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特表2024-519839細菌と真菌の共培養物を含む食品生成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】細菌と真菌の共培養物を含む食品生成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20240514BHJP
   C12P 1/02 20060101ALI20240514BHJP
   C12P 1/04 20060101ALI20240514BHJP
   C12P 1/06 20060101ALI20240514BHJP
   A23L 31/00 20160101ALI20240514BHJP
   A23L 33/195 20160101ALI20240514BHJP
   C12N 1/14 20060101ALI20240514BHJP
   C07K 14/195 20060101ALI20240514BHJP
   C12N 1/16 20060101ALI20240514BHJP
   A23L 31/10 20160101ALI20240514BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240514BHJP
   C07K 14/375 20060101ALI20240514BHJP
   C07K 14/39 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C12N1/20 C
C12P1/02 Z
C12P1/04 Z
C12P1/06 Z
A23L31/00
A23L33/195
C12N1/14 A
C07K14/195
C12N1/16 J
A23L31/10
C12M1/00 Z
C12M1/00 C
C07K14/375
C07K14/39
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571465
(86)(22)【出願日】2022-05-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 US2022029353
(87)【国際公開番号】W WO2022245683
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/189,314
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/244,821
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/267,191
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523432519
【氏名又は名称】アクアカルチャード フーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】パレルモ,アン
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,ロバート
【テーマコード(参考)】
4B018
4B029
4B064
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD80
4B018MD85
4B018ME14
4B029AA02
4B029BB02
4B029BB06
4B029BB07
4B029BB08
4B029BB09
4B064AF11
4B064AG01
4B064CA01
4B064CA02
4B064CA05
4B064DA10
4B065AA01
4B065AA02X
4B065AA57X
4B065AA58X
4B065AA60X
4B065AA63
4B065AA65X
4B065AA67
4B065AA73X
4B065AA77X
4B065AA78X
4B065BD50
4B065CA41
4H045AA20
4H045AA30
4H045CA11
4H045CA15
4H045EA01
4H045FA72
(57)【要約】
【課題】
肉及び海産食品を含めた動物由来の生成物の代替品を提供する。
【解決手段】
本明細書で提供されるのは、乾燥重量で少なくとも5%のタンパク質と乾燥重量で少なくとも5%の繊維とを含む、細菌と真菌の共培養物の固体生成物を含む組成物である。さらに提供されるのは、乾燥重量で少なくとも5%の真菌タンパク質と乾燥重量で少なくとも5%の繊維とを含み、切断又は成型によって、ある形状に形成される、細菌と真菌の共培養物の固体生成物を含む菌膜から形成される食品物品である。さらに提供されるのは、細菌と真菌を共培養して菌膜を形成することと、菌膜を回収及び成形することによって、こうした生成物を製造する方法である。さらに提供されるのは、積み重ねられたトレーを含むハウジングユニットを含む、細菌と真菌の共培養物(微生物の共培養物)の成長及び生成を最適化するシステムである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥重量で少なくとも5%のタンパク質と乾燥重量で少なくとも5%の繊維とを含む、細菌と真菌の共培養の固体生成物を含む組成物。
【請求項2】
前記食品生成物が、セルロースを含むスキャフォールドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
殺された細菌及び真菌並びに/又は生きている細菌及び真菌を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
高タンパク質及び高繊維である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
乾燥重量で少なくとも6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%のいずれかの真菌タンパク質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記タンパク質の大部分が、マイコプロテインである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記タンパク質が、少なくとも0.8、0.85、0.9、0.95、又は1.0のいずれかに等しい消化性アミノ酸スコア(PDCAAS)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
乾燥重量で少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%のいずれかの細菌繊維を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記細菌繊維が、細菌セルロースを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記繊維が、キチンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記繊維の少なくとも15%が、真菌繊維を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記真菌が、酸性pH環境で増殖し、低凝集速度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記真菌が、強力な発酵体ではない酵母を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記真菌が、糸状菌を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記真菌が、コウジカビ属(Aspergillus)(例えば、コウジカビ(Aspergillus oryzae))、フザリウム属(Fusarium)(例えば、フザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum))、紅茶キノコ(例えば、メデュソマイセス・ギセビ・リンダウ(Medusomyces gisevii Lindau))、ゲオトリクム属(Geotrichum)(例えば、ゲオトリクム・キャンディダム(Geotrichum candidum))、アオカビ属(Penicillium)(例えば、ペニシリウム・カマンベルティ(Penicillium camemberti)、又はペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium-roqueforti))、アカパンカビ属(Neurospora)(例えば、アカパンカビ(Neurospora crassa))、ペシロマイセス属(Paecilomyces)(例えば、ペシロマイセス・バリオッティ(Paecilomyces variotii))、及びクモノスカビ属(Rhizopus)(例えば、リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus))から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記真菌が、カンジダ属(Candida)(例えば、カンジダ・ウチリス(Candida utilis))、ロドトルラ属(Rhodotorula)(例えば、ロドトルラ・ムシラギノーサ(Rhodotorula mucilaginosa))、シベルリンドネラ属(Cyberlindnera)(例えばトルラ酵母(Cyberlindnera jadinii))、及びピキア属(Pichia)(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris))から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記真菌が、糸状菌を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記細菌が、グルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)、アセトバクター属(Acetobacter)、コマガタエイバクター属(Komagataeibacter)、及びグルコノバクター属(Gluconobacter)から選択される属から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
全細菌細胞及び/又は全真菌細胞を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
グルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)及びコマガタエイバクター属(Komagataeibacter)から選択される細菌と、カンジダ属(Candida)及びコウジカビ属(Aspergillus)から選択される真菌とを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
グルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)及びコウジカビ属(Aspergillus)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
表1から選択される一対の細菌と真菌とを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
切断又は成型によって、ある形状に形成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
セルロース(例えば、細菌セルロース)を含むスキャフォールドに埋め込まれた真菌細胞を含み、乾燥重量で少なくとも5%のタンパク質含有量と乾燥重量で少なくとも5%の繊維含有量とを含む、食品組成物又は食品物品。
【請求項25】
前記スキャフォールドに埋め込まれた細菌細胞をさらに含む、請求項24に記載の食品組成物又は食品物品。
【請求項26】
乾燥重量で少なくとも5%の真菌タンパク質と乾燥重量で少なくとも5%の繊維とを含み、切断又は成型によって、ある形状に形成される、細菌と真菌の共培養の生成物として形成される菌膜から形成される食品物品。
【請求項27】
セルロースを含むスキャフォールドを含み、前記スキャフォールドに細菌と真菌が埋め込まれた、請求項26に記載の物品。
【請求項28】
殺された細菌及び真菌並びに/又は生きている細菌及び真菌を含む、請求項26に記載の物品。
【請求項29】
帯、環、円板、丸太、三日月、扇、四角、三角、メダル、又は板状物の形状に形成される、請求項26に記載の物品。
【請求項30】
海産食品生成物の形状に形成される、請求項26に記載の物品。
【請求項31】
前記海産食品が、頭足類、甲殻類、又は硬骨魚(例えば、エビ、寿司、刺身、カニ、ロブスター、イカ/調理イカ)から選択される、請求項30に記載の物品。
【請求項32】
前記生成物が、パティ(例えば、バーガー)、又はナゲット(例えば、チキンナゲット)の形状である、請求項26に記載の物品。
【請求項33】
前記生成物が、四角形の形状と少なくとも150cmの表面積とを有する断片として構成される、請求項26に記載の物品。
【請求項34】
1000cm、729cm、512cm、343cm、216cm、125cm、64cm、27cm、8cm、又は1cmのいずれかを超えない体積を有する、請求項26に記載の物品。
【請求項35】
少なくとも1cmの体積を有する、請求項34に記載の物品。
【請求項36】
前記生成物が、約3キログラム力未満の切断抵抗、約0.2~約1.5グラム/cmの密度、及び約50重量%~約75重量%の含水量を有する、請求項26に記載の物品。
【請求項37】
乾燥重量で少なくとも14%の真菌タンパク質と少なくとも14%の細菌セルロースとを含む、請求項26に記載の物品。
【請求項38】
細菌と真菌との共培養を含む、食品生成物を製造する方法であって:
(a)発酵容器中で、種菌と培養培地とを組み合わせて、培養物を生成することと
(ここで:
(i)前記種菌は、1種以上の真菌と1種以上のセルロース生成細菌とを含み;
(ii)前記培養培地は、水、炭素源、窒素源、及び栄養を含み;
(iii)前記発酵容器は、少なくとも3:1の体積:表面積比を有する);
(b)菌膜を生成するのに十分な時間、前記培養物をインキュベートすることであって、前記菌膜は、乾燥重量で少なくとも5%の真菌タンパク質と乾燥重量で少なくとも5%の繊維とを含む、インキュベートすることと
を含む方法。
【請求項39】
(c)前記菌膜を回収すること
をさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
例えば煮沸すること、低温殺菌すること、又は照射することによって、前記菌膜中の細菌又は真菌を殺すことをさらに含む、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
前記生成物が、高タンパク質及び高繊維である、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記細菌が、乳酸菌も農業基材も含まない、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記真菌が、少なくとも3%の湿潤重量の量で、前記種菌中に存在する、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記細菌が、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%のいずれかの湿潤重量の量で、前記種菌中に存在する、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記培養培地が、グルコース、フルクトース、ペプトン(動物又は植物由来)、酵母エキス、リン酸二ナトリウム、硫酸マグネシウム七水和物、及びリン酸水素カリウムの1つ以上を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記炭素源が、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、マルトース、ガラクトース、トレハロース、アルロース、マルトトリオース、蜂蜜、及び糖蜜の1つ以上を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
前記炭素源が、非糖炭素源を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項48】
前記炭素源が、エタノール、メタノール、ソルビトール、マンニトール、キサンタン、寒天、アルギン酸、及びコンニャクグルコマンナンの1つ以上を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項49】
前記窒素源が、少なくとも5g/リットル、少なくとも7.5グラム/リットル、少なくとも10グラム/リットル、又は少なくとも15グラム/リットルの量で存在する、請求項38に記載の方法。
【請求項50】
前記窒素源が、有機窒素源であり、前記有機窒素源が、少なくとも5グラム/リットルの量で存在する、請求項38に記載の方法。
【請求項51】
前記有機窒素源が、少なくとも0.5重量%の量で、前記培養培地中に存在する、請求項38に記載の方法。
【請求項52】
前記有機窒素源が、アミノ酸、ポリペプチド、ヌクレオチド、又は核酸を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項53】
前記有機窒素源が、酵母エキス、ペプトン、又はアミノ酸を含む農業生成物(例えば、加水分解トウモロコシタンパク質、加水分解ダイズタンパク質、加水分解エンドウマメタンパク質、及びコーンスティープリカー)を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記窒素源が、無機窒素源、例えば、硝酸塩、アンモニア塩、尿素化合物、窒素ガス、及び水酸化アンモニウムである、請求項38に記載の方法。
【請求項55】
前記発酵培養物が、酵母、細菌、栄養、プロバイオティクス、微生物、糖の好気性消化の酢副生成物、窒素、及び/又はプレバイオティクスを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項56】
前記発酵培養物が、100ml、250ml、500ml、1リットル、2リットル、5リットル、又は10リットルの少なくともいずれかの体積を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項57】
前記発酵容器が、少なくとも400cmの表面積と少なくとも2cmの深さとを有するトレーを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項58】
前記発酵容器が、少なくとも400cmの表面積と少なくとも2cmの深さとを有する、例えば、少なくとも600cmの表面積と少なくとも3cmの深さとを有するトレーを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項59】
発酵させることが、前記発酵培養物に通気することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項60】
通気が、空気ポンプで空気を提供することによって実施される、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
開放発酵容器中で発酵させることを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項62】
前記トレーが、多孔性の材料、例えば、チーズクロスで覆われる、請求項38に記載の方法。
【請求項63】
前記トレーが、蒸発を低下させるが皆無にしないように、及び酸素を前記発酵培養物に流動させるように覆われる、請求項38に記載の方法。
【請求項64】
5日~25日間発酵させることを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項65】
発酵させることが、約40°F~約122°F、例えば、約50°F~約90°F、約60°F~約80°F、約65°F~約75°F、又は約68°Fに温度を維持することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項66】
前記発酵培養が、pHおよそ4.5で開始される、請求項38に記載の方法。
【請求項67】
前記発酵培養物が、約pH4.0~約pH5.0、例えば、約pH4.5に維持される、請求項38に記載の方法。
【請求項68】
発酵させることが、20%~90%RH、例えば、40%~60%RH、又は約50%RHに湿度を維持することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項69】
1つ又は複数の形状を有する1つ又は複数の開口部を含む覆いで前記発酵容器を覆うことを含み、前記菌膜は前記開口部において形成し、前記開口部の前記形状を取る、請求項38に記載の方法。
【請求項70】
複数の発酵容器が、互いに積み重ねられている、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記菌膜を回収することが、前記発酵容器から前記菌膜を取り出すことと、前記菌膜を洗浄することとを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項72】
前記菌膜を、煮沸すること、低温殺菌、高圧力、又は照射にかけることをさらに含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記生成物が、5キログラム力未満である切断抵抗を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項74】
食品生成物を製造する方法であって:
(a)細菌と真菌の共培養の生成物である菌膜を提供することと;
(b)前記菌膜を複数の断片に成形することと
を含む方法。
【請求項75】
(c)前記生成物を、帯、環、円板、丸太、三日月、扇、四角、三角、メダル、又は板状物から選択される形状を有する複数の断片に切断すること
をさらに含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
(c)前記生成物を、エビ、寿司、刺身、カニ、ロブスター、イカ/調理イカ、パティ、又はナゲットから選択される形状を有する複数の断片に切断すること
をさらに含む、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記菌膜が、少なくとも約1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、又は10cmのいずれかの厚さを有する、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
前記菌膜が、乾燥重量で少なくとも5%のタンパク質と少なくとも5%の繊維とを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項79】
a)インキュベーター空間を含むインキュベーター;
b)前記インキュベーター空間中の温度を制御するように構成された温度調節器;
c)前記インキュベーター空間内の湿度を制御するように構成された加湿器;
d)前記インキュベーター空間の内部の、培養物を有する少なくとも1つのトレーであって、前記培養物は、少なくとも3:1の体積:表面積比を有し、前記培養物は、細菌と真菌の共培養物を含む、トレー
を含むシステム。
【請求項80】
前記培養物に空気を送達する空気供給源をさらに含む、請求項79に記載のシステム。
【請求項81】
高タンパク質、高繊維材料を含む生成物を形成する共培養物の成長及び生成を最適化するためのシステムであって、種菌を播種された種菌液を収容する積み重ねられたトレーを含むハウジングユニットを含むシステム。
【請求項82】
前記種菌液が、供給原料を含む調製されたブロスである、請求項81に記載のシステム。
【請求項83】
前記供給原料が、糖及び栄養を含む、請求項81に記載のシステム。
【請求項84】
前記糖が、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、ガラクトース、マルトース、トレハロース、アルロース、及びマルトトリオースからなる群から選択される、請求項83に記載のシステム。
【請求項85】
前記栄養が、蜂蜜及び糖蜜からなる群から選択される、請求項83に記載のシステム。
【請求項86】
前記供給原料が、浸漬されたチャノキ(Camellia sinensis)、浸漬されたイレクス・グアユサ(Ilex guayusa)、浸漬されたアラビカコーヒーノキ(Coffea arabica)、又は浸漬されたロブスタコーヒーノキ(Coffea robusta)を含む、請求項81に記載のシステム。
【請求項87】
前記積み重ねられたトレーのそれぞれが、蒸発速度を低下させるように、及び酸素を前記種菌液及び前記真菌に流動させるように、緩く覆われる、請求項81に記載のシステム。
【請求項88】
熱及び湿度が、前記積み重ねられたトレーの間を伝達するように、前記積み重ねられたトレーの各トレーの間に間隙が存在する、請求項81に記載のシステム。
【請求項89】
前記真菌が、紅茶キノコを含む、請求項81に記載のシステム。
【請求項90】
前記紅茶キノコが、メデュソマイセス・ギセビ・リンダウ(Medusomyces gisevii Lindau)を含む、請求項89に記載のシステム。
【請求項91】
前記真菌が、食品用途に使用される、請求項81に記載のシステム。
【請求項92】
前記真菌が、食品用途に使用され、及び
前記食品用途が、食料源又はタンパク質源を含む、
請求項91に記載のシステム。
【請求項93】
前記食品用途が、代替タンパク質、植物由来の肉製品、植物由来の海産食品生成物、植物由来の家禽製品、乳類似製品、飲料製品、朝食用シリアル製品、穀物製品、ベーキングミックス、スープミックス、脂肪、及び油からなる群から選択される、請求項92に記載のシステム。
【請求項94】
前記積み重ねられたトレーが、温度及び湿度の維持を可能にするように縦に積み重ねられる、請求項81に記載のシステム。
【請求項95】
前記温度が、およそ40°F~およそ122°Fに維持される、請求項94に記載のシステム。
【請求項96】
前記湿度が、20~90%RHに維持される、請求項94に記載のシステム。
【請求項97】
前記湿度が、90%RHに維持される、請求項96に記載のシステム。
【請求項98】
前記発酵培養物が、真菌、細菌、栄養、プロバイオティクス、微生物、グルコースの好気性消化の酢副生成物、窒素、及び/又はプレバイオティクスを含む、請求項81に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
非該当
【0002】
関連出願の参照
本出願は、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2021年5月17日に出願された米国仮特許出願第63/189,314号;2021年9月16日に出願された第63/244,821号:及び2022年1月26日に出願された第63/267,191号の優先日の利益を、米国特許法第119条(e)(1)の下で主張する。
【背景技術】
【0003】
背景
本発明及びその実施形態の分野は、食品産業内での使用のための、真菌、酵母、藻類、及び/又は細菌を含めた微生物のコンソーシアムの生物工学と成長及び生成の最適化に関する。
【0004】
しかし、必要とされるものは、食料源、タンパク質源などの、食品産業において使用可能な生成物を作り出すための、これらの成分の成長及び生成を最適化するための新規のシステム及び方法、又は肉、海産食品、及び家禽類似物を含めた植物タンパク質生成物の適用におけるその使用である。
【0005】
本明細書に開示される様々なシステムの運用の手段は、既存の方法とは実質的に異なり、それによって、既存の方法に関連する問題を解決する。
【0006】
肉及び海産食品を含めた動物由来の生成物の代替品を提供するために、食品産業は、天然の動物由来の生成物の風味及び食感を模倣する、動物を含まない又は動物を低減させた食品生成物を開発している。
【0007】
図面の簡単な説明
本明細書に組み込まれ、且つ本明細書の一部をなす、添付の図面は、例示的な実施形態を図示し、さらに、説明と共に、関連する技術分野の技術者が、これらの実施形態及び当業者に明らかであろう他の実施形態を行い使用することを可能にする働きをする。本発明は、以下の図面と共に、より具体的に説明されることとなり、ここでは:
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本明細書に開示される少なくともいくつかの実施形態による、細菌と真菌の共培養物の成長及び生成を最適化するように構成されたシステムを表す。
図2】本明細書に開示される少なくともいくつかの実施形態によるシステムのブロック図を表す。
図3】微生物の共培養物を含む菌膜を製造するためのプロセスのフローチャートを表す。
図4】菌膜から製造される例示的な食品形状を表す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
概要
本明細書で提供されるのは、食品生成物、組成物、及び物品である。これらの食品は、真菌及び細菌などの細胞が埋め込まれた、セルロース、典型的には細菌セルロースのスキャフォールドを含む。これらの組成物は、乾燥重量で少なくとも5%のタンパク質と少なくとも5%の繊維を含む。これらの食品は、真菌と、典型的には細菌とを含む。これらの組成物は、真菌と細菌の共培養物、例えば、共生的共培養物として生成することができる。こうした共培養は、菌膜を生成し、これを、食品形状、又は幾何学的な若しくは奇想を凝らしたデザインを模倣するように、物品に成形することができる。
【0010】
本発明及びその実施形態は、食品産業内での使用のための、真菌、酵母、藻類、及び/又は細菌を含めた微生物のコンソーシアムの生物工学と成長及び生成の最適化に関する。詳細には、本発明及びその実施形態は、真菌とセルロース生成細菌との共生的共培養物の成長及び生成(ここで、共培養の生成物は、タンパク質源を含む)を最適化するシステム、及び/又は肉、海産食品、及び家禽類似物を含めた代替タンパク質生成物及び植物タンパク質生成物の適用におけるその使用に関する。
【0011】
本発明の一実施形態は、細菌と真菌の共生的共培養物の成長及び生成を最適化するように構成されたシステムを記載する。このシステムは、ハウジングユニットを含む。ハウジングユニットは、細菌と真菌を播種された培養培地(種菌液とも呼ばれる)を収容する積み重ねられたトレーを含む。種菌液は、供給原料を含む調製されたブロスである。供給原料は、炭素源(例えば、1種以上の糖)、窒素源、及び追加の栄養を含むことができる。
【0012】
真菌は、例えば、メデュソマイセス・ギセビ・リンダウ(Medusomyces gisevii Lindau)であり得る。共培養の生成物は、例えば、食品用途に使用することができる。好ましい例では、共培養の生成物は、食料源、タンパク質源として使用されるか、又は肉、海産食品、及び家禽類似物を含めた植物タンパク質生成物の用途に使用される。
【0013】
一例では、発酵培養物は、本明細書に明示的に列挙されていない他の成分の中でも特に、真菌(例えば、コウジカビ属(Aspergillus)又は酵母)、細菌、栄養、プロバイオティクス、微生物、炭素源及び窒素の好気性消化の酢副生成物、及び/又はプレバイオティクスを含む。いくつかの例では、細菌の株は、アセトバクター属(Acetobacter)、コマガタエイバクター属(Komagataeibacter)、又はグルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)の属を含む。他の例では、発酵培養物は、共生的共培養物の成長を加速するように構成されたバイオマス材料を含む。
【0014】
ある種の実施形態では、共培養物中の微生物は、表1に示した通りの細菌と真菌を含む又はこれらからなる:
【0015】
【表1】
【0016】
ハウジングユニット中で、積み重ねられたトレーのそれぞれを、蒸発速度を低下させるように、並びに酸素を種菌液及び微生物の共培養物に流動させるように、緩く覆うことができる。トレー間の熱、湿度、及び気体の伝達を可能にするために、各トレーの間に間隙が存在することができる。さらに、トレーは、およそ40°F~およそ122°Fの温度の維持;及び/又はおよそ20~90%RHの相対湿度の維持を可能にするように、縦に積み重ねることができる。いくつかの例では、好ましい相対湿度は、90%RHである。
【0017】
概して、本発明は、以下の利益及び目的を与えることに成功している。
【0018】
微生物の共培養物の成長及び生成(ここで、共培養の生成物は、食料源、タンパク質源として使用される、又は肉、海産食品、及び家禽類似物を含めた植物タンパク質生成物/代替タンパク質の用途に使用される)を最適化するシステムを提供することが、本発明の目的である。
【0019】
食品産業内での使用のための、真菌、酵母、及び細菌を含めた微生物のコンソーシアムの成長及び生成を最適化するシステムを提供することが、本発明の目的である。
【0020】
高レベルのタンパク質、食物繊維、及び微量栄養素を有する栄養豊富な食料源として使用されることとなる栄養性の真菌及び細菌の微生物ベースのコンソーシアムを成長及び生成させるための方法を提供することが、本発明の目的である。
【0021】
タンパク質及び繊維を多く含む、微生物の共培養に由来する食品生成物を提供することが、本発明の目的である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
I.序
本発明の好ましい実施形態を、これから、図面を参照して説明することとする。種々の図面における同一の要素は、同じ参照番号で識別される。本発明の各実施形態について、これから、詳細に言及することとする。こうした実施形態は、それに限定されることは意図されない本発明の説明の目的で提供される。実際、当業者は、本明細書を読む及び本図面を見る際に、これに様々な改変及び変形が施され得ることを理解するであろう。
【0023】
本明細書で提供されるのは、乾燥重量で少なくとも5%のタンパク質と5%の繊維とを含む、細菌と真菌の共培養物(「微生物の共培養物」とも称される)を含む食品生成物、並びにこうした食品生成物を製造するための方法及びシステムである。
【0024】
II.細菌と真菌の共培養物を含む食品生成物を製造する方法
微生物の共培養物を、発酵培養物上に浮遊する菌膜として形成させる。微生物の共培養物を含む菌膜を製造する方法は、種菌と培養培地(又は種菌液)とを発酵容器中で組み合わせて、発酵培養物を生成することから始めることができる。この発酵培養物を、菌膜を生成するのに十分な時間、発酵させる。菌膜が生成された後、その菌膜を、典型的にはさらなる加工のために、回収する。
【0025】
A.発酵培養物
発酵培養物は、種菌と培養培地を含むことができる。高タンパク質生成物は、強力な発酵体ではない1種以上の真菌(例えば、酵母)を培養物中に含めること、及び/又は少なくとも5グラム/リットル、例えば、少なくとも7.5グラム/リットル、少なくとも10グラム/リットル、又は少なくとも15グラム/リットルの量の有機窒素源を培養培地に添加することによって生成することができる。
【0026】
高タンパク質生成物は、回分式反応器又は半回分式反応器中で、1種以上の真菌を培養物中に含めることによって生成することができる。種菌中の1種以上の真菌は、反応器の体積の約0.1%、0.5%、1%、2%、4%、6%、8%、10%、15%、20%、25%以上、又はそれ以上である体積を有することができる。
【0027】
種菌は、種菌の指数増殖期の間に、反応器に添加することができる。指数増殖期は、種菌の光学密度(OD)によって見つけることができる。指数増殖期のODは、培養株特異的であり得、また、真菌又は細菌培養株によって異なり得る。種菌のODを検出するために使用される波長は、約400ナノメートル(nm)、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm以上、又はそれ以上であり得る。種菌は、ODが、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.5以上、又はそれ以上である場合に、反応器に添加することができる。
【0028】
発酵培養物は、トウモロコシの茎、サイレージ、又は牧草作物の茎(トウモロコシ、モロコシ、ライムギ、コムギ、又はエンバクが含まれる)などの農業基材(agricultural substrate)を含まない、又は多くともごく少量、又は痕跡量を含有することができ、その結果、真菌の大部分、75%、90%、又は95%は、農業基材上では成長しない。
【0029】
1.培養培地
培養培地は、水、炭素源、窒素源(有機又は無機)、及び栄養を含むことができる。炭素源は、例えば、10グラム/リットル、20グラム/リットル、30グラム/リットル、40グラム/リットル、50グラム/リットル、60グラム/リットル、70グラム/リットル、80グラム/リットル、90グラム/リットル、又は100グラム/リットルの少なくともいずれかの濃度で存在することができる。窒素源は、例えば、1グラム/リットル、2グラム/リットル、3グラム/リットル、4グラム/リットル、5グラム/リットル、6グラム/リットル、7グラム/リットル、8グラム/リットル、9グラム/リットル、10グラム/リットル、11グラム/リットル、12グラム/リットル、13グラム/リットル、14グラム/リットル、又は15グラム/リットルの少なくともいずれかの濃度で存在することができる。
【0030】
炭素源は、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、ガラクトース、マルトース、トレハロース、アルロース、又はマルトトリオースなどの糖を含むことができる。糖は、精製糖(refined sugar)、精製糖(purified sugar)、又は粗糖(crude sugar)を含むことができる。炭素源は、蜂蜜を含むことができる。炭素源は、グリセロール、エリスリトール、デンプン加水分解物、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、又はキシリトールなどのポリオールを含むことができる。炭素源は、キサンタン、寒天、アルギン酸、又はコンニャクグルコマンナンを含むことができる。炭素源は、エタノール又はメタノールなどのアルコールであり得る。
【0031】
有機窒素源は、アミノ酸、又はヌクレオチド、又はこれらを含む化合物、例えばポリマー、例えばペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、及び核酸を含むことができる。さらに、有機窒素源は、酵母エキス、ペプトン、加水分解トウモロコシタンパク質、加水分解ダイズタンパク質、加水分解エンドウマメタンパク質のいずれか1つ以上を含むことができる。有機窒素源として、コーンスティープリカーなどの、豊富な量の窒素を含有するある種の農業副産物を使用することができる。
【0032】
無機窒素源は、硝酸塩、亜硝酸塩、アンモニア塩、尿素化合物、窒素ガス、及び水酸化アンモニウムのいずれか1つ以上を含むことができる。窒素源は、硝酸塩、アンモニア塩、尿素化合物、窒素ガス、及び水酸化アンモニウムのいずれか1つ以上を含むことができる。
【0033】
栄養は、ビオチン、硫酸マグネシウム七水和物、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸鉄アンモニウム、硫酸銅、硫酸マンガン、ビオチン、リン酸水素カリウム、リン酸二ナトリウム、硝酸アンモニウム、酢酸、及び酢酸ナトリウムのいずれか1つ以上を含むことができる。カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、及びマンガンの塩も、栄養として使用することができる。
【0034】
培養培地は、例えば、Yamanaka培地又はHestrin-Schramm培地又はその改変型を含むことができる。例えば、培養培地は、25g/Lグルコース、2.5g/L硫酸アンモニウム、2.5g/L酵母エキス及び/又はペプトン、1.5g/Lリン酸水素カリウム、0.025g/L硫酸マグネシウム七水和物を含むことができる。培養培地のpHは、例えば、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸、又は塩酸を使用して、3.5~7.0に調節することができる。ある種の実施形態では、動物ペプトンを、植物由来のダイズ又はエンドウマメ由来のペプトンと置き換えることができる。
【0035】
2.種菌
微生物の共培養物を製造するために使用される種菌は、1種以上の真菌と1種以上の細菌を含む。真菌は、タンパク質を多く含む最終生成物を生成するように選択され、また、タンパク質を多く含む最終生成物を生成することとなる量で存在する。(例えば、細胞外マトリックスの一部として)セルロースを生成することができる細菌は、最終生成物に繊維を与える。
【0036】
a)真菌
真菌は、その高速の細胞複製、積極的な消化、コロニー形成のタイミング、適応性、高タンパク質生成、及び増殖の容易さにより、スケール変更された食品生成に十分に適合される。多くの種類の真菌が、ヒトの食事において、既に安全と認められている。したがって、一態様では、本明細書で提供されるのは、真菌を含有する古典的な発酵食品よりも、タンパク質及び真菌細胞を有意に多く含むことができる、真菌を含有する食品生成物である。
【0037】
発酵プロセスにおいて、あらゆる真菌又は真菌の組み合わせを使用することができる。種々の実施形態において、種菌中で使用される異なる真菌の数は、1、2、3、4、5、又は5超であり得る。例示的な真菌は、典型的には、子嚢菌門(Ascomycota)(例えば、コウジカビ属(Aspergillus)、酵母、フザリウム属(Fusarium)、アオカビ属(Penicillium))に属する。
【0038】
例示的な真菌には、ツボカビ門(Chytridiomycota)、接合菌門(Zygomycota)(例えばリゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus))、担子菌門(Basidiomycota)、不完全菌門(Deuteromycota)、又はグロムス門(Glomeromycota)に属するものが含まれる。
【0039】
いくつかの実施形態では、真菌は、コウジカビ属(Aspergillus)(例えば、コウジカビ(Aspergillus oryzae))、フザリウム属(Fusarium)(例えば、フザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum))、紅茶キノコ(tea fungus)(例えば、メデュソマイセス・ギセビ・リンダウ(Medusomyces gisevii Lindau))、ゲオトリクム属(Geotrichum)(例えば、ゲオトリクム・キャンディダム(Geotrichum candidum))、アオカビ属(Penicillium)(例えば、ペニシリウム・カマンベルティ(Penicillium camemberti)、又はペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium-roqueforti))、アカパンカビ属(Neurospora)(例えば、アカパンカビ(Neurospora crassa))、ペシロマイセス属(Paecilomyces)(例えば、ペシロマイセス・バリオッティ(Paecilomyces variotii))、又はクモノスカビ属(Rhizopus)(例えば、リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus))のいずれかであり得る。真菌は、糸状菌であり得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、真菌は、酵母である。例示的な酵母には、カンジダ属(Candida)(例えば、カンジダ・ウチリス(Candida utilis))、ロドトルラ属(Rhodotorula)(例えば、ロドトルラ・ムシラギノーサ(Rhodotorula mucilaginosa))、シベルリンドネラ属(Cyberlindnera)(例えばトルラ酵母(Cyberlindnera jadinii))、ピキア属(Pichia)(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris))、及びサッカロミセス属(Saccharomyces)(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces-cerevisiae)が含まれる。
【0041】
例示的な真菌(例えば、酵母)には、酸性pH環境(すなわち、7未満のpH)で増殖し、低凝集速度を有し、及び細菌によって形成される細胞外マトリックス内で成長することができるものが含まれる。例えば、これらの真菌は、発酵プロセスにおいて、遅くに、例えば15日後に、凝集する。
【0042】
いくつかの実施形態では、真菌(例えば、酵母)は、強力な発酵体ではない(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)ではない)。強力な発酵体ではない真菌は、エオシンメチレンブルー(EMB)寒天上で成長させた場合に暗色(黒色又は紫色)又は緑色に見えない。
【0043】
ある種の実施形態では、種菌中の真菌の濃度は、少なくとも1%の湿潤重量、少なくとも2%の湿潤重量、少なくとも3%の湿潤重量、少なくとも4%の湿潤重量、少なくとも5%の湿潤重量、又はそれ以上であり得る。
【0044】
b)細菌
発酵プロセスにおいて、あらゆる細菌又は細菌の組み合わせを使用することができる。種々の実施形態において、種菌中で使用される異なる細菌の数は、1、2、3、4、5、又は5超であり得る。
【0045】
好ましい実施形態では、細菌は、セルロース生成細菌である。
【0046】
例示的な細菌としては、例えば、アセトバクター属(Acetobacter)、バチルス属(Bacillus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ブラキバクテリウム属(Brachybacterium)、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)、カルノバクテリウム属(Carnobacterium)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、腸球菌属(Enterococcus)、グルコノバクター属(Gluconobacter)、グルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、ハロモナス属(Halomonas)、コマガタエイバクター属(Komagataeibacter)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、マクロコッカス属(Macrococcus)、ミクロバクテリウム属(Microbacterium)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、オエノコッカス属(Oenocuccus)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、プロテウス属(Proteus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、サイクロバクター属(Psychrobacter)、連鎖球菌属(Streptococcus)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、テトラジェノコッカス属(Tetragenococcus)、ワイセラ属(Weissella)、及びザイモモナス属(Zymomonas)の種が挙げられる。
【0047】
ある種の実施形態では、種菌は、グルコンアセトバクター・キシリナス(Gluconacetobacter xylinus)及び/又はコマガタエイバクター・レティクス(Komagataeibacter rhaeticus)と;カンジダ・ウチリス(Candida utilis)、コウジカビ(Aspergillus oryzae)、トルラ酵母(Cyberlindnera jadinii)、フザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)、及びリゾプス・アルヒズス(Rhizopus arrhizus)の1つ以上から選択される真菌とを含む。微生物は、高い成長速度について選択することも遺伝子操作することもできる。微生物の選択又は遺伝子操作には、定向進化、遺伝子工学、又は代謝工学が含まれ得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、培養物は、乳酸菌を含まないか、又は、全細菌に対して重量で5%未満、2%未満、又は1%未満の乳酸菌を含有する。乳酸菌は、ラクトバチルス目(order Lactobacilliales)の細菌を含む。これには、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、及び連鎖球菌属(Streptococcus)、アエロコッカス属(Aerococcus)、カルノバクテリウム属(Carnobacterium)、腸球菌属(Enterococcus)、オエノコッカス属(Oenococcus)、スポロラクトバチルス属(Sporolactobacillus)、テトラジェノコッカス属(Tetragenococcus)、バゴコッカス(Vagococcus)、及びワイセラ属(Weissella)が含まれる。
【0049】
ある種の実施形態では、種菌中の細菌の濃度は、少なくとも1%の湿潤重量、少なくとも2%の湿潤重量、少なくとも3%の湿潤重量、少なくとも4%の湿潤重量、少なくとも5%の湿潤重量、又はそれ以上であり得る。
【0050】
B.発酵培養物容器
発酵培養物は、発酵容器中で発酵させる。菌膜を生成するために使用される発酵容器は、所望される大きさ又は形状の複数の断片に成形することができる菌膜を生成するように構成された寸法を有することができる。例えば、こうした菌膜は、板状物の形をなすことができ、これを、発酵容器の表面から回収することができる。したがって、発酵容器は、約10cm~5000cmの表面積を有することができる。例えば、発酵容器は、約100cm~約1000cm;又は約200cm~約600cm;又は約400cmの表面積を有することができる。例えば、発酵容器は、約25cm、50cm、100cm、400cm、900cm、及び5000cmの少なくともいずれかの表面積を有することができる。
【0051】
適切な厚さの菌膜を生成するように、発酵容器中の発酵培養物の表面積:体積比も制御することができる。例えば、表面積:体積比は、1:6超であり得る。例えば、これは、約1:4(例えば、約400cmの表面積と約1600cmの体積)~約1:6(例えば、約400cmの表面積と約2400cmの体積)、例えば、約1:3(例えば、約400cmの表面積と約1200cmの体積)であり得る。さらなる実施形態では、表面:体積比は、約1:3(例えば、約200cmの表面積と約600cmの体積);1:4(例えば、約200cmの表面積と約800cmの体積);1:5(例えば、約200cmの表面積と約1,000cmの体積)、又は1:6(例えば、約200cmの表面積と約1,200cmの体積)であり得る。
【0052】
C.発酵
図3を参照すると、炭素源、窒素源、水、及び栄養を含む発酵培養培地を、例えば煮沸すること又はオートクレーブ処理することによって、滅菌することができる。培養培地は、例えば27℃に冷却することができる。冷却することは、冷却水及び/又は冷媒を用いて実施することができる。培地は、空気、又は他の気体混合物(すなわち、酸素を含有するもの)で通気することができる。培養培地に種菌を添加し、得られた発酵培養物を、所望される厚さの菌膜を形成させるのに十分な時間、発酵させる。菌膜形成後、使用済み培養培地から菌膜を取り出す。菌膜を洗浄し、下流の加工を待つ間、保管することができる。
【0053】
発酵培養条件は、共培養物からの菌膜の生成に影響を及ぼす。培養条件の変数には、例えば、温度、pH、湿度、通気、及び時間が含まれる。
【0054】
1.pH
発酵培養物は、開始時におよそpH4.5を有することができ、これを、pH4.0~pH5.0、例えば、およそ4.5にとどまるように緩衝することができる。前述の範囲の範囲外でのpH値での発酵は、共培養における微生物の、より低い成長速度をもたらす。
【0055】
2.温度
発酵培養物の温度は、約4℃~約50℃、例えば、約25℃~約30℃に維持することができる。共培養における微生物の最大成長速度は、約30℃の温度で得られる。温度は、培養物が維持されている部屋又はハウジングユニットの周囲温度を制御することによって、制御することができる。
【0056】
3.湿度
培養物が含有される環境の湿度は、最終生成物の湿り気に寄与する。相対湿度は、約20%及び90%RHに維持することができる。好ましい相対湿度は、約40%~60%RH、又は約50%である。さらなる実施形態では、培養環境の相対湿度は、約90%である。
【0057】
4.通気
適切な通気は、真菌の成長に寄与する。培養物に通気する方法には、以下が含まれる。第1に、培養容器を、開放に維持するか、又は、チーズクロス若しくは別の多孔性材料などの、空気の流動を可能にする材料で覆うことができる。第2に、空気ポンプ、例えばエアストーン又はエアレーションワンド(aeration wand)を、発酵容器に入れて、培養物に空気を提供することができる。少なくとも約8mg/Lという最初の溶存酸素濃度は、プラスの影響を与える。溶存酸素は、約6ppm~10ppmであり得る。最適な酸素濃度は、発酵培養物の真菌及び細菌の構成物に依存することとなる。通気速度の増大は、低い切断抵抗を有する菌膜生成物に寄与することができる。
【0058】
5.時間
本明細書に記載される方法に従って確立されたら、培養物を、約4~30日又はそれ以上、例えば、5日~25日間、発酵させて、菌膜を生成することができる。例えば、培養物を、5日、10日、15日、20日、又は25日の少なくともいずれかの間、発酵させることができる。いくつかの実施形態では、培養物を、4日~14日間、又は5mm~20mmの厚さを有する菌膜が生成されるまで発酵させる。ある種の実施形態では、発酵混合物は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60日のいずれかの間、発酵される。
【0059】
D.菌膜形成、回収、及び加工
培養培地における細菌と真菌の共培養は、「微生物の共培養物」、又は真菌が酵母である場合には「細菌と酵母の共生的共培養物」(頭字語により「SCOBY」とも称される)と称される、固体生成物を生成する。この固体生成物は、発酵培養物の上部に菌膜として形成される。本明細書に記載される方法によって生成される菌膜は、細菌セルロースと、場合によってはタンパク質などの他の細菌生成物とを含む、スキャフォールド(例えば、細胞外マトリックス)を特徴とする。菌膜は、典型的にはスキャフォールドに埋め込まれた、細菌及び真菌細胞をさらに含む。セルロースは、ナノセルロースミクロフィブリルの形を取ることができる。細菌と真菌の共培養の発酵の生成物は、細菌と真菌の培養物を収容するバイオフィルム又はマットと考えることができる。
【0060】
培養物は、約1mm、2mm、5mm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、又は10cmの少なくともいずれかの厚さを有する菌膜を生成するように構成することができる。ある種の実施形態では、菌膜は、 約1mm~7.5mm、10mm~25mm、又は2mm~50mmの厚さを有する。
【0061】
本明細書の方法によって生成される菌膜は、約5kg力未満、例えば、3kg力未満の切断抵抗を有する。この切断抵抗は、例えばSCOBYによって生成される他の生成物の切断抵抗よりも小さく、より柔らかい生成物をもたらすことができる。培養物に通気を与えることは、最終生成物におけるより低い切断抵抗に寄与する。
【0062】
結晶化度は、X線結晶学、13C NMR、フーリエ変換赤外分光法、及び他の方法によって測定される、規則正しい及び無定形のセルロースの相対的存在度によって特徴付けられるセルロースの特性である。結晶化度は、割合として与えられる。これは、結晶のピーク面積を非結晶のピーク面積で割ることによって算出することができる。これはまた、結晶化度指数とも称される。本明細書に記載される組成物のある種の実施形態では、菌膜中のセルロースの結晶化度は、70%未満である。例えば、菌膜セルロースの結晶化度は、約50%~約70%、又は約55%~約65%、又は約60%~約65%であり得る。さらなる実施形態では、菌膜セルロースの結晶化度は、約45%、又は約50%、又は約55%、又は約60%、約65%、又は約68%である。
【0063】
ある種の実施形態では、生成物は、生きている細菌及び真菌を含む。他の実施形態では、生成物は、殺された細菌及び真菌を含む。菌膜中の細胞は、様々な方法によって殺すことができる。これらの方法には、限定はされないが、煮沸すること、高圧低温殺菌、及びUV照射への曝露が含まれる。
【0064】
菌膜を、発酵容器から取り出し、例えば水で洗浄することによって、きれいにすることができる。
【0065】
1.生成物の栄養
本開示の微生物食品生成物の共培養物は、乾燥重量で少なくとも5%のタンパク質の、タンパク質(例えば真菌タンパク質)含有量を有する。例えば、この生成物は、乾燥重量で6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%のタンパク質の少なくともいずれかのタンパク質含有量を有することができる。いくつかの実施形態では、この生成物は、乾燥重量で少なくとも10%のタンパク質を有する。
【0066】
本開示の微生物食品生成物の共培養物は、乾燥重量で少なくとも5%の繊維、例えばセルロースの繊維含有量を有することができる。例えば、この生成物は、乾燥重量で5%、10%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%の繊維の少なくともいずれかの繊維、例えばセルロース含有量を有することができる。いくつかの実施形態では、繊維含有量は、約5%~約60%、約10%~約50%、約15%~約40%、約20%~約40%、又は約30%~約40%である。
【0067】
ある種の実施形態では、本明細書に記載される食品生成物は、繊維を天然に多く含む。食品生成物の繊維含有量は、AOAC法991.43を使用して決定することができる。(例えば、acnfp.food.gov.uk/sites/default/files/mnt/drupal_data/sources/files/multimedia/pdfs/annexg.pdfを参照のこと。)
【0068】
したがって、本開示のある種の生成物は、高タンパク質及び高繊維のFDA定義を満たす。FDA 21 C.F.R.§101.54に従うと、生成物は、その含有量が、1日当たりの推奨摂取量(Recommended Daily Intake)(「RDI」)/基準通常摂取量(reference amount customarily consumed)(RACC)の20%以上であるならば、高栄養含有量を有する。タンパク質のRDIは、成人及び4歳以上の子供について、50gである。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される食品生成物は、魚介類などの主菜(entree)について、10g~15gのタンパク質/RACC(85g)を含有する。これは、RDIの約20~50%、すなわち、少なくとも「高タンパク質」と認定される量である。いくつかの実施形態では、この生成物は、魚介類などの主菜について、10g、11g、12g、13g、14g、15g、16g、17g、18g、19g、又は20gの少なくともいずれかのタンパク質/RACCを有する。
【0070】
食物繊維についてのRDIは、28gである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される食品生成物は、魚介類などの主菜について、最大10g~14gの食物繊維/RACC(85g)を含有することができる。これは、RDIの約35%~50%である。すなわち、「高繊維」と認定される量を超える量である。いくつかの実施形態では、この生成物は、魚介類などの主菜について、10g、11g、12g、13g、14g、15g、16g、17g、18g、19g、又は20gの少なくともいずれかの繊維/RACCを有する。
【0071】
いくつかの実施形態では、生成物中のタンパク質は、単細胞タンパク質を含む。生成物中の単細胞タンパク質は、実質的に又はもっぱら酵母及び/又は真菌から得ることができる。このタンパク質は、完全タンパク質であり得、これは、0.8、0.85、0.9、0.95、又は1.0の少なくともいずれかに等しい、例えば、少なくとも0.9、例えば、1.0に等しいタンパク質消化性アミノ酸スコア(PDCAAS)を有することを意味する。
【0072】
2.生成物を成形すること
適切な幅、長さ、及び厚さの板状物の形の菌膜を、食品生成物として魅力的である形状に形成することができる。典型的には、単一の菌膜を、所望される形状を有する複数の断片に切断することができる。形状には、例えば、円盤、丸太、帯、メダル、三日月、扇、四角、三角、環、板状物などが含まれる。菌膜は、食品生成物、例えば、海産食品生成物又は家禽(例えば、ニワトリ)生成物として成形することもできる。海産食品生成物の形状には、例えば、寿司、刺身、エビ、カニ、ロブスター、イカ(squid)/調理イカ(calamari)が含まれる。形状には、特定の食品生成物と関連する質感が含まれ得る。菌膜は、例えばチキンナゲット、ベーコン片、バーガー、又はソーセージとして成形することもできる。
【0073】
形状に形成することは、菌膜を切断すること又は彫刻することによって達成することができる。切断することは、切断用具、例えば、ナイフ、ワイヤー、クッキーカッター、抜き型を用いて行うことができる。菌膜は、抜き型を用いて断片に型抜きすることができる。別の実施形態では、菌膜は、その形成中に、型によって成形することができる。例えば、それを切り抜く形状を有する覆いを、菌膜が形成している培養培地の表面にかぶせることができる。菌膜は、表面が酸素にさらされている場所で成長する、例えば、切り抜かれた形状によって形成される孔を通して、孔の形状を取ることとなる。したがって、例えば、型は、複数の同じ又は異なる形状を含むことができる。したがって、成形された生成物は、切断又は成型のプロセスによって生成された生成物であり得る。
【0074】
図4の4A~4Nは、菌膜から製造される食品生成物についての例示的な形状を示す。これらには、エビ(4A)、ホタテ貝柱(4B)、サーモンステーキ(4C)、調理イカリング(4D)、ロブスターはさみ(4E)、カニ爪(4F)、調理イカ胴(4G)、寿司形状(4H、4I、4J)、ナゲット(4K)、パティ(4L)、スティック(例えば、フィッシュスティック)(4M)、及びベーコン(4N)が含まれる。
【0075】
3.包装すること
本明細書に記載される通りの食品生成物断片は、発送及び輸送のために構成された容器、例えば、封筒、袋、箱、又は発送用チューブに包装することができる。包装することには、プラスチックでの生成物の真空密封が含まれ得る。包装物は、後の摂取のために、冷蔵又は冷凍することができる。
【0076】
III.システム
図1は、本明細書に開示される少なくともいくつかの実施形態による、微生物の共培養物の成長及び生成を最適化するように構成されたシステムを表す。図1のシステムは、積み重ねられたトレーを使用する垂直ガーデンと同様の方式で構成することができる。本明細書に記載される通り、「垂直ガーデン」は、縦に吊り下げられたパネルで、栄養豊富な供給原料で満たされた例えば1インチ~50インチの深さの積み重ねられたトレー中で植物/真菌を成長させるために使用されるシステムである。垂直ガーデンは、自立している又は壁に付着させることができる。しかし、垂直ガーデン技術とは異なり、図1のシステムは、本明細書で論じられることとなる液体供給原料を含む。
【0077】
図1に示す通り、このシステムは、積み重ねられたトレー104を含むハウジングユニット102を含む。図1には、4つの積み重ねられたトレーが表されている。しかし、積み重ねられたトレーの量は、いずれかの特定の量に限定されず、4つのトレーは、例示目的でのみ表されていることが理解されよう。ハウジングユニット102は、およそ40°F~およそ122°Fの温度を維持するように構成され、及び、真菌の成長を促進するために、およそ20%~90%RHの相対湿度を維持するように構成される。いくつかの例では、好ましい相対湿度は、90%RHである。積み重ねられたトレー104のそれぞれは、数インチの深さであり得る。いくつかの例では、積み重ねられたトレー104のそれぞれは、最大で12インチの深さである。しかし、この深さは変動し得る。
【0078】
図1に示す通り、積み重ねられたトレー104は、縦に積み重ねることができる。さらに、積み重ねられたトレー104のそれぞれを、蒸発速度を低下させるように、及び酸素を発酵培養物に流動させるように、緩く覆うことができる。さらに、熱及び湿度が、積み重ねられたトレー104の間を伝達するように、積み重ねられたトレー104の各トレーの間に間隙が存在する。いくつかの例では、この間隙は、最大3インチである。しかし、間隙の寸法は、変動し得る。
【0079】
積み重ねられたトレー104のそれぞれは、共培養のための発酵容器として働くことができる。例えば、積み重ねられたトレー104のそれぞれは、種菌を播種された種菌液を含むことができる。一例では、種菌液は、供給原料を含む調製されたブロスである。一例では、供給原料は、糖及び/又は窒素源及び/又は追加の栄養を含む。
【0080】
いくつかの例では、供給原料は、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、マルトース、ガラクトース、トレハロース、アルロース、蜂蜜、糖蜜、及び/又はマルトトリオースを含む。他の例では、培養培地は、浸出液、すなわち、草本を液体に入れたもの(例えば、茶を作ること)などの成分を含む組成物を含む。例えば、培養培地は、チャノキ(Camellia sinensis)の浸出液(これにより、紅茶、緑茶、白茶、ウーロン茶、プーアル茶、又は紫茶を得ることができる)を含むことができる。他の例では、供給原料は、マテ茶(yerba mate)を作るために使用されるイレクス・グアユサ(Ilex guayusa)の浸出液を含む。さらなる例では、培養培地は、アラビカコーヒーノキ(Coffea arabica)又はロブスタコーヒーノキ(Coffea robusta)の浸出液を含むことができる。別の例では、培養培地は、藻類又は海藻、例えばケルプの浸出液を含む。ある種の実施形態では、培養物自体が、添加された物質の浸出液となるように、発酵培養物に、茶の葉又は挽いたコーヒー豆などの固体物質を添加することができる。さらなる実施形態では、固体物質の液体浸出液、例えば、液体の茶又はコーヒーが、発酵培養物に添加される。
【0081】
しかし、培養培地又は供給原料が、こうしたものに限定されないことが理解されよう。好気性条件下で、微生物の培養物又は共培養物の存在下で、糖と栄養を発酵させる。いくつかの例では、供給原料に添加される高濃度の液体培養物は、真菌の成長を最適化する。一例では、この高濃度は、真菌の最大成長速度のおよそ50%~99%をもたらす。
【0082】
種菌液が調製されたら、この種菌液を、微生物コンソーシアムを形成するための活性な発酵プロセスのためのベースとして使用することができる。さらに、マイクロバイオームは、深部発酵又は表面発酵により、コンソーシアム材料を培養する溶解された基質にコロニー形成することができる。本明細書に記載される場合、「深部発酵」は、微生物、酵素、及び他の反応性の化合物が、アルコール、油、又は栄養ブロスなどの液体中に浸される、生体分子を製造する方法を指し;一方で、「表面発酵」は、微生物が(例えば、菌膜として)液体の表面上にあるプロセスを指す。さらに、発酵中に、有機酸、菌体外多糖、及び酵素の複合体が生成される。
【0083】
本明細書に記載される場合、生成物は、細菌と真菌の共培養物を含む。生成物の厳密な微生物組成は、発酵のための接種物の起源に依存する。
【0084】
ある種の実施形態では、微生物の共培養物は、真菌メデュソマイセス・ギセビ・リンダウ(Medusomyces gisevii Lindau)を含む。真菌は、本明細書に提供される例に限定されないことが理解されよう。さらに、発酵培養物は、本明細書に明示的に列挙されていない他の成分の中でも特に、酵母、細菌、栄養、プロバイオティクス、微生物、糖(例えば、グルコース)の好気性消化の酢副生成物、窒素、及び/又はプレバイオティクスを含むことができる。いくつかの例によれば、細菌は、アセトバクター属(Acetobacter)又はグルコノバクター属(Gluconobacter)の属を含む。紅茶キノコ中に見られる主な酢酸細菌は、A.キシリナム(A. xylium)、A.パスツリアヌス(A. pasteurianus)、A.アセチ(A. aceti)、又はグルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)を含む。酵母には、サッカロミセス属(Saccharomyces)、サッカロミコーデス(Saccharomycodes)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)、ザイゴサッカロミセス属(Zygosaccharomyces)、ブレタノマイセス属(Brettanomyces)/デッケラ属(Dekkera)、カンジダ属(Candida)、トルラスポラ属(Torulaspora)、クロエケラ属(Koleckera)、ピキア属(Pichia)、マイコトルラ属(Mycotorula)、又はマイコデルマ属(Mycoderma)の種が含まれ得る。さらに、ある種の実施形態では、発酵培養物は、真菌の成長を加速するように構成されたバイオマス材料(例えば、以前の回分から成長させた同じ真菌の部分)を含む。
【0085】
図1のシステムによって生成される材料は、多数の用途に使用することができる。好ましい例では、この材料(例えば、菌膜)は、タンパク質源として、食品の原料などの食品用途に使用されるか、又は、肉、海産食品、及び家禽類似物を含めた植物タンパク質生成物の用途に使用される。
【0086】
図2は、本明細書に開示される少なくともいくつかの実施形態による、システムのブロック図を表す。図2に示す通り、このシステムは、ハウジングユニット内の緩く覆われたトレー(204)を含む、縦に積み重ねられた容器(202)を含む。トレーは、増大された表面積(228)を有する。熱及び湿度が伝達できる(210)ように、トレーの間に空隙208が存在し、これはまた、資源消費を低下させ(212)、エネルギー利用を低下させ(214)、土地の必要性を低下させる(216)。温度及び湿度の維持は、共培養物の成長に寄与する。いくつかの例では、好ましい相対湿度は、およそ20%~90%RHである。いくつかの例では、好ましい相対湿度は、90%RHである。しかし、この例は、例示目的でのみ提供される。ハウジングユニット内の緩く覆われたトレー(204)は、蒸発速度を低下させる(206)、また酸素を液体培養物及び真菌に流動させる(230)のに役立つ。しかし、覆いは、必須ではない。このシステムについての温度要件(218)と、トレーの深さ及び寸法(224)との両方が、共培養における真菌の成長速度(220)、及び発酵のスピード(222)に影響を及ぼす。
【0087】
例示的な実施形態
1.乾燥重量で少なくとも5%のタンパク質と乾燥重量で少なくとも5%の繊維とを含む、細菌と真菌の共培養の固体生成物を含む組成物。
【0088】
2.食品生成物が、セルロースを含むスキャフォールドを含む、実施形態1の組成物。
【0089】
3.殺された細菌及び真菌並びに/又は生きている細菌及び真菌を含む、実施形態1の組成物。
【0090】
4.高タンパク質及び高繊維である、実施形態1の組成物。
【0091】
5.乾燥重量で6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%の少なくともいずれかの真菌タンパク質を含む、実施形態1の組成物。
【0092】
6.タンパク質の大部分が、マイコプロテインである、実施形態1の組成物。
【0093】
7.タンパク質が、0.8、0.85、0.9、0.95、又は1.0の少なくともいずれかに等しい消化性アミノ酸スコア(PDCAAS)を有する、実施形態1の組成物。
【0094】
8.乾燥重量で5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%の少なくともいずれかの細菌繊維を含む、実施形態1の組成物。
【0095】
9.細菌繊維が、細菌セルロースを含む、実施形態8の組成物。
【0096】
10.繊維が、キチンを含む、実施形態1の組成物。
【0097】
11.繊維の少なくとも15%が、真菌繊維を含む、実施形態1の組成物。
【0098】
12.真菌が、酸性pH環境で増殖し、低凝集速度を有する、実施形態1の組成物。
【0099】
13.真菌が、強力な発酵体ではない酵母を含む、実施形態1の組成物。
【0100】
14.真菌が、糸状菌を含む、実施形態1の組成物。
【0101】
15.真菌が、コウジカビ属(Aspergillus)(例えば、コウジカビ(Aspergillus oryzae))、フザリウム属(Fusarium)(例えば、フザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum))、紅茶キノコ(例えば、メデュソマイセス・ギセビ・リンダウ(Medusomyces gisevii Lindau))、ゲオトリクム属(Geotrichum)(例えば、ゲオトリクム・キャンディダム(Geotrichum candidum))、アオカビ属(Penicillium)(例えば、ペニシリウム・カマンベルティ(Penicillium camemberti)、又はペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium-roqueforti))、アカパンカビ属(Neurospora)(例えば、アカパンカビ(Neurospora crassa))、ペシロマイセス属(Paecilomyces)(例えば、ペシロマイセス・バリオッティ(Paecilomyces variotii))、及びクモノスカビ属(Rhizopus)(例えば、リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus))から選択される、実施形態1の組成物。
【0102】
16.真菌が、カンジダ属(Candida)(例えば、カンジダ・ウチリス(Candida utilis))、ロドトルラ属(Rhodotorula)(例えば、ロドトルラ・ムシラギノーサ(Rhodotorula mucilaginosa))、シベルリンドネラ属(Cyberlindnera)(例えばトルラ酵母(Cyberlindnera jadinii))、及びピキア属(Pichia)(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris))から選択される、実施形態1の組成物。
【0103】
17.真菌が、糸状菌を含む、実施形態1の組成物。
【0104】
18.細菌が、グルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)、アセトバクター属(Acetobacter)、コマガタエイバクター属(Komagataeibacter)、及びグルコノバクター属(Gluconobacter)から選択される属から選択される、実施形態1に記載の組成物。
【0105】
19.全細菌細胞及び/又は全真菌細胞を含む、実施形態1の組成物。
【0106】
20.グルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)及びコマガタエイバクター属(Komagataeibacter)から選択される細菌と、カンジダ属(Candida)及びコウジカビ属(Aspergillus)から選択される真菌とを含む、実施形態1の組成物。
【0107】
21.グルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)及びコウジカビ属(Aspergillus)を含む、実施形態1の組成物。
【0108】
22.表1から選択される一対の細菌と真菌とを含む、実施形態1の組成物。
【0109】
23.切断又は成型によって、ある形状に形成される、実施形態1の組成物。
【0110】
24.セルロース(例えば、細菌セルロース)を含むスキャフォールドに埋め込まれた真菌細胞を含み、乾燥重量で少なくとも5%のタンパク質含有量と乾燥重量で少なくとも5%の繊維含有量とを含む、食品組成物又は食品物品。
【0111】
25.スキャフォールドに埋め込まれた細菌細胞をさらに含む、実施形態24の食品組成物又は食品物品。
【0112】
26.乾燥重量で少なくとも5%の真菌タンパク質と乾燥重量で少なくとも5%の繊維とを含み、切断又は成型によって、ある形状に形成される、細菌と真菌の共培養の生成物として形成される菌膜から形成される食品物品。
【0113】
27.セルロースを含むスキャフォールドを含み、スキャフォールドに細菌と真菌が埋め込まれた、実施形態26の物品。
【0114】
28.殺された細菌及び真菌並びに/又は生きている細菌及び真菌を含む、実施形態26の物品。
【0115】
29.帯、環、円板、丸太、三日月、扇、四角、三角、メダル、又は板状物の形状に形成される、実施形態26の物品。
【0116】
30.海産食品生成物の形状に形成される、実施形態26の物品。
【0117】
31.海産食品が、頭足類、甲殻類、又は硬骨魚(例えば、エビ、寿司、刺身、カニ、ロブスター、イカ/調理イカ)から選択される、実施形態30の物品。
【0118】
32.生成物が、パティ(例えば、バーガー)、又はナゲット(例えば、チキンナゲット)の形状である、実施形態26の物品。
【0119】
33.生成物が、四角形の形状と少なくとも150cmの表面積とを有する断片として構成される、実施形態26の物品。
【0120】
34.1000cm、729cm、512cm、343cm、216cm、125cm、64cm、27cm、8cm、又は1cmのいずれかを超えない体積を有する、実施形態26の物品。
【0121】
35.少なくとも1cmの体積を有する、実施形態34の物品。
【0122】
36.生成物が、約3キログラム力未満の切断抵抗、約0.2~約1.5グラム/cmの密度、及び約50重量%~約75重量%の含水量を有する、実施形態26の物品。
【0123】
37.乾燥重量で少なくとも14%の真菌タンパク質と少なくとも14%の細菌セルロースとを含む、実施形態26の物品。
【0124】
38.細菌と真菌の共培養を含む、食品生成物を製造する方法であって:
(a)発酵容器中で、種菌と培養培地とを組み合わせて、培養物を生成することと
(ここで:
(i)種菌は、1種以上の真菌と1種以上のセルロース生成細菌とを含み;
(ii)培養培地は、水、炭素源、窒素源、及び栄養を含み;
(iii)発酵容器は、少なくとも3:1の体積:表面積比を有する);
(b)菌膜を生成するのに十分な時間、培養物をインキュベートすることであって、菌膜は、乾燥重量で少なくとも5%の真菌タンパク質と乾燥重量で少なくとも5%の繊維とを含む、インキュベートすることと
を含む方法。
【0125】
39.(c)菌膜を回収すること
をさらに含む、実施形態38の方法。
【0126】
40.例えば煮沸すること、低温殺菌すること、又は照射することによって、菌膜中の細菌又は真菌を殺すことをさらに含む、実施形態38又は39の方法。
【0127】
41.生成物が、高タンパク質及び高繊維である、実施形態38の方法。
【0128】
42.細菌が、乳酸菌も農業基材も含まない、実施形態38の方法。
【0129】
43.真菌が、少なくとも3%の湿潤重量の量で、種菌中に存在する、実施形態38の方法。
【0130】
44.細菌が、1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%の少なくともいずれかの湿潤重量の量で、種菌中に存在する、実施形態38の方法。
【0131】
45.培養培地が、グルコース、フルクトース、ペプトン(動物又は植物由来)、酵母エキス、リン酸二ナトリウム、硫酸マグネシウム七水和物、及びリン酸水素カリウムの1つ以上を含む、実施形態38の方法。
【0132】
46.炭素源が、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、マルトース、ガラクトース、トレハロース、アルロース、マルトトリオース、蜂蜜、及び糖蜜の1つ以上を含む、実施形態38の方法。
【0133】
47.炭素源が、非糖炭素源を含む、実施形態38の方法。
【0134】
48.炭素源が、エタノール、メタノール、ソルビトール、マンニトール、キサンタン、寒天、アルギン酸、及びコンニャクグルコマンナンの1つ以上を含む、実施形態38の方法。
【0135】
49.窒素源が、少なくとも5g/リットル、少なくとも7.5グラム/リットル、少なくとも10グラム/リットル、又は少なくとも15グラム/リットルの量で存在する、実施形態38の方法。
【0136】
50.窒素源が、有機窒素源であり、有機窒素源が、少なくとも5グラム/リットルの量で存在する、実施形態38の方法。
【0137】
51.有機窒素源が、少なくとも0.5重量%の量で、培養培地中に存在する、実施形態38の方法。
【0138】
52.有機窒素源が、アミノ酸、ポリペプチド、ヌクレオチド、又は核酸を含む、実施形態38の方法。
【0139】
53.有機窒素源が、酵母エキス、ペプトン、又はアミノ酸を含む農業生成物(例えば、加水分解トウモロコシタンパク質、加水分解ダイズタンパク質、加水分解エンドウマメタンパク質、及びコーンスティープリカー)を含む、実施形態51の方法。
【0140】
54.窒素源が、無機窒素源、例えば、硝酸塩、アンモニア塩、尿素化合物、窒素ガス、及び水酸化アンモニウムである、実施形態38の方法。
【0141】
55.発酵培養物が、酵母、細菌、栄養、プロバイオティクス、微生物、糖の好気性消化の酢副生成物、及び窒素、及び/又はプレバイオティクスを含む、実施形態38の方法。
【0142】
56.発酵培養物が、100ml、250ml、500ml、1リットル、2リットル、5リットル、又は10リットルの少なくともいずれかの体積を有する、実施形態38の方法。
【0143】
57.発酵容器が、少なくとも400cmの表面積と少なくとも2cmの深さとを有するトレーを含む、実施形態38の方法。
【0144】
58.発酵容器が、少なくとも400cmの表面積と少なくとも2cmの深さとを有する、例えば、少なくとも600cmの表面積と少なくとも3cmの深さとを有するトレーを含む、実施形態38の方法。
【0145】
59.発酵させることが、発酵培養物に通気することを含む、実施形態38の方法。
【0146】
60.通気が、空気ポンプで空気を提供することによって実施される、実施形態58の方法。
【0147】
61.開放発酵容器中で発酵させることを含む、実施形態38の方法。
【0148】
62.トレーが、多孔性の材料、例えば、チーズクロスで覆われる、実施形態38の方法。
【0149】
63.トレーが、蒸発を低下させるが皆無にしないように、及び酸素を発酵培養物に流動させるように覆われる、実施形態38の方法。
【0150】
64.5日~25日間発酵させることを含む、実施形態38の方法。
【0151】
65.発酵させることが、約40°F~約122°F、例えば、約50°F~約90°F、約60°F~約80°F、約65°F~約75°F、又は約68°Fに温度を維持することを含む、実施形態38の方法。
【0152】
66.発酵培養が、pHおよそ4.5で開始される、実施形態38の方法。
【0153】
67.発酵培養物が、約pH4.0~約pH5.0、例えば、約pH4.5に維持される、実施形態38の方法。
【0154】
68.発酵させることが、20%~90%RH、例えば、40%~60%RH、又は約50%RHに湿度を維持することを含む、実施形態38の方法。
【0155】
69.1つ又は複数の形状を有する1つ又は複数の開口部を含む覆いで発酵容器を覆うことを含み、菌膜は、開口部において形成し、開口部の形状を取る)、実施形態38の方法。
【0156】
70.複数の発酵容器が、互いに積み重ねられている、実施形態69の方法。
【0157】
71.菌膜を回収することが、発酵容器から菌膜を取り出すことと、菌膜を洗浄することとを含む、実施形態38の方法。
【0158】
72.菌膜を、煮沸すること、低温殺菌、高圧力、又は照射にかけることをさらに含む、実施形態71の方法。
【0159】
73.生成物が、5キログラム力未満である切断抵抗を有する、実施形態38の方法。
【0160】
74.食品生成物を製造する方法であって:
(a)細菌と真菌の共培養の生成物である菌膜を提供することと;
(b)菌膜を複数の断片に成形すること
を含む方法。
【0161】
75.(c)生成物を、帯、環、円板、丸太、三日月、扇、四角、三角、メダル、又は板状物から選択される形状を有する複数の断片に切断すること
をさらに含む、実施形態74の方法。
【0162】
76.(c)生成物を、エビ、寿司、刺身、カニ、ロブスター、イカ/調理イカ、パティ、又はナゲットから選択される形状を有する複数の断片に切断すること
をさらに含む、実施形態74の方法。
【0163】
77.菌膜が、少なくとも約1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、又は10cmのいずれかの厚さを有する、実施形態74の方法。
【0164】
78.菌膜が、乾燥重量で少なくとも5%のタンパク質と少なくとも5%の繊維とを含む、実施形態74の方法。
【0165】
79.a)インキュベーター空間を含むインキュベーター;
b)インキュベーター空間中の温度を制御するように構成された温度調節器;
c)インキュベーター空間内の湿度を制御するように構成された加湿器;
d)インキュベーター空間の内部の、培養物を有する少なくとも1つのトレーであって、培養物は、少なくとも3:1の体積:表面積比を有し、培養物は、細菌と真菌の共培養物を含む、トレー
を含むシステム。
【0166】
80.培養物に空気を送達する空気供給源をさらに含む、実施形態79のシステム。
【0167】
81.高タンパク質、高繊維材料を含む生成物を形成する共培養物の成長及び生成を最適化するためのシステムであって、種菌を播種された種菌液を収容する積み重ねられたトレーを含むハウジングユニットを含むシステム。
【0168】
82.種菌液が、供給原料を含む調製されたブロスである、実施形態81のシステム。
【0169】
83.供給原料が、糖及び栄養を含む、実施形態81のシステム。
【0170】
84.糖が、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、ガラクトース、マルトース、トレハロース、アルロース、及びマルトトリオースからなる群から選択される、実施形態83のシステム。
【0171】
85.栄養が、蜂蜜及び糖蜜からなる群から選択される、実施形態83のシステム。
【0172】
86.供給原料が、浸漬されたチャノキ(Camellia sinensis)、浸漬されたイレクス・グアユサ(Ilex guayusa)、浸漬されたアラビカコーヒーノキ(Coffea arabica)、又は浸漬されたロブスタコーヒーノキ(Coffea robusta)を含む、実施形態81のシステム。
【0173】
87.積み重ねられたトレーのそれぞれが、蒸発速度を低下させるように、及び酸素を種菌液及び真菌に流動させるように、緩く覆われる、実施形態81のシステム。
【0174】
88.熱及び湿度が、積み重ねられたトレーの間を伝達するように、積み重ねられたトレーの各トレーの間に間隙が存在する、実施形態81のシステム。
【0175】
89.真菌が、紅茶キノコを含む、実施形態81のシステム。
【0176】
90.紅茶キノコが、メデュソマイセス・ギセビ・リンダウ(Medusomyces gisevii Lindau)を含む、実施形態89のシステム。
【0177】
91.真菌が、食品用途に使用される、実施形態81のシステム。
【0178】
92.真菌が、食品用途に使用され、及び
食品用途が、食料源又はタンパク質源を含む、
実施形態91のシステム。
【0179】
93.食品用途が、代替タンパク質、植物由来の肉製品、植物由来の海産食品生成物、植物由来の家禽製品、乳類似製品、飲料製品、朝食用シリアル製品、穀物製品、ベーキングミックス、スープミックス、脂肪、及び油からなる群から選択される、実施形態92のシステム。
【0180】
94.積み重ねられたトレーが、温度及び湿度の維持を可能にするように縦に積み重ねられる、実施形態81のシステム。
【0181】
95.温度が、およそ40°F~およそ122°Fに維持される、実施形態94のシステム。
【0182】
96.湿度が、20~90%RHに維持される、実施形態94のシステム。
【0183】
97.湿度が、90%RHに維持される、実施形態96のシステム。
【0184】
98.発酵培養物が、真菌、細菌、栄養、プロバイオティクス、微生物、グルコースの好気性消化の酢副生成物、窒素、及び/又はプレバイオティクスを含む、実施形態81のシステム。
【実施例
【0185】
実施例
細菌と真菌の共生的共培養物を含む菌膜を、次の通りに調製する:
【0186】
材料及び方法
すべての材料は、食品グレードであり、これらが使用される濃度において一般に安全と認められている(generally regarded as safe)(「GRAS」)。
【0187】
以下は、1Lの培養培地を作製する方法を説明する:
混合物1
35g グルコース
25g フルクトース
500mLの100mM酢酸緩衝液(蒸留水中)、pH=4.6
【0188】
成分を撹拌して溶解し、121℃で20分間オートクレーブ処理する。
混合物2
2.5~7.5g 酵母エキス、ペプトン、アミノ酸
2mL v/v エタノール(任意)
5g KHPO
2g NHNO
0.2g MgSO 1g CaSO
0.005g ZnSO
0.001g Fe(NH(SO)2 0.00025g CuSO 0.0001g MnSO
0.0025g ビオチン
500mLの100mM酢酸緩衝液(蒸留水中)、pH=4.6
成分を撹拌して溶解し、121℃で20分間オートクレーブ処理する。
【0189】
混合物1と2を合わせて、1Lの培養培地を生成する。
【0190】
発酵培養物
500mLの培養培地を、寸法:40×132×145mmを有するオートクレーブ処理された四角形のポリカーボネートトレーに添加する。トレー中の培地の体積に対する表面積比は、0.25~0.30cm-1である。培養培地は、6~8mg/Lという測定される溶存酸素含有量を有するように通気する。1白金耳量のコマガタエイバクター・キシリヌス(Komagataeibacter xylinus)と1白金耳量のコウジカビ(Aspergillus oryzae)を、フラスコに無菌的に移す。種菌を、トレーに添加する。気体交換を可能にする覆いを、トレーの開口部に覆いかぶせる。
【0191】
内容物を、4~30日間、27.5℃及び60%RHのインキュベーター中で静的に増殖させておく。4日後、およそ1~2mmの厚さを有する半透明の白色の菌膜が、培養培地の表面上に形成され始める。14日後、菌膜は、より不透明及び白色になり、10~20mmの範囲の厚さを有する可能性がある。培養培地の蒸発速度は、1日あたり約2~5mLの水である。菌膜は、典型的には、60%の水、14~20%の繊維、及び14~20%のタンパク質;残りの物質(有機酸、残留する炭水化物、ミネラル、及びビタミン、例えばビタミンB6、B12、葉酸、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、鉄、銅、及び亜鉛を含む)である。
【0192】
所望される時間の後、培養培地から菌膜を取り出し、pHがpH=6~7で安定するまで蒸留水中ですすぎ洗いし、食品生成物へのさらなる加工まで蒸留水中で4℃で保管する。任意選択で、加工の前に、菌膜を、煮沸すること、オートクレーブ処理すること、圧力上昇(例えば、2、3、4、又は5気圧)、及び/又は照射(例えば紫外線照射)にかける。
【0193】
本明細書で使用する場合、他に指定されない限り、以下の意味が適用される。単語「can」及び「may」は、必須の意味(すなわち、「~でなければならない」意味)ではなく、許容的な意味(すなわち、「~の可能性を有する」意味)で使用される。単語「~が含まれる(include)」、「~を含めた(including)」、及び「~が含まれる(includes)」などは、「限定はされないが、~が含まれる」を意味する。単数形「a」、「an」、及び「the」には、複数の指示物が含まれる。したがって、例えば、「要素」への言及には、「1つ以上の」などの1つ以上の要素のための他の用語及び表現の使用に妨げられることなく、2つ以上の要素の組み合わせが含まれる。表現「少なくとも1つの」には、「1つの」、「1つ以上の」、「1つ又は複数」が含まれ、したがって、用語「複数」の使用を企図する。用語「又は」は、他に指示されない限り、非排他的である、すなわち、「及び」と「又は」の両方を包含している。修飾語と数列の間の用語「~のいずれか」は、修飾語が、数列の各メンバーを修飾することを意味する。したがって、例えば、表現「1、2、又は3の少なくともいずれか」は、「少なくとも1、少なくとも2、又は少なくとも3」を意味する。用語「約」は、特定用途の文脈内の、記述された数値からプラス又はマイナス5%である範囲を指す。用語「本質的に~からなる」は、請求項に係る組み合わせの基本特性及び新規特性に実質的に影響を与えない、列挙された要素及び他の要素の包含を指す。
【0194】
説明及び図面は、本発明を、開示された特定の形態に限定することを目的とせず、それどころか、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される通りの本発明の趣旨及び範囲内にあるすべての改変、等価物、及び代替物をカバーするものであることを理解するべきである。この説明を考慮して、本発明の様々な態様のさらなる改変及び代替実施形態は、当業者に明らかであろう。したがって、この説明及び図面は、例示的に過ぎないと解釈されるべきであり、当業者に教示する目的で、本発明を実施する一般的な方式である。本明細書に示され、記載された発明の形態が、実施形態の例みがなされるべきであることが理解されよう。本発明のこの説明の利益を受けた後に、すべてが当業者に明らかであろう通り、要素及び材料は、本明細書に例示され、記載されたものに対して置換することができ、パート及びプロセスは、逆戻り又は省略することができ、本発明のある種の特徴を、独立に利用することができる。以下の特許請求の範囲に記載された通りの本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、本明細書に記載された要素に変更を加えることができる。
【0195】
本明細書で言及したすべての刊行物、特許、及び特許出願を、あたかも、それぞれ個々の刊行物、特許、又は特許出願が、具体的及び個々に参照によって組み込まれることが示されるかのような程度まで、参照によって本明細書に組み込む。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図4M
図4N
【国際調査報告】