(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】神経学的疾患を治療するための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20240514BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240514BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240514BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240514BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240514BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20240514BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240514BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/357 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/416 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/4196 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/26 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/661 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/4709 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/381 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/4155 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/343 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/501 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/403 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/4192 20060101ALI20240514BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240514BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P25/00
A61P43/00 111
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/14
A61P21/00
A61K39/395 N
A61K31/357
A61K31/198
A61K31/416
A61K31/4196
A61K31/26
A61K31/496
A61K31/661
A61K31/4709
A61K31/381
A61K31/444
A61K31/404
A61K31/4155
A61K31/343
A61K31/352
A61K31/501
A61K31/519
A61K31/403
A61K31/4192
A61K31/506
A61K45/00
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571622
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 US2022029406
(87)【国際公開番号】W WO2022245711
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523432748
【氏名又は名称】メタノイア バイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ツザロヴァ-トゥラジコヴスカ,スラヴィカ
(72)【発明者】
【氏名】グリーフ,オッペル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ウィク,アブラハム
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA20
4C084AA22
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA15
4C084BA16
4C084MA02
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4C084ZC75
4C085AA13
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4C206ZA16
4C206ZA94
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4C206ZC75
(57)【要約】
本開示は、神経変性疾患、神経障害、脳虚血、及び神経外傷などの神経学的疾患を治療するための方法及び組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経学的疾患を治療することを必要とする対象における、神経学的疾患を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、を含み、
前記PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
【請求項2】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤及び有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記PFKFB3阻害剤を投与されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記対象は、有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記HIF1-α経路阻害剤を投与されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1(a)~1(c)のいずれか1つに記載の方法は、前記神経学的疾患の予防的治療として投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記対象は、前記神経学的疾患を患っているか、または前記神経学的疾患を患うリスクがある、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記対象は、前記神経学的疾患を患っているか、または前記神経学的疾患を患っていると診断されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記神経学的疾患は、神経変性疾患、認知症、神経障害、または神経外傷である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記神経学的疾患は神経変性疾患である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記神経学的疾患は認知症である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記神経学的疾患は神経障害である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記神経学的疾患は、脊髄損傷または外傷性脳損傷などの神経外傷である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記対象に共投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記HIF1-α経路阻害剤及び/または前記PFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記神経学的疾患の1つ以上の症状の発症前に投与される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記神経学的疾患を治療することは、前記神経学的疾患の発症を遅延させることを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記神経学的疾患の1つ以上の症状の発症後に投与される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記方法により、結果として、治療前の前記対象と比較して、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤を投与された前記対象において前記神経学的疾患の1つ以上の症状が軽減される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記神経学的疾患の前記1つ以上の軽減される症状は、神経細胞及び/または組織のアポトーシス/破壊/数及び/または機能の喪失の減少;神経細胞及び/または組織(例えば、ニューロン)の生存及び/または機能の増加;神経変性の軽減または遅延;運動機能の回復;神経細胞/組織及び/または周囲の細胞/組織に対する長期的な損傷の軽減;神経細胞/組織の炎症の減少;神経細胞/組織の酸化ストレスの軽減;行動反射の改善、認知機能の改善、平衡感覚及び/または協調の改善、ならびに生存/生存期間の延長によって示される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記神経学的疾患の前記1つ以上の症状は、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記対象の行動反射、認知機能、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、改善される、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記対象の行動反射、認知機能、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%改善される、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
追加の治療剤を前記対象に投与することを更に含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
神経変性疾患の治療を必要とする対象における、神経変性疾患を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、を含み、
前記PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
【請求項34】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤及び有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記PFKFB3阻害剤を投与されている、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記対象は、有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記HIF1-α経路阻害剤を投与されている、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
請求項33(a)~33(c)のいずれか1つに記載の方法は、前記神経変性疾患の予防的治療として投与される、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記対象は、前記神経変性疾患を患っているか、または前記神経変性疾患を患うリスクがある、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記対象は、前記神経変性疾患を患っているか、または前記神経変性疾患を患っていると診断されている、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記神経変性疾患は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病(HD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、フリートライヒ運動失調症、前頭側頭葉変性症、またはレビー小体型認知症から選択される、請求項33~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記神経変性疾患はアルツハイマー病(AD)である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記神経変性疾患はパーキンソン病(PD)である、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記神経変性疾患はハンチントン病(HD)である、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記神経変性疾患は筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、請求項33~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、請求項33~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、請求項33~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、請求項33~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、請求項33~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、請求項33~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、請求項33~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記対象に共投与される、請求項33~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記HIF1-α経路阻害剤及び/または前記PFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、請求項33~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記神経変性疾患の1つ以上の症状の発症前に投与される、請求項33~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記神経変性疾患を治療することは、前記神経変性疾患の発症を遅延させることを含む、請求項33~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記神経変性疾患の1つ以上の症状の発症後に投与される、請求項33~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記方法により、結果として、治療前の前記対象と比較して、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤を投与された前記対象において前記神経変性疾患の1つ以上の症状が軽減される、請求項33~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記神経変性疾患の前記1つ以上の軽減される症状は、神経細胞及び/または組織のアポトーシス/破壊/数及び/または機能の喪失の減少;神経細胞及び/または組織(例えば、ニューロン)の生存及び/または機能の増加;神経変性の軽減または遅延;運動機能の回復;神経細胞/組織及び/または周囲の細胞/組織に対する長期的な損傷の軽減;神経細胞の炎症の減少;神経細胞/組織の酸化ストレスの軽減;行動反射の改善、認知機能の改善、平衡感覚及び/または協調の改善、ならびに生存/生存期間の延長によって示される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記神経変性疾患の1つ以上の症状は、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、請求項59または60に記載の方法。
【請求項62】
前記対象の前記行動反射、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、改善される、請求項59~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記対象の前記行動反射、認知機能、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%改善される、請求項59~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
追加の治療薬を前記対象に投与することを更に含む、請求項33~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
アルツハイマー病(AD)を治療することを必要とする対象における、アルツハイマー病(AD)を治療する方法であって、
(d)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与すること、
(e)有効量のHIF1-α経路阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、または
(f)有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、を含み、
前記PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
【請求項66】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤及び有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記PFKFB3阻害剤を投与されている、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記対象は、有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記HIF1-α経路阻害剤を投与されている、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
請求項65(a)~65(c)のいずれか1つに記載の方法は、アルツハイマー病の予防的治療として投与される、請求項65~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記対象は、アルツハイマー病を患っているか、またはアルツハイマー病を患うリスクがある、請求項65~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記対象は、アルツハイマー病を患っているか、またはアルツハイマー病を患っていると診断されている、請求項65~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、請求項65~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、請求項65~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、請求項65~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、請求項65~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、請求項75または76に記載の方法。
【請求項78】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、請求項65~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、請求項65~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、請求項65~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記対象に共投与される、請求項65~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記HIF1-α経路阻害剤及び/または前記PFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、請求項65~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、アルツハイマー病の1つ以上の症状の発症前に投与される、請求項65~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
アルツハイマー病を治療することは、アルツハイマー病の発症を遅延させることを含む、請求項65~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、アルツハイマー病の1つ以上の症状の発症後に投与される、請求項65~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記方法により、結果として、治療前の前記対象と比較して、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤を投与された前記対象においてアルツハイマー病の1つ以上の症状が軽減される、請求項65~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記アルツハイマー病の1つ以上の軽減される症状は、神経細胞及び/または組織のアポトーシス/破壊/数及び/または機能の喪失の減少;神経細胞及び/または組織(例えば、ニューロン)の生存及び/または機能の増加;神経変性の軽減または遅延;運動機能の回復;神経細胞/組織及び/または周囲の細胞/組織に対する長期的な損傷の軽減;神経細胞/組織の炎症の減少;神経細胞/組織の酸化ストレスの軽減;行動反射の改善、認知機能の改善、平衡感覚及び/または協調の改善、ならびに生存/生存期間の延長によって示される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記アルツハイマー病の1つ以上の症状は、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、請求項86または87に記載の方法。
【請求項89】
前記対象の前記行動反射、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、改善される、請求項86~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、前記対象の認知機能の少なくとも1つは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%改善されるか、または以下の症状:物忘れ、簡単な数学の問題を解くのが難しい、簡単な作業のやり方を覚えるのが難しい、明確に考えることができない;話すこと、理解すること、読むこと、もしくは書くことの困難;混乱、易刺激性、気分変動、不安、攻撃性、もしくは家から徘徊する傾向の少なくとも1つは、前記対象において軽減される、請求項86~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
追加の治療剤を前記対象に投与することを更に含む、請求項65~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
パーキンソン病(PD)を治療することを必要とする対象における、パーキンソン病(PD)を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、を含み、
前記PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
【請求項93】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤及び有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与される、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記PFKFB3阻害剤を投与されている、請求項92に記載の方法。
【請求項95】
前記対象は、有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記HIF1-α経路阻害剤を投与されている、請求項92に記載の方法。
【請求項96】
請求項92(a)~92(c)のいずれか1つに記載の方法は、パーキンソン病の予防的治療として投与される、請求項92~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記対象は、パーキンソン病を患っているか、またはパーキンソン病を患うリスクがある、請求項92~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記対象は、パーキンソン病を患っているか、またはパーキンソン病を患っていると診断されている、請求項92~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、請求項92~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、請求項92~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、請求項92~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、請求項92~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、請求項102または103に記載の方法。
【請求項105】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、請求項92~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、請求項92~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、請求項92~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記対象に共投与される、請求項92~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記HIF1-α経路阻害剤及び/または前記PFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、請求項92~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、パーキンソン病の1つ以上の症状の発症前に投与される、請求項92~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
パーキンソン病を治療することは、パーキンソン病の発症を遅延させることを含む、請求項92~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、パーキンソン病の1つ以上の症状の発症後に投与される、請求項92~111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記方法により、結果として、治療前の前記対象と比較して、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤を投与された前記対象においてパーキンソン病の1つ以上の症状が軽減される、請求項92~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記パーキンソン病の1つ以上の軽減される症状は、神経細胞及び/または組織のアポトーシス/破壊/数及び/または機能の喪失の減少;神経細胞及び/または組織(例えば、ニューロン)の生存及び/または機能の増加;神経変性の軽減または遅延;運動機能の回復;神経細胞/組織及び/または周囲の細胞/組織に対する長期的な損傷の軽減;神経細胞/組織の炎症の減少;神経細胞/組織の酸化ストレスの軽減;行動反射の改善、認知機能の改善、平衡感覚及び/または協調の改善、ならびに生存/生存期間の延長によって示される、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記パーキンソン病の1つ以上の症状は、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、請求項113または114に記載の方法。
【請求項116】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前と比較して、以下の症状:震えにより動作が遅くなる(動作緩慢)、筋肉の硬直、姿勢及び平衡感覚の障害、自動的な動作の喪失、話し言葉の変化、または筆記の困難の少なくとも1つは、前記対象において改善される、請求項113~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記対象の前記行動反射、認知機能、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%改善される、請求項113~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
追加の治療剤を前記対象に投与することを更に含む、請求項92~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
ハンチントン病(HD)を治療することを必要とする対象における、ハンチントン病(HD)を治療する方法であって、
(c)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与すること、
(d)有効量のHIF1-α経路阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、または
(e)有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、を含み、
前記PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
【請求項120】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤及び有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与される、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記PFKFB3阻害剤を投与されている、請求項119に記載の方法。
【請求項122】
前記対象は、有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記HIF1-α経路阻害剤を投与されている、請求項119に記載の方法。
【請求項123】
請求項119(a)~119(c)のいずれか1つに記載の方法は、ハンチントン病の予防的治療として投与される、請求項119~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記対象は、ハンチントン病を患っているか、または脳卒中を患うリスクがある、請求項119~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記対象は、ハンチントン病を患っているか、または脳卒中を患っていると診断されている、請求項119~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、請求項119~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、請求項119~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、請求項119~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、請求項119~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、請求項129または130に記載の方法。
【請求項132】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、請求項119~131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、請求項119~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、請求項119~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記対象に共投与される、請求項119~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
前記HIF1-α経路阻害剤及び/または前記PFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、請求項119~135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、ハンチントン病の1つ以上の症状の発症前に投与される、請求項119~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
ハンチントン病を治療することは、ハンチントン病の発症を遅延させることを含む、請求項119~137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、ハンチントン病の1つ以上の症状の発症後に投与される、請求項119~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記方法により、結果として、治療前の前記対象と比較して、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤を投与された前記対象においてハンチントン病の1つ以上の症状が軽減される、請求項119~139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
前記ハンチントン病の1つ以上の軽減される症状は、神経細胞及び/または組織のアポトーシス/破壊/数及び/または機能の喪失の減少;神経細胞及び/または組織(例えば、ニューロン)の生存及び/または機能の増加;神経変性の軽減または遅延;運動機能の回復;神経細胞/組織及び/または周囲の細胞/組織に対する長期的な損傷の軽減;神経細胞/組織の炎症の減少;神経細胞/組織の酸化ストレスの軽減;行動反射の改善、認知機能の改善、平衡感覚及び/または協調の改善、ならびに生存/生存期間の延長によって示される、請求項140に記載の方法。
【請求項142】
前記ハンチントン病の1つ以上の症状は、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、請求項140または141に記載の方法。
【請求項143】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、前記対象において、以下の症状:記憶障害、混乱、判断力の低下、不明瞭な発語、問題解決能力の低下、人格変化、うつ状態、気分変動、不安定歩行、不随意舞踏病、単収縮及び痙攣した動きならびに震え、ならびに認知症の少なくとも1つは、軽減される、請求項140~142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
前記対象の前記行動反射、認知機能、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%改善される、請求項140~143のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
追加の治療剤を前記対象に投与することを更に含む、請求項119~144のいずれか一項に記載の方法。
【請求項146】
神経外傷を治療することを必要とする対象における、神経外傷を治療する方法であって、
(f)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与すること、
(g)有効量のHIF1-α経路阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、または
(h)有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、を含み、
前記PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
【請求項147】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤及び有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与される、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記PFKFB3阻害剤を投与されている、請求項146に記載の方法。
【請求項149】
前記対象は、有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記HIF1-α経路阻害剤を投与されている、請求項146に記載の方法。
【請求項150】
請求項146(a)~(c)のいずれか1つに記載の方法は、神経外傷の予防的治療として投与される、請求項146~149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
前記対象は、神経外傷を患っているか、または神経外傷を患うリスクがある、請求項146~149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
前記対象は、神経外傷を患っているか、または神経外傷を患っていると診断されている、請求項146~149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、請求項146~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、請求項146~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、請求項146~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、請求項146~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
前記HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
前記投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、請求項156または157に記載の方法。
【請求項159】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、請求項146~158のいずれか一項に記載の方法。
【請求項160】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、請求項146~159のいずれか一項に記載の方法。
【請求項161】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、請求項146~159のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記対象に共投与される、請求項146~161のいずれか一項に記載の方法。
【請求項163】
前記HIF1-α経路阻害剤及び/または前記PFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、請求項146~162のいずれか一項に記載の方法。
【請求項164】
前記神経外傷は脊髄損傷である、請求項146~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項165】
前記神経外傷は外傷性脳損傷である、請求項146~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項166】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、神経外傷の1つ以上の症状の発症前に投与される、請求項146~165のいずれか一項に記載の方法。
【請求項167】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、神経外傷の1つ以上の症状の発症前に投与される、請求項146~165のいずれか一項に記載の方法。
【請求項168】
神経外傷を治療することは、神経外傷の発症を遅延させることを含む、請求項146~167のいずれか一項に記載の方法。
【請求項169】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、神経外傷の1つ以上の症状の発症後に投与される、請求項146~168のいずれか一項に記載の方法。
【請求項170】
前記方法により、結果として、治療前の前記対象と比較して、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤を投与された前記対象において神経外傷の1つ以上の症状が軽減される、請求項146~169のいずれか一項に記載の方法。
【請求項171】
前記神経外傷の1つ以上の軽減される症状は、神経細胞及び/または組織のアポトーシス/破壊/数及び/または機能の喪失の減少;神経細胞及び/または組織(例えば、ニューロン)の生存及び/または機能の増加;神経変性の軽減または遅延;運動機能の回復;神経細胞/組織及び/または周囲の細胞/組織に対する長期的な損傷の軽減;神経細胞/組織の炎症の減少;神経細胞/組織の酸化ストレスの軽減;行動反射の改善、認知機能の改善、平衡感覚及び/または協調の改善、ならびに生存/生存期間の延長によって示される、請求項170に記載の方法。
【請求項172】
前記神経外傷の1つ以上の症状は、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、請求項170または171に記載の方法。
【請求項173】
前記対象の前記行動反射、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、改善される、請求項170~172のいずれか一項に記載の方法。
【請求項174】
前記対象の前記行動反射、認知機能、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%改善される、請求項170~173のいずれか一項に記載の方法。
【請求項175】
追加の治療剤を前記対象に投与することを更に含む、請求項146~174のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、神経障害の分野に関する。具体的には、本開示は、神経変性疾患、神経障害、脳虚血、及び神経外傷などの神経学的疾患を治療するための方法及び組成物に関する。
【0002】
神経学的疾患は、一般に、神経細胞/組織の損傷を引き起こす、またはそれに関連する疾患及び状態であると認識されている。このような損傷は、例えば、神経組織の変性、神経組織への物理的外傷、及び/または神経組織内の炎症/酸化ストレスの結果であり得る。神経学的疾患の臨床管理は、神経疾患の進行性の性質に加え、現在これらの疾患の治療に利用できる薬剤の限られた有効性及び重篤な副作用によりうまくいっていない。そのため、神経系の変性及び/または損傷/外傷に関連する状態は、これらの状態を緩和または治癒するための従来の薬理学的試みのほとんどを回避してきた。
【0003】
健康なプロテオスタシス(タンパク質の合成と分解)は生命体の体力、長寿の原動力であり、プロテオスタシスの低下は、アルツハイマー病(AD)などの加齢に関連した病態の発症に影響を及ぼす神経学的疾患及び老化の根本的なメカニズムとして発見されている。タンパク質凝集体は、成体組織の恒常性と機能を維持するための進化的に保存されたプロセスである、タンパク質恒常性に基づく細胞適合性競合に関与している。このプロセスは、健康な細胞による損傷細胞、ストレス細胞、及び/または老化細胞の除去に依存しており、細胞及び組織の不全、ならびに慢性神経学的疾患の発症を引き起こす細胞の蓄積を防ぐ。
【0004】
タンパク質凝集体を形成するタンパク質は、循環によって遠方の臓器に広がる可能性があり、これが、なぜADや2型糖尿病などのいくつかの併存疾患が強く関連しているのかを説明する。地域共同体ベースの対照研究と、同じ地域共同体内の脳と膵臓に由来する解剖の病理学的分析は、T2D及び前糖尿病が、ADでは非AD対照対象よりも蔓延していることを示している。アミロイド斑を呈するT2D症例では、T2Dの期間は、ADに関連するびまん性及び老人斑の密度と相関していた。
【0005】
神経変性疾患、神経障害、脳虚血などの神経学的疾患及び神経外傷を治療するための新しいモダリティが必要である。本明細書に提供される方法及び組成物は、これらの必要性に応える。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、神経変性疾患、神経障害、脳虚血、及び神経外傷などの神経学的疾患を治療するための方法及び組成物を提供する。より詳細には、本開示は、有効量の HIF1-α経路阻害剤またはHIF1-α阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を、神経学的疾患を患う対象または神経学的疾患を患うリスクがある対象に投与することを含む、神経学的疾患を治療する方法であって、PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法を提供する。
【0007】
更に、ADなどの多くの神経学的疾患は、T2Dと同等の組織病理を示し、アミロイドタンパク質凝集体は、ADでは脳内のアミロイドベータタンパク質(Aβ)に由来し、T2Dでは膵臓内のヒト膵島アミロイド膵ポリペプチド(hIAPP)に由来する。更に、hIAPP及びAβは、カルシウム恒常性の喪失、慢性損傷、神経炎症などと同様のメカニズムによって毒性を及ぼす。Aβ及びhIAPPタンパク質凝集体は、低酸素誘導因子α(HIF1α)及びPFKFB3経路を含む、同じ病理学的カスケードの誘導を共有している。Aβ及びhIAPPがAD及びT2Dで見られる病理をもたらす重要なメカニズムは、カルシウム恒常性(神経細胞及び星状細胞、ならびにT2Dのβ細胞)の調節不全を伴い、神経細胞及びβ細胞の損傷ならびに減少をもたらす。また、Aβ及びhIAPPは、ミクログリアの活性化を引き起こし、AD及びT2Dを更に悪化させる神経炎症反応を引き起こす。
【0008】
興味深いことに、ADでは、罹患した領域内のAβタンパク質凝集体により損傷した神経細胞のすべてが死ぬわけではない。Aβへの耐性を得ることで、周囲の細胞が死滅する状態と同じ状態で生き残る神経細胞の集団があるように見える。Aβ凝集体に耐性のある生存する神経細胞は機能不全であり、HIF1αとPFKFB3の高発現レベルによって特徴づけられる。Aβ耐性神経細胞は好気性解糖を増加させ、ADの認知障害と認知症の一因になっている。Aβ耐性神経細胞がHIF1α-PFKFB3活性化を介して解糖代謝を取り入れることで糖分解性であるだけでなく、好気性解糖がAD患者の前頭及び側頭皮質でも増加しており、Aβ耐性神経細胞は、ADに影響を受けた脳領域の障害の一因になっている。したがって、HIF1α及びPFKFB3の上昇は、神経細胞の機能を犠牲にしてAβストレスのある神経細胞の生存を促進し、ADなどの神経学的疾患に関連する機能的及び認知障害、記憶喪失ならびに認知症と関連している。
【0009】
発明者らは驚くべきことに、HIF1α阻害剤とPFKFB3阻害剤の組み合わせが、ADなどの神経学的疾患によって引き起こされる損傷を緩和し、おそらく逆転さえできることを発見した。理論に束縛されるものではないが、ADに関連して、開示された方法は、細胞競合活性化によりAβストレス及び機能不全の神経細胞を排除した後、神経細胞の再生をもたらし、それにより、運動の低下、機能的及び記憶障害、ならびに脳の変性を防止または軽減し、おそらく更には神経細胞の再生の増加ならびに認知及び記憶機能の回復の改善をもたらす。
【0010】
本明細書で提供される方法及び組成物は、慢性及び急性の神経学的疾患の治療に有用である。いくつかの実施形態では、本開示は、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病(HD)、認知症、軽度認知障害(MCI)、加齢性記憶障害(AAMI)、及び神経障害から選択される神経学的疾患を治療するための方法及び組成物を提供する。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示は、急性神経学的疾患を治療するための方法及び組成物を提供する。更なる実施形態では、本開示は、脳卒中、神経外傷(例えば、外傷性脳損傷または脊髄損傷)、脊髄係留症候群、脳虚血、及び全体的低酸素性虚血から選択される神経学的疾患を治療するための方法及び組成物を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示は以下を提供する。
[1]神経学的疾患を治療する必要がある対象における、神経学的疾患を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
[2]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される、[1]に記載の方法。
[3]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、[1]に記載の方法。
[4]対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、[1]に記載の方法。
[5]1(a)~1(c)のいずれか1つに記載の方法は、神経学的疾患の予防的治療として投与される、[1]~[4]のいずれか1つに記載の方法。
[6]対象は、神経学的疾患を患っているか、または神経学的疾患を患うリスクがある、[1]~[4]のいずれか1つに記載の方法。
[7]対象は、神経学的疾患を患っているか、または神経学的疾患を患っていると診断されている、[1]~[4]のいずれか1つに記載の方法。
[8]神経学的疾患は、神経変性疾患、認知症、神経障害、または神経外傷である、[1]~[7]のいずれか1つに記載の方法。
[9]神経学的疾患は神経変性疾患である、[1]~[8]のいずれか1つに記載の方法。
[10]神経学的疾患は認知症である、[1]~[8]のいずれか1つに記載の方法。
[11]神経学的疾患は神経障害である、[1]~[8]のいずれか1つに記載の方法。
[12]神経学的疾患は、脊髄損傷または外傷性脳損傷などの神経外傷である、[1]~[8]のいずれか1つに記載の方法。
[13]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、[1]~[12]のいずれか1つに記載の方法。
[14]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、[1]~[13]のいずれか1つに記載の方法。
[15]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、[1]~[14]のいずれか1つに記載の方法。
[16]投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、[1]~[15]のいずれか1つに記載の方法。
[17]HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、[16]に記載の方法。
[18]投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、[16]または[17]に記載の方法。
[19]投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、[1]~[18]のいずれか1つに記載の方法。
[20]投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、[1]~[19]のいずれか1つに記載の方法。
[21]投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、[1]~[20]のいずれか1つに記載の方法。
[22]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、対象に共投与される、[1]~[21]のいずれか1つに記載の方法。
[23]HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、[1]~[22]のいずれか1つに記載の方法。
[24]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、神経学的疾患の1つ以上の症状の発症前に投与される、[1]~[23]のいずれか1つに記載の方法。
[25]神経学的疾患を治療することは、神経学的疾患の発症を遅延させることを含む、[1]~[24]のいずれか1つに記載の方法。
[26]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、神経学的疾患の1つ以上の症状の発症後に投与される、[1]~[23]のいずれか1つに記載の方法。
[27]本方法により、結果として、治療前の対象と比較して、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を投与された対象において神経学的疾患の1つ以上の症状が軽減される、[26]に記載の方法。
[28]神経学的疾患の1つ以上の軽減される症状は、神経細胞及び/または組織のアポトーシス/破壊/数及び/または機能の喪失の減少;神経細胞及び/または組織(例えば、ニューロン)の生存及び/または機能の増加;神経変性の軽減または遅延;運動機能の回復;神経細胞/組織及び/または周囲の細胞/組織に対する長期的な損傷の軽減;神経細胞/組織の炎症の減少;神経細胞/組織の酸化ストレスの軽減;行動反射の改善、認知機能の改善、平衡感覚及び/または協調の改善、ならびに生存/生存の延長によって示される、[27]に記載の方法。
[29]神経学的疾患の1つ以上の症状は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、[27]または[28]に記載の方法。
[30]対象の行動反射、認知機能、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、改善される、[27]~[29]のいずれか1つに記載の方法。
[31]対象の行動反射、認知機能、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%改善される、[27]~[30]のいずれか1つに記載の方法。
[32]追加の治療剤を対象に投与することを更に含む、[1]~[31]のいずれか1つに記載の方法。
[33]神経変性疾患の治療を必要とする対象における、神経変性疾患を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
[34]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される、[33]に記載の方法。
[35]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、[33]に記載の方法。
[36]対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、[33]に記載の方法。
[37]1(a)~1(c)のいずれか1つに記載の方法は、神経変性疾患の予防的治療として投与される、[33]~[36]のいずれか1つに記載の方法。
[38]対象は、神経変性疾患を患っているか、または神経変性疾患を患うリスクがある、[33]~[36]のいずれか1つに記載の方法。
[39]対象は、神経変性疾患を患っているか、または神経変性疾患を患っていると診断されている、[33]~[36]のいずれか1つに記載の方法。
[40]神経変性疾患は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病(HD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、フリートライヒ運動失調症、前頭側頭葉変性症、または認知症から選択される、[33]~[39]のいずれか1つに記載の方法。
[41]神経変性疾患はアルツハイマー病(AD)である、[40]に記載の方法。
[42]神経変性疾患はパーキンソン病(PD)である、[40]に記載の方法。
[43]神経変性疾患はハンチントン病(HD)である、[40]に記載の方法。
[44]神経変性疾患は筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、[40]に記載の方法。
[45]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片( 例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、[33]~[44]のいずれか1つに記載の方法。
[46]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、[33]~[45]のいずれか1つに記載の方法。
[47]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、[33]~[45]のいずれか1つに記載の方法。
[48]投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、[33]~[47]のいずれか1つに記載の方法。
[49]HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、[48]に記載の方法。
[50]投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、[48]または[49]に記載の方法。
[51]投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、[33]~[50]のいずれか1つに記載の方法。
[52]投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、[33]~[51]のいずれか1つに記載の方法。
[53]投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、[33]~[51]のいずれか1つに記載の方法。
[54]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、対象に共投与される、[33]~[53]のいずれか1つに記載の方法。
[55]HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、[33]~[54]のいずれか1つに記載の方法。
[56]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、神経変性疾患の1つ以上の症状の発症前に投与される、[33]~[55]のいずれか1つに記載の方法。
[57]神経変性疾患を治療することは、神経変性疾患の発症を遅延させることを含む、[33]~[56]のいずれか1つに記載の方法。
[58]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、神経変性疾患の1つ以上の症状の発症後に投与される、[33]~[57]のいずれか1つに記載の方法。
[59]本方法により、結果として、治療前の対象と比較して、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を投与された対象において神経変性疾患の1つ以上の症状が軽減される、[33]~[58]のいずれか1つに記載の方法。
[60]神経変性疾患の1つ以上の軽減される症状は、神経細胞及び/または組織のアポトーシス/破壊/数及び/または機能の喪失の減少;神経細胞及び/または組織(例えば、ニューロン)の生存及び/または機能の増加;神経変性の軽減または遅延;運動機能の回復;神経細胞/組織及び/または周囲の細胞/組織に対する長期的な損傷の軽減;神経細胞/組織の炎症の減少;神経細胞/組織の酸化ストレスの軽減;行動反射の改善、認知機能の改善、平衡感覚及び/または協調の改善、ならびに生存/生存期間の延長によって示される、[59]に記載の方法。
[61]神経変性疾患の1つ以上の症状は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、[59]または[60]に記載の方法。
[62]対象の行動反射、認知機能、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、改善される、[59]~[61]のいずれか1つに記載の方法。
[63]対象の行動反射、認知機能、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%改善される、[59]~[62]のいずれか1つに記載の方法。
[64]追加の治療剤を対象に投与することを更に含む、[33]~[63]のいずれか1つに記載の方法。
[65]アルツハイマー病(AD)を治療することを必要とする対象における、アルツハイマー病(AD)を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
[66]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される、[65]に記載の方法。
[67]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、[65]に記載の方法。
[68]対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、[65]に記載の方法。
[69]1(a)~1(c)のいずれか1つに記載の方法は、アルツハイマー病の予防的治療として投与される、[65]~[68]のいずれか1つに記載の方法。
[70]対象は、アルツハイマー病を患っているか、またはアルツハイマー病を患うリスクがある、[65]~[68]のいずれか1つに記載の方法。
[71]対象は、アルツハイマー病を患っているか、またはアルツハイマー病を患っていると診断されている、[65]~[68]のいずれか1つに記載の方法。
[72]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、[65]~[71]のいずれか1つに記載の方法。
[73]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、[65]~[72]のいずれか1つに記載の方法。
[74]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、[65]~[72]のいずれか1つに記載の方法。
[75]投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、[65]~[72]のいずれか1つに記載の方法。
[76]HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、[75]に記載の方法。
[77]投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、[75]または[76]に記載の方法。
[78]投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、[65]~[77]のいずれか1つに記載の方法。
[79]投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、[65]~[78]のいずれか1つに記載の方法。
[80]投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、[65]~[78]のいずれか1つに記載の方法。
[81]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、対象に共投与される、[65]~[80]のいずれか1つに記載の方法。
[82]HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、[65]~[81]のいずれか1つに記載の方法。
[83]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、アルツハイマー病の1つ以上の症状の発症前に投与される、[65]~[82]のいずれか1つに記載の方法。
[84]アルツハイマー病を治療することは、アルツハイマー病の発症を遅延させることを含む、[65]~[83]のいずれか1つに記載の方法。
[85]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、アルツハイマー病の1つ以上の症状の発症後に投与される、[65]~[84]のいずれか1つに記載の方法。
[86]本方法により、結果として、治療前の対象と比較して、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を投与された対象においてアルツハイマー病の1つ以上の症状が軽減される、[65]~[85]のいずれか1つに記載の方法。
[87]アルツハイマー病の1つ以上の軽減される症状は、神経細胞及び/または組織のアポトーシス/破壊/数及び/または機能の喪失の減少;神経細胞及び/または組織(例えば、ニューロン)の生存及び/または機能の増加;神経変性の軽減または遅延;運動機能の回復;神経細胞/組織及び/または周囲の細胞/組織に対する長期的な損傷の軽減;神経細胞/組織の炎症の減少;神経細胞/組織の酸化ストレスの軽減;行動反射の改善、認知機能の改善、平衡感覚及び/または協調の改善、ならびに生存/生存の延長によって示される、[86]に記載の方法。
[88]アルツハイマー病の1つ以上の症状は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、[86]または[87]に記載の方法。
[89]対象の行動反射、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、改善される、[86]~[88]のいずれか1つに記載の方法。
[90]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、対象の認知機能の少なくとも1つは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%改善されるか、または以下の症状:物忘れ、簡単な数学の問題を解くのが難しい、簡単な作業のやり方を覚えるのが難しい、明確に考えることができない;話すこと、理解すること、読むこと、もしくは書くことの困難;混乱、易刺激性、気分変動、不安、攻撃性、もしくは家から徘徊する傾向の少なくとも1つは、対象において軽減される、[86]~[89]のいずれか1つに記載の方法。
[91]追加の治療剤を対象に投与することを更に含む、[65]~[90]のいずれか1つに記載の方法。
[92]パーキンソン病(PD)を治療することを必要とする対象における、パーキンソン病(PD)を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
[93]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される、[92]に記載の方法。
[94]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、[92]に記載の方法。
[95]対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、[92]に記載の方法。
[96][92(a)~(c)]のいずれか1つに記載の方法は、パーキンソン病の予防的治療として投与される、[92]~[95]のいずれか1つに記載の方法。
[97]対象は、パーキンソン病を患っているか、またはパーキンソン病を患うリスクがある、[92]~[95]のいずれか1つに記載の方法。
[98]対象は、パーキンソン病を患っているか、またはパーキンソン病を患っていると診断されている、[92]~[95]のいずれか1つに記載の方法。
[99]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、[92]~[98]のいずれか1つに記載の方法。
[100]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、[92]~[99]のいずれか1つに記載の方法。
[101]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、[92]~[99]のいずれか1つに記載の方法。
[102]投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、[92]~[99]のいずれか1つに記載の方法。
[103]HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、[102]に記載の方法。
[104]投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、[102]または[103]に記載の方法。
[105]投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、[92]~[104]のいずれか1つに記載の方法。
[106]投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、[92]~[105]のいずれか1つに記載の方法。
[107]投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、[92]~[105]のいずれか1つに記載の方法。
[108]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、対象に共投与される、[92]~[107]のいずれか1つに記載の方法。
[109]HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、[92]~[108]のいずれか1つに記載の方法。
[110]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、パーキンソン病の1つ以上の症状の発症前に投与される、[92]~[109]のいずれか1つに記載の方法。
[111]パーキンソン病を治療することは、パーキンソン病の発症を遅延させることを含む、[92]~[110]のいずれか1つに記載の方法。
[112]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、パーキンソン病の1つ以上の症状の発症後に投与される、[92]~[111]のいずれか1つに記載の方法。
[113]本方法により、結果として、治療前の対象と比較して、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を投与された対象においてパーキンソン病の1つ以上の症状が軽減される、[92]~[112]のいずれか1つに記載の方法。
[114]パーキンソン病の1つ以上の軽減される症状は、神経細胞及び/または組織のアポトーシス/破壊/数及び/または機能の喪失の減少;神経細胞及び/または組織(例えば、ニューロン)の生存及び/または機能の増加;神経変性の軽減または遅延;運動機能の回復;神経細胞/組織及び/または周囲の細胞/組織に対する長期的な損傷の軽減;神経細胞/組織の炎症の減少;神経細胞/組織の酸化ストレスの軽減;行動反射の改善、認知機能の改善、平衡感覚及び/または協調の改善、ならびに生存/生存の延長によって示される、[113]に記載の方法。
[115]パーキンソン病の1つ以上の症状は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、[113]または[114]に記載の方法。
[116]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前と比較して、以下の症状:震えにより動作が遅くなる(動作緩慢)、筋肉の硬直、姿勢及び平衡感覚の障害、自動的な動作の喪失、話し言葉の変化、または筆記の困難の少なくとも1つは、対象において改善される、[113]~[115]のいずれか1つに記載の方法。
[117]対象の行動反射、認知機能、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%改善される、[113]~[116]のいずれか1つに記載の方法。
[118]追加の治療剤を対象に投与することを更に含む、[92]~[117]のいずれか1つに記載の方法。
[119]ハンチントン病(HD)を治療することを必要とする対象における、ハンチントン病(HD)を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
[120]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される、[119]に記載の方法。
[121]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、[119]に記載の方法。
[122]対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、[119]に記載の方法。
[123][119(a)~(c)]のいずれか1つに記載の方法は、ハンチントン病の予防的治療として投与される、[119]~[122]のいずれか1つに記載の方法。
[124]対象は、ハンチントン病を患っているか、またはハンチントン病を患うリスクがある、[119]~[122]のいずれか1つに記載の方法。
[125]対象は、ハンチントン病を患っているか、またはハンチントン病を患っていると診断されている、[119]~[122]のいずれか1つに記載の方法。
[126]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、[119]~[125]のいずれか1つに記載の方法。
[127]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、[119]~[126]のいずれか1つに記載の方法。
[128]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、[119]~[126]のいずれか1つに記載の方法。
[129]投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、[119]~[126]のいずれか1つに記載の方法。
[130]HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、[129]に記載の方法。
[131]投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、[129]または[130]に記載の方法。
[132]投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、[119]~[131]のいずれか1つに記載の方法。
[133]投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、[119]~[132]のいずれか1つに記載の方法。
[134]投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、[119]~[132]のいずれか1つに記載の方法。
[135]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、対象に共投与される、[119]~[134]のいずれか1つに記載の方法。
[136]HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、[119]~[135]のいずれか1つに記載の方法。
[137]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、ハンチントン病の1つ以上の症状の発症前に投与される、[119]~[136]のいずれか1つに記載の方法。
[138]ハンチントン病を治療することは、ハンチントン病の発症を遅延させることを含む、[119]~[137]のいずれか1つに記載の方法。
[139]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、ハンチントン病の1つ以上の症状の発症後に投与される、[119]~[138]のいずれか1つに記載の方法。
[140]本方法により、結果として、治療前の対象と比較して、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を投与された対象においてハンチントン病の1つ以上の症状が軽減される、[119]~[139]のいずれか1つに記載の方法。
[141]ハンチントン病の1つ以上の軽減される症状は、神経細胞及び/または組織のアポトーシス/破壊/数及び/または機能の喪失の減少;神経細胞及び/または組織(例えば、ニューロン)の生存及び/または機能の増加;神経変性の軽減または遅延;運動機能の回復;神経細胞/組織及び/または周囲の細胞/組織に対する長期的な損傷の軽減;神経細胞/組織の炎症の減少;神経細胞/組織の酸化ストレスの軽減;行動反射の改善、認知機能の改善、平衡感覚及び/または協調の改善、ならびに生存/生存期間の延長によって示される、[140]に記載の方法。
[142]ハンチントン病の1つ以上の症状は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、[140]または[141]に記載の方法。
[143]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、対象において、対象の認知機能の少なくとも1つは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、もしくは少なくとも50%改善されるか、または以下の症状:記憶障害、混乱、判断力の低下、不明瞭な発語、問題解決能力の低下、人格変化、うつ状態、気分変動、不安定歩行、不随意舞踏病、単収縮及び痙攣した動きならびに震え、ならびに認知症の少なくとも1つは、軽減される、[140]~[142]のいずれか1つに記載の方法。
[144]対象の行動反射、認知機能、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%改善される、[140]~[143]のいずれか1つに記載の方法。
[145]追加の治療剤を対象に投与することを更に含む、[119]~[144]のいずれか1つに記載の方法。
[146]神経外傷を治療することを必要とする対象における、神経外傷を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
[147]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される、[146]に記載の方法。
[148]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、[146]に記載の方法。
[149]対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、[146]に記載の方法。
[150][146(a)~(c)]のいずれか1つに記載の方法は、神経外傷の予防的治療として投与される、[146]~[149]のいずれか1つに記載の方法。
[151]対象は、神経外傷を患っているか、または神経外傷を患うリスクがある、[146]~[149]のいずれか1つに記載の方法。
[152]対象は、神経外傷を患っているか、または神経外傷を患っていると診断されている、[146]~[149]のいずれか1つに記載の方法。
[153]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体( 例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、[146]~[153]のいずれか1つに記載の方法。
[154]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、[146]~[153]のいずれか1つに記載の方法。
[155]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、[146]~[153]のいずれか1つに記載の方法。
[156]投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、[146]~[153]のいずれか1つに記載の方法。
[157]HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、[156]に記載の方法。
[158]投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、[156]または[157]に記載の方法。
[159]投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、[146]~[158]のいずれか1つに記載の方法。
[160]投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、[146]~[159]のいずれか1つに記載の方法。
[161]投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、[146]~[159]のいずれか1つに記載の方法。
[162]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、対象に共投与される、[146]~[161]のいずれか1つに記載の方法。
[163]HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、[146]~[162]のいずれか1つに記載の方法。
[164]神経外傷は脊髄損傷である、[146]~[163]のいずれか1つに記載の方法。
[165]神経外傷は外傷性脳損傷である、[146]~[163]のいずれか1つに記載の方法。
[166]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、神経外傷の1つ以上の症状の発症前に投与される、[146]~[165]のいずれか1つに記載の方法。
[167]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、神経外傷の1つ以上の症状の発症前に投与される、[146]~[165]のいずれか1つに記載の方法。
[168]神経外傷を治療することは、神経外傷の発症を遅延させることを含む、[146]~[167]のいずれか1つに記載の方法。
[169]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、神経外傷の1つ以上の症状の発症後に投与される、[146]~[168]のいずれか1つに記載の方法。
[170]本方法により、結果として、治療前の対象と比較して、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を投与された対象において神経外傷の1つ以上の症状が軽減される、[146]~[169]のいずれか1つに記載の方法。
[171]神経外傷の1つ以上の軽減される症状は、神経細胞及び/または組織のアポトーシス/破壊/数及び/または機能の喪失の減少;神経細胞及び/または組織(例えば、ニューロン)の生存及び/または機能の増加;神経変性の軽減または遅延;運動機能の回復;神経細胞/組織及び/または周囲の細胞/組織に対する長期的な損傷の軽減;神経細胞/組織の炎症の減少;神経細胞/組織の酸化ストレスの軽減;行動反射の改善、認知機能の改善、平衡感覚及び/または協調の改善、ならびに生存/生存期間の延長によって示される、[170]に記載の方法。
[172]神経外傷の1つ以上の症状は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、[170]または[171]に記載の方法。
[173]対象の行動反射、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、改善される、[170]~[172]のいずれか1つに記載の方法。
[174]対象の行動反射、認知機能、平衡感覚、協調、及び認知機能のうちの少なくとも1つは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%改善される、[170]~[173]のいずれか1つに記載の方法。
及び/または
[175]追加の治療剤を対象に投与することを更に含む、[146]~[174]のいずれか1つに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】例示的なPFKFB3小分子阻害剤を示す。
【
図1B】例示的なPFKFB3小分子阻害剤を示す。
【
図1C】例示的なPFKFB3小分子阻害剤を示す。
【
図1D】例示的なPFKFB3小分子阻害剤を示す。
【
図1E】例示的なPFKFB3小分子阻害剤を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
特に定義されない限り、本明細書で用いるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法及び材料は、提供される組成物の実施または試験で使用することができるが、好適な方法及び材料が以下に記載される。本明細書で言及される各刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含めて本明細書が優先する。加えて、材料、方法、及び例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【0015】
開示された方法及び組成物の他の特徴ならびに利点は、以下の開示、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0016】
諸実施形態が「含む(comprising)」という語を用いて本明細書で説明されている場合は常に、「含有する(containing)」「からなる(consisting of)」及び/または「から本質的になる(consisting essentially of)」という観点から説明されている別の類似の実施形態も提供されるものと理解されたい。ただし、特許請求の範囲内で移行句として使用される場合、それぞれを個別に、適切な法的及び事実的文脈の中で解釈する必要がある(例えば、特許請求の範囲内では、移行句「含む」は、よりオープンエンドな表現とみなされ、「からなる」はより排他的であり、「から本質的になる」は中間に位置する)。
【0017】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、そのような意図がないことが明示的に述べられていない限り、または文脈から明確に明らかでない限り、複数形を含む。単数形「a」、「an」及び「the」には、粒子集団内の粒子の統計的平均組成、特性、またはサイズ(例えば、平均ポリエチレングリコール分子量、平均リポソーム直径、平均リポソームゼータ電位)も含まれる。医薬組成物中のリポソームの平均粒径及びゼータ電位は、動的光散乱法などの当技術分野で公知の方法を使用して日常的に測定することができる。ナノ粒子組成物中の治療薬の平均量は、例えば、吸収分光法(例えば、紫外-可視分光法)を使用して日常的に測定され得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、目的の1つ以上の値に適用される「およそ」または「約」という用語は、記述される参照値と類似する値を指す。特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、別途記載のない限り、または別途文脈から明らかでない限り(そのような数が可能な値の100%を超え得る場合を除く)、述べられた基準値のいずれかの方向(上回るまたは下回る)において、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以内に含まれる値の範囲を指す。例えば、ナノ粒子組成物の脂質成分中の所定の化合物の量との関連で使用される場合、「約」は、記載された値の+/-10%を意味し得る。例えば、所定の化合物を約40%有する脂質成分を含むナノ粒子組成物は、その化合物を30~50%含むことができる。
【0019】
「及び/または」という用語は、本明細書で「A及び/またはB」などの表現で使用される場合、A及びBの両方、AまたはB、A(単独)、ならびにB(単独)を含むように意図されている。同様に、「及び/または」という用語は、「A、B、及び/またはC」のような句で使用される場合、以下の実施形態:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)のそれぞれを包含するように意図されている。
【0020】
本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書で別様が示されない限り、単に、範囲内に収まるそれぞれの別個の値を個々に指す速記方法としての役割を果たすことが意図され、それぞれの別個の値は、本明細書に個々に列挙されるかのように、本明細書に組み込まれる。
【0021】
本開示の実施形態がマーカッシュ群またはその他の代替のグループに関して説明される場合、本開示の組成物または方法は、全体として挙げられたグループ全体を包含するだけでなく、グループの各メンバーも個別に包含し、メイングループのすべての可能なサブグループも包含し、更にグループメンバーの1つ以上不在のメイングループも包含する。また、本開示の方法及び組成物は、本開示の組成物または方法におけるグループメンバーのいずれかの1つ以上が明示的に除外されることも想定している。
【0022】
本明細書で使用される場合、「抗体」及び「抗原結合抗体断片」などの用語には、これらに限定されないが、重鎖もしくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、またはその抗原結合部分などの、免疫グロブリン分子の少なくとも一部分を含む任意のタンパク質またはペプチド含有分子が含まれる。
【0023】
「抗体」という用語にはまた、単鎖抗体、単一結合ドメイン抗体及び抗原結合抗体断片を含む、抗体またはその特定の断片もしくは一部分の構造及び/または機能を模倣する、抗体模倣物または抗体の一部分を含む、その断片、特定の部分及び変異体が含まれる。
【0024】
「抗体断片」という用語は、インタクトな抗体の一部分、一般にはインタクトな抗体の抗原結合領域または可変領域を指す。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、一本鎖(scFv)及びFv断片、ダイアボディ;直鎖状抗体;一本鎖抗体分子;単一Fabアーム「ワンアーム」抗体、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体などが挙げられるが、これらに限定されない。抗体断片には、これらに限定されないが、重鎖もしくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)もしくはそのリガンド結合部分、重鎖もしくは軽鎖可変領域、重鎖もしくは軽鎖定常領域、フレームワーク領域もしくはその任意の部分、または抗原もしくは抗原受容体もしくは結合タンパク質の少なくとも一部などの免疫グロブリン分子の少なくとも一部を含む、任意のタンパク質またはペプチド含有分子が含まれ、これらは、本明細書で提供される抗体に組み込むことができる。
【0025】
抗体断片は、当技術分野で公知のように、酵素的切断、合成または組換え技術によって生成することができる。抗体は、1つ以上の終止コドンが天然の終止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を使用して、様々な切断型で生成することもできる。例えば、F(ab’)2重鎖部分をコードする組み合わせ遺伝子は、重鎖のCH1ドメイン及び/またはヒンジ領域をコードするDNA配列を含むように設計することができる。抗体の様々な部分は、従来の技術によって化学的に結合することも、遺伝子工学技術を使用して連続したタンパク質として調製することもできる。
【0026】
「核酸」または「オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書では互換的に使用され、共有結合で一緒に結合した少なくとも2つのヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤は、治療用核酸である。いくつかの実施形態では、投与される核酸は、ENMD-1198、shRNA、ダイサー基質(例えば、dsRNA)、miRNA、抗miRNA、アンチセンス分子、デコイ、もしくはアプタマー、またはENMD-1198、shRNA、ダイサー基質、miRNA、抗miRNA、アンチセンス分子、デコイ、もしくはアプタマーを発現させるプラスミドである。
【0027】
提供される方法に従って投与される核酸は、好ましくは一本鎖または二本鎖であり、一般にホスホジエステル結合を含むが、場合によっては、核酸/オリゴヌクレオチドアナログは、例えば、ホスホルアミド、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、O-メチルホスホロアミダイト結合、ならびにペプチド核酸骨格及び結合を含む、代替骨格を有するものが含まれる。他のアナログ核酸/オリゴヌクレオチドには、ポジティブ骨格、非イオン性骨格、及び非リボース骨格を有するものが含まれる。1つ以上の炭素環状糖を含む核酸/オリゴヌクレオチドも、核酸及びオリゴヌクレオチドの定義に含まれる。リボース-ホスフェート骨格のこれらの修飾は、例えば、標識などの付加部分の付加を容易にするため、または生理学的環境におけるそのような分子の安定性及び半減期を増加させるために行うことができる。提供される方法に従って使用されるオリゴヌクレオチドの核酸/オリゴヌクレオチド骨格は、約5ヌクレオチド~約750ヌクレオチドの範囲であり得る。好ましい核酸/オリゴヌクレオチド骨格は、長さが約5ヌクレオチド~約500ヌクレオチド、好ましくは約10ヌクレオチド~約100ヌクレオチドの範囲である。
【0028】
提供される方法に従って投与されるオリゴヌクレオチドは、核酸標的の少なくともある領域に特異的にハイブリダイズできるヌクレオシド及び/またはヌクレオチドモノマーのポリマー構造である。上記のように、提供される方法に従って使用される「核酸」及び「オリゴヌクレオチド」には、天然に存在する塩基、糖及び糖間(骨格)連結を含む化合物、天然に存在する対応物と同様に機能する、天然に存在しない修飾モノマー、またはその一部(例えば、オリゴヌクレオチド類似体もしくは模倣体)、及びこれらの天然に存在するモノマーと天然に存在しないモノマーの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「修飾された」または「修飾」という用語は、核酸などの出発または天然オリゴマー化合物からの任意の置換及び/または任意の変更を含む。核酸への修飾は、本明細書に記載のもの及び別様に当技術分野で公知のもののような、ヌクレオシド間連結、糖部分、または塩基部分への置換または変更を包含する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「小分子」とは、従来の有機化学法(例えば、実験室における)によって合成されるか、または自然界で見出される有機化合物を指す。通常、小分子は、いくつかの炭素-炭素結合を含み、分子量が約1500グラム/モル未満であることを特徴とする。特定の実施形態では、小分子は約1000グラム/モル未満である。特定の実施形態では、小分子は約550グラム/モル未満である。特定の実施形態では、小分子は約200~約550グラム/モルである。特定の実施形態では、小分子には、ペプチド(例えば、ペプチジル結合によって結合された2つ以上のアミノ酸を含む化合物)が含まれない。特定の実施形態では、小分子には、核酸が含まれない。
【0030】
「状態」及び「疾患」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0031】
本明細書で使用される場合、「神経学的疾患」という用語は、一般に、神経細胞/組織への損傷を引き起こす、またはそれに関連する疾患または状態を指す。このような損傷は、例えば、神経組織の変性、神経組織への物理的外傷、及び/または神経組織内の炎症/酸化ストレスの結果であり得る。「神経学的疾患の進行」という用語は、時間の経過と共に疾患が徐々に悪化し、それによって症状及び神経化学的欠損がますます衰弱し、及び/または激しくなることを指す。神経学的疾患の進行は、多くの場合、脳組織の構造、活動、及び/または機能の低下と相関している。本明細書で使用する場合、「神経学的疾患の進行を阻害する」という用語は、神経学的疾患の症状及び神経化学的欠損の進行を遅らせる、及び/または停止させることを指す。
【0032】
別の実施形態では、神経学的疾患の進行を阻害する方法は、神経学的疾患の治療に有効な第2の活性医薬成分を投与することを更に含む。
【0033】
本明細書で使用される場合、「神経変性疾患」という用語は、脳組織を含む神経組織の構造、活動、及び/または機能の進行性の低下によって特徴付けられる疾患を指す。提供される方法に従って治療することができる例示的な神経変性疾患としては、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病(HD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、フリートライヒ運動失調症、前頭側頭葉変性症、及び認知症(例えば、AD型老年認知症(SDAT)、血管性認知症、またはレビー小体型認知症)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書で使用される場合、「神経変性疾患の進行」という用語は、時間の経過と共に疾患が徐々に悪化し、それによって症状及び神経化学的欠損がますます衰弱し、及び/または激しくなることを指す。神経変性疾患の進行は、多くの場合、脳組織の構造、活動、及び/または機能の低下と相関している。「神経変性疾患の進行を阻害する」という用語は、神経変性疾患の症状及び/または神経化学的欠損の進行を遅らせる、及び/または停止させることを指す。本明細書で使用される場合、AD、PD、HD、ALS及び認知症などの神経学的疾患の「発症を遅延させる」とは、対象の疾患が進行する速度を低下させる(例えば、対象を急速に進行する疾患からよりゆっくりと進行する疾患に移行させること)ことを含む、疾患の1つ以上の症状の発症を遅らせる、妨げる、遅くする、遅延させる、安定化させる、及び/または延ばすことを意味する。この遅延は、治療されている対象の病歴及び/または既往歴に応じて異なる長さの期間であり得る。十分なまたは有意な遅延は、事実上、対象が検出可能な疾患を発症しないという点で予防を包含し得る。疾患の発症を「遅延」させる方法は、その方法を使用しないときと比較して、所与の時間枠内で疾患の程度を低減させる方法である。かかる比較は、典型的には、統計的に有意な数の対象を使用する臨床研究に基づくが、この知識は、事例証拠に基づくことができる。「発症を遅延させること」とは、薬剤を投与しない場合と比較して、神経学的疾患の臨床症状の程度及び/または望ましくない臨床症状が軽減されること、及び/または進行の時間経過が遅くなるかもしくは延長されることを意味し得る。したがって、「発症を遅延させること」はまた、検出可能であるか、または検出不能であるかに関わらず、症状の軽減、程度の縮小、疾患の病態の安定化(すなわち、悪化しない)、疾患進行の遅延または減速、及び(部分的かまたは完全かに関わらず)緩解を含むが、これらに限定されない。
【0035】
「神経外傷」、「神経性外傷」及び「神経損傷」という用語は、本明細書では互換的に使用され、脳または脊髄への機械的損傷を指す。「神経外傷によって引き起こされる損傷」または「神経外傷誘発性損傷」という用語は、脳または脊髄への機械的損傷によって引き起こされる損傷を指す。
【0036】
本明細書における脊髄損傷(SCI)への言及には、脊髄に対するあらゆる形態の物理的、化学的または遺伝的外傷が含まれる。物理的外傷には、頭、首もしくは脊柱の任意の部位、またはそれに付随/隣接する任意の部位と異物との外傷性接触から生じ得る、擦り傷、切開、挫傷、穿刺、圧迫などの組織損傷が含まれる。他の形態の外傷性損傷は、体液の不適切な蓄積(例えば、正常な脳脊髄液もしくは硝子体液の産生、代謝回転、体積調節の遮断もしくは機能不全;または硬膜下もしくは頭蓋内血腫もしくは浮腫)による中枢神経系(CNS)組織の狭窄または圧迫から生じ得る。同様に、外傷性狭窄または圧迫は、転移性腫瘍または原発性腫瘍などの異常組織の塊の存在、または疾患(例えば、灰白髄炎、二分脊椎、フリートライヒ運動失調症など)によって生じる可能性がある。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法及び組成物は、CNS(例えば、脊髄)への最初の侵襲/損傷から生じる二次性損傷を治療または予防するのに有用である。
【0037】
本明細書で使用される場合、「脳卒中」という用語は、脳への動脈の閉塞または破裂によって脳への血流が損なわれた場合の酸素不足により、突然、脳細胞が死滅することを指す。脳卒中発症の可能性を高めるのに関連する危険因子には、高齢、高血圧、脳卒中または一過性脳虚血発作の既往、糖尿病、高コレステロール、喫煙、心房細動などがある。
【0038】
本明細書で使用される場合、「有効量」とは、神経学的疾患(例えば、神経障害、AD、PD、HD、ALSなどの神経変性障害、認知症、脳虚血、または脊髄損傷などの神経損傷)に対する、または神経細胞及び/または組織(例えば、脳または脊髄などのCNS組織)に対する医学的に望ましい予防及び/または治療効果を提供するのに十分な薬剤の用量を指す。有効量は、所望の結果、治療される(または、予防される)特定の神経学的疾患、治療される対象の年齢及び身体状態、状態の重篤度、治療期間、同時治療または併用治療の性質(存在する場合)、特定の投与経路、ならびに医療従事者の知識と技能の範囲内の同様の要素によって異なる。
【0039】
「有効量」は、規定の目的との関連で経験的に、かつ慣例的な様式で判定することができる。予防的効果及び/または治療的効果には、神経細胞及び/または組織のアポトーシス/破壊/数及び/または機能の喪失の減少;神経細胞及び/または組織(例えば、ニューロン)の生存の増加;神経変性の軽減または遅延;運動機能の回復;神経細胞/組織及び/または周囲の細胞/組織に対する長期的な損傷の軽減;神経細胞/組織の炎症の減少;神経細胞/組織の酸化ストレスの軽減;行動反射の改善、認知機能の改善、ならびに生存/生存期間の延長が含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
「対象」、「患者」、「個体」及び「動物」という用語は互換的に使用され、ヒト患者及び非ヒト霊長類などの哺乳動物、ならびにウサギ、ラット及びマウス及び他の実験動物などの実験用動物を指す。動物には、ニワトリ、両生類及び爬虫類などのすべての脊椎動物、例えば、哺乳動物及び非哺乳動物が含まれる。本明細書で使用される場合、「哺乳動物」とは、哺乳綱の任意のメンバーを指し、限定されないが、ヒト、及びチンパンジー及び他の類人猿及びサル種などの非ヒト霊長類;牛、羊、豚、ヤギ及び馬などの家畜;犬及び猫などの家畜哺乳動物;マウス、ラット及びモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物;ならびに当技術分野で公知の哺乳綱の他のメンバーが含まれる。特定の実施形態では、患者はヒトである。
【0041】
「治療する」もしくは「治療」、「治療すること」、または「療法」などの用語は、(a)病的状態の症状を治癒、減速、減弱、緩和する、及び/またはその進行を停止させる治療手段と、(b)標的となる状態及び/またはその関連症状の発症を予防及び/または遅延させる予防的または防止的手段と、の両方を指す。
【0042】
したがって、治療を必要とする対象には、神経学的疾患を既に患っているもの、神経学的疾患を患うリスクがあるもの、及び神経学的疾患を予防すべきであるものが含まれる。対象は、当技術分野で公知の医療技術及び診断技術を使用して、神経学的疾患及び/または本明細書で言及される別の疾患を「患っているか、または患うリスクがある」と日常的に特定され得る。特定の実施形態では、対象が、例えば、疾患(例えば、AD、PD、HD、ALSもしくは認知症などの神経変性障害、または脊髄損傷などの神経損傷)に関連する症状の全体的、部分的、または一過性の寛解または消失を示す場合、対象は、提供される方法に従って順調に「治療」されている。特定の実施形態では、「治療する」もしくは「治療」、「治療すること」、または「療法」という用語は、認知症状の改善または神経細胞の保護など、神経学的疾患の少なくとも1つの測定可能な物理的パラメータの改善を指す。他の実施形態では、「治療する」もしくは「治療」、「治療すること」または「療法」という用語は、物理的に(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理的に(例えば、物理的パラメータの安定化)のいずれか、またはその両方で、神経学的疾患の進行を阻害することを指す。他の実施形態では、「治療する」もしくは「治療」、「治療すること」または「療法」という用語は、症状の緩和、炎症の軽減、細胞死の阻害、及び/または細胞機能の回復を指す。治療は、本明細書に開示されるHIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤組成物を用いて、または1つ以上の追加の治療薬と更に組み合わせて行うことができる。
【0043】
「薬学的に許容される担体」という用語は、対象に対して非毒性である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、限定されないが、緩衝剤、担体、賦形剤、安定剤、希釈剤または保存剤が挙げられる。薬学的に許容される担体には、例えば、ヒトまたは他の対象への投与に適した1つ以上の適合性の固体もしくは液体の充填剤、希釈剤、またはカプセル化物質が含まれ得る。
【0044】
開示された方法及び組成物に従って使用される「治療薬(複数可)」には、対象の状態を治療するための任意の薬剤が更に含まれ得る。
【0045】
PFKFB3阻害剤
PFKFB3(6-ホスホフルクト-2-キナーゼ-フルクトース-2,6-ビスホスファターゼ3)は、真核生物の解糖を制御する調節分子であるフルクトース-2,6-二リン酸の合成及び分解の両方に関与する、二機能性タンパク質であり、細胞周期の進行及びアポトーシスの予防に必要である。
【0046】
いくつかの実施形態では、本開示は、神経学的疾患を治療することを必要とする対象における、神経学的疾患を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤またはHIF1-α阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤またはHIF1-α阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤またはHIF1-α阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法を提供する。
【0047】
提供される方法に従って使用することができるPFKFB3阻害剤は、特に限定されない。いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくはPFKFB3結合抗体(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3阻害性結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である。
【0048】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、PFKFB3活性について、PFKFB3活性/機能のIC50が100μM以下の濃度である。いくつかの実施形態では、PFKFB3阻害剤は、少なくとももしくは最大もしくは約200、100、80、50、40、20、10、5もしくは1μM、または少なくとももしくは最大もしくは約100、10もしくは1nM以下(または、そこから導出される任意の範囲もしくは値)のIC50を有する。いくつかの実施形態では、PFKFB3阻害剤は、PFKFB3の発現を阻害する。化合物のPFKFB3活性を阻害する能力を決定するためのアッセイは、当技術分野で公知である。いくつかの実施形態では、PFKFB3活性または発現の阻害は、対照レベルまたは試料と比較した場合の減少である。いくつかの実施形態では、MTTアッセイ、細胞増殖アッセイ、BRDUもしくはKi67免疫蛍光アッセイ、アポトーシスアッセイまたは解糖アッセイなどの機能アッセイを使用し、PFKFB3活性を阻害する組成物の能力をアッセイする。
【0049】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体またはPFKFB3結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)である。特定の実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、ナノボディ(例えば、VHH)である。
【0050】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害剤は、治療用核酸である。いくつかの実施形態では、治療用核酸は、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNAである。特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、siRNAまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0051】
ヒトPFKFB3コード配列の代表的な例は、GenBank受入番号NM_004566.3、NM_001145443.2、NP_001138915.1、NM_001282630.2、NM_001314063.1、NM_001323016.1、NM_001323017.1及びNM_001363545.2で提供される。これらのGenbank受入番号のそれぞれに関連する配列は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。PFKFB3活性を阻害する治療用核酸は、当技術分野で公知の方法を使用して、上記のヒトPFKFB3転写配列のそれぞれに基づいて日常的に設計及び調製することができる。
【0052】
提供される方法の特定の実施形態では、PFKFB3阻害性核酸の投与、または当技術分野で公知のPFKFB3の遺伝子発現を阻害する任意の方法が企図される。阻害性核酸の例には、ENMD-1198(低分子干渉RNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、二本鎖RNA、及び任意の他のアンチセンスオリゴヌクレオチドなどのアンチセンス核酸が含まれるが、これらに限定されない。また、本明細書に記載の阻害剤のいずれかをコードするリボザイムまたは核酸も含まれる。阻害性核酸は、細胞におけるPFKFB3の転写を阻害するか、またはPFKFB3遺伝子転写物の翻訳を妨げ得る。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害性核酸は、長さが16~1000ヌクレオチドである。特定の実施形態では、投与されるPFKFB3阻害性核酸は、18~100ヌクレオチド長である。特定の実施形態では、投与されるPFKFB3阻害性核酸は、少なくとももしくは最大2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、50、60、70、80、90ヌクレオチド、またはそこから導出される任意の範囲である。
【0053】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害性核酸は、PFKFB3の発現を少なくとも10%、20%、30%もしくは40%、より具体的には少なくとも50%、60%、もしくは70%、最も具体的には少なくとも75%、80%、90%、95%以上、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値で減少させることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害性核酸は、長さが17~25ヌクレオチドであり、成熟PFKFB3 mRNA(例えば、GenBank受入番号NM_004566.3、NM_001145443.2、NM_001282630.2、NM_001314063.1、NM_001323016.1、NM_001323017.1及びNM_001363545.2のいずれか1つ以上に開示される配列) の5’~3’配列に対して少なくとも90%相補的な5’~3’配列を含む。いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害性核酸は、長さが17、18、19、20、21、22、23、24もしくは25ヌクレオチド、またはそこから導出される任意の範囲である。いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害性核酸は、成熟PFKFB3 mRNA(例えば、GenBank受入番号NM_004566.3、NM_001145443.2、NM_001282630.2、NM_001314063.1、NM_001323016.1、NM_001323017.1及びNM_001363545.2のいずれか1つ以上に開示される配列)の対応する5’~3’配列に対して、少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9もしくは100%相補的であるか、またはそこから導出される任意の範囲である配列(5’~3’)を有する。当業者であれば、成熟mRNAの配列に相補的なプローブ配列の一部を、mRNA阻害剤の配列として使用することができるであろう。更に、プローブ配列のその部分は、成熟mRNAの配列に対して依然として90%相補的であるように変更することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害性核酸は、miRNAである。更なる実施形態では、投与されるmiRNAは、hsa-mir-26b-5p(MIRT028775)、hsa-mir-330-3p(MIRT043840)、hsa-mir-6779-5p(MIRT454747)、hsa-mir-6780a-5p(MIRT454748)、hsa-mir-3689c(MIRT454749)、hsa-mir-3689b-3p(MIRT454750)、hsa-mir-3689a-3p(MIRT454751)、hsa-mir-30b-3p(MIRT454752)、hsa-mir-1273h-5p(MIRT454753)、hsa-mir-6778-5p(MIRT454754)、hsa-mir-1233-5p(MIRT454755)、hsa-mir-6799-5p(MIRT454756)、hsa-mir-7106-5p(MIRT454757)、hsa-mir-6775-3p(MIRT454758)、hsa-mir-1291(MIRT454759)、hsa-mir-765(MIRT454760)、hsa-mir-423-5p(MIRT454761)、hsa-mir-3184-5p(MIRT454762)、hsa-mir-6856-5p(MIRT454763)、hsa-mir-6758-5p(MIRT454764)、hsa-mir-3185(MIRT527973)、hsa-mir-6892-3p(MIRT527974)、hsa-mir-6840-5p(MIRT527975)、及びhsa-mir-6865-3p(MIRT527976)から選択されるメンバーである。
【0056】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、小分子である。投与される小分子PFKFB3阻害剤は、PFKFB3の機能または活性を阻害すると決定された任意の小分子であり得る。このような小分子は、in vitroまたはin vivoでの機能アッセイに基づいて決定することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤小分子は、米国特許公開第20130059879号、同第20120177749号、同第20100267815号、同第20100267815号、及び同第20090074884号に開示されている小分子PFKFB3阻害分子であり、それぞれの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、(1H-ベンゾ[g]インドール-2-イル)-フェニル-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-フェニル-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(4-メトキシ-フェニル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-ピリジン-4-イル-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-ピリジン-4-イル-メタノンのHCl塩、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(3-メトキシ-フェニル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-ピリジン-3-イル-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(2-メトキシ-フェニル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(2-ヒドロキシ-フェニル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(4-ヒドロキシ-フェニル)-メタノン、(5-メチル-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-フェニル-メタノン、フェニル-(7H-ピロロ[2,3-h]キノリン-8-イル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(3-ヒドロキシ-フェニル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(2-クロロ-ピリジン-4-イル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(1-オキシ-ピリジン-4-イル)-メタノン、フェニル-(6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(4-ヒドロキシ-3-メトキシルテニル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシ-フェニル)-メタノン、4-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-カルボニル)-安息香酸メチルエステル、4-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-カルボニル)-安息香酸、(4-アミノ-フェニル)-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、5-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-カルボニル)-2-ベンジルオキシ-安息香酸メチル、5-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-カルボニル)-2-ベンジルオキシ-安息香酸メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(2-メトキシ-ピリジン-4-イル)-メタノン、(5-フルオロ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(3-メトキシ-フェニル)-メタノン、(5-フルオロ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-ピリジン-4-イル-メタノン、(4-ベンジルオキシ-3-メトキシ-フェニル)-(5-フルオロ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(5-フルオロ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(3-ヒドロキシメチル-フェニル)-メタノン、シクロヘキシル-(5-フルオロ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(5-フルオロ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(3-フルオロ-4-ヒドロキシ-フェニル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-p-トリル-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(3-メトキシ-フェニル-メタノール、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-ピリジン-4-イル-メタノール、3H-ベンゾ[e]インドール-2-カルボン酸フェニルアミド、3H-ベンゾ[e]インドール-2-カルボン酸(3-メトキシ-フェニル)-アミド、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(4-ジメチルアミノ-フェニル)-メタノン、(4-アミノ-3-メトキシ-フェニル)-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-3-メトキシ-フェニル)-(5-ヒドロキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-3-メトキシ-フェニル)-(5-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、N-[4-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-カルボニル)-フェニル]-メタンスルホンアミド、3H-ベンゾ[e]インドール-2-カルボン酸(4-アミノ-フェニル)-アミド、(4-アミノ-フェニル)-(5-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-2-フルオロ-フェニル)-(5-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-3-フルオロ-フェニル)-(5-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-2-メトキシ-フェニル)-(5-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-フェニル)-(9-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-3-メトキシ-フェニル)-(9-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-2-メトキシ-フェニル)-(9-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-3-フルオロ-フェニル)-(9-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-2-フルオロ-フェニル)-(9-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-3-フルオロ-フェニル)-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-2-フルオロ-フェニル)-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-フェニル)-(7-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-フェニル)-(5-ヒドロキシ-3-メチル-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(7-アミノ-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(3-メチル-ピリジン-4-イル)-メタノン、(5-アミノ-3H-ピロロ[3,2-f]イソキノリン-2-イル)-(3-メトキシ-ピリジン-4-イル)-メタノン、(4-アミノ-2-メチル-フェニル)-(9-ヒドロキシ-3H-ピロロ[2,3-c]キノリン-2-イル)-メタノン、及び(4-アミノ-フェニル)-(7-メタンスルホニル-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、またはそれらの塩のうちの少なくとも1つである。
【0059】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、1-ピリジン-4-イル-3-キノリン-4-イル-プロペノン、1-ピリジン-4-イル-3-キノリン-3-イル-プロペノン、1-ピリジン-3-イル-3-キノリン-2-イル-プロペノン、1-ピリジン-3-イル-3-キノリン-4-イル-プロペノン、1-ピリジン-3-イル-3-キノリン-3-イル-プロペノン、1-ナフタレン-2-イル-3-キノリン-2-イル-プロペノン、1-ナフタレン-2-イル-3-キノリン-3-イル-プロペノン、1-ピリジン-4-イル-3-キノリン-3-イル-プロペノン、3-(4-ヒドロキシ-キノリン-2-イル)-1-ピリジン-4-イル-プロペノン、3-(8-ヒドロキシ-キノリン-2-イル)-1-ピリジン-3-イル-プロペノン、3-キノリン-2-イル-1-p-トリル-プロペノン、3-(8-ヒドロキシ-キノリン-2-イル)-1-ピリジン-4-イル-プロペノン、3-(8-ヒドロキシ-キノリン-2-イル)-1-p-トリル-プロペノン、3-(4-ヒドロキシ-キノリン-2-イル)-1-p-トリル-プロペノン、1-フェニル-3-キノリン-2-イル-プロペノン、1-ピリジン-2-イル-3-キノリン-2-イル-プロペノン、1-(2-ヒドロキシ-フェニル)-3-キノリン-2-イル-プロペノン、1-(4-ヒドロキシ-フェニル)-3-キノリン-2-イル-プロペノン、1-(2-アミノ-フェニル)-3-キノリン-2-イル-プロペノン、1-(4-アミノ-フェニル)-3-キノリン-2-イル-プロペノン、またはそれらの塩のうちの少なくとも1つである。
【0060】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、4-(3-キノリン-2-イル-アクリロイル)-ベンズアミド、4-(3-キノリン-2-イル-アクリロイル)-安息香酸、3-(8-メチル-キノリン-2-イル)-1-ピリジン-4-イル-プロペノン、1-(2-フルオロ-ピリジン-4-イル)-3-キノリン-2-イル-プロペノン、3-(8-フルオロ-キノリン-2-イル)-1-ピリジン-4-イル-プロペノン、3-(6-ヒドロキシ-キノリン-2-イル)-1-ピリジン-4-イル-プロペノン、3-(8-メチルアミノ-キノリン-2-イル)-1-ピリジン-4-イル-プロペノン、3-(7-メチル-キノリン-2-イル)-1-ピリジン-4-イル-プロペノン、及び1-メチル-4-[3-(8-メチル-キノリン-2-イル)-アクリロイル]-ピリジニウム、またはそれらの塩のうちの少なくとも1つである。
【0061】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、(2S)-N-[4-[[3-シアノ-1-(2-メチル-プロピル)-1H-インドール-5-イル]オキシ]フェニル]-2-ピロリジン-カルボキサミド3PO(3-(3-ピリジニル)-1-(4-ピリジニル)-2-プロペン-1-オン)、(2S)-N-[4-[[3-シアノ-1-[(3,5-ジメチル-4-イソオキサゾリル)メチル]-1H-インドール-5-イル]オキシ]フェニル]-2-ピロリジン-カルボキサミド、及びエチル7-ヒドロキシ-2-オキソ-2H-1-ベンゾピラン-3-カルボキシレート、またはそれらの塩である。
【0062】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、PFK15またはその塩である。
【0063】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、PFK158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはその塩である。
【0064】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、またはその塩である。
【0065】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、AZ67、またはその塩である。
【0066】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067もしくはBrAcNHErOP、またはそれらの塩の構造を有する、少なくとも1つのPFKFB3阻害剤である。他の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1Eに示す、式AZ44~AZ70もしくはAZ71、またはそれらの塩の構造を有するPFKFB3阻害剤である。
【0067】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、KAN0436151またはその塩である。
【0068】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、KAN0436067またはその塩である。
【0069】
HIF1-α経路阻害剤
低酸素誘導因子1-α(HIF-1-α)は、低酸素に対する細胞及び発生応答のマスター転写制御因子であると考えられている、ヘテロ二量体転写因子低酸素誘導因子1(HIF-1)のサブユニットである。
【0070】
いくつかの実施形態では、本開示は、神経学的疾患を治療することを必要とする対象における、神経学的疾患を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤またはHIF1-α阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤またはHIF1-α阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤もしくはHIF1-α阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法を提供する。
【0071】
更なる実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される神経学的疾患は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病(HD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及び多発性硬化症(MS)などの神経変性疾患、または神経外傷である。
【0072】
本明細書で使用される場合、「HIF1-α経路-α阻害剤」という用語は、HIF1-αを直接的に、もしくはHIF1-α経路の上流にあるPI3K/AKT/mTOR経路の1つ以上の活性を阻害することを介して間接的に、阻害または低減する組成物を指す。「HIF1-α阻害剤」という用語は、本明細書では、HIF1-αを直接阻害または低減する組成物を指すために使用される。したがって、例えば、テムシロリムス、エベロリムス及びシロリムスなどのmTOR経路阻害剤は、本明細書では「HIF1-α経路-α阻害剤」とみなされ、「HIF1-α阻害剤」とはみなされない。
【0073】
提供される方法に従って投与することができる「HIF1-α経路-α阻害剤」は、特に限定されない。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくはHIF1-α結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である。
【0074】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与される、投与されたHIF1-α経路阻害剤は、HIF1-α活性について、HIF1-α活性/機能のIC50が100μM以下の濃度である。いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤は、少なくとももしくは最大もしくは約200、100、80、50、40、20、10、5もしくは1μM、または少なくとももしくは最大もしくは約100、10もしくは1nM以下(または、そこから導出される任意の範囲もしくは値)のIC50を有する。いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤は、HIF1-αの発現を阻害する。HIF1-α活性を阻害する化合物の能力を決定するためのアッセイは、当技術分野で公知である。いくつかの実施形態では、HIF1-α活性または発現の阻害は、対照レベルまたは試料と比較した場合の減少である。いくつかの実施形態では、MTTアッセイ、細胞増殖アッセイ、BRDUもしくはKi67免疫蛍光アッセイ、アポトーシスアッセイまたは解糖アッセイなどの機能アッセイを使用し、HIF1-α活性を阻害する組成物の能力をアッセイする。
【0075】
提供される方法に従って投与することができるHIF1-α阻害剤は、特に限定されない。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、HIF-1α mRNA発現、HIF-1αタンパク質の翻訳または分解、HIF-1α/HIF-1β二量体化、HIF-1α-DNA結合(例えば、HIF-1α/HRE)、及び/またはHIF-1α転写活性(例えば、p300のCH-1/HIF-1αのC-TAD)のうちの1つ以上を調節する。
【0076】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、小分子である。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、タンパク質またはポリペプチド(例えば、HIF1に結合する抗HIF1抗体または抗体断片)である。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、治療用核酸(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、siRNA、miRNA、dsRNA、ssRNA、またはshRNA)である。
【0077】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HIF1-α経路阻害剤(例えば、PI3K経路阻害剤、MAPK経路阻害剤、Akt経路阻害剤、及び/またはmTOR阻害剤);HIF翻訳阻害剤(例えば、トポイソメラーゼ阻害剤、微小管標的薬、強心配糖体、またはアンチセンスHIF-1a mRNA);HIFの安定性、核局在化または二量体化の阻害剤(例えば、アクリフラビンまたはHDAC阻害剤);HIFトランス活性化の阻害剤(例えば、HIF1コアクチベーター動員阻害剤またはHIF1 DNA結合阻害剤)である。
【0078】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、HIF1-α経路阻害剤(例えば、PI3K経路阻害剤、MAPK経路阻害剤、Akt経路阻害剤、及び/またはmTOR阻害剤)である。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、PI3K経路阻害剤である。一実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、P3155、LY29、LY294002、ワートマニン、またはGDC-0941である。一実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、レスベラトロールである。別の実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、グリセオリンである。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、mTOR阻害剤である。一実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ラパマイシン、テムシロリムス(CC1-779)、エベロリムス、シロリムス、またはPP242である。
【0079】
特定の実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、シリビニンである。
【0080】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、HIF翻訳阻害剤である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、PX-478(S-2-アミノ-3-[4’-N,N-ビス(クロロエチル)[アミノ]フェニルプロピオン酸N-オキシド二塩酸塩)、NSC-64421、カンプトテシン(CPT)、SN38、イリノテカン、トポテカン、NSC-644221、シクロヘキシミド、もしくはアピゲニン、またはそれらの塩である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、アミノフラボン、KC7F2(N,N’-(ジスルファンジイルビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(2,5-ジクロロベンゼンスルホンアミド)、2-メトキシエストラ-ジオール(2ME2)、またはそれらの類似体もしくは塩である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、ENMD-1198、ENMD-1200もしくはENMD-1237、またはそれらの塩である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、EZN-2208またはその塩である。
【0081】
特定の実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、PX-478またはその塩である。
【0082】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、強心配糖体である。一実施形態では、投与される強心配糖体は、ジゴキシンまたはその塩である。別の実施形態では、投与される強心配糖体は、ウアバインもしくはプロスシラリジンA、またはそれらの塩である。
【0083】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、トポイソメラーゼ阻害剤である。一実施形態では、投与されるトポイソメラーゼ阻害剤は、カンプトテシン(CPT)、SN38、イリノテカン、もしくはトポテカン(例えば、PEG-SN38)、またはそれらの塩である。
【0084】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、微小管標的薬である。一実施形態では、投与される微小管標的薬は、2メトキシエストラジオール(2ME2)、ENMD-1198、ENMD-1200、ENMD-1237、もしくはタキソテール、またはそれらの塩である。
【0085】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、治療用核酸である。いくつかの実施形態では、治療用核酸は、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、siRNA、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNAである。いくつかの実施形態では、治療用核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0086】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害剤は、siRNAまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、EZN-2968である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、RX-0047である。
【0087】
ヒトHIF1-Αコード配列の代表的な例は、GenBank受入番号NM_004566.3、NM_001145443.2、NP_001138915.1、NM_001282630.2、NM_001314063.1、NM_001323016.1、NM_001323017.1及びNM_001363545.2で提供される。これらのGenbank受入番号のそれぞれに関連する配列は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。HIF1-Α活性を阻害する治療用核酸は、当技術分野で公知の方法を使用して、上記のヒトHIF1-Α転写配列のそれぞれに基づいて日常的に設計及び調製することができる。
【0088】
提供される方法の特定の実施形態では、HIF1-Α阻害性核酸の投与、または当技術分野で公知のHIF1-Αの遺伝子発現を阻害する任意の方法が企図される。阻害性(治療用)核酸の例には、ENMD-1198(低分子干渉RNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、二本鎖RNA、及び任意の他のアンチセンスオリゴヌクレオチドなどのアンチセンス核酸が含まれるが、これらに限定されない。また、本明細書に記載の阻害剤のいずれかをコードするリボザイムまたは核酸も含まれる。阻害性核酸は、細胞におけるHIF1-Αの転写を阻害するか、またはHIF1-Α遺伝子転写物の翻訳を妨げ得る。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、長さが16~1000ヌクレオチドである。特定の実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、18~100ヌクレオチド長である。特定の実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、少なくとももしくは最大2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、50、60、70、80、90ヌクレオチド、またはそこから導出される任意の範囲である。
【0089】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、HIF1-Αの発現を少なくとも10%、20%、30%もしくは40%、より具体的には少なくとも50%、60%、もしくは70%、最も具体的には少なくとも75%、80%、90%、95%以上、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値で減少させることができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、長さが17~25ヌクレオチドであり、成熟HIF1-Α mRNA(例えば、GenBank受入番号NM_001530.4、NM_181054.3及びNM_001243084.2のいずれか1つ以上に開示される)の5’~3’配列に対して少なくとも90%相補的な5’~3’配列を含む。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、長さが17、18、19、20、21、22、23、24もしくは25ヌクレオチド、またはそこから導出される任意の範囲である。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、成熟HIF1-Α mRNA(例えば、GenBank受入番号NM_001530.4、NM_181054.3及びNM_001243084.2のいずれか1つ以上に開示される)の対応する5’~3’配列に対して、少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9もしくは100%相補的であるか、またはそこから導出される任意の範囲である配列(5’~3’)を有する。当業者であれば、成熟mRNAの配列に相補的なプローブ配列の一部を、mRNA阻害剤の配列として使用することができるであろう。更に、プローブ配列のその部分は、成熟mRNAの配列に対して依然として90%相補的であるように変更することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、miRNA模倣物である。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、miR-483模倣物である。
【0092】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、HIFの安定性、核局在化または二量体化の阻害剤である。一実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、HIFを不安定化する。一実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACI)である。更なる実施形態では、投与されるHDACIは、LW6/CAY10585、ボリノスタット、ロミデプシン(FK228)、パノビノスタット、ベリノスタット、トリコスタチンA(TSA)、LAQ824、もしくはフェネチルイソチオシアネート、またはそれらの塩である。一実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、PX-12/プレウロチン、HIF-1α阻害剤(CAS番号934593-90-5)、クリプトタンシノン、もしくはBAY87-2243(1-シクロプロピル-4-[4-[[5-メチル-3-[3-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]-1H-ピラゾール-1-イル]メチル]-2-ピリジニル]-ピペラジン)、またはそれらの塩である。一実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、IDF-11774、ビスフェノールA/ジメチルビスフェノールA、またはそれらの塩である。クリシン(5,7-ジヒドロキシ-フラボン)、もしくはSCH66336、またはそれらの塩。一実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、ゲルダナマイシンまたはその類似体、17-AAG(タネスピマイシン:アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン)、17-DMAG(アルベスピマイシン)、17AG、ラジシコール、KF58333、ENMD-1198、ENMD-1237、もしくはガネテスピブ(ST-9090)、またはそれらの塩である。一実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、HIF二量体化を妨げる。一実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、アクリフラビンまたはその塩である。一実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、TC-S7009、PT2385、もしくはTAT-シクロ-CLLFVY、またはそれらの塩である。
【0093】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、ガネテスピブまたはその塩である。
【0094】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、BAY87-2243である。
【0095】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACI)である。一実施形態では、投与されるHDACIは、LW6/CAY10585(メチル3-(2-(4-(アダマンタン-1-イル)フェノキシ)アセトアミド)-4-ヒドロキシ-ベンゾエート)、ボリノスタット、ロミデプシン(FK228)、パノビノスタット、ベリノスタット、トリコスタチンA(TSA)、LAQ824、もしくはフェネチルイソチオシアネート、またはそれらの塩である。
【0096】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、熱ショックタンパク質阻害剤である。一実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HSP90阻害剤である。一実施形態では、投与されるHSP90阻害剤は、ゲルダナマイシンまたはその類似体、17-AAG(タネスピマイシン:アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン)、17-DMAG(アルベスピマイシン)、17AG、ラジシコール、KF58333、ENMD-1198、ENMD-1237、もしくはガネテスピブ、またはそれらの塩である。特定の実施形態では、投与される熱ショックタンパク質阻害剤は、ガネテスピブまたはその塩である。一実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HSP70阻害剤である。一実施形態では、投与されるHSP70阻害剤は、トリプトライドまたはその塩である。
【0097】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、HIFトランス活性化阻害剤である。一実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、HIFコアクチベーターの動員を阻害する。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、ケトミン、YC-1もしくはKCN-1(3,4-ジメトキシ-N-[(2,2-ジメチル-2H-クロメン-6-イル)メチル]-N-フェニルベンゼンスルホンアミド)、またはその塩である。別の特定の実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、NSC607097またはその塩である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、プロテアソーム阻害剤である。更なる実施形態では、投与される阻害剤は、ボルテゾミブもしくはカルフィルゾミブ、またはそれらの塩である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、インデノピラゾール21、FM19G11、フラボピリドール、アンホテリシンB、アクチノマイシン、AJM290、もしくはAW464、またはそれらの塩である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、トリプトライドまたはその塩である。
【0098】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、YC-1またはその塩である。
【0099】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、HIF1-αに結合する抗体またはHIF1-α結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、AG1-5 VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)である。特定の実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、VHHまたはナノボディである。一実施形態では、投与される抗体は、AGI-5である。一実施形態では、投与される抗体は、AHPCである。
【0100】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、HIF1 DNA結合阻害剤である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、エキノマイシン(NSC-13502)または化合物DJ12.162である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、アントラサイクリンである。更なる実施形態では、投与される阻害剤は、ドキソルビシンまたはダウノルビシンである。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、ポリアミドである。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、HIF1-αに結合する抗体であるか、またはVHHもしくはナノボディなどのHIF1-α結合抗体断片である。
【0101】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害剤は、治療用核酸である。いくつかの実施形態では、治療用核酸は、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNAである。いくつかの実施形態では、治療用核酸は、ENMD-1198またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0102】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害剤は、siRNAまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害剤は、ENMD-1198である。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害剤は、EZN-2968である。
【0103】
ヒトHIF1-Αコード配列の代表的な例は、GenBank受入番号NM_004566.3、NM_001145443.2、NP_001138915.1、NM_001282630.2、NM_001314063.1、NM_001323016.1、NM_001323017.1及びNM_001363545.2で提供される。これらのGenbank受入番号のそれぞれに関連する配列は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。HIF1-Α活性を阻害する治療用核酸は、当技術分野で公知の方法を使用して、上記のヒトHIF1-Α転写配列のそれぞれに基づいて日常的に設計及び調製することができる。
【0104】
提供される方法の特定の実施形態では、HIF1-Α阻害性核酸の投与、または当技術分野で公知のHIF1-Αの遺伝子発現を阻害する任意の方法が企図される。阻害性核酸の例には、ENMD-1198(低分子干渉RNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、二本鎖RNA、及び任意の他のアンチセンスオリゴヌクレオチドなどのアンチセンス核酸が含まれるが、これらに限定されない。また、本明細書に記載の阻害剤のいずれかをコードするリボザイムまたは核酸も含まれる。阻害性核酸は、細胞におけるHIF1-Αの転写を阻害するか、またはHIF1-Α遺伝子転写物の翻訳を妨げ得る。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、長さが16~1000ヌクレオチドである。特定の実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、18~100ヌクレオチド長である。特定の実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、少なくとももしくは最大2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、50、60、70、80、90ヌクレオチド、またはそこから導出される任意の範囲である。
【0105】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、HIF1-Αの発現を少なくとも10%、20%、30%もしくは40%、より具体的には少なくとも50%、60%、もしくは70%、最も具体的には少なくとも75%、80%、90%、95%以上、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値で減少させることができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、長さが17~25ヌクレオチドであり、成熟HIF1-Α mRNA(例えば、GenBank受入番号NM_001530.4、NM_181054.3及びNM_001243084.2のいずれか1つ以上に開示される)の5’~3’配列に対して少なくとも90%相補的な5’~3’配列を含む。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、長さが17、18、19、20、21、22、23、24もしくは25ヌクレオチド、またはそこから導出される任意の範囲である。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、成熟HIF1-Α mRNA(例えば、GenBank受入番号NM_001530.4、NM_181054.3及びNM_001243084.2のいずれか1つ以上に開示される)の対応する5’~3’配列に対して、少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9もしくは100%相補的であるか、またはそこから導出される任意の範囲である配列(5’~3’)を有する。当業者であれば、成熟mRNAの配列に相補的なプローブ配列の一部を、mRNA阻害剤の配列として使用することができるであろう。更に、プローブ配列のその部分は、成熟mRNAの配列に対して依然として90%相補的であるように変更することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、miRNA模倣物である。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、miR-483模倣物である。
【0108】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、治療用核酸である。いくつかの実施形態では、治療用核酸は、ENMD-1198分子、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0109】
活性剤の投与用キット
別の実施形態では、本開示は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤、及び/または他の治療剤及び送達剤を含む、キットを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療法を調製及び/または投与するためのキットが提供され得る。キットは、医薬組成物、治療薬、及び/または他の治療薬及び送達剤のいずれかを含む、1つ以上の密封バイアルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、脂質は1つのバイアル内にあり、治療薬は別のバイアル内にある。キットには、例えば、少なくとも1つのPFKFB3発現/活性の阻害剤、少なくとも1つのHIF1-α発現/活性の阻害剤、及び、本明細書に記載の成分を調製、製剤化及び/または投与するための、または本方法の1つ以上の工程を実施するための、1つ以上の試薬が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、キットはまた、エッペンドルフチューブ、アッセイプレート、シリンジ、ボトル、または管などのキットの構成要素と反応しない容器である、適切な容器手段を含んでもよい。容器は、プラスチックまたはガラスなどの滅菌可能な材料から作製され得る。
【0110】
キットは、本明細書に記載の方法の手順工程を概説する説明書を更に含んでもよく、本明細書に記載の手順または当業者に公知の手順と実質的に同じ手順に従う。例えば、キットは、対象における神経変性疾患または神経外傷などの神経学的疾患を治療するための、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤、及び/または他の治療剤の使用に関する指示書を含んでもよい。指示情報は、コンピュータを使用して実行される場合に、薬学的に有効な量の治療薬を送達する実際の手順または仮想の手順を表示させる、機械可読指示を含むコンピュータ可読媒体中にあってもよい。
【0111】
いくつかの実施形態では、キットは、PFKFB3及び/またはHIF-α、または関連分子の発現を評価するために提供され得る。このようなキットは、容易に入手可能な材料及び試薬から調製することができる。例えば、そのようなキットは、以下の物質:酵素、反応管、緩衝液、界面活性剤、プライマー及びプローブ、核酸増幅、及び/またはハイブリダイゼーション剤のいずれか1つ以上を含むことができる。特定の実施形態では、これらのキットにより、医師は、血液、涙、精液、唾液、尿、組織、血清、便、結腸、直腸、痰、脳脊髄液、及び細胞溶解物からの上清の試料を取得することができる。別の実施形態では、これらのキットには、RNA抽出、RT-PCR、及びゲル電気泳動を実行するために必要な装置が含まれる。アッセイを実施するための説明書も、キットに含めることができる。
【0112】
キットは、管、ボトル、バイアル、シリンジ、もしくは他の適切な容器手段などの容器に個別に包装、または配置され得る、成分を含み得る。成分には、プローブ、プライマー、抗体、アレイ、陰性及び/または陽性対照が含まれ得る。個々の成分を、濃縮した量でキットに提供することもできる。いくつかの実施形態では、成分は、他の成分と共に溶液中に含まれるのと同じ濃度で個別に提供される。成分の濃度は、1×、2×、5×、10×、または20×以上として提供され得る。
【0113】
キットは、試料中のPFKFB3及び/またはHIF-1αを標識するための試薬を更に含むことができる。キットはまた、アミン修飾ヌクレオチド、ポリ(A)ポリメラーゼ、及びポリ(A)ポリメラーゼ緩衝液のうちの少なくとも1つを含む、標識試薬を含んでもよい。標識試薬には、アミン反応性色素または当技術分野で公知の任意の色素が含まれ得る。
【0114】
キットの成分は、水性媒体または凍結乾燥形態のいずれかで包装され得る。キットの容器手段は一般に、成分を配置し、好ましくは適切に等量分割することができる少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジまたは他の容器手段を含む。キット内に複数の成分がある場合(標識試薬及びラベルは、一緒に包装されていてもよい)、キットは一般に、追加の成分を別々に配置できる第2、第3、または他の追加の容器も含む。しかしながら、成分の様々な組み合わせがバイアル内に含まれてもよい。キットには、核酸、抗体、または他の試薬容器を商業販売用に密封して収容する手段も含まれ得る。このような容器には、所望のバイアルが保持される射出成形またはブロー成形されたプラスチック容器が含まれ得る。
【0115】
キットの成分が1つ及び/または複数の溶液中に提供される場合、溶液は水溶液であり、滅菌水溶液が特に好ましい。あるいは、キットの成分は、乾燥粉末(複数可)として提供されてもよい。試薬及び/または成分が乾燥粉末として提供される場合、粉末は、適切な溶媒を添加することによって再構成され得る。溶媒は別の容器手段に提供されてもよいことが想定される。容器手段は一般に、核酸配合物を配置し、好ましくは適切に等量分割することができる少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ及び/または他の容器手段を含む。キットはまた、滅菌した薬学的に許容される緩衝液及び/または他の希釈剤を収容するための第2の容器手段を含んでもよい。
【0116】
キットは、例えば、所望のバイアルが保持される射出及び/またはブロー成形プラスチック容器などの商業販売用にバイアルを密封して収容する手段を含んでもよい。キットには、キットの成分を使用するための説明書、及びキットに含まれていない他の試薬の使用に関する説明書も含まれ得る。説明書には、実施可能なバリエーションが含まれ得る。
【0117】
投与方法
本明細書で提供される方法による投与レジメン(例えば、投与頻度と組み合わせた用量)は、一般に、所望の効果を提供する量及び頻度での投与、例えば、PDもしくはADなどの神経変性疾患、または神経外傷に関連する1つ以上の症状など対象における神経学的疾患の1つ以上の症状の改善を提供するのに有効な量の投与を含む。組成物の投与は、通常、任意の一般的な経路を介して行われる。これには、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内注射が含まれるが、これらに限定されない。経口製剤には、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの通常使用される賦形剤が含まれる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル、徐放性製剤または粉末の形態をとり、約10%~約95%、または約25%~約70%の有効成分を含有する。通常、組成物は、剤形に適合した方法で、治療上有効な量で投与される。投与される量は、治療される対象に依存する。投与する必要がある有効成分の正確な量は、医師の判断に依存する。
【0118】
いくつかの実施形態では、組成物は、非経口投与される。本明細書で使用される場合、「非経口投与」及び「非経口的に投与された」という語句は、経腸及び局所投与以外の投与様式を意味し、例えば、注射によるものであり、静脈内、筋肉内、胸膜内、血管内、心膜内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、腎臓内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、及び胸骨内の注射ならびに注入が含まれるが、これらに限定されない。
【0119】
特定の実施形態では、提供される組成物は、中枢神経系(CNS)細胞または組織などの神経細胞または神経組織と接触するように投与される。このような組織には、脳及び脊髄(例えば、頸部、胸部または腰部)組織が含まれる。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、直接頭蓋内注射または脳脊髄液への注射を介して、in vivoで神経細胞/組織を治療するために投与される。あるいは、提供される化合物は全身的に投与(例えば、静脈内)でき、病変などの他の機構を通じて(血液脳関門が損なわれている場合)罹患した神経組織と接触することができる。いくつかの実施形態では、投与される組成物は、血液脳関門を通過して神経系(例えば、CNS)に入ることができる形態である。更なる実施形態では、投与される組成物は、神経組織へのそのような投与のために製剤化される。
【0120】
非経口投与用の製剤は、活性剤の滅菌水性製剤が好都合であり、この製剤は、好ましくは、対象となるレシピエントの血液と等張である。これらの製剤は、皮下、静脈内、筋肉内、または皮内注射によって投与することができる。このような製剤は、化合物を水またはグリシン緩衝液と混合し、得られた溶液を滅菌かつ血液と等張にすることによって都合よく調製することができる。
【0121】
いくつかの実施形態において、組成物は、経口的に投与される。経口投与に適した製剤は、それぞれが所定の量の活性成分を含むカプセル剤、カシェ剤、ロゼンジ剤もしくは錠剤などの分離した単位として;粉末もしくは顆粒として;水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として;または水中油型乳剤もしくは油中水型乳剤として提示されてもよい。このような製剤は、活性化合物と適切な担体(上記のような1つ以上の副成分を含み得る)を組み合わせる工程を含む、任意の適切な調剤方法によって調製することができる。一般に、提供される製剤は、活性化合物を液体担体または微粉化固体担体またはその両方と均一かつ完全に混合し、次いで、必要に応じて、得られた混合物を成形することによって調製される。例えば、錠剤は、活性剤を含有する粉末もしくは顆粒を、任意選択で1つ以上の副成分と共に、圧縮または成形することにより調製することができる。圧縮された錠剤は、好適な機械内で、任意選択で結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤及び/または表面活性剤/分散剤(複数可)と混合された、粉末または顆粒としての自由流動形態の化合物を圧縮することより調製され得る。成形された錠剤は、好適な機械において、不活性液結合剤で加湿された粉末化化合物を成形することによって作成され得る。
【0122】
頬側(舌下)投与に適した製剤には、通常スクロース及びアカシアまたはトラガカントなどの風味付けされた基剤中に活性剤を含むロゼンジ剤;ならびにゼラチン及びグリセリン、またはスクロース及びアカシアなどの不活性基剤中に活性剤を含むトローチ剤が含まれる。
【0123】
局所適用(例えば、口腔、鼻咽頭、または中咽頭中の)に適した製剤は、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾール、またはオイルの形態をとる。使用できる担体としては、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮促進剤、及びこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0124】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書で提供される組成物が1つ以上の追加の治療薬(例えば、神経疾患及び/または状態、またはそれらに伴う影響(例えば疼痛)を予防及び/または治療するために使用される治療薬)と組み合わせて投与される、治療方法を提供する。提供される組成物と治療薬(複数可)との組み合わせは、任意の従来の剤形で投与または共投与(例えば、連続的に、同時に、異なる時点で)することができる。本明細書における共投与とは、改善された臨床転帰を達成するための調整された治療の過程で、対象に複数の治療薬を投与することを指す。このような共投与は、同じ範囲に及ぶこともあり得、つまり、重複する期間中に行われることもあり得る。例えば、第1の治療薬は、第2の活性薬剤の投与前、投与と同時に、投与の前後に、または投与後に患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、治療薬は単一の組成物中に組み合わされ/製剤化され、したがって同時に対象に投与される。
【0125】
治療及び使用方法
神経学的疾患
提供される方法及び組成物は、神経学的疾患を治療する際に使用される。一実施形態では、本開示は、神経学的疾患を治療することを必要とする対象における、神経学的疾患を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法を提供する。
【0126】
一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される。一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている。一実施形態では、対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている。
【0127】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される神経学的疾患は、軽度認知障害(MCI)、加齢性記憶障害(AAMI)、神経障害、神経変性疾患、発作関連の損傷、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、脳卒中関連の損傷、脳動脈瘤関連の損傷、脊髄損傷(例えば、挫傷、圧迫または裂傷)、脳震盪関連の損傷(脳震盪後症候群を含む)、脳虚血、または外傷性脳損傷に起因する損傷、またはそれに関連する状態である。
【0128】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される神経学的疾患は、軽度認知障害(MCI)または加齢性記憶障害(AAMI)である。
【0129】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される神経学的疾患は、神経障害である。
【0130】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される神経学的疾患は、神経変性疾患である。いくつかの実施形態では、治療される神経変性疾患は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、またはハンチントン病(HD)である。特定の実施形態では、治療される神経変性疾患はADである。特定の実施形態では、治療される神経変性疾患はPDである。特定の実施形態では、治療される神経変性疾患はHDである。
【0131】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、フリートライヒ運動失調症、及び前頭側頭葉変性症から選択される。
【0132】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される神経学的疾患は、認知症(例えば、AD型老年認知症(SDAT)、血管性認知症、またはレビー小体型認知症)である。
【0133】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される神経学的疾患は、神経外傷である。いくつかの実施形態では、神経外傷は、中枢神経系(CNS)に対する損傷である。一実施形態では、CNSに対する損傷は、脊髄損傷(SCI)である。更なる実施形態では、SCIは急性SCIである。一実施形態では、CNSに対する損傷は、外傷性脳損傷である。一実施形態では、提供される方法に従って治療されるCNSの損傷は、脳虚血である。
【0134】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される対象は、神経学的疾患を患うリスクがある。いくつかの実施形態では、提供される方法は、神経学的状態の予防的治療として行われる。
【0135】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、神経学的疾患を発症するリスクがある対象、例えば、神経学的疾患の発症に関連する1つ以上の危険因子を有する対象において、神経学的疾患を予防する。いくつかの実施形態では、対象は、55歳以上、喫煙、肥満、糖尿病、メタボリックシンドローム、心臓病、高血圧、脳卒中、心筋梗塞、神経学的疾患の家族歴、溶媒への曝露、農薬への曝露、頭部損傷または脳外傷から選択される1つ以上の危険因子を有する。
【0136】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される対象は、神経学的疾患を患っているか、または神経学的疾患を患っていると診断されている。神経変性疾患などの神経学的疾患の発症は、認知試験、行動反射試験を含む機能試験;平衡感覚、協調及び歩行試験、ならびに深部腱反射試験;精神状態、脳神経、運動系、感覚系の定性試験;生化学アッセイ;神経及び筋肉の生検;ならびにコンピュータ軸断層撮影(CAT)スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)、核磁気共鳴(MRI)、経頭蓋ドプラ法、神経超音波検査、脳波(EEG)、SPECTスキャン、正電気サブ放射型コンピュータ断層撮影法(PET)、または拡散強調画像法(DWI)などの当技術分野で公知の標準的な臨床技術を使用して日常的に検出及び評価することができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、本開示は、神経学的疾患の発症前、例えば、神経学的疾患の1つ以上の症状の発症前に、本明細書に提供される組成物を対象に投与することによって、神経学的疾患の発症を予防、阻害、または遅延させる方法及び組成物を提供する。いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、神経学的疾患の1つ以上の症状の発症前に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って神経学的疾患を治療することは、神経学的疾患の1つ以上の症状の発症を遅延させることを含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、神経学的疾患の1つ以上の症状の発症後に投与される。いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、神経学的疾患の進行を阻害するために投与される。いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、神経学的疾患の1つ以上の異なる段階を治療するために使用される。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である。
【0140】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である。
【0141】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である。
【0142】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HIF1-α阻害剤である。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路を阻害しない。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である。
【0143】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである。
【0144】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である。
【0145】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である。
【0146】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、KAN0436151もしくはKAN0436067、またはそれらの塩である。
【0147】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、AZ67、またはその塩である。
【0148】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067もしくはBrAcNHErOP、またはそれらの塩の構造を有する。いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1Eに示す、式AZ44~AZ70もしくはAZ71、またはそれらの塩の構造を有する。
【0149】
いくつかの実施形態では、神経学的疾患を治療するために本明細書に提供される方法は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を対象に共投与することによって行われる。
【0150】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口投与される。いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経粘膜投与、シロップ剤、局所投与、非経口投与、注射、皮下投与、直腸投与、頬側投与または経皮投与によって投与される。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って神経学的疾患を治療することは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤で治療する前の対象と比較して、対象における神経学的疾患の1つ以上の症状を軽減することを含む。いくつかの実施形態では、神経学的疾患の1つ以上の軽減される症状は、物忘れ、認知障害、人格変化、うつ状態、気分変動、不安定歩行、不随意舞踏病、単収縮及び痙攣した動きならびに震え、認知症、不明瞭な発語、よだれ、判断力の低下、嚥下困難、筋肉の硬直、姿勢及び平衡感覚の障害;自動的な動作の喪失、筆記の困難、神経細胞及び/または組織のアポトーシス/破壊/数及び/または機能の喪失の減少;神経細胞及び/または組織(例えば、ニューロン)の生存の増加;神経変性の軽減または遅延;運動機能の回復;神経細胞/組織及び/または周囲の細胞/組織に対する長期的な損傷の軽減;神経細胞/組織の炎症の減少;神経細胞/組織の酸化ストレスの軽減;行動反射の改善、ならびに生存/生存期間の延長から選択される。いくつかの実施形態では、神経学的疾患の1つ以上の症状は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される。
【0152】
神経学的疾患を特定し監視するための神経学的検査は、当技術分野で公知である。神経学的疾患の診断、治療、予防、及び進行は、当技術分野で公知の様々な技術を使用して日常的に評価することができる。いくつかの実施形態では、神経学的疾患の治療は、上記の症状の1つ以上を軽減または除去することを含む。いくつかの実施形態では、治療は、治療を必要とする対象における、神経細胞もしくは神経組織のアポトーシス、炎症、及び/または虚血再灌流損傷のうちの1つ以上を軽減または除去することを含む。いくつかの実施形態では、治療は、治療を必要とする対象における、認知障害、運動障害、及び/または感覚障害を軽減または除去することを含む。
【0153】
本明細書で使用される場合、「神経学的検査」という用語は、神経学的活動を確認及び/または測定するのに有用な、現在既知または未知の任意の検査を指し、解剖学的検査、機能検査、及び生化学アッセイを包含する。神経学的検査の例としては、CATスキャン、核磁気共鳴(MRI)、経頭蓋ドプラ法、神経超音波検査、脳波(EEG)、SPECTスキャン、コンピュータ断層撮影(CT)、正電気サブ放射型コンピュータ断層撮影法(PET)、拡散強調画像法(DWI)、ならびに精神状態、脳神経、運動系、感覚系、深部腱反射、協調及び歩行のより定性的な試験が挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って神経学的疾患を治療することは、対象における1つ以上の認知障害、行動障害、及び/または身体障害を軽減する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って神経学的疾患を治療することは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤で治療する前の対象と比較して、対象における1つ以上の神経学的パラメータを増加させるか、または改善することを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の改善される神経学的パラメータは、認知及び/または記憶の障害;平衡感覚、協調及び/または歩行の障害;反射の障害;震え、単収縮及び/または痙攣した動き;気分変動;認知症;発語及び/または筆記の障害;ならびに神経細胞の喪失から選択される。これらの神経学的パラメータのそれぞれは、本明細書に記載の技術、または当技術分野で公知の技術を使用して日常的に監視することができる。
【0155】
いくつかの実施形態では、提供される組成物の投与は、(i)認知の改善、及び/または(ii)認知障害の治療及び/または予防において用途を有する。いくつかの実施形態では、提供される組成物の投与は、対象における(i)認知の改善、及び/または(ii)認知機能不全の治療及び/または予防において用途を有する。ヒト対象における認知機能は、例えば、RAVLT認知テスト、Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status、またはカリフォルニア言語学習テストを含む、当技術分野で公知の方法を使用して日常的に決定することができる。いくつかの実施形態では、対象の認知は、ウェクスラー記憶検査[WMS]-言語対連合(VPA)試験、Rey聴覚性言語学習検査リコール[RAVLTリコール]、認知テスト、WMS数唱テスト、統制発語連合テスト[COWAT]、意味流暢性テスト、トレイルメイキングテスト[TMT]、オリエンテーションタスク、ADAS-cogテスト、または文字数字置換テストを使用して評価される。
【0156】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、神経学的疾患を予防、軽減、または遅延させる。いくつかの実施形態では、提供される方法は、神経学的疾患を発症するリスクがある対象に投与される。そのような対象では、神経学的疾患の予防は、神経学的疾患の典型的な特徴の欠如によって監視され得る。例えば、有効量のHIF1-α阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤が予防的に投与された対象は、以下の症状:認知及び/または記憶の障害;平衡感覚、協調及び/または歩行の障害;反射の障害;震え、単収縮及び/または痙攣した動き;気分変動;認知症;発語及び/または筆記の障害;ならびに神経細胞の喪失のうちの1つ以上を経験しない可能性があるか、またはその発生率の低下を経験する可能性がある。
【0157】
追加の実施形態では、提供される方法は、追加の治療薬を対象に更に投与することを含む。
【0158】
神経変性疾患
神経変性疾患は、機能的な神経組織の進行性、通常は段階的な喪失によって特徴付けられる中枢神経系の障害である。パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病などの神経変性疾患は、世界中で何百万人もの人々に影響を及ぼしている。現在、米国だけでも、100万人近くの人々がパーキンソン病を患って暮らしている。現在のところ治療法は知られていないが、手術及び投薬を含む治療法の選択肢が症状を管理するために利用可能である。
【0159】
一実施形態では、本開示は、神経変性疾患を治療することを必要とする対象における、神経変性疾患を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法を提供する。
【0160】
一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される。一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている。一実施形態では、対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている。
【0161】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、フリートライヒ運動失調症、前頭側頭葉変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、または認知症である。
【0162】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される神経変性疾患は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、またはハンチントン病(HD)である。特定の実施形態では、治療される神経変性疾患はADである。特定の実施形態では、治療される神経変性疾患はPDである。特定の実施形態では、治療される神経変性疾患はHDである。
【0163】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、フリートライヒ運動失調症、及び前頭側頭葉変性症から選択される。特定の実施形態では、治療される神経変性疾患はALSである。
【0164】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される神経変性疾患は、認知症である。更なる実施形態では、治療される認知症は、AD型老年認知症(SDAT)、血管性認知症、レビー小体型認知症、または拳闘家認知症である。
【0165】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される対象は、神経変性疾患を患うリスクがある。いくつかの実施形態では、提供される方法は、神経変性疾患の予防的治療として行われる。
【0166】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、神経変性疾患を発症するリスクがある対象、例えば、神経変性疾患の発症に関連する1つ以上の危険因子を有する対象において、神経変性疾患を予防する。いくつかの実施形態では、対象は、55歳以上、喫煙、肥満、糖尿病、心臓病、高血圧、脳卒中、心筋梗塞、神経変性疾患の家族歴、メタボリックシンドローム、溶媒への曝露、農薬への曝露、頭部損傷または脳外傷から選択される1つ以上の危険因子を有する。
【0167】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される対象は、神経変性疾患を患っているか、または神経変性疾患を患っていると診断されている。神経変性疾患の発症は、認知試験、行動反射試験を含む機能試験;平衡感覚、協調及び歩行試験、ならびに深部腱反射試験;精神状態、脳神経、運動系、感覚系の定性試験;生化学アッセイ;神経及び筋肉の生検;ならびにコンピュータ軸断層撮影(CAT)スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)、核磁気共鳴(MRI)、経頭蓋ドプラ法、神経超音波検査、脳波(EEG)、SPECTスキャン、正電気サブ放射型コンピュータ断層撮影法(PET)、または拡散強調画像法(DWI)などの当技術分野で公知の標準的な臨床技術を使用して日常的に検出及び評価することができる。
【0168】
いくつかの実施形態では、本開示は、神経変性疾患の発症前、例えば、神経変性疾患の1つ以上の症状の発症前に、本明細書に提供される組成物を対象に投与することによって、神経変性疾患の発症を予防、阻害、または遅延させる方法及び組成物を提供する。いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、神経変性疾患の1つ以上の症状の発症前に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って神経変性疾患を治療することは、神経変性疾患の1つ以上の症状の発症を遅延させることを含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、神経変性疾患の1つ以上の症状の発症後に投与される。いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、神経変性疾患の進行を阻害するために投与される。いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、神経変性疾患の1つ以上の異なる段階を治療するために使用される。
【0170】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である。
【0171】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である。
【0172】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である。
【0173】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HIF1-α阻害剤である。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路を阻害しない。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である。
【0174】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである。
【0175】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である。
【0176】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である。
【0177】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、KAN0436151もしくはKAN0436067、またはそれらの塩である。
【0178】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、AZ67、またはその塩である。
【0179】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067もしくはBrAcNHErOP、またはそれらの塩の構造を有する。いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1Eに示す、式AZ44~AZ70もしくはAZ71、またはそれらの塩の構造を有する。
【0180】
いくつかの実施形態では、神経変性疾患を治療するために本明細書に提供される方法は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を対象に共投与することによって行われる。
【0181】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口投与される。いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経粘膜投与、シロップ剤、局所投与、非経口投与、注射、皮下投与、直腸投与、頬側投与または経皮投与によって投与される。
【0182】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って神経変性疾患を治療することは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤で治療する前の対象と比較して、対象における神経変性疾患の1つ以上の症状を軽減することを含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、神経変性疾患の1つ以上の軽減される症状は、物忘れ、認知障害、人格変化、うつ状態、気分変動、不安定歩行、単収縮及び痙攣した動きならびに震え、認知症、不明瞭な発語、よだれ、判断力の低下、嚥下困難、筋肉の硬直、姿勢及び平衡感覚の障害;自動的な動作の喪失、筆記の困難、神経細胞及び/または組織のアポトーシス/破壊/数及び/または機能の喪失の減少;神経細胞及び/または組織(例えば、ニューロン)の生存の増加;神経変性の軽減または遅延;運動機能の回復;神経細胞/組織及び/または周囲の細胞/組織に対する長期的な損傷の軽減;神経細胞/組織の炎症の減少;神経細胞/組織の酸化ストレスの軽減;行動反射の改善、ならびに生存/生存期間の延長から選択される。いくつかの実施形態では、神経変性疾患の1つ以上の症状は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される。
【0184】
神経変性疾患の治療及び/または予防は、当技術分野で日常的に使用される様々な手段によって測定できる。いくつかの実施形態では、治療は、上記の症状の1つ以上を軽減または除去することを含む。いくつかの実施形態では、治療は、神経変性疾患を患っている対象における、神経細胞もしくは組織のアポトーシスもしくは炎症のうちの1つ以上を軽減もしくは除去すること、または認知障害、運動障害及び/または感覚障害を軽減もしくは除去することを含む。
【0185】
神経変性疾患を特定し監視するための神経学的検査は、当該技術分野で公知である。本明細書で使用される場合、「神経学的検査」という用語は、神経学的活動を確認及び/または測定するのに有用な、現在既知または未知の任意の検査を指し、解剖学的検査、機能検査、及び生化学アッセイを包含する。神経学的検査の例としては、CATスキャン、核磁気共鳴(MRI)、経頭蓋ドプラ法、神経超音波検査、脳波(EEG)、SPECTスキャン、コンピュータ断層撮影(CT)、正電気サブ放射型コンピュータ断層撮影法(PET)、拡散強調画像法(DWI)、ならびに精神状態、脳神経、運動系、感覚系、深部腱反射、協調及び歩行のより定性的な試験が挙げられるが、これらに限定されない。
【0186】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って神経変性疾患を治療することは、対象における1つ以上の認知障害、行動障害、及び/または身体障害を軽減する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って神経変性疾患を治療することは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤で治療する前の対象のパラメータと比較して、対象における1つ以上の神経学的パラメータを増加させるか、または改善することを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の改善される神経学的パラメータは、認知及び/または記憶の障害;平衡感覚、協調及び/または歩行の障害;反射の障害;震え、単収縮及び/または痙攣した動き;気分変動;認知症;発語及び/または筆記の障害;ならびに神経細胞の喪失から選択される。これらのパラメータは、本明細書に記載の日常的な技術、または当技術分野で公知の技術によって監視することができる。
【0187】
いくつかの実施形態では、提供される組成物の投与は、(i)認知の改善、及び/または(ii)認知障害の治療及び/または予防において用途を有する。いくつかの実施形態では、提供される組成物の投与は、対象における(i)認知の改善、及び/または(ii)認知機能不全の治療及び/または予防において用途を有する。ヒト対象における認知機能は、例えば、RAVLT認知テスト、Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status、またはカリフォルニア言語学習テストを含む、当技術分野で公知の方法を使用して日常的に決定することができる。いくつかの実施形態では、対象の認知は、ウェクスラー記憶検査[WMS]-言語対連合(VPA)試験、Rey聴覚性言語学習検査リコール[RAVLTリコール]、認知テスト、WMS数唱テスト、統制発語連合テスト[COWAT]、意味流暢性テスト、トレイルメイキングテスト[TMT]、オリエンテーションタスク、ADAS-cogテスト、または文字数字置換テストを使用して評価される。
【0188】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、神経変性疾患を予防、軽減、または遅延させる。この方法は、神経変性疾患を発症するリスクがある患者に施すことができる。そのような対象では、神経変性疾患の予防は、神経変性疾患の典型的な特徴の欠如によって監視され得る。例えば、有効量のHIF1-α阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤が予防的に投与された対象は、以下の症状:認知及び/または記憶の障害;平衡感覚、協調及び/または歩行の障害;反射の障害;震え、単収縮及び/または痙攣した動き;気分変動;認知症;発語及び/または筆記の障害;ならびに神経細胞の喪失のうちの1つ以上を経験しない可能性があるか、またはその発生率の低下を経験する可能性がある。
【0189】
追加の実施形態では、提供される方法は、追加の治療薬を対象に更に投与することを含む。
【0190】
アルツハイマー病
アルツハイマー病(AD)は加齢性神経変性疾患であり、現在、認知症の最も一般的な原因である。臨床的に、ADは、脳の皮質連合領域の関与に起因する言語障害(発話のいずれかの理解に障害がある言語障害)、統合運動障害(運動障害または感覚障害がないにもかかわらず、特定の目的のある動き及びジェスチャーを調整して実行する能力障害)、及び認知障害(物体、人、音、形、または匂いを認識する能力)と共に記憶欠損を伴う認知機能の進行性の低下によって特徴付けられる。ADの例示的な臨床症状には、軽度の物忘れ、簡単な数学の問題を解くのが難しい、簡単な作業のやり方を覚えるのが難しい、明確に考えることができない;話すこと、理解すること、読むこと、もしくは書くことの困難;混乱、易刺激性、気分変動、不安、攻撃性、または家から徘徊する傾向が挙げられる。
【0191】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象におけるアルツハイマー病(AD)を治療するための方法及び組成物を提供し、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法及び前記組成物を提供する。
【0192】
一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される。一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている。一実施形態では、対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている。
【0193】
いくつかの実施形態では、対象は、ADを患うリスクがある。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法(例えば、上記(a)~(c)のいずれか)は、ADの予防的治療として行われる。
【0194】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、ADを発症するリスクがある対象、例えば、ADの発症に関連する1つ以上の危険因子を有する対象において、ADを予防する。いくつかの実施形態では、対象は、65歳以上、喫煙、アルコール、ADの家族歴、頭部損傷または脳外傷、糖尿病、及び心疾患から選択される1つ以上の危険因子を有する。
【0195】
いくつかの実施形態では、対象は、ADを患っている。いくつかの実施形態では、対象は、ADを患っていると診断されている。ADは、例えば、病歴、精神状態の検査、身体検査及び神経学的検査、診断検査、ならびにADを診断するための脳画像検査を含む、当技術分野で公知の任意の技術を使用して医師によって診断され得る。
【0196】
いくつかの実施形態では、本開示は、ADの発症前、例えば、ADの1つ以上の症状の発症前に、対象に投与することによって、ADの発症を予防、阻害、または遅延させる方法及び組成物を提供する。ADの最も一貫した危険因子の中には、年齢、性別、民族、及びADの家族歴がある。
【0197】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、ADの1つ以上の症状の発症前に投与される。いくつかの実施形態では、対象は、以下:日常生活に支障をきたす記憶喪失、問題を計画もしくは解決することが困難、慣れ親しんだ作業を完了するのが難しい、時間もしくは場所の混乱、視覚的なイメージと空間的関係を理解するのが難しい、話すこともしくは書くことにおける言葉に関する新たな問題、物の置き場所を誤ること及び工程を後戻りする能力の喪失、判断力の低下もしくは不良な判断力、仕事もしくは社会活動からの退出、または気分及び性格の変化のうちの少なくとも1つを示す。いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、記憶障害、混乱、ならびに話すこと及び/または問題解決の困難さの発生率、重症度、またはレベルを軽減し得る。いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、精神認知状態検査(例えば、ミニメンタルステート検査(MMSE)またはMini-Cog検査)を使用して測定される、対象の認知状態を改善する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従ってADを治療することは、ADの1つ以上の症状の発症を遅延させることを含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、ADの1つ以上の症状の発症後に投与される。いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、ADの異なる段階を治療するために使用され得る。
【0199】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である。
【0200】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である。
【0201】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である。
【0202】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HIF1-α阻害剤である。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路を阻害しない。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である。
【0203】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである。
【0204】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である。
【0205】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である。
【0206】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、KAN0436151もしくはKAN0436067、またはそれらの塩である。
【0207】
【0208】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、AZ67、またはその塩である。
【0209】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067もしくはBrAcNHErOP、またはそれらの塩の構造を有する。いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1Eに示す、式AZ44~AZ70もしくはAZ71、またはそれらの塩の構造を有する。
【0210】
いくつかの実施形態では、ADを治療するために本明細書に提供される方法は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を対象に共投与することによって行われる。
【0211】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従ってADを治療することは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤で治療する前の対象と比較して、対象におけるADの1つ以上の症状を軽減することを含む。いくつかの実施形態では、ADの1つ以上の軽減される症状は、日常生活に支障をきたす記憶喪失、問題を計画もしくは解決することが困難、慣れ親しんだ作業を完了するのが難しい、時間もしくは場所の混乱、視覚的なイメージと空間的関係を理解するのが難しい、話すこともしくは書くことにおける言葉に関する新たな問題、物の置き場所を誤ること及び工程を後戻りする能力の喪失、判断力の低下もしくは不良な判断力、仕事もしくは社会活動からの退出、または気分及び性格の変化から選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従ってADを治療することは、例えば、精神認知状態検査(例えば、ミニメンタルステート検査(MMSE)またはMini-Cog検査)を使用して測定される、精神認知状態の改善によって示される。いくつかの実施形態では、精神認知状態の改善は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対応する検査における対象の認知スコアと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%の精神認知状態検査のスコアの改善によって示される。
【0212】
ADの治療は、当技術分野で公知の技術を使用する様々な手段によって測定することができる。いくつかの実施形態では、治療は、対象における以下のAD症状:物忘れ、簡単な数学の問題を解くのが難しい、簡単な作業のやり方を覚えるのが難しい、明確に考えることができない;話すこと、理解すること、読むこと、もしくは書くことの困難;混乱、易刺激性、気分変動、不安、攻撃性、または家から徘徊する傾向のうちの1つ以上を軽減することを含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従ってADを治療することは、生活の質の維持/改善、日常活動における機能の最大化、認知の強化、対象の気分の改善、及び対象の行動の改善から選択される、1つ以上のパラメータを増加させることを含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、ADを予防する。この方法は、ADを発症するリスクがある患者に施すことができる。このような対象では、ADの予防は、ADの典型的な特徴の欠如によって監視され得る。例えば、有効量のHIF1-α阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤が予防的に投与された対象は、以下の症状:日常生活に支障をきたす記憶喪失、問題を計画もしくは解決することが困難、慣れ親しんだ作業を完了するのが難しい、時間もしくは場所の混乱、視覚的なイメージと空間的関係を理解するのが難しい、話すこともしくは書くことにおける言葉に関する新たな問題、物の置き場所を誤ること及び工程を後戻りする能力の喪失、判断力の低下もしくは不良な判断力、仕事もしくは社会活動からの退出、もしくは気分及び性格の変化のうちの1つ以上を経験しない可能性があるか、またはその発生率の低下を経験する可能性がある。
【0215】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、ADの発症を遅延させる。したがって、提供される方法は、ADの平均発症を、最初の糖尿病診断から5年超、10年超、11年超、12年超、13年超、14年超、15年超、16年超、17年超、18年超、19年超、または20年超遅延させる。
【0216】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、ADの1つ以上の症状を減少、軽減、重症度を軽減、または逆転させる。いくつかの実施形態では、抗HIF1-α抗体及び/または抗PFKFB3抗体またはその抗原結合断片によりADを治療する方法は、ADの以下の症状:日常生活に支障をきたす記憶喪失、問題を計画もしくは解決することが困難、慣れ親しんだ作業を完了するのが難しい、時間もしくは場所の混乱、視覚的なイメージと空間的関係を理解するのが難しい、話すこともしくは書くことにおける言葉に関する新たな問題、物の置き場所を誤ること及び工程を後戻りする能力の喪失、判断力の低下もしくは不良な判断力、仕事もしくは社会活動からの退出、もしくは気分及び性格の変化のうちの1つ以上を減少、軽減、重症度を軽減または逆転させる可能性がある。
【0217】
追加の実施形態では、提供される方法は、追加の治療薬を対象に更に投与することを含む。一実施形態では、追加投与される治療薬は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤である。一実施形態では、追加投与される治療薬は、NMDA受容体アンタゴニストである。別の実施形態では、追加投与される治療薬は、メマンチンである。
【0218】
パーキンソン病
パーキンソン病(PD)は、中脳の領域である黒質のドーパミン生成(DA)ニューロンの死によって生じる、中枢神経系の変性疾患である。PDは100万人近くの米国人に影響を及ぼしており、米国では毎年5万人が新たに診断されている。PDは、アルツハイマー病に次いで2番目に多い神経変性疾患である。PDの有病率は、先進国では全人口の約0.3%である。遺伝的に関連する家族性PDは早期に発症する(20歳から50歳の間)が、より一般的な孤発性PDは50歳以降に発生(平均57±11歳)する。
【0219】
PDの主な運動症状は、総称してパーキンソニズム、または「パーキンソン症候群」と呼ばれる。PDの過程の初期において、最も明白な症状は、震え、固縮、姿勢の不安定、動きの遅さ、歩行困難、歩行障害、及び転倒傾向などの運動関連である。その後、認知上及び行動上の問題が発生する可能性があり、一般的に病気の進行段階では認知症が発生する。
【0220】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象におけるPDを治療するための方法及び組成物を提供し、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法及び前記組成物を提供する。
【0221】
一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される。一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている。一実施形態では、対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている。
【0222】
いくつかの実施形態では、対象は、PDを患うリスクがある。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法(例えば、上記(a)~(c)のいずれか)は、PDの予防的治療として行われる。
【0223】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、PDを発症するリスクがある対象、例えば、PDの発症に関連する1つ以上の危険因子を有する対象において、PDを予防する。いくつかの実施形態では、対象は60歳以上の男性であり、及び/または除草剤または農薬に継続的に曝露されている。
【0224】
いくつかの実施形態では、本開示は、PDの発症前、例えば、PDの1つ以上の症状の発症前に、対象に投与することによって、PDの発症を予防、阻害、または遅延させる方法及び組成物を提供する。
【0225】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、PDの1つ以上の症状の発症前に投与される。いくつかの実施形態では、提供される方法は、PDを予防する。この方法は、PDを発症するリスクがある患者に施すことができる。このような対象では、PDの予防は、PDの典型的な特徴の欠如によって監視され得る。例えば、有効量のHIF1-α阻害剤及びPFKFB3阻害剤が予防的に投与された対象は、以下の症状:震え(または、例えば、手足、多くの場合、手や指の揺れ)、動作の遅さ(運動緩慢)、筋肉の硬直、姿勢及び平衡感覚の障害、自動的な動作の喪失、話し言葉の変化、または筆記の困難のうちの1つ以上を経験しない可能性があるか、またはその発生率の低下を経験する可能性がある。
【0226】
いくつかの実施形態では、対象は、PDを患っていると診断されている。現在、パーキンソン病用の単一の検査またはスキャンはないが、運動緩慢(動きの遅さ)及び震えまたは固縮は、医師が診断を下すのに役立つ明らかな症状である。
【0227】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、PDの1つ以上の症状の発症後に投与される。PDの進行には5つの段階がある。いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、PDの異なる段階を治療するために使用され得る。
【0228】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である。
【0229】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である。
【0230】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である。
【0231】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HIF1-α阻害剤である。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路を阻害しない。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である。
【0232】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである。
【0233】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である。
【0234】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である。
【0235】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、KAN0436151もしくはKAN0436067、またはそれらの塩である。
【0236】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、AZ67、またはその塩である。
【0237】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067もしくはBrAcNHErOP、またはそれらの塩の構造を有する。いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1Eに示す、式AZ44~AZ70もしくはAZ71、またはそれらの塩の構造を有する。
【0238】
いくつかの実施形態では、PDを治療するために本明細書に提供される方法は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を対象に共投与することによって行われる。
【0239】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従ってPDを治療することは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤で治療する前の対象と比較して、対象におけるPDの1つ以上の症状を軽減することを含む。いくつかの実施形態では、PDの1つ以上の軽減される症状は、震え(または、例えば、手足、多くの場合、手や指の揺れ)、動作の遅さ(運動緩慢)、筋肉の硬直、姿勢及び平衡感覚の障害、自動的な動作の喪失、話し言葉の変化、筆記の困難から選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従ってPDを治療することは、例えば、精神認知状態検査(例えば、ミニメンタルステート検査(MMSE)またはMini-Cog検査)を使用して測定される、精神認知状態の改善によって示される。いくつかの実施形態では、1つ以上のPDの症状。いくつかの実施形態では、精神認知状態の改善は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対応する検査における対象の認知スコアと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%の精神認知状態検査のスコアの改善によって示される。
【0240】
PDの治療は、当技術分野で公知の技術を使用する様々な手段によって測定することができる。いくつかの実施形態では、治療は、対象における以下のPDの症状:震え(または、例えば、手足、多くの場合、手や指の揺れ)、動作の遅さ(運動緩慢)、筋肉の硬直、姿勢及び平衡感覚の障害、自動的な動作の喪失、話し言葉の変化、ならびに筆記の困難のうちの1つ以上を軽減することを含む。
【0241】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従ってPDを治療することは、筋肉の硬直の減少、歩行能力の改善、不随意運動の減少、疲労の減少、めまいの減少、睡眠の改善、生活の質の維持/改善、日常活動における機能の最大化、認知の強化、対象の気分の改善、及び対象の行動の改善から選択される、1つ以上のパラメータを増加/改善することを含む。
【0242】
追加の実施形態では、提供される方法は、追加の治療薬を対象に更に投与することを含む。一実施形態では、追加投与される治療薬は、ドーパミンアゴニストである。更なる実施形態では、追加投与される治療薬は、レボドパである。
【0243】
ハンチントン病
ハンチントン病(HD)は、舞踏病、固縮、身もだえする動き、身体的不安定;咀嚼、嚥下及び発話の困難、睡眠障害、認知機能障害、記憶欠損、不安、うつ状態、攻撃性、強迫行動を含み得る症状を伴う、重篤かつ進行性の遺伝性神経変性疾患である。ハンチントン病の身体症状は、通常、35歳から44歳の間に発生する。平均余命は、身体症状が発症してから約20年である。
【0244】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象におけるハンチントン病(HD)を治療するための方法及び組成物を提供し、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法及び前記組成物を提供する。
【0245】
一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される。一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている。一実施形態では、対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている。
【0246】
いくつかの実施形態では、対象は、HDを患うリスクがある。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法(例えば、上記(a)~(c)のいずれか)は、HDの予防的治療として行われる。
【0247】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、HDの1つ以上の症状の発症前に投与される。いくつかの実施形態では、本開示は、HDの発症前、例えば、HDの1つ以上の症状の発症前に、対象に投与することによって、HDの発症を予防、阻害、または遅延させる方法及び組成物を提供する。
【0248】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、HDを発症するリスクがある対象、例えば、HDの発症に関連する1つ以上の危険因子を有する対象において、HDを予防する。いくつかの実施形態では、対象は、HDの家族歴、またはHTT遺伝子の変異(例えば、CAGリピート変異)を有する。
【0249】
いくつかの実施形態では、対象は、HDを患っているか、またはPDを患っていると診断されている。HDの予備的HD診断は通常、一般的な身体検査、家族の病歴の審査、ならびに神経学的検査及び/または精神医学的検査によって行われる。
【0250】
いくつかの実施形態では、本開示は、HDの発症前、例えば、HDの1つ以上の症状の発症前に、対象に本明細書で提供される組成物を投与することによって、HDの発症を予防、阻害、または遅延させる方法及び組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従ってHDを治療することは、HDの1つ以上の症状の発症を遅延させることを含む。
【0251】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、HDを予防する。この方法は、HDを発症するリスクがある患者に施すことができる。このような対象では、HDの予防は、HDの典型的な特徴の欠如によって監視され得る。例えば、有効量のHIF1-α阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤が予防的に投与された対象は、以下の症状:人格変化、うつ状態、気分変動、不安定歩行、不随意舞踏病、単収縮及び痙攣した動きならびに震え、認知症、不明瞭な発語、判断力の低下、嚥下困難、ならびに酩酊した外観のうちの1つ以上を経験しない可能性があるか、またはその発生率の低下を経験する可能性がある。
【0252】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、HDの1つ以上の症状の発症後に投与される。
【0253】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、HDの異なる段階を治療するために使用され得る。ハンチントン病の症状は通常約30~50歳の間に現れ、疾患は通常10~25年の期間にわたって進行する。この病気の特徴及び症状には、人格変化、うつ状態、気分変動、不安定歩行、不随意舞踏病、単収縮及び痙攣した動きならびに震え、認知症、不明瞭な発語、判断力の低下、嚥下困難、ならびに酩酊した外観が含まれる。ハンチントン病の症状が現れると、病気の経過は大まかに3つの段階(初期、中期及び後期)にわけられ、合計で10~30年続く。HDの初期段階では、患者は通常の活動のほとんどを実行でき、不随意運動は一般に軽度で、言語は通常明瞭で、認知症はある場合でも軽度である。初期段階では、患者は、わずかに制御不能な動き、つまずき及びぎこちなさ、集中力の欠如、短期記憶力の衰え及びうつ状態、ならびに気分変動を示すことがある。
【0254】
HDの中期段階では、患者の障害は更に増し、通常は普通の日常生活の一部に援助が必要になる。HDの中期段階では、転倒、体重減少及び嚥下困難が問題となる可能性があり、認知症及び制御不能な動きがより顕著になる。
【0255】
HDの後期段階では、患者は、ほぼ完全な介護が必要なところまで悪化する。この段階に達すると、歩くことも話すこともできなる可能性があり、不随意運動がより強固になり、多くの場合、周囲の状況に気づかなく、食べ物を飲み込むことができない。
【0256】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、HDの初期段階中に対象に投与される。いくつかの実施形態では、提供される方法は、HDの中期段階中に対象に投与される。いくつかの実施形態では、提供される方法は、HDの後期段階中に対象に投与される。
【0257】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される対象は、HDの以下の症状:集中力の困難さ、記憶力の衰え、うつ状態、つまずき及びぎこちなさ、または易刺激性及び攻撃的行動などの気分変動のうちの少なくとも1つを示す。いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、記憶障害、混乱、ならびに話すこと及び/または問題解決の困難さの発生率、重症度、またはレベルを軽減し得る。いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、精神認知状態検査(例えば、ミニメンタルステート検査(MMSE)またはMini-Cog検査)を使用して測定される、対象の認知状態を改善する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従ってHDを治療することは、HDの1つ以上の症状の発症を遅延させることを含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である。
【0259】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である。
【0260】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である。
【0261】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HIF1-α阻害剤である。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路を阻害しない。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である。
【0262】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである。
【0263】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である。
【0264】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である。
【0265】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、KAN0436151もしくはKAN0436067、またはそれらの塩である。
【0266】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、AZ67、またはその塩である。
【0267】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067もしくはBrAcNHErOP、またはそれらの塩の構造を有する。いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1Eに示す、式AZ44~AZ70もしくはAZ71、またはそれらの塩の構造を有する。
【0268】
いくつかの実施形態では、HDを治療するために本明細書に提供される方法は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を対象に共投与することによって行われる。
【0269】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従ってHDを治療することは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤で治療する前の対象と比較して、対象におけるHDの1つ以上の症状を軽減することを含む。いくつかの実施形態では、HDの1つ以上の軽減された症状は、人格変化、うつ状態、気分変動、不安定歩行、不随意舞踏病、単収縮及び痙攣した動きならびに震え、認知症、不明瞭な発語、判断力の低下、嚥下困難、ならびに酩酊した外観から選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従ってHDを治療することは、例えば、精神認知状態検査(例えば、ミニメンタルステート検査(MMSE)またはMini-Cog検査)を使用して測定される、精神認知状態の改善によって示される。いくつかの実施形態では、1つ以上のHDの症状。いくつかの実施形態では、精神認知状態の改善は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対応する検査における対象の認知スコアと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%の精神認知状態検査のスコアの改善によって示される。
【0270】
HDの治療は、当技術分野で公知の技術を使用する様々な手段によって測定することができる。いくつかの実施形態では、治療は、対象における以下のHDの症状:人格変化、うつ状態、気分変動、不安定歩行、不随意舞踏病、単収縮及び痙攣した動きならびに震え、認知症、不明瞭な発語、判断力の低下、嚥下困難、ならびに酩酊した外観のうちの1つ以上を軽減することを含む。
【0271】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従ってHDを治療することは、生活の質の維持/改善、日常活動における機能の最大化、認知の強化、対象の気分の改善、及び対象の行動の改善から選択される、1つ以上のパラメータを増加させることを含む。
【0272】
追加の実施形態では、提供される方法は、追加の治療薬を対象に更に投与することを含む。一実施形態では、追加投与される治療薬は、テトラベナジンである。
【0273】
神経外傷
いくつかの実施形態において、本開示は、神経外傷(例えば、外傷性脳損傷、脳卒中、脳出血または脊髄出血、脳梗塞、及び脊髄損傷)を治療するための方法及び組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、神経外傷(NT)を治療することを必要とする対象における、神経外傷(NT)を治療するための方法及び組成物を提供し、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法及び前記組成物を提供する。
【0274】
一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される。一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている。一実施形態では、対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている。
【0275】
いくつかの実施形態では、対象は、NTを患うリスクがある。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法(例えば、上記(a)~(c)のいずれか)は、NTの予防的治療として行われる。いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、NTを発症するリスクがある対象において、NTを予防する。外傷のリスクがある対象には、手術を受けようとしている対象、戦闘(例えば、軍事戦闘)、コンタクトスポーツ(例えば、ラグビー、サッカー、ボクシング及び総合格闘技)、及び事故(例えば、自動車事故)に関与する対象が含まれる。
【0276】
いくつかの実施形態では、対象は、NTを患っているか、またはNTを患っていると診断されている。NTは、例えば、バイオマーカー検査、臨床反応検査、コンピュータ断層撮影法(CT)、及び磁気共鳴画像法(MRI)を含む当技術分野で公知の任意の技術を使用して医師によって診断され得る。
【0277】
患者は、例えば、医師の検査後、NTと一致する神経学的症状(運動、感覚、認知)及び/または放射線学的評価(MRI、CTスキャン、X線)に基づいて、NT損傷を患っていると疑われる場合がある。いくつかの実施形態では、NT、特に脊髄損傷を患っていると疑われる患者は、米国脊髄損傷協会(ASIA)機能障害尺度でAまたはBの評価を有し得る。ASIA機能障害尺度は、患者の運動機能と感覚機能を評価する標準的な診断ツールである。
【0278】
いくつかの実施形態では、神経外傷の診断には、対象からの生体試料中の神経外傷に関連するバイオマーカーの増加の測定が含まれる。いくつかの実施形態では、対象の生体試料中の増加したバイオマーカーは、アルドラーゼC(ALDOC)、脳脂質結合タンパク質(BLBP/FABP7)、ALDOCまたはBLBP/FABP7の外傷特異的分解生成物(BDP)、アポリポタンパク質B(APOB)、プロスタグランジン合成酵素(PTGDS)、グルタミン合成酵素(GS)、アストロサイトリンタンパク質PEA-15(PEA15)、αB-クリスタリン(CRYAB/HSP27)、ユビキチンC末端加水分解酵素(UCH-L1)、グリア線維酸性タンパク質(GFAP)、pNF-H、LPA、LPA代謝物、SBDP150、SBDP150i、SBDP145、SBDP120、MAP2、NLRP1(NALP-1)、ASC、カスパーゼ-1、及び12-HETEから選択される少なくとも1つである。
【0279】
本明細書で使用される場合、「生体試料」とは、患者または対象から得られる任意の体液または組織を指す。生体試料には、全血、赤血球、血漿、血清、末梢血単核球(PBMC)、尿、唾液、涙、口腔内スワブ、脳脊髄液(CSF)、CNS微小透析液、及び神経組織が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、生体試料は、CSF、唾液、血清、血漿、または尿である。特定の実施形態では、生体試料はCSFである。
【0280】
いくつかの実施形態では、本開示は、NTの発症前、例えば、NTの1つ以上の症状の発症前に、対象に投与することによって、NTの発症を予防、阻害、または遅延させる方法及び組成物を提供する。
【0281】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、NTを予防する。この方法は、NTを発症するリスクがある患者に施すことができる。このような対象では、NTの予防は、NTの典型的な特徴の欠如によって監視され得る。例えば、有効量のHIF1-α阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤が予防的に投与された対象は、以下の症状:身体能力の障害、四肢の運動能力の障害、筋肉群を調整する能力の障害、感覚機能の障害、認知能力の障害、頭痛及び/またはめまいのうちの1つ以上を経験しない可能性があるか、またはその発生率の低下を経験する可能性がある。
【0282】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、NTの1つ以上の症状の発症後に投与される。いくつかの実施形態では、提供される方法は、神経細胞または神経組織への損傷を軽減する、神経細胞または神経組織の炎症を軽減する、神経細胞または神経組織の神経変性または死を軽減する、神経細胞または神経組織の機能を改善する、自発運動の改善など神経細胞または神経組織の機能回復を改善する。いくつかの実施形態では、提供される方法は、精神認知状態検査(例えば、ミニメンタルステート検査(MMSE)またはMini-Cog検査)を使用して測定される、対象の認知状態を改善する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従ってNTを治療することは、NTの1つ以上の症状の発症を遅延させることを含む。
【0283】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である。
【0284】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である。
【0285】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である。
【0286】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HIF1-α阻害剤である。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路を阻害しない。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である。
【0287】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである。
【0288】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である。
【0289】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である。
【0290】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、KAN0436151もしくはKAN0436067、またはそれらの塩である。
【0291】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、AZ67、またはその塩である。
【0292】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067もしくはBrAcNHErOP、またはそれらの塩の構造を有する。いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1Eに示す、式AZ44~AZ70もしくはAZ71、またはそれらの塩の構造を有する。
【0293】
いくつかの実施形態では、NTを治療するために本明細書に提供される方法は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を対象に共投与することによって行われる。
【0294】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従ってNTを治療することは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤で治療する前の対象と比較して、対象におけるNTの1つ以上の症状を軽減することを含む。いくつかの実施形態では、NTの1つ以上の症状の軽減は、身体能力の障害、四肢の運動能力の障害、筋肉群を調整する能力の障害、感覚機能の障害、認知能力の障害、頭痛及び/またはめまいから選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従ってNTを治療することは、例えば、精神認知状態検査(例えば、ミニメンタルステート検査(MMSE)またはMini-Cog検査)を使用して測定される、精神認知状態の改善によって示される。いくつかの実施形態では、精神認知状態の改善は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対応する検査における対象の認知スコアと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%の精神認知状態検査のスコアの改善によって示される。
【0295】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従ってNTを治療することは、対照と比較して、またはHIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤で治療する前の対象と比較して、対象におけるNTの1つ以上の症状を軽減することを含む。いくつかの実施形態では、NTの1つ以上の軽減される症状は、神経細胞及び/または組織のアポトーシス/破壊/数及び/または機能の喪失の減少;神経細胞及び/または組織の生存及び/または機能の増加;神経細胞/組織及び/または周囲の細胞/組織に対する長期的な損傷の軽減;神経細胞/組織の炎症の減少;神経細胞/組織の酸化ストレスの軽減;ならびに生存/生存期間の延長から選択される。いくつかの実施形態では、神経外傷の1つ以上の症状は、対照対象と比較して、またはHIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される。
【0296】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、対象における神経細胞または組織のアポトーシス及び/または細胞死の減少をもたらす。細胞死は、既知の方法に従って監視することができる。細胞死を検出するための例示的な方法には、ヨウ化プロピジウム、ヘキスト-33342、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)、及びアクリジンオレンジ-臭化エチジウム染色などの核染色技術が含まれるが、これらに限定されない。非核染色技術には、アネキシンV染色が含まれるが、これに限定されない。
【0297】
また、持続性神経外傷を患っていることが知られている、または疑われる対象における脳梗塞のサイズを縮小する方法、ならびにそのような対象における自発運動の回復を高める方法も提供される。
【0298】
いくつかの実施形態では、本開示は、神経細胞死及び最適以下の神経細胞生存によって特徴付けられる疾患を患っている、またはそれを患うリスクがある対象を治療する方法を提供する。かかる疾患には、神経外傷、外傷性脳損傷、脊髄損傷、または外科的処置のような脳に損傷を引き起こす他の機械的事象、例えば、脳腫瘍手術後に発生するものが含まれる。
【0299】
NTの治療は、当技術分野で公知の技術を使用する様々な手段によって測定することができる。いくつかの実施形態では、治療は、対象における以下のNTの症状:身体能力の障害、四肢の運動能力の障害、筋肉群を調整する能力の障害、感覚機能の障害、認知能力の障害、頭痛及び/またはめまいのうちの1つ以上を軽減することを含む。
【0300】
追加の実施形態では、提供される方法は、追加の治療薬を対象に更に投与することを含む。
【0301】
それぞれ2021年5月16日出願の米国特許出願第63/189,204号、同第63/189,205号、同第63/189,206号及び同第63/189,207号のそれぞれの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0302】
本明細書に引用されるすべての参考文献、記事、刊行物、特許、特許公報、及び特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により援用される。しかし、本明細書で引用される任意の参考文献、記事、出版物、特許、特許公報、及び特許出願の言及は、世界の任意の国で、それらが有効な先行技術を構成し、または共通の一般知識の一部を形成する、承認または任意の形式の提案ではなく、かつそう解釈されるべきではない。
【国際調査報告】