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特表2024-519800固体組成物、フリーズドライ方法およびガラスバイアル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】固体組成物、フリーズドライ方法およびガラスバイアル
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/125 20060101AFI20240514BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240514BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20240514BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240514BHJP
   C12N 7/04 20060101ALN20240514BHJP
   C12N 15/40 20060101ALN20240514BHJP
【FI】
A61K39/125
A61K39/39
A61K9/19
A61K47/26
A61P31/14
A61P37/04
C12N7/04 ZNA
C12N15/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571159
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 US2022030550
(87)【国際公開番号】W WO2022246323
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/191,713
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507028479
【氏名又は名称】タケダ ワクチン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ボウミク,トゥヒン
(72)【発明者】
【氏名】ゴン,ケ
(72)【発明者】
【氏名】ツイ,ヂァンロン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,サード,ロバート,オー.
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ハイユエ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C085
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065BD11
4B065BD22
4B065BD36
4B065CA24
4B065CA45
4C076AA30
4C076BB11
4C076CC06
4C076DD22Z
4C076DD23Z
4C076DD51Z
4C076DD60Z
4C076DD67
4C076FF36
4C076FF61
4C076FF65
4C076GG08
4C085AA04
4C085AA38
4C085BA52
4C085CC08
4C085DD14
4C085DD15
4C085DD84
4C085DD86
4C085EE03
4C085FF02
4C085GG01
(57)【要約】
本発明は、アジュバント粒子に吸着されたウイルス様粒子(VLP)を含む抗原粒子を含む固体組成物を対象にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アジュバント粒子に吸着されたウイルス様粒子(VLP)を含む抗原粒子を含む固体組成物であって、VLPが、ノロウイルスVLPである、固体組成物。
【請求項2】
抗原粒子が、レーザー回折によって決定された場合、X90値が約30μm未満である累積的なアンダーサイズ分布を有する、請求項1に記載の固体組成物。
【請求項3】
抗原粒子が、少なくとも50%の相対効力を有し、前記相対効力が、参照水性懸濁液の効力に基づき、乾燥に供されていない組成物の前記参照水性懸濁液の抗原粒子中の抗原の効力および固体組成物の抗原粒子中の抗原の効力を測定することにより決定される、請求項1または2に記載の固体組成物。
【請求項4】
抗原粒子が、4週間にわたる40℃および75%相対湿度(RH)における貯蔵後に、少なくとも約50%の相対効力を有し続ける、請求項3に記載の固体組成物。
【請求項5】
トレハロース、ラクトースおよびスクロースからなる群から選択される糖をさらに含む、または糖アルコールをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の固体組成物。
【請求項6】
固体組成物における糖の質量に基づく抗原粒子および糖の間の質量比が、約4.2×10-2以下である、および/または糖の乾燥含量が、少なくとも約60.00wt.-%であり、乾燥含量が、水分不含固体組成物に基づき計算される、請求項5に記載の固体組成物。
【請求項7】
抗原粒子および糖の質量の間の質量比が、約2.68×10-2であり、抗原粒子およびスクロースの間の質量比が、約2.8×10-2以下である、および/またはトレハロースおよびスクロースの乾燥組合せ含量が、約75.75wt.-%である、またはスクロースの乾燥含量が、少なくとも約75.75wt.-%である、請求項6に記載の固体組成物。
【請求項8】
2~4%w/vトレハロースおよび/または2~5%w/vスクロースを含む水性溶液から得られる、請求項5に記載の固体組成物。
【請求項9】
組成物が、アジュバントに吸着されたノロウイルスVLPの1種または複数の異なるジェノグループを含み、前記ジェノグループが、ノロウイルスジェノグループ1(GI)VLPおよびノロウイルスジェノグループ2(GII)VLPからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の固体組成物。
【請求項10】
VLPが、ノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLPおよびノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLPからなる、請求項9に記載の固体組成物。
【請求項11】
約10μg~約100μgのノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLP、約30μg~約200μgのノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLP、および約300μg~約700μgのアジュバントを含有する、請求項10に記載の固体組成物。
【請求項12】
VLPが、ノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLPおよびノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLPからなり、組成物が、約15μgのノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLPおよび約50μgのノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLP、または約50μgのノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLPおよび約150μgのノロウイルス遺伝子型GII.4 コンセンサスVLPのいずれかを含有し、組成物が、アジュバントとしての水酸化アルミニウムとしての約500μgのアルミニウムをさらに含有する、請求項10または11に記載の固体組成物。
【請求項13】
アジュバントが、アルミニウム塩である、請求項1~11のいずれか一項に記載の固体組成物。
【請求項14】
免疫原性組成物である、請求項1~13のいずれか一項に記載の固体組成物。
【請求項15】
免疫原性組成物が、ワクチン組成物である、請求項14に記載の固体組成物。
【請求項16】
アジュバント粒子に吸着されたウイルス様粒子(VLP)を含む抗原粒子の水性懸濁液から水を除去するためのフリーズドライ方法によって得られる固体組成物であって、VLPが、ノロウイルスVLPであり、方法が、
a)任意選択により、約2℃~約30℃の範囲に及ぶ温度の、水性懸濁液を用意するステップ、
b)少なくとも50K/秒の凍結速度で、ステップ(a)の温度を減少させて、第1の凍結した懸濁液を得るステップ、
c)液体窒素の温度に冷却された容器内に前記第1の凍結した懸濁液を収集して、第2の凍結した懸濁液を得るステップ、
d)前記第2の凍結した懸濁液を、減圧下でさらなる乾燥条件に供して、固体組成物を得るステップ
を含む、固体組成物。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項に記載の固体組成物等の固体形態のノロウイルスワクチンの単一用量を含有するガラスバイアルであって、水性懸濁液の形態の前記単一用量を、液体窒素の温度に冷却されたバイアルの壁にアプライし、懸濁液を凍結させ、バイアル内で懸濁液を乾燥させることによって入手可能な、ガラスバイアル。
【請求項18】
アジュバント粒子に吸着されたウイルス様粒子(VLP)を含む抗原粒子の水性懸濁液から水を除去するためのフリーズドライ方法であって、VLPが、ノロウイルスVLPであり、方法が、
a)任意選択により、約2℃~約30℃の範囲に及ぶ温度の、水性懸濁液を用意するステップ、
b)少なくとも50K/秒の凍結速度で、ステップ(a)の温度を減少させて、第1の凍結した懸濁液を得るステップ、
c)液体窒素の温度に冷却された容器内に前記第1の凍結した懸濁液を収集して、第2の凍結した懸濁液を得るステップ、
d)前記第2の凍結した懸濁液を、減圧下でさらなる乾燥条件に供して、請求項1に記載の固体組成物を得るステップ
を含む、フリーズドライ方法。
【請求項19】
組成物が、ノロウイルスジェノグループ1(GI)VLPおよびノロウイルスジェノグループ2(GII)VLPからなる群から選択されるノロウイルスVLPの1種または複数の異なるジェノグループを含む、請求項18に記載のフリーズドライ方法。
【請求項20】
VLPが、ノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLPおよびノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLPからなる、請求項19に記載のフリーズドライ方法。
【請求項21】
組成物が、約10μg~約100μgのノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLP、約30μg~約200μgのノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLP、および約300μg~約700μgのアジュバントを含有する、請求項20に記載のフリーズドライ方法。
【請求項22】
組成物が、約15μgのノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLPおよび約50μgのノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLP、または約50μgのノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLPおよび約150μgのノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLPのいずれかを含有し、組成物が、アジュバントとしての水酸化アルミニウムとしての約500μgのアルミニウムをさらに含有する、請求項20または21に記載のフリーズドライ方法。
【請求項23】
アジュバントが、アルミニウム塩である、請求項18~21のいずれか一項に記載のフリーズドライ方法。
【請求項24】
水性懸濁液が、トレハロースおよびスクロースからなる群から選択される糖をさらに含む、請求項18~23のいずれか一項に記載のフリーズドライ方法。
【請求項25】
水性懸濁液が、前記懸濁液の総容量に対して少なくとも2%(w/v)または2.4%(w/v)の糖含量を有する、請求項18~24のいずれか一項に記載のフリーズドライ方法。
【請求項26】
水性懸濁液が、約4%(w/v)のトレハロースの含量および任意選択により0.4%(w/v)のスクロース、または少なくとも4%(w/v)もしくは少なくとも4.4%(w/v)のスクロースの含量を有する、請求項18~25のいずれか一項に記載のフリーズドライ方法。
【請求項27】
ステップ(b)における第1の凍結した懸濁液が、約500μm未満の厚さを有するフィルムとして形成される、請求項18~26のいずれか一項に記載のフリーズドライ方法。
【請求項28】
前記フィルムが、水性懸濁液を運動する低温の表面と接触させることにより形成される、請求項27に記載のフリーズドライ方法。
【請求項29】
ステップ(a)における凍結速度が、約50K/秒~約1100K/秒の範囲に及ぶ、請求項18~28のいずれか一項に記載のフリーズドライ方法。
【請求項30】
ステップ(d)におけるさらなる乾燥条件が、約20~100時間の期間および約-50℃~約30℃の範囲に及ぶ温度プロファイルにわたる、約500mTorr未満の圧力での、第2の凍結した懸濁液のフリーズドライを含む、請求項18~29のいずれか一項に記載のフリーズドライ方法。
【請求項31】
抗原粒子が、in vitro相対効力(IVRP)アッセイを使用して、組成物が乾燥される前および後の抗原粒子の効力を測定することにより、また、組成物が乾燥される前の効力に基づき決定される、少なくとも50%の相対効力を有する、請求項18~30のいずれか一項に記載のフリーズドライ方法。
【請求項32】
抗原粒子が、4週間にわたる40℃および75%相対湿度(RH)における貯蔵後に、少なくとも50%の相対効力を有し続ける、請求項31に記載のフリーズドライ方法。
【請求項33】
抗原粒子が、レーザー回折によって決定された場合、X90値が約30μm未満である累積的なアンダーサイズ分布を有する、請求項18~32のいずれか一項に記載のフリーズドライ方法。
【請求項34】
抗原粒子が、少なくとも50%の相対効力を有し、前記相対効力が、参照水性懸濁液の効力に基づき、乾燥に供されていない組成物の前記参照水性懸濁液の抗原粒子中の抗原の効力および固体組成物の抗原粒子中の抗原の効力を測定することにより決定される、請求項18~33のいずれか一項に記載のフリーズドライ方法。
【請求項35】
請求項18~34のいずれか一項に記載のフリーズドライ方法によって入手可能な、固体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年5月21日に出願された米国特許仮出願第63/191,713号に基づく優先権の利益を主張し、当該仮出願の開示は、これにより、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出されたテキストファイルの記載
[0002] 本明細書と共に電子的に提出されたテキストファイルの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:配列表のコンピュータ可読フォーマットコピー(ファイル名:LIGO_029_01WO_SeqList_ST25.txt、記録日2021年5月23日、ファイルサイズ14,251バイト)。
【0003】
[0003] 本発明は、固体組成物、特に、免疫原性組成物、および水性懸濁液から水を除去するためのフリーズドライ方法、およびある量のノロウイルスワクチンを固体形態で含有するガラスバイアルに関する。
【背景技術】
【0004】
[0004] 世界保健機関(WHO:World Health Organization)は、ヒトワクチンの大部分が、輸送および貯蔵中に2~8℃のコールドチェーン貯蔵において保たれることを推奨する(Temperature sensitivity of vaccines.Geneva:World Health Organization;2006を参照)。Prevnar-13およびGardasil-9等の多くのワクチンは、アジュバントとして不溶性アルミニウム塩を含有する。残念ながら、緩慢凍結は、不溶性アルミニウム塩微小粒子の不可逆的凝集を引き起こし、ワクチン効力および有効性の損失を生じるため(Zapata MIら、Journal of pharmaceutical sciences.1984;73(1):3~8;Kristensen Dら、Vaccine.2011;29(41):7122~4;Diminsky Dら、Vaccine.1999;18(1~2):3~17;およびBoros CAら、Vaccine.2001;19(25~26):3537~4を参照)、アルミニウム塩をアジュバントとして入れたワクチンは、輸送または貯蔵中に凍結温度に曝露してはならない。従来のフリーズドライ技法は、相対的に緩慢な凍結速度が原因の不溶性アルミニウム塩微小粒子の不可逆的凝集を、したがって、ワクチン効力および有効性の損失を十分に防止している訳ではない。加えて、液体ワクチン中のタンパク質抗原は脆弱過ぎて、延長された期間にわたり室温以上に曝露されたときに安定ではない。
【0005】
[0005] コールドチェーン要件は、費用のかかる廃棄物をワクチン供給にもたらすため、世界的にワクチンの流通を著しく妨げ(Wirkas Tら、Vaccine.2007;25(4):691~7;およびLydon Pら、Bulletin of the World Health Organization.2013;92:86~92を参照)、凍結または熱へのワクチンの不用意な曝露は、その効力を損ない、効力または有効性が最適に満たないワクチンの意図しない投与を生じ得る可能性がある(Diminsky Dら、Vaccine.1999;18(1-2):3~17;Nygaard UCら、Toxicological Sciences.2004;82(2):515~24;Davaalkham Dら、Journal of Epidemiology & Community Health.2007;61(7):578~84;Mansoor OおよびPillans P、The New Zealand medical journal.1997;110(1048):270~2;ならびにMenon Pら、Indian Journal of medical research.1976;64(1):25~32を参照)。
【0006】
[0006] この課題に取り組むことには大きな関心があり、これを解決するための戦略は一般に、2つの要素からなる。第1の戦略は、ワクチン中に安定化試薬を添加して、凍結の際の凝集を防止することである。例えば、Program for Appropriate Technology(PATH)およびその研究協力者は、アルミニウム塩を含有するワクチンにグリセロール、ポリエチレングリコール300またはプロピレングリコールを添加することが、ワクチンが-20℃への複数回の曝露に供された後であっても、ワクチン凝集を防止し、ワクチン免疫原性を保存することを示した(Kristensen Dら、Vaccine.2011;29:7122~7124.)。Zapataらも、水酸化アルミニウムにおけるポリマーまたは界面活性剤、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリソルベート80の吸着が、凍結融解サイクル後の凝集を防止することを報告した(Zapata MIら、J.Pharm.Sci.1984;73:3~8.)。安定化剤が、粒子間に大きい立体的反発領域を生じさせ、粒子-粒子相互作用を妨げると考えられる(Zapata MIら、J.Pharm.Sci.1984;73:3~8.を参照)。しかし、ワクチンへの上述の賦形剤の添加は、より複雑な製剤をもたらし、ワクチンの用量当たりの費用を増加させ得る。
【0007】
[0007] 別の戦略は、凍結および/または乾燥技法を使用してワクチンを固体形態へと変換することである。しかし、固体形態への変換後に、ワクチンは復元されなければならず、これらの技法およびその後の復元プロセスは、粒子凝集を引き起こすおよび/またはワクチンの免疫原性を著しく変更することが示された。
【0008】
[0008] ノロウイルスは、いかなる年齢の対象においても急性胃腸炎の最も一般的な原因の1つとして指し示された(Hall AJら、Taylor&Francis;2016を参照)。ノロウイルスが、著しい罹患率でほぼ7億症例の疾病を引き起こし、世界中で社会的負担を生じる(すなわち、年間総計$42億が直接的な保健制度費用において、また、$603億が社会的費用において推定される)ことが報告された(Hall AJら、Taylor&Francis;2016を参照)。年間200,000名を超える死亡が、主に開発途上国において、ノロウイルス疾病に起因すると推定され(Bartsch SMら、PloS one.2016;11(4):e0151219)、これらの国々では、貯蔵および輸送のためにコールドチェーンを要求しないワクチンが、最も有益かつ必須となるであろう。2016年に、WHOは、ノロウイルスワクチンの開発が絶対優先であると述べた。液体ノロウイルスワクチン候補が、ヒトにおける疾病の大部分を引き起こす2種のジェノグループを網羅するように筋肉内注射のために開発された(Masuda Tら、Open Forum Infectious Diseases;2018:Oxford University Press;およびBernstein DIら、The Journal of infectious diseases.2015;211(6):870~8を参照)。具体的には、これは、二価ウイルス様粒子(VLP)ワクチンであり、懸濁液中の(オキシ)水酸化アルミニウムに吸着された2種のノロウイルス株由来の抗原からなる。第1/2相試験から得られたデータは、このワクチン候補が、一般に耐容性が良く、チャレンジ後にノロウイルス疾病の症状および重症度に臨床的に意義のある影響を有することを示した(Masuda Tら、Open Forum Infectious Diseases;2018:Oxford University Press;およびBernstein DIら、The Journal of infectious diseases.2015;211(6):870~8を参照)。しかし、その複雑な構造が原因で、VLPに基づくワクチンは、不安定である、すなわち、様々な凍結乾燥条件下でアジュバントありまたはなしで効力損失する傾向があることが予想される。よって、アジュバント入りワクチン、特に、アジュバント入りVLPワクチンの粒子集塊および効力損失に関する上述の(above-menitoned)課題に取り組みつつ、貯蔵および輸送のためにコールドチェーンを要求しない形態でのノロウイルスVLPワクチン等のアジュバント入りVLPワクチンを提供することには、現在進行中のかつ満たされていない必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0009] 本発明の目的は、アジュバント粒子に吸着されたウイルス様粒子(VLP)を含む抗原粒子を含む組成物であって、抗原の効力を保存しつつ粒子凝集および抗原損失を十分に防止するために、2℃および8℃等の低温で貯蔵される必要がない組成物を提供することである。
【0010】
[0010] 本発明のさらに別の目的は、抗原の効力を保存しつつ、抗原損失または粒子凝集を引き起こすことなく、アジュバントに吸着されたウイルス様粒子を含む抗原粒子を含む水性懸濁液から、固体組成物を得ることである。
【0011】
[0011] 本発明のさらに別の目的は、アジュバントに吸着されたウイルス様粒子を含む抗原粒子を含む水性懸濁液から固体組成物を得ることであり、相対効力は、50%~150%の、それらの間の全ての範囲および部分的範囲を含めた範囲内であり、相対効力は、水性懸濁液の抗原粒子の効力と比べた固体組成物の抗原粒子の効力によって決定され、効力は、in vitro相対効力アッセイによって決定される。
【0012】
[0012] 本発明のさらに別の目的は、アジュバント粒子に吸着されたウイルス様粒子(VLP)を含む抗原粒子を含む組成物であって、組成物が、粒子凝集に関して安定しており、抗原の効力が、苛酷な条件下で、例えば、4週間等の延長された期間にわたり40℃および75%相対湿度に曝露された場合に保存される、組成物を提供することである。
【0013】
[0013] 本発明のさらに別の目的は、アジュバント粒子に吸着されたウイルス様粒子(VLP)を含む抗原粒子を含む組成物であって、低い水分含量、特に、前記固体組成物の総質量に基づき3%未満の水分含量を有する組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
[0014] 上述の目的は、本明細書に記載および請求される本発明の実施形態によって達成される。
【0015】
[0015] 第1の態様によれば、本発明は、したがって、アジュバント粒子に吸着されたウイルス様粒子(VLP)を含む抗原粒子を含む固体組成物を対象にする。
【0016】
[0016] 第2の態様によれば、本発明は、水性懸濁液から水を除去するためのフリーズドライ方法であって、水性懸濁液が、
- アジュバント粒子に吸着されたウイルス様粒子を含む抗原粒子を含み、
- 方法が、
- ステップ1:任意選択により約2℃~約15℃の範囲に及ぶ温度の、水性懸濁液を用意するステップ;
- ステップ2:少なくとも50K/秒の凍結速度でステップ1の温度を減少させて、第1の凍結した懸濁液を得るステップ;
- ステップ3:液体窒素の温度に冷却された容器内に凍結した懸濁液を収集して、第2の凍結した懸濁液を得るステップ;
- ステップ4:第2の凍結した懸濁液を、減圧下でさらなる乾燥条件に供して、前記第1の態様に係る固体組成物を得るステップ
を含む、フリーズドライ方法を対象にする。
【0017】
[0017] 第3の態様によれば、本発明は、第2の態様に係るフリーズドライ方法によって入手可能な固体組成物を対象にする。
【0018】
[0018] 第4の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様に係る固体組成物等の固体形態のノロウイルスワクチンの単一用量を含有するガラスバイアルであって、水性懸濁液の形態の前記単一用量を、液体窒素の温度に冷却されたバイアルの壁にアプライし、懸濁液を凍結させ、バイアル内で懸濁液を乾燥させることによって入手可能な、ガラスバイアルを対象にする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】[0019]in vitro相対効力(IVRP)アッセイのための例示的な(Exemplarily)プレートレイアウト。
図2A】[0020]様々な濃度のトレハロース(すなわち、0~5%、w/v)を使用して薄膜フリーズドライによって調製された粉末から復元されたノロウイルスワクチンの代表的な粒子径分布曲線。測定を3回反復して、同様の結果を得た。
図2B】[0020]様々な濃度のスクロース(すなわち、0~5%、w/v)を使用して薄膜フリーズドライによって調製された粉末から復元されたノロウイルスワクチンの代表的な粒子径分布曲線。測定を3回反復して、同様の結果を得た。
図3】[0021]復元後の例示的な製剤(すなわち、5%のスクロースまたは4%のスクロース)を用いた、バルクおよび単一バイアル薄膜フリーズドライされたノロウイルスワクチン粉末の代表的な粒子径分布曲線。2または3本のバイアルを用いて測定を反復して、同様の結果を得た。
図4A】[0022]株GII.4コンセンサスVLP抗原に対するIVRPアッセイによって測定された相対効力(4A)。
図4B】[0022]GI.1ノーウォークVLP抗原に対するIVRPアッセイによって測定された相対効力(4B)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
[0023] 用語「VLP」は、本発明の目的のために、ウイルス様粒子を指すと定義される。ノロウイルスVLP等のウイルス様粒子は、ウイルスと構造的に同様であるが、感染性遺伝物質を欠如し、したがって、感染性ではない。VLPは通常、カプシドタンパク質の組換え発現および自発的自己集合によって調製される。
【0021】
[0024] 本明細書で使用される場合、用語「薄膜フリーズドライ」(TFFD)は、特異的なフリーズドライ方法であり、それによると、約500μm未満の厚さを有する凍結したフィルムの形態の第1の凍結した液体を形成するために、フリーズドライされるべき液体、例えば、溶液または懸濁液は、運動する(例えば、回転する)低温の表面に滴下され、凍結される(典型的には、約100K/秒~約1000K/秒の範囲またはそれらの間のいずれかの範囲もしくは部分的範囲に及ぶ凍結速度で)。一部の実施形態では、厚さは、約50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、950μm、1mm未満であり、それらの間のいずれかの値を含む。「運動すること」は、本明細書で使用される場合、前記低温の表面およびノズルまたは他の種類のオリフィスの互いとの相対的な運動を指し、それを介して、フリーズドライされるべき液体は流動し、これにより、低温の表面およびオリフィスが互いとの関連で運動する限りにおいて、外部固定点を参照して、低温の表面、オリフィスまたはその両方のいずれかは、運動することができる。一部の実施形態では、運動することは、回転すること、振動すること、平行移動すること、傾けること、分離することまたはこれらのいずれかの組合せを含む。第2の凍結した液体を形成するために、前記凍結したフィルムは、ほとんど液体窒素の温度に冷却された容器内に収集される。この第2の凍結した液体は次いで、20~100時間の期間および約500mTorr未満の圧力での約-50℃~約30℃の範囲に及ぶ温度プロファイル等、従来の棚(shelf)フリーズドライの条件と同様のさらなる乾燥条件に供される。用語「フリーズドライ」および「凍結乾燥」は、本明細書で互換的に使用される。
【0022】
[0025] 用語「固体組成物」は、乾燥組成物を指す。一部の実施形態では、用語「乾燥」は、組成物の総質量に基づき約5wt.-%未満の、より好ましくは、約3wt.-%未満の水分含量を有する組成物に関し、水分含量は、実施例セクションに示すKarl Fischer滴定方法等のKarl Fischer滴定方法を使用して決定される。例えば、固体乾燥組成物は、水性懸濁液に対してTFFDを実行することにより得ることができる。一部の実施形態では、固体組成物は、約5、4、3、2または1wt.-%未満の水分含量を有し、それらの間のいずれかの値を含む。
【0023】
[0026] 「X10、X50およびX90」は、抗原粒子の累積的なアンダーサイズ分布の10%、50%および90%に対応する値を表示する。換言すると、X10、X50およびX90はそれぞれ、試料中の抗原粒子のそれぞれ10%、50%および90%がより小さい、抗原粒子の寸法を表示する。その代わりに、X10、X50およびX90は、当技術分野でD10、D50およびD90とも称される。X10、X50およびX90は、ほぼ10%の不明瞭化(obscuration)効果を達成するための任意選択による2倍希釈後に、レーザー回折方法を使用して決定される。一部の実施形態では、X10、X50およびX90は、実施例セクションに記載されているレーザー回折方法によって決定することができる。
【0024】
[0027] 用語「水性懸濁液」は、本明細書に記載されている抗原粒子等の固体の分散について記載し、水性懸濁液は、懸濁液の総質量に対して少なくとも約50wt.-%または少なくとも約60wt.-%の水分含量を有し、水性懸濁液の総質量に対して分散された固体の5wt.-%未満、好ましくは、1wt.-%未満が溶解されている。一部の実施形態では、水分含量は、少なくとも約50、55、60、65、70、75、80、85、90または95wt.-%であり、それらの間のいずれかの値を含む。一部の実施形態では、水性溶液の総質量に対して、分散された固体の約5、4、3、2または1wt.-%未満が溶解されている。一部の実施形態では、水性懸濁液のpHは、約6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9もしくは7.0、またはそれらの間のいずれかの範囲もしくは部分的範囲である。一部の実施形態では、そのような水性懸濁液のpHは、約6~約7、好ましくは、約6.4~約6.6の範囲に及ぶ。
【0025】
[0028] 「in vitro相対効力」(IVRP)アッセイ、例えば、本明細書の実施例セクションに記載されているIVRPアッセイは、抗原の相対効力を決定するために使用される。したがって、固体組成物と同じ量で同じ構成成分を含み、乾燥に供されていない参照水性懸濁液、例えば、参照ワクチン中の抗原粒子に含まれる抗原の効力と、復元(reconsitution)前に乾燥に供された被験ワクチン(例えば、100μg/mlの濃度を有する抗原粒子の水性懸濁液を達成するように固体組成物を復元するために蒸留または滅菌水等の水と混合された固体組成物)の抗原粒子に含まれる抗原の効力とが決定される。その後、相対効力は、被験組成物の効力を参照ワクチンの効力で割ることにより決定される。特に、前記IVRPアッセイによって決定される相対効力が、約50%~約150%の範囲に及ぶ許容範囲内にある場合、被験組成物は、苛酷な条件下であっても「安定的」として定義される。
【0026】
[0029] 本明細書で使用される場合、「苛酷な」貯蔵条件は、4週間等の延長された期間にわたる、室温(すなわち、20℃)または40℃等、8℃を超える増加させた貯蔵温度および75%等の相対湿度を含む、固体組成物の貯蔵条件である。一部の実施形態では、苛酷な貯蔵条件は、約8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49もしくは50℃、またはそれらの間のいずれかの値を超える貯蔵温度を含む。一部の実施形態では、苛酷な貯蔵条件は、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12週間の期間にわたる非最適条件での貯蔵を含む。一部の実施形態では、苛酷な貯蔵条件は、少なくとも約60、65、70、75、80、85もしくは90%、またはそれらの間のいずれかの値の湿度への曝露を含む。一部の実施形態では、苛酷な条件は、4週間の延長された期間にわたる40℃の貯蔵温度および75%の相対湿度を含む、加速された安定性試験条件に関する。
【0027】
[0030] 本明細書で使用される場合、相対効力を決定するために使用される「参照ワクチン」は、被験ワクチン(例えば、100μg/mlの濃度を有する抗原粒子の水性懸濁液を達成するように固体組成物を復元するために蒸留または滅菌水等の水と混合された固体組成物)と同じ絶対量の同じ構成成分(水以外)、すなわち、本明細書に記載されている抗原粒子が分散された水性懸濁液である。被験ワクチンとは対照的に、「参照水性懸濁液」または「参照ワクチン」は、その効力の測定に先立ち乾燥に供されていない。本明細書で解析される被験ワクチンの相対効力を決定するために、異なる被験ワクチン間の比較性を確実にするために、同じ参照ワクチンが使用される。参照ワクチンは、2℃~8℃の間の温度で連続的に貯蔵される。「参照ワクチン」および被験ワクチンは、互いに独立に調製することができる。
【0028】
[0031] 用語「抗原粒子」は、VLPを含む抗原が吸着されており、抗体応答を誘導することができる、アジュバント粒子を指す。
【0029】
[0032] 用語「粒子」は、本明細書で使用される場合、本質的に溶解することなく、水性溶液中に分散され得る固体を指す。一部の実施形態では、粒子は、水性溶液中に分散されたときに、少なくとも約0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μmもしくは1.0μm、またはそれらの間のいずれかの値の寸法を有する。一部の実施形態では、粒子は、水性溶液中に分散されたときに、少なくとも約0.5μmの寸法を有する。
【0030】
[0033] 国際ウイルス分類委員会(International Committee on Taxonomy of Viruses)に従った用語「種」は、その特性が複数の基準によって他の種の特性から区別され得る、ウイルスの単系統群として定義される。ノロウイルスは、ウイルス種の一例である。
【0031】
[0034] 用語「遺伝子型」は、本発明の目的のために、ジェノグループGI、GII、GIIIおよびGIV内のノロウイルス遺伝子型等、生物の遺伝的構成を指すと定義される。
【0032】
[0035] 本明細書で使用される場合、「免疫原性組成物」は、抗原粒子を含み、その抗原粒子に基づいて対象における免疫応答を誘発することができる、組成物を指す。この文脈内で、対象は、動物またはヒトであり得る。
【0033】
[0036] 用語「ワクチン」または「ワクチン組成物」は、本発明の目的のために、哺乳類に投与され得る形態の本明細書に開示されるVLPを含有し、哺乳類におけるウイルス感染に対する防御免疫を誘発する製剤を指すと定義される。
【0034】
[0037] 用語「アジュバント粒子」は、本発明の目的のために、例えば、哺乳類ワクチンとして使用される場合に、増強された免疫応答を生じるために水性組成物に添加される化合物を指すと定義される。アジュバント粒子は、例えば、アルミニウム塩であり得る。
【0035】
[0038] 用語「ノロウイルス」は、本発明の目的のために、カリシウイルス(Caliciviridae)科のノロウイルス種のメンバーを指すと定義される。一部の実施形態では、ノロウイルスは、ヒトまたは非ヒト哺乳類種に感染性であり得る、関連するポジティブセンス一本鎖RNA、無エンベロープウイルスの群を含むことができる。一部の実施形態では、ノロウイルスは、ヒトにおいて急性胃腸炎を引き起こすことができる。15種の遺伝的クラスターを含む核酸およびアミノ酸配列によって定義される少なくとも4種の遺伝子型(GI、GII、GIII、GIV)がノロウイルスの群内に含まれる。主要な遺伝子型は、GIおよびGIIである。ノロウイルスの非限定的な例は、ノーウォークウイルス(NV、GenBank M87661、VP1配列NP_056821)、サザンプトン(Southampton)ウイルス(SHV、GenBank L07418)、デザートシールド(Desert Shield)ウイルス(DSV、GenBank U04469)、ヘッセ(Hesse)ウイルス(HSV)、千葉(Chiba)ウイルス(CHV、GenBank AB042808)、ハワイ(Hawaii)ウイルス(HV、GenBank U07611)、スノーマウンテン(Snow Mountain)ウイルス(SMV、GenBank U70059)、トロント(Toronto)ウイルス(TV、Leiteら、Arch. Virol.141:865~875)、ブリストル(Bristol)ウイルス(BV)、イエナ(Jena)ウイルス(JV、GenBank AJ011099)、メリーランド(Maryland)ウイルス(MV、GenBank AY032605)、瀬戸(Seto)(愛知(Aichi))ウイルス(SV、GenBank AB031013)、キャンバーウェル(Camberwell)(CV、GenBank AF145896)、ローズデール(Lordsdale)ウイルス(LV、GenBank X86557)、グリムズビー(Grimsby)ウイルス(GrV、GenBank AJ004864)、メキシコ(Mexico)ウイルス(MXV、GenBank U22498)、ボクサー(Boxer)(GenBank AF538679)、C59(GenBank AF435807)、VA115(GenBank AY038598)、BUDS(GenBank AY660568)、ヒューストン(Houston)ウイルス(HoV、GenBank EU310927)、MOH(GenBank AF397156)、パリスアイランド(Paris Island)(PiV、GenBank AY652979)、VA387(GenBank AY038600)、VA207(GenBank AY038599)およびオペレーションイラクフリーダム(Operation Iraqi Freedom)(OIF、GenBank AY675554)を含む。GII.4株等の2種以上のノロウイルス株由来のコンセンサス配列を表す構築物である、ノロウイルスコンセンサスVLPも含まれる。コンセンサス配列が、前記2種以上のノロウイルス株の配列のそれぞれと比較して少なくとも1個の異なるアミノ酸を含有するような、2種以上のノロウイルス株由来のコンセンサス配列に由来するノロウイルス複合VLPも含まれる。ノロウイルスコンセンサスVLPの構築は、その全体が参照により本明細書に(herewith)組み込まれる、WO2010/017542に開示されている。
【0036】
詳細な説明
VLP種および産生
[0039] ウイルス様粒子(複数可)またはVLP(複数可)は、ウイルス、特に、無エンベロープウイルスのカプシドタンパク質コード配列から産生された、感染性ウイルスのものと同様の抗原性特徴(複数可)を含む、ウイルス様粒子(複数可)を指す。
【0037】
[0040] 一部の実施形態では、VLPは、無エンベロープウイルスのカプシドタンパク質から産生される。一部の実施形態では、無エンベロープウイルスは、カリシウイルス(例えば、ノロウイルスまたはサポウイルス)、ピコルナウイルス、アストロウイルス、アデノウイルス、レオウイルス、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルスおよびE型肝炎ウイルスからなる群から選択される。
【0038】
[0041] 一部の実施形態では、VLPは、ウイルスの少なくとも1つの種またはウイルスの少なくとも2つの異なる種またはウイルスの少なくとも3つの異なる種またはウイルスの少なくとも4つの異なる種に由来する。
【0039】
[0042] 一部の実施形態では、VLPは、ノロウイルスVLP、ロタウイルスVLP、HPV VLP、インフルエンザウイルスVLP、コロナウイルスVLPおよびB型肝炎ウイルスVLPの種の群から選択される。一部の好まれる実施形態では、水性組成物は、ノロウイルスVLPおよびロタウイルスVLPの種の群から選択されるVLPを含むことができる。
【0040】
[0043] 一部の実施形態では、VLPは、少なくとも1種の遺伝子型を含む、またはVLPは、少なくとも2種の異なる遺伝子型を含む、またはVLPは、少なくとも3種の異なる遺伝子型を含む、またはVLPは、少なくとも4種の異なる遺伝子型を含む。一部の実施形態では、VLPは、個々の遺伝子型由来のカプシドタンパク質で個々に構成されたVLPの混合物を含む。例えば、一部の実施形態では、VLPは、ノロウイルス遺伝子型GI.1 VLPおよびノロウイルス遺伝子型GII.4 VLPを含む。一部の実施形態では、VLPは、複数の遺伝子型を表すコンセンサスカプシドタンパク質配列で構成される。
【0041】
[0044] 一部の実施形態では、VLPは、ノロウイルスジェノグループI(GI)VLP、ノロウイルスジェノグループII(GII)VLP、ノロウイルスジェノグループIII(GIII)VLPおよびノロウイルスジェノグループIV(GIV)VLPからなる群から選択されるノロウイルスVLPの1種または複数の異なる遺伝子型を含む。一部の好まれる実施形態では、ノロウイルスVLPの遺伝子型は、ノロウイルスジェノグループI(GI)VLPおよびノロウイルスジェノグループII(GII)VLPの群から選択され得る。一部のより好まれる実施形態では、ノロウイルスVLPの遺伝子型は、ノロウイルス遺伝子型I.1(GI.1)VLP、ノロウイルス遺伝子型II.2(GII.2)VLPおよびノロウイルス遺伝子型II.4(GII.4)VLP、例えば、ノーウォークGI.1ウイルスVLP、およびいくつかのノロウイルスGII.4株由来のコンセンサス配列または複合配列を表す構築物の群から選択され得る。さらに(Futhermore)、VLPが、ノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLPおよびノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLPからなることが好まれる。例えば、一部の実施形態では、コンセンサス配列または複合配列は、ヒューストン株、ミネルバ(Minerva)株およびローレンス(Laurens)株からなる群から選択されるノロウイルス株に由来する。一部の実施形態では、ノロウイルス株GII.4コンセンサスVLPのコンセンサス配列は、配列番号1によって表される(respresented)。一部の実施形態では、ノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLPの配列は、配列番号2によって表される。一部の実施形態では、ノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLPの配列は、配列番号3によって表される。一部の実施形態では、ノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLPのコンセンサス配列は、配列番号1によって表され(respresented)、ノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLPの配列は、配列番号2または3によって表される。一部の実施形態では、配列は、配列番号1、2または3に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%同一性を有する。ノロウイルスVLPは、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2010/017542に開示される方法によって産生することができる。次の特許公開のそれぞれの内容もまた、それらの全体が、あらゆる目的のため参照により本明細書に組み込まれる:WO2008/042789;WO2008/113011;WO2009/039229;WO2010/017542;WO2013/009849;WO2013/192604;WO2020/041192;WO2020/132510;およびWO2015/051255。
【0042】
[0045] 目的のVLPの配列を下の表1に提示する。
【0043】
【表1】
【0044】
アジュバント粒子
[0046] ワクチンのためのアジュバント効果を達成する様々な方法は、知られており、本明細書に開示されるVLPと併せて使用することができる。一般原則および方法は、「The Theory and Practical Application of Adjuvants」、1995、Duncan E.S.Stewart-Tull(編)、John Wiley&Sons Ltd、ISBN 0-471-95170-6,およびまた、「Vaccines: New Generation Immunological Adjuvants」、1995、Gregoriadis Gら(編)、Plenum Press、New York、ISBN 0-306-45283-9に詳述されており、それらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
[0047] 一部の実施形態では、例示的なアジュバント粒子は、アルミニウム塩、リン酸カルシウム・キトサン(calcium phosphatechitosan)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLG)微小粒子、ポロクサマー粒子および微小粒子を含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、アジュバント粒子は、アルミニウム塩である。
【0046】
[0048] 一部の実施形態では、アジュバントは、アルミニウム塩(水酸化アルミニウム等)、リン酸アルミニウム、(オキシ)水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、沈殿水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウムおよびゲル状水酸化アルミニウム、例えば、アルハイドロゲル85のうち少なくとも1種を含む。以降、薬学的に許容される形態の、特に、アジュバントとしての使用のための、水酸化酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムならびに沈殿および/またはゲル状水酸化アルミニウムはまた、「水酸化アルミニウム」とまとめて称される。
【0047】
[0049] 一部の実施形態では、アジュバントは、水酸化アルミニウムである。
【0048】
抗原粒子
[0050] 本発明に係る抗原粒子は、上に記載されているアジュバント粒子に吸着された上に記載されているウイルス様粒子(VLP)を含む抗原粒子を含む。そのような抗原は、溶媒、例えば、水性溶媒中でVLPおよびアジュバント粒子を無菌的にブレンドすることにより入手可能であり得る。
【0049】
[0051] いかなる理論に制約されることも望まないが、アルミニウム塩(例えば、水酸化アルミニウム等)に1種または複数のVLP抗原(複数可)(例えば、ノロウイルスVLP)を吸着することは、VLP抗原の安定性を増強することができる。
【0050】
[0052] 一部の実施形態では、抗原粒子は、レーザー回折によって決定された場合、X90値が約30μm未満である累積的なアンダーサイズ分布を有する。一部の実施形態では、X90値は、約40、35、30、25、20、15もしくは10μm、またはそれらの間のいずれかの値未満である。一部の実施形態では、X90値は、約20μm未満または約15μm未満である。一部の実施形態では、X90値は、これらの抗原粒子を含む固体組成物の復元(reconsitution)後に測定され、前記固体組成物は、例えば、TFFD等のフリーズドライに供された新たに調製された水性懸濁液から得られる。一部の実施形態では、X90値は、同じ量で同じ抗原粒子を含む、本明細書に定義される参照水性懸濁液のX90値に匹敵する。よって、一部の実施形態では、そのようなX90値は、固体組成物の粒子が、フリーズドライ後に著しく集塊しなかったことの指標である。いかなる理論に制約されることも望まないが、そのような集塊防止が、抗原粒子におけるVLP抗原の効力も保存すると仮定される。例えば、集塊防止は、VLP抗原の物理的特徴、VLP抗原の分散、VLP抗原の露出された表面積その他を保存することができる。
【0051】
[0053] 一部の実施形態では、抗原粒子は、レーザー回折によって決定された場合、X90値が約5μm超~約30μm未満である累積的なアンダーサイズ分布を有する。一部の実施形態では、X90値は、約1μm~30μm、約5μm~30μm、約5μm~20μmもしくは約5μm~15μmの範囲、またはそれらの間のいずれかの範囲もしくは部分的範囲内である。一部の実施形態では、X90値は、約5μm超~約20μm未満である。一部の実施形態では、X90値は、約5μm超~約15μm未満である。
【0052】
[0054] 一部の実施形態では、上に開示されるX90値に加えてまたはその代わりに、抗原粒子は、レーザー回折によって決定されたX50値を有する。一部の実施形態では、X50値は、約10、9、8、7、6、5、4、3もしくは2μm、またはそれらの間のいずれかの値未満である。一部の実施形態では、抗原粒子は、約5μm未満のX50値を有する。一部の実施形態では、抗原粒子は、約4.5μm未満のX50値を有する。一部の実施形態では、X50値は、0.5~20μm、1~15μm、1~10μm、2~5μm、2.1~4.5μmの範囲、またはそれらの間のいずれかの範囲もしくは部分的範囲内である。一部の実施形態では、前記X50値は、約2μm超~約5μm未満または約2.1μm超~約4.5μm未満の範囲に及ぶ。
【0053】
[0055] 一部の実施形態では、上に開示されるX90値および/またはX50値に加えてまたはその代わりに、抗原粒子は、レーザー回折によって決定されたX10値を有する。一部の実施形態では、X10値は、約3、2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2もしくは0.1μm、またはそれらの間のいずれかの値未満である。一部の実施形態では、X10値は、約2μm未満または約1.9μm未満である。一部の実施形態では、前記X10値は、約0.7μm超~約2μm未満または約0.8μm超~約1.9μm未満の範囲に及ぶ。
【0054】
固体組成物
[0056] 第1の態様によれば、本発明は、上に記載されているアジュバント粒子に吸着された、上に記載されているウイルス様粒子(VLP)を含む上に記載されている抗原粒子を含む固体組成物を対象にする。一部の実施形態では、前記固体組成物は、同じ量で同じ構成成分を含む、新たに調製された水性懸濁液等の水性懸濁液を乾燥させることによって得られる。一部の実施形態では、前記固体組成物は、同じ量で同じ構成成分を含む、新たに調製された水性懸濁液等の水性懸濁液をフリーズドライすることによって得られる。一部の実施形態では、前記固体組成物は、新たに調製された水性懸濁液と同じ絶対量で同じ構成成分を含む、新たに調製された水性懸濁液等の水性懸濁液においてTFFDを実行することによって得られる。
【0055】
[0057] 一部の実施形態では、抗原粒子は、少なくとも約50%の相対効力を有し、前記相対効力は、参照水性懸濁液の効力に基づき、乾燥に供されていない本明細書に定義される組成物の前記参照水性懸濁液の抗原粒子中の抗原の効力および固体組成物の抗原粒子中の抗原の効力を測定することにより決定される。一部の実施形態では、相対効力は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190もしくは200%、またはそれらの間のいずれかの値である。一部の実施形態では、相対効力は、50~100%、75~150%もしくは50~150%の範囲、またはそれらの間のいずれかの範囲もしくは部分的範囲内である。一部の実施形態では、前記相対効力は、約50%~約150%の範囲に及び、それらの間の全ての範囲および部分的範囲を含む。
【0056】
[0058] 一部の実施形態では、抗原粒子は、苛酷な貯蔵条件での貯蔵後に、少なくとも約50、60、70、80、90、100、110、120、130、140もしくは150%、またはそれらの間のいずれかの値の相対効力を有する。一部の実施形態では、相対効力は、50~100%、75~150%もしくは50~150%の範囲、またはそれらの間のいずれかの範囲もしくは部分的範囲内である。一部の実施形態では、苛酷な貯蔵条件は、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55もしくは60℃、またはそれらの間のいずれかの範囲もしくは部分的範囲の温度における貯蔵を含む。一部の実施形態では、抗原粒子は、少なくとも約50、55、60、65、70、75、80、85または90%の相対湿度で貯蔵される。一部の実施形態では、抗原粒子は、少なくとも1、2、3、4、5、6もしくは7日間または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12週間、またはそれらの間のいずれかの値にわたり、苛酷な貯蔵条件で貯蔵される。一部の実施形態では、抗原粒子は、少なくとも4週間にわたる約40℃および約75%相対湿度(RH)における貯蔵後に、少なくとも約50%の相対効力を有し続ける。一部の実施形態では、抗原粒子は、少なくとも4週間にわたる約40℃および約75%相対湿度(RH)における貯蔵後に、約50%~約150%の範囲に及ぶ相対効力を有し続ける。一部の実施形態では、固体組成物の抗原粒子の効力は、加速された安定性試験において、著しく変化しないまたは著しく減少しない。このことは、固体組成物の使用が、コールドチェーン要件に取り組むのに実行可能なアプローチであること、すなわち、2℃~8℃の範囲に及ぶ温度下での抗原粒子の貯蔵が必要とされないことを指し示す。
【0057】
[0059] 一部の実施形態では、固体組成物は、乾燥組成物の総質量に基づき約10、9、8、7、6、5、4、3、2または1wt.-%未満の水分含量を有する乾燥組成物であり、前記水分含量は、Karl Fischer滴定方法を使用して決定される。一部の実施形態では、これは、約5wt.-%未満、約3 wt.-%未満または約2wt.-%未満の水分含量を有する。一部の実施形態では、低い水分含量は、組成物の新たに調製された水性懸濁液等の組成物の水性懸濁液においてTFFDを実行することにより達成される。
【0058】
[0060] 一部の実施形態では、固体組成物は、糖または糖アルコールをさらに含む。一部の実施形態では、糖は、単糖、二糖、オリゴ糖または多糖である。一部の実施形態では、糖は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、スクロース、ラクトース、マルトースまたはトレハロースである。一部の実施形態では、糖は、トレハロース、ラクトースまたはスクロースである。一部の実施形態では、糖は、スクロースである。一部の実施形態では、糖アルコールは、エチレングリコール、グリセロール、エリスリトール、トレイトール(threitol)、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール(fucitol)、イジトール(iditol)、イノシトール、ボレミトール(volemitol)、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール(maltotriitol)、マルトテトライトール(maltotetraitol)またはポリグリシトール(polyglycitol)である。一部の実施形態では、糖アルコールは、マンニトールである。
【0059】
[0061] 一部の実施形態では、固体組成物における糖または糖アルコールの質量に基づく抗原粒子および糖または糖アルコールの間の質量比は、2×10-2~7×10-2の範囲内であり、それらの間のいずれかの範囲または部分的範囲を含む。一部の実施形態では、固体組成物における糖または糖アルコールの質量に基づく抗原粒子および糖または糖アルコールの間の質量比は、約7×10-2、6×10-2、5×10-2、4×10-2、3×10-2または2×10-2未満である。一部の実施形態では、固体組成物における糖または糖アルコールの質量に基づく抗原粒子および糖または糖アルコールの間の質量比は、約4.2×10-2未満である。一部の実施形態では、糖または糖アルコールの乾燥含量は、少なくとも約50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84もしくは85wt.-%、またはそれらの間のいずれかの範囲もしくは部分的範囲であり、乾燥含量は、水分不含固体組成物に基づき計算される。一部の実施形態では、糖または糖アルコールの乾燥含量は、少なくとも約60wt.-%である。一部の実施形態では、抗原粒子および糖、例えば、スクロースと組み合わせたトレハロースの間の質量比は、少なくとも約2.68×10-2である。一部の実施形態では、抗原粒子およびスクロースの間の質量比は、約2.8×10-2以下である。一部の実施形態では、質量比は、約2.8×10-2~約2.0×10-2の範囲に及ぶ。一部の実施形態では、全ての糖および糖アルコールの乾燥組合せ含量は、少なくとも約60wt.-%、65wt.-%、70wt.-%または75wt.-%である。一部の実施形態では、トレハロースおよびスクロースの乾燥組合せ含量は、約75.75wt.-%であるか、またはスクロースの乾燥含量は、少なくとも約75.75wt.-%である。驚いたことに、抗原粒子の糖に対する質量比および/または糖の乾燥含量が、開示される範囲内であるか、またはそのような範囲の特定の値を包含する場合、粒子集塊がさらに防止され得ることが見出された。一部の実施形態では、水性溶液中の糖および/または糖アルコールの重量パーセントは、1~5%、2~5%もしくは2~4%、またはそれらの間のいずれかの範囲もしくは部分的範囲であり、水性溶液は、参照ワクチン内の濃度に匹敵する濃度で、または参照ワクチンの濃度の少なくとも約80%~約110%で参照ワクチンの固体構成成分を含む。
【0060】
[0062] 一部の実施形態では、その水分(mosture)不含形態(すなわち、固体組成物の総質量に基づく0.0wt.-%の水分含量)に基づき計算された固体組成物の総質量は、約10mg~約60mgまたは約15mg~約50mgの範囲に及ぶことができる。一部の実施形態では、総質量は、約30mg~約50mgの範囲に及ぶことができる。より好ましくは、固体組成物の総質量は、約15.69mg、約21.8mg、約26.8mg、31.8mg、36.8mg、41.8mgまたは46.8mgであり得る。
【0061】
[0063] 一部の実施形態では、固体組成物は、約10μg~約100μgのノロウイルス株GI.1ノーウォークVLP、約30μg~約200μgのノロウイルス株GII.4コンセンサスVLP、および約300μg~約700μgのアジュバントを含む。一部の実施形態では、組成物は、400μg~約600μgまたは約500μgのアジュバントを含む。一部の実施形態では、前記組成物は、少なくとも約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30mgの糖もしくは糖アルコール、またはそれらの間のいずれかの範囲もしくは部分的範囲を含む。一部の実施形態では、前記組成物は、少なくとも約20mgの糖または糖アルコールを含む。一部の実施形態では、固体組成物は、約20mgのトレハロースおよび任意選択により約6.11mgのスクロースを含む。一部の実施形態では、固体組成物は、少なくとも約20mgのスクロース~多くても約25mgもしくは約30mgのスクロース、またはそれらの間のいずれかの範囲もしくは部分的範囲を含む。
【0062】
[0064] 一部の実施形態では、VLPは、ノロウイルス株GI.1ノーウォークVLPおよびノロウイルス株GII.4コンセンサスVLPであり、組成物は、約15μg~約50μgのノロウイルス株GI.1ノーウォークVLP、約50μg~約150μgのノロウイルス株GII.4コンセンサスVLPおよび約500μgのアジュバントを含み、アジュバントは、Al(OH)3の形態の水酸化アルミニウムである。好まれる実施形態では、VLPは、ノロウイルス株GI.1ノーウォークVLPおよびノロウイルス株GII.4コンセンサスVLPであり、組成物は、約15μgのノロウイルス株GI.1ノーウォークVLP、約50μgのノロウイルス株GII.4コンセンサス VLPおよび約500μgのアジュバントを含み、アジュバントは、Al(OH)3の形態の水酸化アルミニウムである。代わりに好まれる実施形態では、VLPは、ノロウイルス株GI.1ノーウォークVLPおよびノロウイルス株GII.4コンセンサスVLPであり、組成物は、約50μgのノロウイルス株GI.1ノーウォークVLP、約150μgのノロウイルス株GII.4コンセンサスVLPおよび約500μgのアジュバントを含み、アジュバントは、Al(OH)3の形態の水酸化アルミニウムである。より好まれる実施形態では、組成物は、約20mg、25mg、約26.11mgまたは約31,11mgのスクロースをその上含む。別のより好まれる実施形態では、組成物は、約20mgのトレハロースおよび任意選択により約6.11mgのスクロースをその上含む。
【0063】
[0065] 一部の実施形態では、固体組成物は、免疫原性組成物である。一部の実施形態では、前記免疫原性組成物は、ワクチン組成物である。
【0064】
[0066] 一部の実施形態では、ワクチン組成物は、約6~約7の範囲に及ぶpHを有する。一部の実施形態では、ワクチン組成物は、約6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9もしくは7.0、またはそれらの間のいずれかの値のpHを有する。一部の実施形態では、ワクチンは、約0.5mlの水またはバッファー溶液と混合した後に、約6.4~約6.6の範囲に及ぶpHを有する。
【0065】
[0067] 一部の実施形態では、ワクチン組成物は、約0.5mlの水またはバッファー溶液と混合した後に、約200~約600の範囲に及ぶ重量オスモル濃度を有する。一部の実施形態では、ワクチン組成物は、約0.5mlの水またはバッファー溶液と混合した後に、少なくとも約200、250、300、350、400、450、500、550もしくは600、またはそれらの間のいずれかの値の重量オスモル濃度を有する。
【0066】
[0068] 一部の実施形態では、ワクチン組成物は、塩、バッファー、例えば、アミノ酸、界面活性物質および無機酸からなる群から選択される追加のワクチン構成成分を含む。一部の実施形態では、バッファーは、リン酸塩、例えば、リン酸カリウム、酢酸塩および/またはTrisを含む。一部の実施形態では、塩は、塩化ナトリウムである。一部の実施形態では、バッファーは、アミノ酸L-ヒスチジン、グリシン、リジン、アルブミン(HSAおよび/またはBSA)および/またはプロリンである。一部の実施形態では、無機酸は、塩酸である。一部の実施形態では、追加のワクチン構成成分は、塩化ナトリウム、L-ヒスチジンおよび塩酸からなる。一部の実施形態では、界面活性物質は、Tween-80、ポロクサマー、ポリビニルアルコール(PVA)および/または当業者に知られている他の安定剤である。一部の実施形態では、組成物は、約3~約5mgの塩、約0.5~約3mgのバッファーとしてのアミノ酸および約0.5~約2.5mgの無機酸を含み、これらの範囲内のいずれかの範囲または部分的範囲を含む。
【0067】
[0069] 一部の実施形態では、固体組成物は、ワクチン組成物であり、VLPは、ノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLPおよびノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLPであり、組成物は、約15μgのノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLP、約50μgのノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLPおよび約500μgのアジュバントを含み、アジュバントは、Al(OH)の形態の水酸化アルミニウムであり、ワクチン組成物は、4.38mgの塩化ナトリウム、1.55mgのL-ヒスチジンおよび1.73mgのHClからなるさらに別のワクチン構成成分を含む。
【0068】
[0070] 一部の実施形態では、固体組成物は、ワクチン組成物であり、VLPは、ノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLPおよびノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLPであり、組成物は、約50μgのノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLP、約150μgのノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLPおよび約500μgのアジュバントを含み、アジュバントは、Al(OH)の形態の水酸化アルミニウムであり、ワクチン組成物は、4.38mgの塩化ナトリウム、1.55mgのL-ヒスチジンおよび1.73mgのHClを含むさらに別のワクチン構成成分を含む。一部の実施形態では、ワクチン組成物は、6.11mgのスクロースおよび20mgのトレハロースをその上含む。代替の好まれる実施形態では、組成物は、少なくとも約20mgまたは約26.11mgのスクロースかつ多くても約30mgまたは36.11mgのスクロースを含む。
【0069】
フリーズドライ方法
[0071] 第2の態様によれば、本発明は、新たに調製された水性懸濁液等の水性懸濁液から水を除去するためのフリーズドライ方法であって、
水性懸濁液が、
- 本明細書に記載されているアジュバント粒子に吸着された本明細書に記載されているウイルス様粒子を含む本明細書に記載されている抗原粒子を含み、
方法が、
- ステップ1:任意選択により、約2℃~約30℃の範囲に及ぶ温度の、水性懸濁液を用意するステップ;
- ステップ2:少なくとも50K/秒の凍結速度でステップ1の温度を減少させて、第1の凍結した懸濁液を得るステップ;
- ステップ3:液体窒素の温度に冷却された容器内に凍結した懸濁液を収集して、第2の凍結した懸濁液を得るステップ;
- ステップ4:第2の凍結した懸濁液を、減圧下でさらなる乾燥条件に供して、本発明の第2の態様に係る固体組成物を得るステップ
を含む、フリーズドライ方法を対象にする。
【0070】
[0072] 一部の実施形態では、ステップ1において水性懸濁液が用意される温度は、約2℃~約30℃または2℃~約27℃または2℃~約25℃の範囲に及ぶ。ある一部の実施形態では、温度は、約2℃~約8℃の範囲に及ぶ。
【0071】
[0073] 一部の実施形態では、ステップ1において水性懸濁液が用意される前に、水性懸濁液は、約20℃~約30℃の範囲に及ぶ温度で、特に、約22℃~約27℃の範囲に及ぶ温度で、より好ましくは、約25℃の温度で調製される。
【0072】
[0074] ある特定の実施形態では、ステップ2における第1の凍結した懸濁液は、約500μm未満または約450μm未満の厚さを有するフィルムとして形成される。好ましくは、フィルムの厚さは、約50μm~約500μmまたは約80~約450μmの範囲に及ぶ。好まれる実施形態では、前記フィルムは、水性懸濁液を、運動する低温の表面と接触させることにより形成される。そのような運動する低温の表面は、回転する環状体、例えば、シリンダー、例えば、ドラムまたはプレートの表面であり得る。好まれる実施形態では、回転体の直径は、約2cm~約20cmまたは約5~約10cmの範囲に及ぶ。より好ましくは、回転体の直径は、約10cmである。さらに、運動する低温の表面は、コンベヤーベルトの表面であり得る。回転する環状体、例えば、シリンダーまたはドラムの表面の場合、運動する表面の回転スピードは、約2rpm~約20rpmまたは約3rpm~約10rpm、好ましくは、約5rpm~約7rpmの範囲に及ぶことができる。そのような回転スピードは、特に、液滴の重なりを回避するために使用することができる。好まれる実施形態では、回転する環状体、例えば、シリンダーまたはドラムの軌道(track)速度は、約1.05×10-2m/秒~約1.05×10-1m/秒または約1.57×10-2~約5.24×10-2、好ましくは、約2.62×10-2m/秒~3.67×10-2m/秒の範囲に及ぶ。
【0073】
[0075] 一部の実施形態では、ステップ1における凍結速度は、約50K/秒~約1500K/秒の範囲に及ぶ。一部の実施形態では、凍結速度は、少なくとも約50K/秒、100K/秒、150K/秒、200K/秒、250K/秒、300K/秒、350K/秒、400K/秒、450K/秒、500K/秒、550K/秒、600K/秒、650K/秒、700K/秒、750K/秒、800K/秒、850K/秒、900K/秒、950K/秒、1000K/秒、1100K/秒、1200K/秒、1300K/秒、1400K/秒もしくは1500K/秒、またはそれらの間のいずれかの値である。一部の実施形態では、ステップ1における凍結速度は、約50k/秒~約1100K/秒または約70K/秒~約500K/秒または約80K/秒~約200K/秒の範囲に及ぶ。例えば、一部の実施形態では、ステップ1における凍結速度は、約100K/秒である。前記凍結速度は、例えば、J.D.Engstromら、Pharmaceutical Research 2008;25(6):1334~1346に開示されている方法に基づき計算することができる。驚いたことに、上に定義されている範囲内の凍結速度が、凍結による粒子凝集の抑制に寄与することが見出された。いかなる理論に制約されることも望まないが、例えば、従来の凍結乾燥プロセスにおける凍結の場合である、凍結速度が緩慢過ぎる場合、大きい氷晶が形成され、水分子を枯渇させることにより抗原粒子の水和殻を破壊し、抗原アンフォールディングおよび抗原粒子凝集をもたらすと仮定される。対照的に、本発明に係るプロセスの急速な凍結速度は、急速に多数の小さい有核氷晶を創出することを助け、凍結した氷晶の間に非常に細いチャネルを残す。細いチャネルは、抗原粒子の間の衝突の機会を限定し、よって、それらの凝集を低減させる。
【0074】
[0076] 一部の実施形態では、ステップ4におけるさらなる乾燥条件は、ある期間にわたるある温度範囲内かつ減圧下での、第2の凍結した懸濁液のフリーズドライを含む。一部の実施形態では、期間は、10~100時間、10~50時間、20~40時間、またはそれらの間のいずれかの範囲もしくは部分的範囲の間である。一部の実施形態では、温度範囲は、-50℃~30℃、またはそれらの間のいずれかの範囲もしくは部分的範囲である。一部の実施形態では、減圧は、大気圧未満である。一部の実施形態では、圧力は、約700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100もしくは50mTorr、またはそれらの間のいずれかの値未満である。一部の実施形態では、さらなる乾燥条件は、20~100時間の期間および約-50℃~約30℃の範囲に及ぶ温度プロファイルにわたる、約500mTorr未満、特に、200mTorr未満の圧力での、凍結した懸濁液のフリーズドライを含む。一部の実施形態では、ステップ4における負荷(loading)温度は、約-50℃~約-20℃の範囲に及ぶことができる。加えて、ステップ4における初期(または「一次」)乾燥温度は、約-50℃~約-20℃の範囲に及ぶことができる。ステップ4における一次乾燥時間は、約10時間~約30時間の範囲に及ぶことができ、特に、20時間であり得る。ステップ4におけるその後の(または「二次」)乾燥への勾配は、約10時間~約30時間の範囲に及ぶ持続時間を有することができる。ステップ4における二次乾燥のための温度は、約15℃~約30℃の範囲に及ぶことができ、特に、25℃であり得る。ステップ4における二次乾燥のための持続時間は、約10時間~約30時間の範囲に及ぶことができ、特に、20時間であり得る。
【0075】
[0077] 一部の実施形態では、抗原粒子は、in vitro相対効力(IVRP)アッセイを使用して、組成物が乾燥される前および後の抗原粒子の効力を測定することにより、また、組成物が乾燥される前の効力に基づき決定される、少なくとも約50%の相対効力または少なくとも50%~少なくとも150%の範囲に及ぶ相対効力を有する。一部の実施形態では、抗原粒子は、本明細書に記載されている相対効力を有する。一部の実施形態では、抗原粒子は、本明細書に記載されている苛酷な貯蔵条件での貯蔵に続く相対効力を有する。
【0076】
[0078] 一部の実施形態では、本発明の第2の態様に係るフリーズドライプロセスは、TFFDである。一部の実施形態では、約500μm未満の厚さを有する凍結したフィルムの形態の第1の凍結した液体を形成するために、フリーズドライされるべき新たに調製された(pepared)水性懸濁液等の水性懸濁液は、運動する(例えば、回転する)低温の表面上に滴下され、約100K/秒~約1100K/秒の範囲に及ぶ凍結速度で凍結される。この凍結したフィルムは、第2の凍結した液体を形成するために、液体窒素の温度に冷却された容器内に収集される。この第2の凍結した液体は次いで、20~100時間の期間および約500mTorr未満の圧力での約-50℃~約30℃の範囲に及ぶ温度プロファイル等、従来の棚フリーズドライの条件と同様のさらなる乾燥条件に供される。
【0077】
[0079] 一部の実施形態では、水性懸濁液は、前記懸濁液の総容量に対して少なくとも約2%(w/v)または少なくとも約2.4%(w/v)の糖または糖アルコール含量を有する。一部の実施形態では、水性懸濁液は、少なくとも約4%(w/v)のトレハロースの含量および任意選択により少なくとも約0.4%(w/v)のスクロース、または少なくとも約4%(w/v)もしくは少なくとも約4.4%(w/v)のスクロースの含量を有する。
【0078】
[0080] 本開示に関連する追加の特色は、真空発泡(vacuum-foam)乾燥(Pisal Sら、AAPS Pharm Sci Tech.2006;7:60)、噴霧乾燥(Chen Dら、Vaccine.2010;28:5093~5099.を参照)、噴霧フリーズドライ(Maa YFら、J.Pharm.Sci.2003;92:319~332.)、液体中への噴霧凍結(Yu Zら、Eur.J.Pharm.Sci.2006;27:9~18.を参照)およびワクチンとアルミニウム塩の噴霧フリーズドライ(Chen DおよびKristensen D、Rev.Vaccines.2009;8:547~557.;ならびにOverhoff KAら、J Drug Del.Sci.Tech.2009;19:89~98を参照)から適応させることができる。前述の刊行物のそれぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
[0081] 一態様では、本開示は、アジュバント粒子に吸着されたウイルス様粒子(VLP)を含む抗原粒子の水性懸濁液から水を除去するためのフリーズドライ方法であって、VLPが、ノロウイルスVLPであり、方法が、任意選択により、約2℃~約30℃の範囲に及ぶ温度の、水性懸濁液を用意するステップ;少なくとも50K/秒の凍結速度で、ステップ(a)の温度を減少させて、第1の凍結した懸濁液を得るステップ;液体窒素の温度に冷却された容器内に前記第1の凍結した懸濁液を収集して、第2の凍結した懸濁液を得るステップ;前記第2の凍結した懸濁液を、減圧下でさらなる乾燥条件に供して、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つに係る固体組成物を得るステップを含む、フリーズドライ方法を提供する。一部の実施形態では、組成物は、ノロウイルスジェノグループ1(GI)VLPおよびノロウイルスジェノグループ2(GII)VLPからなる群から選択されるノロウイルスVLPの1種または複数の異なるジェノグループを含む。一部の実施形態では、VLPは、ノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLPおよびノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLPからなる。一部の実施形態では、組成物は、約10μg~約100μgのノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLP、約30μg~約200μgのノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLPおよび約300μg~約700μgのアジュバントを含有する。一部の実施形態では、組成物は、約15μgのノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLPおよび約50μgのノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLP、または約50μgのノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLPおよび約150μgのノロウイルス遺伝子型GII.4コンセンサスVLPのいずれかを含有し、組成物は、アジュバントとしての水酸化アルミニウムとしての約500μgのアルミニウムをさらに含有する。一部の実施形態では、アジュバントは、アルミニウム塩である。一部の実施形態では、水性懸濁液は、トレハロースおよびスクロースからなる群から選択される糖をさらに含む。一部の実施形態では、水性懸濁液は、前記懸濁液の総容量に対して少なくとも2%(w/v)または2.4%(w/v)の糖含量を有する。一部の実施形態では、水性懸濁液は、約4%(w/v)のトレハロースの含量および任意選択により0.4%(w/v)のスクロース、または少なくとも4%(w/v)もしくは少なくとも4.4%(w/v)のスクロースの含量を有する。一部の実施形態では、ステップ2における第1の凍結した懸濁液は、約500μm未満の厚さを有するフィルムとして形成される。一部の実施形態では、前記フィルムは、水性懸濁液を運動する低温の表面と接触させることにより形成される。一部の実施形態では、ステップ(a)における凍結速度は、約50K/秒~約1100K/秒の範囲である。一部の実施形態では、ステップ(d)におけるさらなる乾燥条件は、約20~100時間の期間および約-50℃~約30℃の範囲に及ぶ温度プロファイルにわたる、約500mTorr未満の圧力での、第2の凍結した懸濁液のフリーズドライを含む。一部の実施形態では、抗原粒子は、in vitro相対効力(IVRP)アッセイを使用して、組成物が乾燥される前および後の抗原粒子の効力を測定することにより、また、組成物が乾燥される前の効力に基づき決定される、少なくとも50%の相対効力を有する。一部の実施形態では、抗原粒子は、4週間にわたる40℃および75%相対湿度(RH)での貯蔵後に、少なくとも50%の相対効力を有し続ける。一部の実施形態では、抗原粒子は、レーザー回折によって決定された場合、X90値が約30μm未満である累積的なアンダーサイズ分布を有する。一部の実施形態では、抗原粒子は、少なくとも50%の相対効力を有し、前記相対効力は、参照水性懸濁液の効力に基づき、乾燥に供されていない組成物の前記参照水性懸濁液の抗原粒子中の抗原の効力および固体組成物の抗原粒子中の抗原の効力を測定することにより決定される。
【0080】
フリーズドライ方法によって入手可能な固体組成物
[0082] 第3の態様によれば、本発明は、本明細書に記載されている第2の態様に係るフリーズドライ方法によって入手可能な固体組成物を対象にする。
【0081】
ノロウイルスワクチンの固体形態を含有するガラスバイアル
[0083] 第4の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様に係る固体組成物等の固体形態のノロウイルスワクチンの用量を含有するガラスバイアルであって、水性懸濁液の形態の前記用量を、0℃を下回る温度、例えば、液体窒素の温度に冷却されたバイアルの壁にアプライし、懸濁液を凍結させ、バイアル内で懸濁液を乾燥させることにより入手可能な、ガラスバイアルを対象にする。特に、壁へのアプライに先立つ前記ワクチンおよび前記壁の温度の温度差は、少なくとも30℃である。
【実施例
【0082】
[0084] 次の実施例は、特許請求の範囲に記載されている本発明のある特定の態様および実施形態を実証するために含まれている。しかし、当業者であれば、次の記載が、単なる説明を目的としており、決して本発明の制限として解釈するべきではないことを認めるはずである。
【0083】
材料と方法
材料
[0085] 本明細書で使用されるノロウイルスワクチンは、二価ウイルス様粒子(VLP)ワクチンであり、2種の吸着された一価バルク原薬(AMBDS)を生成するための原薬製造の一部として、(オキシ)水酸化アルミニウムに吸着されたノロウイルス遺伝子型GI.1ノーウォークVLP(対応するカプシドタンパク質の配列については、配列番号2を参照)および遺伝子型GII.4コンセンサスVLP(対応するカプシドタンパク質の配列については、配列番号1を参照)を含んだ。ワクチンの産生のため、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる(incoporated)WO2010/017542も参照した。2種のAMBDS(すなわち、GI.1 AMBDSおよびGII.4 AMBDS)を、各VLPの標的濃度となるように追加の(オキシ)水酸化アルミニウムおよびL-ヒスチジンと無菌的にブレンドして、二価ワクチン製品を創出した。薬物製品の最終製剤組成は、0.5mL用量当たり50/150/500μgのGI.1/GII.4/(オキシ)水酸化アルミニウムであった。バルク薬物製品は、1.55mgのL-ヒスチジン、4.38mgのNaCl、1.73mgのHClおよび6.11mgのスクロース、pH6.6~7.0も含有した。スクロース(エンドトキシンが低く、賦形剤としての使用に適している、EMPROVE(登録商標)exp Ph Eur、BP、JP、NF)およびメタノール無水物は、Sigma-Aldrich(St.Louis、MO)から得た。トレハロース二水和物(USPグレード)は、Pfanstiehl(Waukegan、IL)から得た。アルミニウムパウチは、IMPAK(Los Angeles、CA)から得た。乾燥剤は、W.A.Hammond Drierite(Xenia、OH)から得た。シラン処理されたR20ガラスバイアルは、Schott(Mainz、Germany)から得た。
【0084】
薄膜フリーズドライのためのワクチン製剤の調製
[0086] ノロウイルスワクチン候補を、0~5%(w/v)の最終スクロースまたはトレハロース濃度に達するように、水においてスクロースまたはトレハロースストック溶液(50%w/v)と混合した。
【0085】
[0087] 50%のトレハロースストック溶液および50%のスクロースストック溶液を調製して、最終懸濁液を生成する。最終懸濁液に含まれる含量を下の表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
[0088] 単一バイアルTFFDのため、250μLを液滴で、ガラスバイアル(Schott(Mainz、Germany)から得たシラン処理されたR20ガラスバイアル)の底面表面にアプライした。
【0088】
薄膜凍結(TFF)
[0089] スクロースまたはトレハロース(0~5%、w/v)を含有する懸濁液中のノロウイルスワクチンを、TFFに供した。手短に説明すると、1mLの試料を、回転する低温に冷却されたステンレススチール表面に滴下して、約100K/秒~約1000K/秒の計算された凍結速度(計算は、J.D.Engstromら、Pharmaceutical Research 2008;25(6):1334~1346に基づく)で凍結した薄膜を形成した。液滴の重なりを回避するために、ワクチン懸濁液が滴下される10cmの直径を有するドラムの低温のスチール表面の回転スピードは、5~7rpmで制御された。凍結した薄膜をスチールブレードによって除去し、塩処理(salinized)ガラス内の液体窒素中に収集した。半開き状態でガラスバイアルにゴム栓で蓋をし(すなわち、バイアルは完全に蓋をされている訳ではなく、凍結乾燥ステップ後に水分子が脱出し、窒素分子がバイアルに進入するように、バイアルの口とゴム栓の脚部との間にスペースを残す)、次いで、再び蓋をする打栓機能を備えたVirTis Advantage卓上トレー凍結乾燥器(The VirTis Company、Inc.Gardiner、NY)内に移した。
【0089】
[0090] 単一バイアルTFFのため、R20塩処理ガラスバイアルを液体窒素中に10分間浸漬して、バイアルの内側底面に低温に冷却された表面を創出した。表面衝突後に液滴が急速に凍結して薄膜となるように、18G1針を備えたシリンジを使用して、懸濁液中の250μLのノロウイルスワクチン候補を、バイアルの底面に滴下して添加した。半開き状態でバイアルにゴム栓で蓋をし、次いで、凍結乾燥のために上で言及される凍結乾燥器に移した。
【0090】
凍結乾燥および包装
[0091] -40℃から25℃までへと棚温度に徐々に勾配をかけつつ、200mTorr未満の圧力で60時間にわたり凍結乾燥を行った。凍結乾燥サイクルを表3に示す。凍結乾燥後に、真空を解除し、凍結乾燥器に窒素ガスを充填した。凍結乾燥器における自動で再び蓋をする打栓機能を使用して、各ガラスバイアルにゴム栓で緊密に蓋をし、アルミニウム蓋で密封した。次に、バイアルを、内部の乾燥剤(Drierite乾燥剤バッグまたは分子ふるい、1Qz)と共にアルミニウムパウチ内に個々に置いた。パウチを密封し、次いで、さらなる使用前に4℃で貯蔵した。
【0091】
【表3】
【0092】
薄膜フリーズドライされたノロウイルスワクチンの特徴評価
[0092] CSC Scientific Company(Fairfax、VA)から得たKarl Fisher Titrator Aquapal IIIを使用して、乾燥粉末における水分含量を決定した。粒子径およびサイズ分布を決定するために、薄膜フリーズドライされたノロウイルスワクチン粉末の入ったバイアルをランダムに選択し、粉末を水(バルクTFFDについては1mL、単一バイアルTFFDについては250μL)で復元した。ほぼ10%の不明瞭化効果を達成するための2倍希釈後に、復元されたノロウイルスワクチンにおける粒子径およびサイズ分布を、R3レンズを備えるSympatec HELOSレーザー回折装置(Sympatec GmbH、Germany)を使用して決定した。Mettler ToledoのSevenCompact pHメーターS220を使用して、復元されたノロウイルスワクチンのpH値を測定した。脱離後の復元されたワクチンにおけるGI.1 NV-VLPおよびG II.4 C-VLP抗原の濃度をAgilent 1260によるRP-HPLCによって決定した。使用したカラムは、Agilent PoroShell 300SB-C8 2.1×75mm、5μmであった。
【0093】
In vitro相対効力(IVRP)アッセイ
[0093] in vitro相対効力(IVRP)アッセイを使用して、ワクチンがTFFDに供される前および後の抗原の効力を決定した。IVRPアッセイにおいて、コンセンサスGII.4またはノーウォークGI.1 VLPのいずれかに対するモノクローナル抗体(mAb)を、先ず、mAbをワクチン試料に結合させるために、ワクチン試料と共にインキュベートする。その後、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)セットアップにおいて、残っている(すなわち、非結合)mAbを決定する。残っている(すなわち、非結合)mAbは、対応するワクチン試料中のインタクトなエピトープ(すなわち、依然として対応するmAbが結合し得るエピトープ)の量を、よって、試料の効力を指し示す。
【0094】
[0094] 第1のステップにおいて、被験ワクチン(すなわち、TFFDに供されず、100μg/mlの濃度を達成するように水で復元されたワクチン組成物;TFFDが実行された後の、例えば、加速された条件下で0週間目および4週間目における固体ワクチン組成物)と共に参照ワクチンを、ブロッキングバッファー(1×リン酸緩衝食塩水、pH7.4(PBS)+0.05%Tween-20(Fisher Scientific、Cat#BP337)+10%ヤギ血清(滅菌濾過したヤギ血清、Equitech-Bio、Cat.#SG30))を使用して希釈プレート(Nunc(商標)96ウェルポリプロピレンストレージマイクロプレート、Thermo Scientific、Cat.#24994)において系列希釈して(8.333~0.001μg/mLのGII.4コンセンサスVLP)、ウェル当たり150μLの容量をもたらした。参照ワクチンは、0.5mL当たり50μgのGI.1ノーウォークVLPおよび150μgのGII.4コンセンサスVLPを500μg水酸化アルミニウムに吸着させたもの(50/150/500μg)を含んでおり、TFFDに供されなかった。使用に先立ち参照ワクチンを2~8℃に保ち、IVRPアッセイにおける適用に先立ち目視検査によって材料が均一になるまで(沈殿物を含まない)混合した。希釈後に、コンセンサスGII.4 VLPに結合するmAb(BioGenes;IgGクローン#1-9-1;8.0mg/mLストック濃度、ロット番号PP120514-001)またはノーウォークGI.1 VLPに結合するmAbのいずれかを添加して、mAbをそれぞれ参照ワクチンまたは被験ワクチンに結合させた。したがって、mAbを、0.08μg/mLの最終濃度となるようにブロッキングバッファーにおいて希釈し、その後、50μLの希釈されたmAbをウェル当たり添加して、ウェル当たり200μLの総容量をもたらした。加えて、単にウェル当たり200μLブロッキングバッファーを含むバッファーのみ対照の列、およびウェル当たり50μL mAbと混合された150μLブロッキングバッファーを含むmAbのみ対照の列が含まれた。例示的な(Exemplarily)プレートレイアウトについては、図1を参照する。3回繰り返し、すなわち、3個の同一の希釈プレートを調製した。希釈プレートをアルミニウムプレートシーラーで密封し、37℃±2℃で220±10分間にわたり、加湿したインキュベーター(Thermo Scientific、≧85%相対湿度、5%CO2)内に置いた。
【0095】
[0095] 希釈プレートのインキュベーション中に、アッセイプレートをコンセンサスGII.4 VLPまたはノーウォークGI.1参照VLPのいずれかでコーティングした。したがって、1×PBSにおける5μg/mLへのVLPの希釈により、VLP毎にコーティング溶液を調製した。次に、ウェル当たり100μLの対応するコーティング溶液を平底96ウェルプレートに添加した。アッセイプレートを密封し、室温で130±10分間インキュベートした。インキュベーション後に、アッセイプレートを、Molecular DevicesのAquaMax 4000を使用して、350μL/ウェルの洗浄バッファー(1×PBS+0.05%Tween-20)で3回洗浄し、その後、150μL/ウェルのブロッキングバッファーを添加することによりブロッキングした。プレートを密封し、室温で80±20分間インキュベートした。インキュベーション後に、アッセイプレートを再び、350μL/ウェルの洗浄バッファー(1×PBS+0.05%Tween-20)で3回洗浄した。
【0096】
[0096] インキュベーション後に、吸って吐いてピペッティングすることにより、希釈プレートの各ウェルの含量を混合し、その後、ウェル当たり100μLをアッセイプレートに移した。これにより、希釈プレートのプレートレイアウトは、アッセイプレートのために保持される(例えば、図1を参照)。アッセイプレートを密封し、室温で60±5分間インキュベートした。インキュベーション後に、アッセイプレートを、350μL/ウェルの洗浄バッファー(1×PBS+0.05%Tween-20)で3回洗浄した。
【0097】
[0097] 次のステップにおいて、二次抗体溶液を調製した。したがって、ヤギ抗マウスIgG1西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)抗体(2~8℃で貯蔵;Southern Biotech、Cat.-No.1070-05)を、0.292μg/mLの最終濃度となるようにブロッキングバッファーにおいて希釈した。ウェル当たり100μLの調製された二次抗体溶液をアッセイプレートに添加した。その後、アッセイプレートを密封し、室温で30±10分間インキュベートした。インキュベーション後に、アッセイプレートを、350μL/ウェルの洗浄バッファー(1×PBS+0.05%Tween-20)で3回洗浄した。次に、100μLの2,2’-アジノ-ビス-3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸(ABTS)ペルオキシダーゼ基質(subtrate)溶液(1-Component(商標)ABTS基質溶液、Thermo Scientific、Cat.#37615)を各ウェルに添加した。プレートを20±2分間インキュベートした。インキュベーション後に、100μLの停止溶液(Seracare Life Sciences ABTS HRP停止溶液、Fisher Scientific、Cat.#51500017)を各ウェルに添加した。停止溶液の添加の1時間以内に、405nmにおける吸光度をプレートリーダー(Molecular DevicesのSpectraMax i3x)において読み取った。
【0098】
[0098] 被験ワクチンおよび参照ワクチンの吸光度値から、バッファーのみ対照の吸光度値の中央値を引き(substracted)、その後、ワクチン希釈に従いプロットした。独立4-パラメータ(Paramter)ロジスティック(4-PL)フィットを使用して曲線をフィットさせ、最大吸光度シグナルの50%を指す希釈を決定した(それぞれEC50値または屈曲点)。被験ワクチンの屈曲点を参照ワクチンの屈曲点で割ることにより、VLP毎に被験ワクチンの相対効力をその後に決定した。3回繰り返しにわたる平均相対効力を計算した。許容基準として、とりわけ、独立4-パラメータロジスティックフィットから得た参照ワクチンの曲線フィット(R-値)は、0.980よりも高くなくてはならず、mAbのみ対照ウェル(陽性対照;ELISAにおけるmAb結合は、ワクチン試料とのプレインキュベーションにより低減されない)の405nmにおける平均光学密度は、1.3よりも高くなければならない。
【0099】
加速された安定性試験
[0099] 薄膜フリーズドライされたノロウイルスワクチン粉末を有するランダムに選択されたバイアルを40℃、75%相対湿度(RH)で4週間貯蔵し、上で言及されるIVRPアッセイを使用して、復元後の抗原の効力を決定した。
【0100】
統計解析
[0100] 分散解析(ANOVA)と、それに続くFisherの保護付き最小有意差手順を使用して統計解析を行った。≦0.05(両側)のp-値が有意と考慮された。
【0101】
実施例1:TFFDおよび復元に供された後のノロウイルスワクチン候補の粒子径およびサイズ分布におけるトレハロースまたはスクロースの濃度の効果
[0101] ノロウイルスワクチンにおける粒子径およびサイズ分布を測定するときに、読み取り値における一貫性および再現性を確認するために、先ず、本来のノロウイルスワクチンが水において0倍から20倍へと希釈された後に粒子径およびサイズ分布を決定することにより、粒子径データにおける不明瞭化値を試験した。ワクチンが、材料サイズ測定値の推奨される範囲(Kulkarni VS、Shaw C.Chapter 8 - Particle Size Analysis: An Overview of Commonly Applied Methods for Drug Materials and Products. In: Kulkarni VS, Shaw C, editors. Essential Chemistry for Formulators of Semisolid and Liquid Dosages. Boston: Academic Press;2016. 137~44頁を参照)に基づき、10~15%以下の最適不明瞭化レベルを達成するために、2倍希釈されることを必要としたと結論付けられた。ノロウイルスワクチンがバルクTFFDおよび復元に供された後の、粒子径およびサイズ分布におけるトレハロースの濃度の効果が図2Aに示され、一方、図2Bは、ノロウイルスワクチンがバルクTFFDおよび復元に供された後の、粒子径およびサイズ分布におけるスクロースの濃度の効果を示す。結果は、2~4%(w/v)のトレハロースまたは2~5%(w/v)のスクロースが、TFFDに供された後のノロウイルスワクチンにおける粒子径およびサイズ分布の維持を助けるのに有利であったことを指し示したが、その理由として、これらの製剤が、復元後により少ない粒子凝集を示した。4%(w/v)トレハロースおよび4~5%(w/v)スクロースの結果が、最小の粒子凝集を示した。
【0102】
実施例2:ノロウイルスワクチンの粒子径およびサイズ分布におけるバルクTFFD vs.単一バイアルTFFDの効果
[0102] TFFD後のノロウイルスワクチンの粒子径およびサイズ分布における単一バイアルTFFプロセスと比較したバルクTFFプロセスの効果を理解するために、4%トレハロースまたは5%スクロースに懸濁されたノロウイルスワクチンを、単一バイアルTFFDまたはバルクTFFDに供した。乾燥粉末が復元された後の代表的な粒子径およびサイズ分布が図3および表4に示される。
【0103】
【表4】
【0104】
[0103] 薄膜フリーズドライされたノロウイルスワクチン粉末における残渣水分含量は、1.5~1.8%であり(表5)、通常示唆される3%限界をはるかに下回った。
【0105】
【表5】
【0106】
実施例3:復元後の薄膜フリーズドライされたノロウイルスワクチンの特徴評価
[0104] 単一バイアルTFFDまたはバルクTFFDのいずれかによって4%(w/v)のトレハロースまたは5%(w/v)のスクロースにより調製されたノロウイルスワクチン乾燥粉末の復元後に、本出願人らは、復元されたノロウイルスワクチン懸濁液におけるpH、抗原濃度および抗原効力も測定した。ワクチンのpH値は、6.4~6.5のままであった(表4を参照)。コンセンサス抗原の回収率は、RP-HPLCによって決定される場合、ノーウォーク抗原について103±16%、104±15%であった。コンセンサス抗原に対するIVRPアッセイによって測定された相対効力は、ノーウォーク抗原について49~73%および81~154%であり(図4Aおよび図4B)、これは、50~150%の許容される範囲を満たす。
【0107】
実施例4:40℃、75%相対湿度における4週間の貯蔵後のノロウイルスワクチン粉末の効力
[0105] 加速された安定性試験において、ノロウイルスワクチン乾燥粉末を、4週間にわたり40℃、75%RHで貯蔵し、次いで、IVRPアッセイを使用して抗原効力を測定した。図4Aおよび図4Bに示す通り、GII.4コンセンサスおよびGI.1ノーウォーク抗原の両方の効力は、著しく変化しなかった。
図1
図2A
図2B
図3
図4
【配列表】
2024519800000001.app
【国際調査報告】