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特表2024-519817局所使用のために同種異系培養ケラチノサイト組成物をプライミングするための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】局所使用のために同種異系培養ケラチノサイト組成物をプライミングするための方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/60 20060101AFI20240514BHJP
   A61L 27/36 20060101ALI20240514BHJP
   A61L 27/38 20060101ALI20240514BHJP
   A61L 27/54 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A61L27/60
A61L27/36 100
A61L27/36 300
A61L27/36 410
A61L27/36 420
A61L27/38 300
A61L27/38 100
A61L27/54
A61P17/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571316
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 US2022031399
(87)【国際公開番号】W WO2022251673
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/194,687
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507295048
【氏名又は名称】ストラタテック コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】カマー, アレン
(72)【発明者】
【氏名】グラッツ, ケネス
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AB19
4C081BA12
4C081BA15
4C081CD122
4C081CD161
4C081CD34
4C081CE11
4C081DA11
4C081DA15
4C081EA12
(57)【要約】
本開示は、局所使用のために同種異系培養ケラチノサイト組成物をプライミングするための方法を包含する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所使用のために同種異系培養ケラチノサイト組成物をプライミングする方法であって、
前記同種異系培養ケラチノサイト組成物を無菌包装から取り出すことと、
前記同種異系培養ケラチノサイト組成物を、栄養源及び浸透圧調節剤を含む保持溶液と接触させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記保持溶液が、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記保持溶液が、F-12栄養混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記同種異系培養ケラチノサイト組成物を解凍することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記同種異系培養ケラチノサイト組成物をメッシュ化することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記同種異系培養ケラチノサイト組成物を切断又はトリミングすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記同種異系培養ケラチノサイト組成物が、同種異系細胞化足場を含み、前記足場が、皮膚線維芽細胞及びマウスコラーゲンを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記保持溶液及び前記同種異系培養ケラチノサイト組成物が、それらを必要とする患者にとって臨床的に安全である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記保持溶液及び前記同種異系培養ケラチノサイト組成物が、熱傷治療を必要とする患者に免疫学的応答又は有害事象を生じさせない、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記保持溶液を35~39℃に温めることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記接触させるステップは、少なくとも15分間かつ最大4時間である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、局所使用のために同種異系培養ケラチノサイト組成物を、特に熱傷を有する成人においてプライミングするための方法を含む。したがって、本開示は、概して、医学、特に皮膚科学及び火傷治療の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
重度の熱傷を負った患者は、長くかつ痛みを伴う回復に直面する。いくつかの深い部分的な厚さの火傷などの外科的介入が必要な場合、患者自身の皮膚、又は死体からの皮膚が、傷ついた領域に移植され得る。自家移植は、死体皮膚の使用に伴う拒絶反応の可能性を減少させるが、患者は更なる外傷に耐える必要がある。必要なものは、治癒を促進し、患者によって拒絶される可能性が低い移植片である。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】本開示の組成物のための外側カートン及びホイルポーチ包装を示す。
図2】本開示の組成物を含有する製品皿を示す。
図3】本開示の組成物を含有する製品皿及び挿入トレイを示す。
図4】ボトルがラミネートされたホイルポーチ内の保持溶液を含有することを示す。
図5】透明なポーチ内に収容された保持皿を示す。
図6】無菌野で取り扱われた保持皿を示す。
図7】無菌操作者(灰色の手袋)が、非無菌操作者(白色の手袋)によって提示された無菌保持皿を取り出すことを示す。
図8】無菌操作者が保持皿を無菌野(灰色の長方形)に配置することを示す。
図9】ホイルポーチの取り出しを示す。
図10】ホイルポーチから、閉鎖された製品皿を取り出すことを示す。
図11】非無菌領域における製品皿の配置を示す。
図12】非無菌操作者が、保持溶液を保持皿に無菌で注ぐことを示す。
図13】非無菌操作者(白色の手袋)が、製品皿を開放することを示す。
図14】無菌操作者(灰色の手袋)が、挿入トレイを取り出すことを示す。
図15】無菌操作者が、挿入トレイを保持皿に配置することを示す。
図16】本開示の組成物をメッシュ化することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
(発明の概要)
本発明の様々な態様の中には、局所使用のために同種異系培養ケラチノサイト組成物をプライミングする方法がある。本方法は、同種異系培養ケラチノサイト組成物形態無菌包装を取り出すことと、同種異系培養ケラチノサイト組成物を保持溶液と接触させることと、を含み、保持溶液は、栄養源及び浸透圧調節剤を含む。本方法は、同種異系培養ケラチノサイト組成物を解凍すること、同種異系培養ケラチノサイト組成物をメッシュ化すること、同種異系培養ケラチノサイト組成物を切断又はトリミングすること、及び/又は保持溶液を35℃~39℃に温めることを更に含み得る。接触させるステップは、少なくとも15分間かつ最大4時間であり得る。
【0005】
開示される方法の保持溶液は、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸及び/又はF-12栄養混合物を含み得る。培養ケラチノサイト組成物はまた、同種異系細胞化足場を含み得、足場は、皮膚線維芽細胞及びマウスコラーゲンを更に含む。保持溶液及び同種異系培養ケラチノサイト組成物は、それらを必要とする患者にとって臨床的に安全であり得る。保持溶液及び同種異系培養ケラチノサイト組成物は、熱傷治療を必要とする患者に免疫学的応答又は有害事象を生じさせないことができる。
(発明を実施するための形態)
【0006】
本開示は、本明細書に指定される特定の方法、組成物、又は材料に限定されるものではなく、関連技術分野の当業者によって認識されるように、その等価物に拡張されることが理解されたい。また、本明細書で採用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的として使用され、限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。
【0007】
濃度、量、及び他の数値データは、本明細書において、範囲形式で表され得るか、又は提示され得る。このような範囲形式は、単に利便性及び簡潔性のために使用され、範囲の限界として明示的に列挙された数値だけでなく、各数値及びサブ範囲が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値又はサブ範囲を含むように柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。例示として、「約2~約50」の数値範囲は、明示的に列挙された2~50の値だけでなく、示された範囲内の全ての個々の値及びサブ範囲も含むように解釈されるべきである。したがって、この数値範囲には、2、2.4、3、3.7、4、5.5、10、10.1、14、15、15.98、20、20.13、23、25.06、30、35.1、38.0、40、44、44.6、45、48などの個々の値、及び1~3、2~4、5~10、5~20、5~25、5~30、5~35、5~40、5~50、2~10、2~20、2~30、2~40、2~50などのサブ範囲が含まれる。この同じ原理は、最小値又は最大値として1つの数値のみを列挙する範囲に適用される。更に、そのような解釈は、範囲の広さ又は記載されている特性に関係なく適用されるべきである。
【0008】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、所与の値が、エンドポイントを「少し上回って」又は「少し下回って」いてもよいことを提供することによって、数値範囲エンドポイントに柔軟性を提供するために使用される。例えば、エンドポイントは、リストされた値の10%、8%、5%、3%、2%、又は1%以内であり得る。更に、利便性及び簡潔性のために、「約50mg/mL~約80mg/mL」の数値範囲もまた、「50mg/mL~80mg/mL」の範囲を支持することを理解されるべきであるエンドポイントはまた、FDA、USPなどの適切な規制機関によって許容される可変性に基づき得る。
【0009】
本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、及び「有する(having)」などは、米国特許法においてそれらに帰せられる意味を有し得、「含む(includes)」、「含む(including)」などを意味し得、概して、オープンエンド用語であると解釈される。「~からなる(consisting of)」又は「~からなる(consists of)」という用語は、クローズド用語であり、そのような用語と併せて具体的にリストされている構成要素、構造、ステップなど、及び米国特許法に準拠しているもののみを含む。「から本質的になる(consisting essentially of)」又は「から本質的になる(consists essentially of)」は、米国特許法によって、概してそれらに帰属される意味を有する。特に、そのような用語は、それらに関連して使用されるアイテムの基本的及び新規の特性又は機能に実質的に影響を与えない追加のアイテム、材料、構成要素、ステップ、又は要素を含めることを許可することを除いて、概して、クローズド用語である。例えば、組成物中に存在するが、組成物の性質又は特徴に影響を与えない微量元素は、そのような用語に続くアイテムのリストに明示的に列挙されていなくても、言語「から本質的になる(consisting essentially of)」の下に存在する場合、許容されるであろう。本明細書では、「含む(comprising)」又は「含む(including)」のようなオープンエンド用語を使用する場合、明示的に記載されているかのように、言語「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び言語「からなる(consisting of)」に直接的な支持が与えられるべきであり、その逆もまた同様であると理解されたい。
【0010】
本明細書で使用される場合、「有害事象」は、保持溶液又は同種異系培養ケラチノサイト組成物の使用に関連する任意の不適切な医学的発生を指す。有害事象としては、免疫学的応答が挙げられ得る。
【0011】
本明細書で使用される場合、「臨床的に安全な」は、医療デバイス/組成物を使用することの潜在的な利点が、デバイス/組成物を使用することのリスクを上回る、デバイス/組成物の使用に関する安全性のレベルを指す。
【0012】
本明細書で使用される場合、「免疫学的応答」は、内部又は外部の刺激に応答する患者の免疫系の反応を指す。
【0013】
I.方法
本明細書に開示されるのは、局所使用のために同種異系培養ケラチノサイト組成物をプライミングする方法である。本方法は、同種異系培養ケラチノサイト組成物を無菌包装から取り出すことと、同種異系培養ケラチノサイト組成物を、栄養源及び浸透圧調節剤を含む保持溶液と接触させることと、を含み得る。いくつかの態様では、保持溶液及び同種異系培養ケラチノサイト組成物は、それらを必要とする患者にとって臨床的に安全であり得る。いくつかの追加の態様では、保持溶液及び同種異系培養ケラチノサイト組成物は、熱傷治療を必要とする患者に免疫学的応答又は有害事象を生じさせない。いくつかの追加の態様では、同種異系培養ケラチノサイト組成物は、凍結保存溶液中で凍結保存し得る。
【0014】
いくつかの態様では、接触させるステップは、少なくとも約15分かつ最大約5時間かかり得る。いくつかの実施例では、接触させるステップは、約15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間を要し得る。いくつかの追加の実施例では、接触させるステップは、約15分~約20分、約20分~約25分、約25分~約30分、約30分~約35分、約35分~約40分、約40分~約45分、約45分~約50分、約50分~約55分、約55分~約1時間、約1時間~約1.5時間、約1.5時間~約2時間、約2時間~約2.5時間、約2.5時間~約3時間、約3時間~約3.5時間、又は約3.5時間~約4時間を要し得る。いくつかの実施例では、接触させるステップは、保持溶液を、保持する皿に無菌で注ぎ、次いで同種異系培養ケラチノサイト組成物を、保持する皿に穏やかに下ろすことであり得る。保持する皿は、無菌のボウル、プレート、トレイ、又は他の無菌の表面であり得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、同種異系培養ケラチノサイト組成物は、同種異系細胞化足場を含み得、足場は、真皮線維芽細胞及びマウスコラーゲンを含む。皮膚線維芽細胞は、結合組織を生成することによって創傷治癒を促進し得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、本方法は、同種異系培養ケラチノサイト組成物を解凍することを更に含み得る。解凍するステップは、同種異系培養ケラチノサイト組成物を無菌包装から取り出すステップの前に達成され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、本方法は、同種異系培養ケラチノサイト組成物をメッシュ化することを更に含み得る。メッシュ化は、当該技術分野で知られている自家移植メッシュ化デバイスで達成され得る。メッシュ化デバイスは、破砕式又は非破砕式であり得る。同種異系培養ケラチノサイト組成物は、最大1:1の比率でメッシュ化し得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、本方法は、同種異系培養ケラチノサイト組成物を切断又はトリミングすることを更に含み得る。同種異系培養ケラチノサイト組成物は、医師の裁量で任意の方法で切断又はトリミングして、同種異系培養ケラチノサイト組成物を患者に適切に塗布し得る。いくつかの実施例では、同種異系培養ケラチノサイト組成物は、患者の創傷領域の形状及びサイズに適合するようにトリミング又は切断され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、本方法は、保持溶液を約35℃~約39℃に温めることを更に含み得る。いくつかの実施例では、保持溶液は、約35℃、36℃、37℃、38℃、又は約39℃に温めてもよい。いくつかの追加の実施例では、保持溶液は、約34℃~約35℃、約35℃~約36℃、約36℃~約37℃、約37℃~約38℃、又は約38℃~約39℃に温めてもよい。保持溶液を温めることは、加温オーブン、水浴、又は当該技術分野で公知の他のデバイスを使用することによって達成され得る。
【0020】
いくつかの例示的な実施形態では、開示される方法は、患者の創傷ベッドが、切除及び/又はデブリードマンによって調製された後に実施される。これにより、医師は、創傷を適切に治療するために必要とされる同種異系培養ケラチノサイト組成物の量を決定することができる。
【0021】
II.保持溶液組成
開示される方法は、同種異系培養ケラチノサイト組成物を保持溶液と接触させることを含む。加熱されると、保持溶液は、熱分布のための効率的な培地を提供する。更に、同種異系培養ケラチノサイト組成物を凍結保存溶液中で凍結保存する場合、保持溶液は、同種異系培養ケラチノサイト組成物に含有された残留凍結保存溶液を希釈し得る。開示される方法の保持溶液は、栄養源及び浸透圧調節剤を含む。したがって、保持溶液は、使用のための調製中に、同種異系培養ケラチノサイト組成物のための健全な環境を提供する。
【0022】
保持溶液は、栄養源を含む。いくつかの実施形態では、栄養源は、Ham’s F-12栄養混合物を含み得る。当業者は、Ham’s F-12栄養混合物が、哺乳類細胞の無血清増殖に有用である様々なアミノ酸、ビタミン、無機塩、及び他の成分を含有することを理解するであろう。いくつかの実施形態では、保持溶液は、DMEM、Ham’s F-10、Medium 199、MEM、又はRPMIを含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、保持溶液、緩衝液を含み得る。いくつかの態様では、緩衝液は、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸、3-モルホリノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸、(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)プロパンスルホン酸、ビシン、又はトリシンを含み得る。一実施例では、緩衝液は、HEPESである。いくつかの態様では、緩衝液は、約7.0~約7.4のpH範囲の緩衝系を提供し得る。
【実施例
【0024】
実施例1:保持溶液
以下の組成物を有する例示的な保持溶液を調製した:
(a)約0.25mM/Lの濃度のグリシン、
(b)約0.05mM/Lの濃度のL-アラニン、
(c)約0.70mM/Lの濃度のL-アルギニン塩酸塩、
(d)約0.05mM/Lの濃度のL-アスパラギン-HO、
(e)約0.05mM/Lの濃度のL-アスパラギン酸、
(f)約0.10mM/Lの濃度のL-システイン塩酸塩-HO、
(g)約0.10mM/Lの濃度のL-システイン2HCl、
(h)約0.05mM/Lの濃度のL-グルタミン酸、
(i)約2.50mM/Lの濃度のL-グルタミン、
(j)約0.15mM/Lの濃度のL-ヒスチジン塩酸塩-HO、
(k)約0.42mM/Lの濃度のL-イソロイシン、
(l)約0.45mM/Lの濃度のL-ロイシン、
(m)約0.50mM/Lの濃度のL-リジン塩酸塩、
(n)約0.12mM/Lの濃度のL-メチオニン、
(o)約0.22mM/Lの濃度のL-フェニルアラニン、
(p)約0.15mM/Lの濃度のL-プロリン、
(q)約0.25mM/Lの濃度のL-セリン、
(r)約0.45mM/Lの濃度のL-スレオニン、
(s)約0.04mM/Lの濃度のL-トリプトファン、
(t)約0.21mM/Lの濃度のL-チロシン二ナトリウム塩二水和物、
(u)約0.45mM/Lの濃度のL-バリン、
(v)約0.00001mM/Lの濃度のビオチン、
(w)約0.06mM/Lの濃度の塩化コリン、
(x)約0.005mM/Lの濃度のD-パントテン酸カルシウム、
(y)約0.006mM/Lの濃度の葉酸、
(z)約0.02mM/Lの濃度のナイアシンアミド、
(aa)約0.01mM/Lの濃度のピリドキシン塩酸塩、
(bb)約0.0006mM/Lの濃度のリボフラビン、
(cc)約0.006mM/Lの濃度のチアミン塩酸塩、
(dd)約0.0005mM/Lの濃度のビタミンB12、
(ee)約0.07mM/Lの濃度のi-イノシトール、
(ff)約1.05mM/Lの濃度の無水塩化カルシウム、
(gg)約0.000005mM/Lの濃度の硫酸銅、
(hh)約0.0001mM/Lの濃度の硝酸第二鉄、
(ii)約0.002mM/Lの濃度の硫酸第二鉄、
(jj)約0.30mM/Lの濃度の無水塩化マグネシウム、
(kk)約0.41mM/Lの濃度の無水硫酸マグネシウム、
(ll)約4.16mM/Lの濃度の塩化カリウム、
(mm)約14.29mM/Lの濃度の重炭酸ナトリウム、
(nn)約120.61mM/Lの濃度の塩化ナトリウム、
(oo)約120.61mM/Lの濃度の無水リン酸ナトリウム、
(pp)約0.45mM/Lの濃度の一塩基性リン酸ナトリウム、
(qq)約0.002mM/Lの濃度の硫酸亜鉛、
(rr)約17.51mM/Lの濃度のD-グルコース、
(ss)約15.02mM/Lの濃度のHEPES、
(tt)約0.02mM/Lの濃度のヒポキサンチンNa、
(uu)約0.0001mM/Lの濃度のリノール酸、
(vv)約0.0005mM/Lの濃度のリポ酸、
(ww)約0.0005mM/Lの濃度のプトレシン2HCl、
(xx)約0.50mM/Lの濃度のピルビン酸ナトリウム、及び
(yy)約0.002mM/Lの濃度のチミジン。
【0025】
実施例2:臨床試験結果
119人の対象(深い部分的な厚さの熱傷を有する101人の患者、全層の複雑な皮膚欠損を有する18人の患者)を含んだ臨床試験において、同種異系培養ケラチノサイト組成物をプライミングする開示された方法を使用した。試験の結果は、開示された同種異系培養ケラチノサイト組成物の安全性プロファイルが自家移植部位のものと同様であったことを示した。具体的には、紅斑、腫脹、局所熱感、及び創傷部位感染を含む創傷関連事象は、自家移植のものと同様であった。特に、保持溶液を同種異系培養ケラチノサイト組成物と併せて使用することが観察された際、臨床的に顕著な免疫学的応答は観察されなかった。表1は、臨床試験中に発生した有害事象を示している。
【表1】
【0026】
これによって、保持溶液及び同種異系培養ケラチノサイト組成物は、耐容性が高く、使用が安全であることを実証した。重要なことに、同種異系培養ケラチノサイト組成物の拒絶反応の報告はなかった。
【0027】
実施例3:組成物の調製
同種異系培養ケラチノサイト組成物(例えば、STRATAGRAFT)は、外科的介入が臨床的に必要な無傷の皮膚要素を含有する熱傷(深い部分的な厚さの火傷)を有する成人の治療に必要な同種異系細胞化足場製品である。
【0028】
STRATAGRAFTは、調製された創傷ベッド(切除/デブリードメント)に局所塗布するためのものである。STRATAGRAFTコンストラクトは、約100cm2(約8cm×12.5cm)のオフホワイト長方形である。STRATAGRAFTコンストラクトは、創傷領域の形状及びサイズに適合するようにトリミングされ得る。塗布されるSTRATAGRAFTの表面積は、治療される創傷の表面積と等しくなければならない。複数のコンストラクトを塗布して、大きな創傷領域を覆うことができる。創傷領域を覆うために複数のコンストラクトが必要な場合、STRATAGRAFTコンストラクトに当接するか、又は隣接し、端部を重ねる必要はない。各コンストラクトは、単一の患者にのみ塗布するためのものである。保持溶液は、増殖因子が補充されていない細胞培養培地である。
【0029】
同種異系培養ケラチノサイト組成物を、以下のステップによって調製した:
同種異系培養ケラチノサイト組成物を、カートンに、ホイルポーチに封入されて提供された(図1)。ホイルポーチ内では、同種異系培養ケラチノサイト組成物をポリスチレントレイに収容し、ポリスチレントレイ内に収容されたポリカーボネート膜にゆるく接着させた(図2及び図3)。ポリスチレントレイを製品皿内に収容した(図2)。保持溶液を、ラミネートされたホイルポーチに収容されたプラスチックボトルに提供した(図4)。上部及び下部からなる保持する皿(図6)を透明な袋に提供した(図5)。
【0030】
次いで、保持溶液を、ラミネートされたホイルポーチから取り出した。次いで、保持溶液を加温オーブンに配置して、使用前に少なくとも45分間、又は使用前に少なくとも15分間水浴で、保持溶液を35~39℃に加温した。水浴を使用した場合、ボトルのキャップ又はねじ山は浴槽に浸されていなかった。次いで、操作者は、保持皿を収容する透明なポーチのシールを剥がして開き(図7)、次いで、保持皿をポーチから無菌で取り出し、別の操作者によって無菌野に配置した(図8)。
【0031】
次いで、同種異系培養ケラチノサイト組成物をカートンから取り出した(図9)。次いで、ホイルポーチを剥がして開き(図10)、ポリスチレントレイを取り出し、非無菌表面に配置した(図11)。
【0032】
保持溶液を加温オーブンから取り出し、無菌技術を使用して直ちに無菌保持皿に注いだ(図12)。次いで、非無菌操作者は、ポリスチレントレイに接触することなく、製品皿から蓋を取り外した(図13)。無菌操作者は、無菌の手袋をした指又は鉗子を使用して、ポリスチレントレイを製品皿から無菌で取り出した(図14)。次いで、無菌操作者は、ポリスチレントレイを、一方の端部から始まり、反対側の端部に下ろして、挿入トレイの下に気泡を閉じ込めることを最小限に抑えて、保持皿に配置した(図15)。挿入トレイの下に気泡が閉じ込められている場合、無菌操作者は、挿入トレイをゆっくりと持ち上げ、保持溶液にゆっくりと戻す。次いで、同種異系培養ケラチノサイト組成物を収容する挿入トレイを、保持溶液中に少なくとも15分間、ただし4時間を超えないように維持した。
【0033】
最後に、同種異系培養ケラチノサイト組成物を、無菌の手袋をした指又は一対の無傷の鉗子を使用してポリカーボネート膜から取り出した。次いで、同種異系培養ケラチノサイト組成物を最大1:1の比率でメッシュ化した(図16)。同種異系培養ケラチノサイト組成物は乾燥させなかった:メッシャー及びティッシュボードは、必要に応じて、乾燥を防ぐために保持溶液、無菌0.9%生理食塩水、又は乳酸リンゲル溶液を使用して湿らせた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11
図12
図13
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図15
図16
【国際調査報告】