(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】フェリチン組成物の忍容性
(51)【国際特許分類】
A23L 33/14 20160101AFI20240514BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240514BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240514BHJP
A61K 36/064 20060101ALI20240514BHJP
A61K 36/06 20060101ALI20240514BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20240514BHJP
A61K 33/26 20060101ALI20240514BHJP
A61K 38/17 20060101ALN20240514BHJP
【FI】
A23L33/14
C12N1/19 ZNA
C12N15/12
A61K36/064
A61K36/06
A61P7/06
A61K33/26
A61K38/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571545
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 US2022030072
(87)【国際公開番号】W WO2022246088
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520480186
【氏名又は名称】シデロ バイオサイエンス,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】SIDERO BIOSCIENCE, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】コナー,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】カイル,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ,ダレン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B018MD81
4B018ME14
4B018MF14
4B065AA79X
4B065AA93Y
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4C084AA02
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4C084MA52
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4C084ZA551
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4C086MA02
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4C086NA05
4C086ZA55
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC11
4C087BC12
4C087CA09
4C087MA52
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA55
4C087ZC75
(57)【要約】
対象にフェリチンを発現する微生物、又は(a)フェリチンを発現する微生物及び(b)元素鉄を含む組成物を投与することを含む方法であって、有害作用なく、(1)鉄欠乏障害と診断されていない対象に投与される組成物中の元素鉄の量が、栄養当局によって推奨される元素鉄の投与量を上回ることができるか、若しくはそれを超える、又は(2)鉄欠乏障害と診断された対象に投与される組成物中の元素鉄の量が、医療専門家によって推奨される元素鉄の投与量を上回ることができるか、若しくはそれを超える、方法。対象にフェリチンを発現する微生物又は宿主から構成される組成物を投与することを含む方法、或いは対象にフェリチンを発現する微生物又は宿主から構成される組成物を投与することを含む、対象の腸内細菌マイクロバイオームの組成を変える方法であって、ただし、組成物中のフェリチンの1日当たりの投与量が200ミリグラム/日未満の場合、組成物は、元素鉄を含まないことを条件とする、方法。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に(a)フェリチンを発現する微生物又は宿主及び(b)元素鉄を含む組成物を投与することを含む方法であって、
有害作用なく、(1)鉄欠乏障害と診断されていない対象に投与される前記組成物中の元素鉄の量が、栄養当局によって推奨される元素鉄の投与量を上回ることができるか、又は(2)鉄欠乏障害と診断された対象に投与される前記組成物中の元素鉄の量が、医療専門家によって推奨される元素鉄の投与量を上回ることができる、方法。
【請求項2】
推奨される元素鉄の前記投与量は、1日当たりの投与量である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
国の栄養当局によって推奨される元素鉄の前記1日当たりの投与量は、成人男性対象に対して8ミリグラムである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
栄養当局によって推奨される元素鉄の前記1日当たりの投与量は、成人女性対象に対して18ミリグラムである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
推奨される元素鉄の前記1日当たりの投与量は、鉄欠乏障害と診断されていない対象に対して45ミリグラム超又は鉄欠乏障害と診断された対象に対して195ミリグラム超である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
元素鉄の前記1日当たりの投与量は、5mg/kg/日から50mg/kg/日である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記元素鉄の少なくとも5パーセントは、前記フェリチンと複合体を形成している、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記元素鉄は、フェリチンを発現する前記微生物又は宿主及び前記元素鉄の乾物に基づいて少なくとも1重量パーセントの量で前記組成物中に存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記投与することは、単回投与を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
投与される前記組成物中のフェリチンの量は、乾燥重量で前記微生物又は宿主のタンパク質含有量の1パーセントから15パーセントを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物中のフェリチンの投与量は、200ミリグラム/日から4000ミリグラム/日である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記微生物又は宿主は、酵母を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記酵母は、サッカロマイセス属の種である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記酵母は、出芽酵母である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
対象に(a)フェリチンを発現する微生物又は宿主及び(b)元素鉄を含む組成物を投与することを含む方法であって、
(1)鉄欠乏障害と診断されていない対象に投与される前記組成物中の元素鉄の量が、栄養当局によって推奨される元素鉄の投与量を超えるか、又は(2)鉄欠乏障害と診断された対象に投与される前記組成物中の元素鉄の量が、医療専門家によって推奨される元素鉄の投与量を超える、方法。
【請求項16】
推奨される元素鉄の前記投与量は、1日当たりの投与量である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
栄養当局によって推奨される元素鉄の前記1日当たりの投与量は、成人男性対象に対して8ミリグラムである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
栄養当局によって推奨される元素鉄の前記1日当たりの投与量は、成人女性対象に対して18ミリグラムである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
推奨される元素鉄の前記1日当たりの投与量は、鉄欠乏障害と診断されていない対象に対して45ミリグラム超又は鉄欠乏障害と診断された対象に対して195ミリグラム超である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
元素鉄の前記1日当たりの投与量は、5mg/kg/日から50mg/kg/日である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記元素鉄の少なくとも5パーセントは、前記フェリチンと複合体を形成している、請求項15~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記元素鉄は、フェリチンを発現する前記微生物又は宿主及び前記元素鉄の乾物に基づいて少なくとも1重量パーセントの量で前記組成物中に存在する、請求項15~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
投与される前記組成物中のフェリチンの量は、乾燥重量で前記微生物又は宿主のタンパク質含有量の1パーセントから15パーセントを含む、請求項15~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物中のフェリチンの投与量は、200ミリグラム/日から4000ミリグラム/日である、請求項15~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記微生物又は宿主は、酵母を含む、請求項15~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記酵母は、サッカロマイセス属の種である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記酵母は、出芽酵母である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
(a)フェリチンを発現する微生物又は宿主及び(b)元素鉄を含む組成物を準備することと、
投与量に基づく前記組成物の投与に関する説明書を準備することと
を含む方法であって、
(1)鉄欠乏障害と診断されていない対象に対する前記組成物の投与量中の元素鉄の量が、栄養当局によって推奨される元素鉄の投与量を上回るか、又は(2)鉄欠乏障害と診断された対象に対する前記組成物の投与量中の元素鉄の量が、医療専門家によって推奨される元素鉄の投与量を上回る、方法。
【請求項29】
推奨される元素鉄の前記投与量は、1日当たりの投与量である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
栄養当局によって推奨される元素鉄の前記1日当たりの投与量は、成人男性対象に対して8ミリグラムである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
栄養当局によって推奨される元素鉄の前記1日当たりの投与量は、成人女性対象に対して18ミリグラムである、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
推奨される元素鉄の前記1日当たりの投与量は、鉄欠乏障害と診断されていない対象に対して45ミリグラム超又は鉄欠乏障害と診断された対象に対して195ミリグラム超である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
元素鉄の前記1日当たりの投与量は、5mg/kg/日から50mg/kg/日である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記元素鉄の少なくとも5パーセントは、前記フェリチンと複合体を形成している、請求項28~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記元素鉄は、フェリチンを発現する前記微生物又は宿主及び前記元素鉄の乾物に基づいて少なくとも1重量パーセントの量で前記組成物中に存在する、請求項28~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
対象にフェリチンを発現する微生物又は宿主を含む組成物を投与することを含む方法であって、
ただし、前記組成物中のフェリチンの1日当たりの投与量が200ミリグラム/日未満の場合、前記組成物は、元素鉄を含まないことを条件とする、方法。
【請求項37】
前記組成物中のフェリチンの投与量は、200ミリグラム/日から4000ミリグラム/日である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物は、元素鉄を含む、請求項36又は請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物中の元素鉄の投与量は、有害作用なく、医療専門家によって推奨される元素鉄の投与量を上回ることができる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記微生物又は宿主は、酵母を含む、請求項36~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記酵母は、サッカロマイセス属の種である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記酵母は、出芽酵母である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記対象は、鉄過剰障害と診断されている、請求項36又は請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記対象は、鉄過剰障害のリスクがある、請求項36又は請求項37に記載の方法。
【請求項45】
対象の腸内細菌マイクロバイオームの組成を変える方法であって、
前記対象にフェリチンを発現する微生物又は宿主を含む組成物を投与することを含み、
ただし、前記組成物中のフェリチンの1日当たりの投与量が200ミリグラム/日未満の場合、前記組成物は、元素鉄を含まないことを条件とする、方法。
【請求項46】
前記組成物中のフェリチンの投与量は、200ミリグラム/日から4000ミリグラム/日である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記組成物は、元素鉄を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記組成物中の元素鉄の投与量は、有害作用なく、医療専門家によって推奨される元素鉄の投与量を上回ることができる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記微生物又は宿主は、酵母を含む、請求項45~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記酵母は、サッカロマイセス属の種である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記酵母は、出芽酵母である、請求項50に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、元素鉄及び/又はフェリチンの供給源の投与に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄は、生物生理学における主要な役割のいくつかを挙げると酸素輸送、短期間の酸素貯蔵、及びエネルギー発生に重大な役割を有する生物の最も重要な非有機物の1つである。鉄吸収の欠乏又は過剰な鉄喪失は、様々な症状を伴う最適でない血液及び/又は組織鉄レベルをもたらす。鉄欠乏は、世界中で最も一般的で、広範にわたる栄養障害であり、最大で二十億の人々に影響を及ぼしている。
【0003】
現行の鉄補充の選択肢では明らかに不十分であり、元素鉄の十分な摂取を維持したい人並びに体内鉄欠乏の人に新規の方法が切実に必要とされている。経口鉄補充に対する不耐性は一般的で、大部分が問題のある胃腸の(GI)副作用によるものである。さらに、鉄欠乏の多くの(実際には大半の)個体は、経口鉄処置に反応がなく、個体が鉄欠乏のままになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書では、対象に(a)フェリチンを発現する微生物又は宿主及び(b)元素鉄を含む組成物を投与することを含む方法であって、有害作用なく、(1)鉄欠乏障害と診断されていない対象に投与される組成物中の元素鉄の量が、栄養当局によって推奨される元素鉄の投与量を上回ることができるか、又は(2)鉄欠乏障害と診断された対象に投与される組成物中の元素鉄の量が、医療専門家によって推奨される元素鉄の投与量を上回ることができる、方法が開示されている。
【0005】
また、本明細書では、対象に(a)フェリチンを発現する微生物又は宿主及び(b)元素鉄を含む組成物を投与することを含む方法であって、(1)鉄欠乏障害と診断されていない対象に投与される組成物中の元素鉄の量が、栄養当局によって推奨される元素鉄の投与量を超えるか、又は(2)鉄欠乏障害と診断された対象に投与される組成物中の元素鉄の量が、医療専門家によって推奨される元素鉄の投与量を超える、方法が開示されている。
【0006】
また、本明細書では、(a)フェリチンを発現する微生物又は宿主及び(b)元素鉄を含む組成物を準備することと、投与量に基づく組成物の投与に関する説明書を準備することとを含む方法であって、(1)鉄欠乏障害と診断されていない対象に対する組成物の投与量中の元素鉄の量が、栄養当局によって推奨される元素鉄の投与量を上回るか、又は(2)鉄欠乏障害と診断された対象に対する組成物の投与量中の元素鉄の量が、医療専門家によって推奨される元素鉄の投与量を上回る、方法が開示されている。
【0007】
また、本明細書では、対象にフェリチンを発現する微生物又は宿主を含む組成物を投与することを含む方法であって、ただし、組成物中のフェリチンの1日当たりの投与量が200ミリグラム/日未満の場合、組成物は、元素鉄を含まないことを条件とする、方法が開示されている。
【0008】
また、本明細書では、対象の腸内細菌マイクロバイオームの組成を変える方法であって、対象にフェリチンを発現する微生物又は宿主を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる組成物を投与することを含むか、それから本質的になるか、或いはそれからなり、ただし、組成物中のフェリチンの1日当たりの投与量が200ミリグラム/日未満の場合、組成物は、元素鉄を含まないことを条件とする、方法が開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ヒトH-フェリチンのアミノ酸配列(配列番号1)を示す。
【
図2】ヒトH-フェリチンのcDNA配列(配列番号2)を示す。開始(ATG)コドン及び終止(TAA)コドンを太字で示し、(配列の5’末端にある)BamHI制限及び(配列の3’末端にある)XhoI制限に下線を付す。
【
図3】ヒトH-フェリチン遺伝子FTH1、及び選択URA3遺伝子を含むフェリチン発現カセットの構造を示す概略図である。フェリチン発現カセットをオリゴヌクレオチドプライマー0-730及び0-731を使用してプラスミドRLK/pL5659からPCRによって増幅した。二重の横線は3.2kbpのフェリチン発現カセットを示し、濃い矢印は、DNA合成の方向(5’から3’)を示す矢印とともにプライマーの位置を示し、斜線の矢印は、遺伝子の3’末端(コード化タンパク質のカルボキシ末端)を示す矢印の先端とともにオープンリーディングフレーム(ORF:open-reading frame)を示し、白抜きの矢印は、転写の方向(5’から3’)を示す矢印とともに構成的高発現酵母TDH3プロモーターの位置を示し、白抜きのブロックは酵母CYC1ターミネーターを示す。
【
図4-1】
図3に示される発現カセットの核酸及びアミノ酸配列(配列番号3)を示す。
【
図5】TDH3プロモーターを含むフェリチン発現カセットの染色体組込みを示す概略図である。二重の横線は3.2kbpのフェリチン発現カセットを示し、網状の矢印は、DNA合成の方向(5’から3’)を示す矢印とともにプライマーの位置を示し、斜線の矢印は、遺伝子の3’末端(コード化タンパク質のカルボキシ末端)を示す矢印の先端とともにオープンリーディングフレーム(ORF)を示し、白抜きの矢印は、転写の方向(5’から3’)を示す矢印とともに構成的高発現酵母TDH3プロモーターの位置を示し、白抜きのブロックは酵母CYC1ターミネーターを示す。
【
図6-1】
図5に示されるTDH3において染色体に組み込まれたフェリチン発現カセットの核酸配列(配列番号5)を示す。
【
図7】酵母TDH3転写プロモーターの制御下でH-フェリチンを発現する遺伝子カセットの構造を示す。H-フェリチンORFは、ヒトH-フェリチンをコードするオープンリーディングフレームであり、CYC1は、酵母CYC1遺伝子の転写ターミネーターであり、塗りつぶした長方形は、loxP部位であり、URA3は、酵母(クリベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis))選択マーカーである。
【
図8】形質転換酵母における組換えH-フェリチンの発現に対する染色体組込み部位の影響を示すウエスタンブロットを示す。レーン1は、RLK/P3190のH-フェリチンであり、レーン2及び4は、H-フェリチン遺伝子の他の染色体組込み部位を有する酵母株のH-フェリチンであり、レーン3は、マルチコピー、染色体外プラスミドを含むRLK/P3177のH-フェリチンであり、レーン5は、サンプルが存在せず、レーン6は、精製したHisタグ付き組換えH-フェリチン(rH-フェリチン)であり、レーン7は、分子量マーカーである。
【
図9】実施例4において一倍体酵母フェリチン複合体で処置したラットと比較した二倍体酵母フェリチン複合体で処置したラットにおけるヘモグロビン回復を比較する。
【
図10】実施例4において一倍体酵母フェリチン複合体で処置したラットと比較した二倍体酵母フェリチン複合体で処置したラットにおけるヘマトクリット回復を示す。
【
図11A】酵母の1gのサンプルの重量パーセントに基づく一倍体酵母サンプル及び二倍体酵母サンプルの鉄含有量を示す。
【
図11B】一倍体酵母サンプル及び二倍体酵母サンプルのH-フェリチン含有量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明の目的で、反対のことが明記されている場合を除いて、本発明は様々な代替的変形及びステップの順序を想定できることが理解されるべきである。さらに、任意の操作の例、又は別の方法で示された場合以外、値、量、パーセンテージ、範囲、部分範囲及び割合を表す数などのすべての数は、用語が明白に示されていなくても、「約」という語が前に置かれているかのように読むことができる。したがって、反対のことが示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメーターは、本発明によって得られる所望の結果により変化する可能性のある近似値である。最低でも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメーターは、少なくとも報告された有効数字の数を考慮し、通常のまるめ手法を適用することによって解釈されるべきである。制限的又は非制限的な数値範囲が本明細書に記載される場合、数値範囲内の又は数値範囲に包含されるすべての数、値、量、パーセンテージ、部分範囲及び割合は、こうした数、値、量、パーセンテージ、部分範囲及び割合が、明確にそのすべてが書き出されているかのように、本出願の元の開示に具体的に含まれ、それに属すると見なされるべきである。
【0011】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメーターは近似値ではあるが、特定の例に記載される数値はできる限り正確に報告される。ただし、いかなる数値も、本質的に、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差の結果として必然的に生じるある一定の誤差を含む。
【0012】
本明細書中で使用される場合、別のことが示されない限り、複数の用語はその単数の対応物を包含することができ、別のことが示されない限り、逆もまた同様である。例えば、本明細書において「ある」種の酵母(“a” species of yeast)と言及されても、これらの構成要素の組み合わせ(すなわち、複数の構成要素)が使用されてもよい。さらに、本出願において、「又は」の使用は、別のことが具体的に示されない限り、「及び/又は」が特定の例において明確に使用されることがあっても「及び/又は」を意味する。
【0013】
本明細書中で使用される場合、「含む(including)」、「含有する(containing)」及び同様の用語は、本出願の文脈では「含む(comprising)」と同義であると理解され、したがって、非制限的であり、記載されていない、及び/又は挙げられていない追加の要素、材料、成分及び/又は方法ステップの存在を排除しない。
【0014】
本明細書中で使用される場合、「からなる(consisting of)」とは、本出願の文脈ではいかなる不特定の要素、成分及び/又は方法ステップの存在も排除するものと理解される。
【0015】
本明細書中で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」とは、本出願の文脈では、明記された要素、材料、成分及び/又は方法ステップ「並びに記載されているものの基本的な新規の特徴(単数または複数)に実質的に影響を及ぼさないもの」を含むものと理解される。
【0016】
本明細書中で使用される場合、「患者」又は「対象」又は「個体」は、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、霊長類、及び/又はげっ歯類を含む、哺乳動物を含む動物を意味する。
【0017】
本明細書中で使用される場合、ある量(例えば、用量)の組成物を「投与すること」は、対象自身又は別の対象(例えば、医療専門家、介護者、家族)によって行われてもよい。本組成物は、組成物の投与に関する説明書(例えば、組成物を入れた容器のラベル上に書かれた説明書)とともに対象又は対象に対する投与者によって提供されてもよい。
【0018】
本明細書中で使用される場合、「摂取可能な」とは、経口で体内に取り入れることができることを意味する。
【0019】
本明細書中で使用される場合、「医療食品」とは、通常の食餌だけでは満たすことのできない特有の栄養所要量を有する疾患の処置のために摂取又は経腸投与されるように設計された食品を意味する。
【0020】
本明細書中で使用される場合、「ダイエタリーサプリメント」又は「栄養サプリメント」とは、食事に加えて対象の食餌を補充するために摂取されるものを意味する。
【0021】
本明細書中で使用される場合、「医薬組成物」とは、対象に適切に投与された場合に治療又は代謝効果を誘導することができる任意の化学的又は生物学的組成物、材料、薬剤などを意味し、不活性形態の組成物、材料、薬剤など及びその活性代謝産物を含み、そのような活性代謝産物は、インビボで形成され得る。
【0022】
本明細書中で使用される場合、「組成物」は、溶液、分散液、又は固体、例えば、粉末を意味する。
【0023】
本明細書中で使用される場合、「鉄」は、例えば、酸化鉄、硫酸鉄、及び水素化鉄に限定されない塩の形態であってもよい元素鉄を指す。
【0024】
本明細書中で使用される場合、「鉄欠乏の」又は「鉄欠乏」とは、対象が≦25%のTSAT及び≦100ng/mLの血清フェリチン濃度を有する状態を指す。
【0025】
本明細書中で使用される場合、「貧血」とは、対象が13g/dL未満のヘモグロビン濃度を有する状態を指し、対象は、健康に関連したクオリティ・オブ・ライフの質問票に対する回答に基づいて鉄欠乏、鉄取り込み及び/又は鉄代謝に関連する障害又は疾患と一般に関連づけられる症状を示す場合もある。本明細書中で使用される場合、「鉄欠乏性貧血」とは、対象が20%未満のTSAT、50ng/mL未満の血清フェリチン濃度、及び/又は13g/dL未満のヘモグロビン濃度を有する状態を指す。対象は、健康に関連したクオリティ・オブ・ライフの質問票に対する回答に基づいて鉄欠乏、鉄取り込み、及び/又は鉄代謝に関連する障害又は疾患と一般に関連づけられる症状を示す場合もある。鉄欠乏障害の例としては、不十分な鉄の食餌摂取又は吸収が原因となる鉄欠乏が挙げられる。鉄欠乏障害は、例えば、栄養不良、妊娠(産後期間を含む)、重い子宮出血、慢性疾患(慢性腎疾患を含む)、がん、腎透析、胃バイパス、多発性硬化症、下肢静止不能症候群、糖尿病(例えば、I型又はII型糖尿病)、インスリン耐性、及び注意欠陥障害に関連することがある。
【0026】
本明細書中で使用される場合、「腸内マイクロバイオーム障害」とは、患者又は対象のマイクロバイオームの不均衡を指す。特に、腸内マイクロバイオーム障害は、例えば、クレブシエラ(Klebsiella)、腸内細菌目(Enterobacteriales)、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、クロストリジウム(Clostridium)、アナエロスポロバクター(Anaerosporobacter)、及び/又はピグマイオバクター(Pygmaiobacter)などの腸内マイクロバイオームに悪影響を与える細菌の属の相対的存在量が高いことを指す。
【0027】
本明細書中で使用される場合、「処置する」、「処置」、又は「処置すること」は、発症を予防すること、或いは鉄欠乏障害又は腸内マイクロバイオーム障害を含むこともある障害の結果として生じるものなどの患者又は対象が経験する病状又は症状を変えることを意図して患者又は対象に施される治療的、予防的又は防止的措置を意味する。患者又は対象に施される「処置」は、最大で完全な除去及びそれを含む、患者又は対象が処置される状態の任意の臨床的又は定量的に測定可能な低減を達成することができる。「処置」は、治療的処置及び予防的又は防止的措置の両方を指す。「処置」はまた、一時的な治療と指定される場合もある。「処置」はまた、食餌性鉄源及び/又はフェリチン源としての組成物の投与を含む場合もある。処置を必要とするものとしては、既に1つ以上の鉄欠乏障害があるもの並びに障害が予防されるべきであるもの及び補充から利益を得る可能性のあるものが挙げられる。
【0028】
本明細書中で使用される場合、「食餌管理」とは、医療食品、食品成分、又はダイエタリーサプリメントの投与による状態の処置を意味する。
【0029】
本明細書中で使用される場合、「組換え宿主」とは、ゲノムが少なくとも1つの組換え遺伝子によって増強又は導入されている宿主を意味する。「増強される」又は「導入される」とは、ヒトの介入によって引き起こされた増強又は導入を指す。例示的な組換え宿主としては、植物、真菌、例えば、酵母、細菌又は動物、例えば、ブタが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書中で使用される場合、「組換え遺伝子」は、1つ以上の遺伝子又は遺伝子のセグメントが挿入されて、新規の遺伝子の組み合わせが得られた核酸配列である。組換え遺伝子は、一般に、使用される状況において天然には見られない遺伝子である。組換え遺伝子は、配列が天然には生じない組込み部位で組換え宿主の染色体に組み込まれた遺伝子である場合もある。組換え遺伝子は、組換え宿主以外の種由来のDNA配列であってもよい。組換え遺伝子は、そのDNA配列の遺伝子産物の過剰発現又は改変された発現を可能にするために、組換え宿主のゲノムの付加的な位置に挿入された組換え宿主で天然に生じる遺伝子の1つ以上の追加のコピーであってもよい。
【0031】
本明細書中で使用される場合、「一倍体」とは、1セットの染色体を含む細胞を意味する。本明細書中で使用される場合、「1セットの染色体」とは、一倍体のゲノムを意味する。
【0032】
本明細書中で使用される場合、「二倍体」とは、相同染色体の対を含む2セットの染色体を含む細胞を意味する。
【0033】
本明細書中で使用される場合、「2セットの染色体」とは、二倍体のゲノムを意味する。
【0034】
本明細書中で使用される場合、「多倍体」とは、3セット以上の相同染色体を含む細胞を意味する。
【0035】
本明細書中で使用される場合、「異数体」とは、異常な数の染色体を含む細胞を意味する。「異常な数の染色体」とは、所与の生物の通常の染色体数とは異なる染色体数を意味する。例えば、出芽酵母(S.cerevisiae)細胞は、16の染色体を含む。異数体出芽酵母細胞は、例として、15の染色体又は17の染色体(すなわち、16以外のあらゆる数)を含む場合がある。
【0036】
本明細書中で使用される場合、「相同」とは、類似のセントロメア位置、遺伝子組成及び長さの染色体の対を意味する。
【0037】
本明細書中で使用される場合、「相同体」とは、相同の対の一方の染色体を意味する。
【0038】
本明細書中で使用される場合、「原栄養体」又は「原栄養性」とは、無機材料から栄養分を合成することができる微生物を意味する。
【0039】
本明細書中で使用される場合、「接合する(mate)」、「接合される」、又は「接合する(mates)」は、反対の接合型である2つの細胞、一般には一倍体が、融合して、一般に二倍体を形成するプロセスである。
【0040】
本明細書中で使用される場合、「フェリチン」は、原核生物及び真核生物を含む、大半の微生物において主要な細胞内鉄貯蔵タンパク質として働く球状タンパク質である。フェリチンは、24のポリペプチドサブユニットを含む大きな(480kDa近い)マルチサブユニット複合体であり、水酸化鉄コア内に4,500原子もの鉄イオン(Fe2+又はFe3+)を含むことができる。
【0041】
本明細書中で使用される場合、「塩」とは、金属カチオン及び非金属アニオンからなり、0の全電荷を有するイオン化合物を指す。塩は、水和していても、又は無水物でもよい。
【0042】
本明細書中で使用される場合、本発明の組成物に関する「乾物」とは、組成物が、組成物の総重量に基づいて10重量パーセントを超えない水を含むことを意味する。本明細書中で使用される場合、「乾物に基づく」とは、乾物含有量に換算して構成成分の濃度を表すことによって組成物中の構成成分の濃度を表す方法を意味する。
【0043】
本明細書中で使用される場合、「有機鉄複合体」は、有機化合物と複合体を形成するか、又は別の方法(例えば、イオン結合)で有機化合物と結合した(II)又は(III)酸化状態の鉄を含む化合物である。適した有機鉄複合体の例としては、鉄高分子複合体、鉄炭水化物複合体、及び鉄アミノグリコサン複合体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書中で使用される場合、「密接に連結された」とは、第1の遺伝子が第2の遺伝子の5センチモルガン以内にあることを意味する。
【0045】
本明細書中で使用される場合、「センチモルガン」とは、一世代において乗換えにより染色体上の第1のマーカーが同じ染色体上の第2のマーカーから分離されることになる1パーセントの確率と等しい計測の単位を意味する。
【0046】
本明細書中で使用される場合、「有害作用」とは、元素鉄又はフェリチンを摂取する対象におけるあらゆる有害な医学的出来事を意味し、これは、そのような処置と必ずしも因果関係があるわけではない。「有害作用」には、胃の不調、便秘、悪心、腹痛、嘔吐、又は失神を含む問題を引き起こすか、又はそれらの問題につながる可能性がある元素鉄の摂取が含まれる。「有害作用」にはまた、過剰な鉄が対象内に留まるヘモクロマトーシス又は「鉄過剰症」をもたらす元素鉄の摂取が含まれる。代わりに又はさらに、「有害作用」は、元素鉄を含む組成物又は元素鉄を含まない組成物のいずれかでフェリチンを摂取する対象におけるあらゆる有害な医学的出来事を意味し、これは、そのような処置と必ずしも因果関係があるわけではない。「有害作用」には、胃痛、動悸又は胸痛、不明な虚弱若しくは疲労、又は関節痛を引き起こす可能性のあるフェリチンの摂取が含まれる。
【0047】
本明細書中で使用される場合、「元素鉄を含まない」又は「元素鉄の非存在下で」又は「元素鉄の実質的に非存在下で」とは、組成物を生成する方法においていかなる量の元素鉄も、フェリチンを発現する微生物又は宿主に意図的に添加され(外因的に混合され)ないことを意味する。いくらかの量の鉄が、フェリチンを発現する微生物又は宿主中に存在することがある(例えば、酵母が、いくらかの量の鉄を含むことがある)ことが理解される。例えば、フェリチンを発現する微生物又は宿主を、ビタミン及び塩とともに鉄を含む微量元素を含有する可能性のある培地(例えば、酵母発酵培地)において増殖させてもよい。そのような微量元素、ビタミン及び塩が、フェリチンを発現する微生物又は宿主に存在する場合がある。
【0048】
本明細書中で使用される場合、「トランスフェリン飽和度」又は「TSAT」は、総鉄結合能(TIBC)に対する血清鉄の割合を意味する。
【0049】
本明細書中で使用される場合、「総鉄結合能」又は「TIBC」は、血清タンパク質と結合できる鉄の総量を意味する。
【0050】
本明細書中で使用される場合、「機能的選択マーカー」又は「機能的選択マーカー遺伝子」とは、組換え宿主の増殖のための特定の条件下において増殖優位性を備える遺伝要素を意味する。
【0051】
本明細書中で使用される場合、「増殖優位性」とは、組換え宿主の後代の90%以上が遺伝子カセットを含むことを意味する。
【0052】
本明細書中で使用される場合、「遺伝子カセット」は、機能的選択マーカー遺伝子及びフェリチンをコードする遺伝子を含む。
【0053】
本明細書中で使用される場合、「変異体」は、非機能性遺伝子を意味する。本明細書中で使用される場合、「非変異体」は、機能性遺伝子を意味する。
【0054】
本明細書中で使用される場合、「栄養当局」は、投与量、例えば、個々の国家、国若しくは州又は複数の国家、国若しくは州に関する1日当たりの投与量に対する基準値を推奨し、又はそれに対して助言を提供する政府委員会、機関、委員会、研究班又は個人である。「栄養当局」の例として、米国では全米アカデミーズ(National Academies)(かつての全米科学アカデミー(National Academy of Sciences))医学研究所(IOM:Institute of Medicine)の食品栄養委員会(FNB:Food and Nutrition Board)、欧州では欧州食品安全機関(European Food Safety Authority)の栄養製品、栄養素及びアレルギーに関する研究班、並びに日本では保健局、厚生労働省が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書中で使用される場合、元素鉄の「1日当たりの投与量」は、一度にすべて(1回)又は1日をとおして複数回のいずれかで1日に摂取される元素鉄の量である。「1日当たりの投与量」は、1つの供給源又は複数の異なる供給源から摂取される元素鉄を含んでもよい。
【0056】
本明細書では、対象に(a)フェリチンを発現する微生物又は宿主及び(b)元素鉄を含む組成物を投与することを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる方法であって、有害作用なく、(1)鉄欠乏障害と診断されていない対象に投与される組成物中の元素鉄の量が、栄養当局によって推奨される元素鉄の投与量を上回ることができるか、又は(2)鉄欠乏障害と診断された対象に投与される組成物中の元素鉄の量が、医療専門家によって推奨される元素鉄の投与量を上回ることができる、方法が開示されている。
【0057】
また、本明細書では、対象に(a)フェリチンを発現する微生物又は宿主及び(b)元素鉄を含む組成物を投与することを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる方法であって、(1)鉄欠乏障害と診断されていない対象に投与される組成物中の元素鉄の量が、栄養当局によって推奨される元素鉄の投与量を超えるか、又は(2)鉄欠乏障害と診断された対象に投与される組成物中の元素鉄の量が、医療専門家によって推奨される元素鉄の投与量を超える、方法が開示されている。
【0058】
また、本明細書では、(a)フェリチンを発現する微生物又は宿主及び(b)元素鉄を含む組成物を準備することと、投与量に基づく組成物の投与に関する説明書を準備することとを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる方法であって、(1)鉄欠乏障害と診断されていない対象に対する組成物の投与量中の元素鉄の量が、栄養当局によって推奨される元素鉄の投与量を上回るか、又は(2)鉄欠乏障害と診断された対象に対する組成物の投与量中の元素鉄の量が、医療専門家によって推奨される元素鉄の投与量を上回る、方法が開示されている。
【0059】
また、本明細書では、対象にフェリチンを発現する微生物又は宿主を含む組成物を投与することを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる方法であって、ただし、組成物中のフェリチンの1日当たりの投与量が200ミリグラム/日未満の場合、組成物は、元素鉄を含まないことを条件とする、方法が開示されている。
【0060】
また、本明細書では、対象の腸内細菌マイクロバイオームの組成を変える方法であって、対象にフェリチンを発現する微生物又は宿主を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる組成物を投与することを含むか、それから本質的になるか、或いはそれからなり、ただし、組成物中のフェリチンの1日当たりの投与量が200ミリグラム/日未満の場合、組成物は、元素鉄を含まないことを条件とする、方法が開示されている。
【0061】
任意の栄養性、非病原性、又は摂取可能な微生物又は宿主が記載の方法に使用できる。本明細書中で使用される場合、「非病原性」とは、疾患を引き起こすことができない微生物又は宿主を意味する。微生物又は宿主は、特に鉄補充のために増殖させられてもよく、又は別のプロセス(例えば、発酵)の産物であってもよい。
【0062】
本発明に有用な微生物又は宿主の適切な例としては、真菌、藻類、細菌、原生動物、ウイルス、微小な蠕虫、微生物、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、食餌又は鉄の栄養補充に適した組換え微生物又は宿主株は、ヒトを含む、哺乳動物に対して高いバイオアベイラビリティを有する形態で鉄を貯蔵することができ、例えば、ヒトの消費に対して一般的に安全と認められる(GRAS:Generally Regarded As Safe)要件又は新規食品成分(NDI:New Dietary Ingredient)要件又はその他の任意の規制食品若しくは栄養補助食品の要件を満たしているものである。鉄の食餌又は栄養補充をもたらすプロセスに使用できる他の微生物又は宿主も、本発明の組成物に使用することができる。真菌は、例えば、酵母であってもよい。酵母の非限定例としては、サッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、クリベロマイセス(Kluyveromyces)属、又はピキア(Pichia)属の様々な種が挙げられる。藻類の非限定例としては、クラミドモナス(Chlamydomonas)属の様々な種が挙げられ、細菌の非限定例としては、ラクトコッカス(Lactococcus)属の様々な種が挙げられる。微生物又は宿主は、本発明の組成物の重量の一部をなす可能性のある不純物を含む場合もあるが、これらの重量は、組成物の総乾物重量から除かれる。
【0063】
上述のとおり、微生物又は宿主は、フェリチンを発現してもよい。例えば、微生物又は宿主は、フェリチン又はその相同体をコードする少なくとも1つの組換え遺伝子を含む組換え微生物又は宿主であってもよい。フェリチン又はその相同体をコードする遺伝子は、組換え宿主がフェリチン遺伝子の発現によりフェリチンタンパク質を産生することを可能にする。適したフェリチンは、哺乳動物又は植物のH-フェリチン及び/又はL-フェリチンサブユニットを含む。H-フェリチンをコードする限り、いかなる種由来のいかなるH-フェリチンサブユニットでも使用できる。H-フェリチンサブユニットは、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、霊長類、及び/又はげっ歯類などの哺乳動物のH-フェリチンサブユニットであってもよい。H-フェリチンサブユニットは、ヒトH-フェリチン(FTH1)であってもよい(配列番号1、
図1を参照、
図2も参照)。H-フェリチンはまた、ヒトH-フェリチンの天然に存在する又は合成の相同体又はバリアントであってもよい。H-フェリチン相同体は、ヒトH-フェリチンと80パーセントから100パーセントの配列同一性、例えば、ヒトH-フェリチンと少なくとも80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、又は99パーセントの配列同一性を有してもよく、鉄と結合し、マルチサブユニットフェリチン鉄複合体(以下に示される)を形成する能力を保持するが、鉄とフェリチンとの間の様々な結合及び解離強度をもたらすよう変異させてもよい。任意に、フェリチンは、L-フェリチンであっても、又はそれを含んでもよい。例えば、フェリチンサブユニットは、L-フェリチンと比較して少なくとも20パーセントのH-フェリチン、例えば、L-フェリチンと比較して約20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、80パーセント、90パーセント、又は100パーセントのH-フェリチンを含んでもよい。任意に、フェリチンサブユニットのすべて(すなわち、100パーセントのフェリチンサブユニット)がH-フェリチンであってもよく、又はフェリチンサブユニットのすべて(すなわち、100パーセントのフェリチンサブユニット)がL-フェリチンであってもよい。
【0064】
本発明によると、フェリチンは、組換えフェリチンであってもよい。例えば、H-フェリチンは、適切なプロモーターの制御下でH-フェリチンをコードするポリヌクレオチド配列を含む微生物株において産生されたヒトH-フェリチン、又はその相同体であってもよい。フェリチンをコードする遺伝子は、染色体外にあってもよく(エピソーム)、又は染色体に組み込まれてもよい。
【0065】
例えば、微生物又は宿主は、染色体に組み込まれたフェリチン発現カセット(例えば、染色体に組み込まれたH-フェリチン発現カセット)からフェリチンを発現する酵母などの、組換え微生物又は宿主の株であってもよい。そのような場合、フェリチンコード配列は、酵母が鉄補充に適したビヒクルとして働くのに十分な高いレベルの鉄貯蔵タンパク質を産生するよう、鉄貯蔵タンパク質(例えば、H-フェリチン)発現カセットにおいて適切な酵母プロモーターの制御下に置かれてもよい。適した酵母プロモーターは当該技術分野において知られており、高レベルの構成的発現を誘導するプロモーター又は発現を環境条件によって制御することができるプロモーターが挙げられる。さらに、酵母の遺伝子構成は、様々な潜在的に有利な結果を達成するようさらに操作されてもよい。例えば、タンパク質分解が、鉄貯蔵タンパク質の安定性を向上させるよう操作されてもよく、又は以下に限定されないが、細胞表面、液胞、若しくはミトコンドリアの鉄輸送機構を含む、鉄輸送機構が、特定の細胞内区画の鉄濃度を変えることなどの望ましい結果を達成するよう操作されてもよい。さらに、酵母は、鉄貯蔵タンパク質又は細胞内区画の鉄のレベルを操作するために他の様式で改変されてもよい。酵母の鉄含有量は、酵母を増殖させる培地に既知の量の鉄化合物を添加することによって調節されてもよい。組換え酵母を使用して、ヒト及び他の動物に対する鉄補充を、酵母の消費又は摂取を含むが、これらに限定されない多くの任意の手段により達成することができる。酵母は、特に鉄補充のために増殖させられてもよく、又は別のプロセス(例えば、発酵)の副産物であってもよい。
【0066】
組換え宿主は、原栄養性であってもよい。原栄養性組換え宿主は、一倍体、二倍体、多倍体、又は異数体であってもよい。
図3及び
図5に示されるとおり、H-フェリチン遺伝子は、一倍体組換え宿主の染色体に安定して組み込むことができる。
図4は、
図3に示される発現カセットの核酸配列(配列番号3)を示す。
図6は、
図5に示されるTDH3において染色体に組み込まれたフェリチン発現カセットの核酸配列(配列番号5)を示す。H-フェリチン遺伝子は、任意の機能的選択マーカー遺伝子と密接に連結されて、遺伝子カセットを構成することができる。例えば、URA3、LEU2、TRP1、HIS3、又はMET15などの適した機能的選択マーカー遺伝子が当業者にはわかるであろう。例えば、H-フェリチン遺伝子は、URA3遺伝子と密接に連結されてもよい。組換え宿主の染色体に存在する機能的選択マーカー遺伝子のコピーは、それを機能的でなくす機能的選択マーカー遺伝子の変異体であってもよい。
【0067】
ある例では、H-フェリチン遺伝子は、一倍体組換え宿主の染色体に安定して組み込むことができる。H-フェリチン遺伝子は、任意の機能的選択マーカー遺伝子と密接に連結されて、遺伝子カセットを構成することができる。例えば、URA3、LEU2、TRP1、HIS3、若しくはMET15、又は任意のその相同体などの適した機能的選択マーカー遺伝子が当業者にはわかるであろう。例えば、H-フェリチン遺伝子は、URA3遺伝子に隣接してもよい。組換え宿主の染色体に存在する機能的選択マーカー遺伝子のコピーは、それを機能的でなくす機能的選択マーカー遺伝子の変異体であってもよい。
【0068】
別の例において、二倍体、多倍体、又は異数体組換え微生物又は宿主の第1の一倍体の染色体は、安定して組み込まれたH-フェリチン遺伝子を含んでもよい。別の例において、二倍体組換え宿主の両セットの染色体又は多倍体若しくは異数体の少なくとも2つの染色体は、安定して組み込まれたH-フェリチン遺伝子を含んでもよい。H-フェリチン遺伝子は、任意の機能的選択マーカー遺伝子と隣接して、遺伝子カセットを構成することができる。例えば、URA3、LEU2、TRP1、HIS3、若しくはMET15、又は任意のその相同体などの適した機能的選択マーカー遺伝子が当業者にはわかるであろう。例えば、H-フェリチン遺伝子は、URA3遺伝子に隣接してもよい。組換え微生物又は宿主の染色体に存在する機能的選択マーカー遺伝子のコピーは、それを機能的でなくす機能的選択マーカー遺伝子の変異体であってもよい。当業者には理解されるであろうとおり、これは、第1の一倍体の遺伝子カセットを含む一倍体の選択を促進し、第2の一倍体は変異URA3遺伝子であってもよい。
【0069】
H-フェリチン遺伝子を含む組換え微生物又は宿主は、少なくとも1つの一倍体細胞を含んでもよい。或いは、H-フェリチン遺伝子を含む組換え微生物又は宿主は、少なくとも1つの二倍体細胞、多倍体細胞、又は異数体細胞を含んでもよい。組換え宿主が二倍体である場合、反対の接合型である2つの一倍体が接合して、二倍体組換え宿主を形成する。組換え二倍体宿主の第1のセットの染色体の1つの染色体は、組換えH-フェリチン遺伝子を含んでもよい。組換えH-フェリチン遺伝子は、染色体に組み込まれた遺伝子カセットの一部であってもよい。組換えH-フェリチン遺伝子は、H-フェリチンの産生のためのアミノ酸配列をコードする。H-フェリチンコード配列は、組換え宿主が鉄補充に適したビヒクルとして働くのに十分な高いレベルの鉄貯蔵タンパク質を産生するよう、遺伝子カセットにおいて適切なプロモーターの制御下に置かれてもよい。適したプロモーターは当該技術分野において知られており、高レベルの構成的発現を誘導するプロモーター及び発現を環境条件によって制御することができるプロモーターが挙げられる。例えば、酵母組換え宿主では、適した構成的プロモーターは、酵母TDH3転写プロモーターであってもよい。例えば、酵母組換え宿主では、適した調節可能なプロモーターは、酵母GAL1プロモーターであってもよい。さらに、組換え宿主の遺伝子構成は、様々な潜在的に有利な結果を達成するようさらに操作されてもよい。例えば、タンパク質分解が、鉄貯蔵タンパク質の安定性を向上させるよう操作されてもよく、又は以下に限定されないが、細胞表面、液胞、若しくはミトコンドリアの鉄輸送機構を含む、鉄輸送機構が、特定の細胞内区画の鉄濃度を変えるなどの、望ましい結果を達成するよう操作されてもよい。例えば、より多くの元素鉄のフェリチンへの取り込みを促進するために、液胞への輸送機構が妨害又は阻害されてもよい。別の例では、フェリチンへの元素鉄の充填を促進する遺伝子が含まれてもよいであろう。組換え宿主の鉄含有量は、組換え宿主を増殖させる培地に既知の量の鉄化合物を添加することによって調節されてもよい。組換え宿主を使用して、ヒト及び他の動物に対する鉄補充を、組換え宿主の消費又は摂取を含むが、これらに限定されない多くの任意の手段によって達成することができる。組換え宿主は、特に鉄補充のために増殖させられてもよく、又は別のプロセス(例えば、発酵)の副産物であってもよい。例では、二倍体、多倍体、又は異数体組換え宿主は、原栄養酵母の一般的な栄養要求しか有さない場合もある。すなわち、遺伝子変異によりフェリチンをコードする1セットの染色体の栄養要求が、第2のセットの染色体中の遺伝子の非変異コピーの存在により補完される。同様に、遺伝子変異により第2のセットの染色体の栄養要求が、第1のセットの染色体中の遺伝子の非変異コピーの存在によって補完される。
【0070】
例では、第2のセットの染色体は、フェリチンを発現しなくてもよい。第2のセットの染色体は、機能的選択マーカーをさらに発現しなくてもよい。すなわち、第2のセットの染色体は、遺伝子カセットを含まなくてもよい。例えば、第1の染色体は、タンパク質の産生に必須のアミノ酸であるロイシンの合成に関与する機能的LEU2遺伝子を含まなくてもよい。第2のセットの染色体は、機能的LEU2遺伝子を含んでもよく、これが二倍体、多倍体、又は異数体がロイシンを合成するのを可能にする。ロイシンを合成する第2のセットの染色体の能力が、アミノ酸を合成することができない第1のセットの染色体を補う。結果として、少なくとも第1のセットの染色体及び第2のセットの染色体を含む二倍体、多倍体、又は異数体組換え宿主は、原栄養酵母が合成するすべての通常の栄養材料を産生することができる(すなわち、組換え宿主は、原栄養体である)。すなわち、各遺伝子の非変異コピーが、二倍体組換え宿主中の染色体の2つの相同セットのうちの少なくとも1つ、多倍体組換え宿主中の3つ以上の相同染色体のうちの少なくとも1つ、又は異数体組換え宿主中の少なくとも2セットの染色体のうちの少なくとも1つに存在する。本出願の目的で、「第1のセットの染色体」及び「第2のセットの染色体」という用語が便宜上使用されるが、特定の順序又は染色体数に対する限定を示すものではない(すなわち、本明細書において都合上「第2のセットの染色体」と呼ばれる2、若しくは3、又はそれ以上のセットの染色体が存在する場合もある)。
【0071】
例えば、二倍体組換え宿主、多倍体組換え宿主、又は異数体組換え宿主の第1のセットの染色体は、リボ核酸(RNA)の合成に必須の核酸塩基であるウラシルの合成に関与する機能的URA3遺伝子を含まなくてもよい。第2のセットの相同染色体は、機能的又は非変異URA3遺伝子を含んでもよく、これが第2のセットの染色体がウラシルを合成するのを可能にする。ウラシルを合成する第2のセットの染色体の能力が、核酸塩基を合成することができない第1のセットの染色体を補う。結果として、二倍体組換え宿主又は多倍体組換え宿主は、原栄養酵母が合成するすべての通常の材料を産生することができる(すなわち、組換え宿主は、原栄養体である)。すなわち、二倍体又は多倍体組換え宿主中の染色体の2つの相同セットのうちの少なくとも1つが、各遺伝子の非変異コピーを含む。
【0072】
本発明の組成物は、任意に第2の微生物又は宿主をさらに含んでもよい。本明細書中で使用される場合、微生物又は宿主に関する「第2の」という用語は、別々の異なる微生物又は宿主を指し、必ずしも2つの微生物又は宿主のみが存在することを意味するわけではない。第2の微生物又は宿主は、上記の任意の微生物を含んでもよい。第2の微生物又は宿主は、フェリチンを発現する微生物、フェリチンを発現しない微生物若しくは宿主、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。さらに又は代わりに、第2の微生物又は宿主は、プロバイオティックを含んでもよい。
【0073】
本発明の組成物は、任意に、腸内マイクロバイオーム中の有益な細菌の増殖を促進するプレバイオティックをさらに含んでもよい。
【0074】
本発明の組成物はまた、元素鉄を含んでもよい。元素鉄は、上記のフェリチンとフェリチン鉄複合体を形成してもよい。元素鉄の供給源は、鉄塩、有機鉄複合体、元素鉄ナノ粒子、又はそれらの組み合わせであってもよい。適した鉄塩の例としては、以下に限定されないが、硫酸鉄が挙げられる。適した有機鉄複合体の例としては、鉄高分子複合体、鉄炭水化物複合体、及び鉄アミノグリコサン複合体が挙げられるが、これらに限定されない。これらの有機鉄複合体は、商業的に入手可能であってもよく、及び/又は当該技術分野において既知の方法によって合成されてもよい。鉄炭水化物複合体の適した非限定例としては、鉄糖複合体、鉄オリゴ糖複合体、及び鉄多糖複合体、例えば、鉄カルボキシマルトース、鉄スクロース、鉄ポリイソマルトース(鉄デキストラン)、鉄ポリマルトース(鉄デキストリン)、グルコン酸鉄、鉄ソルビトール、及び鉄水素化デキストランが挙げられ、これらは、ソルビトール、クエン酸又はグルコン酸及びそれらの混合物などの他の化合物とさらに複合体を形成してもよい(例えば、鉄デキストリン・ソルビトール・クエン酸複合体及び鉄スクロース・グルコン酸複合体)。鉄アミノグリコサン複合体の適した非限定例としては、鉄コンドロイチンスルファート、鉄デルマタンスルファート、鉄ケラタンスルファートが挙げられ、そのそれぞれが他の化合物、及びそれらの混合物とさらに複合体を形成してもよい。鉄アミノグリコサン複合体の例としては、鉄ヒアルロン酸、鉄タンパク質複合体、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
元素鉄は、フェリチンを発現する微生物又は宿主及び元素鉄の乾物に基づいて少なくとも1重量パーセント、例えば、少なくとも5重量パーセント、例えば、少なくとも5.5重量パーセントの量で組成物中に存在してもよい。元素鉄は、フェリチンを発現する微生物又は宿主及び元素鉄の乾物に基づいて15重量パーセントを超えない、例えば、10重量パーセントを超えない、例えば、8重量パーセントを超えない量で組成物中に存在してもよい。元素鉄は、フェリチンを発現する微生物又は宿主及び元素鉄の乾物に基づいて3重量パーセントから15重量パーセント、例えば、3重量パーセントから12重量パーセント、例えば、5重量パーセントから10重量パーセント、例えば、5.5重量パーセントから9.5重量パーセント、例えば、3重量パーセントから8重量パーセントの量で組成物中に存在してもよい。
【0076】
本組成物は、フェリチン又はその相同体と複合体を形成していない細胞内鉄を含んでもよい。本組成物はまた、細胞外鉄(例えば、細胞壁に結合した鉄)を含んでもよい。
【0077】
本発明によると、例えば、90パーセントを超えない、少なくとも1パーセントの元素鉄、例えば、最小の4パーセント、例えば、少なくとも5パーセント、例えば、少なくとも6パーセント、例えば、少なくとも10パーセント、例えば、少なくとも15パーセント、例えば、少なくとも20パーセント、例えば、少なくとも30パーセント、例えば、少なくとも40パーセント、例えば、少なくとも50パーセント、例えば、少なくとも60パーセント、例えば、少なくとも75パーセントの元素鉄がフェリチンと複合体を形成していてもよく、100パーセントの元素鉄がフェリチンと複合体を形成していてもよい。本発明によると、10パーセントから100パーセント、例えば、30パーセントから95パーセント、例えば、50パーセントから90パーセント、例えば、60パーセントから90パーセント及び、例えば、75パーセントから90パーセントの元素鉄が、フェリチンと複合体を形成していてもよい。
【0078】
本明細書に記載の任意の組成物は、摂取可能な形態で含まれてもよい。「摂取可能な形態」とは、組成物が経口で体内に取り入れることができることを意味する。例では、微生物又は宿主は、摂取可能な形態で含まれてもよい。例えば、摂取可能な形態は、医療食品、食品、食品成分、又はそれらの組み合わせであってもよい。「医療食品」は、通常の食餌だけでは満たすことができない特有の栄養要求量を有し、疾患又は障害の処置のために経腸的に摂取又は投与されるよう設計された食品である。他の例において、本明細書に記載の任意の組成物は、座剤の形態であってもよい。他の例において、本明細書に記載の任意の組成物は、ダイエタリーサプリメント又は栄養サプリメントであってもよい。「ダイエタリーサプリメント」又は「栄養サプリメント」は、食事に加えて対象の食餌を補充するために摂取される組成物である。その他の例では、本明細書に記載の任意の組成物は、医薬組成物であってもよい。
【0079】
本明細書に記載の組成物は、乾燥粉末、液体中の乾燥粉末の分散液、液体中の乾燥粉末の懸濁液、座剤、泡状浣腸、液体浣腸などの形態であってもよく、経口又は直腸投与される様式に製剤化されてもよい。本発明の組成物は、(本明細書に記載の)薬学的に許容される担体又は希釈剤を含み、材料を飲み込むことができるよう液剤、分散剤、乳剤、マイクロエマルジョン剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤などを形成することができる。適したレベルにpHを調節するためにpH調整剤(すなわち、酸又は塩基)が含まれてもよく、及び/又は微生物の活動を妨げるために抗菌剤及び抗真菌剤が含まれてもよい。組成物はまた、体内での元素鉄の放出を制御するか、又は遅らせる配合物を含んでもよい。場合によっては、組成物は、シリンジ、投薬バイアルなどのディスペンサーに入れられていてもよい。
【0080】
摂取可能な希釈剤又は担体の例は、配合者の判断に従って、糖、例えば、単糖、二糖など、賦形剤、例えば、以下に限定されない、カカオバター及び蝋;油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油;グリコール、例えば、プロピレングリコール;エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;パイロジェンフリー水;生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;その他の無毒で適合した滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム;着色剤、放出剤、コーティング剤、保存料並びに酸化防止剤である。
【0081】
本明細書に記載の組成物は、加圧容器から放出されてもよく、又は粉末、顆粒、若しくはトローチの形態であってもよい。適した結合剤及び増量剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、微結晶性セルロース、セルロースゲル、セルロースガム、カルボキシメチルセルロース、木材パルプ、ダイズレシチン、グリシン、グルタミン酸ナトリウム、植物タンパク質、海藻若しくは抽出物、カラゲナン、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
本明細書中で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、製剤の他の成分と適合し、妥当なベネフィット/リスク比に見合った、毒性、若しくは別の許容できないものではない、薬学及び獣医学技術における使用に許容されることを意味する。本明細書中で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、所望の特定の剤形に適するような任意及びすべての溶媒、希釈剤、又はその他の液体ビヒクル、分散又は懸濁助剤、界面活性剤、等張化剤、増粘乳化剤、安定剤、保存料、固体結合剤、滑沢剤などを含む。ジェンナーロ(Gennaro)編レミントンの薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、マックパブリッシング(Mack Publishing)、イーストン、ペンシルベニア、1995年は、医薬組成物を製剤化する際に使用される様々な担体及びその調製のための既知の技術を提供する。そのような担体はまた、必要に応じて、栄養又はダイエタリーサプリメント、食品成分、食品及び医療食品を配合する際に使用されてもよい。
【0083】
鉄欠乏障害と診断された対象に関して、当業者は、そのような対象を効果的に処置するために必要とされる投与量に様々な要因が影響を与えること、したがって、投与量及び投与を、処置される対象を考慮して医療専門家(例えば、主治医)が選択でき、十分なレベルの活性剤(複数可)のため又は所望の効果を維持するために調節することができることを理解する。考慮され得るさらなる要因としては、疾患状態の重症度、例えば、疾患の中程度又は進行したステージ;対象の年齢、体重、性別及び健康全般;食餌、投与の時間及び頻度;鉄欠乏の状態;投与経路;薬物の組み合わせ;反応感度;事前の処置;並びに治療に対する耐性/反応が挙げられる。本明細書に記載の組成物は、例えば、30分毎、1時間毎又は1日に1回、1日に複数回、週に1回、週に複数回、2週間に1回、月に1回などで投与されてもよい。
【0084】
本明細書に記載の組成物は、元素鉄及び/又はフェリチンの供給源を対象に提供するために使用されてもよい。本組成物は、鉄欠乏と診断されていない対象又は鉄欠乏と診断された対象に投与されてもよい。
【0085】
全米アカデミーズの医学研究所(IOM)の食品栄養委員会(FNB)による経口投与される元素鉄に関する推奨栄養所要量(RDA:Recommended Dietary Allowance)は、鉄欠乏障害と診断されていない19から50歳の間の男性対象に対して1日当たり8ミリグラムの鉄及び同様に鉄欠乏障害と診断されていない女性対象に対して1日当たり18ミリグラムである。FNBによって確立された鉄塩の補充摂取後の有害な胃腸への影響と関連づけられる鉄の量に基づく食品及びサプリメントからの元素鉄に対する1日当たりの許容上限摂取量(UL:upper intake level)は、鉄欠乏障害と診断されていない19歳以上の男性及び女性対象に対して45ミリグラム(例えば、80キログラムの対象に対して0.56ミリグラム/キログラム/日)である。医療専門家は、鉄欠乏と診断された対象に対してULよりも高い摂取量を処方するときがあり、硫酸鉄などの鉄塩に関する標準治療での1日当たりの推奨量は、1日当たり165ミリグラムから195ミリグラム(80キログラムの対象に対して2.1ミリグラム/キログラム/日から2.5ミリグラム/キログラム/日)である。驚くべきことに、フェリチンを発現する微生物又は宿主及び元素鉄を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる組成物の投与量は、胃腸障害又は不耐性を含む、有害作用なく、鉄欠乏障害と診断されていない対象に対して栄養当局によって推奨される元素鉄の投与量を超えて並びに鉄欠乏障害と診断された対象に対して医療専門家(例えば、治療医師)によって推奨される元素鉄の投与量を超えて経口投与できることがわかった。これは、(以前にULまででしか処置しなかった場合)対象の鉄欠乏に対処するためにULよりも高い量で対象を処置することを可能にする。フェリチンを発現する微生物又は宿主及び元素鉄を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる組成物の代表的な投与は、有害作用なく、鉄欠乏と診断されていない、又は鉄欠乏と診断された男性又は女性対象に、元素鉄に関するULの5から100倍(例えば、80キログラムの対象に対して2.8ミリグラム/キログラム/日から56.2ミリグラム/キログラム/日)、例えば、以下に限定されないが、元素鉄に関するULの10から100倍(例えば、80キログラムの対象に対して5.6ミリグラム/キログラム/日から56.2ミリグラム/キログラム/日)、例えば、元素鉄に関するULの10から90倍(例えば、80キログラムの対象に対して5.6ミリグラム/キログラム/日から50.6ミリグラム/キログラム/日)、例えば、元素鉄に関するULの15から80倍(例えば、80キログラムの対象に対して8.4ミリグラム/キログラム/日から45ミリグラム/キログラム/日)、例えば、元素鉄に関するULの20から70倍(80キログラムの対象に対して11.2ミリグラム/キログラム/日から39.4ミリグラム/キログラム/日)、例えば、元素鉄に関するULの25から60倍(80キログラムの対象に対して14.1ミリグラム/キログラム/日から33.8ミリグラム/キログラム/日)及び、例えば、元素鉄に関するULの30から50倍(80キログラムの対象に対して16.9ミリグラム/kg/日から28.1ミリグラム/キログラム/日)の量で経口投与されてもよい。フェリチンを発現する微生物又は宿主及び元素鉄を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる組成物の代表的な投与は、以下に限定されないが、5ミリグラム/キログラム/日から50ミリグラム/キログラム/日、7.5ミリグラム/キログラム/日から45ミリグラム/キログラム/日、10ミリグラム/キログラム/日から40ミリグラム/キログラム/日、15ミリグラム/キログラム/日から35ミリグラム/キログラム/日及び20ミリグラム/キログラム/日から30ミリグラム/キログラム/日など、5ミリグラム/キログラム/日から65ミリグラム/キログラム/日の元素鉄の量で投与されてもよい。
【0086】
典型的な元素鉄の計算:
成人男性に対するUL Fe=45mg/日
10×UL=450mg/日
成人男性の推定体重=80kg
10×ULでの80kgの男性に対する1日当たりのFe投与=450/80=5.6mg/kg/日。
【0087】
【0088】
本明細書に記載されるとおり、投与量レベルは、対象若しくは患者に投与される単回投与として、又は例えば、1日の間に1日当たりの投与量レベルを達成する複数回の投与(複数投与)により投与されてもよい。投与量レベルはまた、投与間で日数を空けて週に複数回、週に1回、2週間に1回、又は月に1回の投与で投与される鉄の総量であってもよく、用量は、平均の1日当たりの上記の投与量レベルで元素鉄を投与する。フェリチンを発現する微生物又は宿主及び元素鉄を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる組成物中に提供される鉄の量は、有害作用なく、ULを大幅に上回る(例えば、ULの5から100倍)量で経口投与することができるため、本組成物は、1日当たり27ミリグラム(例えば、80kgの対象に対して0.34mg/kg/日)以上の鉄を必要とするであろう他の点では健康な妊娠中の女性を含む、鉄補充を望むか、又は必要とする対象が取り入れることができる許容される組成物を提供する。本組成物の経口投与はまた、これまで場合によって静脈内にのみ与えられてきた用量(例えば、1日当たりの投与量)を満たすか、又はそれを上回ることができる。
【0089】
驚くべきことに、鉄欠乏障害と診断されていない対象に対して栄養当局によって推奨される元素鉄の投与量を超える元素鉄並びに鉄欠乏障害と診断された対象に対して医療専門家(例えば、治療医師)によって推奨される元素鉄の投与量を超える元素鉄の投与、例えば、毎日の投与に加えて、(a)フェリチンを発現する微生物又は宿主及び(b)元素鉄を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる組成物中のそれとともに投与されるフェリチンの量が、いかなる有害作用ももたらさないこともわかった。サッカロマイセス属の様々な種の酵母の微生物又は宿主は、乾燥重量でおよそ40パーセントのタンパク質を含む。そのような酵母で発現するフェリチンは、乾燥重量で総タンパク質のおよそ1パーセントから15パーセント、例えば、3パーセント、例えば、4パーセント、例えば、5パーセント、例えば、6パーセント、例えば、7パーセント、例えば、8パーセント又は、例えば、10パーセントのそのタンパク質に相当する。元素鉄に関するULの5から100倍で対象によって、又は対象に投与されるフェリチンを発現する酵母の微生物又は宿主及び元素鉄の組成物は、対象に80キログラムの対象に対しておよそ2.5ミリグラム/キログラム/日から50ミリグラム/キログラム/日のフェリチンをもたらすであろう。新生児及び授乳中の乳児はおよそ0.3ミリグラム/キログラム/日から0.5ミリグラム/キログラム/日を受け取ることが推定される。以下の代表的な例は、乾燥重量で4.5パーセントの鉄(グラム/グラム)を含むフェリチンFe複合体及びタンパク質の10パーセントがフェリチンである乾燥重量で40パーセントのタンパク質を含む酵母微生物又は宿主を使用する。
【0090】
80キログラムの対象:
Fe:2.8ミリグラム/キログラム/日から56.2ミリグラム/キログラム/日
フェリチン:2.8mg Fe/kg/日×80kg×フェリチンFe複合体/0.045 Fe×0.04 フェリチン/フェリチンFe複合体=199mgフェリチン/日(2.5mgフェリチン/kg/日)
フェリチン:56.2mg Fe/kg/日×80kg×フェリチンFe複合体/0.045 Fe×0.04 フェリチン/フェリチンFe複合体=3996mgフェリチン/日(50mgフェリチン/kg/日)
【0091】
60キログラムの対象:
Fe:3.75ミリグラム/キログラム/日から75ミリグラム/キログラム/日
フェリチン:3.75mg Fe/kg/日×60kg×フェリチンFe複合体/0.045 Fe×0.04 フェリチン/フェリチンFe複合体=200mgフェリチン/日(3.3mgフェリチン/kg/日)
フェリチン:75mg Fe/kg/日×60kg×フェリチンFe複合体/0.045 Fe×0.04 フェリチン/フェリチンFe複合体=4000mgフェリチン/日(66.7mgフェリチン/kg/日)
【0092】
本組成物は、単回投与として或いは第1の用量の組成物の投与に続いて第2の用量の組成物の投与が行われるか、又は逆もまた同様に行われるよう、同時又は連続的に投与される複数投与(すなわち、第1、第2、第3などの用量)として投与されてもよい。第1及び第2の用量が連続的に投与される場合、方法は、用量の投与間に待ち時間を含んでもよい。第1、第2、第3などの用量は、同じか、又は異なる量の元素鉄を含んでもよい。本明細書中で使用される場合、「連続的に」という用語は、第1の用量の本発明の組成物の投与に続いて第2の用量の本発明の組成物の投与が行われる処置プロトコルを指す。本明細書中で使用される場合、「同時に」という用語は、第1及び第2の用量が別々で、実質的に同じ時間に投与される、第1の用量の本発明の組成物の投与及び第2の用量の本発明の組成物の投与を指す。
【0093】
本発明によると、鉄欠乏障害と診断されていない対象又は鉄欠乏障害と診断された対象は、対象に本明細書に記載の任意の組成物を投与することによって、例えば、治療有効量の本明細書に記載の任意の組成物を投与することによって処置することができる。対象への本組成物の投与は、対象自身又は別の対象(例えば、医療専門家、介護者、家族)によって行われてもよい。本組成物は、組成物の投与に関する説明書(例えば、組成物を入れた容器のラベル上に書かれた説明書)とともに対象又は対象に対する投与者に提供されてもよい。
【0094】
本発明の組成物は、フェリチンを発現する微生物又は宿主及び元素鉄を含む組成物を投与することによって鉄(例えば、元素鉄)を供給するか、或いは元素鉄の非存在下又は実質的に非存在下においてフェリチンを発現する微生物又は宿主を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる組成物を対象に投与することによって対象の体内に貯蔵された鉄のプロセシング又は排出を促進又は支援するかのいずれかのために対象の鉄レベルを管理或いは調節するよう投与されてもよい。本組成物中のフェリチンの投与量は、50ミリグラム/日以上、例えば、100ミリグラム/日、例えば、200ミリグラム/日、例えば、300ミリグラム/日以上、例えば、200ミリグラム/日から4000ミリグラム/日であってもよい。元素鉄の非存在下又は実質的に非存在下においてフェリチンを発現する微生物又は宿主を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる組成物を対象に投与することは、対象自身又は別の対象(例えば、医療専門家、介護者、家族)によって行われてもよい。組成物は、意図的に元素鉄を、フェリチンを発現する微生物又は宿主に添加することなく、上記の様式で典型的に製剤化されてもよい。いくらかの量の鉄が、フェリチンを発現する微生物又は宿主中に存在することがある(例えば、酵母が、いくらかの量の鉄を含むことがある)ことが理解される。本組成物は、組成物の投与に関する説明書(例えば、組成物を入れた容器のラベル上に書かれた説明書)とともに対象又は対象に対する投与者に提供されてもよい。例えば、元素鉄の非存在下においてフェリチンを発現する微生物又は宿主を含む組成物による鉄のプロセシング又は排出のそのような促進又は支援は、遺伝性ヘモクロマトーシス、続発性ヘモクロマトーシス若しくは若年性ヘモクロマトーシスの対象を含むが、これらに限定されない、鉄過剰障害がある(例えば、それと診断された)又はそのリスクがある可能性のある対象に対して有益な場合もある。
【0095】
本発明の組成物は、対象の腸内細菌マイクロバイオームの組成を変えるために投与されてもよい。例えば、対象の腸内細菌マイクロバイオームの組成を変える方法は、対象に(a)フェリチンを発現する微生物又は宿主及び(b)元素鉄を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる組成物を投与することを含んでも、それから本質的になっても、或いはそれからなってもよく、有害作用なく、(1)鉄欠乏障害と診断されていない対象に投与される組成物中の元素鉄の量が、栄養当局によって推奨される元素鉄の投与量(例えば、1日当たりの投与量)を上回ることができるか、又は(2)鉄欠乏障害と診断された対象に投与される組成物中の元素鉄の量が、医療専門家によって推奨される元素鉄の投与量(例えば、1日当たりの投与量)を上回ることができる。別の例では、対象の腸内細菌マイクロバイオームの組成を変える方法は、対象にフェリチンを発現する微生物又は宿主を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる組成物を投与することを含んでも、それから本質的になっても、或いはそれからなってもよく、ただし、組成物中のフェリチンの1日当たりの投与量が200ミリグラム/日未満の場合、組成物は、元素鉄を含まないことを条件とする。
【0096】
対象の腸内細菌マイクロバイオームの組成を変える方法は、対象の腸内のガンマプロテオバクテリア綱細菌及び/又はクロストリジウム細菌の相対的存在量を調節することを含んでもよい。ガンマプロテオバクテリア綱細菌は、腸内細菌目、腸内細菌科、及び/又はクレブシエラ属の細菌を含む。クロストリジウム綱細菌は、クロストリジウム、アナエロスポロバクター、及び/又はピグマイオバクター属の細菌を含む。マイクロバイオーム試験の1つにおいて、成人ヒト対象は、(a)フェリチンを発現する酵母及び(b)5.7重量パーセントの元素鉄(171mg)を含む組成物を2週間、1.5グラム/日で、続いて6週間、3グラム/日で摂取した。この試験は、ガンマプロテオバクテリア綱細菌及び/又はクロストリジウム綱細菌の相対的存在量が線形判別分析によって判定される場合に少なくとも-2低下することがあることを示した。
【0097】
対象の腸内細菌マイクロバイオームの組成を変える方法は、対象の腸内のエリシペロトリクス(Erysipelotrichia)綱細菌及び/又はクロストリジウム綱細菌の相対的存在量を調節することを含んでもよい。エリシペロトリクス綱細菌は、エリシペロトリカレス(Erysipelotrichales)目、エリシペロトリカケアエ(Erysipelotrichaceae)科、カンディダツス(Candidatus)属、及び/又はストクエフィクス(Stoquefichus)種の細菌を含む。クロストリジウム綱細菌は、ルミノコッカケアエ(Ruminococcaceae)科の細菌を含む。上記のマイクロバイオーム試験において、エリシペロトリクス綱細菌及び/又はクロストリジウム綱細菌の相対的存在量は、線形判別分析によって判定される場合に少なくとも+2増加することがある。
【0098】
対象の腸内細菌マイクロバイオームの組成を変える方法は、対象の腸内のバイオフィルム形成(バイオフィルム形成細菌)を低減することを含んでもよい。腸バイオフィルムは、クロストリディオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)を含む多数の炎症性障害及び過敏性腸疾患と関連づけられる。上述のマイクロバイオーム試験は、有害な(病原性)バイオフィルム形成の統計学的に有意な低減を示した(p=0.023;線形判別分析>2.0)。バイオフィルム形成の低減は、PICRETSt解析によって判定することができる。
【0099】
対象の腸内細菌マイクロバイオームの組成を変える方法は、対象の腸内の細菌走化性を低下させることを含んでもよい。上述のマイクロバイオーム試験は、2週目に細菌走化性の低下を示し、これは、4週目(p=0.04)及び8週目(p=0.034)に統計学的に有意になった。上昇傾向は、10週目に見られ、2週間後に組成物(フェリチンを発現する酵母及び元素鉄)の摂取を停止した。細菌走化性の低下は、PICRETSt解析によって判定することができる。
【0100】
栄養当局によって推奨される投与量を超える元素鉄の投与量、又は鉄欠乏障害と診断された対象の場合、医療専門家によって推奨される投与量を超える元素鉄の投与量を含むか、又は含まない本発明の組成物に胃腸の副作用がないのは、本発明の方法に従った本発明の組成物による対象のマイクロバイオームに対する処置の驚くべきプラスの効果による可能性がある。驚くべき結果は、処置前、処置中、及び処置後にマイクロバイオームを評価することによって実証された。驚くべきことに、処置は、患者又は対象のマイクロバイオームの細菌種の豊富さに悪影響を与えない一方で、腸内マイクロバイオームに悪影響を与えない細菌の属の種(例えば、カンディダツス、エリシペロトリカレス、エリシペロトリクス、エリシペロトリカケアエ、及び/又はルミノコッカケアエ)の相対的存在量を増加させると同時に腸内マイクロバイオームに悪影響を与える細菌の属の種(例えば、クレブシエラ、腸内細菌目、腸内細菌科、クロストリジウム、アナエロスポロバクター、及び/又はピグマイオバクター)の相対的存在量を低下させることを発見した。したがって、本発明の方法に従った本発明の組成物による処置は、驚くべきことに、場合によっては、鉄補充、鉄欠乏障害又は対象の体内に貯蔵された鉄のプロセシング若しくは鉄の排出の量的及び質的な程度を改善することに加えて、対象の全般的な腸内マイクロバイオームを改善する。例えば、本発明によると、そのような改善は、本明細書に記載の任意の組成物の投与後、少なくとも1週間、例えば、少なくとも2週間、例えば、少なくとも4週間、例えば、少なくとも6週間、例えば、少なくとも8週間、例えば、少なくとも10週間、例えば、少なくとも12週間以内にもたらされる場合がある。
【0101】
上記の明細書において、本発明は、その特定の例示的な実施形態を参照して記載されている。添付の特許請求の範囲に記載される本発明のより広い趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な改変がそれに対して行われてもよいことは明らかであろう。したがって、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく説明的な意味で考慮されるべきである。
【実施例1】
【0102】
フェリチンを発現する微生物又は宿主の作製。
構成的な酵母TDH3転写プロモーターの制御下でヒトH-フェリチンを発現する、
図7に示した出芽酵母に関するH-フェリチン発現カセットを、プラスミドRLK/pL5659からPCRによって生成し、このプラスミドは、H-フェリチンコード配列及びクリベロマイセス・ラクチスのURA3遺伝子を挿入することによってpAG426GPD-ccdB(AddGene、ケンブリッジ、マサチューセッツ)から誘導した。PCR産物を、例えば、ヒネン(Hinnen)ら、米国科学アカデミー紀要(PNAS USA:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United Stats of America)75:p.1929-1933、1978年に記載されている、標準的な方法を使用して、酵母株BY4741に形質転換し、酵母染色体に組み込ませた。発現カセットを含む酵母形質転換細胞を選択URA3マーカーにより回収し、形質転換酵母のライセートを、ガラスビーズを使用して50mMのトリス-HCl(pH7.4)、150mMのNaCl中で調製した。DCタンパク質アッセイ(バイオ・ラッド(Bio-Rad))によって測定した、25マイクログラム(μg)の総タンパク質をSDS-PAGEによって分取し、ニトロセルロースフィルターに転写した。ブロットを1:2000に希釈したH-フェリチンポリクローナル抗体(コーバンス(Covance)PA1192)により調べた。二次抗体を1:5000に希釈した抗ウサギIgG(GEアマシャム(Amersham))とし、シグナルをWestern Lightning-ECL(パーキンエルマー(Perkin Elmer))を使用して検出した。
図8に示した結果は、組換えH-フェリチンの発現量が染色体組込みの部位に左右されることを示す。染色体に組み込まれたH-フェリチン発現カセットを含む組換え株RLK3190は、予想外にも、他の染色体組込み部位と比較して劇的に高いレベルのヒトH-フェリチンを発現した。このレベルは、複数のコピーのH-フェリチン発現カセットをもつ染色体外プラスミドを含む株RLK3177によって産生されるH-フェリチンの量に匹敵するか、又はそれを上回る。RLK3190では、発現カセットが発現カセットと染色体遺伝子のTDH3プロモーターの間の相同性に基づく相同組換えによってTDH3の染色体位置に組み込まれた。このカセット及びその他のものは、当該技術分野において標準的な技術を使用してこの部位に挿入するために容易に操作できる。
【0103】
RLK3190株中の発現カセットは、酵母染色体上のTDH3遺伝子座に組み込まれた場合に、高レベルでヒトH-フェリチンを構成的に産生する。
【実施例2】
【0104】
フェリチンを発現する微生物又は宿主及び元素鉄を含む組成物(酵母フェリチン複合体)の調製
実施例1のRLK3190株を、鉄(6mM FeSO4)を加えた酵母発酵培地で増殖させた。発酵増殖後、酵母フェリチン複合体を濃縮して、水分10パーセント未満に乾燥した。次いで、酵母フェリチン複合体を鉄及びフェリチンレベルに関して評価した。
【実施例3】
【0105】
スプラーグドーリー(Sprague Dawley)ラットにおけるフェリチンを発現する微生物又は宿主及び元素鉄を含む組成物の毒性試験。
ラットにおいてフェリチンを発現する微生物及び元素鉄を含む組成物の毒性を試験する例では、実施例2の酵母フェリチン複合体を乾物に基づいて4.5重量パーセントの元素鉄を含む粉末にした。12匹の雄及び12匹の雌のスプラーグドーリーラットを、2つの用量群(群1から2)、6匹のラット/性別/群に無作為に割り当てた。実施例2に従って調製した試験物の製剤(酵母フェリチン複合体、すなわちYFC)、又は対照物である逆浸透(RO:Reverse Osmosis)脱イオン化水を、この試験の1から42日目にこれらの雄及び雌のラットに表2に示した用量レベルで1日に1回の経口強制投与により投与した。用量体積は、直近に記録された体重に基づいて毎日調節した。ラット対象の体重は、約226から250グラム(雄)及び176から200グラム(雌)であった。
【0106】
【0107】
42日の試験の間をとおして評価した試験パラメーターには以下のものが含まれた:生存率、臨床所見、体重、フード摂取、臨床病理(ヘマトロジー、凝血、臨床化学-鉄パネル、フェリチン、尿検査、糞分析)、肉眼解剖所見、臓器重量、及び組織病理学評価。
【0108】
結果
死亡率
すべてのラットが43日目の計画的安楽死まで生存した。この試験では試験物に関連する予定外の死亡はなかった。
【0109】
臨床所見及び解剖所見
1000mg/kg/日の用量で雄及び雌のラットにおいて酵母フェリチン複合体が関連する臨床徴候は観察されなかった。24日目から26日目に対照群の1匹のラットで脱毛の単発的な発生が認められた。この脱毛は解消し、26日目以降は認められなかった。死体解剖時に酵母フェリチン複合体に関連する著しい変化はなかった。
【0110】
体重
1000mg/kg/日で雄及び雌のラットにおいて平均体重に対する酵母フェリチン複合体が関連する影響はなかった。対照群及び酵母フェリチン複合体投与群の雄及び雌のラットの平均体重は同等であった。
【0111】
フード摂取
DS1からDS42の試験の全期間をとおしてフード摂取値に対する酵母フェリチン複合体が関連する影響はなかった。フード摂取値は、週間隔で3つの用量群の間で同等であった。
【0112】
鉄パネル
4.5パーセントの元素鉄を有する1000mg/kg/日の酵母フェリチン複合体は、200グラムのラットに対する9mg/日及び250グラムのラットに対する11.2mg/日になる45mg/kg/日の元素鉄に相当する。鉄パネル分析の個々の値[総鉄量、不飽和鉄結合能(UIBC)及び総鉄結合能(TIBC)]を評価のためにこの報告に添付した。UIBCの関連する変化(雌の低下及び雄の増加)とともに雌において鉄の穏やかな低下及び雄において鉄の穏やかな増加が認められたが、これらの変化は、生物学的変動の範囲内であると考えられる小さな規模及び変化の方向が雄と雌で反対であるという事実から試験物との関連性は断定できない。
【0113】
フェリチンレベル
1000mg/kg/日の用量で雄又は雌のラットにおいてフェリチンレベルに対する酵母フェリチン複合体が関連する明らかな影響はなかった。1000mg/kg/日は、200グラムのラットに対するおよそ8mg/日又は250グラムのラットに対する10mg/日になるおよそ40mg/kg/日のフェリチン(例えば、H-フェリチン)に相当する。
1000mgYFC/kg/日×0.4 タンパク質/YFC×0.1 FTH1/タンパク質×1kg/1000g×200gのラット=8mgFTHI/日
【0114】
まとめ
42日間の酵母フェリチン複合体の1日に1回の経口強制投与による投与は、1000mg/kg/日のレベルでラットにおいて忍容性が良好であった。臨床所見、体重及び肉眼所見に関連する有害な影響は観察されなかった。
【実施例4】
【0115】
スプラーグドーリーラットにおける一倍体酵母フェリチン複合体及び二倍体酵母フェリチン複合体の比較試験
12:12時間の明暗サイクル(点灯時間06:00から18:00)に維持された温度(23±2℃)及び湿度(40%)制御された部屋内の吊り下げワイヤーケージにケージ当たり1匹の20日齢の雄のスプラーグドーリーラット(エンビゴ(Envigo))を収容した。ラットには示した2ppmの鉄の鉄欠乏食(「ID食」)又は補足食を制限無しに与えた。ID食は、米国国立栄養研究所(AIN:American Institute of Nutrition)-93G食の配合表に従い炭水化物の単独の供給源としてトウモロコシデンプンとともに、鉄を添加せず調製した。硝酸(パーキンエルマー)による湿式消化後に原子吸光分析を使用してすべての食餌の鉄レベルを検証した。すべての実験プロトコルは、米国国立衛生研究所動物実験ガイドラインに従い、ペンシルベニア州立大学動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)によって認可された。
【0116】
ラットにID食を26日間(P21~P47)与え、これにより貧血がもたらされた(平均ヘマトクリット及びヘモグロビンレベルが、それぞれ5.3±0.2及び16.2±0.1%であった)。次いで、P47にラットを体重の均整のとれた2つの食餌群(n=3~5/群)に分けた。食餌群1に一倍体酵母フェリチン複合体(53μg鉄/g食餌、n=4)を含む食餌を与えた。一倍体酵母フェリチン複合体は、
図5の染色体に組み込まれたフェリチン発現カセットを含む単一の染色体を含む。一倍体酵母フェリチン複合体は、栄養要求性である。食餌群2に本出願に記載の二倍体酵母フェリチン複合体(49μg鉄/g食餌、n=3)を含む食餌を与えた。二倍体酵母フェリチン複合体は2つの染色体を含み、第1の染色体は、
図5の染色体に組み込まれたフェリチン発現カセットを含み、第2の染色体は染色体に組み込まれたフェリチン発現カセットがない。二倍体酵母フェリチン複合体は、原栄養性である。割り当てた食餌をラットに14日間与え、フード摂取を試験の間中監視した。
【0117】
図9及び
図10に示した結果は、二倍体酵母フェリチン複合体がそれぞれ、一倍体酵母フェリチン複合体と同等のヘモグロビン回復及びヘマトクリット回復をもたらしたことを示す。
【実施例5】
【0118】
一倍体酵母フェリチン複合体及び二倍体酵母フェリチン複合体の比較試験。
一倍体出芽酵母の作製
一倍体出芽酵母を、ウラシルが欠如した6mMのFeSO4を含む合成完全(SC)培地において30℃で振盪しながら2日間増殖させた。細胞を遠心分離によって回収し、滅菌水で1回洗浄した。再懸濁後、細胞を65℃で30分間インキュベートして、低温殺菌を行った。次いで、細胞を滅菌水でさらに2回洗浄して、取り込まれなかった鉄を除去し、凍結乾燥した。
【0119】
二倍体出芽酵母(S.cevervisiae)の作製
二倍体出芽酵母を、ウラシルが欠如した6mMのFeSO4を含む合成完全(SC)培地において30℃で振盪しながら2日間増殖させた。細胞を遠心分離によって回収し、滅菌水で1回洗浄した。再懸濁後、細胞を65℃で30分間インキュベートして、低温殺菌を行った。次いで、細胞を滅菌水でさらに2回洗浄して、取り込まれなかった鉄を除去し、凍結乾燥した。
【0120】
一倍体及び二倍体酵母サンプルの分析
一倍体及び二倍体酵母サンプルをフェリチンに関して分析するために、酵母調製物のアリコートを電子顕微鏡法により調べた。FHT1の存在をさらに実証するために、酵母ライセートに対するウエスタンブロット分析を行った。サンプルを4~20%のトリ-グリシンSDSゲル上に流した。この後、それをPVDF膜に転写し、まずH-フェリチンに対する抗体(1:500、セルシグナリング(Cell signaling))、続いて二次抗体(1:5000、GEヘルスケア(healthcare))で調べた。酵母中のフェリチンが鉄を含むかどうかを判断するために、25μlの酵母ライセートを4~20%のトリス-グリシンSDSゲル(バイオ・ラッド(BioRad))上に流し、ペルルス株を使用して鉄を評価するために使用した。簡単にいえば、ゲルを脱イオン水で1回すすいだ後、2部のフェリシアン化カリウム(シグマンアルドリッチ(Sigman Aldrich)、カタログ#702587)及び1部の10%HCl溶液からなる溶液とともに30分間インキュベートした。次いで、ゲルを数回、脱イオン化水で洗浄して、バックグラウンドを除去し、ブルーペルルス反応に関して観察した。
【0121】
酵母サンプルの鉄含有量を分析するために、酵母を硝酸(nitic acid)中で消化し、原子吸光分析を使用して鉄量を測定した。
【0122】
図11Aに示した結果は、酵母の1gのサンプルの重量パーセントに基づいて一倍体酵母サンプル及び二倍体酵母サンプルの鉄含有量を比較した。示したとおり、二倍体酵母サンプルは、一倍体酵母サンプル(5%)と比較して高い鉄レベル(9%)を有した。
図11Bに示した結果は、一倍体酵母サンプル及び二倍体酵母サンプルのH-フェリチン含有量を比較した。示したとおり、一倍体酵母サンプルは、二倍体酵母サンプル(2.76%)と比較して高い量のH-フェリチン(4.12%)を有した。したがって、二倍体酵母サンプル中にH-フェリチンが少ないという事実にもかかわらず、一倍体酵母サンプルと比較して鉄が多かった。さらに、この差にもかかわらず、一倍体酵母及び二倍体酵母は、インビボ試験において同様に十分に働いた。これは、二倍体酵母が、性能を維持したままでありながら、鉄の吸収がより効率的であったことを示唆する。
【国際調査報告】