(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】光子デバイス、交差導波路、導波路層及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/125 20060101AFI20240514BHJP
G02B 6/122 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G02B6/125 311
G02B6/122 311
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571853
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 CN2022081789
(87)【国際公開番号】W WO2022247408
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】202110568168.2
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202121127053.1
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523436713
【氏名又は名称】南京刻得不錯光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANJING LYCORE TECHNOLOGIES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 405-1,Building A1,No.9 Kechuang Avenue Intelligent Manufacturing Industrial Park (Zhihe Park),Jiangbei New District Nanjing,Jiangsu 210000 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】梁寒瀟
(72)【発明者】
【氏名】宋一品
(72)【発明者】
【氏名】周穎聡
(72)【発明者】
【氏名】巫海蒼
(72)【発明者】
【氏名】毛文浩
(72)【発明者】
【氏名】宋時偉
(72)【発明者】
【氏名】孫維祺
(72)【発明者】
【氏名】兪清揚
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147BA05
2H147BB02
2H147BE12
2H147FA17
2H147FC01
2H147GA19
(57)【要約】
本出願は、光子デバイス、交差導波路、導波路層及びその製造方法を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波路層であって、パネルサブ層と、第1の導波路と、前記第1の導波路と交差する第2の導波路とを含み、ここで、前記第1の導波路と前記第2の導波路はいずれもリッジ導波路であり、
前記第1の導波路と前記第2の導波路は、前記パネルサブ層に設置され、且つ前記パネルサブ層、前記第1の導波路及び前記第2の導波路は、一体型構造であることを特徴とする、導波路層。
【請求項2】
前記第1の導波路と前記第2の導波路は、互いに垂直であることを特徴とする、
請求項1に記載の導波路層。
【請求項3】
前記リッジ導波路は、広幅セグメントと、二つのグラデーションセグメントと、二つの狭幅セグメントとを含み、
前記二つのグラデーションセグメントと前記二つの狭幅セグメントは、いずれも前記広幅セグメントの間に対称に設置され、前記グラデーションセグメントは、前記狭幅セグメントと前記広幅セグメントとの間に位置し、前記広幅セグメントの横断幅は、前記狭幅セグメントの横断幅よりも大きく、前記グラデーションセグメントの前記狭幅セグメントを接続するための側の幅は、前記狭幅セグメントの横断幅に等しく、前記グラデーションセグメントの前記広幅セグメントを接続するための側の幅は、前記広幅セグメントの横断幅に等しいことを特徴とする、
請求項1に記載の導波路層。
【請求項4】
前記パネルサブ層に平行である断面において、前記狭幅セグメントと前記広幅セグメントの形状はいずれも矩形であり、前記グラデーションセグメントの幅は、前記狭幅セグメントから前記広幅セグメントの方向へ次第に広くなることを特徴とする、
請求項3に記載の導波路層。
【請求項5】
前記リッジ導波路の長尺エッジの外表面と前記パネルサブ層との夾角は、20度よりも大きく、且つ90度よりも小さいことを特徴とする
請求項2に記載の導波路層。
【請求項6】
前記第1の導波路の両端と前記第2の導波路の両端はいずれも前記パネルサブ層のエッジまで延びることを特徴とする、
請求項1に記載の導波路層。
【請求項7】
前記第1の導波路と前記第2の導波路とは構造が同じであることを特徴とする、
請求項1に記載の導波路層。
【請求項8】
交差導波路であって、隔離層と、サブストレート層と、請求項1から7のいずれか一項に記載の導波路層とを含み、隔離層は、サブストレート層と導波路層との間にあり、前記隔離層の屈折率は、前記導波路層よりも低いことを特徴とする、交差導波路。
【請求項9】
被覆層をさらに含み、前記導波路層は、前記隔離層と前記被覆層との間に設置され、前記被覆層の屈折率は、前記導波路層よりも低く、前記第1の導波路と前記第2の導波路は、前記パネルサブ層と前記被覆層との間に位置することを特徴とする、
請求項8に記載の交差導波路。
【請求項10】
請求項8に記載の交差導波路を含むことを特徴とする、光子デバイス。
【請求項11】
導波路層の製造方法であって、
基板にフォトレジストをスピンコートすることと、
前記基板に対してパターン露光を行うことと、
パターン露光後の前記基板に対してエッチングを行い、パネルサブ層及び前記パネルサブ層から突出する第1の導波路と第2の導波路を露出させることであって、前記第1の導波路が前記第2の導波路と交差し、前記第1の導波路と前記第2の導波路がいずれもリッジ導波路であることと、
前記第1の導波路と前記第2の導波路からフォトレジストを除去することとを含むことを特徴とする、導波路層の製造方法。
【請求項12】
前記第1の導波路と前記第2の導波路は、互いに垂直であることを特徴とする、
請求項11に記載の導波路層の製造方法。
【請求項13】
前記リッジ導波路は、広幅セグメントと、二つのグラデーションセグメントと、二つの狭幅セグメントとを含み、
前記二つのグラデーションセグメントと前記二つの狭幅セグメントは、いずれも前記広幅セグメントの間に対称に設置され、前記グラデーションセグメントは、前記狭幅セグメントと前記広幅セグメントとの間に位置し、前記広幅セグメントの横断幅は、前記狭幅セグメントの横断幅よりも大きく、前記グラデーションセグメントの前記狭幅セグメントを接続するための側の幅は、前記狭幅セグメントの横断幅に等しく、前記グラデーションセグメントの前記広幅セグメントを接続するための側の幅は、前記広幅セグメントの横断幅に等しいことを特徴とする、
請求項11に記載の導波路層の製造方法。
【請求項14】
前記パネルサブ層に平行である断面において、前記狭幅セグメントと前記広幅セグメントの形状はいずれも矩形であり、前記グラデーションセグメントの幅は、前記狭幅セグメントから前記広幅セグメントの方向へ次第に広くなることを特徴とする、
請求項13に記載の導波路層の製造方法。
【請求項15】
前記リッジ導波路の長尺エッジの外表面と前記パネルサブ層との夾角は、20度よりも大きく、且つ90度よりも小さいことを特徴とする
請求項12に記載の導波路層の製造方法。
【請求項16】
前記第1の導波路の両端と前記第2の導波路の両端はいずれも前記パネルサブ層のエッジまで延びることを特徴とする、
請求項11に記載の導波路層の製造方法。
【請求項17】
前記第1の導波路と前記第2の導波路とは構造が同じであることを特徴とする、
請求項11に記載の導波路層の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年5月24日に中国特許局で提出された、出願番号が2021105681682であり、出願名称が「光子デバイス、交差導波路及びその導波路層」である中国特許出願の優先権を主張しており、同出願の内容の全ては、ここに参照として取り込まれる。
【0002】
本出願はさらに、2021年5月24日に中国特許局で提出された、出願番号が2021211270531であり、出願名称が「光子デバイス、交差導波路及びその導波路層」である中国特許出願の優先権を主張しており、同出願の内容の全ては、ここに参照として取り込まれる。
【0003】
本出願は、光導波路技術分野に関し、具体的には、光子デバイス、交差導波路、導波路層及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0004】
光子学的デバイスにおいてリッジ導波路がますます頻繁に使用されてきており、矩形導波路に比べて、リッジ導波路は、より低い伝送損失を有する。そしていくつかの特殊な応用において、リッジ導波路は、矩形導波路よりもはるかに良好な性能を有する。例えばニオブ酸リチウム変調において、リッジ導波路上では、二つの電極の間に形成された電界をより良好に導波材料内部に蓄積して導波路を通過させることができ、それによって材料と電極により発生する電界との相互作用を大幅に強化する。しかしながら、関連技術において、矩形導波路が光の伝送を行う場合、エネルギーがいずれも矩形導波路に集まることにより、矩形導波路の損失が速い。
【0005】
関連技術における矩形導波路の損失が速いという問題に対して、現在有効な解決案はまだ提出されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願の主な目的は、関連技術における矩形導波路の損失が速いという問題を解決するための光子デバイス、交差導波路、導波路層及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、第1の態様によれば、本出願は、導波路層を提供する。
【0008】
本出願による導波路層は、パネルサブ層と、第1の導波路と、前記第1の導波路と交差する第2の導波路とを含み、ここで、前記第1の導波路と前記第2の導波路はいずれもリッジ導波路であり、
【0009】
前記第1の導波路と前記第2の導波路は、前記パネルサブ層に設置され、且つ前記パネルサブ層、前記第1の導波路及び前記第2の導波路は、一体型構造である。
【0010】
任意選択的に、前記第1の導波路と前記第2の導波路とは構造が同じである。
【0011】
任意選択的に、前記第1の導波路と前記第2の導波路は、互いに垂直である。
【0012】
任意選択的に、前記リッジ導波路は、広幅セグメントと、二つのグラデーションセグメントと、二つの狭幅セグメントとを含み、
【0013】
前記二つのグラデーションセグメントと前記二つの狭幅セグメントは、いずれも前記広幅セグメントの間に対称に設置され、前記グラデーションセグメントは、前記狭幅セグメントと前記広幅セグメントとの間に位置し、前記広幅セグメントの横断幅は、前記狭幅セグメントの横断幅よりも大きく、前記グラデーションセグメントの前記狭幅セグメントを接続するための側の幅は、前記狭幅セグメントの横断幅に等しく、前記グラデーションセグメントの前記広幅セグメントを接続するための側の幅は、前記広幅セグメントの横断幅に等しい。
【0014】
任意選択的に、前記パネルサブ層に平行である断面において、前記狭幅セグメントと前記広幅セグメントの形状はいずれも矩形であり、前記グラデーションセグメントの幅は、前記狭幅セグメントから前記広幅セグメントの方向へ次第に広くなる。
【0015】
任意選択的に、前記リッジ導波路の長尺エッジの外表面と前記パネルサブ層との夾角は、20度よりも大きく、且つ90度よりも小さい。
【0016】
任意選択的に、前記第1の導波路の両端と前記第2の導波路の両端はいずれも前記パネルサブ層のエッジまで延びる。
【0017】
第2の態様によれば、本出願は、交差導波路をさらに提供し、前記交差導波路は、隔離層と、サブストレート層と、上記の導波路層とを含み、前記隔離層の屈折率は、前記導波路層よりも低い。
【0018】
任意選択的に、被覆層をさらに含み、前記導波路層は、前記隔離層と前記被覆層との間に設置され、前記被覆層の屈折率は、前記導波路層よりも低く、前記第1の導波路と前記第2の導波路は、前記パネルサブ層と前記被覆層との間に位置する。
【0019】
第3の態様によれば、本出願は、上記の交差導波路を含む光子デバイスをさらに提供する。
【0020】
第4の態様によれば、本出願は、導波路層の製造方法をさらに提供し、該方法は、
【0021】
基板にフォトレジストをスピンコートすることと、
【0022】
前記基板に対してパターン露光を行うことと、
【0023】
パターン露光後の前記基板に対してエッチングを行い、前記パネルサブ層及び前記パネルサブ層から突出する第1の導波路と第2の導波路を露出させることであって、前記第1の導波路が前記第2の導波路と交差し、前記第1の導波路と前記第2の導波路がいずれもリッジ導波路であることと、
【0024】
前記第1の導波路と前記第2の導波路からフォトレジストを除去することとを含む。
【0025】
任意選択的に、前記第1の導波路と前記第2の導波路は、互いに垂直である。
【0026】
任意選択的に、前記リッジ導波路は、広幅セグメントと、二つのグラデーションセグメントと、二つの狭幅セグメントとを含み、
【0027】
前記二つのグラデーションセグメントと前記二つの狭幅セグメントは、いずれも前記広幅セグメントの間に対称に設置され、前記グラデーションセグメントは、前記狭幅セグメントと前記広幅セグメントとの間に位置し、前記広幅セグメントの横断幅は、前記狭幅セグメントの横断幅よりも大きく、前記グラデーションセグメントの前記狭幅セグメントを接続するための側の幅は、前記狭幅セグメントの横断幅に等しく、前記グラデーションセグメントの前記広幅セグメントを接続するための側の幅は、前記広幅セグメントの横断幅に等しい。
【0028】
任意選択的に、前記パネルサブ層に平行である断面において、前記狭幅セグメントと前記広幅セグメントの形状はいずれも矩形であり、前記グラデーションセグメントの幅は、前記狭幅セグメントから前記広幅セグメントの方向へ次第に広くなる。
【0029】
任意選択的に、前記リッジ導波路の長尺エッジの外表面と前記パネルサブ層との夾角は、20度よりも大きく、且つ90度よりも小さい。
【0030】
任意選択的に、前記第1の導波路の両端と前記第2の導波路の両端はいずれも前記パネルサブ層のエッジまで延びる。
【0031】
任意選択的に、前記第1の導波路と前記第2の導波路とは構造が同じである。
【発明の効果】
【0032】
本出願の実施例では、導波路層を提供し、パネルサブ層と、第1の導波路と、前記第1の導波路と交差する第2の導波路とが設置され、ここで、前記第1の導波路と前記第2の導波路はいずれもリッジ導波路であり、前記第1の導波路と前記第2の導波路は、前記パネルサブ層に設置され、且つ前記パネルサブ層、前記第1の導波路及び前記第2の導波路は、一体型構造である。このように、第1の導波路及び前記第1の導波路と交差する第2の導波路の下にパネルサブ層を設置することで、光が導波路層において伝送される過程において、エネルギーが主にパネルサブ層に集まり、損失が主にパネルサブ層にあり、前記第1の導波路と前記第2の導波路はいずれもリッジ導波路であり、リッジ導波路の損失はより小さく、パネルサブ層はリッジ導波路のリッジに比べて体積がより大きく、リッジ導波路の損失が低減される。それによって関連技術における矩形導波路の損失が速いという問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本出願の実施例による導波路層の構造概略図である。
【0034】
【
図2】本出願の実施例による導波路層の断面概略図である。
【0035】
【
図3】本出願の実施例による導波路層の平面図である。
【0036】
【
図4】関連技術における交差導波路のエネルギー分布概略図である。
【0037】
【
図5】本出願の実施例による導波路層のエネルギー分布概略図である。
【0038】
【
図6】本出願の実施例による交差導波路の構造概略図である。
【0039】
【発明を実施するための形態】
【0040】
本出願の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、実施例又は従来技術の記述に使用される必要のある図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の記述における図面は本出願のいくつかの実施例であり、当業者にとっては、創造的な労力を払うことなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【0041】
以下、図面と実施例に結び付けて本出願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例は、本出願を説明するためのものであり、本出願の範囲を制限するためのものではない。
【0042】
説明すべきこととして、本出願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面における用語である「第1」、「第2」などは、類似している対象を区別するものであり、特定の順序又は前後手順を記述するためのものではない。理解すべきこととして、このように使用される用語は、適切な場合に交換可能であり、それにより本出願の実施例は、ここで図示又は記述されたもの以外の順序で実施されることが可能である。なお、用語である「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものであり、例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品又は機器は、明確にリストアップされているそれらのステップ又はユニットに限定されず、明確にリストアップされていないもの又はこれらのプロセス、方法、製品又は機器に固有の他のステップ又はユニットをさらに含んでもよい。
【0043】
本出願では、用語である「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「中」、「鉛直」、「水平」、「横方向」、「縦方向」などによって示された方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係である。これらの用語は、本出願及びその実施例の説明の便宜を図るためのものであり、指示された装置、素子又は構成部分が特定の方位を有し、又は特定の方位で構造及び操作されなければならないことを限定するものではない。
【0044】
また、上記の用語の一部は、方位又は位置関係以外に、他の意味を表すためにも使用されることがあり、例えば、用語である「上」は、場合によっては何らかの依存関係又は接続関係を表すためにも使用されることがある。当業者にとって、具体的な状況に応じてこれらの用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0045】
なお、用語である「設置」、「設けられる」、「接続」は、広義に理解されるべきである。例えば、「接続」は、固定接続、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、機械的接続又は電気的接続であってもよく、直接接続されること、又は中間媒体を介して間接的に接続されることであってもよく、又は二つの装置、素子又は構成部分の間の内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0046】
なお、用語である「複数」は二つ以上を意味すべきである。
【0047】
説明すべきこととして、矛盾しない限り、本出願における実施例及び実施例における特徴は互いに組み合わせることができる。以下、図面を参照しながら、実施例に結びつけて本出願を詳細に説明する。
【0048】
関連技術における矩形導波路の損失が速いという問題に対して、
図1から
図6に示すように、本出願の実施例による導波路層1は、パネルサブ層11と、第1の導波路12と、前記第1の導波路12と交差する第2の導波路13とを含み、ここで、前記第1の導波路12と前記第2の導波路13はいずれもリッジ導波路であり、
【0049】
前記第1の導波路12と前記第2の導波路13は、前記パネルサブ層11に設置され、且つ前記パネルサブ層11、前記第1の導波路12及び前記第2の導波路13は、一体型構造である。
【0050】
具体的には、関連技術において、
図4に示すように、関連技術における交差導波路のエネルギー分布は全て矩形導波路に集まるが、本実施例では、第1の導波路12及び前記第1の導波路12と交差する第2の導波路13の下にパネルサブ層11を設置し、且つ前記パネルサブ層11、前記第1の導波路12及び前記第2の導波路13が一体型構造であることで、光が導波路層1において伝送される過程において、エネルギーが主にパネルサブ層11に集まり、
図5に示すように、損失が主にパネルサブ層11にあり、前記第1の導波路12と前記第2の導波路13はいずれもリッジ導波路であり、リッジ導波路の損失はより小さく、パネルサブ層11はリッジ導波のリッジ路に比べて体積がより大きく、リッジ導波路の損失が低減される。
【0051】
任意選択的に、前記第1の導波路12と前記第2の導波路13とは構造が同じである。
【0052】
説明すべきこととして、前記第1の導波路12と前記第2の導波路13の構造は異なってもよく、前記第1の導波路12と前記第2の導波路13の具体的な寸法は、従来技術における有限要素解析から導き出すことができる。
【0053】
具体的には、前記第1の導波路12と前記第2の導波路13は、互いに垂直である。
【0054】
具体的には、前記リッジ導波路は、広幅セグメント14と、二つのグラデーションセグメント15と、二つの狭幅セグメント16とを含み、
【0055】
前記二つのグラデーションセグメント15と前記二つの狭幅セグメント16は、いずれも前記広幅セグメント14の間に対称に設置され、前記グラデーションセグメント15は、前記狭幅セグメント16と前記広幅セグメント14との間に位置し、前記広幅セグメント14の横断幅は、前記狭幅セグメント16の横断幅よりも大きく、前記グラデーションセグメント15の前記狭幅セグメント16を接続するための側の幅は、前記狭幅セグメント16の横断幅に等しく、前記グラデーションセグメント15の前記広幅セグメント14を接続するための側の幅は、前記広幅セグメント14の横断幅に等しい。
【0056】
具体的には、前記パネルサブ層11に平行である断面において、前記狭幅セグメント16と前記広幅セグメント14の形状はいずれも矩形であり、前記グラデーションセグメント15の幅は、前記狭幅セグメント16から前記広幅セグメント14の方向へ次第に広くなり、ここで、グラデーションセグメント15の該幅変化は、線形であってもよく、非線形であってもよい。
【0057】
任意選択的に、前記リッジ導波路の長尺エッジの外表面と前記パネルサブ層11との夾角は、20度よりも大きく、且つ90度よりも小さい。
【0058】
具体的には、リッジ導波路の長尺エッジとパネルサブ層11とが夾角を形成することにより、リッジ導波路の体積を増加させた上で、リッジ導波路自体の耐用年数を延長し、損失に強くし、光が導波路層1において伝送される過程において、エネルギーがパネルサブ層11にさらに集まる。
【0059】
具体的には、前記第1の導波路12の両端と前記第2の導波路13の両端はいずれも前記パネルサブ層11のエッジまで延びる。
【0060】
同じ技術的構想に基づき、本出願は、交差導波路をさらに提供し、これは、隔離層2と、サブストレート層4と、上記の導波路層1とを含み、隔離層2は、サブストレート層4と導波路層1との間にあり、前記隔離層2の屈折率は、前記導波路層1よりも低い。
【0061】
任意選択的に、被覆層3をさらに含み、前記導波路層1は、前記隔離層2と前記被覆層3との間に設置され、前記被覆層3の屈折率は、前記導波路層1よりも低く、前記第1の導波路12と前記第2の導波路13は、前記パネルサブ層11と前記被覆層3との間に位置する。
【0062】
ここで、前記隔離層2の屈折率と前記被覆層3の屈折率はいずれも前記導波路層1よりも低いことで、光が導波路層1において伝送される過程において、光が前記隔離層2と前記被覆層3を透過することも、サブストレート層4中に入り込むこともない。被覆層3は、導波路層1に対して物理的保護を行う役割を果たすこともできる。
【0063】
同じ技術的構想に基づき、本出願は、上記の交差導波路を含む光子デバイスをさらに提供する。
【0064】
同じ技術的構想に基づき、本出願は、導波路層1の製造方法をさらに提供し、該方法は、
【0065】
基板にフォトレジストをスピンコートすることと、
【0066】
前記基板に対してパターン露光を行うことと、
【0067】
パターン露光後の前記基板に対してエッチングを行い、前記パネルサブ層11及び前記パネルサブ層11から突出する第1の導波路12と第2の導波路13を露出させることであって、前記第1の導波路12が前記第2の導波路13と交差し、前記第1の導波路12と前記第2の導波路13がいずれもリッジ導波路であることと、
【0068】
前記第1の導波路12と前記第2の導波路13からフォトレジストを除去することとを含む。
【0069】
具体的には、まず基板にフォトレジストをスピンコートし、そして、フォトエッチングマシンとマスク板を用いて該基板に対してパターン露光を行い、前記第1の導波路12と前記第2の導波路13に対応するパターンを形成し、そして、ICPエッチングマシンを用いて、パターン露光後の前記基板に対してエッチングを行うことで、パネルサブ層11、第1の導波路12及び前記第1の導波路12と交差する第2の導波路13を形成し、そして、フォトレジストを除去し、該導波路層1の製造を完了する。
【0070】
任意選択的に、前記第1の導波路12と前記第2の導波路13とは構造が同じである。
【0071】
具体的には、前記第1の導波路12と前記第2の導波路13は、互いに垂直である。
【0072】
具体的には、前記リッジ導波路は、広幅セグメント14と、二つのグラデーションセグメント15と、二つの狭幅セグメント16とを含み、
【0073】
前記二つのグラデーションセグメント15と前記二つの狭幅セグメント16は、いずれも前記広幅セグメント14の間に対称に設置され、前記グラデーションセグメント15は、前記狭幅セグメント16と前記広幅セグメント14との間に位置し、前記広幅セグメント14の横断幅は、前記狭幅セグメント16の横断幅よりも大きく、前記グラデーションセグメント15の前記狭幅セグメント16を接続するための側の幅は、前記狭幅セグメント16の横断幅に等しく、前記グラデーションセグメント15の前記広幅セグメント14を接続するための側の幅は、前記広幅セグメント14の横断幅に等しい。
【0074】
具体的には、前記パネルサブ層11に平行である断面において、前記狭幅セグメント16と前記広幅セグメント14の形状はいずれも矩形であり、前記グラデーションセグメント15の幅は、前記狭幅セグメント16から前記広幅セグメント14の方向へ次第に広くなる。
【0075】
任意選択的に、前記リッジ導波路の長尺エッジの外表面と前記パネルサブ層11との夾角は、20度よりも大きく、且つ90度よりも小さい。
【0076】
具体的には、前記第1の導波路12の両端と前記第2の導波路13の両端はいずれも前記パネルサブ層11のエッジまで延びる。
【0077】
本出願の実施例では、導波路層1を提供し、パネルサブ層11と、第1の導波路12と、前記第1の導波路12と交差する第2の導波路13とが設置され、前記第1の導波路12と前記第2の導波路13は、前記パネルサブ層11に設置され、且つ前記パネルサブ層11、前記第1の導波路12及び前記第2の導波路13は、一体型構造である。このように、第1の導波路12及び前記第1の導波路と交差する第2の導波路13の下にパネルサブ層11を設置することで、光が導波路層1において伝送される過程において、エネルギーが主にパネルサブ層11に集まり、損失が主にパネルサブ層11にあり、第1の導波路12と前記第2の導波路13はいずれもリッジ導波路であり、リッジ導波路の損失はより小さく、パネルサブ層11はリッジ導波路のリッジに比べて体積がより大きく、リッジ導波路の損失が低減される。それによって関連技術における矩形導波路の損失が速いという問題を解決する。
【0078】
最後に説明すべきこととして、以上の実施例は、本出願の技術案を説明するためにのみ用いられ、それを限定するためのものではない。前述した実施例を参照しながら本出願について詳細に説明したが、当業者であれば理解できるように、依然として前述した各実施例に記載の技術案を修正し、又はそのうち一部又は全部の技術的特徴に対して等価置換を行うことができ、これらの修正又は置換は、対応する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の精神と範囲から逸脱させるものではない。
【国際調査報告】