場合、例えば、物理的特徴、生化学的特徴、化学的特徴及び/又は生理学的特徴に基づいて、特性決定及び/又は特定される細胞及び/又は他の分子実体を含有する目的の対象及び/又は個体から得られるか、又はそれらに由来する組成物を指す。例えば、「疾患試料」という語句及びその変形語は、特性決定される細胞及び/又は分子実体を含有すると予想されるか、又は含有することが知られている目的の対象から得られた任意の試料を指す。試料としては、限定されないが、組織試料、初代若しくは培養された細胞若しくは細胞株、細胞上清、細胞溶解物、血小板、血清、血漿、硝子体液、リンパ液、滑液、卵胞液、精液、羊水、乳、全血、血漿、血清、血液由来の細胞、尿、脳脊髄液、唾液、痰、涙、汗、粘液、腫瘍溶解物、及び組織培養培地、組織抽出物、例えば、均質化された組織、腫瘍組織、細胞抽出物、及びそれらの組み合わせが挙げられる。場合によっては、試料は、全血試料、血漿試料、血清試料、又はそれらの組み合わせである。一部の実施形態では、試料は、腫瘍からのもの(例えば、「腫瘍試料」)、例えば、生検からのものである。一部の実施形態では、試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料である。
【0106】
本明細書に使用される「腫瘍細胞」は、腫瘍又はその試料中に存在する任意の腫瘍細胞を指す。腫瘍細胞は、当該技術分野で既知の方法及び/又は本明細書に記載の方法を使用して、腫瘍試料(例えば、間質細胞及び腫瘍浸潤免疫細胞)中に存在し得る他の細胞から区別され得る。
【0107】
「参照試料」、「参照細胞」、「参照組織」、「対照試料」、「対照細胞」、又は「対照組織」は、本明細書に使用される場合、比較目的のために使用される試料、細胞、組織、標準、又はレベルを指す。
【0108】
「相関する」、又は「相関すること」とは、いずれにせよ、第1の分析又はプロトコルの性能及び/又は結果を、第2の分析又はプロトコルの性能及び/又は結果と比較することを意味する。例えば、第2のプロトコルを実行する際に第1の分析又はプロトコルの結果を使用してもよく、かつ/又は第2の分析又はプロトコルを行うべきかどうかを決定するために、第1の分析又はプロトコルの結果を使用してもよい。ポリペプチド分析又はプロトコルの実施形態に関して、ポリペプチド発現分析又はプロトコルの結果を使用して、特定の療法計画を行うべきかどうかを決定してもよい。ポリヌクレオチド分析又はプロトコルの実施形態に関して、ポリヌクレオチド発現分析又はプロトコルの結果を使用して、特定の療法計画を行うべきかどうかを決定してもよい。
【0109】
「個体の応答」又は「応答」は、限定されないが、(1)遅らせるか、若しくは完全に停止させることを含む、疾患進行(例えば、がん進行)のある程度までの阻害、(2)腫瘍サイズの低下、(3)隣接する周辺の器官及び/若しくは組織へのがん細胞浸潤の阻害(すなわち、低下、遅らせる、若しくは完全に止める)、(4)転移の阻害(すなわち、低下、遅らせる、若しくは完全に止める)、(5)疾患若しくは障害(例えば、がん)に関連する1つ以上の症状のある程度までの緩和、(6)全生存期間及び無憎悪生存期間を含む、生存の長さの増加若しくは延長、並びに/あるいは(7)治療後の所与の時間点での死亡率の減少を含む、個体に対する利益を示す任意のエンドポイントを使用して評価することができる。
【0110】
医薬による治療及び同様の語句に対する患者の「有効応答」又は患者の「応答性」は、疾患又は障害(例えば、がん)のリスクがあるか、又は患っている患者に付与された臨床利益又は治療的利益を指す。一実施形態では、そのような利益としては、生存期間(全生存期間及び/又は無憎悪生存期間を含む)を延長すること、客観的な応答が得られること(完全奏効又は部分奏効を含む)、あるいはがんの兆候又は症状を改善することが含まれる。
【0111】
「有効量」は、哺乳動物において疾患又は障害を治療又は予防するための治療薬剤の量を指す。がんの場合、治療有効量の治療薬剤は、がん細胞の数を低下させ、原発腫瘍のサイズを低下させ、周辺の器官へのがん細胞浸潤を阻害し(すなわち、ある程度まで遅らせ、一実施形態では、止め)、腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度まで遅らせ、一実施形態では、止め)、腫瘍成長をある程度まで阻害し、及び/又は障害に関連する症状のうちの1つ以上をある程度まで緩和し得る。薬物が、存在するがん細胞の成長を防止し、かつ/又は死滅させ得る程度まで、薬物は、細胞増殖抑制性及び/又は細胞傷害性であってもよい。がん療法の場合、インビボでの有効性は、例えば、生存持続期間、疾患進行までの時間(TTP)、奏功率(例えば、CR又はPR)、応答の持続期間、及び/又は生活の質を評価することによって測定することができる。
【0112】
「薬学的製剤」という用語は、その中に含まれる活性成分の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態であり、製剤が投与され得る対象に受け入れられないほど毒性である追加の構成要素を含有しない、調製物を指す。
【0113】
「薬学的に許容される担体」は、対象にとって無毒である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、限定されないが、緩衝液、賦形剤、安定剤、又は防腐剤が挙げられる。
【0114】
本明細書に使用される場合、「治療」(及び「治療する」若しくは「治療すること」などのその文法的な変形語)は、治療される個体の自然の経過を変化させようとする臨床的介入を指し、予防のため、又は一連の臨床病理学の間のいずれかに行われ得る。治療の所望な効果としては、限定されないが、疾患の発生若しくは再発を予防すること、症状の軽減、疾患の何らかの直接的若しくは間接的な病理学的帰結の低減、転移を予防すること、疾患進行の速度を減少させること、疾患状態の改良若しくは緩和、及び寛解又は改善された予後が挙げられる。
【0115】
本明細書に使用される場合、「個体」、「患者」、又は「対象」という用語は、互換的に使用され、治療が望ましい何らかの単一動物、例えば、哺乳動物(そのような非ヒト動物、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、動物園の動物、ウシ、ブタ、ヒツジ、及び非ヒト霊長類を含む)を指す。特定の実施形態では、本明細書の患者は、ヒトである。
【0116】
本明細書に使用される場合、「投与すること」は、投薬量の化合物(例えば、アンタゴニスト)又は医薬組成物(例えば、アンタゴニストを含む医薬組成物)を対象(例えば、患者)に与える方法を意味する。投与は、非経口、肺内、及び経鼻を含み、及び所望な場合には、局所治療、病変内投与のための任意の好適な手段によるものであってもよい。非経口注入としては、例えば、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が挙げられる。投薬は、一部には投与が一時的であるか長期であるかに応じて、例えば、注射(例えば、静脈内又は皮下注射)による、任意の好適な経路によるものであってもよい。限定されないが、様々な時間点にわたる単回又は複数回の投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含む、様々な投薬スケジュールは、本明細書で企図される。
【0117】
「同時に」という用語は、2つ以上の治療薬剤の投与を指すために本明細書で使用され、投与の少なくとも一部は、時間的に重複している。したがって、同時投与は、1つ以上の薬剤の投与が、1つ以上の他の薬剤の投与を中止した後に継続する場合の投薬計画を含む。
【0118】
「添付文書」という用語は、そのような治療製品の使用に関する適応症、使用、投薬量、投与、併用療法、禁忌、及び/又は警告についての情報を含む、治療製品の市販パッケージに通常含まれる説明書を指すために使用される。
【0119】
「製造物品」は、少なくとも1つの試薬、例えば、本明細書に記載の疾患若しくは障害(例えば、がん)の治療のための医薬、又はバイオマーカー(例えば、CD274遺伝子中の1つ以上の変異)を特異的に検出するためのプローブを含む、任意の製造物(例えば、パッケージ若しくは容器)、又はキットである。特定の実施形態では、製造物又はキットは、本明細書に記載の方法を行うためのユニットとして販売促進され、配布され、又は販売される。
【0120】
「~に基づく」という語句は、本明細書に使用される場合、1つ以上のバイオマーカー(例えば、CD274遺伝子中の1つ以上の変異)についての情報を使用して、治療の決定、添付文書、又は上市/販売促進ガイダンスなどで提供される情報を知らせる。
【0121】
III.方法、システム、及びデバイス
一態様では、抗がん療法を含む治療から利益を受け得るがんを有する個体、又は利益を受け得ないがんを有する個体を特定する方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することを含み、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在が、抗がん療法から利益を受け得る個体として個体を特定する。一部の実施形態では、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在は、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんを有し得る個体として個体を特定する。
【0122】
別の態様では、個体におけるがんの存在又は非存在を検出する方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、(a)個体からの試料におけるがんの存在又は非存在を検出することと、(b)試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在又は非存在を検出することと、を含む。
【0123】
別の態様では、がんを有する個体のための療法を選択する方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することを含み、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在が、抗がん療法から利益を受け得る個体として個体を特定する。一部の実施形態では、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在は、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんを有し得る個体として個体を特定する。
【0124】
別の態様では、がんを有する個体のための1つ以上の治療選択肢を特定する方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出すること、又はその知識を取得することと、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在に少なくとも部分的に基づいて、個体について特定された1つ以上の治療選択肢を含むレポートを生成することであって、1つ以上の治療選択肢が抗がん療法を含む、レポートを生成することと、を含む。一部の実施形態では、レポートは、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんを有し得る個体として個体を特定する。
【0125】
別の態様では、がんを有する個体のための治療を選択するか、又は選択しない方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、がんを有する個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、(i)個体が、抗がん療法による治療を受ける候補として分類されるか、若しくは個体が、抗がん療法による治療を受ける候補として分類されない、かつ/又は(ii)個体が、抗がん療法を含む治療に応答する可能性が高いと特定されるか、若しくは個体が、抗がん療法を含む治療に応答する可能性が低いと特定される。一部の実施形態では、上述の知識の取得に応答して、(i)個体は、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんを有すると分類され、かつ/又は(ii)個体は、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を含む治療に応答する可能性が低いと特定される。
【0126】
別の態様では、がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、がんは、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を含む。一部の実施形態では、本方法は、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識に応答して、有効量の抗がん療法を含む治療を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出すること、又はその知識を取得することを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、有効量の抗がん療法を含む治療を個体に投与することと、を含む。
【0127】
別の態様では、がんを有する個体をモニタリングする方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、個体が、例えば、がんがCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含まない個体と比較して、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に対するがん耐性のリスクが増加していると予測される。
【0128】
別の態様では、がんを有する個体の生存期間を予測する方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、個体が、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤で治療される場合、例えば、がんがCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含まない個体の生存期間と比較して、より短い生存期間を有すると予測される。
【0129】
別の態様では、がんを有する個体を評価する方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、個体が、例えば、がんがCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含まない個体と比較して、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんのリスクが増加していると予測される。
【0130】
別の態様では、がんを有する個体をスクリーニングする方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、個体が、例えば、がんがCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含まない個体と比較して、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんのリスクが増加していると予測される。
【0131】
別の態様では、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤で治療されたがんを有する個体の生存期間を予測する方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、個体が、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤による治療の後に、がんがCD274遺伝子中の1つ以上の変異を示さない個体と比較して、より短い生存期間を有すると予測される。
【0132】
別の態様では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出する方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することを含む。
【0133】
別の態様では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を診断又は評価する方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、CD274遺伝子中の1つ以上の変異の診断/評価を提供することと、を含む。
【0134】
別の態様では、個体における免疫チェックポイント阻害剤耐性がんを診断する方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、任意選択的に、個体における免疫チェックポイント阻害剤耐性がんの診断を提供することと、を含む。
【0135】
別の態様では、(例えば、個体からの試料における)CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出する方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、個体からの試料から得られた複数の核酸を提供することであって、複数の核酸が、CD274遺伝子、又はその一部分をコードする核酸を含む、提供することと、任意選択的に、複数の核酸からの1つ以上の核酸に、1つ以上のアダプターをライゲーションすることと、任意選択的に、複数の核酸から核酸を増幅することと、任意選択的に、CD274遺伝子に対応する複数の核酸を捕捉することと、シーケンサーによって、複数の核酸を配列決定して、CD274遺伝子に対応する複数の配列リードを得ることと、複数の配列リードを分析することと、分析に基づいて、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、を含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子に対応する複数の核酸は、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって、増幅された核酸から捕捉される。一部の実施形態では、本方法は、がんを有する個体からの試料を提供することであって、試料が1つ以上の核酸を含む、提供することと、試料中の1つ以上の核酸から核酸配列決定ライブラリを調製することと、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、上述のライブラリを増幅することと、上述のライブラリにおけるCD274ヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸を選択的に濃縮して、濃縮された試料を生成することと、濃縮された試料を配列決定し、それによって、複数の配列決定リードを生成することと、CD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在について、複数の配列決定リードを分析することと、分析するステップに基づいて、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、を含む。
【0136】
別の態様では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出するための1つ以上のオリゴヌクレオチドの使用(例えば、インビトロでの使用)が本明細書で提供される。
【0137】
別の態様では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出するための1つ以上のオリゴヌクレオチドを含むキット又は製造物品が本明細書で提供される。
【0138】
別の態様では、例えば、個体に投与することによって、がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法において、抗がん療法と、抗がん療法を使用するための説明書を含む添付文書と、を含む、キット又は製造物品であって、個体からCD274遺伝子中に1つ以上の変異を含む試料が得られている、キット又は製造物品が本明細書で提供される。
【0139】
別の態様では、がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法において使用するための抗がん療法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、抗がん療法を個体に投与することを含み、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、個体からの試料において検出されている。
【0140】
別の態様では、例えば、個体において、がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせるための医薬の製造において使用するための抗がん療法であって、個体からCD274遺伝子中に1つ以上の変異を含む試料が得られている、抗がん療法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本方法は、抗がん療法を個体に投与することを含み、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、個体からの試料において検出されている。
【0141】
別の態様では、例えば、メモリと、1つ以上のプロセッサと、を備える、システムが本明細書で提供される。一部の実施形態では、システムは、1つ以上のプログラム命令を格納するように構成されたメモリと、1つ以上のプログラム命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサと、を備え、1つ以上のプログラム命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、(a)1つ以上の核酸の複数の配列リードであって、1つ以上の核酸が、個体から得られた試料に由来する、複数の配列リードを得て、(b)CD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在について、複数の配列リードを分析し、(c)分析に基づいて、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出するように構成されている。
【0142】
別の態様では、コンピュータ可読記憶媒体が本明細書で提供される。一部の実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、方法を実行するための1つ以上のコンピュータプロセッサによって実行可能な1つ以上のプログラムを含み、本方法は、(a)1つ以上のプロセッサを使用して、1つ以上の核酸の複数の配列リードを得ることであって、1つ以上の核酸が、個体から得られた試料に由来する、得ることと、(b)1つ以上のプロセッサを使用して、CD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在について、複数の配列リードを分析することと、(c)1つ以上のプロセッサを使用して、かつ分析することに基づいて、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、を含む。一部の実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的である。一部の実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、一時的である。
【0143】
CD274変異
CD274遺伝子は、染色体9p24.1上に位置し、プログラム死リガンド1(PD-L1)タンパク質をコードする。U.S.National Center for Biotechnology Information(NCBI)及びEuropean Bioinformatics Institute(EMBL-EBI)からのCD274 Matched Annotation(NCBI及びEMBL-EBIからのMatched Annotation:MANE)転写産物(ENST00000381577.4)は、290アミノ酸長であり、免疫グロブリンのV様ドメイン及びC様ドメインを有する1型膜貫通タンパク質をコードする。
【0144】
例示的なCD274遺伝子は、NCBI遺伝子ID番号29126によって表される。例示的なCD274 mRNA配列は、NCBI参照配列NM_014143によって表される。
AGTTCTGCGCAGCTTCCCGAGGCTCCGCACCAGCCGCGCTTCTGTCCGCCTGCAGGGCATTCCAGAAAGATGAGGATATTTGCTGTCTTTATATTCATGACCTACTGGCATTTGCTGAACGCATTTACTGTCACGGTTCCCAAGGACCTATATGTGGTAGAGTATGGTAGCAATATGACAATTGAATGCAAATTCCCAGTAGAAAAACAATTAGACCTGGCTGCACTAATTGTCTATTGGGAAATGGAGGATAAGAACATTATTCAATTTGTGCATGGAGAGGAAGACCTGAAGGTTCAGCATAGTAGCTACAGACAGAGGGCCCGGCTGTTGAAGGACCAGCTCTCCCTGGGAAATGCTGCACTTCAGATCACAGATGTGAAATTGCAGGATGCAGGGGTGTACCGCTGCATGATCAGCTATGGTGGTGCCGACTACAAGCGAATTACTGTGAAAGTCAATGCCCCATACAACAAAATCAACCAAAGAATTTTGGTTGTGGATCCAGTCACCTCTGAACATGAACTGACATGTCAGGCTGAGGGCTACCCCAAGGCCGAAGTCATCTGGACAAGCAGTGACCATCAAGTCCTGAGTGGTAAGACCACCACCACCAATTCCAAGAGAGAGGAGAAGCTTTTCAATGTGACCAGCACACTGAGAATCAACACAACAACTAATGAGATTTTCTACTGCACTTTTAGGAGATTAGATCCTGAGGAAAACCATACAGCTGAATTGGTCATCCCAGAACTACCTCTGGCACATCCTCCAAATGAAAGGACTCACTTGGTAATTCTGGGAGCCATCTTATTATGCCTTGGTGTAGCACTGACATTCATCTTCCGTTTAAGAAAAGGGAGAATGATGGATGTGAAAAAATGTGGCATCCAAGATACAAACTCAAAGAAGCAAAGTGATACACATTTGGAGGAGACGTAATCCAGCATTGGAACTTCTGATCTTCAAGCAGGGATTCTCAACCTGTGGTTTAGGGGTTCATCGGGGCTGAGCGTGACAAGAGGAAGGAATGGGCCCGTGGGATGCAGGCAATGTGGGACTTAAAAGGCCCAAGCACTGAAAATGGAACCTGGCGAAAGCAGAGGAGGAGAATGAAGAAAGATGGAGTCAAACAGGGAGCCTGGAGGGAGACCTTGATACTTTCAAATGCCTGAGGGGCTCATCGACGCCTGTGACAGGGAGAAAGGATACTTCTGAACAAGGAGCCTCCAAGCAAATCATCCATTGCTCATCCTAGGAAGACGGGTTGAGAATCCCTAATTTGAGGGTCAGTTCCTGCAGAAGTGCCCTTTGCCTCCACTCAATGCCTCAATTTGTTTTCTGCATGACTGAGAGTCTCAGTGTTGGAACGGGACAGTATTTATGTATGAGTTTTTCCTATTTATTTTGAGTCTGTGAGGTCTTCTTGTCATGTGAGTGTGGTTGTGAATGATTTCTTTTGAAGATATATTGTAGTAGATGTTACAATTTTGTCGCCAAACTAAACTTGCTGCTTAATGATTTGCTCACATCTAGTAAAACATGGAGTATTTGTAAGGTGCTTGGTCTCCTCTATAACTACAAGTATACATTGGAAGCATAAAGATCAAACCGTTGGTTGCATAGGATGTCACCTTTATTTAACCCATTAATACTCTGGTTGACCTAATCTTATTCTCAGACCTCAAGTGTCTGTGCAGTATCTGTTCCATTTAAATATCAGCTTTACAATTATGTGGTAGCCTACACACATAATCTCATTTCATCGCTGTAACCACCCTGTTGTGATAACCACTATTATTTTACCCATCGTACAGCTGAGGAAGCAAACAGATTAAGTAACTTGCCCAAACCAGTAAATAGCAGACCTCAGACTGCCACCCACTGTCCTTTTATAATACAATTTACAGCTATATTTTACTTTAAGCAATTCTTTTATTCAAAAACCATTTATTAAGTGCCCTTGCAATATCAATCGCTGTGCCAGGCATTGAATCTACAGATGTGAGCAAGACAAAGTACCTGTCCTCAAGGAGCTCATAGTATAATGAGGAGATTAACAAGAAAATGTATTATTACAATTTAGTCCAGTGTCATAGCATAAGGATGATGCGAGGGGAAAACCCGAGCAGTGTTGCCAAGAGGAGGAAATAGGCCAATGTGGTCTGGGACGGTTGGATATACTTAAACATCTTAATAATCAGAGTAATTTTCATTTACAAAGAGAGGTCGGTACTTAAAATAACCCTGAAAAATAACACTGGAATTCCTTTTCTAGCATTATATTTATTCCTGATTTGCCTTTGCCATATAATCTAATGCTTGTTTATATAGTGTCTGGTATTGTTTAACAGTTCTGTCTTTTCTATTTAAATGCCACTAAATTTTAAATTCATACCTTTCCATGATTCAAAATTCAAAAGATCCCATGGGAGATGGTTGGAAAATCTCCACTTCATCCTCCAAGCCATTCAAGTTTCCTTTCCAGAAGCAACTGCTACTGCCTTTCATTCATATGTTCTTCTAAAGATAGTCTACATTTGGAAATGTATGTTAAAAGCACGTATTTTTAAAATTTTTTTCCTAAATAGTAACACATTGTATGTCTGCTGTGTACTTTGCTATTTTTATTTATTTTAGTGTTTCTTATATAGCAGATGGAATGAATTTGAAGTTCCCAGGGCTGAGGATCCATGCCTTCTTTGTTTCTAAGTTATCTTTCCCATAGCTTTTCATTATCTTTCATATGATCCAGTATATGTTAAATATGTCCTACATATACATTTAGACAACCACCATTTGTTAAGTATTTGCTCTAGGACAGAGTTTGGATTTGTTTATGTTTGCTCAAAAGGAGACCCATGGGCTCTCCAGGGTGCACTGAGTCAATCTAGTCCTAAAAAGCAATCTTATTATTAACTCTGTATGACAGAATCATGTCTGGAACTTTTGTTTTCTGCTTTCTGTCAAGTATAAACTTCACTTTGATGCTGTACTTGCAAAATCACATTTTCTTTCTGGAAATTCCGGCAGTGTACCTTGACTGCTAGCTACCCTGTGCCAGAAAAGCCTCATTCGTTGTGCTTGAACCCTTGAATGCCACCAGCTGTCATCACTACACAGCCCTCCTAAGAGGCTTCCTGGAGGTTTCGAGATTCAGATGCCCTGGGAGATCCCAGAGTTTCCTTTCCCTCTTGGCCATATTCTGGTGTCAATGACAAGGAGTACCTTGGCTTTGCCACATGTCAAGGCTGAAGAAACAGTGTCTCCAACAGAGCTCCTTGTGTTATCTGTTTGTACATGTGCATTTGTACAGTAATTGGTGTGACAGTGTTCTTTGTGTGAATTACAGGCAAGAATTGTGGCTGAGCAAGGCACATAGTCTACTCAGTCTATTCCTAAGTCCTAACTCCTCCTTGTGGTGTTGGATTTGTAAGGCACTTTATCCCTTTTGTCTCATGTTTCATCGTAAATGGCATAGGCAGAGATGATACCTAATTCTGCATTTGATTGTCACTTTTTGTACCTGCATTAATTTAATAAAATATTCTTATTTATTTTGTTACTTGGTACACCAGCATGTCCATTTTCTTGTTTATTTTGTGTTTAATAAAATGTTCAGTTTAACATCCCA(配列番号1)。
【0145】
例示的なPD-L1ポリペプチドは、NCBIタンパク質ID番号NP_054862.1によって表される。例示的なPD-L1アミノ酸配列は、NCBI参照配列NP_054862.1によって表される。
MRIFAVFIFMTYWHLLNAFTVTVPKDLYVVEYGSNMTIECKFPVEKQLDLAALIVYWEMEDKNIIQFVHGEEDLKVQHSSYRQRARLLKDQLSLGNAALQITDVKLQDAGVYRCMISYGGADYKRITVKVNAPYNKINQRILVVDPVTSEHELTCQAEGYPKAEVIWTSSDHQVLSGKTTTTNSKREEKLFNVTSTLRINTTTNEIFYCTFRRLDPEENHTAELVIPELPLAHPPNERTHLVILGAILLCLGVALTFIFRLRKGRMMDVKKCGIQDTNSKKQSDTHLEET(配列番号2)。
【0146】
本開示の特定の態様は、CD274遺伝子中の1つ以上の変異の検出に関する。
【0147】
一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、1つ以上のヌクレオチドの置換、1つ以上のヌクレオチドの挿入、又は1つ以上のヌクレオチドの欠失のうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、ミスセンス変異、トランケーション、ナンセンス変異、スプライス部位変異、挿入/欠失(例えば、インデル)、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、2つ以上のミスセンス変異(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45,46、47、48、49、50個、又はそれより多いミスセンス変異のうちのいずれか)を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、1つ以上のミスセンス変異及びトランケーションを含む。一部の実施形態では、トランケーション変異は、ナンセンス変異、終止コドンのためのコドンの置換、フレームシフト変異、又はインデルである。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、ゲノム再配列、プロモーターにおける変更、遺伝子融合、又はコピー数の変更のうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、遺伝子コピー数の変更を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、遺伝子増幅を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、遺伝子欠失、例えば、遺伝子全体の欠失、又は遺伝子の一部分の欠失を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、点変異を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、一塩基多型を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、遺伝子のエクソン及び/又はイントロン中の1つ以上の変異を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、非同義変異を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、機能獲得変異、例えば、活性化変異を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、機能喪失変異、例えば、不活性化変異を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、フレームシフトを引き起こす。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、未成熟終止コドンを引き起こす。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、機能変更を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、遺伝子によってコードされるポリペプチド又はタンパク質の機能を変更する変異を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、複雑な挿入を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、複雑な欠失を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、スプライス部位中の変異を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、遺伝子によってコードされるmRNA分子のスプライシングを変更する。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、1つ以上のヌクレオチドの挿入を含む。一部の実施形態では、挿入は、約1~約5個のヌクレオチド、約5~約10個のヌクレオチド、約10~約20個のヌクレオチド、約20~約30個のヌクレオチド、約30~約40個のヌクレオチド、又は約40~約50個のヌクレオチドの挿入を含む。一部の実施形態では、挿入は、約50~約100個のヌクレオチド、約100~約200個のヌクレオチド、約200~約300個のヌクレオチド、約300~400個のヌクレオチド、約400~約500個のヌクレオチド、約500~約600個のヌクレオチド、約600~約700個のヌクレオチド、約700~約800個のヌクレオチド、約800~約900個のヌクレオチド、又は約900~約1000個のヌクレオチドの挿入を含む。一部の実施形態では、挿入は、約1000~約1500個のヌクレオチド、約1500~約2000個のヌクレオチド、約2000~約2500個のヌクレオチド、約2500~約3000個のヌクレオチド、約3000~約3500個のヌクレオチド、約3500~約4000個のヌクレオチド、約4000~約4500個のヌクレオチド、約4500~約5000個のヌクレオチド、約5000~約5500個のヌクレオチド、約5500~約6000個のヌクレオチド、約6000~約6500個のヌクレオチド、約6500~約7000個のヌクレオチド、約7000~約7500個のヌクレオチド、約7500~約8000個のヌクレオチド、約8000~約8500個のヌクレオチド、約8500~約9000個のヌクレオチド、約9000~約9500個のヌクレオチド、又は約9500~約10000個のヌクレオチドの挿入を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、1つ以上のヌクレオチドの欠失を含む。一部の実施形態では、欠失は、約1~約5個のヌクレオチド、約5~約10個のヌクレオチド、約10~約20個のヌクレオチド、約20~約30個のヌクレオチド、約30~約40個のヌクレオチド、又は約40~約50個のヌクレオチドの欠失を含む。一部の実施形態では、欠失は、約50~約100個のヌクレオチド、約100~約200個のヌクレオチド、約200~約300個のヌクレオチド、約300~400個のヌクレオチド、約400~約500個のヌクレオチド、約500~約600個のヌクレオチド、約600~約700個のヌクレオチド、約700~約800個のヌクレオチド、約800~約900個のヌクレオチド、又は約900~約1000個のヌクレオチドの欠失を含む。一部の実施形態では、欠失は、約1000~約1500個のヌクレオチド、約1500~約2000個のヌクレオチド、約2000~約2500個のヌクレオチド、約2500~約3000個のヌクレオチド、約3000~約3500個のヌクレオチド、約3500~約4000個のヌクレオチド、約4000~約4500個のヌクレオチド、約4500~約5000個のヌクレオチド、約5000~約5500個のヌクレオチド、約5500~約6000個のヌクレオチド、約6000~約6500個のヌクレオチド、約6500~約7000個のヌクレオチド、約7000~約7500個のヌクレオチド、約7500~約8000個のヌクレオチド、約8000~約8500個のヌクレオチド、約8500~約9000個のヌクレオチド、約9000~約9500個のヌクレオチド、又は約9500~約10000個のヌクレオチドの欠失を含む。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、遺伝子によってコードされるポリペプチド又はタンパク質中の1つ以上のアミノ酸残基の置換、挿入、又は欠失を引き起こす。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、遺伝子によってコードされるポリペプチド又はタンパク質中の1つ以上のアミノ酸残基の置換を引き起こす。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、遺伝子によってコードされるポリペプチド又はタンパク質中の1つ以上のアミノ酸残基の欠失を引き起こす。一部の実施形態では、1つ以上の変異は、遺伝子によってコードされるポリペプチド又はタンパク質中の1つ以上のアミノ酸残基の挿入を引き起こす。
【0148】
一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチドと1つ以上のPD-L1リガンド(例えば、PD-1受容体又はB7-1)との間の相互作用を低下させる。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチドとPD-1受容体との間の相互作用を低下させる。
【0149】
一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチドの活性を低下させる。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、免疫チェックポイント阻害剤耐性がんを引き起こす。
【0150】
例示的かつ非限定的なCD274遺伝子変異としては、表1に列挙されるものが挙げられる。
【表2-1】
【表2-2】
【0151】
一部の実施形態では、1つ以上のCD274変異は、表1~4及び6のいずれかに提供される変異のうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、1つ以上のCD274変異は、本明細書で実施例1に提供される変異のうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、1つ以上のCD274変異は、本明細書で
図2又は
図4Bに提供される変異のうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、1つ以上のCD274変異は、CD274遺伝子又はその一部分と別の遺伝子(又はその一部分)との融合を含む。一部の実施形態では、1つ以上のCD274変異は、CD274遺伝子又はその一部分とPLGRKT遺伝子、又はその一部分との融合を含む(すなわち、CD274-PLGRKT融合)。一部の実施形態では、1つ以上のCD274変異は、CD274遺伝子内再配列を含む。
【0152】
一部の実施形態では、1つ以上のCD274変異は、体細胞変異である。一部の実施形態では、1つ以上のCD274変異は、生殖細胞系列変異である。CD274変異が、生殖細胞系列変異であるか、又は体細胞変異であるかは、当該技術分野で既知の任意の好適な技術を使用して、例えば、体細胞生殖細胞系列接合性(Somatic Germline Zygosity、SGZ)バイオインフォマティクスアルゴリズムを使用して、評価され得る。例えば、Sun et al.,PLOS Computational Biology(2018)14(2):e1005965を参照されたい。
【0153】
一部の実施形態では、1つ以上のCD274変異は、クローン変異である。一部の実施形態では、1つ以上のCD274変異は、サブクローン変異である。一部の実施形態では、CD274変異のクローン性は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法を使用して評価される。一部の実施形態では、試料(例えば、がんを有する個体から得られた試料、例えば、がん若しくは腫瘍から得られた試料)において、腫瘍細胞の50%未満が、例えば、変異アレル頻度(VAF)及び/又は病的な腫瘍細胞の純度概算値及び/又は計算上の腫瘍細胞の純度概算値に基づいて、CD274変異を含むか、又はそれを有すると予測される場合に、CD274変異は、サブクローン変異であると決定される。
【0154】
一部の実施形態では、1つ以上のCD274変異は、R260H、R260C、R125Q、R86W、R113H、D215H、R140I、R140T、H233Y、A18T、R86Q、E223K、P24S、M266I、Y112C、S169N、A163V、G245E、E217Q、A232G、D284A、A85V、G177S、K280N、T290A、A52V、E158K、H220Y、K105Q、P235S、Q83H、S184F、R262I、E187Q、E217K、Q139R、K25N、M36I、Q173E、E205Q、D61N、F207L、G177D、K129N、D276Y、G119D、N183S、P146L、P43S、R140K、A232T、A232V、E187D、E289D、G95E、M1I、P230S、R265T、A109V、A5V、F9L、Q156H、R262K、R265K、W13C、A232S、P216S、S79N、T148A、D268N、G264E、M10I、P227S、R212K、E150K、G110R、K185N、L231V、P146S、S169C、D145Y、E237K、E58K、L16P、L229P、N135S、A132V、G95R、I258M、I274M、R113C、S279L、V253I、E218K、E188K、E223Q、E288Q、F67C、K75T、L241F、Q173H、Q47E、T179I、T201I、V193M、V21L、W57G、Y208C、D122N、D268H、D61Y、E71Q、G119S、G70A、H78R、K178E、L27I、N131I、P235L、Q107K、S169R、T210S、V21A、V242I、A157T、D284N、E164Q、L244M、L249V、Q66E、R2M、V165A、D268G、D26G、E288G、I8K、K62N、L142F、P133L、P133S、P216L、P43Q、T285I、V174G、V174I、V174L、V6I、A85T、C209Y、D103Y、D276N、E39K、E39Q、F257L、I8V、K75N、L106F、M59I、R198K、V143A、V147A、V30A、D108N、D122Y、D73N、D90Y、G159C、G177C、H14Y、I38T、L190F、L53P、R238K、T221A、V29M、V68E、V76F、C272Y、D171G、E188V、E71K、H69N、K25R、L92H、T196A、T221I、V242A、A51V、A97V、A98T、E45K、E45Q、F257C、H69R、P161L、P216H、Q139E、Q91H、S80R、T181A、T256S、V23F、V68A、Y160H、D90A、E152Q、E158V、E288K、E31G、F4S、G245A、G245V、G252D、G264V、G70R、I126F、I126L、I199V、I38M、I3T、K162N、K189Q、L197P、L244V、L50V、L94Q、N135D、N183D、N192I、P161S、P24A、Q275R、R113S、R238T、R265G、R82K、S283T、V111L、V253G、V269M、P234S、Q47R、R186G、R198T、R212I、S176G、T102I、T20A、T37K、V174A、V174D、Y28S、A121V、A222V、A246V、D215Y、D49G、D61V、E288D、F211C、G252C、G264R、H240L、I166V、I65M、K25M、K89N、L16R、L190I、L255R、L53I、M59T、N236D、P227A、P234R、Q100R、Q156E、Q83R、R2K、S195I、T154I、T182P、T22S、V128L、V130L、V174F、Y12F、Y32C、Y56C、C209F、C209S、D171N、D276E、I206M、I206T、I226L、I226M、I243V、K136E、M115L、N200S、N204I、N219T、N236I、N96S、P227T、Q100H、Q282R、Q91E、R198G、R262G、R2W、T203S、V143I、V44A、V55F、V68M、Y123H、A51D、A85S、A98V、C250G、C272R、D284Y、D49N、E152K、E158G、E188D、E218Q、G119V、I64V、K124N、K46R、L248S、L287V、M10T、M10V、M36T、M36V、N131K、N138T、N17D、N200D、N219I、N236H、S79G、T194A、T285S、W167C、W57S、Y118F、Y134C、A18S、A222G、A232P、A97T、C114Y、C250Y、D215N、E150G、E31A、F211L、G252S、G264W、H172Y、H240P、I258F、I64M、I64T、K281N、L190R、L249S、L251F、N131H、N138H、N138K、N35D、P43A、S195R、T127A、T180I、T202I、T202R、T239S、T37A、V23I、V29G、D145E、D61H、D73H、E164A、E187V、E237Q、F7L、G159R、H240Y、I141V、N35K、N96H、N96Y、P230L、P230T、R125L、S184P、S195N、T181I、T203A、T203I、T285A、V143F、V76I、A246D、D122E、D145H、E187K、E205K、E223V、E228V、E31K、F211I、F259L、G177V、G273D、H151L、H69L、I126S、I166L、I243T、I54L、K189E、K271N、K280Q、L190V、L231M、L244P、L255M、L50M、L53R、L88F、M115T、M267I、N204K、N35H、N63Y、P234F、P43L、R186K、R213K、R2G、R82I、A157S、A51S、D103N、D26N、D90E、E158Q、E58G、F67I、H151R、H172Q、H220D、I3M、K162R、K185E、K263E、L142W、L261F、N183H、P234T、Q156K、R113L、R186T、R212T、R265I、S149Y、T154S、T285P、V165L、Y81H、A132D、A254G、A5D、D103H、D145N、D26Y、D276H、D61E、E188Q、E228G、E60Q、G110E、G33C、G70E、H14R、H172P、H69Y、H78Y、I101T、I141M、I258V、K162Q、K189M、L16M、L197R、L255Q、L48S、M267T、M1?、又はN131Sから選択される1つ以上のミスセンス変異を含む。あるいは、又はこれに加えて、一部の実施形態では、1つ以上のCD274変異は、C272fs*13、K271fs*44、R125*、Q77*、E152*、E217*、Q66*、E39*、R265fs*2、S279*、A85fs*66、W13*、E188fs*7、E150*、K46fs*3、P133fs*21、R213*、W57*、F211fs*4、L251fs*30、Y134*、P146*、Q173*、W167*、D90fs*10、E158fs*15、F207fs*8、N183fs*22、Q107*、L142fs*12、R140*、R186*、T127fs*3、*291Qext*42、C40fs*5、D145fs*8、E188fs*12、G264fs*21、N192fs*13、*291Sext*42、A85fs*5、F7fs*27、K41*、Q100*、Q66fs*13、E237*、E71*、H151fs*3、Q275*、T290fs*3+,*291Yext*42、I199fs*16、L241*、L106*、又はF9fs*27から選択される1つ以上のトランケーション変異を含む。あるいは、又はこれに加えて、一部の実施形態では、1つ以上のCD274変異は、スプライス部位791-1G>A、スプライス部位791-1G>T、スプライス部位52+2T>C、スプライス部位683-1G>A、スプライス部位394+1G>A、スプライス部位630_682+272del325、スプライス部位682+1G>A、スプライス部位790+1G>A、スプライス部位683-2A>C、スプライス部位53-49_82del79、スプライス部位790+1G>T、スプライス部位851-1G>C、スプライス部位683-1G>T、スプライス部位52+1G>A、スプライス部位791-1G>C、スプライス部位394+2T>A、又はスプライス部位790+1_790+4delGTAGから選択される1つ以上のスプライス部位変異を含む。あるいは、又はこれに加えて、一部の実施形態では、1つ以上のCD274変異は、T203del、R213del、E31_Y32insFTVTVPKDLYVVE、K41_E45>R、又はT290_T290>?から選択される1つ以上の挿入/欠失を含む。
【0155】
一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、例えば、1つ以上の変異を含むがん、がん細胞、腫瘍又は腫瘍細胞において、PD-L1タンパク質の低い発現、PD-L1タンパク質の発現が起こらない、又はPD-L1タンパク質の高い発現を生じさせる。一部の実施形態では、PD-L1タンパク質発現は、個体(例えば、がんを有する個体)から得られた試料における免疫組織化学アッセイを使用して評価される。一部の実施形態では、PD-L1タンパク質発現は、腫瘍細胞において評価される。一部の実施形態では、がんにおける(例えば、がん又は腫瘍からの試料における)PD-L1タンパク質の低い発現は、1%~49%の腫瘍割合スコア(TPS)に基づいて評価される。一部の実施形態では、がんにおける(例えば、がん又は腫瘍からの試料における)PD-L1タンパク質の高い発現は、50%以上の腫瘍割合スコア(TPS)に基づいて評価される。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、トランケーション変異を含む。一部の実施形態では、トランケーション変異は、クローン変異又はサブクローン変異である。PD-L1タンパク質発現及びPD-L1タンパク質発現を評価する方法についての更なる情報は、本明細書で以下に提供される。
【0156】
PD-L1タンパク質の低い発現を生じさせる例示的かつ非限定的なCD274遺伝子変異は、表2に列挙されるものを含む。
【表3-1】
【表3-2】
【0157】
PD-L1タンパク質の発現が起こらない例示的かつ非限定的なCD274遺伝子変異は、表3に列挙されるものを含む。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0158】
PD-L1タンパク質の高い発現を生じさせる例示的かつ非限定的なCD274遺伝子変異は、表4に列挙されるものを含む。
【表5】
【0159】
一部の実施形態では、PD-L1タンパク質の低い発現を生じさせるCD274遺伝子中の1つ以上の変異は、A18T、A254G、D61Y、E187Q、F9L、H78R、I166L、K162Q、L50V、P43A、P43Q、Q83H、R125Q、R260H、T290A、V21L、V6I、E152*、K271fs*44、V242I、P216H、A109V、A163V、D284N、E188Q、I199V、M1I、P230S、R140T、S195R、T181I、T37K、R125*、S279*、L197P、M266I、P43L、Y32C、E223K、L92H、E217*、E187D、D122N、E223K、P235L、スプライス部位790+1_790+4delGTAG、T203del、又はK25Rのうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、PD-L1タンパク質の発現が起こらないCD274遺伝子中の1つ以上の変異は、A157S、A18S、A18T、A232S、A85S、A85V、A97V、C272Y、D145Y、D171G、D171N、D215H、D276E、E187D、E187V、E217K、E217Q、E228G、E228V、E237K、E71Q、F211C、F257L、G110E、G177D、G177S、G177V、G245V、G252S、G264W、H14Y、H151L、H172Y、H220Y、H233Y、I126S、I243T、I8K、K105Q、K178E、K25N、K280N、L142F、L190V、M1I、M59I、N135S、N183S、N200D、N96S、N96Y、P133S、P146S、P24S、Q100R、Q107K、Q156H、Q173E、Q173H、Q275R、Q83H、R113H、R125Q、R140I、R198T、R212K、R260C、R260H、R2M、R82I、R86W、T180I、T196A、T201I、T37A、V130L、V143A、V21A、V253I、V30A、V6I、V76F、W57G、Y112C、Y134C、Y160H、Y28S、Y81H、*291Yext*42、C272fs*13、D90fs*10、E152*、E188fs*12、F7fs*27、K271fs*44、K41*、P133fs*21、Q107*、Q77*、R125*、R265fs*2、Y134*、スプライス部位683-1G>A、スプライス部位790+1G>T、スプライス部位791-1G>A、スプライス部位791-1G>T、E31_Y32insFTVTVPKDLYVVE、I141M、F9L、K189M、又はE188Kのうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、PD-L1タンパク質の高い発現を生じさせるCD274遺伝子中の1つ以上の変異は、E205Q、E237K、E58K、I206M、K105Q、M267I、P216S、P234R、Q107K、W13C、A222V、E218K、P24A、R186T、I258V、I38M、T148A、V147A、Q66fs*13、スプライス部位53-49_82del79、R198K、E150*、E223K、I64T、K75T、Q156K、T182P、R140T、Y160H、E150G、C209S、又はK105Qのうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、トランケーション変異を含む。一部の実施形態では、トランケーション変異は、クローン変異又はサブクローン変異である。
【0160】
一部の実施形態では、本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異の検出は、インビトロで行われる。
【0161】
本開示のがん
一部の実施形態では、本開示のがんは、がん腫、肉腫、リンパ腫、白血病、骨髄腫、胚細胞がん、又は芽細胞腫である。一部の実施形態では、がんは、固形腫瘍である。一部の実施形態では、がんは、血液悪性腫瘍である。
【0162】
本開示の1つ以上のCD274変異を含み得るがんの例示的かつ非限定的な例としては、肺がん(例えば、非小細胞肺がん(NSCLC))、腎臓がん(例えば、腎臓尿路上皮がん)、膀胱がん(例えば、膀胱尿路上皮(移行細胞)がん)、乳がん、結腸直腸がん(例えば、結腸腺がん)、卵巣がん、膵臓がん、胃がん、食道がん、中皮腫、黒色腫(例えば、皮膚黒色腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん(HNSCC))、甲状腺がん、肉腫(例えば、軟部組織肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、骨の肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、血管肉腫、内皮肉種(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、平滑筋肉腫、又は横紋筋肉腫)、前立腺がん、膠芽腫、子宮頸部がん、胸腺がん、白血病(例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好酸球性白血病、又は慢性リンパ性白血病(CLL))、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫(NHL))、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫(MM))、菌状息肉症、メルケル細胞がん、血液悪性腫瘍、血液組織のがん、B細胞がん、気管支がん、胃がん、脳若しくは中枢神経系のがん、末梢神経系がん、子宮体がん若しくは子宮内膜がん、口腔若しくは咽頭のがん、肝臓がん、精巣がん、胆管がん、小腸若しくは虫垂がん、唾液腺がん、副腎がん、腺がん、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、結腸がん、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性障害(MPD)、真性多血症、骨脊索腫、滑膜腫、ユーイング腫瘍、扁平上皮がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、皮脂腺がん、乳頭がん、乳頭腺がん、髄様がん、気管支がん、腎細胞がん、肝臓がん、胆管腺がん、絨毛がん、セミノーマ、胎児性がん、ウィルムス腫瘍、膀胱がん、上皮がん、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫瘍、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、髄膜腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝細胞がん、甲状腺がん、小細胞がん、本態性血小板血症、特発性骨髄化生、好酸球増多症候群、全身性マスト細胞症、家族性過好酸球増多症、神経内分泌がん、又はカルチノイド腫瘍が挙げられる。
【0163】
本開示の1つ以上のCD274変異を含み得るがんの更なる例示的かつ非限定的な例としては、急性Bリンパ芽球性白血病-リンパ腫(B-ALL)、急性白血病(NOS)、急性リンパ芽球性白血病-リンパ腫(ALL)(NOS)、急性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病(AML)(NOS)、急性tリンパ芽球性白血病-リンパ腫(T-ALL)副腎皮質がん、副腎神経芽腫、乳頭部腺がん、肛門黒色腫、肛門扁平上皮がん(SCC)、虫垂腺がん、虫垂杯細胞カルチノイド(GCC)、虫垂粘液性新生物、B細胞新生物(NOS)、胆管腺がん、膀胱腺がん、膀胱がん(NOS)、膀胱小細胞がん、膀胱扁平上皮がん(SCC)、膀胱尿路上皮(移行細胞)がん、膀胱尿路上皮がん、骨の軟骨肉腫、骨脊索腫、骨髄不全(NOS)、骨の骨肉腫、脳退形成星細胞腫、脳退形成乏突起神経膠腫、脳星細胞腫、脳星細胞腫毛様細胞性、脳上衣腫、脳神経節膠腫、脳膠芽腫(GBM)、脳神経膠腫、脳神経膠腫(NOS)、脳膠肉腫、脳髄芽腫、脳髄芽腫、脳乏突起神経膠腫、乳房血管肉腫、乳がん、乳がん(NOS)、
乳房浸潤性乳管がん(IDC)、乳房浸潤性小葉がん(ILC)、乳化生がん、子宮頸部腺がん、子宮頸部神経内分泌がん、子宮頸部扁平上皮がん(SCC)、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸腺がん、結腸腺がん(CRC)、結腸神経内分泌がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)(NOS)、十二指腸腺がん、食道腺がん、食道がん(NOS)、食道神経内分泌がん、食道扁平上皮がん(SCC)、眼球内黒色腫、卵管腺がん、卵管がん肉腫、卵管漿液性がん、濾胞性リンパ腫、胆嚢腺がん、胆嚢腺がん、胃食道接合部腺がん、頭頸部腺様嚢胞がん、頭頸部がん(NOS)、頭頸部黒色腫、頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)、腎臓がん(NOS)、腎臓淡明細胞がん、腎細胞がん、腎臓乳頭状がん、腎臓肉腫様がん、腎臓尿路上皮がん、腎臓ウィルムス腫瘍、ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)、肝臓細胆管細胞がん、肝細胞がん(HCC)、肺腺がん、肺腺様嚢胞がん、肺腺扁平上皮がん、肺非定型カルチノイド、肺大細胞がん、肺大細胞神経内分泌がん、肺非小細胞肺がん、肺非小細胞肺がん(NSCLC)(NOS)、肺肉腫様がん、肺小細胞未分化がん、肺扁平上皮がん(SCC)、リンパ形質細胞性リンパ腫-ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成症候群(MDS)(NOS)、骨髄異形成-骨髄増殖性新生物(MDS-MPN)(NOS)、骨髄増殖性新生物、骨髄増殖性新生物(MPN)(NOS)、鼻咽頭及び副鼻腔の扁平上皮がん(SCC)、鼻咽頭及び副鼻腔の未分化がん、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫(NOS)、卵巣がん混合組織型、卵巣がん肉腫、卵巣淡明細胞がん、卵巣類内膜腺がん、卵巣上皮がん、卵巣顆粒膜細胞腫瘍、卵巣高グレード漿液性がん、卵巣低グレード漿液性がん、卵巣粘液性がん、卵巣漿液性がん、膵腺房細胞がん、膵臓腺扁平上皮がん、膵臓がん(NOS)、膵管腺がん、膵島細胞腫瘍、膵胆がん、パラガングリオーマ、陰茎扁平上皮がん(SCC)、腹膜腺がん、腹膜中皮腫、腹膜漿液性がん、胸膜中皮腫、前立腺腺房腺がん、前立腺導管腺がん、前立腺神経内分泌がん、前立腺未分化がん、前立腺未分化がん、直腸腺がん、直腸腺がん(CRC)、直腸扁平上皮がん(SCC)、横紋筋肉腫(NOS)、唾液腺腺房細胞腫瘍、唾液腺腺がん、唾液腺腺様嚢胞がん、唾液腺がん(NOS)、唾液腺導管がん、唾液腺粘表皮がん、皮膚付属器がん、皮膚付属器がん、皮膚基底細胞がん、皮膚黒色腫、皮膚メルケル細胞がん、皮膚扁平上皮がん(SCC)、小腸腺がん、小腸カルチノイド、小腸の消化管間質腫瘍、小腸神経内分泌がん、軟部組織血管肉腫、軟部組織軟骨肉腫、軟部組織線維形成性小円形細胞腫瘍、軟部組織ユーイング肉腫、軟部組織線維腫症、軟部組織線維肉腫、軟部組織平滑筋肉腫、軟部組織脂肪肉腫、軟部組織悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟部組織粘液線維肉腫、軟部組織胞巣状横紋筋肉腫、軟部組織胎児性横紋筋肉腫、軟部組織肉腫、軟部組織肉腫(NOS)、軟部組織肉腫未分化、軟部組織孤立性線維性腫瘍、軟部組織滑膜肉腫、胃腺がん(NOS)、胃腺がんびまん型、胃腺がん腸型、胃の消化管間質腫瘍、T細胞新生物(NOS)、精巣胚細胞腫瘍(非セミノーマ)、胸腺がん、胸腺の胸腺腫(NOS)、甲状腺退形成がん、甲状腺がん、甲状腺がん(NOS)、甲状腺濾胞性がん、甲状腺髄様がん、甲状腺乳頭がん、原発巣不明(NOS)、原発巣不明の腺がん、原発巣不明の腺様嚢胞がん、原発巣不明のカルチノイド、原発巣不明のがん腫、原発巣不明のがん腫(CUP)(NOS)、原発巣不明の消化管間質腫瘍、原発巣不明の平滑筋肉腫、原発巣不明の黒色腫、原発巣不明の神経内分泌がん、原発巣不明の神経内分泌腫瘍、原発巣不明の肉腫、原発巣不明の肉腫様がん、原発巣不明の漿液性がん、原発巣不明の扁平上皮がん(SCC)、原発巣不明の未分化神経内分泌がん、原発巣不明の未分化小細胞がん、原発巣不明の尿路上皮がん、尿管尿路上皮がん、子宮体内膜腺がん、子宮がん肉腫、子宮内膜腺がん、子宮内膜腺がん(NOS)、子宮内膜腺がん淡明細胞、子宮内膜腺がん類内膜、子宮内膜腺がん混合組織型、子宮内膜腺がん子宮体部漿液性、子宮内膜間質肉腫、子宮平滑筋肉腫、子宮肉腫(NOS)、膣扁平上皮がん(SCC)、及び外陰扁平上皮がん(SCC)が挙げられる。
【0164】
本開示の1つ以上のCD274変異を含み得るがんの更なる例示的かつ非限定的な例としては、表5に列挙されるものが挙げられる。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【0165】
一部の実施形態では、がんは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、皮膚扁平上皮がん、子宮内膜腺がん、原発巣不明の黒色腫、又は皮膚黒色腫である。
【0166】
一部の実施形態では、がんは、皮膚がんである。一部の実施形態では、がんは、10変異/メガベース(mut/Mb)以上の腫瘍変異負荷(TMB)を含む。一部の実施形態では、がん、例えば、皮膚がんは、高いTMBを含み、例えば、少なくとも約100mut/Mb、少なくとも約110mut/Mb、少なくとも約120mut/Mb、少なくとも約130mut/Mb、少なくとも約140mut/Mb、少なくとも約150mut/Mb、又はそれより大きいTMBを含む。一部の実施形態では、皮膚がんは、皮膚扁平上皮がん、皮膚黒色腫、又は原発巣不明の黒色腫である。TMBを評価する方法は、当該技術で既知であり、以下に記載される。
【0167】
一部の実施形態では、がんは、高頻度マイクロサテライト不安定性状態(MSI)を含む。一部の実施形態では、がんは、低頻度マイクロサテライト不安定性状態(MSI)を含む。一部の実施形態では、がんは、非漿液性子宮内膜腺がんであり、例えば、高MSI(MSI-H)を含む。一部の実施形態では、がんは、マイクロサテライト安定性である。例えば、限定されないが、次世代配列決定(例えば、Hempelmann et al.,J Immunother Cancer(2018)6(1):29を参照されたい)、蛍光多重PCR及びキャピラリー電気泳動(例えば、Arulananda et al.,J Thorac Oncol(2018)13(10):1588-94を参照されたい)、免疫組織化学(例えば、Cheah et al.,Malays J Pathol(2019)41(2):91-100を参照されたい)、又は単分子分子反転プローブ(smMIP、例えば、Waalkes et al.,Clin Chem(2018)64(6):950-8を参照されたい)を含む、MSI又はマイクロサテライト安定性を評価するための任意の好適な方法を使用してもよい。一部の実施形態では、MSIは、最大約114個の遺伝子座のDNA配列決定(例えば、次世代配列決定)に基づいて評価される。
【0168】
一部の実施形態では、本開示のがんは、転移性がんである。
【0169】
一部の実施形態では、本開示のがんは、表6に列挙されるがんであり、表6に列挙される対応するCD274変異を含む。
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表7-5】
【表7-6】
【0170】
CD274の検出
本開示の特定の態様は、試料(例えば、患者試料)における本開示のCD274遺伝子中の1つ以上の変異の検出に関する。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、インビトロで検出される。本開示のCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出するための方法は、当該技術分野で既知である。例えば、一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、例えば、DNA、RNA、又はcDNAの次世代配列決定又は他の配列決定によって、CD274遺伝子の一部分又は全てを配列決定することによって検出される。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、DNA、RNA、又はcDNAのPCR増幅によって検出される。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、CD274遺伝子座にハイブリダイズする1つ以上のポリヌクレオチド、又はその再配列/融合を使用して、例えば、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を使用して、インサイチュハイブリダイゼーションによって検出される。一部の実施形態では、CD274遺伝子中の1つ以上の変異は、例えば、腫瘍生検又は他の腫瘍標本からのがん細胞において、例えば、腫瘍組織を使用して、検出される。腫瘍試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出するための例示的かつ非限定的な方法は、本明細書に記載される。
【0171】
また、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子、例えば、DNA(例えば、cDNA、ゲノムDNA若しくはその断片)、又はRNA(例えば、mRNA)が本明細書で提供される。
【0172】
また、本開示の1つ以上の変異を含み、及び/又は本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子によってコードされる、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその断片が本明細書で提供される。
【0173】
また、例えば、患者試料において、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子を検出する方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子は、インビトロで検出される。本開示の核酸分子を検出するための方法は、当該技術分野で既知である。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子は、例えば、DNA、RNA、又はcDNAの次世代配列決定又は他の配列決定によって、核酸分子の一部分又は全てを配列決定することによって検出される。一部の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子は、DNA、RNA、又はcDNAのPCR増幅によって検出される。一部の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子は、核酸分子にハイブリダイズする1つ以上のポリヌクレオチドを使用して、例えば、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を使用して、インサイチュハイブリダイゼーションによって検出される。一部の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子は、例えば、腫瘍組織を使用して、例えば、腫瘍生検又は他の循環腫瘍細胞からのがん細胞において検出される。本開示の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子を検出するための例示的かつ非限定的な方法は、本明細書で提供される。
【0174】
また、例えば、本開示の1つ以上の変異を含む、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその断片を検出する方法が本明細書で提供される。本明細書で提供されるPD-L1ポリペプチド、又はその断片(例えば、本開示の1つ以上の変異を含むもの)は、例えば、個体から得られた試料において、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して、例えば、抗体(例えば、本明細書に記載の抗体)、質量分析法(例えば、タンデム質量分析法)、レポーターアッセイ(例えば、蛍光ベースのアッセイ)、ウエスタンブロットなどのイムノブロット、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などのイムノアッセイ、免疫組織化学、他の免疫学的アッセイ(例えば、流体若しくはゲルの沈降素反応、免疫拡散、免疫電気泳動、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫蛍光アッセイ)、及び分析生物化学方法(例えば、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、超拡散クロマトグラフィー(hyperdiffusion chromatography))を使用して検出されるか、又は測定され得る。
【0175】
一部の実施形態では、例えば、本開示の1つ以上の変異を含む、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその断片は、参照タンパク質又はポリペプチドと比較して、変異体タンパク質又はポリペプチド(例えば、本開示の1つ以上の変異を含む、例えば、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその断片)と差次的に反応する抗体又は抗体断片を用いて、参照ポリペプチド、例えば、非変異体又は野生型PD-L1タンパク質又はポリペプチドから区別することができる。一部の実施形態では、例えば、本開示の1つ以上の変異を含む、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその断片は、検出試薬、例えば、基質、例えば、触媒活性の基質との反応によって、参照ポリペプチド、例えば、非変異体又は野生型PD-L1タンパク質又はポリペプチドから区別することができる。
【0176】
一部の態様では、例えば、本開示の1つ以上の変異を含む、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその断片を検出する方法であって、試料(例えば、本開示の1つ以上の変異を含む、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその断片を含む、本明細書に記載の試料など)を、本明細書で提供される検出試薬(例えば、本開示の抗体)と接触させることと、PD-L1ポリペプチドが試料中に存在するかどうかを決定することと、を含む、方法が提供される。
【0177】
試料
一部の実施形態では、試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料である。一部の実施形態では、試料は、核酸、例えばゲノムDNA、cDNA、又はmRNAを含む。一部の実施形態では、試料は、がん(例えば、本明細書に記載のがん)を有する個体から得られる。様々な材料(組織など)は、本明細書で提供される方法に使用される核酸試料の供給源であり得る。例えば、試料の供給源は、新鮮な、凍結された、及び/又は保存された臓器、組織試料、生検、切除、塗抹、又は吸引物からの固体試料;血液又は任意の血液成分;脳脊髄液、羊水、尿、唾液、痰、腹腔液、又は間質液などの体液;あるいは個体の妊娠若しくは発達の任意の時点からの細胞であり得る。一部の実施形態では、試料の供給源は、血液又は血液成分である。一部の実施形態では、試料の供給源は、腫瘍試料である。一部の実施形態では、試料は、生体組織若しくは生体液であるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、試料は、保存剤、抗凝固剤、緩衝剤、固定剤、栄養素、抗生物質などの自然界で組織と天然に混合されない化合物を含有することができる。一部の実施形態では、本開示の1つ以上のCD274変異を含む核酸分子は、試料(例えば、腫瘍試料、正常な隣接組織(NAT)試料、組織試料、又は個体から得られた血液試料)から単離されたゲノム若しくはサブゲノムDNA断片、又はRNA、例えば、mRNAを含む試料において検出される。一部の実施形態では、試料は、mRNA試料に由来するか、又はmRNAを含む試料に由来するcDNAを含む。一部の実施形態では、組織は、凍結試料として、又はホルムアルデヒド若しくはパラホルムアルデヒド固定パラフィン包埋(FFPE)組織調製物として保存される。例えば、試料は、マトリックス(例えば、FFPEブロック又は凍結試料)に包埋することができる。
【0178】
一部の実施形態では、試料は、セルフリーDNA(cfDNA)を含む。一部の実施形態では、試料は、セルフリーRNA(cfRNA)を含む。一部の実施形態では、試料は、循環腫瘍DNA(ctDNA)を含む。
【0179】
一部の実施形態では、試料は、骨髄;骨髄吸引物;血液;血液細胞;腹水;組織若しくは細針生検試料;細胞含有体液;遊離浮遊核酸;痰;唾液;尿;脳脊髄液、腹膜液;胸膜液;便;リンパ液;婦人科用流体;皮膚スワブ;膣スワブ;口腔スワブ;鼻スワブ;管洗浄液又は気管支肺胞洗浄液などの洗浄又は洗浄液;吸引物;掻き取り物;骨髄標本;組織生検標本;手術標本;他の体液、分泌物及び/又は排泄物;並びに/あるいはそこからの細胞であってもよく、又はそれらを含み得る。一部の実施形態では、生物学的試料は、個体から得られた細胞であるか、又は個体から得られた細胞を含む。
【0180】
一部の実施形態では、試料は、任意の適切な手段によって目的の供給源から直接得られる一次試料である。例えば、一部の実施形態では、一次生物学的試料は、生検(例えば、細針吸引若しくは組織生検)、手術、又は体液の採取(例えば、血液、リンパ液若しくは糞便)などから選択される方法によって得られる。一部の実施形態では、文脈から明らかなように、「試料」という用語は、一次試料を処理(例えば、1つ以上の成分を除去することによって、及び/又は1つ以上の薬剤を添加することによって)することによって得られる調製物を指す。そのような処理された試料は、例えば、試料から抽出された、又は一次試料をmRNAの増幅若しくは逆転写、特定の成分の単離及び/又は精製などの技術に供することによって得られた核酸又はタンパク質を含み得る。
【0181】
一実施形態では、試料は、腫瘍に関連する1つ以上の細胞、例えば腫瘍細胞又は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。一実施形態では、試料は、1つ以上の前悪性細胞又は悪性細胞を含む。一実施形態では、試料は、血液悪性腫瘍(又は前悪性腫瘍)、例えば本明細書に記載の血液悪性腫瘍(又は前悪性腫瘍)から取得される。一実施形態では、試料は、がん、例えば、本明細書に記載のがんから取得される。一部の実施形態では、試料は、固形腫瘍、軟部組織腫瘍、又は転移性病変から取得される。他の実施形態では、試料は、手術縁からの組織又は細胞を含む。別の実施形態では、試料は、1つ以上の循環腫瘍細胞(CTC)(例えば、血液試料から取得されたCTC)を含む。一実施形態では、試料は、腫瘍に関連しない細胞、例えば非腫瘍細胞又は末梢血リンパ球である。
【0182】
一部の実施形態では、試料は、腫瘍又はがん試料からの核酸などの腫瘍核酸、例えば、腫瘍又はがん試料からのゲノムDNA、RNA、又はRNAに由来するcDNAを含む。特定の実施形態では、腫瘍核酸試料を精製又は単離する(例えば、その自然状態から除去される)。
【0183】
一部の実施形態では、試料は、対照核酸試料又は参照核酸試料、例えば、本明細書に記載の変異又は遺伝子融合を含有しないゲノムDNA、RNA、又はRNAに由来するcDNAである。特定の実施形態では、参照又は対照核酸試料は、野生型又は非変異配列を含む。特定の実施形態では、参照核酸試料を精製又は単離する(例えば、その自然状態から除去される)。他の実施形態では、参照核酸試料は、例えば、血液対照、正常隣接組織(NAT)、又は同じ若しくは異なる対象からの任意の他の非がん性試料などの非腫瘍試料からのものである。
【0184】
一部の実施形態では、本開示のCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含む核酸分子は、セルフリーDNA(cfDNA)、セルフリーRNA、又は循環腫瘍DNA(ctDNA)を含む試料において検出される。一部の実施形態では、本開示のCD274遺伝子中の1つ以上の変異は、セルフリーDNA(cfDNA)、セルフリーRNA、又は循環腫瘍DNA(ctDNA)を含む試料において検出される。
【0185】
一部の実施形態では、例えば、本開示の1つ以上の変異を含む、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその断片の検出の方法に従って使用するための試料は、例えば、新鮮な、凍結された、及び/又は保存された臓器、組織試料、生検(例えば、腫瘍生検)、切除、塗抹、又は吸引物からの固体試料;血液又は任意の血液成分;脳脊髄液、羊水、尿、唾液、痰、腹腔液、又は間質液などの体液;あるいは腫瘍細胞などの細胞である。一部の実施形態では、試料の供給源は、血液又は血液成分である。一部の実施形態では、試料の供給源は、腫瘍試料である。一部の実施形態では、試料は、生体組織若しくは生体液であるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、試料は、凍結試料として、又はホルムアルデヒド若しくはパラホルムアルデヒド固定パラフィン包埋(FFPE)組織調製物として保存される。一部の実施形態では、試料は、循環腫瘍細胞(CTC)を含む。
【0186】
一部の実施形態では、例えば、本開示の1つ以上の変異を含む、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその断片の検出の方法に従って使用するための試料は、例えば、新鮮な、凍結された、及び/又は保存された臓器、組織試料、生検(例えば、腫瘍生検)、切除、塗抹、又は吸引物からの固体試料;血液又は任意の血液成分;脳脊髄液、羊水、尿、唾液、痰、腹腔液、又は間質液などの体液;あるいは腫瘍細胞などの細胞から単離されるか、又は得られたタンパク質の試料である。一部の実施形態では、試料は、保存された試料、例えば、凍結された試料、又はホルムアルデヒド若しくはパラホルムアルデヒド固定パラフィン包埋(FFPE)組織調製物から単離されるか、又は得られたタンパク質の試料である。一部の実施形態では、試料は、循環腫瘍細胞(CTC)から単離されるか、又はそれらから得られたタンパク質の試料である。一部の実施形態では、試料は、保存剤、抗凝固剤、緩衝剤、固定剤、栄養素、抗生物質などの自然界で組織と天然に混合されない化合物を含有することができる。
【0187】
一部の実施形態では、試料は、骨髄;骨髄吸引物;血液;血液細胞;腹水;組織若しくは細針生検試料;細胞含有体液;遊離浮遊核酸;痰;唾液;尿;脳脊髄液、腹膜液;胸膜液;便;リンパ液;婦人科用流体;皮膚スワブ;膣スワブ;口腔スワブ;鼻スワブ;管洗浄液又は気管支肺胞洗浄液などの洗浄又は洗浄液;吸引物;掻き取り物;骨髄標本;組織生検標本;手術標本;他の体液、分泌物及び/又は排泄物;並びに/あるいはそこからの細胞であってもよく、又はそれらを含み得る。一部の実施形態では、生物学的試料は、個体から得られた細胞であるか、又は個体から得られた細胞を含む。
【0188】
一部の実施形態では、試料は、任意の適切な手段によって目的の供給源から直接得られる一次試料である。例えば、一部の実施形態では、一次生物学的試料は、生検(例えば、細針吸引若しくは組織生検)、手術、又は体液の採取(例えば、血液、リンパ液若しくは糞便)などから選択される方法によって得られる。一部の実施形態では、文脈から明らかなように、「試料」という用語は、一次試料を処理(例えば、1つ以上の成分を除去することによって、及び/又は1つ以上の薬剤を添加することによって)することによって得られる調製物を指す。そのような処理された試料は、例えば、試料から抽出された、又は一次試料を特定の成分の単離及び/又は精製などの技術に供することによって得られたタンパク質を含み得る。
【0189】
一実施形態では、試料は、腫瘍に関連する1つ以上の細胞、例えば腫瘍細胞又は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。一実施形態では、試料は、1つ以上の前悪性細胞又は悪性細胞を含む。一実施形態では、試料は、血液悪性腫瘍(又は前悪性腫瘍)、例えば本明細書に記載の血液悪性腫瘍(又は前悪性腫瘍)から取得される。一実施形態では、試料は、がん、例えば、本明細書に記載のがんから取得される。一部の実施形態では、試料は、固形腫瘍、軟部組織腫瘍、又は転移性病変から取得される。他の実施形態では、試料は、手術縁からの組織又は細胞を含む。別の実施形態では、試料は、1つ以上の循環腫瘍細胞(CTC)(例えば、血液試料から取得されたCTC)を含む。一実施形態では、試料は、腫瘍に関連しない細胞、例えば非腫瘍細胞又は末梢血リンパ球である。
【0190】
一部の実施形態では、試料は、腫瘍タンパク質又はポリペプチド、例えば、腫瘍又はがん試料からのタンパク質又はポリペプチドを含む。特定の実施形態では、タンパク質を精製又は単離する(例えば、その自然状態から除去される)。
【0191】
一部の実施形態では、試料は、例えば、本開示の1つ以上の変異を含む、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその断片を含有しない、対照試料又は参照試料である。特定の実施形態では、参照試料を精製又は単離する(例えば、その自然状態から除去される)。他の実施形態では、参照試料は、例えば、血液対照、正常隣接組織(NAT)、又は同じ若しくは異なる対象からの任意の他の非がん性試料などの非腫瘍試料からのものである。
【0192】
検出方法
一部の実施形態では、例えば、CD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子における、本開示のCD274遺伝子中の1つ以上の変異を、当該技術分野で既知の任意の好適な方法、例えば、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅ベースのアッセイ(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応、PCR)、PCR-RFLPアッセイ、リアルタイムPCR、配列決定(例えば、Sanger配列決定又は次世代配列決定)、スクリーニング分析(例えば、スペクトル核型分析を使用する)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、ブレークアウェイFISH、スペクトル核型分析、多重FISH、比較ゲノムハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、配列特異的プライマーポリメラーゼ連鎖反応(SSP-PCR、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は質量分析ジェノタイピングを使用して検出し得る。試料を分析して、例えば、核酸分子を検出する方法は、米国特許第9,340,830号及びWO2012/092426A1に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0193】
一部の実施形態では、(例えば、CD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子における)本開示のCD274遺伝子中の1つ以上の変異は、インサイチュハイブリダイゼーション方法、例えば、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)方法を使用して検出される。
【0194】
一部の実施形態では、FISH分析を使用して、本明細書に記載のCD274変異を生じる染色体再配列を特定する。一部の実施形態では、FISH分析を使用して、本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含むRNA分子を特定する。FISHを行うための方法は、当該技術分野で既知であり、ほぼあらゆるタイプの組織で使用することができる。FISH分析では、検出可能に標識される(例えば、蛍光標識される)核酸プローブは、DNA、例えば染色体、又はRNA、例えばmRNAの特定の領域に結合し、次いで、例えば顕微鏡によって試験することが可能である。例えば、米国特許第5,776,688号を参照されたい。まず、DNA又はRNA分子をスライド上に固定し、次いで、標識されたプローブをDNA又はRNA分子にハイブリダイズし、次いで、例えば、当該技術分野で既知の酵素結合した標識ベースの検出方法を使用して、視覚化が達成される。一般に、FISH分析の解像度は、おおよそ、DNAの60~100000個のヌクレオチド、例えば、60個の塩基対(bp)から最大100キロベース対までの検出である。FISH分析で使用される核酸プローブは、一本鎖核酸を含む。そのようなプローブは、典型的には、少なくとも約50個のヌクレオチド長である。一部の実施形態では、プローブは、約100~約500個のヌクレオチドを含む。セントロメアDNA及び遺伝子座特異的DNA又はRNAとハイブリダイズするプローブは、例えば、Vysis,Inc.Downers Grove,Ill.)、Molecular Probes,Inc.(Eugene,Oreg.)又はCytocell(Oxfordshire,UK)から市販されている。あるいは、プローブは、染色体若しくはゲノムDNA又は核酸の他の供給源から、標準的な技術によって非商業的に作製され得る。プローブ、標識化及びハイブリダイゼーション方法の例は、当該技術分野で既知である。
【0195】
FISH方法のいくつかの変形は、当該技術分野で既知であり、単一分子RNA FISH、Fiber FISH、Q-FISH、Flow-FISH、MA-FISH、ブレークアウェイFISH、ハイブリッド融合-FISH、及び多色蛍光(multi-fluor)FISH、又はmFISHを含む、本開示の方法に従って使用するのに好適である。
【0196】
一部の実施形態では、(例えば、CD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子における)本開示のCD274遺伝子中の1つ以上の変異は、アレイベースの方法、例えば、アレイベースの比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)方法を使用して検出される。アレイベースのCGH方法では、(例えば、試料から、例えば腫瘍からの)核酸の第1の試料を第1の標識で標識し、一方、(例えば、対照、例えば、健康な細胞/組織からの)核酸の第2の試料を第2の標識で標識する。一部の実施形態では、等量のこの2つの試料を混合し、数千の均一に空間があけられたクローンDNA断片又はオリゴヌクレオチドのDNAマイクロアレイに共ハイブリダイズし、このアレイに三重でスポッティングされた。ハイブリダイゼーションの後、デジタル撮像システムを使用して、ハイブリダイズされたフルオロフォアの各々の相対蛍光強度を捕捉し、定量化する。得られた蛍光強度の比は、この2つの試料におけるDNA配列のコピー数の比に比例する。一部の実施形態では、染色体の欠失又は重複が存在する場合、2つの標識からのシグナルの比の差を検出し、その比は、コピー数の尺度を提供する。アレイベースのCGHは、単色標識化により行うこともできる。単色CGHでは、対照(例えば、健康な細胞/組織からの、例えば、対照核酸試料)を標識し、1つのアレイに対してハイブリダイズし、絶対シグナルを読み取り、試験試料(例えば、個体又は腫瘍から得られた核酸試料)を標識し、第2のアレイ(同一の内容物を有する)に対してハイブリダイズし、絶対シグナルを読み取る。コピー数の差は、2つのアレイからの絶対シグナルに基づいて計算される。
【0197】
一部の実施形態では、(例えば、CD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子における)本開示のCD274遺伝子中の1つ以上の変異は、増幅ベースの方法を使用して検出される。当該技術分野で既知であるように、そのような増幅ベースの方法において、核酸の試料、例えば、個体又は腫瘍から得られた試料は、1つ以上のオリゴヌクレオチド又はプライマー、例えば、本明細書で提供される1つ以上のオリゴヌクレオチド又はプライマーを使用して、増幅反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))において、テンプレートとして使用される。試料における、例えば、CD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子における、本開示のCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在は、増幅産物の存在又は非存在に基づいて決定され得る。定量的増幅方法も、当該技術分野で既知であり、本明細書で提供される方法に従って使用され得る。定量的PCR分析を使用する、マイクロサテライト遺伝子座におけるDNAコピー数の測定方法は、当該技術分野で既知である。遺伝子の既知のヌクレオチド配列は、当業者が、遺伝子の任意の部分を増幅するためのプライマーを一般的に選択することが可能なほど十分である。蛍光原性定量的PCRも使用することができる。蛍光原性定量的PCRでは、定量化は、例えば、TaqMan及びSybrグリーンなどの蛍光シグナルの量に基づく。
【0198】
本明細書で提供される方法に従って使用するのに好適な他の増幅方法としては、例えば、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写増幅、自家持続配列複製、ドットPCR、及びリンカーアダプターPCRが挙げられる。
【0199】
一部の実施形態では、(例えば、CD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子における)本開示のCD274遺伝子中の1つ以上の変異は、配列決定方法を使用して検出される。当該技術分野で既知の任意の配列決定方法を使用して、例えば、CD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子における、本開示のCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することができる。使用可能な例示的な配列決定方法としては、Maxam及びGilbert又はSangerによって開発された技術に基づくものが挙げられる。例えば、質量分析による配列決定を含む、自動化された配列決定手順も使用可能である。
【0200】
一部の実施形態では、(例えば、CD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子における)本開示のCD274遺伝子中の1つ以上の変異は、ハイブリッドキャプチャーベースの配列決定(ハイブリッドキャプチャーベースのNGS)を使用して、例えば、アダプターライゲーションベースのライブラリを使用して、検出される。例えば、Frampton,G.M.et al.(2013)Nat.Biotech.31:1023-1031を参照されたい。一部の実施形態では、(例えば、CD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子における)本開示のCD274遺伝子中の1つ以上の変異は、次世代配列決定(NGS)を使用して検出される。次世代配列決定は、個々の核酸分子、又は高度に並行な様式で(例えば、105個より多い分子が同時に配列決定され得る)個々の核酸分子のためのクローン的に増殖されたプロキシのいずれかのヌクレオチド配列を決定する任意の配列決定方法を含む。本明細書で提供される発明に従って使用するのに好適な次世代配列決定方法は、当該技術分野で既知であり、限定されないが、大規模並列処理ショートリード配列決定、テンプレートベースの配列決定、パイロシーケンシング、DNA合成中に色素標識ヌクレオチドの連続組み込みの撮像を含むリアルタイム配列決定、ナノポア配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、ナノトランジスタアレイベースの配列決定、ポロニー配列決定、走査型トンネル顕微鏡(STM)ベースの配列決定、又はナノワイヤ分子センサベースの配列決定が挙げられる。例えば、参照により本明細書に組み込まれるMetzker,M.(2010)Nature Biotechnology Reviews 11:31-46を参照されたい。本明細書で提供される方法に従って使用され得る例示的なNGS方法及びプラットフォームとしては、限定されないが、Helicos BioSciences(Cambridge,MA.,USA)製のHeliScope Gene Sequencingシステム、Pacific BioSciences(Menlo Park,CA,USA)製のPacBio RSシステム、Solexaシーケンサーなどの大規模並列処理ショートリード配列決定、及びIllumina Inc.(San Diego,CA,USA)製の他の方法及びプラットフォーム、454 LifeSciences(Branford,CT,USA)製の454配列決定、ThermoFisher(Waltham,MA,USA)製のIon Torrent配列決定、又はApplied Biosystems(Foster City,CA,USA)製のSOLiDシーケンサーが挙げられる。本明細書で提供される方法に従って使用され得る更なる例示的な方法及びプラットフォームとしては、限定されないが、Roche(Basel、CHE)製のGenome Sequencer(GS)FLX System、G.007ポロネーターシステム、Solexa Genome Analyzer、HiSeq 2500、HiSeq3000、HiSeq 4000、及びIllumina Inc.(San Diego、CA、USA)製のNovaSeq 6000プラットフォームが挙げられる。
【0201】
検出試薬
一部の態様では、例えば、本明細書で提供される検出の方法に従って、(例えば、CD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子における)本開示のCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出するための試薬が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本明細書で提供される検出試薬は、標的核酸分子(例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子)上のヌクレオチド配列に対して相補的であるヌクレオチド配列を含む核酸分子(例えば、DNA、RNA、又は混合DNA/RNA分子)を含む。
【0202】
一部の実施形態では、CD274遺伝子に対応する核酸は、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって、(例えば、増幅された核酸から)捕捉される。本開示の核酸分子、例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子の検出に好適なベイトが本明細書で提供される。
【0203】
一部の実施形態では、ベイトは、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする標的核酸分子、あるいはその断片又は一部分にハイブリダイズするように構成された捕捉核酸分子を含む。一部の実施形態では、捕捉核酸分子は、標的核酸分子上のCD274ヌクレオチド配列にハイブリダイズするように構成される。一部の実施形態では、捕捉核酸分子は、標的核酸分子の断片にハイブリダイズするように構成される。一部の実施形態では、断片は、約5~約25個のヌクレオチド、約5~約300個のヌクレオチド、約100~約300個のヌクレオチド、約130~約230個のヌクレオチド、又は約150~約200個のヌクレオチドを含む(か、又はそれらである)。一部の実施形態では、捕捉核酸分子は、約5~約25個のヌクレオチド、約5~約300個のヌクレオチド、約100~約300個のヌクレオチド、約130~約230個のヌクレオチド、又は約150~約200個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、断片は、約100個のヌクレオチド、約125個のヌクレオチド、約150個のヌクレオチド、約175個のヌクレオチド、約200個のヌクレオチド、約225個のヌクレオチド、約250個のヌクレオチド、約275個のヌクレオチド、又は約300個のヌクレオチドの長さを含む(か、又はその長さである)。一部の実施形態では、捕捉核酸分子は、約100個のヌクレオチド、約125個のヌクレオチド、約150個のヌクレオチド、約175個のヌクレオチド、約200個のヌクレオチド、約225個のヌクレオチド、約250個のヌクレオチド、約275個のヌクレオチド、又は約300個のヌクレオチドの長さを含む(か、又はその長さである)。
【0204】
一部の実施形態では、捕捉核酸分子は、例えば、染色体再配列又は遺伝子融合から生じるブレークポイント(breakpoint)において、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子中のブレークポイントにハイブリダイズするように構成され、ブレークポイントのいずれかの側に隣接する約10~約100個又はそれより多い、例えば、約10~約20、約20~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約60、約60~約70、約70~約80、約80~約90、又は約90~約100個のうちのいずれか、又はそれより多いヌクレオチドに更にハイブリダイズしてもよい。
【0205】
一部の実施形態では、捕捉核酸分子は、CD274のイントロン若しくはエクソンにおいて、又は本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子中のブレークポイント(例えば、約10~約20、約20~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約60、約60~約70、約70~約80、約80~約90、又は約90~約100個のうちのいずれか、又はそれより多くのヌクレオチドを足したもの、又は引いたもの)において、ヌクレオチド配列にハイブリダイズするように構成される。一部の実施形態では、ベイトは、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子のイントロン若しくはエクソンにおいて、又は本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子中のブレークポイント(例えば、約10~約20、約20~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約60、約60~約70、約70~約80、約80~約90、又は約90~約100個のうちのいずれか、又はそれより多くのヌクレオチドを足したもの、又は引いたもの)において、ヌクレオチド配列にハイブリダイズするように構成されたヌクレオチド配列を含み、ブレークポイントは、CD274遺伝子のイントロン又はエクソンを、別の遺伝子のイントロン又はエクソンに接合する。一部の実施形態では、ベイトは、CD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子中のブレークポイント(例えば、約10~約20、約20~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約60、約60~約70、約70~約80、約80~約90、又は約90~約100個のうちのいずれか、又はそれより多くのヌクレオチドを足したもの、又は引いたもの)にハイブリダイズするように構成されたヌクレオチド配列を含み、ブレークポイントは、CD274遺伝子のイントロン又はエクソンを、別の遺伝子のイントロン又はエクソンに接合する。
【0206】
一部の実施形態では、捕捉核酸分子は、DNA、RNA、又はDNA/RNA分子である。一部の実施形態では、捕捉核酸分子は、約50~約1000個のヌクレオチド、約50~約500個のヌクレオチド、約100~約500個のヌクレオチド、約100~約300個のヌクレオチド、約130~約230個のヌクレオチド、又は約150~200個のヌクレオチドのうちのいずれかを含む。一部の実施形態では、捕捉核酸分子は、約50個のヌクレオチド~約100個のヌクレオチド、約100個のヌクレオチド~約150個のヌクレオチド、約150個のヌクレオチド~約200個のヌクレオチド、約200個のヌクレオチド~約250個のヌクレオチド、約250個のヌクレオチド~約300個のヌクレオチド、約300個のヌクレオチド~約350個のヌクレオチド、約350個のヌクレオチド~約400個のヌクレオチド、約400個のヌクレオチド~約450個のヌクレオチド、約450個のヌクレオチド~約500個のヌクレオチド、約500個のヌクレオチド~約550個のヌクレオチド、約550個のヌクレオチド~約600個のヌクレオチド、約600個のヌクレオチド~約650個のヌクレオチド、約650個のヌクレオチド~約700個のヌクレオチド、約700個のヌクレオチド~約750個のヌクレオチド、約750個のヌクレオチド~約800個のヌクレオチド、約800個のヌクレオチド~約850個のヌクレオチド、約850個のヌクレオチド~約900個のヌクレオチド、約900個のヌクレオチド~約950個のヌクレオチド、又は約950個のヌクレオチド~約1000個のヌクレオチドのうちのいずれかを含む。一部の実施形態では、捕捉核酸分子は、約150個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、捕捉核酸分子は、約150個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、捕捉核酸分子は、約170個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、捕捉核酸分子は、約170個のヌクレオチドである。
【0207】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるベイトは、DNA、RNA、又はDNA/RNA分子を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるベイトは、標識又はタグを含む。一部の実施形態では、標識又はタグは、放射性標識、蛍光性標識、酵素標識、配列タグ、ビオチン、又は別のリガンドである。一部の実施形態では、本明細書で提供されるベイトは、蛍光性マーカーなどの検出試薬を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるベイトは、アフィニティータグ、例えば、ベイトと、ベイトにハイブリダイズする核酸とによって形成されるハイブリッドの捕捉及び単離を可能にするアフィニティータグを含む(例えば、これにコンジュゲートする)。一部の実施形態では、アフィニティータグは、抗体、抗体断片、ビオチン、又は当該技術分野で既知の任意の他の好適なアフィニティータグ又は試薬である。一部の実施形態では、ベイトは、溶液相ハイブリダイゼーションに好適である。
【0208】
ベイトは、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2012092426A1及び/又はFrampton et al(2013)Nat Biotechnol,31:1023-1031に記載されるような、当該技術分野で既知の方法に従って生成され、使用され得る。例えば、ビオチン化ベイト(例えば、RNAベイト)は、マイクロアレイ上で最初に合成された、合成された長いオリゴヌクレオチドのプールを得て、オリゴヌクレオチドを増幅してベイト配列を生成することによって生成することができる。一部の実施形態では、ベイトは、ベイト配列の一端にRNAポリメラーゼプロモーター配列を付加し、RNAポリメラーゼを使用してRNA配列を合成することによって生成される。一実施形態では、合成オリゴデオキシヌクレオチドのライブラリを、Agilent Technologies,Inc.などの商業的供給業者から入手し、公知の核酸増幅方法を用いて増幅することができる。
【0209】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるベイトは、約100個のヌクレオチド~約300個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、本明細書で提供されるベイトは、約130個のヌクレオチド~約230個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、本明細書で提供されるベイトは、約150個のヌクレオチド~約200個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、本明細書で提供されるベイトは、標的特異的ベイト配列(例えば、本明細書に記載の捕捉核酸分子)と、各末端にユニバーサルテールと、を含む。一部の実施形態では、標的特異的配列(例えば、本明細書に記載の捕捉核酸分子)は、約40個のヌクレオチド~約300個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、標的特異的配列(例えば、本明細書に記載の捕捉核酸分子)は、約100個のヌクレオチド~約200個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、標的特異的配列(例えば、本明細書に記載の捕捉核酸分子)は、約120個のヌクレオチド~約170個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、標的特異的配列(例えば、本明細書に記載の捕捉核酸分子)は、約150個のヌクレオチド又は約170個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、本明細書で提供されるベイトは、約200個のヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを含み、そのうちの約150個のヌクレオチド又は約170個のヌクレオチドは、標的特異的であり(例えば、本明細書に記載の捕捉核酸分子)、他の50個のヌクレオチド又は30個のヌクレオチド(例えば、ベイトの各末端の25個又は15個のヌクレオチド)は、例えば、PCR増幅に好適な、汎用的な任意のテール部である。
【0210】
本明細書に記載のベイトは、エクソン及び短い標的配列の選択に使用することができる。
【0211】
一部の実施形態では、本開示のベイトは、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸(例えば、ゲノム核酸又は転写された核酸、例えば、cDNA又はRNA)を、参照ヌクレオチド配列(例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含まないヌクレオチド配列)から区別する。
【0212】
一部の実施形態では、ベイトは、本明細書に記載のCD274変異に、又は本明細書に記載のCD274ブレークポイント(例えば、本明細書に記載の1つ以上のCD274変異を生じるか、又はそれに関連する)、及び変異若しくはブレークポイントのいずれかの側の上の配列(例えば、変異若しくはブレークポイントのいずれかの側の上の1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個のヌクレオチドのうちのいずれか、又は変異若しくはブレークポイントのいずれかの側の上の1~約5、約5~約10、約10~約15、約15~約20、約20~約25、約25~約30、約30~約35、約35~約40、約40~約45、約45~約50、約50~約55、約55~約60、約60~約65、約70~約75、約75~約80、約80~約85、約85~約90、約90~約95、又は約95~約100個、又はそれより多くのヌクレオチドのうちのいずれか)に、ハイブリダイズする。
【0213】
一部の実施形態では、本開示のベイトは、変異に(例えば、本明細書に記載の1つ以上のCD274変異、又は本明細書に記載の1つ以上のCD274変異を生じるか、又はそれに関連するブレークポイント、再配列、逆位、重複、欠失、挿入、又は転座に)特異的にハイブリダイズする。
【0214】
一部の実施形態では、本開示のベイトは、溶液相ハイブリダイゼーションに好適である。
【0215】
また、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子の検出に好適なプローブ、例えば、核酸分子が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本明細書で提供されるプローブは、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする標的核酸分子にハイブリダイズするように構成された核酸配列を含む。一部の実施形態では、プローブは、標的核酸分子上のCD274ヌクレオチド配列に、又はその断片若しくは一部分に、ハイブリダイズするように構成される。一部の実施形態では、断片又はその一部分は、約5~約25個のヌクレオチド、約5~約300個のヌクレオチド、約100~約300個のヌクレオチド、約130~約230個のヌクレオチド、又は約150~約200個のヌクレオチドを含む。
【0216】
一部の実施形態では、プローブは、例えば、染色体再配列又は遺伝子融合から生じるブレークポイントにおいて、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子中のブレークポイントにハイブリダイズするように構成されるヌクレオチド配列を含み、ブレークポイントのいずれかの側に隣接する約10~約100個又はそれより多い、例えば、約10~約20、約20~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約60、約60~約70、約70~約80、約80~約90、又は約90~約100個のうちのいずれか、又はそれより多いヌクレオチドにハイブリダイズするように更に構成されてもよい。
【0217】
一部の実施形態では、プローブは、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子のイントロン若しくはエクソンにおいて、又は本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子中のブレークポイント(例えば、約10~約20、約20~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約60、約60~約70、約70~約80、約80~約90、又は約90~約100個のうちのいずれか、又はそれより多くのヌクレオチドを足したもの、又は引いたもの)において、ヌクレオチド配列にハイブリダイズするように構成されたヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、プローブは、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子のイントロン若しくはエクソンにおいて、又は本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子中のブレークポイント(例えば、約10~約20、約20~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約60、約60~約70、約70~約80、約80~約90、又は約90~約100個のうちのいずれか、又はそれより多くのヌクレオチドを足したもの、又は引いたもの)において、ヌクレオチド配列にハイブリダイズするように構成されたヌクレオチド配列を含み、ブレークポイントは、CD274遺伝子のイントロン又はエクソンを、別の遺伝子のイントロン又はエクソンに接合する。一部の実施形態では、プローブは、CD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子中のブレークポイント(例えば、約10~約20、約20~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約60、約60~約70、約70~約80、約80~約90、又は約90~約100個のうちのいずれか、又はそれより多くのヌクレオチドを足したもの、又は引いたもの)にハイブリダイズするように構成されたヌクレオチド配列を含み、ブレークポイントは、CD274遺伝子のイントロン又はエクソンを、別の遺伝子のイントロン又はエクソンに接合する。
【0218】
一部の実施形態では、プローブは、DNA、RNA、又はDNA/RNA分子である核酸分子を含む。一部の実施形態では、プローブは、約10~約20個のヌクレオチド、約12~約20個のヌクレオチド、約10~約1000個のヌクレオチド、約50~約500個のヌクレオチド、約100~約500個のヌクレオチド、約100~約300個のヌクレオチド、約130~約230個のヌクレオチド、又は約150~約200個のヌクレオチドのうちのいずれかを含む核酸分子を含む。一部の実施形態では、プローブは、10個のヌクレオチド、11個のヌクレオチド、12個のヌクレオチド、13個のヌクレオチド、14個のヌクレオチド、15個のヌクレオチド、16個のヌクレオチド、17個のヌクレオチド、18個のヌクレオチド、19個のヌクレオチド、20個のヌクレオチド、21個のヌクレオチド、22個のヌクレオチド、23個のヌクレオチド、24個のヌクレオチド、25個のヌクレオチド、26個のヌクレオチド、27個のヌクレオチド、28個のヌクレオチド、29個のヌクレオチド、又は30個のヌクレオチドのうちのいずれかを含む核酸分子を含む。一部の実施形態では、プローブは、約40個のヌクレオチド~約50個のヌクレオチド、約50個のヌクレオチド~約100個のヌクレオチド、約100個のヌクレオチド~約150個のヌクレオチド、約150個のヌクレオチド~約200個のヌクレオチド、約200個のヌクレオチド~約250個のヌクレオチド、約250個のヌクレオチド~約300個のヌクレオチド、約300個のヌクレオチド~約350個のヌクレオチド、約350個のヌクレオチド~約400個のヌクレオチド、約400個のヌクレオチド~約450個のヌクレオチド、約450個のヌクレオチド~約500個のヌクレオチド、約500個のヌクレオチド~約550個のヌクレオチド、約550個のヌクレオチド~約600個のヌクレオチド、約600個のヌクレオチド~約650個のヌクレオチド、約650個のヌクレオチド~約700個のヌクレオチド、約700個のヌクレオチド~約750個のヌクレオチド、約750個のヌクレオチド~約800個のヌクレオチド、約800個のヌクレオチド~約850個のヌクレオチド、約850個のヌクレオチド~約900個のヌクレオチド、約900個のヌクレオチド~約950個のヌクレオチド、又は約950個のヌクレオチド~約1000個のヌクレオチドのうちのいずれかを含む核酸分子を含む。一部の実施形態では、プローブは、約12~約20個のヌクレオチドを含む核酸分子を含む。
【0219】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるプローブは、DNA、RNA、又はDNA/RNA分子を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるプローブは、標識又はタグを含む。一部の実施形態では、標識又はタグは、放射性標識(例えば、放射性同位体)、蛍光性標識(例えば、蛍光性化合物)、酵素標識、酵素補因子、配列タグ、ビオチン、又は別のリガンドである。一部の実施形態では、本明細書で提供されるプローブは、蛍光性マーカーなどの検出試薬を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるプローブは、アフィニティータグ、例えば、プローブと、プローブにハイブリダイズする核酸とによって形成されるハイブリッドの捕捉及び単離を可能にするアフィニティータグを含む(例えば、これにコンジュゲートする)。一部の実施形態では、アフィニティータグは、抗体、抗体断片、ビオチン、又は当該技術分野で既知の任意の他の好適なアフィニティータグ又は試薬である。一部の実施形態では、プローブは、溶液相ハイブリダイゼーションに好適である。
【0220】
一部の実施形態では、本明細書で提供される1つ以上のCD274変異の検出の方法に従って、例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子の検出のために、本明細書で提供されるプローブを使用してもよい。例えば、本明細書で提供されるプローブを、試料(例えば、個体から得られた試料)において、例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子において、本明細書で提供される1つ以上のCD274変異を検出するために使用してもよい。一部の実施形態では、プローブを、本明細書で提供される1つ以上の変異を含むCD274遺伝子を発現する細胞若しくは組織を、例えば、本明細書で提供される1つ以上の変異を含むCD274遺伝子のレベルを測定することによって、又は本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子を、又は本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子を特定するために使用してもよい。一部の実施形態では、プローブを、個体からの細胞の試料において、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子のレベル(例えば、mRNAレベル)を検出するために使用してもよい。
【0221】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるプローブは、本明細書に記載の1つ以上のCD274変異を生じるか、又はそれに関連する再配列(例えば、欠失、逆位、挿入、重複、又は他の再配列)を含む核酸に特異的にハイブリダイズする。
【0222】
一部の実施形態では、本開示のプローブは、本明細書に記載の1つ以上のCD274変異を有する核酸(例えば、ゲノム核酸又は転写された核酸、例えば、cDNA又はRNA)を、参照ヌクレオチド配列(例えば、その1つ以上の変異を有しないヌクレオチド配列)から区別する。
【0223】
また、対立遺伝子特異的プローブの単離された対であって、例えば、対の第1のプローブが、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子に特異的にハイブリダイズし、対の第2のプローブが、対応する野生型配列(例えば、野生型CD274核酸分子)に特異的にハイブリダイズする、対立遺伝子特異的プローブの単離された対が本明細書で提供される。プローブ対は、(例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする)本明細書に記載の核酸分子のいずれかについて設計され、生成することができ、試料において体細胞変異を検出する際に有用である。一部の実施形態では、対の第1のプローブは、変異に(例えば、本明細書に記載の1つ以上のCD274変異、又は本明細書に記載の1つ以上のCD274変異を生じるか、又はそれに関連するブレークポイント、再配列、逆位、重複、欠失、挿入、又は転座に)特異的にハイブリダイズし、対の第2のプローブは、変異の上流又は下流の配列に特異的にハイブリダイズする。
【0224】
一部の実施形態では、本明細書で提供される1つ以上のプローブは、例えば、上に記載されるようなインサイチュハイブリダイゼーション、例えば、FISHで使用するのに好適である。
【0225】
(例えば、本明細書に記載のFISH方法で使用するための)染色体プローブは、典型的には、約5~約105個のヌクレオチド長である。より長いプローブは、典型的には、約100~約500個のヌクレオチドのより小さな断片を含む。セントロメアDNA及び遺伝子座特異的DNAとハイブリダイズするプローブは、例えば、Vysis,Inc.Downers Grove,Ill.)、Molecular Probes,Inc.(Eugene,Oreg.)又はCytocell(Oxfordshire,UK)から市販されている。あるいは、プローブは、染色体若しくはゲノムDNAから、標準的な技術によって非商業的に作製され得る。例えば、使用可能なDNAの供給源としては、ゲノムDNA、クローンDNA配列、宿主の正常な染色体補体とともに1つの染色体、又は1つの染色体(例えば、ヒト染色体)の一部分を含有する体細胞ハイブリッド、並びにフローサイトメトリー若しくはマイクロダイセクションによって精製された染色体が挙げられる。目的の領域は、クローニングによって、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による部位特異的増幅によって、単離され得る。本開示のプローブはまた、RNA分子、例えば、mRNA、例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードするRNAにハイブリダイズし得る。
【0226】
一実施形態では、プローブ、例えば、本明細書に記載のFISH方法に使用するためのプローブを、例えば、本明細書で提供される1つ以上のプローブによって結合された染色体又はRNAの領域において、細胞遺伝学的異常が1つ以上の細胞中に存在するかどうかを決定するために使用する。細胞遺伝学的異常は、本明細書に記載の1つ以上のCD274変異を生じるか、又はそれに関連する細胞遺伝学的異常であり得る。そのような細胞遺伝学的異常の例としては、限定されないが、欠失(例えば、全染色体の欠失、又は1つ以上の染色体の断片の欠失)、重複(例えば、全染色体の重複、又は全染色体よりも小さい領域の重複)、転座(例えば、非相互転座、均衡型転座)、染色体内逆位、点変異、欠失、遺伝子コピー数変化、生殖細胞系列変異、及び遺伝子発現レベル変化が挙げられる。
【0227】
一部の実施形態では、プローブ(例えば、本明細書に記載のFISH方法で使用するためのプローブ)を、プローブがハイブリダイズする染色体領域又はRNA上の領域を検出することができるように標識する。プローブは、典型的には、フルオロフォアで直接的に標識され、二次検出分子がなくてもプローブを可視化することが可能になる。プローブは、ニック翻訳、ランダムプライマー標識化、又はPCR標識化によって標識化することもできる。標識化は、蛍光性(直接)又はハプテン(間接的)標識化されたヌクレオチドを使用して達成され得る。標識の代表的で非限定的な例としては、AMCA-6-dUTP、カスケードブルー-4-dUTP、フルオレセイン-12-dUTP、ローダミン-6-dUTP、TexasRed-6-dUTP、Cy3-6-dUTP、Cy5-dUTP、ビオチン(BIO)-11-dUTP、ジゴキシゲニン(DIG)-11-dUTP及びジニトロフェニル(DNP)-11-dUTPが挙げられる。プローブはまた、ビオチン若しくはジゴキシゲニンで間接的に標識されてもよく、又は32P及び3Hなどの放射性同位体で標識されてもよく、二次検出分子が使用されるか、又は更なる処理が行われ、プローブを可視化する。例えば、ビオチンで標識されたプローブは、検出可能なマーカーにコンジュゲートされたアビジンによって検出することができ、例えば、アビジンを、アルカリホスファターゼ又はセイヨウワサビペルオキシダーゼなどの酵素マーカーにコンジュゲートしてもよい。酵素マーカーは、酵素の基質及び/又は触媒を使用して、標準的な比色反応で検出されてもよい。アルカリホスファターゼの触媒としては、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート及びニトロブルーテトラゾリウムが挙げられる。ジアミノベンゾエートを、セイヨウワサビペルオキシダーゼの触媒として使用することができる。プローブはまた、プローブをその標的にハイブリダイゼーションした後に、蛍光性標識又は他の標識が添加され、そのプローブが標的にハイブリダイズされたことを検出するように、調製され得る。例えば、ヌクレオチド配列に組み込まれた抗原性分子を有するプローブを使用することができる。ハイブリダイゼーションの後、これらの抗原性分子を、例えば、抗原性分子と反応性の特異的抗体を使用して、検出する。そのような抗体は、例えば、それ自身が蛍光色素を組み込んでいてもよく、又は結合した蛍光色素を有する第2の抗体を使用して検出することができる。蛍光性プローブの場合(例えば、FISH技術に使用される)、各フルオロフォアに適したフィルタを備えた蛍光顕微鏡を用いて、又は複数のフルオロフォアを観察するために二重若しくは三重のバンドパスフィルタセットを使用することによって、蛍光を見ることができる。あるいは、フローサイトメトリーなどの技術を使用して、染色体プローブのハイブリダイゼーションパターンを試験することができる。
【0228】
一部の実施形態では、プローブは、本明細書に記載のCD274変異に、又は本明細書に記載のCD274ブレークポイント(例えば、本明細書に記載の1つ以上のCD274変異を生じるか、又はそれに関連する)、及び変異若しくはブレークポイントのいずれかの側の上の配列(例えば、変異若しくはブレークポイントのいずれかの側の上の1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個のヌクレオチドのうちのいずれか、又は変異若しくはブレークポイントのいずれかの側の上の1~約5、約5~約10、約10~約15、約15~約20、約20~約25、約25~約30、約30~約35、約35~約40、約40~約45、約45~約50、約50~約55、約55~約60、約60~約65、約70~約75、約75~約80、約80~約85、約85~約90、約90~約95、又は約95~約100個、又はそれより多くのヌクレオチドのうちのいずれか)に、ハイブリダイズする。
【0229】
一部の態様では、例えば、プライマーとして有用な、オリゴヌクレオチドが本明細書で提供される。一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)は、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする標的核酸分子、あるいはその断片又は一部分にハイブリダイズするように構成されたヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸分子上のCD274ヌクレオチド配列にハイブリダイズするように構成されたヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸分子の断片又は一部分にハイブリダイズするように構成されたヌクレオチド配列を含む。
【0230】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)は、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子中のブレークポイントにハイブリダイズするように構成されるヌクレオチド配列を含み、ブレークポイントのいずれかの側に隣接する約10~約12、約12~約15、約15~約17、約17~約20、約20~約25、又は約25~約30個、又はそれより多いヌクレオチドにハイブリダイズするように更に構成されてもよい。
【0231】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)は、CD274のイントロン若しくはエクソンにおいて、又は本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子中のブレークポイント(例えば、約10~約12、約12~約15、約15~約17、約17~約20、約20~約25、又は約25~約30個のうちのいずれか、又はそれより多くのヌクレオチドを足したもの、又は引いたもの)において、ヌクレオチド配列にハイブリダイズするように構成されたヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)は、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子のイントロン若しくはエクソンにおいて、又は本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子中のブレークポイント(例えば、約10~約12、約12~約15、約15~約17、約17~約20、約20~約25、又は約25~約30個のうちのいずれか、又はそれより多くのヌクレオチドを足したもの、又は引いたもの)において、ヌクレオチド配列にハイブリダイズするように構成されたヌクレオチド配列を含み、ブレークポイントは、CD274遺伝子のイントロン又はエクソンを、別の遺伝子のイントロン又はエクソンに接合する。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)は、CD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子中のブレークポイント(例えば、約10~約12、約12~約15、約15~約17、約17~約20、約20~約25、又は約25~約30個のうちのいずれか、又はそれより多くのヌクレオチドを足したもの、又は引いたもの)にハイブリダイズするように構成されたヌクレオチド配列を含み、ブレークポイントは、CD274遺伝子のイントロン又はエクソンを、別の遺伝子のイントロン又はエクソンに接合する。
【0232】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子に対応するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子の断片又は一部分に対応するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、断片又はその一部分は、約10~約30個のヌクレオチド、約12~約20個のヌクレオチド、又は約12~約17個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子に対して相補的なヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子に対して相補的なヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、断片又はその一部分は、約10~約30個のヌクレオチド、約12~約20個のヌクレオチド、又は約12~約17個のヌクレオチドを含む。
【0233】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)は、例えば、高ストリンジェンシー条件下で、オリゴヌクレオチドが、標的ヌクレオチド配列を含む核酸分子に特異的にハイブリダイズするように、その標的ヌクレオチド配列に十分に相補的であるヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)は、重合反応(例えば、PCR)を行うことを可能にする条件下で、オリゴヌクレオチドが、標的ヌクレオチド配列を含む核酸分子に特異的にハイブリダイズするように、その標的ヌクレオチド配列に十分に相補的であるヌクレオチド配列を含む。
【0234】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)又は配列決定方法によってDNA合成を開始するのに有用であり得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドを使用して、例えば、PCRを使用して、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子、又はその断片を増幅させてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドを使用して、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子を配列決定してもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドを使用して、例えば、PCRを使用して、本明細書に記載の1つ以上のCD274変異を生じるか、又はそれに関連するブレークポイントを含む核酸分子を増幅させてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドを使用して、例えば、PCRを使用して、本明細書に記載の1つ以上のCD274変異を生じるか、又はそれに関連するブレークポイントを含む核酸分子を配列決定してもよい。
【0235】
一部の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子にハイブリダイズするように構成される、オリゴヌクレオチドの対(例えば、プライマーの対)が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本開示のオリゴヌクレオチドの対を、例えば、PCR反応を使用して、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子の増幅を指令するために使用し得る。一部の実施形態では、例えば、PCR反応を使用して、核酸分子又はその断片を増幅の指令に使用するために、本明細書に記載の1つ以上のCD274変異を生じるか、又はそれに関連するブレークポイントを含む核酸分子にハイブリダイズするように構成される、オリゴヌクレオチドの対、例えば、プライマーの対が本明細書で提供される。
【0236】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)は、例えば、配列決定又は増幅方法において使用するための、一本鎖核酸分子である。一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドは、二本鎖核酸分子である。一部の実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドは、例えば、配列決定又は増幅方法において使用する前に、処理され、例えば、変性され、その2つの鎖を分離する。本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドは、例えば、PCR又は配列決定中に、その標的にハイブリダイズし、伸長産物の合成をプライミングするのに十分な長さのヌクレオチド配列を含む。
【0237】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100個、又はそれより多くのデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドは、少なくとも約8個のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドは、少なくとも約10個のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドは、少なくとも約12個のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドは、少なくとも約15個のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドは、少なくとも約20個のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドは、少なくとも約30個のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドは、約10~約30個のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドは、約10~約25個のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドは、約10~約20個のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドは、約10~約15個のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドは、約12~約20個のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドは、約17~約20個のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドの長さ及びヌクレオチオド配列は、例えば、特定の用途(例えば、PCR、配列決定ライブラリ調製、配列決定)、反応条件(例えば、緩衝液、温度)、及びオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列又はその標的相補配列のヌクレオチド組成などの因子に基づいて、当該技術分野で既知の方法に従って決定される。
【0238】
一部の実施形態では、本開示のオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)は、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸(例えば、ゲノム核酸又は転写された核酸、例えば、cDNA又はRNA)を、参照ヌクレオチド配列(例えば、その1つ以上の変異を有しないヌクレオチド配列)から区別する。一部の実施形態では、本開示のオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)は、本明細書に記載の1つ以上のCD274変異を生じるか、又はそれに関連するブレークポイントを含む核酸(例えば、ゲノム核酸又は転写された核酸、例えば、cDNA又はRNA)を、参照ヌクレオチド配列(例えば、そのブレークポイントを有しないヌクレオチド配列)から区別する。
【0239】
一態様では、本明細書に記載の1つ以上のCD274変異を生じるか、又はそれに関連する細胞遺伝学的異常、例えば、変更、再配列、染色体逆位、欠失、転座、重複、又は他の再配列を含む核酸分子を増幅するためのプライマー又はプライマーセットが本明細書で提供される。別の態様では、本明細書に記載の1つ以上のCD274変異を生じるか、又はそれに関連する変更、再配列、染色体逆位、挿入、欠失、転座、重複、又は他の再配列を含む核酸分子を増幅するためのプライマー又はプライマーセットが本明細書で提供される。特定の態様では、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド、例えば、プライマーであって、対の第1のオリゴヌクレオチドが、変異(例えば、本明細書に記載の1つ以上のCD274変異)に特異的にハイブリダイズし、対の第2のオリゴヌクレオチドが、変異の上流又は下流の配列に特異的にハイブリダイズする、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド、例えば、プライマーが本明細書で提供される。特定の態様では、オリゴヌクレオチドの対、例えば、プライマーであって、対の第1のオリゴヌクレオチドが、変異(例えば、本明細書に記載の1つ以上のCD274変異)の上流の配列に特異的にハイブリダイズし、対の第2のオリゴヌクレオチドが、変異の下流の配列に特異的にハイブリダイズする、オリゴヌクレオチドの対、例えば、プライマーが本明細書で提供される。
【0240】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)は、本明細書に記載のCD274変異に、又は本明細書に記載のCD274ブレークポイント(例えば、本明細書に記載の1つ以上のCD274変異を生じるか、又はそれに関連する)、及び変異若しくはブレークポイントのいずれかの側の上の配列(例えば、変異若しくはブレークポイントのいずれかの側の上の1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のヌクレオチドのうちのいずれか)に、ハイブリダイズする。
【0241】
腫瘍変異負荷
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、本開示のがんにおける腫瘍変異負荷のレベルの知識を取得するか、又は腫瘍変異負荷のレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、本開示のがんにおける腫瘍変異負荷のレベルの知識を取得するか、又は腫瘍変異負荷のレベルを検出することは、個体から得られた試料において(例えば、がん又は腫瘍からの試料において)腫瘍変異負荷のレベルを測定することを含む。
【0242】
一部の実施形態では、腫瘍変異負荷は、個体からの試料(例えば、本明細書に記載の試料)において評価される。一部の実施形態では、個体からの試料は、流体、細胞、又は組織を含む。一部の実施形態では、個体からの試料は、腫瘍生検又は循環腫瘍細胞を含む。一部の実施形態では、個体からの試料は、核酸を含む。一部の実施形態では、個体からの試料は、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む。
【0243】
一部の実施形態では、腫瘍変異負荷は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法を使用して評価される。例えば、腫瘍変異負荷は、全エクソーム配列決定(WES)、次世代配列決定、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、遺伝子ターゲット配列決定、又は遺伝子のパネル(例えば、がん関連遺伝子を含むパネル)の配列決定を使用して測定され得る。例えば、Melendez et al.,Transl Lung Cancer Res(2018)7(6):661-667を参照されたい。一部の実施形態では、腫瘍変異負荷は、遺伝子ターゲット配列決定を使用して、例えば、核酸ハイブリダイゼーション捕捉方法を例えば配列決定と組み合わせて使用して、測定される。例えば、Fancello et al.,J Immunother Cancer(2019)7:183を参照されたい。
【0244】
一部の実施形態では、腫瘍変異負荷は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2017151524A1に提供される方法に従って測定される。
【0245】
一部の実施形態では、腫瘍変異負荷は、全エクソーム配列決定によって、試料において測定される。一部の実施形態では、腫瘍変異負荷は、次世代配列決定によって、試料において測定される。一部の実施形態では、腫瘍変異負荷は、全ゲノム配列決定を使用して、試料において測定される。一部の実施形態では、腫瘍変異負荷は、遺伝子ターゲット配列決定によって、試料において測定される。一部の実施形態では、腫瘍変異負荷は、配列決定されたDNAの約0.83Mb~約1.3Mbについて測定される。一部の実施形態では、腫瘍変異負荷は、配列決定されたDNAの約0.8Mb、約0.81Mb、約0.82Mb、約0.83Mb、約0.84Mb、約0.85Mb、約0.86Mb、約0.87Mb、約0.88Mb、約0.89Mb、約0.9Mb、約0.91Mb、約0.92Mb、約0.93Mb、約0.94Mb、約0.95Mb、約0.96Mb、約0.97Mb、約0.98Mb、約0.99Mb、約1Mb、約1.01Mb、約1.02Mb、約1.03Mb、約1.04Mb、約1.05Mb、約1.06Mb、約1.07Mb、約1.08Mb、約1.09Mb、約1.1Mb、約1.2Mb、又は約1.3Mbのいずれかについて測定される。一部の実施形態では、腫瘍変異負荷は、配列決定されたDNAの約0.8Mbについて評価される。一部の実施形態では、腫瘍変異負荷は、配列決定されたDNAの約0.83Mb~約1.14Mbについて評価される。一部の実施形態では、腫瘍変異負荷は、配列決定されたDNAの最大約1.24Mbについて測定される。一部の実施形態では、腫瘍変異負荷は、配列決定されたDNAの最大約1.1Mbについて測定される。一部の実施形態では、腫瘍変異負荷は、配列決定されたDNAの約0.79Mbについて評価される。
【0246】
一部の実施形態では、本開示のがんは、約10mut/Mb未満、例えば、約9.9mut/Mb、約9.8mut/Mb、約9.6mut/Mb、約9.4mut/Mb、約9.2mut/Mb、約9mut/Mb、約8.8mut/Mb、約8.6mut/Mb、約8.4mut/Mb、約8.2mut/Mb、約8mut/Mb、約7.8mut/Mb、約7.6mut/Mb、約7.4mut/Mb、約7.2mut/Mb、約7mut/Mb、約6.8mut/Mb、約6.6mut/Mb、約6.4mut/Mb、約6.2mut/Mb、約6mut/Mb、約5.8mut/Mb、約5.6mut/Mb、約5.4mut/Mb、約5.2mut/Mb、約5mut/Mb、約4.8mut/Mb、約4.6mut/Mb、約4.4mut/Mb、約4.2mut/Mb、約4mut/Mb、約3.8mut/Mb、約3.6mut/Mb、約3.4mut/Mb、約3.2mut/Mb、約3mut/Mb、約2.8mut/Mb、約2.6mut/Mb、約2.4mut/Mb、約2.2mut/Mb、約2mut/Mb、約1.8mut/Mb、約1.6mut/Mb、約1.4mut/Mb、約1.2mut/Mb、約1mut/Mb、約0.8mut/Mb、約0.6mut/Mb、約0.4mut/Mb、約0.2mut/Mb、又はそれより未満のうちのいずれかの腫瘍変異負荷を有する。
【0247】
一部の実施形態では、本開示のがんは、例えば、少なくとも約10mut/Mbの高い腫瘍変異負荷を有する。一部の実施形態では、がんは、少なくとも約10mut/Mbの腫瘍変異負荷を有する。一部の実施形態では、がんは、少なくとも約20mut/Mbの腫瘍変異負荷を有する。一部の実施形態では、がんは、約10mut/Mb~約15mut/Mb、約15mut/Mb~約20mut/Mb、約20mut/Mb~約25mut/Mb、約25mut/Mb~約30mut/Mb、約30mut/Mb~約35mut/Mb、約35mut/Mb~約40mut/Mb、約40mut/Mb~約45mut/Mb、約45mut/Mb~約50mut/Mb、約50mut/Mb~約55mut/Mb、約55mut/Mb~約60mut/Mb、約60mut/Mb~約65mut/Mb、約65mut/Mb~約70mut/Mb、約70mut/Mb~約75mut/Mb、約75mut/Mb~約80mut/Mb、約80mut/Mb~約85mut/Mb、約85mut/Mb~約90mut/Mb、約90mut/Mb~約95mut/Mb、又は約95mut/Mb~約100mut/Mbのうちのいずれかの腫瘍変異負荷を有する。一部の実施形態では、がんは、約100mut/Mb~約110mut/Mb、約110mut/Mb~約120mut/Mb、約120mut/Mb~約130mut/Mb、約130mut/Mb~約140mut/Mb、約140mut/Mb~約150mut/Mb、約150mut/Mb~約160mut/Mb、約160mut/Mb~約170mut/Mb、約170mut/Mb~約180mut/Mb、約180mut/Mb~約190mut/Mb、約190mut/Mb~約200mut/Mb、約210mut/Mb~約220mut/Mb、約220mut/Mb~約230mut/Mb、約230mut/Mb~約240mut/Mb、約240mut/Mb~約250mut/Mb、約250mut/Mb~約260mut/Mb、約260mut/Mb~約270mut/Mb、約270mut/Mb~約280mut/Mb、約280mut/Mb~約290mut/Mb、約290mut/Mb~約300mut/Mb、約300mut/Mb~約310mut/Mb、約310mut/Mb~約320mut/Mb、約320mut/Mb~約330mut/Mb、約330mut/Mb~約340mut/Mb、約340mut/Mb~約350mut/Mb、約350mut/Mb~約360mut/Mb、約360mut/Mb~約370mut/Mb、約370mut/Mb~約380mut/Mb、約380mut/Mb~約390mut/Mb、約390mut/Mb~約400mut/Mb、又は400mut/Mbより大きいうちのいずれかの腫瘍変異負荷を有する。一部の実施形態では、がんは、少なくとも約100mut/Mb、少なくとも約110mut/Mb、少なくとも約120mut/Mb、少なくとも約130mut/Mb、少なくとも約140mut/Mb、少なくとも約150mut/Mb、又はそれより大きいTMBを有する。
【0248】
一部の実施形態では、腫瘍変異負荷を測定することは、個体において、がんに由来する試料中の変異を評価することを含む。一部の実施形態では、腫瘍変異負荷を測定することは、個体において、また、適合させた正常試料(例えば、がんを含まない組織又は他の供給源に由来する個体からの試料)において、がんに由来する試料中の変異を評価することを含む。
【0249】
PD-L1発現
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、本開示のがんにおけるPD-L1発現のレベルの知識を取得するか、又はPD-L1発現のレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、本開示のがんにおけるPD-L1発現のレベルの知識を取得するか、又はPD-L1発現のレベルを検出することは、個体から得られた試料において(例えば、がん又は腫瘍からの試料において)PD-L1発現を測定することを含む。
【0250】
個体からの試料においてPD-L1発現を測定するための任意の好適な方法を使用してもよい。例えば、PD-L1発現のレベルは、免疫組織化学(IHC)、ウエスタンブロット分析、免疫沈降、分子結合アッセイ、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素結合免疫濾過アッセイ(ELIFA)、蛍光活性化細胞選別(FACS)、MassARRAY、プロテオミクス(例えば、質量分析法)、定量的な血液ベースのアッセイ(例えば、血清ELISAのような)、生物化学酵素活性アッセイ、インサイチュハイブリダイゼーション、ノーザン分析、定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)を含むポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)及び他の増幅ベースの方法、RNA配列決定(RNA-seq)、FISH、マイクロアレイ分析、遺伝子発現プロファイリング、及び/又は遺伝子発現連鎖分析(「SAGE」)を使用して測定され得る。Rules Based Medicine又はMeso Scale Discovery(「MSD」)から入手可能なものなどの多重化イムノアッセイも使用され得る。
【0251】
一部の実施形態では、個体からの試料におけるPD-L1発現は、試料中のPD-L1 mRNAのレベルに基づいて測定される。個体からの試料においてmRNA発現を測定するための任意の好適な方法を使用してもよい。例えば、PD-L1 mRNA発現のレベルは、インサイチュハイブリダイゼーション、ノーザン分析、定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)を含むポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)及び他の増幅ベースの方法、RNA配列決定(RNA-seq)、FISH、マイクロアレイ分析、遺伝子発現プロファイリング、及び/又は遺伝子発現連鎖分析(「SAGE」)を使用して測定され得る。
【0252】
一部の実施形態では、個体からの試料におけるPD-L1発現は、試料中のPD-L1タンパク質のレベルに基づいて測定される。個体からの試料においてタンパク質発現を測定するための任意の好適な方法を使用してもよい。例えば、PD-L1タンパク質発現のレベルは、免疫組織化学(IHC)、ウエスタンブロット分析、免疫沈降、分子結合アッセイ、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素結合免疫濾過アッセイ(ELIFA)、蛍光活性化細胞選別(FACS)、プロテオミクス(例えば、質量分析法)、定量的な血液ベースのアッセイ(例えば、血清ELISAのような)、生物化学酵素活性アッセイ、又はRules Based Medicine若しくはMeso Scale Discovery(「MSD」)から入手可能なものなどの多重化イムノアッセイを使用して測定され得る。
【0253】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるがんは、腫瘍浸潤免疫細胞(IC)及び/又は腫瘍細胞(TC)の少なくとも約1%(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は100%のうちのいずれか)が、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAを発現する(例えば、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAについて陽性である)場合、PD-L1について陽性であると決定される。一部の実施形態では、本明細書で提供されるがんは、腫瘍浸潤免疫細胞(IC)の少なくとも約1%(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は100%のうちのいずれか)が、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAを発現する(例えば、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAについて陽性である)場合、PD-L1について陽性であると決定される。一部の実施形態では、本明細書で提供されるがんは、腫瘍細胞の少なくとも約1%(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は100%のうちのいずれか)が、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAを発現する(例えば、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAについて陽性である)場合、PD-L1について陽性であると決定される。
【0254】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるがんは、個体からの試料中の腫瘍浸潤免疫細胞(IC)及び/又は腫瘍細胞(TC)の少なくとも約1%(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は100%のうちのいずれか)が、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAを発現する(例えば、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAについて陽性である)場合、PD-L1について陽性であると決定される。一部の実施形態では、本明細書で提供されるがんは、個体からの試料中の腫瘍浸潤免疫細胞(IC)の少なくとも約1%(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は100%のうちのいずれか)が、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAを発現する(例えば、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAについて陽性である)場合、PD-L1について陽性であると決定される。一部の実施形態では、本明細書で提供されるがんは、個体からの試料中の腫瘍細胞の少なくとも約1%(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は100%のうちのいずれか)が、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAを発現する(例えば、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAについて陽性である)場合、PD-L1について陽性であると決定される。
【0255】
一部の実施形態では、個体からの試料は、試料中の腫瘍浸潤免疫細胞(IC)及び/又は腫瘍細胞(TC)の少なくとも約1%(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は100%のうちのいずれか)が、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAを発現する(例えば、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAについて陽性である)場合、PD-L1について陽性であると決定される。一部の実施形態では、個体からの試料は、試料中の腫瘍浸潤免疫細胞(IC)の少なくとも約1%(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は100%のうちのいずれか)が、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAを発現する(例えば、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAについて陽性である)場合、PD-L1について陽性であると決定される。一部の実施形態では、個体からの試料は、試料中の腫瘍細胞の少なくとも約1%(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は100%のうちのいずれか)が、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAを発現する(例えば、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAについて陽性である)場合、PD-L1について陽性であると決定される。
【0256】
一部の実施形態では、PD-L1タンパク質及び/又はPD-L1 mRNAのレベルは、個体からの試料(例えば、本明細書に記載の試料)において評価される。一部の実施形態では、個体からの試料は、流体、細胞、又は組織を含む。一部の実施形態では、個体からの試料は、腫瘍生検又は循環腫瘍細胞を含む。一部の実施形態では、試料は、がん(例えば、本開示のがん)から得られるか、又はがんに由来する。
【0257】
本明細書で提供される方法のうちのいずれかの一部の実施形態では、個体(例えば、本開示のがんを有する個体)からの試料は、試料中の腫瘍細胞の0%がPD-L1を発現する場合に、PD-L1陰性であると決定される。本明細書で提供される方法のうちのいずれかの一部の実施形態では、個体(例えば、本開示のがんを有する個体)からの試料は、試料中の腫瘍細胞の少なくとも約1%がPD-L1を発現する場合に、PD-L1陽性であると決定される。本明細書で提供される方法のうちのいずれかの一部の実施形態では、個体(例えば、本開示のがんを有する個体)からの試料は、試料中の腫瘍細胞の少なくとも約1%~約49%がPD-L1を発現する場合に、PD-L1低陽性であると決定される。本明細書で提供される方法のうちのいずれかの一部の実施形態では、個体(例えば、本開示のがんを有する個体)からの試料は、試料中の腫瘍細胞の少なくとも約50%以上がPD-L1を発現する場合に、PD-L1高陽性であると決定される。本明細書で提供される方法のうちのいずれかの一部の実施形態では、個体(例えば、本開示のがんを有する個体)からの試料は、試料がPD-L1低陽性又はPD-L1高陽性である場合に、PD-L1陽性であると決定される。
【0258】
一部の実施形態では、PD-L1タンパク質発現のレベルは、免疫組織化学アッセイを使用して測定される。一部の実施形態では、PD-L1タンパク質発現のレベルは、VENTANA PD-L1アッセイ(SP142)を使用して測定される。一部の実施形態では、PD-L1タンパク質発現のレベルは、腫瘍浸潤免疫細胞(IC)及び/又は腫瘍細胞(TC)におけるPD-L1発現に基づいて決定される。VENTANA SP142アッセイについての追加の情報は、ウェブサイト:www[dot]accessdata[dot]fda[dot]gov/cdrh_docs/pdf16/P160002c.pdfに見出され得る。
【0259】
一部の実施形態では、PD-L1タンパク質発現のレベルは、免疫組織化学アッセイ、例えば、DAKO 22C3アッセイを使用して、PD-L1腫瘍細胞発現に基づいて決定される。一部の実施形態では、PD-L1タンパク質発現のレベルは、腫瘍割合スコア(TPS)に基づいて評価される。TPSは、試料中に存在する全腫瘍細胞に対する、部分的又は完全なPD-L1膜染色を示す腫瘍細胞の割合である(例えば、0、1+、2+、及び3スケールでの1+以上の強度で)。一部の実施形態では、TPSは、PD-L1陽性腫瘍細胞の数/PD-L1陽性腫瘍細胞の総数+PD-L1陰性腫瘍細胞の総数として計算される。本明細書で使用される場合、PD-L1低陽性状態は、1%~49%のTPSとして定義され、PD-L1高陽性状態は、50%以上のTPSとして定義される。本明細書で使用される場合、PD-L1陰性状態は、1%未満のTPSとして定義される。一部の実施形態では、本開示のがんは、PD-L1低陽性状態又はPD-L1高陽性状態を有する場合、PD-L1陽性であると決定される。一部の実施形態では、本開示のがんは、PD-L1陽性である(例えば、がんは、がんを有する個体から得られた試料において、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は100%のうちのいずれかのTPSを有すると決定される)。一部の実施形態では、本開示のがんは、PD-L1低陽性である(例えば、がんは、がんを有する個体から得られた試料において、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、又は約49%のうちのいずれかのTPSを有すると決定される)。一部の実施形態では、本開示のがんは、PD-L1高陽性である(例えば、がんは、がんを有する個体から得られた試料において、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約100%のうちのいずれかのTPSを有すると決定される)。一部の実施形態では、本開示のがんは、PD-L1陰性である(例えば、がんは、がんを有する個体から得られた試料において、1%未満のTPSを有すると決定される)。DAKO 22C3アッセイ及びTPSスコアについての追加の情報は、例えば、ウェブサイト:www.agilent.com/cs/library/usermanuals/public/29158_pd-l1-ihc-22C3-pharmdx-nsclc-interpretation-manual.pdfに見出され得る。
【0260】
抗体
例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含む、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分に特異的に結合する、抗体又は抗体断片が本明細書で提供される。抗体は、抗体又は抗体断片が、特異的な抗原結合活性(例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含む、例えば、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分への結合)を示す限り、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、又は抗体断片を含む、任意の好適なタイプの抗体であってもよい。
【0261】
一部の実施形態では、例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含む、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分は、例えば、ポリクローナル及びモノクローナル抗体調製のための標準的な技術を使用して、本開示の1つ以上の抗体に対する免疫原として使用される。一部の実施形態では、例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含む、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分を使用して、例えば、ポリクローナル及びモノクローナル抗体調製のための標準的な技術を使用して、本開示の1つ以上の抗体を生成するための免疫原として使用するための抗原性ペプチド断片(例えば、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約30個のうちのいずれか、又はそれより多くのアミノ酸を含む)を提供する。当該技術分野で既知であるように、本開示の抗体は、ウサギ、ヤギ、マウス、又は他の哺乳動物若しくは脊椎動物などの好適な(すなわち、免疫応答性の)対象に免疫付与することによって調製され得る。適切な免疫原性調製物は、例えば、組換え発現されたか、又は化学合成されたポリペプチド(例えば、本明細書に記載のPD-L1ポリペプチド)、又はその断片を含有し得る。調製物は、アジュバント、例えば、完全若しくは不完全フロイントアジュバント、又は同様の免疫刺激剤を更に含み得る。
【0262】
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、ポリクローナル抗体である。ポリクローナル抗体を産生する方法は、当該技術分野で既知である。一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、モノクローナル抗体であり、抗体分子の集合体は、特定のエピトープ(例えば、本明細書で提供されるPD-L1ポリペプチド上のエピトープ)と免疫反応するか、又はそれと結合することが可能な抗原結合部位の種を1つだけ含有する。モノクローナル抗体の調製方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、Kohler and Milstein(1975)Nature 256:495-497によって最初に記載された標準的なハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al.,1983,Immunol.Today 4:72を参照されたい)、EBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al.,pp.77-96 In Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,1985を参照されたい)、又はトリオーマ技術を使用する。ハイブリドーマを産生するための技術は、よく知られている(一般に、Current Protocols in Immunology,Coligan et al.ed.,John Wiley&Sons,New York,1994を参照されたい)。本開示のモノクローナル抗体はまた、目的のポリペプチド、例えば、本明細書で提供されるPD-L1ポリペプチド、又はその断片を有する組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリ(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリ)をスクリーニングすることによって特定され、単離され得る。ファージディスプレイライブラリを生成し、スクリーニングするためのキットは、市販されている(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System、カタログ番号27-9400-01、及びStratagene SurfZAP Phage Display Kit、カタログ番号240612)。これに加えて、抗体ディスプレイライブラリを生成し、スクリーニングする際に使用するために特に適した方法及び試薬の例は、例えば、米国特許第5,223,409号、PCT公開第WO92/18619号、PCT公開第WO91/17271号、PCT公開第WO92/20791号、PCT公開第WO92/15679号、PCT公開第WO93/01288号、PCT公開第WO92/01047号、PCT公開第WO92/09690号、PCT公開第WO90/02809号、Fuchs et al.(1991)Bio/Technology 9:1370-1372、Hay et al.(1992)Hum.Antibod.Hybridomas 3:81-85、Huse et al.(1989)Science 246:1275-1281、及びGriffiths et al.(1993)EMBO J.12:725-734中に見出され得る。一実施形態では、本開示のモノクローナル抗体は、ヒト部分及び非ヒト部分の両方を含む、組換え抗体、例えば、キメラ及びヒト化モノクローナル抗体である。そのようなキメラ及び/又はヒト化モノクローナル抗体は、例えば、例えば、PCT公開第WO87/02671号、欧州特許出願第184,187号、欧州特許出願第171,496号、欧州特許出願第173,494号、PCT公開第WO86/01533号、米国特許第4,816,567号、欧州特許出願第125,023号、Better et al.(1988)Science 240:1041-1043、Liu et al.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439-3443、Liu et al.(1987)J.Immunol.139:3521-3526、Sun et al.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214-218、Nishimura et al.(1987)Cancer Res.47:999-1005、Wood et al.(1985)Nature 314:446-449;Shaw et al.(1988)J.Natl.Cancer Inst.80:1553-1559、Morrison(1985)Science 229:1202-1207、Oi et al.(1986)Bio/Techniques 4:214、米国特許第5,225,539号、Jones et al.(1986)Nature 321:552-525、Verhoeyan et al.(1988)Science 239:1534、及びBeidler et al.(1988)J.Immunol.141:4053-4060に記載される方法を使用して、当該技術分野で既知の組換えDNA技術によって生成され得る。一部の実施形態では、本開示のモノクローナル抗体は、ヒトモノクローナル抗体である。一実施形態では、ヒト化モノクローナル抗体は、当該技術分野で既知の方法を使用して、例えば、外因性免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖遺伝子を発現することはできないが、ヒト重鎖及び軽鎖遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用して、調製される。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概要について、Lonberg and Huszar(1995)Int.Rev.Immunol.13:65-93を参照されたい。ヒト抗体及びヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術、並びにそのような抗体を産生するためのプロトコルの詳細な説明について、例えば、米国特許第5,625,126号、米国特許第5,633,425号、米国特許第5,569,825号、米国特許第5,661,016号、及び米国特許第5,545,806号を参照されたい。
【0263】
一部の実施形態では、本開示の抗体又は抗体断片は、単離された抗体又は抗体断片であり、その天然環境又は抗体若しくは抗体断片を産生するために使用される細胞培養物の成分から分離されている。一部の実施形態では、本開示の抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)、又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)方法によって決定される場合、95%又は99%を超える純度まで精製される。
【0264】
一部の実施形態では、本開示の抗体を使用して、標準的な技術、例えば、アフィニティークロマトグラフィー又は免疫沈降によって、本明細書で提供されるPD-L1ポリペプチド、又はその断片を単離することができる。一部の実施形態では、本開示の抗体を使用して、PD-L1ポリペプチドの発現のレベル及び/又はパターンを評価するために、例えば、組織試料、細胞溶解物、又は細胞上清において、本明細書で提供されるPD-L1ポリペプチド、又はその断片を検出することができる。検出は、検出可能な基質に抗体をカップリングすることによって促進することができる。したがって、一部の実施形態では、本開示の抗体を、検出可能な基質、例えば、酵素、補欠分子族、蛍光性材料、発光性材料、生物発光性材料、及び放射性材料にカップリングする。好適な酵素の非限定的な例としては、例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。適切な補欠分子族複合体の例としては、例えば、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンが挙げられる。好適な蛍光性材料の例としては、例えば、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド又はフィコエリスリンが挙げられる。発光性材料の例としては、限定されないが、ルミノールが挙げられる。生物発光性材料の例としては、例えば、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びエクオリンが挙げられる。好適な放射性材料の例としては、例えば、125I、131I、35S、又は3Hが挙げられる。
【0265】
本開示の抗体又は抗体断片はまた、診断的に使用され、例えば、本明細書で提供される方法に従って、例えば、組織又は体液において(例えば、腫瘍細胞を含有する組織又は体液において)、タンパク質のレベル(例えば、本明細書で提供されるPD-L1ポリペプチド、又はその断片のタンパク質レベル)を検出及び/又はモニタリングしてもよい。
【0266】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、又は0.001nM以下(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(Kd)を有する。抗体親和性(例えば、Kd)を測定する方法は、当該技術分野で既知であり、限定されないが、放射性標識抗原結合アッセイ(RIA)及びBIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイが挙げられる。一部の実施形態では、抗体親和性(例えば、Kd)は、本開示の抗体のFab態様及びその抗原(例えば、本明細書で提供されるPD-L1ポリペプチド、又はその断片)を用いて決定される。一部の実施形態では、本開示の抗体のFab態様及びその抗原(例えば、本明細書で提供されるPD-L1ポリペプチド、又はその断片)を用いてRIAが行われる。
【0267】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片としては、限定されないが、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、及び一本鎖抗体分子(例えば、scFv)断片、並びに本明細書に記載の他の断片が挙げられる。
【0268】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、ダイアボディである。ダイアボディは、二価又は二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、トリアボディ又はテトラボディである。
【0269】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、シングルドメイン抗体である。シングルドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全て若しくは一部分、又は軽鎖可変ドメインの全て若しくは一部分を含む抗体断片である。特定の実施形態では、シングルドメイン抗体は、ヒトシングルドメイン抗体である。
【0270】
抗体断片は、当該技術分野で既知であり、また、本明細書に記載されるように、限定されないが、インタクト抗体のタンパク質分解消化、及び組換え宿主細胞(例えば、E.coli又はファージ)による産生を含む、様々な技術によって作製され得る。
【0271】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、キメラ抗体である。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又は非ヒト霊長類、例えば、サルに由来する可変領域)と、ヒト定常領域と、を含む。更なる例では、キメラ抗体は、「クラススイッチした」抗体であり、抗体のクラス又はサブクラスが、親抗体のクラス又はサブクラスから変化している。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
【0272】
特定の実施形態では、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、親非ヒト抗体の特異性及び親和性を保持しつつ、ヒトに対する免疫原性を低下させるようにヒト化されている。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えばCDR(又はその一部分)が非ヒト抗体に由来し、フレームワーク領域(FR)(又はその一部分)がヒト抗体配列に由来する、1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体はまた、任意選択的に、ヒト定常領域の少なくとも一部分を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体中の一部のFR残基は、非ヒト抗体(例えば、HVR残基の由来となる抗体)からの対応する残基で置換され、例えば、抗体特異性又は親和性を回復するか、又は改善する。ヒト化抗体、及びそれを作製する方法は、当該技術分野で既知である。ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域としては、限定されないが、「ベストフィット(best-fit)」方法を使用して選択されたフレームワーク領域、軽鎖若しくは重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域、ヒト成熟(体細胞変異した)フレームワーク領域、又はヒト生殖細胞系列フレームワーク領域、及びFRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域が挙げられる。
【0273】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で既知の様々な技術を使用して産生され得る。例えば、ヒト抗体は、インタクトヒト抗体、又は抗原性チャレンジに応答してヒト可変領域を有するインタクト抗体を産生するように改質されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製され得る。そのような動物は、典型的には、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全て若しくは一部分を含有し、それらは内因性免疫グロブリン遺伝子座を置き換えているか、又は染色体外で存在するか、又は動物の染色体に無作為に組み込まれ得る。そのようなトランスジェニック動物(例えば、マウス)では、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般に、不活性化されている。そのような動物によって生成されるインタクト抗体からのヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって、更に修飾され得る。ヒト抗体はまた、当該技術分野で既知のハイブリドーマベースの方法によって、例えば、ヒトモノクローナル抗体を産生するための、既知のヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株を使用して、作製されてもよい。ヒト抗体はまた、ヒト由来のファージディスプレイライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって生成され得る。次いで、そのような可変ドメイン配列を、所望のヒト定常ドメインと組み合わせてもよい。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技術を以下に記載する。
【0274】
本開示の抗体は、所望の1つ以上の活性を有する抗体について、コンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成し、所望の結合特徴を保有する抗体について、そのようなライブラリをスクリーニングするための様々な方法が、当該技術分野で既知である。特定のファージディスプレイ方法では、VH及びVL遺伝子のレパートリーをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別個にクローニングし、ファージライブラリにおいて無作為に組み合わせ、次いで、抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、典型的には、一本鎖Fc(scFv)断片として、又はFab断片として、抗体断片を提示する。免疫付与された供給源からのライブラリは、ハイブリドーマを構築する必要なく、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、天然抗体のレパートリーは、単一の抗体源から多種多様な非自己、また自己の抗原を免疫付与することなく提供するように(例えば、ヒトから)クローン化され得る。天然ライブラリはまた、幹細胞から再配列されていないV-遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含有するPCRプライマーを使用して、高度に可変性のCDR3領域を増幅させ、インビトロでの再配列を達成することによって、合成的に作製され得る。ヒト抗体ライブラリから単離された抗体又は抗体断片は、本明細書のヒト抗体又はヒト抗体断片とみなされる。
【0275】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位又は少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。例えば、結合特異性のうちの1つが、本開示の免疫チェックポイントタンパク質に対するものであってもよく、他方が、任意の他の抗原、例えば、本明細書で提供されるPD-L1ポリペプチド、又はその断片に対するものであってもよい。多重特異性抗体は、完全長抗体として、又は抗体断片として、調製され得る。多重特異性抗体を作製するための技術は、当該技術分野で既知であり、限定されないが、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現、及び「ノブインホール(knob-in-hole)」操作が挙げられる。多重特異性抗体はまた、ヘテロダイマーFcを作製するために静電的ステアリング効果を操作すること(例えば、定常領域内に変異を導入することによって)、2つ以上の抗体又は断片を架橋させること、ロイシンジッパーを使用して二重特異性抗体を生成すること、二重特異性抗体断片を作製するための「ダイアボディ」技術を使用すること、一本鎖Fv(scFv)ダイマーを使用すること、及び三重特異性抗体を調製することによって、作製され得る。「オクトパス抗体」を含む、3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作された抗体も、本開示に含まれる。本開示の抗体又は抗体断片はまた、例えば、免疫チェックポイントタンパク質及び別の異なる抗原に結合する抗原結合部位を含む、「二重作用(Dual Acting)FAb」又は「DAF」を含む。
【0276】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体のアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。本開示の抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって、調製され得る。そのような修飾としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失、及び/又は挿入、及び/又は置換が挙げられる。最終的な抗体に到達するように、欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせを作製することができるが、最終抗体が所望な特徴(例えば、抗原結合)を有する場合に限る。
【0277】
特定の実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体バリアントが提供される。置換変異のための目的の部位としては、HVR及びFRが挙げられる。アミノ酸置換は、目的の抗体に導入されてもよく、産物を、所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合、減少した免疫原性、又は改善若しくは減少した抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、及び/又は補体依存性細胞傷害性(CDC)についてスクリーニングし得る。
【0278】
特定の実施形態では、本開示の抗体を、抗体がグリコシル化される程度を増加又は減少するように変化させる。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、抗体のアミノ酸配列を変化させることによって簡便に達成されてもよく、その結果、1つ以上のグリコシル化部位が作成されるか、又は除去される。二等分オリゴ糖を有する抗体バリアントが更に提供され、例えば、抗体のFc領域に接続した二分岐オリゴ糖が、GlcNAcによって二等分される。一部の実施形態では、本開示の抗体バリアントは、増加したフコシル化を有し得る。一部の実施形態では、本開示の抗体バリアントは、低下したフコシル化を有し得る。一部の実施形態では、本開示の抗体バリアントは、改善されたADCC機能を有し得る。一部の実施形態では、本開示の抗体バリアントは、減少したADCC機能を有し得る。Fc領域に接続したオリゴ糖内に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体バリアントも提供される。そのような抗体バリアントは、改善されたCDC機能を有し得る。一部の実施形態では、本開示の抗体バリアントは、増加したCDC機能を有し得る。一部の実施形態では、本開示の抗体バリアントは、減少したCDC機能を有し得る。
【0279】
特定の実施形態では、1つ以上のアミノ酸修飾は、本開示の抗体のFc領域に導入されてもよく、それによって、Fc領域バリアントが生成する。Fc領域バリアントは、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0280】
特定の実施形態では、本開示は、一部ではあるが全てではないエフェクター機能を保有し、インビボでの抗体の半減期が重要であるが、特定のエフェクター機能(例えば、CDC及びADCC)は不必要であるか、又は有害である用途にとって望ましい候補になる、抗体バリアントを企図する。インビトロ及び/インビボでの細胞傷害性アッセイを行い、CDC及びADCC活性の低下/喪失を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを行い、抗体が、Fc-ガンマ-R結合を欠く(したがって、ADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持することを確実にし得る。ADCCを媒介する初代細胞(例えば、NK細胞)は、Fc-ガンマ-RIIIのみを発現し、一方、単球は、Fc-ガンマ-RI、Fc-ガンマ-RII及びFc-ガンマ-RIIIを発現する。低下したエフェクター機能を有する抗体としては、Fc領域残基238、265、269、270、297、327及び329のうちの1つ以上の置換を有するものが挙げられる。そのようなFc変異体としては、いわゆる残基265及び297のアラニンへの置換を有する「DANA」Fc変異体を含む、アミノ酸位置265、269、270、297及び327のうちの2つ以上での置換を有するFc変異体が挙げられる。FcRへの改善又は低減した結合を有する抗体バリアントも、本開示に含まれる。特定の実施形態では、抗体バリアントは、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換(例えば、Fc領域の位置298、333、及び/又は334での置換)を有するFc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域残基のナンバリングは、残基のEUナンバリングに従う。一部の実施形態では、変化した(例えば、改善又は低減した)C1q結合及び/又はCDCを生じる変化が、Fc領域において作製される。一部の実施形態では、本開示の抗体は、例えば、RcRnに対するFc領域の結合を改善する1つ以上の置換を含む、増加した半減期、及び新生児Fc受容体(FcRn)に対する改善された結合を有する抗体を含む。そのようなFcバリアントとしては、Fc領域残基238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424若しくは434のうちの1つ以上での置換、例えば、Fc領域残基434を有するものが挙げられる。また、Fc領域バリアントの他の例について、Duncan&Winter,Nature 322:738-40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、及びWO94/29351も参照されたい。
【0281】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されている、システイン操作された抗体、例えば、「チオMAb」である。一部の実施形態では、置換された残基は、抗体のアクセス可能な部位で起こる。これらの残基をシステインで置換することによって、反応性チオール基は、それによって抗体のアクセス可能な部位に配置され、これを使用して、他の部分(例えば、薬物部分又はリンカー-薬物部分)に抗体をコンジュゲートし、例えば、本明細書に更に記載されるように、免疫コンジュゲートを作成し得る。特定の実施形態では、以下の残基のうちの任意の1つ以上が、システインで置換されてもよい。軽鎖のV205(Kabatナンバリング)、重鎖のA118(EUナンバリング)、及び重鎖Fc領域のS400(EUナンバリング)。システイン操作された抗体は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法を使用して生成され得る。
【0282】
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体又は抗体断片は、標識又はタグを含む。一部の実施形態では、標識又はタグは、放射性標識、蛍光性標識、酵素標識、配列タグ、ビオチン、又は他のリガンドである。標識又はタグの例としては、限定されないが、6xHis-タグ、ビオチン-タグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)-タグ、緑色蛍光タンパク質(GFP)-タグ、c-myc-タグ、FLAG-タグ、チオレドキシン-タグ、Glu-タグ、Nus-タグ、V5-タグ、カルモジュリン結合タンパク質(CBP)-タグ、マルトース結合タンパク質(MBP)-タグ、キチン-タグ、アルカリホスファターゼ(AP)-タグ、HRP-タグ、ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質(BCCP)-タグ、カルモジュリン-タグ、S-タグ、ストレプ-タグ、ヘマグルチニン(HA)-タグ、ジゴキシゲニン(DIG)-タグ、DsRed、RFP、ルシフェラーゼ、ショートテトラシステインタグ、ハロ-タグ、及びNus-タグが挙げられる。一部の実施形態では、標識又はタグは、検出剤、例えば、蛍光性分子、又は親和性試薬若しくはタグを含む。
【0283】
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体又は抗体断片は、薬物分子、例えば、本明細書に記載の抗がん剤、又はメルタンシン若しくはモノメチルアウリスタチンE(MMAE)などの細胞傷害性剤にコンジュゲートされる。
【0284】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体又は抗体断片は、更なる非タンパク質性部分を含有するように更に修飾され得る。そのような部分は、抗体の誘導体化に好適なものであってもよく、例えば、限定されないが、水溶性ポリマーを含む。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレン(propropylene)グリコールホモポリマー、プロイルプロピレンオキシド(prolypropylene oxide)/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、及びそれらの混合物が挙げられる。ポリマーは、任意の分子量のものであってもよく、分枝又は非分枝であってもよい。抗体に接続したポリマーの数は、変化してもよく、1つより多いポリマーが接続する場合、ポリマーは、同じ又は異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又はタイプは、限定されないが、改善される抗体の特定の特性若しくは機能、又は抗体誘導体が、定義された条件下で療法に使用されるかどうかを含む考慮事項に基づいて決定され得る。一部の実施形態では、例えば、抗体に近接する細胞が死滅される温度までの放射線を使用して、抗体を選択的に加熱するための方法で使用するために、カーボンナノチューブにコンジュゲートされた抗体が本明細書で提供される。
【0285】
報告
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、レポートを生成すること、及び/又はレポートを当事者に提供することを含む。
【0286】
一部の実施形態では、本開示によるレポートは、(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異;(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)例えば、本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含む、本開示のがん;あるいは((例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)例えば、本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含む)本開示のがんなどのがんを有する個体のための治療、療法、又は1つ以上の治療選択肢のうちの1つ以上についての情報を含む。
【0287】
一部の実施形態では、本開示によるレポートは、個体、例えば、がん(例えば、本明細書で提供されるがん)を有する個体から得られた試料における、(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在又は非存在についての情報を含む。一部の実施形態では、本開示によるレポートは、(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異が、個体から得られた試料中に存在することを示す。一実施形態では、本開示によるレポートは、(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異が、個体から得られた試料中に存在しないことを示す。一実施形態では、本開示によるレポートは、(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異が、個体から得られた試料において検出されたことを示す。一部の実施形態では、本開示によるレポートは、(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異が、個体から得られた試料において検出されなかったことを示す。一部の実施形態では、レポートは、試料が得られた個体についての識別子を含む。
【0288】
一部の実施形態では、レポートは、疾患、例えば、がんにおける、(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異、あるいは野生型対応物(例えば、野生型CD274遺伝子、又は野生型PD-L1ポリペプチド)の役割についての情報を含む。そのような情報は、例えば、(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含む、がん(例えば、本明細書で提供されるがん)の予後についての情報;1つ以上の治療に対する、例えば、(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含む、がん(例えば、本明細書で提供されるがん)の耐性についての情報;潜在的又は示唆された治療選択肢(例えば、本明細書で提供される抗がん療法、又は本明細書で提供される方法に従って選択又は特定された治療)についての情報;あるいは回避すべき療法選択肢についての情報のうちの1つ以上を含み得る。一部の実施形態では、レポートは、(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含む、がん(例えば、本明細書で提供されるがん)を有し、レポートで特定された個体に、治療選択肢(例えば、本明細書で提供される抗がん療法、又は本明細書で提供される方法に従って選択又は特定された治療)を適用する際の有効性、受容性及び/又は推奨度の可能性の高さについての情報を含む。一部の実施形態では、レポートは、治療(例えば、本明細書で提供される抗がん療法、又は本明細書で提供される方法に従って選択又は特定された治療)の投与に対する情報又は推奨を含む。一部の実施形態では、情報又は推奨は、治療の投薬量及び/又は治療計画(例えば、第2の治療薬剤などの他の治療と組み合わせた)を含む。一部の実施形態では、レポートは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、又はそれより多くの治療についての情報又は推奨を含む。
【0289】
また、本開示に従ってレポートを生成する方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本開示によるレポートは、個体(例えば、がん(例えば、本明細書で提供されるがん)を有する個体)から、試料(本明細書に記載の試料)を得るステップと、試料において(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出するステップ、又は試料において(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在の知識を取得するステップと、レポートを生成するステップのうちの1つ以上を含む方法によって生成される。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるレポートは、試料における、(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在又は非存在についての情報;試料が得られた個体についての識別子;疾患、例えば、がんにおける、(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異、又は野生型対応物(例えば、野生型CD274遺伝子、又は野生型PD-L1ポリペプチド)の役割についての情報;予後、耐性、又は潜在的又は示唆された治療選択肢(例えば、本明細書で提供される抗がん療法、又は本明細書で提供される方法に従って選択又は特定された治療)についての情報;治療選択肢(例えば、本明細書で提供される抗がん療法、又は本明細書で提供される方法に従って選択又は特定された治療)を個体に適用する際の有効性、受容性及び/又は推奨度の可能性の高さについての情報;治療(例えば、本明細書で提供される抗がん療法、又は本明細書で提供される方法に従って選択又は特定された治療)の投与についての推奨又は情報;あるいは例えば、他の治療(例えば、第2の治療薬剤)と組み合わせた、治療(例えば、本明細書で提供される抗がん療法、又は本明細書で提供される方法に従って選択又は特定された治療)の投薬量又は治療計画についての推奨又は情報のうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、生成されるレポートは、個人に合わせたがんレポートである。
【0290】
本開示によるレポートは、電子形態、ウェブベースの形態、又は紙形態であってもよい。レポートは、個体若しくは患者(例えば、がん、例えば(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含む、例えば、本明細書で提供されるがんを有する個体若しくは患者)に、あるいは個体若しくは患者以外の個体若しくは事業体(例えば、がんを有する個体若しくは患者以外)、例えば、介護者、医師、がん専門医、病院、クリニック、第三者の支払人、保険会社、又は政府機関のうちの1つ以上に、提供され得る。一部の実施形態では、レポートは、個体(例えば、がんを有する個体)から試料を得てから約1日以上、約7日以上、約14日以上、約21日以上、約30日以上、約45日以上、又は約60日以上のうちのいずれかの間に個体又は事業体に提供されるか、又は届けられる。一部の実施形態では、レポートは、個体(例えば、がんを有する個体)から得られた試料において、(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出してから約1日以上、約7日以上、約14日以上、約21日以上、約30日以上、約45日以上、又は約60日以上のうちのいずれかの間に個体又は事業体に提供されるか、又は届けられる。一部の実施形態では、レポートは、個体(例えば、がんを有する個体)から得られた試料において、(例えば、CD274遺伝子を含むか、又はコードする核酸分子、又はその一部分における、又はCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分における)本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在の知識を取得してから約1日以上、約7日以上、約14日以上、約21日以上、約30日以上、約45日以上、又は約60日以上のうちのいずれかの間に個体又は事業体に提供されるか、又は届けられる。
【0291】
本明細書に記載の本方法の方法ステップは、異なる意味が明示的に提供されるか、又は文脈から明らかでない限り、1つ以上の他の当事者又は事業体にステップを実行させる任意の好適な方法を含むことを意図している。そのような当事者又は事業体は、他の当事者又は事業体の指示又は管理下にある必要はなく、特定の管轄区域内に位置する必要はない。したがって、例えば、「第1の数を第2の数に足す」という記述又は列挙は、1つ以上の当事者又は事業体に2つの数を一緒に加えさせることを含む。例えば、人Xが人Yと対等な取引を行って、2つの数を足し、人Yが実際に2つの数を足した場合、人X及び人Yの両者は、人Yが、実際に数を足したという事実によって、人Xが、人Yに数を加えさせたという事実によって、示されたステップを実行する。更に、人Xが米国内に位置し、人Yが米国外に位置する場合、方法は、人Xがステップを実行させることに関与することによって米国において実行される。
【0292】
ソフトウェア、システム、及びデバイス
一部の他の態様では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が本明細書に提供される。一部の実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、デバイスの1つ以上のプロセッサによって実行される1つ以上のプログラムを含み、1つ以上のプログラムが、1つ以上のプロセッサによって実行された場合、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法をデバイスに実行させる命令を含む。
【0293】
図7は、一実施形態による計算デバイスの例を示す。デバイス1100は、ネットワークに接続されたホストコンピュータとすることができる。デバイス1100は、クライアントコンピュータ又はサーバとすることができる。
図7に示されるように、デバイス1100は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ、又はハンドヘルド計算デバイス(携帯電子デバイス)、例えば、電話又はタブレットなどの任意の好適なタイプのマイクロプロセッサベースのデバイスであり得る。デバイスは、例えば、プロセッサ1110、入力デバイス1120、出力デバイス1130、ストレージ1140、通信デバイス1160、電源1170、オペレーションシステム1180、及びシステムバス1190を備えていてもよい。入力デバイス1120及び出力デバイス1130は、一般に、本明細書に記載のものに対応していてもよく、コンピュータと接続可能であってもよく、又はコンピュータと一体化していてもよい。
【0294】
入力デバイス1120は、タッチスクリーン、キーボード若しくはキーパッド、マウス、又は音声認識デバイスなどの入力を提供する任意の好適なデバイスであってもよい。出力デバイス1130は、タッチスクリーン、触覚デバイス、又はスピーカなど、出力を提供する任意の好適なデバイスであり得る。
【0295】
ストレージ1140は、ストレージ(例えば、RAM(揮発性及び不揮発性)、キャッシュ、ハードドライブ、又はリムーバブルストレージディスクを含む、電気的、磁気的、又は光学的メモリ)を提供する任意の好適なデバイスであり得る。通信デバイス1160は、ネットワークインターフェースチップ又はデバイスなどのネットワークを介してシグナルを送受信することができる任意の好適なデバイスを含み得る。コンピュータの構成要素は、例えば、有線メディア(例えば、物理バス、イーサネット、若しくは任意の他の有線転送技術)を介して、又は無線(例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、又は任意の他の無線技術)で、任意の好適な様式で接続することができる。例えば、
図7では、構成要素は、システムバス1190によって接続される。
【0296】
検出モジュール1150は、ストレージ1140に実行可能な命令として格納され、プロセッサ1110によって実行されることができ、例えば、本開示の機能を具現化するプロセスを含むことができる(例えば、上記のデバイスに具現化される)。
【0297】
検出モジュール1150はまた、命令実行システム、装置、若しくはデバイス(例えば、本明細書に記載のもの)によって、又はそれらと接続して使用するための任意の非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に記憶及び/又は転送することができ、命令実行システム、装置、若しくはデバイスからの、ソフトウェアに関連付けられた命令をフェッチし、命令を実行することができる。本開示の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、ストレージ1140などの任意の媒体であり得、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって、又はそれらと接続して使用するためのプロセスを含む若しくは記憶することができる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、単一の機能ユニットとして動作するハードドライブ、フラッシュドライブ、及び配信モジュールなどのメモリユニットを挙げることができる。また、本明細書に記載の様々なプロセスは、上記の実施形態及び技法に従って動作するように構成されたモジュールとして具現化され得る。更に、プロセスは別個に示され、かつ/又は説明され得るが、当業者は、上記のプロセスが他のプロセス内のルーチン又はモジュールであり得ることを理解するであろう。
【0298】
検出モジュール1150はまた、命令実行システム、装置、若しくはデバイス(例えば、上記のもの)によって、又はそれらと接続して使用するための任意の伝送媒体内に伝播することができ、命令実行システム、装置、若しくはデバイスからの、ソフトウェアに関連付けられた命令をフェッチし、命令を実行することができる。本開示の文脈において、伝送媒体は、任意の媒体とすることができ、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって、又はそれらと接続して使用するための伝送プログラミングを通信、伝播、又は伝送することができる。伝送可読媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、若しくは赤外線の有線又は無線伝播媒体を含むことができるが、これらに限定されない。
【0299】
デバイス1100は、ネットワーク(例えば、
図8に示されるネットワーク、及び/又は下記のネットワーク1204)に接続することができ、これは、任意の好適なタイプの相互接続された通信システムであり得る。ネットワークは、任意の好適な通信プロトコルを実装することができ、任意の好適なセキュリティプロトコルによって保護されることができる。ネットワークは、無線ネットワーク接続(T1若しくはT3回線)、ケーブルネットワーク、DSL、又は電話回線などの、ネットワークシグナルの送受信を実装することができる任意の好適な配置のネットワークリンクを含むことができる。
【0300】
デバイス1100は、ネットワーク上で動作するのに好適な任意のオペレーティングシステム(例えば、オペレーティングシステム1180)を実装することができる。検出モジュール1150は、C、C++、Java、又はPythonなどの任意の好適なプログラミング言語で書くことができる。様々な実施形態では、本開示の機能を具現化するアプリケーションソフトウェアは、異なる構成で(例えば、クライアント/サーバ配置で、又はウェブベースのアプリケーション若しくはウェブサービスとしてのウェブブラウザを介して)展開されることができる。一部の実施形態では、オペレーティングシステム1180は、1つ以上のプロセッサ、例えばプロセッサ1110によって実行される。
【0301】
デバイス1100は、電源1170を更に備えていてもよく、任意の好適な電源であり得る。
【0302】
図8は、一実施形態による計算システムの例を示す。システム1200では、デバイス1100(例えば、上記及び
図7に示されるもの)は、ネットワーク1204に接続され、ネットワーク1204はまた、デバイス1206に接続される。一部の実施形態では、デバイス1206は、シーケンサーである。例示的なシーケンサーは、限定されないが、Roche/454のGenome Sequencer(GS)FLX System、Illumina/SolexaのGenome Analyzer(GA)、IlluminaのHiSeq 2500、HiSeq 3000、HiSeq 4000、及びNovaSeq 6000配列決定システム、Life/APGのSupport Oligonucleotide Ligation Detection(SOLiD)システム、PolonatorのG.007システム、Helicos BioSciencesのHeliScope Gene配列決定システム、又はPacific BiosciencesのPacBio RSシステムを含む。デバイス1100及び1206は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、又はインターネットなどのネットワーク1204を介して、好適な通信インターフェースを使用して通信することができる。一部の実施形態では、ネットワーク1204は、例えば、インターネット、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、クラウドネットワーク、有線ネットワーク、又は無線ネットワークであり得る。デバイス1100及び1206は、イーサネット、IEEE802.11b無線などの無線又は有線通信を介して、部分的又は全体的に通信することができる。更に、デバイス1100及び1206は、例えば、好適な通信インターフェースを使用して、モバイル/セルラーネットワークなどの第2のネットワークを介して通信することができる。デバイス1100と1206との間の通信は、メールサーバ、モバイルサーバ、メディアサーバ、電話サーバなどの様々なサーバを更に含むか、それらと通信することができる。一部の実施形態では、デバイス1100及び1206は、(ネットワーク1204を介した通信の代わりに、又はそれに加えて)、例えば、イーサネット、IEEE802.11b無線などの無線又は有線通信を介して、直接通信することができる。一部の実施形態では、デバイス1100及び1206は、直接接続とすることができるか、又はネットワーク(例えば、ネットワーク1204)を介して発生することができる通信1208を介して通信する。
【0303】
デバイス1100及び1206の1つ又は全ては、一般に、本明細書に記載の様々な実施例に従って、ネットワーク1204を介して情報を提供及び/又は受信するために、ロジック(例えば、httpウェブサーバロジック)を含むか、あるいはローカル若しくはリモートデータベース又はデータ及びコンテンツの他のソースからアクセスされるデータをフォーマットするようにプログラムされる。
【0304】
図9は、一部の実施形態による、CD274遺伝子中の1つ以上の変異、又はその一部分を検出するための例示的なプロセス1300を示す。プロセス1300は、例えば、ソフトウェアプログラムを実装する1つ以上の電子デバイスを使用して実行される。一部の実施例では、プロセス1300は、クライアント-サーバシステムを使用して実行され、プロセス1300のブロックは、サーバとクライアントデバイスとの間で、任意の方法で分割される。他の実施例では、プロセス1300のブロックは、サーバと複数のクライアントデバイスとの間で分割される。したがって、プロセス1300の一部は、クライアント-サーバシステムの特定のデバイスによって実行されるものとして本明細書に記載されているが、プロセス1300はそのように限定されないことを理解されたい。一部の実施形態では、実行されるステップは、多くのシステムを介して、例えば、クラウド環境で実行され得る。他の実施例では、プロセス1300は、クライアントデバイスのみ、又は複数のクライアントデバイスのみを使用して実行される。プロセス1300では、いくつかのブロックが、任意選択的に結合され、いくつかのブロックの順序が、任意選択的に変更され、いくつかのブロックが、任意選択的に省略される。一部の実施例では、プロセス1300と組み合わせて追加のステップを実行することができる。したがって、図示されている(及び以下により詳細に説明されている)動作は、本質的に例示的なものであり、したがって、限定するものとみなされるべきではない。
【0305】
ブロック1302で、1つ以上の核酸の複数の配列リードが得られ、この1つ以上の核酸は、個体から得られた試料に由来する。一部の実施形態では、試料は、がん(例えば、本明細書に記載のがん)を有する個体から得られる。一部の実施形態では、配列リードは、シーケンサー(例えば、本明細書に記載されるか、又は当該技術分野で既知のその他のもの)を使用して得られる。一部の実施形態では、核酸は、本開示のCD274遺伝子に対応する1つ以上の核酸、又はその一部分を含む。任意選択的に、配列リードを得る前に、試料を精製し、濃縮し(例えば、本開示のCD274遺伝子に対応する核酸、又はその一部分について)、かつ/又はPCR増幅を行う。ブロック1304では、例示的なシステム(例えば、1つ以上の電子デバイス)は、CD274遺伝子中の1つ以上の変異、又はその一部分の存在について、複数の配列リードを分析する。ブロック1306で、システムは、(例えば、分析に基づいて)試料におけるCD274遺伝子、又はその一部分中の1つ以上の変異を検出する。
【0306】
抗がん療法
本開示の特定の態様は、抗がん療法、及び抗がん療法による治療から利益を受け得る個体を特定するための方法、個体を治療するための抗がん療法を選択するための方法、治療選択肢としての抗がん療法を特定するための方法、抗がん療法の投与を含む、がんを治療する方法若しくはがんの進行を遅らせるための方法、(例えば、個体におけるがんを治療する方法若しくはがんの進行を遅らせるための方法における、又はがんを治療するか、若しくはがんの進行を遅らせるための医薬の製造のための方法における)抗がん療法のための使用などに関する。これらの方法及び使用は、(例えば、本明細書に記載されるような)様々ながんタイプにおけるCD274の観察、及びPD-L1発現のレベルの変化とのそれらの関係に、少なくとも部分的に基づく。理論によって束縛されることを望まないが、これらのCD274変異は、小分子阻害剤、化学療法剤、がん免疫療法、抗体、細胞療法、核酸、手術、放射線療法、抗血管新生療法、抗DNA修復療法、抗炎症療法、抗新生物剤、成長阻害剤、細胞傷害性剤、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上などの適切な抗がん療法から利益を受け得る患者を特定することができると考えられる。更に、理論によって束縛されることを望まないが、これらのCD274変異は、免疫チェックポイント阻害剤以外の抗がん療法から利益を受け得る患者を特定することができると考えられる。
【0307】
一部の実施形態では、抗がん療法は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤を含む。一部の実施形態では、CDK阻害剤は、CDK4を阻害する。一部の実施形態では、CDK阻害剤は、サイクリンD/CDK4を阻害する。一部の実施形態では、抗がん療法/CDK阻害剤は、(a)CDK4の1つ以上の酵素活性を阻害する小分子、(b)CDK4の1つ以上の活性を阻害する抗体(例えば、CDK4に結合し、CDK4の1つ以上の活性を阻害することによる、CDK4に結合し、CDK4の発現を阻害することによる、及び/又はCDK4を発現する細胞に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、例えば、抗体依存性細胞傷害性、ADCC、又は食作用、ADCPを誘導することによる)、あるいは(c)CDK4の発現を阻害する核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、モルホリノ、CRISPRベースの療法など)である。一部の実施形態では、CDK阻害剤は、CDK4及びCDK6を阻害する。一部の実施形態では、CDK阻害剤は、CDK4の小分子阻害剤である(例えば、競争的又は非競争的阻害剤)。CDK阻害剤の非限定的な例としては、パルボシクリブ、リボシクリブ、及びアベマシクリブ、並びにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0308】
一部の実施形態では、抗がん療法は、マウス二重微小染色体2ホモログ(MDM2)阻害剤を含む。一部の実施形態では、抗がん療法/MDM2阻害剤は、(a)MDM2の1つ以上の酵素活性を阻害する小分子(例えば、p53に結合する)、(b)MDM2の1つ以上の活性を阻害する抗体(例えば、MDM2に結合し、MDM2の1つ以上の活性を阻害することによる、MDM2に結合し、MDM2の発現を阻害することによる、及び/又はMDM2を発現する細胞に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、例えば、抗体依存性細胞傷害性、ADCC、又は食作用、ADCPを誘導することによる)、あるいは(c)MDM2の発現を阻害する核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、モルホリノ、CRISPRベースの療法など)である。一部の実施形態では、MDM2阻害剤は、MDM2の小分子阻害剤である(例えば、競争的又は非競争的阻害剤)。MDM2阻害剤の非限定的な例としては、ヌトリン-3a、RG7112、イダサヌトリン(RG7388)、AMG-232、MI-63、MI-291、MI-391、MI-77301(SAR405838)、APG-115、DS-3032b、NVP-CGM097、及びHDM-201(シレマドリン(siremadlin))、並びにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。一部の実施形態では、MDM2阻害剤は、MDM2とp53との間の相互作用を阻害するか、又は破壊する。
【0309】
一部の実施形態では、抗がん療法は、代謝拮抗物質、DNA損傷剤、又は白金含有療法薬(例えば、5-アザシタジン(azacitadine)、5-フルオロウラシル、アカデシン、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、クロラムブシル、CPT-11、シタラビン、ダウノルビシン、デシタビン、ドキソルビシン、エトポシド、フルダラビン、ゲムシタビン、イダルビシン、放射線、オキサリプラチン、テモゾロミド、トポテカン、トラベクテジン、GSK2830371、又はルカパリブ);アポトーシス促進剤(例えば、BCL2阻害剤若しくは下方調節剤、SMAC模倣物、又はTRAILアゴニスト、例えば、ABT-263、ABT-737、オリドニン、ベネトクラクス、ベネトクラクスと抗CD20抗体、例えば、オビヌツズマブ若しくはリツキシマブとの組み合わせ、1396-11、ABT-10、SM-164、D269H/E195R、又はrhTRAIL);チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、本明細書に記載されるもの);RAS、RAF、MEK、又はMAPK経路の阻害剤(例えば、AZD6244、ダブラフェニブ、LGX818、PD0325901、ピマセルチブ、トラメチニブ、又はベムラフェニブ);PI3K、mTOR、又はAktの阻害剤(例えば、本明細書に記載されるもの);CDK阻害剤(例えば、本明細書に記載されるもの);PKC阻害剤(例えば、LXS196又はソトラスタウリン);抗体ベースの療法薬(例えば、抗PD-1又は抗PDL1抗体、例えば、アテゾリズマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、又はスパルタリズマブ;抗CD20抗体、例えば、オビヌツズマブ又はリツキシマブ;又は抗DR5抗体、例えば、ドロジツマブ);プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、又はMG-132);HDAC阻害剤(例えば、SAHA又はVPA);抗生物質(例えば、アクチノマイシンD);亜鉛含有療法薬(例えば、亜鉛又はZMC1);HSP阻害剤(例えば、ゲルダナマイシン);ATPアーゼ阻害剤(例えば、アルカゾリド);有糸分裂阻害剤(例えば、パクリタキセル又はビンクリスチン);メトホルミン;メトトレキサート;タンシノンIIA;並びに/あるいはP5091のうちの1つ以上を含む。
【0310】
一部の実施形態では、抗がん療法は、チロシンキナーゼ阻害剤を含む。一部の実施形態では、抗がん療法/チロシンキナーゼ阻害剤は、(a)チロシンキナーゼの1つ以上の酵素活性を阻害する小分子、(b)チロシンキナーゼの1つ以上の活性を阻害する抗体(例えば、チロシンキナーゼに結合し、チロシンキナーゼの1つ以上の活性を阻害することによる、チロシンキナーゼに結合し、チロシンキナーゼの発現(例えば、細胞表面発現)を阻害することによる、及び/又はチロシンキナーゼを発現する細胞に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、例えば、抗体依存性細胞傷害性、ADCC、又は食作用、ADCPを誘導することによる)、あるいは(c)チロシンキナーゼの発現を阻害する核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、モルホリノ、CRISPRベースの療法など)である。一部の実施形態では、チロシンキナーゼ阻害剤は、チロシンキナーゼの小分子阻害剤である(例えば、競争的又は非競争的阻害剤)。チロシンキナーゼ阻害剤の非限定的な例としては、イマチニブ、クレノラニブ、リニファニブ、ニネテダニブ(ninetedanib)、アキシチニブ、ダサチニブ、イメテルスタット、ミドスタウリン、パゾパニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、モテサニブ、マシチニブ、バタラニブ、カボザニチニブ(cabozanitinib)、チボザニブ、OSI-930、Ki8751、テラチニブ、ドビチニブ、チルホスチンAG 1296、及びアムバチニブ、並びにその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0311】
一部の実施形態では、抗がん療法は、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MEK)阻害剤を含む。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、MEK1及び/又はMEK2の1つ以上の活性を阻害する。一部の実施形態では、抗がん療法/MEK阻害剤は、(a)MEKの1つ以上の酵素活性を阻害する小分子、(b)MEKの1つ以上の活性を阻害する抗体(例えば、MEKに結合し、MEKの1つ以上の活性を阻害することによる、MEKに結合し、MEKの発現を阻害することによる、及び/又はMEKを発現する細胞に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、例えば、抗体依存性細胞傷害性、ADCC、又は食作用、ADCPを誘導することによる)、あるいは(c)MEKの発現を阻害する核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、モルホリノ、CRISPRベースの療法など)である。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、MEKの小分子阻害剤である(例えば、競争的又は非競争的阻害剤)。MEK阻害剤の非限定的な例としては、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、CI-1040、PD0325901、セルメチニブ、AZD8330、TAK-733、GDC-0623、レファメチニブ、ピマセルチブ、RO4987655、RO5126766、WX-544、及びHL-085、並びにその薬学的に許容される塩が挙げられる。一部の実施形態では、抗がん療法は、Raf、MEK、及び/又はERKの阻害剤を含む、Raf/MEK/ERK経路の1つ以上の活性を阻害する。
【0312】
一部の実施形態では、抗がん療法は、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)阻害剤を含む。一部の実施形態では、抗がん療法/mTOR阻害剤は、(a)mTORの1つ以上の酵素活性を阻害する小分子、(b)mTORの1つ以上の活性を阻害する抗体(例えば、mTORに結合し、mTORの1つ以上の活性を阻害することによる、mTORに結合し、mTORの発現を阻害することによる、及び/又はmTORを発現する細胞に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、例えば、抗体依存性細胞傷害性、ADCC、又は食作用、ADCPを誘導することによる)、あるいは(c)mTORの発現を阻害する核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、モルホリノ、CRISPRベースの療法など)である。一部の実施形態では、mTOR阻害剤は、mTORの小分子阻害剤である(例えば、競争的阻害剤、例えば、ATP競争的阻害剤、又は非競争的阻害剤、例えば、ラパマイシン類似体)。mTOR阻害剤の非限定的な例としては、テムシロリムス、エベロリムス、リダホロリムス、ダクトリシブ、GSK2126458、XL765、AZD8055、AZD2014、MLN128、PP242、NVP-BEZ235、LY3023414、PQR309、PKI587、及びOSI027、並びにその薬学的に許容される塩が挙げられる。一部の実施形態では、抗がん療法は、Akt及び/又はmTORの阻害剤を含む、Akt/mTOR経路の1つ以上の活性を阻害する。
【0313】
一部の実施形態では、抗がん療法は、PI3K阻害剤又はAkt阻害剤を含む。一部の実施形態では、PI3K阻害剤は、PI3Kの1つ以上の活性を阻害する。一部の実施形態では、抗がん療法/PI3K阻害剤は、(a)PI3Kの1つ以上の酵素活性を阻害する小分子、(b)PI3Kの1つ以上の活性を阻害する抗体(例えば、PI3Kに結合し、PI3Kの1つ以上の活性を阻害することによる、PI3Kに結合し、PI3Kの発現を阻害することによる、及び/又はPI3Kを発現する細胞に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、例えば、抗体依存性細胞傷害性、ADCC、又は食作用、ADCPを誘導することによる)、あるいは(c)PI3Kの発現を阻害する核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、モルホリノ、CRISPRベースの療法など)である。一部の実施形態では、PI3K阻害剤は、PI3Kの小分子阻害剤である(例えば、競争的又は非競争的阻害剤)。PI3K阻害剤の非限定的な例としては、GSK2636771、ブパルリシブ(BKM120)、AZD8186、コパンリシブ(BAY80-6946)、LY294002、PX-866、TGX115、TGX126、BEZ235、SF1126、イデラリシブ(GS-1101、CAL-101)、ピクチリシブ(GDC-094)、GDC0032、IPI145、INK1117(MLN1117)、SAR260301、KIN-193(AZD6482)、デュベリシブ、GS-9820、GSK2636771、GDC-0980、AMG319、パゾバニブ、及びアルペリシブ(BYL719、Piqray)、並びにその薬学的に許容される塩が挙げられる。一部の実施形態では、AKT阻害剤は、AKT(例えば、AKT1)の1つ以上の活性を阻害する。一部の実施形態では、抗がん療法/AKT阻害剤は、(a)AKT1の1つ以上の酵素活性を阻害する小分子、(b)AKT1の1つ以上の活性を阻害する抗体(例えば、AKT1に結合し、AKT1の1つ以上の活性を阻害することによる、AKT1に結合し、AKT1の発現を阻害することによる、及び/又はAKT1を発現する細胞に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、例えば、抗体依存性細胞傷害性、ADCC、又は食作用、ADCPを誘導することによる)、あるいは(c)AKT1の発現を阻害する核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、モルホリノ、CRISPRベースの療法など)である。一部の実施形態では、AKT1阻害剤は、AKT1の小分子阻害剤である(例えば、競争的又は非競争的阻害剤)。AKT1阻害剤の非限定的な例としては、GSK690693、GSK2141795(ウプロセルチブ)、GSK2110183(アフレセルチブ)、AZD5363、GDC-0068(イパタセルチブ)、AT7867、CCT128930、MK-2206、BAY 1125976、AKT1及びAKT2-IN-1、ペリフォシン、及びVIII、並びにその薬学的に許容される塩が挙げられる。一部の実施形態では、AKT1阻害剤は、汎Akt阻害剤である。
【0314】
一部の実施形態では、抗がん療法は、ハリネズミ(Hh)阻害剤である。一部の実施形態では、抗がん療法/Hh阻害剤は、(a)Hhの1つ以上の酵素活性を阻害する小分子、(b)Hhの1つ以上の活性を阻害する抗体(例えば、Hhに結合し、Hhの1つ以上の活性を阻害することによる、Hhに結合し、Hhの発現を阻害することによる、及び/又はHhを発現する細胞に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、例えば、抗体依存性細胞傷害性、ADCC、又は食作用、ADCPを誘導することによる)、あるいは(c)Hhの発現を阻害する核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、モルホリノ、CRISPRベースの療法など)である。一部の実施形態では、Hh阻害剤は、Hhの小分子阻害剤である(例えば、競争的又は非競争的阻害剤)。Hh阻害剤の非限定的な例としては、ソニデジブ、ビスモデギブ、エリスモデギブ、サリデギブ、BMS833923、PF-04449913、及びLY2940680、並びにその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0315】
一部の実施形態では、抗がん療法は、熱ショックタンパク質(HSP)阻害剤、MYC阻害剤、HDAC阻害剤、免疫療法、ネオ抗原、ワクチン、又は細胞療法を含む。
【0316】
一部の実施形態では、抗がん療法は、免疫チェックポイント阻害剤、化学療法、VEGF阻害剤、インテグリンβ3阻害剤、スタチン、EGFR阻害剤、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤、MAPK阻害剤、又はCDK4/6阻害剤のうちの1つ以上を含む。
【0317】
一部の実施形態では、抗がん療法は、キナーゼ阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、キナーゼ阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、キナーゼ阻害剤は、クリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブ、ロルラチニブ、ブリグチニブ、エンサルチニブ(X-396)、レポトレクチニブ(TPX-005)、エントレクチニブ(RXDX-101)、AZD3463、CEP-37440、ベリザチニブ(TSR-011)、ASP3026、KRCA-0008、TQ-B3139、TPX-0131、又はTAE684(NVP-TAE684)である。一部の実施形態では、キナーゼ阻害剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2005016894の実施例3~39に記載されるような、ALKキナーゼ阻害剤である。
【0318】
一部の実施形態では、抗がん療法は、熱ショックタンパク質(HSP)阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、HSP阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、HSP阻害剤は、KNK423などの汎HSP阻害剤である。一部の実施形態では、HSP阻害剤は、cmHsp70.1、ケルセチン、VER155008、又は17-AADなどのHSP70阻害剤である。一部の実施形態では、HSP阻害剤は、HSP90阻害剤である。一部の実施形態では、HSP90阻害剤は、17-AAD、Debio0932、ガネテスピブ(STA-9090)、レタスピマイシン塩酸塩(レタスピマイシン、IPI-504)、AUY922、アルベスピマイシン(KOS-1022、17-DMAG)、タネスピマイシン(KOS-953、17-AAG)、DS 2248、又はAT13387(オナレスピブ)である。一部の実施形態では、HSP阻害剤は、アパトルセン(OGX-427)などのHSP27阻害剤である。
【0319】
一部の実施形態では、抗がん療法は、MYC阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、MYC阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、MYC阻害剤は、MYCi361(NUCC-0196361)、MYCi975(NUCC-0200975)、Omomyc(ドミナントネガティブペプチド)、ZINC16293153(Min9)、10058-F4、JKY-2-169、7594-0035、又はMYC/MAX二量体化及び/若しくはMYC/MAX/DNA複合体形成の阻害剤である。
【0320】
一部の実施形態では、抗がん療法は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、HDAC阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、HDAC阻害剤は、ベリノスタット(PXD101、ベレオダック(登録商標))、SAHA(ボリノスタット、スベロイルアニリドヒドロキサミン、Zolinza(登録商標))、パノビノスタット(LBH589、LAQ-824)、ACY1215(Rocilinostat)、キシノスタット(JNJ-26481585)、アベキシノスタット(PCI-24781)、プラシノスタット(SB939)、ギビノスタット(ITF2357)、レスミノスタット(4SC-201)、トリコスタチンA(TSA)、MS-275(エチノスタット)、ロミデプシン(デプシペプチド、FK228)、MGCD0103(モセチノスタット)、BML-210、CAY10603、バルプロ酸、MC1568、CUDC-907、CI-994(タセジナリン)、Pivanex(AN-9)、AR-42、チダミド(CS055、HBI-8000)、CUDC-101、CHR-3996、MPT0E028、BRD8430、MRLB-223、アピシジン、RGFP966、BG45、PCI-34051、C149(NCC149)、TMP269、Cpd2、T247、T326、LMK235、C1A、HPOB、ネクスツラスタットA、Befexamac、CBHA、フェニル酪酸、MC1568、SNDX275、スクリプタイド、Merck60、PX089344、PX105684、PX117735、PX117792、PX117245、PX105844、Li et al.,Cold Spring Harb Perspect Med(2016)6(10):a026831に記載されている化合物12、又はPX117445である。
【0321】
一部の実施形態では、抗がん療法は、VEGF阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、VEGF阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、VEGF阻害剤は、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、BMS-690514、ラムシルマブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ゴルバチニブ、バンデタニブ、カボザンチニブ、レバンチニブ、アキシチニブ、セジラニブ、チボザニブ、ルシタニブ、セマキサニブ、ニンデンタニブ、レゴラフィニブ、又はアフリベルセプトである。
【0322】
一部の実施形態では、抗がん療法は、インテグリンβ3阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、インテグリンβ3阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、インテグリンβ3阻害剤は、抗avb3(クローンLM609)、シレンギチド(EMD121974、NSC、707544)、siRNA、GLPG0187、MK-0429、CNTO95、TN-161、エタラシズマブ(MEDI-522)、インテツムマブ(CNTO95)(抗αVサブユニット抗体)、アビツズマブ(EMD525797/DI17E6)(抗αVサブユニット抗体)、JSM6427、SJ749、BCH-15046、SCH221153、又はSC56631である。一部の実施形態では、抗がん療法は、αIIbβ3インテグリン阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、αIIbβ3インテグリン阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、αIIbβ3インテグリン阻害剤は、アブシキシマブ、エプチフィバチド(Integrilin(登録商標))、又はチロフィバン(Aggrastat(登録商標))である。
【0323】
一部の実施形態では、抗がん療法は、スタチン又はスタチンベースの薬剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、スタチン又はスタチンベースの薬剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、スタチン又はスタチンベースの薬剤は、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、又はセリバスタチンである。
【0324】
一部の実施形態では、抗がん療法は、MAPK阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、MAPK阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、MAPK阻害剤は、SB203580、SKF-86002、BIRB-796、SC-409、RJW-67657、BIRB-796、VX-745、RO3201195、SB-242235、又はMW181である。
【0325】
一部の実施形態では、抗がん療法は、EGFR阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、EGFR阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、EGFR阻害剤は、セツキシマブ、パニツムマブ、ラパチニブ、ゲフィチニブ、バンデタニブ、ダコミチニブ、イコチニブ、オシメルチニブ(AZD9291)、アファタニブ、オルムチニブ、EGF816(ナザルチニブ)、アビチニブ(AC0010)、ロシレチニブ(CO-1686)、BMS-690514、YH5448、PF-06747775、ASP8273、PF299804、AP26113、又はエルロチニブ。一部の実施形態では、EGFR阻害剤は、ゲフィチニブ又はセツキシマブである。
【0326】
一部の実施形態では、抗がん療法は、チェックポイント阻害剤、がんワクチン、細胞ベースの療法、T細胞受容体(TCR)ベースの療法、アジュバント免疫療法、サイトカイン免疫療法、及び腫瘍溶解性ウイルス療法などのがん免疫療法を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、チェックポイント阻害剤、がんワクチン、細胞ベースの療法、T細胞受容体(TCR)ベースの療法、アジュバント免疫療法、サイトカイン免疫療法、及び腫瘍溶解性ウイルス療法などのがん免疫療法を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、がん免疫療法は、小分子、核酸、ポリペプチド、炭水化物、毒素、細胞ベースの薬剤、又は細胞結合剤を含む。がん免疫療法の例は、本明細書により詳細に記載されているが、限定することを意図するものではない。一部の実施形態では、がん免疫療法は、免疫系の1つ以上の側面を活性化して、ネオ抗原、例えば、本開示のがんによって発現されるネオ抗原(例えば、本明細書に記載のCD274核酸分子又はポリペプチドに対応するネオ抗原)を発現する細胞(例えば、腫瘍細胞)を攻撃する。本開示のがん免疫療法は、医学的判断の対象となる、単剤療法としての使用、又は任意の組み合わせ若しくは数の2つ以上を含む組み合わせアプローチでの使用が企図される。がん免疫療法のいずれも(任意選択的に、単独療法として、又は本明細書に記載の別のがん免疫療法又は他の治療剤と組み合わせて)、本明細書に記載の方法のうちのいずれにも使用することができる。
【0327】
一部の実施形態では、がん免疫療法は、がんワクチンを含む。がんに対する免疫応答を促進するための異なるアプローチを用いた様々ながんワクチンが試験されている(例えば、Emens L A,Expert Opin Emerg Drugs 13(2):295-308(2008)及びUS20190367613を参照されたい)。アプローチは、腫瘍に対するB細胞、T細胞、又は専門的な抗原提示細胞の応答を増強するように設計されてきた。がんワクチンの例示的なタイプとしては、DNAベースのワクチン、RNAベースのワクチン、ウイルス形質導入ワクチン、ペプチドベースのワクチン、樹状細胞ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、全腫瘍細胞ワクチン、腫瘍抗原ワクチンなどが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、がんワクチンは、予防的又は治療的であり得る。一部の実施形態では、がんワクチンは、ペプチドベースのワクチン、核酸ベースのワクチン、抗体ベースのワクチン、又は細胞ベースのワクチンとして製剤化される。例えば、ワクチン組成物には、カチオン性脂質製剤中の裸のcDNA、リポペプチド(例えば、Vitiello,A.et ah,J.Clin.Invest.95:341,1995)、例えば、ポリ(DL-ラクチド-コ-グリコリド)(「PLG」)マイクロスフェアに封入された裸のcDNA若しくはペプチド(例えば、Eldridge,et ah,Molec.Immunol.28:287-294,1991:Alonso et al,Vaccine 12:299- 306,1994、Jones et al,Vaccine 13:675-681,1995を参照)、免疫刺激複合体(ISCOM)中に含有されるペプチド組成物(例えば、Takahashi et al,Nature 344:873-875,1990、Hu et al,Clin.Exp.Immunol.113:235-243,1998)、又は複数抗原ペプチド系(MAP)(例えば、Tam,J.P.,Proc.Natl Acad.Sci.U.S.A.85:5409-5413,1988、Tam,J.P.,J.Immunol.Methods 196:17-32,1996を参照されたい)を挙げることができる。一部の実施形態では、がんワクチンは、ペプチドベースのワクチン又は核酸ベースのワクチン(核酸がポリペプチドをコードする)として製剤化される。一部の実施形態では、がんワクチンは、抗体ベースのワクチンとして製剤化される。一部の実施形態では、がんワクチンは、細胞ベースのワクチンとして製剤化される。一部の実施形態では、がんワクチンは、ペプチドがんワクチンであり、一部の実施形態では個別化ペプチドワクチンである。一部の実施形態では、がんワクチンは、多価長鎖ペプチド、複数ペプチド、ペプチド混合物、ハイブリッドペプチド、又はペプチドパルス樹状細胞ワクチンである(例えば、Yamada et al,Cancer Sci,104:14-21),2013を参照されたい)。一部の実施形態では、そのようながんワクチンは、抗がん応答を増強する。
【0328】
一部の実施形態では、がんワクチンは、ネオ抗原、例えば、本開示のがんによって発現されるネオ抗原(例えば、本明細書に記載のCD274核酸分子又はポリペプチドに対応するネオ抗原)をコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、がんワクチンは、ネオ抗原、例えば、本開示のがんによって発現されるネオ抗原(例えば、本明細書に記載のCD274核酸分子又はポリペプチドに対応するネオ抗原)をコードするDNAを含む。一部の実施形態では、がんワクチンは、ネオ抗原、例えば、本開示のがんによって発現されるネオ抗原(例えば、本明細書に記載のCD274核酸分子又はポリペプチドに対応するネオ抗原)をコードするRNAを含む。一部の実施形態では、がんワクチンは、ネオ抗原、例えば、本開示のがんによって発現されるネオ抗原(例えば、本明細書に記載のCD274核酸分子又はポリペプチドに対応するネオ抗原)をコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、がんワクチンは、抗原提示及び/又は免疫応答を促進する1つ以上の追加の抗原、ネオ抗原、又は他の配列を更に含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、リポソーム又はリポプレックスなどの1つ以上の追加の薬剤と複合体を形成する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、抗原提示細胞(APC)によって取り込まれて翻訳され、次いで、APC細胞表面上のMHCクラスIを介してネオ抗原を提示する。
【0329】
一部の実施形態では、がんワクチンは、sipuleucel-T(Provenge(登録商標)、Dendreon/Valeant Pharmaceuticals)(無症候性又は最小限の症候性転移性去勢抵抗性(ホルモン抵抗性)前立腺がんの治療に承認されている)及びtalimogene laherparepvec(Imlygic(登録商標)、BioVex/Amgen、以前はT-VECとして知られていた)(黒色腫における切除不能な皮膚、皮下、及びリンパ節病変の治療に承認された遺伝子改変腫瘍溶解性ウイルス療法である)から選択される。一部の実施形態では、がんワクチンは、pexastimogene devacirepvec(PexaVec/JX-594、SillaJen/旧Jennerex Biotherapeutics)(肝細胞がん(NCT02562755)及び黒色腫(NCT00429312)に対してGM-CSFを発現するように操作されたチミジンキナーゼ-(TK-)欠損ワクシニアウイルスである)、pelareorep(Reolysin(登録商標)、Oncolytics Biotech)(大腸がん(NCT01622543)、前立腺がん(NCT01619813)、頭頸部扁平上皮がん(NCT01166542)、膵臓腺がん(NCT00998322)、及び非小細胞肺がん(NSCLC)(NCT00861627)を含む多くのがんにおいてRASが活性化されていない細胞では複製しない呼吸器腸内オーファンウイルス(レオウイルス)のバリアントである)、enadenotucirev(NG-348、PsiOxus、以前はColoAdlとして知られていた)(卵巣がん(NCT02028117)、転移性若しくは進行性上皮腫瘍(例えば、大腸がん、膀胱がん、頭頸部扁平上皮がん、及び唾液腺がん(NCT02636036))において完全長CD80及びT細胞受容体CD3タンパク質に特異的な抗体断片を発現するように操作されたアデノウイルスである)、ONCOS-102(Targovax/旧Oncos)(黒色腫(NCT03003676)、及び腹膜疾患、大腸がん、若しくは卵巣がん(NCT02963831)においてGM-CSFを発現するように設計されたアデノウイルスである)、GL-ONC1(GLV-1h68/GLV-1h153、Genelux GmbH)(腹膜がん腫症(NCT01443260)、卵管がん、卵巣がん(NCT02759588)で研究されたそれぞれβ-ガラクトシダーゼ(β-gal)/β-グルコロニダーゼ若しくはβ-gal/ヒトナトリウムヨウ素共輸送体(hNIS)を発現するように操作されたワクシニアウイルスである)、又はCG0070(Cold Genesys)(膀胱がん(NCT02365818)においてGM-CSFを発現するように設計されたアデノウイルスである)、抗gp100、STINGVAX、GVAX、DCVaxL、及びDNX-2401などの腫瘍溶解性ウイルス療法から選択される。一部の実施形態では、がんワクチンは、JX-929(SillaJen/以前のJennerex Biotherapeutics)(プロドラッグ5-フルオロシトシンを細胞傷害性薬物5-フルオロウラシルに変換することができるシトシンデアミナーゼを発現するように設計されたTK欠損及びワクシニア増殖因子欠損ワクシニアウイルスである)、TGO1及びTG02(Targovax/旧Oncos)(治療が困難なRAS変異を標的とするペプチドベースの免疫療法剤である)、TILT-123(TILT Biotherapeutics)(Ad5/3-E2F-δ24-hTNFα-IRES-hIL20と称される改変アデノウイルスである)、VSV-GP(ViraTherapeutics)(抗原特異的なCD8+T細胞応答を引き起こすように設計された抗原を発現するように更に操作することができる、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)の糖タンパク質(GP)を発現するように操作された水疱性口内炎ウイルス(VSV)である)から選択される。一部の実施形態では、がんワクチンは、ベクターベースの腫瘍抗原ワクチンを含む。ベクターベースの腫瘍抗原ワクチンは、抗腫瘍免疫応答を刺激するための抗原の安定した供給を提供する方法として使用することができる。一部の実施形態では、腫瘍抗原をコードするベクターを個体に注射し(おそらく、炎症促進剤又はGM-CSFなどの他の誘引剤物質とともに)、インビボで細胞に取り込まれて特定の抗原を生成し、次いで、所望の免疫応答を誘発する。一部の実施形態では、ベクターを使用して一度に1つより多い腫瘍抗原を送達して、免疫応答を増加させることができる。更に、組換えウイルス、細菌、又は酵母ベクターは、それ自体免疫応答を引き起こす可能性があり、これが全体的な免疫応答を強化する可能性もある。
【0330】
一部の実施形態では、がんワクチンは、DNAベースのワクチンを含む。一部の実施形態では、DNAベースのワクチンを用いて、抗腫瘍応答を刺激することができる。抗原タンパク質をコードするDNAを直接注射して防御免疫応答を誘発する能力は、多数の実験系で実証されている。抗原タンパク質をコードするDNAを直接注射して防御免疫応答を誘発することによるワクチン接種は、多くの場合、細胞性応答と体液性応答の両方を引き起こす。更に、様々な抗原をコードするDNAに対する再現性のある免疫応答がマウスで報告されており、これは本質的に動物の生涯にわたって持続する(例えば、Yankauckas et al.(1993)DNA Cell Biol.,12:771-776を参照されたい)。一部の実施形態では、遺伝子発現に必要な調節エレメントに作動可能に結合されたタンパク質をコードする配列を含むプラスミド(又は他のベクター)DNAが、個体(例えば、ヒト患者、非ヒト哺乳動物など)に投与される。一部の実施形態では、個体の細胞が、投与されたDNAを取り込み、コード配列が発現される。一部の実施形態では、そのように産生された抗原は、免疫応答の対象となる標的になる。
【0331】
一部の実施形態では、がんワクチンは、RNAベースのワクチンを含む。一部の実施形態では、RNAベースのワクチンを用いて、抗腫瘍応答を刺激することができる。一部の実施形態では、RNAベースのワクチンは、自己複製RNA分子を含む。一部の実施形態では、自己複製RNA分子は、アルファウイルス由来のRNAレプリコンであり得る。自己複製RNA(又は「SAM」)分子は、当該技術分野で周知であり、例えば、アルファウイルスに由来する複製要素を使用し、構造ウイルスタンパク質を、目的のタンパク質をコードするヌクレオチド配列で置き換えることによって生成することができる。自己複製RNA分子は、典型的には、細胞への送達後に直接翻訳され得る+鎖分子であり、この翻訳により、送達されたRNAからアンチセンス転写物とセンス転写物の両方を生成するRNA依存性RNAポリメラーゼが提供される。したがって、送達されたRNAは、複数の娘RNAの生産つながる。これらの娘RNA、並びに同一鎖上の(collinear)サブゲノム転写物は、それ自体翻訳されて、コードされたポリペプチドのインサイチュ発現を提供するか、又は転写されて、送達されたRNAと同じセンス鎖の更なる転写物(翻訳されて抗原のインサイチュ発現を提供する)を提供することができる。
【0332】
一部の実施形態では、がん免疫療法は、細胞ベースの療法を含む。一部の実施形態では、がん免疫療法は、T細胞ベースの療法を含む。一部の実施形態では、がん免疫療法は、養子療法(例えば、養子T細胞ベースの療法)を含む。一部の実施形態では、T細胞は、レシピエントに対して自己又は同種である。一部の実施形態では、T細胞は、CD8+T細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、CD4+T細胞である。養子免疫療法とは、がん又は感染症を治療するための治療的アプローチを指し、細胞ががん細胞に対して直接的又は間接的な特異的免疫を媒介する(すなわち、それに対する免疫応答を開始する)ことを目的として、免疫細胞が宿主に投与される。一部の実施形態では、免疫応答は、腫瘍細胞及び/又は転移細胞の成長及び/又は増殖の阻害をもたらし、関連する実施形態では、腫瘍細胞の死及び/又は再吸収をもたらす。免疫細胞は、異なる生物/宿主に由来し得るか(外因性免疫細胞)、又は対象生物から得られた細胞であり得る(自己免疫細胞)。一部の実施形態では、免疫細胞(例えば、自己又は同種T細胞(例えば、制御性T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、又はγδT細胞)、NK細胞、インバリアントNK細胞、又はNKT細胞)は、操作されたTCR及び/又はキメラ抗原受容体(CAR)などの抗原受容体を発現するように遺伝子操作され得る。例えば、宿主細胞(例えば、自己又は同種T細胞)は、がん抗原に対する抗原特異性を有するT細胞受容体(TCR)を発現するように改変される。一部の実施形態では、NK細胞は、TCRを発現するように操作される。NK細胞は、CARを発現するように更に操作され得る。異なる抗原などに対する複数のCAR及び/又はTCRを、T細胞又はNK細胞などの単一の細胞型に加えることができる。一部の実施形態では、細胞は、1つ以上の抗原受容体をコードする遺伝子工学を介して導入された1つ以上の核酸/発現構築物/ベクター、及びそのような核酸の遺伝子操作された産物を含む。一部の実施形態では、核酸は、異種である。すなわち、別の生物又は細胞から得られたものなど、細胞又は細胞から得られる試料には通常存在せず、例えば、操作される細胞及び/又はそのような細胞が由来する生物には通常見出されない。一部の実施形態では、核酸は、天然には見出されない核酸(例えば、キメラ)など、天然には存在しない。一部の実施形態では、免疫細胞の集団は、療法を必要とする対象、又は免疫細胞の活性の低下に関連する疾患に罹患している対象から得ることができる。したがって、細胞は、療法を必要とする対象にとって自己由来である。一部の実施形態では、ドナー(例えば、組織適合性が一致したドナー)から免疫細胞の集団を得ることができる。一部の実施形態では、免疫細胞集団は、当該対象又はドナーにおいて免疫細胞が存在する末梢血、臍帯血、骨髄、脾臓、又は任意の他の臓器/組織から採取することができる。一部の実施形態では、免疫細胞は、対象及び/又はドナーのプール(例えば、プールされた臍帯血)から単離することができる。一部の実施形態では、免疫細胞の集団が対象とは異なるドナーから得られる場合、得られた細胞が対象に導入され得るという点で対象適合性である限り、ドナーは同種であり得る。一部の実施形態では、同種ドナー細胞は、ヒト白血球抗原(HLA)適合性であってもなくてもよい。一部の実施形態では、対象適合性にするために、同種細胞を処理して免疫原性を低下させることができる。
【0333】
一部の実施形態では、細胞ベースの治療は、T細胞ベースの療法を含み、自己細胞、例えば、腫瘍浸潤リンパ球(TIL);自己DC、リンパ球、人工抗原提示細胞(APC)若しくはT細胞リガンド及び活性化抗体でコーティングされたビーズ、又は標的細胞膜を捕捉することによって単離された細胞を使用してエクスビボで活性化されたT細胞;抗宿主腫瘍T細胞受容体(TCR)を自然に発現する同種細胞;並びに腫瘍反応性TCR若しくはキメラTCR分子(「Tボディ」として知られ、抗体様腫瘍認識能を示す)を発現するように遺伝的に再プログラム若しくは「リダイレクト」された非腫瘍特異的自己又は同種細胞などを含む。機能的な抗腫瘍エフェクター細胞の単離、誘導、操作又は改変、活性化、及び増殖のためのいくつかのアプローチが過去20年間に記載されており、本明細書に提供される方法のうちのいずれかに従って使用することができる。一部の実施形態では、T細胞は、血液、骨髄、リンパ、臍帯、又はリンパ器官に由来する。一部の実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。一部の実施形態では、細胞は、対象から直接単離された細胞及び/又は対象から単離されて凍結された細胞などの初代細胞である。一部の実施形態では、細胞は、機能、活性化状態、成熟度、分化の潜在能力、増殖能、再循環能、局在化能、及び/若しくは持続能、抗原特異性、抗原受容体のタイプ、特定の器官若しくは区画における存在、マーカー若しくはサイトカイン分泌プロファイル、並びに/又は分化の程度によって定義されるものなど、T細胞又は他の細胞型(例えば、全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、及びその亜集団)のうちの1つ以上のサブセットを含む。一部の実施形態では、細胞は、同種及び/又は自己であり得る。既製の技術などの一部の実施形態では、細胞は、人工多能性幹細胞(iPSC)などの幹細胞など、多能性(pluripotent)及び/又は多能性(multipotent)である。
【0334】
一部の実施形態では、T細胞ベースの療法は、キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞ベースの療法を含む。このアプローチには、CARの操作が含まれる。CARは、目的の抗原に特異的に結合し、T細胞活性化のための1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。CARは、次いで、操作されたT細胞(CAR-T)の表面に発現され、患者に投与され、抗原を発現するがん細胞に対するT細胞特異的な免疫応答をもたらす。一部の実施形態では、CARは、ネオ抗原、例えば、本明細書で提供されるCD274ポリペプチドに対応するネオ抗原に特異的に結合する。
【0335】
一部の実施形態では、T細胞ベースの療法は、組換えT細胞受容体(TCR)を発現するT細胞を含む。このアプローチには、目的の抗原に特異的に結合するTCRの特定が含まれる。次いで、これを使用して、操作されたT細胞の表面の内在性又は天然のTCRを置き換える。これを患者に投与すると、抗原を発現しているがん細胞に対して、T細胞特異的な免疫応答がもたらされる。一部の実施形態では、組換えTCRは、本明細書で提供されるCD274ポリペプチドに対応するネオ抗原に特異的に結合する。
【0336】
一部の実施形態では、T細胞ベースの療法は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。例えば、TILは、本開示の腫瘍又はがんから単離することができ、次いで、単離し、インビトロで増殖させることができる。これらのTILの一部又は全部は、本開示の腫瘍又はがんによって発現される抗原を特異的に認識することができる。一部の実施形態では、TILは、インビトロで単離された後、1つ以上のネオ抗原、例えば、本明細書で提供されるCD274ポリペプチドに対応するネオ抗原(例えば、ネオ抗原)に曝露される。次いで、TILが患者に投与される(任意選択的に、1つ以上のサイトカイン又は他の免疫刺激物質と組み合わせて)。
【0337】
一部の実施形態では、細胞ベースの療法は、ナチュラルキラー(NK)細胞ベースの療法を含む。ナチュラルキラー(NK)細胞は、様々な腫瘍細胞、ウイルス感染細胞、並びに骨髄及び胸腺の一部の正常細胞に対して自発的な細胞傷害性を有するリンパ球の亜集団である。NK細胞は、形質転換細胞及びウイルス感染細胞に対する初期の自然免疫応答の重要なエフェクターである。NK細胞は、ヒトのCD16、CD56、CD8などの特定の表面マーカーによって検出することができる。NK細胞は、T細胞抗原受容体、汎TマーカーCD3、又は表面免疫グロブリンB細胞受容体を発現しない。一部の実施形態では、NK細胞は、当該技術分野で周知の方法によって、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)、未刺激白血球除去産物(PBSC)、ヒト胚性幹細胞(hESC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、骨髄、又は臍帯血から得られる。
【0338】
一部の実施形態では、細胞ベースの治療は、樹状細胞(DC)ベースの療法(例えば、樹状細胞ワクチン)を含む。一部の実施形態では、DCワクチンは、患者又はドナーから採取される、特異的T細胞免疫を誘導することができる抗原提示細胞を含む。一部の実施形態では、次いで、DCワクチンをインビトロでペプチド抗原に曝露することができ、そのためのT細胞が患者において生成される。一部の実施形態では、抗原が負荷された樹状細胞は、次いで、患者に注射して戻される。一部の実施形態では、必要に応じて、免疫化を複数回繰り返すことができる。樹状細胞を、採取、増殖、及び投与する方法は、当該技術分野で既知である(例えば、WO2019/178081を参照されたい)。樹状細胞ワクチン(例えば、APC8015及びPROVENGE(登録商標)としても知られているSipuleucel-T)は、患者の免疫系に1つ以上のがん特異的抗原を提示するAPCとして機能する樹状細胞の投与を伴うワクチンである。一部の実施形態では、樹状細胞は、レシピエントにとって自己又は同種である。
【0339】
一部の実施形態では、がん免疫療法は、TCRベースの療法を含む。一部の実施形態では、がん免疫療法は、本開示のがんによって発現される抗原に特異的に結合する1つ以上のTCR又はTCRベースの治療薬(例えば、本発明のCD274ポリペプチドに対応する抗原)の投与を含む。一部の実施形態では、TCRベースの治療薬は、T細胞表面タンパク質又は受容体に特異的に結合する抗体若しくは抗体断片(例えば、抗CD3抗体若しくは抗体断片)などの、免疫細胞(例えば、T細胞)に結合する部分を更に含み得る。
【0340】
一部の実施形態では、免疫療法は、アジュバント免疫療法を含む。アジュバント免疫療法は、自然免疫系の構成要素を活性化する1つ以上の薬剤、例えば、TLR7経路を標的とするHILTONOL(登録商標)(イミキモド)の使用を含む。
【0341】
一部の実施形態では、免疫療法は、サイトカイン免疫療法を含む。サイトカイン免疫療法は、免疫系の構成要素を活性化する1つ以上のサイトカインの使用を含む。例としては、アルデスロイキン(PROLEUKIN(登録商標)、インターロイキン-2)、インターフェロンα-2a(ROFERON(登録商標)-A)、インターフェロンα-2b(INTRON(登録商標)-A)、及びPEGインターフェロンα-2b(PEGINTRON(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0342】
一部の実施形態では、免疫療法は、腫瘍溶解性ウイルス療法を含む。腫瘍溶解性ウイルス療法では、遺伝子改変ウイルスを使用してがん細胞で複製し、それを殺傷して、免疫応答を刺激する抗原を放出する。一部の実施形態では、腫瘍抗原を発現する複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは、任意の天然に存在する(例えば、「フィールドソース」からの)又は改変された複製可能な腫瘍溶解性ウイルスを含む。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍抗原を発現することに加えて、がん細胞に対するウイルスの選択性を高めるために改変され得る。一部の実施形態では、複製能力のある腫瘍溶解性ウイルスには、ミオウイルス科、サイフォウイルス科、ポドウイルス科、テシウイルス科、コルチコウイルス科、プラズマウイルス科、リポスリクスウイルス科、フセロウイルス科、ポキシイリダ科、イリドウイルス科、フィコドナウイルス科、バキュロウイルス科、ヘルペスウイルス科、アドノウイルス科、パポバウイルス科、ポリドナウイルス科、イノウイルス科、ミクロウイルス科、ジェミニウイルス科、サーコウイルス科、パルボウイルス科、ヘパドナウイルス科、レトロウイルス科、サイトウイルス科、レオウイルス科、ビルナウイルス科、パラミクソウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、オルソミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、アレナウイルス科、レビウイルス科、ピコルナウイルス科、セキウイルス科、コモウイルス科、ポティウイルス科、カリシウイルス科、アストロウイルス科、ノダウイルス科、テトラウイルス科、トンブスウイルス科、コロナウイルス科、グラビウイルス科、トガウイルス科、及びバルナウイルス科のメンバーである腫瘍溶解性ウイルスが含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、複製能力のある腫瘍崩壊ウイルスには、アデノウイルス、レトロウイルス、レオウイルス、ラブドウイルス、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、ポリオーマウイルス、ワクシニアウイルス(VacV)、単純ヘルペスウイルス、ピコルナウイルス、コクサッキーウイルス、及びパルボウイルスが含まれる。一部の実施形態では、腫瘍抗原を発現する複製性の腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、ウイルスのがん選択性を高めるために、1つ以上の機能的な遺伝子を欠くように操作され得る。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、チミジンキナーゼ(TK)活性を欠くように操作される。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、ワクシニアウイルス増殖因子(VGF)を欠くように操作され得る。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、VGF及びTK活性の両方を欠くように操作され得る。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、E3L、K3L、B18R、又はB8Rなどの宿主インターフェロン(IFN)応答の回避に関与する1つ以上の遺伝子を欠くように操作され得る。一部の実施形態では、複製性の腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Western Reserve株、Copenhagen株、Lister株、又はWyeth株であり、機能的なTK遺伝子を欠いている。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、機能的なB18R及び/又はB8R遺伝子を欠くWestern Reserve株、Copenhagen株、Lister株、又はWyeth株である。一部の実施形態では、腫瘍抗原を発現する複製性の腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、例えば、腫瘍内、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、頭蓋内、皮下、又は鼻腔内投与を介して、対象に、局所的又は全身的に投与され得る。
【0343】
一部の実施形態では、抗がん療法は、免疫チェックポイント阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、免疫チェックポイント阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、有効量の免疫チェックポイント阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、免疫チェックポイント阻害剤以外の抗がん療法を個体に投与することを含む。当該技術分野で既知であるように、チェックポイント阻害剤は、少なくとも1つの免疫チェックポイントタンパク質を標的として、免疫応答の調節を変化させる。免疫チェックポイントタンパク質には、例えば、CTLA4、PD-L1、PD-1、PD-L2、VISTA、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H6、2B4、ICOS、HVEM、CEACAM、LAIR1、CD80、CD86、CD276、VTCN1、MHCクラスI、MHCクラスII、GALS、アデノシン、TGFR、CSF1R、MICA/B、アルギナーゼ、CD160、gp49B、PIR-B、KIRファミリー受容体、TIM-1、TIM-3、TIM-4、LAG-3、BTLA、SIRPα(CD47)、CD48、2B4(CD244)、B7.1、B7.2、ILT-2、ILT-4、TIGIT、LAG-3、BTLA、IDO、OX40、及びA2aRが含まれる。一部の実施形態では、免疫チェックポイントの調節に関与する分子には、以下が含まれるが、これらに限定されない:PD-1(CD279)、PD-L1(B7-H1、CD274)、PD-L2(B7-CD、CD273)、CTLA-4(CD152)、HVEM、BTLA(CD272)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、LAG-3(CD223)、TIM-3(HAVCR2)、CEACAM、CEACAM-1、CEACAM-3、CEACAM-5、GAL9、VISTA(PD-1H)、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、TGFRβ、A2AR、GITR(CD357)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、CD276(B7-H3)、VTCNI(B7-H4)、MHCクラスI、MHCクラスII、GALS、アデノシン、TGFR、B7-H1、OX40(CD134)、CD94(KLRD1)、CD137(4-1BB)、CD137L(4-1BBL)、CD40、IDO、CSF1R、CD40L、CD47、CD70(CD27L)、CD226、HHLA2、ICOS(CD278)、ICOSL(CD275)、LIGHT(TNFSF14、CD258)、NKG2a、NKG2d、OX40L(CD134L)、PVR(NECL5、CD155)、SIRPa、MICA/B、及び/又はアルギナーゼ。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤(すなわち、チェックポイント阻害剤)は、例えば、T細胞活性化及び/又は抗がん免疫応答を増強するために、免疫細胞機能を負に調節するチェックポイントタンパク質の活性を減少させる。他の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、例えば、T細胞活性化及び/又は抗がん免疫応答を増強するために、免疫細胞機能を正に調節するチェックポイントタンパク質の活性を増加させる。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗体である。チェックポイント阻害剤の例としては、限定されないが、PD-1軸結合アンタゴニスト、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体、例えば、アテゾリズマブ(MPDL3280A))、共抑制分子に対するアンタゴニスト(例えば、CTLA4アンタゴニスト(例えば、抗CTLA4抗体)、TIM-3アンタゴニスト(例えば、抗TIM-3抗体)、若しくはLAG-3アンタゴニスト(例えば、抗LAG-3抗体))、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、小分子、組換え形態のリガンド若しくは受容体、又は抗体(例えば、ヒト抗体)などの薬物を含む(例えば、国際特許公開第WO2015/016718号、Pardoll,Nat Rev Cancer,12(4):252-64,2012を参照されたい。両方とも参照により本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質又はその類似体の既知の阻害剤を使用することができ、特に、キメラ化、ヒト化、又はヒト形態の抗体を使用することができる。
【0344】
一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、又はPD-L2結合アンタゴニスト)である。PD-1(プログラム死1)は、当該技術分野では「プログラム細胞死1」、「PDCD1」、「CD279」、及び「SLEB2」とも称される。例示的なヒトPD-1は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q15116に示されている。PD-L1(プログラム死リガンド1)は、当該技術分野では「プログラム細胞死1リガンド1」、「PDCD 1LG1」、「CD274」、「B7-H」、及び「PDL1」とも称される。例示的なヒトPD-L1は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9NZQ7.1に示されている。PD-L2(プログラム死リガンド2)は、当該技術分野では「プログラム細胞死1リガンド2」、「PDCD1 LG2」、「CD273」、「B7-DC」、「Btdc」、及び「PDL2」とも称される。例示的なヒトPD-L2は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9BQ51に示されている。場合によっては、PD-1、PD-L1、及びPD-L2は、ヒトのPD-1、PD-L1、及びPD-L2である。
【0345】
場合によっては、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のそのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の実施形態では、PD-1リガンド結合パートナーは、PD-L1及び/又はPD-L2である。別の例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のその結合リガンドへの結合を阻害する分子である。特定の実施形態では、PD-L1結合パートナーは、PD-1及び/又はB7-1である。別の例では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のそのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の実施形態では、PD-L2結合リガンドパートナーは、PD-1である。アンタゴニストは、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、又はオリゴペプチドであり得る。一部の実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、又は毒素である。
【0346】
場合によっては、PD-1結合アンタゴニストは、例えば、下記の抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体)である。場合によっては、抗PD-1抗体は、MDX-1106(ニボルマブ)、MK-3475(ペムブロリズマブ、Keytruda(登録商標))、MEDI-0680(AMP-514)、PDR001、REGN2810、MGA-012、JNJ-63723283、BI 754091、又はBGB-108のうちの1つ以上である。他の実施例では、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されたPD-L1又はPD-L2の細胞外又はPD-1結合部分を含むイムノアドヘシンである)。場合によっては、PD-1結合アンタゴニストは、AMP-224である。抗PD-1抗体の他の例としては、MEDI-0680(AMP-514;AstraZeneca)、PDR001(CAS登録番号1859072-53-9;Novartis)、REGN2810(LIBTAYO(登録商標)又はセミプリマブ-rwlc;Regeneron)、BGB-108(BeiGene)、BGB-A317(BeiGene)、BI 754091、JS-001(Shanghai Junshi)、STI-A1110(Sorrento)、INCSHR-1210(Incyte)、PF-06801591(Pfizer)、TSR-042(ANB011としても知られている;Tesaro/AnaptysBio)、AM0001(ARMO Biosciences)、ENUM244C8(Enumeral Biomedical Holdings)、又はENUM388D4(Enumeral Biomedical Holdings)が挙げられる。一部の実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、チスレリズマブ(BGB-A317)、BGB-108、STI-A1110、AM0001、BI 754091、シンチリマブ(IBI308)、セトレリマブ(JNJ-63723283)、トリパリマブ(JS-001)を、カムレリズマブ(SHR-1210、INCSHR-1210、HR-301210)、MEDI-0680(AMP-514)、MGA-012(INCMGA0012)、ニボルマブ(BMS-936558、MDX1106、ONO-4538)、スパルタリズマブ(PDR00l)、ペムブロリズマブ(MK-3475、SCH900475、Keytruda(登録商標))、PF-06801591、セミプリマブ(REGN-2810、REGEN2810)、ドスタルリマブ(TSR-042、ANB011)、FITC-YT-16(PD-1結合ペプチド)、APL-501若しくはCBT-501若しくはゲノリムズマブ(GB-226)、AB-122、AK105、AMG404、BCD-100、F520、HLX10、HX008、JTX-4014、LZM009、Sym021、PSB205、AMP-224(PD-1を標的とする融合タンパク質)、CX-188(PD-1プロボディ)、AGEN-2034、GLS-010、ブジガリマブ(ABBV-181)、AK-103、BAT-1306、CS-1003、AM-0001、TILT-123、BH-2922、BH-2941、BH-2950、ENUM-244C8、ENUM-388D4、HAB-21、H EISCOI11-003、IKT-202、MCLA-134、MT-17000、PEGMP-7、PRS-332、RXI-762、STI-1110、VXM-10、XmAb-23104、AK-112、HLX-20、SSI-361、AT-16201、SNA-01、AB122、PD1-PIK、PF-06936308、RG-7769、CAB PD-1 Abs、AK-123、MEDI-3387、MEDI-5771、4H1128Z-E27、REMD-288、SG-001、BY-24.3、CB-201、IBI-319、ONCR-177、Max-1、CS-4100、JBI-426、CCC-0701、若しくはCCX-4503、又はそれらの誘導体を含む。
【0347】
一部の実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-1を阻害する小分子である。一部の実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1を阻害する小分子である。一部の実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1及びVISTA又はPD-L1及びTIM3を阻害する小分子である。一部の実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、CA-170(AUPM-170としても知られている)である。一部の実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体である。一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、ヒトPD-L1(例えば、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9NZQ7.1に示されるヒトPD-L1)又はそのバリアントに結合することができる。一部の実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、又は毒素である。
【0348】
場合によっては、PD-L1結合アンタゴニストは、例えば、下記の抗PD-L1抗体である。場合によっては、抗PD-L1抗体は、PD-L1とPD-1との間の結合、及び/又はPD-L1とB7-1との間の結合を阻害することができる。場合によっては、抗PD-L1抗体は、モノクローナル抗体である。場合によっては、抗PD-L1抗体は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、又は(Fab’)2断片から選択される抗体断片である。場合によっては、抗PD-L1抗体は、ヒト化抗体である。場合によっては、抗PD-L1抗体は、ヒト抗体である。場合によっては、抗PD-L1抗体は、YW243.55.S70、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、MDX-1 105、MEDI4736(デュルバルマブ)、又はMSB0010718C(アベルマブ)から選択される。一部の実施形態では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ(イミフィンジ)、BGB-A333、SHR-1316(HTI-1088)、CK-301、BMS-936559、エンバフォリマブ(KN035、ASC22)、CS1001、MDX-1105(BMS-936559)、LY3300054、STI-A1014、FAZ053、CX-072、INCB086550、GNS-1480、CA-170、CK-301、M-7824、HTI-1088(HTI-131、SHR-1316)、MSB-2311、AK-106、AVA-004、BBI-801、CA-327、CBA-0710、CBT-502、FPT-155、IKT-201、IKT-703、10-103、JS-003、KD-033、KY-1003、MCLA-145、MT-5050、SNA-02、BCD-135、APL-502(CBT-402又はTQB2450)、IMC-001、KD-045、INBRX-105、KN-046、IMC-2102、IMC-2101、KD-005、IMM-2502、89Zr-CX-072、89Zr-DFO-6E11、KY-1055、MEDI-1109、MT-5594、SL-279252、DSP-106、Gensci-047、REMD-290、N-809、PRS-344、FS-222、GEN-1046、BH-29xx、若しくはFS-118、又はその誘導体を含む。
【0349】
一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CTLA4のアンタゴニストである。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CTLA4の小分子アンタゴニストである。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗CTLA4抗体である。CTLA4は、免疫チェックポイント分子のCD28-B7免疫グロブリンスーパーファミリーの一部であり、T細胞の活性化(特に、CD28依存性T細胞応答)を負に調節するように作用する。CTLA4は、CD80(B7-1)及びCD86(B7-2)などのCD28と共通のリガンドへの結合に対して競合し、CD28よりも高い親和性でこれらのリガンドに結合する。CTLA4活性の遮断は(例えば、抗CTLA4抗体を使用して)、CD28媒介性共刺激(T細胞の活性化/プライミングの増加につながる)を増強し、T細胞の発生に影響し、かつ/又はTreg(例えば、腫瘍内Treg)を枯渇させると考えられている。一部の実施形態では、CTLA4アンタゴニストは、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、又は毒素である。一部の実施形態では、CTLA-4阻害剤は、イピリムマブ(IBI310、BMS-734016、MDX010、MDX-CTLA4、MEDI4736)、トレメリムマブ(CP-675、CP-675、206)、APL-509、AGEN1884、CS1002、AGEN1181、アバタセプト(Orencia、BMS-188667、RG2077)、BCD-145、ONC-392、ADU-1604、REGN4659、ADG116、KN044、KN046、又はその誘導体を含む。
【0350】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗体断片は、MDX-1106(ニボルマブ)、MK-3475(ペムブロリズマブ、Keytruda(登録商標))、MEDI-0680(AMP-514)、PDR001、REGN2810、MGA-012、JNJ-63723283、BI754091、BGB-108、BGB-A317、JS-001、STI-A1110、INCSHR-1210、PF-06801591、TSR-042、AM0001、ENUM244C8、又はENUM388D4である。一部の実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1イムノアドヘシンである。一部の実施形態では、抗PD-1イムノアドヘシンは、AMP-224である。一部の実施形態では、抗PD-L1抗体又は抗体断片は、YW243.55.S70、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、MSB0010718C(アベルマブ)、LY3300054、STI-A1014、KN035、FAZ053、又はCX-072である。
【0351】
一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、LAG-3阻害剤(例えば、抗体、抗体コンジュゲート、又はその抗原結合断片)を含む。一部の実施形態では、LAG-3阻害剤は、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、又は毒素を含む。一部の実施形態では、LAG-3阻害剤は、小分子を含む。一部の実施形態では、LAG-3阻害剤は、LAG-3結合剤を含む。一部の実施形態では、LAG-3阻害剤は、抗体、抗体コンジュゲート、又はその抗原結合断片を含む。一部の実施形態では、LAG-3阻害剤は、エフチラギモドα(IMP321、IMP-321、EDDP-202、EOC-202)、レラトリマブ(BMS-986016)、GSK2831781(IMP-731)、LAG525(IMP701)、TSR-033、EVIP321(可溶性LAG-3タンパク質)、BI754111、IMP761、REGN3767、MK-4280、MGD-013、XmAb22841、INCAGN-2385、ENUM-006、AVA-017、AM-0003、iOnctura抗LAG-3抗体、Arcus Biosciences LAG-3抗体、Sym022、その誘導体、又は前述のいずれかと競合する抗体を含む。
【0352】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、(例えば、本開示のがんにおいて、又は例えば本開示のがんを有する個体からの試料において、本開示の1つ以上のCD274変異の知識を取得するか、又はその変異を検出することに基づいて)PD-1若しくはPD-L1を標的とする免疫チェックポイント阻害剤以外の抗がん療法を選択するか、又は投与することを含むが、PD-1若しくはPD-L1を標的としない免疫チェックポイント阻害剤を選択するか、又は投与することを含み得る。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、(例えば、本開示のがんにおいて、又は例えば本開示のがんを有する個体からの試料において、本開示の1つ以上のCD274変異の知識を取得するか、又はその変異を検出することに基づいて)PD-L1/PD-1軸を標的とする免疫チェックポイント阻害剤以外の抗がん療法を選択するか、又は投与することを含むが、PD-L1/PD-1軸標的を標的としない免疫チェックポイント阻害剤を選択するか、又は投与することを含み得る。
【0353】
一部の実施形態では、抗がん療法は、免疫調節分子又はサイトカインを含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、免疫調節分子又はサイトカインを個体に投与することを含む。免疫調節プロファイルは、効率的な免疫応答を誘発し、対象の免疫のバランスをとるために必要である。好適な免疫調節サイトカインの例としては、インターフェロン(例えば、IFNα、IFNβ、及びIFNγ)、インターロイキン(例えば、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、及びIL-20)、腫瘍壊死因子(例えば、TNFα及びTNFβ)、エリスロポエチン(EPO)、FLT-3リガンド、gIp10、TCA-3、MCP-1、MIF、MIP-1α、MIP-1β、Rantes、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、又は顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、並びにそれらの機能的断片が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、ケモカイン受容体(すなわち、CXC、CC、C、又はCX3Cケモカイン受容体)に結合する任意の免疫調節性ケモカインを、本開示との関連で使用することができる。ケモカインの例としては、MIP-3α(Lax)、MIP-3β、Hcc-1、MPIF-1、MPIF-2、MCP-2、MCP-3、MCP-4、MCP-5、エオタキシン、Tarc、Elc、I309、IL-8、GCP-2 Groα、Gro-β、Nap-2、Ena-78、Ip-10、MIG、I-Tac、SDF-1、又はBCA-1(Blc)、並びにそれらの機能的断片が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、免疫調節分子は、本明細書に提供される治療のいずれかに含まれる。
【0354】
一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、一価及び/又は単一特異性である。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、多価及び/又は多特異性である。
【0355】
一部の実施形態では、抗がん療法は、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子、あるいは本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸によってコードされるPD-L1ポリペプチドの発現を阻害する抗がん剤を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子、あるいは本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸によってコードされるPD-L1ポリペプチドの発現を阻害する抗がん剤を、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、個体に投与することを含む。
【0356】
一部の実施形態では、抗がん療法は、dsRNA、siRNA、又はshRNAなどの核酸分子を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、dsRNA、siRNA、又はshRNAなどの核酸分子を個体に投与することを含む。当該技術分野で既知であるように、二本鎖構造を有するdsRNAは、RNA干渉(RNAi)を誘導するときに効果的である。一部の実施形態では、抗がん療法は、低分子干渉RNA分子(siRNA)を含む。dsRNA及びsiRNAを使用して、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞)における遺伝子発現をサイレンシングすることができる。一部の実施形態では、本開示のdsRNAは、約5~約10個の塩基対、約10~約12個の塩基対、約12~約15個の塩基対、約15~約20個の塩基対、約20~23個の塩基対、約23~約25個の塩基対、約25~約27個の塩基対、又は約27~約30個の塩基対のうちのいずれかを含む。当該技術分野で既知であるように、siRNAは、任意選択的にオーバーハングを含む低分子dsRNAである。一部の実施形態では、siRNAの二本鎖領域は、約18~25個のヌクレオチド(例えば、18、19、20、21、22、23、24、又は25個のヌクレオチドのうちのいずれか)である。siRNAはまた、短ヘアピンRNA(shRNA)、例えば、およそ29塩基対のステムと、2-ヌクレオチドの3’オーバーハングとを有するものである。一部の実施形態では、本開示のdsRNA、siRNA、又はshRNAは、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子にハイブリダイズするように構成されるヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、本開示のdsRNA、siRNA、又はshRNAは、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子にハイブリダイズするように構成されるヌクレオチド配列、又はその一部分を含む。dsRNA、siRNA、又はshRNAを設計し、最適化し、産生し、使用するための方法は、当該技術分野で既知である。
【0357】
一部の実施形態では、抗がん療法は、化学療法を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、化学療法を個体に施すことを含む。化学療法剤の例としては、アルキル化剤(例えば、チオテパ及びシクロホスファミド)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファン)、アジリジン(例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパ)、エチレンイミン及びメチルアメラミン(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロールメラミンを含む)、アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン)、カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む)、ブリオスタチン、カリスタチン、CC-1065(アドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む)、クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8)、ドラスタチン、デュオカルマイシン(合成類似体KW-2189及びCB1-TM1を含む)、エリュテロビン、パンクラチスタチン、サルコディクチン、スポンジスタチン、ナイトロジェンマスタード(例えば、クロラムブシル、クロマファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、及びウラシルマスタード)、ニトロソウレア(カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン)、抗生物質(例えば、エンジイン抗生物質(カリケアマイシン、特に、カリケアマイシンガンマll及びカリケアマイシンオメガllなど)、ダイネミシン(例えば、ダイネミシンAを含む)、ビスホスホネート(例えば、クロドロネート)、エスペラミシン、並びにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノドキソルビシン、シアノモルホリノドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン(例えば、マイトマイシンC)、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、及びゾルビシン))、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU))、葉酸類似体(例えば、デノプテリン、プテロプテリン、トリメトレキサート)、プリン類似体(例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン)、ピリミジン類似体(例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、及びフロクスウリジン)、アンドロゲン(例えば、カルステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、エピチオスタノール、メピチオスタン、及びテストラクトン)、抗副腎剤(例えば、ミトタン及びトリロスタン)、葉酸補充剤(例えば、葉酸)、アセグラトン、アルドホスファミドグリコシド、アミノレブリン酸、エニルウラシル、アムサクリン、ベストラブシル、ビサントレン、エダトラキサート、デフォアミン、デメコルシン、ジアジコン、エルホルミチン、酢酸エリプチニウム、エポチロン、エトグルシド、硝酸ガリウム、ヒドロキシ尿素、レンチナン、ロニダイニン、マイタンシノイド(例えば、マイタンシン及びアンサマイトシン)、ミトグアゾン、ミトキサントロン、モピダンモール、ニトラエリン、ペントスタチン、フェナメット、ピラルビシン、ロソキサントロン、ポドフィリン酸、2-エチルヒドラジド、プロカルバジン、PSK多糖複合体、ラゾキサン、リゾキシン、シゾフィラン、スピロゲルマニウム、テヌアゾン酸、トリアジコン、2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン、トリコテセン(特に、T-2トキシン、ベラクリンA、ロリジンA、及びアンギジン)、ウレタン、ビンデシン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、ガシトシン、アラビノシド(「Ara-C」)、シクロホスファミド、タキソイド(例えば、パクリタキセル及びドセタキセルゲムシタビン)、6-チオグアニン、メルカプトプリン、白金配位錯体(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチン)、ビンブラスチン、白金、エトポシド(VP-16)、イホスファミド、ミトキサントロン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ノバントロン、テニポシド、エダトレキサート、ダウノマイシン、アミノプテリン、ゼローダ、イバンドロネート、イリノテカン(例えば、CPT-l l)、トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000、ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)、レチノイド(例えば、レチノイン酸)、カペシタビン、カルボプラチン、プロカルバジン、プリコマイシン、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランスプラチナム、並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体が挙げられる。
【0358】
本開示の抗がん療法と組み合わせることができる化学療法薬のいくつかの非限定的な例は、カルボプラチン(Paraplatin)、シスプラチン(Platinol、Platinol-AQ)、シクロホスファミド(Cytoxan、Neosar)、ドセタキセル(Taxotere)、ドキソルビシン(Adriamycin)、エルロチニブ(Tarceva)、エトポシド(VePesid)、フルオロウラシル(5-FU)、ゲムシタビン(Gemzar)、メシル酸イマチニブ(Gleevec)、イリノテカン(Camptosar)、メトトレキサート(Folex、Mexate、Amethopterin)、パクリタキセル(Taxol、Abraxane)、ソラフィニブ(Nexavar)、スニチニブ(Sutent)、トポテカン(Hycamtin)、ビンクリスチン(Oncovin、Vincasar PFS)、及びビンブラスチン(Velban)である。
【0359】
一部の実施形態では、抗がん療法は、キナーゼ阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、キナーゼ阻害剤を個体に投与することを含む。キナーゼ阻害剤の例としては、1つ以上の受容体チロシンキナーゼ(例えば、BCR-ABL、B-Raf、EGFR、HER-2/ErbB2、IGF-IR、PDGFR-a、PDGFR-β、cKit、Flt-4、Flt3、FGFR1、FGFR3、FGFR4、CSF1R、c-Met、RON、c-Ret、若しくはALK)を標的とするもの、1つ以上の細胞質チロシンキナーゼ(例えば、c-SRC、c-YES、Abl、若しくはJAK-2)を標的とするもの、1つ以上のセリン/スレオニンキナーゼ(例えば、ATM、Aurora A及びB、CDK、mTOR、PKCi、PLK、b-Raf、S6K、若しくはSTK11/LKB1)を標的とするもの、又は1つ以上の脂質キナーゼ(例えば、PI3K若しくはSKI)を標的とするものが挙げられる。小分子キナーゼ阻害剤には、PHA-739358、ニロチニブ、ダサチニブ、PD166326、NSC743411、ラパチニブ(GW-572016)、カネルチニブ(CI-1033)、セマキシニブ(SU5416)、バタラニブ(PTK787/ZK222584)、スーテント(SU1 1248)、ソラフェニブ(BAY43-9006)、又はレフルノミド(SU101)が含まれる。チロシンキナーゼ阻害剤の追加の非限定的な例としては、イマチニブ(Gleevec/Glivec)及びゲフィチニブ(Iressa)が挙げられる。
【0360】
一部の実施形態では、抗がん療法は、抗血管新生剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、抗血管新生剤を個体に投与することを含む。血管新生阻害剤は、腫瘍が生存するために必要な血管の広範な増殖(血管新生)を防ぐ。本開示の方法で使用され得る血管新生媒介分子又は血管新生阻害剤の非限定的な例としては、可溶性VEGF(例えば、VEGFアイソフォーム(例えば、VEGF121及びVEGF165)、VEGF受容体(例えば、VEGFR1、VEGFR2)、及び共受容体(例えば、ニューロピリン-1及びニューロピリン-2))、NRP-1、アンジオポエチン2、TSP-1及びTSP-2、アンジオスタチン及び関連分子、エンドスタチン、バソスタチン、カルレティキュリン、血小板因子-4、TIMP及びCDAI、Meth-1及びMeth-2、IFNα、IFN-β及びIFN-γ、CXCL10、IL-4、IL-12、及びIL-18、プロトロンビン(クリングルドメイン-2)、アンチトロンビンIII断片、プロラクチン、VEGI、SPARC、オステオポンチン、マスピン、カンスタチン、プロリフェリン関連タンパク質、レスチン、及び薬物(例えば、ベバシズマブ、イトラコナゾール、カルボキシアミドトリアゾール、TNP-470、CM101、IFN-a、血小板因子-4、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFRアンタゴニスト、血管新生抑制ステロイド、及びヘパリン)、軟骨由来血管新生抑制因子、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、2-メトキシエストラジオール、テコガラン、テトラチオモリブデート、サリドマイド、トロンボスポンジン、プロラクチナνβ3阻害剤、リノミド、又はタスキニモドが挙げられる。一部の実施形態では、本開示の方法に従って使用され得る既知の治療薬候補としては、天然に存在する血管新生阻害剤が挙げられ、アンジオスタチン、エンドスタチン、又は血小板因子-4が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態では、本開示の方法に従って使用され得る治療薬候補には、TNP-470、サリドマイド、及びインターロイキン-12などの内皮細胞の増殖の特異的阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。本開示の方法に従って使用され得る更に他の抗血管新生剤としては、血管新生分子を中和するものが挙げられ、線維芽細胞増殖因子に対する抗体、血管内皮増殖因子に対する抗体、血小板由来増殖因子に対する抗体、あるいはEGF、VEGF、若しくはPDGFの受容体の抗体又は他のタイプの阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、本開示の方法に従って使用され得る抗血管新生剤には、スラミン及びその類似体、並びにテコガランが含まれるが、これらに限定されない。他の実施形態では、本開示の方法に従って使用され得る抗血管新生剤としては、限定されないが、血管新生因子の受容体を中和する薬剤、又は血管基底膜及び細胞外マトリックスを妨害する薬剤が挙げられ、限定されないが、メタロプロテアーゼ阻害剤及び血管新生抑制ステロイドが含まれる。本開示の方法に従って使用され得る抗血管新生化合物の別の群には、インテグリンαvβ3に対する抗体などの抗接着分子が含まれるが、これらに限定されない。本開示の方法に従って使用され得る更に他の抗血管新生化合物又は組成物には、キナーゼ阻害剤、サリドマイド、イトラコナゾール、カルボキシアミドトリアゾール、CM101、IFN-α、IL-12、SU5416、トロンボスポンジン、軟骨由来血管新生抑制因子、2-メトキシエストラジオール、テトラチオモリブデート、トロンボスポンジン、プロラクチン、及びリノミドが含まれる。1つの特定の実施形態では、本開示の方法に従って使用され得る抗血管新生化合物は、Avastin(登録商標)/ベバシズマブ(Genentech)などのVEGFに対する抗体である。
【0361】
一部の実施形態では、抗がん療法は、抗DNA修復療法を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、抗DNA修復療法を個体に施すことを含む。一部の実施形態では、抗DNA修復療法は、PARP阻害剤(例えば、タラゾパリブ、ルカパリブ、オラパリブ)、RAD51阻害剤(例えば、RI-1)、又はDNA損傷応答キナーゼの阻害剤(例えば、CHCK1(例えば、AZD7762)、ATM(例えば、KU-55933、KU-60019、NU7026、若しくはVE-821)、及びATR(例えば、NU7026))である。
【0362】
一部の実施形態では、抗がん療法は、放射線増感剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、放射線増感剤を方法は、個体に投与することを含む。例示的な放射線増感剤には、低酸素放射線増感剤(例えば、ミソニダゾール、メトロニダゾール)、及び低酸素腫瘍組織への酸素の拡散を増加させるのに役立つ化合物であるトランス-クロセチン酸ナトリウムが含まれる。放射線増感剤はまた、相同組換え(HR)及び非相同末端結合(NHEJ)及び直接修復機構を含む、塩基除去修復(BER)、ヌクレオチド除去修復(NER)、ミスマッチ修復(MMR)を妨害するDNA損傷応答阻害剤であり得る。一本鎖切断(SSB)修復メカニズムには、BER、NER、又はMMR経路が含まれるが、二本鎖切断(DSB)修復メカニズムは、HR及びNHEJ経路で構成される。放射線は、修復されなければ致命的なDNA切断を引き起こす。SSBは、インタクトのDNA鎖をテンプレートとして使用して、BER、NER、及びMMRメカニズムの組み合わせを介して修復される。SSB修復の主な経路はBERであり、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)と呼ばれる関連酵素のファミリーを利用する。したがって、放射線増感剤は、PARP阻害剤などのDNA損傷応答阻害剤を含むことができる。
【0363】
一部の実施形態では、抗がん療法は、抗炎症剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、抗炎症剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、抗炎症剤は、炎症又は炎症性シグナル伝達経路からのシグナル伝達を遮断、阻害、又は低減する薬剤である。一部の実施形態では、抗炎症剤は、以下のいずれかの1つ以上の活性を阻害又は低減する:IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-18、IL-23、インターフェロン(IFN)(例えば、IFNα、IFNβ、IFNγ、IFN-γ)誘導因子(IGIF)、形質転換増殖因子-β(TGF-β)、形質転換増殖因子-α(TGF-α)、腫瘍壊死因子(例えば、TNF-α、TNF-β、TNF-RI、TNF-RII)、CD23、CD30、CD40L、EGF、G-CSF、GDNF、PDGF-BB、RANTES/CCL5、IKK、NF-κB、TLR2、TLR3、TLR4、TL5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR8、TLR9、及び/又はそれらの同族受容体。一部の実施形態では、抗炎症剤は、IL-1又はIL-1受容体アンタゴニスト、例えば、アナキンラ(Kineret(登録商標))、リロナセプト、若しくはカナキヌマブである。一部の実施形態では、抗炎症剤は、IL-6又はIL-6受容体アンタゴニスト、例えば、抗IL-6抗体又は抗IL-6受容体抗体(トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))、オロキズマブ、クラザキズマブ、サリルマブ、シルクマブ、シルツキシマブ、又はALX-0061など)である。一部の実施形態では、抗炎症剤は、TNF-αアンタゴニスト、例えば、抗TNFα抗体(インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、ゴリムマブ(Simponi(登録商標))、アダリムマブ(Humira(登録商標))、セルトリズマブペゴル(Cimzia(登録商標))、又はエタネルセプトなど)である。一部の実施形態では、抗炎症剤は、コルチコステロイドである。コルチコステロイドの例としては、コルチゾン(ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンリン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾンコハク酸ナトリウム、Ala-Cort(登録商標)、Hydrocort Acetate(登録商標)、ヒドロコルトンリン酸塩Lanacort(登録商標)、Solu-Cortef(登録商標))、デカドロン(デキサメタゾン、デキサメタゾン酢酸塩、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、Dexasone(登録商標)、Diodex(登録商標)、Hexadrol(登録商標)、Maxidex(登録商標))、メチルプレドニゾロン(6-メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロン酢酸塩、メチルプレドニゾロンコハク酸ナトリウム、Duralone(登録商標)、Medralone(登録商標)、Medrol(登録商標)、M-Prednisol(登録商標)、Solu-Medrol(登録商標))、プレドニゾロン(Delta-Cortef(登録商標)、ORAPRED(登録商標)、Pediapred(登録商標)、Prezone(登録商標))、及びプレドニゾン(Deltasone(登録商標)、Liquid Pred(登録商標)、Meticorten(登録商標)、Orasone(登録商標))、及びビスホスホネート(例えば、パミドロネート(Aredia(登録商標))、及びゾレドロン酸(Zometac(登録商標)))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0364】
一部の実施形態では、抗がん療法は、抗ホルモン剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、抗ホルモン剤を個体に投与することを含む。抗ホルモン剤は、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する薬剤である。抗ホルモン剤の例としては、抗エストロゲン剤及び選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)が含まれ、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)、トレミフェン、アロマターゼ阻害剤(副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害する)(例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGACE(登録商標)メゲストロール酢酸塩、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、ホルメスタン、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール))、抗アンドロゲン剤(例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド、ゴセレリン)、トロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド(特に、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子(例えば、PKC-α、Raf、H-Ras、及び上皮増殖因子受容体(EGF-R)など)の発現を阻害するオリゴヌクレオチド)、遺伝子療法ワクチンなどのワクチン(例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチン)、PROLEUKIN(登録商標)rIL-2、LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤、ABARELIX(登録商標)rmRH、並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体が挙げられる。
【0365】
一部の実施形態では、抗がん療法は、代謝拮抗化学療法剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、代謝拮抗化学療法剤を個体に投与することを含む。代謝拮抗化学療法剤は、代謝産物に構造的に類似しているが、体内で生産的に使用することができない薬剤である。多くの代謝拮抗化学療法剤は、RNA又はDNAの生成を妨げる。代謝拮抗化学療法剤の例としては、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン(XELODA(商標))、6-メルカプトプリン、メトトレキセート、6-チオグアニン、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、アラビノシルシトシン、ARA-C、シタラビン(CYTOSAR-U(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-DOMED)、アゾシトシン、デオキシシトシン、ピリドミデン、フルダラビン(FLUDARA(登録商標))、クラドラビン、及び2-デオキシ-D-グルコースが挙げられる。一部の実施形態では、代謝拮抗化学療法剤は、ゲムシタビンである。ゲムシタビン塩酸塩は、Eli Lillyから商標GEMZAR(登録商標)で販売されている。
【0366】
一部の実施形態では、抗がん療法は、白金ベースの化学療法剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、白金ベースの化学療法剤を個体に投与することを含む。白金ベースの化学療法剤は、分子の不可欠な部分として白金を含有する有機化合物を含む化学療法剤である。一部の実施形態では、化学療法剤は、白金剤である。一部のそのような実施形態では、白金剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、又はサトラプラチンから選択される。
【0367】
一部の態様では、本明細書で提供される抗がん療法と、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤と、を含む、治療用製剤が本明細書で提供される。本明細書で提供される製剤は、1つより多い活性化合物、例えば、本明細書で提供される抗がん療法及び1つ以上の追加の薬剤(例えば、抗がん剤)を含有し得る。
【0368】
許容される担体、賦形剤、又は安定剤は、使用される投薬量及び濃度で、レシピエントに対して非毒性であり、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、又は他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤、例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、フェノール、ブチル又はベンジルアルコール、アルキルパラベン、例えば、メチル又はプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、又はm-クレゾール;低分子量ポリペプチド(例えば、約10個未満の残基);タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジン;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む、単糖、二糖、及び他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、又はソルビトール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);界面活性剤、例えば、非イオン性界面活性剤;又はポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
【0369】
活性成分は、マイクロカプセルに包まれていてもよい。そのようなマイクロカプセルは、例えば、コアセルベーション技術によって、又は例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチン-マイクロカプセル、及びポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセルの界面重合によって;コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)で;又はマクロエマルションで、調製され得る。そのような技術は、当該技術分野で既知である。
【0370】
持続放出組成物を調製してもよい。持続放出組成物の好適な例としては、本開示の抗がん療法を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられる。そのようなマトリックスは、成形された物品、例えば、膜、又はマイクロカプセルの形態であってもよい。持続放出マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド、L-グルタミン酸とγ エチル-L-グルタメートとのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えば、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドから構成される注射可能な微小球)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
【0371】
本明細書で提供される製剤はまた、1つより多い活性化合物、例えば、互いに有害な影響を与えない相補的な活性を有するものを含有し得る。そのような医薬のタイプ及び有効量は、例えば、製剤中に存在する活性化合物の量及びタイプ、並びに対象の臨床パラメータに依存する。
【0372】
製剤に関する一般的な情報として、例えば、Gilman et al.(編集)The Pharmacological Bases of Therapeutics,8th Ed.,Pergamon Press,1990、A.Gennaro(編集),Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Co.,Pennsylvania,1990、Avis et al.(編集)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications Dekker,New York,1993、Lieberman et al.(編集)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets Dekker,New York,1990、Lieberman et al.(編集),Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems Dekker,New York,1990、及びWalters(編集)Dermatological and Transdermal Formulations(Drugs and the Pharmaceutical Sciences),Vol 1 19,Marcel Dekker,2002を参照されたい。
【0373】
インビボ投与に使用される製剤は、滅菌である。このことは、滅菌濾過膜による濾過、又は当該技術分野で既知の他の方法によって容易に達成される。
【0374】
一部の実施形態では、抗がん療法は、単剤療法として投与される。一部の実施形態では、抗がん療法は、1つ以上の追加の抗がん療法又は治療と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、1つ以上の追加の抗がん療法又は治療は、本明細書に記載の1つ以上の抗がん療法を含む。一部の実施形態では、本開示の方法は、本明細書で提供される抗がん療法のうちのいずれかの任意の組み合わせの投与を含む。一部の実施形態では、追加の抗がん療法は、手術、放射線療法、化学療法、抗血管新生療法、抗DNA修復療法、及び抗炎症療法のうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、追加の抗がん療法は、抗新生物剤、化学療法剤、成長阻害剤、抗血管新生療法、放射線療法、細胞傷害性剤、又はそれらの組み合わせを含む。一部の実施形態では、抗がん療法は、化学療法又は化学療法剤と組み合わせて投与され得る。一部の実施形態では、化学療法又は化学療法剤は、白金ベースの薬剤(限定されないが、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、及びスタラプラチンを含む)である。一部の実施形態では、抗がん療法は、放射線療法と組み合わせて投与され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法のうちのいずれかにおいて使用するための抗がん療法(例えば、単剤療法として、又は別の療法若しくは治療と組み合わせて)は、参照により本明細書に組み込まれるPietrantonio et al.,J Natl Cancer Inst(2017)109(12)及び/又はWang et al.,Cancers(2020)12(2):426によって記載される抗がん療法又は治療である。
【0375】
IV.製造物品又はキット
CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出するための1つ以上のオリゴヌクレオチドを含むキット又は製造物品が本明細書で提供される。
【0376】
更に、例えば、個体に投与することによって、がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法において、抗がん療法と、抗がん療法を使用するための説明書を含む添付文書と、を含む、キット又は製造物品であって、個体からCD274遺伝子中に1つ以上の変異を含む試料が得られている、キット又は製造物品が本明細書で提供される。
【0377】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるキットは、本明細書で提供されるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出するための試薬(例えば、本開示の1つ以上のオリゴヌクレオチド、プライマー、プローブ又はベイト)を含む。一部の実施形態では、キットは、CD274遺伝子の野生型対応物を検出するための試薬(例えば、本開示の1つ以上のオリゴヌクレオチド、プライマー、プローブ又はベイト)を含む。一部の実施形態では、試薬は、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子に、あるいはCD274遺伝子の野生型対応物にハイブリダイズすることが可能な本開示の1つ以上のオリゴヌクレオチド、プライマー、プローブ又はベイトを含む。一部の実施形態では、試薬は、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子を、CD274遺伝子の野生型対応物から区別することが可能な本開示の1つ以上のオリゴヌクレオチド、プライマー、プローブ又はベイトを含む。一部の実施形態では、キットは、配列決定、PCR、インサイチュハイブリダイゼーション方法、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅ベースのアッセイ、PCR-RFLPアッセイ、リアルタイムPCR、配列決定、次世代配列決定、スクリーニング分析、FISH、スペクトル核型分析、MFISH、比較ゲノムハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、配列特異的プライミング(SSP)PCR、HPLC、及び質量分析ジェノタイピングなどの当該技術分野で既知であるか、又は本明細書に記載のCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出する任意の方法に従って使用するためのものである。一部の実施形態では、本明細書で提供されるキットは、例えば、本開示の1つ以上のオリゴヌクレオチド、プライマー、プローブ又はベイトを使用して、CD274遺伝子中の1つ以上の変異、又は本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子を検出するための説明書を更に含む。
【0378】
また、例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含む、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分を検出するためのキットが本明細書で提供される。一部の実施形態では、本明細書で提供されるキットは、本明細書に記載の1つ以上の変異を含む、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその一部分を検出するための試薬(例えば、本開示の1つ以上の抗体)を含む。一部の実施形態では、キットは、本明細書で提供されるPD-L1ポリペプチドの野生型対応物を検出するための試薬(例えば、本開示の1つ以上の抗体)を含む。一部の実施形態では、試薬は、本明細書に記載の1つ以上の変異を含む、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその断片に、あるいは本明細書で提供されるPD-L1ポリペプチドの野生型対応物に結合することが可能な本開示の1つ以上の抗体を含む。一部の実施形態では、試薬は、本明細書に記載の1つ以上の変異を含む、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその断片を、本明細書で提供されるPD-L1ポリペプチドの野生型対応物から区別することが可能な本開示の1つ以上の抗体を含む。一部の実施形態では、キットは、当該技術分野で既知であるか、又は本明細書に記載の任意のタンパク質又はポリペプチド検出アッセイ、例えば、質量分析法(例えば、タンデム質量分析法)、レポーターアッセイ(例えば、蛍光ベースのアッセイ)、ウエスタンブロットなどのイムノブロット、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などのイムノアッセイ、免疫組織化学、他の免疫学的アッセイ(例えば、流体若しくはゲルの沈降素反応、免疫拡散、免疫電気泳動、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫蛍光アッセイ)、及び分析生物化学方法(例えば、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、超拡散クロマトグラフィー)に従って使用するためのものである。一部の実施形態では、キットは、例えば、本開示の1つ以上の抗体を使用して、本明細書に記載の1つ以上の変異を含む、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその断片を検出するための説明書を更に含む。
【0379】
製造物品は、例えば、容器と、容器上にあるか、又は容器に付随したラベル又は添付文書を含んでいてもよい。好適な容器としては、例えば、瓶、バイアル、シリンジなどが挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器は、活性薬剤としてがん医薬を含む組成物を保持するか、又は含有し、滅菌アクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、皮下注射針によって穿孔可能なストッパを有する、静脈内溶液バッグ又はバイアルであってもよい)。
【0380】
製造物品は、薬学的に許容される希釈剤緩衝液、例えば、注射用の静菌性水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル溶液、及び/又はデキストロース溶液を含む第2の容器を更に含んでいてもよい。製造物品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、及びシリンジを含む、商業的観点及びユーザの観点から望ましい他の材料を更に含んでいてもよい。
【0381】
本開示の製造物品は、組成物が、本明細書に記載されるように、がんを治療するために使用されることを示す、例えば、添付文書の形態での情報も含む。文書又はラベルは、紙又は電子媒体、例えば、磁気記録媒体(例えば、フロッピーディスク)、CD-ROM、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブなどの任意の形態をとっていてもよい。文書又はラベルはまた、キット又は製造物品において、薬学的組成物及び剤形に関する他の情報を含んでいてもよい。
【0382】
V.発現ベクター、宿主細胞及び組換え細胞
本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子、本明細書に記載のベイト、プローブ、又はオリゴヌクレオチド、又はその断片を含むベクターが本明細書で提供される。
【0383】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるベクターは、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子、あるいは本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその断片をコードする核酸分子を含む。
【0384】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるベクターは、結合された別の核酸を輸送することができる核酸分子である。一部の実施形態では、ベクターは、プラスミド、コスミド、又はウイルスベクターである。ベクターは、自律複製が可能であってもよく、又は宿主DNAに組み込まれてもよい。例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルスを含む、ウイルスベクターも本明細書で企図される。
【0385】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるベクターは、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子、本開示のベイト、プローブ、又はオリゴヌクレオチドを、宿主細胞においてそれを発現するのに好適な形態で含む。一部の実施形態では、ベクターは、発現されるヌクレオチド配列に作動的に結合される1つ以上の調節配列を含む。一部の実施形態では、1つ以上の調節配列は、プロモーター(例えば、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス及びシミアンウイルス40に由来するプロモーター)、エンハンサー、及び他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含む。一部の実施形態では、調節配列は、ヌクレオチド配列(例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子、本明細書に記載のベイト、プローブ、又はオリゴヌクレオチド、又はその断片)の構成的発現を指令する。一部の実施形態では、調節配列は、ヌクレオチド配列(例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子、本明細書に記載のベイト、プローブ、又はオリゴヌクレオチド、又はその断片)の組織特異的発現を指令する。一部の実施形態では、調節配列は、ヌクレオチド配列(例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子、本明細書に記載のベイト、プローブ、又はオリゴヌクレオチド、又はその断片)の誘導性発現を指令する。誘導性調節配列の例としては、限定されないが、ステロイドホルモンによって、ポリペプチドホルモンによって、又は異種ポリペプチドによって調節されるプロモーター、例えば、テトラサイクリン誘導性プロモーターが挙げられる。組織又は細胞のタイプに特異的な調節配列の例としては、限定されないが、アルブミンプロモーター、リンパ球特異的プロモーター、T細胞受容体若しくは免疫グロブリンのプロモーター、ニューロン特異的プロモーター、膵臓特異的プロモーター、乳腺特異的プロモーター、及び発生学的に調節されているプロモーターが挙げられる。一部の実施形態では、本明細書で提供されるベクターは、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子、本開示のベイト、プローブ、又はオリゴヌクレオチドを、センス又はアンチセンス配向で含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるベクター(例えば、発現ベクター)は、宿主細胞に導入され、それによって、ポリペプチド、例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその断片若しくは変異体形態を産生する。
【0386】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望な発現のレベルなどの因子に依存する。一部の実施形態では、発現ベクターは、原核生物細胞又は真核生物細胞、例えば、E.coli細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現ベクターを使用する)、酵母細胞、又は哺乳動物細胞において、例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274核酸分子、本明細書に記載のベイト、プローブ、又はオリゴヌクレオチド、又はそれらの断片の発現のために設計される。一部の実施形態では、本明細書に記載のベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列及びT7ポリメラーゼを使用して、インビトロで転写され、翻訳される。一部の実施形態では、本明細書で提供されるベクター(例えば、発現ベクター)は、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子を含み、本明細書に記載の核酸分子のヌクレオチド配列は、各々のコードされたアミノ酸の個々のコドンが宿主細胞で優先的に利用されるように、変化する(例えば、コドン最適化される)。
【0387】
また、例えば、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチド、又はその断片、本開示のベイト、プローブ、ベクター、又はオリゴヌクレオチドを含む、宿主細胞が本明細書で提供される。一部の実施形態では、宿主細胞(例えば、組換え宿主細胞又は組換え細胞)は、本明細書に記載のベクター(例えば、本明細書に記載の発現ベクター)を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子、本明細書で提供されるベイト、プローブ、ベクター、又はオリゴヌクレオチドは、(例えば、特定の部位での相同組換えによって)宿主細胞のゲノムに組み込まれることが可能な配列を更に含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞は、原核生物細胞又は真核生物細胞である。宿主細胞の非限定的な例としては、限定されないが、細菌細胞(例えば、E.coli)、昆虫細胞、酵母細胞、又は哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞、げっ歯類細胞、マウス細胞、ウサギ細胞、ブタ細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、又はCOS細胞、例えば、COS-7細胞、CV-1起源SV40細胞)が挙げられる。本明細書に記載の宿主細胞には、特定の宿主細胞、及びそのような細胞の子孫が含まれる。特定の修飾は、変異又は環境的影響のいずれかに起因して、後の世代で生じる場合があるため、そのような子孫は、実際に、親宿主細胞と同一ではない可能性がある。
【0388】
本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子又はその一部分を含むか、又はコードする核酸分子、本開示のベイト、プローブ、ベクター、又はオリゴヌクレオチドは、当該技術分野で既知の任意の好適な方法、例えば、従来の形質転換又はトランスフェクション技術(例えば、リン酸カルシウム又は塩化カルシウム共沈殿、DEAE-デキストラン媒介性トランスフェクション、リポフェクション、又はエレクトロポレーションを使用する)を使用して宿主細胞に導入されてもよい。
【0389】
また、本明細書に記載の1つ以上の変異を含むCD274遺伝子によってコードされる、PD-L1ポリペプチド、又はその一部分を産生する方法であって、例えば、PD-L1ポリペプチドが産生される好適な媒体中、本明細書に記載の宿主細胞(その中に、ポリペプチドをコードする組換え発現ベクターが導入されている)を培養することによる、方法が本明細書で提供される。別の実施形態では、本方法は、媒体又は宿主細胞からPD-L1ポリペプチドを単離することを更に含む。
【0390】
本明細書は、当業者が本発明を実施することが可能なほど十分なものであると考えられる。本明細書に示され、記載されるものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の記載から当業者には明らかなものとなり、添付の特許請求の範囲に入る。本明細書で引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あらゆる目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0391】
VI.例示的な実施形態
以下の例示的な実施形態は、本発明のいくつかの態様を代表するものである。
【0392】
例示的な実施形態1:抗がん療法を含む治療から利益を受け得るがんを有する個体を特定する方法であって、本方法が、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することを含み、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在が、抗がん療法から利益を受け得る個体又は利益を受け得ない個体を特定する、方法。
【0393】
例示的な実施形態2:個体におけるがんの存在又は非存在を検出する方法であって、本方法が、
(a)個体からの試料におけるがんの存在又は非存在を検出することと、
(b)試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在又は非存在を検出することと、を含む、方法。
【0394】
例示的な実施形態3:がんを有する個体のための療法を選択する方法であって、本方法が、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することを含み、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在が、抗がん療法を含む治療から利益を受け得る個体として個体を特定する、方法。
【0395】
例示的な実施形態4:試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在が、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんを有し得る個体として個体を特定する、実施形態1~3のうちのいずれか1つの方法。
【0396】
例示的な実施形態5:がんを有する個体の1つ以上の治療選択肢を特定する方法であって、本方法が、
(a)個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、
(b)試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在に少なくとも部分的に基づいて、個体について特定された1つ以上の治療選択肢を含むレポートを生成することであって、1つ以上の治療選択肢が抗がん療法を含む、レポートを生成することと、を含む、方法。
【0397】
例示的な実施形態6:がんを有する個体の1つ以上の治療選択肢を特定する方法であって、本方法が、
(a)個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することと、
(b)上述の知識に少なくとも部分的に基づいて、個体について特定された1つ以上の治療選択肢を含むレポートを生成することであって、1つ以上の治療選択肢が抗がん療法を含む、レポートを生成することと、を含む、方法。
【0398】
例示的な実施形態7:レポートが、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんを有し得る個体として個体を特定する、実施形態5又は実施形態6の方法。
【0399】
例示的な実施形態8:がんを有する個体のための治療を選択するか、又は選択しない方法であって、がんを有する個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、(i)個体が、抗がん療法による治療を受ける候補として分類されるか、若しくは個体が、抗がん療法による治療を受ける候補として分類されない、かつ/又は(ii)個体が、抗がん療法を含む治療に応答する可能性が高いと特定されるか、若しくは個体が、抗がん療法を含む治療に応答する可能性が低いと特定される、方法。
【0400】
例示的な実施形態9:上述の知識の取得に応答して、(i)個体が、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんを有すると分類され、かつ/又は(ii)個体が、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を含む治療に応答する可能性が低いと特定される、実施形態8の方法。
【0401】
例示的な実施形態10:がんを有する個体の生存期間を予測する方法であって、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、個体が、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤で治療される場合、がんがCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含まない個体の生存期間と比較して、より短い生存期間を有すると予測される、方法。
【0402】
例示的な実施形態11:1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤で治療されたがんを有する個体の生存期間を予測する方法であって、本方法が、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、個体が、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤による治療の後に、がんがCD274遺伝子中の1つ以上の変異を示さない個体と比較して、より短い生存期間を有すると予測される、方法。
【0403】
例示的な実施形態12:がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、
(a)個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することと、
(b)上述の知識に応答して、有効量の抗がん療法を含む治療を個体に投与することと、を含む、方法。
【0404】
例示的な実施形態13:がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することに応答して、有効量の抗がん療法を含む治療を個体に投与することと、を含む、方法。
【0405】
例示的な実施形態14:がんを有する個体をモニタリングする方法であって、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、個体が、がんがCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含まない個体と比較して、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に対するがん耐性のリスクが増加していると予測される、方法。
【0406】
例示的な実施形態15:がんを有する個体を評価する方法であって、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、個体が、がんがCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含まない個体と比較して、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんのリスクが増加していると予測される、方法。
【0407】
例示的な実施形態16:がんを有する個体をスクリーニングする方法であって、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することを含み、上述の知識の取得に応答して、個体が、がんがCD274遺伝子中の1つ以上の変異を含まない個体と比較して、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に耐性であるがんのリスクが増加していると予測される、方法。
【0408】
例示的な実施形態17:がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、
(a)個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、
(b)有効量の抗がん療法を含む治療を個体に投与することと、を含む、方法。
【0409】
例示的な実施形態18:個体のがんにおけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を診断/評価する方法であって、本方法が、
(a)個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、
(b)CD274遺伝子中の1つ以上の変異の評価を提供することと、を含む、方法。
【0410】
例示的な実施形態19:個体における免疫チェックポイント阻害剤耐性がんを診断する方法であって、本方法が、
(a)個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、
(b)個体における免疫チェックポイント阻害剤耐性がんの診断を提供することと、を含む、方法。
【0411】
例示的な実施形態20:CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出する方法であって、本方法が、がんを有する個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することを含む、方法。
【0412】
例示的な実施形態21:CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出する方法であって、本方法が、
(a)個体からの試料から得られた複数の核酸を提供することであって、複数の核酸が、複数の核酸が、CD274遺伝子をコードする核酸を含む、提供することと、
(b)任意選択的に、複数の核酸からの1つ以上の核酸に、1つ以上のアダプターをライゲーションすることと、
(c)任意選択的に、複数の核酸から核酸を増幅することと、
(d)任意選択的に、CD274遺伝子に対応する複数の核酸を捕捉することと、
(e)シーケンサーによって、複数の核酸を配列決定して、CD274遺伝子に対応する複数の配列リードを得ることと、
(f)複数の配列リードを分析することと、
(g)分析に基づいて、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、を含む、方法。
【0413】
例示的な実施形態22:CD274遺伝子に対応する複数の核酸が、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって、増幅された核酸から捕捉される、実施形態21の方法。
【0414】
例示的な実施形態23:CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出する方法であって、本方法が、
(a)がんを有する個体からの試料を提供することであって、試料が1つ以上の核酸を含む、提供することと、
(b)試料中の1つ以上の核酸から核酸配列決定ライブラリを調製することと、
(c)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、上述のライブラリを増幅することと、
(d)上述のライブラリにおけるCD274ヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸を選択的に濃縮して、濃縮された試料を生成することと、
(e)濃縮された試料を配列決定し、それによって、複数の配列決定リードを生成することと、
(f)CD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在について、複数の配列決定リードを分析することと、
(g)分析するステップに基づいて、個体からの試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、を含む、方法。
【0415】
例示的な実施形態24:がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、有効量の抗がん療法を、がんを有する個体に投与することを含み、がんが、CD274遺伝子中の1つ以上の変異を含む、方法。
【0416】
例示的な実施形態25:抗がん療法が、小分子阻害剤、化学療法剤、がん免疫療法、抗体、細胞療法、核酸、手術、放射線療法、抗血管新生療法、抗DNA修復療法、抗炎症療法、抗新生物剤、成長阻害剤、細胞傷害性剤、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、実施形態1、3~9、12~13、17、及び24のうちのいずれか1つの方法。
【0417】
例示的な実施形態26:細胞療法が、養子療法、T細胞ベースの療法、ナチュラルキラー(NK)細胞ベースの療法、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法、組換えT細胞受容体(TCR)T細胞療法、又は樹状細胞(DC)ベースの療法である、実施形態25の方法。
【0418】
例示的な実施形態27:核酸が、二本鎖RNA(dsRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、又は小ヘアピンRNA(shRNA)を含む、実施形態25の方法。
【0419】
例示的な実施形態28:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、ミスセンス変異、トランケーション、ナンセンス変異、スプライス部位変異、挿入/欠失、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、実施形態1~27のうちのいずれか1つの方法。
【0420】
例示的な実施形態29:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、2つ以上のミスセンス変異を含む、実施形態1~28のうちのいずれか1つの方法。
【0421】
例示的な実施形態30:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、1つ以上のミスセンス変異及びトランケーションを含む、実施形態1~29のうちのいずれか1つの方法。
【0422】
例示的な実施形態31:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含む、実施形態1~30のうちのいずれか1つの方法。
【0423】
例示的な実施形態32:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、CD274遺伝子欠失を更に含み、CD274遺伝子が、CD274遺伝子の一部分の欠失物である、実施形態28~31のうちのいずれか1つの方法。
【0424】
例示的な実施形態33:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、CD274ゲノム再配列又はCD274遺伝子融合を更に含む、実施形態28~32のうちのいずれか1つの方法。
【0425】
例示的な実施形態34:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、体細胞変異又は生殖細胞系列変異である、実施形態1~33のうちのいずれか1つの方法。
【0426】
例示的な実施形態35:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、クローン変異である、実施形態1~34のうちのいずれか1つの方法。
【0427】
例示的な実施形態36:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、サブクローン変異である、実施形態1~34のうちのいずれか1つの方法。
【0428】
例示的な実施形態37:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、CD274遺伝子増幅を更に含む、実施形態28~36のうちのいずれか1つの方法。
【0429】
例示的な実施形態38:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、
(a)がんにおけるPD-L1タンパク質の低い発現、
(b)がんにおけるPD-L1タンパク質の発現が起こらない、又は
(c)がんにおけるPD-L1タンパク質の高い発現を生じさせる、実施形態1~37のうちのいずれか1つの方法。
【0430】
例示的な実施形態39:PD-L1タンパク質発現が、個体から得られた試料における免疫組織化学アッセイを使用して評価される、実施形態38の方法。
【0431】
例示的な実施形態40:PD-L1タンパク質発現が、腫瘍細胞において評価される、実施形態38又は実施形態39の方法。
【0432】
例示的な実施形態41:がんにおけるPD-L1タンパク質の低い発現が、1%~49%の腫瘍割合スコア(TPS)に基づいて評価される、実施形態39~40のうちのいずれか1つの方法。
【0433】
例示的な実施形態42:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、表2に列挙される1つ以上の変異を含む、実施形態38~41のうちのいずれか1つの方法。
【0434】
例示的な実施形態43:がんにおけるPD-L1タンパク質の発現が起こらないことが、1%未満のTPSに基づいて評価される、実施形態39~40のうちのいずれか1つの方法。
【0435】
例示的な実施形態44:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、表3に列挙される1つ以上の変異を含む、実施形態38~40及び43のうちのいずれか1つの方法。
【0436】
例示的な実施形態45:がんにおけるPD-L1タンパク質の高い発現が、50%以上のTPSに基づいて評価される、実施形態39~40のうちのいずれか1つの方法。
【0437】
例示的な実施形態46:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、表4に列挙される1つ以上の変異を含む、実施形態38~40及び45のうちのいずれか1つの方法。
【0438】
例示的な実施形態47:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、1つ以上のミスセンス変異を含み、任意選択的に、1つ以上の変異が、クローン変異又はサブクローン変異である、実施形態38~46のうちのいずれか1つの方法。
【0439】
例示的な実施形態48:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、トランケーション変異を含み、任意選択的に、トランケーション変異が、クローン変異又はサブクローン変異である、実施形態38~46のうちのいずれか1つの方法。
【0440】
例示的な実施形態49:(a)CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチドとPD-1受容体との間の相互作用を低下させ、かつ/又は(b)CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、CD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチドの活性を低下させる、実施形態1~48のうちのいずれか1つの方法。
【0441】
例示的な実施形態50:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、免疫チェックポイント阻害剤耐性がんを引き起こす、実施形態1~49のうちのいずれか1つの方法。
【0442】
例示的な実施形態51:抗がん療法が、免疫チェックポイント阻害剤以外の療法である、実施形態1、3~9、12~13、17、及び24~50のうちのいずれか1つの方法。
【0443】
例示的な実施形態52:抗がん療法が、小分子阻害剤、化学療法剤、がん免疫療法、抗体、細胞療法、核酸、手術、放射線療法、抗血管新生療法、抗DNA修復療法、抗炎症療法、抗新生物剤、成長阻害剤、細胞傷害性剤、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、実施形態51の方法。
【0444】
例示的な実施形態53:細胞療法が、養子療法、T細胞ベースの療法、ナチュラルキラー(NK)細胞ベースの療法、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法、組換えT細胞受容体(TCR)T細胞療法、又は樹状細胞(DC)ベースの療法である、実施形態52の方法。
【0445】
例示的な実施形態54:核酸が、二本鎖RNA(dsRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、又は小ヘアピンRNA(shRNA)を含む、実施形態52の方法。
【0446】
例示的な実施形態55:CD274遺伝子中の1つ以上の変異の知識を取得することが、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することを含む、実施形態6~16及び25~54のうちのいずれか1つの方法。
【0447】
例示的な実施形態56:CD274遺伝子中の1つ以上の変異を含むヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸を選択的に濃縮することを更に含み、選択的に濃縮することで、濃縮された試料を生成する、実施形態1~5、7、17~23、及び25~55のうちのいずれか1つの方法。
【0448】
例示的な実施形態57:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅ベースのアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、リアルタイムPCR、配列決定、次世代配列決定、スクリーニング分析、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、スペクトル核型分析、マルチカラーFISH(mFISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、配列特異的プライミング(SSP)PCR、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は質量分析ジェノタイピングのうちの1つ以上によって試料において検出される、実施形態1~5、7、17~23、及び25~56のうちのいずれか1つの方法。
【0449】
例示的な実施形態58:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、CD274によってコードされるPD-L1ポリペプチドにおいて検出される、実施形態1~5、7、17~23、及び25~55のうちのいずれか1つの方法。
【0450】
例示的な実施形態59:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、イムノブロッティング、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫組織化学、又は質量分析法のうちの1つ以上によって試料において検出される、実施形態58の方法。
【0451】
例示的な実施形態60:がんが、がん腫、肉腫、リンパ腫、白血病、骨髄腫、胚細胞がん、又は芽細胞腫である、実施形態1~20及び23~59のうちのいずれか1つの方法。
【0452】
例示的な実施形態61:がんが、固形腫瘍である、実施形態1~20及び23~60のうちのいずれか1つの方法。
【0453】
例示的な実施形態62:がんが、血液悪性腫瘍である、実施形態1~20及び23~60のうちのいずれか1つの方法。
【0454】
例示的な実施形態63:がんが、表5又は表6に列挙されるがんである、実施形態1~20及び23~60のうちのいずれか1つの方法。
【0455】
例示的な実施形態64:がんが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、皮膚扁平上皮がん、子宮内膜腺がん、原発巣不明の黒色腫、又は皮膚黒色腫である、実施形態1~20及び23~63のうちのいずれか1つの方法。
【0456】
例示的な実施形態65:がんが、皮膚がんである、実施形態1~20及び23~60のうちのいずれか1つの方法。
【0457】
例示的な実施形態66:がんが、10変異/メガベース(mut/Mb)以上の腫瘍変異負荷(TMB)を含む、実施形態65の方法。
【0458】
例示的な実施形態67:がんが、10mut/Mb未満のTMBを含む、実施形態65の方法。
【0459】
例示的な実施形態68:TMBが、配列決定されたDNAの約0.79メガベース(Mb)に基づいて評価される、実施形態66又は実施形態67の方法。
【0460】
例示的な実施形態69:TMBが、配列決定されたDNAの約0.80Mbに基づいて評価される、実施形態66又は実施形態67の方法。
【0461】
例示的な実施形態70:TMBが、配列決定されたDNAの約0.83Mb~約1.14Mbに基づいて評価される、実施形態66又は実施形態67の方法。
【0462】
例示的な実施形態71:TMBが、配列決定されたDNAの約1.1Mbに基づいて評価される、実施形態66又は実施形態67の方法。
【0463】
例示的な実施形態72:TMBが、配列決定されたDNAの最大約1.24Mbに基づいて評価される、実施形態66又は実施形態67の方法。
【0464】
例示的な実施形態73:TMBが、配列決定されたDNAの最大約1.1Mbに基づいて評価される、実施形態66又は実施形態67の方法。
【0465】
例示的な実施形態74:がんが、少なくとも約100mut/Mb、少なくとも約110mut/Mb、少なくとも約120mut/Mb、少なくとも約130mut/Mb、少なくとも約140mut/Mb、少なくとも約150mut/Mb、又はそれより大きいTMBを含む、実施形態66及び68~73のうちのいずれか1つの方法。
【0466】
例示的な実施形態75:TMBが、配列決定、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、遺伝子ターゲット配列決定、又は次世代配列決定によって評価される、実施形態66~74のうちのいずれか1つの方法。
【0467】
例示的な実施形態76:がんが、皮膚扁平上皮がん、皮膚黒色腫、又は原発巣不明の黒色腫である、実施形態65~75のうちのいずれか1つの方法。
【0468】
例示的な実施形態77:がんが、非漿液性子宮内膜腺がんである、実施形態1~20及び23~60のうちのいずれか1つの方法。
【0469】
例示的な実施形態78:がんが、高頻度マイクロサテライト不安定性状態(MSI)を含む、実施形態77の方法。
【0470】
例示的な実施形態79:MSIが、最大約114個の遺伝子座のDNA配列決定に基づいて評価される、実施形態78の方法。
【0471】
例示的な実施形態80:がんが、表6に列挙されるCD274変異を含むがんである、実施形態1~20及び23~60のうちのいずれか1つの方法。
【0472】
例示的な実施形態81:がんが、転移性である、実施形態1~20及び23~80のうちのいずれか1つの方法。
【0473】
例示的な実施形態82:試料が、がんから得られる、実施形態1~20、23、及び25~81のうちのいずれか1つの方法。
【0474】
例示的な実施形態83:試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料である、実施形態1~23及び25~82のうちのいずれか1つの方法。
【0475】
例示的な実施形態84:試料が、流体、細胞、又は組織を含む、実施形態1~23及び25~83のうちのいずれか1つの方法。
【0476】
例示的な実施形態85:試料が、腫瘍生検又は循環腫瘍細胞を含む、実施形態84の方法。
【0477】
例示的な実施形態86:試料が、核酸試料である、実施形態1~23及び25~82のうちのいずれか1つの方法。
【0478】
例示的な実施形態87:核酸試料が、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む、実施形態86の方法。
【0479】
例示的な実施形態88:試料が、個体からのFFPE試料から得られた1つ以上の核酸を含む、実施形態1~23及び25~82のうちのいずれか1つの方法。
【0480】
例示的な実施形態89:1つ以上の核酸が、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む、実施形態88の方法。
【0481】
例示的な実施形態90:異なる時間点で個体から1つより多い試料を得ることを更に含む、実施形態1~23及び25~89のうちのいずれか1つの方法。
【0482】
例示的な実施形態91:選択的に濃縮することが、(a)ベイトと試料とを合わせ、それによって、試料においてベイトを1つ以上の核酸にハイブリダイズし、核酸ハイブリッドを生成することと、(b)核酸ハイブリッドを単離して、濃縮された試料を生成することと、を含む、実施形態23又は実施形態56の方法。
【0483】
例示的な実施形態92:ベイトが、1つ以上の核酸にハイブリダイズするように構成された捕捉核酸分子を含む、実施形態91の方法。
【0484】
例示的な実施形態93:捕捉核酸分子が、約10~約30個のヌクレオチド、約50~約1000個のヌクレオチド、約100~約500個のヌクレオチド、約100~約300個のヌクレオチド、又は約100~200個のヌクレオチドを含む、実施形態92の方法。
【0485】
例示的な実施形態94:ベイトが、アフィニティー試薬又は検出試薬にコンジュゲートされる、実施形態91~93のうちのいずれか1つの方法。
【0486】
例示的な実施形態95:アフィニティー試薬が、抗体、抗体断片、若しくはビオチンであるか、又は検出試薬が、蛍光性マーカーである、実施形態94の方法。
【0487】
例示的な実施形態96:捕捉核酸分子が、DNA、RNA、又は混合されたDNA/RNA分子を含む、実施形態92~95のうちのいずれか1つの方法。
【0488】
例示的な実施形態97:選択的に濃縮することが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、試料において1つ以上の核酸を増幅し、濃縮された試料を生成することを含む、実施形態23又は実施形態56の方法。
【0489】
例示的な実施形態98:濃縮された試料において1つ以上の核酸分子を配列決定することを更に含む、実施形態91~97のうちのいずれか1つの方法。
【0490】
例示的な実施形態99:CD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出するためのプローブ又はベイトを含み、任意選択的に、CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含む、キット。
【0491】
例示的な実施形態100:表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含むCD274遺伝子をコードする、核酸。
【0492】
例示的な実施形態101:実施形態100の核酸を含む、ベクター。
【0493】
例示的な実施形態102:実施形態101のベクターを含む、宿主細胞。
【0494】
例示的な実施形態103:表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含むCD274遺伝子によってコードされるPD-L1ポリペプチドに特異的に結合する、抗体又は抗体断片。
【0495】
例示的な実施形態104:実施形態103の抗体又は抗体断片を含む、キット。
【0496】
例示的な実施形態105:表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含むCD274遺伝子、又はその一部分を検出するための1つ以上のオリゴヌクレオチドのインビトロでの使用。
【0497】
例示的な実施形態106:表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含むCD274遺伝子、又はその一部分を検出するための1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む、キット。
【0498】
例示的な実施形態107:システムであって、
1つ以上のプログラム命令を格納するように構成されたメモリと、
1つ以上のプログラム命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサと、を備え、1つ以上のプログラム命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されると、
(a)1つ以上の核酸の複数の配列リードであって、1つ以上の核酸が、個体から得られた試料に由来する、複数の配列リードを得て、
(b)CD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在について、複数の配列決定リードを分析し、
(c)分析に基づいて、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出するように構成された、システム。
【0499】
例示的な実施形態108:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、ミスセンス変異、トランケーション、ナンセンス変異、スプライス部位変異、挿入/欠失、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、実施形態107のシステム。
【0500】
例示的な実施形態109:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、2つ以上のミスセンス変異を含む、実施形態107又は実施形態108のシステム。
【0501】
例示的な実施形態110:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、1つ以上のミスセンス変異及びトランケーションを含む、実施形態107~109のうちのいずれか1つのシステム。
【0502】
例示的な実施形態111:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含む、実施形態107~110のうちのいずれか1つのシステム。
【0503】
例示的な実施形態112:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、CD274遺伝子増幅を更に含む、実施形態108~111のうちのいずれか1つのシステム。
【0504】
例示的な実施形態113:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、CD274遺伝子欠失を更に含み、CD274遺伝子が、CD274遺伝子の一部分の欠失物である、実施形態108~112のうちのいずれか1つのシステム。
【0505】
例示的な実施形態114:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、CD274ゲノム再配列又はCD274遺伝子融合を更に含む、実施形態108~113のうちのいずれか1つのシステム。
【0506】
例示的な実施形態115:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、体細胞変異又は生殖細胞系列変異である、実施形態107~114のうちのいずれか1つのシステム。
【0507】
例示的な実施形態116:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、クローン変異である、実施形態107~115のうちのいずれか1つのシステム。
【0508】
例示的な実施形態117:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、サブクローン変異である、実施形態107~116のうちのいずれか1つのシステム。
【0509】
例示的な実施形態118:複数の配列リードが、配列決定、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、遺伝子ターゲット配列決定、又は次世代配列決定によって得られる、実施形態107~117のうちのいずれか1つのシステム。
【0510】
例示的な実施形態119:方法を実行するための1つ以上のコンピュータプロセッサによって実行可能な1つ以上のプログラムを含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、本方法が、
(a)1つ以上のプロセッサを使用して、1つ以上の核酸の複数の配列リードを得ることであって、1つ以上の核酸が、個体から得られた試料に由来する、得ることと、
(b)1つ以上のプロセッサを使用して、CD274遺伝子中の1つ以上の変異の存在について、複数の配列リードを分析することと、
(c)1つ以上のプロセッサを使用して、かつ分析することに基づいて、試料におけるCD274遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0511】
例示的な実施形態120:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、ミスセンス変異、トランケーション、ナンセンス変異、スプライス部位変異、挿入/欠失、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、実施形態119の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0512】
例示的な実施形態121:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、2つ以上のミスセンス変異を含む、実施形態119又は実施形態120の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0513】
例示的な実施形態122:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、1つ以上のミスセンス変異及びトランケーションを含む、実施形態119~120のうちのいずれか1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0514】
例示的な実施形態123:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、表1~4及び6に列挙される1つ以上の変異を含む、実施形態119~122のうちのいずれか1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0515】
例示的な実施形態124:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、CD274遺伝子増幅を更に含む、実施形態120~123のうちのいずれか1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0516】
例示的な実施形態125:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、CD274遺伝子欠失を更に含み、CD274遺伝子が、CD274遺伝子の一部分の欠失物である、実施形態120~123のうちのいずれか1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0517】
例示的な実施形態126:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、CD274ゲノム再配列又はCD274遺伝子融合を更に含む、実施形態120~125のうちのいずれか1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0518】
例示的な実施形態127:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、体細胞変異又は生殖細胞系列変異である、実施形態119~126のうちのいずれか1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0519】
例示的な実施形態128:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、クローン変異である、実施形態119~127のうちのいずれか1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0520】
例示的な実施形態129:CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、サブクローン変異である、実施形態119~128のうちのいずれか1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0521】
例示的な実施形態130:複数の配列リードが、配列決定、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、遺伝子ターゲット配列決定、又は次世代配列決定によって得られる、実施形態119~129のうちのいずれか1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0522】
例示的な実施形態131:がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法において使用するための抗がん療法であって、本方法が、抗がん療法を個体に投与することを含み、CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、個体から得られた試料において検出される、抗がん療法。
【0523】
例示的な実施形態132:がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせるための医薬の製造において使用するための抗がん療法であって、医薬が個体に投与され、CD274遺伝子中の1つ以上の変異が、個体から得られた試料において検出される、抗がん療法。
【実施例】
【0524】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、より完全に理解されるであろう。しかしながら、それらは本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書に記載された例及び実施形態は、例示のみを目的としており、それに照らして様々な修正又は変更が当業者に提案され、本出願及び添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれることが理解される。
【0525】
実施例1:CD274(PD-L1)変異の汎がんランドスケープ、及びそれらのPD-L1タンパク質発現との相関関係。
CD274(PD-L1)中の非増幅ショートバリアント(SV)「変異」のそのPD-L1がコードするタンパク質発現及び免疫チェックポイント阻害剤(ICPI)療法に対する効果は、不明である。
【0526】
この実施例は、CD274(PD-L1)ショートバリアント変異のランドスケープを分析した大規模汎がんゲノムデータベースにおける包括的ゲノムプロファイリング(CGP)、及び特定された変異及びPD-L1タンパク質発現の相関関係を記載する。
【0527】
材料及び方法
試料コホート
全試験片試料、生検、又は細胞学標本のいずれかのホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織を、通常の臨床ケア中に外部の施設からパラフィンブロック又は未染色スライドとして受領した。認定病理医は、FFPE組織からのヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色したスライドの顕微鏡検査、添付の病理レポート、及びオーダーをした医師によって提供された追加情報に基づいて、各標本について診断を割り当てた。
【0528】
包括的ゲノムプロファイリング
包括的ゲノムプロファイリング(CGP)を、Clinical Laboratory Improvement Amendments(CLIA)によって認証され、College of American Pathologists(CAP)に認定された実験室において、FFPE腫瘍試料から抽出したDNA及び/又はRNAを使用して、ハイブリダイゼーション捕捉した、アダプターライゲーションベースのライブラリに対して行った(
図1を参照されたい)。試料を、最大406個のがん関連遺伝子及び選択した遺伝子再配列について配列決定した(Frampton et al.,Nat Biotechnol(2013)31(11):1023-31)。CD274非増幅ショートバリアント(SV)変異は、既に記載されているように、ミスセンス変異、トランケーション、スプライス部位変異、及び挿入/欠失として定義された(Frampton et al.,2013)。CD274増幅は、倍数性+4として定義された。腫瘍変異負荷(TMB)は、配列決定されたDNAについて最大1.24メガベース(Mb)について決定され、TMB≧10個の変異/メガベース(mut/Mb)は、TMB-高であるとみなされた(例えば、ウェブサイト:www.fda.gov/drugs/drug-approvals-and-databases/fda-approves-pembrolizumab-adults-and-children-tmb-h-solid-tumors、及びChalmers et al.,Genome Med(2017)9(1):34を参照されたい)。マイクロサテライト不安定性(MSI)分析は、最大114個の遺伝子座のDNA配列決定から行われ、例えば、www.fda.gov/drugs/resources-information-approved-drugs/fda-grants-accelerated-approval-pembrolizumab-first-tissuesite-agnostic-indication、及びTrabucco et al.,J Mol Diagn(2019)21(6):1053-66に記載されるように、MSI-高(MSI-H)は、陽性であるとみなされた。加えて、紫外線変異シグネチャは、Zehir et al.,Nat Med(2017)23(6):703-13に記載されるように呼ばれた。
【0529】
クローン性、予測体細胞変異に対する予測生殖細胞系列変異、及び予測ミスセンス機能性
サブクローンSV変異は、変異アレル頻度(VAF)、並びに病的な腫瘍細胞の純度概算値及び/又は計算上の腫瘍細胞の純度概算値の両方に基づいて、腫瘍細胞の50%未満がバリアントを有すると予測された試料として定義された。体細胞生殖細胞系列接合性(SGZ)バイオインフォマティクスアルゴリズムを使用して、既に記載されたように、変異が、体細胞である可能性が高いか、又は生殖細胞系列である可能性が高いかを決定した(Sun et al.,PLOS Computational Biology(2018)14(2):e1005965を参照されたい)。
【0530】
ミスセンスCD274変異の機能性は、SIFT、MutationTaster、fathmm-MKL、及びMetaSVMを含むいくつかのインシリコ方法で評価された。互いに比較することができるように、スコアをランクスコアに再較正した。例えば、Kim et al.,BioData Min(2017)10:2、Ng PC and Henikoff S,Nucleic Acids Res(2003)31(13):3812-4、Shihab et al.,Bioinformatics(2013)29(12):1504-10、及びSchwarz et al.,Nat Methods(2014)11(4):361-2を参照されたい。ランクスコアは、0~1のスケールであり、0は非機能的タンパク質であると予測され、1は機能的タンパク質であると予測される。
【0531】
DAKO PD-L1 IHC 22C3アッセイ
症例のサブセットについて、PD-L1 DAKO 22C3アッセイを、CLIAによって認証され、CAPによって認定された実験室において、製造業者の指示に従って実施した(www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf15/P150013c.pdf)。IHC症例は、PD-L1の腫瘍細胞発現を定量化したDAKO腫瘍割合スコアリング(TPS)方法について具体的に訓練された認定病理医によって解釈された。DAKO TPSスコアリング方法は、TPS=PD-L1陽性腫瘍細胞の数/(PD-L1陽性+PD-L1因性腫瘍細胞の総数)として定義された(www.agilent.com/cs/library/usermanuals/public/29158_PD-L1-ihc-22C3-pharmdx-nsclc-interpretation-manual.pdfを参照されたい)。PD-L1 22C3 TPS染色結果を、陰性(<1%)、低発現(1~49%)、又は高発現(≧50%)のカテゴリーに階層化した。
【0532】
結果
CD274 SV変異のランドスケープ
全体として、314,631個の試料のコホートにおいて、CD274 SV変異の頻度は低かった(0.3%、1,081/314,631)。577個の固有のバリアントが発見され、いくつかの変異が反復であり、いくつかの変異は、全コホート中にたった1つの発生を有する(表7を参照されたい)。1,081個の変異の中で、49.9%(539/1081)は、転移性標本からのものであり、42.3%(457/1081)は、原発性標本からのものであった。症例の7.8%(85/1081)で、それらが原発性標本であるか、又は転移性標本であるかは不明であった。CD274 SV変異を有する1,081個の試料のうち、わずか1.4%(15/1081)が、同時発生するCD274増幅を有していた。
【表8-1】
【表8-2】
【0533】
表7及び
図2に示されるように、最も一般的なCD274変異は、R260H(n=51)、R260C(n=18)、R125Q(n=12)、C272fs*13(n=11)、R86W(n=10)、及びR113H(n=10)であった。R260C/Hは、最も頻度の高い反復ミスセンス変異であり、両方の置換が、健康な対称の生殖細胞系列において観察されている(gnomAD、例えば、gnomad.broadinstitute.orgを参照されたい)。
【0534】
体細胞生殖細胞系列接合性(SGZ)アルゴリズムを使用して、変異が、体細胞変異である可能性が高いか、又は生殖細胞系列変異である可能性が高いかを決定した。SGZアルゴリズムに基づき、コドンR260変異の29.0%(20/69)は、体細胞変異である可能性が高く、55.1%(38/69)は、生殖細胞系列変異である可能性が高く、このアルゴリズムは、試料の16.0%(11/69)において、バリアントが生殖細胞系列変異又は体細胞変異であるかどうかを予測することができなかった。加えて、全てのミスセンス変異(n=974)が試験された場合、51.0%(497/974)は、体細胞であると予測され、24.7%(241/974)は、生殖細胞系列であると予測され、アルゴリズムは、症例の24.2%(236/974)において、バリアントが生殖細胞系列であったか、又は体細胞であったかを予測することができなかった(表8)。
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【表9-4】
【表9-5】
【0535】
C272fs*13は、ポリ-Aホモポリマーにおけるインデルであり、MSI-H状態の設定においてきわめて易変性である配列関係である。この変異は、非MSI-H群(0.002%、6/309,492)と比較して、MSI-H群において有意に濃縮されており(0.01%、5/5139)(フィッシャーの正確確率検定、p<0.0001)、このことは、バリアントが、多くの場合、ミスマッチ修復タンパク質の欠損の結果であることを示唆している。この所見は、この試験において、非漿液性子宮内膜腺がんにおける高いCD274 SV変異頻度に反映されている。したがって、MSIは、非漿液性子宮内膜腺がんにおけるCD274変異の発生の機構である可能性が高かった。
【0536】
このコホートにおける変異のタイプも様々であり、ミスセンス変異が最も一般的であり(83.8%、906/1081)、挿入/欠失が最も一般的ではない(0.8%、9/1081)(表9)。複数の試料が、複雑なCD274変異を有しており、試料において観察される1つより多いCD274ゲノム変化として定義された。複雑なCD274変異の最も一般的なタイプは、2つのミスセンス変異を有する変化であり(1.9%、21/1081)、一方、他の複雑な変異は、同時のCD274増幅を有するCD274変異(1.4%、15/1081)、及び/又は再配列(0.3%、3/1081)であった。
【表10】
【0537】
CD274変異の発生率も、腫瘍タイプに応じて様々であった。CD274変異の割合が最も高い上位5個の腫瘍タイプ(最小限で800個の合計試料)は、降順に、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(1.9%、19/997)、皮膚扁平上皮がん(1.6%、14/868)、子宮体内膜腺がん(1.0%、36/3740)、原発巣不明の黒色腫(0.9%、33/3679)、及び皮膚黒色腫(0.8%、32/3874)であった(
図3及び表10を参照されたい)。
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【表11-4】
【表11-5】
【表11-6】
【0538】
興味深いことに、最も高い頻度のCD274変異を有する5つの腫瘍タイプのうちの3つは、通常、皮膚で発生する。これらの症例についての平均TMBを試験した場合、非常に高い平均TMB及び中央値のTMBが観察され(それぞれ皮膚扁平上皮がん[151mut/Mb、100mut/Mb]、皮膚黒色腫[133mut/Mb、126mut/Mb]、原発巣不明の黒色腫[125mut/Mb、92mut/Mb])、このことは、これらが紫外線曝露誘導性超変異によって引き起こされる可能性が高かったことを示唆している。このことは、これらの腫瘍タイプにおける紫外線変異シグネチャの高い発生率によって更に裏付けられた(皮膚扁平上皮がん[84.6%、11/13]、皮膚黒色腫[93.8%、30/32]、及び原発巣不明の黒色腫[100%、32/32])。これらのCD274変異が、高い変異率に起因する無作為な「パッセンジャー」変異であるかどうかは不明である。
【0539】
CD274変異と、PD-L1 IHC腫瘍細胞発現及び予測機能性モデルとの相関関係
CD274変異を有する1,081症例の中で、症例の19.7%(213/1,081)が、PD-L1 IHCデータを有していた。CD274変異を有していない313,550症例のうち、症例の18.6%(58,218/313,550)が、PD-L1 IHCデータを有していた。
【0540】
CD274非トランケーション変異の大部分は、PD-L1の低い腫瘍細胞発現から、PD-L1の腫瘍細胞発現が起こらなかった(
図4A及び表11を参照されたい)。
【表12-1】
【表12-2】
【表12-3】
【表12-4】
【表12-5】
【表12-6】
【表12-7】
【0541】
PD-L1 IHCで同時に試験された11症例のR260Hの中で、81.8%(9/11)は、PD-L1発現が起こらず、2症例(18.2%)は、低いPD-L1発現を有していた。5症例のE237Kの中で、80%(4/5)は、PL-L1発現を有していた(20%(1/5)は、PD-L1発現が起こらず、40%(2/5)は、低いPD-L1発現を有し、40%(2/5)は、高いPD-L1発現を有していた。
図4Bを参照されたい)。上述の2つの変異のタンパク質発現の差は、有意に異なっていた(フィッシャーの正確確率検定、p=0.036)。CD274ミスセンス変異を有する症例(n=153)及びCD274変異を有しない症例(n=58,218)のPD-L1タンパク質発現を試験したとき、CD274変異を有する症例において、より低いレベルのPD-L1 IHC発現が観察されたが、その差は、統計的に有意なものではなかった(平均:TPS=それぞれ11対13、ANOVA、p=0.404)。サブクローン(n=28)ミスセンス変異に対して、クローン(n=153)ミスセンス変異を試験したとき、クローンミスセンス変異において、有意に低いPD-L1 IHC発現が観察された(平均:TPS=それぞれ11対22、ANOVA、p=0.049)。
図4Cを参照されたい。
【0542】
同時PD-L1 IHC試験により、12個のナンセンス変異、10個のフレームシフトインデル、及び7個のカノニカルスプライスバリアントを含む、39個の推定トランケーションバリアントが特定された(
図5Aを参照されたい)。CD274クローントランケーションバリアント(ナンセンス又はフレームシフトインデル)を有する症例(n=18)、及びCD274変異を有しない症例(n=58218)のPD-L1タンパク質発現の比較は、CD274変異を有する症例において、より低いレベルのPD-L1発現を明らかにした(平均:TPS=それぞれ1対13、ANOVA、p=0.069)。加えて、サブクローントランケーションバリアントを有する試料と比較して、クローントランケーションバリアント(ナンセンス又はフレームシフトインデル)を有する試料において、有意に低いレベルのPD-L1発現が観察された(平均:TPS=1対TPS=38、ANOVA、p<0.001)。
図5Bを参照されたい。
【0543】
最後に、各CD274ミスセンス変異の予測機能性を、SIFT、MutationTaster、fathmm-MKL、及びMetaSVMを含む複数の機能性予測モデルを用いて分析した(表12)。しかしながら、予測機能性は、PD-L1 IHC発現と何ら有意な相関関係を有していなかった(
図6)。
【表13-1】
【表13-2】
【表13-3】
【表13-4】
【表13-5】
【表13-6】
【表13-7】
【表13-8】
【表13-9】
【表13-10】
【表13-11】
【表13-12】
【表13-13】
【0544】
考察
この実施例で記載した結果は、同時PD-L1タンパク質発現レベルを有する213個の試料を含め、CD274非増幅SV変異を有する1,081個の臨床的に進行した悪性腫瘍の大規模コホートの研究を提供する。腫瘍タイプにわたるCD274非増幅SV変異の全体的な発生率は低く(0.3%、1,081/314,631)、発見されたSV変異の大部分はミスセンス置換であり、更に稀なナンセンス及びインデル変化を有していた。最後に、CD274 SV変異の発生率は、MSI-高に関連する内膜がん及びUV光に露光した皮膚がんを有する患者において、より高かった。
【0545】
非トランケーションSV CD274変異の大部分は、PD-L1の低い腫瘍細胞発現から、発現が全く起こらない状態であったが、PD-L1の発現レベルは、様々なCD274 SV変異カテゴリー間で異なっていた。興味深いことに、PD-L1 IHCで同時に試験したR260Hの11症例の中で、大部分は、PD-L1発現をほとんど示さないか、全く示さず、このことは、R260H変異を有する患者が、PD-L1 IHCでのみ試験された場合、ICPIで治療されないことを示唆している。このことは、E237Kの5症例の場合に、大部分の症例が、ある程度のPD-L1発現を有していたことと対照的であり、このことは、E237Kが、PD-L1タンパク質発現に対してほとんど効果がないか、全く効果がないことを示唆している。大部分の他のバリアントは、変異の希少さに起因して、単一試料(同時PD-L1発現データを有するもの、又は有しないもの)でのみ観察された。
【0546】
クローントランケーション変異を有する試料は、CD274変異を有しない症例と比較した場合、また、サブクローントランケーション変異を有する試料と比較した場合、より低いレベルのPD-L1発現を有していた。これらのデータは、クローントランケーション事象がCD274において観察される場合、PD-L1発現が阻害されるが、サブクローントランケーションの設定では、試料レベルのPD-L1発現の臨床的評価は、多くの場合、影響を受けないことを示唆している。クローントランケーションバリアントは、本明細書に記載のPD-L1 IHC発現データによって例示されるように、腫瘍細胞上に存在するPD-L1タンパク質の欠如に起因して、ICPIの耐性バイオマーカーとして作用し得る。PD-L1/PD-1阻害剤が結合するリガンドが減少するか、又は存在しないと、ICPIの有効性は、低下する可能性が高いだろう。
【0547】
CD274ミスセンス変異は、ROS1について記載される耐性機構と同様に、PD-1受容体に対するPD-L1リガンドの結合における潜在的に立体的な妨害又は親和性を変化させる妨害に起因して、ICPIに対する耐性を媒介し得る(Huang et al.,JTO Clinical and Research Reports(2020)100100、Huang et al.,Int J Cancer(2021)148(7):1778-1788)。CD274変異を有しない症例と比較した場合に、CD274ミスセンス変異を有する症例において、わずかに低いレベルのPD-L1 IHC染色が観察された。加えて、サブクローンミスセンス変異と比較した場合に、クローンミスセンス変異において、有意に低いPD-L1 IHC染色が観察された。このことは、実際のPD-L1タンパク質発現がより低いことではなく、腫瘍細胞上のPD-L1リガンドに対するPD-L1抗体結合の速度がより低いこと(IHCアッセイから)に起因するだろう。ミスセンス変異の予測機能性状態とPD-L1 IHC発現との間に相関関係は観察されなかった。機能性予測アルゴリズムは、ミスセンス変異から機能性評価を得ることができる立体的妨害又は結合親和性妨害を正式に考慮しない。まとめると、本明細書に記載の結果は、CD274変異が、ICPIに対するがんの耐性について潜在的な機構であることを示唆している。
【0548】
結論として、この実施例は、ICPIの潜在的な耐性バイオマーカーとしてCD274変異を試験するために使用することができる大規模汎がんコホートにおけるCD274変異のランドスケープを記載する。更に、CD274変異とPD-L1タンパク質発現との間の相関関係に関する新規データが提示され、これらの変異の機能性についての重要なデータを提供する。
【配列表】
【国際調査報告】