(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】解剖学的構造モデルを再構成するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/46 20240101AFI20240514BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20240514BHJP
A61B 6/50 20240101ALI20240514BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20240514BHJP
A61B 8/14 20060101ALI20240514BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240514BHJP
G06T 7/13 20170101ALI20240514BHJP
G06T 7/187 20170101ALI20240514BHJP
【FI】
A61B6/46 536Q
A61B6/03 560J
A61B6/50 500B
A61B5/055 380
A61B8/14
G06T7/00 614
G06T7/13
G06T7/187
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570184
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 US2022072240
(87)【国際公開番号】W WO2022241425
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519460867
【氏名又は名称】オハイオ ステート イノベーション ファンデーション
(71)【出願人】
【識別番号】505477235
【氏名又は名称】ジョージア テック リサーチ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダシ、ラクシュミー プラサド
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ホアン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ボム ジュン
(72)【発明者】
【氏名】シバクマール、スリ クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】イェイツ、ブランダン アンドレ バトラー
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
4C601
5L096
【Fターム(参考)】
4C093AA13
4C093AA22
4C093AA26
4C093DA02
4C093FF16
4C093FF24
4C093FF35
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4C096AB27
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4C096DC21
4C096DC36
4C601DD15
4C601EE09
4C601JC06
5L096BA06
5L096GA59
5L096HA08
5L096JA16
(57)【要約】
心臓弁モデルは、心臓弁に関連付けられる少なくとも1つのランドマーク・ポイントに基づいて構成された心臓弁のジオメトリを表すパラメトリック弁尖モデルを含む。心臓弁モデルは、大動脈の形状を抽出するための自動大動脈基部再構成アルゴリズムに基づいて構成された、レイ・キャストされた解剖学的構造を含む。心臓弁はまた、追加の解剖学的構造を含み、パラメトリック弁尖モデル、レイ・キャストされた解剖学的構造、及び追加の解剖学的構造を組み合わせて、心臓弁モデルを取得する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓弁モデルであって、
心臓弁に関連付けられる少なくとも1つのランドマーク・ポイントに基づいて構成された前記心臓弁のジオメトリを表すパラメトリック弁尖モデルと、
大動脈の形状を抽出するための自動大動脈基部再構成アルゴリズムに基づいて構成された、レイ・キャストされた解剖学的構造と、
追加の解剖学的構造とを備え、前記パラメトリック弁尖モデル、前記レイ・キャストされた解剖学的構造、及び前記追加の解剖学的構造を組み合わせて、前記心臓弁モデルを取得する、心臓弁モデル。
【請求項2】
前記少なくとも1つのランドマーク・ポイントが、任意の識別可能な解剖学的特徴である、請求項1に記載の心臓弁モデル。
【請求項3】
前記少なくとも1つのランドマーク・ポイントが、CTスキャンに基づいて取得される、請求項1に記載の心臓弁モデル。
【請求項4】
前記少なくとも1つのランドマーク・ポイントが、MRIスキャンに基づく、請求項1に記載の心臓弁モデル。
【請求項5】
前記少なくとも1つのランドマーク・ポイントが、超音波スキャンに基づく、請求項1に記載の心臓弁モデル。
【請求項6】
前記少なくとも1つのランドマーク・ポイントが、患者固有である、請求項1に記載の心臓弁モデル。
【請求項7】
前記自動大動脈基部再構成アルゴリズムが、強度ベースでスライス単位のマルチポイント・レイ・キャスティング・エッジ検出アルゴリズムを含む、請求項1に記載の心臓弁モデル。
【請求項8】
前記自動大動脈基部再構成アルゴリズムが、すべての起点からの検出エッジを比較して、大動脈壁のエッジを捕捉する、請求項7に記載の心臓弁モデル。
【請求項9】
前記追加の解剖学的構造が、冠動脈及び石灰化堆積物のジオメトリを含む、請求項1に記載の心臓弁モデル。
【請求項10】
前記冠動脈及び前記石灰化堆積物の前記ジオメトリが、強度ベースの領域拡張アルゴリズムによってセグメント化される、請求項9に記載の心臓弁モデル。
【請求項11】
前記パラメトリック弁尖モデル、前記レイ・キャストされた解剖学的構造、及び前記追加の解剖学的構造を組み合わせて、計算モデル化に好適な幾何学的メッシュ・ファイルを取得する、請求項1に記載の心臓弁モデル。
【請求項12】
大動脈のマルチポイント・レイ・キャスティングを含む、心臓弁モデル。
【請求項13】
前記マルチポイント・レイ・キャスティングと、心臓弁のジオメトリを表すパラメトリック弁尖モデルとの組合せをさらに含む、請求項10に記載の心臓弁モデル。
【請求項14】
石灰化堆積物及び冠動脈のジオメトリをさらに含む、請求項10に記載の心臓弁モデル。
【請求項15】
前記石灰化堆積物及び前記冠動脈の前記ジオメトリが、強度ベースの領域拡張アルゴリズムによってセグメント化される、請求項14に記載の心臓弁モデル。
【請求項16】
解剖学的構造モデルであって、
第1の解剖学的構造に関連付けられる少なくとも1つのランドマーク・ポイントに基づいて構成された前記第1の解剖学的構造を表すパラメトリック弁尖モデルを含む、第1の解剖学的構造と、
第2の解剖学的構造のジオメトリを抽出するための自動解剖学的構造再構成アルゴリズムに基づいて構成された、レイ・キャストされた第2の解剖学的構造を含む、第2の解剖学的構造と、
第3の解剖学的構造とを備え、前記第1、第2、及び第3の解剖学的構造を組み合わせて、前記解剖学的構造モデルを生成する、解剖学的構造モデル。
【請求項17】
前記少なくとも1つのランドマーク・ポイントが、CTスキャン、MRIスキャン、又は超音波スキャンを使用して取得される、請求項14に記載の解剖学的構造モデル。
【請求項18】
前記少なくとも1つのランドマーク・ポイントが、患者固有である、請求項14に記載の解剖学的構造モデル。
【請求項19】
前記パラメトリック弁尖モデルが、少なくとも7つ以上のランドマーク・ポイントに基づく、請求項14に記載の解剖学的構造モデル。
【請求項20】
前記第3の解剖学的構造が、冠動脈又は石灰化堆積物を含む、請求項14に記載の解剖学的構造モデル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年5月11日に出願された米国仮特許出願第63/187,052号の優先権を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
近年、高侵襲の外科的大動脈弁置換術(SAVR:surgical aortic valve replacement)に対する代替アプローチとして、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR:transcatheter aortic valve replacement)が、より普及してきている。手術中にそのサイズ及び植え込みロケーションを厳密に決定することができるSAVRとは異なり、TAVRは、高度な医用イメージング技法の助けを借りて、弁のタイプ、サイズ、及び展開方略を決定するためのより徹底した術前評価に依拠している。準最適な弁展開は、弁内の圧較差の上昇、弁傍漏出、植え込み中の大動脈基部破裂、冠動脈閉塞等を含む、様々な悪影響と関連付けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの悪影響を最小限に抑えるために、TAVR前の評価は、患者の解剖学構造を正確に再構成することと、計算メッシュを生成することと、それを、有限要素解析(FEA:Finite Element Analysis)又は/及び数値流体力学(CFD:Computational Fluid Dynamics)シミュレーションに使用することとを伴い得る。患者固有のジオメトリに基づくこれらの最新アプローチは、TAVRの結果に対する高い予測能力を有するとともに、高リスク患者において重篤な有害事象が発生するのを防ぐことが証明されている。TAVRの技術が進化すると、徐々に低リスク患者に拡大されるようになってきている。治療の長期にわたる耐久性が主要な関心事であるため、包括的な術前評価が、このコホートに対してより重要となる。有害事象の割合は、耐久性と逆相関している。ただし、これらの評価の実行には、CT又はMRIデータから患者の解剖学構造を再構成することが必要となり、これは、単調且つ時間のかかる手作業(1件あたり3~6時間)である。それに続くイン・シリコ研究は、固体/流体力学及び数値方法においてさらに多くの専門知識を必要とし、それらが、典型的な臨床環境において定期的に行われることを阻む。
【課題を解決するための手段】
【0004】
数個の手動で選択されたランドマークを用いてパラメトリック心臓弁モデル(例えば、大動脈弁モデル又は僧帽弁モデル)を生成することと、(2)(例えば、臨床的なTAVR前の評価又は他の処置前計画評価のために)患者の大動脈及び大動脈弁尖のジオメトリを迅速且つ自動的に再構成することと、(3)(例えば、冠動脈閉塞、基部破裂のための評価や弁の血液動態の予測などのTAVR前のイン・シリコ研究のために)容易に使用可能な計算メッシュを出力することとを行うために使用可能な例示的なシステム及び方法が開示される。例示的なシステム及び方法は、患者のジオメトリの入力を必要とする患者固有の計算又は3Dプリント評価のために使用されてもよい。
【0005】
いくつかの態様では、例示的なシステム及び方法は、わずかな手動入力(1件あたり約5~10分)のみを用いて患者固有のジオメトリを再構成し、イン・シリコ研究のためにメッシュを生成するための自動的な方法を提供するように構成される。CTデータからのメッシュ生成を開始するために、ユーザは、大動脈弁に関連するいくつかのランドマーク・ポイントを選択する。パラメトリック弁尖モデルを使用して、弁ジオメトリを表し、次に、大動脈の形状を抽出することができる自動大動脈基部再構成アルゴリズムを使用する。その後、領域拡張アルゴリズムを使用して冠動脈及び石灰化堆積物が自動的に取得される。最後に、例示的なシステム及び方法は、すべてのメッシュの構成要素を組み合わせて計算的研究のためにメッシュを生成する。メッシュの精度及び品質を保証するために、視覚的検査や場合により手動クリーン・アップが実行される。
【0006】
一態様では、心臓弁モデルは、心臓弁に関連付けられる少なくとも1つのランドマーク・ポイントに基づいて構成された心臓弁のジオメトリを表すパラメトリック弁尖モデルを含む。心臓弁モデルは、大動脈の形状を抽出するための自動大動脈基部再構成アルゴリズムに基づいて構成された、レイ・キャストされた解剖学的構造を含む。心臓弁はまた、追加の解剖学的構造を含み、パラメトリック弁尖モデル、レイ・キャストされた解剖学的構造、及び追加の解剖学的構造を組み合わせて、心臓弁モデルを取得する。
【0007】
一態様では、心臓弁モデルは、大動脈のマルチポイント・レイ・キャスティングを含む。
【0008】
一態様では、解剖学的構造モデルは、第1の解剖学的構造を含み、第1の解剖学的構造は、第1の解剖学的構造に関連付けられる少なくとも1つのランドマーク・ポイントに基づいて構成された第1の解剖学的構造を表すパラメトリック弁尖モデルを含む。解剖学的構造モデルは、第2の解剖学的構造を含み、第2の解剖学的構造は、第2の解剖学的構造のジオメトリを抽出するための自動解剖学的構造再構成アルゴリズムに基づいて構成された、レイ・キャストされた第2の解剖学的構造を含む。解剖学的構造モデルはまた、第3の解剖学的構造を含む。第1、第2、及び第3の解剖学的構造を組み合わせて、解剖学的構造モデルを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】半自動の患者固有のメッシュ生成プロセスのフロー・チャートである。
【
図2A】13個のランドマーク・ポイントのロケーションを示す、自動セグメンテーション・プロセスの例図である。
【
図2B】ランドマークを有するパラメトリック弁尖モデルを示す、自動セグメンテーション・プロセスの例図である。
【
図2C】パラメトリック弁尖を有する大動脈基部を示す、自動セグメンテーション・プロセスの例図である。
【
図2D】冠動脈及び石灰化堆積物を示す、自動セグメンテーション・プロセスの例図である。
【
図2E】最終的なメッシュ出力を示す、自動セグメンテーション・プロセスの例図である。
【
図3A】2次多項式を使用してランドマークを接続するスケルトンを示す、パラメトリック弁尖生成プロセスの例図である。
【
図3B】弁尖表面を表すように適合された複数の2次多項式を示す、パラメトリック弁尖生成プロセスの例図である。
【
図3C】最終的な三角形メッシュを示す、パラメトリック弁尖生成プロセスの例図である。
【
図4A】3つの個々の弁尖のうちの1つを示す、パラメトリック弁尖のサンプルを示す図である。
【
図4B】3つの個々の弁尖のうちの1つを示す、パラメトリック弁尖のサンプルを示す図である。
【
図4C】3つの個々の弁尖のうちの1つを示す、パラメトリック弁尖のサンプルを示す図である。
【
図4D】完全な大動脈弁を示す、パラメトリック弁尖のサンプルを示す図である。
【
図4E】完全な大動脈弁を示す、パラメトリック弁尖のサンプルを示す図である。
【
図4F】完全な大動脈弁を示す、パラメトリック弁尖のサンプルを示す図である。
【
図5A】パラメトリック弁尖(明るいグレイ)と元の画像スライスとの間のサンプル比較を示す図である。
【
図5B】パラメトリック弁尖(明るいグレイ)と元の画像スライスとの間のサンプル比較を示す図である。
【
図5C】パラメトリック弁尖(明るいグレイ)と元の画像スライスとの間のサンプル比較を示す図である。
【
図6A】シングルポイント・レイ・キャスティング・アルゴリズムを使用して検出された大動脈壁を示す、大動脈再構成プロセスの例図である。
【
図6B】マルチポイント・レイ・キャスティング・アルゴリズムを使用して検出された大動脈壁を示す、大動脈再構成プロセスの例図である。エッジ検出精度は、
図6Aと比べて劇的に向上した。
【
図6C】大動脈壁検出結果のサンプルを示す、大動脈再構成プロセスの例図である。
【
図6D】最終的な大動脈モデル及びメッシュを示す、大動脈再構成プロセスの例図である。
【
図7A】自動セグメンテーションの結果(左:
図7A)と手動セグメンテーションの結果(右:
図7B)との間の比較を示す図である。
【
図7B】自動セグメンテーションの結果(左:
図7A)と手動セグメンテーションの結果(右:
図7B)との間の比較を示す図である。
【
図7C】自動セグメンテーションの結果(左:
図7C)と手動セグメンテーションの結果(右:
図7D)との間の比較を示す図である。
【
図7D】自動セグメンテーションの結果(左:
図7C)と手動セグメンテーションの結果(右:
図7D)との間の比較を示す図である。
【
図8】本明細書で説明される例示的な方法の出力を使用することができるソフトウェア・コンポーネントを実行可能なコンピュータ・システム200の例示的なコンピュータ・アーキテクチャを示す図である。
図8に示すコンピュータ・アーキテクチャは、例示のコンピュータ・システム構成を示しており、コンピュータ200は、解析システム又はそれと通信状態にある任意のコンポーネント上で実行するものとして説明される本明細書で提示されるコンポーネント及び/又はモジュールの任意の態様を実行するために利用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0010】
半自動のメッシュ生成プロセスのフロー・チャートを
図1に示す。アルゴリズムは、3つの主な機能、すなわち、(1)パラメトリック弁尖モデル、(2)大動脈基部/大動脈のジオメトリを正確に決定するための方法、及び(3)異なる構成要素を組み立てて、計算シミュレーションのための最終的なメッシュを出力するための方法から成る。
【0011】
図1では、スキャンされたデータ(例えば、CTデータ)からのメッシュ生成を開始するために、ユーザ(例えば、医師又は技師)が大動脈弁に関連するいくつかのランドマーク・ポイントを選ぶ。例示的なシステム及び方法は、パラメトリック弁尖モデルを採用して弁ジオメトリを表し、この弁ジオメトリは、次いで、大動脈の形状を抽出することができる自動大動脈基部再構成アルゴリズムによって処理される。次いで、例示的なシステム及び方法は、領域拡張アルゴリズムを使用して冠動脈及び石灰化堆積物を自動的に決定するように構成される。最後に、例示的なシステム及び方法は、すべてのメッシュの構成要素を組み合わせて計算的研究のためにメッシュを生成する。メッシュの精度及び品質を保証するために、視覚的検査及び表面の手動クリーン・アップが実行される。
【0012】
特に弁尖上に石灰化堆積物がほとんどないとき、CTスキャンにおいて大動脈弁の境界を特定するのは困難であるため、手動セグメンテーションの際の一般的な方法は、拡張期における心室側の血液量をセグメント化することによって開始する。続いて、弁尖は、血液プールの境界を押し出すことによって生成される。例示的な自動セグメンテーション・プロセス(
図2A~
図2E)では、本方法は、大動脈弁が閉じているときの拡張期の3D心臓CTスキャンにおいてランドマーク・ポイントを(例えば、ユーザが)選択することによって開始し、アルゴリズムがそれを引き継いで、最終的なメッシュを出力する。
【0013】
図2A~
図2Eは、
図1の方法で採用された例示の自動セグメンテーション・プロセスの詳細な例図を示す。
【0014】
図2Aに示すように、パラメトリック弁尖モデルのために、合計13個の異なるランドマークが選定される。これらのポイントは、P
0が、3つの弁尖の中心接合ポイントであり、P
1~3及びP
4~6が、6つの交連ポイントである。これらのポイントの2つのセットは、交連における弁尖間の有限な接合高さを解像することを目的としている。例えば、P
1及びP
4は、この有限な交連接合線の下端及び上端にある(
図2B)。P
1~9は、弁尖上の3つの表面ポイントであり、P
10~12は、3つの弁尖ヒンジである。ランドマークは、臨床医によって精選され得るか、又は人工知能(A.I.:artificial intelligence)及び/若しくは機械学習アプローチによって取得され得る。ランドマークの数及びロケーションは、記載されているものに限定されない。
【0015】
図2Bは、パラメトリック大動脈弁モデルにおけるランドマーク・ポイントの分布を示す。これらのランドマーク及びパラメトリック弁尖モデルのガイドとともに、後述するマルチポイント・レイ・キャスティング法を使用して、スライス単位の方法で大動脈基部ジオメトリが構成される。
【0016】
図2Cは、パラメトリック弁尖が取り付けられた、再構成された大動脈基部ジオメトリを示す。多くの他のパラメトリック・モデルとは異なり、本発明における出力メッシュ品質を保証するために、弁尖が大動脈基部にスティッチングされて、水密接続を形成する。強度ベースの領域拡張法によって冠動脈を自動でセグメント化するために、冠動脈口にランドマークが2つ余分に必要となる。同様に、大動脈基部領域内の石灰化物は、同じ強度ベースのセグメンテーション法によって取得される。
【0017】
図2Dは、冠動脈及び石灰化物のジオメトリを示す。最後のステップは、メッシュを組み立てて、FEA/CFDシミュレーションで使用される計算メッシュを構成するためのものである。パラメトリック弁尖及び大動脈基部がすべて表面メッシュであるため、特定の厚さの値が、生理学的データに基づいてそれらに割り当てられる。3つの弁尖は、数値シミュレーション時にそれらが確実に開くように、弁尖厚さに相当する有限な距離だけ離れている。最終的なメッシュを
図2Eに示す。
【0018】
パラメトリック弁尖モデル
パラメトリック弁尖モデルは、選択されたランドマークに基づいて(例えば、上述した実例における13個のランドマーク・ポイントに基づいて)構成されてもよい。個々の弁尖表面上には、7つのポイントがあってもよい(1つの中心ポイント、4つの交連ポイント、表面上の1つのポイント、及び1つのヒンジ・ポイント)。
図3A~
図3Cは、
図1の方法の例示のパラメトリック弁尖生成プロセスを示す。
【0019】
まず、弁尖スケルトンが、いくつかの態様では、これらのポイントを接続する2次多項式を使用して、生成される(
図3A)。次いで、複数の2次多項式が、スケルトンに適合されて、表面を作成する(
図3B)。最後に、三角形メッシュを使用して、弁尖を表す(
図3C)。弁尖モデルのサンプルを
図4A~
図4Fに示す。弁尖表面を生成する方法は、ここで説明する多項式適合法に限定されない。ここで説明する手順に対してほとんど又は全く改変することなく、非一様有理Bスプライン(NURBS:non-uniform Rational B-spline)表面による適合などの他の表面適合法を使用することができる。
【0020】
図4A~
図4Fは、
図1の方法で生成され得る、例示のパラメトリック弁尖モデルを示す。
図4A~
図4Cは、3つの個々の弁尖メッシュを示し、対応する大動脈弁モデルを、
図4D~
図4Eに示す。
図4A~
図4Cに実証されるように、パラメトリック弁尖モデルは、複雑な表面ジオメトリを取り扱い、個々の弁尖の不規則な形状を捕捉することができる。
【0021】
再構成された弁尖を3DのCT画像と比較すると(
図5A~
図5C)、パラメトリック・モデル(明るいグレイ)が、元の弁尖ジオメトリを非常にうまく捕捉することが分かる。元のジオメトリからのある程度の逸脱は不可避であるが、将来の改善されたアルゴリズムは、弁尖メッシュを局所的に変形させて、元のジオメトリをよりうまく一致させることができるようになるであろう。
【0022】
大動脈基部/大動脈抽出アルゴリズム
大動脈基部/大動脈ジオメトリの抽出は、強度ベースでスライス単位のマルチポイント・レイ・キャスティング・エッジ検出アルゴリズムに基づき得る(
図6A~
図6D)。
図6A~
図6Dは、
図1の方法の例示の大動脈再構成プロセスを示す。
【0023】
パラメトリック弁尖モデルを構成した後、大動脈弁輪は、3つの弁尖ヒンジ・ポイントによって容易に画定され得る。大動脈弁輪に平行なスライスが、元の3DのCTデータから抽出される。血液領域内のあるポイントから開始して、全方向にレイをキャストすると、レイに沿って強度変動を抽出することができる。強度値の高いところ(血液)から低いところ(組織)への急激なジャンプは、大動脈壁を示す(
図6A)。このスライスにおける大動脈基部のコンターは、検出されたすべてのエッジ・ポイントを接続することによって生成される。しかし、このエッジ検出プロセス中、ノイズ又は低画質に起因して、誤りが生じることがある(
図6A)。この問題に対処するために、一連の起点からレイをキャストする改変法を導入する。異なる起点からのほとんどのレイは、実際の大動脈壁上の特定のポイントで収束するはずであるため、あるレイからの検出誤りが存在する場合、他の起点からのレイが同じ誤りを繰り返す可能性は低い。したがって、すべての起点からの検出エッジを比較することによって、平均ロケーションから離れすぎている場合に不明瞭なポイントをフィルタ除去することができる。残りのポイントの平均値が、大動脈壁を正確に決定するはずである(
図6B)。異なるレイによって検出されたポイントが、特定のロケーションにおいて散乱しすぎている場合、このポイントは破棄される。
図6A及び
図6Bは、マルチポイント・アプローチが、大動脈壁を正確に捕捉できることを明確に示している。最後に、3次スプラインが、すべての検出されたポイントに適合される。
図3Cに示すサンプルのスライスにおいて、このアルゴリズムは、左心室流出グラフトから上行大動脈にかけて大動脈壁を正確に捕捉するその能力を実証している。レイの起点は、すべてのスライスで異なることに留意されたい(
図3C)。エッジ検出の精度を改善するために、近隣スライスの境界から導出された5点の中核部及び4つの衛星ポイントが使用される。すべてのスライスからのコンターが、大動脈の壁を表すように、互いの上に積み重ねられる(
図6D)。大動脈ジオメトリは、組み立てプロセスにおいて同じ経度に沿ったポイントに対して6次多項式を適合させることによって平滑化される。適合法は、多項式に限定されない。Bスプライン適合などの他の方法も使用され得る。三角形メッシュが、このジオメトリを構成するために使用される(
図6D)。四角形又は五角形メッシュなどの他の表面メッシュのタイプも使用され得る。
【0024】
冠動脈及び石灰化堆積物のセグメンテーション
冠動脈及び石灰化堆積物ジオメトリはともに、強度ベースの領域拡張アルゴリズムによってセグメント化される。領域拡張アルゴリズムを開始するポイントとして、2つの冠動脈口の座標を指定する必要がある(人による入力)。石灰化物の場合、提案されるように、850ハウンスフィールド単位(HU:Hounsfield Unit)のグローバル閾値が適用され、続いて、20ボクセル未満、又は大動脈の外側に位置する石灰化の塊を破棄するクリーニング・プロセスを行う。
【0025】
最終的なメッシュ・アセンブリ
最終的なメッシュ組み立てプロセスは、強度空間におけるブール演算に基づく。まず、大動脈及び弁尖の表面メッシュが、生理学的値に基づいて厚くされ、ボクセル化される。その後、ブール演算を使用して、冠動脈及び石灰化堆積物が領域に追加される。弁尖の融合を防ぐために、弁尖の厚さと同じ幅のスリットがそれらの間に配置される。最後に、マーチング・キューブ・アルゴリズムが、ボクセル・データをSTLメッシュに変換する。組み立てられたメッシュは、視覚的に検査され、メッシュに問題があれば修正される。
【0026】
手動セグメンテーションの結果との比較
本方法の精度を保証するために、手動セグメンテーションの結果との比較を実行した(
図7A~
図7D)。
図7A~
図7Dは、自動セグメンテーション操作の例示の出力と
図1の方法の手動セグメンテーション操作の例示の出力との間の比較を示す。
【0027】
大動脈では、自動生成されたジオメトリ(
図7A)は、手動セグメンテーション・プロセスからのもの(
図7B)と極めて類似していた。ただし、手動結果は、平滑さの度合いが低いことに起因してより多くのきめ細かい詳細部を有していた。モデル間の正視図(
図7C及び
図7D)では、これらは、同様の大動脈弁尖ジオメトリ及び石灰化分布を示した。ただし、今回のパラメトリック弁尖モデルは、弁尖間の湾曲した接合線を解像することができない。なぜなら、この線に対して3つのランドマーク・ポイントしか使用されていないからである。接合線に沿って追加のランドマーク・ポイントが追加されるか、又は局所変形アルゴリズムが適用される場合、弁尖のエッジは、より正確に捕捉されるであろう。
【0028】
大動脈弁及びTAVRに関連して、例示的なシステム及び方法について説明してきたが、この例示的なシステム及び方法は、僧帽弁に対して、また、他の構造的心臓処置前計画において容易に適用可能である。
【0029】
例示的なシステム及び方法は、TAVR及び他の構造的心臓術前評価のために日常の臨床診療に入れられてもよい。例示的なシステム及び方法は、ユーザが、わずかなユーザ入力(すなわち、ユーザに選択されたランドマーク)を用いて患者固有のジオメトリを構成するために、Materialise Mimicsなどのソフトウェアに組み込まれてもよい。
【0030】
考察
医用画像において弁尖がほとんど視認できない場合に、時間のかかるセグメンテーション・プロセスの問題に対処するために、パラメトリック心臓弁モデルがセグメンテーションに使用されている。Ionasec, R.らは、パラメトリック大動脈及び弁尖モデルを使用して、4D心臓CT及びTEEから大動脈弁及び僧帽弁の両方を再構成した。学習ベースのアルゴリズムを4D画像に適用して、心臓サイクル全体を通してランドマークを特定及び追跡した。Pouch A.M.らは、内側表現法(medial representation method)を実施して、3Dエコー画像から僧帽弁をモデル化した。彼らは、心臓サイクル中の僧帽弁の厚さ及びその変形を捕捉することに成功した。本方法は、3Dエコー・データから大動脈弁の解剖学構造を再構成するために適用されている(Pouch 2015)。ただし、大動脈弁尖は、エコー画像においてはるかに高いコントラストを有するため、著者らは、本方法がCTデータにも適用可能であるかについて言及しなかった。Lalys, F.らは、中心線検出アプローチを使用して大動脈を再構成した後、レジストレーションアルゴリズムを用いて、大動脈弁に関連付けられるランドマークを検出した。その後、それらのランドマークを使用して、TAVRの結果を予測した。Hosny, A.らは、本明細書で説明したものと同様のアプローチを使用して、3Dプリントのためにパラメトリック弁尖モデルを生成した。手動でセグメント化された大動脈及び石灰化物を一緒にプリントした後、弁のサイジング及びTAVR前の評価を目的としてモデルを構築した。しかし、3Dプリントは、一般に、より低いメッシュ品質要件を有するため、それらのメッシュは、計算シミュレーションで直接使用できなかった。上で言及した研究とは異なり、例示的なシステム及び方法は、わずかな手動入力だけで3DのCTデータから計算メッシュを直接生成することができる。
【0031】
上述した論理演算は、(1)コンピューティング・システム上で実行されるコンピュータ実施動作若しくはプログラム・モジュールのシーケンスとして、且つ/又は(2)コンピューティング・システム内の相互接続された機械論理回路若しくは回路モジュールとして実施され得ることを諒解されたい。この実施は、コンピューティング・システムの性能及び他の要件に依存する選定の問題である。したがって、本明細書で説明される論理演算は、状態演算、動作、又はモジュールとして様々に呼ばれる。これらの演算、動作及び/又はモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、専用デジタル論理、ハードウェア、及びこれらの任意の組合せにおいて実施され得る。また、図面で示され、本明細書で説明されるよりも多い又は少ない演算が実行され得ることを諒解されたい。これらの演算はまた、本明細書で説明されるのとは異なる順序で実行され得る。
【0032】
図8は、本明細書で説明される例示的な方法の出力を使用することができるソフトウェア・コンポーネントを実行可能なコンピュータ・システム200の例示のコンピュータ・アーキテクチャを示す。
図8に示すコンピュータ・アーキテクチャは、例示のコンピュータ・システム構成を示し、コンピュータ200は、それと通信状態にある解析システム又は任意のコンポーネント上で実行するものして説明される、本明細書で提示されるコンポーネント及び/又はモジュールの任意の態様を実行するために利用され得る。
【0033】
一態様では、コンピューティング・デバイス200は、タスクを実行するために協働する、互いに通信状態にある2つ以上のコンピュータを備えてもよい。例えば、限定はしないが、アプリケーションが、そのアプリケーションの命令の同時及び/又は並列処理を許容するような方法で分割されてもよい。代替として、アプリケーションによって処理されるデータが、2つ以上のコンピュータによって設定されたデータの異なる部分の同時及び/又は並列処理を許容するような方法で分割されてもよい。一態様では、コンピューティング・デバイス200におけるコンピュータの数に直接縛られない、多数のサーバの機能性を提供するように、コンピューティング・デバイス200によって仮想化ソフトウェアが採用されてもよい。例えば、仮想化ソフトウェアは、4つの物理的コンピュータ上で20個の仮想サーバを提供してもよい。一態様では、上で開示された機能性は、クラウド・コンピューティング環境における1つのアプリケーション及び/又は複数のアプリケーションを実行することによって提供されてもよい。クラウド・コンピューティングは、動的にスケーリング可能なコンピューティング・リソースを使用してネットワーク接続部を介してコンピューティング・サービスを提供することを含んでもよい。クラウド・コンピューティングは、仮想化ソフトウェアによって少なくとも部分的にサポートされてもよい。クラウド・コンピューティング環境は、企業によって確立されてもよく、且つ/又はサードパーティ・プロバイダから必要に応じて賃借してもよい。一部のクラウド・コンピューティング環境は、企業によって所有及び運営されるクラウド・コンピューティング・リソース、並びにサードパーティ・プロバイダから賃借及び/又はリースしたクラウド・コンピューティング・リソースを含む場合がある。
【0034】
その最も基本的な構成において、コンピューティング・デバイス200は、典型的には、少なくとも1つの処理ユニット220及びシステム・メモリ230を含む。コンピューティング・デバイスの厳密な構成及びタイプに応じて、システム・メモリ230は、揮発性(ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random-access memory)など)、不揮発性(読み出し専用メモリ(ROM:read-only memory)、フラッシュ・メモリ等)、又はこれら2つの何らかの組合せであってもよい。
【0035】
この最も基本的な構成は、
図8に破線210で示されている。処理ユニット220は、コンピューティング・デバイス200の動作に必要な算術及び論理演算を実行する標準的なプログラム可能なプロセッサであってもよい。1つの処理ユニット220が示されているが、複数のプロセッサが存在する場合もある。本明細書で使用される場合、処理ユニット及びプロセッサは、例えば、限定しないが、マイクロプロセッサ(MCU:microprocessor)、マイクロコントローラ、グラフィック処理ユニット(GPU:graphical processing unit)、及び特定用途向け回路(ASIC:application specific circuit)を含む、入力に対して機能を実行して、出力を作成するための符号化された命令を実行する物理的なハードウェア・デバイスを指す。したがって、命令は、1つのプロセッサによって実行されるものとして説明されることがあるが、命令は、同時に、逐次的に、又は別法で1つ又は複数のプロセッサによって実行されてもよい。コンピューティング・デバイス200はまた、コンピューティング・デバイス200の様々なコンポーネントの間で情報を通信するためのバス又は他の通信機構を含んでもよい。
【0036】
コンピューティング・デバイス200は、追加の特徴/機能性を有してもよい。例えば、コンピューティング・デバイス200は、限定はしないが、磁気又は光ディスク又はテープを含む、リムーバル・ストレージ240及びノンリムーバブル・ストレージ250などの追加のストレージを含んでもよい。コンピューティング・デバイス200はまた、例えば本明細書で説明される通信経路を介して、デバイスが他のデバイスと通信することを可能にするネットワーク接続部280を含んでもよい。ネットワーク接続部280は、モデム、モデム・バンク、イーサネット(登録商標)・カード、ユニバーサル・シリアル・バス(USB:universal serial bus)インタフェース・カード、シリアル・インタフェース、トークン・リング・カード、光ファイバ分散データ・インタフェース(FDDI:fiber distributed data interface)カード、ワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN:wireless local area network)カード、符号分割多元接続(CDMA:code division multiple access)、汎欧州デジタル移動体通信システム(GSM:global system for mobile communications)、ロングターム・エボリューション(LTE:long-term evolution)、ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(WiMAX:worldwide interoperability for microwave access)及び/又は他のエア・インタフェース・プロトコルの無線トランシーバ・カードなどの無線トランシーバ・カード、並びに他のよく知られているネットワーク・デバイスの形態を取り得る。コンピューティング・デバイス200は、キーボード、キーパッド、スイッチ、ダイアル、マウス、トラック・ボール、タッチ・スクリーン、音声認識装置、カード・リーダ、ペーパー・テープ・リーダ、又は他のよく知られている入力デバイスなどの入力デバイス270を有してもよい。また、プリンタ、ビデオ・モニタ、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、タッチ・スクリーン・ディスプレイ、ディスプレイ、スピーカ等の出力デバイス260が含まれてもよい。コンピューティング・デバイス200のコンポーネント間のデータの通信を容易にするために、追加のデバイスをバスに接続してもよい。これらのデバイスのすべてが、当技術分野でよく知られており、ここで詳しく説明する必要はない。
【0037】
処理ユニット220は、有形のコンピュータ可読媒体において符号化されたプログラム・コードを実行するように構成されてもよい。有形のコンピュータ可読媒体は、コンピューティング・デバイス200(すなわち、機械)を特定の方法で動作させるデータを提供することが可能な任意の媒体を指す。様々なコンピュータ可読媒体を利用して、処理ユニット220に実行のための命令を提供してもよい。例示の有形のコンピュータ可読媒体は、限定しないが、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラム・モジュール又は他のデータなどの情報の記憶のために任意の方法又は技術において実装される揮発性媒体、不揮発性媒体、リムーバブル媒体及びノンリムーバブル媒体を含んでもよい。システム・メモリ230、リムーバブル・ストレージ240、及びノンリムーバブル・ストレージ250は、すべて有形のコンピュータ記憶媒体の実例である。例示の有形のコンピュータ可読記録媒体は、限定はしないが、集積回路(例えば、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、又は特定用途向けIC)、ハード・ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)・ディスク、磁気テープ、ホログラフィック記憶媒体、ソリッドステート・デバイス、RAM、ROM、電気的に消去可能なプログラム読み出し専用メモリ(EEPROM:electrically erasable program read-only memory)、フラッシュ・メモリ又は他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disk)又は他の光ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク・ストレージ又は他の磁気記憶デバイスを含む。
【0038】
上記に鑑みて、本明細書で提示されるソフトウェア・コンポーネントを記憶及び実行するために、コンピュータ・アーキテクチャ200において、多くのタイプの物理的変換が行われることを諒解されたい。また、コンピュータ・アーキテクチャ200は、ハンドヘルド・コンピュータ、組み込み型コンピュータ・システム、携帯情報端末、及び当業者に知られている他のタイプのコンピューティング・デバイスを含む、他のタイプのコンピューティング・デバイスも含み得ることを諒解されたい。また、コンピュータ・アーキテクチャ200は、
図8に示すコンポーネントのすべてを含まなくてもよく、
図8に明示的に示していない他のコンポーネントを含んでもよいし、
図8に示すものとは異なるアーキテクチャを利用してもよいことが企図される。
【0039】
例示の実施態様では、処理ユニット220は、システム・メモリ230に記憶されたプログラム・コードを実行してもよい。例えば、バスは、システム・メモリ230にデータを搬送してもよく、このシステム・メモリ230から、処理ユニット220は、命令を受信し、それを実行する。システム・メモリ230によって受信されるデータは、任意選択で、処理ユニット220の実行の前又は後に、リムーバブル・ストレージ240又はノンリムーバブル・ストレージ250上に記憶されてもよい。
【0040】
本明細書で説明される様々な技法は、ハードウェア若しくはソフトウェア、又は適切な場合にはそれらの組合せとの関連で実施され得ることを理解されたい。したがって、現在開示されている主題の方法及び装置、又はそれらの特定の態様若しくは部分は、フロッピー(登録商標)・ディスケット、CD-ROM、ハード・ドライブ、又は任意の他の機械可読記憶媒体などの有形媒体において具現化されたプログラム・コード(すなわち、命令)の形態を取ってもよく、プログラム・コードが、コンピューティング・デバイスなどの機械にロードされ、それによって実行されると、機械は、現在開示されている主題を実践するための装置となる。プログラム可能なコンピュータ上のプログラム・コードの実行の場合、コンピューティング・デバイスは、一般に、プロセッサと、プロセッサによって読み出し可能な記憶媒体(揮発性及び不揮発性のメモリ及び/又は記憶素子を含む)と、少なくとも1つの入力デバイスと、少なくとも1つの出力デバイスとを含む。1つ又は複数のプログラムは、例えば、アプリケーション・プログラミング・インタフェース(API:application programming interface)、再利用可能なコントロール等を通して、現在開示されている主題に関連して説明されたプロセスを実施又は利用してもよい。そのようなプログラムは、コンピュータ・システムと通信するために、高レベルの手続き型又はオブジェクト指向プログラミング言語において実装されてもよい。ただし、プログラムは、所望の場合、アセンブリ言語又は機械語において実装され得る。いずれの場合も、言語は、コンパイル型又はインタプリタ型言語であってもよく、ハードウェア実装と組み合わされてもよい。
【0041】
さらに、種々のコンポーネントは、無線及び/若しくは有線、又は他の望ましい利用可能な通信手段、システム、及びハードウェアを介して通信状態にあってもよい。さらに、種々のコンポーネント及びモジュールは、同様の機能を提供する他のモジュール又はコンポーネントによって置き換えられてもよい。
【0042】
コンピュータ・アーキテクチャ200は、本開示で開示されたモデル化、シミュレーション及び方法の機能を可能にするために必要なソフトウェア及び/又はハードウェア・コンポーネント及びモジュールを含む。いくつかの態様では、コンピュータ・アーキテクチャ200は、(例えば、システム・メモリ230、リムーバブル・ストレージ240、ノンリムーバブル・ストレージ250、及び/又はクラウド・データベースに記憶される)人工知能(A.I.:artificial intelligence)モジュール若しくはアルゴリズム及び/又は機械学習(M.L.:machine learning)モジュール若しくはアルゴリズムを含んでもよい。A.I.及び/又はM.L.モジュール/アルゴリズムは、本開示で開示されるモデル、シミュレーション、及び/又は方法の予測力を高め得る。例えば、患者情報及び計算モデルへの任意の関連する入力データを含む、深層学習、A.I.及び/又はM.L.のモデル・トレーニングを使用することによって、計算モデルの予測力が大幅に向上し得る。A.I.及び/又はM.I.モジュール/アルゴリズムはまた、データベースが大きくなるにつれて、予測の感度及び特異性を改善するのに役立つ。いくつかの態様では、コンピュータ・アーキテクチャ200は、出力デバイス260及び/又は入力デバイス270の一部として、仮想現実(VR:virtual reality)、拡張現実(AR:augmented reality)、及び/又は複合現実ディスプレイ、ヘッドセット、グラス、又は任意の他の好適なディスプレイ・デバイスを含んでもよい。いくつかの態様では、ディスプレイ・デバイスは、ユーザが、ARあり若しくはなし、VRあり若しくはなし、又は臨床医が対話を行い、意思決定をするのに役立つリアルタイムの臨床イメージングとの融合を含む選択肢から選択することを可能にするように対話式であってもよい。
【0043】
本開示の例示の態様は、本明細書でいくつかの事例において詳細に説明されるが、他の態様も企図されることを理解されたい。したがって、本開示は、以下の詳細な説明に記載されるか又は図面において例示される構成要素の構成及び配置の詳細にその範囲が限定されることは意図されていない。本開示は、他の態様も可能であり、様々な方法で実践又は実行され得る。
【0044】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈上明らかに別段の指示がない限り、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という単数形は、複数の指示対象を含む。範囲は、「約」若しくは「およそ」1つの特定の値から、且つ/又は「約」若しくは「およそ」別の特定の値までのように本明細書で表され得る。そのような範囲が表されるとき、他の例示的な態様は、その1つの特定の値から、且つ/又はその別の特定の値までを含む。
【0045】
「備える(comprising)」、「含む(containing)」又は「含む(including)」とは、名前を挙げられた化合物、元素、粒子、又は方法ステップが、組成物、物品、又は方法内に存在するが、他の化合物、材料、粒子、方法ステップが名前を挙げられたものと同じ機能を有する場合であっても、他のそのような化合物、材料、粒子、方法ステップの存在を排除しないことを意味する。
【0046】
例示の態様を説明する際、技術用語は、明確にするために使用される。各用語は、当業者によって理解される最も広い意味を企図しており、同様の目的を達成するために同様の方法で動作するすべての技術的均等物を含むことが意図される。また、方法の1つ又は複数のステップの言及は、明示的に特定されるこれらのステップの間の追加の方法ステップ又は介在的方法ステップの存在を排除しないことを理解されたい。方法のステップは、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明されるのとは異なる順序で実行されてもよい。同様に、デバイス又はシステムにおける1つ又は複数のコンポーネントの言及は、明示的に特定されるこれらのコンポーネントの間の追加のコンポーネント又は介在的コンポーネントの存在を排除しないことも理解されたい。本明細書で使用される場合、「対象」は、任意の適用可能なヒト、動物、又は他の有機体、生きているもの又は死んでいるもの、或いは他の生物学的若しくは分子的構造又は化学的環境であってもよく、対象の特定の構成要素、例えば、対象の特定の組織又は流体(例えば、生きている対象の身体の特定のエリアにおける人体組織)に関連していてもよく、これは、本明細書において、「関心のあるエリア」又は「関心のある領域」と呼ばれる対象の特定のロケーションであり得る。
【0047】
本明細書で説明される場合、対象は、ヒト又は任意の動物であってもよいことを諒解されたい。動物は、限定しないが、哺乳動物、獣医用動物、家畜動物又はペット・タイプの動物等を含む、多種多様な任意の適用可能なタイプであり得ることを諒解されたい。実例として、動物は、ヒトと同様の特定の特徴を持つように具体的に選択された実験室用動物(例えば、ラット、犬、豚、サル)等であってもよい。例えば、対象は、任意の適用可能なヒト患者であってもよいことを諒解されたい。
【0048】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、およそ、ほぼ、大まかに、又は前後を意味する。「約」という用語が、数値範囲と併せて使用されるとき、記載される数値の上下に境界を拡張することによって範囲を修飾する。一般に、「約」という用語は、本明細書では、10%のばらつきで述べられた値の上下の数値を修飾するために使用される。一態様では、「約」という用語は、それが使用される数の数値のプラス又はマイナス10%を意味する。したがって、約50%とは、45%~55%の範囲内を意味する。端点によって本明細書に記載される数値範囲は、その範囲内に包含されるすべての数及び小数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.90、4、4.24、及び5を含む)。
【0049】
同様に、端点によって本明細書に記載される数値範囲は、その範囲内に包含される部分範囲を含む(例えば、1~5は、1~1.5、1.5~2、2~2.75、2.75~3、3~3.90、3.90~4、4~4.24、4.24~5、2~5、3~5、1~4、及び2~4を含む)。また、そのすべての数及び小数は用語「約」による修飾が想定されることを理解されたい。
【0050】
例示的なシステム及び方法は、患者固有のモデルを構築するのに必要な手動労力を数時間からわずか数分のみにまで大幅に短縮することができる。本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく本開示において様々な修正及び変形を行うことができることが当業者には明らかとなろう。本開示の他の態様は、明細書の検討及び本明細書で開示される方法の実践から当業者に明らかとなろう。本明細書及び実例は、例示のみとして見なされることを意図しており、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【国際調査報告】