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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】医療用デバイス及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/008 20060101AFI20240514BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A61B1/008 512
A61B1/018 514
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571378
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 US2022072396
(87)【国際公開番号】W WO2022246417
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/190,267
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】パウエル、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ディロン、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】フォラン、マーティン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161BB04
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF12
4C161FF43
4C161HH24
4C161HH33
4C161HH34
4C161LL02
(57)【要約】
医療用デバイスは、軸を含むハンドルと、ハンドルから遠位端まで延在するデバイスシャフトと、制御デバイスとを含む。制御デバイスはハンドルに連結され、制御デバイスはノブを含む。ノブは、ハンドルに対して回転可能である。制御デバイスはまた、ノブから延在する制御シャフトと、2つの脚部を含む少なくとも1つのばねクラッチと、スプールとを含む。スプールは、軸に対して回転可能である。制御デバイスはまた、スプールに連結された1つ以上のワイヤを含む。ノブの回転により、制御シャフトを回転させるように構成され、少なくとも1つのばねクラッチを緩め、スプールを回転させ、1つ以上のワイヤを移動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を含むハンドルと、
前記ハンドルから遠位端まで延在するデバイスシャフトと、
前記ハンドルに連結される制御デバイスであって、
前記ハンドルに対して回転可能であるノブと、
前記ノブから延在する制御シャフトと、
2つの脚部を含む少なくとも1つのばねクラッチと、
前記軸に対して回転可能であるスプールと、
前記スプールに連結される1つ以上のワイヤとを含む前記制御デバイスと
を含む医療用デバイスであって、
前記ノブの回転により、前記制御シャフトを回転させ、前記少なくとも1つのばねクラッチを緩め、前記スプールを回転させ、前記1つ以上のワイヤを移動させるように構成される、前記医療用デバイス。
【請求項2】
前記シャフトが、半径方向延在部を含み、前記半径方向延在部から延在する第1の突出部と、第2の突出部とを含む、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項3】
前記スプールが第1の間隙及び第2の間隙を規定し、前記第1の突出部及び前記第2の突出部が、前記第1の間隙及び前記第2の間隙内に配置されるように構成される、請求項2に記載の医療用デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つのばねクラッチが、第1のばねクラッチと、第2のばねクラッチとを含み、前記第1のばねクラッチ及び前記第2のばねクラッチがそれぞれ、第1の脚部と第2の脚部とを含む、請求項3に記載の医療用デバイス。
【請求項5】
前記ノブの第1の方向への回転により、前記第1の突出部を前記第1のばねクラッチの第1の脚部に接触させ、前記第1のばねクラッチを緩め、前記ノブの前記第1の方向への回転により、前記第2の突出部を前記第2のばねクラッチの第1の脚部に接触させ、前記第2のばねクラッチを緩め、
前記ノブの前記第1の方向へのさらなる回転により、(1)前記第1のばねクラッチの前記第1の脚部を前記第1の間隙に隣接する前記スプールの第1の停止面に接触させ、(2)前記第2のばねクラッチの前記第1の脚部を前記第2の間隙に隣接する前記スプールの第2の停止面に接触させ、(3)前記スプールを前記第1の方向に回転させる、請求項4に記載の医療用デバイス。
【請求項6】
前記ノブの第2の方向への回転により、前記第1の突出部を前記第2のばねクラッチの第2の脚部に接触させ、前記第2のばねクラッチを緩め、前記ノブの前記第2の方向への回転により、前記第2の突出部を前記第1のばねクラッチの第2の脚部に接触させ、前記第1のばねクラッチを緩め、
前記ノブの前記第2の方向へのさらなる回転により、(1)前記第2のばねクラッチの前記第2の脚部を前記第2の間隙に隣接する前記スプールの第3の停止面に接触させ、(2)前記第1のばねクラッチの前記第2の脚部を前記第2の間隙に隣接する前記スプールの第4の停止面に接触させ、(3)前記スプールを前記第2の方向に回転させる、請求項4又は5に記載の医療用デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つのばねクラッチが、2つの半径方向外向きに延在する脚部を備えるコイルで形成された少なくとも1つのばねを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医療用デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つのばねクラッチが、部分的に円筒形の部分と相互作用部分とを含むリング状の形状を備える少なくとも1つのばねを含み、前記相互作用部分が、第1の端部と第2の端部とを含み、前記第1の端部が、第1の半径方向外向きに延在する脚部を含み、前記第2の端部が、2つの半径方向外向きに延在する脚部を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医療用デバイス。
【請求項9】
前記ばねクラッチが、部分的に円筒形の部分と、開放部分とを含む部分的にリング状の形状を備える少なくとも1つのばねを含み、前記部分的に円筒形の部分が、前記開放部分の両側に2つの半径方向外向きに延在する脚部を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医療用デバイス。
【請求項10】
前記ばねクラッチが、2つの半径方向内向きに延在する脚部を備えるコイルで形成される少なくとも1つのばねを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医療用デバイス。
【請求項11】
前記制御デバイスが第1の制御デバイスであり、前記医療用デバイスが、前記第1の制御デバイスと同軸である第2の制御デバイスをさらに備え、前記第2の制御デバイスが、
前記ハンドルに対して回転可能である第2のノブと、
前記第2のノブから延在する第2の制御シャフトと、
2つの脚部を含む少なくとも1つの第2のばねクラッチと、
前記軸に対して回転可能である第2のスプールと、
前記第2のスプールに連結される1つ以上の第2のワイヤとを含み、
前記第2のノブの回転により、前記第2の制御シャフトを回転させ、前記少なくとも1つの第2のばねクラッチを緩め、前記第2のスプールを回転させ、前記1つ以上の第2のワイヤを移動させるように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の医療用デバイス。
【請求項12】
前記第1の制御デバイスの前記制御シャフトの一部が、前記第2の制御デバイスの前記第2の制御シャフトの中に入れ子にされ、前記医療用デバイスがさらに、
前記制御シャフトの一部を前記第2の制御シャフトから分離する中空軸であって、前記中空軸が前記ハンドルに連結され、前記第1の制御デバイスの前記スプールを前記第2の制御デバイスの前記第2のスプールから分離する半径方向延在部を含む前記中空軸を備える、請求項11に記載の医療用デバイス。
【請求項13】
送達シャフトの遠位端が、前記制御デバイスを介して偏向可能である、請求項1~12のいずれか一項に記載の医療用デバイス。
【請求項14】
前記ハンドルが、医療用デバイスを受け入れるように構成される少なくとも1つのポートを含み、前記ポートが、前記ハンドル及び送達シャフトを通って延在するルーメンに接続され、前記制御デバイスが、前記送達シャフトの遠位端にある前記ルーメンに隣接して配置されるエレベータを制御するように構成される、請求項1~13のいずれか一項に記載の医療用デバイス。
【請求項15】
前記制御デバイスが、前記ハンドルの近位部分上に配置され、前記医療用デバイスが、前記ノブの位置をロックするために前記ハンドルの本体の外部にブレーキを含まない、請求項1~14のいずれか一項に記載の医療用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な態様は、一般に、体内の組織又は他の物質にアクセスし、視認し、操作し、さもなくば、治療するための医療用デバイス及び方法に関する。特に、本開示の態様は、医療用デバイスの送達シャフトの一部の偏向又は他の動きのロック及びロック解除を制御するための医療用デバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の医療処置では、医師、技術者、又は他のユーザは、十二指腸内視鏡(又は他の内視鏡又は医療用デバイス)及び他の医療用付属デバイスを制御する必要がある。ユーザの位置に対する患者の位置に応じて、デバイスを制御するユーザは、医療用デバイスが意図された標的部位に面するために調節及び配置されるように、ユーザの手首及び/又は身体を捩る及び/又は捻る必要があり得る。その結果、ユーザは、自分の手、手首、及び背中に人間工学的損傷を受けるリスクが増大する可能性がある。さらに、医療用デバイスの遠位端は、1つ以上の方向に偏向可能であってもよい。偏向は、例えば、近位ロック要素を介してロックされてもよいが、より小さい又はより制御された動きは、ロック要素が係合解除され、次に、再係合されることを必要としてもよい。代わりに、ユーザは、ロック要素が係合された状態で医療用デバイスを偏向させようとするか、さもなくば、操作しようとする場合がある。これらの動きは、人間工学的な損傷を被るユーザのリスクをさらに増加させ得る。これらの懸念は、医療処置の期間、コスト、及びリスクを増加させ得る。本開示のデバイス及び方法は、上記で記載される欠陥のうちのいくつかを是正し得るか、又は当該技術分野の他の態様に対処し得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施例は、特に、シャフトの一部の偏向又は他の動きのロック及びロック解除を制御するデバイス及び方法に関する。本明細書で開示される例の各々は、他の開示される例のいずれかに関連して記載される特徴のうちの1つ以上を含み得る。
【0004】
一実施例では、医療用デバイスは、軸を含むハンドルと、ハンドルから遠位端まで延在するデバイスシャフトと、制御デバイスとを含んでもよい。制御デバイスはハンドルに連結されてもよく、制御デバイスはノブを含んでもよい。ノブは、ハンドルに対して回転可能であってもよい。制御デバイスはまた、ノブから延在する制御シャフトと、2つの脚部を含む少なくとも1つのばねクラッチと、スプールとを含んでもよい。スプールは、軸に対して回転可能であってもよい。制御デバイスはまた、スプールに連結された1つ以上のワイヤを含んでもよい。ノブの回転により、制御シャフトを回転させ、少なくとも1つのばねクラッチを緩め、スプールを回転させ、1つ以上のワイヤを移動させるように構成されてもよい。
【0005】
医療用デバイスは、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。シャフトは、半径方向延在部を含むことができ、シャフトは、半径方向延在部から延在する第1の突出部及び第2の突出部を含むことができる。スプールは、第1の間隙及び第2の間隙を規定してもよく、第1の突出部及び第2の突出部は、第1の間隙及び第2の間隙内に配置されるように構成されてもよい。少なくとも1つのばねクラッチは、第1のばねクラッチ及び第2のばねクラッチを含んでもよく、第1のばねクラッチ及び第2のばねクラッチはそれぞれ、第1の脚部及び第2の脚部を含んでもよい。第1の方向へのノブの回転により、第1の突出部を第1のばねクラッチの第1の脚部に接触させて、第1のばねクラッチを緩めてもよく、第1の方向へのノブの回転により、第2の突出部を第2のばねクラッチの第1の脚部に接触させて、第2のばねクラッチを緩めてもよい。第1の方向へのノブのさらなる回転により、(1)第1のばねクラッチの第1の脚部を第1の間隙に隣接するスプールの第1の停止面に接触させ、(2)第2のばねクラッチの第1の脚部を第2の間隙に隣接するスプールの第2の停止面に接触させ、(3)スプールを第1の方向に回転させてもよい。第2の方向へのノブの回転により、第1の突出部を第2のばねクラッチの第2の脚部に接触させて、第2のばねクラッチを緩めてもよく、第2の方向へのノブの回転により、第2の突出部を第1のばねクラッチの第2の脚部に接触させて、第1のばねクラッチを緩めてもよい。第2の方向へのノブのさらなる回転により、(1)第2のばねクラッチの第2の脚部を第2の間隙に隣接するスプールの第3の停止面に接触させ、(2)第1のばねクラッチの第2の脚部を第2の間隙に隣接するスプールの第4の停止面に接触させ、(3)スプールを第2の方向に回転させてもよい。
【0006】
少なくとも1つのばねクラッチは、2つの半径方向外向きに延在する脚部を備えるコイルで形成された少なくとも1つのばねを含むことができる。少なくとも1つのばねクラッチは、部分的に円筒形の部分及び相互作用部分を含むリング状の形状を備える少なくとも1つのばねを含んでもよい。相互作用部分は、第1の端部と、第2の端部とを含んでもよい。第1の端部は、第1の半径方向外向きに延在する脚部を含んでもよく、第2の端部は、2つの半径方向外向きに延在する脚部を含んでもよい。ばねクラッチは、部分的に円筒形の部分と、開放部分とを含む部分的にリング状の形状を備える少なくとも1つのばねを含むことができる。部分的に円筒形の部分は、開放部分の両側に2つの半径方向外向きに延在する脚部を含んでもよい。ばねクラッチは、2つの半径方向内向きに延在する脚部を備えるコイルで形成された少なくとも1つのばねを含むことができる。
【0007】
制御デバイスは、第1の制御デバイスであってもよい。医療用デバイスは、第1の制御デバイスと同軸である第2の制御デバイスをさらに含んでもよい。第2の制御デバイスは、第2のノブを含んでもよく、第2のノブは、ハンドルに対して回転可能であってもよい。第2の制御デバイスはまた、第2のノブから延在する第2の制御シャフトと、2つの脚部を含む少なくとも1つの第2のばねクラッチと、第2のスプールとを含んでもよい。第2のスプールは、軸に対して回転可能であってもよい。第2の制御デバイスは、第2のスプールに連結された1つ以上の第2のワイヤをさらに含むことができる。第2のノブの回転により、第2の制御シャフトを回転させ、少なくとも1つの第2のばねクラッチを緩め、第2のスプールを回転させ、1つ以上の第2のワイヤを移動させるように構成されてもよい。第1の制御デバイスの制御シャフトの一部は、第2の制御デバイスの第2の制御シャフト内に入れ子にされてもよい。医療用デバイスは、制御シャフトの一部を第2の制御シャフトから分離する中空軸をさらに含んでもよい。中空軸はハンドルに連結されてもよく、中空軸は、第1の制御デバイスのスプールを第2の制御デバイスの第2のスプールから分離する半径方向延在部を含んでもよい。送達シャフトの遠位端は、制御デバイスを介して偏向可能であり得る。ハンドルは、医療用デバイスを受け入れるように構成される少なくとも1つのポートを含んでもよい。ポートは、ハンドル及び送達シャフトを通って延在するルーメンに接続されてもよい。制御デバイスは、送達シャフトの遠位端においてルーメンに隣接して配置されるエレベータを制御するように構成されてもよい。制御デバイスは、ハンドルの近位部分上に配置されてもよく、医療用デバイスは、ノブの位置をロックするためにハンドルの本体の外部にブレーキを含まなくてもよい。
【0008】
別の態様では、医療用デバイスは、軸を含むハンドルを含んでもよい。医療用デバイスはまた、ハンドルから遠位端まで延在するデバイスシャフトと、制御デバイスとを含んでもよい。制御デバイスは、ハンドルに連結されてもよく、第1のノブを含んでもよい。第1のノブは、ハンドルに対して回転可能であってもよい。制御デバイスはまた、第1のノブから延在する第1の制御シャフトと、2つの脚部を含む少なくとも1つの第1のばねクラッチと、軸に対して回転可能であり得る第1のスプールと、第1のスプールに連結される1つ以上の第1のワイヤとを含んでもよい。制御デバイスはまた、第2のノブを含んでもよい。第2のノブは、ハンドルに対して回転可能であってもよい。制御デバイスは、第2のノブから延在する第2の制御シャフトと、2つの脚部を含む少なくとも1つの第2のばねクラッチと、軸に対して回転可能であり得る第2のスプールと、第2のスプールに連結された1つ以上の第2のワイヤとを含み得る。第1のノブの回転により、第1の制御シャフトを回転させ、少なくとも1つの第1のばねクラッチを緩め、第1のスプールを回転させ、1つ以上の第1のワイヤを移動させ、送達シャフトの遠位端を第1の平面内で偏向させるように構成されてもよい。第2のノブの回転により、第2の制御シャフトを回転させ、少なくとも1つの第2のばねクラッチを緩め、第2のスプールを回転させ、1つ以上の第2のワイヤを移動させ、送達シャフトの遠位端を第1の平面とは異なる第2の平面内で偏向させるように構成されてもよい。
【0009】
医療用デバイスは、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。第1のシャフトは、少なくとも1つの第1の突出部を含んでもよく、第2のシャフトは、少なくとも1つの第2の突出部を含んでもよい。第1のスプールは、少なくとも1つの第1の間隙を規定してもよく、第2のスプールは、少なくとも1つの第2の間隙を規定してもよい。少なくとも1つの第1の突出部は、少なくとも1つの第1の間隙内に配置されてもよく、少なくとも1つの第2の突出部は、少なくとも1つの第2の間隙内に配置されてもよい。少なくとも1つの第1のばねクラッチの複数の脚部は、少なくとも1つの第1の突出部と少なくとも1つの第1の間隙の複数の縁部との間に配置されてもよい。少なくとも1つの第2のばねクラッチの複数の脚部は、少なくとも1つの第2の突出部と少なくとも1つの第2の間隙の複数の縁部との間に配置されてもよい。第1の平面及び第2の平面は垂直であってもよい。
【0010】
さらに別の態様では、医療用デバイスハンドルは、軸と制御デバイスとを含むことができる。軸はハンドルに固定されてもよい。制御デバイスは、ハンドルに対して回転可能であり得る第1のノブと、第1のノブから延在する第1の制御シャフトと、2つの脚部を含む少なくとも1つの第1のばねクラッチと、軸に対して回転可能であり得る第1のスプールと、第1のスプールに連結された1つ以上の第1のワイヤとを含み得る。制御デバイスはまた、ハンドルに対して回転可能であり得る第2のノブと、第2のノブから延在する第2の制御シャフトと、2つの脚部を含む少なくとも1つの第2のばねクラッチと、軸に対して回転可能であり得る第2のスプールと、第2のスプールに連結された1つ以上の第2のワイヤとを含み得る。第1のノブの回転により、第1の制御シャフトを回転させ、少なくとも1つの第1のばねクラッチを緩め、第1のスプールを回転させ、1つ以上の第1のワイヤを移動させるように構成されてもよい。第2のノブの回転により、第2の制御シャフトを回転させ、少なくとも1つの第2のばねクラッチを緩め、第2のスプールを回転させ、1つ以上の第2のワイヤを移動させるように構成されてもよい。
【0011】
医療用デバイスハンドルは、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。第1の制御シャフトの一部は、第2の制御シャフト内に入れ子にされてもよい。医療用デバイスハンドルは、第1の制御シャフトの一部を第2の制御シャフトから分離する中空軸をさらに含むことができる。中空軸は、ハンドルに連結されてもよく、第1のスプールを第2のスプールから分離する半径方向延在部を含んでもよい。
【0012】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は両方とも、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の例示的な態様を示し、説明とともに本開示の原理を説明する役割を果たす。
図1A】本開示の態様による、例示的な医療用デバイスの異なる図を示す。
図1B】本開示の態様による、例示的な医療用デバイスの異なる図を示す。
図1C】本開示の態様による、例示的な医療用デバイスの異なる図を示す。
図2A】本開示の態様による、図1A~1Cの医療用デバイスの制御デバイスの異なる図を示す。
図2B】本開示の態様による、図1A~1Cの医療用デバイスの制御デバイスの異なる図を示す。
図2C】本開示の態様による、図1A~1Cの医療用デバイスの制御デバイスの異なる図を示す。
図3】本開示の態様による、制御デバイスの分解図を示す。
図4A】本開示の態様による、図1A~1C、図2A~2C、及び図3の制御デバイスに組み込まれ得る異なる例示的なばねクラッチを示す。
図4B】本開示の態様による、図1A~1C、図2A~2C、及び図3の制御デバイスに組み込まれ得る異なる例示的なばねクラッチを示す。
図4C】本開示の態様による、図1A~1C、図2A~2C、及び図3の制御デバイスに組み込まれ得る異なる例示的なばねクラッチを示す。
図4D】本開示の態様による、図1A~1C、図2A~2C、及び図3の制御デバイスに組み込まれ得る異なる例示的なばねクラッチを示す。
図5A】本開示の態様による、別の例示的な医療用デバイスの異なる図を示す。
図5B】本開示の態様による、別の例示的な医療用デバイスの異なる図を示す。
図5C】本開示の態様による、別の例示的な医療用デバイスの異なる図を示す。
図6A】本開示の態様による、別の制御デバイスの異なる図を示す。
図6B】本開示の態様による、別の制御デバイスの異なる図を示す。
図7】本開示の態様による、別の制御デバイスの分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
用語「近位」及び「遠位」は、本明細書では、例示的な医療用システム及び例示的な医療用デバイスの構成要素の相対位置を示すために使用される。本明細書で使用される場合、「近位」は、身体の外部に比較的近い位置、又は医療用システム又は医療用デバイスを使用する医療専門家により近い位置を示す。対照的に、「遠位」は、医療用システム又は医療用デバイスを使用する医療専門家から比較的遠く離れた位置、又は身体の内部により近い位置を示す。本明細書で使用される場合、用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、又はそれらの他の変形は、要素のリストを備えるシステム、デバイス、又は方法が、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていない、又はそれらに固有の他の要素を含み得るように、非排他的な包含を対象とすることが意図される。別段の定めがない限り、用語「例示的」は、「理想的」ではなく「例」の意味で使用される。本明細書で使用される場合、用語「約」、「実質的に」、及び「およそ」は、述べられた値の+/-10%以内の値の範囲を示す。
【0015】
本開示の例は、医療処置の有効性、効率、及び/又は安全性を促進及び/又は改善するためのデバイス及び方法を含む。本開示の実施形態は、大腸(結腸)、小腸、盲腸、食道、胃、胃腸管の任意の他の部分、腎臓又は尿路の他の部分、心臓、肺、及び/又は任意の他の適切な患者の解剖学的構造の様々な医療処置及び/又は治療部分を行うためのデバイス及び方法に関し得る。本明細書に記載される様々な実施形態は、単回使用すなわち使い捨て医療用デバイスを含む。本開示のいくつかの態様は、内視鏡、関節鏡、気管支鏡、尿管鏡、結腸鏡、又は他の種類の処置を行う際に使用されてもよい。例えば、開示された態様は、十二指腸内視鏡、気管支鏡、尿管鏡、結腸鏡、カテーテル、診断又は治療ツール又はデバイス、又は他の種類の医療用デバイスと共に使用され得る。本明細書で議論される1つ以上の要素は、金属、プラスチックであり得るか、又は形状記憶金属(例えば、ニチノール)、形状記憶ポリマー、ポリマー、又は生体適合性物質の任意の組み合わせを含み得る。
【0016】
ここで、上述され、添付の図面に示される本開示の例を詳細に参照する。可能な限り、同一又は同様の部分を示すために、図面全体を通して同一の参照番号が使用される。本明細書で議論される医療用デバイスの1つ以上の態様は、本明細書で議論される他の医療用デバイスの1つ以上の態様と組み合わせられ、及び/又はそれらと共に使用されてもよいことに留意されたい。
【0017】
図1A~1Cは、例示的な医療用デバイス10の異なる図を示す。図1Aは、医療用デバイス10の正面図であり、図1Bは、医療用デバイス10の斜視図である。図1Cは、医療用デバイス10の近位部分の側面図である。医療用デバイス10は、ハンドル本体を含むハンドル12と、ハンドル12から遠位端16まで延在するデバイスシャフト又は送達シャフト14とを含む。医療用デバイス10は、十二指腸鏡、内視鏡、結腸鏡、尿管鏡、気管支鏡など、又はハンドル及びシャフトを有する任意の他の同様の医療用デバイスであってもよい。加えて、医療用デバイス10は制御デバイス30を含む。制御デバイス30は、ハンドル12に対して移動可能(例えば、回転可能)であり、送達シャフト14の一部分(例えば、遠位端16)の動きを制御し得る。
【0018】
ハンドル12は、例えば、ハンドル12の近位部分上に、1つ以上の開口部18A及び18Bを含んでもよい。開口部18A及び18Bのうちの1つ以上は、例えば、空気又は水の送達、又はハンドル12及び送達シャフト14を介する吸引の適用を制御するために、1つ以上の弁に連結可能であるか、又はそれを受け入れてもよい。
【0019】
加えて、ハンドル12は、例えば、遠位端16まで延在し、送達シャフト14の1つ以上のルーメンと連通する、1つ以上のルーメン(図示無し)を有してもよい。この態様では、ハンドル12は、例えばハンドル12の中間部分(例えば、近位部分と遠位部分との間)に少なくとも1つのポート20を含むことができる。ポート20は、ハンドル12内の1つ以上のワーキングチャネル又はルーメン内に開口してもよい。ポート20は、1つ以上のツール又はエンドエフェクタを受容してもよく、1つ以上のツール又はエンドエフェクタは、ハンドル12及び送達シャフト14を通って、例えば、遠位端16の外に送達され得る。この態様では、ポート20は、1つ以上の医療用デバイス(例えば、鉗子、把持器、鋏、クリップ、ステープラ、針、ナイフ、電極、焼灼ループなど)を受け入れて、1つ以上の医療用デバイスを送達シャフト14の遠位端16に近接する領域に送達するようなサイズ及び/又は形状であり得る。加えて、ポート20は、例えば、弁、キャップ上に螺合するためのねじ山等を含むことによって、医療用デバイスの近位部分の周りにシールを形成するのに役立つように構成されてもよい。
【0020】
ハンドル12は、導管22に連結され得る。導管22は、ハンドル12を外部電源、処理ソフトウェア、1つ以上の表示部、1つ以上のメモリ又は記憶デバイス等に接続し得る。この態様では、医療用デバイス10は、遠位端16に1つ以上の照明デバイス及び/又はカメラを含むことができ、これらは、医療用デバイス10内の1つ以上の通信ワイヤ(図示無し)を介して、及び導管22を介して、処理ソフトウェア、1つ以上の表示部、メモリなどに電力供給及び/又は接続することができる。さらに、導管22は、ハンドル12を1つ以上の流体源(例えば、空気源、水源など)に接続し得る。導管22はまた、ハンドル12を吸引源に接続し得る。これらの態様では、開口部18A及び18Bに連結されるか、又はその中に受け入れられる1つ以上の弁は、送達シャフト14の遠位端16に近接する領域への医療用デバイス10を介する空気又は水の送達及び/又は吸引の適用を制御し得る。
【0021】
制御デバイス30は、例えば、ハンドル12の近位部分において、ハンドル12に連結される。上述のように、制御デバイス30は、ハンドル12に対して移動可能(例えば、回転可能)であり、送達シャフト14の遠位端16の動き(例えば、偏向)を制御し得る。代わりに、制御デバイス30は、送達シャフト14内のエレベータを作動又は移動させてもよく、さもなくば、医療用デバイス10のケーブル駆動機能を作動させてもよい。
【0022】
制御デバイス30は、ダイヤル、ホイール、レバー、ノブ32、又は他の回転制御要素を含んでもよく、これは、送達シャフト14の遠位端16を第1の方向又は第2の方向に偏向させるように回転可能であってもよい。図1Cに示すように、ノブ32は、ハンドル12から離れて(例えば、ハンドル12の側面図において垂直に)延在し得る。さらに、以下に詳細に議論されるように、制御デバイス30は、例えば、ノブ32の位置をロック及び/又はロック解除し、ひいては、送達シャフト14の遠位端16又は送達シャフト14の他の特徴の位置をロック及び/又はロック解除するのに役立つように、1つ以上のクラッチデバイスを含んでもよい。
【0023】
さらに、送達シャフト14の遠位端16は、少なくとも1つの遠位開口部24を含んでもよく、例えば、それを通って、医療用デバイスが延在されてもよく、流体が送達されてもよく、吸引が適用されてもよく、さもなくば、医療用デバイス10が治療部位を治療してもよい。図示されていないが、遠位端16は、照明(例えば、LED)及び撮像(例えば、カメラ)用の1つ以上の器具、遠位開口部24から出る機器又は医療用デバイスを方向付けるためのエレベータ、ならびに/あるいは灌注及び/又は吸引のための開口部を含んでもよい。さらに、医療用デバイス10は、遠位端16及び/又は医療用デバイス10の他の部分における様々な機能を制御するための1つ以上の追加の構成要素(例えば、プロセッサ、メモリ等)を含んでもよい。
【0024】
図2A~2Cは、制御デバイス30の様々な図を示す。図2Aは、制御デバイス30の正面図である。図2Bは、例えば、図2Aの断面2B-2Bに沿った制御デバイス30の断面図である。図2Cは、制御デバイス30がハンドル12に連結されたときの、例えばハンドル12の内部の位置(図示無し)から見た制御デバイス30の背面図である。上述したように、制御デバイス30はノブ32を含む。ノブ32は、例えば、ノブ32の回転中心38から半径方向に離れて延在する1つ以上の突出部34と、ノブ32の回転中心38に向かって半径方向に延在する1つ以上の凹部36とを含み得る。突出部34及び凹部36は、ユーザがノブ32を把持及び/又は回転するのに役立ち得る。加えて、ノブ32は、1つ以上の表示、例えば、右偏向表示40A及び左偏向表示40Bを含んでもよい。この態様では、右偏向表示40Aの方向(例えば、時計回り)へのノブ32の回転により、送達シャフト14の遠位端16を右に偏向させることができ、左偏向表示40Bの方向(例えば、反時計回り)へのノブ32の回転により、送達シャフト14の遠位端16を左に偏向させることができる。代わりに、他の実施形態では、ノブ32を一方向に回転させることによってエレベータを上昇させてもよく、ノブ32を別の方向に回転させることによってエレベータを下降させてもよい。
【0025】
図2A~2Cに示すように、制御デバイス30は、1つ以上の指示要素又は制御要素(例えば、リンケージ、チェーン、ベルト、ワイヤなど)、例えば、第1の制御ワイヤ42A及び第2の制御ワイヤ42Bを含む。少なくとも1つの態様では、第1の制御ワイヤ42A及び第2の制御ワイヤ42Bは、ノブ32から、ハンドル12及び送達シャフト14を通って、送達シャフト14の遠位部分(例えば、遠位端16)まで延在し得る。別の態様では、第1の制御ワイヤ42A及び第2の制御ワイヤ42Bは、ハンドル12を介して延在し、送達シャフト14内の1つ以上の偏向ワイヤ又は他の制御要素に連結されてもよい。これらの態様のいずれにおいても、ノブ32の回転により、制御ワイヤ42A及び42Bの動きを制御し、ひいては、ノブ32の回転により、送達シャフト14の遠位端16の偏向、エレベータの作動を制御してもよく、さもなくば、医療用デバイス10のケーブル駆動機能を作動させてもよい。
【0026】
図2Bに示すように、制御デバイス30は、制御シャフト44を含む。シャフト44は、ノブ32と一体的に形成され得るか、さもなくば、ノブ32に固定して連結され得る。シャフト44は、ハンドル12の近位部分の内部に延在し得る。第1の制御ワイヤ42A及び第2の制御ワイヤ42Bの近位部分は、シャフト44に間接的に連結されてもよく、例えば、シャフト44に回転可能に連結され得る要素(例えば、スプール50、図2B図2C、及び図3)の周りにきつく巻き付けられ、それに固定されてもよい。例えば、図2C及び図3に示すように、スプール50は、制御ワイヤ(複数可)をスプール50に固定するために、第1の制御ワイヤ42A及び第2の制御ワイヤ42Bのうちの1つ以上の近位部分を受け入れる連結部分51(例えば、スロット、間隙、開口部などを含んでもよい。ワイヤ42Bは断面2B-2B(図1)の外側にあるので、ワイヤ42Bは図2Bに示されていないことに留意されたい。それにもかかわらず、両方の制御ワイヤ42A及び42Bは、スプール50の回転により両方の制御ワイヤ42A及び42Bの動きを制御し得るように、スプール50に連結され得る。この態様では、ノブ32を回転することにより、シャフト44を回転させ、これはスプール50を回転させ、次に、スプール50の回転により、第1の制御ワイヤ42A及び第2の制御ワイヤ42Bの一方を近位に引いて、送達シャフト14の遠位部分をある方向に偏向させ得る。代わりに、ノブ32を回転することにより、シャフト44を回転させてもよく、これは次に、スプール50を介して、第1の制御ワイヤ42A及び第2の制御ワイヤ42Bの一方を近位に引いて、送達シャフト14内のエレベータを作動又は移動させるか、さもなくば、医療用デバイス10のケーブル駆動機能を作動させてもよい。さらに、図示されていないが、制御デバイス30は、1つ以上のギア、スプロケット、プーリ、クランクなどを含んでもよい。制御デバイス30はまた、1つ以上のラック、チェーン、ベルト、リンケージ等を含んでもよい。
【0027】
さらに、図2B及び図2Cに示すように、制御デバイス30は、少なくとも1つの付勢デバイス、例えば少なくとも1つのばねクラッチ46を含む。ばねクラッチ46は、少なくとも部分的に円形であってもよく、ロッド又は軸48を取り囲む。軸48は、ハンドル12に対して固定され得る。加えて、図2Cに示すように、ばねクラッチ46は、軸48の周りに、例えば軸48とスプール50との間に配置されてもよい。制御デバイス30に力が作用していないとき、ばねクラッチ46は、軸48の周りにしっかりと配置されるか又は押し付けられ、スプール50、ひいては、第1の制御ワイヤ42A及び第2の制御ワイヤ42Bを軸48に対して、ひいては、ハンドル12及び送達シャフト14に対して固定するのに役立つ。1つ以上の態様では、ばねクラッチ46は、例えば、ばねクラッチ46と軸48との間の摩擦接続を介して、軸48、ひいては、第1の制御ワイヤ42A及び第2の制御ワイヤ42Bの動きをロック、保持、さもなくば、拘束するのに役立ち得る。
【0028】
ばねクラッチ46は、1つ以上の脚部52を含んでもよい。ノブ32及びシャフト44を回転することにより、ばねクラッチ46の1つ以上の脚部52と相互作用してもよい。例えば、ノブ32及びシャフト44を回転することにより、シャフト44の一部を1つ以上の脚部52に接触させて、1つ以上の脚部52を一方向に押すことにより、ばねクラッチ46を解く、拡張する、又は緩めることができる。ばねクラッチ46を緩めることにより、スプール50と軸48との間の摩擦接続を低減することができる。さらに、ノブ32及びシャフト44を回転させることはまた、シャフト44の一部又は1つ以上の脚部52の一部をスプール50の一部に接触させることもでき、これによりスプール50を回転させることができる。次に、スプール50を回転させることにより、制御ワイヤ42A及び42Bのうちの1つ以上を近位に後退させて、送達シャフト14の一部を制御し、例えば、遠位端16を偏向させ得る。
【0029】
以下に詳細に記載するように、力がノブ32に作用されなくなると、ばねクラッチ46は収縮し、スプール50をシャフト48に対して固定するのに役立つ。スプール50が回転されるとき、ばねクラッチ46は緩められた位置にあるので、ばねクラッチ46は、スプール50を回転前の元の位置に向かって付勢するスプリングバック力をもたらさない。従って、ばねクラッチ46はスプール50を回転された位置にロックするのに役立つ。この態様では、ばねクラッチ46は、スプール50、ひいては、第1の制御ワイヤ42A及び第2の制御ワイヤ42Bを、ノブ32に作用するユーザによって選択された位置に固定するのに役立つ。例えば、スプール50を選択された位置に固定することは、遠位端16を偏向された位置又は関節運動した位置に固定するのに役立ち得る。この態様では、スプール50を選択された位置に固定することは、遠位端16を、例えば、送達シャフト14の他の部分に対して、及び/又は治療部位に対して、選択された構成(例えば、操作された位置)にロックするか、さもなくば、保持するのに役立ち得る。後述するように、第1の制御ワイヤ42A又は第2の制御ワイヤは42Bが遠位方向に引っ張られる場合(例えば、送達シャフト14の一部が屈曲又は偏向することによる固有の力によって、送達シャフト14の一部が組織又は他の物質に接触することによってなど)、第1の制御ワイヤ42A又は第2の制御ワイヤ42Bは、このようにしてスプール50に力(複数可)を付与することができる。力(複数可)は、スプール50をばねクラッチ46の1つ以上の脚部52と相互作用させてもよく、ばねクラッチ46を締め付けてもよく、ひいては、スプール50を軸48により確実に固定するのに役立ち、相対回転を防止する。
【0030】
図3は、ノブ32、シャフト44、少なくとも1つのばねクラッチ(すなわち、2つのばねクラッチ46A及び46B)、軸48、及びスプール50を含む制御デバイス30の分解図である。図示されていないが、制御ワイヤ42A及び42Bはスプール50に結合されてもよい。この態様では、ノブ32及びシャフト44を回転させることにより、スプール50を回転させることができ、これは、制御ワイヤ42A及び42B(図2A~2C)の動きを制御して、送達シャフト(図示無し)の遠位部分を偏向させるか、さもなくば、制御することができる。
【0031】
示すように、ハンドル12の内部のシャフト44の一部は、少なくとも1つの突出部を含む。図3に示すように、シャフト44は、2つの突出部54A及び54Bを含んでもよく、例えば、各突出部54A、54Bは、シャフト44の両側、例えば、シャフト44の長手方向の軸線に対して両側にある。シャフト44はまた、例えば、シャフト44の長手方向の部分(例えば、ノブ32と反対のシャフト44の端部)から半径方向外向きに延在する半径方向延在部56を含んでもよい。この態様では、突出部54A、54Bは、半径方向延在部56から長手方向に延在することができる。さらに、ばねクラッチ46A及び46Bはそれぞれ、開口部58A及び58Bを備えるワイヤコイルによって形成され、ばねクラッチ46A及び46Bはそれぞれ、少なくとも部分的に円筒形のばねクラッチ46A及び46Bからそれぞれ半径方向に離れるように突出する2つの脚部52A及び52B、ならびに52C及び52Dを含む。この態様では、ばねクラッチ46Aは2つの脚部52A及び52Bを含み、ばねクラッチ46Bは2つの脚部52C及び52Dを含む。
【0032】
スプール50は、略円筒形の外側部分58を含むことができる。さらに、スプール50は、例えば、軸48を受け入れるための略円筒形の内側開口部60を含むことができ、内側開口部60は、2つの拡大部分又は間隙62A及び62Bを含むことができる。例えば、間隙62Aは、間隙62Aの対向する端部上に第1の停止面64A及び第2の停止面64Bを含んでもよい。この態様では、以下に議論するように、ノブ32及びシャフト44が回転すると、突出部54A、54Bは、脚部52A~52D及び間隙62A、62Bと相互作用することができる。さらに、図示されていないが、制御デバイス30は、例えば、1つ以上のスプール50と軸48との間に生成される摩擦力を修正するために、追加のばねクラッチを含んでもよい。さらに、制御デバイス30は、追加のばねクラッチの脚部を収容して作動させるために、シャフト44からの追加の突出部、スプール50内の間隙などを含むことができる。
【0033】
図2B図2C、及び図3を参照すると、制御デバイス30が組み立てられるとき、軸48はハンドル12の一部に固定して連結される。ばねクラッチ46A及び46Bならびにスプール50は、軸48の一部の周りに配置されてもよい。例えば、軸48は拡大部分66を含むことができる。ばねクラッチ46A及び46Bの開口部58A及び58Bは、拡大部分66の上に配置されてもよく、例えば、拡大部分66に沿って横方向に離間されてもよい。ばねクラッチ46A及び46Bが拡大部分66の上に配置されるとき、ばねクラッチ46A及び46Bは拡大部分66の周りにしっかりと配置され得る。例えば、ばねクラッチ46A及び46Bは、拡大部分66の周りに配置されるために、緩められてもよい(例えば、各ばねクラッチ46A及び46Bの脚部52A~52Dのうちの1つ以上を互いに向かって挟むか、さもなくば、移動させる)。スプール50は、ばねクラッチ46A及び46Bの上に配置されてもよく、軸48の拡大部分66の周りに配置されてもよい。
【0034】
次に、シャフト44を軸48上に配置することができる。例えば、図2Bに示すように、シャフト44は、軸48を受け入れる内側ルーメンを含む。軸48は、連結部分68を含んでもよく、ノブ32は、例えばシャフト44内のルーメンに接続する開口部70を含んでもよい。この態様では、連結要素(例えば、ねじ、ボルトなど)を使用して、軸48をノブ32に連結することができるが、それらの間の相対回転を可能にする。
【0035】
シャフト44が軸48上に配置されるとき、半径方向延在部56は、軸48の拡大部分66に当接するか、又は隣接してもよい。さらに、突出部54A及び54Bは、ばねクラッチ46A及び46Bの脚部52A~52Dの対の間で、間隙62A及び62B内に配置されてもよい。例えば、突出部54Aは、ばねクラッチ46Aの脚部52Bとばねクラッチ46Bの脚部52Dとの間に、また間隙62A内に配置されてもよい。加えて、突出部54Bは、ばねクラッチ46Aの脚部54Aとばねクラッチ46Bの脚部52Cとの間に、また間隙62B内に配置されてもよい。
【0036】
制御デバイス30が組み立てられると、ノブ32、ひいては、シャフト44を第1の方向、例えば、時計回りに回転させることにより、突出部54Aをばねクラッチ46Aの脚部52Bに接触させ、脚部52Bを時計回りに押すことができる。この接触はまた、ばねクラッチ46Aの全体を回転させてもよく、例えば、ばねクラッチ46Aの脚部52Bを間隙62Aの停止面64Bと当接させる。ノブ32のさらなる回転により、スプール50がばねクラッチ46Aによって軸48に対して回転不能に固定されるように、ばねクラッチ46Aを緩めてもよい。加えて、ノブ32及びシャフト44を第1の方向に回転させることはまた、突出部54Bをばねクラッチ46Bの脚部52Cに接触させ、脚部52Cを時計回りに押すことができる。この接触はまた、ばねクラッチ46Bの全体を回転させてもよく、例えば、ばねクラッチ46Bの脚部52Cを間隙62Bの停止面と当接させる。ノブ32のさらなる回転により、スプール50がばねクラッチ46Bによって軸48に対して回転不能に固定されるように、ばねクラッチ46Bを緩めてもよい。
【0037】
逆に、ノブ32、ひいては、シャフト44を第2の方向、例えば、反時計回りに回転させることは、突出部54Aをばねクラッチ46Bの脚部52Dに接触させ、脚部52Dを反時計回りに押すことができる。この接触はまた、ばねクラッチ46Bの全体を回転させてもよく、例えば、ばねクラッチ46Dの脚部52Dを間隙62Aの停止面64Aと当接させる。ノブ32のさらなる回転により、スプール50がばねクラッチ46Bによって軸48に対して回転不能に固定されるように、ばねクラッチ46Bを緩めてもよい。加えて、ノブ32及びシャフト44を第2の方向に回転させることはまた、突出部54Bをばねクラッチ46Aの脚部52Aに接触させ、脚部52Aを反時計回りに押すことができる。この接触はまた、ばねクラッチ46Aの全体を回転させてもよく、例えば、ばねクラッチ46Aの脚部52Aを間隙62Bの停止面と当接させる。ノブ32のさらなる回転により、スプール50がばねクラッチ46Aによって軸48に対して回転不能に固定されるように、ばねクラッチ46Aを緩めてもよい。
【0038】
ばねクラッチ46A及び46Bの両方が緩められると、ノブ32及びシャフト44の回転により、スプール50を回転させ、ひいては、第1の制御ワイヤ42A及び/又は第2の制御ワイヤ42B(図2A~2C)のうちの少なくとも1つの動きを制御してもよい。さらに、上述したように、外力、例えば、制御ワイヤによってスプール50に加えられる力は、スプール50を回転させて、クラッチばね46A、46Bのうちの1つ以上を締め付けるようにクラッチばね46A、46Bのうちの1つ以上に接触させることができる。例えば、複数の制御ワイヤのうちの1つからの力がスプール50に作用してスプール50を時計回りに回転させる場合、停止面64Aは脚部52Dに接触し、脚部52Dを時計回りに押すことができ、これによりばねクラッチ48Bを締め付ける。同様に、スプール50に作用する時計回りの力はまた、間隙62Bの停止面を脚部52Aに接触させ、脚部52Aを時計回りに押すことができ、これによりばねクラッチ48Aを締め付ける。従って、制御デバイス30はまた、送達シャフト14の一部を操作された位置に保持するのに役立ち得る。
【0039】
図4A~4Dは、例えば、ノブ32及びシャフト44の回転に基づいて、スプール50を軸48に選択的に回転可能に連結及び軸48から連結解除する、制御デバイス30に組み込まれ得る様々なばねクラッチを示す。図4Aに示すように、ばねクラッチ146は、巻線のコイル168を含む。さらに、上述したように、ばねクラッチ146は、コイル168から半径方向に離れるように延在する2つの脚部152A及び152Bを含む。脚部152A及び152Bは、屈曲部170A及び170Bによってコイル168に結合されてもよい。図示するように、コイル168は、約3つのワイヤループを含むことができる。しかし、図示されていないが、コイル168は、より少ない又はより多いワイヤループを含んでもよく、それは、ばねクラッチ146を圧縮するために必要な力の量に影響を及ぼしてもよく、また、軸に対してスプールを保持するばねクラッチ146によって加えられる保持力に影響を及ぼしてもよい。上述したように、シャフトからの突出部は、脚部152A及び152Bと相互作用して、ばねクラッチ146を緩めてもよい。
【0040】
図4Bは、別の例示的なばねクラッチ246を示す。示すように、ばねクラッチ246は、例えば、少なくとも部分的に円筒形の部分272A及び相互作用部分272Bを含むリング状の形状を含んでもよい。相互作用部分272Bは、第1の端部274A及び第2の端部274Bを含み、これらは、例えば、ばねクラッチ246の円周の一部に沿って少なくとも部分的に重複する。第1の端部274Aは、半径方向外向きに延在する脚部252Aを含むことができる。第2の端部274Bは、2つの脚部252C及び252Dを含んでもよく、これらは第1の端部274Aを移動可能に受け入れる開口部を形成するように離間される。従って、第1の端部274A及び第2の端部274Bは、互いに対して移動可能である。例えば、脚部252Aと円筒形の部分272Aの一端との間に間隔276Aがあってもよい。さらに、脚部252B及び252Cと円筒形の部分272Aの他端との間に間隔276B及び276Cがあってもよい。この態様では、脚部252Aは間隔276A内で移動することができる。さらに、脚部252B及び252Cは、間隔276B及び276C内で移動することができる。上述したように、シャフトからの突出部は、脚部252A、252B、又は252Cのうちの1つ以上と相互作用して、ばねクラッチ246を緩めてもよい。ばねクラッチ246は、板金で形成されてもよい。代わりに、ばねクラッチ246は、例えば、射出成形プロセスを介してプラスチック材料で形成されてもよい。
【0041】
図4Cは、さらに別の例示的なばねクラッチ346を示す。示すように、ばねクラッチ346は、例えば、少なくとも部分的に円筒形の部分372A及び開放部分372Bを含む部分的にリング状の形状を含んでもよい。開放部分372Bは、第1の脚部352Aと第2の脚部352Bとの間に延在してもよい。上述したように、シャフトからの突出部は、脚部352A又は352Bのうちの1つ以上と相互作用して、ばねクラッチ346を緩めてもよい。ばねクラッチ246と同様に、ばねクラッチ346は、板金で形成されてもよく、又は、代わりに、ばねクラッチ346は、例えば、射出成形プロセスを介してプラスチック材料で形成されてもよい。
【0042】
図4Dは、さらなる例示的なばねクラッチ446を示す。示すように、ばね446はまた、巻線のコイル468で形成され得る。ばねクラッチ446はまた、コイル468から半径方向内向きに延在する2つの脚部452A及び452Bを含む。脚部452A及び452Bは、屈曲部470A及び470Bによってコイル468に結合されてもよい。この態様では、図示されていないが、ばね446は、ハンドルのハウジングに固定された外側シリンダ(軸48と同様)と、外側シリンダの開口部内に配置されたスプールとを含む制御デバイスのために使用されてもよい。ノブ及びシャフトの回転により、脚部452A及び452Bと相互作用して、ばね346を選択的に緩め、内部スプールを回転させ得る。さらに、ばねクラッチ46、46A、46B、146、246、及び346のうちの1つ以上は、半径方向内向きに延在するそれぞれの脚部を含むように変更されてもよい。
【0043】
これらの態様では、ばねクラッチ46、46A、46B、146、246、346、及び446のうちの1つ以上を制御デバイス30に組み込むことができる。例えば、制御デバイス30のための1つ以上のばねクラッチを選択する際に、ばねの所望の圧縮力、製造コスト、及び他の要因を考慮することができる。加えて、制御デバイス30の圧縮力は、スプール50を軸48に連結するアセンブリに1つ以上のばねクラッチを追加又は除去することによって(又は、1つ以上のばねクラッチを変更すること、例えば、コイルのループを追加することによって)変更されてもよい。さらに、制御デバイス30の圧縮力は、ばねクラッチ(複数可)内に配置された軸48の直径を変更することによって変更することができる。制御デバイス30の圧縮力はまた、制御デバイス30の材料及び/又は摩擦特性を変更することによって変更することができる。例えば、軸48は、テフロン(登録商標)コーティングされたシャフトで形成されてもよい。代わりに又は加えて、ばねクラッチは、テフロン(登録商標)コーティングされたワイヤ又はテフロン(登録商標)を含むプラスチックで形成されてもよい。さらに、1つ以上の態様では、1つ以上の摩擦低減剤(例えば、グリース)が、制御デバイス30内の1つ以上の表面に加えられてもよい。
【0044】
さらに、以下に議論するように、3つ以上の制御デバイス30が、例えば、入れ子式ノブ及び中空管又はシャフトとともに使用されてもよい。さらに、2つの制御ワイヤ42A及び42Bが各スプール50に連結されているように示されているが、本開示はそのように限定されない。例えば、1つの制御ワイヤが各スプール50に連結されてもよく、又は3つ以上の制御ワイヤが各スプール50に連結されて、例えば、送達シャフト14の1つ以上の部分に追加の近位後退力を提供してもよい。さらに、各スプール50を軸48に連結する2つのばねクラッチ46が示されているが、本開示はそのように限定されない。例えば、スプール50を軸48に選択的に連結する摩擦力を制御するために、例えば、1つのばねクラッチ46が各スプール50と共に使用されてもよく、又は3つ以上のばねクラッチ46が各スプール50と共に使用されてもよい。ばねクラッチ46のサイズ、材料、剛性、弾性などは、ばねクラッチ46の数と共に、スプール50と軸48との間の摩擦連結を制御するために要望通り変更されてもよい。
【0045】
図5A~5Cは、本開示による代替の例示的な医療用デバイス510の異なる図を示す。図5A~5Cは、参照番号に500を加えて示される医療用デバイス10と同様の要素を示す。図5Aは、医療用デバイス510の正面図であり、図5Bは、医療用デバイス510の斜視図である。図5Cは、医療用デバイス510の近位部分の側面図である。医療用デバイス510は、ハンドル本体を含むハンドル512と、ハンドル512から遠位端(図示無し)まで延在する送達シャフト514とを含む。加えて、医療用デバイス510は、制御デバイス530を含む。
【0046】
制御デバイス530は、第1のノブ532及び第2のノブ580を含む。第2のノブ580は、第1のノブ532とハンドル512との間に配置されてもよい。この態様において、第1のノブ532は、第1の態様において送達シャフト514の遠位部分を作動又は制御するためにハンドル512に対して回転可能であってもよく、第2のノブ580は、第2の態様において送達シャフト514の遠位部分を作動又は制御するためにハンドル512に対して回転可能であってもよい。第1のノブ532、第2のノブ580、及びそれらのそれぞれの結合は、実質的に同軸であってもよい。一態様では、第1のノブ532は、送達シャフト514内の第1のエレベータを制御することができ、第2のノブ580は、送達シャフト514内の第2のエレベータを制御することができる。別の態様では、第1のノブ532は、第1の平面内で送達シャフト514の遠位端を偏向させるように回転可能であってもよく、第2のノブ580は、第2の平面内で送達シャフト514の遠位端を偏向させるように回転可能であってもよい。第2の平面は、第1の平面にほぼ垂直であってもよい。この態様では、第1のノブ532及び第2のノブ580を備える制御デバイス530は、送達シャフト514の遠位端から延在する半球範囲内の任意の位置又は方向への遠位端の偏向を可能にし得る。さらに、第1のノブ532及び第2のノブ580を備える制御デバイス530は、大きな偏向角度で、送達シャフト514の遠位端から延在する範囲内の任意の位置又は方向への遠位端の偏向を可能にしてもよく、この範囲は半球範囲よりも大きい。さらに別の態様では、第1のノブ532は、送達シャフト514の遠位端の偏向を制御してもよく、第2のノブ580は、エレベータを制御してもよく、又はその逆であってもよい。これらの態様では、制御デバイス530は内部制動デバイスを含み、ひいては、ユーザがハンドル512の外側から作動及び/又は解放することができる外部制動デバイスを必要としない。
【0047】
図6A及び図6Bは、制御デバイス530の図を示す。図6Aは、例えば、図2Aの断面2B-2Bと同様の断面に沿った制御デバイス530の断面図である。図6Bは、制御デバイス530がハンドル512に連結されたときの、例えば、ハンドル512(図5A~5C)の内部の位置から見た制御デバイス530の背面図である。制御デバイス530は、2つ以上の指示ワイヤ又は制御ワイヤ(例えば、542A、542B、542C、及び542D)を含み、これらは、上述したように、送達シャフト514の1つ以上の構成要素を制御し得る。
【0048】
上述したように、ノブ532は、制御シャフト544に連結されてもよく、又は制御シャフト544と一体的に形成されてもよい。シャフト544は、軸548の一部を受け入れるための内部ルーメンを含んでもよく、また、スプール550と相互作用して、1つ以上の制御ワイヤ、例えば、第1の制御ワイヤ542Aの動きを制御してもよい。さらに、スプール550を選択的に回転して軸548に固定又はロックするために、1つ以上のばねクラッチ546Aがスプール550と軸548の一部との間に配置されてもよい。
【0049】
加えて、ノブ580は、制御シャフト582に連結されてもよく、又は一体的に形成されてもよい。シャフト582は、シャフト544の一部、ひいては、軸548も受け入れるための内部ルーメンを含んでもよい。一態様では、中空軸578をシャフト544とシャフト582との間に配置することができる。シャフト582はまた、スプール584と相互作用して、1つ以上の制御ワイヤ、例えば、第2の制御ワイヤ542Bの動きを制御し得る。加えて、スプール584を選択的に回転して中空軸578に固定又はロックするために、1つ以上のばねクラッチ546Cがスプール584と中空軸578の一部との間に配置されてもよい。さらに、中空軸578は延在部586を含むことができる。延在部586は、スプール550とスプール584との間に配置されてもよく、スプール550及びスプール584が互いに別個に作動及び回転させられることを可能にするのに役立ち得る。
【0050】
シャフト544、ばねクラッチ546A、軸548、及びスプール550は、図2A~2C及び図3の対応する構造に関して議論したように、軸548に対するシャフト544及びスプール550の回転を選択的にロック及びロック解除するように動作する。図6Bに示すように、ばねクラッチ546Aは、軸548の周りに、例えば、軸548とスプール550との間に配置されてもよい。制御デバイス530に力が作用していないとき、ばねクラッチ546Aは、軸548の周りにしっかりと配置されるか又は押し付けられ、スプール550、ひいては、第1の制御ワイヤ542Aを軸548に対して、ひいては、ハンドル512及び送達シャフト514に対して固定するのに役立つ。ばねクラッチ546Aは、1つ以上の脚部552を含んでもよい。ノブ532及びシャフト544を回転することにより、ばねクラッチ546Aの1つ以上の脚部552と相互作用してもよい。例えば、ノブ532及びシャフト544を回転することにより、シャフト544の一部を1つ以上の脚部552に接触させて、1つ以上の脚部552をある方向に押すことにより、ばねクラッチ546Aを解くか又は緩めることができる。ばねクラッチ546Aを緩めることにより、スプール550と軸548との間の摩擦接続を低減することができる。さらに、ノブ532及びシャフト544を回転することにより、また、シャフト544の一部分、又は1つ以上の脚部552の一部分をスプール550の一部分に接触させてもよく、これは、スプール550を回転させ得る。次に、スプール550を回転することにより、制御ワイヤ542Aを近位に後退させて、送達シャフト514の一部を制御することができる。
【0051】
同様に、図6A及び6Bには示されていないが、シャフト582は、例えば、回転ノブ580がばねクラッチ546Cを緩め、ひいては、スプール584と中空軸578との間の摩擦接続を低減するように、ばねクラッチ546Cの1つ以上の脚部と相互作用してもよい。
【0052】
図7は、ノブ532、シャフト544、少なくとも1つのばねクラッチ(すなわち、2つのばねクラッチ546A及び546B)、軸548、及びスプール550を含む制御デバイス530の分解図である。図示されていないが、1つ以上の制御ワイヤ(例えば、制御ワイヤ542A及び542B)がスプール550に連結されてもよい。この態様では、図2A~2C及び図3に示すノブ32、シャフト44、ばねクラッチ46、軸48、スプール50、及び制御ワイヤ42A、42Bの相互作用と同様に、ノブ532及びシャフト544を回転することにより、スプール550を回転させることができ、これは1つ以上の制御ワイヤの動きを制御して、送達シャフト(図示無し)の遠位部分を偏向させるか、さもなくば、制御することができる。上述したように、ノブ530及びシャフト544を回転させることにより、ばねクラッチ546A又は546Bのうちの1つ以上を緩めることができる。例えば、シャフト544は、1つ以上の突出部、例えば、半径方向延在部556を介してシャフト544に連結された第1の突出部554A及び第2の突出部554Bを含む。突出部554A及び554Bは、上述したように、ばねクラッチ546A、546Bの複数の脚部と相互作用して、ばねクラッチ546A、546Bを緩め、スプール550と軸548の拡大部分566との間の接続を緩めることができる。さらに、上述したように、複数の脚部は、スプール550を回転させて1つ以上の制御ワイヤ(図示無し)を制御するために、1つ以上の停止面(例えば、停止面564A及び564B)と相互作用してもよい。
【0053】
さらに、図7に示すように、制御デバイス530は、ノブ580、シャフト582、少なくとも1つの追加のばねクラッチ(すなわち、2つのばねクラッチ546C及び546D)、及びスプール584を含む。図示されていないが、1つ以上の制御ワイヤ(例えば、制御ワイヤ542C及び542D)がスプール584に連結されてもよい。このアセンブリは、図2A、2C及び3に示すノブ32、シャフト44、ばねクラッチ46、軸48、スプール50、及び制御ワイヤ42A、42Bの相互作用とほぼ同じように動作する。具体的には、ノブ580及びシャフト582を回転することにより、上述したように、ばねクラッチ546C及び546Dと相互作用してそれらを緩め、スプール584を回転させることができる。スプール584を回転することにより、送達シャフト(図示無し)の遠位部分を偏向させるか、さもなくば、制御するように、1つ以上の制御ワイヤの動きを制御することができる。さらに、中空軸578は、ハンドル512に固定されてもよく、シャフト544と582とが別々に回転することを可能にするのに役立ち得る。さらに、中空軸578は、延在部586を含むことができ、これはスプール550及びスプール584を分離し、スプール550とスプール584とが別々に回転することを可能にする。
【0054】
さらに、ノブ580及びシャフト582を回転することは、ばねクラッチ546C又は546Dのうちの1つ以上を緩め得る。例えば、シャフト582は、半径方向延在部590を介してシャフト582に連結された1つ以上の突出部、例えば、第1の突出部588A及び第2の突出部588Bを含む。突出部588A及び588Bは、上述したように、ばねクラッチ546C、546Dの複数の脚部と相互作用して、ばねクラッチ546C、546Dを緩め、スプール584と中空軸578との間の接続を緩めることができる。さらに、上述したように、複数の脚部は、スプール584を回転させて1つ以上の制御ワイヤ(図示無し)を制御するように、1つ以上の停止面(例えば、停止面592A又は592B)と相互作用してもよい。
【0055】
さらに、上述したように、外力、例えば、制御ワイヤによってスプール550又はスプール584に加えられる力は、スプール550又はスプール584を回転させて、クラッチばね546A、546B、546C、546Dのうちの1つ以上を締め付けるように、クラッチばね546A、546B、546C、546Dのうちの1つ以上に接触させることができる。例えば、複数の制御ワイヤは、送達シャフト514を付勢して非屈曲位置又は非偏向位置に戻すための、送達シャフト514上の固有の力、送達シャフト514の遠位端が治療部位において組織又は他の物質に接触することによって引き起こされる力等から力を付与し得るが、これらの力は、スプール550、584をクラッチばね546A、546B、546C、546Dのうちの1つ以上に接触させて締め付け得る。従って、制御デバイス530はまた、送達シャフト514の一部を操作された位置に保持するのに役立ち得る。
【0056】
ばねクラッチの1つ以上、及び任意の組合せを制御デバイス530に組み込むことができる。加えて、3つ以上のノブ、シャフト等が、例えば、送達シャフトの3つ以上の態様を制御するために、ハンドル512上に含まれてもよい。例えば、ハンドル512上の制御デバイスに3つのノブを組み込むことができる。第1ノブ及び第2のノブは、2つの異なる平面内で送達シャフト514を偏向させるように構成されてもよく、第3のノブは、例えば、図1A及び図1Bの遠位開口部24に隣接して配置されるエレベータを作動させるように構成されてもよい。
【0057】
本明細書で議論される様々な態様は、医療処置の期間、コスト、及び/又はリスクを低減するのに役立ち得る。例えば、制御デバイスは、ユーザが1つ以上の制御ワイヤを選択的に操作することを可能にする。複数の制御デバイスはまた、複数の制御ワイヤを選択された位置にロックし、また、例えば、送達シャフトに作用する力からの複数の制御ワイヤの想定外の動きを防止することに役立つ。この態様では、複数の制御デバイスは、少数の安価な構成要素を備えるブレーキを提供するのに役立つことができる。ばねクラッチ(複数可)によって与えられるばね力により、複数の制御デバイスによって提供されるブレーキは、ノブ及びシャフトがユーザ操作によって回転されるときに自動的に係合解除され、複数の制御デバイスによって提供されるブレーキは、ユーザ操作が終了した後に自動的に係合する。例えば、ユーザは、ノブを回転させて、送達シャフトの遠位端を偏向させてもよい。ユーザは、回転された位置にあるノブから手を離してもよく、1つ以上のばねクラッチは、収縮された位置に自動的に戻り、スプールを軸に固定してもよい。この態様では、複数の制御ワイヤからスプールに加えられる力、又は複数の制御ワイヤからの背圧が、1つ以上のばねクラッチを締め付け、複数の制御ワイヤによって加えられる力がスプールを回転させることを防止するのに役立つ。
【0058】
加えて、1つ以上のばねクラッチは、一般に入手可能なばね又はワイヤ材料で形成されてもよい。代わりに、1つ以上のばねクラッチは、打ち抜き板金、プラスチック材料、射出成形されたクリップなどで形成されてもよい。1つ以上のばねクラッチのサイズ、数、材料等はまた、特定の医療用デバイス又は医療用デバイスの特定の用途に合わせて調整されてもよい。各ばねクラッチがスリップする前に耐えることができる摩擦の量は、各ばねクラッチの特性に基づいて変動し得る。しかし、各ばねクラッチがスリップする前に耐えることができる摩擦の量はまた、1つ以上のばねクラッチの内径と軸の外径との間の干渉等に起因して、1つ以上のばねクラッチを構成するラップ又はコイルの数(又は長手方向の幅)、ワイヤの材料特性、予負荷摩擦の量(例えば、中立又は非作動位置においてばねが軸上でどの程度「緊密」であるか)に依存する。スプールに提供される摩擦力はまた、軸の周りに含まれるばねクラッチの数に基づいて制御(例えば、増加又は減少)されてもよい。次に、摩擦力は、送達シャフトが直線位置又は非作動位置に自然に戻ることを防止するのに十分な保持力をもたらし得る一方で、また、ノブ及びシャフトが1つ以上のばねクラッチを解放し、スプールを回転させて、送達シャフトの一部を作動させるのに必要な駆動力を最小限にする。
【0059】
複数の制御デバイスは、ハンドル上の任意の場所、例えば、医療処置中に便利な場所に配置されてもよい。さらに、複数の制御デバイスは、外部制動システム(ハンドル本体の外部の複数の制動構成要素)を必要とせず、これは、複数の制御デバイス及び複数の医療用デバイスの全体的なサイズ及び有用性を低減するのに役立ち得る。外部制動システムを必要としないことはまた、複数の制御デバイスのノブ(複数可)が複数のハンドルに隣接又は近接して配置されることを可能にするのに役立ってもよく、これは、特により手が小さいユーザのために、医療用デバイスのエルゴノミクス及び/又は有用性を改善し得る。加えて、外部制動システムを必要としないことは、ハンドルの全体的サイズを低減することができ、例えば、ハンドルが(例えば、滅菌中に)テーブルから転倒及び/又は落下し得るリスクを低減し、医療用デバイスを包装するために必要な包装のサイズ及び/又は量を低減し、医療用デバイスを保管するために必要な空間を低減する等である。
【0060】
上述したように、複数の制御デバイスは、複数の制御ワイヤ、ひいては、複数の送達シャフトの制御される部分を選択された位置に自動的に固定することができる。従って、内部構成要素に応力をかけ、ユーザの手の疲労を悪化させるなどをする、ユーザによる外部ブレーキ要素の操作、さもなくば、1つ以上の構成要素を所定の位置にロックし、次に、最終的な又はより小さい操作のためのロック構成の構成要素の操作をする必要がない。さらに、送達シャフトの遠位端を複数の方向に偏向させる、送達シャフト内の1つ以上のエレベータを作動又は移動させる、及び/又は、その他には、複数の医療用デバイスのケーブル駆動機能を実行するために、複数の制御デバイスが、上述のように、1つのハンドル上に組み込まれてもよい。
【0061】
従って、本明細書で議論される様々な態様は、治療の有効性及び/又は処置、例えば、治療部位を治療するための処置からの回復を改善するのに役立ち得る。本明細書で議論される様々な態様は、処置の期間を低減及び/又は最小限にすることに役立ってもよく、ユーザによる想定外の操作のリスクを低減してもよく、及び/又は処置における医療用デバイスの送達、再配置、又は使用の間、組織又は他の物質との想定外の接触のリスクを低減するのに役立ってもよい。
【0062】
本開示の原理は、様々な用途のための例示的な態様を参照して本明細書で議論されるが、本開示はそれに限定されないことを理解されたい。当業者及び本明細書で提供される教示へのアクセスを有する者は、追加の修正、適用、態様、及び均等物の置換が全て本明細書で記載される態様の範囲内に入ることを認識するであろう。従って、本開示は、前述の説明によって限定されるものと見なされるべきではない。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
【国際調査報告】