(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】血栓除去システムおよび関連の方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
A61B17/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571486
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2022030039
(87)【国際公開番号】W WO2022246071
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512052029
【氏名又は名称】シファメド・ホールディングス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】アル-ジャッダ,アーデル
(72)【発明者】
【氏名】ソール,トム
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】サラヒエ,アムル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE21
4C160MM36
(57)【要約】
本技術は、患者の血管から血栓を除去するためのシステムおよび方法に関連する。いくつかの実施形態では、本技術は、患者の血管内に位置決めされるように構成された遠位側部分と、患者の外部に存在するように構成された近位側部分と、それらの間を延在する管腔と、を有する細長いカテーテルを含むシステムを対象とする。システムは、血栓を少なくとも部分的に断片化するために流体を適用するように構成された、流体管腔に連結された流体送達機構と、断片化された血栓を吸引するように構成された、吸引管腔に流体連結された吸引機構と、をさらに含むことができる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長いカテーテルデバイス、吸引機構及び流体送達機構を備える血栓除去システムであって、
前記細長いカテーテルデバイスは、
患者の血管内に位置決めされるように構成され、吸引管腔を形成する内壁、外壁、および前記内壁と前記外壁との間の空間内に形成される流体管腔、を備える、遠位側部分と、
前記流体管腔の遠位端の近くに形成されるマニホルドであり、前記マニホルドに少なくとも2つの流体口が形成されており、前記少なくとも2つの流体口は、前記少なくとも2つの流体口からのそれぞれの流体流れを誘導するように前記流体管腔に流体連通されるように適合されている、マニホルドと、
前記患者の外部に位置決めされるように構成される近位側部分であり、前記吸引管腔が前記遠位側部分から前記近位側部分まで延在する、近位側部分と、を含み、
前記吸引機構は、前記患者の外部に位置決めされて前記吸引管腔に流体連結されており、前記遠位側部分における圧力を低下させることにより、(a)血栓を前記遠位側部分に係合させる、ならびに/または、(b)前記血栓および/もしくは血栓断片を近位側に引くように構成されており、
前記流体送達機構は、前記流体管腔を通して流体を供給するように構成されている、
血栓除去システム。
【請求項2】
前記内壁および前記外壁が同心状に配置構成され、これにより、前記流体管腔の断面が概ね環状となる、請求項1に記載の血栓除去システム。
【請求項3】
前記内壁と前記外壁との間の前記空間内に配設された少なくとも1つの流体壁をさらに備え、前記少なくとも1つの流体壁が前記流体管腔を形成する、請求項1に記載の血栓除去システム。
【請求項4】
前記マニホルドが前記内壁および前記外壁から形成される、請求項1に記載の血栓除去システム。
【請求項5】
前記少なくとも2つの流体口が前記マニホルドの前記内壁内に形成される、請求項1に記載の血栓除去システム。
【請求項6】
前記内壁が、前記マニホルド内の第1の領域内の第1の厚さと、前記第1の領域の近位側の第2の厚さと、を有する、請求項5に記載の血栓除去システム。
【請求項7】
前記第1の厚さが前記第2の厚さより大きい、請求項6に記載の血栓除去システム。
【請求項8】
前記第1の厚さが前記第2の厚さの約2倍である、請求項7に記載の血栓除去システム。
【請求項9】
前記第1の厚さが0.10mm~0.60mmであり、前記第2の厚さが0.20mm~0.70mmである、請求項6に記載の血栓除去システム。
【請求項10】
前記第1の厚さが、前記それぞれの流体流れのための概ね層状の流れを提供するように選択される、請求項6に記載の血栓除去システム。
【請求項11】
前記2つ以上の流体口の断面寸法がその長さに沿って変化する、請求項1に記載の血栓除去システム。
【請求項12】
前記2つ以上の流体口がそれらの長さに沿って円錐形状である、請求項11に記載の血栓除去システム。
【請求項13】
前記2つ以上の流体口の最小寸法が前記2つ以上の流体口の遠位端のところに位置決めされる、請求項12に記載の血栓除去システム。
【請求項14】
前記それぞれの流体流れが、少なくとも1つの交差領域の近くで交差するように構成される、請求項1に記載の血栓除去システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの交差領域が、前記少なくとも2つの流体口のうちの少なくとも1つの流体口に対して近位側に位置する、請求項14に記載の血栓除去システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの交差領域が、前記少なくとも2つの流体口のうちの少なくとも1つの流体口に対して遠位側に位置する、請求項14に記載の血栓除去システム。
【請求項17】
前記マニホルドが、前記流体管腔内の前記流体の流量を増大させるように構成される、請求項1に記載の血栓除去システム。
【請求項18】
前記マニホルドが、前記流体管腔内の前記流体の圧力を増大させるように構成される、請求項1に記載の血栓除去システム。
【請求項19】
前記遠位側部分の遠位端のところに位置決めされた漏斗部をさらに備え、前記漏斗部が前記血栓に係合するように構成される、請求項1に記載の血栓除去システム。
【請求項20】
前記マニホルドが前記漏斗部の近位側に配設される、請求項19に記載の血栓除去システム。
【請求項21】
前記マニホルドが前記漏斗部に一体化される、請求項19に記載の血栓除去システム。
【請求項22】
患者の血管から血栓を除去するための方法であって、前記方法が、
細長いカテーテルの遠位側部分を血管内の血栓の場所まで導入するステップと、
前記血栓の少なくとも一部を前記遠位側部分へと引き込むステップと、
交差するそれぞれの流体経路に沿う少なくとも2つの異なる点から10~15m/sの間で前記血栓に向けて流体を誘導するステップと、を含む方法。
【請求項23】
前記引き込むステップが、前記細長いカテーテルの吸引管腔を介して加えられる吸引力によるものである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
流体を誘導するステップが、前記それぞれの流体経路のうちの1つの流体経路を近位側に誘導するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
流体を誘導するステップが、前記それぞれの流体経理のうちの1つの流体経路を遠位側に誘導するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
流体を誘導するステップが、第1の流体経路を近位側におよび第2の流体経路を遠位側に誘導するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
流体を誘導するステップが、第1の流体経路を近位側におよび第2の流体経路を吸引流れ軸に対して直角に誘導するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
患者の血管から血栓を除去するための方法であって、前記方法が、細長いカテーテルの遠位側部分を血管内の血栓の場所まで導入するステップと、
前記血栓の少なくとも一部を前記遠位側部分へと引き込むステップと、
流体送達機構から前記細長いカテーテルの流体管腔の中に流体を送達するステップと、
前記流体管腔の遠位端のところに配設された灌注マニホルドを用いて前記流体の流量を増大させるステップと、
前記灌注マニホルド内に配設された開口を用いて少なくとも2つの流体流れを誘導するステップと、
を含む方法。
【請求項29】
前記引き込むステップが、前記細長いカテーテルの吸引管腔を介して加えられる吸引力によるものである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも2つの流体流れが前記開口を用いて近位側に誘導される、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも2つの流体流れが前記開口を用いて遠位側に誘導される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも2つの流体流れが、前記開口を用いて前記細長いカテーテルの長手方向軸に対して直角に誘導される、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも2つの流体流れが交差領域に向かうように誘導される、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも2つの流体流れの前記流量が10~15m/sを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも2つの流体流れの前記流量が12~15m/sを含む、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、本明細書での参照によりその開示が組み込まれている、2021年3月4日に出願した国際出願PCT/US2021/020915、および2021年5月19日に出願した米国特許出願第63/190,784号に関連する。
参照による組み込み
[0002]本明細書で言及されるすべての公表文献および特許出願は、あたかも各々の個別の公表文献または特許出願が参照により組み込まれることを具体的にかつ個別に示されている場合と同じ程度で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0003]本技術は、概して、医療デバイスに関し、より詳細には、吸引・流体送達機構を含むシステム、および、哺乳類血管から血栓を除去するための関連の方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0004]血栓物質は哺乳動物の血管系内の流体流れの閉塞の原因となり得る。このような閉塞は、肺系統の中、末梢血管系の中、深部の血管系(deep vasculature)の中、または脳の中などの、身体の中の多様な領域で起こる可能性がある。肺塞栓症は、通常、身体の別の部分(例えば、骨盤または脚の静脈)に由来する血栓が切り離されて肺まで移動するときに発症する。抗凝固療法は肺塞栓症を治療するための現況の標準的な治療法であるが、一部の患者では効果的とならない可能性がある。加えて、血栓物質を除去するための従来のデバイスは肺の血管構造をナビゲートすることができない可能性、血栓物質を除去することにおいて効果的ではない可能性、および/または、血栓切除手技中に臨床医にセンサデータまたは他のフィードバックを提供する能力を欠く可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0012]細長いカテーテルデバイス、吸引機構及び流体送達機構を備える血栓除去システムが提供される。細長いカテーテルデバイスは、患者の血管内に位置決めされるように構成され、吸引管腔を形成する内壁と、外壁とを備える、遠位側部分と、流体管腔の遠位端の近くに形成されたマニホルドであり、マニホルドに少なくとも2つの流体口が形成されており、少なくとも2つの流体口は、少なくとも2つの流体口からのそれぞれの流体流れを誘導するように流体管腔に流体連通されるように適合されている、マニホルドと、患者の外部に位置決めされるように構成される近位側部分であり、吸引管腔が遠位側部分から近位側部分まで延在する、近位側部分と、を含む。吸引機構は、患者の外部に位置決めされて吸引管腔に流体連結されており、遠位側部分における圧力を低下させることにより、(a)血栓を遠位側部分に係合させる、ならびに/または、(b)血栓および/もしくは血栓断片を近位側に引くように構成されている。流体送達機構は、流体管腔を通して流体を供給するように構成されている。
【0005】
[0013]いくつかの実施形態では、内壁および外壁が同心状(換言すれば、同軸)に配置構成され、これにより、流体管腔の断面が概ね環状となる。
【0006】
[0014]一実施例では、システムが、内壁と外壁との間の空間内に配設された少なくとも1つの流体壁をさらに含み、少なくとも1つの流体壁が流体管腔を形成する。
【0007】
[0015]いくつかの実施例では、灌注マニホルドが、内壁および外壁から形成される。
【0008】
[0016]一実施形態では、少なくとも2つの流体口が、マニホルドの内壁内に形成される。
【0009】
[0017]いくつかの実施形態では、内壁が、マニホルド内の第1の領域内の第1の厚さと、第1の領域の近位側の第2の厚さと、を有する。他の実施例では、第1の厚さが第2の厚さより大きい。一実施形態では、第1の厚さが第2の厚さの約2倍である。いくつかの実装形態では、第1の厚さが0.10mm~0.60mmであり、第2の厚さが0.20mm~0.70mmである。いくつかの実施形態では、第1の厚さが、それぞれの流体流れのための概ね層状の流れを提供するように選択される。
【0010】
[0018]一実施例では、2つ以上の流体口の断面寸法がその長さに沿って変化する。
【0011】
[0019]いくつかの実装形態では、2つ以上の流体口がそれらの長さに沿って円錐形状である。
【0012】
[0020]一実施形態では、2つ以上の流体口の最小寸法が、2つ以上の流体口の遠位端のところに位置決めされる。
【0013】
[0021]いくつかの実施例では、それぞれの流体流れが、少なくとも1つの交差領域の近くで交差するように構成される。
【0014】
[0022]一実施形態では、少なくとも1つの交差領域が、少なくとも2つの流体口のうちの少なくとも1つの流体口に対して近位側に位置する。
【0015】
[0023]他の実施例では、少なくとも1つの交差領域が、少なくとも2つの流体口のうちの少なくとも1つの流体口に対して遠位側に位置する。
【0016】
[0024]いくつかの実施形態では、灌注マニホルドが、流体管腔内の流体の流量を増大させるように構成される。別の実施形態では、灌注マニホルドが、流体管腔内の流体の圧力を増大させるように構成される。
【0017】
[0025]いくつかの実施形態では、システムが、遠位側部分の遠位端のところに位置決めされた漏斗部をさらに有し、漏斗部が血栓に係合されるように構成される。
【0018】
[0026]一実施形態では、灌注マニホルドが、マニホルドの近位側に配設される。他の実施形態では、灌注マニホルドが漏斗部に一体化される。
【0019】
[0027]患者の血管から血栓を除去するための方法が提供され、本方法が、細長いカテーテルの遠位側部分を血管内の血栓の場所まで導入するステップと、血栓の少なくとも一部を遠位側部分へと引き込むステップと、交差するそれぞれの流体経路に沿う少なくとも2つの異なる点から10~15m/sの間で血栓に向けて流体を誘導するステップと、を含む。
【0020】
[0028]いくつかの実施形態では、引き込むステップが、細長いカテーテルの吸引管腔を介して加えられる吸引力によるものである。
【0021】
[0029]別の実施形態では、流体を誘導するステップが、それぞれの流体経路のうちの1つの流体経路を近位側に誘導することをさらに含む。いくつかの実施形態では、流体を誘導するステップが、それぞれの流体経理のうちの1つの流体経路を遠位側に誘導することをさらに含む。他の実施形態では、流体を誘導するステップが、第1の流体経路を近位側におよび第2の流体経路を遠位側に誘導することをさらに含む。別の実施例では、流体を誘導するステップが、第1の流体経路を近位側におよび第2の流体経路を吸引流れ軸に対して直角に誘導することをさらに含む。
【0022】
[0030]患者の血管から血栓を除去するための方法がさらに提供され、本方法が、細長いカテーテルの遠位側部分を血管内の血栓の場所まで導入するステップと、血栓の少なくとも一部を遠位側部分へと引き込むステップと、流体送達機構から細長いカテーテルの流体管腔の中に流体を送達するステップと、流体管腔の遠位端のところに配設された灌注マニホルドを用いて流体の流量を増大させるステップと、灌注マニホルド内に配設された口を用いて少なくとも2つの流体流れを誘導するステップと、を含む。
【0023】
[0031]いくつかの実施形態では、引き込むステップが、細長いカテーテルの吸引管腔を介して加えられる吸引力によるものである。
【0024】
[0032]一実施形態では、少なくとも2つの流体流れが口を用いて近位側に誘導される。他の実施形態では、少なくとも2つの流体流れが口を用いて遠位側に誘導される。いくつかの実施例では、少なくとも2つの流体流れが、口を用いて細長いカテーテルの長手方向軸に対して直角に誘導される。別の実施形態では、少なくとも2つの流体流れが交差領域に向かうように誘導される。
【0025】
[0033]いくつかの実施形態では、少なくとも2つの流体流れの流量が10~15m/sを含む。別の実施形態では、少なくとも2つの流体流れの流量が12~15m/sを含む。
【0026】
[0005]本発明の新規の特徴が特には後続の特許請求の範囲に記載される。本発明の特徴および利点をより良好に理解することが、本発明の原理を利用する例示の実施形態を記載する以下の詳細な説明および添付図面を参照することによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】[0006]本技術の実施形態に従って構成された、細長いカテーテルの遠位側部分を含む血栓除去システムの一部分を示す図である。
【
図1A】本技術の実施形態に従って構成された、細長いカテーテルの遠位側部分を含む血栓除去システムの一部分を示す図である。
【
図1B】本技術の実施形態に従って構成された、細長いカテーテルの遠位側部分を含む血栓除去システムの一部分を示す図である。
【
図1C】本技術の実施形態に従って構成された、細長いカテーテルの遠位側部分を含む血栓除去システムの一部分を示す図である。
【
図1D】本技術の実施形態に従って構成された、細長いカテーテルの遠位側部分を含む血栓除去システムの一部分を示す図である。
【
図1E】本技術の実施形態に従って構成された、細長いカテーテルの遠位側部分を含む血栓除去システムの一部分を示す図である。
【
図2A】[0007]
図2Aは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口および流体流れの構成を示す平面図である。
【
図2B】
図2Bは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口および流体流れの構成を示す平面図である。
【
図2C】
図2Cは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口および流体流れの構成を示す平面図である。
【
図2D】
図2Dは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口および流体流れの構成を示す平面図である。
【
図2E】
図2Eは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口および流体流れの構成を示す平面図である。
【
図3】[0008]
図3Aは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口の構成を示す立面図である。
図3Bは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口の構成を示す立面図である。
図3Cは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口の構成を示す立面図である。
図3Dは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口の構成を示す立面図である。
図3Eは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口の構成を示す立面図である。
図3Fは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口の構成を示す立面図である。
図3Gは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口の構成を示す立面図である。
図3Hは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口の構成を示す立面図である。
【
図4】[0009]
図4Aは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口および流体流れの構成を示す立面図である。
図4Bは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口および流体流れの構成を示す立面図である。
図4Cは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口および流体流れの構成を示す立面図である。
図4Dは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口および流体流れの構成を示す立面図である。
図4Eは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口および流体流れの構成を示す立面図である。
図4Fは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口および流体流れの構成を示す立面図である。
図4Gは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口および流体流れの構成を示す立面図である。
図4Hは、本技術の実施形態による、血栓除去システムの灌注口および流体流れの構成を示す立面図である。
【
図5A】[0010]
図5Aは、本技術の実施形態による血栓除去システムの灌注口の構成を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、本技術の実施形態による血栓除去システムの灌注口の構成を示す図である。
【
図5C】
図5Cは、本技術の実施形態による血栓除去システムの灌注口の構成を示す図である。
【
図5D】
図5Dは、本技術の実施形態による血栓除去システムの灌注口の構成を示す図である。
【
図5E】
図5Eは、本技術の実施形態による血栓除去システムの灌注口の構成を示す図である。
【
図5F】
図5Fは、本技術の実施形態による血栓除去システムの灌注口の構成を示す図である。
【
図5G】
図5Gは、本技術の実施形態による血栓除去システムの灌注口の構成を示す図である。
【
図6】[0011]ジェット流量と1つまたは複数の凝血塊との相互作用との間の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0034]本技術は、概して、血栓除去システムおよび関連の方法を対象とする。本技術の実施形態に従って構成されたシステムは、例えば、患者の血管内に位置決めされるように構成された遠位側部分と、患者の外部に存在するように構成された近位側部分と、加圧流体を用いて血栓を断片化するように構成された流体送達機構と、血栓の断片を吸引するように構成された吸引機構と、近位側部分から遠位側部分まで少なくとも部分的に延在する1つまたは複数の管腔と、を有する細長いカテーテルを含むことができる。
【0029】
[0035]以下で提示される記述で使用される用語は、本技術の特定の具体的な実施形態の詳細な記述と併せて使用される場合であっても、最も広い妥当な態様で解釈されることを意図される。以下では特定の用語が強調される可能性があるが、何らかの限定的な態様で解釈されることを意図される任意の用語は、この発明を実施するための形態のセクションで明白に具体的に定義されることになる。加えて、本技術は、実施例の範囲内にあるが図に関連して詳細には説明されない他の実施形態も含むことができる。
【0030】
[0036]本明細書を通して「一実施形態」または「実施形態」に対する言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または性質が本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれる、ということを意味する。したがって、本明細書の全体を通して種々の場所で「一実施形態では」または「実施形態では」というフレーズが現れることは、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特徴または性質が、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な手法で組み合わされ得る。
【0031】
[0037]本明細書の全体を通して、例えば、「概ね」、「およそ」、および「約」などの相対的な用語の言及は、本明細書では、記載される値のプラスまたはマイナス10%を意味するように使用される。
【0032】
[0038]本明細書のいくつかの実施形態は血栓を除去することに関連して説明されるが、本技術が、脂肪、組織、または異物などの、血管を閉塞する可能性がある他の種類の塞栓を除去するのに使用され得る、および/またはそのために修正され得ることが認識されよう。加えて、本明細書のいくつかの実施形態は肺動脈から血栓を除去する文脈で説明されるが(例えば、肺塞栓摘出術)、本技術は、血管系の他の部分(例えば、神経血管、冠状動脈、または、末梢部分の用途)から血栓および/または塞栓を除去するのにも適用され得る。さらに、いくつかの実施形態が流体を用いて血栓を浸軟させることに関連して考察されるが、本技術は、血栓を細分化して小さい断片または粒子にするための他の技法(例えば、超音波、機械、酵素など)と共に使用されるように適合され得る。
【0033】
[0039]本明細書で提示される見出しは単に便宜のためであり、特許請求される本技術の範囲または意味を説明するものではない。
血栓除去のためのシステム
[0040]上で提示したように、本技術は、概して、血栓除去システムを対象とする。このようなシステムは、患者の血管(例えば、動脈または静脈)内に位置決めされ得る遠位側部分と、患者の身体の外側に位置決めされ得る近位側部分と、加圧流体を用いて血栓を断片化するように構成された流体送達機構と、血栓の断片を吸引するように構成された吸引機構と、近位側部分から遠位側部分まで少なくとも部分的に延在する1つまたは複数の管腔と、を有する細長いカテーテルを含む。いくつかの実施形態では、本明細書のシステムは、患者の血管内の血栓に係合されるように、血栓を細分化して小さい断片にするように、および、断片を患者の身体の外へと吸引するように、構成される。加圧流体流れ(例えば、ジェット)が、血栓の少なくとも一部がシステムの吸引管腔または漏斗部に入る前に、入っているときに、および/または入った後で、血栓を切断するかまたは液浸軟化するように機能する。断片化は吸引管腔が詰まるのを防止するのを支援し、それ以外の場合では吸引され得ないような大きくて固い凝血塊を血栓除去システムにより液浸軟化するのを可能にする。本明細書で使用される場合の「血栓」および「塞栓症」は、種々の点で、ある程度は置換可能に使用される。本記述が「血栓」の除去を参照する可能性があるが、本記述が本明細書で提示されるように血栓断片および他の塞栓の除去も包含するものと理解されるべきであることを認識されたい。
【0034】
[0041]本技術の実施形態によると、流体送達機構が、血栓を液浸軟化すること、切断すること、断片化すること、細かくすること、および/または、血栓除去システムの近位側部分から除去するのを促進すること、のために複数の流体流れ(例えば、ジェット)を血栓除去システムの流体アパーチャに提供することができる。吸引除去システムは、吸引ポンプ(例えば、真空源)に流体連通されるように適合された、血栓除去システムの近位側部分から遠位側部分まで少なくとも部分的に延在する吸引管腔を含むことができる。動作中、吸引ポンプは、血栓除去システムの近位側部分の近くで吸引管腔内により低圧の体積を発生させることができ、それにより遠位側部分からの血栓の吸引を促進する。
【0035】
[0042]
図1が、本技術の実施形態による血栓除去システムの遠位側部分10を示す。
図1は、
図1A、
図1B/1C、および
図1Dにそれぞれに示される断面線A-A、B-B、およびC-Cを含む。
図1Aの断面A-Aが遠位側部分の立断面図を示す。
図1Aの例示の断面A-Aは遠位側部分10の遠位端のところに位置決めされた漏斗部20を描いており、漏斗部は血栓断片化および/または除去を支援するために血栓および/または組織壁(例えば、体内管壁(vessel wall))に係合されるように適合される。
図1Aの例示の断面A-Aは、外壁/外側管40および内壁/内側管50を有する二重壁血栓除去デバイス構成を描く。吸引管腔55が内壁50によって形成され、中央に位置する。概ね環状の体積部が、外壁40と内壁50との間に少なくとも1つの流体管腔45を形成する。流体管腔45は、流体送達機構に流体連通されるように適合される。1つまたは複数のアパーチャ(例えば、ノズル、オリフィス、または開口)30が、流体管腔45および灌注マニホルド25に流体連通されるように血栓除去システム内に位置決めされる。動作中、開口30が、血栓除去システムの遠位側部分10に係合された血栓の方に流体(例えば、加圧流体)を誘導するように適合される。いくつかの実施形態では、マニホルドが漏斗部の近位側に位置決めされ得る。他の実施形態では、マニホルドが漏斗部に一体化され得る。
【0036】
[0043]血栓除去システムは、患者の身体内の種々の場所または体内管(vessel)にある血栓にアクセスして血栓を除去するようにサイズ決めおよび構成され得る。システムの寸法が目標の場所に応じて変化し得るが、一般に、本明細書で説明される同じ特徴および構成要素が用途に関係なく血栓除去システムに実装されることになることを理解されたい。例えば、患者から肺塞栓症(PE:pulmonary embolism)を除去するように構成された血栓除去システムは、約11~13Frの、または好適には12Frのサイズを有する外壁/外側管と、7~9Frの、または好適には8Frのサイズを有する内壁/内側管と、を有することができる。他方で、深部静脈血栓症(DVT:deep vein thrombosis)デバイスは、約9~11Frの、または好適には10Frのサイズを有する外壁/外側管と、6~9Frの、または好適には7.5Frのサイズを有する内壁/内側管と、を有することができる。虚血性脳梗塞および末梢動脈塞栓症の用途のための適用もさらに提供される。
【0037】
[0044]
図1Bの断面B-Bが、漏斗部および灌注マニホルドの近位側にある血栓除去システムの一部分を平面図で示す。断面B-Bは、外壁140と、内壁150と、吸引管腔155と、流体管腔145と、を描く。示されるように、内壁150が吸引管腔を形成し、内壁および外壁は互いに同心である。流体管腔145は、内壁と外壁との間の空間内に形成される。いくつかの実施形態では、断面において、吸引管腔155が略円形であり、流体管腔145が概ね環状形状である(例えば、断面
図70)。内壁150および外壁140の代替の構成および/または配置構成が吸引管腔155および流体管腔145の断面形状における変化形態を作り出すことが認識されよう。例えば、内壁150は、断面において、概して、楕円、円形、長方形、正方形、五角形、または六角形である吸引管腔155を形成するように成形され得る。内壁150および外壁140は、断面において、概して、三日月形状、菱形形状、または不規則形状である流体管腔145を形成するように成形および配置構成され得る。例えば、
図1Cの断面B-Bを参照すると、内壁150と外壁140との間の領域が、それぞれの流体管腔145を形成する(例えば、断面
図80のように)1つまたは複数の壁構造165を含むことができる。壁構造165は、外壁140と内壁150との間での積層により、または複数の壁構造を形成するマルチルーメン押出(multi-lumen extrusion)により、形成され得る。
【0038】
[0045]
図1Dの断面C-Cが、灌注マニホルド225を備える血栓除去システムの一部分を平面図で示す。断面C-Cは、外壁240と、内壁250と、流体管腔245と、吸引管腔255と、それぞれの流体流れ210を誘導するための開口230と、を描く。
【0039】
[0046]
図1Eの詳細
図101が、内壁250内に形成された複数の開口230を含む灌注マニホルド25の一部分を立断面図で示す。示されるように、マニホルドは、内壁および外壁によって形成された流体管腔の遠位端のところにまたはその近くに位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、血栓除去システムの1つまたは複数の壁の厚さが、その軸長および/またはその円周に沿って変化し得る。詳細
図101に示されるように、内壁250が、灌注マニホルド25の近位側の領域250における第1の厚さ265、および開口230を含む領域235における第2の厚さ270を有する。いくつかの実施形態では、第2の厚さ270が第1の厚さ265より大きい。第1の厚さ265は、内壁50および/または外壁40の略壁厚に一致することができ、約0.10mm~約0.60mmとなり得るかまたは上で言及した範囲内の任意の値となり得る。第2の厚さ270は、約0.20mm~約0.70mm、約0.70mm~約0.90mm、または約0.90mm~約1.20mmとなり得る。第2の厚さ270は上で言及した範囲内の任意の値となり得る。第2の厚さ270の寸法は、一般的な運転圧力で流体管腔245を介して流体送達機構が流体を供給する場合に、流体経路を通して誘導される流体流れのための概ね層状の流れを作り出す開口230を通る流体経路を提供するように選定され得る。このような運転圧力は、約68.9kPa(10psi)~約414kPa(60psi)、約414kPa(60psi)~約689kPa(100psi)、または約689kPa(100psi)~約1034kPa(150psi)となり得る。流体送達機構の運転圧力は、上で言及した値の範囲内の任意の値となり得る。いくつかの実施形態では、流体送達機構は、約1034kPa(150psi)~約1724kPa(250psi)、約1724kPa(250psi)~約2413kPa(350psi)、約2413kPa(350psi)~約2930kPa(425psi)、または約2930kPa(425psi)~約3447kPa(500psi)の圧力を有する高圧力モードで運転される。高圧力モードでの流体送達機構の運転圧力は上で言及した値の範囲内の任意の値となり得る。
【0040】
[0047]マニホルドは、流体の流体圧力および/または流量を増大させるように構成される。流体が流体送達機構により第1の圧力および/または第1の流量で流体管腔に提供される場合、マニホルドは流体の圧力を第2の圧力まで増大させるように構成され、かつ/または流体の流量を第2の流量まで増大させるように構成される。第2の圧力および/または第2の流量は第1の圧力および/または第1の流量より大きくてよい。結果として、マニホルドは、流体送達機構によって発生する相対的に低い運転圧力および/または小さい流量を、開口/流体流れによって発生する相対的に高い圧力および/または大きい流量まで増大させるように構成され得る。
【0041】
[0048]いくつかの実施形態では、開口230の輪郭(断面寸法)はその長さに沿って変化する(例えば、非円筒形である)。開口の断面寸法の変化は開口230に沿う流体流れの性質を変化させることができ、かつ/または調整することができる。例えば、断面寸法を低減すると、開口230を通る流体の流れを加速することができる(所与の量の流体において)。いくつかの実施形態では、開口230はその長さに沿って円錐形状となり得(例えば、先細となり得)、その結果、その最小寸法が開口230の遠位端のところに位置決めされ、ここでは遠位側は流体流れの方向に対してである。
【0042】
[0049]いくつかの実施形態では、開口230は、選択される経路に沿って流体流れを誘導するように形成される。
図2A~2Eが、それぞれの流体流れ210を誘導するための開口230の配置構成の種々の実施形態を示す。
図2Aおよび
図2Bに示される実施形態などの、いくつかの実施形態では、少なくとも2つの開口230が、血栓除去システムの交差領域237のところで交差する(例えば、それぞれの)流体流れ210を作り出すように配置構成される。交差領域237は流体運動量および/またはエネルギー伝達の増大した領域となり得、この増大は、交差箇所において組み合わされるようには誘導されない個別の流体流れに関してである。交差箇所のところの増大した流体運動量および/またはエネルギー伝達は、有利には、より効率的にかつ/またはより迅速に血栓を断片化することができる。いくつかの実施形態では、交差領域は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の流体流れ210から形成され得る。交差領域は、一般に、血栓除去システムの中心軸290の近くに存在し得えるか(例えば、237)、または中心軸から離れたところに存在し得る(例えば、
図2Dの実施形態では238および239)。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの交差領域(例えば、238および239)が形成される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の開口230は、血栓除去システムの中心軸に対しての傾斜角に沿って流体流れ210を誘導するように配置構成される。流体送達機構の運転圧力は、開口230から送達される流体流れ210のための目標流体速度に接近するように選定され得る。流体流れ210のための目標流体速度は、約5メートル/秒(m/s)、約8m/s、約10m/s、約12m/s、約10~15m/s、または約12~15m/sとなり得る。流体流れ210のための目標流体速度は、上で言及した値の範囲内の任意の値となり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの開口230が、流体送達機構の所与の圧力において、多様な流体速度でそれぞれの流体流れを送達するように適合される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの開口230が、流体送達機構の所与の圧力において、実質的に同じ流体速度でそれぞれの流体流れを送達するように適合される。いくつかの実施形態では、a)開口230から傾斜角で誘導される少なくとも1つの流体流れ210の適用により、および/または、b)多様な流体速度を有する少なくとも2つの流体流れ210の適用により、血栓に対して角運動量が与えられる。有利には、血栓内で作り出される角運動量が、血栓の断片化および除去を支援する力(例えば、遠心力)を与えることができる。有利には、流体管腔145の拡大する断面積が、流体流れの目標流体速度を達成するための流体送達機構の必要な運転圧力を低下させる。
【0043】
[0050]
図3A~3Hを参照すると、開口330が、血栓除去システムの種々の軸方向位置に沿うように配置構成され得る。血栓除去システムは、中で吸引される流体のための流れの大体の方向(換言すれば、主な方向)(例えば、遠位側から近位側)に位置合わせされた流れ軸305を含むことができる。いくつかの実施形態では、開口330の位置が、a)血栓除去システムの漏斗部分320の基部の近く、b)血栓除去システムの漏斗部分320の中間部分の中、c)血栓除去システムの漏斗部分320の遠位側部分の中、またはd)血栓除去システムの漏斗部分320の近位側、を含む。本明細書で示される実施形態は単一の開口330のみを示すが、これらの実施形態のうちの任意の実施形態が、漏斗部の周りに配置構成されるかまたは漏斗部の近位側に配置構成される複数の開口を含むことができることを理解されたい。例えば、
図2A~2Eに示される開口配置構成のうちの任意の開口配置構成が、a)血栓除去システムの漏斗部分320の基部の近くに、b)血栓除去システムの漏斗部分320の中間部分の中に、c)血栓除去システムの漏斗部分320の遠位側部分の中に、またはd)血栓除去システムの漏斗部分320の近位側に、実装され得る。
【0044】
[0051]いくつかの実施形態では、少なくとも2つの開口330は流れ軸305に沿って位置合わせされる(例えば、
図3E)。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの開口330は流れ軸305に沿う異なる軸方向位置に配置構成される(例えば、
図3F、3G、3H)。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの開口330が、流れ軸305の所与の軸方向位置に沿って配置構成される(例えば、血栓除去システムの外周に沿う)。上記と同様に、
図2A~
図2Eに示される開口配置構成のうちの任意の開口配置構成が、
図3F、3G、および3Hの実施形態に示される開口配置構成の中に実装され得る。
【0045】
[0052]
図4A~4Hが、それぞれの開口430から誘導される流体流れ410の種々の構成を描く。流体流れ410は、流れ軸405(流れ軸305と同様である)に対して実質的に直角であり(例えば、
図4A)、その近位側にあり(例えば、
図4C)、および/またはその遠位側にある(
図4B)、経路に沿って誘導され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの流体流れは、流れ軸405に対して異なる方向に誘導される(例えば、
図4E)。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの流体流れは流れ軸405に対して同じ方向に誘導され(例えば、遠位側に)、少なくとも1つの別の流体流れが異なる方向に誘導される(例えば、直角に、または
図4Dに示されるように近位側に)。いくつかの実施形態では、少なくとも第1の流体流れが流れ軸に対して実質的に直角に誘導され、少なくとも第2の流体流れが近位側に誘導され、少なくとも第3の流体流れが流れ軸405に対して遠位側に誘導される。角度αが、流れ軸405に対して直角である軸に対して流体流れ410が誘導されるときの角度を特性化することができる(例えば、
図4Gおよび4Hの断面D-Dに示されるように)。流体流れの交差領域が血栓除去システムの内部部分の中に存在することができ、かつ/または血栓除去システムの外部に存在することができる(例えば、遠位側)。いくつかの実施形態では、開口430により公称(nominal)方向(例えば、遠位側)に誘導される流体流れが、動作中に吸引機構によって発生する(例えば、吸引)圧力により変更経路に沿って偏向される(例えば、近位側)。
【0046】
[0053]
図5A~5Gが多様な出口アパーチャ(換言すれば、開口)の幾何図形的配列を示し、本技術の実施形態に従って開口530がこれらの多様な出口アパーチャを用いて構成され得る。アパーチャの幾何図形的配列は、楕円、円形、クロス形状(「x」形)、「t」形、長方形、または正方形形状を含み得る。開口530から送達される流体流れが実質的な層流を含むことができるか(例えば、アパーチャのところで)、または乱流(例えば、扇形に広がるかまたは外側に向かう)を含むことができる。例えば、
図5Bは「x」形の出口アパーチャ幾何図形的配列を示す。
図5Cは「t」形の出口アパーチャ幾何図形的配列を示す。
図5D~5Gは、楕円形状の出口アパーチャ幾何図形的配列の変形形態を示す。
図5Dに示されるように、流体流れは実質的な層流となり得、
図5Eでは流れは扇形に外側に広がり得る。
【0047】
[0054]
図6を参照すると、ジェットの出口速度または流量(平均)と、血栓除去デバイスに係合された(すなわち、漏斗部の中に係合されるかまたは吸引管腔に係合される)1つまたは複数の血栓との動作機構との間の関係を示すチャートが提供される。一般に、ジェット流量が低下すると(例えば、凝血塊の形成およびジェット構成のような多様なパラメータによっては、10m/s未満)、ジェットが血栓を吸引管腔の中へパージする(換言すれば、一掃するまたは取り除く)のを支援するように機能する(特に、漏斗部が凝血塊によって塞がっているかまたは部分的に塞がっている場合)。このパージは、血栓を吸引管腔の中まで押すかまたは吸引管腔を通過するように押す、さらには、凝血塊の除去を支援するために漏斗部の中へおよび吸引管腔の中へ流体を提供する、機能を含み得る。このパージはさらに、凝血塊の表面上の柔らかく剥がれやすい物質を細分化するのを支援することができるが、より硬い物質を取り除くことは可能とはならない。しかし、ジェット流量が切断閾値602を超え始めると、ジェットが血栓または血栓表面を切断し始めてそれにより血栓を細分化して小さい断片にし、次いで小さい断片が血栓除去デバイスの吸引管腔の中へとより容易に吸引され得る。さらに、十分に高い速度の場合にジェットが凝血塊表面に穴を開けて凝血塊の内側部分まで貫通することになることが分かっている。いくつかの実施形態では、閾値は、10~12m/sの範囲のジェット流量を含む。他の実施形態では、ジェットの理想的な切断流量または穿孔流量は10~15m/sの範囲であるか、または別法として12~15m/sの範囲である。
【0048】
[0055]本技術の実施形態の上記の詳細な説明は、包括的であることまたは上で開示される正確な形態に本技術を限定することを意図されない。本技術の特定の実施形態および本技術のための実施例は説明を目的として上で説明されるが、当業者には認識されるように、本技術の範囲内で種々の等価の修正形態が可能である。例えば、所与の順序でステップが提示されるが、代替的実施形態が異なる順序でステップを実施することができる。本明細書で説明される種々の実施形態はさらに、別の実施形態を提供するために組み合わされ得る。
【0049】
[0056]本技術の特定の実施形態が本明細書では説明を目的として記述されているが、本技術の実施形態の説明を不必要に不明瞭にするのを回避するために、よく知られている構造および機能は詳細には示されたり説明されたりしないことが上記から認識されよう。文脈により可能である場合、単数形の用語または複数形の用語はそれぞれ、複数形の用語または単数形の用語も含むことができる。
【0050】
[0057]文脈により他の意味を明確に必要とされない限り、本記述および実施例の全体を通して、「備える」(comprise)、および「備える」(comprising)などの単語は、排他的または網羅的な意味ではなく包括的な意味で解釈されるべきであり、すなわち、「限定されないが、含む」の意味であると解釈されるものである。本明細書で使用される場合の「接続された」、「連結された」という用語またはこれらの変化形は、2つ以上の要素の間での直接のまたは間接的な任意の接続または連結を意味し、これらの要素の間の接続の連結は、物理的、論理的、またはこれらの組み合わせであってよい。加えて、「本明細書で」、「上記で」、「以下で」という単語および類義語は、本出願で使用される場合、本出願の全体を指すものであり、本出願の任意特定の部分を指すものではない。文脈が許容する場合、単数または複数を使用する上記の詳細な説明での単語は、それぞれ、複数または単数も含むことができる。本明細書で使用される場合の、「Aおよび/またはB」などでの「および/または」というフレーズは、Aのみ、Bのみ、ならびに、AおよびBを意味する。加えて、「備える」(comprising)という用語は、全体を通して、少なくとも記載される特徴を含むことを意味するのに使用され、したがって、より多数の同じ特徴および/または追加の種類の他の特徴も排除されない。さらに、説明を目的として特定の実施形態を本明細書で説明してきたが、本技術から逸脱することなく多様な修正形態が作られ得ることが認識されよう。さらに、本技術のいくつかの実施形態に関連する利点がこれらの実施形態の文脈で説明されるが、他の実施形態もこのような利点を呈することができ、また、すべての実施形態が本技術の範囲内にあるためにこのような利点を必ず呈する必要があるわけではない。したがって、本開示および関連の技術は、本明細書で明確には示されたり説明されたりしない他の実施形態も包含することができる。
【国際調査報告】