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特表2024-519857治療用間葉系幹細胞由来エクソソームの生産
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】治療用間葉系幹細胞由来エクソソームの生産
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/12 20150101AFI20240514BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240514BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240514BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240514BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20240514BHJP
   A61K 35/28 20150101ALN20240514BHJP
   A61K 35/51 20150101ALN20240514BHJP
   A61K 35/35 20150101ALN20240514BHJP
   A61K 35/50 20150101ALN20240514BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20240514BHJP
   C12N 5/0775 20100101ALN20240514BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20240514BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20240514BHJP
【FI】
A61K35/12
A61K45/00
A61K31/7105
A61K31/711
A61P37/06
A61P35/00
A61P9/00
A61P13/12
A61P11/00
A61P1/16
A61P31/00
A61P17/00
A61P17/02
A61K45/06
A61K35/28 ZNA
A61K35/51
A61K35/35
A61K35/50
C12N5/10
C12N5/0775
C12N15/113 Z
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571574
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2022029684
(87)【国際公開番号】W WO2022245861
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/191,202
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラング、フレデリック エフ.
(72)【発明者】
【氏名】シュポール、エリザベス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】レズヴァニ、ケイティ
(72)【発明者】
【氏名】メント、マイエラ
(72)【発明者】
【氏名】レッドベター、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】クミン、ジョイ
(72)【発明者】
【氏名】パーカー ケリガン、ブリタニー
(72)【発明者】
【氏名】ホサイン、アンワル
(72)【発明者】
【氏名】ラング、フレデリック エム.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA03
4B065BB19
4B065BB23
4B065BB40
4B065BC41
4B065BD21
4B065BD39
4B065CA44
4C084AA19
4C084AA23
4C084MA02
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA57
4C084MA60
4C084MA65
4C084MA66
4C084MA67
4C084NA05
4C084ZA36
4C084ZA59
4C084ZA75
4C084ZA81
4C084ZA89
4C084ZB08
4C084ZB11
4C084ZB26
4C084ZB32
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA60
4C086MA65
4C086MA66
4C086MA67
4C086NA05
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB32
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB64
4C087MA02
4C087MA55
4C087MA56
4C087MA57
4C087MA60
4C087MA65
4C087MA66
4C087MA67
4C087NA05
4C087ZA36
4C087ZA59
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZB08
4C087ZB11
4C087ZB26
4C087ZB32
4C087ZC75
(57)【要約】
【課題】間葉系幹細胞からエクソソームを産生するためのシステム、方法、及び組成物を提供する。
【解決手段】本開示の態様は、間葉系幹細胞からエクソソームを産生するためのシステム、方法、及び組成物を包含し、任意選択で、前記エクソソームに1つ以上の治療剤を担持させる。このシステム、方法、および組成物は、制御可能なパラメーターを可能にする自動化された細胞膨張システムで生じ、そこから細胞およびエクソソームを特定のレジメンの一部として1回または複数回採取することができる。エクソソームには、エレクトロポレーション法を用いて、1つ以上の治療剤を担持させることができる。具体的な態様において、エクソソームは、それを必要とする個体に提供され得るが、これには、それを必要とする個体が、エクソソームが治療的であろう医学的障害を有する個体である場合も含まれる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用エキソソームを生成する方法であって、
(a)間葉系幹細胞(MSC)を培養する工程、および
(b)培養物からエキソソームを収集する工程、
を含み、
工程(a)の前に、前記MSCが、1または複数の治療剤を前記MSCに負荷するためにトランスフェクションまたは形質導入され、
前記エキソソームが、前記トランスフェクションまたは形質導入されたMSCから産生されて前記1または複数の治療剤を含む方法。
【請求項2】
治療用エキソソームを生成する方法であって、
(a)間葉系幹細胞(MSC)を培養する工程、
(b)培養物からエキソソームを収集する工程、ならびに
(c)前記収集されたエキソソームをエレクトロポレーションして、1または複数の治療剤を前記エキソソームに負荷する工程、
を含む方法。
【請求項3】
前記培養工程(a)が、CO、Oおよび窒素の特定の濃度または条件の存在下で行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
COの濃度が5%である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
の濃度が20%である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記培養工程(a)が、窒素でバランスをとった条件下で行われる、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記MSCが、臍帯組織、骨髄、脂肪組織、歯科組織、胎盤組織またはそれらの混合物に由来する、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記MSCが臍帯組織に由来する、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
自動化システムにおいて行われる、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
システムが、前記システムの少なくとも一部を通して培地の連続灌流を含むように構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記システムが閉鎖型または半閉鎖型である、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
バイオリアクター内において行われる、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記バイオリアクターが複数の中空糸を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記バイオリアクターの内側の1または複数の表面が、細胞の接着を可能にするように改変される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記バイオリアクターの内側の1または複数の表面が、1または複数の細胞外マトリックスタンパク質を含むように改変される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞外マトリックスタンパク質がフィブロネクチンである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記システムから試料を抽出する工程をさらに含む、請求項9から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記試料が、エキソソームの1または複数の特徴について試験される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
工程(b)が、血小板溶解物を欠く培地を利用する、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
工程(b)が、L-アラニル-L-グルタミンジペプチドを含む培地を利用する、請求項1から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記培養工程(a)が、L-アラニル-L-グルタミンジペプチドを含む培地を利用する、請求項1から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記培養工程(a)が、アルファMEM培地、ヘパリン、ヒト血小板溶解物およびL-アラニル-L-グルタミンジペプチドを利用する、請求項1から21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
工程(a)および(b)が複数回行われる、請求項1から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
工程(a)および(b)が、2、3、4、5、6、7、8、9、10回またはそれ以上行われる、請求項1から23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
工程(b)が複数回行われ、収集が約48時間間隔で行われる、請求項1から24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記収集されたエキソソームが、工程(c)におけるエレクトロポレーションの前に、滅菌された等張性の非発熱原性緩衝液に懸濁される、請求項2から25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記緩衝液がPlasma-LyteAを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
約1×10個~約10×1012個の収集されたエキソソームが工程(c)においてエレクトロポレーションされる、請求項2から27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記1または複数の治療剤が、miRNA、siRNA、shRNA、タンパク質、ペプチド、薬物、脂質、DNA、RNA、またはそれらの組合せである、請求項1から28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記1または複数の治療剤が、タンパク質、ペプチド、薬物、および/または脂質であり、前記タンパク質、ペプチド、薬物、および/または脂質の濃度が1μg/mL~1000mg/mLである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記タンパク質が抗体または抗体断片を含む、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記1または複数の治療剤がmiRNAであり、miRNAの濃度が1μg/mL~200μg/mLである、請求項29から31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記miRNAが、miR-124、miR-148a、miR-let7i、miR-135a-2、miR-668、miR-942、miR-657を含む、請求項29から32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記1または複数の治療剤がsiRNA、shRNA、および/またはRNAであり、siRNA、shRNA、および/またはRNAの濃度が1μg/mL~200μg/mLである、請求項29から請求項33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記siRNAが、FGFR3-TACC3遺伝子融合産物の融合切断点に対するsiRNAを含む、請求項29から34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記DNAが最大で1000塩基対を含む、請求項29から35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
DNAの濃度が1μg/mL~200μg/mLである、請求項29から36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記1または複数の治療剤の負荷効率が、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%である、請求項1から37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
有効量の前記エキソソームを、それを必要とする個体に送達する工程をさらに含む、請求項1から38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
それを必要とする個体への送達後、前記エキソソームが、前記個体に送達される1または複数のさらなる治療によって誘発される中枢神経系毒性に対する神経保護を提供する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
それを必要とする個体への送達後、前記エキソソームが、前記個体に送達される1または複数のさらなる治療によって誘発される認知機能障害および/または神経変性を改善または逆転させる、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
前記個体に送達される1または複数のさらなる治療が、化学療法、放射線療法またはそれらの組合せを含む、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項43】
それを必要とする個体への送達後、前記エキソソームが炎症を軽減する、請求項39から42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
それを必要とする個体への送達後、前記エキソソームが、再生および/または修復を必要とする組織に組織再生効果および/または組織修復効果を提供する、請求項39から43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記組織が、前記個体に送達される1または複数のさらなる治療によって誘発される毒性に起因して再生および/または修復を必要としている、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記個体に送達される1または複数のさらなる治療が、化学療法、放射線療法またはそれらの組合せを含む、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
前記組織が、炎症、挫傷、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、またはそれらの組合せに起因して再生および/または修復を必要としている、請求項44から46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記再生および/または修復を必要とする組織が、軟組織、脳、肺、脾臓、肝臓、心臓、腎臓、膵臓、腸、精巣または骨を含む、請求項44から47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
それを必要とする個体への送達後、前記エキソソームが、再生および/または修復を必要とする皮膚に皮膚再生効果および/または皮膚修復効果を提供する、請求項39から48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記皮膚が、前記個体に送達される1または複数のさらなる治療によって誘発される毒性に起因して再生および/または修復を必要としている、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記個体に送達される1または複数のさらなる治療が、化学療法、放射線療法またはそれらの組合せを含む、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
前記皮膚が、皮膚障害に起因して再生または修復を必要としている、請求項49から51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記皮膚障害が、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、またはそれらの組合せを含む、請求項49から52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
それを必要とする個体への送達後、前記エキソソームが、創傷治癒を必要とする組織または皮膚に創傷治癒効果を提供する、請求項39から53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記組織または皮膚が、前記個体に送達される1または複数のさらなる治療によって誘発される毒性に起因して創傷治癒を必要としている、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記個体に送達される1または複数のさらなる治療が、化学療法、放射線療法またはそれらの組合せを含む、請求項54または55に記載の方法。
【請求項57】
前記組織または皮膚が、組織損傷または皮膚障害に起因して創傷治癒を必要としている、請求項54から56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記組織損傷または皮膚障害が、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷またはそれらの組合せを含む、請求項54から57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記エキソソームが、血液脳関門、血液腫瘍関門、またはそれらの組合せを通過する、請求項39から58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記エキソソームが、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、もしくはそれらの組合せ、または免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、外傷、熱傷、もしくはそれらの組合せの1または複数の症状を、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せを有する、それを必要とする個体において直接または間接的に治療する、請求項39から59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記1または複数の症状が、中枢神経系毒性、認知機能障害、神経変性、炎症、組織変性、組織損傷、皮膚損傷、創傷、またはそれらの組合せを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記免疫障害が自己免疫障害または同種免疫障害である、請求項60または61に記載の方法。
【請求項63】
前記免疫障害が移植片対宿主病である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記がんが固形腫瘍がんである、請求項60または61に記載の方法。
【請求項65】
前記がんがCNSがんまたはCNS関連がんである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
A66.前記がんが神経膠芽腫である、請求項64または65に記載の方法。
【請求項67】
前記組織損傷が、炎症、挫傷、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、またはそれらの組合せである、請求項60または61に記載の方法。
【請求項68】
前記皮膚障害が、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、またはそれらの組合せである、請求項60または61に記載の方法。
【請求項69】
前記創傷が組織損傷または皮膚障害の結果であり、前記組織損傷または皮膚障害が、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷またはそれらの組合せを含む、請求項60または61に記載の方法。
【請求項70】
請求項1から37のいずれか1項に記載の方法から生成されるエキソソーム。
【請求項71】
請求項70のエキソソームを含む組成物。
【請求項72】
請求項70のエキソソームを含む医薬組成物。
【請求項73】
1または複数のさらなる治療剤をさらに含む、請求項72に記載の医薬組成物。
【請求項74】
免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せについて個体を治療する方法であって、請求項1から37のいずれか1項に記載の方法によって生成されるエキソソーム、請求項71に記載の組成物または請求項72から73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法。
【請求項75】
前記がんが固形腫瘍がんである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記がんがCNSがんまたはCNS関連がんである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記がんが神経膠芽腫である、請求項75または76に記載の方法。
【請求項78】
前記免疫障害が同種免疫障害または自己免疫障害である、請求項74に記載の方法。
【請求項79】
前記免疫障害が移植片対宿主病である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記組織損傷が、炎症、挫傷、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、またはそれらの組合せである、請求項74に記載の方法。
【請求項81】
前記皮膚障害が、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、またはそれらの組合せである、請求項74に記載の方法。
【請求項82】
前記創傷が組織損傷または皮膚障害の結果であり、前記組織損傷または皮膚障害が、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷またはそれらの組合せを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項83】
前記個体に、個々の免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷またはそれらの組合せのための第2の治療を投与する工程をさらに含む、請求項74から82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せを有する個体において中枢神経系毒性から保護する方法であって、前記中枢神経系毒性が、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、またはそれらの組合せの治療のために前記個体に送達された1または複数の治療によって誘発される、請求項1から37のいずれか1項に記載の方法によって生成されるエキソソーム、請求項71に記載の組成物、または請求項72から73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法。
【請求項85】
免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せを有する個体において認知機能障害および/または神経変性を改善または逆転させる方法であって、前記認知機能障害および/または神経変性が、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せの治療のために前記個体に送達された1または複数の治療によって誘発される、請求項1から37に記載の方法によって産生されるエキソソーム、請求項71に記載の組成物または、請求項72又は73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法。
【請求項86】
免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せを有する個体において、それを必要とする組織を再生および/または修復する方法であって、前記組織が、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せの治療のために前記個体に送達された1または複数の治療によって誘発される毒性に起因して再生および/または修復を必要としており、請求項1から37のいずれか1項に記載の方法によって生成されるエキソソーム、請求項71に記載の組成物、または請求項72又は請求項73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法。
【請求項87】
免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せを有する個体において、それを必要とする皮膚を再生および/または修復する方法であって、前記皮膚が、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せの治療のために前記個体に送達された1または複数の治療によって誘発される毒性に起因して再生および/または修復を必要としており、請求項1から37のいずれか1項に記載の方法によって生成されるエキソソーム、請求項71に記載の組成物、または請求項72から73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法。
【請求項88】
免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せを有する個体において、それを必要とする組織または皮膚の創傷治癒の方法であって、前記組織または皮膚が、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せの治療のために前記個体に送達された1または複数の治療によって誘発される毒性に起因して創傷治癒を必要としており、請求項1から37のいずれか1項に記載の方法によって生成されるエキソソーム、請求項71に記載の組成物、または請求項72から73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法。
【請求項89】
個体が受容する1または複数の治療が、化学療法、放射線療法またはそれらの組合せを含む、請求項84から88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
組織損傷を有する個体においてそれを必要とする組織を再生および/または修復する方法であって、前記組織損傷が炎症、挫傷、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、またはそれらの組合せを含み、請求項1から37のいずれか1項に記載の方法によって生成されるエキソソーム、請求項71に記載の組成物、または請求項72から73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法。
【請求項91】
前記再生および/または修復を必要とする組織が、軟組織、脳、肺、脾臓、肝臓、心臓、腎臓、膵臓、腸、精巣または骨を含む、請求項86から90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
皮膚障害を有する個体において、それを必要とする皮膚を再生および/または修復する方法であって、前記皮膚障害が、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、またはそれらの組合せを含み、請求項1から37のいずれか1項に記載の方法によって生成されるエキソソーム、請求項71に記載の組成物、または請求項72から73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法。
【請求項93】
組織損傷または皮膚障害を有する個体において、それを必要とする組織または皮膚の創傷治癒の方法であって、前記組織損傷または皮膚障害が、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷またはそれらの組合せを含み、請求項1から37のいずれか1項に記載の方法によって生成されるエキソソーム、請求項71に記載の組成物、または請求項72から73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法。
【請求項94】
免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、またはそれらの組合せを有する個体において炎症を低減する方法であって、請求項1から37のいずれか1項に記載の方法によって生成されるエキソソーム、請求項71に記載の組成物、または請求項72から73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法。
【請求項95】
前記エキソソームが、血液脳関門、血液腫瘍関門、またはそれらの組合せを通過する、請求項74から94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記MSCが、個体に関して自己由来または同種由来である、請求項74から95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記エキソソームが、直腸経路、頬側経路、膣経路、皮下経路、鼻腔内経路、皮内経路、静脈内経路、腹腔内経路、筋肉内経路、関節内経路、関節滑液嚢内経路、胸骨内経路、髄腔内経路、病巣内経路もしくは頭蓋内経路を介して、または埋め込まれたリザーバーを介して投与される、請求項74から96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記エキソソームが、少なくとも1つのさらなる治療剤と併せて投与される、請求項74から97のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2021年5月20日に出願された米国仮出願シリアル番号63/191、202の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
連邦政府がスポンサーとなっている研究または開発に関する声明
【0002】
本発明は、米国国立衛生研究所から授与された助成金番号CA214749の下、政府の支援を受けて行われた。政府は本発明において一定の権利を有する。
配列リスト
【0003】
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2022年5月16日に作成された当該ASCIIコピーは、MDACP1293WO_ST25.txtと命名され、サイズは2、529バイトである。
【0004】
開示の分野
本開示の局面は、一般に、少なくとも細胞生物学、分子生物学、癌生物学、および医学の分野に関する。
【背景技術】
【0005】
疾患の処置および治療剤の送達のための臨床的選択肢は、常に要求されており、改良の必要性がある。本開示は、治療のための手段および/または治療剤送達のための手段としてエクソソームを産生するための、信頼性が高く、再現可能で、実用的なシステムを提供することによって、当該技術分野におけるニーズを満たす。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、任意選択的に1または複数の治療剤が負荷されたエキソソームの生成および使用のためのシステム、方法および組成物に関する。特定の態様において、本開示は、それを必要とする個体に使用するための治療剤として、もしくは治療剤の一部として、および/または1または複数の治療剤を、それを必要とする個体に送達するための送達剤として、もしくは送達剤自体の一部としてなど、治療または治療の一部として使用される目的でエキソソームを生成するためのシステム、方法、および組成物に関する。また、いくつかの態様において、任意選択的に1または複数の治療剤が負荷されたエキソソームが治療的であり得る任意の医学的障害を治療する方法も開示される。いくつかの態様において、任意選択的に1または複数の治療剤が負荷されたエキソソームは、個体における疾患または状態を治療すること、および個体に投与された前記疾患または状態に対する他の治療に関連する毒性から保護することの両方が可能である。特定の態様において、エキソソームは、エキソソームの生成方法において複数の作用物質を使用して特定の細胞から産生される。そのようなエキソソームは、少なくとも幹細胞、例えば間葉系幹細胞(MSC、間葉系間質細胞とも呼ぶことができる)を含む特定の細胞から産生され得る。MSCは、任意の好適な組織に由来し得るが、特定の事例では、それらは、臍帯組織に由来する。そのようなエキソソームは、1または複数の治療剤を有するように改変することができ、場合によっては、エキソソームは、1または複数の治療剤を有するようにエレクトロポレーションされる。
【0007】
いくつかの態様において、治療用エキソソームを生成する方法であって、(a)間葉系幹細胞(MSC)を培養する工程、(b)培養物からエキソソームを収集する工程、ならびに(c)前記収集されたエキソソームをエレクトロポレーションして、1または複数の治療剤を前記エキソソームに負荷する工程、を含む方法が本明細書中に開示される。追加的または代替的に、いくつかの態様において、工程(a)の前に、MSCが、1または複数の治療剤をMSCに負荷するために形質導入またはトランスフェクションされ、MSCが工程(a)において培養され、ならびにトランスフェクションまたは形質導入されたMSCから産生された、1または複数の治療剤を含むエキソソームが培養物から収集される。いくつかの態様において、培養工程(a)は、CO、Oおよび窒素の特定の濃度または条件の存在下で行われる。いくつかの態様において、COの濃度は5%である。いくつかの態様において、Oの濃度は20%である。いくつかの態様において、培養工程(a)は、窒素でバランスをとった条件下で行われる。
【0008】
いくつかの態様において、MSCは、臍帯組織、骨髄、脂肪組織、歯科組織、胎盤組織またはそれらの混合物に由来する。いくつかの態様において、MSCは臍帯組織に由来する。
【0009】
いくつかの態様において、本方法は自動化システムで行われる。いくつかの態様において、システムは、このシステムの少なくとも一部を通して培地の連続灌流を含むように構成される。いくつかの態様において、システムは閉鎖型または半閉鎖型である。いくつかの態様において、本方法はバイオリアクター内で行われる。いくつかの態様において、バイオリアクターは複数の中空糸を含む。いくつかの態様において、バイオリアクターの内側の1または複数の表面は、細胞の接着を可能にするように改変される。いくつかの態様において、バイオリアクターの内側の1または複数の表面は、1または複数の細胞外マトリックスタンパク質を含むように改変される。いくつかの態様において、細胞外マトリックスタンパク質はフィブロネクチンである。
【0010】
いくつかの態様において、本方法は、システムから試料を抽出する工程をさらに含む。いくつかの態様において、試料は、エキソソームの1または複数の特徴について試験される。
【0011】
いくつかの態様において、本方法の工程(b)は、血小板溶解物を欠く培地を利用する。いくつかの態様において、本方法の工程(b)は、L-アラニル-L-グルタミンジペプチドを含む培地を利用する。いくつかの態様において、本方法の培養工程(a)は、L-アラニル-L-グルタミンジペプチドを含む培地を利用する。いくつかの態様において、本方法の培養工程(a)は、アルファMEM培地、ヘパリン、ヒト血小板溶解物およびL-アラニル-L-グルタミンジペプチドを利用する。本方法のいくつかの態様において、工程(a)および(b)は複数回行われる。本方法のいくつかの態様において、工程(a)および(b)は、2、3、4、5、6、7、8、9、10回またはそれ以上行われる。本方法のいくつかの態様において、工程(b)が複数回行われ、収集は約48時間間隔で行われる。
【0012】
いくつかの態様において、収集されたエキソソームは、工程(c)におけるエレクトロポレーションの前に、滅菌された等張性の非発熱原性緩衝液に懸濁される。いくつかの態様において、緩衝液はPlasma-LyteAを含む。いくつかの態様において、約1×10個~約10×1012個の収集されたエキソソームが工程(c)においてエレクトロポレーションされる。
【0013】
いくつかの態様において、1または複数の治療剤は、miRNA、siRNA、shRNA、タンパク質、ペプチド、薬物、脂質、DNA、RNA、またはそれらの組合せである。いくつかの態様において、1または複数の治療剤は、タンパク質、ペプチド、薬物、および/または脂質であり、該タンパク質、ペプチド、薬物、および/または脂質の濃度は1μg/mL~1000mg/mLである。いくつかの態様において、タンパク質は抗体または抗体断片を含む。いくつかの態様において、1または複数の治療剤はmiRNAであり、miRNAの濃度は1μg/mL~200μg/mLである。いくつかの態様において、miRNAは、miR-124、miR-148a、miR-let7i、miR-135a-2、miR-668、miR-942、miR-657を含む。いくつかの態様において、1または複数の治療剤はsiRNA、shRNA、および/またはRNAであり、siRNA、shRNA、および/またはRNAの濃度は1μg/mL~200μg/mLである。いくつかの態様において、siRNAは、FGFR3-TACC3遺伝子融合産物の融合切断点に対するsiRNAを含む。いくつかの態様において、DNAは最大で1000塩基対を含む。いくつかの態様において、DNAの濃度は1μg/mL~200μg/mLである。いくつかの態様において、1または複数の治療剤の負荷効率は、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%である。
【0014】
いくつかの態様において、本方法は、有効量のエキソソームを、それを必要とする個体に送達する工程をさらに含む。いくつかの態様において、それを必要とする個体への送達後、エキソソームは、個体に送達される1または複数のさらなる治療によって誘発される中枢神経系毒性に対する神経保護を提供する。いくつかの態様において、それを必要とする個体への送達後、エキソソームは、個体に送達される1または複数のさらなる治療によって誘発される認知機能障害および/または神経変性を改善または逆転させる。いくつかの態様において、個体に送達される1または複数のさらなる治療は、化学療法、放射線療法またはそれらの組合せを含む。いくつかの態様において、それを必要とする個体への送達後、エキソソームは炎症を軽減する。
【0015】
いくつかの態様において、それを必要とする個体への送達後、エキソソームは、再生を必要とする組織に組織再生効果を提供する。いくつかの態様において、それを必要とする個体への送達後、エキソソームは、修復を必要とする組織に組織修復効果を提供する。いくつかの態様において、組織は、個体に送達される1または複数のさらなる治療によって誘発される毒性に起因して再生または修復を必要としている。いくつかの態様において、個体に送達される1または複数のさらなる治療は、化学療法、放射線療法またはそれらの組合せを含む。いくつかの態様において、組織は、熱傷(例えば、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷)もしくは外傷(例えば、挫傷、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷)による毒性、および/または熱傷(例えば、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷)もしくは外傷(例えば、挫傷、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷)の前治療による毒性に起因して再生または修復を必要している。いくつかの態様において、組織は、組織損傷に起因して再生または修復を必要としている。組織損傷の非限定的な例としては、炎症、挫傷、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、またはそれらの組合せが挙げられる。いくつかの態様において、再生または修復を必要とする組織は、軟組織(例えば、脂肪、線維組織(例えば、腱および/または靭帯)、筋肉(例えば、平滑筋、骨格筋、および/または心筋)、滑膜組織、血管、リンパ管、および/または神経)、脳、肺、脾臓、肝臓、心臓、腎臓、膵臓、腸、精巣、または骨を含む。
【0016】
いくつかの態様において、それを必要とする個体への送達後、エキソソームは、再生を必要とする皮膚に皮膚再生効果を提供する。いくつかの態様において、それを必要とする個体への送達後、エキソソームは、修復を必要とする皮膚に皮膚修復効果を提供する。いくつかの態様において、皮膚は、個体に送達される1または複数のさらなる治療によって誘発される毒性に起因して再生または修復を必要としている。いくつかの態様において、個体に送達される1または複数のさらなる治療は、化学療法、放射線療法またはそれらの組合せを含む。いくつかの態様において、皮膚は、熱傷(例えば、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷)または外傷(例えば、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開)による毒性、および/または熱傷(例えば、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷)または外傷(例えば、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開)の前治療による毒性に起因して再生または修復を必要とする。いくつかの態様において、皮膚は、皮膚障害に起因して再生または修復を必要としている。皮膚障害の非限定的な例としては、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0017】
いくつかの態様において、それを必要とする個体への送達後、エキソソームは、創傷治癒を必要とする組織または皮膚に創傷治癒効果(例えば、再生修復)を提供する。いくつかの態様において、組織または皮膚は、個体に送達される1または複数のさらなる治療によって誘発される毒性に起因して創傷治癒(例えば、再生修復)を必要としている。いくつかの態様において、個体に送達される1または複数のさらなる治療は、化学療法、放射線療法またはそれらの組合せを含む。いくつかの態様において、組織または皮膚は、熱傷(例えば、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷)または外傷(例えば、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開)による毒性、および/または熱傷(例えば、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷)または外傷(例えば、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開)の前治療による毒性に起因して創傷治癒を必要としている。いくつかの態様において、組織または皮膚は、組織損傷または皮膚障害に起因して創傷治癒(例えば、再生修復)を必要としている。組織損傷の非限定的な例としては、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷またはそれらの組合せが挙げられる。
【0018】
いくつかの態様において、エキソソームは、血液脳関門、血液腫瘍関門、またはそれらの組合せを通過する。いくつかの態様では、エキソソームは、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、炎症、組織損傷、皮膚障害、創傷、もしくはそれらの組合せ、または免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、炎症、組織損傷、皮膚障害、創傷、外傷、熱傷、もしくはそれらの組合せの1または複数の症状を、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、炎症、組織損傷、皮膚障害、創傷、外傷、熱傷、またはそれらの組合せを有する、それを必要とする個体において直接または間接的に治療する。いくつかの態様において、1または複数の症状は、中枢神経系毒性、認知機能障害、神経変性、炎症、組織変性、組織損傷、皮膚損傷、創傷、外傷、熱傷、またはそれらの組合せを含む。
【0019】
いくつかの態様において、免疫障害は自己免疫障害または同種免疫障害である。いくつかの態様において、免疫障害は移植片対宿主病である。いくつかの態様において、がんは固形腫瘍がんである。いくつかの態様において、がんはCNSがんまたはCNS関連がんである。いくつかの態様において、がんは神経膠芽腫である。いくつかの態様において、組織損傷は、炎症、挫傷、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、またはそれらの組合せである。いくつかの態様において、皮膚障害は、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、またはそれらの組合せである。いくつかの態様において、創傷は組織損傷または皮膚障害の結果であり、該組織損傷または皮膚障害は、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷またはそれらの組合せを含む。いくつかの態様において、熱傷は、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、またはそれらの組合せである。いくつかの態様において、外傷は、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、またはそれらの組合せである。
【0020】
いくつかの態様において、本明細書中に開示される方法のいずれか1つから生成されるエキソソーム、該エキソソームを含む組成物、および該エキソソームを含み、任意選択的に1または複数のさらなる治療剤をさらに含む医薬組成物が本明細書中に開示される。
【0021】
いくつかの態様において、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、炎症、組織損傷、皮膚障害、創傷、外傷、熱傷、またはそれらの組合せについて個体を治療するための方法であって、本明細書に開示される方法のいずれか1つから生成された治療有効量のエキソソームを個体に投与する工程を含む方法が本明細書で開示される。いくつかの態様において、がんは固形腫瘍がんである。いくつかの態様において、がんはCNSがんまたはCNS関連がんである。いくつかの態様において、がんは神経膠芽腫である。いくつかの態様において、免疫障害は同種免疫障害または自己免疫障害である。いくつかの態様において、免疫障害は移植片対宿主病である。いくつかの態様において、組織損傷は、炎症、挫傷、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、またはそれらの組合せである。いくつかの態様において、皮膚障害は、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、またはそれらの組合せである。いくつかの態様において、創傷は組織損傷または皮膚障害の結果であり、該組織損傷または皮膚障害は、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷またはそれらの組合せを含む。いくつかの態様において、熱傷は、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、またはそれらの組合せである。いくつかの態様において、外傷は、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、またはそれらの組合せである。
【0022】
いくつかの態様において、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、炎症、組織損傷、皮膚障害、創傷、外傷、熱傷、またはそれらの組合せを有する個体において中枢神経系毒性から保護する方法であって、該中枢神経系毒性が、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、炎症、組織損傷、皮膚障害、創傷、外傷、熱傷、またはそれらの組合せの治療のために個体に送達された1または複数の治療によって誘発される、本明細書に開示される方法のいずれか1つから生成された治療有効量のエキソソームまたはその組成物を個体に投与する工程を含む方法が本明細書で開示される。
【0023】
いくつかの態様において、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、炎症、組織損傷、皮膚障害、創傷、外傷、熱傷、またはそれらの組合せを有する個体において認知機能障害および/または神経変性を改善または逆転させる方法であって、該認知機能障害および/または神経変性が、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、炎症、組織損傷、皮膚障害、創傷、外傷、熱傷、またはそれらの組合せの治療のために個体に送達された1または複数の治療によって誘発される、本明細書に開示される方法のいずれか1つから生成された治療有効量のエキソソームまたはその組成物を個体に投与する工程を含む方法が本明細書で開示される。
【0024】
いくつかの態様において、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、炎症、組織損傷、皮膚障害、創傷、外傷、熱傷、またはそれらの組合せを有する個体において、それを必要とする組織を再生および/または修復する方法が本明細書で開示される。いくつかの態様において、組織は、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、炎症、組織損傷、皮膚障害、創傷、外傷、熱傷、またはそれらの組合せの治療のために個体に送達される1または複数の治療によって誘発される毒性に起因して再生および/または修復を必要としている。いくつかの態様において、個体が受容する1または複数の治療は、化学療法、放射線療法またはそれらの組合せを含む。いくつかの態様において、炎症、挫傷、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、またはそれらの組合せを含む組織損傷を有する個体において、それを必要とする組織を再生および/または修復する方法が本明細書で開示される。いくつかの態様において、再生または修復を必要とする組織は、軟組織(例えば、脂肪、線維組織(例えば、腱および/または靭帯)、筋肉(例えば、平滑筋、骨格筋、および/または心筋)、滑膜組織、血管、リンパ管、および/または神経)、脳、肺、脾臓、肝臓、心臓、腎臓、膵臓、腸、精巣、または骨を含む。いくつかの態様において、本方法は、本明細書に開示される方法のいずれか1つから生成された治療有効量のエキソソームまたはその組成物を個体に投与する工程を含む。
【0025】
いくつかの態様において、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、炎症、組織損傷、皮膚障害、創傷、外傷、熱傷、またはそれらの組合せを有する個体において、それを必要とする皮膚を再生および/または修復する方法が本明細書で開示される。いくつかの態様において、皮膚は、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、炎症、組織損傷、皮膚障害、創傷、外傷、熱傷、またはそれらの組合せの治療のために個体に送達される1または複数の治療によって誘発される毒性に起因して再生および/または修復を必要としている。いくつかの態様において、個体が受容する1または複数の治療は、化学療法、放射線療法またはそれらの組合せを含む。いくつかの態様において、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、またはそれらの組合せを含む皮膚障害を有する個体において、それを必要とする皮膚を再生および/または修復する方法が本明細書で開示される。いくつかの態様において、本方法は、本明細書に開示される方法のいずれか1つから生成された治療有効量のエキソソームまたはその組成物を個体に投与する工程を含む。
【0026】
いくつかの態様において、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、炎症、組織損傷、皮膚障害、創傷、外傷、熱傷、またはそれらの組合せを有する個体において、それを必要とする組織または皮膚の創傷治癒(例えば、創傷修復)の方法が本明細書で開示される。いくつかの態様において、組織または皮膚は、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、炎症、組織損傷、皮膚障害、創傷、外傷、熱傷、またはそれらの組合せの治療のために個体に送達される1または複数の治療によって誘発される毒性に起因して創傷治癒(例えば、創傷修復)を必要としている。いくつかの態様において、個体が受容する1または複数の治療は、化学療法、放射線療法またはそれらの組合せを含む。いくつかの態様において、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷またはそれらの組合せを含む組織損傷または皮膚障害を有する個体において、それを必要とする組織または皮膚の創傷治癒(例えば、創傷修復)の方法が本明細書で開示される。いくつかの態様において、本方法は、本明細書に開示される方法のいずれか1つから生成された治療有効量のエキソソームまたはその組成物を個体に投与する工程を含む。
【0027】
いくつかの態様において、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、炎症、組織損傷、皮膚障害、創傷、外傷、熱傷、またはそれらの組合せを有する個体において炎症を低減する方法であって、本明細書に開示される方法のいずれか1つから生成された治療有効量のエキソソームまたはその組成物を個体に投与する工程を含む方法が本明細書で開示される。
【0028】
本明細書に開示される個体を治療する方法のいくつかの態様において、エキソソームは、血液脳関門、血液腫瘍関門、またはそれらの組合せを通過する。いくつかの態様において、MSCは、個体に関して自己由来または同種由来である。いくつかの態様において、エキソソームは、直腸経路、鼻経路、頬側経路、膣経路、皮下経路、鼻腔内経路、皮内経路、静脈内経路、腹腔内経路、筋肉内経路、関節内経路、関節滑液嚢内経路、胸骨内経路、髄腔内経路、病巣内経路もしくは頭蓋内経路を介して、または埋め込まれたリザーバーを介して投与される。いくつかの態様において、エキソソームは、少なくとも1つのさらなる治療剤と併せて投与される。
【0029】
本開示の下記の態様(A)1~98もまた開示される。
【0030】
態様1は、治療用エキソソームを生成する方法であって、(a)間葉系幹細胞(MSC)を培養する工程、および(b)培養物からエキソソームを収集する工程、を含み、工程(a)の前に、前記MSCが、1または複数の治療剤を前記MSCに負荷するためにトランスフェクションまたは形質導入され、前記エキソソームが、前記トランスフェクションまたは形質導入されたMSCから産生されて前記1または複数の治療剤を含む方法である。
【0031】
態様2は、治療用エキソソームを生成する方法であって、(a)間葉系幹細胞(MSC)を培養する工程、(b)培養物からエキソソームを収集する工程、ならびに(c)前記収集されたエキソソームをエレクトロポレーションして、1または複数の治療剤を前記エキソソームに負荷する工程、を含む方法である。
【0032】
A3.前記培養工程(a)が、CO、Oおよび窒素の特定の濃度または条件の存在下で行われる、A1またはA2に記載の方法。
【0033】
A4.COの濃度が5%である、A3に記載の方法。
【0034】
A5.Oの濃度が20%である、A3またはA4に記載の方法。
【0035】
A6.前記培養工程(a)が、窒素でバランスをとった条件下で行われる、A1からA5に記載の方法。
【0036】
A7.前記MSCが、臍帯組織、骨髄、脂肪組織、歯科組織、胎盤組織またはそれらの混合物に由来する、A1からA6に記載の方法。
【0037】
A8.前記MSCが臍帯組織に由来する、A1からA7に記載の方法。
【0038】
A9.自動化システムにおいて行われる、A1からA8に記載の方法。
【0039】
A10.システムが、前記システムの少なくとも一部を通して培地の連続灌流を含むように構成される、A9に記載の方法。
【0040】
A11.前記システムが閉鎖型または半閉鎖型である、A9またはA10に記載の方法。
【0041】
A12.バイオリアクター内において行われる、A1からA11に記載の方法。
【0042】
A13.前記バイオリアクターが複数の中空糸を含む、A12に記載の方法。
【0043】
A14.前記バイオリアクターの内側の1または複数の表面が、細胞の接着を可能にするように改変される、A13に記載の方法。
【0044】
A15.前記バイオリアクターの内側の1または複数の表面が、1または複数の細胞外マトリックスタンパク質を含むように改変される、A14に記載の方法。
【0045】
A16.前記細胞外マトリックスタンパク質がフィブロネクチンである、A15に記載の方法。
【0046】
A17.前記システムから試料を抽出する工程をさらに含む、A9からA16に記載の方法。
【0047】
A18.前記試料が、エキソソームの1または複数の特徴について試験される、A17に記載の方法。
【0048】
A19.工程(b)が、血小板溶解物を欠く培地を利用する、A1からA18に記載の方法。
【0049】
A20.工程(b)が、L-アラニル-L-グルタミンジペプチドを含む培地を利用する、A1からA19に記載の方法。
【0050】
A21.前記培養工程(a)が、L-アラニル-L-グルタミンジペプチドを含む培地を利用する、A1からA20に記載の方法。
【0051】
A22.前記培養工程(a)が、アルファMEM培地、ヘパリン、ヒト血小板溶解物およびL-アラニル-L-グルタミンジペプチドを利用する、A1からA21に記載の方法。
【0052】
A23.工程(a)および(b)が複数回行われる、A1からA22に記載の方法。
【0053】
A24.工程(a)および(b)が、2、3、4、5、6、7、8、9、10回またはそれ以上行われる、A1からA23に記載の方法。
【0054】
A25.工程(b)が複数回行われ、収集が約48時間間隔で行われる、A1からA24に記載の方法。
【0055】
A26.前記収集されたエキソソームが、工程(c)におけるエレクトロポレーションの前に、滅菌された等張性の非発熱原性緩衝液に懸濁される、A2からA25に記載の方法。
【0056】
A27.前記緩衝液がPlasma-LyteAを含む、A26に記載の方法。
【0057】
A28.約1×108個~約10×1012個の収集されたエキソソームが工程(c)においてエレクトロポレーションされる、A2からA27に記載の方法。
【0058】
A29.前記1または複数の治療剤が、miRNA、siRNA、shRNA、タンパク質、ペプチド、薬物、脂質、DNA、RNA、またはそれらの組合せである、A1からA28に記載の方法。
【0059】
A30.前記1または複数の治療剤が、タンパク質、ペプチド、薬物、および/または脂質であり、前記タンパク質、ペプチド、薬物、および/または脂質の濃度が1μg/mL~1000mg/mLである、A29に記載の方法。
【0060】
A31.前記タンパク質が抗体または抗体断片を含む、A29またはA30に記載の方法。
【0061】
A32.前記1または複数の治療剤がmiRNAであり、miRNAの濃度が1μg/mL~200μg/mLである、A29からA31に記載の方法。
【0062】
A33.前記miRNAが、miR-124、miR-148a、miR-let7i、miR-135a-2、miR-668、miR-942、miR-657を含む、A29からA32に記載の方法。
【0063】
A34.前記1または複数の治療剤がsiRNA、shRNA、および/またはRNAであり、siRNA、shRNA、および/またはRNAの濃度が1μg/mL~200μg/mLである、A29からA33に記載の方法。
【0064】
A35.前記siRNAが、FGFR3-TACC3遺伝子融合産物の融合切断点に対するsiRNAを含む、A29からA34に記載の方法。
【0065】
A36.前記DNAが最大で1000塩基対を含む、A29からA35に記載の方法。
【0066】
A37.DNAの濃度が1μg/mL~200μg/mLである、A29からA36に記載の方法。
【0067】
A38.前記1または複数の治療剤の負荷効率が、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%である、A1からA37に記載の方法。
【0068】
A39.有効量の前記エキソソームを、それを必要とする個体に送達する工程をさらに含む、A1からA38に記載の方法。
【0069】
A40.それを必要とする個体への送達後、前記エキソソームが、前記個体に送達される1または複数のさらなる治療によって誘発される中枢神経系毒性に対する神経保護を提供する、A39に記載の方法。
【0070】
A41.それを必要とする個体への送達後、前記エキソソームが、前記個体に送達される1または複数のさらなる治療によって誘発される認知機能障害および/または神経変性を改善または逆転させる、A39またはA40に記載の方法。
【0071】
A42.前記個体に送達される1または複数のさらなる治療が、化学療法、放射線療法またはそれらの組合せを含む、A40からA41に記載の方法。
【0072】
A43.それを必要とする個体への送達後、前記エキソソームが炎症を軽減する、A39からA42に記載の方法。
【0073】
A44.それを必要とする個体への送達後、前記エキソソームが、再生および/または修復を必要とする組織に組織再生効果および/または組織修復効果を提供する、A39からA43に記載の方法。
【0074】
A45.前記組織が、前記個体に送達される1または複数のさらなる治療によって誘発される毒性に起因して再生および/または修復を必要としている、A44に記載の方法。
【0075】
A46.前記個体に送達される1または複数のさらなる治療が、化学療法、放射線療法またはそれらの組合せを含む、A44またはA45に記載の方法。
【0076】
A47.前記組織が、炎症、挫傷、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、またはそれらの組合せに起因して再生および/または修復を必要としている、A44からA46に記載の方法。
【0077】
A48.前記再生および/または修復を必要とする組織が、軟組織、脳、肺、脾臓、肝臓、心臓、腎臓、膵臓、腸、精巣または骨を含む、A44からA47に記載の方法。
【0078】
A49.それを必要とする個体への送達後、前記エキソソームが、再生および/または修復を必要とする皮膚に皮膚再生効果および/または皮膚修復効果を提供する、A39からA48に記載の方法。
【0079】
A50.前記皮膚が、前記個体に送達される1または複数のさらなる治療によって誘発される毒性に起因して再生および/または修復を必要としている、A49に記載の方法。
【0080】
A51.前記個体に送達される1または複数のさらなる治療が、化学療法、放射線療法またはそれらの組合せを含む、A49又はA50に記載の方法。
【0081】
A52.前記皮膚が、皮膚障害に起因して再生または修復を必要としている、A49からA51に記載の方法。
【0082】
A53.前記皮膚障害が、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、またはそれらの組合せを含む、A49からA52に記載の方法。
【0083】
A54.それを必要とする個体への送達後、前記エキソソームが、創傷治癒を必要とする組織または皮膚に創傷治癒効果を提供する、A39からA53に記載の方法。
【0084】
A55.前記組織または皮膚が、前記個体に送達される1または複数のさらなる治療によって誘発される毒性に起因して創傷治癒を必要としている、A54に記載の方法。
【0085】
A56.前記個体に送達される1または複数のさらなる治療が、化学療法、放射線療法またはそれらの組合せを含む、A54またはA55に記載の方法。
【0086】
A57.前記組織または皮膚が、組織損傷または皮膚障害に起因して創傷治癒を必要としている、A54からA56に記載の方法。
【0087】
A58.前記組織損傷または皮膚障害が、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷またはそれらの組合せを含む、A54からA57に記載の方法。
【0088】
A59.前記エキソソームが、血液脳関門、血液腫瘍関門、またはそれらの組合せを通過する、A39からA58に記載の方法。
【0089】
A60.前記エキソソームが、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、もしくはそれらの組合せ、または免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、外傷、熱傷、もしくはそれらの組合せの1または複数の症状を、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せを有する、それを必要とする個体において直接または間接的に治療する、A39からA59に記載の方法。
【0090】
A61.前記1または複数の症状が、中枢神経系毒性、認知機能障害、神経変性、炎症、組織変性、組織損傷、皮膚損傷、創傷、またはそれらの組合せを含む、A60に記載の方法。
【0091】
A62.前記免疫障害が自己免疫障害または同種免疫障害である、A60またはA61に記載の方法。
【0092】
A63.前記免疫障害が移植片対宿主病である、A62に記載の方法。
【0093】
A64.前記がんが固形腫瘍がんである、A60またはA61に記載の方法。
【0094】
A65.前記がんがCNSがんまたはCNS関連がんである、A64に記載の方法。
【0095】
A66.前記がんが神経膠芽腫である、A64またはA65に記載の方法。
【0096】
A67.前記組織損傷が、炎症、挫傷、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、またはそれらの組合せである、A60またはA61に記載の方法。
【0097】
A68.前記皮膚障害が、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、またはそれらの組合せである、A60またはA61に記載の方法。
【0098】
A69.前記創傷が組織損傷または皮膚障害の結果であり、前記組織損傷または皮膚障害が、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷またはそれらの組合せを含む、A60またはA61に記載の方法。
【0099】
態様70は、A1からA37に記載の方法のいずれか1つから生成されたエキソソームである。
【0100】
態様71は、A70のエキソソームを含む組成物である。
【0101】
態様72は、A70のエキソソームを含む医薬組成物である。
【0102】
A73.1または複数のさらなる治療剤をさらに含む、A72に記載の医薬組成物。
【0103】
態様74は、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せについて個体を治療する方法であって、A1からA37に記載の方法によって生成されるエキソソーム、A71に記載の組成物またはA72からA73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法である。
【0104】
A75.前記がんが固形腫瘍がんである、A74に記載の方法。
【0105】
A76.前記がんがCNSがんまたはCNS関連がんである、A75に記載の方法。
【0106】
A77.前記がんが神経膠芽腫である、A75またはA76に記載の方法。
【0107】
A78.前記免疫障害が同種免疫障害または自己免疫障害である、A74に記載の方法。
【0108】
A79.前記免疫障害が移植片対宿主病である、A78に記載の方法。
【0109】
A80.前記組織損傷が、炎症、挫傷、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、またはそれらの組合せである、A74に記載の方法。
【0110】
A81.前記皮膚障害が、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、またはそれらの組合せである、A74に記載の方法。
【0111】
A82.前記創傷が組織損傷または皮膚障害の結果であり、前記組織損傷または皮膚障害が、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷またはそれらの組合せを含む、A74に記載の方法。
【0112】
A83.前記個体に、個々の免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷またはそれらの組合せのための第2の治療を投与する工程をさらに含む、A74からA82に記載の方法。
【0113】
態様84は、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せを有する個体において中枢神経系毒性から保護する方法であって、前記中枢神経系毒性が、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、またはそれらの組合せの治療のために前記個体に送達された1または複数の治療によって誘発される、A1からA37に記載の方法によって生成されるエキソソーム、A71に記載の組成物、またはA72からA73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法である。
【0114】
態様85は、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せを有する個体において認知機能障害および/または神経変性を改善または逆転させる方法であって、前記認知機能障害および/または神経変性が、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せの治療のために前記個体に送達された1または複数の治療によって誘発される、A1からA37に記載の方法によって産生されるエキソソーム、A71に記載の組成物または、A72からA73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法である。
【0115】
態様86は、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せを有する個体において、それを必要とする組織を再生および/または修復する方法であって、前記組織が、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せの治療のために前記個体に送達された1または複数の治療によって誘発される毒性に起因して再生および/または修復を必要としており、A1からA37に記載の方法によって生成されるエキソソーム、A71に記載の組成物、またはA72からA73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法である。
【0116】
態様87は、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せを有する個体において、それを必要とする皮膚を再生および/または修復する方法であって、前記皮膚が、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せの治療のために前記個体に送達された1または複数の治療によって誘発される毒性に起因して再生および/または修復を必要としており、A1からA37に記載の方法によって生成されるエキソソーム、A71に記載の組成物、またはA72からA73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法である。
【0117】
態様88は、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せを有する個体において、それを必要とする組織または皮膚の創傷治癒の方法であって、前記組織または皮膚が、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、またはそれらの組合せの治療のために前記個体に送達された1または複数の治療によって誘発される毒性に起因して創傷治癒を必要としており、A1からA37に記載の方法によって生成されるエキソソーム、A71に記載の組成物、またはA72からA73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法である。
【0118】
A89.個体が受容する1または複数の治療が、化学療法、放射線療法またはそれらの組合せを含む、A84からA88に記載の方法。
【0119】
態様90は、組織損傷を有する個体においてそれを必要とする組織を再生および/または修復する方法であって、前記組織損傷が炎症、挫傷、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、またはそれらの組合せを含み、A1からA37に記載の方法によって生成されるエキソソーム、A71に記載の組成物、またはA72からA73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法である。
【0120】
A91.前記再生および/または修復を必要とする組織が、軟組織、脳、肺、脾臓、肝臓、心臓、腎臓、膵臓、腸、精巣または骨を含む、A86からA90に記載の方法。
【0121】
態様92は、皮膚障害を有する個体において、それを必要とする皮膚を再生および/または修復する方法であって、前記皮膚障害が、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、またはそれらの組合せを含み、A1からA37に記載の方法によって生成されるエキソソーム、A71に記載の組成物、またはA72からA73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法である。
【0122】
態様93は、組織損傷または皮膚障害を有する個体において、それを必要とする組織または皮膚の創傷治癒の方法であって、前記組織損傷または皮膚障害が、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷またはそれらの組合せを含み、A1からA37に記載の方法によって生成されるエキソソーム、A71に記載の組成物、またはA72からA73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法である。
【0123】
態様94は、免疫障害、がん、心疾患、腎疾患、肺疾患、肝疾患、感染症、またはそれらの組合せを有する個体において炎症を低減する方法であって、A1からA37に記載の方法によって生成されるエキソソーム、A71に記載の組成物、またはA72からA73に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与する工程を含む方法である。
【0124】
A95.前記エキソソームが、血液脳関門、血液腫瘍関門、またはそれらの組合せを通過する、A74からA94に記載の方法。
【0125】
A96.前記MSCが、個体に関して自己由来または同種由来である、A74からA95に記載の方法。
【0126】
A97.前記エキソソームが、直腸経路、頬側経路、膣経路、皮下経路、鼻腔内経路、皮内経路、静脈内経路、腹腔内経路、筋肉内経路、関節内経路、関節滑液嚢内経路、胸骨内経路、髄腔内経路、病巣内経路もしくは頭蓋内経路を介して、または埋め込まれたリザーバーを介して投与される、A74からA96に記載の方法。
【0127】
A98.前記エキソソームが、少なくとも1つのさらなる治療剤と併せて投与される、A74からA97に記載の方法。
【0128】
「治療上有効な量」という用語は、所望の治療結果をもたらすのに十分な量、例えば、細胞が投与される被験体における病状の少なくとも1つの症状を改善するのに十分な量のエクソソームを指す。
【0129】
「個体」、「対象」、及び「患者」は、互換的に使用され、霊長類、哺乳類、脊椎動物などのヒト又はヒト以外のいずれかを指すことができる。特定の態様において、対象はヒトである。被験者の年齢、性別、人種は問わない。対象は、例えば、良性または悪性の癌、自己または自己免疫疾患、感染症、組織損傷、皮膚障害、または創傷などの疾患(病状と呼ばれることがある)を有するか、または有する疑いのある患者であり得る。対象者は、治療中であってもよいし、治療を受けたことがあってもよい。対象者は無症状であってもよい。対象は、疾患または状態の予防を望む健康な個人であってもよい。
【0130】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「処置する」、または「処置」または同等の用語は、治療的処置および予防的または予防的措置の両方を指し、その目的は、望ましくない生理学的変化または障害、例えば、腫瘍または感染性疾患の成長、発症、または拡散、腫瘍の再発、自己免疫障害または自己免疫障害の発現、組織傷害の発現、皮膚障害の発現、または創傷を予防または減速(軽減)することである。本開示の目的のために、有益なまたは所望の臨床結果には、症状の緩和または改善、疾患の範囲の減少、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化していない)、疾患の進行の遅延または減速、疾患状態の改善または緩和、および検出可能であるか検出不可能であるかにかかわらず寛解(部分的であるか全体的であるかにかかわらず)が含まれるが、これらに限定されない。「治療」とは、治療を受けなかった場合に予想される生存期間と比較して生存期間を延長することも意味する。「治療」は、必ずしも疾患や状態、またはそれらに関連する症状の完全な根絶や治癒を示すものではない。治療が必要な患者には、すでに疾患や障害を有する患者だけでなく、疾患や障害を有しやすい患者や、疾患や障害を予防したい患者も含まれる。治療の結果は、例えば、腫瘍負荷またはウイルス負荷の減少の決定、機能の回復の決定、または当技術分野で公知の他の方法のような、当技術分野で公知の方法によって決定することができる。
【0131】
本明細書で使用される「予防する」、および「予防された」、「予防」などの類似の語は、疾患または状態、例えば、癌、感染性疾患、自己免疫疾患または自己免疫疾患、組織傷害、皮膚障害、または創傷の発生または再発の可能性を予防、阻害、または低減するためのアプローチを示す。また、疾患もしくは状態の発症もしくは再発を遅延させること、または疾患もしくは状態の症状の発生もしくは再発を遅延させることを指す。本明細書で使用される場合、「予防」および同様の語は、疾患または状態の発症または再発の前に、疾患または状態の強度、影響、症状および/または負担を軽減することも含む。
【0132】
本出願を通じて使用される「治療上の利益」または「治療上有効な」という用語は、この状態の医学的治療に関して対象の幸福を促進または増強するものを指す。これには、疾患の徴候または症状の頻度または重症度の減少が含まれるが、これらに限定されない。例えば、癌の治療には、腫瘍の大きさの減少、腫瘍の浸潤性の減少、癌の成長速度の減少、または転移の予防が含まれるが、これらに限定されない。また、癌の治療とは、癌を有する被験体の生存期間を延長することを指す場合もある。感染症の治療には、個体における感染症の蔓延の減少、感染症の侵襲性の減少、感染症の伝播速度の減少、または感染症の蔓延の予防が含まれるが、これらに限定されない。また、感染症の治療とは、感染症に罹患した被験者の生存期間を延長することを指す場合もある。自己免疫疾患または他免疫疾患の治療には、疼痛、浮腫、体温上昇、および/または炎症の軽減、または免疫拒絶の予防が含まれるが、これらに限定されない。自己免疫疾患または自己免疫疾患の治療とは、自己免疫疾患または自己免疫疾患を有する被験体の生存期間を延長することを指す場合もある。組織傷害の治療には、個体における組織傷害の広がりの軽減、または組織傷害に伴う疼痛もしくは炎症の軽減が含まれるが、これらに限定されない。組織傷害の治療はまた、組織傷害を有する被験体の生存期間の延長を指す場合もある。皮膚障害の治療には、個体における皮膚障害の広がりの軽減、または皮膚障害の侵襲性の軽減が含まれるが、これらに限定されない。また、皮膚障害の治療とは、皮膚障害を有する被験体の生存期間を延長することを指す場合もある。創傷の治療には、個体における創傷の広がりの軽減、創傷の侵襲性の軽減、または創傷の感染の予防が含まれるが、これらに限定されない。創傷の治療はまた、創傷を有する被験体の生存期間を延長することを指す場合もある。
【0133】
「医薬上または薬理学的に許容される」という語句は、ヒトなどの動物に投与した場合に、有害反応、アレルギー反応、または他の有害反応を引き起こさない分子実体および組成物を指す。抗体または追加の活性成分を含む医薬組成物の調製は、本開示に照らして当業者に公知であろう。さらに、動物(例えば、ヒト)への投与のために、調製物は、FDA生物学的標準局によって要求される無菌性、発熱原性、一般的安全性、および純度の基準を満たすべきであることが理解されるであろう。
【0134】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」には、任意のおよびすべての水性溶媒(例えば、水、アルコール/水溶液、生理食塩水、塩化ナトリウム、リンゲルデキストロースなどの非経口ビヒクル)、非水性溶媒(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、およびエチロレエートなどの注射可能な有機エステル)、分散媒体、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、保存剤(例えば、抗菌剤または抗真菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガス)、等張化剤、吸収遅延剤、塩、薬物、薬物安定化剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、染料、体液および栄養補充剤、このような材料およびこれらの組み合わせは、当業者に知られているであろう。医薬組成物中の種々の成分のpHおよび正確な濃度は、周知のパラメーターに従って調整される。
【0135】
本出願を通じて、用語「約」、「実質的に」、および「約」は、値が、測定または定量方法または値または範囲における変動の程度に固有の誤差の変動を含むことを示すために使用される。したがって、「約」、「実質的に」、および「約」という用語は、一般的に、記載された値プラスマイナス5%を意味する。
【0136】
用語“comprising”とともに使用される場合の“a”または“an”の使用は、“1つ”を意味する場合があるが、“1つ以上”、“少なくとも1つ”、および“1つ以上”の意味とも一致する。
【0137】
「及び/又は」という語句は、「及び」又は「又は」を意味する。例示すると、A、B、および/またはCは以下を含む:A単独、B単独、C単独、AとBの組合せ、AとCの組合せ、BとCの組合せ、またはA、BおよびっこCの組合せが含まれる。
【0138】
組成物およびその使用方法は、本明細書を通じて開示される成分または工程のいずれかを「含む」、「本質的にからなる」、または「からなる」ことができる。開示された成分またはステップのいずれかから「本質的になる」組成物および方法は、クレームの範囲を、クレームされた開示の基本的かつ新規な特性に重大な影響を与えない指定された材料またはステップに限定する。本明細書および請求項(複数可)において使用される場合、「含む」(および「包含する」および「含有する」のような「含む」の任意の形態)、「有する」(および「有する」および「有する」のような「有する」の任意の形態)、「含む」(および「含む」および「含む」のような「含む」の任意の形態)、または「含む」(および「含む」および「含む」のような「含む」の任意の形態)という語は、包括的またはオープンエンドであり、追加の、再現されていない要素または方法ステップを除外するものではない。用語“comprising”の文脈で本明細書に記載される態様は、用語“consisting of”または“consisting essentially of”の文脈でも実施され得ることが企図される。
【0139】
治療、診断、または生理学的な目的または効果の文脈における任意の方法はまた、記載された治療、診断、または生理学的な目的または効果を達成または実施するための、本明細書で議論される任意の化合物、組成物、または薬剤の「使用」のような「使用」クレーム文言で記載され得る。
【0140】
本明細書全体を通して、「1つの態様」、「ある態様」、「特定の態様」、「関連する態様」、「ある態様」、「追加の態様」、または「さらなる態様」、またはそれらの組み合わせへの言及は、態様に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの態様に含まれることを意味する。従って、本明細書を通じて様々な場所に前述の語句が現れるが、必ずしも全てが同じ態様を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の局面において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0141】
本開示の1つの態様に関して議論される任意の限定は、本開示の任意の他の態様に適用され得ることが特に企図される。さらに、本開示の任意の組成物は、本開示の任意の方法において使用され得、本開示の任意の方法は、本開示の任意の組成物を製造または利用するために使用され得る。実施例に記載される実施形態の態様はまた、異なる実施例または本願の他の場所、例えば、要約、詳細な説明、特許請求の範囲、および図面の説明において議論される態様の文脈において実施され得る態様である。
【0142】
本開示の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本開示の精神および範囲内での様々な変更および修正は、この詳細な説明から当業者には明らかになるので、詳細な説明および具体例は、本開示の特定の態様を示す一方で、例示のためにのみ与えられることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0143】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示のある特定の態様をさらに明示するために含まれる。本開示は、本明細書に提示される特定の態様の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面の1または複数を参照することにより、よりよく理解することができる。
【0144】
図1図1は、有効な抗神経膠腫miRNA(miR)を同定するための概略図を提供する。
【0145】
図2A図2Aは、miR-124aが有効な抗神経膠腫miRであることを実証している。
図2B図2Bは、miR-124aが有効な抗神経膠腫miRであることを実証している。
【0146】
図3図3は、miR-124aを含有するエキソソームを生成するためのBM-hMSCのレンチウイルス操作の概略図を提供する。
【0147】
図4A図4Aは、ヒト骨髄間葉系幹細胞(BM-hMSC)由来の小胞がエキソソームであることを示している。
図4B図4Bは、ヒト骨髄間葉系幹細胞(BM-hMSC)由来の小胞がエキソソームであることを示している。
図4C図4Cは、ヒト骨髄間葉系幹細胞(BM-hMSC)由来の小胞がエキソソームであることを示している。
【0148】
図5図5は、BM-hMSC由来エキソソームがmiR-124aを含有する(Exo-miR124)ことを示している。
【0149】
図6図6は、BM-hMSC由来のmiR-124a含有エキソソームのin vitro有効性をアッセイするための概略図を提供する。
【0150】
図7A図7Aは、miR-124aを含有するBM-hMSC由来エキソソーム(Exo-miR124)が神経膠腫幹細胞(GSC)の生存率を阻害することを示している。
図7B図7Bは、miR-124aを含有するBM-hMSC由来エキソソーム(Exo-miR124)が神経膠腫幹細胞(GSC)のクローン形成能を阻害することを示している。
【0151】
図8A図8Aは、GSC267およびGSC8-11を、miR-124aを含有するBM-hMSC由来エキソソーム(Exo-miR124)で処理した後の、FOXA2の下方制御を特徴とする、Exo-miR124の潜在的な作用機序を示している。
図8B図8Bは、GSC267およびGSC8-11を、miR-124aを含有するBM-hMSC由来エキソソーム(Exo-miR124)で処理した後の、脂質蓄積を特徴とする、Exo-miR124の潜在的な作用機序を示している。
図8C図8Cは、GSC267およびGSC8-11を、miR-124aを含有するBM-hMSC由来エキソソーム(Exo-miR124)で処理した後の、アポトーシス細胞死の誘導を特徴とする、Exo-miR124の潜在的な作用機序を示している。
【0152】
図9A図9Aは、7つの完全に注釈付けされた患者由来のGSCのパネルに対する阻害活性を有するmiRNAの同定を例示している。
図9B図9Bは、7つの完全に注釈付けされた患者由来のGSCのパネルに対する阻害活性を有するmiRNAの同定を例示している。
図9C図9Cは、7つの完全に注釈付けされた患者由来のGSCのパネルに対する阻害活性を有するmiRNAの同定を例示している。
図9D図9Dは、7つの完全に注釈付けされた患者由来のGSCのパネルに対する阻害活性を有するmiRNAの同定を例示している。
図9E図9Eは、7つの完全に注釈付けされた患者由来のGSCのパネルに対する阻害活性を有するmiRNAの同定を例示している。
【0153】
図10図10は、miR-124a含有エキソソーム(Exos-miR124)の腫瘍へのinvivoホーミングをアッセイするための概略図を提供する。
【0154】
図11A図11Aは、異なる経路によって投与されたmiR-124a含有エキソソームの腫瘍へのinvivoホーミングを例示している。
図11B図11Bは、異なる経路によって投与されたmiR-124a含有エキソソームの腫瘍に対するinvivoホーミングを例示している。
【0155】
図12A図12Aは、miR-124a含有エキソソーム(Exos-miR124)の全身送達がinvivoで脳腫瘍担持マウスの生存を延長させることを示している。
図12B図12Bは、miR-124a含有エキソソーム(Exos-miR124)の全身送達がinvivoで脳腫瘍担持マウスの生存を延長させることを示している。
【0156】
図13図13は、24時間にわたって細胞あたりに産生されるエキソソームの数が、骨髄間葉系幹細胞(BM-MSC)よりも臍帯間葉系幹細胞(UC-MSC)において多いことを示している。
【0157】
図14A図14Aは、UC-MSC由来エキソソーム(UC-Exos)が、BM-MSC由来エキソソーム(BM-Exos)と同様に、invivoで脳腫瘍にホーミングすることを示している。神経膠腫担持マウスへのIA送達後のUC-MSC-ExosおよびBM-MSC-ExosのBLIの図である。
図14B図14Bは、UC-MSC由来エキソソーム(UC-Exos)が、BM-MSC由来エキソソーム(BM-Exos)と同様に、invivoで脳腫瘍にホーミングすることを示している。以下の式を使用して計算される脳画像の平均放射効率を示す棒グラフである:(p/s/cm/sr)/(μW/cm)(式中、pは光子であり、sは秒であり、srはステラジアンであり、μWは励起スリットである)。
【0158】
図15A図15Aは、mir-124を負荷した間葉系幹細胞(MSC)由来エキソソームを産生するプロセスを示している。
図15B図15Bは、mir-124を負荷した間葉系幹細胞(MSC)由来エキソソームをエレクトロポレーションするプロセスを示している。
図15C図15Cは、mir-124を負荷した間葉系幹細胞(MSC)由来エキソソームを評価するプロセスを示している。
【0159】
図16図16は、種々のプログラムによるエレクトロポレーション後のmiR-124レベルをアッセイするRT-qPCRの結果を示す。0ng~1ugのmiRNA濃度を使用して、標準曲線(グラフの右半分)を得た。
【0160】
図17A図17Aは、UC-Exos単独(エキソソーム単独)、エレクトロポレーションされた対照miRNA含有UC-Exos(miR-CTRL)、およびエレクトロポレーションされたmiR124a含有UC-Exos(miR-124)による処理の、比色アッセイを使用したGSC267細胞株の生存率に対する効果を示している。*P<0.05、**P<0.01。
図17B図17Bは、UC-Exos単独(エキソソーム単独)、エレクトロポレーションされた対照miRNA含有UC-Exos(miR-CTRL)、およびエレクトロポレーションされたmiR124a含有UC-Exos(miR-124)による処理の、比色アッセイを使用したGSC8-11細胞株の生存能力に対する効果を示している。*P<0.05、**P<0.01。
図17C図17Cは、UC-Exos単独(エキソソーム単独)、エレクトロポレーションされた対照miRNA含有UC-Exos(miR-CTRL)、およびエレクトロポレーションされたmiR124a含有UC-Exos(miR-124)による処理の、トリパンブルー色素排除法を使用したGSC267細胞株の生存能力に対する効果を示している。*P<0.05、**P<0.01。
図17D図17Dは、UC-Exos単独(エキソソーム単独)、エレクトロポレーションされた対照miRNA含有UC-Exos(miR-CTRL)、およびエレクトロポレーションされたmiR124a含有UC-Exos(miR-124)による処理の、トリパンブルー色素排除法を使用したGSC8-11細胞株の生存能力に対する効果を示している。*P<0.05、**P<0.01。
【0161】
図18A図18Aは、F3-T3融合切断点に対するsiRNAの設計を示している。F3-T3切断点およびさまざまなカスタムsiRNA構築物の配列である。
図18B図18Bは、F3-T3融合切断点に対するsiRNAの設計を示している。免疫ブロット法によって例示されるように、U87.F3T3細胞株においてF3-T3タンパク質の枯渇に最も効果的であることが示された構築物#5を、矢印が指し示している図である。
図18C図18Cは、F3-T3融合切断点に対するsiRNAの設計を示している。免疫ブロット法によって例示されるように、SNB19.F3T3細胞株においてF3-T3タンパク質の枯渇に最も効果的であることが示された構築物#5を矢印が指し示している図である。
【0162】
図19図19は、iF3T3を負荷したUC-ExosがinvitroでF3-T3の枯渇に成功したことを示す。エレクトロポレーションプログラム1~4を用いたエレクトロポレーションでiF3T3を負荷したエキソソームで処理するとF3-T3が枯渇することを示すqPCRアッセイの図である。***P<0001、対応のないt検定。
【0163】
図20図20は、化学放射線で処置し、続いてUC-Exos(マウス1匹あたりIVでExo1:0.8×10、Exo2:8.8×10、またはExo3:1.7×1010)で処置したC57/BL6マウス(n=8/群)の実行機能を示す。ハードトライアルで暗区画に到達するのに必要な平均時間を示す。*P<0.05。
【0164】
図21A図21Aは、QUANTUM(登録商標)CellExpansionSystem(TerumoBCT;Lakewood、CO)などのバイオリアクターを使用して、MSCからエキソソームなどの細胞外小胞(EV)を産生させるように設計された手順の一例を記載する。
図21B図21Bは、QUANTUM(登録商標)CellExpansionSystem(TerumoBCT;Lakewood、CO)などのバイオリアクターを使用して、MSCからエキソソームなどの細胞外小胞(EV)を産生させるように設計された手順の一例を記載する。
図21C図21Cは、QUANTUM(登録商標)CellExpansionSystem(TerumoBCT;Lakewood、CO)などのバイオリアクターを使用して、MSCからエキソソームなどの細胞外小胞(EV)を産生させるように設計された手順の一例を記載する。
【0165】
図22図22は、レンチウイルスを介した(BM-MSC-Exos)、またはエレクトロポレーションを介した(UC-MSC-Exos)、エキソソーム単独(EmptyExosomes)、対照miRNA含有MSC-Exos(ExomiR対照)およびmiR124a含有MSC-Exos(miR-124)を比較する、BM-MSC-エキソソーム(BM-MSC-Exos)およびUC-MSC-エキソソームの2つの試料(UC-MSC-Exos)による処理の、トリパンブルー色素排除法を使用して生細胞を計数することによってアッセイされたGSC267神経膠芽腫細胞株の生存率に対する効果を示す。結果は、exomiR-124による処理が神経膠芽腫幹細胞の数を有意に減少させたことを示す。
【0166】
図23図23は、レンチウイルスよって生成されたBM-MSC-エキソソーム、および小規模または大規模エレクトロポレーションプロセスを用いたエレクトロポレーション後のUC-MSC-エキソソーム、および適切な対照についてのmiR-124レベルをアッセイするRT-qPCR結果を示している。25ng~200ngのmiRNA濃度を使用して、標準曲線(グラフの右半分)を得た。臍帯組織エキソソームは、エキソソーム中のmiR124のより高いコピー数を示す、より低いデルタCtに関して最良の結果を有した。
【発明を実施するための形態】
【0167】
本開示は、間葉系幹細胞(MSC)からエキソソームを生成し、前記エキソソームに治療剤を負荷するための特定のシステム、方法および組成物を記載する。本明細書において明示されるように、開示された手順に従って調製されるMSC由来エキソソームは、安定であり、生体活性であり、これらのMSC由来エキソソームのエレクトロポレーションを使用して、強力な治療薬が負荷されたエキソソームを作製することができる。
【0168】
臍帯(UC)由来の間葉系幹細胞(UC-MSC)は、少なくともいくつかの態様において、骨髄(BM)由来のMSC(BM-MSC)と比較して有意に多数のエキソソームを産生する。さらに、BM-MSC由来エキソソームと同様に、UC-MSC由来エキソソーム(UC-Exos)は、少なくともいくつかの態様において、invivoで腫瘍にホーミングし、表現型の特徴付けにより、UC-MSCおよびBM-MSC由来エキソソームが、同じレベルのエキソソソソームマーカーCD9、CD63、CD47およびCD81を発現することが確認された。エレクトロポレーションを使用して、これらのエキソソームに、限定するものではないが、タンパク質、核酸および小分子薬物を含む治療剤を直接負荷することができる。この戦略は、大容量の生成が、いくつかの治療剤を発現させるためのレンチウイルス(LV)によるMSCの形質導入を伴う方法よりも実現可能であり、各エキソソームにおける治療薬量の再現性が高度に制御され、この方法を、少なくともいくつかの態様において、LV形質導入方法よりも拡張性があり、より「薬物様」にするので、有利である。さらに、この戦略は、エキソソームの産生/単離を治療剤の負荷から分離し、各段階の品質管理を可能にする。さらに、少なくともいくつかの態様において、UC-Exosは、化学放射線誘発性脳損傷時に認知機能障害を逆転させるのに有効であり得、放射線および化学療法に続発する神経認知毒性の治療に有効であり得る。
【0169】
確立されたアプローチは実用的であり、効率的であり、治療剤としてのエキソソームの臨床使用、例えば、GBMまたは他の固形および液体腫瘍ならびにそれに関連する毒性を有する患者の治療、同種免疫障害または自己免疫障害を有する患者の治療、微生物感染症を有する患者の治療、皮膚障害を有する患者の治療、創傷の治療、遺伝子および薬物の送達のためのビヒクル、ならびに再生医療および/または修復医療現場のための治療剤を可能にする。
【0170】
I.エキソソームを生成するシステムおよび方法
本開示は、エキソソームとして細胞外小胞(EV)を生成するシステムおよび方法を提供する。特定の場合には、本開示は、エキソソームとして生成するための新規の優良医薬品製造基準(GMP)準拠戦略に関する。いくつかの態様において、エキソソームは、特定の細胞からの産生と組み合わせて、特定の条件下で生成される。
【0171】
特定の態様において、MSCは、臍帯組織に由来するが、限定するものではないが、骨髄、脂肪組織、歯科組織および胎盤組織を含む任意の供給源に由来し得る。
【0172】
本プロセスの任意の工程は、例えば、特定の培地、持続時間、特定の濃度の1または複数の特定のガスの存在、移動(回転など)の有無、およびそれらの組合せを有し得る。特定の態様において、場合によっては、細胞を培地で特定の時間(例えば、バイオリアクターまたはフラスコ内で)インキュベートする。これに続いて、細胞および該細胞から分泌されたエキソソームの洗浄および収集が行われる。エキソソームの収集(本明細書では回収と呼ぶこともある)は、1つの工程または複数の工程を含み得る。エキソソームの収集が複数回行われる場合、エキソソームが収集される時間的間隔は、例えば、収集間が、少なくとも、最大で、または約12、18、24、36、48、60、72時間、もしくはそれ以上、またはその中で導き出せる任意の範囲もしくは値があってよく、またはなくてもよい。細胞およびエキソソームが収集される培地は、特定の種類のものであり得、細胞およびエキソソームが収集される特定の工程では、培地は血小板溶解物を欠く(PLT非含有)。特定の場合には、細胞を約22時間にわたって培養し、次いで、細胞を洗浄し、細胞から分泌されたエキソソームを、およそ48時間ごとにPLT非含有EC培地中に収集する(PLT非含有EC培地は、2mMのGLUTAMAX(商標)(L-グルタミンに類似した、L-アラニル-L-グルタミンジペプチドを含む合成試薬)を補充したアルファMEM培地を含んでも含まなくてもよい)。これらの連続する工程は繰り返すことができ、例えば、合計2、3、4回、またはそれ以上繰り返すことができる。
【0173】
特定の態様において、細胞およびエキソソームの懸濁液は、細胞から産生されたエキソソームが一貫して同じまたは実質的に同じマーカーおよび生理機能を有する条件下で本システムから回収される。したがって、回収時が異なる特定の場合において、エキソソームは、大部分のエキソソームが同じ発現マーカーの1または複数を有することによって、同じまたは実質的に同じである。
【0174】
特定の態様において、エキソソームを生成するプロセスはバイオリアクターで行われるが、代替的な場合にはバイオリアクターでは行われない。特定の態様において、エキソソームを生成するプロセスはフラスコ内で行われる。特定の態様において、プロセスの一部または全部は、特定の場合には自動化され得る制御可能な条件を有するバイオリアクターで行われる。バイオリアクターは任意の種類のものであってよいが、特定の態様において、バイオリアクターは、1または複数の経路を含んでも含まなくてもよい中空糸システムを含む。複数の中空糸は、特定の態様において、細胞の接着に適した、または細胞がそれらに接着し得るように改変するのに適した内面を含む。代替のシステムは、例として、WAVEBIOREACTOR(商標)(GEHealthcare)またはG-REX(商標登録)システム(WilsonWolf)を利用する。
【0175】
ある態様において、中空糸バイオリアクターは、接着細胞または非接着細胞の大規模細胞培養用に設計された機能的に閉鎖された(または半閉鎖)システムであり得る。このシステムは、少なくともいくつかのバイオリアクターにおいて、適切な条件下で特定のinvivo血管内区画および血管外区画を模倣する、培地の連続灌流を可能にする動的環境において細胞の増殖(数の拡大)を可能にする。すなわち、特定の場合には、血管内区画は、血液系の血管内領域を模倣するように構成され、および/または血管外区画は、血管外造血系を模倣するように構成される。中空糸系は、特定の場合には、接着細胞を含む所望の細胞の培養のための数百または数千の半透性細孔を含む。膜は、中空糸の内壁を構成し、均質なアプローチでガスおよび/または栄養素の交換を可能にし、短時間で細胞の増殖速度を最大にすることができる。特定の態様において、このプロセスは、MSCの増殖に適しており、カスタマイズされた方法で細胞によって分泌されるエキソソームの収集を可能にするように特に設計される。
【0176】
バイオリアクターシステムの構成要素は、培地および/または細胞をシステムに導入するための容器および/または区画、細胞を増殖させる(それによって増殖/増殖した細胞からエキソソームを生成する)ための容器および/または区画、ならびに細胞を回収するための容器および/または区画、エキソソームを含む馴化培地などを含む。システムの任意の部分の区画の例としては、特定の態様において、細胞入口バッグ、培地バッグ、回収バッグ、および廃棄物バッグが挙げられる。バイオリアクターシステムは、自然に細胞が接着する、またはシステム内の中空糸が所望の細胞の接着を可能にするように操作されているために細胞が接着する、数千の半透性中空糸を利用する。特定の態様において、システムはまた、培地中の所望のガス濃度を安定させるガス調整器(ガス移送モジュールと呼ぶことができる)を備える。そのようなガス調整器は、所望であれば、バイオリアクター内への1または複数のガスの連続注入を可能にする。特定の態様において、所望のエキソソームを生成するプロセスは、明確に定義された濃度のCO(例えば、約5%)、O(例えば、約20%)および窒素(例えば、条件は窒素でバランスがとられる)を利用する。
【0177】
図21A~21Cは、エキソソームを生成するための手順およびシステムの一例を提供する。システムの特定の場合には、毛細管内(IC)経路および/または毛細管外(EC)経路が存在し得る。バイオリアクターがICおよび/またはEC経路を含む場合には、それらは、バイオリアクターの各側への新しい培地の流れを決定する入口ポンプ、およびバイオリアクターの各側の培地がその回路を通って移動する速度を決定する循環ポンプによって維持され得る。バイオリアクターシステムの特定の態様において、微細孔によって形成され、別個のICおよびEC流体経路に分割された中空糸バイオリアクターシステムが利用される。特定の態様において、ICおよび/またはEC経路の流体は、バイオリアクターの各側への新しい培地の流れを決定する入口ポンプ、およびバイオリアクターの各側の培地がその回路を通って移動する速度を決定する循環ポンプによって維持され得る。特定の態様において、細胞は毛細管内区画に播種されるが、EC区画は細胞に培地を供給するために使用される。
【0178】
一般的に言えば、細胞の増殖を促進するためのシステムの物理的構成要素の調製など、細胞の負荷に先立ってシステムを調製するための適切な工程がとられる。システムは、閉鎖型であっても、半閉鎖型であっても(本明細書で使用される場合、エキソソームの生成中に、いくつかの工程がシステムの開放および試料の空気への曝露を必要とすることを指す)。増殖指せる細胞をシステムに供する前に、バイオリアクターを1または複数の構成要素および/または1または複数の条件に供して、細胞のバイオリアクターへの接着を促進することができる。細胞培地は、細胞の負荷の前にシステムに充填することができる。
【0179】
接着細胞の生成のために、細胞は各線維の内面に付着して増殖する。浮遊細胞を洗い流し、接着細胞を残して、増殖のために産生させることができる。特定の態様において、自動細胞供給および廃棄物除去手段は、システムの一部であり得る。少なくともいくつかの場合には、システムからの細胞/馴化培地のサンプリングは、プロセスを中断することなく、または中断して提供され得る。特定の態様において、細胞増殖後、接着細胞が中空糸壁から懸濁液に放出され、そこから細胞および分泌されたエキソソームを含む懸濁液が収集される。
【0180】
図21Aは、所望のエキソソームを生成するためのプロセスにおいて使用され得る特定の開始工程を明示する。プロセスの一例における0日目は、最初の5つの工程のうちの工程1、2、3、4、5、または5つすべてを含み得る。そのような場合、工程1は負荷細胞増殖セット工程を含むことができる。特定の態様において、「負荷細胞増殖セット」工程は、(細胞が増殖する)中空糸バイオリアクターを含む使い捨て細胞増殖セットの、Quantum(登録商標)細胞増殖システムへの取り付け、およびCO(例えば、5%)、培地、空気、および廃棄物の出口ライン(outline)の供給を可能にするすべてのラインの接続を指す。このプロセスの工程2の間に、「プライム細胞増殖セット」工程があり、この工程では、中空糸システム全体が入口と出口ライン(outline)の接続を通して、Ca2+およびMg2+を含まないリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で満たされ、空気が除去される。
【0181】
工程3~5の間に、バイオリアクターは、システムの中空糸内のコーティングなど、細胞の負荷前にコーティングされてもよい。場合によっては、工程3において、バイオリアクターをコーティングするための工程の一部として試薬が適用される。場合によっては、試薬の適用後にバイオリアクターは、(例えば、PBSなどの緩衝液を用いて)洗浄される。工程3~5の間の特定の場合では、バイオリアクター内の細胞接着を促進するために、バイオリアクターの毛細管内区画(例えば、チューブ)の膜表面が1または複数の化合物でコーティングされる。特定の場合には、細胞接着を促進するために、バイオリアクターの中空糸がヒトフィブロネクチン(または任意の細胞外マトリックス型試薬、例えばRETRONECTIN(登録商標))でコーティングされる。特定の場合には、フィブロネクチンは、例えば、ヒト血漿由来の細胞外マトリックスタンパク質(市販品として入手することができる)である。
【0182】
いくつかの態様において、工程6~8は1日目に行われる。場合によっては、工程6は、ICおよびEC経路の洗い出し(中空糸セットの-90、180、および1度の運動を含む、システムの一連の運動を伴い得る)に関係し、工程7~8は、システムへの馴化培地の添加に関係する(および、システムの静止セットを有し得る)。工程6~8のそれぞれにおいて、IC培地がEC入口に適用されるが、場合によっては、工程6において、IC培地がIC入口に適用されることもある。ある態様において、IC培地は、基礎増殖培地、ヘパリン、血小板溶解物、およびL-グルタミンまたは同様の化合物の供給源を含む。特定の態様において、ヒト血小板溶解物は、細胞増殖に有用ないくつかの増殖因子(例えば、上皮成長因子、血小板由来成長因子、IL-6、インスリン様成長因子、線維芽細胞成長因子、またはそれらの組合せ)を含み、凍結/解凍サイクル後にヒト血小板から得られる、異種由来成分非含有の、ウシ胎児血清のヒト同種代替物であるために、これが利用される。特定の態様において、IC培地は、ヘパリン2U/mL、5%ヒト血小板溶解物(hPLT)、および2mMのGLUTAMAX(商標)を補充したアルファMEM培地を含む。
【0183】
図21Bは、エキソソーム産生のためのプロセスのこの例における1日目の他の工程~7日目の少なくとも一部の工程の例を示す。工程9~11は、システムへ細胞を負荷して、システム内で均一な懸濁液を生成することに関する。例えば、工程9において、細胞がIC入口を通してシステムに投入され、続いて適切な体積のIC培地が投入され得る(工程10)。工程11において、IC循環速度を上昇させることができる。工程9~11のそれぞれにおいて、増殖セットは、-90、180、および1などの運動に供されることがある。工程12において、細胞は、ロッカーの運動を停止し、セットの中空糸内の細胞の接着を支援するために静止状態にさせることによって、細胞が付着することができる。工程12は、特定の態様において、EC入口へのIC培地の投入を含む。
【0184】
2~5日目は、それぞれ、静止設定を含む、細胞を増殖させるプロセスの工程13~16を含み得る。IC培地はIC入口を通して提供され、特定の場合には、IC入口速度は工程13~16の過程にわたって徐々に上昇する。特定の態様において、IC培地は、工程13~17においてEC入口には投入されない。6日目の工程17は、例えばPBSなどの緩衝液による洗浄工程を含む。
【0185】
図21Cは、特定の態様において、7~15日目の過程にわたる工程20~31の例を示す。工程20において、血小板非含有EC培地をEC入口に投入し、続く工程21において、IC培地をIC入口に投入した後に懸濁液を回収する。回収工程は、その後、毎日、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごとなど、定期的に継続することができる。
【0186】
そのような場合には本システムからを含めて、細胞がプロセスから回収されると、エキソソームは、任意の適切な手段によって上清および細胞から分離され得る。場合によっては、プロセスからの複数の回収物があり、プロセスからの上清、細胞およびエキソソームは、任意のさらなる分離または修飾工程の前にプールされ得る。ある場合には、複数の回収物からのエキソソームを別々に処理し、後で組み合わせる。
【0187】
いくつかの態様において、エキソソームは、産生プロセス後に富化または濃縮される。一例として、エキソソームは、物理的および/または化学的手段によって、細胞、細胞断片および/またはより大きいもしくはより小さい小胞から分離される。特定の場合には、エキソソームは、1または複数の遠心分離、1または複数の濾過(限外濾過および/またはダイアフィルトレーションなど)、免疫単離、化学沈殿、サイズ排除クロマトグラフィー、マイクロフルイディクス、またはそれらの組合せのうちの1つ以上によって濃縮される。異なる遠心分離工程が異なる速度で行われてもよく、および/または異なる濾過工程が異なるサイズで行われてもよい。
【0188】
いくつかの態様において、エキソソームは、示差超遠心分離を使用して培養MSCの培地から富化または濃縮される。いくつかの態様において、示差超遠心分離は以下の工程を含む。1)上清を2000×gで20分間遠心分離し、細胞を含むペレットを廃棄する工程、2)上清を0.2μmのフィルターを用いて濾過する工程、3)上清を100000×gで240分間遠心分離し、エキソソームおよび細胞タンパク質を含むペレットを得て、PBSで洗浄する工程、および4)エキソソームおよび細胞タンパク質を含むPBS洗浄ペレットを100000×gで70~180分間遠心分離し、エキソソームを含むペレットを得る工程。
【0189】
示差超遠心分離は合理的に純粋なエキソソームを提供するが、いくつかの態様において、スクロースクッションを使用して追加の精製工程が行われる。いくつかの態様において、エキソソームは、示差超遠心分離を使用して培養MSCの培地から富化または濃縮され、続いてスクロース勾配によって濾過される。スクロースクッションを使用すると、遠心分離によって沈降するがスクロース勾配に浮かない、エキソソームと非特異的に会合するタンパク質または大きなタンパク質凝集体などのより多くの汚染物質が除去される。したがって、いくつかの態様において、列挙された示差超遠心分離工程は、以下の工程をさらに含む。5)部分的に精製されたエキソソソームペレット全体をPBSに再懸濁する工程、6)遠心管の底部にトリス/スクロース/重水(DO)溶液を充填してクッションを作る工程、7)希釈エキソソームを、界面を乱さずにスクロースクッションの上に静かに添加し、4℃において100、000×gで75分間遠心分離する工程、8)18-Gの針を取り付けた5-mlシリンジを用いて、チューブの側面からエキソソームを含む約3.5mlのトリス/スクロース/DOクッションを収集する工程、9)エキソソームを新しい超遠心管に移し、PBSで希釈し、4℃、100、000×gで70分間遠心分離する工程、および10)ペレットをPBSに再懸濁する工程。
【0190】
エキソソームは、即時または実質的に即時に使用することができ、または使用前に、例えば-80℃または液体窒素中で保存されてもよい。
【0191】
いくつかの態様において、エキソソームは任意の種類の改変の前に濃縮されるが、他の場合では、エキソソームは濃縮の前に改変される。エキソソームは、生成プロセスの後、濃縮工程の後、および/またはプロセス自体の間に分析され得る。そのような分析は、1または複数のマーカーを同定すること、サイズを同定すること、濃度を決定すること、エキソソームに対する1または複数の特異的活性(例えば、遊走または免疫抑制および/または抗T細胞活性)を決定すること、またはそれらの組合せを含む。
【0192】
II.エキソソームの改変
いくつかの態様において、エキソソームは、MSC(特定のMSC、例えば、臍帯組織に由来するMSCを含む)から産生された結果としての1または複数の一定の特徴または活性を含むが、エキソソームはさらに改変され得る。特定の場合には、エキソソームは、1または複数の治療剤を有する(担持する)ようにさらに改変される。場合によっては、MSCが改変され(例えば、トランスフェクト、形質導入、エレクトロポレーションなど)、改変されたエキソソームが、改変されたMSCによって産生される。場合によっては、エキソソーム自体が改変される(例えば、トランスフェクト、形質導入、エレクトロポレーションなど)。
【0193】
エキソソームの改変は、当技術分野における任意の適切な方法によって行うことができるが、特定の場合には、エキソソームは、ベクター、エレクトロポレーション、トランスフェクション、カチオン性リポソームトランスフェクション剤の使用、またはそれらの組合せによって1または複数の治療剤が負荷される。追加的に、または代替的に、いくつかの態様において、MSCは、当技術分野における任意の適切な方法によって改変されるが、特定の場合には、MSCは、ベクター、エレクトロポレーション、トランスフェクションによって、カチオン性リポソームトランスフェクション剤の使用、またはそれらの組合せによって1または複数の治療剤が負荷され、1または複数の治療剤を含むエキソソームが、改変されたMSCから産生される。
【0194】
特定の態様において、エキソソームに負荷された(1または複数の)治療剤は、MSCに関して外因性である。それらは、いくつかの異なる技術によってエキソソームに導入することができる。本開示の特定の態様において、エキソソームは、エレクトロポレーションまたはトランスフェクション試薬の使用によって負荷される。
【0195】
特定の態様において、エキソソームは、それらのサイズが、それらが担持することができる治療剤の種類を決定するような特定のサイズのものである。特定の場合、エキソソームは、30~350、30~300、30~250、30~200、30~150、30~100、30~50、50~400、50~350、50~300、50~250、50~200、50~150、50~100、100~400、100~350、100~300、100~250、100~200、200~400、200~350、200~300、200~250、250~400、250~350、250~300、300~400、300~350もしくは350~400nmのサイズ、またはその中で誘導可能な任意の範囲もしくは値を含めて、30~400nmのサイズである。いくつかの態様において、エキソソームは、少なくとも、最大、または約30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、41nm、42nm、43nm、44nm、45nm、46nm、47nm、48nm、49nm、50nm、51nm、52nm、53nm、54nm、55nm、56nm、57nm、58nm、59nm、60nm、61nm、62nm、63nm、64nm、65nm、66nm、67nm、68nm、69nm、70nm、71nm、72nm、73nm、74nm、75nm、76nm、77nm、78nm、79nm、80nm、81nm、82nm、83nm、84nm、85nm、86nm、87nm、88nm、89nm、90nm、91nm、92nm、93nm、94nm、95nm、96nm、97nm、98nm、99nm、100nm、101nm、102nm、103nm、104nm、105nm、106nm、107nm、108nm、109nm、110nm、111nm、112nm、113nm、114nm、115nm、116nm、117nm、118nm、119nm、120nm、121nm、122nm、123nm、124nm、125nm、126nm、127nm、128nm、129nm、130nm、131nm、132nm、133nm、134nm、135nm、136nm、137nm、138nm、139nm、140nm、141nm、142nm、143nm、144nm、145nm、146nm、147nm、148nm、149nm、150nm、151nm、152nm、153nm、154nm、155nm、156nm、157nm、158nm、159nm、160nm、161nm、162nm、163nm、164nm、165nm、166nm、167nm、168nm、169nm、170nm、171nm、172nm、173nm、174nm、175nm、176nm、177nm、178nm、179nm、180nm、181nm、182nm、183nm、184nm、185nm、186nm、187nm、188nm、189nm、190nm、191nm、192nm、193nm、194nm、195nm、196nm、197nm、198nm、199nm、200nm、201nm、202nm、203nm、204nm、205nm、206nm、207nm、208nm、209nm、210nm、211nm、212nm、213nm、214nm、215nm、216nm、217nm、218nm、219nm、220nm、221nm、222nm、223nm、224nm、225nm、226nm、227nm、228nm、229nm、230nm、231nm、232nm、233nm、234nm、235nm、236nm、237nm、238nm、239nm、240nm、241nm、242nm、243nm、244nm、245nm、246nm、247nm、248nm、249nm、250nm、251nm、252nm、253nm、254nm、255nm、256nm、257nm、258nm、259nm、260nm、261nm、262nm、263nm、264nm、265nm、266nm、267nm、268nm、269nm、270nm、271nm、272nm、273nm、274nm、275nm、276nm、277nm、278nm、279nm、280nm、281nm、282nm、283nm、284nm、285nm、286nm、287nm、288nm、289nm、290nm、291nm、292nm、293nm、294nm、295nm、296nm、297nm、298nm、299nm、300nm、301nm、302nm、303nm、304nm、305nm、306nm、307nm、308nm、309nm、310nm、311nm、312nm、313nm、314nm、315nm、316nm、317nm、318nm、319nm、320nm、321nm、322nm、323nm、324nm、325nm、326nm、327nm、328nm、329nm、330nm、331nm、332nm、333nm、334nm、335nm、336nm、337nm、338nm、339nm、340nm、341nm、342nm、343nm、344nm、345nm、346nm、347nm、348nm、349nm、350nm、351nm、352nm、353nm、354nm、355nm、356nm、357nm、358nm、359nm、360nm、361nm、362nm、363nm、364nm、365nm、366nm、367nm、368nm、369nm、370nm、371nm、372nm、373nm、374nm、375nm、376nm、377nm、378nm、379nm、380nm、381nm、382nm、383nm、384nm、385nm、386nm、387nm、388nm、389nm、390nm、391nm、392nm、393nm、394nm、395nm、396nm、397nm、398nm、399nm、または400nmのサイズである。
【0196】
A.エキソソームの負荷
場合によっては、エキソソームは、例えば、ベクター、エレクトロポレーション、トランスフェクション、カチオン性リポソームトランスフェクション剤の使用、またはそれらの組合せによって1または複数の治療剤がMSCまたはエキソソームに負荷されることによって改変される。
【0197】
1.ベクター
一態様において、エキソソームは、エキソソームが細胞から産生されるときに(1または複数の)治療剤がエキソソーム中に存在するように、MSCを、(1または複数の)治療剤を発現する核酸構築物で形質転換またはトランスフェクトすることによって負荷され得る。
【0198】
別の態様において、エキソソームはまた、エキソソームを、(1または複数の)治療剤を発現する核酸構築物で直接形質転換またはトランスフェクトすることによって負荷され得る。
【0199】
いくつかの態様において、(1または複数の)治療剤をコードする核酸構築物はベクターに含まれる。場合によっては、(1または複数の)治療剤をコードする核酸構築物は、プロモーターに連結され、発現ベクターに組み込まれ、細胞によって取り込まれ、発現される。ベクターは、場合によっては、真核生物における複製および組込みに適し得る。典型的なクローニングベクターは、転写ターミネーターおよび翻訳ターミネーター、開始配列、ならびに所望の核酸配列の発現の調節に有用なプロモーターを含む。例えば、核酸は、限定するものではないが、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルスおよびコスミドを含むベクター内にクローニングすることができる。特定の目的のベクターには、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター、および配列決定ベクターが含まれる。一般に、適切なベクターは、少なくとも1つの生物において機能的な複製起点、プロモーター配列、簡便な制限エンドヌクレアーゼ部位、および1または複数の選択マーカーを含む(例えば、国際公開第01/96584号パンフレット、国際公開第01/29058号パンフレット、および米国特許第6、326、193号明細書を参照されたい)。いくつかの態様において、適切なベクターは、血液脳関門を通過することができる。
【0200】
特定の態様において、発現ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に提供され得る。ウイルスベクター技術は当技術分野において周知であり、例えば、Sambrook et al.(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、NewYork)、ならびに他のウイルス学および分子生物学のマニュアルに記載されている。
【0201】
哺乳動物細胞への遺伝子導入のために、いくつかのウイルスベースのシステムが開発されている。ベクターとして有用なウイルスには、限定するものではないが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、およびレンチウイルス(自己不活性化レンチウイルスベクターを含む)が含まれる。例えば、アデノウイルスは、遺伝子送達システムのための簡便なプラットフォームを提供する。選択された遺伝子をベクターに挿入し、当技術分野において公知の技術を用いてレトロウイルス粒子にパッケージングすることができる。次いで、組換えウイルスを単離し、invivoまたはexvivoのいずれかで対象の細胞に送達することができる。したがって、いくつかの態様において、ポリペプチド配列をコードする核酸は、組換えベクター、例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、ガンマ-レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルスまたはアデノウイルスを含むウイルスベクターなどを使用して細胞に導入される。
【0202】
ベクターはまた、遺伝子送達および/または遺伝子発現をさらに調節するか、またはそうでなければ標的細胞に有益な特性を提供する他の成分または機能性を含むことができる。そのような他の成分には、例えば、細胞への結合または標的化に影響を及ぼす成分(細胞型結合または組織特異的結合を媒介する成分を含む)、細胞によるベクター核酸の取り込みに影響を及ぼす成分、取り込み後の細胞内でのポリヌクレオチドの局在化に影響を及ぼす成分(核局在化を媒介する薬剤など)、およびポリヌクレオチドの発現に影響を及ぼす成分、を含む。
【0203】
そのような成分はまた、ベクターによって送達された核酸を取り込んで発現している細胞を検出または選択するために使用することができる、検出可能および/または選択マーカーなどのマーカーを含み得る。そのような成分は、ベクターの天然の特徴(結合および取り込みを媒介する成分または機能性を有する特定のウイルスベクターの使用など)として提供することができ、またはそのような機能性を提供するようにベクターを改変することができる。多種多様なそのようなベクターが当技術分野において公知であり、一般に入手可能である。ベクターが宿主細胞内で維持される場合、ベクターは、自律構造として有糸分裂中に細胞によって安定に複製され得るか、宿主細胞のゲノム内に組み込まれ得るか、または宿主細胞の核もしくは細胞質内に維持され得る。
【0204】
ベクターに含まれる真核生物発現カセットは、特に(5’から3’方向に)タンパク質コード配列に作動可能に連結された真核生物転写プロモーター、介在配列を含むスプライスシグナル、転写終結/ポリアデニル化配列、転写後調節エレメントおよび複製起点を含む。
【0205】
2.エレクトロポレーション
本開示の特定の態様において、MSCおよび/またはエキソソームは、エレクトロポレーションによって負荷される。本明細書で使用される場合、「エレクトロポレーション」は、細胞、エキソソームまたはそれらの誘導体への目的の薬剤の進入を容易にするための電流または電界の印加を指す。当業者は、エレクトロポレーションの任意の方法および技術が本開示によって企図されることを理解されよう。いくつかの態様において、エレクトロポレーションシステムは、電流を生成し、それを細胞またはエキソソーム含有溶液を通して送るように制御することができる。いくつかの態様において、静的エレクトロポレーション装置が使用される。いくつかの態様において、フローエレクトロポレーション装置が使用される。特定の態様において、静的またはフローエレクトロポレーションが、本明細書に記載のパラメータと共に使用される。
【0206】
エレクトロポレーションのプロセスは、一般に、細胞またはエキソソームを含有する液体細胞懸濁液に電界パルスを印加することによって、細胞膜またはエキソソーム中に細孔を形成することを含む。パルスは、細胞膜の可逆的破壊を引き起こす膜貫通電位を誘導する。この作用は、細胞膜の透過または「細孔形成」をもたらし、(1または複数の)治療剤の細胞またはエキソソームへの導入を可能にする。
【0207】
エレクトロポレーションプロセスの間、細胞またはエキソソームはしばしば液体媒体に懸濁され、次いで電界パルスに供される。媒体は、電解質、非電解質、または電解質と非電解質との混合物であってもよい。
【0208】
エレクトロポレーションプロセスの結果は、印加電界(EF)パルスの大きさおよびパルスの持続時間によって大きく制御される。電界強度は、電極ギャップを越えて送達される電圧として測定され、kV/cmとして表すことができる。場の強度は、一時的な可逆的透過または細孔形成が細胞膜で起こることを可能にするために細胞膜の電位を越えることが重要であり、本開示の方法は、細胞をさまざまな電界強度に供することができる。場の強度は、印加される電気パルスの電圧の大きさ、電気パルスの持続時間、およびエレクトロポレーションされる試料の導電率を含むいくつかの要因の関数である。
【0209】
試料の導電率は、エレクトロポレーション緩衝液のイオン組成、負荷される薬剤の濃度、細胞またはエキソソームの密度、温度および圧力を含むパラメータの関数である。エレクトロポレーション緩衝液のイオン強度は試料の抵抗に直接影響を及ぼし、これは次にパルス長またはパルスの時定数に影響を及ぼす。薬剤のサイズおよび濃度は、細胞をトランスフェクトするために使用される電気的パラメータに影響を及ぼす。より小さい分子(例えば、siRNAまたはmiRNA)は、マイクロ秒のパルス長でより高い電圧を必要とし得るが、より大きい分子(例えば、DNAおよびタンパク質)は、より長いパルス長でより低い電圧を必要とし得る。細胞またはエキソソームの密度は、細胞サイズに関連し得る。一般に、細胞膜透過を成功させるためには、細胞またはエキソソームのサイズが小さいほど高い電圧を必要とするが、細胞またはエキソソームのサイズが大きいほど低い電圧を必要とする。
【0210】
パルス持続時間またはパルス長は、試料が電気パルスに曝される持続時間であり、典型的には、マイクロ秒からミリ秒の範囲の時間として測定される。パルス長は場の強度と間接的に作用して、細孔形成、したがって標的分子の取り込みを増加させる。一般に、電圧の増加の後にパルス長の増分減少が起こるはずである。電圧を下げると、その逆になる。パルス持続時間に加えて、電気パルスは、パルス数、パルス幅、パルス形状、パルスパターン、およびパルス極性によっても特徴付けることができる。したがって、いくつかの態様において、第1および第2の電気パルスは、パルスの数、幅、形状、パターン、および極性からなる群から選択される特性をさらに含む。エレクトロポレーションは、最大のトランスフェクション効率を達成するために、本明細書に開示されるように単一パルスまたはマルチパルスとして実施することができる。パルスパターンは、単一パルスまたはマルチパルスを含むことができ、マルチパルスの合計持続時間はパルス持続時間に対応する。パルス極性は正または負であり得る。パルス幅は、エレクトロポレーションシステムのパルス発生器によって生成される波形に依存する。パルス形状または波形は、一般に、矩形波または指数関数的減衰波の2つのカテゴリに分類される。矩形波パルスは、設定された電圧レベルまで迅速に上昇し、迅速にオフになる前の設定されたパルス長の持続時間中、このレベルを維持する。指数関数的減衰波は、コンデンサを完全に放電させることによって電気パルスを生成する。パルスは試料内に放電され、電圧が設定されたピーク電圧まで急速に上昇し、その後経時的に低下する。指数関数的減衰波システムにおけるパルス幅は時定数に対応し、パルスエネルギーまたは電圧が元の設定電圧の1/3まで減衰する速度によって特徴付けられる。時定数は、指数関数的減衰における抵抗値および静電容量値を調整することによって修正され、時間の計算はT=RCであり、ここで、Tは時間であり、Rは試料の抵抗であり、Cはエレクトロポレーションシステム電源の静電容量である。したがって、いくつかの態様において、指数関数的減衰速度は、試料の抵抗およびエレクトロポレーションを行うために使用される電源の静電容量の関数である。
【0211】
懸濁液に印加される電界の強さおよびパルスの長さ(電界が細胞懸濁液に印加される時間)は、細胞またエキソソームの種類によって異なる。細胞またはエキソソームの外膜に孔を形成するために、(1または複数の)治療剤が細胞またはエキソソームに入ることを可能にするために、膜の透過性を増加させるような時間および電圧で電界を印加しなければならない。パルスの大きさが特定の閾値レベルを超える限り、パルスの大きさまたは持続時間のいずれかの増加は、一般に、細胞またはエキソソーム内側の(1または複数の)治療剤のより大きな蓄積をもたらす。
【0212】
細胞懸濁液に印加される各電気パルスは、電極上の電圧、緩衝液を通る電流、および高電圧パルスの持続時間の積に等しい一定量のエネルギーによって特徴付けることができる。
【0213】
エレクトロポレーションパラメータは、(1または複数の)治療剤が細胞またはエキソソームに入る機会を有する短期間の後に電気パルスによって膜に形成された細孔が再び閉じるように、印加される電界の強度および/または曝露の持続時間を最適化するように調整することができる。
【0214】
エレクトロポレーションの条件は、治療剤の電荷とサイズによって異なる。典型的な電界強度は、20~1000V/cmまたはkV/cmの範囲、例えば20~100V/cmまたはkV/cmである。いくつかの態様において、電界強度は、0.01~10、0.01~1、0.1~10、0.1~1、又は1~10V/cm又はkV/cm、または0.01~10V/cm、kV/cmまたはそこから導出可能な範囲の任意の値である。いくつかの態様では、電界強度は、少なくとも、多くとも、または約20V/cm、30V/cm、40V/cm、50V/cm、60V/cm、70V/cm、80V/cm、90V/cm、100V/cm、110V/cm、120V/cm、130V/cm、140V/cm、150V/cm、160V/cm、170V/cm、180V/cm、190V/cm、200V/cm、210V/cm、220V/cm、230V/cm、240V/cm、250V/cm、260V/cm、270V/cm、280V/cm、290V/cm、300V/cm、310V/cm、320V/cm、330V/cm、340V/cm、350V/cm、360V/cm、370V/cm、380V/cm、390V/cm、400V/cm、410V/cm、420V/cm、430V/cm、440V/cm、450V/cm、460V/cm、470V/cm、480V/cm、490V/cm、500V/cm、510V/cm、520V/cm、530V/cm、540V/cm、550V/cm、560V/cm、570V/cm、580V/cm、590V/cm、600V/cm、610V/cm、620V/cm、630V/cm、640V/cm、650V/cm、660V/cm、670V/cm、680V/cm、690V/cm、700V/cm、710V/cm、720V/cm、730V/cm、740V/cm、750V/cm、760V/cm、770V/cm、780V/cm、790V/cm、800V/cm、810V/cm、820V/cm、830V/cm、840V/cm、850V/cm、860V/cm、870V/cm、880V/cm、890V/cm、900V/cm、910V/cm、920V/cm、930V/cm、940V/cm、950V/cm、960V/cm、970V/cm、980V/cm、990V/cm、1000V/cm、またはそこから派生する範囲や値である。
【0215】
電界強度は、印加される電気パルスの電圧の大きさ、電気パルスの持続時間、エレクトロポレーションされる試料の導電率など、いくつかの要因の関数である。
【0216】
150mVまたはV~250mVまたはVの範囲の電圧、特に200mVまたはVの電圧が、本開示による治療薬(単数または複数)をエクソソームにロードするために使用され得る。いくつかの態様において、電気パルスの電圧の大きさは、最大または少なくともおよそ0.001~10,000,0.01~10,000,0.1~10,000,1~10,000,1~9,000,1~8,000,1~7,000,1~6,000,1~5,000,1~4,000,1~3,000,1~2,000,又は1~1,000mV又はV,又は、0.001~10,000mV又はVの間のいずれかの値またはそこから導出可能な範囲である。いくつかの側面では、電気パルスの電圧の大きさは、以下の間である。0.001及び10,000,0.01及び10,000,0.1及び10,000,1及び10,000,1及び9,000,1及び8,000,1及び7,000,1及び6,000,1及び5,000,1及び4,000,1及び3,000,1及び2,000,又は1及び1,000mV又はV,あるいは、0.001~10,000mV又はVの間のいずれかの値またはそこから導出可能な範囲である。いくつかの態様において、電気パルスの電圧の大きさは、以下のようにすることができる。0.001,0.010,0.020,0.030,0.040,0.050,0.060,0.070,0.080,0.090,0.100,0.110,0.120,0.130,0.140,0.150,0.160,0.170,0.180,0.190,0.200,0.210,0.220,0.230,0.240,0.250,0.260,0.270,0.280,0.290,0.300,0.310,0.320,0.330,0.340,0.350,0.360,0.370,0.380,0.390,0.400,0.410,0.420,0.430,0.440,0.450,0.460,0.470,0.480,0.490,0.500,0.510,0.520,0.530,0.540,0.550,0.560,0.570,0.580,0.590,0.600,0.610,0.620,0.630,0.640,0.650,0.660,0.670,0.680,0.690,0.700,0.710,0.720,0.730,0.740,0.750,0.760,0.770,0.780,0.790,0.800,0.810,0.820,0.830,0.840,0.850,0.860,0.870,0.880,0.890,0.900,0.910,0.920,0.930,0.940,0.950,0.960,0.970,0.980,0.990,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,100,110,120,130,140,150,160,170,180,190,200,210,220,230,240,250,260,270,280,290,300,310,320,330,340,350,360,370,380,390,400,410,420,430,440,450,460,470,480,490,500,510,520,530,540,550,560,570,580,590,600,610,620,630,640,650,660,670,680,690,700,710,720,730,740,750,760,770,780,790,800,810,820,830,840,850,860,870,880,890,900,910,920,930,940,950,960,970,980,990,1000,1100,1200,1300,1400,1500,1600,1700,1800,1900,2000,2100,2200,2300,2400,2500,2600,2700,2800,2900,3000,3100,3200,3300,3400,3500,3600,3700,3800,3900,4000,4100,4200,4300,4400,4500,4600,4700,4800,4900,5000,5100,5200,5300,5400,5500,5600,5700,5800,5900,6000,6100,6200,6300,6400,6500,6600,6700,6800,6900,7000,7100,7200,7300,7400,7500,7600,7700,7800,7900,8000,8100,8200,8300,8400,8500,8600,8700,8800,8900,9000,9100,9200,9300,9400,9500,9600,9700,9800,9900,又は10000ミリボルトまたはボルト、あるいはそこから派生する範囲や値。
【0217】
いくつかの態様において、試料の導電率は、エレクトロポレーションバッファーのイオン組成、細胞に負荷される薬剤の濃度、細胞密度、温度、および圧力を含むパラメーターの関数である。いくつかの態様において、試料の導電率は、以下のいずれかである、又は少なくとも、または多くとも以下のいずれかであることができる。0.01,0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1,1.1,1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3,3.1,3.2,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.9,4,4.1,4.2,4.3,4.4,4.5,4.6,4.7,4.8,4.9,5,5.1,5.2,5.3,5.4,5.5,5.6,5.7,5.8,5.9,6,6.1,6.2,6.3,6.4,6.5,6.6,6.7,6.8,6.9,7,7.1,7.2,7.3,7.4,7.5,7.6,7.7,7.8,7.9,8,8.1,8.2,8.3,8.4,8.5,8.6,8.7,8.8,8.9,9,9.1,9.2,9.3,9.4,9.5,9.6,9.7,9.8,9.9,又は10シーメンス/メートル、またはそこから導出可能な任意の範囲または値である。いくつかの態様では、試料の導電率は、多くとも約0.01シーメンス/メートル~10シーメンス/メートル、0.01シーメンス/メートル~1シーメンス/メートル、0.1シーメンス/メートル~10シーメンス/メートル、0.1シーメンス/メートル~1シーメンス/メートル、1シーメンス/メートル~10シーメンス/メートル、または0.01シーメンス/メートル~10シーメンス/メートルの任意の値、またはそこから導出可能な範囲である。いくつかの態様では、試料の導電率は、0.01シーメンス/メートルから10シーメンス/メートル、0.01シーメンス/メートルから1シーメンス/メートル、0.1シーメンス/メートルから10シーメンス/メートル、0.1シーメンス/メートルから1シーメンス/メートル、1シーメンス/メートルから10シーメンス/メートル、または0.01シーメンス/メートルから10シーメンス/メートルまたはそこから導出可能な範囲の値である。いくつかの態様において、試料の導電率は、1.0~3.0シーメンス/メートル、1.0シーメンス/メートル~3.0シーメンス/メートルの任意の値、またはそこから導出可能な範囲もしくは値である。
【0218】
エレクトロポレーションに使用される緩衝液のイオン組成は、細胞の種類によって変わり得る。例えば、PBS(リン酸緩衝生理食塩水<30オーム)、HBSS(ヘペス緩衝液<30オーム)のような高導電性緩衝液、または血清を含みうる標準培地が使用されうる。他のバッファーとしては、電気パルスの直前に細胞が水を吸収する低浸透圧バッファーがあり、これは細胞の膨潤をもたらし、膜がより透過しやすくなる一方で最適透過電圧を下げることができる。高抵抗バッファー(>3000オーム)の使用を必要とする細胞は、アーク放電やサンプル損失の可能性を減らすために、余分な塩イオンを除去するための細胞の準備と洗浄が必要な場合がある。エレクトロポレーション・バッファーのイオン強度は、サンプルの抵抗に直接影響し、その結果、パルスの長さや時定数に影響する。電極に接触する液体の体積も、イオン溶液の試料抵抗に大きな影響を与え、試料の抵抗は溶液の体積とpHに反比例する。体積が増加すると抵抗は減少し、アーク放電とサンプル損失の確率が増加し、体積が減少すると抵抗が増加し、アーク電位が減少する。
【0219】
薬剤のサイズと濃度は、細胞のトランスフェクションに使用される電気的パラメーターに影響を与える。より小さな分子(例えばsiRNAやmiRNA)はマイクロ秒のパルス長でより高い電圧を必要とし、より大きな分子(例えばDNAやタンパク質)はより長いパルス長でより低い電圧を必要とするかもしれない。治療薬の濃度は、少なくとも、多くとも、あるいは約0.01,0.02,0.03,0.04,0.05,0.06,0.07,0.08,0.09,0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,20,30,50,75,100,150,200,250,300~約350,400,500,1000,1500,2000,3000,4000,又は5000μg/mL,mg/mL,又はg/mL,0.01~5000μg/mL,mg/mL,又はg/mLの間のいずれかの値またはそこから誘導可能な範囲である。さらなる態様において、治療薬の濃度は、少なくとも、多くとも、または正確に1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,15,20,25,30,35,40,45,50,55,60,65,70,75,80,85,90,95,100,150,125,150,175,200,225,250,275,もしくは300μg/mL、mg/mL、もしくはg/mL、または1~300μg/mL、mg/mL、もしくはg/mLの任意の値、またはそこから誘導可能な範囲である。特定の局面において、治療薬の濃度は少なくとも1μg/mL、mg/mL、またはg/mLである。いくつかの態様において、治療薬の濃度は1μg/mLと200μg/mLの間、例えば5μg/mLと100μg/mLの間、5μg/mLと100μg/mLの間の任意の値、またはそこから導出可能な範囲である。
【0220】
細胞密度は細胞サイズと関連している。一般に、細胞サイズが小さいほど高い電圧を必要とし、細胞サイズが大きいほど細胞膜透過を成功させるために低い電圧を必要とする。
【0221】
エレクトロポレーション中に細胞が維持される温度は、エレクトロポーレーションの効率に影響を与えうる。高電圧でパルスされた試料や、複数のパルスや長いパルス持続時間にさらされた試料は、試料加熱を引き起こし、細胞死の増加やトランスフェクション効率の低下の一因となりうる。サンプルを低温に保つことで、細胞の生存率や効率に対する過熱の影響を軽減することができる。一般に、細胞膜を効果的に透過させるためには、室温の細胞で使用する標準パルス電圧を、4℃のエレクトロポレーションでは約2倍にする必要がある。
【0222】
パルス幅は、エレクトロポレーション・システムのパルス発生器によって生成される波形に依存する。パルス形状、すなわち波形は、一般に矩形波か指数関数的減衰波の2つに分類される。矩形波パルスは、設定された電圧レベルまで素早く上昇し、設定されたパルス長の間このレベルを維持した後、素早くオフになる。ある態様では、パルス発生器は矩形波パルスを発生し、パルス幅は直接入力できる。指数減衰波はコンデンサーを完全に放電させることによって電気パルスを発生させる。パルスはサンプルに放電され、電圧はピーク電圧まで急速に上昇し、その後時間とともに低下する。ある態様では、パルス発生器は指数減衰波パルスを発生し、パルス幅は指数減衰速度の関数である。
【0223】
指数関数的減衰波システムにおけるパルス幅は時定数に相当し、パルスエネルギーまたは電圧が元の設定電圧の1/3まで減衰する速度によって特徴付けられる。時定数は、指数関数的減衰における抵抗値とキャパシタンス値を調整することによって変更され、時間の計算はT=RCであり、ここでTは時間、Rは試料の抵抗、Cはエレクトロポレーションシステム電源のキャパシタンスである。このように、いくつかの態様において、指数関数的減衰の速度は、試料の抵抗値とエレクトロポレーションを行うために使用される電源のキャパシタンスの関数である。
【0224】
試料の抵抗は、少なくとも、あるいは最大でも、次のいずれかになる。1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,100,110,120,130,140,150,160,170,180,190,200,210,220,230,240,250,260,270,280,290,300,310,320,330,340,350,360,370,380,390,400,410,420,430,440,450,460,470,480,490,500,510,520,530,540,550,560,570,580,590,600,610,620,630,640,650,660,670,680,690,700,710,720,730,740,750,760,770,780,790,800,810,820,830,840,850,860,870,880,890,900,910,920,930,940,950,960,970,980,990,1000,1100,1200,1300,1400,1500,1600,1700,1800,1900,2000,2100,2200,2300,2400,2500,2600,2700,2800,2900,3000,3100,3200,3300,3400,3500,3600,3700,3800,3900,4000,4100,4200,4300,4400,4500,4600,4700,4800,4900,5000,5100,5200,5300,5400,5500,5600,5700,5800,5900,6000,6100,6200,6300,6400,6500,6600,6700,6800,6900,7000,7100,7200,7300,7400,7500,7600,7700,7800,7900,8000,8100,8200,8300,8400,8500,8600,8700,8800,8900,9000,9100,9200,9300,9400,9500,9600,9700,9800,9900,又は10000オーム、またはそこから導出可能な任意の範囲または値である。試料の抵抗は、最大でも最低でも以下の値である。1オーム~10000オーム,1オーム~9000オーム,1オーム~8000オーム,1オーム~7000オーム,1オーム~6000オーム,1オーム~5000オーム,1オーム~4000オーム,1オーム~3000オーム,1オーム~2000オーム,1オーム~1000オーム,1オーム~900オーム,1オーム~800オーム,1オーム~700オーム,1オーム~600オーム,1オーム~500オーム,1オーム~400オーム,1オーム~300オーム,1オーム~200オーム、1オーム~100オーム,1オーム~90オーム,1オーム~80オーム,1オーム~70オーム,1オーム~60オーム,1オーム~50オーム,1オーム~40オーム,1オーム~30オーム,1オーム~20オーム,1オーム~10オーム,又は1オーム~10000オームの間のいずれかの値又はそこから派生する値である。いくつかの側面では、試料の抵抗は、以下の間の値である。1オーム及び10000オーム,1オーム及び9000オーム,1オーム及び8000オーム,1オーム及び7000オーム,1オーム及び6000オーム,1オーム及び5000オーム,1オーム及び4000オーム,1オーム及び3000オーム,1オーム及び2000オーム,1オーム及び1000オーム,1オーム及び900オーム,1オーム及び800オーム,1オーム及び700オーム,1オーム及び600オーム,1オーム及び500オーム,1オーム及び400オーム,1オーム及び300オーム,1オーム及び200オーム,1オーム及び100オーム,1オーム及び90オーム,1オーム及び80オーム,1オーム及び70オーム,1オーム及び60オーム,1オーム及び50オーム,1オーム及び40オーム,1オーム及び30オーム,1オーム及び20オーム,1オーム及び10オーム,又は1オーム~10000オームの間のいずれかの値、又はそこから派生する値であり得る。いくつかの側面では、試料の抵抗は以下の間である。1オーム及び1000オーム,1オーム~1000オームの間のいずれかの値、またはそこから派生する範囲である。
【0225】
電源キャパシタンスは、多くとも1μF~1,000μF、1μF~100μF、または1μF~1,000μFの任意の値、またはそこから導出可能な範囲とすることができる。いくつかの態様において、電源キャパシタンスは、1μFから1,000μF、1μFから100μF、または1μFから1,000μFの任意の値、あるいはそこから派生可能な範囲である。いくつかの態様では、電源キャパシタンスは25μFと250μFの間、たとえば25μFと125μFの間、25μFと250μFの間の任意の値、またはそこから導出可能な任意の範囲である。電源キャパシタンスは、25μFから250μFの間など、25μFから250μFの間の任意の値、またはそこから導出可能な任意の範囲とすることができる。1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,100,110,120,130,140,150,160,170,180,190,200,210,220,230,240,250,260,270,280,290,300,310,320,330,340,350,360,370,380,390,400,410,420,430,440,450,460,470,480,490,500,510,520,530,540,550,560,570,580,590,600,610,620,630,640,650,660,670,680,690,700,710,720,730,740,750,760,770,780,790,800,810,820,830,840,850,860,870,880,890,900,910,920,930,940,950,960,970,980,990,1000,1100,1200,1300,1400,1500,1600,1700,1800,1900,2000,2100,2200,2300,2400,2500,2600,2700,2800,2900,3000,3100,3200,3300,3400,3500,3600,3700,3800,3900,4000,4100,4200,4300,4400,4500,4600,4700,4800,4900,5000、5100、5200、5300、5400、5500、5600,5700,5800,5900,6000,6100,6200,6300,6400,6500,6600,6700,6800,6900,7000,7100,7200,7300,7400,7500,7600,7700,7800,7900,8000,8100,8200,8300,8400,8500,8600,8700,8800,8900,9000,9100,9200,9300,9400,9500,9600,9700,9800,9900,10000,11000,12000,13000,14000,15000,16000,17000,18000,19000、20000、21000、22000、23000、24000、25000、26000、27000、28000、29000、30000、31000、32000、33000、34000、35000、36000、37000、38000、39000、40000、41000、42000、43000、44000、45000、46000、47000、48000、49000、50000、51000、52000、53000、54000、55000、56000、57000、58000、59000、60000、61000、62000、63000、64000、65000、66000、67000、68000、69000、70000、71000、72000、73000、74000、75000、76000、77000、78000、79000、80000、81000、82000、83000、84000、85000、86000、87000、88000、89000、90000、91000、92000、93000、94000、95000、96000、97000、98000、99000、100000、110000、120000、130000、140000、150000、160000、170000、180000、190000、200000、210000、220000、230000、240000、250000、260000、270000、280000、290000、300000、310000、320000、330000、340000、350000、360000、370000、380000、390000、400000、410000、420000、430000、440000、450000、460000、470000、480000、490000、500000、510000、520000、530000、540000、550000、560000、570000、580000、590000、600000、610000、620000、630000、640000、650000、660000、670000、680000、690000、700000、710000、720000、730000、740000、750000、760000、770000、780000、790000、800000、810000、820000、830000、840000、850000、860000、870000、880000、890000、900000、910000、920000、930000、940000、950000、960000、970000、980000、990000、又は1000000μF、またはそこから派生する範囲や値。
【0226】
治療剤は、タンパク質およびペプチド(抗体またはそのフラグメントを含む、合成、天然、および模倣物)、オリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムなど)、約1000ヌクレオチド未満の短い核酸配列(例えば、 ダブルセンス直鎖DNA、阻害RNA、siRNA、miRNA、抗miRNA、shRNA、発現ベクターなど)、リボ核タンパク質、ベクター、低分子、脂質、炭水化物、サイトカイン、血液治療薬、抗がん薬、抗炎症薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗微生物薬、血栓調節薬、免疫調節薬などが挙げられる。
【0227】
特定の局面において、治療剤はmiRNAであり、miRNAの濃度は1μg/mLと200μg/mLの間、例えば5μg/mLと100μg/mLの間、5μg/mLと100μg/mLの間の任意の値、またはそこから誘導可能な任意の範囲である。
【0228】
特定の局面において、治療剤はsiRNA、shRNA、および/またはRNAであり、siRNA、shRNA、および/またはRNAの濃度は1μg/mLから200μg/mLの間、例えば10μg/mLから50μg/mLの間、10μg/mLから50μg/mLの間の任意の値、またはそこから導出可能な任意の範囲である。特定の態様において、治療剤は、siRNA、shRNA、および/またはRNAであり、siRNA、shRNA、および/またはRNAの濃度は、少なくとも、多くとも、または正確に1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、10μg/mL、11μg/mL、12μg/mL、13μg/mL、14μg/mL、15μg/mL、16μg/mL、17μg/mL、18μg/mL、19μg/mL、20μg/mL、21μg/mL、22μg/mL、23μg/mL、24μg/mL、25μg/mL、26μg/mL、27μg/mL、28μg/mL、29μg/mL、30μg/mL、31μg/mL、32μg/mL、33μg/mL、34μg/mL、35μg/mL、36μg/mL、37μg/mL、38μg/mL、39μg/mL、40μg/mL、41μg/mL、42μg/mL、43μg/mL、44μg/mL、45μg/mL、46μg/mL、47μg/mL、48μg/mL、49μg/mL、50μg/mL、51μg/mL、52μg/mL、53μg/mL、54μg/mL、55μg/mL、56μg/mL、57μg/mL、58μg/mL、59μg/mL、60μg/mL、61μg/mL、62μg/mL、63μg/mL、64μg/mL、65μg/mL、66μg/mL、67μg/mL、68μg/mL、69μg/mL、70μg/mL、71μg/mL、72μg/mL、73μg/mL、74μg/mL、75μg/mL、76μg/mL、77μg/mL、78μg/mL、79μg/mL、80μg/mL、81μg/mL、82μg/mL、83μg/mL、84μg/mL、85μg/mL、86μg/mL、87μg/mL、88μg/mL、89μg/mL、90μg/mL、91μg/mL、92μg/mL、93μg/mL、94μg/mL、95μg/mL、96μg/mL、97μg/mL、98μg/mL、99μg/mL、100μg/mL、101μg/mL、102μg/mL、103μg/mL、104μg/mL、105μg/mL、106μg/mL、107μg/mL、108μg/mL、109μg/mL、110μg/mL、111μg/mL、112μg/mL、113μg/mL、114μg/mL、115μg/mL、116μg/mL、117μg/mL、118μg/mL、119μg/mL、120μg/mL、121μg/mL、122μg/mL、123μg/mL、124μg/mL、125μg/mL、126μg/mL、127μg/mL、128μg/mL、129μg/mL、130μg/mL、131μg/mL、132μg/mL、133μg/mL、134μg/mL、135μg/mL、136μg/mL、137μg/mL、138μg/mL、139μg/mL、140μg/mL、141μg/mL、142μg/mL、143μg/mL、144μg/mL、145μg/mL、146μg/mL、147μg/mL、148μg/mL、149μg/mL、150μg/mL、151μg/mL、152μg/mL、153 μg/mL、154 μg/mL、155 μg/mL、156 μg/mL、157 μg/mL、158 μg/mL、159 μg/mL、160 μg/mL、161 μg/mL、162 μg/mL、163 μg/mL、164 μg/mL、165 μg/mL、166 μg/mL、167 μg/mL、168 μg/mL、169 μg/mL、170 μg/mL、171 μg/mL、172 μg/mL、173 μg/mL、174 μg/mL、175 μg/mL、176 μg/mL、177 μg/mL、178 μg/mL、179 μg/mL、180 μg/mL、181 μg/mL、182 μg/mL、183 μg/mL、184 μg/mL、185 μg/mL、186 μg/mL、187 μg/mL、188 μg/mL、189 μg/mL、190 μg/mL、191 μg/mL、192 μg/mL、193 μg/mL、194 μg/mL、195 μg/mL、196 μg/mL、197 μg/mL、198 μg/mL、199 μg/mL、200 μg/mL、またはそこから派生する範囲や値。
【0229】
特定の局面において、治療剤はDNAであり、DNAは少なくとも、多くとも、または約1000塩基対であり、DNAの濃度は1μg/mLと200μg/mLの間、例えば10μg/mLと100μg/mLの間、10μg/mLと100μg/mLの間の任意の値、またはそこから誘導可能な任意の範囲である。特定の局面において、治療薬はDNAであり、DNAは少なくとも、多くとも、約1000塩基対であり、DNAの濃度は少なくとも、多くとも、正確に 1 μg/mL、2 μg/mL、3 μg/mL、4 μg/mL、5 μg/mL、6 μg/mL、7 μg/mL、8 μg/mL、9 μg/mL、10 μg/mL、11 μg/mL、12 μg/mL、13 μg/mL、14 μg/mL、15 μg/mL、16 μg/mL、17 μg/mL、18 μg/mL、19 μg/mL、20 μg/mL、21 μg/mL、22 μg/mL、23 μg/mL、24 μg/mL、25 μg/mL、26 μg/mL、27 μg/mL、28 μg/mL、29 μg/mL、30 μg/mL、31 μg/mL、32 μg/mL、33 μg/mL、34 μg/mL、35 μg/mL、36 μg/mL、37 μg/mL、38 μg/mL、39 μg/mL、40 μg/mL、41 μg/mL、42 μg/mL、43 μg/mL、44 μg/mL、45 μg/mL、46 μg/mL、47 μg/mL、48 μg/mL、49 μg/mL、50 μg/mL、51 μg/mL、52 μg/mL、53 μg/mL、54 μg/mL、55 μg/mL、56 μg/mL、57 μg/mL、58 μg/mL、59 μg/mL、60 μg/mL、61 μg/mL、62 μg/mL、63 μg/mL、64 μg/mL、65 μg/mL、66 μg/mL、67 μg/mL、68 μg/mL、69 μg/mL、70 μg/mL、71 μg/mL、72 μg/mL、73 μg/mL、74 μg/mL、75 μg/mL、76 μg/mL、77 μg/mL、78 μg/mL、79 μg/mL、80 μg/mL、81 μg/mL、82 μg/mL、83 μg/mL、84 μg/mL、85 μg/mL、86 μg/mL、87 μg/mL、88 μg/mL、89 μg/mL、90 μg/mL、91 μg/mL、92 μg/mL、93 μg/mL、94 μg/mL、95 μg/mL、96 μg/mL、97 μg/mL、98 μg/mL、99 μg/mL、100 μg/mL、101 μg/mL、102 μg/mL、103 μg/mL、104 μg/mL、105 μg/mL、106 μg/mL、107 μg/mL、108 μg/mL、109 μg/mL、110 μg/mL、111 μg/mL、112 μg/mL、113 μg/mL、114 μg/mL、115 μg/mL、116 μg/mL、117 μg/mL、118 μg/mL、119 μg/mL、120 μg/mL、121 μg/mL、122 μg/mL、123 μg/mL、124 μg/mL、125 μg/mL、126 μg/mL、127 μg/mL、128 μg/mL、129 μg/mL、130 μg/mL、131 μg/mL、132 μg/mL、133 μg/mL、134 μg/mL、135 μg/mL、136 μg/mL、137 μg/mL、138 μg/mL、139 μg/mL、140 μg/mL、141 μg/mL、142 μg/mL、143 μg/mL、144 μg/mL、145 μg/mL、146 μg/mL、147 μg/mL、148 μg/mL、149 μg/mL、150 μg/mL、151 μg/mL、152 μg/mL、153 μg/mL、154 μg/mL、155 μg/mL、156 μg/mL、157 μg/mL、158 μg/mL、159 μg/mL、160 μg/mL、161 μg/mL、162 μg/mL、163 μg/mL、164 μg/mL、165 μg/mL、166 μg/mL、167 μg/mL、168 μg/mL、169 μg/mL、170 μg/mL、171 μg/mL、172 μg/mL、173 μg/mL、174 μg/mL、175 μg/mL、176 μg/mL、177 μg/mL、178 μg/mL、179 μg/mL、180 μg/mL、181 μg/mL、182 μg/mL、183 μg/mL、184 μg/mL、185 μg/mL、186 μg/mL、187 μg/mL、188 μg/mL、189 μg/mL、190 μg/mL、191 μg/mL、192 μg/mL、193 μg/mL、194 μg/mL、195 μg/mL、196 μg/mL、197 μg/mL、198 μg/mL、199 μg/mL、200 μg/mL、またはそこから派生する範囲や値。
【0230】
特定の局面において、治療剤は、タンパク質、ペプチド、脂質、および/または薬物であり、タンパク質、ペプチド、脂質、および/または薬物の濃度は、1μg/mLから1000mg/mLの間、例えば、100μg/mLから3mg/mLの間、100μg/mLから3mg/mLの間の任意の値、またはそこから誘導可能な任意の範囲である。ある特定の局面では、治療薬はタンパク質、ペプチド、脂質、および/または薬物であり、タンパク質、ペプチド、脂質、および/または薬物の濃度は 1 μg/mL 又は mg/mL、10 μg/mL 又は mg/mL、20 μg/mL 又は mg/mL、30 μg/mL 又は mg/mL、40 μg/mL 又は mg/mL、50 μg/mL 又は mg/mL、60 μg/mL 又は mg/mL、70 μg/mL 又は mg/mL、80 μg/mL 又は mg/mL、90 μg/mL 又は mg/mL、100 μg/mL 又は mg/mL、110 μg/mL 又は mg/mL、120 μg/mL 又は mg/mL、130 μg/mL 又は mg/mL、140 μg/mL 又は mg/mL、150 μg/mL 又は mg/mL、160 μg/mL 又は mg/mL、170 μg/mL 又は mg/mL、180 μg/mL 又は mg/mL、190 μg/mL 又は mg/mL、200 μg/mL 又は mg/mL、210 μg/mL 又は mg/mL、220 μg/mL 又は mg/mL、230 μg/mL 又は mg/mL、240 μg/mL 又は mg/mL、250 μg/mL 又は mg/mL、260 μg/mL 又は mg/mL、270 μg/mL 又は mg/mL、280 μg/mL 又は mg/mL、290 μg/mL 又は mg/mL、300 μg/mL 又は mg/mL、310 μg/mL 又は mg/mL、320 μg/mL 又は mg/mL、330 μg/mL 又は mg/mL、340 μg/mL 又は mg/mL、350 μg/mL 又は mg/mL、360 μg/mL 又は mg/mL、370 μg/mL 又は mg/mL、380 μg/mL 又は mg/mL、390 μg/mL 又は mg/mL、400 μg/mL 又は mg/mL、410 μg/mL 又は mg/mL、420 μg/mL 又は mg/mL、430 μg/mL 又は mg/mL、440 μg/mL 又は mg/mL、450 μg/mL 又は mg/mL、460 μg/mL 又は mg/mL、470 μg/mL 又は mg/mL、480 μg/mL 又は mg/mL、490 μg/mL 又は mg/mL、500 μg/mL 又は mg/mL、510 μg/mL 又は mg/mL、520 μg/mL 又は mg/mL、530 μg/mL 又は mg/mL、540 μg/mL 又は mg/mL、550 μg/mL 又は mg/mL、560 μg/mL 又は mg/mL、570 μg/mL 又は mg/mL、580 μg/mL 又は mg/mL、590 μg/mL 又は mg/mL、600 μg/mL 又は mg/mL、610 μg/mL 又は mg/mL、620 μg/mL 又は mg/mL、630 μg/mL 又は mg/mL、640 μg/mL 又は mg/mL、650 μg/mL 又は mg/mL、660 μg/mL 又は mg/mL、670 μg/mL 又は mg/mL、680 μg/mL 又は mg/mL、690 μg/mL 又は mg/mL、700 μg/mL 又は mg/mL、710 μg/mL 又は mg/mL、720 μg/mL 又は mg/mL、730 μg/mL 又は mg/mL、740 μg/mL 又は mg/mL、750 μg/mL 又は mg/mL、760 μg/mL 又は mg/mL、770 μg/mL 又は mg/mL、780 μg/mL 又は mg/mL、790 μg/mL 又は mg/mL、800 μg/mL 又は mg/mL、810 μg/mL 又は mg/mL、820 μg/mL 又は mg/mL、830 μg/mL 又は mg/mL、840 μg/mL 又は mg/mL、850 μg/mL 又は mg/mL、860 μg/mL 又は mg/mL、870 μg/mL 又は mg/mL、880 μg/mL 又は mg/mL、890 μg/mL 又は mg/mL、900 μg/mL 又は mg/mL、910 μg/mL 又は mg/mL、920 μg/mL 又は mg/mL、930 μg/mL 又は mg/mL、940 μg/mL 又は mg/mL、950 μg/mL 又は mg/mL、960 μg/mL 又は mg/mL、970 μg/mL 又は mg/mL、980 μg/mL 又は mg/mL、990 μg/mL 又は mg/mL、1000 μg/mL 又は mg/mL、又はそこから派生するいずれかの範囲又は値。
【0231】
特定の態様において、エレクトロポレーションパルスのパラメーターは、100から240VACの間の電力、50から60Hzの間の周波数、約1500Vの電圧からなり、100Aの制限がある。
【0232】
いくつかの態様において、緩衝液、エクソソーム、キュベットまたは電極を含むがこれらに限定されないエレクトロポレーション用のすべての構成要素は、少なくとも約4℃に保たれるべきである。いくつかの態様において、エレクトロポレーションパルスは少なくとも約25℃で行われ、エレクトロポレーションされたエキソソームは、エレクトロポレーション後、少なくとも約4℃で、例えばエレクトロポレーション直後に置かれる。
【0233】
エレクトロポレーションは、30%より大きい、40%より大きい、50%より大きい、60%より大きい、70%より大きい、80%より大きい、または90%より大きい(またはそこから導出可能な任意の範囲または値)細胞またはエクソソームへの治療薬の装填効率、またはトランスフェクション効率を達成することが可能である。いくつかの態様において、治療薬の負荷効率は、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%である。トランスフェクション効率は、遺伝子の産物を発現する細胞の割合または遺伝子によって発現される産物の分泌レベルによって、あるいは、例えばリアルタイム定量PCR(RT-qPCR)または類似の定量分析を用いてエクソソーム中の治療薬(単数または複数)の濃度を直接測定することによって測定することができる。
【0234】
3.トランスフェクション
本開示の特定の態様において、MSCおよび/またはエキソソームは、トランスフェクション試薬の使用によって負荷される。本開示に従って使用するための特定のトランスフェクション試薬としては、カチオン性脂質および/またはリポソームが挙げられる。
【0235】
MSCおよび/またはエキソソームに(1または複数の)治療剤を導入するための脂質製剤の使用が企図される。別の態様において、(1または複数の)治療剤は脂質と会合していてもよい。脂質と会合した(1または複数の)治療剤は、リポソームの水性内部にカプセル化されていてもよく、リポソームの脂質二重層内に散在していてもよく、リポソームとオリゴヌクレオチドの両方と会合した連結分子を介してリポソームに付着していてもよく、リポソームに封入されていてもよく、リポソームと複合体化されていてもよく、脂質を含有する溶液中に分散されていてもよく、脂質と混合されていてもよく、脂質と組み合わされていてもよく、脂質中に懸濁液として含まれていてもよく、ミセルに含有もしくは複合体化されていてもよく、またはそうでなければ脂質と会合していてもよい。
【0236】
脂質会合組成物、脂質/DNA会合組成物、脂質/発現ベクター会合組成物、または脂質/(1または複数の)治療剤会合組成物は、溶液中の任意の特定の構造に限定されない。例えば、それらは、二重層構造で、ミセルとして、または「崩壊した」構造で存在し得る。それらはまた、溶液中に単に散在してもよく、場合によってはサイズまたは形状が均一でない凝集体を形成する。脂質は、天然に存在する脂質または合成脂質であり得る脂肪物質である。例えば、脂質には、細胞質に天然に存在する脂肪滴、ならびに脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、およびアルデヒドなどの長鎖脂肪族炭化水素およびそれらの誘導体を含有する化合物のクラスが含まれる。
【0237】
特定の態様において、(1または複数の)治療剤は、例えばリポソームなどの脂質複合体に封入され得る。リポソームは、リン脂質二重層膜および内部水性媒体を特徴とする小胞構造である。多層リポソームは、水性媒体によって分離された複数の脂質層を有する。それらは、リン脂質が過剰の水溶液に懸濁されると自発的に形成する。脂質成分は、閉じた構造の形成前に自己再配列を受け、脂質二重層の間に水および溶解した溶質を封入する(Ghosh and Bachhawat、1991)。使用されるリポソームの量は、リポソームの性質ならびにトランスフェクトされる実体によって異なり得、例えば、細胞1個~1000万個あたり約5μg~約20μgのベクターDNAが企図され得る。
【0238】
リポソーム媒介(1または複数の)治療剤の送達およびinvitroでの(1または複数の)治療剤の発現は非常に成功している(Nicolau and Sene、1982;Fraley et al.、1979;Nicolau et al.、1987)。培養されたニワトリ胚、HeLa細胞および肝がん細胞におけるリポソーム媒介送達および(1または複数の)治療剤の発現の実現可能性も実証されている(Wong et al.、1980)。ある態様において、リポソームは、赤血球凝集ウイルス(HVJ)と複合体化され得る。これは、細胞膜との融合を促進し、リポソームカプセル化DNAの細胞侵入を促進することが示されている(Kaneda et al.、1989)。他の態様において、リポソームは、核非ヒストン染色体タンパク質(HMG-1)と複合体化され得るか、またはそれと併せて使用され得る(Kato et al.、1991)。またさらなる態様において、リポソームは、HVJおよびHMG-1の両方と複合体化され得るか、またはそれらの両方と併せて使用され得る。他の態様において、送達ビヒクルは、リガンドおよびリポソームを含み得る。
【0239】
さまざまな態様において、使用に適した脂質は、市販品供給業者から得ることができる。例えば、リポフェクタミンは、ThermoFisherScientific、Waltham、Mass.から入手することができ、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma、St.Louis、Mo.から入手することができ、リン酸ジセチル(「DCP」)は、K&KLaboratories(Plainview、N.Y.)から得ることができ、コレステロール(「Choi」)は、Calbiochem-Behringから入手することができ、ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)および他の脂質は、AvantiPolarLipids、Inc.(Birmingham、Ala.)から入手することができる。クロロホルムまたはクロロホルム/メタノール中の脂質の保存溶液は、約-20℃で保存することができる。クロロホルムは、メタノールよりも容易に蒸発するので、唯一の溶媒として使用することができる。「リポソーム」は、封入された脂質二重層または凝集体の生成によって形成されたさまざまな単層および多層脂質ビヒクルを包含する総称である。リポソームは、リン脂質二重層膜および内部水性媒体を含む小胞構造を有することを特徴とし得る。多層リポソームは、水性媒体によって分離された複数の脂質層を有する。それらは、リン脂質が過剰の水溶液に懸濁されると自発的に形成する。脂質成分は、閉じた構造の形成前に自己再配列を受け、脂質二重層の間に水および溶解した溶質を封入する(Ghosh et al.(1991)Glycobiology5:505-510)。しかしながら、溶液中で通常の小胞構造とは異なる構造を有する組成物も包含される。例えば、脂質は、ミセル構造をとるか、または単に脂質分子の不均一な凝集体として存在し得る。リポフェクタミン-核酸複合体も企図される。
【0240】
B.治療剤
特定の態様において、エキソソームに、任意の種類の(1または複数の)治療剤を負荷することができる。適切な(1または複数の)治療剤の例には、生体活性材料が含まれる。エキソソームへの組込みに特に適した生体活性材料には、限定するものではないが、治療剤および予防剤が含まれる。生体活性材料の例としては、限定するものではないが、タンパク質およびペプチド(抗体またはその断片を含む、合成、天然および模倣物)、オリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムなど)、約1000ヌクレオチド未満の短い核酸配列(例えば、二本鎖センス線状DNA、阻害性RNA、siRNA、miRNA、抗miRNA、shRNA、発現ベクターなど)、リボヌクレオタンパク質、ベクター、小分子、脂質、炭水化物、サイトカイン、血液治療剤、抗がん薬、抗炎症薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗菌薬、血栓調節剤、免疫調節剤などが挙げられる。
【0241】
他の(1または複数の)治療剤もエキソソーム内に導入できることは理解されよう。これらの目的の薬剤には、限定するものではないが、平滑筋阻害剤、抗感染剤(例えば、抗生物質、抗真菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤)、化学療法剤/抗新生物剤などが含まれる。(1または複数の)治療剤は、がん治療剤、自己または同種免疫疾患の治療剤、微生物感染の治療剤、心疾患の治療剤、肺疾患の治療剤、肝疾患の治療剤、腎疾患の治療剤、神経疾患の治療剤、またはそれらの組合せであり得る。がん治療剤の場合、(1または複数の)薬剤は、例えば、薬物、小分子、抗体、がん遺伝子を標的とする阻害性RNA、腫瘍抑制タンパク質、またはそれらの組合せもしくは混合物であり得る。
【0242】
いくつかの態様において、エキソソームは、1もしくは複数の短いDNA配列および/または1もしくは複数の短いRNA配列を含む。1または複数の短いRNA配列は、miRNA、抗miRNA、siRNA、shRNA、モルホリノオリゴマー、またはそれらの組合せもしくは混合物を含む阻害性RNAを含み得る。マイクロRNA(「miRNA」または「miR」)は、mRNA分子内の相補的配列との塩基対合によって、RNAサイレンシングおよび遺伝子発現の転写後調節において機能する小さな一本鎖非コードRNA分子を指す。miRNAと相補的mRNA分子との間の塩基対合時に、mRNA分子は、mRNA鎖の2つの小片への切断、そのポリ(A)尾部の短縮によるmRNAの不安定化、および/またはリボソームによるmRNAのタンパク質へのあまり効率的でない翻訳のいずれかによってサイレンシングされる。抗miRNA(「抗miRNAオリゴヌクレオチド」または「AMO」としても知られる)は、細胞におけるmiRNA機能を中和するために使用される合成的に設計された分子を指す。細胞内のmRNAを調節するmiRNAを制御することによって、AMOは、例えば立体的遮断機構ならびにmiRNAへのハイブリダイゼーションによるさらなる調節として使用することができる。miRNAとAMOとの間のこれらの相互作用は、miRNAの過剰発現/過小発現が起こる障害またはmiRNAの異常がコードの問題につながる障害において治療的であり得る。低分子干渉RNA(「siRNA」または「短鎖干渉RNA」または「サイレンシングRNA」は、遺伝子発現の配列特異的抑制に作用する二本鎖RNA非コードRNA分子のクラスを指す。siRNAは、転写後にmRNAを分解することによって相補的なヌクレオチド配列を有する特定の遺伝子の発現に干渉し、それによってmRNAのアミノ酸、次いでタンパク質への翻訳を妨げる。siRNAは、siRNA配列が2本の鎖の間に短いループを導入するように改変された発現ベクターを使用して細胞に導入され得る。得られた転写産物は、短いヘアピンRNA(「shRNA」または「短いヘアピンRNA」)であり、これは、二本鎖RNAをsiRNA(およびプレ-マイクロRNAをマイクロRNA)に切断する酵素であるDicerによって、機能的siRNAにプロセシングされ得る。モルホリノオリゴマー(「モルホリノ」または「ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー」または「PMO」)は、ホスホロジアミデート基を介して結合したメチレンモルホリン環の骨格に結合したDNA塩基を含有するオリゴマー分子を指す。モルホリノは、RNAの塩基対合表面の小さな特異的配列への他の分子のアクセスを立体的に遮断し、それによって遺伝子発現を改変する。例えば、モルホリノは、モルホリノの塩基配列に応じて、プレmRNAスプライシングを改変し、5’キャップから開始コドンへのリボソーム開始複合体の進行を妨げることによって翻訳を遮断し、またはRNA上の他の機能部位を遮断する(すなわち、miRNAの活性および成熟を遮断すること、リボザイムの活性を遮断することなどである)ことができる。
【0243】
いくつかの態様において、エキソソームは、1または複数の抗体または抗体断片を含む。本明細書で言及される「抗体」という用語は、全抗体および任意の抗原結合断片(すなわち、「抗原結合部分」)またはその単鎖を含む。抗体は、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含む糖タンパク質、またはその抗原結合部分を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVと略す)および重鎖定常領域で構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVと略す)および軽鎖定常領域で構成される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。VおよびV領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに細分することができる。本発明で使用される抗体は、モノクローナル抗体であっても、またはポリクローナル抗体であってもよく、好ましくはモノクローナル抗体である。本発明で使用される抗体は、キメラ抗体、CDRグラフト抗体、ナノボディ、ヒトもしくはヒト化抗体、またはそれらのいずれかの抗原結合部分であり得る。モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の両方の産生のために、実験動物は、典型的には、ヤギ、ウサギ、ラットまたはマウスなどの非ヒト哺乳動物であるが、ラクダなどの他の種において産生されてもよい。
【0244】
抗体の「抗原結合部分」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1または複数の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の断片によって行うことができることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例には、Fab断片、F(ab’)2断片、Fab’断片、Fd断片、Fv断片、dAb断片、および単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。scFv抗体などの一本鎖抗体もまた、抗体の「抗原結合部分」という用語に包含されることが意図されている。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来の技術を使用して得ることができ、断片は、インタクトな抗体と同じ方法で有用性についてスクリーニングすることができる。本発明で使用される抗体は、ヒト抗体またはヒト化抗体であり得る。
【0245】
いくつかの態様において、エキソソームは、1または複数の化学療法を含めて、1または複数のがん治療薬が負荷される。多種多様な化学療法剤を、本態様に従って使用することができる。「化学療法」という用語は、がんを治療するための薬物の使用を指す。「化学療法」または「化学療法剤」は、がんの治療において投与される化合物または組成物の意味を含んで使用される。これらの薬剤または薬物は、細胞周期に影響を与えるかどうか、どの段階で影響を与えるかなど、細胞内の活性モードによって分類される。または、薬剤は、DNAを直接架橋する、DNAに挿入する、または核酸合成に影響を与えることによって染色体および有糸分裂の異常を誘発するその能力に基づいて特徴付けることができる。
【0246】
化学療法の例には、チオテパ、プロカルバジンおよびシクロスホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのアルキルスルホネート;ベンゾドーパ、カルボクオン、メチュレドーパ、およびウレドパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド(triethiylenethiophosphoramide)およびトリメチルオロメラミンを含むエチレンイミンおよびメチルアメラミン;アセトゲニン(特にブラタシンとブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189およびCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコディクチン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩(mechlorethamine oxide hydrochloride)、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミドおよびウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムヌスチンなどのニトロソウレア;プリカマイシン(plicomycin)およびエンジイン抗生物質などの抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマ1lおよびカリケアマイシンオメガI1);ダイネミシンAを含むダイネミシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチンクロモフォアおよび関連するクロモプロテインエンジイン抗生物質クロモフォア、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン(authrarnycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、アドリアマイシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン(nogalarnycin)、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチンおよびゾルビシン;メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、プテロプテリンおよびトリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリンおよびチオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフル、ゲムシタビン、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビンおよびフロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタンおよびテストトラクトンなどのアンドロゲン;ミトタンおよびトリロスタンなどの抗副腎;フロリン酸などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;エニルラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート(edatraxate);デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシンおよびアンサミトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2、2’、2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2トキシン、ベラクリンA、ロリジンAおよびアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;タキソイド、例えば、タキソール、パクリタキセルおよびドセタキセル;6-チオグアニン;メルカプトプリン;トランスプラチナ(transplatinum)、シスプラチン、オキサリプラチンおよびカルボプラチンなどの白金配位錯体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(例えば、CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;ボルテゾミブなどのプロテアーゼ阻害剤;パルボシクリブ、イブルチニブ、ダサチニブ、pp2、パゾパニブ、およびゲフィチニブなどのキナーゼ阻害剤;ニボルマブ、ペムブロリズマブおよびイピリムマブなどのチェックポイント阻害剤;ペグフィルグラスチムおよびフィルグラスチムなどのコロニー刺激因子;ベバシズマブ、トラスツズマブおよびリツキシマブなどのモノクローナル抗体;レナリドミドなどの免疫調製剤;ナベルビン、ファルネシルタンパク質タンスフェラーゼ阻害剤;上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体、ならびにそれらの組合せが含まれる。
【0247】
特定の態様において、エキソソームは、1または複数の抗菌剤を負荷される。抗菌剤は、細菌、真菌、藻類またはウイルスなどの微生物または病原体を死滅させるかまたはその増殖を阻害する天然または合成の物質であり得る。抗菌剤は、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤などであってもよい。
【0248】
抗生物質の例には、限定するものではないが、アミノグリコシド、アンサマイシン、カルバセフェム、カルバペネム、セファロスポリン(第1世代、第2世代、第3世代、第4世代または第5世代)、糖ペプチド、リノクサミド、リポペプチド、マクロライド、モノバクタム、ニトロフラン、オキサゾリジノン、ペニシリン、ポリペプチド、キノロン/フルオロキノロン、スルホンアミド、テトラサイクリン、クロファジミン、ダプゾン、カプレオマイシン、サイクロセリン、エタンブトール、エチオンアミド、イソニアジド、ピラジナミド、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、ストレプトマイシン、アルスフェナミン、クロラムフェニコール、ホスホマイシン、フシジン酸、メトロニダゾール、ムピロシン、プラテンシマイシン、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、チアムフェニコール、チゲサイクリン、チニダゾール、トリメトプリム、およびそれらの組合せが含まれる。アミノグリコシドとしては、限定するものではないが、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン、ストレプトマイシンおよびスペクチノマイシンを挙げることができる。アンサマイシンとしては、限定するものではないが、ゲルダナマイシン、ヘルビマイシンおよびリファキシミンを挙げることができる。カルバセフェムとしては、限定するものではないが、ロラカルベフを挙げることができる。カルバペネムとしては、限定するものではないが、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチンおよびメロペネムが挙げることができる。セファロスポリンとしては、限定するものではないが、以下を挙げることができる。セファドロキシル、セファゾリン、セフラジン、セファピリン、セファロチン、セファレキシン、セファクロル、セフォキシチン、セフォテタン、セフォタン、セファマンドール、セフメタゾール、セフォニシド、ロラカルベフ、セフプロジル、セフジル、セフロキシム、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフォドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、モキサラクタム、セフトリアキソン、セフェピム、セフタロリンフォサミル、およびセフォビプロール。糖ペプチドとしては、限定するものではないが、テイコプラニン、バンコマイシン、テラバンシン、ダルババンシンおよびオリタバンシンを挙げることができる。リンコサミドとしては、限定するものではないが、クリンダマイシンおよびリンコマイシンを挙げることができる。リポペプチドとしては、限定するものではないが、ダプトマイシンを挙げることができる。マクロライドとしては、限定するものではないが、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、テリスロマイシン、スピラマイシンおよびフィダキソミシンを挙げることができる。モノバクタムとしては、限定するものではないが、アズトレオナムを挙げることができる。ニトロフランとしては、限定するものではないが、フラゾリドンおよびニトロフラントインを挙げることができる。オキサゾリジノンには、限定するものではないが、リネゾリド、ポシゾリド、ラデゾリドおよびトレゾリドを挙げることができる。ペニシリンとしては、限定するものではないが、以下を挙げることができる。アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、ピペラシリン、テモシリン、チカルシリン、アモキシシリン/クラブラネート、アンピシリン/スルバクタム、ピペラシリン/タゾバクタム、およびチカルシリン/クラブラネート。ポリペプチドとしては、限定するものではないが、バシトラシン、コリスチンおよびポリミキシンBを挙げることができる。キノロン/フルオロキノロンとしては、限定するものではないが、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ナジフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシンおよびテマフロキサシンを挙げることができる。スルホンアミドとしては、限定するものではないが、以下を挙げることができる。マフェニド、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファジアジン銀、スルファジメトキシン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファニルイミド、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、トリメトプリム-スルファメトキサゾールおよびスルホアミドクリソイジン。テトラサイクリンとしては、限定するものではないが、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリンおよびテトラサイクリンを挙げることができる。いくつかの態様において、抗生物質はマクロライドである。いくつかの態様において、抗生物質はアジスロマイシンである。
【0249】
抗生物質の例としてはまた、限定するものではないが、抗菌タンパク質またはペプチドも挙げることができる。抗菌性タンパク質またはペプチドは、限定するものではないが、以下のクラスを含む任意のクラスのものであり得る。アニオン性ペプチド(例えば、デルミシジン)、直鎖カチオン性αヘリックスペプチド(例えば、LL37)、プロリン、アルギニン、フェニルアラニン、グリシン、またはトリプトファンに富んだカチオン性ペプチド、システインを含み、ジスルフィド結合を形成するアニオン性およびカチオン性ペプチド(例えば、デフェンシン)、およびそれらの組合せ。デフェンシンとしては、限定するものではないが、トランス-デフェンシン、シス-デフェンシンおよび関連するデフェンシン様タンパク質を挙げることができる。トランスデフェンシンには、限定するものではないが、α-デフェンシンおよびβ-デフェンシンが含まれる。
【0250】
抗生物質の例にはまた、限定するものではないが、イソニアジド、リファンピン、ストレプトマイシン、リファブチン、エタンブトール、ピラジナミド、エチオンアミド、アミノサリチル酸、およびサイクロセリンを含む抗マイコバクテリアのものも含まれる。
【0251】
抗ウイルス薬の例としては、限定するものではないが、抗ヘルペス薬、例えば、アシクロビル、ファムシクロビル、フォスカメット、ガンシクロビル、アシクロビル、イドクスウリジン、ソリブジン、トリフルリジン、バラシクロビルおよびビダラビン;抗レトロウイルス剤、例えば、リトナビル、ジダノシン、スタブジン、ザルシタビン、テノボビルおよびジドブジン;ならびに他の抗ウイルス剤、例えば、限定するものではないが、アマンタジン、インターフェロン-アルファ、リバビリン、リマンタジン、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0252】
抗真菌剤の例としては、限定するものではないが、ポリエン系抗真菌剤(例えば、アムホテリシンB、ナイスタチン、ナタマイシンなど)、フルシトシン、イミダゾール(例えば、n-チコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾールなど)、トリアゾール(例えば、イトラコナゾール、フルコナゾールなど)、グリセオフルビン、テルコナゾール、ブトコナゾールシクロピラクス(butoconazole ciclopirax)、シクロピロクスオラミン、ハロプロギン、トルナフテート、ナフチフィン、テルビナフィン、脂質カプセル化または複合化され得る任意の他の抗真菌剤、ならびにそれらの組合せが挙げられる。
【0253】
いくつかの態様において、エキソソームには、自己免疫疾患または同種免疫疾患を治療するための1または複数の治療剤が負荷される。自己免疫疾患または同種免疫疾患の治療の例としては、限定するものではないが、抗菌剤(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤および抗真菌剤)、抗腫瘍剤(例えば、フルオロウラシル、メトトレキサート、パクリタキセル、フルダラビン)、エトポシド、ドキソルビシン、またはビンクリスチン)、免疫枯渇剤(例えば、フルダラビン、エトポシド、ドキソルビシンまたはビンクリスチン)、免疫抑制剤(例えば、アザチオプリンまたはグルココルチコイド、例えば、デキサメタゾンまたはプレドニゾン)、抗炎症剤(例えば、ヒドロコルチソン、デキサメタゾンもしくはプレドニゾンなどのグルココルチコイド、またはアセチルサリチル酸、イブプロフェンまたはナプロキセンナトリウムなどの非ステロイド系抗炎症剤)、サイトカイン(例えば、インターロイキン-10または形質転換成長因子-ベータ)、ホルモン(例えば、エストロゲン)、またはワクチンを挙げることができる。さらに、限定するものではないが、カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリンおよびタクロリムス);mTOR阻害剤(例えば、ラパマイシン);ミコフェノール酸モフェチル、(例えば、CD3、CD4、CD40、CD154、CD45、IVIGまたはB細胞を認識する)抗体;化学療法剤(例えば、メトトレキサート、トレオサルファン、ブスルファン);照射;または、ケモカイン、インターロイキンもしくはそれらの阻害剤(例えば、BAFF、IL-2、抗IL-2R、IL-4、JAKキナーゼ阻害剤)を含む免疫抑制剤または免疫寛容原性剤を投与することができる。
【0254】
代替の態様において、エキソソームは治療薬を負荷されず、代わりに、特定のガイドRNAおよびエンドヌクレアーゼを含むCRISPR-Casシステムを含むものなどの1または複数の遺伝子改変成分を負荷される。一般に、「CRISPRシステム」とは、CRISPR関連(「Cas」)遺伝子の発現またはその活性の誘導に関与する転写産物および他の要素を総称して指し、Cas遺伝子をコードする配列、tracr(トランス活性化CRISPR)配列(例えば、tracrRNAまたは活性な部分的tracrRNA)、tracr-メイト配列(「ダイレクトリピート」および内因性CRISPRシステムに関連してtracrRNAによりプロセシングされた部分的ダイレクトリピートを包含する)、ガイド配列(内因性CRISPRシステムに関連して「スペーサー」とも呼ばれる)、および/またはCRISPR遺伝子座由来の他の配列および転写産物を含む。CRISPR/CasヌクレアーゼまたはCRISPR/Casヌクレアーゼシステムには、DNAに配列特異的に結合する非コードRNA分子(ガイド)RNA、およびヌクレアーゼ機能(例えば、2つのヌクレアーゼドメイン)を備えたCasタンパク質(例えば、Cas9)が含まれ得る。
【0255】
いくつかの態様において、CasヌクレアーゼおよびgRNA(標的配列に特異的なcrRNAおよび固定されたtracrRNAの融合を含む)が細胞に導入される。一般に、ガイド配列は、標的配列とハイブリダイズし、CRISPR複合体の標的配列への配列特異的結合を導くために十分な、標的ポリヌクレオチド配列との相補性を有する任意のポリヌクレオチド配列である。典型的には、「標的配列」は、一般に、ガイド配列が相補性を有するように設計されている配列を指し、標的配列とガイド配列との間のハイブリダイゼーションが、CRISPR複合体の形成を促進する。CRISPRシステムは、標的部位で二本鎖切断(DSB)を誘発し、その後、本明細書で説明するように破壊または改変を引き起こす可能性がある。他の態様において、「ニッカーゼ」と見なされるCas9変異体を使用して、標的部位で一本鎖にニックを導入する。他の態様において、触媒的に不活性なCas9は、遺伝子発現に影響を与えるために、転写リプレッサーまたはアクチベーターなどの異種エフェクタードメインに融合される。標的配列は、DNAまたはRNAポリヌクレオチドなどの任意のポリヌクレオチドを含むことができる。標的配列は、細胞のオルガネラ内など、細胞の核または細胞質に位置していてよい。
【0256】
いくつかの態様において、1または複数のベクターを負荷されたエキソソームを細胞に導入して、CRISPRシステムの要素の発現が1または複数の標的部位においてCRISPR複合体の形成を導くように、CRISPRシステムの1または複数の要素の発現を駆動することができる。成分はまた、タンパク質および/またはRNAとしてエキソソームを介して細胞に送達され得る。例えば、Cas酵素、tracrメイト配列に連結されたガイド配列、およびtracr配列はそれぞれ、別個のベクター上の別個の調節要素に作動可能に連結させることができる。または、同じまたは異なる調節要素から発現される2つ以上の要素を単一のベクター中に組み合わせることができ、1または複数の追加のベクターが、第1のベクターに含まれないCRISPRシステムの任意の成分を提供する。ベクターは、制限エンドヌクレアーゼ認識配列(「クローニング部位」とも呼ばれる)などの1または複数の挿入部位を含み得る。いくつかの態様において、1または複数の挿入部位は、1または複数のベクターの1または複数の配列要素の上流および/または下流に配置される。複数の異なるガイド配列を使用する場合、単一の発現構築体を使用して、細胞内の複数の異なる対応する標的配列に対するCRISPR活性を標的とすることができる。ベクターは、Casタンパク質などのCRISPR酵素をコードする酵素コード配列に作動可能に連結された調節要素を含み得る。
【0257】
III.エキソソームの使用方法
特定の態様において、エキソソームは、1または複数の医学的状態の治療に有用である。エキソソームは、治療化合物の全身または局所送達に使用することができる。本開示は、エキソソームを送達ビヒクルとして使用して目的の治療剤を送達する方法を包含する。本開示はまた、1または複数の治療剤を要とする患者を治療する方法であって、(1または複数の)治療剤を含有する有効量のエキソソームを患者に投与することを含む方法を含む。
【0258】
本開示のエキソソームは、生成直後に利用することもでき、またはしなくてもよい。場合によっては、それらは後の目的のために保存される。いずれの場合でも、それらは、患者などの哺乳動物対象(ヒト、イヌ、ネコ、ウマなど)の治療的または予防的用途に利用することができる。個体は、例として、がん、任意の種類の感染症、任意の免疫障害、任意の組織損傷、任意の皮膚障害、任意の創傷、任意の外傷、および/または任意の熱傷を含む任意の種類の医学的状態のためのエキソソームベースの治療を必要とし得る。方法は、医学的状態について陽性と試験された個体、医学的状態の1または複数の症状を有する個体、またはそのような状態を発症するリスクがあると考えられる個体に関して使用され得る。
【0259】
本発明のエキソソームベースの治療で治療される個体は、エキソソームベースの治療を受ける前に特定の医学的状態について治療されていてもされていなくてもよい。いくつかの態様において、患者は、医学的状態のための少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回またはそれを超える前治療を受けている。前治療は、本明細書に記載の治療または療法を含み得る。いくつかの態様において、前治療は、従来の化学療法、従来の放射線療法、従来の抗ウイルス療法、従来の消毒および抗菌療法、従来の免疫抑制療法、従来の抗炎症療法、従来の熱傷治療などを含む。いくつかの態様において、患者は、本開示の本組成物およびエキソソームの投与の10、20、30、40、50、60、70、80もしくは90日間または時間以内に前療法を受けていた。いくつかの態様において、患者は、前療法を受けており、前治療が有効でなかったため、または前治療が毒性が高すぎると考えられたため、前治療に失敗した患者である。
【0260】
本明細書で企図される1または複数の治療剤が負荷されたエキソソームおよび/またはそれを含む医薬組成物は、単独でまたは任意の組合せでのいずれかで、少なくともいくつかの態様では、薬学的に許容される担体または賦形剤と一緒に投与することができ、がん、免疫障害、心臓疾患、肺疾患、微生物感染症、組織損傷、皮膚障害、創傷、外傷および/または任意の種類の熱傷の予防、治療または改善に使用することができる。本明細書で企図される1または複数の治療剤が負荷されたエキソソームおよび/またはそれを含む医薬組成物はまた、化学療法および放射線療法誘発CNS毒性の緩和、ならびに再生特性または修復特性がしばしば必要とされる心臓、肺、腎臓、消化管を含む他の化学療法または放射線誘発重要臓器毒性の治療にも使用することができる。
【0261】
本明細書で企図される1または複数の治療剤が負荷されたエキソソームおよび/またはそれを含む医薬組成物はまた、化学療法および放射線療法誘発CNS毒性の緩和、ならびに再生特性または修復特性がしばしば必要とされる心臓、肺、腎臓、消化管を含む他の化学療法または放射線誘発重要臓器毒性の治療にも使用することができる。
【0262】
本開示の態様は、化学療法および放射線療法誘発性中枢神経系(CNS)毒性に応答して、またはそれに対する神経保護を提供して、認知機能障害を治療、逆転または改善する方法を含む。特定の態様において、臍帯組織由来MSCに由来するエキソソーム(UC-Exos)は、化学療法および放射線療法誘発性中枢神経系(CNS)毒性に応答して、またはそれに対する神経保護を提供して、認知機能障害を治療または逆転させるのに有用である。本開示の方法および組成物は、化学療法および放射線療法誘発性中枢神経系(CNS)毒性に応答して、またはそれに対する神経保護を提供して、認知機能障害を治療または回復させるための少なくともmiR、抗miR、siRNA、および治療薬を含む(1または複数の)治療剤を担持する、大規模なUC-Exos由来活性化エキソソームの生成を可能にする。
【0263】
ある態様において、エキソソーム(例えば、UC-Exos)は、何らかの理由で組織の再生および/または修復を必要とする個体に利用される。再生または修復を必要とする組織は、任意の種類のものであってよいが、特定の態様において、組織は、軟組織(例えば、脂肪、線維組織(例えば、腱および/または靭帯)、筋肉(例えば、平滑筋、骨格筋、および/または心筋)、滑膜組織、血管、リンパ管、および/または神経)、脳、肺、脾臓、肝臓、心臓、腎臓、膵臓、腸、精巣、または骨を含む。例えば、個体は、化学療法または放射線誘発性重要臓器毒性に起因して、心臓、肺、腎臓および/または胃腸管組織の再生および/または修復を必要としている場合がある。個体は、炎症、外傷(例えば、挫傷、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷)、熱傷(例えば、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷)またはそれらの組合せに起因して、軟組織(例えば、脂肪、線維組織(例えば、腱および/または靭帯)、筋肉(例えば、平滑筋、骨格筋、および/または心筋)、滑膜組織、血管、リンパ管、および/または神経)の再生および/または修復を必要としている場合がある。いくつかの態様において、組織は、熱傷(例えば、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷)もしくは外傷(例えば、挫傷、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷)による毒性に起因して、および/または熱傷(例えば、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷)もしくは外傷(例えば、挫傷、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷)の前治療による毒性に起因して再生または修復を必要している。特定の態様において、本明細書に包含される方法によって生成されるエキソソームは、標的組織の例として、脳、肺、脾臓、肝臓、心臓、腎臓、膵臓、腸、精巣、および骨を含む軟部組織および臓器を標的とする再生療法および/または修復療法として有用である。そのような場合のエキソソームは、少なくとも部分的には、それらが個体において遊走するのに適しているので治療的である。
【0264】
ある態様において、エキソソーム(例えば、UC-Exos)は、何らかの理由で皮膚の再生および/または修復を必要とする個体に利用される。例えば、個体は、化学療法または放射線誘発性重要臓器毒性に起因して、皮膚の再生および/または修復を必要としている場合がある。個体は、熱傷(例えば、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷)または外傷(例えば、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開)による毒性、および/または熱傷(例えば、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷)または外傷(例えば、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開)のために投与された前治療による毒性に起因して皮膚の再生または修復を必要としている場合がある。個体は、皮膚障害に起因して皮膚の再生および/または修復を必要としている場合がある。皮膚障害の非限定的な例としては、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0265】
ある態様において、エキソソーム(例えば、UC-Exos)は、何らかの理由で創傷治癒(例えば、創傷修復)を必要とする個体に利用される。例えば、個体は、化学療法または放射線誘発性重要臓器毒性に起因して、創傷を有する皮膚または組織の再生および/または修復を必要としている場合がある。個体は、熱傷(例えば、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷)または外傷(例えば、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開)による毒性、および/または熱傷(例えば、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷)または外傷(例えば、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開)の前治療による毒性に起因して創傷を有する皮膚または組織の再生および/または修復を必要としている場合がある。個体は、炎症、老化、皮膚がん、座瘡、口唇ヘルペス、疱疹、血清腫、血腫、潰瘍、癰、疣贅、乾癬、湿疹、蜂巣炎、狼瘡、光線性角化症、毛孔性角化症、帯状疱疹、蕁麻疹、肝斑、膿痂疹、日焼け、皮膚炎、酒さ、温度熱傷、化学熱傷、電気熱傷、凍傷、皮膚創傷損傷、挫傷、切り傷、裂創、深傷、裂傷、穿刺、掻き傷、擦過傷、掻破、咬傷、刺傷、打撲傷、圧迫損傷、圧挫損傷、切開、捻挫、腱炎、滑液包炎、圧力損傷、筋挫傷またはそれらの組合せに起因して創傷を有する皮膚または組織の再生および/または修復を必要としている場合がある。
【0266】
本開示の態様は、がんの治療方法を含む。場合によっては、エキソソームは1または複数のがんに有用である。特定の態様では、臍帯組織由来MSC(UC-Exos)に由来するエキソソームは、がんの治療およびがんの治療化合物の全身送達に有用である。本開示の方法および組成物は、少なくともmiR、抗miR、siRNA、およびがんの治療のための治療薬を含む(1または複数の)治療剤を担持する、大規模なUC-Exos由来活性化エキソソームの生成を可能にする。
【0267】
本エキソソームが有用であるがんとしては、固形腫瘍または血液腫瘍に見られるものなどの任意の悪性細胞型が挙げられる。個体ががんを有する場合、がんは、原発性、転移性、治療抵抗性などであり得る。特定の場合には、本療法は、例えば、複数のタイプの固形腫瘍(黒色腫、結腸がん、肺がん、乳がんおよび頭頸部がん)を含む、免疫細胞調節に供されることが臨床的に示されているがんを有する個体に有用である。例示的な固形腫瘍としては、限定するものではないが、膵臓、結腸、盲腸、胃、脳、頭部、頸部、卵巣、腎臓、喉頭、肉腫、肺、膀胱、メラノーマ、前立腺および乳房からなる群から選択される器官の腫瘍を挙げることができる。例示的な血液腫瘍には、骨髄、T細胞またはB細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、芽細胞腫、骨髄腫などの腫瘍が含まれる。本明細書で提供される方法を使用して治療することができるがんのさらなる例には、限定するものではないが、神経膠芽腫、肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺がん、および肺の扁平上皮がんを含む)、腹膜がん、胃がん(gastricまたはstomach cancer)(胃腸がんおよび胃腸間質がんを含む)、膵臓がん、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がんまたは子宮がん、唾液腺がん、腎臓がんまたは腎がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、さまざまな種類の頭頸部がんおよびメラノーマが含まれる。
【0268】
がんは、これらに限定するものではないが、具体的には以下の組織型であり得る。新生物、悪性;がん腫;がん腫、未分化;巨細胞がんおよび紡錘細胞がん;小細胞がん;乳頭がん;扁平上皮がん;リンパ上皮がん;基底細胞がん;毛母がん(pilomatrix carcinoma);移行上皮がん;乳頭状移行上皮がん;腺がん;ガストリノーマ、悪性;胆管がん;肝細胞がん;肝細胞がんと胆管がんの混合型;索状腺がん;腺様嚢胞がん;腺腫性ポリープの腺がん;腺がん、家族性大腸ポリポーシス;固形がん;カルチノイド腫瘍、悪性;細気管支肺胞腺がん(branchiolo-alveolar adenocarcinoma);乳頭状腺がん;色素嫌性がん;好酸性がん;好酸性腺がん;塩基好性がん;明細胞腺がん;顆粒細胞がん;濾胞腺がん;乳頭状・濾胞腺がん;非被包性硬化性がん;副腎皮質がん;類内膜がん;皮膚付属器がん;アポクリン腺がん;皮脂腺がん;耳垢腺がん;粘表皮がん;嚢胞腺がん;乳頭状嚢胞腺がん;乳頭状漿液嚢胞腺がん;粘液性嚢胞腺がん;粘液性腺がん;印環細胞がん;浸潤性乳管がん;髄様がん;小葉がん;炎症性がん;パジェット病、乳房;腺房細胞がん;腺扁平上皮がん;扁平上皮化生随伴腺がん(adenocarcinoma w/squamous metaplasia);(胸腺腫、悪性);卵巣間質腫、悪性;莢膜細胞腫、悪性;顆粒膜細胞腫、悪性;男性ホルモン産生細胞腫、悪性;セルトリ細胞がん;ライディッヒ細胞腫、悪性;脂質細胞腫瘍、悪性;傍神経節腫、悪性;乳房外傍神経節腫、悪性;褐色細胞腫;血管球血管肉腫;悪性メラノーマ;無色素性メラノーマ;表在拡大型メラノーマ;悪性黒子メラノーマ;末端黒子型メラノーマ;結節性メラノーマ;巨大色素生母斑の悪性メラノーマ;類上皮細胞メラノーマ;青色母斑、悪性;肉腫;線維肉腫;線維性組織球腫、悪性;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胎児性横紋筋肉腫;胞巣性横紋筋肉腫;間質性肉腫;混合腫瘍、悪性;ミュラー管混合腫瘍;腎芽細胞腫;肝芽腫;がん肉腫;間葉細胞腫、悪性;ブレンナー腫瘍、悪性;葉状腫瘍、悪性;滑膜肉腫;中皮腫、悪性;未分化胚細胞腫;胚性がん腫;奇形腫、悪性;卵巣甲状腺腫、悪性;絨毛がん;中腎腫、悪性;血管肉腫;血管内皮腫、悪性;カポシ肉腫;血管外皮腫、悪性;リンパ管肉腫;骨肉腫;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫;軟骨芽細胞腫、悪性;間葉性軟骨肉腫;骨巨細胞腫;ユーイング肉腫;歯原性腫瘍、悪性;エナメル上皮歯牙肉腫;エナメル上皮腫、悪性;エナメル上皮線維肉腫;松果体腫、悪性;脊索腫;神経膠腫、悪性;上衣腫;星状細胞腫;原形質性星状細胞腫;線維性星状細胞腫;星芽細胞腫;神経膠芽腫;乏突起神経膠腫;乏突起膠芽腫;原始神経外胚葉性;小脳肉腫;神経節芽腫;神経芽腫;網膜芽細胞腫;嗅神経腫瘍;髄膜腫、悪性;神経線維肉腫;神経鞘腫、悪性;顆粒細胞腫、悪性;悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキン側肉芽腫;悪性リンパ腫、小リンパ球性;悪性リンパ腫、大細胞型、びまん性;悪性リンパ腫濾胞性;菌状息肉腫;他の指定された非ホジキンリンパ腫;B細胞リンパ腫;低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽細胞性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大腫瘤NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;ワンデルシュトレームマクログロブリン血症;悪性組織球増殖症;多発性骨髄腫;マスト細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;形質細胞性白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞性白血病;骨髄性白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;マスト細胞白血病;巨核芽球性白血病;骨髄肉腫;有毛細胞白血病;慢性リンパ球性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML);および慢性骨髄芽球性白血病。
【0269】
いくつかの態様において、本エキソソームが有用であるがんは、多形性神経膠芽腫(GBM)である。成人神経膠芽腫は、その分子、細胞および免疫の生物学が他のがんと比較して独特であるだけでなく、血液脳/血液腫瘍関門(BBB/BTB)によって課される厄介な送達上の課題のために、ほとんどの療法に対して不応性であることで有名である。その結果、GBMを特異的に標的とする抗がん治療薬を同定し、BBB/BTBを越えてこれらの新しい薬剤を送達するための戦略を明確にする緊急の必要性がある。場合によっては、エキソソームはヒト神経膠腫に効率的にホーミングし、BBB/BTBを克服する。
【0270】
いくつかの態様において、GBMを治療するために使用されるエキソソームには、抗GMB miRNA miR-124が負荷される。検証研究により、miR-124が神経膠腫幹細胞のすべてのサブタイプに対して非常に有効であり、GBM関連標的、特にFOXA2を下方制御することによって機能し、アポトーシス細胞死をもたらすことが証明された。miR-124はまた、GBMにおける免疫抑制の公知のメディエーターであるSTAT-3を阻害することによってT細胞応答を増強し、その治療的可能性をさらに裏付ける。最近の研究はまた、miR-124が脳損傷後の神経変性を逆転させ、miR-124を神経毒性も軽減し得る第1の抗神経膠腫剤の1つにすることを示している。
【0271】
本開示の態様は、免疫障害の治療方法を含む。場合によっては、エキソソームは1または複数の免疫障害に有用である。特定の態様において、臍帯組織由来MSC(UC-Exos)に由来するエキソソームは、免疫障害の治療および免疫障害の治療化合物の全身送達に有用である。本開示の方法および組成物は、少なくともmiR、抗miR、siRNA、および免疫障害の治療のための治療薬を含む(1または複数の)治療剤を担持する、大規模なUC-Exos由来活性化エキソソームの生成を可能にする。
【0272】
本発明のエキソソームが有用である免疫障害には、自己免疫障害または炎症性障害が含まれる。自己免疫障害または炎症性障害の非限定的な例には、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アディソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎および精巣炎、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアック多発性皮膚炎(celiac spate-dermatitis)、慢性疲労免疫機能不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、チャーグ-ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素疾患、クローン病、円板状狼瘡、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症-線維筋炎、糸球体腎炎、グレイブス病、ギランバレー、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA神経障害、若年性関節炎、扁平苔癬、エリテマトーデス(lupus erthematosus)、メニエール病、混合性結合組織疾患、多発性硬化症、1型または免疫介在性糖尿病、重症筋無力症、ネフローゼ症候群(微小変化型ネフローゼ症候群、巣状糸球体硬化症または膜性腎症(mebranous nephropathy)など)、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛、多発筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフ・マン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、潰瘍性大腸群、ぶどう膜炎、脈管炎(結節性多発動脈炎、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎またはヘルペス状皮膚炎脈管炎など)、白斑、移植片対宿主病(graft versus host diease)(GVHD)およびウェゲナー肉芽腫症が含まれる。したがって、本明細書に開示される方法を使用して治療することができる自己免疫疾患のいくつかの例には、限定するものではないが、多発性硬化症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、I型糖尿病、クローン病、潰瘍性大腸炎、重症筋無力症、糸球体腎炎、強直性脊椎炎、脈管炎、または乾癬が含まれる。対象はまた、喘息などのアレルギー性障害を有し得る。
【0273】
本開示の態様は、少なくとも冠動脈疾患、心不全、心筋症、心臓弁膜症、不整脈、心臓の遺伝的欠陥などを含む任意の種類の心臓疾患の治療方法を含む。
【0274】
本開示の態様は、肺高血圧症、喘息、気管支肺異形成症(BPD)、アレルギー、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、特発性肺線維症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺炎、胸水などの肺疾患の治療方法を含む。
【0275】
本開示の態様は、病原性感染症を含む任意の種類の微生物感染症の治療方法を含む。感染は、細菌、ウイルス、真菌、または原虫であり得る。細菌の例としては、アクチノミセス属(Actinomyces)、バチルス属(Bacillus)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ボルデテラ属(Bordetella)、バルトネラ属(Bartonella)、ボレリア属(Borrelia)、ブルセラ属(Brucella)、カンピロバクター属(Campylobacter)、キャプノサイトファーガ属(Capnocytophaga)、クラミジア属(Chlamydia)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、コクシエラ属(Coxiella)、デルマトフィルス属(Dermatophilus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、エーリキア属(Ehrlichia)、エシェリキア属(Escherichia)、フランシセラ属(Francisella)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ヘモバルトネラ属(Haemobartonella)、ヘモフィルス属(Haemophilus)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、クレブシエラ属(Klebsiella)、L型菌(L-form bacteria)、レプトスピラ属(Leptospira)、リステリア属(Listeria)、マイコバクテリア属(Mycobacteria)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)、ナイセリア属(Neisseria)、ネオリケッチア属(Neorickettsia)、ノカルジア属(Nocardia)、パスツレラ属(Pasteurella)、ペプトコッカス属(Peptococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)、肺炎球菌属(Pneumococcus)、プロテウス属(Proteus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、リケッチア属(Rickettsia)、ロシャメリアポリペプチド属(Rochalimaea polypeptides)、サルモネラ属(Salmonella)、シゲラ属(Shigella)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、A群連鎖球菌(group A streptococcus)、B群連鎖球菌(group B streptococcus)、トレポネーマ属(Treponema)、およびエルシニア属(Yersinia)が挙げられる。真菌の例としては、限定するものではないが、アブシディア属(Absidia)、アクレモニウム属(Acremonium)、アルテルナリア属(Alternaria)、アスペルギルス属(Aspergillus)、バシジオボラス属(Basidiobolus)、ビポラリス属(Bipolaris)、ブラストミセス属(Blastomyces)、カンジダ属(Candida)、コクシジオイデス属(Coccidioides)、コニディオボラス属(Conidiobolus)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、クルブラリア属(Curvalaria)、エピデルモフィトン属(Epidermophyton)、エクソフィアラ属(Exophiala)、ゲオトリクム属(Geotrichum)、ヒストプラズマ属(Histoplasma)、マヅレラ属(Madurella)、マラセチア属(Malassezia)、ミクロスポルム属(Microsporum)、モニリエラ属(Moniliella)、モルチエレラ属(Mortierella)、ムコール属(Mucor)、ペシロマイセス属(Paecilomyces)、ペニシリウム属(Penicillium)、フィアレモニウム属(Phialemonium)、フィアロフォラ属(Phialophora)、プロトテカ属(Prototheca)、シュードアレシェリア属(Pseudallescheria)、シュードミクロドキウム属(Pseudomicrodochium)、フィチウム属(Pythium)、リノスポリジウム属(Rhinosporidium)、リゾプス属(Rhizopus)、スコレコバシジウム属(Scolecobasidium)、スポロトリクス属(Sporothrix)、ステムフィリウム属(Stemphylium)、トリコフィトン属(Trichophyton)、トリコスポロン属(Trichosporon)、およびキシロハイファ属(Xylohypha)が挙げられる。原虫の例としては、限定するものではないが、バベシア属(Babesia)、バランチジウム属(Balantidium)、ベスノイティア属(Besnoitia)、クリプトスポリジウム属(Cryptosporidium)、エイメリア属(Eimeria)、エンセファリトゾーン属(Encephalitozoon)、エントアメーバ属(Entamoeba)、ジアルジア属(Giardia)、ハンモディア属(Hammondia)、ヘパトゾーン属(Hepatozoon)、イソスポーラ属(Isospora)、リーシュマニア属(Leishmania)、ミクロスポリディア属(Microsporidia)、ネオスポラ属(Neospora)、ノゼマ属(Nosema)、ペンタトリコモナス属(Pentatrichomonas)、プラスモディウム属(Plasmodium)が挙げられる。蠕虫寄生虫の例としては、限定するものではないが、アカントケイロネマ属(Acanthocheilonema)、アエルロストロンギルス属(Aelurostrongylus)、アンシロストーマ属(Ancylostoma)、アンギオストロンギルス属(Angiostrongylus)、アスカリス属(Ascaris)、ブルギア属(Brugia)、ブノストムム属(Bunostomum)、キャピラリア属(Capillaria)、チャベルティア属(Chabertia)、クーペリア属(Cooperia)、クレノソーマ属(Crenosoma)、ディクチオカウルス属(Dictyocaulus)、ジオクトフィーマ属(Dioctophyme)、ディペタロネマ属(Dipetalonema)、ジフィロボスリウム属(Diphyllobothrium)、ジピリジウム属(Diplydium)、ディロフィラリア属(Dirofilaria)、ドラクンクルス属(Dracunculus)、エンテロビウス属(Enterobius)、フィラロイデス属(Filaroides)、ヘモンクス属(Haemonchus)、ラゴキルアスカリス属(Lagochilascaris)、ロア糸状虫属(Loa)、マンソネラ属(Mansonella)、ムエレリウス属(Muellerius)、ナノフィエトゥス属(Nanophyetus)、ネカトール属(Necator)、ネマトジルス属(Nematodirus)、エソファゴストム属(Oesophagostomum)、オンコセルカ属(Onchocerca)、オピストルキス属(Opisthorchis)、オステルタギア属(Ostertagia)、パラフィラリア属(Parafilaria)、パラゴニムス属(Paragonimus)、パラスカリス属(Parascaris)、フィサロプテラ属(Physaloptera)、プロトストロンギルス属(Protostrongylus)、セタリア属(Setaria)、スピロセルカ属(Spirocerca)、スピロメトラ属(Spirometra)、ステファノフィラリア属(Stephanofilaria)、ストロンギロイデス属(Strongyloides)、ストロンギルス属(Strongylus)、テラジア属(Thelazia)、トキサスカリス属(Toxascaris)、トキソカラ属(Toxocara)、トリキネラ属(Trichinella)、トリコストロンギルス属(Trichostrongylus)、トリチュリス属(Trichuris)、ウンシナリア属(Uncinaria)、ウケレリア属(Wuchereria)、ニューモシスティス属(Pneumocystis)、サルコシスティス属(Sarcocystis)、シストソーマ属(Schistosoma)、タイレリア属(Theileria)、トキソプラズマ属(Toxoplasma)、およびトリパノソーマ属(Trypanosoma)が挙げられる。ウイルスの例としては、アデノウイルス、アルファウイルス、カリシウイルス、コロナウイルス(SARS-CoV、SARS-CoV-2、およびMERSを含む)、ジステンパーウイルス、エボラウイルス、エンテロウイルス、フラビウイルス、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、感染性腹膜炎ウイルス、白血病ウイルス、マールブルグウイルス、ノーウォークウイルス、オルトミクソウイルス、パピローマウイルス、パラインフルエンザウイルス、パラミクソウイルス、パルボウイルス、ペスチウイルス、ピコルナウイルス、ポックスウイルス、狂犬病ウイルス、レオウイルスポリペプチド、レトロウイルス、ロタウイルスおよびワクシニアウイルスが挙げられる。
【0276】
本開示のエキソソーム組成物は、任意の適切な手段によって投与され得る。ヒトまたは動物対象への投与は、直腸、頬側、膣、非経口、筋肉内、脳内、血管内(静脈内を含む)、皮内、皮下、鼻腔内、心臓内、脳室内、腹腔内関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内もしくは頭蓋内経路、または経皮投与、または植え込み型リザーバーを介した投与から選択することができる。
【0277】
エキソソームは、組成物として送達され得る。組成物は、直腸、頬側、膣、非経口、筋肉内、脳内、血管内(静脈内を含む)、皮内、皮下、鼻腔内、心臓内、脳室内、腹腔内関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内もしくは頭蓋内経路、または経皮投与、または植え込み型リザーバーを介した投与を含む、任意の適切な投与腫団のために製剤化され得る。非経口投与のための組成物は、緩衝剤、希釈剤および他の適切な添加剤も含有し得る滅菌水溶液を含み得る。本開示のエキソソームは、エキソソームに加えて、薬学的に許容される担体、増粘剤、希釈剤、緩衝剤、保存剤、および他の薬学的に許容される担体または賦形剤などを含み得る医薬組成物に製剤化され得る。
【0278】
「薬学的に許容される担体」(賦形剤)は、1または複数の核酸を対象に送達するための薬学的に許容される溶媒、懸濁化剤または任意の他の薬理学的に不活性なビヒクルである。典型的な薬学的に許容される担体としては、限定するものではないが、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど);増量剤(例えば、ラクトースおよび他の糖、微結晶セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリレートまたはリン酸水素カルシウムなど);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、水素化植物油、コーンスターチ、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど);崩壊剤(例えば、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウムなど);または湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウムなど)が挙げられる。
【0279】
本明細書で提供される組成物は、医薬組成物に従来見られる他の補助成分をさらに含有し得る。したがって、例えば、組成物は、追加の適合性の薬学的に活性な材料を含有してもよく、または本発明の組成物のさまざまな剤形を物理的に製剤化するのに有用な追加の材料、例えば、染料、香味剤、防腐剤、酸化防止剤、乳白剤、増粘剤および安定剤を含有してもよい。しかし、そのような材料は、添加される場合、本明細書で提供される組成物の成分の生物学的活性を過度に妨害するべきではない。
【0280】
治療有効量の組成物を投与する。生成されたエキソソームの治療有効量は、治療される対象において所望の効果を達成する量である。例えば、これは、がんの進行を阻害するか、またはがんの退縮を引き起こすために必要な、またはがんによって引き起こされる症状を緩和することができる、エキソソームの量であり得る。これは、自己免疫または同種免疫疾患の進行を阻害するため、もしくは退行を引き起こすために必要な、または痛みや炎症などの自己免疫疾患によって引き起こされる症状を緩和することができるエキソソームの量であり得る。それはまた、微生物感染症の進行を阻害するか、または微生物感染症の退行を引き起こすために必要な、または微生物感染症によって引き起こされる症状を緩和することができる、エキソソームの量であり得る。
【0281】
生成されたエキソソームは、疾患と一致する治療レジメンで投与することができ、例えば、疾患状態を改善するための1日から数日間にわたる単回または数回の用量、または疾患の進行を阻害し、疾患の再発を予防するための長期間にわたる定期的な用量で投与することができる。用量は、さまざまなパラメータに従って、特に治療される患者の状態の重症度、年齢および体重、投与経路、および必要なレジメンに従って決定することができる。医師は、任意の特定の患者に必要な投与経路および投与量を決定することができる。最適な投与量は、個々の構築物の相対効力に応じて異なり得、一般に、invitroおよびinvivo動物モデルにおいて有効であることが見出されたEC50に基づいて推定することができる。一般に、投与量は、0.01mg/kg~100mg/kg体重である。典型的な1日用量は、特定の構築物の効力、治療される対象の年齢、体重および状態、疾患の重症度ならびに投与の頻度および経路に従って、約0.1~50mg/kg体重、好ましくは約0.1mg~10mg/kg体重である。投与が筋肉内注射によるものであるか、または全身(静脈内または皮下)注射によるものであるかに応じて、異なる用量の構築物が投与され得る。場合によっては、単回または複数回の全身注射の用量は、10~100mg/kg体重の範囲である。
【0282】
場合によっては、個体は、例えば、1または複数回を毎日、毎週、毎月または毎年繰り返し治療されなければならない場合がある。当業者は、体液または組織中の構築物の測定された滞留時間および濃度に基づいて、投与の繰り返し率を容易に推定することができる。治療が成功した後、個体に維持療法を受けさせることが望ましい場合があり、この場合、構築物は、0.01mg/kg体重~100mg/kg体重、1日に1または複数回から20年ごとに1回までの範囲の維持用量で投与される。
【0283】
IV.キット
本明細書に記載される組成物はすべて、キットに含めることができる。非限定的な例では、細胞、細胞を生成するための試薬、エキソソーム、およびエキソソームを産生するための試薬、ならびに/またはそれらの成分がキットに含まれ得る。特定の態様において、エキソソームはキットに含まれていてもよく、それらは1または複数の治療剤を発現してもしなくてもよい。そのようなキットは、エキソソームに負荷される1または複数の治療剤を有していてもよく、または有していなくてもよく、そのような治療剤には、エキソソームを生成するための試薬および/または薬剤の負荷のためにエキソソームを操作するための試薬が含まれる。そのような薬剤としては、例えば、小分子、タンパク質、核酸、抗体、緩衝液、プライマー、ヌクレオチド、塩、および/またはそれらの組合せが挙げられる。
【0284】
特定の態様において、キットは、本開示のエキソソームベースの治療および別の治療も含む。場合によっては、キットは、エキソソームベースの治療態様に加えて、例えば化学療法、ホルモン療法、免疫療法、および/または抗菌療法などの第2の治療も含む。(1または複数の)キットは、個体の特定の疾患に合わせて調整することができ、個体に対するそれぞれの第2の治療を含むことができる。
【0285】
製品またはキットは、疾患、例えばがん、感染症、もしくは免疫障害を個体において治療するためもしくはその進行を遅らせるため、またはがん、感染症、もしくは免疫障害を有する個体の治療を増強するためにエキソソームを使用するための説明書を含む添付文書をさらに含むことができる。本明細書に記載のエキソソームはすべて、製品またはキットに含めることができる。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、バッグおよび注射器が挙げられる。容器は、ガラス、プラスチック(ポリ塩化ビニルまたはポリオレフィンなど)、または金属合金(ステンレス鋼またはHASTELLOY(登録商標)など)などのさまざまな材料から形成することができる。いくつかの態様において、容器は製剤を保持し、容器上のまたはそれに関連するラベルは、使用のための指示を示すことができる。製品またはキットは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、注射器、および使用説明書を含む添付文書を含む、商業的およびユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含むことができる。いくつかの態様において、製品は、1または複数の別の薬剤(例えば、化学療法剤、抗腫瘍剤、および抗菌剤)をさらに含む。1または複数の薬剤に適した容器には、例えば、ボトル、バイアル、バッグおよび注射器が含まれる。
【実施例
【0286】
以下の実施例は、本開示の態様を実証するために含まれる。以下の実施例に開示される技術は、本発明者により本開示の実施において良好に機能することが発見された技術を表すことが当業者により理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示された特定の態様において多くの変更を行うことができ、なおかつ本開示の精神および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を得ることができることを理解すべきである。
【0287】
実施例1
治療用カーゴの送達ビヒクルとしてエキソソームを使用するプラットフォームアプローチ
本実施例は、臍帯由来間葉系幹細胞/間質細胞(UC-MSC)または骨髄由来間葉系幹細胞/間質細胞(BM-MSC)からエキソソームを生成し、それらにmiR-124、他の治療用miR(例えば、miR-135-a-2、Let7i、miR-148、-375、-657、-668、-485、-520d、-569、-943、-1181、-198、-521-1、-24-1)、他のがんに対する抗腫瘍miRおよびsiRNA(例えば、FGFR-TACC融合物などの遺伝子融合物に対するsiRNA)を含む非常に強力かつ新規な治療薬を負荷するための新規で強固なGMP準拠プラットフォームを提供する。
【0288】
特に、本発明者らは、レンチウイルス形質導入を使用して、エキソソームが作製されたMSCにmiR-124をレンチウイルス形質導入するアプローチ、ならびに、MSC-Exosに治療薬を効率的に負荷するための効率的なGMP準拠アプローチを開発し、負荷されたMSC-Exosがinvitroで広範囲の分子的に不均一なGSCに対して非常に効果的であることを示した。極めて重要な前臨床invivoマウス研究において、本発明者らは、負荷されたMSC-Exosが全身送達後に頭蓋内ヒト神経膠腫を根絶し、タンパク質および核酸の標的を下方制御し得ることを明らかにした。新規性および潜在的な臨床的影響は、いくつかの態様において、化学療法および放射線療法誘発性脳損傷を改善しながら同時にGBMを根絶するこの治療薬の二重性である。このアプローチは、miR、siRNA、またはそれらの組合せ、ならびに他の治療遺伝子を含む多くの異なる治療薬のためのプラットフォームとして役立ち得る。確立された方法は実用的であり、効率的であり、いくつかの態様において、GBMおよび他の固形および液体腫瘍を有する患者の治療のための、ならびに同種免疫障害または自己免疫障害、組織損傷、皮膚障害、創傷を有する患者のための治療剤として、遺伝子および薬物送達のためのビヒクルとして、ならびに再生医療現場における治療剤としての、BMまたはUC-MSC-エキソソームの臨床使用を可能にする。
【0289】
1.神経膠芽腫を治療するためのmiRの同定
GBMを治療するための有効なmiRを同定するために、8つのmiR(miR-27a、miR-100、miR-124、miR-122、miR-133、miR-138、miR-145、Let-7b)を選択し、すべてのTCGA定義GBMサブタイプ(GSC267、GSC6-27、GSC8-11、GSC2-14、GSC20)を表す5つの神経膠腫幹細胞株(GSC)に対するそれらの抗神経膠腫効果についてスクリーニングした(図1)。miR-124は、すべてのGSCにおいて生存率に最大の低下をもたらし(P<0.010)、miR-124aを非常に効果的な抗GBMmiRとして同定した(図2A図2B)。
【0290】
エキソソーム(血液中で安定なナノスケール小胞)を分泌するexvivo培養ヒト間葉系幹細胞(MSC)を、収集されるべきエキソソームにmiR-124をパッケージングするように操作し、miR-124をGBMに全身送達するために使用した。MSCにmiR-124を含有するレンチウイルスを形質導入し、エキソソーム(Exos-miR-124)を上清から単離した(図3)。電子顕微鏡法(図4A)、ウェスタンブロッティング(図4B)およびNanosight(商標)(図4C)はすべて、単離された小胞がエキソソームであることを証明した。qPCRにより、Exos-miR-124におけるmiR-124aレベルが、miR-124aを含まない対照エキソソームよりも60倍高いことが明らかにされた(P<0.0001)(図5)。Exos-miR-124がinvitroでGSCの成長を阻害することができることを実証するために(図6)、5つのGSCをExos-miR-124a、Exos-miR-CtrlまたはExos-空(10個/細胞)で処理し、すべてのGSCの生存率(図7A)およびクローン形成能(図7B)の有意な低下が、Exos-miR-124による処理の後にのみ示された(p<0.001)。いくつかの態様において、Exo-miR124の潜在的な作用機序は、Exos-miR-124が、公知のmiR-124標的遺伝子であるFoxA2を下方制御することができ(図8A)、脂質の蓄積を誘導し(図8B)、GSC処理細胞における細胞死を促進する(図8C)ことができることを示す。
【0291】
すべてのクラスのGBMを処置するための最適なmiRをさらに定義した。具体的には、7つの完全に注釈付けされた患者由来のGSCのパネルに対して、miRの偏りのないハイスループット大規模スクリーニングを行った。これらのGSCは、GBMのすべての分子サブグループ、すなわち前神経(MDA-GSC7-11、MDA-GSC8-11)、古典的(MDA-GSC11、MDA-GSC7-2、MDA-GSC231、MDA-GSC6-27)、および間葉系(MDA-GSC20)を表す。フローチャートおよび概略図は、スクリーニングおよびデータ処理の重要な工程を示す(図9A)。この研究で使用されるレンチ-miRライブラリーは、539個の個々のmiRおよび39個のmiRクラスターをコードする578個のレンチウイルスを含み、合計で603個の成熟型miRをもたらす。これらのGSCの各々を、各細胞がただ1つのmiRによって感染されるように、プールされたライブラリーにより0.3のMOIで形質導入した。DNAを各時点について各GSCから単離し、ネステッドPCRを行った。次世代シーケンシング(NGS)を行い、各miRの相対的存在量を、特定のmiRについてのx日目のNGSリード数を、すべてのmiRについてのx日目のリードの総数で割ったものとして求めた。28日の期間を通したGSCにわたる総生リード数は同様のままであった(3日目(平均):1721939±177003;28日目(平均):1797286±403928)(3日目対28日目;p値0.68)。
【0292】
603個のmiRをランク付けするために、存在量カウントのlog10を、GSCに特異的な3日目のものに対して正規化した。時間に対してプロットされたこの正規化されたカウントは、負の値が枯渇を表し、正の値が経時的なmiRの富化を表す勾配値をもたらした(3、7、14、および28日目;傾きおよびカラーコードの例を図9Bに示す)。各miRについてのGSCにわたる勾配値がヒートマップに示されており、7つのGSCにわたる一貫した負の勾配値を有するmiRが上部に示されている(図9C)。miRをこの勾配に従って各GSC内でランク付けし、ランクをGSCにわたって各miRについて合計した。この分析により、最も低いランク和を有する、すべてのGSCにわたって最も有効なmiRのランク順がもたらされ、そのうち25個の上位miRがさらなる研究のための最も可能性の高い候補として選択された(図9D)。重要なことに、miR-124がこの群の中に現れ、スクリーニングプロセスに信頼性をもたらした。
【0293】
次いで、一次スクリーニングから同定された推定ヒットを、GSC増殖の遮断におけるそれらの有効性について評価した。6つのGSCに、上位25個のmiRのそれぞれを個別に過剰発現するレンチウイルスを形質導入し、GSC増殖に対するそれらの効果を評価した。前駆体miRを含有するレンチウイルス(LV)をGSCに形質導入し、細胞生存率を測定して、非プール様式で試験した場合に各LV-miRが有効であることを検証した。ヒートマップ(図9E)に示されるように、階層的クラスター化の際に、miR-124、148a、let7i、135a-2、668、942、657の過剰発現は、試験されたGSCに応じて生存率の50~80%の低下をもたらし、一緒にクラスター化される(図9D)。これらの結果は、上位ランク付けされた個々のLV-miRがGSC生存率を50%~80%低下させるのに有効であることを示した。具体的には、miR-124、148a、let7i、135a-2、668、942、657は、すべてのGSCに対して最も高い阻害能力を有していた。
【0294】
2.脳腫瘍へのinvivoでのmiRのエキソソーム送達
エキソソームがmiR-124をinvivoで脳腫瘍に送達できることを実証するために、BM-Exosが、全身注射後に脳腫瘍にホーミングする固有の能力を有することを示した。超遠心分離によってBM-MSCからBM-Exosを単離し、近赤外生体内色素(CaliperLifeSciences)であるXENOLIGHT(商標)DiRで標識し、PBSで洗浄して遊離色素を除去した。これらのDiR標識エキソソーム(DiR-Exos、1010Exos/100μl)を、IP、IV(尾静脈)またはIA(頸動脈)経路を介して、GSC17またはU87同所性異種移植片を有するマウスに注射した(N=3匹のマウス/群)。脳を、注射の8時間後に、IVIS(登録商標)生物発光イメージング(BLI)システム、200シリーズ(Xenogen)を使用して分析した(図10)。蛍光画像をグレースケール写真画像に重ね合わせて、LiveImageバージョン2.11ソフトウェアオーバーレイ(Xenogen)を使用して脳内の光源の局在化を可能にした。定量分析により、DiR-Exosによる処置が、動脈内(IA)経路により腫瘍内での高シグナルをもたらし、腹腔内(IP)および静脈内(IV)注射も有効なホーミングをもたらすことが示された(図11)。これらのデータは、いくつかの態様において、MSC-ExosがBBB/BTBを克服して脳腫瘍にホーミングできることを示しており、また、いくつかの態様において、初回通過喪失を減少させることに関してIA送達に利点が存在し得るが、IV注射もまた効果的であったことを示唆している(図11A図11B)。
【0295】
Exos-miR-124のinvivoでの有効性を評価するために、GSC267をヌードマウスの前頭葉に移植し(N=8/群)、7日後に、動物をBM-Exo-miR-124、BM-Exo-miR-対照、またはIP注射によるPBS(IV注射の代用として)で1日おきに処置した(1010Exo/100μl)。エキソソームもまた14および21日目にIA注射した。すべての対照は腫瘍移植後60日までに死亡した(生存期間中央値BM-Exo-miR-対照:54日間;PBS:55日間)が、BM-Exo-miR-124で処置した動物の50%は110日において生存していた(中央値:79日、P=0.009)(図12A)。生存マウスの組織学的分析により腫瘍の根絶が示され、Exo-miR-124の全身送達がinvivoで有効であることが示された(図12B)。まとめると、これらのデータは、いくつかの態様において、miR-124が非常に効果的な抗GBM治療薬であり、いくつかの態様において、BM-MSC由来エキソソームをmiR-124aの全身送達に使用して、頭蓋内GBMの治癒を達成できることを示している。
【0296】
3.臍帯間葉系幹細胞由来エキソソームの調製および特性評価
エキソソームはもともとBM-MSCから単離されたが、BM-MSCの供給は制限される可能性があり、正常ドナーからの骨髄の抽出は高価であり得る。対照的に、いくつかの態様において、容易に入手可能な臍帯組織は、非常に魅力的で低コストのMSCの代替供給源(UC-MSC)であり得る。重要なことに、UC-MSCは、BM-MSCよりも高い増殖能および細胞あたりのより多いエキソソーム収量を示すことが示された(図13)。エキソソームの供給源としてのBM-MSCに対するUC-MSCの利点を考慮すると、UC-Exosは、いくつかの態様において、脳腫瘍治療における送達ビヒクルとして使用することができるが、選択された疾患および状況に関連する他の態様においては、BMエキソソームを使用することができる。
【0297】
BM-Exosと同様に、UC-Exosはinvivoで脳腫瘍にホーミングすることが示された。具体的には、マウスにU87細胞を移植し、7日後、DiR標識したBM-ExosまたはUC-Exos(1010エキソソーム/100ul)をIA注射によって送達した(n=3/群)。24時間後、エキソソームのホーミングをBLIによって評価した。対照(注入なし、DiRのみの注入)と比較して、3/3のマウスにおいて、蛍光標識UC-Exosが腫瘍で検出されたが、周囲の正常な脳では検出されなかった。定量的分析により、BM-Exosによる治療と比較して、UC-Exosで治療されたU87腫瘍において静的に有意に高いレベルの蛍光が実証され、いくつかの態様において、臨床現場におけるUC-Exosの適用が支持された(図14A~14B)。
【0298】
4.エキソソームのエレクトロポレーションによるmiRの負荷
miR-124をエキソソームに負荷する方法は、臨床開発にとって同様に重要である。場合によっては、Exo-miR-124を産生するための戦略は、miR-124のcDNAを含有するレンチウイルス(LV)によりMSCに形質導入し、その後、上清からExo-miR-124を単離することに依存する。他の場合では、成熟型miR-124模倣物をエレクトロポレーションによってエキソソームに直接負荷する(図15A図15B図15C)。
【0299】
標準的な操作手順(SOP)を、miR-124をUC-ExosにエレクトロポレーションするためにGMPに準拠して開発し、これは、注入試薬が臨床使用のためにFDAに承認されているので、解凍し、患者に直接注入することができる。具体的には、UC-MSCを培養し、上清を収集し、遠心分離によりUC-Exosを単離した。ヒトmiR-124二本鎖成熟型miR模倣物(SigmaAldrich)を、UC-Exosにエレクトロポレーションした。初期最適化実験には、15の異なるヌクレオフェクタープログラムと、1つの対照(エレクトロポレーションなし)とを試験する16の反応が含まれ、16ウェルヌクレオキュベットストリップで実施された。各エレクトロポレーション反応物は、20μlのGMPレベル緩衝液(Plasma-LyteA)中で混合された、約1μgの総エキソソソームタンパク質(microBCAによって測定され、NANOSIGHT(商標)によって決定された1×10個のUC-Exosに等しい)および0.5μgのmiR-124(NANODROP(商標)により測定)を含有した。これらのエキソソームを、4D-NUCLEOFECTOR(登録商標)システム(Lonza)を使用してエレクトロポレーションし、Exo-miR-124を生成した。
【0300】
UC-Exosに負荷されたmiR-124の量を評価するために、Exo-miR-124をRNaseで処理して(または対照としてRNaseを用いずに)遊離miR-124をすべて排除し、TRIZOL(商標)を用いて全RNAを単離し、miR-124に特異的なプライマーを用いてRT-qPCRを行った。既知量のmiR-124を有する試料を同時にアッセイして、標準曲線を作成した。結果に基づいて、すべての反復にわたって一貫して最低のCt値を有する2つのエレクトロポレーションプログラムを同定した。続いて、2つの予め選択されたプログラムを使用した初期最適化実験の結果を、2μgの総エキソソームタンパク質(2×10個のUC-Exos)および1.0μgのmiR-124が100μlのGMPレベル緩衝液(Plasma-LyteA)中で混合された100μlキュベットを使用して、RNA含有量をRT-qPCRによって再度アッセイして、確認した(図16)。RNaseへの曝露により、エキソソーム内へのカプセル化がmiR-124を分解から保護することが明らかにされた(図16)。標準または正常な曲線からの外挿は、2μgのエキソソームタンパク質(2×10個のUC-Exosに等しい)が約350ngのmiR-124を含有する(すなわち、1ugのmiR-124の35%がエキソソームに負荷される)ことを示した。これは、1.75×10-3pgのmiR-124/UC-Exoまたは7.6×10個のmiR-124分子/UC-Exoに変換される(分子量miR-124=13、857M)。まとめると、これらの研究は、いくつかの態様において、十分なmiR-124を含有するUC-Exosが、このエレクトロポレーション戦略を使用して首尾よく生成され得ることを実証している。
【0301】
図22に示されるように、exomiR-124による処置がGSC267神経膠芽腫幹細胞の数を有意に減少させたことを示す。BM-MSC-エキソソーム(BM-MSC-Exos)およびUC-MSC-エキソソームの2つの試料(UC-MSC-Exos)による処理の、トリパンブルー色素排除法を使用して生細胞を計数することによってアッセイされたGSC267神経膠芽腫細胞株の生存率に対する効果を、レンチウイルスを介した(BM-MSC-Exos)、またはエレクトロポレーションを介した(UC-MSC-Exos)、エキソソーム単独(EmptyExosomes)、対照miRNA含有MSC-Exos(ExomiR対照)およびmiR124a含有MSC-Exos(miR-124)で比較した。
【0302】
図23に示されるように、より高いコピー数のmiR124が臍帯組織エキソソームに負荷された。レンチウイルスよって産生されたBM-MSC-エキソソームおよび小規模または大規模エレクトロポレーションプロセスを用いたエレクトロポレーション後のUC-MSC-エキソソーム、および適切な対照についてのmiR-124レベルに関するRT-qPCR結果を得た。25ng~200ngのmiRNA濃度を使用して、標準曲線(グラフの右半分)を得た。臍帯組織エキソソームは、エキソソーム中のmiR124のより高いコピー数を示す、より低いデルタCtに関して最良の結果を有した。
【0303】
5.miRを負荷したエレクトロポレーションエキソソームのinvitroでの神経膠腫幹細胞への送達
エレクトロポレーション戦略が有効なExo-miR-124をもたらしたことを実証するために、成熟miR-124模倣物のUC-Exosへのエレクトロポレーションによって生成されるExo-miR-124が、BM-Exo-miR-124と同様にヒト神経膠腫の増殖を阻害できることを確認する実験を行った。具体的には、エキソソームを含まない培地においてGMP条件下で増殖させたexvivo培養UC-MSCの上清からUC-Exosを単離した。80μgのUC-Exos(80×10Exos)を40μgの成熟miR-124模倣物(Sigma-Aldrich)(2:1の比)と混合することによって生成をスケールアップし、4D-NUCLEOFECTOR(登録商標)LVシステム(Lonza)を使用して、FDA承認緩衝液において1mlキュベットを使用してエレクトロポレーションした。次いで、エキソソームを、使用まで-80℃で凍結した。有効性を試験するために、GSC-267およびGSC8-11(2.5×10/ウェル)を、Exo-miR-124、Exo-miR-スクランブル(2×10負荷エキソソーム/ウェル、350ngまたは50nMのmiRスクランブルまたはmiR-124)、UC-Exos単独(2×10/ウェル)またはPBSで3日処理し、BM-Exo-miR-124を用いた実験を模倣して、1週間後に細胞生存率をアッセイした(図17A図17D)。両方のGSCの処理は、細胞生存率の60~80%の低下をもたらし(p<0.01、図17A~17D)、いくつかの態様において、エレクトロポレーションによってUC-Exosから生成されたExo-miR-124が有効であり、製造方法が有効であることを示している。
【0304】
6.エキソソームのエレクトロポレーションによるsiRNAの負荷
エキソソームにmiRを負荷することに加えて、合成干渉RNA(siRNA)をMSC由来エキソソームに負荷することもできる。FGFR3-TACC3融合物に対するsiRNAを開発し、エキソソームに負荷した。FGFR3-TACC3融合物(F3-T3)は、神経膠腫形成を駆動することが示されている。いくつかの態様において、カスタムsiRNAを融合切断点に使用してF3-T3を枯渇させると、F3-T3+GBMの阻害の成功をもたらし得る。F3-T3はU87およびSNB19株において過剰発現され、2つのF3-T3+神経膠腫幹様細胞(GSC13および231)が同定された。さまざまな程度のオーバーラップを伴って最も一般的なF3-T3切断点に特異的に及ぶ10個のユニークなsiRNA(iF3-T3)を操作し、これらのsiRNAの7/10がF3-T3の発現を低下させることが実証された(図18A~18C)。重要なことに、これらの2つの融合接合点siRNAは、野生型FGFR3またはTACC3を枯渇させなかった。iF3T3は、F3T3+GBM細胞株において細胞生存率を低下させた。UC-MSCエキソソームはinvitroでiF3-T3の送達に成功し、F3-T3枯渇をもたらした(図19)。これらの研究は、いくつかの態様において、UC-MSCエキソソームがiF3T3を送達するための妥当なビヒクルであり得ることを示す。
【0305】
7.放射線および化学療法誘発性毒性を治療するための臍帯間葉系幹細胞由来エキソソームの投与
UC-Exosが神経膠腫に治療剤を送達する能力に加えて、UC-MSCが治療誘発性CNS毒性を軽減する可能性も実証された。エキソソームが外傷性脳損傷および炎症を逆転させ得ることを示す最近のエビデンスに基づいて、いくつかの態様において、MSC由来エキソソームによる治療は、化学放射線誘発性脳損傷の逆転においてMSCと同程度に有効であり得る。化学放射線誘発性脳損傷の強固な前臨床モデルをC57BL/6マウスにおいて確立した。具体的には、全脳照射を、再現性のある線量測定で1日1回の分割を可能にするために、画像誘導を伴う精密X線Xrad225小動物照射装置を使用して総線量20Gy(2Gy/1分割×10分割)までマウス脳全体に送達した。TMZを、33mg/kgの用量での全脳照射の2時間前に経口胃管栄養法によって与えた。1ヶ月後、動物を一連の検証された行動試験に供した。(1)学習および記憶を評価するための新規位置認識およびY型迷路、(2)実行機能を測定するためのパズルボックス、ならびに(3)気分および運動能力を評価するための高架式ゼロ迷路、強制水泳、およびオープンフィールド試験。これらの分析は、一貫して、化学放射線療法が、気分または運動機能に悪影響を及ぼすことなく、行動パラダイム全体で認知機能の低下をもたらしたことを示した。実行機能は、G.S.Chiu et al.Oncotarget.2018 Oct 30;9(85):35581-97、およびJ.Ma et al.、Acta Neuropathol Commun.2018 Oct 1;6(1):103によって記載されたパズルボックスを使用して評価した。
【0306】
このモデルを使用して、概念実証実験により、化学放射線療法の2および4日後にUC-Exos(用量:Exo1=0.8×10/150μl、Exo2=8.8×10/150μl、Exo3=1.7×1010/150μl)をIV投与すると、化学放射線療法の1ヶ月後に認知機能障害が用量依存的に回復し(パズルボックス試験)、1.7×1010個のエキソソーム/150μlで対照の80%に認知機能が改善されることが明らかになった(図20)。これらのデータは、いくつかの実施形態において、UC-Exosが放射線および化学療法に続発する神経認知毒性の治療に有効であり得ることを示唆した。
【0307】
本明細書で開示および特許請求する方法はすべて、本開示に照らして、過度の実験を行うことなく作製および実行することができる。本開示の組成物および方法は好ましい態様に関して記載されているが、本明細書に記載の方法および該方法の工程または一連の工程において、本開示の概念、精神および範囲から逸脱することなく変更が適用され得ることは当業者に明らかであろう。より具体的には、化学的および生理学的の両方に関連するある特定の薬剤を、本明細書に記載の薬剤に置き換えても、同じまたは類似の結果を達成できることは明らかであろう。当業者に明らかなすべてのそのような類似の代替物および修正は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神、範囲および概念の範囲内であると見なされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図18A
図18B-C】
図19
図20
図21A
図21B
図21C
図22
図23
【配列表】
2024519857000001.app
【国際調査報告】