(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】サンプル収集デバイス及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 1/02 20060101AFI20240514BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G01N1/02 W
G01N1/10 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571798
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-04
(86)【国際出願番号】 IB2022051251
(87)【国際公開番号】W WO2022243753
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】バーリガン,マイケル アール.
(72)【発明者】
【氏名】ボニーラ,トーニャ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ドンブロウスキー,アラン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ネレング,ローラ アール.
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン,オードリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】シッター,ブレット ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ステパノヴァ,ナリーナ ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウォール,マイケル シー.
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA34
2G052AB16
2G052AB27
2G052AD02
2G052AD22
2G052AD46
2G052BA03
2G052BA14
2G052DA12
2G052DA22
2G052EA03
2G052EA11
2G052ED04
2G052ED05
2G052ED11
2G052GA28
2G052GA29
2G052JA06
2G052JA08
2G052JA11
2G052JA13
(57)【要約】
サンプル収集デバイスは、マウスピース端部から空気出口端部まで延びるハウジングを含み、ハウジングはマウスピース端部から空気出口端部への気流チャネルを画定し、マウスピース端部は呼気気流を受容するように構成されている。ハウジング内に気流チャネルに沿って、多孔性サンプル収集媒体が配置される。マウスピース端部にマウスピース端部キャップが交換可能に結合され、空気出口端部に空気出口端部キャップが交換可能に結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル収集デバイスであって、
マウスピース端部から空気出口端部まで延びるハウジングであって、前記マウスピース端部から前記空気出口端部への気流チャネルを画定し、前記マウスピース端部が呼気気流を受容するように構成されている、ハウジングと、
前記ハウジング内に前記気流チャネルに沿って固定された多孔性サンプル収集媒体と、
前記マウスピース端部に交換可能に結合されるマウスピース端部キャップと、
前記空気出口端部に交換可能に結合される空気出口端部キャップと、を備える、
サンプル収集デバイス。
【請求項2】
前記マウスピース端部キャップ及び前記空気出口端部キャップのうちの1つが、ノズル又は液体スポイトを備える、請求項1に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項3】
前記マウスピース端部キャップ又は前記空気出口端部キャップのうちの1つが、定量の液体を有する液体リザーバを備える、請求項1又は2に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項4】
前記液体リザーバが、50マイクロリットル~500マイクロリットルの範囲の容積を画定する、請求項3に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項5】
前記多孔性サンプル収集媒体が表面積値を画定し、前記流体リザーバが容積値を画定し、前記容積値を前記表面積値で割った値が、10マイクロリットル/cm
2~400マイクロリットル/cm
2又は、10マイクロリットル/cm
2~250マイクロリットル/cm
2の範囲内である、請求項4に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項6】
前記ノズル又は液体スポイトが、前記ノズル又は液体スポイトを閉鎖するように構成される封止キャップを更に備える、請求項2に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項7】
前記ハウジング、前記マウスピース端部キャップ、又は前記空気出口端部キャップが、前記気流チャネルから前記ノズル又は前記液体スポイトを通して液体を押し出すためにユーザによって圧搾されるように構成される、請求項2に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項8】
前記多孔性サンプル収集媒体が、静電荷を有する不織布濾過層を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項9】
前記不織布濾過層が疎水性である、請求項8に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項10】
前記不織布濾過層がポリプロピレン又はポリ乳酸のうちの少なくとも1つから形成される、請求項8又は9に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項11】
前記不織布濾過層がプリーツ加工されている、請求項8~10のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項12】
前記不織布濾過層が、200~1000マイクロメートル、又は250~750マイクロメートルの範囲の厚さを有する、請求項8~11のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項13】
前記液体リザーバが、水性流体、水性緩衝液、界面活性剤を含む水性流体、生理食塩水、又は界面活性剤を含む生理食塩水のうちの少なくとも1つである液体を収容する、請求項3、4、又は5のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項14】
前記ハウジング内に、前記気流チャネルに沿って、前記マウスピース端部と前記多孔性サンプル収集媒体との間に固定されたプレフィルタを更に備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項15】
前記ハウジングが前記マウスピース端部から前記空気出口端部までの長さ値Lを有し、前記多孔性サンプル収集媒体が、前記マウスピース端部及び前記空気出口端部の両方から前記長さ値Lの少なくとも20%だけ奥まっている、請求項1~14のいずれか一項に記載のサンプル収集装置。
【請求項16】
前記ハウジングがポリマーで形成される、請求項1~15のいずれか一項に記載のサンプル収集装置。
【請求項17】
前記マウスピース端部キャップが前記ハウジングにテザーで繋がれている、請求項1~16のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項18】
前記空気出口端部キャップが前記ハウジングにテザーで繋がれている、請求項1~17のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイス。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイスと、
前記サンプル収集デバイスから液体を受容するように構成されたアッセイと、
を備える、サンプル収集システム。
【請求項20】
前記アッセイが、ウイルス、病原体、又は他の標的検体の存在を検出する、請求項19に記載のサンプル収集システム。
【請求項21】
前記アッセイが側方流アッセイである、請求項19又は20に記載のサンプル収集システム。
【請求項22】
前記アッセイが垂直流アッセイである、請求項19又は20に記載のサンプル収集システム。
【請求項23】
請求項1~18のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイスと、
サンプルを収集するための説明書と、
を含む、キット。
【請求項24】
前記説明書が、
前記ハウジングの前記気流チャネルに息を吹き込んで前記多孔性サンプル収集媒体内にサンプルを捕捉し、
前記空気出口端部に前記空気出口端部キャップを交換可能に結合して前記空気出口端部を封止し、
多孔性サンプル収集媒体を通して液体を流し、
前記マウスピース端部に前記マウスピース端部キャップを結合して前記マウスピース端部を封止する、
ための指示を含む、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
請求項1~18のいずれか一項に記載のサンプル収集デバイスに呼気を流入させて、ロード済み多孔性サンプル収集媒体を形成することと、
前記空気出口端部を前記空気出口キャップで封止することと、
前記ロード済み多孔性サンプル収集媒体を通して液体を流し、溶離液を形成することと、
前記マウスピース端部を前記マウスピース端部キャップで封止することと、を含む、
方法。
【請求項26】
アッセイを用いて前記溶離液を試験することを更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記液体を流すことが、50マイクロリットル~400マイクロリットルの範囲の定量の液体を、前記気流チャネル内に配置された前記ロード済み多孔性サンプル収集媒体を通して流すことを含む、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記液体を流すことが、界面活性剤を含む定量の水性液体を、前記気流チャネル内に配置された前記ロード済み多孔性サンプル収集媒体を通して流すことを含む、請求項25又は27に記載の方法。
【請求項29】
呼気を流すことが、多孔性不織布静電サンプル収集媒体を通して呼気を流すことを含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記試験が、ウイルス、病原体、又は他の標的検体の存在を検出する、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記ハウジング、前記空気出口端部キャップ、又は前記マウスピース端部キャップを圧搾して、前記マウスピース端部キャップ上のノズルを通して溶離液を付勢することを更に含む、請求項25~30のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、サンプル収集デバイス及びシステム、サンプル収集デバイス及びシステムを使用するための方法、並びにサンプル収集キットに関する。
【0002】
Covid-19がパンデミック状態に至った際、重篤な疾患の特定及び制御を助けるために診断試験の利用可能性が増加することが重要であった。この疾患は、パンデミックが終了した後であっても、そのような診断試験が広く利用可能である必要性を浮き彫りにした。気道、咽喉、又は鼻咽頭におけるウイルス又は他の病原体の存在について試験するために使用される診断試験には、典型的に、サンプルを得るために、鼻腔の後部、鼻腔の中鼻甲介領域、前鼻孔、又は咽喉内へのスワブの挿入を伴う。次いで、スワブを容器内に挿入し、分析するか、又は処理のために実験室に送る。他の診断試験には、唾液サンプルを収集し、次いでそれを容器内に配置することを伴う。現在利用可能な家庭用ウイルス試験(例えば、COVID-19試験)には、鼻スワブ及び試験キット(例えば、Ellume(商標)試験、Abbot(商標)BinaxNOW(商標)試験、及びLucira(商標)オールインワン試験キット)を伴う。鼻スワブサンプル又は唾液を利用する試験は、種々の診断試験と干渉する可能性がある汚染物質と競合する。結果として、これらのサンプルタイプは、RT-PCR分子試験を使用する際に、精製ステップを必要とする。
【発明の概要】
【0003】
上記のサンプル収集デバイス及び試験プロセスは、種々の課題を有する。例えば、これらの利用可能な試験では、典型的には、収集デバイスが実験室で処理されることが必要であり、コストが増加し、結果の送達が遅れる。更に、試験方法の多くは、サンプル収集機構が鼻咽頭スワブ又は他のタイプの鼻スワブ若しくは口スワブであることを必要とし、これは使用者にとって不快である。この不快感は、ユーザが試験を受けない原因になり得る。更に、清潔な容器への移し替え、容器からの取り出し中などに、サンプルが汚染される可能性がある。複数のステップ及びデバイスが関与し、サンプルが汚染される可能性があるため、サンプル収集及び溶離液試験のためのこのような従来の方法及びデバイスは、訓練を受けた専門家(例えば、医療関係者)のみによって使用され得、訓練をほとんど又は全く受けていないユーザによる使用には複雑であり得る。
【0004】
いくつかの実施形態では、本開示は、どのような場所でも一般人が使用できる単一の一体型デバイス内でサンプル収集及びサンプル試験が行われる、使いやすく安価な一体型サンプル収集及び試験デバイスを提供する。本開示の他の実施形態は、ユーザが鼻咽頭スワブ又は他の鼻スワブ若しくは口スワブを受ける必要のないサンプル収集デバイスを提供する。いくつかの実施形態では、この一体型サンプル収集及び試験デバイス、並びに/又はサンプル収集デバイスは、バイオエアロゾルのみを収集する。バイオエアロゾルは、例えば、鼻呼気又は口呼気からのものであり得る。
【0005】
いくつかの実施形態では、この一体型サンプル収集及び試験デバイス、並びに/又はサンプル収集デバイスは、鼻及び/又は口から呼気を収集する。いくつかの実施形態では、この一体型サンプル収集及び試験デバイス、並びに/又はサンプル収集デバイスは、鼻から呼気を収集する。
【0006】
また、世界中の一般人及び/又は医療専門家が病原体又はウイルスを排出しているかを調べるための試験に使用できる、安価で、簡単に使用でき、信頼性の高いサンプル収集デバイスが必要とされている。これらのサンプル収集デバイスは、収集されたサンプル中の病原体又はウイルスが存在するか存在しないかを判定するために、試験デバイスと組み合わせられてもよい。
【0007】
本開示のいくつかの態様は、マウスピース端部から空気出口端部まで延びるハウジングを含むサンプル収集デバイスについて説明し、このハウジングは呼気受容部分口又はマウスピース端部から空気出口端部への気流チャネルを画定し、呼気受容部分又はマウスピース端部は呼気気流を受容するように構成されている。ハウジング内に気流チャネルに沿って、多孔性サンプル収集媒体が固定されている。呼気受容部分又はマウスピース端部に呼気受容部分又はマウスピース端部キャップが交換可能に結合され、空気出口端部に交換可能に空気出口端部キャップが結合される。
【0008】
このサンプル収集デバイスは、サンプルを収集するための説明書と組み合わされて、キットを形成してもよい。説明書はユーザに対し、ハウジングの気流チャネルに息を吹き込んで多孔性サンプル収集媒体内にサンプルを捕捉し、空気出口端部に空気出口端部キャップを交換可能に結合して空気出口端部を封止し、多孔性サンプル収集媒体を通して液体を流し、呼気受容部分又はマウスピース端部に呼気受容部分又はマウスピース端部キャップを結合して呼気受容部分又はマウスピース端部を封止するように指示してもよい。封止されたサンプル収集デバイスは、サンプルが収集された時間及び位置に対して時間的又は位置的に離れた試験場所に輸送されてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、サンプル収集デバイス及び迅速な試験デバイスの両方を含むシステムを提供することが望ましい場合がある。このシステムは有利には自己収容型かつ無菌であってもよい(使用時に汚染される可能性があり、処理中にバイオハザードリスクをもたらし、サンプル間の交差汚染の機会をもたらす可能性があるスワブとは異なる)。このシステムはまた有利には、阻害物質を含まない、より清浄な試験用のサンプルを作り出し、より正確で信頼性の高い結果を提供し得る。
【0010】
サンプルを収集する方法は、サンプル収集デバイス内に呼気を流入させて、ロード済性質サンプル収集媒体を通して液体を流し、溶離液を形成することと、呼気受容部分又はマウスピース端部を呼気受容部分又はマウスピース端部キャップで封止することと、を含んでもよい。
【0011】
溶離液は、呼気受容部分若しくはマウスピース端部キャップ又は呼気受容部分若しくはマウスピース端部に固定されたスポイト又は液体スポイトを画定するノズル又は液体ノズルを通して付勢されてもよい。この排出された溶離液は、垂直アッセイ又は側方アッセイなどのアッセイを使用して試験されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】サンプルを収集している例示的なサンプル収集デバイスの側面概略図である。
【
図2】多孔性サンプル収集媒体を通して液体を流している例示的なサンプル収集デバイスの概略側面図である。
【
図3】多孔性サンプル収集媒体からアッセイ上に液体を流している例示的なサンプル収集デバイスの概略側面図である。
【0013】
定義
本明細書で使用される全ての科学用語及び技術用語は、別途明記しない限り、当該技術分野で通常使用される意味を有する。本明細書で与えられる定義は、本明細書で頻繁に用いる特定の用語の理解を助けるためのものであり、本開示の範囲の限定を意図するものではない。
【0014】
本明細書で使用される「実質的」という用語は、「有意に」と同じ意味を有し、後に続く用語を少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%、で修飾すると理解することができる。本明細書で使用される「実質的に~ではない」という用語は、「有意に~ではない」と同じ意味を有し、「実質的」の逆の意味を有すると理解することができ、すなわち、後に続く用語を10%以下、5%以下、又は2%以下、で修飾すると理解することができる。
【0015】
「約」という用語は、本明細書では、当業者によって予想される測定値の通常の変動を含むために数値と共に使用され、「約」と同じ意味を有し、記載された値の±5%などの典型的な誤差のマージンをカバーすると理解することができる。
【0016】
「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、具体例を例示するために用いることができる一般的な種類を含む。
【0017】
用語「a」、「an」、及び「the」は、用語「少なくとも1つ」と互換的に用いられる。列挙に後続する「~のうちの少なくとも1つ」及び「~のうちの少なくとも1つを含む」という語句は、列挙内の項目のうちのいずれか1つ、及び、列挙内の2つ以上の項目の任意の組み合わせを指す。
【0018】
本明細書で使用されるとき、「又は」という用語は、内容がそうでない旨を特に明示しない限り、概して「及び/又は」を含む通常の意味で使用される。用語「及び/又は」は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0019】
端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含み、あるいは10以下は、10、9.4、7.6、5、4.3、2.9、1.62、0.3などを含む)。値の範囲が特定の値「まで」又は「少なくとも」特定の値である場合、その値は、その範囲内に含まれる。
【0020】
本明細書で使用される場合、「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などは、オープンエンドの意味で用いられ、通常、「含むが、これらに限定されない」という意味である。「から本質的になる(consisting essentially of)」、「からなる(consisting of)」などは、「含む(comprising)」などに包含されることが理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」は、組成物、生成物、方法などに関する場合、その組成物、生成物、方法などの構成要素が、列挙されている構成要素と、その組成物、生成物、方法などの基本的特性及び新規の特性(単数又は複数)に対して実質的に影響を及ぼさない任意の他の構成要素とに限定されることを意味する。
【0021】
「好ましい」及び「好ましくは」という単語は、ある特定の状況においてある特定の利益を供し得る実施形態を指す。ただし、他の実施形態もまた、同じ又は他の状況下で好ましい場合がある。更には、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用ではないことを示唆するものではなく、特許請求の範囲を含む本開示の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0022】
本明細書において言及される任意の方向、例えば、「前」、「後」、「頂部」、「底部」、「左」、「右」、「上側」、「下側」、並びに他の方向及び向きは、本明細書では、図に関する明確性のために記載されるものであり、実際のデバイス若しくはシステム、又はデバイス若しくはシステムの使用を限定するものではない。本明細書に記載されるようなデバイス又はシステムは、いくつかの方向及び向きで使用することができる。
【0023】
「下流」及び「上流」という用語は、デバイスを通る呼気気流の方向に基づく相対位置を指す。例えば、デバイスの最も上流の要素はマウスピース要素であり、デバイスの最も下流の要素は空気出口端である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は、サンプル収集のデバイス、キット、システム、及び方法に関する。いくつかの実施形態では、本開示は、バイオエアロゾル収集のデバイス、キット、システム、及び方法に関する。
【0025】
いくつかの実施形態では、サンプル収集デバイスはマウスピース端部から空気出口端部まで延びるハウジングを含み、ハウジングはマウスピース端部から空気出口端部への気流チャネルを画定し、マウスピース端部は呼気気流を受容するように構成されている。ハウジング内に気流チャネルに沿って、多孔性のサンプル収集媒体が固定されている。マウスピース端部にマウスピース端部キャップが交換可能に結合され、空気出口端部に空気出口端部キャップが交換可能に結合される。
【0026】
マウスピース又は呼気受容部分は、口又は鼻のうちの1つ以上から呼気気流を受容するように構成される。例えば、マウスピース又は呼気受容部分は、口との接触若しくは口への隣接によって、又は鼻/鼻孔との接触によって、又はそれぞれ個々に若しくは集合的に接触することによって、呼吸することができる。マウスピース又は呼気受容部分によって受容される呼気気流は、口呼気又は鼻呼気のどちらか又は両方であり得る。本明細書で使用する場合、「マウスピース」という用語は、エアロゾル又はバイオエアロゾルの口呼気又は鼻呼気を受容することのできる呼気受容部分を指すと意図される。
【0027】
多孔性サンプル収集媒体は、本明細書では平面要素を画定するものとして示されているが、多孔性サンプル収集媒体は、ハウジング内に気流チャネルに沿って配置されると、任意の形状を画定することができることが理解される。例えば、サンプル収集媒体は、プリーツ加工されていてもよい。いくつかの実施形態では、プリーツの頻度は、媒体の0.6cm当たり約1プリーツ~媒体の2mm当たり約1プリーツである。いくつかの実施形態では、プリーツの高さは、約2mm~約4mmである。
【0028】
サンプル収集デバイスは、デバイスハウジング内に、デバイスハウジングによって画定された気流チャネルに沿って配置された多孔性サンプル収集媒体を含む。サンプルが多孔性サンプル収集媒体上に収集されると、将来の時間に、かつ/又はサンプル収集場所から離れた場所で試験するために、ハウジングの開放端が封止され得る。ハウジングの一方又は両方の開放端が封止され得た後に、多孔性サンプル収集媒体に液体を通過させ得る。
【0029】
ハウジングの開放端の片方は、ノズル又は液体スポイトを含む端部キャップで閉鎖又は封止されてもよい。将来の時間に、かつ/又はサンプル収集場所から離れた場所で試験するために、ノズル又は液体スポイトの端部を封止して液体をハウジング内に維持するように、ノズル又は液体スポイトはノズルキャップ又はスポイトキャップを更に含んでもよい。ノズル又は液体スポイトは、ハウジングからアッセイ上に液滴を配置するための便利な方法を提供する。好ましくは、ハウジングの一部、又は端部キャップの一方若しくは両方は、液体をノズル又は液体スポイトを通してサンプル収集デバイスから押し出すように「圧搾可能」であってもよい。
【0030】
図1は、サンプルを収集しているサンプル収集デバイス100の側面概略図である。
図2は、多孔性サンプル収集媒体150を通して液体170を流している例示的なサンプル収集デバイス100の概略側面図である。
図3は、多孔性サンプル収集媒体150からアッセイ180上に液体170を流している例示的なサンプル収集デバイス100の概略側面図である。
【0031】
サンプル収集デバイス100はマウスピース端部112から空気出口端部114まで延びるハウジング110を含み、ハウジング110はマウスピース端部112から空気出口端部114への気流チャネル116を画定し、マウスピース端部112は呼気気流160(例えば、鼻又は口又はその両方から)を受容するように構成されている。ハウジング110内に気流チャネル116に沿って、多孔性サンプル収集媒体150が固定されている。マウスピース端部112にマウスピース端部キャップ120が交換可能に結合され、空気出口端部114に空気出口端部キャップ125が交換可能に結合される。
【0032】
ハウジング110は、マウスピース端部112から空気出口端部114まで長手方向軸に沿って長さ値Lだけ延びる開放円筒形の気流チャネル116を画定してもよい。開放円筒形の気流チャネル116は、マウスピース端部112から空気出口端部114までの長さ値Lに沿って一様な直径を有してもよい。開放円筒形の気流チャネル116は、長さ値Lに沿って減少する直径を有し、マウスピース端部112から空気出口端部114まで先細になっていてもよい。開放円筒形の気流チャネル116は、長さ値Lに沿って増大する直径を有して、空気出口端部114からマウスピース端部112まで先細になっていてもよい。
【0033】
ハウジング110は、液体及び流体不浸透性材料から形成される。ハウジング110は、ハウジング110から液体を強く押し出すために、圧搾ボトルと同様にユーザの指の圧力によって変形又は塑性変形され得る、液体及び流体不浸透性材料から形成されてもよい。ハウジング110は、ポリマーで形成されていてもよい。ハウジングは、例えば0.5mm~2mmの範囲の、一様な厚さを有してもよい。有利なことに、ユーザは、多孔性サンプル収集媒体150の位置でハウジング110を圧搾又は圧縮して、多孔性サンプル収集媒体150から液体を「絞り出す」ことができる。
【0034】
マウスピース端部キャップ120及び空気出口端部キャップ125は、同じ種類の材料で形成されてもよく、又は異なる種類の材料で形成されてもよい。マウスピース端部キャップ120及び/又は空気出口端部キャップ125は、ハウジング110と同じタイプの材料で形成されてもよい。マウスピース端部キャップ120及び空気出口端部キャップ125の一方又は両方は、(マウスピース端部キャップ120及び空気出口端部キャップ125の両方がハウジング110に取り付けられているときに)ハウジング110から液体を押し出すために、圧搾ボトルと同様に、圧搾可能であってもよく、又は使用者の指の圧力によって変形若しくは塑性変形されてもよい。マウスピース端部キャップ120及び空気出口端部キャップ125は、ポリマーから形成されてもよい。
【0035】
マウスピース端部キャップ120及び空気出口端部キャップ125は、ハウジング110から分離していてもよい。マウスピース端部キャップ120は、例えばテザー122を介してハウジング110に結合されていてもよい。空気出口端部キャップ125は、例えばテザー127を介してハウジング110に結合されていてもよい。テザー122は、マウスピース端部キャップ120のいずれかの部分に接続されていてもよい。テザー122は、ハウジング110のいずれかの部分に接続されていてもよい。テザー127は、空気出口端部キャップ125のいずれかの部分に接続されていてもよい。テザー127は、ハウジング110のいずれかの部分に接続されていてもよい。
【0036】
マウスピース端部キャップ120及び空気出口端部キャップ125の一方は、ノズル又は液体スポイト124を更に含んでもよい。ノズル又は液体スポイト124は、点眼器と同様に、液体がハウジング110から液滴様式で流出できるようにしてもよく、又は流出できるようにするように構成されていてもよい。ノズル又は液体スポイト124は、点眼器キャップと同様に、ノズル又は液体スポイト124を閉鎖又は封止するように構成されたノズル又は液体スポイトキャップを更に含んでもよい。ノズル又は液体スポイトキャップは、後続の試験のためにサンプル収集デバイス100内の液体を保存するように、ノズル又は液体スポイト124に交換可能に取り付けられてもよい。
【0037】
サンプル収集デバイス100に液体リザーバが流体結合されて、ハウジング110内に固定された多孔性サンプル収集媒体150上に定量の液体を提供するように構成されていてもよい。定量の液体は、多孔性サンプル収集媒体150を通過し、多孔性サンプル収集媒体150に結合され得る病原体又はウイルスを運び去る。次いで、定量の液体170を分析してもよい。
【0038】
液体リザーバは、ハウジング110に固定されて、ハウジング110の側壁を通して液体を流してもよい。液体リザーバは、マウスピース端部キャップ120に固定されて、マウスピース端部キャップ120の壁を通して液体を流してもよい。液体リザーバは、空気出口端部キャップ125に固定されて、空気出口端部キャップ125の壁を通して液体を流してもよい。
【0039】
あるいは、ユーザが、ハウジング110の1つの開放端に、例えば液滴様式で液体を加えることによって、ハウジング110内に固定された多孔性サンプル収集媒体150上に、定量の液体を流してもよい。一例では、ユーザは、開放端ハウジング110を通して息を吹き込み、次いで空気出口端部114を空気出口端部キャップ125で封止し、次いで開放されたマウスピース端部112を介して定量の液体170をハウジング110内に加え、定量の液体170が多孔性サンプル収集媒体150を通って流れ、多孔性サンプル収集媒体150上に生体物質があれば剥ぎ取り、次いでユーザがマウス端部キャップ120でマウス端部112を封止してもよい。次いで、ユーザは、サンプル収集デバイス100を圧搾して、ハウジング110から液体を、ノズル又は液体スポイト124を通すなどして、アッセイ180上に液滴様式で強く押し出してもよい。
【0040】
定量の液体170は水性液体であってもよい。定量の液体170は水性緩衝液であってもよい。定量の液体170は、界面活性剤を含む水性液体であってもよい。定量の液体170は生理食塩水であってもよい。定量の液体170は、界面活性剤を含む生理食塩水であってもよい。定量の液体170は、0.005重量%~2重量%の界面活性剤を含む生理食塩水であってもよい。定量の液体170又は液体リザーバは、50マイクロリットル~500マイクロリットルの範囲の体積を有してもよい。
【0041】
多孔性サンプル収集媒体150は、ハウジング110内に気流チャネル116に沿って固定されていてもよい。呼気気流160は、多孔性サンプル収集媒体150の厚さを通過する。サンプル収集デバイス100は、多孔性サンプル収集媒体150にわたる圧力降下を最小限にしながらユーザがサンプル収集デバイス100内に快適に息を吹き込めるようにするように構成される。例えば、ユーザは、サンプル収集デバイス100に85リットル/分未満、又は50リットル/分未満、又は35リットル/分未満、又は24リットル/分未満、又は10リットル/分未満の速度で息を吹き込み、70水柱mm以下、又は50水柱mm以下、又は25水柱mm以下、又は10水柱mm以下、又は5水柱mm以下の、多孔性サンプル収集媒体150にわたる圧力降下を経験してもよい。
【0042】
多孔性サンプル収集媒体150は、気流チャネル116を少なくとも部分的に塞ぐ。多孔性サンプル収集媒体150は、気流チャネル116を塞いでもよい。多孔性サンプル収集媒体150は、多孔性サンプル収集媒体150の厚さを通過する呼気気流160の方向に直交する主平面を有してもよい。
【0043】
多孔性サンプル収集媒体150は気流チャネル116内に固定され、ユーザが多孔性サンプル収集媒体150に触れて汚染するのを防止するために、空気出口端部114からマウスピース端部112のそれぞれから離間される。ハウジング110はマウスピース端部112から空気出口端部114までの長さ値Lを有し、多孔性サンプル収集媒体150は、マウスピース端部112及び空気出口端部114の両方から、長さ値Lの少なくとも20%、又は長さ値Lの少なくとも25%、又は長さ値Lの少なくとも30%、又は長さ値Lの少なくとも35%、又は長さ値Lの25%~50%の範囲で奥まっている。
【0044】
多孔性サンプル収集媒体150は、呼気気流160から病原体又はウイルスを濾過又は捕捉するように構成された不織布材料であってもよい。多孔性サンプル収集媒体150は、呼気気流160から病原体又はウイルスを濾過又は捕捉するように構成された、静電荷を有する不織布の濾過層又は材料であってもよい。多孔性サンプル収集媒体150は、呼気気流160から病原体又はウイルスを濾過又は捕捉するように構成された疎水性不織布の濾過層又は材料であってもよい。多孔性サンプル収集媒体150は、呼気気流160から病原体又はウイルスを濾過又は捕捉するように構成された、静電荷を有する疎水性不織布の濾過層又は材料であってもよい。
【0045】
「疎水性」という用語は、90度以上、又は約90度~約170度、又は約100度~約150度の水接触角を有する材料を指す。水接触角は、自動接触角試験機を使用して、シート状材料の表面湿潤性及び吸収性についてのASTM D5727-1997標準試験法を使用して測定される。
【0046】
多孔性サンプル収集媒体150は、ポリマー材料から形成されてもよい。多孔性サンプル収集媒体150は、ポリオレフィンから形成されてもよい。多孔性サンプル収集媒体150は、ポリプロピレンから形成されてもよい。1つの例示的な多孔性サンプル収集媒体150は、3M Company(St.Paul MN,U.S.A.)から、商品名FILTRETE Smart MPR 1900 Premium Allergen,Bacteria&Virus Air Filter Merv 12~14、又はMerv 13で市販されている。
【0047】
多孔性サンプル収集媒体150は、例えば、NatureWorks LLC15305 Minnetonka Blvd Minnetonka,MN 55345からの6100Dなどの、ポリラクチド(PLA)から形成されてもよい。多孔性サンプル収集媒体において又は多孔性サンプル収集媒体150として使用するための例示的な不織布濾過層又は材料としては、例えば、これら全てが、その全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,947,142号、同第8,162,153号、同第9,139,940号、及び同第10,273,612号に記載されるものが挙げられる。
【0048】
多孔性サンプル収集媒体150は、200マイクロメート~1000マイクロメートル、又は250マイクロメート~750マイクロメートルの範囲の(主平面に直交する)厚さを有してもよい。多孔性サンプル収集媒体150は、約1cm2~約4cm2、又は約2cm2~約3cm2の範囲の主平面表面積を有してもよく、気流チャネル116の断面を埋めるために十分である。気流チャネル116は、1cm2~約4cm2、又は約2cm2~約3cm2の範囲の断面積を有してもよい。
【0049】
多孔性サンプル収集媒体150は主表面積値を画定し、液体リザーバ又は定量の液体170は容積値を規定し、容積値を表面積値で割った値は、10マイクロリットル/cm2~400マイクロリットル/cm2、又は10マイクロリットル/cm2~250マイクロリットル/cm2、又は50マイクロリットル/cm2~150マイクロリットル/cm2の範囲内であってもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、サンプル収集デバイス100は、中実物質又はデブリ(例えば、食物粒子など)が多孔性サンプル収集媒体150に付随しないように捕らえるために、ハウジング110内に、多孔性サンプル収集媒体150の上流に配置されたプレフィルタ又はスクリーン(図示せず)を更に含む。プレフィルタ又はスクリーン(図示せず)は、ハウジング110内で気流チャネル116に沿って、かつマウスピース端部112と多孔性サンプル収集媒体150との間に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、プレフィルタ又はスクリーンは、そこを貫通する1つ以上の流れ開口部を含む。呼気気流は、プレフィルタ又はスクリーンの厚さを通過する。プレフィルタ又はスクリーンは、気流チャネル116を少なくとも部分的に塞ぐ。いくつかの事例では、プレフィルタ又はスクリーンは、プレフィルタ又はスクリーンの厚さを通過する呼気気流(図示せず)の方向に直交する主平面(図示せず)を有してもよい。プレフィルタ又はスクリーンは、プレフィルタ又はスクリーンを通過する呼気気流から比較的大きな粒子を濾過除去するように構成された、不織布層であってもよい。いくつかの事例では、プレフィルタ又はスクリーンは、静電荷を有さない不織布層であってもよい。いくつかの実施形態では、プレフィルタ又はスクリーンは、有意な量のウイルス性物質又は病原体物質を濾過又は捕捉するのではなく、それらがプレフィルタ又はスクリーンを透過することを許容する。いくつかの実施形態では、プレフィルタ又はスクリーンは、プラスチックメッシュ、織物ネット、ニードルタッキングされた繊維ウェブ、編物メッシュ、押出成形されたネット、及び/又はカードされた若しくはスパンボンドされたカバーストックのうちの少なくとも1つから作製されるか、あるいはそれを含む。
【0051】
一群のサンプルを1つのアッセイ180で試験するために、2つ以上のサンプル収集デバイス100の端と端を合わせて積み重ねて、2つ以上の多孔性サンプル収集媒体150上に液体を施用してもよい。
【0052】
本開示はまた、サンプル収集システムを対象とする。サンプル収集システムは、上述のサンプル収集デバイス100と、サンプル収集デバイス100から流体を受容するように構成されたアッセイ180とを含む。アッセイ180は、サンプル収集デバイス100とは別個の要素であってもよい。アッセイ180は、サンプル収集デバイス100から液体170を受容するように構成されていてもよい。
【0053】
アッセイ180は、側方流アッセイ又は垂直流アッセイなどの、流れアッセイであってもよい。アッセイ180は、ウイルス、病原体、又は他の対象検体を検出することができる。アッセイは、例えば、核酸増幅(PCR、等温)、イムノアッセイなどであってもよい。アッセイ180は、ウイルス又は病原体の存在又は非存在を示す試験結果表示窓を含んでもよい。
【0054】
アッセイは、側方流アッセイ(LFA)又は垂直流アッセイ(VFA)と呼ばれることがあり、これらは一般に、複雑な混合物内の検体の検出及び定量化のための紙ベースのプラットフォームであり、サンプルが試験デバイス上に配置され、その結果が5~30分以内に表示される。LFAの低い開発コスト及び製造の容易さにより、迅速な試験が必要とされる複数の分野へのその適用の拡大をもたらした。LFAベースの試験は、特定の抗原及び抗体、並びに遺伝子増幅の産物の定性的及び定量的検出のために、病院、診療所、及び臨床検査室において広く使用されている。種々の生物学的サンプルが、アッセイを使用して試験され得る。
【0055】
本開示はまた、上記のサンプル収集デバイス、及びサンプルを収集するための説明書を含むキットに関する。キットは、サンプル収集プロセスを完了するためにユーザに提供されるパッケージであってもよい。
【0056】
キットの説明書は、
ハウジングの気流チャネルに息を吹き込んで多孔性サンプル収集媒体内にサンプルを捕捉し、
空気出口端部に空気出口端部キャップを交換可能に結合して空気出口端部を封止し、
多孔性サンプル収集媒体を通して液体を流し、
マウスピース端部にマウスピース端部キャップを結合してマウスピース端部を封止する、ための指示を含んでもよい。
【0057】
別の実施形態によれば、方法は、多孔性サンプル収集媒体を通して呼気を流すことを含む。多孔性サンプル収集媒体は気流チャネル内に配置されて、ロード済み多孔性サンプル収集媒体を形成する。次いで、定量の液体を、気流チャネル内に配置されたロード済み多孔性サンプル収集媒体を通して流して溶離液を形成し、その溶離液を収容する。次いで、アッセイを用いて溶離液を試験してもよい。
【0058】
この方法は、呼気を上述のサンプル収集デバイス内に流すことと、ロード済み多孔性サンプル収集媒体を形成することと、次に空気出口端部を空気出口キャップで封止することと、次にロード済み多孔性サンプル収集媒体を通して液体を流すことと、溶離液を形成することと、次にマウスピース端部をマウスピース端部キャップで封止することと、を含むことができる。
【0059】
本方法は、アッセイを用いて溶離液を試験することを更に含んでもよい。試験は、ウイルス又は病原体の存在について溶離液を試験することを含んでもよい。本方法は、50マイクロリットル~400マイクロリットルの範囲の定量の液体を、気流チャネル内に配置されたロード済み多孔性サンプル収集媒体を通して流すことを含んでもよい。本方法は、界面活性剤を含む定量の水性液体を、気流チャネル内に配置されたロード済み多孔性サンプル収集媒体を通して流すことを含んでもよい。本方法は、ハウジング、空気出口端部キャップ、又はマウスピース端部キャップを圧搾して、マウスピース端部キャップ上のノズル又は液体スポイトを通して溶離液を付勢することを含んでもよい。
【0060】
本明細書で言及した全ての参考文献及び刊行物は、これらが本開示に直接矛盾し得る場合を除き、これらの全体が参照により本開示に明示的に組み込まれる。特定の実施形態が本明細書において図示及び説明されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本開示は、本明細書に記載される例示的な実施形態及び実施例によって不当に制限されるものではないこと、並びにそのような実施例及び実施形態は、本明細書に記載される特許請求の範囲によってのみ制限されることが意図される本開示の範囲内の単なる例示として示されることを理解されたい。
【国際調査報告】