(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】内視鏡検査のための医療用ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 1/04 20060101AFI20240514BHJP
A61B 1/015 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A61M1/04
A61B1/015 514
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571290
(86)(22)【出願日】2022-05-15
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 IB2022054513
(87)【国際公開番号】W WO2022243831
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】102021002547.4
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518248192
【氏名又は名称】ヴェー.オー.エム. ワールド オブ メディシン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ヒルデブラント,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】キュルビス,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】チャンバーズ,カール
(72)【発明者】
【氏名】ウィンターバーグ,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】クリューガー,コリン エム.
【テーマコード(参考)】
4C077
4C161
【Fターム(参考)】
4C077AA24
4C077EE05
4C077HH07
4C077HH13
4C077HH15
4C077HH21
4C161AA24
4C161GG27
4C161HH03
4C161HH05
(57)【要約】
本発明は、圧力制御システムを伴う、内視鏡検査のための医療用ポンプに関する。この圧力制御システムは、患者の筋肉収縮を検知することができ、かつ対応した警告信号を発することができる。本発明は、圧力制御システムを伴う、内視鏡検査のための、医療用ポンプに関する。この圧力制御器は、治療される人の筋肉収縮を検知することができ、かつ対応した警告信号を発することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療技術で使用するための通気デバイスであって、
通気ガスを体腔の中に導入するための、通気器と、
制御ユニットと、
通気ライン及び排気ラインと、を備え、
前記排気ラインは吸引ポンプに接続され、
前記通気ライン及び前記排気ラインは各々、圧力センサ及び体積流量センサを有し、
前記通気器は、圧力増加を生じさせることができる体積流量の変化がなく、体腔内の圧力が、設定した目標値を上回る閾値を超過した場合、警告信号を表示する、医療技術で使用するための通気デバイス。
【請求項2】
前記閾値は、10、20、30、40、または50mmHgである、請求項1に記載の医療技術で使用するための通気デバイス。
【請求項3】
前記通気器は、圧力増加を生じさせることができる体積流量の変化がなく、体腔内の圧力が、設定した目標値を上回る閾値を、数回短時間に超過した場合、警告信号を表示する、請求項1または2に記載の医療技術で使用するための通気デバイス。
【請求項4】
前記通気器は、体腔内の圧力を測定したとき、圧力増加の動態を評価する、請求項1~3の内いずれか一項に記載の医療技術で使用するための通気デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力制御器を伴う、内視鏡検査のための医療用ポンプに関する。この圧力制御器は、治療される人の筋肉収縮を検知することができ、かつ対応した警告信号を発することができる。
【背景技術】
【0002】
内視鏡検査中、特に治療的介入中に、それぞれの体腔は、流体の流入によって拡張されることがよく知られている。腹腔鏡検査中に、ガス(好ましくはCO2)が一般的に腹腔の中に導入され、外圧よりも高い内圧を作り出す。このように、腹腔は拡張されて、手術用器具を挿入するための空間を作り出す。最新のシステムは、視界を妨げるガス煙を迅速に除去するのを可能にするために、吸引デバイスも有するが、体腔内の圧力を、手術中に可能な限り一定に維持する必要もある。したがってこれらのシステムは、体腔内の圧力を可能な限り一定に保つよう設計される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
手術中、特に長い手術中に、患者は鎮静状態が薄れ、筋肉収縮を伴う組織の刺激に応答し得る。これは、60mmHgまでの内圧の増加をもたらし、医療用圧力維持システムが、吸引量を増加させて圧力を減少させる。これにより、早急に内圧を目標の値に戻す。しかし、一旦筋肉収縮が弱まると、圧力は急激に低下し続け、それは体腔を萎ませ得る。患者を治療する医療スタップは、そのとき圧力が再び高くなるのを待たなければならない。これは、例えば手術の最終段階中に血管が損傷して、血管が再び閉鎖され得る前に血液の流出を生じさせた場合、手術の経過を遅らせるだけではなく、問題となる場合もある。
【0004】
この技術的課題を克服するために、筋肉収縮によって生じた圧力増加を検出して、警告信号を発する、以下で説明する医療デバイスが提案される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による内視鏡検査のための医療用ポンプは、筋肉収縮によって生じる圧力ピークを検出することができる。この目的のため、先行技術で既に説明されているように、まずは体腔内の圧力が監視される。この圧力データは、デバイスに記憶される。追加として、供給ポンプ及び吸引ポンプの動作パラメータ(特にガス流量)が監視され、やはり記憶される。追加として、内視鏡、カテーテル、及び特に、例えば凝固電極などのRF器具、などの内視鏡器具における、動作パラメータが監視される。このシステムが圧力増加を検出した場合、上記デバイスの動作パラメータがチェックされる。例えば、排出ポンプがそのガス流量を増加させることなく、供給ポンプが流入するガス流量を増加させた後に、システムが圧力増加を検出した場合、このシステムは、例えば排出流量を増加させるなど、通常の圧力調節を実施することになる。排出容量が減少し、その一方で供給流量が一定を保つ場合、同じことが当てはまる。
【0006】
例えば、圧力増加は、吸引トロカールの閉塞によって生じる場合がある。しかしこれは、吸引ラインにおけるガス流量の減少によって検出され得る。
【0007】
他方で、システムが、ガス流量のパラメータの変化なく、圧力増加を検出した場合、この圧力増加は筋肉収縮によって生じたものと推測することができる。この場合、警告信号が誘発される。警告信号は、可視的または可聴的、例えば「弛緩をチェック」などディスプレイ上のメッセージとし得る。次に臨床スタッフは、必要に応じて鎮静剤の使用を調整することができる。臨床スタッフは、圧力増加が、腹腔に対する指圧など、外部の理由が存在するか否かを、当然ながらチェックして確認することになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明による通気器の実施形態を示す図である。
【
図3】本発明によるデバイスの別の変形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に、本発明による通気器は、例えば二酸化炭素など医療目的に好適なガスを包含した、加圧されたガスシリンダに対して、標準的な接続部を含む。このガスは、比例弁及び無菌管を介してトロカールまで送達される。通気器の内側で、圧力及びガス流量の両方は、ラインにおいて測定される。粒子をとどめるために、任意選択のフィルタも含まれる。
【0010】
第2のトロカールは、通気器の中に一体化された吸引ポンプ(排気ポンプ(desufflation pump))に接続される。任意選択で、粒子、飛沫、及び/または有毒ガスを吸収できるフィルタが、間に接続される。次にポンプで送られた排気ガスは、大気に解放することができる。吸引ポンプも制御することができ、この吸引ポンプは、吸引ラインにおけるガス流量を測定することを含む。通気器は、切り替えユニットによって制御され、この切り替えユニットは、供給されたガス流量と、除去されたガス流量との両方を制御することができる。
【0011】
図1に示されるように、通気器は、2本の管を使用して患者に接続される。第1の管は通気のために使用される。ガスは、腹腔内の圧力を増加させるために、手術中の患者に供給される。この管は、腹腔圧を測定するためにも使用される。第2の管は、例えば煙の排出のために、吸引ポンプを患者に接続するよう使用される。
【0012】
独国特許出願公開第102013016063号明細書または類似の公開によるデバイスで説明されたもののような、電子的に制御されたポンプを、吸引ポンプとして使用することができる。
【0013】
代替として、例えば吸引ポンプは、バイパス弁を介して制御することができる(
図2)。例えば、このポンプを、ほとんど一定である特定の出力に設定することができ、この出力は、バイパス弁を介して制御される。
【0014】
代替として、制御弁も吸引ラインに直接位置付けることができる(
図3)。このように、外部ポンプも、例えば手術室内で利用可能な壁吸気システムを使用することができる。そのとき通気器の制御ユニットは、示された制御弁を介して吸引パワーを調節する。
【0015】
追加として、通気器は(任意選択で)センサを包含し得る。これらのセンサは、電気凝固デバイスなど、内視鏡器具の動作を監視することができる。記録された全ての測定データは記憶され、コンピュータユニットへ送られる。このコンピュータユニットは、特別に設計されたソフトウェアを使用して、必要なデータ分析を実施する。圧力が、ポンプのパラメータの変化によるものではなく、それぞれの目標値を上回った所定の閾値を上回ったとき、アラームが誘発される。本発明によるデバイスのために、目標値を20mmHg上回る値に相当する閾値が、良好であることが判明している。例えば10、30、40、または50mmHgまで、閾値の設定を逸脱させることが可能である。
【0016】
圧力増加の期間を記録することも可能である。初めに短い収縮(10秒未満)が生じて、予め設定した閾値を上回る、対応した短い圧力増加(脈圧拍)をもたらすことが多い。少なくとも2回の脈圧拍の検出で、次にアラームを誘発することが望ましい。
【0017】
筋肉収縮によって生じた、(15~20秒より長い)長期の圧力増加の場合、デバイスの圧力制御器は、アラームを誘発できるだけではなく、筋肉痙攣が和らぐまで圧力を減少させることもできる。この目的のため、目標値まで完全に圧力を減少させずに、僅かな過圧を維持することが推奨される。目標値を20mmHg上回る閾値に達したとき、圧力を、目標値より10mmHg高く、一時的に調整することができる。この一時的な過圧は、特により大きい体腔(腹部など)における圧力増加を加速させる。
【0018】
任意選択で、筋肉収縮を判断するために、圧力増加の動態(dynamics)を含むことも可能である。ここで誘発された筋肉収縮は、通気または排気パラメータの変化によって生じた通常の圧力増加と比較して、比較的速い圧力増加をもたらす。このように、圧力増加量を評価することで、圧力増加の原因を、より正確に分類することを可能にする。
【0019】
図1は、本発明による通気器の実施形態を示す。通気器(1)は、例えばCO
2ガスシリンダの形態であるガス源(2)に接続される。ガスは、比例弁(3)、圧力センサ(4)、体積流量センサ(5)、及びフィルタ(F)を介して、通気トロカール(6)に供給される。排気トロカール(9)は、管を介して通気器に接続され、そこで、まずガス流量が、フィルタ(F)、体積流量センサ(10)、及び圧力センサ(11)を通過して、吸引ポンプ(12)に至る。吸引ポンプのアウトプット部は、デバイスの出口(13)に接続される。デバイスの出口(13)には、当然ながら追加のフィルタを設けることができる。圧力センサ(4、11)及び体積流量センサ(5、10)から測定されたデータは、接続されたメモリ(8)を伴うコンピュータユニット(7)へ送信される。コンピュータユニット(7)は、比例弁(3)及び吸引ポンプ(12)を制御する。当業者は理解するように、圧力センサ及び体積流量センサの位置は、異なっていてもよい。当然ながら、通気流量が、最初に体積流量センサ(5)、次に圧力センサ(4)を通過することが可能である。同様に、排気ラインの体積流量センサ(10)を、流れの方向に、吸引ポンプ(12)の背後に位置付けてもよい。いずれの場合も、筋肉収縮による20mmHgより大きい圧力増加が検出されたとき、信号はディスプレイ(D)に出力される。代替または追加として、信号は可聴的なものであってもよい。
【0020】
図2は、吸引ポンプ(12)が連続的に作動して、吸引パワーがバイパス弁(14)によって制御される、本発明によるデバイスを示す図である。バイパス弁(14)も、コンピュータユニット(7)(
図2に示さず)によって制御される。
【0021】
図3は、本発明によるデバイスの別の変形を示す。ここでは、内部の吸引ポンプの代わりに、外部ポンプへの接続部(16)が設けられる。多くの病院では、本発明による通気器の意図する用途のために、使用することができるポンプが装備される。この場合、外部ポンプ(図示せず)の吸引量を調節するために、制御弁(15)のみを必要とする。
【0022】
本発明によるデバイスの、個々の構成要素について、そのほとんどは、米国特許第6299592号明細書、米国特許第5411474号明細書、国際公開第1996001132号、国際公開第2011041387号、米国特許第5800381号明細書、独国特許出願公告第4219859号明細書、独国特許出願公開第102013016063号明細書など、過去の公開から既に公知である。手術の関連の方法も、これらの公開で開示されている。関連付けられたメモリ、ならびに入力及び出力デバイスを伴う、好適にプログラムされたマイクロコンピュータは、制御ユニットとしての役割を担う。体積流量センサは、他の医療デバイス(例えば換気デバイスの関連)で既に知られているので、ここでは詳細に説明する必要はない。
【0023】
当業者は、進歩性を用いることなしに、本発明の代替及び/または追加の実施形態を実施し得る。
【国際調査報告】