(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】標的治療を送達するための管腔並置ステント
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20240514BHJP
A61F 2/966 20130101ALI20240514BHJP
A61F 2/848 20130101ALI20240514BHJP
A61B 17/32 20060101ALI20240514BHJP
A61B 18/16 20060101ALN20240514BHJP
【FI】
A61M37/00 550
A61F2/966
A61F2/848
A61B17/32
A61B18/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571377
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 US2022029800
(87)【国際公開番号】W WO2022245921
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ウォルシュ、ケビン
(72)【発明者】
【氏名】フルーリー、ショーン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】キャラハン、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ、ローラ エミリー
(72)【発明者】
【氏名】ファブロー、ジョン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】スカッティ、ジェームズ ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK20
4C267AA02
4C267AA28
4C267AA42
4C267AA56
4C267AA74
4C267BB02
4C267BB06
4C267BB10
4C267BB28
4C267BB40
4C267GG14
4C267GG16
(57)【要約】
ステントを使用して治療部位の組織に標的治療を送達するためのデバイス、システム、および方法が提供される。標的治療は、ステントとは別個の機能性および/または治療薬剤、またはステントとは別個の機能性および/または治療薬剤成分であって、ステント上の機能性および/または治療薬剤の別の成分と反応性を有する成分を含んでいてよい。薬剤または薬剤の成分は、ステントとともに、および/またはステントの送達前に、および/またはステントが送達された後に送達されてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織内の流路を維持するためのシステムであって、
第1のシースと、
前記第1のシース内に配置されたステントであって、第1の構成と第2の構成との間で移行するように構成されたステントと、
前記第1のシースの周りに配置された第2のシースと、
前記第1のシースと前記第2のシースとの間に配置された機能性および/または治療薬剤と
を備える、システム。
【請求項2】
前記機能性および/または治療薬剤は、接着剤、治癒剤、機能性または治療薬剤からなる群から選択される薬剤を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
内側部材をさらに備え、
前記ステントは、前記内側部材の周りに配置され、
前記ステントが前記第1のシース内から解放されて前記第2の構成に移行するように、前記第1のシースが前記内側部材に対して近位に長手方向に後退可能であるか、または前記内側部材が前記第1のシースに対して遠位に長手方向に伸長可能であるか、またはその両方である、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記内側部材の端部に配置された切断要素をさらに備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2のシースが前記内側部材に対して近位に長手方向に後退可能であるか、または前記内側部材が前記第2のシースに対して遠位に長手方向に伸長可能であるか、またはその両方であり、
前記システムは、前記第2のシースが前記内側部材に対して近位に後退させられ、または前記内側部材が前記第2のシースに対して遠位に伸長させられ、またはその両方のときに、前記ステントの表面に前記機能性および/または治療薬剤を配置するように構成されている、請求項3または4に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、前記システムの近位端から前記機能性および/または治療薬剤へ圧力を印加したときに、前記機能性および/または治療薬剤を配置するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記機能性および/または治療薬剤は、第1の機能性および/または治療薬剤成分と、第2の機能性および/または治療薬剤成分とを含み、第1の成分および第2の成分は、互いに接触すると反応するように構成されている、請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の機能性および/または治療薬剤成分は、前記第1のシースと前記第2のシースとの間に配置され、前記第2の機能性および/または治療薬剤成分は、前記第1のシース内に配置されるとき、前記ステント上に配置されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
ステントであって、その中を通って長手方向に延在するルーメンを備えるとともに、第1の構成と第2の構成との間でシフトするように構成されたステントと、
機能性および/または治療薬剤と
を備え、
前記第2の構成において、前記ステントは、第1の保持部材と、第2の保持部材と、それらの間に延在するサドル領域とを画定し、
前記ステントが前記第2の構成で体管腔内に配置されたとき、前記第1の保持部材、前記第2の保持部材、前記サドル領域、および前記体管腔の組織壁が、前記機能性および/または治療薬剤をその中に保持するように構成された容積を画定する、システム。
【請求項10】
前記第1の保持部材および前記第2の保持部材は、前記サドル領域から組織を離隔するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記機能性および/または治療薬剤は、接着剤、治癒剤、機能性または治療薬剤からなる群から選択される薬剤を含む、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
前記機能性および/または治療薬剤を注入するように構成された流体送達デバイスをさらに備える、請求項9~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記流体送達デバイスは、前記組織壁を通して、前記ステントおよび前記組織壁によって画定される前記容積の中に、前記機能性および/または治療薬剤を注入するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記流体送達デバイスは、前記第1の保持部材または前記第2の保持部材のうちの1つを通って延在して、前記ステントおよび前記組織壁によって画定される前記容積の中に前記機能性および/または治療薬剤を注入するように構成されている、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ステントは、それに沿って配置された別の機能性および/または治療薬剤をさらに含む、請求項9~14のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、身体組織などの身体に機能性および/または治療薬剤を動作可能に送達するための医療デバイス、システム、および方法の分野に関する。より詳細には、本開示は、機能性および/または治療薬剤が堆積され、その場などで身体に送達され得る足場としてデバイスを利用する、医療デバイス、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な埋め込み可能なデバイスが、複数の治療プロトコルおよび処置に使用されている。例えば、自己拡張型金属ステント(SEMS)などのステントは、解剖学的領域(例えば、体管腔、通路、血管、管など)内で使用されて、体管腔を通してなど、ある領域から別の領域への、またはある解剖学的構造(例えば、体管腔または体腔または臓器)から別の解剖学的構造(例えば、体管腔または体腔または臓器)への流体連通を可能にすることができる。管腔並置ステントなどのステントは、胃腸(GI)管内などの異なる解剖学的領域へのアクセスを増加および改善するために使用され得る。管腔並置ステントの現在の使用は、膵臓仮性嚢胞のドレナージおよび胆嚢への順行性アクセスを含む。ステントは、身体組織を並置して保持するためにも使用され得る。ステントを使用するときに直面する1つの課題は、様々な力(例えば、患者の自然な動きまたはGI管に沿った蠕動運動などの体内の不随意運動の結果としての)が、ステントの移動のリスクを増加させ得ることである。埋め込まれたステントの移動により、流体漏出、患者の不快感、および/またはステントを交換するための追加の手順が発生する可能性がある。したがって、展開されたステントの移動を低減または防止するためのさまざまなデバイス、システム、および方法が、業界において歓迎されるであろう。さらに、そのような処置によって生じる様々な課題に対処することによる、全層切除の閉鎖などのためのステントの使用の拡大もまた、業界において歓迎されるであろう。最後に、展開中または展開後にステントの標的/展開部位に薬剤または物質を適用するためのさまざまな安全かつ効率的な機構も、業界において歓迎されるであろう。
【発明の概要】
【0003】
本開示のこの概要は、理解を助けるために与えられており、当業者は、本開示の様々な態様および特徴の各々が、いくつかの例において別々に、または他の例において本開示の他の態様および特徴と組み合わせて有利に使用され得ることを理解するであろう。この概要における要素、構成要素などの包含または非包含による、請求される主題の範囲に関するいかなる限定も意図されていない。
【0004】
本開示の一態様によれば、組織内の流路を維持するためのシステムは、第1のシースと、第1のシース内に配置されたステントと、第1のシースの周りに配置された第2のシースとを備える。いくつかの実施形態では、ステントは、第1の構成と第2の構成との間で移行するように構成されている。いくつかの実施形態では、機能性および/または治療薬剤は、第1のシースと第2のシースとの間に配置されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、機能性および/または治療薬剤は、接着剤、治癒剤、治療薬剤を含む群から選択される薬剤を含む。
いくつかの実施形態では、ステントは、内側部材の周りに配置され、ステントが第1のシース内から解放されて第2の構成に移行するように、第1のシースが内側部材に対して近位に長手方向に後退可能であるか、または内側部材が第1のシースに対して遠位に長手方向に伸長可能であるか、またはその両方である。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1の機能性および/または治療薬剤成分は、第1のシースと第2のシースとの間に配置され、第2の機能性および/または治療薬剤成分は、第1のシース内に配置されるとき、ステント上に配置されている。
【0007】
本開示の別の態様によれば、システムは、ステントであって、その中を通って長手方向に延在するルーメンを含むとともに、第1の構成と第2の構成との間でシフトするように構成されたステントと、機能性および/または治療薬剤とを有するものとして開示される。いくつかの実施形態では、第2の構成において、ステントは、第1の保持部材と、第2の保持部材と、それらの間に延在するサドル領域とを画定し、ステントが第2の構成で体管腔内に配置されたとき、第1の保持部材、第2の保持部材、サドル領域、および体管腔の組織壁が、機能性および/または治療薬剤をその中に保持するように構成された容積を画定する。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1の保持部材および第2の保持部材は、サドル領域から組織を離隔するように構成されている。
いくつかの実施形態では、機能性および/または治療薬剤は、接着剤、治癒剤、機能性または治療薬剤を含む群から選択される薬剤を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、システムは、機能性および/または治療薬剤を注入するように構成された流体送達デバイスをさらに含む。いくつかの実施形態では、流体送達デバイスは、組織壁を通して、ステントおよび組織壁によって画定される容積の中に、機能性および/または治療薬剤を注入するように構成されている。いくつかの実施形態では、流体送達デバイスは、第1の保持部材または第2の保持部材のうちの1つを通って延在して、ステントおよび組織壁によって画定される容積の中に機能性および/または治療薬剤を注入するように構成されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、ステントは、それに沿って配置された別の機能性および/または治療薬剤をさらに含む。
本開示の別の態様によれば、吻合を形成する方法は、送達システムを第1の管腔から第1の組織および第2の組織を横切って第2の管腔の中へ前進させることを含む。いくつかの実施形態では、送達システムは、第1のシースと、内側部材と、第1のシース内および内側部材の周りに配置されたステントと、第1のシースの周りに配置された第2のシースと、第1のシースと第2のシースとの間に配置された機能性および/または治療薬剤とを含む。いくつかの実施形態では、ステントは、第1の構成と第2の構成との間で移行するように構成されている。いくつかの実施形態では、方法は、ステントの第1の端部が第1のシースの外側で遠位に延在するとともに、第2の体管腔内で第1の保持部材を形成するように、第1のシースおよび第2のシースを内側部材に対して近位に後退させること、または内側部材を第1のシースおよび第2のシースに対して遠位に延在させること、またはその両方も含み、機能性および/または治療薬剤は、ステントの表面上に配置されている。いくつかの実施形態では、方法は、ステントの第2の端部が第1のシースから拘束されず、第1の体管腔内で第2の保持部材を形成するように、内側部材に対して第1のシースを近位に後退させること、または第1のシースに対して内側部材を遠位に延在させること、またはその両方をさらに含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、方法は、内側部材に対して第1のシースを近位に後退させること、または第1のシースに対して内側部材を遠位に延在させること、またはその両方の際に、ステントのサドル領域の表面上に機能性および/または治療薬剤を配置することをさらに含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、方法は、内側部材に対して第1のシースを近位に後退させること、または第1のシースに対して内側部材を遠位に延在させること、またはその両方の際に、第2の保持部材の表面上に機能性および/または治療薬剤を配置することをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、サドル領域の表面に沿って追加の機能性および/または治療薬剤を配置することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、追加の機能性および/または治療薬剤を配置することは、針を介して追加の機能性および/または治療薬剤を注入することを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、内側部材は、その端部に配置された切断要素を含み、方法は、ステントの第1の端部を第1のシースの外側に遠位に延在させる前に、切断要素を用いて第1の組織および第2の組織を横断して吻合を形成することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示の非限定的な例は、添付の図面を参照して説明されるが、これらの図面は概略的なものであり、縮尺通りに描かれることを意図していない。図において、図示された同一または略同一の構成要素の各々は、通常、単一の数字によって表される。明確化のために、すべての構成要素がすべての図においてラベル付けされているわけではなく、当業者が本開示を理解することを可能にするために図示が必要でない場合には、本開示の各実施形態におけるすべての構成要素が示されているわけではない。
【
図1A】
図1A~
図1Bは、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、機能性および/または治療薬剤を備えたステントを展開するためのシステムの端面図および側面図である。
【
図1B】
図1A~
図1Bは、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、機能性および/または治療薬剤を備えたステントを展開するためのシステムの端面図および側面図である。
【
図2A】
図2A~
図2Dは、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、機能性および/または治療薬剤を備えたステントの展開の態様の例を示す図である。
【
図2B】
図2A~
図2Dは、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、機能性および/または治療薬剤を備えたステントの展開の態様の例を示す図である。
【
図2C】
図2A~
図2Dは、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、機能性および/または治療薬剤を備えたステントの展開の態様の例を示す図である。
【
図2D】
図2A~
図2Dは、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、機能性および/または治療薬剤を備えたステントの展開の態様の例を示す図である。
【
図3A】
図3Aは、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、機能性および/または治療薬剤を備えたステントを用いて形成される端端吻合の断面図である。
【
図3B】
図3Bは、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、並置された組織壁を架橋する機能性および/または治療薬剤を備えたステントの断面図である。
【
図4A】
図4Aは、体管腔に展開された、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態によるステントの一例を示す図である。
【
図4B】
図4B~
図4Eは、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、機能性および/または治療薬剤がその上に展開された、
図4Aのようなステントの様々な例を示す図である。
【
図4C】
図4B~
図4Eは、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、機能性および/または治療薬剤がその上に展開された、
図4Aのようなステントの様々な例を示す図である。
【
図4D】
図4B~
図4Eは、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、機能性および/または治療薬剤がその上に展開された、
図4Aのようなステントの様々な例を示す図である。
【
図4E】
図4B~
図4Eは、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、機能性および/または治療薬剤がその上に展開された、
図4Aのようなステントの様々な例を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、展開されたステントの表面に沿った機能性および/または治療薬剤の経皮注入を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、展開されたステントの表面に沿った機能性および/または治療薬剤の管腔内注入または管内注入を示す図である。
【
図6】
図6は、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、機能性および/または治療薬剤ならびに保持プロングを備えた、展開されたステントの一例の斜視図である。
【
図7】
図7は、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、ステントおよび/または機能性および/または治療薬剤のうちの一方または両方を展開するために有用なデバイスの一例の斜視図である。
【
図8A】
図8A~
図8Bは、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、送達システムエンドキャップの上面図および斜視図である。
【
図8B】
図8A~
図8Bは、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態による、送達システムエンドキャップの上面図および斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明は、例示的な実施形態を示す図面を参照して読まれるべきである。本開示は、説明される特定の実施形態に限定されず、そのような実施形態は変化し得る。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、添付の特許請求の範囲を超えて限定することを意図するものではない。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。最後に、本開示の実施形態は、胃腸系を治療するための医療デバイスおよびシステムおよび処置を具体的に参照して説明され得るが、そのような医療デバイスおよび方法は、腹腔、消化器系、尿路、生殖管、呼吸器系、心血管系、循環系などの組織を治療するために使用され得ることを理解されたい。流体流路を安定させ、維持し、および/または助けるために、構造および構成、ならびに展開する方法は、本明細書で議論される治療を超えた有用性を見出し得る。
【0017】
本明細書で使用される場合、「近位端」は、デバイスを患者に導入するときにデバイスに沿ってユーザ(医療専門家または臨床医または技術者またはオペレータまたは医師など、そのような用語は本明細書では限定する意図なく互換的に使用され、自動コントローラシステムなどを含む)に最も近いデバイスの端部を指し、「遠位端」は、埋め込み、配置、または送達中にデバイスに沿ってユーザから最も遠いデバイスまたは物体の端部を指す。
【0018】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、「または」という用語は、内容が明らかに別のことを指示しない限り、「および/または」を含む意味で一般に使用される。
【0019】
本明細書で使用される場合、接続詞「および」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、そのように接続された構造、構成要素、特徴などの各々を含み、接続詞「または」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、そのように接続された構造、構成要素、特徴などの1つまたは他のものを、単独で、および任意の組合せおよび数で含む。
【0020】
全ての数値は、本明細書において、明示的に示されているか否かにかかわらず、用語「約」によって修飾されると想定される。数値の文脈における「約」という用語は、一般に、記載された値と同等である(例えば、同じ機能または結果を有する)と当業者が考えるであろう数の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数を含み得る。「約」という用語の他の使用(例えば、数値以外の文脈における)は、別段の指定がない限り、本明細書の文脈から理解され、本明細書の文脈と一致するように、それらの通常の慣習的な定義を有すると想定することができる。端点による数値範囲または値の記載は、端点を含むその範囲内の全ての数(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)、およびそれらの分数を含む。
【0021】
本明細書における「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、説明される実施形態が1つまたは複数の特定の特徴、構造、および/または特性を含み得ることを示すことに留意されたい。しかしながら、そのような記載は、必ずしもすべての実施形態が特定の特徴、構造、および/または特性を含むことを意味するわけではない。加えて、特定の特徴、構造、および/または特性が一実施形態に関連して説明される場合、そのような特徴、構造、および/または特性は、明確に反対のことが述べられない限り、明示的に説明されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連して使用されてもよいことを理解されたい。
【0022】
本明細書および図面は、ステントの例を参照し得ることに留意されたい。本明細書に記載の方法および特徴は、広義に理解されるステントに適用され、移植片、組織足場、他の医療用インプラント、または自己拡張型もしくは拡張可能な構造などの様々なデバイスに適用されることが現在企図されている。本明細書におけるステントへの言及は、限定を意図することなく、簡潔さのために暗黙的にそのような適切なデバイスへの言及を含むことが理解されるであろう。
【0023】
様々な処置は、例えば、そこを通る流体の流れおよび/または排出のために、少なくとも1つの体管腔を通る、および/または組織を横断する流路の作成および/または維持を含む。ステント、グラフトなどの医療デバイスを使用して、流路を開いた状態に保持することができる。多くの処置では、開いた流路を維持するためのステント、グラフト、または他の医療デバイスが、内視鏡的に埋め込まれ得る。様々な追加的または代替的処置は、ステント、グラフト、または他の医療デバイスの使用を含み、身体組織の部分を保持する(病変を治癒するなど)か、または並置された身体組織を保持する。このような処置は、内視鏡的処置が従来の開腹手術または腹腔鏡手術よりも侵襲性が低いので、内視鏡的に行うことが有利であり得る。例えば、内視鏡は、広範囲にわたる外科的切開を必要とせずに、体管腔内に導入され得る。
【0024】
このような処置では、これまで様々な課題に遭遇してきた。患者の自然な動きにより、埋め込まれた医療デバイスに様々な力が加えられる可能性があり、それは、医療デバイスが移動するリスクを増加させ得る。追加的にまたは代替的に、体内への医療デバイスの埋め込みは、周囲の組織からの免疫応答を誘発し得る。これらのリスクのいずれも、患者にとって望ましくない組織の刺激および/または不快感をもたらし得る。デバイスが移動した場合、流体は、望ましくないことに、デバイスの周囲、例えば、身体の他の領域に漏出する可能性があり、これは、患者にさらなる不快感および/またはリスクをもたらす可能性がある。取り外されたまたは移動した医療デバイスを再配置または回収するために、その後の処置が必要になる場合がある。
【0025】
したがって、埋め込まれた医療デバイスの位置を維持し、および/またはインプラントを取り囲む組織の刺激を防止、低減、もしくは管理するための改善されたシステムが必要とされている。より一般的には、デバイスの展開部位へのより多様な機能性および/または治療薬剤の適用を可能にするためなど、埋め込まれたデバイスの機能性を高める必要がある。機能性および/または治療薬剤の適用、展開、送達、提供などの用語(ならびにそれらの活用および他の文法形態)は、別段の指示がない限り、限定する意図なく、本明細書において互換的に使用され得ることが理解されるであろう。
【0026】
上記の考察を念頭に置いて、以下の本開示のデバイスおよび/または方法によって、様々な有利な医療結果を実現することができる。
例えば、ステントは、展開部位で組織を治療するために選択された少なくとも1つの機能性および/または治療薬剤を用いて、体内組織または管腔内に、またはそれらを横切って展開され得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、他の組織への(例えば、病変を閉鎖するため、または吻合を形成するため、または並置された組織を保持するための)またはステントへの(例えば、移動に抵抗するために展開部位に対して定位置にステントを保持するための)組織の接着を補助または促進するなどの機械的効果を提供する。いくつかの実施形態では、薬剤は、止血、治癒の促進、周囲組織の刺激および/または炎症の管理の補助、不快感の低減、および/または感染の低減などの生物学的細胞治療効果を提供する(例えば、抗菌剤を含むなど)。本開示のデバイス、システム、および方法とともに使用され得る、接着特性を有する薬剤の例は、シアノアクリレート、LED硬化接着剤、ヒドロゲルなどを含むが、それらに限定されない。治癒特性を有する薬剤(例えば、組織治癒剤)の例は、シルクヒドロゲル、キチンヒドロゲル、成長因子ゲル、抗炎症剤、抗菌剤および他の抗微生物剤(殺生物特性およびバイオスタティック特性を含む薬剤を含むが、これらに限定されない)、抗生剤、止血剤、硬化剤、不快感低減剤(鎮痙薬、ケトロラク、コルチコステロイド、麻薬性鎮痛薬、非麻薬性鎮痛薬、局所麻酔薬、αアドレナリン遮断薬、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない)、成長阻害剤、成長促進剤などを含むが、これらに限定されない。治療特性および/または保護特性を有する薬剤の例は、化学治療薬剤、造影剤および/または治療薬剤の担体としての生体吸収性ゲル、成長因子阻害剤、抗癌剤(例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害剤、ホルモン、免疫抑制剤などの薬剤を含む)などを含むが、これらに限定されない。機能性および/または治療薬剤は、懸濁液、ポリマーに結合されたもの、コーティングに配合されたものなど、意図する目的に適した任意の所望の形態で提供することができる。ヒドロゲルなどの任意の適切な送達剤または担体(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒアルロン酸(HA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、キサンタンガム(XG)、ジェランガム、ゼラチン、寒天、ポリ乳酸(PLA)、キトサン、レシチン)を、そのような薬剤に使用することができる。機能性および/または治療薬剤は、所望の機能性および/または治療効果を達成するために、示されるような送達剤または担体の体積当たりの任意の所望の重量であってよい。例えば、機能性および/または治療薬剤は、送達剤または担体の体積当たり所望の重量で送達剤または担体中に懸濁または配合されていてよい。薬剤/ゲルの注入力は、ステント展開の力を除いて、好ましくは60N未満である。所望のせん断速度での粘度は、好ましくは、その処置について臨床的に許容可能なレベルを超える注入力をもたらさず、60N未満であるべきである。さらに、送達剤または担体は、例えば、水を吸収して膨潤することによって、または水を放出して収縮することによって、またはそこからの機能性および/または治療薬剤の放出に影響を及ぼすことによって、それが置かれる環境に反応するように製剤化されていてよい。上記に列挙された薬剤は、当技術分野における任意の既知の、またはこれまでに既知の薬剤であってよく、本開示の広範な原理は、特定の例によって限定されないことが理解されるであろう。実施形態はこの文脈に限定されるものではない。本明細書に記載される方法およびシステムは、ステントならびに1つまたは複数の機能性および/または治療薬剤の展開を一緒にまたは別個のステップで提供することができる。経皮的および管内展開方法が現在企図されている。
【0027】
本開示は、ステントなどのデバイスまたは構造に関連して機能性および/または治療薬剤を提供するためのデバイス、システム、および方法を提供する。便宜上、限定を意図することなくステントに言及するが、そのような言及は、本開示の様々な原理に従って使用するのに適した他のデバイスおよび/または構造、例えば、治療部位における組織への送達および/または適用のためにそこに適用され、そこに維持される機能性および/または治療薬剤のための足場を形成または提供し得る任意の構造を包含することが意図されている。
【0028】
接着剤、治癒剤、および/または治療/保護剤などの薬剤は、本開示の様々な原理に従って、ステントとともに、またはステントに送達され得る。機能性および/または治療薬剤は、ステントが展開されるときにステントの表面に塗布されてもよい。追加的または代替的に、ステントは、展開部位などで活性化されるまで不活性であり得る機能性および/または治療薬剤成分を担持し、または提供されてもよい(そのような用語および他の類似用語は、限定する意図なく、本明細書で互換的に使用される)。機能性および/または治療薬剤の別の成分は、薬剤の成分が展開部位においてその場で(または展開手順の間、ステントの送達の間などの展開の直前に)相互作用するかまたは活性化され得るように、ステントの展開の際にこのようなステントの表面に適用されてよい。追加的または代替的に、ステントは、ステントが展開された後に機能性および/または治療薬剤を受け入れ、または受け取るように、好ましくは、組織に対して所望の機能および/または治療効果を達成するためにステントがそれに沿って展開される組織に対してそのような薬剤を保持するように構成され得る。いくつかの実施形態において、活性薬剤の担体としてのゲルが、その場で形成され得る。例えば、一方の成分は、ゲルのためのポリマーであってよく、他方の成分は、2つの成分が組み合わされた場合に即座にゲルを形成する架橋剤であってよく、またはゲルは、感熱性であり、体温(例えば、体温の組織)にさらされるとゲルを形成し得る。
【0029】
本開示の様々な原理の1つの特定の利点は、展開されるまで活性化されない機能性および/または治療薬剤を送達する能力である。例えば、展開部位における様々な条件(例えば、展開部位における体組織との接触、ステントの材料との接触、展開部位における体液への曝露、体温への曝露など)が、不活性化状態で送達され得る機能性および/または治療薬剤の活性化を引き起こし得る。別の利点は、特定の薬剤を最初に担持していないか、運搬していないか、または特定の薬剤と関連付けられていないステントと併せて使用される様々な薬剤のうちの1つまたは複数を選択することによって、患者の治療ニーズに合わせて所与のステントをカスタマイズする能力であり、それによって、所与のステントの潜在的な用途を拡大する。
【0030】
本開示の様々な原理に従って、ステントは、治療されるべき組織に対して、または治療されるべき組織に隣接して、機能性および/または治療薬剤を保持するための領域を提供するように構成されている。例えば、ステントは、展開構成にあるとき、第1の端部に沿った第1の保持部材、第2の端部に沿った第2の保持部材、および第1の保持部材と第2の保持部材との間の中間領域を画定する長手方向の広がりを有していてよい。第1の保持部材は、第1の直径を有し、第2の保持部材は、第2の直径を有し、中間領域は、第1の直径および第2の直径の両方よりも小さい中間直径を有する。したがって、機能性および/または治療薬剤は、第1の保持部材と第2の保持部材との間に、中間領域に沿って保持または含有され得る。例えば、機能性および/または治療薬剤は、組織に対して所望の効果を提供するために、提供され、展開され、または堆積され(そのような用語および類似の他の用語は、本明細書では限定を意図せずに互換的に使用される)、中間領域の周り、保持部材の間、およびステントとステントが配置される組織との間に延在する容積内に保持され得る。
【0031】
本開示の様々な原理は、ステントの様々な構成の任意のものに適用することができる。例えば、本開示の原理は、解剖学的領域を排液するために、または流路を開く、もしくは作成もしくは維持もしくは治療するために、または並置された組織を一緒に保持するために(創傷もしくは病変を閉鎖するため、または吻合を形成するためなど)、または他の治療目的のために構成されたステントに適用され得る。いくつかの実施形態では、ステントは、単に、機能性および/または治療薬剤のための構造または足場を提供してもよい。本開示の原理は、切除された組織を閉鎖させるためにステントを使用することによって、組織の全層切除と併せてステントの使用を拡張または改善または強化させるために適用され得る。
【0032】
ステントおよび付随する機能性および/または治療薬剤を送達および展開するための送達および展開システムは、ステント上に配置された第1のシースのための第1の制御ノブと、第1のシース上に配置された第2のシースのための第2の制御ノブと、ステントが展開される内側部材のための第3の制御ノブとを備えたハンドルを含んでいてよく、各制御ノブは、他の制御ノブと独立した動きが可能である。第1のポートは、ガイドワイヤ(例えば、所望の展開部位への誘導を補助するため)または針もしくは注入可能な材料(例えば、撮像材料、造影剤などの蛍光透視剤)の送達等のために、内側部材を通してガイドルーメンまたはチャネルにアクセスするために提供されてよい。第2のポートは、限定ではないが、ステントが送達される前の展開部位、ステントが展開されているときのステント上、すでに展開されたステント上、および/またはすでに展開されたステントに隣接して、ステントに機能性および/または治療薬剤を送達するために提供されてよい。
【0033】
詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、図面は、必ずしも縮尺通りではなく、例示的な実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。
ここで図面を参照すると、
図1A~
図1Bに示すように、展開システム100を含む本開示による様々なシステムは、展開システム100の内側部材102と第1のシース104との間に配置されたステント110を含んでいてよい。ステント110は、第1の構成(例えば、折り畳まれた構成、拘束された構成、細長い構成、送達構成など)と第2の構成(例えば、拡張された構成、拘束されていない構成、展開された構成など)との間でシフトするように構成されていてよい。簡潔にするために、限定する意図なしに、本明細書に記載される第1の構成は、追加的または代替的に、拘束された構成、細長い構成、送達構成などを指すと理解され、本明細書に記載される第2の構成は、追加的または代替的に、拘束されていない構成、拡張された構成、展開された構成などを指すと理解される。ステント110は、
図1A~
図1Bに第1の構成で示されているが、
図2B~
図2Dに示されるステント210の第2の構成と1つまたは複数の類似点を有する第2の構成を有していてよい。
【0034】
ステント110は、中実、織物、編物、または他の認識可能な形態のステントであってよく、金属、ポリマー、シリコーン、または他の材料から作製されていてよい。様々な実施形態において、ステント110は、形状記憶材料から形成され得る。例えば、ステント110は、ニチノール、プラチノールなどの合金などの1つまたは複数の形状記憶ワイヤから形成されていてよい。ステント110は、第2の構成に予め設定され、その後、第1のシース104内に拘束され得る。ポリマーまたはエラストマーまたはシリコーンまたは潤滑性コーティングなどの様々な既知のまたはこれまでに知られているカバー(簡潔にするために図示せず)を、ステント110の選択された領域に適用することができる。カバー、コーティング、シースなどの用語は、用語を限定する意図なく、本明細書において互換的に使用され得ることが理解されるであろう。カバーの提供は、ステント110の機構に寄与し、構造的安定性を付与し、ステント110の壁を通る材料の流れを(部分的にまたは完全に)閉塞し、および/または組織の内部成長を阻害することができる。ステント110の選択された領域は、ステント110の移動に抵抗する組織の内部成長を可能にするためにコーティングされないままであってもよく、任意選択でコーティングされた領域は折り畳みおよび移動に抵抗し、したがって、コーティングされていない領域への内部成長を可能にするために十分な不動性を容易にする。
【0035】
ステント110は、ステント110が第1の構成内に保持されるように、第1のシース104と内側部材102との間に配置されていてよい。第1の介在空間103および/または第2の介在空間105は、ステント110とそれぞれ内側部材102または第1のシース104との間に存在し得る。第1の介在空間103および/または第2の介在空間105は任意であり、ステント110が第1のシース104内に緩く収まることを可能にするほど十分に大きくなくてもよいことが理解されるであろう。様々な実施形態において、内側部材102および第1のシース104は、それらの間にステント110をしっかりと保持することができる。
【0036】
第2のシース106は、第1のシース104の周りに配置されていてよい。機能性および/または治療薬剤150は、第1のシース104と第2のシース106との間の空間107内に配置されていてよい。機能性および/または治療薬剤150は、固体シース、半固体シース、または流体(例えば、ゲルまたは液体)の形態であってよい。いずれにしても、特に、機能性および/または治療薬剤150が流体を含む例では、
図8に示される(および以下でさらに詳細に説明される)ようなキャップ180が、処置の前に、および/または施術者が機能性および/または治療薬剤150を放出する準備ができるまで、少なくとも第1のシース104の遠位端104dおよび/または第2のシース106の遠位端106dに嵌合されることなどによって、展開システム100の遠位端100dに沿って提供されてもよい。代替的または追加的に、展開システム100の遠位端100dに沿って膜が提供されてもよく、膜は、空間107を通過するスタイレットによって穿刺可能であるか、薬剤の圧力によって破られるか、または(例えば、体温で)溶解可能であるように、十分に薄いかまたはそのように構成される。
【0037】
様々な実施形態では、機能性および/または治療薬剤150は、接着および/または治癒および/または他の治療(例えば、組織治療)特性を備えていてよい。例えば、機能性および/または治療薬剤150は、接着剤またはシーラントまたは接着特性を有する他の薬剤(例えば、シアノアクリレート、LED硬化接着剤、ヒドロゲルなど)、様々な治癒ヒドロゲル/ゲル(例えば、シルクヒドロゲル、キチンヒドロゲル、成長因子ゲル)および/または他の治癒剤(抗炎症剤)、成長因子および/または阻害剤、治療薬剤および/または保護剤(例えば、化学治療および/または放射線治療薬剤)、または上述したような同様のもののうちの1つまたは複数を含んでいてよい。実施形態はこの文脈に限定されるものではない。
【0038】
いくつかの実施形態では、切断要素108は、内側部材102の遠位端102dに、またはその上に配置されていてよい。例えば、切断要素108は、組織を穿刺または切断するように構成され得る、電気焼灼先端、ブレードまたは鋭利な針先端などを備えていてよい。切断要素108は、ステント110が延びることのできる、組織を通る経路を作成するために使用され得る。いくつかの実施形態では、ルーメンまたはチャネルが、内側部材102を通して形成され、ガイドワイヤが、そこを通過させられ、ステント110、内側部材102、第1のシース104、および第2のシース106を展開部位に案内するために使用され得る。追加的または代替的に、そのようなルーメンまたはチャネルは、それを通して針、注射剤などを送達するために使用されてもよい。
【0039】
様々な実施形態では、第1のシース104および第2のシース106の一方または両方は、内側部材102に対して、および/または互いに対して、遠位に長手方向に(展開システム100の遠位端100dに向かって)伸長可能であってもよく、および/または近位に長手方向に(展開システム100の近位端100pに向かって)後退可能であってもよい。内側部材102は、第1のシース104および/または第2のシース106に対して、遠位に長手方向に伸長可能であってもよく、および/または近位に長手方向に後退可能であってもよい。様々な実施形態では、第1のシース104に対する内側部材102の遠位長手方向の伸長および/または内側部材102に対する第1のシース104の近位長手方向の後退は、ステント110が、第1のシース104から出る、または第1のシース104から抜かれると、その第1の構成(第1のシース104内にあるとき)からその第2の構成に移行することを可能にし得る。
【0040】
追加的または代替的に、第2のシース106が第1のシース104とともに、または第1のシース104に対して近位に後退させられると、機能性および/または治療薬剤150は、第2のシース106から抜かれ、および/または第2のシース106の遠位端106dに対して遠位に移動させられ、および/または第1のシース104の遠位端104dに対して遠位に移動させられてもよい。代替的または追加的に、機能性および/または治療薬剤150は、第1のシース104と第2のシース106との間から遠位に押し出されるか、または延出されてもよい。例えば、機能性および/または治療薬剤150は、近位に配置された押圧部材(図示せず)、または空気圧の近位源、または展開システム100の近位端100p(内側部材102、第1のシース104、または第2のシース106のうちの1つまたは複数の近位端など)に連結された制御ハンドル1000を介して制御され得る他の力からそこに印加される圧力などの結果として、第1のシース104の遠位端104dおよび第2のシース106の遠位端106dに対して遠位に移動させられ得る。例えば、
図7に示される(および以下でさらに詳細に説明される)ような制御ハンドル1000は、機能性および/または治療薬剤150の近位の(例えば、空間107の中への)空気の加圧に影響を及ぼす手段を備えていてよく、それによって、機能性および/または治療薬剤150の遠位の押し出しをもたらす。
【0041】
ステント210の実施形態の例の展開の例の様々な態様が、
図2A~
図2Dに示されている。ステント210は、編組ワイヤから形成されるものとして図示されているが、ステントの様々な代替的な既知の、およびこれまでに知られている構造および/または構成は、本開示の範囲および技術思想に含まれる。注目すべきことに、ステント210は、ステント110に関して説明したように、第1の構成と第2の構成との間でシフトまたは移行することができ、
図1A~
図1Bに関して説明したように、内側部材102と第1のシース104との間に同様に配置されていてよく、内側部材102は、ステント210を通って長手方向に延在するルーメン211を通って延びている。いくつかの実施形態では、ステント110に関して説明したように、ステント210の上にカバーを設けることができる。
【0042】
図2Aに示されるステント210の例は、第1の端部212と、第2の端部214と、それらの間に延在する中間セグメント216とを有し、これらは、第1の構成において同じまたは実質的に同じ直径D1を有し得る。
図2A~
図2Bに見られるように、第1のシース104および第2のシース106が、内側部材102およびステント210に対して矢印Aの近位方向に近位に後退させられると、および/または内側部材102(ステント210を担持する)が、第1のシース104または第1のシース104および第2のシース106の両方に対して矢印Bの遠位方向に遠位に伸長させられると、ステント210の第1の端部212は、ステント210の第1の端部212に沿って第1の保持部材220を画定することができるステント210の第2の構成に移行することができる。いくつかの例では、(第2の構成におけるステント210の一部の)第1の保持部材220の直径D2は、第1の構成におけるステント210の第1の端部212の直径D1よりも大きい。様々な実施形態において、第1の保持部材220は、いくつかの例では、中間セグメント216に面する(例えば、近位に面する)第1の保持部材の内壁222と、中間セグメント216とは反対側に面する(例えば、遠位に面する)第1の保持部材の外壁224とを有し、概して第1の保持部材の内壁222に結合された二重壁保持部材であってもよく、その一方または両方は、組織と接するように構成されていてよい。
【0043】
第1のシース104および第2のシース106は、内側部材102に対して矢印Aの近位方向にさらに近位に後退させられてもよく、および/または内側部材102は、第1のシース104、または第1のシース104および第2のシース106の両方に対して矢印Bの遠位方向に遠位に延ばされてもよく、その結果、中間セグメント216は、第2の構成において第1の保持部材220から近位に延在するサドル領域230を形成する。サドル領域230は、略円筒形であってよい。サドル領域230は、第1の構成における中間セグメント216(例えば、直径D1)と同じまたは異なる直径(例えば、直径D3)を有していてよい。いくつかの例では、サドル領域230は、第1の構成における中間セグメント216よりも大きい直径を有し得る。
【0044】
図2Cに見られるように、第1のシース104および第2のシース106は、内側部材102に対して矢印Aの近位方向にさらにもっと近位に後退されてもよく、または内側部材102は、第1のシース104、または第1のシース104および第2のシース106の両方に対して矢印Bの遠位方向に遠位に延ばされてもよく、その結果、第2の端部214は、サドル領域230に近位に隣接する第2の保持部材240を形成する。いくつかの例では、(第2の構成におけるステント210の一部の)第2の保持部材240の直径D4は、第1の構成におけるステント210の第2の端部214の直径D1よりも大きくてよい。第2の保持部材240は、いくつかの例では、第2の保持部材の内壁242(例えば、近位に面する)と、中間セグメント216とは反対側に面する(例えば、遠位に面する)第2の保持部材の外壁244とを有する二重壁保持部材であってよく、その一方または両方は、組織と接するように構成されていてよい。
【0045】
第1の保持部材220および第2の保持部材240は、同一または異なる形状、サイズ、および/または構成を有していてよい。例えば、直径D2および直径D4は、大きさが同じであっても異なっていてもよい。様々な例において、第1の保持部材220および/または第2の保持部材240の一方または両方は、フランジ、例えば二重壁フランジを含んでいてよい。他の例では、第1の保持部材220および/または第2の保持部材240は、サドル領域230の直径よりも大きい直径を有するリッジ、バンプ、フレア、ランプ、円筒形部分、または他の表面特徴(図示せず)を含むことができ、これらはステント210の円周の周りに完全にまたは部分的に延在することができる。本開示によるいくつかの実施形態では、直径D2および直径D4は、切断要素(図示されないが、
図1Bに図示される切断要素108など)の直径よりも大きくてもよく、その結果、第1の保持部材220および第2の保持部材240は、切断要素によって形成される吻合よりも幅広であってよい。
【0046】
いくつかの例では、ステント210は、サドル領域230から離れるように第1の保持部材220から延出することができる(例えば、遠位に延在することができる)第1のリップ226を含んでいてよい。同様に、ステント210は、サドル領域230から離れるように第2の保持部材240から延出することができる第2のリップ246を含んでいてよい。第1のリップ226の直径D5および第2のリップ246の直径D6は、同じまたは異なる直径であってもよく、サドル領域230の直径D3と同じまたは異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、直径D5および/または直径D6は、直径D3よりも大きく、その結果、ステント210は、そのそれぞれの端部212,214において保持部材220、240を通る開口部であって、サドル領域230を通って延在するルーメン211の部分の直径よりも広い開口部を有し、これは、第2の構成にあるとき、ステント210を通って延在するルーメン211を通る流体がより多く流れることを容易にし得る。
【0047】
図2A~
図2Cに示す例を参照して分かるように、機能性および/または治療薬剤150は、ステント110が展開されると、ステント210に沿って展開および配置され得る。例えば、ハンドル1000(
図7に示される)によって作動されるような、展開システム100の近位端100pから第1のシース104と第2のシース106との間の空間107の中へ印加される陽圧は、任意選択で、内側部材102に対する第1のシース104および第2のシース106の近位の後退と協調して、および/または第1のシース104および第2のシース106に対する内側部材102の遠位の伸長と協調して、機能性および/または治療薬剤150に及ぼされてもよく、その結果、ステント210が第1のシース104内から遠位に解放されるか、または第1のシース104から抜かれると、機能性および/または治療薬剤150は、ステント210の一部に沿って(例えば、第1の端部212、中間セグメント216、または第2の端部214のうちの1つまたは複数に沿って)配置される。いくつかの例では、
図2A~
図2Cに示すように、機能性および/または治療薬剤150の層は、したがって、ステント210の外面の一部に沿って、または外面全体に沿って堆積されてもよい(例えば、
図3Aまたは
図3Bに示すように)。
【0048】
他の例では、展開システム100の近位端100pから第1のシース104と第2のシース106との間の空間107の中へ印加される陽圧は、ステント210に沿って機能性および/または治療薬剤150を選択的および/または部分的に配置するように、ハンドル1000(
図7に図示される)を介してもたらされてもよい。例えば、機能性および/または治療薬剤150は、リップ226、第1の保持部材の外壁224、第1の保持部材220、第1の保持部材の内壁222、サドル領域230、第2の保持部材の内壁242、第2の保持部材240、第2の保持部材の外壁244、またはリップ246のうちの1つまたは複数の全体または一部が、いったん展開されると、機能性および/または治療薬剤150の層で被覆されないように配置されていてもよい。換言すれば、機能性および/または治療薬剤150は、ステント210を断続的または不連続的または部分的に覆っていてよい。例えば、
図3Bに示すようなステント210は、サドル領域230に沿ってのみ配置された機能性および/または治療薬剤150を含む。他の実施形態では、簡略化のために図示されないが(そのような概念は当業者によって容易に理解される)、機能性および/または治療薬剤150は、サドル領域230に沿ってではなく、第1の保持部材220および第2の保持部材240の各々に沿って、サドル領域230および第1の保持部材の内壁222および第2の保持部材の内壁242のみに沿って、リップ226および第1の保持部材220に沿って、リップ246および第2の保持部材240に沿って、またはリップ226、第1の保持部材の外壁224、第1の保持部材220、第1の保持部材の内壁222、サドル領域230、第2の保持部材の内壁242、第2の保持部材240、第2の保持部材の外壁244、もしくはリップ246の任意の他の組み合わせに沿って配置され得る。
【0049】
ステント210がカバー(図面を簡潔にするために図示せず)を備える場合、カバーは、機能性および/または治療薬剤150がステント210の多孔性表面の1つまたは複数の穴(例えば、編組織りの間隙)を通ってルーメン211内に流れるのを防止するのに役立ち得ることが理解されるであろう。したがって、カバーは、ステント110の表面に沿って機能性および/または治療薬剤150の位置を維持するのに役立ち得る。ステント210は、完全なカバーまたは部分的なカバーを備えていてよい。例えば、部分的なカバーは、機能性および/または治療薬剤150の存在が望ましい領域において、その長さに沿ってカバーの1つまたは複数のセグメントを含み、ステント210の残りの部分はカバーを含まなくてよい(したがって、例えば、機能性および/または治療薬剤150がステント210の多孔性表面を通って流れるかまたは排出されることを可能にするか、あるいは機能性および/または治療薬剤150がステント110のそのような部分に沿って提供されない)。いくつかの実施形態では、ステント210に沿った1つまたは複数のマーカーは、機能性および/または治療薬剤150が配置されるべき場所を示すように、ステント210に沿った部分的カバー(図示せず)または他の領域の開始または終了を示すことができる。したがって、機能性および/または治療薬剤150の過剰な使用を最小限に抑えることができ、これにより、第1のシース104と第2のシース106との間への機能性および/または治療薬剤150の初期装填に必要な機能性および/または治療薬剤150の量を低減することができ、および/または患者の体内に流入する機能性および/または治療薬剤150の量を最小限に抑えることができる。いくつかの実施形態では、機能性および/または治療薬剤150は、(例えば、ステント210よりも長い可能性がある病変の領域のための)緩衝剤として機能するように、ステント210の配置および展開の前および/または後に置かれてよい。
【0050】
機能性および/または治療薬剤150は、ステント210に沿ったそれぞれの直径が、直径D1、直径D2、直径D3、直径D4、直径D5、または直径D6を超えて大きくなるように、ステント210の1つまたは複数の部分に沿って配置されてもよいが、様々な実施形態では、機能性および/または治療薬剤150は、ステント210のそれぞれの直径を実質的に増加させないように、ステント210に沿って配置されてもよい。実施形態はこの文脈に限定されるものではない。
【0051】
機能性および/または治療薬剤150は、いくつかの実施形態では、生体組織もしくは体温への暴露によって、または外部刺激に基づいてなど、経時的に自動的に硬化し得る接着剤などの硬化剤を含んでいてもよい。例えば、機能性および/または治療薬剤150は、例えば、
図7に図示されるような制御ハンドル1000の作業チャネルを通して延びる光からのUV光への暴露に基づいて硬化し得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、機能性および/または治療薬剤150は、互いに接触すると、硬化および/または重合プロセスをもたらす、複数の成分を含んでいてよい。例えば、機能性および/または治療薬剤150は、第1の成分がトロンビンを含み、第2の成分がフィブリノゲンを含んでいてよい、フィブリン糊を含み得る。機能性および/または治療薬剤150が、特に互いに反応性であり得る複数の成分を含むいくつかの例では、第1の機能性および/または治療薬剤成分152は、第1のシース104と第2のシース106との間の空間107に配置されていてよく(不活性状態などで)、第2の機能性および/または治療薬剤成分154は、展開前にステント210の表面に沿って配置されていてよい。
【0053】
図2Dに示すように、(
図2A~
図2Cに関して説明したような)機能性および/または治療薬剤150の完全な活性形態ではなく、第1の機能性および/または治療薬剤成分152の例が、第1のシース104と第2のシース106との間の空間107内に配置されて示されており、
図2A~
図2Cに関して上述したようなステント210に沿った機能性および/または治療薬剤150と同様に、ステント210に沿って配置(例えば、堆積)されていてよい。しかしながら、
図2A~
図2Cに示される例とは異なり、ステント210は、展開前に、その全体または一部(第1の端部212、第2の端部214、および/または中間セグメント216)に沿って第2の機能性および/または治療薬剤成分154を有している。したがって、第1の機能性および/または治療薬剤成分152がステント210上に堆積されると、第1の機能性および/または治療薬剤成分152は、ステント110上の所定の位置にすでにある第2の機能性および/または治療薬剤成分154上に堆積されてよく、第1の機能性および/または治療薬剤成分152および第2の機能性および/または治療薬剤成分154は、その場で重合するように、互いに反応し得る。実施形態はこの文脈に限定されるものではない。
【0054】
簡略化のために
図2A~
図2Dには示されていないが、ステント210は、1つまたは複数の組織、体管腔などにわたって展開されて、それらの間に流路を形成し、および/または組織を接合することができる。例えば、
図3Aに示されているように、
図2A~
図2Dの例に示されているようなステント210の実施形態の例を使用して、端端吻合を形成することができる。
図3Bに示されているように、
図2A~
図2Dの例に示されているようなステント210の実施形態の一例を使用して、側側吻合を形成することもできる。
【0055】
図3Aに示すように、ステント210は、展開システム100(
図2A~
図2Dに関して説明されたような)から展開されて、それぞれ組織T1および組織T2によって画定される体管腔L1および体管腔L2を横切って、かつそれらを通って延びることができる。例えば、組織T1および組織T2は、血管、腸の一部分、または他の組織であってよい。いくつかの実施形態では、上述したような第1の保持部材220の展開は、体管腔L2内であってよい。例えば、展開システム100は、体管腔L1を通して導入され、体管腔L2(図示せず)まで、またはその中に延ばされてよい。この例では、第1のシース104および第2のシース106は、3つ全てが体管腔L2内に配置されている間、内側部材102に対して近位に後退させられてよく、および/または内側部材102は、第1のシース104および第2のシース106に対して遠位に、体管腔L2内に延ばされてもよい。いずれにしても、第1の端部212は、体管腔L2内で第1の保持部材220の中に移行してよく、その結果、特に、第1の保持部材220が組織T2の内面と係合し、それによって、ステント210の第1の端部212の位置を体管腔L2内に留める、固定する、係留する、または保持する。展開システム100は、組織T2が展開システム100およびステント210とともに移動され、組織T1と並置されるように、例えば、矢印Aの方向に(第1の端部212とともに)近位に後退させられてよい。次に、第2の保持部材240は、例えば上述のステップを介して体管腔L1内で展開され、第2の保持部材240が組織T1に接触して、体管腔L1内に固定され、留められ、または保持される。機能性および/または治療薬剤150は、多くの場合、組織T1または組織T2の一方または両方に付着することによって、および/または組織T1および組織T2を互いに付着させることによって(組織T1および組織T2が端端吻合を形成する例など)、ステント210によって容易にされる吻合の保持強度を高めるように働き得る。
【0056】
図3Bに示す例では、ステント210を使用して、1つの器官または体管腔から別の器官または体管腔への排液を容易にすることができる。例えば、切断要素108(
図1Bに図示されるような)は、体管腔L3から矢印Bの方向に、組織T3を通して、組織T4を通して、体管腔L4の中へ、遠位に前進させられてよい。次いで、第1の保持部材220は、上記の1つまたは複数の態様に従って、体管腔L4内で展開され得る。いくつかの例では、展開システム100は(第1の保持部材220と共に)、組織T4が組織T3と並置されるように遠位に前進させられる。次に、第2の保持部材240は、例えば上述のステップを介して体管腔L3内で展開され、第2の保持部材240が組織T3に接触して、体管腔L3内に固定され、留められ、または保持される。いくつかの実施形態では、機能性および/または治療薬剤150は、組織T3または組織T4の一方または両方に付着して、組織T3および組織T4を互いにおよびステント110と並置して保持することができる。例えば、サドル領域230は、組織T3および組織T4にわたって延在していてよく、サドル領域230に沿った機能性および/または治療薬剤150は、組織T3および組織T4の両方に付着していてよい。
【0057】
機能性および/または治療薬剤150の送達および展開に関する本開示の原理は、吻合に限定される必要はないことが理解されるであろう。例えば、
図4A~
図4Eに示すように、ステント310は、組織に対して機能性および/または治療薬剤150を送達または提供するために、無傷のまたは単一の体管腔L5などの体管腔L5内に配置されてよい。例えば、管腔内の閉塞がステント510によって開かれてもよく、および/または機能性および/または治療薬剤150が、管腔に沿って罹患領域(例えば、罹患、損傷など)に送達されてもよい。ステント310は、上述したステント110,210の1つまたは複数の特徴または態様を共有することができる。例えば、ステント310の上にカバー(シリコーンカバーまたはコーティングなど)が設けられてもよい。ステント310は、第1の保持部材320がそれに沿って形成または提供され得る第1の端部312と、第2の保持部材340がそれに沿って形成または提供され得る第2の端部314と、サドル領域330がそれに沿って延在する中間セグメント316とを有していてよい。機能性および/または治療薬剤150は、ステント310と関連付けられていてよい。いくつかの実施形態では、機能性および/または治療薬剤150は、サドル領域330に沿って、第1の保持部材320と第2の保持部材340との間に長手方向に提供され、ステント310は、処置されるべき領域を有する組織T5に沿って配置された機能性および/または治療薬剤150とともに配置される。機能性および/または治療薬剤150は、上述したような様々な方法のいずれかでステント310と関連付けられていてよい。例えば、機能性および/または治療薬剤150は、ステント310が展開されるときにステント310上に配置されてよく、および/または1つまたは複数の機能性および/または治療薬剤成分の形態で提供されてもよく、そのうちの少なくとも1つは、送達前などの展開前にステント310上に提供され、そのうちの少なくとも別の1つは、展開部位で機能性および/または治療薬剤150の活性化を引き起こすために展開中にステント310上に提供される。追加的または代替的に、機能性および/または治療薬剤150は、ステント310が展開された後に提供されてもよい。ステント310は、そのサドル領域330に沿って追加のまたは代替の機能性および/または治療薬剤150を保持するように構成されていてよい。例えば、第1の保持部材320および第2の保持部材340は、サドル領域330から離隔された組織T5を保持して、例えば以下に説明する方法に従って、ステント310の展開後に機能性および/または治療薬剤150が注入され得る作業空間を作り出すことができる。
【0058】
機能性および/または治療薬剤150は、
図4Aに示すように、サドル領域330、第1の保持部材320、第2の保持部材340、および組織T5(ステント310が配置される管腔L5の壁を形成する組織)によって画定される容積313が、様々な割合で機能性および/または治療薬剤150により充填されることができるように、ステント310のサドル領域330に沿って増加するおよび/または所定の容積で提供され得る。例えば、
図4Bおよび
図4Cは、それぞれ、第1の保持部材320と第2の保持部材340との間のサドル領域330に沿って注入される、より大きい体積の機能性および/または治療薬剤150を示している。
図4Dは、サドル領域330、第1の保持部材320、第2の保持部材340、および組織T5によって画定される実質的に全ての容積313が、機能性および/または治療薬剤150で充填された例を示す。
図4Eは、
図4Dに示される例の断面図を示し、例えば、機能性および/または治療薬剤150を容積313内に保持し、ステント310の壁を通してルーメン311内への機能性および/または治療薬剤150の流れを阻害するステント310を覆うカバーの有効性によって、ステント310のルーメン311がステント310を通して維持され得ることを示す。
図4A~
図4Eは、機能性および/または治療薬剤150の送達の異なる段階を順次示すものとして見ることができ、あるいは
図4A~
図4Eの各々は、異なる量の機能性および/または治療薬剤150がすでに送達されているステント310を示すものとして見ることができることが理解されるだろう。
図4A~
図4Eに示される実施形態の例のいずれかまたは全てにおいて、機能性および/または治療薬剤150は、適切な粘度値で所望の機能性および/または治療効果を達成するために、示されるような送達剤または担体の体積当たりの任意の所望の重量であってよい。例えば、機能性および/または治療薬剤150は、送達剤または担体の体積当たりの所望の重量で送達剤または担体中に懸濁または配合されていてよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、ステント310は、処置されるべき組織領域を有する管腔L5内に配置されていてよい。ステント310のサドル領域330は、組織T5に沿って配置されていてよく、処置されるべき組織領域は、第1の保持部材320と第2の保持部材340との間に長手方向に配置されている。機能性および/または治療薬剤150は、ゲルまたは液体形態で提供され、容積313内に含有され、処置されるべき組織領域に隣接する場所に保持されていてよい。例えば、(上述したような)ステント310を覆うカバーは、機能性および/または治療薬剤150が容積313から滲出することを許容することなく、機能性および/または治療薬剤150を容積313内に保持することができる。いくつかの実施形態では、容積313内に配置された機能性および/または治療薬剤150は、上述のような薬剤を含んでいてよい。例えば、機能性および/または治療薬剤150は、組織T5の治癒を補助し得る、例えば、成長因子、抗炎症剤などの1つまたは複数の治癒剤を含み得る。いくつかの実施形態では、機能性および/または治療薬剤150は、展開部位に別個に送達される、第1の機能性および/または治療薬剤成分152と、第2の機能性および/または治療薬剤成分154とを備えてもよい。例えば、第2の機能性および/または治療薬剤成分154は、ステント310とともに送達されてよく、第1の機能性および/または治療薬剤成分152は、ステント310とは別個に送達され、第2の機能性および/または治療薬剤成分154と接触するようにステント310とともに展開されてよい。いくつかの実施形態では、追加量の機能性および/または治療薬剤150、あるいは第1の機能性および/または治療薬剤成分152ならびに第2の機能性および/または治療薬剤成分154は、(以下でさらに詳細に説明されるように)ステント310が管腔L5内に展開された後、容積313内に展開されてもよい。機能性および/または治療薬剤150は、少なくとも1つの追加の接着剤成分を含んでいてよい。例えば、ステント310の展開後、医療専門家は、周囲の組織に対するステント310のさらなる接着が望ましい可能性があると判断することがあり、その場合、以下でさらに詳細に説明されるように、ステント310がすでに展開された後に、機能性および/または治療薬剤150が提供され得る。実施形態はこの文脈に限定されるものではない。
【0060】
機能性および/または治療薬剤150、または第1の機能性および/または治療薬剤成分152ならびに第2の機能性および/または治療薬剤成分154が、上述のように、ステント310とともに展開されない、またはステント310が展開されるときに展開されない場合、ステント310として構成されるステント(例えば、各端部に沿った保持部材およびそれらの間のサドル領域を備える)は、
図5Aおよび
図5Bに示されるように、管腔L5内のステント310のようなステントおよびステントが配置される管腔に対して、機能性および/または治療薬剤、または機能性および/または治療薬剤の1つまたは複数の成分の後の展開を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、機能性および/または治療薬剤、または機能性および/または治療薬剤の1つまたは複数の成分は、サドル領域330、第1の保持部材320、第2の保持部材340、および組織T5によって画定される容積313の中に注入されてよい。
図5Aに示すように、シリンジまたは皮下注射針などの流体送達デバイス160を使用して、機能性および/または治療薬剤150を、管腔L5の壁を通してステント310と管腔L5との間の容積313内に経皮的に送達することができる。流体送達デバイス160は、任意の所望の形状または構成であってよく、当業者によって容易に理解され得るように、管腔L5における治療部位に経皮的に到達するために必要な長さを有していてよい。例えば、機能性および/または治療薬剤は、近位の投薬量コントローラ162で投与され、組織貫通端164を介して組織T5を通して容積313内に注入され得る。追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、機能性および/または治療薬剤、または機能性および/または治療薬剤の1つまたは複数の成分は、
図5Bに示されるように、ステント310の壁を通して容積313の中に注入され得る。例えば、流体送達デバイス160は、管腔L5を通ってステント310の展開部位に経管的に送達され得る。いくつかの実施形態では、ステント310の壁(保持部材320,340のうちの1つの壁など)は、流体送達デバイス160の組織貫通端164によって貫通可能であってよく、そこを通じて所望の量の機能性および/または治療薬剤が投与され得る(例えば、
図7に示されるような送達および展開デバイス10の制御ハンドル12に沿ってなど、流体送達デバイス160の近位端から)。上述したように、カバーが、ステント310上に設けられてもよく、容積313内に機能性および/または治療薬剤を保持することができる。そのようなカバーは、流体送達デバイス160の組織貫通端164によって貫通可能であり、組織貫通端164の引き抜き時に自己封止して、容積313内に機能性および/または治療薬剤を保持し得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、上述したように、組織T5に対するステント310の移動を阻止するために、接着剤を備えた機能性および/または治療薬剤150が、ステント310と管腔L5との間に画定された容積313内に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、物質または化学物質ベースの保持剤(接着剤など)の代わりに、またはそれに加えて、機械的保持または移動防止特徴を提供することが望ましい場合がある。例えば、機能性および/または治療薬剤150は、接着剤を含んでいなくてもよく、および/または、展開部位における力が時に機能性および/または治療薬剤150の接着特性および/またはステントの保持フランジによって加えられる保持力に打ち勝つと考えられる場合には、追加の保持機構が必要であってもよい。
図4A~
図4E、
図5A、
図5Bのいずれかまたは全てにおいて構成されるようなステントは、保持部材の内壁およびそのサドル領域の外面によって画定される容積内に展開される機能性および/または治療薬剤150の浸出または漏出を防止するために、被覆またはコーティングされてもよいことが理解されるであろう。このようなカバーは、概して、組織の内部成長に抵抗し、したがって、ステントの移動を阻害しない可能性がある。いくつかの実施形態における本開示の様々な原理によれば、
図6に図示されるように、ステント410の実施形態には、追加の機械的固定要素が設けられてもよい。固定要素は、ステント410の第1の端部412および/または第2の端部414に沿ってなど、ステント410に沿った1つまたは複数のアンカー470の形態であってよい。アンカー470は、組織に対するステントなどのデバイスの固定を容易にして、組織に対するデバイスの移動を阻止/防止するために、当技術分野で知られているかまたはこれまで知られているような、ループ形状の突起もしくはフィン(図示のような)、またはポスト、クイル、スパイク、バーブ、フックなどの任意の所望の形態であってよい。アンカー470は、ステント410を形成するものと同様のワイヤなど、金属またはポリマーなどの弾性生体適合性材料から形成されていてよい。アンカー470は、アンカー470のうちの1つまたは複数を引っ張ることなどによって、ステント410を除去するために使用され得る。追加的または代替的に、フィラメント、コード、縫合糸、ワイヤ、紐、バンドなどの除去/回収デバイス480が、アンカー470および/またはステント410の端部412,414の周囲に沿って、またはその周りに提供され、所望される場合、当技術分野で知られているかまたはこれまで知られているような方法で、ステント410の除去を容易にすることができる。回収デバイス480は、回収デバイス480を引くとステント410を締め付けるかまたは収縮させてステント410の除去を容易にするように、ステント410に対して構成および配置されていてよい(例えば、ステント410の壁に織り込まれる)。例えば、回収デバイス480は、アンカー470を引き込み、回収デバイス480が引っ張られたときにステント410を折り畳む方法で、ステント410およびアンカー470の両方を通過する縫合糸回収ループの形態であってよく、これは、ステント410を展開部位から取り出すことを可能にする。
【0062】
展開システム100は、
図7に示されるような内視鏡1100を介して治療部位に送達され得る。内視鏡1100は、通常、結腸鏡、十二指腸鏡、気管支鏡、胃鏡、もしくは尿管鏡、または同様の医療デバイスなどの、到達されることが所望される特定の解剖学的構造に基づいて選択される、複数のタイプの内視鏡または関連医療デバイスのうちの任意のものであってよい。展開システム100は、内視鏡1000のハンドル1104のポート1102および可撓性の細長いシャフト1108を通る作業チャネルを通して挿入され得る。知られている、またはこれまでに知られているような展開可能な足場が、細長いシャフト1108の遠位端に提供されてもよく、内視鏡および/またはそのツールによる標的組織/治療部位へのアクセスおよび/またはその視覚化を改善するために、体管腔内に配置され、続いて拡張され得る。内視鏡1100は、外部光源(図示せず)に接続される光ケーブルなどの様々な視覚化コンポーネントのうちの任意のものを含んでいてよい。ユーザが作業領域を視覚化できるように、電荷結合素子(CCD)カメラなどの撮像素子を遠位端に配置することができる。知られている、またはこれまでに知られているように、他のツールの送達、吸引の適用、流体(例えば、空気、水、生理食塩水、機能性および/または治療薬剤など)の送達などのために、内視鏡ハンドル1104に沿って様々な追加のポートを設けることができる。内視鏡1000は、その1つまたは複数の構成要素の関節運動を引き起こすように動作し得る、ノブなどの1つまたは複数の追加の制御を備えていてもよい。関節運動は、例えば、近位の後退、遠位の伸長、長手方向軸を中心とした回転、横軸に沿った移動、横断軸に沿った移動、またはそれらの任意の組み合わせを含んでいてよい。
【0063】
概して、送達および展開デバイス10は、本明細書に記載される実施形態による、組織を治療するための展開システム100の使用を容易にするために、制御ハンドル1000を含んでいてよい。制御ハンドル1000は、アクチュエータ1002,1004,1006などの1つまたは複数の制御を備えていてよく、それらはそれぞれ、内側部材102、第1のシース104、および第2のシース106に結合されていてよく、内側部材102、第1のシース104、および第2のシース106の所望の遠位前進/伸長または近位後退または他の移動(例えば、回転)または移動の組み合わせを引き起こすように動作することができる。アクセスポート1007は、制御ハンドル1000に沿って配置され、展開システム100を通した圧力の導入を容易にし、機能性および/または治療薬剤150を前進させ(第1のシース104と第2のシース106との間の空間107を通してなど)、および/または、追加の機能性および/または治療薬剤またはその成分を本開示の様々な原理に従って形成されるステントに導入することができる。圧力、流体(例えば、吸引のため)、または他の薬剤(例えば、造影剤などの撮像材料)を導入するための追加のポートも、内側部材102を通してルーメンと流体連通するなどして、提供されてもよい。
【0064】
上記で簡単に説明したように、キャップ180は、処置の前に、および/または施術者が機能性および/または治療薬剤150を放出する準備ができるまで、少なくとも第1のシース104の遠位端104dおよび/または第2のシース106の遠位端106dに嵌合されることなどによって、展開システム100の遠位端100dに沿って提供されてもよい。本開示の様々な実施形態によるキャップ180の実施形態の一例が、
図8A~
図8Bに示されている。キャップ180は、可撓性および/または非可撓性材料で作製されていてよく、使い捨て可能(例えば、単回使用)または滅菌可能かつ再使用可能であってよい。
【0065】
様々な実施形態では、キャップ180は、展開システム100の遠位端において1つまたは複数のキャビティと締まり嵌め(interference fit)を形成するように構成されていてよい。例えば、隆起部182は、
図1A~
図1Bに関して説明したように、内側部材102と第1のシース104との間に締まり嵌めを形成するように構成されていてよく、および/または隆起部184は、第1のシース104と第2のシース106との間に締まり嵌めを形成するように構成されていてよい。図面を簡単にするために示されていないが、キャップのための代替的に構成された取り付け方法および機構が企図される。例えば、キャップは、展開システム100の遠位端の周りに(例えば、第2のシース106の外径の周りに)延在してもよく、および/またはねじ嵌合、ルアーロックなどを介して展開システム100の遠位端の1つまたは複数の態様に嵌合してもよい。
【0066】
様々な実施形態では、キャップ180は、体内への展開システム100の導入に先立って、展開システム100の遠位端から除去されてもよい。他の実施形態では、展開システム100は、キャップ180が依然としてその遠位端に結合された状態で体内に前進させられてもよく、キャップ180は、例えば、第1のシース104および/または第2のシース106に対する内側部材102の遠位の伸長によって、処置中に除去されてもよい。キャップ180は、その後、例えば、把持器(図示せず)を介して、身体から除去され得る。例えば、キャップ180が十分に柔軟な材料から作製される場合、キャップ180は、ステント110を通る通路(内側部材102がその中を通って延在する)ならびに第1のシース104および第2のシース106よりも小さい直径を有し、それを通して除去可能であるように曲げられてもよい。代替的に、キャップ180は、生体吸収性であってよく、または身体を自然に通過させられてもよい。したがって、キャップ180は、機能性および/または治療薬剤150の配置が望ましい処置時まで展開システム100の端部上に保持されていてよいが、いくつかの例では、機能性および/または治療薬剤150は、キャップ180の除去後、例えば、作業チャネル16内の機能性および/または治療薬剤150に近位に陰圧を作用させることによって、展開システム100内に保持され得ることが理解されるであろう。実施形態はこの文脈に限定されるものではない。
【0067】
本明細書に記載の実施形態は、様々な用途での使用に適した様々な寸法を備えることができる。本開示の様々な原理に従って形成されるデバイスは、折り畳まれた構成において、少なくとも約14mm、または40mmほどの長さ、または60mmほどの長さ、または約80mmほどの長さ、または約100mmほどの長さ、または約150mmほどの長さ、またはさらには200mmほどの長さを有していてよく、それらの間の1mm刻みの長さを含む。本開示の様々な原理に従って形成されるデバイスの直径は、折り畳まれた構成にある場合、約3mmほどの小ささ、またはさらに約2.5mmほどの小ささであってよく、および約5mmほどの大きさ、または約6mmほどの大きさ、または約10mmほどの大きさであってもよく、それらの間の0.5mm刻みの直径を含む。拡張された構成では、本開示の様々な原理に従って形成されるデバイスは、約14mmほどの短さ、または約10mmほどの短さであってよく、および約35mmほどの長さ、または約50mmほどの長さ、または約60mmほどの長さ、または約80mmほどの長さ、または約100mmほどの長さ、または約120mmほどの長さ、または約140mmほどの長さ、または約160mmほどの長さ、または約180mmほどの長さ、またはさらには約200mmほどの長さを有していてよく、それらの間の1mm刻みの長さを含む。本開示の様々な原理に従って形成されるデバイスのサドルの直径は、拡張された構成にある場合、約20mmほどの大きさ、または約25mmほどの大きさ、または約30mmほどの大きさ、または約35mmほどの大きさ、または約40mmほどの大きさ、またはさらに約60mmほどの大きさであってよく、約10mmほどの小ささ、または約6mmほどの小ささ、またはさらに約3mmほどの小ささであってもよく、それらの間の0.5mm刻みの直径を含む。本開示の様々な原理に従って形成されるデバイスのサドルの長さは、拡張された構成にある場合、約10mmほどの長さ、または約15mmほどの長さ、または約20mmほどの長さ、または約30mmほどの長さ、または約35mmほどの長さ、または約200mmほどの長さであってよく、約10mmほどの短さ、または約5mmほどの短さ、または約3mmほどの短さであってもよく、それらの間の1mm刻みの長さを含む。拡張された構成では、本開示の様々な原理に従って形成されるデバイスの保持部材は、約21mmほどの大きさ、または約24mmほどの大きさ、または約29mmほどの大きさ、または約35mmほどの大きさ、または約40mmほどの大きさ、または約60mmほどの大きさ、および約16mmほどの小ささ、または約14mmほどの小ささ、または約5mmほどの小ささの直径と、約6mmほどの長さ、または約7mmほどの長さ、または約10mmほどの長さとを有していてよく、それらの間の0.5mm刻みの直径および長さを含み、および約3mmほどの短さ、または約2mmほどの短さ、または約0.5mmほどの短さを有していてもよい。本開示の様々な原理に従って形成されるデバイスは、拡張された構成において、折り畳まれた構成におけるデバイスの対応する直径よりも少なくとも約1.5倍の直径を有していてよく、約3倍、または約5倍、または約10倍、またはさらに約15倍大きい直径を有していてもよい。例えば、6mm(長さ)のステントは、折り畳まれた構成において約2.66mmのサドル直径を有していてよく、拡張された構成において約6mmのサドル直径を有していてよく、拡張比は、約2.25であり、折り畳まれた構成において約2.66mmのフランジ直径を有していてよく、拡張された構成において約14mmのフランジ直径を有していてよく、拡張比は、約5.26である。20mm(長さ)のステントは、折り畳まれた構成において約3mmのサドル直径を有していてよく、拡張された構成において約20mmのサドル直径を有していてよく、拡張比は、約6.66であり、折り畳まれた構成において約3mmのフランジ直径を有していてよく、拡張された構成において約29mmのフランジ直径を有していてよく、拡張比は、約9.66である。本開示の様々な原理による保持部材に沿って少なくとも1つのリップを備えたデバイスでは、リップの長さは、約1mmほどの短さ、さらには約0.5mmほどの短かさであってよく、約1.5mmほどの長さ、または約2.5mmほどの長さ、またはさらには約3mmほどの長さであってもよい。本開示の様々な原理による保持部材に沿って少なくとも1つのリップを備えたデバイスでは、リップの直径は、サドルの直径よりも少なくとも約1mm広くてもよく、または少なくとも約0.5mm広くてもよい。本開示の様々な原理による保持部材に沿って少なくとも1つのリップを備えたデバイスでは、リップの直径は、約4mmほどの小ささ、または約6mmほどの小ささ、または約11mmほどの小ささであってよく、約22mmほどの大きさ、または約27mmほどの大きさであってもよく、それらの間の0.5mm刻みの直径を含む。例えば、約10mmの対応するサドル直径に対して、リップ直径は、少なくとも約11mmおよび最大で約14mmであってよく、約15mmの対応するサドル直径に対して、リップ直径は、少なくとも約16mmおよび最大で約19mmであってよく、約20mmの対応するサドル直径に対して、リップ直径は、少なくとも約21mmおよび最大で約24mmであってよく、全てのそのような寸法は、それらの間の0.5mm刻みの寸法を含む。その中を通るルーメンを備えたステントの様々な実施形態において、ルーメンの直径は、少なくとも約3mm、最大で約60mmであってよく、それらの間の0.5mm刻みの直径を含む。本開示の様々な原理に従って形成されるデバイスは、その長手方向軸に沿って、実質的に一定の直径または変動する直径を有していてよい。例えば、本開示の様々な原理に従って形成されるデバイスの近位端は、遠位端の直径よりも小さい直径を備えた近位端、または端部におけるより大きい直径および中間セクションに沿ったより小さい直径を有していてよい。直径が増加または減少する、または実質的に一定の直径を有するセクションの様々な構成および配置は、本開示の範囲および技術思想の範囲内にある。実施形態はこの文脈に限定されるものではない。
【0068】
本明細書で開示され、請求されるデバイスおよび/または方法の全ては、本開示に照らして、過度の実験を伴わずに、製造および実行することが可能である。本開示のデバイスおよび方法は、好ましい実施形態に関して説明されているが、本開示の概念、技術思想、および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されるデバイスおよび/または方法、ならびに方法のステップまたは一連のステップに変形を適用できることは、当業者にとって明らかであろう。当業者に明らかな全てのそのような類似の代替物および改変は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の技術思想、範囲、および概念の範囲内であるとみなされる。
【0069】
前述の議論は、広範な用途を有し、例示および説明の目的で提示されており、本開示を本明細書に開示される1つまたは複数の形態に限定することを意図していない。本開示の概念、技術思想、および範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される実施形態に対して様々な追加、修正、および置換が行われ得ることが理解されるであろう。特に、本開示の原理は、その概念、技術思想、もしくは範囲、または特性から逸脱することなく、他の形態、構造、配置、比率で、ならびに他の要素、材料、および構成要素を用いて具現化され得ることが当業者には明らかであろう。例えば、本開示の様々な特徴は、本開示を合理化する目的で、1つまたは複数の態様、実施形態、または構成に、一緒にグループ化される。しかしながら、本開示の特定の態様、実施形態、または構成の様々な特徴は、代替の態様、実施形態、または構成において組み合わされ得ることを理解されたい。本開示は、実施形態に関して提示されるが、本主題の様々な別個の特徴は、本主題またはそのような個々の特徴の所望の特性および/または利点のうちの少なくともいくつかを達成するために、全てが存在する必要はないことを理解されたい。本開示は、本開示の原理または技術思想または範囲から逸脱することなく、多くの修正、または特定の環境および動作要件に特に適合される、本開示の実施において使用される構造、配置、比率、材料、構成要素などの修正とともに使用され得ることを当業者は理解するであろう。例えば、一体的に形成されるものとして示される要素は、複数の部品から構成されてもよく、または複数の部品として示される要素は、一体的に形成されてもよく、要素の動作は、逆にされてもよく、または変更されてもよく、要素のサイズまたは寸法は、変更されてもよい。同様に、動作またはアクションまたは手順が特定の順序で説明されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような特定の順序を必要とすると理解されるべきではなく、あるいはすべての動作またはアクションまたは手順が実行されるべきであると理解されるべきではない。加えて、他の実装形態は、以下の特許請求の範囲内にある。いくつかの場合には、特許請求の範囲に記載された動作は、異なる順序で実行することができ、それでも望ましい結果を達成することができる。したがって、現在開示されている実施形態は、あらゆる点で例示的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、請求される主題の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示されており、前述の説明、または本明細書で説明もしくは図示されている特定の実施形態もしくは構成に限定されない。上記を考慮して、任意の実施形態の個々の特徴が使用されてもよく、別個に、またはその実施形態もしくは任意の他の実施形態の特徴と組み合わせて請求されてもよく、主題の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、前述の説明に限定されない。
【0070】
前述の説明および以下の特許請求の範囲において、以下が理解されるであろう。本明細書で使用される「少なくとも1つ」、「1つまたは複数」、および「および/または」という語句は、動作において接続的および選言的の両方であるオープンエンド表現である。「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「第1の」、「第2の」などの用語は、複数を除外しない。例えば、用語「1つの(a)」または「1つの(an)」エンティティは、本明細書で使用される場合、そのエンティティの1つまたは複数を指す。したがって、用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つまたは複数」および「少なくとも1つ」は、本明細書において互換的に使用することができる。全ての方向に関する言及(例えば、近位、遠位、上部、下部、上方、下方、左、右、横方向、長手方向、前部、後部、頂部、底部、上、下、垂直、水平、半径方向、軸方向、時計回り、反時計回りなど)は、本開示の読者の理解を助けるための識別目的でのみ使用され、および/または関連する要素の領域を互いに区別する役割を果たし、特に本開示の位置、向き、または使用に関して関連する要素を限定するものではない。接続に関する言及(例えば、取り付けられる、結合される、接続される、および接合される)は、広義に解釈されるべきであり、別段の指示がない限り、要素の集合の間の中間部材および要素間の相対移動を含み得る。したがって、接続に関する言及は、2つの要素が直接接続され、互いに固定された関係にあることを必ずしも示唆するものではない。識別に関する参照(例えば、一次、二次、第1、第2、第3、第4など)は、重要性または優先度を含意することを意図するものではなく、1つの特徴を別の特徴から区別するために使用される。
【0071】
以下の特許請求の範囲は、参照によりこの詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、本開示の別個の実施形態として独立している。特許請求の範囲において、「備える/備えている」という用語は、他の要素またはステップの存在を除外しない。加えて、個々の特徴が異なる請求項に含まれ得るが、これらは、有利に組み合わせられる可能性があり、異なる請求項に含まれることは、特徴の組み合わせが実現可能でないおよび/または有利でないことを意味するものではない。加えて、単数の参照は、複数を除外しない。特許請求の範囲における参照符号は、単に明確にする例として提供されており、特許請求の範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織内の流路を維持するためのシステムであって、
第1のシースと、
前記第1のシース内に配置されたステントであって、第1の構成と第2の構成との間で移行するように構成されたステントと、
前記第1のシースの周りに配置された第2のシースと、
前記第1のシースと前記第2のシースとの間に配置された機能性および/または治療薬剤と
を備える、システム。
【請求項2】
前記機能性および/または治療薬剤は、接着剤、治癒剤、機能性または治療薬剤からなる群から選択される薬剤を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
内側部材をさらに備え、
前記ステントは、前記内側部材の周りに配置され、
前記ステントが前記第1のシース内から解放されて前記第2の構成に移行するように、前記第1のシースが前記内側部材に対して近位に長手方向に後退可能であるか、または前記内側部材が前記第1のシースに対して遠位に長手方向に伸長可能であるか、またはその両方である、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記内側部材の端部に配置された切断要素をさらに備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2のシースが前記内側部材に対して近位に長手方向に後退可能であるか、または前記内側部材が前記第2のシースに対して遠位に長手方向に伸長可能であるか、またはその両方であり、
前記システムは、前記第2のシースが前記内側部材に対して近位に後退させられ、または前記内側部材が前記第2のシースに対して遠位に伸長させられ、またはその両方のときに、前記ステントの表面に前記機能性および/または治療薬剤を配置するように構成されている、請求項
3に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、前記システムの近位端から前記機能性および/または治療薬剤へ圧力を印加したときに、前記機能性および/または治療薬剤を配置するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記機能性および/または治療薬剤は、第1の機能性および/または治療薬剤成分と、第2の機能性および/または治療薬剤成分とを含み、第1の成分および第2の成分は、互いに接触すると反応するように構成されている、請求項
5に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の機能性および/または治療薬剤成分は、前記第1のシースと前記第2のシースとの間に配置され、前記第2の機能性および/または治療薬剤成分は、前記第1のシース内に配置されるとき、前記ステント上に配置されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
ステントであって、その中を通って長手方向に延在するルーメンを備えるとともに、第1の構成と第2の構成との間でシフトするように構成されたステントと、
機能性および/または治療薬剤と
を備え、
前記第2の構成において、前記ステントは、第1の保持部材と、第2の保持部材と、それらの間に延在するサドル領域とを画定し、
前記ステントが前記第2の構成で体管腔内に配置されたとき、前記第1の保持部材、前記第2の保持部材、前記サドル領域、および前記体管腔の組織壁が、前記機能性および/または治療薬剤をその中に保持するように構成された容積を画定する、システム。
【請求項10】
前記第1の保持部材および前記第2の保持部材は、前記サドル領域から組織を離隔するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記機能性および/または治療薬剤は、接着剤、治癒剤、機能性または治療薬剤からなる群から選択される薬剤を含む、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
前記機能性および/または治療薬剤を注入するように構成された流体送達デバイスをさらに備える、請求項9
または10に記載のシステム。
【請求項13】
前記流体送達デバイスは、前記組織壁を通して、前記ステントおよび前記組織壁によって画定される前記容積の中に、前記機能性および/または治療薬剤を注入するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記流体送達デバイスは、前記第1の保持部材または前記第2の保持部材のうちの1つを通って延在して、前記ステントおよび前記組織壁によって画定される前記容積の中に前記機能性および/または治療薬剤を注入するように構成されている、請求項
12に記載のシステム。
【請求項15】
前記ステントは、それに沿って配置された別の機能性および/または治療薬剤をさらに含む、請求項9
または10に記載のシステム。
【国際調査報告】