(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】顔料代替物として及び組成物増強鉱物としてのクリストバライト、これを含む組成物、並びにかかる組成物を用いて調製された物品及びコーティング
(51)【国際特許分類】
C01B 33/12 20060101AFI20240514BHJP
C09C 1/28 20060101ALI20240514BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20240514BHJP
C09D 7/62 20180101ALI20240514BHJP
【FI】
C01B33/12 B
C09C1/28
C09D201/00
C09D7/62
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571763
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 US2022029825
(87)【国際公開番号】W WO2022245937
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523098223
【氏名又は名称】ユー.エス.シリカ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】U.S. SILICA COMPANY
【住所又は居所原語表記】24275 KATY FREEWAY, SUITE 600, KATY, TEXAS 77494, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】グローヴ,デール,アディソン
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ランバート,アレン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チュン
【テーマコード(参考)】
4G072
4J037
4J038
【Fターム(参考)】
4G072AA32
4G072BB05
4G072DD03
4G072DD04
4G072GG02
4G072GG03
4G072HH14
4G072JJ21
4G072LL09
4G072MM21
4G072MM38
4G072QQ06
4G072QQ20
4G072RR07
4G072RR12
4G072TT01
4G072TT04
4G072TT19
4G072TT30
4G072UU09
4J037AA18
4J037CA23
4J037DD05
4J037EE03
4J037EE25
4J037EE26
4J037EE33
4J037FF02
4J038DD001
4J038KA08
4J038KA20
4J038NA19
(57)【要約】
クリストバライトは、1μm~15μmの範囲内で選択されるd50粒径;96を超えるL色座標;1未満のa色座標;及び1以下のb色座標を含み、前記クリストバライトは粉末である。前記クリストバライトを含む組成物、組成物で形成されるコーティング、及びクリストバライトの調製方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1μm~15μmの範囲内で選択されるd
50粒径;
96を超えるL色座標;
1未満のa色座標;及び
1以下のb色座標
を含むクリストバライトであって、粉末である、クリストバライト。
【請求項2】
前記d
50粒径が、2μm~10μmの範囲内で選択される、請求項1に記載のクリストバライト。
【請求項3】
前記d
50粒径が、5μm~15μmの範囲内で選択される、請求項1に記載のクリストバライト。
【請求項4】
前記L色座標が98を超える、請求項1に記載のクリストバライト。
【請求項5】
前記a色座標が0.5未満である、請求項1に記載のクリストバライト。
【請求項6】
前記b色座標が0.7以下である、請求項1に記載のクリストバライト。
【請求項7】
X線回折によって決定されるクリストバライトフラクションが75%を超える、請求項1に記載のクリストバライト。
【請求項8】
前記クリストバライトが、d
50粒径15μmでルース嵩密度約40.0lbm/ft
3及びタップ嵩密度約70lbm/ft
3、又はd
50粒径2μmでルース嵩密度約20.0lbm/ft
3及びタップ嵩密度約40lbm/ft
3を有する、請求項1に記載のクリストバライト。
【請求項9】
前記クリストバライトの表面上の少なくとも一部分上に施されたコーティングをさらに含む、請求項1に記載のクリストバライト。
【請求項10】
前記コーティングがシランを含む、請求項9に記載のクリストバライト。
【請求項11】
請求項1に記載のクリストバライトを含む組成物であって、前記クリストバライトが、前記組成物中に顔料として及び/又は組成物増強鉱物として組み込まれる、組成物。
【請求項12】
前記クリストバライトが前記組成物中に顔料として組み込まれ、前記組成物が前記クリストバライト以外の追加の顔料を実質的に含まない、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記クリストバライトが前記組成物中に顔料として組み込まれ、前記組成物が少なくとも第二顔料をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記クリストバライトが、前記組成物中の顔料の総重量に基づいて、少なくとも20重量%を構成する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
バインダー樹脂をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、前記クリストバライトを除いて同じ材料で形成された組成物よりも少ないバインダー樹脂を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
着色された外観を提供するための組成物を用いて形成される物品であって、前記組成物が請求項11に記載の組成物を含む、物品。
【請求項18】
前記物品がカウンタートップ、プラスチック、紙、又はセメント製品である、請求項16に記載の物品。
【請求項19】
着色された外観を提供するための組成物を用いて形成されるコーティングであって、前記組成物が請求項11に記載の組成物を含む、コーティング。
【請求項20】
クリストバライトを調製する方法であって、
(a)全粒(whole grain)シリカとフラックス剤とを混合して第一混合物を形成するステップと、
(b)前記混合物を反応装置により1000℃~1200℃の範囲内の温度にて0.5~2時間の範囲内の期間処理して、前記クリストバライトを得るステップと、
(c)前記クリストバライトをメッシュスクリーンでろ過して、10~30メッシュより大きな顆粒を除去するステップと、
(d)ろ過されないクリストバライトを粉砕して、1μm~15μmの範囲内のd
50粒径を有する粉末化クリストバライトにするステップとを含む、方法。
【請求項21】
前記全粒シリカが、前記全粒シリカ自体の総重量に基づいて、0.3重量%以下の酸化鉄又は二酸化チタンのいずれかの総量を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記全粒シリカが30~270メッシュの範囲内のd
50粒径を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記全粒シリカが40~50メッシュの範囲内のd
50粒径を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記第一混合物が、前記全粒シリカと前記フラックス剤との合計総重量に基づいて、0.3重量%以下の前記フラックス剤を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
ステップ(c)で形成された前記粉末化クリストバライトのpHが8~10の範囲内である、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記クリストバライトをコーティングでコーティングすることをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その全体が参照により本明細書中に組み込まれる、2021年5月18日に出願された米国特許仮出願番号63/189,781の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、顔料代替物として、及び/又は組成物増強鉱物としてのクリストバライト、これを含む組成物、並びにかかる組成物を用いて調製された物品及びコーティングに関する。
【背景技術】
【0003】
組成物は、典型的には、様々な材料から形成される。例えば、セメント、プラスチックパネル、及びセルロースベースの複合物(例えば、パーティクルボード)は、無機鉱物を添加剤又は充填剤として使用する。そのような組成物は、典型的には、前記組成物の成分を一緒に保持するバインダーを含む。しかしながら、前記組成物で使用される前記バインダーは、特に大量に使用される場合は高価になる可能性がある。
【0004】
さらに、組成物には、通常、多くの表面(例えば、処理済み及び未処理のプラスチック又は金属表面)、及び物品(例えば、着色されたプラスチック製品、着色されたカウンタートップ、着色されたセメント)に施される着色されたコーティングを含む、様々な分野で使用される顔料が含まれる。所望の色を得るために、これらの組成物は、一つ以上の顔料を用いて調製される。様々な種類の顔料が容易に入手可能であるが、高価なもの及び/又は望ましい外観を得るために大量の前記顔料を必要とするものもある。特に、二酸化チタンは、典型的にはバインダーと組み合わせて、白色を提供する組成物を形成するか、又は異なる色のために他の顔料と組み合わせて使用されるが、高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、組成物で必要なバインダーの量を最小限に抑えて、前記材料コストと前記バインダーに関連する前記欠点との両方を減らすことが望ましい。コストを減らすために組成物中の二酸化チタンの前記使用を置換及び/又は低減でき、前記所望の色及び外観も提供する新規白色顔料を提供することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はクリストバライトに関する。前記クリストバライトは、1μm~15μmの範囲内で選択されるd50粒径、96を超えるL色座標、1未満の範囲内のa色座標、及び1以下のb色座標を含む。前記クリストバライトはまた粉末である。
【0007】
ある特定の非限定的実施形態では、前記クリストバライトは、2μm~10μmの範囲内、又は5μm~15μmの範囲内で選択されるd50粒径を有する。いくつかの非限定的実施形態では、前記クリストバライトは、98を超えるL色座標、0.5未満のa色座標、及び/又は0.7以下のb色座標を有する。前記クリストバライトはまた、X線回折によって決定されるフラクション75%超、及び/又はd50粒径15μmでルース嵩密度約40.0lbm/ft3及びタップ嵩密度約70lbm/ft3、又はd50粒径2μmでルース嵩密度約20.0lbm/ft3及びタップ嵩密度約40lbm/ft3を有し得る。
【0008】
ある特定の非限定的実施形態では、前記クリストバライトの表面の少なくとも一部分上にコーティングを施す。前記コーティングはシランを含み得る。例えば、前記シランは、アルキルシラン、ビニルシラン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。前記選択されたシランは選択された樹脂系の属性であると理解される。
【0009】
本発明はまた、物品に白色外観などの所望の着色された外観を提供するため、及び/又は組成物増強鉱物としての組成物にも関する。前記組成物には、前述のクリストバライトが含まれる。ある特定の非限定的実施形態では、前記組成物は前記クリストバライト以外の追加の顔料を実質的に含まない。或いは、他の非限定的実施形態では、前記組成物は少なくとも第二の顔料をさらに含む。
【0010】
いくつかの非限定的実施形態では、前記クリストバライトは、前記組成物中の顔料の総重量に基づいて少なくとも20重量%を構成する。前記組成物で使用される前記クリストバライトは、コーティングされていないものであり得るか、又は前述のようにコーティングされたものでもあり得る。ある特定の非限定的実施形態では、前記コーティングはバインダー樹脂をさらに含む。いくつかの非限定的実施形態において、前記組成物は、前記クリストバライトを除いて同じ材料で形成された組成物よりも少ないバインダー樹脂を含み得る。
【0011】
本発明はさらに、少なくとも前記クリストバライトの使用により、白色外観などの所望の着色された外観を提供する前述の組成物のいずれかを使用して形成される物品及びコーティングに関する。前記物品としては、例えば、カウンタートップ、プラスチック製品、紙製品、又はセメント製品を挙げることができる。
【0012】
本発明はさらに、クリストバライトの調製法に関する。前記方法は、(a)全粒(whole grain)シリカとフラックス剤とを混合して第一混合物を形成し;(b)前記混合物を反応装置により1000℃~1200℃の範囲内の温度にて0.5~2時間の範囲内の期間処理して、クリストバライトを得;(c)前記クリストバライトをメッシュスクリーンでろ過して、10~30メッシュより大きな顆粒を除去し;(d)ろ過されないクリストバライトを粉砕して、1μm~15μmの範囲内のd50粒径を含む粉末化クリストバライトにすることを含む。
【0013】
ある特定の非限定的実施形態では、前記第一混合物は、前記全粒シリカの前記総重量に基づいて、0.3重量%以下の酸化鉄又は二酸化チタンのいずれかを含む。前記全粒シリカは、30~270メッシュの範囲内の粒径、及び/又は40~50メッシュの範囲内のd50粒径を有し得る。
【0014】
いくつかの非限定的実施形態において、前記フラックス剤は、ナトリウムベース、カリウムベース、又は両者の組み合わせである。前記第一混合物は、前記全粒シリカと前記フラックス剤との前記合計総重量に基づいて、0.3重量%以下の前記フラックス剤も含み得る。さらに、ステップ(c)で形成される前記粉末化クリストバライトのpHは8~10となり得る。
【0015】
ある特定の非限定的実施形態では、前記方法は、前記クリストバライトをコーティングでコーティングすることをさらに含む。前記クリストバライトの前記コーティングは、前記粉末化クリストバライトを水及び分散剤と混合してスラリーを形成し、通常は、熱風の向流の流れを横切って前記スラリーにコーティング材料を噴霧し;前記コーティング材料をクリストバライトスラリー中に混合し、次いで熱風の流れで乾燥させること;又はミキサー若しくはメディアミル中での乾燥コーティングプロセスを含み得る。前記方法はまた、酸又は塩基を前記スラリーに添加した後、加熱下で前記スラリーに前記コーティング材料を噴霧することを含み得る。前記コーティングは前述のようにシランを含み得る。
【0016】
本発明は以下の項目も含む。
【0017】
項目1:1μm~15μmの範囲内で選択されるd50粒径;96を超えるL色座標;1未満のa色座標;及び1以下のb色座標を含むクリストバライトであって、粉末である、前記クリストバライト。
【0018】
項目2:前記d50粒径が、2μm~10μmの範囲内で選択される、項目1に記載のクリストバライト。
【0019】
項目3:前記d50粒径が、5μm~15μmの範囲内で選択される、項目1に記載のクリストバライト。
【0020】
項目4:前記L色座標が98を超える、項目1~3のいずれか一つに記載のクリストバライト。
【0021】
項目5:前記a色座標が0.5未満である、項目1~4のいずれか一つに記載のクリストバライト。
【0022】
項目6:前記b色座標が0.7以下である、項目1~5のいずれか一つに記載のクリストバライト。
【0023】
項目7:X線回折によって決定されるクリストバライトフラクションが75%を超える、項目1~6のいずれか一つに記載のクリストバライト。
【0024】
項目8:前記クリストバライトが、d50粒径15μmでルース嵩密度約40.0lbm/ft3及びタップ嵩密度約70lbm/ft3、又はd50粒径2μmでルース嵩密度約20.0lbm/ft3及びタップ嵩密度約40lbm/ft3を有する、項目1~7のいずれか一つに記載のクリストバライト。
【0025】
項目9:前記クリストバライトの表面の一部分上に施されたコーティングをさらに含む、項目1~8のいずれか一つに記載のクリストバライト。
【0026】
項目10:前記コーティングがシランを含む、項目9に記載のクリストバライト。
【0027】
項目11:前記シランが、アルキルシラン、ビニルシラン、アミノシラン、エポキシシラン、アルコキシシラン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目10に記載のクリストバライト。
【0028】
項目12:項目1~11のいずれか一つに記載のクリストバライトを含む組成物であって、前記クリストバライトが、前記組成物中に顔料として及び/又は組成物増強鉱物として組み込まれる、前記組成物。
【0029】
項目13:前記クリストバライトが前記組成物中に顔料として組み込まれ、前記組成物が前記クリストバライト以外の追加の顔料を実質的に含まない、項目12に記載の組成物。
【0030】
項目14:前記クリストバライトの表面の少なくとも一部分がコーティングを含む、項目12及び13のいずれか一つに記載の組成物。
【0031】
項目15:前記クリストバライトコーティングがシランを含む、項目14に記載の組成物。
【0032】
項目16:前記クリストバライトが前記組成物中に顔料として組み込まれ、前記組成物が少なくとも第二顔料をさらに含む、項目12に記載の組成物。
【0033】
項目17:前記クリストバライトが、前記組成物中の顔料の前記総重量に基づいて、少なくとも20重量%を構成する、項目16に記載の組成物。
【0034】
項目18:前記クリストバライトがコーティングされていない、項目16及び17のいずれか一つに記載の組成物。
【0035】
項目19:バインダー樹脂をさらに含む、項目12~18のいずれか一つに記載の組成物。
【0036】
項目20:前記組成物が、前記クリストバライトを除いて同じ材料で形成された組成物よりも少ないバインダー樹脂を含む、項目12~19のいずれか一つに記載の組成物。
【0037】
項目21:所望の着色された外観を提供するための組成物を用いて形成される物品であって、前記組成物が項目12~20のいずれか一つに記載の組成物を含む、前記物品。
【0038】
項目22:前記物品がカウンタートップである、項目21に記載の物品。
【0039】
項目23:前記物品がプラスチック、紙、又はセメント製品である、項目21に記載の物品。
【0040】
項目24:所望の着色された外観を提供するための組成物を用いて形成されるコーティングであって、前記組成物が項目12~20のいずれか一つに記載の組成物を含む、コーティング。
【0041】
項目25:クリストバライトを調製する方法であって、(a)全粒(whole grain)シリカとフラックス剤とを混合して第一混合物を形成し;(b)前記混合物を反応装置により1000℃~1200℃の範囲内の温度にて0.5~2時間の範囲内の期間処理して、クリストバライトを得;(c)前記クリストバライトをメッシュスクリーンでろ過して、10~30メッシュより大きな顆粒を除去し;(d)ろ過されないクリストバライトを粉砕して、1μm~15μmの範囲内のd50粒径を含む粉末化クリストバライトにすることを含む、前記方法。
【0042】
項目26:前記全粒シリカが、前記全粒シリカ自体の総重量に基づいて、0.3重量%以下の酸化鉄又は二酸化チタンのいずれかを含む、項目25に記載の方法。
【0043】
項目27:前記全粒シリカが30~270メッシュの範囲内の粒径を有する、項目25及び26のいずれか一つに記載の方法。
【0044】
項目28:前記全粒シリカが40~50メッシュの範囲内のd50粒径を有する、項目25~27のいずれか一つに記載の方法。
【0045】
項目29:前記フラックス剤が、ナトリウムベース、カリウムベース、又は両者の組み合わせである、項目25~28のいずれか一つに記載の方法。
【0046】
項目30:前記第一混合物が、前記全粒シリカと前記フラックス剤との合計総重量に基づいて、0.3重量%以下の前記フラックス剤を含む、項目25~29のいずれか一つに記載の方法。
【0047】
項目31:ステップ(c)で形成された前記粉末化クリストバライトの前記pHが8~10の範囲内となる、項目25~30のいずれか一つに記載の方法。
【0048】
項目32:前記クリストバライトをコーティングでコーティングすることをさらに含む、項目25~31のいずれか一つに記載の方法。
【0049】
項目33:前記クリストバライトのコーティングが、前記粉末化クリストバライトを水と混合してスラリーを形成し、熱風を通して前記スラリーにコーティング材料を噴霧すること;クリストバライトスラリー中に前記コーティング材料を混合し、次いで熱風の流れで乾燥させること;又はミキサー若しくはメディアミル中での乾燥コーティングプロセスを含む、項目32に記載の方法。
【0050】
項目34:前記コーティングがシランを含む、項目32及び33のいずれか一つに記載の方法。
【0051】
項目35:酸又は塩基を前記スラリーに添加した後、加熱下で前記スラリーに前記コーティング材料を噴霧することを含む、項目34に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】前記樹脂量を減少させた場合に、完成した人工大理石複合物上に生じるドライスポット/表面欠陥を例示する上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下の詳細な説明のために、本発明は、明示的に別段の指定が無い限り、様々な代替的変形及びステップシーケンスを想定し得ることが理解される。さらに、操作例又は別段の指示がある場合を除き、例えば、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量を表す全ての数字は、全ての場合で、「約」という語により修飾されると理解すべきである。したがって、別段の記載が無い限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、そして特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとするのではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効桁数に照らして、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0054】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、前記具体例に記載された前記数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いかなる数値も、それぞれの試験測定で見られる標準偏差から必然的に生じるある特定の誤差を本質的に含む。
【0055】
また、本明細書中に記載される数値範囲は、その中に含まれるすべての部分的範囲を含むことを意図することを理解されたい。例えば、「1~10」の範囲は、記載された最小値1と記載された最大値10との間(両端を含む)、すなわち、最小値が1以上、最大値が10以下のすべての部分範囲を含むことを意図する。
【0056】
本願では、特に別段の記載が無い限り、単数形の使用は複数形を包含し、複数形は単数形を包含する。さらに、本願では、ある特定の場合には「及び/又は」が明示的に使用されるが、特に別段の記載が無い限り、「又は」の使用は「及び/又は」を意味する。さらに、本願では、「a」又は「an」の使用は、特に別段の記載が無い限り、「少なくとも一つ」を意味する。
【0057】
示したように、本発明はクリストバライトを含む。本明細書中で使用する場合、「クリストバライト」は、シリカの結晶多形を指す。さらに、本発明の前記クリストバライトは粉末である。本明細書中でさらに詳細に説明するように、本発明の前記クリストバライトは、様々な分野で使用される場合に白色を提供する物理的及び化学的特性を有する。
【0058】
本発明によると、前記クリストバライトは、1μm~15μmの範囲内、又は2μm~10μmの範囲内、又は5μm~15μmの範囲内、又は4μm~6μmの範囲内で選択されるd50粒径を有し得る。本明細書中で使用する場合、「d50粒径」は、粒子の50体積パーセントが所定の前記d50値よりも小さなサイズを有する前記粒子のサンプルの直径のメジアンを指す。前記d50粒径は、レーザ回折によって決定できる。例えば、前記d50粒径は、Beckman Coulter Inc.(フロリダ州ハイアリア)モデルLS230レーザ回折計を使用してマニュアルに含まれる指示にしたがって決定できる。他の方法を使用して粒径を決定することもできる。例えば、粒径は、より大きな顆粒の場合はふるい分画分析を使用して、又はより細かい粉末の場合はMicrotrac機器又はセディグラフ(sedigraph)を用いて決定することもできる。前述の粒径は、本明細書中でさらに詳細に記載するように、前記クリストバライトを利用して樹脂分布及び組成物の湿潤に役立つことが判明した。
【0059】
本発明の前記クリストバライトはまた、ある特定の色特性も示し得る。前記クリストバライトの前記色特性は、HunterLab1948表色系に基づいて特定できると理解される。例えば、前記クリストバライトは、96超、又は97超、又は98超、又は99超、又は100までのL色座標を有し得る。前記クリストバライトはまた、1未満、又は0.5未満、又は0.3未満、又は-0.3~0.3の範囲内、例えば、-0.2~0.2の範囲内、若しくは-0.1~0.1の範囲内、若しくは-0.1~0.08の範囲内、若しくは-0.1~0.0の範囲内のa色座標も有し得る。前記クリストバライトは、1以下、又は0.7以下、又は0.6以下、又は0.5以下、又は0.4以下のb色座標をさらに有し得る。
【0060】
前記クリストバライトはさらに、X線回折によって決定されるフラクションが75%を超える可能性がある。前記X線回折は、Bruker又はMalvern製のXRD機器を使用し、そこに含まれる説明書にしたがって決定される。
【0061】
前記クリストバライトは、2μmのd50粒径で35~45lbm/ft3の範囲内、例えば、約40lbm/ft3(例えば、40+/-1)、又は2μmのd50粒径で15~25lbm/ft3の範囲内、例えば、約20lbm/ft3(例えば、40+/-1)のルース嵩密度(ルースBD)を有し得る。ルースBDは、その含気状態で測定された前記クリストバライトの前記嵩密度であると理解される。前記ルースBDは、前記材料を既知容積の容器に注ぐことによって決定される。前記追加された重量を次に前記既知容積で割る。
【0062】
前記クリストバライトは、d50粒径15μmで、65~75lbm/ft3の範囲内、例えば、約70lbm/ft3(例えば、60+/-1)、又はd50粒径2μmで、35~45lbm/ft3の範囲内、例えば、約40lbm/ft3(例えば、40+/-1)のタップ嵩密度(タップBD)を有し得る。タップBDは、前記粉末を圧縮した後に測定した前記クリストバライトの前記嵩密度であると理解される。前記タップBDは、前記ルースBDに関して前述したようにして決定されるが、前記粉末を圧縮することをさらに含む。
【0063】
さらに、本発明の前記クリストバライトはまた、2m2/g未満、又は1.5m2/g未満、又は1m2/g未満のBET表面積も有し得る。前記シリカの前記BET表面積は、ASTM D1993-03にしたがってBrunauer-Emmett-Teller(BET)法によって決定される前記表面積である。
【0064】
本発明の前記クリストバライトは、コーティングで処理することもできる。すなわち、前記クリストバライトの前記表面の少なくとも一部分は、それに付着したコーティングを含み得る。前記クリストバライトの前記表面に施す前記コーティング材料は、前記クリストバライトに一つ以上の異なる特性を提供するように、及び/又はある特定の用途及び最終製品に必要な前記クリストバライトと混合される他の材料と相互作用するように選択できる。
【0065】
ある特定の非限定的実施形態では、前記クリストバライトの少なくとも一部分をシランコーティングでコーティングする。本明細書中で使用する場合、「シラン」は、水素原子の少なくとも一部を有機基で置換することによってSiH4から誘導される化合物を指す。前記有機基としては、アルキルシランを形成するアルキル基、ビニルシランを形成するビニル基、アミノシランを形成するアミノ基、エポキシシランを形成するエポキシ基、アルコキシシランを形成するアルコキシ基、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0066】
本明細書中で使用する場合、「アルキル基」は、鎖状に配置された炭素及び水素原子のみを含む有機化学物質の官能基を指す。前記アルキル基は、一般式CnH2n+1で表され、式中、「n」は、1~20、1~10、1~8、1~5、1~3、又は1~2の範囲内の数から選択することができる。具体例としては、メチルCH3(メタンから誘導される)及びブチルC2H5(ブタンから誘導される)が挙げられる。
【0067】
さらに、「ビニル」という語は、以下の構造:-CH=CH2によって表されるエチレン不飽和基(すなわち、炭素-炭素二重結合を有する基)を指す。
【0068】
「アミノ」という語は、-N(H)(Ra)によって表される基を指し、式中、Raは、水素及び有機基、例えば、アルキル基から独立して選択される。前記アミノ基は、前記アミノ基が任意の混成の二つの炭素に直接結合し、前記炭素がカルボニル基炭素ではないアミンである、第一級アミノ基又は第二級アミノ基であり得ることが理解される。
【0069】
「エポキシ」という語は、二つの隣接する炭素原子に単結合によって結合し、それによって三員環を形成する酸素原子を有する化合物を指す。
【0070】
本明細書中で使用する場合、「アルコキシ」という語は-O-アルキル基を指す。さらに、「アルコキシシラン」という語は、ケイ素原子に結合した少なくとも一つのアルコキシ基を有するシラン化合物を指す。
【0071】
前述のように、前記シランは、アルキル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、アルコキシ基、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。前記ビニル基、アミノ基、エポキシ基、及びアルコキシ基は関心対象の前記バインダーに結合してもよく、一方、前記Si-OH又はSi-O-R(アルキル)は、水又はアルコールのいずれかの脱離により前記クリストバライトと結合することが理解される。前記シランはまた、一つ又は複数のアルキル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、及び/又はアルコキシ基も有し得る。一例では、前記シランは(3-アミノプロピル)トリメトキシシランである。
【0072】
本発明はまた、同じ種類のコーティング、異なる種類のコーティング、コーティング無し、又はそれらの任意の組み合わせを有するクリストバライトの混合物などの、同じ又は異なる種類のクリストバライトの混合物も含み得ることが理解される。前記シランコーティングは、分散処理能力及び湿潤曲げ強度を向上させることができることが判明した。
【0073】
本発明はまた、クリストバライトの調製方法も含む。前記方法は、(a)全粒シリカとフラックス剤とを混合して第一混合物を形成し;(b)前記混合物を反応装置により1000℃~1200℃の範囲内の温度にて0.5~2時間の範囲内の期間処理して、クリストバライトを得;(c)前記クリストバライトをメッシュスクリーンでろ過して、20~30メッシュより大きな顆粒を除去し;(d)ろ過されないクリストバライトを粉砕して、1μm~15μmの範囲内のd50粒径を含む粉末化クリストバライトにすることを含む。
【0074】
前述のように、前記方法は、全粒シリカとフラックス剤とを混合して第一混合物を形成することを含む。本明細書中で使用する場合、「全粒シリカ」はまた、ケイ砂、石英砂などとも称され得る。さらに、本明細書中で使用される場合、「全粒」という語はまた、「グリット(grit)」と称される場合もあり、「粉砕物(ground)」という語は、「粉末」又は「充填剤」とも称される場合がある。
【0075】
本明細書中で使用する場合、「フラックス剤」は、より迅速な形態学的相変化を誘導する化合物を指す。前記第一混合物で使用される前記フラックス剤は、例えば、ナトリウムベース、カリウムベース、又は両者の組み合わせであり得る。好適なフラックス剤の非限定例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0076】
前記第一混合物を形成するために使用される前記全粒シリカは、特定のサイズ及び純度を有するように選択される。例えば、前記全粒シリカは、30~270メッシュの範囲内、例えば50~250メッシュの範囲内、又は100~200メッシュの範囲内の粒径を有し得る。前記全粒シリカはまた、40~50メッシュの範囲内のd50粒径も有し得る。前記メッシュ粒径は、ASTM C429ガラス製造用原料の篩分析試験法ASTM C136細骨材及び粗骨材の篩分析試験法ISO13503セクション6.1、6.2、6.3、及び6.4グラベルパッキング操作で使用する砂を試験するためのAPI推奨法(58)セクション4&5を使用して決定した。さらに、前述のとおりであるが、前記砂の50%が前記篩を通過する前記d50粒径を決定した(プロットし、50%の位置を決定)。
【0077】
示したように、前記第一混合物を形成するために使用する前記全粒シリカはある特定の純度を有する。すなわち、前記全シリカは、大部分が二酸化ケイ素であるが、他の化合物は少量しか含まないものから形成することができる。例えば、前記全粒シリカは、前記全粒シリカの前記総重量に基づいて、0.3重量%以下、又は0.25重量%以下、又は0.20重量%以下の酸化鉄又は二酸化チタンのいずれかを有し得る。
【0078】
前記全粒シリカ及びフラックス剤の前記量を制御して、前記第一混合物中の少量のフラックス剤を維持する。ある特定の非限定的実施形態では、前記第一混合物は、前記全粒シリカ及び前記フラックス剤の合計総重量に基づいて、0.3重量%以下の前記フラックス剤を含む。前記第一混合物中のフラックス剤の前記量はまた、前記全粒シリカ及び前記フラックス剤の前記合計総重量に基づいて、0.1重量%~0.3重量%の範囲内で選択することもできる。
【0079】
前記全粒シリカ及びフラックス剤は、当該技術分野で公知の様々な方法及び機器を使用して混合することができることが理解される。例えば、前記全粒シリカ及びフラックス剤は、前記フラックス剤を個別化された全粒シリカ粒子上に噴霧する、パドル又はオージェミキサー中で混合することができる。
【0080】
前記第一混合物を形成した後、前記混合物を高温反応装置で処理して、クリストバライトを形成する。前記第一混合物を処理するために使用できる反応装置の非限定例としては、回転炉が挙げられる。前記混合物を1000℃~1200℃の範囲内の温度にて0.5~2時間の期間、前記反応装置により処理することができる。前記結果として得られるクリストバライトは、前記フラックス剤のレベルに応じて、典型的には、8~10の範囲内のpHを有する。
【0081】
本発明の前記方法にしたがって、前記反応装置を用いて形成された前述のクリストバライトを次にスクリーンでろ過して、より大きな顆粒を除去する。ある特定の非限定的実施形態では、前記クリストバライトをスクリーンでろ過して、10~30メッシュよりも大きな顆粒を除去する。残存する/ろ過されないクリストバライト顆粒を次にセラミックボールミルにおいて粉砕して、1μm~15μmの範囲内、又は5μm~15μmの範囲内、又は2μm~10μmの範囲内、又は4μm~15μmの範囲内、又は4μm~6μmの範囲内のd50粒径を有する前述の粉末化クリストバライトを形成する。前記残存する/ろ過されないクリストバライト顆粒は、例えば、セラミックボールミル及び分級器の組み合わせなどの当該技術分野で公知の機器を用いて粉砕できる。粉砕プロセス中に、最終的な所望の粒径分布が得られるように、供給速度、リサイクル流、及び分級器速度を設定する。
【0082】
ある特定の非限定的実施形態では、前記方法は、前記クリストバライトをコーティングでコーティングすることをさらに含む。前記クリストバライトの前記コーティングは、前記粉末化クリストバライトを水と混合してスラリーを形成し、前記スラリーにコーティング材料を加熱下で噴霧することを含み得る。ある特定の非限定的実施形態では、前記スラリーを向流熱風乾燥器中に噴霧して、前記シリカ表面上の前記反応から前記水及び少量のアルコールを除去する。前記方法はまた、酸又は塩基を前記スラリーに添加した後、加熱下で前記スラリーに前記コーティング材料を噴霧して、前記反応を促進することを含み得る。前記クリストバライトに施された前記コーティングは前述のようにシランを含み得る。前記コーティングは、前記コーティング材料をクリストバライトスラリー中で混合し、次いで熱風流中で乾燥するか、又はミキサー若しくはメディアミル中で乾燥コーティングするなど、他の方法ステップを用いて施すこともできることが理解される。
【0083】
ある特定の非限定的実施形態では、本発明の前記クリストバライトは、白色外観などの着色された外観を提供するための組成物中に、及び/又は組成物増強材料として、組み込まれる。本明細書中で使用する場合、「組成物増強鉱物」という語は、組成物に添加されると、色以外若しくは色に加えて、前記組成物に対して、又は前記組成物を作製する前記プロセスに対して、一つ以上の改善された特性及び/又は利点を提供する鉱物を指す。
【0084】
前記組成物は、典型的には、様々な物品又は様々な物品の前記表面上に施されるコーティングを形成するために使用される場合など、追加の成分を含む。例えば、白色外観を提供するための前記組成物は、バインダー、追加の顔料、及び/又は所望の物品若しくはコーティングを形成するために必要な他の成分及び添加剤を含み得る。いくつかの非限定的実施形態において、前記組成物は、前記クリストバライトと組み合わせられた場合に、例えば、灰色の物品又はコーティングなどの異なる所望の物品又はコーティングを提供する追加の顔料を含み得る。
【0085】
前述のように、前記組成物はバインダーも含み得、前記クリストバライト(及び任意選択的に他の顔料)を前記組成物中の前記バインダー全体にわたって分散させることができる。本明細書中で使用する場合、「バインダー」は、典型的には、全ての組成物成分を一緒に保持する構成材料を指す。前記バインダーは、一つ以上の樹脂を含み得る。「樹脂」という語は、「ポリマー」と交換可能に使用され、ポリマーという語は、ホモポリマー(例えば、単一のモノマー種から調製される)、コポリマー(例えば、少なくとも二つのモノマー種から調製される)、及びグラフトポリマーを指す。
【0086】
前記バインダーを形成するために使用される前記樹脂は、前記組成物の最終用途に基づいて選択されると理解される。前記組成物の前記バインダーの少なくとも一部分を形成できる樹脂の非限定例としては、(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、それらのコポリマー、及びそれらの組み合わせが挙げられる。本明細書中で使用する場合、「(メタ)アクリレート」などの語は、アクリレート及び対応するメタクリレートの両方を指す。
【0087】
さらに、前述の樹脂は、限定されるものではないが、カルボン酸基、アミン基、エポキシド基、ヒドロキシル基、チオール基、カーバメート基、アミド基、尿素基、イソシアネート基(ブロックトイソシアネート基を含む)、不飽和エチレン基、及びそれらの組み合わせを含む、様々な官能基を有し得る。本明細書中で使用する場合、「不飽和エチレン」は、少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を有する基を指し、限定されるものではないが、(メタ)アクリレート基、ビニル基、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0088】
前記バインダーはまた、前記一つ以上の樹脂の前記官能基と反応するように選択することができるクロスリンカーも含み得る。本明細書中で使用する場合、「クロスリンカー」という語は、他の官能基と反応性であり、二つ以上のモノマー又はポリマーを化学結合により連結することができる、二つ以上の官能基を含む分子を指す。前記組成物の前記バインダーを形成する前記樹脂はまた、それら自身と反応性である官能基を有し得;このように、かかる樹脂は自己架橋性であることが理解される。
【0089】
前記組成物で使用できるクロスリンカーの非限定例としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、ベータ-ヒドロキシ(アルキル)アミド、アルキル化カーバメート、(メタ)アクリレート、イソシアネート、ブロックトイソシアネート、ポリ酸、無水物、有機金属酸官能性材料、ポリアミン、ポリアミド、アミノプラスト、カルボジイミド、オキサゾリン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0090】
上述のように、前記組成物はまた、前述のクリストバライトに加えて追加の顔料も含み得る。これらの追加の顔料は、白色又は異なる色も、前記組成物から形成される前記最終製品の前記白色に加えて追加するように選択できる。顔料の非限定例としては、二酸化チタン、三水和アルミニウム、カーボンブラック、カルバゾールジオキサジン粗顔料、アゾ、モノアゾ、ジアゾ、ナフトールAS、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、イソインドリン及び多環式フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チオインディゴ、アントラキノン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、ピラントロン、アントアントロン(anthanthrone)、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロールレッド(「DPPBOレッド」)、及びそれらの混合物が挙げられる。前記追加の顔料及びクリストバライトを組み合わせて、例えば灰色などの白以外の異なる色を前記最終製品に提供できることが理解される。
【0091】
追加の顔料が使用される場合、前記クリストバライトは、前記顔料の前記総重量のある特定の量を構成し得る。例えば、前記組成物において追加の顔料が使用される場合、前記クリストバライトは、前記組成物中の顔料の前記総重量に基づいて、少なくとも20重量%、又は少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%を構成し得る。ある特定の非限定的実施形態では、前記組成物は、追加の顔料を実質的に含まない(すなわち、顔料の前記総重量に基づいて1重量%未満を含む)又は追加の顔料を完全に含まない。
【0092】
前記組成物と共に使用できる成分の他の非限定例としては、可塑剤、無機鉱物(例えば、石英材)を含む充填剤、金属酸化物及びフレーク、抗酸化剤、ヒンダードアミン光安定剤、UV吸収剤及び安定剤、界面活性剤、流れ及び表面制御剤、触媒、反応抑制剤、染料、着色剤(tint)、並びに所望の最終製品を形成するために使用される他の慣例的成分が挙げられる。前記組成物はまた、前述の追加成分のいずれか一つを含まない可能性もある。
【0093】
前述の組成物は前述のクリストバライトのいずれかを含み得ると理解される。例えば、前記組成物は、コーティングを含むクリストバライト及び/又はコーティングされていないクリストバライトを含み得る。ある特定の非限定的実施形態では、前記組成物は、バインダー、コーティングを含むクリストバライト、前記所望の最終製品のための任意の追加成分を含み、前記クリストバライト以外の追加の顔料を実質的に含まない。いくつかの非限定的実施形態において、前記組成物は、バインダー、コーティングされていないクリストバライト、少なくとも第二の追加の顔料、及び前記所望の最終製品のための任意の追加成分を含む。
【0094】
示したように、前記クリストバライトは、組成物増強鉱物としても使用できる。前記組成物増強鉱物を含む前記組成物は、前述の追加材料のいずれかを含み得る。例えば、前記組成物は、複合物として使用でき、一つ以上の追加の無機又は有機鉱物/添加剤、バインダー等を含み得る。本明細書中で使用する場合、「複合物」は、材料性能を向上させるために様々な連続及び非連続強化剤、充填剤、及び/又は添加剤が添加された異なる有機及び/又は無機材料の組み合わせを指す。前記複合物はまた、一つ以上の追加材料を含まない可能性がある。例えば、前記複合物は、有機材料を含まない可能性がある。
【0095】
本発明はさらに、白色外観などの所望の色外観を提供するための前述の組成物を用いて形成される物品又はコーティングに関する。ある特定の非限定的実施形態では、前記物品は、台所、浴室、バーなどで通常みられる、少なくとも部分的に白色のカウンタートップ、例えば、少なくとも部分的に着色された石英カウンタートップ、例えば、白色石英カウンタートップである。白色石英カウンタートップなどの少なくとも部分的に着色された石英カウンタートップを形成するための前記組成物は、少なくとも前記クリストバライト、一つ以上の樹脂を含むバインダー、石英材(例えば、破砕石英、砂石英(sand quartz)、又は石英の粒子)、及び任意選択的に追加の添加剤、例えば追加の充填剤及び/又は顔料を含み得る。前記石英材及び/又は前記追加の充填剤/顔料は、0.5μm~15μmの範囲内のd50粒径などの特定の粒径を有し得る。前述の小さな粒径成分はパッキング最適化を提供し、前記組成物中の空隙を充填し、これらの空隙の間の樹脂の流れを向上させることが判明した。
【0096】
本明細書中で記載する組成物から形成することができる他の非限定的物品としては、プラスチック、紙、及びセメント製品が挙げられる。これらの組成物は、本発明の前記クリストバライトに加えて、そのような物品を形成するために当該技術分野で公知の必要な材料を含むことが理解される。例えば、プラスチック製品を形成するための前記組成物は、少なくとも前記クリストバライトと、アクリル、ポリスチレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ナイロン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、そのコポリマー、又はそれらの組み合わせなどのプラスチック材料を形成するための一つ以上の樹脂を有するバインダーとを含み得る。
【0097】
示したように、本明細書中に記載する前記組成物はまた、白色外観などの少なくとも部分的に着色された外観を示すコーティングを形成するためにも使用できる。前記組成物は、少なくとも本発明の前記クリストバライトと、基体の表面に施し硬化させた場合にフィルムを形成する一つ以上の樹脂を有するバインダーと、任意選択的にクロスリンカーとを含み得る。本明細書中で使用する場合、「硬化可能」、「硬化」などの語は、前記組成物を構成する前記成分の少なくとも一部分が重合可能及び/又は架橋可能であり、自己架橋性ポリマーを含むことを意味する。
【0098】
前記コーティングを形成する前記組成物は、熱硬化性組成物又は熱可塑性組成物であり得る。本明細書中で使用する場合、「熱硬化性」という語は、硬化又は架橋に際して不可逆的に「硬化」する組成物であって、ポリマー成分のポリマー鎖が共有結合によって結合しているものを指す。この特性は、通常、例えば、熱又は放射線(例えば、可視光、紫外線光、赤外線など)によって誘導されることが多い架橋反応に関連する。熱硬化性コーティング組成物は、典型的には、クロスリンカーを含む。さらに、「熱可塑性」という語は、追加の加熱により液体流となり得るポリマー成分を含む組成物を指す。
【0099】
前記組成物を様々な基体に施し硬化させて、前記最終コーティングを形成することができる。これらの基体は金属又は非金属であり得る。金属基体としては、スズ、鋼(電気亜鉛メッキ鋼、冷間圧延鋼、溶融亜鉛メッキ鋼を含む)、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛-アルミニウム合金、及びアルミニウムメッキ鋼が挙げられる。非金属基体としては、ポリマー、プラスチック、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリカーボネート、ポリカーボネートアクリロブタジエンスチレン(PC/ABS)、木材、ベニヤ、セメント、石材、ガラス、紙、織物などが挙げられる。そのような材料は、通常、自動車用基体、工業用基体、包装用基体、木質フローリング及び家具、衣料品、電子機器、スポーツ用品等を形成するために使用される。
【0100】
クリストバライトを含む前記組成物は、追加の顔料と組み合わせた場合に、白色、コーティング又は他の色を、様々な物品及びコーティングに提供することができ、それによって、二酸化チタンの前記使用を低減又は排除できることが判明した。二酸化チタンの前記使用を低減又は排除することで、そのような組成物及び物品の前記製造コストが大幅に削減される。
【0101】
前記クリストバライトは、前記組成物増強鉱物として様々な改善及び利点を提供できることも判明した。例えば、クリストバライトを前記組成物増強鉱物として含む前記組成物は、前記クリストバライトを除いて全て同じ材料を含む組成物よりも必要とするバインダー樹脂が少ないことが判明している。バインダー樹脂の量が少ないほど、前記組成物及び前記製造プロセスの前記コストが低くなり、その結果、組成物形成から最終硬化時間までの処理時間が短くなり、「ピンホール」や他の表面欠陥の前記発生が減少し、結果として製造収率が高くなり、及び/又は反り若しくは他の製品の変形のような樹脂に関連する欠陥の発生が減少すると理解される。さらに、前記組成物増強鉱物としての前記クリストバライトはまた、組成物の製造に必要な触媒及び開始剤の前記量を削減することもでき、これによってコストや潜在的な製品の欠陥も低減できる。いくつかの非限定的実施形態において、前記組成物増強鉱物としての前記クリストバライトは、前記組成物全体にわたってより均一な樹脂分布をもたらす改善された樹脂流を提供し、かくして乾燥/低結合領域の前記可能性を低減し、したがって、組成物の機械的及び/又は審美的欠陥の前記発生を低減する。
【0102】
クリストバライトを前記組成物増強鉱物として含む前記組成物は、前記クリストバライトによって変更されない一貫した最終的な組成物の色を提供できることも判明した。このことが次に、色に悪影響を及ぼしたり、又は美観を著しく変更したりすることなく、一貫した色を可能にして、予測可能かつ再現可能な色調を提供するなど、処理上の利点を提供する。前記組成物増強鉱物としての前記クリストバライトは、ある特定の量及び/又は前記組成物中の他の成分に対する比率で添加して、予測可能かつ再現可能な色調を提供できると理解される。例えば、前記クリストバライトは、組成物に対して組成物増強鉱物として、前記組成物の前記総重量に基づいて、10重量%未満、例えば、0.1重量%~8重量%の範囲内、又は2重量%~8重量%の範囲内、又は2重量%~6重量%の範囲内、又は4重量%~6重量%の範囲内の量で添加できる。前記クリストバライトは、顔料として、及び組成物増強材料/加工助剤として、添加できると理解される。
【0103】
以下の実施例は、本発明の一般原理を実証するために提示される。本発明は、提示された具体例に限定されると考えるべきではない。実施例中の全ての部及びパーセンテージは、特に断りの無い限り、重量基準である。
【0104】
実施例1
クリストバライトの調製及び分析
酸化鉄及び二酸化チタン(イルメナイト)レベルが低い適切な全粒シリカ源を選択し、各シリカ源の前記特性はXRF又はICP情報に基づいて決定した。前記全粒シリカ源以外の前記酸化物を下記表1に示す。前記全粒シリカ(すなわち、SiO2)が前記組成物構成の大部分(99重量%超)を構成し、残りは表1に示す前記成分及び量に基づくことが理解される。
【0105】
【0106】
フラックス剤としての水酸化ナトリウムの希釈混合物を前述の全粒シリカ源と混合して、0.2%又は2000ppmまでの酸化ナトリウムレベルの混合物を形成する。大過剰の水(約12%NaOH)をパドルミキサー(例えば、Palmer Manufacturing Industries又はFeecoから購入)と共に使用して、前記シリカ顆粒を完全に被覆する。
【0107】
サンプル2の初期顆粒の粒径分布を下記表2に示す。これは、ASTM C429及びASTM C136の方法にしたがって決定される。
【0108】
【0109】
前記フラックス剤を前述のシリカ前駆体砂と組み合わせた後、前記混合物を回転炉(FEECO、FLSmidth、及びThermcraftから入手可能)などの炉に入れる。前記フラックス剤を用いて、1000℃~1200℃の範囲の温度を0.5~2時間の期間使用して、前記シリカをクリストバライトに変換する。次に、10~15メッシュの顆粒を前記変換ステップ後に除去する。
【0110】
前記生成物が充分に変換されていることを証明するために、HunterLab Colorflex EZユニットを使用して粉末の色のチェックを行って、前記乾燥Lが96を超え、前記a値が0付近であり、前記b値が1未満であることを示す。前記変換をさらに立証するために、Micromeritics又はAnton Paar製の比重計による見かけの密度のチェックを行い、密度が、2.65g/cm3のシリカ密度から2.2~2.3g/cm3まで減少することが示される。前記変換率%は、さらにXRD(Bruker、Olympus、又はRigaku製のX線回折)によって示され、前記クリストバライトが少なくとも75%を超えている存在する前記結晶を区別する。
【0111】
次に、前記クリストバライトはボールミル(Eriez又はInternational Process Equipmentから購入)を用いて粉砕し、分級器(Stuurtevant、Netzch、又はProgressive Industriesから入手)に供給し、分級器によりリサイクル流から前記完成粒子を分離して、前記平均粒径を5ミクロンにする。
【0112】
前記最終製品をもう一度、前述のSedigraph又はMicrotrac/Malvern機器のいずれかにより色及び前記粒子分布についてチェックする。
【0113】
実施例2
クリストバライトを顔料として含む組成物
二つの人工大理石、石英カウンタートップを、二酸化チタンレベルが低下していること以外は同じレシピを用いて製造した。第一のサンプルであるサンプル1は前記二酸化チタンレベルが5重量%であり、クリストバライト添加剤を含んでいなかった。第二のサンプルであるサンプル2は、同量のクリストバライト微細顔料で置換することによって、前記二酸化チタンの重量基準で過半量を除去して1.8重量%にした。前記組成物を以下の表3に示す。
【0114】
【表3】
1前記グリットは、少なくとも0.1mm(100ミクロン)の大きな粒径のクリストバライトであった。シリカ、砂などの他の材料を本明細書中で記載するような前記グリットとして使用できることが理解される。
2前記充填剤は、325メッシュ(44ミクロン)の大きな粒径のクリストバライトであった。シリカ、砂などの他の材料を本明細書中で記載するような前記充填剤として使用できることが理解される。
【0115】
前記完成したスラブを同じ条件で圧縮し、硬化させ、研磨した。次に、BYK Gardner、Color-guide#6805を用い、以下の方法で前記スラブの前記色を試験した:Cie L*a*b*;ジオメトリ:45度/0度;及び光源/観察者:D65/10度。どちらのスラブも審美的には類似しており、測定単位1未満と記載されるようにデルタE差は無視可能であった。色データを表4にまとめる。
【0116】
【0117】
実施例3
クリストバライトを組成物増強鉱物として含む組成物及びその複合物の調製
組成物増強鉱物(加工助剤)としての微粉砕クリストバライトが、前記最終複合物の前記品質に影響を及ぼすことなく、如何に樹脂使用量を低減できるかを証明するために、類似の組成物を使用して三つの人工大理石複合物(石英カウンタートップ)を製造した。前記組成物の主成分である、全粒シリカ(グリット)、粉砕粉末(充填剤)、及びポリエステル樹脂(バインダー)の各々は全て同じであった。表5の前記組成は、樹脂、グリット、及び充填剤の合計が100重量%であり、その他の成分が100%を超える重量パーセンテージとなる、業界の慣行に基づく。第一サンプルであるサンプル1は、15.5重量%の樹脂レベルの対照サンプルとみなされ、これは、この製造設備で顕著な表面欠陥のない許容可能な品質を得るのに典型的なものである。第二のサンプルであるサンプル2は比較サンプルであり、1%の前記ポリエステル樹脂で出発レベルが14.5重量%である以外は、サンプル1と同じ組成を使用した。
図1で見られるように、この1%の樹脂の減少は品質に影響を及ぼし、前記スラブの乾燥部分(低樹脂分布)を示す表面欠陥が出現する。前記欠陥を除去するために微粉砕されたクリストバライトの組成物増強鉱物が添加されていることを除いて、本発明に対応する最後のサンプルであるサンプル3も、前記樹脂が1%減少している。下記表5は、各組成物で使用される前記成分及び対応する量を記載する。
【0118】
【表5】
1前記グリットは、少なくとも0.1mm(100ミクロン)の大きな粒径のクリストバライトであった。シリカ、砂などの他の材料を本明細書中で記載するような前記グリットとして使用できることが理解される。
2前記充填剤は、325メッシュ(44ミクロン)の大きな粒径のクリストバライトであった。シリカ、砂などの他の材料を本明細書中で記載するような前記充填剤として使用できることが理解される。
【0119】
表6に示すように、サンプル1と使用可能なスラブが36%減少したサンプル2のスラブとを比較し、最終的に前記最終複合物を「グレードB未満」に分類することで、樹脂の減少の影響がわかる。この品質の低下は、樹脂を減少させようと試みる多くの操作に典型的であり、結果として、
図1に例示されるように、前記完成したスラブ上にドライスポットが生じる。サンプル3は、前記品質上の問題なく、サンプル2と同様に樹脂装填を減らして微粉砕されたクリストバライトを組成物増強材料/加工助剤として使用する前記利点を示す。
【0120】
【0121】
実施例4
クリストバライトを顔料として含む組成物の調製
三つの人工大理石カウンタートップは、一つのサンプルが増量剤を含まない対照であり、一つのサンプルがクリストバライトベースの増量剤を使用し、最後のサンプルが非クリストバライト増量剤を使用するということを除いて、同じ組成を使用して製造した。前記組成物の主成分である、全粒シリカ(グリット)、粉砕粉末(充填剤)、及びポリエステル樹脂(バインダー)の各々は全て同じであった。表7に列挙する前記組成は、樹脂、グリット、及び充填剤の合計が100重量%であり、その他の成分が100%を超える追加の重量パーセンテージとなる、業界の慣行に基づく。第一サンプルであるサンプル1は、基準レベルのチタンを有し、増量剤が添加されていない前記対照例と考えられる。第二サンプルであるサンプル2は、二酸化チタンが減少し、微粉砕されたクリストバライト増量剤で置換されたことを除いて、サンプル1と同じ組成を使用した。最後のサンプルであるサンプル3は比較例であり、この組成物がシリカベースの鉱物を非クリストバライト増量剤として使用したことを除いて、サンプル2と同じである。
【0122】
【表7】
1前記グリットは少なくとも0.1mm(100ミクロン)の大きな粒径のクリストバライトであった。シリカ、砂などの他の材料を本明細書中で記載するような前記グリットとして使用できることが理解される。
2前記充填剤は、325メッシュ(44ミクロン)の大きな粒径のクリストバライトであった。シリカ、砂などの他の材料を本明細書中で記載するような前記充填剤として使用できることが理解される。
【0123】
前記完成したスラブを同じ条件で圧縮し、硬化させ、研磨した。次に、前記スラブの前記色を、BYK Gardner、Color-guide#6805を使用し、以下の方法で試験した:Cie L*a*b*;ジオメトリ:45度/0度;及び光源/観察者:D65/10度。どちらのスラブも審美的には類似しており、測定単位1未満と記載されるようにデルタE差は無視可能であった。前記色データを表8にまとめる。
【0124】
【0125】
前記クリストバライト増量剤及び非クリストバライト増量剤は同様の粒径分布を有していたが、前記サンプル2及びサンプル3の結果から増量剤の色の重要性がわかる。最も顕著な違いを要約すると、サンプル1の前記対照とサンプル3の前記非クリストバライト増量剤とで合計デルタEが7.29であることである。一方、クリストバライト増量剤を使用した前記複合物スラブであるサンプル2は、サンプル1と比較した場合、測定値0.36で1単位未満のデルタE差であった。
【0126】
前述の記載で開示された概念から逸脱することなく本発明に修正を加えることができることは当業者であれば容易に理解されるであろう。したがって、本明細書で詳細に記載する特定の実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではなく、添付の特許請求の範囲及びそのすべての均等物の全容が与えられるべきである。
【国際調査報告】