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特表2024-519797表面粗さが向上した香料シート、これを含む喫煙物品およびこれらの製造方法
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  • 特表-表面粗さが向上した香料シート、これを含む喫煙物品およびこれらの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】表面粗さが向上した香料シート、これを含む喫煙物品およびこれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/16 20200101AFI20240514BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20240514BHJP
   A24D 1/02 20060101ALI20240514BHJP
   A24B 3/14 20060101ALI20240514BHJP
   A24B 15/40 20060101ALI20240514BHJP
   A24B 15/14 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A24B15/16
A24D1/20
A24D1/02
A24B3/14
A24B15/40
A24B15/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570462
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 KR2022014065
(87)【国際公開番号】W WO2023054968
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0130789
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ゲオン チャン
(72)【発明者】
【氏名】キム、イック ジョーン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、キュン ビン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオウン、エウン ミ
(72)【発明者】
【氏名】フワン、ミン ヒー
【テーマコード(参考)】
4B043
4B045
【Fターム(参考)】
4B043BC02
4B043BC18
4B043BC19
4B045AA41
4B045AB07
4B045AB08
4B045AB11
(57)【要約】
表面粗さが向上した香料シート、これを含む喫煙物品およびこれらの製造方法が提供される。本開示の幾つかの実施形態による香料シートの製造方法は、ハイドロコロイド物質、溶媒、粉末状物質および香料を配合して、シート組成物を製造する段階と、製造したシート組成物を乾燥する段階と、を含んでもよい。粉末状物質は、香料シートの表面粗さを向上させることによって、究極的に、刻み状タバコ物質との配合性を増進させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドロコロイド物質、溶媒、粉末状物質および香料を配合してシート組成物を製造する段階と、
前記製造したシート組成物を乾燥する段階と、を含む、香料シートの製造方法。
【請求項2】
前記ハイドロコロイド物質は、改質されたセルロース物質を含む、請求項1に記載の香料シートの製造方法。
【請求項3】
前記改質されたセルロース物質は、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびエチルセルロースの中から選ばれた少なくとも1つの物質を含む、請求項2に記載の香料シートの製造方法。
【請求項4】
前記製造したシート組成物を乾燥する段階は、
前記製造したシート組成物を塗布する段階と、
前記塗布したシート組成物に粉末状物質を添加し、乾燥する段階と、を含む、請求項1に記載の香料シートの製造方法。
【請求項5】
前記粉末状物質は、前記溶媒に対して難溶性または不溶性の性質を有する物質である、請求項1に記載の香料シートの製造方法。
【請求項6】
前記溶媒は、蒸留水であり、
前記粉末状物質は、25℃で前記蒸留水への溶解度が100mg/L以下の物質である、請求項1に記載の香料シートの製造方法。
【請求項7】
前記粉末状物質は、バルキング剤である、請求項1に記載の香料シートの製造方法。
【請求項8】
前記粉末状物質は、ベータシクロデキストリン(β-cyclodextrin)を含む、請求項7に記載の香料シートの製造方法。
【請求項9】
前記粉末状物質は、乳化剤である、請求項1に記載の香料シートの製造方法。
【請求項10】
前記乳化剤は、スクロースエステル(sucrose ester)を含む、請求項9に記載の香料シートの製造方法。
【請求項11】
前記シート組成物は、LMペクチン(low methoxyl pectin)をさらに含み、
前記LMペクチンは、カルボキシ基を50%未満で含み、放冷時にゲル化しない特性を有する物質である、請求項1に記載の香料シートの製造方法。
【請求項12】
前記シート組成物は、可塑剤をさらに含み、
前記可塑剤は、グリセリンおよびプロピレングリコールのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の香料シートの製造方法。
【請求項13】
請求項1から12の何れか1つに記載の方法によって製造された香料シート。
【請求項14】
請求項1から12の何れか1つに記載の方法によって製造された香料シートの裁刻物と刻み状タバコ物質が配合されている喫煙物質部を含む、喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表面粗さが向上した香料シート、これを含む喫煙物品およびこれらの製造方法に関する。より詳しくは、刻み状タバコ物質との配合性を増進させるために表面粗さを向上させた香料シートと、このような香料シートを含むことによって香り発現性および香り持続性が向上した喫煙物品と、これらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
喫煙者の嗜好を満たすために、喫煙物品(e.g.シガレット)には、多様な方式で加香処理が施される。代表的な加香処理方式の例としては、刻みのような喫煙物質またはフィルタープラグに香液を直接添加(e.g.噴射)することが挙げられる。しかしながら、例示された方式は、香液の添加量に制限があったり、意図した香りが発現しないか、喫煙中に香り発現性が急激に低下するなどの多様な問題がある。
【0003】
具体的には、喫煙物質に香液を添加する方式は、香液が喫煙物質と相互凝集することができ、多量の香液を添加することが困難である。また、喫煙時に高い加熱温度(または燃焼温度)によって香液が変質するにつれて、意図しない香りが発現することがある。次に、フィルタープラグに香液を添加する方式は、前述した方式に比べて多い量の香液を添加することができるが、これも、添加量に限界が存在する。
【0004】
一方、どのような方式でも添加された香液が喫煙初期に急激に発現することによって喫煙後半に行くほど香り発現性が低下する問題があり、香液が過量添加されると、フィルタープラグまたは喫煙物質を包んでいるラッパー(wrapper)がぬれて汚染が生じる問題が発生することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の幾つかの実施形態を通じて解決しようとする技術的課題は、表面粗さが向上した香料シートおよびその製造方法を提供することにある。
【0006】
本開示の幾つかの実施形態を通じて解決しようとする他の技術的課題は、香り発現性と香り持続性が増大した喫煙物品およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
本開示の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は、下記の記載から本開示の技術分野における通常の技術者が明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を解決するための、本開示の幾つかの実施形態による香料シートの製造方法は、ハイドロコロイド物質、溶媒、粉末状物質および香料を配合してシート組成物を製造する段階と、前記製造したシート組成物を乾燥する段階と、を含んでもよい。
【0009】
幾つかの実施形態において、前記ハイドロコロイド物質は、改質されたセルロース物質を含んでもよい。
【0010】
幾つかの実施形態において、前記製造したシート組成物を乾燥する段階は、前記製造したシート組成物を塗布する段階と、前記塗布したシート組成物に粉末状物質を添加し、乾燥する段階と、を含んでもよい。
【0011】
幾つかの実施形態において、前記粉末状物質は、前記溶媒に対して難溶性または不溶性の性質を有する物質であってもよい。
【0012】
幾つかの実施形態において、前記粉末状物質は、バルキング剤であってもよい。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記粉末状物質は、乳化剤であってもよい。
【0014】
前記技術的課題を解決するための、本開示の幾つかの実施形態による香料シートは、ハイドロコロイド物質、溶媒、粉末状物質および香料を配合してシート組成物を製造する段階および前記製造したシート組成物を乾燥する段階を通じて製造されたものであってもよい。
【0015】
前記技術的課題を解決するための、本開示の幾つかの実施形態による喫煙物品は、香料シートの裁刻物と刻み状タバコ物質が配合されている喫煙物質部を含んでもよい。この際、前記香料シートは、ハイドロコロイド物質、溶媒、粉末状物質および香料を配合してシート組成物を製造する段階および前記製造したシート組成物を乾燥する段階を通じて製造されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
上述した本開示の幾つかの実施形態によれば、シート組成物に粉末状物質を配合したり製造工程中に粉末状物質を添加することで、表面粗さが向上(増加)した香料シートを製造することができる。このような香料シートは、他の物質と接触しうる実質面積が小さいため、刻み状タバコ物質と配合されるとき、固着現象(e.g.互いにくっつく現象)を最小化することができる。また、これによって、刻み状タバコ物質と香料シートの裁刻物を均一に配合することができ、配合工程の作業性を向上させることができる。
【0017】
また、香料シートの裁刻物と刻み状タバコ物質が配合された喫煙物品を提供することができる。このような喫煙物品は、均一な香り発現性と優れた香り持続性を保証することができる。
【0018】
また、粉末状物質として難溶性または不溶性の物質を用いることができる。この場合、添加された粉末状物質が香料シートの表面にほとんどそのまま残留するので、香料シートの表面粗さがさらに向上することができる。
【0019】
また、粉末状物質としてバルキング剤を用いることができる。この場合、表面粗さが向上すると同時に、香料シートの膨大性と香り保持性を向上させることができる。
【0020】
また、粉末状物質として乳化剤を用いることができる。乳化剤は、水溶性のハイドロコロイド物質と脂溶性香料間の架橋役割を行うることによって、香料シートの粗さを向上させると同時に、香り保有量と香り保持性を向上させることができる。
【0021】
本開示の技術的思想による効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていない他の効果は、下記の記載から通常の技術者が明確に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の幾つかの実施形態による香料シートの製造方法を概略的に示す例示的なフロチャートである。
図2】本開示の幾つかの実施形態による香料シートの製造方法をさらなる説明するための例示図である。
図3】本開示の幾つかの実施形態による喫煙物品を概略的に示す例示図である。
図4】本開示の幾つかの実施形態による香料シートの適用方式を説明するための例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して本開示の好ましい実施形態を詳細に説明する。本開示のメリットおよび特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すれば明確になるだろう。しかしながら、本開示の技術的思想は、以下の実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形状に具現でき、単に以下の実施形態は、本開示の技術的思想が完全になるようにし、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者に本開示の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本開示の技術的思想は、請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0024】
各図面の構成要素に参照符号を付加するに際して、同じ構成要素に対しては、たとえ異なる図面上に表示されても、できるだけ同じ符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本開示を説明するに際して、関連した公知構成または機能に関する具体的な説明が本開示の要旨を不明にすることができると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0025】
別途の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味で使用され得る。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解析されない。 本明細書において使用される用語は、実施形態を説明するためのものであり、本開示を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は、文章において特に言及しない限り、複数型も含む。
【0026】
また、本開示の構成要素を説明するに際して、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用できる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語により当該構成要素の本質や手順または順序などが限定されない。任意の構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は、当該他の構成要素に直接的に連結されるか、または接続され得るが、各構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」され得ると理解しなければならない。
【0027】
本開示において使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子は、1つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0028】
まず、本開示の多様な実施形態において使用される幾つかの用語について明確にする。
【0029】
以下の実施形態において、「喫煙物品」(smoking article)とは、タバコ、タバコ派生物、膨化処理タバコ(expanded tobacco)、再生タバコ(reconstituted tobacco)またはタバコ代用物に基づくかに関係なく、喫煙可能な任意の製品または喫煙体験を提供できる任意の製品を意味し得る。例えば、喫煙物品は、シガレット、葉巻(cigar)および小さい葉巻(cigarillo)などのような喫煙可能製品を含んでもよい。他の例として、喫煙物品は、燃焼型喫煙物品と加熱型喫煙物品を含んでもよい。
【0030】
以下の実施形態において、「喫煙物質」(smoking material)とは、煙(smoke)および/またはエアロゾル(aerosol)を発生させたり喫煙に用いられる物質を意味し得る。例えば、喫煙物質は、タバコ物質を含んでもよい。タバコ物質は、例えばタバコ葉切片、タバコ幹またはこれらから加工された物質などを含んでもよい。より具体的な例として、タバコ物質は、粉砕されたタバコの葉、粉砕された再生タバコ、膨化刻み、膨化主脈および板状葉などを含んでもよい。しかしながら、これに限定されるものではない。
【0031】
以下の実施形態において、「上流」(upstream)または「上流方向」は、喫煙者の口部から遠ざかる方向を意味し、「下流」(downstream)または「下流方向」は、喫煙者の口部から近づく方向を意味し得る。上流および下流という用語は、喫煙物品を構成する要素の相対的位置を説明するために用いられ得る。例えば、例えば、図3に例示された喫煙物品100において、フィルター部120は、喫煙物質部110の下流または下流方向に位置し、喫煙物質部110は、フィルター部120の上流または上流方向に位置する。
【0032】
以下の実施形態において、「長さ方向」(longitudinal direction)は、喫煙物品の長さ方向軸に相当する方向を意味し得る。
【0033】
以下の実施形態において、「パフ」(puff)は、利用者(喫煙者)の吸入(inhalation)を意味し、吸入とは、喫煙者の口や鼻を通じて喫煙者の口腔内、鼻腔内または肺に引き寄せる状況を意味し得る。
【0034】
以下の実施形態において、「シート」(sheet)は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する薄層要素を意味し得る。当該技術分野において、シートという用語は、ウェブ(web)、フィルム(film)などの用語と混用して使用されてもよい。
【0035】
以下の実施形態において、「香料シート」(flavor sheet or flavoring sheet)は、シート形態で製造された香料含有材料を意味し得る。
【0036】
以下の実施形態において、「粉末」(powder)は、粒子(particle)、パウダー、ビーズ(bead)、顆粒(granule)、粉などの形態を全て包括することができる
【0037】
以下では、本開示の多様な実施形態について詳細に説明する。
【0038】
本開示の幾つかの実施形態によれば、表面粗さが向上した香料シートを提供することができる。具体的には、香料シートを製造する工程中に粉末状物質を添加することによって、表面粗さが向上した香料シートを製造することができる。このような香料シートは、他の物質と接触しうる実質面積が相対的に少ないため、喫煙物品の製造時に刻み状タバコ物質(e.g.葉タバコ刻み、板状葉刻み)と均一に配合することができる。例えば、さらなる説明すると、香料シートの裁刻物と葉タバコ刻みを配合するとき、香料シートと葉タバコ刻みに含有された水分の影響でシート裁刻物と葉タバコ刻みが固着する現象が発生することがある。このような固着現象は、香料シート(またはシート裁刻物)の表面積(または接触面積)が広いほど加速化され得るが、表面粗さを増加させると、実質的な接触面積が減少するので、このような固着現象を効果的に防止することができ、これによって、香料シートの裁刻物と葉タバコ刻みを均一に配合することができる。
【0039】
以下では、前述のような香料シートについて添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0040】
図1は、本開示の幾つかの実施形態による香料シートの製造方法を概略的に示す例示的なフロチャートである。ただし、これは、ただ本開示の目的を達成するための好ましい実施形態であり、必要に応じて一部の段階が追加または削除できることは言うまでもない。
【0041】
図1に示されたように、本実施形態による製造方法は、粉末状物質を配合してシート組成物を製造する段階S100から始まることができる。具体的には、ハイドロコロイド物質と、蒸留水、エタノールなどの溶媒と、香料および粉末状物質を配合して、液状(e.g.スラリー状態)のシート組成物を製造することができる。ここで、液状は、液体状態だけでなく、液体と固体が混合された状態(e.g.スラリー状態)をも含むものであってもよい。
【0042】
蒸留水、エタノールなどの溶媒は、スラリー状シート組成物の粘度を調節するための要素であってもよい。
【0043】
次に、ハイドロコロイド物質は、香料を被覆して固定する物質であり、かつシートを形成するシート形成剤であってもよい。ハイドロコロイド物質は、蒸留水、エタノールなどの溶媒と接触すると、それ自体で粘性を示すので、このような物質に基づく香料シートは、別途の接着剤がなくても喫煙物品に容易に付着され得るという長所がある。例えば、香料シートを喫煙物品のラッパーに配置する場合、ハイドロコロイド物質がシート形成剤として用いられる場合、香料シートの配置工程を簡素化することができ、接着剤による安全性の問題から自由になり得る。
【0044】
ハイドロコロイド物質の例としては、ゼラチン、寒天、ジェランガム、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、グルコマンナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン類などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0045】
幾つかの実施形態において、シート組成物は、多様なハイドロコロイド物質のうち改質されたセルロース物質を含んでもよい。ここで、「改質されたセルロース」は、分子構造内で特定の官能基が置換されたセルロースを意味し得る。改質されたセルロースの例としては、HPMC、MC、CMC、ECが挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば、HPMCは、ヒドロキシプロピル基およびメチル基(またはメトキシ基)が置換された割合および分子量によって約4~40000の範囲内の等級(grade)を有していてもよい。等級によって、改質されたセルロースの粘度を決定することができる。より具体的には、HPMCの物理化学的特性は、メトキシ基の割合、ヒドロキシプロピル基の割合および分子量と関連しているが、米国薬典(USP)によれば、HPMCの種類は、メトキシ基およびヒドロキシプロピル基の割合によってHPMC1828、HPMC2208、HPMC2906およびHPMC2910などに分類され得る。ここで、前方の二つの数字は、メトキシ基の割合であり、後方の二つの数字は、ヒドロキシプロピル基の割合を意味し得る。本発明者らの持続的な実験結果、改質されたセルロースを含むシート組成物から製造された香料シートは、シート物理性および香り保有量に優れていることが確認された。
【0046】
次に、香料の例としては、メントール、ニコチン、ニコチン塩、葉タバコ抽出物、ニコチンが含有された葉タバコ抽出物、天然植物性香料(e.g.シナモン、セージ、ハーブ、カモミール、枯れ草、甘茶、クローブ、ラベンダー、カルダモン、丁香、ナツメグ、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、ローズ油、レモン、オレンジ、ケイヒ、キャラウェイ、ジャスミン、ショウガ、コリアンダー、バニラエキス、スペアミント、ペパーミント、カッシア、コーヒー、セロリ、カスカリラ、サンダルウッド、ココア、イランイラン、フェンネル、アニス、リコリス、セントジョンズブレッド、スモモエキス、桃エキスなど)、糖類(e.g.グルコース、フルクトース、異性化糖、キャラメルなど)、ココア類(パウダー、エキスなど)、エステル類(e.g.酢酸イソアミル、酢酸リナリル、プロピオン酸イソアミル、酪酸リナリルなど)、ケトン類(e.g.メントン、イオノン、ダマセノン、エチルマトールなど)、アルコール類(e.g.ゲラニオール、リナロール、アネトール、オイゲノールなど)、アルデヒド類(e.g.バニリン、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒドなど)、ラクトン類(e.g.γ-ウンデカラクトン、γ-ノナラクトンなど)、動物性香料(e.g.ムスク、アンバーグリス、シベット、カストリウムなど)、炭化水素類(e.g.リモネン、ピネンなど)が挙げられる。香料は、固体として使用されてもよく、適切な溶媒、例えば、プロピレングリコール、エチルアルコール、ベンジルアルコール、トリエチルシトレートに溶解または分散して使用されてもよい。これらの香料は、単独で用いられてもよく、混合物として用いられてもよい。ただし、本開示の範囲が前述した例示によって限定されるものではない。
【0047】
次に、粉末状物質は、常温で粉末形態で存在する物質であってもよい。粉末状物質は、香料シートの表面粗さを増加させる役割を行うことができる。例えば、粉末状物質は、乾燥後に香料シートの表面に残留し、香料シートの表面粗さを増加させることができる。ただし、粉末状物質の種類は多様であり、これは、実施形態によって変わり得る。
【0048】
幾つかの実施形態において、粉末状物質は、バルキング剤(bulking agent)であってもよい。換言すれば、粉末状物質は、常温で粉末形態で存在するバルキング剤であってもよい。このようなハチキング提案例としては、アルファ-シクロデキストリン(α-cyclodextrin)、ベータシクロデキストリン(β-cyclodextrin)、ガンマ-シクロデキストリン(γ-cyclodextrin)が挙げられるが、これに限定されるものではない。参考までに、ベータシクロデキストリンは、シクロデキストリン物質のうち蒸留水への溶解度が最も低いため、香料シートの表面粗さを増加させるのにより効果的である。本実施形態によれば、粉末状のバルキング剤を用いることによって、香料シートの表面粗さが増加すると同時に、香り保持性も向上することができる。
【0049】
また、幾つかの実施形態において、粉末状物質は、乳化剤であってもよい。換言すれば、粉末状物質は、常温で粉末形態で存在する乳化剤であってもよい。このような乳化剤の例としては、スクロースエステル(sucrose ester)が挙げられるが、これに限定されるものではない。本実施形態によれば、粉末状の乳化剤を用いることによって、香料シートの表面粗さが増加すると同時に、香り保有量も向上することができる。例えば、香料が脂溶性である場合、乳化剤が水溶性のハイドロコロイド物質と脂溶性香料間の架橋役割を行うので、香料シートの香り保有量が大きく増加することができる。
【0050】
また、幾つかの実施形態において、粉末状物質は、難溶性または不溶性の物質であってもよい。例えば、粉末状物質は、蒸留水に対して難溶性または不溶性の性質を有する物質であってもよい。このような場合、乾燥後に香料シートの表面に残留する粉末状物質の量が大きく増加するので、香料シートの表面粗さがさらに向上することができる。
【0051】
また、幾つかの実施形態において、粉末状物質は、25℃で溶解度が100mg/L以下の物質であってもよい。例えば、粉末状物質は、25℃で蒸留水への溶解度が100mg/L以下の物質であってもよい。このような物質の例としては、スクロースエステルが挙げられるが、これに限定されるものではない。本実施形態によれば、乾燥後に香料シートの表面に残留する粉末状物質の量が大きく増加するので、香料シートの表面粗さがさらに向上することができる。
【0052】
また、粉末状物質は、例えば、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、セルロースアセテート(cellulose acetate)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルエチルセルロース(MEC)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0053】
一方、幾つかの実施形態において、シート組成物は、LMペクチン(low methoxyl pectin)をさらに含んでもよい。または、ハイドロコロイド物質のうちLMペクチンがシート形成剤としてシート組成物に含まれ得る。LMペクチンは、エステル化が比較的に少なくなされた低エステルペクチンまたは低メトキシルペクチンであり、具体的には、分子構造の内部にカルボキシ基(carboxyl group)が約50%未満で含有さたペクチンを意味し得る。LMペクチンは、カラギナンとは異なって、放冷時にゲル化しない特性を有するので、スラリー状シート組成物の粘度を低減する(e.g.約600cp~800cp程度)ことで、製造工程の作業性を向上させることができる。
【0054】
LMペクチンは、分子構造の内部にカルボキシ基を約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、または約10%未満で含有することができる。LMペクチンの分子構造の内部にカルボキシ基の含有量が少なくなるほど、LMペクチンを含むスラリー(すなわち、シート組成物)の粘度が低くなり得る。
【0055】
また、幾つかの実施形態において、シート組成物は、乳化剤をさらに含んでもよい。乳化剤は、脂溶性が強い香料と水溶性のハイドロコロイド物質が良好に混合されるようにして香料シートの香り保有量と香り保持性を大きく増大させることができる。乳化剤の例としては、モンタノブワックス、オリーブ乳化ワックス、レシチン、グリセリルステアレート、ステアリン酸、レシチンなどの天然乳化剤と、モノグリセリド、ジグリセリド、ソルビタン、脂肪酸エステル、スクロースエステルなどの合成乳化剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0056】
また、幾つかの実施形態において、シート組成物は、バルキング剤をさらに含んでもよい。バルキング剤は、蒸留水以外の構成成分の合計質量(すなわち、乾物質量)を増加させて、製造される香料シートの体積を増加させることができ、香料シートの本来の機能に影響を及ぼさない物質であってもよい。具体的には、バルキング剤は、香料シートの体積を増加させ、かつ、スラリーの粘度を実質的に上昇させないと同時に、香料シートの香料保持機能に悪影響を及ぼさない特性を有することができる。好ましくは、バルキング剤は、デンプン類、変性デンプン、またはデンプン加水分解物であってもよい。しかしながら、これに限定されるものではない。
【0057】
変性デンプンは、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルリン酸二デンブン、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸二デンブン、リン酸一デンブン、リン酸化リン酸二デンブンなどを指す。
【0058】
デンプン加水分解物とは、デンプンを加水分解する工程を含むプロセスによって得られる物質を示す。デンプン加水分解物は、例えば、デンプンを直接加水分解して得られる物質(すなわち、デキストリン)、またはデンプンを加熱処理した後に加水分解して得られる物質(すなわち、難消化性デキストリン)を含んでもよい。バルキング剤は、例えば、デキストリン(dextrin)であってもよく、より具体的には、シクロデキストリン(cyclodextrin)であってもよい。
【0059】
デンプン加水分解物は、一般的に、約2~約40の範囲に含まれるDE値を有するデンプン加水分解物、好ましくは、約2~約20の範囲に含まれるDE値を有するデンプン加水分解物であってもよい。約2~約20の範囲に含まれるDE値を有するデンプン加水分解物として、例えば、パインデックス#100(松谷化学工業(株))、パインファイバー(松谷化学工業(株))、TK-16(松谷化学工業(株))が用いられ得る。
【0060】
ここで、「DE」は、dextrose equivalentの略語であり、DE値は、デンプンの加水分解の程度、すなわちデンプンの糖化率を示す。本開示においてDE値は、ウィルシュテッター・シューデル(Willstatter-Schudel)法によって測定された値である。加水分解されたデンプン(デンプン加水分解物)の特性、例えば、デンプン加水分解物の分子量やデンプン加水分解物を構成する糖分子の配列などの特性は、デンプン加水分解物の分子ごとに一定でなく、任意の分布またはバリエーション(variation)を持って存在する。デンプン加水分解物の特性の分布やバリエーション、またはカットされる区間の差異などによって、デンプン加水分解物は、その分子ごとに異なる物性特徴(例えばDE値)が発現することができる。このように、デンプン加水分解物は、異なる物性特徴を示す分子の集合であるが、ウィルシュテッター・シューデル(Willstatter-Schudel)法による測定結果(すなわちDE値)は、デンプンの加水分解の程度を示す代表値として扱われている。
【0061】
好ましくは、デンプン加水分解物は、約2~約5のDE値を有するデキストリン、約10~約15のDE値を有する難消化性デキストリンおよびこれらの混合物からなる群から選択できる。約2~約5のDE値を有するデキストリンとして、例えばパインデックス#100(松谷化学工業(株))が用いられ得る。約10~約15のDE値を有する難消化性デキストリンとして、例えば、パインファイバー(松谷化学工業(株))が用いられ得る。
【0062】
また、幾つかの実施形態において、シート組成物は、可塑剤をさらに含んでもよい。可塑剤は、香料シートに適切な柔軟性を付与することによって、シートの物理性を向上させることができる。可塑剤は、例えば、グリセリンおよびプロピレングリコールのうち少なくとも1つを含んでもよいが、これに限定されるものではない。参考までに、例示された可塑剤は、香料シートの水分含有量を増加させることによって、香料シートの物理性をさらに向上させることができる。例えば、例示された可塑剤は、水分含有量を増加させてシートの裁刻時に香料シートの破砕現象を最小化することができ、これによって、裁刻工程の作業性が大きく向上することができる。ただし、水分含有量が増加するにつれて香料シートの裁刻物と刻み状タバコ物質を配合する工程の作業性が低下することもあるが(e.g.水分含有量の増加によって固着現象が加速化されて配合工程の作業性が低下するおそれがある)、このような問題は、香料シートの表面粗さを向上させることによって解決することができる。
【0063】
段階S200で、製造したシート組成物を塗布および乾燥して、香料シートを製造することができる。例えば、シート組成物を所定の基材上に塗布(e.g.キャスト)し、乾燥させることによって、香料シートを製造することができる。
【0064】
幾つかの実施形態では、塗布したシート組成物を乾燥する途中または乾燥する前に、粉末状物質を添加する段階が行われ得る。この際、添加した粉末状物質は、シート組成物に含まれた粉末状物質と同じものであってもよく、異なるものであってもよい。また、場合によっては、粉末状物質がシート組成物に配合されずに、乾燥される途中にのみ添加されてもよい。以下、理解の便宜を提供するために、本実施形態について図2を参照してさらなる説明する。
【0065】
図2に示されたように、塗布器1を通じてシート組成物2を塗布することができる。また、塗布したシート組成物2が乾燥される途中(点線の四角を参照)に、噴射機3を通じてシート組成物2に粉末状物質4を噴射(添加)することができる。この場合、粉末状物質4がシート組成物2の表面に分布した状態で乾燥が行われるので、乾燥後に大部分の粉末状物質4が香料シート10の表面に均一に残留する。また、これによって、香料シート10の表面粗さが大きく向上することができる。
【0066】
一方、上述したことによって製造された香料シートは、多様な組成比(含有量の比率)を有していてもよい。ただし、具体的な組成比は、シート組成物の配合比と乾燥条件などによって変わり得る。
【0067】
幾つかの実施形態では、香料シートが、全体100重量部を基準として、約0.5~10重量部の乳化剤を含んでもよい。このような数値範囲内で、香料の保有量および保持性が増大することが確認された。例えば、乳化剤の含有量が少なすぎる場合には、香料の保有量の増加が非常に少なく、多すぎる場合にも、香料を被覆するシート形成剤や香料の含有量が減少し、香料の保有量が大きく増加しないことが確認された。
【0068】
また、幾つかの実施形態において、香料シートは、全体100重量部を基準として、約10~60重量部または10~40重量部の香料を含んでもよいし、好ましくは、約20重量部、22重量部、24重量部以上または26重量部以上の香料を含んでもよい。適切な量の乳化剤が添加される場合、脂溶性香料の保有量が、未添加の場合より略10%、15%または20%以上増加することが確認された。
【0069】
また、幾つかの実施形態において、香料シートは、全体100重量部を基準として、水分約2~15重量部、改質されたセルロース約25~90重量部および香料約0.1~60重量部を含んでもよい。また、香料シートは、約0.5~10重量部の乳化剤をさらに含んでもよい。
【0070】
また、幾つかの実施形態において、香料シートは、全体100重量部を基準として、水分約2~15重量部、ハイドロコロイド物質約1~60重量部、LMペクチン約1~60重量部および香料約0.1~60重量部を含んでもよい。また、香料シートは、約0.5~10重量部の乳化剤をさらに含んでもよい。
【0071】
また、幾つかの実施形態において、可塑剤は、香料シート全体100重量部を基準として、約0.1~30重量部で含まれてもよく、好ましくは、約5~30重量部、5~25重量部または5~20重量部で含まれてもよい。このような数値範囲内で適切な柔軟性を有するシートを形成することができる。例えば、可塑剤が非常に少なく添加される場合には、シートの柔軟性が低下し、裁刻工程中に香料シートが容易に粉砕され得、可塑剤が非常に多く添加される場合には、シートが良好に形成されないか、 軟らかくなる。
【0072】
また、幾つかの実施形態において、水分は、香料シート全体100重量部を基準として、約5~30重量部で含まれてもよく、好ましくは、約5~25重量部、5~20重量部または5~15重量部で含まれてもよい。このような数値範囲内で優れた物理性を有するシートを形成することができる。例えば、水分含有量が少なすぎる場合には、裁刻工程中に香料シートが容易に粉砕され得、水分含有量が非常に多く添加される場合には、シートが良好に形成されないか、軟らかくなる。
【0073】
以上では、図1および図2を参照して本開示の幾つかの実施形態による香料シートとその製造方法について説明した。上述したことによれば、シート組成物に粉末状物質を配合したり製造工程中に粉末状物質を添加することで、表面粗さが向上(増加)した香料シートを製造することができる。このような香料シートは、他の物質と接触しうる実質面積が小さいため、刻み状タバコ物質と均一に配合され得、配合工程の作業性も向上することができる。
【0074】
以下では、図3以降の図面を参照して上述した香料シートを含むことによって、香り発現性および香り持続性が増大した喫煙物品100について詳細に説明する。
【0075】
図3は、本開示の幾つかの実施形態による喫煙物品100を概略的に示す例示図である。
【0076】
図3に示されたように、喫煙物品100は、フィルター部120、喫煙物質部110およびラッパー130(wrapper)を含んでもよい。ただし、図3には、本開示の実施形態と関連する構成要素のみが示されている。したがって、本開示の属する技術分野における通常の技術者なら、図3に示された構成要素の他に、他の汎用的な構成要素がさらに含まれてもよいことが分かる。また、図3は、本開示の多様な実施形態による喫煙物品の一部の例示を示しているだけであるから、喫煙物品の詳細な構造は、図3に示されたものと変わり得ることは言うまでもない。以下、喫煙物品100の各構成要素について説明する。
【0077】
フィルター部120は、喫煙物質部110で発生した煙および/またはエアロゾルに対する濾過機能を行うことができる。このために、フィルター部120は、フィルター(濾過)物質を含んでもよい。フィルター物質の例としては、セルロースアセテートファイバー、紙などが挙げられるが、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。フィルター部120は、フィルター物質(プラグ)を包んでいるラッパー130をさらに含むものであってもよい。
【0078】
図示のように、フィルター部120は、喫煙物質部110の下流に位置し、喫煙物質部110の下流末端と連結され得る。例えば、フィルター部120と喫煙物質部110は、円柱(ロッド)の形状を有し、長さ軸方向に整列され、ティッピングラッパー(tipping wrapper)により連結され得る。ティッピングラッパーは、フィルター部120の少なくとも一部と喫煙物質部110の少なくとも一部を共にラッピンクして、フィルター部120と喫煙物質部110を連結することができる。フィルター部120が喫煙物品100の下流末端を形成する場合、フィルター部120は、喫煙者の口部と接触するマウスピースとして機能することもできる。
【0079】
フィルター部120は、ロッドの形態で製造されるので、場合によって「フィルターロッド120」とも称され、円柱状、内部に中空を含むチューブ状、リセス状などのように多様な形状に製造することができる。
【0080】
次に、喫煙物質部110は、燃焼または加熱されることにより煙および/またはエアロゾルを発生させることができる喫煙物質を含んでもよい。喫煙物質部110は、喫煙物質を包んでいるラッパー130をさらに含むものであってもよい。
【0081】
図示のように、喫煙物質部110は、フィルター部120の上流に位置し、フィルター部120の上流末端と連結され得る。パフによって喫煙物質部110で発生した煙および/またはエアロゾルは、フィルター部120を経て喫煙者の口部に伝達され得る。
【0082】
喫煙物質部110も、ロッドの形態で製造されるので、場合によって「喫煙物質ロッド110」とも称される。または、喫煙物質部110は、「媒質部110」とも称される。
【0083】
喫煙物質は、例えば、タバコ物質を含んでもよい。タバコ物質は、例えば、タバコ葉切れ、タバコ幹またはこれらから加工された物質などを含んでもよい。より具体的な例として、タバコ物質は、粉砕されたタバコの葉、粉砕された再構成タバコ、膨化刻み、膨化主脈および板状葉などを含んでもよい。しかしながら、これに限定されるものではない。また、タバコ物質は、刻み状(e.g.葉タバコ刻み、板状葉刻み)、シート状、粉末状またはタバコ抽出物の形状を有していてもよいが、これに限定されるものではない。
【0084】
また、図示のように、喫煙物質部110には、香料シート10を適用(配置)することができる。このように適用した香料シート10は、喫煙中に持続的に香りを発現することによって、喫煙物品100の香り発現性と香り持続性を増大させることができる。換言すれば、香料が液状の形態で投入された場合とは異なって、シート形成剤によって固定(被覆)された香料が喫煙中に徐々にかつ持続的に発現することによって、喫煙初期に大部分の香りが発現する問題を効果的に解決することができる。ただし、香料シート10の具体的な適用方式は変わり得る。
【0085】
幾つかの実施形態では、図4に示されたように、香料シート10の裁刻物11が刻み状タバコ物質111と配合された形態で喫煙物質部110に投入され得る。上述したように、表面粗さが向上した香料シート10は、実質的な接触面積が小さいため、刻み状タバコ物質111と均一に配合され得、これによって、喫煙時に均一な香り発現性を保証することができる。
【0086】
また、幾つかの実施形態では、香料シート10がシート型タバコ物質(e.g.板状葉などの再構成タバコシート)に付着されたり、付着後にタバコ物質と共にぐるぐる巻いた形態で喫煙物質部110に投入されてもよい。
【0087】
また、幾つかの実施形態では、複数の刻み状タバコ物質が香料シート10に包まれた形態で喫煙物質部110に投入されることもできる。
【0088】
幾つかの実施形態において、喫煙物質は、湿潤剤(保湿剤)、香味剤および/または有機酸(organic acid)のような添加物質をさらに含んでもよい。例えば、湿潤剤は、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールのうち少なくとも1つを含んでもよい。湿潤剤は、タバコ物質内の水分を適正レベルに維持して、固有の味をやわらかくし、霧化量を豊富にすることができる。また、香味剤は、例えば、甘草、ショ糖、果糖シロップ、イソ甘味剤(isosweet)、ココア、ラベンダー、シナモン、カルダモム、セロリ、コロハ、カスカリラ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、バラオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル、ケイヒ、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、カモミール、メントール、ケイヒ、イランイラン、サルビア、スペアミント、ショウガ、コエンドロ、クローブ抽出物(またはクローブ物質)またはコーヒーなどを含んでもよい。
【0089】
次に、ラッパー130は、喫煙物質部110および/またはフィルター部120の少なくとも一部を包んでいるものを意味し得る。ラッパー130は、喫煙物質部110またはフィルター部120の個別ラッパーを称するものであってもよく、ティッピングラッパーなどのように喫煙物質部110とフィルター部120の少なくとも一部を共に包んでいるラッパーを称するものであってもよい、喫煙物品100に用いられたすべてのラッパーを総称するものであってもよい。ラッパー130は、多孔性または非多孔性のラッピングペーパー(wrapping paper)からなってもよいが、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。例えば、ラッパー130は、金属ホイル(foil)またはラッピングペーパーと金属ホイルの重ね合わせ形態からなってもよい。
【0090】
一方、本開示の幾つかの実施形態によれば、香料シート10をラッパー130に適用することもできる。例えば、香料シート10が喫煙物質部110の全部または一部を包む形態でラッパー130の内側に配置(e.g.付着(重ね合わせ)、コート)されてもよい。ラッパー130の少なくとも一部が金属ホイルからなる場合、香料シート10は、金属ホイルの内側に配置されてもよい。このような場合、金属ホイルを通じて伝達された熱により香料シート10の香り発現をさらに促進することができる。他の例として、香料シート10がラッパー130の少なくとも一部を構成することもできる。すなわち、香料シート10自体が喫煙物品100のラッパー130として機能することができる。この際、ラッパー130は、香料シート10のみで構成されてもよく、香料シート10とラッピングペーパーが一体化した形態で構成されてもよい。このような場合、香料シート10をラッパー130に配置する工程(e.g.付着(重ね合わせ)工程、コーティング工程)が行われる必要がないところ、喫煙物品100の製造工程をさらに簡素化することができる。
【0091】
また、幾つかの実施形態では、香料シート10がローリング(rolling)またはフォールディング(folding)された形態で中空が形成された冷却部(不図示)に配置されてもよい。例えば、香料シート10は、冷却部(不図示)の中空にローリングまたはフォールディングされた形態で配置されたり、冷却部(不図示)の中空内壁に配置されてもよい。この際、香料シート10は、複数個のホールが形成されるように加工されたパンチングシートであってもよく、パンチングシートは、気流との接触面積が大きいため、冷却部(不図示)の性能をさらに向上させることができる。参考までに、冷却部(不図示)は、喫煙物質部110とフィルター部120の間に位置し、煙および/またはエアロゾルに対する冷却機能を行うセグメントを意味し得る。
【0092】
以上では、図3および図4を参照して本開示の幾つかの実施形態による喫煙物品100について説明した。上述したことによれば、香料シート10を喫煙物品100に適用することによって、喫煙物品100の香り発現性と香り持続性が向上することができる。
【0093】
以上、添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者は、その技術的思想や必須の特徴を変更することなく、本開示が他の具体的な形態で実施可能であることが理解できる。したがって、以上で記述した実施形態は、すべての面において例示的なものであり、限定的なものでないことを理解しなければならない。本開示の保護範囲は、下記の請求範囲により解されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本開示により定義される技術的思想の権利範囲に含まれるものと解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】