(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】流体管理システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/12 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
A61B1/12 521
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571550
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2022029876
(87)【国際公開番号】W WO2022245976
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】メガンク ジェフリー エイ
(72)【発明者】
【氏名】ファニング リー
(72)【発明者】
【氏名】オドネル ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ベラスケス トロイ
(72)【発明者】
【氏名】フィッツジェラルド ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】マーハー リンダ
(72)【発明者】
【氏名】デ バーバ ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】ペレイラ ピーター ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ラウニヤール ニラジ プラサド
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA15
4C161HH04
4C161HH08
4C161NN09
(57)【要約】
流体管理システムは、医療デバイスへの流体流入を提供する流入ポンプと、少なくとも1つの圧力センサと、流体管理システム内のシステム圧力に対応する圧力信号を少なくとも1つの圧力センサから受信するように構成されたコントローラとを含むことができる。コントローラは、複数の医療デバイスのうちのどの1つが流入ポンプに流体的に接続されているかを少なくとも1つの圧力センサからの圧力信号と流入ポンプの毎分回転数とに基づいて検出するように構成することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管理システムであって、
医療デバイスに流体流入を提供する流入ポンプと、
少なくとも1つの圧力センサと、
流体管理システム内のシステム圧力に対応する圧力信号を前記少なくとも1つの圧力センサから受信するように構成されたコントローラと、
を含み、
前記コントローラは、複数の医療デバイスのうちのどの1つが前記流入ポンプに流体的に接続されているかを前記少なくとも1つの圧力センサからの前記圧力信号と前記流入ポンプの毎分回転数とに基づいて検出するように構成されている、
流体管理システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記流入ポンプを制御するための1又は2以上の出力を、前記複数の医療デバイスのうちのどの1つが前記流入ポンプに流体的に接続されているかに基づいて自動的に調節するように構成されている、請求項1に記載の流体管理システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記1又は2以上の出力に応答するPIDコントローラを含む、請求項2に記載の流体管理システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記流入ポンプの前記毎分回転数と前記システム圧力とに基づいて出力係数を計算する、請求項1~3のいずれか1項に記載の流体管理システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記出力係数を、前記複数の医療デバイスのうちの1つに各既知範囲が対応する既知範囲のセットと比較する、請求項4に記載の流体管理システム。
【請求項6】
各既知範囲が、前記流入ポンプの前記毎分回転数を調節するのに使用される異なる対応する出力を有する、請求項5に記載の流体管理システム。
【請求項7】
前記出力は、比例誤差率(Kp)、積分誤差率(Ki)、微分誤差率(Kd)、及びサンプリング速度(SR)を含む、請求項6に記載の流体管理システム。
【請求項8】
前記コントローラは、システム圧力設定値、システム圧力限界値、及び医療デバイス損傷限界値に応答して洗浄を選択的に実行するように構成されており、前記洗浄は、予め決められた期間にわたって予め決められた量だけ前記システム圧力を増大するように構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の流体管理システム。
【請求項9】
前記システム圧力限界値を超える前記予め決められた量の前記洗浄は、その量が前記システム圧力限界値に抑制される、請求項8に記載の流体管理システム。
【請求項10】
前記コントローラが、前記洗浄の前記予め決められた量が前記システム圧力限界値を超えることになると決定する場合に、通知が表示されて洗浄優先入力が利用可能にされ、前記洗浄優先入力の起動が、前記コントローラが前記システム圧力限界値を前記医療デバイス損傷限界値までの前記予め決められた量だけ超えることを許容する、請求項8に記載の流体管理システム。
【請求項11】
前記医療デバイス損傷限界値を超える前記予め決められた量の前記洗浄は、その量が前記医療デバイス損傷限界値に抑制される、請求項10に記載の流体管理システム。
【請求項12】
前記システム圧力設定値、前記システム圧力限界値、及び前記医療デバイス損傷限界値は、前記複数の医療デバイスのうちのどの1つが前記流入ポンプに流体的に接続されているかに基づいて自動的に選択される、請求項8に記載の流体管理システム。
【請求項13】
流体管理システムであって、
医療デバイスに流体流入を提供する流入ポンプと、
少なくとも1つの圧力センサと、
流体管理システム内のシステム圧力に対応する圧力信号を前記少なくとも1つの圧力センサから受信するように構成されたコントローラと、
を含み、
前記コントローラは、複数の医療デバイスのうちのどの1つが前記流入ポンプに流体的に接続されているかを前記少なくとも1つの圧力センサからの前記圧力信号と前記流入ポンプの毎分回転数とに基づいて検出するように構成されており、
前記コントローラは、前記流入ポンプを制御するための1又は2以上の出力を、前記複数の医療デバイスのうちのどの1つが前記流入ポンプに流体的に接続されているかに基づいて自動的に調節するように構成されており、
前記コントローラは、前記複数の医療デバイスのうちのどの1つが前記流入ポンプに流体的に接続されているかに基づいて自動的に選択されたシステム圧力設定値、システム圧力限界値、及び医療デバイス損傷限界値に応答して洗浄を選択的に実行するように構成されており、前記洗浄は、予め決められた期間にわたって予め決められた量だけ前記システム圧力を増大するように構成されている、流体管理システム。
【請求項14】
前記流入ポンプに流体的に接続された前記複数の医療デバイスのうちの前記1つの遠位端に配置された遠位圧力センサを更に含み、
前記遠位圧力センサは、前記洗浄によって引き起こされるその場圧力の増加をモニタするように構成されており、
前記コントローラは、その場圧力が予め決められたその場圧力限界値よりも下に留まるように、前記洗浄の前記予め決められた量及び/又は前記予め決められた期間を制限するように構成されている、請求項13に記載の流体管理システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの圧力センサは、前記流入ポンプの下流にかつ前記医療デバイスの上流に位置決めされている、請求項1~14のいずれか1項に記載の流体管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、引用によって本明細書にその開示が組み込まれている2021年5月19日出願の米国仮特許出願第63/190,570号の利益及びそれに対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明の開示は、流体管理システムに関する。より具体的には、本発明の開示は、流体管理システム及び流体管理システムに対する制御に関する。
【背景技術】
【0003】
可撓性尿管鏡(fURS)、婦人科、及び他の内視鏡手順は、様々な理由から流体の循環を必要とする。現今の術者は、例えば、流体バッグを吊り下げて重力を用いて流体を送出すること、シリンジに流体を充填し、それを手動で注射することができ、又は蠕動ポンプを用いて流体管理システムによって固定された圧力又は流量で流体をリザーバから送出することのような様々な手法で流体を送出する。流体管理システムは、流体をリザーバから送出する時に流量及び/又は圧力を内視鏡及び/又は流体管理システム等であるがこれらに限定されない手順デバイスから収集されたデータに基づいて調節することができる。既知の医療デバイス、医療システム、及び医療方法の各々は、ある一定の利点及び欠点を有する。例えば、既存システムは、医療デバイス又は医療ツールが内視鏡の作動チャネルの中に挿入される時に圧力及び/又は流量の限られた制御しか提供することができない。一部の場合に、この限られた制御は、正常な生理学的レベルよりも大きい圧力勾配をもたらす場合があり、それによって患者にリスクを与える場合がある。代替流体管理システムを提供する継続する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第2018/0361055号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一例では、流体管理システムは、医療デバイスに流体流入を提供する流入ポンプと、少なくとも1つの圧力センサと、流体管理システム内のシステム圧力に対応する圧力信号を少なくとも1つの圧力センサから受信するように構成されたコントローラとを含むことができる。コントローラは、複数の医療デバイスのうちのどの1つが流入ポンプに流体的に接続されているかを少なくとも1つの圧力センサからの圧力信号と流入ポンプの毎分回転数rpmとに基づいて検出するように構成することができる。
【0006】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、流入ポンプを制御するための1又は2以上の出力を複数の医療デバイスのうちのどの1つが流入ポンプに流体的に接続されているかに基づいて自動的に調節するように構成される。
【0007】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、1又は2以上の出力に応答するPIDコントローラを含む。
【0008】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、流入ポンプの毎分回転数とシステム圧力とに基づいて出力係数を計算する。
【0009】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、出力係数を複数の医療デバイスのうちの1つに各々の既知範囲が対応する複数の既知範囲のセットと比較する。
【0010】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、各既知範囲は、流入ポンプの毎分回転数を調節するのに使用される異なる対応する出力を有する。
【0011】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、出力は、比例誤差率(Kp)と、積分誤差率(Ki)と、微分誤差率(Kd)と、サンプリング速度(SR)とを含む。
【0012】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、システム圧力設定値、システム圧力限界値、及び医療デバイス損傷限界値に応答して洗浄を選択的に実行するように構成され、洗浄は、システム圧力を予め決められた期間にわたって予め決められた量だけ増大させるように構成される。
【0013】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、システム圧力限界値を超える予め決められた量の洗浄は、その量がシステム圧力限界値に抑制される。
【0014】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、洗浄の予め決められた量がシステム圧力限界値を超えることになることをコントローラが決定した場合に、通知が表示され、洗浄優先入力または洗浄オーバーライド入力が利用可能にされる。洗浄優先入力の起動は、コントローラがシステム圧力限界値を医療デバイス損傷限界値までの予め決められた量だけ超えることを可能にする。
【0015】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、医療デバイス損傷限界値を超える予め決められた量の洗浄は、その量が医療デバイス損傷限界値に抑制される。
【0016】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、システム圧力設定値、システム圧力限界値、及び医療デバイス損傷限界値は、複数の医療デバイスのうちのどの1つが流入ポンプに流体的に接続されているかに基づいて自動的に選択される。
【0017】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、少なくとも1つの圧力センサは、流入ポンプの下流かつ医療デバイスの上流に位置決めされる。
【0018】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、流体管理システムは、医療デバイスに流体流入を提供する流入ポンプと、少なくとも1つの圧力センサと、流体管理システム内のシステム圧力に対応する圧力信号を少なくとも1つの圧力センサから受信するように構成されたコントローラとを含むことができる。コントローラは、複数の医療デバイスのうちのどの1つが流入ポンプに流体的に接続されているかを少なくとも1つの圧力センサからの圧力信号と流入ポンプの毎分回転数とに基づいて検出するように構成することができる。コントローラは、流入ポンプを制御するための1又は2以上の出力を複数の医療デバイスのうちのどの1つが流入ポンプに流体的に接続されているかに基づいて自動的に調節するように構成することができる。コントローラは、複数の医療デバイスのうちのどの1つが流入ポンプに流体的に接続されているかに基づいて自動的に選択されるシステム圧力設定値、システム圧力限界値、及び医療デバイス損傷限界値に応答して洗浄を選択的に実行するように構成することができ、洗浄は、システム圧力を予め決められた期間にわたって予め決められた量だけ増大させるように構成される。
【0019】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、少なくとも1つの圧力センサは、流入ポンプの下流かつ医療デバイスの上流に位置決めされる。
【0020】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、流体管理システムは、流入ポンプに流体的に接続された複数の医療デバイスのうちの1つの遠位端に配置された遠位圧力センサを更に含むことができる。
【0021】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、遠位圧力センサは、洗浄によって引き起こされるその場圧力の増加をモニタするように構成される。コントローラは、その場圧力が予め決められたその場圧力限界値よりも下に留まるように洗浄の予め決められた量及び/又は予め決められた期間を制限するように構成される。
【0022】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、流体管理システムは、医療デバイスに流体流入を提供する流入ポンプと、流体管理システム内で流入ポンプの下流のシステム圧力を検出するように構成された少なくとも1つの圧力センサと、複数の医療デバイスのうちのどの1つが流入ポンプに流体的に接続されているかを流体管理システム内のシステム圧力と流入ポンプの毎分回転数とに基づいて検出するように構成されたコントローラとを含むことができる。コントローラは、流入ポンプを制御するための1又は2以上の出力を複数の医療デバイスのうちのどの1つが流入ポンプに流体的に接続されているかに基づいて自動的に調節するように構成することができる。
【0023】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、複数の医療デバイスのうちの各々に関してシステム圧力を流入ポンプの毎分回転数に関連付ける事前組み込みデータ曲線を含む。
【0024】
本明細書に説明するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、複数の医療デバイスのうちのどの1つが流入ポンプに流体的に接続されているかに基づいて流量補償モードを自動的に有効にするように構成される。
【0025】
一部の実施形態、態様、及び/又は実施例の以上の要約は、本発明の開示の各実施形態又は全ての実施を説明するように意図したものではない。図面及び以下の詳細説明は、これらの実施形態をより具体的に例証するものである。
【0026】
本発明の開示は、以下の詳細説明を添付図面に関連付けて考察することでより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】流体管理システムの選択された態様の概略図である。
【
図2】
図1のシステムの医療デバイス及びワークステーションの選択された態様の概略図である。
【
図3】
図2の医療デバイスの選択された態様の概略図である。
【
図4】
図1の流体管理システムの加熱器アセンブリ及び加熱器カセットの選択された態様を示す部分斜視図である。
【
図5】流体管理システムのための制御構成を示す図である。
【
図6A】システムに対してシステム圧力のみが利用可能である場合にツールが医療デバイスの作動チャネルの中に挿入されたときの流体管理システム内の特性を示す図である。
【
図6B】システムに対してシステム圧力のみが利用可能である場合にツールが医療デバイスの作動チャネルの中に挿入されたときの流体管理システム内の特性を示す図である。
【
図7A】システムに対してシステム圧力とその場圧力とが利用可能である場合にツールが医療デバイスの作動チャネルの中に挿入されたときの流体管理システム内の特性を示す図である。
【
図7B】システムに対してシステム圧力とその場圧力とが利用可能である場合にツールが医療デバイスの作動チャネルの中に挿入されたときの流体管理システム内の特性を示す図である。
【
図8A】洗浄イベント中の流体管理システム内の特性を示す図である。
【
図8B】洗浄イベント中の流体管理システム内の特性を示す図である。
【
図8C】洗浄イベント中の流体管理システム内の特性を示す図である。
【
図8D】洗浄イベント中の流体管理システム内の特性を示す図である。
【
図9】医療デバイス及び/又は医療ツールの選択された組合せの圧力対流量特性を示すグラフである。
【
図10】流体管理システムに関連付けられた例示的なファジー論理を示す図である。
【0028】
本発明の開示は、様々な修正及び変形の余地があるが、その詳細を図面に例示的に示しており、詳細に以下に説明する。しかし、説明する特定の実施形態に本発明の開示の態様を限定する意図はないことは理解されるものとする。限定とは反対に、本発明の開示の精神及び範囲の中に収まる全ての修正物、均等物、及び代替物を網羅するように意図している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の説明は、必ずしも正確な縮尺とは限らず、いくつかの図を通して類似の参照番号が類似の要素を示す図面を参照して読解しなければならない。詳細説明及び図面は、本発明の開示を示すが、限定するように意図したものではない。当業者は、説明及び/又は図示する様々な要素を本発明の開示の範囲から逸脱することなく様々な組合せ及び構成で配置することができることを認識するであろう。詳細説明及び図面は、本発明の開示の例示的実施形態を具体的に示している。しかし、明瞭化及び理解のし易さの目的で各図面に全ての特徴及び/又は要素を示さない場合があるが、他に指定しない限り、これらの特徴及び/又は要素は、いずれの場合にも存在することを理解することができる。
【0030】
以下に定める用語に関して、特許請求の範囲及び本明細書の他の箇所で異なる定義を提供しない限り、これらの定義が適用されるものとする。
【0031】
本明細書では、明示的に示すか否かに関わらず、全ての数値が用語「約」によって修飾されたものであると仮定する。数値の状況での用語「約」は、一般的に、当業者が列挙する値と同等(例えば、同じ機能又は結果を有する)と見なすと考えられる数字範囲を意味する。多くの事例では、用語「約」は、最も近い有効数字に四捨五入された数字を含むことができる。用語「約」の他の使用(例えば、数値以外の状況での)は、他に指定しない限り、本明細書の関連から理解され、それと矛盾しないこの用語の通常及び通例の定義を有すると仮定することができる。
【0032】
端点による数字範囲の列挙は、端点を含む当該範囲にある全ての数字を含む(例えば、1から5までは、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
【0033】
様々な構成要素、特徴、及び/又は仕様に関する一部の適切な寸法、範囲、及び/又は値を開示するが、本発明の開示によって喚起される当業者は、望ましい寸法、範囲、及び/又は値が明示的に開示するものから外れる可能性があることを理解するであろう。
【0034】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合に、単数形「a」、「an」、及び「the」は、状況が他に明確に定めない限り、複数の指示物を含む。本明細書及び特許請求の範囲に使用する場合に、「又は」という用語は、状況が他に明確に定めない限り、一般的に「及び/又は」を含む意味に使用する。理解を容易にするために、本発明の開示のある一定の特徴をそれが本発明の開示の実施形態内で複数であるか又は繰り返す場合があったとしても、単数で説明することができることに注意されたい。これらの特徴の各事例は、反意を明示しない限り、単数での開示を含む場合に及び/又はそれによって包含することができる。簡略化及び明瞭化の目的で、必ずしも本発明の開示の全ての要素を各図に示す又は下記で詳細に議論するとは限らない。しかし、1よりも多い構成要素が存在する場合に関して、反意を明示しない限り、以下の議論は、これらの構成要素のうちのいずれかのもの及び/又は全てのものに同等に適用される場合があることは理解されるであろう。更に、明瞭化の目的で、一部の要素又は特徴の全ての事例を各図に示さない場合がある。
【0035】
「近位」、「遠位」、「前進」、「後退」、及びこれらの変形などのような相対用語は、一般的に、デバイスのユーザ/オペレータ/マニュピレータに対する様々な要素の位置決め、方向、及び/又は操作に関して決定することができ、「近位」及び「後退」は、ユーザに近い方又は向うことを示し又は意味し、「遠位」及び「前進」は、ユーザから遠い方又は離れることを示す又は意味する。一部の事例では、本発明の開示の理解を容易にしようとする試みで「近位」及び「遠位」という用語を任意的に割り当てる場合があるが、そのような事例は、当業者には直ちに明らかであろう。「上流」、「下流」、「流入」、及び「流出」のような他の相対用語は、体管腔、血管のような管腔内又はデバイス内の流体流れの方向を意味する。「軸線方向」、「周方向」、「長手方向」、「横方向」、「半径方向」など及び/又はこれらの変形のような更に他の相対用語は、一般的に、本発明の開示の構造又はデバイスの中心長手軸線に関する方向及び/又は向きを意味する。
【0036】
本明細書での「実施形態」、「一部の実施形態」、「他の実施形態」等への参照は、説明する実施形態が特定の特徴、構造、又は特質を含むことができるが、全ての実施形態がこれら特定の特徴、構造、又は特質を必ずしも含むとは限らない場合があることを示すことに注意されたい。更に、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を参照しているとは限らない。更に、特定の特徴、構造、又は特質を実施形態に関して説明する時は、明示的に説明するか否かに関わらず、反意を明示しない限り、他の実施形態に関してこれら特定の特徴、構造、又は特質を達成することが当業者の認識内であろう。すなわち、当業者は理解されるように、下記で説明する様々な個々の要素は、特定の組合せで指定しない場合であっても、他の追加の実施形態を形成するために又は説明する実施形態を相補及び/又は拡張するために互いに組合せ可能又は配置可能であることを依然として考えている。
【0037】
明瞭化の目的で、説明及び/又は主張する様々な特徴に命名するために及び/又はこれらの特徴の間で区別するために、本明細書及び/又は特許請求の範囲を通してある一定の識別数字命名法(例えば、第1、第2、第3、第4のような)を使用する場合がある。この数字命名法は、限定的であるように意図したものではなく単に例示的であることは理解されるものとする。一部の実施形態では、簡潔化及び明瞭化の目的で、以前に用いた数字命名法の変更及びそれからの逸脱を行う場合がある。すなわち、「第1」の要素と識別した特徴を後に「第2」の要素、「第3」の要素等と呼ぶ場合があり、又は完全に除外する場合及び/又は異なる特徴を「第1」の要素と呼ぶ場合がある。各事例での意味及び/又は表示は、当業者には明らかであろう。
【0038】
可撓性尿管鏡(fURS)手順(例えば、尿管鏡検査、経皮腎切石術(PCNL)、良性前立腺肥大症(BPH)、経尿道的前立腺切除術のような)、婦人科内視鏡手順、及び他の内視鏡手順で使用するための一部の流体管理システムは、それからの圧力データ及び/又は流量データを使用する内視鏡デバイスと併用される時に体腔圧を調整しようと試みる場合がある。fURS手順中に、ターゲットを位置付けることを容易にするために体腔を拡張することができる。一部の手順では、体腔内に血液及び/又は破片が存在する場合があり、これらの存在は、内視鏡デバイスを通じた画像品質に悪影響を及ぼす場合がある。画像品質を改善するために、内視鏡デバイスを通る流体流れ(例えば、灌流)を用いて体腔を洗浄することができる。一部の手順では、体腔が比較的小さい場合があり、灌流流体が絶えず流れる場合があり、それによって腔内流体圧力及び/又はシステム圧力(例えば、流体管理システム自体内の流体圧力)が増大する場合がある。高い腔内流体圧力及び/又はシステム圧力は、一部の状況では患者に対するリスクをもたらす場合がある。従って、腔内流体圧力及び/又はシステム圧力を制限しながら及び/又は低減しながら良好な可視化を維持するために、体腔内への流体流れ(例えば、灌流)を維持しなければならない。
【0039】
図1は、fURS手順のような内視鏡手順で使用することができる流体管理システム10の概略図である。流体管理システム10は、流体の貫流を可能にする医療デバイス20に結合することができる。一部の実施形態では、流体管理システム10及び/又は医療デバイス20は、少なくとも1つの圧力センサを含むことができる。一部の実施形態では、医療デバイス20は、尿管鏡、膀胱鏡、腎盂尿管鏡、又は別の視鏡デバイスのような内視鏡とすることができる。一部の実施形態では、医療デバイス20は、LithoVue(登録商標)視鏡デバイス又は他の内視鏡とすることができる。一部の実施形態では、医療デバイス20は、流体管理システム10に腔内温度フィードバックを供給する温度センサ、流体管理システム10に腔内圧力フィードバックを供給する圧力センサ、及び/又は視覚フィードバックを供給するカメラを含むことができる。
図1に示す流体管理システム10及び/又は医療デバイス20の一部の特定及び/又は追加の特徴は、
図1に関して具体的に言及しない場合があるが、下記で及び/又は他の図に関して議論する。
図1にはそのような特徴を状況説明目的に示している。
【0040】
簡潔には、流体管理システム10は、流体を流体供給源34(例えば、流体バッグのような)から医療デバイス20及び/又は患者の体内の治療部位に、ある流体流量でポンピング及び/又は移送するように構成された流入ポンプ50を含むことができる。一部の場合に、流体は、医療デバイス20に流入する前に流体加温システム60を通過することができる。流体流量、流体圧力、流体温度、及び/又は他の作動パラメータは、コントローラ48によって制御するか又は少なくとも部分的に制御することができる。コントローラ48は、医療デバイス20、流入ポンプ50、及び/又は流体加温システム60と電子通信(例えば、有線又は無線)して制御指令を供給すること、及び/又はコントローラ48とこれらの間でデータを伝達又は受信することができる。例えば、コントローラ48は、圧力信号及び温度データ等であるがこれらに限定されないデータを医療デバイス20から受信することができる。コントローラ48は、受信データを用いて流入ポンプ50及び/又は流体加温システム60の作動パラメータを制御することができる。
【0041】
流体管理システム10は、流体管理ユニットを更に含む。例示的流体管理ユニットは、1又は2以上の流体供給源34(例えば、1又は2以上の流体バッグ)を各々が支持する1又は2以上の流体容器支持体を含むことができる。流体容器支持体は、例えば、1リットル(L)から5Lまでの流体供給源(例えば、流体バッグ)のような様々なサイズの流体供給源34を受け入れることができる。一部の実施形態では、流体管理ユニットは、使用時に流体管理ユニットの簡易移動を容易にする複数の車輪を含むことができるローリングスタンドに装着することができる。しかし、診療的なプリファレンスに依存して流体供給源34を他の場所から吊り下げることができることは理解されるであろう。流体容器支持体は、ローリングスタンド及び/又はコントローラ48から延びることができ、1又は2以上の流体供給源34を懸架することができる1又は2以上のフックを含むことができる。
【0042】
一部の実施形態では、流体管理ユニットは、回収ドレープ28と流体連通している流出ポンプ又は真空ポンプ24及び回収容器26を含むことができる。一部の実施形態では、真空ポンプ24は、複数の真空ポンプを含むことができる。一部の実施形態では、回収容器26は、互いに及び/又は真空ポンプ24に流体的に接続することができる複数の容器、キャニスタ、及び/又は他の容器を含むことができる。一部の実施形態では、回収ドレープ28は、複数の回収ドレープを含むことができる。真空ポンプ24は、コントローラ48と作動的に及び/又は電子的に接続することができる。一部の実施形態では、
図1に示すように、真空ポンプ24は、回収容器26に隣接するように及び/又はその近くに配置することができる。一部の実施形態では、真空ポンプ24は、流体管理システム10の中に配置することができる。他の構成も考えられている。
【0043】
流体管理システム10は、タッチ画面インタフェース42のような1又は2以上のユーザインタフェース構成要素を更に含むことができる。タッチ画面インタフェース42はディスプレイ44を含み、タッチ機能に加えてスイッチ又はノブを含むことができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、タッチ画面インタフェース42及び/又はディスプレイ44を含むことができる。タッチ画面インタフェース42は、ユーザが、例えば、システム流体圧力、流体温度、又は流量に相関する可能性がある流入ポンプ速度(例えば、毎分回転数rpm)のような流体管理システム10の様々な関数を入力/調節することを可能にする。ユーザは、パラメータ及び警報(システム圧力限界値、流入ポンプ速度限界値、腔内圧力限界値等であるがこれらに限定されない)、表示されることになる情報などを構成することができる。タッチ画面インタフェース42は、ユーザが流体管理システム10内で様々なモジュール式システムの使用を追加すること、変更すること、及び/又は中断することを可能にする。タッチ画面インタフェース42は、様々な手順に向けて流体管理システム10を自動モードと手動モードの間で変更するのに使用することができる。タッチ画面インタフェース42の代わりとして又はこれに加えて、ユーザ入力を受け入れるように構成された他のシステムを使用することができることが考えられている。
【0044】
当業者は理解されるように、タッチ画面インタフェース42は、ボタンのような選択可能区域を含むように構成することができ、及び/又は物理的ボタンと類似の機能を提供することができる。ディスプレイ44は、流体管理システム10内に含まれるモジュール式のシステム及びデバイスに関するアイコンを示すように構成することができる。更に、ディスプレイ44は流量表示を含むことができる。流量表示は、手順の前にユーザによって設定された流量に対する望ましい閾値又は既知の一般的な値等に基づいて決定することができる。一部の実施形態では、作動パラメータは、タッチ画面インタフェース42の対応する部分をタッチすることによって調節することができる。タッチ画面インタフェース42は、パラメータ(例えば、ポンプ速度、流量、圧力、温度のような)が予め決められた閾値及び/又は範囲を上回った又は下回った場合に視覚警告及び/又は聴覚警報を表示することができる。タッチ画面インタフェース42は、手順中にユーザが有利と決定する可能性があるいずれかの他の情報を表示するように構成することができる。一部の実施形態では、流体管理システム10は、任意的な足踏みペダル46、加熱器ユーザインタフェース、流体制御インタフェース、又は様々なモジュール式システムを手動で制御するための他のデバイスのような更に別のユーザインタフェース構成要素を含むことができる。例えば、任意的な足踏みペダル46を用いてポンプ速度、流量、及び/又はシステム圧力を手動で制御することができる。一部の例示的ディスプレイ及び他のユーザインタフェース構成要素は、本発明の出願人に譲渡された「自動流体管理システム(AUTOMATED FLUID MANAGEMENT SYSTEM)」という名称の米国特許出願公開第2018/0361055号明細書に説明されており、この文献の全開示内容は、引用によって本明細書に組み込まれている。
【0045】
タッチ画面インタフェース42は、コントローラ48と作動的に接続することができ、又はその一部とすることができる。コントローラ48は、コンピュータ、タブレットコンピュータ、又は他の処理デバイスとすることができる。コントローラ48は、例えば、流入ポンプ50、流体加温システム60、流体損失管理システムのような1又は2以上のシステム構成要素と作動的に接続することができる。一部の実施形態では、これらの特徴は、単一ユニットの中に統合することができる。コントローラ48は、計算、制御、計算、表示のような様々な機能を実行する機能を有し、これらの機能を実施するように構成される。コントローラ48は、流体管理システム10及びその各構成要素の作動に関するデータを追跡及び格納する機能を更に有する。例示的実施形態では、コントローラ48は、それ自体を例えばローカルエリアネットワークに接続することを可能にするイーサネット又はWi-Fiのような有線及び/又は無線のネットワーク通信機能を含む。コントローラ48は、流体管理システム10の複数のセンサのうちの1又は2以上から信号を受け入れることができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、最良の診療提案及び患者記録の維持の目的でデータベースと通信することができ、これらの提案及び記録は、ディスプレイ44上でユーザに対して表示することができる。
【0046】
流体管理システム10を通る流体の流量又は圧力を調節するために、流体管理ユニットは、流入ポンプ50のような1又は2以上の加圧デバイス又は流れ発生デバイスを含むことができる。一部の実施形態では、流入ポンプ50は、蠕動ポンプとすることができる。一部の実施形態では、流入ポンプ50は、複数のポンプ又は1よりも多いポンプを含むことができる。流入ポンプ50は、電気的に駆動することができ、壁コンセントのような電力線電源、使い捨てバッテリ又は再充電可能バッテリのような外部又は内部蓄電デバイス、及び/又は内部電源から受電することができる。流入ポンプ50は、流体をターゲットシステム圧力及び/又はターゲット流体流量で送出するのに十分なあらゆる望ましい速度で作動させることができる。本明細書で言及するように、コントローラ48は、流入ポンプ50を制御するために1又は2以上の出力を自動的に調節するように構成することができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、流入ポンプ50を制御するための1又は2以上の出力に応答する比例-積分-微分(PID)コントローラを含むことができる。一部の実施形態では、1又は2以上の出力は、比例誤差率、積分誤差率、微分誤差率、及び/又はサンプリング時間を含むことができる。一部の実施形態では、サンプリング時間は、約1ミリ秒から約100ミリ秒(ms)まで、約3msから約90msまで、約5msから約80msまで、約10msから約60msまで、約15msから約50msまで等とすることができる。
【0047】
一部の実施形態では、流入ポンプ50を制御するための1又は2以上の出力は、例えば、任意的な足踏みペダル46、タッチ画面インタフェース42、又は個別の流体コントローラを通して手動で調節することができる。指定していないが、コントローラ48は、ユーザが流入ポンプ50の速度及び/又は出力を増大又は低減することを可能にするボタンを含む個別のユーザインタフェースを含むことができる。一部の実施形態では、流体管理システム10は、様々な流送機能を有する複数のポンプを含むことができる。流体管理システム10のパラメータ及び/又は特性は、一般的に予め既知であるので、流入ポンプ速度を流体管理システム10内の流量に相関させることができる。これに加えて又はこれに代えて、一部の実施形態では、流体管理システム10は、実流体流量を測定するための流量センサ77(例えば、
図4)を含むことができる。流量センサ77は、コントローラ48と作動的に接続することができ、流量センサ77からのデータをコントローラ48が用いて選択したシステムパラメータを変更することができる。
【0048】
いずれかの変化に関する手術室(OR)視認性を与えるために、いずれか所与の時点で流入ポンプ速度、流体流量、及び/又はシステム圧力をディスプレイ44上に表示することができる。過度に高い又は過度に低いいずれかの流入ポンプ速度、流体流量、及び/又はシステム圧力の変化にORスタッフが気付いた場合に、ユーザは、流入ポンプ50、及び/又は流入ポンプ速度、流体流量、及び/又はシステム圧力を好ましいレベルに戻るように制御するために1又は2以上の出力を手動で調節することができる。一部の実施形態では、流体管理システム10及び/又はコントローラ48は、本明細書で議論するように流入ポンプ50を制御するための1又は2以上の出力をモニタして自動的に調節することができる。
【0049】
図2~
図3は、流体管理システム10と併用することができる医療デバイス20の態様を示している。一部の実施形態では、流体管理システム10及び/又はコントローラ48は、本明細書で議論するように、複数の医療デバイス20と共に作動するように構成することができ、及び/又はこれらの医療デバイス20のうちのどれが流入ポンプに流体的に接続されているかを検出するように構成することができる。一部の実施形態では、複数の医療デバイス20は、尿管鏡、膀胱鏡、腎盂尿管鏡、又は別の視鏡デバイスのような内視鏡のうちの1又は2以上を含むことができる。以下の議論は、便宜上かつ簡潔化の目的で単数の医療デバイス20を参照する。医療デバイス20に関して説明するいずれか又は全ての特性及び/又は構成は、複数の医療デバイス20のうちの1つ、いくつか、又は全てに当て嵌めることができることは理解されるものとする。
【0050】
一部の実施形態では、医療デバイス20は、患者の体内の治療部位にアクセスするように構成された細長シャフト76を通して流体を流体管理システム10及び/又は流入ポンプ50から治療部位に送出されるように構成することができる。一部の実施形態では、流入ポンプ50は、医療デバイス20及び/又は細長シャフト76と流体連通することができる。細長シャフト76は、流体流れ及び/又は他の医療デバイスをその中に通して受け入れるための1又は2以上の作動管腔を含むことができる。医療デバイス20は、例えば、
図1に見られるように1又は2以上の供給ライン78(例えば、チューブ)を通して流体管理システム10に接続される。
【0051】
一部の実施形態では、医療デバイス20は、有線接続部79を通してワークステーション81と電子通信することができる。ワークステーション81は、特徴部の中でも取りわけ、タッチパネルコンピュータ83と、有線接続部79を受け入れるためのインタフェースボックス85と、カート87と、電源89とを含むことができる。一部の実施形態では、インタフェースボックス85は、流体管理システム10のコントローラ48との有線又は無線の通信接続部91を有するように構成することができる。タッチパネルコンピュータ83は、少なくとも表示画面と画像処理プロセッサとを含むことができる。一部の実施形態では、ワークステーション81は、多回使用構成要素(例えば、1回よりも多い回数の手順に使用される)とすることができ、それに対して医療デバイス20は単回使用デバイスとすることができるが、これは必須ではない。一部の実施形態では、ワークステーション81は、除外することができ、医療デバイス20は、流体管理システム10のコントローラ48に電子的に直接に結合することができる。
【0052】
一部の実施形態では、流体管理システム10から医療デバイス20への1又は2以上の供給ライン78は、流入ポンプ50によって達成される蠕動運動を減衰させることを補助する材料で形成することができる。一部の実施形態では、供給ライン78は、直径が1/16インチ(1.5875ミリメートル)よりも小さいか又はそれに等しい小径の配管から形成することができる。しかし、配管のサイズは、用途に基づいて異なる場合があることは理解されるであろう。供給ライン78及び/又は配管は、使い捨て用品とし、無菌かつ直ぐに使用可能な状態で与えることができる。流体管理システム10内の様々な機能に対して異なるタイプの配管を使用することができる。例えば、1つのタイプの配管は、医療デバイス20への流体の加熱及び流体流れの制御に使用することができ、それに対して別のタイプの配管は、身体内及び/又は治療部位内の灌流に使用することができる。
【0053】
図2に見られるように、医療デバイス20は、細長シャフト76の遠位端80の近位に1又は2以上のセンサを含むことができる。例えば、医療デバイス20は、治療部位内の腔内圧力を測定するための遠位圧力センサ74を細長シャフト76の遠位端80に含むことができる。医療デバイス20は、例えば、温度センサ72、応力を検出するためのファイバブラッグ回折格子光ファイバ75、及び/又はアンテナ又は電磁センサ93(例えば、位置センサ)のような他のセンサを更に含むことができる。一部の実施形態では、医療デバイス20の細長シャフト76の遠位端80は、タッチパネルコンピュータ83の表示画面上でユーザに対して視覚フィードを提供するために少なくとも1つのカメラ70を更に含むことができる。別の実施形態では、医療デバイス20は、各々で異なる情報をユーザに伝えることができるように異なる通信要件又は通信プロトコルを有する2つのカメラ70を含むことができる。そのように設けられた時に、ユーザは、タッチ画面インタフェース42及び/又はタッチパネルコンピュータ83を通してこれらのカメラ70間で任意に切り換えを行うことができる。指定していないが、細長シャフト76は、流体及び/又は他の医療デバイスを受け入れるための1又は2以上の作動管腔を含むことができる。
【0054】
一部の実施形態では、使用中に細長シャフト76の遠位端80の場所を追跡することができる。例えば、マッピング及びナビゲーションシステムは、既知の幾何学形状の磁場を発生させるための電磁発生器としての役割又は作用をするように構成された手術台(又は他の手順又は検査の台又は椅子のような)を含むことができる。これに代えて又はこれに加えて、手術台とは個別の電磁発生器を設けることができる。手術台及び/又は電磁発生器は、特徴の中でも取りわけ、プロセッサ、メモリ、ディスプレイ、及び入力手段を含むことができる制御ユニットに結合することができる。位置センサ(例えば、電磁センサ93のような)又は他のアンテナは、医療デバイス20の細長シャフト76の遠位端80の中に組み込むことができる。位置センサは、マッピング及びナビゲーションシステムの磁場での位置センサの場所を感知する使用に適するように構成することができる。一部の実施形態では、位置センサは、ワークステーション81に電子的に結合することができる。位置センサが磁場内にある時に、電磁場発生源(例えば、手術台及び/又は電磁発生器)に対する位置センサの場所は、数学的に決定することができる。患者に対する位置センサの位置を決定するために、ワークステーション81と制御ユニットとが通信することができる。
【0055】
医療デバイス20は、細長シャフト76の近位端に結合されたハンドル82を含む。一部の実施形態では、ハンドル82は、流体がいつ医療デバイス20を通って治療部位の中に流れ込むかをユーザが制御することを可能にする流体流れ始動/停止スイッチを有することができる。ハンドル82は、他の様々な機能を実施する他のボタンを更に含むことができる。例えば、一部の実施形態では、ハンドル82は、流体の温度を制御するためのボタンを含むことができる。この例示的実施形態は、尿管鏡を説明しているが、上記で詳述した特徴は、膀胱鏡、内視鏡、子宮鏡、又は撮像機能を有する事実上あらゆるデバイスの中に直接統合することができることは理解されるであろう。一部の実施形態では、医療デバイス20は、その1又は2以上の作動管腔のうちの少なくとも1つに流体的に接続された作動管腔アクセスポート88を更に含むことができる。例えば、手順中に使用される医療器具又は医療ツールは、医療デバイス20の1又は2以上の作動管腔の中に作動管腔アクセスポート88を通して挿入することができる。
【0056】
一部の実施形態では、流体管理システム10は、患者に送出される流体を加熱するための流体加温システム60を含むことができる。
図4に示す一部の詳細を有する流体加温システム60は、加熱器62と加熱器カセット64とを含むことができる。加熱器カセット64は、単回使用加熱器カセット64であるように構成することができ、それに対して加熱器62は、複数回の手順に再使用することができる。例えば、加熱器カセット64は、加熱器62を最小限の保守しか伴わずに再使用することができるように流体流れを隔離することができる。加熱器カセット64は、例えば、ポリカーボネート又はいずれかの高熱定格生体適合性プラスチックで形成することができ、単一の単体部品及び/又は一体形成部品又は互いに永久接合された複数の部品として形成される。一部の実施形態では、加熱器カセット64は、その側面に位置付けられた流体入口ポート61と流体出口ポート63とを含むことができる。流体入口ポート61及び流体出口ポート63の各々は、流体管理システム10の供給ライン78に結合するように構成することができる。例えば、流体入口ポート61は、流体供給源34を流体加温システム60と結合することができ(流入ポンプ50を通して)、それに対して流体出口ポート63は、流体加温システム60を医療デバイス20と結合することができ、これらの各結合は、供給ライン78を通じたものである。
【0057】
一部の実施形態では、加熱器カセット64は、流体が流体入口ポート61から流体出口ポート63に貫流することができるチャネルに沿って内部流路を含むことができる。加熱器カセット64、チャネル、及び/又は内部流路は、1又は複数の流体流路を含むことができる。一部の実施形態では、チャネルは、誘導加熱によって流体を加熱することを可能にすることができるサセプタ66を通過することができる。加熱器カセット64が加熱器62と結合される時に、サセプタ66は、誘導コイル68の中に配置されるように構成することができる。必要に応じて、他の流体加温のシステム構成及び方法を使用することができる。例えば、加熱器62は、例えば、電気エネルギを使用するプラテンシステム又は直列コイルのような1又は2以上の熱源を供給ライン78内に含むことができる。加熱は、流体管理システム10の特定の用途で必要とされる流入ポンプ速度、流体流量、及び/又はシステム圧力に合わせて特別に設計し、かつ適応させることができる。一部の例示的流体加温システムは、本発明の出願人に譲渡された「自動流体管理システム(AUTOMATED FLUID MANAGEMENT SYSTEM)」という名称の米国特許出願公開第2018/0361055号明細書に説明されており、この文献の全開示内容は、引用によって本明細書に組み込まれている。
【0058】
指定していないが、流体加温システム60は、タッチ画面インタフェース42とは個別の加熱器ユーザインタフェースを含むことができる。加熱器ユーザインタフェースは、単純に、加熱器62の内部温度のデジタル表示を提供する表示画面とすることができる。別の実施形態では、このユーザインタフェースは、加熱器62の温度を上昇又は低減するための温度調節ボタンを更に含むことができる。この実施形態では、加熱器ユーザインタフェース及び/又は表示画面は、加熱器62の現在温度、並びに到達されるターゲット温度を示すことができる。加熱器ユーザインタフェースが必要ではないように、流体加温システム60から出力される全ての情報をディスプレイ44に直接伝達することができることに注意されたい。
【0059】
流体加温システム60は、その中を貫流する流体をモニタするように構成された1又は2以上のセンサを含むことができる。例えば、加熱器カセット64の中を貫流する流体の温度を検出するような温度センサ65を流体加温システム60内に装着することができる。温度センサ65は、流体入口ポート61及び/又は流体出口ポート63に又はこれらの近くに位置付けることができる。一部の実施形態では、温度センサ65は、加熱器カセット64を貫流する流体の温度を流体がサセプタ66に流入する前及び流体がサセプタ66から流出した後に検出するように装着することができる。一部の実施形態では、加熱器カセット64内の流体の温度増大の推移を検出するような追加のセンサをサセプタ66の中間部分に位置付けることができる。温度センサ65は、いずれかの情報をディスプレイ44にリモート送信することができ、又はそのように設けられた場合に加熱器ユーザインタフェース及び/又はその表示画面に情報を送信することができる。別の実施形態では、温度センサ65は、加熱器ユーザインタフェースと結線することができ(設けられる場合に)、この場合に、加熱器ユーザインタフェースは、望ましい情報をディスプレイ44にリモート送信することができる。これに代えて又はこれに加えて、温度センサ65は、コントローラ48に及び/又はそれと結線することができる。
【0060】
加熱器62は、システム圧力をモニタするように構成された少なくとも1つの圧力センサ67、及び/又はシステムを貫流する流体を気泡に関してモニタするように構成された気泡センサ69を更に含むことができる。加熱器カセット64は、それが流体加温システム60と結合されている時に少なくとも1つの圧力センサ67及び気泡センサ69それぞれが加熱器カセット64を貫流する流体をモニタすることを可能にする対応する圧力センサインタフェース71及び気泡センサインタフェース73を含むことができる。少なくとも1つの圧力センサ67及び/又は気泡センサ69は、コントローラ48、ディスプレイ44に、及び/又はそのように設けられた場合に加熱器ユーザインタフェース及び/又はその表示画面に情報をリモートで及び/又は自動的に送ることができる。コントローラ48は、流体管理システム10内のシステム圧力に対応する圧力信号を少なくとも1つの圧力センサ67から受信するように構成することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの圧力センサ67及び/又は気泡センサ69は、加熱器ユーザインタフェースと結線することができ(設けられる場合に)、この場合に、加熱器ユーザインタフェースは、望ましい情報をディスプレイ44にリモート送信することができる。これに代えて又はこれに加えて、少なくとも1つの圧力センサ67及び/又は気泡センサ69は、コントローラ48に及び/又はそれと結線することができる。
【0061】
一部の実施形態では、少なくとも1つの圧力センサ67は、1つ、2つ、3つ、又は4つ以上の圧力センサを含むことができる。2又は3以上の圧力センサを有する一部の実施形態では、個々の圧力センサを互いに離間させることができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの圧力センサ67は、流入ポンプ50の下流に配置することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの圧力センサ67は、医療デバイス20の上流に配置することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの圧力センサ67は、流入ポンプ50の下流かつ医療デバイス20の上流に配置することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの圧力センサ67は、流入ポンプ50の下流で流体管理システム10内のシステム圧力を検出するように構成することができる。
【0062】
一部の実施形態では、加熱器カセット64は、全体的に流体リザーバとして作用することができる。明示的には図示しないが、加熱器カセット64の流体リザーバは、蠕動振動を低減するための振動緩衝器と、加熱器カセット64を貫流する流体を加熱する前及び/又はした後に気泡を除去するための1又は2以上の空気トラップとを含むことができる。一部の実施形態では、振動緩衝器と1又は2以上の空気トラップとは、合わさって流体リザーバとして作用することができる。加熱器カセット64の流体リザーバ内の流体液位は、加熱器カセット64の中にポンピングされる流体の流入量と加熱器カセット64から流出する(医療デバイス20及び/又は患者に流れる)流体の流出量との間の比率に基づいて上下する場合がある。加熱器カセット64から流出する流体の流出量は、加熱器カセット64の流体リザーバと細長シャフト76の遠位端80との間の圧力勾配又は圧力差により、更に流路に沿う液圧抵抗によって制御及び/又は制御することができる。
【0063】
一部の実施形態では、システム圧力のみがコントローラ48への入力として利用可能である(例えば、医療デバイス20内に遠位圧力センサ74が存在しない)。そのような実施形態では、加熱器カセット64の流体リザーバ内の流体液位は、
図5に示す挙動によって制御される。
図5では、コントローラ48は、流入ポンプ速度100を制御するための1又は2以上の入力を流入ポンプ50(例えば、
図1)に送る。流入ポンプ速度100は、流体リザーバ102内への流体の流入に寄与する。流体リザーバ102は、リザーバ空気圧104を有する可能性がある(流体リザーバ102が流体で満たされていない時)。少なくとも1つの圧力センサ67によって得られた圧力信号及び/又はシステム圧力110は、流体リザーバ102からコントローラ48に送り返され、この場合に、コントローラ48は、圧力信号及び/又はシステム圧力110を評価し、望ましい作動を維持する必要性に応じて流入ポンプ50への1又は2以上の出力を維持するか又は調節する。流体は、流体リザーバ102から1又は2以上の作動管腔を通って治療部位112(例えば、体腔、尿管、膀胱、腎臓など)まで流れることができる(例えば、参照番号106)。背圧108が、流体リザーバ102内の流体液位及び/又は圧力に影響を及ぼす場合があり、従って、システム圧力110に影響を及ぼす場合がある。流体は、治療部位112から排出及び/又は流出する可能性もあり、この流れは、背圧108及び/又はシステム圧力110に悪影響を及ぼす場合がある。この作動構成は、遠位圧力センサ74を欠くいずれかの適用可能な視鏡デバイスと併用することができ、この構成を「独立制御構成」と呼ぶ場合がある。従って、少なくとも一部の実施形態では、コントローラ48は、複数の医療デバイス20のうちのどれが流入ポンプ50に流体的に接続されているかに基づいて及び/又は遠位圧力センサ74及び/又はそれからの腔内圧力信号の不在時に独立制御構成で作動するように構成することができる。
【0064】
一部の実施形態では、
図5に示す独立制御構成は、遠位圧力センサ74及び/又は腔内圧力116の存在によって修正することができる。
図5に見られるように、腔内圧力116は、遠位圧力センサ74が治療部位112からコントローラ48に送ることができ、この場合に、腔内圧力116を全体の制御論理の中に組み込むことができる。コントローラ48は、望ましい作動を維持する必要性に応じて流入ポンプ50への1又は2以上の出力を維持するか又は調節する。例えば、遠位圧力センサ74からの腔内圧力116を用いて、流入ポンプ速度100を制御するための流入ポンプ50への1又は2以上の出力を調節することによって治療部位内の圧力を制限することができる。この作動構成は、遠位圧力センサ74を有するいずれかの適用可能な視鏡デバイスと併用することができ、この構成を「相互運用制御構成」と呼ぶ場合がある。従って、少なくとも一部の実施形態では、コントローラ48は、複数の医療デバイス20のうちのどれが流入ポンプ50に流体的に接続されているかに基づいて及び/又は遠位圧力センサ74及び/又はそれからの腔内圧力116の信号の存在時に相互運用制御構成で作動するように構成することができる。
【0065】
各構成では、流体管理システム10は、2つの異なるモード、すなわち、「圧力制御モード」又は「流量補償モードモード」のうちの一方で作動させることができる。圧力制御モードでは、コントローラ48は、ユーザがタッチ画面インタフェース42上で入力することができるシステム圧力設定値にシステム圧力を保持及び/又は維持するために様々なシステムパラメータ及び/又は流入ポンプ50への1又は2以上の出力を調整することになる。一部の実施形態では、システム圧力設定値は、複数の医療デバイス20のうちのどれが流入ポンプ50に流体的に接続されているかに基づいて自動的に設定及び/又は選択することができる。本明細書で議論するように、システム圧力は、流体管理ユニット内の少なくとも1つの圧力センサ67によって測定することができる。
【0066】
一部の実施形態では、流体管理システム10は、医療デバイス20の第1の作動管腔に流体的に接続することができる。従って、流体管理システム10は、そこから医療デバイス20を通って治療部位に至る流体の流入を制御するように構成することができる。少なくとも一部の実施形態では、医療デバイス20の第1の作動管腔を用いて、医療器具又は医療ツールは、医療デバイス20を通して治療部位まで挿入することができる。医療器具又は医療ツールの挿入は、第1の作動管腔を部分的に閉塞させ、従って、流体の流入の流れ特性及び/又は圧力特性に影響を及ぼす場合がある。
【0067】
図6Aに示すように、流体管理システム10が独立制御構成の圧力制御モードで作動している時に、第1の作動管腔を通る流入流体の流量は、流入ポンプ50が起動された後に増加する。医療器具又は医療ツールが第1の作動チャネルの中に挿入された時に、流入ポンプ50の速度(例えば、毎分回転数rpm)に相関する流量は減少し始め、医療器具又は医療ツールが完全に挿入されると安定することになる。しかし、流入流体の流量は、非閉塞の第1の作動管腔内のものよりも低くなる。同時に、
図6Bに示すように、システム圧力110は、コントローラ48によって圧力信号及び/又はシステム圧力110が受信されていることでコントローラ48によって維持及び/又は保持されることになる。医療器具又は医療ツールが完全に挿入されると、システム圧力110は、元の流量の少なくとも一部分を回復するために若干増大するが、システム圧力110は、システム圧力限界値及び/又は医療デバイス損傷限界値によって制限されることになる。一部の実施形態では、システム圧力限界値及び/又は医療デバイス損傷限界値は、ユーザがタッチ画面インタフェース42を用いて入力及び/又は選択することができる。一部の実施形態では、システム圧力限界値及び/又は医療デバイス損傷限界値は、複数の医療デバイス20のうちのどれが流入ポンプ50に流体的に接続されているかに基づいて自動的に設定及び/又は選択することができる。
【0068】
流体管理システム10が代わりに独立制御構成の流量補償モードで作動する場合に、システム圧力110は、相応に、増大した後に流量を回復することができる。遠位圧力センサ74からの腔内圧力116が利用可能である場合に、それを組み込むことによって流量を回復するための応答時間を改善することができる。腔内圧力116により、流体管理システム10の両端の圧力降下(例えば、圧力勾配)をシステム圧力110単独の場合よりも迅速に検出することができる。従って、流体管理システム10が相互運用制御構成の流量補償モードで作動している時に、
図7Bに示すように、腔内圧力116の降下が検出された時にシステム圧力110は単純に増大することになり、
図7Aに示すように、流量は、その元のレベルにより迅速に及び/又はより近くまで回復されることになる。
【0069】
一部の実施形態では、相互運用制御構成で作動している時に、コントローラ48は、システム圧力設定値、システム圧力限界値、及び医療デバイス損傷限界値に応答して洗浄を選択的に実行するように構成することができる。少なくとも一部の実施形態では、システム圧力設定値、システム圧力限界値、及び医療デバイス損傷限界値は、複数の医療デバイス20のうちのどれが流入ポンプ50に流体的に接続されているかに基づいて自動的に選択することができる。洗浄流は、医療デバイス20の第1の作動管腔を通して治療部位に送られる個別の流体ボーラスとすることができる。一部の実施形態では、洗浄流は、医療デバイス20の上述の作動管腔又は医療デバイス20の異なる作動管腔を通して治療部位に送ることができる。一部の実施形態では、必要に応じてタッチ画面コントローラ42を用いて洗浄を発生させること、起動すること、及び/又は開始することができる。一部の実施形態では、必要に応じて任意的な足踏みペダル46を用いて洗浄を発生させること、起動すること、及び/又は開始することができる。一部の実施形態では、洗浄は、システム圧力110を予め決められた期間にわたって予め決められた量だけ増大させるように構成することができる。
【0070】
図8A~
図8Dは、洗浄に関する様々な構成を示している。洗浄を実行する時に、許容流体圧力は、主治医によって行われる医療決定及び/又は関与する機器の設計限界に関連付けることができる。一部の実施形態では、コントローラ48のユーザインタフェースは、任意的な洗浄優先化を含むことができ、これは、医師が事前設定及び/又は事前選択するシステム圧力限界値を超えることが望ましい場所及び/又は時間を担当医によって起動することができる。
【0071】
図8Aは、流体管理システム10がシステム圧力設定値で作動しており、洗浄が起動された場合を示している。
図8Aに示す場合では、洗浄からの圧力変化を受け入れるのに十分過ぎるほど、システム圧力設定値がシステム圧力限界値を下回っているので、洗浄に関連付けられた流体圧力の変化は、システム圧力限界値よりも小さい。従って、洗浄は、通常かつ完全に実行することが許容され、洗浄を起動及び/又は実行するのに洗浄優先化を必要としない。
【0072】
図8Bは、流体管理システム10が、システム圧力限界値により近いシステム圧力設定値で作動しており、洗浄に関連付けられた圧力変化が、システム圧力限界値とシステム圧力設定値の間の差よりも大きい場合を示している。この場合に、洗浄が起動された時に、予め決められた洗浄量がシステム圧力限界値を超えることになるとコントローラ48が判断した場合に、通知が表示され、ユーザインタフェース上で洗浄優先入力が利用可能及び/又は有効にされる。
図8Bに示す場合では、洗浄制御優先化は選択されていない。従って、システム圧力限界値を超える予め決められた量の洗浄は、その量がシステム圧力限界値に抑制される。従って、洗浄は、システム圧力限界値まで部分的にのみ実行することが許される。
【0073】
図8Cは、ユーザインタフェース上で洗浄制御優先が選択及び/又は起動されたことを除いて
図8Bと類似の場合を示している。取りわけ、
図8Cの場合に、洗浄に関連付けられた圧力変化は、システム圧力限界値とシステム圧力設定値の間の差よりも大きく、医療デバイス損傷限界値とシステム圧力設定値の間の差よりも小さい。この場合に、洗浄が起動された時に、予め決められた洗浄量がシステム圧力限界値を超えることになるとコントローラ48が判断した場合に、通知が表示され、ユーザインタフェース上で洗浄優先入力が利用可能及び/又は有効にされる。洗浄優先入力の起動は、コントローラが、医療デバイス損傷限界値までの予め決められた量だけシステム圧力限界値を越えることを可能にする。洗浄優先が承認されているので、洗浄を完全に実行することが許容され、洗浄がシステム圧力限界値を超えている時間中に通知が表示される。
【0074】
図8Dは、洗浄に関連付けられた圧力変化がシステム圧力限界値とシステム圧力設定値の間の差よりも大きく、かつ医療デバイス損傷限界値とシステム圧力設定値の間の差よりも大きい場合を示している。この場合に、洗浄が起動された時に、予め決められた洗浄量がシステム圧力限界値を超えることになるとコントローラ48が判断した場合に、通知が表示され、ユーザインタフェース上で洗浄優先入力が利用可能及び/又は有効にされる。洗浄優先入力の起動は、コントローラ48が、システム圧力限界値を医療デバイス損傷限界値までの予め決められた量だけ超えることを可能にする。洗浄制御優先が承認されているので、洗浄を医療デバイス損傷限界値まで部分的に実行することが許され、洗浄がシステム圧力限界値を超えている時間中に通知が表示される。医療デバイス損傷限界値を超える予め決められた量の洗浄は、その量は医療デバイス損傷限界値に抑制される。
【0075】
一部の実施形態では、流体管理システム10は、本明細書で議論するように、医療デバイス20の遠位端80に配置された遠位圧力センサ74を含む。一部の実施形態では、遠位圧力センサ74は、洗浄によって引き起こされるその場圧力の増大をモニタするように構成することができる。コントローラ48は、その場圧力が予め決められたその場圧力限界値よりも下に留まるように洗浄の予め決められた量及び/又は予め決められた期間を制限するように構成することができる。少なくとも一部の実施形態では、その場圧力限界値は、ユーザ及び/又は担当医がユーザインタフェース及び/又はタッチ画面インタフェース42を用いて設定することができる。
【0076】
独立制御構成と相互運用制御構成との両方に関して、圧力と流量の間の関係は、流体管理システム10によってサポートされている及び/又はされることになる様々な異なる医療デバイスにわたって有意に変化する可能性があることは認められるであろう。例えば、
図9は、複数の医療デバイス20の各々のものに関してシステム圧力と流量とを関連付けるデータ曲線を示す(流量は、流入ポンプ50の毎分回転数rpmに相関し、これらのデータ曲線を確立するために毎分回転数rpmのデータ点を流量と入れ替えることができる)。同様に、
図9は、3つの異なる医療デバイスに関するデータ曲線を示すが、追加のデータ曲線をコントローラ48内に含める及び/又はコントローラ48によって使用することができることも認められるであろう。一部の実施形態では、複数の医療デバイス20は、異なるタイプの医療デバイス、異なるサイズの医療デバイス、及び/又は異なる銘柄又は製造業者の単一タイプの医療デバイスを含むことができる。他の構成も考えられている。
【0077】
図9は、空の及び/又は非閉塞の作動管腔を有する第1の医療デバイスに関するデータ曲線を参照番号200の場所に、更に医療器具又は医療ツールが作動管腔の中に配置された第1の医療デバイスに関するものを参照番号202の場所に例示し、空の及び/又は非閉塞の作動管腔を有する第2の医療デバイスに関するデータ曲線を参照番号210の場所に、更に医療器具又は医療ツールが作動管腔の中に配置された第2の医療デバイスに関するものを参照番号212の場所に例示し、空の及び/又は非閉塞の作動管腔を有する第3の医療デバイスに関するデータ曲線を参照番号220の場所に、更に医療器具又は医療ツールが作動管腔の中に配置された第3の医療デバイスに関するものを参照番号222の場所に例示している。これらのデータ曲線は、既知のもの及び/又は机上評価データに基づくとすることができる。
図9に見ることができるように、各医療デバイス20及び/又は医療器具又は医療ツールが加えられた医療デバイス20は、グラフ上に異なる関係及び/又は線を定める。これらのデータ曲線は、コントローラ48の中に事前組み込みすることができる。これらの事前組み込みデータ曲線を用いて、コントローラ48は、複数の医療デバイス20のうちのどれが流入ポンプ50に流体的に接続されているかを流体管理システム10内のシステム圧力と流入ポンプ50の毎分回転数rpmとに基づいて決定するように構成することができる。コントローラ48は、複数の医療デバイス20のうちのどれが流入ポンプ50に流体的に接続されているかを検出するために、現在及び/又は実際のシステム圧力及び流入ポンプ速度(例えば、流量)のデータは、複数の医療デバイス20に関するシステム圧力及び流入ポンプ速度(例えば、流量)に関する既知及び/又は事前組み込みデータ曲線と比較するように構成することができる。他の構成も考えられている。
【0078】
一部の実施形態では、加熱器カセット64の流体リザーバの固定の容積は、全ての利用可能医療デバイスに対する流量補償モードを受け入れることができない場合がある。例えば、より大きい孔の作動管腔を有する医療デバイスは、高い流量に到達することができる可能性があるが、流入ポンプ50は、より高いシステム圧力に到達するほど十分な場所まで速度を十分に増大させることができない場合がある。一部の実施形態では、ファジー論理アルゴリズムを利用して圧力制御モードと流量補償モード中の切り換えを容易にすることができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、複数の医療デバイス20のうちのどれが流入ポンプ50に流体的に接続されているかに基づいて流量補償モードを自動的に有効にするように構成することができる。
【0079】
図10は、コントローラ48によって使用することができるファジー論理アルゴリズムの例を例示している。コントローラ48は、流入ポンプ50の毎分回転数rpm(又は必要に応じて流量)及びシステム圧力の計算結果として出力係数(OF)を計算する。例えば、コントローラ48は、流入ポンプ50の毎分回転数rpmを取得してシステム圧力によって割り算することによって出力係数(OF)を計算することができる。流量、流入対流出流体体積、圧力変化率、毎分回転数rpm変化率などを含むがこれらに限定されない出力係数(OF)を計算するのに使用するための他の構成及び/又は変数も考えられている。
【0080】
次に、コントローラ48は、出力係数(OF)を既知の範囲(例えば、範囲1、範囲2、範囲3のような)のセットと比較する。一例では、範囲1は、((OF>0)及び(OF<x))に対応することができ、範囲2は、((OF≧x)及び(OF<y))に対応することができ、範囲3は、((OF≧y)及び(OF<z))に対応することができる。必要に応じて、追加の範囲を追加する及び/又は含めることができる。一部の実施形態では、各既知の範囲(例えば、範囲1、範囲2、範囲3のような)は、複数の医療デバイス20のうちの1つに対応することができる。各既知の範囲は、流入ポンプ50を制御するための1又は2以上の入力(例えば、Kp、Ki、Kd、SRのような)を定めることができる。説明する例では、Kpは比例誤差率に対応し、Kiは積分誤差率に対応し、Kdは微分誤差率に対応し、SRはサンプリング速度に対応する。他の構成も考えられている。各既知の範囲は、流体管理システム10のパラメータ(例えば、流入ポンプ50の毎分回転数rpmのような)を調節するのに使用されるKp出力、Ki出力、Kd出力、及びSR出力の対応する異なる値(例えば、aからdまでの各々、eからhまでの各々のような)を有することができる。例えば、コントローラ48は、出力係数が範囲1内であること(従って、第1の医療デバイスタイプが流体管理システム10に取り付けられていること)を決定した場合に、出力を第1のKp値、第1のKi値、第1のKd値、及び第1のSR値に自動的に設定する。コントローラ48は、出力係数が範囲2内であること(従って、第2の医療デバイスタイプが流体管理システム10に取り付けられていること)を決定した場合に、出力を第2のKp値、第2のKi値、第2のKd値、及び第2のSR値に自動的に設定する。コントローラ48は、出力係数が範囲3内であること(従って、第3の医療デバイスタイプが流体管理システム10に取り付けられていること)を決定した場合に、出力を第3のKp値、第3のKi値、第3のKd値、及び第3のSR値に自動的に設定する。
【0081】
一部の実施形態では、システム圧力設定値、システム圧力限界値、医療デバイス損傷限界値等は、複数の医療デバイス20のうちのどれが流入ポンプ50に流体的に接続されているかに基づいて自動的に選択及び/又は設定することができる。一部の実施形態では、システム圧力設定値、システム圧力限界値、医療デバイス損傷限界値等は、既知の範囲のセットに関連付けることができる。例えば、コントローラ48は、出力係数(OF)が範囲1内である時に、システム圧力設定値、システム圧力限界値、医療デバイス損傷限界値等に対して第1の設定群を自動的に選択することができ、出力係数(OF)が範囲2内である時に、システム圧力設定値、システム圧力限界値、医療デバイス損傷限界値等に対して第1の設定群と異なる第2の設定群を自動的に選択することができ、出力係数(OF)が範囲3内である時に、システム圧力設定値、システム圧力限界値、医療デバイス損傷限界値等に対して第1の設定群と第2の設定群との両方とは異なる第3の設定群を自動的に選択することができる。他の構成も考えられている。
【0082】
次に、1又は2以上の出力(for_example、Kp、Ki、Kd、及びSR)は、コントローラ48に関連付けられたPIDコントローラに送られる。コントローラ48及び/又はPIDコントローラは、検出範囲、従って、事前設定出力値(すなわち、Kp、Ki、Kd、及びSR)に基づいて流入ポンプ速度(例えば、毎分回転数rpm)を流入ポンプ50に送ることができる。一部の実施形態では、流入ポンプ50と少なくとも1つの圧力センサ67とは、互いに「プラント」と呼ぶ場合がある。従って、流入ポンプ速度データは、コントローラ48及び/又はPIDコントローラによってプラントに送ることができる。システム圧力は、流入ポンプ速度に少なくとも部分的に依存するので、流入ポンプ速度(例えば、毎分回転数rpm)及びシステム圧力は、コントローラ48及び/又はファジー論理アルゴリズムの中にフィードバックされる。システム圧力は、システム圧力設定値に対しても比較されてシステム圧力とシステム圧力設定値の間の誤差差異が決定され、誤差差異は、プロセッサに送られて1又は2以上の出力の精度を上げるのに必要に応じて使用することができる。一部の実施形態では、流体管理システム10、コントローラ48、及び/又はPIDコントローラは、それらの設定をシステム内の変化(例えば、医療デバイスが挿入される、引き戻される、変更される時のような)に対して最も高速な応答時間を最も高い安定性で与えるように適応させようと試みる。
【0083】
当業者は、本発明の開示を本明細書に説明されてかつ考えられている特定の実施形態以外の様々な形態に出現させることができることを認識するであろう。従って、形態及び詳細での新たな試みは、特許請求の範囲に言及する本発明の範囲及び精神から逸脱することなく行うことができる。
【0084】
本明細書に開示するシステムの様々な構成要素及びその様々な要素に使用することができる材料は、一般的に医療デバイスに関わるものを含むことができる。簡略化の目的で、以下の議論は、システムに関するものである。しかし、この議論は、流体管理システム、医療デバイス、細長シャフト、流入ポンプ、流体加温システム、コントローラ、供給ライン、ハンドル、ワークステーション、表示画面、流体供給源、回収容器、及び/又はその要素又は構成要素等であるがこれらに限定されない本明細書に開示する他の要素、部材、構成要素、又はデバイスに当て嵌めることができるので、本明細書に説明するデバイス及び方法は、限定するように意図したものではない。
【0085】
一部の実施形態では、システム及び/又はその構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(その一部の例を下記に開示する)、金属-ポリマー複合材、セラミック、及びその組合せなど、又は他の適切な材料から製造することができる。
【0086】
適切なポリマーの一部の例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、DuPontから利用可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えば、DSM Engineering Plasticsから利用可能なARNITEL(登録商標))、エーテル系又はエステル系のコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタラート及び/又は他のポリエステルエラストマー、例えば、DuPontから利用可能なHYTREL(登録商標))、ポリアミド(例えば、Bayerから利用可能なDURETHAN(登録商標)又はElf Atochemから利用可能なCRISTAMID(登録商標))、弾性ポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、PEBAX(登録商標)という商品名の下で利用可能)、エチレンビニルアセタートコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、MARLEX(登録商標)密度ポリエチレン、MARLEX(登録商標)低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン12(EMS American Grilonから利用可能なGRILAMID(登録商標)のような)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリビニリデンクロリド(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS50A)、ポリカーボネート、ポリウレタンシリコーンコポリマー(例えば、Aortech BiomaterialsからのElastEon(登録商標)又はAdvanSource BiomaterialsからのChronoSil(登録商標))、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、又はこれらの混合物、組合せ、コポリマー、及びポリマー/金属複合材などを含むことができる。一部の実施形態では、シースは、液体結晶ポリマー(LCP)と配合することができる。例えば、この混合物は、約6パーセントのLCPを含有することができる。
【0087】
適切な金属及び金属合金の一部の例は、304Vステンレス鋼、304Lステンレス鋼、及び316LVステンレス鋼のようなステンレス鋼、軟鋼、線形弾性ニチノール及び/又は超弾性ニチノールのようなニッケル-チタン合金、他のニッケル合金、例えば、ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、INCONEL(登録商標)625のようなUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)のようなUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)、及び他のHASTELLOY(登録商標)合金などのようなUNS:N10276)、ニッケル-銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、及びNICORROS(登録商標)400などのようなUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)などのようなUNS:R30035)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)のようなUNS:N10665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、及び他のニッケル-タングステン合金又はタングステン合金など、コバルト-クロム合金、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)及びPHYNOXR(登録商標)などのようなUNS:R30003)、プラチナ富化ステンレス鋼、チタン、プラチナ、パラジウム、金、その組合せ、又はいずれかの他の適切な材料を含む。
【0088】
少なくとも一部の実施形態では、システム及び/又はその構成要素の一部分又は全ては、放射線不透過性材料でドーピングする、製造する、又は他にこれらの部分は、放射線不透過性材料を含むことができる。放射線不透過性材料は、医療手順中に蛍光透視画面上に又は別の撮像技術では比較的高輝度の画像を生成する機能を有する材料であると理解される。この比較的高輝度の画像は、システムのユーザがその場所を決定する際に補助する。放射線不透過性材料の一部の例は、金、プラチナ、パラジウム、タンタル、タングステン合金、及び放射線不透過性充填材が充填されたポリマー材料などを含むことができるがこれらに限定されない。更に、同じ結果を達成するために、他の放射線不透過性のマーカーバンド及び/又はコイルをシステムの設計の中に組み込むことができる。
【0089】
一部の実施形態では、ある程度の核磁気共鳴撮像(MRI)適合性が、本明細書に開示するシステム及び/又は他の要素の中に与えられる。例えば、システム及び/又はその構成要素又は一部分は、画像を実質的にひずませることがなく、実質的なアーチファクト(すなわち、画像内の間隙)を発生させることのない材料で製造することができる。例えば、ある一定の強磁性材料は、MRI画像内にアーチファクトを生成する可能性があることで適切ではない場合がある。システム又はその一部分はまた、MRI機械が撮像することができる材料から製造することができる。これらの特質を示す一部の材料は、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)及びPHYNOX(登録商標)などのようなUNS:R30003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)などのようなUNS:R30035)、及びニチノールなど、及びその他を含む。
【0090】
一部の実施形態では、本明細書に開示する内部人工器官及び/又は他の要素は、適切な治療剤を含む及び/又はそれを用いて処理することができる。適切な治療剤の一部の例は、抗血栓形成剤(ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、及びPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)のような)、抗増殖剤(エノキサパリン、アンジオペプチン、平滑筋細胞の増殖を阻害する機能を有するモノクローナル抗体、ヒルジン、及びアセチルサリチル酸のような)、抗炎症剤(デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、及びメサラミンのような)、抗腫瘍/抗増殖/抗有糸分裂剤(パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン、及びチミジンキナーゼ阻害剤のような)、麻酔剤(リドカイン、ブピバカイン、及びロピバカインのような)、抗凝固剤(D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗剤、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、及びダニ抗血小板ペプチドのような)、血管細胞成長促進剤(成長因子阻害剤、成長因子受容体拮抗剤、転写活性剤、及び翻訳促進剤のような)、血管細胞成長阻害剤(成長因子阻害剤、成長因子受容体拮抗剤、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害性抗体、成長因子に対する抗体、成長因子と細胞毒とで構成される二官能性分子、抗体と細胞毒とで構成される二官能性分子のような)、コレステロール低下剤、血管拡張剤、及び内因性血管作用機構を妨害する薬剤を含むことができる。
【0091】
本発明の開示は、多くの点に関して単に例示的であることを理解しなければならない。詳細に関して、特に形状、サイズ、及び段階の配置の内容に関して、本発明の開示の範囲を超えることなく変更を加えることができる。この変更は、適切である限り、1つの例示的実施形態の特徴のうちのいずれかが他の実施形態で使用される場合の使用を含むことができる。当然ながら、本発明の開示の範囲は、添付の特許請求の範囲が表される文言で定められる。
【符号の説明】
【0092】
10 流体管理システム
20 医療デバイス
34 流体供給源
46 任意的な足踏みペダル
48 コントローラ
【手続補正書】
【提出日】2024-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管理システムであって、
医療デバイスに流体流入を提供する流入ポンプと、
少なくとも1つの圧力センサと、
流体管理システム内のシステム圧力に対応する圧力信号を前記少なくとも1つの圧力センサから受信するように構成されたコントローラと、
を含み、
前記コントローラは、複数の医療デバイスのうちのどの1つが前記流入ポンプに流体的に接続されているかを前記少なくとも1つの圧力センサからの前記圧力信号と前記流入ポンプの毎分回転数とに基づいて検出するように構成されている、
流体管理システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記流入ポンプを制御するための1又は2以上の出力を、前記複数の医療デバイスのうちのどの1つが前記流入ポンプに流体的に接続されているかに基づいて自動的に調節するように構成されている、請求項1に記載の流体管理システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記1又は2以上の出力に応答するPIDコントローラを含む、請求項2に記載の流体管理システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記流入ポンプの前記毎分回転数と前記システム圧力とに基づいて出力係数を計算する、請求項1~3のいずれか1項に記載の流体管理システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記出力係数を、前記複数の医療デバイスのうちの1つに各既知範囲が対応する既知範囲のセットと比較する、請求項4に記載の流体管理システム。
【請求項6】
各既知範囲が、前記流入ポンプの前記毎分回転数を調節するのに使用される異なる対応する出力を有する、請求項5に記載の流体管理システム。
【請求項7】
前記出力は、比例誤差率(Kp)、積分誤差率(Ki)、微分誤差率(Kd)、及びサンプリング速度(SR)を含む、請求項6に記載の流体管理システム。
【請求項8】
前記コントローラは、システム圧力設定値、システム圧力限界値、及び医療デバイス損傷限界値に応答して洗浄を選択的に実行するように構成されており、前記洗浄は、予め決められた期間にわたって予め決められた量だけ前記システム圧力を増大するように構成されている、請求項1~
3のいずれか1項に記載の流体管理システム。
【請求項9】
前記システム圧力限界値を超える前記予め決められた量の前記洗浄は、その量が前記システム圧力限界値に抑制される、請求項8に記載の流体管理システム。
【請求項10】
前記コントローラが、前記洗浄の前記予め決められた量が前記システム圧力限界値を超えることになると決定する場合に、通知が表示されて洗浄優先入力が利用可能にされ、前記洗浄優先入力の起動が、前記コントローラが前記システム圧力限界値を前記医療デバイス損傷限界値までの前記予め決められた量だけ超えることを許容する、請求項8に記載の流体管理システム。
【請求項11】
前記医療デバイス損傷限界値を超える前記予め決められた量の前記洗浄は、その量が前記医療デバイス損傷限界値に抑制される、請求項10に記載の流体管理システム。
【請求項12】
前記システム圧力設定値、前記システム圧力限界値、及び前記医療デバイス損傷限界値は、前記複数の医療デバイスのうちのどの1つが前記流入ポンプに流体的に接続されているかに基づいて自動的に選択される、請求項8に記載の流体管理システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの圧力センサは、前記流入ポンプの下流且つ前記医療デバイスの上流に配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の流体管理システム。
【請求項14】
流体管理システムであって、
医療デバイスに流体流入を提供する流入ポンプと、
少なくとも1つの圧力センサと、
流体管理システム内のシステム圧力に対応する圧力信号を前記少なくとも1つの圧力センサから受信するように構成されたコントローラと、
を含み、
前記コントローラは、複数の医療デバイスのうちのどの1つが前記流入ポンプに流体的に接続されているかを前記少なくとも1つの圧力センサからの前記圧力信号と前記流入ポンプの毎分回転数とに基づいて検出するように構成されており、
前記コントローラは、前記流入ポンプを制御するための1又は2以上の出力を、前記複数の医療デバイスのうちのどの1つが前記流入ポンプに流体的に接続されているかに基づいて自動的に調節するように構成されており、
前記コントローラは、前記複数の医療デバイスのうちのどの1つが前記流入ポンプに流体的に接続されているかに基づいて自動的に選択されたシステム圧力設定値、システム圧力限界値、及び医療デバイス損傷限界値に応答して洗浄を選択的に実行するように構成されており、前記洗浄は、予め決められた期間にわたって予め決められた量だけ前記システム圧力を増大するように構成されている、流体管理システム。
【請求項15】
前記流入ポンプに流体的に接続された前記複数の医療デバイスのうちの前記1つの遠位端に配置された遠位圧力センサを更に含み、
前記遠位圧力センサは、前記洗浄によって引き起こされるその場圧力の増加をモニタするように構成されており、
前記コントローラは、その場圧力が予め決められたその場圧力限界値よりも下に留まるように、前記洗浄の前記予め決められた量及び/又は前記予め決められた期間を制限するように構成されている、請求項
14に記載の流体管理システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの圧力センサは、前記流入ポンプの下流にかつ前記医療デバイスの上流に位置決めされている、請求項
14又は15に記載の流体管理システム。
【国際調査報告】